運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1950-12-08 第9回国会 衆議院 法務委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年十二月八日(金曜日)     午前十一時二十四分開議  出席委員    委員長 安部 俊吾君    理事 押谷 富三君 理事 田嶋 好文君    理事 猪俣 浩三君       鍛冶 良作君    北川 定務君       佐瀬 昌三君    古島 義英君       牧野 寛索君    松木  弘君       眞鍋  勝君    山口 好一君       大西 正男君    田万 廣文君       梨木作次郎君    佐竹 晴記君       世耕 弘一君  出席政府委員         警察予備隊本部         次長      江口見登留君         法制意見長官  佐藤 達夫君         検     事         (法務法制意         見第四局長)  野木 新一君  委員外出席者         総理府事務官         (国家消防庁管         理局長)    瀧野 好曉君         法務総裁官房長 柳川 眞文君         検    事         (法務総裁官房         経理部長)   岡原 昌男君         専  門  員 村  教三君         専  門  員 小木 貞一君     ————————————— 本日の会議に付した事件  訴訟費用等臨時措置法の一部を改正する法律の  一部を改正する法律案内閣提出第二四号)(  参議院送付)  判事補職権特例等に関する法律の一部を改  正する法律案内閣提出第二七号)(参議院送  付)  検察行政及びこれと関連する国内治安に関する  件     —————————————
  2. 安部俊吾

    安部委員長 これより会議を開きます。  本日の日程に入る前に、この際猪俣委員から、検察事務官に対する給与に関する件について発言を求められております。本件を議題としてその発言を許します。猪俣浩三君。
  3. 猪俣浩三

    猪俣委員 昨日私の質問の要旨を官房長まで差上げておきましたが、それに基きまして御答弁いただきたいと思います。
  4. 柳川眞文

    柳川説明員 昨日猪俣要員からちようだいいたしました質問書の第一は、検察事務官超過勤務手当支給条件及びその額ということになつております。超過勤務手当勤務時間外に勤務しなければならないような要件があつた場合に、上司の命によつて勤務した場合に与えられる特別の手当なのでありまするが、この金額はそれぞれその検察事務官の受取つておる俸給によつて違うのでございます。大体のことを申し上げますると、予算のわくがございますので、月に約八時間くらい、そして一時間大体三十二円くらいの割合いで各庁に予算の配付がありますので、その範囲内におきまして上司超過勤務を命じておる建前になつております。  それから第二の、特別捜査に働いた場合の給与または手当がどうなつているかというお尋ねでございますが、特別事件捜査等に従事いたしましても、給与または手当を支給するという建前はございません。ただ特に重大なそして骨の折れる事件捜査をやつたような場合に、上司がその検察事務官に対しまして報償意味であるいは若干の金あるいはその他の方法、たとえば労を一席ねぎらうというような方法によつて報償をするということはいたしております。  それから第三のお尋ねの、この出張旅費基準金額でございますが、これは旅費法にこまかくその金額が記載してございまして、こまかい数字のことはもし御必要でございますれば、経理部長が出ておりますので、お答えいたしたいと思います。  それから第四のお尋ねは、罰金等納付があつた場合、検察庁における取扱いいかんというのでございますが、罰金納付は、あるいは現金あるいは為替あるいは印紙方法によつて納付がございます。現金納付された場合は、それに対して受領証を相手方に渡して、その現金はただちに日銀行等に預金する建前になつております。為替も同じ方法で取扱つておりります。印紙の方はただちにこれに消印を施しましてこれを特定の帳簿に張つているわけであります。
  5. 猪俣浩三

    猪俣委員 今官房長答弁を聞いて大体わかつたのでありますが、そうすると、超過勤務手当というものは、実際の超過勤務に相応するという意味じやなしに、頭から大体毎月幾らくらいの超過勤務を出すということになつているように承つたのでありますが、その範国内上司超過勤務を命ずる、それでわかつたのでありますが、実際上としては、月に二十時間も三十時間も超過勤務をやつているが、ほとんど五、六時間くらいしか超過勤務手当が出ておらぬという訴えを私は聞きました。それで質問したわけでありますが、そうすると、長い時間働いても、予算がない場合ににはしようがないということになるわけですか。
  6. 柳川眞文

    柳川説明員 大体においては、予算がありませんと、もうしようがないのでありますが、特別にどうしても何とかめんどうを見てやらなければならぬ場合には、その都度大蔵省の方に交渉いたしまして特に若干の支出をしてもらいまして、その者に超過勤務手当を渡していることもございます。
  7. 猪俣浩三

    猪俣委員 大体基準として、超過と称するのは、時間的に何時から何時までが超過に相なつておりますか。
  8. 柳川眞文

    柳川説明員 勤務時間は、ただいま五時半が終りとなつていると思います。それから後はその日の事務の都合で、三時間でも五時間でもやらせる場合がございます。また休日は、休日勤務を命じて、一日中やらせる場合もございます。
  9. 猪俣浩三

    猪俣委員 それから第二点の、特別捜査には原則として別に手当というものはないのだ、ただ具体的個別の事件について、特に骨を折つたような場合には、上司報償意味で若干の金を出すということでありますが、しからばこの若干の金はいかなる予算に組んであるのでありますか。
  10. 柳川眞文

    柳川説明員 これは本府の方に報償費予算としてとれておりますので、それを各地の検事正に適当な額を配分している次第でございます。
  11. 猪俣浩三

    猪俣委員 報償費というものが本府にあつて、それを各地検なら地検に分配なさるわけですね。
  12. 岡原昌男

    岡原説明員 ちよつとその点こまかく御説明申し上げますが、報償費は最高検高検地検等にその部局別にとれておりまして、そのほかに本府の方にもとれてございます。金額は大した金額ではございませんけれども、これを年度当初大体各長官あてにそれぞれその地域の状況に応じまして分配いたしまして、さらにそれで不足と思われる特殊重大事犯の突発の際には、本府で持つております報償費をさらに追加して差上げるという形になつております。
  13. 猪俣浩三

    猪俣委員 出張旅費は、今言つたように、正しく規定されて、その通ら支払いはなされるというのですが、これも実は現定通り支払いを受けておらぬということを、私に訴えて来た人があるのでありますけれども、これはあなた方がその係じやないので、今御質疑してもしかたがないと思うのであります。法務府としては、そういうちやんとした法規に基いた旅費をお出しになつている、こう承つておけばいいと思います。  それから第四点の罰金のことでありますが、これも某検察庁にあつたことこして私は事情の報告を受けたのであります。名前はここに申し上げたくないと思いますが、現金で納めたものをわざわざ印紙にかえるのですね。ちよつとその前にお聞きすることは、一体検察庁印紙販売店にもなつているわけですか。そういうことはありますか。
  14. 岡原昌男

    岡原説明員 検察庁におきまして、印紙販売しているという例はございません。
  15. 猪俣浩三

    猪俣委員 裁判所の構内で印紙販売をするようなところもあるようだが、それは別な販売店がやつてつて別官庁関係はないのですか。
  16. 岡原昌男

    岡原説明員 さようでございます。
  17. 猪俣浩三

    猪俣委員 そこで某検察庁においては、現金で被告が罰金を納めたものを、わざわざ印紙にとりかえて、そうして印紙として納めているということを言つている。なぜそういうことをやつているかというと、何か印紙を売る人と結んでいると見るのでありますが、印紙を売れば手数料がとれるから、そのためにさようなことをやつたということを聞くのであります。しかもその納められた罰金を、今官房長の御説明によると、その日にすぐ銀行へ預けるというものを、何でもふところへ入れて温めておいて、あるいは印紙にかえたり、あるいはまたそれを浮貸しに使つているものがあるという、われわれ常識上判断できないようなことがあるのでありますが、検察庁会計というか、こういうものは一体何人が責任者で、どういう部課でやつているか、お聞かせ願いたいと思います。
  18. 岡原昌男

    岡原説明員 ただいま御質問の前段にございました、現金納付して参りました罰金印紙にわざわざかえせるという実例は、実は会計検査院からもお話がございまして、若干あるということを承知しております。そこで私どもの方といたしましては、さような、ともすれば世の疑惑を起しやすいようなことは絶対にやつてはいかぬ。それはなるほど現金で納めても、印紙で納めても、罰金の效力は違いはないのでございますが、それだけにさような疑惑が起るようなことのないようにということは、機会あるごとに申しておる次第でございます。  それから先ほど後段にお話のございました責任者でございますが、それは大体徴収係という係がおりまして、徴収係におきましてその現金納付を受けまして、即日それを銀行にまわしまして、国庫に収納するという手続をとるべきなのでございます。もちろん大部分の庁はその通り実行しておるのでございますが、その監督が十分に行き届かない場合には、ともすれば先ほど御指摘のようなことが起りかねないのでございます。それが結局犯罪のもとになるというようなこともございまして、二十三年度の決算に関する検査報告の中にも、その点が指摘されてございます。そこでその点につきましては、私の方といたしましては非常に苦労いたしまして、各種会同の際あるいは会計職員講習等の際にも、くどいほど説明をし、注意を促しておる次第でございます。
  19. 猪俣浩三

    猪俣委員 そうすると、罰金納付なんかは検察庁徴収係というものがやつておるのでありますが、その徴収係直属上司はどういうことになりますか。
  20. 岡原昌男

    岡原説明員 結局会計法上から申しますと、収入官吏と申しておりますが、その収入官吏直属監督者と申しますと、実はこの点は官庁によつて少し組織が違うのでございますが、あるいは会計課長にしており、あるいは総務課長庶務課長というような名前でやる場合もあります。あるいは総務部長という場合もございます。庶務直属する庁もございます。これは庁の大小によりまして監督系統が若干違つておるようでございます。
  21. 猪俣浩三

    猪俣委員 そうすると、先ほど超過勤務手当を出すというようなこと、それから特別に捜査したらば、場合によつて報償金として若干出すということですが、こういうことは一体だれが責任者であるのかお伺いしたい。
  22. 柳川眞文

    柳川説明員 検察事務官の場合におきましては、その庁の監督者でございますから、たとえば地方検察庁におきましては、検事正でございます。
  23. 猪俣浩三

    猪俣委員 それから出張旅費実務をやるもの及びその上司はどういうものになつておるのでございますか。
  24. 岡原昌男

    岡原説明員 これも実際の取扱いといたしましては地方検察庁本庁あるいは高等検察庁の場合と、支部あるいは区検における場合とは若干取扱いが違うようでございます。支部または区検におきましては、それぞれ支部長あるいは区検上席察察官が、その責任者として出張命令を出しております。これは検事正の委任を受けるわけであります。本庁におきましては、その上に検事正の直接の出張命令と申しますか、そういう系統になつておるようでございます。
  25. 猪俣浩三

    猪俣委員 最後に、これは具体的に名前は申し上げませんが、検察事務官からの二、三の訴えによりまして、私はたださような事実があり得るものかと思つてつたことでありますが、さつき申しましたように、超過勤務手当をほとんど出さない。それから特別捜査してもそれに対して手当が出ない。出張をしても正規の出張旅費をくれない。何か頭をはねておるものがある、こういうのであります。ところが某地方検察庁検事が渡米をなさつてつて来たら、家族を入れた、実に莫大もない歓迎会がなされた。こういう金はどこから出たかという問題になつて来て、一体頭をはねているのではないかという疑惑を持つている事務官があるのだが、そこで私はもう一点お尋ねしたいことは、一体そういう宴会費のようなものの費目は、どこから検察庁は出しているのか。そういうような予算があるでありましようか、それをひとつお尋ねいたします。
  26. 岡原昌男

