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1950-12-03 第9回国会 衆議院 予算委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年十二月三日(日曜日)     午前十時四十三分開議  出席委員    委員長 小坂善太郎君    理事 有田 二郎君 理事 橘  直治君    理事 西村 久之君 理事 橋本 龍伍君    理事 川崎 秀二君 理事 稻村 順三君    理事 風早八十二君       青木 孝義君    天野 公義君       井手 光治君    江花  靜君       奧村又十郎君    大泉 寛三君       尾関 義一君   小野瀬忠兵衞君       角田 幸吉君    甲木  保君       川端 佳夫君    川本 末治君       坂田 道太君    島村 一郎君       清水 逸平君    鈴木 正文君       南  好雄君    玉置  實君       塚田十一郎君    坪川 信三君       苫米地英俊君    中村 幸八君       松浦 東介君    松本 善壽君       村上  勇君    井出一太郎君       今井  耕君    北村徳太郎君       中曽根康弘君    早川  崇君       平川 篤雄君    勝間田清一君       鈴木茂三郎君    戸叶 里子君       西村 榮一君    林  百郎君       横田甚太郎君    小平  忠君       黒田 寿男君    小林  進君  出席国務大臣         法 務 総 裁 大橋 武夫君         大 蔵 大 臣 池田 勇人君         文 部 大 臣 天野 貞祐君         厚 生 大 臣 黒川 武雄君         農 林 大 臣 廣川 弘禪君         通商産業大臣  横尾  龍君         運 輸 大 臣 山崎  猛君         電気通信大臣  田村 文吉君         労 働 大 臣 保利  茂君         建 設 大 臣 増田甲子七君         国 務 大 臣 岡野 清豪君         国 務 大 臣 周東 英雄君  出席政府委員         内閣官房長官  岡崎 勝男君         大蔵政務次官  西川甚五郎君         大蔵事務官   河野 一之君         (主計局長)  平田敬一郎君         大蔵事務官         (主税局長)  平田敬一郎君         大蔵事務官         (銀行局長)  舟山 正吉君         文部政務次官  水谷  昇君         農林政務次官  島村 軍次君         通商産業政務次         官       首藤 新八君         経済安定政務次         官       小峯 柳多君         経済安定事務官         (総裁官房長) 平井富三郎君  委員外出席者         專  門  員 小林幾次郎君         專  門  員 園山 芳造君         專  門  員 小竹 豊治君     ————————————— 十二月三日  委員尾崎末吉君、松本一郎君、青木孝義君、久  野忠治君、庄司一郎君、中村清君及び永井英修  君辞任につき、その補欠として松本善壽君、奧  村又十郎君、尾関義一君、清水逸平君、川本末  治君、村上勇君及び大泉寛三君が議長の指名で  委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  昭和二十五年度一般会計予算補正(第1号)  昭和二十五年度特別会計予算補正(特第1号)  昭和二十五年度政府関係機関予算補正(機第2  号)     —————————————
  2. 小坂善太郎

    ○小坂委員長 これより会議を開きます。  昨日に引続きまして、質疑を続行いたします。勝間田清一君。
  3. 勝間田清一

    勝間田委員 前会に引続いて、政府質問したいと存じます。今度の予算でまだ明確にならない点が多々あるのでありますが、地方財政平衡交付金の問題を中心とした地方財政の問題につきましては、大蔵大臣がお見えになつてから、関係者大臣に御質問したいと思います。最初経済安定本部長官に若干の基本的な問題でお尋ねしたいと思うのであります。  一つの問題は、最近の海外の情勢が、経済的にもまた政治的にも、非常な逼迫をを告げているというような状態でございまして、この状態下において、政府はいわゆる自立計画というものを現在計画されているようでありまして、しかもその自立計画目標というものは、一つは、三年後における一定水準貿易バランスをとつて行き、一つ生活水準を維持して行く、もう一つは、経済合理性をそこで獲得して行くという目標で、自立計画というものが立案されているように、安本長官答弁で明らかになつているわけでありますが、これでは私現在の国際情勢変化には対応して行けない。もう一つ、やはり問題があるのではないか。またその問題を解決して行かなければ、その自立計画目標は達成せられないのではないか。ここに現実の問題から見て、自立経済の再建の目標というものを、もつと別なアングルから考えて行かなければならぬのではないかというように私は考えますが、この点については、いかにお考えになつておりますか、お尋ねしたいと思います。
  4. 周東英雄

    周東国務大臣 自立経済の問題については、今日一番重大な問題でありまして、今お話のように、私どもの方では、大体において一応来々年あたり援助資金が打切られるということが、今までの考え方であり、そういう事柄でありますので、その場合において、打切られた後において、今お話のように私が申し上げたのですが、生活水準一定の限度、すなわち戰前の七——十一年の当時に比べて、九〇%くらいは維持しつつ、国際収支バランスを合せて行く。それを目標生産をマツチさせて増強して行く。それに沿うように必要な電力資源の開発なり、原材料輸入を目途としているということをお話したのであります。お話のように国際情勢変化によつて、その間における輸入原材料等影響を受け、あるいは特に援助が早く切られるということになれば、おのずから計画というものはかわらざるを得ないと思います。私どもは結局机上プランで、どうしてもこうしても、この二、三年の間に自立をやつてしまつて行こうということにするならば、かなりこれは生活水準というものを下げなければできないと思います。そこらに実際上の困難を伴つているということは、おそらく勝間田君も御承知のことだと思います。政府はもつぱら現在の事情のもとにおいても、一応の水準はこの辺に置いて行くとすれば、こういうことが必要であるということで立てて、しこうしてそれが諸般の事情によつて変化すれば、おのずからこれは修正して行かなければならぬと考えている次第であります。
  5. 勝間田清一

    勝間田委員 私はきわめて楽観に過ぎると考えるのでありますが、その点はひとつ横尾通産大臣にお尋ねしたいと思うのであります。この前から貿易は大体順調に転じているというようなことでありますが、もちろん転じてはいるのでございましよう。しかし輸入が非常に困難であることは、もう明らかになつて参りました。一体今年の輸入はどの程度わくになるおつもりであるか、その点をお尋ねしたいと思います。
  6. 横尾龍

    横尾国務大臣 お尋ねになりましたわくというのは、何のわくでございますか。
  7. 勝間田清一

    勝間田委員 輸入金額がどの程度になるだろうか……。
  8. 横尾龍

    横尾国務大臣 大体十億近くまで行きはせぬかと思うのであります。
  9. 勝間田清一

    勝間田委員 十億ということであると、きわめて私は少いと思う。これはいわゆる会計年度で十億と考えておりますが、この前、安本の方ではもつと別な見解に立つてつたように思うのであります。経済安定本部長官はいかに考ていらつしやいますか。
  10. 周東英雄

    周東国務大臣 ただいまの横尾さんの御答弁で私は間違いはないと思うのですが、ただ私ども考えているのは、最近における物価上昇等考えまして、結局においては十一億を越え十二億近くになるのではないかと思つております。しかしこの間に、あなたの御心配するように、価格ではかれないものがあつて、質的に必要とするものが入らなければならない。その間に物価上昇等があありますと、初めに計画を立てた十億五、六千万ドルというのが、あるいは十二億程度になるのではないかということは、今後における価格の問題にかかつていると思います。
  11. 勝間田清一

    勝間田委員 今の十億は、私はむしろ価格だと思います。そうしますと、輸入価格減つただけは現物の量も減ることになるが、現物の量から見て、今までの価格水準から見ると、どうなりましよう。
  12. 周東英雄

    周東国務大臣 だからその点は、今お話のように、十億というのは初めの考え方通産大臣お答えなつたと思いますが、価格関係によつてもつと、あるいは十一億以上十二億足らずになるのではないかと思つております。
  13. 勝間田清一

    勝間田委員 私は、結局今まで価格で公示されたものとかその他のものを考えまして、あるいは実輸入の比率など考えまして、輸入が大体千億の予定としても、輸入価格値上り分を引きますと、結局実質的には九億前後になるだろうと思います。そうなると、本年の輸入——二十四年度が多分九億四千万ドルではなかつたかと私は思いますが、そうなると、去年とほとんどかわりないような状態になる。これではとても日本経済は伸びておるとは考えられないのですが、その点はいかがに考えますか。
  14. 周東英雄

    周東国務大臣 その点については、先ほど楽観という言葉が出ましたが、私は楽観はしていないが、少くともあなたの御指摘のように、物の量を確保するために、でき得る限りの輸入に対する措置を打つておりますから、おそらくそういう見地から考えますと、量を確保しつつ行くとなれば、値上りによつて、私は額面に現われた輸入金額はふえると思います。
  15. 勝間田清一

    勝間田委員 額面輸入金額がふえることは問題でないと思います。物量がどのくらい入つておるかという問題だと考える。そういう点から考えて行きますと、特需見通しはどう考えておられますか。
  16. 周東英雄

    周東国務大臣 特需につきましては、ただいまのところ大体物量的にいつて、物の契約は十月で三百億になつております。これにサービス関係を入れて五百億になりますが、この物については、ただいまのところ多少ふえるとは思いますけれども、一応先物々々の契約になつてつて、主として自動車、車輌、機関車、綿布というようなものが多少ふえると思いますが、しかしまだ確実な見通しは、今申し上げる域に至つておりません。ただ私どもは、特需関係がふえることと並行して、たとえば原綿等のごときは、朝鮮の特需関係を考慮に入れて、ある程度輸入の増加について、大体許可を得る見込みでおります。さらに食糧あるいは鉄鉱石あるいは石炭というような具体的なものについても、数量等について一応の目標は立てておりますが、これはあなたの御心配になるように、鉄鉱石石炭というものについて、一番問題が残つて来ると思います。これもただいまのところでは、とにかく鉄鉱石についても、南方方面あるいはアメリカという方面からのねらいをつけております。これは一概に楽観もできないかわりに、あなたのようにはつきりした悲観をして、全部入らなくなるだろうというふうに決定するのも、少しまだ早いのではないかと思います。特需に対応しつつ必要なものを入れると同時に、内需に対するものも考えて、輸入計画を進め、それ以上に輸入外貨資金を増加させておるので、あとは、実行上今努力しておりますから、私はもう少し様子を見ていただきたいと思ます。
  17. 勝間田清一

    勝間田委員 私は別にそれを悲観しているわけではございませんので、それは対する内需特需及び輸入に対するいろいろの考え方というものを、はつきり見通された政府施策があるか、ないかというところが、一番問題になると思います。またそれが一番われわれの心配するところであります。その施策になるところ、たとえばけさの新聞を見ても、アメリカが百七十九億ドルの、いわゆる軍事予算の追加をやつておる。この状態ならば、おそらくアメリカ国内統制が必至になつて来る。戰時動員体制が出て来るだろうと考える。同時に非常な輸出統制輸出禁止の問題が現われて来ると思う。そういうときに内需の問題も、経営合理化なり、あるいは産業の拡張なりの問題が出て参り、あなたの言われる自立経済の問題が出て来、そこへ特需という問題が出て来る。こういう問題に対して、経済安定本部なり、通産省は確実な案というものを持つていなければならないと思う。そういうことの方が重要なのであつて、いわゆる三年後における自立経済であるとか、あるいは生活水準の問題はさることながら、現実に当面しておるこの問題を取上げないことには、机上プランになつてしまうのですから、われわれ現実の問題として、これらに処する、いわゆる現在の自由党の内閣の確固たる施策を承りたい。それでないと、日本の国民の経済というものの前途が、非常に危惧されると私は考えるのであります。安本長官の確信ある御答弁をお願いいたしたいと思います。
  18. 周東英雄

    周東国務大臣 私どもは、今申し上げますように、アメリカ状況、その他の国際状況は、もちろん絶えず頭に置きつつ関係方面とも話合いをつけて、来年度の輸入確保見込みというものを、各品日別に立てておるのでありまして、今あなたのお話によると、アメリカ輸出制限等をやつて来るから、おそらく物によつては入らないであろうということが前提になつての御質問と思いますが、私どもの方では、鉄鉱石原綿あるいは石炭食糧あるいは非鉄金属というようなものについて、それぞれの品目別に具体的に計画を立て、それに対しての処置をいたしております。その基本の上に立つて来年の輸出入の計画を立てておるわけであります。今後において非常に大きな変化が起れば、それによつてまた対応して行く処置は打たなければなりませんが、ただいまのところ、まだこれで推進して行けると確信しております。
  19. 勝間田清一

    勝間田委員 どうもきわめて私は不安定だと思う。こういう際に私はむしろ安本がもつと率先して、日本経済確立のために努力していただきたいと考えます。  次にお尋ね申したいと思うのでありますが、今度政府は、いわゆる貿易特別会計を三月三十一日で廃止することになつておるようでありますが、しかしながら今の現状から行きますれば、私は政府貿易というものは、必要な條件がまだたくさんあると思う。また政府貿易をした方が便利なものがくさんあると私は思う。たとえばシャムの米であるとか、あるいは韓国、沖縄等に対する特需中継ぎ貿易であるとか、いろいろなそういう問題は、むしろ政府貿易をして行くことの方が民間貿易よりも確実であり、有利であると私は考えるのであります。この三月三十一日に外国貿易特別会計を廃止するということであるならば、それにかわつて一体どうしてやつて行くか、この点について安本長官通産大臣お答えを聞きたいと思います。
  20. 周東英雄

    周東国務大臣 今の御質問はごもつともであります。ただいま政府におきましても、特殊なものについては、必要ある場合を考慮して、形はいかがいなりますか、大体政府特別会計的なものを考えて行きたいと思つております。
  21. 横尾龍

    横尾国務大臣 お答えいたします。私は政府貿易は、ある程度ぜひ残してもらいたいという希望を持つております。来年度におきましては、ある額を定めてそれの回転資金を出してもらう。そうして政府貿易を進行して行きたいと考えております。
  22. 勝間田清一

    勝間田委員 これでたいへん明らかになつてつたわけであります。政府貿易ガリオア等の問題を含めて来年やつて行くということであります。今安本長官特別会計的なものを残して行きたいということでありますが、もう少しその点をはつきりさせて、どういう姿で一体やつて行くか、たとえば、公団というようなものを使つてつて行くか、あるいは特別会計というものを残してやつて行くか、ひとつ機関についてお聞きしたいと思います。
  23. 周東英雄

    周東国務大臣 この点は、来年度の予算とにらみ合せまして今大蔵大臣とも相談中であります。まだ決定に至りませんから詳しく申し上げる時期でありませんが、あるいは一部は公団のようなものも存在するということになり、一部は特別会計のものと両方考えております。来年度予算について最終的に大蔵大臣話合いを進めておりますから、もう少しお待ちを願います。両方の形を残したいと思つております。
  24. 勝間田清一

    勝間田委員 公団特別会計両方の形で政府貿易を残して行くということでございます。  次に、安本長官のいわゆる自立経済確立の過程の問題として、補助金政策をとつて行くか、行かないかということが重要な問題になつて来ると思います。この前の安本長官の非公式な御説明によりますると、造船などについては、どうしても国家の助成というものを伴つてつて参りたいということのようであつたのであります。これは自立経済計画の中に書いてございますが、同時に、最近の銑鉄補給金なりその他の補給金の撤廃から見て鉄に及ぼす影響はきわめて大である。たとえて申しますならば、最近無蓋貨車値上りというものは非常な大きなものであります。造船あるいは無蓋貨車等等製品というものを見ますと、非常に影響が大きい。しかも対外的な競争ということがこのためにできない状態になつておる。私は自立経済を推進して行く上においては、やはりこの補助金政策を残すか残さないかということが、重大な問題であると考えます。政府は一体どういう考え方を持つているか。もちろん大蔵大臣の方は、なるべく竹馬の足を切つてなくして行こうというのでありますけれども、さようなイデオロギーだけでは済まされないのであります。きようは大蔵大臣もいらつしやらないようでありますから、通産大臣及び安本長官にお尋ねしたいと思います。
  25. 周東英雄

    周東国務大臣 補助金の問題は、原則的にいえばやはりはずして行くという建前をとつて参りたいと考えます。ただしかし日本経済の建直し、復興の途上を経過的に見ますと、事実いかなる場合においても無條件に何もかもはずしてしまうということに対しては、検討の余地があると思います。従つて政府におきましては、来年度におきましも、必要な部面についてはまだ暫定的に残しておきますが、原則的にはただいま申し上げましたようなことであります。そこで結局あなたの御質問は、自立経済達成のために、基本的なものについて必要じやないかということと、私どもの方でその部面について関連してはずしているものについての御意見だろうと思います。ことに鉄鋼問題、銑鉄の最近における状況は、鋼鉄に関する補給金をはずしまして来年度からあ銑鉄もはずれることになつております。これに対して両論あつたわけです。私どもはある意味においては、しばらく鉄鋼業現状から見、あるいは鋼鉄関係国際価格等のにらみ合い、あるいは鋼鉄製品日本輸出における重要性、ウエイトというものを考えて、いましばらく置いたらどうかという意見もありましたが、最終的に見て来年四月以降の問題であります。おそらく国際的な状況において鋼鉄その他値上りの一方であり、最近においては、国内鋼材価格外国における価格というものは差が相当に縮まつておるのであります。なおその上に国際情勢を反映してかなり強気でありますので、そこにある程度バランスがとれるのではないか。従つてもし将来においてその間において、国際価格との差における関係国内生産が痛めつけられるということになる場合において善処することにして、一応はずす方針をとつたわけであります。今後の状況をよく見たいと考えております。この点は大蔵大臣も同様な考えを持つておるのであります。
  26. 横尾龍

    横尾国務大臣 お答えします。補助金の問題でございますが、ただいま安本長官からお話通り、私に補助金はなるたけ出さない方がよかろう、しかしながら、特殊なものに対しましてはこれはまた考えなければならぬと思います。先刻船の話がありましたが、戰前にお貸ましては航路補助であるとか、あるいは造船補助というようなものがあつたのでございます。また現在外国においても特殊の取扱いをせられておることは事実であります。銑鉄補給金をなくしておいて造船補助金を望むということは不合理のように考えられまするけれども一般に使いまする銑鉄そのものに対する補助金造艦用特殊材に対する補助金は趣を異にするのではないかと考えております。このことは、なぜかと申しますと、現在におきまして、日本は鉱石その他の関係上、船舶に要しまする特殊規格のものが非常に高い値についております。御存じの通り規格料として約六千円、今回は三千円になつたかもしれませんが、あるいは寸法の規格料は二千何百円というエキストラがつけられておるのでござやます。外国においては比較するものがないのであります、こういうものについてどう考えるかというこになりますと、あるいは補助金考えなければならぬかとも考えるのであります。なぜかと申しますると、補助金そのものは全体においては私ははずすべきものであるけれども、特殊なものについて、これはある程度補助する要があるではなかろうかと考えております。
  27. 勝間田清一

    勝間田委員 大蔵大臣への質問大臣がお見えになるまで留保させていただきまして、農林大臣にひとつお尋ね申したいと思います。米価審議会がいろいろ米価をおきめになりましたが、米価審議会に対する尊重の度合いというものをひとつお聞きしたいと思います。
  28. 廣川弘禪

    廣川国務大臣 米価審議会に対する尊重の度合という御質問ですが、意味のある質問であつて、しかもまたむずかしい問題でありますわれわれといたしましては、審議会尊重いたすのであります。ただし尊重はいたします。るが、経済予算その他を勘案いたしまして、決議になりました案については十分物価庁その他とも相談といたして行きたいと考えております。
  29. 勝間田清一

    勝間田委員 そうすると、今度の米価審議会の答申の五千八百円は御実行になる御意思ですか。農林大臣としての御所見をひとつ伺います。
  30. 廣川弘禪

    廣川国務大臣 これは五千八百円の基礎算定の上において、多少われわれと食い違つている点があるのでありますが、その一番大きな点は、農村労働賃金算定の上に非常に大きくかかつておる。われわれの方は失業者農村にたくさん入つておる関係からいたしまして、実際の労働賃金が下つておる。しかるに審議会の方々の意見を拝聽いたしておりますと、一般工場労働者並賃金に計算しておるというところに、非常に違つておる点があるように見受けられます。しかしわれわれといたしましては、できる限り尊重する考えでおります。
  31. 勝間田清一

    勝間田委員 大蔵大臣がお見えになりましたから、大蔵大臣にお伺いいたしたい。大蔵大臣は、きのうからきようにかけてたいへん御熱心に活躍のようでありますが、二十六年度予算の大綱はほぼ決定いたしたでしようか。
  32. 池田勇人

    池田国務大臣 大体のところはきまりましたが、まだ少し残つておるところがございます。ただいま検討中であります。
  33. 勝間田清一

    勝間田委員 特にこの前の御答弁でありますると、政府資金関係、見返りであるとか、預金部関係の折衝がまだ十分でないということでありました。従つてそれを私どもはこの審議期間中に実は楽しみにいたしておつたわけであります。政府関係資金の運転につきましては、大体関係方面と交渉ができましたでしようか。
  34. 池田勇人

    池田国務大臣 まだしつかりというところまで行つておりません。
  35. 勝間田清一

    勝間田委員 それではひとつお尋ね申したいと思いますが、地方財政の問題が昨日から実は問題になつておるわけでありまして、二十五年度当初の預金部資金から地方債引受というものは、われわれは当時の説明では、実は三百七十億と聞いておつたのでありますが、これはうそであつたでしようか、ほんとうであつたのでしようか。
  36. 池田勇人

    池田国務大臣 当初三百億円となつてつたのでありまするが、三百億円では不足と見込まれますので、関係方面と大蔵省の事務当局が交渉いたし、三百七十億円ということに了解がついたという報告がありましたので、われわれはその数字によつて地方債わくをきめ、割当をいたしておつたのであります。その後三百七十億円が向うの上の方まで通つておりませんので、これは三百億円だということになりました。いや三百七十億円だというので、いまだにやつておる次第であります。まだ結末はついておりません。
  37. 勝間田清一

    勝間田委員 岡野国務大臣にお尋ねしたいのでありますが、もし地方債が当時の三百七十億を出す予定で、例の千九百億の税収入があり、千五十億の平衡交付金がある、こういう形で地方財政確立できると考えておつたのでありますけれども、三百七十億が間違いであつて、今のようないきさつがあり、ここでまた行き詰まるということになつて参りますならば、これは地方財政に及ぼす影響が非常に大きいと考えるが、いかにお考えになりますか。
  38. 岡野清豪

    ○岡野国務大臣 お答え申し上げます。今大蔵大臣が申し上げました通りに、当初は三百億でございましたけれども、それでは起債のわくが足りないということで、大蔵大臣の努力によりまして、あと七十億追加してもらう。大体において大蔵大臣が申しましたように三百七十億になるはずであつたのでございますが、正式にまだなつていない。しかしながら地方財政としましては、すでにいろいろ配分をしたこともございますし、これをぜひ実現したいと思いまして、大蔵大臣と協力しまして、この七十億のわくをとることについて今努力の最中でございます。
  39. 勝間田清一

    勝間田委員 大蔵大臣にお尋ね申したいと思いますが、けさの新聞だと三百五十億程度であるように新聞は書いておりましたが、これは事実でございましようか。
  40. 池田勇人

    池田国務大臣 前の質問に補足いたしますが、この地方債のわくというのは、勝間田君御承知の通りに、国の予算がきまりましてもなかなかきまりにくいのであります。なぜかと申しますと、公共事業にいたしましても、公共事業の内訳がきまりませんと地方の負担の額がわからない。公共事業費の使い方によつて地方の負担分が違うのでございます。当初千九百億円の税収入その他のアイテムで三百億円ということであつたのであります。その後公共事業費の割合などがきまりまして、大体正確な数字がわかつて、そこで三百七十億円はぜひとも必要である。それでこれは国の予算との関係ばかりでなく、單独事業その他の分も御承知の通りあるのであります。国の予算とぴつたり来るのではないのであります。やはり状況によりまして、国の予算とは別個にいる金があるのであります。それで千九百億円の税収入と全然一体となるのでないと御了承願いたいと思います。  次に昨日の交渉の経過はまだ発表できないのでありますが、向うさんは三百億、それに今回の補正予算あるいは地方の財政の状況を見て、三百五十億くらいならいいじやないか、こういうふうに言つておられるのであります。私としては三百七十億に五十億足して四百二十億円だ、こういうふうに言つておるのであります。なかなか見通しとしては困難のようでありますが、今後とも極力折衝してみたいと考えております。
  41. 勝間田清一

    勝間田委員 これはきわめて重大な問題でありますから、私は党派を超越しても大蔵大臣にがんばつてもらいたいと思います。  それから次の問題で、本年度地方財政委員会から例の百九十何億かの地方債の要求がある。これに五十億含めるか、七十億含めるかということは別問題といたしまして、私は最近の状態、特に今度の平衡交付金を三十五億しか見積らないということからしましても、私は平衡交付金を増額し、同時に地方債のわくを拡張せねばならぬと思うのでありますが、この平衡交付金の増額の問題については、池由大蔵大臣はどういうふうにお考えになつておりますか。
  42. 池田勇人

    池田国務大臣 地方財政状況並びに国の財政の現状から申しまして、私は三十五億の増加でまかなつてつていただきたい、こういう考えで進んでおります。
  43. 勝間田清一

    勝間田委員 これはきわめて遺憾に考えますが、時間もありませんので、もう一つお尋ねを申したいと思います。  けさの新聞によりますと、見返り資金による公共事業への支出はいけないとかいうことになつておりますが、そうなりますと、重大問題になると私は思いますが、いかがでございましようか。
  44. 池田勇人

    池田国務大臣 本年におきまして、見返り資金より住宅公庫に百億円、公共事業費に百十億円、国有林野の方に三十億円、合せて二百四十億円、公企業に出ておりましたが、来年度におきまして、見返り資金からこういう方面の金の貸付は、なかなか困難な状態であるのであります。御承知の通り、見返り資金というものは長く続くものではありません。来年度においてどれだけアメリカの、国会が援助資金を組むかわからない。こういう状況であるのであります。従つて私といたしましては、できるだけたくさんの援助資金をもらいたいと思いますが、向うさんがくれないときには、これはしかたがないのでありまして、そういうことも頭に置いて見返り資金の使い方を考えなければならぬと思つております。
  45. 勝間田清一

    勝間田委員 見返り資金預金部資金をどんどん放出する、あるいはそれを要求するといつた場合に、一つの一番支障になつておると考えられたのは、見返り資金なり預金部資金なりが、特に見返り資金でありますが、いくらわくがきまつたり、あるいは許可されても、実際上使われてないじやないか。こういうように金を遊ばしておく状態では、これ以上出せと言われてもちよつと出せないというような状態があるのではないかと見受けられる点があるのでありますが、現在この点は非常に重大な問題だと思う。特に住宅金融公庫なり、あるいはその他の協調融資の分なり、あるいはたとえば造船のようなものでありましようが、その他の公共事業費もそうだろうと私は思うのでありますが、実際きまつたものが使えないという状態現実としてここにあるわけであります。これを妨げている條件があると思います。そこで今後見返り資金が迅速的確に早く使われて行くというような面が開けて行かないと、今後の拡張というものもなかなか困難ではないかと私は考えるのであります。この点に対する池田大蔵大臣のお考えを聞かしていただきたいと思います。
  46. 池田勇人

    池田国務大臣 御説の通りでございまして、一般会計の予算を使います上におきましても、ことに公共事業費はえてして遅れがちなのでございます。予算がきまりまして、今までは安本で四回の認証ということがございました。今度はこの認証を二回か一回に手続を簡素にして、第一・四半期には一年分の四割、第二・四半期は三割、初めにうんといけるようにしてもなかなか現金が出ない。しかるにこれにも増して見返り資金の方は一応わくがきまります。たとえば海運あるいは水力発電を除きました私企業の投資が四十三億ときまりましても、個々の産業について調査して向うの解除申請をすることになるのですから二段になるのであります。そこで四十三億の分でも、今まで出ておるのは二十四、五億円ですから、とにかく十七億ふやして六十億のわくにいたしましたが、よほど急がないと年内に六十億を使えぬ。さあそれかといつてどこにも貸すわけには行きません。やはり産業能力その他を調べるということになると、どうも遅れがちになる。そこでこういう手続を緩和するために、役人があまり貸付に関与するということはよくないと私は思う。これはやはり民間にまかす。そのためには見返り資金から直接投資でなくて、相当部分を金融債でやつて、そして民間の企業家の創意、銀行の考え方、これでやつた方が進みが早く行くのではないか、こう考えまして、来年度におきましては、私企業をふやさず、海運と水力は相手がはつきりしているからわかるのでございますが、私企業はあまりふやさずに、金融債で見返り資金を引受ける、こういう考え方で行つたらいいのではないかという考えでおります。
  47. 勝間田清一

    勝間田委員 まだ聞きたいことがありますが、時間もないようですし、あと社会党の第二陣の質問もありますから、私の質問はこれだけで一応終了したいと思います。
  48. 小坂善太郎

    ○小坂委員長 林百郎君。
  49. 林百郎

    ○林(百)委員 見返り資金の点で池田大蔵大臣にお聞きしたいのでありますが、きようの新聞にもありますが、来年度の見返り資金の運用の問題です。本年度の一般並びに特別会計に計上されている債務償還の問題もからみまして、見返り資金中五百億の債務償還をどう運用するかということは大分問題のようであります。蔵相もこれについて折衝するということですが、これについてどういうお考えでありますか。
  50. 池田勇人

    池田国務大臣 本年度の予算で債務償還五百億を見込んでおります。これは債務償還をする予定でおるのでありますが、あるいは債務償還でなしに食糧証券が出ておりますから、これを持つたままで翌年度へ繰越すかという点につきましては、ただいま関係方面と話中であります。きまつておりません。
  51. 林百郎

    ○林(百)委員 その点ですが、そうすると食糧証券を持つておりますとそれは短期の投資でありますし、食管の特別会計の方へ食糧の代金が入りますと、いずれまた返済されることになると思います。そうすると、食管の方で五百億の余裕が残る形で来年度へ持ち越されるのかどうか。
  52. 池田勇人

    池田国務大臣 そうはならないのであります。米や麦を買いまして、その金を支払う代金として日銀が食糧証券を引受ける。日銀が引受けて持つておるか、あるいは日銀が引受けたものを見返り資金特別会計が持つか、こういう問題でありまして、食管の余裕金という問題はないのであります。
  53. 林百郎

