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1950-11-27 第9回国会 参議院 建設委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年十一月二十七日(月曜 日)    午後三時四分開会   ―――――――――――――  委員氏名    理事      岩崎正三郎君    理事      赤木 正雄君    理事      小川 久義君            石川 榮一君            島津 忠彦君            平井 太郎君            深水 六郎君            江田 三郎君            小林 亦治君            田中  一君            徳川 宗敬君            久松 定武君            田方  進君            東   隆君   ―――――――――――――   委員長の補欠 十一月二十一日議長において小林英三 君を委員長に指名した。   ―――――――――――――   本日の会議に付した事件建設省その他の建設事業に関する調  査の件  (調査報告書に関する件)  (補正予算に関する件)  (建設関係提出予定法律案に関する  件)   ―――――――――――――
  2. 小林英三

    委員長小林英三君) それでは只今から委員会を開会いたします。  先ほど懇談会の際に、あらかじめ御承認を得てありますが、七月の三十一日から十一月十三日までの間におきまして、約八回の調査をいたしておるのでありますが、只今までの調査の結果を國会法参議院規則の第五十五條によりまして報告いたすことになつておりますが、その調査調査報告につきましては委員長に御一任願うことに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 小林英三

    委員長小林英三君) 御異議ないようでありますから、さよう決定いたします。   ―――――――――――――
  4. 小林英三

    委員長小林英三君) 只今から建設省全般の件につきまして、増田建設大臣から御説明がございます。
  5. 増田甲子七

    國務大臣増田甲子七君) 本年度は昨年度に比べまして、予想外会計年度の当初から融雪災害豪雨災害或いは台風災害等がございまして、災害関係復旧なり、予防なりを主として担任いたしておる私といたしまして、又建設省といたしましては、非常に苦心をしておる次第でございます。災害地方罹災者諸君に対しては、特に御同情に堪えない次第でございます。そこで皆さん承知のことく、本年度災害を予想いたしまして、本年度の当初の予算におきましては、百億の予備費皆さんが可決して下さつているのであります。そこで取りあえず四日の、或いは四、五月頃の当初に起きました融雪災害に対しましては……融雪災害、それから六月の四、五日頃豪雨災害がございました。そのとき、皆さんの御承知通り小貝川提防等が決壊いたし、私としても非常に恐縮に存じておる次第でございまするが、六月十日頃までの災害に対しまして、取りあえず予備費二十七億を出して貰い、それから八月の四日に又豪雨がございまして、そのときの災害に対しまして……小貝川は八月でしたか、記憶違いをいたしておりまして恐縮でございます、八月当初の豪雨に対しまして二十三億という災害予備費を出して貰いました。応急復旧にそれぞれの罹災府県をして努めて貰つてる次第でございます。然るところ、今度は九月三日、四月にかけましてジエーン台風が起き、それから同じく十三日にキジア台風が起きまして、いずれも災害額は非常に甚大でございまして、只今のところ我々の主管する関係における災害総額は五百四十二億円、これは復旧に要する費用でございますが、建設省所管といたしまして五百四十二億円という災害になつております。この中味を申上げますと、六月までの北海道或いは東北の融雪災害と、それから長野県、茨城県等に起きました豪雨災害とを加えますと、ラクな数で申しますと八十九億円でございます。それから七月、八月の豪雨災害、これは百八十五億円あります。それからジエーン台風災害は百十五億円あります。キジア台風災害は百五十二億円、このうちジエーン台風は御承知のごとく、関西地方を襲うた台風でございますが、比較的建設省関係災害復旧費は、災害総額に比べては少いのではないかと思つております。というのは主として風害であり、それから高潮災害であり、結局河川堤防決壊等割合少くて、防波堤防潮堤等が多かつた。こういう関係建設省主管災害額割合に少いのであります。損害総額はおよそ二千億と言われておりますが、これは例えば米がとれないというようなこと、或いは屋根が、瓦が落ちたという損害も含めまして、およそ損害総額は二千億をやや上廻るであろう。中小企業工場設備、或いは大企業等工場設備等相当額高潮のために被害をこうむつておりますが、災害総額は多いのでございますが、建設省といたしましては割合に少かつた。尤も府県申請額は百六十億でございましたが、建設省役人がそれぞれ現地に参りまして、査定をいたしました結果、復旧に要する費用は百十五億、こういうことに相成つております。それからギジア台風損害総額は百五十二億でございますが、これは損害総額は、これも大体府県の申した数を加えて見たのでありますが、これはおよそ千億ちよつと上廻りはせんか、こう言われております。損害総額に比べますと、災害復旧費建設省関係キジアのほうは割合に多いのでございまして、これは海岸の防潮堤防波堤が壊れたということと共に河川災害が非常にございまして、堤防護岸等決壊破損による復旧費でございます。従いまして損害総額よりは割合キジア台風災害復旧費は多いと、こういうことになつております。合計いたしまして五百四十二億円でございます。それに対しまして最初申上げました通り、六月までの災害に対しては二十七億円出ました。それから七、八月の災害に対しては二十三億円でございます。ジエーン台風に対しまして最近二十四億円の金を出しておる次第であります。それからキジア台風に対しましてはまだ出ておりません。従いましてリザーブの百億円、予備費百億のうち現在まで出、芳しくは出つあるのが二十七プラス二十三億で五十億、これが八月までのでございます。それからジエーンに対して二十四億、合計七十四億でございまして、あと二十六億と、今度我々が皆さん議決をお願いいたしました四十一億が決定されますというと、金が残つた、こういうことになります、四十一億と二十六億でございまするから、六十七億という金がまだ残つております。そこで我々といたしましてはどういうふうに建設省主管災害復旧に充てたいかという点について御説明申上げます。先ほどの御説明でもおわかりの通り、六月までの災害が八十九億に対して二十七億円災害復旧費が出る、然るところ七、八月の災害損害総額百八十五億であるにかかわらず二十三億きり出ていない。そこで不公平があるわけであります。それからジエーン台風に対して二十四億というようなことではまだ相当不足である。それからキジア台風に対してはこれから妥当な査定をいたしまして相当額を支出する必要が六十七億の中からあると考えておる次第でございます。でありまするから、今度議決をお願いいたします四十一億は主としてキジア台風へ参りますが、ジエーン台風もまだなかなか足りなうございますし、七、八月の豪雨災害に対しましてもそのバツク・ぺーを多少してやる必要がある、こう考えております。六―八月までの災害に対してはまずまずこれでいいのじやないかと、こう考えております。ただ六月災害に対しまして割合多く、八月災害に対して割合少いという一つの理由として強いて申上げますというと、六月災害に対しては復旧をするには相当時間もあることでありまするし、今年度のうち余計金を出しておる。八月の災害復旧には先ず寒い所でありますと十二月頃工事をいたすということになりますと、災害復旧工事分量も六月まで起きた融雪災害等に比べては工事分量がそう多くなくても止むを得ない場合もあり得るというわけで、或いは高過ぎるというようなこともあるわけでございます。そういうような方針で残余の二十四億、二十六億及び今度議決さるべき四十一億の災害復旧費を使用して災害復旧に努めたい、こう考えておる次第でございます。以上簡單でございますが、御報告申上げます。
  6. 小林英三

    委員長小林英三君) 何か御質問が……。
  7. 赤木正雄

    赤木正雄君 災害は本年度のものに限らず前年のものもまだ残つているはずでありますから、今日でなくても結構ですから、前年の災害がどういうふうになつておるか、これを表に現わして、併せて先ほど大臣お話の数字を表にお示し下すつて、この國会中適当な機会にお示しを願いたいと思います。
  8. 増田甲子七

    國務大臣増田甲子七君) 赤木さんのおつしやる通り取計らいます。
  9. 石川榮一

    石川榮一君 只今本年度災害に関する御報告でございますが、赤木委員も御質問なすつておりまするが、二十五年度災害が未だ未着工の分が非常に多い、これはどんなふうになつておりますか、この席でおわかりだけ聞かして貰いたいと思います。
  10. 増田甲子七

