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1950-12-04 第9回国会 衆議院 予算委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年十二月四日(月曜日)     午前十時四十九分開議  出席委員    委員長 小坂善太郎君    理事 有田 二郎君 理事 橘  直治君    理事 西村 久之君 理事 橋本 龍伍君    理事 川崎 秀二君 理事 稻村 順三君       青木 孝義君    天野 公義君       井手 光治君    江花  靜君       奧村又十郎君    尾関 義一君       尾崎 末吉君   小野瀬忠兵衞君       角田 幸吉君    川端 佳夫君       北澤 直吉君    久野 忠治君       甲木  保君    坂田 道太君       佐藤 重遠君    塩田賀四郎君       島村 一郎君    庄司 一郎君       鈴木 正文君    田中 啓一君       玉置  實君    塚田十一郎君       坪川 信三君    苫米地英俊君       永井 英修君    中村  清君       中村 幸八君    本多 市郎君       松浦 東介君    松野 頼三君       南  好雄君    井出一太郎君       今井  耕君    北村徳太郎君       中曽根康弘君    早川  崇君       平川 篤雄君    勝間田清一君       坂本 泰良君    鈴木茂三郎君       戸叶 里子君    西村 榮一君       川上 貫一君    高田 富之君       林  百郎君    横田甚太郎君       小平  忠君    黒田 寿男君  出席国務大臣         総 理 大 臣         外 務 大 臣 吉田  茂君         法 務 総 裁 大橋 武夫君         大 蔵 大 臣 池田 勇人君         文 部 大 臣 天野 貞祐君         厚 生 大 臣 黒川 武雄君         農 林 大 臣 廣川 弘禪君         通商産業大臣  横尾  龍君         運 輸 大 臣 山崎  猛君         郵 政 大 臣         電気通信大臣  田村 文吉君         労 働 大 臣 保利  茂君         建 設 大 臣 増田甲子七君         国 務 大 臣 岡野 清豪君         国 務 大 臣 周東 英雄君  出席政府委員         内閣官房長官  岡崎 勝男君         大蔵政務次官  西川甚五郎君         大蔵事務官         (主計局長)  河野 一之君         大蔵事務官         (主税局長)  平田敬一郎君         文部政務次官  水谷  昇君         農林政務次官  島村 軍次君         経済安定政務次         官       小峯 柳多君  委員外出席者         総理府事務官         (地方財政委員         会財務部長)  武岡 憲一君         專  門  員 小林幾次郎君         專  門  員 園山 芳造君         專  門  員 小竹 豊治君     ————————————— 十二月四日  委員大泉寛三、奧村又十郎君、尾関義一君、  川端佳夫君、川本末治君、清水逸平君、田中啓  一君、松本善壽君、村上勇君、水谷長三郎君、  風早八十二君及び横田甚太郎君辞任につき、そ  の補欠として、永井英修君、佐藤重遠君、青木  孝義君、松野頼三君、庄司一郎君、久野忠治君、  本多市郎君、尾崎末吉君、中村清君、坂本泰良  君、川上貫一君及び、高田富之君が議長の指名  で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  昭和二十五年度一般会計予算補正(第1号)  昭和二十五年度特別会計予算補正(特第1号)  昭和二十五年度政府関係機関予算補正(機第2  号)  昭和二十五年度政府関係機関予算補正(機第2  号)中修正     —————————————
  2. 小坂善太郎

    ○小坂委員長 会議を開きます。  本日は総理大臣に対する質疑の残余の分について順次お許しすることにいたします。川崎秀二君。
  3. 川崎秀二

    川崎委員 私は現下国民の最大の関心の的であります数日来の世界政局朝鮮動乱の新段階に対しまして、吉田総理大臣にその所見を求めんとするものであります。  すなわち約一週日以前より北鮮満州国境地帶に増結されておりましたる北鮮軍兵力は、中共軍の援助をもちまして、にわかにその数を増し、マツカーサー元帥並びにトルーマン大統領声明にも明らかな通り、従前の北鮮軍兵力のみにあらずして、中共軍の大部隊の集結であつて、このことは新しい侵略段階を意味しておると声明をされております。従つてこの状態推移をいたしまするならば、今までは朝鮮事変アジア人心を深く刺激いたしておりましたが、もはやこれはアジアだけの問題ではなく、全世界人々が、たとえばヨーロツパにおいても、またその他の半球の人々の生活にも、甚大なる影響を与える問題として登場し来つたことを意味するものであろうと思うのであります。しかるに吉田総理大臣は去る二十四日の施政方針演説において、朝鮮事変の進展に関し次のごとく述べられたことがあります。すなわち「幸いにして国連軍適切果断の処置により事変の終熄がはかられつつありましたが、本日マツカーサー元帥みずから陣頭に立つて全軍を指揮し、北鮮戰鬪をただちに終結せられんとする趣であります。これにより朝鮮全土のすみやかなる平和回復も期待せられ、まことに慶賀にたえません。」と述べられておりまするが、このことと今日の状況は、当時はもちろん予測されなかつたことではありましようが、重大なる変化を示しておるのでありまして、この段階に対して吉田総理大臣は、今後の朝鮮事変見通しについていかなる確信を持たれるか、まずこの第一点からお伺いをいたしたいと思うのであります。
  4. 吉田茂

    吉田国務大臣 お答えいたします。今度の朝鮮事件変化については、私も新聞以上に何らの情報を持つておらないのであります。でありますから私の申すことも、はつきりした見通しではなくて、ただ單に希望を加えた感じを申すだけでありますが、この事件発展いかんによつては、お話通り非常に大事件になることは明らかであります。なるかならないかが問題でありますが、私の感じとしては、これで第三次世界戰爭が再び起るということになれば、これは非常なる結果——人類滅絶というか、文明の破壊というか、非常な結果になりますので、第三次戰爭が起ることが言われておつても、それが必ず予期するがごとく——予期するというのはおかしいのでありますが、予期するがごとき大破壊があるとすれば、その開始について、積極的にもしくは責任をとつてまで故意に、自主的といつてはおかしいですが、進んで積極的に開始するという国はどこもないと思いますから、そう簡單に第三次戰爭までに行かないであろうという確信は今なおかわつておりません。  それからまたお話のような事態中共軍が五十万入つたとか六十万入つたとか、新聞だけの情報はありますが、現実どれくらい入つているかということは、こちら側にはわからない。こちら側というか、国連側にはわからないであろうと思います。同時に非常な危險な状態であるという事実にかんがみて、新聞にもありますが、あるいはイギリスフランス閣僚が飛んで行つたとか、あるいはまた国連においても非常会議を催して、そうしてこれの対策を講じておるとかいうこともありますから、これは希望を加えての話でありますが、一時危殆に瀕したこの状況を何らかの方法で緩和することに、列国は相当の努力を払つておると思いますから、その効果はなお数日の間待つて考えるべき問題であると思います。いずれにしましても、国際情勢は今日においては非常に微妙なものがありますから、私としてはあまりはつきりと見通しを申すことはよくない、また申す材料もないのでありまして、ただいまのところは私の感じを申すだけにしておきます。
  5. 川崎秀二

    川崎委員 マツカーサー元帥声明は、十一月の二十九日と十二月の二日と二度出ておると思います。その中で私が非常に重大な問題であると思いますのは、最初新しい侵略にわれわれは直面したということを申されて、今度の戦爭は非常に大規模戰鬪に移つておるということを指摘されたこと。しかしそのときには中共軍兵力は二十万と発表されたと思うのであります。しかるにわずか三日の間に中共軍兵力は六十万と、新たなる事態に即して正確なる情報を出されたと思うのでありますが、六十万と言われて、もはやこの攻勢に対しては宥和の道はないというふうにまで言明されております。しかして極東がもし侵略をされたあかつきにおいては、西ヨーロツパ民主主義というものは破滅をするというようなことを、UPの社長あたりに語つておられまして、要するに新たなる侵略というものは、従来の戰鬪規模とかわつたということを言われておるのであります。従つて私はこれを多くの世界評論家あるいは外交官が見ておるように、国際共産軍国連軍の対決という新たなる事態と見るべきであろうと思うのでありまして、世界第三次大戰発展するやいなやという問題については、今総理大臣が御説明になりました通りであろうと思いまするが、今眼前に現われておるところの状態は、国連軍国際共産軍との正面衝突を意味しておるのではなかろうかと思うのでありますが、この問題に関連して総理大臣見解はいかがでありましようか。
  6. 吉田茂

    吉田国務大臣 これはただいま申したように、新聞以外何もわれわれは情報を持つておらず、また思うに国連においても詳しい情報は持つておらないであろうと思います。現に対立いたしておるのでありますから、相手方の情報について、そう正確なものはあり得ないと思います。これはしばらく形勢の推移を見ないと、何とも言えないのみならず、私として正確の材料のないのに見通しを申すのはいかがかと思いますから、その程度で御了承願いたいと思います。
  7. 川崎秀二

    川崎委員 朝鮮事変進行は、今までに二転も三転もいたしております。すなわちしばしば重大なる変化を来しております。かつて八月の中旬ごろには、国際連合軍は南朝鮮の半島の一角に釘づけられて、そのころわが国人心は非常に緊張をいたしておりました。しかるところ仁川上陸作戦あるいはその他の奇襲大部隊の反撃によつて国連軍は三十八度線を突破するに至つた。しかして相当な進出を一時見て、北鮮事態はまさに平静に帰するがごとき段階もあり、日本国内人心は最近の状況を見て、総理大臣施政方針演説に言われた通り、きわめて平静であり、かつ国連軍の奮鬪に感謝をいたしておつたのであります。しかるに最近の状況は、先ほど来総理大臣との質疑応答でも明らかな通り中共軍の大部隊の非常なる進出によつて、再びわが国人心に微妙なる変化が現われつつあると私は感ずるのでありまして、この点について今後かかる情勢推移に対しまして、国内治安政府は万全を期さなければならぬと思うのでありますが、その自信があるかどうか。また国内人心に対する不安の念を一掃するには、政府は進んで国連軍に対するところの協力ということを打出して行かなければならぬと思うのでありますが、これらの問題に関連して吉田総理大臣の明快なる御所信を承りたいと思います。
  8. 吉田茂

    吉田国務大臣 ただいまのところ、治安は現在の警備力でもつて十分なりと考えております。将来国連とどういう連絡をとるかというようなことについては、今後の事態を見ないと、今日予断を許すことができないと思いますから、この程度でお答えをとどめておきます。
  9. 川崎秀二

    川崎委員 先ほどの私の質問に対しまして、るる各国の情勢を御説明をいただきました中に、イギリスにおいてもアトリー首相は近くアメリカを訪問して、和平外交方途に出ようといたしておるように聞いております。また昨日はイギリスフランス外務大臣会見をいたしまして、四大国方式をもつてこの危機を突破しようというような状態も現われております。また朝鮮事変進行に初めから重大な関心を持ち、しこうしてでき得る限り和平方式によつて、この緊急事態処理しようと願つてつたところのインドの総理大臣ネールも、またあつせんの労をとろうといたしておりますが、要するにわれわれは国際共産軍の強圧によつて、かかる状態が起るということを決して喜ぶものではありません。しかし常にわれわれは平和的に問題が処理をされる、話合いによつて解決をされるということは、最も望ましいことではなかろうかというふうに感ずるものでありますが、アジア平和の見地から、これらの平和的外交交渉方途について、総理大臣はこれを希望せられるやいなや、その点に関して総理大臣見解を求めたいと思うのであります。
  10. 吉田茂

    吉田国務大臣 むろん日本としては平和を、單に極東ばかりでなく、世界の平和がますます増進せられるということを希望することにおいては、国民が一致してこの点に何らの異存がないと思いますから、もし平和という方法日本協力のできる、現在の日本事態においてあるいは現在の国際関係においてできることならば、いたしたいのでありますが、ただ一つ申しておかなければならないことは、いずれにしても占領治下にありますから、そう自由な行動はできないと思いますが、とにかく世界の平和の増進のためには、国をあげて協力すべきである。この点を希望することにおいては、私の信念においては少しもかわつておりません。
  11. 川崎秀二

    川崎委員 ただいまの御答弁で満足した部分もありますけれども、さらに強力に総理大臣がこの際とるべき方法としてお訴えをいただきたいことは、自由世界の最も大きな強みと申しますのは言論の自由でございます。この言論の自由ということを最高度に発揮して行くところに、自由世界の非常な強みがあると私は考えておるのであります。たとい占領治下でありましても、われわれは平和的な解決方途というものが、常に望ましいということを表現をすることは、私は自由であろうと思うのであります。その点に関していま一度御答弁を願いたいと思うのであります。
  12. 吉田茂

    吉田国務大臣 今日政府としては、放漫に過ぎるかと考えられるくらい、何らの言論については抑圧なりを加えておりません。また言論の自由については大事であるのみならず、ことに講和問題等については常に私が申しますように、国民要望は自由に発言すべきである、こう申しておるので、束縛を加えるような考えは毛頭ありません。ただ国治安を乱すような議論あるいは共産主義的の議論で、あるいは労働攻勢を何するとか、労働攻勢を激励するような言論に対しては、治安取締りの上から、取締らざるを得ないかと思います。
  13. 川崎秀二

    川崎委員 朝鮮事変進行関連して、さらに重大な問題がわれわれ日本人の前に、登場をして参つたと思うのであります。そのことの重要な問題は、トルーマン大統領は去る十一月三十日の新聞記者団会見において、中共軍に対し日本人部隊を使用するかとの新聞記者質問に対しまして、橋のところまで行き着けば、これを渡ることになるだろうという発言をして、世界に大きな反響を呼んでいるのであります。もとよりこれは日本人を使ういうことを意味しない。しかしこれは適当なときに問題を解決しなければならぬという英米慣用語であるという話でありますから、きわめて重大な問題であると思うのであります。この問題に関連をいたしましては、今までも新聞紙上を通じ、世界軍事評論家あるいは、また有力なる外交評論家等が力説をいたしたこともあります。しかし政治の中庸なる指導者であるところの大統領が、とにかくそういう発言をしたということは、きわめて重大な影響日本にも与えるのでありまして、これらの問題について一体総理大臣は、憲法において戰爭放棄したる日本人を、この朝鮮事変に使用するというようなことがもし起つた場合に、どういうようなお考えを今日持つておられるか。この点に関して御答弁を求めたいと思います。
  14. 吉田茂

