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1950-12-04 第9回国会 衆議院 農林委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年十二月四日(月曜日)     午前十一時四十九分開議  出席委員    委員長 千賀 康治君    理事 野原 正勝君 理事 松浦 東介君    理事 小林 運美君          宇野秀次郎君   小笠原八十美君       越智  茂君    川西  清君       河野 謙三君    原田 雪松君       大森 玉木君    吉川 久衛君       足鹿  覺君    深澤 義守君       河口 陽一君  出席政府委員         農林政務次官  島村 軍次君         食糧庁長官   安孫子藤吉君         物価政務次官  郡  祐一君         物価庁次長   熊田 克郎君  委員外出席者         專  門  員 難波 理平君         專  門  員 岩隈  博君         專  門  員 藤井  信君     ――――――――――――― 十二月二日  單作地帯における農業災害補償制度改善に関す  る請願松浦東介君外三名紹介)(第二二二  号)  未開発過熱地帯林道開設請願松浦東介君  紹介)(第二二三号)  茂庭村地内開墾地並びに採草地拡張に関する請  願(松本善壽紹介)(第二二四号)  病虫害防除対策確立に関する請願遠藤三郎君  外六名紹介)(第二二五号)  家畜伝染病予防法の一部改正に関する請願(塩  田賀四郎紹介)(第二二七号)  輸入食糧仲継港として舞鶴港利用に関する請願  (大石ヨシエ紹介)(第二三三号)  土地改良事業費全額国庫負担請願松浦東介  君紹介)(第二七五号)  豊沢川農業水利事業費国庫補助請願小澤佐  重喜君外三名紹介)(第二八四号)  農業共済組合連合会事業不足金国庫補助等の  請願八木一郎紹介)(第三一〇号)  日ケ奧川上流かんがい用貯水地築設の請願(  佐々木盛雄紹介)(第三一七号)  荒川及び駒込川の毒水排除費国庫補助に関する  請願山崎岩男紹介)(第三二〇号)  湖山池干拓事業請願稻田直道紹介)(第  三二二号) 同月三日  土地改良事業に対する国庫補助並びに低利融資  に関する請願中村清紹介)(第二四三号)  土地改良事業費国庫補助増額等に関する請願(  金光義邦君外六名紹介)(第三四四号)  普通水利組合排水改良事業国営に関する請願  (山本猛夫君紹介)(第三八五号)  農業者に対する特別金融機関設置等に関する請  願(圓谷光衞紹介)(第三八六号)  昭和二十六年度白河、矢吹国営開拓事業費割当  に関する請願圓谷光衞紹介)(第四二一  号) の審査を本委員会に付託された。 同月二日  家畜衛生試験場東海支場設置に関する陳情書  (第一二  三号)  農林省管理部並びに県農地予算人員削減反対の  陳情書  (第一二四号)  土地改良促進に関する陳情書外一件  (第一二七号)  早場米奨励金制度継続に関する陳情書外一件  (第一  二号)  農協債権法案提出に関する陳情書  (第一三三号)  鳥取県下の主食供出及び増産に関する陳情書  (第一三九号)  宮城県下の災害林道復旧予算確保に関する陳情  書(  第一四四号)  国営開墾事業費増額陳情書  (第一五一号)  農業共済保險特別会計規則の一部改正に関す  る陳情書  (第一五五号)  農地関係予算確保に関する陳情書  (第一五七号)  茨城県の農業改良事業に関する陳情書  (第一六〇号)  土地改良事業予算等に関する陳情書  (第一六六号)  米価並びに超過供出報奨金に関する陳情書外十  二件  (第一七七号)  農地改革事業推進に関する陳情書  (  第一八五号)  積雪地造林費補助額引上げ陳情書  (第二一〇号)  馬の伝染性貧血症撲滅対策の徹底に関する陳  情書  (第二一一号)  農林水産業施設災害復旧事業費補助に関する陳  情書  (第二一三号)  林業施策拡充強化に関する陳情書  (第二一五号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  食糧問題に関する件     ―――――――――――――
  2. 千賀康治

    千賀委員長 これより農林委員会を開会いたします。  この際お知らせを申し上げます。去る二日に十二件、三日に五件の請願が付託せられ、また二日に十八件の陳情書が送付になつておりまするので、御承知おきを願います。  これより食糧問題に関する件を議題といたし、前会引続き質疑を行います。通告がございますので順序にお許しをいたします。足鹿覺君。
  3. 足鹿覺

    足鹿委員 最初米価の問題からお尋ねをしたいのであります。本年産米価の問題につきましては、二十九日から一日まで米価審議会が開催されまして、政府諮問案について審議せられたのでありますが、その結果委員会は、価格算定方式生産費計算方式によるということ、またその結果出された五千八百円の修正生産費方式による米価を適当と認めて、政府答申をし、なお五箇條の建議が行われたのであります。この点につきまして、目下予算委員会は開会中でありまして、政府がこの審議会答申を真に尊重せられまして、これが実現を期されるならば、本日をおいてもはや余日がないことになるのであります。委員会におきましても、審議会審議権の尊重ということが中心論議になりまして、ほとんど三日はそのために論議せられたのでありまして、政府もその機会において、その答申を妥当と認める場合は、これが実現に全力を注ぐであろうということもはつきりと申されております。きようは所管の両大臣がおいでになつておりませんが、この答申案趣旨実現のために、政府はいかような措置を講じておられますか、この点を最初にお伺いいたしたいのであります。
  4. 安孫子藤吉

    安孫子政府委員 今お話のございましたように、米価審議会においては、五千八百円という生産者価格が採択をされて答申になつております。率直に申しまして、政府原案から五千八百円に変更いたしますことは、なかなか困難な事情にあると思いますが、物価庁といたしましては、やはり答申趣旨を尊重いたしまして、ただいま関係方面とるる相談をいたしておる最中であります。その結論についてはまだ本日私も承知いたしておりませんが、いずれその結論もはつきりして参るかと思います。
  5. 足鹿覺

    足鹿委員 関係筋折衝を開始しておるというお話であります。それではこれは委員長にお願いいたしたいのでありますが、この委員会が継続されますならば、午後でも物価庁関係の方に御出席を願いまして、その折衝経緯等について御報告を煩わしたいと思いますので、そのおとりはからいをしていただきたいと思いますが、いかがでしようか。
  6. 千賀康治

    千賀委員長 承知いたしました。連絡をとります。他の関係からもし出席ができぬということならばやむを得ませんが、できるだけ出席してもらうように、今から交渉いたします。
  7. 足鹿覺

    足鹿委員 どうぞよろしくお願いいたします。そこで農林省の政務次官なり、食糧庁長官おいでになつておりますので、この際お伺いしておきたいのでありますが、大体において実現は困難視されるであろうというお見込みを承りました。私どもも、残念ながら困難であろうと存じております。しかしかような事態に立ち至つたということも、元来米価を十月一日に決定すべき法律上の決定があるにもかかわらず、米価審議会に御諮問になつたのがすでに十一月の二十九日であり、答申が行われたのが十二月一日である。しかも予算政府原案によつてすべて立案され、いかようにもしがたい案が、米価審議会一つの了承を求めるというがごとき形において提案をされたことは、非常に遺憾にたえません。従つて米価審議会の運用の問題につきましても、問題が後日に残されておると思います。この点につきましては、私どもも非常に意見を持つておるのでありますが、米価審議会早期開催並びに民主的な運営——いかに占領治下でありましても、司令部当局折衝をなさいますまでに、少くとも審議会において意見を求め、その意見に基いて折衝をせられるのが当然でありまして、そういう運営をとられまするならば、過日の米価審議会における政府原案答申案との食い違いというような結果において、政府が窮地に陥るようなこともなくて済んだのではないかとすら考えられるのであります。いずれにしましても、米価審議会の存在をめぐりまして、相当いろいろな意味において考えられる面が出て来ておるのでありますが、米価決定一つ方式として審議会を存続して行くお考えでありますか。また存続される上におきましては、これが早期かつ民主的な運営をなさつて、真に審議会の意義があるがごとくお取扱いになつて行くのでありますか、または審議会経緯等から考えて、政府は、たとえば財政法等関係をお考えになつて、別個に米価決定方式について考慮をしておるのでありましようか、この点お伺いいたしたいと思います。
  8. 安孫子藤吉

    安孫子政府委員 米価審議会運営並びに諮問の時期その他方法につきましては、私ども十分再考いたしまして、ただいまお話のありましたような、結論が出まして抜き差しのならない状態において諮問いたしますことは、実際上審議の余地がないというような結論にもなりますので、その辺は今後において改正と申しますか、運営方法を考慮して参りたいと思つております。米価審議会をやめるとかなんとかということは考えておりません。
  9. 足鹿覺

    足鹿委員 あとで関係庁からおいでになりましたときに、この米価問題についてはもう少し申し上げたいと思います。これと関連を持つ問題でありますが、先般政府は、ドツジ書簡によつて食糧管理制度、または供出制度に大きな変更を加えようとした気持をまたかえまして、今日に至つておるのでありますが、いずれにしましても、現在食糧供出制度なり管理制度というものが、一つの転換期に直面しておるということは事実のようであります。これについて、たとえば来年産の麦のごときは、すでに農民自由意思によつて買い上げするという方針も、政府は持つておるやに聞いておるのでありますが、そういうことになりますと、現実の問題として、政府は大体食糧管理制度を民主的に改めて行くという方向で御検討になつておるのでありますか、それとも巷間伝えておりますように、食糧需給調整という方向でもつて、将来の食糧管理制度を御検討になつておるのでありますか、当該長官としての安孫子さんのこれについての御所見を、この際承つておきたいと思います。
  10. 安孫子藤吉

    安孫子政府委員 食糧問題の今後の方向について、いろいろな方面から検討する必要があると思いますが、もちろんお話がございましたように、需給調整の面からも、問題を大きく考えて処理をして参らなければならないと思います。申し上げるまでもなく、相当大量の輸入食糧を、必要とする日本現状におきましては、やはり国民生活全般から考えますと、需給調整という点について、相当重点を置いて考えて参らなければならない。それを基本といたすにいたしましても、食糧管理制度全般運営については、やはり民主的な線に沿いまして、構想を練つて行くことが適当であろうと存じております。
  11. 足鹿覺