    ○林(百)委員 そうするとその五百億の資金はいずれ償還されると思うから、五百億円の余裕金が出て来るのですが、この五百億は最初池田蔵相が言つたような市中銀行の償還に行くのではなくて、来年度に五百億の余裕を持つて繰越すという形で行くわけですか。この前の蔵相の答弁を聞くと、いずれ近いうちに当初の予定通り債務の償還をする予定であるということであつたが、それが来年度へ持ち込まれる。見返り資金の余裕として来年度にまた見返り資金特別会計の方へ計上される形になるのかどうか。
  54. 池田勇人

    池田国務大臣 余裕金という言葉がちよつと私には気にいらないのですが、とにかく今年、債務償還をしないとすれば、五百億の金は食糧証券を持つて翌年度へ繰越すということになるのであります。
  55. 林百郎

    ○林(百)委員 その点ちよつとはつきりしないのですが、食糧証券はいずれまた償還されると思うのです。そうすると五百億の余裕金がそこに出て来ると思うのですが、その五百億の余裕金はどういう費目に計上されるかということなのです。
  56. 池田勇人

    池田国務大臣 食管会計におきましては、食糧証券はピークのときには千六、七百億円の発行になるのであります。年度末には借入金として千百八十億円で切つております。足らざるところは一般会計から出す、こういうのであります。米や麦が倉の中にあります分は借入金でやつているのであります。借りかえにはなりますけれども、千六百億円から七、八百億円の間を上下するわけであります。米を今年度買い込みますと来年九月くらいまで持ちます。それからだんだん売つて行きまして四、五月ころに食糧証券が少くなりますが、麦を買い込むことになるとまたふえて来る、こういうことになるのであります。
  57. 林百郎

    ○林(百)委員 これで打切りますが、そうすると結局、食管の中へ五百億の余裕が含まれているというように解釈していいかどうかということが一つと、もう一つ、本年度債務償還は一般会計の方に二百億残つておりますが、これはどうするか。
  58. 池田勇人

    池田国務大臣 食管の余裕は残つておらないのであります。食管の米が倉にある……。
  59. 林百郎

    ○林(百)委員 米は売られて金になるのだから……。
  60. 池田勇人

    池田国務大臣 売られた場合におきましては、それは食糧証券の金額が少くなるだけであります。米が倉にある間は借金で買つているのであります。しかして問題は食糧証券を日本銀行が持つか、市中銀行が持つか、見返り資金が持つか、預金部資金が持つか、こういうことでありまして、食管に余裕があるというわけではございません。  次に一般会計からの債務償還につきましては、ただいま研究中であるのであります。
  61. 小坂善太郎

    ○小坂委員長 次は小平忠君。
  62. 小平忠

    ○小平(忠)委員 私は二十五年度の補正予算の内容とあわせまして、これに関連する問題について各関係の閣僚に伺いたいと思うのであります。特に最近最も重要視されておりまする講和問題、並びに最近の農村現状から見まして、特に重要な問題を取上げて伺いたいと思うのであります。講和問題に対しましては外務大臣である吉田総理がお見えになつておりませんから、これはあとでお見えになつてからお伺いしたいと思うのであります。時間も非常に少いので、私は農村問題に限定をしてお伺いしたいと思うのであります。  まず最初に主食の統制撤廃問題について関係閣僚忌憚のない御意見を承りたいのであります。まず私最初に周東経済安定本部総務長官に、この日本食糧政策の基本的な問題についてお伺いしたいのであります。吉田内閣が成立されましてから、とられております食糧政策をずつと見て参つておりますと、どうも一貫性がないように思われるわけです。ちようど昨年の今時分であります。十二月の二日、これはまだ記憶に新たな点でありますが、例の食確法の改悪について、御承知のように衆議院においては騒いだのであります。これがちようど昨年の今月の六日の日に、国会開会中ポ政令をもつてこれを強行された、それからちようど満一年を経過したわけなのでありますが、そういつたようないきさつから見まして、あのポ政令をもつて食糧統制を強化するのだということを言つてつておりまするやさきに、また本年二十五年の予算に現われた政府食糧政策というものは非常に一貫性がないだけでなく、特に最近においては、雑穀、いも類だけでなく、米麦の主食に至るまで、これの統制を撤廃するような話が具体的に出ております。こういう問題について、はたして日本が今統制をはずしていいような段階であるのか、どうしても日本は毎年三百万トンに近い食糧というものは絶対不足でありまして、この不足量に対する裏づけがないときに、無定見な食糧統制撤廃ということは、日本の民生安定上一大支障を来すのではないかというふうに考えるわけであります。この問題につきまして、今年度の今後の食糧生産見通しなり、あるいは明年度の輸入食糧に対する考え方、あるいは米麦と雑穀、いも類に対する個々についての今後の取扱い方、これについて周東大臣の忌憚のない御意見をまずお伺いしたいのであります。
  63. 周東英雄

    周東国務大臣 食糧問題についての根本問題でありますから、農林大臣の方からお答えになるのが至当かと思いますが、総合官庁として全体的にどう見るかというお尋ねでありましようから、一応私からお答えを申し上げます。今お尋ねの点は食糧政策についてということであります。この点について特に小平さんに私はお願いをしたいのは、私ども政府としても、自由党としても、食糧政策についての考え方については、はつきりと消費者国民大衆に対してできるだけ安く、量的にも質的にもよいものを供給するという方策のもとに立つて、案を進めておるということをまず第一に申し上げます。従つてその食糧政策の問題と農業政策の問題とは、はつきり区別をしてお考えを願いたいということであります。農業の問題は日本の民族といたしまして、一番農業生産食糧というものがその中心をなしておりますから、これは当然関連を持ちますけれども、だからといつて常に食糧政策が農業食糧政策だけに限つておるものではない。常に畜産、水産をあわせて、質的に総合食糧計画を進めておるということを第一段に申し上げます。  次に食糧問題について一貫性がないではないかという御指定の内容は、統制の撤廃をするとかせぬとかいうことがいろいろ出ているが、今年の四月ごろは——食確法関係をポ勅で出して、強行して供出に努めたにもかかわらず、今度は撤廃を云々しているではないか、そこに一貫性がないというお尋ねであります。私どもはつきり申し上げますが、最近に新聞にいろいろと将来の財政問題なり、日本外国から得ておる補給金問題等とからみ合せまして、日本食糧統制の撤廃をした場合、いかがになるかという研究課題がいろいろな方面から寄せられたことは事実であります。しかもまだ政府としても、党といたしましても、米麥を撤廃するということはきめたことはございません。撤廃をするということは一つの理想であり、目標であります。しかし私ども政府としても、党といたしましても、これは食糧問題として単に統制撤廃のために撤廃をするということでなくて、事柄は現在の国際情勢日本経済情勢環境のもとにおいてこれを撤廃するということについては、少くとも三つ四つの要件が必要である。一つは内地における輸入食糧の確保の見通し、また撤廃後における食糧価格の調整軌道の問題、また取引関係における市場関係の機構の問題、ことに農業関係その他の食糧関係に伴う金融の問題等について、ある満足できる程度確立ができるという見通しが立つて、しかもそれを実現するについては、相当猶予期間がいるということの見通しのもとにおいて、政府も党も研究をいたしておつたわけであります。その結論に対してなかなか到達いたしませんので、今日ただちにはずそうとは考えておりません。しかし事柄は農業食糧の問題に関しましても、統制をしておくことのみが農民のためになるとは考えません。ほんとうに農民自体が自由な気持で自由に作付をし、そのものが自由の価格で売られるということに持つて行くことこそ、ほんとうは農業者のためになる。そのことは、統制前において一番これに反対したのが農民であり、農民の代表者である。要は今はずされるということが起つた場合において、経過的にその間における混乱をいかに防いで、そうして農業者のために不利益にならぬようにし、かつ消費者全般に対して、食糧の倍給に混乱を来さぬということの見通しをつけるかどうかということが問題である。本来の形からいえば、農業生産は工場生産と違つて天候に非常に支配されて、そうして計画通り生産が必ずしも起り得ないというものについては、自由の形の方がほんとうに農民のためになると私ども考えておる次第であります。その際における必要なことは、先ほど申しました諸條件を完備することが必要であり、政府としても党としてもそういうことに行くには、少くともこの四つの條件は完備させて行きたいと考えております。
  64. 小平忠

    ○小平(忠)委員 まことに懇切な御説明をいただきまして恐縮いたす次第であります。ただいま周東国務大臣は、食糧行政は農林大臣の所管であるということを冒頭におつしやられたのでありますが、私はそのことは実はわかつているわけであります。     〔委員長退席、西村(久)委員長代理着席〕 あえて周東大臣にお伺いいたしましたことは、広川農林大臣がこの日本の農業生産力を高め、自給度を高めて行くのだというようにおつしやいますが、しかし日本の今後の食糧行政は、はたして国内における農業生産力を高めて行くのか、あるいは口では生産力を高めるのだと言いながらも、それを圧迫するような部面が非常に多いのであります。そうして一面に外国食糧というものを思い切つて削減すべきであるというにかかわらず、また明年においても相当量の輸入計画しておるということの実体から見て、外国食糧によつて日本食糧の需給のバランスを保つて行くのか、あるいは国内生産力を高めて行くのかという問題について疑念があるわけであります。そういう点について広川農林大臣が農業生産力の増強をするのだ、一割増産をはかるのだと主張されましても、やはり総合企画庁たる安本長官周東大臣の意向を、私はまず最初に承つてみたかつたからなのでありますが、そういう観点においてただいまの御答弁は非常に懇切丁寧なのでありますが、あわせて今後の日本食糧の需給の重点を輸入食糧に置くのか、国内生産力に置くのか、この点について周東大臣にもう一度お伺いしたい。
  65. 周東英雄

    周東国務大臣 その点につきましては、これは申すまでもなく、でき得る限り日本国内における自給度を向上させて行くことが第一要件であると考えております。
  66. 小平忠

    ○小平(忠)委員 それで安心をいたしました。しからば明年度の外国食糧輸入の問題につきまして、これは非常に大きな問題であります。御承知のように今回の補正予算の三百大十三億の財源の主たる部面は一体どこから出て来ているかというと、これは輸入食糧補給金の削減による百三十四億、これが非常に大きな中心となつて現われて来ているわけであります。今度の国会に救農国会だということが強く取上げられ、また政府も野党から申し入れた興農国会、これの開会を今回やつたということに関しましては、十分わかつておられるわけであります。これに関して現われた予算の内容というものはどうかというと、非常に私は遺憾にたえないのであります。なぜならばこの補正予算の主たる財源が補給金の削減、それが中心的な部面を持つておるというのならば、今度の国会の開会も、最も主たる部面である農村現状を救うという点から見て農業の生産力を高めるという面において、予算の裏づけが幾らあるのかということを私はおもんばかるものであります。内容を見まするのに、農業共済再保険特別会計の繰入れが八億八千七百万円、それに供出報償物資の損失補償が五億六千四百万円、それに麦の増産対策費が一億四千万円、もう一つ加わりまして農作物の災害応急対策費が二億二千七百万円、合計十八億一千八百万円であります。これ以外にはこの大蔵省から出されました説明書なり内容をつぶさに検討してみましても、ないのであります。そういう点から見ますと、今町の歳出増百三百六十三億という増額に対する比率は、わずか五%にすぎないのであります。これではたして政府は今度の国会を救農国会と言われるのか、あるいは削減された補給金というものは、一体どこに振り向けるものであるか。私は当然補給金を振り向けるということにおいては、それに裏づけになるべき農業生産力の増強という面に持つてつてこそ、今回のこの臨時国会開会の趣旨が十分にあると思うのであります。この点に関しまして、私は大蔵大臣の基本的なお考え方をまずお伺いしたいのであります。
  67. 池田勇人

    池田国務大臣 補正予算に盛られた農業関係の費用はお話のように十八億円はもちろんでありまするが、家畜関係で一億八百万円も出ておりますし、農業団体等の補助金三科目を入れますと三十一億円ばかりになるのであります。この二十一億円で十分とは思つておりません。農林大臣お答えせられましたように十五箇月予算ごございまして、来年度には相当盛つておる考えであるのであります。しごうして補給金が二百六十億も減つた。かるがゆえにこの分が農業に行かなければならぬということは、議論が間違つているのではないか(「消費者に行くべきだ」と呼ぶ者あり)二百六十億のうちお話のように農業関係、主食の輸入補給金が少くなつたのは百三十四億、そうしますと鉄鋼なんかで少くなつたものは鉄鋼関係に行かなければならぬ、ということになるのであります。ことに主食の輸入補給金が少くなつた理由は、外国の小麦、米が予算よりも安く買えたということ、一つは片一方で、米や麦の国内生産価格が上つたということから出て来るのであります。従いましてこれが農業関係へ直接行くという議論は出て来ない。今もそこでどなたか言つておられますように、もしこれが行くとすればこれは一般消費者大衆に行くべきだということから、私は一般消費者を助けるための減税をやつておるのであります。これがつまり理論的だと思います。
  68. 小平忠

    ○小平(忠)委員 ただいまの大蔵大臣の御説明、私はまつたく反対であります。そこで橋本さんも消費者に行くべきだというようなことを言つておられますが、もちろん私は消費者にやるなということではないのであります。もつと根本的に輸入食糧というものは、現在日本における食糧生産が足らないから持つて来るのだ。国内生産を高めることによつて外国食糧はいらないのだ。ですから外から持つて来る食糧に対して出して行く補給金を、むしろ逆に国内生産力を高めるための土地改良なり、そういう面にこの補給金をやることによつて食糧輸入を最小限度に食いとめることができる。今回のこの説明書によりますと、輸入価格が著しく引下つた。さらに当初予定しておつた大豆とかあるいはそのほか小麦——大体米が八万トン、大豆その他において十二万トンの輸入減、さらに農業パリテイーの上昇といつたような点から、今回補給金を削減したということをおつしやつておるのですが、基本的にいうと、政府も農業生産力の増強という面においては、確かに力を入れてもらつております。また農民も生産力を高める点においては、非常に悪條件を克服して闘つております。そういう面において、輸入食糧が当初予定したよりも来なくても、ある程度終戰後のあのような食糧の緊迫した状態より緩和されて生産力は現に上つております。そういう点から農業だけに向けるのではなくて、国民大衆の消費者と農業との両面にこれを持つて行くという考え方でなければならないということなんです。そこで私はそういう問題について、そうしつこく追究はいたしませんが、ただ大蔵大臣は明年の輸入食糧をどの程度にお考えになるのか、さらに今回輸入価格の値下りのため補給金が著しく減じたというのですが、一体現在の輸入価格は幾らで日本に入れておるのか、それから明年度の輸入食糧に対する考え方、これが基本的に今回の米価の決定なり、明年の予算の編成の上に大きな中心的な問題になると思いますので、これについてお尋ねしたい。
  69. 池田勇人

    池田国務大臣 御承知の通り今年度の主食の輸入は、当初三百四十万トンでありましたが、補正予算で三百二十万トンに直したと考えております。明年度におきましても大体三百二十万トンを予定いたしたいと考えております。そうして米や小麦の値段の点でございますが、予算説明書に書いております通りに、今までの実績は百二十九ドルと百三十二ドル、しかし今後は百四十ドルくらいではないかというので、一応当初予算を組んでおります。実際問題といたしまして朝鮮動乱後の小麦、米の動きを見ましても、主食につきましては値段は上つておりません。ことに小麦は六月からの高低はありますが、外国の小麦は少し安くなつているのじやないかと私は考えております。しこうして日本がこれからどれだけの米を入れるかという問題につきましては、朝鮮米を入れるか、あるいはシヤム、ビルマ米を入れるかということによつて補給金がかわつて来ます。御承知の通り朝鮮米を先般入れましたのは百四十二ドル、そうしてビルマその他の分は百三十ドル前後、こうなつております。小麦は大体ガリオア等で参りますのは九十三ドル程度であります。しかしこれをわれわれが自分の計算、コマーシヤル・ベースでドルをもつて買えば八十五ドルぐらいで買える小麦もあるのであります。これが今度小麦協定に入りますともつと安く買えます。七十二、三ドルくらいで買えるのではないか、こういう考え方を持つております。私は小麦、米の分は、これは非常な場合は別でございますが、ただいまのところ世界的に上昇はしていない、こういうことが言えると思います。
  70. 小平忠

    ○小平(忠)委員 それで大体の構想はわかつたのでありますが、先ほどの周東大臣のお考え大蔵大臣のお考えは少しく食い違いがあるのじやないか。周東大臣は、今後の食糧政策の重点は国内生産を高める、これに重点を置く。大臣の今の説明をお聞きしますと、依然として明年も今年と同数量の食糧輸入計画を立てております。これはどうしても朝鮮動乱を中心とした最近の国際情勢の推移から見ますと、必然的に起る物価の上昇によつて、やはり相当高い食糧輸入しなければならぬことから当然受ける圧迫は国民の消費大衆であり、また農民も圧迫を受けるわけであります。そういう観点から私はもう少し強く関係当局に対しましても、この輸入食糧に対しましては折価をお願いしたいと思うわけであります。  この機会に、先ほど勝間田君からちよつと質問されました二十六年度の予算の問題でありますが、この予算の中で御承知のように公共事業費の削減の問題なり、あるいは公共事業費にまわされますところの見返り資金、この百二十億の問題、これについてわれわれは非常に大きな関心を持つております。これはどうしても当初内閣計画された一般公共において千八十八億というものは絶対確保していただきたいというふうに考えておるのでありますが、先ほどの御答弁では大体のところはけまつたというお話でありますが、その大わくにおいてどの程度までおきまりになりましたか。あるいはこの対日援助見返り資金の打切りによつて、現在の公共事業費がストップされてしまう、これは非常に重大問題だと私は思うのです。その点について、現在の段階について率直な御意見を承りたい。     〔西村(久)委員長代理退席、委員長着席〕
  71. 池田勇人

    池田国務大臣 周東安定本部総務長官の御意見と何らかわつておりません。吉田内閣が農産物の増産をはかり、いわゆる国内の自給力を高めるということは総理の演説にもありました通りでございます。この方針に何らかわりはないのであります。ただお聞きになりましたところが何ぼ輸入する予定だ、こういうお話でございましたので、予算上はそう組んでおる、少くなればこれに越したことはないのであります。  次に公共事業費に対しまして見返り資金から出るか出ないかという問題につきましては、ただいま折衝中でありますが、なかなか困難な状況であるということだけで御了承願いたいと思います。
  72. 小平忠

    ○小平(忠)委員 その点においてはまつたく新聞発表と何らかわりないのでありまして、とかく新聞に先に発表されて委員会はいつもあとまわしになる。私はやはりこの問題は、大臣はこの補正予算を提出されるその冒頭説明で、この補正予算は二十六年度の予算と総合関連をもつてこれは編成したものであるという説明であるが、もうきようあすにはこの委員会の討論を打切つて上げようなんという段階でありますから、大臣からやはり率直に大体の見通し、それはきまらぬ点はきまらぬでいいと思いますが、一般公共事業費といたしまして一千八十八億というものがどうなつたか、そういう点について私はもつと御親切に、それはきまらないものを別にきまつたとおつしやつていただかないでいいのでありますが、御説明願いたい。
  73. 池田勇人

    池田国務大臣 ただいま申し上げましたように、まだはつきりきまつておりませんので、誤解を招くといけませんので発表いたさないのであります。私といたしましては、公共事業費に対しまして、見返りから全部でなくても、できるだけ出してもらいたいというので努力しているのであります。それがなかなかむずかしそうなので、これが全部でございまして隠したところはございません。大体わくはきまつておりますが、やはり来年度につきましては、今までよりももつと一般会計と預金部、見返り資金との関係が複雑になつて参りまして、そちらの方がまだきまりかねているので、一般会計の方の分もまだ閣議にもかけていないような状況であるのであります。いましばらくお待ちを願いたいと思います。
  74. 小平忠

    ○小平(忠)委員 それ以上御追究申し上げません。  次に、農業生産力を高めるというような基本的な農業経営の実体を左右する大きな問題としては、農産物の価格の問題があります。この問題について私は農林大臣に率直なる御意見を承りたいと思うのでありますが、先ほど勝間田委員質問に対しまして、米価審議会の問題に触れました。それで大臣米価審議会における答申を尊重するという御回答でありますが、大臣がそうおつしやいましても、やはり今日の段階における物価庁の考え方というものは、例の五千五百二十九円という案を出しているのであります。この物価庁が出された案、それに米価審議会において答申いたしました五千八百円、ここで最後に政府がどういう手を打たれるか。もし政府が五千五百二十九円というものを強行した場合においては、米価審議会はおそらく無用でないかと私は思うわけであります。この問題についていろいろ具体的に私はここに実例なり内容を詳しく持つているのでありますが、与えられた時間がないので、その点の説明を省略して、そこで少くとも米価審議会というものは民主主義的につくられ、そうして消費者も生産者である農民もあるいは学識経験者も加わりまして最も民主的なものである。それは單に党利党略や、あるいはそういつたような職能的なものでなく、ほんとうにあらゆる角度から見ても、この米価審議会というものは民主的なものである。この民主的な米価審議会が過去一箇年にわたつて慎重に計算をし、あらゆる角度から総合いたしましたこの結論を、もし踏みにじるようなことがあつた場合においては、私はまつた米価審議会は單に言い訳機関にすぎないのじやないかと思う。そこで農林大臣にお伺いしたいことは、米価審議会が答申をいたしました五千八百円、これを大臣としては、ひとつあくまでもがんばるという考えであられるか。あわせて周東物価長官に対しましても、この基本的な米価があらゆる農産物の価格に及ぼす影響が大でありますから、この点について両大臣に腹蔵のない御意見を承りたいと思います。
  75. 周東英雄

    周東国務大臣 この点については私からお答えをいたします。先ほど農林大臣米価審議会に対する御意見を述べられました。これは私ども同感であります。しかし民主的にという今のお言葉でありますが、今日の米価審議会にかけられた政府案は、諮問が出ますまでのいきさつは、御案内のように各方面にわたつて研究し盡された結論であります。しこうして政府の方針といたしましても、また広川農林大臣のかねがねの主張である——農村に対して比較的圧迫されておつた米価の点について、ことしこそはこれをよくするということが第一眼目であると農林大臣が就任のときに申しました通りに、われわれも何とかして合理的にりくつのつくだけよくしたいということで、あるいはパリテイー方式を研究し、または生産費計算をやりまた所得パリテイー方式も研究し、また国際価格さや寄せ問題も研究し、あらゆる点から各方面にわたつてお話をし、研究をして、決定して出て来たものがあの案であります。従つて新しくできました農業団体の方の御意見ももつともでありますが、この処置をどうするかは今申し上げられませんが政府の案はかなりよく研究し盡されたものであります。いろいろのことを申し上げる時間がございませんが、農業団体の立場からああいう御答申があつたことはごもつともでありますが、あの中にはかなりむりな要因が含まれておりまして、調査農家も百六十戸、そうして限界価格をとつて高いものを集めて計算されておる。しこうして労賃計算においても一応りくつが立つておるようだが、工業生産費の八三%をとられておる。ところが実際の農業生産費を調べられた方面を見ると、現実農村における雇用労賃というものは平均二百二十円となつておる。それが非常に上まわつておるというようなところもいろいろあります。むしろあの案に取入れられた調査中の中庸生産費をとりますと、線の引き方もありますが、大体今の五千五百円前後くらいになる。今度政府のいろいろの考え方ですと、五千五百二十九円でありまして、いろいろと研究し盡した結果がそうなつておるのであります。最終のことは今研究中でありますから申し上げられませんが、そういうこともよく御了承願つておきたい。  それから民主的にと申しますけれども、先ほどあなたの質問に答えた通り食糧政策の問題は、やはり一般国民の消費者大衆の問題もあわせ考えなければならぬのだということを申し上げておきました。しかるに答申は五千八百円にして消費者価格はことしの六千三百円にすえ置けという答申であります。いかにもどうもあこぎな攻め方で、これをやりますと大蔵大臣はびつくりされると思うが、五百億円ほど出してもらわなければならぬ。減税はせいという、米は高く買つて安く売れということになると、どうしても日本の財政としては困難であつて、こういうようなあこぎな話し方にならぬように、ひとつそれこそ民主的に、米価問題というものは生産者の考え方、国民一般大衆の問題に即する問題であるから、そういう事柄でひとつよく御相談したいということで、私はただいま最終決定を慎重に研究しておりますから、御了承願いたいと思います。
  76. 廣川弘禪

    廣川国務大臣 米価についての政府の態度は、安本長官お話通りでありますが、食糧自給度を高めるためには、米価をどうしても上げなければならぬということは、われわれの当初の願望であり、また農民全部の希望であつたのであります。これが各方面に安いて四千円台でまごまごしておるときに、農林省はすでに生産費を基底といたしまして五千四百円から五百円の間のものをやつてつたのであります。これで大蔵省の国際価格にさや寄せという議論もやはりこの程度に参つて、そうしてわれわれとしてはあの発表した案が量もよろしい案であると信じて出したのでありますが、答申案についての差は、先ほど安本長官が言つた通り慎重にこれは取扱いたい、こう考えております。
  77. 小平忠

    ○小平(忠)委員 その問題は政府の意のあるところはよくわかりました。どうかこの答申案を十分尊重されまして、これにまつたく近い線——同額で行けば幸いでありますが、まつたく近い線において最善の御配慮をいただきたいと思います。  最後に農林大臣に一点お伺いいたしたいことは、積雪寒冷地帯に従来早場米の奨励金を出しておりました。これは本年度は六十億を予算においては計上しておりましたが、明年はこれが出額になつて三十億ということになつております。この奨励金の三十億の減額に対して、農林大臣は、これは單作寒冷地帶に対する従来特殊事情からしてやつてつた問題であるという観点から、どうしてもこの減額された三十倍は、今年と同じように何とかつけてやりたいという親心から、この三十億のうち二十億は土地改良に、あとの十億は農業関係産業経済、これは畜産なりその他深土耕、酸土矯正、いろいろございますが、そういう面にまわすということにおいて、この三十億という特に土地改良を重点にいたしました予算を、一般会計の面から明年度は何とか捻出したいということにおいて、着着とその案が練られておるということを仄聞しておるのでありますが、これは事実であるかどうか。  さらにもう一点、例の農村金融の現状からいたしまして、非常に農村現状は金融難に脅かされております。この点については、農林大臣が提唱された農林漁業金融公庫の問題も、どうやら暗礁に乗り上げて見通しがつかない。これにかわるのに、農村に対して長期の低利資金の融資ということをお考えになつておる。この問題は、金融公庫と別個に切り離して農林中金を通じて農業協同組合なり、あるいは土地改良といつたような面にも融資をしたいというお考えがあり、現にその法案が着々できておるということでありますが、それは事実かどうか。  もう一点は、農業協同組合の現状は、御承知のように非常に困つております。これに対して農業協同組合の再建整備法を次期国会に出される、この法律中において、農業協同組合に対する農業会からの資産引継ぎのときの固定資産問題に対する利子補給、これらの問題も再建整備法の中においてお考えになつておるということを私は聞いておりますが、その三点についてお伺いをいたします。
  78. 廣川弘禪

    廣川国務大臣 早場米供出の報奨金についてでありますが、これを三十億に減らしてあるが、本年の通りに六十億にして、その三十億の金は別にまわしたらどうかというお話でありますが、早場米の單作地帶には今まで国民全般が非常にせわになつておることは事実であります。また食糧のやりくりの上において、早場米が非常に多かつたことも事実でありますが、だんだん食糧が貯蔵されて参りまして、その効果は薄くなつてあることは御承知の通りであります。しかし單作地帶に対しては政府として考えなければなりませんので、特に三十億を入れたのでありますが、その差額の三十億を公共事業費として單作地帶の方面にまわしてはどうかということでありますが、これにつきましては予算折衝をいたしておるようなわけであります。  それから金融関係についてのお話でありますが、農林省として提唱した農林金融金庫の構想は今でもかわつていないのであります。ただ出す形式が多少交渉過程においてかわつているやに承知いたしておりますが、われわれといたしましては、いずれにしろ農村に対しての長期低利な金融をしたいということで参つておるのであります。この土地改良等については特にわれわれは重点的に取げたいと考えておるのであります。特に北海道における土功組合連合会とでも申しましようか、ああいう組合に長期な、しかも少しまとまつた金をやつて、そうして土地改良をすることが必要であるとこう考えております。  それから最後の点の農業協同組合の再建整備については、先日も申し上げました通り法案を提出いたしまして、予定いたしておりまする資産に対して利子の補給なり、その他の方法ができ得るような法的根拠をつくりたいと思つて、目下検討しております。
  79. 小平忠

    ○小平(忠)委員 ただいま農林大臣が北海道の点に触れられたので——実は先般農林大臣は北海道へおいでになられて、非常に北海道開発の重要性を力説せられ、非常にわれわれといたしましても喜んでおるわけであります。幸い今北海道開発庁長官であられる増田建設大臣がお見えになつておられますから、これは非常に関連ある重要な問題でありますのでお伺いしたいのでありますが、北海道の資源の開発という問題につきましては、御承知のように敗戰によつて、多くの領土を失つた日本といたしましては、北海道の開発というものは、政府はもちろんのこと、あらゆる面において北海道の資源を開発しなければならぬという点において、去る第七通常国会で北海道開発法が通つた。これによつて開発法ができおるということからわれわれは非常に期待を持つております。そこで北海道の資源は、石炭においては全国埋蔵量の五割に匹敵する八十億トンというものが埋蔵されておる。さらに農業開発というものは七十八万町歩という全国の五割が北海道にある。水産においては全国の四割、林業においては三割というようなぐあいで、北海道の資源は今後これをすみやかに開発することが、日本産業経済に寄与するところが多いということで、政府も着々とこの施策について協力されておりますが、これについては何といつても、基本となるものは予算の裏づけであり、それを総合的に実施するということでないかと思いますが、現在の総理府に設置されております開発庁は、本年は予算の発言権もありません。さらにまたそれを総合的にやるということもなかつたのでありますが、私はどうしても北海道の開発は、かつて北海道の拓殖計画を実施したり、朝鮮、台湾を開発したりしたところまで持つて行かなければならぬ。結局別わく予算を計上して、五箇年なり十箇年なりの長期計画を立ててやるのでなければ、北海道の開発ができない、こういうふうに考えるのでありますが、開発庁長官であられる増田建設大臣の御意見を承りたいのであります。
  80. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 北海道の戰戦後における位置というものについての重要性については、お説の通り私も同感であります。このことは政府、国会すべて同じ立場に立つて北海道開発庁ができたゆえんでございます。この北海道総合開発について、従来小平さんその他各党各派を越えて、北海道選出の国会議員各位が御努力くだすつておることに対して、この機会において衷心より敬意を払いたいと思つております。  そこで予算の問題でありますが、本年度は開発庁としては予算をやはりそれぞれの財政当局に要求をいたしております。また予算書の上に開発庁としての部門を持つということについても、これまた閣議決定があるのでございます。ただしかしながら予算を執行する場合におきましては、北海道開発庁はまだ北海道の総合開発についての企画庁であり、またその企画の推進機関でありますが、執行機関ではございません。将来執行機関になるかどうかということは、総合開発計画の内容次第でありまして、現在のところはまだそういうことは考えておりませんが、それぞれの地域なりあるいは総合開発事業の性質なりによつて、あるいは開発庁が執行機関になる必要がある場合にはあり得るということをこの際私は明言いたしたい。以上をもつてお答えといたします。
  81. 周東英雄

