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1950-12-08 第9回国会 衆議院 通商産業委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年十二月八日(金曜日)     午前十時四十一分開義  出席委員    委員長 小金 義照君    理事 阿左美廣治君 理事 多武良哲三君    理事 中村 幸八君 理事 高橋清治郎君    理事 今澄  勇君       小川 平二君    澁谷雄太郎君       高木吉之助君    永井 要造君       中村 純一君    福田  一君       南  好雄君    河野 金昇君       加藤 鐐造君    田代 文久君       砂間 一良君  出席国務大臣         通商産業大臣  横尾  龍君  出席政府委員         通商産業政務次         官       首藤 新八君         中小企業庁長官 小笠 公韶君  委員外出席者         大蔵事務官   長谷井輝夫君         通商産業事務官         (中小企業庁振         興部金融課長) 水間 光次君         專  門  員 谷崎  明君         專  門  員 大石 主計君         專  門  員 越田 清七君     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  中小企業信用保険法案内閣提出第四一号)     ―――――――――――――
  2. 小金義照

    小金委員長 ただいまから会議を開きます。  理事会において決定いたしました通り、昨日本委員会に付託され、提案理由説明を聽取いたしました中小企業信用保險法案について審査を進めます。これより質疑を許します。福田一
  3. 福田一

    福田(一)委員 本法案提案理由説明伺つたのでありますが、実を言うと、この法案について私は三点ばかり注意やら、質問やらしてみたいと思うことがあります。  まず第一は、この法案は、私たちは今国会の劈頭に提出されるほど非常に重要な法案だと思つておるのであります。ところが会期もきようで終るという日になつて、きのうようやく国会に提出されたということは、金融の逼迫しておる事情、特に中小企業が非常に金繰りで困つておるという面から見て、政府としては非常に怠慢ではなかつたかということを思うものでありますが、なぜこの法案がこのようにおそく会期切迫したときに提案されることになつたかという点を、ここで明らかにしておいていただきたいと思うのであります。私たちは長い間この問題はぜひ実現しなければならないと思つて、第七国会、第八国会とも、この法案が出ることを希望しておつたにかかわらず、ようやく今日に至つて提案されるようになつたのは、何か特殊の事情があつたのかという点を、ここではつきりしておいていただきたい。まずその点をお伺いします。
  4. 小笠公韶

    小笠政府委員 お答えいたします。結論的に申し上げますと、私たちの努力が足りなかつたということになろうかと思うのであります。ただその間において、当初の計画といたしましては、公法人のような基金制度をつくりまして、それにこれをやらせるというふうな考え方で進んで参つたのでありますが、途中から特別会計制度の方がよりいいであろうということに考えがかわりまして、案の練り直しをするというふうなことで、時間がかかつたという事情でありまして、いずれにいたしましても、案の重要性にかんがみまして、非常に提案の時期が遅れましたことについては、申訳なく存じておる次第であります。
  5. 福田一

    福田(一)委員 そういう事情があつたとすれば、これをまた追究してみても、何ら金融を緩和することにもならないし、むしろこれは早く通すべき法案と思いますので、その点は一応了承いたしておきます。  そこで次にお伺いしたいことは、この法案によりますと、国家において保証をいたしますので、ある程度の金融の緩和ができると思いますが、来年の一月一日から月額十二億円ということでありますが、一体今のような金融の逼迫しておる情勢のもとに、わずか十二億くらいの金を出しただけで、中小企業の今の困難な状態が緩和され、あるいは救済ができると思つておられるのかどうか。私たちとしては、最少限五十億くらいの貸出しをしてもらうということでなければ、とうてい今の金融難打開または中小企業の更生はできないと考えておるのでありますが、金額を十二億円とされたのは、どういう点に理由があるのか。また今後この額は来国会あるいは来るべきその他の機会において、もつと増額する意思があるかという点を明らかにしていただきたいと思う。
  6. 小笠公韶

    小笠政府委員 月額十二億円にいたしましたのは、実はとりあえず基金といたしまして、本年度、来年度を通じまして十五億というふうなことに予定をいたしております。十五億を中心にいたしまして考えましたときに、すなわちこの保険制度によつて生ずることあるべき損失額予想等関係からいたしますと、十二億見当に相なるのであります。もちろんこれは一つ見通しでありまして、正確なものではございませんが、一応の見通しとしてそういうふうな数字が出るのであります。そこでとりあえずのところ一応十二億見当からスタートして行きたい。実施状況に応じまして、すなわち本制度がこれによりまして独立採算をとるべき建前になつておりますので、その実施状況によりまして順次かえて行きたいと考えておるのであります。なお法案の第三條第三項にも規定しておりますように、貸付総額国会決定によつて年度きめて行きたいと、実は考えておるのでありまして、いわゆる国会最高意思によつて中小企業現状、また採算関係等を御判断願つて、そこできめて行つていただくということにいたしておるのであります。さしあたりのところは、本年度の分といたしまして、月当り十二億見当を予定いたしておる。こういうような事情でございます。この程度の額で、今日窮迫しておる中小企業金融が楽になるかという問題につきましては、これだけで困難を一挙に解決するということはむずかしいと思うのであります。ただこの制度がねらつておりますように、現在の中小企業金融の問題のうちで、長期の金と短期の金にわけてみますと、短期の金につきましては、すでに各都道府県あるいは大きな都市等においては、信用保証協会というふうな制度が活発に動いておるのでありまして、その制度によつて相当短期資金保証されておるわけであります。この制度は今日最も困難な六箇月以上の事業資金というものに対して保険をやつて行くということにいたしておるのでありまして、従来全然制度のなかつたところに、この制度によつて中小企業への長期資金円滑化をはかりたいというふうな考え方であるのであります。従いまして、この制度によつて少くとも長期運転資金あるいは設備資金が、従来よりは楽になるということが期待されると考えるのであります。  第三点のお尋ねの、将来これを増額する意思があるかどうかという点は、最初に申し上げましたように、貸付総額法案の示しております通りに、国会最高決定にまつて行きたい。従いましてそこに十分に実情に沿つた決定が願えるのではないかというふうに考えておるわけであります。
  7. 福田一

    福田(一)委員 ただいま国会決定によつて額をきめると仰せられましたが、その国会決定するというのは、国会がみずからの創意によつて提案してきめることができるのか、あるいはまた政府より何らかの、大体今度はこのくらいの額ではどうかということを提示されて、これに基いて国会審議するという形式をとるのか、これはいずれになりますか。
  8. 小笠公韶

    小笠政府委員 方法の問題といたしましては、いずれの方法でもさしつかえはないと思うのでありますが、実際の扱い方といたしましては、行政府といたしましては、一応の目安を出す。そうして国会の御審議を願うということが通常の形になろうかと考えます。
  9. 福田一

    福田(一)委員 その場合の予算、いわゆる国原において損失を補償する補償額は、大蔵省予算が当然伴つて来るものだと考えるのでありますが、そういう面も国会において大蔵省と交渉することになりますか。あるいはまた中小企業庁その他通産省関係においてこれをきめられるということになるのか、その点をお聞きしておきます。
  10. 小笠公韶

    小笠政府委員 本制度運用は、別途大蔵委員会で御審議を願つておりますように、特別会計制度によつて一般会計を切離して運営して行くという建前になつておるのであります。この特別会計法に基きまして、この会計收支予想、あるいは過去のものにつきましては收支の決算というものを、すべて国会で御審議を願うことになつておるのであります。従いましてこの制度運用に関します計数的な問題は、あらかじめ大蔵省と私ども中小企業庁と相談の上で政府案をきめまして、そうして国会に御審議を願うということになろうかと思います。
  11. 福田一

    福田(一)委員 ただいまのお話だと、やはり国会でわれわれがかつてにやれるというわけでもないので、結局は、あなた方の方で一応はそういうことを調査されることになるのでありますが、これはどちらからやつてもできないことでもありませんから、そこはかまいませんが、そこでもう一つ法案内容で、運用の面で一番大事なことだと思われるのは、第八條によりますと、当該貸付金債権の効力及び担保として金融機関が有していた一切の権利国家が引継ぐのだということが書いてありまして、そしてその前の條文及びその後の條文でも担保のことが書いてありませんが、実を言うと今まで金融がうまく行かないというのは、どこに理由があるかといえば、銀行は人の金を預かつてそれをお貸しするのだから、信用のない人に金を貸してこれが損失なつた場合には、一部の国民を救うために他の国民にたいへんな損害、いわゆる預金をしている人に損害をかけるからこれができないのだというこの原則を振りかざして、いつも金は貸してくれないということになつている。ところが中小企業というようなものは、どちらかといえば担保力というものはあまりないのであります。また非常に困つているような人にいい保証人がつく道理もないのでありまして、そういう面から見て金融というものがこういう中小企業人たちには非常に惠まれておらないという状況にある。ところが本法案は、この中小企業金融難打開するという目的で立案されているのでありますからして、担保とか保証人とかいうようなものは、なるべく今までのような強い担保力あるいは保証人制度というようなものがないようにすることによつて、私は初めて本法目的を達することができると思う。もし担保とか保証人というようなものが必要だということになりますと、割合に資産内容のいい人は救われやすいのでありますが、むしろ今救わなければならないのは、まじめに仕事をしておつてもなかなかこの金融難のために仕事ができないというような人である。こういう人こそ第一に救わなければならないということに相なつていると思うのに、この法案にこういうような担保のことがなおうたわれているということは、立法の方針としてどこにどういうねらいをつけてこういうような担保のことを書いておられるのか、この点をひとつ明らかにしていただきたいと思います。
  12. 小笠公韶

    小笠政府委員 ただいまお話担保の問題でございますが、この制度のねらいは、御指摘の通りにもつぱら中小企業担保力信用力を補強するということをねらいにいたしているのであります。同時に他面におきまして、いわゆる金融はコンマーシヤール・ベースの上に立つて金融されるということを否定しているものではないのであります。コンマーシャル・ベースの上に立つて金融がされてそれだけで行くと、中小企業のような担保力の少いもの、信用力の薄弱なものに対しては金融の疎通を欠きやすいのでありますから、その弱点を補強するというねらいであります。すなわち言葉をかえて申しますと、具体的に銀行中小企業者に金を貸す場合に、担保力をとらなくていい、あるいはとりなさいというようなことを本法はつきり指示せずに、いわゆる通常金融の形において、すなわち金融機関判断においてあるいは担保をとり、あるいは保証人保証を求めるということがあると思うのであります。ただそれだけでもなかなか借りにくいというのが現状でありますので、本制度はそういう実際上の取引の上にさらに貸付元本の七五%だけはこの保険制度を利用することによつて回收を確実にしてやろうというねらいであるのであります。すなわち通常取引における担保とか、そういう取引條件に加うるにこの制度によつて国家貸付元本の七五%を保証するということであるのであります。従いまして実際問題といたしまして、七五%がはつきり国制度によつて保険ざれるのでありますから、実際上従来のような担保あるいは保証人保証力ということのみによつて金を貸すか貸さぬかをきめて行くということが非常に緩和されて来ると思うのであります。この第八條におきまして規定いたしているのは、以上申し上げましたような考え方のもとに金を貸していただく。ところが返済期になつて收未済ができて来たときに、政府はまずその保除金の請求がありましたとき七五%を支拂う、あとの二五%につきましては、銀行の持つてつた債権関係を代位して引継ぐということになるのであります。その際に銀行と借人の間に保証の問題とかあるいは担保があつたとかいう場合には、その担保権政府が代位して行くということを規定いたしているのであります。すなわち銀行債務者との間の権利義務関係を一切代位して引継いで行くということをここに規定いたしているのでありまして、担保の問題は貸出しのときにおける考え方からある場合には引継いで行く、そうすることによつてこの会計は、極力国庫の損失を少くして行くというふうな意味においてこの八條を規定いたしたわけであります。以上のような次第でありまして、非常にこの制度健全金融というか、その線と国家保証という線の調和点をねらつたところにありますので、さよう御了承願いたいと存ずる次第であります。
  13. 福田一

    福田(一)委員 ただいまの御説明で一応了承とする面があるのでありますが、しかし私が非常に心配することは、いわゆるコンマーシャル・ベースの上に立つて金融というものが行われるのであるということはわかりますが、コンマーシャル・ベースの上に立つて金融を行うのだという原則が崩れたいということになつて国家に対してある特定の銀行は非常に損害をかける銀行が多いということになると、その銀行は非常に信用がなくなる。あの銀行はどうも調査が粗漏であるとかなんとかいうことを言われて、あの銀行経営者はどうも頭が悪いということになるのを恐れて、依然として担保の問題あるいは保証人の問題を従来の通りやるような傾向が起きはしないかということを私は非常に恐れるのであります。国家において特別会計をつくつて五億なり十五億なりの金を出すということは、これはもう中小企業のために、これくらいの金が減つても、損失が起きてもしかたがないということを一応前提としてやつているのであろうと私は思う。そういうことになれば、この中小企業を助けるという点に重点を置きまして、貸付もやつてもらわなければならない。そういう場合に本法案施行法とか何とかいうようなもので、法文には今言つたような中小企業を助けるのだという意味が盛り込まれておつても、実際の施行の面では従来のようなむずかしい金融の取扱いをいたしますと、本法案効果が大半減殺されてしまうということになりますので、その点はどうかこの法律施行する場合において特に注意しまして、ほんとうにこの法案によつて中小企業金融打開されるように、ぜひそういうような運用の仕方をしてもらうことを強く希望いたしまして、私は大蔵関係質問を除いて一応打切ることにいたします。
  14. 小笠公韶

    小笠政府委員 ただいまのお話運用上の御注意の点、私どももそういう点については十分配慮して行きたい、制度効果が極力上るように努力したいと考えております。
  15. 小金義照

  16. 高橋清治郎

    高橋(清)委員 まつた会期の切迫した今日において、こういう重大なるところの法案を出すということは、非常に私は遺憾に存じております。  簡單に一点だけお尋ねしたいと思うことは、この二十五年度において三十六億円、大体一箇月十二億円ずつの貸出しというようなことでありますが、年間百四十四億は別といたしまして、金融機関においてこの二十五年度に三十六億円の貸付を実際にやり得るだけの能力があるかどうか、裏づけがあるかどうかを承りたいと思います。
  17. 首藤新八

    首藤政府委員 御承知通り、今度のこの法案は七五%を政府保証することになつておりますので、金融機関といたしましては、いまだかつてないほど安心して融資ができることになつたのであります。従つてこれだけの保証をいたしますことによつて、当然明年三月までに三十六億の融資は楽にできるであろうという確信を持つております。
  18. 高橋清治郎

    高橋(清)委員 今の政務次官の御答弁によりますと、楽にできるでありましようということでありますが、当局は責任をもつてこれは必ず出すというだけの確信責任を持たれるかどうか、もう一度だめを押しておきます。
  19. 首藤新八

    首藤政府委員 一にかかつてこれは金融機関の認識によるものでありますが、今日までの非常に不安の多い融資と違いまして、これだけの保証がある以上は、いかに銀行がこの中小企業に対する不安がありましても、この保険法によつて融資する上におきましては、そういう不安は非常に拂拭されますので、現在の金融状況から考えましても必ず融資ができるという確信を持つております。
  20. 高橋清治郎

    高橋(清)委員 よろしゆうございます。
  21. 小金義照

    小金委員長 次は今澄勇君。
  22. 今澄勇

    今澄委員 私はこの信用保険法は究極するところ中小企業者金融打開の手段として反対する理由はないと思います。しかしながらいよいよ会期あと一日というところでこういう法案が出て、しかもこれの審議に最も重大な関係を持つ大蔵省の局長その他の責任者がこれに出得ないという段階においてこれを審議しなければならぬということについては、政府もひとつ大いに反省してもらいたいが、委員長においても十分ひとつその間のことを御勘案願つて、今後御注意を願いたいと思います。  まず第一番にこの中小企業保險法審議するに当つて自由主義経済中小企業振興対策については根本的な矛盾撞着を持つておるので、その両立しない根本的なこの矛盾撞着の上にこういう保險法をつくりながら中小企業を救つて行こうという考え方には、確かに一片の良心は認められるけれども、この間の矛盾している大きな問題の解決にはならないと思う。現に政府は先般の行政機構改革意見の中に、中小企業庁内局ということに行政機構審議会で廣川さんから発表になつておる。この中小企業庁内局問題は、少くとも今後交渉があるであろうが、私は通商権業省責任者に伺いたい。中小企業庁をあの答申案のごとく強烈に内局にしたいという外部の條件が逼迫して来ても、あなたは断じて中小企業庁を守り抜かれる所存があるか、しかして中小企業庁が将来どういうふうになつて行くかという見通しについてもあなたの御見解を承りたい。もし中小企業庁内局になるということになると、中小企業庁長官としても長期にわたる見通しの上に立つて責任ある中小企業救済の策は考えられない。まずこの保険法審議に先立つて中小企業庁そのものの将来について、次官から明確な答弁を得たいと思います。
  23. 首藤新八