    吉田国務大臣 私はトルーマン大統領がどういう意味合い演説をなすつたのか、あるいは新聞通りであるとしても、その意味合いは私においてしかと了承いたしませんから、これに対しては何らの議論といいますか、意見を述べることは差控えます。同時に、従来しばしば日本戰爭を放棄し、再軍備いたさない、また義勇兵といえども望まないということをはつきり申しておるので、私の真意はちつともこの点については、かわりはないのであります。しかしトルーマン大統領がどうしたから、演説があつたから、その結果どうというようなお話があつても、現在われわれの関する限り、日本政府の関する限り、何らの交渉を受けておりませんから、この点ははつきり申しておきます。
  15. 川崎秀二

    川崎委員 さらにお伺いしたいことは、朝鮮事変講和関連でございます。講和会議は一日も早く招集されて、しかしてわれわれが望んでおつたところの民族独立解放の道を一日も早く開いてもらいたい、これは国民の大多数の願望であろうと思うのでありますが、今回の朝鮮事変の新らしい情勢がいかなる影響を与えているか、この点について御答弁を願いたいと思うのであります。
  16. 吉田茂

    吉田国務大臣 私はかつて講和朝鮮事変を機会として促進せられるであろうということを述べておきましたが、しかし対日講和以上にここに重大な問題が出現いたしたわけでありますから、思うにこれは私の想像でありますが、英米当局といえども、まずさしかかつた朝鮮事件始末といいますか、中共との関係始末をすることに自然力が集中されて、講和の問題については、うつちやる、放棄されたということはむろんないでしようけれども、われわれが希望した通りに促進できるかどうか、私もはなはだ憂えているわけであります。
  17. 川崎秀二

    川崎委員 ただいま総理大臣の言われたことは、私は率直なる御表明であろうと実は思つております。といたしますると、最近の講和問題に対します総理新聞記者団との談話あるいは国会での問答、たとえば、いつか京都へ行かれたころには、昨年の十一月ごろでありましたか、講和会議は来年の秋ごろになるだろうというようなことを言われたり、さらにまた最近国会での答弁の中には、来春ごろにはこれを期待したいというような御答弁があつたと思います。しかしただいまの御答弁の中には、朝鮮事変処理ということがきわめて重大であつて講和会議がこれがために遅れるというようなこともなかろうけれども、目下のところ朝鮮事変処理ということが重大であろうということになると、こういう問題が深刻になれば、講和会議は延びる可能性があると思われますか、いかがでありましようか。
  18. 吉田茂

    吉田国務大臣 私が昨手京都でどう申したか、しつかり覚えておりませんが、私が言つたことはこうだと思います。第一次吉田内閣がやめるときには——一九四七年五月にやめたのですが、その秋には講和会議が開かれるだろうという話も聞いておつたから、当時私は一九四七年の秋には講和会議を見るに至るであろうと考えておつたが、その後いまだ講和会議が開かれておらないという意味合いのことは話したように思います。来年の秋にということは、そのときの私の話し方が悪かつたか、私の気持はそうであつた。一応訂正しておきます。  それから講和会議がどうなるかということは、今申した通り、対日講和以上の世界的大問題が起つたから、この処理に自然没頭するであろう、こう申したので、これがいつごろになるだろうか、従来の予測も自然違つて来ますし、もうしばらく中共問題等発展を見ない限りは、何らの予測もだれもつかないだろうと思います。
  19. 川崎秀二

    川崎委員 次にお伺いいたしたい点は、この朝鮮動乱段階を画するごとに、わが国経済にも私は相当な影響をもたらして来るものと思うのでありまして、今次国会に提出をされております補正予算も、初め池田大蔵大臣が折衝されておつたときには、朝鮮動乱影響ということが十分に顧慮されておらなかつたために、最終的な折衝の段階至つて、ドツジ氏から強く修正を指摘されて、形がかわつて出て来ておることは、すでに予算委員会十分了得をいたしておるところであります。従つて今後このような段階が起つて来ると、日本経済に非常な変化を与えるばかりでなく、来年度の予算案にも相当な変化があるものと私は思うのでありますが、そういたしますれば、やはり予算案というものも常に大きな彈力性を持ちつつ編成をしなければならぬというふうに考えるのでありまして、單に超均衡予算一点張りで行くというような考え方であつてはならぬと私は思うのであります。これらの基本的な問題に対しまして、総理大臣はいかにお考えでありますか。もし総理大臣の御答弁がなければ、池田大蔵大臣でもけつこうです。
  20. 池田勇人

    池田国務大臣 朝鮮事変その他世界情勢に対しまして、われわれは考え得る最大限を頭に入れまして、予算を編成いたしておるのであります。
  21. 川崎秀二

    川崎委員 今の池田大蔵大臣答弁は、総理大臣の本日の熱心なる御答弁に比して、実ににべもない話で、あなたに話を聞いたつてしかたがない。  総理大臣にこの際お伺いいたしたい最後の問題は、このような状態になればなるほど、私は超党派外交必要性というものが痛感せられると思うのであります。超党派外交というものは、必ずしもしやくし定規考えた問題ではなくして、こういうような状態のときに、責任ある政党の領袖に対して情報を提供し、国家の前途を憂えるということに発しなければならぬと思うのであります。一昨日でありましたか、トルーマン大統領は、共和党の首脳とひざを交えて、今日の事態を憂慮しておられる。こういうような時局に際して、総理大臣超党派外交必要性を痛感せられるかどうか、この点についてお伺いをいたしたいと思います。
  22. 吉田茂

    吉田国務大臣 私も従来から超党派外交は、主義としてはけつこうである。しかしながらその実現について、他党の協力がどの程度まで得られるか、現に社会党のごときは拒んでおるのであるから、事実行われないことではありはしないかという疑惧を持つておるだけの話で、主義としてはけつこうな話であると考えております、ただ実現はなかなかむずかしいのじやないかと思います。
  23. 川崎秀二

    川崎委員 最後は、私の考え方を述べつつ総理大臣のお考えを伺つておきたいと思うのであります。目下わが国政治家——と申すよりは、むしろ総理大臣そのものが最も真劍に考えなければならぬ問題は、民主主義発展というものと、わが国自主性の確立ということにあろうかと思うのであります。ただいまたまたま超党派外交を持ち出したのでありますが、私はこれを内政的に利用するような考え方は少しもあつてはならないということが、今日最も重大ではなかろうかと思う。総理大臣の今日の信念が那辺にあるかは私どもも十分に知りませんが、巷間伝えるところによれば、しばしばこれらの問題を内政問題に利用しようとする閣僚を利用されたことは事実であります。よつて私はこの際特に民主党の考え方として、今日の総理大臣のお考え方の基本には、何が一番大切であるかということについて、要望をいたしたいと思うのであります。  総理大臣は、まず第一に何よりも平和を愛し、これをあくまでも守るということについて熱心であらねばならない、これはわが国総理大臣として当然であります。  第二には、このような朝鮮事変の新段階に際しては、虚心坦懐に、党派を超越して、外交問題に関する限りは、超党派外交というものを強力に推進する熱意があつてほしい。  第三には、これをいやしくも内政問題に利用して、責任ある野党の言論を封鎖するというような考え方であつてはならないと私は思うのでありまして、太平洋戰爭前におきましても、いわゆる大政翼賛会なるものが出現をして、その当時、国の内外をおおつてつたところの非常な緊迫の状態に籍口して、国家のためであるからというて、内政問題に対する言論まで封圧しかかつたことは、諸君御承知の通りであります。本国会においても、かつて議会の白鬼とまでいわれた島田俊雄先輩が、東條陸軍大臣の前に屈して、今や国民の気持は戰爭にかり立てられておる、このときにこそ熱い鉄を打たなければならぬというようなことを言つたことを終止符として、日本言論は遂にその地を払つたのであります。私の近ごろ憂慮にたえないことは、民間に、国のためなら何でもよい、国家のためなら、内政問題に対する言論は、あとまわしであるとするがごとき議論が相当出ておるということは、非常に遺憾な点でありまして、いわゆる一片の赤心耿々として国を憂えるというような感覚は、これは私はやめてほしいと思うのであります。われわれはあくまでも平和国家として誕生した以上は、国家ということよりは、むしろ国民の生活を思い、しかして世界の平和を思うというところに観点を置かれて、政治を進めてほしいと考えておるのでありまして、この点に関し今や国内問題における最大の問題は、内政問題については言うところを言わしめよということの信念が、総理大臣にあつてほしいと思うのでございます。  以上私は朝鮮事変の問題に関連をいたしまして、私どもの考え方を述べた次第でありますが、日本民族の自主性民主主義発展、特に内政問題における自由な言論ということについての総理大臣の御感想でも承りまして、私の質問の最終といたします。
  24. 吉田茂

    吉田国務大臣 自主性民主主義発展、これは私が施政方針等において常に述べているところであつて、その自主性及び民主政治の発達、これは第一は独立の回復であると思います。すなわちなるべく早く講和会議実現を見たい。その信念は今なお、かわつておりません。但しもう一つつけ加えますが、超党派外交政治に利用しよう、内政上に利用しようという考えは毛頭ございません。どうぞこれをしかと御了承を願いたいと思います。
  25. 小坂善太郎

    ○小坂委員長 西村榮一君。
  26. 西村榮一

    西村(榮)委員 私は近時とみに険悪や加えて参りました国際情勢に際会いたしまして、かつ従来いろいろ予想を立てておりました講和会議の時期につきましても、今後国際情勢の急変いかんによつては、われわれの希望を裏切るような事態が発生するやもはかりがたいのであります。かかる際において、われわれがここに明らかにしておかなければならぬ点は、講和会議までのわが国の国際的、法律的な地位であります。これはわかり切つたようなことでありまするが、ともすれば明確になつておらないのでありまして、われわれは無條件降伏をしたのであるから、いかなる命令、いかなる干渉もやむを得ないというあきらめの根性があるのであります。そこで私は明らかにしておきたいと思うことは、わが国は一体征服された民族であるのかどうか。あるいは特定国家の保護国であるのかどうか。あるいは休職條約によつて一時的に占領された国家であるのかどうか。この三つのうちのどこに、わが国の地位が該当するのであるかどうか。私は結論から申しますると、自分の意見から申しますると、自分の意見から申しますると、わが国は征服国家ではない。保護国でもない。一時的占領を受けておる被占領国家と法律的に解釈しておるのでありますが、総理大臣の御見解はいかがでありますか。
  27. 吉田茂

    吉田国務大臣 被占領国とか、今いろいろ御定義がありました。その学問上の性質は知りませんが、とにかく降伏條約によつて無條件降伏をして、今連合国司令官のコンマンドのもとにあるということは、條約に明記されておると思うのでありますが、この條約が今日の日本のステータスを明らかにしておるものと私は考えます。
  28. 西村榮一

    西村(榮)委員 私は、ただいま政治上の見解総理大臣に伺つておるのではない。政治上の見解をあなたに御答弁願うということは、いろいろ影響するところがあると思うので、私はあえて控えたい。ただ法律解釈の上において、わが国が被占領国家であるか、保護国であるか、あるいは被征服国家であるのかということを求めたのでありますが、あなたのおつしやるような点は、私はどこにも該当しないと思うのです。わが国は降伏文書においても、征服された民族ではありません。国家としての独立は保障されている。ただ占領軍当局が日本を占領しておる期間内において、国家の主権の行使を一時制限を受けておるのであつて日本の独立というものは、降伏文書のどこにも、ポツダム宣言、カイロ宣言のいずこにも否定されておらない。日本はあくまでも独立国家である。独立国家ではあるが、占領軍が存在する間は、主権の行使について一定の制限を受けておる。その制限を受ける根拠はどこにあるかというと、カイロ宣言、ポツダム宣言、これに基準するところの終戦條約によつて私は制限を受けておると解釈しておるのでありますが、この法律的解釈は総理大臣はいかようにお考えになりますか。
  29. 吉田茂

    吉田国務大臣 私は法律的解釈は法学博士におまかせいたします。政府としては政治的に考えざるを得ないのであります。でありますから、今のような答弁を申し上げたのであります。
  30. 西村榮一

    西村(榮)委員 私は今の総理大臣の御答弁には承服いたしかねます。これは政党が違うから反対党の首領のあげ足をとつたと言われるのはいやでありすから、差控えますが、法律解釈は法学博士にまかせるというのではなしに、私はあなたが日本国の総理大臣として、また大政党の総裁として、日本を率いて行かれるのに、いかなる法律的基準によつて日本を率いて行かれるか、この見解を承つておる。従つて政治見解はデリケートであるから、私はあえて遠慮したのであるが、日本の法律的地位がどこにあるかということをお尋ねしておるのであつて、これに対してあなたは、法学博士にそれは聞けばいい、おれは政治家だという話でありますが、その政治家が日本を率いるのには法律的根拠がなければならぬ、日本は法治国家でありますから、私は将来はそういう御答弁はよそでおつしやらない方がいいのじやないかと思うのであります。しかしこの問題ははなはだデリケートでありますから、私はこれ以上総理大臣の御答弁を要求いたしません。しかし私が考えておる日本は被征服国家ではない、保護国ではない、一時的占領を受けて、しかも独立を保障されておるが、主権の行使については制限を受けておる国家であるという私は法律解釈をしておるということをあなたは記憶しておいていただきたい。  次にこの日本の問題について私はともすれば卑屈の考え方になつて、連合軍の命令であるからこれは何でもしかたがないのだという、連合軍司令官の命令というものは無限大の権限を有し、またいかなる場合においてもそれに服従しなければならないというように日本国民が錯覚を起しておる。私はその根拠はどこにあるかと考えてみますならば、それはここにあるのではないかと思うのであります。終戦條約を締結いたしました後において、連合国が連合軍司令官に対しまして一つの権限をえる要綱の中に、こういう文字がございます。日本国大畠並びに日本政府は連合国司令官に従属し云々、こうあるのであります。この従属し云云という二つの文字が、絶対服従というように概念に錯覚を起しておるのではないかと私は思います。しかしながら私が第一点に明らかにしたように、日本は保護国ではない、奴隷民族、征服された民族ではないといたしますならば、これを受諾した当時の政府が明らかにしておかなければならぬことは、この二つの従属という文字の解釈であつたと思うのであります。この従属という文学に対しましては、絶対服従であるのか、あるいはこの従属の二つの文字は、ポツダム、カイロ両宣言、あるいはこれに明示されておらざる部分は、従来の国際法と国際的慣例に従う従属であるのかどうか、あるいは絶対的服従であるのかどうかという点を、私は当時の政府は明らかにしておかなかつたことにおいて、ここに錯覚を起して来ておるのではないかと思うのであります。しかしながらこの問題は古いことでありますから、私はいまさらこれをせんさくしようとは思いません。しかしながら問題は、かりにこの従属の文字が、今日解釈されておるがごとき、日本国民は連合軍司令官の命令は絶対に服従しなければならぬということであれば、これは主権と人格と自由とを剥奪された奴隷民族であります。私は今日において日本が独立して、一時的に主権の行使の制限を受けておるといたしますならば、その従属の文字の解釈は、カイロ宣言、ポツダム宣言並びにこれに漏れておる諸條約は、従来の国際條約を批准されて、この国際條約を、従来の文明国家の慣例に従う範囲における従属であると私は解釈しておるのでありますが、総理大臣の御見解はどうでありますか。
  31. 吉田茂

