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1950-11-27 第9回国会 衆議院 農林委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年十一月二十七日(月曜日)     午前十時五十八分開議  出席委員    委員長 千賀 康治君    理事 足立 篤郎君 理事 野原 正勝君    理事 松浦 東介君 理事 小林 運美君    理事 井上 良二君       宇野秀次郎君    遠藤 三郎君      小笠原八十美君    越智  茂君       川西  清君    河野 謙三君       中馬 辰猪君    中垣 國男君       幡谷仙次郎君    原田 雪松君       平野 三郎君    八木 一郎君       大森 玉木君    吉川 久衛君       坂口 主税君    深澤 義守君       山口 武秀君    河口 陽一君  出席国務大臣         農 林 大 臣 廣川 弘禪君  出席政府委員         農林政務次官  島村 軍次君         食糧庁長官   安孫子藤吉君  委員外出席者         農林事務官         (食糧庁業務第         一部長)    須賀 賢二君         経済安定事務官         (物価庁第二部         長)      長谷川 清君         專  門  員 難波 理平君         專  門  員 岩隈  博君         專  門  員 藤井  信君     ————————————— 本日の会議に付した事件  連合審査会開会及び開会要求に関する件  食糧問題に関する件     —————————————
  2. 千賀康治

    千賀委員長 これより農林委員会を開会いたします。  この機会に御報告申し上げます。去る二十五日本委員会において国政調査承認要求の件を決定いたし、議長に提出しておきましたが、同日議長承認を得ましたので、この点お知らせいたします。  次に連合審査会の件についてお諮りをいたします。現在大蔵委員会において食糧輸入税を免除する法律の一部を改正する法律案審査をいたしておりますが、この法案食糧問題の上に重大な関係がありますので、農林委員会といたしましても深い関心を持つておるところでございます。  なお通産委員会において審査中の鉱業法案並びに採石法案は、農地、林野の保全の点からも密接な関連があるところであります。よつてこれらの法案につきまして、通産委員会連合審査会開会要求をいたしたいと思います。そこで前に申しました大蔵委員会及び通産委員会委員会に、以上の意味におきまして連合審査会要求いたしたいと思いますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 千賀康治

    千賀委員長 御異議なしと認めます。さよう決定いたします。なお連合審査会開会の時日につきましては、それぞれ当該委員長と協議の上決定いたしたいと思いますので、委員長に御一任いただきたいと思いますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 千賀康治

    千賀委員長 異議なしと認めます。さように決定いたしました。     —————————————
  5. 千賀康治

    千賀委員長 これより食糧問題の件を議題といたします。本件につきましては、前回の委員会におきまして政府より一応説明を聽取いたしておりまするので、これより資疑に入ります。資問通告がございますから順にお許しをいたします。井上良二君。
  6. 井上良二

    井上(良)委員 農林大臣は見えませんか。
  7. 千賀康治

    千賀委員長 農林大臣はただいま予算委員会出席中でありまするので、向うが終り次第こちらに来てもらうように通告がしてあります。
  8. 井上良二

    井上(良)委員 それでは大臣質問はあとまわしにいたしまして、先般安孫子食糧長官が本委員会において、わが国の最近の食糧事情及び明年度食糧需給についての御説明があり、なお政府として食糧統制に関する方針について一部お話がございましたが、これに関連をして質問をいたしたいのでございます。一つは、政府は最近主要食糧統制を一部緩和する、また将来統制撤廃する、こういう方向食糧問題を扱おうという態勢にかわつて来ておることは、昨日衆議院の本会議における大臣答弁を承りましても明確になつて参つたのであります。そこで政府わが国の置かれております国際的な地位と、わが国を取巻きます世界の諸情勢というものを、一体どう考えて、明年以後の国内主要食糧統制緩和されんとしておるのか、このことについて一応政府としての御意見を承りたい。つまり政府明年度予算編成にあたつて世界経済状態がどうなつて行くと考えておるか、これはすでに本会議でも論議を盡されております通り世界動向は言うと言わずにかかわりませず、好むと好まざるとにかかわらず、とにかく第三次世界大戦への、準戰時態勢といいますか、そういう機運が今急に強まつて来ておる。各国とも来るべき戰争に備えるために、それぞれ重要な物資を確保することに非常に力を注ぎ、この軍備のために、これら重要物資価格上昇、それに伴う一般物価上昇世界的に強まつて来ておることは、御存じ通りであります。  特に日本の立つております東亜の諸情勢におきましても、御存じ通り朝鮮動乱の発展に伴いまして、中共が介入をして参つた。さらにまた南方の方では、仏領インド支那における動乱あるいはまたマレーとかフイリピンとかチベツトとか、こういう方面における治安の非常に惡化しておる現状、これらを想像いたしましても、いろいろな関係わが国物価全般にも非常な大きな影響を持つて参り、朝鮮動乱の起る以前に比べまして、大蔵大臣みずから物価は一割五分上つたということをはつきり申しております。こういうぐあいに、世界全体の情勢は最近非常にかわつてつております。またこれらの経済動向関連をいたしまして、各国ともそれぞれ統制強化方針を強めて来ております。そういう情勢にありますときに、政府が、国民経済安定帶であります主要食糧統制緩和する、あるいはその撤廃方向に持つて行くということは、世界情勢とまつたく相反する方向でございますが、一体政府は、世界情勢をどう見ておりますか。ひとつ明確にお示しを願いたいと思います。
  9. 安孫子藤吉

    安孫子政府委員 ただいまお話のございましたように、現在の各国状況を見ますと、重要物資につきましては統制を継続し、または統制を始めるというような状況にあることは、十分承知をいたしております。それから食糧等につきましても、各国は相当買いあさつており、統制強化方向に向つておるという国もあるように、私ども承知いたすのであります。そうした環境下におきまして、来年度以降日本におきまする食糧統制緩和いたしますことは、非常な逆行であり、そこに問題がないかというようなお話でございますが、その点については、私ども十分考慮をいたした上の考え方を大体いたしておるわけであります。御承知のように日本食糧統制は、世界ちよつと比類のないほど完璧なものであつて、現在におきましても、日本ほど強い統制をいたしておりますところはなかろうかと思います。非常な食糧不足国に陷りました日本といたしまして、これはやむを得ないことでありますが、ほかの物資につきましては統制がほとんどはずされて、ひとり食糧のみがその姿を今まで持ち来つておるのであります。これをいろいろ検討いたしてみますと、必ずしも現在程度のきつい統制でなくとも、国民食糧需給調整調整をとるには支障はなかろうかというような観点からいたしまして、若干統制緩和して参りたいという考えをいたしたわけであります。特に麦の問題につきましては、実際の配給状況からいたしましても、また統制の技術の面からいたしましても、現在の統制をそのまま続行いたしますことは、かえつて国民経済的にも不利である。また農業生産観点からいたしましても、反省をすべき点があるというふうにも考えられまして、来年度は、麦の統制について相当緩和して参りたい。しかしながら国民食糧自給観点からいたしますと、これを野放図にいたすわけには参りませんので、予算上といたしましては、ほとんど全量を政府が買い上げるという体制だけは整えておきたい。また実施の面におきましても、政府の資本がまだ蓄積もありませんし、また農業協同組合等の活動の力も微弱でありますので、この点も考慮して実際上は大多数のものを政府が買うというような体制になろうかと思うのでありますが、それを買うにいたしましても、従来批判がありましたような、強権をもつてこれを買うという体制はやめた方が適切ではなかろうかという線に沿うて、統制考えて見ておるわけであります。全体の統制をこの際一挙にくずすという考えはございません。順次これを緩和して参りまして、なおいろいろな突発的な問題があり、また今後の国際情勢急変等がありますれば、またそこに考え直し得る余裕を残しながら、問題を解決して参りたいと存じておる次第でございます。
  10. 井上良二

    井上(良)委員 現在のような統制をすることが今日非常にむりだ、だから統制緩和する、こういうような、まことに根拠薄弱な理由統制緩和されるように承るのですが、御承知通り政府みずかち年間三百二、三十万トンの外国食糧輸入しなければ、現在の二合七勺の配給が確保できない。このために莫大な国費を投じて、外国食糧輸入政府は骨を折り、それでもなお不安であるしとて、政府朝鮮動乱以来食糧増産運動を起して、少くとも一割は増産をしたいということで、政府みずから、農林省の内部に増産対策委員会いう特別委員会まで設けて、農民の協力を求めている。日本占領下にあつて年間約三百万トン以上の食糧が不足し、しかもその三百万トンの食糧は、アメリカ市民の働いた金で日本を救済しているというこのことが、日本食糧に対して、大きな関心を道徳的にも要求して来ている。そうであればこそ農民もがまんをし、非常にむりでありますけれども供出を続けて来ているわけであります。このことがなければ日本は自立してやつて行けるのでありますけれども、現にアメリカ市民の働いた税金の中から、日本国民は養われておるのです。そういう窮屈な、しかも年間約百日分の食糧が足らぬというときにおいて、政府統制緩和する手を打つことが、一体妥当であるかどうか。政府のやつていることと、これからやらんとすることとは、まつたく矛盾きわまるやり方ではないかと思うが、これに対してどうお考えになりますか。
  11. 安孫子藤吉

    安孫子政府委員 言政府といたしまして、一方麦の増産運動をやつておるのでありますが、そうしたことと食糧統制緩和との間に矛盾がないかという点が一つあると思います。今から考えますと、日本は、永久的な食糧不足国であると思われるのであります。お話のありましたように、年間三百万トンの前後の輸入をしなければ食糧需給が保つて参れないという情勢におきまして、国内食糧を極力増産をしなければならぬということは、これは当然のことだと思うのであります。しかし食糧増産をしなければならぬということが、同時に供共制度を続行することであるということには、必ずしもならないだろうと考えております。供出制度にはいい面もあり、また生産の上からいろいろ悪い面もあるのでありまして、供出制度をやめたから食糧増産する必要がないという考えはありません。やはり食糧はあくまでも増産しなければならぬが、今般の情勢、今までの経過より考えまして、麦については供出制度はやめて、別途の方策をとる方がよかろと考えておるのであります。  それからアメリカからガリオア資金による食糧輸入をしてもらつておる現状において、食糧統制緩和することが適当でないというお話でございます。これも食糧需給状況からいたしますれば、お説のようになろうかと思うのでありますけれどもガリオア資金による輸入があるから、ただちに現在の態勢を少しもくずしてはいかぬということにはならぬのでありまして、ガリオア輸入がありましても、日本実情はその食糧事情の背景を前提としての食糧事情でありますが、そうしたものに適切な施策を講じて参りますことは、決してアメリカ市民恩惠と申しますか、それを裏切ることにはならないと思うのであります。
  12. 井上良二

