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1950-12-05 第9回国会 衆議院 大蔵委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年十二月五日(火曜日)     午前十時五十五分開議  出席委員    委員長 夏堀源三郎君    理事 奧村又十郎君 理事 小山 長規君    理事 天野  久君       淺香 忠雄君    有田 二郎君       大上  司君    佐久間 徹君       佐藤 重遠君    島村 一郎君       田中不破三君    苫米地英俊君       西村 直己君    三宅 則義君       宮幡  靖君    内藤 友明君       宮腰 喜助君    川島 金次君       田中織之進君    米原  昶君       竹村奈良一君    中野 四郎君  出席政府委員         大蔵事務官         (主計局次長) 東條 猛猪君         大蔵事務官         (主計局給與課         長)      磯田 好祐君         大蔵税務官         (主税局長)  平田敬一郎君         食糧庁長官   安孫子藤吉君  委員外出席者         大蔵事務官         (主税局税関部         調査統計課長) 藤田  茂君         專  門  員 椎木 文也君         專  門  員 黒田 久太君     ――――――――――――― 十二月五日  委員江崎真澄君、鹿野彦吉君坂本實君、佐久  間徹君、苫米地英俊君、西村直己君、松田鐵藏  君及び山口六郎次君、辞任につき、その補欠と  して川野芳滿君、島村一郎君、田中啓一君、田  中重彌君、田中豊君、星島二郎君、宮幡靖君及  び高間松吉君が議長指名委員に選任された。 同日  委員田中啓一君、田中重彌君、川野芳滿君、田  中豊君及び星島二郎辞任につき、その補欠と  して田中不破三君、佐久間徹君、佐藤重遠君、  苫米地英俊君及び西村直己君が議長指名で委  員に選任された。 同日  委員佐藤重遠辞任につき、その補欠として井  上信貴男君が議長指名委員に選任された。     ――――――――――――― 十二月五日  食糧管理特別会計歳入不足を補てんするため  の一般会計からする繰入金に関する法律の一部  を改正する法律案内閣提出第三三号)  外国為替特別会計の資本の増加に充てるための  一般会計からする繰入金に関する法律案内閣  提出第三四号)  郵政事業特別会計歳入不足を補てんするため  の一般会計からする繰入金に関する法律案(内  閣提出第三五号)  米国対日援助物資等処理特別会計法の一部を改  正する法律案内閣提出第三六号)  農業共済保險特別会計歳入不足を補てんす  るための一般会計からする繰入金に関する法律  の一部を改正する法律案内閣提出第三七号) の審査を本委員会に付託された。 同日  公私営法人間の租税負担均衡に関する陳情書  (第二一  六号)  つり用具に対する物品税撤廃陳情書外三件  (第二一九  号)  小型自動車等物品税撤廃に関する陳情書  (第二  五一号)  閉鎖機関整理委員の転用に供する陳情書  (第二五二号)  映写機、同部分品及び附属に対する物品税の税  率減免に関する陳情書  (第三〇一号)  葉たばこ賠償金引上げに関する陳情書  (第三〇六号)  粗製しよう脳及びしよう脳油收納価格引上げ  に関する陳情書  (第三〇八号)  通造用固定資産の評価に関する陳情書  (第三一七  号)  ピグメント・レジン・カラー輸入関税に関する  陳情書  (第三三〇号)  はち蜜に対する物品税撤廃陳情書  (第三三二号)  財政金融政策に関する陳情書  (第三三五号)  長期資金調達のため預金部資金、見返資金の運  用に関する陳情書  (  第三三六号)  未復員者給與法の一部改正に関する陳情書  (第三三八号)  公務員共済組合赤字国庫負担に関する陳情書  (第三四一  号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  食糧輸入税を免除する法律の一部を改正する  法律案内閣提出第五号)  所得税法臨時特例法案内閣提出第九号)  砂糖消費税法の一部を改正する法律案内閣提  出第一〇号)  揮発油税法の一部を改正する法律案内閣提出  第一一号)  物品税法の一部を改正する法律案内閣提出第  一七号)  旧令による共済組合等からの年金受給者のため  の特別措置法案内閣提出第三〇号)     ―――――――――――――
  2. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 ではこれより会議を開きます。食糧輸入税を免除する法律の一部を改正する法律案を議題といたしまして質疑を許します。竹村委員
  3. 竹村奈良一

    竹村委員 食糧庁長官にお伺いいたしますが、この昭和二十四年度以降の輸入食糧数量についての表をいただいたのでありますけれども、それによりますと、二十四年度以降として、たとえば大麦、小麦、あるいは米等の合計をいたしますと、われわれの計算では三百八十九万二千四百四十六トンと相なるわけでありますが、大体二十四年度から現在までそのくらいしか入つておりませんか。
  4. 安孫子藤吉

    安孫子政府委員 お答え申し上げますが、二十四年度と二十五年度と合せてでございますか。
  5. 竹村奈良一

    竹村委員 そうです。
  6. 安孫子藤吉

    安孫子政府委員 大体それくらいになると思います。
  7. 竹村奈良一

    竹村委員 そういたしますと、農林大臣は本年度は二百二十万トン入る予定だと言つておられます。ところが通産大臣はそうじやなしに、一月から十月までに二百二十五万トン入つている。十二月までに三十万トンで二百五十五万トン、こういうふうに本会議答弁されております。農林大臣は、先ほど言いましたように三百二十万トン、二十五年度に入ると言つておられます。しかし二十四年度から通算してみましたならば、どうも三百二十万トンは本年度は入らないように感ずるのでありますが、二十五年度は一体どれくらい入りますか。
  8. 安孫子藤吉

    安孫子政府委員 二十五会計年度は、予算上は三百四十万トンという計画になつておりますが、その後の海外状況その他を検討いたしますと、非常に悲観的に見ますれば二百六、七十万トンというような見方もできます。しかしながら一つ価格の問題もありますので、若干高い価格でもとるということでやつて参りますれば、三百二十万トン程度のものは入るのじやないか。三百二十万トンと二百六、七十万トンの間はいろいろな買付方法、その他の関係で違いが出て来ると思います。たとえて申しますと、カナダなんかにつきましては、従来広い意味のバーターでなければとれなかつたものか、今度はキヤツシユで買えるというようなことにもなりつつありますので、そういうようなことになりますれば、結局三百二十万トン近いものは入り得るのじやないかという予想をいたしております。
  9. 竹村奈良一

    竹村委員 そこがどうもはつきりしない。食糧庁長官の今のお答えによりますと、価格の面やその他で入らないと言われますが、通産大臣は本会議で十月一日から十二月一日まで入つた実績が二百二十五万トンだ、こう言つておられるわけであります。十一月から十二月までが三十万トン、これは十二月の末までですから予想でしようけれども、三十万トンの予想だと言つておられます。そこで少くとも一勺増配朗報を振りまく農林大臣は、三百四十万トンは予算面で、実際には三百三十万トン入るのが、こう言つておられるので、われわれはそこに国内食糧問題の立場から考えても、七十万トンの食い違いがあることになれば、これはどつちかはつきりしないと納得できないわけであります。そうすると実際は今まで入つているのは、通産大臣が言つておられるのがほんとうであつて、今後の値段の都合で、あるいは残りの三十万トンのやつが七十万トンあるいは八十万トン入るのだ、こういうふうに承つているのですか。
  10. 安孫子藤吉

    安孫子政府委員 大体そういうふうに御理解くださつてけつこうであります。
  11. 竹村奈良一

    竹村委員 そういたしますと、ここで農林大臣は、一勺増配の問題についてお尋ねいたしますと、それは事務当局調査を命ずる、命じたというふうにうまくお逃げになりましたが、これは事実においては、こういう輸入食糧の数字すら実際に実績から言うと漠然として、今度は入るか入らぬかわからぬというような状態でありますから、結局事務当局にそういう調査を命じた、命じると言つたところで、これは当然一勺増配できない。こういうことはしていながら、結局国民をちよつと喜ばすというのでそういう朗報をまいた、こういうふうに考えるわけですが、事務当局といたしましては、もし三百二十万トン入つたといたしましても、一勺増配は可能であるか不可能であるか、そういう点をお伺いいたしたい。
  12. 安孫子藤吉

    安孫子政府委員 一勺増配一は内容の問題が相当重要だと思います。大臣はわれわれに大体増配が量的に可能であるかどうかということを、よく検討してみるようにというお話があつた。私ども考え方といたしましては、米についての一勺増配ということは非常にむずかしいと思います。本年の米作の状況からいたしましても、相当大量の補正をいたしております。また海外食糧買付の点から申しましても、米は割合にソースが少いという点からいたしまして、米による一勺増配ということは相当困難だ。麦の方で一勺増配ができるかどうか、こういうようなことになりますと、ストツクを相当食い込めば、量的には可能性がないということは言えないと思います。一方配給辞退というような現象が相当出ておりますので、その辺を見比べますれば、麦に上る一勺増配ということは、これは量的には考えられないことはなかろうと思います。しかし御承知のように、消費者に対する一勺増配という問題を考慮いたしますれば、同時に生産者に対しまする保有量算定基準というものを、これでかえて行かなければならぬと思います。そうしますと、その方の需要、言いかえますと供給減というものが出て参りますので、單に消費者の方の麦による一勺増配というものが量的に可能であるといたしましても、全体の食糧事情から申しますと、早急に消費者に対する麦による一勺増配というものを実行することは、もう少し愼重に研究する必要があるというふうに、私ども考えております。
  13. 竹村奈良一

    竹村委員 それでは輸入食糧数量、その面についてはこのくらいにしておきます。  もう一つここでお伺いいたしたいことは、農林大臣は先だつて、ここで大体輸入食糧関税を免除するということになるならば、このまま続けて行くということになると、今までとはいわゆる食糧行政において非常に状態が違つて来る。たとえば今度麦なんかも御承知のように統制撤廃して、大体自由買入制というものを政府考えておる、こういうふうに言つておられるわけでありますが、そうするともし朝鮮動乱が進展するとすれば別ですけれども、これがこのまま終局するとすれば、おそらく外国食糧というものは、どんどん入つて来るような形勢になるわけでありますが、その際に国内におけるところの麦類統制撤廃して自由買上げ制度をとられる、そうして向うから関税撤廃されて、どんどん入つて来るということになつて来ると、これは勢い、少し値段が違うといたしましても、国内農業を圧迫することになるという観点からいたしまして、大体麦の統制撤廃をやられて、一体政府はどういうような買入れ方法をとるかということに対して、農林大臣最低価格を定めてそうして無制限に買い入れる、こう言つておられるわけであります。そういたしましても、その買入れ価格というものが問題になつて来て、その問題についてどう考えるかと言うと、私は今こまかいことはわからぬので、事務当局に後日調査をさせて構想を立てる、こう言つておるわけであります。それでこの点についてどういうような最低価格をきめるか。買い入れるという場合にはどういうような構想でおられるか。これは輸入食糧関税撤廃と非常に重大な関係がありますので、この辺をひとつ、現在政府内部において考えておられる構想、あるいはその他価格決定等につきましても、大体の成案を得ておるんだつたならば成案を、成案を得られなかつたならばどういう構想でおられるかという点をお伺いいたしたい。
  14. 安孫子藤吉

