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1950-11-28 第9回国会 衆議院 地方行政委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年十一月二十八日(火曜日)     午前十時五十二分開議  出席委員    委員長 前尾繁三郎君    理事 河原伊三郎君 理事 野村專太郎君    理事 龍野喜一郎君 理事 藤田 義光君    理事 門司  亮君       生田 和平君    大泉 寛三君       門脇勝太郎君    川本 末治君       小玉 治行君    清水 逸平君       中島 守利君   橋本登美三郎君       吉田吉太郎君    床次 徳二君       山手 滿男君    大矢 省三君       久保田鶴松君    立花 敏男君       木村  榮君    大石ヨシエ君  出席国務大臣         労 働 大 臣 保利  茂君         国 務 大 臣 岡野 清豪君  出席政府委員         人事院総裁   淺井  清君         全国選挙管理委         員会委員    長  世吉君         地方自治政務次         官       小野  哲君         地方自治庁次長 鈴木 俊一君         総理府事務官         (地方自治庁公         務員課長)   藤井 貞雄君         労働事務官         (労政局長)  賀來才二郎君  委員外出席者         專  門  員 有松  昇君         專  門  員 長橋 茂男君     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  公述人選定に関する件  地方公務員法案内閣提出第一号)  地方公共団体議員及び長の選挙期日等臨時  特例に関する法律案内閣提出第七号)  行政書士法案起草に関する件     ―――――――――――――
  2. 前尾繁三郎

    前尾委員長 これより会議開きます。  まず、一昨二十六日本委員会に付託になりました地方公共団体議員及び長の選挙期日等臨時特例に関する法律案内閣提出第七号を議題といたします。まず政府より提案理由説明を聽取いたします。     ―――――――――――――
  3. 小野哲

    小野政府委員 岡野国務大臣にかわつて、私から御説明申し上げます。  ただいま上提されました地方公共団体議員及び長の選挙期日等臨時特例に関する法律案につきまして、その提案理由並びに内容概略を御説明申し上げます。  全国大多数の地方公共団体におきましては、その議会議員及び長の任期が明年四月に満了となり、従つて後任者選挙は、公職選挙法規定によれば、三月上旬ないし四月下旬の間、各地方公共団体が任意に定める期日に施行されることになるわけであります。しかるにこの選挙期日並びに選挙運動の期間は、たまたま地方公共団体予算編成時期に当つているのでありまして、地方公共団体議会議員及び長をして選挙に煩わされることなく、明年度予算案編成並びにその審議に当らしめるため、選挙期日を四月下旬以降に定めるとともに、これらの各選挙をできるだけ同時に行わしめて、選挙事務合理化と経費の節減をはかることが、適当であると存ぜられるのであります。  以上の趣旨によりまして、公職選挙法に対する特例を設け、昭和二十五年十二月十一日から昭和二十六年四月二十九日までの間にその任期満了すべき都道府県及び市町村等議会議員任期満了による一般選挙は、四月二十九日に、昭和二十五年十二月十一日から昭和二十六年五月二十日までの間に、その任期満了すべき都道府県知事及び市町村長等任期満了による選挙は、五月二十日に、それぞれ同時に行うことといたしたいと存ずるのであります。また同一の趣旨に基きまして、議会議員の数が、その定数の二分の一を欠き、議会が成立しない状態なつた場合のほかは、議員の再選挙または補欠選挙を行わず、また本年十二月十一日にすでに退職の申出をしている長の後任者選挙のほかは、明年五月二十日までの間に長が欠けましても、その選挙はすべて五月二十日に行うこととしたのであります。  なほ議員選挙に立候補した者については、同時選挙趣旨の徹底と、選挙の公正とを期するため、同一区域について行われる長の選挙候補者とはなれないものといたしました。  最後に、現存公職選挙法規定中、地方公共団体議会議員及び長の任期満了前に行う任期満了による選挙の告示後に、議員または長が欠けた場合の選挙の取扱い、並びにそれらの後任者任期起算方法に関する部分について、この際規定を整備する必要を認めましたので、所要の改正を公職選挙法に加えることにいたしたいと存ずるのであります。  以上がこの法律案提案理由並びにその内容概略であります。何とぞ愼重御審議の上、御賛成あらんことを御願い申し上げます。
  4. 前尾繁三郎

    前尾委員長 ただいま本案提案理由説明を聽取いたしましたが、本案に対する質疑は後日に讓ることにいたします。     ―――――――――――――
  5. 前尾繁三郎

    前尾委員長 次に日程を追加し、行政書士法案起草の件を議題といたしたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 前尾繁三郎

    前尾委員長 それではさよう決定いたします。     ―――――――――――――
  7. 前尾繁三郎

    前尾委員長 一昨日の委員会におきまして、前国会に提出した案を基礎に行政書士法案を起草することに決定し、御意見伺つたのでありますが、さらに御意見がありますれば、この際承ることにいたします。御意見はございませんか。     〔「意見なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 前尾繁三郎

    前尾委員長 なければ本案は本委員会の成案と決定し、これを委員会提出法律案とすることに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 前尾繁三郎

    前尾委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。  それでは諸般の手続は委員長より、ただちにとることにいたします。     ―――――――――――――
  10. 前尾繁三郎

    前尾委員長 それでは前会に引続き、地方公務員法案内閣提出第一号を議題として、質疑を続行いたします。大泉寛三君。
  11. 大泉寛三

    大泉委員 この法案国家公務員法と並行して、当然施行せられるべきものと思つてつたのでありますが、今日に至つてようやく出されたということは、まつたく遅きに失すると思うのであります。この地方公務員法案の由来は、大体ここに書いてありますけれども、私ども考えは、地方公共団体を通じて、いわゆる地方公共団体意思において條例等によつてきめられて、初めて効力がここに発せられる。また国家公務員のように、国家が直接つながつているものは、きわめて簡單にその法令実行に移されるが、地方公務員の場合には、地方公共団体を通じての吏員であつて、何としても一つの機関を通じてこれを施行せしめなければならぬというのであるから、地方自治体に対しては、やはりこの法令を何らかもう少し強く義務づけなければいかぬのではないかと思うのであります。国家公務員のように直接ではない。どうしても地方自治団体住民意思を通じて、これを行わしめなければならぬのであるから、まず地方自治体に対しては相当国家意思義務づける必要があるのではないかと思います。この点どうもこの法案には欠けておりますが、どういうお考えを持つておられるか、まず承りたい。
  12. 小野哲

    小野政府委員 お答えいたします。ただいま大泉さんから仰せになりました、地方公務員法案の立案にあたつて国家公務員法との関係において、地方公共団体に対してこれが運用の点について、もう少し強く義務づける考えを持つべきではないか、かような御質問であつたと存ずるのであります。仰せ趣旨はまことにごもつともと存ずるのでございますが、国家公務員法が直接政府職員すなわち国家公務員規制するために設けられました法律でございますので、従つて法律の立て方が、比較的詳細な規定を設けて、画一的にこれを施行しようという意図がうかがわれるのでございますが、地方公務員法案におきましては、もちろん国家公務員と相まちまして、わが国の公務員制度を確立する、すなわち近代的な人事行政を立てて行くための措置を講ずるという点につきましては、国家公務員法考え方とかわりはないのでございますが、御承知のごとくに、地方団体が多数ございまして、その規模なり形態も種々雑多になつておりまする関係もあり、また一つ地方公共団体の自主的な活動運営を十分に尊重して参らなければならないという点もございまするので、国家公務員制度との調整をはかつて参るために、種々苦心を拂つて参つたのでございます。従いまして、地方公務員制度運営は、もちろん地方公共団体が直接これに当るという建前を、十分に尊重して参らなければなりませんと同時に、重要な事柄につきましては、言いかえれば多種多様な多数の地方公共団体に共通の基本的な問題につきましては、やはり国が法律によつてこれを明らかにいたしまして、そして地方公共団体法律に基いて條例その他の地方公共団体立法権に基きました措置を講じて行くということが最も妥当ではないか。従いまして、この地方公務員法案はいわばわく法律と申していいかと思うのでありまして、ある程度統制を加えつつ、しかも地方公共団体自主性多様性との要請にこたえるという点につきまして、調和をはかつて行くというところに、ねらいを定めたような次第でございます。ただいま大泉さんが御指摘になりましたように、地方公共団体責任を持つてこの地方公務員制度運用に当りますためには、もちろんこの法律に基きました諸般事項につきまして、地方公共団体義務づけられるという点も、この法律案の中にはあるわけでございまするので、ただいま申しましたような考え方から出発いたしまして、また大泉さんが御指摘になりましたような点をも考慮に加えながら、この法律案を起案して参つたような次第でございます。
  13. 大泉寛三

    大泉委員 地方団体に対する一つ義務の裏づけをして、地方公務員に対して臨ましめるということは、政府意思通りたいてい責任を負われることと思いますけれども地方公共団体はいわゆる自治体であるから、自主性を失わしめてはいけないのである。そうしてみると、政府意思通りに必ずしも行くとは思われない。政府意思に反するような決定もあり得ると思う。この中にも、地方団体條例と矛盾した場合にはこの法律が優先するということになつておりまするけれども執行上においてかえつて自主性を失うようなことがあつた場合には、やはり何といつて自治体であるから、それはどこまでも自主性を発揮すると私は思うのであります。そこでこの法律は、地方公務員個人に対する法律であると同時に、団体に対して一つ義務を課した法律であると思うのでありまするけれども、もう少し明確にする必要がないでしようか。  それから大体この内容の骨子は、公務員職員組合というような団体政治性を失わしめる、いわゆる政治活動を取去つてまつたというのでありまするが、こういう組合はもうそうなると性格を失つておるようなもので、私どもはそれは決して公務員職員の不幸とは思わない。むしろそうしたことが適当だと思うのでありますけれども、何も法律において職員組合を明記して認めるということは、必要がないのではないか。こういうことは地方自治体に一切まかしておいた方がよろしいのではないか、何もここに明文化する必要はないのではないかと思うのです。こういう目的のない職員組合を、厚生事業その他の問題のために、ことさらに従来の立場を認めるということは、やる必要はないのじやないかと思います。それから警察、消防等職員組合を原則として認められない。認められないということは、不必要である。あつても有害である。いわゆる行政執行のためにかえつてじやまになるというような建前から認めないのだと思うのですが、そうしたならば、それは職員組合でも、何も法律で認めておく必要はないのではないか。地方自治体意思にまかせておいたらいいことではないかと思うのですが、いかがですか。
  14. 小野哲

    小野政府委員 お答え申し申し上げます。地方団体並びにその職員に対してもう少し義務づけをして行つた方がいいのではないかというような御意見、また職員団体につきましては、ことさらに法律規定する必要はないではいなか、この点についての意見はどうか、こういう御質問のように伺つたのであります。地方団体並びにその職員に対する義務づけの問題につきましては、先ほど御説明申し上げた通りでございますが、ただいま御質問になりました職員団体等の問題につきましては、地方公務員法案考え方は、先ほど触れましたように、国の全体としての公務員制度の一環として地方公務員制度というものを確立して参りたいという考え方がございますことは、御承知通りでございますが、さような場合におきましては、国家公務員といい、あるいは地方公務員と申しましても、その本質的な地位につきましては、憲法の定めておりますようにかわりがないわけでございます。従つて国家公務員法におきまして、職員団体結成を認める道が開かれておりますと同時に、交渉の道が開かれておりますのと対照いたしまして、特に地方公務員についてのみ、これらの団体結成やら、あるいは交渉の道を妨げるということは、はたして均衡がとれるかどうか、むしろ均衡を失するおそれがあるのではないか、地方公共団体職員に対して、過重な規制をすることになるおそれもあると考えられますので、全体の奉仕者としての公務員たる立場と見合いまして、国家公務員法規制されておりますのと、これと考えあわせまして、この法律案におきましても、地方公共団体職員団体結成なり、あるいは交渉の点につきましては、許さるる限度において公務員たる身分に応じて制限をされることは、やむを得ないといたしましても、これらの方途をここに明らかにすることは、やはり地方公務員制度全体の円滑なる運用から申しましても、また職員身分なり、あるいは地位なりの保障、保護その他の点から考えましても妥当であろうと、私ども考える次第でございます。従いまして特に先ほど御指摘になりました政治行為制限の問題であるとか、かような点につきましても、基本的な重要な事柄につきましては、やはり法律において明らかにいたしておきまして、しかも地方公共団体自由裁量にゆだねる部分は、これを自治立法権であるところの條例に幅広くゆだねることが妥当であろうと、かように考えた次第でございます。
  15. 大泉寛三

    大泉委員 この職員組合性格が、相当大幅に削減せられてしまつたんであるから、これは何も法律で明記しなくても、むしろ地方実情に合致するように、いわゆる地方自治体にまかせておいた方がよろしい、こう申し上げるのは、私はどうも法律でこういうふうに画一的に明記しますと、とかく地方公共団体は何としても全国的な一つ連繋立場に立つておる、あるいは厚生施設その他待遇給與等に応じては、やはり全国的な一つ立場にどうしてもなりがちである。そうすると、きわめて辺鄙な地方において、あるいはまた非常に繁華な土地においては、同じような生活状況にはないのであるけれども、この組合を通じて画一的な一つ待遇要求その他の連繋によつて、どうも地方自治体財政をむしろ困難に陷れしめるような一つの素因がここにありはしないか、こういうふうに私は心配するのであります。であるからこうしたことは地方自治体に一切まかせておいた方がよろしいのじやないかと思うのであります。必要ならばその地方自治体のいわゆる條例わくの内において一切を認める。こうしたことは法律の上で明記しない方がいいのじやないか、今申し上げたように地方自治体は、いろいろ今後統制もだんだんはずされて行きますと、生活状態というものは非常に開きが出て来る、開きが出て来るときに、どうも給與その他の待遇が全国的に行われるということになりますと、非常に自治体としてもこの方面から財政的に崩壊する一つの危險があるというふうに私は思うのでありますが、これに対する御意見を承りたいと思います。
  16. 小野哲

    小野政府委員 お説は一応ごもつともと存ずるのであります。ただこの法律案考えておりまする職員団体組織目的は、御承知のごとく当該地方公共団体当局交渉するための団体ということにいたしておるのでございます。従いまして当該地方公共団体当局交渉するということが主たる目的になつておりまする関係上、これが交渉等にあたりまして、その公共団体財政状況、その他を十分に勘案しながら、それぞれの、要求等の審査と申しますが、検討によつて実現し得るものは実現して行く。こういうことになるであろうと思うのでございます。特に給與の問題のごときは、條例によつてきめられることになつておりますために、單に当局団体交渉によつて最後的な結論が出るのではなくして、やはり当該地方議会の議決によつて條例の定めるところにより実施されるということにも相なる次第でございまして、これらの点については、交渉は行いましても、やはり法令條例規則規程等に違反しない限度において、これを行つて行かなければならないというふうな制限も付せられておるような次第でございます。御心配のように地方団体財政に大きな影響を及ぼすというふうな場合につきましては、十分に職員団体自身考えることでございましようし、また当該公共団体当局においても、もちろん議会との関係におきまして、十分に検討いたすべきことになるであろうと思うのでございます。ただ自由にこれを地方公共団体にまかせることになりますと、私ども心配といたしましては、現行の地方公務員制度自体が、御承知のようにきわめて不安定な、また旧態依然たる状態にあるような点にかんがみまして、職員保護というふうな点につきまして、あるいは欠くるところが生じはしないかということも考える次第でございます。従つて職員保護というふうな、きわめて地方公務員にとりましては、重大な問題とのつながりもございまする関係上、やはり法律によりまして職員団体結成の問題に触れておく方が、私は妥当であろうと考えるのでございまするけれども、その運用につきましては、これはそれぞれの地方公共団体実情に合うように運用すべきである、かように考えておるような次第でございます。以上のような見地から、大泉さんの御意見は、まことにごもつともとは存じまするが、職員保護並びにその団体運用というふうな点を、彼此考えあわせまして、法律の上でその基本的な問題を規定するようにとりはからつたような次第でございます。
  17. 大泉寛三

    大泉委員 公務員政治活動に対する制限がありますけれども、いわゆる政治といつても、政治団体を通じて政治団体を支持するとか、反対するとかいうような選挙運動という立場において、制限はだれでもわかるのでありますけれども自己のいわゆる公職選挙法による政治的な一つ素地をつくらんがために運動するということは、これもやはり一つ政治運動だと私は思うのでございます。それに対する何らの制限もない。具体的に申しますと地方の府県において、たとえば副知事とか、その以下の課長級くらいのものが、自己公職選挙に対する運動を、いわゆる組織体の中の町村長その他の者を動かして、政治活動素地をつくつて行こうというようなことも、相当あり得ることだと思います。私どもは現に出くわしておるのであります。こうしたことに対する制限のないことは、どうでありましようか。
  18. 小野哲

    小野政府委員 政治的行為制限につきましては、この法律案にございますように、それぞれの規定を設けておるのでございますが、要は政治目的というものを前提といたしまして、そういう目的を持つて行われる政治的な行為につきましては、これを制限して行こう、こういうことになつておるのでございます。しかし何が一体政治的な目的であるかということは、この法律案の中にこれを明らかにいたしまして、その目的を持つた、またこれに伴う行為についての規制をいたして行きたいというのが、この法律案考え方でございます。従いましてただいま御指摘になりましたような事態が、はたしてここにいわゆる政治的行為に該当するかどうかということにつきまして、まず前提として、その場合においてこの法律案に定めておりますような政治目的を持つておるかどうかということをまず検討を加え、次にこれに伴う政治行為がありやいなやということになります。と同時にこの法律規定されております以外の点につきましては、当該地方公共団体條例でもつてきめ得ることになつておりますので、個々の具体的の場合に応じて考究、検討を加えて行かなければならない場合が出て来るであろう、かように考える次第でございます。この点が国家公務員法におきまして、政治的行為制限事項が、人事院規則に委任をされまして、列挙されておるところとは異なつておるわけでございまして、さような考え方からただいま御指摘になりましたような問題につきましても、研究の対象になろうかと思うのでございます。要は政治目的に該当するかどうか、またこれに伴う行為であるかどうかということによつて、判断をいたして参らなければならないかと、かように考えております。
  19. 大泉寛三

    大泉委員 さつきお尋ねした中で、まだお返事がないようでありますが、地方公共団体がこの法律意思を尊重して責任を負うことであろうと思うのでありますけれども、これは何らそういう行為をやらなかつた、いわゆる別に義務づけられていないのだから、とにかく自由な立場において、それが放任された場合に対する対策はどういうことになりますか。
  20. 小野哲

    小野政府委員 お答え申し上げます。先ほどこの点についての答弁を拔かして恐縮に思いますが、地方公共団体義務づけられております点は、この法律案個々條項において明らかにいたしておるような次第でございまして、これが実施につきましては、地方公共団体におきましても、法律に基く必要な義務的な事項といたしまして、やはりこれは実行してもらわなければならないわけでございます。従いまして、この法律わく法律ではございますが、おのずから各條項に基きまして、地方公共団体職員の福祉あるいは保護その他の点につきましては実行に移さなければならないと義務づけられておるものと、御解釈願つてよいと考えております。
  21. 前尾繁三郎

  22. 藤田義光

    藤田委員 私はまず第一に地方公務員法案に現われましたるいわゆる労働三法に対する重大な制限に関しまして、御所見を伺いたいと思います。御存じの通り労働三法規定するところは、憲法に基きました労働者の重大なる基本的な権利でございます。先般来の政府委員の御説明によりましても、まだ労働三法、特に労働組合法及び労働関係調整法という重大な法律に対する制限根拠と申しますか、目的に関しまして明快なる御答弁がないやに了解しておりますが、この機会にいま一度はつきりと憲法に明示されたる労働者基本的人権たる労働三法すら、制限せざるを得ない根拠をひとつ明示していただきたいと思います。
  23. 小野哲

    小野政府委員 まず私からお答えいたしまして、さらに補足的には次長からも御答弁申し上げたいと思います。  この法律案を作定いたします場合におきまして、ただいま御指摘になりましたように、地方公務員につきましては、労働三法の適用の制限あるいは排除をいたしておるということは御指摘通りでございます。この点がただいま仰せになりましたように憲法上保障されておる地方公務員基本的人権を無視するものではないか、こういうふうな一応の御意見と承るのでございますが、なるほど一般国民以上に地方公務員が、これらの権利制限されておる状態に置かれるかのように見受けることは事実でございます。しかしながら地方公務員地方住民全体の奉仕者であるという公務員の本質から申しまして、当然の規制であると考えられるばかりでなく、法全般を流れております精神から申しますと、かえつて地方公務員地位なり身分なりをむしろ保護し、あるいは公務が公正円滑に塗布できるような状態に、これを確保して行くという考え方があると私ども思つておるような次第でございます。従いまして国家公務員に関しまして、ただいま御指摘になりましたような、排除もしくは制限が設けられますのと同じような意味合いから申しまして、地方公務員につきましても、この点については同様の取扱いをいたしますことが適当である、かように考えた次第でございます。従いまして私どもはこの労働三法の適用の排除ないし制限に関しまして、憲法の保障しております基本的人権、しかもこれまた公共の福祉という一つ限度における憲法上の保障でございますのと、同時にまた公務員たる本質から考えまして、この種制限ないし排除はやむを得ないものと考えておる次第でございます。なお次長からも敷衍的な説明をいたしたいと考えております。
  24. 鈴木俊一

    ○鈴木(俊)政府委員 労働三法の適用を排除しておる根拠につきましてのお尋ねは、今政務次官から申し上げた通りでございますが、さらに若干補足をして申し上げます。労働三法のうち労働組合法労働関係調整法は、これは文字通り排除いたしております。その排除いたしております基本的な理由は、先刻政務次官が申し上げましたように、やはり勤労を私企業において用いておりますものと、公務として定めておりまするものとの間におきましては、おのずからそこに差異がある。これは一昨年のマツカーサー書簡において、いわゆる労務者とそれから公務員との間における区別が、従来非常に不明確であつた。この点を明確に区別することによつて国家公務員の基礎というものを組み立てて行かなければならぬというような考え方からいたしまして、今の労働組合法労働関係調整法等を、国家公務員法におきまして排除いたしておりますが、その建前を持つて参つたわけでございます。これはひとしく公共の信託に基礎を置いておりまする地方公務員といたしましては、やはり同様の原則を採用することが適当であろうと考えたからであります。憲法によりまして団結権を保障し、あるいは表現の自由といいますか、そういう話合いをする権利を、基本的人権一つとして確認をいたしておりますが、これは憲法十三條にむいて同時に規定をいたしておりますように、やはり濫用せられてはならないのであつて、公共の福祉のための制限ということは、これにおのずからそこにあるものである。無制限権利ではないということが言われておりますし、同時にまた憲法十五條の全体の奉仕者としての公務員性格から申しましても、そこに制限が出て参るということは、これはやむを得ないものであろうと思うのであります。しかしながらこの法案におきましては、労働組合にかうるに職員団体という形におきまして、公務員としての性格上齟齬をしない建前におきまして、交渉をする権利を認め、またそれに基きまするところの意思の合致というものにつきましての措置規定いたしておるわけでございまして、公務員がいわゆる話合いをする権利というものを、マツカーサー書簡が認めておりまする通りに、これを確認をいたしておるわけであります。また労働関係調整法が排除せられましても、利益処分の審査あるいは勤務條件に関する措置の要求ということによりまして、人事委員会なりあるいは公平委員会におきまして、十分職員の利益保護ははかり得る、こういうふうに考えております。何時に一般的にこの懲戒とか分限等につきましての身分保障につきましても、法律なり條例によらずして、そのような措置をとることができないように保障いたしておりまして、身分保障の全きを期しておるような次第でございまして、要するに別個の体系において、従来の労働法が與えておりました利益を保護するようなことをいたしておるのであります。さらに労働三法一つの労働基準法でありますが、これにつきましてはいわゆる勤労者としての最低の勤務條件を保障いたしたものでございまして、公務員としての性格に抵触いたしますような部分、たとえば労働條件の対等決定でありますとか、あるいは従業規則関係でありますとか、あるいは司法警察官の関係でありますとかいつたような、公務員性格から申しまして、若干の相入れない規定を除きましては、基本的には労働基準法が定めております勤務條件に関する保障は、これをそのまま地方公務員にも適用するという形にいたしておりまして、労働三法考えております利益の保護というものには、形は若干かわつて参りましたけれども欠けることはないように、立案をいたしておる次第でございます。
  25. 藤田義光