    井上(良)委員 今まで日本政府国会に対してのいろいろな御説明によりますと、アメリカ市民負担による食糧援助を受けておるから、国内においては増産もし、またできましたものは最高限にこれを政府に売り渡してもらうということを、常に強調して参つた。またそういふ法的処置を講ずる提案理由にも、そういうことが明確にうたわれたときもあるのであります。ところが、今日それが非常に緩和しておる。たとえば国内食糧増産が行われ、ガリオアによるところの援助が少くなつて輸入が非常に減退したということならば、それは食糧統制緩和理由にもなります。しかし年々外国からの輸入食糧というものはふえて行く傾向にある。減つていない。しかも現にわれわれが働いた金じやない、占領国の方から援助を受けておるこの実情において、統制緩和するということが一体いいかどうか。われわれとしてはこれを道義的に反省して見る必要があろうと思います。同時に、政府は来年の麦について事前割当をやめ、事後のできた分から、政府一定計画に基いて農民自発的意思によつて買い上げる。こういう措置をとるようでございますが、もしさようなことがかりに実行されるということになりますならば、政府予算に組もうとする八百八十万石の麦の買上げが、予定通り行かなかつた場合はどうなりますか。政府はすでにかんしよの買上げ計画を、した。ところかんしよの買上げ一体予定通り行つておりますか。もし八百八十万石の買上げ予定通りできなかつた場合はどうなる。現実に二合七勺の配給に重大な支障を来し、国民生活面に重大な影響を及ぼし、同時に外国食糧輸入はそれだけふえるということになり得るのですが、その面に対してはどうお考えですか。
  13. 安孫子藤吉

    安孫子政府委員 来年度の麦について、政府が八百八十万石を買う。これが買えなければ二合七勺の配給基準に大きな狂いを生じて、国民生活に非常な不安を及ぼすものであるという御指摘の点は、私も十分その点を考慮いたしたのであります。その際にかんしよとの比較をお話しになられたのでありますが、かんしよは一種の価格支持的な意味を持つた買入れをいたしたのでありまして、案外かんしよの価格が私ども考えましたよりも相当高い値段で取引をされたという事情もありまして、二億万貫買う予定のものが数十万貫しか買えなかつたというような実情でありまして、このかんしよと来年の麦とを同じ考え方でもつて扱うことは、私どももただいまから予想はいたしておちぬのであります。麦については、十月の末まで配給の対象にいたしておりますので、価格支持的な意味もありますし、食糧需給の安定をはかろという観点からいたしましても、麦の買入れ価格等について十分考慮をいたして参りたいというふうに思いますので、ただいまお話のありましたように、かんしよと同じように、かんしよの例をそのまま麦に当てはめられまして、ほとんど来年の麦は政府が買うことができなかろうという前提においてのお話は、ちよつと私どもも、そのままそうであろうというわけには参らぬかと思つております。麦については、八百数十万石というわくにはあるいは参らぬかもしれませんが、二合七月のベースを維持するに十分な買入れはできるものであるという考えで、私ども進んでいるのであります。
  14. 井上良二

    井上(良)委員 次に伺いたい点は、麦の統制を来年緩和する、つまり食糧法による事前割当を麦はやめる。こういう御説明のようでございます。ところが食確法の第三條は、農林大臣一定府県別農業計画を定めまして、その実施に関し必要な事項を当該府県知事に指示しなければならぬことになつている。このことは、もしこの法律を執行しようとする場合には、当然本月または十二月までに事前割当処置をしなければならぬことになつている。ところがもしそれをおやめになるということになるならば、この法律改正をやるか、あるいはまた法律についての処置政府は講じなければ、行政府としての任務が行えぬことになると思いますが、どうお考えになつておりますか。
  15. 安孫子藤吉

    安孫子政府委員 いろいろ解釈上の議論はありますが、事前割当の指示は農林大臣一つの権限である、権能であるというような解釈をいたしておりますので、この際ただちに法的な処置を講じなくても、来年度麦の事前割当を指示しなくても、違法ではないというような解釈をいたしているのでありますが、この点については、もう一段と十分に検討を加えてみたいと思います。
  16. 井上良二

    井上(良)委員 法文に明記してありますから、その行為を行わぬ場合は、当然法文改正案要求すべきであろうと思う。それをやらぬということになりますと、行政府としては怠慢であります。はつきりした怠慢であります。法に規定したことを執行するのがあなた方の任務でありますから、それを執行する必要がないという事態が起りました場合は、当然法の改正案を提出すべきでありまして、その点に対しては、今よく検討するというお話がございますから、この程度にいたしておきます。  次に伺いたいのは、今私が申し上げましたように、こね岳百万トンに余ります外国輸入食糧の中には、アメリカ市民負担による部分が相当含まれている。しかもこの援助は来年、再来年とまだ続くのです。国内において重要な米麦等主要食糧の一部が政府の手によつて緩和されるという事情が、かりにこの援助している側の国の国民に響いた場合、当然一九五二年度のいわゆるガリオア資金予算編成の上に重大な影響を持つて来ると、私は考えておるが、そういうことをあなたはお考えなつたことがありますか。
  17. 安孫子藤吉

    安孫子政府委員 国内食糧緩和に伴いまして、ガリオア資金が相当減らされはしないかという樹懸念でありますが、この点は私ども非常に神経を使つたのでありますけれども、ただいまはさようなことはなかろうというふうに考えております。
  18. 井上良二

    井上(良)委員 それはなかろうとあなたがお考えになるのは、あなたの解釈であつてアメリカ国民の方で、また連合軍の万で、国内食糧統制緩和しても、援助の方は依然として従来通りやるからという覚書か何かもらつておるならよいけれども、そんなことはおそらくはつきりしておりますまい。世界的に食糧全般がきゆうくつになり、食糧に対して相当関心が高まつて来ているときに、日本の国においては、食糧が反対に緩和される方向をとつているということでは、そんなに強い援助をしなくてもよいではないかという結論が出て来るのはあたりまえなんです。そうなつた場合、あなたはどうしますか。あなたはなかろうと言うが、そうなつた場合のことも考えておかなければならぬ。この点は非常に大事でありますし、われわれもまたこの点に対して非常な関心を拂つておるのでありますから、この点に対するあなたの見通しを、この際明確に伺いたいと思う。
  19. 安孫子藤吉

    安孫子政府委員 御承知のように、ガリオア資金は漸減の方針をとられることは既定の事実であります。大体現在の予想からいたしますと、一九五三年以降はガリオアはなくなるであろうということが、大体の見通しであります。その前提において、日本といたしましても自立経済を確立して参らなければならぬという状況にあるのでありまして、いつまでもガリオア資金のみにたよることはできない。五一年、五二年も順次相当減つて行くという状況にあることも、井上さんの御承知通りであります。おそらく御貸間の点は、国内食糧統制緩和することによつて、その減り方が非常に多くなるとか、あるいは打切りの時期が早くなるおそれはないかという点の御懸念ではなかろうかと思いますが、私どもスキヤツプ関係におきましていろいろ折衝をいたして参つた経過から申しまして、この程度国内食糧統制の変革をいたしましても、既定ガリオア資金の変更はないというふうに、実は考えているわけであります。
  20. 井上良二

    井上(良)委員 次に伺いたいのは、今お話のように、ガリオアが漸次減つて行くということは、われわれも予想しておるのでありまして、それに対する国内生産力を高め、輸出を振興して、必要な食糧輸入しなければならぬといふ態勢を、日本としてもとらなければならぬことは当然でございますが、ただ私どもその場合に考えなければなりませんのは、政府食糧統制緩和して、特に来年から麦の統制を非常に緩和しよう。従来の供出制度を根本的にかえようという方向におるまであります。そうなりました場合、また一方政府は今国会輸入食糧関税免除撤廃に関する法律案提案をしておるようでございますが、そうなりますと、当然日本産麦外国小麦との国際競合が起つて参ります。はたして日本農民の麦の生産によつて外国小麦との競争が一体成立つとお考えになつておりますか。今のような非常に経営の零細化した、しかも原始的なわが国生産において、多数の人口をかかえた農家経済で、はたして国際的な価格競争に太刀打ちできるとあなたはお考えになつておりますか、それを伺いたい。
  21. 安孫子藤吉

    安孫子政府委員 日本の麦作の将来についてのお話であろうかと思うのでありますが、現在は国際価格よりもわが国の麦の価格の方が低いのでありまして、そういう点から申しまして、必ず今後大いに増産をいたしまして、国内の麦が国民食糧需給に役立つように努力して参りたいと存じます。国際競争との太刀打ちの問題になりますと、この点は外国から入りまする食糧なり麦なりを、自由にしておくかどうかという点に、相当大きな政策のわかれ道があろうかと思います。外国から入ります食糧は全部、ただいまの方針といたしましては、政府が管理をするという建前をとつておりますので、そうした政策をとります限り、国内の麦の増産のいろいろな諸施策に、外国の麦の圧迫が直接加わるということはなく、食糧増産ができるのであるというふうに考えます。
  22. 千賀康治

    千賀委員長 この際ちよつと申し上げます。大臣はきわめて御多忙だそうでございますから、大臣に対する質疑だけをこの際続行いたしたいと思います。井上君もどうぞそのつもりでお願いいたします。
  23. 井上良二

    井上(良)委員 食糧全体の統制緩和し、かつ統制撤廃方向政府は持つて行く、そうなつて来ますと、そのはね返りは当然国民生活に及ぼして参るのであります。この場合の処置を、政府は一体どう考えておられますか。たとえば二十五度産米の生産者価格、それからその消費者価格、その差額というものは、われわれが検討いたしますと、相当大幅な値上げになります。その値上げに対してつまり国民食生活にはね返つて参りまする分については、給與改訂によつてやる。しかし、政府の公務員の給與ベースの改訂に上つて影響を受ける部分は、ほんのわずかな勤労者であります。全国約四千六、七百万の配合人口がありますから、非常に大きな方面にその影響を及ぼすのでありまして、当然値上げによる消費者負担に対して、政府は一体どういう処置をとろうとしておるか。また二十六年度産麦価格につきましては、農林大臣は、農民が納得する最高限度で買入れるということを、きのう本会議答弁をしておりますが、その最高限度買上げました場合、これがまた消費者大衆に非常な大きな影響を與えて行くと思いますが、その場合の処置を、一体農林大臣はどうお考えになつておりますか。廣川国務大臣 統制をだんだんはずして、自由価格に持つて行くような方向にして、それが消費者に及ぼす影響がどうかということでありますが、現在新聞等に発表されておる価格等はまだきまつておりませんので、われわれといたしましては、まだ交渉中でありまして、なるべく消費者価格を上げないように努力いたす考えでおります。これもごく最近価格が決定すると思いますが、消費者にはね返る負担と申しましようか、これは減税によつて十分吸収し得ると考えておるのであります。また麦の価格農民の納得の行く価格で質うということも、これも私が申し上げた通りでありますが、価格がだんだん自由になりますと、対米比等基準年度ころの対米比にだんだんおちついて行くのじやないかと考えておりますので、私はさよう申し上げておるような次第であります。
  24. 井上良二

    井上(良)委員 農林大臣は先般地方長官会議において、本年の産米の供出については、その追加供出ともに各員知事の自主的な供出に責任を持たす。政府としては強権供出はさせぬ。こういう答弁をされておることを新聞で承りましたが、さようでございますか。同時に昨日の本会議でも、それと同じようなことが答弁されておるように承りましたが、もしさようでございますならば、また政府は、明年度の麦に対しては事前割当をやらない、農民要求に応じて政府予定量を買い入れたい、こういうのでございまして——食糧緊急処置令というのがございますが、あなたの御意向でしたら、当然この緊急処置令を廃止しなければならないことになりますが、廃止する御意思はありますか。
  25. 廣川弘禪