    足鹿委員 麦の場合を考えてみますと、農民自由意思によつて買い上げて行く、これはいもの場合と同様の御構想のようであります。すなわち麦を気食糧管理対象から除外して、いわゆる需給調整立場から買い上げたり、あるいは売り渡しをして行く、こういうお考えのようでありますが、そうなると、私ども考えておる食糧管理制度、すなわち主食はすべて政府買い上げ対象にするという考え方とは、よほど違つておるように思うのであります。私どもは、やはり食糧の絶対量の不足しておる今日におきましては、少くとも米麦は全量政府買い上げ方法とし、その方法については、民主的に現在の欠陥を、是正して行くべきであるという考え方に立つておるのでありますが、今の長官お話を承りますと、需給調整方向へ大体持つて行くという御趣旨のように聞いたのでありますが、たとえば麦につきまして、これは全量政府買上げ対象として行くという考え方ではなくして、いもの場合と同様な趣旨に解釈していいのでありますか、その点を承りたい。  今年のまきつけの麦につきましては、二千六百万石の生産目標知事会議において指示されまして、末端におきましては、個人まで割当反別が指示されておる所もあるのであります。そしてここに麦の大増産運動が一方において行われておる。しかるに一方においては八百八十万石を目途として、農民希望によつて買い上げると称せられておりますが、現行対米価比率も著しく切り下げられるやに聞いておるのでありまして、次年度においてはいざ知らず、本年まきつけの麦について、かようないもと同じ方針をおとりになるということは、少くとも麦の増産運動の展開の経緯等から考えましても、農民に対する一つの欺満的なやり方ではないかとすら考えられるのであります。この点について、先日も長官お話しになりました麦に対する御構想は、これは大蔵、安本、農林当局の完全なる意見の一致に基いて、関係筋お話合いの済んだ、確定的な案でありますか。この点は非常に重要な点であらうと思いますので、御回答を願いたいと思います。
  12. 安孫子藤吉

    安孫子政府委員 管理制度需給調整制度との点につきましてのお尋ねであります。究極いたしますところ、この管理制度というものは、いろいろな法的な制限を加えまして、厳格な統制をやつて行くという建前であり、需給調整はもう少し大まかな観点からいたしまして、国全体の食糧需給に、非常などぎつい法制的な措置を講じないで調整をとつて行くというような点に違いがあるのでありまして、目的といたしますところは、いずれも同じであろうかと思います。食糧需給状況が、終戰直後よりも緩和して来た現在におきまして、麦について従来のような管理制度を続けて行くことがいいのか。あるいはもう少しゆるやかな意味においての調整をとる方が、国民生活、並びに生産者立場からいたしましても、いいのかどうかということについて、いろいろ国際的な情勢、国際的な小麦の価格、将来における価格変動の見通しというようなものともからみ合せまして、実は考究して参つたのであります。その結果私どもといたしましては、来年の麦については、従来のような強制供出という形においてではなく、生産者の方で希望がありますれば、それを全量買い上げるという立て方で参りますが、先ほどのお話は、おそらく二合七勺ベースの維持ということが一つの裏づけになつての御議論かと思います。それでそうした方法によつて、本米穀年度中は二合七勺の維持政府が責任をもつてやるという方針をとつて参りたい。ただ集荷方法においては、麦について従来のような強制供出という形をやめまして、自発的な供出という形において集荷をいたして参りたいという考えを持つております。  いもとの比較論がございましたがいもと麦とでは、国民食糧構造の上に非常に大きな違いがございます。いもでありますれば、これをレーシヨンからはずしましても、大きなウエートは持つておりませんけれども、麦については、そういうわけにも参りませんし、また麦の生産の問題も、ただいま御指摘のように、今後の日本食糧需給関係からいたしますと、非常に重大な問題でありますので、麦については、形式的にはかんしよと同様な形になりますけれども、これが運営等につきましては、学識経験者、その他の專門家の方々の御意見も、十分今後において取入れまして、万遺憾のないように運用して参ることが、ぜひ必要であろうと存じておる次第であります。それに関連いたしまして、来年の麦価の問題もお話がございましたが、一応予算上は対米価比六四ということではじきまして、おそらく二十六年度の予算は御審議を願うことになろうかと思います。しかしこれは今後の情勢もありますので、予算上六四となつたと申しましても、必ずしも六四でなければならないとも、私どもは理解をいたしておりません。その辺は若干の弾力性があるというふうに実は考えております。
  13. 足鹿覺

    足鹿委員 大体お考えのほどもわかつて来たわけでありますが、そういたしますと、いもの場合と違つて、麦の場合は、流通機構等についても愼重を期しておる。民間意見等も聞く、いろいろな処置を講じたいということであります。それはけつこうでありますが、大体十数年間統制経済によつて穀物その他の流通機構についても、不十分であるということは、各方面意見でありますが、穀物取引所というがごとき、一つの新しい流通機構について、具体的にお考えになつておるのでありますか、その点はどういう御構想でありますか。今後民間意見を聞いて、新しい流通機構等について検討を加えるという御趣旨は、食糧管理制度についての、何か委員会とでも申しますか、そういうようなものをつくつて、今後の問題を検討するという意味でありますか、あるいはもうすでに農林省には、ある一定の流通機構に対する基本構想があつて、それについて意見を徴せられる。こういうふうに解していいのでありますか。その点をお伺いいたします。
  14. 安孫子藤吉

    安孫子政府委員 ただいま流通機構について、穀物取引所等設置について、大体構想を持つておるかどうかというお尋ねと思いますが、ただいまのところ、穀物取引所というふうなものを麦についてやるという結論は出しておりません。もつともこれは今後十分検討してみたいと思つております。しかしながら、ただいまはそういうことを考えておりません。麦の取引については、私はやはり協同組合系統の全国的な一つの組織的な力でもつてこれを処理して行くことかいいのじやないかというふうに、実は思つております。しかしながら御承知のように、協同組合系統は、完全な国家統制のわく内において活動しておるだけでありまして、この十年間というものは、そのほかの経済動きに対して十分なる試練を経ておることが、以前から見ますと少いように感じられるのであります。従つて急速にこの問題に協同組合系統が手をつけますことは、いろいろむずかしい点もあろうかと思います。その間は、やはり政府といたしまして、十分考慮いたしまして、順次協同組合系統販売機構と申しますか、そういうものを育成してやつて参りますことが、一つ方法でなかろうかと思つております。さしあたり早急に穀物取引所というふうなものを、麦についてのみ設置することについては、考えておりません。研究はいたしております。
  15. 足鹿覺

    足鹿委員 少し具体的な問題になりますが、そういう流通機構については考えておらない、できる限り協同組合の手を通じて行つて行く。その方向へ持つて行きたいということでありますが、そうすると、来年の麦の買入れの政府の形式というものは、協同組合からも買う、またその他の商人からも買つて行く、できる限り協同組合を利用して行きたい。しかし協同組合には、また十年間の空白があつて、十分全面的な販売態勢が整つておらないので、これに対する適当な育成を加え、連絡を密にしてやつて行く、こういうふうに解釈していいのでありますか。大体協同組合と、他の別な協同組合、外のものからも政府としては買つて行く、しかしその買い方については、別の流通機構を通じて買い上げて行くというようなことは考えておらない。そうすると、具体的の買上げ方式は、どういうふうになつて行くのでありますか、それをお伺いしたい。
  16. 安孫子藤吉

    安孫子政府委員 買上げ方法価格または買上げの時期、それの一般的な公示等をいかにするかということは、非常に重要な問題でありますので、今いろいろ検討を加えておるのでありまして、結論は出ておりません。しかし大体から申しますと、やはり買うにいたしましても、協同組会だけから買うというような立て方は、困難ではなかろうかと思います。そうしますと、商業系統からも同時に買うという形になろうかと思います。しかしながら生産者の団体である協同組合系統というものが、非常に大きな力をその際に持つて来るものであるということだけは、自明の理ではなかろうかと存じております。一方また製粉資本の買いがあろうかと思います。これはもちろん政府に売るという意味じやなく、自己の集荷についての製粉資本動きというものがあろうかと思います。これにいたしましても、やはり商業系統を通ずるということだけでなく、協同組合系統に相当大きな期待を持つてやらなければ、製粉の方としてもなかなか買いにくいことになりやしないだろうかというふうに思つております。結論として申し上げますと、私どもは、協同組合系統に大きな期待を持つておりますけれども、独占をするということだけは、どうもできなかろうというふうに思つております。
  17. 足鹿覺

    足鹿委員 その点につきましては、一応お考えがわかりましたので、打切ります。次に本年産の米の等級別価格を、先日政府米価審議会にお諮りになりまして、これにつき米価審議会答申にもありましたように、本年の検査状況等から考えまして、四等米の占めておる数量が非常に大きい。従つて政府買上げが三等建値標準価格買い上げますと、実質上の農家手取金は著しく減じておる。この点について、三等と四等との価格差をなるべく縮めて行くという答申が行われておることは、御存じの通りであろうと思いますが、この点につきまして、私ども地方の事例から申し上げましても、十一月二十七日現在におきまする四等米の数量の増加は、去年が五・八%であつたものが本年は四三・二%というふうに激増いたしております。これは実質的に農家米代金の大きな減額になつて現われて来るのであります。ところが一方におきましては、やはり米は三等建値で大体の收入が測定されておりますので、課税等も大体三等建値を基準として課せられて来ておるのが現状であります。ところが本年のように、四等米がかくのごとき大きな比重を占めておるときにおきましては、少くとも課税の面から行きましても、農家にとつては非常に不利であり、また実質手取りの金の面から行きましても、非常に打撃を受けるのであります。この点につきましていろいろと御心配を願つておると思いますが、この機会に御措置のほどを承つておきたいと思います。特にきわめて、天候不良の際におきまして、四等米にもかからない米が、検査規格が上げられたために相当多く出ておるようであります。私ども地方におきましても、供出数量の五%に当るものが、四等米規格外として検査を拒否せられ、せつかく農民供出しようとして、山道を積み出したにもかかわらず、その納入を拒否されておるというような実情であります。従つて五等米を設置してもらわなければ、供出の完了はおぼつかないという声すら起きております。しかし実情考えてみますと、この五等米は必ずしも農民が心から歓迎しておるのではありませんが、供出を完了したいという一念から五等米設置を要求しておるのだろうと思うのであります。天候その他でやむを得ない事情によつて乾燥が不十分のために五等米となり、あるいは四等米に落されるというようなものにつきましては、人力をもつてしてはいかんともしがたい実情地方がたくさんあると思うのであります。たとえば東北、北陸、山陰等の、降雨の多い、きわめて日照時間の少い、気温の低い地方におきましては、やむを得ないその年の天候によつてこういう実情が発生しておると思うのであります。これに対する措置としては、火力乾燥を行う以外には、人力をもつてしてはいかんともしがたい。しかしながら一方においては、検査が非常に嚴重に規格を上げられて、実質上四等米、三等米に行くものが、五等米設置を要求しなければならないというような実情にあるのであります。この点について、大体五等米設置についての御見解、その規格の内容、価格差というようなことについて、どういうふうに進行しておりますか。この機会に御発表を願いますと同時に、これは希望でありますが、さような自然的條件によつてやむを得ない乾燥度の面から、当然三等米以上に行くべきであるのに、四等、五等に落される米に対しましては、でき得る限り実情に即した検査を実施するように、当局として御指導をお願いいたしたいのであります。これは私の希望でありますし、お願いでありますが、五等米の点についてお願いするとともに、三等と四等との価格差を、予算増にはならないのでありますから、でき得る限り縮めて、農家実質米価の手取りが少しでもよくなるような御配慮は、以後いただけぬものかどうかということをお尋ねいたします。
  18. 安孫子藤吉

