○
平田政府委員 歳入予算の概略につきまして御
説明申し上げます。
歳入の
見積りの
前提にいたしましたのは、一つは最近の
経済事情、並びに最近までの本
年度の
課税実績に基きまして、
現行税法による
收入見積り額を若干
改訂した点であります。
それから第二の点は、先ほども
大臣から御
説明になりましたように、本
年度六十三億円
程度の
減税をやる、その
関係を織り込んでいる点でございます。
減税案の
内容につきましては、法案を近く提案いたしまして、御
説明いたしたいと存じます。要点はすでに御
承知かと思いますが、
所得税を
中心としまして
減税をはかることでございます。
所得税につきましては、
基礎控除を三万五千円から三万円に、
扶養控除を一万二千円から一万五千円に
引上げて、
税率につきましては、現在の
税率の刻みが非常に小幅に
なつておりますのを若干大幅にいたしまして、現在八万円、十二万円といつたように
累進税率の刻み方が非常にこまかに
なつておる。その
階級区分を若干削ると同時に、上の方にずらしまして、
最高百万円を越える
金額百分の五十五、こういう
税率にいたしたいと
考えておるのでございます。こういう
改正を行うことを
前提といたしまして、さしあたり一月から三月までの
給與所得につきまして、簡單な方法で
暫定的軽減を行おうとするものでございます。この結果、大まかに申しますと、
勤労所得税の
総額は、
控除によ
つて失格するものを含めますと、大体二割五分
程度減るようでございます。現在も
納税者であり、
改正後も
納税者である場合の税の
負担は、一割五分から二割五分
程度減少する人が大
部分のようでございます。もちろん
所得の大きさの
いかん、家族の数の
いかんによりまして、人によ
つて負担の差がありますことは御
承知の
通りでございます。
所得税の次は
酒税でございますが、
酒税につきましては、最近の
需給状況等に照しまして、
自由販売酒の
税率を
平均三割八分
程度減税いたしております。しかして特に
清酒の二級と
合成酒の二級、
並びにしようちゆうの小売価格が現在に比較しまして相当
引下げになるような
税率にいたしたのでございます。
清酒について申し上げますと、現在六百四十五円の
税込小売価格でございますが、それが四百六十円
程度になるようにする。しようちゆうにつきましては、四百五十円の
小売価格が三百三十円
程度になるように
税率を定めることにいたしておるのでございます。
次に
物品税につきましては、これも御
承知の
通り経済事情、
生活上の
変遷等から見まして、
生活必需的性質の強いもの、あるいはもつ
ぱら事務的用品に使われるもの、こういうものにつきましては、
課税から除外いたしたり、あるいは
免税点を
引上げまして、極力
軽減をはかる
考えであります。そのほかに
税率につきましては、現在
最低一割から
最高七割に
なつておりますのを、
最低は五%、これは
例外税率でございますが、
最高は五〇%にいたしまして、それぞれ各品目に応じまして、妥当と認める
税率の
引下げをはかりたい
考えであります。また
従価税率でなく、
従量税率の定めてございます第三
種物品等につきましても、あめ、
サツカリン、
清涼飲料等、それぞれ
従量税率の五割ないし三分の二
程度の
引下げをはか
つておるのでございます。
それから
揮発油税、
砂糖消費税等につきましても、それぞれ最近の
実情等に照しまして、
税率の
引下げをはかることにいたしたいと
考えておるのでございます。
以上が
改正の大要でございますが、次に
歳入見積りの
内容につきまして御
説明申し上げたいと思います。
まず
所得税でございますが、
所得税はお手元にお配りしております数字でわかりますように、現在の当初
予算におきましては、源泉
所得税を九百八十三億見込んでおるのでございますが、最近までの
課税実績からいたしまして、二百五十六億の自然増を出しまして、千二百三十九億円
程度現行税法で入る見込みでありますが、これに対しまして今申し上げました
所得税の
改正案を適用いたしますると、五十六億三千百万円だけの
減税になりまして、
差引予算額といたしましては千百八十三億円を計上いたしておるのであります。しこういたしまして、
現行税法による見積額は、最近までの
課税実績をもとにいたしたのであります。大分動いておりますので詳細に申し上げますと、ことしの四月から十月までの
收入の実績が六百二十三億千八百万円に
なつております。これは実績でございます。これに対しまして十一月以降の
收入見込みを算定いたしたのであります。しこういたしまして、十一月から三月までの普通の
