○
政府委員(平田敬一郎君)
補正予算に伴う税制改正の大要と、それに関連しまする
歳入予算の見積りにつきまして概略御
説明申上げます。
税制改正の内容につきまして余り繰返して申上げることも如何かと思いますが、大要は御承知の
通り所得税を中心としまして
減税を行うという考え方でございます。而して
所得税の
一般的な改正は来
年度の本
予算と同時に提出するという
予定でございまして、差当り本年の一月から三月までの
給與に対する源泉
所得税の軽減を行う
程度に
なつておるのであります。これは即ち御承知の
通り基礎控除を二万五千円から三万円にする。扶養控除を一万二千円から一万五千円に
引上げる。税率につきましては小刻みに
なつておりますのを大刻みにしまして、最高百分の五五の適用を受ける所得階級を百万円にいたし、そういたしましてこの一番下のほうの現在は五万、八万、十万、十二万というふうに急に飛んでおりますが、この中の八万円の所得階級と十二万円の所得階級をはしよりまして、削除いたしまして、その半面に三十万円と百万円、この二つの階級を設けまして、税率といたしましては現行の率のままでございますが、上のほうにずつとずらして参
つたのであります。そういう改正が
所得税の基本でございます。これによりまして大体税額におきましては、総税額で二割五分
程度減少するようであります。而もそれは改正によ
つて失格するものも入
つておりますので、そうなりますと普通の人でございますと大体二割前後の軽減になる人が大部分であると見ております。即ち所得
金額の大きさと、家族の数によ
つて違いますが、例えば月收四千円の勤労者でありますと、三割の
減税になります。五千円の勤労者でありますと一割八分の
減税になります。それから今
一般の場合の標準世帯と称せられております月收一万二千円で、奧さんとお子さん二人のところでございますと、二割六分一厘の
減税になります。この辺は重要でございますから、税額をちよつと申上げますと、現在の月收一万二千円で、夫婦と子二人の場合は千七十円という税額でございますが、それが七百九十円になりまして、二割六分一厘の減でございます。それからもう少し上のほうになりまして、月收三万円で、お子さんが三人の場合、夫婦及び子三人の場合は、現在が七千七百九十一円の税金でございますが、これが六千百五十一円、即ち千六百四十円軽減になりまして、二割一分の
減少、こういうことに相成るのでございます。その他独身者の場合は所得が比較的多いそれほど
減税に
なつておりません。所得が比較的少くて家族の多い人は今申上げましたよりも更に大幅に
減税に
なつておるところもあります。でございますが、大体一割五分から二割五分
程度勤労
所得税が減る人が大部分と見ております。尚これに関連いたしまして
所得税の免税点でございますが、免税点も独身者の場合は簡單でございまして、三万円に勤労控除を加えたもの、即ち現在は年額二万九千四百十二円でございますが、改正案によりますと、年額にしまして三万五千二百九十五円ということになります。でございますが、家族控除を
相当昨年来大幅に拡張いたしました結果、通常世帯即ち扶養親族が四人いるような世帯におきましては、現行税法では八万五千八百八十三円という免税点でございますが、改正案によりますと十万五千八百八十三円、五人世帯でございますと勤労所得は大体十万円までかからないというふうに相成る。かようになるのでございます。大体
所得税につきましてはかような点が主な改正でございます。尚申告時期等の問題もございますが、
予算には余り
関係ございませんので省略いたします。
それから酒税につきましては、現在すでに御承知の
通り非常に酒の税率が高いために値段が高く
なつておりまして、売行きが惡い。従いまして折角できている酒が思うように売れないというような事情がございますので、この際
一般物価との
関係も考慮いたしまして、できる限りの引下げを図ることにいたしたのであります。そういたしまして引下げに重点を置きましたのは清酒の二級、それから焼酎、合成酒の二級、こういう方面につきまして最も大幅の
減税になるように立案いたしました。即ち清酒につきましては現在六百四十五円のものが、大体四百六十円
程度に下るようにする。それから焼酎につきましては四百五十円のものが三百三十円
程度に下るようにする。この辺は小売
価格でおおむね三割前後引下げになります。税率といたしましては三割七、八分の減になる
予定であります。そういうことを中心といたしまして、その他の酒類につきましてもそれぞれこれとバランスを図りまして税率の引下げを行い、それによ
