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1950-12-08 第9回国会 衆議院 大蔵委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年十二月八日(金曜日)     午前十一時三十五分開議  出席委員    委員長 夏堀源三郎君    理事 奧村又十郎君 理事 小山 長規君    理事 西村 直己君 理事 田中織之進君       有田 二郎君    島村 一郎君       高間 松吉君    清水 逸平君       苫米地英俊君    三宅 則義君       宮幡  靖君    内藤 友明君       宮腰 喜助君    川島 金次君       米原  昶君    竹村奈良一君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 池田 勇人君         通商産業大臣  横尾  龍君  出席政府委員         外務事務官   島津 久大君         (政務局長)         大蔵事務官   石原 周夫君         (主計局次長)         大蔵事務官   舟山 正吉君         (銀行局長)         中小企業庁長官 小笠 公韶君  委員外出席者         大蔵事務官         (銀行局総務部         長)      杉山知五郎君         通商産業事務官         (通商振興局         長)      岡部 邦生君         通商産業事務官         (中小企業庁振         興部長)    記内 角一君         專  門  員 椎木 文也君         專  門  員 黒田 久太君     ――――――――――――― 十二月八日  委員川野芳滿君及び田中啓一君辞任につき、そ  の補欠として藤枝泉介君及び清水逸平君が議長  の指名で委員選任された。 同日  西村直己君及び田中織之進君が理事補欠当選  した。     ――――――――――――― 十二月八日  協同組合による金融事業に関する法律の一部を  改正する法律案(第八回国会衆法第一二号、参  議院継続審査) の審査を本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  理事の互選  小委員及び小委員長選任に関する件中小企業信  用保険特別会計法案内閣提出第四二号)  日本輸出銀行法案内閣提出第四三号)  協同組合による金融事業に関する法律の一部を  改正する法律案(第八回国会衆法第一二号、参  議院継続審査)  小委員長報告聽取   請 願  一 揮発油税軽減に関する請願辻寛一君紹    介)(第一四号)  二 同 (渡邊良夫紹介)(第一五号)  三 同(塩田賀四郎紹介)(第一六号)  四 減税等に関する請願風早八十二君紹介)    (第一七号)  五 かみそり類に対する物品税撤廃請願(三    宅則義紹介)(第一八号)  六 つめ切りに対する物品税撤廃請願三宅    則義紹介)(第一九号)  七 毛拔きに対する物品税撤廃請願三宅則    義君紹介)(第二〇号)  八 時計類及び同部分品等に対する物品税撤廃    の請願前尾繁三郎紹介)(第二一号)  九 色紙等に対する物品税撤廃請願三宅則    義君紹介)(第二二号) 一〇 金庫に対する物品税撤廃若しくは免税点設    定の請願三宅則義紹介)(第二三号) 一一 つり用具に対する物品税撤廃請願(守島    伍郎紹介)(第二四号) 一二 家具に対する物品税撤廃請願(守島伍郎    君紹介)(第二五号) 一三 酒税引下げに関する請願山本利壽君紹    介)(第二六号) 一四 元林飛行場国際飛行場化反対請願(成    田知巳紹介)(第二七号) 一五 関税法第九十九條の開港失格條項撤廃に関    する請願玉置信一紹介)(第五三号) 一六 国庫負担率算定方法公開請願山崎岩男    君外一名紹介)(第六七号) 一七 不動産担保による長期金融対策確立請願    (山崎岩男君外一名紹介)(第六八号) 一八 児童用乗物類に対する物品税撤廃請願(    有田二郎紹介)(第六九号) 一九 碁将棋具に対する物品税免税点設定に関    する請願松永佛骨紹介)(第一三〇    号) 二〇 てん茶に対する物品税撤廃請願三宅則  義君紹介)(第一三一号) 二一 卓球ボールに対する物品税撤廃請願(三    宅則義紹介)(第一三二号) 二二 はち蜜に対する物品税撤廃請願外四件(    三宅則義紹介)(第一三三号) 二三 国民金融公庫宮崎支所資金増額に関する    請願川野芳滿紹介)(第一三五号) 二四 旧軍都転換特別措置に関する請願前田郁    君紹介)(第一三六号) 二五 児童用乗物類に対する物品税撤廃請願(    中野四郎紹介)(第二〇八号) 二六 写真感光材料に対する物品税適正化請願    (猪俣浩三君外一名紹介)(第二〇九号) 二七 黒糖に対する消費税撤廃請願原田雪松    君外四名紹介)(第二一〇号) 二八 楽器に対する物品税撤廃請願西村直己    君紹介)(第二一一号) 二九 ミシン類に対する物品税撤廃請願江崎    真澄紹介)(第二 一二号) 三〇 兒童用乗物類に対する物品税撤廃請願(    江崎真澄紹介)(第二六七号) 三一 ラジオ受信機等に対する物品税減免請願    (門司亮紹介)(第二八九号) 三二 黒糖に対する消費税撤廃請願吉田安君    外一名紹介)(第三〇二号) 三三 家庭用ミシンに対する物品税撤廃請願(    三宅則義紹介)(第三〇四号) 三四 築上郡に税務署設置請願平井義一君紹    介)(第三〇五号) 三五 たばこ消費税を創設して專売益金の一部を    都道府県税に委譲の請願中村清紹介)    (第三三八号) 三六 人形等に対する物品税減免請願西村直    己君紹介)(第三五〇号) 三七 鏡台に対する物品税適正化に関する請願(    西村直己紹介)(第三五一号) 三八 製塩賠償価格地区的差別設定請願(三    宅則義紹介)(第三七一号) 三九 帽子に対する物品税撤廃に関する請願(西    村直己紹介)(第三七二号) 四〇 うば車に対する物品税撤廃請願西村直    己君紹介)(第三七三号) 四一 衣装人形に対する物品税減免請願西村    直己紹介)(第三七四号) 四二 楽器に対する物品税撤廃請願)(西村直    己君紹介)(第三七五号) 四三 花むしろ野草むしろ輸出合格品に対    する物品税撤廃請願小平忠紹介)(    第三七六号) 四四 芋あめに対する物品税撤廃請願西村直    己君紹介)(第三七七号) 四五 減税に関する請願風早八十二君紹介)(    第四三二号) 四六 同(風早八十二君紹介)(第四三四号) 四七 同(風早八十二君紹介)(第四三七号) 四八 同(風早八十二君紹介)(第四三九号) 四九 同(風早八十二君紹介)(第四四二号) 五〇 同(風早八十二君紹介)(第四四四号) 五一 清涼飲料及び嗜存飲料に対する物品税撤廃    の請願塚田十一郎紹介)(第四三三    号) 五二 未帰還者留守家族待遇改善に関する請願    (吉武惠市君外一名紹介)(第四四三号) 五三 家畜用及び製革用塩価引下げ請願(遠藤    三郎紹介)(第四四五号) 五四 未帰還者留守家族越冬資金支給請願(    吉武惠市君外一名紹介)(第四四七号) 五五 神供だるまに対する課税免除請願(小峯    柳多君紹介)(第四九三号)   陳情書  一 復興金融金庫貸付利息並びに回収に関す    る陳情書    (第三    号)  二 船員の特別加算手当に対する課税免除の陳    情書    (第三八号)  三 日本銀行富山支店設置陳情書    (第一〇七号)  四 酒類価格引下げに関する陳情書    (第    一一五号)  五 予算編成に関する陳情書    (第一二〇号)  六 国内産砂糖消費税廃止に関する陳情書    (第一五三    号)  七 国庫補助金等早期指令に関する陳情書    (    第一九六号)  八 碁石、碁盤に対する物品税撤廃陳情書    (第二〇〇号)  九 陶磁器製品に対する物品税撤廃陳情書    (第二〇一号)   日程追加  一 はち蜜に対する物品税撤廃陳情書    (第三三二号)  二 財政金融政策に関する陳情書    (第三三五号)  三 長期資金調達のため預金部資金、見返資金    の運用に関する陳情書    (第三三六号)  四 未復員者給與法の一部に関する陳情書    (第三三八号)  五 公務員共済組合赤字国庫負担に関する陳    情書    (第三四一号)  六 公私営法人間の租税負担均衡に関する陳情    書    (第二一六号)  七 つり用具に対する物品税撤廃陳情書外三    件    (第二一九号)  八 小型自動車等物品税撤廃に関する陳情書    (第二五一号)  九 閉鎖機関整理委員の転用に関する陳情書    (第二五二号) 一〇 映写機、同部分品及び附属品に対する物品    税の税率減免に関する陳情書    (第三〇一号) 一一 葉たばこ賠償金の引上げに関する陳情書    (第三    〇六号) 一二 粗製しよう脳及びしよう脳油収納価格引    上に関する陳情書    (第三〇八号) 一三 通造用固定資産の評価に関する陳情書    (第    三一七号) 一四 ピグメント・レジン・カラー輸入関税に関    する陳情書    (第三三〇号)     ―――――――――――――
  2. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 これより会議を開きます。  議事に入ります前にお諮りいたします。去る三日理事田中織之進君が、同じく西日理事西村直己君が委員を辞任されましたに伴いまして、理事が二名欠員になつております。この際理事二名の補欠選任を行いたいと存じますが、前例によりまして委員長において指名いたすに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 御異議ないと認めます。それでは去る四日油中織之進君、及び五日西村直己君が再び本委員となられましたので、同君を理事に指名いたします。     —————————————
  4. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 次に本委員会におきましては、ただいままで請願が五十五件付託され、陳情書が二十三件送付に相なつております。請願及び陳情書審査の便宜上、請願及び陳情書審査小委員会を設置いたしたいと存じますが、この点御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 異議ないと認めます。なお小委員及び小委員長選任につきましては、委員長に御一任を願います。     —————————————
  6. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 次に、昨七日本委員会に付託に相なりました中小企業信用保特別会計法案、及び日本輸出銀行法案の両案を一括議題といたしまして、まず政府より提案趣旨の説明を求めます。池田大蔵大臣
  7. 池田勇人

    池田国務大臣 ただいま議題となりました中小企業信用保険特別会計法案提出理由を御説明申し上げます。  今回政府におきましては、中小企業者の行う事業振興をはかる目的をもちまして、中小企業信用保険法案を別途提出いたしまして御審議を願つているのでありますが、政府がこの中小企業信用保険制度を実施いたすことになりました場合には、その経理状況を明確にいたしますため、一般会計と区分して中小企業信用保險特別会計を設けまして、これを経理するのが適当と考えられますので、この法律案提出した次第であります。  次にその内容の概略を申し上げますと、この会計歳入歳出につきましては、保険料中小企業信用保険法案規定により政府保險金支拂つた後、金融機関に代位した貸付金債権回収金一般会計からの繰入金及び附属雑収入をもつてその歳入とし、保険金保険料還付金事務取扱費その他の諸費をもつてその歳出といたしておりまして、これにより政府の行う中小企業信用保険に関する総理の全体を明らかにいたし、またこの会計予算及び決算の作成及び提出に関する手続等特別会計に必要な事項を規定いたしておるわけであります。  第二に日本輸出銀行法案につきまして、提案理由を御説明いたします。  わが国経済復興費易の演ずる役割はきわめて大きく、なかんずく輸出の伸長こそがわが国経済の自立を達成するための捷径でありますことは、いまさら申し上げるまでもないところであります。最近の諸情勢にかんがみましても、米国の対日援助は、近き将来において大幅かつ急速な減額を見るものと信ぜられるのでありまして、このような情勢に即応いたしますためにも、あらゆる施策をあげて輸出の促進に集中しなければならないと考えるものであります。  従来わが国貿易は、軽工業製品中心とする加工貿易方式をもつて主として運営されて参つたのでありますが、戦後における世界諸国生産力の回復、なかんずく東南アジア地域経済力進化発展考えますときは、繊維製品中心とする従来の貿易内容に安住することなく、わが国貿易はさらに一層の飛躍改善を要請せられているということができるのであります。  他面わが国主要取引国たるこれら諸地域は、今次大戦及びそれに続く戦後内乱の時期を経て低下した生産水準、遅れた産業構造を回復するため、現在開発工業化の過程にあるわけでありまして、そこにおいて需要されるものは、工場設備、重機械、船舶、車輌のごとき耐久資本財なのであります。しかしながら、これら諸地域は一般的に対外支拂い手段、なかんずくドル資金の不足に悩んでおり、これら建設もしくは開発関係資材輸入も、必ずしも意のごとく進捗しない状況にあるといわれております。もちろんこれら諾地域は、現在すでにそれぞれ米国その他の先進諸国よりの対外援助を受けており、また今後いわゆるポイント・フオア・プログラムの具体化等により、相当程度外貨資金を獲得し得るものと期待されております。しかしながら、厖大な人口と地域を有するこれら後進諸国が、短期日のうちにその近代化工業化計画を達成し、安定した所得水準に到達し得るような巨額援助を受けることは、かなり国難であるといわねばなりません。  いずれにいたしましても、インド、パキスタン、ビルマ、フイリピン、タイ、インドネシア、インド支那のごとき諸地域は、それぞれの経済復興及び産業開発計画あるいはこれに類する工業化計画を持つており、その進捗に応じて設備機械のごとき資本財に対する需要は、現実に起つて来ているのであります。このような需要に応じ、彼らの必要とする設備、施設を供給するばかりでなく、わが国の進んだ技術をも提供することによつて、これら諸地域経済開発に協力することは、将来におけるわが国輸出製品市場を永続的に確保し得ることともなり、まさに双方の希望と利益に合致するものということができるのであります。  ただこれらプラント設備等資本財は、一件の金額が巨額に上るばかりでなく、さきにも一言いたしましたごとく、これら未開発地域対外決済手段にも不足しておりますので、その支拂いを一時に行うことはきわめて困難な状況にあるのであります。のみならず、これらプラント設備国内における生産には、かなり長期間を要するのでありまして、これを船積み出荷するまでの生産金融が、ぜひともこれに伴うことが必要となつて来たのであります。このように考えますと、プラント設備輸出のための金融は、商品の生産から船積みを経て相手国に着荷すえつけを了し、最終的な代金の決済を受けるまでには、相当の長期間にわたることを覚悟せねばなりません。この種金融は、諸般の情勢から考えまして、市中銀行その他の金融機関にのみ期待することは、困難かつ不適当といわなければならないのでありまして、ここに何らかの対策が必要とされるに至つたのであります。  政府は、このような情勢並びにそのよつて来る原因にかんがみまして、ここに政府出資による独立の金融機関を設置し、この種金融を行わしめることとしたのであります。政府からの出資は、本年度一般会計より二十五億円、見返資金特別会計より二十五億円、合計五十億円、明年度一般会計より五十億円、見返資金特別会計より五十億円、計百億円、本年度及び明年度を合せまして合計百五十億円を予定いたしております。その際、政府において特に考慮を拙いました点は、全額政府出資からなる金融機関であつて、いかにせばその能率的な運営を確保し得るかという点でありまして、この見地に立つて役職員の任免及び地位、大蔵大臣監督予算編成及び執行経理その他の面におきまして、できる限り無用の拘束を少くし、その能率的運営の実効を期したのであります。なおその業務は、国内輸出業者または輸出品製造業者に対する貸付または手形の割引ばかりでなく、外国の政府地方公共団体輸入業者等に対しても行い得ることとなつておりますが、その業務の重点は、さしあたつて国内業務に置かれるものと考えております。  何とぞ御審議の上、すみやかに賛成せられるよう切望してやまない次第であります。
  8. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 それでは両案を一括議題として質議に入ります。有田君。
  9. 有田二郎

    有田(二)委員 このうちの日本輸出銀行法について大蔵大臣の御所見を承りたいのであります。本国会はもう日にちがないのでありますが、もしもこの法案通つたと仮定いたしまして、その場合にいつごろこの銀行を開店させるか。この点について大蔵大臣所見を伺いたい。
  10. 池田勇人

    池田国務大臣 私の気持といたしましては、この十二月中にでもやりたいというくらいな気持で進んでおるのでございます。
  11. 有田二郎

    有田(二)委員 それでは大臣は十二月中とお考えになつておられまするけれども事務の都合で遅れることもあり得るわけであります。そのために輸出の状態が悪くなることもあり得るわけであります。それに対するこの銀行ができるまでの金融処置について、大蔵大臣はどういうお考えを持つておられますか。
  12. 池田勇人

    池田国務大臣 通産大臣の話では、こういう制度政府において考えられておるので、大分プラント輸出的の契約が進行中であるとであります。従いまして、これの設立に対して時間を要するようなことがあるならば、一応特別の措置考えてくれという申出があるのであります。私といたしましては、輸出振興は、先ほど申し上げましたように、非常に必要であり、また急いでやるべきだという考えを持つておりますので、通産省と打合せいたしまして、できるだけの措置を講じたい、かように考えております。
  13. 有田二郎

    有田(二)委員 それからこの輸出銀行法についてもそうでありますが、大蔵大臣監督という文字が入つております。実際大蔵大臣はこまかいところまで監督するのではなくして、銀行局長以下の各員がやるために、監督不十分の点がいろいろな面であると思うのです。その点われわれが国会でいかに法律をこしらえても、執行大蔵省でやるのであるから、その執行の面についてひとつしつかりやつていただきたい、こうわれわれは考えるのでありますが、大臣としての御所見なり御決意を承りたい。
  14. 池田勇人

    池田国務大臣 大蔵省監督はぜひとも必要でございまするが、あまりこまかいところの監督規定を置きましてやりますと、実際の運営が思うように行きませんので、こまかいところよりも大綱につきまして、私が直接監督したいという気持を持つておるわけであります。
  15. 有田二郎

    有田(二)委員 大綱につきまして監督するというのはわれわれも賛成でありまして、あまり小さいところまでほじくりまわすことはよくないが、大綱において大蔵大臣がなめられておるというようなことでは——私は冒頭で本委員会大蔵大臣からなめられておるという議論を言つたことがあつたのでありますが、ちようどそれと同じように、大蔵省銀行関係からなめられておるというのであつてはならないのでありまして、十分ひとつ今の御決意のところを、官庁側においても御履行願いたいと思うのであります。  最後にお尋ねしたいことは、本日の新聞にすでに日本輸出銀行総裁名前が発表されておる。これはもちろん大蔵省としては責任のないことであろうと思うのでありますが、しかしながら大蔵省においても十分新聞社と連絡をとつていただきまして、本国会にかからない前にすでに総裁名が発表されるということのないように、十分ひとつ注意を願いたい。ようやく今この委員会日本輸出銀行法案がかかつておるのに、その日の朝刊に総裁名が発表されておる。もちろんこれについては新聞社の臆測でおやりになつたことと思いますので、大蔵省の直接の責任はございませんけれども大蔵省に出入りしておられる新聞記者諸君とよく話合いをせられまして、かかる国会を軽視するような記事の出ないように十分御注意を願いたい。これに対する大臣の御所見を承りたいと思います。
  16. 池田勇人

    池田国務大臣 お話の通りでございまして、まだ法案審議していないときにああいうことが出るということは、まことに遺憾でございます。私といたしましては、法案通過後人選をいたしたいと思つておるのでございます。まだ私の意見として何とも漏らしたことはないのであります。この輸出銀行の性質にかんがみまして、愼重にりつばな人を選定したいという考えを持つております。
  17. 内藤友明

    内藤(友)委員 二、三お尋ねを申し上げたいと思いますが、実はこういう重要な法案臨時国会最終日に突如として出て参りまして、すみやかに審議するようにというお言葉でありますので、そのお言葉に沿いまして、なるべくすみやかに審議いたしたいと思つておるのであります。実はこの二つの法案は、中小企業並びに貿易業者にとつてまことに待望の法律でありまして、けつこうなのでありますが、こういうのを見ますと、私どもはまことにどうも変な気持が実は起きるのであります。農村に住み農村のせわをしております者は、ほかの方ばかり一生懸命にやつておるという印象を強く與えられるのでありまして、実はやきもちがやけるのであります。そこで農林関係金融の問題につきましては、先般大蔵大臣の非常に強い御決意をお聞かせいただきましたので、私どもは非常に心待ちに待つておるのであります。少くともこういう法案と同時に出るものだと思つておりましたが、農村関係はまたまた繰延べになりました。先般の非常ないいいわゆる朗報も、またただ朗報に終るのではないかと心配いたしておるのであります。そこでこれはまあいずれ大蔵大臣の御施策の御提案を待つことにいたしまして、実は今までありましたものにつきましても二、三お尋ねいたします。こういうことがありますと、いよいよ私どもはさびしい気持を持つて行かなければならぬということになるのであります。と申しますのは、先般もお尋ね申し上げましたように、さつそく農林中金に対して、見返り資金から優先出資二十億をしていただいたのでありますが、これの配当率中金法法律規定にもかかわりませず、七分五厘ときめられまして、従つて配当でありますから、それにかかりまする事業税法人税のようなものは当然とられるのであります。最終利率は一割二分八厘になるということは、この前申し上げたのであります。これは名前配当でありますが、事実これは利息なのでありまして、これは天引きで差上げなければならぬのでありますから損金であります。損金ということになりますれば、これは事業税でありますとか法人税とかいうものは、当然かからないのであります。貿易業者でありますとか中小企業者に対しては、非常にお手厚いこういうふうな施策を講ぜられますが、今あるものでも何だか赤子の手をもぎとるようなことをなすつているような感じを持つておるのであります。こういうものを何とかひとつこの際弱い者のために、御配慮を願われないのかと思うのであります。大臣からお答えをいただけるとけつこうなことかと思いますが、銀行局長の方からでもけつこうでありますが、赤子の手をもぎとるのかもぎとらないのか、ひとつお聞かせをいただきたいのであります。
  18. 池田勇人