    岡原説明員 これは各庁ともおのおの共通費目といたしまして、食糧費というのが若干ございます。結局食糧費と今言つたような、官房長から話のありました報償金費目等によりましてやる場合がございます。
  27. 猪俣浩三

    猪俣委員 そうすると、食糧費という費目があるわけですな。それに今度はさつきの報償費と……。しかし報償費というのは、実際はある特殊な事件で一生懸命第一線で働いた人間に手当として出す金じやないのですか。それを検事正上席検事やなんか、あるいは東京高検から視察に行つたとか、おえら方行つたときの宴会費にしてしまうということになると、どうも穏やかじやないと思うのですが、これはどうですか。
  28. 岡原昌男

    岡原説明員 ただいま御質問趣旨を、実はそういう宴会をする費目ととりましたから、先ほど申しましたその労をねぎらうような場合も含めまして御説明申し上げたのでございますが、もう一つ補足的に申し上げますと、金額はわずかでございますが、交際費というのがございます。これは金額はほんのわずかでございますが、そういうものを交際使つてよろしいことになつております。
  29. 猪俣浩三

    猪俣委員 そうすると、今のお話では、飲みしろというものは——あまりえげつないことになつて来たのでありますが、交際費というものがおありだ、それから食糧費というものがある。それから特別に働いた者に対して一ぱい飲ませる場合には例の報償費でやる、こうことに承つてよろしいですか。
  30. 岡原昌男

    岡原説明員 さようであります。
  31. 猪俣浩三

    猪俣委員 ところが今言つたように、なかなかはでにやつておる検察庁があつて、そういう検察庁ほど事務官超過勤務手当が出ない。旅費が何だかはつきり出ない。そうして非常にえらい事件をやつてもあまり手当がもらぬというような訴えをするものがあるのでありまして、それがどうもそういうおえら方接待費にまわつておるということを言う者があるのであります。そこで一体こういう何々地方検察庁会計については、いかなる監督方法があるのでありますか、お教え願いたいと思います。
  32. 岡原昌男

    岡原説明員 その前に今お話のありました、旅費の中からそういうようなものが流れて来るのじやないかという御質問でございますが、私の方ではそういうことは絶対にないと確信いたしておる次第でございます。  監督方法といたしましては本庁——本庁と申しますと検察庁でいいますと地検高検でございますが、本庁会計課職員をして随時あるいは定期的に帳簿類検査をさせる場合が一つございます。それから本庁から、と申しますと私ども経理部からでございますが、係員を派遣いたしまして、大体年間二回以上はやることにいたしておりますけれども帳簿を全部引上げまして調査いたします。そのほかに会計検査院から、これは大体地方年間一回、私ども本庁につきましては年間二回ないし三回、検査がございます。
  33. 猪俣浩三

    猪俣委員 私の質問はこれで終ります。
  34. 梨木作次郎

    梨木委員 ちよつと関連して……、横浜地検において何か浮貸しをやつておるという事実がこの間新聞に出ておりましたが、私は実は質問書政府答弁を要求してあるのでありますが、まだ来ておりませんから、わかつておりましたらこの際伺いたいと思います。
  35. 柳川眞文

    柳川説明員 この問題につきましては、ここにあいにくその係の者がおりませんので、ちよつとお答えできかねますが、質問書が出ておりますれば、そのお答えが間もなくそちらへまわるだろうと思います。     —————————————
  36. 安部俊吾

    安部委員長 次に昨七日、参議院より送付されました内閣提出の、訴訟費用等臨時措置法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案及び判事補職権特例等に関する法律の一部を改正する法律案を一括して議題とし質疑を行います。御質疑はありませんか——これにて両案に対する質疑は大体終了したように思いますので、この際質疑を終局することに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  37. 安部俊吾

    安部委員長 御異議がないようですから質疑を終局することに決しました。  次に両案を一括して討論に付します。討論通告順にこれを許します。山口好一
  38. 山口好一

    山口(好)委員 ただいま議題となつております判事補職権に関する改正案は、いろいろ議論のあるところであろうと思いますが、ただ有能な士、ことに裁判官として適格性を持つ有能の士を広く求め、そうしてなるべく年限なども採用しやすきように改めることは、一面から申せばまことにけつこうなことであります。ただ注意しなければならないことは、今回のごとくこれに関しまする、たとえば法案には法務委員会専門員調査員というようなものをあげておりますが、やはりあらかじめ国会に諮る必要もあると思います。政府は提案せんとする場合には、われわれ及びその法案に直接関係のありますものに十分相談をしまして、完全な法案として提出されることを切望いたします。  なおこうした範囲をむやみに広げるというようなことでは、これまた弊害を来すのであります。さような点も十分今後は御注意を払つてもらわなければならないと思つております。さような点を強く要望いたしましてわれわれ自由党といたしましては本法案賛成をいたすものであります。
  39. 安部俊吾

    安部委員長 田万廣文君。
  40. 田万廣文

    ○田万委員 ただいま自由党を代表いたしまして山口委員発言せられましたような趣旨において、私も強くその点を要望したいのであります。結論としましては賛成をいたすのでありますが、この際私どもの考えておりますることは、裁判という問題について実際に経験のある実務家をもつて裁判に当らしめることが最も重要なことであろうと思いまして、本法施行にあたりましては、その点をよくお考えになつて、その適用については慎重なる態度をもつて臨まれんことを希望いたすとともに、なおその身分の範囲拡大につきましては、厳にこれを慎んでいただいて、真に威信を持つところの裁判官裁判に当てていただきたい、日本社会党としてはかような強い念願を持つている次第であります。その点を御考慮に入れていただきまして、強くこれを要望して賛成をいたしたいと考えております。
  41. 安部俊吾

  42. 梨木作次郎

    梨木委員 私は日本共産党を代表いたしまして訴訟費用等臨時措置法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案に対しましては賛成であります。  それから判事補職権特例等に関する法律の一部を改正する法律案、これは要するに裁判官任命資格期限の通算の問題なんでありますが、裁判所法四十二条によりますと、裁判実務に関与しておらない、たとえば裁判所調査官とか、あるいは大学法律学の教授、こういう仕事に携わつていた期間も通算するようなぐあいになつておりますが、この趣旨から申しますならば、この改正案もその精神から行きましては別に異議をさしはさむべきそれほど重要な理由もないように思いますが、しかし私たち裁判実務に参加した経験を持つておる者から申しますと、実際裁判官というものは、裁判実務に参加しておらなければ、単に法律事務に関与しておる、裁判に類似したようなものに関与しておるというようなことだけによつて裁判官資格を獲得する条件期限に該当するようにしてしまうことには、非常な問題があると思うのであります。なぜかと申しますならば、実際裁判官の一番大事な、また裁判官として備えておらなければならない能力の重点は、裁判審理過程において真相がどこにあるかをつかむこと、事実の真相を把握する能力であつて、この能力は、単に大学法律学の先生をやつたとか、あるいは準司法的な仕事に関与したというようなことによつて獲得できるものでは断じてありません。従つて私は裁判所法四十二条の裁判実務に携わらないもの、たとえばこの五号六号というものは、これ自身をやはり裁判官たる資格条件経験期間の中へ入れることに大きな疑問を私は持つておるのであります。そういう点からいたしまして、私はこの改正法におきましても、実際裁判実務に携わつておらない期間を通算することに対しては、裁判官の任務の重要性から見まして非常に疑問を持つておりますので、この点から反対するのであります。
  43. 安部俊吾

  44. 大西正男

    大西(正)委員 国民民主党は、両案に対し彼此考較をした結果賛成であります。
  45. 安部俊吾

  46. 佐竹晴記

    佐竹(晴)委員 両案に賛成いたします。
  47. 安部俊吾

    安部委員長 これにて討論は終局いたしました。  この際政府当局から発言を求められております。これを許します。野木政府委員
  48. 野木新一

    野木政府委員 判事補職権特例等に関する法律の一部を改正する法律案について政府意見を申し上げます。本委員会における審議の全趣旨から見まして、本委員会の意のあるところを十分了承することができました。政府といたしましても、この裁判官資格に関することはまことに重大なことでありますので、今後そのようなことを考えまする場合には、なお一層御趣旨のあるところも考えあわせ慎重を期したいと思います。なお当委員会の御意見のほどは、最高裁判所事務当局にもお伝えいたしまして裁判官の採用に際しては、御意見のほどを十分考慮せられるよう伝達したいと思います。
  49. 安部俊吾

    安部委員長 それでは採決に入ります。  まず訴訟費用等臨時措置法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案採決に付します。本案原案通り決するに賛成諸君起立を願います。     〔総員起立
  50. 安部俊吾

    安部委員長 起立総員。よつて本案原案通り可決いたしました。  次に判事補職権特例等に関する法律の一部を改正する法律案採決に付します。本案原案通りに決するに賛成諸君起立を願います。     〔賛成者起立
  51. 安部俊吾

    安部委員長 起立多数。よつて本案原案通り可決いたしました。  なおこの際お諮りしておきますが、ただいま採決いたしました両法案に関する委員会報告書の作成については、委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  52. 安部俊吾

    安部委員長 御異議なければさようとりはからうことにいたします。  午前中はこの程度にして、午後一時から開会いたしたいと思います。休憩いたします。     午後零時二分休憩      ————◇—————     午後二時三十五分開議
  53. 安部俊吾

    安部委員長 休憩前に引続き会議を開きます。  検察行政及び国内治安に関する件を議題といたします。発言通告がありまするから、これを許します。梨木作次郎君。
  54. 梨木作次郎

    梨木委員 増原長官にお伺いいたしますが、この前の委員会警察予備隊で今までに千百名やめた者がある。その中で自発的にやめた者は六百二十名、やめさせた者は百二十名ということでありましたが、これを合計いたしますと、七百四十名であります。そこで差引あとの四百六十名、これはやめた理由がどちらにも該当しないようでありますが、これはどういうことになりましようか。
  55. 江口見登留

    江口政府委員 ただいまここに表を持つて来ておらないのでございますが、自発的にやめた者が六百名ばかり、それからやめさせた者が、ただいまお話ですと、百数十名でありますが、そのほかに病気で退職せしめられた者、これが二百名ばかり、あるいはちよつと数子を覚えておりませんが、三百名ほどになつているかもしれません。それで大体千百名くらいになろうかと思います。
  56. 梨木作次郎

    梨木委員 病気でやめさせた者ということになると、この中では病気ということで自発的にやめる者と、それから自己の意思でなくやめさせられる者ということのどつちかに該当することになると思いますが、今の御答弁だと、病気で退職さした者が二百ないし三百ということになりますが、自発的にやめた者と、それからやめさした者、またその内訳はどういうことになりましようか。
  57. 江口見登留

    江口政府委員 その病気でやめました者は、それが自発的であろうと、あるいはこちらの方でやめてもらつた者であろうと、一括計上された数字でございます。
  58. 梨木作次郎

    梨木委員 だから、私は聞いておるのでありまして、そうすると、千百名やめた者の中で、自発的にやめた者とやめさせられた者の分類はどういうことになるか。もう一ぺんおつしやつてください。
  59. 江口見登留

    江口政府委員 病気でやめた者は、その大部分がやめさせられた者、こう解釈していいと存じます。それ以外に自発的にやめた者は、病気でやめたということでない、その他の理由でやめた数字が六、七百になつておると記憶しております。
  60. 梨木作次郎