    安孫子政府委員 米の等級間格差については、米価審議会の際に、諮問ではありませんが、参考資料として私ども考えております資料を御配付して、いろいろ御批判いただいております。そのときのものは三等米と四等米との格差が九十円ではなかつたかと思います。しかし今年の検査実情を見ますと、三、四等米が非常に多いという実情からいたしまして、ただいまのお話のような御意見が非常に強くあつたのであります。私どももその点はごもつともだと思いまするので、この価格差を縮めて参りたいとしいうことでただいま検討しております。これは数日中に結論を得たいと思つております。  それから五等米については、これも三、四日中に官報で告示いたしまして、五等米買入れをいたすことを決定いたしたいと思いますし、基準につきましてもその際に官報の内容として出ると思います。ただいま手元に五等米の検査規格の基準について手持ちいたしておりませんので、これは後刻詳細な規格内容を書面でもつてお知らせ申し上げたいと存じます。
  19. 小笠原八十美

    ○小笠原委員 今の米の問題に関連し質問をいたしますが、一体昨年と今年と比較をいたしまして、何ゆえに検査を嚴重にしたか。これが一つの問題である。嚴粛にせぬ、同一にやつたのだけれども、自然天候関係とか台風の関係で多数の五等米が出た。こういう農林省の方のお考えですが、特に検査の方を厳格にしたということは争われざる事実で、地方においてもまたあなたの方でもこれはお認めになつておるはずだ。しからば昨年と比較してどういうわけで大蔵省が横やりを入れて、米価が上つて、むやみに農家に金がふえるのは困るから、その方でしめ上げろということになつたのか。あるいはあまりに特別会計の方に赤字関係があるので、そういう点で埋合せをつけるためにやつたのか。いろいろの観点からこれは疑念の一つになつておりますが、まずもつてその辺から、何ゆえに検査を嚴重にして、あの地方の若い検査員が、べらぼうに農民ばかりいじめて、一軒が五十俵持つてつたのに四十八俵不合格になつたものがある。やみ売をしてもいいかと言うと、それはならぬと言う。食べるには余るし、やみ売をしてはならぬし、これでは一体どうしていいかわからぬというので、五等米ということが出た。これはやつとお認めになつたから、そこで治まるでしようが、しかしながらこれは値段の点において非常な問題になるのです。そこで足鹿君の言うような疑問も出て来るのであります。あなた方考えるような嚴粛と違うのですよ。地方の農学校を出たばかりの若い連中に、嚴重にせよなんということを言えば、とほうもないことをやる、このくらい危険なことはない。それで農民がどうも政府に対し反感を持つたり、また農民団体も反感を持つたりするから、現在農民団体というものはどうだ。政府與党の方に陳情に来るのが少くなつたのもそれなのだ。何かと言えば野党の方にばかり行つて何だかだと騒ぎ立てる。きようは農林大臣が見えておらないから、政務次官、農林大臣によく話してくれないか。こんな手はないのだ、政党内閣でこれくらいばかくさいことはない。だからどういうところから嚴重にしたか、これを明らかにせぬと大きな間違いが出るのであります。その点ひとつ明確にしてもらいたい。
  20. 安孫子藤吉

    安孫子政府委員 検査規格並び検査の実施の状況についていろいろ御批判をいただいておりますが、ます第一に、今年の検査規格を去年と比べて上げたかどうかということであります。全般的には上げておりませんが、乾燥ぐあいにつきまして、水分の含有量の点で軟質米については若干引上げております。これは特別会計の赤字の問題でありますとか、あるいは大蔵省関係のいろんな意見の開陳等があつて、そうしたのかという点は、さようなことはございませんので、やはり米の正常取引という観点からいたしますと、その辺でむりはないであろうし、また漸次食糧についても自由経済に移行するという方向でありますれば、やはり検査の点はその程度に上げておくのがよかろうというような私ども考えで、そのような措置をいたしたのありますが、これが末端におきまして非常に行き過ぎておる点がありはしないかというふうにも実は思われます。各方面からの御陳情等承りますと、相当きつく行つておる点もあるようでありますので、それはやはり検査の標準米に合致して極端にきつくならないように、全般事情考え検査を実行するようにということは、十分注意をいたしておるのでありますが、特に青森その他の地帯において、適当な機会また十分注意をして、おきたいと思います。検査規格については、一昨々年当時から順次正常化の方向に持つて来るということで来ておるのでございます。これは急激にやらないで、なるべく漸進的に持つて行きたい。こういう考え方でおるのでありますが、その運用の面におきまして、なかなか行き過ぎのような場合もありますので、この点は十分注意をして参りたいと存じます。
  21. 小笠原八十美

    ○小笠原委員 今安孫子長官のお考えになつておることはごもつともで、規格というものは、一定の標準をきめて公正取引をするということは、これはもうりつぱな理論的なことに相なります。しかしながら日本のように、どうしても米作が天候に合致しない、やむを得ず單作をかろうじてやつておるようなところに、規格を厳重にして昨年と比較すれば、落ちるのはあたりまえだ。それに持つてつて、若い連中が嚴重にやつておるからなおいけない。それよりも、今の場合どうせ自由取引になる一歩手前なんだから、そんなことをして農民を苦しめるよりは、少しくらい乾燥が不十分であつても、先に配給して食わしてしまえば、味がよくて国民が喜ぶのだ。そうして乾燥の十分のものをあとまわしにすればよいのです。そこの手かげんで十分できるのです。それを行わずに、今のようにやると、どうもあなたのお認めになつておるような行き過ぎがある。だから五十俵を持つてつて四十八俵け飛ばされた例がたくさんある。第一、今の法としてやり場のない食糧があるということは、今日の米価制度の運用に即しないことなんだ。大体それが間違つておる。食糧を否定させ、迷いを生じさせるということは、より以上——の米価の適正云々よりも、乾燥云々よりも、その方が害が大きいのだ。だから上の方々が命令してこういう機構をいじるときには、よほど注意しないと間違いが多いのでありまして、これが調節をはかるために、これから訓示をするとか、命令をするくらいのところではなかなか及びますまいし、今ある五等米の規格に対して、省議にかけて云云と言うが、そのきめ方が幅があればあるほど問題が大きくなりますから、やはり行き過ぎをお認めになつた上で、いま一旦五等米ときめたものを四等米に引上げるということも困難でしようが、少くとも価格の点においてあまり差等のあることは重大な問題になるということをお考えになつて、今後ひとつ価格措置を適当に、政治的意味を含めて、食糧事情も含めて、農家の努力の意味も含めて、そこに対して御判断を願いたい。これだけを申し上げておきます。
  22. 足鹿覺

    足鹿委員 今検査問題で私の意見を、述べましたら、小笠原委員からもお話があつたのでありますが、これは別に検査を嚴重にしておるのではないということは、いつも当局のおつしやる言葉であります。いわゆる戰前の状態に復帰しつつあるということを言われます。徐々に行つておるから心配はないという御意見でありますが、実際戦前の規格に帰つて来ることには、私どもはそれ自体については異論がないのでありますが、いわゆる肉眼審査に当る検査員の検査方法等についても、必ずしも科学的な審査によらないために、その検査員の素質、いわゆる鑑定技術にすがつて行かなければならぬ。ところがその検査員の多くでありますまいが、たとえばきよう持つて来て四等米にはねられた米が、都合によつて二日あとに供出いたしますと、何ら手を入れないでそれが四等米として通つておる。こういうような事例は農村にざらにあるのでありまして、米の検査というものは、科学的な検査方法がない限り、結局肉眼鑑定であり、検査員の熟練によらなければならぬ。しからば戰前におけるような、真に熟練した検査員がほんとうに配置されておるかどうかということについて見ますると、必ずしも戰前のごとく完備した姿ではない。そこに農民供出意欲を政府みずから阻害して行くような結果が、事実となつて現われて来ておるのでありまして、この点については、規格を上げたのではないと言われるけれども実質上においては農民を苦しめている。農民を救つて行く一種の品質向上の農民報償制度としての検査制度が、逆に、現在においては農民をいため苦しめておるような現実が出て来ておるのであります。そこを私は申し上げて、四等米と三等米の格差をなるべく縮めて行くということと、これは四等米に行くべきものだと思われるものが、五等米ができたことによつて五等米に落されて行くというような形は、必ずしも好みません。その点について少くとも、本年のように秋の天候の悪い、気候状況の悪いときにおいて、末端の検査員が、行動の上で検査を通じて農民と摩擦を起し、また善良なる農民供出意欲を阻害することのないような、また農民経済的利益を守つて行くような本質を持つた検査制度、親心のある態度を、少くとも本年の特殊な気候状況から考えておとりになるのが、私は妥当ではないかと思います。これはしばしば陳情等においても申し上げておるのでありますが、そういう規格を緩和するということは困難でありましようが、しかしそこに今申しましたように、きわめて実情に即した愼重な検査ということは、少くとも検査制度の本質にかんがみて、実施されなければならないと思います。この点についてはとくと御考慮の上御善処をわずらわしたいと同時に、今申しましたような検査員の素質の向上、優秀な検査技術を持つ者の採用、また不可抗力による場合の乾燥度の悪い本年のごときには、方法がありませんので、こういう検査規格が将来持続して行き、ますます高くなつて行くならば、当然政府としては火力乾燥等について、でき得る限りある程度農民に対して援助をして行く、助成をして行くというような措置が、私は必要ではないかと思います。従来も火力乾燥装置等については、助成設備が戦前はあつたわけであります。そういうようなことを全然装置せずにおいて、天気まかせの状態において、一方において検査規格を厳重に実施されて行くというやり方については、われわれ農村に定住している者としては了承することができません。この点についてはぜひ火力乾燥設備等について、検査規格とにらみ合せて十分御考慮願います。また検査員の鑑定技術の向上、また農民との接触の場合における態度等についても、十分御指導をお願いしたいと思うのであります。別に御答弁は要りませんが、これについて御所見がありましたならばこの際お伺いをして、私の質問を打切つておきたいと思います。
  23. 原田雪松

    ○原田委員 單作地帶の問題が大分取上げられままして、真劍に検討されておりますが、二毛作地帶について私はお尋ねしてみたいと思う。  最近政府方針は、麦の統制をといて自由買入れをするということでありますが、二毛作の方は何分にも麦が非常に生産コストが高くて、非常に苦労している。しかも統制ははずすわ、その上に価格は下るわということになると、二毛作の麦作というものはほとんど壊滅に瀕するのではないか、また変災等の関係でいろいろ転換するのではないかという心配が多分にあります。麦に対する生産の費用というものはすでに米と比較して麦の方が高い。高いにもかかわらず価格は何割も下だ。これをこのままで続けられるかどうか。そうなりますと、おそらく南の方の二毛作地帶の麦というものの生産はだんだん減つて来る。しかも私どもの見方では米麦を食う者は東亜人極であつて、世界の市場は麦の問題でもつて水準がきまるのではないか、こういう大きなねらいまで持つているのでありますが、この点について食糧庁長官のお考えを伺つておきます。私どもいろいろ陳情も受けておりますが、問題は小さなものではありませんので、この際つけ加えてお尋ねしておきたいと思います。
  24. 安孫子藤吉