    藤田委員 地方公務員法案国家公務員法と比較いたしまして、最も重大なる相違点は、政治行為制限であるだろうと思うのであります。この点に関しましては、国家公務員法があげて人事院規則に同様のことを委議いたしておりますが、地方公務員法において何ゆえに法律にはつきりし、條例規則等に譲らなかつたかという点が、いまだはつきりしないのでありますが、この点に関しましてお答え願いたいと思います。
  26. 小野哲

    小野政府委員 お答え申し上げます。藤田さんが仰せになりましたように、国家公務員法におきましては、その内容について政治的行為はどういうものであるかということを、人事院規則に委任をいたしておることは仰せ通りであります。ただ地方公務員法においての考え方は、大体において公務員たる性格に基きまして、国家公務員たると地方公務員たると、均衡を失するような扱いをすることは妥当でないという基本的な考え方にはかわりがないわけであります。ただ御承知のごとく、問題は地方公共団体が非常に数が多うございますのと、また事情が必ずしも全国的に見まして、国家公務員法において予想しておりますように、画一的に法律でもつて確定をするということがいかがなものであろうか。といつてこれを地方公共団体條例に、あげてまかしてしまうということは、多数の地方公共団体がございますために、その間に区々まちまちになるおそれもないことはないわけでございます。職員にとりましても政治的行為制限等は重大な事項でございますのと、また重要な、かつまた地方公共団体に共通するような事項につきましては、やはりこの際法律の上にはつきりと、その基本的な部分を掲げまして、そしていわゆるわく法律としての地方公務員法の妙味を発揮して行くということが、地方公務員法としての特徴のあるやり方ではないか、かように考えましたがために、重要な事項につきましては、これを法律事項として掲げますと同時に、地方公人団体の多種多様な状況にかんがみまして、広く條例によつてこれを規定することができるという道を開いたような次第でございます。これらの点が地方公務員制度の基本的な考え方からいたしまして、国家公務員法との取扱いがやや異なつておる点があり、従つて政治的行為制限につきましても、地方公務員法と国家公務員法との扱いの上に、異なつたやり方が現われて来ておる。かように私ども考えておる次第でございます。
  27. 藤田義光

    藤田委員 実は地方公務員も環境は種々雑多でございまして、山間僻地にある公務従事者に、この法律が浸透するのには相当の歳月を要するだろうと思います。非常に淳朴なる山間僻地におきまして、かかる重大なる基本的人権制限を受けました規定が、容赦なく都会地と同一時期に実施になるということになれば、相当混乱があるのじやないかと思います。特にほかの條項に比べまして、政治活動の禁止に関する條項は二箇月後に実施されるという、非常な短期間になつております。従いましてこの点に関しましては、ほかの條項がやや余裕を持つているのにかかわらず、あまりに期間が短か過ぎはしないか、少くとも三、四箇月くらいの余裕を置いて、実施した方がよかつたのではないかと考えますが、この法律の実施事項のうちで、最も短期間に定められました理由がありましたならば、お伺いしておきたいと思います。
  28. 小野哲

    小野政府委員 お答え申し上げます。ただいまお話になりましたように、この法律案の施行につきましては、事柄の性質なり種類によりまして、段階的にやつて参りたいと考えておるわけであります。それにたとえば人事委員会の設置の問題であるとか、あるいは試験、職階制の制定であるとかいうふうな、相当あらかじめ研修を要するような事項であるとか、または相当技術的に種々準備をいたさなければならないような問題等につきましては、ある程度の期間を設けますことが、国家公務員法の例から申しましても妥当であろうと、かように考えておる次第でございます。その他の規定につきましては、大体二月程度のゆとりがもりますならば、円滑に実施し得るものと考えておるわけでございます。特にただいま御指摘になりました政治的行為制限に関する規定でございますが、山間僻村等に対しまして、これを浸透するのに相当の時間をとつておく必要があるではないか、こういう御意見はまことにごもつともでございます。私どもも同感ではございまするけれども、政治的行動の制限等につきましては、国家公務員法におきまして人事院規則が制定されて、国家公務員につきましては相当慣熟された事柄でございまするので、地方公務員につきましても、これらの実施の模様はある程度熟知いたしておるものと私は考えるわけでございます。従いましてこの政治的行為に関する規定が、二箇月程度の期間に実施されましても、晴天の霹靂であるというふうな感じは持たないであろうと存じまするし、またこの法律案では、この地方公務員法に基く諸般事項につきましては、地方自治庁が適当に助言をしたり、あるいは相談相手になるというふうな道も開かれておりますので、御意見のような点につきましては、地方自治庁といたしましても遺憾のないようにとりはからつて参りたい、かように考えております。
  29. 藤田義光

    藤田委員 地方公務員法の適用者のうちで、非常に不自然に思いますのは、いわゆる常傭従業員と申しますか、單純労務者でございます。御存じの通り大都市におきましては下水、清掃人夫が多数におります。われわれの持つております資料によりますと、大体六万人くらいおるのじやないかと思います。これらの人にもこの地方公務員法が同一に適用されるということになりますと、たとえば研修あるいは服務、任用、職階制等に幾多の矛盾した事態が惹起しはしないかと思います。公営企業の職員に関しましては、附則の末尾に別個の單行法をつくるということを明示されておりまして、この点に均しましては大体解決されておりますが、この單純労務者の取扱いに関しましては、相当具体的に法案実施の過程においてトラブルを起すのじやないかと思います。むしろこれは公営企業の従業規程労働関係法。うちに、別個に一項目を入れまして、かかる特殊なる單純労務者の扱いは、地方公務員法と別個の取扱いをすることが、現実に即していはしないかというふうに考えます。従いましてたとえばこの條文におきまして、第二條の最後の項目に單純労務者というようなものを挿入いたしまして、この法案の適用から除外したらどうかというふうに考えますが、この点お伺いいたしたいと思います。
  30. 小野哲

    小野政府委員 昨日も單純労務者を中心といたします現業職員の点につきまして、種々御質疑があつたのでございますが、その際にもお答えいたしておつた次第でございますが、さらに私からも申し上げておきたいと存じます。  ただいま藤田さんからおつしやいましたように、常識的に考えて單純労務を主体とするいわゆる現業職員を、一律に地方公務員身分扱いをして行く、言いかえればこの法律案の適用を受けるようにするということは少し行き過ぎではないか、これは一応の考え方として私どもも首肯いたすところでございます。ただこれにはいろいろりくつの上において、その経費が税收すなわち一般予算によつてまかなわれておるとか、あるいはまたその仕事の性質から申しまして、またその置かれておる地位から考えまして、求職の点等から考えますと、必ずしも一般公務員のように適当なあるいは強い立場に置かれておるものとも考えられませんので、現業職員保護というふうな点から申しましても、やはり地方公務員並の扱いをして行くということが向上された地位保護ということになりまして、單純労務者等につきましては適当ではないかと考えておるのでございます。しかしながら御意見のように下水あるいは清掃等の事業に従事しておりますような常傭的な單純労務者、これを総括的に申しますと、現業職員と申していいと存じますが、これらの身分取扱い等につきましては、国家公務員法との関係もございますので、国家公務員法と並行して十分に考究いたさなければならない点もあると私は考えております。従いましてこの際地方公務員法から適用を除外いたしまして、全然別個のものにするか、あるいは先ほど申しましたような理由から地方公務員たる身分取扱いはするけれども、その職務の内容、性質害から考えまして特例的な措置を講じて行くか、この二つの考え方が出て来るのではないかと思うのでありまして、私ども考え方としましては関係当局の間で話がまとまりますならば、むしろ特例的な措置を講ずるようにいたして参りたい、かように考えておる次第でございます。
  31. 藤田義光

    藤田委員 地方公務員法の実施によりまして、職員に適用される基準というものが非常にはつきりして参ります。従いまして公務員の素質の向上と申しますか、地方公務員の研修ということが、非常に重大な問題になつて参ります。例は適当でございませんが、現に警察関係におきましては、自地警察と国家警察が一体になりまして、警察大学に随時全国から召集いたしまして短期間の練成をやつております。これが終戰後に混乱しておりました警察官の素質向上に、非常に貢献いたしておることは、御存じの通りでございます。巷間伝えるところによれば、自治庁におきましては、この地方公務員法の成立を機会に自治大学を設置して、相当強力なる研修をやりたい、岡野国務大臣は終生の事業としてもこれをやりたいというような風評を耳にしておりますが、もしそういう計画がございましたならば、この際なるべく詳細にひとつ御発表願いまして、いろいろわれわれの批判の対象にさせてもらいたいと思います。
  32. 小野哲

    小野政府委員 地方自治が強化されるに伴いましてその仕事もふえ、かつ責任も重くなつて参りますことは、申し上げるまでもないのでございまするが、何と申しましても、運営に必要な当該職員がよいものになる、よいものに育て上げるということがぜひ必要であろうと存じます。さような意味合いにおきまして、研修の問題はきわめて重要な問題であり、いわば再教育の問題等と関連いたしまして、職員の素質の向上に努めて参りたいと思つておりますことは、御意見まつたく同感でございます。それにつきましては、昨今、地方によりましては、自治講習所というふうなものを設けて、自発的に職員の再教育に従事しておるところもございまするが、ただいまお話になりましたような研修機関を整備して行く、あるいは強化して行く、こういう点については、かねてから岡野国務大臣を初め私どもの問で、種々協議を進めておるような次第でございます。いまだ具体的にどういう計画の内容を持つておるかということは、申し上げるまでには至つておりませんが、できるならば警察の職員の再教育、その他養成についで、大学制度まで設けられておる今日でございまするので、いよいよ新しい地方自治が確立されようとする今日におきましては、ぜひ、少くとも地方自治の職員の養成のために、最も望ましいかつ最高の機関として、自治大学というふうなものをつくることによりまして、一層地方自治の健全な運営に役立たしめるように、職員の方面、地方公務員制度の方面からも強化して行きたい、こういう念願を、私どもは持つておるような次第でございます。これにつきましては、資金であるとか、あるいはその他具体的の方法の問題がございますので、目下寄り寄り相談をいたしておるのでありますが、いずれ具体化して参りました場合には、委員各位の十分な御協力を願いまして、これらの施設が実現いたされますように御配慮を賜わりますれば、たいへん仕合せに存ずる次第であります。
  33. 藤田義光

    藤田委員 次は人事機関の問題でございますが、人事委員会都道府県及び五大都市に強制措置規定がございます。ところが御存じの通り、平衡交付金の還付問題、その他五大都市は現在施策が非常に山積いたしておりまして、出費多端なために、新たに人事委員会という相当厖大な機構を建設するということは、地方財政の現状から非常に困難ではないかというふうに考えておるのであります。従いまして、この際財政的な見地からも、都道府県のみに人事委員会の設置を制約したらどうかというふうに考えますが、この点に関する政務次官の御見解をお伺いすると同時に、この規定の中に、人事委員会は三名をもつて構成いたしまするが、二名以上出席しておれば会議を開けるという規定がございます。ところが人事委員会の権限は実に重大なものでございまして、ぜひとも少数精鋭の人事委員会の特質にかんがみまして、あくまで全員出席にあらざれば会議が開けぬというふうな規定を設けた方が、人事委員会目的に沿うのではないかというふうにわれわれは解釈いたしておりますが、この二点に関しましてお伺いいたしたい。
  34. 小野哲

    小野政府委員 ただいま御質問のありました人事機関、言いかえれば、これは人事委員会をおさしになつておるものと思うのでありますが、五大市に必ず設置するということでなしに、都道府県程度にとどめてはどうか、こういう御意見のように承つたのでございます。人事委員会の設置につきましては、この法律案の立案の過程におきまして、種々検討を加えて参つたのでございますが、地方公共団体職員の数、あるいは規模等から考えまして、少くと都道府県、五大市程度は置くことが妥当であろう、こういうふうな結論に相なりましたために、この法律案としては、さような取扱いをいたしたいと思つておるのであります。  ただいま御心配になつておりまする地方団体財政の問題と関連しての問題でございますが、現有におきましても、職員委員会とか、あるいは懲戒審査委員会というふうなものもございますので、これを適当に改組いたしますとともに、職員の問題につきましても、できるだけ有効に配置をいたすことによりまして、経費がかからぬようにくふうして参りたい、かように考えておる次第でございます。  なおこの法律案で、人事委員の会議開きます場合に、その定足数が二名でいいというのを、全員出席ということにしてはどうか、こういうことでございますが、能率的な人事委員会運営をいたしますために、大体従来の例から申しましても、三名出席によつて運営されることもございまするので、大体この考え方を踏襲いたしまして、適当であると考えておるような次第でございます。  なお法律條項についての詳細な点は、次長から御説明を申し上げたいと存じます。
  35. 藤田義光

    藤田委員 最後にいま一点お尋ねいたしておきたいと思いますが、地方公務員法が実施された場合におきまして、地方財政の観点からしまして、相当歳出に影響するんじやないかと想像されますが、この点に関する、たとえば身分等に関しましても、はつきりした職階制が出て参りして、いろいろと公務員保護規定が実施されることになりますと、地方公共団体の出費は当然多くなつて来るというふうに想像されますが、もし具体的な資料がございましたならばお伺いしたい。現存御用意がなかつたならば後日お知らせを願いたいと思います。
  36. 小野哲

    小野政府委員 藤田さんも御心配になつておりますように、地方公共一体の財政運営地方公務員法の実施とは、十分な関連を持たせて考えて行かなければならぬということは、その通りであろうと存じます。ただ私ども考え方といたしましては、このために特に多数の人を増員するというふうなことは極力避けまして、当該地方公共団体職員を合理的に使つて行くということによつて、最小限度の経費でもつてまかなうようにして参りたいということを考えておる次第でございます。  なおただいまお話のございました具体的な資料につきましては、今ここに実は準備ができかねておりますので、後日また具体的な資料の準備ができました際に、私どもの方からお示しするようにいたしたいと思つておりますので、御了承願つておきたいと存じます。
  37. 山手滿男

    ○山手委員 今の藤田委員からの質問にも関連いたしまして、私一、二点お伺いをいたしたいと思いますが、憲法規定によりまするところの基本的な人権の重大なる制限をするわけでございますが、これに対する公務員自体の保護といいますか、救済というものは人事機関の運営のよろしきを得るということが、きわめて重大な意義を持つことじやないかと、私ども考える。国家公務員の場合におきましても、現在の運営状態を見ましても、政府と人事院との間に、勧告をしても勧告しつぱなし、取合わないというようなことで、人事院というものがきわめておざなりのものになつて行きつつある。ところが今政務次官のお話がありましたように、できるだけ簡素化したもので行く、しかも地方でございますので、中央における人事院のように、調査とかそのほか完全なものが、地方都道府県の人事委員会では手に入らない。あるいはまた選ばれた人事委員そのものも、必ずしもそう博学達識な者ばかりとは限らないのでありまして、地方の人事委員会都道府県の首長あたりとの間に、いろいろトラブルを起すおそれがある。その場合に公務員立場を十分保護して余すことのないようにしてやることが、一方においてきわめて重大なのでありますが、その辺のことについてどういうふうにお考えになつていらつしやるか、御説明を願いたいと思います。
  38. 小野哲

    小野政府委員 お答え申し上げます。国家公務員につきましては、人事院ができまして、專門的な人事機関として仕事をやつておるのでございますが、今回地方公務員制度を確立するために私ども考えましたことは、近代的な人事行政は、職階制等の種々なる制度によりまして、人事行政が科学的に行われなければならない。その場合に、従来のようないわゆる任命権者のみをもつて、統一的な画一的な人事行政を行つて行くというところを是正いたしまして、人事についての專門的な機関を設けて、職員の福祉あるいは利益の保護に当らせるような道を開いて行くということが妥当であろう。アメリカ等における制度をしんしやくいたしましても、さような点があるように聞いておるような次第であります。従いまして問題は、人事委員会がさような使命を十分に果し得るように、運営をいたさなければならないという点であろうと思います。つきましては、人事委員会を構成する人出委員の問題になるのであります。法律もこの点につきましては、十分な関心を寄せるように規定をいたしておるのであります。従つて地方公共団体の長も、その重要な使命を持つておる人事委員会の委員を選任いたします場合においても、十分に選考をいたして、これにふさわしい人物を委員として任命するように、とりはからつてもらわなければならないと思うのであります。人事院ができまして、その功罪についていろいろと批判が行われておるということを私承知いたしておりますが、しかしながら少くとも人事行政の近代化あるいは科学的な運用という点から申しますと、やはり人事院のような機関がありまして、それによつて職員保護その他の仕事に当るということが望ましいと思うのであります。地方公務員制度におきましても、同様の趣旨から近代的な人事行政に関する機関を必要といたすという要請から考えまして、人事委員会を設けたような次第で、従つてただいま御心配になつておられますように、地方公共団体当局と人事委員会とが、その運営の上で気まずいようなことにならないようにいたすということは、きわめて大切な事柄であろうと存じます。この点につきましては、いずれ人事委員会を設置いたしまして、これを動かして行きます場合においては、相当地方自治庁といたしましても、よくこれらの点を指導いたしまして、また技術的な助言もいたしまして、この公務員制度にふさわしい人事委員会ができますように、できるだけ協力し、努力して参りたい、かように考えておるような次第でございます。
  39. 山手滿男

    ○山手委員 できるだけ自治庁の方で相談に応じて、うまく運営されるようにするというお言葉はよくわかるのでありますが、しかし国家公務員法の場合とこの法案との両方を見てみますと、国家公務員法の場合におきましては、人事官というものはもちろんその意に反して退任を、求められるというようなことはないし、あるいは人事官の彈劾の裁判は、最高裁判所においてこれを行うというふうな、いろいろな地位の保障がされておるのでございます。しかし地方公務員の場合におきまするところの人事委員というものは、任命されるときはその任命権者が、地方議会の同意を得て任命をするのでありますが、その後実際にその委員会の中に人づて行つてタツチをして行きますと、必ずしも任命権者の意思とはぴつたり行かないような立場に立つのじやないか。しかも人事委員そのものの立場保護ということが、きわめて不十分であるように私は思うのであります。そういたしますと、なるほど地方自治庁の方で、この人事委員を任命するについても十分に指導をして摩擦を起さないように、うまく運営されるようにやつて行きたいというふうなお気持はわかるのでありまするが、しかし実際問題としては、そういうような状態ではこれはうまく行かないのじやないか、こういうことをわれわれは予想するのでありますが、その点についてどうお考えになりますか。
  40. 鈴木俊一

    ○鈴木(俊)政府委員 人事委員の身分保障と申しますか、地位の保障につきまして、国家公務員法に定めております人事官の人たちの保障に比較して、やや手薄じやないかというような御疑問だと思います。これは御指摘のごとく、国家公務員法におきましては、彈劾の場合においては、国会の訴追に基いて公開の彈劾手続で最高裁判所がやるというような建前をとつておるようでございますが、これも保障の非常に手厚い行き方であろうと思いますけれども地方公共団体に置かれまする人事委員会の委員の身分保障ということにつきましては、こういうような形で事をやりますことは、これは性質上できませんので、何らかこれに匹敵するような適切なる地位の保障を考慮する必要があると私ども考えた次第でございまして、特に人事委員がその心に反して罷免されるというようなことにつきましては、政党所属関係におきまして、同一政党に属する者が二人以上になつたというような場合におきましては、政党所属関係に異動のありましたものを罷免するという場合が一つ、いま一つは職務遂行にたえないような心身の故障を生じたという場合、及び委員として職務上の義務違反、その他委員であるに適しない非行があつた、こういう二つの場合に限りまして、長が議会の同意を得てこれを罷免する、こういうようなことにいたしておるのであります。これ以外の理由によりまするものは、その意に反して罷免をするというようなことはない、こういうふうに限定し、地位の保障をはかつておりまするが、同町にあとで申し上げました議会の同意を打て罷免をいたします場合におきましては、必ず議会の常任委員会あるいは特別委員会において、審議せられることになると思いま下るが、その際には必ず公聽会を捌かなければいけないということにいたしまして、議会が愼重にかつ公開の審議を盡した上で事を処理して行くように、法律の上で特に義務づけておりますので、これによりまして、人事委員の地位というものが、やはり担当に厚く保障せられることになつておるのではないかと考えておるのであります。
  41. 山手滿男

    ○山手委員 この点この地方公務員法の場合は非常に、消極的に法案ができておりまして、従つて地方公共団体に働いておりまする公務員諸君としても、非常に不十分に思われる面が多いのじやないかと私は思うのであります。おそらくこれが出まして、中央において政府に人事院がああいう勧告や意見書を出しても、そのままどこに行つたかわからぬ、実際に運営されないというような状態が出た場合には、地方の木端におきましては、相当なトラブルを起す問題が起きて、中火であつさり片づけるようなりくつには行かないような事態が起きるのじやないか。この点についてはもつとここに親切な――片一方では公務員政治活動の重大なる制限をやろうというのでありまするから、十分そのはけ口といいますか、天窓をあけてやるような、何らかの規定がもう少しここになければならぬのじやないかと思います。これは人事機関の問題だけではありません。ほかの点においても、非常に不十分な点が多いと思うのでありまするが、そういう点について、さつきの自治大学をつくるとかいうようないろいろな試みもあろうと思うのでありまするが、もう少し地方自治庁としての積極面のお考えについてお説を承つてみたいと思います。
  42. 小野哲

    小野政府委員 山手さんのおつしやいますように、この地方公務員法案において詳細な規定を掲げて、いずれの方面からもある程度こまかく運用するようにしてはどうか、こういうふうな御意見のようにも伺つておりまするが、先ほど来申し上げましたように、地方公務員法と申しますか、地方公務員制度事体の特徴、あるいは本質から申しまして、いわゆるわく法律と申しますか、さようなもので地方公共団体規制いたしますとともに、また職員に関する諸般規定を織り込んで行く、こういう建前をとつておりますために、一見何となくもう少しかゆいところへ手の届くようなぐあいにしたらどうだというふうなお感じはお持ちになるであろうと存じますけれども、そこのところが国家公務員法と違う地方公務員法の一つの特徴である、こういうふうに御判断を願いたいと思う次第でございます。
  43. 大石ヨシエ

    ○大石(ヨ)委員 小野政務次官にお尋ねいたしますが、仄聞するところによれば、二十四日に地方財政委員会から政府に対して意見書を提出しておるということでございますが、その意見書はいずこへ迷つておるのでございましようか、お尋ねいたします。
  44. 小野哲

    小野政府委員 お答え申し上げます。地方財政委員会から政府に対して意見書が提出されておるということは、地方財政委員会の方から申し上げたかと存じまするが、これは国会へ提出する場合におきましては、内閣を経由するということになつておりますので、不日国会の方へ正式に内閣の方から提出することになると、私は期待をしておりまするし、そうするようにとりはからいたいと考えております。
  45. 大石ヨシエ

    ○大石(ヨ)委員 小野さんにお尋ねします。意見書は近く内閣からこちらへまわつて来るのでございますね。
  46. 小野哲

    小野政府委員 そういう手続をとるであろうと私は考えております。
  47. 大石ヨシエ

    ○大石(ヨ)委員 たいていいつごろこちらへまわつて来ますか。
  48. 小野哲

    小野政府委員 実は私その点まだ詳細に聞いておりませんので、いずれ連絡をとりたいと思います。
  49. 大石ヨシエ

    ○大石(ヨ)委員 それではこの意見書というものは、われわれに非常に参考資料になるものですから、さつそく内閣と御連絡くださいまして、こちらに届くようにしていただきたいと存じま  それからもう一点お尋ねしたいのは、新聞で見ますと、われわれの歳費も上つて、私たちは非常にうれしゆうございます。ところが国へ帰りまして、私たちは歳費が上つてうれしいが、公務員はびた銭一文もらわない。これは一体どうなるのでしよう。一体われわれ選挙区へ帰つて合わす顔があるでしようか。ちよつとお聞きしたいと思います。
  50. 小野哲

