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1950-12-09 第9回国会 衆議院 大蔵委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年十二月九日(土曜日)     午後二時三十二分開議  出席委員    委員長 夏堀源三郎君    理事 奧村又十郎君 理事 小山 長規君    理事 西村 直己君    田中 織之君       佐久間 徹君    清水 逸平君       高間 松吉君    苫米地英俊君       三宅 則義君    内藤 友明君       川島 金次君    米原  昶君       竹村奈良一君    中村 寅太君  委員外出席者         通商産業事務官         (通産局長)  黄田多喜夫君         通商産業事務官 青戸 泰賢君         経済安定事務官         (貿易局次長) 松尾 金蔵君         専  門  員 椎木 文也君         専  門  員 黒田 久太君     ————————————— 十二月九日  委員藤枝泉介君辞任につき、その補欠として川  野芳滿君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  貿易金融に関する件     —————————————
  2. 夏堀源三郎

    ○夏堀委員長 これより会議を開きます。  貿易金融に関する件を議題といたします。本件に関しては、川島金次君より発言を求められております。これを許します。川島君。
  3. 川島金次

    川島委員 本来でありますれば、本日わざわざ委員長政府委員各位の御足労を煩わさぬでも、昨日若干の時間が与えられておりますれば終了いたしましてあらためて今日はこの委員会を開いていただかぬでもよろしい事情であつたのでありますが、たまたま私の最後質問に対しまして政府委員出席がなぐて、遂にそのまま議案を通すというやむない事情なつてしまいました。委員会の形から行きまして竜頭蛇尾に終り、私自身としてもまだ納得のできかねる点もございましたので、本日委員会を聞いていただき、また質問を許してもらうことになつたわけであります。私は委員長に、この機会に繰返しお願いを申し上げておくのですが、通常国会もいよいよ明日からありますし、おそらくこの国会は明年の四、五月まで続開されて行くことか予想されております。その間にまた再び会期切迫のまきわに重要な法案が出されたり、あるいはわれわれ委員会委員の十分な審議の時間を理不尽に削減をされ、そしてしやにむに提出案の可決をはかるというような非民主的な形をとらないように、せいぜい委員長におきましても、この点注意と努力を私は劈頭において望んでおく次第であります。  そこで質問に入りますが、きのう私の最後質問いたしました点は、今日の日本経済自立達成のために、輸出入貿易の画期的な振興をはからなければならないということは当然の事柄で、いうまでもないことであります。ことにその輸出団員自刎の中でも、今後中共方面に対する輸出入貿易は、当分の間差控えなければならぬという事情にありといたしますれば、一層に中共を除いた東南アジア方面におけるわが国貿易に対する積極的な施策がありませんければ、せつかくわが国経済自立達成の基本的な目標であります貿易問題の解決には、役立たないということになることは、これまた言うまでもない事柄であると思います。ことに昨日可決いたしました輸出銀行法案提出理由説明の中にも、インドあるいはインド支那、あるいはパキスタン、フィリピン、ビルママレー等におけるところわが国輸出貿易について相当な期待を政府はかけておる  ことを明らかにいたしておるよう始末であります。この機会にお伺いいたしておきたいのは、これら東南アジアに対するところ現状貿易関係、そして今後の貿易関係が、政府といたしましてはどういうふうになる見通しを持つておるか。中共貿易が中止されましても、それを補うに余りあるだけの積極的な打ち手が今日政府にあり、そしてそれに対する心配のない見通上を持つておるのかどうか。きわめて大切な事柄でありますので、この機会にまずお尋ねをしておく次第であります。
  4. 黄田多喜夫

    黄田説明員 ただいまお話の、日本貿易が将来東南アジア地方中心とすると申しますか、東南アジア地域への貿易量の増大ということを考えなければならない。ことに中共との貿易がうまく進まない。ことにまた六日に中共向け輸出制限の強化というふうな省令も出ました関係もあり、将来ますますそうなるのではないかというお言葉でございましてまことにその通りだと考えます。御承知通り日本は今まで片貿易の差、つまり輸入輸出をオーバーしているその差額に大体等上いものを、いわゆる援助資金というものでまかなつて来ております。それが昨年の数字で申しますと、輸出が五億で輸入が九億でございます。その差の四億というものはいろいろな形において、アメリカ援助に仰いだということになつております。それでこの援助資金というものは逐年減つて行きまして、もうきわめて近い将来に廃止されるということに一応なつておるのであります。従いましてそのギャップを、どうしても輸出によつてまかなつて行かなければならないというところに来ておるのであります。援助資金でもらつておりますものの大部分食糧が占めておりましてそれを昨年の例で申しますと、援助資金で入れました食糧が約二百万トン、それから自分の金で買いましたものが百万トン、総計三百万トンくらいであります。この三百万トンくらいというものは、どうしても輸入しなければ食糧が足りないという状況であるのでありますが、ことしはその比率を去年とちようど逆にいたしまして、自分の金で二百万トン、援助の方は百万トンだけにしようという計画で参りまして、大体そういうふうになつております。  ところで、しからばその食糧補給源をどこに求めるかということになりますと、どうしても東南アジアからもらわなければならないのであります。シャムの米、ビルマの米、それからことしの五月に私パキスタンに参りまして小麦を十万トンほど買つて来たのでありますけれども、パキスタン小麦、それからそのほかには朝鮮台湾が少し出ますけれども、これは今のところ見込みがございません。そういう所から食糧を買いまして、そしてこれらの地域製品輸出する。つまり原材料をこれらの国から買いまして製品をこれらの国に出すという貿易形態を、日本としてはとらざるを得ないのであります。そこでしからば今どういう貿易形態をとつておるかと申しますと、ただいま私があげましたうち、インドセイロン、それからパキスタンビルマという国は、これはスターリング圏内に入つておりまして、いわゆるスターリング協定というものを日本との間に結んでおりまして、そのうちインドセイロンはいわゆる参加国、それからビルマパキスタンは非参加国ということになつております。参加国日本との貿易が、片道が九千三百万ボンドということで、先日調印いたしたわけでございますが、非参加国との間には個別に協定を結ぶということになつておりまして、せんだつてパキスタンとは結びましたし、ビルマの方はまだ協定期間がことしの暮れになつておりますので、それが切れたら、あるいは切れる前に新しいのを結ぶということになつておるのであります。これらの国のうちパキスタンは、御承知のように新しく分離独立いたしました国家でございますが、日本からの物を非常によく買つてくれまして、主としてこれは綿製品でございますけれども、日本の方が輸出超過なつております。それからビルマからは食糧をうんと買いますので、日本の方が輸入超過という現状なつております。それからシャムとはいわゆる清算方式による貿易をいたしておりまして、大体年額にいたしまして五千万ドルくらい、片道貿易がございます。中共の問題が出たのでございますけれども、中共とはどうも商売がうまく行きませんで、大体最近の数量は、ことしの上半期におきましてはきわめて少く、百万ドルを超えたのは一月と六月だけでございまして、そのほかは非常に少うございます。それが下半期に至りまして八、九が二百万ドルくらい、十月が四百五十万ドル、十一月が六百万ドルぐらいになつております。大体今のところ日本輸出は毎月七千万ドルくらいございますので、六百万ドルといたしまして十分の一足らずでございます。出ますものはスチール関係のものと、綿製品スチールがほとんど全部でございます。こういものは非常に需要の多い品物でございますし、どこでも買手はあるという状況でございますので、中共との貿易が少上制限が強化されるということになりましても、輸出に関する限り、さしたる影響はないというふうに見ておりますが、これが輸入の方に影響して参りますと、開らん炭とか、桐油大豆、塩などを中国からもらう必要がございますので、これがもしとまるというふうなことになりますと、輸入の方百面によつて、ほかの手だてを考えなければならないということになります。すでに石炭大豆塩等に関しましては、万一の場合には、ほかの地域から入れるというふうなことを研究中でございます。
  5. 川島金次