    池田国務大臣 農林中金への出資の問題でありますが、今後も農林中金に見返り資金から出して行きたいという考えを持つております。これは来国会において早々に農林漁業金融のために、一般会計から二十億円あるいは見返りから四十億円、これを出す計画でおります。この農業の方とか漁業の方は、これは非常に重要視しておるのでありますが、この年末を控えまして中小企業状況あるいは輸出状況から考えますと、これが早く出て行かなければならない。そうすると農林の方はあとでいいかと申しますと、今のところ農林中金の方は金繰りはついて、来年の三月ごろから少し苦しくなるので、それまでには十分間に合わしたいと思つております。  次にお話の見返り資金からの農林中金あるいは興銀、勧銀への出資につきましては、優先株として配当を支拂う。こうしますと利益処分になるから、相当資金コストが高い。これはこの前の国会で小山委員が、七分五厘の配当ということになると、一割二、三分に金をまわさなければいかぬ、これは政府の低金利政策に反するじやないか、こういうきつい御質問を受けたのであります。その後検討いたしまして、やはりこれは小山委員が言われたり、あるいは今内藤委員の言われるように、実質は借入金のようなものである。社債と心得てもいいような実質を持つておりますので、利益処分ということでなしにこれは借入金のようにして、これに対して税をとらないということを考えているのであります。これまた来国会には法案提出することを今考えております。そうしてとにかく長期資金のコストをできるだけ下げて行こう、こういうことを考えているのであります。来国会にはお話のように、農林漁業金融に対しまして六十億、そしてまた今まで出ている見返りからの優先株出資の分を免税する。この二つの関係法案を出すことは、ただいまお約束してもよろしゆうございます。
  19. 内藤友明

    内藤(友)委員 もう一つお尋ね申し上げたいのでありますが、実は漁村におきまして漁業の民主化——これは委員長が一番御関係が深いのでありますが——ということからいたしまして、漁業証券というものが、二十六年度中に少くとも百七十億ほど出ることに、実はなつているのであります。私も過去の農地証券の事情もよく知つているのでありますが、この百七十億の漁業証券というものを分散いたしますと、これを資金化しましたり、また資金化によりまして漁業施設資金に向けたり、あるいは漁業経営費に向けたりするということが、できなくなるというおそれがあるのでありまして、これを何とか百七十億の漁業証券を一本にいたしておきまして、漁民のために有効に使つて行くということを、考えなければならぬのじやないかと思うのであります。従つてこれを系統組織にひとつ十分扱わして、分散を阻止するような措置を講ずることが、漁業振興の点から非常に大切なことではないかと思うのであります。これは非常に小さいことでありますけれども、そういうことにつきまして大蔵当局は、以前の農地証券のように、何でもばらばらにするのだというような考えであるかどうかということを、お尋ねいたしたいと思うのであります。
  20. 舟山正吉

    ○舟山政府委員 漁業証券の問題につきましては、農地証券の例にもかんがみまして、その資金を分散させずに、統一してこれを利用したいという御意見のあることは前から伺つております。しかし何分この問題は関係法案が出ておりませんので、具体的なことは申し上げかねますが、金融的な見地からできるだけ御趣旨に沿つたような方策を講じたいと考えております。
  21. 宮腰喜助

    ○宮腰委員 今日急速に提出された銀行法案の問題でありますが、こういうふうな重要法案提出する場合は、公聽会なり、あるいは事前に予備審査なりやつて行くのが、普通の順序ではないかと思うのです。この法案は現在急に政府考えられたものではありません。ずつと以前から輸出奨励という意味から、里門の輸出銀行をつくらなければならないという意見もあり、法案はおそらく一月以前からでき上つていたのではないかと思いますが、こういう法案はどうしても公聽会を開き、予備審査なりして提出するのが普通の順序じやないかと思う。本日これを提出され、明日に会期延長になつたとしても、きようあすでこれだけの重要法案を簡単に仕上げてしまうということになると、国民は、議会というものは実に軽率である、わずか日ばかりの間にこれだけの重要法案をきめてしまう、こういうことになるのでありまして、われわれは非常に遺憾に思うのであります。その点について、どうして、この法案がきよう提出され、しかも一月中も二月も前にこの法案提出される段階にあつたのじやないかと思うのですが、どういう理由で今日まで延びておつたか。この点についてお伺いしたい。
  22. 池田勇人

    池田国務大臣 大体の法案はお話の通り一箇月くらい前からできておつたのでありますが、細目の点につきまして関係方面との話合いで非常に手間取つてつたのであります。その点まことに申訳ないと考えておるのでありますが、事柄自体が一日も早く施行したい問題でありますので、短期間でありますが、ひとつできるだけの御説明をいたしたい。御了解を得たいと思います。私どもとしましても開会劈頭に出すつもりでおつたのでありますが、こまかい点でああでもない、こうでもないというので、実は遅れたような事情であるので、御了解願いたいと思うのであります。
  23. 宮腰喜助

    ○宮腰委員 もちろんこの両法案というものは、国民が非常に期待をかけておる法案でありまして、われわれもできる限り、徹夜しても通過させたいという努力は傾けてみたいと考えておりますが、何分会期が短かい最終段階になつておるのでありまして、政府の思う通り審議が完了するかどうか非常に疑つておる次第であります。いろいろ審議するとたくさんの問題が起きて来ます。大蔵大臣銀行に対する監督権の問題ですが、これは新銀行法の問題でも、金融政策問題については、日銀のポリシー・ボードを経なくても、大蔵大臣金融政策を自由に裁定できるということを、あの條文の中にもうたつておるようで、大分業者の中からもいろいろな問題が起きておつたようであります。この輸出銀行監督権の範囲の問題ですが、これはけさの新聞によると、銀行法が通過しない前にすでに総裁が発表になつておるようでありますが、この総裁に対する監督権あるいは直接金融問題については監督権を行使するか、あるいは総裁に大幅にあらゆるものを見さしておいて、その監督だけするのか、この監督権の範囲の大小によつては、政治的にこの資金の関係が左右される心配がありまして、公平なる輸出金融はできないのではないかという心配がありますので、この監督権の範囲の限界をお伺いしたいと思います。
  24. 池田勇人

    池田国務大臣 先ほど申し上げましたように、まだ総裁はきわめておりません。本格的な人選にも入つていない状況であるのでありますから、御了承願いたいと思います。次に監督権でございますが、これも先ほどお答えいたしましたように、私はりつばな人物が総裁になられるならば、あれこれ言わない方がかえつて銀行の目的を達成し得るのではないか、こういう考え方で、一般の銀行のようにこまかい規定なんかしない方がいいという考えで進んでおるのであります。
  25. 宮腰喜助

    ○宮腰委員 それからこれは日本輸出銀行法となつておりますが、元来今までの政府直営の形のような銀行は、大体金融公庫という字句を用いるのが普通であつたのであります。政府みずから提出する場合に、この銀行という字句は非常に妥当を欠いておるように思うのですが、この銀行というものは民間が参加した半官半民の形の銀行ではないか。従つてこの資金については、おそらく直接預金部資金から出すことは不可能じやないかというような、いろいろな議論が出て来るのでありますが、この銀行という字句を使わないで、あるいは輸出金融金庫という字句を使うのが、妥当のように考えておつたのでありますが、その点についてお伺いいたします。
  26. 池田勇人

    池田国務大臣 これは金庫にするか、銀行にするか考えたのでありますが、私はほんとうのいわゆる商業的な気持に立つて貿易の立場になつてやるということになると、政府機関のようなものにせずに、また職員も公務員ということでなしに、フリーな立場でやつて行けるようにした方がよいじやないか、こういうので金庫という名前をやめまして、そうして純然たるいわゆる民間銀行のような形にしたい、こういうのでやつております。従いまして職員は公務員ではございません。刑法の問題のときだけ特例を置いておるのであります。
  27. 宮腰喜助

    ○宮腰委員 これはプラント資金でありますが、貿易問題で一番ごく最近に問題になつて参りますのは、LCが来ない前の貿手の割引でございますが、これはこの前輸出銀行法案ができないときの私の質問に対しては、割引はできないが、そのかわり日銀の融資あつせんを拡充して大いに輸出金融をはかるのだ、こういう御意見でありますが、現在の日銀の融資あつせんの形は非常に薄弱でありまして、市中銀行はなかなか日銀の言うこと聞いてくれません。そこでこの輸出銀行ができた場合に、LCの来ない前の貿手割引あるいは担保貿手の割引の形でもけつこうでございますが、そういう割引をどんどんしてもらえるものでありましようかどうか。現在日本の貿易が非常に順調でありまして、ことに紡績なんかは世界で、第二、受注高では世界一と言われるくらい貿易の成績を上げております。また技術も優秀であり、将来非常に伸びて参りますが、この貿易が盛んになつて来ると同時に、LCの来る前の担保貿手の割引というものが非常に盛んになつて来ると思います。この点について政府が積極的に当つていただくならば、現在の貿易はおそらく現在以上五割あるいは倍額近くの貿易決済ができて、日本の産業經済に重大な利益をもたらすことと考えるのでありますが、大臣はLCの来ない前の貿手の割引について、いま少し金融措置を積極的に推進していただきたい。その点についてお伺いいたしたいと思います。
  28. 舟山正吉

    ○舟山政府委員 ただいまは輸出金融についてのお尋ねでありますが、この輸出の方は二十條でごらん願いますように、元来プラン十輸出金融をねらいましたので、貸付金の償還期限または手形の支拂い期限が六箇月を越えたということになつております。短期の輸出金融は従来通りという構想でございます。なお従来通りと申しましても、この輸出貿手につきましては、日銀の優遇措置がございます。ただこの輸出貿手について特に市中銀行だけの処理にまかせずに、政府あるいは日銀がこれをあつせんするといつた考え方は、ほかの金融全体につきましても、できるだけそういうような上からの干渉と申しますか、あつせんはやめて行くという大きな線に沿うておる次第でございます。  それからこの機会に印刷上の誤謬を発見いたしましたので、ちよつと御訂正願いたいと思いますが、第三章十八條の五、六行目でございます。「但し、銀行銀行法に基き設立された銀行をいう。)」とございますが、これは「(銀行法に規定する銀行をいう。)」という字誤りでございます。大体意味しますところはかわりはありません。
  29. 川島金次

    ○川島委員 私は中小企業信用保險特別会計法案日本輸出銀行法案の両案に対して、大まかな点についてだけを大蔵大臣にお尋ねをいたしまして、こまかいことはそれぞれの担当の方から詳しくあとでお尋ねをいたしたいと思います。そこでまず中小企業の問題について、大蔵大臣にお尋ねをしておきたいのですが、従来日本の歴代政府といつてもいいのですが、中小企業の救済あるいは育成、強化というようなことは、それぞれ強く叫ばれて参つた。ことに最近においては重税、金詰まり等からいたしまして、中小企業の困難が非常に倍加されております。そのための救済としての中小企業対策というものが、それぞれの角度から研究立案され、また要求もされて来ておるわけです。そこで私は本質的に大蔵大臣に、ひとつ吉田内閣の中小企業に対する態度を伺いたいのですが、ややもすればこの中小企業対策というものが、何か救済的なものの意味において取扱われる場合が多い。真に日本経済に占める中小企業の重要性というものを前提としての、是が非でも中小企業を育成強化するというねらいがきわめて乏しい。何か中小企業を社会政策的救済的な対象としておるというような感じが、非常にいたすのでありますが、大蔵大臣と申し上げるよりは、吉田内閣の中小企業に対する根本的な態度は、どういう考え方に立つてこれに対処するという立場であるか、その点をひとつ……。
  30. 池田勇人

    池田国務大臣 わが国の産業組織の状況から見まして、中小企業が非常な重要な地位を占めておることは、みな異論のないところであります。しこうしてわれわれといたしましては、衆企業に対してできるだけの積極的措置をとりたい單に救済というふうな考え方ではないのでありまして、中小企業の育成のためには、大産業へ金を流すことも間接には中小企業の育成になりますが、これではまだ不十分でありますので、あらゆる手を盡しておるのであります。金融面におきましては、全国に六十数箇所のいわゆる中小企業軍門の支店を置くとか、あるいはまた商工中金の一例を見ましても、私が大蔵大臣を引受けましたころ、商工中金の貸出しは二十億円余りでなかつたかと思いますが、しかし最近は二十箇月の間に八十億円くらいになつている。四倍近くこの中小企業に対する商工中金の融資だけでもふえておる。吉田内閣は中小企業につきまして、決して消極的ではございません。どの内閣よりも最も力を入れている。私は最近におきまして見返り資金の一・四半期三億円、これを九億円にいたしました。これで相当助かつておりますが、来年度におきましては、一・四半期九億円をもう少しふやしたい。こういう計画を持つております。積極的にやつておるということを御了承願いたいと思います。
  31. 川島金次

    ○川島委員 そこでさらにお伺いいたしておきたいのですが、なるほど金融面においていろいろの手を打たれておるということは、必ずしも十分ではないにしても、われわれも了承をしておるところであります。そこでもつと政府中小企業というものの重要性の一層の認識の上に立つて、單に金融対策だけでなく、中小企業の根本的な育成強化というものをねらい、そうして日本経済の安定自立のにない手としての中小企業の役目を十分に果し得るような何か総合的な中小企業育成強化に関する金融、技術、労務その他いろいろの問題がありますが、原料、資材、そういつたものを助成し、確保するという総合的な中小企業に関するところの一種の法律、私すぐに適当な名前は浮びませんが、とにかく中小企業の総合的な促進、振興をはかるという、総合的な一つの法律をつくつて、その法律に基いて、政府が義務的に中小企業の全体的な育成強化をはかる。そうして日本経済の振興のにない手としての、十分な中小企業に対するところの安定性を與えるというようなことも、必要ではないかというふうに私は考えられるのでありますが、そういうことについて、大蔵大臣はどのように考えられまずか。その点をひとつ……。
  32. 池田勇人

    池田国務大臣 ごもつともな御質問でございまして、通商産業省の中小企業庁というのが、そういう総合的な意味で、資材とかあるいは労務とかいろいろな点をやつておられると思つております。われわれといたしましては、この中小企業の育成に対しまして、大蔵省の関する資金面につきまして、これは私は大きく言うようでございますが、このくらい中小企業に力を入れておる国は、ほかの国にないのではないか。今年の春アメリカの国会で、中小企業に対しまして、特別の融資団体をつくろうというのが提案されておりましたが、不幸にして否決せられました。この中小企業の保險制度なんかということは、ほとんど各国にその例を見ない。国民金融公庫への出資とか、あるいは商工中金への見返りの引受けとか、長期債券の発行とか、あるいはこの御審議つております信用保険法案にいたしましても、本年度五億円、来年度十億円にいたしますと、大体これによつてカバーし得る中小企業金融が百四、五十億円に相なるのであります。こういうあの手この手をやつて金融面におきましては、私は至れり盡せりとは申しませんが、非常に力を入れておるし、これによりまして中小企業の育成発達に非常な貢献を来すのではないか、こう期待しておるのであります。
  33. 川島金次

    ○川島委員 そこでさらに、くどく言うようですがお伺いいたしたいのです。先般もこの点に触れてお伺いしたのですが、前回のこの委員会だと記憶しておるのですが、当時銀行局長であつた愛知さんの談話によりますと、当時大蔵省中小企業に関する專門的な金融機関は、どうも必要らしいというような意見があり、同時にまた興業銀行の現在の総裁川北さんでしたか、この大蔵委員会の公聽会に出て参りました際にも、どうも中小企業の專門的な金融機関というものを、しかも政府相当な額を保証するという中小企業に対する專門の金融機関は、絶対必要だというようなことを言明された記憶を私は持つておる。大蔵省の中にも愛知銀行局長がかつて言われたのでありますから、そういつた問題がかなり論議されたのではないかと、私どもは想像しておるわけです。そこで重ねてこの点くどく言うようですが、こういう保險あるいはこれに伴う特別会計というものは、なきにまさる有効なものであるということは、私どもは了承するものでございますが、ひとつ端的に中小企業金融——総会的な法制化が急に間に合わぬとすれば、金融面だけでももつと端的に率直に、中小企業の方たちに安心感を與えられるような、そうして積極的な金融がなされるような特殊銀行をつくるということも、非常に重要な意味があるのではないか、こういうふうに考えておるのですが、この点について重ねてひとつ大蔵大臣所見をお尋ねしておきたいと思います。
  34. 池田勇人

    池田国務大臣 中小企業專門の銀行を設立するということは、考えようによつては賛成でございまするが、そうかた苦しく考えると、なかなか金融というものはむずかしいものでございます。従いまして前々から申し上げておりますように、とにかく一県一行主義というものは、どうしても独占的になりやすい。そうなると小さいものが浮ばれないという考えのもとに、一県一行主義を打破いたしまして、相当資金を持ち信用のある人がおやりになるならば、どんどん銀行も認めて行くという方針をとつております。最近東北にもまた大阪にも一億円で銀行ができることになつております。これは中小企業專門とは申しませんが、その意味においてわれわれは認めて行こうといたしておるのであります。それでこの銀行中小企業專門ということになりますと、やはり資金吸収その他にも支障を来しますので、先ほど申し上げましたような全国枢要な都市におきましては、大十四の中小企業專門の支店ができまして、それから貸し出しておる金額も五十数億と心得ておるのであります。しいて中小企業專門と申しますと国民金融公庫、これも今三十億ばかりのものを持つておりまするが、今度の補正予算で十億円出し、来年度は二十億円を出そうといたしておるのであります。專門といたしましては国民金融公庫、全般的に中小企業に対するものといたしましては、今の見返り資金の一・四半期を銀行の特殊支店から流す。そしてまた商工中金が中小企業專門でございますが、これにつきましても先ほど申し上げましたように非常な発展ぶりであるのであります。こういう資本の機関をできるだけ拡充強化して行くと同時に、また地方の要請によりまして、新銀行ができるようにわれわれは勧奨しておるのであります。
  35. 川島金次

    ○川島委員 その点はそれ以上追究いたしませんが、さらについでにお伺いいたしますが、先ほど大臣からお話が出ました見返り資金の融資、一・四半期従来三億を今度九億にする。この問題について先般私の記憶ですが、せつかく見返り資金による中小企業への融資のわくを拡大したが、それに対する申込みが案外少い、こういうようなことが新聞に出た記憶が私はあるのです。この見返り資金による三億から九億円への拡大をされて、すでに幾日かたつておりますが、その後の状況によつて新聞で報ぜられておるような事情であるかどうか。もしそうであるとするならば、どういうところに原因があるのか。新聞の報道が事実といたしますれば、ちよつと不審に思わるる点がございますので、この点をお尋ねしておきます。
  36. 池田勇人

    池田国務大臣 御承知の通りに一・四半期三億円の場合には非常にたまつておりまして、要求に応じかねておつたのであります。従つて九億円にいたしたのでございまするから、私はこの見返り資金より中小企業へ出るのが非常に遅れておる、こういうことは考えておりません。しこうして手続上ちよつとやつかいな点があるというふうなことを聞いておるのでありますが、そういう手続につきましては、なるべく簡素にいたしたいという方針でやつております。そればかりでなしに、今までは銀行を通じてやつてつたのでありますが、どうしても中小企業とすれば無盡会社、信用協同組合、こういうものを通じてやつた方が実態に即するのではないかというので、今無盡会社、信用協同組合を通じてこの九億円を使うということは、関係方面と折衝中であるのであります。せつかくわくはふやしたのでございますから、これが遊んでいるというようなことは、あつてはならないことであります。私もその新聞は見ておりませんが、たまつておるとは考えておりません。
  37. 川島金次