    安孫子政府委員 検査員の素質の問題でありますが、これはあらゆる方面においても同様だと思いますけれども、戦争のために相当低下しております。終戦直後は相当ひどい状態でありました。こういうことではとうていいかんということでありまして、またその後従事非常に経験を持つておりました人々が戰地から帰つて参りましたし、また新しく採用いたした者も、そういう人の指導を受け、また本庁といたしましても、そのままに放置して置くわけに参りませんので、講習所をつくりまして、ただいま二月、三月ばかりの期間で検査員の訓練をいたしております。できれば一箇年ぐらい指導者となる人を詰めて訓練もしてみたいと思つておりますが、そこまで手が及ばないのであります。とにかく検査員の素質の向上につきましては御説の通りであります。優秀な検査員を全国的に配置する、また現在の検査員を再訓練いたしまして、優秀な検査員を育てることがどうしても根本的に必要な問題であると考えまして、そういうことに努力いたしております。またいろいろお考えがございましたら十分鞭撻をしていただきたいと思います。若干ずつ私は向上しているものだと思つております。火力乾燥には従来補助金等を出しまして、いろいろ奨励もしたのでありますが、漸次自由経済方向に移り、あるいは米なんかも先々は銘柄取引が行われるようなことを想定いたしますれば、ただいまからこの調整について十分な準備をして参ることが必要であろうと思います。それについてやはり火力乾燥等も順次考えて参らなければならないと思うのであります。これについての補助金等については、一般的に補助金をとることは非常に困難な環境下にありますけれども、私どもといたしましては、できるだけその点について、努力をするつもりでおります。  それから麦の点は、麦は増産を非常に奨励しているけれども、来年度からああいう措置を講ずると、相当その面に悪い影響があるのではないかというふうにお聞きいたしたのであります。もし間違つているならばまたあとでお答え申し上げたいと思います。二千六百万石の一割増殖運動を展開いたしておりますけれども、できましたものを政府が無制限にこれを買い取るという保障があります限り、その増産運動には決して支障はないものだと考えております。
  25. 原田雪松

    ○原田委員 その問題と重要な問題は、価格の問題、麦の方の価格はもつと今よりも抑えられるような傾向にあるようであります。そうなりますと、生産意欲が必ず減ることが考えられるのであります。その点についての見通しをお伺いしたいと思います。
  26. 安孫子藤吉

    安孫子政府委員 麦の価格は本年度価格よりも若干上る見込みであります。
  27. 千賀康治

    千賀委員長 この程度にいたして暫時休憩いたします。     午後零時四十九分休憩      ————◇—————     午後二時三十一分開議
  28. 千賀康治

    千賀委員長 休憩前に引続きまして、農林委員会を再開いたします。  議題は食糧問題でございます。物価庁政務次官が来られましたので、まず足鹿覺君に質疑を許します。足鹿覺君。
  29. 足鹿覺

    足鹿委員 米価の問題についで、安本当局お尋ねを申し上げたいと思います。  去る二十九日から今月の一日にかけまして米価審議会が開催されまして、一日には五千八百円、すなわち生産方式に基く答申案が多数をもつて可決され、政府答申がなされたのでありますが、審議会でもしばしば問題になりましたごとく、すでに審議の余日がないような事態に立ち至つて会議を開き、その答申案が出されても、すでに補正予算は衆議院で審議が終らんとしているようなときに至つて審議会を開かれたことに対しましては、満場審議会審議権尊重の嫌疑がなされたことによりましても、政府はよくご存知のことだろうと思うのであります。そこで、さような状態で時間的にもきわめて困難な今日になつて、しかも政府の企図しておられ、予算に盛られた米価よりは相当高い答申案が可決され、政府もこの点では非常に苦慮せられていると思います。しかし事のいかんを問わず、一旦権威ある審議会答申として採択されました以上は、政府としては、審議会にもしばしば言明をされましたごとく、妥当と考えるならば、これが実現に努力するという旨も、周東安本長官からはつきり御言明になつております。そういう経緯から考えまして、この米価審議会答申は、政府は全力をあげて実現方に努力されなければならぬ立場であろうと存じますが、審議会が終りましてから本日まで約三日ばかりの日にちもたつておりますし、関係方面とのこれが実現方に対する折衝の経緯、また政府のこれに対する御所信を、この機会に承りたいと存じます。
  30. 郡祐一

    ○郡政府委員 足鹿さんにお答え申し上げます。お話のような答申がございましたので、関係方面にさつそく審議会の経過並びに結果につきまして詳細連絡をいたしております。関係方面との折衝の経過におきまして、政府としては、政府諮問をいたしました五千五百二十九円を妥当と考えるのかどうかというような、重ねての反問を関係方面から受けまして、それに対しましては、政府といたしてはあらゆる角度から検討いたしまして、妥当な米価と存じて諮問をいたしたものであることを重ねて答えております。それに対して、先方からは格別の意見を申し出ておらない状態でございます。米価は重要であり、かつ審議会政府諮問と異なつた御決定に相なつたことでありますから、さらに今後も関係方面とよく懇談はいたす予定にいたしております。
  31. 足鹿覺

    足鹿委員 もう事実は遷延を許さぬ状態であります。御承知のように、本日にでも補正予算予算委員会を通過して、本会議に上程せられんとしておるような状態であります。それをなお今後とも懇談をいたすという程度のお考えでは、これはほんとうに政府米価審議会答申を心から尊重しておられるのかどうか、また誠意がどこにあるのかということすらも、疑念を持たざるを得ないのであります。この点につきまして、さような手ぬるいような、一応懇談はしてみるという程度ではなしに、少くとも全力をあげてこれが答申趣旨実現のために御努力あらんことを、特に強く要請をいたしておきたいと思いますが、この機会に、さてもしこの問題が、かりに関係筋その他との折衝関係上、今回の補正予算に間に合わないといたしましても、次の機会においてでも、真に審議会答申案を尊重せられまして、その趣旨実現することに御艦力になるのでありますか。これは事将来の問題でありますが、この点をひとつお伺いいたしたい。同時に審議会答申いたしました答申米価算定の方式につきましては、政府のパリテイー方式プラス、アルフアーというものとは根本的に異なつた、生産費をもととする算定方式に若干の修正を加えた方式が、審議会答申案基本となつておるのであります。予算を伴う問題でありますから、ただちにこの五千八百円の米価が補正予算に間に合わないといたしましても、少くとも政府は、答申案基本になつておるところの、米価算定は生産方式によるべきであるという、この基本方針につきましては、いかようにお考えになるのであるか。答申案に付属する建議案の第三項であつたと思いますが、算定方式の専門の委員会あるいは調査機関を設けて善処せられたいという精神を、経費を伴つた措置としていかようにお考えになりますか。この点もあわせてお伺いをいたしたいのであります。
  32. 郡祐一

    ○郡政府委員 第一の問題でありまするが、私先ほど相手方が多く返事をいたさなかつたと申しましたのは、五千八百円で先方の了解を得ますことはほとんど望みがなく、政府自身もまた、諮問価格をもつてこの際は妥当なりという考え方をくつがえすに至つておらないと申しまするか、十分研究はいたしまするけれども米価審議会の御答申は、お尋ねのように将来努力するといたしましても、かなり困難性が多いように見受けております。これはしかし、私の考え方としてお聞き取りくださつてけつこうだと思うのであります。  第二の問題でありまするが、生産方式については、確かにお話の通り、採用できまするならば十分考えなければならない。すなわちパリテイー方式の欠点もまた考えられることでございます。ただ足鹿委員もお考えになると思いまするが、現在の日本の耕地の状況並びに自家労力、あるいは自家肥料等もあわせて考えられるかもしれませんが、そうした状態から生産方式をとりまするのに、幾つかの理論的に困難なものが現状においてはある。従いまして、将来いかなる方式によつて米価考えるかということについては、お話のような問題も十分あるのであります。それで適当な機関を設けまして、米価決定方式をどのようにするかというような根本の問題については、十分考えてみることにいたしたいと思いまするし、その意味合いで米価審議会の御意向は十分尊重し、また尊重の実を現わすことができるように考えております。
  33. 足鹿覺

    足鹿委員 非常に抽象的な御答弁で、何だかさつぱり要領を得ないのでありますが、私の聞いておりますのは、生産方式による米価の算定が妥当であると政府はお認めになるかどうかということですが、お認めになりますならば、これが実現には、現在のように三千戸程度の調査農家でもつては、生産方式を十分完全なものに仕上げることは困難だ。従つて対象となる調査農家も相当ふやして行かねばならず、またそれによつて一つ基本を樹立して行くということになりますと、若干の経費もこれに加えまして、少くとも来年度においては、その生産方式によつて米価算定の基本方針とする、こういうことを少くともお考えになるのが妥当なのであります。それをおやりになる御意思があるのかどうかということを聞いておるのでありまして、あまり持つてまわらないで、短刀直入な御答弁をお願いいたしたいと思います。
  34. 郡祐一

    ○郡政府委員 お話のように、三千戸程度の調査農家では、結論を出すこと自身が困難だということは、まつたく同感であります。従いまして、生産方式をすぐとるとかどうとかということの前に、もつと多数の対象をとらえまして、もつと精密にいろいろの角度から調査をいたすということは、ぜひいたしたいと思います。従いまして、捻出し得る限り若干の経費を加えても、これはいたしたいと考えております。
  35. 足鹿覺