    廣川国務大臣 ただいま井上さんのおつしやつた通りでありまして、今まで供出は、非常にアメリカの地方民事部その他の御厚意と協力によつておるのでありますが、いつまでも御厚意、協力にたよらずに、ぜひ知事の権限において自主的に割当てられた供出童を出してもらいたいということを、私申し上げておるのであります。また知事諸君も、各県民諸君も、自主的に出したいという熱意が見受けられましたので、私はさようにいたしておるのであります。但し特定な者で、特定な目標をもつて供米を阻害する者に対しては、これは別でありますが、一般的にはただいま井上さんのおつしやる通りであります。麦に対しましての来年の買入れ方法はあなたの御指摘の通り農民の希望によつて買い入れる、しかも最高限度に買い入れる。こういう考えでおるのでありまして、御指摘の法律があるいは必要でなくなつて来るかもしれませんが、今のところこれをすぐ廃止するという考えは持つておりません。
  26. 井上良二

    井上(良)委員 ちよつとそこが……。これはあとでまた事務当局にも伺いたいと思いますけれども、お米の場合はまだ統制を続けて行くことの方針のようでありますからよろしうございますが、麦の場合は、当然統制緩和することになつておりましてすでに法的な執行もしていないのでありますから、ただちに廃止ができなくても、この食糧緊急措置令の中に規定してあります麦の部分なり、雑穀の一部は除く必要があろうと思います。そうしなければこの法律体制をなさぬと思いますから、この点について私は、御注意を申し上げておきたい。  この際さらに大臣に伺いたいのは、米価審議会というものが農林大臣並びに安本大臣の両管轄のもとに持たれておりますが、これが今月まで一回も開かれていない。聞くところによりますと、昨年政府の方では原案を持たずに米価審議会を開いたがために、審議会が非常に紛糾を来した。政府から原案を持つて来いということであるから、今年は原案をつくつて行きたい、こういうことで、一応準備をされておるのにひまがいつておるのではないかと考えておりましたところ、政府の最近の動きを見ておりますと、すでに二十六年度予算の基本となる米価が、司令部の方との間に大体の話合いがついて本年の産米価格はこれにするという、動きのとれぬ案が十分でき上つておるではないか。それを米価審議会にかけましたところで、米価審議会は、單なる政府原案を承認する承認機関になつて、この審議会の趣旨の、いわゆる各方面の権威者を集め、いろいろな人々の意見を聞いて、最も国民が納得する価格をきめようという民主的な運営は、ここにおいてまつたく葬られてしまうことになるが、大臣は一体これをどうお考えになりますか、その点について伺いたい。
  27. 廣川弘禪

    廣川国務大臣 先ほどの法律の問題につきましては、これは愼重に検討いたします。  それから米価の問題について米価審議会をなぜ開かないかというお話でありますが、これはあなたの御指摘の通り、ある程度の目途を見て、そうしてかけるのが、適当だと思つて、実は延ばしておるのでありますが、どういたしましてもこれは農民諸君の納得の行く価格にしなければなりませんので、あなた方が指摘されておるいわゆる低米価反対を取入れて、われわれとしてはぜひ高米価に持つて行きたい、こう考えておるのであります。いつまでも低米価で農民を圧迫することは、われわれとしては絶対に反対であるのであります。その高米価をつくるのに非常に骨を折つておるようなわけでありまして、農民が喜んで納得して行くような案を二十九日にかけて、そうして審議会も、ほんとうに心から納得の行くような案を提出するようにいたしたいと考えております。
  28. 井上良二

    井上(良)委員 非常に力強いお話を伺いましたが、これは單に廣川大臣のこの場における一片の朗報的な答弁で終らされては、農民はまつたくぬか喜びになります。しかしらば大臣は、米価審議会がかりにこれが公正なる価格として結論を出しましたものを、二十五年度産米価格として決定する意思がありますか。
  29. 廣川弘禪

    廣川国務大臣 米価審議会も、賢明な、しかも日本情勢をよく御存じの方々のお集まりでありますので、われわれが農民の喜ぶ、しかも高米価の線に沿うた一つの案を持つていけば、これは納得して、むりなことはしていただかないだろうと、私は信じております。
  30. 井上良二

    井上(良)委員 そこが非常に大事ところであります。政府政府として一つの科学的基礎により、諸情勢も勘案した原案を提出されるのであろうと思います。ところがこれを生産者代表なり、消費者代表なり、また学識経験者等が、それぞれの立場から検討して、これが最も妥当な価格だと決定いたしましたものを、政府は一体承認しるかどうか。実行するかどうか。あくまで原案を固執して、これでなかつたらいかぬという説明納得に努めるつもりで出て行くか、それとも民主的な決定に従うか、どちらかという御答弁を明らかに願いたい。
  31. 廣川弘禪

    廣川国務大臣 たいへんむずかしい問題でありますが、審議会の意見はわれわれは十分尊重いたすのであります。ところがわれわれといたしましても、毎日々々何百人という農民層の陳情を受けております上、また農民団体の中間における折衝等もありまするので、われわれが大体の目途をつけたものに対しましては、多分非常な賛意を表してくれると私は信じておるのであります。
  32. 井上良二

    井上(良)委員 そこがおかしいのです。あなたは、自分のつくつたものは、何かの教典みたように、絶対動かすことができぬ、これはいろいろの方面の意見を聞いて原案をつくつたのだから、これに納得してくれというて、原案をむりに審議会で承認をさすような形で臨もうという腹じやないかと、私は今感づいたのです。そうなりますと、この審議会はまつた意味を失つてしまいまして、何らの価値はないのであります。そのあなたの腹ならば、そういう審議会はかえつて煩雑多岐をきわめて、何ら意義を持ちませんので、やめた方がいいと思う。しかしできるだけ多くの人の意見を聞き、公正妥当な決定をいたすためにこの審議会がつくられておるのでありまして、この審議会の結論こそ日本国民が納得し、農民が納得する結論になり得ると思いますから、それによつて、本年の米価はこうだということを発表されることが、最も正しいと思いますが、そうお考えになりませんか。あまりしつこうなりますから、この問題はこれでおきますが、ひとつはつきり御答弁願いたい。
  33. 廣川弘禪

    廣川国務大臣 あなたが農林次官時代におやりになつて、よくおわかりだろうと思うのでありますが、あなたがあの当時に臨んだ心構えと、ちつともかわつていないことを御了承願いたいと思います。これはあくまで農民の納得する価格で、政府も審議会も満場一致で一致させるように持つて行きたいと私たちとしては気持の上で思つております。
  34. 井上良二

    井上(良)委員 今の米価の問題につきましては、一応連合省議を開かれてお検討願いたいと思う。もし政府がそういう腹でお臨みになりますと、審議会はたいへんな問題を起して来ると思いますから、ひとつ審議会の立場を十分御了承くださつて適正な米価の決定をはかられるように、お手配を願いたいと思います。  多少あとさきになりますけれども、もう一点同います。生産者価格の引上げによつて、当然消費者価格が大幅に上つて行く。消費者価格の大幅の引上げが、消費国民全体に大きな負担になつて行く、その負担はどうして埋め合すかといえば、減税によつてやるとこう言う。政府は一体来年の減税をどのぐらい器考えになつておりますか、この追加予算に現われます一月から三月までの減税を何ぼ考え、さらに二十六年度に何ぼお考えになつておりますかそれを伺いたい。
  35. 廣川弘禪

    廣川国務大臣 大体補正予算においては、御承知のように五百億程度の減税をし、来年度においては、現在の折衝では七百億見当を減税するというように、われわれとしては聞いているのでありますが、これによつて大体吸収できる、こういうように思つております。また井上さんは、多分新聞に載つている消費者価格を基礎としての御見当のようであり事が、われわれは、あれよりももつと下げたいと思つて目下折衝中でありますので、数字は申し上げられませんが、われわれといたしましては、下まわるように努力中でございます。
  36. 井上良二

    井上(良)委員 あなたは大蔵大臣のことを請売りしてそう言われているのかもしれませんが、御承知のように朝鮮動乱が起りまして、現に昨日の本会議において大蔵大臣は、物価は一割五分上つているということを言われている。一割五分上つて、そこでもつて減税を多少いたしましても、国民のふところは結局何にもならぬということになるのです。そういうそろばんが出で来る。だから、これだけ上げても上げた分だけは負担になる。物価が上らぬと思つて減税にするということならば、それだけ財布の底は潤うて来ますので、そこで米価を上げてもちよちよんになりますが、現実に物価は上つて行く。上つて行けばやはりそれだけ減税をいたしましても、新しい米価の値上げによつてまた今度全般の物価が上ります。そうなつた場合は、何とが政府としては打つ手を考えなければいけません。そこへ持つて来て、一方輸入税撤廃政府考慮しているから、今はまだ外国食糧は高いのでありますけれども、近く国際価格にさや寄せされることは明らかである。そうなつて来ますと、当然ここにかつて政府がやりました消費者方面における補給金制度、二重価格制度というものを今から検討を加えて、準備をする必要があろうと思いますが、これに対するあなたのお考えを伺いたい。この意味は、食糧国民経済安定帶であつて食糧がどうなるかということで、全体の物価及び賃金に影響し、貿易にも影響して来ますから、その面で食糧を安定させることが一番大事であります。そこで二重価格制度というものを、この統制緩和と並行して政府考えて行くべきではないか、私はそう考えております。これに対するあなたの御見解を伺いたい。
  37. 廣川弘禪

    廣川国務大臣 物価が上つて行く上についてそのくらいの減税では国民に何らの利益にならないじやないかという話でありますが、しかし朝鮮事変以来国民所得が非常にふえて参つて来ているのでありまして、上昇の度を示しているわけでありますから、これによつて非常に違つて来ると思つております。  それから食糧国民の安定度をきめる最大のものであることは、あなたのおつしやる通りでありますが、ここで私たちの考えている食糧政策として、外国から輸入される食糧は、これは国によつてまとめて管理したいという気持であるのでありまして、あなたのおつしやるいわゆる二重価格とまでは行きませんが、それによつて調節されるのでありまして、そのまま国際価格のあらしに国民をさらすというようなことはないと、私は考えております。
  38. 足立篤郎