    國務大臣増田甲子七君) 概略のことだけ石川さんにお答えを申上げまして、あと河川局次長補足説明をいたさせます。本年度建設白書において皆さんに申上げました通り、二十四年度災害復旧費は三百七十億の災害復旧費が本年度予算に計上されておる次第であります。そこで三百七十億の金を過年度災害復旧費用として出しておる次第でございますが、これが全部出されたといたしまして河川災害二十四年度までの過年度災害のうち未拂部分が約五百億ある、こういう次第であります。そこで赤木さんもつとには御承知のように、本年起きた災害に対しては百億を充て得るに過ぎない、若し他に費用を出さんと欲すれば改めて國会議決を願わなければならん、即ち四十一億の補正予算を出したゆえんでございまして、二十四年度過年度分災害といたしましてはすでに皆様に議決願つた三百七十億があるわけでございますが、その三百七十億を全部支出いたしたといたしまして、二十四年度までの災害過年度部分について我々が府県に対して借金を背負つておる、負担を背負つておる部分が尚五百億円ある次第であります。
  11. 伊藤六三

    説明員(伊藤六三君) 只今石川委員並びに赤木さんからの以上のお話にございました過年度の分の災等出来高の問題でございますが、二十三年度分の災害は尚残りがつまり四九%、大体今年度で五一%程度が竣工するという程度でございます。それで二十四年度即ち過年度災害につきましては本年度工事を終りまして大体残りが尚六三%、即ち出来高が三六%、こういうような程度でございます。一応補足いたします。
  12. 小川久義

    小川久義君 大臣から御説明のようで、二十四年度までの災害の金がまだ五百億も借金してある。地方財政がこういう行詰つておるときに國が借金を背負つて長引かして置くと、こうなると地方財政が根本から行悩んでしまう。早く解決する方法をやつて頂きたいと思うのでありますが、それの見通しはどうですか。
  13. 増田甲子七

    國務大臣増田甲子七君) 私も小川委員と全然同感でございまして、何とか早く処置をして貰いたい、そうしてこの間も本会議で衆議院でしたか質問がありましたが、災害復旧費というものは誠に好ましくないものでありましてマイナスを零にするに過ぎない、病人病気が直つたと同じで、これは非常に愉快でない、できるだけ病気というものは放つて置けないし、これは何をおいてもやらなくてばならない、そう考えていまして私も関係方面へ参りまして予算課長等災害復旧は何をおいても優先すべき性質のもので、いわゆるプライオリテイーであるということは認めておりました。何をおいても病人なら着物を着るよりも学校へ行くよりも病気をなおすことが必要なんです。予算はあらゆる部門に優先すべき性質を持つておるということを向うさんもよく了承して下すつております。今度は國内の財政がなかなか我々として手続が難関でありまして政治力不足を非常にかこつておるわけでございますが、皆さんの御協力序得て是非借金だけは早くなしてしまつてマイナスを零のところまで持つて来なければ次の災害予防にも役立もませんし、焦慮いたしておる次第でございます。そこで明年度國庫で全額負担するかどうかという問題が実は起きて来ております。これはどういうわけでそういう問題が起きたかというと、建設省としては、建設委員皆さんに或いはお叱りを受ける場合もあるようでございまするが、災害復旧というものをできるだけ早く完了いたしたい、そうしてできれば予防のほうへ積極的に河川の改修なり、或いはダムの築造なり、砂防なりその方面へ力や入れて災害なきを期したい。こちらへどうしても力を入れなければ、マイナスを零にするだけではどうしても消極的でいけないから、ついては災害復旧工事分量をどうしても殖やしたい、そうしてマイナスを早く零のところまで持つて行きたい、つきましては三百七十億が全額國庫負担である場合は、事業全体で十五万円以下の事業は別でございまするが、十五万以上の災害復旧は三百七十億円あるだけでありまして、それだけではとても五百億円にも追いつきませんし、本年度起きたところの五百四十二億に対しても、安本で計算いたしますと、本年度災害復旧は全体で八百数十億円だそうでありますが、その大部分を含めておるものは建設省の五百四十二億円でございまするが、要するにそういうようなものを全額國庫負担ではなかなか全部完了いたしにくいからして、三百七十億の三分の一でも地方で持つてくれるということになりますと、三百七十億掛ける二分の三、イコール五百数十億円という事業量ができますからして、それだけ早く災害復旧できる、早く病気がなおる、こういう見地からも考えてある次第であります。犬も我々といたしましては、政府の中の財政部門に対しましてできるだけ優先性を持たせる、この方面予算を割愛せよということは迫つておりまするが、明年度予算におきまして特に我々が國庫では従来通り三分の二にし、若しできたらば地方で三分の一にいたしたい、但しそれは私は條件を附けておりまして、目下の地方自治庁の長官と全然同感な点があります。それは地方で三分の一仮に持つて貰うとすれば、その三分の一は都市の税金ではとてもやりにくいからして、将来の資本の蓄積にもなるわけでありますから起債に負う、起債が許されるということを前提といたして、三分の一を将来県、市町村に持つて貰い、三分の二は國庫で出してやつて貰うとすれば、仮に三百七十億の災害復旧費があるといたしますと、三百七十億になるかどうかまだはつきりいたしませんが、三百七十億になるといたしますれば、それに掛ける二分の三という事業ができる災害復旧が進捗するわけでございますから、そういうことも考えておるということをこの際御了承願いたいと思います。
  14. 赤木正雄

    赤木正雄君 実は私この災害の問題は明日の日程においてお話しながら又御意見を承わろうと思つていたのですが、今大臣から災害に対して三分の一云々の問題がありましたから、丁度いい機会でありますから私意見を申上げたいと思います。実は十五万円以上の災害に対して全額國庫補助、これを私はこの前の國会に強く反対したのであります。こんなことをしてはもう本当の災害はどうなるかわからん。と申しますと、御承知通りに十五万円以下のものをどうするかという問題であります。従つて方々本年も廻つて見ましたが、十五万円以下の國庫補助対象にならないものは、殊に貧弱な町村におきましては、殆んど災害を受けたままに放置してある。これが実情であります。そうして恐らく来年の風水害のときにそれが大きくなつて、そうして初めて災害対象になつて全額國庫補助を貰う、これでやつて行くより方法はないというのが多くの町村の言つておることであります。実際そういう場所は沢山私は見て参りました。でありますからして災害に関しては今のような方針でありますと、小さいものを捨てて、それが大きな災害になつて、そうして全額國庫補助になつて初めて復旧する、いわば今日の制度は災害復旧費をだんだん増す災害助長法と申しますか、私はこれは非常に惡法だと思います。でありますからしてその点につきましては大臣の言われる通りに、少くとも地方が三分の一、私は三分の一ぐらいのものは地方で持ちまして、小さいうちに早くこれを復旧する。先ほどの十五万円云々のものは、私は十五万円というものを果してどこに限度を作るか、これは非常に大きな問題だと思います。仮に十万円以上のものでも、場所によつてはすぐ復旧にかからんとそれが大きな災害になりますから、とにかく今大臣の御説の通りに、その費用の一部は地方で持つてもいいから、小さなものでも早く著手して復旧する、こういう大臣の御趣旨に、私はこの前の國会からいつもその趣旨を持つてつたのであります。この点につきまして私は申上げます。
  15. 石川榮一

    石川榮一君 災害を年々繰返しますその工事に対しまして、年々國費を投じてやつておりますが、今回工事をしたものが又明年覆えるという実例が各所に見受けられるのであります。國が中心になつてやりました工事にも、或いは県がやりました工事にもそれがある。こういう点につきまして出先機関方々の不注意とは言いませんが、もう少し少くも災害個所復旧した場合には三年や五年は持つ、持たせなくちやならんような工事をするというところに御留意を頂きたいと、こう思います。さもありませんと災害があれば國から金を取つてすればいいというような工事であつてはならないので、一旦災害復旧として工事を施行して國費を投じた以上は、少くもその出先機関の者としては責任を持つて三年や五年は持たせる、必ず二度とその場所は次の災害は起さないというような心構えを御強調願いたい。  それからもう一つは、ややもしますと予算関係で、支拂わるべき工事を支拂わないで次の出水を待つというようなことがありまして、その残りました工事が更に大きな増破を及ぼすというようなことも予算措置関係によりまして起り得る、こういうことも非常に無駄な國費を投入するようなふうに見えますので、こういう点につきましても一層の御注意を喚起したいと思います。
  16. 増田甲子七

