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1950-12-02 第9回国会 衆議院 地方行政委員会人事委員会文部委員会労働委員会連合審査会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年十二月二日(土曜日)     午前十一時十六分開議  出席委員   地方行政委員会    委員長 前尾繁三郎君    理事 河原伊三郎君 理事 野村專太郎君    理事 龍野喜一郎君 理事 門司  亮君       池見 茂隆君    大泉 寛三君       川本 末治君    清水 逸平君       塚田十一郎君    中島 守利君       吉田吉太郎君    床次 徳二君       山手 滿男君    大矢 省三君       久保田鶴松君    木村  榮君       立花 敏男君   人事委員会    委員長 田中伊三次君    理事 田中 重彌君 理事 藤枝 泉介君    理事 淵上房太郎君 理事 平川 篤雄君    理事 松澤 兼人君       小淵 光平君    加藤隆太郎君       藤井 平治君    今井  耕君       成田 知巳君    八百板 正君       加藤  充君    岡田 春夫君   文部委員会    委員長 長野 長廣君    理事 岡延右エ門君 理事 小西 英雄君    理事 圓谷 光衞君 理事 小林 信一君    理事 松本 七郎君       坂田 道太君    佐藤 重遠君       高木  章君    東井三代次君       若林 義孝君    志賀健次郎君       坂本 泰良君    林  百郎君       小林  進君    浦口 鉄男君   労働委員会    委員長 倉石 忠雄君    理事 島田 末信君 理事 福永 健司君    理事 吉武 惠市君 理事 稻葉  修君    理事 赤松  勇君       天野 公義君    金原 舜二君       佐々木秀世君    佐藤 親弘君       篠田 弘作君    塚原 俊郎君       船越  弘君    三浦寅之助君       石田 一松君    早川  崇君       青野 武一君    江崎 一治君       今野 武雄君    中原 健次君  出席国務大臣         法 務 総 裁 大橋 武夫君         文 部 大 臣 天野 貞祐君         国 務 大 臣 岡野 清豪君  出席政府委員         人事院総裁   淺井  清君         地方自治政務次         官       小野  哲君         総理府事務官         (地方自治庁次         長)      鈴木 俊一君         総理府事務官         (地方自治庁公         務員課長)   藤井 貞夫君  委員外出席者         地方行政委員会         專門員     有松  昇君         地方行政委員会         專門員     長橋 茂男君         人事委員会專門         員       安部 三郎君         文部委員会專門         員      横田重左衞門君         文部委員会專門         員       石井つとむ君         労働委員会專門         員       横大路俊一君         労働委員会專門         員       濱口金一郎君     ————————————— 本日の会議に付した事件  地方公務員法案内閣提出第一号)     —————————————
  2. 前尾繁三郎

    ○前尾委員長 これより地方行政委員会人事委員会文部委員会労働委員会連合審査会を開きます。  はなはだ微力でありまするが、先例によりまして私が委員長の職務を行いますから、どうぞよろしくお願い申し上げます。  提案理由の説明につきましてはお手元に配付しておりますところの書類で御了承願いまして、ただちに質疑に入りたいと思います。質疑通告順によりまして、松本七郎君。
  3. 松本七郎

    松本(七)委員 私は文部委員立場から地方公務員法案について、若干の質問をしたいと思いますが、この法律案は広範囲にわたつていろいろな問題を含んでおります。そこで質問申し上げることも相当広範囲にわたりますが、なるべく範囲を限定して御質問申し上げたいと思います。  その前に私は現在の教育制度に関して地方自治庁見解を一応ただしておきたいのであります。と申しますのは、現在の教育制度というものが地方分権的にだんだんと制度が確立化されつつあり、また地方自治という線に沿つて教育制度も改められつつあるわけでありまするが、一方憲法では義務教育無償でなされるという規定がございます。これは何も国の費用でやらなければならぬという規定があるわけではありません、地方公共団体その他—とにかく無償でなされれば、この目的が達成できるわけでありますが、現在の日本財政状態から行きますると、やはり国費に頼らなければ憲法規定を完全に実行することができない実情にあります。そこへ持つて来て、そういう実情にある現在の教育制度そのものは、だんだんと地方分権化されるというところに現段階における矛盾があると私は思うのであります。義務教育費全額国庫負担ということは、以前から叫ばれておるわけでございまするが、これがなかなかできない。そこでそれならばせめて最低の教育費だけは国家で保障するというような線を確立したいというので、第七国会でございましたか、標準義務教育費確保に関する法律案というのが準備されております。当時文部大臣はつきりと国会におきましてこれを提出する、こういうふうに言明されておられましたし、それから地方自治庁と文部省との間における折衝も大体の話合いがついておつたように、われわれは聞いておつたのであります。それがいろいろな事情国会提出に至らずに終つております。これについて当時文部大臣にただしたところによりますると、あくまでもこういう法律を提出する方針で進みたいとうことを、はつきりと文部大臣は言明されておりました。この点について地方自治庁見解をまず伺いたいのであります。あくまでもああいうものを必要とされると考えられるかどうか、これが第一点であります。結局は、この制度に応じて、この義務教育無償でやるということを実現するためには、地方の財源がゆたかになつて来なければ、これはできないことでありまするが、それも努力しなければならぬと思いまするけれども現状では国庫負担によつてやらなければ、地方によつて教育の進んだところと遅れたところとの差が、非常にはなはだしくなると思います。そういう矛盾をどのような方法で改められると、自治庁考えておられるか。この点をまず伺いたいのであります。
  4. 小野哲

    小野政府委員 お答え申し上げます。ただいまお話がございましたように、教育制度が民主化され、かつ分権化されて参つておりますことは、私どももその通り考えております。この場合におきまして特に義務教育を尊重しなければならないこと、またこれに必要な経費をできるだけ確保いたさなければならないことにつきましては、まつたく同感でございます。従いまして何らかの方法によりまして、これら経費確保につきましては、政府特に地方自治庁といたしましても、できるだけの配慮をいたして参つておる次第でございます。地方公共団体財政の状況が終戰以来、きわめて困難な事態に直面して参つておりますことは、御高説の通りでございまするが、これに対して地方自治庁といたしましては、できるだけ財政の確立に向つて進めて行きたいという考えのもとに、地方税並びに財政制度の改革を進めて参つておるような次第でございまして、地方公共団体財政事情もまずその緒についたと、かように申してよいかと思うのであります。と同時に、地方公共団体はきわめて大小、区々まちまち、多種多様でございます。従いましてその財政力から申しましても、必ずしも同じとは申せないような実情にかんがみまして、新たに平衡交付金制度を創設いたしまして、これが調整の役割をさせるようにいたして参つておることは、これまたご了承の通りであります。問題はこれが具体的に実施され、また円滑に運営されることによりまして、ただいまお説のように、地方公共団体における教育費の問題も解決されるように努力して参らなければならないと思つておるのでございまして、義務教育費確保につきましては、地方自治庁におきましても、與う限りの努力をいたして参る所存でございます。
  5. 松本七郎

    松本(七)委員 そういたしますと、現在は平衡交付金制度で、これが扱われておるのでありますが、将来標準義務教育費確保というような特別な立法をされることを考えておられますか。
  6. 小野哲

    小野政府委員 標準義務教育費確保に関しまして、従来何らかの特別な法制的な措置をしてはどうかというので、政府部内において、いろいろ協議を進めて参つたのでございまして、この経過につきましてもすでに御承知通りと存じますので、つけ加えて申し上げるまでもないかと存じます。地方自治庁といたしましては、地方財政委員会が、地方財政平衡交付金の運用によつて財政調整の使命を全うするようにいたしております点にかんがみまして、義務教育費確保に関する法律案を将来出すか出さないかということにつきましては、文部当局とも、この点につきまして十分に協議をいたしまして、何らか適当な方法によりまして、法律的な措置を必要とするという場合におきましては、十分に御相談をいたしたい、かように考えておる次第であります。
  7. 松本七郎

    松本(七)委員 そこでここしばらくは教育費平衡交付金に頼らなければならない事情が続くであろうと予想されるのでありますが、この平衡交付金の場合でも、すでに今回の問題が起つておるのでございますが、たとえばせんだつて天野文部大臣の言明されたところによりますると、平衡交付金三十五億の中から、二十四年度分の年末資金分として七億二千六百万円ですが、それから給與ベース改訂一—三月分、これが九億円、それから今回の年末資金として十億、それからもう一つ級別推定表の改正に伴う四億九千万円、こういつたものが平衡交付金の中の算定の基礎に加えられておるというふうに、われわれは解釈しておるのですが、それに間違いはないのですか。
  8. 小野哲

    小野政府委員 平衡交付金制度は、御承知のごとくその法律建前から申しまして、その使途につきましては條件をつけたり、あるいは制限をしたりすることができないことになつておるのであります。ただいまお話がございました具体的に補正予算の上に計上されております三十五億の問題でありますが、その中にこうこうこういうものが入つておるではないか、こういう御指摘でございまするが、平衡交付金の適用といたしましては、当該地方公共団体に配分いたしました金額を、自主的にかつ責任を持つて運用するという建前になつておるのであります。ただ予算の編成をいたします場合に、二十五年度における新規財政需要が、地方公共団体においてどの程度あるかということは、算定いたさなければなりません。従つて新規財政需要といたしまして、平衡交付金の中に織り込むことが適当であるというふうなものにつきましては、地方財政委員会においてこれを計上する、こういう措置をとつて参つたのであります。ただいまお話がございました二十四年の年末でございましたか、手当を出しました場合における所要経費を、どういうふうにまかなつて行くのか、こういう御質問のようでございまするが、これは、二十五年度の地方公共団体財政需要見合つての二十五年度の平衡交付金の問題とは、別個に考えることが適当ではないか、かように私は思うのでございます。従いましてもちろん財政需要を算定いたします場合において、いろいろの項目について考えて行かなければならないことは、申すまでもないのでございまするが、地方財政委員会といたしましては、二十五年度の平衡交付金におきましては、給與改訂その他の点から申しまして、これだけの財政需要があるし、また地方歳出増になるわけでありますので、平衡交付金でまかなうべきである、こういう結論に到達をいたしたような次第でございます。
  9. 松本七郎

    松本(七)委員 この二十四年度分の年末資金の件については、これは元来二十四年度分ですから、七億二千万円というものは国庫負担すべきものだ。そこで地方によつて吉田総理大臣を告訴するというようなふうにいきまいておる県もあるぐらいでありまして、はたしてこれが平衡交付金でまかなうべきものかどうかということについても、異論があるように聞いておるのであります。この点はいかがですか。
  10. 小野哲

    小野政府委員 二十四年の年末手当所要経費は、国において何とかしなければならぬということは、私もお説の通り同感でございます。ただこれを二十五年度の地方財政平衡交付金の中に織り込んで行くということについては、理論上妥当でない、こういう考え方を持つております。従いまして政府といたしましては、二十四年の年末手当の問題につきましては、別途にこれが解決につきまして検討を加える必要がある、かように考えておる次第でございます。
  11. 松本七郎

    松本(七)委員 次にこの法案について若干お伺いしてみたいと思います。第六條でございますが、ここに、任命権者は、「権限の一部をその補助機関たる上級地方公務員委任することができる。」という規定があります。これは一体どの程度の範囲まで委任が及ぶか、そこに何らかの制約があるのか、その点をお伺いいたします。
  12. 小野哲

    小野政府委員 詳しいことは、関係課長から申し上げたいと存じますが、任命権者が、現状におきましても委任をしておるような場合がございまするので、上級とか下級というようなことは、まあ文句の使い方としていかがかとも存じますが、さような現行の具体的な実情をもしんしやくいたしまして、将来やはり任命権者が、人事行政の円滑な運営から考えましても、委任の道を開くことが適当であろう、かように考え規定をいたしたのであります。  なお具体的な実例等につきましては、公務員課長から御説明申し上げます。
  13. 藤井貞夫

    藤井政府委員 お答えいたします。御指摘任命権委任の問題でございますが、これは今政務次官からお話いたしましたように、現在もこういうことが事実上行われておりますし、新しい制度になりましても、何分多くの職員を、たとえば地方団体の長でありまする知事とか市長とかいうものは擁しておるわけでございまするので、あらゆる任命権を全部その任命権者が保持していなければならないというふうにいたしますことは、かえつて実情に合わないことにもなりますので、こういう道をつけることにいたしたわけであります。現実の問題といたしましては、たとえば県の場合で申しますと、地方事務所長雇員任命権委任をいたしましたり、あるいは本庁関係でありましても、各部の部長に雇員任命権委任をするというようなことが、実例としては考えられるのであります。但し権限の一部ということでございまするので、全部の権限委任させるということは、できないものと思います。その委譲いたしまする権限の中におきましても、たとえば事柄重要性に従いまして、懲戒とかあるいは免職とかいうような事柄につきましては、やはり長にこれを留保しておくということが必要な場合が、多かろうというふうに考えるのであります。ただこの法案では、別にその基準につきましては、はつきりときめておりません。それは個々具体的に各地方公共団体実情に応じまして、適宜の基準を定めて参るということを期待いたしておる次第であります。
  14. 松本七郎

    松本(七)委員 前後いたしますが、この法律教職員一般職として扱われている結果、教職員政治活動が大幅に制限を受けることになりました。これは非常な問題でございまして、一般の公吏と同様に教職員取扱つて政治活動も大幅な制限を受けるということになりますと、—元来政党政治民主政治基礎でありますから、政党活動に対する国民の関心が高くならなければ、政党政治というものは健全な発達ができない。この民主政治基礎になるところの政党に対して、とかく学校先生というものが、無関心であることの方が正しいことのように誤つた観念が、今まではむしろ生じておつたのです。これをむしろ改めて行かなければ、日本政党政治は健全な発達は、むずかしいと私は思つておるのであります。そういう重大なときに、政治活動を大幅に制限するということになりますると、私は日本政党政治が、むしろ退歩する危險がここにあると考えるのであります。何だか教育というものは非常に高尚なもので、世俗を離れたものであるかのごとく考えて、政党活動ということが、教育者から見ると非常に下劣なものであるかのような誤つた観念を、ここに再び生む危險があると私は思うのであります。むしろ私は積極的に政党政治に対する正しい判断、正しい関心を、小さい子供のときから植えつけて行くということの方が大切であり、特にこういうふうな時代の変革期において、これから民主政治を確立しなければならぬというときに、学校先生政党に対する関心を深くして、政治に対する関心を深くし、その活動を正しくやることによつて、中央も地方も、政界が浄化されて行く。むしろそういう任務を学校先生のような、まじめに物事を考えておる人に私は期待したいのであります。そういう意味で、私はこの制限ということは大きな問題であり、むしろ学校先生政治活動は、こういう大幅な制限をなすべきではない、こう考えるのでございますが、この点に対する自治庁のお考えを承りたいと思います。
  15. 小野哲

    小野政府委員 お説のように、個人個人政治的な活動をいたしますことは、憲法上も自由でございます。ただ私どもがこの法律案公務員政治的行為制限につきまして規定をいたしておりますゆえんは、地方公務員が全体の奉仕者であるという基本的な本質から出発いたしておるのでありまして、また教職員におきましても、教育公務員特例法によりますと、教育を通じて、全体の奉仕者としての立場にあるということが明らかになつておりますので、従いまして教職員につきましても、地方公務員たる地位におきまして、一般地方公務員と同じような取扱いをすることが、妥当であろうと考えた次第であります。ただ政治的行為制限規定いたしまするについては、あらゆる面においてこれを制限するという意味ではないのでありまして、この法律案の第三十六條の各項にも規定しておりますように、政治的な目的を伴いました政治的な行為について、これを制限するということにいたしておるわけでございます。御承知のように、またただいまお話がございましたように、民主政治が健全なる政党発達によつて助長されて行くということは、私もまつたく同感でございますその場合において公務員たる身分を持つておる者におきまして、その本質論から考えましてできるだけ能率的に、また継続して、安定して、いわゆるその公務員たる職責を果すと同時に、それが政治的には公務員中立性をとることによりまして、むしろ身分の保障の上においては、ある程度保護されるゆえんになるのではないか、かような趣旨をこの法律案の中にも織り込んで規定をいたしておるような次第でございます。
  16. 松本七郎

    松本(七)委員 この問題は一応留保しておきまするが、ただ現在学校先生というものは、実際の政治的活動をすでにいろいろな法律制限を受けておるのです。公職選挙法でもそうでございますし、それから教育基本法においても、やはり政治活動制限されております。勤務時間中はできない。また学校においてはできない。地位を利用してはできない。そういうふうにちやんと制限されておるのでありますから、こういう扱いをする必要は今さらないと思うのでございますがその点は留保いたしておきます。  次にこの第七條の人事委員会公平委員会の設置についてでございまするが、御承知のように市町村立学校教職員は、教育公務員特例法によりまして、その身分は市町村に属することになつております。ところがこの任命権監督権というものは教育委員会にございます。そこで地方公共団体は何らの関係もないことになるわけでございまするか、この関係をひとつ明確にしていただきたいと思います。
  17. 藤井貞夫

    藤井政府委員 お答えいたします。人事専門行政機関でございまする人事委員会と、教育に関する主管の役所でありまする教育委員会との関係でございまするが、これにつきましては、原則論といたしましては人事委員会当該地方公共団体におきまする他の職種の任命権者、すなわち第六條で規定いたしましたように、地方団体の長、議会の議長、選挙管理委員会監査委員公安委員会あるいは教育委員会というような、任命権者というものとの立場とまつたく同様のことになるわけであります。すなわち簡單に申しますると、人事委員会人事行政に関する大きなわくを設けて、そのわく従つてそれぞれの任命権者任命権を行使して参るということに相なるわけであります。その点におきまして人事委員会教育委員会との関係は、地方公共団体の長との関係と何ら異なるところがないということに相なるわけでございます。
  18. 松本七郎

    松本(七)委員 次に第八條人事委員会の項の第九号と第十号及び公平委員会の項の第一号、第二号に「必要な措置」という規定がありまするが、この「必要な措置」というのは、具体的にどういうことを指すのでありましようか。
  19. 藤井貞夫

    藤井政府委員 第八條第一項の第九号、第十号、並びに第二項の公平委員会権限でありまするが、第一号、第二号に「必要な措置」ということが掲げられておるのであります。その点は具体的に申し上げますると、第一項の第九号と、第二項の第一号にありまするいわゆる勤務條件に関する措置に関しましては、四十六條以下に掲げてございまするし、また第一項第十号と第二項の第二号の権限につきましては、四十九條以下にこれが掲げてあるわけであります。勤務條件に関する措置に関しましては、職員勤務條件に関して人事委員会なり公平委員会に対しまして、地方公共団体当局によりまして適当な措置がとられるべきごとを要求いたし、この要求がありました際には、人事委員会公平委員会事柄について慎重な審査を行いまして、その結果に基いて措置をするのでありますが、その措置といたしましては、一つ人事委員会なり公平委員会が、みずからの権限に属する事項を行使する場合があるのであります。これは具体的に申しますと、たとえば給與に関してでございますが、給與は他の條項に、すべて当該地方公共団体條例で定めることに相なつておるのであります。しかしこの條例におきましては、やはり大綱がきまつて参るわけでありまして、その細則につきましてはあるいは人事委員会細目の決定をゆだねるというようなことも予想せられるのであります。具体的に申しますると、昇給基準に関する細目でありまするとか、あるいは職員が休んだ、勤務をしないというような場合における給與の減額の措置をどうするかというような細目につきまして、人事委員会権限にゆだねることも想像されるのであります。そういう場合におきましては、これは條例規定に基いて人事委員会に與えられた権限でございまするので、この場合におきまして、もし昇給基準について、もう少し幅を拡げてもらいたい、現在昇給期において上る幅が百円であるというふうなことでは非常にこれは少な過ぎる、だからこの点についてひとつ二百円にしてもらいたいというようなことがございました際におきましては、もちろん予算的な措置等もございまするけれども、その予算範囲内において許される事柄でございますれば、みずからがこの昇給基準を変更するということが、すなわち人事委員会権限に属する事項について処置をいたしまする場合でございます。  第二の場合は、その他の当該事項について権限を有する地方公共団体機関に対して、必要な勧告をするということがその次の方策—「必要な措置」ということになるわけであります。これは今の給與の例で申しますると、給與根本原則というものは、すべて條例できまつて参ります。そういう際に給與の引上げを行うというようなことになり、また事実、措置の要求を審査いたしましたところが、そういう必要性が出て来たというような場合におきましては、なるほどそれは必要であろうというので、條例を改正することを勧告をいたすというようなことが、この場合に想像せられる事項であるというふうに、御承知おき願いたいのであります。  その次の不利益処分に関する審査の場合の問題でありますが、これはいわゆる第三者的な立場において、不利益処分の審査及びこれについての決定をいたす非常に強い権限を、人事委員会なり公平委員会が與えられるということに相なりまするので、その審査の結果に基きまする必要な措置というのも、またおのずから相当に強い色彩を帯びて参ることに相なるのであります。この点は五十條の第二項に掲げておるのであります。これは審査の結果に基きまして、たとえば免職処分、懲戒処分というものが不当であるということの決定をいたしましたならば、公平委員会はみずからの責任においてその処分を承認し、あるいは修正する、あるいは取消すというようなことをやりまするし、なお必要がありまする場合には、任命権者に対して、その職員がもし免職処分を受けなければ、当然受けるべきであつた給與とか、その他の給付を回復するため必要な措置をとるべきごとを、指示をするというようなことができまするし、またそのような金銭的な給付の回復のみではなくして、たとえば免職処分を取消すとともに、免職された職員の復職を命ずるというようなことも、この場合における必要な措置の中に入るというふうに、御了解が願いたいのであります。
  20. 松本七郎

