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公述人(
岡三郎君)
只今紹介を受けました
日本官公庁労働組会議長の岡であります。所属は
教職員組合でございますが、本日の
公聽会について私一昨日二十八日にこの御案内を受けまして、いろいろな点から不十分な公述になると思いますけれども、その点はお許し頂きたいと思います。
それで初めに私考えますのは、今年の、昭和二十五年の総予算に対する
公述人として出たこともありますが、この神聖なる國民の総意を結集して討議せられる國会において、我々がつたない知識であつてもこれがどの程度御勘案頂けるかという点が我々の四六時中考えて、而も真劍に見つめておつた問題でございますが、私のこれはちよつとした短見かも分りませんけれども、この
公聽会というものが
民主主義の一つの
装飾品として儀礼的にこの國会で受けられておるのではないかというふうな非常に淋しい一つの印象を持つたわけであります。というのは、もう大体きまつて
しまつて新らしい角度から検討する余地がないような國政の運営という面が非常に多くなつて来ておるということを考えまして、少くともこの
予算委員会において真劍に
勤労大衆のみならず一般の國民の本当の意向を反映した、本当の実質みのある
予算公聽会であつて欲しい、こういうふうに考えております。その点について特に
予算委員諸賢の御考慮をお煩わししたい、こう考えておる次第でございます。それで今日は各
新聞紙上その他雑誌におきまして、
補正予算の批判が各紙に出ております。その中において依然として超
均衡予算であるというのは、インベントリイ・フアイナンスの問題その他を分析されて申しております。
それからもう一点は、
勤労大衆をやはり圧迫しておる批判ではないかというのは、これは民主党の方々も
言つておられる点で、そういつた広汎な公述は一応避けさせて頂きまして、端的にこの
補正予算に組まれておる
國家公務員、
地方公務員の給與というものが、今日の予算でどういうふうに実質に変化が起るのかという点について端的に時間もありませんので申上げたいと思うわけでございます。
第一点に、今は日本の
官公庁労働者が九十七百円
ベースの要求をしております。これに対して巷間、ややもすれば、非常識な数字であるというふうに申しますけれども、私たちが調べたところ同じような
事務系統の銀行の職員にしても、やはり
金銭出納の責任という立場から俸給が一万円以上という、これは常識でございまして、その他労働省の調べによりますと、
鉱業全般の平均が、これは山の鉱業ですが、二十五年の四月に九千二円、それが五月に九千四十三円、六月に九千五百二十三円、七月に一万百九十八円、八月一万五百六円、九月に九千八百九十九円というふうに、殆んど
官公吏から言えば、三千五百円乃至四千円上廻
つた給與を取つております。これは
労働力によるとは言え、
國家公務員も
地方公務員も、
國家公務員法或いは今次制定されるような、されんとしているような、ああいつたような嚴重な法律によ
つて公共の福祉に任じておる者から言えば、同じ立場においてやはり
一般民間のこういつたような
平均賃金と同じ程度の、少くとも同じ程度の待遇をして貰いたいということが無理ではないと私たちは
思つておるわけであります。なお
製油工業の
平均賃金を取つて見ましても、四月には八千三百六十二円でございましたが、九月にはこれも九千三十円になつております。朝鮮の
特需景気というものが潤おつているとは思いますけれども、
一般公務員もやはり國家全体が多忙になれば、
公務員も多忙になるというふうな段階において我々は従来非常に閑却されてお
つた公務員の待遇を九千七百円
ベースにして貰いたい。こういう点について私たちは不当ではないと
思つておるわけであります。併しながら、
國家公務員法に基く
人事院の勧告が出ました八千五十八円という数字は我々としては非常に不満ではございますけれども、現状においてやはり我々は
人事院というものの存在を肯定し、一応あの数字を実施して貰うという点において心をとにかく靜めて参つたわけでございます。この不満ながらも何んとかこういつたような仲裁とか調停とか、或いは一つの機関の決定を実施して貰いたいという
公務員のこの衷情を政府は口には尊重するとは
言つておりますけれども、千円の