    小野政府委員 お答え申し上げます。歳費の点は、実は私はまだどの程度まで決定したか、よく承知しておりません。新聞の報道によれば、衆議院の議院運営委員会で問題にされたようでありまするが、はたして決定したものかどうか、実は私この方面のことはよく詳細に承知しておりません。ただ大石さんが御心配になつておりまする公務員給與の問題につきましては、かねがね皆様方に多分の御配慮を願つておりますように、何とか給與の改訂にふさわしい財源の措置を講じたいというので、私も努力して参つておるような次第であります。大石さんのお立場から、非常に御同情のあるお気持を伺いましで、まことに私も同感でございますが、公務員関係については、さような考え方で努力を続けて参つておるようなわけでありまして、お互い同士議員でございますので、はなはだ私から答弁を申し上げますのはいかがかと思いまするが、歳費だけ上げて公務員の方を上げない、こういうふうな御趣旨ではなかろうと思う次第であります。
  51. 大石ヨシエ

    ○大石(ヨ)委員 三十五億円では地方公務員に対して給料を上げることはできない、地方財政が破綻する、八十三億円ここになくてはどうすることもできぬということになるわけですが、そうすると私たちだけは上ることは事実なんです。私たちは歳費が上つて喜んでいる。そうしてかわいそうな公務員が増額されないということは、私たち郷里に帰りましても、選挙区に対してまつたく顔向けができないのですが、小野さんどういうようにお考えになりますか。実際日本の国は声なき者の声を聞く政治をしない国であつて、強い者がやはり勝利を得る。そうして私たちは代議士なるがゆえに、増額してくれと言つたら歳費は増額になりますが、地方公務員は実際声なき声です。この声なき声を代弁するために、われわれはこの議会に出ておるのでございます。私たちは歳費が増額になつてつて公務員はぴいぴいしている。それでいいでしようか。これを何とか八十三億円出してもらうようにあなたも努力してくださいませんでしようか。ここに私は、言質を得たいと思う。
  52. 小野哲

    小野政府委員 私としましては、今回の補正予算の上において、給與の改訂に必要な財源の確保をいたしたいというので、これは従来から一生懸命になつてつているわけでございます。この点については、岡野国務大臣及び地方財政委員会からも、るる詳細にわたつて説明をいたしているような次第でございますが、私の気持を端的に申し上げますと、大石さんの気持と何らかわりがないわけでございまして、御趣旨にはもちろん同感であるし、私も同じような気持で今後も努力して参りたいということを申し上げておきたいと思います。
  53. 大石ヨシエ

    ○大石(ヨ)委員 われわれは敗戰国民でございますから、一々GHQの指令をまたなければなりませんので、それではいずれGHQへ行きますから、あなたもGHQへ行つて、どうしても八十三億円を出していただくように、あなたもついて行つていただけませんでしようか、どうですか。その点はつきり御答弁願います。
  54. 小野哲

    小野政府委員 地方財政委員会の直接やつておることでありますけれども、大石さんからお話がありますれば、喜ぶんでお供いたしたいと思います。
  55. 大石ヨシエ

    ○大石(ヨ)委員 それではいつごろ行つてくださいますか。よくうそを言われますから、それをはつきり言つていただきたい。
  56. 小野哲

    小野政府委員 私国会中いろいろ公務の関係もございますので、また御相談いたしまして、時間のゆとりができました際に、お供できればお供いたしたい。かように考えております。
  57. 大石ヨシエ

    ○大石(ヨ)委員 それでは私があなたと交渉いたしまして、向うさんの御都合を伺いまして、ぜひ来ていただくようにここで約束していただきましたね。それでよろしいですね。何ぼ小野さん忙しくても行つてくださいますね。  それから公務員選挙の問題ですが、私は場をはずしておりましたので、重複するかもわかりませんが、われわれと同じ婦人が公務員の中に約十万以上おると思うのでございます。長い間しいたげられておつたわれわれ婦人に参政権が與えられてここに五年、しかも中央におきまして婦人の代議士が選出されておるときに、また婦人の政治活動が非常に活発になつて来たときに、公務員に対して政治制限を與えられるということは、まことに私は遺憾と思います。それからここにアメリカの資料かありますが、私まだ忙しいので勉強しておりませんが、アメリカは各州において違います。その点どういうふうに公務員の政治制限はできておるのでしよう。ちよつと教えていただきたいと思います。
  58. 小野哲

    小野政府委員 婦人の地方公務員がおりますことも私承知しております。従いまして、これらの地方公務員たる婦人の方々の政治的な行為制限につきましては、同様の扱いを受けることは申し上げるまでもございません。ただ問題は、私の気持を申し上げますと、政治的行為制限はその前提として政治目的があるかどうかということになるわけでありますが、政治目的とはどういうものかということは、この地方公務員法案の中に書いてあるわけであります。地方自治を強化して行くためには、できるだけ一般地方住民に自治思想を涵養して行くということをして行かなければなりませんので、いわば啓発運動をやる必要があろうかと思うのであります。さような場合において、やはり地方公務員諸君がそういう意味合いでの指導というようなことを、いろいろやる場合も起つて来るのではないか。従つて政治目的の伴う政治的な行為制限を受けておりますけれども、一面都道府県市町村等におきまして一般的な啓発運動を行うという場合において、地方公務員である御婦人の方々に対しましても御協力を願つて地方住民が十分に理解をして、自治意識を高揚して、地方自治の運営のために協力してくれるように御助力を願うことは、適当なことではないか、かように考えておる次第であります。なおアメリカの問題につきましては、関係当局の方からお話を申し上げたいと思います。
  59. 鈴木俊一

    ○鈴木(俊)政府委員 アメリカの公務員につきましての政治的行為制限でありますが、これはお手元に差上げてあります資料の中にあると存じますが、今御指摘のように各州でそれぞれ地方公務員政治的行為制限が違つております。それからまた各市でもそれぞれ違つております。ただ最近の立法においてハッチ法という法律がありまして、これによりますと、連邦の方から援助を受けておるような行政活動に従事しております地方公務員につきましては、政治連動においていかなる積極的役割をも演じてはならないという一般的な規定がありまして、この法律によりまして、連邦からいろいろ援助を受けておるような行政活動に従事しておる地方公務員につきましては、政治活動が非常に制限せられておるということがございます。その他それぞれの州によつて非常に強いところもありますし、比較的制限の緩和されておるところもあります。先般国家公務員法の改正の際に、当時総司令部におりましたフーバー氏あるいはマツコイ氏あたりからいろいろの声明等が出ておりますけれども、これらの声明の趣旨を拝見いたしますと、今の国家公務員法並びにそれに基く人事院規則で、十数項目の政治的目的及び政治的行為制限を列挙しておりますが、これが大体アメリカのいろいろな方面のものを総合したようなものでありまして、あそこに一つの典型的な型が示されておると申していいと思います。  国家公務員につきまして、どういう政治的行為制限が書いてあるかということでありますが、人事院規則の十四の七というところに――これもたしかお手元に行つておると思いますが、そうした関係法令の中に一番最初の方に書いてありますが、これに非常に詳しくやかましいいろいろの政治的行為制限を書いておるのであります。地方公務員法といたしましては、それらの中の最も基本的な重要なものを取上げて法律に書きまして、こういうものについては各地方公務員を通じて一律に制限をいたしまして、その他の事項につきましては、條例でそれぞれの実情に応じて適宜定めるようにいたしております。そういうようなことによつて調整をとるように考えております。
  60. 大石ヨシエ

    ○大石(ヨ)委員 簡單に小野さんにお尋ねします。この公務員法の中で政治活動制限したのは、これはアメリカのまねなんですか、どうなんですか。
  61. 小野哲

    小野政府委員 わが国にはわが国の法制がございまして、すでに国家公務員法も制定実施されております関係もあり、地方公務員もその本質から申しまして、国家公務員とかわりがないと私ども考えております。従つて地方公務員法案におきましては、国家公務員均衡を失しないようにという考え方から、政治的行為制限につきましても、法律で重要な事項をきめ、さらに地方公共団体條例でもつて定め得る道を開いておるような次第でございます。
  62. 大石ヨシエ

    ○大石(ヨ)委員 先ほど鈴木さんも小野さんもおつしやいました道の、アメリカは州によつて違います。あの大きな円上ですから、州によつて気候風土が違うのですから、やはりその州々によつて選挙法、公務員法も違います。ことにまた人種的にいつても、日本人と白人、アングロサクソンとは違う。そうして黄色人種のわれわれ日本人とは生活様式から過去の歴史からすべてが違います。なるほど占領治下の国民ではありますけれども、われわれ長い間しいたげられておつた者は、普通選挙制限されて選挙権もなかつたような過去の時代を歩んで来ました。ことに婦人はなおさら封建的なことがあつて、しいたげられて今日まで参りました。ところがアメリカのような常識が発達し科学が発達している国で、公務員政治活動を各州において制限されることは確かに私は妥当だと思います。しかし日本は今ようやく民主主義国家になつて、そうして政治的にこうして婦人も多数の男の人も非常に目ざめて参りましたそのときに、こうした公務員を――憲法においては基本的人権を採種しておつて、こうした公務員にのみはそうした政治的活動を阻害するということは、私は非常に非立憲であると思います。小野さんどんなふうにお考えでございますか。
  63. 小野哲

    小野政府委員 わが国の民主政治の発達につきまして、今大石さんからるるお話がございましたので、私からつけ加えて申し上げるものは何ものもございません。今回の地方公務員法案におきまして、地方公務員について政治的な制限條項を設けることになりましたのは、国家公務員法との関連、国家公務員との均衡の問題等から、かような規定を設けることにいたしておるのであります。アメリカの制度がその州によつて異なつておるということも、ただいま鈴木次長から説明を申し上げましたような次第でございまするが、わが国における各地方公共団体は、多種多様であるということはお説の通りでございます。従いましてこの地方公務員法案をつくります場合においては、地方実情が異なつておる、また地方公共団体は数が多くて、またいろいろ違つたものがあるということを念頭に置きまして、いわば統一的にした方がよいというものだけを、この法律の中に基準を設けるような配慮をいたしたような次第で、従いましてこれが運用にあたりましては、それぞれの地方公共団体において実情に合うように運用ができるような道を開いておるわけでございまするので、従いましてこの地方公務員法の趣旨からお考えくださりますならば、必ずしもこの法律のみによつてこまかく詳細にしばりつけて行くというふうな意味でないということが、御理解願えるのではないかと思う次第でございます。
  64. 小玉治行

    ○小玉委員 政治活動に関連しまして、ちよつと私一点お願いいたしたいのですが、この法案の第三十六條の第一項の第五号でありますが、「前各号に定めるものを除く外、條例で定める政治的行為」かように相なつておりまするが、この「條例で定める政治的行為」ということは、やはりこの三十六條の一項のような制限列記的な方法による政治活動を禁ずるような方式によるのか、ないしほかの追放令の違反者が、ちよつとした政治活動をしてもやられるような包括的にすべての政治活動をすることを禁止することを條例では許すようなこともできるのか、これは実に私は重大な問題と考えるのでありまして、もしすべての政治活動條例で禁止するということまでも、第二項の第五号で予定しておるといたしますると、これは私は非常に強い政治活動の禁止になりはしないかと思うのでありまして、その点はいかようにお考えになつておるか、お尋ねいたしたいと思います。
  65. 小野哲

    小野政府委員 お答え申し上げます。ただいま言われましたこの法律案の第三十六條第二項の第五号でございますが、「條例で定める政治的行為」と申しますのは、個々の政治的な行為を定めることになるものと考えております。特に第三十六條第五項をごらん願いますると、「本條の規定は、職員の政治的中立性を保障することにより、地方公共団体の行政の公正な運営を確保するとともに職員の利益を保護することを目的とする」ということで、包括的な條例を設けるということはできないことになりますので、このねらいが職員の利益を保護するということを目的として考えなければならぬということを、特にここに明らかにいたしておるような次第でございます。
  66. 門司亮

    ○門司委員 休憩前に委員長にお願いいたしますが、実はきのう大臣の説明に対する質問をいたしました際に申し上げましたように、大臣はここに各方面とも折衝いたして参つたのでありますと、こうはつきり書いてあります。その各方面の折衝でありますが、おそらく労働省あるいは人事院、それから文部関係に御相談になつたと私は思うのでありますが、それは文部関係といたしましては、御存じのように教育公務員法の特例、さらに教育公務員特例法の施行令というような法律が出ておりまして、教育公務員に対しましては、現在公務員としての一応の法律があるのであります。それから人事院関係といたしましては、おそらくいろいろ問題になつておりまする運用の面についての相談がなされておるんじやないかということ、それから労働大臣に対しましては、例の労働三法の適用をどうするかというようなこと、これらの機関の中に私は必ずここに大臣が説明いたしておりまするように折衝があつたと考えておりまするので、この各関係大臣をひとつ明日の委員会にお呼び願いまして、私ども関係大臣の間に、どういう交渉が行われておるかということを、十分聞きただしておきたいと考えておるのであります。それは議案を審議いたしまする際に、実は申し上げてもいいのでありますが、きのうの大臣の答弁では、ここに各方面との折衝を続けたと言いながら、一番重要な問題であり、ことに大臣が説明書の内容にはつきり書いておいでになりまする地方行政調査委員会との連絡は、双方とも何もなかつたと言つておる。大臣も交渉しなかつたと言うし、委員会の方でも交渉を受けなかつたと言つておる。こういうことでは私ども大臣の説明書自体を信用するわけには参りませんので、ひとつぜひ関係大臣をお呼び願いたいということです。
  67. 前尾繁三郎

    前尾委員長 実は人事院総裁、文部大臣、労働大臣は、今日の午後来てもらうように呼んでありますから、その際にお願いします。
  68. 山手滿男

    ○山手委員 これは話は違いますが、小委員会をつくつて、例の消防の関係はいいのですが、犬の競走の法案審議するのか、起案するのか、そういう小委員会をつくるという話でありますが、それは議員提出か何か出ておるのですか。
  69. 前尾繁三郎

    前尾委員長 すでに小委員会をつくつております。しかしそれは法案がまだ起草を終つておりませんから、いずれ御相談があるはずです。
  70. 山手滿男

    ○山手委員 これはひとつ大いに言つておきたいと思いますが、もう競輪でけつこうなんで、犬の競走なんというくだらぬものはあまりおやりにならないように願います。これは私どもも外国でやつておるのを知つておるのですが、あまり力こぶを入れないように私は希望いたします。
  71. 前尾繁三郎

    前尾委員長 それでは午前の会議はこの程度にし、午後の会議におきましては、留保された総括質問と、地方公務員法弟二早総則、第二章人事機関について質疑を行いたいと思いまするから、あとに申し上げました点について質疑のある方は、通告しておいていただきたいと思います。  午後の会議は午後一時半より再開することにいたしまして、それまで暫時休憩いたします。     午後零時三十九分休憩      ――――◇―――――     午後二時十五分開議
  72. 前尾繁三郎

    前尾委員長 それでは午前中に引続きまして会議開きます。  大臣が見えるまで、午前中に申し上げておりました地方公務員法の第一章、第二章についての御質問を願いたいと思います。立花敏男君。
  73. 立花敏男

    ○立花委員 私は一般質問を申し上げておいたのですが、第一章、第二章の質問は、私どもはまだそこまで行かないから、大臣が見えてからやります。
  74. 前尾繁三郎

    前尾委員長 それでは龍野喜一郎君。
  75. 龍野喜一郎

    ○龍野委員 この際お伺いいたしたいのは、人事機関の第六條でいわゆる首長――それぞれの団体の長及び委員会等は、本規程によつて「それぞれ職員の任命、休職、免職及び懲戒等を行う権限を有するものとする。」と書いてあるのでありますが、このことについてお伺いいたしたいと存じます。と申しまするのは、本法案の大体のところを見まして、その任用については人事委員会運営その他によりまして、いわゆる能率本位により、成績本位によつて適正なる公務員を任用するように配意が届いておるようでありまするが、公務員として不適格な者、すなわち全体の奉仕者として不適格なる者を排除する処置については、場合によつては空文化するおそれがありはせぬかということを心配いたすのであります。いかなる情実があろうとも、いやしくも全体の奉仕者として不適格な者は、これを公務員から排除するのが適当ではないかと存ずるのであります。それに関連いたしまして、本法案中最も論議の中心であろうと思われますところの政治行為の禁止に対しまして、この規定に違反した場合に、それぞれの長はこれに対しまして休職、免職または懲戒を行う権限を持つておる、これを真正面からとりますならば、たとい政治行為の禁止の規定があつて、その禁止を犯しましても、首長の考えによりますれば、それはそのまま放任してもかまわぬというような結果になりはせぬかということをおそれるのであります。今日の首長はほとんど全部が選挙によつて公選せられておることは御承知通りであります。従いまして選挙をやります以上は、あるいは特定の政党に所属するとか、あるいは一定の思想的立場を持つておる者が選挙されることは、予想にかたからぬのであります。その場合に自分の政治的立場をひとしくしておる者、あるいは思想的立場をひとしくしておる者、これらに対して、はたしてその首長はこの法令に基きまして、的確にこれらの処分権を行い得るかどうかということを考えました場合に、神様でない人間のことでありますから、往々にしてその間疑念をさしはさむ余地はなかろうかというふうに存ぜられるのであります。これがこういうような行政処分でなくて、司法処分になります場合には、司法警察官あるいは検事局は独自な立場におきまして、それらの違反行為を調査いたしまして、それぞれの見解に基きまして、それぞれ司法処分を行うわけでありますが、行政処分を行います場合には、この違反事実を調査上、その違反の事実を主張する者がないのであります。従いまして、せつかくこういうことをしてはいけないとかいう詳細な規定があるにかかわらず、その規定に違反した場合の処分はいかにもはつきりしてない。ちようど初めは脱兎のごとく終りは処女のごとしということわざがあるのでありますが、どうもこの辺のことが、いかにも非常な勢いをもつてこぶしを振り上げたけれども、さてそのこぶしをおろす場合になると、いつの間にかそのこぶしがどこに行つたかわからぬというような感なきにしもあらずでありますが、この間われわれの見解をもつてすれば、公務員法あるいはそれに基くところの條例に違反するような公務員は、公務員として不適格なるがゆえに、その事実が厳然としてあるという証明ができたならば、これは公務員として排除するか、あるいはその度に応じて適当なる処分をしなければならぬ。従つてこの首長の持つておりますところの休職免職あるいは懲戒処分等を行う権限は、これは行うことを得るものでなくて、そういう事実があつた場合には、行う権限を持つと同時に、行わなければならぬ義務を持たなければならぬ。公務員公務員たるところの地位保護すると同時に、不適格なる公務員は排除する、これがすなわち全体の奉仕者としてながめた場合に、最も適宜の処置ではないかというふうに存ずるのであります。この点につきまして、御当局の御見解を承りたいと存ずるのであります。まず第一点としてこの点をお伺いいたします。
  76. 鈴木俊一

    ○鈴木(俊)政府委員 第六條に関連してのお尋ねでございますが、第六條は任命権者のことについて規定をいたしておりますが、これはたとえば地方公共団体の長でありますれば、ここに書いてあります職員の任命権というような根拠は、地方自治法の中に書いてあるわけでございますが、それぞれの法律におきまして、あるいは議会の議長あるいは選挙管理委員会がそれぞれ人事についてどういう権限を持つかということが、明らかになつておるわけでございます。その中で任命権を持つておりますものを、この第六條に列挙いたしまして、そういうようなものが任命権を行使いたしまする場合には、この法律並びにこれに基く條例その他の規程に従つてやる権限を有するのだ、こういうことをうたつておるのでありまして、この規定自身といたしましては、要するに地方公務員法のわくに従つて、その権限を行使せよという点で、いわば実益のある規定なのでございます。今お話の、たとえば政治的行為制限に違反いたしまして、ある職員政治的行為をしたという場合に、それを排除しなければならないという理由があるのに、排除しないような任命権者に対して、これを義務づけたらどうかということでございますが、これに関しましては、後ほど出て参ります分限のところ並びに懲戒のところにおきまして、政治的行為制限が服務上の一つの規律になつておりますから、その規律に違反をいたしましたような場合におきましては、これは懲戒の理由になるのであります。従つてここに書いてありますような懲戒の処分が行われ得るわけでございます。その処分は任命権者がいたすことになるわけでございますが、もしもそういう事態がありました場合にこれをやらない、それがはなはだしく不適切である、こういうような場合におきましては、第八條の第四号に人事委員会の権限の一つといたしまして、「人事行政運営に関し、任命権者に勧告すること。」こういう規定がございます。こういう規定の活用によりまして、人事委員会といたしましては、そのような処置が非常に不適当でありまするならば、これに対して勧告を行うというようなことによりまして、人事行政運営の全きを期し得るのではないかと考えております。
  77. 龍野喜一郎

    ○龍野委員 ただいまの御説明では、私たちが心配しておりまするところの、公選によつて出ました首長と同じ立場をとつておるところの職員に対して、はたして的確なる人事行政が行い得るかどうかということについては、まだまだ納得いたさないのでありまして、この点は確かに法の不備ではないかと存ぜられるのであります。先ほども申し上げました通りに、今日立憲政治の世の中であります以上は、どうしても政治的立場をはつきりするということは当然のことであります。従いまして首長がそれぞれ政治的立場を厳守するということは、やむを得ぬ次第であろうと存ずるのであります。それだからといつて、その部下であるところの職員がその首長と同じ立場をとらなければならぬということはなかろう、むしろこの公務員法案のねらいどころは、いわゆる政治的中立という立場を維持するためにあるものではなかろうかというふうに考えるのであります。そういう見地からいいますと、本法案並びに今までの法律をもつてするならば、これらに対して首長は、これらを処分する義務はないということになりますれば、人事委員会に勧告の権限はありましても、先ほど山手君もおつしやつた通りに、勧告というのは一体どこまで法律上の拘束権があるかは相当疑問の点もあります。そういうわけでありまして、私は本法案の文面上から見ますれば、地方自治団体のいわゆる政党化ということははたして、この提案理由の中にありまするところの政治的中立というような点を保持し得るかどうかについて、危惧の念なきを得ないのであります。しかしこの点はそれだけにとどめまして、次に申し述べたいのは人事委員の問題でありますが、人事委員会は府県並びに五大都市その他設置を希望する市に置くという趣旨になつてつて、希望しない市、または町村においては置かないということになつておるのでありますが、この置かないという理由を承りたいのであります。おそらくこれは專門的な相当な人間を採用し、かつはまたりつぱなる組織を必要とする以上は、ある程度の経費がいるから、実行上困難ではないかという理由から置いてないと思うのでありますが、しかしわれわれが地方自治体の実際を見て参りますれば、むしろ小さい町村の職員こそ、ほんとうに保護しなければならぬと存ずるのであります。御承知かもしれませんが、この資料によりましても、これははかのことにも関係しますから、あまり長たらしくは申しませんが、職員給與のごときも、小さい村の職員でありますれば、平均給三千何百円というような低いものもあります。そういうように物質的にも非常に小さい町村の吏員は、不遇な地位にあるのであります。またその身分上の扱いにおきましても、今日の実情は、ほとんど町村長の意のままに動かなければならぬというような、実情にある。これに対しまして、せつかく国といたしましては職員権利を確保して、その地位を安定せしめようという親心が、結局は最末端の町村に行けば消えてしまうということになりはしないかということを心配するものであります。そこで私は先ほど藤田君からもお話があつたと思いますが、この人事委員会を置かないような市並びに町村にかわりまして、県の人事委員会がその仕事を行うということが、どうしても必要じやないかというふうに存ぜられるのであります。県は御承知通り、県制施行以来数十年を経過いたしまして、その行政はほとんど軌道に乗つておる。従いまして相当の組織力を持ち、また相当の人材を得られるようなことになつておるのでありますから、こういう場合にはひとつ県の人事委員会が、人事委員会を設置していないところの市並びに町村の職員に対するところの仕事をするというように、一箇條を設けることが、最も現実に即応しておる考えじやないかと存ずるのでありまするが、この点についての御所見をお伺いいたしたいと存じます。
  78. 鈴木俊一