    梨木委員 そういたしますと、病気でやめた中には、結核と診断されたものとその他のものとにわかれるわけでありますが、この前の増原さんの御答弁だと、そのうち結核と診断された者については医療のせわをする、結核の予防の観点からさような処置をとる、こういうことでありました。そういたしますと病気でやめた者は、大部分はやめさせた者とみてよろしいとこういうことでありましたが、そうすると千百名の中で強制的にやめさせた者は百二十名といたしますと、あとの大部分は病気理由でやめたということになるわけですが、この内訳は、そうすると結核とそれ以外の病気との内訳はどういうことになりますか。
  61. 江口見登留

    江口政府委員 その詳細はまだ調査いたしておりません。結核でやめた者のほかに、私の記憶いたしております者の中には、たとえば精神的な異常があつたというものを覚えておりますが、病気でやめた者の内訳を結核その他の理由に詳細わけた調査をまだいたしておりませんで、その内訳を詳細にするには相当日時がかかるかと存じます。
  62. 梨木作次郎

    梨木委員 そこでこの点はもう一点確認しておくのでありますが、結核でやめた者についてのみ治療のせわをする、その他の者はそのまま放置するということになるのですか。そこのところをお伺いいたします。
  63. 江口見登留

    江口政府委員 ただいまわれわれの考えております考え方といたしましては、結核でやめていただいた方々に対してのみ大きな結核対策と申しまする見地から、特に他の部面についても、そういう病気の人に対しまして厚く保護が加えられておりますので、その均衡を見まして、結核患者についてのみ、先般増原長官からお話しましたような善後策を講じて行く考えでございます。
  64. 梨木作次郎

    梨木委員 ところが結核以外のものでも病気なつた者は、これは警察予備隊勤務中にそういう病気か発病したということになると思うのでありますが、そうするならばやはり警察予備隊の責任において治療費を負担するのが当然だと思うのでありますが、なぜそういう処置をとられないのでありますか。
  65. 江口見登留

    江口政府委員 もちろんこれがいわゆる公病と認められますものについては入院させることにいたしておりますが、入隊前からただいま申し上げましたような例は、たとえば精神病であるというようなことにつきましては、入隊前の原因によるものが大部分だと考えますので、いわば私病と申しますか、そういう理由でありますがゆえにに、予備隊として公病でない私病、それに対しましては特に予備隊の方でその後のめんどうまで見る必要はないのではないか、かように考えております。
  66. 梨木作次郎

    梨木委員 しかしながら国家公務員の共済組合法によりますと、私はその病気について、いわゆる公務に従事中負傷したとか、その他の病気なつたというものとその他とは、保険給付の点においては差異があるようではありますが、しかしとにかく医療保護の適用を受けておるのでありますが、警察予備隊ではどうしてそういう処置をとられないのか。
  67. 江口見登留

    江口政府委員 もちろん入隊中にかぜをひきまずとか、そういう不注意病気になる者もたくさんおるのでございますが、これが回復することが明瞭であると認められますものにつきましては、全部予備隊の方で私病といえどもみておるのでありますが、その点は一般公務員に対しまする共済組合よりは保護が厚いと思います。ただ、ただいま申し上げましたのは、なおる見込みがない方々にやめてもらつた、こう申し上げておるのでありまして御了承願います。
  68. 梨木作次郎

    梨木委員 そうするとなおる見込のない者につきまして、これをやめてもらう。しかしこれはどうしても警察予備隊員として勤務できないということがはつきりわかればやめさせなければならないということもわかりますが、しかし警察予備隊に入るにつきましては、従前の勤務をやめまして、そして特に警察予備隊に入つて来たという場合には、職業上非常に困つた問題が起ると思うのでありますが、そういう生活保障の点についてはどういうように考えておられるのですか。
  69. 江口見登留

    江口政府委員 われわれこの募集を開始しました当初におきましては、七万五千人の充員を非常に急ぎまするあまり、ただいま問題になつております結核などにつきましても、十分な科学的検査に基いての体格検査を行う余地がなかつたのでございます。あるいはただいまあげました精神病というような点につきましても、厳重な検査を行う余裕がなかつたのであります。従いまして入隊後六箇月間は仮採用であるということを十分に隊員に納得いたさせまして、その六箇月の範囲内において故障を生じて、しかもそれがなおる見込みのないというような者につきましては、あるいはやめてもらうようなことになるかもしれぬということで募集をいたしたのでございます。その点においては一般の公務員におきましても、六箇月間は仮の任用と申しますか、あるいは承認と申しますか、そういう制度があるのでございまして、この点は特に警察予備隊だけ特殊な扱いをしたものとは考えておりません。従いましてそういう方々がやめられて、あとの職に一時的に非常に困るということがありましても、お気の毒とは思いますが、それに対する保障は考えられていない次第でございます。
  70. 梨木作次郎

    梨木委員 ところでこの病気でやめさせたうちの結核と診断された人たちの問題でありますが、その結核と診断された人たちにつきましては、今度一旦免職処分の手続をとつたが、それをまた復職させることになつたということでありますが、これは今度一斎検診をしましてそういう事実が発覚して今申しましたような処分がとられたというように聞いておりますが、今度の一斎検診前に結核と診断されてやめさせられた人たちがあると思うのでありますが、その人たちに対しても同じような処理方法がとられるかどうか。
  71. 江口見登留

    江口政府委員 一斎検診の結果、活動性結核にかかつておる人は、その数を今のところはつきりつかんでおります。ところがそれ以前にぽつぽつ一斎検診を始める前に、非常にからたが故障で、調べてみたところ結核であつたというような隊員もかなりございます。従いまして今度の一斎検診の結果、離隊せしめられた者について、特例の救済策を講ずるということにいたしました以上、一斎検診前におきましても、結核で離隊せしめられた者については同様に取扱う方針のもとにその数を全国各キヤンプについて目下調査中でございます。
  72. 梨木作次郎

    梨木委員 今一斎検診の結果離隊せしめなければならないような結核の人の数字はつかんでおるとおつしやいましたが、それは幾らでありますか。
  73. 江口見登留

    江口政府委員 逐次報告が参つておりますが、数日前の報告で百七十七名となつておりました。
  74. 梨木作次郎

    梨木委員 予備隊の給与のことでありますが、今までの分については私伺つたのでわかりましたが、もうはつきり決定しておるのであるかどうか、その決定通り実行されておるかどうか。
  75. 江口見登留

    江口政府委員 給与の最後決定が非常に遅れまして、隊員にはたいへんな迷惑をおかけしたのでございますが、それまでは内払い内払いで参つておりましたけれども、十一月末日をもつて全部の精算をいたしました報告が今続々と参つております。
  76. 梨木作次郎

    梨木委員 十一月末で精算されたのはわかりました。しかしこれはもうはつきりと一箇月幾らというのは決定しておるのでありますか。
  77. 江口見登留

    江口政府委員 はつきりと決定いたしております。
  78. 梨木作次郎

    梨木委員 幾らですか。
  79. 江口見登留

    江口政府委員 隊員の初任給、一番低いところで四千五百円でございま
  80. 梨木作次郎

    梨木委員 その次にお伺いいたします。広島県の海田市町のキヤンプにおける今度の一斉検診の結果、免職処分を受けた隊員の人たちの話によりますと、キヤンプにおるときに、米軍のいわゆる政府のいう指導、この指導官から免職の言い渡しを十一月二十日に受けた、こう言つておるのであります。そこで驚いて日本人の責任者に、これはどうしたことなのかということで詰問したところが、自分の方は何も知らなかつた、突然そういう申渡しがあつて、からだ一つで帰つてくれ、というような次第で、帰る旅費も、宿泊費も、病気と診断された以上は療養もしなければならないし、今後の生活保障の問題、いろいろな問題をかかえて困りましたので、日本人の責任者にこの点の処理方法について陳情したが、全然関与しておらなかつた、こういうことなんであります。そこであまりにひどいので、現場では何とも処理の方法がないので、本部の増原長官にこの旨を陳情して、適切な処置をとつてもらいたいと考へて東京に出て来た。増原長官にお目にかかつて逐一事情を説明して、とにかく療養費の支給、それから療養期間中の給与の支給というような問題についていろいろ要求したが、長官もなるほどあなた方のおつしやることはもつともである。しかし実は自分の方では経理関係についてはほうき一本、紙一枚も指揮官のサインを得なければどうにもできないのだということで、とにかく御相談に乗つていただくことができなかつたというようなことで、これらの人たちは国会に陳情に来たような始末になつておる。こういう経過を見ますと、警察予備隊令施行令第八条によりますと、「職員の休職、復職、退職及び免職は、長官又はその委任を受けた職員が行う。」というようになつておりまして、長官が人事の権限を持つておるのであります。ところが長官が全然知らないうちにこういう人事が行われたという事実がここに出て来ておるのであります。そこで私はこれは長官の部下がかつてにやつたものだとは考えられません。部下はそういうことを知らない。ということになると、どうしても米軍の指揮官が人事権を実質的に握つておるということになるのでありますが、この点は私たちといたしまして、御承知のように警察予備隊には二百億という莫大な費用が日本国民の納税者の負担において支出されておるのであります。でありますからこの予備隊がどういうふうに運営されて行くかということは国民の非常に大きな関心事になつておるわけであります。でありますから、どうかこの点についてはつきりとわれわれの納得の行くような御説明をぜひ願いたいと思うのであります。
  81. 江口見登留

    江口政府委員 海田市町の例をおあげになりましたが、確かに本部のわれわれのところにおきまして、それらの退職せしめる人たちに対しまして、適当な措置を講じない間に、現地ではそういうことが行われたというふうに聞いておりますが、それはもちろん出発早々のことでございまして、各方面に事務上の不連絡という点もあつたのであります。その一つの例として今のような問題が起つたのでございます。従いましてわれわれはその善後措置をできるだけすみやかに形式にあてはめてその警察予備隊施行令にありますような本筋に直すために、われわれは努力いたしたのであります。ただいまお話のありました結核患者で離隊せしめられた者につきましても、第八条の手続をあとから正式に補完すると、こういう建前に考えております。経費の面につきましても早々の場合でありますので、米軍士官の指導援助をどうしても受けなければならなかつたのであります。それらも逐次高級幹部が任命されるに従いまして、輿質的にそのキャンプ内におきまする上級の日本人の指揮官が、その権限をもつて隊を運営し、人事を行い、経理を行うという方向に逐次改めつつありますので、その点御了承を願いたいと思います。
  82. 梨木作次郎

    梨木委員 そこで先ほどの千百名のやめた人たちの、私が質問申しました詳しい内訳、つまり千百名の中で自発的にやめた者と、それから強制的にやめさもられた者、それからそのうちの病気の者につきましては、結核と結核でない者、特に回復の見込みのないような病気といつたような者の内訳、それからその氏名、住所、これを資料として提供願いたいと思うのでありますがいかがでしよう。
  83. 江口見登留

    江口政府委員 退職した者についての調査というようなお話でございますが、今キヤンプの移動なども盛んに行つておりますし、それから離隊した者についての調査ということにもなりましようし、相当時間と手間がかかると思いますが、御要望もございますので努力してみたいと考えます。
  84. 梨木作次郎

    梨木委員 そこで今度復職させるということに確定した百七十七名、これはすぐおわかりだろうと思いますから、氏名と住所を知らしてもらいたいと思いますが……。
  85. 江口見登留

    江口政府委員 これにつきましても二名以上の違つた医者の診断の結果、申し出れば復職させるということになつております。復職は今後行われるのであります。もちろん日付はさかのぼりますが、実際の復帰手続はこれから行われるのでございます。もちろんこのうちには、結核ということの判定を受けて、予備隊に帰つても見込みがないから、この際退職しようという者もあると思うのでありますから、退職せずに帰つて来る者は今後判明するわけでございます。
  86. 梨木作次郎