    吉田国務大臣 非常にむずかしい法律論は別として、実際問題として、現在マツカーサー元帥考えておることは、マツカーサー元帥考えておることではありますまい、連合国が考えておることであると思いますが、つまり占領政策に反せざる範囲において、占領軍司令部は干渉をするというか、いろいろさしずする。けれどもその他の点においては、できるだけ内政には干渉しない方針で従来やつておりました。これはさらに行動はかりではなく、もし不必要にというか、つまり占領政策以外のことについて干渉した場合には、われわれはこれに対して抗議を申すといつては角が立つけれども、いろいろ話をいたします。その場合に筋の立つたお話は、私に関する限りにおいては必ずわれわれと見解を一にして、そしてかりに内政に干渉がましいことがあれば、それを取消す。事実において取消すということは往々あつたことであります。趣意とするところは、占領政策に反せざる場合においては干渉したくないというのが占領軍の気持であります。これは法律論は別として現状をお話するとそうであります。
  32. 西村榮一

    西村(榮)委員 総理大臣の御答弁は、大体私が希望しておる日本は征服国民ではない、保護国ではない、第三の一時的占領国家であるということに近寄つて来られたことは、まことに私は喜びにたえません。そこでただいま総理大臣の言われた実際事務の取扱い方、これは私も法律家ではないのでありまして、法律はまつたくしろうとでありまするが、日本の将来のことを考えてみますと、先ほど申しましたように、講和会議が早く開かれてくれれば、たいへんけつこうでありますが、これが国際情勢のいかんによつてずるずる押しやられる。このままに日本が置かれてしまつては私は困ると思うから、日本の法理的地位を明らかにした。従つて総理大臣のおつしやることは、占領軍の政策に反せざる限りは、マツカーサー元帥は大体こちらの言うことを了承してくれるのだ。まあいろいろ大勢おられるから、個々によつて違うでしよう。せわずきの人もあるし、あつさりしている人もあるし、神経質の人も、こまかな人もいろいろありますが、マツカーサー元帥としては大体総理大臣の要求をいれてくれる、それは占領政策に反せざるという前提のもとにあとはいれてくれるのだ、これを国会の事情に考えてみますと、私は日本国会は、一時的占領下における今日といえども、国会の審議権の問題を考えてみますならば、マツカーサー元帥の指令、ポツダム政令に対しまして、日本国会は拒否権は制限されておるけれども、拒否権は剥奪されてはおらない、自分はこう解釈しておる、いかがでしよう。拒否権の制限を受けておるが、拒否権は剥奪されていない、こう解釈しておるのですが、私も法律はしろうとなんですが、あなたもしろうとなんです。しろうと同士の法律論もたまには役に立つと思う。くろうとの法律論は、従来の法律概念に固定されて、飛躍する着想がないから、しろうとの私がしろうとの吉田さんにお尋ねするのですが、私は国会の審議権は制限は受けておるが、拒否はされていないと解釈するのですが、いかがでしよう。
  33. 吉田茂

    吉田国務大臣 今申したように、しろうと同士の議論であります。従つて事実についてお話をいたすよりいたしかたがないのであります。高遠なる法律論を鬪わすだけのお互いに資格がないとするならば、事実について申すよりしかたがないのでありますが、司令部の意図するところは今申した通り、それから事実において国会の審議権を拒否したということはないと私は思います。またあなたのお考えになるのは、この間電力再編成についてポツダム政令を出した、これを婉曲に攻撃なさつていらつしやると思いますが…。
  34. 西村榮一

    西村(榮)委員 いやそうではない、そういうけちな考えは持つておりません。これは誤解のないように願います。あなたのあげ足をとつているのではありません。
  35. 吉田茂

    吉田国務大臣 いやあなたがあげ足をとつておると申しておるのではございません。事案を申しておるのでありますが、国会の審議権を拒否して——国会が議決した、これをマツカーサー司令部がその実施をとめたということは、事実今日までないと思います。
  36. 西村榮一

    西村(榮)委員 私の質問がともすればこの間の電力の問題に含みを持つ次の何かの前提だというふうに、御警戒をなさつておられるようですが、私は冒頭申しましたように、過去を問わない、しかし将来講和会議が長引く場合、あるいは国際情勢変化した場合をおもんぱかつて質問しておるのだから、総理大臣はそのつもりで、あまり警戒しないで本心をお述べ願いたい。  そこで今御答弁の中で明らかになつたことは、占領政策に反しない限りは、日本の自主権も認めてもらつておるのだという御見解でありました。私は個々の実情についていろいろの意見がありますが、この答弁を一応すなおに受取つて、しこうして現在の状況考えてみますならば、終戰條約によつてわが国が無條件的降伏をした連合国司令官の無限大にひとしい権限が、日本統治の上に与えられた。しかしながら現実の問題として、それから二箇年たつて昭和二十二年五月の三日に連合軍司令官の懇切なる指導のもとにおいて、現行憲法が生れて来たのであります。従つて私はこの際明らかにしておきたいと思うことは、連合軍司令官の五年前の付与された権限、五年前の日本の地位と国際情勢変化と、具体的には日本が新憲法を連合国の指導のもとに、つくつたというこの事実を考えてみますならば、私は日本統治の基本法権は、事国防と外交に関する以外は、日本国内統治は、日本憲法を一応尊重して、占領政策というものが行われるものである、こう解釈しておるのでありますが、総理大臣の御見解いかがですか。
  37. 吉田茂

    吉田国務大臣 私は司令官に与えられた訓令といいますか、アメリカ政府から与えられた指令、訓令等というのは全然知りませんから、いかなる変化があつたかは、これは法律的に申し述べる何はありませんが、しかし事実においてはよほどかわつておると思います。これはこうも解釈できると思う。日本について、日本を占領した当時においては、日本国及び日本国民の性質等が十分わかつておらない、実情がわかつておらないために、一応敵と見ていろいろな処理をした。いろいろな指令を与え、あるいは指導をなさつたことがあるでありましよう。また日本は平和を破壊する危險な国民であると一応用心して考えたこともあるでありましよう。しかしその後五年の占領後においては、日本の実情もわかり、またわれわれも米国政府その他の連合国の意向もわかり、相当考えにおいて融和したこともある結果であろうと考えますが、事実は非常に違つております。つまり事実上の講和は日々成立しつつあるのであります。もし事実上の平和関係が成立しておらないとするならば、貿易も許されるはずもなし、日本国民のアメリカへの渡航も自由ではないですけれども、非常に寛大になつておる。敵国人に渡航を許すはずはないのでありますから、事実においては敵国関係は日に薄らぎつつある。また外務省の在外事務所などの設置も、アメリカのみならず、その他の国にも現に許されて独立しつつあるような状態であつて、占領当時と今日では格段の違いがあります。司令部の、あるいは連合国の日本に対する態度においても、かわりがあるのみならず、また日本国民とし、日本政府としての行動においても、非常な束縛といいますか、終戰当時と今日とは、格段の違いがあるので、事実上の講和が日に成立しつつあるとか、あるいは平和関係が拡大しつつあるということは言い得ると思います。さてこれが講和條約が来年、再来年なお結べなかつたらどうか。今日の状況をもつてしますと、事実上の平和関係がますます増大せられ、そうしてまたその区域も増大せられる。今日まで日本の在外事務所を置かなかつた国も、置いてもらいたいというような招請の来る程度まで、今日は緩和されつつあるのは現在の事実と思います。普通に申せば、将来はこの傾向はさらに一層増大せられるであろうと思います。
  38. 西村榮一

    西村(榮)委員 あなたとマツカーサー元帥との折衝並びにマツカーサー元帥の人格、またアメリカの一面持つ正義、人道を私は信頼しております。しかしながら問題は、アメリカ人と申しましても、たくさんおられるのでありまして、一億三千万人おられる。われわれを指導してくれている、占領軍事務をとつておる方々も大勢来ておる。従つて先ほど申しましたように、その中には、非常にせわずきな人もあるし、大まかな人もある、神経質の人もある。あるいはもののわかりやすい人もある。これは日本世界各国共通であります。そこで私はこの点明らかにしておきたいと思うことは、将来の日本の内政の問題を処理するにおいては、日本国憲法を尊重するという建前をここに一本打込んでおく方が、占領軍の政策を簡明ならしめ、あるいは日本人が受取るのに大体軌道がついて来るのではないかというふうな意味において、占領政策の中に、広汎の内政、外交、国防という三つの中の外交と国防の問題以外、内政問題は日本国憲法を尊重されるという建前をとつておく方がよくはないか。私はこれ以上の答弁をあなたに要求することはむりだと思いますから、これもまたさらりと避けて行きましよう。しかしそれが合理的な解釈として現実の日本状態として正しいのじやないか、こういうふうに私は考えておる。従つて吉田さんも、自由党を率いられてなさる占領軍当局とのいろいろな折衝は、一応そういうふうなことを頭に入れて、堂々とやつていただきたいということを希望しておきます。  次に私がお尋ねしたいと思うことは、先ほど川崎君も触れられたのでありますが、川崎君とは別な観点においてお伺しておきたいと思うことは、これは先ほど総理大臣答弁を避けられたのでありますが、十二月一日にトルーマン大統領は、場合によつて日本人部隊の使用もあるかもしれない。すなわち橋の所まで来れば渡らねばならぬという文字で表現されておるのでありますが、私はトルーマン大統領、アメリカが日本人部隊戰爭に用いるというふうなことが、かりに発生する——万あるまいとは思いますが、かりに発生するといたしますならば、それはいかなる法律的な根拠によつて日本の青年を兵隊に用いられようとするのであるか。私はその法律的根拠をひとつ明らかにしておきたいと思つておる。
  39. 吉田茂

    吉田国務大臣 ちよつと私としてお答しにくいのであります。何となれば、アメリカ大統領言論を引合いに出して、外務大臣があれこれ申すということは、なかなか微妙でありますから差控えます。義勇兵の問題は、かねて私が申すように、私は希望いたさないのみならず、そういう場合があつて——どういう場合に起るか、それはわかりませんが、今日は考えてもおらないことをはつきり申しておきます。
  40. 西村榮一

    西村(榮)委員 委員長の寛大な御配慮によりまして、私にゆとりのある時間をもらつたのでありますが、私は政治道義の上において、これもまた結論をつけないでおきます。  最後の問題は、アメリカ大統領のお言葉をわれわれが引合いに出すということは、遠慮すべきであるかもしれませんが、いずこを見ても日本人部隊がアメリカのために使用されるという法律的根拠はありません。また日本人がその義務に服さなければならぬという法律的な根拠もどこにもありません。これはすべからく日本国民全体の自由にして自主的な判断にまつ以外にはないのでありまして、私はこの際明らかにしておきたいと思いますることは、世界の自由と平和のために、日本国民は何をせなければならぬか。世界の平和を確立し、自由世界を確立するためには、日本国民は決してこれに対して協力を惜しむものではない。私はこう考えておるのであります。しかしながらここに問題は、一体今日の日本の地位において、世界の自由と平和を語る資格があるかどうか。あいまいもこたる間において主権の拘束を受け、国民の自由を制限されている現在において、率直に申しまするならば、奴隷国民には自由と平和を語る資格はありません。これを考えてみまするならば、今日のわれわれ日本人がまず要求しなければならぬことは、日本に独立を与えよ、日本人に自由を与えよ、日本の独立が完成し、日本国民の自由が確立された後において、世界の平和と自由の問題については、日本国民が自主的にかつ自由に判断して、歴史の大道に誤らざるところの行動を、そのときに初めて自分たちは日本国民の叡知に従つてとるべきである。まず第一にこういうふうな問題が起る。日本人部隊を使用する、使用せぬ、あるいは今年の夏アメリカの議会において、日本人義勇兵云々ということを言われましたけれども、この問題を語る前提としては、日本国家の自由と日本国民の完全なる自由が確立していることが前提である。しかる後において日本人は自主的な判断を下す。私はこれが日本人の偽らざる考え方ではないかと思うのでありますが、吉田総理大臣見解はどうですか。
  41. 吉田茂

    吉田国務大臣 日本国民が自己の希望等を自由に言い表わすことは、現在の日本の地位においても、決してさしつかえないことと思います。日本が被占領国であるがゆえに言論は不自由だという結論は出ないので、私が絶えず申すことは、講和條約において国民希望等を明らかに言うがいい。また日本の国論に反しまたは希望に反するような内容の條約ができても、これは結局行われないことになることは、従来国際慣例において明らかなことでありますから、もし平和を考え、平和を希望して、永久の平和を念として講和條約をつくるとするならば、必ず日本国民希望するところ、要望するところは、これを内容とした條約ができるものと私は信じて疑わないのであります。でありますから、平和についても、あるいは自由についても、日本の将来についても、国民として最もはつきり自由に議論もし、また意見も発表すべきであると私は思つて、絶えずこの線に沿うて議会等においても答弁もしくは議論しておるのであります。
  42. 西村榮一