    ○川島委員 そのことはあとで銀行局長にさらにお伺いしたいと思います。  そこで次に輸出銀行に関する問題ですが、なるほど日本の経済自立達成のために、貿易の画期的な振興をはからなければならないことは、だれしも考えておるところであります。従いましてこの輸出に関する資金の問題を、積極的に政府が手を打つという事柄につきましては、これまたわれわれも別に異議をさしはさむものではないのです。ただこの際大臣にお伺いをしておきたいと思うのですが、最近の国際情勢、ことにその情勢をめぐつてのアメリカを中心とした各国の経済情勢が、どうもこのままで推移いたしますと、次第に準戦時体制的なもの、従つてそれが順次統制的な段階に入るのが非常に濃厚になつて来た。そのために日本の非常に頼みとしておりました輸入の上に、非常な響きを今日すでに来しておる。こういう形で進んで参りますと、なるほど輸出銀行をつくり、太いに輸出の促進をはかるという政府のやり方は了とするのでありますが、これに対するに輸入計画、そしてその輸入計画を達成するということがきわめて重要なことであり、その計画の前提に立つてこそ、初めてわが国輸出というものがその計画に沿つて振興するということになるわけであります。そういうことを考えてみますると、この日本の経済自立にとつて実質的な第一要件であります輸入の関係というものが、ややもすれば非常に悲観的な感じをせざるを得ないようなことになつて来るのですが、この点について政府はどういうふうに考えておるか、これをひとつお伺いします。
  38. 池田勇人

    池田国務大臣 お話の点のような考え方をされる方もありますが、輸入促進ということは日本経済建て直しの絶対要件でございます。外貨の使い方その他にできるだけの改善を加えまして、輸入計画を促進しつつあるのであります。決して楽観はいたしておりませんが、努力によりますれば相当輸入もできると思つております。第三・四半期は輸出入とんとんくらいでございまして、第四・四半期になりますと、私は相当輸入が伸びて来ることを期待しております。
  39. 川島金次

    ○川島委員 どうもその大臣の御答弁は、ちよつとわれわれの具体的な情勢の認識の上に立つて考え方とは、かけ離れているような感じがいたします。これに対してあまり議論したくはございませんが、どうも世界情勢から見まして、日本の輸入問題というものが非常に重大な段階になるのじやないかという感じがいたします。その事柄に伴いまして、一方において日本の輸出を大いに拍車をかけるということになりますと、どうしてもこうしても国内の消費規正といいますか、そういうものがどうしても起つて来るのじやないかと思うし、それからまたそれに伴つて一種の飢餓輸出とまで行かなければならないような段階にまで来るのじやないか。そういうことになつて参りますと、政府の言つておりますところの日本の経済安定、そして自立の達成、国民生活の安定ということと、非常な矛盾をそこにはらんで来るおそれが非常にあるのではないかというような気持が、私は強くいたしておるのでありますが、そういう事柄についてなおさらに大臣考えられておりますところがあれば、重ねてわれわれに聞かしてもらいたい、こう思うのです。
  40. 池田勇人

    池田国務大臣 最悪の場合を想像して、その想像に基いていろいろな手を打つということは、私は政府としてとるべきではないと思います。やはりいろいろな場合を考えて、輸入が思うようにできなかつた場合にはどうするかというふうなことは考えなければなりませんが、あらゆる悪條件を見通して措置をとるということは、適当な措置ではないと思います。
  41. 川島金次

    ○川島委員 もつと議論したいのですが、時間がありませんので、あまり議論をするのは避けまして、さらにお尋ねをいたしたいと思います。  私も最近欧洲ことにアメリカ等を若干見て参つたのであります。その結果、欧洲においてもそうでありましたが、ことにアメリカにおいてまことに残念なことには、日本製品の粗雑性が非常に非難されておる。ことに在留邦人自身からもその事柄が非常に強く訴えられた。よほど輸出々々といつて日本の政府がたいこをたたきながら、あらゆる援助を惜しまずにやりましても、その輸出される品物が輸出先においてとかくの非難を受けるようなことであつては、私は貿易の問題のみならず、日本に対する信用というものを考えると重大な事柄であると思う。ことにアメリカあたりでも言つておりましたが、もう少し何とかかつこうのついたものを送つてくれぬか、そうすればかなり日本の製品がアメリカあたりでも売れるのだ、こういうようなことも言つておりましたし、さらにまたスイスあたりでも、今あまりないようですが、かつての日本の製品に対して、商工会議所あたりで非常に称讃を惜しまない人があつたわけです。従つて戰前のような形において日本の製品がわれわれの手に入るのであれば、大いに日本と手を握つてとつ貿易をやりたい、こういうような、むしろわれわれが非常に感銘を受けるようなことを、現実に言明しておる方にもずいぶんぶち当つたわけです、そういう事柄について、大蔵大臣は直接の関係者ではございませんが、これは通産大臣にお伺いする方がむしろ適当かと思うのですが、こういう日本の製品に対する対外的な若干の不信——若干というよりは相当な不信、その不信を何らかの形において積極的に回復するという、政府の積極的な指導監督の必要が非常にあるのではないか、こういうふうに私は思いますので、この点について国務大臣としてどういうふうにそれを指導し、監督して行くかということについて、具体的な所見がありましたら、ぜひ聞かしていただきたいと思います。
  42. 池田勇人

    池田国務大臣 川島君とまつたく同感でございまして、私も向うでそういう話をアメリカのみならず二世からも強く聞かされておるのであります。労働力の余つておるといいますか、十分ある日本でございまするから、できるだけ精密な、いいものをつくるのが本筋であるにかかわらず、いろいろな手を拔きまして、安ければいいというふうなやり方で行つていることは、まことに遺憾だと思うのであります。いつかの機会にお話したと思いますが、Aという商人はこれを十でドル売る。その契約ができますとBという商人はこれを九ドルで売る。Cという商人はまた手をはぶいてこれを八ドルで売る。こういうようなやり方をしておりまして、日本の商品を仕入れたら損をする、こういうような悪評を受けておるような状態であります。従いまして私はぜひともりつぱな物をつくつて輸出するという方向で行かなければいかぬと思います。ある人から冗談半分に私は聞いたのでありますが、四人のうち一人は一番高い物を買う。アメリカではこういうような状況だというこを聞いておつたのであります。とにかくりつぱな物をつくつて、そしてりつぱな物を売るようにすることが、日本の貿易振興の根本の考え方だと思います。しかしてそれがためにはどういう積極的な処置をとるかという問題、その他の問題につきましてはいろいろな案がありますが、事業者団体法等の制約がありまして、なかなか行きそうにありません。従つて私は輸出検査につきまして十分ひとつつて行きたいというので、今年度からもその検査の費用も見込んだわけでございまするが、特定商品の輸出検査をいたしまして、悪い物は出さないというふうな方向で行かないと、日本の貿易伸展に非常な支障があることを痛感しておるのであります。通産省その他とも打合せまして、御趣旨のような点を実行して行きたいと考えております。
  43. 川島金次

    ○川島委員 さらにもう一、二点お伺いしておきたいのですが、これも私最近まわつて来て非常に痛感しておることなんです。これもやはり大蔵大臣にお伺いするというよりは、むしろ外務大臣もしくは通産大臣にお伺いする方が適当だと思うのですが、国務大臣としての立場からも、ひとつ所見があればお伺いしておきたいと思うのです。  アジア地域ことにフイリピンですが、このフィリピンにおける対日感情というものは、われわれの感じて参りましたところでは今日でも非常に險悪であります。従つてフィリピンとの貿易関係についても、かなりこれが支障になつておることも事実だと、私は考えておるわけであります。今後日本の輸出貿易をいたします上にとつて、この相手のフィリピンの市場というものがきわめて重要であることは言うまでもない。ところが依然として戰争以来の対日感情が非常に険悪をきわめておつて、日本人が行きましても、夜分などマニラの市街は見物などができないというようなほどに悪い。こういう所がかりに現実にあるといたしましても、いかに占領治下の日本でありましても、これを国民外交的な方策によつて何らかの形で挽回し打開するという対策を必要とするのではないかと私は思う。これはフイリピンだけでなくして、ここにも非常に重要な市場として掲げておりますところのインドネシア、インド支那、こういう方面にもフイリピンと同じように、対日感情の芳ばしからざる面が相当あるわけであります。そこで講和條約をやつてからでもいいのではないかというのですが、講和條約前においても、もうすでに日本は貿易をやつており、その貿易が非常に必要になつているときですから、東南アジア方面におけるところの対日感情の険悪な地域等に対して、政府あるいは議会等が代表者を選び、そして国民的外交使節としてそれらの地域に出かけて行つて、険悪な対日感情の緩和、融和、和解、了解をはかる。こういつたことは国際的にもまた貿易の上からいつても、きわめて必要なことではないかというふうに、私はしみじみと感じて帰つて来たものでありまするが、そういうことについて政府は何か考えたことがありますかどうか。その点もしありましたならばお聞かせを願いたいと思います。
  44. 池田勇人

    池田国務大臣 川島君の言われるようなことを私は他の人からも聞いたのであります。太平洋戰争中にわれわれの同胞の犯した罪に対しまして非常に憎悪の念を持ち、それがだんだんよくなりつつはありますが、まだわれわれの想像以上に憎悪の念が残つておるということを聞いておるのであります。政府といたしましてはできるだけそういう気持が早く消えることに努力をいたしておるのでありますが、これはやはり日本国民が、ほんとうに日本国民は平和を望む国民であるということを、事実をもつて示すよりほかにないと思います。国民感情をよくするということは非常にむずかしい問題でございまするが、貿易振興その他から申しましても非常に重要な問題でございますので、政府としてどういうふうにしたらいいかということは、お互いの頭の中で考えておることであります。
  45. 川島金次

    ○川島委員 最後に一点お尋ねしておきたいのですが、この法案輸出に関する積極的な一つの対策としての施策であります。今後輸入につきましても、いろいろな意味で長期的な資金需要というものも相当つて来るのではないか。その事柄について依然として従来の方法だけにたよつておりますることは、必ずしも輸入に対する対策として万全なものではないかと私は思う。そこでこの輸入資金に対して、もう少し政府輸出資金と同様な立場に立つて、積極的な方策を持つ必要があるのじやないか、こういうふうに思うのですが、その点はどういうふうに考えられておりますか。
  46. 池田勇人

    池田国務大臣 先ほど来申し上げておりますように、輸出も必要でありますが、今のところは輸入もそれ以上に必要なのであります。従いまして、輸入のための外貨資金は十分ございますが、ただその外貨資金にマツチする国内資金が足りない、こういうことでありますので、日本銀行におきましてユーザンスの方法で来年の三月末には一億八千万ドルぐらいやる予定でおります。しかしこれは手形その他の短期のものでありまして、合理化資金その他長期の資金を何とかくめんしなければならぬ。輸入のための長期の国内資金をくめんしなければならぬ。これはただいま計画いたしております。それにはやはり預金部資金を使うよりほかにないというので、相当金額をこの方へ使おうという計画をいたしておるのであります。いずれ来年度予算におきまして、この預金部資金予算には出ませんが、詳しく御説明する機会があると思いますが、心組みは十分進めております。
  47. 川島金次

    ○川島委員 さつきちよつと聞き漏らしたのですが、大臣から御答弁があつたかもしれませんが、私の記憶が薄いので、念のためにもう一ぺんお尋ねしたいのです。先ほどの見返り資金から出しまする中小企業への融資が、今度第四・四半期に九億にふえた、明年度はもつとふやすという積極的な計画を大臣は持つておられる。これに対してもつとふやすという、そのふやし方の問題ですが、具体的にどのように考へておるか。九億をさらに十何億にするというような金額的な具体的な腹案がありますれば、この際聞かせてもらいたい。
  48. 池田勇人

    池田国務大臣 三億を九億にふやしました意味におきまして、今後もこの見返り資金から四半期九億を少しでもふやしたいというので、努力いたしておるのであります。何ぼふえるかということは申し上げるところまで行つておりません。私はせめて一億ふやして十億にでもということで、話を進めておるような状態であります。
  49. 米原昶

    ○米原委員 大臣は午前中だそうですから、私はただ一点だけ聞いておきます。輸出銀行に対して見返り資金が本年度二十五億円、来年度五十億円出る。こうなつておるわけでありますが、この点に関連してお聞きしたいのは、西欧のマーシヤル・プランでその援助資金の五%を買いつけるという、たしかアメリカ側が買付け資金としてとつておいて、アメリカ側の買付に充てるというような制度があるようでありますが、本年度のアメリカの下院における歳出委員会で、ガリオアの問題が問題になつたときに、たしかヴオリーズ氏が証言に立たれたときに、やはり日本の場合に五%の買付の制度はないのかという質問が出ていたと思うのであります。ところがくしくも今度七十五億円見返り資金から出るということになりますと、大体五%くらいに当つているので、偶然にそれが符合しているか、西欧に対するマーシヤル・プランのやり方と大体同じような形のやり方が、この輸出銀行という形を通じてやられて行くのであるかどうかを、ひとつお聞きしたいのであります。
  50. 池田勇人

    池田国務大臣 マーシヤル・プランにつめましての内容は十分知つておりませんが、そういう考え方とは違つております。全然ガリオア資金の何パーセントという考え方じやないのであります。私は今明年中に長期資金として、長期の輸出資金と申しますか、プラント輸出資金として大体百五十倍円ぐらいあつたらいいのではないか、こういうので出しておるのであります。
  51. 小山長規

    ○小山委員 こまかいことはあとで局長にお伺いすることにしまして、大田に二点だけお伺いしておきたいと思います。この輸出銀行をつくるにあたりましては、国内のいろいろな長期金融の希望が非常にあつたということが、前提になつておるのであります。従つて相当巨額輸出金融需要があろであろうと思います。これはあとでお伺いいたしますが、ただその場合にたちまち資金の枯渇を来しはしないかと考えられる。今明年度輸出金融の資本として使える金は百五十億、従つて借入金をやつてはいけないということを書かれたのは、そのような心配はたいのであるという前提でありますか。それとも将来この問題は追つて考えるのであるということでありますか。その点を大臣に伺つておきたいのであります。
  52. 池田勇人

    池田国務大臣 借入金をいたしますと限度があるし、やつかいな問題を誘発いたしますので、私はこの資金の範囲内でやりたい。しかしてこの資金の使い方につきましては、後刻説明いたすと思いますが、銀行を通じて銀行とタイアップして参りますから、その割合によつても融資金額がかわつて来ると思います。資金の潤沢のために借入金ということも考えられるのでありますが、あまり借入金をし始めますと、ほかの資金をこつちにひつぱり込むことになりますので、やはり銀行とタイアツプしてやるという方向で金額を調整する方が、適当だという考えでございます。
  53. 小山長規

    ○小山委員 そこでお伺いします。市中銀行との協調融資と申しますか、その割合については業務方法書できめるのでありますか。それとも何らかの方法で、大臣の方から、市中二なら二、輸出銀行八なら八というふうな割合を監督命令として出されるのでありますか。
  54. 池田勇人

    池田国務大臣 実は見返りの方は、輸出銀行が八割、市中が二割、こういうふうな考え方もあるのでありますが、これではきゆうくつでありますから、法律には書かずに業務規定できめたい。しかも八割割に何もとらわれることはありません。状況によつてかえ得るようにいたしたいと思います。
  55. 小山長規

    ○小山委員 そういたしますと、少し話がまた延びて参りますが、市中と輸出銀行との割合をきめないということであると、業務方法書できめるという話でありますが、業務方法書には、たとえば個々にきめるとか、その取引取引できめるというふうなきめ方をされるのでありますか。一定の幅を持たした範囲内でなければいけないというふうにきめられるのでありますか。
  56. 池田勇人

    池田国務大臣 このきめ方にはいろいろな方法があると思いますが、私はたとえば八割以内というふうにすれば、非常に弾力性があるのじやないかと思います。そういうきめ方をすれば、あるいは銀行が負担するのが五割の場合もありますし、七割の場合もある、これが適当じやないかという気持を持つております。
  57. 小山長規

    ○小山委員 それからもう一つ伺つておきたいのは、この規定をばらばらと読んでみたのですが、少しわからないところがある。と申しますのは、この貸出しのやり方によつては、輸出銀行総裁というものは、相当の見識を持つていなければならないことになると思いますし、それから市中銀行が一切合財見て行くということになるならば、大して見識を持つた人でなくても済みそうでありますが、そこのところは、貸出しをどういうふうにして選定するかということについては、市中銀行の見識を重んぜられますか。あるいは輸出銀行総裁の見識を重んじた方法で運営されるのでありますか、伺いたい。
  58. 池田勇人

    池田国務大臣 これは輸出銀行総裁の見識にまたなければならないと思います。従つて外国との取引ができ、これに融資するかどうかという下審査銀行がやりますが、決定は総裁がやる、こういうことで行きたいと思います。従つて大蔵省監督の問題でありますが、私が先ほど申し上げましたように、りつぱな万を選んでその人にまかす。そうしてその人が市中銀行をリードして決定するというのが、一番実情に沿つたやり方じやないかというので、一般の銀行監督規定とはよほど違えたつもりであるのであります。一に総裁の力倆によりまして、うまく行つたり、うまく行かなかつたりいたしますので、人選については今愼重に考えております。
  59. 小山長規

    ○小山委員 そこで監督の問題が起ります。輸出銀行の組織は非常に日銀と似ておりますが、監督官を置かれるのでありますか。
  60. 池田勇人

    池田国務大臣 私は監督官を置かぬつもりでおります。
  61. 宮幡靖

    宮幡委員 もうすでに各委員の総括的な質問は終えたようでありますが、私はほんの一つ、二つ短い時間にお尋ねいたします。最初に中小企業信用保險の方でございますが、これは大蔵大臣がかねがね関係方面と絶大な御努力を拂われました成果でありまして、でき上りましたものは非常によい制度だと考えております。ところが民間に流れております考え方は、ことに中小企業金融という問題から考えますと、損失補償ということを待望してやまないわけであります。これは弱い者の引かれ者の小うたのような気持もありますが、一つのやはり業界の叫び声として、国会なり政府なりがこれを取上げて勘案すべきものであろうと考えております。大蔵大臣が損失補償制度について努力せられました経緯は大体伺つておるのでありますが、それが実現されないで、これとほとんど同じ効果が期待できる信用保険制度にかわつた。その経緯をさしつかえない程度にお話いただきまして、国民大衆、ことに中小企業階層の蒙を開きたいと思うのであります。
  62. 池田勇人

    池田国務大臣 お話のように、損失補償制度考えておつたのでありますが、損失補償ということになりますと、政府が民間の金融機関相当關與するというふうな、われわれの考え方と逆の方向に行くおそれもあります。かてて加えまして、やはり中小企業の方々は、自分らの力で、自分らの共同の保險のつもりで行くんだという思想が民主的じやないか。従つてその場合に起つた中小企業の方々の損失に対しましては、保險制度でやつて行こう、こういうので、方法は違いますが、思想は一番これが民主的でいいのじやないかというので、こうなつたわけであります。
  63. 宮幡靖

    宮幡委員 それから次には、中小企業金融の悩みとするところは、担保力の薄弱という問題であります。そこで信用保険を対象といたしましては、無担保を原則とするものとわれわれは考えたい。もちろん金融機関の都合によつて、担保その他の権利の設定をすることがあると思いますが、この法文の上から見ますと、担保その他の権利を行使することができるということで、あるいは担保が原則ではないかというような感じがいたしますが、この点大蔵大臣の御方針を簡単に一言でけつこうでございますから、お答え願いたいと思います。
  64. 池田勇人

    池田国務大臣 私は原則は担保をとるという考えかがいいと思います。しかし担保がなければ貸さぬというようなこともいかがかと思う。これは銀行が二割五分負担でございますから、原則は銀行に担保をとつた方がいいというぐらいに言つておいて、銀行にまかしたらどうか。庶民階級の方々に対します貸付金は、非常に回収がいいのであります。御承知の国民金融公庫なんか、ほとんど今一%も回収不能がない状況でありますので、あまり担保にこだわることはよくないが、原則としては一応担保をとるということでございます。しかし絶対に担保をとるということにもなつておりません。御了承願いたいと思います。
  65. 宮幡靖

    宮幡委員 次は輸出銀行の方でありますが、先ほど小山委員からお尋ねになつて大蔵大臣からお答があつたわけでありますが、まだ少し了解できないことがありますので、補足さしていただきたいと思います。本年の大月から来年の三月までのプラント輸出は、私の集めました資料によると、大体四万二千三百ドルであります。そういうものから行きますと、小山委員の聞かれました、円資金が不足になるであろうということが、非常に切実になつて来るわけであります。先ほどこの円資金が不足になつて来た場合に、資本を増加せられる用意についてのお答えが、ちよつと聞きとれなかつたのでありますが、これは一体どういう方針でおやりになるのであるか。もちろん当面不足だとは考えておりません。しかし漸次輸出振興して来ると、ますます円資金の不足となり、また円資金の不足をカバーする意味において、輸出銀行の資本金を治用する。あるいは市中との協調融資的な資金が活用される。その結果としてまた資金が足りなくなつて来るというように循環して行くと思いますが、私の考え方が間違つておりますかどうか。またそういう場合にどのような方策をとられますか、御説明願いたいと思います。
  66. 池田勇人