    松本(七)委員 その人事委員会公平委員会というものは、なかなか重要な任務を持つておることになるわけですが、この委員会の委員の選任方法は、結局第九條によつて地方公共団体の長が選任するということになつておりまするが、元来この委員会は任命権者職員との間の公平をはかることを大切な任務にしておるといたしますならば、それを地方公共団体の長が選任するということになりますると、一方的に任命権者の隷属機関になるおそれが多分にありはしないかと思いますが、この点いかがでしようか。
  21. 小野哲

    小野政府委員 人事委員会委員の選任につきましては、法律案は議会の同意を得て、地方公共団体の長が選任する、かようになつておるのでありまして、この種の取扱い方につきましては、他の委員会の委員の選任方法にもなるわけでございます。御承知のように人事委員会の職能から考えまして、人事行政の相当技術的な要素があることにかんがみまして、その適任者を選んで人事行政の諸般の事項をゆだねて行くというやり方が適当ではないか、かように考えましたがために、かような選任方法をとつた次第でございます。
  22. 松本七郎

    松本(七)委員 それから公務員の競争試験の問題でありますが、これまで国家公務員に対しても、すでに人事院の試験が行われたわけですが、これは必ずしも好評ではなかつたと思います。むしろこの公務員というのは相当深い知識を必要とするにかかわらず、先般行われた国家公務員の場合の試験などは、非常に範囲は広うございますが、浅い知識でもできる、常識試験というか、そういうものが多かつたように聞いておるのですが、たとえば農林省の生字引だといわれておつたような優秀な人も、これにおつこちたというような例もあつたように聞いておるのですが、地方公務員の場合には、何か試験のやり方というものについて、すでに御計画があるのかどうか、そういう点、ひとつお聞きいたします。
  23. 藤井貞夫

    藤井政府委員 お答えいたします。試験の方法につきましては、国家公務員の試験について必ずしも評判がよくないというようなお話でございます。これは私人事院の立場ではございませんので、とかくの批評をいたしますることは避けたいと存じますが、いろいろ始めました当初のことでございますので、具体的の試験の場合におきましては、あまり満足でないという結果が出ておることも、これは事実であろうと思いますが、今後だんだんと習熟して参りますにつきまして、少しずつ満足すべきいい結果がだんだんと出て来るのではないかというふうに、私は考えておるわけであります。しかしながら今御指摘がございましたように、試験の方法というものにつきましては、これはほんとうに職員に人を得まするために、適正な方途を講じなければならないことは、まさしくその通りであります。そこで地方公務員法におきましては、その点につきましていろいろ考慮をいたしたのでございまして、もちろん新しい公務員制度におきましては、能力実証主義—すべて職員の任用は能力の実証に基いて行わなければならないという原則は、当然に貫かなければなりませんが、その能力実証をいたしまする判定の方法につきましては、おのずから愼重な考慮がめぐらされなければならぬということを考えまして、いろいろの方途を講じておるわけであります。  すなわち第一といたしましては、人事委員会が置かれまするところは、大体大きな地方団体であります。また職員数も多いのでありまするからして、こういうところにこそいわゆる新しい公務員制度というものが、嚴格に実施されて参らなければならぬ部面であります。従つて人事委員会の置かれるようなところにおきましては、これらの試験の方法というのは、原則としては競争試験で行わなければならぬ。しかしその場合におきましても、競争試験一本やりということでは、場合によつては不適当な場合も出て参りまするので、必要がある場合は例外的には選考の方法、すなわち競争試験によらない能力実証の方法によるという余地を設けることにいたしたのであります。  第二の点といたしまして、競争試験の方法でありますが、これは二十條に規定をいたしましたように、單にこれは筆記試験でいわゆるマルチヨイ主義の試験を強行して参るというようなことではなくして、さらに幅を持たせまして、職務遂行の能力を有するかどうかということを、正確に判定をいたしますることを目的といたしますることは当然でございますが、その方法は三つのものを認めております。すなわち筆記試験一本やりの方法、第二は口頭試問なり、身体検査その他人物性行、教育程度等を総合判定する方法、第三は筆記試験と第二に申し上げました総合的な能力判定の方法をさらにあわせました混合試験の方法、こういう三つの方法を用いますことによりまして、個々具体的の場合には適当な試験の方法を用いて、もつて最もふさわしい人材を公務員に採用するという措置を講ずることに努めた次第であります。
  24. 松本七郎

    松本(七)委員 次に分限懲戒の件ですが、二十九條の懲戒の場合は、たとえば職務上の義務に違反し、または職務を怠つた場合には、四十九條の四項によつて、これは審査請求をする。その上で五十條によつて措置をするということになりますか。
  25. 藤井貞夫

    藤井政府委員 その通りでございます。
  26. 松本七郎

    松本(七)委員 そうすると二十八條の分限の規定においては、これは訴願の道は全然ないのですか。
  27. 藤井貞夫

    藤井政府委員 分限の場合におきましても、その意に反して降任され免職されるということにおきまして、本人にとりましては不利益な処分であることはかわりがございませんので、この場合も懲戒と同様に審査を請求することができるわけであります。
  28. 松本七郎

    松本(七)委員 二十八條の分限の場合、「勤務実績が良くない場合」と書いてございまするが、これは判定はだれがするのですか。
  29. 藤井貞夫

    藤井政府委員 勤務実績がよくないかどうかということは、実際問題といたしましては、任命権者が行うことに相なると思うのであります。しかしながら、任命権者がこれを行います場合におきましても、それが恣意的に流れてはならないことは当然のことでありまして、ここにはつきりと掲げられておりまするように、勤務実績がよくないという場合に、免職ができるということの規定の精神、この分限規定がそもそも職員身分保障であり、やたらに首を切られないということの保障であるという点から考えまして、愼重な判定をいたさなければならないことは当然でございますが、判定自身は、個個具体的の場合には、結局は任命権者に帰することに相なると思いまするが、その判定がはたして正しかつたかどうかということは、第三者的な、いわゆる準司法的な権限を有する人事委員会なり公平委員会が、最終的にこれの判定が正しかつたかどうかということを決定することに相なるわけであります。
  30. 松本七郎

    松本(七)委員 そうすると、たとえば教職員の場合は、教育委員会がそういう判定をすることになるのですか。
  31. 藤井貞夫

    藤井政府委員 お説の通りであります。ただつけ加えて申し上げておきますが、今御指摘がございました二十八條の第三項におきまして、職員の意に反する免職等の手続、効果は、本法に特別の定めがある場合を除いては、條例で定めなければならないというふうに相なつておりまするので、手続等につきましては、さらに客観的なある基準を設けることは、條例によつて道が開かれておるということを、御承知置き願いたいと思います。
  32. 松本七郎

    松本(七)委員 そうすると、第四十條の勤務成績の評定の場合ですが、これも教職員の場合などには、任命権者勤務成績を評定するという建前となつておるわけですから、いわゆる教育委員会であろうと思いますが、教育委員会勤務成績の評定をやることは、不可能じやないかと思いますが……。
  33. 藤井貞夫

    藤井政府委員 勤務成績の評定につきましては、四十條の二項で—これは原則規定でございますが、人事委員会は、勤務成績の評定に関する計画の立案でありまするとか、その他勤務成績に関して必要な事項について、任命権者に勧告ができることになつておりまして、どういう方法でこれをやつて行くべきかというような点につきましての大わくは、人事委員会が定めることに相なつておるわけであります。そのわく内におきまして、それぞれの任命権者が個々具体的な職員につきまして、勤務成績の評定を行つて行くわけでありますが、この点につきましては、御指摘の教員に関しては、現在教育公務員特例法規定で、勤務成績の評定について特例が設けられておるのであります。この規定を読んでみますと、その十二條に今お尋ねのありました危惧の点がないような措置が講ぜられております。すなわち「学長、教員及び部局長の勤務成績の評定及び評定の結果に応じた措置は、大学管理機関が行う。」というふうに書いてあります。これは大学についてでございますが、このようにいたしまして、大学管理機関がやることに相なつておるわけであります。ただその他の一般の教員の勤務成績の評定につきましては、御指摘のように、とうてい教育委員会がすべての評定を行うことはできないのではないかという点は、ごもつともの次第であると思います。ただ勤務成績の評定の最終の責任は、やはり任命権一つの発動でございまするので、任命権者が負うわけでありますが、先刻松本委員から御指摘がございましたような、任命権の一部の委讓というようなことをもちまして、勤務成績の評定の中でも、ある部分についてはそれぞれの下部の機構にこれをゆだねて行くということもできましようし、また手続の慎重を期しまする際に、最終には任命権者が行うけれども、それの内申制度というようなものをとりまして、教員の直接の上級監督者等に内申権を認める等の措置を講じますことによつて、適正な運営ができますることを期待いたしております。
  34. 松本七郎

    松本(七)委員 その内申制度というのがうまくいけば適切になるが、下手をすると責任がはつきりしないで妙なことになるおそれが多分にある。そこで聞いておるわけですが、たとえば勤務成績評定を、今政府委員が言われた四十條の二項の、勤務成績の評定に関する計画の立案、必要な事項任命権者に勧告するという規定で、人事委員会任命権者である教育委員会に対して、勤務成績の評定は校長が、やつたらよかろうというようなことを勧告することができるのですか。
  35. 藤井貞夫

    藤井政府委員 この勧告は、先刻も申し上げたかと思いますが、勤務成績の評定制度自身の大きなわくと申しますか、そういう具体的な評定自体ではなくて、計画のわくをきめるということになりまして、そのきめられた計画の採用を、それぞれの任命権者に勧告をするということに相なるわけであります。その点につきましては、国家公務員の場合におきましても、完全な勤務成績の評定制度は、いまだでき上つておりませんで、現在これは研究中であるというふうに聞いておりますが、この場合想像せられまするのは、今御指摘がございましたように、内申というような制度をとると、その内申者の恣意によつていろいろ実相を曲げられることになるというような心配も実はあるわけであります。しかしながら、この点につきましては、内申ということがもしとられるといたしましても、もう少し客観的な判定のできまするような様式を定めまして、そこに窓意が入らないように、また悪意が入つたといたしましても、それはどこに入つたのかということが、ただちにあとからわかるような適切な措置が講ぜられて参るというふうに、私は考えておる次第であります。
  36. 松本七郎

    松本(七)委員 具体的に言うと、そういう点は、今後人事委員会で勧告するということになるのですか。
  37. 藤井貞夫

    藤井政府委員 その通りであります。
  38. 松本七郎

    松本(七)委員 それから第三十八條の中に、「又は報酬を得ていかなる事業若しくは事務にも従事してはならない。」ということになつておりますが、たとえば学校先生勤務時間外に原稿を頼まれて、原稿を書いて原稿料をもらうというような場合はどうなるのですか。一々これも任命権者の許可を受けなければ書けないということになるのですか。
  39. 藤井貞夫

    藤井政府委員 お答えいたします。今具体的にお示しになりました原稿料の問題でありますが、これはこの法律でもつて規制する対象といたしましては、あまりに事柄重要性がないと申しまするか、それほどやかましく論じなくても、よろしいというふうになつておりまして、現在国家公務員の場合におきましても、原稿料をもらうごと、執筆をすること自身は別に許可を要しないということになつております。また地方公務員の場合におきましては、そもそも地方団体の特殊性にかんがみまして、この三十八條の一項に当るものは、国家公務員についてはこれは絶体禁止でありまして、許可を得ても営利事業に従事することはできないということになつておりますが、その点については若干地方実情に合うように緩和をいたしております。そういう点もございますし、今御指摘のありましたような原稿料をもらつて執筆をするというようなことは、任命権者の許可を一々受ける必要はないというふうに解釈いたしたいと思います。
  40. 松本七郎

    松本(七)委員 なお相当範囲つておりますが、私一人時間をとつても何ですから、一応これで打切つて、なお必要があれば先に延ばして留保しておきたいと思います。
  41. 若林義孝

    ○若林委員 先ほど松本七郎君の質疑に対して政務次官から御答弁があつたのでありますが、明確を欠いたように思いますので、一応念のために伺つておきたいと思います。二十四年度の年末の手当について別途に考慮しなければならぬというのでありますが、今度の三十五億の平衡交付金の中には七億二千万円が入つていないのでしようか。あるいは入つておるか。将来はこういう性質のものについても別途に考慮するというのか。あるいは今度は全然入つておらないのだから、別にこれを考えて支拂うのか。現在のところはつきりこれだということで地方に支弁するのでなければ、国が地方公共団体に負う債務になつておると思うのですが、これをひとつ明確にしていただきたいと思います。これが今度の平衡交付金の三十五億の中に入つてないとすれば、別に債務を弁済する方法を講じなければならぬと思いますが、そこを明確にしていただきたい。
  42. 小野哲

    小野政府委員 若林さんにお答え申し上げます、昭和二十四年度末に出しました手当のあと始末でございますが、これにつきましては、先ほども申しましたように、本年度の補正予算に計上される予定になつておりまする地方財政平衡交付金の増額分の中には入つておりません。従つて何らか別途の措置によりまして、これを処理して行く必要がある、かように考えております。
  43. 若林義孝

    ○若林委員 その別途の措置というのは、三十五億の中から地方に対して支拂つて帳消しにせよという意味ですか。また別に昨年度の七億二千万円というものを地方へ名目をつけてお出しになる意味の別途であるか。これをお聞きしたい。
  44. 小野哲

    小野政府委員 地方財政平衡交付金の算定をいたします場合には、いわゆる三十五億なるものは、二十五年度において生じた財政需要を織り込んでおるわけでありますので、従つて二十四年の分につきましては、法律の扱いから行きましても、どうしても入れるわけには参らないわけであります。従つて政府としましては、関係各省の間で十分に協議しまして、何らか他の適当な方法によつてこれを解決して行くようにしたいというので、実は昨日もこの点について寄り寄り協議を始めておるような次第であります。
  45. 若林義孝

    ○若林委員 それで大体明確になりましたので、早急に七億二千万円を御考慮願うように御努力願いたい。  それから第二條の地方公務員の定義と申しますか、「地方公共団体のすべての公務員をいう。」とあるのですが、この條項によつて教育公務員特例法による職員もみな含まれることになるのですか。
  46. 小野哲

    小野政府委員 この法律案では、地方公務員とは何かという定義をいたしておりません。これは国家公務員法におきまして、国家公務員についての定義をしてないのと軌を一にしておるのでございますが、地方公務員というものが、地方公共団体の公務に従事しておるものであり、また地方住民のために全体の奉仕者としてやつておるという点につきましては、実質的にある程度定義づけられるのではないかと思います。ただいまお話がありました教育公務員につきましては、この法律案の第二條の点から申しましても、ここにあります通り、「地方公共団体のすべての公務員をいう。」ということになつておる点から考えまして、この中に包摂されておるものである、かように解釈しております。
  47. 若林義孝

    ○若林委員 次に任命のことでありますが、教育公務員の特例法の十五條で、公立学校教育公務員任命権者教育委員会であることは明確になりました。また任用の基準というものが教育職員免許法によつて免許状制度によつて行われておる。しかるに地方公務員法案の十八條では、競争試験によつて任用するということが明確にされておるわけであります。読んでみますと、公務員法の方が優先するというふうな文字を使つておるところがあるのですが一教育公務員はいずれの法律従つて任用されるか、明確にしていただきたい。
  48. 藤井貞夫

    藤井政府委員 お答えいたします。ただいまの点でありますが、これは第二條には、地方公務員に関する従前の法令等の規定が、この地方公務員法に牴触する場合には、この法律規定が優先するというふうになつております。私たちの解釈といたしましては、教員につきましては御指摘のように免許状の制度がございますし、現在教育公務員特例法におきましても、採用または昇任というものは選考によることが明らかにされておる、これは教育公務員の性格に基きまして当然のことであるというふうに考えておりまするので、この規定自身は本法の規定矛盾をしない、その特例であるというふうに解釈をいたすわけであります。従つて教育公務員法そのままで、その面は適用があるということに相なるわけであります。
  49. 若林義孝

    ○若林委員 大臣がおいでになりましたから、先ほどの点とちよつと重複しますけれども全国民の注視しておることでありまするので、ひとつ大臣から一度お答えを願いたいと思うのであります。大体補正予算に盛られておりまする三十五億の今年度の平衡交付金のうち、他のことについては大体了承いたしたのでありますが、昨年度の年末手当に関する七億二千万円に対しては、ただいま政務次官からは、これだけは法律上その七億二千万円を三十五億の中の算定基礎に入れることができない。そこで別途支出することを考慮いたしておるということの御答弁があつたのでありますが、地方財政に重大な影響を持つておることでありますので、早急にこれを支出する運びをとつていただくことを希望するのでありますが、大臣から、一度この七億二千万円について明確にお答えを願いたい。
  50. 岡野清豪

    ○岡野国務大臣 若林委員の御質問にお答え申し上げます。先般来七億二千七百万円が大分問題になつておるのでございますが、それは文部省の予算としまして出ておつたのでございますが、そんなことも考慮されたのでございましようが、七億二千七百万円は創られて、そうして平衡交付金は三十五億になつた、それで三十五億と七億二千七百万円の関係とおつしやれば、おそらく政務次官も私と同じ答弁をされたことと思いますが、三十五億の中には七億二千七百万円は入つていないことは確かでございます。それじやその七億二千七百万円をどうするかということにつきましては、文部大臣並びに大蔵大臣ともよく協議しまして、早急に何とか考慮しなければならぬということで、寄り寄り話合いをしつつある次第でございます。現状といたしましては、これだけは御答弁できると思います。
  51. 若林義孝

    ○若林委員 それで大体安心できたのでありますが、どうぞ至急にそれができますようお願いをいたしたいと思うのであります。  それから次に先ほど松本君からも御質疑があつたのでありますが、教職員政治活動云々ということであります。私も特別に教職員のごとき社会の範となる者に対して、こういうきゆうくつないろいろな制限的なものを設けることは、不本意と思うのであります。なお民主政治が発展して行く上におきましては、社会の師表たるべき教職員が先頭に立つて、堂々たる選挙運動を国民に見せ、教員の常識に反せざる堂々たる態度をとられることはよいと考えるのでありますが、しかしながら現在の実情としましては、松本委員のお考えになつておるような態度が教職員の中に見られると思えないのを残念に思うのであります。たとえてみれば、本会議においてある社会党の議員が、こういうことを発言しておるのであります。日教組は社会党のものであると言うておるのであります。私は一党一派の專属に教職員組合がなるようなことがあつてはならぬという気持を持つておるわけであります。これは日教組を冒涜するもはなはだしいものである。おそらく良識のある教職員は、そういう発言を快しとしないのではないかと考えるのであります。で先ほど政務次官から答弁がありましたように、常識に反せざる堂々たる政治活動を決して制限するものではないのだというお話があつたのに、共感を覚えるものなのであります。私の出ております岡山県のごときは、決して一党一派に偏せざる堂々たる活動をいたしておるのであります。だからおそらく日教組が社会党のものだということを——事実そうなれば私はほとんど社会党の代議士が大半を占めると思うのであります。しかしそういう誤つたものでない、ほんとうに常識に反せざる行動をとる教職員が多いために、社会党が四十幾名の少数であると私は考えておる。むやみやたらに何をするんじやありませんが、そうしてこれはそのときにというのじやありませんが、この間の香川県の知事の選挙のときに、こういうことが民政部から香川県の教職員の諸君に向つて出されておるのであります。これもゆゆしき問題だと思うのでありますが、目下知事の選挙戰において、教員組合の指示を受けて一部教員が教育基本法八條公職選挙法第百三十七條及び教育公務員法の一部規定を含む現行法規に違反した運動を行つているよしの報告を得た。最も顯著なる違反事項としては、生徒の父兄の投票獲得のためにする戸別訪問、あるいは立候補者名を記入したメガホンを学校に持ち込んでいること、その他の手段をもつて生徒に働きかけていることなのである。さらに教職員は教員組合に利用せられて、組合の総合作戦の一翼として他の立候補者に関するデマを散布しておる。これが非常に重大なのでありますが——本県における一般公衆の教員に対する信用は、六月の参議院選挙に行つた政治活動のために、すでに失墜しておる。よつて貴局においては——これは委員会の教育長あてに出した民政部からの書簡でありますが、——においては全学校教員に対し現行法規を遵守し、生徒及び一般県民の尊敬を維持するため、本選挙における行動に十分慎重を期するよう指示を與えられるようサゼストをする。こういうようなことが言われておるのでありまして、私はこの間文部大臣に対して、一般公衆からすでに信用を失墜しておるような者を教職員として置いておくことができるのかどうか、またこういうことを言われて、そうでないじやないかといつて、なぜ教員諸君かこれを打消すだけのことをせなんだかというようなことを言いまして、この間の教育委員会の選挙に自粛を希望したわけなのでありますが、そのあとに、この法令を選挙運動をやつちやいかぬというようにみな受けたものですから、これは別に選挙運動をとめたのではないという指示があつたようでありますが、堂々たることはやつていいと考えるのでありますが、その点を松本委員はまだ留保されておりますが、理事長の各位がこういうことを御存じであるかどうか、御認識になつておられますか、ひとつお伺いいたしたい。
  52. 藤井貞夫