    西村(榮)委員 最後にもう一点お尋ねしておきたいと思いますことは、私は朝鮮事変並びにヨーロツパ問題は甘くも辛くも見ておりません。社会科学者としてきわめて科学的に分析して見ておるのでありますが、この甘くも辛くも見ないという公平なる立場に立つて、激動期の世界情勢考えてみまするならば、五箇年前と世界は一変いたしております。同時に日本が憲法を制定した当時と今日の世界情勢はかわつている。こういうふうなさ中において、私が総理大臣にお伺いしておきたいと思うことは、将来の日本の安全保障を一体どこに求められるか、日本の今日の安全を一体どこに基準を置いておられますか。これは日本国民の問わんとするところであり、かつまた今日の日本の地位は、東亜の安定勢力の一員といたしまして、この外交方針を明確にしておく必要があります。かつて終戰直後においては日本の生産力はゼロであつたが、今日生産力は第六位に回復しておる。まさに五位に迫らんとしておる。これは何といいましても、一ちようのピストルがなくても日本世界の大国であります。東亜の安定勢力であります。この日本がみずから国民に対する一つの安心を与え、東亜の諸民族とともに世界の平和と自由の問題を語る、その前提條件といたしまして、日本の安全保障を一体どこに求めるかという点を、明確にしなければならないのじやないかと思うのでありますが、総理大臣答弁し得る範囲内において答弁を願いたい。
  43. 吉田茂

    吉田国務大臣 安全保障の問題は、必ず対日講和條約の主要なる内容の一つであろうと思います。しかしながら、私としては今日一体どう日本の安全を保障するかという、連合国の具体案については承知いたしておりません。ゆえに具体的にこうだ、ああだということは、私としては言えないのであります。抽象的に申すと、結局日本民主主義国であり、平和を愛好する国である。世界の平和を増進するために、国をあげて国民がこれに一致協力するという精神が了解せらるるときに、初めて日本の安全が保障せらるるのであると思います。この世界の平和に協力する国を連合国から離すということは、平和のためによろしくない。またこの国があつてこそ、日本協力を得てこそ、世界の平和が増進せられるのだという確信を連合国が持つことによつて日本の安全は当然連合国が保障する。国連と申しますか、どういう形で何するか、具体的には今日私も承知いたしませんが、連合国の力によつてこの国の安全は保障しなければならぬ、せざれば世界の平和は確保できないということになるであろうと思いまするから、今日われわれとしては、世界の平和のためには、できるだけの協力をするという精神を、すべての機会において、すべての方法において現わすべきであると思います。これが将来における日本の安全を確保するゆえんである、こう確信いたします。
  44. 西村榮一

    西村(榮)委員 これで最後の結論をつけたいと思います。これは重要な問題ですが、時間の制約上明らかにすることができなかつたのであります。私どもは日本の自衛力につきまして、非常に重大な関心を持つておるのであります。しかしながら、それだけの重大な関心を持ちつつも、私どもは再軍備に向つては絶対反対いたしております。その反対の根拠は、憲法第九條の解釈によるということはもちろんであります。この憲法第九條の解釈によつて、われわれは最軍事をすべきではない。同時にこれは縁のないようであるけれども、十分の関連性を持つておることでありまして、われわれが日本の自衛力について一つの暗影のあることは、そのことが軍事国家の再建になつてはならぬということが第一点。第二の重要な点は、日本の自衛力が外国の傭兵になつてはならぬということ。この点は私はなぜ言うかというと、今日の警察予備隊の現状は、政府はいろいろ陳弁これ努められておりますが、私が非常におそれる点が現実に間々伝わつて来るのであります。第三点においては、再軍備についてこれ以上の国民の担税能力がないということ。この三点において、私どもは憲法の解釈と相まつて再軍備には反対いたしておるのであります。しかしながら、みずからの国がみずからの力で守り得ないということは、これは独立国家の基礎的條件が欠けておるのでありますから、この三点を解決をいたしまして、新しく日本の自衛力というものを確立しなければならないのではないか。私はこのことを考えてみますならば、旧軍隊の復活ということは、かりにこれが職業軍人の復活になれば、これは一定の線から越えてその復活になれば、これは一定の線から越えてその防衛力が増強になりますと、ともすれば攻撃的になり、侵略的になる。これがゆえにこれは反対せざるを得ないのです。同時に外国軍隊の傭兵になるということは、わが国の憲法と国家の建前に相反するのみならず、目標も理想もない軍隊をいかに大勢養成いたしましても、それは兵器を所持する烏合の集団にすぎないのでありまして、それは民族の防衛と国家の安全を守るという線からは、およそほど遠い存在に相なる。同時に経費の点から申しますならば、私はこれは池田君ときのう討論をストツプしてそのままになつておるのでありますが、問題は国家警察予備隊の費用が防衛あるいは警備費であるといたしますならば、当然終戰処理費を削減して、これに充てなければならぬのであつて、公債償還の中からそれを利用するということは、現実的にいつても、憲法上においても違反であり、私は新しく国家警察予備隊あるいは防衛隊の現実に生れて来る将来の経費を考えてみますならば、これ以上の国民の負担の能力はないと思う。従つて以上の三つの点を考えますならば、私は軍隊の復活になつてはならぬ、外国の傭兵になつてはならぬ。しかしながら日本の国を守るということについては自衛力が軍隊国家の再建になり、あるいはその他の職業軍人の集団になりますれば、日本を取巻く列国の兵器の状況から見まして、苦もなく第一線は破られるのであります。職業軍人によつて日本の防衛を完遂しようといたしますならば、第一線の防衛が破れたときに、国民は手をあげて他国の侵略にまかせざるを得ない。従つて新しき日本の国防力は職業軍隊にあらず、外国の傭兵化された兵器を持つ集団にあらず、実に日本国民がどの字に行つても、どの村に行つても、どの県に行つても、日本国民が自分たちの国を守るんだという態勢の新しい防衛力というものが、考慮されて行かなければならないじやないか。私はこの点について総理大臣見解を承り、また私自身もこの問題は重要でありますから、なお突き進んで討論いたしたいのでありますけれども、小坂委員長の御好意をこれ以上すがるわけに参りませんから、いずれこの問題のけりは次にいたしたいと思います。しかしながら防衛力というものは、国連も保障してくれるでありましようが、しかしながら日本人自身が自分の国土を守るという態勢、それには目標と理想を与え、その目標と理想は、民族の独立と国家の自由と国民自身の自由を確保する、この日本を守るという大目標が政治的に必要である。これを政治吉田茂閣下に申し上げて、政治家としての御回答を私は求めたい。
  45. 吉田茂

    吉田国務大臣 どうも上げたり下げたりされるような感じがいたすのでありますが、(笑声)私は率直にお答えをいたします。日本国家の安全を日本国民みずから守る、この決心は独立した以上は、あくまでも国民が持つてもらわなければならぬ、のみならず持つべきであり、持つように政党のいかんにかかわらず、国民に対して訴うべきである、こういう点については御同感であります。いわゆる憲法の第九條の規定は軍備をもつて、電力をもつてといいますが、兵力をもつて国際紛爭の解決の手段にしないというだけの話で、日本の自衛権は独立とともにむろん回復するのであつて、その独立をただ軍力によつて守らない安全を軍力によつて保障しないだけの話であります。その他の方法においては、むろん日本の自衛権は国民の手において、これを守らなければならないことは明瞭なことである。しからば、いかにして守るかということは将来に属することであるから、先ほども申したように、日本の安全保障の具体的な方法については、今日わかりませんけれども、精神はまさにその通りであろうと思います。そこでこのたびの警察予備隊なるものは再軍備のためでもなければ、外国に傭兵せられる目的をもつてこしらえたのでもなくて、国の治安を維持するために組織したことは明瞭であります。これはしばしば私が申したことであつて、予備隊は再軍備の端緒ではない、目的ではないということは明瞭に申しております。またそのつもりもありません。ゆえに、職業軍人というのもおかしな話でありますが、軍職にあつた人は採用いたさないことにいたしております。これをもつて精神の一端がおわかりになるであろうと思います。
  46. 西村榮一

    西村(榮)委員 これで私の質問を終りますが警察予備隊の実情をよく御視察になつて、外国の傭兵にならないように御注意を願いたい、これだけ最後に申しておきます。
  47. 小坂善太郎

    ○小坂委員長 小平忠君。小平君、総理の時間の関係もありますから、質問は簡潔に長時間に渡らないように、しかも御意見に渡らないようにお願いいたします。
  48. 小平忠

    ○小平(忠)委員 私は外交問題と国内治安維持の問題に関しまして、最も重要な点をかいつまんで吉田総理大臣にお伺いしたいと思うのであります。  まず外交問題といたしましては、私は今日の日本にとりまして、講和問題ほど重要な問題は他にないのではないか、こう思うわけであります。なぜならば日本の主権の回復あるいは自衛権の問題、領土問題あるいは国際社会復帰等、講和條約の内容いかんによつて日本民族百年の運命を決するからであります。過般政府は外交白書を公にせられまして、国民の批判がどうあろうとも、一応政府の態度を明らかにされましたことは喜ばしいことだと考えていたのであります。ところがこの外交白書を公にされた直後に、野党各派あるいは各種の労農団体、組合等から政府に対して、鋭い批判の声が高まつて参りました。この外交白書の内容というものは、これはまさしく單独講和である。この考え日本民族を滅亡に持つて行く危險千万な考えであるというような批判が出ますと、政府はそれを逐次カモフラージするといいますか、例の民主党が提唱いたしました超党派外交、これにも吉田総理は、共鳴されまして交渉するという段階に入つた。ところがこれが遺憾ながら失敗に終つたわけであります。私はこういつたような点を考えてみますと、どうも吉田総理大臣はこれほど大事な講和問題に対して、一体どのようにお考えになつておるのか、少しく疑うものなのであります。そこでさらに総理大臣が過日の本会議における態度なり、あるいは本委員会において御答弁されておりますのを拜聽いたしておりますと、講和問題は相手のあることだから、全面講和というものは私は望むところである、しかしながら客観情勢変化によつて今ここで論議することは差控えたい、また一つの仮定論に対しては答弁しないというようなお考え総理大臣みずからが、国会において国民とともに語るということを、何だか好まないような傾向に見受けられるのでありますが、まことにこれは遺憾にたえないと思うわけであります。そこで、終戰以来五年有余というものを、ただひたすらに自由と平和と独立を念願して、国家再建に黙々と努力して来た国民に対し、まず総理大臣が率直なる所信を堂々と披瀝して、国民がどう考えているか、またその声を聞くだけの雅量があつてほしいものだと私は思うのであります。講和問題は国際情勢より始終論議のあることだと私は思うのでありますが、やはり全面講和がいいのか、あるいは単独講和がいいのか、もう少し全国民の輿論というものを聞いてみる必要はあるのじやないか。そこで私は国民個々の純真な意思を、率直に反映せしむるような国民外交の確立をする必要があるのじやないか。党利党略をもつて、与党だから野党だからといつて、全面講和あるいは単独講和を論議するという前に、国民が一体どう考えているかということから、あらゆる政党もそれから教育団体もあるいは外交官の権威ある人たちも、そういつたような人たちを加えた大きな観点から、国民外交協議会といつたようなものを設けて、そこで国民の意思を聞き、あるいは国論を統一するようなことが、私は最も必要だと思うのでありますが、こういうことに関しまして総理大臣はいかようにお考えになつておりますか、所信を承りたいのであります。
  49. 吉田茂

    吉田国務大臣 これはただいまここでも私が申した通り国民希望なり要望なりは、なるべく自由に発言することがいいということを申しておるので、少しもこの講和に対する国民の意思を、意思の言い表わし方を妨げるとか、防止するとかいうことは一度もとつておりません。むしろこれを奨励いたしておるのであります。しからば、あなたの言われるように、国民会議ですかをこしらえてどうということは、これは私は民主主義に反すると思うのであります。自由に国民が意見を発露して、その意見のおもむくところによつて政府が善処してこそ、民主主義だと思うのであります。われわれが故意に自分のある考えを持つて、そちらの方に持つて行こうとしてある運動を起すことこそ、かえつて内外に対する影響がよろしくないと思う。政府がただいまお話のように、超党派外交を唱えても、これは党派、内政に利用するのだというような疑いがすぐ出ると同じように、今申すようなお考えのようなことを、もし政府がするとするならば、政府は連合国に対して一種の講和運動をやつて、そうして連合国の輿論を圧迫するというか、いろいろうわさが出て来るであろうから、これはしない方がいい。すなわち自然のおもむくところによつて、その結論を見て善処するというのが、講和に処すべき政府の態度であるべきものと私は思慮いたしますから、あえてお話のような国民会議とかなんとかいうものは招集する考えはありません。靜かに自由なる国民の意見の発露に従つて、その帰趨に従つて善処する、こういうふうに行きたいと思つております。
  50. 小坂善太郎

    ○小坂委員長 小平君、重複しないように、意見にならないように、質疑をしてください。
  51. 小平忠

    ○小平(忠)委員 簡單にやります。そこで大臣のお考えはよくわかりました。私はそういうふうな観点から見ますときに、講和問題は日本の百年の運命を決するというようなことから非常に大事である。そこで占領治下にある日本の現在の立場から、講和会議が明年持たれる、その場合に発言権もないのだ、しかし講和会議が持たれて整つてからこうもしたい、ああもしたいと言つてもいけないのであります。やはり日本はまず領土問題も大きな問題でありますが、日本の自衛権というものは、どういう形で持たれるか、これは大事な問題であります。そういう観点から、現在内外ともにますます多難である現段階において、国内問題だけでも総理大臣はなかなか御多忙であろうと思う。しかしそういう観点において、日本国民講和に対して何を考えておるかというようなことから、前国会においても、専任外務大臣の問題が相当出たのでありますが、私は今日のような朝鮮動乱段階において、まことに変転きわまりない国際情勢に対処して行くために、専任外務大臣を置かれて、外交問題に関してはその専任外務大臣によつてやられることが適切ではないかと考えるわけでありますが、総理大臣はこの問題に関しまして、いかようにお考えになつておりますか。
  52. 吉田茂