    池田国務大臣 これは御承知の通り、一般会計並びに見返り資金から出す金でございまして、どんどんこれがふえて来るような場合において、一般会計から出す、あるいは見返り資金から出すということは、今はお約束はできません。ただいまのところは、今明年度百五十億でまかなつて行くという考えであるのであります。従つてそれは市中銀行とタイアツプした割合等で還元できると思います。しかし輸出が非常に伸びるという場合において、資本の増加が必要であることは想像できるにはできますが、これも片一方の出す方も限度があるのでありますから、そういう必要が生じた場合にはまた考えなければなりませんが、ただいまは百五十億で行きたい、こういうふうに考えております。
  67. 宮幡靖

    宮幡委員 最後に一言小さなことですが、直接貸しは絶対にいたさない方針ですか。
  68. 池田勇人

    池田国務大臣 直接貸しは絶対にしないつもりであります。
  69. 宮幡靖

    宮幡委員 ではこの辺で私の質問を終ります。     —————————————
  70. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 お諮りいたします。先ほど協議いたしました請願及び陳情書審査の小委員会の設置の件について、小委員及び小委員長選任委員長に任願いましたが、次の小委員及び小委員長選任いたしましたので、この際御報告申し上げておきます。  請願及び陳情書審査委員    奧村又十郎君  小山 長規君    三宅 則義君  宮腰 喜助君    川島 金次君  米原  昶君小委員長奧村又十郎君にお願いいたします。  午前中はこの程度にして、休憩いたしま     午後零時五十九分休憩      ————◇—————     午後零時五十九分休憩     午後二時三十九分開議
  71. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 休憩前に引続き会議を開きます。  中小企業信用保險特別会計法案日本輸出銀行法案の両案を一括議題として質疑を続行いたします。
  72. 小山長規

    ○小山委員 質問に入るに先だちまして、銀行局長からこの新銀行法のポイントポイントについて説明を求めたいと思います。きようおはからいを願います。
  73. 夏堀源三郎

  74. 舟山正吉

    ○舟山政府委員 この日本輸出銀行法案につきましては、この春以来の懸案でございましたが、夏ごろにはその業務を外国に対する貸付業務のみに限定する輸出金融公庫法案、こういうような構想の時代もあつたのでございます。その後この公庫法案につきましては、国内的にいろいろ意見が出まして、第八国会には輸出金融金庫法案として、国内業務を営む案として提案しようという動きになつておりましたのでありますが、関係方面と十分の折衝の時間もございませんで、今日に至つたわけであるのであります。こういうふうに長期輸出金融に関しまする特別の機関に関しまする考え方が、再転、三転いたして参りましたために、本国会の早々に提案できませんでしたことは、はなはだ申訳ないことに思つております。これから大体條を追いまして、日本輸出銀行法案についし、その骨子を御説明申し上げたいと存じます。  第一章総則のうち、第一條は目的でございますが、「一般の金融機関が行う輸出金融を補完し、又は奨励する」という字句がございます。これによりましても明らかでありますように、本体この法案はプラント物の輸出中心といたしまする長期輸出金融を営むのでありますが、それはこの銀行が指導的立場に立つてやるのではなく、あくまで一般の金融機関の行う輸出金融を、それだけにまかしておきましては十分に行かないところを、補つて行くという考え方に基いておるのであります。それから第二條、「日本輸出銀行は、公法上の法人とする。」とありますが、これは全額政府出資でもありますし、それから総裁、監事の任命権も内閣総理大臣にございます。それから予算、決算についても国会審議を受けるということになつておりますので、公法上の法人としたわけであります。それから事務所は第三條、「主たる事務所を東京都に置く。」ということだけを規定しておりまして、その他従たる事務所につきましては、今後この銀行業務状況によりまして、適当な場所に従たる事務所を置くことができる旨を規定しておるのであります。次に資本金、これは今年度の補正予算、それから来年度予算から合計百五十億円を支出するのであります。一般会計見返り資金から半々を出資する旨をうたつております。次に定款は大体定例の通りの規定でございます。第六條の登記も特に申し上げることはございません。第七條は名称の使用の制限でございます。それから第八條、解散の規定につきましては、そのしきに法律で詳細を規定するということになつております。第九條は、民法の準用規定でございます。  第二章役員及び職員、その十條は、「日本輸出銀行に、役員として、総裁  一人、専務理事一人、理事三人以内、監事二人以内を置く。」となつております。第十一條の職務及び権限は、特にかわつた規定はございません。それから第十二條の役員の任命は、先ほどもちよつと触れましたように、「総裁及び監事は、内閣総理大臣が任命する。」そうしてそのあと「専務理事及び理事は、総裁が任命する。」ということで、総裁の活動というものを可能ならしめておるのであります。役員の任期は、第十三條にございまするように四年でありまするこのうち理事三人につきましては、これは附則にございますが、当初三人のうち二人が三年、監事二人のうち一人が二年、こう重なり合つて行くように任期をきめる次第でございます。それから第十四條の代表権の制限につきましても、特に申し上げることはございません。第十五條代理人の選任、第十大條職員の任命、第十七條役員及び職員の地位、この点につきましては本銀行役職員は公務員とし、その地位及び俸給を国家公務員並とするという考え方もあつたのでありますが、人材を集め、活動を活発ならしめますために、そういう考えは捨てましてただ罰則、その他の適用について、法令により公務に従事する職員、みなしたにとどめたのであります。  第三章は、業務規定でございまして、主たる業務を三号にうたつております。この第一号は設備、この中には船舶及び車両を含みます。並びにその部分品及び付属品で本邦で生産されたもの、これを本邦から輸出する。並びにこれに伴つてなされる本邦法人及び本邦人からの技術の提供、物に件つて参ります機械のすえつけその他ということになりますが、それのための費用を金融するということになるのであります。金融の相手万は、本邦輸出業者または本邦輸出品製造業者であります。ただこの貸付をなし得る場合は、但書にございますように、「銀行日本輸出銀行とともにその資金貸付を受けようとする者に対して資金を融通する場合に」、いわゆるパーテイシぺーシヨン融資といつているものでございますが、この場合に限るのであり、かつその場合には、融資の申込みは銀行を通じてして来ることを要件としております。直接この銀行が申込みを受付けないのであります。第二号は、この同じような目的のために、銀行銀行に対して本邦輸出業者または本邦輸出品製造業者のためにする手形の割引をすることを規定してございますが、銀行がそれらの業者に手形貸付をして手形の割引をする場合に、それらの手形をこの銀行が再割を下ることを規定しておるのであります。それから第三号、これは例外的の場合になりますが、ここにございますように外国政府、外国の政府機関、外国の地方公共団体等に対して円資金貸付をするのであります。「但し、その貸付を受ける者が、当該貸付を受けることにより当該外国の法令の規定に違背することとなる場合を除く。」主として向うの国におきまする為替管理法その他に違背しないということを、保障せしめようとするものであります、それから第四号は附帯業務でございまして、これは融資後の管理、特に担保の管理とかあるいは回収の義務を考えておるのであります。それからこの銀行の性格に照し合せまして、これは市中銀行で普通の方法によりまして、普通の條件によりまして、資金の供給を行うことが困難な場合におきまして、この銀行が補完するという思想と、確実に輸出契約ができておる場合であつて、その契約に基く債務の履行及び当該貸付にかかる資金の償還、またはその手形の支拂いが確実であると認められるときに限るという規定、すなわち見越し生産とかいうもののために金融してはならないということを、念のためにうたつておるのであります。  それから十九條は、利率に関する規定であります。これはこの銀行貸付利率を不当に低くいたしますると、輸出奨励金と見られたり、輸出ダンピングと見られたりするおそれもございますので、一定の線を引きたい。但しそれを的確に表現することは非常に困難なわけでありまして、いわば間接にその趣旨を表現するのであつて、この銀行の徴しまする金利は、この銀行事務取扱費業務委託費その他の諸費用、資産の運用損失を償うに足る程度であつて、かつ市中の金利をも勘案して定めるということになつておるのであります。これは市中、利率と同率でなければならぬということをうたうのに比べまして、大分緩和された規定であります。それからその次は、この銀行の扱いが取引先によつて甲乙の差別があつてはならない、公平を期さなければならないという趣旨が、その次の項に書いてございます。それからこの銀行貸付金の償還期限等でありますが、第二十條の第一項におきまして、大体六箇月を越え三年以内といたしたのでございます。六箇月以内のものは普通の輸出貿易手形でまかなえる。これは長期の輸出金融をつける銀行であるという趣旨から、そういう制限を設けたのであります。それから長期の方は三年以内、これも不当に長いときには回収上の懸念もあり、また取引先から悪い條件をしいられるおそれもありますから、一応三年以内といたしましたが、第二項におきまして、それではどうしてもぐあいが悪いときには、五年以内というまでの例外的の取扱いができるという規定を設けたのであります。それから第二十一條には、この銀行の貸出し業務を行います期間を、設立の日から一応五年といたしまして、このままですと、その後は回収事務だけを担当するのでありますが、それはまたそのときの情勢によつて、きめて行くという考え方であります。第二十二條業務方法書、ここに書いてありますようなことを記載するのでありますが、通例ならば、業務方法書のごとき基礎書類は、主管大臣の認可ということになるのでございますが、この輸出銀行につきましては、他の部分にもすでに出て参りましたように、許認可事項は一切排除しております。二十三條は、この銀行業務の委託を他の銀行にすることができる。その場合の役職員の地位の規定であります。それからなお二十四條に、「第一條に掲げる目的にかんがみ、輸出金融について、銀行その他の金融機関と競争してはならない。」という趣旨を念のためにうたつております。  第四章は会計でありますが、二十五條は事業年度、二十六條は収支の予算を、大蔵大臣を経由いたしまして、国会提出する趣旨をうたつたものでございます。この点につきましても、たとえば国民金融公庫等におきましては、現在のところ収支の予算のみならず、事業予算国会提出しなければならないことになつておりまするが、これは収支予算だけにとどめまして、活動を拘束しないようにしたのであります。それから二十七條には予備費の規定がございます。一十八條は、国会の議決に関する規定であります。二十九條は特に御説明の要はないかと存じます。三十條は、追加予算及び予算の修正に関する規定でございまして、大体国庫の予算制度とあまりかわりはない、こう考えます。三十一條は、予算が成立しない場合の暫定予算規定であります。それから三十二條は予算執行、三十三條は、流用は大蔵大臣の承認を受けなければならぬ旨を規定しております。三十四條は予備費の使い方であります。三十五條は、事業年度は年一回でありますが、財産目録及び貸借対照表につきましては、一年を二期にわけまして、損益計算はこの半期と、事業年度ごとに作成するという趣旨をうたつたのであります。三十六條は決算の規定であります。三十八條は、審議の経過においていろいろかわつた規定でありますが、結局これにおちつきまして、毎事業年度の損益計算上利益金を生じたときは、準備金として銀行内に積み立てるということになるのであります。なお第二項に、前項の準備金は損失の補填に充てる場合を除いては、とりくずしてはならないということであります。これに対しまして、一時この剰余金は全部国庫に納付するという考え方はどうであろうかと、検討したこともありましたが、こういうふうにおちついた次第であります。次に三十九條は、輸出銀行資金の借入れをしてはならない。日本銀行市中銀行、預金部等から一切資金の借入れをしてはならないということになつております。四十條は、余裕金の運用規定でありまして、運用の方法をここに掲げてありますものに限定しております。第四十一條は、会計検査院の検査の規定であります。  次に第五章は監督規定でありまして、この銀行は大蔵臣の監督に服しまするが、ここに「この法律の定めるところに従い」こなつておりますように、いろいろこの法律の中に監督條項がある。その範囲では監督を受けるという趣旨を明らかにしております。なお第二項は報告をとり、または検査の結果に基きましては、業務に関し監督上必要な命令をすることができることになつております。監督規定も極度に最小限度にとどめておる次第であります。四十三條は役員の解任の場合を規定しておるのであります。四十四條は、大蔵大臣は報告を徴しまたは検査ができるという、一般金融機関に対すると同様の権限を與えておる規定であります。  第六章罰則につきましては、特に申し上げることはないと存じます。  附則中第二項は、この銀行の設立のために、設立委員を命じて、設立に関する業務を処理させるということになつておりまして、他のこの種機関の設立の場合と同様かと存じます。附則のその他の部分につきましては、特に御説明することもないかと存じまするので、なおお尋ねによりまして、御説明申し上げることにいたします。
  75. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 中小企業信用保險特別会計法案について、政府委員の説明を求めます。
  76. 小笠公韶

    ○小笠政府委員 中小企業信用保險法の主としてねらいは、現在の中小企業金融疏通の困難な原因の一つでございまする中小企業の信用力、あるいは担保力と申しまするか、それを補強するということが大きなねらいであるわけであります。  この制度のごく概要を申し上げますと、現在中小企業の要求しておる金融には長期と短期がございまするが、特に長期資金の方は、いろいろな意味においてその供給が非常に困難でありますので、この制度はその重点を、六箇月以上の資金の供給を容易ならしめるための保險制度といたしたのであります。  この制度の主たる骨子は、まず第一にこの制度の適用を受けまする中小企業でありまするが、その中小企業は、第二條に規定いたしてあります通りに、資本金が五百万円以下の会社、個人、またはいわゆる従業員が二百人以下の会社、個人このいずれにあつてもいいということにいたしてあるわけであります。それから中小企業協同組合あるいは農業協同組合、農業協同組合連合会及び水産業協同組合というものも、この法律の対象として、中小小業の範囲内において考えるということにいたしておるわけであります。こういうふうに中小企業の範囲を拡大いたしましたのは、従来見返り資金等におきましては、資本金が三百万円以下、かつ従業員が二百人以下のものが、この見返り資金を利用し得る制度に相なつてつたのでありまするが、できるだけ利用し得る範囲を広めるという趣旨で、今申し上げましたように資本金の点と従業員の点、いずれかのわくによつて、その範囲内でならばこの制度を利用し得るということにいたしたのであります。  本制度によつて保險のかけられる金額は、一企業当りに合計三百万円ということにいたしておるのであります。中小企業に貸し出す金融機関は、銀行、無盡会社、農林中金、商工中金及び信用協同組合というふうに規定いたしましたが、この金融機関政府と保險契約を結びまして、その金融機関が貸し付けた金額が、自動的に保險されるように制度を仕組んであるのであります。すなわち毎年この保險のかけられる貸付総額は、国会においてその最高額を決定することに相なつておるのでありますが、その範囲内におきまして、年二期にわかちまして、その一期ごとに各金融機関と一定の額を契約する。たとえばA銀行はこの半年に一億五千万円なら一億五千万円、B銀行は五億なら五億というふうに契約いたするのであります。その契約をいたしましたならば、金融機関がその範囲内において具体的に中小企業に貸し付けた場合は、政府に通知することによつて、保險契約が当然に自動的に結ばれて来るというふうに、この制度が簡単に動くようにいたしておるわけであります。  次に保險金額の問題であります。ここにも書いてありますように、保險料は貸付元本に対しまして年三分でありますが、一方保險金額は貸付元本に対しまして七五%を出すことに相なつておりまするので、三分といたしましても、二分二厘五毛程度に相なるわけであります。ただいまのところ、最高年百分の三、すなわち三分ということに規定いたしておりまして、それ以内は政令で定めるということに相なつておりまするが、さしあたりは三分をもつてスタートいたしたいと考えておるのであります。この保險料は一応借受人の中小企業者に転嫁することにいたしております。保險料の形をとらずに、金利の形において転嫁することにいたしておるのでありまするが、その一部を金融機関の負担にも帰せしめたというふうに考えておるわけであります。  保險事故は、弁済期になりまして、金融機関回収未済が起れば、保險事故が起つたということにいたしまして、その六箇月の間に極力金融機関回収に努めるのでありまするが、六箇月間の後に保險金の請求をいたしまして、政府は十箇月の範囲内において回牧不能額の七五%を、保險金として交付することにいたしておるのであります。七五%支拂いましたあとの二五%につきましては、金融機関が債務者に対して持つておりました値権関係を代位することになりまして、極力これを取立てて政府の損失を少くする。しかしその場合において、七五%の範囲内においてこれを代位するということになるわけであります。  大体以上のような構想でこの保險制度考えておるわけでありまするが、この保險制度の手続をできるだけ簡素化する意味におきまして、実際の業務、すなわち実際的な保險の通知の受領であるとか、保險料の收入の問題、あるいは保險金支拂いの実際事務というふうなものにつきましては、商工組合中央金庫をしてこれを行わしめるというふうにいたしたのであります。商工組合中央金庫は、特別法に基いた金融機関でありますし、支所が現在三十九都府県にあるわけでございますが、急速に他の未設置の府県にもこれを設置いたしまして、その手続の遅滞のないようにいたしたいと考えておるのであります。  大体以上のような構想でありまするが、国会の協賛をいただきますれば、さしあたり十二月の十五日から施行いたしまして、少しでも年末の金融に役立たせたいという希望を持つておるわけであります。そこで今年度に限りましては、附則におきまして、この保險契約をなし得る総額を月十二億、すなわち三十六億と一応予定いたしておるわけであります。  大体以上申し上げましたようなことが、本中小企業信用保險法案内容でございます。     —————————————
  77. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 次に、本日の日程に追加いたしまして、本日参議院より送付されました協同組合による金融事業に関する法律の一部を改正する法律案議題といたします。     —————————————  協同組合による金融事業に関する法律の一部を改正する法律案    協同組合による金融事業に関する法律の一部を改正する法律協同組合による金融事業に関する法律(昭和二十四年法律第百八十三号)の一部を次のように改正する。   第二條に次の一項を加える。  3大蔵大臣は、第一項の規定により免許の申請があつた場合においては、定款、事業の方法又は事業の計画が法令の規定に違反し又は政令の定める基準に適合しないときを除いて、免許しなければならない。    附 則   この法律は公布の日から施行する。     —————————————
  78. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 この際お諮りいたします。本案は第八国会において本委員会で修正議決の上、参議院へ送付した法案でありまして、参議院で継続審議の上本院に送付され、本日付託された次第でありますので、本案につきましての提案の趣旨の説明、質疑及び討論を省略いたし、ただちに採決いたしたいと存じます。この点に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  79. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 御異議ないようであります。  これより本案を議題としてただちに採決に入ります。本案を原案の通り可決するに賛成の諸君の起立を願います。     〔賛成者起立〕
  80. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 起立多数。よつて本案は原案通り可決いたしました。  なお報告書の作成、提出手続につきましては委員長に御一任願います。     —————————————
  81. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 次にただいま説明の中小企業信用保險特別会計法案日本輸出銀行法案議題とし、質疑を許します。宮幡君。
  82. 宮幡靖

    宮幡委員 日本輸出銀行法案について銀行局長さんに伺います。実は大蔵大臣に尋ねたかつたのでありますが、時間が三分くらいでありましたから遠慮したのであります。一体プラント輸出にしろ、輸出国内、国外にわたる行政事務というものは、現在の国家行政組織の上から行けば、明らかに通商産業省の所管であります。もちろん金融に対しまする大蔵当局の一元化という精神もわれわれにはよくわかります。しかもこれは大蔵委員会でありますから、その方に力を入れて考えることも当然のことでありますが、どう考えてみましても貿易の面、特に輸出として取上げて参ります通商産業省との関連性というものに一つの重点を置いて考えることは、これまた当然であろうと思いますが、本法を素読してみますると、通商産業大臣及びその貿易担当局等との間に——政令、命令等において何かはかにする手続があれば格別でありますが、一向に関連がないということは、プラント輸出にいたしましても、輸出振興という建前から行きまして、どうも遺憾のように思います。これは事務当局にお尋ねすることは少し不適当の言葉で、こいねがわくは大蔵大臣から明快な御答弁をいただきたいのでありますが、会期も追つておりますから、便宜局長さんにお尋ねいたします。従つてその言質をとらえまして、こう言つたじやないか、ああ言つたじやないかというような、将来にわたつてのむずかしいことを申す意図はありませんが、どうも通商産業省に何らの法的な関連を持つておらぬということについては、われわれは少からず遺憾の意を表するものであります。この点についての御意見、並びにかくせなければならなかつた原因等がもしありましたら、詳細にお話をいただきたいと思います。
  83. 舟山正吉