    國務大臣増田甲子七君) お答えいたします。石川さんの御質問は誠に私も御尤もであり、心より同感申上げます。これから建設省といたしましても、又出先建設局といたしましても、或いは府県の知事、市町村といたしましても、災害復旧をした堤防なり護岸なり水制なり…………水制まではどうか知りませんが、堤防護岸或いは砂防堰堤等が故なくして壊れた、而も工事自身にウイーク・ポイントがあつて壊れた、弱点があつて壊れたというような場合にはその責任をとるというだけの私は覚悟でやつて参りたい、こう思つております。既往のことを逃がれるわけではありませんが、既往のことで、仮に非常に昔であり、而も疲れておるというような提防でありましたら私はいたし方がないと思いますが、適切なる、而も公正なる土木をして参らんと非常に皆さんに迷惑のかかることでありますから、そういう立場で私は土木行政をやつて参りたい、こう考えております。それにつきましても衆参両院における建設委員方々の御協力をお願いする次第でございます。いやしくも土木工事等において不正な工事がある、予算を濫用しておる、税金を無駄に使つておるということがあれば誠に申訳ない次第でありますから、是非とも皆さんにおかれましても、殊に專門家もお集まりになつておることでございますから、我々を鞭撻して頂きたい。我々はもとより建設省役人としてもみんな一生懸命やつております。ただ併しながら一〇〇%立派な工事であるというわけに行かないのでございまして、皆さんのほうから御注意を受けつ又我々が一生懸命仕事をして参つたならば今年でき上つた災害復旧工事が来年すぐ壊れてしまうというようなことはないはずであります。極めて顕著な例外でございますが、原則としてあるべからざることである。こう考えておる次第でありまして、この点は今後注意して参りたいと思いますから、どうぞ御協力を願いたい、こう存ずる次第であります。
  17. 江田三郎

    江田三郎君 今の、工事が不正なるものがあつた場合に責任をとらす……、これはもつと具体的にいうとどういうことなんですか。
  18. 増田甲子七

    國務大臣増田甲子七君) 一つ一つ災害があつた場合にその災害工事について何か原因調査をいたして行きたい、こういうことを内輪で考えております。先ず建設省の内灘の、或いは地方建設局の内部において内部的の監査をいたしたい、そうして原因調査をしたい、天災だから止むを得ないといつたような自他共にそういう態度であることは誠に面白くないのでありまして、原因を先ず調査して参りたい。その間何か著しく誤ちがあるというようなことがあればそれぞれの責任をとつて参りたい。これは上は大臣から当然とるべきものである、こう考えておる次第であります。
  19. 赤木正雄

    赤木正雄君 相変らず災害のことを申しますが、これも私案は明日お尋ねしようと思つたのですが、大臣の時間の御都合もありましようからお伺いしますが、この間新聞石川県の手取川の天狗橋が妙な関係災害を起しておる、これは各新聞に出ておりますからこれも大臣承知のことと思います。これに対しては誠に遺憾である、こういうお考え建設省方々は無論お持ちのことと思います。併し單にそれ以外にあの事件について、もう少し突きつめて考える事柄が沢山あるのじやないかと私は思うのであります。石川県のことは一つの例に過ぎない。こういうことを方々嚴重に探すならばこれに類したことは決して各府県でないとは言えないということを断言し得るのであります。成るべく國の補助を得て災害復旧をしたい。併し私はこれに関してもつと建設省でお考え頂きたいのは、こういうことの起る一つ原因として日頃の維持修繕、これに十分のお考えをいたして下さるならば災害そのものももつと少くなる。又ああいう不祥事も起らない、こういうふうに思うのであります。これは私は國会ごとにお願いしております。むしろ本当に災害を國がなくしようと思う考えがあるならば、災害が起つてから復旧をやるよりもむしろ小さな点に維持修繕をする、この金をかけるならば、今五百億の災害費があるならば日頃から維持修繕をして置けばその半分の金で災害個所をなくし得る。こういうことを考えて頂きたい。そういうことをなされば多くの税金も無駄なほうに流れないし、災害復旧ですからそういうつまらないこともないし、又大臣はこの災害をなくする根本問題として、初めて真からお答え下すつて私は本当に嬉しいと思います。あなたによつて日本災害が今後真に減り得るものと非常に期待しております。その点から申しまして、先ほど大臣災害復旧しても二、三年で壊れないような良心的なものをせずにはおかない。場合によつて責任をとらせる。これも大臣としては当然だと思うのでありまして、併し実際技術に関係しておる者から見ますと、今日の災害復旧規定嚴重に守る場合には、もう少し大きな水害が来たらその災害復旧した場所が又災害を起すのは当然であります、災害の起る真の原因をなくしていない。こういう現状にありまするからして、先ず大臣におかせられましては災害の起る真の原因をなくする、このことを特に今後お考え願いたいと思います。  それから先ほど申上げましたように、この天狗橋災害も誠に情けない事実で、私も実は内務省にいましたときに災害査定官として地方に随分行きました。経験から申して言うのはおかしいが、災害査定官として行けば災害査定官考え一つによつて、或いはそれが災害対象採用もされますし、或いは採用もされない。従つて災害査定官地方に行けば本当にもう下にも置かないように大事にしてくれます。成るべく多くの個所が採択されるようにする。そこは人情です。併し今日果してあの多くの災害個所を一々実地について査定されるということはできんと私は思います。そこで私の知つておる範囲でも最近ではこの災害個所を或いは写真で出し、或いは図面で出す。で、その現場に行きますと、その写真とも、図面とも違つた場所がある。こういう忌々しい事実があることを私は知つております。こういうことがありますから、災害というものはその間に非常にいろいろの問題のあることを大臣はよく御了承下さいまして、災害に対しましては十分御検討を願いたい。と申しますのは、もう一つは先ほど申上げた通りに、天狗橋の不神事のように日頃の維持修繕にお金をおかけ下さるならば、災害は起らない。こういうことが言えますので、あの一つの例を考えられて……、こういうことは各府県新聞にたまたま出ていないだけでありますから、十分御検討を願つて維持修繕に今後十分御協力を願いたいと思うのであります。ここでこれを私はお願いして置きます。それから先ほど大臣から言われました災害原因を断つて再び災害が起らないようにする。これは特にお願いしたい。これもお願いいたします。
  20. 岩崎正三郎

    岩崎正三郎君 過年度の分がまだ五百億円も残つておる。建設省もそううつたように仕事がまだいろいろ沢山残つておるので、勿論建設省では大いにやりたいつもりでしようが、結局予算が足りないということでやれないようでありまするが、今承われば地方自治庁意見のように、特に地方には起債をできるだけやつて地方の分担金をさせたいという御意見を承わつて誠に私喜んでおるのでありまするが、どうも政府は今減税か、公共事業、或いは災害復旧とかいうことを、減税と、どう言いますか、睨み合せと申しますか、取組み合せと申しますか、天秤棒に掛けてと申しますか、そういう考えでいろいろ論議しておるのでありますが、前の山口國務大臣ですか、あの人がどこかで自由党が政府は減税よりも災害復旧である、或いは公共事業のほうであるということを大分宣伝したことを聞いておるのですが、大臣が丁度おりますが、大臣がこういうことに対してどういう御所見を持つておるか、一つ承わりたいと思います。
  21. 増田甲子七