    ○足立(篤)委員 井上委員が先ほど質問されまして、長官からお答えがありました。幸いに大臣が見えましたので、根本的な問題を一点だけこの機会に明らかにしておきたいと思います。  井上委員は、統制撤廃する方向に持つて行くことは非常な危険がある。それが諸外国に及ぼす影響も心配されるというような御説でありまして、これは見解の相違でありますが、私の考えでは、統制というものはやむを得ざる場合にとられた過渡的な措置であり、許されるならば、一日も早く自由な経済をここに復活するということが、国民生活上からいつても最も望ましいという観点に立つております。しかしながら先ほど長管もお答えになりました通り、野放しに自由にするということは、最も要要な生活度を安定するために、最も必要な食糧の問題でありますから、無責任な自由放任主義はいけない、それがために政府が今日とられんとする方策は、徐々にこれをはずしまして、影響度をなるべく緩和しつつ自由に持つて行くという、まつたく理想的な行き方をとるのではないかと私は考えるのでありまして、来年の麦の問題については八百八十万石の予算を組んでいる、これに対して井上委員は、これがもし買えない場合にどうするのだというような御意見でありまして、これに対する長官のお答えは明白でなかつたと思うのでありますが、私の考えでは、これこそ最も完璧なる価格補償制度である、全量を買上げても困らないだけの予算を組んでおりまして、しかも大臣の言われるように、なるべく高い価格で、農民の納得する価格でこれを買い上げ得る態勢をとることが、最も完全なる徹底した価格補償制度であり、これこそ今後の農村のために最も歓迎すべき制度ではない州と私は確信するのであります。同時にまた、これによつてもし政府が買えたいという場合を考えますれば、それこそ喜ばしい事柄でありまして、農民政府に売らなければならぬという義務はないのでありますから義務がない場合に、農民が自由意思で政府に売らないということは、これ以上に農民の所得が他の面で得られるということを証明するものであります。今大臣の言われる高い価格というものを、それ以上に麦の自由価格が上まわれば、農民はそれだけ喜ばれると、私はこれは簡單に考えてさしつかえないと思うのであります。こういつた意味合いからいたしまして、来年の麦の買入れについての政府の今準備している根本的な費え方は、今私が申しました価格補償という意味合いであるかどうか、また買えない場合は、これは決して二合七勺の配給にこだわる必要はない、他の面五消費者は楽に手に入れている、自由販売の時代に移りかわつたものと考えていいかどうか、この点について大臣の根本的なお考えを承つておきたいと思います。
  39. 廣川弘禪

    廣川国務大臣 統制から除々に自由に進めて行く上において麦の買入れ価格についての価格の問題でありますが、これは前々申し上げている通り、適正な価格で、農民諸君の喜んでくれるような価格で買い入れれば、必ず私は農民諸君が売つてくれると思うのであります。またこれが自由になりまして煩雑な手を経ないで買えるようになりまして、しかも近いところで便利に買えるようになりますと、そこに自然市場とでも申しましようか、そういつたものができまして、食糧の安定度がかえつて高まると、私は考えているのであります。  一方米につきましては一合五勺の基準をはつきり配給いたすのでありますから、決してその点は私は心配ないと思います。
  40. 千賀康治

    千賀委員長 大臣に関するものだけ先におやり願います。
  41. 宇野秀次郎

    ○宇野委員 大臣に対する質問を二、三いたしたいと思います。  大臣は御就任のすぐあとかと思いますが、配給基準量を一句ふやすというようなことが新聞に発表になつたのであります。当時消費者階層においては、非常な朗報であつたのでありまして、多くの期待を大臣にかけておつた次第でありますが、その後配給数量をふやすという問題は一向実現はいたしませんし、しり切れとんぼのようになつてしまつているのでありまして、これに対して大臣はどうお考えになりますか。
  42. 廣川弘禪

    廣川国務大臣 米麦で一句増配できるような情勢にあるかどうかということを、事務の方に私命じまして作業をしてもらつてつたのでありますが、この米麦のみで一勺増配はなかなかむずかしいような報告が来ておるのであります。ただここでフリー・クーポン制を実施いたしますと、この間の調節が非常にうまくとれて参りますので、実質的にはそういつたようなことがあるのではないかと私は考えますが、ただ粉食を入れた場合に、粉食を入れて一句増配したのでは、粉食の配給辞退等から考えて決して喜ばれないというような考えからいたしまして、フリー・クーポン制の実施のときにでも、多少ここは考えるべきではないかと、私は考えておるのでありますが、現在のところ、米麦の粒のままで一句増配というようなことは、なかなかできないような数量で現われて来ております。
  43. 宇野秀次郎

    ○宇野委員 先ほど食糧庁長官は、麦の配給は大体来年の十月ごろ廃止するというようなことをおつしやつたのでありますが、一面来年の七月ごろに廃止するという説も伝わつておる。これは十月がほんとうで、十月からやられることになるのですか。  それからフリー・クーポン制とおつしやつたが、これはいつから御実施になりますか、この点もひとつお伺いいたします。
  44. 廣川弘禪

    廣川国務大臣 フリー・クーポン制は一月から実施いたしたいと思つております。  それから麦の統制廃止は十月からと思つております。
  45. 宇野秀次郎

    ○宇野委員 これは毎年のことですが、いつも米価の決定が非常に遅れておるのは、私ども非常に遺憾に思つておる。今年も今もつてまだ決定されてないという状態である。これに伴つて雑穀等の価格もきまらない。特に米価の方は大体価格の見当はついて来るのですか、雑穀については、この統制解除という線が相当浮び上つておるために、主産地である北海道等では、雑穀の供出を農家が非常に見合わせる。統制解除という先を見て手控えるというような傾向が、最近出て来ておるのである。この際米価格の決定をなぜすみやかにできなかつたか、これらの理由お話し願いたいことと、それから雑穀の統制を解除するというお話であるのでありますが、一月からやるとか、あるいは二月からやるとか、いろいろ伝つておるのであります。これらに対する見通しを、なるべく早い機会に御発表願わなければならぬ。本日承れれば非常にけつこうであります。なお雑穀については大豆、とうもろこしは除くと先年来言われておつたのでありますが、はたして今後もそういう御方針をとられるのか、一緒に統制を解除せられるのか、これらの点を……。
  46. 廣川弘禪

    廣川国務大臣 雑穀の統制につきましては、豆を除いたすべてのものは一月からはずしたいと思つております。ただ豆は供出関係等もございますので、これは供出完了後ということで、三月ということにきめておるようなわけであります。価格につきましては、雑穀の価格も米と一緒に決定いたす所存であります。遅れた理由ということですが、これはわが党が主張しておる、農民に納得の行く価格をつくるために遅れておるのでありまして、いわゆる高米価ということにして行きたいということでやつております。
  47. 宇野秀次郎

    ○宇野委員 次は早場米の制度について承りたいのであります。早場米は昭和二十年から実施されたと思います。大体五箇年間ああいつた制度が行われておつたのであります。まず、この早場米の制度そのものは、結局は需給調整を円滑ならしめるためという理由が、大きな理由であつたと思うのであります。今日の状態からいたしますと、どちらかというと、早場米の制度というものは前途が悲観される。来年度の予算においても、半減して三十億ぐらいの計上を見るというようなことを聞いておるのでありますが、これは今日においては、需給調整の円滑という面よりも、むしろ單作地帶の農家の收入を保護するという政策に、かえつて大きな強みがあるとわれわれは見ておるのであります。五年間実施して参りまして、單作地帶の農家にとつての一部の潤いであつた政策が、今言つたような情勢の尾とに廃止される、あるいは半減されるということで、そのままでいいかどうか。すなわち單作地帶における農家というものは、これらの供出代金が農家收入の九〇%からを占めておる。單作地帶以外の一般農家においては、四〇%ないし五〇%くらいが供出代金の收入になつておる。こういうぐあいに、ほとんど一〇〇%に近い供出代金の收入だけによつてつておる單作地帶農家というものは、ここで早場米制度がなくなりますと、非常な收入減となりまして、農家経済を圧迫するのであります。この際これらの半減されるとか、あるいはやがて廃止されるということに対して、農林当局といたしましては、單作地帶に対する何か補助制度というようなことを、お考えにならなければならぬと思うのであります。聞くところによりますと、單作地帶の助成法案といつたようなうとも、お考えになつておるやに聞いておるのでありまするが、特に来年度半減されるというようなことによつての單作地帶の農家の前途に対する危惧に対しまして、そういう案がありまするなら、すみやかにこの機会に御発表願いたいし、あるいはそういうことをぜひやりたいというお考えならば、そこいう御声明を聞きたいと思つておるのであります。
  48. 廣川弘禪

    廣川国務大臣 早場米の報奨制度広ありまするが、国で食糧をだんだん多く持つようになり、早場米の実際価値というものはだんだん低下いたしておるということは、御存じ通りであります。しかし一方これを單作地帶の單作地の奨励費として見た場合には、大きな意味があるのでありまして、これを急に減らすことなく、来年度も三十億程度のものを予算に計上いたしておるのでありますが、これを御指摘のように、單作地帶に対する何かの報奬の形を、われわれといたしてもやりたいという考えを持つております。具体的なものはまだありませんが、委員会等におきましても、何か適当な案があれば、お示しを願つてお互いに、これは農民のためでありますから、研究をするのがほんとうぢやないかと、私は考えております。
  49. 小笠原八十美

    ○小笠原委員 今、食糧の問題で、いろいろな角度から各同僚より御質問があつたようでありますが、一体食糧の根本をきめるには、食糧というものは一体どこに根本を置くのか。もちろん、米麦のほかにも魚もあるし、畜産もあるし、いろいろある。総合的な研究をして、いつまでもアメリカのおせわになつてないで、いつかはわれわれが自給しなければならぬという時期が来る。これが理想である。それに向つて廣川農政というものの方針をきめなければならぬ。しかもまた一方には九州あり、北海道ありで、こんな長いところであるのに、一律に考えたのでは、今、宇野君から言われた早場米の関係でも東北、北海道ほど不幸な所はありはしない。同じ時期に出せと言つても向うはだめなんだ、乾燥ができずにいつもやられてしまつて、これがために、非常に裕福で恩惠を受けておる幸福な所もあれば、東北、北海道のように、十日間延期してもらえば、それで平均がとれるのを絶対許さんとか、何だかんだと事務当局に抑えられて、不幸を見ている場所もある。衣料切符のごときもその通り、北海道も九州も東北も一律にやつておる。東北、北海道は相当な負担をしておる。いくら政府に貸しがあるかわからない。これはデラ台風の災害なら補償はできるけれども政府の失政による損害は、政府の方で見てくれない。これは災害と同じことである。こういう貸しのあるときに、幸いにして廣川農林大臣のように、政党の方面に明るくて、前には大政党の幹時長をやつた方が、農林大臣という百姓の親方になつたのであるから、この解決をつけるときは今である。なまぬるい考えではだめだ。こまかい部面において食糧問題を解決づけるということの研究をなされて、時期的に、地方的に、それから米麦のほかにいもであろうが、魚であろうが、畜産の関係もそれらの問題を全部食糧ということに織り込んで、どれをどれだけ増産したならば、これはどういうときに、どういう解決がつくということを、こまかくあなたは説明をなす方針をまず定めなければならぬ。いくら論議しても、アメリカのおせわになろうだの、なるまいだの、来年の見通しはどうのこうの、人のさいふの見通しなんてべらぼうな話です。こんなことはやめた方がいい。実際の問題をまずもつて自分の方で解決をつけて、しかる後に人のさいふをあてにするのがほんとうの政治の根本だ。それをまずお定めにならなければならぬ。ことにどの党の内閣が出たつて、財界懇談会をやるのにどこへ行く、大阪にきまつておる。東北、北海道に行つたことはない。それだけ貧乏だということを政府そのものも認めておるのです。認めておつて、片方の負担は同じにしてやつておるということはなさけない。それだから廣川農相は、これをのがさず、大きな手を打つときは今だ。だからその方針をしつかり大きなわくにおいてこまかいところまで定めて、ひとつわが農林委員会に、こまかにこういう方針だということを示していただきたい。安孫子長官は米麦ばかりを論ずる、畜産局長は馬だの牛だのばかりやつておる。開拓局長は山のてつぺんまで開拓、々々。林野庁の長官が来れば木を植えろ、木を植えろ、こればかりやつておるわれわれは聞いていておかしくてたまらない。だからその元を締めておる農林大臣は、どういう方針で行くんだそしてどこで抑えるのだということを、まずもつてお定めなすつた方がいい。それから区々なものを論じて、この点は多いとか少いとか。これをやるにはこういうことでやらなければならぬ。時期はこうだ、時期を選び、地方的には北海道はこうしろ、東北はこうしろ、九州はこうしろ、こういうことで、全国から集まつた委員諸君の意見をよく織り込んでやれば完全にできるのですから、その根本方針をお定め願いたい。そしてそれを聞いた上でいろいろ論議したい。食糧問題は大切だからひとつ大研究してやつていただきたい。肥料にしても、通産省になめられてぺしやんこになつておる。こんな農林省ではだめだ。しつかりきめてかかつていただきたい。それを強く私は要望する。
  50. 廣川弘禪