    ○鈴木(俊)政府委員 町村において勤務しております地方公務員身分の取扱いをいたします中心行政機関がないことは不適当ではないか。利益保護において欠くるところがありは上ないかという趣旨のお尋ねでございますが、その関係といたしまして、私どものこの案におきましては、人事委員会という人事行政全般を扱いまするところの機関を、すべての町村に設けるような建前をとりますことは、先ほど来いろいろ御心配もございましたように、地方財政等の関係から申しましても、必ずしも適当でございませんし、また事実そこに勤務いたしておりまする職員の数その他から申しましても、それほどの必要がないのではないか。ただ小利益処分を職員が受けました場合でありますとか、あるいは勤務條件についての各種の要求をいたしますとかいうようなことがあろうと思いまするし、そういうような要求につきましては、公平な第三者的な機関をつくりまして、そのものが審査をして行くということが必要であろうと考えまして、そういう趣旨に応じまするものとして、人事委員会よりは権限が狭い、いわば裁判的機能を主たる任務としております公平委員会を、そのかわりに置くというような考え方にいたしておるのであります。今お話のように、町村に人事委員会を置かないで、都道府県の人事委員会が町村の人事についても扱いをするようにしたらどうかという御意見がございましたが、これは確かに一つの御意見とは存じますけれども、現在の都道府県なり、市町村のそれぞれの自主的な立場というものから考えて参りますると、都道府県が町村の人事行政について、一般的な権限を持つ機関をつくるということにつきましては、そこに若干地方自治の本旨から申しまして、さらに研究を要する点があると存じまするので、そのような一般的な形をとりませんで、ただ委託――要するに都道府県と町村間の意思の合致を前提といたしまして、都道府県の人事委員会に、町村の公平事務の委託ができるというような形にいたしておるのであります。そういうようなことによりまして、御趣旨の点も若干はこれが運用の上におきまして生かして行き得るかと、かように考えておるのであります。
  79. 龍野喜一郎

    ○龍野委員 そこでひとつ法文のことについてお伺いいたしたいのでありますが、第七條の三項は人事委員会を置かない場合には、置いておる人事委員会に委託することができるというふうに、解釈することのできる條文があるようでありますが、この規定を敷衍いたしまして、人事委員会をもともとから置かないところの市並びに町村は、県のそれぞれの條例によりまして、県の人事委員会にその仕事をお願いするということは、この規定の適用によつて可能であるか、可能でないか、その辺のことをお伺いいたしたいと思います。
  80. 鈴木俊一

    ○鈴木(俊)政府委員 これはここにございますように、第七條の第三項の但書のところに、「但し、人事委員会を置かない地方公共団体は、議会の議決を経て定める規約により共同して公平委員会を置き、又は他の地方公共団体との契約により」こうございますが、今の町村が公平委員会の仕事を、その属しまする県の人事委員会に委託しようという場合におきましては、まず県と町村との間においてとりきめをいたしまして、自分の村の公平事務を県の人事委員会に委託をする、こういう契約をいたしまして、その契約に基きまして、町村といたしましては、議会の議決を経まして、それに応じました規約を定めるというようなことになると思います。その定め方を條例でいたしましても、手続上の問題でけつこうだろうと思います。いずれにしましても、議会の議決を経て定めることが、適当であろうと考えております。
  81. 龍野喜一郎

    ○龍野委員 自治体相互の自治権を尊重するために、たとい県という上級の自治体であつても、これが町村の自治体に干渉がましいことをしてはならぬことは、当然のことであります。しかしながら政治や行政というものは、やはり現実に立脚しなければならぬと存ずるのであります。今日県全体のことについての指導権を持つておりますのは、何と申しましても児であります。また各町村も県の指導には今日よく従つておるのが実情であります。従いまして県の人事委員会あるいは公平委員会のいろいろな指導あるいは指揮に対しましては、町村はこれを喜んで聞くというのが、現実ではなかろうかと存ずるのであります。そういう場合を考えますならば、そう一つのりくつにこだわるごとなく、あつさりここは、せつかく人事委員会という制度があるならば、その制度を個々別々に置くことが最も望ましいことであるけれども、それができないとするならば、県の人事委員会、もしくは公平委員会に委託してでも行わしめることができるという道を、真正面から聞くということは、決して自治の干渉とは考えられないのであります。このことはこのぐらいにいたしまして、次にお伺いいたしたいのは、本法案を通じてみまして、職階制その他のことがきめられておるようでありまするが、私はこの際、地方公務員の名称の統一ということが、必要ではないかと考えるのであります。今日府県では事務官系統のものを工事、技術関係等のものを技師といつておるようでありまするが、これが町村に参りますと、昔ながらの役場の書記ということでほつたらかしてあります。名前はどうでもいいということは一つ考え方かもしれませんが、昔から名は実の賓なりというくらいでございまして、いわゆる新公務員法ができまして、おれは公務員だという一つの自覚と、一つの自尊心を持たせることは、自治体の健全なる発達の上において、非常に大事なことではなかろうか。かくすることによりまして、優秀なる公務員を集め得るのではないかというふうに存ぜられるのであります。従いまして、この際地方公共団体に職を奉ずる職員に対するところの名称を全国的に統一して、そうして彼らに自覚と自負心を持たせるような措置をとることが最も必要じやないか。またこういうことこそ、法律をもつて堂々と規定すべきものじやなかろうかと存ずるのでありますが、これに対する御所見を承りたいのであります。
  82. 鈴木俊一

    ○鈴木(俊)政府委員 地方公務員の名称を統一したらどうかというような御意見でございますが、職階制が施行になりますならば、それぞれの職について格づけが行われるわけでございまして、それぞれその職が明確になつて参るわけでございますが、ただいま仰せになりました地方公務員の名称統一ということは、職階制と申しますよりも、行政組織上の問題、そういう意味からの地方公務員の名称の問題であろうと存じます。今御指摘の、たとえば主事とか技師、あるいは主事補、技手といつたような従来ございました名前、あるいは一級、二級、三級といつたような区分、こういつたような問題に関連をするものであると思いますが、そのようなことは、職階制がかりに施行になりましても、別にそれを用いることを、この地方公務員法案としては否定をいたしておるものではないのでございまして、その趣旨は第二十三條第八項の但書にうたつております。何か地方公務員地位を一般的に明確ならしめますような、事務系統、技術系統にふりわけての何らかの名前を考えたらどうかということでございますが、これは私どもといたしまして、今後の問題として研究はして参りたいと存じております。
  83. 前尾繁三郎

    前尾委員長 それでは淺井人事院総裁が見えておりますから、淺井人事院総裁に対する御質疑を願います。大矢省三君。
  84. 大矢省三

    ○大矢委員 今提案になつておりまする地方公務員法の法律の原案の審議にあたつて、人事院は地方自治庁との間に十分打合せがあつたかどうか。昨日の答弁なり、あるいは各関係方面との折衝をした結果ということが、大臣の説明書にもあるのですが、その各関係という意味はどういう意味かという、その範囲をいろいろ聞きますると、労働省であるとか、あるいは人事院であるとか、そういう一般公務員地方公務員関係のある各関係とは相談をしたのだと言つておられますが、この立案にあたつて人事院と自治庁との相談があつたかどうかということをまずお聞きしたいと思います。
  85. 淺井清

    ○淺井政府委員 相談という言葉の問題でございまするけれども、人事院といたしましては、積極的に地方自治庁と協議をいたし、この法案関係いたしておる事実は別にございません。ただその過程におきまして、地方自治庁側より連絡のあつたことは事実でございます。
  86. 大矢省三

    ○大矢委員 連絡があつたようですが、そのときのいろいろのお話の中に、今度のこの地方公務員法の最も重要な特別職と一般職との区別について、いわゆる現場と申しまするか、現業員というか、あるいは單純労務と申しまするか、そういうものを特別職に獲するにあたつて、いろいろ自治庁の力でも意見があつたのであるけれども、実は人事院の方で国家公務員法制定の際に、單純労務と言いまするか、いわゆる現業員のそれぞれの人も、ともに国家公務員として扱つておるから、地方公務員のみをはずすということは均衡上よくない。そこでどうもこれをはずすことはできなかつたというきのうの答弁であります。それから自治庁の最近の案によりますると、十二項目にわたつての特別職をこれから除外するごとの原案ができて、それが各方面に配付されておるのであります。ところがその中には、もちろん地方財政法の第六條に規定されておるところの独立採算制の事業も入つておれば、あるいはその他特殊な地方団体に行つているところの事業の現業員というものをあげて、これが特別職の中に入るか、あるいは一般公務員から除外されることに原案はなつておる。ところが人事院の主張で、国家公務員の中に入つておるから、どうしてもこれは困るという意見があつて、そうしてこれを除外した。但しそれを何とかしようという意見は一致しているから、近い将来にこれは両方とも除く処置をとりたい。そのためには五十七條において特に「別に法律で定める」という規定がありまするが、そのことについて、字句その他国家公務員法の、中にあるから、地方公務員法の中にも入れたというのでありまするから、国家公務員法の方をはずさなければ、こちらの方もはずれないというのが、私ども意見なり自治庁の方の答弁内容かと私どもは承つたのですが、これはいつごろ、しかもどういう範囲にはずすのか、このことを国家公務員法に対して、人事院にひとつこの機会にお聞きしたいと思います。
  87. 淺井清

    ○淺井政府委員 ちよつとお尋ねの御趣旨が了解しかねるのでございますが、人事院といたしましては、地方自治庁に対しまして、公式にさような見解を述べたことは、私の知る限りにおいてはないと存じております。国家公務員法におきましては、お示しのようにこれをはずさないで、一つの中に入れてやつておることは、これは事実でございます。しかしながら、その通り地方公務員法においてもなされなければならないというような見解は、人事院としては述べたことはないように了解しておるのでございます。またそれから一般に類推をいたしましても、地方公務員法と国家公務員法とが必ず同じでなければならないということは、どうもその性質上ないのじやないか、こういうふうに考えております。
  88. 大矢省三

    ○大矢委員 それではこういうふうに解釈していいですか。人事院としては單純労務者は、国家公務員法からはずさない、またはずすということは言つたことがない、今もはずすということは考えておらぬ、これでいいですか。
  89. 淺井清

    ○淺井政府委員 ただいまお示しのように、現在のところは單純労務者を国家公務員法からはずすということは考えておりません。国家公務員についてでございますが……。
  90. 大矢省三

    ○大矢委員 それでは大臣なり小野さんがおられますが、昨日来の答弁の中に、これは均衡上こうしたのだ、この五十七條に特に含みがあるのだ、しかも最も近い機会においてこれを改めます。それは国家公務員とのつり合い上こうしたのだと言つているが、それは全然聞かないし、人事院の方ではそういうことを考えてもおらぬ、そういうことを言つたこともないというのですが、こういう席上でそういう口軽なことを言つてもらつては、われわれはまじめに審議する気にならない。これはどなたかそういう経過についてもつと詳しく話しなさい。これは大事な問題です。
  91. 岡野清豪

    岡野国務大臣 大矢委員のお説しごとくごもつともであります。政府といたしましては、地方公務員法を公布いたしますにつきましては、いずれ国家公務員法とのつり合いもとらなければならぬと考えまして、考えようということに閣議で一致している次第でございます。
  92. 大矢省三

    ○大矢委員 これは多少意見にもなると思うのですが、今自治庁の方では、近くそれを改正する、また別の立法をつくるということは閣議でもすでにきまつているのだというのですが、その時分に、今まで申されたようなこれを改正する理由の中に、国家公務員との均衡上困るということがあつたということでありまするが、その機会に当然地方自治体自主性を相当尊重するということが説明の中にもありまするし、地方々々の実情に即し、特に国家公務員の場合と地方公務員の場合とは相違があるのでありますから、それを除外することに対しては、淺井さんの方では何も異存はないと思いまするが、その点はあらためてお聞きたい。なぜ聞くかと申しまするならば、しばしばその意見があつた。われわれ個人的に折衝の間にも、あるいは答弁の中にも、それと均衡がとれていないから、こうしたのだということだつたが、またあなたの方で、そういうことをしてもらつて国家公務員の方と均衡がとれない、こつちがやかましくなるから、だめだというので、せつかく閣議でまとまつているものが、異議が出て、これができなかつたということになりますと、地方公務員の方で非常に迷惑をこうむるのであるから、この機会に御意見を伺いたいと思います。
  93. 淺井清

    ○淺井政府委員 ただいまお述べになりました通りでけつこうでございます。ただその権衡がとれないということは、これは客観的にある一つの事実を指して申しただけでありまして、権衡がとれないということと、私の方からものを言うとか、言わぬとかいうことは、別問題のように思います。
  94. 大矢省三

    ○大矢委員 それはそれで非常にけつこうです。そうすれば、今度地方公務員の方でそれを修正するなり、あるいはまたわれわれの審議に非常に参考になるので、非常にけつこうな答弁をいただいたのであります。  次に、おそらくこれは内閣の方に直属になつておりますから、多分人事院の方では知らぬとおつしやるかもしれないが、事少くとも国家公務員に関する主要なことでありますから、この機会にお聞きしたいのですが、二箇月前に全国で募集された予備隊警察の隊員の中に、最近相当数――千名といい、二千名というのですが、私はよく知りません。あなたの方に報告があつたかもしれませんが、相当数の者が解職されております。私どもの手元にも請願書が参つておりますし、多分お聞きだと思いますが、二箇月前に二回にわたつて嚴重な体格検査をしてパスした人は、申すまでもなくそれぞれ官庁に勤めておつたり、産業人として勤めておつた人がやめられて、国家のために大いに害そうというので募集に応じた。その後給料もきまらぬという話もありましたが、せんだつてようやくきまつたということを、江口次長から聞いたのでありますが、二箇月間一日も休まずに猛訓練を受けて、そして二箇月後に相当数の者が体格検査ではねられて解雇になつた。前のところに勤めておるならば、三年間は法律によつて保護を受け、治療を受けることができるけれども、その解雇された人は一厘も手当を受けずに解雇されている。これを人事院はどう見るか。こういう報告を受けておるのか。こういう事実があればどういう扱いをするのか。これは今後の予備隊警察の運営の上にも、さらに思想上に及ぼす影響その他取扱いの上にも、あとに残つた人も不安に感ずるのでありますが、この点は一体報告を受けておるのか。そういう大量的に二箇月後に解雇されておる者があれば、それに対してどういう取扱いをするかということを、人事院の総裁からこの際伺つたらけつこうだと思います。
  95. 淺井清

    ○淺井政府委員 その点は御答弁がしにくいのでありまするが、実は警察予備隊の方は特別職に属しておりますし、人事院の所管は一般職だけでございますから、私の方へ報告は参りませんけれども、これはやむを得ないことだと思つております。ただそういう事実は聞き及んでおりますけれども、これに対する措置等はむしろ警察予備隊の方でやるべきことで、人事院としては所管外だと思つております。
  96. 大矢省三

    ○大矢委員 もちろん特別職のことは私もよく知つておるのですが、こういうことについて知らなければいいが、知つておればそれぞれ機関を通じて御意見があろうと思います。もちろん所管外ですから、責任を負わしたり、自分でどうしろということは権限がないかもしれないが、国家公務員は特別職にしろ、一般職にしろ、これを扱う上の心構えというか、こういう乱暴なことは私はむちやだと思うのですが、そういうことをやつてもいいのかどうか。少くとも国家公務員の人事をあずかつておるものとして、これに対する権限がないといつて、あれほどの権限を持つた人事院が何らの発言権がないものかどうか。これは今後の人事院に対する一般の信頼感の上から非常に関係が多いと思いますから、総裁自身の考えでけつこうですから、この機会にお聞きしたい。
  97. 淺井清

    ○淺井政府委員 どうも所管外のことを政府委員として申し述べることは困難だと思いますが、御趣意のことはよく了承しております。
  98. 門司亮

    ○門司委員 淺井総裁にお聞きしておきたいと思いますことは、今大矢さんからも聞かれましたように、そういう問題について地方公務員としての一つの解釈の問題であります。公務員の定義というものが非常にあいまいでありまして、地方自治法の百五十二條に、ただ執行機関として、首長の補助機関としての規定が設けてありますが、それにも地方公務員のはつきりした定義が実はないわけであります。そうすると、地方公務員法の中に書いてありますいろいろなものを見て参りますと、一体地方公務員というものは、どういうふうに定義すればいいのかということが考えられるわけであります。従つて意見を伺いたいと思いますことは、御存じのように、地方公務員の中には、国家公務員と違いまして、非常に民間の事業と密接な関係を持つものと、民間事業と同じような仕事をしておるものがたくさんありまして、国家公務員とはおのずから性質を異にしておるわけであります。この国家公務員と全然性質の違う面を、国家公務員と同じような規則で取締つて行く、あなたの方にあります人事委員会規則で取締つて行くという方法が、あなたの方の見方から見て正しい行き方であるかどうかということであります。
  99. 淺井清

    ○淺井政府委員 政府の方で立案されましたものを、政府委員が批判いたしますことは、どうもできかねるのでございますが、この地方公務員の性質は、お示しのようにサービスをするという職能のものが多いことは、事実その通りでございます。従つてその点から立案者においてもいろいろ御苦心がありまして、国家公務員法地方公務員法との間にも開きができて来ておるのである、そのように了解しております。
  100. 門司亮

    ○門司委員 それからもう一つお聞きしておきたいと思いますことは、政治活動の禁止であります。今のような御意見は私ども大体同じように考えておるわけであります。従つて国家公務員法と同じように政治活動もすべて縛つて行くという見解が、私には非常に不可解でありますが、この点についての人事院総裁の御見解を伺いたい。
  101. 淺井清

    ○淺井政府委員 この地方公務員法を拝見いたしますると、国家公務員法とどのような開きができるかは、私ちよつとまだわかりかねるのでございますが、それはその他條例をもつて定める事項という一項がありまして、これによつて禁止される政治活動の範囲がきまる部分があろうかと存じております。ことに甲の村と乙の町においても異なり得る性質のものでありまするからして、はたして国家公務員とどのような程度でこれが違つて参るかということは、私はここでまだ判断いたしかねるのではないか、かように考えております。
  102. 門司亮

    ○門司委員 ちよつとはつきりしないようでありますから、もう少しつつこんでお聞きしたいと思いますが、先ほども申し上げておるように、地方公務員は非常に民間事業と同じようなことをたくさんやつておりますのと、それから身分の取扱いにいたしましても、先ほど申し上げたようにわずかに百七十二條に規定してありまして、さらにそれが施行令で少し広げて解釈してあるだけでありまして、地方公務員というものは一体どこからどこまでなのかということ、ことに補助機関ということになつて参りますと、やはり首長の代理をする権限を持つものが大体補助機関として、この地方自治法に規定されたものでなければならない。ところが卑近な例を申し上げれば、肥料の汲みとりをやつておる諸君、あるいは道路の清掃をやつておる諸君とかいう人が、首長の職務の代行をやつておるということで、これは補助機関ということには、私は当てはまらないんじやないかというように実は考えられるわけであります。そういたしますると、それらも含めて一体政治行為というものを禁止することが妥当であるかどうかということであります。この点は、国家公務員の中にも、郵政関係等で電柱にのぼつて仕事をする人もありまするし、あるいは郵便の配達をやつておいでになりまする方もあるのでありまして、同じようなことが多少あると思います。従つてそういう労務に対しまするものも、やはり市町村長、あるいは都道府県知事の補助機関として認められるかどうかという点であります。
  103. 淺井清

    ○淺井政府委員 さいぜんお答えを申し上げました通り国家公務員の場合におきましても、若干似寄つた現象はあろうかと思います。しかしながらただいまの国家公務員法は、昭和二十三年に改正をいたしましたときのマツカーサー元帥の書簡に基いておりますので、あのとき国家公務員からそとへ出しました鉄道であるとか、專売事業であるとかを除きましては、ことごとく国家公務員として一律に規律するという方針で参り、ことに労働三法の適用を排除するという方針で今日参つておる次第でございます。それからただいまお示しの地方公務員におきましてはお説のような点が一層多いように思つておりまするから、その点は地方公務員法の運用に上つて、若干の違いが出て来るんじやないかと思つております。
  104. 門司亮

    ○門司委員 私が淺井さんに聞いておきたいと思いますことは、地方公務員の定義でありますが、先ほどから申し上げておりまするように、首長の代理機関、補助機関として地方自治法に認められておりまする吏員と言いまするか、少しばかり項目をあげてありますが、この首長の代理行為を行わないようなものまでも、地方公務員としてこれを地方の首長の補助機関として認むべきであるかどうかという点であります。この点は、この法案審議する上に重要な点でありますので……。
  105. 淺井清

    ○淺井政府委員 地方公務員について申し上げるのはいかがかと思いますが、同じことが国家公務員にもございまするから申し上げるのでございますが、国家公務員の場合は、国家公務員であるかどうかを人事院が決定し得る権限を與えられておりますが、それによりますると、お示しのように国家公務員の中にもいろいろの種類がございまして、しばしば決定に躊躇いたす場合があるのでありますが、大体従来の官吏というような観念よりも、ただいまの国家公務員と申す観念はよほど広いのでございまして、その点におきましては少しく御説とは違うように考えられるのでありまするが、大体給與をどこから受けておるか、だれの仕事をやつておるか、だれによつて任命もしくは雇い入れられておるかというような点から考えて参りますれば、お示しのような場合も、ひとしく地方公務員であるということは否定できないのじやないかと考えております。ただその地方公務員としてのわくの中におきまして、いろいろ違つたものがあるかもしれませんが、地方公務員であることを否定することはできないのではないか、かように考えております。
  106. 門司亮

    ○門司委員 その次に聞いておきたいと思いますることは、政治活動に対する禁止の問題であります。これは国家公務員にも同じように禁止をされておるのでありまするが、これが先ほどから申し上げておりますように、今の人事院総裁の御説明では、給與をどこから受けておるかということが問題であり、さらに給與地方公共団体から受けておるから、解釈すれば地方公務員であると解釈してもさしつかえないというような御趣旨であつた、こういうふうに私は考えておるわけでありますが、そういたしますと、この法律の中で実は政治的行為が非常に大幅に制限されておるのでありますが、どこから給與をもらつておるかということだけによつて憲法に定められております政治に関しまする権限が大幅に制約できる性質を持つておるかどうかということであります。
  107. 淺井清

    ○淺井政府委員 ちよつと私の申し上げたことが違つておつたかと思いまするが、給與だけとは申し上げませんでしたので、要するに一口で申し上げますれば、自分の勤労を公務に捧げまする者と、私企業に従事しまする者との区別という、マツカーサー元帥の書簡の言葉で申し上げられますように、自分の勤労を公務に捧げておるという点からでございますが、これを見わけまする目安といたしましては、だれから給與を受けておるかということは重要な目安になろうかと思いますが、やつておる仕事がだれの仕事であるかということ、だれによつて任命されておるかという点も同じく一つの基準となつておる、さように申し上げたつもりでございます。
  108. 門司亮

    ○門司委員 次に聞いておきたいと思いますのは、先ほど申し上げましたように、給與を受けておるということが一つの大きな問題として、これを地方公務員であるというように考えられ、従つて地方公務員は公に奉仕しておるものであるという定義がくだし得るのじやないと考えておりまするが、そのことによつて、新憲法に定められておりまする国民の最も大きな権利でありまする政治に参與する権利を制約するということが、一体よいことであるか、悪いことであるかということであります。
  109. 淺井清

