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1950-11-27 第9回国会 衆議院 地方行政委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年十一月二十七日(月曜日)     午前十一時二分開議  出席委員    委員長 前尾繁三郎君    理事 河原伊三郎君 理事 野村專太郎君    理事 龍野喜一郎君 理事 藤田 義光君    理事 門司  亮君       生田 和平君    大泉 寛三君       門脇勝太郎君    川本 末治君       小玉 治行君    吉田吉太郎君       鈴木 幹雄君    床次 徳二君       山手 滿男君    大矢 省三君       久保田鶴松君    立花 敏男君       木村  榮君    大石ヨシエ君  出席国務大臣         国 務 大 臣 岡野 清豪君  出席政府委員         地方行政調査委         員会議議長   神部 正雄君         地方自治政務次         官       小野  哲君         地方自治庁次長 鈴木 俊一君         地方自治庁公務         員課長     藤井 貞雄君  委員外出席者         專  門  員 有松  昇君         專  門  員 長橋 茂男君     ————————————— 十一月二十六日  地方公共団体の議員及び長の選挙期日等の臨時  特例に関する法律案内閣提出第七号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  地方公務員法案内閣提出第一号)     —————————————
  2. 前尾繁三郎

    ○前尾委員長 これより会議を開きます。  前会に引続き、地方公務員法案を議題として、質疑を続行いたします。本日は地方行政調査委員会議議長神戸先生がお見えになつておりますから、神戸先生に対する御質問を願います。
  3. 立花敏男

    立花委員 地方公務員法案の審議に非常に関係があると思いますので、神戸先生にひとつお尋ねいたしたいと思います。  地方行政調査委員会議は、先般渡米されまして、向うの地方行政に関する調査を相当長期にわたつてなされまして、お帰りになりましたので、さぞりつぱな勧告案が出るだろうと、私どもつておりましたが、先般地方公務員法案提案理由説明岡野国務大臣のお言葉の中にも「近く地方行政調査委員会議勧告に基き、地方公共団体の権能がいよいよ強化され、その責務がますます加重されるであろうことが予想せられるのでありまして、これに備えて、地方自治の本旨に沿う地方公務員制度整備確立は」云々とありまして、今回提出されておりまする地方公務員法の問題と、非常に重大な関係があるということは、このお言葉からも明らかでありまして、また私どもといたしましても、地方制度の伝えられますような改革がなされますと、地方公務員勤務状況あるいは行政整理、あるいは労働条件、こういうものに対しまして、非常に大きな影響があるのではないかと思いますので、ぜひこの際地方行政調査委員会議としての勧告の大体でよろしゆうございますが、その内容、それからなぜそういう勧告が行われなければいけないかというその理由、それから勧告のねらつておりますところの目的、こういうものをお話願いたいと思います。
  4. 神部正雄

    神部政府委員 お答えいたします。私どもの担当いたしております地方行政調査委員会議、これはその成立の理由によつて明らかでありまして、私が呶々申し上げるまでもなく、すでに御承知のことと心得ておつたのであります。せつかくの御質問のことでありますから、一応申し上げます。  私ども鋭意日本地方及び国家行政の実態の調査をいたし、あわせて外国の事情等も参酌いたしまして、着々調査を進めておりますが、なおいろいろ検討を要しますので、内容はまだはつきりとお示しいたすことができませんけれども、近く来るべき通常国会の劈頭ぐらいには、すなわち十二月の十日過ぎあたりには、ぜひ勧告案を提出いたしたいという予定で進めておる次第であります。その内容についてはつきりと申し上げることは、なお多少の修正余地もありますことで、今申し上げることだけは、お許しを願いたいと思います。いずれその節には提出いたしまして、御批判を仰ぎ、また御協力をお願いいたしたい、こう存じておる次第であります。しかし私ども仕事予定いたしまする目標は、すでにシヤウプ勧告にも示された線に沿つておりますので、地方自治の強化、国の仕事をできるだけ地方の方へ、なかんずく市町村の方へ移すように持つて行きたい。そうして地方というものの行政力を強め、地方自治とか地方自主というものを強化して行く、その趣旨は結局は民主化といいますか、中央集権的な従来の日本方向を改めまして、地方の力というものを強め、さらにそれによつて、お互いの民主的な線というものを強く出したい、こういうつもりでやつておりますので、単なる行政改革だけでなく、民主政治のあり方にかなうように持つて行く、こういうことが最も私ども目標といたしておるところでありまして、これは今日におきまして、われわれが新しい国家を再建するには、ぜひともやらなければならぬ仕事だ、こういうつもりでやつております。具体的にはつきりと申し上げることをただいま差控えますが、そういう趣旨考えておりますることを御了承願いたいと思います。
  5. 立花敏男

    立花委員 十二月十日過ぎには国会へ提出する予定だということでございますと、わずかもう二週間くらいしかないのでございますが、十二月十日過ぎに国会へ出せるものが、なぜ今私の方に御説明願えないのか。この点私非常に不可解なのでございますが、その理由をひとつお聞かせ願いたい。どういう理由で今お示し願えないのか。
  6. 神部正雄

    神部政府委員 お答えいたします。別にどういう理由ということはありませんが、しかしまだはつきりときまつておりませんことを、前もつて発表いたしますと、実はこの問題につきましては、いろいろな方面利害が錯綜いたしておりまして、たとえば行政各部におきましても、それぞれの立場からの主張がありまするし、地方地方で、府県府県市町村市町村立場主張がありまするし、また民間におきましては、いろいろな団体が、いろいろな利害関係から、いろいろな要求を持つて来ております。私ども仕事を進行しておる間におきましても、一旦きまつたことが自然に漏れますと、すぐそれがじやまされ、反対運動がありまして、私どもとしましては、非常に困難を来しておる。従いましてこれがはつきりと公表できるような時期になりますれば、こういう問題があつたということ、こういうことをしたということを申しますが、それまでの間は、せつかくできかけたものをくずすということは、どうもむだなことになります。できまするまでは、はつきりと申し上げない方針でおりますが、その点は、われわれの仕事というものは困難な仕事である、簡単な仕事ではない、利害が非常に錯綜しておる、それをつとめて公平な立場でまとめるということが、むずかしい立場にあるという事情がありますことを御了承願いたいと思います。
  7. 立花敏男

    立花委員 大体わかつたのでございますが、しかし一応の原案はおできになつているようでございます。何となれば、今議長のお言葉の中に、多少修正余地があるとおつしやられましたので、一応の原案そのものはでき上つてつて、多少の修正の問題だけが残つている。こういう過程でございましたならば、私どもはかえつて示し願つた方がいいじやないか。議長のお言葉のように非常に重大な利害関係の錯綜する問題でございますから、議長のような措置をおとりになるのも適当ということは一応考えられますが、しかし逆に考えますと、そういういろいろな利害関係の錯綜する問題でございますから、やはり各層意見を十分お聞きになる必要がある。一応でき上つた原案をお示しになつてそして各層意見を十分お聞きになる必要がある。地方政治民主化が主眼だとおつしやられますが、そうであれば、その原案ができ上る手続におきましても、やはり民主的な手続を踏んででき上る必要があるだろうと私は思います。だから一応原案ができ上つておりますなれば、多少修正余地があるということは、もちろんこれは当然のことでございまして、その一応の原案を、やはりお示し願つて、もつと民主的に原案をつくり上げて、みなの力でつくり上げて行くという方法をとつていただいた方がいいじやないか。これは意見になるのでこれでとどめておきたいと思います。  もう一つお聞きいたしたいと思いますのは、大体その目標はお聞かせ願つたのでありますが、これに対する御質問あとでいたしたいと思いますが、そういう地方制度改革をやらなければいけないという客観的な根拠をどこにお認めになつたのか、どういう理由でそういうものをおやりにならなければいけないと思われるのか、これをひとつお聞かせ願いたいと思います。私どもといたしましては、そういう地方制度改革というような方法、これももちろん民主化一つ方法でございますが、それ以外にまだ当面やらなければいけない問題がたくさんあるのじやないか。そういう問題の解決とあわせてやらなければいけないと思うのですが、今お出しになろうとする勧告案のほかの、地方行政民主化方向へのいろいろな方法、これが私非常に逆の方向へ行つているのじやないかと思うのですが、こういう状態のもとで、今お出しになろうとするような勧告案をお選びになつ理由、これをひとつお聞かせ願いたい。
  8. 神部正雄

    神部政府委員 お答えいたします。それは御承知の通り新憲法におきまして、地方自治の尊重ということがはつきりと示されまして、まだその自治制度が、たとえば地方自治法であるとかその他相当にできましたけれども、しかしなおそれらにおきましても足らぬものがあるということで、地方自治法のみでなく、なおさらに進んで行政事務分配を一層地方に拡充するように行うことによつて、新憲法精神を生かすということは、これは当然の仕事だということで、こういうわれわれの地方行政調査委員会議というものができたものと、私は解釈いたしております。
  9. 立花敏男

    立花委員 それでは内容方面に入つて行きたいと思いますが、議長が渡米なさる直前のころ、京都でありましたが、新聞記者の方々に対しまして、道州制の問題をお話なつたことがあると思うのでありますが、今度の勧告案では、道州制の問題にお触れになつておるかどうか。あるいはお触れになつていないとしても、道州制の問題をどういうふうにお考えになつておられるか、聞きたいと思います。
  10. 神部正雄

    神部政府委員 私が渡米する前に、道州制の問題について何か言つた、それはどうなつておるかということでございますが、これはなかなか重大な問題でございまして、また意見の非常に相違もありましようし、政治的にもずいぶんむずかしい問題でありまして、私といたしましては、この実行は相当むずかしいということを予定いたしております。従いまして、そういう問題は、たとえ私ども仕事の面におきまして触れましても、最後最後の問題と考えます。今私ども会議におきまして、十二月十日前後には勧告案出したいと予期しておる、その中にはそこまでは触れておりません。ただ国府県市町村の間の仕事分配の面だけを一応勧告案出しまして、それがきまりました上でそれを前提として道州制の問題も考えてみようと思いますが、それがはたしてどういう結論になるかということは未定であります。委員会議といたしましてもそこまでは問題としておりませんけれども、いずれそういう問題も出て来るかと思いますが、その結論につきましては、いまだこれを申し上げる域には達しておりません。どうか御了承願います。
  11. 立花敏男

    立花委員 道州制の問題は直接勧告案の中には触れていないが、その方向に進んで参る勧告案内容と了解してよろしゆうございますか。
  12. 神部正雄

    神部政府委員 道州制の問題に触れなくても、現状府県のままでもつても行けるものとして、この勧告案は出るだろうと私は期待いたしております。要するに道州制とかいうことを離れても、なさなければならぬところの事務分配だけを勧告案出しまして、あとで道州制の問題に移る、こういう予定で進めております。
  13. 立花敏男

    立花委員 次にお尋ねいたしたいと思いますのは、地方公務員行政整理と申しますか、人員の配置の問題につきまして重大な関係がありますので、特に詳細に御説明願いたいと思うのであります。委員長のお言葉の中にも、シヤウプ勧告の線に沿つて改正をやるんだ、国家事務府県なかんずく市町村に委譲するんだ、特に市町村に重点を置かれてお話になられましたが、アメリカの方ではいわゆる日本府県に相当するカウンテイというものは非常に中間的存在であつて、むしろタウンとかいうものが非常に重要だ、そういうわけで今度の改革案の中には府県廃止方向に行くんじやないかというので、府県職員が非常に動揺していて、もう仕事が手につかないで、どこへ就職しようかということで、あわてておる連中があるようでありますが、府県に対するお考え方はどういうふうになつておるのですか。  それともう一つあわせまして、残されました市町村の問題でございますが、一万ばかりの市町村を半分の五千ばかりにしてしまう、それからその一つの単位の人口は一万ぐらいにしてしまう、こういうふうな意見が盛り込まれておるというふうに承つておるのでありますが、この二つの点につきまして、すなわち府県の位置とそれから市町村の数の問題、配分の問題につきまして、できるだけ詳細に御説明願いたいと思います。
  14. 神部正雄

    神部政府委員 この問題も実は今はつきり申し上げることはいろいろむずかしい問題に触れますので、遠慮したいと思いますが、しかしどういたしましても市町村仕事をできるだけ多く持たそう、こういう方向に進みますと、現状市町村規模ではあるいは小さすぎる、従つて弱すぎるというようなことも考えられますから、市町村はできるだけ大きく、先刻お話になりましたような現状よりは、やや大きな規模に持つて行く方が適当でないかということを考えまして、委員の間にはそうしたらよかろうという考えが出ております。出ておりますが、それにいたしましても、これに持つて行くのにあまりむりのないように、強制的に持つて行かぬで、そうしようと言えば、そうし得るような方向にできるだけ進めたいというくらいの考えでおります。これにつきましてもなお慎重に考えなければならぬと存じます。府県の問題につきましては、あるいは府県がなくなるということで、府県職員が動揺しているというようなお話がありましたが、府県はまず現状で行くというところで、現状でも行ける、これをただちに道州制に持つて行くというような方向には、むしろしない方向に行きやせぬかと自分では考えております。そういつた心配は杞憂だというふうに私は考えております。これは私の私見でありますから、まだ案として確定しておりませんから、はつきりと申し上げませんが、私見としてはそういうぐあいに考えております。
  15. 立花敏男

    立花委員 実は明二十八日全国市長会議がございまして、その議案として出ておりますものの中に、現在市がもらつております固定資産税住民税では不足だ、どうも県の方の持つております事業税を市へよこせ、こういうことが議案として出ることになつております。この方向を進めて参りますと、どういたしましても府県廃止という方向に行かざるを得ないと思うのでありますが、委員長がおつしやられました現在の市町村は弱すぎるというこのお言葉の中には、やはり財政的にも現在の市町村は非常に弱いということをお考えの上で、おつしやられましたのかどうか。財政的にどういうふうにお考えになつておられますか。神戸政府委員 これは私の私見ですから、どうか私見としてお聞きとり願いたい。私の私見では、市町村というものは大体シヤウプ勧告によりました税制改革によりまして、固定資産税住民税という二つの大きな、有力な税源をもらいましたから、税源といたしましては市町村では相当強化されて、財政上には強化されたものと考えるのであります。ただ市町村、なかんずく町村におきまして小さすぎると申しますのは、規模が小さいというと、いろいろの人の面におきましても、少数の吏員では手か足らぬ、従つて技術的な仕事を担当するようなよい人を得ることがむずかしいというようなことになりますから、多少規模を大きくして、そうしてできるだけいい人を集めて能率のよい仕事をして行く、能率の上つて行く人を集めるという上におきまして、小さいものでは不便であるから、やや大きくした方がいいという意味でありまして、財源とかいう面から申しますれば、市町村も相当前よりはよくなりましたので、先刻お話になりましたような事業税を持つことはいらぬ。府県せつかくつておる事業税府県といたしましては、御承知のように、入場税とか遊興飲食税とか事業税という三つの税この三つ税——は、多少不安定な税でありまして、市町村が持つている固定資産税住民税と比較いたしますと、不利な税でありますから、こういう税を持つておるところへ、さらに事業税市町村に移すということは、私は財政上から言つてもおもしろくないことだと思います。府県といたしましては非常に迷惑な話であり、そういつたことはするに及ばない事業税を持つということは決してすべきでない。従いまして府県といたしましては、現に持つているところの事業税なり、入場税なり、遊興飲食税なり、これをよく利用いたしまして、財政をゆたかにするという面に努力するということが、適当だと考えております。これは私見ですからどうぞ。
  16. 立花敏男

    立花委員 それから委員長とされましては、お出しになる勧告案内容の、現在私どもの審議しております地方公務員法との関係、これをどういうふうにお考えになつておられますか。これは先ほど申しましたが、岡野国務大臣地方公務員法案提案理由の中にあなたの方の勧告を非常に重要視してお書きになつておられます。この点委員長自身は、地方公務員法案地方行政制度改革勧告案との関係をどういうふうにお考えになりておりますか、お示し願いたいと思います。
  17. 神部正雄

    神部政府委員 それは私ども勧告案をつくり出すにつきまして、いろいろと私どもアメリカを視察しました報告ども作成いたしまして、提出した次第でございます。その中にも地方自治確立地方自治の拡充という面から申しまして、仕事地方に移すと同時に、地方公務員制度をしつかり確立して、公務員の地位を安定さす。そうして彼らの能率を上げるということもあわせて行わなければいかぬ、こういう精神であるということをうたつておる次第でありまして、岡野国務大臣地方公務員法につきましてお触れになりましたのは、私どもがすでに作成したところの、その報告の一節を御参照いただいた結果と覚えまして、まつたく同感でございます。
  18. 立花敏男

    立花委員 ところが、公務員は、一方公務員でありますと同時に、やはり安い月給によつて働いております勤労者なのであります。勤労者生活を守るためのいろいろな権利は、地方公務員法では非常に無視されることになるのでございますが、こういうふうに働く者の生きるための主張なり運動なりを取締られる、こういうことがはたして神戸委員長のねらつておられます地方行政民主化に役立つかどうか。これは私非常に大きな疑問だと思います。  もう一つ改正内容として、私どもが聞くところによりますと、神戸委員長が言われました地方行政民主化、あるいは地方住民生活の向上と申しますものとは、非常に逆の方向に行く内容があるように承つております。一つ例をあげますと、たとえば教育制度改正でございますが、教育制度改正の結果、今まで国家負担してやつておりましたものを全部市町村におろして行く。従つて教育費負担市町村におりて参る。そうして現在でさえ破綻しておりますところの地方行政がますます苦しくなりまして、地方行政がやつて行けないだけではなしに、その結果がやはり住民負担に転嫁されて参ります。もうすでにこのおひざ元の東京におきましても、約十八億という金が東京都民の直接の負担になつて参つております。それは国から都におろされました教育費負担が、実際の標準行政需要を十八億も上まわつておりまして、これをどうしても都民が直接何らかの形で負担しなければならないという形が出て来ておるわけです。これは改革のほんの一つの例でありますが、こういう改革がずつと一連のものとしてつながつて行われるわけなのであります。こういう場合に、やはり地方自治体の内部におります働く者の、働く者としての権利をお認めになる必要があると思うのでございます。これを認めないで、押えつけるような形で置きながら、一方そういう人民の負担になつて来るような改革をおやりになるということは、非常に矛盾したやり方ではないかと思うのでございますが、この点を委員長はどういうふうにお考えになつておるか。
  19. 神部正雄