    川島委員 大体のことはわかつたような気がするのでありますが、この輸出銀行法案提出理由にもありますし、先ほども申し上げたのですが、東南アジアに対する輸出の問題について今後日本貿易は従来の繊維中心としたものを振りかえて、ことに東南アジアにおける後進諸国の復興に伴いまして設備機械等需要がある。それに対して積極的に日本が対処するという態勢を整える必要が迫つておる。こういう意味のことを表示してあるわけであります。はたして日本設備資材等が、これら東南アジアにおいて政府の期待しておるように需要があるのか。かりにありましても値段の点、あるいは製品の質の点等について、それに即応ずるだけの日本の準備というものができておる形になつておるのであるか。その点はどうなつておりますか。
  6. 黄田多喜夫

    黄田説明員 繊維を主とする日本輸出の構想をかえて、それにあまりたよらないで、ほかの資本財等に転換す、べきである。あるいは少くともそれが望ましいということは、まつたく同感でございまして、ことにインドパキスタンビルマシャムというふうな国々に対しましては、今のところシヤム、ビルマ等はほとんどテクスタイルが主でございますが、インドには発電設備注文が相当ございます。これは御承知のように、インド州政府の方からの発電設備に関する注文がたいへんございまして、これは現に出ております。それからシャムに対しましては、ドレツジャーであるとか船、それ、から機関車、こういうものが相当出ております。パキスタンにおきましても、機械、それからせんだつても百五十両ばかりジュートワゴソージユートを運ぶ貨車でありますが、こういうものが出ておりまして、せんだつて私はインドにもまわつて来たのでございますけれども、向う政府の役人と話をしてみましても、日本機械等に関する評判はなかなかよろしい——ただ日本はどういうわけか知らないけれども、非常に宣伝下手である。従つ七品質に比べて、日本品に対する欲求が他の国産品に比べて少いということは、非常にふしぎなくらいだということを申しておりました。少しずつでも日本発電所とか機関車とか機械、船というふうなものが出始めまして、それの名が確立して来る。その段階はもうすでに経つつあるのでありますけれども、そういうことになつて参りますれば、日本品に対する欲求というものは、相当旺盛になるだろうと私は考えております。
  7. 川島金次

    川島委員 さらにお尋ねいたします。が、中共貿易に関して遺憾な事態にならざるを得ないことに、今はなつておるようですが、この中共貿易が当分中止されるようなことになることを前提といたしました場合に、その中丑八との輸出入関係と、日本政府の二十五年度の輸出入貿易計画、それに対して影響があるのじやないかと思うのですが、その影響をどこでどうカバーするというようなことについて、具体的な方策でもあれば、この機会に明らかにしていただきたい。
  8. 黄田多喜夫

    黄田説明員 先ほどちよつとその問題に触れたのでございますけれども、輸出に関する限り、わが方の計画を全然変更しなければならないという問題はございません。輸入に関しましては、開らん炭を百万トン入れるという計画がございましたので、これの手当をどうするかということは、一番大きな問題であります。但しこれは先ほどお話がございました通り向うからの品物が全然来ないということを前提としての話でありまして、これがはたして来るのか来ないのかということは、必ずしも来なやというふうに一がいに断定はできないじやないかと思うのであります。その幾部分でも来るということは考えられるのでありますけれども、まあかりに来ないという前提に立ちますと、問題は鉄鉱石は大したことはございませんので、石炭大豆と塩と桐油、それから亜麻仁油が少し、それから豚毛、そんなものでございますが、大きな相手物といたしましては、石炭大豆と塩でございます。石炭に関しましては、すでに日本製鉄業の要求を満たすためには、開らん炭のみでは困るということで、アメリカ炭輸入ということを考えまして、一部はすでに実現いたしたのでありますけれども、それと同様な手段によりまして、粘結炭の他地域からの輸入ということを考えております。大きいところはどうしてもアメリカになるのじやないかと思います。それから大豆に関しましては、大豆の産地と申しますのは、やはり満州が一番でございましてその他では北米を除きましては、南米くらいなものでございます。シャムあたりからでも出ますけれども、これはおそらく、せいぜい一万トンくらいなものでありますので、大豆輸入ちよつと頭を悩まさなければならぬ問題かと思いますけれども、それらの今あげましたような国々からの輸入ということを考えまして、手を打とうと思つております。ただ大豆輸入という問題は、大豆と申しますものは非常に敏感な商品だそうでありまして、少し買気が出ると値段が非常に上るというふうな商品でありますので、いかに手を打つかということは相当慎重にやらないと、非常に高いものを買わなければならぬようなことになるおそれがとざいますから、その点も考えて考慮中であります。それから塩は台湾からも買えましようし、それからインドネシア、シャムからも入ります。なお船賃はかかりますけれども、地中海の塩を入れますれば、日本需要に不足が来るというようなおそれはないだろうと考えております。その他桐油支那でなければ、ほかにはちよつとありませんので、これが入らぬとなりますと、ほか、の原料で間に合わすというようなことをしなければならないかと考えております。
  9. 川島金次

    川島委員 話が前後するようで恐縮なのでありますが、先ほど出ましたように、東南アジアベ輸出積極化ということは、きわめて必要なことてありますが、それとともに問題となるのは、やはり原料、資源の少いわが国は、輸入食糧を除いた問題にいたしまても、どうしても輸入に仰がなければ他ならない面が非常に多い。その輸入の問題が、昨今特需景気その他で輸出の方は盛んになつて来ておりますが、輸入の方が非常に思わしくない。これはもちろん朝鮮事変中心とした国際情勢の変化ももとよりあるのでありますが、その他にも何か輸入の停滞してわりますところ原因があるような気かいたします。政府ではそういうことついて、つとに研究調査をされておるのでありましようが、その輸入の停滯しております。原因は、どういうところにあるのか、これを打開するにはどういう方策をとるかということについ、御存じの範囲をひとつお示し願いにいと思います。
  10. 黄田多喜夫