    首藤政府委員 自由経済下におきまして、中小企業育成がいかに重要性を持つかということは、私も今澄委員と同じ考えを持つておるのであります。しかもこの指導の当然の責任者である中小企業庁責任もまた当然重大であります。従つて今次の機構改革に対しまして、中小企業庁内局となるという行政官理庁の構想に対しましては、通商産業省といたしましては全面的に反対して参つておるのであります。今後もできるだけこの方針を貫徹いたしたいというふうに考えておりますけれども、これは政府方針でありますから、最終的にどういうふうに決定するかということは、この際はつきり言明しにくいのであります。かりに最惡の場合これが内局なりましても、この中小企業指導育成の面におきましては、万遺憾なき処置を講じたいということだけははつきりこの際申し上げておきたいと思います。しかしながらそれにしてもやはりこの内局よりもはるかに強力な機関を置くことが、全面的な中小企業指導育成に相当大きな効果があるという点は、今澄委員と同じ意見を持つておりますので、今後極力その面で善処いたしたいと考えております。
  24. 今澄勇

    今澄委員 私は今の次官の御答弁はまことに弱々しい限りだと思います。少くともこういう法案を出して、中小企業者を守ろうという政府建前から行くならば、これが内局になるというような問題については、断じて通産省としては鬪うという気組みがあつて、この席上において中小企業庁現状のまま、ないしこれを将来広げて行くというくらいの答弁を期待しておつたが、非常に不満足である。かつそのような心組みでは、この信用保險法運用の上においても、現在の通産省として十分中小企業者金融難打開の万全は期せられないと思います。将来中小企業庁があくまでも内局にならないで、日本中小企業者のために、大産業並びに金融機関その他に対する力を持ちながら運営されるように私は要望をいたしておきます。  第二点は商工中金でありますが、この法律案によると、日銀興業銀行その他を使わないで、商工中金にこれがまかされております。私は何ゆえに日銀興銀等銀行をたよらないで商工中金を指定したかという点と、現在の商工中金について一体どのような考えを持つておられるかという点について伺いたい。商工中金は、その資本金においても、役員の構成の上においても、貸出しの面においても、地方における商工中金の窓口の部面においても、商工中金信用協同組合等との関係は、農林中金農業協同組合等との関係とは実に異なつたものである。農林省が農林中金に対する関係通産省商工中金に対する関係とはこれも違つている。私は通産省はこの商工中金というものに対しては、今の状態で満足せられているということはないと思う。私はまずこれらの商工中金現状に対する皆さん方の御批判と、それから将来商工中金を一体どのようにするのか、当面余裕がないから、この法律をこのまま通すとしても、少くとも商工中金というものをどうかして改めて行かなければならないということについては、皆さん方にも御意見があると思いますが、次官並びに長官の御答弁を承りたい。
  25. 首藤新八

    首藤政府委員 今度の金融に対しまして、商工中金に依存をすることにいたしましたのは、御承知通り今日まで商工中金が主として中小企業金融をあずかつている点に重点を置いて一応そういうことにいたしたのであります。しからば商工中金の今日までのあり方並びに現状がいいかといいますと、決していいとは申しかねるのであります。特にこの商工中金支店出張所がいまだ全国的でない、またそういう機関の設置してない所さえ相当あるのでありまして、真に全国的な中小企業金融機関としては非常に不備な点が多々あると存じているのでありまして、さらにまた事務の能率におきましても、これまた他の一般金融機関に比較いたしまして、非常にスローであるという点にもまた遺憾の点がありますので、今日まで再三商工中金に対しましては、急速に全国各府県支店出張所を設置すること、並びに事務をできるだけスピードにやるような態勢を整えること、この二つの條件を強く申入れをいたしまして、その実現を待つているのでありますが、商工中金といたしましては、御承知通り昨年来からようやく大口の融資ができることになつたのでありまして、従つてその職員の採用あるいは訓練という面に多少時間がかかつてつたのであります。しかしながら最近それらの点も大体準備が完了いたしましたので、今日まで支店あるいは出張所の開設のない府県に対しましても早急に開設する準備をいたしておりますとともに、事務の点におきましても相当改善する状態に相なつて参つたのであります。しかしいよいよ今度この信用保險法実施いたしまして、巨額な融資、しかも急速を要するところの融資をやります上におきましては、なお格段の業務態勢を改善しなければ相ならぬということは十二分に痛感いたしているのであります。従つてその面につきましては、今後も嚴重に申し入れをいたしまして、御期待に沿うような態勢をいたし、もつてこの信用保險におけるところの金融の全きを期したいと考えているのであります。
  26. 小笠公韶

    小笠政府委員 商工中金にきめました理由並びに商工中金現状をどう見ているかという二つのお尋ねでございますが、今政務次官からお話申し上げたようなことと同じ考え方であります。ただ事務的に申し上げますと、まず商工中金にきめました理由は、日本銀行というものをまず一応考えたのでありますが、日本銀行支店は、支店網といたしましてはまだ必ずしも十分でないということが一つ、それから日本銀行自体の業務が非常に繁忙であるので、こういうふうな仕事の受託事務をやることの余裕がない、こういう事情でありました。興業銀行につきましては、特に店舗の数その他が比較的少いのと、興業銀行が本来の特殊銀行から普通銀行にかわつてつておりまして、他の銀行との関係もありまして、必ずしも適当でないという事情からこの二つを選ばなかつたのであります。そこで商工中金はただいま四十六府県の中で三十九府県については支店出張所がございますし、順次中小企業金融に対する專門的な一つ金融機関として活躍をいたしておりますので、これに事務を委託することが、事務の遂行上比較的便利ではないかと考えたのであります。もちろん今出張所のない所は、次官から申し上げましたように早急にこれを拡充して行きたいという方向に参つているわけであります。特に地方におきまする中小企業に対する資金問題というふうなことを考えますと、地方銀行とのつながりをできるだけ迅速にやれるというふうな意味におきまして、できるだけ各府県に支所あるいは出張所機関があることが適当であるという趣旨で、商工中金にきめたわけであります。特に商工中金商工中金法によりまして特殊の半政府機関でもありますので、そういうふうにいたしたわけであります。  それから第二点の問題、すなわち商工中金をどう見ているかという問題につきましては、いろいろな見方があると思うのでありますが、商工中金の今まで歩んで参りましたあと考えてみますと、本年の三月に金融機関の再建整備法で新しくかわつたのでありますが、本年三月の決算におきまして貸出し総額は三十五億でありました。ところが十月の末には八十億を実はすでに突破いたしておりまして、毎月十億余の貸付の純増を見せておるというような状況であるのであります。この年度末におきましても、すでに御承知のように二十億ぐらいの純増をやつて行きたいというような方向でいたしておるのでありますが、それにかかわりませず、一方職員は六百数十人でこれを運営いたしておるというふうな状況でありまして、そこに手不足というふうな点からいろいろな問題が出て参つておりまして、御迷惑をかけておるというふうな点があるように考えておるのであります。そこで商工中金といたしましては、今申し上げましたような事情で順次中小企業の專門的な金融機関として発達して参つておるのでありまして、この機能を公正に発揮させるような方向に今後ぜひ持つて行かなければならぬ。特に資金量をさらに相当ふやして行く必要があるのではないかというふうに考えておるのであります。もう一つの問題は、さらに商工中金の問題といたしまして、いろいろ制度上の問題があると思うのであります。いわゆる組合金融を中心にいたしておるのでありますが、これではいろいろな点で不便がある。いわゆる組合の組合員に対する貸付の道を開くという問題であります。その他若干の制度上の改革に関するお話は伺つておるのであります。私どもその点につきましては十分に考えまして、今後研究をいたしまして、できるだけ中小企業の專門の金融機関として育てて行きたいというふうな事情にあるのでありまして、皆様の御指導も仰ぎつつ、公正な一つ金融機関に持つて行く、こういうふうに実は考えておるわけであります。
  27. 今澄勇

    今澄委員 それでは今いろいろ御答弁がありましたが、今の政務次官並びに長官の御答弁で、商工中金の現在のあり方に満足するものではない、商工中金の機構の上においても、その他資金源の上においてもいろいろ改善すべき点が多々あるという答弁は私も同感であります。そこで私の御質問したい第一点は、この中小企業保險法金融機関との間に非常な協調を欠くようた事態をかもすおそれはないかどうか、もしそういうふうなおそれがある場合には、現在の商工中金の力をもつてしてはその運営の上に非常に遺憾な面が出て来るが、これは一体どういうふうに処置されるか、これについては大蔵省の方の意見も伺いたい。  それから第二点は、これは大臣に伺いたいが、今の次官、局長の答弁によると、商工中金に改正すべきものが多多ある。商工中金の機構の上においても、あるいは商工中金の役員の選任の上においても、あるいは資金源の上においても、あるいは人員の問題についても、支店の設置の問題についても、いろいろ問題があるのであります。これらの問題を、具体的に言つて来る通常国会商工中金の改正法律案を出して、急速にこの信用保險法商工中金にやらせる代償としての、商工中金の改革の意思があるかないか。  第二点は大蔵省の方に聞きますが、さつき高橋委員から質問をした三十六億の財源が、銀行に余力があるかどうかということは重大なポイントでありまして、これに対して簡單にその財源はよろしいというような政務次官の御答弁であつたが、通産政務次官答弁などは何らの役に立たない。私は大蔵当局が現存の銀行の金繰りを見て、この三十六億の財源に余裕があるかどうか、ひとつ具体的な数字をあげての説明を伺いたい。  さらにそれに引続いて、今度ドツジ氏と大蔵大臣が折衝をして、金融債券を預金部に引受けしめることになつたが、これは中小企業金融にも大きな影響を及ぼします。私は事務当局においてでき得る限り詳細に、この金融債券を預金部で引受けるについて、今後どういうふうになさる気持であるか、これを通産大臣とあわせて大蔵省の方にお聞きをします。  まず通産大臣に、来国会商工中金の改正法律案を出すかどうかということを伺いたい。
  28. 横尾龍

    ○横尾国務大臣 よく討究いたしまして普処したいと思います。さよう御了承願います。
  29. 小笠公韶

    小笠政府委員 今の御質問の第一点の本制度運用にあたりまして、金融機関と受託機関としての商工中金との間に摩擦を生ずるおそれはないか。いわゆるそこに必ずしも調和のとれないような場合が起りはしないか、こういうお話でございましたが、制度の大体の仕組み並びに委託すべき事務の範囲というような点から考えまして、矛盾あるいは利害の衝突、そういうような調和を欠くことは起らないであろうと思うのであります。万一起つた場合におきましては、政府としてはそれに十分善処して参りたい、こう考えております。  なお第二の点は、ただいま大臣からお話申し上げた通りでございます。  第三の問題は、ちようど銀行局長が大蔵委員会の方に出られておりますが、年度内の三十六億の裏づけはあるかどうかというお話でありますが、これは建前といたしまして金融機関と、一定期間におきます、たとえば本法が御協賛を経て、十二月十五日から施行されるといたしますと、十二月十五日から来年の三月末までの間において、各金融機関においてこの保險をかけながら貸す。いわゆる総額を銀行別にきめることに相なつております。すなわちAの銀行につきましては何千万円、Bの銀行につきましては何億というふうにきめまして、その契約の範囲内において具体的貸付の実効が起つたときは、それを通知することによつて保險契約が成立したというふうなことに相なるのであります。通常いわれております継続予定保險のような思想でこの案を組んでいるわけであります。そこで一件三百万円以下の貸付をしたときに、この保險制度にかけるかかけないかということは、当該金融機関のいわゆる自由にまかしておるわけであります。そこで貸付の総額から見て、それが全部この保險にかかるかかからぬかということもはつきりは申しにくいと思うのでありますが、資金源として三十六億が用意されるかどうか、こういう問題になりますと、たとえば商工中金が、先ほども申し上げましたように、本年度の十二月において貸す予定が、すでに御承知通り年度金融といたしまして日本銀行から別に従来よりも四億のわくを広げるということに相なつておりまして、総額の純増二十億で、毎月大体十億ぐらいの純増がある。そのほかに別に二十億というものを、大体資金の見通しを持つて進めておるわけであります。さらに各金融機関貸付状況、特に中小企業專門店舖あたりにおきまする貸付の金額の状況というふうなものを見てみますと、この三十六億を三月末までに消化するということは、もしも全部がこの保險にかかるという前提をとりますならば楽に行けるのではないか、逆に少な過ぎるのではないかということを実は心配いたしておるわけであります。
  30. 今澄勇

    今澄委員 今いろいろ御説明を聞きましたが、しかし長官の言われているようなそういう状態であるならば、この信用保險法案というものが中小企業者を救う権能は、まるきり雀の涙ほどであるという自問自答に落ちるであろうと思う。われわれの目的法案のささいな條文ではなくて、中小企業金融難打開の上にどれだけの寄與をするかということにこの法律のねらいを置かなければならぬ。われらは法律のそういつた條文にとらわれて、しかもそれが足らぬであろうというようなことであれば、中小商工業者は倒れるということである。どうか長官は少くとも中小商工業者を救うという建前の上に立つて法律運用をなさるべきものであるということをお考え願いたい。  そこで政務次官が見えますので、私は先ほど来商工中金の問題について論じたのでありますが、大臣は商工中金の問題について、また一切の中小企業の問題については、近く考えて相談の上善処するという答弁の一点張りであつて、何ら聞く価値がありません。私は首藤政務次官が、中小企業の問題については現在のところそのような無能な大臣のもとにおいて少くとも努力をしておられるという、その熱意だけは買うものでありますが、来る通常国会において政府法案を出して、これらの商工中金現状を改善する意思があるかどうかということをもう一ぺん政務次官に聞きたい。  もう一つは、大蔵当局は説明をしなかつたのですが、金融債券の預金部引受け、これが現在の預金部資金運用の上の大きな問題になつておりますが、事務当局しか見えておらぬのならば事務当局でいいが、そういつた具体的な問題は一体どういうふうになつているかということを、大蔵省の代表者は申し述べられたい。それがわからぬということであれば、わかる代表者を私は委員長に要求するから呼んで答弁をさせてもらいたい。
  31. 首藤新八

    首藤政府委員 先ほども申し上げましたごとく、現下日本の経済事情において一番大きな欠陷は、中小企業に対するところの金融が非常にうまく行つていない。これをほんとうに円滑にやらなければ日本経済の健全な発達は期待し得ない。そこでどうしても画期的な措置をもつて中小企業金融を円滑にやりたいという政府の念願から、実はこの法案提案いたした次第であります。従つてこの法案運用上において欠点があり、さらにまたこれだけの法案ではなお金融上に円滑を欠く不備の点ありというようなことがありましたならば、次の国会に対しまして当然修正する法案を出したいと考えておるのであります。  それから……。
  32. 今澄勇