つて小売
価格を引下げ、それで売行きの
増加を図ると同時に、密造の駆逐を図りたい。こういう考えでございます。尚この値段につきましては公定
価格もありまして若干端数の異動を生ずることがありますことを御了承願いたいと思います。
それから次は物品税でございますが、物品税につきましては大体三つの点から改正を考えております。その一つは生活必需品又は事務用品と認められるようなものにつきましては、極力この課税から除外するということが一つ、それから課税から除外することが不適当と認められるものにつきましては免税嵐を
引上げまして、そういう方法で課税から除外することを考えております。それからいま一つは税率の引下げでございまして、これは現在最高百分の七十に
なつておりますのを百分の五十にし、その間税率を今六段階ございますが、五段階にし、ただ例外といたしまして、洋紙についてだけ百分の五にする考えでございますが、大体百分の十から五十の税率といたしまして、それぞれ物品の性質等に応じまして現在の税率を引下げる。こういう考えをと
つておる次第でございます。それから第二種の飴、葡萄糖、サツカリン等につきましてもそれぞれ税率の引下げを行う考えでございます。
それから揮発油税、砂糖消費税等につきましても最近の事情に鑑みまして、揮発油税は三割五分
程度引下げをいたしまして、従量税に改める。砂糖消費税は、黒糖は最も大幅に引下げ、普通の砂糖の大体半分
程度に税率を引下げる考えでございます。
それから尚これは来
年度の問題でございますが、来
年度からは
輸入砂糖に対して課税する方針でございます。この法律案は次の
國会に提案される
予定に
なつております。
以上が大体改正の内容でございますが、
歳入見積りの内容につきまして、少しく詳細に御
説明申上げたいと思います。
歳入見積りに当りましては今申上げました税制改正の
関係を一方において算定いたしましたのと、他方におきましては最近までの課税実績等に基きまして、当初
予算で見積
つておりました
歳入に修正を加える必要があると認められるような各税の
收入につきまして
改訂を加えた次第でございます。
次に各税の内容について申上げますが、先ず源泉
所得税でございますが、源泉
所得税は大体当初九百八十三億三千二百万円見積
つていたわけでございますが、今度の
補正で百九十九億八千四百万円ほど減額し、
補正予算といたしまして千百八十三億一千六百万円を計上いたしております。その
内訳を申上げますと、
自然増收が二百五十六億一千五百万円、それに対しまして先ほど申上げました改正案を本年一月から実行するといたしますと、五十六億三千百万円
減少いたしまして、
差引しまして今申上げました
金額を
予算に計上いたした次第でございます。その税法改正前の見積りの根拠を簡單に申上げますと、すべて最近までの実績を本にして計算することにいたしたのであります。即ち今年の四月から十月までの勤労
所得税の
收入実績が六百二十三億一千八百万円、これは実績としてすでに
收入済みに
なつております。これを元にしまして十一月以後どういうふうに入
つて来るかを見積
つたのであります。従いまして普通の
給與に対する分としましては、最近の実績則ち八月、九月、十月、この三月分の
收入実績の平均額を先ず算定したのであります。その実績が百一億六千七百万円、約百一億に
なつておるのでございます。これを五カ月分を
見込みまして五百八億三千五百万円ほど普通の
給與の分として
見込んでおります。それに対しまして年末賞與に対する分が毎年ございますので、これも従来の実績等からいたしまして一月分の四七・四%と抑えて四十八億一千九百万円を加える。それから更に
年度を越えて翌年の四月になりましてから
歳入整理期間中に毎年若干入
つておりますが、これを前年の実績等から見まして、一月分の二五%と抑えまして二十五億四千二百万円を加える。それから更に今度の公務員の
給與の
改訂に伴う増收額を、年末
給與の分と、普通のベースの
引上げの分と合わせまして三十三億四千三百万円
見込んでおります。以上申上げましたのを
合計いたしますと、一千二百三十九億四千七百万円、つまり
減税以前の本
年度の
見込になる次第であります。すべて最近の
收入実績を本にいたしまして計算いたした次第であります。
それから
減税後の税額は最近の
状況から抑えますると、年間の減
見込額を約三百一億六千万円と計算しましてそれの二・二五カ月分に
相当します。と申しますのは、
一般の