    安孫子政府委員 来年の麦は統制をはずしまして、政府が無制限に買い入れるという構想で、二十六年度予算も組んでおるわけであります。その際一番問題になりますものは価格の問題だと思います。それで麦の買入れをいたす趣旨はどういう点にあるかと申しますと、もちろん生産者の、ただいまお話がありましたような価格維持という点もありますけれども、そのほかに私どもといたしましては、来年の十月まで、二合七勺ペースというものを維持するという前提をとつておりますので、食糧需給観点からいたしての買入れも加味して参るということが、必要ではなかろうかと思います。価格のきめ方については非常にむずかしい問題がありまして、今後愼重に各方面の御意見も承りながらきめたいと思つておりますので、ただいま申し上げるような成案を得ておりません。大体国際価格の動きと、それから内地におきまする麦価の趨勢というようなものとをかみ合せまして、そこで生産者価格をきめる、政府の買入れ価格をきめるというような大筋のところで、きめて参つたらというような考え方を大体いたしております。
  15. 竹村奈良一

    竹村委員 各方面意見を徴するようなお答えでありましたが、ごもつともでございます。そういう場合におきましては、たとえば米価審議会はそれについての一番意見を徴する。しかも政府答申する権限ある機関だと思うのでありますけれども、この米価審議会でもし妥当な価格答申いたしました場合において、政府は当然この答申を用いなければならない、こういうふうに思うのでありますが、今後麦の買入れの最低価格決定等におきまして、やはり現在の制度から参ると、米価審議会に諮つて決定さるべきものだと思いまするが、その辺はどうですか。もう米価審議会答申を必要とせず、政府がかつてにおきめになりますか。あるいは米価審議会等に諮つておきめになるのか。その点をお伺いいたしておきたいと思います。
  16. 安孫子藤吉

    安孫子政府委員 将来の問題でありますから、政府内部におきましても相談をする必要があると思いますけれども、やはり、米価審議会とは限りませんが、ああした審議会的なものにお諮りをいたしまして、そうして価格をきめて参ります方が、妥当じやなかろうかというふうに考えております。
  17. 竹村奈良一

    竹村委員 たとえばそうなりますと、米価審議会構想なんか、答申なんか、政府はどういうくらいの重さで見ておるのか。たとえば今年度の米の買上げにつきましても、米価審議会答申は五千八百円で買い上げろということを答申している。政府は五千五百円——まだ決定しておりませんが、こういう場合に、たとえば先ほど長官答弁によりますと、いろいろ意見を聞いてやるんだ、こういうお話でありますが、その意見の一番重いのが米価審議会であると私は思うのであります。その米価審議会が、たとえば今度の米でも五千八百円の答申をしている。そういたしますと、政府はこの答申を受入れず、政府既定方針であるところの五千五百円とかいうように、政府既定方針によつて決定されるならば、各方面意見を聞いてきめるのだということも、ここでの答弁としては一応成立ちますけれども、実際においては行わないということに私は考えるわけですが、そうなると来年の麦の買入れにも不安を感ずるわけです。本年度米価審議会答申等も、今年の米価決定に対しましても政府は取入れて考えられるのか。あるいはどういうように考えられるのか。この点をお伺いいたしたいと思います。
  18. 安孫子藤吉

    安孫子政府委員 今年の米の価格についての米価審議会答申を、政府としてどう取扱うかという点から、将来にわたつてあまり意味のないようなやり方では、おかしいことになりはしないかというお話でありますが、今年は今年、来年は来年ということになろうかと思います。今年の米の価格につきましては、政府の原案が出まして、審議会答申が五千八百円ということになりました。このいきさつを申し上げますと、大体司令部との最後的な折衝がありまして、そのあとでお諮りをしたような事情がございます。しかしながら審議会としてああした答申をいたされましたので、われわれといたしましては、その点については関係筋と再度十分折衝いたしたいということで、今いたしております。見通しとしましては、従来の経過からいたしまして、今年度補正予算並びに来年度予算編成にからみまして、大体打合せができておる筋合いでありますから、私ども見通しといたしましては、五千八百円の決定は困難だと思います。しかしながら審議会答申の御趣旨もありますので、この点についての事情並びにその実現方については、ただいま折衝いたしておるような状況でございます。いろいろな問題がからみましたために、今回の米価審議会答申がさような結論なつたわけでありますが、来年の麦の価格をきめる際は、そうしたお諮りをいたします機関との交渉、あるいは手段、時期その他につきましては十分考慮いたしまして、今回のようなことのないよう、また委員各位の御意見を十分参酌できるような時期において考えるべきであると思います。
  19. 竹村奈良一

    竹村委員 長官にこれ以上申し上げるのもどうかと思うのですが、今の答弁を聞いておりますと、日本の農民はこれでは安心しない。少くともそれでは輸入食糧関税を免除するというような点につきまして、もし国会でこれか通過するというようなことになりましても、その裏に農民は、たとえば麦の買入れが自由になつた場合において、自分たち価格がどういうふうに補償されるか、そういうふうな点では大きな不安がある。というのは今の答弁のように今年は今年、来年は来年になるかもわからないし、いろいろ各方面との折衝もあるといいますけれども食管特別会計予算の中には、大体計算方法で含まれておる。もちろん米価審議会決定政府が用いようとすれば、もう一度今度は予算をかえなければならぬというようなことにもなりましよう。しかし問題はこの観点はつきりしないと、農民は不安で、主食の増産等ははかられないと思うのでありますけれども、実際問題として今長官のおつしやるような方針で行くならば、米価審議会はいらぬのではないか。米価審議会は民主的な方法答申するのだというけれども米価審議会意見がなかなかいれられないということになるならば、私はいらぬのではないかと思うのです。もつ米価審議会を強化するか、さもなかつたならばこれを廃止するか、二つに一つだと思うのですが、こういう面について長官はどういうふうにお考えですか。
  20. 安孫子藤吉

    安孫子政府委員 私は米価審議会はやはりぜひ存続いたしまして、十分御意見を承りまして、政府決定いたします案に遺憾のないようにいたしたいと思います。全然意味がないではないかというようなお話もありましたけれども、これは若干迂遠な話になりますが、昨年の米価審議会におきまして超過、供出奨励金というものは、農業政策的観点からいつてむしろそれを減らして基準米価引上げの方にこれをまわすのが適当であるというような御意見が、非常に有力でありました。その線で昨年は折衝いたしたのでありますが、昨年はそれが成功いたしませんでした。しかしながらやはりそうした答申があるということのためだと私は思いますが、本年はやはり基準米価というものを引上げるということにつきまして、昨年答申のありましたような考え方のもとに、基準米価がきめられるような状況に相なつております。それで必ずしも米価審議会というものは、現在の環境下において全然意味のないものではない。やはり相当大きな力を持ち、また政府の施策に間違いのないように、いろいろ御意見をいただいておるというふうに考えておりますので、意味のないものとは考えておりません。
  21. 竹村奈良一

    竹村委員 先般農林大臣は、食管特別会計の方は相当の黒字なつておる、こういうようにここで答弁されておるのですが、どのくらいの黒字でありますか、お教えを願いたい。
  22. 安孫子藤吉

    安孫子政府委員 これは前年度決算が最近できまして、近く通常国会に前年度決算を御報告することになつておりますので、その際計数にわたりましてはいろいろ御審議をいただくことになると思いますが、大体三百五、六十億から四百億見当になつております。
  23. 竹村奈良一

    竹村委員 これだけ黒字があるわけでありますが、これは最近の新聞で見たのでありますけれども、真偽のほどを一ぺん聞いておきたいと思います。大体経済調査庁調査報告によりまりと、何でも十二、三県の食糧検査所その他を調査した場合におきまして、食管特別会計の中に含まれておるたとえば米の輸送費の問題、二重輸送とかあるいはその他の点でむだな支出が、数十億に上るという調査報告が出され、しかもこれが問題になつて、こういうものの冗費が省けるならば、消費者価格は相当引下げられる可能性がある、こういう報告がされておるということが、新聞に出ていたのでありますけれども、こういうような点については一体どうでしようか。そういうような事実がありますかどうですか。もしあるとするならば、その事情等をお聞かせ願いたい。
  24. 安孫子藤吉

    安孫子政府委員 米の生産者価格消費者価格関係からいたしまして、中間経費圧縮ということは必然的なことであります。私どももその観点から、できるだけ中間経費圧縮努力をして来ておるわけであります。経済調査庁でもそうした観点からいろいろ調査をいたしました。これは私どもの方と合同していろいろ調査をいたしたわけでありますが、大体そのうちに結論を出そうと思つております。それに沿うて圧縮をいたしたいと思いますが、しかしその精読を待たずに、やはり私どもとしましてもできるだけ圧縮をしたいということで、ただいま努力をいたしております。新聞等に出ました運賃の問題でありますが、これはちようど終戰直後食糧が非常に窮乏いたしておりましたときに、公定価格でなかなか貨車がまわらぬというような事情もあつたわけであります。しかし政府機関でありますから、何とか全部輸送いたしておりますが、そのほか相当に盗難等がありまして、外国食糧なんかにつきましては、盗難にかかることはスキヤツプの関係から申しまして、非常に困つた状態でありますので、特別の警備費というようなものも組んだわけであります。しかし若干食糧事情安定期に入りました昨今においては、そうした警備はもう必要のないものであろうというふうに考えられますので、そうした点も実は切り詰めております。そうした点が新聞に出たのであります。中間経費の節約という点については、私どももできるだけ努力して参りたいと思つております。
  25. 竹村奈良一

    竹村委員 その問題についてはまた後日に譲りまして、今承りますと、食管特別会計黒字が三百五十億ないし四百億ある。これだけの黒字は、結局消費者から受取つた、あるいは考え方によつては、生産者からやつたということになると思うのでありますけれども、そういう黒字はやつぱり食糧の方にどんどん補つて行かれるのでありましようか。これをバツク・ペイするような考えはありますか。
  26. 安孫子藤吉

    安孫子政府委員 前年度一般会計からのインベントリー・フアイナンスの関係で繰入れましたので、そうしたことが大きく出ているのであります。バツク・ペイの問題は、御承知のように、申すまでもなくパリテイー指数の変化に上りましてやることでありますからこれが相当上昇いたしますれば、当然それに応じたバツク・ペイをいたします。
  27. 竹村奈良一

    竹村委員 もう一、二点聞きたいのでありますが、農林大臣は今度朝鮮事変が起つたので、朝鮮に対して大体六万トンの麦を出した、こう言つておられるのです。この六万トンの種類は一体どういうものであるか。あるいはまたこれの代金決済は一体どうなつているか。大臣に言わせますと、外国食糧が入つたのをちよつと立てかえて出したのだ、こう言われたのでありますけれどもちよつと立てかえるというように個人的な取引ではありませんし、そう簡單に参らぬと思う。これを朝鮮に出すという国内法的な根拠、こういうような点を、ひとつ詳しくお伺いいたしたいでありますが、これは一体どうですか。
  28. 安孫子藤吉

