○
政府委員(
磯田好祐君) その点につきましては
先ほど木村委員がおいでになります前に、簡單に御
説明したのでございますが、なお繰返しまして御
説明いたしますと、御
承知の
ように現在の
給與体系というものは二千九百二十円
ベースのときに一応でき上
つたものでございます。従いまして
只今御
指摘の
調整号俸なり、特別俸級表によるところの有利な取扱なりというものは、二千九百二十円
ベースが実施されまするときにおきまするところの
勤務時間、或いは職務の内容、即ち職務遂行の困難性、複雑性、或いは職務の内容が非常に高いという
ような
理由を以ちまして、一応でき上
つていたのでございます。然るに御
承知の
ように六三
ベースが実施されまするときに、
一般の
公務員につきましては従来の
勤務時間がいわゆる三六・五時間でありましたのが、一挙に四十八時間に
引上げられた。併しながらそれは昨年の秋におきまして更に四十四時間に切下げられたのでございます。即ち
一般の
公務員についてこれを見まするならば、二九
ベース実施当時におきまする実働における
勤務時間三六・五時間というものが、現在におきましては四十四時間という
ように、その間におきまして七時間半を
増加いたしたのでございます。そして他の職域におきまするところの
勤務時間、例えば警察について申しまするならば、当時の拘束時間の五〇・五時間というものはそのまま今日まで同じで存続しておるわけであります。それから又海上保安庁の
職員について申しましても、当時の五四時間というものが今日においても同じであること、刑務所
職員について申しまするならば、当時五一・五時間であ
つたものが今日においても依然として同じである。即ち
一般公務員におきましては
勤務時間が二九
ベース実施当時におきまするより、その間において実に七時間半も
増加したにかかわらず、六三
ベースの切替のときにおきましては、この時間差の
調整というものは、当時の客観的な情勢によりまして全くこれは実施することを得なか
つたのであります。即ち当時におきましては御
承知の
ように治安も十分回復しておりませんでしたし、いろいろな
関係におきまして
関係方面の承認を得ることもできませんで、実は先般
衆議院の公聽会がありまして、その際に当時の
給與局長でありました今井さんが見えて証言をせられていたのでございまするが、当時六三
ベースを切替えるときにおきましても、
関係方面にこの時間差によるところの
調整を行うべきであるということを、強く日本
政府といたしましては
関係方面に
要望したのでございまするが、当時の
事情においてはそれが実施し得なか
つた。併しながらこの号俸
調整を行うにいたしましても、これは何ら
給與の変化のないときにおきましてこれを行うことは困難でございまして、
一般的に全体の
給與ベースの上るときにおきまして従来の号俸差を多少とも少くするという
ようにせざるを得ないのでございまして、
只今申上げましたのは、主として
勤務時間差に基くものでございまするが、その他の職務内容の困難性、
危險性という問題につきましては、これ又いろいろな見
かたがあるかと思うのでございまするが、いわゆる二九
ベースの実施当時におきまする客観情勢というものと、今日におけるものとは非常に違う。これは各職種について見ましても、その職務の困難性というものは当時に比べては相当減少しておるのではないか。そういう
ような観点から申しまして、大体原則といたしまして、号俸
調整につきましては、従来の大体差を申分に整理するという建前を以て
一般職の
給與に関する
法律の
俸給表を作成したのでございます。のみならず御
承知の
ように今回の
ベース改訂自体も、現在の財政状況の下におきましては十分の財源の余裕もございませんので、そういう意味から申しましても又かかる
措置をとらざるを得なか
つた。そういうふうに御了承願いたいと思うのであります。