○佐伯
委員 非常に
政務次官は明敏な頭を持
つておられるようであるが、今日
電力再
編成はきわめて大きな国民の感覚として視野に止
つておる。そして属地主義と潮流主義というものの根底なるものは、生産と消費の対立であり、ひいては資本主義と社会主義の根本思想にまで発展せんとして、遂に
電力分割が行き詰ま
つてポ
政令に
なつたものではないかと思う。しかくたやすいものではないと思われるのであります。今仰せの
通り、どつちかというと、その一番大きな問題は、
電源地帶が自分の地域にあるという
一つの所有権かさらに自分の消費をまかな
つて、なお社会の消費に属する部分までも占有せんとするこの点が、属地主義の大きな誤りである。それを調整するという点におきまして、たとい
電源地帶に所有的のものはあるにいたしましても、社会が消費する限りにおきましては、これは
電源地帶のみに占有せしめておくことができない。これはもつとものことでありまして、しからばとい
つて電源地帯に厳然としてあるところの
電力それ自体を、
電源地帶に
供給しない、
電源地帯を参加せしめない他の区域が占有するということは、これはまたより大きな誤りと
考えられる。今おつしやつた
事業主体から見るのではなくて、国民の利害
関係から見なければならない。
電力は土地を離れても存在できません。また生活環境を離れても存在できないものであ
つてみまするならば、そこに住む一切の大衆社会民といたしましては、單純にこれを企業におまかせすることはできぬのである。御
承知の
通り、
電力なるものは、最も
日本の国におきまして恵まれない東北、北陸、北信の地に雪と雨とあられという
一つの天災から生れて来るものである。そう
考えてみまするならば、この川から出て来るところの
電力を直接自己に
供給することのできない主体、これに帰属せしめるということが基本をなすでありましよう。私はこの点におきまして、決してこの
電源地帯が自己が消費した以上の社会の消費
電源までも帰属せしめようという
考え方の誤りをわれわれは
指摘するのでありますけれ
ども、さればとい
つて、その地域を除いて、所有権を何ら主権の及ばない他県にこれを帰属せしめるということの誤りが私は重大なものがあると
考えられるのです。これは理論でなくして、少くとも今後
日本の国におけるところの本
電力再
編成に上
つて来る大きな障害になると思われる。先ほど伺いましたいわゆる河川法による府県知事の
認可権、それらのこと並びに何といたしましても
電力の
施設それ自体が地域を除いては存在し得ない、天空にとどろいておるのではありません。そういたしますと、これらのものに対しては土地その他あらゆる面におきましてその地域民が協力せなくては、私は今後
日本の
電力の
開発に大きな阻害を来すと思われる。今
政務次官が非常に超然たるお
考えを持たれておつしやいましたけれ
ども、現在の既発
電力の分配というがごとき消極的な
電力再
編成はないのである。これからこれを
開発しようという重大なる
意味がこの
電力再
編成の根本なのであります。その場合に臨みまして、未
開発電源をだれが
開発するか、こういう問題をめぐ
つて、私はこの潮流主義をおとりになるということでは、円満なる遂行はでき得ないものがあるのではないかという点が憂慮にたえなかつたのであります。これは見解の
相違であるとおつしやられればそれまでのここでございましようけれ
ども、しかく
政務次官のおつしや
つたような
簡單なものでありますれば、この二箇年の間におきまして、属地主義と潮流主義は対立いたしまして、ポ
政令の施行までは至らぬものと
考えますゆえに、われわれ議員といたしましては、真剣に研究しなければならぬ点があると
考えますのみならず、
政府におかれましても、東北、北陸並びに北信の今日の寒冷、單作、貧弱なる農村が、唯一無二の資源としている
電力、また一面から見ますと、大都市集中の弊害が、
経済力が貧困であるところの農村というものを搾取しておると見られぬとも限らぬ。また全国の大河川の大
発電所、最も有力なるところの有利な発電地点、これらのものが関東、関西に帰属するということは、言わずとも明らかなる事実である、当然そうでなければならない。そして
電源地帶の
配電会社に残るものは少くても中小河川、小
発電所、最も不利な
電源が残るのであります。しかもこの関東、関西の二大配電圏は独立して、一歩といえ
ども他県の侵入を許しておらない。しかるにかかわらず、今日
電力再
編成は、地域の確定なのであります。その関東、関西の消費地帶が、
電源地帯に侵入をいたしまして、せつかく区域の確定いたしましたものは、單に
供給区域だけである。強大なる資本の專有ということにはいささかの制限を加えておらないがために、弱き者は遂に強き者に搾取せられる傾向を生じて来る、現に今回の
電力の再
編成の結果は、おそらく、
日本全国の九
配電会社全部寄せても関東、関西二社の強大なる資本に及ぶものはないと私は
考える。大都会集中、独占的な
一つの資本の形態がせつかく
電源の天地自然の分布によりまして、地方に還元せられつつある
一つの現象を、今回の
電力再
編成によりまして、またもや大都市集中主義、大都会偏重、いわゆる独占資本主義の復興になるというところの潜在性がないであろうかということを私
どもは憂えるのでありまして、そういう
考え方の対立が、ここまでに大きな問題に展開して来たものがあるのであろうと私には
考えられるのであります。そこで
政務次官に伺いたいのは、今回の再
編成を見ますと、まず現実に
電源地帯における大
発電所、大設備、それらのものがおそらく同じ消費量において分配せられたとはいいながら、
送電線その他の
関係上、
電源の設備が帰属せられる上におきまして、関東、関西に有利であり、地方には不利であるということ、このことがそうでないと
考えられますか、この点伺いたい。