    今澄委員 商工中金の改正の意思はどうか。
  33. 首藤新八

    首藤政府委員 商工中金も御承知通り、せつかく中小企業金融機関でありながら、名目にすぎない。これは御承知通り組合対象になつておる。しかるに組合対象では理事が全員連署しなければ金融も受けられないというところに実は大きな欠陷があるのであります。われわれの考え方といたしましては、今日までともかくも中小企業金融に対しては他の銀行よりも経験を持つておりまするから、中小企業金融を円滑にするという建前からこの組合というわくをのけて、そして中小企業のだれにも金融できるような、商工中金を実は中小企業の專門銀行にいたしたいという念願を持つておるのであります。従つて今日までも再三その旨を含んで関係筋の了承を得ようといたしたのでありますが、不幸にして今日までまだその先の了承は得ていないのであります。しかしながら機会があつたならば政府といたしましては、これは将来中小企業の專門銀行にいたしたい、実はかような希望を持つておるわけであります。従つて漸次それに振り向けるように、かつ現実に中小企業金融に遺憾のないような態勢をどうしても整えなければ相ならぬ。従つてその面からも商工中金の改革につきましては十分考慮いたしまして、そうして欠陷がありますならば次の通常国会に対しまして、これらの修正の法案提案いたして御協賛を得たいと考えております。
  34. 長谷井輝夫

    ○長谷井説明員 ただいま御質問がございました預金部によります金融債の引受けの問題をお答えいたします。ただいまちようど銀行局長が日本輸出銀行法の関係大蔵委員会へ出ておりますので、代理させていただきます。  預金部の関係では現在のところ年度末までに大体余裕金がならしまして二百億円、来年度においては四百億円出ておりますが、総体で申し上げると、本年度二百億円程度の余裕があるわけでございます。これに対しまして現在まで銀行等の債券発行等に関する法律に基きまして金融債を発行しておる、銀行におきましては、御承知のように勧銀、興銀、北拓、金庫は農金、商金と、三つと二つがあります。そのおのおのに対しまして、現在司令部と折衝中で、大体見通しとしては一月からそういう金融債を大幅に引受けて参りたい。もし余裕がありますならば、銀行等の債券発行等に関する法律に基きまして金融債を発行する場合はそれも引受けていい。考え方といたしましては、金融債と申しますのは割引債券と利付債券がありますが、預金部で引受けるのは利付債券を中心として、三年ないし五年の長期のものを考えて参りたい。そして利率につきましても、大体現在発行いたしておりますところの利率をそのまま踏襲して参りたい、かような次第になつております。こういたしますと、今御質問がありました商工中命の関係その他でございますと、商工中金では預金が全然――全然というと語弊がありますが、預金の額が非常に少いのでありまして、そういう場合はむしろ短期金融債というものも必要じやないかということも考えられますが、一応今度の預金部の引受けは長期の資金をまかなうという建前に立つておりまする関係上、商中債につきましても、やはり利付債券を中心にして行く、この考え方を第一、第二、第三ととりまして、大体どれほどまで商工中金が能力的に貸し出せるかという一つの貸出しのわくを考えまして、たとえば一月以降の債券の日銀によるオペレーシヨンがないとしたならば、どれだけ市中に消化できるかということを想定いたしまして、その差額をでき得ればわれわれとしては預金部で全部引受けて行きたい、かような考え方で今その検討を進めて、司令部と折衝中でございます。
  35. 今澄勇

    今澄委員 今の御答弁であらかたのところはわかりましたが、どうもまだはつきりしないので、私はさらにもう一つ商工中金の現在の機構――すなわちいろいろな機構がで来ていて、審査課の方で調査をして貸付をするという現在のいろいろの機構について、商工中金から金を借りんとした者の不満というものはそれぞれ欝積しておると思う。     〔委員長退席、阿左美委員長代理着席〕  この機構は先ほど通産政務次官が改革案の中でもし見通しがついたらこうするのだ、大体こういうような機構にしたいのだというようなことが、今わかつておれば見通しだけでけつこうですからお話を伺いたい。  それからもう一つは、商工中金の当面の資金源の財源として日銀の別わくを広げて、商工中金に年末融資として応急策を講ずるという意思はないかどうか、この二つの点を通産、大蔵当局にちよつと伺いたいと思います。
  36. 首藤新八

    首藤政府委員 商工中金の機能を十二分に発揮していない。従つて今日まで貸出しの面におきまして非常な澁滯を示しておることはまつたくお説の通りでありまして、今日まで政府といたしましても再三再四商工中金にこの点を難詰いたしまして、急速に迅速な融資ができる態勢を整えるよう申入れをいたして来ておるのであります。しかしながら先ほど申し上げましたごとく、商工中金は大体昨年までは開店休業といえば極端かもしれませんけれども、一応こういう金融機関があることはあるけれども、実際問題としてあまり活用されていなかつた従つて自然と事務的にもそういうことになつてつたのであります。しかしながら先ほども長官から申し上げましたごとく、すでに本年度におきましては、現在八十億の融資をしておる。さらにまた今度のこの保險法の通過によりましていよいよ大規模の金融機関とならざるを得ない。非常に飛躍したところの金融機関となるのであります。従つて商工中金におきましても実質的にこれに即応ずるような態勢を整えるであろうことを確信いたしまするけれども政府といたしましても十二分に今後の金融の面におきまして万遺憾のないような措置を急速に整えるよう申入れをいたしたいと考えておる次第であります。  なお年末金融につきましては、先ほども長官から申し上げたと存じますが、一応十億を年末金融に別わくとして申し入れてあります。しかしいろいろ財政的関係がありまして、四億に圧縮されましたけれども、他の方面の融資がありますので、大体今月だけでも二十億ははつきり融資のできる態勢が整えられておるのであります。
  37. 長谷井輝夫

    ○長谷井説明員 商工中金の機構の問題でございますが、これは御承知のように農林中金にも同じような問題がありまして、やはり出資組合の代表者を入れるかどうかという問題で、役員を民主化するというような問題も実は聞いております。それと同じような問題で商工中金の機構という問題も当然日程に上つて来る問題だと存じまして、大蔵省でも現在慎重に研究中でございます。  それから第二点の問題といたしましては日銀の別わくでございますが、これは今政務次官からお話がございましたように四億ということで進んでおりますが、大体先ほど申し上げました金融債の引受けも司令部との折衝によつて早ければ十二月からやりたい。こういう関係から考えておりますので、彼此勘案いたしますれば、十分ではないがやや行けるのじやないか、かように大蔵省といたしましては考えております。
  38. 今澄勇

    今澄委員 今の大蔵省説明員の御答弁は懇切にして私は非常に感謝しますが、大体大蔵省の局長なり課長なりは常に通産委員会へ顔を出したことがない。私は過ぐる第七国会においても、大蔵省は一体通産委員会には顔を出さないのかというて大蔵大臣に難詰したところが、そういうことはない、大いに今後大蔵省にはこわ談判をするということであつたが、私は何も大臣、次官と言うておるのではない、局長すらも、よけい局長がおるのにここに全然出て来られない。ということは今の説明が惡いというわけではない。今の説明は懇切にして私は満足したものではあるが、ともかくも責任者を一応出して聞きたい。今の答弁についてはあと責任者にこれを確認させるということを留保して、これから各條項にわたつて質問申し上げることにいたします。  この法案の中の私が聞きたいところの第一点は、本法第四條第一項の規定により、貸付の期間は六箇月以上ということになつております。今日六箇月以上にわたつて長期貸付を行う銀行はそうざらにないことは御承知通りである。規定の六箇月以上は年長期六箇月というふうに考えなければならない。そこで借入れる業者の側からいいますと、できるだけ長く借りたいということは想像できるわけです。実際問題として六箇月ないしはせいぜい七、八箇月ぐらいと見なければならないでしよう。そこで私は先ほども問題が出たが、根保証制度をひとつ考えてもらえないかと思う。そうすると借入れる方も金融機関も手数が省けるし、従つて保險料の負担も軽減せられることになると考えられる。私は根保証の形式をこの法案の中に挿入せられなかつた理由と、やはり今後こういうふうな根保証をやらなければならないという事態が想像せられるが、これは修正されて、将来根保証制度を入れられるお考えがあるかどうか、この二点について質問いたします。
  39. 小笠公韶

    小笠政府委員 第一に、六箇月以上と切りましたのは、先ほども申し上げましたように、できるだけ長い資金を供給したい、こういうねらいでありますのでこういうふうにいたしたのであります。こういう制度を布くときに、ただいま御質問の根保証制度というようなものを考えたらどうか、なぜ考えなかつたか、こういう御質問でありまするが、根保障制度というようなことになりますと、法律関係も相当複雑になりますし、いろいろないわゆる損失率の見通しの問題その他法律関係が相当やつかいになりますので、それをなお本制度施行した経験から振り返つて考えてみることにいたしたいと実は考えておるわけであります。ちようど中小企業に対する危險率、たとえば生命保險における一つの確率というようなはつきりしたものがまだつかめていない。そこでこういう單純な制度で進んでみて、そこに何らかの確立というか、一つの大きな方向を発見されるということになれば、そこに順次改正を加えて行くことにいたしたいという考え方で、こういうふうにいたしたわけであります。
  40. 今澄勇

    今澄委員 今の後答弁は、運用してみて確率その他がわかれば、この根保証を新しく考えて将来は修正するという御答弁であると解釈して次に進みます。私は少くとも中小企業金融難打開のために、法制上の手続の問題その他を乘り越えて便宜な方法を盛ることが、企業庁長官としての一番大きな責任であるということをこの際申しておきます。  次に私は、保險の料率はいささか高過ぎはしないか。一般の火災や生命保険に比較すべき筋合いでないことはわれわれもわかる。しかしながらこの三分という率はいささか高きに失するのではないか。もちろん実際保險金額、すなわち保險価額の七割五分に当る保險金額に対しては、二分二厘五毛に当るわけでございますが、それにしてもこの法律案の根本のねらいは、いわゆる弱小なる中小企業者群を対象とするものであります関係上、二分五厘前後が大体妥当なものではないかとわれわれは考える。われわれの関知するところにおいては、アメリカのこれらの制度における料率は一分五厘程度の由であると承和しておるが、このアメリカの料率から見ると三分というのは倍額に近い。本法律案のすべり出しとしてはいささかこれは高過ぎるのではないか。それらの点についても、次官なり長官なりは、この料率は将来一体やつてみてどういうふうに運営されるか、もしやつてみた結果、これが少し高過ぎるということで加入者が少いということになれば、アメリカの程度あたりまで下げられるかどうか、これらの料率についての見通しと、この三分の料率をきめられた基準並びに根拠について御答弁願いたい。
  41. 首藤新八

    首藤政府委員 百分の三が高いという御説であります。これも見方によつてあるいは高いかもしれぬとわれわれも考えておるのであります。しかしながら御承知通り、初めて実施いたしますので、一応すべての構想を内輪に見積つておりまする関係上、こういう率が妥当でないかという結論に到達しておるのであります。従つて今後運用いたしまして、その結果この百分の三を徴收する必要がないということでありますれば、これはいつでも引下げたい、なるべく引下げる時期の早く来らんことを希望いたしておるのであります。従つて百分の三ということに限定せずして、百分の三以内ということに限定してあるのは、そういう点を含んで、特に以内という字を付してある次第であります。
  42. 今澄勇

    今澄委員 長官から三分にきめた基礎、どういうわけで三分という数字をきめましたか。
  43. 小笠公韶

    小笠政府委員 三分にきめましたのは、正直に申しますと正確なデータを持つておるわけではありません。現在信用保証協会等で行つておりまする保証率が通じて三分でございます。これは短期で三分ということに相なつておるのであります。そこで一応三分というものを頭に置くということで大体行けるのじやないか。そこで今政務次官からお話申しましたように、実際の状況に応じて順次引下げて行くということにいたす意味で、頭を現行の三分でやつた、また三分をベースにいろいろな計算をしたというにすぎません。簡單でありますが、そういう状況であります。
  44. 今澄勇

    今澄委員 今の御説明は非常に率直であつたので、私はそう追究しません。しかしながら先ほどのあなたの御答弁の中には、二十億というような金はいらぬだろう、申込みは少いだろうというお話でありましたが、かたわらその料率の目の子算は、信用保証制度の三分というものをつくつたのは、どうも私は中小企業者の立場に立つてみると心さびしい気がいたします。  第四点として、一体それではこの法律案を作成された通産省当局としては、借入れ申込みをした中小商工業者のうち、保険法の有無によつて銀行が今日まで貸付に応じなかつたが、今度は貸すようになる率は相当ふえると思われるかどうか、言いかえるならば、この法律が出たからといつて金融機関がおいそれと急に今度は簡單に金を貸ずようになるかどうかという、これは一番中小企業者の希望しておることであります。けだしこの保険の裏づけで、市銀に対する見返り資金や預金部資金の放出状態の、さつきの大蔵省当局の言明によると、私は小笠長官の言つたように、なかなか銀行が簡單に貸すようなことにはいかぬのじやないか、それを恐れて業者もなかなか申込みが少いのじやないかという気がいたしまするもちろん土地により、銀行により、地方により、借入する相手方によりいろいろかわつて来るでしようが、保証制度の四分の三、すなわち七割五分、この七割五分という数学はまだ二割五分の自己保險があるということを意味するわけであるから、やはり銀行としては一応の危険を負担しなければならぬ。この七割五分という限度をきめた算出の科学的根拠、これは何か基礎があつて七割五分にきめられたのかどうか。私どもに現在の信用保証制度あるいは協調融資等の現状から見て、この七割五分の数字は八割が妥当である。かように考えておるが、これに対する将来の見通しを通産政務次官から、七割五分にきめた数字の基礎を長官から伺いたい。
  45. 首藤新八

    首藤政府委員 せつかく法案が出たにもかかわらず、実際銀行金融するかどうか、いささか不安であるという御意見でありますが、先ほども長官から申し上げましたごとく、一応今後の融資に対しましては、銀行に対してそれぞれの貸出しのわくをこしらえる。そのわくの基礎は、今日までの中小企業に対するところの金融あるいはまた銀行の、この法案の成立したことによつて認識を改めた希望額というものがフアクターになつて一応わくが決定すると思うのであります。従つてそのわくが決定いたしました以上は、当然その銀行はそのわくだけの限度一ぱいまでは貸さなければ、むしろその銀行の中小へ美に対する金融の熱意いかんということが必然的に公にされまして、批判の対象になることになつて来ると思うのであります。それと同時にただいまの七制五分という保証がありまして、従来とはまつたく一変した、安心した金融ができるということになつておりまするので、銀行融資は十二分にできるであろう、かように確信いたしておるのであります。
  46. 小笠公韶

    小笠政府委員 七五%の基礎でありまするが、基礎を計数的にはじいて、七五%が一番いいのだというふうな数字は出にくいのであります。借りやすくするという立場から申しますと、この率が高いほどいいことは申すまでもありませんが、他方におきまして金融の健全性といいますか、金融機関一つ責任ある態度、自主的な態度をできるだけとらせる、いわゆる放漫な貸付をある程度チェックするというふうな要素をも入れなければなりませんので、彼此勘案いたしまして、七五%ということにいたしたわけでありまして、八〇%がいいか七五%がいいか、九〇%がいいか、これは一つの面から見れば多いに越したことはないのでありますが、他方の要素とのかみ合せをどうするかというふうなことで、一応七五%という比率にいたして飾るわけであります。
  47. 今澄勇

    今澄委員 そこで私は、この七割五分の数字並びに先ほどの三分の保険料率の数字というものは、この数字以内でいろいろの操作をやらせるお考えがあるかどうかということもあわせてお聞きしたい。たとえば料率については、期限の短かい八箇月ぐらいのものは一割ぐらいとつて、期限の長い一箇年以上のものは二分五厘とるとか、三分近いぎりぎりまでとるとか、あるいはこの保険料率の七割五分も、この法律で行くと七割五分と縛られるが、これはいろいろそのときの状況によつて、あるものは九割、確実なものは五割ぐらいというようなアロアンスを設けて動かした方が、もしそういうふうな長官の御見解であるならば正しいといわなければならぬが、そういうふうな運営をされる気持があるかどうか、重ねて聞きたいと思います。
  48. 小笠公韶

    小笠政府委員 三分の保險料率のきめ方あるいは保險金額の七五%のきめ方につきましては今申し上げた次第であります。そのことがすなわち運用上において、ケースによつて保險料率あるいは保険金額を左右するような結果になるかは当然には出て参らぬと思うのであります。私は保險というものが、そういうふうなベースの一つの点において一定の結論に達しますれば、そのベースによつて比較的簡單に、正確にこれを運用するということが保險の生命であろうと考えておるわけであります。
  49. 今澄勇