    安孫子政府委員 これは交換という形においてやつております。最近まで実際に出ましたものは三万三千トン、計画はそれ以上でありますが、実績はそうであります。それで当初ECAと契約をいたしまして、交換の形式において現物をECAに出しまして、ECAが韓国に出すということにいたしております。最近におきましては八軍との契約に切りかえまして、八軍と交換契約をいたしております。これの返還食糧は九十日以内に同種同量のものを、日本政府に返すということになつております。
  29. 竹村奈良一

    竹村委員 そうするとこれは交換で、向うからそれだけのものが入つて来たというのですか。あるいはまた六万トンを出したまま、まだ交換の時期に至つていないのか。これはいつごろ出されて、もし期間が来ているのだつたら、これが交換されたかどうか、そういう点を詳しくひとつ……。
  30. 安孫子藤吉

    安孫子政府委員 まだ交換ししして入つて来たものはございません。しかし返還食糧といたしまして、期限内には必ず入ることになつております。
  31. 竹村奈良一

    竹村委員 今後はこういうことがやはりどんどん行われるような見通しですか。しかも日本の国内産の米等も輸出されるのですか。その点をお願いいたします。
  32. 安孫子藤吉

    安孫子政府委員 国内産の米はございません。大体輸入いたしたものを出しております。それから今後これが相当増大する見通しであるかどうかという点は、これはあまり増えない見込みであります。今後若干出るかもしれませんが、あとは大体アメリカの本国その他の国から入ることになつております。
  33. 宮腰喜助

    ○宮腰委員 現在まで食管の輸入食糧政府貿易として取扱われておりましたが、ごく最近に民間貿易が許されまして、両方でやつておるようであります。この民間の食糧加入の貿易会社に対しては、これは許可制でありましようか。それとも相手国との自由な契約において、日本の計画に乗つた場合にはさしつかえないという輸入の計画であるか。また民貿でやる場合の商業資金をその方面に利用せられているか。  またバーター制の場合には、どういうふうな決済方法をとつているか。その国家予算と関連した問題についてお伺いしたいと思います。
  34. 安孫子藤吉

    安孫子政府委員 現在の手続は、御承知のように大体期別に外貨予算を組みまして、その範囲内において数量を算定し、また相手国も見当をさけましてアナウンスしてオツフアーをとつております。とりましたオツフアーについては、通産省と私どもの方とで合同のコミテイーをつくりまして、そこで決定をいたしておるというような状況でございます。予算は、二十六年度は特別会計の中に全部組み入れておる、邦貨の方の予算に組み入れておる、こういうことであります。
  35. 宮腰喜助

    ○宮腰委員 それから輸入食糧の問題については、なるほど消費者階級には食糧がどんどん入つて来て安定感を與えますが、農民に対しては、将来無制限に入つて来ることは、農民の増産意欲を阻害するような感を抱かせまして、どこへ行つて食糧輸入について非常に心配をしておるのが実情であります。今後国際情勢がどうなるかわかりませんが、もしも非常に戰争がひどくなつて来るということになると、どうしても日本の食糧というものは、自給自足態勢に持つて行かなければならないように思います。そういう場合にぜひ急速なる対策として、開墾だとか土地改良に積極的に働きかけてもらわなければ、今後の日本の食糧需給対策に、非常に困つて来るような事態が起るのではないかと思うのです。これに関連しまして、食糧の輸入と同時に開墾や土地改良のために、もう少し積極性を持たなければいかぬと考えますが、局長としてはどういうお考えをお持ちでありましようか。
  36. 安孫子藤吉

    安孫子政府委員 現在のところ、相当大量の食糧を輸入しまして、ようやく食糧の需給の安定を得ておるような状況でありますが、先々のことを考えますと、自給力の強化といいますか、国内自給態勢の確立ということがどうしても必要であります。そのために私どもといたしましては、できるだけ国内の通産について各方面の御支援を得まして、予算の上においても、また推進します各種の手段につきましても、御協力をお願いいたしておるような状況であります。御承知のように、食糧は少し足りないということによつて、問題が非常に大きくなるものですから、今後の事態を考えますれば、できるだけ国内の自給度を高めるということに、最大の努力をしなければならないと考えます。
  37. 宮腰喜助

    ○宮腰委員 土地改良の問題ですが、これは政府に非常に積極性がないように感ぜられる点がたくさんあります。たとえば私の方のいなかの山本郡に下岩川の貯水池がありまして、この貯水池の水路を約二キロか三キロ掘り下げると、約五百歩くらいの土地が開墾されまして、ただちに一千何百石ですか、相当な石数が増産されるところがあるにかかわらず、われわれは農林省当局にこの改良を促進してほしいということをお願いしても、なかなか言うことを聞いてくれませんで、二十六年度予算の中には載つておりますが、まる五箇年間それをほつたらかしておつた事実があります。こういうぐあいに政府自体にあまりに積極性がなかつたということについて、今後この自給態勢をはかる上において、いま少し土地改良の問題や開墾の問題に力を入れてほしいと考えるのであります。  それから小麦協定と日本の麦との関係ですが、これは日本が小麦協定に入つておる関係上、今後輸入されるところの小麦と、日本国内の小麦との関係における影響をお伺いしたいと思います。
  38. 安孫子藤吉

    安孫子政府委員 前段の御質問につきましては、関係局長の方に私からお伝えいたします。それから小麦協定の問題でありますが、これは多分誤解かと思いますが、ただいまのところ小麦協定には入つておりません。入ることにいろいろ努力をいたしたのでありますけれども、端的に申しますと、イギリスと大消費国の方の反対がありまして、理事会では否決をされまして、今のところ小麦協定には入つておらぬわけでございます。御承知のように小麦協定に参加いたしますと、最低価格と最高価格というものがきまつておりまして、需要国は最高価格で申し込めば、協定数量だけは輸入国は出す義務がある。また輸出国は最低価格でこれたけを売るということになれば、輸入国はそれを引取る義務があるというようなシステムになつておるのであります度この価格は年々かわる予定になつておりますけれども、ただいまのところは国内の麦の価格よりも、若干高い価格なつております。
  39. 宮腰喜助

    ○宮腰委員 中共政府のごく最近の外電によりますと、日本が鉄板だとか鋼材数の輸出を認めてくれれば、そのバーター制として米や麦を輸出してもいい、こういうことを言つておりますか、もしもこのバーター制において、小麦や米を中共から入れられることがあり得るなら、これは入れてもらえるのでしようか。そう自由にはならぬものでしようか。その点をお伺いいたします。
  40. 安孫子藤吉

    安孫子政府委員 日本といたしましても、米は相当ほしい商品であります。どういう形でどういう話合いになつておりますか、詳しくは存じませんが、可能であれば、入れることについては研究をいたしてみたいと思います。従来は香港を中継といたしまして、香港から満州米等も若干入りましたが、しかしながら最近の中共の政策からいたしまして、そこを通じての輸出は、まだとまつておるような状態であります。もう少し具体的な話を承りまして、よく研究いたしたいと思います。
  41. 宮腰喜助

    ○宮腰委員 それから現在の食管の関係におきまして、来年の三月に今までの形が解体になるのですが、その場合に現在の米価中間経費が非常に大きいようであります。従つてこの中間経費が今度の解体で、もう少し節約できろのじやないかと考えるのでありますが、そうなつた場合に、消費者価格をもう少し引下げて、農民に対するもう少しの考慮を払う。また販売の手数料の引下げにも役立つように思うのでありますが、この中間経費が引下げられ、もう少し節約できた場合に、この販売手数料とか、あるいは消費価格を引下げることができるかどうか。その点についてお伺いします。
  42. 安孫子藤吉

    安孫子政府委員 従来中間経費と言われておりますものの中には、いろいろなものが入つておりまして、それも十分御承知のことだと思いまするが、生産者価格消費者価格価格差の中には、非常に純粋の中間経費と、それから結局は生産者に還元されます経費と、この二つの種類がございます。生産者に還元されます経費と申しますのは、超過供出奨励金であるとか、早場米の奨励金であるとか、こういうようなものであります。それから純粋の中間経費といたしますと、集荷手数料、保管料、運送賃、加工費又び人件費、事務費、公団の配給手数料、こういうものであります。純粋の中間経費だけをとつて比率を見ますと、大体生産者価格に対しまして一八%ぐらいの比率になつております。自由経済時代におきまする中間経費と申しますか、そういうものはどの程度であつたかと申しますと、かりに茨城県の三等米をとりまして、それの東京における白米小売価格との比率をとつてみますと、二十一、二パーセントになつておつたかと思います。その辺の資料につきましては、当時の内池博士の資料等もいろいろございますが、大体二〇%を越えております。それで端的に申しますと、自由経済時代よりも、現在の統制下におきまするマージン、中間経費の方が大きいというようなことはなかろうかと思つております。しかしながら、これをできるだけ圧縮いたしまして、消費者価格を引下げるなり、あるいは生産者価格引上げるという方向に、私どもとしては努むべきだと思います。先ほど申しましたような運賃その他については、相当思い切つた処置を講じたい、かように考えます。
  43. 米原昶

    ○米原委員 先ほど朝鮮向けの輸出の問題について、長官は交換ということを言われましたが、法律上私よく知らないのですが、交換というのはどういうときに認められているのか。どの法律のどこにあるのか。ひとつ説明してもらいたいと思います。
  44. 安孫子藤吉

    安孫子政府委員 交換は食糧管理法の法律の中にございます。いろいろ財産を処分する一つの形式といたしまして、交換という処分の形が法律上あります。これも御承知だと思いますけれども昭和七、八年当時、相当交換というものが活用された時代がございます。たとえて申しますと、青森東北地帯で非常に冷害がございまして、生産者が飯米に窮乏したようなときには、現金がございませんので、政府が手持ちしております食糧を貸しまして、貸すと申しますか、同量のものをまた返してもらうというようなこともございました。あまり最近においては例はございませんけれども法律上は食管法に基く交換というふうに御了解願いたいと思います。
  45. 竹村奈良一

    竹村委員 今の米原君の質問で、食管特別会計の件、これで当てはめるということですが、この当時の交換という点を、現在の輸入食糧と見合わして交換するというのは、私は少し納得が行かないのです。たとえば今の外国食糧を向うからわれわれが買うて、国内に入れておるわけでありまして、それを交換するために出す。これは法律的にあまりにも納得が行かないように思うのです。たとえば、先ほど申されました立てかえであるならば、向うのものを向うはそのまま持つて来る。それをこつちから向うに持つて行くということになるわけですけれども、しかしそういう食管特別会計の交換をこれに適用してこうやつたというのは、ちよつと私は納得が行かめのですが、その点はどうですか。
  46. 安孫子藤吉