    神部政府委員 御心配のような点、すなわち仕事地方、ことに市町村に移すという結果、市町村財政で困るということは、ごもつともの点でありますが、この点は私どもは一応事務の再配分の案がきまりました上で、足らぬものは足らぬで、足らぬものを補充する方法については、さらにもう一度考えまして、財政改革案を出すつもりでおるのでありまして、ただこれだけふやしてほうりつぱなしで困らせるということはしないような考えをもちまして、立案したいと思つておりますから、どうかよろしくお願いいたします。
  20. 立花敏男

    立花委員 六・三制の市町村委譲の問題につきましては、大体五百四十億ばかりの学校の先生の給料の、半分がどうしても市町村負担になる。今度のあなた方の勧告案によりますと、こういうふうになりまして、市町村は三百億近い金を負担をしなければいけなくなると思うのでございますが、こういう内容がはたして勧告案の中にあるのかどうかあるとすればこの三百億近い負担を現在の市町村でまかない得るとお考えになつておられるかどうか。
  21. 神部正雄

    神部政府委員 それは一応仕事配分が済みました上で計算いたしまして、足らぬという面があれば、足らぬだけは足らぬものを補充するところの財源考えるつもりでおります。これはあとの問題であります。
  22. 立花敏男

    立花委員 ところが仕事は押しつけられるわ、金はもらえないわという結果に今現実にはなつておりますので、いくらりつぱな案ができましても、実際金がなければ実現できません。ところがそのいるだけの金は今国家からもらえない形になつております。これをお考えの上で案をおつくり願いたいと思うのであります。たとえば平衡交付金の問題で、地方行政調査委員会議と同じような立場にあられる地方財政委員会が、意見書をお出しになつておられます。それがどうしても実現できそうもない。今国会にお出しになつておると言われるが、国会へもまだ出て来てない状応でありまして行政調査委員会議が足りないだけの金はもらえるものとして、案をお立てになりましても、これは実際もらえなくて、地方仕事は押しつけられるわ、金はないわという結果になるおそれが多分にあるだろうと思うのでありまして、この点を十分に御考慮願いたいと思います。 なお最後にひとつお聞きしておきたいと思いますのは、こういう勧告をいつごろまでに実現したいとお考えになつておられますか、またその実現する方法を、どういうようにお考えになつておりますか。
  23. 神部正雄

    神部政府委員 事務の再配分のことだけは十二月十日前後には、出したいと考えておりますが、さらに財源の問題につきましては、その次に考えるつもりでありまして、それはどういたしましても来年の三月ごろまでは時を要すると思います。従いまして実際に財源の伴わないものの実行ということは、二十六年度からでも実行していただくということになつておりますが、財源を伴う面におきましては、どういたしましても二十七年度でなければ実現できないと考えております。そこのところは、どうも財源の問題がありますから、財源に伴つてできることはできるだけ早く、従いまして二十六年度から実施されるようにお願いいたしたいと存じます。大体そういう見当でやつております。
  24. 立花敏男

    立花委員 それからちよつとさつき聞くのを忘れたのですが、こういう問題も委員長のおつしやられますように、まだ国会にも示すことができない、もちろん国民は何も知らない。そういう形で国会だけすぐ通つてしまうという形になつて参りますと、これは御承知のように、全国の津々浦々にわたつて実施されなければいけない問題でありまして、これは国会を通つたから、すぐやれるという問題でもないと思うのでありますが、その点で最近自治庁あたりから地方自治確立運動でございますか、こういうものをやつておられますが、これは私はそういう間に合せ的なやり方では、なかなか徹底しないのじやないか、日本にとりましては、画期的な明治の廃藩置県に次ぐような重大なものになるのじやないかと思いますが、これの方法につきまして、どういうふうなことをお考えになつておられますか、これは十分徹底的に、ほんとうに民主的な建前でやつていただけませんと、かえつて混乱と弊害が生ずるのじやないかと思いますが、この点をひとつお聞きしておきたいと思います。
  25. 神部正雄

    神部政府委員 お説の通り、ただこれが国会を通過したとか、法律になつたからということで済む問題でありません。十分に国民に徹底して、理解、納得していただかなければ、ほんとうの制度ということはできぬと思います。従いましてこれは公聽会を開くとか、いろいろラジオ宣伝するとかということはもちろんのこと、広く国民教育ということでもつて、すべての地方団体というものに呼びかけて、そして了解を求めて行くというようなことにしまして、決して国会だけにたよつて法律案が通れば、それでいいというものではないと思うのでありまして、十分いろいろの面におきまして、衆知を集めて、皆の理解で真に心からその制度がよいものである、ということを理解してくれるところまで持つて行くようにせつかく御協力を得て進めたいと思つております。
  26. 立花敏男

    立花委員 最後に私の意見になるかもしれませんが、ひとつ述べさせていただきたいと思います。これは委員長のあげ足をとるわけではありませんが、公聽会によつてとおつしやられましたが、実は私ども日本行政民主化日本地方行政民主化が公聽会でできるとは、決して思つていないのであります。日本国民は今毎日々々を地方自治体の中で生活をしておりまして、少くとも形の上では地方自治に参画できることになつております。問題は形の上でなつております。地方自治への参画が、実際上はできていないということが問題だろうと思います。現在の地方自治のあり方を民主化して行く、ほんとうに今の地方自治地方住民が参画できる、あるいは地方公共団体の中で働いている地方公務員が、実際に地方自治の中に参画できるという形を実現して行く、その中で地方自治のあるいは地方民主化精神を養つて行くのが、ほんとうの地方自治確立方向じやないかと思います。ところが現在までの政府の行き方は逆の方向に参つております。たとえば地方議会の権限を縮小してみたり、あるいは地方住民のリコールの問題を制限してみたり、あるいは現在全国的になつております地方議会あるいは地方理事者の不正の摘発の問題を、今度の地方公務員法で制限してみたり、いろいろな形が地方自治を進めて行くという方向とは、逆の方向に行つております。最もその大きな現われが今度の地方公務員法だと思います。こういうことが現在日本住民に許されております地方民主化地方自治への参画ということが、だんだん逆の方向へ行つております場合に、こういうふうな地方の大きな変革を、上からだけでばつとお出しになる、原案ができます過程におきましても、これを国会にすらまだお示し願えない。もう旬日に迫つておりますのに国会にお示し願えないという形でお出しになる。しかも委員長のそれに対する方策はどうだと申しますと、公聽会くらいとおつしやられるのでありますが、そういう形で日本の開闢以来の地方の変革をやられてはまつたく困ると思います。現在の日本市町村は、日本の歴史的な何を持つておりまして、一朝一夕にだんごをこねるようにひつつけられたり離されたりしてはたまりません。單に人口の数の問題とか、あるいは地方の経費の節約の問題とか、そういう問題だけからこの問題をお取上げになつて結論をお出しになつてやられては困りますので、その点はひとつ十分にごしんしやく願つておやり願いたい。私ども聞くところによりますと、来年三月には地方選挙が始まりまして、地方選挙が終りますと、四箇年間はこの改革ができませんので、三月までに何とかでつち上げたいというふうなお考え方があるようです。しかもこれは関係方面との連絡の結果でございますか、それをとりあえずやらなければいけないので、一、二月ごろにはポツダム政令でもおやりになるのではないかというふうな話があるのでございますが、そういうお考えがあるならば断然これはひとつやめていただきたい。日本自治はそういう形で、上から持つてつてでき上るものではないと私は考えております。そういうわけでこの問題は重大であれば重大であるだけ、ほんとうにすみずみの国民の意見までも聞いておやり願うことをお願いしておきます。  それから委員長に、これで私は発言を終りますからお願いしたいのですが、この間から問題になつております地方財政委員会意見青を、これは今までたびたび出しておりました政府への意見書ではなしに、政府を通じて国会意見書出したと地方財政委員会委員長が証言されておるのです。国会出し意見書国会が当然受取らなければいけないのです。数日前に出し国会への意見書が出ておらないのですが、この間の処理はどうなつておるのですか承りたいのですが……。
  27. 前尾繁三郎

    ○前尾委員長 とにかく委員長としては、十分督促しておるわけですが……。
  28. 立花敏男

    立花委員 岡野さんどうですか。
  29. 岡野清豪

    岡野国務大臣 まだ閣議にかけておりませんで、多分きようあたり閣議にかけて出すことになるだろうと思います。
  30. 立花敏男

    立花委員 政府に不利なものを政府は握りつぶすというのであれば、非常に困ると思うのです。せつかく財政委員会が責任を持つて出しになりましても、国民といたしましては、それは單なるゼスチユアにしかすぎないというふうに理解しなければならなくなるのでございますが、財政委員会が政府を経由して国会出したものを、政府で何日間も理由なしにとどめておかれずに、さつそく国会出していただきたい。このことを強く岡野国務大臣から、官房長官なり、何なり、関係方面に督促を願いたいと思います。
  31. 岡野清豪

    岡野国務大臣 御説の通りいたします。
  32. 門司亮

    ○門司委員 実は私は公務員法の審議のときに十分聞くつもりでありましたが、幸い神戸さんがおいでになつておりますので、この機会に聞いておきたいと思います。これはさつき立花君もちよつと触れたのでありますが、今度の地方公務員法を提出されましたのについての大臣の説明書を読んでみますと、その説明の中に最も重要視されておりまするのが、地方制度がかわるであろう。従つてこれについて、十分今から備えておかなければならない、こういう意味であります。神戸さんにはつきりお聞きしたいと思いますることは、国務大臣が説明されておりまするものに、「さらに近く地方行政調査委員今会議勧告に基き、地方公共団体の権能がいよいよ強化され、その責務がますます加重されるであろうことが予想せられるのでありまして、これに備えて、地方自治の本旨に沿う地方公務員制度整備確立は、一日もすみやかに断行せられなければならないと存ずるのであります。」  こういう事項が、大臣のこの法案を提案されました三つ理由の中の最も大きな理由考えられるのであります。そのほかの二つ理由は、單に昭和二十二年の自治法制定のときに、地方公務員に対しては、経過規定として設けておつたというようなことが書いてあるにすぎないのでありまして、現行においても何らさしつかえのないときに、ことさらにこういう理由はつけなくてもいいのではないかということを考えて参りますと、あまり重要な理由ではないように考えられる。  その次の理由として書いてありまするものも、いろいろな諸制度がかわつて来るのについて、一環としてこれもかえるべきだというような意見でありますので、この地方公務員法の制定に対しましては、そう重要な理由でもないように考えられる。  最後に、今私が申し上げました地方行政調査委員会議から出されるものが、最も大きな理由のように受取られて参るのであります。従つて聞いておきたいと思いますることは、この地方公務員法を出すということが、神戸さんの方の所管でありまする調査委員会議勧告に基いて、地方制度というものが非常に責務が重要になつて来る。従つてこれに備えるということが明記してありますので、この地方公務員法制定に対して、地方行政調査委員会議といたしましては、どういう御意見をお持ちになつておりますか。その点ひとつこの機会にお聞かせ願えれば幸いだと思います。
  33. 神部正雄

    神部政府委員 私は地方公務員法の提案になりますにつきまして、御相談にあずかつておりませんので、別段に責任を持つてお答えいたすことはできません。しかし地方公務員法ができまして、地方公務員の地位というものが向上して、地方公務員がよくなるということは、きわめて望ましいことであつて、それによつてわれわれは、事務の再配分の結果、地方仕事がふえ、ますます地方公務員の責任が重大になります場合におきまして、地方公務員法というようなりつぱな制度ができまして、そうして地方公務員の向上ということができることは、きわめて望ましいことであるということ、それだけのことを考えておる次第でありまして、内容につきましては、私どもといたしましては一向に交渉を受けておりませんから、それは別にしかるべく御審議願いたいと思います。
  34. 門司亮

    ○門司委員 おかしいと思いますが、大臣の説明書にはこれは最も重要なる案件になつておるように明記されておりまして、その当該の責任者であります行政調査委員会議が相談を受けておらない、知らないということになつて参りますと、この地方公務員法案を審議いたしまする上に、非常に支障ができて来やしないか、これは岡野国務大臣に聞くわけではございませんが、後ほど私はこの点は十分聞いておきたいと思いますが、岡野国務大臣のお言葉は、ただ單にこうなるのであろうということを想像されて書かれておつたといたしますならば、私どもは非常に迷惑するのであります。一体調査委員会議はどういうものを出して、事務がどういうふうに加重されて、同時に地方公務員の地位というものが非常に重要になつて来る。従つてこういうことが必要になつて来るということが、大臣がここへ書かれた趣旨だと思いますが、その根本をつくつて参ります行政調査委員会会議の方に、何らの交渉がなかつたということになると、大臣がここへ書かれたものはまつたく想像であつて、一体将来どうなるのか見当がつかない、将来どうなるのかわからないものに対して、法律をこさえて、そうして神戸さんのお考えでは、いいものができればけつこうであるという御意見でありますが、われわれもいいものができればけつこうでありますが、あまりいいものではないので心配をしておるのであります。  もう一つ神戸さんにお聞きしておきたいと思いますことは、そういたしますと、私ども審議して参ります際に支障ができて参りますので、十二月十日前後には全貌が明らかになるから、これを知らせるというお話でありますが、実はすでに法案が提案されておりまして、公務員法を審議しなければならぬ、そういたしますと十日ごろでないと、きわめて重要な問題がわからないということになりますと、審議いたします上に支障ができて参りますので、この審議を進めるためにも、この機会に、もう少しつつ込んだ考えをひとつ御披瀝願えますならば、われわれ非常に都合がいいと思います。今立花君に御説明になりましたようなことでなく、ひとつ構想だけでも地方の再配分はこういうふうにしたいのだ、従つてこういうふうになるのだということの御説明を、つつ込んでひとつお聞かせ願いたいと思うのであります。
  35. 神部正雄

    神部政府委員 私ども事務配分方法につきましては、すでに大体の大筋はこちらの地方行政委員会の方にも提出いたしまして、また私どもまかり出まして、一応の説明をいたしておりますから、その線として御了承願いたいのでございます。すでに御報告申し上げたつもりでおりますから……。
  36. 門司亮

    ○門司委員 ちよつと今お聞きしたいのでありますが、この前ここへ鵜沢さんと一諸においでになりましたときに、実は私どももその片鱗だけはお伺いしたのでありますが、そのときに私どもお伺いいたしましたのは、こういう地方公務員法というものとの関連性をもつて聞いたのではありません。ただ地方行政調査委員会議がどういう構想を持つておるかということを聞いただけでありますが、この場合におきましても、府県の廃合というようなことについては、具体的に何らの事項が示されていないのであります。それからさらに町村の廃合にいたしましても、私どもは十分具体的なものを聞いておりません。ただわれわれが想像いたしまするのに、地方税法の観点から見て参りましても、どうしても日本自治体というものを、ほんとうに健全にして行くには、やはり今のようなごく小さなものであつてはいけないということと、それからもう一つは、地方自治法という一本の法律で非常に大きな都市、御存じのように人口六百万を越えておりまする東京都も、村長以下町村吏員が五人か六人でやられるというような僻村も、同じ一本の法律でやつて行くということは困る、村におきましても二万あるいは三万を越える村もありますし、あるいは千人内外の村もありますが、そういう村を全部一つの法律によつてつて行くということは、われわれもいけないと考えておる。従つて何らかの方法で、これらの矛盾を解消したいと考えておりますので、実はそういうことについてこの前お伺いしたのでありますが、十分な御答弁を私どもは得ておりません。従つて、これと密接不可分な関係を持つておりますこの公務員法を審議するにあたりましては、いろいろな事情はあるでございましようが、いずれ公聽会を開くとか、あるいは衆知を集めるというようなことになつて参りますと、せつかく勧告されたものが一体いつ実現するのかということが、われわれには非常に懸念されるのであります。この制度が先に非常に進んでおりまして、そうしてそうなるであろうという予測のもとに、この法律が先にできているということになりますと、この法律を審議する上にも、私どもいささか躊躇せざるを得ないということになつて参りますので、ひとつこの前ここにおいで願いましたときにお話を願いました以上の、今日までの間に具体化しておりますところを、はなはだ何度も同じようなことを聞いて恐れ入りますが、私どもこの法案を審議する参考資料として、ぜひお聞かせ願いたいと考えております。
  37. 神部正雄

    神部政府委員 せつかくの御質問でありますが、詳しく申し上げますと、非常に尨大なものでありまして、かえつて煩雑なことになりますが、結局私ども方向というものは、国家仕事というものをできるだけ制限しまして、そうして地方にできるだけ多く仕事を与えるという方向で、ありますので、どうしても地方行政というものは一層複雑になり、また重要性も増して来るからということを申し上げ、それによつて地方公務員というものが向上しなければならぬということで、この関係を御了解をいただくことができないかと、ひそかに考えておりますが、いかがなものでございましようか。大綱でもということでありますが、仕事内容を一々列挙して参りますと、非常にめんどうな、煩雑なものになりますから、できましたものをごらんいただいた方が便宜かと思います。私がここで簡單にとりまとめて申し上げるのは、かえつてはなはだめんどうなことになると思いますが、いかがなものでございましようか。大体のことは、大綱だけはすでに前に申し上げましたが、それで御了承願うわけに行きませんでしようか。
  38. 門司亮

    ○門司委員 どうも先輩である神戸さんに言葉を返すようで恐縮でありますけれども、実はこの前大綱をお聞きしたのは、さつき申し上げたようなことで、事務の再配分について、大臣が言つておりますように、非常に重要なことになつて参りますと、私どもある程度の内容というものかわかつて参りませんと——現在の中央集権だつたものを地方にこれを委譲して、そうしてほんとうの地方自治体の形をとつてつて、それによつて日本民主化を一日も早くするの、だという御趣旨には、われわれ毛頭異存もありませんし、そうしなければならないと考えておりますが、それといたしましても、その半面にこういう地方公務員に対して政治活動の制限だとか、あるいは労働三法の適用をしてはならないというような、人としての人権、あるいは労働者としての当然の権利というようなものが制約されるような法律が、実は出ておるのであります。従つてわれわれが知りたいと思いますことは、こういう制約を受けた法律を必要とするその根拠は、何度も申しますが、あなたの方から出されます勧告案によつて、ますますその重要性を加えて来るということが書いてありますので、どうしてもこれを審議して参りますには、ひとつ大綱だけでもといいますか、これとこれをどういうふうに配分したいというような、こまかいことでなくてもよろしゆうございます、それがわかればけつこうでありますが、私もそうむりなことは申し上げないでもいいと思います。現在の行政よりどのくらいの行政権というものを地方に委譲するというお考えかというアウト・ラインだけでも、ひとつこの機会にお聞かせ願えればけつこうだと思います。あなたの方で審議されております詳細なものは別といたしまして、大体の大綱方針というようなもの、法律案をこしらえるときによく要綱というものをつくりますが、この制度改革に対する要綱案というようなアウト・ラインぐらいのことは、ぜひひとつお示し願いませんと、私どももこの法案の審議に、非常にさしつかえができると思いますので、言葉を返して恐れ入りますが、ひとつぜひお願いしたいと思います。
  39. 神部正雄