    廣川国務大臣 小笠原さんのお話しごくごもつともでありまして食糧が單に米麦のみでないことは、国民全般承知通りであります。特に最近となえられておる雑草の食糧化とでも申しましいうか、畜類を食糧倉庫とする考えでありますが、これもこの間実は黒澤氏といろいろ研究いたしたのであります。現に日本においては、三百万頭の乳牛を入れることができる。どういうことかというと、現在役牛を合せますと三百万頭おるのでありますが、これを半分乳を出させて、半分働かせるようにした、欧州あたりの牛のようにすると、三百万頭の乳牛が日本にいて、まず食糧の解決はこれでできるという黒澤君の意見でありますが、非常に傾聽すべき意見であります、さようなところまでやはり食糧の問題は考えなければならぬ。また鶏にいたしましても、單に魚のかす等を飼料とせずに、鶏の飼料をどうして行くということ、ここでもまた食糧の解決がつく、そういつたようなぐあいで総合的な広い範囲における対食糧政策を立てることが、最も必要だと考えておりますので、省内におきましても、完全な対食糧政策を持つように努めたいと思つております。
  51. 千賀康治

    千賀委員長 吉川久衛君。
  52. 吉川久衛

    ○吉川委員 時間がないようでありますから、簡單に大臣に対して、一、二の点をお伺いいたします。一つは基本的な問題であります。一つ生産農民に重大なる関係を持つものでございます。  その第一点は、政府食糧統制を解除、もしくは緩和をして行くと言われるのでありますが、これは自由党の政策が自由資本主義の経済政策をとるのであるから、それで統制を解除もしくは緩和して行くと言われるのであるか、それとも生産が増強されて、食糧の供給が十分になつて来たから、統制を解除されるというのか、その点をはつきりしていただきたいと思います。私どもの見るところでは食糧はまだ十分供給される状態にないと思います。ことに日本国内の供給度はまことに心細い状態でございます。しかるに最近の国際情勢考えますと、日本の国でかつてにいろいろの輸入計画を立てましても、それは国家の資金の問題だけではなしに、いろいろの国際情勢関係から、計画通りに実現できないような事態も予想できないような状況にあるときに、私どもがかつてにこの統制を解除して行くことは、非常に危險なことであると思います。そもそも統制というものは、私が論ずるまでもなく、これは需給のアンバランスのはなはだしい状態において起る問題でありまして、少くとも今日までとられて来たところの統制方式は、需要に対して供給が非常に少かつたということである。もう一つ私の憂慮しておる問題は、今後食糧の供給度が非常に高くなつて、需要度をはるかに上まわるというような場合にも、特に農民の保護政策として、この統制の問題が大きな問題になつて来ると考えておりますが、それはしばらくおいても、とにかく現在の需要に対して供給の非常なアンバランスの状態にあるときに、この統制をはずされるところの御所見はどういうことであるのか、はつきり伺いたいと思います。ことにあとの場合につきましても、今日世界の、特にアメリカ農民は、穀物の過剩による農民恐慌に非常におびえておることは、賢明なる大臣も十分御存じであろうと思います。日本農民もまた、この問題を非常に憂慮いたしております。こういうときに統制を解除する、少くとも緩和して行くということを盛んに新聞に発表されますけれどもあるいは新聞に発表されなくとも、そういうお気持がまく世の中に流布されて、非常に生産農民を憂慮させておりますが、この不定の度合いを少くするために、心配させないようにするために、解除する根本的なお考え方を明確にされることと、またされるような場合には、その後にどういう措置をとられるかという対策を、あわせて発表されないことにおいては、不必要に生産農民の気持をいら立たせるという非常な弊害がございますので、どうかこの根本的なお考え方を、はつきりとお答え願いたいと思います。
  53. 廣川弘禪

    廣川国務大臣 われわれ自由党といたしましては、食糧に限らず、すべてのものが自由経済の基底の上に立つべきものであるという根本思想にはかわりがないのであります。この線に沿うてわれわれは政治を行つておるのであります。ただ食糧は、単にこれを自由にすることがよろしいか悪いかというようなことは、いろいろ問題があると思いまするが、われわれといたしましては、ある程度統制を加え、ある程度の自由を加味した方向で行こうということにいたしたのであります。日本食糧がまだ自給度に達していないのにかかわらずなぜやるのかということでありますが、毎年繰返して農民とわれわれとの間でやつておる供出の問題につきまして、これをいかに自主的にやろうといたしましても、供出をしたくないという農民の気持は、決して忘れることができないのであります。今まで供出を強制的にやつてもらつておりますが、いつでもこの供出の問題について、会議がうまく運んだことはないのであります。いつもわれわれといたしましては苦しい思いをし、また農民自身も満足した供出の仕方というものはほとんどないのであります。こういうようないろいろな点を考えて、われわれといたしましては、少くとも麦は一応これを自由にしてみよう、但し自由にいたしましても、麦はある程度農民の欲する額を買い取ろう、今までの農民が売りたいという額は、今までの供出量によつて大体算定がつくのでありまして、来年度は相当額、今までの供出よりももつと強い線でこれを買い上げて行こうというようにいたしておるのであります。また国際情勢等のお話でありましたが、現段階におきましては、少なくともわれわれの希望しておる輸入量が入つて来る見込みがついておるのであります。しかも外国から入つて来たものを国で管理いたしまして、そうして農民が国際的なあらしの中に省き込まれないように、一つの線をきめてやつて行きたいと考えておるのでありまして、生産農民の意欲を減退させるような方向には、決して参らぬと考えておるような次第であります。
  54. 吉川久衛

    ○吉川委員 大臣のお答えはまことにけつこうでございますが、あまりけつこう過ぎて、私どもには非常な不安があるのであります。廣川大臣は御就任のときに、私は森農政をそのまま引継ぐ、こういうことをおつしやつたのでありますが、どうか廣川さんは森農政をお引継ぎにならないで、廣川農政というものをひとつ確立してもらいたいと思います。なぜかと申しますと、森さん以来今の政府は、農政については一貫したものを持つていない。その場その場でもつて手を打たれて行くということが、非常にわれわれ不安に思つておる点でございますが、どうかひとつ廣川農政を確立して、一貫したものを樹立していただきたい。  それから廣川さんは朗報を盛んに発せられる本山ということを言われておりますが、どうか朗報だけでなしに——どうも朗報が最後にはうやむやになりますから、うやむやにならないように、高米価問題も徹底的におやりを願いたいと思います。井上良二委員にお答えになりましたところによりますと、井上さんの農林政務次官のときと同じような気持でやると言われましたが、私は井上さんと同じような気持でやられることに必ずしも反対はいたしませんが、それでは不十分だと思います。御就任のときに廣川さんは、私は農政に関してはしろうとだ、だから国民の代表である皆さんの意見を尊重して大いにやると言われましたが、どうか米価審議会の委員諸君の言われることに十分耳を傾けて、これを尊重し、これによつてあなたの言われる高米価をやつていただきたいと思います。これは国民に大きな影響を及ぼす問題でありますので、どうかそういう点をひとつ心にとめてお願いしたいと思います。自由党の政策として自由経済に持つて行くのが理想である。しかしながら物の不足の時代であるから、これをすみやかにやることはできないから、ある程度統制をし、ある程度は自由にして行きたい、私の言うところの晝夜経済の理論にたいへん近づいて来られたので、私は必ずしも反対はいたしません、そこで井上氏も述べましたところの、二重価格制をもう少し私は徹底していただきたいと思います。廣川さんは一割増産を提唱されております。一割増産けつこうでありますが、一割増産の裏づけとなるものが、予算的にいたしましても、その他にしても少しも具体化されておりません。自由経済の方式は、これは非常に能率的な生産の方式であるからこれをとるのだ、そのために統制を解除もしくは緩和して行くのだ、こういうことをお考えじやないかと私は思います。しかし統制を解除されまして、またすぐ統制をする、統制をしたものをまたすぐ解除するということは、その間に操作の上に非常な混乱を招きます。そこで、さようなことを絶えず繰返されて迷惑するのは国民であります。一つ見通しを持つて、これを五年、十年——百年とは申しませんが、見通しを持つてなされるならば、今の非常に立ち遅れたところの日本農業生産の方式を考えれば、かりに供給が過剰になつて来たときも統制はある程度継続しなければならないと思います。もしそれをやらなければ恐るべき農業恐慌が来るということをいつも頭に置いて、統制の問題を考えていただかなければならない。これは遅れた農民の保護政策として絶対に必要です。それを軽々しく統制を解除、統制を解除ということを口にされることは、非常に大きな問題が起ると思いますので、十分この点は御注意を願いたい。そこで統制を……。
  55. 千賀康治

    千賀委員長 なるべく簡單に願います。
  56. 吉川久衛

    ○吉川委員 統制緩和されるならば、それに対するところの対策をどうするかということを、いつもはつきりお示しを願わなければならないと思います。その辺の御所見を伺つて私の質問を終ります。
  57. 廣川弘禪