ベースの改訂は誠に欺瞞であるという点が
はつきりとして参つたわけでございます。その欺瞞という点について、これから私たちが分析した点を申述べたいと思います。
先ず第一に、ここに図表がございますが、これはよくもう常識化されているとは思いますけれども、非常に下級の
公務員ベースが
上つても
地方税の、まあ
住民税ですね、それからガスとか水道とかその他家賃の
値上りとか、地代の
値上りとかそういうものがからんで来て、おまけに来年から又米が
値上りするという段階において、ここにあるのが六千三百円
ベースの筋なんですが、こういうふうに比較して戰後の
特殊経済状態において
生活費というものは重んじなくてはならん、つまり一般の
青年層においても、何んとか國政に協力するという立場なら、最低の生活は自分がまじめに働いておるならば政府は與えるというふうな、そういつた角度で一応下級のほうの吏員に
相当ウエイトがかかつてお
つたのは当然であります。併し、この点についても我々は過去において批判して参つたわけでございますが、このいわゆる数字を取つておつたわけでございます。ところが今度の
人事院の勧告は大体
最下層と
局長クラスは七倍ちよつとですが、今度の
人事院の勧告はこの上の一番この線から始まつて、こういうカーブをとつておるわけです。つまり三万二千円の先、三万二千四百円でとまつておりますが、今度の政府の
給與審議会という……。これは私たちにとつては訳のわからない代物ですが、この
給與審議会から出しておる案というものは、二千四百円を三千円に上げてずつと大きくして最高をこの上に持つて来ておるのであります。この点でとめておりますが、この水準は大体八千の少少になつておりますけれども、ここの交錯しておる政府と
人事院の案を比較してさえも、丁度八級のところで八千六百八十円ですか、ここで交叉しておるわけですが、この下の
人事院よりも低まつておるこの人間の数が、これが非常に莫大な数で、大体八級どまりで全
國家公務員の九三・四%、百人について九三・四人が
人事院の勧告と比べて非常に削られておる。大多数の
國家公務員は
人事院の勧告よりもずつと落されて、その落された数字が上へ持つて行つて重なつて、こういうふうに伸びておるわけであります。この点はただ数字を比べるよりも、グラフを書いて見れば一目瞭然でありまして、この
最下層に積まれておる
國家公務員の
給與改訂は、誠に微々たるものであるという点が明確になつて来たわけでございます。而も、ここで話が逸れますが、政府は口を開けば、
國家公務員法を尊重する、或いはマ書簡によるところのああいう制度というものをわざわざ
作つて来たのですが、過去においてこの
人事院の出した数字というものを本当に政府が尊重して来たかどうか。今回急速に内閣に
給與審議会という訳のわからん、法律的にも何らの裏付けのないようなものを
作つて、そこからこういうふうな勝手極まるところの
給與体系という法律を出して来た。こうなると、
人事院というものは全く私は要らないのじやないかと思う。特に
人事院の
給與局というものが細かく精細に調査した結果の
給與体系までも発表しておる。そういつた具体的な專門のものまでも、政府が取上げて
給與審議会でこれを又各所にいびり廻すというならば、私はこういつた二頭政治というものはやめて、どちらかに
はつきりして貰いたいと思うわけです。それは國会の審議を重複させるばかりではなくして、やはり
人事院で相当の経費を使つておる國家の費用というものが、私は一面借しくなつて来るのではないかと、こう考えられるわけでございます。そういう意味で、とにかく今回の政府の
給與法を二十三日に閣議に提出し、この二十七日に國会に上程するといつた、こういう際どい処置に対して、断固として反対しなければならんと、こう思うわけでございます。なおこの
給與グラフに現われておる問題ではなくして、お手許の
一般職員の給與に関する法律というのがあるのですが、この一番末尾にある表を御覧になつて貰いたいと思うのです。一番末尾の俸給の
切替調整表というやつです。これは重要なんですが、これによるというと、今回の切替によつて、政令四百一号の十二條の三項というところに、従来特殊の勤務をしておる者には号俸を一号乃至二号、或いは
税務職員というふうな特殊の仕事をしておる者には三号というふうに、一応加俸してあつたわけでございます。これはそこに職種がありますように、癩病を取扱う者とか、