    足鹿委員 いや、私の申し上げておるのはこういうことです。くどいようでありますが、結局現存政府諮問原案としてお示しになつた五千五百二十九円というものの算定の基準は、パリテイーの方式が根本になつておるのである。これにプラス・アルフアー、特別加算額という新しい方式を本年はおとりになり、その結果がイクオール生産費を補償するに近い米価、こういうふうに大体お考えになつておるものたと思うのであります。従来のパリテイーの算定方式の矛盾を政府みずからがお気づきになつて、いわゆる妥当ならざる算定方式であるということを言外にお認めになつて、特別加算額のアルフアーというものをお加えになつておるのであります。その限りにおいて、米価審議会政府がお示しになつた算定方式というものは、従来米価算定の金科玉條としてお用いになつておつたパリテイー方式というものを、政府自身が放棄をされた形が出て来ておる。従つてこれと関連をしまして、答申案に盛られ生産方式というものを、現在の五千八百円が情勢予算実現がただいまのところきわめて困難だというお話を承りましたが、しかりとするならば、せめてその最も真実に近い、生産費を補償するに足る米価を算定する方式として、生産方式が妥当である、こういうことを米価審議会答申をしておるのでありますから、少くともこれを実現するために、一つ方針、腹をきめていただきまして、その実現のためにいろいろな予算的な措置や準備をなさるのが、少くとも政府として米価審議会審議を尊重せられる行為ではないか、こういうふうに私は思うのであります。ただ若干の予算措置も、でき得る限り考慮するというようなことでなしに、もう少しはつきりとした方向をお出しになりまして、どんな困難があつてもこの方針によつて進むのであるという、かたい御決意をひとつこの際要望いたしたいと存じます  これは一つの算定方式の問題でありますが、次にいわゆる米価決定基本方式とでも申しますか、米価決定の仕方につきまして、過般の米価審議会の経緯から考えてみますると、私どももその会議に列席いたしました一人として、米価審議会の決議の尊重を、委員みずからがきめて政府に要望するというごとき、きわめて矛盾した取扱いをわれわれ受けたのであります。しかし私どもはみだりに米価審議会の與えられた権限を放棄して、審議権を放棄して行うとは考えておりません。これがほんとうに尊重されるように今後も努めて行かなければならぬと思つておりますが、どうも公務員の給與の問題になりますと、人事院というような独立の官庁まで置き、給與ベースの問題や、待遇の問題について、政府とは別個な立場から堂々と勧告をなし得るような一つの制度ができておるにもかかわらず、いわゆる賃金や物価の基本になる、しかも国民生活と切り離すことのできない米価の問題につきましては、すでに予算も組み終り、当局との折衝も済んでから、形式的に審議会をお開き願つて米価に対する答申をきめなければならぬというような、かような薄弱な米価決定方式ということにつきまして、特に私どもは本年の米価審議会開催の経緯を考えてみまして、農村の者として憤滿にたえません。これは米価審議会の民主的な運営なり、あるいは早期に開催して、少くとも関係方面当局が最後の案をお認めになる前に御開会願えるならば、いま少し意義があつたと思いますが、それすらも本年はなさないということになり、将来もまたこれについては十分保証ができないということになりますと、米価決定基本方式ということについて、一つの壁にぶつかつたような印象を、特に私どもは持つのでございます。そもそもこの米価審議会ができた経緯を聞いてみますると、国会において米価をきめるべきであるあるという強い議論が一部にある。しかし国会においてといううとも相当検討の余地があるので、いろいろ話合いの結果この審議会というものはできたように、私どもは承つておるのであります。そういうような意味から申しますと、少くとも米価審議会をもつと法制化いたしまして——現在は別に法制に基く機関でないように聞いておりますが、これを法制化して、この決議を経なければ少くとも予算に盛ることができないというようにして、その審議権が確立され、その決定がある程度政府を、束縛すると申しますと語弊がありますが、そういうような形で、政府にある程度強く当つて行くことのできるような性格に米価審議会を持つて行くか、それとも財政法の三條に基きまして郵便料金を決定するがごとく、国会の決定をまつて米価がきめられる。あるいはこれが需給調整されましても、その最高最低が国会によつて審議決定をされるというようにしないと、米価決定基本方式について、何かそこに一つの壁にぶつかつたような印象を私は強く持つたのであります。この点につきまして政府の——本年の経緯から見て、三日、四日たつた今日においてただちこ将来のお考えをということもむりであるとは存じますが、率直な政府の御見解を承りたい。米価審議会をますます法制化し、立法化してでもこれを強化して行くお考えであるか、それともまだ大体現状維持で行くお考えであるか、それとも別個な一つ基本を何かそこにお考えになつておるか、この点についてお伺いいたしたいと存じます。
  36. 郡祐一

    ○郡政府委員 米価決定がきわめて重要なる事項であることは申すまでもないことであります。従つて、多くの実際家、経験者の意見を聞くことも、これも必要だと思います。しかしながら、現在の米価審議会を法制化いたさなければならないというようなぐあいには考えておらないのであります。  開会に至ります経緯について、おつしやつたような御意見はいろいろ承りました。政府としても、開催の時期が必ずしも適当ではなかつたと考える点もございますけれども、だからと申して、これが法制化をいたすとか、郵便料金の決定と同じような措置をとるというようなことは、ただいま考えておりません。しかしただいまの足鹿さんのお話は十分意味のあることとして、伺つてはおきます。
  37. 足鹿覺

    足鹿委員 これ以上お伺いしても進んだ御答弁もいただけないようでありますから、算定なり、決定基本方針につきましての質疑は、大体この程度で打切りたいと思います。  次に、米価審議会が五つの建議をいたしておることも御存じの通りであろうと存じます。特に問題になりますのは消費者米価の問題でありますが、消費者価格の問題につきましては、現行すえ置きに努力せよということを米価審議会答申をいたし、建議をいたしておるのであります。この問題は非常に困難な問題であることは、私どももよく存じておりますが、生産者価格と切り離すことのできないこの消費者価格の現行すえ置きの問題につきまして、政府はいかようにお考えになつており、また関係当局とはどのように御折衝になり、また現在どういうふうに進行いたしておりますか、これをお伺いいたしたいと思います。
  38. 郡祐一

    ○郡政府委員 米価審議会の現行すえ置きという御決議は、消費者価格をでき得る限り安くきめるようにという御趣旨考え、その御趣旨に沿うようにはいたしております。しかし足鹿さんが御指摘のように、すえ置きという言葉をそのまま考えますならば、それは非常にむずかしいということになることは、お話の通りでございます。消費者価格につきましても、関係方面との折衝はいたしておりまするけれども、これにつきましてはいろいろな材料の要求を受けており、またこちらの方も積極的に説明はいたしておりまするけれども、ただいまのところ結論にはもちろん、結論に近いものにもまだ到達いたしておりません。
  39. 足鹿覺

    足鹿委員 そうしますと、生産者価格についても、米価審議会答申も大事ではあるけれども実現困難である。消費者価格についても、建議の趣旨実現について、まだ具体的に何ら把握しておらないということになりますが、米価審議会が終りましてすでに三日にもなりますが、政府は事実米価審議会を御尊重になつておるのか。あるいは、尊重はしておつてもどうにもならぬではないかというような御趣旨のように伺えますが、これは非常に遺憾に存じます。政府原案以外の案を出すならば、これはおそらく不可能である、政府の案に賛成するならばこれはけつこうである。こういうような前提に基いておやりになるならば、別に米価審議会をお開きになる必要はない。私は米価審議会が終つて翌日、あるいは翌々日でも、この質問を申し上げる余地はあつたのであります。しかし何人がその衝に当りましても、審議会が終つて半日や一日で、ただちに関係筋との交渉もできないと存じまして、今日まで私はこの質問を留保し、時間を政府にお與えしておつたつもりでおるのであります。ところが今聞いてみますると、消費者価格についても、建議の趣旨実現についても見当がつかない、もちろん生産者価格実現の見込みはない。また生産費計算方式についても、採用するかしないかということはまだ検討もしていない。一体これでは米価審議会存在の意義がどこにあるでありましよう。農民への一つのゼスチユアとして、政府の案に賛成するならばいいが、賛成しない意見答申するならば、これはほとんど実現の見込みはない。こういうことで米価審議会に責任のみを負わせて行くというようなことでは、農民への米価に対するつの申開きの政府の機関化して行くようなふうに解せざるを得ないのでありまして、この点につきましてははなはだ遺憾の意をこの際表明いたしておきたいと思います。私どもどもで、別個な米価審議会が——その審議の経緯はいかようであつたといたしましても、少くとも答申案が可決されて、審議会の意思が明らかになつた以上は、今おつしやつたようた弱腰でなしに、政府はもつと誠意をもつて、これが実現に当るべきであろうと考えます。この点につきましては、十分政府も御反省になるべきであろうと存じます。これ以上は意見になりますので私は申し上げませんが、最後に、審議会供出米価の支拂に関します政府支拂い遅延防止法の適用の問題について、建議をいたしておるのでありますが、この点につきまして、のような御研究をなさいましたか、これをお伺いいたしたいと思います。
  40. 安孫子藤吉

    安孫子政府委員 支拂い遅延防止に関する問題でありますが、これは御承知のように、利子については、農協の扱い系統ば利子を含めまして支出いたしておりますので、問題は商人系統の方にあると思います。商人系統の問題は、結局日銀が普通の銀行のように資金操作をやりません関係上、その間の調整がなかなか困難でありまして、この方面をただいま研究いたしております。  利子につきましては、これもこまかい論議にたりますが、預金利子でなく、貸出し利子だというような御主張でありますけれども、私ども全般から申しまして、やはり預金利子という線で大体いいのではないかというふうに、ただいまのところ考えております。
  41. 河口陽一

    ○河口委員 米価に関連いたしまして、豆類の価格の点を一点だけお尋ねいたしたいと思うのであります。物価庁の政務次官が来ておられるから、物価庁の方にお答え願いたいと思います。対米比価が政府案では、本年度灰関するところ、大豆は九六%、小豆が八八%、それから高級菜豆が九八%、てぼう豆が八六%、普通菜豆が七五・四%、以下こういうふうに対米比価がきめられておるように聞いておりますが、問題はてぼう豆の対米比価であります。実は本日も関係者が多数陳情に来ておられるのでありますが、これの対米比価を、少くとも高級菜豆程度まで引上げてもらいたいということであります。御承知のように、雑穀の供出が近々統制解除になるというふうな関係から、あまり重要視されていないようでありますが、北海道の超過供出等が非常に強力に推進されるために、その雑穀を全部供出せなければならぬ。食糧庁の御説明では、いずれ統制解除になるのだから、そういう損なものはたるべく手元に置いて、農家が得するようなものを供出して、統制が撤廃されたあとにおいて、有望なものを売つた方がいいのではないかというような御説明を、前回聞いたことがあるのでありますが、先ほど申し上げましたように、供出が非常に強化されておるために、ことごとくの雑穀を供出せなければ割当に充当しないという現状から、このてぼう豆は、御承知でもありましようが、現在市場価格はほとんど五、大倍の価格取引されておる。この雑穀は、やがてどうせ消費者は配給を辞退をするから業者に拂い下げるのですが、当然業者は市場価格を参酌して高く引取つて行くのであるから、政府としては損失がないわけであります。これは自由経済のときも、てぼう豆はほかの雑穀よりも二倍以上の取引になつておる前例があるのでありますから、この際高級菜豆と同様の格差をおきめ願いたい。かように考え、またこれを拂い下げる場合も、政府としては損失を招かぬという実情でありますから、これらの点を考えてひとつおきめ願いたいと思うのですが、この点に対して、物価庁としてはいかようにお考えになつておるか、この際明瞭にされたいと思います。
  42. 郡祐一

    ○郡政府委員 てぼう豆の対米比価は、従来に比べればお話の八六%でも上つておるとは思いまするけれども、しかしこれについては、もう少し引上げることを実現するようにいたしたいと思います。
  43. 深澤義守

    ○深澤委員 ただいま足鹿委員から言われた、米価審議会の五千八百円の答申の問題であります。これに対して、政府ははなはだ無責任な態度をとつておる。予算においてはすでに五千五百・二十九円を算定しておる。また今の御答弁を聞きましても、これにはほとんど自信がない、誠意がない。こうなるすれば、米価審議会というものは、まつたく農民をたぶらかすところの偽装民主主義にすぎない、こういう結論に私はなると思う。主観的な意図はどうであるか知らぬが、結論はそうなつて来る。政府としては、もう少し農民に責任を感じなければならぬと思う。どういうぐあいに考えておるか、その点をひとつ郡政務次官にお聞きいたしたいと思います。
  44. 郡祐一

    ○郡政府委員 私は率直に経過を申し上げており、かつ足鹿さんからお話もございましたが、消費者価格決定の問題でありまするとか、米価算定の方式の問題でありまするとか、これはいずれもきわめて重要な問題である。従いまして米価審議会が金曜日に終りまして、土曜日に必要な作業をいたし、今日は月曜日で、先ほど申し上げまするように、いろいろな関係方面との必要な方途等をも講じておるのであります。審議会を尊重しないとかというお言葉でありますが、さようなことは絶対ございません。またそのような御非難を受けることは、まことに心外なことに存じます。
  45. 深澤義守