    國務大臣増田甲子七君) 赤木先生のお話は誠に私は全然同感でございます。根本的方面に特に力を入れて参りたいのでございます。将来は日本國を災害國としては有名でない國にいたしたい。日本の治山治水は模範的であるというようにいたしたいと思つておる次第でございます。災害予防施設の維持修繕方面に金があまりかかつていないことはお話しの通りでございまして、将来既設の災害予防施設に対してこれを維持し、これを修繕する方面に特に金をかけて参りたい、こういうことに考えております。それから具体的査定を嚴正にする点についても特に気を付けて参りたい。石川天狗橋の件につきましては誠に恐縮に存じておりまするが、只今司直の手で調査をいたしておりますから、詳細のことはその後に更に御答弁いたします。それで岩崎君の御質問でございまするが、災害復旧なり、公共事業と減税との関係如何ということでございまするが、これは減税と公共事業災害復旧と、それと他の諸般の、例えば産業関係費用だとか、或いは行政費というような、いわゆる歳出部面と歳入部面とが対照さるべき関係に立つている公共事業が減税の何も目の仇ではなく一般の歳出と歳入とが丁度対照的関係に立つている、こういうふうにお考えを願いたいと思う次第でございます。そこで我々は公共事業がすぐ減税に響いて来るとか、或いは減税がすぐ公共事業には響いて来ないという点については岩崎君に御了承を得たと思う次第でございます。そのために行政諸費の節約等も一生懸命にして参つておりまするし、又できる限り行政の合理化もして参つております。行政機構の簡素化もいたし、行政整理も本年度も尚引続いていたしたい。こう考えておる次第でございます。そこで我々は山口さんがどうおつしやつたか知りませんが、公共事業とか、特に災害復旧はやはり何もおいてもなさなければならない。結局減税も公共事業も両方とも國民に対する大切な公約であり、でき得る限り我々は奮発努力して両公約を果さなければならん、こう考えておる次第でございます。そこで、減税額は明年度は約七百億ぐらいできるようでございます。これも政府の背景たる與党の公約でもございまするし、是非ともいたさなくてはならん、こう考えております。又公共事業、殊に災害復旧費のごときはあらゆる歳出部面について優先性を持つておるとこういうふうに、私は先ほども申した通り考えておる次第でございまして、何をおいても災害復旧を第一にいたし、それから更に金があれば災害予防方面河川改修なり、或いは堤防護岸砂防、ダムの築造、こういう方面、或いは山を治めること、こういうことに力を入れたい。明年度はでき得る限り公共事業方面も、政府の当初予算としては、我々は不満足ながらもややこの程度であつたならば御期待に副いはせんか、叱られつも御期待に副い得るのじやないかという数字を、一応政府部内においては出した次第でございます。ところが、今関係方面でそれぞれ検討をして下さつておる次第でございまして、将来どうなるかは今のところわかりませんが、只今までのところはそういうふうにいたしておりますから御了承を得たいと思います。
  22. 江田三郎

    江田三郎君 災害ということの内容なのですが、例の地盤沈下ですね。これはもう打切られているのですが、地盤沈下というのは必ずしも急激に来るのではなしに、徐々に来て、南海震災から相当な時間が経ちましたけれども、今頃になつて非常にはつきりその被害が現われているということがあるわけでありますが、地盤沈下の問題については、政府としては将来どういうふうにお考えになるのですか。
  23. 増田甲子七

    國務大臣増田甲子七君) 私も技術的方面のエクスパートではないことは御承知通りでありまするから、はつきりしたことは申し上がかねますけれども、災災害は短時日に起きました災害でも、徐々に来た、一年なら一年、二年なら二年の週期を以つて起きる災害でも、いずれも災害として扱うべきであると考えております。法律がどうなつているか詳しく存んじませんが、法律にそうなつておらなかつたら法律のほうを皆さんに直して頂かなければならぬ、そうすべきものであると、こう考えております。そこで南紀方面に起きた震災の関係で、和歌山県と徳島県とが地盤沈下をいたしております。それから東京の江東方面、或いは大阪の港区の方面が、工場等の工業用水の関係で地盤沈下を来たしておりまして、平均潮面から二メートルも下つている、こういうふうになつております。和歌山と徳島の地盤沈下は、ひどいところは九十センチ、約一メートルの地盤沈下があるようでございますが、大体五、六十センチの地盤沈下があるということを、和歌山の市においても和歌の浦の近所、それから海南所方面においても、私、参つたとき実際陳情を受けました。徳島県のほうも視察をいたしましたが、県民諸君もやはり同様のことを訴えておりました。容易に防潮堤防波堤を海水が乗り越して困るということでございました。そこで我々といたしましては差当り防潮堤防波堤を、本年度幸か不幸か非常な災害を受けましたから、徳島県のごときは完全にいたして一メートルぐらい低下いたしたいということの計算を前提どいたしまして、それでも荷高潮が防潮堤防波堤を乗り越さないように、災害復旧をするようにということを私、現地において指示して参つた次第でございます。和歌山県においてもそういうふうにいたして参りたい、こう考えております。それから大阪や、或いは東京の江東の、海より低くなつたところは、ウォールでその地域を囲む、城壁でその地域を囲む、防潮堤でその地域を囲むべきものである、小さいオランダというようなことになるのではないか、そういう堤を造らずに海面より低いところで暮しているというようなことは、これは馬鹿か気違いでなければなせないわざであるというようなことまで強調して参つた次第でございます。但し今以上に地盤が低下しないように、工業用水等は大工場において井戸水を使つて欲しくないということも、これ又相当強く要望して参りました。尚一般の地盤沈下においては種々の專門的見地からの対策もございましようが、折角それぞれの地方建設局等にも、又土木研究等にも取調べをさしておる次第でございまして、これに対する立派な善後策を講じたい、こう考えております
  24. 江田三郎

    江田三郎君 和歌山、徳島ではそういう地盤沈下に対するいろいろな復旧ができたわけですが、その他の、瀬戸内海沿岸で、最近になつて非常に地盤沈下の問題が大きく出て来ているわけです。そこで今の大臣の御説明から行きますと、そういう地盤沈下によつて、海岸の防潮堤などを潮が乗り越えるというような危險性が出ているところは、これは災害として今後お扱いになるということになりますか。
  25. 伊藤六三

    説明員(伊藤六三君) 先ほど大臣から御説明がありました通りでございますが、若干私から補足いたしたい、こう存じております。御承知のごとく災害復旧につきましては、従来風水害を主なものとしてやつております。ときどき局所的に地震が起りました場合には、それを一つ災害対象としてとつたのでございます。それで問題は南海の震災によりまして、当時これを南海震災として、災害復旧ととりまして一応これが復旧に努めたわけでございます。その後尚査定漏れがあり、若干その後の地盤の変動も徐々に起つてつたというような事情で、結局その年の災害としてはとれないというわけで地盤沈下対策として一応これを災害に準じた取扱をいたしまして、地盤沈下の変動対策として、これを一応助成して来たわけです。ところがこれはもういつまで経つて徐々に起つて来るとなりますとこれがどの程度であるか、これがはつきりいたさないのと、こういう問題は日本のような島國におきましては、あえて地震に限らず、地盤が常に浸蝕されたり、変動いたしておるような実情を見受けるのでありまして、これを災害としていつまでも取上げて行くということについては、なかなか困難であるというので、できれば一つ何か一般の公共事業費で見たいというわけで、海岸堤防の修築ということも要求を出した次第でございます。それで現在といたしまして、そういう問題につきましてはいたし方ないのでありますから、災害防止とか、或いは今のような海岸修築というような経費で一応見ておるような実情でございます。尚その際問題の風水害などによりまして、その点が特に局所的にやられたということは、これは勿論災害復旧にとれますが、一年も二年も三年も四年も、いつ起きたかわからないという問題を、これを災害復旧ということはちよつと困難か、こう存じておるわけであります。
  26. 江田三郎

    江田三郎君 先ほど大臣の御説明の中に、災害というものは何も短期に起つたものだけを言うのではない。若し法律がそうなつておれば、それを変えなければいけないということを言われたわけですが、地盤沈下というようなものはそう急激に出る場合があるし、じりつと来る場合があるし明らかに何年かの地盤沈下によつて危險の状態になつておるということはこれを災害として取扱わないということはどうもおかしいと思うのですが、具体的に言いますと、岡山県の瀬戸内なんかは五十センチ以上沈下しておる。これはもうはつきり数字が出ておる。そうして現在はもう高潮の大したものでなくとも、少々の高潮でもすぐ乗り越えるというような危險な状態に落ち込んでおる。こういうことは岡山県だけではなしに、広島県或いは愛媛県でも瀬戸内全体そういうものは沢山ある。これが災害ではないということはどうもわからないのですが……。
  27. 伊藤六三

    説明員(伊藤六三君) 例えば大阪におきましても、決して地震の問題とし  て起つたわけではないのでありますが、例えばその原因につきましては、今のところ地下水の汲上げということが原因とされておりますが、従来この問題も一応災害で取扱わずに、一応これは災害防除といたしまして、海岸の河川並びに海岸の沿線の災害防除工事として蒿上げをいたして水が入らないという方法で防いで行く、現在の規定では、徐々に起つたものは取上げないような現定になつておるのであります。
  28. 江田三郎

    江田三郎君 大阪のように地下水を工業用水に使われるためというような原因は、これはまあ一つ別の問題だと思うのです。併し南海震災に伴うものが一部は先ほどの御説明のように和歌山県なり、徳島県で取上げられた。たまたまその急激に来ないで、或る時間がかかつたために同じような状態のものが取上げられんというのは非常に公平を欠いているように思う。
  29. 増田甲子七