盲聾唖学校、かわいそうな盲の生徒とか、そういう者を教えておる先生、或いはその他の教師、その他一般の現場に働いておる特殊の事業をしておる人、そういつた職種がここにずつと出ておりますが、この
人たちの今までの即得権が、この法律によ
つて簡單にもぎ取られておるということでございます。この問題について、丁度
官庁業務に習熟したという程度の九級以下の職員が、これによ
つて殆んど打撃を受ける。九級以上の人は打撃を受けないで、大体九級以下の人が殆んど、二号、或いは
税務職員でいうと三号というふうに切り落とされるわけであります。それですから、仮に千円
上つたといたしまして、千円
上つた中から税金その他の問題を考え、なお
地域給の五%の切り下げを考えて、そうしてその上にこういつたような
既得権の
調整号俸を又切り落されるといつたならば、そういつた
特殊勤務をしておる者自体がどのくらい落胆するばかりでなくして、政府の措置が、俸給を上げるということの蔭に隠れて
上級官吏のみ肥やし、そうして特殊の
そういつた人の厭がる仕事をしておる人までも皆同じように地均しをして、而も
地域給を下げて、その他物価の騰貴や税金とかいろいろな関係で、どのくらいこれで上るかというと、我々が具体的に数字を調べたところによりますと、
下級官吏は殆んど問題にならない。否むしろ、この
特需景気による物価の上昇、繊維品その他の物価の上昇と併せて、来年更に米価の問題との関連、或いは
地方税が拂われていないわけであります。
地方税が今借金をしておるわけであります。これを十一月末日を以て納めなければならんというところを、又借金をして行くという形になつて参りますと、とにかく
地方税法の問題とからみ合せて見ると、
下級職員は殆んど問題にならんということになるわけであります。その
下級職員と
上級職員との具体的な区別は、その八千円
ベースの批判に書いてございますので、御熟読頂くことにいたしまして、大きく全般的に
言つて、政府の千円の
ベース引上げと半カ月分の年末手当というもの、この三十二億の予算が、殆んど
下級職員の待遇、生活を実質的には向上させないと、そういう点を私はここで明確に
言つて、もう少し現状のような経済においては、等しく耐乏し等しく努力をして行くという段階において今この段階において
下級職員を削つて上のほうへ持つて行くという処置をもう暫らく待つて貰いたいということを私はここで言わざるを得ないわけであります。
その外この
給與法について尚申しますというと、
特別昇給というものがなされておりますが、これはよく働いた者が特別に二号俸なり昇給するということになる問題でありますけれども、ややもすればこの基準が非常に重大だと思うのでありますが、どういう判定、どういう基準で
そういつた人たちが外の
人たちと比べて二号俸なり三号俸上へ持つて行くかという点については、従来
戰時中戰後を通じて、
上級職員に媚び諛う、或いはともかくその場をうまくごまかして、同僚間はいざ知らず、
上級官吏のみに追随して行くというようなことに全部がなりかねないというふうに私は考えておるわけであります。そういうわけで、この基準、判定というものを明確に呈示しない限り、こういつた
特別昇給というものも、やはり現状の生活困難なる段階において、徒らに神経を疲れさせる、そういうふうな
身分給みたいな惡影響を與えるので、この点はしつかりとここで政府のこういう処置について分析して頂きたいと思うわけでありまして、惡用される虞れが十分あると考えます。なお
昇給期間についても、従来は六カ月、九カ月、十二カ月、十五カ月、二カ年、二十四カ月ですね、そうあつたものを、今度十二カ月止りにしたわけですが、
昇給期間は
上級者のほうがより優遇されておる。これは比較の問題ですけれども、
上級者のほうが一年期間を短縮されておる。九カ月で昇給したのが六カ月になつておるものもありますけれども、大体十三給以上の人が非常に昇給が早くなつておるということでございます。
それから、すべてこの
法律案の中に予算の範囲内、予算の範囲内という言葉が使つてあります。これも一つの常識でございます。確かに予算の範囲内でものを処理しなければならないと思いますが、今まで考えて見ても、予算の立て方が一番問題である。初めから予算が出ないようにして、そうして予算が出ないようにしてそうして予算がないからお前たちの昇給ができないというふうな方式ではこの予算の範囲内というものはまるで無理を強いるという方向になります。それから変な予算の立て方をしたならばこういつた