    安孫子政府委員 外国から入りましたものも、食管特別会計一つの資産になつておるわけであります。これを処分するのには、普通でありますならば、代金をとりまして売却するわけであります。ところが私どもといたしましては、どうしても現物がほしいのでありますので、それを金銭的に売却して処理するということは適当じやないので、やはりそれをやりましたら、同種同量のもので、もつて返してもらうという形の方が、食糧需給観点から申しましても適当であろうということで、交換の形式をとつているわけであります。
  47. 竹村奈良一

    竹村委員 たとえば食管特別会計の交換の場合においては、政府の手持が余る、あるいは物が将来腐るという場合において、政府がむだに貯蔵して行くということはいかぬので、これを処分するというような形がとられるのが、この食管特別会計にある法律的な根拠だと私は思うのであります。それが現在のような状態で、国内食糧が不足している。しかも農林大臣は大きなことを言つてみなをごまかすために一勺増配とか、実際不可能なほらばかり言つている。食糧が少い、だから品物がほしいというときに、これをそういう形で処分するということは、私はどうかと思う。国内食糧が余つているという場合に、この法律を適用するというなら、私は納得が行きますが、そうでなく、輸入しなければならない。今もおつしやつたように、品物がほしいから交換したというくらい、国内食糧が詰まつている。それを何のためにこれをやらなければならないのか、私は納得が行かない。
  48. 安孫子藤吉

    安孫子政府委員 交換は、貯蔵上いろいろ変質のおそれがあるとかいうときに限つてやるのが、大体法律趣旨ではないと思います。今のような交換ということは、法律予想した交換ではないのではないかというお尋ねでありますが、私どもは必ずしもそう思つておりません。交換というものは、やはりいろいろな事情から、経済的にあるいは社会的に、そういうことをやることが適当である、やらざるを得ないというときに、そういう形においてやるということでありまして、必ずしもその貯蔵上の変質その他の問題にからんでの、交換という形式が考えられているわけではないと思います。それから手持食糧が非常に不足しているときに、そういうことを実施するのは、行政的にも問題じやないかという点でありますが、昭和二十二年ごろとは違いまして、若干の手持を持つておりますので、ここで三、四万トンかを九十日間の期限で交換をいたしましても、日本の食糧需給の面には、少しも影響はないというふうに考えておるのであります。
  49. 竹村奈良一

    竹村委員 それではひとつここではつきり聞きたいことがあるのですが、そういう制度で交換が認められる。これはひとつ長官に特に農民の立場から頼んでおくのですが、その交換の方法というものを、国内にも適用してもらいたいと思うのです。たとえば去年の麦なんかでも、ないのにむりにとつて、そしてほかから買つて、食管法違反で実は起訴されているものがある。そういう場合に、今年はないから、交換の制度を利用してもらつて、今度多くできたときにとつてもらう。実際農民が食えぬときには、この交換の制度をやつてくれるかどうか。これを外国だけにはそうするけれども国内農民にはそういう交換をやらぬ。これでは私は日本の国内の百姓は、どうでもいいという考え方になると思うのであります。これをやつてもらうように約束してもらいたい。政府はそういう約束ができるかどうか。これを長官としてお答え願いたいと思います。
  50. 安孫子藤吉

    安孫子政府委員 国内の、特に本年の麦作についての跡始末の問題は、十分御承知の通りであります。私ども承知をいたしております。これを解決する方法といたしまして、還元の問題が出て来るわけでありますが、これもいろいろ事務的に各方面に難関がありますので、飼料という形で今年は処理いたしております。今後交換という形でやるかどうかという問題でありますが、実は交換という形にいたしますと、少しこまかくなりますが、現在の供出制度をとつておりますときには、私はなかなか国内的には困難じやないかと思います。それで現在の供出制度下におきましては国内的に交換の制度を実施することは、困難であろうというふうに私は考えております。
  51. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 食糧輸入税の問題は、あとでまた質疑を続行いたします。     —————————————
  52. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 昨日質疑打切りになりました所得税法臨時特例法案砂糖消費税法の一部を改正する法律案揮発油税法の一部を改正する法律案、及び物品税法の一部を改正する法律案の四法律案を一括議題といたしまして、討論、採決に入ります。討論は通告順によつてこれを許します。西村君。
  53. 西村直己

    西村(直)委員 私は自由党を代表いたしまして、ただいま議題となつておりますところの所得税法臨時特例法案外三法律案に対しまして、賛成の意見を表明いたします。  税制につきましては、今年すでに国税、地方税を通ずる画期的大改正を行いまして、国民負担の軽減と合理化をはかつたことは御承知の通りであります。国民の租税負担は、現在なお相当重いものがあるのでございます。従いまして政府は極力歳出の削減に努めますと同時に、今後一層の減税を実現するよう、検討を加えて参つておるのでございますが、今回いわゆる十五箇月予算構想におきまして、相当の減税、財源を生ずる見通しを得ましたので、まず本年度補正予算に関連いたしまして、この際できるだけの減税を行わんとするのであります。すなわち今回改正の主眼点は、給與に対する源泉徴收税額につきまして、暫定的に軽減を行い、さしあたり勤労所得者の負担軽減をはかるとともに、物品税、砂糖消費税、揮発油税及び酒税等間接税においても、相当の軽減措置を講じたものでございます。今後一層減税をはかる必要はございますが、私は次の理由によりまして、今回の改正に対して賛意を表するものであります。  すなわち朝鮮動乱勃発後、わが国の経済情勢は一変いたしたのでありまして、財政金融政策の基調は、あくまでもインフレ要因を排除しながら、経済の自立達成をはかることにあることは言うまでもありませんが、これがために一面経済の再建をはかる上に、当面緊急な経費を計上しながら、しかも他面減税を行うことは容易ではないと考えられるのであります。いわんや戰勝国におきましてさえ、軍備拡張経済のもとにおきまして、増税のやむなき状態に立ち至つております現在、昨年度の大幅減税に続きまして、来年度予算におきまするところの七百億に達しようとする大幅減税の構想の一翼として、このたび再度減税を行うことは、まことに意義があると思うのでございます。  次に各税法案について一言述べますれば、まず所得税におきましては、明年一月から三月までの源泉徴收課税におきまして、勤労所得の基礎控除、扶養控除の引上げ、税率の引下げによつて、勤労所得者の負担は相当程度軽減されることになると考えられます。なるほど米価その他の物価の値上りによりまして、勤労世帯の生計負担は増加しますが、米価の値上りは、今回の減税措置によつて相当カバーされますし、他面民間の名目賃金は最近上昇いたしており、公務員におきまして今回の給與ベースの改訂が行われました。かたがた今年の消費者価格は昨年よりは下つておりますので、今後著しい経済の変動のない限り、多少の物価の値上りがありましても、大体において実質生計費の負担は、増大するおそれはないと考えることができるので、減税効果はこれを確保することができると考えられます。さらに反対の論者は、最低の生活費、いわゆる生きて行ける生活費の確保を、減税によつて行うと主張するのであります。最低生活費の認定は、敗戰下の耐乏生活を余儀なくされる現在の困難なわが圏経済の実態に即して、考えらるべきでありまして、また財政需要その他税收とのバランスなどを彼此勘案しますとき、さしあたりこの程度の減税をもつて、満足せざるを得ないのではないかと考えるのであります。先般公述人が見えまして、高木慶大教授が言われましたように、税收に影響がなくして控除率を引上げる、あるいは税率の引下げが可能であるならば、これに越したことはございませんが、今回の自然増收の見積りにおきましても、過去の実績に徴しで、相当堅実に行われております半面、申告所得税におきましては、相当の減税が見積られておりますので、現状におきましては、今回の改正はまことにやむを得ない処置であると考えられるのであります。  なお申告所得税につきましても、ことし限り確定申告書の提出期限及びその納期を、一箇月延長することにいたしました点は、従来の申告納税状況の不成績にかんがみまして、今回特に申告納税期限までに相当の余裕を置いて、納税者と税務署当局の間に十分な協力によつて、従来相当見ました更正決定の一方的な判断によつての、徴税上の税務署と納税者との深刻な争いをなるべく避け、公平かつ適正な課税を期するものでありまして、まことに機宜を得た措置であると考えるのであります。今回の措置によりまして、今後申告納税が自発的報告のもとに、正しく円滑に行われる機運の醸成できますよう、運用に万全を期せられることを望んでやまないのであります。  次に物品税、砂糖消費税及び揮発油税の減税につきましても、今回の措置はおおむね妥当と考えるのであります。特に物品税につきましては、元来これが理論的には消費者転嫁ができるという理論にはなつておりますが、実際の金詰まりの現状におきましては、転嫁が非常に困難であります。従いまして産業特に中小企業面におきましては、金詰まりと徴税攻勢の上において、この物品税に非常に悩みを持つておりますが、今回相当大幅に減免の措置をとられたことは、一大朗報であると考えられます。今後日本経済の正常化に伴いまして、さらに奢侈品課税ないしは余裕消費税等の趣旨を十分に勘案され、特に零細企業者の製品に対しましては、これが製品と取引の実情をよく勘案され、特設の考慮を払われまして、さらに一段と物品税に対する減免あるいは合理化の措置を、研究立案されんことを希望するものでございます。ああ  最後に、税に関しましてひとつ希望と意見を申し上げておきますが、敗戰経済下におきましては、国民経済の自立と自主を達成することはもとより大事なことであり、全国民あげてこれを熱願しておるところであります。国民も政府もあげて国力の実体をよく認識され、この基調の上に立つて、耐えがたい生活を耐えながら、資本の蓄積と生産の増強に努めることが先決要件でありますが、さらに税務当局におかれましても、国民の血のにじむような税の徴收にあたりましては、その責任をよく考えられまして、特に第一線行政の適切妥当な運用をお願いしたいのであります。さらに昨今大きな問題になつております申告所得税を中心といたしまするところの、一千億になんなんとする過年度、本年度を通じての滞納額の整理促進、これは一大問題でありまして、ひいては国家歳入確保上、きわめて重大な事態を生ずるおそれがありまするがゆえに、政府におかれましても一段と納税者、滞納者に対し、これが認識を促進されるとともに、これに対する整理促進の具体的かつ妥当な施策を樹立せられんことを望むものであります。  以上をもつて私の賛成の討論といたします。(拍手)
  54. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 宮腰喜助君。
  55. 宮腰喜助