    藤井政府委員 お答えいたします。ただいまの香川県の知事選挙におきまする、四国の民政部からのサゼスチョンの問題でありますが、これは私たちといたしましては、その書簡自身の内容はそのままは見ておりませんが、そういうことがあつたという事実は聞き及んでおるのであります。先刻政務次官からもお話がございましたように、この地方公務員法は今のお話のありましたような教員が、当然国民として與えられておる個人的な政治上の意見の表明をやりますることにつきましては、別に何らの制限はいたしておらないのであります。ただこれが職権を利用し、あるいは集団的に選挙の勧誘運動ということになりまする際には、やはり公務員としていかがかと思われる節が出て来るのでありまして、その点についての適宜の規制を加えますることによつて公務員、なかんずく今のお話におきましては、教員の政治的な中立性を保障いたしますることによつて、一には住民の公務員に対しまする信頼を保持せしめるとともに、他面においては公務の公正なる、しかも円滑なる運営を期しようということにほかならないわけであります。
  53. 若林義孝

    ○若林委員 私はこれで政治活動については打切りますが、この法案は決して堂々と政治活動というものを禁止したものでないという気持で、またむしろ先ほどお話になりましたように、その身分を保障する法案であるという意味で、これに関する質問を打切りたいと思います。  もう一点、先ほどの人事委員会教育委員会との関連について、ひとつ伺つてみたいと思いますが、教育委員会委員というものは、最も民主的の制度として——これは異論はあると思うのでありますけれども、この間行いましたように、いわゆる公選によつて成立しますところの委員会であります。しかるにこの法案人事委員会というものは、第九條の第二項にありますように、議会の同意を得て地方公共団体の長が選任するとあるのでありまして、つまり地方の行政権者の意思によつて選任される。教育委員会委員の選挙と比べますると、そういう解釈が成り立つと考えるのであります。要するに教育委員会の性格と、地方公務員法に定められますところの人事委員会の性格とは異なることは明確であると私は思うのであります。教育公務員はこの二つの異なる性格を持つ委員会によつて拘束されることになると思うのでありますが、他の地方公務員と違つて教育公務員のみは、両方の重圧を受ける感がするのでありますが、この点はどういうように解釈してよいのですか、ひとつ伺いたいのであります。
  54. 小野哲

    小野政府委員 人事委員会委員の選任方法につきましては、先ほど松本さんにも御答弁をいたしたわけでありますが、教育委員会委員が公選による、形式をとつておるのに対しまして、人事委員会委員地方公共団体の長の選任にゆだねておるという点についての御意見と思うのであります。人事委員会の職能が、先ほども申しましたように、相当人事行政の専門的、技術的な問題を取扱うことになつております。従いまして公選によるということは、はたして適任者を得るやいなやということにつきまして、なお相当研究の余地があるのではないかと思うのであります。  次に地方公共団体の長が選任するということは、いわゆる任命権者たる地位にある地方公共団体の長が選任することになつて適当ではないではないか、こういうような御意見のように思うのでありますが、しかしながら地方公共団体の長自身も、すでに公選によつてその地位についておりますし、かりに地方公共団体の長が選任する場合は、住民を代表しておるところの公選によつて選出いたしました議会の同意を得るという愼重な手続をとつておりますがために、人事委員会自身の職能なり本質と兼ね合せまして、この程度が妥当ではないか、かように考えておる次第であります。  なお教育委員会人事委員会と両立てになりますために、教育公務員が二重の扱いを受けるおそれがあるのではないか、この点でございますが、これまた先ほど御説明いたしましたように、教育公務員につきましては、教育公務員特例法によつて地方公務員の特例的な措置を設けておりますのと、教育委員会の任務と、人事委員会の所掌事項との間は、法律その他の規定によつて明確にいたしておりまする関係上、その間緊密な連絡をとつて行きます場合においては、教育公務員諸君にそんなに御迷惑をかけることはなかろうかと、かように思つている次第であります。
  55. 若林義孝

    ○若林委員 ただいまの御答弁で、明確に人事委員会の重圧は、教職員に対しては絶対に加わらない、こう解してさしつかえございませんか。
  56. 小野哲

    小野政府委員 先ほど藤井政府委員からもお答えいたしましたように、任命権者がその権限を行使する場合におきましては、人事委員会においていろいろ計画、立案いたしました大きなわく基礎といたして参りますような関係で、任命権者自身は、その点につきましてはある程度制約を受けると思います。しかしながら地方公共団体一般職員と知事との関係、言いかえれば任命権者と当該地方公務員との関係における場合と同じように、任命権者たる教育委員会教育公務員との関係考えてさしつかえないのではないか、特に教育公務員についてのみ重圧がかかるということにはなるまい。かように考えております。
  57. 若林義孝

    ○若林委員 もう一つだけ伺いたいと思います。教育委員会と、この法案によりますところの人事委員会との権限が、地方教育に関する限りどちらに重点をおくかということです。ちよつと考えようによりましては、教育委員会の行政権と民政を軽視するようなことが起るような気もするのでありますが、その点をひとつ明確にしていただきたい。
  58. 小野哲

    小野政府委員 ただいまお話にございましたように、何か軽重の差があるようにお感じになる向きもあろうかと思い手けれども、もともと地方教育委員会権限人事委員会の担当の事項とは、おのずから区別を明らかにいたしております関係上、そのそれぞれの性質によつて、当該委員会がその権限を行使するということに相なりますので、いずれが軽く、いずれが重いというようなことは、一概にはいいかねるのではないかと考えております。
  59. 若林義孝

    ○若林委員 私はこれで打切ります。
  60. 松本七郎

    松本(七)委員 大臣がお見えになりましたので、ちよつと一、二質問を許していただきたいと思います。先ほど政務次官にも質問したのですが、第七国会だつたと思います。御承知のように標準義務教育費確保に関する法律案というのを政府考えて、文部省それから地方自治庁の間で單価についてたかなか折合いがつかなかつたのがやつとまとまつて、しかもこれが閣議で承認されたのであります。そうしていよいよ国会に提出するまぎわになつて関係方面の必要な手続をとる段階になつて、これが認められないというので、遂に国会提出を見合わせたということになりました。あれは日本政府の自主権と、それから国会の自主権に関する大きな問題であつたろうと思います。いやしくも内閣の閣議の承認を経て、国会提出まぎわになつて必要な形式的な手続で、これが提出できなくなつたというようなことは大きな問題であります。当時私どもはこれを問題に取上げまして、文部大臣にもただしましたところが、事情はやむを得ない、しかし今後なおこの標準義務教育費確保について、そういう法律案を出すように、今後も努力するという言明があつたのであります。そこで私がお伺いしたいのは、岡野国務大臣にもこういう標準義務教育費確保に関する法律案を、再び提出の運びになるように努力される意思がありやいなや、この点を伺います。
  61. 岡野清豪

    ○岡野国務大臣 お答え申し上げます。そのいきさつは先般来よく詳しく伺つておるのでございますが、自主権ということについては、私は所見を異にしております。ただいま被占領下でございまして、たといわれわれが閣議で決定いたしましても、関係方面の許可が得られないときには、どうすることもできないということは、実情でありますから、これは悪しからず御了承願いたいと存じます。なお閣議で一旦決定しましたものでございますから、しかもそれが吉田内閣でございますので、われわれといたしましては、その方向に努力しつつある次第でございます。でございますが、まだ具体的にいついかなる方法によつてこれを実現するかという、具体案ができておらぬことを申し上げて御答弁といたします。
  62. 松本七郎

    松本(七)委員 それはその程度でいいと思いまするが、ただ被占領下にあるから閣議は決定したが、あと認められなければしようがない、これはそう言つてしまえばそうなるのですが、しかしはたして認められるかどうかというのは、あらかじめの交渉その他によつて閣議決定する場合には、相当の見通しを持つて閣議決定すべきものだと私は思うのです。しかしこれは内閣のことですから、これ以上私は触れませんが、そういうふうに考えておる。自主権の問題をもつと愼重に考うべきだ、こういうふうな解釈を持つております。  もう一点伺つておきたいのは、先ほどからの小野政府委員の説明によりますと、教職員政治活動の禁止という大幅な制限、確かに制限されておるわけですが、公務員政治的中立ということを、しきりに政府委員は言つておられるのであります。ところが政治的中立ということは、言葉の上からは、まことに公平で公正なように聞えるのでありますが、どうかすると政治的中立ということが、政治的な無関心ということになりやすいのであります。これは逆説的な言い方でございまするが、政治の理想は、国民一般政治的な無関心になるほど善政がしかれることが、政治の理想かもわかりません。政治は民政形態であろうがあるいは独裁形態であろうが、どのようであつて政治関心が起らないほど、生活が安定して問題がないということになれば、これは一番いいのであります。ところがいろいろな問題があるために、政治的に関心を持たざるを得なくなる、それで全体の奉仕者としての国家の公務員、あるいは地方公務員が、ほんとうに政治的に中立であり得るためには、やはり安心して公務に従事できる態勢ができて初めて中立であり得るのです。政治的な関心を持たざるを得ないような現在の実情そのものを改めなければ、ほんとうに政治的に中立を保つて、安心して公務に従事するということは、私は不可能であろうと思います。それでありますからただ法律規定の上で、そういう理想を目標にして、制限してみたところで、私は決してこの理想は達成できるものではない、従つてむしろこういう規定を設けて、政治的中立を押しつけることによつて、私は政治的な無関心がここに生ずる。そうしてその結果は、政治的な表立つた自由自在の活動ができないということになりますると、どうしても内攻せざるを得ない、これは生理的な必然であります。すべて関心があれば、その関心が自由自在に表明できないということになりますならば、これは内攻する、そうすればかえつてこの法律目的としたところと反する結果になると思うのであります。そういう点について大臣ははたしてどの程度のお考えがあるのか、そういう点をただ法文だけでなしに、根本的な考え方について、私は少し大臣に意見を伺つておきたい。
  63. 岡野清豪

    ○岡野国務大臣 お答え申し上げます。ただいまの御質問を要約いたしますれば、行政官に中立性を持たせると政治関心を失う。だからそれは民主政治としてあまり好ましくないのではないかという御質問のように受取れますが、私は地方公務員におきまして一番大事なことは、何かと申しますれば、やはり全体に対する奉仕者であつて一党一派の政党の先棒をかついで、そうして政治運動をやるということは、公務員地位を保護するゆえんでもありませんし、行政を公正に運営して行くゆえんでもないと存じます。でございますから、もしかりに百歩を譲りまして、中立性を保たせるために一御心配のごとき政治関心が幾分失われるということは、犠牲にいたしましても、やはり私は行政を取扱うところの公務員としては、中立性を保たした方が、国家的にもまた地方自治団体といたしましても、ほんとうの民主的政治ができるのではないか、こういう考えを持つて、今度の法案を提案した次第でございます。
  64. 松本七郎

    松本(七)委員 その考え方そのものはわかるのです。賛成するかどうかということは別として、大臣の考え方はどういうところにあるかということはわかるのですが、そういうふうに全体の奉仕者としての公務員というものの任務を全うさせるためにやむを得ない、多少マイナスになるものがあつても、こういう制限をすべきだというのが、大臣の考え方のようでありますが、そういう考え方ならば、一方で制限すると同時に、やはり公務員の生活の保障ということも、積極的に考えて行かなければならぬ。それは福利厚生ということもここにはうたつてありますが、そういうことをただこの法律にまかせるだけでなしに、何らかただちにやるべき福利厚生の積極的な生活の保障という面について、大臣はどういうように考えられるのか、たとえば年金制度とか、恩給制度の改正であるとか、そういう点について何らか大臣の積極的な構想がおありになるかどうか、この点を最後にお伺いいたします。
  65. 岡野清豪

    ○岡野国務大臣 主として地方自治の面におきましては、政府の方針といたしましては、なるべく自主性を尊重して行きたい。こう存じまして、できる限り地方公共団体が、その全体の住民の意思によつて善政を施して行きたい。こういうことにしてやらせたいと存じます。しかしながら一万数百ありますところの公共団体に、箇々別々にいろいろ経済情勢も違いましようし、大小の差もありましようから、放任するわけに参りませんで、今度の公務員法をつくりまして、その中にうたつておるごとく年金制度とか、福祉とか、身分保障とか、いろいろうたつてある次第でございまして、私自身といたしましては根本的な原則としては、地方自治にまかすべきである。しかしながらそれを手放しにまかしてしまつて、できないところはできないでうつちやらかされては困るという意味において、退職年金とか福祉とかいうようないろいろのことを法律として出して、これを取入れて條例をつくる、またいろいろな施設をさせたり、こういう考えでやつておる次第であります。
  66. 小林信一

    小林(信)委員 関連してお伺いするのです。若林さんがおられる方が都合がいいのですが、若林さんがおられませんが、実は若林さんが先ほど朗読されて、しかも教員の政治活動禁止について至当であるというふうな点から申されました香川県の民政部のサゼスチョンでありますが、これは国会におきまして話されたことはこれで二回でありますが、私は当初この話を聞きましたときに、その内容からいたしますと、公職選挙法に違反するものであり、教育者として最も糾彈されなければならない問題であるという点から、文部省当局にも、あるいは取締りをする当局に対しても、ただちに何らかの措置をすべきであつて、ただサゼスチヨンを国会等で朗読し合うというようなことは、まことに軽率であるという点から、これも民政部に伺つたものではないのですが、その地方の方たちに伺いますと、出たことは出たが、これは取消されたというお話があるのです。この点は私そのままほつておいたのですが、再びここでこういう重大問題に影響するようなものを、とりかわされるという点におきましては、もしこれが取消されておるとするならば、これは民政部の言をいたずらに弄して、一つの材料にするというようなことになりますので、これはまことに危險きわまるものだと思うのです。先ほど当局の御答弁によると、見たことはないが、そういうことは聞いたというようなことで呼応しておるのですが、私は中正の立場からこの問題は一刻も早く根拠を確かめて、再びこういう軽率なことが行われぬようにしていただきたい。しかも地方公務員政治活動禁止の問題につきましては、非常に関心が高いのでありまして、先ほど来お話を承つておりましても、教育行政の面と、地方行政の面と二つの重複する点から、いろいろな疑念が出ておる点からしましても、この点は政府当局におきましても、一旦そこで口走つた以上は、これをはつきりしていただくことをお願いしたいのでありますが、いかがでありますか。
  67. 藤井貞夫

    藤井政府委員 先刻も私申し上げましたように、これはそういうことがあつたということを、県のある職員から聞いたということだけ申したのでありまして、内容等につきましては全然見ておりません。また今小林委員から御指摘のございましたところの、その後その書簡というものは取消されたのだというようなことも、私どもといたしましては全然聞いておりません。
  68. 小林信一

    小林(信)委員 もちろん私も糾明したものでないが、もしそうだとすれば、非常に疑念があるから、当局におきましても、ここで申されたのですから、責任を持つてこの問題は糾明していただきたいと思うのであります。
  69. 前尾繁三郎

    ○前尾委員長 それでは午前の会議はこの程度にいたしまして、午後は国会審議権尊重に関する決議案が出るそうでありまして、それが一時間半ほどかかるそうでありますから、二時半から再開いたすことにいたします。  それまで暫時休憩いたします。     午後零時五十五分休憩      ————◇—————     午後三時四十九分開議
  70. 前尾繁三郎

    ○前尾委員長 再開いたします。  休憩前に引続き、地方公務員法案に対する質疑を続行いたします。成田知巳君。
  71. 成田知巳

    ○成田委員 地方行政委員会でいろいろ質疑もあつたと思いますので、重点的に二、三御質問いたしたいと思います。條文を追つて質問いたしたいと思います。  最初、第三條の地方公務員一般職と特別職の規定でありますが、本法案の附則二十項の規定から行きましても、現業の機関に従事しておる職員は、当然特別職としての取扱いを受けるのが、妥当だと考えるのでありますが、現在政府案には入つておりません。公立学校教職員についても同じだと思うのであります。政府提案理由の説明を聞きますと、五十七條の単行法の規定がございますが、五十七條でとりあえず公立学校教職員を予定しておる、こういう提案理由の説明でありましたが、これは大体特別職並にお取扱いになる趣旨で、そういう御説明であつたのか、お伺いしたい。
  72. 小野哲

    小野政府委員 成田委員にお答え申し上げます。地方公務員法案の立て方といたしましては、大体国家公務員法と同じような考え方から、一般職と特別職に区別いたしておりまして、特別職はこの法律案の中にはつきりと規定いたしまして、それ以外の一般職、いわゆる地方公共団体職員にこれを適用するというような建前をとつておるわけであります。ただいま御質問のありましたまず第一点の現業職でありますが、現業職員とそうでないものとの取扱い方につきましては、従来から国家公務員法におきましても、いろいろの経過をたどつて参つたのであります。この地方公務員法案におきましても、現行の国家公務員法とにらみ合せて、これが取扱いを考えて行くことが妥当であろうという考え方から、現業職員につきましては、一般職といたしまして、この地方公務員法の適用があるものと、この法律案では考えておるわけであります。  第二点の教員の取扱い方でありますが、ただいま御指摘になりましたこの法律案の第五十七條において、職務と責任に応じて特殊な扱いをすることができるという道を開いておるのでありますが、提案理由の説明をいたしました場合において、たとえば公立学校教職員ということを例にあげておりますが、この地方公務員法案に対応いたしまする教育公務員の特例的な措置につきましては、いわゆる教育公務員特例法というものが出ておりまして、この特例法が教育公務員に関する特例的の措置を講じておる、かような考え方を持つておるのでありまして、特例的な措置教育公務員におきまして、すでに措置されておる、かように御了解が願いたいのであります。
  73. 成田知巳

    ○成田委員 最後の点でございますが、そういたしますと、この五十七條で、公立学校教職員に対して、現在の職員の特例法と同じような特例法をおつくりになるという趣旨で、私たちの考えておりました学校の教員とかあるいは現場の職員というものは、一般公務員と性質が違うから、その身分取扱いについて、附則二十條の公企業の職員と同じような趣旨の單行法をつくろうという意味ではないことになるのでございましようか。
  74. 小野哲

    小野政府委員 最後にお触れになりました公営企業の職員につきましては、この法律案の附則第二十項におきまして、別個の取扱いをする。言いかえれば、地方公務員であるけれども地方公務員法の適用を除外する、こういう考えであるわけであります。しかるに教育公務員につきましては、地方公務員であるという前提のもとに、その職務なり、あるいは責任等におきまして、特殊な性格を持つておりますがために、これに必要な特例を認めて行く。これが具現されましたものが教育公務員特例法であると考えておるのであります。
  75. 成田知巳

    ○成田委員 そういたしますと、その特例法というのは、教員の性格から行きまして、政治的活動その他について一般地方公務員よりも制限において緩和する。そういう趣旨の特例法をおつくりになる考えでありますか。
  76. 小野哲

    小野政府委員 この地方公務員法案の体系から申しまして、ただいまお話になりましたような考えは持つておりません。
  77. 成田知巳

    ○成田委員 次に五十二條の第五項について御質問いたしたいのであります。五十二條五項には「職員は、地方公共団体から給與を受ながら、職員団体のためその事務を行い、又は活動してはならない。」という、いわゆる專従職員規定があります。ところがこれに対応いたしておりますところの、国家公務員法の百一條第三項を見ますると、「職員は、政府から給與を受けながら、職員の団体のため、その事務を行い、又は活動してはならない。」という同じ規定がありますが、国家公務員法の方ではさらに「但し、職員は、人事院によつて認められ又は人事院規則によつて定められた條件又は事情の下において、第九十八條規定により認められた行為をすることができる。」という但書がありまして、ある條件のもとにおいては、給與を受けながら専従職員として活動ができるという規定があるわけであります。国家公務員法においてさえ、この但書の規定があるにかかわらず、なぜ地方公務員法においてこの但書の規定を落しておられるか。その点について御説明を願いたい。
  78. 小野哲

    小野政府委員 御承知のごとく、地方公務員法案は、いわばわく法律でございまして、できるだけ地方公共団体の自主的な扱い方にまかせるようにいたしたいと考えておるわけであります。ただいまお取上げになりました第五十二條第五項の問題でありますが、地方公共団体から給與を受けながら、職員がいわゆる組合の專従的な仕事をやつてはならないということになつておりますので、これを裏から読みますると、給與を受けない場合においてはさしつかえない、こういうことになるわけであります。次に国家公務員法第百一條の末項にありまする但書の問題でございますが、この地方公務員法案におきましても、たとえばその地方公共団体條例の定めるところによりまして、職員の休暇の問題であるとか、いろいろな点が定められるであろうと思うのであります。さような場合におきまして、職員が休暇をとりましてあるいは職員団体の仕事に従事するというふうな場合も想像されますので、これらの詳細の点については、おそらく條例によつて定めをするということになるであろう、かように考えておる次第であります。
  79. 成田知巳

    ○成田委員 休暇の例をおとりになつたのですが、休暇の例を私は申し上げておるのではないのでありまして、この法案によりますと、給與を受けながら職員団体のため事務を行つてはならない、こういうことを規定しておる。ところが同じ精神の法律であります国家公務員法においては、この規定を受けまして、但書に、給與を受けながらも人事院規則の認める範囲内においては、組合活動ができるということになつておるわけです。今小野次官の御説明によりますと、地方公共団体については、その地方の自主性を尊重するということをお言いになつたのでありますから、当然国家公務員法で人事院規則の例外を認めておれば、特に自主性の尊重される地方自治体において條例の定める範囲内において、その事情條件のもとにおいては、給與を受けながら組合活動ができる、こういう但書を当然規定すべきだと思うのでありますが、それについての御意見を承りたいと思います。
  80. 藤井貞夫