    梨木委員 百七十七名というのは、結核と診断された者で、これは二名以上の医者の診断による証明を待たないで、無条件で復職させるものと承知しておつたのでありますが、あなたの今のお話だと、やはり二名以上の医者の証明を必要とするように言われたのでありますが、この点はどういうことになつておりますか
  87. 江口見登留

    江口政府委員 それは私説明のし違いであつたかもしれませんが、すべて原則的に百七十七名——二、三日前までにわかつております数字は百七十七名でありますが、これは復職させるつもりであります。ただ本人が自覚症状があつて、とても復職しても見込みがないというので、自分の方で復帰を希望しない者があるだろうと思います。その者はやはり退職のままでそのまま措置されるわけでございますので、そういう内訳になつておるということを今申し上げたのであります。
  88. 梨木作次郎

    梨木委員 しかし自覚症状があつて復職を希望しないと申しましても、この前の私の質問でこういうように承知しておるのであります。復職すれば、国家公務員の共済組合法に準じて医療給付を受ける、そのほかに警察予備隊としての給与を受けるということになるわけでありますから、とにかく自覚症状があつても、所定の期間内復職しておることが本人の生活上におきましても利益でありますから、希望しないような人はおそらくあるまいと思うのであります。だからその百七十七名については、あなたの方でわかつておるのでありますから、氏名と住所を公表していただきたい。なぜそういうことをお願いするかと申しますれば、今もういなかへ帰つてしまつた、ところが実際は予備隊の方では、国会においてこういうような答弁をされ、そういう措置がとられるということが決定しておつても、その事実を知らないために申出をしない人も出来てるということになりますと、非常に気の毒だと思うのであります。また不公平だと思うのであります。これはわれわれ国民の代表といたしましても、そういう努力をしなければならぬと思つておるわけでありますから、ぜひ公表してもらいたいということを要望しておるのであります。
  89. 江口見登留

    江口政府委員 お説の通り一ぺん離隊せしめた者で、帰隊を望まない者の数はきわめてわずかであろうと思います。自覚症状のある者で、とうてい汽車に乗つて行けないような者が、退職のままで処置される。あるいは軽度の結核でありましてほかの仕事についた方がむしろその人の収入からも、また家庭のそばにおるからいいという人もあると思います。お説の通りその数はきわめて僅少であろうと思います。
  90. 梨木作次郎

    梨木委員 だから私はこれはぜひ公表してもらいたいのですが、この点、ひとつ明確に御答弁願いたいと思います。
  91. 江口見登留

    江口政府委員 統計ができますように、せつかく努力いたしてみるつもりであります。
  92. 梨木作次郎

    梨木委員 努力してみるつもりだというその程度の御答弁では、どうも私は承服できないのであります。というのは、この前法務総裁は私が百七十七名につきまして、どうしても心配だから氏名と住所を公表してもらいたい、われわれはその人たちに通知して上げたい、わざわざ国会に陳情して来ておるのでありますからと言つたら、公表はできないとおつしやつた。これは公表できないはずがないのです。しかしあなたの方は、公表すべく努力すると言われる。一体公表できるのかできないのか、するつもりがあるのかないのか、はつきりおつしやつていただきたいと思います。
  93. 江口見登留

    江口政府委員 しばしばお答え申し上げました通り、私といたしましては、努力いたしてみたいと思つております。もちろん個人々々といたしましては、判明次第その住所先に今言つた救済策があることを通知してやることになつております。ですからお話のように、そういう措置がとられたにもかかわらず、それを知らないで過ぎてしまうという者は一人もないように、われわれの方は処置して行きたいと思つております。
  94. 梨木作次郎

    梨木委員 もう一点、くどいようでありますが伺いたい。公表しないということに決定しておるのじやないのですね。公表すべく努力する、公表してさしつかえないのだ、こういうふうに承つてよろしゆうございますか。
  95. 江口見登留

    江口政府委員 せつかく努力してみまして、その点に対してどういう結論が下されますか、予備隊の長官なり、法務場総裁の方なりで御決定なさることと思います。
  96. 梨木作次郎

    梨木委員 次に金沢市におきまして、警察予備隊を設置することに決定したというように新聞は報じておりますが、そういう事実はありますか。
  97. 江口見登留

    江口政府委員 ただいまのところ金沢に設置する予定で準備を進めております。
  98. 梨木作次郎

    梨木委員 設置するにつきまして新聞の報道によりますと、高等師範というような学校を接収して、そこを使うようなことを報じておりますが、予備隊は急ぐせいもあるのでありましようが、しかし教育施設をこういうように接収してやつて行くということについては非常に大きな議論があると思うのであります。そのために高等師範の人たちは、他の中学校の校舎に移転しなければならないような問題も起つているように報ぜられておるのでありますが、どういうふうに計画をお進めになるのでありましようか。
  99. 江口見登留

    江口政府委員 われわれといたしましても、既存の教育施設、あるいは病院施設等に非常に迷惑をかけてまでその建物を利用するということは、できるだけ避けるように存じておるのでございます。ところで、金沢の例で申しますと、学校を使つておる部分はほんの一部でございましてその学校を使つておりますために、その背後のまだあいている建物の利用価値が非常にふえ、むしろ予備隊の入ることによつて全面的に建物を生かして使えるというのが実情でございまして、その際には学長なり学校長なりの意見も十分徴しますし、文部省当局ともいろいろ相談いたしまして、両者納得ずくでそういう措置を講じておるのでございまして、金沢の例などは、むしろ文部省の方から、予備隊を設置して、あの建物を全面的に利用すべきであるという意見で、学校側は授業にさしつかえましようが、他の場所に移転することになつたのであります。極力学校当局文部当局、あるいた地元が反対しておるものを押切つて病院や学校を動かすというような措置はとらない方針でございます。
  100. 梨木作次郎

    梨木委員 次にお伺いしますが、警察予備隊の隊員や、あるいはその家族を援護するという目的で、一つの援護組織を結成する動きがあるように聞いておりますが、さような動きは御承知でありましようか。
  101. 江口見登留

    江口政府委員 私どもの方といたしましては、そういうことは考えておりません。他の民間の方々でそういうことをどういう見地からかお考えになつている方があるかもしれませんが、詳細なことはわれわれの方の耳に達しておりません。
  102. 梨木作次郎

    梨木委員 隊員並びに家族を援護するというような組織、こういうものが発展して行きますと、在郷軍人的な組織だとか、それに類似的なものに発展する危険性もあるし、いろいろと弊害が起る可能性があると思うのであります。従つてこれらのものができる動きに対しまして、警察予備隊当局といたしましてはどういうお考えを持つておられるのか、そこをお尋ねしたいと思います。
  103. 江口見登留

    江口政府委員 よくその目的なり内容なりを調査いたしました上で、適当なものであれば、そういうものができてもいいのではないかと考えております。と申しますのは、先ほども申しましたけれども、共済組合の関係でございますが、一般の公務員は家族についてまで共済組合の恩典に浴しておるのであります。予備隊の方は本人の死傷病などについては、全面的に国家の方で見るということとにらみ合せて、家族に対するそういう医療救済施設がないのであります。それに対しまして隊員自身が、何とか家族についてもそういうものをつくつてもらいたいという希望を漏らしておる者も多々ありますので、もしそういう種類の内容の何かの団体あるいは組合などができますれば、こういうものは私たちは奨励して行くべきものではなかろうかと考えておりますが、今お話になりましたような昔の援軍団体と申しますか、そういうふうなものではならないと私は考えております。
  104. 大西正男

    大西(正)委員 私は法制意見長官お尋ねしたい。ポ政令と普通の政令についてであります。ポ政令は連合国最高司令官の要求がありました際に、政府が出す政令でありますが、この政令と普通の政令は憲法七十三条に基いておる。結局両方とも憲法七十三条に基いておるということは同じだと思うのでありますが、その効力に関してどういう相違があるか、この点をお伺いしたい。
  105. 佐藤達夫

    ○佐藤(達)政府委員 ただいまお言葉にありましたように、憲法から申しますと、申すまでもなく種類として法律、政令ということになるわけで、その分類から申しますと、まさにこのポ政令もそれから普通の政令も、やはり憲法にいう政令であり、御指摘の七十三条による政令であるということでございます。ただその根拠といたしまして、いわゆるポ政令の方は例の五百四十二号という緊急勅令の委任に基くものであるという点で、その基礎は多少違うわけであります。しかし角度をかえましてポ政令その他室目通の政令というものをながめてみますと、普通の政令等も通常はいろいろな法律の中に、必要な事項は政令で定めるというような委任がございまして、その委任に基いての政令が普通の政令にたくさんあるわけでございます。その角度から申しますと、ポ政令も今申しました五百四十二号という緊急勅令、これは法律とまつたく同一のものというふうに了解いたしておりますから、やはり法律の委任による政令ということになりまして、従つて親が法律であります以上は、子供でありますところの政令も法律と同じ力を受継いでおるという点におきましては、ポ政令も普通の委任による政令とその点は同一であります。
  106. 大西正男

    大西(正)委員 委任に基く範囲内においては、普通の政令によつて規定した事項も、ポ政令によつて規定されておる事項も効力は同じだ、こういう御意見だと考えております。具体的な問題に入ります前に、しからばポ政令によつて委任し得る範囲というものはどういう範囲になるものであるか、それから法律が政令に委任し得る範囲内、つまり委任命令の規定し得る範囲一体どの程度の憲法上制限があるのか、それからもう一つはポ政令によつて委任し得る範囲と、法律によつて委任し得る範囲と同じであるか、あるいは違うものか。
  107. 佐藤達夫

    ○佐藤(達)政府委員 この点は、大原則は同じことであろうと思うのであります。従いまして憲法の大原則といたしましては、委任というものはあまりに白紙委任的であつてはならぬという原則がございまして、その点のわくは同様に働くものと存じます。けれどもポ政令は、御承知の通りに最高司令官の要求によつて出て参ります結果といたしまして、ポ政令そのものできめるべき事柄の内容あるいはポ政令からどの程度のことを他の命令に譲るかというようなことも、要求の内容として入つて参る機会が多いわけでございます。その点はやはり要求に従わざるを得ない建前から、若干の広い狭いの差はあると思います。おそらく大西さんは実例を頭に置いていられると思いますけれども、普通の原則からいつて、さように飛び離れた委任というものはやつておらないというように私自身は考えております。
  108. 大西正男

    大西(正)委員 そこで、たとえば国民の権利義務を制限するような権能を官憲に与えるというふうな事項は、一体委任し得る事項であるかどうか、これをお伺いしたい。
  109. 佐藤達夫

    ○佐藤(達)政府委員 結局その限界線という問題になると思います。従いまして、最も極端な場合を想像して、いかなる国民の権利義務も制限できるという委任のできないことは当然だろうと思います。その事柄を限定いたしまして、この程度のこと、あるいはこの種類のことということで、わくをつけて委任をするということは、一概に悪いとは申せない。あとそのわくを一々の事例についてこれは広過ぎやしないか、これは狭過きやしないか、これを一々それについて検討しなければならぬと思うのであります。大きく申しますれば、わくづきであるという限度においては、問題がないというふうに申し得ると思います。
  110. 大西正男

    大西(正)委員 それではこの憲法第三章に規定されておる国民の権利及び義務に関する事項について、法律あるいはポツダム政令が普遍の政令に委任し得る範囲、これに関連をしてお尋ねしたいと思います。一般的にこれは委任できますか。
  111. 佐藤達夫

