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1950-11-25 第9回国会 衆議院 地方行政委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年十一月二十五日(土曜日)     午前十時四十九分開議  出席委員    委員長 前尾繁三郎君    理事 河原伊三郎君 理事 野村專太郎君    理事 龍野喜一郎君 理事 藤田 義光君    理事 門司  亮君       生田 和平君    大泉 寛三君       門脇勝太郎君    川本 末治君       清水 逸平君    塚田十一郎君       中島 守利君   橋本登美三郎君       吉田吉太郎君    鈴木 幹雄君       床次 徳二君    山手 滿男君       大矢 省三君    久保田鶴松君       立花 敏男君    木村  榮君       大石ヨシエ君  出席国務大臣         国 務 大 臣 岡野 清豪君  出席政府委員         地方財政委員会         委員長     野村 秀雄君         地方自治政務次         官       小野  哲君         地方自治庁次長 鈴木 俊一君  委員外出席者         総理府事務官         (地方財政委員         会事務局長)  荻田  保君         專  門  員 有松  昇君         專  門  員 長橋 茂男君     ————————————— 本日の会議に付した事件  地方公務員法案内閣提出第一号)     —————————————
  2. 前尾繁三郎

    ○前尾委員長 これより会議を開きます。  地方公務員法案を議題として質疑に入ります。まず本日は総括的に質疑をしていただきたいと思います。塚田十一郎君。
  3. 塚田十一郎

    塚田委員 実は地方公務員法審議をいたします前に、これときわめて密接な関係にありますところの地方財政の問題について、若干一般的なお尋ねをいたしたいと思うのであります。この問題の詳細はあるいは予算委員会においてお尋ねすべき性質のものかもしれませんが、法案審議に重大なる関連がありますので、一般的、原則的なものだけをお尋ねしたいと思います。  最初に、先般地方財政委員会から、委員長の名をもつて政府意見書が出ているように、私ども承知しておるのでありますが、野村委員長が幸い御出席されておりますので、委員長から先般お出しなつ意見書のごくかいつまんだ概要をお聞かせ願いたい、こういうふうに思うのであります。
  4. 野村秀雄

    野村政府委員 私、地方財政委員会野村と申す者であります。ただいまの御質問に対して、一通りお答え申し上げたいと思います。  地方財政委員会におきましては、昭和二十五年度補正予算編成に際しまして地方財政委員会の見るところによりまして、地方財政としては、これだけの平衡交付金並びに地方債増額政府にいたしていただきたいということを要望いたしまして、そうしてそれに基いて意見書を提出いたしたのであります。最初政府意見書を提出いたしましたときには、政府においては国家公務員給與問題に関しまして、公務員全体に年末一箇月の給與をなすという建前で、予算が編成せられるということであつたために、財政委員会といたしましては、年末給與約九十億を要求する必要があると思いまして、年末給與一箇月分として九十億、公務員給與ース引上げのために約四十億、また平衡交付金の総額が決定した後に、法令の発布または改正等による財政需要増額約十六億、また補正予算実施に伴うて地方財源の必要とするものを約十九億、合計百七十億を必要とすると認めまして、これだけの平衡交付金増額要求いたすことにいたしましたが、地方財政の方面においてもなおできるだけ整理節約をしなければならぬ、こういう建前から、その事務費として約四十億を節約する建前をとりまして、平衡交付金においては結局において百三十億の増額要求することを、政府の方に意見書として提出いたしたのであります。しかるところ政府においては、国家公務員は半箇月の年末給與をなすということに決定いたしたのでありますために、自然その額を前の意見書より減ずる必要がありまして、昨日政府に対しあらためて意見書出し、この意見書政府を通じて国会に提出することを要求いたしたのであります。  今その内容を申し上げますならば、地方公務員給與部ース改訂、年末手当支給、及び教職員の待遇改善のために八十八億円、本年度地方財政平衡交付金増額決定後、法令制定改正等による財政需要増加額を十六億、その他政府補正予算に伴う地方財源所要額十九億、合計百二十三億円でありますが、このうち四十億は、先ほど申したように、地方団体そのもの事務費整理節約いたしまして、四十億を捻出して、結局財源増加所要額は八十三億円と相なるのであります。この額をぜひこの際地方財政現状から見て必要と認めまして、この意見書国会へ提出いたしまして、国会の公正なる御判断と御決定を希望いたす次第であります。  意見書提出概要は、右申したところであります。
  5. 塚田十一郎

    塚田委員 ただいま御説明になりました数字について、何か資料をお持ちであるならば、委員各位の手元までちようだいできれば、非常に仕合せだと思います。
  6. 立花敏男

    立花委員 意見書を私たちはもらつていないのですか。
  7. 荻田保

    荻田説明員 意見書は、今朝内閣を通じまして、国会に提出するように、内閣側にお願いしてございますので、後刻資料については各位に配付されるものだと考えております。
  8. 塚田十一郎

    塚田委員 それでは後ほどちようだいすることにしまして、ただいま御説明数字基礎にして、いろいろお尋ねしたいと思うのでありますが、まず第一にお尋ねしたいのは、ただいま御説明になりました不足額の中で、一番大きなものは給與関係のものであるように承知するのであります。そこで私ども考えますのは、こういうぐあいに手当を出すとか、ベースを引上げる場合に、その財源平衡交付金に求めるという考え方自体が誤つているのじやないか。と申しますのは、地方自治の確立されますためには、地方財政が独立しておらなければならぬことは申すまでもないのでありまして、従つてもしもこういう状態が生じて、給與引上げとか、手当支給というような問題が起つた場合には、当然地方財政自体の中においてまかなわるべきが、地方財政本来の考え方じやないか、こういうように思いますが、その点について岡野国務大臣はどういうお考えでおられるか、これをお尋ねいたします。
  9. 岡野清豪

    岡野国務大臣 私は地方財政の方の担当はしておりますけれども財政委員会の内部の仕事につきましては、一に財政委員長並びに委員会の方の法律従つたあんばいを、全部是認することにいたしております。ただいまのは、給與引上げとかなんとかいうものについて、もしそういうことがありとすれば、これを全部平衡交付金に持つて行くのがいいか悪いかというような御質問のように私承りますが、しかし御承知通り地方財政は今まで非常に窮乏、紊乱を極めておりましたのに、この瀞地方税法ができましてそうしてとにかく四百億という厖大増税をするような法案を通していただきまして、今地方財政はようやく確立しかけて来たのでございます。しかしながら私の見るところによりますれば、この地方税法によりまして、地方財政がいかにおちついたかと申しますれば、その当時における現状財政需要額に対して、これをまかなうだけの意味増税であつたのでございまして、もし非常に情勢の変化でもありとしますならば、また地方税法が長年やられて、彈力性でもできて来た場合におきましては、お説のようなことになるかと思いますけれども、しかしながらただいまの場合は、新しい税法ができて出発したばかりで、同時にその税法で與えられたところの收入というものは、その当時における財政需要に適合するというだけのことでございまして、かくのごとく七月三十一日に税法通りまして、まだ税法実施がその緒についたばかりの場合におきまして、急に厖大なる給與のべース・アツプをしなければならぬ。しかもその給與を増さなければならぬということにつきましては、ほかの法律に規定してありますように、中央公務員が上る場合には、地方公務員も上げなければならない。こういうことに法的に縛られておるものでございますから、ただいまのところ、先般増税したのに、また増税するというわけにも参りませんし、財源もございません。そういたしますれば、今日の情勢といたしましては、財政需要に対して税收入が足りない、また増税もし得ない情勢にあるから、平衡交付金法によつて平衡交付金にすがるよりほかに方法がない。こういう結論に到達して、財政委員会の御要求は当を得ておるものではないか、こう私は考えております。
  10. 塚田十一郎

    塚田委員 そこでお尋ねしたいのは、地方財政委員会が、二十五年度においてはこれだけ足りなくなるのだから、これは平衡交付金で見てもらわなければならないのだという御説でありますが、この数字基礎をどこから、どういうぐあいにして御算出になつたか。つまり新しく発生した需要というものを頭において、これだけはふえたのだから、これだけ見てもらわなければならない。ただいま岡野国務大臣説明によりますと、ことしは新しい税法なつたばかりだし、なかなか税金も思うようにとれない。だからこれだけ新しくふえたのだから、これだけはもらわなければならないというお考えであるのか。それとも二十五年度の地方財政というものを、総合的に今度の機会に御検討なつて、これが出て来た数字か。そのどちらであるかということをまずお尋ねしたい。
  11. 岡野清豪

    岡野国務大臣 財政委員会の專門家に御説明いたさせます。
  12. 荻田保

    荻田説明員 新しく増加いたします経費につきましては、これはほとんど議論余地はないと考えております。簡單に申し上げますれば、給與関係増加いたします八十八億円、それから今度の政府補正予算に載つております補助金等地方負担分十九億円につきましては、ほとんど問題がないと思いますが、先般本予算のきまりました当時以後今までの間におきまして、法律等施行によりまして、地方が負担することになつた十六億円、これについては多少議論がありまして、これは政府考えとしては否認されたように思つております。なお臨時的経費につきましては公共事業関係、つまり今度政府補正予算出しております補助金に伴います地方負担分、こういうものにつきましては、これもほとんど問題のない数字だと思います。ただ、御承知のように災害がございますと、單に国庫補助金によります復旧事業、これだけでは処置ができないのでありまして、どうしても補助金をもらわないで、單独で施行しなければならない工事が相当残るのでございますが、これにつきましてほとんど政府案というものは認めていないようなかつこうになつております。そういう意味におきまして、歳出について見解の差がございますが、さらにその先、然らばそれだけとにかく一応歳出がふえるといたしまして、その歳出をまかなうのに、すでにある財政のうちにゆとりがないかということでございます。一つは、既定経費のうちに節約余地がないかということと、もう一つは、與えられております歳入増收がないかという点でありますが、既定経費節約というものは、これは非常にむずかしい問題でございまするが、これは先ほど委員長からお話のございましたように、四十億円は出しております。この額は大体物件費の五分程度に当るのでありまして、国が今度補正予算財源として出しました率と同様のものを、地方節約するというのでございまして、この点はほとんど両者の意見の一致したところでございます。問題になりますのは雑收入がふえたというような点でございまするが、これは今度の補正予算及び来年度の一般予算を通じまして問題になつた点でございますが、要するにわれわれとしましては、雑收入において何ら実質的な歳入増加になるものは、全然認めるわけには行かないのであります。ただ今までのやり方が、雑收入のごとき特定支出処置するために特定雑收入を得る、こういう歳出歳入の見合つたものは、平衡交付金等計算いたします場合に、計算の外に置いておりまするので、そういうものは全然見なかつた。ところが、これに対しまして、現実にある雑收入は、それは地方收入としてあるのじやないか、それだけのものはそこで調弁できるのじやないかというようなことが、政府のお考えのようでありまして、ここに雑收入が大きく出て来ましたので、その結果、先ほど委員長の申されましたような、われわれとしまして八十三億の平衡交付金がいるものと考えておるのに対して、政府は三十五億でやつて行ける、こういう結論が出ているような次第でございます。
  13. 塚田十一郎