給與の分は一月から実行いたしますと、二月分が
減税になります。何となれば三月分は四月に
なつて入りますので本年の
歳入には
関係ございません。ただ官公庁の分の三月分は
年度内に納めるということに
なつておりますので、その分が少し余計に入りまして、二・二五カ月分と見まして五十六億三千百万円改正による分を
見込んだ次第であります。
次は
申告所得税でございますが、
申告所得税につきましては当初
予算では一千五百三億五千百万円計上いたしたのでございますが、最近の実績等に顧みまして、三百三十二億四千三百万円
補正減にすることにいたしまして、
予算といたしましては一千百七十一億八千万円を計上することにいたしたのでございます。その根拠を簡單に申上げますと、御承知の
通り本年から
予定申告につきまして前年実績に基く申告制度を採用いたしたのであります。従いまして本
年度の
予定申告の税額は今までと比べまして割合に確実なものと見まして、その
数字からスタートしたのであります。而してそれぞれ所得
金額、税額等を本にいたしまして、それに対して最近の
状況からしまして農業は所得において一割八分九厘殖える。これは大部分が米価の
引上げに伴います
価格の値上げの増でございます。それから営業は生産が大分殖えておりますので、生産の
増加を一割五分と
見込んでおります。物価は若干の増、殆んど前年と変りございません。その他最近の課税の実績等からいたしまして、申告の成績がよく
なつているとか、或いは税務署の能率増を八%
見込みまして、二割五分二厘の増を営業につきましては
見込んでおります。
その他のものにつきましては、同様な計算をいたしまして、その
申告所得税の課税所得におきまして二割一分一厘の
増加を
見込むことにいたしております。
予定申告は申告されました前年実績額、二十四
年度の基礎額に対しまして、この
程度の
増加を
見込むことにいたしたのであります。それによりましてそれぞれこの税額を計算いたしたのでございますが、それによりますると、
申告所得税の賦課
見込額が千百九十四億ということに相成るのであります。ただこれは全部本
年度内に入るという
数字になりますので、これに対しまして、例年のごとく当年中は七五%け入
つて参りまして、二五%は翌年に繰越される。まあこういう計算をいたしております。そういたしますと八百九十五億五千二百万円、これが
申告所得税の本年分の
所得税の中、本
年度中に入る額として計算されております。それと、御承知の
通り前年から繰越されておりまする
相当大きな滯納がございますので、その滯納額の中幾ら入
つて来るか。これは当初の
予算と同じく、二百七十五億五千六百万円
見込むことにいたしました。そういたしまして、今の八百九十五億と二百七十五億を
合計いたしますると、千百七十一億八百万円、こういう
数字に相成るのでございます。これが
補正予算としまして今回計上いたしましたものでございます。
次は
法人税でございますが、
法人税につきましても、すべて最近の実績に基きまして見積変えをいたしたわけであります。当初
予算は三十八億六千二百万円ほど計上いたしていたのでございますが、いわゆる百八十六億七千六百万円の
補正増をいたしまして、五百七十二億七千八百万円にいたしたのであります。で、この
内訳を申しますと、本年の四月から十月までの
收入実績が、すでに二百九十九億七千九百万円ほど
收入済みに
なつております。これを基にいたしまして計算いたしたのでありますが、計算の基礎といなしましては昨年の一年間の
法人税の
收入に対しまして、昨年の十月までの
收入歩合が幾らであるか。それを基にして計算しますと、昨年は四一・七%ということになり、十月まで入
つていたのでございます。そのままその
数字を採用するというのも一つの方法でございますが、最近申告の成績が比較的よく
なつておりまして、昨年は下期に大分更正決定で
増加した分もございまするから、そういう点を割引いたしまして一割一分ほど下期の分が少いと見まして、昨年のままで見ますると五八・三%
程度下期に入れるのでございますが、それを五三・七%
程度に
見込みまして計算いたしますると、三百四十六億七千六百万円
程度が下期に入
つて来る。こういう計算になるのでございます。ただこれで更にややつこしいのですが、今年は超過
所得税をやめましたのですが、超過
所得税は上期の分には少し余計に入
つておる。下期にはそれは少いことにしてその分を一〇%と見て三十四億更に
予算いたしまして、そういたしますと六百十一億八千四百万円に相成るのでございますが、更にそれから再