    國務大臣増田甲子七君) 只今私は常識的な立場で申上げたわけで、現行法がそういうものを災害として扱つていないならば、建設省の事務当局としては災害復旧費から出すことは困難でございましよう。併しながら私は災害には時間的係で、どうつと来たものだけが災害で、一年間かかつて起きた災害災害にあらずということは、常識的に見ておかしいと思つております。でありまするからこれは立法関係において考慮をいたしたいと考えておる次第でございます。というのは災害で扱われれば費用がよほど國庫から余計出るけれども、災害として扱われないと、例えば災害の防除費といつたような予防的な、積極的な費用であればよほど國の持分は少いそうでございますから、やはり罹災地としては同じことでございますから、立法措置として考慮をいたしたいと考えております。
  30. 江田三郎

    江田三郎君 御研究願いたいと思います。
  31. 小林亦治

    小林亦治君 先ほどの赤木委員の御意見と同じなんですが、先ほど大臣が最上川の本流の方面を御視察になつて非常に御同情のあるお言葉を賜つた由なので地元民は大変喜んでおります。最上川の本流よりむしろ私共はこの支流を御覧願いたかつた。と申しますのは、先ほどの赤木委員の御意見にも十五万円という枠があるために手を拱いて来年の出水を持つといつたような末端の貧乏な村落が沢山ある、而もその距離、長さがたしか五十メートルか、或いは三十メートルか詳しく存じませんが、それらの制限がありまするために殆んどこの予算に困り抜いておるところの小さな小地方村落がそのまま投げておるところが沢山あるのでございます。それでありまするからこの十五万円、或いは何十メーターという、この枠が災害復旧の一大障害になつておるのであります。当局におかれましてはこれらの制限について撤廃される御意思がおありになるかどうか。それからこれらの枠のあるためにそれらの小破損が随所に放擲されておるという状態を御認識あるかどうか、それについて御意見を伺いたい。
  32. 増田甲子七

    國務大臣増田甲子七君) 小林さんの御質問のうち、十五万円の枠があるために十五万円以下の災害を受けた、而も数の多い災害を受けた、財政的に貧弱町村においては災害復旧せずに放つて置くということは認めるかどうかということの御質問にお答申上げます。私といたしましてはそういう個所があることを認めます。財政的に貧弱町村においては十五万以下の災害個所が仮に二十個所ある、而もいずれも十万円である、併しながらそれだけの金をとてもやり切れない、國からも県からもどこからも来ないというわけで、放つてあるところが相当ございます。私もそういう町村を知つております。これは明瞭に認めます。然らばどういう処置をとるか、十五万円ではあまりひどくないかというような小林さんの御質問に対しましても、私はやはり或る程度同意の意を表さざるを得ません。将来若し國庫において三分の二、地方において三分の一、或いは四分の一になるかも知れませんが、そういうふうに地方において負担してくれることになりますというと、もとより私は起債という條件がなければ今の貧弱なる府県市町村財政を以てしては面倒だと思ひますけれども、いずれにいたしましても、そうなつた暁におきましては従来のように、従来七、八万円だとかいうことを聞いておりますが、そこまで下げて行くべきものであると考えております。
  33. 石川榮一

    石川榮一君 大臣の御構想に私非常に共鳴をして期待を持つものであります。一、二又お伺いいたしたいと思います。これは先ほど来行政簡素化についての御抱負誠に私同感であります。特に建設省関係の下に現場の管理をやつております技術属吏に対する監査の煩わしさは、私共見ておりましても、労働基準局なら、税務署なり、会計検査院なり、経済調査庁なり、その他沢山あるようであります。従いまして現場の災害を急いで復旧しようとする現場の技術官吏はこれに煩わされまして、大切なときにこれがために非常に暇をつぶすらしい。それでその工事が進まなかつたという情勢もあります。又従いましてこれらに対する事務官吏の数を非常に厖大にしておる。従いましてこれは数はわかりませんが、例えば利根川における技術官吏と事務官吏との比率はどうなつておるか、恐らく私共は相当事務官吏が多いと思う。それはなぜかというと、この煩わしい期間が長いときには二週間もぶつ通しになつてしまう。用がないのにくついておるということがありまして、現場で直接指導しておる大切な技術官吏が皆頭を悩ますというようなことで仕事が進まない。これは実に気の毒な立場にある。それほどに不信用な出先機関ならばとつくに解散して、ことごとにあるあらゆる官庁が、経済調査庁なり、会計検査院なり、労働基準局なり、税務署、各種の機関が来て現場の工事を妨げるような傾向がある。これに対する御研究を願いまして、建設省なら建設省一本の機関を設けまして、あらゆるものが一度に調べがつくようにする。そういう煩わしい期間が二週間も、それが終ると又一週間やる、ときによりましては相当の待遇もしなくちやならんということもあるらしい。これは実に、現場におります技術官吏は真劍に災害と取組んでおりますから、それらの人にそういう煩わしさをさせるのはどうかと思う。それらこそ行政の簡素化に一つ英断を以ちまして徹底的に御調査つて、そういう複雑な、実に複雑怪奇と言われるようなそんなことをするようなことがないように、現場の災害に取組んでおるところの技術官吏に対しては全面的に思う存分の仕事をさせるような仕組にして貰いたい。同時に事務官吏もこれと相待つて、これに入ります組織であれば非常に減ると思う。こういう面に非常に無駄がある。仕事の面においても、経費の面においても無駄がある。この点を私共始終見ておりまして、非常に痛感するのであります。適当な機会に御調査願いまして、できましたならばこれをどのくらい監査機関があるか、是非河川にしましても、或いは地盤沈下にいたしましても、工事をするところに対する監査の種類が相当あるはずであります。それはいろいろの面から主張してやかましく言つております。これに対する事務の人達はこれに当てはまるようなものを作るために非常に苦労する。同時に事務官吏も非常に沢山必要になると、これらが相当に災害復旧の能率を鈍化する原因をなしておるように思われる。御調査をお願いいたしまして、こういう煩わしさのないような適当な、簡素にして、安心して現場管理ができるように、現場におります技術官吏が努力できますように御配慮を願いたいと思います。  それからもう一つは、水防関係でありますが、水害予防組合が各所におきまして自治的にやつております。最近災害が大きくなりますと、これに要する物資が必要になつて参ります。例えて申しますと小貝川の決壊の場合にも、或る一定の場所に一万五千俵も俵を積んだというようなことがあつたことを聞いたのでありますが、それも急に市街でありましたからできたのでしようが、村落でありますならばなかなかそれは集まらない。これに対する経費も相当厖大なものであります。水害の予防に関する経費は或る程度まで國庫から補助して貰いたい。そうして完璧を期し、水害予防組合の活動を教えて貰いたい。今までは自治的に地方庁の要求で災害のある以前に狩り集めましてやつておりまして、非常に統制のない活動をしておりました。これらは災害を未然に防止する立場から考えましても、非常に國家といたしましても災害を無にする場合もあり得るのでありますから、これに対する経費に対しては幾分なりとも國家が助成して頂きたい、補助して行く方法を考慮して頂きたいと思います。
  34. 増田甲子七

    國務大臣増田甲子七君) 行政の簡素化の点から、地建に対する各種の監査が地建の職務執行に非常に澁滯を来たしているというような非常に御同情に溢れた御質問に対して私は深く感激した次第であります。私もこの問題につきましてはつとに憂慮しておりまして、閣議におきましても政府部内だけのそれぞれの行政監査機関が一つ一緒にやつてくれたらどうか。工事事務所に行つても殆んど現業を執行する役所が現業を行い得ないで、專ら応接に忙殺されている。一カ月の殆んど二十八日までをそういうことのために忙殺されているというようなこともあるそうであるからして、それぞれの監査機関を持つておる國務大臣においては注意して欲しいということも嚴重に申入を閣議においていたしておるのであります。尤も政府の部外において、例えば会計検査院といつたような政府部外の調査機構等もございますから、すべてに対して私共がどうこうということは申上げかねますが、政府部内の監査機構でございましたならば、現業官庁に監査に行く場合にはよく心して行つて貰いたい、そうして現業執行に澁滯を来たさないようにしたい、こう考えておる次第であります。  それから水防関係の各種の施設に対する補助國庫において考慮して欲しいという御質問、誠に私共は同感でございまして、政府におきましては財政当局にこの点について特に要望を従来継続的にいたしておりますが、今以て財政の都合上水防関係の物的設備に対する補助費が計上される運びに相成つておりませんが、或いは明年度からは若干緩和するのではないかということも考えておりますから、どうぞそういう点につきましては建設委員の皆様におかれましても御協力を下さつたならば、幸甚の至りでございます。
  35. 東隆