    ○舟山政府委員 本銀行業務輸出に関する長期金融を担当することであります。それで形態も、できるだけこの銀行の自由なる活動を拘束しないということで、金庫なり公庫なりの思想から銀行なつたわけであります。全額政府出資の関係上、若干普通の銀行とは違つたところがありますが、これを銀行として活動せしめたいと考える次第であります。従つてこれは大蔵省の専管になつたのであります。これを反面から見ると、共管その他の手続になりますと、業務の上にいろいろの拘束ができますが、そういうことも避け得られるかと考えております。但しこの運営につきましては、大蔵省が担当しております金融業務全体についても同様でありますが、産業官庁の意見を十分に取入れて行くことは申すまでもない。それから先ほど御説明申し上げましたこの法律案でごらんいただきましたように、この法には許可とか認可というものはない。業務方法書のごときも届出すらないということでありまして、一に内閣総理大臣総裁を任命いたしまして、その好むところのスタツフを集めさせて、迅速適切に腕を振つてもらうという思想になつております。この銀行全体としていわゆる金融業務に関する大蔵大臣監督というものはあります。これは帳簿を検査したり、その他金融業務としての監督はございますが、また別途国庫大臣としての立場からする若干の制約はございますが、その他はできるだけ制肘を加えない建前になつておる次第であります。なお実際の運営にあたりましては、通商産業省と大蔵省との連絡了解は、事務当局間にできておる次第であります。
  84. 宮幡靖

    宮幡委員 政府委員の御説明は一応了といたしますが、これは少し悪口になるかもしれませんが、大蔵大臣もしばしば言明しておりますように日本の戦後の銀行が商業銀行の性格をもつてスタートをしたために、現状におきましては長期金融をまかない、設備資金を供給するということは、まずもつて興業銀行だけに行わせておる、こういうことを説明しておる。またその通りであろうと思います。これも法律的には、やはり大蔵大臣監督と、多少の指揮命令ができるようでありますが、そういう状況で、しかもその長期設備資金というものを供給する原局はやはり通商産業省でありまして、この各部局におきましては、これだけの融資、この方法、この程度、これが適当であるというおのおの意見書をつけて、興業銀行の窓口等であつせんをしております。これはその事務連絡におきましては、形の上においては決して遺憾のあるものではありませんが、実際は通商産業省と興業銀行あるいは大蔵省というつながりは、ただ絵に描いたようなものでありまして、事実は生産原局であり、あるいは貿易を担当しております役所の意見は、ほとんど用いられておらないというのが現状であります。従つて輸出銀行法なるものも、御説明のように事務当局間において十分な連絡ができておつても、私どもはこれでただちに実効を攻め得ると申し上げるわけに行かないのであります。これは日本の戦後の金融界を通じての全般的の問題であろうとも思いますけれども、ただ事務当局間の連絡があるから運営上遺憾ないではどうも満足ができない。もちろんこれによつて、この法律案を修正しようというような強い気持は現在持つておりません。将来はもちろん考えるわけでありますが、この短かい会期の末期におきましての問題でありますから、そこまではただいま考えません。しかしもう少し補足するのには、一体私もあまり詳しいことは存じませんが、わずか文献か、あるいは人から聞いたことかもしれませんが、頭を離れないのは、ワシントンの輸出銀行制度のもとにおいては民間といわず、政府機関といわず、その関係いたしまする有力な人たちの長を集めて、諮問機関を設けてあるはずであります。従つてこの輸出銀行の中におきましても、役員——少くとも総裁の諮問機関といたしまして、大蔵省、通商産業省、経済安定本部あるいは農林省、少くとも経済行政官庁あたりからしかるべき代表者を出しまして、諮問機関を構成し、今日まで立法の過程において十分事務当局間に了解の得られましたことを、さらに実施面において確実に行い得ますような措置を講ずるのが妥当であろうと思いますが、この点に対してのお考えはいかがでありますか。
  85. 舟山正吉

    ○舟山政府委員 この銀行運営にあたりましては、大蔵省としては通産省と十分な連絡をとつて指導して行きたいということを申し上げましたが、この銀行の営みまする業務につきましては、これはなるほど政府の全額出資でありますが、政府の政策を生のままかわつて行わしめるというのではないのであります。第一條にうたつてありますように、「一般の金融機関が行う輸出金融を補完し、又は奨励する」とあります。それから業務の実際の執行方法でもわかりますように、市中金融機関市中銀行に必ず責任の一半を負わすということであるのであります。従つて政府当局として、輸出銀行としてこういう方面に輸出金融措置をはかつてほしいということを考えておりました場合に、これをできるだけ実現できますようにその意思を伝達することはいたしますが、しかしこの銀行運営といたしましては、ただいま申しましたような趣旨と方法によりまして、総裁銀行責任において業務を営むものであるというふうに御了解願いたいのであります。従つて特に審議会のごときものを官庁方面から出しまして、その意思によつてこの銀行業務を拘束して行くというようなことは、以上申し上げましたような趣旨から見て適当でないと考えておる次第であります。
  86. 小山長規

    ○小山委員 ただいまの関連でありますが、四十三條の役員の解任のところにあります「この法律、この法律に基く政令又はこれらの法令に基いてする大蔵大臣の命令に違反したとき。」この場合に解任できるのでありますが、国策に順応した輸出金融をやらないという場合のほかは、解任権を発動しないという説明でありますか。
  87. 舟山正吉

    ○舟山政府委員 役員の解任のところでは、解任の事由を列挙してございますが、総裁以下役員は、この法律の趣旨に従つて銀行運営に当らなければならないのは当然でございまして、監督規定の四十二條におきまして、この法律を施行するため必要があると認めるときは、報告または検査した結果、業務に関し監督上必要な命令をすることができるということになつております。こういう命令は最後の非常措置でありましようが、こういうものに違反すれば、今度は法律または法律に基く命令の違反になる、こういう解釈はできると思います。
  88. 小山長規

    ○小山委員 私の聞きたいのは、国が一つの政策を定めて、ある業種なり、あるいは相手方のある一国に対して輸出を盛んにやりたい、こういう政策をきめました場合に、この総裁がその国の政策に従わないということは、この解任の理由になるか、ならないか。
  89. 舟山正吉

    ○舟山政府委員 国の方でこの銀行特定の金融をさそうといたしましても、これは必ず市中銀行を通して中川が参らなければ、これに乗れないわけでありますから、お尋ねのような場合は、実際の場合は別といたしまして、法律上の問題としてはそれは不可能ではないかと考えます。
  90. 宮幡靖

    宮幡委員 ただいま関連で打切られましたので、途中でまとまりませんから最後にお尋ねいたしますが、諮問機関を設けると、何か総裁の権限が拘束されるであろうということでありますが、どうもそう考えることは、ここで自由な言葉で申し上げられない言葉で、それはお察し願いますが、逆に申せば日本式の考え方ではないと思う。と申しますのは、日本の貿易は、なるほど管理貿易から民間貿易に切りかえられましたが、プラント輸出というような大がかりな輸出は、やはりその計画に対しまして当分の間は政府機関がタッチしておらないということは、実際面においてなかろうと思うのであります。従いまして一つの管理貿易とまでは申しまけせんけれども、そういう形がありまする以上、日本の貿易が完全に国際経済の上にマッチして参りまして、かつてのようなはなやかな時代が現われて来たときは別問題でありますが、この育成の時代におきましては、少くとも総裁はその形をのみ込んでやつてもらう。それに縛られるものではないけれども、その意見を聞き、それによつて大いに構想を練る。その必要を私は痛感しておるのであります。従つて総裁の権限を拘束したり、横やりが飛び出したり、審議会なり諮問機関というものが、その意見をもつて大蔵大臣の指揮命令というものを左右しようというような強力なものではないが、事実を事実といたしまして、これを見きわめてやつて行く必要はあろう。しかも貸し出しますところの審査市中銀行がやる、その決定は総裁がやると大蔵大臣ははつきり答えておる。総裁が最後の決定をする以上、総裁が名実ともに適任者であることを私は信じますが、それにしても一人の人はよく万能ではありません。従いまして占領下にあります日本、おおむね協定貿易の線にあります現段階の貿易に対しましては、十分関係各省あるいは学識経験者たちの意見も総合いたしまして、これを加えて総裁が決定することが妥当であろうと思います。先刻も申しましたように、私はこれによつてこの法律案をただいま修正しようとか何とかいうことではありませんけれども運営の面におきましてもしさような矛盾が生じたときには、宮幡委員が大蔵委員会において、かつてさような発言をしたということを思い起されて、将来適当の時期にこれらの改正について、大蔵当局としてお考えいただきたいことを申し添えまして、時間の関係上より以上申しません。この方はこれでおしまいにいたします。  それから中小企業信用保險のことについて、小笠長官にお伺いいたしますが、これは私の方で質問したいと思つておるうちに、先ほど御丁寧に逐條御説明がありましたので、ほとんど説明の必要がなくなつたことだと思います。私も同様に非常にたくさん質問したいことがありましたけれども、全部やめますが、保險契約を締結する金融機関は、一体こちらからこれだと指定するのか、あるいはこちらからぜひその金融機関にしてほしいという申請をするのか、こういうことを私はお尋ねしたかつた。ところが大体商工中金にこれを取扱わしめるものであるということを逐條説明の中で申されたが、商工中金というものは、私が申すまでもなく組合金融が本体であつて、個人には及ばぬものであります。組合員個人にも及ばぬわけであります。従いましてこの條文にありまする従業員二百人未満の会社、個人、あるいは資本金五百万円以下の会社、そのあとの方の個人という部分は、基金がわずかに五億程度の現状におきまして、もし十二億程度の保險を行おうとするならば、この個人に及ぶ機会というものはないことになりますが、商工中金以外に他の金融機関を指定するなり、あるいは申請によつて選ぶなりいたしまして、これを扱わせる御意思があるかどうか。この点を明らかにしていただきたいと思います。
  91. 小笠公韶

    ○小笠政府委員 商工中金で扱います仕事は、政府が当然やるべき仕事の現場的な仕事を、商工中金にお願いするわけであります。金融機関の選定は政府できめまして、その金融機関政府との間に保險の契約をするということに段取りはなるのであります。金融機関の選定の方法につきましては、金融機関の希望するもの——一応範囲だけをきめてありますが、その希望するものの中から、従来の中小企業金融相当経験なり実績を持つておるものを中心にして考える、こういうふうにいたしたいと考えておるのでありますが、その点は金融機関等におきまして、またこの制度の効果に影響するところ非常に大でありますので、愼重に検討した上決定いたしたいと思います。
  92. 宮幡靖

    宮幡委員 最後に確かめておきますが、個人にもこの保險制度が利用されるように、金融機関と契約をなさるつもりであるかどうか。そこをはつきりしていただきたいと思います。
  93. 小笠公韶

    ○小笠政府委員 お答えいたします。金融機関、たとえば銀行が会社でなくて個人に貸し付けた場合にも、この保險契約の対象にし得るということであります。
  94. 宮腰喜助

    ○宮腰委員 先ほど宮幡委員よりも質問のありました総裁の諮問機関の問題ですが、こういう諮問機関はぜひつくる必要があるのではないかと思うのです。何となれば、この総裁に対する任免権を大蔵大臣が握つております。監督については業務上必要なる命令を発することができるということになつておりますが、こういうような規定がある以上は、往々にして当時の與党の大蔵大臣の権限によつて、これを左右される場合が非常に多いのでありますから、ぜひ宮幡委員の主張するように、この銀行に諮問機関としてその当時の金融の状態、貿易の状態をよく勘案して資金を調達させるというような、特別な諮問機関が必要ではないかと思います。もう一度この諮問機関をつくるべきであるかどうかについて、重ねてお伺いします。
  95. 舟山正吉

    ○舟山政府委員 この監督命令の規定も、たとえばどの方面に貸出しをすべきであるといつたようなことは、もちろん含まないのでありまして、業務執行状態に関する命令であるわけであります。いかなる貸出しをなすべきであるかというようなことは、この銀行の趣旨全体からうかがわれますように、民間のイニシアチーブにおいて輸出金融をする。それが通常の場合では困難な場合に、この銀行が助けてやるということであります。でありますから政府側といたしまして、具体的の業務について積極的に介入するという思想は、初めから排除してあるものと御了解願いたいのでございます。従つて総裁が広く世間の各方面の意見を聞いて業務の参考にするということは、実際問題としてもちろんやることでありましようけれども、諮問機関のごときものは特に必要がないと認めたのでございます。
  96. 宮腰喜助

    ○宮腰委員 この銀行並びに国民金融公庫あたりでは、議会の収支に関する予算審議を経なければまかりならぬということになつておりますが、今後緊急な場合の生ずることが往々にしてあるのではないかと思うのです。そういう場合に適当に、たとえば大蔵大臣に緊急措置を認めるとか、あるいは特別の措置を認めてこの資金措置を簡単にしてやられる。いわゆる議会の予算措置を経なくても、緊急な支出を認めてあげる方法が、非常に役立つ場合があると思うのですが、これに関して政府では何かお考えがあるかどうか。
  97. 舟山正吉

    ○舟山政府委員 御承知の通り国民金融公庫の場合等におきましては、事業計画そのものも予算を立てなければならぬということで、非常に拘束されております。それに比べますと、収支の予算だけを国会提出すればよろしいということは、最小限度の監督であろうと考えます。なお予算につきましては、費目の流用とかあるいは予備費とかいう規定もあるのでありまして、これで十分輸出銀行としては見通しは立つと思うし、また突発的な事態にも対処し得ると考えております。
  98. 宮腰喜助

    ○宮腰委員 この貸付関係は、一般の銀行を通じて輸出銀行に申し込むということになつておりますが、現存の金融状態を見ますと、新しい産業、日本の将来の経済のために非常に役立つ新しい科学事業でも発見して金融を申し込むと、市中銀行からは、お前のところは従来取引がなかつたからといつて断られております。こういうものは、将来日本の産業経済の発展のために非常に弊害がある。年から年中日本の旧来の制度をそのまま生かし、新しい産業を助成しないという欠点があるのでありますが、一般銀行を通じてやるということになると、おそらく自分の今までのお得意しか銀行は金を貸さぬ。見返り資金の中小資金が現にそうです。新しい業者が申し込んでも、あなた方のところは今まで取引がなかつたから貸せない。ところがわれわれが再三ある科学的発明者にいろいろな意見を聞いてみると、その事業を助成することが日本の経済にとつて非常に役立つのですが、銀行では今までの取引がないからといつて断られております。従つてこういうようなケースが今後たびたび起ると思うのですが、一般銀行を通じてということについて、何らかこれに対して輸出銀行の方から特に忠告を與えて、新しい科学的産業のために資金を調達してやるべきだという勧告ができるかどうか。あるいはまたそういうことについて特別な銀行に調査機関か、あるいは先ほどいつた諮問機関のようなものがありまして、そういう新しい産業にもやるべきだということを、一般市中銀行に勧告するような方法が必要じやないかと思うのですが、そういう欠陷を生ずるので、この点について一点お伺いいたしたいと思います。
  99. 舟山正吉

    ○舟山政府委員 この銀行のねらいとするところは、いわゆるプラントものの輸出金融でありまして、プラントものと申しますれば、勢い金額もかさみ、あるいはまた製造業者、輸出業者も相当名の売れた一流のものでなければならぬということになろうと思うのであります。従つてそういう業者につきましては、取引銀行もすでにあることでありまして、取引銀行も十分それらの業者の便益を考えて、この輸出銀行に申し込んで来ると考えられるのでありまして、御懸念のようなことはないと考えております。この輸出銀行でイニシアチーブをとつて市中銀行に話しかけるというようなことは、実際問題としてはあるかもしれませんが、先ほどからたびたび申し上げましたように、この銀行市中銀行を助けるという立場にありますので、法律にはうたつてない次第であります。
  100. 宮腰喜助

    ○宮腰委員 一般銀行を通ずるという場合の調査責任の問題ですが、その調査の結果、輸出銀行も再度調査するものであるかどうか。あるいは一般銀行にまかせて、その責任輸出銀行には全然ないのだ。従つて債務償還には全然心配がないような形になつているのかどうか。あまり一般銀行責任が重過きるような形になれば、自然一般銀行は貸出しを澁るような懸念があるのではないかと思いますが、この点についてお伺いいたします。
  101. 舟山正吉

    ○舟山政府委員 この銀行の職員はきわめて小規模にとどめたい考えでありまして、従つて非常に専門的知識と時間とを要します調査につきましては、もつぱら市中銀行に信頼して、その審査の結果に基いて貸す、貸さぬの決定をするということを建前としておるのであります。市中銀行の調査いたしましたことを、またこの銀行で繰返してやるということは、手数、費用その他の点から見て適当でないと考えた次第であります。ただこの融資の方法も限られておりまして、参加融資と申しますか、一定の割合を分担いたします。それから手形の再割の場合におきましても、市中銀行は最後まで手形関係銀行としての責任を生ずるわけでありますから、言いかえますれば、市中銀行は必ず一半の責任を負うということでございますから、ずさんな調査をするというようなことはないと考えておるわけであります。
  102. 宮腰喜助

    ○宮腰委員 それから役職員は公務員とみなすとなつておりますが、この賃金ベースの関係は公務員と同様に取扱うものでしようか。また債権債務の関係について、担保関係をどういうふうにお考えになつておりましようか。それから預金の取扱い、いわゆるこれは貸付一方であつて、全然預金をとらないのかどうか。この三点についてもう一度伺いたい。
  103. 舟山正吉

    ○舟山政府委員 これは十七條にありますように、国家公務員としないのであります。「刑法その他の罰則の適用については、法令により公務に従事する職員とみなす。」ということでありまして、逆に申しますれば、待遇及び給與については、公務員の拘束からはずれるのでございます。  担保につきましては、市中銀行考えによりまして、とるべきものはとるということになりますが、一般銀行貸付の指導方針によりましても、これは特に長期にわたる貸付になりますから、有担保が原則となると思います。それで貿易業者に対する貸付につきましては、場合によりましては、製造業者の保証を立てしめるといつたような措置考えられるのであります。
  104. 宮腰喜助

    ○宮腰委員 いま一点あつたのですが、この輸出銀行は五年となつておりますが、これは五箇年を経過すると当然解散してしまうものですか。あるいはまた特別な意思表示がない限りは、法律の改廃がない間は、やはり依然としてこの銀行は存在するのでありますか。それからもう一つ、先ほどお願いしました預金の取扱いができるかどうか。この二点を伺いたい。
  105. 舟山正吉

    ○舟山政府委員 この銀行は預金は一切取扱いません。それからこの存続につきましては、解散の場合には別途法律をもつて処置するのでありますが、五年たちますと、貸付業務は一応やめるという建前でありますが、回収業務、担保管理業務その他は存続するのであります。しかしこれも五年たちましたときの情勢によりまして、また法律の改正によつて貸付業務の継続その他は、もちろん考え得られるところであります。
  106. 竹村奈良一

    ○竹村委員 私は中小企業の問題で一点伺いたいのでありますが、大体今度五百万円以下、二百人以下の従業員の数、これが中小企業の最高基準という形に見えるわけであります。しかしそういたしますと、われわれはこれが制度の運用についていろいろ疑問を持つのでお尋ねいたしますが、この五百万円以下、あるいは従業員二百人以下の企業というものは、全国でどれほどあるか。大体調査できております点を伺いたい。
  107. 小笠公韶

    ○小笠政府委員 お答えいたします。従業員二百人以下になりますと、工業につきましては九九%見当になると思うのであります。資本金になりますと最近の情勢を詳しくよく存じませんが、相当これも多数の範囲を占めるということになると思うのであります。特に従業員で押えて行きますと、商業関係などは相当広く入つて来るというふうに考えております。
  108. 竹村奈良一

    ○竹村委員 その結果は、今おつしやいますように、従業員で押えて行くと工業の九九%、こういうところで規定されますならば、これの利用できるものは、われわれの考えでは、中小企業と申しましても上の部類、つまり資本金五百万円あるいは二百人くらいの従業者、こういうところに銀行貸付が多く行つて、結局ほんとうに困つておる小さい、中小企業の中での中以下のものには、銀行なんかではなかなか金を貸さないのではないかと思いますが、これに対してはどういうお考えを持つておられますか。
  109. 小笠公韶

    ○小笠政府委員 お答えいたします。本制度は一応最高の限度を資本金五百万円、従業員二百人で切つたのでありますが、制度の運用の問題といたしましては、できるだけこれを広く運用いたしたいと考えるのであります。特に銀行との関係におきまして、従来取引関係の薄かつた部面に対しましては、協同組合、いわゆる事業者、協同組合とかあるいは水産組合、あるいは農業協同組合といつたふうな協同組合単位を通じてこれを流して行く。この制度をそれらの面に応用することによりまして、相当程度広くこの制度が利用できるものと実は考えておるわけであります。
  110. 竹村奈良一