    今澄委員 ベースを一定にしてこれによつて簡素な運営をするということになれば、そのベースを算出する科学的な根拠並びにこれを中心として守るべき一つの確実な信念の上に立つということが前提條件でなければならぬが、そのような前提條件をベーシスで押して行こうという考え方に矛盾があると思います。将来運用の上においてこの矛盾が現われて来るならば、私は改正を願いたい。こういう現状のもとにおいては、御指摘のような申込みの率が非常に少いであろうというようなことを長官自身が想像するような基礎がこの中にあるということを指摘して、私はこの点における質問を終ります。  最後に私は、国民金融公庫という問題をここに取上げて、本法律案とともに考えてみたい。まず私どもは、国民金融公庫の法律改正を今度の国会に出したが、政府提案に関する與党側の一方的な審議で、われわれの出そうとした国民金融公庫法は一事不再議の原則によつてこれは拒否せられました。しかしながら私ども国民金融公庫についてどういうふうな考えをしておるか。一体この商工中金あるいは市中普通銀行中小企業専門店などといつた一連の中小企業金融国民金融公庫との根本的な相違は一体どこにあるか、一体双方のそのねらいとするところに根本的な相違が大してないとすれば、何ゆえに国民金融公庫の所管が、商工業界の実情にうとい、しかもややともすれば大産業を守り、独占金融資本の中心的な動きをする大蔵省の所管になつておるかという実情を伺いたい。私は少くとも通商産業大臣は、このような国民金融公庫を自分の所管のもとにおいて、これらの商工行政の上に大きく、中小業者金融難打開のために努めなければならぬのに、その国民金融公庫はわずかに三十億の資本金で、われわれはこれを百五十億に増加して予算に盛り、政府資金を投入すべきことを主張しておるが、それすらもわれわれは拒否にあつて、しかも政府はわずか十億をこれに盛つたにすぎない。しかもその所管はあくまでも大蔵委員会であつて、通産委員のわれわれがこれにいろいろな意見を述べるが、何ら通じない。政府の方々の要望も何ら大蔵省に通じない、かような実情であります。私は、この国民金融公庫というものは、当然これは通商産業省の所管にすべきものであると思うし、今後もそういうふうな努力を続けたいと思うが、これに対する首藤政務次官の御見解を承りたい。
  50. 首藤新八

    首藤政府委員 国民金融公庫が大蔵省の所管になつ理由が那辺にあるか、私どももつまびらかにしておりませんが、思うに国民金融公庫の対象となるべきものは、まつたく零細な業者あるいはまた海外の引揚者であるとか、その他当面の職業のない方に何らかの職業を與えよう、そうしてその資金をいささかでも融資することが目的となつて大蔵省の所管になつたのではないかと考えておるのであります。しかしながらこういう趣旨のもとに金融されておりましても、おのずからそこに仕事を始める以上、これは当然商工部面に属するものが多いかと存じておるのでありますが、と同時にこれら零細のものを一歩々々前進さして、大きなものに指導育成しなければならぬという責任を持つておる通産省といたしましては、御説のごとく通産省の所管に属する方が、この国民金融公庫の融資目的を達成する上において、現在の機構よりもはるかに効果的であるという見解を持つておるのでありまして、機会があるならば通産省の所管にしていただくことを希望するものであります。
  51. 今澄勇

    今澄委員 私は、国民金融公庫法第二條の事業資金云々という、この国民金融公庫法に書いてある明文の上から判断をして、国民金融公庫がまさか社会保障であるとかあるいは救貧の立法であるとかいうような、時代錯誤の認識を持つておる者がおろうとは思われません。この国民金融公庫法における事業資金という文字は、少くとも現在の経済社会における経営資本的な立場に立つているものと考えなければならぬのであります。通商産業省は、今度の行政機構改革の上においても、少くとも化学産業の一元的な経営であるべきはずの肥料が農林省に移管されるというような発表に対しても、通商産業省が何らの意思も示さなければ、何らの対策もない。通商産業省におけるアルコールの專売等が大蔵省に移つて行こうというような態勢があり、しかもアルコール專売の諸君の意見を聞くと、アルコール工場の現状の管理は、通商産業省は何らの熱意がなく、タバコの專売を持つておる大蔵省の方がよいという意見である。通商産業省が、少くとも国民金融公庫のごとく、経営資本の立場の上に立つておる金融機関は、通商産業省のもとに、商工中金と並び立つて、これが中小企業金融の上に大きく動くような体制を講ずることが必要である。しかもこの信用保險法については、商工中金のみならず、このような国民金融公庫の活用をなすためには、国民金融公庫法を改正して、中小企業者のほんとうの金融難打開のために、商工中金国民金融公庫、その上に立つたこの保險というような構想で臨まれることを私は希望しておるのであつて、ぜひ通産省政務次官のこれに対する熱意と将来の御努力をお願いして私の質問を終ります。
  52. 小金義照

    小金委員長 午前はこの程度にてとどめまして、これから休憩いたします。午後は正一時から開会いたします。     午後零時十二分休憩      ――――◇―――――     午後一時二十分開議
  53. 小金義照

    小金委員長 ただいまより休憩前に引続いて本委員会を開会いたします。  午前に引続き質疑を継続いたします。砂間一良君。
  54. 砂間一良

    ○砂間委員 中小企業の行き詰まりということにつきましては、最近非常に深刻なものがあるのでありますが、それを振興させ、打開するために、單に金融措置だけでこの中小企業の不振が打開できるというふうに政府はお考えになつておられるかどうか。私どもの見るところによれば、今日のこの中小企業の不振というものの原因につきましては相当深いものがあるというふうに考えておるわけであります。一言にして申しますならば、政府の財政経済政策全般が今日の中小企業をこの困窮に追い込んだものであると考えておるわけであります、二、三の例を申し上げますならば、中小企業の下振ということは軍に金融の逼迫ということだけではなくして、最近数年間における一連の政策の結果であるということが言えると思うのですが、その点をあまり長く詳しく申し上げますと時間がかかりますから省略いたしますけれども、たとえば二、三年前の経済九原則だとか、あるいはドツジ政策、そういうふうな政府一般的な財政金融政策が非常に大きな原因になつている。たとえば電力の割当等にしましても、大企業の方には豊富低廉な電力を供給しておる、中小企業の方には割当が非常に少い。それから原料や材料にしても同様であります。あるいは税金等が中小企業に非常に重くのしかかつて来ている。そういういろいろな点が輻湊いたしまして、につちもさつちも行かない中小企業の不振という結果になつておると私ども考えておるのであります。従つて中小企業の今日の行き詰まりを打開するためには、單に金融措置だけでできることじやない。それはただ一時の膏薬張りとか、あるいはせいぜいいつて潤滑油税度にもならぬくらいじやないかと考えているわけでありますが、そういう点につきまして、ひとつ政府中小企業振興に関する根本的な方針というか、お考えを聞きたいと思います。
  55. 首藤新八

    首藤政府委員 中小企業の振興策として、金融対策だけでは十分でない。ほかにいろいろもつと掘り下げて検討しなければならぬ根本的問題があるというお説であります。お説のごとく今日の中小企業金融難は、政府の一昨年来とつて来た政策も一つの原因かとも思います。しかしながらこれは国家目的を達成する上においてどうしてもとらなければならぬ政策でありまするから、中小企業面の金融がそれがために多少圧迫を受けても万やむを得ないのであります。そのかわりそういう圧迫を受けた面につきまして、いろいろの対策を講じて来ましたが、特に今度の中小企業信用保険法は画期的な措置だという自信を持つておるのでありまして、これによつて相当大きな効果を上げるであろうという確信を持つておるのであります。と同時に、中小企業育成面における現在の隘路はどこにあるかという点を検討いたしました場合、最も大きな隘路は金融であるということには何人も異論はないと確信いたしておるのであります。さらにまた政府の政策も先ほど申し上げましたごとく、ドツジ・ラインあるいは経済九原則という面が多少影響したかと考えまするけれども、本来的に中小企業には資本金を十二分に所持してないという方が非常に多いのでありまして、元々から金融難に陷つていた者が事業を始めたという面が非常に多いのであります。従つてそういう面に対しまして、できるだけ金融の円滑をはかつて育成いたしたい、かように考えております。
  56. 砂間一良

    ○砂間委員 たしかこの春の国会であつたと思うのでありますが、池田大蔵大臣は中小企業がばたばたとつぶれて行こうが、そういうことはあたりまえだ、とは言わなかつたかもしれませんが、当然であるというようなことを言われたと思うのです。資本主義のもとにおきましては、どうしても大企業が力を持ちまして、中小企業がだんだん圧倒されて行くのは基本的な原則ではありますが、しかし今の自由党の吉田内閣の政策は、ますます大企業、大独占資本を擁護して行く、そしてそのしわを中小企業や農村に寄せて行くという政策を強力に推進していることは、まぎれもない事実だと思う。そういうふうに一方では大企業を盛り立てて行つて中小企業をますます行き詰まらせる、そういう基本的な方針をとつておりながら、その根本方針を改めることなくして、ただ金融の面だけで少しごまかして行く、糊塗して行くというような行き方では、私はほんとうに日本産業の重要な部分をなしておるところの中小企業の振興とか、あるいは救済とかいうことは絶対にできないと思います。大体本末を転倒していると思う。それは金融のこともやるに越したことはないでありましようけれども政府が根本政策を立てかえて行くことなしには、そういう政策をやつてつて所詮むだである、と言うと言い過ぎかもしれませんが、あまりたいした効果は期待できないと考えておるわけであります。従つてここでお尋ねしておきたい点は、政府はあの池田大蔵大臣が春の国会で言うたような、ああいう方針、ああいう政策をここでひとつ根本的に切りかえる意図はあるかどうか、そういう点をお伺いしたいと思います。
  57. 首藤新八

    首藤政府委員 大蔵大臣がある程度倒産してもやむを得ないと言つたということがこの春の新聞記事になりましたので、それを指摘されたと考えますが、その当時の大蔵大臣の言われたことは、できるだけそういう破産者のないような措置を講ずるということを極言したにもかかわらず、大臣の能力においてそれができなかつた場合にはどうするか、そういう追究を受けたので、そのときにはやむを得ないと言つたことがああいうふうに報道されたらしいのであります。従つて大蔵大臣も、倒産者はやむを得ないというような考え一つも持つていないことを、この際はつきり申し上げておきたいと思うのであります。  なおまた砂間委員の御説は、要するに自由経済に対する反対の御意向かと存じまするけれども、現政府はあくまでも自由経済が適当である、自由経済によつて初めて国家の経済は発展するのだという信念を持つておりまするから、御説のような形式の経済に切りかえるということは毫末も考えていないことを申し上げておきたいと存じます。
  58. 砂間一良

    ○砂間委員 そういうふうな政府考え方を前提として立つている限り、中小企業の悲況は今後ますます深刻にならざるを得ないと思うのです。そういう根本方針をとつておりながら、こういう信用保險法案のようなものを出して、膏薬張り的なやり方でやつて行くということは非常に矛盾している。しかしこれ以上のことはここで押問答をやつておりましても意見なりますから、これ以上申しません。  次にお伺いしたい点は、中小企業といいましても、その中にはいろいろな階層が含まれているわけです。この法案によりますと資本金五百万円以下、従業員二百人以下をいうふうになつておりますけれども、五百万円以下、二百人以下ということの中にはいろいろな階層が含まれている。大体金融機関に縁のない中小企業者は非常に多い。中小企業者の中でも金融機関に一応何らかのつながりを持つて借りに行くという人は私は二割ぐらいしかないのじやないかと思う。二割くらいの人か借りに行つても、申込み件数のそのまた二割か三割くらいしか実際には融資が成立しないというような実情になつておると思います。このことは中小企業の一件当りの融資金額等を見ましても、大体四、五十万円くらいになつておるんじやないか。この点については中小企業庁小笠長官なんかの方が非常に詳しい資料を持つておられると思いますが、そういたしますと、ここでこういう保険法をつくりましても、中小企業の圧倒的部分が――その七割、八割というふうなものは実際には金融機関を利用しておらない。また借りに行つてももうのつけから銀行に断わられるというふうな人たちばかりであるわけです。従つて資本金五百万円、あるいは従業員二百人ということになりますと、その限度のごく上層の部分の人、たとえば資本金が三百万円とか、四百万円、あるいは従業員数が百人以上とか、百五十人以上という人は一応金融の対象となるかもしれませんが、もつとそれ以下の人、たとえば従業員数百人以下、五十人以下、あるいは三十人以下という、下へ来れば来るほどこの金融の道はつかない。しかも今一番深刻に悩んでおるのかその下の階層へ行くほど金融難になつているわけです。またそういう業者の数の方が圧倒的に多い。時間がありませんのでそのこまごました数字はここで申し上げません。数字は申し上げませんけれども圧倒的に多い。この圧倒的に多い零細な中小企業者――零細な中小企業者というのもちよつと変な表現なんですけれども意味はわかつていただけると思います。そういう人たちには、現在においても金融の道は全然講じられていない。従つてこういう信用保險法をつくりましても、それが何らの恩典にならないということが言えると思うのです。そうしますと、中小企業の振興をはかるという名目で、結局中小企業の方でも、ごく上層部分の、ごく一部の人たちは現在でも多かれ少かれ金融の道はついておるわけです。そういう人たちにだけしか実際問題として利用されないのじやないか。こういうことを私は心配するわけであります。これらの点についての政府並びに小笠長官の御見解を承りたい。
  59. 首藤新八

    首藤政府委員 この法案中小企業の上層部だけに利用せられて、その他の大部分の者は利用できないというお読でありまするが、政府のこの法案の対象となるべきものの考え方は、中小企業のおよそ中に位するものが対象となる。じやないかという見解を持つておるのであります。大なるものはこういう方法によらずしても、別箇に十二分に金融の道を持つておるのであります。さてただいまお説の、要するに銀行取引のない方、この割合がどの程度になつておりますか。これは長官から詳細に申し上げた方がいいかと存じまするが、お説のようにさように大きな比率ではないと考えておるのであります。と同時に午前中の会議でも問題になつておりましたが、いわゆる最も零細なもの、そういうものに対しましては、国民金融金庫の方面から金融の道が開かれておりますし、さらにまた銀行取引のない、その上の中間層に位するものに対しましては、いわゆる信用組合、あるいは無盡、あるいは信用保証協会であるとか、それぞれ適当の対策が講じられまして、その方面によつて金融の道が開かれておるのでありますから、そういう業者に対して何ら金融の道が開かれていたいというお説は当つていないと存ずるのであります。と同時に私が申し上げたようた中小企業の中に属するもの、これが数においては非常に多いのであります。と同時に、現実においてはこういう階層が最も金融に苦しんでおる。かように見ておりますし、これを対象としました法案でありますから、この法案効果というものはけだし非常に大きいものである、かように考えておるのであります。
  60. 小笠公韶