    吉田国務大臣 外務大臣の問題の前に一言いたしますが、先ほど申した通り、今日の日本の国論もしくは日本国民希望に反するようなことを内容とした條約はできるはずがない。連合国として、もし平和の永続をはかるのならば、八十万国民希望しておるところに反するようなことを内容とする條約はできない、できるはずがないと、私は今日英米その他の連合国の意向から考えてみて確信いたすということは、先ほど申した通りであります。さてこの段階において外務大臣を置くがいいかということについては、いろいろ議論がわかれますが、私はいまだそのときでないと考えますから、ただいま置く考えはございません。
  53. 小坂善太郎

    ○小坂委員長 小平君、お約束ですから、やめてください。
  54. 小平忠

    ○小平(忠)委員 もう一点だけ…。
  55. 小坂善太郎

    ○小坂委員長 では簡潔に願います。
  56. 小平忠

    ○小平(忠)委員 時間が来ておりますから、最後に一点だけお伺いいたしたいと思いますが、よくわかりました。そこで私はこの国際情勢のいろいろ緊迫している事態から考えて、日本の現在の治安維持の問題であります。私は北海道から出ておりますが、特に北海道におきまして、現在例のマツカーサー・ライン、これが常に問題になつておるわけであります。日本占領治下にあるのだから、連合軍の占領政策によつて日本治安というものは維持されておる。それに対して今回警察予備隊が、治安維持をさらに強化して行くという意味で設置された。こういうように総理大臣はおつしやる。ところが北海道の現状を見れば、完全なる治安の維持が連合軍また今回の警察予備隊においてなされるか。御承知のように原子爆彈を使用するか、しないかという問題が出ております。これに関して、もし使用するというような段階において、一番先に危險にさらされるのは、津軽海峡を隔てた北海道が例のような非常に危險な状態にあるのであります。その場合に、單に北海道が千島なり、樺太に接近しておつて、例のソ連との微妙な関係において危險であるというだけでなく、日本全体の治安維持の問題について、私は非常に憂えるのでありますが、こういうような問題に関しまして、これは占領治下にあるから向うさんにまかせるとは言えないと思う。
  57. 小坂善太郎

    ○小坂委員長 小平君、簡單に願います。
  58. 小平忠

    ○小平(忠)委員 やはり総理大臣の観点において、現在非常に緊迫いたしております北辺の地北海道、こういつたところの治安維持の問題について、最惡の場合に総理大臣はいかに処理されるか、この機会にお伺いいたしておきたいと思います。
  59. 吉田茂

    吉田国務大臣 最惡の場合においての形態については、現実にまだ現われておりませんから、こうだ、ああだということは申し上げられませんが、しかし北海道の治安については、政府としてはお話のような点について相当心配いたしております。従つてまた警察予備隊その他の充実については、北海道を一番先にしてその充実をはかつておるようなわけで、決してうつちやらかしておるわけではないのであります。政府としては最も関心を持つておる一つの地点でありまして、さしあたりのところは、警察予備隊をもつて北海道の治安維持に当てる、そのために北海道における予備隊の編成を急いでおる、こういうつもりでおることを御了承願います。
  60. 小坂善太郎

    ○小坂委員長 黒田寿男君。
  61. 黒田寿男

    ○黒田委員 私は今日第一に憲法の改正の可能性ということについて、御質問申し上げてみたいと思うのであります。従つてこの質問は、憲法を改正する御意思があるかどうかという質問ではないのでありまして、この点につきましては、すでに総理大臣が再三講和会議前に憲法を改正する意思はない、こういうことを他の機会に言明せられておりますから、この質問を私は繰返そうというのではありません。私がお伺いいたしたいのは、その意思のいかんにかかわらず、憲法の改正については、その可能性に限度があるのではなかろうか、こういう問題であります。多少私の質問の内容を説明してみたいと思いますが、日本国憲法の第九十六條におきまして、この憲法の改正の手続を規定しております。そこでこの手続によりさえすれば、憲法のどの部分でも自由に改正できるというように、漠然と考えておる人が少くないと思うのであります。しかしながら、この條文で認められております憲法の改正権は、憲法のすべての部分に及び得るものであるか。この手続によりさえすれば、いかなる部分も改正することが可能であるのか、それともこの改正権には何らかの限界があるのではないかということを、私はお尋ねしたいのであります。日本国憲法には、御承知のように国民主権主義、永久平和主義、基本的人権尊重主義という根本原理があるのでありまして、これらの原理は、新憲法を新憲法たらしめている本質をなしているものでありまして、これを憲法から取去ることはできない。その一つを取去りましても、新憲法の構造は根本的に破壊せられるのであります。従つて第九十六條の憲法改正権は、これらの基本原理と矛盾するような改正権は含まないものである、こういうふうに私自身は解釈しているのであります。たとえば国民主権主義の基本原理をくつがえして、天皇主権主義ないし君主主権主義の原理に置きかえるということは、第九十六條の改正権をもつてしては不可能であると考えるのであります。従つて憲法前文の国民主権主義を表示してありますような部分とか、憲法第一條の国民主権主義を表示してあるような部分は、改正することはできない。国会の両院制度を規定してある條文を改正いたしまして、これを院制度に改正することは可能である。しかしながら国会が国権の最高機関であるということを規定しております部分は、変更することは許されない、こういうふうに考える。それから基本的人権についても同様であると考えるのであります。この主義につきましては、特にその條文の中に、たとえば「この憲法が国民に保障する基本的人権は、侵すことのできない永久の権利として、現在及び将来の国民に与へられる。」あるいはまた「これらの権利は、過去幾多の試錬に堪へ、現在及び将来の国民に対し、侵すことのできない永久の権利として信託されたものである。」こういうふうに、永久に保障せられておる権利につきましても、これに反するような改正はできないと私は考えるのであります。  次に今日最も重大な問題といたしまして少し詳しくお尋ねしたいと思いますが、永久平和主義の原理につきましても私は同様であると考えます。この主義につきましては、前文におきましても相当長文をもつて表わしてありますし、この原理を條文に具体化しましたのが第九條の戰爭放棄の規定であります。この規定の中にも、永久に戰爭を放棄する、こういう字句が特に用いられてあります。そこでこの條文もまた、第九十六條の憲法改正の規定によりましては、改正できぬものである。それを改正して永久の戰爭放棄を撤回するということはできぬのである。このように、国民主権主義、人権尊重主義、永久平和主義の原理に反するような改正は、この憲法の建前からはできぬ。すなわち憲法の改正権には一定の限度があると私は考える。これにつきましてまず総理の御見解を承つておきたいと思います。
  62. 吉田茂

    吉田国務大臣 憲法に憲法改正の場合の規定がある以上は、憲法としても永久不変の憲法とは考えておらないものであろうと想像いたします。またその不変でない憲法をどの程度まで改正し得るか、あるいは改正には限度がある、それもそうであろうと思います。しかしながら政府としては、今日現在問題になつておらないことでありますから、お答えはできません。
  63. 黒田寿男

    ○黒田委員 私が質問しておりますことは、具体的な問題ではなく、憲法に関する理論でありまして、従つて私は今日それに当該する事件がないからという理由で答えられないというのでは、私は首相の御答弁としては納得することができないのであります。私が申しますのは、一種の政治革命が行われまして、たとえば明治憲法を新憲法にかえましたのは一種の政治革命によるのでありますが、そういう場合に、憲法が根本的に変革せられるというような問題を、私は今論じておるのではありません。こういう場合にはどのようにでも変革できるのであります。けれども、この憲法を存続するという建前から行きますれば、ただいま申しました三つの基本原則に抵触するような改正は許されぬものである。私はこういうふうに考える。今はつきりと政府の解釈を確かめておきませんければ、将来におきましても、いろいろ国民の惑う問題が起るのであります。これは憲法問題といたしましては、今まで国会では論じられていないのであります。先ほども申しましたように、首相の御意思を聞いておるのではありません。憲法の解釈を伺つておるのであります。総理大臣は、この憲法の制定当時の首相でありまして、いろいろとこの憲法の條文についての質問応答にも参加されたのでありますから、この憲法の精神はよく理解しておいでになるということを前提にいたしましてこの質問をしたのであります。  もう一度念のため伺いますが、この憲法を存続する限りにおいては、基本原理に矛盾するような改正は、第九十六條の改正によつてはできないものであると私は考えますが、いかがでありましようか。万一総理がどうしてもお答えにならないと言われますならば、法務総裁でもけつこうであります。とにかく、政府見解はつきりさしていただかなければ困る。これは今日国民すべてが知りたいと思つている。総理大臣が憲法を改正するという意思があるかどうかというような問題より、もう一歩突き進んだ問題である。意思があつてもなくても、できるのか、あるいはできないのか、という問題で、このことを国民のすべてが知りたがつている。これは決して小さい問題ではない。私も国民の一人として真劍にこのことを明らかにしておきたいと思うのであります。どなたでもよろしい、政府としての責任ある解釈を明示していただきたいと思う。この問題が国会で論じられましたのは、今日が初めてであるかもわかりません。しかしながら時節柄これはどうしても論じておかなければならない問題である。そこでお伺いするのであります。
  64. 吉田茂

    吉田国務大臣 政府を代表してお答えいたしますが、この憲法が存続する以上は、基本的原則はむろん尊重すべきであると思います。しからばどの程度までどの基本原則を尊重するかというような憲法問題については、いずれ春長にともに御研究はいたしますが、私はここに政府を代表いたしまして、そういう仮定の重大問題についてはお答えいたしません。
  65. 黒田寿男

    ○黒田委員 この問題はそう気長にほつておける問題ではないと思います。そこで総理がどうしてもただいまのようにお答えになりませんければ、一つの法律解釈の問題といたしまして、法務総裁にお答えを願いたい。
  66. 小坂善太郎

    ○小坂委員長 政府からは答弁がないようであります。     〔発言する者多し〕
  67. 黒田寿男

    ○黒田委員 私はこのような問題を今の時節に答えられないというような不用意な政府では困ると思う。この問題についてはわが国といたしましては、どうしても、今、はつきりとした解釈を下しておかなければならぬ。憲法はわれわれの準処すべき根本法でありますから、われわれが対外的に国家の方針をきめ、あるいは国内の諸種の政治上の方針をきめます場合に、憲法に関する解釈がわからないとか、これからゆつくりと研究してみようというようなことでは間に合わない。そういう不用意な政府が今政治をしておるというふうに国民考えられることは、私は政府にとりましても非常に不利であると思います。しかしどうしても政府見解を答えていただけないのでありますならば、これについて私がこれ以上に追究してもむりであるかもしれません。     〔発言する者多し〕 政府の解釈を言う必要はないと発言された人がありますけれども、憲法の解釈の最後の確定は、最高裁判所がなすべきものでありますが、一定の見解だけはだれだつて持たなければならない。その持つたものについて爭いのあるときには、最高裁判所が最後の解釈を下すのである。(発言する者多し)政府考えを発表する必要がない、何という無責任な言葉でありますか。このようなことを言う与党の代議士が政府を支持している。私は政府の解釈を聞かしてくれと言つているのである。何も最高裁判所に求めるようなものを、ここで政府に求めているのではない。政府としてはどう考えるというその一定の見解を持たないで、どうして国家政治をとることができますか。そういう解釈の不定のもとに政治の行われることを、国民自身はまた不安な気持を持つてながめておるのでありますから、私はこれを質問するのであります。しかしどうしてもお答えにならないと言われるならば、やむを得ない。ことわざにも、馬を水ぎわまでは連れて行くことができるけれども、水を飲ますことはできないということがあります。総理委員会までは出ていただきましたけれども、発言させることはできないということになれば、私はもうこれ以上質問いたしません。ただしかし、この問題につきまして政府がこのような無責任な態度をとられるということに対しましては、私は国民の一人としてはなはだ遺憾であるということを特に申し上げておきます。
  68. 小坂善太郎

    ○小坂委員長 黒田さん、あとはまた適当な機会があると存じます。最初のお約束もございますし……。
  69. 黒田寿男

    ○黒田委員 私は委員長とはそのような約束ではなかつたと思います。もう少し私は言いたい。  それではこれに関しては、これだけにしておいて、さらにもう一歩進めて質問します。私は今申しました通りに、私自身の意見といたしましては、右の三原理に反する改正は、第九十六條の手続によりましてはできぬ、こういう解釈を持つておる。従つて今日最も考えてみなければならぬのは第九條の問題でありますが、この第九條にもはつきりと、永久に侵略戰爭を放棄すると書いてある。永久に侵略戰爭を放棄すると書いてある規定を改正することができるか、できぬかということについて答弁のできないような政府であるから、外国から日本侵略を疑われる。もつともはつきりと政府答弁をされた方がよろしい。そこで私はこの憲法の続く限りは改正できぬと、国民の一人として考えておりますから、政府はこのことをよく頭に納めておいていただきたい。  次に問題になるのは同條の第二項であります。第二項はそこには永久という字句は使つてありませんけれども、第一項の戰爭放棄の目的を達成するために軍備を全廃する。自衛戰爭さえ認めないということを規定したものでありまして、第一項の規定だけでは安心できない、徹底せぬ、そこで第一項の目的を確実に達成するために、特に第二項が設けられたものであると思うのでありまして、いわばくぎをさしたものである。だからこのくぎをゆるめたり、拔いたりすると、第一項の目的の達成が危ぶまれることになるのであります。そういう意味で私は特に規定された第二項であると思いますから、第一項を永久に改正することができない限り、すなわち、この憲法の存続する限り、永久に変更できないということになれば、私は第二項も改正を許されぬものと確信しておるのであります。念のためにもう一度これに対してどうお考えになつておるかを聞いてみます。
  70. 吉田茂