    ○竹村委員 そこで、そういう制度ではないとおつしやいますが、われわれ実際における銀行の融資等を見て参りますと、そういう小規模のところへはなかなかまわつて来ないのであります。また企業協同組合にいたしましても、相当のものでなければなかなか融資は受けられないということになつておる。たとえば先ほどの説明で聞きますと、六箇月以上の貸付金、こうなると私は大体設備資金じやないかと思うのですが、ほんとうに中小企業の欲しておるのは運転資金でありまして、そういたしますと、その六箇月以上の設備資金に貸すという場合においては、銀行相当の保証がなければ貸さないわけである。従つてそうなりますと、結局広く行うといつたところで、最高は五百万円だと言われますけれども、事実上はその最高に近い方が利用されて、ほんとうの小さな面には利用できないような形になつて来ると思うのでありますけれども、こういうような面について何かそういう上ばかりに融資しないような方法、まあ法案には現われないのですが、そういうような意向について何か対策を持つておられるかどうか。
  111. 小笠公韶

    ○小笠政府委員 この制度が比較的大きな中小企業者に利用されるという見通しのお話でございましたが、これは見通しの議論でありますのでわかりません。しかし従来見返り資金月一億ずつの協調融資をやつておる面を見てみましても、三百万円、かつ従業員二百人という限度をきめておるのでありますが、その平均の結果を見ますと、ずつと中以下になつておるというふうな計数も出ておるのでありまして、見通しとして必ずしも大きいところに行くということは、私はなかろうと思うのであります。それにいたしましても、この制度中小企業に対する資金、特に長期資金、これは設備資金に限らないのでありまして、運転資金も含んでおるのでありまして、長期な資金の要求というものが非常に多いのでありまして、これらの資金源を別途中小企業向けにできるだけふやして行くというふうな制度を並行して、本制度が十分に所期の目的を達するようにいたしたいと、希望いたしておるわけであります。
  112. 竹村奈良一

    ○竹村委員 これは見通しの仮定の議論になりますので、仮定の議論はやめて、それを実証するように、今おあげになりましたいわゆる見返り資金による三百万円を限度としての融資の点について、できるだけ下の方に行つておる。そう上ばかりに行つておるのではないとおつしやいましたので、ひとつその点、この見返り資金におけるところの三百万円を限度としての融資の部類は、大体中小企業でどういう辺のところにそれが行つておるか。つまりどのくらいの資本のところ、従業員どのくらいのところに多く貸し付けられておるか。その大体の級別のパーセントがわかればお答え願いたい。
  113. 小笠公韶

    ○小笠政府委員 ただいま具体的な資料の御要求がありましたが、手元にございませんけれども、大体この制度を本年一月から実施いたしました二期ばかりの状況を見ますと、平均的に見まして、従業員は百人前後というようなところに大体あつたように記憶いたしております。これはたまたまとつた資料がそういうことであるのでありまして、これは引用が悪かつたと思いますが、必ずしも上の方についておるというような結果には相なつておらぬということを申し上げたのであります。
  114. 竹村奈良一

    ○竹村委員 たとえば中小企業協同組合、あるいは農業協同組合あるいはその連合会、あるいは水産協同組合であつて、そのほかに政令で定める業種に関する企業ということになつておるのでありますが、この政令で定めるという業種は一体どういうものですか。その辺をひとつ伺いたい。
  115. 小笠公韶

    ○小笠政府委員 お答えいたします。具体的な業種を政令で定めることになつておるのでありますが、その定め方につきましては目下検討いたしておりますが、大体の腹づもりといたしましては、中小企業の中で刻下の経済諸情勢から考えまして、高順位においていいようなものを除きまして、できるだけ広くこれを指定いたしたいと考えておるのであります。高順位に置きたい、高順位に置いてさしつかえないと思いますものといたしましては、たとえば娯楽興業あるいは飲食業、そういうふうな奢侈的なものを中心といたしまして、さしあたり高順位でもいいのではないかと思うものを除きまして、広くこれを指定いたして行きたい、こう考えております。
  116. 竹村奈良一

    ○竹村委員 法案を出される前には、私たちの実に不満でならないのは、常に重要な部面が政令で定めるということになるのです。しかもそれを聞きますと、目下考慮中であるということになりますと、これは法案審議にならない。だから考慮中であつても、現在大体考慮しておられる点でわかる点だけでも、どれと、どれと、どれだということをはつきり示す必要が政府としてはあると思います。従つてそうしないと、かんじんな法案国会審議いたしましても、一項だけ政令で定めるというこでは、活殺自在の力を持たせるわけで、かんじんのところが政令でどんどんやられるならば何にもならないのですが、その範囲、今言われたような説明だけでは私は満足できないのでありまして、現在ほんとうに考慮するというが、しかし聞くところによりますと、法案を出されて十二月十五日から実施したい、こう言われる。今日その間際になつて、この出された法案に、政令で定めるものが目下考慮中であるというのは、はなはだどうもこれは不謹愼きわまると思います。その点をはつきり政令で定める範囲はこれと、これと、これだというように——考慮中であるだけでは私は納得できない。その点をはつきりしていただきたい。
  117. 小笠公韶

    ○小笠政府委員 お答えいたします。ただいま申し上げました趣旨に違いはないのでありますが、最終的に政令の手続を経るまでに参つておりませんので、ただいま申し上げましたような用語を用いたわけでありますが、高順位に属しますものを除きましては、広く中小企業を指定するということと、もう一つ主たるねらいは、いわゆる工業及び鉱業、商業、交通業、サービス業というものを中心にいたしまして、今申しましたような例外を除く、同時に農業協同組合あるいは水産業協同組合というものが例に出ておりますが、これらの構成員であります農業自体あるいは水産業自体というものは除きまして、それらの行いまする加工業というものを指定いたしたい、こういうふうに考えておるわけであります。
  118. 竹村奈良一

    ○竹村委員 そうしますと今聞いた範囲においては非常に広範囲になる、こういうふうに受取るのでありますが、もう一つ念を押して聞いておきたいのは、指定される場合に、たとえば工業部の面におきましても、現在の世界情勢に即応して——政府は国連協力をはつきり言つておられるわけでありますから、もしあの朝鮮事変が拡大いたしました場合におきましては、それに協力できるような工業、すなわちいわゆる中小企業と申しましても、たとえば軍事的な面に多く利用できる工業、こういうものに限つて政令によつて規定されるのかどうか、そういう意図があるかどうか、その辺をお伺いしたい。
  119. 小笠公韶

    ○小笠政府委員 お答えいたします。お話のようないわゆる特定の重点産業を指定する意思は、ただいまございません。先ほど申し上げましたように、できるだけ広く指定する、こういう考えでおります。
  120. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 その他御質問ありませんか。     —————————————
  121. 西村直己

    西村(直)委員 中小企業信用保險特別会計法案に関しましては、質疑を打切り、討論採決に入られんことの動議を提出いたします。
  122. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 ただいまの西村君の動議のごとく決定するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  123. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 御異議ないようであります。  これより本案を議題として討論採決に入ります。討論は通告順によつてこれを許します。宮幡君。
  124. 宮腰喜助

    ○宮腰委員 ただいま議題となつております中小企業信用保險特別会計法案につきまして、自由党を代表いたしまして賛成の意を表する次第であります。  およそ中小企業金融の梗塞の問題は、日本の産業復興、経済自立のための大きな問題でありまして、わが党及び現政府は、これに対しまして長い間かわらざる努力を続けて参つたわけでありますが、元来中小企業金融は取扱う金額が少く、しかも短期の性質を持つておりまして、金融機関といたしましては取扱つてあまりに——簡單な言葉で申せばもうけがない。少しりくつで申しますれば資金コストが高くなる。こういうような欠陷がありますので、市場の金融機関においてはあまり歓迎せられないで、ますます中小企業の金繰りに困難を感じて来たことは、皆さん御承知の通りであります。そこでまず政府といたしましては、戰後行われておりました融資準則というものを撤廃いたしまして、丙類というようなきわめて低い順位に置かれまして、ほとんど融資の機会を與えておられなかつた中小企業を、一般のレベルまで引上げまして、続いて中小企業資金わくを拡大するの行政措置をとられまして、その上には国民金融公庫というものを、庶民金庫及び恩給金庫の廃止併合に伴いまして、さつそくつくりまして、すでに本国会におきましても、全員の御賛成を得たと信じてよろしい。きわめて人気者の国民金融公庫を、中小企業者のための金融機関として開設したのも、実に現内閣の施策であります。また商工中金の権限を拡大し、資本も増加し、優先株の引受け、発券能力の回復等の措置も講じまして、今日まであらゆる面におきまして、中小企業金融打開のために努力し、その功績は少からず顯著なものがあると私は確信いたしております。しかるところ、いまだもつて中小企業金融梗塞を打開するにおいて万全でもないことを、われわれは知らなければなりません。そこで、さらに一般金融機関が回避がちの少額金融、しかも運転資金といわず、設備資金といわず、あるいは期近ものの生産資金といわず、これらを円滑に供給するためには、どうしても金融機関の安全性を確保するための、損失補償制度の実施を要望してやみません。先般本法案に対しまして、本日大蔵大臣への質疑の中にもあります通り、国民大衆は信用保險制度よりも、損失補償制度に期待をかけていることがはなはだ多いのであるから、それに対する大蔵大臣所見はいかにとお伺いいたしております。大蔵大臣の答弁は便宜省略いたしまするが、民主的な方法とすればお互いの力でやるところの保險制度の方が、よりまさつているのではなかろうかという観点からこれを採用した。しかもその効果におきましては、ほとんどかわりのないものがあることを説明せられており、われわれもこれを了とし納得いたした次第でありまして、この中小企業信用保險制度が実施されますれば、今まで隘路となつておりました中小企業金融梗塞が打開せられますことは、火を見るより明らかであります。これにあわせまして、すでに実施に移つております輸出信用保險、続いてはプラント輸出に限定はされておりますが、輸出銀行法等が制定実施されるに至りましては、中小企業を基盤といたします日本産業の金融梗塞を打開いたすのに絶大な効果をもたらすことを信じて疑いません。すなわち中小企業信用保險法なるものの使命といたしますものは、かくのごとく重大なる意味を持つものでありますので、まず本法案に賛成の意を表すると同時に、その会計経理特別会計とするという提案理由並びに法案に示された措置は、これまた当を得たものであることを確信するものであります。よつてわが党は双手をあげまして、本法案の成立に賛意を表すると同時に、一日も早くこれを実施いたしまして、年末行き詰まれるところの中小企業金融の梗塞打開のため、政府当局の絶大なる努力を期待してやまないのであります。以上をもつてわが党の賛成討論といたします。
  125. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 宮腰喜助君。
  126. 宮腰喜助

    ○宮腰委員 私は国民民主党を代表いたしまして、本案に賛成するものであります。  今日までの中小商工業者は、金融的にも税制的にも非常に虐待を受けておりまして、あらゆる経済の研究者あるいは実際の研究者が、この金融措置と税制の措置について、中小工業を救わなければならぬということを再三論じられて参つたのであります。しかしこの問題につきまして、アメリカのような大工業の国家であるならば考え方が違いますが、日本では全工場の百分の九十八までは中小工業であり、現在中小工業において生産されている数量は六五%に達しておる状態であります。従つてアメリカで考えられている中小工業と日本で考えられている中小工業とは、ほとんどその性格を異にしまして、われわれは日本の中小工業は日本の産業の中心をなしていると思う。たとえば一つの造船所の状態を見ましても、ある造船の完成されるまでの過程において、ほとんど六割ないし七割近くは中小工業の恩典を受けなければ完成されていない。しかも生産コストに至つては、日本の中小工業のコストは、現実にアメリカあたりの生産コストよりも安くなつている事実もあるのでありますから、われわれの中小工業に対する考え方としては、社会政策的な考え方でなく、すべて本質論として中小工業の保護を考えて行かなければならぬと思う。ことに金融の問題については、再三再四大蔵委員会、通産委員会の方面からも、この金融措置にもう少し積極性を持つてほしいという陳情が盛んに来ておる。われわれも委員会でこの問題を取上げて質問をしたのでありますけれども政府はこの点についてあまりに理解がなかつた点もあつたのであります。この本日提案されているところの中小企業保險法案は、もうずつと以前に提出して、この中小企業金融措置を講ずべきであつたのではないかと考えておつたのでありますが、この保險制度は今後中小企業の発展のために、非常に役立つと考えるのであります。この保險制度と相似ている制度に、信用保証協会というものもありますが、この信用保証協会においてはあまり厳重な制限がありまして、利用することが不可能な場合も多々ありまして、完全なる運用はできない部面があつたのでありますが、幸い今度の保險制度ができたことにおいて、今後大いに期待される点もあります。従つて金融機関をして公平にやらせることが必要であります。政府は運用について適切なる措置を講じていただくことをお願いしまして、私の賛成討論を終ります。
  127. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 川島金次君。
  128. 川島金次

    ○川島委員 私は日本社会党を代表いたしまして、ただいま議題となつておりまする中小企業信用保險特別会計法案に対して、政府にこの際強く要望を付しまして、賛意を表するものであります。  吉田内閣の成立以来、財政計画は世に言う超均衡財政であつた。そのために一般勤労大衆はもちろん、中小企業方面への圧力は重税となつて現われ、そしてまたその超均衡財政のために、金融はますます逼迫して深刻化し、売れ行きは一段と不振をきわめるというのが、昨年以来のきわめて強い現象であります。しかもその上に、見返り資金預金部資金の運用のあまりに当を得ておらない政府金融政策のずさん等からいたしまして、ますます中小企業の面にその犠牲がしわ寄せになつて参りました。おそらく朝鮮事変の勃発がなかつたといたしますならば本年の秋ごろは日本経済における中小企業の瀕死的危機が訪ずれたであろうと、この春ごろは懸念をされておつたようなありさまであることは、何人も否定することのできない事実であつたろうと私は思うのです。午前中の池田大蔵大臣の説明によりますと、中小企業等に対する金融中心とした対策は、戰後いかなる内閣よりもわが内閣が積極的で、熱意があつたという説明をいたしておりまするけれども、それはそうでなくして、むしろ吉田内閣が、この潰滅に瀕しておりまする中小企業の絶対危機に直面いたしまして、その危機を打開しなければ、みずからの政権の担当をさえも許されないというような事態に当面いたしたがために、やむを得ずこの方面に若干の施策を試みなければならないようなはめに陷つたのだと言つた方が適切ではないかと、私は思うくらいなのであります。そのような事柄から、ようやく全国から沸き上つて参りました中小企業に対する積極的な金融対策の輿論にも動かされまして、今般吉田内閣が、この種の中小企業信用保險法、それに従いましての特別会計法を設置いたしますることになりましたその事態には、私どもも何ら異存のないところでありまして、ただいま民主党の宮腰君から申されましたごとく、その政策のおそきに失した点について、むしろわれわれは中小企業者の名において、政府に不満の意を表するものであります。しかしこのことは、今月中旬を期して熱意と積極的な態度をもつて臨むという政府の弁明もありましたので、その言明に従つて、先ほどから野党の一部からも懸念されておるように、この保險法と特別会計が、ややもすると上の方に対する金融に流れないように、ほんとうに瀕死の状態にあつて、その金融を渇望してやまない多くの中小企業方面に対する積極的な誠意と、熱意のある金融対策を示してもらうことを強く政府に要望いたしまして、本案に賛成をいたすものであります。
  129. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 竹村奈良一君。
  130. 竹村奈良一

    ○竹村委員 私は日本共産党を代表いたしまして、本案に反対するものであります。  中小工業に対する金融の問題につきましては、わが共産党の年来の主張でありますが、中小工業が今日危機に瀕しておるというその原因を探求いたしますならば、先ほど川島委員が申されたごとく、今日吉田内閣が中小工業をして金詰まりに追い込んだ政策の現われである。これに対して一応こういう保険制度をもつて、幾分かでも金融の面を緩和せんとする意図は了といたしますけれども、しかしながら先ほどからわれわれが質問したところを見ましても、この制度をもつてするならば、少くとも中小企業、すなわち工業の九九%を占める広汎なものに、この金融を行わしめるものであると言つておるけれども、実際においてはそうではなくて、五百万円の最高の線にこういう金融が行くことは、従来の例からしても明らかなところであります。そこでわが共産党といたしましては、いかにしてもつと下の面に楽々と金融せしめるかという施策が現われない限り、この制度をもつてしては、実際における金詰まりにあえぐ中小工業に対する金融は不可能に近い。かかるがゆえにわれわれはあえて反対するものであります。
  131. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 討論は終局いたしました。  これより採決に入ります。本案を原案の通り可決するに賛成の諸君の起立を願います。     〔賛成者起立〕
  132. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 起立多数。よつて本案は原案の通り可決いたしました。  なお報告書の作成、提出の手続につきましては、委員長に御一任を願います。     —————————————
  133. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 次に日本輸出銀行法案について質問を許します。
  134. 小山長規

    ○小山委員 日本輸出銀行について一言お伺いいたします。この輸出銀行出資政府及び見返り貸金であります関係上、いわばその貸出しのレート、利率はどうにでもきめられるわけであります。つまりこれは借入金でありませんで、資本はいわば政府出資でありますから、その利率はきわめて安くできるはずの資金である。ところがここにレートのきめ方につきましては一つの條文がありまして、事業費を償うというようなことでしなければならぬことになつでおるのでありますが、他面またその次の條文では、市中金融機関と競争してはならないということが書いてある。ところが一般のこの資金需要の側から申しますならば、輸出金融の貸出し利率は安ければ安いほどいいのであります。安いことを希望するはずであるが、それでは一体どこにその線をきめるのか。競争しては相ならぬというようになつておるのでございますが、その競争しては相ならぬという線はどこにあるのか。それからまたきめようと思えば、幾らでも安くきめられる資金の性質になつておるのであるが、そこで私がお伺いしたいのは、どういうところでそれをきめるのかということと、これは一体だれがきめるのかということであります。この法文を読んだところでは、大蔵大臣がきめるとも読めますし、従来の審議会によつてきめるとも読める。そこでだれがきめるのかということと、どのようなところにそのレートをきめるか。つまり輸出業者あるいは製造業者は、安からんことを希望する声が非常に強いわけでありますが、その場合に安くなることを押えるのかということであります。その点を一点ただしておきたい。
  135. 舟山正吉

    ○舟山政府委員 この銀行の貸出し利率につきましては、輸出業者が安い方を歓迎するということはお説の通りであります。しかし一面国際的な見地から見まして、日本だけが輸出促進のために特殊機関が特に安い貸出し利率を採用するということは、いろいろと問題を惹起するのでございます。さればといつて市中銀行の率そのものを採用するということも、現在の利率から見まして高過ぎる。そこで第十九條に抽象的にうたいまして、市中の貸出利率も勘案して、しかしまた無制限に低くならないように、輸出銀行の収支に赤字を及ぼさないように、これらを勘案いたしまして銀行がきめるということにいたしておるのであります。銀行がきめると申しますれば、これは総裁がきめると御了解を願いたいと思います。
  136. 小山長規

    ○小山委員 その場合には、貸出し利率をきめるときの何とか審議会というのがありますが、あの法律に触れませんか。
  137. 舟山正吉

    ○舟山政府委員 臨時金利調整法におきましては、現在一年以内の短期資金についてだけ規制することになつておりまして、長期資金は形の上でははずれます。
  138. 川島金次

    ○川島委員 この際外務省の経済課長が見えられていますので、経済課長に一、二お伺いをいたしておきたいと思います。ただいま本委員会に付託されておりまする法案は、御承知の日本輸出銀行法案であります。輸出資金に対する積極的な手としての法案でありますが、わが国の現状といたしまして、経済を回復し自立に持つて参りますためには、是が非でもできるだけわが国輸出貿易振興をいたさなければならないことはもちろんであります。特に今後わが国輸出貿易の問題を考えてみまするときに、この法案提案の説明の中にもありまするごとく、日本の貿易は従来繊維等を中心としての貿易であつたが、今後はその貿易内容に一つの新しい道を開いて、いわゆる東南アジア方面に対する工業製品等を中心とした輸出を、盛んにして行かなければなるまいということをも、明確にうたつておるのでありまして、その事柄自体にはわれわれももとより同感であるのであります。特にこの法案提案の説明の中にありまするのですが、インド、パキスタン、ビルマ、フイリツピン、タイ、インドネシア、インド支那、これらの諸地域に対するところの産業開発計画、あるいはこれに類する工業化計画を持つておるその進捗に応じて、わが国設備資材その他等を積極的に輸出する可能性がある、またそのことに努力をすべきであるということも言われておるのでありまするが、そこでこれら地域におきまするところの今日のわが国との貿易の現状及び今後の輸出輸入等をあわせての見通し等は、外務省ではどういうことに見ておられますか。その点をできますれば具体的に率直にひとつお聞かせおきを願いたい、こういうふうに思うのであります。
  139. 島津久大