    小笠政府委員 ただいま政務次官からお答えを申し上げたような事情でありまして、中小企業金融を措置する問題につきまして、中小企業という抽象的な漠とした言葉の中で、具体的な各分野というものに応じた政策なり施策が必要であるということは申し上げるまでもないのでありますが、工業部門、商業部門を見ましても、その業種業態によりまして、いろいろ情勢が違うのであります。これらに対しまして、この保險制度がどの程度の効果があるかということにつきましては、今次官からお話なつたようでありまするが、この制度一つのねらいといたしまして、いわゆる小さな業者でも、協同化したもの、対象にしておるということが一つり特色になつておるのであります。従いまして協同組合とか、あるいは農業組合とか水産業組合、こういうふうなものを、制度を通じてこれを構成する構成分子のところへも流れて行く、すなわちこの制度によつて、保險制度効果を受け得るというふうなことに相なつておるわけであります。そういうふうに事情でありますので、この制度を出資金五百万円、あるいは従業員二百人以下と切つたということで、非常に上の方に片寄るということは、必ずしも言えないというふうに実は考えておるわけであります。  なお非常に事務的な話でございますが、現在中小企業の中で金融機関の縁のないものが非常に多いのじやないか。お話では二〇%ぐらいじやないか、こういうお話でありますが、この点は正確に日本のいわゆる中小企業を一定のデフイニツシヨンのもとにきめて、それが金融機関との取引がどの程度になつているかという全体的な調査はまだありません。従いまして部分的調査からこれを想像するほかないのでありますが、本年の春ごろから設けられた中小企業金融店舗、十一大銀行が設けております專門店舗が六十数箇所ございますが、これは御承知通り三百万円以下の貸付をする。ところがこれに申し込みましたものにつきまして、大体金額的には五〇%くらいが貸付を受けている。また件数で申しますと、八〇%くらいの件数が貸付対象になつております。  それから先般六月の末現在で私の方で仙台、札幌というふうな中都市の工業の実態調査をやりましたところによりますと、いわゆる抜き検査でありますが、それによりましても大体五〇%程度見当金融機関に申し込んでいるようであります。申し込んだものにつきましては、大なりなり借りられているものが八〇%というふうな数字を示しているようであります。二〇%というお話でありますが、私が今申し上げましたような、中都市の抜き検査におきまして五〇%くらいという実績が出ている。これで全体の大勢を見るということは不可能かと思いますが、一つの数字になるかと思うのであります。なおそういうふうな事実をはつきりつかまえるということがぜひ必要であると思うのでありますが、大体現在の中小企業金融の問題につきましては、そんなことになつておるのであります。今の五〇%くらいが申し込んで、あと金融を必要としない、借入れを必要としないというふうな階層もそのあとの半分の中には相当のパーセンテージを占めているわけであります。そんなところで、はつきりしたことはわかりませんが、順次保証協会の制度の利用が拡大されて行く、あるいは金融機関、特に銀行のほかに信用協同組合等の利用の問題、事業協同組合を通じて金融の便をはかろというような傾向は、年々強くなつて来ているということは言えると思うのであります。
  61. 砂間一良

    ○砂間委員 ただいま首藤政務次官お話によりますと、この中小企業信用保險法は、中小企業の中位あたりをねらつておるのだ、それ以外は国民金融公庫や信用保証協会等でめんどうを見ているというお話でありましたが、その国民金融公庫や信用保証協会が、実際においてそういう下の方の中小企業救済になつておるかどうかということにつきましては、今の政務次官の御答弁は、私は納得できないのであります。これは実際が下に行つて見ればわかるのです。それがまつたくとるに足らぬ役割しか演じていないということは明らかな事実でありますが、それも議論になりますのでおきます。おきますが、今の小笠長官お話は少し何か楽観的というか、甘い見方のように考えます。私は、小笠長官とはちよつと違つた資料を持つておりますけれども、この中小企業金融方面の統計はなかなか完全なものができておりませんので、私は私の資料によつてさつきのことを申しただけです。ここで読上げてもよいのですが、これも時間の関係で省略します。先ほどの政務次官の御答弁によりますと、中小企業の中位をねらつているというお話でございましたが、実際に運用する場合には中位には行かないと私は思いますが、それもそのくらいにしておきます。  次にお尋ねしたい点は、業種についてであります。第二條の第二項によりますと「政令で定める業種に属する事業を行うものをいう。」というふうに出ておりますが、実はこの業種がいろいろ問題があると思います。どういう業種を対象として政令でお定めになるつもりか、この点をひとつお伺いしたいと思います。たとえばこれまでの金融の統制令ですか、あれ等によりますと、甲、乙、丙、丁という順位がありまして、こつちは丙になつておるから貸してもらえないとか、こつちは甲になつているから中小企業であつても、優先的に融資の道がつくというふうなのがあつたわけだし、現在もあるわけです。従つてこの政令で定める業種というものか、実際の場合には相当問題になると思いますので、この点についての御説明をお伺いしておきたいと思います。
  62. 小笠公韶

    小笠政府委員 御指摘の点は、規定の仕方の非常にむずかしいところであります。私どものただいま考えておりますところでは、中小企業をなるべく広範囲にこれを規定いたしたいというふうに考えておるわけであります。主として、工業、鉱業、商業及びサービス、料飲業というものを中心にとりまして、その中で日本の現経済情勢の段階において後順位に置いてもしかるべきものというふうな業種を除外する、逆に除外するようなものを引出して行つて、他はよいというふうな考え方で実はおるわけであります。すなわち不急不要の事業のようなもの、具体的に申しますと、たとえば料理飲食業、娯楽営業とかいうようなものは、後順位に置いてしかるべきものかと実は考えているわけであります。その他の多数の中小企業は、一つ国民経済の有機的構成の一部といたしまして、それぞれ存在の価値がありますので、いわゆる現在の経済安定あるいは経済発展の一翼を担つておると認められますので、極力広く規定いたしたいというふうなつもりで今おります。個々にこまかく規定するという方法をとらずに、そういうふうな考え方で規定したいと考えております。
  63. 砂間一良

    ○砂間委員 今小笠長官の御説明によりますと、工業であるとか、鉱業であるとか、商業であるとかいろいろ申されましたが、この法案によりますと、貸付期間の六箇月以上のものというふうになつておりまして、短期の商業金融は対象にならないということは大体はつきりしております。そうしますと、ある程度長期にわたる貸付というふうになりますと、設備資金ということが対象になるのではないか。そうしますと、主として、工業及び鉱業で、商業の方はちよつと除外されるのではないかと思いますが、商業の方がどの程度含まれるかということからひとつ聞いて行きます。
  64. 小笠公韶

    小笠政府委員 お話通り、六箇月以上で長期の資金というものを大体ねらつておるわけであります。従いまして鉱工業の方の問題はお話のように問題はないと思いますが、商業の問題についてどう考えるか、商業で長期資金を要するという問題は多々あると思うのであります。すなわち倉庫にいたしましても、運輸設備の問題にいたしましても、また相当増加運転資金というような問題が考えられるのではないかというふうに思います。従いまして商業の部というものも相当広く入つて来るというふうに実は考えているわけであります。なおこの長期資金は六箇月以上の資金でありますので、設備資金運転資金とをどう考えるかというような問題もあろうと思うのでありますが、私どもの見込みといたしましては、長期資金の方が相当程度需要が多くなろうというふうに考えているのでありまして、設備貸金より長期運転資金の方が多いのではないかというふうに考えておるわけであります。
  65. 砂間一良

    ○砂間委員 一口に中小企業といいましても、工業もあれば、商業もあるわけでありますが、工業の方も確かに金融で詰まつていることは事実でありますが、一方商業の方も相当深刻に詰まつていることは、明らかな事実であります。ところがただいまのお話によりますと、商業の中でも、運輸設備であるとか、倉庫であるとか、そういうものが商業の方の対象になるというお話でありますが、それはごく特殊な場合でありまして、やはり一般的な商業方面は軽く扱われることになるのではないかと思います。ただいまの御説明によりますと、その点どうかということをお聞きしたい。  もう一つは、さつきの業種の点でありますが、私が特にお尋ねしたかつた点は業種の中でもたとえば輸出産業であるとか、生活必需産業ということが、これまで言われておりましたが、やはりある程度政府方針として重点が置かれて政令できめられるのではないかと思います。もちろん料理飲食店だとか、あるいはぜいたく品だとかいうものは、これは軽く見られてもいいと思うのですが、しかし一方においては観光ホテルみたいな、ああいう私どもから見れば日本の今の現状においてさしてなくてならぬものとも考えられない方面に、金融なんかも日銀あたりでも甲とか乙に格上げしたというふうなこともなされているわけです。ことに今国際情勢からしまして、軍備拡張というようなことが言われて、戰略物資の生産ということが強く言われているわけでありますが、今の自由党の吉田内閣の政策は、国連協力という建前からして、先般も中国向けの輸出を拒否したりなんかしておりますが、そういたしますと、アメリカの下請になるような軍需品の生産という方面を重要視されて、同じ中小企業の中でも、そういう戰略物資あるいは軍需生産というような方面が重要視されまして、そつちの方へ優先的に便宜をはかられるということになつて国民の生活必需品の生産に携わるところの中小企業の中の平和産業という方面が非常に軽視されて、不当に圧迫されるのではないかという懸念もあるわけであります。そこで私は政令で定めるという業種の内容について先ほどもお伺いしたわけでありますが、しかし先ほどの小笠長官の御答弁では、はなはだ漠然としていてまだ納得できないものがありますので、今申し上げましたような点に関連してもう少し詳細に御説明をお願いしたいと思います。
  66. 小笠公韶

    小笠政府委員 ただいまのお話の前段のいわゆる商業は軽く扱われるのではないかということでありますが、軽くも重くも扱う意思はありません。商業について資金需要が出て来れば、当然にこの制度を利用し得ることになると思います。特にお話の鉱工業部門のお尋ねでありますが、鉱工業部門の中で、輸出関係あるいは戰略関係の製造工業というようなものにウエートを置くのではないか、こういうふうなお話でありますが、この制度建前といたしまして、本制度を利用し得る範囲はこういうふうな範囲だときめるだけであります。従つてその範囲に入つておりますれば、その資金需要の状況に応じて利用度が違つて来る。いわゆる当該経済の自主性によつて利用度が多くなつたり低くなつたりするということでありまして、制度自体として甲乙をつける、緩急の度をつけるというような考え方はないのでありまして、第二條第二項においても、政令で規定するのは、できるだけこの制度を利用し得る範囲だけをきめて行く。こういうふうな考え方でありまして、そのきめ方につきましては、先ほど申し上げたような考え方でいるわけであります。
  67. 砂間一良

    ○砂間委員 制度自体はそうであるかもしれませんが、私の質問いたしましたのは、実際の運用の面でそういうことになつて行くのではないかということを心配しているわけであります。これは今銀行の金の出し方を見ましても、みんなそういうふうな運営をやつているわけでありますが、国民生活の上から見れば、もつと平和産業を充実させて、国民に安くて良質な品物をどんどん供給してくれるようにやつてもらいたいのです。ところがそういう方面には、さつきも申しましたように、原材料の割当でも、電気の割当でも、あるいは金の方も貸してくれない。一方税金はしこたまとつて中小企業がばたばたつぶれて行つてもしかたがないというやり方をして来ておるので、そういう点を心配しているわけであります。従つて今の点は、制度のことよりも実際の運用の点が非常に問題になるわけであります。  次にお伺いしたいことは、小さいことですが、保險料の問題についてであります。第三によりますと、百分の三以内で政令で定める額を納めることになつておりますが、だれが納めるのか、これは契約した銀行が一応納めることになつていると思いますが、実際の負担は借りた方の中小企業者の方に実際上転嫁されて行くのではないかと思いますが、これらの点については、どうなりますか。     〔委員長退席、中村委員長代理着席〕
  68. 小笠公韶

    小笠政府委員 お話のように、直接の保險料負担人は金融機関であります。この金融機関の支拂つた保險料を借受人の方に転嫁するかという問題でありますが、その一部を転嫁させるということにいたしたいと考えているわけであります。
  69. 砂間一良

    ○砂間委員 ちよつと今のところがはつきりしなかつたのですが、その一部分を借りた業者の方に負担させるというのですか。
  70. 小笠公韶

    小笠政府委員 そうです。
  71. 砂間一良

    ○砂間委員 わかりました。その割合は政令の中で、あるいは規則か何かできめられるのですか、それともそれは個々の銀行にまかされてあるのですか。
  72. 小笠公韶

    小笠政府委員 御承知通りに、一年未満の貸金につきましては、金利調整法の適用を受け、その金利の最高限がきまつておりまして、それ以上に貸してはいかぬということに相なるわけでありまして、従いまして本制度との関係におきましては、六箇月以上一年未満の間におきまする金利につきましては、金利調整法に対しましてある程度の例外を置かなければならぬということになるわけであります。その点は金利調整法に基きまして、別途法定金利以上に貸し得る金利の範囲の告示をする予定に相なつているのであります。一年以上の、すなわち金利調整法の適用のない長期間における金利につきましては、一応金融機関に対する指導的な方針をもちまして、その転嫁の範囲をきめて行きたいと考えているわけであります。
  73. 砂間一良

    ○砂間委員 その次にお伺いしたい点は、さつき他の委員からも御質問がありましたが、七割五分の点なんです。これは銀行が二割五分を負担するということになつております。従つて銀行は、どうもあまり成績のよくないところに貸すと貸し倒れになる、七割五分は国の方から補助をしていただいても、二割五分は自分の方の損にならなければならぬというようなことで、やはり銀行屋さんはかたい商売でありますから警戒すると思うのであります。そうしますとやはり経営状態だとか、資産内容だとか、担保力であるとか、あるいは対人信用といいうような点が問題になる。そうなると、これまでもそうでありましたけれども、今一番金融が逼迫している中小企業者というものは、そういう担保力もなければ信用もあまりないという人が多いわけであります。にもかかわらず銀行は、自分のところでは二割三分の損をしたくないということであれば、必然的に中小企業の中でも経営のかたい、利益率の十分な、ここへ貸したら貸しはぐれはない、大丈夫だというところしか保險の対象にならないと思うのであります。そうしますと、中小企業金融難を救うという本法案立法の目的にそむくことになると思うのでありますが、こういう点について政府は矛盾を感じないのですか。
  74. 首藤新八

    首藤政府委員 今日までこの制度によらずしても金融を受けておられました中小企業に対する金融は、やはり従来通り方法金融を受けられるが、今日まで何かそこに不安がある。もう少し補償があつたならば金融はできるが、その補償がないために金融ができないという面が非常に多かつたのでありまするが、それがこの法案によつて七割五分を補償されるということによつて相当大きな安心が與えられ、それによつて金融が円滑になつて行く、こういうふうに考えておるのであります。  なお七割五分では過少である。もう少し引上げたらどうかという御意見かと思うのでありますが、これはむろん政府も希望するところでありますし、また過去において中小企業に対する政府資金を融資いたしました成績によりますると、大体その損失は七分から九分でありまして、一割以上になつていないのであります。成績が予想よりも非常に良好でありまするので、今後運営をしてみまして、従来通り損失の程度が非常に軽微であるということがはつきりいたしましたならば、この補償率をより多く引上げてもいいと考えております。
  75. 砂間一良

    ○砂間委員 今のお話によりますと、実際の運営の経験から見ても損失が七分から九分ですか、一割以下だというお話でありましたが、そうしますと、この保險制度ができましても国が赤字を背負い込むということはないかと思います。しかしながらそれは反面において、やはりこれまで金融機閥が手がたくやつていたということの一つの結果であろうと思う。今後この保險制度ができて、金融機関等が相当大胆に貸付をやつたという場合においては、貸し倒れということも当然出て来はしないか。もちろん保險金はあります、ありますけれども、場合によると国が七割五分ずつどんどん保險金を支拂つてつたために、大蔵省に今度できる保險の特別会計が大穴を明けるということがないでもないと思うのでありますが、そういう場合に国は初めから損失を覚悟してやつておられるか、あるいは損が出た場合にはどうするか、やはりまた元の振出しに返つて国民の税金でしりぬぐいをして行くということになるかどうか、それらの点につきましてひとつ見通しを承りたいと思います。
  76. 首藤新八

    首藤政府委員 お説のように今日までの損失が七分ないし九分に終つたということは、銀行が相手の選択を相当嚴重にやつた、確かにそういうことが損害が少かつた理由にもなると思うのであります。これが今度の制度によりますと相当範囲が拡大いたし、従つて従来では貸し出し得なかつた面に対しましても相当融資たできるようになつた。従つてその面だけ危險が増大する、確かにその通りであります。従つてそういう面を考慮いたしまして七割五分ということに一応押えたのでありまして、今の情勢から見ますれば、この程度であるならば大体赤字を出さずして運営して行けるであろうという一応の構想のもとに立案いたした次第でありまするから、先ほど申し上げましたごとく、実際に運営してみまして、より以上に補填いたしても損失がないという見きわめがつきまするならば、この補償をもつと引上げることも可能でありますし、さらにまた損失が非常に多いということに相なりますれば、おのずから補償の率を引下げるか、あるいはまた別個の方法でこれを補填するという適当な対策を講じなければ相ならぬだろうというふうに考えておるのであります。
  77. 砂間一良

    ○砂間委員 ちよつと別のことをお伺いいたしますが、この保險制度ができまして、これまで過去において金融機関中小企業者に貸し出していた契約、それにこの保險制度を適用するというようなことはできるのですか、できないのですか。
  78. 首藤新八