給與法律案は殆んどからになる、空になるという心配があるので、この予算の範囲内という言葉はこの
給與法から我々取つて貰いたい、こう思うわけです。やはり一定の
昇給期間が来てまじめに働いて順次昇給できるという方式を確立して貰わない以上私はもう予算の範囲内という言葉に再びごまかされないということを考えております。それから
俸給支拂日がこの法律の中に
はつきり書いてない。
俸給支拂日をいつにするということを書いてない。職員の給與に関する法律というのはどういう意向かわかりませんが、やはり明確にして、今のこういつたような
経済情勢下で税金その他の過重に喘いでおる職員に対して、もつと
ベースを大幅に引上げるか、或いは我々はたびたび俸給の
金額拂いを要求して来たのですが、
俸給支拂日は月初めなり、或いは月半ば、二回なら二回に明確にここに謳つて貰いたい、こういうふうに考えております。それから
人事院の
意見書で年末手当一カ月ということを
人事院が
言つておりますが、最
底限度少くとも私は一カ月という問題では我慢ができないと思うけれども、とにかくここに明確に年度末手当というものを法律で謳うべきだ、こういうふうにこの
給與法律では考えております。そこで総括的に
國家公務員の今の
給與法律に基くところの要望を申上げたわけでございますが、予箕面からいつて是非とも我々は政府のごまかしの千円
値上げではなくして、当面暫定的に九七
ベースの改訂として、とにかく
人事院のあの勧告を忠実に実施して貰いたい。つまり六千三百七円、これは
現物見積りとかあらゆる問題を引張り出して加えて今の給與は約七千円になると
言つておりますけれども、これもその文章の中に
はつきりしておる通りでたらめでございます。我々の給與はこうなれば順次
俸給昇額とか
特殊勤務手当というものまでその
ベースの中に皆ぶち込まれるならば、殆んど
ベースの六千三百七円とか八千円
ベース、八十五十八円
ベースとかいうことは意味がなくなるわけで、我々は六千三百七円というものと八千五十八円の差額の一千七百五十円というものを当面不満ながらも、これを予算化して貰いたい。この予算の我我の資料はここに書いてあります。それから年末手当三カ月要求しておるわけでありますが、
新聞紙上で拜見するように大変頂いておるような職員もあります。我々は飽くまでも三カ月の要求をしたいのでございますけれども、現在、この予算の段階において少くとも最底ぎりぎりの線として一カ月分これを
はつきりとこの予算の中に組んで貰いたいということが我々の最後の
國家公務員としての要望でございます。
次にこの
國家公務員の問題から更に
地方公務員に移るわけでございますか、
地方公務員の問題について昨日衆議院において
地方行政委員会で八十三億の
地方平衡交付金の決議がされたと伺つておりますが、八十三億というのはこれは
地財委の
意見書でございまして、我々が分析したところ、少くとも百六十六億の
平衡交付金というものを要求しなければならないのじやないか。この点についてはお手許のプリントに書いてあるわけであります。八十三億は、四十億の節減をして大体八十三億になるのでございますが、我々としては
教育職員の
特別給與切替に要する予算として四億九千一百万円とか、或いは年度末手当をやはり先ほど申しました一カ月分ということをこの中に含めて貰いたい。こういうふうな計算からこの表の第四例のこの数字というものを是非とも尊重して頂きたい。
給與関係増加額として百七十一億二千六百万円、
給與ベース改訂による増として七十五億七千九百万円、年末
手当支給に関する経費として九十億五千六百万円、教職員の
特別給與切替、これは二年間ほつたらかされておつた問題ですが、これが四億九千百万円、こういつたものを含めて百六十六億一千百万円の
平衡交付金の増加をお願いしたい。こういうふうに我々はこの資料から申したいと
思つております。そこでこの内訳は全部小学校、中学校、
一般市町村、
県庁職員のどれだけ單価を要するかという問題については第二表に全部書いてございます。そこで結論を申しまして、現在の予算のあの
平衡交付金三十五億では何にも
先生方には行かない、
黒川厚相が
河崎ナツ氏の質問に対して