    神部政府委員 私ふなれで非常に困つておりますが、実は委員会会議で決議とか議決とかはしておりませんので、私がここで責任を持つて申し上げるということは、ちよつと遠慮さしていただきたいと思います。とにかく地方仕事は非常にふえますから、ふえる以上は、その公務員というものはしつかりやつてくれねば困るということで、従つてこういう公務員法ができるということもこのましいということだけは申し上げますが、どうかひとつお許しを願いたいと思います。
  40. 門司亮

    ○門司委員 それではもうこれ以上お聞きいたしませんが、そういたしますと、地方行政調査委員会議意見としては、まだ十分まとまつたものはないのだというように解釈してさしつかえございませんでしようか。
  41. 神部正雄

    神部政府委員 今日のところはそういうことであります。
  42. 大矢省三

    ○大矢委員 私はこの地方公務員法を審議する参考にしたいと思いますので、神戸先生に一、二だけお伺いしたい。今度の地方公務員のねらいは、政府は特に地方公務員に対しての政治活動と組合運動のこの二つの制限をねらつている。そこでアメリカにおいでになりまして、いろいろ調査されたことと思いますが、アメリカ地方公務員の実情と日本の実情とは非常に相違がある。神戸さんがよく御存じの通りに、特に大都市においては、種々雑多な事業をやつている、現業員というか、單純労務といいますか、屠牛場、公園、道路清掃、汚物処理、あるいは港湾、水道、そういう事業をやつております。こうした單純労務に対して政治活動並びに組合運動の制限をしておる事実がアメリカにあるかどうか、アメリカ勧告によつてなし、アメリカのことを、一も二も取入れようとする最近の傾向には、私ども非常に関心を持つている。そこで一体そういう單純労務に対しても、政治活動を禁止しているかどうかということを、まず第一に伺いたい。  それから先生は非常に組合運動に関心と理解を持つておられる方でありますが、今日本公務員がこれはもちろん非常勤と申しまするか、消防、それから水防、それらを入れますと、四百万人になるということか、政府の材料を見ますと書いてありますが、四百万からに上る公務員に対して、政治活動を全面的に禁止する。しかも個人が職場にあらざる、あるいはまた平時において、職務外においても一切それが禁止されているというような実情でありますが、こういうことをもし押し進めて参りますと、かつてフランスでサンデイカリズム、すなわち政治運動を否定して、直接行動に出ようとする、あの運動が盛んになつたときがありましたが、もし日本でこれを進めて参りますと、そういう傾向になりはしまいか。政府は民主的の労働組合を育成するといい、民主政治の発達をこいねがうと、口では言つておりますが、そういう政治活動を否定するような方向に持つて行く、日本運動がもしそういうことになりますと、これはやはり公吏というものは、住民に対して直接の影響もあるし、思想的な関連も多いのでありますが、そういうことになると私は重大な問題だと思う。そこでこういう單純労務までもアメリカではそうしたことをやつておるのか。それからその結果というものは、非常に恐るべき、憂慮すべき結果になるということを、私どもは非常に心配しているのですが、その点の二点だけを、私どもこれを審議する上に非常に重要な点でありますから、特に先生の御意見をお伺いしたい。それから実際に見て来たことをお伺いできたらけつこうだと思います。
  43. 神部正雄

    神部政府委員 どうもえらい御質問をいただきまして恐縮にたえません。私もアメリカに行きましたが、はつきり申し上げまして、実はそこまで詳しくは調べておりません。のみならず、それは自治庁の方の関係で調べておると思いますので、ひとつ自治庁に御答弁をお願いいたしたいと思います。
  44. 大矢省三

    ○大矢委員 自治庁の方にはあとからよく聞きますが、アメリカのことを私か聞いて、調べて来なかつたということですが、今私の聞いた、現にこの法案に載つておりますように、そうした單純労務、現業員も全面的に禁止し、いわゆる組合運動の制限をやつておりますが、そのことについての先生のお考えをひとつ、今言つた政治活動を否定したり、そうしたことになる心配はないか。  それからこのねらいであるところの、今後再配分をして、そうして能率を上げ、非常に愉快に働ける、こうお考えになるのか、その点は非常に重要ですから、ひとつその点のあなたのお考えをお聞かせ願いたい。
  45. 神部正雄

    神部政府委員 私の私見を述べろという仰せですから、どういうことも自由に述べることを許されたわけでしようが、実際はむずかしい問題でありまして、公務員の地位が向上いたしますれば、喜んで仕事をするだろうが、制限を受けると反発するなり、いろいろめんどうを起すだろうという御心配もごもつともと思います。これはどうも、私も案ははつきりと申し上げかねます。両方とも御心配の点は、ごもつともだと思います。否定もしませんが、肯定もいたしません。
  46. 前尾繁三郎

    ○前尾委員長 ほかに神戸さんに対する御質問はありませんか。それでは午前の会議はこの程度にし、午後の会議は午後一時半より再開することにいたします。  暫時休憩いたします。     午後零時十五分休憩      ————◇—————     午後二時二十一分開議
  47. 前尾繁三郎

    ○前尾委員長 それでは再開いたします。  休憩前に引続き、地方公務員法案を議題として質疑を続けます。床次徳二君。
  48. 床次徳二

    ○床次委員 法案の審議の前提といたしまして、しばらく大臣にお尋ねいたしたいと思うのであります。大臣の提案の御説明にもありましたごとく、国家公務員法については、すでに民主的な科学的な人事行政制度確立せられておる、次に地方公務員の番であるというふうにお話になつておりますが、今日までの国家公務員法の運用状況を見ますると、相当改善されたむきも私どもはあると考えるのでありますが、一番重要に私ども考え、まずまず民主的な運営において大事であると考えておりましたところの公務員の賃金ベースの問題が、遺憾ながら不十分なのであります。せつかく人事院というものがありながら、この賃金ベースの勧告が今日十分尊重されておらないということは、民主的な機構をつくり上げ、また民主的な人事行政をやります場合に、一番大きな支障になつておると私は考えるのであります。今般地方公務員法ができましても、もしもこの給与の問題におきまして、遺憾な点かありましたならば、せつかくりつぱな形をつくりましても、魂を入れないということになりはしないか、今日のような生活状況でありますと、いろいろ科学的管理その他が行われましても、公務員自体がほんとうに安心して働くことのできる体制にならなければ、その効果は十分上ることができないことは御承知の通りだと思うのでありますが、今日までの委員会の情勢でおわかりだと思いますが、地方公務員法が実施せられましたあかつきにおきまして、地方財政というものが不十分でありますると、やはりせつかく体系ができましても、その内容が所期した効果をあげ得ないことを、私どもはおそれるのでありますが、この点に関しまして、大臣はいかようなお考えを持つておられるか、伺いたいと思います。
  49. 岡野清豪

    岡野国務大臣 お答えを申し上げます。  国家公務員法におきまして、給与の問題なんかが、実は円満に行つていないということは事実であるように私は考えております。そのために地方公務員におきましては、それが円満に行くように国家公務員法よりは、よほど工員の権限を拡張してやつて行くというふうに書きかえてあるはずでございます。  それからお説のように、今地方財政の点におきまして、給与の点において非常に苦しんでおる現実の姿も御承知の通りでございますが、これにつきましては一応御了解を得たいと存じますことは、先般お通しをいただきました地方税法が実施されまして、まだ約二箇月にしかなつておりませんで、徴税の面におきましても遺憾の点も多うございます。また財政委員会が出発したばかりでございまして、財政確立の基礎はできましたけれども、十分なる運営上の確立ができておりません。また税法の点におきましても、いろいろ考えなければならぬ点もございますので、この地方税法というものを、もう少ししつかりしたものにし、同時に徴税技術の点、また徴税吏員の点、いろいろ徴税をうまくやつてつて地方財政を充実して行くという方向に進めたいと思つて地方財政委員会とも協力しまして、地方財政確立をはかりつつある段階でございます。でございますから一面におきましては地方財政をゆたかにして、そうして公務員が安心して給与の点なんかに十分なる待遇を受けるようにし、同時に今回の地方公務員法におきましては、そういう点においてよく理事者と話合いを十分し得るような法案の内容にしてございますから、これは国家公務員法よりは地方公務員の方がよほど進歩しておるものと考えております。ただいまお尋ねの点についてそれだけお答えしておきます。
  50. 床次徳二

    ○床次委員 大臣は地方公務員法の運用につきまして、財政的な裏づけにおいて相当楽観的にお考えになつておりますが、なかなかそうは行かない、せつかく体系をつくりましても、財政の裏づけを十分していただきませんと、ほんとうの効果はあがらないということを指摘いたしたいのであります。特にお話がありましたが、税法の問題につきましては、これは過渡期でありますから、漸次その実質上の充実を持たなければならないと思いますが、税法と相伴いまして、基礎法になつておりますところの地方財政平衡交付金制度が、今日法規に掲げましたような趣旨において十分運用されておらない。その必要と考えられるところの額が、実際において交付金として予算面に現われて来ないということか大きな欠陥なんでありまして、こういう重要な一つの基礎、地方財政平衡交付金また地方税法並びに地方公務員法、この三者が地方自治制度財政法と相伴いまして、それぞれ円滑に動くことによつて、初めて地方公務員法の効果があるのでありまして、この一つが欠けておつてもいけない。特に財政的な片方の足でありますところの平衡交付金が、とかくないがしろにされつつある現状におきましては、現在の公務員法ができましても魂が入らないことをおそれておるのでありまして、大臣は比較的楽観しておられますが、この点は私は国家公務員法と同じような轍を踏むのではないかということをおそれるのであります。十分にお考えをいただかなければならぬと存ずるのであります。これはあるいは意見の差だとおつしやるかもしれませんが、私は十分注意を喚起しておきたいと思います。  次にお尋ね申し上げたいのは、今日の地方制度におきまして、地方公務員がある程度まで地方の政治に積極的に参加するという機会が与えられることによつて地方自治の発展をよけいに期待し得るのではないかということを考えるのであります。地方にありましては、地方公務員はいわゆる知識階級といたしまして、相当民主政治に対しての指導的と申しますか、民主政治の徹底に関しましては、相当責任ある地位にあるのでありまして、またこういう人たちが正しい政治の運用に当つてくれましたならば、民主政治というものの発展はやりやすいものだと考えておるのでありますが、今度の地方公務員法におきましては、公務員のそういう立場におきまする関心に対しまして、非常に消極的な取扱いがなされておるように思います。この法案の趣旨を見て参りますと、公務員の身分あるいは勤務の条件その他の立場におきまして、根本基準を確立することによつて行政の民主的、能率的な運営を発展させたいというふうに見えておりますが、しかしそれと同時に、公務員そのものも積極的に地方自治に関与せしめると申しますか、政治に対しまして十分その力を発揮せしめますと、一層地方自治の民主的な発展が行われるのではないかということを思うのでありますが、その点に関しまして大臣の御意見を伺いたいと思います。
  51. 岡野清豪

    岡野国務大臣 お答えを申し上げます。前段の点におきましては、床次委員のお説しごくごもつともでございままして、平衡交付金法の問題も、私も頭に考えておりまして、もう少し運用並びに法律のある程度の修正というところまで行かなければならぬかと考えておりますが、ただいま具体的にどうしたらいいかという成案は得ておりません。しかし床次委員の御説はしごくごもつともでございますから、よく御趣旨を体しまして、今後善処いたしたいと存じております。  第二に、地方公務員が政治すなわち自活に対して、もう少し活躍するようにした方がいいというような御趣旨のようでございますが、今度の新地方公務員法におきましては、別に政治活動について、非常な制限をしているという点は私はないと思います。ただ選挙に対するとか何とかいうようなときに、あまり公務員の中立性を阻害するというようなことは、これはやめた方がいい。すなわち政策を決定する政治というものに、あまり公務員が関与することは、私は自治行政の上においてもよくないし、また公務員その人のためにもよくない、こう思いましてある程度の制限をしている次第でございます。私はその点においては、あるいは見解が少し違つておるかとも存じますけれども地方公務員すなわち行政官としてその身分を保障し、同時に全体の奉仕辛として、中立的にりつぱに地方行政ができて行くというように保護する意味において、少しの制限を置いておる、こういうように御了承を願いたいと思うのであります。
  52. 床次徳二

    ○床次委員 現在わが国は新憲法実施以来、比較的年数が若いのでありまして、正しい意味において民主政治を徹底せしむる、また地方自治をほんとうの姿に現わしたいというためには、單にこれを放任しておいたのではなかなかなり得ない。むしろそういう方面に理解のある者を推しまして、十分な活動をさせるという立場考えなければならないのではないかと思うのであります。外国の例から見て参りますと、公務員は中立性を持つという点につきましては、これはすでにある程度民主政治の慣行等が確立してさしつかえないと思うのでありますが、日本のような現在の状態でありますれば、正しい方面には大いに助長しなければならぬ方面もあるのではないか。惡い方面に利用されますと、これはよろしくないことはもちろん明らかであります。過去においてもかかる弊害があつたことを、私どもは見受けるのでありますが、正しい方向に対しましては、むしろ積極的に公務員等をして、大いに理解に努めしめるというような方面も、お考えになる余地があるのではないかと思うのでありますが、この点につきましても重ねてお伺いをいたします。
  53. 岡野清豪

    岡野国務大臣 お答え申し上げます。外国の例もいろいろございますが、しかし現下の日本の政治汁情勢並びに社会情勢から考えまして、国家公務員法でも規定されておりますごとく、あまり公務員が政治に没頭して、自分の本職を忘るるとか、あるいは自分自身の立場の中立を欠いて、ある一政党もしくは一部の勢力のみに対して非常な活動をするというようなことは私はおもしろくない。やはり公務員というものは一部のものの奉仕者だけではなくて、全体の奉仕者である。そういう意味において、全体の奉仕者として尽させるのには、ただいま御提案申し上げておりますような公務員法、すなわちそれか由来するところは、国家公務員法において規定しておるがごとき方向に向つて地方公務員もやはりやつて行つた方がいい、こう私は考えておる次第であります。
  54. 床次徳二

    ○床次委員 公共の奉仕者であるという点においては、国家公務員地方公務員もかわりはないと思うのでありますが、特に国家公務員地方公務員との間に、ある程度までの差をおつけになつたようでありまするが、この差をつけられましたところの理由につきまして、お尋ねいたしたいと思います。
  55. 岡野清豪

    岡野国務大臣 国家公務員と申しますものと、地方公務員というものの差をつけた点は、御承知の通りに自治をやらして行きたいという意味におきまして、国家の吏員と地方吏員というものはおのずから差がございます。すなわち自治を許しておる地方公共団体の吏員というものと、国家公務員を使つて行政をしておる国家の吏員というものとは、性質上の差があると思います。こういうような考えから差がついたわけでございます。
  56. 床次徳二

    ○床次委員 ただいま御答弁がありましたが、国家公務員地方公務員との開きについて、自治団体の自主性を認めなければならぬという点につきましては、これは一つ自治団体の特色であると思いまするけれども、しかし公共団体に自主性があるからと申しまして、地方公務員の政治活動そのものに、本質的に差をつける必要があるかどうか。あるいは差がつかなければならないかという因果関係について、私ども了解に苦しむのであります。またそれと同時に地方公共団体は非常な多様性を持つておるということも、ここに理由として考えられておるのでありますが、多様性を持つておるということに対しましては、地方団体の大小あるいは事業のいろいろ複雑性ということもありまするが、これが同時に公務員の政治活動等に関しまして、どれだけの差をつけなければならないかということにつきましては、相当疑問があるような気がするのでありまするが、心の点に関しまして、本質においてどれだけの差をつけなければならぬかということは、多少私ども疑問に思うのであります。私自身の考え方から申しますると、国家公務員に関しましても、現状の規定は少し行き過ぎがあるのではないかという感じかいたします。これは私の主観かもしれませんが、私どもはそういうふうな感じを持つのでありますが、この点大臣にお伺いをいたしたいと思うのであります。
  57. 岡野清豪

    岡野国務大臣 お説しごくごもつともでありまして、国家公務員地方公務員とは性質が違つておりますから、その点におきまして、国家公務員法におきましては、政治活動をした人間に対しては三年以下の懲役十万円以下の罰金というような、非常にやかましい規定ができておりますけれども、しかし地方公務員におきましては、国家公務員法があるにかかわらず、その罰則まで除いて緩和しておる、こういう点を御了承願いたいと思います。
  58. 床次徳二

    ○床次委員 今この差をお述べになりましたが、公共団体であるからというだけの理由からはそれだけの差が出てこないように思われるのであります。もう少し何か詳しくその理由が御説明できまするならば伺いたいと思う。單純に公共団体の自主性、多様性といいますか、国家と公共団体と違うのだ、従つてその職員の差もあるのだというだけの理由ではちよつと納得いたしかねるのでございますがいかがでしようか。
  59. 岡野清豪

    岡野国務大臣 私どうも床次委員のお説がはつきりくみとれませんが、しかし公務員と申しますことは、国家公務員であつて地方公務員であつても、やはり全体の奉仕者として、国の行政へ参与しておるので、性質はまつたく同じものでございます。でございますから、もしこれを厳格に申しますれば、国家公務員法でやつている通りの公務員法をつくらなければならぬかと考えます。しかしながら私が先ほども申し上げましたように、地方公共団体というものは自治を許して自主性を認めておるのである。同時にまたいろいろ一万数百あるところの公共団体というものは、種々雑多な形態を持つておりますから、この多様性に対しても適用しなければならぬ、こう考えまして、国家公務員法よりは地方公務員法がいくらか緩和してあると同時に、自由裁量にまかして、地方々々の条例によつてある尺度まで規制して行く、こういうような自由を許しておる点において、やはり地方公務員の方が自由がよけいにきく、こういうふうに仕組んでございます。でございますから厳格に申しますれば、私は全体の奉仕新たる公務員は、国家公務員地方公務員も同じようにして行かなければならぬと思いますけれども自治を許し、自主性を認め、多様性を認めるという点において、国家公務員法よりはかわつた地方公務員法を提出した、こういうことになるわけでございます。
  60. 床次徳二