    藤井政府委員 お答えいたします。ただいまのお話はごもつともの次第でありまして、地方公務員法におきましては、職員団体の規定の仕方につきまして、国の職員団体に対応いたしまする大体の規定を置いておりますが、ただ国の場合には、人事院規則で相当こまかい規定が置かれておるのであります。しかし事柄は非常に重要な点であり、またいろいろ疑義の存する点もございますので、地方公務員法におきましては、人事院規則で掲げておりますような事項の中で、特に重要な登録の問題とか、その他の点について、本法に直接規定をいたしたようなわけであります。従いまして、規定の形式が若干異なつておりますので、今お話がありましたような点の疑義を生じましたことは、はなはだ恐縮の次第でありますが、その建前といたしましては、全然地方公務員法の場合にも異なつておらないというふうになつておるのであります。具体的に申し上げますと、五十五條の一項で、いわゆる交渉権というものを認めております。ここに、「職員団体は、條例で定める條件又は事情の下において……当局と交渉することができる。」ということが権限としてうたわれておるのであります。従いまして、これは給與を受けようが受けまいが、当然交渉権を與えられておるのでありますから、ただその條件が、條例で定めた條件なり事情という制限がつくことは、これは国の場合と同様でありますけれども、この條件に合致する限りにおきましては、給與を受けながら、当然にそういう交渉なり事務に従事することができるということでございまして、建前は異なつておりません。
  81. 前尾繁三郎

    ○前尾委員長 成田さん、ちよつと、文部大臣と法務総裁が来ておられるので、その方の質問を先にほかの方にやつていただきたいと思いますので……。文部大臣と法務総裁に対して御質疑のある方は……。
  82. 浦口鉄男

    ○浦口委員 文部大臣がおいでになつておりますので、一点お伺いいたします。午前中の本委員会におきましても、文部委員松本委員や、若林委員から岡野国務大臣に御質問がありまして、大体基本は了承したのでありますが、ただ具体的な経過について一度お尋ねしたいと思います。それは補正予算に盛られました三十五億円の平衡交付金の配分であります。これについて、地財と文部大臣の御意図はたいへん食い違いがあつて、苦境に立たれて、吉田総理の御出馬をお願いしなければならぬというような、文部大臣の御意向があつたそうでありますが、その経過をちよつとお知らせ願いまして、どういう結果になつたか、お尋ねいたします。
  83. 天野貞祐

    天野国務大臣 七億二千六百万円でしたか、これは文部省の予算に当初入つてつたのですが、また九億円のベース・アップの分も入つてつたのですが、それが突然消えてなくなつてしまつたので、私は大蔵大臣にこれは一体どうなつたのかと言つたところが、三十五億の平衡交付金の中に入つておるから、そう考えてくれということであるから、私はそれを信じて今日に至つておるわけなのであります。別に吉田総理の出馬を願つたということはございません。ただ官房長官によくお話をして、どういうようにこれを処理したらいいかという御相談はいたしております。総理には別にお話しておりません。そういう経過であります。
  84. 浦口鉄男

    ○浦口委員 現段階ではそこまでお話が進んでおるわけでございますか。
  85. 天野貞祐

    天野国務大臣 さようでございます。
  86. 浦口鉄男

    ○浦口委員 実は先ほど自治庁お話では、二十四年末の賞典金に対する地方自治体の借入金に対しては、この三十五億の中に含んではいるが、しかしそれを支出するかどうかは、各地方自治体の任意にまかせられている。決してひもつきではない。しかも二十四年度の結末については、二十五年度の予算にはこれは盛られないという財政法上の建前から、これは当然三十五億に入つていない。しかし実情やむを得ないので、別途七億二千六百万円については、方法を講ずるように努力をしている、こういう御答弁があつたようでありますが、この点は一応了承いたしたのであります。いま一つは一月から三月までのベース・アップに対する九億が、やはりこの三十五億円の平衡交付金の算定基礎になつている、こういうことを一応お聞きしているのでありますが、それが今大臣のお話によりますと、やはり行方不明になつている、こういうふうな御答弁なのでありますが、これに対してやはりその配分は地方自治体の任意にまかせられてあるので、どうにもならぬ、こういうふうに大臣はお考えになつておられるのか。またそれに対する自治庁のいま一度の御答弁をお願いいたします。
  87. 天野貞祐

    天野国務大臣 初め大蔵大臣からそういう話でございまして、また現在も大蔵大臣はそう言つておられますから、これは何か法律的に言えばなるほどひもはついておりませんけれども、やはりその成立ちから考えてみて、そういうような処置がなされるのではないかと自分は信じて今日に至つておるわけであります。ただいろいろ伺いますと、七億二千六百万円というのを平衡交付金の中に入れるということは、いろいろむりだ。そういう法立上の御説は、私もそう伺えばなるほどと思いますが、初め大蔵大臣が入つておるということですから、私はそういう法律のことをつまびらかにしておりませんから、大蔵大臣の言葉を信じており、その九億というものがどこか行方がわからないとは自分は思つておりません。必ずこれは支出されるものと考えております。
  88. 小野哲

    小野政府委員 私からもお答えをいたします。ただいまお話になりました給與改訂の財源の問題でありますが、地方財政委員会といたしましては、昭和二十五年度の途中におきまして、新たに起りました財政需要でありますので、この財政需要に伴う地方公共団体に対する財源措置として、地方財政平衡交付金の増額をする必要がある、こういうことで予算要求をいたしておるわけでありますから、御了承を願いたいと思います。
  89. 浦口鉄男

    ○浦口委員 いま一つは年末手当の半箇月分に対する十億の問題でありますが、これは全然三十五億の中には算定基礎にもなつていない、こういう意味ですか、その点を一度確かめておきたいと思います。
  90. 小野哲

    小野政府委員 財源措置といたしましては、昭和二十五年度分の地方財政平衡交付金でまかない得ない状態にあります場合におきましては、地方財政平衡交付金の増額にまたなければならない場合が生ずるのであります。さような意味合いにおきまして、先ほど申しました年末給與の問題につきましても、新たに起つた経費として、これを充すための財源、措置をどこに求めるか、その場合において地方財政委員会といたしましては、地方財政平衡交付金にその財源を求めることが適当であろう、こういうことでございまするので、この点御了承が願えるかと思うのであります。
  91. 浦口鉄男

    ○浦口委員 最後に、なぜ繰返しお質問申し上げるかと申しますと、実は昨年二十四年度の七億二千六百万円についても、そういう平衡交付金の裏づけがないが、自治体では、当時事情やむを得ずとしてこれを出した。しかもそれを借入金によつて、現在まで利息を拂つて来た。それに対し、地財がその事情を認めて、今別途に方法を講じなければならぬ、講じようと努力されている。そのことは、了承するのでありますが、ことしの年末の半箇月の手当に対しても、もし昨年と同じような事態が起きて、また来年の二十六年度の補正予算でこれを満たすことができないというようなことから、また別途な方法が講じられるということは、たいへんどうもわれわれとしては不手ぎわのように考えられるのでありますが、そういうことを予想されて、何か別途に十億に対して、具体的なお考えが今あるかどうか、それをお聞きしておきたいと思います。
  92. 小野哲

    小野政府委員 私から一応お答え申し上げます。二十四年末の年末手当の問題につきまして、これをどういうふうに処理したらよいかということにつきましては、昨日も文部大臣並びに岡野国務大臣の間で、いろいろ相談が進められておるわけでありまして、この点につきましては、大蔵大臣との間にも交渉いたしまして、何とかその打開の道を講じて行きたい、こういうお考えのように私も伺つておるのであります。二十五年度分につきましては、地方財政平衡交付金の増額分で行き得る限度において、できるだけのことを中央においていたさなければならぬと思うのでありますが、同時に地方財政の現況から申しますと、三十五億の増額の程度では、なかなかきゆうくつではないか、こういう意味で、地方財政委員会から内閣を通じて国会に対しましても、八十三億程度の地方財政平衡交付金の増額が必要である、こういう意見が提出されておるような次第であります。従いまして財源の措置といたしましては、地方財政平衡交付金の増額もやらなければならないと同時に、地方公共団体におきましても、あとう限りの節約をしてもらつて、財源の捻出のために努力もしてもらう必要があるのではないか、こういうふうな点をかね合せをして、何とか今回の給與改訂に即応するように、地方公務員のために迷惑のかからぬようにやつて行こうではないか、こういうことで現在取運ばれておるような実情でございます。
  93. 小林進

    小林(進)委員 文部大臣にお伺いいたします。地方財政委員会の審議の経過は、私は不幸にして知らないのでありますが、この前の文部委員会のときには文部大臣がお見えになりませんで、政府委員からの御答弁があつたのでありまするが、あるいは私の政府委員の答弁の聞き違いでありますれば、あとでまたその記録を見ていただいて訂正してもよろしいのでありますが、そのときの政府委員の説明では、この三十五億の平衡交付金の中で、ベース・アツプの九億と年末手当の十億、十九億は、大体文部省としてはこの中から出してもらえる確信がある。それから昨年末のあと始末の、七億二千六百万円は、これも従来から懸案の問題でありますから、これに対しては文部当局といたしまして、この配分計画書をつくつて、そうしてそれを地方庁にまわして、その配分通りに交付をしてもらうというふうな段どりまでもつけつつあるのだというふうな、御説明があつたのであります。それでわれわれもたしか了承しまして、それではその点をいま一度ひとつ次の機会に、文部大臣の御出席を得て確約しよう。何といつても三十五億の中で、二十六億の金を文部省だけでとるということは不可能ではないかということも考えられるけれども、それほどの確信のある御説明ならば、まあ文部大臣からいま一度確約を得ておくことにしようというような形でわかれたのでありますが、ただいまの御説明によりますと、ずいぶんそこに大きな開きがありますので、文部大臣のお言葉と事務当局の御説明とで、何か大きな食い違いがあるのじやないかという感じがいたしますので、いま一度この問題について御答弁をお願いしたいと思います。
  94. 天野貞祐

    天野国務大臣 この七億二千六百万円と九億というものは、当然これは三十五億に入つております。これは疑いなく考えておるわけであります。そのほかに私は年末手当に関しては、地方で全部出せと言つてもむりではないか。その半額はやはり中央で見るというのがよいのではないかということを、十二月ごろと思うのでありますが、大蔵大臣にしばしばお願いをしてあるのであります。そういうようにして大蔵大臣がこれは何か考えてくださること、岡野国務大臣と一緒に大蔵大臣に幾度もお願いをしたのであります。しかし、同じことを幾度大蔵大臣に言つてみても、あまりしつこい話ですから、私もこれは大蔵大臣に何かお考えがあることと思つておりました。ところが今申しましたように、元は九億しかなかつた平衡交付金が、三十五億に突然ふくらまされたわけであります。だからして九億を除けば何もなかつたものに、それだけが出て来たのですから、私どもはこれで年末手当の分もまかなつてもらえるのじやないか、そういう予想をいたしたわけであります。前の二つについては大蔵大臣からはつきりと聞いていることですが、後の年末手当は私ども事務当局も当然これは出なければならない。一体国家公務員が年末手当をもらうのに、地方公務員がもらわぬはずはあり得ないのだから、必ずどこからか出るにきまつておると自分らは確信しております。その分が三十五億の中に入つているのではないかということを、事務当局では考えておるわけであります。
  95. 小林進

    小林(進)委員 ただいまの文部大臣の御説明で、結局事務当局の御説明が単なる予想にすぎないのであつて、私どもをぬか喜びさせてくれたにすぎなかつたということが、明らかになつたのでありまして、この点はなはだ遺憾にたえないと思うのでありますが、しからば今後の見通しにつきまして、今の十億をあくまでも文部大臣として獲得せられる御意思がありますかどうか、あるいはこれに対する可能、不可能の見通しについて、はつきり御意見を承りたいと思います。
  96. 天野貞祐

    天野国務大臣 その十億はどういう方法かで必ずできるものと信じております。たびたび大蔵大臣に願いして来たことでございます。できることと思つております。
  97. 立花敏男

    ○立花委員 文部大臣にお尋ねいたしますが、文部大臣は先月の二十四日、二十五日の両日に、日本教職員組合の代表とお会いになつたことがございますか。
  98. 天野貞祐

    天野国務大臣 私はどうもそれを記憶いたしておりませんけれども、いろいろなことが多用でありますから、はつきり日を記憶いたしておりません。
  99. 立花敏男

    ○立花委員 組合品の方では大臣にお会いいたしまして、そうして大臣に確約を願つた。御明言を得たというふうに申しております。それは大体大臣のおつしやつておられます七億二千万円、それから一—三月のべース・アツプの九億、それに大体年末の賞與半箇月分の半分の十億、それを大体大臣に御了承願つて、それからそのほかに級別推定表の、すなわち教職員の職階級的な待遇改善費、これが四億九千万円ばかりあるのでございますが、この問題についても、その節大臣が言及なさいまして、大体これも実現できるのではないかというふうな見通しをもちまして、日本教員組合の方は非常に満足して帰つて来たようなわけでございますが、今大臣の御答弁によりますと、七億二千万円がいつの間にか消えてなくなつてしまつておる。それから九億につきましても、いずれどこからか支出されるであろうと思つているというふうなお話でございますが、こうなつて参りますと、大臣が所管の日本教員組合の代表とお会いになつて御明言なさつたことと、大分食い違つて来るのでありますが、この点に関して、大臣はどういうふうにお考えになりますか。
  100. 天野貞祐

    天野国務大臣 私が教員組合の諸君といつ会つたか、はつきり記憶いたしませんが、しかし私が確約をいたすわけがございません。この七億とそれから九億というのは最近でございますが、大蔵大臣が三十五億に入つているということですから、これは私は必ずできると思いますが、その他のことについては十分努力する。そして年末手当というものが国家公務員に出る以上、地方公務員にも必ず出るものと、自分は信じておるし、十分努力する。けれど私が自分で確約できるわけがありませんから、確約いたしたことはございません。
  101. 立花敏男

    ○立花委員 二つにわけてお尋ねをいたしたいと思いますが、大臣が三十五億の中に必ず入つておると御確信になつておられます十六億二千万円、これがもし入つていなかつた場合は、大臣はどういうふうな措置をおとりになりまして、組合に対する御明言を実現なさるおつもりであるか承りたいと思います。  それからもう一つは、年末手当の半月分の十億でございます。大臣は教職員組合に対されましては、大臣自身が責任者だと思う。大臣自身がこのことをおきめにならなければだれがきめるかということになつて来るのでございますが、またその資格で大臣は組合の代表にお会いになつたのだろうと思いますが、どこからか出されるであろう。ほかにも出るのだから、どこからか出るだろうということでは、組合の代表の方と責任をもつてお会いになつた場合の言葉とは、受取れないと思うのであります。だから当面のこの教職員の待遇改善、給與の問題の責任者として、大臣はどうお考えになつているか、お聞かせ願いたいと思います。
  102. 天野貞祐

    天野国務大臣 第一の点については、私は大蔵大臣のお言葉を信頼して、必ず何かの方法が講ぜられるのではないかと期待いたしております。またそういうことを大蔵大臣に切にお願いをいたしております。  第二の点については、私が必ず出すということを確約できるわけがございません。私は出るものと信じて、そういう努力をするというだけであります。
  103. 木村榮

    ○木村(榮)委員 文部大臣は非常に古来の伝統を愛される文化的志操のゆたかな敬服すべき方だと思う、尊敬すべき方だと思う。そこで私は戦争が終つて第六回のお正月を迎えますが、このお正月には、日本の人民どもが少くとも門松を立て、しめなわを張つて大いに正月を祝福したいと思つておりますが、御賛成でございますか。
  104. 天野貞祐

    天野国務大臣 私はよろしいことだと思つております。
  105. 木村榮

    ○木村(榮)委員 ところが文部大臣はそういうことにはしごく賛成だというわけで、たいへん私も同感でございますが、今度の補正予算その他今立花君が質問をいたしておりますような状況から見ますと、おそらく日本教職員を初め地方庁の職員諸君は、門松どころではない、おそらく酒の一合も買つて飲めないような悲惨な状況が、これはじようだんではなしに、ほんとうに来るのです。ところがあなたはそういつた教職員の最高指揮官として、私の責任ではどうにもならぬが、まあ大体出したいものだ、こういうお考えらしい。だから運がよければ出すのだが、風の吹きまわしで、ドツジ旋風でも吹けば、どうせだめであろう、こういうことは、言葉のあやは非常におやさしく申されますが、内容には角がある、毒がある。こういうことはもう少し真劍に少くとも文部の大臣をしておる以上は、命をかけても年末賞與ぐらいは出せますと言えませんか、勇気がなくて……。あればおつしやつていただきたいと思う。どうですか。
  106. 天野貞祐

    天野国務大臣 私は自分のできるだけの努力をしておるので、教職員諸君の生活がどうでもいいなどと考えておるわけではございません。自分はできるだけの努力をして、ぜひ出すようにしたいと思つております。
  107. 木村榮

    ○木村(榮)委員 ここに大橋法務総裁も見えておりますが、大橋法務総裁は私とは選挙区が同じでございまして、たえず喧嘩をいたしまして、大橋法務総裁は反共のチャンピオンとして私と挑戰をいたしておる。ところが多分大橋法務総裁のもとにも毎日のように—私のいなかはもう今は雪が積つて、毎日悪天候が続いておると思う。その山間僻地の学校教職員の諸君あるいは役場の吏員の諸君から、私どもだけでも、多いときには毎日千通くらい葉書をよこして、その窮状を訴えて、何とかしてせめて年末賞與半箇月分でもいいから間違いなしに出すのだということだけは、ぜひ約束さすように努力をしてもらいたいということを実際訴えて来ております。これはわずか千通であつても、この裏には何千人の子供や家内、老人が同じ叫びを叫んでおると思う。こういつた状態は、おそらくこれは一党一派の問題ではなくて、少くとも日本人民としての、日本人としての良心があるならば、私は大決心をもつてこういうふうな要求には—不当な要求ならいざ知らず、当然の要求を揚げておるのだから、これはやらなければならぬと思う。そういうのだから、私どもといたしましては、何ともしようがございません。何ともしようがないというのは、常識から言つて、さじを投げるということである。さじを投げるということは、おれの手に負えぬということである。おれの手に負えぬということは、私は役に立たぬということである。私は役に立たぬということは、その職ではないということである。それはおそらく責任をとらなければならぬということになるわけである。理論的にやつて行きますと、これが日本人の常識なんです。ところが終戦後は日本の常識がかわつて来まして、いけなければどうも向う様の何だとか、向うがどこだか私は存じませんが、景況が悪くなつて来ますと、向う様あちら様とかなんとかいうことを言つて、それからまたポ勅というものをお出しになつて、かつこうがつくわけです。だからこういうことではなしに——私はじようだんではないのです。もう少し真劍に出してもらわなければ困るのです。私も返事をしなければならぬ。何千通も来ておりますから一々出せませんが、少くとも組合の代表の事務所、あるいはまた学校の、一校ならば一校のどこそこ校あてに出す。はがきが同じ学校から二十枚ぐらい来ます。二十枚は、私は財政に困つておりますから出せませんけれども、一枚ぐらいはその学校に出せます。だからいろいろ努力もし、政府の方の意向も聞いたが、出る見込みがないからということか、あるいは半月分は必ず出る、このことを約束できますというふうな返答ぐらいは、共産党が貧乏しておつても出さなければならぬときに来ておる。ところがまだ出せません。どつちになるのか、どうですか。そのどつちを出したらいいのか、それを明確にしてもらつて、さつそく書いて出しますから、たいへん申訳ございませんが、出せるか出せぬか、どつちかということをひとつおつしやつていただきたいと思います。
  108. 天野貞祐

    天野国務大臣 私はそれは出ると信じております。そういう努力をしようと思つております。
  109. 木村榮

    ○木村(榮)委員 間違いなく出ますね。
  110. 天野貞祐

    天野国務大臣 間違いなく出ると自分は考えておつて、そういう努力をしようと思つております。
  111. 立花敏男

    ○立花委員 天野文部大臣は「君が代」を歌えという御指示をお出しになりましたか。
  112. 天野貞祐

    天野国務大臣 「君が代」を歌うことが望ましいと言いました。
  113. 立花敏男

    ○立花委員 そうであれば、年末手当を出すことは望ましいことにはかわりはないと思いますが、年末賞與の方はお出しにならないで、「君が代」の問題とか、あるいは人事の問題とか、こういうことだけは上から通達をお出しになるのですが、これは非常に片手落ちではないかと思うのです。この点で天野文部大臣矛盾をお感じになりませんか。
  114. 天野貞祐

    天野国務大臣 「君が代」を歌うことも望ましいと思つておりますが、年末賞與もぜひ出したい。私の力で出せるものなら今でも出すのですが、私の力では及ばないものがありますから、必ず出すということを言う資格が私にないのです。ただ私はどうか出るように努力しよう、こういう考えであります。
  115. 立花敏男

    ○立花委員 私には及ばないとおつしやるのですが、どういう点で及ばないのか、人事の点なんかでは、さつきから申しましたように、文部大臣は絶対の権力を、あなたの下の教職員の方にやられているわけなのです。ところが事給與の問題になりますと、私には権限がないとおつしやる。これは非常におかしいと思うのです。たとえば「君が代」の問題にいたしましても、実は私、二年生と三年生の子供がございますが、この間十一月三日の前の日に、お前たち、あした「君が代」を歌うのかと聞きましたところ、父さん、「君が代」とは何だ、と私は聞かれた。子供は「君が代」を知らないのです。いくら「君が代」を歌え、「君が代」を歌うことが望ましいという通達をお出しになりましても、子供は知らない。ところが十一月三日に学校に参りますと、先生がピアノなりオルガンなりをひきまして、子供にむりに「君が代」を歌わすのですが、子供は歌えない。こういうことは実際上あなたが天下り的におやりになつている。あなたの権限をお使いになつている。あなたの命令に屈服しているわけです。ところが給與の問題になりますと、あなたは組合の代表に御明言なさつておきながら、ここで聞きますと、それはおれは知らないのだ、おれの力の及ばないところなのだ、出るはずだからどこかから出るだろう。これであなたは自分の職責が果せるとお考えになつておられますか。
  116. 天野貞祐