    ○宮腰委員 私は民主党を代表いたしまして、希望條件を付しまして本案に賛成するものであります。従つて四案を一括して討論を述べます。  今回の減税は源泉徴收について基礎控除、扶養控除を引上げられております。従つて減税したにもかかわらず、他方主食や他の物価が非常に上つております。国民生活の安定を考慮したという政府考えはこの点について誤りがあるように考えるのであります。政府当局もこの説明においては、減税されること自体には、なるほど政府の十分な考慮があつたというお話でありますが、実際においてはこの物価高のためにほとんど相殺されまして、減税の点が現われて来るかどうかということを、われわれは非常に疑問に思つております。また五万円以下の所得者に対しては、百分の二十という税をとつております。これなどは今回は全然無税にすべきであるか、あるいは百分の十くらいに下げるべきが至当であつたのではないかと思うのであります。この程度の所得に対しては、今後ぜひともそういう点について御考慮願いたい。  それから委員会でも再三お願いしてあつたのでありますが、青紙申告の問題については簡易表をつくりまして、何人においても簡單に記載上、そうして納税の公正なる申告のできるような方法を講じてほしい。また徴收問題についでも、ごく最近は税務当局が冷酷なる処置を講じておる部面が非常に多いのでありまして、将来滞納者に対する分割納税を、ぜひとも法律化してほしいという希望を申し上げます。また零細なる業者、たとえば一人左官とか一人大工とかいう者は、労働組合に加入する一般の勤労者よりも少い收入の人がたくさんあるのです。これを一般所得者と同一にして所得税をとられ、さらにまた地方税たる事業税を取上げるので、この点においては非常に不利な立場にあります。従つてこの業者に対しては、ぜひとも企業協同組合でもこしらえていただきまして、今後健全なる形にしていただいた方が、この人たちの将来のために、生活の安定のためにも非常によろしいと考えるのであります。この点を今後十分考慮していただきたいという希望を申し上げておきます。  それから砂糖消費税法の一部改正の法律案につきましては、今回輸入砂糖及びあめ、ぶどう糖の甘味剤が増加したので、国内砂糖の価格が相当値下りを来しておる。その負担を軽減しようという考えから、今回の税の軽減になつておるようなことを申し述べられております。しかし白砂糖は無税であり、黒砂糖それから白下は税がかかるということは、国内産業発達の上においても、白砂糖と平等に取扱うべきではないかと考えるのであります。またこれはこの砂糖と関連のある水あめ業者に対しても一層必要であるのであります。水あめ業者は物品税が高いために、現在の正当の業者がどうもやみの業者に圧迫されて、倒れて行つておる状態がありますので、今後とも甘味剤一般の問題として、十分考慮していただきたいという希望を申し上げておきます。  それから揮発油税法の一部を改正する法律案でありますが、今回改正の揮発油税法は、従来の小売価格の従価税率を従量税率に改めたのでありますが、しかし今年の歳入額には影響がないというのでありますから、この点は賛成であります。しかしこれに一つ希望條件を付しておきたいのは、ガソリン税をぜひとも受益者負担金とするところの目的税に、今後かえてもらいたいという希望を申し上げておきます。  それから物品税改正の問題は、税制は間接税より直接税へ移行するのが、近代税制の根本原理であります。今回政府が提案された法案を見ますと、まだまだ国民生活の必需物資にしてなお減税にならず、依然として重税となつているものが非常に多いのであります。日本の経済の現状より見て、転嫁は非常に困難であります関係上、業者がこの税のために非常に悩まされております。従つて小さな業者はこの物品税の脱税をなさんとする者が非常に多いのでありまして、税制に対する考え方が間違つた考え方に持つて行かれるおそれがあります。この際大幅にこの減税を考慮すべきであつたのでありますが、今後の税制改革について政府の御考慮をお願いしたいと思います。  また物品税の割当等の方法が盛んに行われておりますが、昨日の政府の御答弁では、そんなことは絶対ないという御答弁でありますが、実際に割当方法からいたしまして、お前のところは寄付だと思つて払えというような事実が、至るところに行われておるのであります。そういうようなことは、実際に法律を改めても、この税の徴收について間違つた徴收が行われておるということについて、政府は今後十分考慮する必要があると思います。その証拠には、家具物品税のごときについては、予算の標準においては四億四千二百万円の予算承認をされておりますが、実際には十億を突破しているという事実がありますので、今後の物品税はいま少し大幅に下げなければ、国民生活の安定も脱税防止も不可能であります。この点政府によろしく御考慮をお願いして、本案に希望條件を付して賛成するものでおります。
  56. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 田中織之進君。
  57. 田中織之進

    ○田中(織)委員 私は日本社会党を代表いたしまして、ただいま議題になつておる四法案のうちで、揮発油税法の一部を改正する法律案、並びに砂糖消費税法の一部を改正する法律案に対しましては、希望條件を付して賛成をするものでありますが、所得税法臨時特例法案、並びに物品税法の一部を改正する法律案に対しましては、反対の昔見を述べるものであります。  反対の理由といたしましては、昨日の衆議院の本会議におきまして、多数をもつて、われわれ野党側の審議の参加を認めずに通過せしめましたところの予算案と、うらはらの関係に立つておるものでありまして、きわめて欺瞞性に満ちたものだという点でありますただいま與党の西村委員の賛成討論の中にも、これは十五箇月予算の一環として出ております二十五年度補正予算と、関連を持つものであると言われたのでありますが、十五箇月予算としての二十五年度補正予算を見よということにつきましては、少くとも二十六年度予算の全貌を、この補正予算と関連いたしまして、国会を通じて明らかにすることが当然であると思うのでありますが、今回二十五年度補正予算国会提出されるにあたりまして、このかんじんな十五箇月予算のむしろ実体をなすところの二十六年度予算の全貌が何ら国会に明らかにされておらないということは、政府は二十六年度予算には公約実現を織り込んでおるといつて、盛んな宣伝にもかかわらず実際にはそれが実現されそうにないので、これの全貌を国会に示すことができないのではないかと、われわれは見ておるのでありまして、もし政府並びに與党の方が自信があるならば、少くとも十五箇月予算と銘打つ限り、二十六年度予算の実体を、この補正予算審議にあたつて明示することが、当然の義務であると考えるのでありますが、それが出されておらない ことにこの補正予算の面だけを考えてみましても、六十数億の減税だというように政府は説明をいたしておるのでありますが、これは本委員会における税制の審議の過程においても明らかになつたところであり、さらに予算審議の過程においても明らかになつておるのでありますが、これは実質的な減税にはならない。今西村君が二十五年度における多額の減税、並びに二十六年度における七百億の減税ということを示唆されたのでございますが、一方において国民所得の水通しを行つて、しかも大蔵大臣が言われる税法上の減税だというようなものは、現在重税に悩む国民の前には、絵に描いたもちのようなものでありましで、何らの実質的な減税にならないと、私は言わざるを得ないと思うのであります。  そういう観点から考えまして、特に所得税法の臨時特例に関する法律につきましては、われわれはまず基礎控除の面におきましても、現行の二万五千円を三万円までに引上げたとはいうものの、これでは現在の物価情勢並びに国民の生活水準等を考えてみますならば、ほんとうの意味における基礎控除にはならないのであります。これはわが党が主張しておりますように、最低の線として四万円程度に基礎控除を引上げるべき筋合いに、現在は進行して来ておるとわれわれは考えます。さらに扶養控除の面につきましても、現在の一万二千円が若干引上げられましたけれども、扶養控除の制定を置いた以上、少くとも現在の物価情勢その他の観点から考えまして、二万円まで引上げるべきだ。これは最低の線としてわれわれは主張いたしたいのであります。さらに今回の税制の改正法案が、御承知のように第二次シヤウプ勧告に基いて行われたものであると、われわれは信じておるのでありますが、シヤウプ勧告の中に明示されておりますところの農民、漁民あるいは中小企業者等の、いわゆる勤労所得的な性格を持つ所得に対します勤労控除の問題が、いみじくもシヤウプ第二次勧告に示されておるのであります。政府の方でも当初はこの勧告を具体化すべく政府の態度を表明されたのでありますが、現に提出されました本案によりますと、この最も切実なる要望であります中小企業者、農民、漁民に対します勤労控除の面が全然抹殺されておるという点が、この臨時特例法の欠陥中の欠陥であると、私は指摘せざるを得ないのであります。さらに税率の問題につきまして、ただいま民主党の宮腰君も指摘されたのでありますが、五万円以下の零細なる所得者に対します税率の二〇%がそのまますえ置かれておる。本来ならこういう低額所得者ははずすべきであるという主張も、ただいま宮腰君からもなされたのでありますけれども、われわれは、かりに、これらの人たちにもその分に応じた税の負担をさせるという建前に立ちましても、現行の二〇%というものは少くともその半分の一〇%に引下げるべき段階に来ておるのではないか。さらに五万円以上三十万円以下という、いわゆる広汎なる大衆を包含する所得の段階にあるものに対する税率につきましても、少くとも一律に一〇%程度の軽減を行う。さらに五十万円以上一応現在は五五%で打切つておる段階につきましては、われわれが年来主張いたしますように、これらの五十万円以上の高額所得者に対しまする累進課税というものについて考えなければ、税の公正なる負担という点が欠けて来るのではないか、かように考えるのであります。さらにこれもこの委員会においても毎度問題になることでありますけれども、罰則の点、いわば国民の一つの大きな義務であり、国民が今日国家再建のために、泣く泣く大きな負担をしておるという現状に照し合せまして、現在の国税犯則取締法なり、その他のいわゆる税関係の罰則が、これまたまさに犯罪者に対する、まつたく敵国人に対するような取扱いをしておるという点につきまして、今回のような相当根本的な改正を行う機会には、当然手をつけなければならない問題が、ほとんど問題にされておらないという点が、われわれが本案に賛成のできない一つの理由でごいざます。  われわれはさらに物品税の問題につきましては、なるほど八億一千万円の減税を今回行つたのでありまして、その限りにおいてこれに賛意を表するに決してやぶさかではないのであります。ところがここに配付されました資料を見て参りましても、今回の物品税の軽減が一律に行われておる。少くともわれわれが年来物品税の問題につきまして、請願その他の機会におきましても政府当局に要望いたしまするように、生活必需品であるとか、あるいは生産関係のものであるとか、こういうようなものについての思い切つた物品税の軽減ということが、今回は、この別表の一番最初を見てもわかりますように、第一種の甲類の一にあるゴルフ用品等についても若干軽減が行われておる。しかしその反面、生活必需品その他の関係において当然軽減されなければならないものが、具体的な費目に従つてはたしてどれだけの考慮をされておるかという点につきましては、遺憾ながらわれわれは、今回政府提出されましたところの資料をしさいに検討いたしまして、賛意を表するわけには行かないのであります。さらに物品税の問題につきましては、今回いわば奢侈品等についてまで一律に税率を引下げておるのでありますが、われわれは本来ならば物品税等は、これをなくすることが一番の理想であると思う。しかしこういうものを設けておる以上、税率をすえ置いておいてもさしつかえないものもある。そういうような面から、われわれが主張する生活必需品関係の、きわめて思い切つた物品税の免税という方向に向つてつて行くだけの主税局当局の準備が、今回の提案にはきわめて不十分であるということが言われるのでありまして、そういう点についてわれわれは賛成はできないのであります。  要するに、今回の税制を通じて、若干の減税にはなることを政府は説明しておりまするけれども、一面において当然支出しなければならない地方財政平衡交付金のような問題につきましても、與党の側においてすら地方行政委員会で賛成をしておる問題が、予算の面においていまだ修正されておらない、こういうような関係が出て参つておるのであります。そういう点から見れば、今回の減税もまさに羊頭狗肉の感を深くするものであります。  先ほど申しましたように、所得税臨時特例法そのものは、基本的な点につきまして幾多の欠陥を持つておるので、われわれとしてはこれを大蔵当局に一旦撤回させまして、われわれの主張するような点を取入れて、これを提案し直すことを要求する意味におきまして、本案に反対の意思表示を行うものであります。  なお砂糖消費税、並びに揮発油税法の一部を改正する法律案につきましても、たとえば揮発油税法等につきましては、現在一応物価が安定して来ておるという段階に基いて、これを従価税から従量税にかえるということについては、政府の今回の改正の趣旨には必ずしも反対するものではございませんけれども、この点につきましては、先ほど民主党の側から指摘いたしましたように、やはり目的税としての性格を明確にすべき筋合いのものであるという点についての希望條件、並びに砂糖消費税の関心につきまして、今回この軽減を見たことは、われわれ賛意を表するのでございますが、軽減の率につきましては、もう少し大衆的な需要のある面に対するいま一段の考慮が、実は望ましいと考えるのでございまするが、このあとの法案につきましてはわれわれ賛意を表する次第でございます。
  58. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 米原君。
  59. 米原昶