    黄田説明員 輸入が不振である、これの打開策いかんというお話でございますが、事ごと輸入の方は、輸出が眠つているほど振つていないのであります。昨年の輸入が大ざつぱに見まして九億でありましたうち、六月までに五億入つておりまするそれが今年もやはり六月までに五億しか人づておりません。この調子で行きますと、あるいはことしの歴年によります輸入は、去年と同額か、あるいはそれが少しふえたくらいで終るのじやないかというおそれもあるのであります。ただ輸入不振になりました原因のうち、非常に大きな理由なつていると思われるものは、御承知のように外貨予算制度というものを今年の一月から始めまして、その運用方法がふなれなためもありましたし、四半期一ごと外貨予算を組んでやつているのでありますけれども、一—三のクオータ、それから四—六のクオータというものは発表額が非常に少かつたのであります。それでその影響がやつと今ごろ、六箇月間の輸入期間があるといたしましてこのごろ現われ出して来たということも、原因一つの大きなものでございましよう。それが七—九以降相当多額発表をいたしましてその結果が十二月くらいからぼつぼつ現われて来るのじやないかと思われます。そうしますと、われわれが今予測しておりますところでは、十二月、一月、二月というものはほとんど一億ドルくらいのものが、毎月入つて来るのじやないかと者えます。従いまして輸入が今まで振わなかつたところのとりもどしは、やつと今、ころくらいから来年の一月、二月にかけまして取返しの案が上つて来るのではないかと考えております。  それから第二の理由といたしましては、国内金融の問題があります。物は入れるけれども、どうも外貨はあるけれども円の都合がつかないということが、輸入を阻害いたしました大きなフアクターであります。この問題に関しましては、先般例のユーザンスという制度を設けまして日本銀行外国為替輸入業者に貸すという制度を設けました。それによつて部分救済策はできたわけでございます。今当画いたしております大きな問題は、入れる場合にには貿易業者金融ユーザンスで受けるわけでありますけれども、それが今度入れてメーカーに行く場合の金融がどうなるかということが、大き」な問題になつているのであります。いわゆる工業手形の割の問題でありますが、これが片づかない限り、鉄鉱石とかその他の輸入の上に相当な障害になるということで、この金融問題をどうするかという改善策に関しまして、現に考慮をいたしまして日銀の政策委員会等においても取上げてもらつております。それから第三の輸入が振わない原因、あるいは必要な物資を入れにくいと申しますのは、貿易方式の問題でありまして、先ほど触れましたスターリング協定、これが日本輸出入の約三分の一を占めておりますけれども、日本の方はスターリング地域から買うには、季節的な購買をいたします。たとえば羊毛に関して申しますれば、今が買い時なのであります。どかつと買う。ところスターリング側の方は、日本から買います場合に、コンスタントに少しずつ買つて行くということになりますので、日本が物をほしいと思うときに、必要なフアンド・スターリングがないという状況が起るのであります。それでスターリング側に、スターリングの貸越しを認めてくれということも、協定の際に提案いたしましたけれども、それは通りませんでした。従つてスターリングから今物を入れるネックなつておりますのは、必要なポンドがないということなのであります。従つてこれを打開するためには、スターリング側に対して上日本協定額を時期を早めて早く買つてもらうということを交渉しております。そうすればスターリングから入つて来るので、それで必要な物の買付ができるということになります。それと同時に、ほかにまだスターリングを獲得する手一段なきやということで、その方の研究もいたしております。  それからもう一つは、貿易方式のうちに、例の清算勘定というのがございふして、お互いにドル現金のやりとりをし、ないで、帳面づらだけで、お前の方には幾ら売つた幾ら買つた、その帳面がどうなつておるという方式でやつておるのでありますけれども、この清算方式を結んでいる国が非常にたくさんございます。その帳面づらの差代たとえば五百万ドルを越えた場合には、越えた分だけは現金で払うということになつております。ところか数箇国との間の清算勘定におきましては、日本の方が買い過ぎになつておりまして、いわゆるスイング・シーリングと申しますが、それを越えそうになりております。越えますとドルを払わなければならぬというので、今まではなるべくドル現金を使いたくないというので、そういう国からは買控えをいたしました。ところがこういう時勢になつて参りましたので、必要とあらはドル払つてでも、必要な物資を入れる必要がありはしないかということで、そういう方法に関しても目下研究中でございます。
  11. 川島金次

    川島委員 今輸入不振の諸条件のお話がありましたが、ユーザンスの問題です。これは一応輸入業者自体金融の処置は済んでいるかつこうになりますが、その業者からメーカーの方に入るわけで、そのメーカーの方から、三箇月なら三箇月以内に金が回収されれば、それは問題がないわけです。それが現状ではなかなか思うように行つていないというような話を私は聞いている。そこでお尋ねするのですが、きのう提案されて可決されました輸出銀行の設立の立案をいたします際に、なぜ貿易資金関係輸出にのみに限定したか。私は本来なら、やはり輸入資金の問題まで含めた特殊な金融機関をつくつて、そして輸出入ともども資金の円滑なる確保ということに努力する方向への機関を、必要としたのではないかと思うのです。ところがきのう可決いたしました輸出銀行というものは輸出だけで、輸入の問題については日本銀行ユーザンスにまかせてしまう。それでそのユーザンスも、必ずしも現状においては十分なも、のではない。十分でないがために、円滑なる計画通り輸入に支障を来しておる、こういうのが現実の姿であるように私は聞いている。通産省としてはこの輸出銀行立案にも参画したのだろうと私は思うのですが、何がゆえに輸出のみにあの銀行というものをとどめたか。その真相についてこの際お聞かせ願いたいと思います。
  12. 黄田多喜夫

    黄田説明員 私はその御質問にはお答えできる立場でありません。従つて私がはつきりこうだということは申し上げかねるのでございますけれども、輸入が今ネックなつているというのは、これは実はアブノーマルな状況でありまして世界情勢がこういうことになつたがゆえに、輸出よりも輸入の方を優先するのだというようなことになつておりますけれども、これはやはり正常な状態におきましては、輸出の方を重視すべきだということは、普通の観念でございますので、その普通の観念がここに現われて来たにすぎない一のだというふうに私は考えておりますが、本件に関しましては、案は私はお答えする適当な者でありませんので、これ以上申し上げられません。
  13. 川島金次

    川島委員 そこで最後一つお尋ねしますが、輸入資金の問題についても、輸入ネック一つ原因がある。それに対していろいろ研究中であるというお話もありましたが、何かユーザンスそのもののをさらに積極的の改善をして、輸入業者だけの資金のめんどうでなくして、いわゆる製造業者——メーカーといいますか、そういう方面にまでわくを広げて行くという形、こういつたことを考えることも一つの手ではないかと私は思うのですが、そういうことについては、通産省では何か考えられているのですか。
  14. 黄田多喜夫