    ○島津政府委員 お答えをいたします。御承知の通り現状におきましては、外務省として直接貿易の関係を取扱つておりませんので、具体的なことは要すれば通産省の方から答弁を願うようにいたしたいと思います。ただ全般的な問題といたしまして、東南アジアが日本の貿易にとりまして非常に大事だということは、もう異論のないところでございまして、現にインド、パキスタンに外務省の在外事務所を設置いたすことになりまして、インドにはすでに所員が到着して活動を開始しております。パキスタンも近々に開設の運びになる段階にございます。またタイも間もなく事務所を開設いたします。そういうことからめくら貿易を打開しまして、一層貿易を促進することに寄與できるかと考えておるのでございます。数字的なことにつきましては、ただいま所管が外務省ではございませんので、御説明は差控えさせていただきたいと存じます。  また最近種々論議の的になつておりまするグレイ報告その他におきましても、またアメリカにおける考え方からしましても、どうしてもこの東南アジアと日本との経済関係を結びつけて行く。しかもそれにつきまして日本が重要な地位に立つということは、おそらく輿論となつておることと思うのであります。その点にわれわれは相当大きな期待を持つておる次第でございます。
  140. 川島金次

    ○川島委員 外務省の経済課と承つておりましたので、もう少し詳しくお聞きできると期待をいたしたのでありますが、これはむりのようであります。そこで次いでお尋ねをいたしますが、これら東南地域における各国の対日感情、こういつた事柄につきまして外務省が調査をいたしておりまするところがありましたならば、それをこの際にひとつお聞かせおき願いたいと思うのであります。
  141. 島津久大

    ○島津政府委員 各地の対日感情につきましても、これまた先ほどお話申し上げましたように、インドに最近事務所が開設されたばかりでありまして、外務省として正確な判断を下すような直接の情報を持つていないのであります。伝えられるところを総合いたしますと、フイリピンにおける対日感情は、依然として著しい改善は示していないようであります。これはいろいろな面に現われて参りまして、外電にも報ぜられておりますように、講和條約の内容にも関連しまして、まだ賠償を取るというような考え方があるようであります。全般に改善していないというのが実情のようにも考えられます。しかし、と申しまして、これは想像でありますが、終戰当時よりも悪くなつたというようなことはなかろうと思われるのであります。だんだんと日本の真意、あるいは実情というものが反映して参りますならば、今後改善の見込みが十分あるというふうに考えております。その他の地域、仏印、マレー方面、これはまだ日本人もあまり行つておりませんので、状況がよく判明いたしません。しかし特に惡感情があるということは聞き及んでおりません。ビルマ、インドないしパキスタン方面は、御承知のように商社方面からもかなり人が出ております。こういう人たちが持つてつて参ります報告は、大体相当感情がよろしいということに一致しておるようであります。この方面には心配がないと考えられます。インドネシアにつきましては、インドネシアの新しい国が誕生いたしましてから、まだ全般の治安が安定していないというようなことを耳にしております。また一方日本人の入国もほとんどまだ許されておらない状況でございます。治安はよろしくない。しかしそうかといつて、対日感情が必ずしも惡いということは言えないと思うのであります。この方面も対日感情が惡いということは申せないのではないか。あるいは日本人が入りましたならば、かなりいいかもしれないというような想像はいたしております。  はなはだ不満足なお答えでございますが、概況は以上でございます。
  142. 川島金次

    ○川島委員 ただいま御説明があつた政府委員は、外務省の経済課と承つておりましたが、政務局長さんだそうで、私の質問が筋違いであることが初めてわかつたのであります。そこで政務局長さんとはつきりしましたので、さらに一つお伺いいたしたいのですが、ただいま局長からもお話がありましたように、フイリピンのごときは対日感情が必ずしも今日好ましい状況でないということですが、実は私どもも先般参りまして、そういう感じを深くしてまことに残念な思いをいたして帰つて来たのであります。これは政務局長さんにお尋ねをするということは、あるいはむりかも存じませんが、このフイリピンが東南アジアにおいては最も対日感情の悪いところだと一般にも信ぜられており、また現地に参りましてその通りであるように私どもは感じておるものでありますが、しかもフイリピンは日本の国際的な立場から、また経済的な文化的な立場からも、今後最も密接に提携し、相通じなければならない国柄であると、私どもは信じておりますにもかかわらず、このフイリピンが今にして対日感情がきわめて深刻な、険しい姿に置かれておりますことは、日本人にとつてきわめて残念なことだと思うのであります。ところでこのフイリピンの險惡な対日感情をして、日本が何らかの形で元にもどす努力をする必要があるのではないかと、私は思つておる一人であります。そこで政府が何かフイリピンに対して、講和條約をまつまでもなく何か積極的なくふうをいたしますれば、方法は必ずしもないとは言えないと考えておりますので、この機会にその事柄について、外務省で何かそういつたフイリピンに限らず、対日感情のあまりに芳ばしくない方面に対して、積極的な手を打たなければならぬというような考えを持たれたことがあるかどうか。そういつたことがあるとすれば、どういう積極的、具体的な方法をとつたらよろしかということについて、考えられておつたところがありますれば、この機会にお聞かせおき願いたい、こういうふうに思います。
  143. 島津久大

    ○島津政府委員 ただいまの御質問にお答えいたします。その前にちよつとお断り申し上げておきたいと存じますか、先ほど経済課長という御注文でございましたが、経済課は政務局のうちの一課でございますので、私が政府委員をやつております関係上、お答えを申し上げたのであります。政務局でも経済関係を主管しておりますが、ただ外務省として貿易関係を直接主管していないということで、通産省の方で今取扱つておるわけであります。その関係で私お答えをいたしたわけであります。  ただいまの御質問の対日感情の点に対して、これを改善下るような何か具体的な手はないかという御意見でありますが、同様の御質問が別の機会に、たしか外務委員会と思いましたが、両三回出たことがあるのでありまして、たとえば一種の謝罪使節と申しますか、親善使節、そういうものを組織して送つて了解を求めたらどうかというようなこともあつたのであります。しかし遺憾ながら国交が回復しません前には、具体的な措置というものは、どうも考えられないように思うのでありまして、何にしても講和條約というものができますと、対日感情というものも自然急に改善を見るということになると信じておるのであります。フイリピンに限りませず、事実上の講和の態勢をあまり好まないという方面が別にほかにもあります。しかしこれは講和を妨げるということではないのであります。自分の責任を持つて、一本立ちになつた国としてつき合いたいというような考え方もあるようであります。フイリピンの場合も講和ができますと、そういうような見地から事態が急速に改善されるのではないか。それ以外に具体的な手というものはあまりないのであります。全体から申しまして、先ほど申しますように、日本人の信用というものが増せば、それで感情はよくなるということにすがるよりほかにないと考えております。
  144. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 通産大臣がお見えになつております。参議院の方に御出席になるそうですから、通産大臣に対する質疑を願います。
  145. 米原昶

    ○米原委員 第一にお尋ねしたいことは、この輸出銀行法案の提案理由の説明にも、輸出の伸長こそがわが国経済の自立を達成するための捷径であるとありまして、輸出を促進するために金融をやるというのが、目的になつておるわけでありますが、最近の貿易状態を見ますと、朝鮮事変以後、單に朝鮮事件関係の特需というだけでなく、資本主義諸国のいわゆる軍備拡張計画がどんどん進みまして、日本に対してもそういう戰略物資の注文がずいぶんありまして、それがむしろ最近の輸出の非常な増大を来しておると思うのであります。ただそこで問題になりますのは、そういうものがどんどん輸出される結果といたしまして、どうしても日本に残しておかなければならぬものまでも、どんどん出されるというようなことが起つて来る。たとえばアルミニユームにしましても、九千トンも出ておるということを聞きましたが、ニツケルなんかもほとんどストツクがない。銅とか鉛とか錫、クローム鋼、モリブデン、こういうものが不足して来ているということを承つております。その結果は日本における電気機械なんかのメーカーも、むしろ資材の不足で困つておる。最も重要なのは鉄でありますが、この鉄鉱石が輸出というよりも、ほぼ軍備拡張計画の方に取られてしまつて、なかなか日本に鉄鉱石が入つて来ない。そこで日本の鉄鋼事業においても、これは非常に重大な問題になつて来ておると思うのです。これをどういうふうに解決される予定であるか。鉄鉱石が入つて来ないということになれば、いくら金融的な措置でこういうことを奨励されたとしても、輸出は実際にはできない。基本的な鉄鉱石という資材が入つて来なければ全部行き詰まつてしまう。この点についての通産大臣の見解を聞きたいと思います。
  146. 横尾龍

    ○横尾國務大臣 お答えいたします。非鉄金属その他のものに対しては、輸出銀行は認めていないのであります。輸出銀行の認めておりますのはおもにプラント輸出である。そういうようなプラント式なものに対して、在来非常に困難なことは、金額も大きくなりますし、また長期になります。かつその上に向うに送りましても、向うが受取りましてから、試験の期間一年間なりという期間があるのであります。そのために非常に金融に困りますので、こういう輸出銀行をつくりますならば——諸外国もやつておりますような状態でありますから、今のわが国としてもこれが必要なりという考えでやつたのであります。お話の、朝鮮事変以後原料品が非常に入りにくいではないか、鉱石のごときもというお話でございますが、鉱石のごときは極力明年度予定の四百万トンの鉄鋼ということに対して、手当を進めつつあるのであります。粘結炭も同様にその方に向つて、ことに最近の朝鮮事変の関係を考慮いたしまして、他方面からこれを輸入するように努めておるのでございます。
  147. 米原昶

    ○米原委員 そういうぼんやりしたお答えでは、なかなか納得行かないのでありまして、四百万トン計画を実行するためには、三百三、四十万トン以上の鉄鉱石の輸入が必要なのです。そういう計画はなるほどあるかもしれないが、その計画が実現する可能性はなくなつているのではないか。一体その結果がどういうふうになつておるのかを聞きたい。それが実行できる可能性があるのかないのか。それを聞きたい。実際には最近伝えられるところによると、来年の三月末になれば、ストツク十万トンもなくなるかもしれないということまで言つておる人があるのでありまして、計画だけは立ててある、そのために努力するとおつしやつても、これじや全然問題にならないと思う。
  148. 横尾龍

    ○横尾國務大臣 今の問題は輸入でありまするので、必ず入るということは、それは断言はできませんけれども、そのためにここから入らなかつたならば、他から入れようという計画で今進みつつありまするので、私は来年度に対してはまず支障ないものと考え、また支障ないように輸入するつもりであります。それだけお答え申し上げます。
  149. 米原昶

    ○米原委員 ところがその計画をほかにかえられるとかいろいろおつしやいます。けれども、三百三十八万五千トンの輸入計画において、たとえば中共地区から三十六万トンというようなものを予定されておるようでありますが、一昨日ああいう中共向け輸出禁止をやつておるようなわけであります。こういうことでこういうものが入つて来る見込みは、私は立たなくなると思うのであります。その他の地域に対しましてもむしろ少くなりこそすれ、多くなる見込みは全然ないと言われておる。たとえばインドから二十二万トン、ゴアから十七万トンというような計画があるようでありますけれども、この方面には英国の方かどんどん買いつけ出しておる。これも実行できないということを聞いておる。そういうような状態になりますと、はたして実行できるかどうか。そういうものが全然入らないということになると、すべての計画が御破算になつて来るのじやないか。たとえば輸出銀行でこういう措置をとられましても、こういう点についても希望が持てないということになると、意味がないのであります。その点をもつと納得の行くように説明していただきたい。たとえば米国の方からとか、ブラジルとかカナダとかアラスカとか、そういうところから鉄鉱石を輸入するという計画もあるそうですけれども、そういう方からの、たとえば米国の鉄鉱石三十万トンが入るという話だつたが、結局現在になつてもまだ入つていないという話も聞いておりますが、そういうふうにほかの方面から買えるとおつしやつても、それが一向実現の可能性がないのじやないか、全然見当がつかなくなつておるのじやないかと私は思いますので、もう少しはつきりと見通しがついたところを聞きたいのであります。
  150. 横尾龍

    ○横尾國務大臣 今見込みがあるとかないとかいうお話でありますが、われわれは見込みのあるように努力しておりますので、先刻申されましたように手に入るまではわからぬじやないかということになりますと、これはまた議論の相違になりますけれども、今お話のように中共から来ておる鉄鉱石のごときは、最近非常にわずかでありますので、アメリカとか、あるいはマレーとか、あるいはその他の地区から入れるべく努力しておるのでございます。それがどこから何トン入つて来るかというお話でありますが、大体の量はきめつつやつておりますが、今どこから何トン入つて来るというようなお答えはいたしかねるのでございます。
  151. 米原昶

    ○米原委員 全然そういうような答弁では禪問答みたいでありますが、そういうことをおつしやるなら、なぜああいう中共貿易の禁止令を出されたか。どういう法的な根拠で出されたか。第一にそれを聞きたいと思います。
  152. 横尾龍

    ○横尾國務大臣 本会議で御返事申し上げた通りに、朝鮮事変の現段階において、それを考えつつやつたのでありますから、さよう御了承願います。
  153. 米原昶

    ○米原委員 私は法的根拠を聞いておるわけです。その事情でなくて、法的根拠を……。
  154. 横尾龍

    ○横尾國務大臣 輸出品の管理令によつてつたのでございます。
  155. 米原昶

    ○米原委員 あの輸出品の管理令の中には、許可制度になつていて、そういうことをなるほど制限することができるような規定になつておるようでありますが、そうしますと朝鮮事件の関係ということになると、新聞の伝えるところによると、アメリカの方からもそういう話があつたというようなことが出ておりますが、通達でもあつてそういうことを適用されたのでありますか。その点を明らかにしてもらいたい。
  156. 横尾龍

    ○横尾國務大臣 政府の独自の考えでやつたのであります。
  157. 米原昶

    ○米原委員 政府の独自の考えでやつたとおつしやいますと、ますますもつて私は理解に苦しむものであります。たとえば実際問題として中共方面にこれを輸出した。今までずいぶん制限して来ましたが、むしろこの機会に徹底的にこの制限を緩和して行くならば、この鉄鉱石の問題だつてすぐ解決つくと思う。あの措置によつてたとえば開らん炭もおそらく入らなくなると思いますが、富士製鉄でも扶桑金属でも、ほとんど開らん炭だけでやつておるということを聞いております。そういうことになりますと、非常に大打撃をこうむることになりますが、こういう点について一体どういう措置考えられておるか、この点を明らかにしてもらいたい。
  158. 横尾龍

    ○横尾國務大臣 製鉄用の粘結炭に対しましては、開らん炭が入つて来たのは多少あるのであります。しかしながらこれを米炭をもつてとりかえるべく、今せつかく交渉中でございます。かつまた今の貿易管理令によつてやりましたことは、まず朝鮮事変の推移を見るために約一箇月間ばかりやりまするので、その以後はその以後の推移によつて考えたいと思います。
  159. 米原昶

    ○米原委員 開演炭をほかの米炭にかえるということになりますと、たしかコストの点でも二倍以上になると思うのでありますが、そういうときにどういう措置をとられるか。政府の政策によつてそういう犠牲を負わせてどういう措置をとられるか、明らかにしていただきたい。
  160. 横尾龍

    ○横尾國務大臣 御存じの通り開らん炭とアメリカ炭とは品質が相当違うのであります。それで現在の情勢におきましては、工業的に考えまして大して差異がないものと考えます。
  161. 米原昶

    ○米原委員 この輸出制限令の問題でありますが、たとえば先月二十八日の新聞に出ておりますが、対中共輸出貿易の実情調査が、アメリカの上院商業分科委員会で行われたときに、こういう問題が明らかになつております。四百万ポンド以上の銅を中共向けに積み出したという理由で、米国の商社が日本で告訴されるということであります。こういうことが出ております。つまりアメリカからは中共に対して銅の輸出制限をやつておらぬ。ところが日本からアメリカに銅を輸出している。そうするとニユーヨークから河北に向つて輸出した。このことが問題になつて、これはアメリカの方の法律では罰せられないけれども、そのアメリカ人なりアメリカの商社が日本の法律で日本で罰せられる、こういうような問題になつたということが出ておりますが、こういうことになりますると、ますますもつて私は政府のやつておられることが理解できない。アメリカの方は中共貿易をどんどんやつて銅を輸出している。ところが日本はこういうものも輸出させない。これは何のためにこういうことをやるのか理解に苦しむ。もつとはつきりこの点を説明してもらいたい。
  162. 横尾龍

    ○横尾國務大臣 お答えします。ただいまの委員のお尋ねに関しましては、寡聞にいたしまして私まだそのことを聞いておりませんので、御返答いたしかねます。
  163. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 通産大臣は本会議に出席しますので、あと一点だけ許します。
  164. 米原昶

    ○米原委員 そうしますと別の問題を聞きます。この輸出銀行法によると、ブラント輸出ということが最も大きく取上げられておるわけでありますが、インド方面にブラント輸出をやりました一万五千キロワツトの水力発電設備、パキスタン方面に輸出しましたタンク車百五十四両が、最近キヤンセルされたということを聞いておりますが、そういうことがどんどん起つて来ておるのではないか。そういう点ともう一つ聞いておきたい。ここに資料を出されましてプラント輸出の実績というものがあります。二十四年度の四月から十五年度の三月までこういうものが出ておりますが、われわれはこれだけではよくわからないので、もう少し聞きたいのです。このプラント輸出がむしろ最近は減少しておるということを聞いておるのでありますが、どういう事情で、減少しておるか。これは二十四年四月から今年三月までの数字しか出ておりませんが、それ以後むしろ少くなつておるようですが、そういう事情があるのかどうか、これを聞きたい。
  165. 横尾龍

    ○横尾國務大臣 私詳しく存じませんので、今ここに政府委員が来ておりますから、政府委員から答弁いたさせます。  なお先刻輸出管理令と申しましたが、これは外国為替及び外国貿易管理令でございますので、さよう訂正いたします。
  166. 岡部邦生

    ○岡部説明員 お答えいたします。タンク車の問題と発電設備の解約の問題でございましたが、私の方にはまだそういう話はございません。むしろ発電所の方は政府の発注でございまして、LCの開設が遅れると思いますが、タンク車の方はLCの開設があつたというふうに聞いております。プラント輸出の金額を申しますと、二十四年四月から今年三月の間に二千六百六十万ドルできておるのでございますが、今年は四月から八月までの間に九百四十九万ドルできておりまして、明年の三月までの間にさらにこれが四千二百万ドル以上の需要の申込みがございます。どれだけできますかわかりませんが、漸次ふえて行つておる傾向でございます。
  167. 米原昶

    ○米原委員 今来年三月までは相当ふえるという見込みだとおつしやいましたが、それは大体どういう方面になつておるか、わかりましたらお知らせください。
  168. 岡部邦生

    ○岡部説明員 大体主要な国としては東南アジア——インド、タイ、パキスタン、フイリツピンというようなものがおもでございます。その他アルゼンチン及びブラジルというものもございます。
  169. 米原昶

    ○米原委員 そうしますとプラント輸出の点についてもう少し——政府の出されましたこの資料を見ますと、プラント輸出決済方法の具体例というのがありまして、これによると大体決済が長いので三十六箇月、大体三箇年で終るようになつておりますが、この輸出銀行法を読んでみますと、第二十條に先ほど御説明がありましたように、大体三箇年以内というようにきめておられるのであります。長くても償還期限五年以内、こういうふうになつておりますが、これは大体どの程度のものか理解できないけれども、プラント輸出というと、発電設備などは、かつて朝鮮の水豊ダムのときの例をとると、これは十五年間もかかるわけでありますが、これによると最長五箇年、この程度で一体いいのかどうか。どの程度のものが多くてどの程度で済むのか。その点の御説明を願いたい。
  170. 岡部邦生

    ○岡部説明員 大体このごろ問題になつておりますものは、船の関係あるいは車両はというものが多うございまして、割合に期間が短かいのでございますけれども、発電施設になりますと長期になつて参りまして、平均いたしまして三年くらいと予定されておりますが、漸次期間の長い引合いもぼつぼつ話が出て参つております。それらにつきましてはまたそのときに考えたいと思います。
  171. 宮腰喜助

    ○宮腰委員 十月の貿易の成績は、新聞の上では約八千万ドルくらい輸出をしておる。その中に二千何百万ドルは、中共に対する金属の輸出ということが出ておつたように記憶しておりますが、あの二千万ドルの中には、いわゆる司令部のリストに違反するようなものも書いてあつたように記憶しております。薄鉄板、銅線のようなものも書いてございますが、あれはリストに違反するものではないかという疑いを持つておりますが、その点をちよつとお伺いしたい。
  172. 岡部邦生

    ○岡部説明員 お答えいたします。私は係が違いますので、その内容をはつきり存じませんのです。但しそれほど多い金額に上つておるとは思いませんが、数字はちよつとただいま持つておりません。
  173. 宮腰喜助