    周東国務大臣 ただいまの問題につきましては、増田建設大臣からお答えなつたと同一に考えております。
  82. 小平忠

    ○小平(忠)委員 それでは以上をもちまして私の質問を終りたいと思います。あと総理大臣に対する問題は、またお見えになりましてから伺いたいと思います。
  83. 小坂善太郎

    ○小坂委員長 稻村順三君。
  84. 稻村順三

    ○稻村委員 今小平君の農林大臣に対する質問と関連いたしまして一点だけ質問したいと思いますが、まず米価審議会の問題であります。米価審議会の権威を尊重する、こういう意味に述べておりましたが、この権威を尊重するというのは手続上どうやつて権威を尊重するのか、それをおき開きしたい。
  85. 廣川弘禪

    廣川国務大臣 あなたも御承知のように、この米価審議会は諮問機関でありますので、答申された案を尊重いたしまして、慎重に検討したい。こういうことであります。
  86. 稻村順三

    ○稻村委員 そうしますと、答申した案を尊重するという意味になつて来るのでありますが、米価審議会が開かれる前に、政府はすでに五千五百二十九円という物価庁中心の意見が一応出たようでありますが、これを決定すると先だつて米価審議会の答申を得たかどうかということをお尋ねいたします。
  87. 周東英雄

    周東国務大臣 先ほど申し上げましたように、今年はいろいろな意味において物価の上昇の状況国際情勢の問題、さらにわれわれが考えてできるだけ合理性を持つた価格合理的な点から農家の所得を確保したい、米価を上げたいということで、実は各般の方面と連絡して、今出ておるような事柄の研究をし盡して一つの諮問案ができておるのであります。従つて事実の上に立つては、大体今答申されたような内容については十分に聞いて、一つの諮問案ができておることを御承知願います。
  88. 稻村順三

    ○稻村委員 今の意見は実に私にとりまして意外なのであります。なぜかといえば、各方面意見を聞いたというのは政府の私的な折衝であります。公的な審議会というようなものがあるときに、ことに複雑な米価の決定が必要であればあるほど、私はこの公的機関である審議会にまずかけて、審議会意見を聞くという形をとらなければ、米価審議会なるものの権威を尊重したこととならぬのでありまして、(「その通り」)むしろ私は政府の方で一応の意見を出しておいて、それをこの通りでどうかといつて最後に諮問して、それが受入れられない場合には政府意見をむしろ主張して行くというのは、米価審議会の機能を抹殺しようとする陰謀だとさえ言つてさしつかえないと思うのであります。これでもつて米価審議会の権威を尊重したと考えておるのか、やむなく蹂躙したと考えておるのか、ここではつきり御返答を願いたい、
  89. 周東英雄

    周東国務大臣 お話通り、公的な機関にかけるという前におきましても、あまりいいかげんな案を出して笑われないように各方面意見を聞き、実際的に合理的な案をつくることがまず必要だと思いまして、各方面に問いたのであります。その結果決して審議会を無視しておるのではなく、合理的な案をかけて答申を得、その答申については先ほど申したように慎重に今その措置について考究いたしておると申し上げた次第であります。
  90. 稻村順三

    ○稻村委員 そうすると政府が慎重に審問したところの原案の五千五百二十九円というものは、これは政府は絶対的の案ではない、米価審議会の五千八百円も絶対的でないとするならば、ここではつきりと御答弁願いたいのは、米価政府の一応出した案とも、米価審議会の出した案とも、別な結論が出て来るということを意味するのでありますか。そうして米価審議会の一応の答申をある部分は採用するという態度をとつておるということを意味するのであるか。従つて五千五百二十九円というものに、こだわらぬということをはつきりとここに考えているのであるかどうか、その点の御答弁を願います。
  91. 周東英雄

    周東国務大臣 その点は先ほどから申し上げておりますように、はつきりと今研究をしておるのでありますから、あるいはかわるかもしれませんが、先ほど申しましたように十分慎重に今までは各般の事情を調べる。そうして利害、長短、得失、すべて研究しておるのでございますから、大体政府の方がいいかと思つておりますが、しかし答申もありまするので、慎重に研究をいたしておると申し上げておるのであります。
  92. 稻村順三

    ○稻村委員 慎重に慎重にと言いますけれども勝間田君も小平君も申しましたように、審議会の権威をどの程度認めるかということになりますと、答申の五千八百円と政府の原案との間に、百円の開きを縮めることは、百円だけ権威を認めたことになる。五十円しか認めなければ五十円しか権威を認めないことになるのでありまして、もし政府の原案をそのまま通すというと、これは権威をゼロに認めたということになるのでありますが、これは常識であります。こういう点を私は聞いておるのであります。私たちは少くとも一つの法的機関を設けて、これの答申をさせるということになれば、そういうふうにこの言い分を多少でも認めるという立場に立つているのか、またこれはけ飛ばすという立場に立つているのか、この点を明確にしてもらいたいと思いますが、といつてそうでなかつたならば、ゼロにするならば何も権威を認めることにならぬ、その点はつきりと御答弁願いたい。
  93. 周東英雄

    周東国務大臣 今のお話で五十円分認めるか、百円分認めるかというようなお話でありますが、そういう量的な問題でなくて、質的に合理的に結論を出したいと今考えております。
  94. 稻村順三

    ○稻村委員 そうすると、質的にいつて、もしも政府の原案の通りにきまつたとしたならば、どういう形で審議会の答申の権威を認めたことになるのか、その根拠をお伺いいたたします。
  95. 周東英雄

    周東国務大臣 私はたまたまあの結論を見ておりますが、多数決の形になつておるようですが、中には依然賛成の方もあるのです。私どもはどこまでも消費者の立場と生産者の立場を考えて、物事は考えなければならぬ、その算出の根拠に不合理性があるとはどうしても考えることはできないと思うのであります。その点は十分考えておりますことを申し上げて御答弁といたします。
  96. 稻村順三

    ○稻村委員 いくらやつてもこれは押し問答になりますが、私は今算出が合理的であるとかないとかいうことを問題にしておるのではなくて、米価審議会の権威をどうやつて尊重するのか、この尊重の仕方について答弁を求めておるのにかかわらず、全然これに対するところの答弁がないのだと考えまして、政府審議会の権威を尊重する意思なしと解釈いたしまして、私の関連質問を終ります。
  97. 周東英雄

    周東国務大臣 先ほどから申し上げておりますように、もしも審議会の答申を無視するならば、答申がありましてもすぐに決定いたします。尊重しているからこそ、今何らかの合理性があるかないかということを再審査いたしておる最中で、十分尊重いたしております。
  98. 小坂善太郎

    ○小坂委員長 林百郎君。
  99. 林百郎

    ○林(百)委員 先ほどの池田大蔵大臣の御答弁の中で、本年度の見返り資金の債務償還の五百億を糧券として持つておるということであります。このことは最初本年度の一般並びに特別会計の債務償還千二百億というのは一市中銀行を通じて産業設備資金あるいは産業資金として投資されるのだ、これが池田財政の基本的な生命線であるということを、私は昭和二十五年度の当初予算説明のときに聞いたのであります。ところがその後の見返り資金の運用を見ますと、政府から出された資料によりましても、たとえば公企業の当初目標四百億のうち、すでに投資されたものはわずか百八十三億、また私企業のうち当初見込み四百億のうち、投資済みのものわずか百十三億ということで、この債務償還の運用については、その後非常に当初の池田大蔵大臣の方針と違つて来ておるのであります。そこで先ほどの見返り資金五百億分糧券を持つておるということでありますが、これは結局債務償還とはいえないと思うのであります。短期の預金をしておるということとかわりはないのであります。当初の池田大蔵大臣説明による市中銀行を通じて産業資金としてこれを散布する、そうしてデフレの行き過ぎをこれでブレーキをかけるという方針とは違つておると思うのであります。そこで私は広川農林大臣にこの糧雰の償還の問題について、見返り資金から投資された五百億の食糧証券の問題については、どう考えておるかという点が一つと、それからその食糧証券が償還された場合の五百億を、池田大蔵大臣がどう運用されるかという問題が一つと、本日の新聞にもあります通りに、この見返り資金五百億を来年度に持ち越すか、あるいはこれを他に流用するか、それは大した問題ではないということを言つておるのであります。これはどういうことか、債務償還に充てようと、他に流用しようと、大したことでないということになれば、ポ政令によつて警察予備隊に運用されたように、きつと予算の名目は債務償還という形にしてあるけれども、実際これは朝鮮事変の填補だとか、あるいは国内の警察の設備だとか、こういうものとにらみ合せていつでも出すことができるようなものを予算のクッシヨンとして、そつとこれを持つていたいという意図なのか、大蔵大臣にその辺をはつきりと御答弁してもらいたいと思うのであります。
  100. 池田勇人

    池田国務大臣 見返り資金に計上してありまする債務償還はどうするかという問題につきましては、今一応債務償還にしてありまするが、今後の分はわからない、こういうつもりで言つておるのであります。こういうことはきまりましたらお話申し上げたいと思います。なお国債を償還するか、あるいは糧券を持つか、あるいは他の金融債に行くか、こういうものが五百億円以外の金とも兼ね合いの問題でございまして、そういうものと一緒に研究しなければならない問題として、今検討を続けております。
  101. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると、先ほどから聞いておりまするが、結局池田大蔵大臣の国債五百億償還という方針は、変更されたのだ。糧券を持つておるということは、当初の池田大蔵大臣が、見返り資金によつて債務償還五百億計上した方針とは違う。これは明らかに短期の証券なんです。預金したものとかわらないのです。ここにいつでも使える金が残つておるわけです。実際はまだ国債を償還したことにならぬので、もしあなたが当初の方針の通りに国債を償還して、市中銀行を通じて産業資金として散布するというのなら、いつそれをなさるのか。あなたが昭和二十五年度の予算説明の際に池田財政の生命線だと言つたこの千二百億円の債務償還をいつ実行されるのか、それをはつきり説明してもらいたい。もしそれが説明できないなら、当初の池田財政はもうくずれているのだということを断言したい。
  102. 池田勇人

    池田国務大臣 千二百億円の債務償還のうち、ただいま二百数十億円債務償還いたしました。また警察予備隊あるいは海上保安隊の方に二百四十億円出す予定にいたしております。しこうして今残つておるものは、一般会計で二百七、八十億円と見返りの五百億円であります。この点につきましては先ほど来答えておりますように、ただいまのところ国債償還というので御審議願つておるのであります。変更するときにはまた変更のことを御審議願うことにいたしたいと思います。
  103. 小坂善太郎

    ○小坂委員長 黒田寿男君。
  104. 黒田寿男

    ○黒田委員 小平君の質問に関連して周東安本長官並びに広川農林大臣質問いたしたいと思います。  第一は、小平君から日本食糧問題の解決方法といたしまして、自給主義に重点を置くのか、貿易主義で行くのか、こういう質問があつたのでありますが。それに対しまして、周東長官はできるだけ国内の増産をはかるというお答えであつたようであります。これに対し小平君もそれで満足したというようなお話でありましたが、どうも私にはそれだけでは満足できませんので、この点についても少し明らかにしておいていただきたい。大体自給で行くかそれとも貿易主義で行くかということは、單に食糧問題だけではなくて、わが国の全産業におきまして自給経済確立するために貿易中心で行くか、それとも開発主義で行くかということが二つの大きな論争の種になつておる。食糧問題についてこれを研究してみましても、やはり同様な問題があるのでありますが、今どちらか片一方だけをとつて、他方の主義を全然排斥するということは、現実に即さないのでありまして、輸入貿易もやらなければならぬし、国内増産もやらなければならぬ。けれどもわれわれとしましては、増産を主とするという方針を持つておりまして、周東長官の御答弁もい同様な方針だということであつたと思ます。小平君は大体そこで質問を打切られましたけれども、それだけでは私どもまだ満足でないのであります。増産するするということは、いつの内閣でも言つておるのでありますけれども食糧につきましては効果ある増産政策が行われていない、増産のために必要な財政支出が行われておりません。そこでお尋ねしたいと思いますが、近いうちにアメリカ援助も打切られることになつており、グレイ報告によりますと、来年の六月ごろで打切られるというような意外な情報も入つております。そこでお聞きしたいのは、増産するすると言つておるけれども援助の打切られるまでの期間において、食糧増産を一体どの程度実現する計画を持つておられるか。單に増産するすると言うだけでは、われわれの欲する回答にはならぬと思います。やがて日本援助を打切られる場合に、新たな食糧問題に対処しなければならぬ、そのときに国内でどれだけ生産できるかということをはつきり見きわめておかなければならぬのであります。政府はどういう計画を持つておられるか、その点を補足してお聞きしたい。  いま一つは、援助が打切られるころに日本が商業資金をもつて購入し得られる数量、これは日本の工業力の発展の度合いと関係がある、この二つを合せて見て、われわれが援助を打切られた場合における食糧の供給量をはかることができるのでありますから、これをも少し計数的にお話願いたいと思います。
  105. 周東英雄

    周東国務大臣 今の黒田さんの質問の前半でありますが、私どもたびたび申し上げておりますように、日本国内食糧を自給自足すると申し上げてはおりません。これは望ましいことでありますし、自給自足が一番よいのですが、それまではなかなか困難もあり、問題がむずかしい。自給度を向上し、でき得る限り国内でまず供給力を高めて行くという線でございますので、その補いとしては、やはり輸入という問題が、経過的にも、また将来も考えられて行かなければならぬ点でありますし、先ほど大蔵大臣から申し上げましたのと、決して意見は違つておらぬのでありまして、ことに今日のような国際情勢騒然たる中におきましては、ある程度の自給をなしつつ、乏しきに対して貯蔵の計画がいるくらいにさえ考えて、食糧計画はある程度考えておかなければならぬと考えております。これは余談であります。  次に今の質問でありますが、輸入に関しての問題は、先ほど大蔵大臣からも申しましたように三百二十万トンほどの計画を進めております。援助資金打切りまでのうちにどうかということでありますがグレイ報告によれば、非常に景気がよいので、来年の六月ごろに打切つてもよかろうというような報告がありますが、その処置についてはまだ公式にどうということはきまつてないようであります。またグレイ報告に続いて書いておるように、このことは日本輸出市場の確保なり、輸出すべきものの原材料輸入の確保の見通しはつきりついて、それに対して日本国内における輸出産業が相当伸びるということがなければ、これが何らかの理由で妨げられるならば、このことはむずかしかろうと書いてある。そのことをあわせてごらんを願いたいと思いますが、そういう意味から言つて、たしかこの間の状態考えてくれておると考えます。またそのことなき場合においては、来々年打切られる見込みになつておりまするので、二段の質問お答えしますが、その場合を予想しては、食糧については大体千二百万石の増産計画を立てております、ざつくばらんに申しまして、九百五、六十万石の増産計画一つ立ててはおりますが、それにいたしましても、これには年次的に相当に金がいるようであります。それらの計画を合せて今企画を推進中であります。
  106. 廣川弘禪

    廣川国務大臣 黒田さんにお答え申し上げますが、ただいま安本長官が言つたとまつたく同様でありまして、自給度を高めることと輸入と両々相まつて、安定度を強めて行きたいと考えておるようなわけであります。  なおまた今まで農村に対して増産の掛声ばかりを言つて予算の裏づけがないではないかというようなお話でございますが、今年度の補正予算につききましては、農村における今まで滯つてつたあらゆる懸案を片づけて、来年からほんとうに増産に必要な金の裏づけをする考えでやつておるのであります。
  107. 黒田寿男

    ○黒田委員 私の質問の前提としまして、ちよつとお聞きしたいと思うことがあります。私どもも多少は調べておりますけれども、ここで政府からお知らせいただけば一番はつきりすると思います。それは、ことし商業資金輸入しております食糧の額と、援助輸入としましての食糧輸入の額及びその割合を、最も近いところでひとつお聞かせ願いたいと思います。
  108. 周東英雄

    周東国務大臣 お尋ねの割合につきましては、政府委員から答弁いたさせます。
  109. 平井富三郎

    ○平井政府委員 ただいまの数字につきましては、調査いたしまして、後ほどお答え申し上げたいと思います。
  110. 周東英雄

    周東国務大臣 今のお話は、ガリオアと商業資金の割合ですから、今すぐにということはむりですから、はじかせましよう。  今日まで数量的にどれくらい入つているかということだけ御参考までに申し上げます。米については上半期に大体九十八万トン計画でありますが、四十五万一千トン入つております。約四六%、大麦については五十三万トン計画が四万五千トン、これは少し少い。小麦は百六十万トン計画で、今日まで七十六万トン、砂糖は大体四十一万八千余トンの計画に対して十二万二千トン、大豆が二十万トンの計画が十六万一千トン、こういうふうに食糧が入つております。この中からガリオアと商業資金の内訳の問題でありますから、その点は後ほど調べてお答えいたします。
  111. 黒田寿男

    ○黒田委員 アメリカ援助が打切られるということを考えておかなければなりませんが、そのときに、はたして今までアメリカから援助を受けておりました程度のものが、商業資金をもつて購入し得られるという見込みがあるか、それを可能ならしめる程度の工業力の発展の見通しがあるかどうか、その点私どもは非常に懸念しておるのであります。これは自給の問題と関連しておるのでありますから、それを承りたい。今、商業資金の面と、被援助資金の面と、どの程度輸入の割合になつておるかということを、お聞きしたのも、実はそれと関係があるのであります。
  112. 周東英雄

    周東国務大臣 お話の点はごもつともであります。生産力を拡充して、生産を高めるということが、自給度の裏づけになるという御質問、もつともであります。これはやはり将来の見通しですから、なかなか困難でありますが、しかし今までのところはかなりよく行つておるのでありまして、たとえば鉱工業生産指数から見ますと、七—十一年を一〇〇として、二十二年がたしか四三%でしたか、二十三年が六三%、二十四年は八〇%ぐらいに生産がなつたのですが、最近は朝鮮事変等の関係もありまして、十月ごろは約一〇六%ぐらいになつております。打切られるときの予想は、来々年を予想しておるのですが、大体一二六ぐらいに持つて行きたいという考えでございます。しかしこのことは、今までのところは私どもはよく進んで来ておると思つております。しかしこれを必ずしも楽観はいたしておりません。今後は一にかかつて、これからの生産を高めるために必要な原材料輸入確保ということが必要な問題になります。これは基本産業である鉄なんかの工業について、ことにしかりと考えますが、これに一にかかつておると考えます。今までのところはともかくもそういう上昇率をたどつておりますから、この推移をいかにして続けて行くかというこの問題に影響がありますれば、そこにさらに別途に、対策を立てるか、国内における生産水準影響するかというような問題になつて来るかと思います。
  113. 黒田寿男

    ○黒田委員 とうも私にははつきりとお答えつたような気がいたしませんでありますが、正直に考えて、援助を打切られるまでの間に、アメリカから今まで援助を受けた程度のものを輸入するだけの商業資金を得られるだけに、日本の工業力が発展する見込みがあるかどうかという点を、われわれは非常に心配しておりますから、これを尋ねておるのでありますが、どうもはつきりしません。もう一つアメリカ以外の方面から、アメリカから援助を受けておりました程度のもの、あるいはその一部、あるいは相当部分を商業資金での輸入で補うことができるか、その見込みはどうでございましようか。
  114. 周東英雄

    周東国務大臣 これはすべてを含めて今考えておるわけであります。日本輸出輸入関係は、アメリカだけでありますことは御承知の通り、大体来年ということを、あなたはグレイの報告を言われますが、私どもは普通の考え方で、来々年を考えてみて、先ほど申しましたように、必要なものを買い入れ、また国内自立経済を持つて行くためには、大体鉱工業生産指数にとつてみて、一二六くらいに持つて行かなければならぬと考えておるとお答えを申し上げた。現在のところ、今年の十月までには大体一〇六くらいに来ておるということをお答えした。これをもう少し引上げ続けて行けば、やれるのじやないかという見込みであるということをお答えし、但しこのことは一にかかつても必要な原材料その他の輸入にかかつておるのだ。輸入が今企画しておるような形に進みますれば、これは行くのではないかと考えておると、はつきり申し上げたのでなります。
  115. 小坂善太郎

    ○小坂委員長 先ほどの黒田君の御質問に対しまして、資料が出たようでありますから、これを答弁せしめます。平井政府委員
  116. 平井富三郎

    ○平井政府委員 昭和二十四年十一月一日から昭和二十五年十月末日までの輸入食糧の実績でございますが、総計にいたしまして二百大十六万トン、そのうち援助が百二十二万トン、商業資金輸入しましたものが百四十四万トン、こういう数字に相なつております。
  117. 黒田寿男

    ○黒田委員 それでは結論的に、今までの問題に関連いたしまして質問いたしますが、要するに政府援助を打切られた場合に、商業資金で買えるだけ念のはつきりした自信があるかどうか。それともまだ懸念があるのかどうか。その点を数字をもつてでなくてもよろしいから、今までの数字を基礎にしてみると、十分自信があるのか、まだひとり立ちできないのであるか。その体を総括的にお答え願いたい。
  118. 周東英雄

    周東国務大臣 先ほどから申し上げておるような基礎に立つて、大体可能なりと考えております。
  119. 黒田寿男

    ○黒田委員 最後にいま一つだけお聞きします。それは米価審議会の問題でありまして、少しくどいようでありますけれども、これも私多少納得の行かない点がありますので、お聞きします。今稲村君と安本長官との間にいろいろ問答が繰返されましたけれども、私はそれでは問題は解決できぬと思うのでありまして要するにこれは制度の変更の問題に触れなければ、この問題は解決できないと思います。今のような形の、農林大臣の諮問機関といたしましての、米価審議会という形にしておいたのでは、双方とも自分の調査の正当さを主張し合うだけで、結局はいつものようにまたその一方が押えられてしまつて、絶えず農民の不満を残したままで、その年々の米価審議会は終つてしまう、こういうことになるのであります。そこで私は根本的に米価審議会の権限なりあるいはまた米価決定機構を変更するという問題に触れて行かなければ、この問題の解決はできないと思う。そこで自由党がよく自由主義、自由主義と言われまして、何だか食糧についても統制を撤廃する価格を撤廃する集荷方法も、販売方法も自由にするという見地から行けば、われわれが価格決定の機関について、これを問題にするのはナンセンスだということになると思う。しかしまだ日本食糧はそこまで自由な制度のもとで集荷、販売あるいは価格を決定して行くということは、できないと思いますから、どうしても一定統制を、価格の面におきましても、それからまた集荷並びに配給の面におきましても、とらなければならぬと思うのであります。先ほど輸入の問題をお聞きいたしましたのも、それに関連いたしておるのでありますが、そういうわけで、われわれはまだ日本食糧の量的面から申しましても自信がないのでありますから、統制は続くという前提で、この問題に触れてみる。財政法第三條に、「租税を除く外国が国権に基いて収納する課徴金及び法律上又は事実上国の独占に属する事業における専売価格若しくは事業料金については、すべて法律又は国会の議決に暴いて定めなければならない。」とある。しかし、附則の第一條におきまして、第三條の規定の施行の日は政令でこれを定めるということになつておりまして、私は米価も第三條に規定せられておりまする価格に入ると思うのです。集荷並びに配給の統制を国家的にとつております以上、この第三條における価格という中に米価が入ると思うのでありましで、それを附則によりまして、国会で決定せられるという措置が、まだ実現されていなち、こういう状態に今なつておると思います。しかしながらなお、制度を設けるとか、審議会の権限をどうするかという問題よりも、すでに法的根拠は米価の決定につきましてできておるので、この方法でやれば、時の政府の勢力関係によりまして、必ずしも農民党の欲するような決定が国会においてなされるかどうかということは別問題といたしまして、少くとも形式上は民主主義の形で問題が片づくということになる。こういう形をとつておけば、米価審議会に対するような不平は多少緩和されると思います。あとは国会審議の際における勢力の問題ということになるのでありますから、そこで私は米価決定の方法につきまして、統制が続くという前提のもとに、この財政法第三條を発動させて決定するというようにする御意思はないか。インフレの時代に絶えず物価が動揺しておりました当時は、この第三條を適用することは適当でないという理由で、附則によりまして「政令で実施の日を定める」として、この規定の実施の時期が今まで延ばされておつたのでありますけれども、大体今はインフレも収束したのでありますから、私はこの法律に定める方法によつて米価を決定してよい時期が来ておると思う。この点については政府はどういう見解でありますか。
  120. 周東英雄

    周東国務大臣 黒田さんの御説一応もつともでありますが、私はそういう制度の問題でないと思うのです。むしろあなたがさきに御指摘になつた点について今後考えるべきであつて、制度をどんな形にしようということでは、政府の立場において動かすことがどうだとかこうだとかという議論が残つて参ります。私はむしろ今度出て来た案から見ますと、算定方式が違つておる。片方は何か少数百六十戸くらい調べて限界価格をとる。一番大きいのだけ集めて平均して割つてとる。これはいいか悪いかということは、あなたがお考えになればすぐ常識でわかるし、学者の意見も完全であります。また生産方式は、一面パリテイー方式、またそれも修正しようという形で根拠が違つて出て来た結果を、いい、悪いといつておるとするならば、直すとすればその点を考えなければならぬと思う。私はむしろあるひとつの法定になつておる機関を設けて、それによつてきめる算定方式というもの、納得行くようなひとつの案をきめて、そうしてやつて行かなければ問題は残るのではないかと思います。黒田さんの最初の御指摘のように、今後における米価算定方式というものをいかなる形にするかという形をひとつ研究する、こういうふうにして今度の何を見まして、どういう方式によるがいいかということをきめるひとつ委員会と申しますか、それでひとつきめまして、一応みながそれを計算したら、あまり不平はないのではないか、こういうふうに思います。私は米価のことは非常にむずかしい問題で、その方式をきめても今度は調査農家はどうだとか、その中に織り込む推定資料というものはかなり多いのでありますから、そういう点をどうするかということをきめることが問題ではないかと、実は今度のものを見て考えておるわけであります。私はかように考えるのであります。
  121. 西村榮一

    西村(榮)委員 議事進行について…私は委員長に苦情を申し上げたい。今大蔵大臣は帰つてしまいました。私が発言するまでもなく、あなたに御注意申し上げたいのであります。おとといの大蔵大臣の警察予備隊に対する発言は、海上警備隊と陸上を合せて二百億円見返り資金から総理府会計に移行しておるというお話であつたが、きようは二百四十億円になつておる。それは言い違いであるのか、二日間に情勢がかわつたのであるかということを、大蔵大臣から明確になさつた方がいいのではないかということで、あなたに御注意までに申し上げたのであります。これを無視して行つてしまつたののであるが、どつちがほんとうであるか、私は議事進行上好意をもつて委員長に御注意申し上げたのでありますが、こういうところをお聞きのがしになつて大蔵大臣が帰つてしまつたのでは困るので、こういうことは公式にどつちかの数字が間違つてつたのか、事情がかわつたのかということを一応明らかにしてもらわないと困ると思います。
  122. 小坂善太郎

    ○小坂委員長 どつちがほんとうかというお話でございますが、大蔵大臣はドツジ氏とちよつと用があるとさつきから言われておりましたので、はなはだ私もあなたの御指摘については痛み入りますけれども、適当な機会に申し上げますから……。
  123. 有田二郎

    ○有田(二)委員 その点について西村委員から御注意がありましたが、大蔵大臣に話しましたところ、昨日の二百億というのは誤りであつて、二百四十億に訂正するということにきまりましたから、西村委員に御報告申し上げる次第であります。
  124. 小坂善太郎

    ○小坂委員長 御了承を願います。
  125. 中曽根康弘

    ○中曽根委員 ただいま黒田君の御質問に対しまして、安本長官が大体の見通しとして、来々年には日本経済自立が可能である。こういうことを大体の見当としておつしやいました。しかし現実的に数字を調べてみると、そう安本長官楽観するほど、私はこの問題は簡單な問題ではないと思うのであります。そこでそういうお見込みを立てました根拠を、一つの例をもつて私は御質問いたしたいと思うものであります。たとえば一番大きな問題は、われわれの生産力拡充のネツクになつている電力開発の問題でありますが、この電力開発は、いわゆるエオス作業でやつている昭和二十八年にどの程度電力を開発しなければ見込み自立ができないかというと、大体昭和二十五年の水力五百九十三万キロに対して、二十八年六百三十三万キロ、火力にしてみると、昭和二十五年二百二万キロに対して、さらに二百十六万キロにふやすという問題がある。この電源開発資金がはたして出るか出ないかということが大きな根本問題であります。あるいはまた一つの例は、農業の自給の問題ですが、昭和三十八年には、米を六百万石と麦を三百万石、合計九百万石の増産をしなければらない。この九百万石の増産をやるためには、どうしても四千百十三億の資金を必要とします。そのときですら、大体三百万トンの輸入がどうしても不可避であろうというのが大体の見当であります。こういう具体的な数字を目の前にして、いかにして安本長官はわれわれの自立は可能であるというお見通しを立てたか。私が申し上げているのは……。     〔発言する者多し〕
  126. 小坂善太郎

    ○小坂委員長 静粛に願います。
  127. 中曽根康弘

    ○中曽根委員 私はこの電源の問題はしばらくおきまして、農業の増産の問題をひとつ農林大臣安本長官がおいででありますから申し上げるのでありますが、ともかく九百万石の増産を昭和二十八年までにやらなければならぬ、それにはどうしてもそれだけの資金がいる。しかし今までの流れで考えてみるというと、昨年は見返り資金がわずかに、七千万円、今年はわずかに二億円、こういうスピードで行つて絶対に増産はできない。いかにして昭和二十八年までに大体九百万石の増産を達成するかというその根拠を私はここでお示し願いたいと思う。
  128. 周東英雄