    ○淺井政府委員 これは非常に重要なる問題と存じておりますが、私どもといたしましては、すべて公務員は中立性を持つべき性質のものでありまして、勤労を公務に捧げます者に当然課せられておるところの義務ではないかと思つております。しかもその中立性と申しますることは、自分で喜んでこれに服したところから出ておるのでございまして、強制的にそういう地位に立たされておるものではないと存じております。こういう中立性を確保いたしまする必要上から、若干の政治的の活動の自由が規制せられるということは、これはどこの国におきましてもあろうかと存じます。ただその程度については、いろいろ議論のわかれるところであろうかと存じております。
  110. 門司亮

    ○門司委員 さらに聞いておきたいと思いますことは、そういたしますと、みずから選んだ職業であるということでありますが、これはむろん自由職業であります。従つてみずから選んだ職業であることに間違いないのであります。公務員であるから中立性を保たなければならないということは、一応わかるのであります。しかしその中立性という言葉は、おそらく私は事務を執行をいたしまする場合の中立性であつて、人間本来の中立性では断じてないと考えております。従つていかなる公務員といえども、人間に與えられた日本国民としての権利執行に対しては、私は何ら制限を加えるべき筋合いではない。ただ業務の上においてそういう一党一派に偏する、あるいは事務をとるということは、公に対する奉仕者としての道ではない。ここに私は公務員の中立性というものが認められる以外には、公務員の中立性というものは認められないのであります。従つて政治的の活動というものが、個人の固有の権利として、その事務と何ら抵触するものでもなければ何でもないというように考えておるのでありますが、これについての人事院総裁としての御見解をひとつ承つておきたいと思います。
  111. 淺井清

    ○淺井政府委員 まことにごもつともな御趣旨でございまするが、要するにこの問題は、現在提案されておりまする案において、お示しのような点を犯しておるかということに帰着するだろうと思つております。私は、国家公務員法は相当強く公務員の政治的な活動を奪つておるという御批判もございますけれども、なお残されておるところはある、こういうふうに考えております。
  112. 門司亮

    ○門司委員 今残されておるところがあるというお話でございまするけれども、残されておるのは、ただ投票を行使するという権利があるだけでありまして、これまでとつてしまえば、人としての権利がすべてなくなるということになりまして、第三国人以外にそういうことは許さるべき筋合いではありません。しかしわれわれが申し上げております政治上の権利というものは、憲法で定めておりますように、たとい信條はどうでありましても、あるいは自分の支持する政党がどれでありましても、その支持する団体、あるいは支持する政党に対して運動をするというようなことも、一口に言いますならば、いわゆるすべての政治的活動でありますが、政治的行為、政治的活動というものは、当然国民の義務――というよりも、むしろ権利として私どもは持つておる。その持つております権利が、職務によつて剥奪される――というと、言葉は少し強過ぎるかもしれませんが、とにかく非常な制約を受けることは、大きな誤りではないかと考えております。ことに誤りでないかと考えます前提といたしましては、行政をつかさどつております首長は、おのおのの政党に大体所属しておりまして、しかも政党の一つの幹部である。さらに行いまするその施策につきましては、公の選挙に出て参りまして、おのおの政策を掲げて、その政策に住民の共鳴を得て、おのおのの首長になつておると思う。それらの人たちがその所属しまするおのおのの議会に諮つて、ここに規定されております特別職というものができておる。そういたしますと、明らかにいわゆる上層幹部といいますか、直接政治上の責任を持つております者は、政党に十分関與して政治的に自由に活動ができる。それの命を受けている者だけが中立性を保たなければならないからといつて、これから選挙権をとるということは、少し間違つておるような考え方を私は持つのであります。私はむしろ大きな考え方を持つておる。忠実に行つて行こうとするならば、むしろ今日特別職として考えられております上層の諸君こそ、厳正なる中立性を保つてつてもらうことの方が、政治運用の上には正しいのではないか。下の方におります諸君は、生殺與奪の権といいますか、任免権を実は持つておりません。任免権を持つておりません者は、職務に忠実であればそれでいいわけでありまして、さつきから申し上げておりますように、それ以上に選挙権をとるということは非常に間違いだと思いますが、それと逆に、任免権を持つております者が政党に所属いたしており、しかも有力なる幹部であるということになつて参りますと、その政党に所属いたしております者の指揮命令に従わない者は、一つの政党の政策に従わないというと語弊があるかもしれませんが、多少従わなくても、これは従わない者と仮定されてやられます場合には、いわゆる政略的の首切りといいますか、中にそういう罷免が出て来るという危險性があるので、この際公務員としてはこれを禁止しておかなければ、公務員が安心して十分仕事ができないと私は思う。公務員の持つております、おのおのの自由でなければならない信條、自由でなければならない思想というものを、大きく制約されるような行き方というものは、まつたく民主政治に反した一つの行き方ではないか、いわゆる独裁的な政治の現われがここに出て来はしないかというように実は考えておるのでありますが、この点に対します人事院総裁のお考えを聞かしていただきたいのであります。
  113. 淺井清

    ○淺井政府委員 最初の部分でございますけれども、残されておるものがあると申しましたが、それはただ投票することだけだと仰せになりましたけれども、さようではないように思つております。御承知のごとく、国家公務員に対します政治活動人事院規則は、一定の目的行為とを三つ結びつけることを厳格にやつておりますので、それ以外の部分については政治活動は十分余裕があるように私は考えております。たとえば示威連動に参加いたしますようなことは、どこにも禁止されていないだろうと私は考えております。  またこの中立性の持ち方についてだんだんと御論議がございましたけれども、私は一般の公務員が中立性を持つておりますことが、同町にそれをスポイル・システムから救うゆえんであろうと思います。一般の公務員が政党的な色彩をはつきりいたしますようなことになりますれば、これがある機会においてスポイル・システムの犠牲になる。スポイル・システムでなくて、いわゆるメリツト・システムの部分を確保いたしまするためには、一方においてはどうしても中立性を保つていてもらわなくちやならぬ、かように考える次第であります。
  114. 門司亮

    ○門司委員 どうもはつきりしないのですが、今いろいろお話もございましたが、先ほどから申し上げておりますように、公務員の中立性というのは、その事務と職務に対するあくまでも中立性が正しい。それ以外に私は中立性の必要はないのではないかというように考えております。今二つの例をあげて申されましたが、いずれにいたしましても、それは職務に対するそういう一つの間違つた上司の行き方と、あるいは地方団体考えております間違つた方向にかつてに行かれては困るというように考えられると思いますが、私はそういうことはおのおのの自治体におきまして、やはり服務紀律なり、いろいろのものがありますので、その服務紀律なりに当然該当いたします者については、おのおの処断がなさるべきであつて、それ以上に法律で一切の政治運動を禁ずるということは、何度も繰返して申し上げますが、どうしても私どもはこのまま承服するわけにも行きませんし、また私どもには納得が行かないのであります。  そこで結論として、もう一つ聞いておきたいと思いますことは、公務員としての中立性の問題であります。中立性の問題は、先ほど申し上げましたように、あくまでも職務上の中立性であつて公務員にそれ以外の中立性というものは考えられないというように、私は考えておるのでありますが、総裁の御意見は一体どうでありましようか。
  115. 淺井清

    ○淺井政府委員 その職務上と申します範囲をどこにきめますか、あるいは勤務時間中だけ中立性を保てば、あとは自由である、さようにお考えになるか存じませんが、ただいま国家公務員に対する政治活動を禁止しておりますような範囲におきましては、これは勤務時間の内外を問わず、あの程度の中立性を保たせることが必要ではないか、かように私は考えておる次第であります。もちろんこれについてはだんだんと御堤論もあると思うのでありますが、これ以上はどうも見解の相違でございますから、お答え申し上げかねるのでございますが、あしからず御了承願いたいと思います。
  116. 門司亮

    ○門司委員 どうもこれ以上答えられないと言われてはそれきりで、質問することもおかしいと思いますが、もう一つ聞いておきたいと思いますが、憲法で定めております政治に対する国民の自由というものは、当然私は尊重されなければならないし、またそれが当然であると考えておりますが、先ほどから申し上げておりますように、これが公務員であるという観点だけで禁止するというようなことは、憲法と国民の権利との関連でありますが、この点については総裁は、公務員であるから当然禁止してもいいのだ――これは少し言葉が言い過ぎるかもしれませんが、公務員であるから、中立性を保つ上にはどうしても禁止しなければならないというようにお考えになつておるかどうか。私は中立性を保つ上には、先ほどから何度も申し上げましたように、俸給を受けております者は、あるいは身分を保障されているということか多少言えるかもしれませんが、むろん地方公共団体であるごとには間違いはない。しかしその報酬に対しては、職務に忠実であれば、それには私は十分報いておると思う。それ以上に自分の固有の権利地方公共団体が束縛することを要求するということは、実は私には理論が見つからぬのであります。従つてこの憲法に定めております固有の権利を、公務員であるから、当然これを禁止すべきであるということを、明快にもう一応御説明願います。
  117. 淺井清

    ○淺井政府委員 まことに憲法上の基本的人権の尊重すべきことは、お説までもないのでございますが、個人の自由と同時に、また公共の福祉のためにするところの制限のあるということは、これはまた憲法の認めておるところでございますが、この個人の自由と公共の福祉とはちようど車の両輪のようなものでございまして、これが円満にまわつて行きますところに、良識ある社会生活ができるもののように考えております。その意味におきまして、勤労を公務に捧げます者の中立性を要求します以上、公共の福祉のために基本的人権がある限度制限を受けますことは、これはやむを得ないものだ、かように考えておる次第でございます。
  118. 門司亮

    ○門司委員 私はその点でありますと、もう一応聞いておきたいと思いますことは、そういうふうに御解釈になつておりますとすれば、これは非常にめんどうなことに実はなると思います。われわれから考えてみますと、なるほど公共の福祉には間違いはないのであります。従つて公共の福祉ということは、その自治団体が行つております業務あるいは自治団体の施行いたしますすべての事業に対して忠実であれば、その地方の福祉というものはそれによつて私は助長されると考える。さらにそれが円満に行きさえずれば、それでいいのじやないか。個人の思想がそれにどれだけじやまになるかということであります。これがもしじやまになるということか現われる場合には、さつき申しましたように、おのおの服務規程なりあるいは取締規程があると思いますので、その規定で当然処断さるべきである。ただそれ以外の、古法で持つております基本的人権というものを、公共の福祉のために、これを縛つて行くということになつて参りまするならば、それは職権を濫用する――これは市町村の職員の服務規程の中にも、今でも古い明治時代の規定の中にも、職権を濫用してはならないという規則が実はあるわけでありますが、職権を濫用して、特定の政党なり、あるいは特定の一体なりの行動をするということ、あるいはそれを押しつけんということは、明らかにいけないと思いますが、これは公共のすべての奉仕者であるとも考えられないし、また福利を円満に遂行する上にも非常に大きな支障があると思いますので、私どもといたしましては、もし政治活動を禁止するとするなら、そういう職務の上でこれを濫用し、あるいはその地位を利用してこれを行う者というようなことが当然なさるべきである。しかもこれは單にここで定めております一般職というようなことでなくして、むしろこれこそ特別職に属しております都道府県知事あるいは市町村長であるとか助役であるというような特別の権利を持つておる者に、特に強く押しつけておかないと、その地位を利用して、それらの諸君は政治活動をやつてもいいということになると、私はえらい間違いを起すことになるのじやないか、こういうふうに実は考えておるのでありますが、そういうことについての総裁の御意見を、もう一度伺つておきたいと思います。
  119. 淺井清

    ○淺井政府委員 実はもうこれ以上申し上げることはないのでございますが、さいぜんから申し上げた通りでございまして、これはどうも見解の相違のように存じております。
  120. 大泉寛三

    大泉委員 関連して……。ただいまの公務員の中立性に対して淺井総裁のお話がありましたが、私の考えておるところとたいへん違つておりますので、この際やはりお伺いしておいた方がよろしいと思います。地方公共団体としても国家としても、ほとんど独占的な一つの制度をつかさどる事業である。この独占的な事業は、やはりその携わるところの公務員なり地方公務員なりが、この政治に参與したならば、まつたく一国一党の国家になつてしまう。それではやはり民主制度というものは破壊されてしまう。こういう一つの危險から、私は公務員に対してはやはり政治の中立性をあてはめて行かなければならない。いわゆる労働組合を通じて、労働運動立場において、これを政治形態から運動を起すという面もありますけれども、しかし労働運動は公共企業体あるいは地方自治体とか、国家に対しては、一定の制限を知れております。これはもちろん今労働運動を通じての政治活動を、ある程度抑制されるものと私は思うのであります。これは自由企業、いわゆる競争される自由企業であつたならば、そこに競争の利益というものは当然生まれて来ます。競争に勝つたものは必ず利益を保持することができますけれども、独占的な事業に対しては、やはりおのれが精勤して努力して成果をあげなければならない。そこにもし独占的な事業に労働運動を通じて政治活動をするとしたならば、これは当然一国一党の独裁政治になつてしまう。こういう危險から公務員に対する政治的な立場において、一定の制限をしなければならない、こういうふうに私は考えておつたのだが、淺井総裁の考えは、ただ公共の福祉あるいは国家の福祉に対してもとるというような御見解でありまするので、私の考えとたいへん相違しておりますが、この点ひとつ御説明を願いたい。
  121. 淺井清

    ○淺井政府委員 御見解に対しては非常に敬意を表しまするが、結論は同じことでございます。ただ私の申し上げましたのと結局山に登る道が違つていたようなふうに存じております。
  122. 立花敏男

    ○立花委員 淺井人事院総裁が来られましたので、私この地方公務員審議の問題に対しましては、非常に適当な方が出席されたと思つて喜んでおります。と申しますのは、国家公務員法ができまして、国家公務員法が惡法であるということを身をもつてつておられるのは、淺井人事院総裁が唯一だと思う。淺井人事院総裁は今までの御答弁の中にも、マツカーサー書簡ということを数回言われました。マツカーサー書簡が非常にお好きのようです。ところがマツカーサー書簡の中には、公務員給與の問題に強く触れてあります。あなたはその責任者だと思う。あなたは今まで二回ばかり勧告をお出しになつておる。それがどういうふうな結末になつておるのか、またその結末についてあなたはどういう責任をお感じになつておるのか、お聞かせ願いたい。
  123. 淺井清

    ○淺井政府委員 これはちよつと問題が離れたと思いまするが、国家公務員法は私は決して惡法だとは思つておらないのでございます。また勧告につきましては、これは人事院は何が適当なる給與であるかを勧告するのが権限でございまするから、これから先、これを財政その他の一層高い見地から、どのようにお取扱いになりますかは、これは第一は国会でおきめになる問題だと思うのでございます。私は二度勧告をいたしましたが、国会はどうお取扱いになりましたか、これは私の方からお尋ねしてもいいくらいに思います。(笑声)
  124. 立花敏男

    ○立花委員 実はそういう馬鹿げたことを言う人事院総裁がおられるから、なさけない国家公務員法ができたと思う。あなたは勧告は出しつぱなしで、その結果は責任が負えない、てんとして、洒々としてさつきからしやべつておられるが、私はあなたがその席におられることが不可解である、あなたはもつとはつきりと政治的な責任をおとりになるのが当然だ。それを何かてんとして責任をおとりにならずに、国会が通したのだ、国会の責任じやないか。そういう人が人事院におつて国家公務員の、あるいはその他の公務員の利害を守る機関だというところの長である。そういうようなごとが国家公務員法できめられておりますので、私は国家公務員法は惡法だと言うのです。あなたが惡法であることを身をもつて体験しておられながら、それを自覚しておられないこと自体が問題だと思う。あなたは私があなたに給與の問題を尋ねたのが、何か離れておるとおつしやられましたが、その考え方自体がおかしい。私どもはこの取締りの法案給與の問題とは密接不可分だと考えておる。給與の問題と地方公務員法案とは不可分だと考えておる。だから公務員一般の給與に対して、どういうお考えを持つておるかという政治的な責任感をただしたわけです。それに対してまああなたは落第されたわけだが、落第されても聞きますからひとつ答えてください。初めマツカーサー書簡が出まして国家公務員法案が出るまでに、労働三法のストツプが二百一号によりましてやられました。その間臨時人事委員会でございますか、とにかく全般の公務員のストツプされました問題に対しまして、全般の公務員給與の問題とかあるいはその他の労働者の基本的な権利を守るための臨時人事機関ができました。その後国家公務員法ができまして、人事院ができまして、その後は人事院は、もつぱら国家公務員のことをやつておるようでありますが、実は地方公務員のことも責任がないとは私は言えないと思うのです。その点どうお考えになつておるか。
  125. 淺井清

    ○淺井政府委員 地方公務員の方は、人事院の所管ではございません。ただ法律の附則の中に、技術的な援助を與えることができるというようなものがあるたけでございます。
  126. 立花敏男

    ○立花委員 そういうふうにお逃げになる、たろうとは思つてつたのですしかしいろいろないきさつから――これはあなたに責任を追及しても、あるいはだめかとも思います。内閣全体の責だと思いますが、さいぜん申しましたように、二百一号ができましたときは、国家公務員だけではなしに、地方公務員全般を含めまして、全体の公務員労働三法のストツプを食らつたわけです。従つて二百一号によつて労働三法の適用からはずされた公務員に対しましてその利害を守り、人権を守るということが、国家公務員法による人事委員会の前身である臨時人事委員会責任であつたわけです。その後国家公務員法ができまして、人事委員会が成立したわけですが、これはやはりどうしても臨時人事委員会が全般の公務員に負つておりました責任を、ある程度引継ぐのが当然だと思う。この際に地方公務員に対する不利益処分の問題とか、その他の問題についての取扱いの機関が、正式に生まれなかつたわけです。国家公務員だけについて生まれまして、地方公務員はほつたらかされておつたのです。だから今総裁がおつしやられました附則の点で、技術的な援助ができるというふうにありますのを利用いたしまして、地方公務員がその後起こりましたいろいろな問題で、人事院に訴えております。これを人事院はほとんど取上げられていないのでございますが、この点で私どもは人事院は当然その欠陥を補うべき責任があつた。附則の意味を拡張いたされまして、あるいは臨時人事委員会の経過的な過程を考えられまして、どうしても地方公務員に対するそういう問題をお扱いになる必要があつたと思うのです。それを現在までほとんど人事院はやつておられないと思うのでありますが、この点を人事院としてどういうふうにお考えか、聞かしていただきたいと思います。
  127. 淺井清

    ○淺井政府委員 お言葉ではございますけれども法律に書いてありますことは、單なる技術的な助言をすることができるという程度にとどまりますので、地方公務員に対しまして、それを所管するような態度を人事院がとることは、かえつて地方の自治の本旨にもそむくように思いますから、地方公務員のことにつきましては、各公共団体等において処理せらるべきものと考えております。ただし、そのような訴えに、人事院が決して耳をかさなかつたわけでもございません。
  128. 立花敏男

    ○立花委員 耳をかさなかつたわけではないとおつしやられましたので、多少安心いたしましたが、どういう点で耳をおかしになつたことがあるか、具体的な例をひとつ……。
  129. 淺井清

    ○淺井政府委員 いろいろ地方公務員の方から問題がございまする場合には、これを聞き、またそれについて助言等をしたことがございます。
  130. 立花敏男

    ○立花委員 私どももその問題で、たびたびあなたにお会いいたしておりますが、そのときはあなたの方からも、それはひとつ人事院総裁として何とかやりたいと思うからというようなお言葉もあつたわけです。ところがやつてくれるかと思つてつておりますと、今までほとんどやられておりません。これは過去のことになりますが、そういういきさつで、地方公務員は、非常に片手落ちの扱いを受けて来ているのが事実だと思います。ここに参りまして、地方公務員法案が正式に出て参りましたが、この際にやはり、国家公務員の場合において、人事院と国家公務員法との間にあつたいろいろなおもしろからざる状態が、また地方版として再現されるのではないかとわれわれは案じております。それでひとつ具体的に地方公務員給與の問題でお聞きしたいと思うのですが、私ども聞いておりましたところによりますと、きのうあたり実は給與法案が出ることになつておつたと聞いておりますが、その点はどういうふうになつておりますか。
  131. 淺井清

    ○淺井政府委員 人事院と国家公務員法との間に生じたおもしろからざる事件のみを御回想でございますけれども、ちようど給與の問題が出ましたから申し上げますが、六千三百七円べースの実現のごときは、最もおもしろき御回想かと思います。そこで決して人事院は国家公務員のために不利益ばかりをはかつたように御了解はないものと考えておりますが、今度の給與法の問題に突然ほこ先をお転じになつたわけでありますが、私はもうすぐに国会に提出されるのではないかと存じておりますが、これは人事院が提出するものではございませんで、内閣の方で出すのでございますから、私からはこれ以上ちよつと申し上げかねると思います。
  132. 立花敏男

    ○立花委員 現在の六千三百円べースは、二年半ばかり前のものだと考えておりますが、間違いございませんか。
  133. 淺井清

    ○淺井政府委員 その通りでございます。
  134. 立花敏男

    ○立花委員 二年年前のベースが、現在も行われておるということを、あなたはその通りだと言つてお認めでございますが、この際に労働者が一番望んでおりますのは、このべースの改訂ということであります。これに対しまして、なるほど予算の上では非常にわずかな千円ベース・アップの問題が織り込まれておりますが、しかしかんじんの給與法案が出て来ないのです。いくらベース・アツプの予算が組まれておりましても、法案が出て参りませんでしたら、公務員はもらうことはできないわけですが、それは人事院の責任ではない、そういうことは知らないというふうにおつしやられるのですが、それはあまりに人事院としては、――職権の問題と公務員給與に重大なる責任を持つておられるあなたのお考えとしては、私ども非常に冷淡だと思いますが、給與法案について、どういうふうにお考えなのか。それは政府責任だと言つてしまえばそれまででございますが、あなたとしてはどういうふうにお考えなのか、もう一応お聞かせ願いたいと思います。
  135. 淺井清

    ○淺井政府委員 まだ提出されない法案に対しまして、人事院が公の席上で意見を述べるというのは、いかがかと思いますが、この法案が提出せられましたならば、人事院は自分の所見を申し述べることは、少しも躊躇いたすものではございません。ただまだ提出されていないということは、これは内閣の方の手続によることでありまして、人事院の責任ではない、かように思う次第でございます。
  136. 立花敏男

    ○立花委員 そうしたらその内容について少しお聞きしたいのですが、千円ベース・アップの新ベースと、人事院の最終的な勧告である八千五十八円のベースとの関係を、どういうふうにお考えか、お聞かせ願いたい。
  137. 淺井清

    ○淺井政府委員 これはまだ法案が提出されておりませんので、いかがでございましようか委員長、この席上で私からその内容説明することはできかねるのでございますが……。
  138. 前尾繁三郎

    前尾委員長 立花君、ごもつともだと思うのですが、どうですか。
  139. 立花敏男

    ○立花委員 それなら別にお聞きいたしたいと思います。八千五十八円は、たしかこれも数箇月前の賃金だと思うのであります。間違いありませんね。
  140. 淺井清

    ○淺井政府委員 さようでございます。
  141. 立花敏男

    ○立花委員 そういたしますと、八千五十八円以後に、日本の金融界あるいは産業界には、朝鮮動乱に上る重大なる影響がありましたのですが、人事院の勧告の基礎になつております五%以上の変動が、この動乱によつてつておることは、当然事実だと思うのであります。人事院は八千五十八円で現在満足されておるのかどうか。最近新しい勧告をお出しになる――これは当然お出しにならなければならないと考えておりますが、この辺はどういうふうにお考えですか。
  142. 淺井清

    ○淺井政府委員 およそ勧告をいたしまするときには、そのときに利用し得べき最新のデータを使うのでありますが、あの勧告は八月九日に出されておりまして、そのとき利用し得べき最新の資料は、五月のデータでありますから、八千五十八円の勧告をいたしましたことは当然だと思います。その後いかなる変化が起つておりますかは、まだ人事院といたしましては、調査が完了いたしておりません。そこでさらにあらためて勧告を出すという意思は、ただいまのところ決定いたしておりません。
  143. 立花敏男