    ○佐藤(達)政府委員 ポツダム政令ということになりますと、先ほど申し述べましたように、司令官の要求ということがあくまでもそのもとになつておるものでありますから、この要求いかんによつてこれは左右されるわけであります。一概にこれが悪いと申したところで、要求を実施できないということではない。
  112. 大西正男

    大西(正)委員 それはポツダム政令自体のことでしよう。
  113. 佐藤達夫

    ○佐藤(達)政府委員 いや、今のお話は、ポツダム政令が他の普通の政令に委任するわくをお尋ねだろうと思いますが、これはポツダム政令そのものが要求を取入れた内容ということになりますので、その要求いかんによつてそのわくも広くなり、狭くなるということもあろう。政府のわがままによつてかりに大きな委任をしてしまうということが許されるならば、これは御批判の対象になろうと思うのでありますが、ポツダム政令というものはそういうことはあり得ないと考えますから、要求いかんによるということにならざるを得ないということだと思います。
  114. 大西正男

    大西(正)委員 法律による政令はどういうことになりますか。
  115. 佐藤達夫

    ○佐藤(達)政府委員 ポの字のつかない普通の法律が政令に委任するという場合におきましては、われわれ立案当局者としてあるいは国会においても御同様だろうと思いますけれども、極力委任の範囲を限定して、そうして具体化した範囲のものを委任するという態度で臨んでおります。最近の法律にはごらんの通り条文が何百条というようなものがありまして、昔は政令なり、あるいは勅令なり省令にまかせておつたようなものを、みな法律で取上げておりますために、あれだけ厖大な分量になつておりますが、普通の法律につきましては、ただいま申しましたような心構えでやつております。
  116. 大西正男

    大西(正)委員 警察官等職務執行法というのがございますね、この法律警察予備隊にいうところの警察官に当然に適用になるのでございましようかどうでしようか。
  117. 佐藤達夫

    ○佐藤(達)政府委員 警察予備隊令の立案に携わりました一人としての見解を述べますと、私はこの予備隊令の一条なりあるいは三条に現われておりますように、警察の任務というものははつきり予備隊の任務になつております。従いましてその警察の任務に属する者は職務を執行するについていかなる基準にのつとるべきかということは、今御指摘の警察官等職務執行法の適用を受けるというふうに考えております。
  118. 大西正男

    大西(正)委員 昨日予備隊長官のお話ではこれはまあ適用になるというお話つたのですが、そこがどういう意味で申されたかよくわからぬのですが、かいつまんで言えば、つまり全面的に適用になるのではなくて、それは必要に応じて適用になるという意味の御答弁つたわけであります。そこで予備隊に対して具体的にはいつ執行法の適用があつて、いつそれが消滅するのか、こういう質問をしたのに対しましては、総理大臣の命によつて予備隊が発動する場合、一例を引けばそういう場合に適用になるのではないかというふうな御答弁であつたわけでありますが、そうでありますか。
  119. 佐藤達夫

    ○佐藤(達)政府委員 元来予備隊が活動をする時期と申しますか、その場面というものは、予備隊令の第三条の第一項におきまして、総理大臣の命があつた場合に行動を開始するということになつておりますから、その活動の時期はおのずから限定があるわけであります。そこでその活動に入りましたときに、職務執行上とどういう関係になるかと言いますと、そのときに、ただいまの警察官等職務執行法にのつとつて行動がなされるであろうということを先ほど申し上げたわけでありますが、そういうことに相なると思います。
  120. 大西正男

    大西(正)委員 一般の警察官が司法警察職員として、たとえば刑事訴訟法に規定されておるような職務権限を執行するのは、もちろん刑事訴訟法によるのでありますが、その刑事訴訟法の指す司法警察職員だというのは、この職務執行法の第八条によるのでありますか。
  121. 佐藤達夫

    ○佐藤(達)政府委員 一応私の考えておりますところを申し上げますと、この予備隊の職責として、三条の第二項で……。
  122. 大西正男

    大西(正)委員 予備隊のことじやなくて、普通の警察官のことです。
  123. 佐藤達夫

    ○佐藤(達)政府委員 ただいまのお話の警察官等職務執行法の第八条も、もとよりさようでありますけれども、刑事訴訟法の方で原則は大体きまつておりますので、むしろこの職務執行法の八条は、それを受けて書いたというふうに私ども考えております。
  124. 大西正男

    大西(正)委員 そこで予備隊令施行令の第十三条の第二項には、予備隊の警察官は、司法警察職員として刑事訴訟法に規定されておる一般の司法警察職員の職務権限のうちで、制限的に緊急逮捕の職務権限がある、こういう規定になつておるわけであります。そこで予備隊にも警察官というものがあるわけでありますが、第二項がなかつた場合には、全面的に刑事訴訟法上の職務権限を、緊急逮捕はもちろん、そのほかの逮捕権限、その他捜査権、そういつたものを、法務総裁は有するのだという御答弁が前回あつたわけでありまするが、さように解してよろしいものでありますか。
  125. 佐藤達夫

    ○佐藤(達)政府委員 そのように考えております。簡単に申し上げますれば、予備隊令の三条で、先ほど言いかけておつたのでありますが、予備隊の活動は警察の任務の範囲に限られると申しまして、この警察の任務はどこできまつておるかと申しますと、警察法一条あたりで、犯罪の捜査、被疑者の逮捕云々ということをはつきり警察の任務としてあげておるわけであります。それを受けて先ほど大橋総裁の発言として御引用なさいましたところの刑事訴訟法上に言う司法警察職員としての権能の根本は、すでにここできまつておるということになるわけであります。むしろ今の十三条において御指摘の条文は、それを妥当な範囲に限定したというふうに私ども了解しておつたわけであります。
  126. 大西正男

    大西(正)委員 そうすると昨日法務総裁が御答弁なつたように、本来はポツダム政令に基いて委任されたこの施行令によつてかような制限を付されないならば、当然に刑事訴訟法上の司法警察職員の有すると同一の範囲内の権限を有する、こういうことになるわけでありますか。
  127. 佐藤達夫

    ○佐藤(達)政府委員 大きく申しましてその通りになります。先ほど申しました三条第二項の警察の任務というところから、そういうところへだんだん行く基礎がここにあるというふうに考えます。
  128. 大西正男

    大西(正)委員 その点について私非常な疑問を持つておるわけでありまして、ここでただちに反駁する材料を実は持つておりませんが、実は警察官が国民の自由を制限するところの逮捕とか何とかいうことを、予備隊の警察官もかような委任に基く政令によつてただちに持ち得るんだというような見解に対しては、相当重大な問題を含んでおるのではないかと思うのであります。従つてなおその点の質問は留保いたしておきたい、かように考えます。  それから予備隊の次長にお尋ねしたいのでありますが、これは法務総裁がお答えになつたことでありますが、予備隊の幹部要員は大体三千名くらい必要だ、こういうお話でありまして、そのうち二百名くらいは現在個別的な試験によつて採用しておる。そのほかの八百名程度のものを一般試験によつて補充しておる。従つて現在千名程度の幹部職員があるというお話であります。残りは現在二千名くらいの幹部が補充されずにある。こういうことでありましたが、さようでありますか。
  129. 江口見登留

    江口政府委員 七万四千が一般隊員でございまして、三十五才までの隊員を最初に募集いたしたのでございます。その次には幹部募集といたしまして、八百人採用することにいたしまして、これは別の募集をいたしました。残り二百名でございますが、それはたとえば特別の技術者——衛生技術官などはこちらからむしろお願いしなければ来てくれないような方が多数ございますので、そういうのは募集ではなくて指名採用、こういう三段階にわかれております。最初募集いたしました七万四千名の中にも、幹部になり得る人もたくさんおるわけでありますので、これらについて希望者に対し試験を行いました結果、大体二千名ぐらいを中堅幹部に採用いたしたいと考えております。この試験もほとんど終了いたしまして、ここ数日中にはその発表ができる段取りになるのではないかと考えております。七万五千のうち幹部級が何人おるであろうという問題につきましては、法務総裁からお答えの通りただいまは三千名ぐらいをとりあえず埋めて行く、それであるいは足らない時期が来ますと——今七万五千名に対して三千名では足らないという考え方もありますので、その際にはまた適当な試験なりを行つて現在の隊員のうちから上げて行くように考えております。
  130. 大西正男

    大西(正)委員 そうしますと、ちよつと今数字の点を十分にのみ込めませんでしたが、三千名とまず踏んで、そのうち現在すでに幹部として指名されておるといいますか、そういう人々は何者ですか。
  131. 江口見登留

    江口政府委員 八百名と今申しました二百名を合せて千名のうちでは、今日まで二百名くらいがすでに採用されております。それからそれ以外におきましては、随時人事とか補給とか、そういうような講習を十日ないし数週間やりまして、その講習を受けた者について試験をやりました結果、成績のよい者を幹部に登用して参つております。それらを合わせて、現在おります幹部は、はつきりした数字は今材料を持つておりませんけれども、六百名くらいがすでにできておるのではないかと考えます。それでただいま申しました八百名、と二百名のうちから残りを採用して行く。それから一般隊員で講習を受けずにキヤンプに残つておりました者については、試験の結果が一両日中にわかりますので、そこで二千名ほどが発表になる。合せて三千人が間もなく幹部として充足されることになる、こう申し上げたのであります。
  132. 大西正男

    大西(正)委員 採用の結果一応試験をして幹部になるわけでありますが、それらの人は採用された瞬間に幹部たる実際の資格を備えておるのでしようか。
  133. 江口見登留

    江口政府委員 その八百名、二百各の口でございますか、あるいは二千名……。
  134. 大西正男

    大西(正)委員 私もよく知らないのですが、全部について……。
  135. 江口見登留

    江口政府委員 もちろん八百名の幹部募集をいたしました人の大部分がやはり少尉、中尉、大尉であつた経歴を持つております。
  136. 大西正男

    大西(正)委員 それは何名くらいですか。
  137. 江口見登留

    江口政府委員 ほとんど大部分がそういう経歴を持つておる方だと申し上げてさしつかえないと思います。もちろん軍歴を持たない方もかなりありまするが、そのパーセンテージはちよつと覚えておりませんけれども、大部分はやはり軍隊に入つた経歴を持つております。五百名のうちで二百名の特別指名採用いたしまする口は、半数くらい軍隊の経験があるという方であります。
  138. 大西正男

    大西(正)委員 軍隊の経験と申しまするのは、上級幹部としてですか、下級幹部としてですか、下士官あるいは兵隊、どの程度の……。
  139. 江口見登留

    江口政府委員 大体将校でございます。二百名のうちの半分くらいは将校の経歴を持つた人が多いようでございます。それから間もなく発表されると思いますが、その二千名につきましても、先般の戦争にはほとんど大部分の日本人が軍隊教育を受けておりまするので、その大部分がやはり軍歴を持つておると考えております。
  140. 大西正男

    大西(正)委員 その二千名というのは、今の軍歴からいいましてどの程度の者ですか。
  141. 江口見登留

    江口政府委員 やはり少尉、中尉、大尉であつた方が多いようであります。私が申し上げておりますのは、二等警察士以上の幹部のことを今八百名とか二百名とか申し上げておるので、それ以外に、いわゆる軍用語を使いますれば下士官級でございます。その数字は別でございます。今申しました二等警察士以上の者を至急二千名つくつて行きたい。こう申しているのであります。一般隊員の上に位します一等警察士補ないし三等警察士補、軍用語で申しますれば下士官級でございます。これはさらに数千名をつくらなければならぬと思つておりますので、これは十二月の終りから一月の半ばにかけて今後きまつた幹部で試験を行つて、そういう階級づけをして行きたいと考えます。
  142. 大西正男