    吉田国務大臣 これはしばしば私の申す通り、再軍備をいたす考えはございません。
  71. 黒田寿男

    ○黒田委員 私は首相の御意思を承ろうとするのではないことは冒頭に申し上げた。たとえば吉田総理大臣か、あるいは、内閣がかわつて、ほかの総理大臣がこの規定を改正しようと思うても、この憲法のある限りは改正できぬのである。そうであるかどうか、(発言する者あり)これが問題である。総理のお答えは、私の質問に対してのお答えにならぬと思いますが、これもやむを得ません。そこで次にこれもお答えになるかどうかわかりませんが、非常に重要な問題でありますから、一応私は国民の一人といたしまして、私どもはどう考えるかということを申しまして、政府の御所見を承つてみたいと思います。  それは憲法と條約との関係についてであります。もう少し具体的に申しますれば、條約の内容と憲法の内容とが抵触するような場合の憲法と條約の効力に関する問題について、私は御質問申し上げてみたいと思うのであります。もとより條約の締結には外交関係処理する権能を持つ内閣がこれに当るのであります。しかしながらそれが有効に締結せられるためには、国会の承認を得なければならぬという定めになつております。そこで條約内容が、日本憲法の基本主義に抵触するような場合に、外交関係処理する権能を持ちます政府が、そのような條約の締結を行う、あるいは行わざるを得ないような外交交渉の過程に入るといたしましても、国会が多数決をもつてこれを承認しなければ、條約に有効に締結することができない。そこで問題は政府の態度よりも、国会の態度ということが、私は、非常に重要な問題となると思うのであります。従つて條約締結の問題につきましても、私は国会中心主義考え方を持つておる。ところが何らかの形勢で政府がそのような條約を締結する方針に進まざるを得ないということに、かりに、なつたといたしまして、国会が多数決をもつてこれを否認すればよろしいが、万一承認いたしましたような場合には一体どうなるか、そのような場合に憲法に抵触する條約の締結は有効であるかどうか、もし国会の承認が、憲法違反の内容を持つものの承認であつたとしたならば、終局的には無効であり、結局承認したことにならず、従つて條約は有効に締結せられたことにならない。こう見るのも一つの見方であります。しかし、そのようにではなくて、條約が国会で多数決をもつて承認されたのであるから、有効に成立したのだということになつて参りますと、そこに條約内容と憲法内容とが抵触することになるのでありまして、この抵触する部分において、條約及び憲法の効力はどうなるのかという問題であります。これにつきまして、私どもがただ一つの手がかりとしておりますものは、日本国憲法の第九十八條であります。日本国が締結いたしました條約は、これを誠実に遵守することを必要とする、こういうふうに規定してあるのであります。そこで憲法に抵触するような内容でありましても、形式的に国会が多数決をもつて承認するということになれば、この條約をわれわれは誠実に遵守しなければならぬものであるかどうか。要するにこの第九十八條の條約を遵守しなければならぬと書いてある。その第九十八條の「條約」の中には、憲法違反の内容を持つ條約も含まれておるのであるかどうか、こういう問題であります。もし含まれるということになつて参りますれば、條約優先となりますから、條約の内容に抵触する限度におきましては、憲法の内容がそれだけ効力を失うということになる。そうでないといたしますれば、憲法優先で、抵触する部分につきましては、その限度において條約の効力は無視されてよいということになるのであります。これもまた総理大臣は将来の問題であると言われるかもしれませんけれども、国民は異常な注意と異常な関心をもつて、この憲法と條約との内容抵触の場合にどうなるかという問題の解釈を聞きたがつておるのであります。私は野党の一員として総理に、質問しておるという意味ではなく、国民の一人としてこれを聞いておるのでありますから、もしお答え願えればどうかお答え願いたい。もしこれも総理がどうしてもまだ実際問題になつていないからとかいう口実でお答えにならなければ、あるいは法務総裁でも、あるいは條約局長でもよろしい。これは一般解釈論としてお尋ねをするのでありますから、お答え願いたい。
  72. 吉田茂

    吉田国務大臣 私は政府を代表してお答えいたします。まず條約と憲法の問題は、今日に始まつた問題ではなく、またいずれの国においても問題なのであります。しかしながら現在において憲法に違反するような條約は今起つておりません。また将来においていかん、これは日本の憲法に反するような義務を政間に負わせるとか、国民に負わせるとかいうような條約をしいる国はないと考えますから、そういう国が現実に起つて問題になつたときにお答えいたします。仮定の問題につきましては、一切お答えいたしません。
  73. 黒田寿男

    ○黒田委員 私はいろいろとなおまだ質問したい点がございますし、実はもう少し私には時間が許されておると思うのでありますけれども、しかし時間の関係上、どうしてもこれ以上許されないというような御注意がありましたから、また、あとの方の御都合もあると思いますので、非常に残念でありますが、残りの数点を保留して、これで私は質問を終了したいと思います。  ただ一言、総理のお言葉の中で、日本の憲法に抵触するような内容の條約をしているがごとき外国はなかろうと思う。こういう御見解でありましたが、そのように行けば私はまことにけつこうなことであると考えます。今日は残念でありますけれども、これをもつて質問を終了いたします。
  74. 小坂善太郎

    ○小坂委員長 横田甚太郎君。
  75. 横田甚太郎

    ○横田委員 占領をきらい、独立をとうとぶ、総理のきらわれる共産主義者が政府にお尋ねいたします。  第一には日本国憲法第四十一條、「国会は、国権の最高機関であつて、国の唯一の立法機関である。」これをそのままやつて行くには非常な不自由を感じておられるのではなかろうか、もし感じておられるならばどの程度か、その点を承りたい。
  76. 吉田茂

    吉田国務大臣 不自由は感じておりません。
  77. 横田甚太郎

    ○横田委員 それでは私たちは占領が長期にわたり、日本の全国各地におきましては、占領軍に対する犯罪が非常にふえております。またこの犯罪によつて検挙された人たちは長いこと獄に入れられております。こういうような意味合いにおきまして、占領があまりに長いと、いらだつ日本人がずいぶんおると思います。この点に対する総理のお考えはどうですか。
  78. 吉田茂

    吉田国務大臣 占領はなるべく短かくいたしますから、お答えの場合は短かくなるだろうと思います。
  79. 横田甚太郎

    ○横田委員 お答えの場合短かくなるとは、一体どんな意味ですか。今までが長いというのです。これでまだ見込みがなかつたならば、実に長いというのです。
  80. 吉田茂

    吉田国務大臣 占領には期限がついていないから、占領が終るときに終るのであつて、その終るのは近かろうというのであつて、ただいまそういう心配はないのではないかと思います。
  81. 横田甚太郎

    ○横田委員 またお手のものの共産党に対する反駁が始まりましたが、第一講和問題でございますが、講和が結ばれないのは、占領の形がかえられているからでしよう。ポツダム宣言によりますと、講和日本国内態勢の整備が問題になつております。ところが現在では国内態勢の整備を除外いたしまして、むしろ国際的に日本の占領が利用されておる。国際関係にすりかえられておる。こういう点に関する総理のお考えはどうでございましようか。
  82. 吉田茂

    吉田国務大臣 相手方があるわけでありますから、客観情勢が許さなければいたしかたがない。
  83. 横田甚太郎

    ○横田委員 ところが相手方がございまするが、相手方が日本に降伏を押しつけましたことにつきましても、ポツダム宣言というものがあると思うのでありまして、ポ宣言の内容は国内問題が中心になつておると思うのです。(発言する者多し)自由党の今のやじにもございますが、ソ連がどうしたとか、中共がどうしたとか、二言目にはそんな逃口上を言つておられます。国内態勢が中心でありますのに、国際的な情勢にすりかえられておる。この点に関するお考えはどうですかと聞いておるのであります。
  84. 吉田茂

    吉田国務大臣 別にすりかえられてはおらないのであつて、相手国が講和会議を招集するに至らなければ、占領は存続せざるを得ない。
  85. 横田甚太郎

    ○横田委員 それでは、原子爆弾のことをちよつと伺いますが、前の戰爭の終る前に、廣島、長崎に落ちました日本の非戰鬪員に対する野蛮きわまりないところの原爆攻撃があつた。これじや非常に困るというので、かつて日本の人民の生命を尊重しなかつたあの天皇制政府でさえが、これには困つて降伏をしたのであります。ところが朝鮮におきまして、トルーマンが自国の軍隊の戰況が非になるやいなや、原爆の使用を云々しております。このようなことになりましたならば、原爆の使用をいやであると思つたがそのためにわれわれは降伏を甘受したところが再びそのいやな原爆を日本に持ち来らすような、こういう軍隊が日本に長くおることは非常に困る。こういうような軍隊は歴史の示すところによりますと、その国の占領されている国民が非常にいやがりまして、早く帰つてくれという運動を起さない限り、おいそれとは帰らないのだということをわれわれはよく承知しているのであります。そういうような点におきまして、すぐ帰つてくれという運動を起されるおつもりはないかどうか、もしこの点におきまして総理——それはむちやじやないかというのが常識になつているかもしれませんが、しかしそのようなことについて、だまつて過しておりましたら、トルーマンとか、マツカーサーは喜ぶでしようが、マウントヴアノーンに眠つているジヨージ・ワシントンとかアブラハム・リンコルンが、日本人というものは、非常に無気力な国民であるということをさげすみはするが、決してこれを感心しやしないと思うのです。こういうような点において、総理はもう少し内に対してのワンマンぶりばかりでなしに、外に対してもワンマンぶりを発揮し、アメリカの人たちはやつかいなことを言う人たちだ、あるいは原爆を使うと言うてみたり、日本の国の憲法をかえねばならぬことを外国語でトルーマンが話してみたり、これではわれわれの考えと違うという意思表示をはつきりされる御意思はありませんか。
  86. 小坂善太郎

    ○小坂委員長 横田君に申し上げます。あなたのただいまの御発言中に不穏当の箇所があるように思いますが、お取消しになる御意思はありませんか。
  87. 横田甚太郎

    ○横田委員 不穏当というところをちよつと承りたいのです。
  88. 小坂善太郎

    ○小坂委員長 あなたの御判断に委員長はまちます。不穏当とお思いにならないならば、委員長においてそのままにいたします。
  89. 横田甚太郎

    ○横田委員 少し考えます。さきの答弁はどうなつていますか。
  90. 小坂善太郎

    ○小坂委員長 あなたがお考えになつてお取消しなるようなものについて、答弁はいらないと思いますから、よろしくお考えになつた上で、そのままでよろしいということになれば答弁を求めます。
  91. 横田甚太郎

    ○横田委員 あなたはそのときに全部とは言わなかつたでしよう、どの部分が不穏当なんですか。(「追放だ追放だ」と呼び発言する者多し)追放は覚悟しております。
  92. 小坂善太郎

    ○小坂委員長 この問題はあなたが御判断になることだと委員長考えます。
  93. 横田甚太郎

    ○横田委員 どの点が不穏当だと考えるのですか。見解が非常に違いますから……。追放の実権を持つておられるところの、政府の側に立つておられる委員長にお答えを願います。
  94. 吉田茂

    吉田国務大臣 私はトルーマン大統領に今お話のようなお話をいたす意思は毛頭ありません。
  95. 有田二郎

    ○有田(二)委員 議事進行上……。ただいま横田委員質問は、占領軍誹謗にわたるかどがありますので、本委員会として懲罰動議を提出いたします。     〔「賛成」「懲罰」「委員長々々々」「横田君は考えると言つているではないか、そんな乱暴な話があるか」と呼び、その他発言する者多し〕
  96. 小坂善太郎

    ○小坂委員長 申し上げます。ただいま有田君から懲罰動議が出たのでありまするが、横田甚太郎君におきましては、先ほど委員長質問に対して考えるということを言つておられます。暫時考慮の猶予を与えたいと思います。     〔「最後通牒だぞ」と呼ぶ者あり〕
  97. 横田甚太郎

    ○横田委員 それじや、ねばつておりまして得いたしました。しかし惡いところがありましたら取消せということでありますから、惡いところでありましたら、後刻私がよく調べまして取消します。——ああいうことがお気に召さないのですね。(笑声)要点はこう考えるのです。もう一つお尋ねいたしますが……。
  98. 小坂善太郎

    ○小坂委員長 だんだん時間が迫つて参りますから、そのつもりで願います。
  99. 横田甚太郎

    ○横田委員 ずいぶんじやまも入りますので……。(笑声)とにかくこういうような形におきまして、非常に占領が長期にわたりますと、遂には総理も好まれないであろうところのいわゆるポ政令が出ます。そうして日本の発電所が日本の必要のためにまわらずに、外国人の必要のためにまわります。その結果といたしまして、日本人にはわずかに二十キロくらいの電力しか冬には使わせないにもかかわらず、外国人は無制限に使います。そうして超過いたしましたところが、これに対しましては、あまり電気料を高くとらない。超過料金の九割までは安い分です。水力電気が一キロ二円二十銭であり、火力電気が九円八十銭するのです。ところが日本人に対しましては九円八十銭の方をとるのです。だからいわゆるポ政令が出ました結果として、国民大衆に対して与えるところの経済的な圧迫が非常にひどいのです。こういうような意味合いから、私はポ政令が出て電力のこの問題が、今日のように分断された後におけるところの電気料金は一体どうなるか、外国人は依然として使いつぱなしであつて日本人には依然として電燈が消えてつかない電燈のために電力料金を払わされる。緊急停電が続くのですか、こういうような点を承ります。
  100. 吉田茂

    吉田国務大臣 そういうような不便もありますから、なるべく早く占領は終了するようにわれわれは努力しております。諸君もどうぞわれわれに協力していただきたい。
  101. 小坂善太郎

    ○小坂委員長 横田君、時間ですからこれでやめましよう。あなたは約束の時間をもう経過しておるのですよ。
  102. 横田甚太郎

    ○横田委員 ここにこういうような書類がございますが、これを読みます。  韓青本団第六号   一九五〇年十月十一日    東京都新宿区若松町二十一番地大韓青年団本部団長 曹 寧 柱  農林大臣 廣川 廣禪殿   救援米特別配給申請に関する件   当大韓青年団本部訓練所においては戰禍に陷つた相国を救護し、完全統一と平和建設のため絶大なる支援のもとに、祖国の興亡を双肩ににない立ち上つた青年たちは続々国連に加入し、世男平和のため戰つて居るのであります。   現在も入隊を前に約百名の訓練生が訓練を受けておりますが、何分にも各地方から突然参集した関係上、きわめて米穀不足の状態であります。   これを打開するため八方手配いたしましたが人手に至らず、やみ米では国法に反し、現在のままではとうてい堪え切れませんので、今般日本政府当局に御援助を懇願申し上げる次第であります。   何とぞ右事情をごしんしやく下され、特別の御配慮の上配給くださるよう御願申上げます。 こういうのです。
  103. 小坂善太郎

    ○小坂委員長 横田君の御質疑は、総理大臣に対する質疑ではないと思いますから、これにて総理大臣に対する質疑は終了いたします。     〔発言する者多し〕
  104. 小坂善太郎