給與に対する、つまり賞與を除いた分に対しまする
收入見込額は、最近の八月から十月までの一箇月の
平均收入実績すなわち百一億六千七百万円、この実績額をもとにしまして、その五箇月分として五百八億三千五百万円をまず見込みました。次に年末の賞與に対する分といたしまして、一箇月
平均の四七・四%、これは大体前
年度実績をもとにして計算したのでございます。それに相当する額すなわち四十八億千九百万円を加え、さらに四月以降、御
承知の
通り歳入整理期間中に毎年入
つて参りますが、その
金額を、これも従来の実績等から照し合せまして、一月分の二五%、すなわち二十五億四千二百万円が入
つて来るものと見込み、さらに
公務員に対しましては、年末給と、一月以降
給與改訂がございますので、その
増加分を三十三億四千三百万円計上し、その
合計額が千二百三十九億四千七百万円と相なるのでございます。これが税法を
改正する前の当
年度の
收入見込額にいたしたわけであります。これから今申し上げました
改正税法を適用いたしまして
減少する税額、すなわち五十六億三千百万円を
差引きまして、
補正予算に計上いたしましたのが千百八十三億千六百万円、こういうことに相なるのでございます。従いまして
勤労所得税に関する限りにおきましては、最近までの
收入実績をもとにして算定いたしておりまするし、将来におきまする見込みも実績をもとにして計算いたしておりまするので、私どもとしましては確実な数字と
考えておるのであります。
次は申告
所得税であります。申告
所得税につきましては当初
予算で千五百三億五千百万円見込んでいたのでございますが、最近の実績、経済界の
実情等に応じて三百三十三億四千三百万円の
減少を見込みまして、
補正予算といたしましては千百七十一億八百万円を計上することにいたしたのであります。その
内訳、根拠を申し上げます。
御
承知の
通り、本
年度からこの
予定申告につきましては、大体二十四
年度の実績を基準にして申告する
制度を採用いたしたのであります。従いまして本
年度の見込みは、
予定申告に現われた数字をもとにいたしまして、それに対して最近の
経済事情の指数を適用して算定いたしたのであります。しこういたしまして、その
予定申告をもとにして機械的に計算しました税額の
総額、それは七百二十一億四千八百万円
程度になるのでありますが、それに対して
所得がどの
程度増加するかを見たのであります。これはいずれも最近の生産、物価等のフアクターを、それぞれ農業、営業等にわかちまして算定いたしました結果、農業におきましては、前年に比較して一割八分九厘の
所得の増、営業におきましては、能率の増八%を加えまして二割五分二厘の増を見ております。その他も同様な方法で見込みまして、申告
所得税の
課税総
所得金額におきまして二割一分の
増加を見込んでおります。それによりましてそれぞれ税法を適用して計算した税額が、千百九十四億円に相なるのでございますが、これに対しまして、すでに今まで採用しておりましたと同じように、本
年度内に入
つて来る
收入額を七五%と押え、その税額が八百九十五億五千三百万円に相なるのでございます。それに対して、さらに
昭和二十四
年度からの繰越分がございます。これは当初
予算で計上いたしまし夫のと同額の二百七十五億五千六百万円を見込んだのでございます。そうしてすべて今申し上げました当
年度分の
收入見込額八百九十五億五千二百万円と、二十四
年度からの繰越分の二百七十五億五千六百万円を加えました千百七十一億八百万円を
補正予算に計上いたした次第であります。以上が申告
所得税の算定の根拠であります。
次に法人税であります。法人税につきましては、当初
予算で三百八十六億二百万円計上いたしております。これに対して百八十六億七千六百万円の自然増を見込むことにいたしました。こうしてこの自然増も最近までの
收入実績によ
つて見込んでおるのであります。すなわち
昭和二十四年の四月から十月までの
收入実績が三百九十九億七千四百万円という実績をすでにあげております。これに対しまして今後十一月以降幾ら入
つて来るかを推計したのでありますが、この推計は前
年度の事績によ
つていたしたのでありまして、すなわち四月から十月までの
收入実績は、年間の総税額の四六・三%と推計いたしました。四六・三%という数字を出しましたのは、前年同期における法人税の
收入実績の、前年一箇年の法人税の
收入実績
総額に対する比率を求めまして、その比率を基礎といたしたのであります。ただ前
年度におきましては、若干前
年度以前の分の未
決定の分が相当ございましたので、その点などをしんしやくいたしまして、十一月以降入