    大西(正)委員 今おつしやいましたのは何でございますか。
  143. 江口見登留

    江口政府委員 三千名という数字を申し上げましたのは、二等警察士以上でございます。
  144. 大西正男

    大西(正)委員 そうすると、二等警察士以上が、従来の軍隊に比較するのはよくないかもしれませんが、比較すれば将校に該当するわけですね。それから従来の軍隊の下士官に該当するのは三等警察士補までですか。
  145. 江口見登留

    江口政府委員 そうです。
  146. 大西正男

    大西(正)委員 そうすると一等警察士補から三等警察士補までの下級幹部といいますか、この数は八千名程度と見ておられますか。
  147. 江口見登留

    江口政府委員 その程度の数字だと記憶いたしております。
  148. 大西正男

    大西(正)委員 そこで従来の軍隊と予備隊とは性格が違うのだ、こういうことになつているわけです。結局これらの実際に出動をして予備隊の機能を発揮すべき幹部、下級並びに上級の幹部を近い将来に採用して決定をしても、それらの人が実際の出動の際に、幹部として働き得る指揮能力とかそういつたものの教育はどのくらいかかるお見通しでありますか。
  149. 江口見登留

    江口政府委員 もちろん学科教育と実地教育とあわせて行かなければならぬと思いますが、ただいま申しました三千名の幹部級の発令が済みましたならば、それを逐次五十人ないし百人くらいずつ各キヤンプから東京へ集めまして、大体五週間教育を繰返して行きたいと思います。大きな学校でありますならば一ぺんで済むのでありまするが、そういう施設がございませんので、順番にそういう方たちを集めて学科訓練と実地訓練をさせて行きたい。こういうふうに考えておりますので、今のところただちに理想的な部隊行動がとれるかと申しますと、ちよつとただいまのところでは困難ではないか、かように考えております。
  150. 大西正男

    大西(正)委員 それが完了するのはいつごろの御予定でありますか。
  151. 江口見登留

    江口政府委員 一通り済みますのは来春三、四月ごろまでかかるのではないかと思つております。東京でもやりますし、東京で講習を受けて帰つた者には、またその地方でその部隊々々で講習をして行くということになりますので、先ほどは全部東京へ集めると申し上げたかもしれませんが、必ずしもそうしなくても、東京で習つて来たことを実地で教えるということを繰返して行けば、一通りの教育は三、四月ごろには終るのではないかと考えております。
  152. 大西正男

    大西(正)委員 昨日の質疑に対しまして長官が、固有の装備としては小銃だけでやるが、訓練としては機関銃も幹部に使わせておる、こういう御答弁がありました。そこでお尋ねするのでありますが、次長でお答えできるならばお願いいたします。この機関銃を訓練として使つたということは、結局近い将来に機関銃を使うのだという見込みがなければそんなものを使うわけはありませんが、そう解してよろしゆうございましようか。
  153. 江口見登留

    江口政府委員 先ほど申しました講習の一つとして、江田島に仮部隊長になるような人を集めて訓練を二、三回行いました。その際最初の訓練の際には機関銃の操作を教えたことはございます。しかし今ではそれをやつておりません。ですからお尋ねにお答えするとすれば、将来は機関銃を持つようになるものとわれわれは考えおりますが、しかしいずれ武器はすべてアメリカから貸与されるわけでございますので、向うさんの都合もございましようし、いつから持つようになるかは、これは日本側だけとしては決定いたしかねる問題でございます。
  154. 大西正男

    大西(正)委員 今のお話通りに、将来使うことを予想されておるわけでございますね。訓練として機関銃以外に使つておるものはございませんか。
  155. 江口見登留

    江口政府委員 機関銃を使いましたのは、先ほど申しましたようにほんのわずかの期間、わずかの部隊に対してのみ使いましたけれども、それ以外は小銃とピストルだけでございまして、その他どういう武器を使つたことがあるかというお尋ねに対しましては、それ以外は使つたことがないとお答えいたします。
  156. 大西正男

    大西(正)委員 それではもう一点だけお伺いいたします。長官と法務総裁がおいでになつた際にお尋ねいたしたいと思うのでありますけれども、今の機関銃を将来使う予想がある、こういうわけでありますが、機関銃を使用するについては、現在の警察官等職務執行法は予備隊にも適用があるという政府のお考えでありますのでお聞きいたします。機関銃を使用するについてこの職務執行法の第七条だけでよろしゆうございましようか。
  157. 佐藤達夫

    ○佐藤(達)政府委員 私は実はその方の専門家ではございませんけれども法律的には七条でございますか、武器云々という言葉がございます。この武器ということがありますから、一応これは適用になります。また現在のところではこの条文でよいのだろうというふうに考えております。
  158. 大西正男

    大西(正)委員 私はもつと議論があるのですが、きようはこの辺で……。
  159. 佐瀬昌三

    ○佐瀬委員 法制意見長官に若干この機会にお尋ねいたしておきたいのですが、先ほど大西委員からも質疑が出たのでありますが、いわゆるポツ勅の根拠である五百四十三号に関するものであります。結局は憲法上の政令と同じような作用を持つ、これは私も同意見でありますが、法律に対する関係において効力を考えた場合、いわゆるポツ勅によつて法律を廃止上もしくは変更し得るかどうかという点をまずお伺いいたしたい。
  160. 佐藤達夫

    ○佐藤(達)政府委員 ポツ勅をもつて法律を廃止変更し得るかというお尋ねでありますが、お尋ね趣旨はポツ勅に基く、いわゆるポツ政令によつてという意味だと思います。これは現在まで多々事例がございまして、その点は十分御承知だろうと思いますが、形式論としてもつと広くおよそ委任命令によつてその上級の法律というようなものを廃止変更できるかという根本論がございまして、これは多年議論があつて両説があるということで、案は政府として普通の委任命令で法律を廃止あるいは直接改正したという実例はございません。ただし普通の委任命令によつて、形式的に法律を改正はしておりませんけれども、実質的に既存の法律の特例になるようなものをつくつたという事例はあるのでございます。その意味におきまして五十歩、百歩ということになると思いますが、法律を普通の委任命令で直接廃止改正した例は私は覚えておりません。  そこで今のポツ勅に基くポツ政令によつて、それができるかという点は一冷静に考えれば、第一段としては普通の委任命令の場合と同様に考えて、同様の議論をすべきところであろうと思います。しこうしてその場合には今申したように両説立ち得るし、また実質的に既存の法律の特例をつくつた委任命令があるというところで、普通の場合についてもよほどきわどいところまで行つているわけであります。ところで今のポツ政と申しますと、最高司令官の要求というものが動機になつて、それが導き入れられてポツ政の内容になるわけでございます。私どもといたしましても、普通の政令の場合には若干の疑問を持つておりますが、ポツ政の場合においてはもちろん問題がないものとして、すでに、過去の例がございますので、法律を廃止しあるいは法律を直接改正しているというのが実際の実例でございます。
  161. 佐瀬昌三

    ○佐瀬委員 ただいまの御議論からさらに発展さして参りますと、ひつきようポツ政は憲法にいう一般の政令とは違つて、いわば超憲法的領域に属するものだというふうに断言し得るのではないかと思うのでありますが、その点はいかにお解しになりますか。
  162. 佐藤達夫

    ○佐藤(達)政府委員 法的の形式としてポツ政そのものが超憲法的のものであるという議論も学者の間にはあるように承知しておりますけれども、私は法的形式の問題としては、ポツ政といえども普通の法律の委任に基く政令と同じであろうと思います。ただそのポツ政の中味にとり入れられる事項は、これは最高司令官の要求があれば、その要求を忠実にポツ政の中味にとり入れなければなりません。  それから終戦直後にございましたように、たとえば昔の治安維持法とかああいう非民主的なその他のさしさわりのある法律を廃止しろという命令が下りますれば、その命令に即してポツ政の中にとり入れて、法律であろうが、何であろうが、廃止しなければならぬということになるわけで、従いまして、かりに司令官の命令が憲法ではまかないきれないような事柄を含んでこちらに申し渡されたという場合には、そのポツ政の内容たる事項としては、あるいは憲法のわくに入りきれない場合でも入れなければならぬという場面があつてもまたやむを得ないことだろうと思います。従いましてポツ政の形式は、憲法にいうところの形式になつておりますけれども、中味になつてつて来る実体の問題としては、司令官の要求事項はそのまま入つて来るということであると思います。
  163. 佐瀬昌三

    ○佐瀬委員 ポツ政が超憲法的存在であるかどうかという点も、法制意見長官の今申されたような点にかんがみまして、私どもは深く考えなければならぬ点であろうと思うのでありますが、それはさておきまして、ポツ政を法律をもちまして廃止もしくは改変できるかという点についてさらにお伺いしたい。
  164. 佐藤達夫

    ○佐藤(達)政府委員 詳しく申し上げますときりがございませんが、一言にして申しますれば、ただいまの私の前提から当然おわかりの通りに、法的形式としては国内法的の普通の委任命令と同じようでございますから、その委任命令をさらに上級の法律によつて改変するということは、形式論としては当然問題のないところだろうと思います。但し実際の扱いにおきましては、その処置をとります際には、先方と一応了解をつけて、その後にやつておりまして、場合によつては私どもの企てが思う通りにならぬ場合も過去においてございました。
  165. 佐瀬昌三

    ○佐瀬委員 さような了解のもとに、ポツ政の基本法である第五百四十二号そのものについて改廃ということは考えられないかどうかという点について御意見を承りたい。
  166. 佐藤達夫

    ○佐藤(達)政府委員 かりに説明をいたしまして、五百四十二号というものと同じ中味の法律をこの際御制定になつて、そしてその附則で、五百四十二号を廃止するというようなことは、案質的にはちつとも支障はないし、やはりまた形式的に申しましても、今申しましたところからいつて、何ら支障はないというふうに思います。これは相手仕事ということだけが違う点であろうと思います。
  167. 佐瀬昌三

    ○佐瀬委員 ポツ政の限界でありますが、最高司令官の要求事項について緊急必要ある場合というふうに、一応条文の上で明らかにされておりますから、その要求の方式についてはどういうふうにこれは限定して行つたらよろしいかという点についてお伺いしたい。
  168. 佐藤達夫

    ○佐藤(達)政府委員 終戦直後におきましては、御承知のようにデイレクテイブ・ナンバー・ワンと申しますか、指令第一号、第二号、たしか第三号まで出ておつたと思います。はつきり命令の形をとりまして、三回まではたしか出ておりましたが、そのあとの形式は、御承知の通りに覚書という形で来ておるのが多くあります。その覚書の中にも、スキヤツピンと銘打つたものもあり、その他いろいろなものもある。さらに御承知の通り総理大臣あての書簡というものもあります。ごくまれな例としては口頭による指令ということもありますけれども、いずれにせよ、受身の方の側といたしましては、最高司令部の正当なる権限に基く要求であるということがはつきりいたしますれば、この五百四十二号にまさに適合するというふうにして考えて今日まで処置して参つております。
  169. 佐瀬昌三

    ○佐瀬委員 いわゆる示唆、サゼスチョンという場合もそこに含まれて処理されて来ております。
  170. 佐藤達夫

    ○佐藤(達)政府委員 示唆、サゼスチョンという表題をつけたものはございませんけれども、その書簡なり覚書なりその他の実体に即しまして、それが要求であるかいなかということを実質的に判定しております。なおそれらの要求の文書の場合におきましては、解釈権は先方が持つておりますから、先方の解釈をただした上で慎重に処置をしておるわけであります。
  171. 佐瀬昌三