    ○東隆君 大臣は北海道開発庁の長官をされておりますし、前に北海道におられたので、北海道の事情がよくおわかりだと、こう考えます。北海道には決壞すべきものがないところで災害が起きております。つまり堤防がなくてそして災害が起きておる、こういうようなところが非常に多いわけで、従つてこれは災害復旧ということによつて考えますと、自然に返るということになれば、これは恐らく災害復旧は零になるのじやないかと、こう考えるのですが、そういう意味で北海道の災害関係は大分後廻しにされているのじやないか。殊に前から大分災害があるのですが、そういうようなものが、実際は先ほどお話になつたように残されている、こういうような部面も非常に多いと、こう考えますが、これは私は北海道のような形におけるところに対する害復旧という考え方、これを根本から変えなければならないということが一つと、それからもう一つ積極的な施策を講じなければならんと、こういう二面が私は特に日本全体から考えて見たときに考えなければならんのじやないか、こう考えるのであります。決壞すべき堤防のない所で災害を受けておるものに対する考え方、又これは一つの例ですけれども、もう一つ例えば砂防法のようなものなんかも北海道には行われておらなかつた、こういうようなものを当然早くから取上げて行つてそうしてやるべきものである、こんなことを考えるのですが、大臣のお考えをお伺いしたい。
  36. 増田甲子七

    國務大臣増田甲子七君) 東さんの御指摘の通り北海道は石狩川、天塩川を初めとして自然河川が極めて多いのでございまして、災害がなくても普通の雨でもごろごろ流れている。尤もこれは災害であるには違いございませんが、ただ災害復旧費というものは従来施設があつて、その施設が災害を受けた場合に災害復旧費が出るわけでありまして、農地等が災害を受けた場合のことは、私は農林省関係のことは詳しく存じませんが、とにかく何ら施設がないというような場合は、災害復旧費は出ることができない現在の法律の建前でございまして、こういうものに対しては将来はできるだけ財政上の適切な運用をいたしたい、こういうことを考えておりますが、それ以上のことは既定の予算を以てしてはなかなか困難でございます。但し自然河川という状態から早く堤防なり、護岸なり、その他の災害予防施設を造るべきものである、河川改修費その他からでき得る限り自然河川の数を少くする、或いは距離を少くするということには大いに努めて参りたいと、こう思つております。砂防法のことについては私今政府委員に聞きますと別に特別扱いを受けていないそうでありまして、北海道も砂防法の適用があり、砂防をする建前になつております。ただ一般論として申しますと、北海道開拓関係の公共事業費は従来は割合に少なかつたのでありまして、開発庁ができた今年を契機といたしまして相当幅のある飛躍的な公共事業費を是非とも計上いたしたい、そうして北海道の開発に努めたい、こう考えております。
  37. 島津忠彦

    ○島津忠彦君 災害を未然に防ぐということにつきましては、大臣も先ほども御説明がありましたが、鹿兒島県の特殊土壤たる白洲土壤、一名火山灰土と申しますが、この土壤につきましてこの土壤の災害の状況は誠にみじめなものがあるのでありますが、これをできるだけ未然に防ぐという意味からこの白洲に対しまして御調査、御研究を十分する必要があると思うのでありますが、この点は農林省は十人やつておられるように思うのですが、十分かどうか存じませんが、とにかくやつておられるのでありますが、建設省におきましもこの問題を十分御研究、御検討請願う必要つがあると思うのでありますが、その点につきましてどういう程度にやつておられるまするか、一つお聞きしたい。
  38. 伊藤六三

    説明員(伊藤六三君) 鹿兒島並びに宮崎におきまするところのいわゆる特殊地質の白洲の対策の問題でございますが、現在私のほうといたしまして調査しておる問題は砂防の中においてこれを調査しておるのであまりして、尚直轄におきましても河川の上流につきまして一応これも調査を進めております。特殊な白洲対策というような経費は計上しておらんのでありますけれども、この問題につきましては砂防の対策を十分今後研究はいたして参りたい、こう存じておる次第でございます。
  39. 小林英三

    委員長小林英三君) 尚いろいろ御質問もあると存じますが、先ほど御相談申上げましたスケジュールの中で、本日は第九國会、でき得れば第十國会において政府の計画しておられます建設関係の法律案の内容につきまして文書課長が来ておるようでありますから、一応承わつて置きたいと思いますが、御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  40. 小林與三次

    説明員小林與三次君) 私より現在建設省において考えております今度の通常國会に準備しております法案の中味の大体を申上げたいと思います。まだこれは省としてはつきりきまつておるわけではありませんけれども、それぞれ事務当局において研究を進めておる問題だけを御披露申上げて置きたいと思います。  一つは土地收用法でございます。大体前から研究を進めておるのでありますが、現在國会で審議になつております鉱業法などの関係もありまして、是非次の國会には出したいと思つて早速準備を進めております。土地收用法を殆んど全面的に改正いたしますことは、いろいろ問題が広汎であるだけでなしに非常に困難な問題が沢山ありまして、我々としても悩み続けておる問題が多いのでございます、一つ又お智慧を拝借しなければならぬ問題が多いと考えておるのであります。  それから先ほどいろいろ御議論になつておりました問題にも関連するのでありますが、海岸堤防法といつたふうなものも実は研究を進めております。地盤沈下、海岸浸蝕というような問題になれば、むしろ災害の問題よりも事前にその対策をどう予防し鎭圧して行くか、こういう問題になるのでありまして、それにつきましては、現在海岸をどう管理維持し、それに対する対策を立てて行くかという法的な基礎もないので、むしろ海岸堤防法といつたようなもので方策をとり上げて行くのが筋でないかというので、研究を進めておる問題の一つでございます。  それから、これは来年度予算がどうなるか、まだはつきりきまつておりませんので、はつきり申上げかねますが、例の耐火建築助成法というものを考えております。若し来年度予算において耐火建築の助成が認められたならば、それに対する法的な基礎を與えて、耐火建築に助成をすることを進めて行きたいと思うのであります。これは予算との関連問題でございます。その外に、まあ住宅金融公庫法の改正、これはいろいろ関係方面との折衝を要する問題でありますが、この貸付條件を何とか緩和したいということは、我々のかねての念願でありますが、若しそういう方向に話合いが進むものなら、是非そういう方向に持つて行きたいと考えておる問題でございます。その他地方行政調査委員会議の事務配分について現在研究を進めておりまして、その答申が出るようになれば、その結果をも見て考えなくちやならない問題があるわけでございまして、例えば道路法などもこれも大分前から事務的に研究を進めておるのでありますが、この事務配分に関する調査の結果も見て政府としての方針をきめるべきであろうというので事務的には研究を進めておる題でございます。その外そういうことになれば例えば水道法などという問題も関連して起つて来るかと思うのであります。その外にいろいろ考えている問題、例えば官庁建築法、官庁営繕法と申しますか、これもできたら研究を進めて参りたいとうので、早速関係のほうで考えている題目の一つでございます。その外に、一番大物の河川法でありますが、これも事務配分の根本問題にも関連するし、もつと大きく根本的に河川行政の根本に入つて、いろいろ論議すべき問題が多いのでありますが、そのうち特に利水関係を中心にした、利水法というか、或いは河川の利用調整法というかそういうふうな面を今中心に研究を進めておるのであります。これもなかなかそう早急に結論が出るか出ぬか、そのところは疑問でございますけれども、事務当局として頻りに研究をしておる問題の一つでございます。大体今ちよつと並べ過ぎたような恰好でございますが、研究しておる問題はそういう問題でございまして、成案を得ることができますれば一つできるだけ提案をして御審議を願いたいと、こういうふうに考えて研究を進めております。
  41. 赤木正雄

    赤木正雄君 只今政府のほうから河川法のことを申されましたが、河川法としては、先に明治三十年頃出た法案でこれはもともと改正すべき部分が大分多いのであります。従つて河川法の改正と同時に施行法の改正ということが長年の懸案であつた、そこをお考えになつておられるかどうか。
  42. 小林與三次