    首藤政府委員 これは銀行の自由意思でありまして、ここではつきりしたお答えはできませんけれども、今日まで貸しておつた金の回収がどうも不安であるから、この際保險に切りかえた方が安全であるというような考え方から、切りかえの面もあるいはできて来るかとも考えておるのであります。
  79. 砂間一良

    ○砂間委員 その点は、この法律制度から申しますと、銀行がそういうふうにやりたいと思えばやつても別にさしつかえない、過去の契約は拒むというようなことはないわけでありますか。
  80. 首藤新八

    首藤政府委員 これはこの法案の精神、また制度から申しますれば、一応こんなことになつておりますけれども、実際問題としてそういうとも行われはせぬかという不安を実は持つておるのであります。しかしながらあくまでもこの法の精神を生かすという建前から、なるべくさような方法に行かないような措置を講じて行きたい、かように考えておるのであります。
  81. 砂間一良

    ○砂間委員 私は今首藤政務次官の言われる、その前に言われた言葉が、この法案の全魂胆を暴露しておると思う。表面は何のかんのといろいろもつともらしいことを言うてうたつてありますけれども、これは実際の運営におきまして銀行救済である。過去においてこれまで銀行がこの中小企業に貸しつけておつた、それが最近のあのドツジ政策では政府のオーバー・ローンや、あれによるところの金融の引締め政策によつて相当きゆうくつになつて、一乍後には、まあ大丈夫だと思つて貸してやつた債権が最近はどうもとても見込みがなくなるというふうなのに対して、必ずや金融機関がこの保險契約に入り込んで来て、そうして本来ならば過去の銀行の債権であつて、当然銀行の背負い込みになつて赤字になるものを、この保險に入れば七割五分を国から拂つてもらえるからというので、この保險制度を悪用して来るということは、これは悪賢い銀行屋のことですから目に児えて来ると思うのです。そういうふうに利用される点は明らかに見えておる。そうして今の中小企業のほんとうに困つている人たちには、この資金は実際に何らの恩惠にならない。もし国がほんとうに国家損失をもある程度覚悟して、この中小企業を社会政策的な見地から打開してやろうというのであるならば、何も金融機関を介しないで直接国が貸してやつたらいいと私は思う。あるいは商工中金なんかの機構や制度を改正しまして、そうして直接貸付できるような制度にした方がはるかに効果的であると思う。これは今政務次官が軽率にも本音を吐かれたわけでありますが、そういうふうな銀行救済に実際上は悪用されて行くことになるということを深く憂えるものであります。そこに一つ大きな問題があることを私ははつきり申しておきます。  その他まだいろいろこまかな点について申しますと問題はたくさんあるようでありますが、時間の関係もございますので、これくらいにしておきます。総括的に申しまして、日本中小企業者というものは数においても非常に多いのでありますが、これがまつた政府の財政経済政策によつて、そのしわを一人で背負いかぶつたような形になつておるのであります。従つてその根本のあの自由党の亡国政策を改めることなしには、しよせん大した効果は期待できない。この保險制度をつくりましても、ほんとうにのどから手が出るように金がほしい人たちに対しては何ら均霑して行かない。政務次官中小企業の中位の層と言われましたけれども、これは資本金のぎりぎりのところの、ごく上層部の一部分の人たちだけが利用するのであつて、その程度にとどまると思う。のみならず過去において銀行が持つてつた不良債権をこれに転嫁して来る、悪用して来まして事実上は銀行救済に利用されるような危險性が非常に多い。そういうふうな点におきまして、この法案はきわめて矛盾撞着しており、不完全きわまるものであるということを強く政府に警告いたしまして、私の質問を一応終了する次第であります。
  82. 中村幸八

    中村委員長代理 加藤鐐造君。
  83. 加藤鐐造

    ○加藤(鐐)委員 先ほど同僚今澄委員からかなり詳細にわたつて質問がありましたので、私はきわめて要点だけを簡略に申し上げて数点質問してみたいのであります。  今までの質疑応答の経過を見ますると、政府においては中小企業金融の面についての詳細な統計資料がないということが明瞭になりました。一応ここに資料が提出されておりますけれども、これがきわめて大ざつぱなものでありまして、いろいろ従来の中小企業に対する回收不能率とかいうような、こうした新しい一つ金融制度を設けるについての必要な資料というものがないように大体断定されるのであります。私は中小企業庁仕事というものは、やはりそういう詳細なる統計資料をそろえるということが、一つの大きな仕事であると思うのであります。そういう点から中小企業庁は一体何をやつてつたかというようなことをすら言われると思うのであります。もしそういう点で私の言うことが間違いでありましたならば御説明を願いたいと思います。  そこで私はまず第一に中小企業の範疇についてお伺いしたい。たしか昨年あたりまでは中小企業資本金二百万円以下でしたか、従業員が百人以下というふうになつてつたと思います。それが経済情勢の変化に応じて、五百万円以下、二百人以下ということに規定されました。この根拠は一体どこにあるかということをお伺いしたいのであります。なぜ私がこういうことをしいてお伺いするかと申しますると、日本産業の中で重要な地位を占めておりまする、いわゆる中小企業的な性格のものは、まだこれ以上の面にあると私は思うのであります。たとえば資本金五百万円以上一千万円以下、あるいは従業員三百人以上の中にも、今日一般市中銀行からあまり相手にされないところの企業が相当あると思う。そういう程度の中小企業者が、やはり今日日本産業の再建の上に相当重要な地位を占めておるのであります。そういう点をどういうふうにお考えになつて、今日五百万円以下、二百人以下と規定されたかというこの基本的な問題を一応お伺いしたいと思います。
  84. 小笠公韶

    小笠政府委員 簡單にお答えいたします。中小企業の範囲いかん。概念的に中小企業というものをどこでわけるか、大企業に対してどこでわけるか、こういう点でありますが、大企業が何であるかということをまず規定して行つた方が早いのではないかと思うのであります。従来の用語に従いますと、中小企業とは現在の経済体制下におきまして、資本力の弱いもの、資本の圧力を受けるものを称して中小企業と言われておるようであります。純粋の経済関係から規定いたしますと、そういうふうな機能的な面から規定することが普通であろうと思うのであります。しかしながら実際の政策をやる場合に、現実の仕事をするときにおきましてそういうことではわからないのでありまして、業種によりまして非常に違つて来ると思うのであります。たとえば人数で考えましても、石炭鉱業をとつてみますとおわかりのように、わずかの大会社によりまして日本の四千万トンの八五%ぐらいの生産がされておるのでありまして、数百の会社が一割五分の生産しかしていないというのが現状であります。この数百の石炭企業でも数百人、さらにそれ以上の従業員を使つておることも事実であります。しかし一方極端になりますと、いわゆる木わくをつくつておる工場を見ますと、二十人といえば相当大きな工場になりますので、多くは四、五人ぐらいの程度でやつておるのであります。これが一つの例であるのであります。そういうような事情でありまして、いわゆる業種によりまして違つて来るのでありますが、それぞれの業態における関係で大中小企業はわかれて来る、わけるべきであると思うのでありますが、一つの政策をやるときに、便宜この政策の効果をどの層に及ぼそう、どの層に重点を置こうかというような点から、便宜来ておるのでありまして、この前の見返り資金におきまして、三百万円、かつ従業員二百人以下というふうなことは、見返り資金の幅、額その他を考え合せまして、これらの資金をどういう層に流そうかというような考え方からああいうふうにきめたのであります。また今回いわゆる出資金五百万円、かつ従業員だけで二百人――いわゆるいずれでもよいのでありますが、そういう線で押えたのは、この制度をできるだけ広く利用し得る道を開いて行きたい、こういうような趣旨で実は考えたのであります。この五百万円、それから二百人というふうな線が、はつきり日本中小企業の線を示しておるものとは、実は思わぬのでありますが、便宜その線で押えて、この制度運用して行きたい、こういうふうな趣旨で考えたのでありまして、お話のように何千万円でも中小企業と言い得るものがあることは十分にわかるのでありますが、今言つたような一般的に各企業を通じて考える場合に、便宜こういう線をきめたのであります。
  85. 加藤鐐造

    ○加藤(鐐)委員 どうも私は政府のおやりになること一切が腰だめ式であつて、科学的な根拠に基いてやつて行くという点が非常に薄いのです。今の御説明を聞いてもわかる通りに、中小企業というものの範疇をきめる場合に、資本と人数だけできまらないことはいうまでもないのであります。企業の実態、設備能力というものが、当然勘案されなければならないわけでございます。腰だめ式の最たるものは、七五%の保險金あるいは三%の保險料率というようなものが、先ほどの御説明を聞いてもはなはだ科学的な根拠に基かない。一ぺんやつてみて悪かつたらかえよう、まあ一番安全なところでやつて行こうというお考えのようでございますが、私はその点でも、どうも安全第一主義をとればその効果が非常に少くなるということ、従つてもつと科学的な根拠を持つてこの制度実施していただきたいということである。そこで中小企業の範疇について考えてみましても、今小笠長官がおつしやつたように、單に便宜的に五百万円以下、二百人以下ときめないで、一応こういうわくを設けてもよろしいが、企業の実態についても一つの規定を設けることは、必ずしも至難ではないというふうに思うわけです。その点どういうふうにお考えなりますか。
  86. 小笠公韶

    小笠政府委員 その点各業種の実態に即して、中小企業と大企業の区別を一応つけることも可能だろうと思います。ただ規定が非常に複雑になるという問題と、その業種別の線の引き方について、常識から考えましても、各人によつて意見がなかなかまとまりにくいのであります。そういうふうな事情がありますので、いわゆる各業種を通じて、便宜一本にした点で、便宜主義だとおしかりになりますのは、私はその通りだと思うのであります、やむを得ないと思うのでありますが、順次それを細分して、もう少し具体的にして行くように持つて行きたいという気持は持つております。
  87. 加藤鐐造

    ○加藤(鐐)委員 小笠長官のおつしやることはよくわかるので、あまり追究してもしかたがないと思いますが、私は少くとも法の運営の上において、そういう点まで深く掘り下げてやらないと効果が薄いと思う。今申し上げたように、このわくから多少はずれるものであつても、日本産業の再建のために非常に必要である産業がある。しかもそれが今日、一般市中銀行から見雑されておるという実情なのである。そういうものに対して、政府はどういう方法をもつて臨まれるか。いわゆる企業の合理化についても、また業種によつてはその製品の販売径路あるいはその他の事情によつて、相当運転資金にも長期を必要とするものがある。そういう場合に、一般市中銀行はこれをきらうのであります。そういうものに対して、今日中小企業庁としてはどういう方針をもつて臨まれるか、あるいは見返り資金あるいはいろいろな別わく融資というようなことがあつて、そこへ持つてつて初めて一切を金融機関にまかせられておるようでありますが、私はそれでは日本産業の根幹をなすと言つてもいいような中小企業を発展させ、ひいては日本産業の再建を急速にはかるという点には触れておらないと思う。     〔中村委員長代理退席、委員長着席〕  そういうこのわくからはずれた、しかも大企業の範疇に入らないで、一般市中銀行金融機関からほとんど見離されておる有用なる産業に対しては、どういう態度をもつて臨まれるかということをお伺いいたします。
  88. 小笠公韶

    小笠政府委員 お話の点非常にごもつともですが、一つの線を引きますと、その線にはずれたものが、入つたものとあまり違わないような実体を持つておるというふうなものに対しては、一方は一つ制度が利用でき、一方は制度が利用できぬ、こいうふうな結果になるのであります。そういうふうなこの制度の適用を受けない中小企業に対する対策といたしましては、先ほどすでにお話がありましたような、見返り資金の問題でこれを広げて行くという一つの線がある。それからもう一つの問題といたしましては、いわゆる協同組合の運営をまつて、この制度を利用するということができると思うのであります。ただ協同組合につきましては、御承知のように法律的には一応工業については百人という線が引かれておりますが、いわゆる当該業界においてある程度大企業にあらざるものというふうな認識ができるものにつきましては、今届出さえすれば事業協同組合に参加することが認められることになつておりますので、この協同組合の制度を通じてこの制度を利用するということが、弱いながらも一つつておりはせぬかというように考えるわけであります。その他そういうふうな線外に出た分野に対する問題、なお特に長期資金の問題につきましては、十分に検討を加えて何らかの措置をとるようにやつて行きたいというふうな気持を持つておるわけであります。
  89. 小金義照

    小金委員長 加藤君、簡單に願います。
  90. 加藤鐐造

    ○加藤(鐐)委員 小笠長官の御説明を聞いておりますと、私はこの中小企業に対する金融の問題はひとつ深く掘り下げて研究してみたい、また御答弁を得たいと思うわけでありますが、盛んに時間の制約を迫られまして、しかも私どもは不完全ながらこの法案が一応成立することを心から希望しております。私は詳細なる検討は後日に讓りますが、今長官はこのわくからはずれたものは協同組合によつてつて行くとおつしやいました。しかし日本の協同組合は、中小企業等協同組合にいたしましても、農業協同組合にいたしましても、これはきわめて零細業者が集まつて組織いたしておるのであります。そこで私が先ほど申し上げましたのは、協同組合を組織しておらない、いわゆる中間的な人たちに対する金融のことであります。協同組合のことを私は聞いておるのではない。そういう点で、どういうふうにお考えになるかお聞きしたのですが、今後考慮するというようなお話でありました。私は現在も、いわゆるドツジ方式のもとにおいては、いかに小笠長官あるいは首藤政務次官中小企業に関心を持たれても、困難ではないかと思う。しかしながら日本産業の重要な地位を占める中小企業に対するところの対策というものは、私は真劍に考えてもらわなければならないということを強く要望して次の機会に讓りますが、次にこの第二條の二項を見ますると、貸出しの対象に農業協同組合並びに水産業協同組合というものがあげられております。先ほどの首藤政務次官の御説明の中には、農業者は対象としてあげられておらなかつたようであります。この点はどういうふうになりますか。農業協同組合、水産業協同組合は対象として貸出しをする。一般個人経営の農業者には貸出さないということですか、あるいは企業の内容によつては貸出しをなさるかという点をお伺いします。
  91. 小笠公韶

    小笠政府委員 第二條第二項の農業協同組合と水曜業協同組合を入れましたのは、両組合におきまして農産品を原料にして加工工業をしておる、あるいは水産物を原料にして加工しておる、その分野に対して供給するという意味でありまして、農業者あるいは水産業者自身に対する対象は考えておりません。
  92. 加藤鐐造

    ○加藤(鐐)委員 私は個人の農業者、水産業者、加工業者に対する対象は、通産大臣が所管するこの制度において、考えられないということは一応ごもつともで、この点は深く追究いたしません。しかし私は今日農村におきまする加工事業というものは、農業あるいは水産業を主体とする程度のものからさらに発展いたしまして、やはり日本の工業に重要な部分を占める産業があると思うのです。従来の單なる農村副業的な加工事業というのではなくして、いろいろやはり一般産業的なものが農村において行われておると思う。それは協同組合でやつて行けばよろしいという御見解かもしれませんが、そういう農業者の営む副業的なものであつても、一般工業的なものは貸出しの対象にもちろんなると思いますが、明確に御説明を願いたい。
  93. 小笠公韶

    小笠政府委員 農村におきまする農村工業というふうなものを、農業協同組合を通じてやる場合にはこの対象になるというふうに考えておるわけであります。農業、水産業それ自体の、言葉は悪いですが、いわゆる原始産業というものを対象にしていない、こういう意味であります。従いまして今お説のように、農村の経済情勢がかわつて参りますれば、それに応じてこれが動いて行くのではないかというふうに考えております。
  94. 小金義照

    小金委員長 加藤君、簡單に願います。
  95. 加藤鐐造

    ○加藤(鐐)委員 先ほど貸出しの順位等について一応御説明がありましたが、一切は銀行の選択にまかせるというような御説明でありました。私は先ほどの砂間君の御意見とは逆に、一般金融機関は、回転率の早い商業資金に貸し出すことを好む。私はこの制度のねらいはやはり生産事業の長期資金重点が置かれなければならぬと思うわけですが、そういう一般金融機関が商業資金を対象とすることを好むという傾向に対して、それを放任しておかれるのか、ある程度の制肘を加えられる意思があるかどうかということを承りたい。
  96. 首藤新八