    廣川国務大臣 御親切な御意見でございますが、農政は結局農民のための農政でなければならぬのであります。森君の農政、廣川の農政というものでなく、農民のための農政であると思つて私はやつておるのであります。ただ事務的に森さんから引継いだということをこの前は述べたのであります。どうしても農民の納得の行く農政をやらなければ、農民諸君がついて来るわけはないのでありまして、そういう点で私は真剣に取組んでおるのであります。ただ統制解除を手放しにして、それについての対策がなくちやいかぬいうことでありますが、私たちといたしましては、かりにこの麦をはずすについても、十分対策を考えてやつておるのであります。しかもあなたの御指摘の通り、麦をはずしたことの根底には、やはり能率的というような考えも含まれておる。いろいろな諸條件を入れてかようにやつておるのであります。それからまた食糧の一割増産でありますが、これはどうしても増産をいたしまして、食糧の自給度を高めなければならぬのであります。現地輸入にのみたよつておりますが、不足の分は国内においてもつともつと補う余地があると考えてやつておるのであります。また来年度の予算をごらんになればわかりますが、これについては、相当の額を予算の上に現わしておるようなわけであります。そこでこれを空念仏でたく、予算の裏づけによつて推進して行きたい。しかし予算には限度がありますから、そうみんなが満足するほどには行かぬでありましようが、これの裏づけをいたしまして食糧の自給度を高めて行きたい。こういう考えでやつておるのでありますから、あなたのただいまの御注意は、十分われわれといたしましては考えてやるつもりであります。
  58. 千賀康治

    千賀委員長 次は深澤義守君。
  59. 深澤義守

    ○深澤委員 統制撤廃といい、また立米価政策といい、農民に対しては何か一つの期待が持たれるように考えられるのであります。しかしながら問題は、日本の農業経済がそれによつてはたして成立するかどうか、農民の生活が楽になるかどうかという問題であります。そこで私は、農林省の統計調査部が発表しておりますところの農家経済の調査を見ますと、二十三年度におきましては、三万円の黒字であります。これは大体全国の農家の一戸当りの状態です。二十四年度におきましては、それが四万円の赤字という状態になつております。まさに農家経済は破綻であります。農業恐慌の深刻な状態に置かれているということが言えるのであります。ところが昭和二十五年度の経済を見ますと、野菜や豚や牛馬や、あるいは鶏卵等は、三割ないし五割の下落であります。肥料は六割ないし七割の値上げであります。衣料も三割ないし五割の値上げであります。農機具も三割ないし五割の値上げであります。電気料も、農事用電力を含めまして三割ないし五割の値上げであります。そして廣川さんは、今度は高米価政策をとられておるということになつておりますが、米価が四千二百五十円から五千二百円になりましても三割弱の値上げであります。この状態を考えますと、どう考えてみても農家経済は、米価が上つても、その他の物価か非常に高いために引合わない状態になつて行くわけであります。われわれは、高米価あるいは統制撤廃ということによつて、決して農家の経済を根本的に解決できるものではない、こういうぐあいに考える。そこで問題は、米価が上ればそれだけ農民の所得が上る、農民の所得が上ればそれだけ税金を高くとられるという結果です。従つて問題は、徹底的に税金を軽減するということ、それから肥料をなぜそんな高い値段で農家に押しつけるか、肥料公団が買つている値段は、あの統制下における四百四十円以下で買つているのです。それを現在七百円で農民に売つているのです。しかもこれは政府が今勧告しているのです。なぜそういう高い値段で押しつけてまで、日本農家経済を破綻させるか。こういう問題を解決しなければ、あるいは高米価といつて五千二百円以上の値段にきめましても、あるいは統制撤廃というて、官僚的なあの供出から農民がのがれても、依然として農家経済というものは解決しないのです。この問題について廣川さんは、徹底的な農民の減税をどんなぐあいにやられるか、肥料を七百円以上の値段で売りつけるということでなしに、昔肥料公団の買つた値段でこれを売るというところまで英断的にやらないか。あるいは衣料の問題にしても、衣料を扱うところの資本家は非常にもうかつております。何十倍というもうけをしておるわけです。衣料の資本家にはもうけさしておいて、農民には高い衣料を押しつける、これではどうしても農家経済はやつて行けないのです。私は、おそらく戰における最も重大な危機が今農民に来ている、この問題を解決せずしていかに高米価をとなえ、いかに統制撤廃をとなえても、根本問題は解決上ないというぐあいに考えております。この点についてひとつ廣川さんの率直なる御意見を承りたいと思います。
  60. 廣川弘禪

    廣川国務大臣 御指摘のように、農家経済が惡くなつておることは事実であります。そこでわれわれは農家経済を真に安定せしめたいというその政策の一環から、米の価格を上げることはその一つであると思います。なおまた肥料の問題につきましては、公団で買い上げたものを元の価格で出します。と、市場を圧迫いたしまして肥料の生産家をこわすことになるのであります。将来長い目をもつて見て行く場合には、どうしても肥料の生産家に対して、もつと安くでき得るようにさせなければならぬのであります。それでここで大きな刺戟を與えて、あのあなた方の一番きらいな資本家をつぶしてしまうというと、肥料の生産に非常にさしつかえますので、ある程度これは見ておいて、そうしてこの生産家にたくさんの——現在夜業を主としてやつておるような肥料事業に対して、晝夜電力を送り得るような方法を考えて行けば、おのずと下つて来るのでありますから、そういうような点、あるいはまた綿糸の点でありますが、これも御指摘のように、ある種のものはもうけておるでありましよう。しかしこれも現在のところは、外国価格が非常に高いがために、国需の画については売ることを非常に欲してないようでありますが、そういつたようなことのないようにいたしまして、国といたしましては生産のコストを下げて、農民が満足するようにしなければならぬということを、私は考えております。  それからまた家畜数の価格の低下でありますが、これも現在は少し上まわつて来ておるようでありますが、こういうものについても——現在牛などは特定の者に操縦されておるようでありますが、これもやはり公正な市場を立てなければならぬのであります。実は私は、来年度予算に、ごく簡單な市場の制度を設けるように望んだのでありますが、予算の都合上なかなか許されなかつたのであります。これは何か別途に考えたいと思つておるのであります。ただ家畜等につきましては、もう少し国民の食生活の改善から考えて行かなければならぬと思うのであります。今のところ、各部落において牛、豚等を屠殺いたしますと、村中集まつて生肉のまま食料に供して、一夜酒を飲んで、次の日にはなくなつてしまうというのが、現在の牛馬の使い方であります。ところがこれを簡單な塩蔵にでもしておきまして、中国あるいは外国等でやつておる牛、豚等の貯蔵法といつたようなものを十分広めて、食糧の改善をはかれば、非常に需要度が高まつて来て、牛やなんかの価格も決して下らないようになるのではないかと、私はこう考えるのであります。いろいろな点を考えて、農民諸君の経済を潤すようにしなければならぬと思います。それからまた、そういつたような細工のほかに、農村に長期金融の道をつけることが大事なのでありまして、今まで一番忘れられた長期金融を、来年度はどうしてもつけたいと考えておるのであります。これはぜひ金融をつけまして、金融方面からも、一般金融前場——あなたのおつしやる金融資本家も、農民の方にどんどん入れられるように、第一政府で注入いたしまして、それに金融資本家がついて来て、農村を潤す、私はこういうように持つて行きたいと考えておる次第であります。
  61. 深澤義守

    ○深澤委員 それから廣川農林大臣は、食糧の一割増産運動に非常に熱心であります。ところが、このいわゆる食糧の自給度増加を目指す大方針を裏切るような事実が出て来ておるのであります。それは十月十四日の時事通信がこういうことを載せております。朝鮮向けの食糧が十月中に第一次分として、横浜港から、神奈川県、埼玉県、山梨県、靜岡県、群馬県、千葉県、東京の一都六県より集荷された二十七万九千三百六十七俵の麦が朝鮮向けに行つておる。名古屋港からは、愛知、岐阜より集荷された八万五千七百四十七俵の麦が朝鮮に行つておる、博外港から福岡で集荷された四万四千四百四十五俵の麦が朝鮮に行つておる。合計四十一万五百五十九俵が積み出されておる。それに対して引続き第二次分としての加工が各県に割当てられておるということが、これは時事通信で発表されておるのであります。さらにダイヤモンドの十月十一日の雑誌を見ますと、朝鮮向けの輸出予定として米が一万五千トン、精麦が一万五千トンというぐあいに発表されておるわけであります。内地で一割増産運動をこのように努力しておられる場合において、結局これが朝鮮にどんどん行つておるということになりますれば、廣川さんがいかに、増産に努力をされても、日本農民はこれに非常な疑問を持たれると私は思う。こういう事実が一体あるのかどうなのか、あるいはこういう計画を持つておられるのかどうなのか、そういう点をひとつ明確にお答えを願いたい。
  62. 廣川弘禪

    廣川国務大臣 お答え申し上げます。朝鮮に特需向けとして参つておりますものは、これは外地米に限つておるようなわけでありまして、しかもこれは二箇月間に、同質問量のものをアメリカから入れるという約集のもとに出しておるようなわけでありまして、御指摘のようなものはないそうであります。
  63. 深澤義守

    ○深澤委員 もう一点だけ……。
  64. 千賀康治

    千賀委員長 簡單に願います。
  65. 深澤義守

    ○深澤委員 もう一点だけ廣川さんにお伺いしたいのでありますが、これは廣川さん自身もお認めになつておりますように、本年の麦の供出問題については、農民は非常に困りました。これは政府供出前に、供出後の自由販売いうことの大朗報をされたことが、大影響を與えております。農民も、今年の麦の供出はたいしたことはない、こう考えたわけです。地方機関もおそらくもう考えております。ところが供出にあたつては、各県におきましては、民事部長がジープで督励に歩くというような問題が起つて来た。そのために、農民の中には買出しの供出をしたという人がたくさんあります。現に東京都におきましては、買出し供出の損害金千五百万円を東京都自体が補償したというような問題があります。あるいは買出し供出が途中でつかまつて食糧管理法違反に問われて、司直の手にまわつている農民もたくさんあります。最近においては、まだこの問題も片づかずに、強権発動等の問題があるわけです。これは政府供出後の自由販売とか、供出緩和という感じを與える大宣伝がもたらした重大な結果であると、私は考えます。この点については、政府自体も責任をお感じになつてもいいのじやないかと思うのであります。従つて、私が廣川さんに明確にお願いをし、またお答え願いたいのは、買出し供出の全国の農民の損害を、東京都がやつたように、補償をやるお考えはあるかどうか。     〔委員長退席、足立委員長代理着席〕  もう一つは、買出し供出のために食糧管理法違反に問われた農民諸君は、農林大臣の責任において、無罪にするような処置をとつていただきたいということ。  それから現在実際になくて供出のできない者に強権発動がうんと来ているが、こういう者に対しては、何らかの形において免責措置をとつていただきたい、こう考えるわけです。  この三点について、どういうお考えを持つておるか、はつきりひとつ答弁を願いたい。
  66. 廣川弘禪

    廣川国務大臣 それはあなたのお話通りでありまして、私が赴任する前から、どこからとなく統制緩和されるという空気が伝わつてつたことは事実であります。実は私もあのときは面くらつたのでありますが、赴任いたしますと、どうにもならぬようなものが固まつて来ておつたのでありまして、知事会議その他であつちへ行つたこつちへ行つたり、盛んにやつたのでありますが、どうしてもあれは打破ることができなかつた。それで、私も承知しておりますが、各県とも割当の時期も遅れておりましたし、事実収量も少かつたのであります。各県に非常な迷惑をかけておることは事実であります。その点において、各県において損害を負担したり、いろいろなことをしておることも聞いておりますが、この損害については、国として補償する考えは現在のところまだ持つておりません。  それからあのために特に司直の手に捕われたという方につきましては、われわれの方からそれぞれ惻隠の情を送つてもらいたいということをお話いたしております。  もう一つ、最後に免責の問題でありますが、これは事務当局において調査の上、適当にやられておると考えております。
  67. 河野謙三