    ○深澤委員 物価庁米価の算定基準をパリテイーにするとか、あるいは生産費にするとかいう、いろいろな御見解を持つておられる。しかしどういうきめ方でも、問題は、当面する日本食糧問題の解決のためには、農民生産意欲を持たせるということが根本問題である。その点を一体考えられておるのかどうか。生産費形式あるいはパリテイー形式というその算定上の方法問題にとらわれておつて、実際は農民が尊んで生産するという方へこの米価の算定基準を置かないのだ、そういうふうにわれわれは考えておるのでありますが、その点は一体どうでありますか。
  46. 郡祐一

    ○郡政府委員 いかなる方式をとりましても——またそれはパリテイー方式の修正であるとか何とかいう、いろいろな議論が出て来るかもしれませんが、当然農家の経営、生産をまかない得るように、進んで生産意欲を向上いたすように、しかも同時に生産者と消費者との間を調和のとれたものにいたすようにというような諸点は、もちろん米価決定の根本に流れる考え方でございます。政府はいつもそのつもりでいたしております。
  47. 深澤義守

    ○深澤委員 全国の農民はそう考えておりません。常に米価に対しては大きな不平を持つておる。それではやつて行けない。最近における日本農村の窮状は、それを裏書きして余りあると私は考えておる。もう一つの問題は、政府農民から米を買い上げておる。供出じやない。供出というのは、損をしようと得をしようと、政府の命令に従つて易々諾々として神様へ上げるような気持でやらなくちやならぬ。そこには損得問題はない。ところが現在は、供出供出と言うが、実は買入れ制度だ。政府が買い入れる。ところがその買い入れる場合において、まだ値段がきまつていない。そんな商取引が一体どこにありますか。すでに供出どんどん進んでおる。農民は売渡しをやつておる。ところが買い入れるところの政府の方では、まだ米価決定していない。こんな失態は一体どこにありますか。政府は政治的な重大な責任を負わなければならぬと考える。だから農民は、内拂いというようなことははなはだけしからぬということで、米価早期決定を要求しておる。ところがまだきまらない。このきまらない原因は一体どこにあるのか。それから値段をきめないで買い入れておるところの政府の政治的責任を、あなたはどういうぐあいに感じられておるのか、その点をひとつ明確にお伺いしたい。
  48. 郡祐一

    ○郡政府委員 米価が内拂いになつておりますること、まことに遺憾なことだと思つておりますが、ようやく遅ればせながら、ごく最近のうちに決定し得る段階になつて来ておると思います。内拂いのような形になつておりますが、ただいまの米価決定等についても、政府は九月ごろから少しも早くという努力をいたし、これが予算と関連し、その他いろいろな事情のために遅れて参りました。遅れて参りましたことはまことに残念なことで、また将来そのようなことのないように、極力政府は責任を持つて努力いたしたいと思つております。
  49. 深澤義守

    ○深澤委員 政府の答弁は常に将来ないように努力しよう、努力しようということで、同じことを繰返すということが常例であります。そこで私は、これ以上米価問題について、触れましても、時間がなくなりますので、食糧庁長官にお伺いしたい。  備蓄の問題ですが、政府の資料によると、大体本米穀年度の主要食糧の保管料の見込み金額を出しておるのです。これによると、年間三百万トンの備蓄を必要とするという計算になつておるようですが、その保管料の総額が六十一億に達しておる。これは厖大なものであります。政府は一体備蓄食糧の根拠をどこに置いておるのでありますか、この点をひとつ明確にお伺いしたい。
  50. 安孫子藤吉

    安孫子政府委員 備蓄食糧の根拠いかんというお話でございますが、保管料算定の基礎となりましたものは、やはり外国からの輸入食糧の点と、それから国内の集荷をいたしまして、集荷をしたものはただちに消費されるものではなく、年間を通じて消費されるものでありますから、その間に一月なり二月なり、物によりますれば六箇月なり十箇月なりの貯蔵をすることにおのずからなると思います。その辺の平均をとりまして、保管料の計算をいたしております。備蓄の点は、大体ランニング・ストツクというようなことでお話があるのではなかろうかと思いますが、大体三百万トン近い手持ちをいたしておる。そういう必要がどこにあるかというようなことになりまするが、やはり国内の需給操作、あるいは配給制度を現行においても維持し、また今後においても不安のないようにするためには、やはり相当量の手持ちをしておりますことが、国民経済的に、また食糧の安定の上から申しまして必要であるということで、限度がありますけれども、私どもは、従来のようにすれすれの手持ちではなく、相当ゆとりを持つた食糧の手持ちをして参りたいというふうに考えておるわけであります。保管料算定の基礎になりますものは、必ずしも備蓄というものではございませんで国内食糧輸入食糧の年間的な操作の上からの計算をいたしまして出しておることを御了承願いたい。
  51. 深澤義守

    ○深澤委員 備蓄食糧の問題については、單に計画的なものでなしに、国内操作の上においてランニング・ストツクとして必要とするものがこれだけあるだろうという程度のものであつて、計画的に備蓄を考えておるのではない、こういう御趣旨でございますか。
  52. 安孫子藤吉

    安孫子政府委員 国内操作、輸入食糧の操作の面から、相当量のストツクというものを、ある時期においては手持ちをするという事情は、御了承願えると思います。そのほかに、備蓄という観念が、現在の食糧政策の上においてとられておるかどうかという点だと思いますが、これは朝鮮事変のありました際に、今後の国際政局の上からいつて、輸入等も困難になるような事情があつてはいかぬから、できるだけ手持ちをふやしておこう、こういうようなことで、輸入について相当努力をいたして来ております。必ずしもそれが思うように功を奏しておりませんけれども、そうしたものが若干ありますので、どこまでがランニング・ストツクであり、どこからが備蓄であるかというような限界はございません。今のところ、何万トン備蓄計画というような計画のもとに、食糧のストツクの方を算定しておる事情はございません。
  53. 深澤義守

    ○深澤委員 日本の麦四十一万俵を朝鮮に輸出されておるという問題が、ある文書によつて出ております。本日の予算委員会における質問におきましても、六万トンの朝鮮への輸出ということが問題になつて、それが肯定せられておるようであります。そうすると、どうも最近における備蓄の増大というものは、單に国内食糧の操作ばかりでなしに、朝鮮等への輸出を一応考えての備蓄ではないかというぐあいに、われわれには想像せられるのでありますが、この点について、今まで朝鮮に輸出した事実があるなら、どの程度輸出したか、今後の備蓄の内容は、朝鮮等へ送るための備蓄として用意されておるのかどうか、そういう点をひとつ明確にお伺いしたい。
  54. 安孫子藤吉

    安孫子政府委員 朝鮮向けの輸出の点でありますが、これは御承知のECAと申しますか、アメリカの経済協力局でありますが、そこからの要請によりまして、交換という形で輸出をいたしております。この出しましたものは、九十日以内に同種同量のものを日本政府に別に補填をするという約束になつております。出ました数量の三万二千トンは、実績でございます。最近は経済協力局がやめまして、八軍がこの問題を処理いたしております。
  55. 深澤義守

    ○深澤委員 そういたしますと、三万二千トンは輸出の形で出すのでありますか、それとも一時貸出しという形で出しておるのでありますか。さらにこの三万二千トン出したあとのものは、どういう形で補填されておるのか、その点を伺いたい。
  56. 安孫子藤吉

    安孫子政府委員 これはECAとの契約、最近におきましては八軍との契約になるわけでありますが、ECAに政府が売却をする形です。そうしてECAが韓国に持つて行くという形になりまして、日本政府が直接韓国に、ある外交機関を通じて出すという形ではございません。処分先はECAまたは第八軍であります。第八軍がそれを買いまして、それを韓国にみずから持つて行くという形になります。ECAとの契約は、同種同量のものを日本政府に対して九十日以内に返すという契約のもとに、この処分をいたしておる次第であります。
  57. 深澤義守

    ○深澤委員 そこで輸入食糧の問題をお聞きしたいのでありますが、本米穀年度において、政府輸入食糧をどれだけ必要としておるのか、それをひとつお聞きしたい。
  58. 安孫子藤吉

    安孫子政府委員 二十六年度の予算審議の際にもいろいろ問題があろうかと思いますが、私どもは、二十六会計年度におきまして二百七十万トンの計画をいたしております。
  59. 深澤義守

    ○深澤委員 輸入食糧の問題につきまして、米価も上る、麦も多少上るとすると、かなり国際価格に近づいて来ると思うわけであります。ところが麦の統制が撤廃されまして、さらに政府食糧の輸入税を一年延期するという意図を持つて法案を提出されておるのであります。そうすると、ある国におきましては、日本価格と同額のような価格になつて来ると思うわけであります。そういたしますと、この麦の統制撤廃の結果といたしまして、過剰の外国の麦等が日本に非常に流入して来る、そのために日本の麦が非常に圧迫されて来る、同時にそれが最近における夫業者の状態、生活の窮乏という形で、嗜好の問題を越えて、安いものに食いついて行かざるを得ないような国民生活の状態になつて行く、それで米の統制も撤廃されるという、とになりますと、また米の価格の圧迫ということにもなつて来ると思います。そうすると、日本の農業が外国の過剰食糧のために非常に圧迫されて、さなきだに苦しいところの日本の農村が、もつと苦しい状態に追い込まれるという見通しがつくのでありますが、この点について食糧庁長官はどう考えておられますか、お伺いいたします。
  60. 安孫子藤吉

    安孫子政府委員 外国食糧の圧迫が、日本の農業生産に非常に悪い影響を及ぼすのではないかというお話は、従来とも相当論議され、私どももその点を心理しておつたのであります。国内統制について自由々々という声がありますけれども、一挙にそうした段階に参りますれば、外国食糧の自由流入というものがありまして、日本の農村の根底を破壊する、また国際的ないろいろな波動に日本の農村が直接的に省き込まれまして、非常にたいへんなことになるという点を実は憂嘱しておるのでありますが、それにはやはり外国食糧を一手に政府が管理するという措置を講ずれば、この点は救済されると思つております。国内の増産がいろいろ企図されておりますけれども、一挙に自給自足体制にまで持つて行くことはなかなか困難な事情もありますので、どうしても外国食糧を輸入しなければならぬが、輸入したものがばらばらで自由に入られましては、農村に対する影響も非常こ大きいので、これを国において一挙に管理をする、そうした諸般の事情を考慮いたしまして、操作をして行くということにいたしますれば、国際的な波動を直接的に農村が受けないで、農村の安定にも資することが大きいという観点からいたしまして、国内的な統制の面がいかようにもなれ、とにかく外国食糧政府が一手に買い取つて操作をして行くということを計画し、大体関係筋の了承も得ておるような次第であります。
  61. 深澤義守