    ○佐瀬委員 やや問題は国内法としてのポツ政でなくて、条約に関連して二、三お伺いしておきたいのでありますが、日本の現状においてはいわゆる外交権がないとされておりますが、これに対する法制意見長官の御解釈を伺つておきたいと思います。
  172. 佐藤達夫

    ○佐藤(達)政府委員 現在においては独自の外交権はないわけでございます。
  173. 佐瀬昌三

    ○佐瀬委員 通商問題に関してのいわゆる協定権についてはどういうふうにお考えになつておりますか。
  174. 佐藤達夫

    ○佐藤(達)政府委員 その方は実は私どもの直接の所管として流れ込んで参りませんので、新聞等によつて承知しているだけでございますけれども、私がはたからながめております感じは、いつも総司令部当局がその中間に立つてあつせんといいますか、あるいはあつせんよりさらに一歩進んでおるかどうか知りませんが、常に総司令部当局が介在して行つておるというふうに了解しております。
  175. 佐瀬昌三

    ○佐瀬委員 日本が外国とそれらの協定によつて債権、債務の法律関係を構成するということになると、広い意味の外交権がそこに認められておるのではないかというふうに私どもは国際法上解釈してもいいと思うのでありますが、この点についてはどういうふうな御見解であるかお伺いしておきたいと思います。
  176. 佐藤達夫

    ○佐藤(達)政府委員 申すまでもございませんが、原則は自主的、独立的な外交権はございませんけれども、事柄によつて具体的に外交権を認められたと考えていい場面が今日までたびたびございました。たとえば郵便関係の条約に加入するというようなことは国会の御承認を得ておりますが、これはわれわれとしてはまさにその限りにおいては当局者、当事者は国会の御承認を得て加入の手続をとつているわけであります。そういう場面については、今は完全なる自主性を、限られた場面ではありますけれども、持たされている場合があるということになるのであります。それ以外の場合につきましては、ただいま申しましたようなことで、法律的に債権債務の点で、わが政府が直接負うということになるであろうかどうか、私はそういう場面は今までなかつたのではないかというふうに考えております。
  177. 佐瀬昌三

    ○佐瀬委員 条約によらず、協定によつて日本がある範囲において国際的な交渉を持ち得るということになりますと、さらに事態によつては、いわゆる講和に対して、あるいは部分的な限定された事項にはなるかもしれませんが、協定という形式によつてある程度の外交がなし得ると思うのでありますが、これはどういうふうに御観察なさつているか、お伺いいたします。
  178. 佐藤達夫

    ○佐藤(達)政府委員 私の立場からきわめて法律的形式的にお答えすることはやさしいのでありますけれども、その結論はおそらく佐瀬委員も御承知だろうと思いますから、実体の問題となると、当然私の口を出すべきことでもありませんし、御遠慮いたした方がよろしくはないかというふうに思います。
  179. 佐瀬昌三

    ○佐瀬委員 それではなお法理的な問題に限つて一、二お伺いしておきます。条約と法律の優位の関係については、新憲法の下でどういう御見解をお持ちになつているか、伺つておきたいと思います。
  180. 佐藤達夫

    ○佐藤(達)政府委員 条約と法律との関係におきましては、これは元の憲法時代から政府の立場は大体一貫していると申し上げてよろしいと思うのでありますが、条約が締結されまして、その内容に国内法的な事項を持つておる。それが無事締結されて、従つて官報に公布されるということになりますれば、それは法律と同等の力を持つという建前で近年まで、たとえば商法の会社法の特例というようなものになりますと、何ら商法の会社法の特例に関する法律という国内法の手続をとらずして、そのまま事が処置されて来たというようなことがあつたわけであります。今日の新憲法の下におきましてもその点は同じことであるというふうに考えます。
  181. 佐瀬昌三

    ○佐瀬委員 将来講和会議後の日本の法制なり政治形体なりを予想することは困難でございますが、いわゆるポツ政というような特殊な立法形式が今後なお存続されるものかどうかという点に対する見通しをお伺いしたい。
  182. 佐藤達夫

    ○佐藤(達)政府委員 講和条約の内容によつて左右される可能性のある事柄であろうと私存じますが、おそらく講和条約に当る政府の立場としては、なるべくそういう変則的なことはなくて済むように努力するであろうというふうに考えております。私もそういうふうになるべく持つて行きたいと思つておるわけであります。
  183. 大西正男

    大西(正)委員 今の佐瀬委員の御質問に関連しまして条約が国会において承認されない場合にはどうなるでしようか。
  184. 佐藤達夫

    ○佐藤(達)政府委員 これは場面が二つありまして、御承知の通り憲法の七十三条でありますか、事前にまたは時宜によつては直後に、国会の承認を経なければならないということになつております。従つて条約の締結に際しましては、事前の御承認を得る場合、それから事後に御承認を得る場合と二通りの場面があるわけであります。事前の承認の場合は、これは御承認がなければ、それきりで話はわかれわかれになつてしまうので問題になりません。事後に御承認がなかつた場合にどうなるか、条約は相手国との間に成立してしまつたあとで、国会の御承認を得られなかつたという場合にはどうなるかということがむしろ問題だろうと思います。これはあまり深く考えたことはございませんが、一応相手国との関係では成立したのでありますから、わが方としては、国会の承認が得られなかつたという新しい事情を背景にして、国会の御意思を貫くべく、さらに相手国と折衝なり努力をしなければならぬというふうに行くべきではないかししいうふうに、今とつさの考えでありますけれども、考えております。
  185. 大西正男

    大西(正)委員 そうすると、条約が事後において国会の承認を求められた場合におきまして、そういつた政治的な折衝をもう一回やるということのほかに、それが承認を得られなかつた場合には、国内に対してどういう効力を持つのでございましようか。
  186. 佐藤達夫

    ○佐藤(達)政府委員 事後に国会の承認を仰ぐような場合におきましては、政府当局として、条約締結に当ります際に、十分国会の御承認を得るという確信のある内容の条約を結ぶように当然努力すべきことであり、またそういう確信のない条約は、一般の問題として結ぶはずもないと思いますから、よほど政治的の情勢がかわるというような場合でなければ、国会の御承諾を得られないということは、一般論としては私はないと信じております。
  187. 大西正男

    大西(正)委員 得られなかつた場合にどうなるかという質問なんです。国内法としてどういう効力を持ちますか。
  188. 佐藤達夫

    ○佐藤(達)政府委員 相手国との間では成立しており、かつ条約としては、成立しておるわけでありますから、先ほど申しましたように、その承認を得られなかつた場合においては、すでに成立した条約をさらに変更するとか、あるいは取消すというような方向の努力が、そこに続いて行われる。空論としてはそういうことになろうと思います。
  189. 大西正男

    大西(正)委員 なおその点は御研究願いたいと思います。  消防庁の方がおいでになつておるそうでございますから、簡単にお伺いしたいと思います。全国の消防団員の人数は、どのくらいでございましようか。
  190. 瀧野好曉

    瀧野説明員 ただいまの御質問趣旨は、有給の消防隊員だと存じますが……。
  191. 大西正男

    大西(正)委員 消防団員全部含めて、それでひとつ御説明願いたいと思います。
  192. 瀧野好曉

    瀧野説明員 これは主として都市を中心に置いております常設の有給消防職員が、こまかな数字は持つておりませんが、大体三万程度、それから義勇隊である各市町村に置かれております消防団の団員が、大体二百万程度でございます。
  193. 大西正男

    大西(正)委員 消防組織法によりますと、第二十四条に、消防及び警察の協力という条文があります。これによりますと、「消防及び警察は、国民の生命、身体及び財産の保護のために相互に協力をしなければならない。」という第一項がありまして第二項は災害等非常事態に処すると書いてありますが、現在日本全国各地に、朝鮮人の騒擾とか、そのほか朝鮮事変に関連をしまして、国内治安の点で相当憂慮すべき事態が現に発生し、また発生するのではないかという状態にあるのであります。この二十四条の活用について、消防庁の方と、それから警察の方と、協力に関してどういう処置をとつておられるか、これをお伺いしたいと思います。
  194. 瀧野好曉

    瀧野説明員 これは昨年の七月でありますが、この消防組織法の二十四条の警察と消防の相互援助義務に関する規定に基きまして、国家地方警察本部長官と国家消防庁長官との間に協定を結びまして、その趣旨を警察は警察の諸機関に、消防は消防の各自治体消防に通牒をもつて示してございます。その大体の中味を簡単に申しますと、緊急の事態——この緊急の事態と申しますのは騒動、暴動あるいは水火災、地震、台風というふうな、一般の治安に大きな影響のある場合ですが、いわゆる緊急の事態に際しましては、消防は警察の要請に基いてこれに協力する。でありますから、この消防の協力の発動は、警察側の要請に基いてなされるのであります。それでその業務の内容は、大体消防が警察に協力します場合は、原則として後方勤務、すなわち第一線に出て鎮圧にあたるということを避けまして、たとえば犯罪の予防、警戒にあたり、交通整理を行う、あるいは通信連絡というふうな後方勤務の業務を担当する、こういうような趣旨を示しまして、各地方の警察と各自治体消防のそれぞれの協定に基いて、これが援助協定が結ばれておるというふうな趣旨のことを徹底いたしております。
  195. 大西正男

    大西(正)委員 後方勤務というのは、うしろの意味ですか。
  196. 瀧野好曉

    瀧野説明員 そうです。これは私、俗語の意味で使つたのです。
  197. 大西正男

    大西(正)委員 後方勤務にあたつて、交通整理その他というと……。
  198. 瀧野好曉

    瀧野説明員 一般の犯罪の予防、警戒とか、あるいは通信連絡とか、そういういろいろの騒動、暴動その他の場合の治安上の措置につきまして、警察と一緒になつて第一線に出るということはなされないという趣旨であります。
  199. 大西正男

    大西(正)委員 消防団員について、強制力を付与した法規はないと思うのですが、どこかにありますか。
  200. 瀧野好曉

    瀧野説明員 今おつしやいましたのは、おそらく国民に対する権利義務の拘束だと思いますが、それは消防組織法でございませんで、消防法という別の行為法がございますが、これによりまして、予防上の措置につきまして、あるいは火災の現場におきまして、破壊消防というふうな場合に国民の財産を破壊するような、いわゆる現場活動、あるいは平素の火災予防の点における国民の権利を拘束するような権限を与えております。
  201. 大西正男

    大西(正)委員 火災以外に何かそういう規定はございませんか。
  202. 瀧野好曉

    瀧野説明員 ございません。
  203. 大西正男

    大西(正)委員 昨年の七月ごろに、消防庁長官と国警長官と、その他の方方がお集まりになつて、協定を結ばれておるというお話でありますが、たとえば明日にでも国家非常事態が発生したという場合に、はたして単なる申合せくらいで両者の指揮命令というか、それが混乱の場合に、うまく行くかどうか。両者の間にかえつて内部的なトラブルが発生するおそれはないか。これをわれわれ非常におそれておるのでありますが、いかがですか。
  204. 瀧野好曉