    周東国務大臣 私はすべてを打明けてお話ししておる。この間の御質問のときもその点はちやんと條件をつけて申し上げておる。先ほどの答弁にも最後に申し上げております。こういうことで一つ計画が立つておるが、諸條件がかわつて来ると、困難であろうということはお話通りです。この間もあなたにお話したじやありませんか。とにかく電源開発にはこれだけの金がいる。農業には大体これだけの金がいる。これについては金融的措置の問題と、原材料輸入の問題が確保されなければ困難であろう。そのときにはおのずから変化が生ずるであろうということは先ほども申し上げております。
  129. 小坂善太郎

    ○小坂委員長 中曽根君どうですか。その点はもう明らかじやないですか。
  130. 中曽根康弘

    ○中曽根委員 ただいま申し上げましたのは、できるというからには根拠がなくてはできない。資金的な措置がはたしてできるかできないかということについて私は伺つておる。
  131. 周東英雄

    周東国務大臣 あなたに御答弁申し上げたときにお聞きになつておらぬのですか。とにかく資金的の措置については各部会々々で立案しておるそれぞれの計画に対してどれだけ所要になるか、今度横の連絡会において研究することになつております。この点に困難が出て来れば、おのずから計画は三年が五年に延ばされるぐらいのことは起つて来る。われわれはむりをしたくない。机上の議論で三年でやるといつても、電源の問題とか資本その他の関係で行けなくなれば、おのずから計画はかわつて来ることを申し上げたはずであります。またグレイの報告をいかなる場合にも援助を打切ると断定しての御質問があつたのに対して、私からやむを得なければ生活費は切り下げなければならぬようなことが起るだろう。それに対してあなたは生活費を切り下げてやるのはいかぬというから、来年の七月に生活水準をこのままにしてやれということはむりであるということを申し上げているのであります。この間の私の答弁をあなたはお忘れになつておるようであります。
  132. 小坂善太郎

    ○小坂委員長 午後は二時より再開いたします。そうして質疑を続行いたします。  これにて休憩いたします。     午後一時四分休憩      ————◇—————     午後二時三十七分開議
  133. 小坂善太郎

    ○小坂委員長 休憩前に引続き会議を開きます。角田幸吉君。
  134. 角田幸吉

    ○角田委員 私は国鉄裁定の問題に関連いたしまして、労働大臣、運輸大臣にお尋ねを申し上げたいのであります。具体的に申しますと、第二次国鉄裁定が本院におきまして、公労法十六條の規定によつて、昨日四十九億五千百八十一万三千円を承認いたしたのであります。これに関連いたしまして、若干の問題が起りまするので、この機会におきましてまず第一に労働大臣に承りたいのでありますが、大体この第二次裁定すなわち今年の三月十五日の裁定書によりますると、大よそこの裁定の趣旨に従えば、本年六十億ぐらいの金を支出しなければならないと思うのであります。ところで四十九億といいますると、そこに残りがある。この残りが一体どうなるのか。まず分析して申し上げますると、国会におきましては、一事不再議の原則がありまするから、この問題について今議会においては提出できないことはもとよりでありまするが、もう一つの問題は、一旦こうして裁定が国会に提案されました以上、これは再び政府は提出できないものだと考えるのでありまするが、まずこの点についての御所見を承りたい。
  135. 保利茂

    ○保利国務大臣 お答えいたします。その点に関しましては、角田委員の御所見の通りに私ども解釈いたしております。
  136. 角田幸吉

    ○角田委員 そこでさらに進んで伺いたいのでありますが、その前に、これは同様この機会に、運輸大臣からも承つておきたいと思います。
  137. 山崎猛

    ○山崎国務大臣 ただいま労働大臣よりお答えいたしましたが、運輸大臣としても同様の意見であります。
  138. 角田幸吉

    ○角田委員 進んで労働大臣に承りたいのでありますが、公労法十六條第二項の規定によりまして、国会が承認をいたしました額のほかは、これは債務として、いわば支払いの債務として成立しないものだと考えられますが、その点はいかがでありましようか。
  139. 保利茂

    ○保利国務大臣 お答えいたします。いろいろ理論構成の上から御所見の多い点であろうと存じますが、私どもはただいまの角田委員の御所見の通り、本問題は国会の意思決定によつて最終的に決定せられるもの、かように解釈をいたしております。
  140. 角田幸吉

    ○角田委員 労働大臣に、さらに進んでお尋ね申し上げたいのでありますが、公労法の十六條には、裁定は規定されておらないのであります。公労法の第十六條の二項には、「前項の協定」とありまして、裁定は含まれておりません。これは裁定を含むものであるかどうかということをお尋ねを申し上げます。
  141. 保利茂

    ○保利国務大臣 これは立法当時に相当御論議がありましたようでございますが、十六條の二項は、いわゆる仲裁裁定の場合を含むという解釈が定説になつている。従つて裁定を含んでおる、かように私どもは承知いたしております。
  142. 角田幸吉

    ○角田委員 内容について進んでお尋ねを申し上げたいのでありますけれども、一事不再議の原則から、あまり深入りして内容をお尋ねすることは避けまして、結論的にお尋ねを申し上げたいと思いますが、そうすると、不承認があつた場合には、裁定はそのまま債務として国鉄に対して発生しない。今度のように部分的に承認した場合には、部分以外のものについては何ら支払いの義務が生じない。しかもそれはいかなる方法においても政府は国会に承認を求めることができないのだ、その通りであるかどうか承つておきます。
  143. 保利茂

    ○保利国務大臣 その通りに解釈しております。
  144. 角田幸吉

    ○角田委員 この問題は、山崎運輸大臣にもお尋ね申し上げたいと思います。
  145. 山崎猛

    ○山崎国務大臣 ただいまお尋ねは、保利労働大臣と同意見であります。
  146. 角田幸吉

    ○角田委員 この程度におきまして、私の質問を終ります。
  147. 小坂善太郎

    ○小坂委員長 川崎秀二君。
  148. 川崎秀二

    ○川崎委員 昨晩衆議院本会議は、国鉄の第二次裁定に関連する裁定案を承認して、それを参議院に送付いたしました。内容は御承知のごとく、四十九億何がしかの必要経費を認めたわけなのでありまして、政府はこれを出すことができるという確信のもとにあの案を出したわけであります。最初はそうでなかつたのであるが、昨日になつてそうなつた。しかるにある新聞の報道によれば、このことはドツジ氏並びにリード予算課長においては、認めがたいというような意向があるように聞いておるのでありますが、その折衡はどうなつておるのか、池田大蔵大臣答弁を要求いたします。
  149. 池田勇人

    池田国務大臣 予算的措置はただいまとつております。関係方面からも、多分明日中にはOKが来るのではないかと考えております。
  150. 川崎秀二

    ○川崎委員 予算的措置にOKがあるということになれば、問題は解消するものと私は思います。しかし目下のところ、非常にこれが困難であるというような状態があるようでありますが、岡崎官房長官の昨日の談話によると、非常に困難ではないかというようなことが言われておりますが、あなたはそういうことを言われたことはありませんか。
  151. 岡崎勝男

    ○岡崎政府委員 いろいろ昨日新聞関係の方から質問がありましたが、私は大蔵大臣の話を十分に聞いておりませんでしたから、何らはつきりした返事はしておりません。従つて私はその新聞を見ませんけれども、何か多少誤解があるのじやないかと思います。
  152. 川崎秀二

    ○川崎委員 大蔵大臣に重ねてお伺いしたいのですが、四十九億の内容を認めたことは、つまり内部においては、一箇月分の年末手当の支給ということを当然内容として取扱うべきものを解釈しておるのですが、その点はどういうふうに振りわけをなさる考えであるか、一箇月分の支給というものは認められないのであるというような情報もありますが、いかがですか。
  153. 池田勇人

    池田国務大臣 国鉄裁定の線に沿いまして、予算上可能であるという金額を国会の方で御決議になつたのであります。従いまして四十九億何ぼは予算上剰余があるようになつて来ておりますので、これを関係方面に折衝しております。従つて四十九億何がしのわけ方としましては、裁定の三号でありますかに載つておりますから、国鉄と組合の方で適当におやりになることでありまして、私としては別にどうこう介入したくないと思います。
  154. 小坂善太郎

    ○小坂委員長 稻村順三君
  155. 稻村順三

    ○稻村委員 私は二つの点について、国鉄裁定の問題を中心として質問いたしたいと思います。まず第一に、国鉄裁定問題を中心といたしまして、昨晩本会議で国鉄の給与問題を決議したのでありますが、そうしますとこの政府から提出されておりましたところの政府関係予算が、大体建前がかわつて来ると思うのでありますけれども、この政府の原案修正と申しましようか、これはいつごろ国会に提出されるようになりますか、それを伺いたい。
  156. 池田勇人

    池田国務大臣 ただいま関係方面と折衝中であります。明日中にはOKが来るものと期待いたして努力いたしておるのであります。OKが参りましたならば、ただちに本国会に、国鉄の予算案の訂正をお願いする考えであります。
  157. 稻村順三

    ○稻村委員 折衝中でありますので、その点まだ政府関係予算政府提出のものが、どういうふうなものであるかどうかということは、はつきり固まつていないと解してよろしゆうございますか。
  158. 池田勇人

    池田国務大臣 御質問の趣旨がわかりませんが、四十九億幾らという金額がかわるのではないかという問題ならば、私は四十九億幾らはかわらないと信じております。また来るか来ないかということで固まつていないということならば、私は来ることと信じております。
  159. 稻村順三

    ○稻村委員 私の言うのは、政府の出した原案がはたしてどういうところで、固定した姿でもつて出されるのかどうか、そういう見通しがあるかどうか、それを聞いておるのであります。
  160. 池田勇人

    池田国務大臣 御質問の趣旨がわかりませんが、ああいうふうに国会が議決をなさいましたから、その線によりまして、国鉄の予算案を改正しようとするのであります。その改正案は向うからOKが来次第本会議に提案いたします。
  161. 稻村順三

    ○稻村委員 それからもう一つ、関連して質問いたしますが、国鉄の職員が、法律の上において大体一箇月分の給与がきまつたのであります。そうしますと、同じような状態と言つては、少し違いますけれども、普通国家公務員のものが半箇月ということになりますと、この間において非常な待遇上の相違が出て来るのではないか。最初に、これは去年であつたと思いますけれども、国家公務員の方が先にきまつて、国鉄の方がなかなか予算上の財源の問題でむずかしいといつた場合に、政府はこれに対して適当な措置をすることによつて、そうして国鉄の従業員の一箇月分を確保して、公務員並に取扱つた実績があるのであります。さてそうなりますと、今度は公務員の場合に、国鉄の方がきまつたとすれば、これに対して何らかの公平を保つような措置を政府として考えているかどうか、この点について御質問いたします。
  162. 池田勇人

    池田国務大臣 国鉄従業員につきましては、裁定がありましたから、裁定を尊重したのであります。一般公務員につきましては、国鉄がこうなつたから今どうこうするという考えはございません。
  163. 小坂善太郎

    ○小坂委員長 林百郎君。
  164. 林百郎

    ○林(百)委員 補正予算による額三十一億何がしと、昨夜国会で決議されました四十九億何がしとの間に差額があるのでありますが、この差額をどういうところから捻出されて、補正予算を組まれるのか、その財源を伺いたいと思います。
  165. 池田勇人

    池田国務大臣 補正予算に三十一億円が載つておりましたが、この国会の決議によりまして、四十九億円にいたしました。これは国鉄の方で増収その他があるのであります。大体四十億円余りあつたかと思います。このうちから、災害復旧に要する経費十五億円余り、それから収入増に伴います必要経費、あるいはまた石炭手当の一億数千万円を引きました残りの金額で、まかなうようにいたしております。
  166. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると、国鉄の企業内部の差繰りでできるのであつて、別に外部から、一般会計からあるいはその他から援助するという形ではないというように解釈してよろしいのでありますか。
  167. 池田勇人

    池田国務大臣 さようでございます。
  168. 小坂善太郎

    ○小坂委員長 黒田寿男君。
  169. 黒田寿男

    ○黒田委員 一つだけ大蔵大臣にお伺いいたしたいのでありますが、今国鉄の裁定について、OKを求めている、こうおつしやいましたが、国会で決議いたしましたものについてOKを求めて、万一OKが与えられないというようなときには、一体国会の決議の効力との間にどういう関係を生ずるのであるか。われわれは従来OKをもらいに行くということは、あらかじめこうしたい、ああしたいということを相談しに行くのだというように考えております。国会が議決したあとで、OKをもらいに行つて、それで国会の決議と違うようなOKがあつたり、あるいは国会の決議が否認されるようなことがあつたという場合に、一体国会の決議の効力はどうなるのか。赤字問題はまだ参議院を通過しておりませんから、正式に国会で完全に議決したものではないと言われるかもしれませんけれども、しかし大体参議院でもこのままで行けば、衆議院と同じ議決がなされると思いますが、そういう場合に、OKとの関係をどういうふうに解釈したらいいかという点について、お答えが願いたいと思います。
  170. 池田勇人

    池田国務大臣 国会の決議と、それから政府予算案提出とは、事柄が違いますので、予算案提出に対しましての向うの承認を得ておるのであります。OKが来なかつた場合においてどうするかという問題は、私はここで今議論する必要はない、私はOKが来るものと信じておるのであります。
  171. 黒田寿男

    ○黒田委員 議論になりますから、これ以上質問いたしましてもお答えにならないかと思いますので、私は問題として残しておきたいと思います。
  172. 小坂善太郎

    ○小坂委員長 小林進君。
  173. 小林進

    小林(進)委員 持ち時間がありませんので、集約してまず大蔵大臣にお伺いいたしたいのでありますが、積雪寒冷地帯における特に減税の処置を講ずること、並びに平衡交付金において、特別の増額をすること等が、第七国会において衆参両院で全会一致で可決されておるのでありますが。この決議をいかに具体化されるか、これをひとつ大蔵大臣にお伺いいたしたいのであります。
  174. 池田勇人

    池田国務大臣 積雪寒冷地におきます方々の所得につきまして、特別の措置をとるべしという御議論は、従来からあつたのであります。これは所得税ばかりでなしに、あるいは地租にいたしましても、昔の家屋税にいたしましてもあつたのでありますが、これはなかなかやつかいな問題でありまして、われわれは国会の決議の線に沿つてただいま研究をいたしておりますが、なかなか結論が出ません。こういう外的事情によります特別の措置をとつた税法というをは、不敏にして各国とも知らない。ただ日本は地形があまりにも北から南にあるから、そういう議論が強いのであろうと思うのでありますが、なかなか困難な問題でありますので、せつかく研究をいたしておるのであります。     〔委員長退席、有田(二)委員長代   理着席〕  次に平衡交付金につきましては、まことに少額でございますが、中央地方の財所状況を見まして、三十五億円を増額することにいたしたのであります。
  175. 小林進

    小林(進)委員 ただいま大蔵大臣は、相当に困難であるということを言われたのでありますが、この給与の問題につきましては、公務員については政令の二百号で寒冷地手当というものがありまして、六割ないし四割の特別給与が与えられておるのであります。もちろんこれは大蔵大臣も当然御承知になつているところと思うのであります。しかるに積雪寒冷のために多大の被害と出費を受けるということは決して公務員のみではないのでありまして、これによる被害は、そこの地域に住む一般の人々、何たる職業を問わず当然この被害を受けておるのでありまして、これを公務員のみにその妥当性を求めて、他の一般の職業に認めないということは、はなはだ矛盾じやないかと思うのでありますが、これに対する大臣の所見をお伺いしたいと思うのであります。
  176. 池田勇人

    池田国務大臣 お話通りに公務員につきましては、北海道におられる方々につきましては、石炭手当、寒冷地手当、それから北海道以外の青森から以南の方におきましては、各地区によりましで、四階級にわけて寒冷地手当を出しております。この問題につきましてもなかなかやつかいのところがあるのであります。北海道でも暖かいところと、青森の寒いところはあまりかわりはない。青森の方が雪が多くてやつかいだという議論もあります。それからまた、たとえば近江の山奥の方でもやはり寒冷地手当を出す。そうすると、議論では九州の高千穗あるいは竹田はそこよりもまだ寒いじやないか、こういうようないろいろな議論があつて、やつかいな問題であるのでありますが、所得税におきましてこういうことを申しますと、国としてはある程度の収入を確保しなければならぬ関係上、寒冷地手当も出ない暖かいところの人々にその負担を加えなければならぬ。こういうことになりますので、なかなかやつかいな点が多いのであります。従いましてわれわれ研究いたしておりますが、今実施の運びに至るかどうかということになりますと、なかなか問題であります。ただわれわれとしましては、所得を得るに必要な経費は控除しますので、寒冷地におきまして、暖かいところよりも所得が計算上必要経費が多くかかるということは認めておるのであります。しかしこれは自分の方で所得を得てから後の生活費に——たとえば着物をたくさん着るとかなんとかいうことを所得税で考慮することは、なかなか税法として困難な点がありますので、われわれが申し上げましたように、検討は続けておる状態でありますが、結論に至つていないというのが現状であるのであります。
  177. 小林進

    小林(進)委員 大臣は盛んに研究ということを言われるのでありますが、これは先ほどの国鉄裁定の決議でも同様でありますが、もはや両院において全会一致で決議されたことを、そうどうもまず議論の範囲にあるものとして研究のみせられるということは、はなはだ私は国会軽視じやないかと思うのでありまして、国会の決議というものに対する大臣のお考えをひとつここでお聞きしたいと思います。
  178. 池田勇人

    池田国務大臣 国会の決議につきましては、十分尊重いたします。そしてむずかしいところはあるのでありますが、具体化すべく努力いたしておるのであります。
  179. 小林進

    小林(進)委員 第八国会、この前の国会の予算委員会でありますが、私は同じくこの問題を、この場所で大臣にお尋ねいたしたのであります。そのときにおいても大臣は、この積雪寒冷地の問題については、十分研究してみるということをここで確約せられたのであります。しからばもうそれから相当り歳月が通過いたしておりますので、いかなる研究をせられたか、研究の成果はどうであつたか、その調査の実情を私はここでお伺いしたい。もし資料でもあるならば、その資料をここで早急に御提出願いたいと思います。
  180. 池田勇人

    池田国務大臣 自分で資料を集めては研究しておりませんが、主税局等には命じまして研究をさせておるのであります。どの程度の資料が集まりましたか存じませんが、後刻お答えしてもよいと思います。
  181. 小林進

    小林(進)委員 どうも大臣の御答弁は、あまり研究が長過ぎてその間にわれわれはひとつも誠意を認められないのであります。少くとも国会代表として私どもここへ来ておりますからには、国民の意思を代表しておる。しかもそれに対する大臣答弁は、国民に対して確約をせられたことであります。その確約をいつまでもそうしたなまぬるい考えでいられるということは、どうも私ども承服し得ないのでありまして、何だか国会を通じて国民全般が大臣にだまされているような感じを受けるのでありまして、このことを私は国民にはつきりひとつ表明いたして、別の行動に出たいと思うのでありまするが、これに対する大臣の御所見はいかがでございましようか。
  182. 池田勇人

    池田国務大臣 ただいま申し上げました通りに、なかなかやつかいな問題でございまして、政府の方としても非常によい案が出ません。これは国民負担に重大な関係がありますので、そう二月や三月で結果の出るものではないと考えておりますが、努力はいたしております。
  183. 小林進

    小林(進)委員 多分大臣はそういうことで逃げられると思いましたので、われわれは第七回国会でこの議を上程いたすと同時に、一道十一県の地方庁を中心にいたしまして、関係団体が一丸となつてこれの研究に着手いたしたのであります。そうして過去十年に調査いたしましたところの一切の資料を集めまして——十年の統計を緻密につくり上げた最も精密な厖大な調査書類を私は今持つておるのであります。  この調査書類によりますと、これは北海道を除きます十一県の合計の積雪寒冷によるところの最も確実なる被害が年間七十一億円、新潟県だけで申し上げましても、十一億円の被害というものが現われておるのであります。もし大臣がほんとうに誠意をもつてこれを難していただくならば、われわれの資料をただちに提供してもよろしい。ここでお上げいたしまするから、もしその資料によつてただちに善処される意思ありやいなやをお伺いいたしたいのであります。
  184. 池田勇人

    池田国務大臣 資料は十分検討しなければ結論は出ないのであります。あなた方が御研究なさつてくださつたことにつきましては敬意を払い、また資料はいただきまするが、資料をいただいたからといつて、ただちに結論が出るものではないということを御了承を願います。
  185. 小林進

    小林(進)委員 大蔵大臣となまず問答をしてもしようがございませんので、一応納めまして、次に岡野国務相にお伺いいたしたいのでありますが……。
  186. 有田二郎

    ○有田(二)委員長代理 岡野国務大臣は今地方行政委員会の方に行つておられますが、すぐ参りますから……。
  187. 小林進

    小林(進)委員 それでは少し待たせていただきます。
  188. 有田二郎

    ○有田(二)委員長代理 それでは井出一太郎君。
  189. 井出一太郎

    ○井出委員 私に残されました時間はたつた四分だそうでありますが、その点は委員長の御良識に期待をし、与党の諸君の寛容さをお願いするものであります。時間の関係から端的に個々の質問に入りたいと思います。  最初にお伺いしたいことは、この質問の初日だつたと思いますが、国民所得の推計に関しまして、安本長官から三兆二千億という程度の数字を伺いました。国民所得の推計はこれはなかなか至難なこととは思いますが、この承つた数字は一体昭和二十五年度であつたのか、あるいは暦年であつたのか、ないしその基準になるべき物価水準というものをどこらにおいておられるのか、また朝鮮動乱によりまする分、これは特需あるいは輸出方面に非常な所得の増大を見ておりまするし、それによつての自然増収というものは、本年度の予算の中に見込まれております。その点安本長官にもう一度お伺いしておきます。
  190. 周東英雄

    周東国務大臣 お答えいたします。この間申し上げましたのは、大体二十四年度の推定実績をもとにしてできた三兆二千億余ですが、それを基礎にして、その後における物価生産賃金というものの値上り等を加味してつくつた二十五年度の推計であります。
  191. 井出一太郎

    ○井出委員 もう一ぺん伺いますが、その中には朝鮮動乱の影響というものを考慮しておられますか。
  192. 周東英雄

    周東国務大臣 ただいま申しましたように、その後の状況を入れておりますから当然考慮に入つております。
  193. 井出一太郎

    ○井出委員 ところが大蔵省の方から私の方へ頂戴いたしておる資料によりましてもそうでありますが、なおまた本年大蔵省が非常な自信のもとにお出しになつた「国の予算」という厖大なる書物でありますが、これによりましても、やはり三兆二千五百億程度の数字が出ております。これはたしか本年の六月の出版であると思いますから、もちろん朝鮮事変というものは考慮に入れてない。そうするとこの数字は安本長官のおつしやる数字と偶然の一致かどうか。どうも朝鮮動乱の影響はその中に入つておらぬと思うのでありますが、いかがでありましようか。
  194. 周東英雄

    周東国務大臣 国民所得の計算につきましては特別な委員室ができて、各方面の経験者、知識人を集めてやつております。大蔵省とももちろん密接にやつております。数字は違つておりません。ただ今御指摘の点は大蔵省の方は一応二十三年度における推計を基礎として、その後における物価考えたはずです。それで最後に検討した結果、両省一致してただいまの問題を考えております。
  195. 井出一太郎

    ○井出委員 その点大蔵大臣お答えも伺つておきます。
  196. 池田勇人

    池田国務大臣 大蔵省で国民所得を計算して発表したことはないと思います。「国の予算」というのは主計局の人が個人の資格でこしらえたものであります。
  197. 井出一太郎

    ○井出委員 大蔵大臣は国の予算という書物が個人の資格で主計局の人々がこしらえたと言われるが、これははなはだ奇怪なことを承る。池田大蔵大臣も序文をお書きになつてつて、あまねく江湖に推薦なさつておる。またわれわれ国会議員にも非常にオーソリテイーのある資料として提供されておるようでありまするが、どうも個人の資格で出したと言われるのは、私は少し解せないのでありますがどうでしようか。
  198. 池田勇人

    池田国務大臣 実は国民所得の計算は、大蔵省本来の仕事ではないのであります。安定本部の方で各官庁のその道の人を集めてお調べになつておるのであります。「国の予算」につきましては、私は非常にいい本だというので推奬しております。しかしどこに三兆二千何百億というのがあつたかどうかということは今記憶がございません。それには何か條件でも加わつておるのではございませんか。覚えていなし、大蔵省の調査による発表というようにお考えになつては困る、こういう意味お答えしたのであります。
  199. 井出一太郎

    ○井出委員 今申し上げました「国の予算」の七百九十ページにございますから、これはあとでよろしうございますから、どうぞお調べ願います。そこの七百九十ページには、安本の発表された資料ということが明記してあつて、二十五年度は三兆二千五百二十億という数字が出ております。これはどう考えても私は安本が発表した数字であるとすれば、朝鮮動乱の影響のない時期にこの書物が出ておる以上、この数字の中には動乱による所得増というものは入つていないと解釈せざるを得ないのでありますが、周東長官は三兆二千億はそれを含んでおるとおつしやつて、どうも食い違いがあると思うのですが……。
  200. 周東英雄

    周東国務大臣 今卒直に申し上げておるわけでありまして、だんだん国民所得の集計調査については完備して来ております。実は前に大蔵省の本に出ておつたということについては、二十三年度を基礎にして二十四年を推計し、二十四年をもとにしと二十五年を推計するというようなことになつておりますが、二十三年と二十四年とは少しいろいろな材料の点で高過ぎておつたので、それが修正されておるわけであります。その間においてだんだんと正確になつて行く傾向にあることを御承知願います。     〔有田(二)委員長代理退席、委員   長着席〕
  201. 井出一太郎

    ○井出委員 この問題はこの程度においておきますが、そこで私は大蔵大臣にお伺いいたします。いわゆる税法上の減税、これは池田さんの発明された言葉かどうか知りませんが、こういう立場と絶対数字、つまり税収の上の減税、こういう立場と二つあると思うのでありますが、どうも大蔵大臣はときによつてそのいずれをとられるか、少くとも大蔵大臣は二十五年度は四年度に比べて八百億くらいに減税を保証されておりますが、これは数字を調べてみますると、確かに国税の上においては七百億余りの減税が絶対数半の上に見えております。ところが明年度七百億の減税を大臣は確約されておる。自由党本部にはせんだつてまで一千億減税の旗が翻つておりました。この絶対数字の上の減税ということがありますならば、少くともわれわれは明年度は三千億台の国税でよろしいと期待しておるのでありますが、明年度はその点絶対数字において減税をなさるのかどうか、これを伺つておきたいのであります。
  202. 池田勇人

    池田国務大臣 減税をいたしますときは税法の改正をしなければできません。学問的に申しましても、実際的に申しましても、減税というのは税法上の減税にきまつておるのであります。これは何人も異論がない点であります。しこうして昨年の財政演説におきまして七百十三億円の減税になりますというときの言い方は、初めの方は減収と言つております。そしておしまいの方に減税という言葉を使つておりまするが、大減省の建前としては従来から税法上の減税を減税と言つております。昨年の七百十三億を税法上の減税にいたしましたら千数百億の減税になる。しかしこれは私はそういう数字を並べることが各方面から言つていいか悪いかという点で、心ならずもごまかしたと申すと何でございますが、いわゆる予算上の数字が少くなつたのを言つておるのでありまして、従来から—前の帝国議会のころ、あるいは今度の国会になつてからの問題は、税法上の減税をしているのであります。来年の減税にしても税法上の減税を言つておりますが、考えようによりましたら、酒は千三十億あつて、大体千億余りに来年もとどめるのでありまするが、これを一升二百円とか二百五十円下つたのを税法上の減税で押し通しますとかなり大きい数字になる。そこで私はある程度勘案いたしまして、酒の方の分は純然たる税法上の減税でなしに減税による消費の増というものは税法上の減税にあまり入れずにやつております。税法上の減税というのはたとえば増税によりまして消費が減つた、こういうときには増税をその分だけ低く見ておるのが普通であるのであります。大蔵省の建前としては、常に従来から税法上の減税を言つております。昨年はあまり金額が大きくなりますので、予算上の減税で減収という言葉を使つております。
  203. 井出一太郎

    ○井出委員 昨年は減収と言われ、今度は税法上の減税と言われる、こう明確に区分をされておられたとすれば、それはその程度にしておきます。  そこで明年度の税法上の減税でございますが、およそ税をどの程度に見込んでいらつしやるか、一十六年度の予算をここにお示しを願わずしては、これはわれわれの論議の余地のないところでありまして、いわゆる十五箇月予算という言葉を盛んに振りかざしておられますにもかかわらず、二十六年度予算が何ら示されておらないことははなはだ遺憾なことであります。せんだつて、たしかわが党の中曽根君の質問に答えられて、明年度の予算の骨格とでも申すべき点は、ほぼ明瞭になつたと思いまするが、しかしながらその各費目、たとえば公共事業費のようなものも今までよりは減さない、こう言われております。あるいはまた終戰処理費についても一千億程度はあるのじないか、平衡交付保障制度の費用もふえるということになりますれば、来年度の減税というものは、絶対数字においては本年度よりは、むしろ減るのじやないか、こう私は考えておりまするが、この点いかがでありましようか。
  204. 池田勇人

    池田国務大臣 国民所得がふえますると租税収入もふえるのであります。それから間接税の方におきましても、消費がふえますると税収も多くなるのであります。従つて私は昭和二十五年度よりも、二十六年度の方が国民所得が相当ふえるという計算で行つておりますので、補正予算後の今年度の租税収入と来年度の租税収入とは、まだ集計しておりませんが、まあ大差はないんじやないかぐらいに考えております。しかし減税は七百億円程度できる、それは所得がふえるからであるのであります。
  205. 井出一太郎

    ○井出委員 学説上の減税は、先ほど言われました通りとして、どうも国民の方にはこれがまことにぴつたりと来ない。やはり絶対数字の減税を期待しておる、こういうふうにわれわれは考えるのであります。そこで従来同じ所得税の中で申告課税と源泉課税、この割合が二十四年度予算においては、申告の方が約三百五十億多かつたようであります。ところがその後の滯納その他の状況で申告課税の方が非常に悪くなつたがために、本年度の補正を見ますると、申告課税の方が源泉課税よりもはるかに減つておる。これを先ほど伺つた三兆二千億何がしの国民所得の分類を勤労所得と事業所得とにわけて勘案いたしてみますると、勤労所得に対しては約九%に近い税額に相なつております。しかるに事業所得に対しては六・七%程度でございまして、事業所得の方がはるかに軽い。今回の朝鮮動乱の影響というようなものはむしろ一般事業面により多く出ておると思います。その場合にどうも勤労所得のようにほんとうにガラス張りの中でとられる税金の方に率が重いということは、どうも非常に不均衡である。そうしてまた滯納等を勘案いたしまする場合に、ますますこの率の差をつけるというような傾向が出て来ますると、これは国民所得の配分の上においても、非常に不均衡の事態を生ずると思いますが、この点はどう思つておられますか。
  206. 池田勇人