    ○深澤委員 それから先ほどもちよつと問題になりましたが、米の検査の問題は、これは、長官が何と言おうとも、末端では大問題になつておるのであります。いろいろな角度から問題があるので、根本的な問題は、もちろん戰前に米の規格を返すということに重点を置かれておるようでありますが、自由経済にもなりますと、品質の向上のために、これを戰前に返すために、ある程度、食糧検査終戰直後よりも厳重にして行こうという形になつて来ておると思います。ところが日本の状態がそこまで行つておるかどうかという問題です。食糧だけについて、戰前戰前ということを標準としてこの検査をどんどん進められて行つても、日本の工業生産にしても、その他の問題にしても、戰前に復帰しておるものは一つもないのであります。食糧だけを戰前の質に返すためにこれをやるということになりますと、そこに大きな農民の犠牲があると思う。ここに問題が一つあるわけであります。もう一つの問題は、あの検査員の諸君は、食糧管理特別会計による支出によつてまかなわれておるわけであります。従つてこれは全部の人が考えておるかどうか知りませんが、食糧管理特別会計に赤字を出さないような状態に持つて行くことが、同時に食糧検査員の待遇の問題にも関係して来るわけであります。そこでやはり意識的にか無意識的にか知りませんが、検査を十分にして、等級をぐつと下げて行くということは、それだけ食種管理特別会計に余裕をもたらすことである。そういう問題が検査の厳重になつて来た原因にもなつておると思います。もちろんそれは人間の未熟練の問題もありましようが、そういうところに根本問題がある。従つて米価の中から食糧管理庁の相当の人員の人件費をまかなうということ自体に、大きな間違いがあると私は考える。また日本の会計制度から申しましても、少くとも官庁の人件費が、一般会計から出されずに、特別会計の米価の操作の中で中間経費として支拂われておるところに、大きな理論的な不合理もあると私は考えるのであります。こういう二つの面からごの検査の問題が非常に厳重になつて来ておると思う。そこで私のお伺いいたしたいと思いますことは、この食糧管理特別会計の中で、食糧庁の人件費をまかなうということは、非常にまずいのじやないかと私は考える。これを正常な、一般会計からまかなうという形にする御意思があるかないか、その点をお伺いしたいと思います。
  62. 安孫子藤吉

    安孫子政府委員 経費の節約に関しまして、検査員の給與、人件費を一般会計によつてまかなうべきであるという御議論は、去年の米価審議会でも問題になつたのであります。私どももその際に、それはそうである、やはり一つの行政的な経費でありますから、——純粋の行政費であるかどうかということにはいろいろ議論がありますが、私はやはり一つの行政費だと思います。そういう点からいたしまして、特別会計から分離して、この点は一般会計によつて負担すべきである、また形式的には一般会計で持たなくとも、その分だけは一般会計から繰入れる。そういう措置によつてこれをまかなうのが適当であるというふうにも私考えまして、その後数回にわたりまして、この点は財政当局とも折衝を続けて来た明題であります。一般の経済財政が相当詰まつておる関係上、二十六年度予算につきましても、この点は成功いたしませんでした。それでやはり特別会計でこれをまかなうということで、おそらく二十六年度の予算の御審議原案が出ると思います。私どもはこれは一般会計に移すのが適当であると考えておりますけれども全般事情からいたしまして、そういうことにならないでおるというのを、非常に遺憾といたしております。実情はさようであります。
  63. 深澤義守

    ○深澤委員 検査問題でもう一言お尋ねしたいのであります。日本の農業生産が、御承知のように化学肥料としての窒素肥料に依存するということは、これは実は収奪農業の形です。土地がだんだん疲弊困憊し、それに化学肥料を與えて、その肥料の力によつて生産するという形です。本来ならば土壌の改良をし、土地に力を持たせるということの農業でなければならぬと思いますが、それが化学肥料でやつて行くということになると、必然的に品質が悪くなつて来るわけであります。そうして御承知のように非常な災害が全国的にあるわけであります。そういう経済的な、人為的な、あるいは自然的な事情によつて品質が悪くなる。その悪い責任を一切農民にぶつかけてはいかぬと思う。だから私は五等級をこしらえて、四等級から落ちたものを五等級で救済して行くということは、政府の親心のように考えられますが、そうじやないと思う。これは実は農民の不始末によつて品質が落ちたのではなくて、天然自然と日本の農業経済のあり方の中に、こういう問題があるわけであります。これを農民の責任に転嫁するということは、生産意欲を減退させると同時に、日本の農業の発展のためではないと考えるのであります。従つて天然自然あるいは人為的のものを一切農民が背負つて立つことは、あまりにも気の毒だと思う。そういう点で私はでき得る限り四等でとるべきであるという主張を、ずつとして来ているわけであります。また今年も五等級を出して救済するという形に出ているようですが、しかしこれはほんとうの行き方ではない。天然自然の被害と、そういう日本農業のあり方の一切の責任を農民が背負つて立たなくちやならぬということなのであります。だからそういう実情において検査規格をゆるめて行く必要がある。今日の日本事情として、戰前の規格ないし戰前の品質によつて一般消費者にいい米を食わせるということは、まだまだその時期に達していない。むしろそれよりも農民に対して生産意欲を持たして、国内で食糧の自給をやるという方向へ、全部の政策が向いて行かなくちやならないのではないかというように考えるわけですが、その検査規格の緩和の問題について、食糧庁としても十分お考えを願いたいと思う。この点は先ほども御答弁があつたようでありますから、あえて御答弁を要求しません。  それからインベントリー・フアイナンスによつて食糧特別会計に対して一般会計から繰入れるという問題があるわけです。これは食糧管理特別会計をあずかつておられる食糧庁長官として、インベントリー・フアイナンスの必要があるかどうかお伺いいたしたい。
  64. 安孫子藤吉

    安孫子政府委員 検査の問題は大体了承したというお話がありましたのですが、私も一言つけ加えますと、自由主義経済の時代のような検査規格をつくろうという考えは持つておりません当時はなかなか口がおごつておりましたので、味がどうであるとかいうことで相当格付がされておつたのでありますが、ただいまはこういうものを要求する段階ではないと思います。それで重量でありますとか、歩どまりでありますとか、そういう基本的なものだけについて、順次軌道に乗せて参りたいと考えているのでありまして、必ずしも自由主義経済時代のような検査規格を設定しようというような考えは、毛頭持つておりません。それからいろいろな農村経済の矛盾が総合されて検査等級の問題に出ておるという点は、ごもつともだと思います。品種の設定にいたしましても、多収穫品種、あるいは悪くてもよけいとれるものがずいぶん奨励されて来ましたし、また供出の面から申しますと、どうしてもそうせざるを得ないような事情もありますので、やはりそういう事情も十分考慮いたしまして、私どもとしては、検査規格の問題を考慮いたして行く考えでございます。  それからインベントリー・フアイナンスの問題は、私ども必ずしもその必要を認めておりません。どうしてもこれでなければならぬというようには考えておりません。
  65. 深澤義守

    ○深澤委員 聞くところによると、このインベントリー・フアイナンスによつて、一般会計から食糧管理特別会計にある程度の金を繰入れて、それはまたいつでも、どこでも使えるような、いわゆる財政上のクツシヨンにしておくのであるということが伝えられているわけです。従つて食糧管理特別会計の状態からいつても、どうしてもインベントリー・フアイナンスによつて一般会計から繰入れなくちやならぬという事情はないと思うということになりますと、とうもわれわれは伝えられるところの、財政上のクツシヨンとしてのインベントリー・フアイナンスであるというように解釈できるわけです。そういう点については、何かそういう繰入れがありても、それは手をつけずにまたどこかへ使うのだというような、そういう準備的な考えを持つておられるのかどうか、その点を明確にお聞きいたしたい。
  66. 安孫子藤吉

    安孫子政府委員 その点は何もただいまのところ考えておりません。二十六年度はインベントリー・フアイナンスはないと思います。
  67. 河口陽一

    ○河口委員 それぞれ御質問になつたので、重ねて御質問申し上げることを避けまして、時間も経過しておりますから、要点だけ食糧庁長官お尋ねいたしたいのです。実は五等米の問題ですが、北海道では十一月の五、六日ごろに決定をして、買い上げられる段階になつておるように聞いて参つたのですが、いまだにこれが決定されておらぬのを非常に遺憾に存するのでありますが、先ほどの御答弁では二、三日中におきめになるということでありますから、これはすみやかにおきめ願いたい。問題は格差の問題ですが、これも特別に御考慮を願つて農民負担の軽減を期するようにしていた、だきたい。それから奨励金の問題ですが、超過供出をお認めになる御意思であるか、お答え願いたい。
  68. 安孫子藤吉

    安孫子政府委員 五等米は大体五日か六日ごろの官報に告示する見込みであります。それから五等米について超過供出奨励金の対象になるかどうか。これは対象にいたさないという方針です。格差はできるだけ御希望に沿うて参りたいと思いますが、大体去年程度の格差でありますが、米価が上りますので、それに若干比例した程度の開きは出て来るかと思いますが、おおむね去年の通りであります。
  69. 河口陽一

    ○河口委員 先ほど深澤委員からも質問があつたのですが、今年化学肥料を多く使つたために、特別に米質が低下して、五等米も設定していただかなければ割当が完納できない。また農家によつてはくず米も買い上げてもらわなければ、とうてい割当を完了しないという実情にあるのですが、これは原則的にはなかなか困難でしようが、最後的処置として、割当が満たされない場合に、くず米を買い上げる御意思があるかないかをこの際お聞かせ願いたいと思います。
  70. 安孫子藤吉

    安孫子政府委員 今年の補正は、従来に比較しまして比較的きゆうくつの度合いが少かつたと思つております。従つて一般論から申しますと、くず米までも供出対象として出す必要はなかろうというふうに考えております。現実の問題といたしましては、供出が最終段階に入りましたときの状況に応じて、判断をして参ります。
  71. 河口陽一

    ○河口委員 次にお尋ねいたしたいのは、早出し奨励金は、二十六年度においてどの程度お考えになつておるか、おわかりならばお示し願いたい。
  72. 安孫子藤吉

    安孫子政府委員 予算では三十億組んでおります。今年の半分です。
  73. 河口陽一

    ○河口委員 早出し奨励金は名称が矛盾しておることは前々から伺つてつたのですが、これは当然單作地帯の経過的処置である、單作地帯の低位生産に対する価格的な補給制度であると今まで御説明を願つてつたのですが、これが削減されれば、当然單作地帯農家場がそれだけ收入減になるのですが、この点に対して政府はいかようにお考えになつておられるか。
  74. 安孫子藤吉