    塚田委員 政府委員の御説明で、これらの費用がどうしても削られないものであり。また相当理由のあるものである。また收入の面においても、これ以上の考慮はできないものであるということはわかつたのでありますが、私がお尋ねしましたのは、実はそれのもう一つ基本になりますものの考え方お尋ねしましたので、つまりここにお出しなつ数字が新しくふえて、絶対に必要なものだからこれだけくれというお考えなのか、それとも地方財政全体を再検討されて、つまり地方財政全体の補正予算というものを頭に置いて考えられた数字が、ここに出て来た数字か、それのどちらかということをお尋ねしたのであります。もつと具体的に申し上げますならば、八十三億足りなくなつたということで、これは新しくふえたので、そのうちから節約でひねり出せる財源が四十億だから、実際足りなくなつたのは百二十三億円だ、そうすればその元になつておる地方財政自体に何も狂いが起きておらぬのかどうか。もつはつきり申し上げますならば、元になつておる地方財政全体の計画は、当初私どもが前国会において承知しましたような数字で運営できるようになつておるのかどうかという問題、そういうことをひつくるめて、これだけの数字で二十五年度の地方財政全体というものが、円滑に運営できる見通しなつておられるのかどうか。そこのところをひとつ‥‥。
  14. 荻田保

    荻田説明員 今度の補正予算関係を別にいたしまして、現状地方財政がうまく行つているかどうか、こういう問題だと思いますが、この点はいろいろ見方もございます。府県側からは、とうてい現在この新しい経費のことを考えないではやつて行けないという意見も強いのでありまするが、その大きな理由は千九百億の税收入を見ておるけれども千九百億の税はなかなか徴收できない、ことに新税でもありますし、施行が九月というふうに遅れましたので、とうていできない、もう一つは見積りが過大であつたということ、それからまた一方経費の面におきましては政府考えている以上に、政府側から指示された仕事が多い、そういう意味でなかなかやつていけない、こういう意見が強く出ておるのであります。われわれとしましてはそういうことも考えられますけれども、一応今までのところはそれでやつて行けたんだ。ただ先ほど申し上げましたように、政府の本予算決定後にふえましたのが経営費で十六億程度のもの、それから臨時費におきまして九十二億程度のもの、これを今から埋めもどすと申しますか、処置するならば、大体やつて行けるものと考えておるのでございます。それを基礎にいたしまして新しい経費の問題を考えたような次第でございます。
  15. 塚田十一郎

    塚田委員 そういたしますと、政府委員の御説明から想像いたしますと、当初の予算というものが地方財政について考えられておいたものは税收も思うように上らないということで、相当困難をしておるということを承知したわけであります。その金額がどれくらいになつておるのか、今の御説明で伺わなかつたのでありますが、もしそうであるとすれば、私は地方財政委員会がこの意見書をお出しになる場合に、何ゆえにそういうものを総合的に御計算なつてお出しにならなかつたか。今までの分は、これは足らぬかもしれぬ、足らぬ見通しが非常に強い、また足らぬと言つて来ておるけれども、それはほつておく、しかしこれだけ新しく出たからこれだけくれというような御意見のようでありますが、地方財政というものを御担当になる地方財政委員会が、せつかく御意見書をお出しになるならば、どうしてこの機会地方財政を総合的に御検討なつて、そうしてこれだけ足らぬのだということをはつきりとお出しなつて、国の中央財政地方財政とを総括して、もう一度政府考えてもらうという処置に出られなかつたかどうか。この点はまあ御遠慮になつたんだと言えばそうかもしれませんし、それもものの考え方でありますが、少くとも地方財政をおあずかりになる地方財政委員会のお立場としては、地方財政に対して不親切じやなかつたかと私ども考えるのですが、委員長その点はどういうふうにお考えでありますか。
  16. 野村秀雄

    野村政府委員 地方財政の実情は、先ほど局長から御説明申し上げた通りでありますが、私どもといたしましては、実際の地方財政の実態を把握してみるときにおいて、どうしてもこれではやつて行けぬのだということを、はつきり確認いたしたのであります。従つて今日の場合、地方財政の大きな変革の際においては、どうしても国家としてこれだけのめんどうは見てもらわねばならぬという建前から、この要求をいたしたのであります。
  17. 塚田十一郎

    塚田委員 委員長の御答弁が少しお尋ねしたことと違うのであります。ただいま御説明のお気持は十分私ども了承しておるのですが、先ほど荻田事務局長からお開きすると、このほかにも二十五年度の当初予算考えておつた地方財政の規模というものは、税收なんかが思うように上らないから、そこにも赤字が出るんだ、その上にこれだけ新しい支出ができたということであるならば、なぜそこに出る赤字も足りない分として政府に再考慮を求めるようにお出しにならなかつたか、そこをどういうふうにお考えなつておるか、こういうことを実はお尋ねしておるのです。  そこでついでにお尋ねしたいのでありますが、約千九百億の二十五年度の地方税收入というものは、一体どれくらいとれる見通しなつておられるのか、その点をひとつお尋ねいたします。
  18. 荻田保

    荻田説明員 具体的に申しますと、市町村分は少し多いものでありますので、まだ報告を徴しておりませんが、府県分について申しますと府県分は千九百億のうち七百億が予定されておるのでありまするが、最近府県からとりました資料では、五百五十億くらいしかとれない、こういうふうな報告も一応来ているのであります。しかしこれでわれわれとしましては、必ずしも最終的な数字ではない、こんなに減收がありますれば、市町村分もくるめますと非常に大きな額になりまして、財政が大きく狂いますので、これは一応むずかしいということを強調するために、そういう資料が出て来たのであろうと想像しております。われわれ一応机上で推算してみますと、百億くらいはあるいは下まわるのじやないかということを心配しております。そういうことも検討したのでございますけれども、しかしこのままこれをこの際出して、この補填策を講ずるということはいろいろの関係でなかなかむずかしい問題だと思いますので、一応きまりましたことはきまりましたこととしてそれでやりまして、何とか仕事をやつて行くように、徴税の面も経費節約の面も考慮してもらうという考えのもとに、先ほど申しました過去の分につきまして結局十六億と九十二億、百億余りのものを補填する、その程度のことをこの際要求いたしまして、あと地方団体の努力によつて処置して行くというような考えのもとに、今度の要求をしているような次第であります。
  19. 塚田十一郎

    塚田委員 どうも正確な数字が集まつておらぬので、議論をいたしますのに非常に困難するのでありますが、大体七百億の府県税收入の中で、府県は五百五十億くらいしかとれないと言つて来ている。また地方財政委員会はこれはちよつと考え方が甘過ぎるが、まあわれわれが見ても六百億くらいしかとれないだろう。そうすると、かりに地方財政委員会がお考えなつている見通し資料にとりましても、七百億のうちに六百億しかとれない。そうすると、あと千二百億の市町村の方でその割合でとれないということになつたら、これは両方合せると二百億以上の税收だけの減收が出て来るということになる。二千七百億か八百億の中から二百億も税收が減ずるという見通しがあつて、一体地方財政というものはやれるのかどうか。また二千八百億のうち二百億や三百億どつちへ狂つてもやれるのだということであれば、その上の八十億や九十億追加のものがふえても、それくらい地方財政というものは伸縮自由にできるものならば、私は二百二十三億くらいの追加需要もその中でまかなつていただけるのじやないかと考えるのですが、その点はどうなんですか。
  20. 荻田保

    荻田説明員 先ほどの御説明の仕方が悪かつたので誤解になつている点があると思いますが、私が百億と申しましたのは府県市町村を通じて百億、千九百億のうち百億くらいはとれないのじやないか、こういうふうに申し上げました。いずれにしましても百億くらいは穴があくわけでありますが、その程度でございますれば歳出の面及びなおその百億をとるべく努力してもらうということ、なお在来とつております制限外課税それから特別税の設定というようなことによつて、一応処置して行けるのだ、こういうような判断のもとにつくつている次第であります。
  21. 塚田十一郎

    塚田委員 私どもとして非常に遺憾に思いますのは、地方財政が正確な資料がないためにいつでも議論をいたしますときに、議論が突き詰めたところまで行けないのでありまして、これは非常に地方財政の特質でありまして、必ずしも地方もしくは地方財政委員会をお責め申し上げるという意味ではありませんが、まあその議論は別にいたしましても、とにかくそれだけ当初の予算にも不足を生じている、もしくは不足を生ずる見込みがはつきりしているというのであれば、地方財政委員会から今度お出しになる意見書というものは、これは八十三億ではなしに、その上に何がしかであるべきはずである。そして国の財政地方財政とを総合勘案して私は今度の補正予算は当然再考慮さるべき性質のものであつたというふうに考えるのです。しかしお出しになつたのは八十三億であり、その八十三億を結局三十五億しかまかなえなかつた、こういうことになつたようでありますが、そこで現実の問題にもどりまして、それでは百億の税收入不足と、その上に新しい必要が八十三億——百二十三億の中から四十億節約ができて八十三億——百八十三億ぐらいは当初予算及びその後の追加需要に対して不足を生ずるというのでありますが、それに三十五億しか平衡交付金の増を認めてもらわなかつた場合に、地方財政というものはどういうぐあいに運営されて行くか。二百億以上の需要があるのに、三十五億もらえばやつて行けるというお考えなんであるか。もしくはやつて行けぬ。結果においてそれはもらわなければ、ない袖は振れないということになつて、何とかしのいで行くでしようが、その場合にそのふくれがどこに出て来るというお見通しであるか、この点をひとつ‥‥。
  22. 野村秀雄