    天野国務大臣 「君が代」は子供が歌えないから、これを歌うようにだんだんならそうと思つておるのであります。現在歌えないから歌えとむりに言つておるわけではなくして、歌えないからだんだん教えたいという私の希望であります。  それからまた賞與もぜひ出したいと思つております。そういう努力はしたいと思つております。
  117. 加藤充

    加藤(充)委員 「君が代」の問題について、天野さんに関連質問をいたしたいのですが、「君が代」を歌うことは望ましいお気持のようですが、あなたの所管されているところの教職員公務員の方々が、あなたが望ましいと考えている「君が代」を歌わないとか、あるいは子供にあなたの望ましいと考え通りに、進んで「君が代」齊唱を教え込まないということになれば、これはあなたのお考えでは、あなたの所管の職員としまして、公務員たる適格に欠けるところがあるというようなことで、首でもお切りになる、あるいは懲戒なさるようなお考えがありましようか。
  118. 天野貞祐

    天野国務大臣 そういう考えは持つておりません。
  119. 加藤充

    加藤(充)委員 そのことに関連いたしますから、天野さんや、地方自治庁の方も来ておりますし、所管の大臣方にお尋ねしたいのでありますが、大体このたびの国家公務員のいわゆる給與のベース・アップの問題、これは地方公務員にも関連がありますが、千円アップだとか、八千円ベースだとかなんとかいつておりますが、問題は最低のところで足をそろえてみますと、三千五十円ベースということになつてつて、八千円ベースなどというのは、これはうそだと思います。それでお尋ねしますが、三千五十円で十八才独身青年が、他人のおせわにならず、あるいは貧乏なおやじや兄弟のせわにならずに、他人から借金もせずに、あるいは進んで、天野さんの独壇場ですが、青年らしいところを抹殺したり、犠牲にするということなしに、それで生きて行けるかどうか。こういうことについて天野さん初め所管の大臣方にお尋ねしたいと思います。天野さんのところにはもちろん十八歳の先生という方はおらないかもしれないけれども、その点はひとつ望ましいということでもよろしいのですから、天野さんから始めて御答弁を願いたいと思います。
  120. 前尾繁三郎

    ○前尾委員長 答弁はないそうです。それでは成田君。
  121. 成田知巳

    ○成田委員 二、三点だけ簡単に質問いたします。先ほどの御答弁で、五十二條の五項に、但書が落ちているのは、地方公務員法と国家公務員法の性質の相違から但書を抜いたので、五十五條の精神からいつても、当然給與はもらいながら專従職員として活動できる、こういう意味だと解釈してよろしいわけでありますね。
  122. 藤井貞夫

    藤井政府委員 御指摘の専従職員に関する五十二條の五項でありますが、団体を通じまして交渉をいたしますのは、五十五條の一項にございまして、これは條例の定める條件または事情のもとにおける制限はございますが、その制限の中におきましては、当然給與を受けながらでも、交渉ができるのであります。
  123. 成田知巳

    ○成田委員 次いで五十五條に移ります。五十五條で、当該地方公共団体当局と交渉することができるというのですが、岡野国務大臣の答弁では、対等の立場で交渉することができる、こういう御答弁があつたと聞いておりますが、その通り間違いございませんか。
  124. 小野哲

    小野政府委員 私どもといたしましては、この法律案を作成した考え方から申しまして、さような答弁をいたしておらないはずでございます。
  125. 成田知巳

    ○成田委員 そういたしますと、職員団体が交渉の申出をした場合に、正当の事由なくしても、当局側はその交渉に応じないことができるのでございましようか。
  126. 小野哲

    小野政府委員 この法律案の立て方といたしましては、応ずることになつております。第五十五條にありますように、「條例で定める條件又は事情の下において、」云々「当該地方公共団体当局と交渉することができる。」こういうことになつております。
  127. 林百郎

    ○林(百)委員 議事進行について……。実は予算委員会でこういうことが問題になつているのです。あなたの方の委員会で、地方公務員のベースの問題と、教員のベースの問題、地方財政の問題で、どうしても政府の最初の原案に少くとも八十八億、これを予算的な措置をしてもらわなければならぬ。これは合して百二十三億になるのですが、この決議をされて、これが予算委員会に申入れられたわけです。予算委員会としては、これは真劍に取組んでいるわけです。実は地方財政委員会で、超党派的に自由党をも含めて決議されたという例はないのでありまして、普通ですと、よその委員会から申入れがあつたとこうで、形式的にそれは参考までに聞いておこうというわけですが、今度の決議は超党派的にこれが決定されている。しかも全国の知事からは熱烈なる要望があり、また全国の公務員からは熱烈なる要求があるということで、予算委員会では、今実は吉田首相を呼んで、その問題について徹底的に最高責任者としての責任を問うということになつているわけです。そこでわれわれとしては、この予算委員会で吉田総理のいろいろの質疑が終りますと、ぜひ地方行政委員長としての前尾さんに来ていただいて、地方行政委員会の決議の成立の経過、それからどういう意図をもつて予算委員会に連絡されたかということを、お聞きするごとになつているわけです。私実は予算委員をかねていますので、これから予算委員会に参りまして、総理や岡野国務大臣にいろいろ聞きたいと思いますが、この際、地方行政委員会でなされた決議を、どういうように予算委員会の方に対して扱われるか、前尾委員長の所信をお尋ねして、それから行きたいと思いますので、御説明願いたいのであります。
  128. 前尾繁三郎

    ○前尾委員長 これは従来ある委員会から他の委員会に参考として申入れることがあります。そういう意味合いにおいて、もちろん参考です。あれは政府に対する要求ですから……。
  129. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると、地方行政委員会で、せつかく地方財政の危機をよく御認識なさつて、長い間地方財政の問題を御苦労なさつて委員会の皆さんが超党派的に決議したものに対して、委員長はこれは単なる参考資料だと言うのですか。予算的な措置はどうなつてもいいというお考えで、予算委員会に連絡し、その態度を御説明なさるわけですか。
  130. 前尾繁三郎

    ○前尾委員長 政府に対して要求しているわけですから、予算委員会に対しては、他の委員会から、これは参考として出しているわけです。
  131. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると、ただ政府に申入れをするということだけで、別に予算委員会の協力だとか、あるいは他の委員会の協力を得て、ぜひあれを強力に国会として政府に迫つて、実現するという責任を、委員長は感じていないのですか。
  132. 前尾繁三郎

    ○前尾委員長 委員会としては、もちろん強力に推進しようと思つております。しかしそれを予算委員会でどういうふうにお取上げになるかは、これはこちらの委員会の及ぶところではないのですから……。
  133. 林百郎

    ○林(百)委員 これは委員長も御存じの通りに、予算委員会から正式に地方行政委員長のあなたのところへ照会が来て、いつ来られるかと言つて来ているでしよう。そうでしよう。
  134. 前尾繁三郎

    ○前尾委員長 さつきちよつと話がありました。
  135. 林百郎

    ○林(百)委員 これは予算委員会でも正式にあなたに来ていただくことになつておりますが、そのとき、あなたはあの地方行政委員会の決議は、単なる参考にすぎないのだ、どう扱つてもけつこうだということでおいでになるのですか。
  136. 前尾繁三郎

    ○前尾委員長 これは先ほど来申し上げております通り、それだけやる力のある法的なあれがないでしよう。
  137. 林百郎

    ○林(百)委員 法的ではなくて、ぜひ予算委員会に協力を求めたいという態度なのか、予算委員会には単なる参考資料としてただ送付しただけで、地方行政委員会としては、予算委員会に対しては何らの希望も意見もないわけなんですか。
  138. 前尾繁三郎

    ○前尾委員長 あれは政府に対して要求しているのですから……。
  139. 林百郎

    ○林(百)委員 そんなばかなことはない。
  140. 前尾繁三郎

    ○前尾委員長 あの決議を読んでごらんなさい。
  141. 林百郎

    ○林(百)委員 少くとも予算委員会に書類ももつて申し入れた以上は、あれは予算委員会に協力してもらいたいということなんです。しかもあの決議が超党派的に出されたということは、あなたも御存じの通り地方財政が百二十三億出さなければ何としても破綻するというか、日本の国の地方自治体の興廃を決した決議なんです。それをあなたは予算委員会へ行つて、そういう態度で御説明なさるのですか。
  142. 前尾繁三郎

    ○前尾委員長 それはもちろん協力していただくように、参考として出しているのです。
  143. 林百郎

    ○林(百)委員 それで予算委員会においては、予算委員会もぜひ協力して、手をとつて政府に実現方を協力してもらいたいということを要請するために、おいでになるのですか。
  144. 前尾繁三郎

    ○前尾委員長 いや、そうではありません。それはお呼びになるのはどういう意味かは、私から申し上げるわけには参りません。
  145. 林百郎

    ○林(百)委員 予算委員会の方では、地方行政委員長に来ていただいて、地方行政委員会の要請に基いて、私ども予算委員も協力して合同審議をしようという態度を整えているわけです。ですからあなたが少くともあの決議の代表者として、予算委員会に説明においでになるときに、あれは單なる参考で、予算委員会はどうでもいいということでは……。
  146. 前尾繁三郎

    ○前尾委員長 予算委員会はどうでもいいというようなことは何も申し上げません。
  147. 林百郎

    ○林(百)委員 だからあの決議がどういう経過で決議がなされ、あれを地方行政委員長としては、どういう態度で扱うかということをお聞きしている。どうでもいいというなら、われわれ予算委員会は何もこれに協力する必要はない。
  148. 前尾繁三郎

    ○前尾委員長 要するにあの決議の案文をお読みください。それ以外にありません。
  149. 林百郎

    ○林(百)委員 読んでいますが、予算委員会にあれを途つた以上は、あくまでも予算委員会の協力を求めるということが当然じやないか。それをはつきりお聞きしている。
  150. 野村專太郎

    ○野村委員 ただいま林さんの御質疑の点は、地方行政委員会において、超党的に地方財政確保のために要望決議をしたのでございます。しかしその手段、実現方については、すべてを委員長に一任いたしている。その方法として、今林さんの御指摘のような方法がとられている。この点に対してはすべて委員長に一任されている。これは地方財政現状から見て、われわれは超党的にこれを要望決議をいたした。しかし幸い林さんは予算委員でもあられるので、むしろ今委員会の開会中であろうと思いますから、その方で大いに十分やられる方が早いと思います。委員長もこの点に対しては痛感をされていると思う。経過を参考のために申し上げまして、この問題に対しては、その方でひとつやつていただきたいと思います。
  151. 石田一松

    ○石田(一)委員 ちよつと議事進行に関して……。今の委員側からの質問委員長の答弁というものは、どういう形でなされているのですか。だれが発言を許して、だれが委員長と呼んでやつているのだか、全然これはわかりません。委員会なのか、懇談会なのか、わからない。こういう形で質疑応答が繰返されたのでは、委員会の形式をこわしてしまう。議事規則にのつとつて委員長質問がある場合には、委員長は何々委員という形で、その壇からお下りになつて、他の理事委員長の席に着いて、それで発言を許して、順序よく整理なさいませんと、これは速記もとれません。     〔発言する者多く、議場騒然〕
  152. 前尾繁三郎

    ○前尾委員長 それでは林君。
  153. 林百郎

    ○林(百)委員 実は私は文部委員であり、予算委員でありまして、きようこの連合審査会に際しまして、実は今委員長をやつておる地方行政委員会委員長である前尾さんから、地方行政委員会で超党派的に、本年度の地方財政平衡交付金一を百二十三億、そのうち一般会計から出すのは具体的には八十三億、この線でぜひ実施してもらいたいということを、地方行政委員会の超党派的な決議としてなされ、それが予算委員会に前尾委員長から回付されたわけであります。実は予算委員会ではこれを参考にして、ぜひ地方行政委員会と協力したいというのが、野党全委員の希望なのであります。そこで先ほど前尾さんに申出があつたように、これから前尾さんに予算委員会に来ていただいて、地方行政委員会がこの決議を予算委員会にまわした経緯、それから予算委員長の所信をお聞きしたいということになつているわけです。そこでこの問題について実は予算委員会の方へ前尾さんが見える前に吉田総理を呼んで、政府の最高責任者としての所信をただしたいということを、今吉田総理に申し入れているわけであります。そこで私はちようどこの機会に議事進行で発言を求めて、前尾委員長の所信をお聞きして、それを持つてつて、私はこれから予算委員会でやはり吉田総理にこの所信をただし、また私も協力したいと思つておる。そこで前尾委員長にお聞きしたいことは、予算委員会に地方行政委員会がこの平衡交付金増額の決議を回付された意味と、それから地方行政委員長としての所信と、これをはつきり聞かせていただきたいと思うわけであります。そういう意味で私は発言を求めています。明確なる委員長としての御所信をお聞きしたいわけであります。
  154. 前尾繁三郎

    ○前尾委員長 それは実は予算委員会で申し上げることかもわかりませんが、せつかくのお尋ねでありますから、この決議に対する趣旨に沿つて法律的にはこの委員会の出すのはあくまで参考ですが、この線に沿つてよろしくお願い申し上げますということでお渡ししたのです。
  155. 林百郎

    ○林(百)委員 だからお願いということは、予算委員会にもぜひこの地方行政委員会の意向に全面的に協力されたいということと解釈していいですか。
  156. 前尾繁三郎

    ○前尾委員長 それは本文の趣旨に沿つてつていただきたいということです。
  157. 林百郎

    ○林(百)委員 だから本文の趣旨に沿つて予算委員会の協力を……。
  158. 前尾繁三郎

    ○前尾委員長 ちよつと、その本文の趣旨というのは、ここに書いてある趣旨のことですね。
  159. 林百郎

    ○林(百)委員 そうです。この趣旨に沿つて予算委員会の協力を求めるというのですか。
  160. 前尾繁三郎

    ○前尾委員長 よろしくお願い申しますと言つて渡したのです。
  161. 林百郎

    ○林(百)委員 協力を求めるわけですか。
  162. 前尾繁三郎

    ○前尾委員長 そうです。
  163. 林百郎

    ○林(百)委員 それならそれでけつこうです。
  164. 前尾繁三郎

    ○前尾委員長 成田知巳君。
  165. 成田知巳

    ○成田委員 五十五條の問題で、職員団体が交渉の申入れをしたときに、正当な理由なくして拒むことができないということを含んでおるかと問いましたところ、條例の定める條件云々という御答弁があつたのですが、もし條例でそういう定めがない場合は、当然正当の理由なくしては拒否できないのだと解釈してよろしうございますか。
  166. 小野哲

    小野政府委員 ただいまのお話のように條例で定める條伴に該当する限りは拒否できない、こういうように御解釈願つていいと思います。
  167. 成田知巳

    ○成田委員 條例でその規定がなければ、当然正当の理由なくしては、交渉の申入れを拒否できないと解釈してよろしうございますね。
  168. 小野哲

    小野政府委員 それでけつこうだと思います。
  169. 成田知巳

    ○成田委員 次に第二項でありますが、当局職員団体との間に申合せを結ぶことができるとありますが、この申合せというのは、当事者双方を拘束するものであるかどうか、その点について御説明願いたいと思います。
  170. 小野哲

    小野政府委員 ここに「申合せ」となつておりますのは、要はこの第五十五條の二項にも書いておりますように、法令、條例地方公共団体の規則その他の規程に牴触しない限りにおいて、申合せを結ぶことができる、こういうことになつておるのでありまして、一体どういうふうな内容の問題について、いかなる申合せをするかということは、具体的の案件について考えなければなりませんので、趣旨は今申しましたような考え方のもとに、申合せをする道を一応開いておるわけであります。
  171. 成田知巳

    ○成田委員 もちろん條文には法令、條例に抵触しない範囲においてとありますが、その限りにおいて申合せを書面によつて結んだ場合、その結果は両当事者を拘束するかどうかということを聞いておるのであります。
  172. 小野哲

    小野政府委員 これはその内容によりまして、あるいは予算の問題であるとか、あるいは條例を制定しなければ実施ができないような事柄もございましようし、従つて法律的な拘束がこの申合せをすることによつて、ただちに生ずる場合のみとは限らないと思うのであります。これは具体的の場合によつて生じて来る問題であろうと思います。
  173. 成田知巳

    ○成田委員 そういたしますと、この申合せは、案件によりましては当事者双方を拘束する場合もあるわけであります。その場合拘束力が発生したにもかかわらず、理事者側がこれを履行しない場合に救済の規定がないのであります。当然第三項として、当事者か理事者かまたは職員団体でもいいですが、その申合せを履行しない場合は、この地方公務員法の精神から行きまして、人事委員会に提訴し、人事委員会はこれを審査し必要な勧告をする、こういう條文を設けるべきですが、これが落ちておるということは、法文の不備だと思いますが、この点はどうですか。
  174. 小野哲

    小野政府委員 ただいま申しましたように、必ずしも法律的な拘束力というものを発生するとは限らないのでありますが、同時に勤務條件等に関しまして、行政的な措置を要求し得る道も開かれておりますので、具体的の内容によりましては、人事委員会なりあるいは公平委員会に対して、職員団体の方からあるいは職員から措置の要求を出す。それに基いて人事委員会が、地方公共団体当局に対しまして、それぞれの措置を講じて行く。あるいは勧告をする。こういうようなことによつて処理して参ることにいたしたいと思うのであります。
  175. 成田知巳

    ○成田委員 今の御答弁によりますと、職員個人または職員団体から人事委員会に申出をする、こういうことを言われたのでありますが、人事委員会権限では職員団体の提訴に対して、審査する権限は第八條規定してあるのですが、当然これは職員団体の提訴に対しても、人事委員会審査し、勧告するものと解釈してよろしいわけでしようか。
  176. 小野哲

    小野政府委員 職員団体ということを申しましたが、少し言い過ぎでありまして、御説の通り職員が行政措置の要求をする、こういうことになつておるわけであります。
  177. 成田知巳

    ○成田委員 そこで問題は、この書面による申合せの不履行があつた場合に、それに対する救済規定が全然ないわけです。そこで私は三項として職員団体が提訴し、人事委員会もその提訴を受理し、審査あるいは必要な勧告をするという規定を入れなければ、この二項で申合せを結ぶことができるということは、まつたく空文になつてしまう。それについてはどうお考えになりますか。
  178. 小野哲

    小野政府委員 大体におきまして団体交渉の基本的な考え方が、対等の状態において労働協約を締結するというふうな趣旨のものではないわけでありますことは、地方公共団体当局地方住民を代表しておる立場において、しかも地方住民は地方公務員のいわゆる雇い主たる立場にあるという観点からの団体交渉のあり方であります。従つて法律的な効果を発生するということではなしに、むしろ道義的な問題として取扱わるべき性格のものであろうと私は思うのであります。従いましてただちにこれが不履行の場合において、法律的な強制力を加えて行くということにはならないと考えております。
  179. 成田知巳

    ○成田委員 対等の立場で交渉を認めたものじやない、法律的な手段に訴えることは好ましくないと言われたのですが、それはまつたく逆なのでございまして、対等の立場にないものですから、この地方公務員法によつて何らかの救済措置人事委員会において講じさせる。そうしなければ、対等でないからこそ、人事委員会の必要性があるのです。次官の言われたことはまつたく逆なんです。対等で罷業権なり団体交渉権、怠業権を行使することができるなら、そういう救済規定はいらない。対等でないからこそ人事委員会を強化して、これに対しての不利益な処分に対して救済措置を講じさす。こういう必要があると思うのですがどうでしようか。
  180. 小野哲

    小野政府委員 私の足りない点につきまして補足的に公務員課長から御説明いたします。
  181. 藤井貞夫

    藤井政府委員 お答えいたします。ただいま政務次官が御説明をいたしましたところに補足して、なおもう少し詳細に申し上げたいと思うのでありますが、五十五條に規定いたしております職員団体の交渉というのは、国家公務員法に規定いたしてございます交渉とその性質におきまして、実質的の差異はありません。すなわち公務員本質から申しまして、地方公共団体当局といわゆる対等の立場に立つところの交渉というものは認められないという趣旨なのであります。その点から五十五條の但書におきましても、団体協約を締結する権利を含まないと書いてあるわけであります。ただ、そういう意味の団体協約の締結権はございませんけれども、この交渉というのは、單なる意見の表明や、また陳情とは違うわけでありまして、話合いのうちに意見の一致があります場合におきましては、その内容について、現在政令の二百一号が掲げております状況におきましても、意見の一致した事項についてあるいは口頭の確認を與え、あるいはそれを文書にして置くというような慣例も認められておるようでありまして、それをここに法的に認めておくということにいたしたようなわけであります。この二項に基きまして、申合せを締結いたしました場合に、もし当局側にこれに対する違反があつた場合はどうなるかというお話でございますが、この場合は先刻政務次官からも申されましたように、個々の職員自身がその申合せの違反によつて影響を受けて参るわけでありますから、勤務條件に関する措置の要求の手段を通じて人事委員会にその審査を要求することもできるということに相なるわけであります。なおこの際この二項の問題についてもう少し申し上げておきますが、申合せというものの対象は、実は私は二つあると思うのであります。ここにございますように、職員団体の性格また公務員の性格から申しまして、法令とか條例等に違反したところのとりきめを結ぶことができないことは当然でございます。しかしその範囲内においてやり得ます事項にも、おのずから二つの型が出て来るわけであります。その一つは、給與の引上げをやつてもらいたい、そういうような場合に、これは他の條文にも出ておりますように、地方公共団体職員給與條例規定をいたすことに相なつておるのであります。六千三百円ベースをひとつ八千円ベースにしてもらいたい。それは非常に君たちの窮状もわかるから、そうしようというようなとりきめをいたしましても、これはただちに出すというような効力は生じ得ないのであります。これは條例規定しなければならない事項でありますし、また同時に予算措置を必要とするわけであるからであります。しかしながらもし條例の提案に努力をしよう、給與引上げについて大いに努めようということは、一つの申合せとして成立ち得るわけであります。しかしこの場合におきましては、違反に対しましてはいわゆる道義的な責任と申しますか、そういうものが生ずるだけでありまして、法律上の効果というものは、事柄の性質上持ち得ないと思います。しかしながら、具体的に一つの例をあげて申しますと、たとえば予算措置もちやんと講じてある、職員の厚生のために浴場を庁舎に設置しようというようなことがあつたといたしまして、その浴場の規模等をどうして行くか、もつと端的に申しますれば、窓を一つ南向きにするか、北向きにするか、どちらにつけようというような事柄に関しまして、予算措置はつきり講じられておる、その浴場の構造等について意見の一致を見ました場合におきましては、これは私はこの二項によつて効力を生じて来るというふうに解釈いたしておるのであります。
  182. 成田知巳