    瀧野説明員 ちよつと敷衍いたしますが、緊急の事態と私が先ほど説明いたしましたのは、警察法によるいわゆる総理大臣の宣言される非常事態の場合よりも広く、地方的な問題も含んでおります。問題にもよりますが、中央集権的な機構を消防は持つておりませんで、御承知の通り、これは市町村の独立した権能によつて自治体の消防が営まれておりますので、現在のところさような処置以外には方法はないのでありますが、この趣旨は相当徹底いたしておりまして、その後防衛に対しますある必要な程度の訓練等も実施いたしましたし、起るべき事態の性質にもよるだろうと思いますが、予備隊もできたのでありますし、消防の協力において磨擦等のためにこれがうまく行かないというふうなおそれはまずないだろうと思います。
  205. 大西正男

    大西(正)委員 おそれはないという御答弁でありますが、しかし単に申合せをしたというだけで、そういつた突発的な、またお互いに興奮をしておる場合に、二つの機関がトラブルを生じたという事例は、過去において相当あるわけでありますが、現状において、そういつたお互いに協力をする申合せをしておられることはけつこうでありますが、それ以外に進んで何らかの法制上の措置が必要であるならば、これを国会も考えなければならない。そういう点で必要があると思料されるようなことはないのでありますか。
  206. 瀧野好曉

    瀧野説明員 もちろん私たち当局といたしましても、この警察に対する協力、応援がその程度の協定によつて遺憾なく完璧にできるということを今確信を持つておるわけではございませんけれども、法制上の現在の措置としては、今申しました措置程度でやむを得ないと申したのでありますが、立法的見解といたしましては、知事というふうな立場あるいは適当な機関において、これを統制指示するというような、非常の事態の場合においては、そういつた統制権能を付与することが立法上はもちろん必要であるかと存じます。
  207. 世耕弘一

    世耕委員 今の、総理大臣の非常事態宣言に基いて、警察予備隊並びに警察の活動をする場合に、その補助機関あるいは協力機関として、有給の消防隊、また必要に応じては、自治体の無給の消防団員を活動せしめるという行き方は、時宜に適したように考えられるのでありますが、万一そういうふうな直接の任にない者が出動の結果、身体等に障害を発生した場合に、国家的の補償がありますかどうか、その点はいかがですか。
  208. 瀧野好曉

    瀧野説明員 ただいまの御質問でございますが、警察におきましては、国家地方警察と自治体警察と二通りございます。私たちの見解におきましては、消防は全部自治体でございますから、国家地方警察に協力いたしました場合は、国家の費用の負担においてこれが措置をいたさなければならない。また自治体警察が消防に対して応援を求めた場合に、その応援をいたしました消防職員あるいは消防団員が、身体障害を受け、あるいは死亡いたしましたような場合におきましては、これに対する措置は自治体警察の方でいたすというふうな見解を持つております。但しその間におきましては、いわゆる協定に基きまして行うのでありますので、その趣旨は、命令をもつてこれを行うのでなく、そういうことを勧告いたしまして、協定を結ばせるように指導をいたしております。
  209. 世耕弘一

    世耕委員 その点が徹底しておらないと、士気に影響するのじやないかと思います。ことに自治体警察の予算等は、かなり貧弱なものだということもわれわれ承知いたしております。むろん非常事態が発生するということは、重大な時期と考えられるので、場合によつては命を投げ出して、国家警察あるいは予備隊に協力しなければならない。その場合に国家的な特殊な援護がなかつたら、私は十分の活動能力を発揮することができないのじやないかと考えられるのですが、その点についてもう少しつつ込んで何か計画をお持ちになつておるか、あるいは将来これに対して御考究くださるか、このことをちよつとお聞きしておきたいと思います。
  210. 瀧野好曉

    瀧野説明員 ただいまの御説ごもつともでございまして、われわれが最も憂慮しておる点でございます。大体従来の協定の内容におきましては、応援を受ける方の措置によつてなされると思いますけれども、財政上の問題でございますので、これは十分検討いたしまして、すみやかに、さような士気の衰えないように処置をいたしたいと考えております。
  211. 大西正男

    大西(正)委員 委員長ちよつとお願いしたいのでありますが、昨年の七月の両機関の協定というか、その指示の書類でございますか、こういうものをひとつ委員会にとり寄せていただきたいと思います。
  212. 安部俊吾

    安部委員長 大西委員の要請によりまして、それらをとり寄せるようにいたします。
  213. 世耕弘一

    世耕委員 私は簡単に法制意見長官その他の方にお尋ねいたしたいのでありますが、先ほど佐瀬委員からの御質問の中に、国際法と国内法との関係について質疑応答がおありになつたようでありますが、たとえばこういう場合が想定できる。政府が他の国と攻守同盟を結ぶ、あるいは軍事同盟を結ぶというような場合、当然国会の承認を得なければならないが、もしそれの意員が食い違つた場合にどういう処置をとるか。第一次欧州大戦当時におけるアメリカの大統領が、多分ウィルソン大統領と思いますが、ベルサイユ宮殿で取扱つたことが否決された例もあるのでありますが、そういうような場合はお考えになつておられるかどうか、参考に伺つておきたいと思います。
  214. 佐藤達夫

    ○佐藤(達)政府委員 ただいま世耕委員お話になりました例は、攻守同盟、軍事同盟というように拝承いたしましたが、そういう例になつて来ますと、ただいまの憲法上の建前から申しまして、ちよつと予想できないわけでございますが、ほかの条約の例にそれをすりかえてもよろしゆうございますか。
  215. 世耕弘一

    世耕委員 よろしゆうございます。
  216. 佐藤達夫

    ○佐藤(達)政府委員 一般の場合について政府が一応条約を締結した、そしてそれについて国会の承認がなかつたという場合でありますか。
  217. 世耕弘一

    世耕委員 そうです。
  218. 佐藤達夫

    ○佐藤(達)政府委員 条約を締結して国会の承認を求めたところが、その条約についての承認がなかつたという場合は、先ほどちよつと触れました通りに、承認がなかつた場合におきましては、その相手国に対して、政府は国会の意見に沿うような中身にかえてもらう。あるいはそれをとりやめにしてもらうという方向で折衝しなければならぬ、それに努力しなければならぬというふうに考えております。
  219. 世耕弘一

    世耕委員 最近非常に人権擁護の問題が論じられておりますが、実質的に見ると、人権は至るところで破壊されております。これはただ法律上とか一つの権利上ではなくて、生命財産すら脅かされておる。そのように人権擁護がやかましい反対に、人権はどんどんこわされて来ておる。これについて何か新しい立案が考えらるべきだと思います。一例を申しますと、殺人強盗、しかも集団強盗等の悪質な犯罪が逐次増加して来ておるわけであります。これについては何か新たなる対策が当然考えられなくちやならぬと思うが、これについて何かお考えがあるかどうかという一点。  それからもう一点は、最近巧妙な方法によつて面会強要を策しておる者があります。それから一つの戦術としてすわり込み戦術というのもある。もう一つはごく新しいとつぴな話でありますが、煙突の上に上るという戦術もある。これはこの間までは男ばかりだつたが、近ごろは女が現われて来たようであります。これらは社会の一斑を物語るものだと思う。かようなものについても、それぞれ適当な処置の方法があろうと思うのだが、一向に検察当局その他の法を守る人たちは積極的ではないというふうに考えられるのでありますが、この点について長官のお考えはいかがでありますか。
  220. 佐藤達夫

    ○佐藤(達)政府委員 私自身の所管事項とは多少ずれておりますけれども、私も法務府の一員でございますから、その意味におきましてできる限りのお答えをいたしたいと思います。この人権擁護ということの必要であることは申し上げるまでもありません。たとえば現実に法務府ができましたときに、人権擁護局というものが特に一つの部局として置かれたのであります。われわれ法務府の職員といたしましては、人権擁護局を法務府に持つておるということは、法務府の一つの大きな看板であるという気持をもつて、人権擁護局の職員以外のわれわれといたしましても、人権擁護ということをわれわれ自体の大きな職責だと思つて万事参つておるのでございます。おそらく私よりも適切なお答えをする者がおると思いますが、人権擁護委員というものを全国に置いてあります。さらにこれが費用等も一層充実した予算が目下組まれつつあると私承知しておりますが、かような方向におきまして、実際上の運用の面において万遺憾なきを期しておるわけであります。煙突に上つた娘さんというようなお話もございますけれども、これはまた煙突に上る人権をその娘さんが持つておるという建前から申しますと、むやみに引ずりおろすということも問題になりますので、結局煙突にお嬢さんが上るということは、公共の福祉に悪い影響を及ぼすということとの調和におきまして、これはよほど適切に考慮さるべきであろうと思います。そういう観点もいろいろありまして、運用上心がくべき点は多々あります。立法上の措置として特に人権擁護法という法律をただいま考えておるということはございませんけれども、たとえば人身保護法というようなものは、いち早く国会において御制定になりました。これらのものは人権擁護の上においては、われわれは非常に大きな立法であろうと思います。要するにあらゆる現在の法令の適切なる運用によつて、ますます人権の擁護の遺憾なきを期して行くべきであろうと思つておるわけであります。
  221. 世耕弘一

    世耕委員 人権擁護局ができてから、よけい人権が侵害されておるような傾向を実は頻繁に見るのであります。この点ぜひ一掃していただきたい。それから煙突に上る女の方は、いわゆる上る権利があつて上るのだとおつしやつたけれども、私の調べてみたのによると、住居侵入罪の中に、「故ナク人ノ住居又ハ人ノ看守スル邸宅、建造物若クハ艦船二侵入シ又ハ要求ヲ受ケテ其場所ヨリ退去セサル者ハ三年以下ノ懲役又ハ五十円以下ノ罰金ニ処ス」とあります。煙突は建造物である。この点少し……。
  222. 佐藤達夫

    ○佐藤(達)政府委員 煙突の話はどうも言葉がそれまして、私たいへんしまつたと思いましたが、取消させていただきます。頭を下げます。
  223. 世耕弘一

    世耕委員 ただ問題はさような奇を好むような者に対じまして、非社会性という建前から、私は人権擁護局がもつと正しい活動と積極性を持たなければならないのではないかと思います。われわれ議会においてたくさん法律をこしらえるけれども、その法律を直接おあずかりになる練磨の人が、腕をこまねいてお考えになつておられるのでは、永久に人権は擁護されない。近ごろは人権擁護どころではない。生命を奪われておるではありませんか。これに対して私は黙視すべきものでないと考えるから、お係りでない方に御注文を申し上げることもどうかと思いますが、特に法務府において御検討願いたい。  それからもう一つ、これは卑近な例でありますが、近ごろ産児制限が非常にはやり、最近私の調査したところによりますと、新憲法以来というのではなく、日本の憲法発布以来、産婆さんがこれくらいひまな時代はないということを叫んでおります。新しく生れ出んとする生命をある程度保護するのが人権擁護の建前から当然ではないかと思う。ところがこれにも手が届いておりません。ただ食糧不足という建前から、いたずらにこそこそ堕胎させるということを大目に見ておるというような行き方だと、やがて民族の繁栄という建前から大きな問題がここに残されるのではないかと思うのであります。私はこの際産児制限に賛成とか反対とかいうことを申し上げることは別の機会に譲りますが、生れ出んとする新しい生命に対しまして、人権擁護局はいかなる見解を持つか。かつてこの問題は敗戦ドイツにおいて、かなり大きな問題を投げかけた例があるのであつて、決してこれは閑却すべきものでないと私は考えるのですが、いかがですか。
  224. 佐藤達夫

    ○佐藤(達)政府委員 十分拝承いたします。
  225. 安部俊吾

    安部委員長 ほかに発言ありませんか——他に御発言がなければ、本日はこの程度にとどめまして散会いたします。     午後四時三十一分散会