    ○床次委員 各論に参りましてからもう少しお尋ねいたしたいと思うのでありますが、ただいまお話地方公共団体の自主性の問題でありますが、これは自主性を持つておるから規定をする主体は国家とは違うかもしれない、これは明らかにそうかと思います。また相当の多様性がある。これは事業がいろいろあるから、多様性もあるかと思います。しかしながら、政治に関与し得るという公務員立場において政治活動等を考えました場合に、同じ公務員立場において、著しくと申しますか、ある程度までその活動の範囲内の質において差があるということにつきましては、いささかこれは理由にならないのであつて、もつと本質的なところに、差をつける理由があるならばあるのではないかと私ども考えるのであります。あるいは国の方は人事院の規則できめ、あるいは法律できめる。府県の公共団体にありましては、条例その他できめる。あるいは主体が人事院なり人事委員会なりいろいろのものであろうと思いますが、政治活動を許されるところの行動の範囲内におきましては、同じ公務員という立場におきましては、同じでしかるべきではないか。差をつけるならば、まだまだほかに特殊な理由があるのではないかと思うのであります。たとえば公職選挙法等にもありますが、身分の関係上、それが選挙に影響を及ぼすということに対して規定がありますが、国家公務員地方公務員とは、その間に多少の差があるというようなところから、本質的の差が生れて来るのではないか。これは一つ考え方でありますが、そのような意味におきまして、何かその本質的の差があつて、そして差をつけるということになるのではないか。單なる公共団体と国とは違うのだというだけでは、私はどうも理由にならないという感じがいたすのであります。
  61. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 この政治行為の制限につきまして、国家公務員地方公務員との間に何ゆえに差異を設けておるかということのお尋ねのようでございますが、これは先ほど来岡野大臣から申し上げましたように、地方団体の自主性、多様性という点につきまして、地方公務員法案の立案に対して配慮いたしておりまして、政治的行為の制限の規定を立案いたしまする際におきましても、そのような見地からの調整を——国家公務員法のとつておりますような原則を採用しつつ、そのような点の調整を考えて立案いたしたような次第であります。その規定の基本的な考え方につきましては、この法案の中にも、職員の政治的中立性を保障するごとにより、地方公共団体行政の公正な運営を確保するとともに、職員の利益を保護することを目的とするものである、こういう基本的な精神を堅持いたしておりまして、そういうような考え方に対しまして、それぞれ地方団体の自主性、多様性というような面からの調整を加えて立案いたしたものでございます。従つて国家公務員法との関係におきましては、基本的な考え方においてはかわりはないのでございますが、ただ先ほど来申し上げておりますような理由から、そこに若干の調整を加えておる。たとえば政治的行為の制限の範囲につきましても、条例で定める行為というようなものを附加いたしまして、基本的なものだけは法律に書きまして、全体としての統制と申しますか、スタンダードを明確にいたしましたが、さらにそれに加えまするところのものは、それぞれの地方団体において適宜考慮して行く。但しそれがあまりにも地方公務員法の基本的な精神を離れるものであつては困りますので、そういうようなものは、今申し上げましたようなこの規定の運営の精神に逸脱しない意味において、立案せられなければならない、施行されて行かなければならない、こういうことを同時に考えておるのであります。
  62. 床次徳二

    ○床次委員 ただいまの問題につきましては、もう少し先に参りましてから、さらにもう一度こまかく研究させていただきたいと思います。  次に移りたいと思いますが、今度の規定の中におきまして、人事委員会、公平委員会、いずれも各公共団体に設けるようになつておりまして、場合によりましてはこれを共同でし、あるいは事務を委託するというような形式をも考えられておるのでありますが、人事委員会あるいは公平委員会なるものを、やはり個々のものが自主的に選択してきめる、自分のところへ置くなり、他人にまかすなり、それぞれその公共団体が自主性を持つてきめるわけでありますが、その機関が共通に行い得る仕事というものが予定される関係上、そういうふうな扱いになつておるのだと思うのであります。個々に置かなくても、これを経費の節約その他の立場から共通にやらしてもさしつかえないという見地から、お考えになつておることと思いますが、この考えを一層徹底せしめまして、ある程度まで一つのものでやらせる。あるいは必ずしも一つでなくてもいいめでありますが、限られた数の公平委員会、県なら県に一つの公平委員会を置きまして、そうして各町村のものに使わせるということができるかどうか、御意見を伺いたいと思います。
  63. 小野哲

    ○小野政府委員 私からお答えを申し上げます。今回の地方公務員法案におきましては、人事委員会あるいは公平委員会を置くことになつておりますが、その中でただいまお話になりました人事委員会の例をとつて申しますならば、都道府県あるいは五大市等につきましては、人事機関として置くことになつておりますが、その他につきましては置かないで、あるいは公平委員会等を置くというようなことも考えられまするし、あるいはまた人事委員会等を置きます場合でも、共同設置あるいは事務の委託というようなことも考えられるわけであります。その場合ただいまお話になりましたように、かりに県の人事委員会ができて、それに事務を委託するというふうな場合も、観念的には私は可能であろうと思うのであります。ただ先ほど来大臣からもお話がありましたように、県内における地方公共団体の多様性というような点を考えますというと、おのずからあるいは経済上、あるいは交通上の条件によりまして、やはり適当な地域あるいはブロツクというふうなぐあいにまとまつて、共同設置をするというような場合が、具体的には起るのではなかろうか、かように考えられますので、考え方としては床次さんの言われますようなことも考え得るかと思いまするが、実際問題としては、おそらく適当な地域あるいは団体ごとに置くというふうなことが、具体的な考え方ではなかろうか、かように思う次第でございます。
  64. 床次徳二

    ○床次委員 あと少しこまかいことについて一応前提としてお聞きいたしたいと思うのであります。公共企業の職員に対しましては、別に特例を設けられるようでありますが、いわゆる一般現業従事員と申しておりますものに対しましては、やはり一般職として取扱われるようになつておりますが、公共企業の職員と一般現業従事員との間に差をつけられました理由につきましては、どういうような理由がありますか、お聞きいたしたい。
  65. 小野哲

    ○小野政府委員 公益企業の職員と、それから現業職員及び一般行政職員、大体三つのグループができるかと思うのであります。しかしながらいずれにしましても、地方公務員であるということについてはかわりがないと考えております。まず第一に現業職員の問題でありますが、これは国家公務員法における身分取扱いと関連して考える必要があるかと思うのでありまして、国家公務員法の考え方は、種々な経過をたどつては参りましたが、現行法によりますれば、現業非現業の区別はなくして、公務員たる身分扱いということで処理せられたものと、私どもは了解しておるのでありますさような意味合いにおきまして地方公務員法におきましても、国家公務員法における現業職員の取扱い方と関連をし、またこの間の権衡を失しないように、なお今後研究をいたして参りたいと考えておるのであります。公益企業の職員につきましては、公益企業と申しますものが、公共の目的のために收益を加味して、地方公共団体の経営する企業というふうに大体定義することができるかと思うのでありますが、従つてその会計も特別会計でございまするし、計算もまた独立採算制をとつておるというふうな点から、おのずから企業性を持つたものであるがために、その間の労働関係もやはり同様の考え方から処理した方がいいではないか。こういうことからこれを切り離して別の扱いにしようという考え方でありまして、国家公務員に対する日本国有鉄道あるいは專売公社の公共企業体の職員の扱い方と、似たような考え方を持つておるような次第でございます。
  66. 床次徳二

    ○床次委員 ただいまお話がありましたが、いわゆる公共団体の多様性の立場から見て参りますと、一般現業員というものの取扱い、——現業従事員と申しますか、こういう種類のものは、国の職員とは大分趣が違つているのじやないか。公共団体には非常にそういう種類が多いのではないかというふうに認められるのでありますが必ずしもこれは国の公務員に準じまして、そのまま同じ取扱いをする必要はない。むしろ公共企業職員をわけたといたしますれば、同じようにこれを別の分類にするということも考えられるのでありますが、この点に関しましては、いかようにお考えになりますか、伺いたい。
  67. 小野哲

    ○小野政府委員 お答えいたします。現業職員も、またやはり一般の会計に属し、その地方住民の税收によつてその経費がまかなわれておるという点から申しますと、特にこれを地方公務員たる身分からはずすということは、かえつて不均衡になるおそれがあるのではないかというふうなことも考えられるのであります。しかしながら、床次さんが言われますように、その仕事の実態から考えまして、主として筋肉を使う仕事が多いというふうな点やら、その他労働量を測定しやすいような職であるというふうな点やら、いろいろの観点から、これにつきましてはなお研究を加える問題が残されておるというふうに思うのであります。しかし現行の国家公務員法の取扱い等と考え合せまして、これを処理して行くことが最も妥当であると思つておりますので、私どもといたしましては、国家公務員法の扱い方とあわせて、この問題につきましては、なお検討を加えて行くようにいたしたい、かように現在考えておる次第でございます。
  68. 床次徳二

    ○床次委員 いずれ各論のときに伺うことと思うのでありますが、一応この機会にひとつ御説明いただきたいと思うのは、団体の交渉権の問題であります。本法案におきましては、いわゆる団体交渉権なるものは認めておらず、書面によるところの申合せということを書いてあるのでありますが、一応個々の審議に入りまする前に、この問題につきまして、御説明をいただきたいと思います。
  69. 小野哲

    ○小野政府委員 団体交渉につきましては、本法案の中の第五十五条以下にあるわけでございますが、この点につきましては、この法律案におきまして、少くとも職員団体の結成をすることができる道を開きまして、すなわちこの職員団体は、地方公共団体当局と交渉をなし得るための団体でございます。この交渉は、御承知のように職員の給与とか、勤務時間その他の勤務条件に関しまして、当該地方公共団体の当局と交渉することができるわけでございますが、しかしながら地方団体の当局という考え方は、結局地方住民を代表しておる機関たる地位にありますがために、この団体交渉の性格は、いわゆる対等の立場における交渉という意味ではなくして、ここに特別な意味合いが含まれておると申さねばならぬかと思うのであります。従いまして、この交渉によりまして、意見の一致を見る場合におきまして、この法律案におきましては、書面によつて申合せを結ぶことができることになつておりまするが、これはやはり法令、条例、地方公共団体の規則あるいは機関の定めておる規定に抵触しない範囲という制限が付せられておることは、当然だと思うのであります。また交渉をいたしましても、当局との間に団体協約を結ぶものではない、権利を含むものではない、こういうことになつておりますのは、一昨年出されましたマ元帥の書簡等の趣旨から考えまして、その後国家公務員法に織り込まれました精神とにらみ合せましても、かように考えて行く必要があろうと思うのであります。国家公務員法の考え方に準じまして、この交渉を認めまするが、先ほど申しましたようなぐあいに、一定限度において、書面による申合せをすることができる道が、この法律案においては開かれておる次第であります。
  70. 門司亮

    ○門司委員 先に申し上げておきますが、私はこの法案に対する私ども意見を中心としたことについての大臣への質問は、明日にいたしたいと考えておるのであります。きよう大臣に直接お聞きをしておきたいと思いますることは、主として大臣の説明の要旨についてただしておきたいと考えておるのであります。従つてひとつ説明の要旨についての御答弁がお願いしたい、こう考えておるのであります。  この説明書によりますると、いろいろ書かれておるのでございますが、一番冒頭に、科学的あるいは民主的の人事行政制度確立がされるということは、憲法に基く民主的な行政の基礎を定めることであるというふうに書いてあるのでありまするが、公務員の地位というものと身分というものが、民主的、科学的な人事行政制度によつて、ほんとうに憲法に基く民主的な行政の基礎ができるという点について、もう少しく詳しく御説明が願いたい、こう考えておるのであります。それは御存じのように、日本地方自治体のあり方というものが、ここにも書いてありますように、昔からの長い伝統の上に築き上げられて参りましたところの官吏制度というものが、一応薄らいで来て、いわゆる中央集権がなくなつて、そうして地方自治体が非常に強化されたということになる。そのために地方公務員の身分というものが、やはり何らか民主的に、科学的に人事行政の行われるようなていさいにしなければならないというようなことについて、もう少し詳しく御説明が願いたいと、実は考えておるのであります。
  71. 岡野清豪

    岡野国務大臣 門司さんの御質問にお答え申し上げます。民主的、科学的と申しますことは、現状における地方公務員というものが、複雑、乱雑なる、しかも経過的規定により、切捨てごめんのごとき状態になつておるということについて、どうしても身分を保障し、福祉利益を与え、同時に中立性を保たせて行かなければならぬ、こういうような意味のことを申し上げたと存じますが、その詳しい事情をひとつ政府委員から御説明を申し上げます。と申しますことは、現状において、いかにも地方公務員が経過的の死文に属しておるものによつて規律されておりましたり、もしくは町村の方面におきまして、何らの身分の保障がなくて、切捨てごめんの状態になつておるということもございますから、やはり全体の奉仕者として地方自治行政に全身安心して努力して行くためには、りつぱな身分保障の法律をつくつてやらなければならぬ、こういうことから科学的、民主的ということを申し上げた次第であります。詳しい事情は政府委員によつて御説明申し上げます。
  72. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 今大臣から申し上げましたように、現在の地方公務員制度は民主的、科学的な人事行政制度から申しますと、非常に離れておるのであります。まず第一にその基礎的な法規の点に考えてみましても、地方自治法国会において制定せられます際におきましても、またその一つ前に、終戰直後地方制度改正の際におきましても、国家公務員制度と即応いたしまして、地方公務員制度についてはすみやかにこれを民主的な、近代的な人事行政制度の理念に立つた改革をしなければならぬということが、当時から国会において論議せられ、また附帯決議等にも見えておつたように記憶しておるのでございます。そういう状態でありまして、現在は地方自治法の附則並びにこれに基く経過的な地方自治法の施行規定におきまして、都道府県職員につきましては、大体すでに死文になつております官吏の任用敍級令でありますとか、あるいは官吏の懲戒令あるいは官吏の分限令といつたようなものが準用されておりますし、さらに明治時代にでき上りました官吏服務規律に範をとつておりますところの、東京都の職員服務規律あるいは道府県職員服務規律、あるいは市町村職員服務規律というふうな古い規定が依然として地方公務員を支配しておるような状態でございます。さらに一昨年のマツカーサー書簡に基きましてできました御承知の政令二〇一号、これが今日国家公務員につきましては、すでにその効力を失つたのにもかかわらず、依然としてそういうような形のものが、地方公務員にも適用されておるのでございまして、これはすみやかにそのような理念に基きますところの、新しい国会の法律による、法的基礎の確立ということが必要であろうと思うのであります。そのように法規的な根拠におきましても、非常に千差万別の状態でありまして、その間に一貫した、統一した原理を発見することに苦しむような状態になつておるのであります。また具体的な問題として考えてみましても、今大臣からも御指摘がありました、たとえば身分保障というような点から考えてみましても、現在懲戒制度、あるいは分限の制度等が都道府県職員につきましては、旧来の官吏懲戒令、あるいは官吏分限令の規定によつて行われておりますが、これはいわば事前審査の制度でありまして、免職を命じます場合には分限委員会、あるいは現在では都道府県職員委員会などの審査を経てやることになつております。市町村等は懲戒審査委員会の審査を経てやるということになつておりますが、こういう事前審査の制度は、やはり考え方によりますと、かくのごとき責任を委員会に転嫁いたしまして、真に利益を保障するゆえんでない。むしろ事後において人事委員会なり公平委員会というような機関がこれを取上げて、さらに審査し、あるいはこれを取消すというようなことがあり得るというような、事後審査の熱前にいたしました方が、さらに身分保障の趣旨も徹底するように思うのであります。しかもこのいろいろな福祉、恩給というような点につきましても、従来から国家公務員でありましたものにつきましては、これは恩給法がそのまま準用になつているのがありまするけれども、新しく公務員になりました警察あるいは消防の職員等につきましては、まだ一貫をしたところの恩給制度というものが確立されておりません。さらに雇用人の地位等になつて参りますと、まつたく従来の制度におきましてはこれを放任しておつたようなかつこうでありまして、これは單なる民法上の雇用契約に基くもので、何ら政府として、地方公共団体として直接的な利益保護ということを考える必要がないような建前になつて来ているのであります。こういうようなことは、やはり従来の制度の建前を踏襲しておりまして、いわゆる従来の属官あるいは三級官以上の吏員に相当いたしますものと、雇用人の処分との間にそのような差を設けていることは適当でないのでありまして、ひとしく地方公務員である以上は、全体を通じて一貫した新しい民主的な、科学的な人事行政の理念に基く制度は、すみやかにつくる必要があると思うのであります。このような意味におきまして、現在の民主的な科学的な人事行政制度の理念の導入体制の採用によりまして、地方自治の民主的な基盤の一つ確立されるものであるというように私ども考えておる次第であります。
  73. 門司亮