    説明員小林與三次君) 只今赤木先生からのお尋ねでございましたが、実は河川法の改正を考えておらんわけでなしに考えておるのでございますが、何しろ極めて重大な困難な問題があるものでありますから、今結論を直ちに出すということができない状況でございます。併しながらこれは今ちよつと申上げました通り地方行政調査委員会議の事務配分のための結論でも出れば当然河川行政についても一つの批判がなされ、それに伴つて砂防についても勿論なされることと思うのであります。それを受けて政府としても考えなくちやならん、その事務配分に関係なしに、河川行政、砂防行政自体についても、当然検討さるべき問題がございまして、その中の一部の利水問題を、ちよつと先ほど申しましたけれども、当然これは河川利水だけを切離して処置できるものでもございませんし、恐らく利水、治水ということを綜合的に考え河川全体の行政の刷新改善を図るべきであるということはその意味合から極めて道理でありまして、そういう見地で研究を進めておるのでございます。それでございますから、我々といたしましても一生懸命に実はやつておるわけでございまして、砂防も無論同じ問題でございます。さようでございまして、これは非常に重大な問題でありますけれども、至急研究を進めておりますから、問に合いさえすれば御審議を願いたい恰好にまとめたいと思つております。
  43. 赤木正雄

    赤木正雄君 私は今の説明は非常に不満です。真に砂防河川も平等に考えておるのですか。
  44. 小林與三次

    説明員小林與三次君) 只今お話通り、これは勿論平等に考えております。
  45. 赤木正雄

    赤木正雄君 先ほどの御答弁では殆んど御答弁が河川のほうばかり言つておられる。砂防のことを殆んど考えておられない……。
  46. 増田甲子七

    國務大臣増田甲子七君) 私建設省へ来る前は、実は土木行政と言えば道路あり、港湾あり、河川あり、或いは治山治水ありということで、ウエイトとしては常識的に漠然と同様に考えておつた次第であります。ところで建設省へ参りまして、赤木さん御承知のことく私も昔建設省の前身である内務省の育ちでございまするが、各局の仕事を同じように見て参りたい、こう思つておりましたが、最近殊にこの災害が、非常に風水災害が殖えておるのでございまして、抜本塞源的な途を講じなくてはならん、そこでどうしても治山治水に重きを置かなければならない。治山治水の中でも源に近いところを治めなければならん。山を治めることが大切であり、又洪水を起さないことが大切である。それには植林とそれから砂防であるとか、それから続いて河川改修であり、港湾であり、堤防である。こういう考えを私は持つております。災害が特に近年ひどいというのは台風の数が恐らく宇宙が始まつて、極く最近の世界の歴史から見ると、この二千年くらいは台風の来方は赤道からとにかく台風は乗る、或いはメキシコ湾から或る程度はアメリカに上つて行く。こういうことはこの二千年来殆んど変つていないと思うのであります。尤も私はまあ科学者ではありませんから常識的に申すのですが、台風が日本と終戰後特に仲がよくなつたわけではない。以前から台風はしばしば日本を訪れておつた考えられるのであります。然るところ台風に基く災害が近年非常に多い。これは何故か、やはり戰争中、又戰前から軍事費の方面費用が余計投下されたために治山治水の方面費用が行かなかつた。出を治めることも割合に少かつた。又河も治めなかつた。特に濫伐、過伐というような、災害に対する積極的に寄與する面が殆んど行われていなかつた。濫伐、過伐ということも一概に言えませんが、濫伐、過伐、それから砂防というような方面を怠つてつたことが、台風の来方が同じであるにもかかわらず、災害が非常に激烈を極めておることの最大の原因であると私は考えております。そこで先ず山を治めることでございまするが、すでに相当濫伐、過伐が行われておりまして、私天然資源局長等と一緒に飛行機で関東方面の水源地帯をずつと見て参りました。靜岡も山梨も見ましたし、又東北の山々、北海道も前後十三、四時間飛行いたしました。機上からもつぶさに見た次第でございますが、相当山も荒れております。殊にイロージヨンが行われておりまして、無計画に開拓等が行われたことや濫伐、過伐等が行われた関係等が原因していると思います。あのイロージヨンというものは、結局放つて置けば伸びて行く、拡大されて行くのでございまして、やはり山腹砂防というものは植林と同時に大切である、こう考えております。殊に木を植えても昔通り木になるには恐らく二十年くらいはかかるのではないか。その間どろするのだ。その間はやはり臨時に而も応急で非常に間に合う、而も根本的対策になるところの砂防に力を入れるという問題がある。山腹砂防は渓流砂防と同様に大切である。私のほうの、実は山腹砂防や植林は主管ではございませんが、私は農林省関係において特に山腹砂防及び植林には力を入れて欲しい、殊に伐採計画等は科学的にやつて欲しい、又木を伐つたあとは必ず植えて欲しい。これは林地開放とかいろいろな将来の第三次農地計画に脅かされて木を植えつけない憾みがございますが、とにかく私は林地開放というようなことは、無計画にしては植林思想というものを全然なくしてしまう。そうすれば昔の朝鮮或いは現在の熱河みたいになりますから、國が滅びる形もああいう形ではないかというふうに昔し考えたようなこともございます。とにかく木があつたればこその國である、こう考えるわけでありまして、私は農林省主管ではありませんが、特に植林と山腹砂防に力を入れるべきである。それと同様に渓流砂防には特に力を入れて参らなければならない。これこそいわゆる抜本であり、又源を塞ぐ根本的の政策である、こう考えております。ただ徒らに堤防を高くした、蒿上げをした、或いは堤防を余計殖やしたというだけでは、どんどん土砂が来て結局河川の有効な営造物としての洪水を流すキヤパシテイーというものがどんどん減つて参るのでありまするから、災害がひどくなるのは当り前であります。そこで河川を有効に國家乃至公共団体の営造物として保存するために、山腹砂防、植林はもとより、渓流砂防が絶対的に大切である、こう考えております。そこで小林政府委員は法律の説明の條項でただ申しただけでございますが、河川法を改正するならば、それと同様の趣旨において若し改正を要すべき点があれば私が最も憂えているところの砂防についての根本法規である砂防法も、これに順応して同等の価値を持つ、或いは同等以上に我々は重点を置いて改正の仕事に盡すべきものである、そういう方針で臨んで参ります。
  47. 岩崎正三郎

    岩崎正三郎君 今大臣の抱負を承わつて誠に私共賛成でありまするが、ところで砂防の問題にしても、そのまま河川全体にしても山のてつぺんから海岸まで或いは地盤沈下の問題なども皆一貫した一つの大きな問題なのです。そこで、最近新聞で見るというと、そういうものはまあ我々が素人考えで見て適当な行政機構としてこのほうが適当じやないかと思う気がするのですが、天然資源庁なんというのがあるのですが、こういうものに対して、今後これは建設省が主になつて行くのか、農林省が主になつ行くのか、これはまあ内容をつまびらかにしませんが、そういう説も……河川を一貫として見る、或いは水を一貫として中心として見るという見方が最近方々に起つていると思うのです。例えば利根川の総合開発であるとか、北上川水系の総合開発であるとか、そういうふうに問題が総合的に取扱われて来ているので、行政機構の面において勿論そういうふうに行つたほうが穏当だと思うのです。ところで建設大臣はどういう考えを持つてこの行政機構に対してお考えであるか、ちよつと伺いたい。
  48. 増田甲子七

    國務大臣増田甲子七君) その治山治水に関する行政機構をどうするかということは、今研究中でございます。我々は大体において治山から始まつて港湾までは一貫作業でやつたほうがよろしい、こう考えているのであります。以前からもこのことは常識でございまして、他の或いは農地改革だとか、或いは品種の改良だとか、増産だとかということまでが一緒でなくてはならんとは私は考えておりません。つまり農林行政プロパーというものは別なのでありまして、殊にコンストラクシヨンに関する部門は、建設行政に関する部門は、山から始まつて港に至るまで一貫作業でやるべきものである、こう考えております。従つて各省々々のセクト主義に囚われてはいけない。山から始まつて港に至るまで一貫作業でやる一つの役所が、従来からも行政審議会等においては申し進められておりまするし、将来もそういう方向で考えて参りたい、こう考える次第であります。
  49. 岩崎正三郎