    池田国務大臣 御承知の通りに、所得につきましては、個人の所得と法人の所得をあわせてお考え願いたいと思うのであります。時代の変遷によりまして企業組織がかわつて参ります。今から十年くらい前には、勤労所得は、もちろん税率もある程度安うございましたが、事業所得の三分の一、あるいは四分の一という程度のものでございます。その後法人組織になつた、あるいは個人企業にいたしましても、企業協同組合のようなかつこうをとるというふうになつて参りますると、やはり申告納税のいわゆる事業所得から法人の方に行くのが多いのであります。こういう関係で企業の形態がかわつて来るのがおもなる原因であるのであります。朝鮮事変の影響によりまして、これは御存じのように勤労所得税は伸びます、あるいは給与所得は相当ふえる、法人の方の所得もずつと伸びて行く、しかしてまた個人企業の方にもないことはないのでありまするが、主として企業形態がだんだん法人組織になり、また純益の相当部分が給料に払われるということになつて来ますと、個人の事業所得の伸びよりも、片一方法人とか、あるいは勤労の方が伸びがいいのであります。従いまして補正予算によりますと、昔とは逆に勤労によりまする源泉所得税の方が、補正後の事業所得よりも四、五十億多くなつたかとも考えておるのでありまして、こういうようにかわつて来るのであります。
  207. 井出一太郎

    ○井出委員 今度の減税にあたつてわれわれはこれは一種の水増しだと考えておりますが、大蔵大臣の特に呼号されまする点は、この減税でもつて生計費の上昇を十分カバーして余りあると、こうおつしやつておる。ことに主食の値上りは吸収し盡されておると、ごう言われるのでありますが、大蔵省の示された表のとり方といいましようか、たとえば一万五千円の収入のある四人の定族、これに対する生計費の影響というようなものを考慮されて減税の方がよりよけいであるというように言われておりますが、どうもこの点ことさらに減税の効果があるような当局にとつて有利な表のとり方をしておるのじやないか、こういう感じがいたすのであります。その生計費の問題をしばらく離れて別個な角度から考えてみますると、たとえば政府が国家管理によつて買い上げておる米は、内地米およそ三千万石と押えられる。そういたしますとこれが一月、二月、三月の三箇月間に消費せられる米の量は、大ざつぱにいつて七百五十万石くらいに見てよかろうと思います。そういたしますと、今度の主食の値上りは、消費者価格においてこれを一石当りに換算してみますと、約千百二十五円の値上りをなしておる。千百二十五円の値上りを七百五十万石の米にかけてみますと、約八十四億の値上りが出て参ります。米の値上りだけでも八十四億、ところがそれだけではなくして、主食の値上り影響は、農作物に関する限りは、他の競合関係に立つ作物をやはり刺激いたしまして、この値上りが現われ参りまするから、なかなかこれだけの数字では納まらない。ですからこの観点から見ますと、米の値上りだけで約八十億、しかるに今度の減税が——幾らでございましたか、およそ五、六十億ということであつてみれば、米の値上りだけでもとても減税に追つつかない、こういう観点も私は出て参ると思いますが、この点どう考えますか。
  208. 池田勇人

    池田国務大臣 まだ米の値もはつきりきまつたわけでは、ございませんが、われわれの計算では五千五百二十九円の生産価格によりますと、消費者価格が十キログラム五百二十円程度に相なると思います。これは多分現行四百六十円であつたと思いますが、そうなります。それから外米の方は少し対米比価を下げましたので、そうかわりはない。それから小麦と大麦は、大体今と同じことである。こうなりますと配給の主食が八・七—八・八%の上昇になる。そうして生計費のうちにおきます主食の占める部分は一六%、これをかけますと生計費の上昇は一・四〇八%ぐらいではございませんか。しこうして片一方、これは階級によつて違いまするが、月収一万二千円、四・七人の標準世帯で申しますと、大体今度の減税で二・四%ぐらい生計費の方に余裕が出て来る。それから物品税、酒税等を適当にあれしますと、三・三四%の上昇、一・四と三・数パーセントを比較して、米の値上りによる生計費の上昇は吸収できる、こう言つておるのであります。こまかい数字につきましては、また事務当局があれしておりますので説明いたさせまするが、決して自分らの方に有利な数字を求めようというような考えは、私は毛頭持つておりません。
  209. 井手光治

    ○井手委員 この点、われわれに配付された資料は、一万五千円の月収の家庭、こういうものを選んでおり、その中における主食の影響というものが一六%程度、これは今の国民階層の中では比較的上流の——上流と言わないまでも、俸給生活者の中では中以上、こう見て私はよろしかろうと思うのであります。御承知のようにエンゲル係数などから割出しても、国民のおしなべた平均というものは、物価庁あたりの計数から見ると約二五%が主食によつて占められておる。この観点から見ましても、私はどうも減税が生計費の値上りを吸収してはおらない。私が先ほど申したのは、角度をかえて内地米の政府管理による分だけを取上げて、その値上りが八十四億という計算を出したのでありますが、これはここでこまかな数字について問答していてもしかたありまきんから、大蔵省においてひとつ十分な御研究を願つておきたいと思うのであります。  それから滯納の問題でございますが、これも配付された資料によりますと、約九百九十億円でありますか、この程度の滯納が現在ある。しかもこれは本年の地方税が非常に延びて参りまして、今一時に固まつてこれが徴収されておりますのと相互関係に立ちますがゆえに、これからの税金もおそらくなかなかとりにくいものがあるのじやないか。これをしいて取立てるという場合に、非常なる苛斂誅求がそこに起つて参るというようなことも思い合されまして、滯納をどのように処理されるか、この年度内にみな根こそぎとつてしまおうとされるのか、この点の見通しを伺つておきたいと思うのであります。
  210. 池田勇人

    池田国務大臣 滯納の整理につきましては、われわれ苦心いたしておるのでありまするが、今年度内にこれをみな取ろうといつても、そんなむりなことは考えておりません。適時適当な策をもつて徴収し得るようにやつておるのであります。
  211. 井出一太郎

    ○井出委員 滯納の問題に関連して、われわれは大蔵大臣の部下である税務官吏諸君、これはなるほど終戰後、税の額が厖大になつてつた従つて人員も急速に増加されたというような点もございまして、従来のような練達堪能な税務官吏というものがきわめて少いようであります。これに対してはいろいろ訓練をされてはおられると思いますけれども、非常なるむりを納税者に現在強行しておる。その例はここで枚挙にいとまがないと思います。税の問題ばかりに触れておりますとほかへ行けませんから、この程度で切上げますが、大臣は税務官吏諸君をもつと十分に監督をされ、これを指導し、ほんとうに納得ずくの納税ができるような御配慮を願いたい、こう思うのであります。こういうことを申し上げるとどうかと思いますが、たしか聖書の中のマタイ伝か何かにある言葉だつたと思いますが、「みつぎ取りが天国に上らんとするはらくだが針の穴をくぐらんよりもかたし」、これはあるいは大臣御承知かと思いますが、とにかくキリストの昔から税務官吏というものは苛斂誅求を事とするだけのようであつたようであります。どうかそういう点、ひとつ十分お気をつけあらんことを願います。  問題を農林大臣の方へ移したいと思います。先ほど来、米価の問題が非常に論議せられまして、米価審議会尊重するとか、しないとか、政府も適当にお逃げになつているようでありますが、本年度の米価を決定するにあたつて考え方はいろいろあつたように聞いております。その中で一つ考え方は、生産費計算、再生産費をいかにして保障するか、こういう立場に立つて、農林省は大体これに省議を統一して臨まれた。こうわれわれ聞いておるのでありますが、この点は廣川さんどうでありましようか、
  212. 廣川弘禪

    廣川国務大臣 農林省といたしましては、あくまで農民の生産費を基礎として積み上げてやつたのであります。
  213. 井出一太郎

    ○井出委員 農民の資料を基礎にしてこれを積み上げてやられた、非常に含蓄のある答弁でございますが、(笑声)それを省議として決定をされて廣川さんが取上げて、閣議においてもあなたの政治力をもつてどこまでもこれを御主張なさつたのでありますか。
  214. 廣川弘禪

    廣川国務大臣 私の方の基礎資料が安本物価調にアルフアを加え、また大蔵省の国際価格がわれわれの線に近寄つて来た、こう考えます。
  215. 井出一太郎

    ○井出委員 これは生産費計算という立場と、パリテイー計算あるいは国際価格さや寄せ説というようなものは、それぞれが根拠を異にしておるものでございまして、それをこね合して一本のものをこしらえるというような簡單なぐあいには私は行かないと思う。本年の米価の決定、これは大体六千五百二十九円という数字が動かしがたいもののようでございますが、これを算定するにあたつて廣川さんの立場というものは無視されてしまつた。農林省は無規されてしまつて安本あるいは物価庁に組み伏せられて、相かわらずパリテいー方式というものが採用されたんだ、こう解釈してよろしゆうございますか。
  216. 廣川弘禪

    廣川国務大臣 これは偶然というか何というかわかりませんが、大蔵省の国際価格にさや寄せると池田君が言つていたのも大体五千五百円、またわれわれの方で生産費を中心として積み上げたのも五千五百四十円。それで物価庁でやつておるかたいパリテイー計算とわれわれのとが、そこで相一致するように価格の上でなつておるのでありますが、それにはわれわれの方の再生産費をあくまで、かせぎ出すための基礎に、この五千五百四十円というものを出したものが、すなわち今まであのかたいからに閉じこもつてつたパリテイー計算の中にアルフアを加えたものである、私はこう信じております。
  217. 井出一太郎

    ○井出委員 昭和二十六年度の米価算定するにあたつても、やはり価格パリテイー方式を採用しておるようでありますが、今日のパリテイー計算方式というものは、ほとんど基礎的にその根拠を失つたとでも申しましようか、なるほどこれはある時期においてはパリテイー方式というものでなければならなかつた事情がございましようが、本年度の米価決定にあたつて、約一五%というものを別なフアクターを持つて来て米価の決定をしておる。これはもう厳密な意味でのパリテイー方式ではなくなつおる、こうわれわれは考えるのでありますが、この場合、パリテイー方式を放棄する意思があるかどうか。これはむしろ安本長官に伺つた方がいいかと思いますが……。
  218. 周東英雄

    周東国務大臣 先ほど黒田さんの御質問に対してお答えしましたように、いかなる米価算定方式をとるかということを、私どもは来年に向つては研究したいと思います。お話のように理論的には生産費計算というものも一つ考え方であります。しかし今年とり得なかつたということは、そこに調査日が非常に少い。また実際上の内容に非常に問題があるというようなことで、しかもパリテイー方式だけでは過去において受けておつた利益の確保はできない。そこである意味においては過去において受けておつた利益の確保はできない。そこである意味においては所得パリテイーの考え方も加味しつつ、そこにパリティー方式を一部修正されるということは事実です。しからば将来どれをとるかということについては、先ほどお答えしたように、この方式の決定について、ひとつ有力なる研究委員会でもこしらえたい、かように考えておる次第であります。
  219. 井出一太郎

    ○井出委員 農産物価格が一種のデイス・パリテイーを現出しております今の段階において、単なる価格パリテイー方式のほかに、労働所得、つまりこれは農家の自家労力というものをどう評価するかということは非常にむずかしいとは思いますけれども、しかし農家は御承知のように、非常に停滯性の産業に従事しておる、こう申してよろしい。しかるに他の鉱工業というようなものは生産力の発展の可能性が非常に望まれておる。こういう場合にあたつて、農家の労働所得というものを、他の産業に比較して、ある程度のものを確保する意味での労働所得パリテイーというようなものを新しい方式に勘案するようなお考えはないか、これを伺いたい。
  220. 周東英雄

    周東国務大臣 いずれもいかなる形をとるかということは、委員会をもつて慎重、研究の上決定いたしたいと思います。
  221. 井出一太郎

    ○井出委員 それでは米価問題はその程度にいたしますが、このほど来食糧自給度を向上せしめる、この問題に農政論議が集中したようであります。その場合に、安本は、自立経済計画において、千二百万石というようなものを増産予定見込みにされておるというし、廣川さんはまたいわゆる広崎構想と称せられる一割増産説を持つていらつしやる、これは一体千九百五十何年に何をいかなる方法によつてわれわれは米だけの食糧計画では、日本食糧自給というものは非常に困難だと思いまするから、米とか麦とか、いもとか、そういつた内容、それから増産の方式としては、あるいは耕地を外延的に拡張するということもありましよう。また内包的に耕地を改良するとか、ないしは技術の改善、品種の改良、こういう方式もあると思いまするが、何をどのような方法によつて、いかなる年次までにどうというような明細な計画がありましたならば、お示しを願いたいと思います。
  222. 廣川弘禪

    廣川国務大臣 日本の農業の自給度を高める上においての計画はどうかというお話でありますが、ただいま御指摘のように、われわれといたしましては、あなたの御指摘なされたようなものを、順次予算の裏づけをいたしまして、急速に、それを実現するように努力いたしておるのであります。詳細なことはわれわれの方の政府委員からあとから資料でも差上げるようにいたしたいと思いますが、要するにわれわれとして自給度を高めるために、あらゆる点に努力する、しかもまた單に米麦のみでなく、畜産、水産、あらゆる点にわたつて自給度を確立するために努力する、こう私は考えております。
  223. 井出一太郎

    ○井出委員 どうもやはりこれは禅問答になりますが、それでは資料をひとつ後刻明細にちようだいいたしたいと思います。時長がありませんので、お聞きしたいのですが残念であります。  もう一点廣川さんに、食糧自給と申しましてもこれは含水炭素だけの自給度の向上では意味をなさない。日本人は含水炭素に重点を置いた食生活を営んでおりまするが、蛋白あるいは脂肪源として、今水産とか畜産とか言われましたが、そういうふうなものに対する施策をどのようにお考えになつておるか。これもあわせて承つておきたいのであります。
  224. 廣川弘禪

    廣川国務大臣 われわれは、畜産水産はむろんでありまするが、その他林政の上でも、かりに脂肪源であるくるみの増殖とか、あらゆる方面に手を打もまして、そうして解決をはかりたいと考えております。
  225. 井出一太郎

    ○井出委員 廣川さんにはその程度にして切上げます。  そこであとわずかな時間で伺いたいことは、かつて内閣において減税か公共事業費か、こういうような論争があつたとわれわれは聞いておるのであります。あるいは閣内不統一であつたかどうかしりませんが、今日の主張はどういうように調整され、おそらくこれは明年度予算の問題とも関連いたしますが、どの程度に公共事業費の主張は貫徹されたか、あるいは池田さんのお立場はどの程度に反映して来るかということを、まず周東さんにお伺いいたします。
  226. 周東英雄

    周東国務大臣 今お話の点につきましては、閣内不統一でもなく統一でもなく、政府間に何らの意見の杆格もなく、国民の負担を軽減する方法として、直接的に行く方面としては減税、しこうして国民所得を増加させるために、資本蓄積の方向になる部分として、公共事業は考えられ、その関係をあわせ考慮しつつ、今二十六年度予算中に考えられておる減税を考え、それに即応して公共事業費が考えられておる次第でありまして、いずれ二十六年度予算の全貌が出たときに御説明を申し上げます。
  227. 井手光治

    ○井手委員 時間の関係もありますから、その二十六年度予算の全貌が出たときまでこの問題は保留をいたします。  そこで最後に公共事業費の出たついでにお尋ねしたい問題は、これは現在公共事業費の額から申しまして、非常に大きな事業分量に相なつております。これを軽々に、ただ土建業者の食いものにするような使い方をしたのでは、たいへんなことになると思います。ことは最近の新聞でありましたか、石川県下のある橋を、災害の費用をとるために、実際の天災ではなくして、人為的に橋を落して予算を獲得したというようなことも聞いております。これは綱紀粛正を看板とされまするこの内閣としては、こういう問題は厳重に取上げて行かなければならぬと思いますが、同時に、この公共事業費の使途に対して、何か監査機関というようなものを独立に設ける必要がありはしないか。あるいはこれは安本ないし会計検査院方面にも何らかのそういう機関があろうやには思いまするけれども、何か独立機関というものが私は必要だ、こう思いまするが、これは建設大臣はいらつしやいませんが、安定本部長官お答えを願つておきたいと思います。
  228. 周東英雄

    周東国務大臣 お話の点はごもつともでありまして、政府といたしましても、つとに公共事業費の使途のみならず、見返り資金等の使途に関しましても、最も効率的に非違なきように行わしめることが必要であると考えておりまして、これらの監督、監査の機関につきましては、今考究中であります。
  229. 小坂善太郎

    ○小坂委員長 小林進君。
  230. 小林進

    小林(進)委員 岡野国務相にお伺いいたしますが、積雪寒冷地に対しまして特別の考慮が必要だということは、岡野さんも先刻御承知のことと存じまするが、これに対する御所見を承りたいと存じます。
  231. 岡野清豪

    ○岡野国務大臣 お答え申し上げます。平衡交付金には千五十億の中に一割百五億というものが盛られておりまして、特別平衡交付金ということになつておりまして、これらが今仰せのような寒冷地帯に対する特別の交付金としてわけられるはずになつておる次第であります。
  232. 小林進

    小林(進)委員 私はこの特別寒冷地に対する平衡交付金は、一般の平衡交付金より支出するのがむしろ妥当ではないかと思いまするが、これに対する所見を承りたい。
  233. 岡野清豪

    ○岡野国務大臣 お答え申し上げます。一応ごもつともの説でございますが、平衡交付金法並びに地方財政委員会の規則によつて、そういうふうになつていることは御承知と思います。
  234. 小林進

    小林(進)委員 それでは今年度の平衡交付金の中で積雪寒冷地に対する特別の交付金がどれだけ織り込まれて、それがどんなぐあいに配分せられているかを承りたいのであります。
  235. 岡野清豪

    ○岡野国務大臣 お答えいたします。平衡交付金はただいま普通の分が仮決定を終つたばかりでございまして、いわゆる一般平衡交付金の仮決定を本決定いたしますのは来年の一月中にすることになつております。その上で特別交付金を配分するという計画を立てている次第でございます。
  236. 小林進

    小林(進)委員 自治庁における地方団体に交付すべき昭和二十五年度分の地方財政平衡交付金の仮決定額の算定に関する規則案なるものがございますが、これによつて平衡交付金を交付されたのかどうかを伺いたいと存じます。
  237. 岡野清豪

    ○岡野国務大臣 お答え申します。衡交付金の仕事は自治庁ではございませんで、地方財政委員会でございます。同時に地方財政委員会でやつておりますことは、地方財政委員会の規則が定めるところに従つて配分することになつております。
  238. 小林進

    小林(進)委員 そうすると、私が今申し上げました仮決定額の算定に関する規則案なるものは単なる自治庁の案で、何ら実施の基礎となるべきものでないと解釈してよろしゆうございましようか。
  239. 岡野清豪

    ○岡野国務大臣 お答え申し上げます。先ほども申し上げましたように、平衡交付金の配分ということの事務は、地方財政委員会の独立の責任でございまして、自治庁はこれは参考に舞見するだけでありますから、私としては正確なる御答弁はできません。
  240. 小林進

    小林(進)委員 それではくどいようでありますが、いま一度お伺いいたしたい。一般交付金の中には積雪寒冷地帶に対する特別の考慮が今のところ何ら含まれていない、考慮されていない、こう了解してよろしゆうございますかどうか。
  241. 岡野清豪

    ○岡野国務大臣 先ほども申し上げました通り、仮決定でございますから、考慮されておるか、おらぬかは、地方財政委員会の方でなお考慮するだろうと思います。
  242. 小林進

    小林(進)委員 私どもの調査によりますれば、この平衡交付金の仮決定額の算定に関する規則の中に、いわば第四号、積雪、寒冷による補正係数という條項がありまして、この中で寒冷地を四種類に区分してあるのでありますが、これを岡野国務相は御存じであるかどうか承りたいのであります。
  243. 岡野清豪

    ○岡野国務大臣 承つてはおりますけれども地方財政委員会の仕事でございまして、私はただ承るだけでございます。
  244. 小林進

    小林(進)委員 私はまことにその御答弁に驚いておるのでありますが、自治庁の国務相は決して一連絡員でも、メツセンジヤー・ボーイでもない。確かに地方自治の財政その他に関して相当の責任と企画性をお持ちになつておるものと了解いたしておりましたが、実に驚いた。單なる連絡員である、こういういふうに了解してよろしゆうございますかどうか。
  245. 岡野清豪

    ○岡野国務大臣 お説の通りでございます。
  246. 小林進

    小林(進)委員 これじやもう言葉が続かないのでありまするが、それでは二十五年度の一般交付金のただいまの交付済みの総額並びに残額並びに特別交付金百五億がまだそのままになつておるか、あるいはまだ配付はしないけれども計画ができ上つておるか、こういうことをお伺いいたしたいのであります。
  247. 岡野清豪

    ○岡野国務大臣 お答え申し上げます。私の承つておるものでは、一般平衡交付金が一応仮決定をしただかでありましては、来年の一月までまだ方針がきまつておりません。同時に、特別平衡交付金の百五億というものは、まだ何ら計画を立てておりません。そういうように承つております。
  248. 小林進

    小林(進)委員 それでは何しろ持ち時間も少いし、われわれの時間は一分も血のごとく貴重なものでありますから、こういうなまずの問題はやめたいと思います。  最後に一言お伺いいたしますが、しからば来年度決定せられる百五億の特別交付金のうちに、積雪寒冷地に対して特別の考慮を払つてこれを交付するという意思が、一体国務相におありになるやいなや、あるいはそのために努力される御決意がありやいなや、その金額を大体どのくらいに考えておいでになりますか、こういうことを承りたいと思います。
  249. 岡野清豪

    ○岡野国務大臣 特別交付金の配分につきましては、地方財政委員会が追つて決定することでございまして、それに対して、もし御希望がございますれば、連絡員でございますから、御希望を取次ぐごとにいたします。
  250. 小林進

    小林(進)委員 積雪寒冷地帶の問題につきまして、大蔵大臣並びに自治相の御答弁を承りまして、私は非常に落膽いたしたのであります。税の公平という面から、どうしてもこの問題は早急に私は解決していただかなければならないと思うのであります。先ほども大蔵大臣は、何かその具体的方策をつくるときに、非常に困難であるということを言われました。もちろんその困難はわれわれも承知いたすのでありまするけれども、すでに公務員に対する寒冷地手当で一応この問題は決定いたしております。もちろん細部にわたれば、同じ地域で同じ家にあつても、日当りのいいところと、日当りの悪いところでは、これまた積雪寒冷地帶の関係もかわつて来るということでありまするが、そういう細部のりくつをもちまして、その必要件を拒否せられることは、はなはだ私は妥当を欠いた論説ではないかと思うのでありまして、大綱は必ず必要であるということを認められたならば、まずそつちの方に善処して、しかる後に細部の問題を自体的に解決して行くのが、私は輿論にこたえ、国会の決議にこたえる妥当な処置と思うのでありまして、われわれはさらにこの問題を切り直して、あくまでも執拗に闘うつもりでおりますので、どうかひとつ大蔵大臣、岡野国務相においても、この問題をもつつと深刻に考えて、善処せられんことを強く要望いたしまして私の質問を終ります。
  251. 稻村順三

    ○稻村委員 今岡野国務大臣の話を聞いておりますと、地方財政に関しては一切がメツセンジヤー・ボーイで、全然わからぬという話である。少くとも一国の大臣がそう言うのでありますから、吉田内閣は、議会に対して責任をもつて答弁する閣僚をつくつておらないということを意味するのだろうと思うのでありますが、まさかそんなことはないだろうと思うのであります。そこで私は議事進行として、きようあるいは明日になりましても、地方財政に関して質問が出ると思うのでありますが、これに対して全責任をもつて答弁できる閣僚を出席さしていただきたい。そうでなければ、ほとんど審議が不可能になるということを申し述べまして、委員長から適宜の処置をはかられんことを議事進行として申しておきます。
  252. 小坂善太郎

    ○小坂委員長 了承いたしました。
  253. 中曽根康弘

    ○中曽根委員 今の問題に関連して……。今の稻村順三君の御発言は、私も非常に至当と思うのでありましてわれわれは常識では岡野国務相が一応内閣のその担当者であると考えておつた。しかしほかに責任者があるならば、ほかの方を出していただいてもけつこうですが、もし岡野国務相以外に責任者がないとするならば、私は当然しからば、地方財政委員会の委員長をここへ出すべきだと思うのです。私はそれをここで委員長にお願いをいたします。どうかあしたから地方財政委員会の委員長をここへ出していただきたいと思います。
  254. 小坂善太郎

    ○小坂委員長 西村榮一君。
  255. 西村榮一

    西村(榮)委員 私は時間がございませんので、主として大蔵大臣質問いたしたいのでありますが、まずこの際に明らかにしておきたいことは、前の通常国会において、いろいろ論議せられたのでありますが、その性格がはつきりしなかつた問題に対日援助費があります。これは日本に対する贈与であるか、負債であるかということが、本年の通常国会においては明らかにされなかつたのであります。爾来十箇月を経ておりまして、その間アメリカにおきましても対日援助費の審議が予算委員会においてなされたのであります、一体このガリオア資金というものが、日本の負債に属するものであるか、贈与であるか、これは十箇月たつておりますし、一応大蔵大臣アメリカに行かれて、いろいろな方面を打診されて来たと思いまするから、この贈与であるか、貸与であるかというようなことについて、その性格についておわかりの範囲内においてお示しを願いたい。
  256. 池田勇人

    池田国務大臣 これはこの前も議論がありまして、申し上げたと思うのでありまするが、われわれは一応債務と心得ておるのであります。ただほかの国の例を見ますと、講和條約のときに免除された例があるのであります。
  257. 西村榮一

    西村(榮)委員 来年の夏になると、日本に対する援助費が打切られるというので、一体それまでに日本経済自立できるかどうかということが、今大きな問題になつておりまするが、私はこの対日援助費と日本の占領軍費、終戰処理費とは政治的に相関連を持つておる費用だと思うのであります。来年かりにアメリカ予算の都合によりまして、対日援助費が打切られたときには、当然占領軍費というものも免除されてしかるべき政治的な性格のものではないか、私はそう思うのでありますが、大蔵大臣の御見解はいかがですか。
  258. 池田勇人

    池田国務大臣 そういう議論があるのでありますが、私は別個のものと考えております。
  259. 西村榮一

    西村(榮)委員 大蔵大臣は別個のものとお考えになつておるという御答弁でありましたが、これは対日援助費を国会に予算として提出されるアメリカの陸軍当局の見解とは少し違うようです。過ぐるアメリカの八十一議会において対日援助費を審議されるときに、ヴオルヒーズ陸軍次官が証言台に立たれまして、そのときの証言の中の重要な点は、この援助費が贈与であるか負債であるかということは、今日はつきりしない。しかしこれは講和会議において多分贈与になるものと思う。それと同時に、ヴオルヒーズ陸軍次官は言葉を次いで、終戰処理費とアメリカの占領軍費と対日援助費とは相関連を持つて、そこで日本が終戰処理費を審議終了するのは四月であつて、対日援費を審議するアメリカの議会は七月一日から始まるのである、一応日本の終戰処理費というものの額をにらんで審議するのである。しこうして昭和二十五年度、一九五一年度のアメリカ予算においては、結局五千万ドル、プラスになつておるのであつて日本援助することにおいて決してアメリカにはマイナスになつておらぬということは、ヴオルヒーズ次官が証言されておるのであります。この証言に対して、日本大蔵大臣はいかなる御感想を抱いておられるか。
  260. 池田勇人

    池田国務大臣 私がワシントンに着きました日の午後ヴオルヒーズと会いましたときに、今お話のことの載つておる。パンフレットをくれまして、その話は聞いたのであります。しかし、ウオルヒーズがアメリカの国会でそういうことを言われましても、私はそういうふうには考えておりません、別個のものと考えております。
  261. 西村榮一

    西村(榮)委員 議論はあとに残しましよう。あなたが今折衝されておるドツジ氏——非常に見返り資金の融資、あるいは日本の財政について、慎重な考慮のもとに、厳重なおさしずをいただいておりますそのドツジ氏が、同じくヴオルヒーズ氏とともに書面をもつてその証言台に立つたときに、こういうふうなことを証言されております。日本に対する援助の九六%は食糧と綿花である、この食糧と綿花は今日アメリカにおいても過剰の物資であつて、将来も過剰物資であろう、しこうしてわれわれは日本に対して援助を与えるという、しかもその物資で援助を与えるということは、アメリカにとつてつたり、かなつたりのことである、という証言をされておるのでありますが、大蔵大臣はドツジ氏のこの証言に対して、御感想はいかがですか。
  262. 池田勇人

    池田国務大臣 ヴオルヒーズと会いましたときに、ドツジもそのことを言つておりました。しかしこれはドツジが国会で言われたことでありまして、私は批評を加えたくないと思います。
  263. 西村榮一

    西村(榮)委員 日本大蔵大臣として批評を加えないということは、これは穏当でしよう。しかし日本国民としては、そのことを一応考慮に入れて、見返り資金と対日援助費というものを考えなければならぬ。私はその観点から考えまして、ここに大蔵大臣の内政についての御見解を承りたいと思うことは、見返り資金が今日公企業並びに私企業に対して投資する場合においては、非常な制限、あるいは厳格な査定を加えられておるのである。私はここにおいてまず第一に、日本の金融事情と将来の民族資本の擁護という立場から考えまするならば、この見返り資金を面接私企業に投資するという形を避けて、この見返り資金は金融債の形において、日本の金融業者を通じて、私企業に投資したらどうか、こう思うのであります、私の申し上げる点は、大蔵大臣がひよつとして誤解して、すつとんきような御答弁をなさるといかぬから念のために申し上げておきますると、見返り資金が贈与であるか、あるいは負債であるかということが明らかになり、もしも見返り資金を素のままに日本の私企業に直接投資されて、その私企業が将来返済を迫られて、返済不可能なる場合には、その見返り資金の所有権者がその債権確保のために、いかなる手段を講ずるかということを考えてみましたならば、私は用心に用心を重ねておく方がいいのではないか、そういうような点を考えると、見返り資金を私企業に面接投資するという、こういうことよりも、むしろ金融債を所有するという形において、日本の金融業を通じて私企業に投資するというふうな形をとつた方が、私は将来の日本の民族資本擁護のために安全ではないかと思うのでありますが、大蔵大臣は、そういうふうの道に努力をする余地があるかどうか、またそういう新方針をお持ちかどうかということも承りたい。
  264. 池田勇人