    野村政府委員 ただいまお尋ね通り、私どもも非常にその点心配いたしております。もし八十三億が認められたならば、とにかく何とか切り開いて行けるのではないかということを考えておりますが、それがさらに三十五億に減らされるということになれば、地方財政といたしては、あるいは法定外課税、あるいは標準以上の地方税課税あるいはまた寄付金を前のようにとつて来る、あるいはいろいろの事業を中止したり、繰延べたりして、地方財政を糊塗するのではないか、これがために地方財政はシヤウプ第一次勧告の以前の状態に返えるのではないだろうかというように、心配いたしておるのであります。その点まことに私どもも、今後いかに財政委員会としてこの地方財政を見て行くか、よく地方団体意見なり希望なりを聞くと同時に、またその状態をも審査いたして、相協力してこの局面を何とか收拾して行きたい、かように考えております。
  23. 塚田十一郎

    塚田委員 收拾して行きたいと、地方財政委員会がお考えくださるのはけつこうなんでありますが、收拾できる状態もしくは見通しであるのかどうか。もし收拾できる見通しであるとするならば、これは八十三億要求したが、三十五億しか平衡交付金中央からよこさなかつたという中央政府考え方は、きわめて適切であつたのであり、收拾できないということになれば、あの考え方は再考を要すべきものであり、これは非常に重大なポイントなんであります。收拾して行きたいとお考えになるのは非常にけつこうであります。ぜひそういうように努力していただきたいが、その努力通りに收拾のできるお見通しであるか。そしてもう一つどこにふくれて行くかとお尋ね申し上げましたところが、それは法定外の税を起すとか、標準率以上に税をとるとか、事業を繰延べるとかいうことでありますが、法定外の税というものは、私どもが新しい地方税法審議いたしましたときには、これは原則としてはつくらない。なぜつくらないかというと、ああいう税は地域的に片寄る税でありまして、国民負担の全国的な公平均衡というものを破るから、できるだけこれは許さないという政府の御方針であり、それに私どもも賛成をいたしまして、新しい地方税法というものはできたのでありますから、法定外の税というものは、そうたんとできることを、私どもとしては地方税法審議をしましたときには、予期していなかつたのであります。少くとも二十五年の地方財政計画においては、標準率以上に税がとれるということもこれまた予定しておらなかつた。なぜかと申しますと、私ども中央地方とを総合いたしまして、中央で減らし、地方でふやしたこの税制計画の場合には、一応負担の度というものは、地方は標準率以上はとらないものであるというので、この程度ならば負担軽減がある程度実現できる、こういうふうに考えてやつたのでありますから、もしも今委員長のおつしやつたように、あつちにもこつちにも法定外独立税がたくさん出て来る、また標準率以上であつちでもこつちでも税をとるところがたくさん出て来るということになれば、これは結局その面において政府のものの考え方は、根本的にくずれて来るのでありますが、その点はそういうような実例がたくさん出ておるかどうか、これをひとつ荻田事務局長お尋ねしたい。
  24. 荻田保

    荻田説明員 この標準超過課税の問題でございますが、今われわれの手元に入つております報告では、府県ではたしか七県か八景超過課税をやつております。  それから法定外独立税につきましては、府県分でも今までの間に十ぐらいのものを許したと思います。市町村分につきましても、まだ全部の資料は集めておりませんが、これは超過課税と申しましても、大部分が市町村民税の超過課税になりますが、この分で百くらいの市町村が超過課税をいたしております。それから新しく法定外独立税を起すように市町村から申請が出ておりますのは、これもやはり十か二十くらいでございます。
  25. 塚田十一郎

    塚田委員 大した数字ではないようでありますが、それにしましても、それだけのものが実例としてすでに出ているということであれば、これは相当当委員会としても重大な関心を持たなければならない点だと思うのであります。  そこでもう一つ、こまかい点でありますが、お尋ねしたいのは、今の標準以上に税をとるところが、七府県もあるということでありますが、どういう税目について標準以上にとる実例が出ておりますか。
  26. 荻田保

    荻田説明員 府県で標準超過をやつておりますのは、事業税と特別所得税であります。なおそのほかに、これは標準超過と言えるかどうかわかりませんが、自動車税につきまして、標準率がきめてありますが、これが一本できめてありますので、その中身におきまして、つまり大きな自動車には標準率より高く税をとつておる、こういうようなところは相当ございます。
  27. 塚田十一郎

    塚田委員 もう一つ、先ほど委員長の御答弁の中で、事業を繰延べるものが出て来るということでありますが、繰延べるものはどういう事業がどういう場合に繰延べられるのか、具体的なことは私も承知しません。あるいは委員会も御存じないのかもしれませんが、大体委員会のお考えは、そういうものはまあ金がないから繰延べておいてもさしつかえない程度のものなんだ——もつはつきり申し上げますならば、たとえば災害復旧なんかは、これは繰延べてはならぬ性質のものであると思うのでありますが、そういう性質のものでなしに、金があればやつた方がよいが、なければ一年や二年延ばしてもよいようなものが相当あつて従つてそういうものが繰延べられて、大した困難なしに結局やつて行けるというお見通しなのであるか。従つてそういう見通しであるから、三十五億でもごしんぼう願えるという見通しなんですか。絶対に三十五億ではしんぼうできないのだというお考えなんであるか。そこの点をひとつはつきり御答弁願いたい。
  28. 野村秀雄

    野村政府委員 内容については私どももつまびらかにしておりません。ただ私どもがこうなるであろうという今後の見通しを申し上げたのであります。三十五億では実際においてできない、これをはつきり申し上げたいのであります。また先ほど私が收拾できる——收拾できるというように申したのではありません。收拾し得るように努力いたしたい。しかし私どもの努力で、はたしてそれが收拾できるかどうか。それについても私は多大なる懸念を持つております。端的に申しますれば、実際地方財政はこれがために非常な混乱状態に陥るであろうということを、心から心配いたしておるのであります。
  29. 塚田十一郎

    塚田委員 地方財政委員会のお考えはよくわかりました。そこで岡野国務大臣お尋ねしたいのでありますが、地方財政のそういうような状態は、私どもは今初めて伺つたのでありますし、また地方財政委員会の御苦衷のほども、今初めて伺つたのでありますが、所管の大臣におかれては、こういうことはすでにとくと御承知であつたと思うのであります。従つてそういう事情をよく御承知であつて、あの補正予算の三十五億という数字を所管大臣として、何とかこれでいいのだというお見通しで、あれを国務大臣の一人として御了承になつたかどうか、その点いかがでしよう。
  30. 岡野清豪

    岡野国務大臣 お答え申し上げます。私は地方財政委員会の内情は、委員長並びに荻田局長からよく伺いまして、十分承知しておるのでございます。先ほどから委員長並びに局長からのお話の通りに、もし八十三億の平衡交付金がもらえなければ、すなわち三十五億しかもらえなければ、地方財政というものは、地方税法実施の以前における、またそれ以上の、混乱を起し、また今委員長が仰せのごとく、必要なる事業も繰延べて行かなければならないということになり、また局長の言われたごとく、新しい税目も許可してやらなければならないし、また税率も上げなければならない、こういうような混乱になるということは、私十分承知しております。承知しておりますからこそ、閣内において私もいろいろ努力したのでございますけれども中央財政のいろいろの事情並びに財源等の関係上、どうしても三十五億しか出ないということに同調せざるを得なくなつたということは、一に私の微力のいたすところでございまして、何とも申訳ないと存じております。
  31. 塚田十一郎

    塚田委員 所管大臣のお考えも伺いましたので、その点についてのお尋ねはこれ以上いたしません。  次にお尋ねしたいのは、補足的な問題としまして、私どもはしばしば地方財政に冗費がある冗費があるということを非常に聞くのであります。これは新聞などにもしばしば報道せられておりまして、またそれらの実例として幾つかの府県もしくは市町村の放漫支出の例などもあげられておるのでありますが、私どもは必ずしもそういうような断片的にあげられる実例をもつて地方財政全体にそんなに冗費があるとは、決して思つておらぬのでありますが、しかしこの考え方は、実は非常に世間に広く拡がつておる。私どもはこの地方財政なんかを視察に歩きましても、担当しておる人以外は、大体地方財政に冗費があるというような意見を持つておられるように思う。そこでいろいろ検討してみますに、どういうところに地方村政の冗費があるのかということを調べてみますと、やはり宴会が多いとか、あるいは上京その他の出張が多いとかいうことなんでありますが、それらの点については地方財政委員会としても、もちろん十分お調べになつたものがおありになると思うのですが、もし数字的にそういう資料がありますれば、数字的な御説明を含めて、あわせてひとつお聞かせ願いたいと思うのであります。
  32. 荻田保

    荻田説明員 このいわゆる宴会費の問題、それから出張旅費の問題、これは一件ございましても非常に目立つものであり、一件といえども、一銭といえどもみだりに許すべき性質ではない。これはもうわれわれまつたくその通り考えております。従いましてこういうことのないように、地方団体側の自重を要望したいと思つておりまするが、何分にも今は昔のように監督制度というものはないのでございまするから、これは地方団体自体の自粛にまつよりしかたがないと思います。しかし政府側におきましてもそのような必要の起らないような措置をとるために、先般も閣議で陳情等についての便法等を御決定なつたわけでありますがそれはそれといたしまして、しからばどれくらいの金が支出されておるかという点でございまするが、全体については調査はできませんでしたが、一度拔き検査的に調べてみますると、いわゆる旅費それから接待費、食糧費というようなものを全部ひつくるめましても、大体地方予算の三、四%ぐらいのところが多かつたようでありますが、その中には旅費といいましても、いわゆる物見遊山的な旅費は、おそらく一部分であろうと考えられます。地方の職員といたしましては、県内におきましてその地方を、いわゆる指導と申しますか、農業なんかを指導してまわるというようなことは重要な職務でありまして、このために相当な旅費がいることはあたりまえなことであります。また食糧費の中におきましても、国の予算等にならいまして、いわゆる食糧費という科目を置いたのでありますが、そのうちの大部分のものは、たとえば県立病院の患者の食糧であるとか、あるいは社会事業施設、養老院であるとか孤児院等の食費、こういうものでございまして、いわゆる宴会費に流用されておるというものはわずかなものであります。われわれといたしましては、こういうものがあるということはもちろん認めますけれども、このために地方財政全体に非常にゆとりがある、非常な濫費が行われておるというふうには考えていないのであります。繰返して申し上げますが、もちろんそういう経費は一円たりとも支出すべきでないということについては、われわれとしましても努力いたしたいと考えております。  なお御参考までに申し添えておきたいと思いますことは、そういうふうなことにつきましての調査も十分でございませんし、先ほど塚田さんのおつしやいましたように、資料等につきましても十分でなく、非常に御説明が満足を得られませんことを残念に思つておりますが、そういう趣旨におきまして、地方財政委員会の職員の手不足ということもございますので、来年度におきましては、二十五名ぐらいの特に財政自体を專門に現実に調査する、資料を整備する職員を政府要求しまして、大体承認されることになりますので、そのものの活用によりまして、十分なことをいたしたいと思います。しかし地方自治を認められておる今日、われわれの方から監督的な措置をとるということは、あくまで避けたい。勧告をするというような、相手の自主性を認めた措置によりまして、ぜひともこういう経費の節減に努力いたして行きたいと考えております。
  33. 塚田十一郎

