○
内村清次君 私は次の二点を
條件といたしまして、この
裁定に対する
只今の高田
委員の案に対しまして、不満ではございますが、賛成をするものであります。その
條件の
一つでありまするが、本
裁定はこれはなお効力があるものであ
つてこの
残余の
支拂の実施に当りましては、
昭和二十六年度において
日本國有鉄道は
資金上余裕を生じたときにおいては速かにこれを実施するものである。第三は、
日本國有鉄道は
裁定第三項の基準外
資金、
現物給與、福利厚生その他の
給與等において、
前回の
裁定に指摘した待遇の保障について適切な
措置を講じ、実質的に賃金の充実を図るものであるという第二項の実施は、当然なすべきものであるという
條件附であります。この
國鉄公社と
國鉄の労組間におきましての紛争問題につきまして、
公労法の
精神に従いまして
仲裁制度において
裁定が下されましたのは、第一次
裁定におきましては、
昭和二十四年十二月二日でありまして、すでに一年一カ月を経過しております。更に第二次
裁定におきましては、
昭和二十五年三月の十五日でありまして、すでに十カ月を経過いたしております。
國会におきましても
政府のこの
裁定の
履行、即ち
公労法の十六條の第二項によりまして、
公社の
資金及び
政府の
予算の面におきまして、これを
承認しないというような
考え方の下におきまして
提出いたしましたこの
國会の
議決の要求につきましては、我々は
公労法の制定の
趣意からいたしまして、この両者間の紛争を有効的、且つ平和的に調停を図
つて団体
交渉の慣行と手続とを確立するということ、而して公共の福祉を増進して、これを擁護するという
建前からして、正常な運営を最大限に確保しようというようなこの
精神、それから又
國家の経済と
國民の福祉に対する
公共企業体の
重要性に鑑みて、
関係者は主張の不一致を有効的に最大限の
努力を盡して、この問題を解決しなくてはならないという、この罷業権に代る即ち憲法の基本人権に代るところのこの
公労法の
精神に
従つて、当然
政府は忠実に施行しなければならないという
見地に立
つて、私
どもはこれを判断上、
政府の反省を求めて来たのでありますが、第五
國会以来もうすでに回を重ねて今日に至
つたわけであります。先ほどの経過月数及び年月の間におきましてこの公共福祉の増進にいそしんでおりますところの
従事員の
給與の問題が、今日まで非常な窮屈な面において制限せられたことにつきましては、誠に私たちは従業員の方々に対しまして、又
仲裁制度の公正なる施行に対しまして、甚だ遺憾に存じてお
つたわけでありまするが、今回の
公社の
資金内容におきまして、而も又、
公社自体におきましても、機構改革をなしまして、業務の最大限の運営につきましては、これは従業員に痛手を與えておるにかかわらず
努力をいたしておる
事態、又はその痛手をこうむりながら公共の福祉を守
つておるところの従業員のその
努力、この
努力というものが今回この
公労法の第二條にありまするような、
関係者がいわゆる最大限の
努力をするという一半がここに現われて来ましたことにつきまして、私は非常に喜び且つ敬意を表するものであります。併しながら、この
議決になりましたのは、どこまでも本年度の
資金の
承認問題でありまして
裁定というものは、その
内容につきましては我々は干犯すべきものではない。
法律に制定せられましたところのその
関係者があらゆる観点から
努力を拂
つて、些細な検討をした後において
裁定をせられたものでありますからして、これを
國会自体が更に干犯するがごときになりましたならば、民主政治の実現というものは決して確立されないのでありまして、常に時の
政府権力によ
つて労働運動というものが或いは激しく、或いは平穏というような
関係に相成
つて来ることは当然な帰結でありまして、而も又
労働運動は経済問題に限定をさせるという大
方針があるといたしましたならば、当然これが政治問題に干犯させるようなきつかけを作ることは、
政府自体の罪であると私たちはここに断ぜざるを得ないのであります。こういう
見地に立ちますると、即ち経済問題は同時に生活
内容と最も近接し、而も又緊迫したところの時期を有するものであります。その点に立ちますと今日のごとく一年有余ケ月の日延べをしたということにつきましては誠に残念であると私は
考えます。よ
つて私が先ほど申しましたような
條件は当然如何なる
議決の
字句を引用いたしましても、これは二十五年度に限定されたものであるということは、これは
字句の配列からいたしましても、
精神からいたしましてもそうあるものであるという
見地に立ちまして私はこれに賛成をするのでありまして、現実も、すでに経過いたしまして年末も近付いておりまして、ますます従業員の
給與問題は逼迫いたしておる現状でありますし、而も又
政府が
提出をいたしておりますところの
予算の修正というような、こういう切迫した問題に立至
つておりまする現段階におきましては、誠に私はこの
議決に対しましては、従来と
つて参りました
参議院の
委員会として一貫した
方針を貫きたいのでございますけれ
ども、この情勢に鑑みまして不満ながら賛成をするものであります。