    池田国務大臣 見返り資金が債務であるかどうかということと、私はアメリカ援助資金が債務なりやいなやという問題とは、そこに一つのギヤツプがあると思うのであります。私はそういう問題を考えて、見返り資金の運用についてどうこうということをいたしたくない、ただ見返り資金をいかに使つたならば、日本の実情に合うかという問題について検討いたしますると、見返り資金で金融債を持つことも一つの方法かというので、検討を加えております。
  265. 西村榮一

    西村(榮)委員 次にお伺いしたいのは、日本の今外為資金から来る外貨は一体どのくらいあるのでしようか。
  266. 池田勇人

    池田国務大臣 先般も御質問が、ございましたが、これは答えられぬことに相なつておりますので、御了承願いたいと思います。
  267. 西村榮一

    西村(榮)委員 私は答えられなければ、あえて今日答弁は要求いたしませんが、日本貿易資金、しかも日本の所有になつているものが、日本大蔵大臣日本の国会においてその残高を示し得られないということは、一体どこに理由があるのでしようか。
  268. 池田勇人

    池田国務大臣 どれだけ、ドルで持つておるか、ポンドでどれだけ持つておるかということはこれは政治の財政金融に携わる私としてはぜひとも知つておかなければならぬことでございますので五、六箇月前から私にはわかつております。しかしこれは今占領治下で、ございまして公開の席上で発表しないようにというお話がございましたので発表しないことにいたしております。
  269. 西村榮一

    西村(榮)委員 私は、そのことは日本の国民にも、日本経済の動向を推察するに重要なポイントであると思いますから早い機会に公表されることを希望いたします。ただ今あなたがおつしやつたドルとポンドと両方で持つておる、こういうふうな話でありますが、日本の外為資金を取扱つておる銀行はナシヨナル・シティー・バンク一行だけですか。ほかにありますか。
  270. 池田勇人

    池田国務大臣 ただいまのところナシヨナル・シティー・バンクが主でございますが、チエーズ・ナシヨナルあるいはバンク・オブ・アメリカも取扱つておると思います。
  271. 西村榮一

    西村(榮)委員 ポンド圏の銀行は取扱つていないのですか。
  272. 池田勇人

    池田国務大臣 この問題は私の直接の所管ではございませんので、どこの銀行でどれだけということは存じておりませんが、ポンド地域の銀行の支店もこちらにございますので、あるいは取扱つているかと思いますが、この点は木内委員長から後刻お答えしていただきます。
  273. 西村榮一

    西村(榮)委員 私はドル銀行一行において日本の為替業務を取扱つてもらうということは、はなはだいろいろな点において考慮すべき点があると思います。今日貿易はドルとともにポンド地域が非常に多い、従つてポンド地域の銀行において外国為替を取扱うということは、ポンド地域との貿易問題が円滑に進むのみならず、そこに銀行業者としてのサービスがある。私がかりに今外為資金が四億ドル預金があるといたします。これは私はあなたのあげ足をとるわけではないが、三、四日前に中曽根君が、この四億ドルの預金を無利子で預けておるのじやないか、けしからぬという質問をされたときに、あなたはこれに対して、法律に基いて無利子で預けておるのだから、決して違法じやない、こうおつしやつた。私はそこに二つの問題があると思う。銀行業者としては、一つの銀行に預金をしておくよりも、二つの銀行に競争してもらう方が、日本のためです。これは常識上判断できる。それから法律に従つて四億ドル無利子で預けておるということは、これは成立ちません。大蔵大臣たるものが、そういうふうな御答弁は、将来なさらぬ方がいいのであつて、預金の概念というものは、預けて必ず利息がつくものが、これが預金です。預けて利息のつかないものは、これは預託です。しかもこの予算書の中においては、これは預金としてしるされておる。預金ならば、将来必ず利息のつく方法をお選びになる方がいい。この方法を選ぶには、やはり外国銀行が二つないし三つが競争するというふうな態勢で、日本の国にサービスしてもらつたらいい。これは重要なことです。私がこの取扱いを、利息のつく預金に振りかえてもらいたいということは、かりに四億ドルというものが預金してありますならば、これは見返り資金の七分六厘といたしますと、一箇年百億円近くの利息がつくのです。アメリカの銀行預金にいたしましても、相当の利息がつくのです。従つてこういうふうなことに改めるのは、もう議論の余地はないと思う。二つくらいの銀行を——ドル地域とポンド地域と両方に、ひとつ日本の為替業務を扱うよ、に努力をされてはどうか、こう思いますが、大蔵大臣のお考えを承りたい。
  274. 池田勇人

    池田国務大臣 せんだつて法律に基いて、無利子だと答えておるとすれば、速記録を見まして、あらためてお答え申し上げますが、御承知の通り外国におきましては、当座預金を通常無利子であるのであります。従いまして当座預金に関する限りにおきましては——どこの銀行に預けておるか、私は存じませんが、無利子で預けておるのもやむを得ないかと思います。しからば今のドル資金を全部当座預金にすることがいいか、悪いかという問題はございましよう。しかしその場合におきましても、私は木内外為管理委員長は、必ずや定期預金でお預けになつていると想像いたしておるのであります。直接に私が関係しておりませんので、定期が幾ら、当座が幾らということは存じませんが、ある程度のものが定期預金で預けているということを聞き及んでおるのであります。その分につきましては、利子はついております。しこうしてこの問題については、私は日本には十幾つかの外国為替銀行を許可したのであります。また最近では外国に商社を設けられるようになつたのでありますから、日本の為替銀行がアメリカその他の地に支店を置いて、そしてその金を日本の為替銀行が預かつて、ドルを運用してくれるならば非常にいいのである。しかしいかんせん、日本の為替銀行は、まだ外国に支店を持つておりません。日本がドルを持つてつても、それはアメリカなりほかの地域にある。これを何とか活用したいというので、——せつかく国内では為替銀行を認めておるのでありますから、これが支店を外国に設け、そして日本の金は日本の銀行に預けたいという方向で進んでおるのであります。
  275. 西村榮一

    西村(榮)委員 それは少し池田さん違うのです。あなたの答弁は、速記を見て違いは訂正されたらいいと思う。私は別にあげ足をとろうとは思わないが、銀行業者が取扱うのに、当座預金か定期預金かということはあり得ない。それは代金の取立てを依頼を受けた銀行業者は、依頼を受けた人に対しては、その日のうちに通知が参る、代金取立ての有無について通知する。従つて外国銀行は、当然日本政府に、通知しなければならぬ。そのことについて代金取立ての依頼者から何も返事がない場合においては、その銀行は、最も高い利息のつく預金に振りかえるところの業務上義務を持つている。これは商業道徳です。従つてあなたのように、当座預金だから無利子だということは言えない。この予算書のどこを見ましても、外国為替四億ドル——二億ドルでも三億ドルでもいい、それから生れるところの利息収入というものはないじやありませんか。どこにも利息収入がない。預金部資金の運用利潤というものは載つつおるが、外為資金から来るところの利息収入というものは、どこにもないのです。そのことは別にして、将来ひとつ少しでも利息のつく方法に、日本の厖大なる四億ドルないし将来は五億ドルにふえるかもしれない外為資金、これを少しでもよけいに利息のつく方法において運用される必要があるし、かつまたこの義務を大蔵省が怠るならば、それは外国に対して卑屈なる態度か、みずからの業務を怠つておると、国民から非難されるということをお考え願いたい。  次に、一昨日あなたの御答弁の中に、警察予備隊は大体二百億円というお話があつたが、きようは二百四十億円ということを言われたのであります。どつちが正しいのでありますか、一応承りたい。
  276. 池田勇人

    池田国務大臣 外貨の運用につきましては、外国為替銀行がいたしておるのであります。しこうして、今の外貨の運用は、当度預金で預けられ、また一部は定期預金で預けられておるのであります。しこうして定期預金で預けられたものにつきましては、利子がつきますので、これは今後収入になつて来ると思います。  次に御質問の警察予備隊は、本年度一般会計の大蔵省所管の国債費から予備隊に二百億円出しておるのであります。きようはこれに海上保安庁を入れております。海上保安庁の予算を四十億と申しましたが、これは簡單に申し上げたので、実際は四十六億円かと思います。そうしますと、二百四十数億円になります。
  277. 西村榮一

    西村(榮)委員 それは全部国債償還費の中から移用されておるわけですか。
  278. 池田勇人

    池田国務大臣 さようでございます。
  279. 西村榮一

    西村(榮)委員 そうすると、国債償還費というものは、一応予備費的な性格を持つておるのですかこの点お伺いしたい。
  280. 池田勇人

    池田国務大臣 ごらんの通り、予備費ではございません。
  281. 西村榮一

    西村(榮)委員 予備費でないとすると、これはどうして移用されているのですか。
  282. 池田勇人

    池田国務大臣 ポツダム政令によつて移用しております。
  283. 西村榮一

    西村(榮)委員 予備費でないとすれば、これは当然その予算の組みかえに対しまして、次期国会の承認を得るのが当然でないかと思うのですが、どうでしようか。
  284. 池田勇人

    池田国務大臣 私はポツダム政令でやつておりますので、その必要はないと、ただいまのところ考えております。
  285. 西村榮一

    西村(榮)委員 ポツダム政令には、警察予備隊の設置について指令は与えております。同時に「これらの機構拡充に要する経費は、国家予算一般会計の公債償還費のうちから計上さるべく」云々、こう書いてある。「計上さるべく」云々ということは書いてありますけれども、その計上された結果において予算の組みかえ、あるいは別個においてて追加予算あるいは編成がえというようなことの手続をしなくともいいとは、ポツダム政令にはどこにも書いてない。これは私は当然次の国会に提出する義務があるのではないか、憲法上の解釈からいつて、そう思うのですが、いかがでしようか。
  286. 池田勇人

    池田国務大臣 ポツダム政令に幾ら幾らを移用しろと書いてあると記憶しております。
  287. 西村榮一

    西村(榮)委員 ポツダム政令には、国債償還費の中からそれは計上さるべきだということが書いてあるのです。従つて日本国憲法八十七條並びに財政法によりますと、これは当然次の国会にその組みかえ並びに追加予算を提出される義務を政府は負つておるのではないかと、私は思うのでありますが、いかがでありましよう。
  288. 池田勇人

    池田国務大臣 私はポツダム政令によりまして、国債費から内閣所管の警察予備隊の方に移用いたしましたのは、財政法の移用の規定に基いてやつたのではなしに、直接ポツダム政令によりまして、移用いたしたのでありますから、その必要はないと考えておるのであります。
  289. 西村榮一

    西村(榮)委員 私はポツダム政令と日本の憲法と、どつちが優位であり、どつちが従属すべきであるということは、これは議論の余地がありません。ポツダム政令は上位であります。しかしながらポツダム政令に対しまして、日本の国会は審議の能力は制限されておりますけれども、拒否は剥奪されておりません。しこうしてポツダム政令と日本国憲法との問題における矛盾と対立を来したならば、しかもその中にすき間があるならば、日本の憲法に従つて、それは当然出すべき義務にはあるのではないか。たとえば私が申しますることは、ポ政令において、これは国会にかける必要がないというふうなことが書かれておるならばともかくといたしまして、そのことが明示されていなければ、日本政府といたしましては、日本の憲法を尊重する、その財政法を尊重する意味において、当然これを国会に組みかえを提案されるということが、日本政府の義務ではないかと思うのですが、大蔵大臣はいかがですか。
  290. 池田勇人

    池田国務大臣 私はそう考えておりません。
  291. 西村榮一

    西村(榮)委員 時間がありませんから、これは非常に重要な問題でありますので、次の機会に持ち越しておきまただ私はこの際に大蔵大臣に希望を申し上げておきたいことは、ポ政令に便乗しない方がいいと思うのです。ポ政令に便乗しない方がいい。ポ政令に便乗して国会軽視の方針をとらない方がいいのではないか。なるべく国会を尊重して、財政法を守つて行くことが、日本大蔵大臣の義務ではないか。同時に先ほど来の私とあなたの応答の中に明らかになつたように、ヴオルヒーズ陸軍次官それ自身が、対日援助費はこれは大体贈与になるであろうという見解を述べ、しかも終戰処理費との間における関連性を承認しつつ、終戰処理費と、対日援助費との間において、五千万ドル、アメリカはプラスになつておるという証言、ドツジ氏が、日本に送るこの援助費の中の八七%はアメリカの過剰物資である、将来の過剰物資である綿花と食糧であろう、というふうなことを言われた点を考えて、さて見返り資金運用を一応考慮に入れますならば、日本大蔵大臣はそれらを考慮に入れれば、日本の見返り資金の運営については、もつと自主的な態度をお持ちになる必要があるのではないか。これを一つ申し上げて、私の質問を終りたいと思います。
  292. 池田勇人

    池田国務大臣 決してポ政令に依存しようというふうな考えは持つておりません。とにかくポ政令が出ましたので、これをやつたのであります。しこうして今お話のヴオルヒーズ次官あるいはドツジ氏が国会において言われたことも、私は十分知つております。しかしこの援助資金が債務なりやいなやということは、マツカーサー元帥の言もあることですし、またこの関連性におきましては、西村君は数字が詳しい方でありますが、今終戰処理費をドルに換算しますと、すなわち当初一ドル十五円、次に一ドル五十円、一ドル七十円、一ドル三百六十円で行きますと、終戰処理費は四十億ドルくらいに相なるのであります。しかして今まで来ておる分は十八、九億ドル、約三十億ドル、それならばこつちが貸しがあるのではないかということも、言えば言えるのではないかということになりますが、私は日本大蔵大臣として直接に関連性があるとは言えないと思います。しかして向うさんが向うで議論されるのと、占領された日本におきまして向うの言われることは、またある程度の違いもあるやに私は考えております。あなたのお気持は十分わかる上、われわれも早くいわゆる占領治下でないように、皆さんと手を握つて、十分に財政経済の仕事ができるようなことにいたしたいというので、早期講和をとなえるのも、この意味からでございます。(笑声)
  293. 小坂善太郎

    ○小坂委員長 林百郎君。
  294. 林百郎

    ○林(百)委員 私も今西村委員質問が非常に重要だと思いまして、見返り資金の性格の点について、やはり池田大蔵大臣にお聞きしたいと思うのでありますが、このガリオアと日本の見返り資金との関係は、どういうようにお考えになつておるか、お聞きしたい。
  295. 池田勇人

    池田国務大臣 先ほど西村君にお答えした通りであります。
  296. 林百郎

    ○林(百)委員 先ほど大蔵大臣はあなた自身の答弁の中で、西村君はガリオアの性格はどうかと言つたら、それは債務だと言いました。しからば見返り資金の点はどうか。西村君の質問の中で、経緯は知りませんが、あなたの見解として、見返り資金とガリオアとは別個な性格だ、ガリオアはガリオア、見返り資金は見返り資金ということを答弁されたと私は思います。私はその点あなたと同感でありますが、どうですか。
  297. 池田勇人

    池田国務大臣 この問題は、前の国会で多分林君だつたと思います。あるいはもう一人の共産党の方かもわかりませんが、金を借りて米を買つた。借りた金は借りたのでありますが、その金で買つたものはこつちのものだ、こういう考えであるのであります。ガリオアは債務であるかないか、議論がありますが、私は債務と心得ております。しかし見返り資金というものは日本政府の金であります。
  298. 林百郎

    ○林(百)委員 私もそれと同じ考えを持つておるのであります。ところが先ほどの西村君の質問にもありました通りアメリカの第八十一議会においてこの対日援助資金の問題が討論された際、ヴオルヒーズの証言の中に、こう言つておるのであります。われわれが見返り資金を生みだしたドル援助額の支払いを日本に要求するならば、融資の取立て分は当然日本人のものとなるであろう。だから援助資金の取立てをした場合に、援助が済んだ部分については、見返り資金は当然日本人のものになるだろう。われわれは二度日本人から支払いを要求することはできないから、ということが言われておるのであります。また、もし日本人がわれわれの与えたドル援助、すなわち見返り資金のうらのこれら融資部分を返済できない場合は、均衡上それらは米国の目的に合致するように利用されることが必要だ、もちろん日本国内における米国の目的という制限があるにしても、ということを言われております。そこでもし将来、この援助資金の支払いを受けるようなことがあつた場合に、日本の国の見返り資金とり関係は、どういうことになるのですか、その辺について池田大蔵大臣のお考えをお聞きしておきたい。
  299. 池田勇人

    池田国務大臣 援助資金を払わなければならぬような場合について、見返り資金との関係はどうかという問題でございまするが、私は、援助資金は払わなければならなくなつたときに考えればよい問題であつて、今からそんな坂越し苦労をするような余裕は実はないのであります。私は債務と心得ておりまするが、ほかにも例がありますので、多分いただけるのではないかという希望を持つているのであります。
  300. 林百郎

    ○林(百)委員 アメリカの議会においてはすでにこれを取立てる場合のことを考えているのであります。一方貸した方は取立てることを考えているのに、借りた方はそんなことは知らなくてもよいのだということで通せるかどうか。万一そういう場合が来たときにやはり対処すべき処置を、池田大蔵大臣としては考えていなければならぬと私は思います。これはアメリカの議会ですでに取立てることを問題にしているのですから、借りた方が払わなければならなくなつたときに考えればよいと、ふんぞり返つているわけに行かぬと思います。その点あなたにしつかり腹をきめておいてもらいたいと思うのであります。  そこでもう一つ問題になりますことは、見返り資金はあなたの言う通り援助物資を日本人が買つて日本人のふところから出た金であるから日本の金だ、これは私とあなたと見解が一致しております。そうなりますと、この金の運用については、大臣が自主権を持つていいのか、たれがその金の運用の権限を持つていいのか、お聞きしたいと思います。
  301. 池田勇人

    池田国務大臣 日本政府が運用について自主権を持つているのでありまするが、それを個々に使います場合におきましては、関係方面の了解を得ることに相なつておるのであります。
  302. 林百郎

    ○林(百)委員 それについて池田大蔵大臣考えと実際の向うの考えとは食い違つておるのであります。これはウイグルスワースの証言でありますが、こういう問答がされているのであります。マ元帥がこの資金の処理をするのか、それとも日本政府資金運用についての発言権があるのかどうかという問いに対して、ヴオルヒーズが日本政府からの勧告はもちろん十分考慮される。現に基本的な支出計画はドツジ氏によつて承認され、見返り資金は氏の勧告によつてのみ支出されて来た、と言つているのであります。そろするとウイグルスワースは、実際問題として見返り資金はマ元帥の統制下にあるのか。ヴオルヒーズ、その通りである、というように答弁しているのであります。この問題について、私の記憶するところによりますと、対日援助見返り資金に関する法律について、たしか日本の法律の原案の中の、この資金の運用は連合国最高司令官の許可を得てというのが国会で削除されたのであります。日本の国会ではこれを削除して、日本政府が自主的に運用できるときめているにもかかわらず、アメリカの議会では、いやそれは事実上ドツジ氏によつて承認され、氏の勧告によつてのみ支出され、マ元帥の統制下にあるということを言つているのであります。その辺の運用についての食い違いを、大蔵大臣としてはどう考えておりますか。
  303. 池田勇人

    池田国務大臣 お話通り、原案には載つてつたのを修正になりまして、許可は要しないことになつているのでありますが、衆議院におきまして附帶決議があつたかと思います。実際面におきまして、運用いたしますときに一々ドツジ氏の承認ということはないのではないかと思いまするが、関係方面に解除申請をしまして許可があつてから使うことになつております。使い方は、たとえば中小企業に出しまする一・四半期九億円、月に三億ずつ来るのであります。この貸出し先につきましては、どうこう言う問題はございません。事柄々々によつてつているのであります。私は、日本政府の責任におきまして司令部の許可を得てやると心得ております。
  304. 林百郎

    ○林(百)委員 実質的には、池田大蔵大臣答弁いかんにかかわらず、やはり司令部が実権を握つていると思うのです。そこで私は、この際見返り資金の運用について希望を申し述べてこの問題を打切りたいと思います。先ほど西村委員の話もありました通り、まあたなた自身のお話通り、見返り資金援助資金とは全然別なのであります。一応見返り資金日本の国が購入した物資の代金として日本国民のふところから出ている金でありますから、将来のガリオアの返済問題は別として、一応この金は日本政府が実質的に運用し得る金であると思うのであります。そういう意味で、池田大蔵大臣としては、将来見返り資金の運用についての自主性を、あなた自身の手に握るように努力されることを希望したいと思うのであります。  そこでその次の問題に移ります。これは昭和二十六年度の予算の全貌を見なければわからないことでもありますが、しかしこの補正予算に出ておる部分だけについて見ましても、私はこの補正予算の中に備蓄的な性格を持つた部分が非常に多いように思うのであります。予算の運用が予算書に記載されおる項目に従つて正確に運用されるということは、すでにあなたにも言われた通り、警察予備隊については、ポ政令によつて債務償還の中から、必ずしも二百億とは限らない、必要に応じて適当に出せるのだということになりますと、予算の中に組まれておる債務償還千二百億というものは、実際は一体債務償還なのか、警察予備隊のための備蓄なのか、もう性格がわからないのであります。そこでわれわれは、ここで予算を審議しておつても、それが将来ポ政令でどう運用されるかわからない。行政的措置だけでこれが運用されるということになると、予算はまつたくかんばんにすぎないことになると思うのであります。これと同じ性格を持つたものが、私は方々で感じられるのであります。本年度の預金部資金の運用の問題について、政府の提出した資料によりますと、大体三百四十四億の長期運用の純余裕金が計上されておるのでありますが、これについてはどう運用される考えを持つているか、お聞きしたいと思います。
  305. 池田勇人

    池田国務大臣 昭和二十五年度預金部資金運用計画及び実績、こういうものにつきましては、これは事務当局から断つてはいなかつたでございましようか。
  306. 林百郎

    ○林(百)委員 何もお断りないのです。
  307. 池田勇人

    池田国務大臣 私はこういうことは発表してはいかぬ、これはまだきまらないので、変更を申出た方がよい、こう言つてつたのであります。地方債起用計画でございますが、四百二十億もただいま折衝中でございます。肩がわりの三十億というのも、これはきのう見た銀行局の数字とは違つております。十一月二十億円、これは肩がわりするだけで、今後どれだけ肩がわりするかということはきまつていない。それから見返り保有国債肩がわり二百七十億、これもきまつておりません。金融債の引受百億円、預金部の事務当局はこのくらいでいいだろうかと私は思うくらいでありまして、これはぼくは見ないが、訂正した方がいいではないか、こう言つておるのであります。従いまして、長期運用年カ三百四十億、この数字も私は存じません。
  308. 林百郎

    ○林(百)委員 知らないとは驚いた。われわれのもらつた資料について大臣は責任を持たぬということになりまして、これはゆゆしい問題だと思うのです。そこで年度末における預金部資金の余裕金について安本周東さんにお聞きしたいと思います。  年度末に預金部資金の余裕はどのくらいになりますか、これは安本では安本独自の数字が出ておりますから、池田さんと相談しないで、あなた自身の数字を出していただきたい。
  309. 小坂善太郎

    ○小坂委員長 林君に申し上げますが、今の資料は、先般舟山銀行局長が参りまして、訂正方を申し入れております。私この席で、この集まりの前に言つたように思うのです。会議録にとつてありませんが、あらためて申し上げます。なおあらためて資料として訂正の資料がこちらへ来ておりますから、これをよくごらんになつていただきたいと思います。
  310. 周東英雄

    周東国務大臣 年度末の問題でありますから、見込みについていろいろ研究を要しますが、大体六百億くらいであろうかと思つております。
  311. 林百郎

    ○林(百)委員 池田大蔵大臣もお聞きのように、安本では、大体六百億から七百億の年度末預金部資金について余裕が出て来るように言つておるのでありますが、この点について池田大蔵大臣はどのように考えておるのが。全然余裕が出ないというのか。
  312. 池田勇人

    池田国務大臣 林君は余裕金というものをどういうふうにお考えになるので、ございましようか。預金部の金は、御承知の通りに国債あるいは地方債、あるいはまた公団の貸付、あるいは地方の短期融資ということに限られておる。しこうして私はこの前に財政演説で申しましたように、預金部資金をもつて金融債を引受けたい、こういうことを言つておるのであります。しこうして今これを検討しているのでありまするから、一応通貨審議会の方に出しました資料も、その後の様子によりましてどこへ使うかということはかわつて来るわけであります。余裕金という意味はつきりおつしやつていただかないと、お答えに困るのであります。
  313. 林百郎

    ○林(百)委員 余裕金というのは、あなたの方で出した資料の中に長期運用余力とあるわけです。あなたは、これを長期の金融債を引受けたいと考えておると言うだけで、現に引受けたとは言つていないわけです。あなたはあげ足とりみたいなことをすぐ言うのでありますが、とにかくここに預金部資金としては、三百億余りの適当なものに使えるだけのものが——あなたがどう使おうと、使えるだけのものがここにあるわけですから、それを私は言つている。しかもそれは安本によれば、年度末には六百億、七百億になるということを言つておる。だからここに私は予算の中における余裕部分があるということを断定しておるわけです。  それからもう一つ、この問題について、やはり私たちが関心を持たざるを得ないのは、復金債の回収金であります。これについてどのくらいのものが回収されておるか、これはこの前も問題になりました通りに、復金の償還はすでに終つておるわけです。資本の償却はすでに終つておるわけです。それ以上回収されたものは、余力として残つておるわけであります。これがどのくらいあるか、この点もあわせて伺つておきたい。
  314. 池田勇人

    池田国務大臣 預金部の金はできるだけ有効に使いたいと思います。従つて今年度金融債を幾ら引受けるかという問題もあります、また食糧証券をどれだけ買い込むかという問題もあるのでありまして、ただいま検討を加えておるのであります。  次に復金の貸出金に対しまする回収は、御承知の通り予算に組んでおります。一般会計へ繰入れております。多分今年度が百八十億円で、来年度が百二十億円くらいじやなかつたかと思います。御承知の通り千億円に余る復金の貸付の元は、一般会計から三百億円入れ、そうして復金債の発行が七、八百億円であつたのであります。三百億円入れた分は、今年と来年くらいで一般会計にもどつてしまいます。残りの復金債の部分は、見返り資金で償却してしまいますから、これはもう借金のないことになるのであります。
  315. 林百郎

    ○林(百)委員 そこでその回収できた回収金は、私の方の計算によりますと、大体二百六十億ほどありますが、これはやはで予算のうちにおける余裕金として残つておるというふうに解釈してよろしいのですか、その点はどうですか。
  316. 池田勇人

    池田国務大臣 今年度の百八十億円は復金から一般会計へ入れまして、そうしていろいろな歳出に充てておるわけです。来年度も百二十億円くらい入つて参りますが、これも支出する考えでおるのであります。
  317. 林百郎

    ○林(百)委員 大体わかりましたが、やはり復金の回収金も一つの余裕として、これを大蔵大臣がつかむことのできる予算の中における備蓄的な性格を持つた部分というふうに私どもは解釈するのであります。そこでこの問題についての結論を申しますと、債務償還の見返り資金中における五百億、預金部資金の三百三十億、復金の回収金の二百六十億、これらの、池田大蔵大臣の言うポ政令によつてどうでも運用できるというような、見返資金中の債務償還費的な、予算の中における備蓄的な性格を持つた部分が、補正予算並びに昭和二十六年度予算には含まれておる。そうしてそれが朝鮮事変のテンポとか、あるいは国内における治安確保というような名義によつて予算の費目の形式いかんにかかわらず、行政的な措置で運用されるのではないかということを私は憂えておるのでありますが、この点について絶対そういうことがないというならば、絶対ないということをはつきり明言していただきたいと思うのであります。
  318. 池田勇人

    池田国務大臣 これは予算書をお読みくださるとわかると思うのでありますが、昭和二十五年度において復金から入つて来ます百八十億円は、今年の歳出に充てておりますから、これが官吏の俸給になつておるか、あるいは公共事業費になつておるかわかりません。来年予定しておる百二十億円も、これも官吏の給与引上げに行くか、あるいは公共事業費に行くかわかりませんが、一般の歳入として繰入れて使うのであります。従つて備蓄ということは言えません。それから預金部の分につきましては、経費の予算は出しますが、運用につきましては従来とも予算を出しておりません。これはもう普通の預金部会計としては経費の分について出すだけで、便郵貯金が何ぼ入つて、何ぼこれを貸し出すということは、国会の審議を受けていない普通の金融機関の業務としてやりますから、備蓄とかなんとかいうものではありません。国債、地方債あるいは金融債に向うという備蓄ではありません。それから見返り資金におきまする五百億円の債務償還の分は、けさほど答えた通りに、予算では債務償還になつておりますが、これをどうするかという問題は今検討中であります。
  319. 林百郎

    ○林(百)委員 その点については、池田大蔵大臣と私の見解が相違しておりますから、池田大蔵大臣が絶対そういうことはしないとおつしやるなら、それでけつこうでしよう。私の方はすでに警察予備隊に対するポ政令の例がちやんとあるわけです。ところがあれほど池田財政の生命線という債務償還が国会にかけずしてポ政令で警察予備隊の方に行われておるということ、ここであなたがいくらりつぱなことを言つても、再びこういうことが繰返されることことは明かであります。しかも最初は二百億という金が二百四十億と、四十億いつの間にかふえておる。これはあとで訂正するとかなんとか言つておりますが、これはあなたの答弁いかんにかかわらず、外来に対する予算の中の備蓄的な性格のものである。時勢の変転、国際情勢の変転によつて、行政的な措置としていつでも出し得る切札として、予備的に備蓄されておるということを、私はここで私の見解として言つておきたいと思うのであります。そこでその次の問題に移りますが、外為のインベントリーの百億の問題であります。先ほど西村君の質問にもありました通りに、明らかに貿易によつて、ことに輸出して獲得した外貨というものは、日本の労働者が苦労してつくつた品物を日本の資本家が輸出して、日本の国が獲得した外貨なのであります。これがどうして日本政府の掌握するところとならないのか、それについて池田大蔵大臣のお考えをお聞きしたいと思う。
  320. 池田勇人

    池田国務大臣 これは外為会計になつていまして政府のものであるのであります。
  321. 林百郎

    ○林(百)委員 政府のものであるならば、その外貨予算の内容をここではつきり説明してもらいたいと思います。
  322. 池田勇人

    池田国務大臣 外貨予算の内容につきましては事務当局をして説明いたさせます。ただ私は公開の席上で言えないというのは、日本政府の保有しておりますドルとポンド、これは公表できないこう申し上げておるのであります。
  323. 林百郎