    ○小坂委員長 それではまけておきます。
  105. 横田甚太郎

    ○横田委員 それなら、廣川農林大臣はたしか吉田総理の下におられる農林大臣でございます。この農林大臣は一勺増配を常に口に出されております。この一勺増配というのは、日本人にはやられないが、大韓青年団の食うものを、こういうような人たちのためにはやられておる。韓国人には六万石を出しておられるしかもこういうような米を出すために、あるいは麥を出すために、日本の農村では、外国人がジープによつて米麥を集めたのであります。だからこういうようなことを聞きますというのは、日本人にはあまり増配を考慮しないところの廣川さんが、あるいは吉田政府が、どういうわけでこういう韓国人に米をお出しになるか、このことを承りたいことと、廣川朗報というものは大体うそを前提といたしまして、うそが政策でありまして、それがほんとうに実に禪脱したところの政策でございます。この政策がやられておる。(「懲罰だ」と呼ぶ者あり)しかたない、だまつておれよ。——すなわち廣川さんの言われるところの一勺増配というものは、日本の国には、どうしても配給量では足りないから、一勺増配をやらなければならない必要を認めての一勺増配であつたのか、あるいは外国から押しつけ輸入をされた食糧が余つてしかたがないから一勺増配を言われたか、この点と、同時に外に出すような米があるにもかかわらず、どうして内に対しては増配を考慮されないのか、この点を承つて、私の質問を終ります。
  106. 吉田茂

    吉田国務大臣 主管大臣からお答えをいたします、。
  107. 廣川弘禪

    ○廣川国務大臣 お答え申し上げます。韓国に出した米という話でありましたが、これは同量同質のものを、すぐ——六十日以内に返すという約束で立てかえておるのであります。またただいま読み上げた文書に関しましては、私関知いたしておりません。
  108. 小坂善太郎

    ○小坂委員長 横田君に御注意申し上げますが、御承知のように、「各議院において、無礼の言を用い、又は他人の私生活にわたる言論をしてはならない。」ということがあるのでありますが、あなたの今の廣川朗報云々は、少し過ぎているのではないかと思いますが、これはよく考慮願いまして、しかるべく御配慮願いたいと思います。  これにて総理大臣対する質疑は、全部終了いたしました。  なお昨日の戸叶里子君の文部大臣に対する質疑が残つておりますから、これを許します。戸叶里子君。
  109. 戸叶里子

    戸叶委員 昨日の大臣に保留しておきました質問をさせていただきたいと思います。レツド・パージによつて、多くの官公吏労働者が、また学生が追放されましたが、労働者に対する生活問題に対しましては、すでにわが党の勝間田委員から御質問になりましたので、私は将来の教育のあり方に非常に重大な影響を持つこのたびの学校の処分——放校、退学、除籍等の出題について、文部大臣にお伺いしたいと思いますが、それらの処分を受けた学生が、各校別に大体どのくらいあるかということ、それからこの処分をするにあたりまして、事前に文部当局と学校との間に、基本方針の確立というようなものを行つておおきになつたかどうか、あるいはまた大綱だけをお示しになりまして、そうしてあとは各大学の責任においてその処分を行わせたかどうかを、お伺いしたいと思います。
  110. 天野貞祐

    天野国務大臣 ごく大綱だけを示して、あとは大学の自由にまかせております。
  111. 戸叶里子

    戸叶委員 先般の学生騒動は、レツド・パージの防衛ということに名をかりまして、学問の自由、あるいは民族の独立ということを叫んだ学生諸君によつて引起されたものでありますが、その中心は共産党あるいはまたその同調者であると当局は言つております。しかし学生側にしてみますと、これは必ずしも全部共産党ではなかつたというようなことを言つておりますが、私はここに大きな問題があるのじやないかと思います。それはその場の空気によつて、血気にはやる学生の人たちが、その騒動の渦中に巻き込まれ、そしてまた警官の人たちも冷靜を失つて、いあわせた者まで検挙するというような結果を招いたのではないかと思います。これらを一刀両断に放校、退学そしてまた除籍というような処分をおとりになつたということは、教育界においての学生処分の正しい態度とは、私は信じられないのでありますが、文部大臣の見解はどうでございましようか。
  112. 天野貞祐

    天野国務大臣 学生諸君の中には、誤解もあつたと思います。だからそういう誤解をよくただしました。そして大学が自主的によく研究して、万やむを得ない人だけを除籍したのであつて、これは大学の自分の自由においてしたことであります。
  113. 戸叶里子

    戸叶委員 学生騒動の内容は、デモンストレーシヨンを行つた学生と、これを取締ろうとする警察官の衝突によつて、かもし出されたと思つておるのですが、この警察官の鎮圧なくしては、学校当局の努力によつてだけでは、これをとりしずめることができなかつたかどうか。今後もまた官憲の援助がなくては、学生の教育は行われないかどうか。この辺について大学自治の本質並びに文部大臣の見解伺いたいと思います。
  114. 天野貞祐

    天野国務大臣 大学が警察の力をかるということは、本来望ましくないことですけれども、しかし、せんだつてのような場合は、やむを得ないと考えております。
  115. 戸叶里子

    戸叶委員 せんだつてのような場合はやむを得ないということをおつしやいますが、私がここで思い出しますことは、教育の先覚者であつた新島襄先生が、学生のあやまちがあつた場合には、そのあやまちは教育者である自分にあると言つて、自分を非常にむちうたれて来たと思います。この教育者の責任感と愛情というものが、学生を育成するのにあずかつて非常に力があつたと思いますが、私は現在の教育において、教育者にこのような責任感と愛情とが示されていないように思われます。そしてまたあるいは共産党の影響力を受けた学生たちに対しては、各大学当局は、手に負えないから、学校から追放するというような行き方のように思われますが、こういうような教育方針に対しまして、一体文部大臣はどういうふうに考えていらつしやるか。あるいはまたこのように学生たちをしてこういう騒動を起さしめて、これを未然に防ぐことができなかつたというのは、明らかに政府において教育に対する見識ある教育指導理念、あるいは政策というようなものがなかつた結果であると、私は了承いたしますが、その点についての文部大臣のお考え伺いたいと思います。
  116. 天野貞祐

    天野国務大臣 新島襄先生のような考えをもつて、教育者が当るということは、実に望ましいことであります。しかし現在の学生を取締ることが、指導することが、いかにむずかしいかということについても、戸叶さんの御了承を得たいと思います。
  117. 戸叶里子

    戸叶委員 現在の学生を指導するのは非常にむずかしい、むずかしいというだけでほつておおきになるのでは、どうにも文部大臣としての責任をお果しになることはできないと思うのです。そこで私は文部大臣に先ほどから伺つておりますのは、こういうようなことを起さないように、見識ある、そしてまた一つの教育に対する方針とか、あるいはそういつた政策というようなものを、具体的にお持ちになつていないかどうかを、お伺いしたと思います。
  118. 天野貞祐

    天野国務大臣 そういうことが起らないようにしようということは、私どもが実に痛切に考えておることでございます。でありますからして、大学の教授諸君にも、ただ単なる研究者ではなくして、同時に教育者だという自覚を持つてほしいというようなことを言つて、学長諸君ともよく相談をし合い、また一方においては学生の政治活動というようなものに、ある程度の制限をすることが、よいのではないかというようなことを考えております。
  119. 戸叶里子

    戸叶委員 ただいまのお考えがその通りしみ込んで行きますれば、問題はないと思いますけれども、これはなかなか困難なことだと思います。  私はもう一つ文部大臣の態度についてお伺いしたいのですが、最近の学生運動は、一般から見て、明らかに多少行き過があつたと思われます。これらの学生運動の背景をなしますものは、一つは日本の置かれておる国際的地位の不安定、あるいはまたもう一つは、学生生活をするのに経済的な不安定ということの二つに原因があると思うのでございます。第一次欧州大戦のあとで講和條約が結ばれましたときに、その内容に対する反撃として、北京大学の学生が政府当局と抗爭して、大規模の五・四運動というものを勃発させた前例もあることにかんがみまして、政府当局といたしましては講和問題に対しては、民族の理想を忘れるような言動を大いに慎んでいただかなければならないと思いますが、これに対する大臣の確固たる信念のほどをお伺いしたいと思います。
  120. 天野貞祐

    天野国務大臣 ただいま仰せられたことは、二つともいかにも、ごもつともなことだと思います。その二つの点についてできるだけの努力をいたしております。
  121. 戸叶里子

    戸叶委員 ただいまの問題ですが、それではたとえば一つの具体的な例としまして、講和の問題などに対しましても、これまで文部大臣は、学生に、全面講和がよろしいというようなお気持を持つて指導していらつしやつたと思いますが、文部大臣になられてからも、このお考えを捨てずに指導しているかどうかを、お伺いしたいと思います。
  122. 天野貞祐

    天野国務大臣 私は全面講和が自分らの理想であり、願望であるということは、今も少しもかわつておりません。ただ現実に対処するときに、はたしてその通り行くかどうかということは、歴史的現実によつて、われわれが考えて行くことであります。
  123. 戸叶里子

    戸叶委員 私はただいまの文部大臣のお言葉で、よく総理大臣が全面講和は望んでいる、しかしながらというような前提をつけ、仮定をつけて、そういうようなことをおつしやいますが、文部大臣もかつての強い全面講和論者から、今日ではしかしながらという仮定をおつけになるような考え方におなりになつたと了承せざるを得ないと思うのでございます。けれどもこの問題について、ここでいたずらに議論をする時間が許されませんので、私は次に移りたいと思います。最近働きながら勉強をしようとしておる学生が非常に多いのでございます。アメリカなどでは、生活が非常にゆたかな家庭の子女でも、アルバイトをしながら学生生活をしておる人がきわめて多いのでございますが、日本におきましては経済的に恵まれておりませんので、どうしても働かなければ勉強ができないという人が多いと思います。そういうような学生に対しまして、経済的な安心とまで行かなくても、多少の安心をして勉強できるようなアルバイトに対する何かお考え、あるいは構想をお持ちになつていらつしやつたならば、それを伺わせていただきたいと思います。
  124. 天野貞祐

    天野国務大臣 その点については私が非常に頭を悩ましておることでございまして、私が文部大臣になりましたとき、三つの点を私は実現したい、第一は義務教育の充実、第二は学問研究の推進、第三には今の学生の生活を安定させる、従つて育英制度を充実したいと申しまして、来年度予算がもし承認されますならば、現在の十五億のを九億さらに増すことになつております。
  125. 戸叶里子

    戸叶委員 来年度予算においては、もしも許すならばというようなお考えでなしに、ぜひともそれをとろうという御決心をもつてつていただきたいと思います。  それから次に私は、先ごろ腐つたさつまあげの事件から、学校給食については相当考慮が払われておりますので、まことに喜ばしいと思うのですが、しかし都市におきましても、地方をまわつて見ましても、至るところで子を持つ母親が、この学校給食はありがたいけれども、給食費の支払いが非常に高い。たとえば都会などでは、義務教育の年限でありながら、一人百五十円から百八十円も払わなくちやならない。そうすると三人も子供を持つと、非常に苦しいというような声を聞くのでございます。私はこの際ぜひともこの義務教育の年限の間だけは、給食というものは国庫補助にしていただきたいということを考えるものでございますが、これに対する文部大臣のお考えを承りたいと思います。  そしてもう一つは、地方自治体に交付されます平衡交付金の中に、この義務教育費が含まれておりますが、この平衡交付金の中で、これだけが義務教育費で、この程度は給食費にまわしてほしいというようなわくを、文部大臣としてお持ちになるような、そのくらいの積極性を持つていいと思いますが、そういうことに対しては、どのようにお考えになりますでしようか。
  126. 天野貞祐

    天野国務大臣 もし承認されるならばと申したのは、国会に対する敬意から申したのでございます。ぜひとも自分はそれをとりたいと考えております。  給食等に関しては、私も御同様の希望を持ち、その実現に努力いたしたいと思つております。
  127. 戸叶里子

    戸叶委員 その予算のことに対しましては、私どもはどこまでもとりたいと思いますから、多数党を占めております自由党の議員の方に、どうぞ文部大臣からお頼みになつていただきたいということを申し上げまして、私の質問を打切りたいと思います。
  128. 小坂善太郎

    ○小坂委員長 午後は昭和二十五年度政府関係機関予算補正(機第2号)に関する内閣修正に対しまして、本院の承諾を得た際には即刻開会いたすことといたします。  これにて暫時休憩いたします。     午後一時八分休憩      ————◇—————     午後四時二十三分開議
  129. 小坂善太郎

    ○小坂委員長 休憩前に引続き会議を開きます。  昭和二十五年度政府関係機関予算補正(機第2号)の政府修正について院議の承諾がありましたから、この際政府説明を求めます。池田大蔵大臣
  130. 池田勇人

    池田国務大臣 日本国有鉄道員の職給与については、さきに本年三月十五日公共企業体仲裁委員会の仲裁裁定があり、この裁定については公共企業体労働関係法第十六條第二項の規定に基き、第七回国会に対し国会の議決を求め、その後本国会においても継続審議せられつつあつたのでありまするが、今回当院において昭和二十五年度において四十九億五千百八十一万三千円を限度とし、これを承認し、残余についてはこれを承認しない旨の決議があつたのであります。よつて政府といたしましては、その趣旨に従い、さきに提出いたしました昭和二十五年度政府関係機関予算補正(機第2号)に修正を加える必要が生じましたので、ここに同補正予算修正をいたした次第でございます。
  131. 小坂善太郎

    ○小坂委員長 これより質疑に入るわけでありまするが……。有田君。
  132. 有田二郎

    ○有田(二)委員 野党の諸君がただいま農民協同党の部屋で会議を開いており、さきに橘委員からも委員会開会について申入れをしたのですし、また放送も二回にわたつてつておるのでありますが、また私もただいま参りまして、委員会開会の旨を申し上げ、入場を要求したのでありまするけれども、野党の諸君はそれをがえんじないのです。審議権放棄とみなして、ただちに質疑に入られんことを望みます。
  133. 小坂善太郎

    ○小坂委員長 有田君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり)
  134. 小坂善太郎

    ○小坂委員長 御異議ないものと認めます。よつて動議のごとく決しました。  これより質疑に入りまするが、御質疑はございませんか。——本議案につきましては、昨日各党代表よりそれぞれ質疑のあつた問題であります。この際御質疑がなければ、質疑を省略いたします。御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  135. 小坂善太郎