母子保護その他の面で厚生省は
平衡交付金から二十億出す予定である。
農林省は
農林省で十何億、そういうふうにして、
文部大臣はあの中から二十六億何千万円、これは足らないのですが、三十億ぐらいということになれば三十五億という
平衡交付金が如何にむちやくちやであるかということが私たちは
はつきり言えると思うのであります。三十五億では
大蔵大臣も
文部大臣も
先生方のそういつたような賞與或いは
ベース改訂の費用、或いは
県庁職員、村役場の人の
給與改訂、年末手当があの中から拂われると
言つておつてもとても抑えたものではない。今の
地方財政の現状から言うならばとても抑えるどころではなく、一銭も出せないであろうがとこういうことを
はつきり言えると思います。そういうわけで我我としては是非とも
國家公務員と同様に、
國鉄職員と同様に本当の平等の原則によ
つて賃金を
最低限度我々不満であるとしても
人事院勧告の千七百五十円の
値上げと、もう一点は今
言つた最低限度一カ月の賞與、年末手当を頂きたい。その念願にほかならないわけでございます。そこでなおこの
平衡交付金の
所要額についてはここに明細に書いてございますが、大体そこにありますように、もう一遍申しますが
地財委の
要求額がこの欄でございます。この第七番目になつております。この数表と、逐次この下に説明がございますので、数字を御検討頂ければわかると思うのですが、くどいようですけれども、是非とも
平衡交付金の増額はこの
予算公聽会、
公述人の立場としても予算の委員の立場としても地方のほうの節減四十億を引いたところの百六十六億ですか、この点是非とも御検討を煩わしたいと思うわけであります。
地方公務員は全然この問題が処理されない限り、この
平衡交付金が処理されない限り給與というものが殆んど入らないのじやないか、東京とか大阪とか、或いは六大都市は入るかもわかりませんが、貧弱県は殆んど入らないというふうになつております。そうなれば
地方自治確立ということを
言つているこの建前上全國的なアン・バランスができてやはり國家的な見地から立つても由々しい問題である。こういうふうに我々は考えておるわけでございます。
以上によつて大体
國家公務員と
地方公務員の給與の問題について年末手当の問題について申上げたのですが、最後に私は一つの案を持つて参りました。それは税金の問題です。お手許の一枚の紙に書いておるのが税金でございますが、この紙だと今回政府が結果全体の問題として
勤労所得税の
基礎控除一五%二万円まで、最高三万円、同上二万四千円まで一五%、最高三・六万円、これは一つの
修正案をここへ一緒に書き上げたのですが、一番わかりやすいところとしては上の欄から四番目の
扶養者四人の
標準家族、一万円の
所得者この列を見て貰いたいと思います。私は少くとも現在四人の家族を持つて、妻と子供三人を持つて一万円の
俸給生活者が税金が納められるとは思わない。四人の、妻と子供を抱えてまじめに働いている
官公吏が一万円の俸給で税金が出せるわけは私はないと思う。先ずポイントとして、月額一万円の給與の人で四人の家族を持つた
標準世帯はやはり現行においては四百八十三円のこの税金を取つておるが、
政府案によつても二百三円かを取るようになつておりますが、ここのところではやはり
給與所得税は取らない、四人の家族を持つて必死と働いている一万円程度の
俸給生活者に税金を出せということは
むちやくちやだという点を
はつきりと私はここに出したいと
思つているわけでございます。現行と、
政府案と、私の試案がここに出ております。これを比較対照して頂ければわかりますが、一番問題なのは現在の
申告税の
見積りがうんと下がつて、
源泉所得税のほうがうんと殖えていることです。これは私びつくりして来たのですが、
申告税のほうがずつと下が
つて給與所得のほうが……。
申告税が何故取れないかというと政府が
申告税をうんと落しているわけです。それで
源泉所得をうんと殖やしているわけです。役所に勤めている人はもう随分取られるのです。いわゆる徴税の
見積り徴收が非常に殖えているわけです。
申告税のほうをもうむちやくちやに落している。大体二対三の比率で
源泉所得が二で、
申告所得が三の割合で政府は当初予算で
見積つておつた。ところが現在ではこれが逆に
源泉所得のほうが多くなつて、