    ○林(百)委員 外貨予算の中心は日本政府が持つておるドル並びにポンドなのであります。それがどういうように運用され、どういうように計画されているかということが説明できなければ、いくらあなたが日本政府が外貨予算を持つていると言つても、実際はそうはならないと思う。  そこでさらにあなたにお聞きしたいことは、外為予算をインベントリーでやつたのはインフレを防止するのだということを国会で御説明になつておりますが、さきの公聽会の意見を全部聞きますと、明らかにこの百億は日銀の貸出しという形でやつても、これが要因になつてインフレになることは決してないと思うということが、公聽会の公述人のあげての意見つたのであります。これについてわれわれは、ドツジ氏と池田大蔵大臣の交渉の経緯を見ていますと、池田大蔵大臣も最初は日銀からの貸出しという形でやつて、インベントリーをなるべく避けようという方針で努力されていたように見たのでありますが、その点は池田大蔵大臣のほんとうの考えはどうなのですか。
  324. 池田勇人

    池田国務大臣 この点は、当初予算を内定いたしました場合におきましては、朝鮮事件を織り込んでおりません。従いましてあのときならばインベントリー・フアイナンスのことは考えなくてもいいだろう、こう思つてつたのであります。その後輸出が非常に増進いたしまして、そして外貨がどんどん入つて来ます。これを日銀からの借入金によつてやりますと、通貨の膨脹の原因になりますので、今の状態としましては、一般会計から外為の資金不足を補うのが適当の方策として考えておるのであります。
  325. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると、将来もし輸入が非常に増進しまして、このインベントリーで外為に入れておる百億が払えないという場合には、そこはどうなるのかということと、もう一つは、われわれの聞くところによると、来年度も五百億を、外為にやはりインベントリーで入れるということを聞いておるのでありますが、その二つの点をはつきりしていただきたい。
  326. 池田勇人

    池田国務大臣 輸出入がバランスして参りますと、今入れた分は余つて参りますから、また一般会計の方へ繰入れていろいろな仕事の財源になると思います。次にまた来年度の予算につきましては、輸出入の見通しをつけますと、かなりの金額を運転資金として一般会計から出すようになると考えております。
  327. 林百郎

    ○林(百)委員 ここにもやはり備蓄的な性格があるので、先ほども言う通りに、もし輸入が増進すれば余裕ができて一般会計へ返すつもりだというが、返してどうするかということです。これは返すつもりだということなんで、その場でなければわからないことなんですが、本年度の百億、来年度の五百億のインベントリーも、また、本年度並びに来年度予算の中におけるところの備蓄的な性格のように考えられます。そこでこの問題について私は考えるのでありますが、輸出が増進すればするほど、国民の側からは税金をとられなければならないということは非常に奇異な問題だと思うのであります。その点について、日本貿易見通しについて将来こうした輸出が増進したために、かえつて国民から税金をとらなければなら如くなるというような矛盾を、どう解決して行くつもりか、周東安本長官にお聞きしたいと思います。
  328. 周東英雄

    周東国務大臣 お話の点でありますが、今日の状態として、一応輸出関係が、特需を含めて非常に増加関係になつておりますので、ただいまのような処置考えておるのでありますが、これは一つ処置でありまして、輸入に対する処置が手がついて、どんどん入るようになれば、お話のような御懸念は将来なくなつて参ると思います。
  329. 林百郎

    ○林(百)委員 まことに手放しの楽観的な御意見を聞いておるのでありますが、問題はその輸入がどしどし入るようになればいいのであつて、どこからどういうものを輸入して、そしてこの輸出輸入のアンバランスバランスの形にして、輸出が増進するために、かえつて国民は税金を出さなければならないというような、日本の国民のこの悲劇をどう解決されるつもりか、その点をお聞きしたいと思うのです。
  330. 周東英雄

    周東国務大臣 あなたは特にインベントリーの問題を自己の断定のもとに悪い方面にお考えになりますけれども、私どもは今日の場合、四月をピークとしてだんだん五月六月と、少し輸入が減りました。その後における輸入に関する各手続の改正、輸入外貨の割当、自動許可制、長期先物契約等を進めて参つたことがだんだんと効果を発揮しまして、七、八、九とだんだんと輸入が増加している事実を私は見るわけであります。従つてそれぞれの国に対する措置をとつておりますから、もうしばらく見なければならぬと思うのであります。契約いたしましてその日すぐに船に積みに出されてもやはり一月はかかるのであります。いわんや各地方から来るのについて、もう少しわれわれのとつた措置から見ての輸入見通しをごらんをいただきたいと思います。
  331. 小坂善太郎

    ○小坂委員長 林君、もう時間ですから……。共産党の前の人が、あした総理にやられると言つて帰られた時間が十分あるのを事務局で間違えておりましたから、あなたが三十分でやるとすれば、もう過ぎておりますから、そのつもりでやつてください。
  332. 林百郎

    ○林(百)委員 あと三点だけ……。そうするとこの、日本の国の貿易のアンバランスを調整するには、国際的に見ますと、たとえばアメリカのごときは、すでに百八十億ドルの軍事追加予算を出しておるわけであります。日本人の一年中の国民所得にもひとしいようなものであります。これによつておそらく日本の側から見ますと輸出が促進される。かえつて日本の人民の生活に最も必要な輸入をこれ以上促進し、輸出輸入のアンバランスを安定の状態に置くということは、私は周東安本長官の言うように行かないように思うのであります。そこでこの解決の一つの方法としては、やはり中国あるいは朝鮮——朝鮮は今動乱のさ中にありますが、中共との貿易ということが非常に重要な点になると思うのであります。これはグレイ報告に対するニユーヨーク・タイムズの社説として、グレイ報告が中共との貿易なくしても日本自立はあり得る、可能だということを言つているのに対して、ニユーヨーク・タイムズの社説はこれは楽観過ぎる、やはり日本貿易の将来並びに日本経済の将来の自立のためには、どうしても中共との貿易の道を開いてやらなければならない、この点グレイ報告はマツカーサー元帥の意見を取入れた、あまりに楽観的な見方ではないかということを言われているのでありますが、この中共貿易について岡東安本長官は将来どういうように考えておりますか。
  333. 周東英雄

    周東国務大臣 中共貿易というものが日本貿易関係に重要な関係を持つことは、戰前状態から見てよくわれわれも認識しております。今日まだ自由に貿易協定なんかを結ぶ段階に至つておりませんが、林さん御安心を願いたい。現に香港を通じてだんだんと事実上貿易は増加して参つております。
  334. 林百郎

    ○林(百)委員 私は吉田内閣のような反共政策をとる政権によつては、決して中共との貿易が将来発達することはないと思う。周東安本長官の言うように貿易を発展させるためには、すみやかに吉田内閣の反共的な政策に終止符を打たない限り、あなたの考えるような方向には絶対行かないということを申し上げておきたいと思うのであります。  そこで私は通産大臣にお聞きしたいのでありますが、周東安本長官の話によりますと、貿易は非常に楽観的だ、輸入楽観的だと言いますけれども、鉄鋼の四百万トン計画について、この材料であるところの鉄鉱石あるいは粘結炭はどこから輸入して、それからそれはどういう方法で輸入されるかということをお聞きしておきたい。
  335. 周東英雄

    周東国務大臣 林さんは一方的に断定なさいますけれども、わが吉田内閣のもとにおいて、昨年に比べて上半期だけですでに輸出入は非常に増加して参つておりますから、御安心を願いたい。もし何らかの勢力でこれを妨害するなら別のこと、貿易品は実際国民の必要な立場に立つて動くものであります。輸入に対して鉄鉱石石炭食糧も豚毛その他脂類の原料もどんどん入つてふえていることを強調しておきます。
  336. 小坂善太郎

    ○小坂委員長 林君、あなたの時間はもうないのです。あなたがやられれば横田甚太郎君の質問時間はないのですがよろしいですね。
  337. 林百郎

    ○林(百)委員 通産大臣答弁を聞きたいのです。
  338. 横尾龍

    横尾国務大臣 お答えいたします。鉄鉱石石炭についていろいろとお尋ねがありましたが、鉄鉱石は現在もフイリピン、マレーその他から入つておりますが、今後四百万トンのスチールの増加に対しましては、各地区からできるだけたくさん輸入したいと思います。大体におきまして申し上げますと、五百七十六万トンいりますのに、国内産を除きまして約四百万トン、九月までに買いつけておりますのが八十五万トンぐらいであります。その他フイリピン、香港、マレー、インド等から約百九十万トン長期契約でやる予定であります。それからその他は米国から買う予定であります。
  339. 林百郎

    ○林(百)委員 先ほど周東安本長官輸入はいくらでもできると申しましたが、今の横尾通産大臣答弁によりますと、四百万トン輸入しなければならない鉄鉱石のうち、今輸入されているのはわずか八十五万トン、五分の一であります。そうして長期契約を結ばれたのは約百九十万トン、合せてまだ半分にも達しないのであります。いかに周東安本長官の見方が、非常に安本的な見方かということはこれによつて明らかであります。私はこの問題はこれで打切りますが、要するに日本の国が特定の国の隷属的な関係をこれ以上続けと行くならば、経済的にも財政的にも非常に破綻に瀕すると思うのであります。  最後に私は大橋法務総裁にお聞きしたいのでありますが……。
  340. 小坂善太郎

    ○小坂委員長 林百郎君、特別に許します。
  341. 林百郎

    ○林(百)委員 これで打切ります。これだけであります。警察予備隊の問題でありますが、先ほど私は金融的にも、産業的にも日本の国の自主性が非常に薄くなつておるということを質問したのでありますが、この警察予備隊の問題につきましても、これは司令官が外国人によつて握られておるということは明らかでありますし、またその操典も外国の教範が翻訳されているということは明らかであります。非常に端的な例を言いますと、たとえば訓練の際に、うしろ向き前へとか、かた向き前へとか、かしら眼だとか、こういう訓練がされておりまして、われわれおよそ聞いたことがないような日本語が使われておるのであります。こういう点は明らかに指導から、経理の実権から、教育の操典から、すべてが日本の自主性を失つた形で教育されているというふうに思うのであります。私はこの問題について、将来外国人の指揮下に、よその国へ日本人部隊として出動されるような場合があるのではないかということを非常に憂えておるのであります。それは明らかに日本の国が朝鮮事変に介入したり、第三次世界大戰に介入する道を開くことだと思いますけれども、この点についてどういうことを考えておられるか、はつきりお聞きしたいと思うのであります。
  342. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 司令官は林敬三と申しまして、日本の国籍を持つた日本人であることを申し上げておきます。  次に操典が外国の操典である、こう言われまするが、早々の際におきまして、この部隊の指導について司令部の援助を仰いでおりましたが、その結果現在準備いたしておりまする操典を、用語その他においてわが国の警察予備隊といたしまして不適切な部分もございまするので、これは現在是正するように措置をいたしております。さような次第でありまして、この警察予備隊の指導、経理等は、すべて日本政府の責任において日本政府の職員によつて行われておるのでありまして、決して外国に出動する、また外人の指揮のもとに出かけて行くということはございませんから、この点は特に御安心を願いたいと思います。
  343. 小坂善太郎

    ○小坂委員長 今井耕君。
  344. 今井耕

    ○今井委員 時間がありませんから簡單に二、三の点について大蔵大臣にお伺いいたしたいと思います。  この補正予算におきまして本年度の申告所得が、農業所得において一八・九%、営業所得において二五・二%の増を見込んでおられるのでありますが、その基礎として軍需景気、米価値上りということを理由として説明されておるのでありますが、その内訳につきましてもう少し詳しく御説明を願いたい。
  345. 池田勇人

    池田国務大臣 こまかい点でございまするので、政府委員より答弁いたさせます。
  346. 平田敬一郎

    ○平田政府委員 お手元の昭和二十五年度租税及印紙収入補正予算説明という文書の中に、相当詳細に根拠を説明いたしておるわけでありますが、これによりますと農業の方は、生産におきまして前年に比べて、ことしが総平均で二%ということ、それから物価の方は主として米価の引上げでございますが、米その他の公定価格の引上げ等によりまして、その他と総合平均いたしまして一六・六%、両者の相乗積を求めまして一八・九%ことしは前年に比べまして所得がふえるだろう、こういう見積りをいたしているわけであります。それで常業の方は最近までの生産の実績及び今後における経済安定本部の生産見込み等をもとにいたしまして、昨年に比べまして一五・四%ふえております。それから物価は最近の九月までの実績と、九月以後におきましては大体において若干の増の見通しでございますが、それほど見込まないで一〇〇・四%になつております。それをかけますと一五・九%の増加になるのであります。私申し上げた通り、営業所得につきましては最近相当調査の徹底をはかつております。従来も課税漏れ等があるというような御非難も受けておりますので、相当大きな納税者につきましては個別的調査をいたしておりますが、そういうことを加味いたしまして八%だけは所得がふえる、合せまして二五・二%前年に比べまして今年は所得がふえるだろう、こういう見積りを立てております。     〔委員長退席、西村(久)委員長代理着席〕 その他のものにつきましても同様な方法を見積りまして、全体といたしまして二割一分一厘の所得が前年に比べましてふえるだろう、これを土台にいたしまして、ことしの見積りを立てた次第でございます。
  347. 今井耕

    ○今井委員 この問題についていろいろ伺いたいことがありますが、時間がよけい与えられておりませんから省略をしたいと思いますが、本年度の所得は、この増加する部分が非常にでこぼこがあると思うのであります。従いまして課税面においてよほど都合よく行きませんと、所得の増加しておらぬものまでにこれが水増しになる、こういうきらいが多分にあるのでありまして、実はこういう点についてどれほどの調査ができておるかということについて、いろいろお伺いしたいのでありますが、時間がありませんので省略したいと思うのであります。特に農村におきまして今日まで非常に問題になつておる問題を二つだけお伺い上ますが、米作農家の所得につきまして、大体農民に割当てられた米の数量と保有米との合計をもつて米の所得だ、こういうふうになつております。そこでこれが補正された場合におきましては、当然これはその補正割当を基準として課税さるべきでありますが、補正されましてもなお保有米もないという現実に非常に収量の少いものもあります。そのものにつきましては還元の措置がとられておる。還元の措置がとられておるのは、それだけやはり収量がなかつたということになるのでありまして、当然還元が行われた場合におきましては、その還元された分を差引いたものが所得とならなければならぬ、そういうことを基準として課税さるべきである、こういうふうに考えるのでありますが、こういう問題についての大臣の所見を承つておきたいと思います。
  348. 池田勇人

    池田国務大臣 ほかに所得の財源がなければ御説の通りであります。
  349. 今井耕

    ○今井委員 ところが現に今日までそういうものが認められておらない。特にそういう還元を受ける農民は、出す米は四千二百五十円で、配給を受けるところの米は六千何百円の割合で受けておる。現実に石二千円の不利を招じておる。のみならず、税金はあつたものとしてかけられておる。これは税務署に申しましても、なかなか税務署がそれを承認しないという事実が非常にたくさんある。これはきわめて現実に即応しないところの課税の仕方である。こういうようなことは、ひとつ十分に地元の税務署に徹底をおはかりを願いたい、こういうことを特にお願いをするわけです。  それからなお最近書面をもちまして、こちらに照会が来ておることがあるのであります。いろいろなそういうことが原因いたしまして、農民が所得税を払うことができない、それで滯納になつておるものである。ところが、ある町村に税務署が協同組合の預金と供米代金を一軒に全部差押えした。そこで協同組合が非常に困つておる、こういうことを私の方へ言つて来ておるのです。これは法的に考えましたならば、なるほどその農民がこの協同組合に預金がある、米を出したならばその代金がある、だからそれを差押えたならば、それは税務署としては非常に便利です。しかしある一町村の滯納者全部を、一齊に協同組合の預金とか供米代金を押えるということになつて来ますと、自然協同組合へ預金するのをきらう。あるいはまた供米の場合において登録を協同組合にしないようにする。こういうようなことが起つて来る。また協同組合が滯納のしりぬぐいを全部引受ける、こういうようなことになつて来ると、これは協同組合の運営という上におきましては、相当考えなければならぬことだと思う。従つてこういうことについては考慮さるべきだ、こう考える。そういうような照会も来ておるのでありますから、こういう問題について大蔵大臣はどういうような見解を持つか、その点についてお伺いしたい。
  350. 池田勇人

    池田国務大臣 片一方では滯納の整理をしなければならぬし、また納税者の方ではお困りの場合もあると思うのでありますが、そういう場合につきましては、個々の場合に適当の措置をとつて行くべきだと思います。何かある銀行とか協合組合に滞納者の名前を何して、そうして全部差押えするのだというような処置とつた例があるとかいうことを聞きまして、これはよくないことだ、よく事情を聞いて改めさすようにということは口頭で言つたことはございますが、どういうような差押え手続をとりましたか。私詳しく存じませんので、もし御要求があれば政府委員より調べて答弁させます。
  351. 今井耕

    ○今井委員 ただいまの点につきましてはひとつ御難処を願いたいと思います。  次に農業所得に対する勤労控除の問題でありますが。この問題は非常に久しい問題でありまして、これに対して特にシヤウプ使節団の第二次勧告におきまして、農漁民に対して最高限度を一万五千円として一〇%を勤労控除すべきであるということが述べられているということは、これは私はまつたく実情に即応したものである、こういうように考えまして、過日の本会議におきましても同志からこの点につきまして質疑をやつたのであります。それに対しまして大蔵大臣は、農民には今度の税制改革ご大幅に減税した、同時に米価を引上げたからその必要を認めないのだ、こういう御答弁でありました。ということは私は非常に遺憾に思うのであります。そこでこの問題について相当つつ込んでお伺いをしたいのだけれども、時間がそうないので、はなはだ遺憾でありますが、農民には非常に減税をした、こうおつしやるけれども、農民に限つて減税をされたということはないのです。なるほどあの所得税の減税の面からお考えになれば、基礎控除の引上げとか、あるいは扶養家族控除の引上げということによつて減税が行われている、農民には非常に所得の低い者が多い、同時に扶養家族が多いために減税になつているので、これは農民だけじやないのです。所得の低い階層にはみな一律に安くなつているので、何もこれは農民のみではない。従つてこれは農民だけではないのだから理由にはならぬわけです。なおまたこの農民の所得税の減税された分が約三百億円である、同時に肥料の補給金がとられて、それがために肥料が六割上つた、肥料を購入する代金が約二百億円あまり高くついた。従つて、たとい減税がされても、そういう肥料代金のはね上りというものが農民にぴつたり来る。従つてそういう減税の恩恵にはむしろ実質的にはあずかつておらぬというのが事実なんです。その上に地方税が高くなつているのだから、決して農民の税金が軽くなつということにはなつておらぬ。かりに税金が軽くなつても、これは基礎控除という問題とは別です。基礎控除という問題は性格の問題——その所得がどういう性格のものであるかという、ことによつて判断さるべきであつて、減税されたから基礎控除する必要はないという議論は立たぬと思うのでありますがこういう問題についての大蔵大臣の見解をお伺いしたい。
  352. 池田勇人

    池田国務大臣 議論になるようでございますが、私は農業所得に対しまして、シヤウプの言われるように、所得一割控除をなすことはいけないとは言つてない、相当研究を要することだと考えております。それは勤務階級いわゆる俸給生活者が一割五分で、農業が一割、そうすると事業所得の左官屋さんや、大工さん、あるいは床屋さん、こういうのはどうするか、こういう問題が出て来るのであります。勤労所得につきましては、シヤウプは一割控除をしておる。しかるに一割五分控除したところが、また向うからなお農業を一割というのはどの辺に考えがあるか、十分に私はわからないので検討をしなければならぬというので、今日は採用しなかつたのであります。将来の問題として研究してみたいと思います。また農業所得が非常に軽くなつたということにつきまして、これは基礎控除、扶養家族の控除はお話通り、みんなに影響いたします。ただ專従者の控除ということは農業が多いのであります。それから基礎控除あるいは扶養家族の控除を引上げるということは、低所得者に非常に便利である、これを全般的に申しますると、農業所得の税金が従来より非常にがた落ちしたということで、そういうことを言うのだと考えております。
  353. 今井耕

    ○今井委員 ただいま大蔵大臣から御答弁がありましたが、その減税は当然なさるべきことがなされたのであつて、それは農民には非常に減税をしたと思に着せるようなことでは決してない、こう私は考えるのであります。それから左官とか大工とかの所得をどうするという問題を答弁されたのでありますが、勤労控除というものはそういうものではなしにむしろ所得の性格という点にあるのだと思う。たとえば勤労者の所得というものは俸給とか賃金とかはつきりしておる。従つて基礎控除、勤労控除をしなければならぬ。その所得の多いとか少いとかそういうことではないと思う。従つてそういう点からいつて、もし大蔵大臣のような考えで行くならば、たとえば供米代金というものは、言いかえれば国がつくらして、それに対して国が代金を払うのである。これははつきりしておる。せめてその分だけについて勤労控除を認める、こういうような考え方が正しいと思うのであるが、この点についてどういうふうに考えるか、御所見を承りたい。
  354. 池田勇人

    池田国務大臣 勤労所得と事業所得は初めから所得の計算方法が違うのであるます。勤労所得は俸給の支払いのときに俸給額をもとにしておる。片一方は収入から必要経費を引いたもの、所得の計算方法が違つております。これが第一の違いであります。課税標準をはつきりつかまえられるか、つかまえられないか、こういうことは第二次的の問題であろうと思います。供出米の方は勤労所得で、自分の方の食べるものは事業所得だ、こうわける議論には私は賛成しかねると思うのであります。
  355. 今井耕

    ○今井委員 時間が来ましたから、もう一点だけにいたします。
  356. 西村久之

    西村(久)委員長代理 ちよつとお諮りいたしますが、安定本部長官農林大臣もあなたの質疑の対象の大臣になつておられるようですから、あまり時間に拘束されないで、要点を簡単に各般にわたるようにお願いいたします。
  357. 今井耕

    ○今井委員 次に農林大臣にお伺いしますが、政府食糧政策が非常に一貫しておらぬことは、前からいろいろ質問があつた通りであります。そこで食確法の改正によつて統制を強化するかと思うと、湯河原会談なんかごちやごちややつて緩和する。その次に麦の供出をうんと強化するかと思うと、また今度は統制撤廃という段階になつているのですが、今日朝鮮の事変というものが非常に重大な段階に達しておる。世界的な一大危機に瀕しておる。これは相当発展する可能性があるわけである。政府は今そういうようなことを盛んに言つておられるが、この時局に際しまして、現在のこういうような状態が拡大されて来る、そういうときになりましても、なおかつ統制を撤廃して行くというだけの準備と自信があるのかどうか。こういう点を伺いたい。そうでありませんと、あつちへ行き、こつちへ行き、非常に農民が迷惑する。こういう点についての農林大臣の御意見を承つておきたいと思います。
  358. 廣川弘禪

    廣川国務大臣 食糧政策は、わが党といたしましては順次統制をはずす方向に最初から一致いたしております。ただ事変の見通しはわれわれも断定ができません。しかし現在の見通しから申しますと、国民に迷惑をかけないように配給なり、あるいは、その方法ができると私は信じております。
  359. 今井耕

    ○今井委員 次に本年度の米価につきまして、石五千五百二十九円、来年度の米価につきましては六千百六円、同時に麦の価格を一俵千五百三十五円、こういうふうに答弁しておられるのでありますが、この麦の価格の千五百三十五円というものは米価の六四%だ、こういうふうにおつしやつておるのですが、この千五百三十五円という小麦の価格の基礎となる米価は何ぼでありますか。
  360. 廣川弘禪

    廣川国務大臣 来年度の米価を基礎にしております。
  361. 今井耕

    ○今井委員 来年度の米価であると計算が違うのです。そろばんにしてみて私は質問したのでありまして、合わぬから質問をしておる。従つて小麦が一俵千五百三十五円という場合には、その基礎になる米価がなければならぬ。別にそれは何ぼに見てあるか。こういうことをお伺いいたします。
  362. 廣川弘禪

    廣川国務大臣 数字のことでございまして、違うと困りますから、政府委員から答弁させます。
  363. 島村軍次

    島村政府委員 小麦の千五百三十五円ということは、来年度の米価パリテイー指数の一九五を基準にして、それに対する六三の比率をもつた想定の予定価格であります。
  364. 今井耕

    ○今井委員 それだと計算が合わないですから、もう一ぺん勘定し直してもらいたい。私は時間がないからこれでやめます。  次に米の配給所の民営に伴うところの小売業者の委託配給手数料の問題です。これについて十月の三日に農林大臣が配給手数料を何ぼにするかということを承認せられたそうでありますが、事実かどうか。
  365. 廣川弘禪

    廣川国務大臣 ちよつと数字を覚えておりませんから、あとで答弁いたします。
  366. 今井耕

    ○今井委員 政府委員でもわかりませんか。十月三日に農林大臣が承認した……。     〔西村(久)委員長代理退席、小坂   委員長着席〕
  367. 周東英雄

    周東国務大臣 多分白米価格について百三円だつたと思つております。
  368. 今井耕

    ○今井委員 これはこまかいような問題ですけれども、大きい問題です。私は一級のところが六十キロについて百十三円、二級のところが百四円、三級のところが九十五円、四級のところが八十八円、こういうようなことを農林大臣が承認を致えておるということを承知しておるわけです。ところが米の集荷手数料とか、あるいは倉庫保管料とか、そういうことが何もきまつてやしないのに、米屋の手数料だけをちやんときめてしまつて農林大臣がそれに承認を与えておる、何もかも総合的に考えて決定さるべきものである。しかるにこういう問題だけを先にきめてしまうということは、私はほんとうではないと思う。この点を聞きたいからお伺いしたのです。
  369. 周東英雄

    周東国務大臣 お話通り、今後の米屋の手数料をどうするかということは大きな問題でしようが、ここに私は大きな誤りがあると思うのです。むしろこれは政府がきめたというよりも、公団の末端が自由になる場合において、小売をやる人の方面から要望があつて、それを参酌してきめたのです。しかもそのときの要求は、いろいろの生活が立ち行くような要求があり、いろいろの要素のうちの一つの要素として、一般賃金のベースを基礎としてそれと今度何俵当り取扱うかというような問題から、手数料を要望されたようです。これは大体要求された平均で、先ほど私が申し上げたように——一等、二等、三等とありますが、百三円の白米価格により大体要望通りにはなつたと思います。今後の手数料の問題は、自由になつて、そして月給取りではありませんけれども、やはり努力次第でたくさんとれるものはとれますし、もう一ぺん考え直すときが来ると思います。一応そういう経過できめられていることを御承知願いたいと思います。
  370. 今井耕

    ○今井委員 了承しますが こういうことはほかのことと同時に、総合的にきめてもらわなければ、一方だけの要求を聞いてちやんと承認を与えてしまつた。こういうことはきわめて不穏当です。こまかい問題もありますけれども、私の時間も超過しておりますから、省略いたしますが、今後大いにこういうことを考えてもらいたいという強硬な要求をいたします。
  371. 小坂善太郎

    ○小坂委員長 戸叶里子君。
  372. 戸叶里子

    戸叶委員 今回提出せられました補正予算がいかに不合理なものであるかは、もうすでに各議員から指摘され、そして新聞の論調を見ましても、むりなあとがうかがわれるということが言われておりますし、そして先日伺いました公述人のお話によりましても、各専門的な立場から、その矛盾が指摘せられております。たとえば賃金ベースの面から見ましても、私が調べました生計費の値上り状態をもつてしますならば、この賃金ベースの引上げ程度では、とても人間らしい生活ができるものではないということの結論に達するのでありますが、そうした点を勘案せられましたならば、大蔵大臣は良心がありとするならば、必ずこの補正予算の組みかえをなさると思うのであります。けれどもこの補正予算の組みかえをなさる前に、他の議員が指摘しておりません、重複しない面に関しましての質問を私はしてみたいと思います。私厚生大臣と文部大臣に御質問申し上げたいと思いますが、文部大臣はもうお帰りになりましたので、文部大臣に対しては明日に保留させていただきたいと思います。  厚生大臣にお伺いいたしたいことは、私どもはイギリスの「ゆりかごから墓場まで」という、あの社会保障制度のことを聞きまして、まことにうらやましく思うものでございます。日本におきましても、一刻も早くこの社会保障制度が確立されることを望んでおりましたやさき、先ごろ社会保障制度審議会が、ある案を制定せられまして、——それは満足するものではないにいたしましても、何とかだんだんに改良して行くならば満足できるまでに行くだろうと望みを持つておりました。ところが先ごろ新聞の伝えるところによりますと、この審議会の答申案さえもその内容を削られて、そしてもつと不完全なものにされようとしているというようなことを聞いたのでございますが、この社会保障制度に対する厚生大臣の御見解、あるいはどういうふうな考え方を持つていらつしやるかを私はお伺いしたいと思います。
  373. 小坂善太郎

    ○小坂委員長 戸叶さんに申し上げますが、先ほどの理事会におきまして、きようは関係閣僚の質問を、総理大臣だけを残して終了するという申合せをしております。あなたの文部大臣に対する御要求がありましたならば、文部大臣はけさほどから来ておつたのでありますが、どうしたのでありますか見えませんので、すぐに呼びにやりますからきよう中にしていただきたいと思います。
  374. 黒川武雄

    ○黒川国務大臣 お答えいたします。社会保障制度審議会から、先般勧告がなされまして、それにつきまして社会保障閣僚懇談会もやりまして、ただいまその線に沿うて実施できますように検討中でございます。厚生省といたしましては、すでに御承知の社会保障制度審議会から研究試案が出されましたによつて実は来年度の予算を組んだのであります。国家財政上ごらんの通り——まだごらんにならぬかもしれませんが、来年度の予算はできております。それでは十分ではございませんので、できるだけ勧告の線に沿うて進めたい、こういう覚悟をいたしております。
  375. 戸叶里子

    戸叶委員 来年度の予算にすでに組む用意があるけれども審議会の案通りにはできないというようなお話がありましたが、それではどの程度に削られるようになつておりますか、ちよつと伺わしていただきたいと思います。
  376. 黒川武雄

    ○黒川国務大臣 お答えいたします。初め計画いたしましたのは、被用者の健康保険につきましても、給付金の二割、国民健康保険につきましても、給付金二割ということを目標といたしまして、専務費は全額負担ということになつております。その後折衝の結果、給付費を支出することはできないということになりまして、生活保護の方につきましては相当額ふえましたのですが、私の最も主張いたしました結核についても、来年度約二十五億くらいの費用を出してもらうことになつております。
  377. 戸叶里子