    首藤政府委員 先ほど長官からも申されましたが、今の場合におきましては、この貸出しには順位を全然つけない方針をとるつもりにしておるのであります。従いまして工業を重視するというわけでもなく、また商業を軽視するというわけでもないのでありまして、まつたく同一に見たい。同時にその貸出しの方法は、あげて銀行の自由意思にまかせたいという考え方を持つておるのであります。しかしながら将来これを運用してみました結果、非常に片方に偏重し、これがために片方の金融が依然として不円滑であるとか何とかいうような遺憾の点ができましたならば、この場合また適当な措置を講じたい、かように考えておるのであります。
  97. 加藤鐐造

    ○加藤(鐐)委員 首藤政務次官のいわゆる自由主義経済原則に従いますれば、一切を金融機関にまかせることになるのでありましようけれども、しかし私は、それではこの法のねらいとするところの目的を達成することが困難であると思いますので、やはり今日の金融機関の商業偏重主義に対して、ある程度の制約を加える方法がとられなければならない。生産事業にある程度の重点が置かれなければならない。私は商業を否定するわけではございません。しかしながら金融機関が商業偏重主義をとつておりまする今日におきましては、そういう方法が当然とられなければならないと思うのであります。その点は特に御留意を願いたいと思います。  それから、まだ私の精読が足りないからと思いますが、保險事故発生の時期はいつであるか。貸出し期限の切れた日が発生の時期で、そのときに保險金を拂われるのか、あるいはそれから一定の期間が置かれるかどうかということであります。
  98. 首藤新八

    首藤政府委員 回收不能という事態が起りまして、六箇月目に保險支拂いの責任が生じて来ることになるのであります。
  99. 加藤鐐造

    ○加藤(鐐)委員 先ほども質問があつたかと思いますが、政府の補償はないのかどうか。これもやつてみた結果だとおつしやるかもしれませんが、政府の補償、いわゆる政府がある程度負担するということを予定しておられるかどうか、これをひとつ伺います。
  100. 首藤新八

    首藤政府委員 先ほどもこの点については御答弁いたしたのでありまするが、百分の三の保險料によつて大体收支償うであろうという構想を持つておるのでありまして、この保險料によつて赤字が出るということになりますれば、その場合保險料を引上げるかあるいはまた政府がある程度補償するか、いずれかの方法をそのときに考究したい、かように考えております。
  101. 加藤鐐造

    ○加藤(鐐)委員 そのときに考えるというやり方は、どうも少しずるいやり方だと思いますけれども、今はそういう方針であるならこれ以上申しません。  次に、一体政府のやりまする手続というものは非常に長くかかる。見返り資金でも実際貸出しを受けるために長期を要しまするが、その点について、大体申し込んでどのくらいで事務的に完了するかという点についての見通しはつきり伺いたい。
  102. 首藤新八

    首藤政府委員 政府資金につきましては、お説のように非常に時間がかかるのであります。これはいろいろのなれない調査等に相当時間がかかつておるのでありますけれども、今度は金融を業としておりまする銀行が直接融資することになりまするので、従来の融資とは特に格段の相違がある。しからばここで何日間に融資するということは申し上げかねるのでありますが、少くとも今日までの政府資金を融資する場合の時間に比較しまして、格段に短縮されるであろうということだけは、はつきり申し上げていいと考えております。
  103. 加藤鐐造

    ○加藤(鐐)委員 一般金融機関がやるのだから短期にやるとおつしやいますけれども、見返り資金の貸出しの場合にも、一般市中銀行が調査して日銀に送る期間が大体四箇月以上かかる。それで結局において、貸出しの通知を受けるのが早くて八箇月、あるいは一年かかる。それより多少早いぐらいでは、実際には私は間に合わぬと思う。あわせてお伺いしたいことは、これは小笠長官もおられますからお伺いしたいのでずが、見返り資金はなぜそんなにかかるかという点です。――小笠長官はどうなされましたか。
  104. 小金義照

    小金委員長 今大蔵委員会に行きました。
  105. 加藤鐐造

    ○加藤(鐐)委員 それでは次官でけつこうですが、事務的なことはあとで聞きたい。これはいろいろ事務的なこまかい問題があろうと思う。私はそういう点を実はこまかく考えたいと思う。場合によつて大蔵省方面からも聞きたいと思つておりましたが、一体これはどういうふうにお考えになるか、これからわずかに短かくなるというような程度では実際に間に合わぬと思いますが、一体どういう事情でこういうふうにかかるのかお開きしたいと思います。
  106. 水間光次

    ○水間説明員 見返り資金の貸出しについて非常に手間取つておるという仰せでございますが、現在のところ多少手間取つております。これは月一億円の資金に対して申込みが非常に多うございましたために――今までは見返り資金自体は、手続を非常に簡素にしまして、個々の件数は大蔵省と総司令部の方には提出せず、日銀限りで審査を済ませてやればよいということにしておつたのであります。それで一月からスタート以来、非常に手続が簡素なことと、月一億円の貸出については銀行がのみ込んで日銀に書類を提出すれば、早いものは二週間、長くても一月以内くらいに貸出しが済んでおつたのであります。ところが七月、八月以降になりまして申込みが非常にふえて来た。しかし融資のわくは月一億しかないので、一応日銀としても相当厳選しなければならないというかつこうになりましたために、長く手間取つてつたのでございます。ところが十一月以降見返り資金が三倍に拡大されましたので、今までたまつてつたものもはける、従つて今後は貸出し自体も早くなるという見通しを持つております。
  107. 加藤鐐造

    ○加藤(鐐)委員 これで打切りますが、今十一月以降見返り資金のわくが広がつたとおつしやつたが、最近新聞で見たところによりますと、それがまた逆もどりしたようであります。その点どれだけの拡大が確定しておるか、また確定しただけは必ず貸し出されるかどうかという点をお伺いいたします。
  108. 首藤新八

    首藤政府委員 十一月から一・四半期九億に拡大されまして、そのままになつておりまして、まだ一つも減額されるようなことに相なつておりません。ただ最近一箇月一億円の場合には非常に申込みが多くございまして、貸出しを嚴選しなければならぬというようなことから今加藤君にお答えしたのでありますが、今度三倍になりますと、逆に融資の額が非常に過剩を示して現在のところまだ相当額残つておるというようなことになつております。しかしながら最近新聞でそういう事情もいろいろの面で発表されておりますので、年末までには相当申込みがあるであろう、従つて大体年末までにはこの九億全部融資できるであろうというような考えを持つておるのであります。
  109. 加藤鐐造

    ○加藤(鐐)委員 申込みが少いということは、今申しましたように、やはり非常に長期を要するからだと思います。その点はひとつ敏速にやるように通産省側からも督励を願いたいと思います。  そこで最後に一つ聞いておきたいことは、信用保証協会制度の問題でありますが、これは地方によつては非常に効果をあげておる。しかし成文化されることは政府は反対らしい。なぜ反対か、これをやる意思があるのかどうかということを最後に一点伺いまして私の質問を打切ります。
  110. 首藤新八

    首藤政府委員 決して反対というわけてはないのでありますが、いろいろ検討しなければならぬ点もありますので、現在愼重に検討いたしておりまして、近くその結論を得たいと考えております。
  111. 小金義照

    小金委員長 田代さん、あなたは補充的にやられますか。
  112. 田代文久

    ○田代委員 私は申込んであるのですから、補充も何もない、はつきりした質問をいたします。
  113. 小金義照

    小金委員長 田代委員
  114. 田代文久

    ○田代委員 私はそう言われると審議のやり方につきまして、一言せざるを得ないのでありますが、同僚の加藤委員も非常にせかされまして、質問したいこともできないというような形です。われわれとしても非常にせかれまして、何分で問題を打切るかということを言われますので、はなはだ心外にたえない、不愉快になるのであります。われわれはなぜこういう重要な法案短期間にあげるように持つてつたかということをつつく前に、なぜ與党は政府並びに法案提案者に対してはつきり抗議を申し込まないのかということを言いたい。もう第十国会はすぐ差迫つておるのであります。国会の初めにおきましては実にだらだらいくらでも時間をかけて、しかも常に與党側は腹一ぱい質問をして、われわれに質問がまわるときにはいつもせかされる。われわれから與党側に早く切り上げてやつてくれと言つたようなことは一回もないのであります。われわれ国民の代表といたしまして、十分の審議をしなければならぬ、その権限をわれわれからとつてしまつて、われわれに一切責任をぶつかけられるようなことは今後絶対にやめていただきたいということを警告すると同時に、委員長といたしましても、その点は特に注意してやつていただきたいことをまず要望いたします。單にこの法案だけではないのであります。     〔「與党は何人いると思うか」「十分時間は與えてあるぞ」と呼ぶ者あり〕
  115. 小金義照

    小金委員長 お静かに願います。
  116. 田代文久

    ○田代委員 政府側に質問いたしますが、現在ドツジ・ラインを堅持されまして金融は全面的に逼迫いたしております。またそれが中小企業の方にしわ寄せされつつあるということもはつきりした事実でありまして、こういう事態の中におきまして、中小企業に対する融資のわくというものは一年間百四十四億ということになつております。もちろんこれも銀行側の腹次第で動くことになると思うのでありますが、実際にこの百四十四億という額が十分出されるという見通しをお持ちであるかどうか。
  117. 首藤新八

    首藤政府委員 この法案は十二月十五日から発足いたしまして、来年の三月までに三十六億、さらに明年度中に百四十四億、合計百八十億を予定いたしておるのでありますが、午前中にもたびたび申しましたごとく、七割五分の補償があるということによつて十二分に貸出しが行えるであろうというふうに考えておるのであります。
  118. 田代文久

    ○田代委員 もしそれが行われない場合におきましては、政府として予定額までは貸し出すべしというような何か強制力でも持つておられるのですか。
  119. 首藤新八

    首藤政府委員 強制力は持つておりませんけれども、今度の貸出しに対しましては、銀行中小企業融資をした過去の実績並びに銀行の希望等をしんしやくいたしまして、各銀行の一応のわくをつくりたい、かように考えておるのであります。従つてもしそのわくが決定したにもかかわらず、その銀行がその限度まで貸し出さないようなことになりますと、それぞれ公表されますので、おのずから銀行に対する批判も起つて来る。さらにまた一面においては不安のない措置が講ぜられておるという両方の面から考えまして、十二分に百八十億の融資が行えるであろうという考え方を持つておるのであります。
  120. 田代文久

    ○田代委員 この中小企業日本産業機構の中で圧倒的な比重を占めておりまして、これを十分に発展させ、また救済するためには、外国貿易が決定的な意味を持つておるわけでありますが、昨日通産省令によりまして中共との貿易が禁止になつた。こうなりますと、当然日本中小企業にとりましても、重要な影響を及ぼすと思うのでありますが、これに対する見通しはどうでありましようか。
  121. 首藤新八

    首藤政府委員 朝鮮事変の進展から昨日省令をもつて中共方面に関する輸出に対しましてある程度の制約を加えたのであります。従つて輸出契約をしておりまする輸出業者は相当影響を受けるであろうと思いますけれども、今日の事情を見ますると、すでに中共貿易に対しましては政治的にある程度の不安がありましたので、輸出業者は全部輸出保險に加入しておるのであります。現在の契約高と保險金の総額を見ますと、大体同じ程度の保險がかかつておる、むしろ契約高よりも保險が多いというような事実がありますので、さような被害はないと考えております。
  122. 田代文久

    ○田代委員 輸出の方についてはそういうことを一応答弁されるのでありますが、輸入困難というような決定的な問題になりました場合の、輸入困難から来る中小企業の赤字状態ということについて特にお聞きいたしたいのです。
  123. 首藤新八

    首藤政府委員 御説のごとく輸出を制約いたしますれば、反対に輸入の方にも制約を受けるであろうという考え方を持つておるのであります。従つて今日まで中共から何が輸入されておるか。またそれが他のいずれの国によつて補填されるかという点も慎重に検討しておるのでありまして、大体において他の方面において輸入買付ができると考えております。
  124. 田代文久

    ○田代委員 先ほど首藤次官の御説明によりますと、大体中小企業家の中で金融面で一番苦しんでおるのはその中小の中の中位の程度であるということを、はつきり申されましたが、大体それはどういう資料によつておつしやるのか。われわれが大体つかんでおりますものでは、一番苦しんでおるのはむしろ小企業である。これはもう税金関係から申しましても、実際の金融面から申しましても、むしろ破綻する状態に苦しんでおるのでありまして、その点私たちの見解と、政府の見解に非常に開きがあるように存じますので、中位の企業が一番金融面で苦しんでおるという、そのはつきりした材料を示していただきたい。
  125. 首藤新八

    首藤政府委員 これは小企業、中企業という限界点が明確でありませんから、あなたのいう小企業はどういう範疇であるか、また私の申し上げる中企業はどういう範疇であるかということを明確にしなければ決定しないと思うのでありますが、実際問題として科学的に解決することは困難であります。ただ私が中企業と申し上げたのは、一応中小企業の中で銀行取引のあるもの、そうしてこの法案にありますような資本、あるいは従業員の数という程度のものが中小企業の中に位するものではないかという見解を持つておるのであります。従つてそういう面の金融が他の階層よりも非常に苦しいという見解を持つておるのであります。むろんこの銀行取引のない零細な方面も、より以上の深刻な金融に苦しんでおるということは、はつきりしておりますけれども、いやしくも中小企業として金融いたします以上は、少くとも銀行取引ぐらいはなければならぬ。もし銀行取引がないという面に対しましては、先ほども申し上げましたごとく、協同組合をつくるとか、あるいはまた信用組合を利用するとか、無盡とか適当な金融方面において融資しなければならぬのではないかというように考えておるのであります。
  126. 田代文久

    ○田代委員 協同組合その他の機関による融資の問題は、先ほど政府側も申されましたように、この問題とは関連ないというわけではございませんけれども、直接関係ないのでありまして、こういう法案をつくるためには今次官の御説明によりますと、大体従業員としては二百人見当、あるいは五百万円から三百万円見当というのが中のクラスになつておるように考えますけれども、私たちが見て、実際に困つておりますのは、従業員が三十人とか、五十人とか七十人とか、また資本が百五十万円、あるいは百万円というクラスの人が圧倒的に多いし、また日本産業のためにも十分貢献もいたしておりますし、一番苦しんでおるのでありまして、こういう小企業者に対してこれが現実的になされないのではないかという点が私の一番心配になる点であります。先ほど砂間君もそれから他の同僚委員質問いたしましたように、実際において五百万円以下ということにいたしますと、金融業者といたしましては、信用の面からいいましても、その他金融の面からいいましても、当然これは上層部に融資することは経済界の常識であります。先ほど長官は上に片寄るということはないとおつしやいましたけれども、それは單に形式論でありまして、実際上における金融融資の問題、あるいはこれがどう動くかという経済の実体から申しますならば、上に片寄ることは当然の事実であります。そういう点でなおはつきり政府に所信をお聞きいたしたいのは、そういうようなほんとうに税金地獄に苦しみ、従業員三十人、五十人、七十人くらい持つてつているというような企業家のために、つまり小企業のために信用保險をするというような意図をお持ちにならないかどうかという点をお伺いいたします。
  127. 首藤新八

    首藤政府委員 今の御説のような段階の方を最も対象としておるのであります。要するに限度を五百万円ときめておるわけでありまして、それ以下は幾らでもいいのでありますし、また個人でもけつこうであるという法案をつくつてありますのは、まつたく今のお話のような趣旨に呼応いたしまして、そういう中小の人を対象にいたしたいという考え方で進んでおるのでありますから、決してこの法案が御説のような面に融資されないということはないのであります。
  128. 田代文久

    ○田代委員 ないのであるというのは、形式上の問題でありまして、実情としてはそういうクラスに対しては金はまわつてつてはおりません。行きましても、非常に少いのでありまして、そこに私は形式上の問題と、実際上どうなつておるかという問題を解決しなければ、政治の実体に触れていないということを言うのでありますが、政府側の意見を聞いておりますと、明治初年時代の経済的な感覚で話をされているような気がいたすのでありまして、それでは話にならないようでありますから、これで打切ります。
  129. 小金義照