    ○宮腰委員 昨年度からごく最近までの対中国貿易の総合計が、一億二千五ドルくらいになつております。そのうち二千万ドルは天津との直接貿易だというように聞いておりますが、あと一億近くのものは香港経由の貿易だと開いております。ところが香港経由貿易になると、中間の業者が非常な厖大な利益をむさぼつてある。これがために日本の商品の将来の発展にも、障害があると思うのであります。この香港だけはポンド資本が入れば駐在員が派遣できると思うのであります。こういうような今後の中国貿易、中共貿易に関連しまして、特に香港だけは駐在員を置く必要があると考えておるのでありますが、この香港の駐在員のことは現実として復活されるかどうか、伺いたいと思います。
  174. 岡部邦生

    ○岡部説明員 ただいまのところまだそういう交渉はしておらぬはずです。
  175. 宮腰喜助

    ○宮腰委員 天津貿易も盛んに行われていますが、ここを経由して取引さもておるのは、約二千万ドルあると聞いております。その天津についてもあるいは華僑の手を経てやつておる面もあるだろうと思いますが、われわれは今後天津と直接貿易をするのを、非常に期待をかけておるのであります。また天津は昔からの取引もありますし、大体あの辺の産業の事情もよくわかつているのだし、従つて現在天津と取引している場合には、中共との管理貿易だと思うのですが、あるいは個人対の自由貿易をやつているかどうか、そういう点をちよつとお伺いします。
  176. 岡部邦生

    ○岡部説明員 ただいまはバーター取引を認めておりますので、あちらが先に品物を持つて来るというときの決済方法としてやつております。
  177. 宮腰喜助

    ○宮腰委員 それから青島から済南へ行く途中に、日本が戰争中に集めた鉄鉱石が約百万トンばかりある由でありますが、あれは大分以前から疑問になつておるようであります。あれを、こういうような日本のスクラツプも少くなる場合には、ぜひ日本の製鉄所あたりに必要じやないかと思うのでありますが、この青島、済南間にあるところの鉄鉱石について、通産省では研究なされたことがありましようかどうか。
  178. 岡部邦生

    ○岡部説明員 お答えいたします。私はその事実は存じません。
  179. 米原昶

    ○米原委員 先ほど通産大臣に伺いましたけれども、全然納得行かないので、もう少しはつきりと輸入の予定を——一体できるのかできないのか。最近の状態では非常に基礎的物資がむしろ不足しておつて、これをどういうふうに解決すると考えているのか。それが解決できなければ、こういうことをやつても全然意味がないと思うのでありますが、その点を説明してもらいたいと思います。
  180. 岡部邦生

    ○岡部説明員 先ほど大臣が説明いたしました通り、通産省といたしましては極力これの輸入に努めておるわけであります。私は係でございませんので、見通しの点は申し上げられません。
  181. 米原昶

    ○米原委員 重大な問題でありますから、係がいなければ係が来て話をするまで、暫時休憩することを要望いたします。
  182. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 その他御質問ありませんか。  それではちよつと休憩いたします。     午後五時五分休憩      ————◇—————     午後五時五十四分開議
  183. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 休憩前に引続き会議を開きます。  日本輸出銀行法案議題として質疑を続行いたします。
  184. 川島金次

    ○川島委員 それでは外務省の政務局長並びに安定本部の貿易局長の来られるまで、銀行局長に二、三お尋ねをいたしておきたいと思います。  先般も私はちよつと触れたのでございますが、この法案輸出にのみ重点を置いた法案であります。参考資料として提出されましたものには、ワシントンの輸出銀行に関するものがあつたのでございますが、政府がこのほど貿易資金の問題について、輸出のみにとどめた特殊の金融機関を設けるに至りました所見を、まず明らかにしてもらいたいと思います。
  185. 舟山正吉

    ○舟山政府委員 この輸出銀行の機能を輸出だけに限りましたのは、輸出金融、特に長期輸出金融が民間独自の力では十分ではないということを認めたことと、それから輸出を伸ばすこと、特にプラントもの輸出をいたしまして、東南アジア地域と経済的に強く結びつくことが必要であるということを認めました。こういうような点から、長期輸出金融の必要性が痛感せられて貸付等を認めることによりまして、国内金融、しかも民間の金融でまかないがつくと認めたからでございます。
  186. 川島金次

    ○川島委員 そこで続いてお尋ねいたしますが、それでは輸入に関する資金確保の問題については、現状のままでいささかも支障がないと政府考えられておりますか。
  187. 舟山正吉

    ○舟山政府委員 輸入を阻害しておる原因はいろいろあると思います。たとえば貿易協定の面における問題とか、最近には先方が売り惜しみをする面でありますとか、そういう国内以外の面においていろいろの支障が起つておるかと思いますが、金融的に申しますれば、日本銀行の外国為替貸付金を認めますことにより大いに改善せられ、輸入金融にはさしつかえないものと考えております。なお大量の物資を輸入いたしまして、これを長期間貯蔵をする貯蔵金融まで考えなければならぬかどうかというような問題につきまして、これはいろいろの客観情勢があることと思うのでありまして、現在はその必要がないと考えておるのでございます。
  188. 川島金次

    ○川島委員 それでは今の輸入資金については、一種のいわゆるユーザンス制度というものが実施されておるわけでありまして、これは輸入業者の資金のために、大体三箇月くらいを限度としてこの制度を実施しておるわけであります。これは多分九月だつたと思いますから、十二月ないし一月ごろには決済をしなければならぬ段階に入つて来ておりますが、この決済の段階に入つて輸入業者が円滑な決済ができる状況に今日なつた。その点でお調べになつたところがありましたならば、お示しを願いたいと思います。
  189. 舟山正吉

    ○舟山政府委員 この外国為替貸付制度は九月二十五日から実施いたしました。これ輸入関係書類の到着から原則として三箇月、場合によりましては四箇月、なお貨物の輸送途上に事故がありました分には、その事故のありました期間だけ決済を待つという制度でございます。それで現在のところ九月末以降の輸入は、決済が延期しておるわけであります。現在は輸入貨物引取り代金の支拂いに困るという問題はないわけであります。今三箇月の間は引取り代金の取立てを待つておるという関係になります。
  190. 川島金次

    ○川島委員 その取立て期間が、いろいろ現実のような事情から、三箇月ないし四箇月ではむりな面もあるのではないかと私には思えるのですが、さらに期間を延長して、そうして輸入業者の資金確保。並びに回収に便ずるという形も、必要ではないかと私は思いますので、その点をお尋ねしたわけであります。  さらに政務局長さんに先ほどの続きでありますが、お尋ねをいたしたいと思うのです。東南アジアにおける対日感情の好ましくない地点はひとりフイリピンのみでない。その他にも若干の国があるとの言明があつたわけであります。いよいよもつてまことに遺憾な事態だと思うわけであります。そこで先ほど局長は、いずれ日本の信用を回復し、講和條約が結ばれて行けば、さらに好転するのではないかというようなお話でありました。そういうことも一つの期待であり、りくつであろうと思うのですか、その講和條約を締結いたします事前において、東南アジア諸方面において、日本に対する憎しみの感情をいまだに拂拭し切れない諸国がありといたしますれば、その講和條約の締結を日本にとつても最も好ましい姿に持つて参りますためにも、事前的な手を打つという必要性を、私どもは実際に伺つてみて感じておるのであります。そこでくどいようでありますが、そういう意味で私は講和條約の締結前に必要であるということを痛感いたしますがために、先ほどのお尋ねをいたしたのでありまして、そういうことについて外務当局は、講和條約の事前においてはそうしたことは必要ないのだ、ひとり單に講和條約の締結を待つて、後において努力をすればいいのだという考え方でおられるのかどうか。それについてもう一度所信をお示し願いたいと思います。
  191. 島津久大

    ○島津政府委員 お答えいたします。先ほど申し上げました趣旨は、ただいま最後にお話がございましたように、何もしない方がいいという趣旨では羊頭ないので、講和條約の前でも対日感情を改善するような方向に、ぜひ向けて行きたいという気持においてはまことに同感でございまして、具体的な手があればもちろん打つて行きたいと負うのでありますが、国交の回復していない今日、有効な具体的な手がなかなか見つけるのが困難であるという趣旨で申し上げたわけであります。
  192. 川島金次

    ○川島委員 私は必ずしもお尋ねせんがためにお尋ねしておるつもりはまつたくないのであります。非常に身に感じておる事柄でありますので、くどくどしく繰返すわけなのでありますが、今の国交の回復しておらない占領治下の日本においては、いかんともいたし方がないと言つてしまえばそれまで竹あろうと思います。しかし政府の積極的なくふう、そうして国民のそれに対する協力を得ようとする熱意があれば、私は講和條約以前においても、何らかの形でこの対日感情の險惡な姿を持つておりまする諸国に対する政善の具体的な運動なり、方法なりがあり得るのだというふうに私は考えられる。講和條約が目前に追つておると一般にも期待されておりまするほどに、一層そういう必要性を持つているという感じでおるのであります。これ以上私は申し上げませんけれども政府において何らかの積極的なくふうをせられて、フイリピンを中心とする他の諸国にも、かなりまだ対日感情の思わしくない面のありますことも私は存じております。政府は、もとよりわれわれより一層にその点は痛感されている事柄であろうと思います。どうぞその面の打開のために、講和條約の締結の事前に打つべき手がありとすれば、その打つべき手について積極的な熱意のある研究くふうをされんことを、私は切に日本の将来の民族の独立と経済的、文化的、国際的な修交を一層高める意味におきましても、私は特に要望しておきたいのであります。  そこで次に通産省の方にお尋ねをいたしたいと思う。これは先ほど来から共産党のほかの諸君からも同じようなことが質問をされておりますので、若干重復のきらいがないでもないですが、最初私は外務省の方にもお尋ねいたしたのです。日本の今後の輸出貿易の主体はアメリカはもちろんであるが、東南アジアにあるということは言うまでもないのであります。ことにこの法案提出されました理由の中にも、今後インド、パキスタン、ビルマ、フイリピン、タイ、インドネシア、インド支那等の諸地域に対する積極的な貿易施策が希望され、期待されておるようなありさまでありますが、この方面に対するところの輸出貿易の現状と将来の見通しについて、はたしてこの輸出銀行法案の提案理由の説明の中に明記されておりますほど、楽観的に考えてよろしいものか。そういう事柄について、実際の事柄に携わつております通産省当局の率直な、しかも具体的な話をひとつわれわれにお聞かせ願いたい。
  193. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 川島君にお諮りいたします。明日安本の貿易関係の政府委員を呼んでよく説明させますから、どうぞきようは時間がありませんから御了承願いたい。
  194. 西村直己

    西村(直)委員 日本輸出銀行法案につきましては質疑を打切り、討論採決に入らんことを望みます。
  195. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 西村君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  196. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 御異議なしと認めます。  これより本案を議題として討論採決に入ります。討論は通告順によつてこれを許します。西村君。
  197. 西村直己

    西村(直)委員 ただいま議題となりました日本輸出銀行法案につきまして、私は自由党を代表いたしまして賛成の意を表するものであります。  わが国経済復興貿易の演ずる役割はきわめて大でございまして、わが国経済が自立を達成するためには、何よりも輸出振興をはからねばならぬと思うのでありますが、ことに米国の対日援助が打切られるいうおそれがある情勢にかんがみましては、あらゆる施策輸出の促進に向けなければならぬと存ずるのであります。従来のわが国貿易は軽工業中心でありましたが、今回の大戦後は情勢が変化いたしまして、わが国主要取引国たる東南アジア諸地域におきましては、工場設備、重機械、船舶、車両等の重工業資本財に対する需要が多いのでありまして、いわゆるプラント輸出の問題が大きくクローズ・アップして来たのであります。これらのプラント輸出におきましては巨額の長期資金を要するのでありまして、この種金融機関の設置は各方面かち非常に要望されております。今回この要望に沿うべく日本輸出銀行法案提出されました。この趣旨に対して私は賛意を表する次第でございます。
  198. 夏堀源三郎

  199. 内藤友明

    内藤(友)委員 私は二、三の希望を申し上げまして本案に賛成いたましす。その先に、こういう重要法案を今日お出しになつて、すぐ議決するようにということはまことに残念でありまして、この点は遺憾の意を表しておく次第であります。  いろいろと内容を研究してみますと、総裁の諮問機関というものをおつくりになつて、十分にこの機能を発揮するように願いたいというのが一つの点。第二は、従来ややもしますと、こういう特殊金融機関はいろいろ問題を起すのでありまして、この機関に限つてはそういう問題の起らないように、十二分の御配慮を願いたいということが第二であります。第三は、特殊な貿易業者だけの利用ということになりますと、まことにいかぬのでありまして、広くこの種の業者に対してまんべんなくひとつつていただきたい。その他いろいろ希望もありますけれども、時間も切迫したことでありますから、二、三の希望を申し上げまして、本案に賛成するものであります。(拍手)
  200. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 川島君。
  201. 川島金次

    ○川島委員 私は日本社会党を代表いたしまして、議題となつておりまする日本輸出銀行法案に対しまして、この際政府に強く要望をしまして、賛成の意を表するものであります。  ただいま同僚の民主党内藤君からもお話がありましたように、最近の本委員会の状態から見ますと、毎国会ごとにその終末に及んで、きわめて日本経済、国民生活に重要な法案を、突如として提出をいたして来るという事柄が続いておる。かくのごとき事柄でございましては、国民の代表として重要な案件を審議すべき重大な任務を負つておりまする国会並びに本委員会といたしまして、その責任を十分に果しますことが、きわめて困難な事柄に追いやられるのでございます。いよいよ通常国会も明後日に召集されておりまして、おそらくこの国会におきましても、さだめし政府から本委員会に種々なる、しかも重要な法案が付記されるものと予想いたしておるのでございます。どうぞ会期の切迫につれて、しかも逆に重要な法案を付記するというこの惡例を、ひとつ今回限り廃止をしてもらうことを切に強く政府に要望し、また委員長を通じて、この事柄はことに強く政府に警告を発することを、まず私からお願いをしておく次第であります。  なお本案自体につきましては、私どもといたしまして、いろいろの角度かちそれぞれの不満な点、あるいは修正をいたしたいというような感じをいたす面もないではございませんが、いずれにしても今日の日本経済の実態からいたしまして、日本の輸出振興をはかるということのきわめて重要なる本質にわれわれはかんがみまして、本案に賛成をいたすものであります。しかしながら本案の実施とともに、一面におきましては国際情勢にかんがみまして、日本の必要なる事柄は輸出とともにあわせて、その前提となります輸入の重要性というものが、きわめてますます今日の段階では重要性を加えて平だかの感がいたすのでございます。の点政府は極力積極的な熱意とくふうと努力を持たれまして、輸出に先だつ前提となりまするところの輸入計画の実現につきましても、最大最善の努力を拂いますと同時に、またこの輸入資金の融通につきましても輸出資金の確保と同様、それ以上の熱意と努力を傾注されまして、わが国輸出貿易振興に最善の努力を拂われんことを特に強く要望いたしまして、本案に賛成をいたします。(拍手)
  202. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 米原君。
  203. 米原昶

    ○米原委員 私は畑本共産党を代表しまして、本法案に反対な意見を述べるものであります。  かかる重要法案が会期の切迫した本日に至つて提出され、わずか一日でこれを通過せんとするというようなやり方に対しては、私は非常な不満を持つのであります。質疑を十分に盡さなかつたために、当然聞かなければならない点を多くの点においてはつきりできなかつた。その意味で私の討論は非常に不十分なものとなると思いますが、一言にして言えば、この輸出銀行なるものは現在の段階では、單にアメリカの戰略物資の買付機関にすぎないという役割しか演じないのではないかと、私は思うのであります。最近の輸出の状態を見ますと、朝鮮事変勃発以来非常に多くの戰略物資が、日本からほとんど掠奪的に輸出されまして、その結果基本的な資材が非常な不足を告げておる状態であります。この状態ではたして輸出が可能であるふどうか。この法案で言われておりますようなプラント輸出なんというものが、こういうようなやり方ではたしてできるかどうかということに、第一の疑問点があるわけであります。質疑の中でも明らかにしましたが、鉄鉱石とか粘結炭とかいうようなものの輸入についても、ほとんど私は輸入の目途がついてないのじやないかと思うのであります。そういう状態ではたしてプラント輸出なんというものができるかどうか。それを促進するための銀行だと言いましても、現実にはそういう役割を果せないのじやないかと思うのであります。しかもこの銀行法を見ますと、先ほども質疑の中で明らかになりましたが、今のところは三箇年ほどの償還期限であるからとおつしやいますけれども、本格的なプラント輸出ならば三箇年ではとうてい足りないはずでありまして、五箇年以上もかかるべきものだと思うのであります。ところが本法案によりますと、五年たつとそういう銀行の機能はすでに停止するようにできておるのでありまして、プラント輸出のための金融だということは、私はこれで了解できないのであります。しかもここで問題になりますのは、この資本金は一般会計及び見返り資金から支出されておるのでありますが、もし現在の状態におきまして、いわゆる東南アジア地方にプラント輸出のための資金として充てられるということになりますと、最近の東南アジアの状態を見るならば、そこでは民族独立の解放運動が膨湃として起つておるのであります。その状態のもとではたしてどういうことになるか。もしも輸出しまして重大な政治的な変化等の起りました場合、その危險負担は全部われわれ日本人が負うことになるのであります。しかもこの資金はいわゆるアメリカの対日援助の見返りたる見返り資金によつてまかなわれておるという形で、いわゆる逆援助が行われておるわけでありますが、その負担が全部日本人のものとなるという意味において、私は非常な疑問を持つものであります。さらにインド、パキスタン方面に対するプラント輸出に対しましても、この方面においては、最近では西ドイツあるいはフランス等が相当進出して来ておる。また日英協定の状態を見ましても、決して予定通りには行つておらない。そういう形ではたして今後の輸出が成功するかどうか、はなはだ疑わしいのであります。もしもわれわれが常に提唱しておりますような中華人民共和国との貿易を盛んにすれば、この問題は簡單に解決がつきますが、不幸にして政府はこれとはまつたく逆なやり方をしておりまして、一昨日は遂に中共貿易を一箇月間停止するという、無謀なる方策をとるに至つておるのであります。このようなめちやくちやな、何ら先の目途もない貿易計画のもとで、こういう輸出銀行をつくりましても、まつたく意味がないと私は考えます。これはまつたく日本からただ戰略物資を、今後今まで以上に掠奪するための機関であるということを断言しまして、本法案に反対するものであります。
  204. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 討論は終局しました。  これより採決に入ります。本案を原案の通り可決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  205. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 起立多数。よつて本案は原案の通り可決いたしました。(拍手)  なお報告書作成、提出等は委員長に御一任を願います。  なお先ほどの川島委員の御警告は、委員長も同感でありますから、政府にきつく警告いたします。     〔委員長退席、小山委員長代理着席〕     —————————————
  206. 小山長規

    ○小山委員長代理 次に請願及び陳情書審査委員長より、その審査を報告するため発言を求められておりますので、この際これを許します。請願及び陳情書審査委員長奧村又十郎君。
  207. 奧村又十郎

    ○奧村委員 これより請願及び陳情書審査小委員会の、請願及び陳情書審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。  本小委員会審査を付託されました請願は総計五十五件、陳情は二十三件でありますが、小委員各位の熱心なる審査の結果、左の結論を得た次第であります。  すなわち請願につきましては、日程第四、第一五、第二四、第三四、第三五、第三八、第四三、第四五、乃至第五〇の各請願計十三件はいずれも留保すべきものとし、日程第一四は採択すべきものとし、日程第一ないし第三、第五ないし第一三、日程第一六ないし第二三、日程第二五ないし第三三、日程第三六、第三七、日程第三九ないし第四二、日程第四四及び日程第五一ないし第五五の各請願計四十一件につきましては、いずれも採択の上内閣に送付すべきものと決定いたした次第であります。  なお陳情書につきましては日程すべてにつきまして、了承いたすことに決定いたした次第であります。  以上簡單でありますが、小委員長より御報告申し上げます。
  208. 小山長規

    ○小山委員長代理 小委員長の報告は終りました。これより本日の日程に掲げました請願及び陳情書全部につき採否を決定いたします。請願及び陳情書につきましては、小委員長の報告の通り決定するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  209. 小山長規

    ○小山委員長代理 御異議ないようでありますから、さよう決定いたします。
  210. 三宅則義

    三宅(則)委員 ただいま奥村小委員長の発言については全部賛意を表した次第でありますが、どうかこの請願審査につきましてはなるべくもう少し前にやつていただいて、よく政府当局とも折衝を加えて検討を加えるということが、一番重要であると思いますから、特に委員長にそのことを要望する次第でございます。
  211. 小山長規

    ○小山委員長代理 了承いたしました。さようとりはからいます。  本日はこれにて散会いたします。明日の日程につきましては公報をもつて御報告いたします。     午後六時三十一分散会