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國務大臣(
岡野清豪君)
中田委員の御
質問にお答え申上げます。
成るほど
知事が
公選に
なつたために県庁に勤めておる役人が
選挙でなければ
知事になれない、即ち昔のように累進的に
知事になれないということにおいて
魅力を失うということに
なつたことは、これはお説の
通りでございます。併しその
魅力を
失つたということと、それから民主的な都道
府県を
自治させて行くということの大昔な
自治確立という問題とは天秤にかけて見なければならないと思いますから、今一概にこれは
議論を
決定する時期はなかろうと思います。
それから
人事の
交流ができないものですから、
人材がうまく配置できないだろうというこういうお説も至極御尤もであります。この辺は無論よく
考えなければならんところであると思います。それで私はこの
公務員法を作りつつありますから、私の個人の
意見ではございますが、こういうふうに
日本の将来というものを
考えておるのでございます。と申しますことは、或る学者のかたが
地方自治団体に対しては昔といえ
どもやはり
人材が集らないのだ、今後
地方自治に優秀なる
人材を集めようとしてもこれは
望み薄すだからというような
お話もありましたけれ
ども、併し私
自身といたしましてはそうは
考えておらないのでさす。と申しますことは、御
承知の
通りに
日本は
領土の約半分を失
つております。そうして
人口が今八千万人おる。そうしてこの
経済が元のありし日の
日本にな
つて来るのはなかなか容易なことではなかろうと思います。併しながら八千万の
國民は何かに職を求めなければ食
つて行けないのでございます。でございますから、恐らく
地方自治団体に従事する
公務員といえ
ども、やはりこれは
自治が発達すればする程
サービス行政というものは殖えて参りますから、即ち人に職を与えるという
意味において
就職口の一番いい
プールだりろうと思います。そうして若しほかの
経済界が非常に発展しまして、
財界にどんどん人が流れて
行つて、優秀な人が呑まれてしまうだろうという時期は
相当将来のことだろうと思いますし、又
中央政府といたしましても、戰時以来統制が拡張いたされましてそのために
國家公務員が非常に増加したということでございますけれ
ども、御
承知の
通りにもう
軍國主義を放擲して、軍事並びにそういう
方面に対するところの拡張はなく
なつた次第でございますかりら、
中央政府といたしましては人を入れる
余地はなく
なつたわけでございます。でございますから、我々八千万の
國民が
財界に進出しようと
思つても行く場所は余りないし、
中央公務員になろうと
思つてもそう入れる
余地はない。こういうことになれば恐らく
人材はは入り易い
プールのところに入
つて行くだろうとこういうことを、私は長い将来、この
日本が元の昔の優秀な國になるまでの間はやはり
就職口を求めて、
國民は皆四苦八苦することだろうと思いますが、私はその点においては余り摩れをいたしておりますん。併しながらまあ
人情の常といたしまして、
中央の都市とか、
東京、大阪というような
方面に職を求めて入りたいというのは
人情の常でございますから、これはまあいたしかたないといたしましても、併しそういうふうにして
地方の
公務員と
なつた人が
素質が惡いとか、いい人が行かないということに対しては、或いは御懸念のようなこともないとは限りませんから、私
自身といたしましては一個の
考えを持
つておりまして、実は
自治大学というものを私は
構想を持
つております。その
自治大学ということはどういうことかと申しますと、
地方の
公務員を再
教育する。即ち近代的の
自治行政を行な
つて行くのに必要な
素質を与える、知識を与える、こういうようなことを先ず第一にし、同時に将来
地方公務員としてや
つて行きたいという有為な
青年があるならば、そつの
自治大学に入学させてそうして
教育させて行こう。それには
地方公共団体が無論その
費用を出し、即ち昔あ
つた高等師範学校のように
官費でやる。その
官費は
地方自治団体が一部分やりますけれ
ども、併し私
自身といたしましてはこれは
日本の画期的な
政治の変革でございますから、そのよき
日本を作り上げるためにはやはり
相当に
アメリカが今
援助をしてくれでおるのでありますから、
アメリカも片棒を担いでくれたらよかろうというような
構想を持ちまして、或いは見返
資金がその日その日
ただ生産力の拡充というようなことによ
つて使われてしまうよりは、そういうような
日本の運命を発達させて行くと、いうような
方向に見返
資金が使われたらよいだろう、こういうような
考えで初め
構想を起したのであります。幸いにしまして、
只今のところ或る
アメリカの有力なる
団体がこれに応援してやろうというような
一つの光明が現われて参りました。私
自身といたしましては、その
自治大学を
アメリカから有力なる財団の
援助を受けて設立し、そうしてその
自治大学において先ず今まで古臭か
つた封建的の
行政をしてお
つた地方公務員の優秀なるものを再
教育するという
機関に使い、同時に新らしく
自治行政に
携つて國家に奉仕しようというような
青年をそこに入れましてそうして若しできるならば
世界各國の
自治行政も視察さして行くというふうにして、
中央の官庁に務めているよりは、
地方自治の
行政に携
つている
公務員は、若し本当に勉強するならば
世界各國の
自治行政まで視察ができるというような
魅力ある
大学にして行きたい。こういうものを
一つ構想しておりまして、そういうことで
自治行政をますます発展させて行きたい、こう
考えておりますので、
人事の問題につきましては、まだほかにも
考えておりますけれ
ども、具体的に歩を運びつつある
一つの
構想は
只今申上げましたようなものでございます。まだほかにいろいろ
考えておりますけれ
ども、これはまだ具体的にな
つておりませんから、申上げられません。