    塚田委員 そうすると冗費がある。幾らかあることは認める。これはなるべくなくさなければならないというお考えはよくわかりましたが、そこで、それではそれを含めて四十億ぐらいは節約できるのだとこういうお考えなのでありますか。
  34. 荻田保

    荻田説明員 この四十億節約を立てました中には、今申しましたような経費はまつ先に節約すべきものだということを予定しております。
  35. 塚田十一郎

    塚田委員 次にお尋ねしたいのは、この地方財政で非常に問題にされましたのは、給與の点であります。それは地方給與が高い高いということを、しきりと言われるのでありますが、私ども承知しますとろでは、高いところもある、安いところもある、こういうように考えるのですが、この点はどういうぐあいになつておるのか。何か数字的な御調査があれば、それをあわせてお聞かせ願いたいと思うことと、もう一つそれに関連してお尋ねしたいのは、ベースの引上げと、それから手当の一箇月分というものは、その高いのか、あるいは安いのかしりませんが、現実地方公務員給與基礎にして御計算なつたか、それとも別個に、中央計算と同じ基準で御計算なつ数字であるか、その点ひとつ‥‥。
  36. 荻田保

    荻田説明員 この給與の問題につきましては、今仰せになりましたように、地方職員が非常に待遇が高いというような声があるのでありますが、われわれの調査いたしましたところでは、決してそのようなことはなく、最近数年内国家公務員と同様な給與ベースをとつておるものと考えております。二、三地方的に申し上げますと、——この二十四年九月新しい給與の切りかえができましたあと、人事院で実施しました国家公務員給與の実態調査によりますると、国家公務員全体の平均か、本俸、扶養手当、勤務地手当を入れまして六千三百二十円になつておりまするが、これに対しまして、府県の職員は六千六百四十一円で少し上つておりますが、これはむしろ扶養手当というようなものが、国家公務員より高くなつております。これは御承知のように、国の官吏と違いまして、府県の人は長く安定しておりますので、相当年輩の人があり、扶養家族が多いというようなこと、また従いまして勤続年数等も長くて、当然に給與が高いというようなことで、別にこういつた平均から見まして、府県の人がみな高いとは考えられません。またそのとき調べましたもので、市の者は七千六百六十五円、町村は五千二百四十五円で、それぞれ実情に適した程度のものだと考えておりますが、しかし何分にも多くの団体でございますので、中にはこのような適正なものを乱したところがないということは申されないと思いますが、それは先ほど私が御説明しましたように、給與の改善というような意味で、幾らの金が要るということを申しておりますのは、決してこのような不当な、いわゆるやみ昇給も入れたようなものを基礎にして昇給を考え、それを基礎にして考えているのではないのでございまして、あくまで適正給を基礎にいたしまして、ベースの引上げのためにこれだけ要るという額しか出していないわけでございます。なお、一般国家公務員に比べて高いというところにつきましては、一つは、いわゆる何ら理由なしに乱しておるというのももちろんございますが、そのほかにひとつお考え願いたいことは、昔から市、ことに大都市等の職員の給與が高かつたのでありまして、これはむしろ当然のことだと考えております。たとえば東京におきまして、区役所の職員というものは、相当高かつたわけであります。そうしなければ有能な人を得られないということは当然だと思うのでありまして、こういうことがいいか悪いかしりませんが、現実の問題として同じ給與を出せば、おそらく中央政府の役人になるのでありまして、区役所の職員になる人はないのではないか。こういう思想自体について批判がありましようけれども現実の問題はそうなのでありまして、それを基礎にしまして、東京とかあるいは五大都市の職員の給與は高い。これはやむを得ない当然のことだろうと、われわれは考えております。
  37. 塚田十一郎

    塚田委員 一応ここで打切つておきまして、あと大蔵大臣がおいでになつたら、大蔵大臣にまた関連してお尋ねいたします。
  38. 前尾繁三郎

    ○前尾委員長 床次徳二君。
  39. 床次徳二

    ○床次委員 地方公務員法が提案せられましたのは、地方の自治を円満にいたしまして、民主主義の発展を促進したいという趣旨のもとに、これは大きくお考えなつておられるようでありますが、今日の地方団体の状況を見て参りますと、ただいまも塚田委員から御質問がありましたごとく、地方自治団体財政そのものがまだ十分に動いておらない。私どもの目から見ますと、まことに危殆に瀕しておるのではないかと見ております。地方税法が過般成立いたしました。またこれと伴いましたところの平衡交付金制度ができたのでありますが、この実際の運用等におきまして、はたして今日までの経験において、いかようにお考えなつておられるか、大臣の御意見を伺いたいと思うのであります。
  40. 岡野清豪

    岡野国務大臣 御質問の趣旨をもう一度お伺いいたしますが、財政基礎が確立しないうちに、地方公務員法案を出すということはおかしいのではないか、こういう御質問ですか。
  41. 床次徳二

    ○床次委員 地方公務員法を出されるということも、大いに有意義なことであると思いますが、しかし現在の地方財政の欠陷と申しますか、現状をそのままにしておいて、はたして公務員法の運用も十分できるかどうかということについては、まことに私ども疑いなきを得ないのであります。この機会地方財政現状につきましても、もう少し伺つてみたいというところから、実は御質問したわけでありますが、大臣が現在の地方財政の運用におきまして、半年近くの経験からごらんになりまして、いかような傾向を呈しておるかということを、一応見通しとして承つてみたいと思います。平衡交付金等にいたしましても、平衡交付金審議の際におきまして、私どもは本年におきまして、満足すると申しますか、最小限度を必要とする数字におきましても、二、三百億円はどうしても足らないのではないかということを指摘いたしておつたのでありますが、今日の地方財政は、先ほども局長からお話がありましたごとく、予期いたしましたように非常に苦しがつております。すでに法定外の課税あるいは課税標準をそろそろ越えておるという状況であります。このままで推移いたしましたならば、相当それがふえて参るのではないかというふうに、私ども考えておるのでありまして、事業の繰延べ等も行われるという実情にあるのだろうと思つております。たまたま補正予算の問題が出て参りましたが、そうでなくして当然あつたのではないかと思うのでありますが、こういう方面の見通しについて、大臣はいかように考えておられるのか、まず前提としてこれを承りたいと存じたわけであります。
  42. 岡野清豪

    岡野国務大臣 お答え申し上げます。先ほども委員長並びに局長からるる御説明申し上げましたように、ただいまは地方財政の過渡期でございます。この前の国会地方税法を通していただきましてそれを今実施に移しておりますけれども、四月から七月までの間の空白期間もありますし、その間にまたいろいろな災害も起きたりなんかいたしまして、予期しないような財政需要も出て来たようなこともございます。また税法が遅れて、また非常に画期的な税法であつたというようなこともございまして、ただいまのところ地方財政というものは、非常に苦しい道をたどつておる次第でございます。しかしシヤウプ勧告によりましてできました今年の春の税法というものは、一応地方財政基礎を確立する方法の基礎ができたわけでございます。今後地方公共団体はこれを踏台にして、しつかりと財政基礎を確立して行くだろう、またでき得るものと存じております。しかし先ほどもるる御説明のあつたように、過渡期でございますから、非常な困難とそれからまた不自由があることは、私は認めます。しかしそれかといつて、この地方財政というものが、税法のできない前よりは、今日の方が非常に改善されており、地方財政基礎も確立されつつあるということを私は認めておりますから、今後地方財政は、財政委員会の御指導よろしきを得、同時に公共団体の努力によりまして、改善して行くことと私は見通しておる次第でございます。
  43. 床次徳二

    ○床次委員 財政の確立あるいは平衡交付金等によりまして、非常に将来は好転するのではないかという期待をしていることにつきましては、これはほんとうの制度確立の目的通りに税制が行われ、あるいは平衡交付金等が運用せられましたならば、——どもはその運用せられることを期待しておるのでございまするが、予定通り運用せられましたならば、確かに地方財政というものは確立する方角に向うと思うのであります。しかし今日までの経過から見て参りますると、非常にその実施につきましては困難が多かつた。当初からむりがありました関係上、今日まで地方財政は非常に苦しんでおるのだと思うのであります。ただいま塚田委員から御質問がありましたことによりまして、その実態は相当明らかになつておると私ども考えます。塚田委員のお話になりましたのは、この苦しい地方財政の失態に関しまして、現在までの実情につきまして、地方財政委員が非常な、何と申しますか苦痛を訴えておらない。そうして單なる補正予算要求した形になつておりますので、現状までは一応承認しておるのだ、だからまあうまく行つているのではないかというような印象を與えておられると思いますが、私どもはただいま大臣からもお言葉がありまして、実施しましてわずかでまだ十分おわかりにならないかもしれませんが、非常に困難な状態にさらされておるのであります。しかし地方財政といたしましては、やむを得ないものだから今日までこれで運用されているのだ。私ども市町村の生活というものは非常に苦しいんだという結論を感ずるのであります。その点は塚田委員からお尋ねなつたことと、私のお尋ねすることとは非常に立場が違つておるということを、お考えおきいただきたいと思うのでありますが、その立場から申しますると、今回政府におきましては、中央で国民に対しまして減税を実施されて、負担を軽減されるということを大いに言つておられると思うのでありますが、中央地方との財政を合せて見て参りますると、ほとんどその負担の軽減ということが、室になりつつあるのではないかと思うのであります。先ほどお店になりましたごとく、交付金におきまして、八十三億の要求額に対しまして三十五億しか認められておらない。約五十億、四十八億の不足が今日の補正予算そのものについてだけでも、できておることを考えますると、今回六十三億の税法上の軽減ということを政府は言つておられます。これはあるいは大蔵大臣からもお聞きいたしたいと思うのでありますが、こういう国民負担の軽減は、実際に地方財政におきましてはむしろこれが増税になる、あるいはその他の形におきまして負担増になるということが、明らかになつておると思うのであります。大臣は先ほどこの点に関しまして、自分としましては最善を盡して努力をいたしたけれども、微力のいたすところやむを得ないというようなお考えでありましたが、大臣としてはこれはやむを得ないと思いますが、地方財政といたしましては、これはやむを得ないでは済まない事実だと思うのであります。この点はひとつ大臣は、十分なる事実に対して認識をしていただきたい。明らかに地方ではこれだけ苦しいんだということに対しまして、ひとつはつきりとしたお考えを述べていただきたいと思います。やむを得ないというお考えでありまするが、地方財政としてはそれだけ非常な赤字、困難な状態に入つておるんだ。これがやはり地方自治体の住民の負担にかかつて来るんだという結論まで、ひとつお考えなつておられるかどうか。明らかに御承知なつておるのだと思いますが、大臣はいかようにお考えになりますか、承りたいと思います。
  44. 岡野清豪