    ○門司委員 どうも法案の内容と冒頭に掲げた今の説明とは、非常に食い違いが起つて来まして私の申し上げますのはいかにも身分の保障あるいは服務規律というようなものがはつきり明示されておらないので、保護規定のような御説明があつたのでありますが、本案の内容は保護規定はきわめてわずかでありまして、大体政令二百一号は單に争議行為を禁止しておる上に、もう一つ政令二百一号に輪をかけた内容は、政治行為の禁止までしている。この法案の冒頭に大臣が言われておりまする、この民主的、科学的の要素に立つて、今鈴木さんから説明されました地方公務員の身分の保障であるとか、福祉であるとか、あるいはこれの整理であるとかいうようなことはきわめてわずかでありまして、従つて私は聞いたのであります。一体大臣は、この法案の説明の中に、地方公務員が一番関連を持ち、また関心を持つておりまする、先ほども申し上げました人としての権利日本国民の憲法に定められた政治的な自由の権利が、大幅に削減されており、労働者としての権利も、非常に大きな制約を受けておるにかかわらず、そういうようなことが冒頭の説明書にも書かれていないで、説明はただ單に身分の保障であるとか、福祉であるということだけでは、私ども大臣の説明の要旨の明快な答弁とは受取りにくいのであります。従つてこの問題につきまして私ども意見を申し上げることは、先ほど申し上げましたように、明日に譲りまして、一応説明だけはそういうふうに聞いておきます。  その次に聞いておきたいと思いますことは、「地方公共団体の組織及び運営に関する根本法である地方自治法は、」と書き出しまして、昭和二十二年五月三日に施行されたものであつて、同法においては、近き将来において統一的な地方公務員法の制定されることを予想いたしまして、地方公務員の身分の取扱いに関しては、暫定的な経過措置を講じているにすぎない、こういうふうに書いてあるのであります。これから見ますと、いかにも地方自治法は暫定的のものであつて、どうしてもこれを改正しなければならないということが、すでに約束づけられたように書いてある。さらにその次には、「従来の官吏に関する諸規定及び昭和二十三年七月の政令第二百一号によつて規制されている状態でありまして、近代的な公務員制度の理念と相去ること遠く、到底、このような事態を永く持続することは容認できないのであります。」こういうふうに説明されておるのでありますが、この政令二百一号は、御存じのように、政令二百一号が出なければならなかつた時の情勢、しかもそれはマツカーサー書簡の中にも、事態に即応するというか、時代の情勢という言葉を実は使つてあるのでありますが、ああいう政令を出さなければならなかつた時の、あるいはまたマツカーサー書簡のどうしても出なければならなかつた時の状態というものは、おそらくこの地方自治法を昭和二十二年に制定いたしまするときには、われわれは予測していなかつたのであります。また私ども地方自治法を制定いたしまする場合においても、この身分あるいはその他のことについて、いずれ統一的のものをこしらえるのだということも、実は大して私ども考えておらなかつた。なぜそうであるかと申し上げますと、この点を十分大臣にお聞きしたいと思いますが、さつき鈴木さんが言つたように、今までの都道府県職員の服務規定であるとか、あるいは市町村職員の服務規定であるとかいうようなものが非常に古く、ほとんど死文に化しているから、新しいものをつくるのだということになつておるのでありますが、私どもが旧来の条例を見てみましても、地方公務員としてかくあるべきではなかろうかという程度のものは、実は大体書いてあるのであります。その条項と、今度の公務員法というものは非常に大きな隔たりを持つた条文になつておると思う。従来の地方公務員のあり方というものが、一体どこが惡かつたかということ、どうしてこういうふうに改正しなければならなかつたかということの具体的の御説明を、この機会にひとつお願いしたいと思います。
  74. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 今お尋ねの現在の地方公務員制度のどの点が惡いかというようなことにつきまして、先ほども若干触れましたが、さらにつけ加えまして申し上げますと、まず第一に、従来知事なり市町村長のもとに府県市町村のすべての職員が一元的に、一つ制度のもとに行われておつたわけでございますが、御承知のように、終戰後の地方制度改革によりまして、現在地方公共団体の中には、知事、市町村長のほかに、これと対等の独立の執行機関が多数できて参つております。これは御承知のように選挙管理委員会でございますとか、監査委員でありますとか、公安委員会でありますとか、教育委員会でありますとか、そういうようなものを初めといたしまして、地方労働委員会、あるいは農地委員会、その他非常に多くの独立の任命権を持ちました執行機関ができております。これらにつきましては、実は大体従来の知事のもとにありますところの職員と同じような建前になつておりますが、何ら基本的な、相通ずるところの共通の制度というものができ上つておりません。また従来議会も非常に開会の数が少いという関係がございまして、議会の書記というようなものが若干ございましたけれども、多くは府県庁の庶務課の職員と兼務というような状態でありまして独立の議会の事務局というものがなかつたのでございますが、この点も非常にふえて参つたわけであります。こういうふうにそれぞれ独立の任命権者がたくさん出て参りますと、やはり全体の人事行政がひとしく同じ地方公共団体に勤務しておる地方公務員として、統一のとれた建前のもとに律せられて行くことが必要であると思うのであります。そういう意味のいわば中央人事行政機関というものが必要であるというのが、これが近代公務員制度の基本的な問題であろうと思うのであります。そういう意味で、これらに通じての人事委員会というような制度考える必要があろうと思うのであります。なお先ほど申し上げました第二の問題でございますが、雇用人の制度の問題になつて参りますと、これはまつたく民法上の雇用関係に律せられておりまして、これにつきましても、やはり公務員としての同じ基礎に立つたところの体制の整備ということが必要であろうと思います。その他恩給の問題にいたしましても、これは今後さらに改革を加えて行かなければならぬと思いますが、現在は非常に不完全な状態でございまして、従来から官吏でありました者につきましては、恩給法の準用というような建前になつておりますけれども、警察職員、教育職員、あるいは消防職員等で、相互の交流というようなことがあります場合におきまして、一体国家公務員との交流が行われました場合に、新しく採用されました職員をどういうふうにして行くかというような問題も、そのまま残つておるわけであります。これらの点につきましてもすみやかに制度を整備いたしまして安心して仕事のできるような状態にして行かなければならぬと考えておるのであります。また分限にいたしましても、懲戒にいたしましても、やはりその自由というものは法律で、あるいは法律と同様の性質を持つた条例におきまして、はつきりとこれを限定いたしまして、またその手続につきましても、これを法律または条例で明確に定めて行く、そういうことによりまして、身分保障というものをより明確にしはつきりしておくということが必要であろうと思います。現在はこれらの点につきましても、必ずしも完全でないような状態でございます。また人事行政につきましてのいわゆる不利益な処分に関しまして、現在一般的にこれを再審査する方法がないのでございますが、これもやはり不利益処分の審査の措置というものを考えて行く必要があろうと思います。また先ほどもお話が出ました管理者と職員との関係を、どういうふうに扱つて行くかということにつきましては、現在政令二百一号だけで律せられておりますが、やはりそれをさらに明確に立法化いたしまして、管理者と職員との関係を明確にするということが必要であろうと思います。また政治的行為の制限に関しましても、やはり先ほどもお話のございましたように、全体の奉仕者であるという立場、また政治的権利の自由というような、この二つの要素との調整によりまして、およそ公務員としての政治活動についてあるべき基準というものを、明確に確立するということがやはり必要であろうと思うのであります。これらの点はやはり地方公務員法の制定なくしては、実現困難でありましてそういう意味で現行制度に対しましては、幾多欠陥不備の点がありますので、これをすみやかに一つの統一せられたる基礎の上に確立をするようにして行きたいというふうに考えておる次第であります。
  75. 門司亮

    ○門司委員 大分長く説明を聞きましたが、そういうことはよくわかつております。別にお聞きしなくてもよいのであります。私の聞いておりますのは、一体どういう不都合があつたかということであります。たとえば争議行為を禁止いたしておりますが、どこで争議行為があつて、どれだけの不都合があつたかということ、公務員の政治的活動が、日本の政治の上にどれだけ惡い影響を持つておつたかということが、この法案を制定いたしまする基礎的の問題であります。これをひとつ示してもらいたいと思うのであります。今の鈴木さんがお話なつたようなことは当然のことであつて、別段むずかしい問題でも何でもない。もし鈴木さんがそういうお考えだとするならば、この法律にあります、今ちよつとも触れられなかつた政治の問題であるとか、あるいは争議行為の問題は、現状のままにしておいた方が、労働者の権益というものが十分守れるのでありまして、これに制約を加えるということは、決してこれは労働者の福祉を増進をしたとは言いがたいのであります。その点をひとつ率直にお聞かせ願いたい。一体どこの自治体でどういう争議をやつて、どういうふうに住民が迷惑をしたのか、地方公務員の政治行為が、どういうふうに日本の政治史上に汚点を残したのか、この点をひとつもう一応御説明が願いたいと思います。
  76. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 この点につきましては、終戰後のいろいろの状況、これは先ほどもちよつとお触れになりましたが、たとえば、いわゆる行政管理でございますとか、業務管理というような名のもとに、地方団体行政運営が、かつて本来の方式に基きますところの行政運営の方式から離れまして、別個の形で行われたというような事例がありました。またその後におきましても、任用あるいは免職というようなことに関しまして、いろいろな問題が起つておりますことは事実であります。そのような問題につきまして、政令二百一号というものは、若干の調整を加え、爾後におきましては、かつて見られましたような問題が起つていないことは事実でございます。しかし、この現在のような状態において放置するということは、いかに考えましても、不適当である。大体人事行政のいろいろな法規を見るにいたしましても、職員立場から申しましても、また人事を管理する者の立場から申しましても、一体どこに何が書いてあるか、まつたくわからないような状態である。これはやはり各職員につきまして、自分たちが規律せられておりますところの基礎的な法規が、もつと一見して明確にわかるような状態にしておかなければならぬと思うのであります。たとえば給与の問題に関しましても、一体これが法律違反である、従つて検察官に起訴されて、裁判所において取上げられるといつたような問題もございましたが、これらの点は、はつきり規定をいたしておりませんために起つて来る問題でございまして、私どもといたしましては、現状のままで放置するということは、いかにも不適当である。ことに雇用人等に関しまして、何ら規定がないということは、そこに明らかにいわゆる従来の差別的な考え方を残しておるものであつて、どうも適当でないように思うのであります。
  77. 門司亮

    ○門司委員 どうも答弁が非常に的がはずれております。私はそういうことを聞いておるのではないのです。もしそういうことを鈴木さんが言われるならば、もう少しその辺のことを聞きたいのであります。実はこれは大臣の説明から少し離れるので、つとめて私はそこを避けたいと考えておりますが、私どもその意見に対する質問は明日にいたしたいと考えておるのでありまして、主として大臣の御説明についてお聞きしたいと考えておるのであります。そこで鈴木さんの今の御答弁のようなことは、十分われわれも承知しておりますが、もしそういうあなた方の御意見であるとするならば、この問題は私ども意見をここで申し述べて、私はさらにそれについての質問を一応いたしたい、こう考えておる。それはいろいろ言われておりますが、地方公務員としての範囲を、一体どういうふうに職責の上からお考えになつておるかということを議論しておりますと、非常に長くなりますので、私はきようはつとめてそういうことを避けて、従来のままの姿で、どこに一体不都合があつたかということを聞いておるのです。ことに、今指摘いたしました政治的行為あるいは争議の行為によつて、どれだけ一体不都合があつたかということの具体的な事実を示してもらいたい。そういたしませんと、かくなるであろう、あるいはかくすることがいいのだというような抽象的なものの考え方で、法律をきめて参りますると、現実に労働者の諸君の基本的の人権を奪わなければならないような、こういうものをきめまする場合には、いわゆるわれわれが参考とするに足る具体的なものをひとつお示しが願いたいと思うのであります。従つて旧来のままで私は日本の政治史上、地方公務員がことさらに汚点を残したというようなことが見当りませんので、今までの通りでよくはないか。もし今までの通りで惡いというならば、その点をひとつ指摘してもらいたい、こう実は聞いておるのでありまして、政治行為に対して、一体今まで服務規程がどこが惡かつたか。
  78. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 今の政治的行為の制限につきましての現在の服務規律がどこが惡いか、そのためにどういう問題が起つておるかというようなお尋ねでございますが、これはたとえばある地方団体におきまして、長の選挙が行われるというような場合を考えてみますと、これはどうしても自然の勢いといたしまして、その職員の中で、その長を非常に支持いたしまする者と、あるいはこれを支持しない者と出て来る。あるいは必ずしも長に限りません。それ以下の副知事でありますとか、助役でありますとか、あるいは中の適当な地位の人が立候補するとかいうような場合になつて参りますると、どうしても県庁の中の職員あるいは市役所の中の職員というものは、勢いあるいはこれを支持し、あるいはこれを支持しない、あるいは中立的、傍観的な立場に立つというような傾向になつて参るのでありまして、このことは、私ども若干の事例を承知いたしております。そういうことの結果といたしまして、そのこと自体がいい惡いはともかくといたしまして、選挙後におきまして、今度はそれに伴いまして、どうしても人事の上での扱いというものが、これの影響を受けて参るということは、きわめて見やすい理でございまして、そのようなことも若干あるように考えられるのであります。そういうような点から申しまして、やはり公務員というものは、全体の奉仕者であるという性格を明確に打出しまして、従つて政治的にはあくまでも中立であり、これはまつたく行政の技術的なる処理者である、こういう性格を明確に出すことが、この地方住民から申しまして、常に公正に行政が行われておるという信頼感を持つ点からいつてどうしても必要であると思うのであります。政治的行為の制限と申しまするものは、すでにアメリカにおける大統領制度のもとにおきまして、過去においていかにいろいろな問題が起つたかということを見ますると、同じような制度のもとに立つておりまするわが都道府県あるいは市町村の選挙制度のもとにおきましては、そのような事態が、同じ人間でありまする限り、当然にあり得ることが予想せられまするし、過去におきましてもそのようなことが、全然ないわけではなかつたように考えられます。また今後におきましては、そのようなことかいよいよ一般化するであろうというふうに、私ども考えておるのでありまして、行政職員の政治的な中立性を保障することによりまして、真に全体の住民のための行政というものを確立して行くことが必要であろう。これが政治的行為制限の理由であるように私ども考えておるのであります。
  79. 門司亮

    ○門司委員 そうすると、今の鈴木さんの答弁だけを聞いておりますると、別に今まで不都合なことはなかつた、そういうことがあるであろう、というようなことに解釈するのが私は正しいと思う。政治的に中立でなければならないということは一応わかつております。わかつておりますが、しかし地方自治体も、これは中央も同じでありますが、首長はある政党に所属し、しかもその政党の幹部であつて、その政党の持つておりまする地方自治体に対する施策というものが、大きく打出されて、これがスローガンとなつて選挙が行われておる。従つてその地方自治体というものは、首長の主張いたしまする政策に対して住民がこれに共鳴しておるということである。そうするとやはりその政治的行為というものは、そこに大きなものによつて打出された行政に対して、むろんそこに勤めておりまする者が、政党的には多少意見を異にいたしておりましても、ひとたびきまつてしまいました場合は、その首長の指揮命令のもとに執務を行うというのは当然でございましよう。その場合の政治的中立というのは私どもはつきり言えるのであつて、首長の考え方と属僚の考え方が違つてつて、満足な運営ができないことはわかり切つておる。この場合の中立幅は、これはむろんなければなりませんが、それだからといつて、一切の政治的行為を削るというようなことは、私ども、弊害がなかつたということになつて参りますると、この公務員法全体を貫いておりまする一つ精神の上に、多少の疑惑を持つておりまするが、しかしこれ以上きようはもうこのことについての質問はいたしません。これはいずれ後刻また質問をいたしたいと考えております。  その次に聞いておきたいと思いますることは、やはり説明書の中に行財政の両面の改革地方自治の上に最も必要である。改革の一環としてこれが行われなければならないということを強調されておりまするし、従つて地方自治確立の途上において、やはり憲法趣旨に沿うようにするには、どうしてもこういう法律が必要だというようなことが大臣の説明書の中に書いてある。そういたしますと、この行財政確立でありますが、一体大臣は今日の行政地方財政確立したと言い得るかどうか、この点をひとつお伺いしたいと思います。
  80. 岡野清豪

    岡野国務大臣 お答え申し上げます。先ほども床次委員の御質問にお答え申し上げましたように、地方税法が通りまして財政確立の基礎ができたわけであります。まだ施行後三、四箇月にしかなりませんで、しつかりした確立はできていないと私は見ております。でございますから、今後財政確立のためにはもう少し手直し、手入れをしなければならぬことは事案でございます。しかし確立ができていないのじやなくて、確立の基礎はりつぱにできている。この基礎工事の上に少しく手直しをして行けば確立はして行く、私はこう考えております。
  81. 門司亮

    ○門司委員 そういたしますと、大臣はこの問題については、大体地方財政法ができておる。地方税法の改革が行われたから、それで財政確立はできておるというように解釈してもいいという今のお話でございましたが、私どもは必ずしもそうは考えないのであります。一昨日来この議場で議論をされておりますものは、主として地方財政が十分なる確立ができていないから、このような議論が行われておるのでありまして、この見解が、大臣と私どもは非常に大きな開きを持つておるのであります。従つてもう一つ聞いておきたいと思いますることは、今の地方税法が地方財政確立の基礎となるべきものであるということを、大臣は確信を持つてお答えになつておるかどうかということであります。
  82. 岡野清豪

    岡野国務大臣 お答え申し上げます。現状においてはあれが地方財政確立の基礎になつておると、私は確信しております。しかしこの基礎がまだお説の通りに十分強化されておらぬということも認めております。
  83. 門司亮

    ○門司委員 どうも一方においては認めて、一方においては認めていないというふうなお話でありますので、との問題も私はきようはこれ以上聞かないことにいたしておきたいと思います。  その次に聞いておきたいと思いますことは、先ほどから問題になりました行政の再配分の問題であります。これは先ほど神戸先生はこの問題については、なかなか私の立場としては言いにくいというふうなお話でございましたが、少くとも大臣はここに明らかにこの説明の中でお話しされておりますので、大臣はそのことが多少私はおわかりだと思う。わかつていなければこうなるだろうというようないいかげんなことで——いいかげんというと怒られるかもしれませんが、とにかく想像でこういう重要な法案の説明はお書きになれないだろう、私はこう思います。従つて将来どういうふうに配分されるか、地方自治体の公務員諸君が、どれだけ社会的に重要な地位になるかということ、この点をひとつ詳細にお説明を願いたいと思います。
  84. 岡野清豪

    岡野国務大臣 お答え申し上げます先ほど神戸議長が仰せになつたように、まだ調査委員会議でその内容を発表する時期に至つていない、こういうことでございます。しかしながらあの調査委員会議が設置されました趣旨としましては、地方公共団体におけるところの仕事をいかに配分するかということを、研究するのが使命でございまして、おそらく出て来るであろうところの報告書は、地方自治体の仕事が大幅に転換され、変更されて行くことだろうと思います。しかしながら、それは今現に、中央の公共団体がやつておるところの仕事を、市町村にどのくらいやらせるか、府県にどのくらいやらせるかというように、区分の別でございます。でございますから、その点におきましては、公務員法と関連はありますけれども、そのために公務員法を動かすだけのものにはならぬと思います。この問題は、もしこの調査委員会議報告が出まして、再配分ができまして、市町村並びに府県における仕事の分量が、こういう性質のもの、こういう分量のものはどういうふうな公共団体に渡されるのであるということになれば、そのときに初めて問題となるのは、その仕事をして行くために必要なる財源確立が、一番重大な問題だろうと思います。でございますから、調査委員会議報告が出まして、われわれが考えなければならないことは、調査委員会議出しました報告書をそのまま取上げます場合には、同時に並行して財源措置をして行かなければならぬ。こう考えておるのであります。そういうような配分ができましても、十分に地方公共団体仕事をやつて行けるように、地方公務員の身分を確立しておいてそうして調査委員会議報告の受入れ態勢のために、まずこの地方公務員法確立しておきたい、こういう考え公務員法を出した次第でございます。
  85. 門司亮