つて来る分を少く見たのであります。すなわち前
年度実績におきまして四月から十月までに入りました税收の
金額は、前
年度全体の牧人
金額に対して四一・七%でございます。これを四六・三%に切上げ、従
つて十一月以降の分を五三・七%とし、十一月以降の
收入を三百四十六億七千九百万円見込んであるのでございますが、それからさらにこれは税法の
改正で、下半期におきましては
超過所得税の分が上半期分より少いということを見込みまして、三十四億六千七百万円をさらに
差引いて一応六百十一億八千四百万円という数字を算定いたしました。それからさらに御
承知の
通り再評価によりまして減価償却額がふえますので、その分を三十九億四百万円だけ
差引いた本
年度の見込額を五百七十二億七千八百万円といたしたのであります。いずれも最近までの
課税実績と前
年度の実績をもとにしまして算定いたした次第であります。
それから次は再評価税でありまするが、再評価税につきましては、資産再評価の結果がおおむね判明いたしましたので、それをもとにいたしまして計算いたしたのであります。その結果、当初
予算に計上しましたものに対しまして、再評価額は相当な
減少を来すことに相なりまして、
補正予算といたしましては九十七億千三百万円を減じまして、六十二億二千五百万円を計上することにいたしたのであります。これの原因の多くは、御
承知の
通り電気
関係が再評価できなか
つたのと、小さい法人が比較的再評価いたしておりません等の
事情がこの大きな理由のようでございます。いずれも最近の実績報告をもとにしまして、若干の見込みを計上いたしまして算定いたした次第であります。
次は
酒税でありますが、
酒税につきましては、当初千三十億三百万円計上しているのでございまするが、これに対しまして、自然増を十五億五千百万円計上し、さらに税法を
改正し、
小売価格を
引下げることによ
つて、酒類の売れ行きが相当
増加するであろうということを見込み、その分といたしまして一億二千九百万円だけ見込んでおります。そういたしまして、
補正予算といたしましては、当初
予算に対しまして十六億八千万円
増加して、千四十六億八千三百万円を計上いたしたのでございます。これはいずれも最近までの庫出実績に基きまする税收の実績に今後の庫出見込石数を算定いたしまして、それに新
税率を適用いたしまして、それぞれ税收見込額を算定いたしたのであります。配給酒につきましては、今までの配給実績と今後の配給計画の残をもとにいたしまして、それによ
つて算定いたした次第でございます。石数を申し上げますと、
自由販売酒におきましては、年間を通じまして三百七十六万八千石、その税額が九百二十七億七千七百万円、配給酒におきましては、年間で五十七万一千石、その税額が百十九億六百万円、
合計いたしまして本
年度の庫出見込総石数が三百三十三万九千石、その総税額が千四十六億八十三百万円に相なるわけでございます。そういうのをもとにいたしまして計算いたしておる次第であります。
次に砂糖消費税につきましては、税法
改正なかりし場合におきましては、当初
予算通り七億二千六百万円、これを動かす必要はないと最近の実績から見て、動かしておりません。それに
改正税法を適用いたしまして、本
年度八千五百万円の
減收を計上いたしたのでございます。
物品税につきましても同様でありまして最近までの
收入実績によりますると、当初
予算の変更の必要を認めませんので、税法
改正なかりし場合も当初
予算通りの数字を採用し、それに対しまして、先ほど申し上げました
改正策を適用しまして出て来る税額でございます。これは御
承知の
通り二箇月の余裕期間がございまするので、本
年度に響きまするのは、一月強と見込んでおる次第でございます。
それから
揮発油税につきましては若干の
増收を見込んでおります。これはまつたく本
年度の庫出実績に基く
増收であります。しこういたしまして、税法の
改正は一月から実行いたしまするが、この方は引取り
課税にいたしまして、三月の徴收猶予を見ておりまするので、本
年度は税法の
改正によ
つて歳入減はございません。従
つて税法
改正による減は見込んでいないのであります。
その他の税につきましては、それぞれ最近までの
課税実績をもとにいたしまして、いずれもなるべく的確を期する
見積りにいたしたのであります。
印紙收入等において三十億の増を見込み、さらに今まで廃止に
なつている織物消費税、取引高税等で本
年度入
つて来ました
收入実績等をもとにいたしまして見込んで算定いたした次第でございます。
以上
歳入予算につきまして、税收の
見積りの
内容を御
説明いたした次第でございます。