    安孫子政府委員 早場米奨励金については、一昨年あたりからいろいろ問題が出て来ましてもう出す必要がないのではないか。予算上は組んでありましても、これを実施しない方がいいのではないかというような議論も出て参つたのでありますが、しかしそういうこともいかぬということで、大体予算に組みましたものをそのまま支出しておるわけであります。当然二十六年度の予算を編成するについて、早場米奨励金全廃論が相当横行して参つたのであります。しかしお話のように、早場米奨励金の意味は、端境期における食糧需給上必要であるということのほかに、單作地帯に対しまする特別な措置である。経済的に見まして單作地帯は相当窮乏しておりまするから、それに対する特別の措置をとる内容を持つているのであるということで、実は押切つて来ておるのであります。しかし全般情勢からいたしまして、六十億そのままを踏襲することは、はなはだ困難であつた次第であります。内容がそういうことであれば、そうした内容のもので予算を組んだらいいのではないかということが、議論としては当然出て参るのであります。そういたしますと、これは特別会計では組めませんで、一般会計において單作地帯の救済費と申しますが、助成費というような形で組まざるを得ないことになろうかと思います。そういたしますと、今の情勢から申しまして、一般会計で六十億の單作地帯に対する特別の措置というものは、とうてい私は組み得ないと思います。それで私どもも食管特別会計の方で、從来の観念によつて三十億を組み、あと三十億程度のものを一般会計において、單作地帯に対する特別措置のような形においての補助金を組みたいという、両股をかけたところで実は交渉して来ておつたのであります。一般会計において單作地帯に対する補助金の総額がいくらになりましたか、三十億にはとうてい参りません。十億は若干越しておつたのではないかと思いますが、そういうふうに特別会計の方から順次一般会計の方に移しかえまして、制度の実体に即応するような予算を組むという方向へ参つたらいかがであろうと考えております。
  75. 河口陽一

    ○河口委員 次に雑穀統制撤廃についてですが、これは非常に前々から議論になつているのです。一応その後の情勢によつて多少の変化かあると思いますが、その時期と方法等について、この際明示されたいと思います。
  76. 安孫子藤吉

    安孫子政府委員 いもにしろ、それから冬作雑穀にいたしましても、供出完了後の自由販売という線で、実ははずすものははずして来ておるのであります。今年の夏作雑穀についても、そういうことで供出対象からはずそうかと思つております。時期の選び方でありますが、りくつから申しますと、御承知のように、個人々々が供出を完了すれば、その農家の手持ちのものは自由にするということが一番りくつには合つていると思います。しかしながらAは自由であり、Bは自由でない、Cはまた自由であるという形は、行政的に、あるいは取締りの点から申しますと、非常に困難でありますので、これは問題にならないかと思います。次に、それを村の段階あるいは県の段階、あるいは国の段階で完了したときに、それ以後やるというようなことで、いろいろやり方はあろうか思います。私どもただいま考えておりますのは、大体供出の進歩状況とにらみ合せまして、おおむね一月中は現在の統制を加えておきまして、一月の末に雑穀については——これは大豆は除きます。ほかのものについては自由にしたらどうだろうか、そういう線で研究をいたしております。大豆は司令部との関係もありまして、三月末日までは統制を続けるつもりでおります。
  77. 河口陽一

    ○河口委員 統制を一月末に、大豆を除いて撤廃されるという説明でありますが、実は供出期限が三月末までと記憶いたしておるのですが、それまでに完納しなくても、数量に満たなくても、撤廃されるお考えか、お聞かせを願いたいと思います。
  78. 安孫子藤吉

    安孫子政府委員 ただいままでのところ、供出の進捗状況は、昨年に比べて相当よい成績を上げております。それで大体一月末になれば、おおむね全国的に完了の見通しがつくのではなかろうかという前提で、私どもさようなことを考えているわけでありまして、これが相当今後狂いが来ますれば、もう一度再検討しなければならぬかと思います。
  79. 河口陽一

    ○河口委員 実は、資金問題ですが、従来北海道地方の農業経営は、おおむね農業手形で清算をやつておつたわけです、御承知のように、政府買上げになつている場合は、この農業手形資金によつて農業経営が成立つのですが、雑穀が統制撤廃になれば、当然手形の利用ということが困難になると想像される。そのことによつて、肥料その他農機具、営農資金というものが全然補充されないことになりますが、そういうことによつて農業生産が減退することが、大きく浮んで来るのですが、これらの点についてのお見通し、お考え等があればお示し願いたい。
  80. 安孫子藤吉

    安孫子政府委員 統制廃止後の農難物の処理及び生産に関する資金の点でございますが、これは直接の所管ではございませんが、私もその点相当心配をいたしております。今のところ申し上げるような結論を得ておりませんけれども、道の御事情も十分承りまして、私どもとしてできるだけのことはいたしたいと思つております。
  81. 河口陽一

    ○河口委員 資金の問題は重要でありますので、ひとつすみやかに結論を出して、再生産に支障のないような手続を、特にお願いをいたしておきたいのであります。  次に雑穀の格差ですが、先ほども物価庁の方にお尋ねをいたしたのですが、てぼう豆の問題は、長官において特に御配慮を願つているようには聞いておりますが、先ほど申し上げましたような理由もありますので、てぼう豆については、特に高級菜豆と同等に対米価比をおきめ願いたい。それから等級差については、從来非常に格差が大きいのですが、本年は気候その他の関係で低位のものが非常に多いわけであります。こういう情勢下においては、極力格差を縮めてもらいたい。各等の差は五十円程度であきめ願いたいという農家からの要望が多いのですが、雑穀は先ほど申し上げたように、配給辞退等によつて業者に処理されることになると思いますが、その際政府が損をするようなことでは困るでしようが、絶対に損のない現在の見通しにおいて、五十円程度の格差で買い上げるという処置をとつていただきたいとの希望が多いのですが、この点長官はいかようにお考えになつているか、お尋ねしたい。
  82. 安孫子藤吉

    安孫子政府委員 雑穀につきましては、供出の最後でもありますし、また雑穀のある種のものにつきましては、相当高値に取引をされる見通しのものもございます。その辺の実情も十分考慮いたしまして、等級間格差の点はなるべく縮めるというようなことで考えてみたいと存じます。まだ等級間格差については、私ども結論を出しておりません。十分考究をいたして行きたいと思います。
  83. 河口陽一

    ○河口委員 実は買上げなつた雑穀がそれぞれ拂下げになるのですが、これは時期等をひとつ十分にお考えになつて農家が売り出す価格に圧迫を加えるようなことのないように、特に希望を申し上げて質問を終りたいと思います。
  84. 安孫子藤吉

    安孫子政府委員 今年の澱粉の事情等も御考慮くださいますれば、私ども十分その点について気を使つてつておるということを、御了承願いたいと思います。
  85. 川西清

    ○川西委員 一、二点簡單にお尋ねいたします。先ほどの委員との問答におきましても、物価庁政務次官並びに食糧庁長官から、米価決定が非常に遅れ過ぎて遺憾であつたというようなお話がございましたが、米価早期決定農民が何よりも望んでおるところであります。今年はばかに遅れたのでありますが、いつきまるのが理想的なかつこうであるか。もし万事がスムーズに運べば、いつきめるのが正しい姿であるか、来年のこともありますので、ちよつと伺います。
  86. 安孫子藤吉

    安孫子政府委員 いろいろな考え方があると思います。たとえば農民の計画生産という観点からいたしますれば、前の年に来年の米値をきめておくことが、生産者立場からいえば望ましいことではなかろうかと思います。しかしながら政府が売買をする形においてきめるといたしますれば、やはり十月——早場米が出る時というわけにはなかなか参らぬかと思いますが、早場米が出かかつて来る時分、九月ころにはこれをきめるというのが、私は一番いい時期じやないかと思います。ただ現在パリテイー計算指数によつてはじいておるのでありますが、こういうことを申し上げるとおしかりをこうむるかもしれませんが、今年は、八月か九月ころにこれをきめれば、パリテイー計算方式をとる限り、こうした米価は出なかつたと思います。もつともバツク・ベイという問題もありますから、その点はあとで救済されるが、若干遅れましたことが、まだ決定はいたしておりませんが、比較的高い価格、比較的いい環境をつくつたということは言えると思います。
  87. 川西清

    ○川西委員 来年度においては、ぜひ早期決定されることを切望いたす次第であります。それから先ほどちよつとこの点に触れられた人があつたが、麦の生産目標を、過般の知事会議で各府県に割当てました。これは法律的に何ら根拠のないものと思うのでありますが、これは何か生産資材の裏づけがあるものですか。それと、この生産目標を割当てて後に、麦の統制緩和というようなかわつた事態が生じて参つた。平年作より一八%も高い生産目標と、麦の統制緩和ということとは、ちよつと方向が先ほどのお話ではわかりかねたのでありますが、まつたく相反する方向でございますけれども、この生産目標を何かもつとゆるやかなものにされるお考えはないかどうか。当局の初めの意向では、町村までこれを割当てるという話があつたのでありますが、大部分の町村においては、個人までこれを割当てた。そういうことになりますと、供出関係がないと申しましても、実際の状況は、みんな供出関係があるものとしか理解しておらぬ。そういう状態でありまして、この点納得が行かぬのであります。その辺のところを少し明確に願いたい。
  88. 安孫子藤吉

    安孫子政府委員 食糧増産運動の方は、直接農政局長からお答え申し上げた方がいいじやないかと思いますが、私ども考えておりますことだけを若干申し上げます。どうしても国内の食糧増産しなければならぬという立場からいたしまして、一割増産運動を展開しておるのであります。二千六百万石という数字も、一つの目標数字といたしまして、知事会議において知事に示達をいたしております。しかしこれは法的根拠は何らございません。予算上のいろいろな措置等によつて、また生産者の格別の御努力によりまして、この目標を達成したいという、国策としての目標を示しておるのでありますが、法的な各種の制限はございません。そのあとで統制緩和の問題が起きて、麦を自由にするということは、一割増産と非常に矛盾しやしないかという意味お尋ねであつたかと思いますが、そういう点からいたしまして、私どもは麦の統制は緩和いたしますけれども政府は無制限にこれを買い入れるという方針をとりました。従つて一割増産で二千六百万石の生産が上りましたとしても、申込みがありますれば、政府は無制限に買う、こういう方向で参りたいと思つております。無制限と申しましても、一応予算を立てなければなりませんので、予算の面には百二十万トン、八百数十万石というものを予算上組んでおるわけであります。御参考までに終戰後の麦の買入れ数量を申し上げてみますと、二十年度が七百八十万石、二十一年度は非常に少くて四百七十万石であります。二十二年が五百四十万石、二十三年が六百五十万石、二十四年が八百万石、二十五年が八百二十九万石、こういう数字でありましで、八百数十万石の予算的な措置を講じておきますれば、大体無制限買入れという趣旨従つて運用できるのじやなかろうか、かように存じております。
  89. 川西清

    ○川西委員 早場米の奨励金についてでありますが、本委員会單作地帯の方々の声ばかり反映されまして、委員会の意向が全部そうであるというふうに誤解されては困りますから、一言申し上げておきます。先ほども食糧庁長官が言われました通り、この早場米奬励金制度の存置の理由としまして、食糧需給及び單作地帯の保護、こういう三つの面があつたのでありますけれども、やはり同じものを別の値段で買うというようなことは異例のことでありまして、正常の措置ではないのであります。單作地帯の保護につきましては、單作地帯の保護としての措置を講ずればよいのでありまして、米価をどうこういううことは、もう自由経済の時代といたしましては、正しいかつこうではないと思うのであります。先ほど長官の言われた趣旨に、われわれとしてはまつたく同意見でありますから、勇気をもつて、来年度からはそういう方向へ向われるように切望いたしまして、私の質問を終ります。
  90. 千賀康治

    千賀委員長 明日は午前十時から開会いたすことにいたしまして、本日はこの程度で散会いたすことに御異議はありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  91. 千賀康治

    千賀委員長 それでは散会いたします。     午後四時散会