    ○立花委員 朝鮮動乱のあとで物価が非常に上つた。大体三割ないし三割消費財が上昇しておる。これは常識なんです。あるいは米価におきましても、十キロ当り四十二円が五十二円になる。五%以上の上昇はもはや明らかなんだ。それを公務員給與責任者であられるあなたが知らない、まだ調べていないということで、責任が果せますか。
  144. 淺井清

    ○淺井政府委員 五%とは何をおさしになりまするか、もしもそれが物価の上昇か五%以上であるとの御見解ならば、それは国家公務員法に反すると申し上げたいのであります。
  145. 立花敏男

    ○立花委員 労働者の賃金の算定の基礎になる消費財、生活物資、こういうものが大体五%上れば、人事院としては勧告をしなければならないということになつておると思います。私どもといたしましては、これはさいぜんから申し上げましたように、労働者は現在は生活の上ではほとんど他に余裕がございませんで、主食の消費と、その他の身のまわりの消費財とを買うことで手一ぱいなのだ。それが今言いましたように、非常に大巾な値上りをしておるこの際に、労働者の賃金をそのまますえ置く、公務員給與の問題を問題にされないということは、非常に手落ちじやないかと思うわけです。五%の基準が生活費の基準であろうと、消費財、あるいは物価の値上りであろうと、こういう枝葉末節なことにこだわらずに、ほんとうに現在の労働者にとりましては、ただ食うだけの生活しかしておりませんので、これはどつちにころんでも大したことはないのです。だからその際に実態を深くお考えになつて、やはりあなたは公務員の総則の責任者なんだから、特にひどい変動が起きております現在において、まだ資料もそろつていない、何の考えもしていないということでは済まされないと思う。だからもつと大きな立場から、やはり責任をお感じになつて処理していただきたいと思いますが、もう一度御返事を承りたいと思います。
  146. 淺井清

    ○淺井政府委員 その五%ということは、お示しのように、生活費用が五%上つたから勧告するということは、国家公務員法に書いてないのでありまして、俸給表を五%以上かえる必要を認めたときは、勧告をしなければならないと書いてございますから、生活費用が五%上つたということだけでは、勧告はできないのであります。それは枝葉末節と仰せられますけれども、これは公務員法の規定でございますから、この規定に反しました勧告を、かりに人事院がいたしましたならば、国会は何と御批判になりますか、これはどうしても厳格に国家公務員法規定に従うよりほかないと存じます。
  147. 前尾繁三郎

    前尾委員長 立花君、地方公務員法に関連あることを御質問願います。
  148. 立花敏男

    ○立花委員 公務員給與の問題ですから、これは非常に関連があるのですが、それでは具体的に地方公務員給與の問題に入つて行きますが、この八千五十八円の給與の勧告は、同時に地域給の引下げを含んでおつたと思います。これは間違いありませんね。
  149. 淺井清

    ○淺井政府委員 その通りでございます。
  150. 立花敏男

    ○立花委員 ところが八千五十八円よりも下まわつた現在のこの政府案で、しかも地域給の引下げが同時に行われようとしております。私はこれは非常に公務員にとりましては、実質賃金の低下になつて来るだろうと思います。この際お聞きしておきたいのは、地域給全体を一律に五%引下げたように聞いておりますが、これで一体財源が幾らくらい出て来るのか、お聞かせ願いたいと思います。
  151. 淺井清

    ○淺井政府委員 財源のことは私はわからないのでありますが、ただ地域給について申し上げますれば、なるほど人事院の勧告は現行の三割から五分下げて、五分刻みにおろしております。これは決して地域給がいらなくなつたという趣旨のものではなくて、物価はどこもここも高くなつた、物価の地方差はなくなつたのである。従つて、これは本俸を上げて操作すべき問題であつて、地域給で操作すべき範囲は三割もないのであつて、せいぜい二割五分程度であろうということから下げるのでありますから、人事院の勧告で地域給を二割五分に下げておりますことは、相当程度本俸を上げるということを前提としておる、こういうことであります。
  152. 立花敏男

    ○立花委員 その本俸の上り方が非常に少いわけです。特に新聞でも言つておりますように、上に厚く下に薄いわけです。下では三百円くらいしか上らないわけです。そこから地域給の五分を引かれる、あるいは寒冷地手当を引かれる、あるいは超過勤務手当がもらえない、こういうことになつて参りまして、下の方ではかえつて減る者もある、こういう状態が出て来ておるわけであります。こういたしますと、人事院の八千五十八円の勧告は、まつたく骨拔きになつておりますし、かえつて減る者がおるという状態が起つておる。この事態をどう考えておいでになりますか。人事院総裁はこの近くでありますから、相模原の小松製作所というところを御存じだと思います。これはPD工場で、一万数千人の労働者がおるようです。ここでは最近職階給がつくられまして、家族手当もなくなつてまつた。一切の給與が職階給一本になつてしまつて、非常にでたらめな給與が行われまして、労働者まつたくかつての徴用工と同じような労働状態に陷つておるのですが、われわれが審議しております地方公務員法の中にも、地方公務員給與が職階給の方向に持つて行かれようとしておる。これは重大な問題だと思う。さいぜん言いましたように、この政府考えておりますものでも地域給、あるいは寒冷地手当、あるいは超勤が引かれますが、その上に小松製作所のような形が出て参りまして、家族給までなくなるといたしますと、これは大問題だと思う。この問題について、人事院総裁はどういうふうにお考えか、お聞かせ願いたいと思います。
  153. 淺井清

    ○淺井政府委員 政府給與べース改訂が、人事院の勧告よりも非常に少いと仰せられますが、金額といたしましては、人事院のベースは八千五十八円、政府のベースはおそらく八千円くらいだろうと思つておりますから、人事院の勧告と金額において非常に違いがあるとは申しかねるかと思います。ただその中の俸給表におきましては、非常に基本的な考え方が違つておりますが、この点はいずれ法案が出ましたときに、人事院の所信を申し述べたいと思つております。  それから職階給に切りかえたために扶養手当がなくなつたというような実例について、お話がありましたが、それは民間の会社のように承りましたが、国家公務員につきましても、職階制が進行中でございますけれども、これがために現状におきまして、そのような手当がなくなるということは考えておりません。地方公務員につきまして職階制が確立されましても、そのようなことはないと考えております。
  154. 立花敏男

    ○立花委員 当面そのようなことが起らないだろうと私も思います。また起つてはこれはたいへんなんです。小松工場はPD工場で、多分日本人の意思では左右できないので、こういう給與が押しつけられて来たと思いますが、これが一つの指標になりまして、職階性の方向へ行きます以上は、どうしてもここまで到達させられるではないか。そういうように考えているわけです。この問題に関しまして、私ども政府給與対策を見ておりますと、職階級をなくするという方向ではなく、やはり職階級の方向を強めて行くということが現われているわけです。今度の給與法案でもそういうことが現われておりますので、それでその点を特に御注意申し上げて、これを防ぎとめるような方向に努力していただきたい。これは差額が少うございますが、八千五十八円ベースと並行的に出されました地域給の引下げは、八千五十八円のベース・アツプで多かれ少かれ職階級の方向に行つているではないか。こういう方法で進む以上は、これは極端な例でありますが、小松製作所の方向に進んで行くのではないか。それでは困るので、少くとも公務員給與責任者であるあなたとしては、これを抑止する方向に行つていただきたい。こういうことをお願いしているのですが、この点はどうでございますか。
  155. 淺井清

    ○淺井政府委員 その点は、すでに職階法に現在の給與は減さないという規定がございまするから、そのつもりではおるのでございます。
  156. 立花敏男

    ○立花委員 大きな観点からのお考えをひとつお聞きしたい。
  157. 淺井清

    ○淺井政府委員 その点は御同感でございます。経済状態が非常に楽になりましたあかつきはいざ知らず、現状におきましてはどうしても給與生活給的な色彩が強いものでございますから、そのようなふうには考えておりません。お示しの通りでございます。
  158. 立花敏男

    ○立花委員 それからさいぜん問題になりました現存の急激な物価の上昇でございますがこれは総裁が資料もお持ちになつていない、調べていないとおつしやると、ちよつと困るのですか、実はそういうことでもないだろうと思うので、その本心を打割つてお話願いたい。
  159. 淺井清

    ○淺井政府委員 正確な資料は持ちませんが、ただいま急激に上昇しておりまする物資は若干片寄つておるではないか、また物価の高い地方は局所的なインフレーシヨンではないか、こういうふうな考えを持つておりまするか、これは正確な資料によつたものでございませんので、いつでも取消してよろしゆうございます。
  160. 立花敏男

    ○立花委員 年末を控えまして、特に物価が上昇するだろうと思いますが、これは毎年の例でございまして、一旦年末に上りましたら来年になりましても下りません。しかも海外の情勢はやはりインフレの傾向を見せております。特に日本と経済的な影響のあるアメリカのインフレ傾向は、これは否定することはできない。日本のインフレ傾向はずつと年末から年始にかけまして急激に来るだろうと思う。この際、やはり人事院とされましてはこの問題を正当に評価されまして、適当な手を打つていただきたいと思うのでございますが、さつそくこの問題を取上げていただけるかどうか、お聞かせ願いたいと思います。
  161. 淺井清

    ○淺井政府委員 年末における一般的な生活費の増加ということについては、年末手当の問題がございまして、これは人事院も取上げましたし、政府においてもその点考慮されていると思います。
  162. 立花敏男

    ○立花委員 ところがその年末手当は半月分なんです。これは人事院総裁自身の責任だと私ども考えるのです。六千三百円ベースは人事院総裁がお認めになりましたように三十箇月前の給料なんです。これで今まで来ているわけなんです。その間人事院は七千八百七十七円べース、八千五十八円べースの二つの勧告をお出しになつております。最低といたしまして、六千三百円ベースの不足としても年末には三万数千円の金がなければいけないわけです。これは人事院総裁としては否定するごとのできない金であると思う。どうですかこれは。
  163. 淺井清

    ○淺井政府委員 人事院が一箇月分を余計に出して十三箇月分の給料を一年に拂うということを勧告いたしましたのは、人事院のベースの中には、民間の大きな会社の給與との比較をとつておりまするが、その民間の大きな会社で出しているボーナスという観念は入つていないのでございます。これがちようど一箇月ぐらいになりますので、そこで十三箇月分抑えと、こういうことを勧告しているわけでございます。これを半月分政府が出すということになりましたのは、それは財源の方からの問題でございまして、人事院といたしましては、一箇月が適当であると今もつて考えております。
  164. 立花敏男

    ○立花委員 一箇月分幾らになりますか。六千三百円べースでしよう。六千三百円ベースで、多少上げたといたしましても一箇月分余計出しまして七千円程度なんです。そうでしよう。ところが人事院の勧告案に従いまして現行の六千三百円ベースとの差額を、今まで計算いたしましても二万幾らになるわけです。そこへ七千円近い金を出して、これで十分だとは人事院の考え方が矛盾しているではありませんか。
  165. 淺井清

    ○淺井政府委員 どこが矛盾していると仰せられるかよくわかりません。お示しの様子ではベースをさかのぼつて差額を支拂えということになるかと思いますが、それはいかがなものでございましようか。もしも国会でそのような御処置をおとりになられれば、これは私ども公務員保護する立場にある者としては、まことにけつこうだと存じまするが、実際国家財政立場から申しますれば、遡及してべースの引上げをするということは困難であろうと思います。
  166. 立花敏男

    ○立花委員 私は遡及して支給しろとは言つていないのです。数字上の計算を言つているわけです。人事院が七千八百七十七円の勧告を出した。それと六千三百円との差額、あるいはその後に出されました八千五十八円との差額、これは当然労働者給與として受取るべきものなんです。それを形の上で遡及するかしないか、遡及することはできないではなかろうかということは逃げ口上です。この二つの六千三百円べースとの差額は、当然労働者が赤字として年末に持つている金なんです。それが二万幾千円になるのです。そこへもつて来てたつた一箇月分六千七百円では間に合わないと言つているのです。
  167. 淺井清

    ○淺井政府委員 その二万何千円は、やはり遡及する考えから出て来るわけでありまして、私どもとしては、そのようなことは考えておりません。
  168. 立花敏男

    ○立花委員 計算を遡及するのでありまして、遡及して支拂えとは言つていないのであります。数字の問題として私は言つているのです。どうかしていますよ、あなたの頭は。
  169. 淺井清

    ○淺井政府委員 私は決してどうかしているわけではございません。十三箇月分俸給を拂うことを正しいと認めておるのでございまして、それが三万何千円になるということは了解できません。
  170. 立花敏男

    ○立花委員 俸給は何箇月分で生活しているではないので、何千円、何万円で生活しているわけなんです。年の暮れには幾らの赤字があるかということが問題なんです。その問題の赤字の基礎は、あなたのお出しになつた勧告案によつて計算しているのです。だからその問題はあなたががんばればよいのです。あなたを説得することはできないと思いますのでやめておきますが、半月分だけでも政府がお認めになつた。ところが地方公務員はこれが出ないわけなんです。その点はあなたは御存じですか。
  171. 淺井清

    ○淺井政府委員 私はその点は存じません。出るか出ないかという点は私は存じません。
  172. 立花敏男

    ○立花委員 知らないというのは責任がないということなのか、政府の予算にはそれが組まれていないということを知らないというのか、どうなんです。
  173. 淺井清

    ○淺井政府委員 その出ないというのは何によつておられるのでありまするか。各公共団体財政をことごとくお調べでございますか。
  174. 立花敏男

    ○立花委員 あなたは地方財政委員会の勧告書、意見書をお知りにならないのですか。
  175. 淺井清

    ○淺井政府委員 私は所管外でございますからそれは存じません。
  176. 立花敏男

    ○立花委員 所管外のことはみなお知りにならないのですか。
  177. 淺井清

    ○淺井政府委員 それならばどうぞ一所管外についてお聞きにならないようにお願いいたします。
  178. 立花敏男

    ○立花委員 所管外のことは一切お知りにならないかとうかということを聞いているのです。
  179. 前尾繁三郎

    前尾委員長 答弁ないそうです。大矢省三君。
  180. 大矢省三

    ○大矢委員 私は二点だけお聞きしたい。先ほど来の答弁にもありましたように、国家公務員法を出した当時の実情、特に今度の地方公務員法は国家公務員法に準じてこれを作成したという説明もありますが、今から二年前すなわち二十三年七月三十日に、マ書簡が発せられましたが、その当時は申すまでもなく日本の組合運動がまだ十分に発達しない過渡期にありまして、いわゆる二・一ゼネストの直後でありますから、マツカーサー書簡にもその情勢に対処してということが、わざわざ文面に載つております。その後自己批判があり相当健全な発達を遂げて、一本の組合運動も民主化して、私ども非常な相違があると考えているのです。従つてその当時つくつた国家公務員法というものに対する考え方、またその取扱い方が人事院でも相当にかわつて来るはずだ。だからその当時つくつた公務員法に準じて地方公務員法をつくるということについては、私は相当に考慮が拂われてしかるべきだと思う。それで第一に私がお聞きしたいことは、その当時と今日の組合運動のあり方、特に官公庁並びに地方自治団体組合実情というものについて、直接担当されている人事院総裁は、どういうふうな見解を持つているか。その当時と比較してのお考えを、この機会にお聞きすることが地方公務員法を審議する上に、重大なポイントになるのでお聞きしたいと思います。
  181. 淺井清

    ○淺井政府委員 まことにごもつともの御質疑と存じております。およそ法律はその時々の情勢によつて制定せられるということは、これは当然のことでございまして、二年前とただいまとにおきましては、おのずから情勢の変化もあるように思つておりますが、ただこれに関しまして国家公務員法におきまする基本的な線を変更するというような考えには、人事院といたしましてはただいまのところまだ達しておらない、とここで申し上げるほかはないのでございます。なお御質疑の点は十分考慮して善処いたしたいと思います。
  182. 大矢省三

    ○大矢委員 大体組合運動の民主化、健全な発達を承認されていると思いまするが、その当時制定した際に、特に專売公社並びに鉄道公社の従業員に対しては公共事業体の別法をもつてこれに当つたのですか、その当時の立案担任責任者と申しまするか、関係省は――これは人事院が国家公務員法をつくつたけれども、そうした独立採算制を持つている特別な事業に対しては、労働省がこれらの立案に当つたのは御承知通りであります。今度の場合にも当然四つ離されるところの水道、ガス、電気、軌道経済の公共企業体で経画しているところの事業に対しては、特別法がつくられるということが附則に書いてある。そこでこの法律の立案はちようど国家公務員法をつくつたと同様に、労働省が取扱われるのが私は順当だと思う。その当時もそうであつたが、今もまたその通りだと思いまするが、私は昨日開きますると何か今度は自治庁の方でつくられるとか、つくる準備があるとかいうことを言つておりますが、この点は国家公務員法をつくつた当時の事情と同様に、これは特別ないわゆる事業でありますから公共企業体の設立と同様に、労働省が立案すべきが当然と思いまするが、一体淺井さんはどういうふうにお考えでありますか。
  183. 淺井清

    ○淺井政府委員 お示しの点はあの当時のマ書簡の中に基礎を持つておりまして、その制度の経過はただいまお述べの通りでございます。今回その点がどのようになつておりますか、実は私関係しておりませんので、ひとつ地方自治庁の方でお聞きを願いたいと思います。
  184. 大矢省三

    ○大矢委員 いや、私は自治庁に聞いた。聞いたら準備しているということだが、あなたの方で国家公務員法をつくつたときには、この二つの事業に対して労働省が立案したんだ、そういうことが正しいんだ、従つてあの当時はそういうふうに人事院と労働省との間で、別々に法律を立案したのだ、これがかえつて行き方が正しいのじやないかということの見解を、私はお聞きしているのです。それをつくることがいいかどうか、自活庁に対して私はあとから聞きますし、きのうも聞いたんです。そのことに対する当時の実情と今総裁の考え方を、そうした方が正しいかどうか、どつちかを聞きたい。
  185. 淺井清

    ○淺井政府委員 あの当時はただいまお示しのようなものは、一応国家公務員の範囲から出るものでございますから、これはもはや人事院は、当時の人事委員会でございますが、全然関係しておりません。従つて労働省がこれをやるということが、まことに自然のように考えておりまして、別に何もその間において問題は起らなかつたので、ただいま御質疑のようなことさえも考えていなかつたのでございます。今回のところはどのようなことにするか、私としてはちよつと批判ができかねるように思います。
  186. 山手滿男

    ○山手委員 私人事院総裁に一、二点聞きたいと思うのでありますが、今度の地方公務員法案によりましても、やはり政治活動の禁止ということが非常に重大な問題になつて、論争点の重要なものになつているわけでございま少。国家公務員法におきましては、百二條によつてああいうことがうたわれている、人事院規則によつても、その問題が取上げられてはつきり規定されているのでありまするが、国家公務員におきまして最近下の方からの問題はいろいろ議論され、批判されているのでありますが、上の方からの下に下つて来る問題も、いろいろあるやに思つております。前回の参議院選挙そのほかにおきまして、人事院としてああいう選挙の場合トラブルを起したようないろいろな問題があろうと思うのでありますが、そういう問題についてどういうふうに御処断になつているか。その点をひとつお聞きしたい。これは地方公務員法が通りますと、各地方でいろいろばらばらに問題を起すであろうことを予見しておりますので、われわれとしては人事院総裁国家公務員法について、どういうふうにお考えになつていらつしやるか、御意見を承りたいと思います。
  187. 淺井清

    ○淺井政府委員 ただいま正確なる資料を持ちませんが、過般の参議院選挙におきまして、国家公務員についてお示しの政治活動について問題を起した事件が、数十件あるように思います。私ただいまちよつと正確に記憶いたしませんが、これらの案件につきましては、人事院からそれぞれ担当の各省に対しまして、注意を喚起したことがあつたかと思います。なおこの点取調べて申し上げます。
  188. 山手滿男

    ○山手委員 この政治活動禁止によりまして、まあ先日来もいろいろ話が出ているのでありますが、最下級の職員あたりがそういう政治活動、自分たちの待遇の改善とか何とかいう政治意欲に基いて行動をいたしますときには、きわめて峻烈なる取締りが即座に行われるのでございますけれども、前回の参議院の選挙のごときは、御承知のように、某々大蔵事務次官とか某電通事務次官とか、あるいは建設次官とかそのほか次官とか何とかいうものが、みな立候補いたしまして、そうしてこの連中が手足になつておつた旧部下、そういう者を使つて地方に出て、いかにも職権濫用であるがごとき――拔け道はいろいろできておるのでありましようが、すれすれの線でやつておる。ところがそういう上からの働きかけを受けた下部の者は、上からたということで、これはまた行き過ぎをいろいろとやつておる事実があるのでありますが、人事院総裁はそういうことについて、どういうふうにお考えになりますか。
  189. 淺井清

    ○淺井政府委員 お示しのごとくそれはどうも国家公務員法上、上も下もないはずであります。国家公務員法の適用を受けるものでございますならば、人事院といたしまして、適当な処置をいたすごとに少しも躊躇いたすものではございませんが、ただ問題はその事実をはつきりつかむかどうかということにあるのであります。
  190. 山手滿男

    ○山手委員 そう言われますと、一、二例を申し上げざるを得ないのでありますが、関東地方におきましては、某政務次官が立候補いたしたことに対しまして、地方の郵政関係の長を総動員いたしまして、そのために数十人の人人が起訴をされております。ところがその人々は起訴中でまだ判決はないのでございますが、現にその職にとどまつておる。ところが地方公務員法から参りますと、そういう場合には、選挙違反で起訴されて無罪になるならぬは別にして、まずこれは排除されることになるのでありますが、国家公務員の場合には、そういう連中が起訴をされて、ちよつと閑職にはついておるようでございますが、その職から排除されておらないという事実がたくさんあるのであります。これについてどういうふうにお考えですか。
  191. 淺井清

    ○淺井政府委員 その事実を私初めて承つたのでございまして、ちよつとそれに対して取調べてみませんと、お答えがいたしかねると思いますが、起訴されておりましても、ただちに職から排除されなくてもいいような規定になつておると思います。それは起訴されましても、はたしてそれが有罪のものであるか無罪のものであるか、これはわかないのでございますから、これはそれでなくてもいいのではないかと思います。
  192. 山手滿男

    ○山手委員 そういたしますと、この地方自治庁の方で申しますところの、多くを條例に譲つたということによつて、罰則を加えないで、條例によつてこれは排除するというふうな建前になつておる方が、むしろ峻烈になつて来る。これはその職を失つてしまうということなのです。国家公務員の方はむしろ成規の裁判にかけて、何年も弁護士をつけてがんばつて、これはかわいそうだ、選挙違反程度だからというので逃がれて行けば、なおかつずつと職にとどまつて行けるということになりまして、地方公務員法の方がむしろ峻烈な規則になつて行くというふうなことに相なるのではないか、こういう地方公務員法のようなものが通りますと、下の方の者は政治情動の制限についても、非常に峻烈な取締りの対象になるのでありますが、上の方の人からの働きかけについては、それが見逃がされて行くというふうなことになりますので、私は非常にこの点問題があろうと思つておりますが、一度これを総裁の方でしつかりお取調べ願つて、御処断を願いたいと思います。
  193. 床次徳二

    ○床次委員 淺井総裁に一言お尋ねいたしたいのですが、人事院におきましては国家公務員法をすでに実施せられまして、多分の経験を持つておられるのでありまして、これが将来の地方公務員法の運用上大きな参考になるのでありますが、先ほども御議論がございましたごとく、今日国家公務員の賃金べースの問題について、いろいろ問題が多いのであります。かかる懸案を残したまま国家公務員法が実施せられておるということは、人事院総裁として国家公務員法を円満に施行するため、所期の法律目的を達するためには、相当の障害を来しておるということをお感じになるのではないか、この国家公務員法の実施の責任に当つておられる総裁としては、非常に遺憾の意を感じておられるのではないかと思うのであります。この点いかがでございましようか。
  194. 淺井清