    ○米原委員 私は共産党を代表いたしまして、税制改正関係の四法案に対し、反対の意見を表明するものであります。  ただいま社会党の田中君から、税制の個々の点について詳細に論ぜられましたから、私はそういう点についてはあまり触れないことにしまして、簡單に反対の理由を述べます。  自由党の西村委員も指摘されましたごとく、この税制改正の問題は、單に一つ法律論として、これがちよつと軽くなつたとか、重くなつたとかいう問題ではなくて、内外の経済情勢全般から判断して、現在の財政状態とにらみ合せて問題にしなければならぬと思うのであります。ところで最近の朝鮮における事態は、急激に激変する状態なつて来まして、新聞にも伝えられるがごとく、最近では英国のアトリー首相が渡米しまして、トルーマン大統領に会見して、四大国会議、また朝鮮における停戰というようなことすら問題になつておる状態なつて参りまして、これが日本に及ぼす影響ははかり知れぬものがあると私は思うのであります。われわれは、現在の吉田内閣がとつておりますところの、いわゆる日本を来るべき戰争に備えるところの軍事基地にして行くような政策、そうしてそれをやるために單独講和に持つて行こうとする政策に対して、われわれは常に反対して来たのでありますが、これに対してはわれわれは四大国協和に基く全面講和の方向に行かなければならぬ。この方向に行くならば、中国あるいはソビエト同盟との貿易関係の拡大、こういうようなことも実行されることによつて現在とられておる財政政策とはまつたく方向を異にした、日本国民の生活を安定する方向に進み得るとわれわれは常々主張して来たまであります。しかるに朝鮮の戰乱の動向を見ますと、われわれが主張して参りました四大国協和の方向に、今や世界の情勢は激変せんとしておるのであります。しかるにそういう情勢をも何ら考えることなしに、今度の予算案にしましても、また次の通常国会に出ようとしておるところの予算案にしましても、今までの考え通りでやろうとしておるのであります。そうしてそれを裏づけるものとして、この税制改正案が出ているというところに、まつたく世界の情勢判断を誤つておる税制が出ておることを、まず第一に申し上げたいのであります。しかもそのためにいわゆる特需と称しまして、朝鮮事変発生以来、独占資本家は非常に厖大な利潤を上げている。このことをもつて、日本経済がいかにも発展するかのごとくに考え、その傾向をますます助長するようなやり方にすべてが組まれている。この税制案にしましても、たとえばこの委員会で私が質問したところによつても明らかになつたのでありますが、一方では非常な特需によつて利潤が上つておる。しかるに法人税の見積りを見ると、朝鮮事変勃発の影響というものがほとんど問題にされていない。これを現在の情勢と比べてみるならば、もつもつと法人税はとれるはずであります。そういう見積りを過小にしまして、そうしてそれだから財政需要上、どうしてもそれだけの税金をとらなければならない。理想としては自由党の諸君も、これだけの基礎控除や扶養控除は不満であるということを申されている。物品税についても、もう少し減税すべきであると言つておられる。これは各党異論のないところであります。しかもそれができない、こういうふうに言つておられますが、それはできるのである。世界の情勢はすでにかわりつつある。われわれはそういう点を見越して、税制改革をやらなければならないと考えるのであります。そういう意味において、この問題につきまして本委員会で開かれた公聽会におきましては、税務署長を除くすべての公述人が、これではとうてい食つて行けないということを言つておられる。まさしく食つて行けないところの税金であります。そうしてその公聽会においで明らかになりました点は、なるほど食つて行けぬ。しかしながら、それは日本人を今までのごとく奴隷のごとくにこき使つて、独占資本家のみが利潤をかき集めるという意味において食つて行けぬ、こういう意味であります。そういうような税法に対しては、絶対反対せざるを得ない。そのほかの問題につきましても、私は詳細な点について詳しく述べることを避けますが、われわれがもし全面講和の方式によつて、日本の政治、経済を、平和産業を無制限に拡大して行くという方向に転換するならば、われわれが年来主張して果ましたごとく、物品税についてもその他の間接税につきましても、これを全廃することができる可能性が刻々迫つておるのであります。こういうときにおいて、こういう情勢をまつたく誤断したところの税制改正案に対して、私は絶対反対するものであります。
  60. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 討論は終局いたしました。  これより右四案に対する採決に入ります。まず所得税法臨時特例法案及び物品税法の一部を改正する法律案の両案に賛成の諸君の起立を願います。     〔賛成者起立〕
  61. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 起立多数。よつて右両案はいずれも原案の通り可決いたしました。  次に揮発油税法の一部を改正する法律案、及び砂糖消費税法の一部を改正する法律案の両案に賛成の諸君の起立を願います。     〔賛成者起立〕
  62. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 起立多数。よつて各両案は原案通り可決いたしました。  なお、右四法案に関する報告書の作成及び提出等の手続につきましては、委員長に御一任を願います。  それでは休憩いたします。午後は一時半より会議を開きます。     午後零時二十五分休      ————◇—————     午後二時七分開議
  63. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 休憩前に引続き会議を開きます。  食糧輸入税を免除する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。質疑を続行いたします。米原君。
  64. 米原昶

    ○米原委員 先ほど安孫子さんは、カナダの方はバーターでなくちやとれたかつたものが、今度はキヤツシユでとれるからというお話がありましたが、大体カナダの小麦とアメリカの小麦とどのくらいの値段の違いがあるのか、お話願いたいと思います。
  65. 安孫子藤吉

    安孫子政府委員 資料をさし上げてありますが、最近の状況を資料のほかに申し上げますと、小麦はちよつとカナダものを買つておりませんので何ですが、アメリカのものが大体九十三ドル九十セント、これはガリオアの分です。それから濠州のものになりますと、これは民貿でありますが、八十四ドル、大麦はアメリカの方が六十九ドル二十二セント、カナダのものが七十四ドル九十五セント、これは二十五年の第二・四半期の買付の際に出ました価格であります。
  66. 米原昶

    ○米原委員 そうしますとカナダの法が若干高いということになりますね。
  67. 安孫子藤吉

    安孫子政府委員 大麦についてはさようでございます。
  68. 米原昶

    ○米原委員 小麦についてはどうですか。
  69. 安孫子藤吉

    安孫子政府委員 小麦の最近の価格は——実はきようオツフアーをとつておりますので、最近のカナダの市況がどれくらいになりますか、ちよつと見当がつかぬのでありますが、一両日したら大体見当がつくと思います。
  70. 米原昶

    ○米原委員 それでは別の質問をします。さらに伺つておきたいことは、今度の米価引上げ、麦の価格はまだ正式にはきまつていないけれども予算案ではすでにその予定で組まれておるわけであります。来年度の大体の見積りはこの予算でもうすでにできていると思うのですが、今年度と比べて来年度は、食管特別会計の中で払うところの供出代金が、米と麦についてどういうふうにふえて来るか、聞きたいと思います。
  71. 安孫子藤吉

    安孫子政府委員 三十六年度予算になるわけでありますが、これは正式に最終的にはまだきまつておりませんので、ちよつと申し上げにくいわけでありますが、二十五年度の商品費と二十六年度の商品費との比較は、どうかということだと思います。二十五年度の分を申し上げますと、これは予算をごらんになればわかるわけでありますが、当初予算は、商品費としまして三千百十七億九千万円計上しております。それを今回三千二百六十五億三千万円というふうに改訂いたしております。その差が約百四十七億四千万くらいになります。これはいろいろなバツク・ペイが上りましたとか、当初予算に予定いたしましたものに比較して上つて参りましたために、出て参りました補正でございます。と申しますのは、二十五年産の麦は、予算上は当初パリティーを一六四ということで算定をいたしておりました。現実には一六五・一六にかわつて参りました。米の方は当初の見込みパリティーが一六八であります。それが一八二・二に上昇したのであります。一方輸入食糧食管特別会計で、今度はCIFで直接に買うということになりましたために、この方でも商品費の増があります。結論において買入れ数量は相当減つたのでありますけれども、ただいま申し上げましたような商品費の方で、パリティー指数の上昇その他の関係でふえておるという状況なつております。二十六年との比較につきましては、いずれ二十六年度予算を御審議願うときに、詳しく申し上げたらと存じますが、ただいま資料を手持いたしておりません。
  72. 米原昶

    ○米原委員 まだ確定はしておりませんが、大体の見積りでこの予算も組まれているようなので、聞きたかつたのであります。米と麦についての見積り額はわかりませんでしようか、二十五年度と二十六年度の……。
  73. 安孫子藤吉

    安孫子政府委員 これはただいま資料を手持いたしておりません。米と麦との買入れ数量並びにその価格という比較にすれば、はつきりするかと思います。これは資料にいたしまして御提示したいと考えます。
  74. 米原昶

    ○米原委員 私がなぜ聞きたいかといいますと、三千百十七億が三千二百六十五億と、こう上るわけでありますが、今度の米の値上りの割合から考えると、それほど上つていない。そういう点で、結局米の方はもつと上るけれども、麦についてはむしろ下つて来るのではないか、こう思うからですが、そういう予定になつているのではないかということを聞きたい。
  75. 安孫子藤吉

    安孫子政府委員 二十五年度補正予算でそれほど上つていないというのは、買入れ数量補正その他の関係で相当減りましたために、それで金額としてはあまり上つていないと御了解願いたいと思います。
  76. 米原昶

    ○米原委員 そうすると、買入れ数量は、米も麦も大体同じような割合になつておりますか。その点はどうなるかわかりませんか。
  77. 安孫子藤吉

    安孫子政府委員 大局から申しますと、麦の方は大体予定数量に比較して近い数量の買入れをしております。但し五等級等が百万石近いものがございましたために、その辺で單価の減はございます。米の方は、御承知のように三千二百万石の事前割当に対しまして、五百万石程度の補正をいたしております。それに引合いと申しましては変でありますが、超過供出を百五十にいたしております。差引き三百五十万石の補正減をいたしておりますので、米の方が比較的買入れ数量の減が大きいというふうに、御了承願いたいと思います。
  78. 米原昶