    黄田説明員 考えております。例の先ほどちよつと申しました工業手形の再割の問題、従つてわくを広げるということになると思うのでありますけれども、それに関しまして研究し、かつ推進しております。せつかく貿易輸入業者ユーザンスがついて便利な手段ができましても、さらにそれにつながるものに対しても同様なものがありませんと、完全とは言えないのであります。その延長たるところ工業手形の割引ということに関しましても、考慮中でありますし、また進めてもおる次第でございます。
  15. 清水逸平

    清水委員 川島委員の御質問に対して輸出についてのお話がありました中に、機械類、車両というものの輸出がますますます発展し、盛んになりつつあるようなお話でございました。それについて先般鉄鋼の補給金をとられましたけれども、それによる相当の価格の騰貴等がございましてそれを企業の合理化によつてつて行くというふうに、私どもは伺つておつたのでございますが、鉄鋼製品の価格の騰貴につれてこれらの輸出品の価格がつり上つて行くかどうか、お見通しを伺いたいと思います。
  16. 黄田多喜夫

    黄田説明員 昨年九月に例のポンドの切下げがありまして、これではもうやつて行けないという話がございましたが、やつてみるとさしたる支障なしに今のところつております。それで鉄鋼の補給金がなくなりましても、現に船の注文なんか相当来ております。まあ、ものにもよるでしようけれども、補給金の撤廃ということが、日本機械類とか車両とかの輸出を不可能ならしめるというところまでは、行かなくても済むのではないか。ことに合理化を進めて行く度合にもよるでありましようけれども、そういう方向に進むならば、補給金の撤廃ということが、これら品種の輸出を全然ゼロならしめる、あるいは非常に困難にするというふうなことは、避け得るのじやないかと考えております。もつともこれは品物によつて違うのでありますが、それがために非常な打撃を受けて輸出ができないという品目は、今のところあまりないのではないかと考えております。なおこれは機械局の関係でございますので、よくそつちの方とも連絡してやりますが、ただいまのところそういうことを考えております。
  17. 清水逸平

    清水委員 もう一つ、これは川島委員のお尋ねにもありましたユーザンスの期限は、本年一ぱいのように私は心得ておりますが、その後の御必要はあるのかどうか。また工業手形の再割を御尽力なさつておるようでありますが、これは特にわが国の産業のために御尽力願いたいと思いますけれども、その工業手形の再割に対する大体の見通し、それが可能なりやいなやを明確に承らせていただきたいと思います。
  18. 青戸泰賢

    ○青戸説明員 かわりまして御答弁申し上げます。ユーザンスの問題がいろいろ議題に上つておるようでございますが、輸入金融問題の解決点として持ち出しましたユーザンスは、これは1輸入貿易手形によつて代表されておりました円資金関係を、解決する一策であつたと思います。それで先ほどちよつとお話がありましたように機械類の設備の輸入にまでユーザンスを拡張してはどうかとか、あるいは重要物資輸入についても、ユーザンスを延長したらどうかといういろいろなお話がありましてすでにこの春以来われわれもこの方法についていろいろ検討いたしました。その裏づけとなるべき外貨の量までも、いろいろ調べまくつたのでありますが、ユーザンス手形と申しますのは、商業段階の取引に対する一つ金融措置であるという点の根本的な問題から、生産金融にまでそれがまわつて行くということは、多少技術的な難点があるというので、これはいまだに未解決に終つております。それではその次に来るべき、そのものを引取るいわゆるメーカー工業手形をいかにするかということが、引取り資金の問題を解決する唯一の策となつております。七月以来買付が非常に活発化いたしましたために、その入荷量も急激にふえました。今年の四月が入荷の最高でありましてその後ずつと下つていたのを、ようやく回復しかけつつある現状であります。今後いつごろが一番よけい物が入つて来るかという見通しは、二月、三月ごろであろうという見込みでございますが、これはユーザンス手形につながりまして、一応平均二箇月間は円資金需要が起きません。その二箇月後のメーカーが引取りますときのユーザンス手形の決済代金が、円資金需要として現われて参りますが、その数字は一—三月で約七百五十億くらい、それから四—六月で八百億を越す予定であります。これをいかにして消化するかということにつきましては、先ほど申し上げましたユーザンスの延長問題、あるいはいわゆる輸出入銀行という考え方をもちまして輸出銀行の中に入の方も入れて、そういう資金調達の道を講じたらどうか。あるいは預金部資金を動かしたらどうか。あるいは政府貿易をやつたらどうか一こういういろいろ方法は考えたのでありますが、どうもどれもこれも思わしくございません。結局日銀の追加信用によるよりほかないだろうという結論になりましたが、日銀の追加信用ということは、ひつきよう手形の優遇をもつてやるよりいたし方ないだろうというので、目下日銀政策委員会と数次にわたつて会合をやりまして、工業手形の再割引はたしていかんということについて、いろいろ研究しております。ただその八百億あるいは七百五十億にも及ぶ工業手形の割引を、日本の優遇手形の最も優遇されておりますところの再割引へ持込むことが、はたしてどうかということは、まだ物資別にも研究してみる必要がありまして、現在のところ再割引まで行かなくとも、再割引と同じ実効を収めるような優遇方法を講じたらどうかという点で、まだ未解決でございます。ただ話が多少こまかくなりますが、せんだつて高率適用制度というものが強化されまして、目下第二次高率適用のわくがはずれておりますのは貿易手形だけであります。従来商業手形も二次高率からはずれておつたのでありますが、これは二次高率にかかることになりました。高率適用強化をはかりましたために、再割引を行いましてもわく外融資は全然期待できないことになつております。従いまして再割にしたときの実利は、単に金利が安くなるというだけのことにとどまるので、金利低下ということが唯一の問題になる。そうしますと、現在の一般工業関係資金問題を大きくながめまして、工業原材料について金利を下げることははたして妥当かどうか。また日銀の追加信用造出の際においてそれだけの金利の大幅な引上げをやることはどうか。その辺はもう少し物資別、企業別に具体的な検討をいたしませんとわれわれとしても決心がつきません。ただ実質的に再割引と同じような、いわゆる日銀に対する捜助と申しますか、態度を何らかの形でやりたいと努力しております。
  19. 三宅則義

    ○三宅(則)委員 前の委員からも質問があつたと思いますが綿製品の主要生産地であるインド日本からも相当繊維製品機械が行つて向うで活発に活用せられておるかどうか。また日本の内地産業との割合はどんなものか。もしわかりましたら、参考意見でもけつこうですから承つておきたい。
  20. 黄田多喜夫

    黄田説明員 繊維製品はほんのわずかであります。日本はこの間わくがとれまして四百万錘であるのに、向うは千百万錘くらいあります。向う綿製品輸出したい国なのであります。それで日本からの綿製品なんかはまつびらごめんというわけで買いません。向うから外国に出したいくらいでございますので、日本からの繊維製品はグレードの違つたものがちよつぴり出るというだけでございます。ただレーヨンは出ます。一昨年はこれはうんと出ました。しかし禁止品目になりましたので、昨年は一昨年ほどは出ませんでした。今度の通商協定でもレーヨンは品目に入れてありますので、相当出るだろうと思います。シルクも出ます。綿紡の機械、これは日本のものが相当出ております。ある会社のごときは、日本機械のみを使う工場を持つており、相当機織機は出ております。
  21. 三宅則義