    岡野国務大臣 お答え申し上げます。中央において六十幾億の減税を今回することになつたのでございます。これはいつも申し上げます通りに減税と申しますことは、何も中央に納める納税者、地方の公共団体に納める納税者というものが、別にあるわけではございません。やはり同じ国民から税金をとる。またそれを減税するということになりますから、六十三億でも減税されるならば、やはり一般地方民というものの負担は軽くなるわけであります。ただこれを地方財政の立場におきまして、ごく率直に申し上げますならば、中央で減税が大十三億もできるくらいなら、それほど困つておる地方財政に対して、減税をやめてまわしたらいいんじやないかというお心組みがないとも限りませんが、私はそうとは考えません。とにかく六十三億の減税がもしできるならば、やはり地方民もその減税の恩恵に浴すると考えますから、それに対して反対はいたしません。ただ地方財政が非常に困つてつて、そうして平衡交付金が八十三億いるというのに対して、三十五億しか出ないということになつた。これが閣議決定なつた、予算なつたということにつきましては、先ほども塚田君の御質問にお答え申し上げましたごとく、私の微力のいたすところでございまして、中央から財源をとつて来て、地方財政委員会へやるということができなかつたことを、はなはだ遺憾ながら私は申し上げる次第でございます。
  45. 床次徳二

    ○床次委員 ただいまの大臣のお言葉によりまして、大臣の努力は多とするのでありますが、結局におきましては、平衡交付金が大臣の期待されるだけ増額されないということは、とりもなおさず、地方団体におきましては、それだけ負担の増加が来ておる。これは、お言葉のように、中央の国税を負担するものにいたしましても、地方税を負担するものにいたしましても、負担するのは同一人でございまするので、今回の補正予算におきましては、結局大した減税というものはなかつたのだ。中央の方は減税になつたような形であるが、地方の方におきましては、結局これは増税になるのだ。差引とんとんの形になるのだ、そういう事業を大臣はお認めになつたことと私どもは解するのですが、さようであろうと思いますが、いかがでしようか、ここをはつきりいたしたいと思うのであります。中央の方でもつて減税になつた。しかしその跡始末で地方の方においてはかえつて増加なつている。地方の方が増減なしでありますれば、これは減税になつただけまことにけつこうのことだと思うのでありますが、地方の方はふえているのだという事実に対して御認識になるかどうか。地方の方の負担増加をお認めになるかどうかということを私は承りたいのであります。
  46. 岡野清豪

    岡野国務大臣 お答え申し上げます。中央政府の政策といたしまして、六十三億減税になつたことは、国民負担をそれだけ軽減したということは私は認めます。それが同時に地方公共団体増税になるのであるということには、私はまだ関連がつかないと思います。と申しますことは、財政委員長並びに局長がいろいろ申し上げました通りに、今後地方財政をいかに運用して行くかということにかかつて参りまして、その運用の仕方によつては、地方で国民負担を増加せずに、地方財政をやつて行ける方途が講ぜられますならば、中央で六十三億の減税ということは、自然に減税になることになりますから、今後の地方財政のやり方いかんによつて、あるいはお説のようなことが出て来るかもしれませんけれども、ただいまはそれとは関連は持つていないと思います。
  47. 床次徳二

    ○床次委員 地方財政の運用いかんによりましては、それほど負担増加にならずに、済むのかもしれないというお考えのようでありまするが、今日の地方財政におきましては、はたして国民の負担を増加させずして、現在の地方需要をまかなえるようなよい手があるかどうか。かかる名案はなかなかないのではないかと思います。この点は、先ほどから委員長局長がお話になつておりますがごとく、結局おちつきまするところは、あるいは法定外、あるいは標準以上の財源に求める、あるいは事業を繰延べる、寄付金をとるという形に入るのではないか、それ以外にどうしても出さなければならない支出をやめるという道はないのではないかと思うのであります。この点が、結局国民の負担の増加になるのではないかと私がお尋ねしたことであります。それに対しましても、なおかかる国民負担の増加というものがなし得ないどころか、あるのだという、何か大臣はよいお考えがありますかどうか、重ねてそれをお聞きしたい。現在の地方財政状態から見て参りますと、なかなかほかによい財源はない。しかし地方の実情から申しますと、事業はやらざるを得ない。これは繰延べるわけに行かないというのが、大部分であろうと思うのでありまして、節約できるものがありましたならば、当然これは節約するものと思います。飲食費あるいはむだな旅費というものがありましたならば、当然これは節約すべきものであろうと思いますが、これは限界に達しておる。これから先はやりたい仕事をやめるか、繰延ばすか、あるいはその他から財源をとり、結局住民の負担にまつよりほかにないのではないかと思うのでありますが、この地方の実態に対する御認識を私ども承りたい。そのため、当初からいろいろ御質問申し上げたのでありますが、やはり本年度においてあるいは負担増になり、来年において負担増になるかもしれない、時間的のずれはあるかもしれませんが、いずれにいたしましても負担の増加になることは、明らかであると思うのであります。その点は大臣もお認めになることと信ずるのでありますが、いかがなものでしようか。
  48. 岡野清豪

    岡野国務大臣 お答え申し上げます。ただいま国民一般が税負担に非常に苦しんでおることは、私も承知しております。同時に地方公共団体がやらなければならない仕事が、たくさん承ることは認める次第でございます。でありますから、先ほどもいろいろ八十三億の必要に対して三十五億しか出なかつた、そのあとをどうするかということについて、いろいろ地方財政委員会考えておられることもありましようが、われわれといたしましては、できるだけことし四百億も増税したばかりでございますから、地方税増税もしくは増收というようなことをはからないで、與えられた千九百八億をできるだけ既定の方針通りに徴税を強化して、收入をとつて行くということと、それから一般に言われておりますような冗費があれば、その冗費を節約していただいて、そうして地方公共団体仕事のできて行きますように、財政委員会の努力をしていただきたい、これが私どもの念願でございます。
  49. 床次徳二

    ○床次委員 この機会に重ねてお伺いいたしたいと思いまするが、明年度に対しまするところの地方財政見通しと申しまするか、あるいは編成に関しまして、大臣といたしましてはいかようにお考えなつておられまするか承りたいと思います。
  50. 岡野清豪

    岡野国務大臣 まだ地方財政委員会からその詳細については承つておりませんが、明年度に対しても相当税收の点、また政府に対する起債のわく、もしくは平衡交付金増額というようなことについて、要求をせられるというような心組みでおられるように承つておりますが、それはまだ私自身の考慮の範囲に入つていない問題でありますから、ただいまはお答えできません。
  51. 前尾繁三郎

    ○前尾委員長 門司亮君。
  52. 門司亮

    ○門司委員 きようは公務員法のことをあとにしまして、一応財政関係だけを聞いておきたいと思います。さらに大蔵大臣がお見えになりましてから、十分お聞きをしたいと思うのでありますが、さしあたり財政委員会に聞いておきたいと思いますことは、先ほどからの塚田君並びに床次君の質問で、大体われわれも様相ははつきりして参つたのでありますが、この機会にもう一つ聞いておきたいと思いますことは、地方財政が非常に窮迫しておるということは、今お話の通りであると思いいす。そこで問題になりますのは、平衡交付金の問題も、非常に大きな問題に間違いございませんが、地方要求といたしましては、大体起債のわくをもう少し広げてもらいたいという要求がかなり強かつた地方財政委員会におきましても、この点は十分認められておりまして、そうして大体の所要額というものが、知事会議あるいは地方財政委員会の今日までの審議状態を、われわれがはたから見ておりますと、大体その数字は二百億内外というものを、どうしても地方起債にまたなければ、とうてい切り拔けることができないというようなことが出ておるのでありますが、この地方起債に対する見通しはどういうふうになつておりますか。
  53. 野村秀雄

    野村政府委員 ただいまの御質問通り、私ども地方事業は戰争中または戰争後非常に圧縮せられまして、地方は幾多なすべきこと、またなさねばならぬことがあるにもかかわらずしないで、そのまま放置してあるのは事実であります。従つて地方の発展をはかる上においては、地方事業をできるだけ多く進めて行きたいということを考えております。それには地方がいまだ財政的に十分なる財源を有しておりません。従つて地方債にまたねばならぬと思います。地方からの要望も非常にたくさんあります。できるだけこの要望にかなうように努めたいと思いますけれども、三百億の地方債のわくではとうていまかないきれないのであります。従つてどもとしてはこのわくの拡張ということを、政府にも要望すると同時に、司令部の方にも要望しおりますが、なかなかやかましくてわれわれの要望が容易にいれられない実情であります。今年度においても、どうしても百九十億くらいの地方債のわくの拡張を、補正予算において考えてもらいたい、また明年度はさらに三百億くらいなわくの拡張を必要とするのじやないかということを考えておりまして、政府の方にこれをも要望しております。なかなか政府及びその他の方面にも、われわれの要望がいれられないような実情にあることを、私ども非常に遺憾に思つております。しかしこれはできるだけわくの拡張に努めて地方の要望に沿いたい、かように考えております。
  54. 門司亮

    ○門司委員 この問題は、今財政委員会の方からの御答弁によりますと、必要なことは認めるが、しかし実現されておらないのでこれに対しては努力をするというお話でありますが、今までこの問題について自治庁としての岡野さんの方から、政府にというか、むしろ大蔵省に向つて何か交渉されたことがあるかどうか。
  55. 岡野清豪

    岡野国務大臣 お答え申し上げます。その点につきましては政府に、財政委員長の委託を受けて申入れをして折衝している最中でございます。
  56. 門司亮

    ○門司委員 今折衝している最中という話でありますが、私のお聞きしておきたいと思いますことはこれの見通しであります。これがもしいれられないということになつて参りますと、先ほどの質問で明らかになつて来ておりますように、地方財政平衡交付金が、ごくわずかばかりふえて参りましても、これでは地方財政というものは実際上の問題としてどうにもならないのじやないか。この平衡交付金の問題も非常に大きな問題でありまするが、同時に自治体を運営いたしますには、こうした緊急やむを得ざる事業面の仕事というものが、非常に問題になつて来るのでありまして、従つてこの問題の見通しについて大蔵省がどういう態度と、それから現在までの交渉の過程において、大蔵省の意見というものをもし御発表ができますなら、この際ひとつわれわれの委員会でありますほどに、隠し立てをしないで、大蔵省の意見を御発表していただきたい。
  57. 岡野清豪