    ○成田委員 詳細な御説明があつたのですが、最後の場合ですが、二項によつて効力が発生するにもかかわらず、それに不履行があつた場合、罷業権も怠業権もない。せつかく二項で職員団体と当局との書面による申合せを認めておきながら、その不履行に対して何ら救済措置がないということはおかしいのではないか。従つて職員団体が—單に個人が提訴しようと思つても実状はなかなかできないのでありますから、職員団体に人事委員会に提訴する権限を認めるのが、趣旨からいつて適当ではないか、こう私はお聞きしておるのであります。
  183. 藤井貞夫

    藤井政府委員 御意見の点でございますが、これは政務次官からお話になりましたように、いわゆる対等の立場に立つ交渉ではございません。人事委員会に対しまして、労働委員会と同じような裁定権を與えますことは適当ではないというふうに考えたからであります。しかしながらその効力を有するという範囲内の申合せにつきましては、別途の一般規定に基く救済が與えられるものと考えられる次第であります。
  184. 成田知巳

    ○成田委員 効力を有する面において別途の救済ということを言われましたが、これは民事上の訴訟その他の手段に訴えるということを指していらつしやるのですか。
  185. 藤井貞夫

    藤井政府委員 この申合せがいわゆる一般の契約に当るかどうかという点につきましては、問題の点があるかと思いますが、これらの点は解釈問題として今後慎重に研究して参りたいと思います。
  186. 成田知巳

    ○成田委員 最後にお聞きしたいのですが、六十一條第四号の罰則の規定でございますが、この四号は三十六條三項の規定に違反した場合に、三年以下の懲役に処するという重い規定なのですが、この三十六條三項というのは、政治活動を禁止された公務員政治活動を教唆した者に対する規定でございます。その劈頭に「何人も前二項に規定する政治的行為を行うよう職員に求め、」云々とあるのですか、この「何人」というのは職員以外の第三者も入つておるのかどうか、まずお聞きしたい。
  187. 小野哲

    小野政府委員 お答え申し上げます。「個人も」と申しますのは、職員団体も、職員も、職員以外の第三者も、いずれも包含しておるものと解釈いたしております。
  188. 成田知巳

    ○成田委員 地方公務員法は当然地方公務員にのみ適用すべきでありまして、罰則の点においてのみ地方公務員以外の第三者、一般人さえも「何人」という規定で包含するというのは行き過ぎではないかと思うのですが、それに対して御見解をお伺いしたい。
  189. 小野哲

    小野政府委員 第三十六條におきまして、職員自体が法律規定されております政治目的をもつて政治的行為をやることにつきましては、当該職員に対しましては罰則の規定は設けておりません。これは他の懲戒の方法によつて取扱つて行くことが妥当であろう、しかしながらこの職員に対しまして、政治的な行為その他をそそのかしたり、あるいはあおつたりするような場合におきましては、むしろ職員といたしましてきわめて迷惑な立場に立ちますので、職員として安んじて仕事ができますように、むしろ保護をする方がいいのではないか、こういう意味からあおつたりするような者に対しまして、これは罰則を適用する、こういう考え方をいたした次第でございます。
  190. 成田知巳

    ○成田委員 そこでこの罰則の問題についてお尋ねしたいのですが、今小野さんも言われたように、政治活動禁止の規定に違反した当該職員は刑罰の適用はない、行政処分だけということです。ところがそういう職員立場を保護するために、第三項では第三者を刑罰で処罰するのだ、こういう御答弁があつたのですが、これは大体教唆の規定なのです。そういたしますと、正犯であるところの職員自身は刑罰の適用はない、行政処分だけ、それを教唆した第三者は刑罰の適用を受けるということは、教唆というものは従属性があるのです。正犯が罰せられないで従犯が罰せられるというのはどうかと思うのですが、これについてどうですか。
  191. 小野哲

    小野政府委員 当該職員政治的な行為制限に違反いたしました場合におきましては、公務員関係から排除するにとどめてしかるべきであろう、こういう考え方でありまして、第三項とおのずからその場合が異なつております。なお詳細は公務員課長から御説明いたします。
  192. 藤井貞夫

    藤井政府委員 お答えいたします。先刻の点でちよつとつけ加えて申し上げたいと思いますが、この法律は原則的には一般職公務員に適用がありますことは当然でございます。しかしある規定につきましては特別職について適用のある條項があるわけであります。これはたとえば人事委員会委員等に関しましては、服務等について規定を設けておりますが、こういう條項は特別職の職員についても適用があるわけでございます。しかしこれは一般の原則でありますので、各個の條文につきまして、「何人も」というような規定を設けております際には、一般職員のみならず、他の国民にも適用のある條項が存するわけであります。これは政治的行為制限のみの規定ではございませんで、たとえば三十七條に争議行為の禁止というのがございますが、これの後段に、争議行為について何人もこのような違法な行為を企てたり、あるいはそそのかしたりしてはならないというのがございます。これは現在行われております国家公務員法につきましても、これと同様の建前になつておりますことをつけ加えて申し上げておきたいと思います。それから先刻の第三項の点で、正犯が罰せられないのに、従犯が罰せられることはおかしいではないかというお話、一応ごもつともでございます。しかしながらそういうようには考えませんで、むしろ第三項は求めたりあるいはそそのかしたりするということ自体が本條の三項に当る罰則についての行為、内容を形づくるものであるというふうに、私たちは解釈をしておるのであります。
  193. 成田知巳

    ○成田委員 求めるとかそそのかすといつても対象があるのでありまして、その対象が公務員政治活動の禁止違反の行為でありまして、その対象の行為があつた本人自身が罰せられないで、そういう刑罰法規に触れる行為をそそのかした場合には、当然その教唆犯も罰せられなければいかぬと思いますが、正犯である御本尊が罰せられない。その正犯が罰せられないにもかかわらず、従犯が罰せられるということは刑法上おかしいと思う。あなたはこの行為自体を正犯と考えるのだと言うのですが、これでは対象がないのです。対象があつて初めてこの行為というものも犯罪性を帯びて来るのです。その主たる犯罪が実際は犯罪にならないで、行政処分ということになれば、それを教唆したり、そそのかしたりするということは、当然罪にならないと解釈するのがほんとうだと思う。
  194. 藤井貞夫

    藤井政府委員 その点は争議行為の場合にもあるのでありまして、現在国家公務員法におきましても、争議行為をなすこと自体については罰則の適用がないわけであります。すなわち争議行為について共謀したりあるいはそそのかしたり、あおつたりするような行為が罰せられておるような規定にもなつておるのであります。われわれの解釈といたしましては、職員自体について禁ぜられる行為、その行為を求めること、あるいはそそのかすことそれ自体がいわゆる刑法上の言葉で申しますれば、正犯に当るという解釈をいたしておるのであります。
  195. 成田知巳

    ○成田委員 禁ぜられるということは、やはり刑法上禁ぜられるということなのですね。刑法の規定に触れない者を、それを教唆したからといつて教唆犯として処罰することはおかしいと思う。そこで国家公務員法にそうあるからといつて、国家公務員法が間違つておればこれだつて間違つておるのです。その点で大橋法務総裁の御意見をひとつ承りたい。
  196. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 この行為につきまして、従犯あるいは教唆犯なりとの前提に立つての御立論のようでございまするが、私どもはこれをそそのかす行為それ自体の社会的危険性というものを見て、そうしてこれ自体をひとつの独立した犯罪行為だということに観念いたしておる次第であります。
  197. 加藤充

    加藤(充)委員 それでは大橋さんにこのことでお聞きしたいのですが、そうなるとたつたそれだけのことを、騒擾罪的なことで、いわゆる煽動者、首謀者、附和雷同者というような規定の、とんでもない理論をここへひつぱつて来るおつもりですか。あなたが弁護士だということをほのかに聞いておりまするが、これは非常な問題があるからあえてお聞きするのです。
  198. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 どういう問題があるか、私にはわかりません。
  199. 加藤充

    加藤(充)委員 共犯理論からいえば、明らかに今の答弁はなつておらぬのだし、それがわからないという大橋総裁の頭がおかしいと思います。騒擾罪的な理論を持つて来て、あの罰則から行けば、自分では行動に参加しないでも、首謀者としての煽動をやつたり何かした者は、いわゆる一番重い罪をきるのは大橋さんだつてそのくらいなことは條文に書いてあるからおわかりと思いますが、共犯理論から言うのか、騒擾罪的な理論から貰うのか。騒擾的なことだとしても、やはり共犯論的理論によつて貫かれていると思うのですが、その点がわからないという答弁は、あまりに突き離した無責任きわまる御理論だと思います。それで罰則だけがんがんやられて来たのでは、これは泣いても治まらない。
  200. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 これは初めから申し上げまする通り、共犯でないのでありますから、共犯理論のごときものも適用する余地はない。また騒擾罪とも違いまするから、騒擾罪のような取扱いもいたしておらないのでありまして、單にそそのかしたりする行為、それ自体を独立に犯罪行為と観念いたしておるわけであります。
  201. 加藤充

    加藤(充)委員 そうすると、国家公務員法では、刑法など規定しない新しい犯罪の体系などをここでつくり出すというようなことに相なるのですか。
  202. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 別に体系として新しい体系をつくり出したわけではありませんが、犯罪としては刑法にない新しい犯罪であることは、これは特に法律に書いて罪とするのでありますから、当然でございます。
  203. 加藤充

    加藤(充)委員 それでは刑法の原則で、あるいは総論、各論で理解できないような、こういうへんてこな罰則を公務員法に盛るというのはおかしなことではないか。これは保護だとか何とか言つているけれども、まるつきり刑務所に入れて保護してやるというようなやり方になつてしまう。この点についていま少し法律專門家としての法務総裁の最も責任のある親切な妥当な、少しは法律体系づけられた答弁を切に承りたいと思う。
  204. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 これはたびたび申し上げまする通り、共犯の教唆者だけを罰するというような考えではございません。これはかようなことをそそのかしたりする行為そのものだけを、独立の犯罪として処罰するという趣旨でございまして、これに対して共犯のごときあるいは騒擾罪等のごとき考えを持つて来るという、その考え方自体をわれわれは初めからとつておらない、こういう次第でございます。
  205. 坂本泰良

    ○坂本(泰)委員 これは地方公務員法の規定地方公務員を罰する規定なのでありましよう。この地方公務員を罰する規定において「何人たるとを問わず」としてあるから、地方公務員でない者もここに入つて来る場合がある。首謀者たる地方公務員の犯罪が成立しない場合において、それを教唆した普通のものが、これで罰せられるのはおかしいのじやないか、その点を言つておる。また共犯の従属性を持つて来て、主犯が罰せられる場合ならば、資格要件のないものも罰せられる場合があるでしようが、それをもつて来ない場合は罰することはできなくなる。その点はもう少し明瞭にしておかなければならぬと思います。
  206. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 今の御質問はこれを独立性のない教唆罪というひとつの共犯として観念された場合に、本犯が成立しないのに教唆犯が成立するはずはないじやないか、こういうお話であります。しかしながらこれはこの法律におきましては、教唆罪として、共犯のひとつとしての教唆犯として、これを処罰するという趣旨ではなく、これを教唆する行為それ自体が独立して罪になる。こういう規定であります。従いまして、しいてこの罪に関連して教唆罪というものを考えるとすると、そそのかそうとする行為をさらに教唆した者があつた場合には、これは教唆犯ということになりますけれども、そそのかした行為それ自体は独立犯罪でありまして、教唆罪の観念をもつて観念すべきではないのであります。
  207. 坂本泰良

    ○坂本(泰)委員 そこでお聞きしたいことは、しからば地方公務員法は、いわゆる一般職と特別職とあるが、この地方公務員の罰則についての規定なのでありましよう。それを地方公務員以外の普通の者に対して、この地方公務員法の規定によつて、いわゆる犯罪構成要件を、今騒擾罪なら騒擾罪、そそのかしたらそそのかしたという犯罪構成要件をもつて公務員以外の者をこの法律で罰することができるか、それならば日本刑法との関係はどうなるのか、その点をはつきりしていただきたい。
  208. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 この規定は刑法に対するひとつの特別規定であります。これによりまして新しい罪と、それに対する刑とが規定されたわけであります。そうして地方公務員法の中に規定してあるからといつて地方公務員の罰のみをこれに規定するというものではありませんので、地方公務員法を施行いたしますために、必要な罰則をここに掲げたのでありますから、地方公務員以外の者が犯罪をいたした場合においても、当然これによつて罰せられる。すなわちこの罰則に掲げられておる犯罪は、地方公務員のみによつて犯され、またはそれだけが罰せられるという趣旨ではありません。何人も処罰する。こういう趣旨であります。
  209. 坂本泰良

    ○坂本(泰)委員 論理がえらいところに発展して、法律の適用が日本国民の法的生活を無視するような法の解釈になりますが、私は大体いろいろな質問がある前は、この「何人たるを問わず、」というのは、公務員同士のことではないかということを前提としておつた。ところがいろいろ発展して、遂に日本刑法が改正される、地方公務員法が日本刑法の特別法になる、従つて公務員以外のものが、例をあげれば、公務員と一緒になつて、罰則適用の條文に当つたような場合においては、公務員は罰せられず、普通人だけ罰せられる。日本国民は敗戰国といえども、法治国民である。法治国民である以上は、しかも地方公務員法のこの罰則の規定をもつてしまして、国民全部に及ぼすような法律規定だというのは、私はあまり論理が飛躍してめちやくちやだと思います。もう少しやはり罰則の解釈その他をする場合においては、これは総裁ではむりかもしれませんが、事務当局でもよいが、もう少し日本刑法との関係において、はつきりしたものをきめなければ、日本の国民はめちやめちやになります。独裁主義、軍国主義よりもはなはだしいことになる。この点について、もう少し起案者にはつきりしていただきたい。はたして日本国民の法律的生活の擁護のためにつくつておるかどうか、しかも先ほどから何回も聞いておるが、この地方公務員法というものは、地方公務員を保護するためにつくつたものである。それが公務員を保護するどころか、一般日本国民を一片の地方公務員法という法律の罰則によつて処罰せんとする。これは法律を無視するもはなはだしいものであり、日本国民の基本的人権を損壊するもはなはだしい。その点について起案者でもよいから、はつきりした御答弁を願いたい。
  210. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 新しい罪とこれに対する刑を定めまする場合はおきましては、法律基礎を要することはこれは当然でございまして、法治国のことでございますから、法律によつてこれを規定したわけであります。すなわちこの地方公務員法の罰則によりまして、新たなる罪と刑とが規定されたのであります。これは何ら法治国の法を破るものでもなく、また公務員法の中に、公務員以外の者に対する犯罪と刑罰とが規定されたからといつて、別にさしつかえはない、かように考えます。
  211. 坂本泰良

    ○坂本(泰)委員 それはやはりこの間もお話がありましたように、法は何をかこれをなし得ざらん、ただ男を女になし得ざるのみ。つくる以上は何でもつくることができましよう。しかしつくる以上はやはり日本憲法に基いて、日本国民の人権を尊重してつくらなければならない。しかしながらこの公務員法をつくるについてやむを得ず、公務員以外の者も罰しなければならぬという状態があつて、これを法文につくり罰する場合においては、これは重要なる理由と要件がなければいけないと思います。しからばどういう理由によつて、この何人という中に公務員以外の者を入れられたか、その理由を承りたい。
  212. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 公務員政治中立性並びに公務員立場を擁護するという上から申しまして、公務員に対してこれらの行為をそそのかしたりするということは、非常に不適当な行為である。従つてこれは刑罰をもつて禁止する必要がある。これがこの立法の趣旨でございます。
  213. 坂本泰良

    ○坂本(泰)委員 その点はわかりましたが、そういうことがあつたならばいかに重要なる理由があつて公務員以外の者を認めなければならぬようになつたか、これは率直に公務員同士の何人ではないのですか。一般人に対する問題ではないのじやありませんか。その点をもう少しはつきりしたらどうですか。
  214. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 これは第三十六條の第三項は、職員すなわち公務員に対しましてある種の政治的行為を要請する。あるいはそれをそそのかしたり、またはあおる、こういう行為がありますと、その結果として職員がそういう政治的行為をなし、またそういう行為に出るというおそれを生ずるわけでありまして、かようなことは地方公共団体の事務の適正を守る上から申しましても、また公務員政治中立性ということを守る上から申しましても、ひいてはまた公務員地位を保護する上から申しましても、きわめて危險なる行為である。従いましてこれに対しては刑罰をもつてしても禁止をしなければならぬというのが、この罰則を設けられましたる趣旨でございます。
  215. 加藤充

    加藤(充)委員 一応罰則を設けなければならぬという一方的なあなた方の理由なり、見解はわかるのでありますが、大体六十一條の問題になつておる第五号ですか、それから六十二條の文言の使い方から見ましても、これは明らかに共犯理論が出て来なければならないような法律上の文言が使つてあるということが一つ。もう一つは、先ほど私は騒擾罪その他の問題で言いましたが、首謀者、附和雷同者、煽動者とかいろいろありますが、それとても共犯あるいは共犯関係で加わつた者、こういうような犯罪に加わつた考については、共犯理論が主犯と従犯との関係がここに問題になつており、やはり従犯は主犯の処罰よりも軽いという原則が断固として貫かれておるのでありまして、それは刑罰の問題からいうとあたりまえの話である。処罰する必要があるということは、それなりにわかつたといたしましても、従来の刑法の原則を無視して、こういう新しいものを出して、刑法理論からそういうような解説をやるのか、その点の説明が私どもはわからないのであつて、処罰する必要があるということだけでは、この体系の許容の論拠には絶対にならないと思いますが、その点明確に重ねて御答弁願いたい。
  216. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 この点は先ほど来加藤君にお答え申し上げました通り、これらの教唆されたと申しますか、あおりつけて、そそのかされた結果、公務員政治行動に出ましたる場合におきまして、その公務員政治行動に出たということは、これは刑罰をもつて禁止する必要のない行為である、それは單に地方公共団体におきまする職員に対する監督権の発動によつて是正してしかるべきものと、かように考えるのであります。しかしながら公務員をしてかくのごとき行動に出でしめるようにあおりつける、あるいはそそのかすという行為それ自体は、それ自体の中に社会的の危険性を持つておりまするがゆえに、これを独立の犯罪といたした趣旨であります。従いまして、これは決して公務員が主犯であつて、それに対する教唆犯というような性質ではなく、公務員はこれは大体罪になるべき筋合いのものではない、犯罪と無関係のことで、ただあおりつけた行為をなした人が犯罪者であり、また犯罪に対する責任を負うべきものである、こういう考え方であります。従いまして、これはもともと共犯として法律構成をいたしてございませんので、刑法上は単独の独立犯として観念すべきものでありまして、もししいてこの場合に主犯とか従犯とかいう言葉を用いるといたしまするならば、あおりつける行為が主犯の行為である、こういうことになるわけであります。
  217. 加藤充

    加藤(充)委員 どうもこれは共犯理論を離れてというのですが、それはやはり共犯独立論の問題だと思いますが、その点は坂本君からも言つておりますように、徹底的にひとつもつと責任のある検討を希望します。それに関連して、先般人事委員会におきまして、官房次長だつたかと思うのですが、人事院の次長の、権威のある、職権解釈の点と—部分的ではありますけれども、その部分的な問題について真正面から対立いたしまして、人事院の勧告がどうであろうが、そういうふうなことについては、徹底的に、断固として、矛盾があつても、むりがあつてもやり拔くのだ。これがこのたびのいわゆる千円ベース・アップの公務員給與改訂の問題なのだということを言つたのですが、人事院の解釈がどうであろうとも、人事院が明らかにそれは脱法行為でなければやれないということを言つているのに、それをあえてやるのだというような闘争宣言を発した者は、やはり国家公務員として、これはそそのかしたり、煽動したりして、一方的な立場から言えば、明らかにそういうものに該当しなければならないと思うのですが、これに対する大橋さんの御意見を聞きたいと思います。
  218. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 ただいまのような話が、いかなる場合に、いかなる形によつて語られたか、私承知いたしておりませんので、この際この問題についてお答えいたすわけには参りません。
  219. 加藤充

    加藤(充)委員 関連質問が横道にそれまして恐縮ですが、そのことについては、きよう人事院側が出席されておればわかるはずなのです。  それから発言したのは、官房次長だつたと思います。それから大蔵の給與課長だつたと思いますので、これは人事院側が、きよう御出席あればわかります。おつつけ御出席あると思いますが、そのときまで私はこの点に関しての関連質問を留保して、今はやめます。
  220. 坂本泰良