    戸叶委員 ただいま健康保險の問題が出ましたが、健康保險の毎月の赤字に対しましては、今まで国庫余裕金からの穴埋めをなされておりましたが、これからは医療費とかあるいは薬代の切下げとか、あるいはまた被保險者の保険料率を上げるというように御決定になつたと承つております。さらにまた今回の社会保障制度の中に事務費の全額国庫負担と、それから給付費の二割の国庫負担と言われておりますのに、それが削られようとするといつたようなことになりますと、社会保障制度ができようとしておりますとき、こういうふうに働くものにその苦労を転換して行くというような点で、非常に矛盾するのではないかと私は思うのでございまして、働くものの福利を奪うものだというふうに私は了承いたしますが、これに対しての厚生大臣の見解を伺いたいと思います。
  378. 黒川武雄

    ○黒川国務大臣 お答えいたします。ただいま法案として健康保險法の料率の一部改正の法案を出しております。これはおつしやる通りでありまして、社会保障制度を実行しようと努めておるのに、勤労者の料率を上げるということは望まないわけでございますが、赤字補填の必要上やむなくそういう法案を出しておりますので、将来社会保障制度について、だんだんとその実行をいたしますについては、料率等も引下げるというようになることを私は希望しております。
  379. 戸叶里子

    戸叶委員 だんだんと引下げるというようなお話でございましたが二十六年度の予算はまだ決定されていないと思います。しかし二十六年度の予算に社会保障制度審議会の答申された通りの、たとえば今申し上げました給付費の二割の国庫負担というようなことをぜひとも織り込んでいただきたいと私は思いますが、厚生大臣はそれに対して織り込めるというような自信がおありになるかどうかを、ちよつと伺いたいと思います。
  380. 黒川武雄

    ○黒川国務大臣 お答えいたします。その点は七月以来ずつと予算について努力して参りましたが、ただいまのところ、その点は困難かと思います。
  381. 戸叶里子

    戸叶委員 社会保障制度というものは憲法にしるされて、国民の基本的人権を尊重し、そうして国民の生活を保護するために、年をとつたり、あるいはまた疾病、災害あるいは死亡とか、そういつたものに対しての困窮から生ずる経済的な保護を与えて、民生の安定をはかるというのが目的だと思うのでございます。そういうふうに考えてみますならば、そういうような甘い考え方では、とても憲法の第二十五條が守れないと思うのですけれども、それに対しましての厚生大臣のお考えを伺いたいと思います。
  382. 黒川武雄

    ○黒川国務大臣 いかにも甘い考えかもしれませんが、私の決心は相当にかたいつもりでございます。
  383. 戸叶里子

    戸叶委員 私はどうも厚生大臣が甘いかもしれないけれども、しかたがないという考えには納得いたしませんし、また先ごろから開かれております全国の未亡人大会にも多分お出になつたと思いますが、そのときにも社会保障制度確立という声が高かつたということを御存じだと思います。その声がもしも厚生大臣のお耳に残つているとしたならば、もつと熱意をもつてこの予算獲得のために骨を折つていただきたいということを私はお願いする次第でございます。  次にお伺いいたしたいことは、厚生年金の問題なのですが、坑夫の人が地下に十五年くらいももぐり、あるいはまた一般の労働者が二十何年も働いて、そうして老後の生活への足しとしての厚生年金を積み立てているのが、今約二百八十億くらいあると思うのですが、それを今度は予備金の方へ繰入れまして一般金融に流用されるということは、あまりに私は不合理なことと思うのでございます。労働者が汗を流して働いて積んでいるお金が、厚生施設のために使われないで、一般金融に使われるということを、もしもそれを積んでいる人たちが知つたとしたならば、非常に怒るであろうと思うのですが、こういうものを厚生施設の完備する方へとおまわしになるようなお考えはないかどうかをお伺いしたいと思います。
  384. 黒川武雄

    ○黒川国務大臣 御説の通りでございまして、厚生施設にまわしたいと非常こ努力いたしておりましたけれども関係方面の了解を得ませんで、ただいまのところは実現できないのでございます。ただ利子が従来よりもだんだんと上つて参りまして、来年度ももう少し上る予定になつておりますが、若干その利子の利益差をもつて厚生施設を設置することができると信じております。
  385. 戸叶里子

    戸叶委員 なるべく早くそういうことを考えていただきたいと思います。  私は次にお伺いいたしたいことは、今回の生活保護費の補正予算に組んでありました額が、たしか十億円余となつてつたと思います。その内訳は、二十四年度の医療保護の不足分に充てて七億円何がしかを、生活保護の対象としてお使いになるというふうに了承しているのでございますが、この七億何がしは、生活保護を受ける人たちの人員増加の率が、昨年の四月からことしの八月までに、すでに四十万ですか、たしかふえていると思うのですが、こういうような率をもつてし、今日の生活の苦しい状態から見ましたならば、要援護者がもつとふえるのじやないかと思いますし、さらに物価値上り、それからまた家賃の値上り等から、今受けております要援護費も引上げて行かなければならないと思われますときに、これだけの予算では、あまりにも私は少いと思うのですが、これは新しい要援護者を救おうとするための予算でありましようか。それとも今まで受けている要援護者の生活保護費を引上げようとなされたものであるかどうか、お伺いしたいと思います。
  386. 黒川武雄

    ○黒川国務大臣 お答えいたします。今回の補正予算では住宅扶助に約四億、医療扶助に約三億、昨年度の不足分に約三億、大体十億計上しております。従来の生活保護を受けておつた方に対する扶助がふえるわけであります。
  387. 戸叶里子

    戸叶委員 今年の八月の統計で、たしか二百万くらいの人が生活保護費を受けて来ておると思うのでありますが、八月からもう十二月になりますが、今日まですでに生活保護の適用を受けなければならない人がたくさんあると思うのであります。その人たちに対しては、どういうふうになさるつもりでございますか。
  388. 黒川武雄

    ○黒川国務大臣 政府委員からお答えいたさせます。
  389. 河野一之

    ○河野政府委員 今度の補正予算に計上いたしました十億円は、御承知の通り三億円ほどは昨年の過年度分でございます。あとの七億円については一月以降における食糧費等の価格騰貴及び最近における要救護人の増加に基くものであります。九月ごろの数字はおつしやる通り百六十万人程度、最近百八十万ないし二百万程度に増加しております。この趨勢を見まして今度の予算を組んだ次第でございます。
  390. 戸叶里子

    戸叶委員 ただいまの政府委員の方のお答えによりますと、先ほど厚生大臣お答えになつたのとちよつと違つておりますし、私の伺いました質問お答えとも、ちよつとはずれておるような気がいたします。この七億でもつて先ほど厚生大臣は要援護者の保護費をふやすとおつしやつたのですが、今の政府委員の方はふやすと同時に要援護者の増加人員も認めておるというようなお答えでございましたが、これはどちらが正しいのでございましようか。
  391. 黒川武雄

    ○黒川国務大臣 お答えいたします。両方とものつもりでございます。
  392. 戸叶里子

    戸叶委員 両方ともであるとするならば、なおさら非常に足らないと思うのでおりますが、それに対してどうお思いですか、伺いたい。
  393. 黒川武雄

    ○黒川国務大臣 お答えいたします。十分でないことは承知いたしております、来年度におきましては相当に強化し、増額するつもりでございますから、今しばらくお待ち願います。
  394. 戸叶里子

    戸叶委員 黒川厚生大臣の御答弁を信頼して私は了承いたしますが、その点二十六年度には納得の行くような予算を組んでいただきたいと思います。  もう一つお伺いしたいのですが、要援護者の約四五%ぐらいは未亡人であるということがいわれております、国家財政の乏しい折柄、私は要援護者の内職指導ということも必要だと思います。そういう意味で授産場というものが必要になると思うのですが、先ごろの司令部からの命令等によりまして、授産場が相当整理されて、国家の公営の授産場が三百八十三、社会事業法によるものが三百八十四というような非常にわずかな数に限られているということを承知しておりますが、これだけでは非常に少いと思うのです。大臣は授産場に対しましては、一体どういうようなお考えを持つているかを、実は私お伺いしたいと思います。
  395. 黒川武雄

    ○黒川国務大臣 未亡人に対しましては、十分の同情を持つております。その堕落とか不良化の防止のためにも授産場所は大いに強化して、数におきましても増して行かなくちやならぬと考えております。
  396. 戸叶里子

    戸叶委員 厚生大臣お答えで、授産場は増して行かなければならないというので、私も安心したのですが、実は先ころ授産場の問題で、母子保護法案というものが出ようとして、出し澁られておりますが、その内容について、司令部の方で授産場をつくりよりも、むしろ生活保護法によつて未亡人の対策、あるいは未亡人でなくても、生活のできない人を救わなければならない。特に子供をかかえた未亡人が授産場で働くというようなことは、不合理だというようなことが言われておりましたが、その際に私は、それでは国家財政が乏しい折柄、どうしてこの生活保護費などですべての人が救えるでしようかということを言いましたところが、いやそうではない。その生活保護費の予算をとれない代議士、あるいは予算をとれない大臣の腕がないからだというようなことを答えられたのであります。そこで私は御質問いたしますが、この授産施設の方を先におやりになろうとするか、それとも生活保護費の方をうんと拡充して、授産場でなんか働かなくても済むような方法をお考えになつているかを、お伺いいたしたいと思います。
  397. 黒川武雄

    ○黒川国務大臣 お答えいたします。生活保護費の方も、先ほど申し上げました通り、来年度は相当にふやす予定でありますし、授産場も大いにやつて行きたい、両方ともやつて行きたいと考えております。
  398. 戸叶里子

    戸叶委員 厚生大臣お答えは、あれもします、これもしますというようなお答えで、非常に何か全部信頼していいのか、あるいは信頼できないのか、ちよつと了解に苦しむのですが、まあ今のお言葉を必ず実現してくださるであろうことを私信じまして、来年度の予算において、もしもそれが現われなかつたならば、厚生大臣の責任をとつていただきたい、こう思う次第であります。  文部大臣に対する質問に移りたいと思いますが、文部大臣おいでになりましたでしようか。
  399. 小坂善太郎

    ○小坂委員長 戸叶さんに申し上げますが、少しお待ちくださいませんか。あなたの時間は、実はお約束の時間を一ぱいに使つていらつしやるのですけれども、特に委員長においてとりはからいたいと思いまするが、しばらくお待ちいただきたいと思います。
  400. 戸叶里子

    戸叶委員 委員長に伺いますが、文部大臣はお見えになるのでしようか。
  401. 小坂善太郎

    ○小坂委員長 来るように言うてあります。  この際申し上げます。先刻稻村順三君より岡野国務大臣答弁に関連いたしまして、はなはだ不安定な感じを持つ、これではだれが国家の地方財政における責任を持つ大臣であるのか、不明瞭であるというお話がございました。委員長も先刻の答弁を聞いておりまして、ややその感も、解釈のしようによつてはあるのではないかというような感じがいたすのであります。そこでこの際岡野大臣委員長から伺い、なお補足されまして、御希望のある方が質疑をされるのがいかがと思うので、かようにとりはからいたいと思いますが、いかがでございましようか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  402. 小坂善太郎

    ○小坂委員長 御異議がないようでありますから、委員長から二、三の点についてお伺いしたいと思います。  岡野国務大臣は先ほどの御答弁中に、自分は地方行政の主管大臣であつて地方財政のことについては主管大臣であるような、ないような立場である。要するに、国と地方財政委員会との間のメツセンジヤー・ボーイであるというようなお話があつたのであります。委員長といたしましては、これはすこぶる不可解な表現の方法であつて、この表現の方法を、とりようによりますると、先ほど稻村君の御指摘のような、主管大臣の所准がわからぬというようなことにもなるやに思うのであります。委員長察しまするに、岡野氏は一万二千もある地方自治団体の所管について一々あなたが介入するというような立場を避けて、ただ国の主管大臣として地方財政の主管大臣はあなたである。しかしあなたが直接深く介入することを避けてその声を内閣に取次ぎ、またあなたがそれに対して責任を持つ、こういうような意味であるように思うのでありますが、この点いかがでありますか。
  403. 岡野清豪

    ○岡野国務大臣 お答え申し上げます。私の言葉が足りませんのと、それからまた御質問の趣旨にあまり合わなかつた点があるかとも思いますけれども、一応私が今までお答え申し上げました点につきまして弁明をいたします。  まず、先ほどから地方財政のことに対していろいろ御質問がございましたが、それに対して、これは私は詳しいことは知らないのだ承つてはいるけれども、責任をもつて答弁ができない、こういうことを申し上げましたが、それはこういう法に基くものであります。まず地方自治庁設置法におきまして第三條の一号に、地方自治庁の所管事務が書いてあります。それは「国と地方公共団体との連絡を図ること。」これがいわゆる連絡員ということを申し上げた趣旨でございます。それからその第七号に「地方財政委員会に対し、地方財政に関する資料の提供を求めること。」こういうことに出ております。でありますから、地方財政委員会に対しましてはそういう立場でございますが、しかし一面もし閣内における背任はどうか、こう仰せられますならば、私は地方公共団体の方を担当している国務大臣でございますから、閣内においては、地方公共団体のために、地方公共団体の財政も閣内においては私が代表して発言もし、協議もし、閣議に反映さしている。その意味におきまして、私は先般出ました地方財政委員会の意見書が出ます前から、地方公共団体の財政に非常に関心を持つております。同時に資料もとつております。でありますから、そういう意味におきまして、意見書が出ません前から、地方財政確立に協力するために、閣内においては担当大臣として発言もし、努力もし、大いに活躍している次第であります。そういう次第でありますから、御了承願います。
  404. 小坂善太郎

    ○小坂委員長 さらに伺いますが、地方財政委員会というものは法的に政府とは独立したものである。しかしあなたはその地方財政の実情について、国務大臣として内閣においてこれが改善をはかり、できる限りの努力をする、こういう立場におられる、こう了解してよろしゆうございますか。
  405. 岡野清豪

    ○岡野国務大臣 お答え申し上げます。先ほども申し上げましたように、閣内においては地方財政を担当しておりますから、今まで委員長が仰せられました通りのことは申すまでもなく十分やつておりまして、閣内において地方財政を受持つ各省大臣と同じような立場において責任をもつてつております。
  406. 川崎秀二

    ○川崎委員 先ほどのこの問題を起すに至つた小林進君と岡野国務大臣との答弁の最終的な意見のとりかわしにおいて、小林委員質問は、平衡交付金のわけ方の問題についていろいろ聞いても御答弁がない。そういうことでは地方財政並びに地方自治に影響を持つところの国の施策及び企画について責任を持つところの大臣としての態度でないではないか、こういう文句があつたと私は思うのであります。これはきわめて重大な発言でありまして、それに対してあなたの御答弁は、すなわちそういうことではメツンジヤー・ボーイではないかということを言われたことに対して、メッセンジヤー・ボーイでございますということを申しておるのでございますが、地方自治庁設置法のただいま読み上げられた地方財政との関連だけではなく、すなわち第三條第二号におきましては、「地方自治に影響を及ぼす国の施策の企画立案及び運営に関し、地方自治権擁護の立場から必要な意見内閣及び関係行政機関に申し出ること。」というふうに規定せられておるのであります。これに関連をいたしまして質問のあつたことと思うのであります。ちようどこの言葉の通り、国の施策の企画立案及び運営に関し、あなたは責任を持てないのかということを言われたに対しまして、メツセンジヤー・ボーイであるというのでありますから、これはきわめて重大な問題であるわけであります。速記録そのものがありませんので、全部的にさだかではございませんけれども、私はそういうふうに記憶をいたしておるのであります。従つてこの問題に関する限り、きわめて重大な失言問題であると私は思うのであります。従つて先ほどの言辞について、速記録を見られてからでもけつこうでありますが、御訂正をなさるものなら御訂正をなさるがよろしいものと私は思います。
  407. 岡野清豪

    ○岡野国務大臣 お答え申し上げます。速記録をよく調べまして、私の趣旨と違つておりましたら訂正いたします。
  408. 稻村順三

    ○稻村委員 もう一つ私が質問したいのは、さつき執行権がないというような御答弁もありました。その点から申しまして、そうして一切のことがメツセンジヤー・ボーイだから、努力はするけれども、ほかのことに対して、責任を持てないような答弁であつたのでありまするが、そうしますと、あなたは閣内においては責任は持つけれども、議会に対しては責任を持つのか、持たないのか、明確になつておらぬのであります。議会に対して、少くとも今地方自治が執行されているいろいろな問題に対して、地方自治庁の長官としての——私は地方自治庁というようなものがあれば、それの執行権があるものだと思うのでありますが、こういうものに対して、今地方行政がどうなつているかということに対して、あなた方が何ら責任がないということになると、議会に対して責任を負うところの閣僚がほかにおるかどうか、もしほかにおるなら、だれであるかということを明確にしてもらいたい。
  409. 岡野清豪

    ○岡野国務大臣  お答え申し上げます。議会に対する地方行政の責任は、私が持つております。
  410. 稻村順三

    ○稻村委員 議会に対するところの責任を岡野国務大臣が持つているものとしたならば、今まで自分は責任がないと言つて、メツセンジヤー・ボーイだと言つてのがれたところの一切の答弁はうそであつたと解してよろしゆうございますか。
  411. 岡野清豪

    ○岡野国務大臣 お答え申し上げます。私のいろいろ申し上げた趣旨が、御質問の趣旨に合つていなかつたので誤解が起きたのかと思いますけれども、しかし私は国会に対して、国務大臣として地方行政に対する責任を持つておることは事実でございますから、この根本趣旨をもつて今までの答弁をひとつ御判断くださいまして、もしそれに間違つておることがありましたら全部取消します。
  412. 稻村順三

    ○稻村委員 それはメツセンジヤー・ボーイでも何でもよろしいのでありますが、もし速記録において、あなたの答弁がそうであつたならば、あなたのその答弁が間違いであるというばかりじやなく、今までの答弁は全部責任を負わなかつた答弁であるということを明確にしていただきたいのであります。そうでなければ、議会を侮辱するもはなはだしいところの言動であると思う。
  413. 岡野清豪

    ○岡野国務大臣 お答え申し上げます。よく速記録を調べまして、お答えいたしたいと存じます。
  414. 林百郎

    ○林(百)委員 地方財政委員会設置法の第四條の二十四号によりますと、国都道府県及び市町村相互の間における財政及びこれに影響を及ぼす諸関係の調整について、内閣及び関係機関に対し、並びに内閣を経由して国会に対し、意見を申し出ることができるということが、地方財政委員会の権限の中にあるのであります。この地方財政委員会の権限に基く意見具申として、地方財政委員会では八十三億の予算をぜひ組んでもらいたい。これを組まない限り、地方財政の円滑なる運営に重大なる支障を来すものと認めるという意見内閣に提出され、内閣から昭和二十五年十一月二十八日付吉田総理の名前で議長の幣原氏のところへ、この地方財政委員会の決議が付託され、それがさらに議長から地方行政委員会に付託になつて、地方行政委員会では満場一致——自由党の諸君も入れて満場一致、この地方財政委員会の国会に対する意見具申をしかるべきものとという可決をしているのである。こうなりますと、明らかに国会に対して岡野国務大臣としては重大な責任があると思うのであります。国会全体がすでに地方財政委員会の意見をしかるべしという決議をしておるのであります。この地方財政委員会の意見と、国会の決議に対して、これを実行する責任はあくまで岡野国務大臣にあると思うのであります。従つてもしこれが実現されない場合には、地方財政の円滑なる運営に重大なる支障を来すとまで言われているこの決議、この意見に対して、岡野国務大臣はどういう処置をとられるか、先ほど国会に対する責任は自分自身が負うと、はつきり言われた以上、この地方財政委員会の意見と国会の決議に対して、どういう責任と処置をとられるか、明確にここに答弁してもらいたいと思うのであります。
  415. 岡野清豪

    ○岡野国務大臣 意見書が国会に出されて、そうしてその国会に出ておりますところの意見書が国会で御決議を願つて、そうして国家の最高機関たる国会の御決議通り政府はいたすつもりでございますから、さよう御了承願いたいと思います。
  416. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると、地方財政委員会の満場一致の決議を必ず実行するということをはつきり答えられたものである。もし実行できない場合には、どういう責任を負われるか、それを明確にしてください。     〔「脱線している」「何が脱線だ、君たちが賛成しているのじやないか」と呼び、その他発言する者多し〕
  417. 小坂善太郎

    ○小坂委員長  静粛に願います。——発言者に特に静粛に願います。
  418. 岡野清豪

    ○岡野国務大臣  御答弁申し上げます。これをたとえて申しますれば、各省が予算を出しまして、そうして国の財政から、どうしてもこれは出せないというときには、削られるようなことがございますが、地方財政委員会というものが政府と独自の立場を持つておりまして、(林(百)委員「国会に出して来たのだ」と呼ぶ)ですから、国会に出して来たのでございますから、(林(百)委員「国会の決議だ」と呼ぶ)国会の決議でございますから、国会でこれをどう御処理なさるかによつて、これはきまるわけでございます。ですから国会の方で御審議を願うことが……(林(百)委員「だから、それに対して岡野は、君はこうしたいという…。」と呼ぶ)
  419. 小坂善太郎

    ○小坂委員長 林君、私語を禁じます。
  420. 岡野清豪

    ○岡野国務大臣 それは少し話が違うと思うから、御答弁を保留いたします。
  421. 勝間田清一

    勝間田委員 私は昨日総理にいろいろ地方財政質問をいたしまして、関係大臣から答弁せしむるということであつたのでありますけれども、今日まで不幸にいたしまして、われわれは一般会計の三十五億の平衡交付金に関連して、地方財政がどうなるのかということについては、はつきりした資料がわれわれは与えられない。私はこれは非常に重大問題であると考えるのであります。従つて今日どの程度の費用がいり、どの程度政府関係で費用が出て、それに対して節約がどの程度で行くか、それの根拠も承り、同時にどの程度起債が許されて行くのか、その場合も現在ではまだペンデイングになつている問題がたくさんある。三百億か、三百七十億かわからないという問題もある。それになお関連して三十五億の平衡交付金でいいかどうかという問題もある。これらの問題については、まだ何らの解明も施されていないという状態である。私は、国会に対して責任を負われる岡野国務大臣でありまするならば、この問題ははつきりされる必要があると思う。今日それをはつきりさせる意思がございましようか。また現在ペンデイングである問題であるとすれば、この問題がまだペンデイグになつているのだというところまで明らかならしめなければ、われわれは今度の二十五年度の補正予算について審議したことにはならない、この点を明瞭にしていただきたいと存ずるのであります。
  422. 岡野清豪

    ○岡野国務大臣  お答え申し上げます。意見書にも、平衡交付金を八十三億なければいけないという意見が出ておるのでございますが、しかしこれは国会の御審議をまつて、国会においておきめくださることを地方財政委員会としては期待しておるわけでございます。もしこれができせんでしたら、ただいまわれわれが考えておりますことは、もう少し探して節約をする、同時に今までいろいろ不急の事業もやつてありますから、その不急の事業を繰延べて、そうして捻出して、つじつまを合せる、こういう方針で今財政委員会で検討中でございます。
  423. 勝間田清一

    勝間田委員 この問題は重要な問題でありますから、特に地方術政委員長の出席を求めて、その場合に申し上げたいと思います。
  424. 黒田寿男

    ○黒田委員 私は、先ほどの私の大蔵大臣に対していたしました関連質問の続行をさせていただきたいと思うのでございます。関連質問でありますからごく簡單にいたします。これは官房長官か、あるいは法務総裁からお答え願いたいと思いますが、法務総裁は、先ほどおいでになりませんでしたので、簡單に私がこの前質問いたしました趣旨を申し上げますと、国鉄裁定問題について、国会で決議のあつたことについて、司令部の方にOKを求めに行つたと、こう大蔵大臣はおつしやられたのであります。そこで国会の決議とOKとの効力問題ということでお尋ねしたのでありますけれども、満足な御答弁が得られなかつた。第一にお尋ねいたしたいことは、一体OKというものはどういう性質のものであるかということ、これは官房長官は渉外上の事務に堪能であられますから、お詳しいかもわかりませんから、官房長官からお答えつてもよろしいのであります。われわれは書簡であるとか、あるいは覚書であるとか、その他司令部のある局から直接に何らかの方法によりまして、政府に意思が伝えられますものを、命令というように思つております。命令にはそういういろいろな種類がありますが、いわゆるOKと称せられておりますものは、命令に含まれるものであるかどうか、ということをひとつお伺いいたします。
  425. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 いわゆるOKと申しますものは、内閣におきまして、法案あるいは予算案等を国会に提出いたします際に、これを司令部に提出してその承認を受ける、これをOKと言われたのだと存じますが、これは司今部の覚書によりまして、日本政府に対してさような手続をとることが命じられておるわけでります。
  426. 黒田寿男

    ○黒田委員 そうしますと、やはり一種の命令ということになるのでしよう。
  427. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 司令部の命令によつてOKを必要とすることに相なつております。
  428. 黒田寿男

    ○黒田委員 もしOKを得ることが事前に必要なことになつておる、これが司令部の方針であると言われるならば、国会で決議したあとでOKをとりに行くということは、司令部の方針に違反するのでありましようか。
  429. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 実は大蔵大臣お答えになりまもたOKなるものは、この国会において、これから国鉄裁定についての承認決議が近く行われようといたしております、従いましてこの承認決議によつて効力を生じますところの国鉄裁定を、国会の議決通り履行いたしますためには、これを必要なる予算措置をいたさなければならない、すなわち現在提案いたしてあります補正予算の修正が必要になるのではないかと思いまするが、これについてのOKをとりに行つている、こういう意味であろうと存じます。すなわちこれは事後のOKでなく、予算の修正という意味における事前の承認であると考えます。
  430. 黒田寿男

    ○黒田委員 すでに国会の決議はできてしまつておるのであります。そのあとでOKを求めつつあるのであります。法務総裁のお言葉の御趣旨からいえば、OKをとつて司令部の意思が明らかになつてからでなければ、国会の決議をさせるということは、政府大臣としては押えなければならぬ。すでに衆議院では決議になりておつて、まだOKは得られないというのでありますから、そう仰せられましても、私には決議のあとでOKを求めたということに解釈するよりほかしかたがないのであります。とにかくOKが得られないのに決議をしてしまつたということは、これは政府の非常に重大な責任だと思うのであります。そこでもしOKが得られなかつたといたしますならば、無効になるものであるかどうか。私は新たに積極的な意思表示でも、司令部から、何らかの形で、すなわちいわゆる命令と解釈されておりますもののうちの何らかの式におきまして、すででに決議したものに対しまして、積極的にこれはいけない、あるいは修正せよというような意思表示でもありますならば、これはまた占領政策下にありますわが国でありますから、やむを得ないといたしましても、しかし私はOKというものの性質は、そういうものでないと思いますので、そういう別個の命令のない限り、OKが得られなかつたからと申しましても。すでに決議はできておるのでありますから、OKが得られなかつたということで決議は無効にはならぬものと私は考える。従つて政府はOKのいかんにかかわらず、国会の決議に基く予算を出さなければならぬ。そこまで追い詰められた形になつておると私は思うのでありますが、これはどうでありましようか。
  431. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 ただいま黒田君は国鉄裁定の承認について国会の決議が終つておるということを仰せられましたが、現実にはまだ議決が終つておらないのであります。おそらく終るまでにはOKがとれるだろうと確信をいたしております。
  432. 黒田寿男

    ○黒田委員 それは私は一種の詭弁であると思うのでありまして、事前にOKを得なければならぬという趣旨は、衆議院におきましても、決議のなされる前にOKをとらなければならぬ、そういう趣旨でありますから、やはり先に決議ができて、それまでにまだOKが得られなかつたということになる点では、それがまだ一院だけの決議でありましようとも、私は大橋法務総裁が解せられるOKの意味から行くならば、政府の、命令に対する違反になると思います。しかしまた私はOKの性質から申しまして、得られなくてもすでに決議がなされておるのでありますから、決議は無効にはならないものと法的に解釈してもよろしいと思うのでありますが、法律論としてお聞きしておきます。
  433. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 実は国鉄裁定の承認の決議というのは、これは国会においてなされるべき行為でありまして、政府といたしましては、この国会の決議の結果、国鉄がこれに対する履行のために新しい予算を必要とするということが明らかになりましたならば、これに対して、必ずOKをとつて予算を国会に提出することになるわけであります。しかしながらその予算を提出する前におきましても、すでに国会において適法に決議がなされましたる場合には、その決議は効力を生ずるわけでありまして、これは後に至つて無効となるようなことはないと思います。
  434. 黒田寿男

    ○黒田委員 それでは最後に、とにかく国会で決議した上は、OKのいかんにかかわらず、政府としてはその決議に基いて、予算を提出すべき義務がある、こういうように私は解釈いたします。それでよろしゆうございますか。
  435. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 私もさように考えております。
  436. 黒田寿男

    ○黒田委員 それではこれで私の質問を終ります。
  437. 西村久之

    西村(久)委員 総理大臣に対する質疑並びに戸叶君より留保されましたる文部大臣への質問を留保されまして、その他の国務大臣に対する質疑はこれをもつて打切られんことを、動議として提出いたします。     〔「採択々々」「今それについて話をしておる」と呼び、その他発言する者多し〕
  438. 小坂善太郎

    ○小坂委員長 お諮りいたします。ただいま西村久之君より動議が提出せられております。これに関しまして委員長は、昨日よりの話合いの趣旨に基きまして、本日までのところ、国務大臣に対して行われましたる質疑というふうに了解いたします。さらに昨日より前尾地方行政委員長質問をいたしたいという方の希望があつたのでありまするが、地方行政委員長政府委員ではございませんから、この問題は除外例といたします。さらに明日国鉄裁定に関する修正が出て参りますから、これに関しまして、新たに時間を一時間と限りまして質疑をいたしたい、かように考えるのであります。この趣旨を織り込みまして、ただいまの動議について採決いたします。  ただちに採決いたします。西村君の動議に委員長より申し上げましたる趣旨を加えまして、賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  439. 小坂善太郎

    ○小坂委員長 起立多数。よつて動議のごとく決せられました。  暫時休憩いたします。     午後六時三十九分休憩      ————◇—————     午後七時八分開議
  440. 小坂善太郎

    ○小坂委員長 休憩前に引続き会議を開きます。  本日はこの程度にとどめまして、明日は午前十時より開会いたします。     午後七時九分散会