    岡野国務大臣 お答え申し上げます。大蔵省もそれに対して非常に同情をもつて臨んでやつておりまするが、ただ問題は大きな国の金融政策の上から、起債額というものに非常に制約を受けまして、その制約を受けている関係方面との了解がつきかねておるので、まだぐずぐずしておるという実情でございますことを申し上げます。
  58. 門司亮

    ○門司委員 この問題は今の大臣の御答弁のようでは、私どもこの機会にそのままこれをのがすわけには行かないと考えておるのであります。いずれ大蔵大臣がお見えになりましたら、大蔵大臣なり当局によくこの問題は聞きただしまして、そうして実現ができるように、われわれも努力したいと思いますが、問題はこういう起債をどうしてもしてもらわなければ災害の復旧もできない、あるいは失業対策の費用等が、政府から出て参りますものに必然的に加つて参ります地方の出費というもののまかないができない。公共事業費も同じような形をとつておる。そのほか厚生省関係のいろいろな事業が付随して来る。これらの事業の面が行われないということになつて参りますと、われわれが非常に不安に考えておりますのは、ごくわずかなものではありますが、給與改善あるいは年末手当の問題のために、多少なりとも政府出しております平衡交付金の額が、その方に往々にしてまわらないというようなことができはしないかということを、われわれは非常に危惧しておるのであります。従つてこの問題は地方財政を解決しようとするならば、どうしても補正予算の中に同時にこれを解決しておかないと、地方の自治体は実際の運用上の問題で困る問題が、必ず起きて来ると私は思いますが、政府当局としてはこれを同時に解決するという御意思があるかどうかということをお尋ねします。
  59. 前尾繁三郎

    ○前尾委員長 ちよつと速記をとめて。     〔速記中止〕
  60. 前尾繁三郎

    ○前尾委員長 それでは速記を始めて‥‥。
  61. 門司亮

    ○門司委員 問題はそこに一つのまた新しい財政の計画に問題が出て来ると思うのでありますが、大体二百十五億と考えられます起債が、認可できないということになつて参りますと、地方財政委員会考えており、また知事会議等でもいろいろ考えております約三百九十億になります今日の財源不足であります。この中で二百十五億あるいは十六億になりますこの必要の起債額、さらに先ほどの御説明にありましたように、八十八億くらいのものが必要だと言つておりましたが、八十三億の平衡交付金要求したものに対して、三十五億しかもらつておらない。これの差額は約四十八億くらいある。そういたしますと、この両方を合算すると、大体二百六十三億というような大きな不足額が、ここに生じて来るわけであります。その上に先ほどから説明にありますように、何とかするというお話でありますが、七十億のものが何らかの形で徴收されなければならないというような事態が出て参りますと、この上にもう七十億の不足が当然出て来るわけであります。そうなつて参りますと、地方財政というものはまつたく破綻する以外に方法がなくなると考えられる、こういうふうになつて来ることをわれわれは非常に心配しておるのであります。  従つてもう一つ聞いておきたいと思いますことは、この配付された平衡交付金の返還であります。これが十二月十五日までに、今まで仮拂いをしたものの、よけいにやつた分だけを返せということになつておると思いますが、これの見通しは一体どうなつておるのか。それから同時に、これの返還について、照に十二月十五日に返せということだけでなくて、もし返さなかつた場合は、何らかの処置をおとりになるお考えであるかどうか、その点をあわせて聞いておきたいと思います。
  62. 荻田保

    荻田説明員 御承知のように、すでに本年度の平衡交付金を概算拂いで約半額以上のものを放出しております。ところが本年度の平衡交付金の最終決定は、大体一月ごろにいたしたいと考えておりますが、それも待てませんので、最近十月の末でありましたか、仮決定をいたしまして、一応一般交付金の方九百億余りを配付したわけでありますが、その額と、すでに概算交付いたしてありまする現金の交付額、それとの間に超過額のあるものは、年度内に返してもらうことにいたしまして、その半額を十二月十五日までに、返してもらいたいということを言つておるわけであります。そういう返さなければならないようなところは、りくつから申しますれば、一般に地方税がふえたのでありまして、当然それだけの財政上の余力があつて返せるものであるということがいえるわけでありますが、何分にもすでに交付されたものは、あてにして使つてしまつたというようなこともありまして、なかなか返しにくいと考えるのでありますが、それにつきましては、地方税の徴收等が進行いたしますれば、それによりまして現金上のゆとりも出ると考えられますので、一応半分を十二月中に返してもらいたい、そういたしませんと他の追加交付しなければならないところにまわす金がないわけでございますので、これはぜひそう願いたいと考えておるのでございますが、今のところこちらから特別にそれを返すのについて措置を講じておりませんが、その点につきましては、なお今回の増加分を入れまして、正式に特別交付金の額も決定いたしまして、ほんとうに本年度におきまして、ぎりぎり一ぱい返さなければならない額というのを出しまして、あとの半分を返すことになるのでありますが、そのときまでに何らかの措置を講じまして、必らず返してもらえるようにいたしたいと考えております。
  63. 門司亮

    ○門司委員 今の御答弁によりますと、税收がふえておるからということでありますが、それはまつたくその通りであります。平衡交付金法律建前から行きましても、その通りで、私はいいと思いますが、先ほどからの御答弁にありますように、実際の徴收は政府の予期しただけ私は行われておらないと考えます。大体都道府県におきましても、市町村におきましても、現在の徴收は六〇%ないし六五%行つておればいい方でありまして、こういう状態では、政府の方では税收がふえておるから返してもいいということに、一応の理論は成立つかもしれませんが、実際上の問題としては、これはできない相談だと私は考える。これは地方税審議いたしますときから、すでにわれわれが指摘しておつた点でありますが、増税をするということは、軍に机の上だけの増税で、できるものではございません。おのおのの担税能力に応じたものでなければならないということになつておりますので、今日の国民の窮迫した生活状態から申しますと、とうてい私は政府考えておるような徴税は見込みはない。もし現在のような状態で、六〇%ないし六五%しか徴收ができないということが、事実となつて現われて参りますと、その返還すべき金というようなものは、私は当然返さない、返さないというよりも、返せないということが、実際の問題として起つて来る。そういたしますと、先ほどの御答弁のように、何らかの処置としていよいよ決定した場合に、これを考えられるというようなことになると思いますが、われわれが懸念いたしておりまするのは、おそらくこの金が差引かれて、これがあとのいよいよの精算のときに考えられるのではないかというように、われわれは一応考えられる。そうなつて参りますと、地方財政というものは非常に困つたことになつて帳面の上だけでは十分財政計画が成立つてつても、実際は成立たないという実情と、この問題とがからんで参りまして、実際返還することは困難な状態ができて来る、こういうふうに私案は考えるのであります。ところが半面においては、先ほどから御答弁のありましたように、七十億のいまだはつきりしないものがある。そこでこの七十億も何らかの形で、やはり穴埋めをせなければならないということになつて参りますると、政府としてはどうしてもこの返還すべきものだけは取上げなければ、つじつまがよけいに合わなくなつて来るというような事態を、必ず引起して参ると思いまするが、この点に対しては念のために、もう一度お聞き上ておくのでありますが、返還については特別の処置というものは、とられないのであるかどうかということ。最後にもう一つ、確定をいたしました場合に、現在返還を要求いたしておりまする額よりも、確定額が越えた場合には、この返還すべきものを差引いて、残りだけを支給されるというようなお考えなつておるかどうか。
  64. 荻田保

    荻田説明員 返還につきまして、特にこつちらからこれこれの保健措置をするから、これによつて返してくれというようなところまで今考えておりません。返しやすいように、いろいろ考慮すべき点は考慮いたしたいと思いますが、返すについては必ずこれだけのことをするのだというようなことまでは、今考えておりません。  それから第二の御質問の、もちろん最終決定がありまして、現在の仮決定額よりも上まわる場合には、それだけ返還額が少くなるのでありまするから、もちろんそういうところは返してもらう必要がなくなるのであります。
  65. 門司亮

    ○門司委員 大体あとは大蔵省によく聞きたいと思うことでありますが、もう一応地方財政委員会に確認の意味でお聞きしておきたいと思いますことは、地方財政委員会が約百三十億の要求をいたしておりまするときに、自治庁のこの要求に対して、政府は三十五億くらいしか、実際は平衡交付金予算の上に見ておらない。この中にはむろん先ほど御説明のありました——節約ができるかどうかわかりませんが、とにかく四十億というものを、地方の既定予算の中から、節約してもらいたいという一つの希望意見があると思います。この問題は非常に重要な問題でありまして、四十億は当然地方がこれを節約すべきであるということを決定づけることが、一体できるかどうかということであります。この問題は個々の自治体について、非常に問題を起すことでありまして、あるいは指摘されておりまするように、私は必ずしも冗費はないとは言いませんが、その度合いというものは非常に違うと思う。かなりまじめ——という言葉を使うとどうかと思いまするが、ただふまじめというわけではありませんが、かなり忠実に地方住民の要望にこたえて、節約できるだけは簡約して、そうしてほんとうにまじめにやつておりまする自治体と、比較的そうでないというような自治体とが同じように取扱われて、ここに書いてありまするように、一律に百分の五だけを節約させるのだというような数字が出て参りますると、地方の公共団体では、おのおのこれについての意見というものは相当あると私は思う。従つてこの四十億の経費節約ということは、一方的なものの考え方であつて、これを地方の自治体にしいるということは、あるいはこの際は困難ではないかというように、われわれは考えておる。ことに本年度はすでに半ば以上を年度としては過ぎておりまするので、これを五%節約するということになると、一年の集計から行きますると、今後支出すべきものを、約一割くらい節約しなければならないということになつて来ると思う。従つて来年度の予算編成の際には、こういう意見は私は一応通るかと思いますが、本年度中途における補正予算の面において、これを要求するということは、地方の公共団体に対しては、かなり苛酷なものの見方ではないかというようなことが、実は考えられるのであります。従つて財政委員会のお話のように、実際百三十億いるのだが、その中から四十億だけはひとつ差引くのだというようなものの考え方については、私はもう少し実は考慮してもらいたい。そうしないと、地方の自治体の下半期の財政は、より以上困難なものが出て来るというように考えられるのであります。そういうことを、勘案して参りますると、地方財政の面でほんとうに財政の必要額というものは、約三百七、八十億になるように大体数字は出て参ると思いまするが、私は先ほどから申し上げておりまするように、そういうような意見を持つておりまするが、もし地方財政委員会意見を、そのまま取入れるといたしましても、四十八億の平衡交付金不足額、それから起債を要求されておりまする二百十五億と、さらに七十億があるのでありまするが、これを別といたしましても、大体総額で二百十五億と四十八億とで二百六十三億になりまするが、この二百六十三億だけは、この際地方財政として不足だということを、はつきり申し上げてもさしつかえがないかどうかということであります。この点は補正予算について大蔵省と話をいたしまする場合、きわめて重要な点でありまするので、今まで議論されたものは平衡交付金だけの問題でありまするが、一体この起債の問題を入れて、地方財政の本年度の不足額というものは、先ほど申し上げました二百六十三億と考えていいか悪いかということであります。
  66. 荻田保