    ○三宅(則)委員 ごく簡単なことで、案は自分の選挙区に関係したことを伺います。ガラ紡機械は相当南方方面に行つておるということを聞いておりますが、今後も行くようでありますか。こんなものは用いないでしようか。
  22. 黄田多喜夫

    黄田説明員 ガラ紡の総体的なことは私は今記憶しておりませんけれども、せんだつてインドにガラ紡の機械を一台だけ見本的に出しましてそれがうまく行くようであつたら継続的に買おうということで、試験的に出してくれという話がございましてそれをたしか出したはずでございます。それが向うで試運転をやつてみまして成績がいいというふうだつたらなお大量に買いたいという話がございましてその結果いかんということになるのじやないかと見ております。
  23. 三宅則義

    ○三宅(則)委員 ごく簡単なことですが、くつ下製品というものはこれは日用雑品でありまして、非常に日本でも生産が多いわけです。多少外国に輸出するくつ下もつくつておるということを聞いております。か、専門外でありましようかどのくらい出ておりまするか。またその状況等わかりましたら、参考にお聞かせいただきたいと思います。
  24. 黄田多喜夫

    黄田説明員 具体的に存じておりませんので、調べました上でお答えいたします。
  25. 夏堀源三郎

    ○夏堀委員長 それでは暫時休憩いたします。     午後三時二十六分休憩      ————◇—————     午後三時五十二分開議
  26. 夏堀源三郎

    ○夏堀委員長 休憩前に引続き会議を開きます。
  27. 川島金次

    川島委員 まずお尋ねいたします前に、これはいやみでなく聞いてもらいたいのですが、実はきのうこの委員会輸出録行法が上程されまして、その質疑の続行中に、私初め同僚各位から、安定本部貿易局の方の出席を求めまして、お尋ねいたしたいということになりまして、その旨委員長を通じまして御依頼を申し上げたわけであります。しかるに昨夜七時近くに委員会を再開いたしまして、当然安定本部の、こちらから申し入れました担当の係の方が見えておるものと信じまして質問をいたしたのであります。ところ質問だけは終りましたが答弁をするかんじんな係のものが見えておらないというかつこうになりまして、遂に委員会質問に対する答弁なしで、重要な法案いろいろの都合で一応可決しなければならぬという形になつてさらにそれがために、本日本来ならばこの委員会は休会さるべき筋合いであつたのでありますが、今のような次第でありましたので、きようことさらに委員会を開かなければならぬ形になつた。しかも安定本部からの出席を午後一時から要求いたしておつた。それがただいままで——他の質問もございましたが、われわれは出席を待たなければならぬという状態に至つた。直接関係はなくても、少くとも重要法案の審議に際しまして委員会説明を求め、あるいは質問に対する答えを求めようとして要求いたしました場合に、その要求された御本人が、かりに事情があつて出席不能の場合には、しかるべく代理の方でも出席をさせるという誠意と熱意があつてしかるべきだと私は思う。しかもそのことがなくて、きようも一時からただいままで待つてようやく今見えられた。こういう状態に漫然としてわれわれを放置しおいた事情は、一体どこにあるのか。これは私は単なる大蔵委員会の問題だけでなしに、こういう事柄国会の中に繰返されるということは、委員会の審議の上においてきわめて重大なことであると思います。これは単なる私に関するからというので、いやみな意味で言うのでは決してない。私としては虚心胆懐な立場でこのことを申し上げておりますので、その事情をひとつお聞かせを願いたいと思います。
  28. 松尾金蔵

    ○松尾説明員 ただいま承りました点につきまして事情というよりも、まずおわび申し上げなければならないわけであります。まずおわびを申し上げます。  本日実は私午前午後参議院の予算委員会の方と、それから今まで同じ参議院の大蔵委員会の方にずつとおつたのであります。何らか連絡の不都合で、私どものまつたくの手落ちだつたと思いますので、御容赦願いたいと思います。
  29. 川島金次

    川島委員 そうすると、こちらから申し入れたことは、ちよつとくどいようですが、あなたの方に通知が全然なかつたのですか。きのうからきようまで……。
  30. 松尾金蔵

    ○松尾説明員 きのうからきようまでということでございますから、昨日のこともまたおわび申し上げなければならないのでありますが、昨日は私こちらの委員会に、たしか六時半ごろだつたと思いますが、参りましたとき、今委員会は、質問の点は一応終つたからということで、これは私が申し上げますと単なる弁解に終つてしまいますが……(「討論中だつた」と呼ぶ者あり)それで一応私は帰りまして、あと貿易局長は予算委員会の方にたしか昨晩十一時ごろまで残つておつたのでありますが、やはりその間何らかの連絡の行き違いで、ただいま御指摘のようなことになつたのであります。これもおわび申し上げます。
  31. 川島金次

    川島委員 そういう事柄がありましたときには、委員長もおることですから、委員長のもとまで御連絡願つて、どういう事情で来られないということを委員長のもとまで伝達がありますれば、何もわれわれは、その事情を知つてつても、何でもかでも出て来いという理不尽なことを申し上げる気持は毛頭ない。ただそういう関係で、かりにきのうはそういう事情であつても、一きようもつと早く御出席ができておれば、もうとうにこの委員会は終了しておつたはずです。委員長初め事務当局の人たちも漫然と待つておつた。本来ならきよう休めるところを、休まずにこの委員会を開いておる。こういう事情なつておりますから、どうぞこういうことが今後ありませんように、特段の御留意を、貿易局にかかわらず、委員会でこういう希望があつたということを、機会のあるときに各位に御伝達を願えればなお幸いだと思います。  そこでお尋ねを申し上げたいのですが、実は先ほど通産省貿易関係の方に来ていただきまして、いろいろ貿易事柄についてお尋ねをいたしたのでありますが、貿易関係立案当局である安定本部の次長さんにも、この際特にお尋ねをしておきたいと思うことがある。それは最近日本経済安定自立の方向に、政府がそれぞれの努力をしておることはよくわかる。ことに經済安定のための大前提として、まず日本、の貿易の一段の振興をはかるという考え方には、もちろん言うまでもなくわれわれも異議のある筋合いのものではないわけですが、その貿易関係について昭和二十五年度の安定本部の立てました輸出入貿易計画、また年度も全すところ一・四半期きりですが、この間における安定本部の樹立いたしました貿易計画と、実際の輸出入関係はどういうふうになつたか。ことに輸出の面はある程度進んでおるようでありますけれども、輸入方面はあまり辞ましくない、期待通りに行つておらない事情もあるわけであります。その、とについて大ざつぱでけつこうでああますが、数字的に説明ができますれば、まずそれをお聞かせ願いたい。
  32. 松尾金蔵