    ○米原委員 だから二十六年度は米の方は相当ふえる、変はむしろ減るということになるわけですね。
  79. 安孫子藤吉

    安孫子政府委員 二十六年度の麦は、百二十万トン予算に計上しております。百二十万トンと申しますと、石数にいたしまして大体八百数十万石という数字になりまして、ことしよりも若干多いくらいの見込みを立てております。米はいろいろ増産をはかりましたといたしましても、そう急激な生産増は期待されませんので、ことしとほぼ同じ程度の買入れ数量を見込んでおるのであります。従いまして結論的に申しますと、二十五年度の買入れ数量とほぼ同等の買入れ数量が、二十六年度予算には計上されておるというふうに、御了承願いたいと思います。
  80. 米原昶

    ○米原委員 ただいまのお話は、外国から輸入するものも入れてのお話ですか。
  81. 安孫子藤吉

    安孫子政府委員 ただいま申し上げましたのは、国内食糧についてであります。輸入食糧につきましては、二十五会計年度におきましては三百四十万トン組みましたが、二十六年度予算は、これよりも若干減らした数字で組んでおります。
  82. 米原昶

    ○米原委員 そうしますと、麦の統制がはずされて、買入れする場合に相当の金額が狂うであろうということになりますが、この金額の総計を見ると、あまり違いがないというふうに思えるのですが、この点はどうなりますか。
  83. 安孫子藤吉

    安孫子政府委員 狂いがないと申しますのは、三十六年度の商品費との比較でございましようか。
  84. 米原昶

    ○米原委員 そうです。
  85. 安孫子藤吉

    安孫子政府委員 今二十六年度予算についての資料を持つてつておりませんが、幾らの数字で……。
  86. 米原昶

    ○米原委員 いや、ただいまおつしやいました三千百十七億が三千二百六十五億になる。ところが米も相当値段が高くなりました。麦も若干上ります。その割合で考えてみるとし、相当金額がふえなくちやならない。買入れ数量は麦の方がむしろ増加する。米は若干減るのかもしれませんが、それにしてもこの開きがあまりにも少い。こういうふうに予算がとつてあるように思うのですが、その点を明らかにしてもらいたい。
  87. 安孫子藤吉

    安孫子政府委員 ちよつと私の申し上げ方が悪かつたので混乱をいたしましたが、先ほど申し上げました数字は、初めの方が二十五年度の当初予算の数字でございます。それからあとで申し上げました数字は、二十五年度補正予算の数字でございます。当初予算に比べて補正予算が若干ふえたということについては、パリティー指数が当初予算に想定いたしましたよりも上つた事実、それから輸入補給金が、直接生の価格食管特別会計が買うというような制度に中途で変更になつたこと、買入れ数量が当初予定いたしましたよりも若干減つたという事実、これらを相殺いたしますと、さような改定予算になるということを申し上げたのであります。二十六年度予算につきましては、ただいまちよつと手持をいたしておりませんので、二十六年度と二十五年度の比較は別に申し上げたいと思います。
  88. 米原昶

    ○米原委員 私のさつきから聞いているのは、二十六年度方針は大体どの程度になつているのかということなのです。
  89. 安孫子藤吉

    安孫子政府委員 計数的にはただいま申し上げにくいのでありますけれども、二十六年度の買入れの予定数量は麦については百二十万トン、八百数十万石であります。米については、ほぼ今年と同じような三千二百万石程度になろうかと思います。あまり変化いたしておりません。結局單価が相当上ることになりますので、総額におきましては、二十五年度予算に比較して多くなる見込みであります。
  90. 米原昶

    ○米原委員 それも大体予定はできていると思いますが、それを聞きたいわけなんです。
  91. 安孫子藤吉

    安孫子政府委員 大体予定はできておりますけれども、まだ最終的には確定たいたしておりませんので一応確定をいたしましたならば申し上げたいと思います。
  92. 米原昶

    ○米原委員 私の聞きたいのは、一般に伝えられているところでは、最初食管特別会計に来年度インベントリー・フアイナンスが行われるという話であつたのが、中止になつたというような話でありますが、これだけ値上げになれば、今までは黒字だとおつしやつても、相当な赤字にむしろなつて行くのじやないかと思いますが、その間の事情を明らかにしていただきたい。
  93. 安孫子藤吉

    安孫子政府委員 来年度はインベントリー・フアイナンスはやらないということで月別の詳細な計画を立てまして、赤字は出さずに、それで大体やつて行けるという前提で、二十六年度予算を組んでいます。
  94. 米原昶

    ○米原委員 食糧輸入税の問題は、竹村君からも指摘がありましたように、一般の心配しておりますのは、麦の統制撤廃されて、そのあとに外国食糧が無関税で相当入つて来ると、これに相当圧迫されるという点だと思うのです。その点で、政府統制撤廃しても買い上げると言つておるけれども、一体どのくらいの予算を組んであるのか。実際問題として、今度の補正予算政府の説明によりましても、米と麦との比価が従来あまりに接近し過ぎて、経済の実情に沿わぬ点があつたということが指摘されておりまして、どうやら麦と米との比率も、麦の方が大分下つて行く、こういうふうに思えるわけでありますが、そういう形になると、たとい予算としては組んであつても、農家の方は米をどんどん政府に出してでも麦を食うと、こういう形になると思うのです。そういうことと同時に外国食糧が無税で入つて来るのと、両方で圧迫して行くのではないかという点からして、政府の二十六年度予算がどう組んであるか。その予算の点と、米と麦の比価をどのくらいに考えておられるかということ、比価が従来あまりに接近し過ぎていたのを、どのくらいの割合に直そうとせられているか。この二つの点だと思いますが、この米と麦の比価の点について御答弁願いたいと思います。
  95. 安孫子藤吉

    安孫子政府委員 米麦の比価は従来は八十四でしたか、五でしたか、とにかく八十台です。来年度の分は六十四で一応見ております。戰前の状況考えますと、大体六十二、三というところであります。それが非常に麦の生産者に圧迫を加えはしないかという見方もあるわけでありますが、絶対金額については米価が相当上りますので、そういう比価の開きをいたしましても、今年の麦価よりは下らぬ、若干上まわるというような見通しを持つております。麦の対米比価を現状通りにすえ置くべしという強い御意見は、各方面にあるのでありますが、消費性向の問題、また従来の米と麦との比価の問題、また国際的な米と麦との比価の問題、全般を総合いたしますと、本年度の比価をそのまま将来においても持続するということは、適当でなかろうという考えで、従来よりも比価を開いて私ども考えておるわけです。
  96. 小山長規

    ○小山委員 この点はまだ一向問題になりませんでしたので、一、二点伺つてみたいと思いますが、食糧輸入税を免除するということは、昨年度法律できめたわけであります。その理由としては、ガリオア資金で入つて来るからであるということが非常に強い理由であつたように考えているのでありまするが、ガリオア資金がだんだん民間貿易に移らんとするとき、また他の方面におけると同じような理由のもとにおいて、砂糖の消費税は免除しておつたのでありますが、このたび砂糖に対しては消費税をかけるということになつたのであります。にももかかわらず、同じ理由で出発した食糧輸入税について、なお免除を必要とする理由、これを簡單にひとつお尋ねいたしたい。
  97. 安孫子藤吉

    安孫子政府委員 結局非常に不足しておるものでもありますし、また国民生活の上からいつて、できるだけ消費者価格を引下げるべき性質のものであります。また家計費の中に占めまする食糧の費用というものは、非常に大きなフアクターになつておりますので、やはり現在の状況におきましては、ガリオア資金が減りましても、免除をする方が適当であろうというふうに考えたのであります。砂糖との比較になりますけれども、砂糖の場合と比較いたしまして、主食の生活に及ぼす影響というものは、やはり相当大きなウエイトを占めておるというふうに私は考えます。
  98. 小山長規

    ○小山委員 それでは伺いますが、関税をかけた場合には、もし消費番価格をすえ置くとすれば、ただいまの予算に盛つておりますところの食糧輸入補給金をまた増額しなければならぬ、こういう形になりますか。
  99. 安孫子藤吉

    安孫子政府委員 そういうことになると思います。
  100. 小山長規

    ○小山委員 それではこの輸入税の免除を続けなければならぬという主たる理由は、食糧輸入税をかけても、結局國内における増税手段あるいはその他によつて価格差補給金をふやさなければならないから、もともとであるから輸入税の免除をする、こういうことが主たる理由になつておるわけでありますね。
  101. 安孫子藤吉

    安孫子政府委員 消費者価格をその分だけ上げれば、格別な話しですが、上げないでやるということになれば、今お話のような結論になります。
  102. 小山長規

    ○小山委員 その点はよくわかりましたが、次に資料をいただきましたのについて、若干疑問の点がありますので伺いますが、国内生産食糧生産者価格というのをここに出していらつしやいます。これによりますと米は一トン当り百二ドル三十九セント石当りにしますと六千十四円、小麦は六十九ドル七十二セント、これは石当りに直すと四千四百十八円であり、大麦は六十一ドル五セント、石当り三千六百六十三円でありますが、この生産者価格というのは、政府が買上の対象にしておるところの生産者価格という意味でございますか。
  103. 安孫子藤吉

    安孫子政府委員 その通りであります。
  104. 小山長規

    ○小山委員 そうすると、生産者価格はこの通りであるが、買上げ価格はこれよりも安く買うということなのですね。
  105. 安孫子藤吉

    安孫子政府委員 国内生産者価格をドルに換算したのがこれでありますが、ただいまのお話の点は、これよりも政府が安く買うのは、どういう意味だというようなことでありましたが。もう一度恐縮でありますけれどもはつきりその要点を伺いたい。
  106. 小山長規

    ○小山委員 かりに米でとつて見ますと石当り六千十四円なんです。三百六十円で換算し、かつそれを六十キロに直す場合、一トン当りの値段がこのトンは多分キロトンだろうと思いますが、百二十ドル三十九セントこれは一千キロでありますから、それた大十キロの一石当りに直す場合には六千十四円になるが、もしそれが日本における農民生産者価格であるとするならば、現在あるいは来年度に予定しておるところの米の買上げ価格よりも高くなるのじやないか、どういう趣旨でこういう数字をお出しになつたのか、こういうことであります。
  107. 安孫子藤吉

    安孫子政府委員 換算の出題があると思いますから、今資料を探しましてお答えいたします。
  108. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 御質問はありませんか。
  109. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 それでは旧令による共済組合等からの年金受給者のための特別措置法案を議題とします。前会に引続き質疑を継続いたします。
  110. 小山長規