    荻田説明員 多少の数字はかわつておりまするが、起債におきまして二百億、平衡交付金におきまして四十八億、合計二百四十八億のものが不足しているというかつこうになつております。
  67. 門司亮

    ○門司委員 そうすると、それだけを本年度の下半期における地方財政不足額ということに、はつきり決定づけて参りますと、さきの七十億の問題でありまするが、これは未解決としておくべきであるか、あるいはこれもさらに地方財政不足額として、その中に加算していいのであるかどうか。
  68. 荻田保

    荻田説明員 これはこの二百億の起債の中に入れております。このうち七十億は既定の分であります。
  69. 門司亮

    ○門司委員 どうもおかしい。その七十億がこの二百十億の中に、もし入つておるということになると、また問題が新しくなると思います。そうするとその七十億をこの二百十億の中に入れておるということについて、もう少上具体的にひとつお示しを願いたいと思いますが、われわれがこの財政委員会資料であるとか、あるいは知事会議のいろいろな問題を見て参りますると、現在三百七十億の起債のわくの中で、自治庁が計算いたしておりまする割当のほかに、大体二百十億の金がいるのではないかというように、実は考えておるわけであります。今の説明のように、この中に七十億が入つておるということになると、数字が全然違つて来るようになりますが、二百十億の中に七十億が一体ほんとうに入つておるかどうかということであります。
  70. 荻田保

    荻田委員 われわれの出しておる数字は七十億が入つておる額でございます。つまり臨時的経費として上げておりまする、二百五十億くらいの中で、九十二億円は既定の分と考えております。つまり補正予算以前、一般予算成立後ふえた額が九十三億、このうちすでに七十億のものは一応わくだけは、もう地方に示してあるということになつておりまするから、この二百億の中には七十億は含んでおる計算なつております。
  71. 門司亮

    ○門司委員 どうもその点が私には実ははつきりしないのです。これは大蔵省に聞いた方がいいかもしれませんが、もし七十億がこの中に入つておるということになりますると、実際上の問題として、今まで数字をあげてありまするものは、これはすでに七十億だけは、この中で仕事をしておるというふうに解釈してさしつかえございませんか。
  72. 荻田保

    荻田説明員 大体そうであります。七十億程度地方団体では当てにしておる、計算の中に入れておる数字でございます。
  73. 立花敏男

    立花委員 実は、きようは地方公務員法案審議するはずだつたのですが、審議の内容が地方財政の方になつて、私非常にいいことだと思います。しかもその結論が非常に出にくく、むしろ政府の内部の中にも、意見の相違がある、地方財政に対する見通しが何らできてないということが、大体わかつたのです。だからこそ今地方公務員法をやることは、非常に不適当だと思う。少くともその問題が完全に解決され、あるいは解決される見通しがあつて、初めて地方公務員法審議すべきであつて、こういう状態のもとでは、地方公務員法審議さるべきではないという結論が出たことについて、委員長に確認しておいていただきたいと思います。その問題について岡野さんはどのようにお考えですか。
  74. 岡野清豪

    岡野国務大臣 それは、私は間違つていると思います。と申しますことは、地方財政も確立して行かなければならぬし、公務員制度も確立して行かなければならぬ。これは並行的に進むべきものである。片方ができなければ‥‥というのは、おさらを一つこわしたから、あとのおさらを全部こわしてしまえ、こういう議論になりはせぬかと思います。当然公務員制度は公務員制度として、地方自治を確立して行く上においてやつて行かなければならぬし、地方財政が困難なら、これを直して行く方法も検討しなければならぬ。ですから、地方財政がうまく行つてないから地方公務員制度も審議に入らぬとおつしやるのは、あまり酷ではないかと考えます。
  75. 立花敏男

    立花委員 片方の茶わんがこわれたら、片方の茶わんも割るというのですが、地方公務委員法によりますと、あらゆる労働者の権利が剥奪されております。これで完全に片方の茶わんは割れてしまつておるわけです。具体的に申しまして、今後事務費において四十億の冗費の節約といわれておりますが、これで五%おけずりになる。そういたしますと、当然人件費に対してもその節約が強制されるわけでありまして、行政整理あるいは給與の実質的な切下げが起ると思いますが、これに対してさいぜん申し上げましたように、完全に労働三法の適用を除外することを内容とした地方公務員法が成立いたしましたならば、これの救済の道はほとんどないわけです。あるいはさいぜんから御討論になつておりますように、地方財政委員会すら八十三億の要求をなすつておられますのに、三十五億の措置しかされてないということから申しまして、当然ベース・アツプの問題、あるいは年末手当の問題が実現されない状態になる。こうなりますと、年の瀬を控えて地方公務員の日常生活は、非常に窮境に陥つておることは明らかであります。これに対しましても、もし地方公務員法だけが成立いたしましたならば、これに対する救済の道は何ら開かれない、そういう状態が今まで審議されました地方財政の問題から、具体的にすぐ目の前に起つて来る問題であります。そういうことを何ら解決する見通しもなしに、地方公務員法審議するということは、私は非常に不適当だと思います。そういう岡野さんの比喩的御答弁でなしに、実際目の前に追つております行政整理の問題、あるいはべース・アツプ、年末手当の問題を具体的に、どういうふうにお考えなつておりますか。八十三倍に対して三十五億しか出ない場合にはどういうふうにベース・アツプ、年末手当の問題を具体的に解決しようとしておるのか、これをひとつお聞かせ願いたい。
  76. 岡野清豪

    岡野国務大臣 この財政の方は、先ほども申し上げましたように、地方財政委員会担当でございますから、地方財政委員会の方の意見を御聽取願いたいと思います。それから地方公務員法を出すことは、何か労働者を虐待するとか何とかいうような御説に承りましたが、もし間違つていたならば、また御質問をお伺いすることにいたします。しかし地方公務員法をひとつよくお読みくだされば、いかに地方公務員の利益福祉を尊重して、身分を確保してやろうかということに、立案の基礎を持つておるのでありますから、よくこの内容をお調べの上で御質問を願いたいと思います。
  77. 立花敏男

    立花委員 財政委員会の方から、給與問題はどうですか、三十五億でどういう対策がありますか。
  78. 野村秀雄

    野村政府委員 財政委員会といたしましては、先ほど申し上げましたように、政府を通じて国会意見書を提出しております。この意見書に基いて国会において公正なる御判断をお願いいたしたい。
  79. 立花敏男

    立花委員 そうすると責任は国会に転嫁されたわけであります。お開きいたしますと、意見書はきのう出したのでありますね。それから岡野さんにお聞きいたしますが、三十五億と決定したのはいつでございますか。
  80. 岡野清豪

    岡野国務大臣 三十五億の決定は一昨日でございます。
  81. 立花敏男

    立花委員 そういたしますと、三十五億ときまつたあとで、地方財政委員会の三十五億ではいけない、八十三億出せという意見書が出て参つておる。しかもそれが政府を通じて国会に出ておる。いま委員長が言われたように、国会決定してくれということでございますが、これは非常に重要な問題で、委員会としては全責任を持つて、この問題を処理しなければいけないと思います。この問題につきまして幸い塚田さん——退席されましたが、塚田さんが大体委員長説明をお聞きになつて了承されたようでございますが、どうでございましようか。きようでも本委員会結論として、地方財政委員会のお出しなつた、——ども意見書は受取つておりませんが、内容は聞いております。それをひとつ委員会として、満場一致で了承するという形をとるべきではないかと思います。幸い塚田さんは実質的に自由党の方の代弁者だと思います。その方が了承されたとおつしやいましたので、與党の方はこれで了承されたことになりますが、野党側としては私は文句はないと思います。(「文句はあるぞ」と呼ぶ者あり)文句があれば言つていただきたいと思いますが、私は文句はないだろうと思いますので、この際委員会で私は責任を持つて決定すべき問題であると思つておりますが、もし内容がわからないとおつしやるならば、委員会はそういう方法でこの意見井を委員会として取上ぐべきではないかと思いますので、そういう態度で責任を持つてこの地方財政委員会意見書を御決定願いたい。さいぜん申し上げましたように、政府が三十五億と決定した。一昨日決定して、きのう地方財政委員会からわれわれ委員会に対しまして、その意見書が出ておるのでありますから、この扱いは私の申しましたような方法で、御決定願いたいと思いますが、委員長はどういうお考えですか。
  82. 前尾繁三郎

    ○前尾委員長 意見書の取扱いについては別個に考えております。全然この問題とは別個に取扱います。混同されたら困ります。これは地財の意見書でございましよう。
  83. 立花敏男

    立花委員 地財の意見書は、どういう見地から別個に取扱わなければならないのでありますか。最初に申し上げましたように、きようは地方公務員濃の審議なのであります。そうではございませんか。
  84. 前尾繁三郎

    ○前尾委員長 そうです。
  85. 立花敏男

    立花委員 それに対しまして問題の焦点は、おのずから地方財政の方へ参つておる。地方財政については、地方財政委員会が責任を持つて財政委員会としての責任ある意見書をお出しなつた。これに対して、やはり国会があるいは私ども委員会結論を下しますことは、地方公務員法審議と密接不可分の関係があり、むしろ根本的な問題じやないかと思います。これはおのずから別個の問題だとか、別個に扱うということは、私委員会の現在の空気からいたしましても不適当であり、また問題の性質から見ましても不適当であると思う。どういう建前でこれは別個か、形式上の別個でなしに、本質的に問題の性質上これは不可分かと思いますが、委員長の御見解を承わたいと思います。
  86. 前尾繁三郎