    ○河野(謙)委員 私は簡単に二点だけお尋ねいたします。その前に、統制撤廃の問題が出ましたが、これはひとつ大臣に大いに勇気を出してもらいたいと思うのです。私の承知している範囲では、農民といえども、農だけやつておるのではない、農とともに業をやつておる。従つて今までのように作付命令だの供出だのということをいつまでもやられて、国家に労働を提供するといようなやり方は、決して希望していない。どこまでも最低価格を保障するとともに、消費者の方には中間経費を削除して、安い食糧配給するこういう線に持つて行くことが統制撤廃の線でありまして、いろいろな問題はありましても、私の信ずる範囲では、少くとも全国の農民の大多数は、今政府がやらんとしている線に向つて双手をあげて賛成していることを、私は信ずるので、勇気を持つてつていただきたい。  そこで私がお尋ねしたいのは、小麦国際協定の問題であります。小麦国際協定参加の問題は一体どうなつておるか。政府は今後国際協定参加に向つて盡力を続けるつもりか。それともこの問題は放棄したのか、放棄せざるを得ない国際的の何か條件があるのか。御承知のように、小麦の統制撤廃いたしますと、一面において生産者の生産費の価格を補償しなければなりません。同時にできるだけ国民に安い小麦の配給をする。国家の負担を軽くしつつ安い小麦を配給するという面におきまして、どうしても小麦国際協定参加の問題が私は早く知りたいのであります。いつごろどういうことになるか、この点につきましてお見通しがありましたならば、お伺いしたいと思います。
  68. 廣川弘禪

    廣川国務大臣 今まで長い間統制のわくに置いたのを破ることは、なかなか勇気がなければできませんので、勇を起してやつておるつもりであります。国際協定の問題に関しましては、これはこう間池田君がアメリカに行つたときにも、極力折衝いたしたのでありますが、一、二の国の反対で実は入らなかつたのであります。わが国といたしましては、国際協定に入るという目途をもつて進めておるのであります。今のところ見通し等については、明確なことは言われません。
  69. 河野謙三

    ○河野(謙)委員 見通しがわからぬそうですが、少くとも麦の統制撤廃と非常に関連を持たせなければならぬものだと思いますから、その時期とあわせて実現に努力していただきたいことを希望します。  もう一つ伺いたいのは、先ほど来年の麦は供出はしない、してもらわない。しかし政府最高限度買う、こういうことですが、最高限度というのは八百七十万石でしたか、政府予算的措置をとる、その予算の範囲内ということであるかどうか私たちは農民が希望する以上は数量に限度なしに買い取つてもらうということを希望するのであります。一体最高限度はどこまであるのか。これは予算との関係があるのか、それともないのか、それをひとつ伺いたいのであります。
  70. 廣川弘禪

    廣川国務大臣 予算面においては百二十万トン、八百八十万石ということに一応なつておりますが、食管特別会計の操作によつて多少のことはできると、私は思つております。しかし今までの統計を見ますと、八百万石が最高限度にわれわれといたしましては、とられるので、予算をその程度にきめたわけであります。
  71. 河野謙三

    ○河野(謙)委員 八百八十万石といいますと、大体全部希望するだけ買い付ということに承知していい数量だと思いますけれども、ただ気になるのは限度という言葉です。かりにこれが九百万石ありましても、九百二十万石ありましても、とにかく農民が希望する限り全量買上げということにはつきりしていただけばけつこうだと思います。
  72. 廣川弘禪

    廣川国務大臣 食管特別会計の操作については、非常な見識を持つておる食糧長官がおることであります。しかもまた麦と米の買入れ時期が違う点等も考えまして、多分食糧長官の方で、その点はあなたの希望に沿うような考えを述べられると思います。その程度でひとつ御了解を願いたいと思います。
  73. 大森玉木

    ○大森委員 時間がないので簡單にお尋ねいたします。米価の問題でありますが、先ほどから農林大臣答弁を聞いておりますと、一番高い値段にきめてあるということでありますから、あらためてお尋ねをするまでもないのでありますが、私はこういうことを申し上げたい。土地改良事業費はやらなくなつたことは、シヤウプ勧告において米価価格に織込むのであるというような勧告があつたはずであります。そういたしますと、今度の米価の五千五百円というものは、そういう土地改良費までがそこに織込まれるようになつておりますかどうか。そういうことを考えると、私どもは、ただ生産費だけでも六千円以上にしてもらわなければならぬと考えておるのであります。その点を入れますと、相当大きな価格になると思うのでありまするが、今日までお考えになつておられるのは、今のシヤウプ勧告にあるようなものを織り込んで考えておられますかどうか、ちよつと伺いたい。
  74. 廣川弘禪

    廣川国務大臣 少くとも農家が再生産でき得る価格にしたいということでありますので、ただその土地改良等に関し、個人の土地改良、あるいはその他の土地改良等については、別途に長期融資等を考えているようなわけであります。
  75. 大森玉木

    ○大森委員 何か私の知つております範囲では米価格の中に土地改良というものは大体織り込むから、土地改良費というものは出さなくてもよろしいというふうに承知いたしているのでありますが、これは私が間違つておりますかどうか、今の答弁では私の尋ねたこととは違うのであります。  さらに私は、くどいことは申しませんが、次に食糧増産と非常に関係の多いことでありまするが、地方に参りますと農地事務所があります。その事務所の中には公共事業と災害復旧の区別ができていない。私は石川県でありますが、わずかな職員のため、本年度石川県のごときたくさんの災害があつたところは、まだ災害の調査が完備していない。これではいつこれに間に合うかということであります。富山県と福井県と石川県三県を入れまして、わずか五人か六人の調査員では、災害の何の調査もできない。それでありますからすべてが粗漏になり、調査も粗漏になつている。またそれが完備していないということになるのでありますが、これらの点を大臣におかせられてはよくひとつ考慮して、やはりこうしたものの増員をはかるとか、何かしてもらわなければならぬと思うのであります。  さらに引続いて簡單にお尋ねいたしたいのは、私が大臣に米を上げてくれというと、上げることは最も賛成だ農民の農政でなければいけないと言われるが、それに対しては満腔の敬意を表するのであります。しかしながら、この前私が大臣にお尋ねいたしましたときに、手持ちの肥料が七十五万トンばかりあるということであつた。だからこの手持ちの肥料を、今後の統制をはずした肥料価格調整するように使つていただきたいということを、私は申し上げた。さらにまた今度この秋肥料にも出していただきたいということを申し上げた。ところがそれはよく考える、さらにまた、肥料の価格調整に手持ちの肥料は使うのであるというお話があつたようであります。しかしながらその肥料がどうなつたかと申しますと、先ほどどなたかからもお話があつたが、配給の場合は四百四十円であつた、さらにまた買い入れた価格は幾らかと調べてみますと、十貫目が二百五十三円であるが、その肥料を今農家が買うときには、十貫目の硫安が七百十二円であります。だからこの二百五十三円が七百十二円で売られるということになつている。そうすると配給当時は四百四十円、さらにまた買入れ価格は二百五十三円、そして今きめられた価格は七百十二円であるというようなことであります。さらにまたどうであるかというと、地方に手持ちをいたしております肥料を、地方で競売等をいたします。その場合にどうなつているかというと、もう七百円以下には絶対に売らないということであります。だから肥料がだんだん上つてつていることは、御承知通りであります。そういたしますと、大臣の言われる、いわゆるこれによつて調整をするということは、つり上げの調整になるのではないかと私は思う。われわれ農民といたしましては、安くしてもらうように調整してもらいたいということを要求いたしたのでありますが、それを今度は高くなるように調整しているので、今持つているものを競売で入札させると、六百九十五円に入れても落札しない。やはり七百円以上でなければ落札をしないということになつて、その手持ちの肥料が今日の価格維持のために使われております。これらに対しまして、農林大臣の御答弁を伺いたいのであります。
  76. 廣川弘禪

    廣川国務大臣 現在清算人の持つている肥料の問題でありますが、これは清算人として補給金を出していたものを損をしたくないという気持があることは事案であります。しかしあの肥料を清算人が手持ちに持つているがために、もつと上るべきものをあの程度に押えられているのだと、私は承知いたしております。それからまた、今すぐあれを全部放出すれば、市価は一時下るのでありますけれども、あれは最大需要期の春肥のために現在のものを持つておるのであつて、あれで市場に威庄を加えておくことも一つの道だと考えているような次第であります。
  77. 大森玉木

    ○大森委員 今の大臣答弁では、どうも私は納得ができない。今持つているのが来年の肥料の調整になるのだという答弁であつたのでありますが、私の申し上げたのはそうではなくて、今売買されているもので、競売している価格が七百円以上でなければ売らないのはどうであるか、これが要するに価格のつり上げではないかどうかということです。政府の手持ちしている肥料は七百円でなければ入札しても落ちないので、それをわれわれ農業協同組合でも買うているが、これはどういうことかということをお尋ねいたしたのであつて、来年の肥料なんていうことを言つておるのではない。これが肥料のつり上げではないかということをお尋ねいたしておるのであります。
  78. 廣川弘禪

    廣川国務大臣 それは事前に発生上ている市価を中心にひとつ考えてもらいたいと思います。市価をくずすには、全部放出すれば一時はこれはくずれるのでありますが、決して市価を押えて長い間低い価格で行くというわけにはならないと私は思うのであります。市価の混乱を来さないように、ある程度の額で入札をするということが、やはり市価をある程度尊重して、それ以上上げさせないという一つのブレーキというか、わくになると私は考えております。でありますから、長い目で見ると、政府の手持ちをあの程度にして持つておることが、現在より市価を上げない、こういうことになると私は解釈するのであります。
  79. 千賀康治

    千賀委員長 大森君、きわめて簡單に願います。
  80. 大森玉木

    ○大森委員 統制時代は四百四十円であつたのが、自由販売になると七百円以上を維持するということでは、高くするのが自由販売でありますか。価格だけは七百幾らということを物価庁においてきめて、自由販売だということで、今日まで大体進んでおられるようでありますが、私どもは自由というのなら、やはり価格も自由でなければならぬ、すべてが自由でなければならぬと思いますが、価格だけは七百円以上である。これらのことから考えますと、私は何かメーカーの保護のためにそうしておるのではないかと思う。自由販売であるけれども価格はこうだときめて、政府の手持ちまでも幾ら幾らときめるということでありますならば、これは肥料メーカーを保護しておられるのであつて農民のためではないように私は思いますが、その点農林大臣はいかに考えられますか。
  81. 廣川弘禪

    廣川国務大臣 統制時代は補給金という制度があつたが、あのことを少し想起していただきたいと思うのであります。補給金を除くと自然あの程度価格になると思うのであります。先ほども申し上げた通り政府機関においての清算機関でありますが、その清算機関も補給金を捨ててまでやりたくないという気持があるということを、先ほど申し上げたのですが、その補給金を損しない程度に、また市価を上げない程度にやつておるところに苦痛があるということを、ひとつ御了承願いたいと思います。
  82. 千賀康治