    小金委員長 以上をもちまして中小企業信用保險法案に対する質問は全部終了いたしました。  引続き討論に入ります。討論は通告順に従つて順次これを許します。南好雄君。
  130. 南好雄

    ○南委員 ただいま議題と相なりました中小企業信用保險法案につき私は自由党を代表いたしまして賛成の意を表するものであります。  申すまでもなく、わが国中小企業は農村と相並んでわが国経済の一つの弱点とも言われておりますとともに、わが国資本主義発展の特殊事情に関連して発展して参つたのであります。すなわちかかる中小企業が今なお各産業に広汎に存在いたしております現象は、日本以外の諸外国におきましてもしばしば散見せられるのでありますが、わが国におきましては技術的の優秀性、あるいはわが国生産態様の一つの適正規模として、大企業とともに競合的に存在いたしまして、大工業または大商業への下請として存在しております点が著しい特徴と相なつておるのであります。かかる現象は、わが国費本主義発展の特殊事情と、それに基く資本蓄積の不足及び国内市場の狭隘に基因いたすのでありまして、これが強靱な中小企業を存続せしめて、大企業に対する補充的な役割を担当しておりますことも、皆様御承知通りであります。かかる見地からいたしまするとき、戰争直後の二、三年間のあの中小企業活況も、その裏を返せば、実質を伴わない、いわば偶発的な事例にすぎなかつたことであることも御承知通りであります。従いまして、その間いろいろととられて参りました諸施策の内容は、まことに貧弱であつたと申すことができるのであります。いわゆる財閥解体、独占禁止、集中排除等、一連の経済民主化方策の推進によりまして、中小企業の威力が台頭いたしましたことも、皆様御承知通りでありまするし、経消界の秩序が漸次立て直りますとともに、またまた中小企業がここに再び本来固有に持つております欠陷を露呈して参つたことも、御承知通りであります。かく見ますと、経営の合理化、技術の向上指導、もろもろの諸対策が講ぜられなかつたのでありますけれども、何といたしましても、中小企業者の最も困つておりましたのは、いわゆる大企業に比較いたしまして、金融上の大きなハンデイキアツプを持つてつたということであります。申すまでもなく、彼らの金融は小さないわゆる小口金融でありまして、信用担保力ともに薄弱でありまして、ことに長期金融と相なりますと、金融機関は、これから経済変動に対する抵抗力の脆弱な中小企業に対する貸出しは、いやおうなしに躊躇せざるを得ないようになつておるのでありまして、このことはせつかく芽ばえかけて参りました中小企業の合理化を妨げ、輸出の伸長を阻害する大きな原因となつてつたのでありまして、わが自由党が、この点につきましてつとに心配をいたしまして、昨年特別委員会を設置いたしまして、鋭意これが対策を研究し来つたのであります。そして本法案の骨子ともなるべきある案を得まして、政府に早急実施方を要求して参つたのでありまするが、ようやく今日、この中小企業信用保險法の制定を見るに至りましたことは、まことにわが意を得たりとの感が深いのであります。  本法案につきましては、中小企業者の範囲、あるいは貸出し金額の点、あるいは貸出し手続、その他まだまだ十分と申されない点が多いのでありますけれども、わが国財政との均衡を考えますと、漸を追うて進むという意味合いにおきまして、心から賛成の意を表するのであります。願くは関係当局者はもとよりのこと、商工中央金庫及び金融機関の各位は、高き道義感と、祖国復興の意気を持たれまして、苦難にあえぐ全国中小商工業者の人々に、満脆の御支援を賜わらんことを、これらの人々にかわつて切にお願いいたす次第であります。以上をもちまして簡單でありまするが、私の賛成の意見といたします。
  131. 小金義照

  132. 高橋清治郎

    高橋(清)委員 ただいま議題と相なりました中小企業信用保險法案につきまして、私は一、二の要望をいたしまして、国民民主党を代表して賛成の意を表するものであります。  終戦以来今日まで、中小企業の辿つて来た道は、まことに苦難難澁の一語に盡きておるのでありますが、ことに昨年末以来デフレ財政下における金融の逼迫が、最も抵抗内の脆弱な中小工業者の頭上にのしかかつて参りましたことは、皆さんよく御承知通りであります。今次朝鮮事変による特需景気におきましても、はたまた輸出貿易の未曽有の好況にいたしましても、常に大企業の繁栄のみに終始いたしたのでありまして、これが中小の業界にはほとんど潤いがもたらされなかつたのであります。従つて中小企業に対する金融機関の協調ということは、事ごとに円滑を欠き、あまつさえその人的、物的信用担保力の薄弱な企業体は、いよいよ破滅に追いやられる立場に立ち至つたのであります。ことに最近の市中における購買力の激減、通貨の收縮、大工業、大商業、たとえば百貨店のごとき、天井知らずの売行きに反しまして、一般中小の工業、商店などの営業不振は、さながら往年の昭和初期の不況時代をほうふつたらしめるものがあるのであります。国民各階層のうち、農民と相並びまして、最も思想の穏健にして堅固なる中小商工業者をして、かつてありしごとくに、不況の深淵に陷らしめたならば、経済界はいうに及ぼす、思想界、政活上におきましても、まことにゆゆしき寒心事を惹起いたすことと想像せざるを得ないのであります。  このときにあたりまして、本法律案の出現いたしましたことは、九牛の一毛とは申しながら、まことに時宜を得たものと思うのであります。ただ本法律案の実際上の運用面でありまするが、官設の商工中金等におきまして、はたしてよくこの法案が期待するごとき、迅速簡易な営業の運営ができるかいなか、私どもははなはだ心もとないのであります。従来までの経験から申しまして、今後もそうだと申すのではありませんが、あの人的機構、あの熱情のないやり方、支店、出張網の貧弱、資力の貧弱から申しましても、さらに一般金融機関に対する迫力という点から申しまして、はなはだしく見劣りがするような感じがいたすのでございます。私はいたずらにこのけつこうな法律案にけちをつける意味合いは毛頭持つておるわけではございませんが、本法律案の実際の効果が、机上の計算の通りに成功できるかどうかは、すこぶる疑問なのであります。おそらくこれをおつくりになつ中小企業庁の方々自身、大して効果のあるものとは思つておられないような気がいたすのであります。かくのごとき重大なる法案を、ことに会期も切迫してから提案されたために、十分なる審議ができなかつたことは、まことに遺憾とする次第であります。当局の十分の反省を促して、今後かかることを繰り返さないように、強い要望をいたすものであります。  またこの金融機関が、二十五年度において三十六億、年間約百四十四億の貸出しが実除に可能なるよう、十分なる責任を持つて、これに善処せられんことを要望するものであります。  要するに、いわゆるないよりましである――ベター・ザン・ナツシングという意味合いにおいて、私は賛成の意を表する次第であります。
  133. 小金義照

    小金委員長 次は今澄勇君。
  134. 今澄勇

    今澄委員 私は日本社会党を代表いたしまして、本法律案に数点の嚴重なる條件を付して賛意を表するものであります。  終戰後およそ時代の合言葉となつたもののうち、最もめざましく、しかして最もみじめであつたものは中小企業振興対策という題目であります。自由主義経済中小企業振興、この二つの言葉の並立こそは、まさにナンセンスであり、その矛盾撞着に目をおおい、声を大にして中小商工業者の振興を叫ぶことは、根本的対策ではなくして、表面糊塗の弥縫策でしかあり得ない。政府の標榜する自由主義経済社会において、その最高指導理念は、冷酷な経営経済であり、その根底を流れるものは、一切のヒユーマニズムを否定した嚴格なる原価計算であります。自由の美名にかくれた資本力のあくなき跳梁をほしいままにする素朴な自由主義経済の進行を放任していては、底のない桶で中小業者を救うに似ているものといわなければならない。中小商工業者の大群は、国家の思想基盤の安定帶であり、中小企業が振興されれば、現在各地に頻発する職業安定所騒擾事件等々の社会不安現象は解決する。この中小企業の本質的な問題を、区々たる法案の末節にその運命を託して、事成れるがごとき感を持つている政府の態度そのものは、まことに時代感覚の喪失といわなければならないのであります。今や全国の中小商工業者は、特需景気に見放され、租税の重圧にあえぎ、家産倒壞相次いでいる状態であります。これに対する中小企業金融の対策としては、一つ国家機関による貸出しと、一つ国家機関による危險保障が考えられるのであるが、根底から中小企業抹殺の態度をとつている現政府が、本法案を提出したことは、まさに鬼の念仏か、資本家代表としては不本意なことながら、社会輿論にこたえた貧弱な良心の一片なりといわなければならない。よつて本法には左のごとき欠陷を包含しているので、今後それが修正と、あわせて根本的中小企業対策の一環として、本法の活用を要望するものであります。  一、本法運用責任官庁たる中小業庁の拡充強化を必要とする事態であるにもかかわらず、これを内局にいたすがごとき現政府の誤謬を是正すること。  一、預金部資金運用の、中小企業融資の転換と、商工中金国民金融公庫への活用。  一、代行機関たる商工中金の機構組織の改革と、改正法案の来る通常国会への提出。  一、第四條第一項の規定に根保証制度を採用すること。  一、保險料率の引下げ、三分はその負担過大であるから、将来実情に応じ、これを二分程度まで引下げる努力をいたすということ。  一、銀行の貸出し、資金源の確保と金額保証への道を開くこと。  一、運営上零細中小業者の活用できる特別措置を講ずるとともに、銀行救済に陷らざるよう、その目的があくまで中小業者救済に徹すること。  一、国民金融公庫のごとき経営資本を通産省の傘下に收め、これを拡大強化して、商工中金と並び中小金融の整備をはかる。  以上の諸点の実現は、ひとえに大蔵、通産両大臣の政治力とその見識にかかる問題でございます。統制経済のわくは逐次撤廃され、おまけに通商事務は外務省系統の役人に壟断せられ、行政整理と内閣の機構改革の重圧は、まず通産省に集中するものであるとわれわれは思います。わが国産業責任官庁であり、しかも中小企業救済の直接担当者たる通産省が、自己の金融金庫を一つも持つておらない現状であり、しかも情熱ある大臣も就任しておらない。その前途はまことに憂うべきものがございます。現内閣の歴代の通産大臣は何らなすところございません。本日の通産大臣の答弁も、相談してしかるべく、という一点張りであつたことは御承知通りである。中小企業救済に対する現通産省責任者の猛省を促し、以上の諸條件を付して本法律案に賛成するものでございます。
  135. 小金義照

    小金委員長 次は砂間一良君。
  136. 砂間一良

    ○砂間委員 私は日本共産党を代表いたしまして、本法案に反対するものであります。と申しますのは、何も今日の中小企業を見殺しにしてよいという趣旨からではございません。ただ本法案が、中小企業の振興とか救済という羊頭を掲げまして、実は何らその救済の実を上げるようなものでない、そういう狗肉を売るところの、ごまかしのインチキの法案であるという点から反対しておるのであります。最近におきまして、日本中小企業が比較的順調に行つたのは、終戰直後のほんの一、二年でありまして、すでに二十二年ごろからは中小企業の危機ということが叫ばれて来ておつたのでありますが、それがますます深刻になつて来た。このことは單に一金融の行き詰まりとか何とかいうことだけではございませんで、歴代政府の財政経済政策に根本があると思うのであります。一、二の例を申し上げますと、たとえば政府の財政経済政策に基くものといたしましては、傾斜生産及び傾斜金融方式並びに融資規則による大企業偏重と中小企業軽視、それから中小企業に対する基本対策の欠如、ドツジ方式安定政策施行による一般的不況の中小企業へのしわ寄せ、増税及び徴税の強行、政府の支拂い遅延。また海外経済事情の変化によるものとしましては、国際市場の変動とか、ポンド切下げの影響、盲貿易、いろいろありますが、特に最近におきましては、日本に最も接近している最大の隣国であるところの中国に対して、貿易を禁止するというようなめちやくちやな措置をとつている。こういうことがやはり日本中小企業に非常に大きな影響を與えております。また金融機構制度の欠陷であるとか、あるいは中小企業自体にもいろいろ受入れ態勢の不備というような点で、欠陷はありますけれども、とにかくこういう政府の全経済政策が、今日の中小企業の困難をもたらして来たということは疑う余地のないところであります。そういうふうに政府の根本政策を改めずして、ただごまかし的に糊塗的にこういう保險制度をつくりましても、真の中小企業救済あるいは振興は今後とうてい庶幾できない。この法案は徹頭徹尾ごまかしである。なるほど五百万円以下の資本金、それから従業員二百人以下の工場ということを言つておりますが、この中に含まれるものは圧倒的に多いのであります。たとえば工場数について申しますと、全日本の工場数の九八%を今言つた範疇で占めている。従業員数から見ましても六一%、全生産額の六〇%を占めておるのでありまして、日本産業経済の大部分を占めているのであります。ところがこれまで金融機関と何らかの関係を持つて、その融資を受けているのは、その上層のごく一部分にしかすぎません。先ほどの政府委員答弁によりますと、まあその半分くらいは何らかの意味において銀行関係があつた。そして相当の部分は融資を受けていたという非常に甘い楽観的な御答弁をなすつておりましたけれども、しかし事実はそれとははるかに違つております。たとえば中小企業庁の昭和二十三年の十二月の調査によりましても、金融機関に対して借入れ申込みをしたものは、調査対象数のわずか二八%にしかすぎない、七二%は銀行へ金を借りに行つておらない。行つて銀行が相手にしてくれないというので、全然金融機関から見放されている。そういう事態になつておるのであります。また金融機関に金の融通を申し込みましても、その融資を受けたものは七、八割でありまして、二割程度は申込みしても受けられないという状態になつております。従つて十万近くの中小企業の経営の圧倒的部分は金融機関に見放されて、ごくその上層の一部分しか金融機関とのつながりを持つておりません。従つて今度のような保險制度をつくりましても、やはり銀行は二割五分の危險を負担しなければならないというところから、比較的経営規模の大きな、そして設備のしつかりした、担保力の、対人信用のあるものしか事実においては恩恵に浴することができないと思うのです。従つて今一番困つているところの中小企業の圧倒的部分というものは、特にこの従業員数四、五十人以下とか、あるいは資本金百万円以下とか五十万円以下とかいうところのものは、まつたくこの保險制度から見放されているということが言えると思うのです。また他方におきまして、この法案はしよせん金融機関救済になる、これは政府委員答弁によりましても、過去に金融機関が貸し出したものであつて金融機関の自由意思によつてこの保險に加入することができるというお話でありましたが、こういう逃げ道が講ぜられている以上は、この金融機関が過去に貸し出したもので成績の悪いもの、貸し倒れになるものに限つて申し込み、そうしてその損失国家に背負わせるという危險性がきわめて多いのであります。表面上は今一番金融に逼迫している中小企業救済というふうに見せかけておいて、事実は中小企業のうちでもごく上層の一部分だけを救つてやる、そうしてその反面においては金融機関中小企業に対する貸し倒れを国家がしりぬぐいをやる、こういうことになるのでありまして、この特別会計の将来は必ずや大きな赤字になつて、やがてまた国民にあの重い税金の中からしりぬぐいさせるという事態が起りはしないかということも案ぜられるわけであります。  以上申し上げました理由によりまして、本法案は徹頭徹尾見せかけのインチキ法案であり、ほんとうの中小企業の振興救済にはならないという点からいたしまして、私は反対する次第であります。
  137. 小金義照

    小金委員長 これにて討論は終局いたしました。  引続き採決いたします。本案に御賛成の諸君の起立を願います。     〔賛成者起立〕
  138. 小金義照

    小金委員長 起立多数。よつて本案は原案の通り可決いたしました。  ここで委員会報告書についてお諮りいたします。委員会報告書作成の件については、従前の例に従いまして委員長に御一任を願いたいと存じますが、御異議はございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  139. 小金義照

    小金委員長 御異議なしと認めまして、そのようにとりはからいます。  ここでしばらく休憩いたします。     午後三時二十五分休憩      ――――◇―――――     〔休憩後は開会に至らなかつた