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内藤(友)
委員 大蔵大臣に
お尋ねしたいと思うのですが、この大蔵
委員会はいつもでありますが、
法律が出て参りますのが非常に多うございまして、今まですでに出ましたのは十八でありまして、おそらくほかの
委員会に比べまして、これほど多く
法律の出るところはないと思うのであります。ことに昨日から今日にかけまして、七つの
法律が出て参りました。会期はあす一日であります。この間に何とか七つの議案を審議しなければならぬのであります。しかし大蔵
委員会は、第一回
国会以来伝統的な
一つの誇りがあります。そのときの
政府には、全面的に協力するという実は美風があるのであります。大臣がここにお見えになりましたのはこれで二度目でありまして、ほんの十分か十五分の忙しいすきを見てお出ましをいただくのにもかかわらず、この
委員会は勉強いたしておるのでありますが、きようあすにも七つの
法律の審議をやらなければならぬことにな
つており事。そこでいろいろ
お尋ね申し上げたいことが実はあるのでありますが、参議院の方の予算総会の
関係もありまするし、よけいなことはひ
とつ遠慮いたしまして、ただ
一つお尋ね申し上げたいのであります。
それは今
議題にな
つておりまする
農業共済再保険特別
会計の
歳入不足を補填する
法律でありますが、実はこの
法律につきまして、昨年もいろいろと
政府のこの
関係の皆様と論議を盡したのでありまして、そのときも
政府側から、必ずこの農業保険については、十分な研究を重ねて、近き将来には、また
繰入金のないような処置を講ずるという、強い自信のある御答弁でありましたので、私どもはこの前の
繰入金の
法律が出ましたときも賛意を表して、それが通
つたのであります。ところが今度まつたく約九億ほど
一般会計から繰入れようという
法律が出て参
つたのでありますが、ここで大蔵大臣の御所信をひ
とつお尋ねいたしておきたい、こう思うのであります。実は現行の農業保険制度によりますと、現在は
政府段階におきましては、この農業保険の赤字は約二十億ございます。
府県の連合会段階におきましては、二十三億ほどあることにな
つております。なるほど
政府の負担すべきものは、
一般会計からこういう
法律で出して行くことができるかは存じませんが、
府県段階のこの赤字二十三億は、現在のところ何ら目途が実はないのであります。そこで毎年々々こういうふうなことが重な
つて行きますと、農業保険制度というものが一体どうなるかという心配があるのであります。と申しますのは、農業の災害は、これは毎年々々その災害の度がたいへんなことにな
つて来ておるのであります。これは今年もいろいろな災害があ
つたのでありますが、その災害というものは昔に比べて、その風、その雨などは私は多いものとは思
つておりません。ただしかし、今日
政府がなされております治山、治水のいろいろな施策にほとんど見るべきものがないために、また食糧供出の事前割当制度がありますために、不適地までも割当がかけられるのでありますから、そういうところまでむりして水稻をつくろうということから、そういうところは元来少し災害がありますと、すぐ被害をこうむるところなのでありますが、この割当制度の強く推し進められるという
関係から、そういうところまであえてやらざるを得ないことにな
つておるのであります。しかしそういうことのため、また戦後ごとにこのごろ家畜の保険につきましては、連合会段階におきまして約三億三千万円の赤字を持
つておるのであります。これとても、今日
政府のや
つておられます家畜衛生施設というものに見るべきものがない。そういうふうな
政府の施策のまずさのしわ寄せが二十三億なり、また
政府自体が補填する二十億なりの赤字とな
つて現われて来ておるということでありまして、この
府県連合の赤字二十三億というものは、当然
政府施策の貧困から来るものでありますので、
政府がほんとうに農山漁村の政策をよくやられますならば、こういうものは私は出て来ぬと思うのであります。それがないものだから、これが出て来るのでありますので、当然これは
政府が責任を食わなければならぬものだと信ずるのであります。しかしそれは現在におきましては、制度上そうな
つておらぬのでありますが、そこで大蔵大臣に
お尋ねいたしたいのは、この
府県段階の二十三億の赤字はどうなさるのか。かりに
政府の負担すべきものは、ただいま提案されておりまする
法律、こういう
法律の手段によりまして、
一般会計から繰入れることができますけれども、
府県段階のものはこれは繰入れる道がありません。かりに
政府の責任のものは果されましても、
府県段階のものはその責任を果すことができないのでありますから、結局私は農業保険制度というものは、一、二年をまたずして崩壊するのではないかと思うのであります。でありますから、私が大蔵大臣に
お尋ねいたしたいのは、この制度を根本的にひ
とつ至急お考え直し願えることができるかどうかということと、もう
一つは、
府県段階の二十三億という赤字を、
政府は何とか御処置なさる意思があるかどうか。この二つの点をはつきりと親切に御答弁いただきたい。それさえ御答弁いただきますれば——いろいろと制度上の疑問はございますけれども、そういうことはまた
あとにいたしまして、ただこの二つのことについてお答えを願いたいと思います。