    ○門司委員 どうも大臣の答弁ははつきりわからぬのでありますが、事務の再配分につきましては、ことさらに私は新しい事務ができて来るというようには考えられない。現在市町村あるいは都道府県でやつておりまするものと、国でやつておるものとの関連性において、これだけのものは地方に譲つたらどうか、これだけのものは市町村に譲つたらどうかという單なる事務の再配分にすぎないと思う。そうして参りますと事務はふえるかもしれませんが、そのことのために、ことさらに地方公務員諸君の職責が重要になつたということは、私は言えないのじやないかと思う。具体的に言うならば、事務の再配分が行われて参りましても、下水の掃除をしております人夫の諸君は事務の再配分が行われたからといつて、それだけ身分が重要になつて、どうしても政治的な行為までも禁止しなければならぬというように、非常に高い地位になるとは私は考えられない。單なる事務の再配分であつて、私はさきに申しましたように、必ずしも身分がそれによつて上昇するとは思いませんが、もし身分が上昇するという点がありまするならば、ひとつ、どういう事務が——あるいははつきりしたことは言えないかもしれませんが、どういう事務地方に分掌される。どういうことを地方に委譲して行く。従つて地方公務員の地位というものは、これだけ上つて行くのだ、これだけ重要性が増して来るのだということを、具体的にこの機会にひとつ聞かせておいていただきたいと思います。
  86. 岡野清豪

    岡野国務大臣 お答え申し上げます。具体的の事務配分の情勢は、委員長ですら御言明がなく、また私も事実聞いておりませんから、どういうふうになつて行くか、それはわかりません。わかりませんけれども、われわれが想像いたしますことは、今市町村におけるところの事務の大部分が国の仕事をやつているように見受けております。調査委員会議出します報告におきましては、その国の仕事市町村固有の仕事に直して行く。こういうふうに配分されるものと私は心得ております。でありますから、結局今まではいわゆる委託事務をしておつた吏員が、今度は市町村本来の仕事として、自分の仕事としてやつて行かなければならぬ。こういうふうになつて来ることと私は思います。そういたしますと、おのずから非常な責任の相違が出て参りますから、それだけやはり地方公務員も向上さしておかなければならぬ、ころ考えます。
  87. 門司亮

    ○門司委員 それからその次に一つ聞いておきたいと思いますことは、今のお話では十分自分たちも承知しておらない。しかし事務の再配分の中には、御存じのように、国のやつておる仕事地方に委譲して来る。従つてそれだけ責任が重くなる。今までは委託事務であつたが、今度は自分の本業にしなければならぬから、それだけ任務が重くなる、こういうふうに私は解釈するのでありますが、今までの委託事務、国政事務といいましても大体その責任の所在というものは、国から地方へ委託された事務であるから、地方がこれをいいかげんにしておりたということは、私はなかつたと思います。同じように、やはり責任の所在は責任の所在で、はつきりしたことをやつておる。それ以上私は地方公務員が、このことのために責任が重大になるとは考えられない。もし重大になるものがあるとするならば、それは地方行政上の責任を負いまする者に対しては、あるいはそういうことが言えるかもしれない。しかし一般公務員には私は同じようなことであつて、決してそういうことの理論はあてはまらぬと思います。ことに先ほどから聞いておりますると、委員長も言えないのであるから私にもわからないというようなお話でありまするが、さつき委員長も、大臣はこういう説明をされておるが、しかしこれについては自分は何も知らないという御答弁でありまするし、今また大臣も、地方行政調査委員会議のことについては、自分は何も知らないというようなお話でありますので、この地方行政調査委員会議というものは一体どういう性質を持つたものかということであります。この行政調査委員会議がやつておりますることについて、行政の主管大臣でありまする自治庁の長官が連絡しなかつたというようなことで、一体地方のほんとうの自治行政というものは行われて行けるかどうか、われわれはこの点を非常に心細く感じておるのであります。立案をして、あるいは政府に勧告するものは、この行政調査委員会議であるかもしれない。しかしそれがほんとうに具体化して、法律となつて現われて参りまする場合には、やはりあなたの所管になると思う。そうすると、その立法化される基礎的の条件の調査をし、それを勧告する者と自治庁の長官との間に何も連絡がなかつたというようなことでは、私はこれは聞きのがすわけには行かぬし、また済ますわけにも参らぬのでありますが、現状において、あるいは神戸委員長が言わなかつたのを、自治庁の長官がいろいろのことを一言というのはおかしいというようにお考えになるかもしれませんが、しかしそういうことでなくて、この法案を審議する上にきわめて重要でありますので、この点が明確ならぬと、なかなかこれを進めて行くわけには参りませんので、少し言いにくいことがあるかもしれませんが、速記は止めてもよろしゆうございますからひとつお話を願いたいと思います。
  88. 岡野清豪

    岡野国務大臣 門司さんの御説は、至極私も同感なんです。けれどもこれは制度の弊でございまして、自治庁というものと、それから行政調査委員会議というものは、まつたく独立のものでございまして、そしておそらく事務的にはいろいろ自治庁にものを聞きに来たり、また自治庁もどんなふうになつているかということを聞きに行つたりするのでございますけれども、しかしできておる機関というものは、まつたく独立してしまつておるものでございますから、調査委員会議で言わぬというものを、私が申し上げるわけには参りません。事実私は何も知らないのです。これは正直に申し上げますが、ほんとうに知らないのです。またおそらく神戸委員長御自身も詳しいことは御存じないと思います。今下の方でやつておるのですから、その点をお責めくださつても、私は正直のところ知らないものは知らないと言うよりほかに方法はないわけです。ただ問題は調査委員会議報告が出ましたら、すぐそれを自治庁長官として実行しなければならぬということも出て来ないのでして、調査委員会議報告が出ましたら、自治庁はそれを検討して、いかに法律にするかということを今後検討しなければならない。そのときにおいて初めて御議論のようなことをお互いに御相談申し上げることになると思いますけれども、ただいまのところでは、まつたく正直な話、知らない。知らないから、それに対して御答弁ができない。こういうことが事実でございます。事案だけを御了承願いたいと思います。
  89. 門司亮

    ○門司委員 そうすると、ますますおかしいのであります。まつたく知らないことが、ここに予測されて書かれておるということになる。そうすると、この第三番目の理由になりますが、さらにと書いてあります理由は、これは理由にしない方がいい、こういうことに私ども解釈してよろしゆうございますか。
  90. 岡野清豪

    岡野国務大臣 しかしこれは方向がすつかりきまつているのです。市町村に対して、どういうふうに事務を与えで行こうかということを研究しているのですから、今やつている事務を動かすわけです。新しい仕事じやないのです。今やつている仕事をどういうふうに配分して行こうかという方向がきまつておるのですから、これは事務の分量も質も違わない。ただ固有の仕事に、どこにどうなつて行くか、こういうことだけでございます。
  91. 門司亮

    ○門司委員 どうも私ははつきりとわかりませんが、それならもう一つつつ込んで聞いておきますが、その次にこういうことが書いてあります。「以上の見地から、政府においては鋭意調査研究を続け、各方面とも折衝いたして心つたのでありますが、」こう書いてある。そうすると、この各方面の折衝というのは、どこに折衝されて、この前段に掲げてあるようなものが書いてあるか。私の解釈では、ここに折衝という文字を使つております以上は、調査委員会議もやはり各方面との折衝の中に入つておる、こういうように私は解釈しておるのですが、この各方面の折衝の中から、行政調査委員会議は除かれておるのですか。
  92. 岡野清豪

    岡野国務大臣 お答え申し上げます。各方面と申しますのは、これは調査委員会議は大体の方向はきまつておるのですから、仕事はちつともかわらない。ただ配分だけの問題です。各方面と申しますのは、過去二年の間に、いろいろ試案を出しましたりなんかしますと新聞に発表しましたり、また都道府県知事に対して案を見せて、その意見を求めましたり、大体都道府県知事、それから議長、市長、町村長、また自治労連とか自治労協とかいう、こういう方面にもやはりいろいろの意見を求めて、そうして考え出した案がこれでございます。
  93. 門司亮

    ○門司委員 きようは非常に時間もおそくなつておりまするし、この大臣の説明だけについてのことでありますから、あと少しばかり残つておりますが、あまり申し上げません。そうするとこの法案の全体を通じて、ここは非常に重要な問題でありまして、そしてそれから先は本法に対するやや具体的な御説明になつております。ここまでがこの大臣の説明の最も重要な要旨だと私は思いますので、これについてここまではきようは聞くつもりでいたのでありますが、こういうふうに解釈してよろしゆうございますか。この調査委員会議仕事というものは、事務の再配分だけであつて方向がきまつておるから、それについては別段大臣としては聞かなかつた、あるいは自治庁としては、これは重要視しなかつた。聞かなかつたということは、重要視しなかつたことと思いますが、重要視しなかつた。しかしその重要視しなかつたことが、重要な大臣の説明の要旨の中に入つておる。この点がわからぬのであります。あなたの方で重要視しなかつたものが、大臣の説明書の重要な部分に入るはずはないと思う。十分打合せてあつたと思う。しかしこれ以上大臣が言えないというのをむりに言えとは言いませんが、私どもの納得の行かないのはその点でありまして、従つて方面と折衝いたして参りましたが、今日ようやくここに成案を得たとありますが、各方面との折衝の中には、地方公務員法を出さなければならない一つの重要な要素としての地方行政調査委員会議との折衡はしなかつたというように、はつきりここで私どもが解釈してもさしつかえないかどうかという点であります。
  94. 岡野清豪

    岡野国務大臣 お答え申し上げます。行政調査委員会議のことが問題になつておりますが、委員会議はどういう方向でやつておるものかといえば、結局事務配分だけの問題である、こういうことを聞いておりますから、配分だけなら公務員法に対して、その要素になりませんから……。
  95. 門司亮

    ○門司委員 説明書に書いてあります。
  96. 岡野清豪

    岡野国務大臣 説明書に書いてありますのは、御承知の通り、行政調査委員会議報告も出ることであつて地方の公共団体事務がかわつて来るだろう。だからこそ地方公務員法というものを確立して、受入れ態勢を十分しておかなければならぬ、でありますから、この法案を出しましたのでございますという理由書にしてあるわけでございます。
  97. 門司亮

    ○門司委員 もうこれ以上私はきようは聞きません。最後にお願いいたしておきたいことは、明日から大臣の説明書の、この以下の部分について私はお聞きしたいと思いますが、ひとつ大臣は、一応これをこの委員会で説明されておりますからよく御存じだと思いますので、聞きますることについてはひとつ大臣から率直に責任のある御答弁か願いたい。事務的のことにつきましては後ほど鈴木さんからあきるほど伺いたいと思いますので、事務的なことについてはさようにお願いしたい。きようはそれだけにとどめておきます。
  98. 木村榮

    ○木村(榮)委員 大分わかつたようなわからぬような答弁を聞きましたが、わかる答弁だけを求めますために、わかるようなことだけをお聞きしたいと思います。大体半月分くらいの年末賞与が出るという話なんですが、半月分ぐらい出ましても、現在の状況から見ますと、せいぜい子どものセーターの一枚と、げたの一足ぐらいしか買えぬわけですが、大体そのくらいで公務員はけつこうであるというお考えのもとにお出しになつたのですか、その点を承つておきたいと思います。
  99. 岡野清豪

    岡野国務大臣 今の御質問は平衝交付金のことでございますか。
  100. 木村榮

    ○木村(榮)委員 何でもいいです。とにかく……。
  101. 岡野清豪

    岡野国務大臣 私は、今官吏と言わず実業界の人と言わず、生活が非常に苦しいということはよく存じております。ただ問題はその苦しいのをいかにしてしのいで行くかということでございます。そういたしますというと、国家並びに地方公共団体というものは、国民から税金をとつてそれを財源として与えなければなりません。そういたしますというと、今度は国民経済の点もやはり考えなければならぬ。なるほど地方公務員なり国家公務員なりが今十分やつて行けるであろうとは私は認めません。しかしそれは必ずしも国家公務員であるとか地方公務員であるとかいうことに限られたわけではございません。国民一般が苦しんでいる時代でございます。でございまするから、できるだけのことはしなければなりません。しかしできるだけのことをするについては財源というものを考えなければならない。そうしますれば、やはり財源というものによつて支配されるのは当然であつて、たといセーター一枚しか買えないものでも出せればけつこう、出さなくたつて財源がなければ出せないものだと私は考えております。
  102. 木村榮

    ○木村(榮)委員 よくわかつたです。そういたしますと、地方財政委員会が、当初は大体百七十三億円くらいの予算を要求して、しかもこの中で百三十億円というものは年末賞与並びにベースアツプの方に振り向けた方がよかろうといつたような意見書出しておる。ところが意見量をこの委員会にかけて、今大臣がおつしやつたように、一体こういうふうな財源がはたしてあるのかないのか、あるいはこういつたものをどうして出すかということを御審議なさるのが、今あなたのおつしやつた趣旨に最も沿うと思うわけでありますが、そういうことをおやりにならなくて、ないものは出せぬ。だからしようがない。ということにいたしまして、一昨日から始つた禅問答みたいな地方公務員法だけは早く通してくれというようなこと自体、一体政府はどのような観点に立つてこういうふうなことを言うのであるか、その間の御心境をひとつ承りたい。
  103. 岡野清豪

    岡野国務大臣 お答え申し上げます。これは主として国の財政を担当しておるところの予算の面に触れると思います。でございますから、行政調査委員会議で御論議なさることは、私どもとしてはまことにありがたい話でございます。ありがたい話でございますけれども国家がそれだけのものを補助してくれるかどうかということに一にかかつておる次第でございます。そういう方面でひとつ御議論を願いたいと思います。
  104. 木村榮

    ○木村(榮)委員 美は、聞くところによれば、こういつた財政上のことについて、全国市長会議でも明日からこれを問題にして、相当議論をするというふうに承つておりますが、そういつた場合に、私たち国会議員といたしても、むろん予算委員会の方ではやるでございましよう。しかし地方財政委員会設置法というものが、この委員会において審議され、それがここにおいて決定されて、しかもそこでいろいろ検討した結果、さつき申し上げましたような平衡交付金の増額といつたようなことも要求しております以上は、やはりここでも審議いたしますために、あなた方の方から適当な資料をお出しになるのが当然であるのに、何でもそういつたものが出るには出たが、この委員会に出す出さぬの決定権は閣議にあるのだから、まあ出さぬでおこうというふうな御方針のように承つておりますが、間違いございませんか。
  105. 岡野清豪

    岡野国務大臣 出さぬということを私申し上げたことはございません。閣議を通じて閣議で決定いたしましてから国会に出すということにしまして、またその方向に進んで出すことになるわけでございます。まだ閣議は開きませんけれども、明日ぐらいには出すはずです。
  106. 木村榮

    ○木村(榮)委員 その閣議の場合に、出さぬでもよいということの決定もできるわけなんですか。
  107. 岡野清豪

    岡野国務大臣 これはそういうわけに参りません。内閣は必ず出さなければならぬことになつております。
  108. 木村榮

    ○木村(榮)委員 大分はつきりした。話がわかつてけつこうです。そこで、まあ禅問答はきようはやめましてこれだけ承つておけばよいのです。ただ一言お尋ねしたいのは、さつき鈴木政府委員が盛んに御答弁なさつていまして、政治的中立の立場をとらすために、この地方公務員法をお出しになるというふうな御答弁であつたと思いますが、一体政治的中立というのはどういうふうなことですか。
  109. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 政治的中立性という言葉は、その言葉示しておる通りのことでございまして、どういう脈が御疑問か、御疑問の点がございましたらお答えいたします。
  110. 木村榮

    ○木村(榮)委員 そういたしますと、私は政治的中立でございますと言つておればよいわけですね。それを宣言しておれば、何か証拠がなければ……。服務規律か何かがあつてそういうことになるのですか。
  111. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 政治的行為の制限について規定をいたしておりますこの法律案趣旨といたしましては、投票いたしますとかあるいは單に署名をいたしますとかいつたようなこと、あるいは單に政党の党員になるというようなことを禁止し、制限をしようという趣旨は毛頭ございません。ただここに掲げてありまするような相当積極的な内容を持つた政治活動をいたしまして、そのことの結果が行政を行う立場にありまする者としては適当でない、全体の奉仕者としては特定の党派あるいは特定の階層のために動くということは、これは適当でございませんので、そういう見地から政治的中立性をその限度においで保障しなければならぬ、こういう意味でございます。
  112. 木村榮

    ○木村(榮)委員 そうしますと、大体上からの命令を絶対服従して、まじめにやつていればよいということになるですね。
  113. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 ちよつとそれだけでは言葉が足らぬと思いますが、とにかく今申し上げましたような趣旨でございます。
  114. 木村榮

    ○木村(榮)委員 だから具体的に言うと、上の言うことをはいはいとやつていればよいというのが、政治的中立ということになるのですね。
  115. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 政策の決定をいたしまするのは、地方団体で申しますれば、議会並びに知事あるいは副知事というような政策決定に関係のありまする職でございますが、それによつてきめられました政策を、きめられた通りにこれを公正に実施して行くというのが、一般職に属する公務員に対して要求せられるところでありまして、そういう見地から政治的中立性ということを要求をするわけであります。
  116. 木村榮

    ○木村(榮)委員 そういたしますと、大体現在の吉田内閣の政策と申しましようか、方針といいましようか、そういつたふうなものか政治的な中立だ、こういうように認めるわけですね。
  117. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 地方団体の政府がきめまする政策は、これはそれぞれ住民の代表でありまするところの、条例なり予算なりを議決いたします議会が、正当な手続峠よつて議決したものである。それを執行して行くのが一般職職員の役割であります。そこには何ら私意をさしはさまないで、きめられたものをきめられた通り実施して行くということをはつきりいたしますのが、全体の奉仕者としての一般職の職員に要求せられたものであると思うのであります。
  118. 木村榮

    ○木村(榮)委員 地方公共団体といえども、御承知のように、いわゆる国家行政組織法によつて相当中央機関からは牽制を受けるようになつております。だから決して中央政府の方針と全然反したことはやれぬはずなんです。だから従つて政治的中立の大元締めは現在の吉田内閣がやつておるようなことになるのですか。
  119. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 地方団体の今の知事とか議会とかいうようなものに、政治的中立になれということを地方公務員法は何ら考えておりません。
  120. 木村榮

    ○木村(榮)委員 だからややこしいことは拔きにいたしまして、大体このことはむずかしく言つたつてわからぬのですから、簡單に説明をいたします場合には、とにかく上の方の言うことをはいはいと聞くことそのことが、この中立であるということになれば、きわめて簡單でいいと思うのですが、実際問題としてはそうなんでしよう。
  121. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 そういう表現の仕方はすべてを尽してはおらぬと思いますが、ある部分は尽しておると思います。
  122. 木村榮