    ○坂本(泰)委員 文部大臣が見えておるから、ちよつと一、二点お伺いしておきたいのですが、それは地方公務員法の第三條の問題ですが、第三條には一般職と特別職と区別してありまして、この法律全体から見ましても、一般職はどんなものであるか、特別職はどんなものであるかということがはつきりしない。しかし第三條の三の「特別職は、左に掲げる職とする。」という、この点から考えて、ここに掲げてあるのを見ますと、地方公務員法のいわゆる公務員一般の者より、仕事その他の関係で、特別の関係にあるものを特別職としたように見受けられるのです。その点から考えますと、私は公立学校教職員は、これは本質上特別職に入らなければならぬじやないかと思うのですが、特別職に入つていないで、やはり一般職になつているわけなんですが、この公立学校教職員を特別職にせずに一般職にしたこの法案に、大臣は同意されたと思うのですが、その同意されるときの理由を、はつきり承つておきたい。
  221. 天野貞祐

    天野国務大臣 これは一応一般職というのに入れておいて、また特別な事項に関しては、特別の規定を設けるというようにしようという考えであります。
  222. 坂本泰良

    ○坂本(泰)委員 その点だけではちよつと了解できないのでありますが、特別の規定を設けると申しますと、やはり公立学校教職員政治活動につきましては、公職選挙法百三十七條の関係もありますので、やはりの第三條の一般職にも特別職にも入らずに、一応はこれは一般職にするけれども、特別の規定がある場合にはそれによると、そういうふうに解釈していい。そう解釈いたしますと、この地方公務員法が制定されましても、この政治活動の中には、公立学校教職員は入らずに、依然として公職選挙法の適用を受ける、こういうふうにも考えられるのですが、その点については、いかがな御見解でしようか。
  223. 天野貞祐

    天野国務大臣 政治活動制限については、やはり一般公務員と同じに扱つていいのではないかという考えで、その点については一般職として扱おうという考えでございます。
  224. 坂本泰良

    ○坂本(泰)委員 そういたしますと、今大臣の申されました特別の規定を設けるというのは、政治活動は入らないというふうに了解していいようですが、大橋法務総裁もおられますが、地方公務員法の三十六條と公職選挙法の百三十七條の関係ですが、公務員法の三十六條と公職選挙法の百三十七條は、どちらが優先すべきものであるか。これは一般法と特別法の関係になると思います。従つてこの地方公務員法を一般法と考え公職選挙法を特別法と考えますると、やはり三十六條の規定がありましても、この教職員に対しましては、公職選挙法百三十七條が依然として優先して適用になる、かように考えられますが、その点についての御見解を承りたい。
  225. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 三十六條第三項と、公職選挙法の百三十七條とは相並んで適用になると思います。
  226. 坂本泰良

    ○坂本(泰)委員 そういたしますと、この三十六條では、広範囲政治的行為制限規定になつておるわけなんです。公職選挙法の百三十七條は、「学校の兒童、生徒及び学生に対する教育上の地位を利用して選挙運動をすることができない。」こういう規定になるわけなんです。そういたしますと、両方とも教職員に、これが適用になるというふうに考えますると、三十六條の規定があるから、百三十七條はいらないということになる。しかしながら一般法特別法の関係で、公職選挙法を特別法と考えれば、三十六條は公職選挙法百三十七條によつて、やはりこれは除外されまして、百三十七條の政治活動のみが教職員に対して適用される、かように解釈した方が最もすなおであり、妥当のように考えられますが、その点についてはいかなる御見解を持つておられますか。
  227. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 私どもは一応これは特別法一般法というような関係でなく、どちらも相並んで適用があるものというふうに考えます。
  228. 坂本泰良

    ○坂本(泰)委員 そういたしますと、少し法律のへりくつになりますが、相並んで適用されるというのは、われわれの法律観念から矛盾するように考えられるのです。やはり新法は旧法にすぐるというようないろいろなこともあるのです。政府は三十六條を規定するか、百三十七條を規定するか。両方を適用する場合においては、三十六條は総括的な一般的な禁止の規定であり、百三十七條は具体的に例示してある。だからその点がおかしなふうになりますから、やはり一般通念の考えで行けば、三十六條は教職員には適用なくて、むしろ法律一般の解釈によつて、百三十七條の例示をしてある方の政治活動だけを禁止するのじやないか、こう考えるのが正当に考えられるのですが、いかがでございますか。
  229. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 公職選挙法にありまする規定は、公職選挙の制度建前から申しまして、学校教員がその職務権限を利用することに関して、規定をいたしたのでありまするが、地方公務員におきましては、地方公務全般の政治活動について規定いたしたものでありまして、そうしてその目的といたしまするところは、公務員の全般の規律を維持しまして、そうして公務員としての公正なあり方をあらしめたい、こういう趣旨でございますので、三十六條と公職選挙法のこの規定とは、相並んで適用があるというふうに、私ども考えて立案をいたした次第でございます。
  230. 坂本泰良

    ○坂本(泰)委員 そこで少し前にもどりますが、この公立学校教職員に対して、やはりこういう規定がある。今までの経過から見ましても、一般公務員とはその性質が違つておる。従つてこれは一般職と見すに、やはり特別職と見なければならない。しこうして特別職と見るならば、この三十六條の規定が適用にならずに、依然として公職選挙法の百三十七條が適用になると思うのです。私はこれから帰納いたしましてこの教職員一般職でなくて、特別職であるというふうに解釈するのが、最も妥当だと考えまするが、この点についてはいかがでございますか。
  231. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 地方公務員法の立案の趣旨から申しますると、先に文部大臣のお述べになりましたごとく、地方公務員たる教職員は、これを一般職といたしておりまするし、またこの三十六條は一般職たる地方公務員に通じて適用する條項と相なつておるわけでありますから、この三十六條は全般的に適用がある。特に学校教職員については、このほかに公職選挙法の百三十七條、これは教員たる身分というものに伴う特別の規定でありまして、これは双方相並んで適用すべきものであるという趣旨をもつて立案をいたしておる次第でございます。
  232. 坂本泰良

    ○坂本(泰)委員 そこでやはり公職選挙法の百三十七條が、教職員たる身分について、こういう政治活動の禁止を規定しておる。従つてこの教職員身分からいたしまして、一般職に入るべきものでなくて、特別職に入るべきものである、こういうふうに解しますが、その点について、この三條の一般職と特別職とは、どういうふうな御見解を持つておられるか。その点をこれは立案者の方からでも、もつと詳しく承つておきたいと思います。
  233. 鈴木俊一

    ○鈴木(俊)政府委員 一般職と特別職との区別の基準でございますが、これに関しましては、要するにこの地方公務員法案規定いたしておりまするような、この人事行政制度を適用すべき職であるか、それともこれを適用することは不適当とする職であるかということが、一つの判定の基準になると存じます。また逆に申せば、要するに人事委員会のもとにおきまして、全体の人事の統制のわくの中において処理した方がよろしいか、それともそういう人事委員会の所管からはずしまして、別に置いた方がよろしいかというようなことが、これの判定の基準になるであろうと思つております。そういう見地から一般職、特別職の振りわけをいたしておるのでございまして、今の問題の教員でございますが、教員は御指摘のごとく、その勤務いたしまする仕事につきましては、一般行政職に比較いたしまして、違つておる点がたしかにあると存じまするけれども、しかしながらそれは特にこの一般職の中からこれを排除して、特別職にまわすというほどの理由にはならない、かように考えておるのであります。ただ教員につきましての勤務の特殊性から申しまして、特別なる事項教育公務員特例法において、これを規定するという建前をとりまして、一般職ではあるが、特別事項はそういうふうに規定をしている、こういう考え方に立つております。  それからなお公職選挙法百三十七條と、この三十六條との関係でございますが、これは公職選挙法の方は、選挙の自由公正をたつとびまする見地から、その自由公正に害になるような行為を罰則をもつて、その励行を期しておるわけでございまして、身分という点を中心に考えておるものではないわけでございます。ところが、この三十六條の政治的行為制限は、公務員としての性格から考えまして、こういうような制限を加えまして、その政治中立性確保することが、結果において公務員地位を安定せしめ、行政の安定を期するゆえんである。こういうところに出発しておるのでありまして、全然別個の基礎に基く規定でございますので、両者相並行して参るものと考えておるのでございます。
  234. 坂本泰良

    ○坂本(泰)委員 今の御説明によりますと、一般職と特別職の区別は人事行政関係人事の統制の面と、この二つが主として区別の対象になつておると考えます。実際教職員について考えますと、これはやはり教育長が独立をいたしまして、教育委員会がありまして、この教職員人事のことは、教育委員会の方において取扱つておるのであります。ただ給與その他の点について、人事院の関係になりまするが、むしろ人事の面においては、これは人事院より独立をいたしまして、教育長並びに教育委員会の手によつてこれが行われておる。またこの教職員の行政の面につきましても、やはり教育長がその主管をいたしまして、そうして教育に基いては他の公務員より別個な取扱いをいたしておるのであります。かような点から考えますると、これはむしろ特別職の方に入れるのが、—今の立案者の区別をされた、この二つの点から、どうしてもこれは特別職に入れなければならぬ。かように考えられますが、その点については、いかがでございますか。
  235. 鈴木俊一

    ○鈴木(俊)政府委員 教員に関しまして、たとえばいろいろ任用の資格でございますとか、免許の関係でございますとか、そういう意味の特例はあるわけでございますが、たとえば不利益処分の審査、教員が教育委員会によりまして、懲戒処分を受けた。そういう場合の審査につきましては、これはやはり人事委員会に持ち出しまして、人事委員会がこれを審査する。あるいは教員の給與を上げてもらいたい、こういう行政措置の要求をいたしました場合におきまして、人事委員会がこれを審査して、結果を長なりあるいは教育委員会の方に勧告をする。あるいは自分でやるべきことは自分でやる、こういつたような点は、人事委員会の最も主要なる機能の一つとして考えておるわけでございますが、こういうようなものは、もちろんこれは教員に対しましても、これを励行することの方がかえつて利益を保護するごとに相なると思うのであります。ただ任用とかその他の点におきまして、教員の特殊的な性格から申しまして、特例的な事項は現に教育公務員特例法規定をいたしておるわけでございまして、そういう方面において、特に規定をいたさない限り、これはやはり一般職として取扱う方が適当である。国家公務員におきましても、教員を同様な扱いをいたしておりまするので、その考え方に従つておる次第でございます。
  236. 坂本泰良

    ○坂本(泰)委員 今の問題はもう少し疑問がありますが、他の点から推して今の点に及ぼうと思いますが、なお先ほどの説明によりますると、三十六條の規定があり、しかして三十六條の罰則をもつてこれを処置をする。従つて罰則の方から逆算しまして、罰則によつて本質上特別職であるべきこの教職員に対して、罰則の方から逆算して、そうしてこれに入れようというのは、はなはだもつて民主日本においてけしからぬ考えだと思うのです。われわれはこの法的生活におきましてはお互いが法を守り、遵法の精神によりまして、そうして罰則はやむを得ずそれに違反した場合に、これを適用するというのが罰則の規定であり、また刑法の規定であると、かように承知をいたしておるのであります。しかるにこの地方公務員法の解釈によりますると、三十六條で政治的行為を禁止しておる。これに違反した場合は罰に処する、その罰則が、主であるから、この教職員一般職にするのである。これははなはだもつて人権を蹂躙する考えだといわなければならない。ですからそういう罰則を前提として、一般職に入れるというよう考えは、なかなかもつてけしからぬ考えだと思う。ですからもう少し公務員一般職、特別職という限界をはつきりいたしまして、その本質によつて一般職、特別職のこの三條の規定はきめなければならぬと思うのであります。従つてその本質からいたしましたならば、この教職員はどうしても三條の特別職に入れなければならない。ですからそういう罰則を前提として、いわゆる彈圧をもつてやろうとするよりも、むしろ自由な立場において、そうして発展生成の過程において、落伍者だけ、違反者だけに対して罰則を適用するというのが法の建前である。かような建前からいたしましても、特別職としなければならぬと思うのでありまするが、あくまでも三條に羅列したこの六つ以外は全部一般職にする、そういうお考えでありまするか。もしその本質はつきりいたしまして、一般職と特別職の観念をはつきりして、教職員は特別職に入れなければならぬという見解に到達したならば、そこに入れる意思があるかどうか、その点の御見解を承りたいと思います。
  237. 今野武雄

    ○今野委員 議事進行について。ただいま労働委員会から連絡がありまして、労働委員会が開かれて国鉄裁定がかかるというのです。これは非常に重大で、労働委員はみな行つてしまうのです。ですから私も質問を留保して、そつちに出たいと思うのですが……。
  238. 前尾繁三郎

    ○前尾委員長 済みましたら、お待ちしておりますから……。
  239. 鈴木俊一

    ○鈴木(俊)政府委員 今の教員を特別職にする意思なきやというお尋ねでございますが、地方公務員の中で、公営企業に従事しておりまする現業の職員、それから一般行政職の職員、そのほかに今問題の教員があるわけでございまするが、この法案の立案の態度といたしましては、公営企業に従事いたしておりまする職員は、独立採算制の会計に属しておるものでもございまするし、国鉄なり専売公社に相当いたしまするような形態の企業に従事いたしておるものでもありますので、これは別扱いにする、こういう建前をとりました。現業に関しましても、これは従事いたしまする勤務の性格が、非常に一般の行政職とは違つておるということを認めまして、たとえば労働基準監督の権限につきましては、一般行政職とは別個にとりはからつております。ただこれに関しましてはいろいろの御要望もございますが、国家公務員法との関連において、同じような問題として考えなければなりませんので、政府としては将来の問題として考究をいたしまするが、この地方公務員法案におきましては、これは他の行政職と同様に扱つておるのであります。そこで教員は一体そういう現業の方面と同じように考えて行くか、あるいは一般行政職の方と同じように考えて行くかということでございますが、私どもといたしましては、これはやはり現業と言いまするよりも、むしろいずれかと申せば、一般行政職に近い性格を持つておる、かように考えております。そうして先ほど申し上げました一般職、特別職の判定の基準から申しましても、人事委員会制度の原則を適用いたしまして、一向さしつかえないものである。適用しがたい点だけは、教育公務員特例法においてこれを規定して行く、こういう建前をとつておりますので、教員を特別職として扱うということは、この法案建前から申しまして必ずしも適当でない、かように考えておるのでございます。
  240. 坂本泰良

    ○坂本(泰)委員 私はこの法案建前から特別職にしなければならぬという考えでやつておるものでありますが、文部大臣がおられますから、その性格をもう少しはつきりするために、文部大臣の御見解を承りたいのですが、今説明がありましたように、勤務の性格からいたしましたならば、これは普通の公務員よりはつきり、区別しなければならぬと思う。ことに教育の任に当る者は、上下間の関係とか、あるいは権利義務の関係とかを別としまして、いわゆる教育ということ、教育制度という、この特別なところを考えなければならぬと思うのであります。従つて学校に対しては、学校法人といつて特別な法人が設けられております。そうして商法上の法人とか、民法上の法人とは、はつきり区別をしてあるのであります。従つてまたこの学校法人の本質から参りますと、やはりこの教育という立場を第一にとりまして、権利義務その他の関係は第二位になつておるのであります。これは教育を尊重する建前からこれをやるのである。従つて教育を尊重し、自由な教育をやらして、りつぱな教育を打ち立てるという建前をとりましたならば、先ほど説明員の説明に、この勤務の性格から一般職と特別職を区別すると申されたのでありまするが、やはり教職員勤務の性格が、いわゆる学校法人の建前からいたしまして、また教育本質からいたしまして、一般職と離れた特別職にしなければならない。またもう一つ考えは、現業を主として特別職にしておる。私はこの現業にも入らぬだろうし、一般行政職にもなおもつて入らない、教職員の特別の地位があるから、その地位を尊重しましたならば、やはり特別職に入れなければならない、かように考えるのでありまするが、大臣の御見解を承りたい。
  241. 天野貞祐

    天野国務大臣 私は法律のことはつまびらかにいたしておりませんが、一般考えを申してみますと、教員は現業とか、あるいは非現業とかいうような範疇ではちよつと考えられないような立場におると思うのであります。しかし、しいて言えばやはり非現業という中に入るのではないか、そういう建前から、やはり一般公務員という一般的な規定を置いて、何か特別な場合には特別の規定を設けるというのが、妥当のように私は考えます。
  242. 坂本泰良

    ○坂本(泰)委員 今の御答弁は、教育の府にあり、われわれの今まで尊敬した天野先生の言葉でないように考えるのです。もちろん教職員は現業と同一に考えるわけには参らないのであります。しかしながら天野文部大臣が従来主張しておられましたところの、この教育本質から推して参りましたならば、これは一般行政職とは判然区別しなければならない。また区別しなければ、第二の日本国民をつくるところの教育もできないし、青年を指導して、真に民主的の日本の再建をはかるということもできないと思うのであります。従つて現業に入らないから、これを一般行政の一般職に入れる。それではやはり教職員の尊厳と、それからわれわれが子供を委託する先生としての尊敬の念がそこになくなると思うのであります。従つて現業としての特別職でなくて、教職員としての、教育という本質から来るところの特別職として、一般行政職とはつきり区別しなければならぬと思うのでありまするが、大臣は、現業には入れられないから、やはり一般行政職に入れる、この考えでは、文部大臣の従来の教育に対する深い御経験から、われわれは推測いたしまして、はなはだ失望いたす次第であります。現業ではもちろんない、一般行政職にはもちろん入れるべきではない、教育本質からいたして、特別職として、特別に第三條の一般職から除外すべきものじやないか、かように思うのでありまするが、これを除外すべく、文部大臣はこの立案にあたつて努力されましたかどうか。ただ現業に入らないから、一般職でいいということでそれにすぐ賛成されたか。あるいはまたこういうふうに、第三條では一般職と特別職を区別してあるが、その特別職にも入れないで、一般職として、これを地方公務員として、地方公務員法によつて一律に取扱う、その範疇に教職員をすなおに入れてしまわれたか。またこれを入れたのはいかぬから、今後單に個々の規定を設けるだけではいけない。やはり第三條の一般職、特別職からわくを全然離しまして、教職員に対するところのいろいろな規定を別に設ける意思があるかどうか、その点の御見解を承りたい。
  243. 天野貞祐

    天野国務大臣 坂本さんのおつしやることは、私もよくわかるところでございます。それで先ほどから現業と非現業という範疇では、教員というものは理論としては考えられない。しかしどちらかの範疇にぜひ入れろというならば、現業でないということは明らかだ。また教職員といえども一個の公務員だといつても、教員の尊厳を傷つけることではないと思う。一個の公務員であるが、特別の公務員であるということは言えると思います。だから特別のことに関しては、特別な規定を設けるというのでよいように私は思いますが、しかしあなたのような特別の位置をつくるということも、一つのアイデアではないかというふうに私も思われます。
  244. 坂本泰良

    ○坂本(泰)委員 最後に要点だけお聞きしたいのですが、広く解しますならば、やはり教職員地方の行政関係の範疇には入りますから、これは公務員に入るのです。しかしながらこの法を解釈するについても、これは限度があると思うのです。しかしてその法の限度を定むるのについては、その本質と、それから客観的の携わつておる仕事の方面、この二方面が特に注意をしなければならない。教育本質から申しまして、地方公務員と申しましても、教職員はまつたく兒童の教育の任にあるのでありまして、官庁に勤めて仕事をやるのとは、まるでその本質が客観的に違つているのであります。従つて一般職と、いろいろな政治的の方面、団体交渉その他いろいろな点がありまするが、これを一律に取扱うという、かような行き方で行くならば、これはほんとうの民当日本の自由な立場における学問の自由、教育基本法に基くところの教育の破壊になるのではないかと思うのであります。しかもまた先ほどの説明員の話を聞きますと、三十六條によつて、それに違反した者は罰則によつて彈圧するから、それから逆算してこれに入れるなんと言うごときは、これは最も日本民主化を阻害し、日本の国民を侮辱するもはなはだしいものである。立案者なんかは、これは方便的にこの国会に出て説明するにすぎない。この委員会において愼重審議をしましたこの法律が、あるいは罰則の規定がある場合は、裁判になるのでありましよう、裁判になれば、検事はこれを起訴し、弁護人は弁護の任に当つて、その法の公正を期するのでありましよう、しかしその法の解釈にあたりましては、やはりこの国会におけるところの審議の解釈が基本となるのであります。もちろん最高裁判所によつて決する場合もあるのでありましようが、最高裁判所といえども、やはり国会におけるところのこの法案の審議を十分尊重いたしまして、これをやるのであります。従つて私は、この委員会において、ことに実際説明の任に当られた説明員が、その場のがれの言い訳をする、あるいは先ほどの、何人といえどもというのにも、全然別個の人間も入るとか、いろいろな自分たちが予想しないことに当つたら、その場限りでこれを解決しようという、これはまことにもつてけしからぬことと思うのであります。従つて特にそういう考えをもつて立案され、罰則を主体として、その範疇に教育の任にあるところの教職員を入れて、そうして一般地方公務員と同様に取扱つてやるといつたならば、これは日本教育の破滅となる、日本教育の破滅は日本の民主化の破滅となる、日本国家の破滅になると私は考えるのであります。かような見地からいたしまして、私は現業にも入らない。また一般行政職にも入らない特別職であつて、この第三條には入らないという見解を持ち、もしここに疑念があるならば、第七でもいいからもう一号加えて、この一般職とは区別するという建前をとらなければならないと思うのでありまして、この点について政府当局の猛反省を要求いたしまして、私の質問を打切ります。
  245. 前尾繁三郎

