○河口
委員 この機会に簡單に二点だけお伺いしたいと思うのです。その前に、先般
大臣には長途北海道まで御視察をいただいたことを、道民にかわ
つて厚くお礼を申し上げる次第であります。その際北海道の既墾地の御調査は十分お願いしたのですが、未開地の調査をお願いする時間がなか
つたことを遺憾とするものであります。その後未墾地地帶の農村からるる陳情があ
つたので、私もその地帶に行
つて調査をいたして参りました。
日本の最北端である稚内地帶の平坦地の開墾状態を見て参りましたが、実は不毛の地と言われているあの稚内地帶に、戰時中突貫工事として暗渠排水をや
つた地帶があります。それが本年度ばれいしよにおいて反当五十俵收穫し、燕麦において八俵の收穫をいたしております。これら暗渠排水をやらない地帶はま
つたく不毛地帶ですが、こういう工事をや
つた所はりつぱな農耕地として、すでに兜沼という僻村では、二百戸の農家が入
つて十分な採算がとれる農業経営をや
つておるわけであります。かような実例ができ、ここに成績を上げておるのでありますから、天北原野総体を通じて大体平坦地が五万町歩と推算されておるのでありますが、これらの地帶の暗渠排水をやることによ
つて、今日の
食糧増産と、それから最も困難している
人口の配分が
調整されるのではないか、こういうことを強く感じて参
つたのです。実は稚内市内にある芦間という所ですが、これは今まで大体半分ぐらいまで幕別川の切りかえ工事をや
つたのですが、その後
政府の
予算が打切られてそのままにな
つておる。これは
政府がわずかの資金を投ずれば、ここに約三千町歩の平坦地が、りつぱな農耕地として推進される。それが單なる
予算関係で打切られている。もちろんこれは個人ではできないので、当然
政府がやるべきだと
考えておるのですが、それらのことが投げやりにな
つておる。さらに私猿拂村に参りましたが、この地帶は約一万五千町歩の平坦地ですが、春と夏に増水がありまして、浸水するために放置されておる。この平野は面線に行くと大体八里
程度ですが、川の延長が二十二里に達している。これを切りかえると、先ほど申し上げたような一万五千町歩のりつぱな農耕地ができることにな
つておる。こういう簡單なことによ
つてりつぱな農耕地になるものが放置されておる。そうして最近あの地帶は、おおむね樺太地帶からの引揚者が農業に携わ
つているのですが、いずれも山の上に追い上げて山の開発をや
つておる。一雨降ると、せつかく開いた土が流れ去
つて、農耕地としてはま
つたく不適当である。できることならば平野の平坦な地帶に行きたいが、これが春と夏の増水によ
つて農耕地とならないために、みすみす指をくわえてうらやましそうにそれをながめているという
実情です。ほかの地帶の引揚者は、これは私の見る目ではあまり成績を上げておりませんが、樺太地帶から引揚げた方々は、非常に寒地農業に経験を持
つておりまして、その熱意と努力によ
つて相当成績を上げております。それらの人がこの山の上の開発をいたして苦労をしておる。この現実をながめて、何とかこれらに対して平坦地の排水工事を急速にや
つてもらうことによ
つて、ここにわれわれが汽車の乘
つてながめただけでも、五万町歩の開発未墾地があるわけでありまして、こういう点に対して
政府は積極的な
予算をも
つてや
つていただきたい。そのことによ
つて食糧問題、
人口問題がすみやかに解決する。これらに対して
政府は今日まであまり熱意がないように
考えられます。いろいろ畜産とか、総合的な
食糧問題の解決のための問題はありますが、手取り早いこういう問題を今後
農林大臣は積極的にや
つていただきたい。いずれ資料をも
つて十分お尋ねをいたしたいと思いますが、時間がないのでこの問題はこの
程度にしておきます。
なおもう一点お尋ねいたしたいことは、これは
食糧問題に
関係いたしまする農村のすべての経済を預
つておる協同組合の
関係でございますが、今日の農業協同組合が非常に赤字を出しておる。このことは前の森
農林大臣から、協同組合の経営不手ぎわからこの赤字を出しておるというような、苛酷な批判を受けてお
つたのでありますが、しかし全国全体の協同組合が赤字を出しておるということは、私は不手ぎわばかりでこれを律することは適当でないと
考えるわけであります。中には手ぎわのよいのは相当成績を上げて黒字になるべきものが、全国一律にどの協同組合も赤字を出しておるということは、明らかにこれは
政府の
施策の不手ぎわから生じた問題だというふうに
考えるので、この点政は積極的にひ
とつお
考えを願い、助成
政策を御
考慮願いたいと思うのです。
政府は先に木炭公団が廃止に
なつた際に、赤字が五十四億円あ
つたのを、一般会計から簡單にこれを補填しておる。協同組合に対しては、これは当然戰時中は
政府機関としていろいろな
物資を
配給したり、集荷をいたしてお
つた。たとえば農機具において、需要期に間に合わない農機具を
配給した。あるいは不良品を
配給したというようなことが、逐次累積されてそれがストツクとなり、値下りによ
つて赤字を招来しておる面が非常に多いわけで、これは当然
政府がその損失を背負わなければならぬと私
どもは
考えておるのでありますが、これらのことによ
つて今日の協同組合経営不振が招来をいたしておるので、全体を通じても全国の協同組合の赤字を補填するのには、私はそう大した金額ではないと思う。この木炭公団の赤字を補填した率から
考えると、そう大した金額でないと思いますから、この際
廣川農政の長期低利資金の御
計画もさることながら、協同組合の内部監査をしていただいてこれらの赤字に対しては、適当な
処置で補填をしていただきたい、こういうふうに
考える次第であります。