    ○木村(榮)委員 だから結局具体的になれば、大体大ざつぱに言つて政府の方針に従うことであるということになる。そこで政府は盛んに中華人民共和国、あるいはソビエト同盟の惡口を言いまして、反共、反ソ宣伝をやる、いわゆる共産党排撃宣伝をやつておる。このことが最も中立ということの具体的な現われだ、こういうことになるわけでしよう。
  123. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 どうもちよつと御質問趣旨がわかりませんので、お答え申し上げかねます。
  124. 立花敏男

    立花委員 関連して……。政治活動の問題ですが、今、全地方自治体の警察官でございますね。これの政治活動はどういうふうにやつておられますか。取締りの問題で……。
  125. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 どういうことですか。
  126. 立花敏男

    立花委員 警察官に政治活動を、許しておられるのかどうか。
  127. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 それは地方自治体の警察職員につきましては、警察法の中におきまして、国家公務員法の精神に基いて服務等については条例で定める、こう書いてあります。そこで条例の中でどういうような規定を設けておりますか存じませんが、大体これはやはり相当制限的な規定を設けておる面があろうと思います。
  128. 立花敏男

    立花委員 それでお聞きするのですが、私どもはそういうように理解しております。警察官もこれは同じく地方公務員ですが、警察よりは市役所、県庁の職員の方が、政治活動が許されていいのだというふうに理解しておつたのです。実はきのうこの委員会にお配りになりました資料の中に、全国の自治体警察長の連合協議会からの資料が来ております。これは警察相互間の共助応援規定の法制化についてという題なんです。結局砕いて言いますと、お互いの警察が非常の場合に応援ができるように法律をつくれということなんです。これに関しましてこの資料が出ているわけです。十月二十一日に京都で警察長の大会をおやりになりまして、そうして今言いました相互の応援規定を法律化せよということを決議なさいまして、それを国会に資料として持つて来ておられるのですが、こういうことは政治活動でないのかどうか。こういうものが、地方公務員の政治活動を禁止するという法案が審議されている委員会に配られて来ているので、私どもまごつくのですが、こういうことは許されるのかどうか。地方公務員の政治活動を禁止されるというのですが、こういう政治活動はしてもいいのかどうか。これは具体的な例なんでございますから、ひとつお答え願いたい。
  129. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 これはそれぞれの自治体警察のございまする市町村で、どういう条例をつくつておるかということと関連をいたすわけであります。それぞれの市町村においてそういうようなことを制限をいたしておりまするならば、その条例違反ということになりますけれども、しかし單なる陳情あるいは請願というような範疇に入りますものでございまするならば、これは禁止せらるべき政治的行為ではないであろうというふうに考えられるのであります。
  130. 立花敏男

    立花委員 しかし單なる陳情、請願でなしに、十月二十一日に京都で全国の自治体の警察長大会をやつて、この法制化の決議をやつているということ、こういう動きが政治活動でないのかどうか。私どもの知る範囲内では、警察長と申しますものは地方事務官にすぎませんので、警察長の上には地方公安委員会があり、あるいは全国の市長あるいは町長がおられるわけなんです。こういう縦の関係を無視いたしまして、單なる事務官にすぎない警察長が、全国的なこの会合を持ちまして、京都で大会をやつて、こういう法制化の決議をする。しかもそれを国会まで持つて来る。これはちやんと署名が入つております。「全国自治体警察長大会」という署名で、「右決議する」と持つて来ているのですが、こういうことは地方公務員の政治活動の禁止の条項にも当てはまらないのかどうか。地方公務員はこういうことをやつていいのかどうか。警察官は国家公務員法に従つて政治活動を禁止するような建前だということを言われましたが、それは条例でどこまで実現しているかわかりませんが、それを建前としている警察官がこういうことをやつているのですが、地方公務員法で政治活動を禁止する場合に、こういうことをやつてもいいのかどうか。たとえば給与ベース改訂を大会の決議でやつても、政治活動にならないのかどうか、これを伺いたい。
  131. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 現在の自治体警察職員の政治的行為の制限は、先ほど来申し上げておりまするように、その市町村の条例でどういうことを書いておるかということに一にかかつておるわけでございます。従つてこれはそれぞれの市町村の実情によつて違うと思います。ここでただいま提案をし、御審議を願つております地方公務員法案におきましての問題として、今の問題を考えてみますと、政治的行為の制限につきましては、一面において政治的目的ということを考えております。政治的目的としては、「特定の政党その他の政治的団体又は特定の内閣若しくは、地方公共団体の執行機関を支持し、又はこれに反対する目的をもつて、」ということが一つ。またいま一つは、「公の選手又は投票において特定の人又は事件を支持し、又はこれに反対する目的をもつて、」この二つを特に政治的目的として掲げておりまして、こういう目的を持つていない行為は、これはそもそも政治的行為の制限の中には人づて来ないということであります。第二の要件といたしましては、一定の種類の政治的行為を掲げておりまして、これは一、二、三、四、五までこの三十六条に規定してございますが、こういうような種類の行為だけを考えております。従つてただいまお話のございましたような警察相互間の共助、応援規定を法制化してくれというようなことは、たとえば地方公務員法案において立案をする際に、こういうようなことを、一つ入れてくれというようなことを、地方労評あるいは自治労連等から意見を申し出て来られますのとまつたく同様の意味において、これは何ら政治的目的がないものでございますから、地方公務員法案がかりに施行になりましても、このままでございまするならば、何ら違法という問題は起らないというふうに考えております。
  132. 立花敏男

    立花委員 そうしたら地方公務員法制定反対運動、反対大会などを、どんどんやつてもいいわけですね。
  133. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 それが今申し上げましたように、特定の内閣を支持しまたはこれに反対する目的をもつて、ということになりますると、政治的目的を有することになりますか、同時にそういうようなことがこの列挙事項の中に入つておるかどうかということで判定をせられることになります。
  134. 立花敏男

    立花委員 そこで判定の問題になつて来るのですが、これは非常に反動的な保守政党の線に沿つた大会であり、要求であり、政治活動だと思つております。そこが準袖山にあいまいでありますので、もしこういうようなことが許されるならば、当然私ども地方公務員に政治的活動の自由を許していいのじやないかと思うのです。そういうあいまいな形でただ判定の問題だけで、そういう規定を地方公務員法の中にお入れになりますと、まつたく木村君が質問いたしましたように、現在の政府の言うことを、ただはいはいと聞いておれはそれでいいんだということになりまして、これはおそらく地方自治の本旨に反して行くだろうと思いますので、この問題を聞いたわけなんですが、非常にあいまいだということがわかりましたので、この問題はこれで終つておきます。  それから委員長にお願いしておきますが、きようは文部大臣が来られるということになつておりましたが、来られませんので、あす……。
  135. 前尾繁三郎

    ○前尾委員長 あす午前中ならいいと向うで言つておりますから……。大矢君。
  136. 大矢省三

    ○大矢委員 私はどうしてもやむを得ざる用でちよつと席をはずしておつたから、同僚から質問されておるところと重複するかもしれませんが、注意があればあとから取消します。  第一にこの法案をこの臨時国会——会期がわずか二週間で、すでにあと一週間ほどしかないのでありますが、そういう短期な臨時国会に何をあせつて突如として出したか。これは私はどうしても了解することができないのです。これはほんとうの腹を言うと、今度の地方選挙に四百万人に余る地方公務員の政治活動を禁止して、そうして有利にやろうという、このことが流れておることは明らかなんです。そこで一体こういうものをつくる際にどうしてこの公務員だけが、こういうふうな取締り的なものを受けなければならぬか。先ほどの説明を聞いていますと、いわゆる公務員というものは全体への奉仕者である、だからして中立性を守るんだ、従つてこういう制限をするんだ、こう言つておりまするが、公務員として勤務中とか、あるいは職権を利用してやるような場合には弊害があるかもしれませんが、自分たちがうちへ帰つて、公務にさしつかえない範囲においてやることを、なぜ一体そんなに気にして、こういう取締り的なものをつくらなければならぬか、このことが私には非常に理解ができないし、遺憾に思うのですが、国家公務員法ができて、あるいはまたそれがひとつの理由となつて、マ書簡その他によつてつくられたのでありますが、第二百一号その通りです。それから相当な期間がたつておる。それから日本の組合運動は、公務員の間には職員組合その他従業員組合があつて、その間には長い間の組合の歴史を持つておる。それから組合が特にマ司令部の書簡か出て以後におきまして、正常に帰るといいますか、日本の組合運動民主化し、さらに自主性を持ち、むしろこれを助成すべき状態に来ておると私は思う。それをこの際に、何を好んで突如としてこれを出して、そういう取締り的な——説明を聞いておりますと、ずいぶん保護するというようなことがあるようでありますが、一番かんじんな組合活動並びに政治活動を中止して、これはこんなことを言う必要はないかもしれませんが、アメリカ地方自治体なり公務員の発達と、日本の官治制度で長い閲歴史的に発展して来た地方公務員なり、その他とでは実情が違うのであります。この実情を無視してこういうものをこしらえて、しかも非常に正常に返り、その組合運動が喜ぶべき状態にあるにかかわらず、そうしてしいて反対しておるにもかかわらず、これを強行しようとし、しかも突如として出したことに対して、私どもはどうしても了解できないのでありますが、私が言つたように、何か地方選挙に間に合せたい、だからこの際どうしても出さなければならぬということで出したのかどうか、大臣は非常に正直な人でありますから、私は正直に率直に言つてもらいたい。
  137. 岡野清豪

    岡野国務大臣 正直とほめられれば、ますます正直ならざるを得ませんが、突如として出したんじやございません。これは二十三年の十二月末までに出さなければならない法案なのでありまして、それがいろいろ関係方面との折衝やら、いろいろなことで延び延びになりまして、この国会に出そうと思つて準備いたしますと、ぐらついていけなくなる、また出そうと思うと内容がかわつたりなんかしまして、それで実に千変万化して今日に至つたのでございますけれども、第八国会が終りました当時から、いよいよこの次にはぜひ出せというような希望がありまして、そうしてまた関係方面との折衝が非常に円満に行きまして、成案ができたものでございますから出したので、この国会に提案するということは、もう約二年も前から出さなければならないものを、今まで出さずにおつたのだから、成案ができたら一番最近の機会において出せ、こういう示唆がありましたもので出したわけですから、来年選挙があるから急いで出さなければならぬのじやないかということは、はなはだ痛くない腹を探られるような感じがしまして、心外にたえません。
  138. 大矢省三

    ○大矢委員 それはそうだとも言えるかもしれませんが、二年間もいろいろ折衝して——私は大臣あるいは自治庁が労働省並びに人事院その他と折衝の苦労のあつたことのいきさつは薄々聞いてもおりまするし、察することができるのですが、どうも自治庁の関係しておる本委員会は、一切のものを取上げることばかり相談して、与えることをちつともしない。これは岡野さんが大臣になられて偶然かもしれませんが、こういうことが感じられると思います。第一にここで審議したのは地方税——国税の減税の問題は、ここで審議しなかつたのでありますが、地方税もとることばかり、その次は平衡交付金、これも今年中にどうしても半分は返さなければならぬという、昨日もやかましく言つておる。いずれも与えることをせずしてとることばかりである。今度なども、一番大事な政治活動、それから労働者にとつて大事ないわゆる団体協約、その他組合運動に対して取上げることばかりしておる。これはどうしてここは取上げることばかり相談してちよつとも与えないのか、ふしぎに思うのですが、今度のこの法案を見てみますと、今年の七月にできた自治庁の法案と比べてみまして、よくなつたかと思つたら、非常に惡くなつておる。そこで第一に私の聞きたいことは、前には現業員関係と言いますか、従業員の單純労務と言いますか、財政法の第五条にあります独立採算制と言いますか、そういうものをあげて十二項目にわたつての除外例を設け、この法律を適用しないということで、第一に輸送関係、つまり軌道、電気、ガス、水道、物の製造、改造、加工、修理、土木、建築、農林、畜産、養蚕、公園事業、病院及び診療所、清掃事業、焼却及び屠殺の事業、旅館、食堂及び娯楽場、競馬、競輪その他興行、そういう事業に関係しておる従業員には、これを適用しないということがあるが、今度はそれがとれていて、一般に適用する。ただこの独立採算制の四つの事業だけは今度ははずして、これを公営事業体か何かでやつて別に法律をつくるということが書いてありますが、残されたあとのものは全部入つておる。ところか私はこれは非常に善意に解釈いたしまして、五十七条でこれをちやんと後日單独立法にして、これをはずすという大きな含みがあるということを、私は非常な期待を持つて見ておつた。ところが鈴木さんの説明を聞きますと、たとえば公立学校の教職員のごときものということを説明のときに言われて、びつくりしたのであります。十月二十五日かに出した要綱の五十七条には、教育公務員職員のうち、その職務と責任の特殊性に基いてこの法律に対する特例を必要とするものについては、別に法律で定める、こういうことを書いてあつたが、わざとこれをとつておる。教育公務員等ということを削つて、今度の法律では「職員のうちその職務と」こう赴いてあるからして私は特に教員だけでなしに、そういうものを全部別な法律をつくるというふうに善意に解釈しているのですが、間違いないかどうか、そうしてこれをいつごろつくり、どういうふうにされるのかということをお伺いしたい。これが人づてないというようなことになると、たいへんなことになる。
  139. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 今の現業職員につきましてのお尋ねでございますが、この法案の五十七条でありますか、「職員のうちその職務と責任の特殊性に基いてこの法律に対する特例を必要とするものについては、別に法律で定める。」というものの中には教員が入らないかどうかというようなことに関してのお尋ねと思いますが、これは御承知のように教員を一体現業的なものと見るか、非現業的なものと見るかということにつきましては、労働法上の扱いとしてもいろいろ問題があつたろうと思いますが、現在の国家公務員法なり、また御審議を願つております地方公務員法案におきましては、現業という区別を一応はずしておりますので、従つてそれ自体としては現業であるかどうかということを、ここでは考えておりませんが、ただいま御指摘がありましたような十あまりの職種のものにつきましては、これは一応現業と考えるのであろうと存じまするが、教員はやはり、そういういわゆる現業と、そうでない非現業とのいわば中間的な性質を持つたものだろうと思います。私どもといたしましては、いずれに近いか、いろいろ論議のあるところと存じますが、むしろ非現業の方に近い性格を持つたものではないかというふうに考えておるのであります。しかし教員は確かに一般の職員と違つた性格がございまするので、現に教育公務員特例法におきまして、特例的な事項を一定めておりまするが、この教育公務員特例法は、地方公務員法案がかりに成立をいたしました後におきましても、やはり教育公務員についての特例という意味において、当然残るべき法律であろうと存じます。従つて五十七条との関係におきましては、やはり教員についての特例ということは今後も考えて行くべきではないか。たとえば試験、任用というようなことにつきましても、免許状等の問題がございまするし、その他教員について認められておりまする特例の点は、地方公務員法通過後におきましてもやはり原則として認めて行つてよいというふうに考えておるのであります。
  140. 大矢省三

    ○大矢委員 それでは五十七条の規定の、別に法律をもつて定めるということは、あなたの説明の中にあつた教育公務員だけになつておるのですか。それとも同じような特殊性を持つているものであるから、いわゆる単純労務の事業関係についている従業員諸君は、別にこれを法律で定める、つまり単独法をこしらえるのだという含みがあるのですか。それともそんなことは考えておらぬというのですか。どちらですか。
  141. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 教員以外の、いわゆる単純労務と申しますか、現業職員につきましては、先ほど政務次官から申し上げたと存じますが、現業職員に関しましては、国家公務員法の建前におきましても、なるほど扱いまする仕事につきましては、肉体労働的な面が比較的多い。また労働量というようなものも比較的容易に測定できるというような点で、他のいわゆる行政職のものとは違う点が確かにあるわけであります。ただこれらの職員は、一般会計、あるいは特別会計を設けておる場合におきましても、一般会計からの繰入れ援助によつてこれをまかなつておるというのか多くの場合でありまして、いわゆる公営事業に従事いたしておりまする、独立採算制をとつておる会計に属する職員とは、若干そこに子ういう点において違いがあるのであります。また国家公務員との関係におきましても、国鉄とか、專売公社というふうに独立採算制の国営企業につきましては、別扱いにいたしておりますので、そういう意味で、公営企業職員に関しましては、別個にこれを法律で規定をするようにして行きたいというのが私ども考え方であります。今お尋ねの現業職員に関しましては、会計の点から申しますると、一般行政職と同じように律せられておるわけでございますが、御指摘のごとく仕事自体につきましては単純な労務でございますので、国家公務員法ともにらみ合せまして、将来この問題についてもさらに研究を加えて行く必要がある、特例を設けるべきところがあれば、特例を設けて行くべき必要があるのではないかというふうに考えております。
  142. 大矢省三

    ○大矢委員 国家公務員法との関係で将来研究して行きたい、こういうことでありますが、この将来という意味、それから先ほど申しましたものを除外したのは、国家公務員とのつり合いの関係でのけたということを、われわれも想像もし、聞いてもおるのですが、国家公務員法を改めると同時にこれを改めるかどうか。それからそれはいつごろやるかということを、人事院なり、労働省との関係でこれを折衝した場合に、時期というものを打合せなかつたか、どうか、このことをお伺いいたしたい。
  143. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 そういうような特例を考えるといたしまするならば、その時期はいつかということでございますが、これは御指摘のごとく国家公務員法との関連がございまするので、関係方面並びに関係行政機関との間に、完全なる了解かつかなければ提案が困難でございまするが、完全なる了解がつきさえいたしまするならば、最も早い時期においてこれを提案いたすようにいたしたいと考えております。
  144. 大矢省三

    ○大矢委員 それからこの四つの事業を独立採算制ということではずしたのですが、それは特別経済に入つているか入つていないかということでわけるのか、それとも人員あるいは資本金その他の方法によつてわけるのか、これは地方々々において、バス事業を小さな町でもやつていたり、あるいはまたガスをやつているようなところもあるのですから、その四つのはずした事業をどこで分類するのか、先ほど申しましたように独立採算制という特別経済にあるものは、どんな小さな町でも村でも、経済が別であればそれを入れるのかどうか、この点の基準をどこに縦いているのかということをお尋ねしたい。
  145. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 これはどんな小さな地方自治体でも、おおよそ独立経済でやつておれは、必ず別扱いにするということは、必ずしも実情に沿わないかと存じます。ある町の公営企業に従事しておる者でありましても、これはその町に勤務しております他の公務員との間に、きわめて密接な関係があるわけでございますから、これはやはりその町全体として同じ地方公務員として律せられる方が適当であろうと思われる場合もあると思います。従つてやはり相当程度の規模を持ちました独立採算制の公営企業というようなものについて、特別的な措置を考えるべきではないだろうかというふうに考えております。
  146. 大矢省三