    ○松尾説明員 二十五年度の貿易計画といたしましては、すでに御承知のううに、朝鮮事変以前におきましては、大体輸出六億五千万ドル輸入十億二千万ドルという計画を立てておつたのでありますが、その後国内情勢の変化に伴いまして、その当初計画を改訂いたしまして、現在私どもの手元で一応貿易計画と称しておりますものは、輸出か八億二千万ドル輸入が十二億ドル、これはいずれも商品輸出商品輸入関係でありますが、このほかに輸出の方ついては特需、それから貿易外の受取り、こういうものを見ますと、大体輸出による受取りが約十一億四十万ドルぐらいになるであろうという予想を立てております。これに対しまして輸入は十二億ドル商品輸入を見込んだ計画を持つておるわけでありますが、このほかに貿易外支払いが約七千万ドルぐらいはあるだろうという想定のもとに、合計いたしまして約十二億七千万ドル程度の外貨の支払い——もつともこの点は、現実に外貨の支払いと受取りの関係は、商品の出入りと多少時期のずれがございます。貿易計画のこの数字と実際の外貨の出入りは、多少期間的にずれがございますが、貿易計画という形でとりますと、大体ただいま申し上げたような数字を予定いたしております。  これに対して現在までにどのくらい進んでおるかというお話でありますか、まず輸出についてであります。輸出の関一係一では、現在の統計で比軟的正確な統計こ申しますと、九月末までしかございませんが、大体上半期の実績ということになります。上半期で大体四億程度の輸出が現在達成されておるのであります。従いまして輸出については、上半期において大体輸出計画の半ばに達しておるというふうに申し上げられると思います。輸入につきましては、ただいま不振ではないかという御指摘もございましたように、十二億のぱい輸入見込みにつきましては、本年度一ぽいで十二億まで達成できるかどうかは相当疑問があるようであります。実績を申し上げますと、上半期におきまして約四億四千万ドルくらいの輸入実績を持つております。しかしこの関係は、すでに大体御承知のように、本年度の輸入の各別の実際の足取りを拾つてみますと、大体四号ころが最高であります差、六一七とだんだんと輸入の月別の実績は低下して参つております。そういたしまして、大体底が七月の六千四一百万ドルくらい、これが月別の輸入実積としては最低であります。八月、九月と大体七千万ドル近くまで輸入の実績は上向いておるようでありますから、現在までの予想では、上半期の不振と申しますか、大体ただいま申しました四億四千万ドル程度のことで、年間の輸入計画に対しましては、上半期はあまり振わなかつたと思います。八月、九月、十月、十一月の見込みはまだはつきり統計数字になつて出て参りませんが、大体本年度において本年度の上半期の不振を、下半期である程度の回復をするということを見込みまして、まず十一億ドルくらいの輸入は達成できるだろう、こういう想定をいたしております。なぜそういうふうに上半期の輸出不振を、下半期でとりもどせると申し上げるかと申しますと、これはあるいは蛇足かも知れませんが、大体御承知のように、輸入関係は、例の援助輸入関係は別といたしまして、例の外、貨予算で大体輸入の規模が制約されるわけでありますが、外貨予算状況を見て参りましても、本年度に入りまして一月—三月の外貨予算と比べまして、一—三の外貨予算が約一億二千万、ドルくらいだつたと思うのでありますが、それが七月—九月の外貨予算におきましては、すでに四億を越える外貨予算を編成するようになつておる。つまりわれわれのもとにあります外貨事情関係から、本年度の上半期に入つて来もべき外貨予算の他意が、必ずしも金額的にも十分でなかつた。それが下半期になつてだんだんと外貨予算の金額もふえるし、輸入方式についても相当新しい方法を組み入れておりますから、大体七—九以降の大幅な予算の増額で、現実には約三、四箇月ずれて、輸入の実績として現われて来るであろう。もちろんその反面には、御承知のような国際情勢から来る困難も若干伴うのでありますが、それにしてもまず本年度の下半期あるいはおそらく十二月ごろからは、月一億ドル程度の輸入実績には到達するであろう、こういう想定をいたしまして、先ほど申しましたように、上半期の輸入不振は、下半期である程度の回復を示して、まず十一億、ドル程度は輸入実績が行けるであろう、こういうふうに予想をいたしております。
  33. 川島金次

    川島委員 輸入の点について、あまり悲観的なことは考えておらないようなお話でありまして、下半期にそれだけの期待ができますれば、われわれも幸いと考えるのであります。しかしながら、二面中共貿易の中止の問題があり、さらにまた国際情勢の緊迫化に伴いまして、いろいろわが国輸入の上に困難が加わるであろうということも予測されるのは、言うまでもない事柄だと私どもは思うのです。かりにただいま申し上げましたように、下半期において大体の期待かできるにいたしましても、当初政府計画を立てましたようなわけには行かないということは、今日でもすでに見通しができておる。この点まことに遺憾な事柄でございます。それにいたしましても、率直にひとつお話を撒いたいと思うのですか、何か伝え白、れるところによりますと、アメリカの方からの輸入はもちろんでございますが、ビルマあしいはパキスタン、アルゼンチン、インドネシアあるいはその他等におきまして、当初政府が考えておりました輸人物資に「ついて、その計画を実現させるに非常に困難な事情が現実に生れて来ておる——こういうことも、われわれは聞き及んでおるわけであります。日本の經済自立達成のために、輸出貿易の問題が大きな前提となりまするだけに、きわめて重大な事柄であろうと思いますので、そういう方面におけるところの当初計画を立てました輸入計画について、伝えられるような懸念がないものなのか。今のお話では、そういう心配はあまりないようなふうにも受取れるわけでございますが、その点はいかがなことになつておりますか。ひとつお見通しを説明していただきたいと思います。
  34. 松尾金蔵

    ○松尾説明員 ただいま申し上げました数字は、輸入については総金額においての大体の最初の計画と申しますか、その見通しと、最近の新しい見通しの比較を申し上げたのでありますが、その数字でもおわかりになりますように、決して輸入について心配がないというような楽観はいたしておりません。問題は総金額の点ももちろん問題でありましようか、つまり日本経済を動かして行く上において、最も重要な物資について数量の士でどれくらいの見通しかという点が、おそらく問題の焦点になるのではないかと思うのであります。この点につきましては、一ごく概略な総括的な点をここで御説里申し上げますと、大体重要物資について、もちろんこれは先ほど申し上げましたように、当初の輸入計測と改訂輸入計画という数字では相当ふやしております。従いましてふやしたベースで比較してみなければならないわけでありますが、それにいたしましても、現在までにまず重要な物資で、今後さらに輸入に努力しなければならないと思われるものは、たとえば塩でありますとか、それからあるいは鉄鉱石、その地もちろんいずれの物資につきましても、今後の海外の輸入市場の状況のいかんによつては心配があるのでありますが、これをまず若干の物資については輸入に努力しなければならないだろう、こういうふうに考えております。決して輸入について心配はないというような楽観はもちろんいたしておらないわけであります。
  35. 川島金次