    千賀委員長 ちよつと大森君に申し上げます。あなたの質問に対して答弁は盡きておると思います。
  83. 大森玉木

    ○大森委員 盡きておらないよ。委員長発言が盡きたとは何だ。
  84. 千賀康治

    千賀委員長 私はさように認めます。まだ発言を許しておりません。
  85. 大森玉木

    ○大森委員 許すのか、許さないのか。
  86. 千賀康治

    千賀委員長 許す必要がないと認めます。河口君が済んでから許します。皆さんにもしんぼうしてもらつておるのだから、簡單に願います。
  87. 大森玉木

    ○大森委員 簡單にやつているじやないか。
  88. 千賀康治

    千賀委員長 大森君。もう一回だけに願います。
  89. 大森玉木

    ○大森委員 それでは注意を受けたから、もう一問だけ簡單にいたしたい。今のいわゆる補給金のあつた、それを損したくない。それはごもつともでしよう。しかしながら私どもの調査によりますと、買入れ価格は硫安十貫が二百五士三円である。これは買入れ価格であります。大体その計算になるのであります。そうすると、その買入れ価格と今日の相場とは約三倍くらいになつておる。こう私は考えておる。この間肥料の課長を呼んで、一トン幾らで買つたということを調べた。それからはつきりした数字が出ておる。私が知らないということなら君たちは知らぬ。ところがこつちははつきり調べておる。そういうわけであるから二百五十三円くらいになるのである。それがどうかというと、四百四十円で売られておつたのは、相当の利益もとつてつた、手数料もとつてつた。しかし今度はそれを七百十二円に売らなければならぬということになると、どんなものでありましようか。その差額はどうでありましようか。
  90. 廣川弘禪

    廣川国務大臣 その補給金を出しておつたときと出さないときと、それから自由にできた市場との関係だろうと思うのでありますが、清算機関といたしましても、やみ値をつけて売るというようなことは私はないと思いますので、ただ補給金がない報合の価格に相当さや寄せて、清算機関はやつておると考えております。
  91. 河口陽一

    ○河口委員 この機会に簡單に二点だけお伺いしたいと思うのです。その前に、先般大臣には長途北海道まで御視察をいただいたことを、道民にかわつて厚くお礼を申し上げる次第であります。その際北海道の既墾地の御調査は十分お願いしたのですが、未開地の調査をお願いする時間がなかつたことを遺憾とするものであります。その後未墾地地帶の農村からるる陳情があつたので、私もその地帶に行つて調査をいたして参りました。日本の最北端である稚内地帶の平坦地の開墾状態を見て参りましたが、実は不毛の地と言われているあの稚内地帶に、戰時中突貫工事として暗渠排水をやつた地帶があります。それが本年度ばれいしよにおいて反当五十俵收穫し、燕麦において八俵の收穫をいたしております。これら暗渠排水をやらない地帶はまつたく不毛地帶ですが、こういう工事をやつた所はりつぱな農耕地として、すでに兜沼という僻村では、二百戸の農家が入つて十分な採算がとれる農業経営をやつておるわけであります。かような実例ができ、ここに成績を上げておるのでありますから、天北原野総体を通じて大体平坦地が五万町歩と推算されておるのでありますが、これらの地帶の暗渠排水をやることによつて、今日の食糧増産と、それから最も困難している人口の配分が調整されるのではないか、こういうことを強く感じて参つたのです。実は稚内市内にある芦間という所ですが、これは今まで大体半分ぐらいまで幕別川の切りかえ工事をやつたのですが、その後政府予算が打切られてそのままになつておる。これは政府がわずかの資金を投ずれば、ここに約三千町歩の平坦地が、りつぱな農耕地として推進される。それが單なる予算関係で打切られている。もちろんこれは個人ではできないので、当然政府がやるべきだと考えておるのですが、それらのことが投げやりになつておる。さらに私猿拂村に参りましたが、この地帶は約一万五千町歩の平坦地ですが、春と夏に増水がありまして、浸水するために放置されておる。この平野は面線に行くと大体八里程度ですが、川の延長が二十二里に達している。これを切りかえると、先ほど申し上げたような一万五千町歩のりつぱな農耕地ができることになつておる。こういう簡單なことによつてりつぱな農耕地になるものが放置されておる。そうして最近あの地帶は、おおむね樺太地帶からの引揚者が農業に携わつているのですが、いずれも山の上に追い上げて山の開発をやつておる。一雨降ると、せつかく開いた土が流れ去つて、農耕地としてはまつたく不適当である。できることならば平野の平坦な地帶に行きたいが、これが春と夏の増水によつて農耕地とならないために、みすみす指をくわえてうらやましそうにそれをながめているという実情です。ほかの地帶の引揚者は、これは私の見る目ではあまり成績を上げておりませんが、樺太地帶から引揚げた方々は、非常に寒地農業に経験を持つておりまして、その熱意と努力によつて相当成績を上げております。それらの人がこの山の上の開発をいたして苦労をしておる。この現実をながめて、何とかこれらに対して平坦地の排水工事を急速にやつてもらうことによつて、ここにわれわれが汽車の乘つてながめただけでも、五万町歩の開発未墾地があるわけでありまして、こういう点に対して政府は積極的な予算をもつてつていただきたい。そのことによつて食糧問題、人口問題がすみやかに解決する。これらに対して政府は今日まであまり熱意がないように考えられます。いろいろ畜産とか、総合的な食糧問題の解決のための問題はありますが、手取り早いこういう問題を今後農林大臣は積極的にやつていただきたい。いずれ資料をもつて十分お尋ねをいたしたいと思いますが、時間がないのでこの問題はこの程度にしておきます。  なおもう一点お尋ねいたしたいことは、これは食糧問題に関係いたしまする農村のすべての経済を預つておる協同組合の関係でございますが、今日の農業協同組合が非常に赤字を出しておる。このことは前の森農林大臣から、協同組合の経営不手ぎわからこの赤字を出しておるというような、苛酷な批判を受けておつたのでありますが、しかし全国全体の協同組合が赤字を出しておるということは、私は不手ぎわばかりでこれを律することは適当でないと考えるわけであります。中には手ぎわのよいのは相当成績を上げて黒字になるべきものが、全国一律にどの協同組合も赤字を出しておるということは、明らかにこれは政府施策の不手ぎわから生じた問題だというふうに考えるので、この点政は積極的にひとつ考えを願い、助成政策を御考慮願いたいと思うのです。政府は先に木炭公団が廃止になつた際に、赤字が五十四億円あつたのを、一般会計から簡單にこれを補填しておる。協同組合に対しては、これは当然戰時中は政府機関としていろいろな物資配給したり、集荷をいたしておつた。たとえば農機具において、需要期に間に合わない農機具を配給した。あるいは不良品を配給したというようなことが、逐次累積されてそれがストツクとなり、値下りによつて赤字を招来しておる面が非常に多いわけで、これは当然政府がその損失を背負わなければならぬと私ども考えておるのでありますが、これらのことによつて今日の協同組合経営不振が招来をいたしておるので、全体を通じても全国の協同組合の赤字を補填するのには、私はそう大した金額ではないと思う。この木炭公団の赤字を補填した率から考えると、そう大した金額でないと思いますから、この際廣川農政の長期低利資金の御計画もさることながら、協同組合の内部監査をしていただいてこれらの赤字に対しては、適当な処置で補填をしていただきたい、こういうふうに考える次第であります。
  92. 廣川弘禪

    廣川国務大臣 稚内のお話でありましたが、北海道の泥炭地については政府もまた国民も真劍に取組まなければならぬ問題だと私は思つております。特に北海道における泥炭地は甲地に非常に多くありまして、しかもこれを改良すれば沃野になることは、あなたの御指摘の通りであるのでありまして、これを実は私たち今考えておるのですが、北海道全部の土功組合の連合会とでも申しましようか、土功組合と今度の長期融資との関連をつけたらどういうことになるかというようなことまで、私考えております。この長期資金等を土功組合に注いで、あの泥炭地と真剣に取組むことが、人口問題の解決にもなり、また増産問題の解決にもなるのであります。しかも軌道客土をやつて成績がわかつております。ただあれを大規模にやるかやらぬかによつて、成績が上るか上らぬかきまります。現在のような軌道客土の、おそい能率で持つてつたのでは、いつまでたつても解決がつかないのであります。しかもまた中に排水渠をつくるにいたしましても、今までのような細い一排水渠ではどうしてもだめであります。あの中からとれる泥炭を燃料化することも考えなければなりませんし、あるいはまたあの泥炭を他の工業に使うことも考えなければならないであろうし、そういうような意味からいたしまして、道民全体と国と一致してこの問題を解決して行くならば非常に国のためにもなると考えて、目下われわれの方で案をつくつている最中であります。  それからその次の協同組合の問題ですが、この協同組合の更生と申しましようか、あるいは再生とでも申しましようか、このことにつきましては、来年度予算におきまして、あなたの御指摘の監査なりあるいはまた調査なりをする費用、あるいはまた人件費等も見込んであります。それと並行いたしまして、協同組合更生に関する法律というようなものをつくりまして、来国会には提出いたしまして、利子補給あるいはそのほかのことができ得るように根拠づけたいと考えております。
  93. 足立篤郎

    ○足立(篤)委員 大臣に対する質問も大体終つたようでありますので、本日はこれにて散会せられるよう希望いたします。なお小委員会設置等の要請もあるようでありますが、本日は理事出席も悪く、今たまたま見えました小林理事と私と三人だけでは、相談になりませんので、明日委員長理事会を招集されて、今後の運営について御相談あるようにお願いいたしたいと思います。
  94. 千賀康治

    千賀委員長 ただいまの動議をお諮りいたします前に、ひとつお願いいたしますが、鉱業法と採石法の二つは今通産委員会で審議中でありますが、農林委員会にはたいへん深い歴史があるらしいのであります。なるほど考えてみますると、鉱業法案でかつてに土砂採掘をやりつぱなされますと、農政並びに林政に対する影響は非常に深刻なものがございます。そこでこれはわれわれも十分遺憾のないように審議をしたいと思います。ただいま通産委員会の方と連絡をいたしまして、明日の午後一時かち合同審議をいたすことに決定をいたしました。どうか皆さん奮つてこの方は御出席をされたいと思います。  ただいまの足立君の動議はいかがいたしますか。
  95. 小林運美

    ○小林(運)委員 今の足立君の動議は本日だけのことで、これから以後の委員会において、その他のことについて大臣にずつと質疑があると思いますが、そういうような意味で賛成しておきます。
  96. 千賀康治

    千賀委員長 それから明日の理事会ですが、合同審議は午後やりますから、午前にやりますか。それについてお考えがありましたならば伺います。     〔「委員長一任」と呼ぶ者あり〕
  97. 千賀康治

    千賀委員長 委員長一任だそうでありますから、一任さしていただきます。  本日はこれで散会いたします。     午後一時十八分散会