    ○淺井政府委員 ちよつと御質疑の点を聞き漏らしたのでありますが、この給與ベースの問題の解決しないということが、国家公務員法の実施に支障があるというのではないかと思うのでございますが、しかしながらさればと申しまして、その監督権以上の権限を人事院に與えるということになりますと、またいろいろ問題がほかの方に生じて来るのではないかと思います。
  195. 床次徳二

    ○床次委員 ただいまの点は大体非常に人事院総裁としては苦しい立場におられるということを了承いたしておりますから、重ねて申し上げません。  次におたずね いたしたいことは、国家公務員法におきましては、政治活動制限の問題は規則規定しておられる。今度の地方公務員法は法律規定してあるのでありまして、しかもその内容におきましては、人事院規則が出ましたのは、すでに相当時間が経つておる。先ほどお店のように情勢の変化によりまして、多少かわつているところはあるかもしれぬ、しかし基本的には今日においてはどうかということを言つておられますが、今日提案せられました地方公務員法案内容が、すでに規定になつておるところの人事院規則と、はたしてどの程度まで符合しておるか、あるいはその間にずれがあるかないかということに対しまして、人事院総裁は御検討になつておるかどうか、今度のは法律案として出て参るのでありますが、人事院の方は人事院規則であります。法律案の成立いたしましたときには、当然人事院規則といたしましても、これは考えなければならないことかと考えますが、この点はいかような御検討をされておるか承りたい。
  196. 淺井清

    ○淺井政府委員 まことにごもつともな御質問だと思います。第一の国家公務員法の方は、人事院規則で書いてありますし、片一方は法律で書いてございます。どちらがよいかと申しますれば、これは何といつて法律規定することが本筋であることは申すまでもないと思います。ただあのときはいろいろ事情がございまして、実は国会の御意思で片一方は人事院規則に委譲されておるのでございます。それからまた地方公務員法で、これを法律に書かぬといたしますれば、統一的な人事院規則に該当するものが、地方公務員法ではあり得ないのでありますから、どうしても地方でばらばらになる。そういたしますれば、現状を承認いたすといたしましても、国家公務員の方は人事院規則が出ておるにもかかわらず、一方は法律で書いてあるということは、決して矛盾ではないと思つております。  さてその次には内容の問題でございますが、それはただいま申しましたように、若干政治的品的の点で違いができておりますが、さて具体的に範囲がどこが違うかと申しますと、これはただいまのところ非常に認定困難であります。と申しますのは、さいぜんも申しましたように、その他條例をもつて定める事項という空白で委任された部分があるということでございます。この條例をどういうふうに満たすかということによりまして、同じようにもなり、またよほど違うようにもなり、またある町とある村とについて違うようになり、ただいまのところ、いかようとも判定いたしかねます。  第三は罰則の点について、国家公務員の場合には罰則がありますが、他方は罰則がない。但し違つた意味の罰則がついておるように存じております。しかしながらこれは罰則の有無がいいか惡いかということから離れましても、ただいまのような状態でございますと、地方公務員法に罰則を付することは、ほとんど不可能だと思つております。というのは、今申しましたその他條例をもつて定める事項ということがございますから、その條例内容がある村とある町で異つて参り、従つてある村で罰せられ、ある町では罰せられないというような事情ができて参りますから、そういう技術的な点から見ましても、地方公務員法には罰則を付することは、困難のように存じております。しかして一方において罰則がなくなりました場合に、国家公務員法の罰則をどう取扱うかという問題につきましては、人事院としてはただいまのところ付も考えておりません。しかしながらこの点はよく考えて善処いたしたいとだけ、ただいま申し上げたいと思います。
  197. 床次徳二

    ○床次委員 ただいま御提出になつております地方公務員法につきましては、今後の審議の過程によりまして、いろいろ意見がでて来るのではないかと思うのです。特に政治活動の問題につきましては、これを修正するというような意見もあるのでありまするが、一方におきまして、人事院におきましてはこれは人事院規則である。どうもちよつとすぐには出ない。実は改正案を出しますれば、人事院規則も当然法律でもつて改正しても、さしつかえないわけでありますが、どうも自動的に改正し得ないというような、大をもつて小を改正するというような形になりますので、はなはだ歯がゆいような気がするのであります。新しい地方公務員法が成立いたしました場合は、人事院の方におきましては、当然人事院規則との照合を詳細にされまして、もしもかわるべきものがありましたならば、ただちに改正する手続をとられるか、あるいは法律でもつて改正する機会までお待ちになるお考えかどうか。御意見が伺いたいと思います。
  198. 淺井清

    ○淺井政府委員 まことにごもつともな御質疑でありますが、人事院といたしましてはこの点をどうするか、実はまだきめておりません。と言いますのは、はなはだ卑怯なようでありますけれども、この地方公務員法が、このお示しの部分がどうなるかということが、まだ私どもにははつきりつかめないのでございます。その上におきまして、人事院規則につきましても善処いたしたいと思つておりまするが、ただいまどのようにいたすか、ちよつとここで申し上げることができかねます。
  199. 前尾繁三郎

    前尾委員長 ただいま保利労働大臣が見えておりますから、労働大臣に対する質疑をお願いいたします。大矢省三君。
  200. 大矢省三

    ○大矢委員 今度の地方公務員法において、問題のいわゆる独立採算制のできまする軌道、水道というものが、大体除外されておることは御承知通りであります。これは国家公務員法の場合に、特に労働省が立案されまして、公社法ができたことも御存じの通りでありまして、今度の除外された同じ企業である電気、軌道、ガス、水道というものは、別法によつて取扱いたいということは、今度の地方公務員法の中にあるのです。そこで前同様に、公社法あるいは公共企業体法を適用したように、これは労働省で多分立案されると思いまするが、その用意があるかどうかということをまず最初に聞きたい。
  201. 保利茂

    ○保利国務大臣 本来申しますと、ただいま御指摘のような業種につきましての労働の関係の面におきましては、いわゆる公共企業体労働関係法、ああいつたような立法措置をとることが妥当である、こういう考えを持つておるのでありまして、政府内部の関係におきましては、できるだけ早い機会にその立法措置を講じたいという心構えでおります。
  202. 大矢省三

    ○大矢委員 できるだけ早い機会に立法の処置をとりたいということでありましたが、これは今申しましたように、前の公労法ができましたと同様に、労働省で立案されることと思いまするが、同一の性質でもありますし、それに間違いないでしようか。
  203. 保利茂

    ○保利国務大臣 むろんこれは関係の方面と十分隔意のない御相談をしまして、公労法の建前に準じまして立法をやつて行きたい、こう考えております。
  204. 大矢省三

    ○大矢委員 今淺井人事院総裁に、その当時労働省が立案して、今度はどうもそうでないというようなことをお伺いしますと、それは国家公務員法からはずしたから、すなわち公共企業体の別法によつたのだということを言つておりましたが、今度も従つて地方公務員法から、この四つの事業というものははずさせるということになると思いまするが、その点は労働省でどういうふうにお考えですか。
  205. 保利茂

    ○保利国務大臣 法律上はどうなりますか、私はこういうふうに了解いたしております。先ほどお示しの業種に携わつておられる従業員の諸君には、この地方公務員法は適用せられない、かように考えております。
  206. 大矢省三

    ○大矢委員 それでは地方公務員はないから、一応前と同様に労働省で立案するというように、私どもは大体思つてつてさしつかえない、すなわちもつと言いかえますと、前と同様にこうした特殊な事業に対しては労働省が立案の責任者になる、こういうことに私どもが解釈して御異議ございませんか。
  207. 小野哲

  208. 大矢省三

    ○大矢委員 私は労働大臣に聞いておる。私は言いますが、一体自治庁で今まで立案したものと、労働省の意見とは非常な相違なんです・一体自治庁というものは地方に向つては非常に強いけれども、上の方に向つて、大蔵各その他に対しては至つて弱い。これは官僚の一番惡いところなんだ。私は少くともこういうような民間とほとんどかわりのないような事業、さらにこの公社法に規定されたような、いわゆる国鉄、專売公社のごとき、国が直接特別会計において経画しておるものは、これは労働省が立案したのですから、今度でも当然労働省が立案すべきなんだ。そこで地方公共団体関係があるから、自治庁の意見を述べられることは、大臣のお話の通りに、各省との十分打合せの結果できたというのでありますから、その内部的な、いわゆる政府部内においての相談は、これは大いにやつてくれることもいいし、けつこうでありまするが、あくまでも一方の国におけるそういう事業は労働省が立案上、そうした單独の法律をつくりながら、こつちではそうでなくして自治庁がつくるなんということは、一体小野さんがそういう考えでおるから、述べようとするかもしれませんが、私は労働大臣に尋ねておる。だからその点は労働大臣から御答弁願います。
  209. 保利茂

    ○保利国務大臣 筋合いからいたしましても、国有鉄道公社におきます、あるいは專売公社におきまするその労働関係を起案いたしております労働省は、同様の業種でございますから、労働関係法につきまして、労働省で立案の責に任ずるということは、私は当然だろうというふうに考えております。しかしながら立案過程におきまして、関係の各庁と摩擦を起さないように、十分の協議を遂げていたすべきものであろう、かように考えております。
  210. 大矢省三

    ○大矢委員 いや、それでよくわかりました。けつこうでございます。そこで前に、実は自治庁が今年の七月に立案された法案の中には、いわゆる十二種目にわたつての單純労務といいまするか、特に現業員といいまするか、そういうものを特別職なりいろいろな名前によつてはずしておる。今度はこれをただ四つの事業だけをはずして、あとは近い将来において別にこれを法律で定めるというのでありまするが、結局これがいつできることやら、あるいはきのうも聞きますと、人事院の方では、そういうことは国家公務員法を改める必要もない。それがどういうふうに改正されようが、私どもは決して異論がありませんということを、先ほど来申したのでありまするが、そういうふうで單純労務者をもこの中に包含して、しかも――将来は別であります。将来は刊か改めるというお話がきのうも大臣からありまして、私どもはその含みのあることをお聞きしたのですが、しかしそれがいつできるか、その理由は、国家公務員とのつり合い上はすさなかつたのだ、こういうことを言つておりますが、どうもそのことがあいまいになつておりますので、労働省として前に案のできておつた十二種目をはずすということについてどういうふうに考えておるか、大臣は説明の中に各省関係との間に十分打合せをしていたしたのだと言うが、その打合せの際に、これをこのまま公務員として法文に残すごとについて、労働大臣は賛意を表されたのか、あるいはその経過をもしここで発表できるならばお聞きしたい。
  211. 保利茂

    ○保利国務大臣 あけすけに申しまして、その点につきましては岡野国務大臣とよく御相談をいたしました。森林伐採夫というようなこれまた單純労働者国家公務員法の適用を受けておるのであります。しかしながら国鉄公社でありますとか、專売公社でありますとかいつたような業種に準ずべき先ほどの四つのような業種は、これはやはりそういう建前と同じ建前をとることがよかろう、ただそうでない單純労務者についての労務関係については、国家公務員の方における單純労務者との関係において、これは将来に残される懸案だと思いますが、できるだけ妥当な解決を早く見出したい、そういうふうに考えております。
  212. 大矢省三

    ○大矢委員 それからこれはひとつ大臣のお考えも聞きたいと同時に、私ども強く考えておることですが、東京都内において同一の交通專業をやつておる国鉄、都電、さらに東京急行、東京急行は御承知通りに地下鉄でありますが、これはやはり民間專業で、事業の性質は同一でありますが、ただ経営主体が利潤を追求するいわゆる営利会社でないということのために、同じ東京都内で同一な作業に携わつている交通従業員の諸君が、法的に非常な差別的な取扱いを受けるということが、この事業遂行の上に私は非常なる影響があると思う。この点は今度立案にあたつて、なるほど営利会社とは違いますけれども、しかし同一の事業をやりながら非常なる相違のあるということは、各人の非常な不平の原因になる。その、不平があつては重要な公共事業が円滑に遂行できないことは明らかでありまして、どんな企業でありましてもこれは人間が運営するのでありますから、人間それ自体、従業員諸君が心から協力する態勢でなければ、私はその事業は遂行できないと思います。従つてもし立案される場合、あるいは今日そういう同じ都内において一方では特別な苛酷な制限をつけた取扱いを受けておるということについての考慮をせられ、その精神を入れてもらいたい、この中に織り込んでもらいたいということが、私どもの強い希望であります。しかしながら民間と公共企業体の経営しておる事業が同一であつて、そうしてどういうことをしてもいいというのではありません。そこに性質のおのずから違うものがありますけれども、先ほど来ここで問題になつておつたんですが、政治活動その他組合活動にいたしましても、おのずから服務規程その他において相当厳重な取締法と申すか、そういうものが内規なりあるいは従業員規則、服務規程の中に制定してある、それをなおさらに法的な規則によつて取締らなければならぬという考え方が、せつかく民主化して自己反省して、労働組分が順調な発展をしておる今日において、そういうことを取扱うことがやがて日本の組合運動の将来に対して、私は非常に憂慮すべき結果になるということを考えますので、特にそういう立法措置を草案される場合に、同一事業における特に差別的な取扱いというものは、十分考慮に入れて立案していただきたいということを私は考えておりますが、それについて労働大臣はどのようにお考えか、この機会に御意見をお伺いしておけば非常に幸いだと思います。
  213. 保利茂

    ○保利国務大臣 たいへんごもつともな御懸念でございまして、私もそう考えるのでございます。たとえば東京の地下鉄は民間、大阪の地下鉄は同じ地下鉄でも公共団体が経営されておる。たしかそうでございます。そこで全然同じ業態で、ただ経営主体が異なるということで違うというのは、どうもたいへんおかしいようにその面から見ますと思いますけれども、どうしても私企業と公営企業との相違、それから出て来ます取扱い上の差別がつきますことも、けだしやむを得ないと思いますが、御懸念の点はきわめてごもつともな点だと思います。十分研究しなければならぬと思います。
  214. 大矢省三

    ○大矢委員 けつこうです。
  215. 前尾繁三郎

    前尾委員長 はかに御質疑はございませんか。
  216. 床次徳二

    ○床次委員 ただいまの御意見を承つて、労働大臣は相当御理解あるということについては、私ども非常に期待しておるのでありますが、ただいま御意見がありましたごとく、公共事業が特別な取扱いを受けるということに関しましては、その経営が公共団体だということ、国家の方につきましては経営が国家であるということと同時に、その仕事が公共性を持つておる、二つの内容を持つておるのではないかと思う。ところが現在の取扱いは一概に国家が経営しておるからということで、ひつくるめてそれを論じておられる。しかもいわゆる一般従業員のごときものは、これは金の方は国から出て来るけれども、実は仕事そのものに対しては、大して公共性を持つていないということが言えると思う。国家公務員につきましても、だんだん内容を分類して参りますと、どうもやはり新しい分析と申しますか、わけ方、もう一つ分類を必要とするのではないかということを私ども考えております。労働大臣もそのようなことを考えておられるように私ども考えるのでありますが、地方公務員法につきましては、大分国家公務員法をつくりましたときと情勢がかわつて参りましたので、なお地方公務員の特色といたしまして、その自主性多様性ということを非常に検討してみなければならなくなりますので、取扱いは国家公務員の場合よりも非常に詳しくわかれて来ると思います。今後審議を続けて行きますと分科がはつきりして来る。その場合におきましては、どうも国家公務員法のわけ方がずさん過ぎると申しますか、おおまか過ぎる、均衡がとれないということが出て来るように思うのであります。こういう場合におきましては、地方公務員法がもしもそういうふうな詳しい規定になれば、国家公務員法におきましても、それに準じた改正が行われなければならないと思いますが、この点に関しまして、大臣はやはり地方公務員沖がそういうふうに改まつたならば、国家公務員法もそれに追随して、その精神を継承して改めるというお考えだろうと思いますが、あらかじめ御意見を承つておきたいと思います。
  217. 保利茂

    ○保利国務大臣 尤ほど大矢さんにお答えしたところと違うのでございましようか。
  218. 床次徳二

    ○床次委員 大体同じような……。
  219. 保利茂

    ○保利国務大臣 一応地方公務員の方の中に含まれる單純労務者の扱い方、これは国家公務員法の適用を受けております。單純労務者とあわせ検討して、一連の措置をとるべきものであろう、そういうふうに政府内部の意向は持つておるわけであります。おそらく御質問の御趣意に、あるいは合つておらぬと思いますが、もし何でございましたら……。
  220. 床次徳二

    ○床次委員 大体要領はそういう点味でありますが、ただ地方公務員法の方は、相当自主性多様性というものを考えられ、しかも時間的に、大分時代が進んで、新しい情勢の変化を見ております関係上、国家公務員法よりも早く、分類と申しますか、遊歩するのじやないかと思います。その場合におきましては、国家公務員法は関連して改正するのが、やはりいいのだろうと思うのですが、今のお考えから行くと国家公務員法の方でわけてないから、地方公務員法の方につきましては、しばらく待つというようなことであります。私ども考え方から言えば、地方公務員法の方が分化して参りますならば、それにつれて国家公務員法の方も一歩進めていいのではないか、これは将来のことでありますから、予想はできないとおつしやるかもしれませんが、態度としては、そういう態度をおとりになるべきではないか、法の進歩をやはり進めていただいた方がいいのではないかと思うのですが、これに対する御所見を承つておきます。
  221. 保利茂

    ○保利国務大臣 まつたく御同感でございます。そういう際に、地方公務員法における單純労務関係を取扱う段階においては、当然また国家公務員法の單純労務者の取扱いをあわせ考えて行くべきであろうと思います。しかし御意見まつたく同感であります。
  222. 門司亮

    ○門司委員 私の聞いておきたいと思いますことは、先ほどから大矢さん、それから床次さんからいろいろ話かありましたが、労働大臣としてのお考えを率直にお伺いしておきたいと思います。さきに国家公務員法が制定されまして、日本の労働者としての当然の権利といいまするか、そういうものが国家公務員に対しては非常に大幅に奪われておる。そうしてその公務員法によつて大幅に奪うかわりに、身分の保障と、平たく言いますと給與の保障は、十分しなければならないということが書いてある。しかし人事院の勧告は二回にわたつているが、いまだに実施されておらない。同じようなことがまた地方公務員に出て参りまして、そして同じように働いておりまする労働者に対して労働三法を適用しない、あるいは海員法の適用を減らすというようなことで、労働者の基本的の人権というものが、実は大幅に制約を受けておるのであります。そこで労働省といたしまして、日本の労働者のサービス省として、同じ労働者である、ことに地方公務員におきましては私企業とまつたく同じ仕事をしておるものがたくさんあるのであります、同穴公務員よりもむしろこれの方が性格上多いのでありますが、これらのものに対して、一体労働大臣は当然自分の所管としてこれを保護すべき立場にあるにもかかわらず、これが自分の所管の中からだんだんはすされれ、そうして労働三法保護規定が受けられないという実態がだんだん出て来ておりますが、それに対して労働大臣として、一体こういうことは当然であるとお考えになつておるのかどうか、その辺の感想をこの機会にます最初に承つておきたいと思います。
  223. 保利茂

    ○保利国務大臣 いかなる業種に携わる方であろうとも、労働條件の維持、改心ということは、單に労働省だけの役目でなしに、政府あるいは地方公共団体全体の常に心がくべきところであろう、かように考えております。
  224. 門司亮

    ○門司委員 私の考えておりますことと非常に違つたような答弁なのでありますが、実際はそうあるべきであると思いまするが、先ほどから申し上げておりますように、国家公務員におきましては、国家公務員法に定められておりますことが、実際において政府ではこれを実行いたしていないのであります。御存じのように、一方においては、人事院がその待遇改善のために勧告をいたしましても、これが二回とも実は実行されておらない。片方には、私企業でありまするなら、労働者の基本的に持つております権利というものは、当然発揚されるべきであり、また発揚したと思う。ところが国家公務員であることのためにそれができない。地方公務員にも実にそれと同じような大幅なわくをここにきめようといたしておりますが、これに対して労働省の立場から、私は繰返して御質問いたしますが、こういうきめ方がいいかどうかということを伺います。
  225. 保利茂

    ○保利国務大臣 政府一つでございますから、労働省に特別かわつた意見はございません。これは全体の奉仕者である公務員という上から行きますと、国家公務員地方公務員も同じことじやないかと思います。従いまして懸案として残されておる地方公務員が、国家公務員と同じような規律のもとに立つということも、一応当然じやないかと思います。
  226. 門司亮

    ○門司委員 私はただ法的に事務的にお伺いをしておるわけではありませんで、最初申し上げましたように、日本の労働者労働者としての憲法で定められておりまする当然の団結権があり、あるいは罷業権を持つておる。これが国家公務員である、あるいは地方公務員であるということで、大幅に制約されるということが、労働省として、労働者保護するという立場から見て、一体そういうことが妥当であるかどうかということであります。この点について伺います。
  227. 保利茂

    ○保利国務大臣 公務員政治活動その他を大幅に制限することが妥当であるかどうかということは、根本的に私は相当議論のあるところだと思います。しかしながら全体の奉仕者として、公務員政治活動の上に相当の制限を受けるということは、今日の日本の実情から申しまして、私は当然じやないか、かように考えております。
  228. 門司亮

    ○門司委員 労働三法の適用はどうお考えになりますか。
  229. 保利茂

    ○保利国務大臣 労働三法の適用も、これは国家公務員法とのつり合いから、公務員たるところの身分、仕事、そういう上から行きまして、おそらく單純労務と申しますか、現業と申しますか、そういう諸君が相当含まれておりますために、この問題が問題になると思うのでございますけれども、純粋の行政権の運用に当つておられる方々の政治活動制限、あるいは労働三法の適用の問題というようなものは、そう大きな御異論はないのじやないか、そこで單純労務に携わつておられる人たちを制限するごとに結果はなるわけでありますが、それが妥当を欠きはしないかというところであろうと思います。これは国家公務員法におきましても残されておりますから、先ほど来申し上げますように、あわせて一連の懸案として解決をはかつて行かなければならぬ点であろう、こういうふうに考えております。
  230. 門司亮

    ○門司委員 だんだんはつきりして来たようでありますが、私ども考えておりますものも、もとより公の機関をまつたく麻痺させるような考え方、あるいは企画に参画する者、あるいは祕密を保持する者というような上級の公務員に対しては、ある程度の、わがままというものは、公に奉仕するものとして許されないかとも考えておりまするが、まつたく私企業と同じ仕事をしておつて、先ほど労働大臣のお話もありましたように、ただ事業の経営形態が違うというだけであつて内容まつたく同じだという労働者が、一方は労働者保護法としての三の適用を非常に制限される、一方はこれが自由に行えるということになつて参りますと、労働者立場から申し上げますならば、先ほどの人事院総裁のお話では、これは自由職業であつて、みずから選んで入つた職業であるからというようなことを言われておりましたが、われわれにはそういこうとでこの問題を片つけるわけには実は参らぬと思うのであります。従つてそれらの諸君に対します労働三法の適用は当然だ、私はこう考えておりまするが、労働大臣はこの点に対して先ほどの答弁だけでは、考えておるとか、あるいは残された問題だということで、――少し古い過ぎかもしれませんが、大臣の方ではそれでよろしいかと思いまするが、取上げられております方は、それでは実際は困りますので、ひとつ大臣の方でそれに対しまする腹案がおありでございましたら、大体いつごろそれを実現するというようなことの御符答が願えるなら、この際ひとつ御発表願いたいと思います。
  231. 保利茂

    ○保利国務大臣 私の個人の気持を申し上げましても、これは責任が伴いませんが、私は時間的には大体まず公労法の建前に準じて、立法措置をとるべき方を先に解決することになるので、だからそのあとということになつて行くのではないか。私の気持を申し上げますと、そういうことになります。
  232. 門司亮