    川島委員 そこで、さらについでにお尋ねしておきますが、本年度の貿易計画が今のような状態で進むといたしまして、国際情勢の激変が別に起つて来れば、これはもちろん問題外だと思うのですが、政府の今度の補正予算も、十五箇月予算につなかる問題であります。従つて安定本部でも、当然明年度の貿易計画を持たれておることと思うのでありますが、その明年度の貿易計画は、どういう見通しで立てられておりますか。この際明らかにしていただきたいと思います。
  36. 松尾金蔵

    ○松尾説明員 明年度の貿易計画一つきましても、実は情勢が御承知のように刻々とかわつて参りますので、これが二十六年度の貿易計画というような最後的なものは、実は十分なものはまだ持つておらないわけであります。しかし一応というところで御説明申し上げますれば、大体現在の輸出の伸びて行く状況その他を勘案いたしまして輸出については約十一億ドルくらいは商品輸出が見込めるのではないか。このほか特需、貿易外の受取り等を考えてみますならば、大体輸出に伴う受取り関係で約十二億八千万ドルくらいは受取るのではないか、こういうふうに一応考えております。輸入につきましては先ほど来いろいろ御質疑ございましたように、非常に困難な問題が伴うのでありますが、やはりこの程度の輸出を確保いたしますためには、それだけの輸入原材料の関係もありまして、やはり貿易計画のバランスとしては十四億ドルくらいの輸入がほしいのであります。そのほかに貿易外の受取りとして九千万ドルくらいの受取りがあると思いますが、来年度におきましては先ほども繰返して申し上げましたように、輸出十一億、輸入十四億というくらいの一応の見込みの計画を持つております。
  37. 川島金次

    川島委員 そういうことになりますと、だんだんに私どもわかつて来るのでありますが、今年度の輸入貿易におきましても、ことに輸入の問題には当初計画に比較いたしまして、一応の難点が今日すでに見通されておる。その立場に立つてさらに明年度の日本経済自立達成への努力として輸出も考え、その輸出前提となる輸入を、やはりそれそぞれ相当の見積りで計画をいたしておるのですが、何といいましても国際情勢は明日をはかり知れない、きわめて不安定な状態に目下突入しつつあり、場合によればきわめて重大な段階にさえも、入らんとも保証しがたい情勢が刻々に生れつつある。そういうことをわれわれは一連として考えまする場合に、日本経済というものを、このまま政府が考えておりますように、いわゆる手放しの自由経済に持つて行くという形は、きわめて危険なこと荷ないかとさえわれわれは考えておるのであります。ことに重要物資、資材の点等につきましては、何か新聞紙上の報ずるところによりますれば、来年でもはや臨時物資需給調整法でしたか、この法律などは本年度限り効力を失うことになつておるのでありますが、諸般の内外の事情を考え、そして日本輸出入貿易等を考え、さらにまた国内の需要、あるいはまた輸出のための需要、こういつた事柄をそれぞれ総合的に考えてみますると、この段階では、やはりある程度の統制がどうしても必要になつて来る必然性があるのではないか、こういうふうな気がわれわれはいたすのであります。そういうふうに考えておりまするときに、たまたま本日か、きのうの新聞でしたか、安本の方で重要資材の統制継続の問題について、きわめて熱心に討議が開始され始めておるというふうな事柄も、報道されておるのでありますが、その関係については貿易局の次長さんはどういうふうに考えられどういうふうに聞いておられまするか。その点についてお伺いをしておきたいと思います。
  38. 松尾金蔵

    ○松尾説明員 経済全体の形が、ただいま御指摘になりましたような統制の形に持つて行かなければならないか、あるいはそれが必然ではないかというような御質問に対しましては、あるいは私からお答えするのでは多少御不満ではないかと思いますが、一応私どもが現在事務的いろいろ研究をいたしておりますのは、昨今突如として何か重大な深刻な問題にぶつかつて統制経済というようなものを特に研究を始めたというような、そういう筋合いのものでは別にないのであります。ただ実際量奪いろいろしてやつておりますると、たとえばある種の特に日本経済運営の上で、絶対的な数量はそう大きくはないけれども、日本の一資源の状態では、どうしてもそれが手に入りにくいというようなものを海外市場に仰ぐ場合に、日本国内の消費を全然手放しで海外にただいたずら一求めるというのでは、どうも何といいますか、その理由づけが非常に弱いというようなことに、事務参的には何度かぶつかつたことがあるわけであります。そういう際には、もちろんこれをどういうふうにして今後の日本経済の運営に、最小限度必要な資材の入手方法を考えるかという点については、その都度事務的にはいろいろ研究をいたしたわけであります。先ほど御指摘になりました物資調整法の問題も、法律の問題としては現在事務的にいろいろ研究はいたしておりますが、まだ最後的にどうするというところまで結論には到達してはおらない、こういう状況であります。
  39. 川島金次

    川島委員 これ以上私お尋ねをしたいことも実はございますが、これは政治的な話になりますので、次長さんにお尋ねをすることは、あるいはむりな点も出るのではないかと思いますので、これ以上お尋ねを申し上げることを差控えて、私の質問は終りたいと思います。
  40. 三宅則義

    ○三宅(則)委員 私は与党である自由党でございますが、昨日来の審議の状況を見ておりますと、先ほど川島委員の御指摘になりました通り、まことに連絡が不十分であつたことは事実であろうと思う。実は私はこういうことを感じておるのでありまして、向う関係もありましようから、輸出銀行法案とか、あるいは中小企業信用保険法案というような問題は、とつくに考えらる、べきものであつて、安本の方にも必ず連絡があつたものと思う。もしこういうような重大な案件を最後の日に出すというような場合におきましては、大蔵省はもちろんのこと、安定本部並びに通産省あたりはずつと詰められておつてはやく審議してもらうという熱意と誠意を示すのが当然だろうと思う。もちろん参議院もあることでありますが、そうした連絡がうまくとれなかつたという事柄は、これは実に政府におかれましてもよく考え直してもらわなければならぬと思う。議会を尊重するという誠意を示すことが、今日の運行上きわめて必要であると思いますから、事務当局であります貿易局の次長さんに言うのはどうかと思いますが、上の方の局長なりあるいは安本長官なり、連絡を密にすることを要望したいと思う。川島委員も仰せになりましたが、実は与党がおりませんというような状況であつては……。しかし私どもはこの際これに対しましては大いに雅量を示してやつたわけでありますが、どうぞひとつ今後ともそういうことのないようにお願いしたいと思う。  私は幸い立ちましたから一書だけ、皆さんの参考になるかならぬか知りませんが、お伺いいたしたいと思います。先ほど少し承つたのでありますが、安本というのは通産関係もしくは大蔵関係あるいは農林関係、各省に関係があると信ずるのであります。今日の経済立法については主として安本が各省の連絡をとつてつておると聞いておりますが、事実そうであるかどうか承りたい。
  41. 松尾金蔵