    ○前尾委員長 それでは暫時休憩いたしまして、七時から再開いたします。     午後六時十八分休憩      ————◇—————     午後七時二十六分開議
  246. 前尾繁三郎

    ○前尾委員長 それでは休憩前に引続き、会議を開きます。  質疑を続けます。加藤充君。
  247. 木村榮

    ○木村(榮)委員 議事進行について……。こう見ますと、共産党ばかりで、これでは実際に委員会の権威にかかわりますから、暫時休憩を願つて、そして委員をかり集めて、ほんとうにやられる態勢でやらなければいかぬと思うので、私は動議を提出いたしますから……。
  248. 前尾繁三郎

    ○前尾委員長 ただいま集めていますから……。どうぞ続けてください。
  249. 加藤充

    加藤(充)委員 私が先ほど関連質問をいたしまして、答弁を約束されております人事関係がまだ参つておりませんので、その問題の結末をつけずに、順序が前後しますが、先に一応進みたいと思います。  先ほど来法務総裁と問答があつた地方公務員法の罰則の問題について、一、二確かめておきたいと思います。三十四條を見ますと、「職務上知り得た祕密を漏らしてはならない。その職を退いた後も、また、同様とする。」引続いて六十條には、これについての罰則規定がございます。そこでお尋ねするのですが——郵政関係は来ておりますか。
  250. 前尾繁三郎

    ○前尾委員長 郵政関係は来ておりません。
  251. 加藤充

    加藤(充)委員 それでは、これも質問を途中でやめなければならない。
  252. 前尾繁三郎

    ○前尾委員長 政府委員は幾らでもおるのですから、本法案関係質問してください。
  253. 加藤充

    加藤(充)委員 それでは、答弁できる人の責任のある答弁を願うことにして、質問を続けます。  先ほど正式な発言ではありませんが、郵政関係の方にわたる質問をしようと思いましたところが、大橋法務総裁の方から、それは国家公務員関係で、地方公務員関係がないと言われたのですが、罰則の規定並びに内容、こういうような問題その他給與等の問題につきましても、国家公務員法との関連がないとは言い切れないと思うのでありますが、まずこの点について大橋総裁が意見をさしはさんだので、こういうふうなものは関連性がないのである。地方公務員法は国家公務員法と、先ほど申し上げましたような点について、何ら関係がないと言い得るのかどうか、これをまつ先に確かめておきたいと思います。
  254. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 第六十條は、国家公務員に何ら関係がありません。
  255. 加藤充

    加藤(充)委員 いや、地方公務員法の連合審査にあたつて、私ども人事委員として、国家公務員法との関連から、地方公務員法も関係がある。従つて、そう考えておりますが、連合審査をお開きになつた点から見ても、私が考えているその観点というものは妥当だから、連合審査を許されたのだと思うのであります。そこで私が大体の質疑範囲の第一点として申し述べたところが、初めからいきなり、それは関連がないと言われることは、この地方公務員法と国家公務員法との関連内容から見て、あまりにもそれは一方的な、大橋さんの意見を早く述べ過ぎたと思うのでありますが、こういうことになると、われわれは連合審査に出て来て発言する勇気を、しよつぱなからはつたりで、くじかれたような気がするのです。気の弱い共産党の委員は、こういうことはまことに大きな言論の抑圧になる。そのこと自体が、大橋さんはお考えになつていなくても、われわれには偉大なる被害を感ずるわけであります。私は六十條との関連を問題にしたり、三十四條と六十條との関連が、国家公務員法に直接関連があるという意味質問しているのではございません。そういう点で、私は大橋さんのさきの答弁はどうも一方的で、私は六十條は関連がないという御意見を求めたのではないのであります。  さらに続けますが、気の弱いわれわれをおどかさないでいただきたいと思う。簡易生命保険法の第十七條によりますと、「保険金額は、被保険者一人につき五万円をこえてはならない。」というような規定があるようでありますが、これは一人が二口も三口も入つたり、五口も入つたりして、一口五万円という簡易生命保険の性格上規定された保険金額をはるかに超過して、超過保険的な金額を契約いたしました場合に、一口を除いて他の保険契約は有効なのであるかどうか。これは郵政関係だが、これ自体の法律解釈は、大橋さんでもできると思います。
  256. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 ただいまの御質疑は、この地方公務員法と関係ないように私は考えます。
  257. 加藤充

    加藤(充)委員 関係がないということで答弁をやられないのですか。おわかりにならないので答弁なさらないのですか。
  258. 前尾繁三郎

    ○前尾委員長 地方公務員法についての御質疑を願います。
  259. 加藤充

    加藤(充)委員 いや、これは関係があるから……。
  260. 前尾繁三郎

    ○前尾委員長 どういう関係があるかをお話つて、それで進行して行きましよう。
  261. 加藤充

    加藤(充)委員 それは、まつ先に三十四條を全部読上げたのではありませんか。
  262. 前尾繁三郎

    ○前尾委員長 それが地方公務員法の何條と関係があるかという……。
  263. 加藤充

    加藤(充)委員 私は地方公務員法の三十四條を読上げたのです。このことに関連があるから、この質問をするのだということを前提にして質問を進めているのです。
  264. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 簡易保険の保険金額を超過した保険契約は、これは保険として効力がないという趣旨の規定だと思います。
  265. 加藤充

    加藤(充)委員 そうすると、また地方公務員との関連はないと言われるかもしれませんが、一例として簡易保険関係に勤めている公務員についてお尋ねをいたしておるだけでありまして、問題は三十四條の解釈に関連いたす問題であります。そういうようなことで、命令で三口も四口も入らせる、入らせなければかつこうがつかないというようなことに相なりました場合におきましては、その行為は犯罪をやつたということに相なるのでしようか。
  266. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 今命令と言われましたが、何の命令でしようか。
  267. 加藤充

    加藤(充)委員 それじや何ぼでも長くなつてしようがないじやないか。私がせつかく発言しているのですが、聞いていないで、そんなばかなことは、これはひどいと思う。それではわかるように……。
  268. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 わかりました。命令というのは、おそらく上司の職務上の命令という意味だと思います。そういう簡易保険法の精神に反しました職務上の命令は、それは違法の命令でありますから、その結果に基いて行動いたしました場合は、それは自己の責任において行動したということになると思います。
  269. 加藤充

    加藤(充)委員 そうすると、そういうような犯罪ないしは犯罪的な秘密でありますが、そういうようなことすら、三十四條には、臭いものにはふたをしろというふうな結論に相なると思うのでありますが、その点はいかがなものでございましようか。
  270. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 この地方公務員法の三十四條は、地方公務員に関する行為規定いたしたものでございまして、簡易保険の係員は、これは国家公務員でございますから、この三十四條には関係のない事柄でございます。
  271. 加藤充

    加藤(充)委員 それでは大橋さんに続けてお尋ねしますが、国家公務員法においても、三十四條類似の罰則がございましたときには、今申し上げましたような業務は、正当な職務の執行ではない。従つて職務上知り得たというようなここの秘密ではないというふうに、われわれは法律上解釈されるのですが、その点についてお尋ねしたいと思います。
  272. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 国家公務員法にも類似の規定がございまするが、しかしその場合にそういう命令があつたという事実は、その公務員が職務上の地位にあるがために、そういう命令があつたわけでありまして、その命令の内容が当不当のいかんにかかわらず、それはやはり職務に関連した事項となるということは明らかであります。ただそれが職務上の秘密となるかどうかという点になりますると、これはまた別の問題になると思います。
  273. 加藤充

    加藤(充)委員 それでは職務上知り得た秘密を漏らしてはならないという規定に該当いたしますかどうか。
  274. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 その事項が、上司からこれは職務上の秘密なりとして指示せられておりますると、一応職務上の秘密として取扱うべきであると考えます。
  275. 加藤充

    加藤(充)委員 職務上の秘密ということを言われなければ、それは職務上の秘密にはならないのでしようか。
  276. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 事柄の性質によりまして、職務上の秘密となるものもありますし、今言われました保険契約をしたとかしないとかというような問題は、これは特に性質上秘密というよりは、それを秘密として上司から指示された場合に秘密になる、こう考える方が普通の事柄ではないかと思うわけであります。
  277. 加藤充

    加藤(充)委員 そうすると犯罪を上司が敢行いたしまして、しかもこれは秘密にしておけというようなことを上司から命令された場合には、そのことに緘口令を施かれて、秘密の漏洩防止のために、下級の職員は協力しなければ、国家公務員としての職責が果されないということになるものでしようか。
  278. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 私の、これは秘密として取扱うべきものであるという上司の指示ということは、これは職務上の命令としてその命令が出た場合でありまして、今加藤君が例としておあげになりましたように、何か職務に関係いたしました犯罪がありまして、それについてこれを秘密として取扱つておけというようなことは、これは職務上の命令とは考えられないと思います。
  279. 加藤充

    加藤(充)委員 それでは私が今例示してその一端をお聞きしましたような事柄は、これはここではあまり具体的にはさしひかえます。資料を持つておりますが、この席上ではあえてさしひかえておきます。そういうふうなことが末端で上司、下僚の間に行われておりますようなことは、事の性質上法務総裁として好ましいことであるとお考えになつておるのか、好ましくないというふうにお考えになつておるのか。そのことを念のために確かめておきたい。
  280. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 上司が職務上の犯罪を隠蔽する目的をもちまして、特に下僚に対して、権限外の行為であるにもかかわらず、これは秘密として取扱うべきものなりというような指示をするということは、これはもとより不当なことであると考えております。
  281. 加藤充

    加藤(充)委員 実はそれでこのたびのいわゆるレッド・パージの問題についてお尋ねしたいのでありますが、これとても地方公務員たるに適格云々の問題に関連がありまするし、地方公務員法に山ほど盛られた、保護の規定というよりも、罰則の規定ではないかと思われるほど、数多い制裁規定がありまするから、お尋ねをいたします。実はそういうような種類の秘密を漏洩するおそれがあるということで、馘首を命ぜられた者があるといたしまするならば—仮定に答えられないというならば、あるから、このことについて御返答願いたいのですが、そういうふうな首の切り方というものは正当だとお考えになつているかどうか。
  282. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 先般公務員に対しまして、職務上の機密を漏洩したとか、あるいは漏洩するおそれがあるという理由で、解雇の処分をとつたということを聞いておりますが、これはやむを得ざることであると思います。
  283. 加藤充

    加藤(充)委員 そういうふうな秘密事項だということも言われない。事の性質上明らかに上司との犯罪の強要である、あるいは上司の犯罪を默秘して特に語らせないようにするというようなこと、これは法務総裁が少くとも好ましくないことだと言われた。しかしそういうふうに協力をしなかつたから、あるいは今まで協力を強制でさせられておつたけれども、どうもそれではおそれながらとお白州の方に訴え出たいというような、しおらしい真人間の気持に立ち返つた者を、いわゆる職務上の秘密を漏洩するおそれがあるということで—白州の中にかけ込んだのであればまた別でしようが、おそれがあるというので、キヨロキヨロしております者を首切るということは、これは犯罪と人道上許しがたい行為のダブル・プレーを、あえてレッド・パージでやつたと思うのですが、この点について御意見を承つておきたい。
  284. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 各省において行われましたように、共産主義者あるいはその同調者に対しまして解雇措置をとつておりまするが、これについては各省とも十分に調査をいたしてあるのであります。お説のような不当の措置はなかつたものと確信しております。
  285. 加藤充

    加藤(充)委員 今簡易生命保険法十七條についての法務総裁の—括弧つきではありましようが、一応権威的な解釈を承つたのでありまして、このことについては、幾らつべこべ言われても、近いうちにわれわれは、この十七條違反の問題をはつきりやつているという事実を、相当な地域においてはつきりさせて、大橋法務総裁とお目にかかりたいと思います。  この質問はこの程度で終りますが、次の問題として、おそれがあるというようなことで首を切るというようなことが、やはり地方公務員法の幾多の罰則規定の中に、共産主義者あるいは同調者というそれだけの事実で首を切るのか。あるいはそのことから発端して、いわゆるおそれがあるような行動が、具体的に確認された場合に首をお切りになるのか。その点を明確にしていただきたいと思います。
  286. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 レッド・パージにつきましては、共産党員であるとか、あつたとかいうだけの理由をもつて、ただちにこれを整理するということは考えておりません。具体的にさような危険性が確認せられたる場合におきまして、他に処置がなければやむを得ず馘首する。こういう方針でおるのであります。
  287. 加藤充

    加藤(充)委員 思想の自由は、つべこべ言うまでもなく、世界人権宣言の中にもあるし、同時に日本憲法にも規定されている問題なのでありまして、思想を持つた者をいわゆるレツド・パージというようなことで、かつてに首を切るという者は、みずから民主主義を否認し、あるいは憲法自体を蹂躙するものであると思うのですが、大橋法務総裁の御意見では、思想すら彈圧する、それが当然であるというような御見解に承つたのですが、念のためにその点、だめを押しておきたいと思うのであります。
  288. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 単なる政治的な信條と申しますか、思想と申しますか、あるいは単なる政党の所属という理由をもつて解雇するということは、これは明かに憲法に違反し、また民間の場合におきましては、労働基準法にも違反しますし、公務員の場合におきましては、公務員関係の法令に違反する措置である、こう考えます。しかしながら、今回政府においていわゆるレッド・パージと称せられる措置をとるに至りましたのは、単なる思想の理由、あるいは単なる政治的党派所属の理由をもつて、これを解雇するという次第ではございませんので、現実に国家の公務員としての秩序をみだるとか、あるいはまた公務員として必要なる秘密嚴守の義務を怠る、かようなことについて、はつきりした危険性を確認いたしたものについてのみ措置をいたしておるのであります。
  289. 加藤充

    加藤(充)委員 そう一応は開き直つて御答弁なさるんですが、そういう事例ではなくて、ただおそれがあるという推定で、首を切られた事例がたくさんあるのです。そういうような首切りの実態が明かになつた場合においては、法務総裁としてはその首切りは撤回さるべきという御解釈をおとりですか。
  290. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 公務員ばかりでなく、今回行われました一連のいろいろな、いわゆるレッド・パージというようなことにつきまして行き過ぎがあるというような場合におきましては、できるだけこれを直して行くという措置をとるのは当然でございまして、お話のように、単なる思想のゆえをもつてとか、あるいはこれに便乗するとかいうような理由で整理されるということは、絶対になかつたものと確信をいたしております。
  291. 加藤充

    加藤(充)委員 あとで関連質問もあるようですから、そのことだけ簡単に区切りをつけておきたいと思います。共産主義者ということはわかります。もつとはつきりすれば、共産党員であるかどうかということはわかります。しかし共産主義者ということも、共産党員ということと離れますと—どうも共産党員と言う方がはつきりいたしますが、さらに進んで同調者というようなことになりますると、どうも範囲が明確でありません。共産党員であろうが、共産主義者であろうが、一同調者であろうが、一切の思想は処罰さるべきでないということは、一応明確でありまするけれども、ここでお尋ねしたいのは、同調者ということを言われております。また労働組合などでは便乗的な首切りはいけないというようなことも言われておりまするが、便乗といい、同調といい、限界がきわめて不明瞭であります。共産主義者ではなく、それの同調者ということは、たとえば具体的にどういうものを同調者と言われるのであるか、その限界を明確にされたいと思うのであります。
  292. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 同調者と申しまするのは、共産党員の計画いたしておりまするいろいろな不当な争議行為等にあたりまして、これに積極的に参画するとか、あるいは積極的に協力するというような実績のあつた人を同調者、こういうふうに考えるように存じます。
  293. 加藤充

    加藤(充)委員 それと、先ほどの、例の秘密漏洩のおそれがあるという共産主義者、あるいは同調者というものは、具体的にどういうふうな場合に、そういう認定を受けますか。
  294. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 これは各般の事情を調査いたしまして、共産党員でありかつ秘密漏洩のおそれある、また同調者については、これは過去において、あるいは共産党の党員が共同してやつておりまするいろいろな不当な争議行為等に、積極的に協力したいというような実績によつて決定するわけであると思います。
  295. 加藤充

    加藤(充)委員 先ほどの問題にもどりますか、地方公務員法の罰則の六十一條及び六十二條は、今大橋総裁の言われた同調の問題、限界の問題、踏み込んではならない思想の問題まで入り込む問題と関連して重大であるから、質問をいたします。どうも御説明を聞きますと、共犯理論を飛び越えている。そうしてだれが何と言つても共同で同一の行為に加担したものでありますからして、それは明かに多数人の行動であります。しかもその間に段階があり、いろいろなものがあります。しかも騒擾罪というようなこととも違うということであり—騒擾罪についても共犯理論は貫かれておると思うのでありますが、そういうふうな共犯理論は、客観主義を乗り越えて、いわゆる罪刑法定主義を乗り越えて、この共犯理論の消滅をやる、いわゆる共犯独立論説の立場に立つたものだと思うのであります。現在の新憲法の後に、あらためて出て来ました新刑法におきましても、あるいはさらに進んで旧刑法時代におきましても、共犯理論を否認した主観主義的な立場というものは、まだ法制上許されておりませんし、学説上も多数だとは言われておりませんし、制度上も許されていないのであります。こういうふうな現在の制度が、よつてつて立つ基礎概念、基礎的な理論原則というものを立ち越えて、処罰の必要のためにそういう原則を無視してまで、新しい犯罪並びに刑罰をこの一片の地方公務員法、しかも地方公務員の利益擁護か眼目としなければならないというようなことを、第一條にうたつておりますこの地方公務員法できめられるということは、先ほどお断りしましたように、立入るべからざるところに立入つて、そうして原則の何も無視して、めつたやたらに当るを幸いなぎ倒すというような最も恐るべきフアッシヨ的な、いわゆる権力政治である。刑罰をもつて人民に対抗するというように、権力を暴力化して行つたこれは暴力政治であると思うのでありまして、主観主義刑法が、フアッシズムの刑罰理論の基礎づけになり、教育刑論というようなものは、それ自体の—岡野さんがお笑いのようでありますが、アイディアとしては一応許容されるといたしましても、実際上の問題になりますと罪刑法定主義、フランス革命により獲得した人権のマグナ・カルタとしてのいわゆる罪刑法定主義、客観主義を無視して、フアッシズムの地盤になり、フアッシズムの原則に貫かれて利用され行くということが言われておりまするが、先ほどの地方公務員法の罰則規定、その犯罪の理論体系づけ、その解釈によりますると、まさしくそのようなものが大橋さんの口から露骨に、はつきりとうたつておるのであります。こういうふうな一連のやり方は、先ほど口では同調者はこうこうあるべきである、共産主義者といえども思想だけでは処罰しないと言いながら、実際はまつたくめちやくちやなやり方で、東條時代を再現するような、あるいはもつとひどいやり方になつておるのであります。理論ではありません。現実にいわゆるレッド・パージで幾多の人々が不当な処罰を受け、失業のうず巻きの中に投げ出されておるということ、こういうことは否認できないのでありまして、その点について先ほどの罪状の罰則規定とともに、関連した御返答をお願いしたいと思う。
  296. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 加藤君の御雄弁を傾聽いたした次第でありますが、加藤君は犯罪の性質というものについて、全然法律的な理解を欠いておられるように思う。すなわち先ほどから私が申し上げましたるごとく、この六十一條の四号の規定というのは、これは決して共犯関係を前提とした規定ではございません。これはかような政治的行為公務員に対してそそのかすという、そのそそのかす行為だけを処罰しようという趣旨であります。その結果そそのかされた公務員が処罰されるかされないか、これは処罰されないのである。たとえば公職選挙法の第二百條という條文があります。これはやはり国会の議決を経たる現行法でありますが、これを見ますと、選挙に関しまして他人にある種の行為を動誘いたしました者は、これを処罰するという規定が書いてある。この勧誘というのは一種のそそのかすという行為でありますが、これによつて勧誘された人たちは、別に犯罪が成立しないにもかかわらず、勧誘行為それ自体だけが独立の犯罪として処罰されるような規定になつておる。これが公職選挙法の二百條であります。それと同様の趣旨をもちまして、今回の規定におきましても、公務員に対して政治行為をするようなことをそそのかすというその行為だけを取上げて、反社会性ある行為としてこれを処罰しようというのが、この立法の趣旨なのであります。従つてこれは共犯ではなく、これ自体が一つの犯罪である。その前提のもとに今後お話を進めていただきたいと存ずるのであります。なおまたかような犯罪を認めるということは、加藤君の御説によりますと、これは犯罪となるべからざるものをことさらに犯罪とする。従つて暴力主義であるというような御意見があつたようでありますが、この辺は御意見でございますから、特に申し上げる限りではないと存じます。
  297. 加藤充

    加藤(充)委員 これは先ほど関連質問において、質問したのですが、御答弁がなかつたようです。これは主管大臣じやないから答弁する限りにあらずということじやなしに、あなたは重要な職責を持つておるのでありますし、部下もたくさんあるのでありますから、謙虚に御答弁願いたいと思うのです。大体十八歳の独身青年で三千五十円で食えると思われるかどうか、こういうことについて大橋さんや岡野さんや、それから地方自治庁の御答弁を聞いておきたいと思う。
  298. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 独身の十八歳の人の三千五十円、これが今回公務員法の給與改訂として提案された中にあるそうでありますが、これは大体において生活できるという考え方に立つて、立案されたものと考えます。
  299. 前尾繁三郎

    ○前尾委員長 暫時休憩して、九時から再開いたします。     午後八時六分休憩      ————◇—————     〔休憩後は開会に至らなかつた〕