    ○大矢委員 これは特に大臣にお聞きしたいのですが、今聞きますと、国家公務員とのにらみ合せでできた。しかし最も近い将来においてこれがその筋の了解さえ得れば、いわゆる単純労務だけははずしたいという鈴木さんの答弁なのですが、私は先だつてラジオの朝の訪問というのを聞いておりますと、大臣は、私は地方自治庁の仕事に対してはしろうとだけれども、常識で行くのだ、だから結局政治も常識だということで、私も実は聞きつつ感心した。これは先ほど神戸さんにもお尋ねしたが、シヤベルを持つたり、あるいは植木の手入れをしたり、そこらの草引をしたり、あるいはおわいのくみ取りをしたり、こういうものを公務員とすることは、どう考えつて常識をはずれておると思う。これはそういうことのためにはずせなかつたのだ、私は大臣の苦労はよく知つておる。それは常識上そうあつても、やはり全体のいろいろなつり合い上そう行かなかつた。しかし近い将来にこれを改めるという鈴木さんの意思であり、それが提案するときの申合せならば、これはわずかの間でありますから、ちようど四つの事業をはずしたと同じように、従来通り、つまり別途の法律ができるまではそうするということで、はずすことにどうしてできなかつたか。もしこれがこのまま通過しますと、あれが公務員かということで、私は常識を疑われると思う。大臣のためにもこの委員会のためにも、先ほど申しましたように、特に私はこれを入れたとかなんとかいうのではなく、これは案例を言いますと、大阪市においては二十に余る組合をつくつておるが、何の不都合もない、一ぺんもストライキをやつたことはたい。これは大阪のみならず、神戸でも東京でもそうですが、長い間組合をつくつてスムースに行つているものを、特に縛り上げねばならぬということは、私はどうしても考えられない。その結果として私は神戸さんに聞いたように、いわゆる政治否定のものの考え方、フアシヨ的な、いわゆる直接行動でなければだめだ、政治にたよつてはだめだというようなものの考え方、フランスのサンジカリズム的なものの考え方になつた場合の将来を想像しますと、これはたいへんなことになります。神戸さんは私もそういうような危惧があるということを言われたが、だれだつて多少常識のある者は考える。うまく符つているものを取上げるだけ取上げて——すべてものは比較しての不平でありまして、わしとあれは同じようなのに、何でおれだけは縛り上げられるか、これが不平の原因であります。たとえばこれは話が横へそれますけれども東京には環状線がある、あるいは中央線がある。これは国鉄です。ところが地下鉄あるいは東京急行は、民間がやつているから自由にやれる。そこへ持つて来て都電はまた今度の公共企業体で縛り上げられる。こういう同じ仕事をしておりながら、どうして自分たちはこれだけ不利な取扱いを受けるか、ただそれは税金でまかなつておるといわれるかもしれないが、こういう事実が大阪あるいは各府県でもあると思います。土木事業をやるときには、事業全体で予算をとる。そうして材料が高くなる。セメントその他材木が高くなりますと、人件費を減らす。これは人件費か材料費かわからずにまとめてとつた予算でありまして、何も税金からとつておるとか、特別な人件費をもらつたとか、これは住民関係があるから、これはやはり公務員にしておかなければならぬということではない。そこで私が聞きたいことは、そういう常識で判断のできぬようなことを、どうしてわずかばかりの間、入れておかなければならないか、今はずす意思があるかどうか、いや出したものだからそのまま通してくれというかもしれませんが、われわれはほんとうに委員会が非常にいいことだといつてきめても、それはわずかの間だから、これはこのままとして、従来の二百一号のあれもあるのだから、それで当分しておこうということに委員会としてきまれば、それはそれでよろしいと言われるか、いや一旦出したものだから、どうしてもこれは通してもらいたいというのか、その点を私は大臣のために、あるいはこの委員会のためにもはつきりしてもらいたい。それで特にこの点は曲げていいとは答弁をなさらないかもしれませんが、それが後日最も近い機会にはずすということの方針がきまつておれば、それだけのことははずしてもらつたら、どうがと思うのですが、この点が法案の中で一番重要な問題ですから……。
  147. 岡野清豪

    岡野国務大臣 お答えいたします。お説の通りに私自身は政治は常識である、それで常識であるからおわい屋は地方公務員とははなはだ違つておるのである、お説の通りでございます。ただ問題は、そのためにこそ五十七条でああいうような特別の規定を赴きまして、最も近い時期におきまして、これを改善して行きたい、こう考えておる次第でございます。でございますが、ただ残しておけばそれでいいではないかというようなことも仰せになりますけれども、そこが今までの日本行政機構の非常に複雑多岐にわたつておるところの欠陥でありまして、常識がそのまま法律になつて行くというふうには参りません。これはあなたが政治家としていろいろなことをお取扱いになつて、さぞ御経験になつたことだろうと思いますが、物事というものは、常識をその通り実行しようと思いましても、あちらこちらにひつかかりかございます。最も大きなひつかかりはやはり国家公務員法でございます。そういたしますと、国家公務員法と歩調を合せて行けば、そうしてもいいというやつと了解を得てあの五十七条が入つた苦心をお察しくださつてお通しを願いたいと思います。
  148. 大矢省三

    ○大矢委員 それからはずした四つの事業に対する——これはどういう名前がつくか知らぬが、別に法律で定めるというが、これはいつごろ出してどこで立案するのか、たとえば国家公務員法のときには、公共企業体の立法の所管というものは労働省にあつた。今度の場合も、こうした事業のところは労働省で立案するのか、あるいはまたここでやるのか、それからいつころこれを立案して出すのか、その期日、所管です。私は労働省だと思うが、所管のことを一応念のためにお聞きしたいと思います。
  149. 岡野清豪

    岡野国務大臣 お答え申し上げます。所管としてはやはり自治庁でございます。しかしながらこれは労働省と非常に関係が深うございますから、労働省とよく協調一致しましてやることになると思います。
  150. 大矢省三

    ○大矢委員 期日はどうですか。
  151. 岡野清豪

    岡野国務大臣 期日ですが、これはもうすでに準備にとりかかつております。
  152. 大矢省三

    ○大矢委員 これは百家公務員法のときにあるいは特別に公務員法は人事院でやりましたが、あの法案の立案は労働省でやつたのです。こういう同じ性質のもので、同じことのようなものをどうして自治庁でやるのか、それは労働省が当然やるべきではないかと思う。自治庁でなしに、労働省で聞いた方がいいかもしれませんが、大臣がきよう見えておらぬからしようがありませんが、これは労働省にまかすべきではありませんか。
  153. 岡野清豪

    岡野国務大臣 お答え申し上げます。国家公務員の身分に関する限りは、やはり自治庁がやることになつておりますから、自治庁がとしてやつておるのであります。
  154. 大矢省三

    ○大矢委員 私は各条の個々については、そのときにお伺いしたいのですが、先ほど来のいろいろ答弁の中に、私どもの一番心配しておつた政治活動、その他この適用範囲のことについては、一応お聞きしたのですが、私が先ほどちよつと触れた政治活動の部面においては、いわゆる職権と言いますか、職務を利用して活動するとか、あるいはまたいわゆる勤務時間中にやるというふうなことは、これは一応制限を受けることもやむを得ないかもしれませんが、それ以外においてやることがどうしていかぬのか、私にはわからぬのですが、もう一ぺん説明願いたいのです。  それから先ほど私がちよつと尋ねました職員組合、従業員組合を通じての組合運動の将来に対する見通しというものについて私の心配しておることに対しての意思表示がなかつたのですが、その点は、政府は取上げることが非常にすきなようであります。職権を利用しての政治活動ぐらいはやむを得ぬかもしれませんが、根こそぎとつてしまうということはどうかと思いますが、その点はどうか、この二つの点だけをお伺いしておきたいと思います。
  155. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 勤務時間外に政治活動をやることを何ゆえに禁止するかというお尋ねでおりますが、これは先ほども申し上げましたように、やはり公務員の政治的中立性を保障するという見地から申しますと、勤務時間内におきましても、かりに特定の人を支援いたしまして、ことにその人が当該地方団体の職におるような人でございますと、やはり選挙の結果におきまして、その活動状態がよかつたか、惡かつたかというようなことが、人事行政の上に現われて来る、あるいは人事行政のみならず、その他の行政の上に現われて参りまして、どうしても行政の中立性と申しますか、安定性というものを確保、維持して行くのに適当でないというような考え方でございまして、單に執務時間中にやらなければ、執務上支障がないというだけの見地ではないのでございます。そういう見地から申しまして、執務時間外におきましても、やはり積極的な政治活動に干与しないということが真に行政に携わりますものの、全体の奉仕者としての性格を全からしめるものであるというふうに考えておるのであります。
  156. 大矢省三

    ○大矢委員 それから組合にとつても、最も重大な団体協約というものを削り、申合せという言葉を使つておる。それから書面による申合せもできるということでありますが、この申合せということは、文書にしてもしなくても、意見が一致したときに初めて申合せということができる。協定を申合せとした、それから申合せで文書まで取交わしたものでありますから、これに拘束力を持つことは当然でありますが、この拘束力を双方に持つのかどうか。それから団体協約というものとの、あるいはこれは非常に法文的なりくつになるかもしれませんか、つまり対等の立場では持たないということが強く言われておる。こういう字句にかわつたと思いますが、しかし自分たちが不公半あるいは不満とか、それぞれ希望することはどんどん団体の代表者をもつてやれるということになつておるのでありますから、それで申合せ、書面文書によるそういう協定ができますれば、当然私どもは双方に拘束力を持たなければ何らの意味がないと思いますが、その点で非常にむずかとい字句が使われておりますが、これが拘束力を持つものかどうか、私は当然持つべきだ。道義的からいつてもそうだと思うが、その点をひとつ……。
  157. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 職員団体と、地方公共団体の当局との間の交渉の結果といたしまして、意思が合致いたしました場合においては、そこに何らかの意味の一伍の契約的なものが成り立つわけであります。その契約と申しますか、意思の合致を單に百頭のままにとどめておきますか、あるいはこれを舌面にしたためまして、申合せという形式で確認をいたしますか。この二つ方法がこの地方公務員法案においては、考えられておるわけでございます。この申合せの効果というものは、これは口頭でありましようと、書面によるものでありましようと、本質的にはかわりがないと存じますが、ただ百頭の場合におきましては、証拠として確認することが困難でございますけれども、書面になつておりますならば、その点は明確であります。そこで書面による申合せの場合の方が、よりはつきりとしておるけれども、本来の法律上の効力としては違いかないというふうに考えております。そこで一体法律上の効力としてどういうふうなものがあるか、またあり得るかということでございますが、これはやはり予想せられます申し合せ事項の内容によつて、違つて来るのではないか、一つとしては、たとえば給料を上げるように給料表の条例を改正してもらいたい、それについて努力してもらいたい、こういうようなことが一つの申合せの事項になると思います。申合せの内容としまして、法令なり、条例なり、規則なりに抵触しない限りにおいてという制限がございますが、そういう意味においてたとえば給料表というものは、条例でつくられる建前にいたしておりますか、その条例を改正をして千円くらい上げるようにしてもらいたい。そういうことを知事なり市町村長に対して議会へ提案するようにしてもらいたい、こういうような申入れをする。そうしてそれについて努力しようということで、その努力に対しての意思の合致があつたという場合におきましては、これはやはり一つの申合せになると思いますけれども、こういうようなものは法律的な効力がかりにあつたと律しましても、ないと申しましても、結果においては違いはございません。ところがこれに反しまして、たとえば予算の上で職員の厚生福利のために理髪店を設けるというようなことが、すでにきまつております場合に、たとえば庁舎の南向きのところに理髪店をつくるようにしてくれ。あるいは福利施設として共同の食堂をつくる。その食堂の中の設備について予算に定められておるけれども、それの方向においてこういうふうにしてもらいたいというふうな具体的な問題になつて参りますならば、これはその間に双方の意思の合致がございますと、やはり一時市町村長としては、その内容によつてこれを実現をして行くというような意味の拘束力を受けるであろうと思います。そういうふうに申合せ事項の内容によつて違いますけれども、根本におきましては、念のために書いてございますように、罷業権でありますとか、団体協約の調停、仲裁といつたような制度の裏づけを持つ、いわゆる拘束的性質を持つた対等の立場の交渉並びにそれに基く協定というものはあり得ない。これはマツカーサー書簡並びにそれを具現しております現在の国家公務員法あるいは政令二〇一号というようなもので、共本的な建前を踏襲いたしておるのでありまして、そういう意味の対等の交渉ないし申合せというものはないが、しかし今申し上げましたような法令なり条例なり規則に抵触しない限りにおいては申合せをすることができるのだ、かように解釈しておる次第であります。
  158. 大矢省三

    ○大矢委員 それから今度先ほど申しますように、一貫して政治活動並びに組合活動に対する制限を受けておりますが、法律で行けば憲法によつて保障されている。しかしながら公共の福祉に反するものはその限りでない。それは条項にもあるのですからもつともなことでしようが、公共の福祉に反しない限りは、それを制約あるいは制限するということは、私は憲法精神においても、あるいは実質においても、これは行き過ぎといいますか、違法じやないか、こういうふうに考えておるのです。この点どういうふうに考えられるか。なおかつこうしなければ公共の福祉に反するからやつたのだと、こういうふうに考えられるのか。  それからいま一つは、こういう拘束といいまするか、君たちのいろいろなものを制限するけれども、それと並行に、むしろまた別な方面で君らを保護するのだといつて国家公務員の場合にもそういう意味で、三権分立が四権分立とまでいわれた非常に強力な組織と権限を持つた人事院ができた。しかしなから実際は人事院の勧告もけ散らかして、何もやりませんけれども内容を見てみますると、度の地方公務員の場合の人事委員というものは、至つて権限は少いと思う。そこでもしで遣るならば、人事委員についてはちようど国の人事官のような権限を持つのでなければ意味をなさぬと思う。非常勤であつて、そうして実際は市長から任免され、あるいは知事から任免されるのでありますから、これにまつたく骨拔きになつ、しまつで、保護するという意味の人事委員というものはほんとうは名前だけであつて、実質の上でいわゆる強力な、一方で剥奪はするが一方で保護するのだ、それは人事委員がにらんでいるのだというものでなく、いわゆる人事委員会の権限というものは至つて弱いように考えられるが、この点はどういうふうに考えるか。あるいはそうでないというのか。それを具体的に伺いたい。
  159. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 政治的行為の制限その他の制限を一体どういう建前で、どういうりくつでやつておるか、公共の福祉を維持するためということでやつておるのならば、おのずから限度があるのじやないかというような趣旨のお尋ねと思いますが、御指摘のごとく、公共の福祉ということは憲法がやはり定めておるわけでありまして憲法が定めておりまする各種の人権の利用につきましては、やはりおのずから公共の福祉に合致するものでなければならない。これは憲法十二条が明らかにしておるところでございます。また同時に先ほど来申し上げましたように、公務員はあくまでも全体の奉仕者であるということが、憲法十五条にうたわれておりまするか、これもまた今の政治的行為等の制限につきましての憲法上の論拠であろうと思います。さらに人事行政の政策上の論拠といたしましては、先ほど来申し上げましたように、一般職につきまして行政の安定維持、あるいはその政治的中立性をはかる、こういうところが政策的な論拠になつて来ているわけでありまして、これらの理由に基きまして、政治的行為の制限がこの法案の程度において行われることか適当であろう。かように考えておるのであります。  さらに人事委員会が国の人事院に比較して非常に弱体ではないかという御指摘でございますが、人事委員会に関しましては、人事院の運用上のいろいろの問題等も、立案の過程におきましては十分考慮をしてつくりましたが、人事委員会の権能といたしましてはいわゆる行政的な一つまり執行いたしまする権能と、あるいは立法的な機能と申しますか、人事院規則をつくります立法的な機能、あるいは勤務条件に関する各種の措置の要求の審査、あるいは不利益処分の審査というような一種の裁判的な機能、この三つの機能があるわけでございます。この地方公務員法案の立案にあたりましては、それぞれの機能を重視いたしましたけれども、なかんずく裁判的な機能、準司法的な機能を重視いたしまして、不利益処分の審査でありますとか、あるいは勤務条件に関する各種の要求の審査というようなものが、公正に行われまするように、特に配慮いたしておるのであります。従いまして人事委員会を設けないようなところにおきましても、特に公平委員会を設ける、そうしてこれらの裁判的な機能が合議制によつて公正に行われるようにしよう、こういう配慮をいたしておるのでありまして、そういう意味におきまして、必ずしも弱体の人事委員会あるいは公平委員会を設けたということには相ならないと存じておるのであります。
  160. 大矢省三

    ○大矢委員 しかしながらこの国家公務員法の場合の人事院というものは、御承知の通り賃金その他についての勧告もできておりまするが、そういう権限がこれにもあるのかどうか。それから私は時間がもう五時になつておりますからこれでやめまするが、ぜひともあす労働大臣と浅井人事院総裁を呼んでもらいたい。これは特に委員長にお願いしておきます。それから先ほど、現に四つの公益事業に対しては、すでに今立案しつつあるということでありますが、これはあくまでも労働省のやるべき性質のものでありますけれどもせつかくそこでできているというのですから、これは今度の通常国会に出ますかどうか、その点をお聞きしておきたい。
  161. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 今の初めの点だけお答えを申し上げます。給与についての人事委員会勧告権は、第二十六条に規定いたしております。
  162. 岡野清豪

    岡野国務大臣 いつごろ公益企業に対する法案が出るかという御質問でございますが、これは御承知の通りにいろいろ検討しなければならぬことがありますから、ただいまその出る時期の見通しを申し上げるわけには参りません。
  163. 大矢省三

    ○大矢委員 先ほど来いろいろ質疑応答の中にありましたように、きわめて早い機会に出すように、今現に立案をしつつあるというのでありますが、これはこの法案と並行して審議することが私は当然だと思います。そうしないと、びつこになり、取扱いが非常に不公平になりまするから、当然こういうものは並行審議をすべきだと考えておりまするが、それについて大臣のお考えをお伺いしたい。
  164. 岡野清豪

    岡野国務大臣 並行してやらなければならないようなことでございましたらこの地方公務員法を出す場合に提案いたします。それができないから、法案の中にうたつて、追つてするということにしておるのであります。
  165. 前尾繁三郎

    ○前尾委員長 それでは本日はこれにて散会いたします。     午後五時散会