評価によりまして減価償却が殖える。これも上期の分に影響が出ておりませんで、大部分下期に現われるという点を考慮いたしまして、その分を三十九億五千万円ほど
見込みまして、それを六百十一億から
差引きまして、
差引五百七十二億七千九百万円と
法人税の
見込を立てた次第であります。従いましていずれも本
年度の実績に基きまする推計でございます。
それから次に再
評価税におきましては、
相当今度は大幅の
減少をいたしたのであります。百五十三億三千八百万円を当初
見込んでいたのでございますが、これに対しまして九十七億千三百万円減らしまして、六十三億二千五百万円にいたした次第でございます。これはすべて最近までに再
評価の実績が明らかになりましたので、それを基にしまして、
法人、個人を計算し直したのでございます。大分大きな差ができました理由は、必要でありますれば後ほど
説明してもよろしうございますが、電気
関係が再
評価を遅らしたということと、それから小
法人が比較的内輪気味であ
つたようでございます。それから
一般の産業においても若干手控えに
なつているような点もございまして、最初の
見込と大分違
つた数字に相成
つている次第でございます。併し電気
関係が今後実行するということになりますと、大体私共の
見込の八五%くらいの
数字になるようでございます。これが遅れましたことの一番大きな理由と見ております。
それから次は酒税でございますが、酒税につきましては当初
予算千三十億を
見込んでおりますが、税法を改正しない場合におきまして
自然増加十五億五千百万円、改正によりまして売行き
増加を計算いたしますると却
つて一億二千九百万円の増になる。こういう
数字に相成
つたのでございます。その内容は、これはいずれも今年の三月から十月、十一月までの、つまり旧税法による大部分の実績が挙
つておりますので、それを先ず
見込み、それから更に十二月以降の分を改正によ
つて見込みまして、この
数字を計算いたしたのであります。かいつまんで結論を申上げますと、当初の
予算では自由販売品を総計して二百三十九万四千石と見ていたのでございますが、これに対しまして最近の改正後の売行き等を
見込みまして二百七十六万八千石を計算したのでございます。即ち三十七万四千石の当初
予算に対する酒類の売行き
総額を
見込みました。配給品においては当初
予算では五十万石を見ていたのでございますが、これに対しまして五十七万一千石の配給
見込を最近の実績に基き、まして計上いたしたのでございます。これは主として酒造米の原料の割当が当初
予算がきまりました後でございまして、その
相当の部分を農村方面の特配に当てるために殖えた石数であります。総体的に当初
予算では二百八十九万四千石を
見込んでおりましたが、今度の
補正予算では三百三十二万九千石を
見込んでおります。そうしましてそれぞれ新旧税率の適用に区分いたしまして減收額を
見込みますと、改正後におきましては千四十六億八千三百万円、当初
予算は千三十億三百万円、
差引十六億八千万円の増收を
見込んだ次第でございます。
それから砂糖消費税につきましては、これは課税実績等に基きまして特に改正なかりし場合の税
收入の
見込額に変更を加える必要を認めなか
つたのでございますが、改正によりまして砂糖消費税一月乃至二月分が
減少いたしまするので、その分八千五百万円ほど減收する計算に
なつております。
それから物品税につきましても、基本は当初
予算通りで変更いたしておりません。税制の改正によりまして八億一千万円の減を
見込んだのでございます。これも一月から実行いたしますると本
年度の
收入に響きますのは一月分以降でございます。従いまして
收入額は比較的少うございます。
印紙收入につきましても、すべて最近までの実績を基にしましてそれぞれ計算いたしております。尚廃止になりました織物消費税、取引高税、清涼飲料税等につきましても、最近まですでに
歳入の実績が過
年度の滯納の分が入
つて来ておりますので、それを基にしまして、若干今後の分を
見込みまして
補正予算に計上いたした次第であります。尚この揮発油税につきましても、最近の課税実績に基きまして、見績変えをいたしたわけでございます。揮発油税が改正によ
つて歳入減になりませんのは、三月の徴收猶予を認めております
関係上、来
年度から影響するが、本
年度は影響がないから、この自然増だけを
見込んでおる次第であります。以上
歳入の
財源の大要について御
説明申上げました。