    岩崎正三郎君 今の土大関係と言いますか建設関係というものと、農林関係と言いますか食糧関係ですね、そういう問題と行政機構の分野について非常に噛み合つていると思うのです。それで今の大臣の御意見だというと農林と言うか農地と言いますか、食糧と言いますか、そつちの問題と土木関係の問題とは別な意味において総合的に見る。併しなかなかそこは私共が見まして、山林にしろ農地にしろこれは殊んど河川と一体な憤勢にあるのが多いので、その法律をどつちに……。土木関係を主にしてそういつた農林関係を治められて行くか、農林関係を主として土木関係をそれに従属せしめるかということは、これは今後研究しなければならん問題と思いますが、大臣の意向だというとどういう……。建設的な仕事のほうを主として考えているようでありますが、その点は必ずしも日本の産業という面から考えるというと、生産、林野、或いは農業というものを主として河を考え水を考えるということが、私共成る場合には適切ではないかと思うのですが、建設省はそういうことに対してまだ根本的にどつちがいいか惡いかということははつきさしたお考えはないようでありますが……。
  50. 増田甲子七

    國務大臣増田甲子七君) 岩崎さんにお答え申上げます。農林を主とするか、建設を主とするかという差迫つた意見でありまするが、私は先ほど申した通り河川というものを営造物として健全にすることが絶対に大切だと思つております。即ち災害を防がなければ農業関係においてリレーシヨン関係の用排水の関係がうまく行つたところで、そんなものは根本的に引つくり返つてしまう、流されてしまう。それから農地だつて流されてしまう。それですから河川自体が健全に一つの営造物として上から下まで流れて行く、どんな台風が来ても健全なる姿において山から海まで河が流れて行く、こういう状態に保持することが絶対に必要である。これにはこの河川をノーマルな状態、健全な状態で営造物として保存するようなことについて訓練を経た專門家がこの方面の行政を担当する必要がある、こう考えております。それに向つて或いは水道を引つ付けるなり電気を引つ付けるなり、或いは農業用水を引つ付けるなりすることは、それは結構です。とにかく不健全な河川に向つた或いは農業用排水を引つ付けるとか、或いは水道を引つ付けるとか電気を引つ付けるものですから、皆引つくり返つてしまう。結局河川というものは、品種改良や或いは増産のことを知つている人がなかなかできるわけのものではないのでありまして、私共が内務行政で相当やつてつたつてこんなものは常識なので、赤木さん等に比べて或いは赤ちやんくらいの常識しか持たない。とにかくそれが苦しいもので、なかなか品種改良、農業或いは酪農経営だとか多角経営だとか、そういうような見地から、河川改修だとか河川の営造物としての健全なる状態に如何なる災害に対しても置くということはなかなか出て来ない、こう思います。それから河川というものは日本が農業だけを……、勿論農業を守らなくてはなりません。併し郡市もまた守らなければ、例えば江東等があの利根川の堤防が決壞したために数万町歩が湖になるということでもおりかりの通り、都市でも守るのであります。栗橋の町を守るばかりではございません、東京の江東区等も守らなければならん。或いは工場も守らなければならんことは、大阪の大工場が被害を受けたために二千数億円という損害を来たしております。農村だけの損害でしたら四十八億、こう言われている状況であります。なかなかコンストラクシヨンのことは相当年期をかけてもむずかしいものである。要するに河川というものは日本が初まつて以来、又支那でもどこの國でもそうでありますが、水を治むることは政治である。政治プロパーは水を治めることであるということで、水を治めることができれば電気にも利用できましようし、水道にも利用できましようし、他の品種改良にも使えるでありましようし、農業用水にも使える、土地改良もできる、こう考えております。
  51. 小林英三

    委員長小林英三君) まだ御質問もあると思いますが、先ほどから田中委員の御質問があるようですから、本日は田中委員の御質問だけにしまして、その辺で散会いたしたいと思いますが、御異議ありませんが。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  52. 小林英三

    委員長小林英三君) では……。
  53. 田中一

    ○田中一君 今、来國会に提出する法案の中で会計法によつて施行された入札制度、これをお考えになり、もつと合理的な入札制度といいますか、そうしたものを立法化する御意思はあるかないか、これを一つ伺いたいことと、もう一つ伺いたいことは、朝鮮動乱以来非常に諸物価が高騰しております。殊に建設費材並びに建設関係の労賃が非常に上つておるのです。これに対して如何なる手をお打ちになつておるかという意味は、或いは更改契約にするか、さもなくんば設計変更をして規模を縮少をしてその負担を軽からしめるか、こういうような点、もう一点はそうしたことの法律的な立法化ですね。入札制度に関連いたしますけれども、物価が上るような予算考えるとか、何とかいうようなことの考え方ですね。それを大臣にお聞きしたいと思います。
  54. 小林英三

    委員長小林英三君) 建設省管理局長でもよろしうございますね。
  55. 澁江操一

    説明員(澁江操一君) 只今の田中委員からの御質問でございますが、第一点の入札制度の合理化の問題でございますが、これはいろいろお聞き及びかと思いますが、先般来相当長期に互りまして、中央建設委員会がその道の、それぞれ專門家の方がお集まり御研究の結果一応の結論が出てございます。問題はこれを実施に移す際に、今お話になりましたような法律的な措置として、問題となつております点がございます。それは一つはこの指名競争入札制度という考え方が、その結論の中に織込まれておる。現在の会計法規の建前では、これは一般競争入札、乃至は特定條件の下に、随意契約乃至は指名契約、こういう形になつておりますが、その中間的な行き方になりますけれども、指名競争入札、即ち相当の、ランキングの大体同じ條件にあるような建築業者がそれぞれ競争して、公正な競争の下に落札をすると、こういう建前に持つて行きたいということが結論でございます。これにつきましては、会計法規のやはり改正を要します。つきましては会計法規を担当いたしております大蔵省ともそれぞれ連絡をしております。又その改正問題についても研究をいたして貰つております。関係方面との折衝がつき次第そういつたような改正的な措置を御審議願いたい、かように考えております。  それから第二点の問題で御指摘になりました点は、朝鮮事変の動乱を契機といたしまして、相当の建設関係の資材等につきまして値上りが出ておることは御承知通りでございます。ただ現在私共で調査いたしておりまするところでは、尤もこの建築の種類或いは土木工事の種類によつて非常にまちまちでございますが、最も値上りをいたしておりますのは、やはり鉄鋼関係、或いは非鉄関係をそれぞれ素材といたしておりまする建築関係に値上りが多いのでございます。かように考えておりますが、これはやはり只今のところでは、このために特に、予算的な措置を講ずる、或いは契約を更改するということは実は研究中でございまして、差当りの措置といたしましてはおのずから予算的な制約がございますから、設計の変更その他によつて措置をする。併しながら労務全体の今賃金等につきましては一応据置かれておるような状況でございます。従いまして土木工事等につきましては、できるだけ現状の予算の範囲内で修繕の設計をして行く、こういう建前で進んでおるが、物価の状況等睨み合せて考えて行くべき問題だと思いますけれども、これは下手に手を着けますと、政府の全体の施策の上で考えておられますインフレ政策にも影響を来たすわけでございまして、そういつた点につきまして愼重に考えておる状況でございます。
  56. 田中一

    ○田中一君 その設計変更でどのくらいの約数字を考えておりますか、パーセンテージは、値上りの……。
  57. 澁江操一

    説明員(澁江操一君) 一概に先ほどからお話申上げておるように申しませんで、例えば國の営繕工事考えておるような点につきましては、先ず五分乃至二割ぐらいという見当で大体最近の物価情勢をいろいろ検討いたしまして考えております。そういう程度でございます。
  58. 田中一

    ○田中一君 委員長もう一つ……これは次の機会に讓ります。
  59. 小林英三

    委員長小林英三君) それでは本日はこれにて散会いたします。有難うございました。    午後四時四十六分散会  出席者は左の通り。    委員長     小林 英三君    理事            岩崎正三郎君            赤木 正雄君            小川 久義君    委員            石川 榮一君            島津 忠彦君            平井 太郎君            深水 六郎君            江田 三郎君            小林 亦治君            田中  一君            徳川 宗敬君            東   隆君   國務大臣    建 設 大 臣 増田甲子七君   説明員    建設省大臣官房    文書課長    小林與三次君    建設省管理局長 澁江 操一君    建設省河川局次    長       伊藤 六三君