    ○小坂委員長 御異議がないようでありまするから、さよう決定いたします。
  136. 有田二郎

    ○有田(二)委員 これにて質疑を打切られ、討論に入られんことを望みます。
  137. 小坂善太郎

    ○小坂委員長 有田君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  138. 小坂善太郎

    ○小坂委員長 御異議がないようでありまするから、さよう決定いたします。  ただちに討論に移り、採決をいたしたいと考えます。井手光治君。     〔発言する者多く議場騒然〕
  139. 小坂善太郎

    ○小坂委員長 これより昭和二十五年度一般会計予算補正(第1号)昭和二十五年度特別会計予算補正(特第1号)及び昭和二十五年政府関係機関予算補正(機第2号)三案を一括議題として討論に付します、討論は通告順によりこれを許します、井手光治君。
  140. 井手光治

    ○井手委員 私は自由党を代表いたしまして。ただいま上程されておりまする昭和二十五年度一般会計予算補正第1号。同じく特別会計予算補正特第1号。同じく政府関係機関予算補正機第2号に対し、賛成の意を表明せんとするものであります。  昭和二十五年度予算補正の内容を見まするに、歳出の追加額は三百六十三億三千三百余万円が計上せられ、一般会計総予算総額は、歳入出ともに六千六百四十五億七千六百余万円となり、歳入、蔵出ともにわずかに三十一億円余の増加と相なつております、政府昭和二十五年度予算編成にあたり、惡性インフレ収束後の経済の安定度を強化するために、まずもつてわが国の財政規模を極力縮小することに努め、均衡予算を堅持することによつてデイスインフレの線を推進することに成功いたしましたことについては何人も否定することができないと思うのであります。  本補正予算は、昭和二十六年度予算と一体的な構想のもとに、安定よりさらに自立復興への財政的指向をかえるために、当初予算編成の基本方針たる財政規模の不拡大、財政規模の縮小を原則とするという方針をとりまして、内に財政経済の整備充実に重点を置かれたことが、うかがわれるのでありまして、わが国財政に一段の強靱性を加えたものと見ることができると思います。  思うに、わが国の財政はやがて来るべき講和会議終了後の対日援助資金打切の場合を考慮し、世界経済復帰への足固めをつくるために、内に産業の合理化を促進して、生産の拡大と有効需要の充足に努め、他面貿易を振興して国際収支の改善増大に最善を盡し、国際的信用を一層高からしむるかたわら、国民の生活水準を高度に引上げるよう、諸般の総合的対策を勇敢に実施することが現下の最大の命題であると信ずるのであります。この国民的課題を果すために、本予算は絶好の機運をとらえて、自立経済への飛躍台としてのきわめて有効なる配慮がなされているものと思われるのであります。すなわちその第一点は、低米価、低賃金を漸次修正することを相まつて、価格調整費を大幅に削減し、米価、賃金、物価を正常なる経済ベースに乗せることが意図せられております。  現在隣国朝鮮における動乱は、ただいまのところ終熄の見通しがつきませんで、世界平和のために真に遺憾であることは申すまでもありませんが、今や世界的な軍事需要が拡大せられて、わが国もいわゆる特需の増加により、在来の滞貨は一掃せられまして、さらに生産の拡大増強が要請せられ、次第に活況を加えつつあることは、わが国産業経済の復興を促進せしむる上に大いに役立つたものと見られるのであります。  そこでこれらの状態を契機として、海外の物価は漸次高騰しつつあつてわが国内の物価もまた上昇の傾向にあり、再びここにインフレ気構え等の要因が造成せられるのではいかなかと見る向きもあるのでありますが、政府はこれに対応する施策として、財政金融政策の基調を、あくまでも均衡予算を堅持する方針をとり、経費の節減と減税による国民負担の軽減を行うことに努めて、特に貿易振興に必要な長期資金の流通に、思い切つた措置が講ぜられていることは見のがすことのできない痛切なる施策と見られるのであります。また保有外貨は著しく豊富になりつつあると、池田大蔵大臣説明せられているのでありますが、これらのきわめて急速なる活用によつてわが国生産財の輸入促進に資する財政的措置がとられていることも、特筆すべき事柄であるとして賛意を表せざるを得ないのであります。(発言する者多く、議場騒然)紳士的にやれ。うるさいじやないか。君らのときもやらせないぞ、人の言うことは寛大に聞け。(「それは放言だよ。討論じやない」。と呼ぶ者あり)特に以上のような総括的財政需要の財源を、若干の租税及び印紙収入の自然増加に求めて、その他は価格調整費の大幅な減額二百六十億円、その他既定歳出の節約等により増加すべき収入と、申告所得税の三百三十二億円減税による減収及び国民生活に直結する酒税、物品税の引下げによる減収等と明確にこれを相殺いたしまして、きわめて健全な財源確保に努めていることは、財政内容の整備拡充に努力した具体的な証左とも見られ、まことに頼もしき限りと言われるのであります。  また現下の世界情勢は、米国及び英仏の諸国等においても順次増税の傾向にあり、特にドイツにおきましては、先年一応減税措置が講ぜられましたにもかかわらず、最近再び増税の措置をとらざるを得ないと伝えられております。わが国は敗戦国といたしまして、国民の耐乏がなお要請せられているにもかかわず、本予算を通じて昭和二十六年度は、さらに七百億円の大幅な減税が断行せられることは、わが党の公約が忠実に実行せられていることを雄弁に物語つておりまして、まことに喜びにたえないばかりでなく、他面においては、さらに当面緊要な産業資金の長期融資の道が開かれ、さらに農林水産への低利長期の融資が、見返り資金及び預金部資金によつてまかない得るように計画せられておりますことは、貧国耐乏の敗戰国として、右手に減税、左手に生産資金と両手に花のまことにありがたい措置として、賞讃せられるべき事柄であるとも言えるでありましよう。  次に減税についてでありますが、野党の諸君は口を開けば増税なりと叫んでおります。しかしわが党内閣によつて、減税の措置が公約通り着々実行せらつつれあることは、その現実に目をおおうことはできないと思うのであります、野党の諸君は、すでに行われました画期的な税制改革の結果、課税対象の増加による増収をとらえて増税と言つておりますが、これは税制の主化による負担公正の原則が確立せられた事実に、故意に目をおおうものといわなければなりません。例を農村に求めてみますれば、旧税法時代は、農村において税金を納める者は、いわゆる地主階級と自作農の小数でありましたが、その後農地改革が断行せられまして、あまねく農民が地主となり、これに伴う供出米価し漸次高くなつてつております。自然、税金を納めるべき階層の増加が目立つて来たのであります。納めるべき者の負担を公正に行うことは、増税とは言い得ないのであつて、あたりまえの話をいわなければなりません。法人税においてもしかり、税法上の減税と利益の増大に伴う増収とは、全然別個のものでありまして、水増しではないのであります。すなわち公正な負担をもつて増税と言い、税率の減少による減税を取り上げられないことは、税制改正の本質をわきまえざる妄断と断ぜざるを得ないのであります。しかし吉田総理大臣も言われておりまする通り国民の負担はなお重いのでありますから、かくのごとく、本年よりさらに来年へと、国民の期待に沿うべき減税措置が講ぜられまして、税務行政の改善と相まち、如実に国民負担の軽減が着々実行でき得ますことは、自由党内閣ならではという国民の感情が常識となつて現われることを確信するものであります。  次に価格調整についてでありますが、昭和二十四年度においては、二千二十二億円の巨額に上つておりましたが、同年の補正予算において二百三十億、本年度当初予算においてはさらに九百億、今回の予算においては、またさらに二百六十億円を減じ、来年度におきましては、食糧補給金のみを残して、総額を三百億円以下に押えるということは、財政負担の軽減に資するばかりでなく、経済活動の正常化の観点から、きわめて適切な措置であるといわなければならないのであります。  次に外国為替特別会計への繰入れ、インベントリー・フアイナンスとして百億円を計上されておりますが、わが国輸出貿易の活況に伴つて、外貨保有高の増力により外貨の信有に必要な円資金の不足を生ぜしめないように、特にこれを一般会計からの繰入によつたことは、いろいろ議論はありますけれども、インフレーシヨン抑制のために、最も妥当な措置であると言えると思うのであります。貿易の振興のためには、右のほか輸出銀行の設立が行われ、その出資金として、とりあえず二十五億円を計上されており、表裏一体の態勢をもつて貿易振興への裏づけが着々と進行いたしますることはまことに心強き限りであります。また中小企業者のために信用保險制度が確立せられ、別わく融資も一・四半期三億円を九億円にしたこと、別途国民金融金庫の出資金の増額、これらとあわせて、きわめてあたたかい配慮がなされておることも、その資金活動の効果性を物語つていると言えましよう。  その他災害関係経費としても五十億九千八百余万円、失業保險費及び失業対策応急事業費の増加、生活保護費の増加、農業共済保險特別会計への繰入れ等、社会保障制度への画期的な補強がなされつつ、当面の具体的方策がさらに強化せられつつあることも、本年度予算に盛られたる、また来年度に引続き盛られたる予算的計画とあわせまして、最も適切なりと考える次第であります。  次には懸案の国家公務員の給与改善に要する費用が、三十五億四千六百余万円計上されております。このことは財政の好転に伴うこととは、いいながら、人事院の勧告を尊重いたしまして、ようやく実行の段階に入つたことを、野党の諸君がいかにけちをつけましようとも、大きな改善であるといわなければならぬのであります。ただいま追加せられております国鉄裁定の問題でありますが、その限度承認額四十九億五千百万余円が追加せられることに相なりました。  かくのごとく、もろもろの懸案が着々と解決せられて、野党諸君が振り上ぎたこぶしの持つて行きどころがない。だから今のように騒ぐのであります。そういうわけで、これらの点から考えますならば、社会党の諸君に対しては、まことにお気の毒と申し上げるほか言いようかないと思うのであります。  次に地方財政交付金は三十五億円計上せられておりまして、これは地方財政の現状にかんがみまして、また地方財政委員会の要望に十分の満足を与えたものとは思われませんけれども、わが国政治的盲点であると言われました地方自治の確立と地方財政の改革が強力に推進せられまして、これに伴い大幅の税源の移讓が行われましたが、いまだその実績等も地方財政が十分に明瞭になつていない事情等を考慮いたしますれば、まことにやむを得ない支出といわなければなりません。政府は今後地方財政の実態を把握せられまして、財源の許す範囲において、今後の増額を考慮せられるかたわら、地方起債の増額等についても、特段の配慮をせられたいと思います。ことに健全な地方財政発達のために、さらに一層の寄与をせられんことを要望いたしたいと思います。また一方、地方におきましても、不足財源を單に交付金に求むるという、中央依存主義を一日も早く脱却いたされまして、本来の健全性を確立するために、経費の節減及び予算運用の合理化等を一層促進せられるように希求してやまない次第であります。  以上申し上げましたような情勢において、本予算国民の期待に沿う諸施策を遂行する予算措置といたしまして、きわめて妥当な補正増額であると考えますが、私はさらに積極的な二、三の要望について指摘しておきたいと存ずるのであります。  前段にも申し上げました通りわが国の産業設備が、すでに老廃朽のものが多く、これらの改善を急速に行うことは絶対に必要とあり、これなくして将来の生産拡充と国際場裡における競爭に耐えることはできないのでありますから、これに対する見返り資金及び預金部資金等の融資をさらに活発化していただきたい。見返り資金及び預金部資金運営の面が、ややのろい、生彩を欠く感なきにあらずであります。率直に申し上げまして、これらのスピーデーな運営を期待する次第であります。さらにまた生産設備の改善による産業の合理化もあわせ行わるることになつておるのでありまするから、これによつて生ずる失業問題の解決にも、一段の努力を期待いたしたいと存じます。一方現下の生産拡大の機会を逸せず困難ではありまするが、生産原資材の輸入を長期的に流入することは、刻下の要務であると考えます。さらに通貨膨脹のけはい、その趨勢にかかわりませず、金融の跛行性が現われつつあるやに見受けられるのでありまするから、これらの是正についても、細心の注意を払われるようにお願い申し上げます。  最後に、国民の総所得は、大体におきまして三兆余と計算されておりまして、これに対しまする預貯金の比率が、戰前の一五〇%から三〇%に低下しておるという事実は、わが国経済の資金蓄積の脆弱さを物語つておるのでありますから、資本蓄積に対する減税措置と相まつて、適当な措置を講ぜられることが必要であると思われます。  これを要しまするに、本補正予算を通じて行われる諸施策とあわせて行政能率の一段の向上に意を注がれ、国会の意図が行政の不手ぎわによつて曲げられることがないように希望いたしますと同時に、予算の効率的な運営によつて、十分の成果が期待されるように要望いたしまして、賛成の討論を終る次第であります。(拍手)
  141. 小坂善太郎

    ○小坂委員長 この際暫時休憩いたします。     午後四時五十一分休憩      ————◇—————     午後六時十分開議
  142. 小坂善太郎

    ○小坂委員長 休憩前に引続きまして、これより会議を開きます。  他に討論者はありませんか。——なければこれにて討論は終局いたしました。(拍手)
  143. 有田二郎

    ○有田(二)委員 ただいままでわが党は隠忍自重、再三再四努力いたしましたにもかかわらず、遂には理事会において野党諸君の審議権放棄となり、討論すら拒否されましたるによりまして、ただちに採決に入られんことを望みます。
  144. 小坂善太郎

    ○小坂委員長 有田君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  145. 小坂善太郎

    ○小坂委員長 御異議がなければこれより昭和二十五年度一般会計予算補正(第1号)、昭和二十五年度特別会計予算補正(特第1号)及び昭和二十五年度政府関係機関予算補正(機第2号)の三案を一括して採決いたします。  三案を一括いたしまして原案に賛成の諸君は起立を願います。     〔賛成者起立〕
  146. 小坂善太郎

    ○小坂委員長 起立多数。よつて補正予算三案はいずれも原案通り可決いたしました。(拍手)  なお委員会の報告書の作成については委員長に御一任を願いたいと思いまするが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  147. 小坂善太郎

    ○小坂委員長 御異議がなければさよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後六時十三分散会