    ○門司委員 だんだんそういうふうになつて参りますと、実は私どもはつつ込んで、さらにあげ足をとるようでありますが、一体公労法はいつごろ改正されるかということまでも一応聞かないと、この五十七條を見逃すわけには行かないように実は思います。一体大臣といたしましては、それの前提になる公労法というものを、いつごろ改正されるおつもりであるのか。あるいは先ほど大矢さんの質問で公共企業体、いわゆる財政法の第六條に規定いたしておりまする公共企業体に対しては、労働省の方に立案したいというようなお考えの御発表がありましたが、それは一体いつごろになるのか。その点をひとつ伺いたい。
  233. 保利茂

    ○保利国務大臣 公労法の改正とは、これは別のことかと思います。地方公共団体の営みます公営事業の労働関係、それは別途に立法の手続をとらなければなりませんが、できるだけ早くやります。
  234. 門司亮

    ○門司委員 できるだけ早くというのでは、一向にはつきりいたしませんが、私ども心配いたしておりますのは、この法律の中に、――非常に重要でありますが、單純労務というものが五十七條に全部含まれておりまして、今のお店のように、当然これはわけるべきだと考えておられるし、また私どもはわかれるべきだと考えておりますが、これが全然別にならないで、この五十七條というものの中に一緒に含まれておつて、そしてそれのできるまでは、実はこの法律の適用を受けることになつておるのであります。何もこれが除外されておりません。従つて、この問題は、一体どういうふうになるのか。いわゆるこの法律の一番最後に書いてありまするものは、これはさつき申し上げました公企業体の問題でありますが、そのほかの單純労務に対する立法措置というものが、一体いつごろできるのかということが、一向われわれにはわからぬのであります。これに対して、先ほど大臣のお話では、公共企業体の方は先にできて、そのあとでこれが処理されるというようなお考えでありますが、地方公共団体の営みます公企業体に関する労働法規というものが、いつごろ出されるお考えであるか。ただいま伺いますと、なるべく早い機会ということでありますが、この国会に出されるのか、あるいは通常国会に出されるのか。ただ早い機会ということだけでなしに、もう少し具体的にお話を願いたいと思います。
  235. 保利茂

    ○保利国務大臣 先ほど申し上げました以上に、私申し上げられません。それでひとつ御了承願いたいと思います。
  236. 門司亮

    ○門司委員 私がこれを聞きただしておきたいと思いますことは、この法律の施行は非常にまちまちでありまして、政治活動あるいはすべての活動労働者のそうした基本的の権利というものを束縛いたしまするものは、法律の施行後二箇月以内にこれが効力を発生するようになつてますが、そのほかの規定は大体六箇月であり、八箇月であり、あるいは人事委員会等は一年六箇月後でもいいというようなことで、保護規定の方は非常に遅れております。取締規定だけは早くやるというような法律の性質を持つておりますが、保護規定と取締規定とが、そろつて来ないと、私どもはそれをそのまま承認するわけには、実は参らぬのでありますから、その点をひとつはつきりしておいていただきたいと思います。
  237. 保利茂

    ○保利国務大臣 よく御趣意はわかりました。その点は先ほど大矢さんの御質問のときにお答えいたしておりますように、いわゆる公労法の建前に準じて、労働関係法を持ちたいというその業種の方々については、この地方公務員法は適用しない、すなわち現状通りで行くのだということになつておりますから、その点は御懸念はなかろうと私は思います。
  238. 門司亮

    ○門司委員 そうすると、單純労務の方も除かれるということでありますか。
  239. 保利茂

    ○保利国務大臣 それは違います。それは国家公務員法における、たとえば森林伐採のごとき、單純労務者と同様に、地方公務員法の適用を受けるということになる。それで四業種につきましては、この地方公務員法の適用はしない、こういうふうになつております。四業種以外の單純労務者の取扱い方については、国家公務員法における單純労務者と合せて、これはできるだけ別途の、一連の措置を講じなければならない、こういうふうに考えているわけであります。
  240. 門司亮

    ○門司委員 その点でありますが、その四つの業務といいますか、これはやかましく言うと、地方財政法の六條の規定する業種ははずされるということが、一番最後に書いてありますから、わかつております。私の聞いておりますのは、五十七條の單純な、特殊の業務を営む者、たとえば、鈴木さんの説明では、この中には公立学校の職員が含まれるのだというような説明をしております。公立学校の職員にしても、あるいは、御存じのように下水の掃除や屎尿のくみとりをいたしておる者にしましても、私どもといたしましては、公務員として責任地位にある、地方自治法の百七十二條の規定にあります、市町村長の代理の行為を行う者とは、どう考えてもこれは考えられない。そこで同様に、こういう者は私企業と同じような仕事をしておりますし、それから国家におきましては、大体一つ国家形態の中できめておりますから、大してさしつかえはないと思いますが、地方公共団体は、御存じのように、都道府県から市町村を合せますと、実は一万二、三百になるわけであります。一万二百を越えて、あるいは一万五百くらいになるかもしれません。そのように非常に多くの自治体を持つております。そしてその自治体の中で、同じ仕事をしていて、ある自治体は公営でやり、ある自治体は私の企業でやつている。そういたしますると、これが一つ法律で出て参りますと、ただおのおのの自治体のその経営の形態といいますか、経営の工が違うというだけで、同じ業務に仕出しております者が、差別的の待遇を受けるということは、国家の場合よりも非常に多いのであります。これは国と地方の、こういう法律一つに取扱う場合に、私どもが最も重要な点として実は考えている点であります。この点については、大臣もよく御存じだと思いますが、従つて非常に地方公務員の取扱いについては、不公平な問題ができて来る。たとえば甲の市と乙の市は相隣り合せておりましても、甲のところは一つの屎尿のくみとり事業を市営でやつている、一つは私営でやつているという場合に、片方の業者は非常に待遇がよくなる。惡ければ労働三法を適用して交渉もするし、ある場合においてはストライキをするかもしれない。そして自分たちの地位の向上というものを、生活の基礎を安定させることのために、十分労働者としての一切の権利の行使ができる。庁方は隣合せておつても、公企業体であるからといつて、それができないというような実態は、必ずしも地方公共団体運営に、私は円満ないい結果はもたらさないであろうということであります。その場合に被害を受けます者は、一体だれであるかというと、それは地方に住んでおります住民である。いわゆる、ここにお役所仕事というようなものが出て参りまして、そして作業の能率に非常に大きな影響を持つて来る。こういう結果をもたらすであろうことは、実はわれわれは想像にかたくないのであります。そこで私どもといたしましては、地方公共団体のそういう單純労務に属しております人たちに対して、やはり労三法を適用して行くことの方が、憲法団体権がどうの基本的人権がどうのというりくつを、拔きにいたしまして、私どもは妥当ではないかというように実は考えているのであります。この点サービス相としての労働大臣のお考えをもう一度この機会にお聞かせ願いたいと思います。
  241. 保利茂

    ○保利国務大臣 私はまつたく御同感でございまして、そういう考えをもつて措置して参りたい、こういうふうに先ほどから申し上げているのであります。
  242. 門司亮

    ○門司委員 そうすると、こう解釈してよろしうございますか。單純労務について私が懸念いたしておりまするのは、国家公務員法が改正されなければというか、あるいはそれと一緒にやりたいというような大臣のお考えのように、私は拝聽するのでありますが、実際そういうふうに考えてよろしうございますか。
  243. 保利茂

    ○保利国務大臣 どうも片方だけ考えて片方を考えないというわけには、私は参らぬだろうと思います。まつたく同じような状態のもとに置かれて、しかもひとしく公務員法の適用を受けている。一応この案によりますれば、四業種を除く單純労務者も地方公務員としての扱いを受ける。その四業種以外の單純労務者の取扱い方をきめまする場合には、国家公務員の單純労務者も同一に考えなければならぬ、こういうふうに考えます。
  244. 門司亮

    ○門司委員 質問の仕方が惡いのか何かはつきりわかりませんが、そこまで話が行きますと、あとは時期の問題だろうと思います。従つて時期は、一体それならいつごろそういうことが実施せられるかということであります。このことについてお考えを伺いたいと思います。
  245. 保利茂

    ○保利国務大臣 先ほど申しましたように、私はただいまは申し上げ切れません。
  246. 門司亮

    ○門司委員 これは水かけ論になるかとも思いますが、私どもは労働大臣のそれだけの御答弁では、実は満足するわけに参らぬのであります。現実の問題として、この法律が通過して二箇月すると、一切のものが効力を発生、して今より以上に縛られなければならぬ。ところがそれは考えてはいるが、しかしいつこれが実行されるかわからぬということになつて参りますと、いつまで考えられているか見当がつかぬので、單純労務者としても、そう簡單に引受けるわけに行かぬし、私どもも簡單にのむわけには参らぬと思うのです。これが一連の関係があるということになつて参りますと、岡野さんだけにお聞きしてもなかなか――岡野さんのように、国家公務員法が改正されるころといわれると、一体どこがつかみどころか一向わからぬようになりますから、労働大臣として腹蔵なく、大体この国会に出すか、あるいは来国会に出したいと考えているというようなことの御答弁はできませんか。
  247. 保利茂

    ○保利国務大臣 どうも先ほど以上のことは、私は申し上げられませんでございます。しかしこれは公務員対策と申しますか、公務員における労働対策と申しますか、残されたはなはだ大きな問題であるということで私は考えておるわけであります。しかし時期の点を今どうするのだということを言われましても、私ちよつとこれより申し上げるとはできませんので、御了承を願いたいと思います。
  248. 門司亮

    ○門司委員 最後に私、労働大臣の感想といいまするか、お考えだけを一応お聞きして確かめておきたいと思います。労働大臣としては地方公務員に対しまして、先ほど私が申し上げましたように、企画に参画する者、あるいは祕密を保持する者、あるいは首長の行政代理行為を当然行う者、いわゆる行政的な権限を持つておる者、もう少し平たく申しますれば、許可認可の権限を持つ者に対しましては別でありまするが、その他に従事しておりまする地方公務員に対しましては、労三法を適用することが当然であるというようなお考えをお持ちになつているかどうかということを、最後に確かめておきたいと思います。
  249. 保利茂

    ○保利国務大臣 直接行政の運営の衝に立つ人のみならず、行政運営上の補助者としてのいわゆる事務職員に対して、私は同様に取扱うべきものであろうと考えております。
  250. 門司亮

    ○門司委員 單純労務と言つておりますが、実はどこでその線を引くか限界が非常にむずかしいのであります。そこで單純労務だけがはずされるといたしましても、單に現場におりまする者といいまするか、現実に單純な労務をしておる者というように解釈をするか、あるいはさつき申し上げましたようなところで線を引くか、單純労務という言葉だけでは、なかなかこれはむずかしい線の引きようだと実は私は考えているわけであります。従いまして、この問題についてはこれ以上私は申し上げません。  最後にこれらの地方公務員が、先ほども答弁がございましたが、労三法の適用から除外されるということについて、労働相としての立場からごらんになりました場合に、單純労務者という限界は、一体どの辺に置いておられるかということを、もう一度お伺いしておきたいと思います。
  251. 保利茂

    ○保利国務大臣 これは相当検討を、要する問題だと思います。平たく申しますればいわゆる現業、その範疇に入る人たちだ、こう考えております。
  252. 立花敏男

    ○立花委員 本会議での労働大臣の発言に、非常に重要な問題がございましたので一つお伺いしておきたいと思います。実はレツド・パージの問題ですが、たしか大臣はこういうお言葉をお使いになつたと思います。共産党員はいついかなるときに破壊的なことをやるかもしれないので、そういう者を追放するというふうにおつしやられましたが、その点そういうふうに了解してよろしゆうございますか。
  253. 保利茂

    ○保利国務大臣 お聞き違いだろうと思います。私は最近における日本共産党の動向等からかんがみまして、いついかなる場合、その企業の中において破壊行為に出る者が出ないとも限らない。そういうおそれのある者、こういうふうに私は申し上げているつもりであります。
  254. 立花敏男

    ○立花委員 それは私の申しましたこととまつたく同じでありまして、そういうおそれのある者、最近の日本共産党の動きから見まして、いついかなるときにそういう破壊行為に出るかもしれないから、そのおそれのある者とおつしやつたのでございますが、これはまつたく推定ではないかと思うのでございます。あるいは労働大臣の言葉の中には、推定ではなしに、おそれというのは事実に基いての判定だというふうに言われるかもしれませんが、その点重大な点でございますので、お聞きしておきたいと思います。
  255. 保利茂

    ○保利国務大臣 私が申し上げましたのは、経営者がその責任においてさような破壊行為に出るかもしれないというおそれの十分ある人たちを、排除する措置をとつているものと私は了解しております。とこう申し上げていることによつて御了解を願いたいと思います。
  256. 立花敏男

    ○立花委員 そういたしますと、現在地方で良心的な経営者あるいはその他の官庁出先、地方団体の方でやつておりまするのとは、多少違つた点があるではないか。地方では実際その行為のあつた者というふうに言つておりますが、労働大臣はそうではなしに、そういうおそれのある者を追放するのだといわれることになるのでございますが、その間に差異があつてそういうお言葉づかいなのかどうか。その間に差異がなくて、ただ言いまわしがそう聞えるような言いまわしなのかどうか、これをひとつ伺いたいと思います。
  257. 保利茂

    ○保利国務大臣 地方の万でどう言つておられますか、私は知りませんけれども、私はそういうふうに今回の事態は了解している、そういうふうに申し上げておるのです。
  258. 立花敏男

    ○立花委員 そういうふうにと申しますと、ただ推定でやつてもいいということでございますか。
  259. 保利茂

    ○保利国務大臣 推定というか、とにかく自分が企業をやつて行く上において、いつ工場をぶちこわされるかもわからないというような心配のある、いわゆる危險、有害の分子を、その経営者がどう判断されるか、それは経営言の責任においてやつていることでありますから、私がこれを申し上げる筋合いではなかろうと思います。
  260. 立花敏男

    ○立花委員 経営者の責任に転嫁されておるようですが、やはり日本の労働行政の責任者としてレツド・パージという問題をどうお考えになつておるのか。実際上はやはり地方へ対しましても、間接直接にレッド・パージの通達が参つておるわけであります。それに基いて地方では現在行われておるわけであります。その際に、各地方の経営者の責任において、責任者の判断においてやれというのではなしに、労働大臣自身のお考え方を伺いたい。労働大臣自身のお考えが非常に根本的なものになつて参ります。そういうふうに、推定で、おそれのある者ということでおやりになられては、これは大問題だと思うのです。これは憲法違反だとか何だとか、私ぎようぎようしくは申しませんが、重大な考え方だと思いますので、念のためにもう一度ここでひとつ聞いておきたいのです。
  261. 保利茂

    ○保利国務大臣 経営者に責任を転嫁するというようなことは、一体道義上あり得ようはすはありません。あなたは、私の方で直接あるいは間接に通達を出していると言われるけれども、さようなことは、労働省は言うに及ばず、政府のどの部分からもさような通達を出していることは絶対にございません。従つて今回の措置は、どこまでも経営者がその経営上、自主的な判断と責任において行われていることで、その過程におきまして、私どもは労働省の使命にかんがみまして、いわゆる便乗・解雇、行き過ぎが行われないように、細心の注意を拂つて参つたのでございまして、どうも私の方が責任を何か経営者にかけるとおつしやることが私はよくわかりません。
  262. 立花敏男

    ○立花委員 やはり日本にはまだ政府の方が偉いと考えておられる方が多分にありまして、大臣のお考え方が木端まで影響するわけでございます。大臣のお言葉が、推定で、おそれある者を首切ると言われるのでしたら、こういう考え方がすつと下へ参りますと、その経営者、あるいは工場の責任者が、こいつはいつ工場をぶちこわすかわからないから首を切るのだということになりまして、これ自体が実は大臣の言われるおそれのあるということの行き過ぎである。切られる身になりますと、善良な労働者で、営々として毎日工場へ通つて働いておるものを、何を感違いしたか、こいつはいつ工場をぶちこわすかわからないから首を切るのだ、こういうことになつて参りましては、これ自体が大問題なんです。これ自体が行き過ぎだと思う。またこれ自体が憲法違反だと思う。だから大臣の言うような、おそれがあるから百を切る、それは経営者の責任かどうか知りませんが、とにかくおそれがあるから首を切るというのでは、これこそ重大な問題だと思うのです。
  263. 保利茂

    ○保利国務大臣 おそれのある者を首を切れと言つて、私の方で指導をいたしたことは絶対にございません。要するにそういうふうなことで、経営者の責任と判断において行われているものと私は了解をいたしている。しかも今回の措置において、言うところの行き過ぎ解雇でありますとか、便乗整理というものが、経営者の方においてもどんなに愼まれたかということは、今回の措置の過程におきまして、大体一万余に上る方々を排除するということは、容易なことではないと私は思うのでありますが、比較的平穏に行われましたゆえんのものは、経営者の方にも愼重な心構えを持ち、また組合側におきましても、そういう措置性格をよく理解せられたために平穏に推移したのではないか、こういうふうに考えておりまして、むろんたくさんのところでございますから、あるいは例外的に行き過ぎのこともあつたかと思います。しかしそういうのは事実に即しまして解決をはかつて行かなければなりませんし、当然中労委もしくは地労委において取扱われて、公正な措置を受けているものと、私は了解いたしておる次第でございます。
  264. 前尾繁三郎

    前尾委員長 立花君、労働大臣は急いでおられますから簡潔に願います。
  265. 立花敏男

    ○立花委員 とにかく労働大臣が、経営者の責任でやつたことを是認されるかどうか。地方の工場の一個人が、これはいつ工場をぶちこわすかわからないという推定で追放したこと、そういうやり方を労働大臣が是認されるかどうかの問題だと思うのです。通達を出しておらないと言つておられますが、私たちはあの種の通達が出たことの確証を持つております。これは後日出してもいいのですが、通達を出したか出さないかという問題をここでやつても水かけ論になりますが……。とにかくそういうやり方を労働大臣が是認なさり、それでいいのだ、それで当然なんだ、これで労働組合法にも、あるいは憲法にも違反しないのだとお考えになること自体が、私は問題だと思う。この問題を私ども取上げましたのは、地方公務員に対してこれが去年相当広汎に行われたわけであります。これは下部に自治庁の通牒が参りまして、これは上からの命令じやないのだと言つておりますが、地方へ参りますと、やはりこれを政府からの指示だというようにはつきりと受取りまして、これによつて去年やつたわけであります。その結果裁判所あるいは地労委などで、理事者側が敗訴になつているところがあります。こういう事実が去年起きたわけです。ところが今度またそれに輪をかけたような、経営者の推定で首を切つてもいいのだ、それは当然なんだという考え方で、再び地方公務員の首を切られますと大問題だと思いますので、労働大臣の意見を確かめたのですが、それでいいのだというようなことなので、地方公務員といたしましてはまくらを高くして寝ることができないと思う。この点はもう一ぺんお考えおき願いたいと思う。  それから問題になりました現業の問題でありますが、四種のほかに残りました現業に対して、いつかわからないが関係法規をおつくりになるということですが、このつくり方が私は問題だと思うのであります。これをおつくりになります場合に、象徴的に申しますが、労働三法をなるべくはずすという考え方からおつくりになるのか。あるいはこれは同じく地方公務員なんだから、労働三法地方公務員から除外したその原則を少しゆるめて行こうという方向からお考えになるのか。どちらか、ひとつお聞かせ願いたい。
  266. 保利茂

    ○保利国務大臣 先ほど門司さんにお答えいたしました通りであります。
  267. 大泉寛三

    大泉委員 たいへんおそくなりましたから、これで散会されたいと思います。
  268. 前尾繁三郎

    前尾委員長 もうしばらく待つてください。
  269. 立花敏男

    ○立花委員 この点は詳しくはお答えがなかつたわけなのでございまして、非常にあいまいで、私は聞いておりましてもわかりませんでした。大臣もこの点は具体的にお答えになりませんでしたのでお尋ねしたのですが、私どもといたしましては、できるだけこの労働三法は適用すべきものなんだ。地方公務員法のように、労働三法を除外するのが原則なんだという方向から考えるのじやなしに、労働三法を適用するのが建前なのだという方向から、ひとつ考えていただきたいと思うのであります。労働大臣の御答弁の中には、この日本の実情からして、地方公務員にあるいは一般公務員にこういう労働三法を除外するということは適当だとおつしやられましたが、敗戰後、労働組合法が制定されました根本的な理念は、実は今もかわつていないと思うのであります。労働者に対しましては労働三法を適用して行くというのが、私今でも原則だと思います。この原則は非常に大きな原則でございまして、この原則はひつくり返ることはないと思います。だから残されました現場労働者に対しましても労働三法を適用して行くのだ。ある種類の制限はやむを得ないかもしれませんが、原則としては労働三法を適用してやるのだという考え方からひとつおつくり願いたい。地方公務員法の考え方から労働三法をはずすのが原則なのだという方向からお考えにならずに、労働三法を適用して行くのが原則なのだという建前から、お考え願いたいことをお願いしておきまして、時間もございませんので質問を終りたいと思います。
  270. 床次徳二

    ○床次委員 先ほど門司委員に、労働大臣が私見として将来の労働立法の方針と言いますか、趨勢というような意味においてお話がありましたが、これに対しまして門司委員あるいは立花委員は、單純労務者に対する立法というふうにおとりになつたのでございますが、私はそのときのお言葉はそうでなしに、今後問題となるのは、大阪の私鉄の従業員が、これはいずれ地方公務員法並びに地方の公営事業の特別法によつて規定される。その次に来るべきものは、結局公共性という意味において関連性を持つところの、一般民間事業会社がやつておるところの、たとえば地下鉄というようなものが、特別な扱いを受けるようになるのではなかろうか、そういう御意見のように拝聽したのでございますが、いかがなものでございましようか。
  271. 保利茂

    ○保利国務大臣 私は実はただいまのところ、そこまでは考えていないのでございます。
  272. 前尾繁三郎

    前尾委員長 それでは立花君、岡野国務大臣に対する留保された総括質問をやつてください。
  273. 立花敏男

    ○立花委員 私やつてもいいのですが、途中で議事の打切りが出ると困るので……。
  274. 山手滿男

    ○山手委員 きようはこの程度にいたしまして、明日、政府財政委員会意見書も出たことでございますから、ぜひ委員長を呼んでもらいたい。きようも全国市長会議があつて三十五億ではとてもやれぬという猛烈な陳情がある。これはわれわれとしても、どうしても地方公務員法案審議して行く上においては、まずその方面の裏づけの問題を検討しなければできないのでございますから、ぜひ明日、地方財政委員会の事務局長でなく、委員長を呼んでもらい、また午前中だけでもいいですから、国務大臣も呼んでもらつてやりたいと思います。
  275. 前尾繁三郎

    前尾委員長 あとでいずれ御相談申し上げます。  ではこの際来る三十日及び十二月一日の公聽会の公述人の選定についてお諮りいたします。各党また一般からの申出の人々から、次の方々を公述人といたしたいと思います。東大教授田中一郎君、神奈川県知事内山君太郎君、全国市長会長金刺不二太郎君、市政調査会小倉庫次君、全国町村会長白鳥義三郎君、都市交通労働組合河野猛夫君、全国水道従業員組合連絡協議会小田原末治君、全国自治団体労働組合議会委員長占部秀男君、日本教職員組合辻原弘市君、大阪市従業員組合書記長輪違清次君、東京都労働組合連合会執行委員長河野平次君、自治労委員長徳永利雄君、法政大学講師熊倉武君、日本自治会館常任理事伊藤正凾君、横浜市民生局勤務松尾彪五君、岩手県立尾崎高等学校教諭小林亮一君以上十六名の方を公述人といたしたいと思いますが御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  276. 前尾繁三郎

    前尾委員長 御異議なしと認めます。以上の方々を公述人といたします。  なお公聽会は二日ありますので、その振合い等につきましては、委員長に御一任願います。  それでは本日は、これにて散会いたします。     午後五時三十六分散会