申告所得のほうを少くしてある。というのは、これは一つの原因は取れないわけですね、何故取れないかということになるというと当然
最低限度を二〇%と抑えている、この点私は無理があるのじやないか、とにかく二〇%で抑えておるということになれば下のほうは出しにくい。それからなお
一般特需景気や、そういつたもので儲けておつてもその時間的なズレからやはり申告そのもつが過少評価されて取れて行かない、そういつたような原因がありますので、少くとも現行の二〇%、政府の今度の案も二〇%ですか、一・二万円までは一〇%程度に抑えて、少くとも下のほうを安くして
申告所得税が取れるようにしなければならん、無理をしないで
申告所得税が取れるようにしなければならん、如何に名目的に取れる額を計上しても取れなければ何にもならないので、下をもう少し落してとにかく納められるようにしてやりたい、こういうふうに考えて一・二万円を超せる場合は一五%、三万六千円からは現行の二〇%の課税額をやつて行つて順次これを上のほうへ持つて行けば大体現在の徴税においてもそれほど無理がないのじやないか、こういうふうに考えるわけでございます。
私の所論については大体この税金はもつと詳しく言いたいのですが、時間がございませんので簡潔に省きたいと思います。併しながらやはり現在政府が税金を減らしておる、減らしでおると
言つておりますけれども、殆んどあれでは何にも我々のような下級
勤労大衆にはならないという点が一番問題だと思うのです。先ほど申しましたことをもう一遍言いますが、昭和二十五年度の租税及び印紙收入、
補正予算について源泉が九百八十三億三千二百万円、申告が千五百億になつたわけです。それが現行法による場合の收入見込が、源泉のほうはずつと殖えて九百八十億が一千二百億に超えているわけです。源泉のほうをそれだけ取ろうとしているわけです。それに対して申告のほうは一千五百億が一千百七十億、大体三百三十億の申告のほうを税收で削つているわけです。そういうわけで差引
補正予算としての收入
見積りが源泉では千百八十億、そうして申告が千百七十億と初め三対二であつたつのが、今では源泉のほうを多く收入
見積りとする、こういうことは、
官公吏からは手嚴しく一銭も間違いもなく取上げて、
申告税のほうは非常にルーズになつている。そういうような点でとにかく税制をもう少し実質的に徴税できるような方向に具体的な案を立ててやり直して貰いたい。こういうふうに思うわけでございます。これは、我々の希望としてはほど遠いものですが、とにかく現実において不満であつても、建設的な問題の処置として私はここに一つの問題を提出したわけでございます。その他失業者の問題にしても、当初予算から当然足りなかつたという予想があるのに、失業に対するそういつた予算が軽視されて、現在これを多額に計上しなければならなくなつており、而も現在の失業状態では足りないという点、その他社会保障審議会を
作つてあつても、それを尊重しないでこの予算案に計上しておらないという点。とにかく形式的には社会保障制度のことも考えており、或いは失業者のことも考えており、
公務員のことも考えており、
人事院の勧告も尊重しておると口の先では
言つても、この予算の中に盛られた数字からは全然からつぽか、或いはその一片だに過ぎないということを私はここに皆さん方に本当に訴えて、是非とも國会の審議権を我々は本当に尊んでおるわけでございますので、この國会において本当の自主的な立場において國民輿論であります我々
地方公務員関係の切実な声を真劍に御討議頂いて、そうしてこういつた子供を持つているこの大勢の
公務員の年度を暖かく過ごさせるような温か処置を私はここに全國の
公務員を代表してお願い申上げまして、私の口述を終りたいと思うのですが、特に私はあの電気分断の問題にしても、これをいわゆるファイナンスに持つて行つたときに〇・Kがとれるかとれないかということよりもとにかく人事
委員会は一つの成案を作り上げて、國会議員としての自主的な立場を明確にして最後まで御努力願いたい、こう思うわけであります。とにかく政府は一応あの線において引下つておりますけれども、今度は國会議員の諸賢の本当の熱意によつてこの年度末特に最も危殆に瀕しているところの
地方公務員の給與の問題、そういつた問題を真劍に取上げて、
平衡交付金の増額と給與、年末手当のもう少し大幅の改訂をお願いしたい。最小限度お願いして私の口述を終ります。