    ○松尾説明員 委員会出席の件については重ねておわびを申し上げます。  次に今のお尋ねの経済立法という点でありますが、経済立法、経済関係法律と一品に総括的には必ずしも申し上げにくいかと思います。たとえば同じような名前がついておりましても、輸出銀行とそうでない普通の銀行法というような関係になりますと、その点多少趣を異にすると思いますが、ただいまのお話がもし輸出銀行というようなものということでございましたら、輸出銀行法につきましてはずつと以前の案から大蔵省の立案、それからこれはまつたく事務的な内部の話でございますけれども、通産省もいろいろ細部の案を練つておつたようであります。いろいろその関係の案の調整は、当初からずつと最近まで安定本部によつて双方の案の特長も見、またたびたび会議を開きまして、その間の調整はやつて参つたつもりでございます。
  42. 三宅則義

    ○三宅(則)委員 しからば今お話によりますと、大蔵省と通産省との間の連絡をとり、また調節をとつた、こういうお話でありますから、私は川島君の言のあとを引継いで言うわけではありませんが、昨日であつたか、朝から大蔵大臣が出席したら、すぐ安本も来るというふうにして審議を促進することこそ、与党といたしましても要望おくあたわぬものがある。  もう一つ参考にお伺いしたいのでありますか、かような案をでつち上げたということにつきまして、向うとの交渉は安本がやつたんですか、それとも大蔵省がやつたんですか、ちよつと伺いたい。もし必要なら速記をとめていただいてけつこうです。
  43. 夏堀源三郎

    ○夏堀委員長 では速記をとめて…。     〔速記中止〕
  44. 夏堀源三郎

    ○夏堀委員長 速記を始めて……。
  45. 小山長規

    ○小山委員 ちよつと関連して伺いたいのでありますが、輸出銀行だけではなく、輸出入銀行という考え方かあつたはずであります。安定本部としては、おそらくその間の利害得失を御研究されたでありましようが、なぜ輸出入銀行というふうにならなかつたか。これはきのう実は質問したかつたのですが、しかしきのうはちよつとそういり余裕も実はなかつたものでありますから、その機会を失したのでありますか、私は安定本部が関係しておつたとは美は知らなかつた。ところが安定本帥が関係して、あなたもその当事者であつたということでありましようかりその間のいきさつあるいは利害得失、あるいはその経過というようなことを一言説明していただき」たい。
  46. 松尾金蔵

    ○松尾説明員 新聞等にも伝えられました輸出入銀行という、輸入を含めた意味の業務方法なり、業務内容等については、実はそれほど、各省集まつて十分検討したというような事情は、特にございませんでした。当初から名前はいろいろでございましけれども、現在案になつておりますような内容で、ほどんど一貫して参りました。途中例の輸入資、金の問題で、輸入ユーザンスの問題が、いろいろ御承知のように問題になつたことかございます。あのころ、あるいはその少しあとであつたかもしれませんが、輸入も一緒にというよろな意見が通産省方面にもあつたようでありますが、法案の審議としてはずつと輸出銀行、現在の案の内容を主流として審議をされて来たような次第であります。
  47. 小山長規

    ○小山委員 法律案はそうでありましようけれども、法律案をつくる前提として、輸出入銀行というような考え方で研究されたことはないか。特に輸入証券の発行というようなことを研究されたことはありませんか。
  48. 松尾金蔵

    ○松尾説明員 各省集まりまして、輸入業務をいわゆる輸出入銀行というような形で持ち込むということについて特に真剣な論議をいたしたわけではございませんので、ここで私が申し上げましても、これは私の意見ということになるおそれがございますので、差控えるのでございますが、大体これはまあ私の意見になるかもしれませんか、現在のところ輸出銀行の中に輸入の業務を加えた方がいいという意味で、二つの意味があるのではないかと思います。一つ輸入資金の問題についてこういう同じような方式で、日本輸入業者資金手当のいい方法を与えたらどうかという一つ方法であります。この点はしかし御承知のように、輸入に伴う直接の資金としては、例の輸入ユーサンスの問題として一応片がついたような形になつておると思います。もう一つは直接輸入業者ではないけれども、輸入業者が、現在の制度でいえば輸入ユーザンスを使つて輸入した物資を、さらに今度はほんとうの意味の物資需要者が引取る場合に、その町取り資金について、何か同じよ、うな方式で、資金をつけてやる方法はどうか。まあそういう点にも関達して来るのではないかと思うのでありますが、そごまで参りますと、現在のいわゆる輸入金融と言つておる範疇よりも、もう一つ次の段階でございます。これは私見にわたるかもしれませんが、輸出入銀行法案というような形では、少し段階が進み過ぎておるような感じがいたすのであります。
  49. 三宅則義

    ○三宅(則)委員 ただいま小山君の質問によつてわかつたわけでありますが、今の中心日本輸出銀行というのでありますが、もし重大な変化かない限り、たとえば講和会議が開かれるというような場合には、もちろん問題は解決すると思いますが、次の国会等において、今言つたような輸入を含めたところの大幅な改革案を考えられつつありますか。それともそんなことは事務当局としては知りませんか。その点ひとつ承りたい。
  50. 松尾金蔵

    ○松尾説明員 少くとも現在までのところ、そういう案は事務的には何ら研究いたしておりません。
  51. 三宅則義

    ○三宅(則)委員 それではもう一つ方向をかえて伺います。先ほど貿易関係について承つたのでありますが、東南アジア、あるいは南方方百面ということになるわけでありますが、これがまた南米方面についての貿易状態について、もし希望の持てる関係がありましたら知らせていただきたい。あなたの知つていらつしやるところでけつこうですから承りたい。
  52. 松尾金蔵

    ○松尾説明員 もし詳細な数字が必要でございますれば、あとでまたお届けいたしまするけれども、大体本年度の統計数字て、申し上げますと、本年度の一月から八月までで、輸出の実績が四億五千万ドルほどあるのでありますが、そのうち南米向けの輸出というのは千六百万ドル程度でございます。輸入につきましては本年度の一月から八月について総額六億七百万ドル輸入でございますが、そのうち南米からの輸入は二千五百万ドル程度の輸入なつております。
  53. 夏堀源三郎

    ○夏堀委員長 委員長よりこの際に、あらためて経済安定本部政府委員に申し入れておきます。本委員会はこの臨時国会中、短期間にもかかわらず二十の法案を取扱つております。特に昨日の輸出銀行の重要な法案につきましては、各委員も非常に熱心に質疑をいたしたかつたのでありますが、しかしどうしても昨日のうちに通さなければならぬ。通さなければ、政府としても非常にお困りであろう。こういうようなことで、私どもとしては政府に協力するというような意味のもとに、安定本部に出席を求めたのでありますけれども、とうとう出席がなかつたということで、ただいま川島委員及び三宅委員からも、これに対する御警告があつたのであります。私委員長としてもまことに同感であります。よつて経済安定本部の政府委員に対してこの際に今後かくのごときことのないように、きつき警告を発しておきます。各政府委員にそのことを十分にお申伝え願います。  これをもつて散会いたします。     午後四時四十分散会