    ○前尾委員長 形式的に違うことは、はつきりおわかりのようです。実質的に関連がありましたら、関連あるものとして、いろいろ御質疑つてもけつこうです。
  87. 門司亮

    ○門司委員 立花君の意見ですが、私一応もつともだと思います。ただこれが国会及び政府に勧告案が出ておるといたしまするならば、いずれこちらに出て来ると思います。従つてその際に十分これを審議して取上げるべきだと思いますが、私が先ほどから申し上げておりまするように、今までの財政委員会の御答弁は、そのままわれわれは承服するわけには参りません。それは先ほど私が指摘いたしました経営費約七百九十億ばかりの中の冗費を、一率に五%と見て、四十億の節約が強制されるような形を示しておるのであります。これは先ほどから申し上げておりまするように、来年度の予算には、こういうことが一応考慮されてしかるべきだと思いますが、年度半ばにおいて今四十億の節約を、地方の公共団体にしいるということは、かなり私はむりがあると思う。それと同時に、これも申し上げましたように、非常に忠実にやつておりまするところと、比較的そうでないところの不公平も出て参りまするので、われわれは地方財政委員会が、そういう建前の上で、平衡交付金増額を、要求しておるとすれば、その点だけを、私は今日までの地方財政委員会の答弁の内容においては、そのままうのみにするわけには参りません。いずれ案が出て参りましたならば、もう少しその点を検討して、われわれの態度を決定して行くべきだと考えております。これをひとつ申し上げておきます。
  88. 大泉寛三

    ○大泉委員 ただいまの委員長のお言葉で私は十分だろうと思いますが、私ども考えは、先ほど塚田委員から財政上の問題でつつ込んだ御質問がありましたけれども、これは答弁される方も、あるいは質問される方もそのつもりでありましようけれども、これは政府部内の一つの意思を確めるということであつて政府の一部において違つた意見があろうとも、国会がそれに盲従しなければならないということではありませんので、政府は、関係方面に対する一つの折衝とか、あるいは要望とかいうことは、国会の立場と違つた責任のある政府としてやられるけれども国会国会としての立場からやるべきであつて、それを承認するとか、あるいはこれで結論づけられたとかいう問題じやないと思うのであります。この点はこの委員会と、財政委員会とは立場を興にしておるということを明確にしておいていただきたいと思います。
  89. 立花敏男

    立花委員 大泉君の意見はありますが、私どもといたしましては、地方財政委員会がきのう意見書をお出しになりました。これは必ずしも私は偶然じやないと思う。特に地方財政委員会でも、この委員会地方公務員法審議されているということは先刻承知だと思う。しかも政府が三十五億と決定した翌日に、国会へお出しなつておるということは、まさに地方財政委員会が重要な意味を持つて、私どもにこの意見書をお出しなつておると思う。従つてどもとしても十分その気持を持つて審議しなければいけない。しかもさいぜんから申し上げましたように、本質的にこの問題は地方公務員法と連なつておりますので、私どもはこの地方財政委員会意見書が何らかの形で十分審議され、何らかの形の結論を得るまでは、地方公務員法決定することはできないということを明言しておきます。  それからもう一つ、さいぜんから非常に問題になつております地方財政の問題でございますが、地方財政の一番の問題は、やはり地方税だと思います。税がとれないということ、これが一番問題だと思います。しかも税がとれなくなつて来たことを、最大の原因といたしまして、これは地方財政委員会委員長自身がおつしやられましたように、シヤウプ勧告実施以前に、地方財政的な危機がさかのぼるかもしれないということを、はつきり言つておられます。このことは私非常に重要だと思う。何となれば、この部屋で、この委員会で数箇月前に地方税法審議した。しかもその際には塚田君自身が自由党を代表されて、賛成の演説をなされておる。この地方税法が通れば、まことに地方財政は確立するのだ、地方自治は促進されるのだということをおつしやつた。ところが、それから数箇月しかたたない今日、地方財政の責任者である地方財政委員長が、今のままで行けば地方財政が破綻して、シヤウプ税制実施以前にさかのぼるかもしれないというようなことを発言されておる。これは私まことに重大な問題だと思う。この点につきまして委員長はどうお考えなつているか、私どもといたしましては、委員会は重大な責任をとらなければいけないと思いますし、特に與党の方には重大な責任を感じていただかなければならない。特に岡野国務大臣も、絶対にこの税法を通していただきたい。これは最上の世界無比の税法であつてこれを通さなければ日本の自治は救われない。これが通れば日本の自治は完全に行くのだということをおつしやつたのだ。そういう意味で、岡野大臣の御意見もひとつ十分承らしていただきたい。
  90. 岡野清豪

    岡野国務大臣 お答え申し上げます。情勢の変化さえなければ、当時は最善の案でございました。
  91. 前尾繁三郎

    ○前尾委員長 立花君、討論ではないのですから、政府に対する質疑をどんどん継続してください。
  92. 立花敏男

    立花委員 だから、これは政府意見を聞いているのです。
  93. 前尾繁三郎

    ○前尾委員長 意見にわたりますから、質疑してください。
  94. 立花敏男

    立花委員 きようは一般質問最初の日でございまして、そういう根本的のことを承つておきませんと、私どもこれからの具体的審議に入ることはできないと思う。せつかく大臣がおいでになるから——大臣はあまり出て来られませんが、きようはおいでになつておりますし、地方財政委員会委員長もきよう初めて出て来られましたので、そういうりつぱな方がおいでになつておりますところで、あまり末梢的なことをお聞きするのも失礼でありますから、こういう根本的な問題を、はつきりお尋ねしておきたいと思います。
  95. 前尾繁三郎

    ○前尾委員長 政府なり地財委に対しての質疑をされることはけつこうですから、それを継続していただきたい。
  96. 立花敏男

    立花委員 だからこの問題はさいぜん言いましたように、数箇月前にこの委員会——そのときの委員長もあなただつたわけですが、そういう建前でお通しになつ税法が、につちもさつちも行かなくなつて、このままで行つた地方財政が破綻する。この間地方の知事の代表が参りまして、茨城県の知事と神奈川県の知事が代表として来られまして、一月からは給料も抑えない。地方仕事もできないということを言つているわけです。こういう事態になることが数値月前には予想されずに、この委員会で、日本一りつぱな税法で、この税法が通れば、地方自治は確立するのだというようなことを言つたときの委員長はあなただ。だから、私はこの事態をいかにごらんになるかということを、はつきりお聞きしておきたい。
  97. 前尾繁三郎

    ○前尾委員長 委員長は皆さんの御意思に従つてつているのであつて委員長としていろいろ意見を述べるわけじやないから、答弁の限りじやないと思います。     〔久保田委員「立花君はこの委員長じやなく、地財委の委員長の答弁を要求しているのじやないか。」〕
  98. 前尾繁三郎

    ○前尾委員長 そうじやないのです。
  99. 立花敏男

    立花委員 私事実に基いて申したいと思うのですが、こういう状態の中では、委員長とされても答弁できないのは当然だと思う。そういう事態を委員長が良心的にお考えくださつたならば、必ずしも言葉の上で答弁をいただかなくても、こういう事態を生じた責任はどこにあるのか。おれは委員長で、政府筋とは関係がないのだから、責任はないのだというような態度じやなしに、もつと良心的に事態の発展を、はつきり御認識願いたい。これは答弁を要求しません。御認識願いたいということだけをお願いしておきます。  それから久保田さんからこつちの委員長じやなしに、そつちの委員長の答弁を願つたらどうかという御意見があるのですが、私もそういうつもりでおりました。(笑声)地財委員長はこの事態に対してどういうふうにお考えなつておるか、御答弁を願いたい。
  100. 藤田義光

    ○藤田委員 立花君から真剣な、近来にない名論卓説をお述べになつての御質問中でございますが、実は一時から重要な施政方針演説に対する質疑があり、わが党代表も先陣を承つておりまして、ぜひともこれは委員会を中止しても拜聽したいと思つておりますので、委員長の裁断によりまして、暫時休憩していただきたい。まことに立花君には恐縮でございますが、暫時鋭鋒を收めていただきたいと思います。
  101. 立花敏男

    立花委員 では私は次の機会に続行することを條件といたしまして、せつかくの藤田君の発言でございますから、これでやめたいと思います。  一つだけ議事難行の点につきまして申し上げたいのは、実は岡野さんにいただきました提案趣旨説明の中で、近く地方行政調査委員会議から、地方の行政機構の問題についての重大な勧告があるという文句がございます。ところが私どもどういう勧告かわかりません。岡野さん一人御存じのようらしいのでございますが、ひとつ明日地方行政調査委員会議の方を呼んでいただきまして、どういう勧告の内容なのかということをお聞かせ願いたい。聞くところによりますと、政府は非常にポ勅がすきらしゆうございまして、また最近ポ勅をお出しなつて、来年の地方議員の選挙に間に合いますように、地方の議員を二分の一に減らすという計画があるそうでございますが、こういうポ勅をお出しになるつもりがあるのかどうか。その案が実は地方行政調査委員会議から出ておるようでございますが、こういう内容も含めての勧告案なのかどうか、具体的に聞きたいと思いますので、もしその点で岡野さん何かお聞きでございましたら、承らせていただきたいと思います。
  102. 岡野清豪

    岡野国務大臣 お答え申し上げます。地方行政調査委員会議の報告はまだ出ておりません。あれは地方公共団体の事務の再配分ということを趣旨にした研究をして、その報告を出すことになつております。でございますから、あの報告が出れば地方公共団体の事務、すなわち今まで国の出先機関が国の委託によつてつてつた仕事が、各地方自治団体の固有の仕事になるというような方針で、研究を進めておられるようでございますけれども、私はまだ内容もよく承知しておりませんし、どういう勧告を出されるのかもわかりません。しかし報告がもしその方向で出るとしますれば、政府としても国会としても、やはりそれに相当の検討を加えて、実施するようにならなければならぬと思います。しかし電力再編成でポ勅が出たから、何もかもわれわれはポ勅によつて出すのだという御想像は、私は当らぬと思います。昨日も申し上げましたように、ポ勅はできるだけ避けます。ことに地方公務員法はポ勅では出しません。これは断言いたします。
  103. 前尾繁三郎

    ○前尾委員長 それでは午後は本会議が三時半までに終了いたしました場合には、再開することとしまして、暫時休憩いたします。     午後一時四分休憩      ————◇—————     〔休憩後は開会に至らなかつた