○龍野委員 ただいまの御
説明では、私たちが
心配しておりまするところの、公選によ
つて出ました首長と同じ
立場をと
つておるところの
職員に対して、はたして的確なる
人事行政が行い得るかどうかということについては、まだまだ納得いたさないのでありまして、この点は確かに法の不備ではないかと存ぜられるのであります。先ほ
ども申し上げました
通りに、今日立憲政治の世の中であります以上は、どうしても政治的
立場をはつきりするということは当然のことであります。従いまして首長がそれぞれ政治的
立場を厳守するということは、やむを得ぬ次第であろうと存ずるのであります。それだからとい
つて、その部下であるところの
職員がその首長と同じ
立場をとらなければならぬということはなかろう、むしろこの
公務員法案のねらいどころは、いわゆる政治的中立という
立場を維持するためにあるものではなかろうかというふうに
考えるのであります。そういう見地からいいますと、本
法案並びに今までの
法律をも
つてするならば、これらに対して首長は、これらを処分する
義務はないということになりますれば、人事
委員会に勧告の権限はありましても、先ほど山手君もおつしやつた
通りに、勧告というのは一体どこまで
法律上の拘束権があるかは相当疑問の点もあります。そういうわけでありまして、私は本
法案の文面上から見ますれば、
地方自治団体のいわゆる政党化ということははたして、この
提案理由の中にありまするところの政治的中立というような点を保持し得るかどうかについて、危惧の念なきを得ないのであります。しかしこの点はそれだけにとどめまして、次に申し述べたいのは人事委員の問題でありますが、人事
委員会は府県並びに五大都市その他設置を希望する市に置くという
趣旨にな
つてお
つて、希望しない市、または町村においては置かないということにな
つておるのでありますが、この置かないという
理由を承りたいのであります。おそらくこれは專門的な相当な人間を採用し、かつはまたりつぱなる
組織を必要とする以上は、ある程度の経費がいるから、
実行上困難ではないかという
理由から置いてないと思うのでありますが、しかしわれわれが
地方自治体の実際を見て参りますれば、むしろ小さい町村の
職員こそ、ほんとうに
保護しなければならぬと存ずるのであります。御
承知かもしれませんが、この資料によりましても、これははかのことにも
関係しますから、あまり長たらしくは申しませんが、
職員の
給與のごときも、小さい村の
職員でありますれば、平均給三千何百円というような低いものもあります。そういうように物質的にも非常に小さい町村の吏員は、不遇な
地位にあるのであります。またその
身分上の扱いにおきましても、今日の
実情は、ほとんど
町村長の意のままに動かなければならぬというような、
実情にある。これに対しまして、せつかく国といたしましては
職員の
権利を確保して、その
地位を安定せしめようという親心が、結局は最末端の町村に行けば消えてしまうということになりはしないかということを
心配するものであります。そこで私は先ほど
藤田君からもお話があつたと思いますが、この人事
委員会を置かないような市並びに町村にかわりまして、県の人事
委員会がその仕事を行うということが、どうしても必要じやないかというふうに存ぜられるのであります。県は御
承知の
通り、県制施行以来数十年を経過いたしまして、その行政はほとんど軌道に乗
つておる。従いまして相当の
組織力を持ち、また相当の人材を得られるようなことにな
つておるのでありますから、こういう場合にはひとつ県の人事
委員会が、人事
委員会を設置していないところの市並びに町村の
職員に対するところの仕事をするというように、一箇條を設けることが、最も現実に即応しておる
考えじやないかと存ずるのでありまするが、この点についての御所見をお伺いいたしたいと存じます。