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須田政府委員 この問題に関しまして、少し私どもの方としても
意見を述べさせていただきます。
実は第二
十九條の中に第六條の違反を
罰則に適用しました
理由に関しまして、次に述べるような七つのことを考慮に入れております。その第一は、実はこの
水路業務法は、大体
陸地の
測量法に対応いたしまして考えたものであります。
陸地の
測量の場合におきましては、
測量する人間は
測量士という
一定の資格を持つた者でなければできない。それからその
測量士が真実と誤つた場合には
罰則を適用する、そのところは
水路測量におきましても、相当経験のある人がや
つております。そのほか
水路測量士というものを設けることは、機構が大きくなるとか、いろいろな
関係がありまして、かつ特権的な
水路測量士を置くということはおもしろくないというので、
法案には入れていなか
つたのであります。そういう
意味からしますと、
罰則を設けなければ
励行ができない、第二番目には、この
罰則の
目的は、決してむやみやたらに罰するというのではありませんで、むしろ
励行していただくということにあるのであります。もし
罰則に相当するようなことがあつた場合におきましても、できるだけ注意して勧告しまして、九條の
條文を守
つていただく。それから第三の
理由としましては、六條の
許可を受けますと、その人は当然第九條の
基準に
従つてや
つてもらわなければならぬ。これは
水路測量をやる場合に非常に大事な問題であります。それから第四番目としましては、
基本水準面というものをきめてあるのであります。その
基本水準面というのは必ずしも一様ではございません。しかしこれは国際的にすでに発表されて実行されておるものであります。日本が
文化国家として今後発展する上におきまして、そういう
一定の規則に従うということは、
国際信義を考える場合において、非常に大事な問題だと思います。第五番目の問題としましては、地震の予知の問題、あるいは津波の
災害防止、あるいは海岸の
浸蝕防止、こういうものにおいて非常に大事なものだと思います。第六番目には、全国で各
港湾の
測量を願い出すものが、一年間に百五十箇所ぐらいある。ところが現在の
水路業務の陣営では、ようやく一年に二十箇所ぐらいしかできないので、そこで国費や
地方の
費用を
使つて測量をや
つていただいた
成果を、できるだけ
水路部で利用さしていただくことが、
国家的な
経済の
建前において、非常に大事な問題だと考えたのであります。第七番目としましては、実は
水路部以外の各礁湾の
測量を一般に実行したとしましても、その
成果を
水路図誌にいたしませんと、
船舶は決して安心してや
つて参れません。結局われわれといたしましても、その
港湾に出入する
船舶が非常に限定されることになる。ごとに外国の
船舶は、
水路図誌に掲載された
港湾図を利用しないと入
つて参れません。こういう
意味から申しましても、非常に国策的に大事な問題である。実は今まである港で
水路部が
測量しまして、そのほかの方の結果と比較しますと、一メートルぐらい深さの違うところが出て参
つておるのであります。こういう問題はむしろ
海上交通の安全を脅すことでありまして、ぜひこれに
従つていただきたいというふうに、以上七つの観点から私の方ではこれを
罰則に入れてもらいたいと考えたのであります。この問題に対しましては、もし可能ならば
原案のようにしていただけば非常にありがたいのでありますが、しかし原局としましては必ずしもそれを固執する意思はございません。その
理由といたしましては、さつき御質問に
なつたように、はなはだ遺憾でありますが、行政的の措置が十分に
行つてないことを認めております。それはごく簡単な
基本水準面を示した表と、係員が
地方の九管区本部に参りまして、法の精神を
説明した程度でありますが、今後
港湾局その他の
関係者と十分打合せて、この
法律が
励行されるように努力して行く覚悟であります。その上でもし適切な
行政的措置をや
つてもなおかつうまく行かぬというような場合におきましては、将来いつかはわかりませんが、そのために弊害が起つたということになりますならば、適当な時期に、さらにこの
罰則に関する條件を十分検討しまして、再
提出して行きたいと考えます。その点を考慮して適当に御
処理を願います。