    ○小山委員 共済組合のことについては、昨日磯田課長から今までのいきさつその他を聞きましたが、納得ができない点があるので、幸いに主計局次長が見えておりますからお伺いするのでありますが、この共済組合のうちで、財団法人日本製鉄株式会社の共済組合の問題についてであります。この場合に、法案によりますと、昭和九年の一月末は受給資格が発生したということは、それまでに内規によつて二十年間勤めて、かつ退職した場合と、言つておられます。ところが実際の問題としてみますと、昭和九年の一月末に、すでに満二十年の勤続を終つてつたが、実際にやめたのはその翌月あるいは翌日であるという人たちに対しては政府の方では今度のこの法律案の対象にしないのである、こういう趣旨と伺つたのであります。そういたしますと、あるいは日本製鉄の共済組合で一つの内規をつくりまして、そしてそれらの人の昭和九年の一月にやめた人も、あるいはやめないで続いておつた人も、同じように扱うという内規をつくればいいようなものでありますけれども、片方においては政府予算の裏打ちがあるが、片方においではないということになると、支払い能力を問題にしなければならぬ。この日本製鉄の共済組合が、原案の通りであるとするならば、日本製鉄は相当たくさんの経費を使つて、この準備金として積み立てて行かなければならぬだろうと思う。それがもしできないということになりますと、同じ條件のもとに入つている人たちの間に、非常に取扱いの不公平が出て来はしないか、こういうことしでありますがこれについては政府としてはどうお考えなつておりますか。
  111. 安孫子藤吉

    安孫子政府委員 さつきの点は、これを三百六十円で円に直しまして、石が百五十キロという換算率を使いまして、引きますとちようど五千五百二十九円という数字になります。
  112. 小山長規

    ○小山委員 失礼いたしました。間違いました。六十キロは一俵ですね。わかりました。
  113. 東條猛猪

    ○東條政府委員 まことにごもつともなお尋ねと拝承いたしております。この共済組合の問題につきましては、当委員会を中心といたしまして、国会の各方面からいろいろと強い御要望が出ましたので、今回この政府提案の運びに至つた次第でございますが、その一つの問題といたしまして、ただいまお話の出ました、もともと官業当時から旧日鉄に——いわゆる官業当時の製鉄所に勤めておつた方々の年金関係をいかに取扱うかということが、非常に重大な問題であることはお話の通りでございます。それで一つ考え方といたしましては、お話のような御趣旨もございまするか、政府関係機関にもきましても、たとえて申し上げますると、国鉄でございますとか、ないしは專売でありますとか、従来純粋な政府機関でありましたものが、経営形態が公社というようにかわりました場合におきましては、国庫からその共済関係に必要な特別の財源的措置を講じませずして、国鉄なり專売に、おのおのの公社のいわば自前で御処置を願うというような建前も、とつておるわけであります。従いましてこの日本製鉄関係の万々につきましても、りくつで申せば、そういう考え方もひとつあり得るわけでありまするが、ただいまお話の出ましたように、もともと政府関係のものでもあつたし、従つてその関係から見て、單に昭和九年の一月の終りまでに退職をした者でなくとも、その後二月一日後に退職いたしました者につきましても、財源的措置を講ずるのが適当であるという御意見も、一つの筋の立つた、りつばな御意見であると思います。政府といたしましては、昨日も関係政府委員からお答え申し上げたと思うのでありますが、この二つの方法のいずれをとるべきかということにつきましては、いろいろ検討も遂げましたし、またそれらの両様の案に基きまして、関係方面ともいろいろと、交渉を重ねたのでありまするがその交渉の結果といたしまして、今回政府から提案を申し上げまして御審議を願つておりまするような案でこの際国会小議決をいただきますることが、いろいろの事情を勘案いたしまして適切な措置である、かように考えました次第であります。なお打明けて申し上げますれば、場合に上つては二月一日以後退職をせられる方々のめんどうをも、政府の国庫の財源的措置をもつて見るという考え方をいたしました場合におきましては、先ほど来申し上げましたように、いわば中間的心色彩が強いので、会社と国庫である程度折半負担というような考え方も、実は一時経過的な案としてあつたのでありまするが、いろいろ内部で案を練り、また交渉を重ねました結果、二月一日以後退職をせられる方々につきましての国庫からの財源的措置が困難であるので、やむを得ずこういう法律案を御審議をいただきまする関係から、それ以前の分につきましては、これは考え方によれば当然とおつしやるかもしれませんが、それ以前の分につきましては、一時考えられましたような折半負担という考え方はやめまして、それ以前の分につきましては、すべて財源的措置をいたす。それも新たに共済組合で毎年々々負担をいたす分だけを、国庫から少しずつ金を出すというかわりに、まとめてこの際財源を出すというような措置が、かれこれ考え合せまして、適当でなかろうかということで、実はこの法律案のただいま御指摘のありました点が、本法律案成案を得まする場合におきまして、一つの難関になつたわけでございます。それで私どもといたしましては、今申し上げましたようないろいろな経緯から、またいわばその前提におきましては、共済組合の負担をなるべく軽減できるような考え方をもちまして、この成案を得たような次第でございまするので、会社側なり共済組合側と隔意のない実情を打明けた御懇談をいたしますれば、一月末日までにおやめになつた方と、それから以後におやめになる方との間に、不権衡の生じないような何らかの適当な内規その他の措置によりまして、方法を講じていただけるのではなかろうか、またぜひ講じていただきたいということを要望もいたしておりまするし、また期待もいたしておりまする次第でございます。
  114. 小山長規

    ○小山委員 この案の成立に至るまでの過程において、最大限の御配慮を願つたということは、ただいまの次長のお話でもうかがえますし、きのうの磯田課長のお話でもよく承知いたしたのであります。それは適切なる処置であつたろうかと考えるのでありますが、そのおつしやいましたりくつの中で、ちよつと合点の行かない点が二点ある。第一は、たとえば鉄道を公社に直したとか、あるいはある特別会計を政府の他の機関に変更したというような場合には、親元はあくまでも政府である。従つて特別会計の職員も、かりにそれが体裁はかわつて政府の職員であるからして、結局においては政府が何とかしてくれるだろうという信頼感を持つことができる。ところが今度の場合には、一つの営利会社であります。営利会社でありますから、世界経済の流れ、あるいは国内経済の動向いかんによつては、どうなるかわからぬ。そういうような前提に立つております場合には、ただいま言われたような問題は、現在のような日本製鉄の收益状況からいえばあるいはいいかもしれぬ。しかし何年かの後にその收益状態が悪くなつたときに、一体それは政府が最初企図したような待遇を、それらの年金受給者が受け得られるかどうかという点が、政府の特別会計が公社にかわつた場合とは違うということが一つ。第二は、この日鉄が解散いたします場合に、当時の政府職員のうちで、奏任官あるいは奏任官以上の高級官吏は一時打切金その他の、政府からの特別の処置を得られておつたと聞いております。ところがいわゆる下級職員であるところの雇用員あるいは雇員に限つて、このような差別待遇をするものとするならば、これはまつたく民主主義に反する措置であるように考える。その二点からいたしまして、私はこれは率直に政府にお伺いするのでありますが、この法律案のうちの日鉄八幡の共済組合に関する部分を削除しまして、そうして通常国会においてあらためて考えるという措置は、お考えなつておりませんか。
  115. 東條猛猪

    ○東條政府委員 ただいまの国鉄、專売というような、結局親がかりになつておるような機関と、純然たる民間の会社とは違うのではないか、そういう点につきましては、私もお説に近い点がずいぶんあると思います。ただ御構想の通りに現在の国鉄なり專売につきましては、いわゆる独立採算制経営の建前からいたしますると、一般会計から補填をいたしましたり、ないし税金でもつてこれらの国鉄、專売の穴埋めというものは、少くとも経営面においてはいたさない、こういう建前をとつておりまするので、色彩におきまして違うのではなかろうかという観点から申し上げましたような次第でございます。それからこの部分だけを削除して、あらためて次の機会に立法化したらどうか、こういう点でございまするが、私どもが今までこの法律案折衝過程におきまして感じておりますることは、率直に申し上げますれば、これからこの條項を落しまして、また独立の法律ということで案をいたしまして、成案を得て国会提出して御審議を願うということにつきましては、非常な困難が伴うのではなかろうか。それでこの際といたしましては、政府提案通り議決をお願いいたしますることが、私どもといたしましては、最も望ましいことでもありまするし、本件は今まで相当長引いておる問題でございますから、何も一刻を争うという問題でもないかとも存じまするけれども相当長引いた問題でもありますし、またいろいろの経緯のある問題でもございますので、なるべく早く一応の決定を見るという意味合いからいたしましても、政府提案の通り、この際の御措置といたしまして御承認をいただき、議決を賜わりますることが、最善のことではなかろうかというふうに考えております。
  116. 小山長規

    ○小山委員 それではそれに関連してお伺いしますが、かりにこの法案をそのまま政府提案の通り議決いたしたといたしました場合に、原案によれば、この交付金は一時打切りになつておりまするので、法律の体裁からいうと、一ぺん失効するとその條文は死んだ形になつて来る。それで将来においてこれを改正する余地がないような気がする。かりに今度議決を得ましたといたしましてもしかしそれは私のしろうと考えですから、私の独断になるかもしれぬかと思いますので、政府の見解をただしておきたいのでありまするが、この原案の通りかりに議決いたしましたといたしましても、将来情勢がかわつた場合に、法律上の理論、あるいは法律の体裁からいつて、さらにそれを再検討する余地が、この法律案には盛られておるかどうかを最後に伺つておきたい。
  117. 東條猛猪

    ○東條政府委員 私どもの現在の立場から申しますと、将来何らか事態がかわつたときに、またあらためてこの法律案の改正案を出すということは申し上げかねる立場に実は現在としましてはございまするけれども、先ほどお話が出ましたように、何らか今後経理状況等につきまして予測しないような事態が起りまして、あらためて立法的措置を講ずるという前提に立ちまして、そのことを考えまする場合に、現在の法律の第七條が別段そのときの事態に即した場合の処置に対しまして、絶対困るさわりになるような点はないのではなかろうか。むしろ現在の第七條の改正條文で参るとか、あるいは全然新たな條文の書き方をするとか、立法技術的にはいろいろ考慮の必要はあるかもしれませんが、新たな立法形成としまして、もし処置をおとりになるという前提に立ちますれば、現在の第七條が実はどの点がお尋ねのようなさわりになる点であるのか、私自身ちよつとのみ込めないのでありますが、もしお気づき等の点がございますれば、この際御参考までに伺つておいた方がよかろうと思います。
  118. 小山長規

    ○小山委員 私が申し上げましたのは、これは私のしろうと考えでありますが、打切り交付という点でそれが障害になるのではないかということなのです。しかし政府の今の御心境として、将来日本製鉄の経理状況が、現在予定しておつたところと比べて非常に悪化して、そのためにこの法律案に基いてつくつた日本製鉄共済組合の内規が、実行できないという事態に立至つた場合には、従来のいきさつにかんがみまして、これは呼応改正の余地があるということであれば、私はあえて異議を申さないのであります。その点の御見解を承りたい。
  119. 東條猛猪

    ○東條政府委員 先ほども申し上げましたように、昭和九年一月三十一日以前に発生いたしました給付事由に基きます分につきましては、保險計算の上で、別途補正予算でお願いしております全額でいわば打切りになりますが、先ほど来お話になりますのは、むしろその部分でなくて、二月一日以降のものについてであると御了承いたすのであります。もし今後新たな事態が起りまして、そういう措置をとることが各般の観点から望ましい、とるべきであるという結論になりますれば、あらためて立法的措置をとることにつきましては、現在の御審議を願つておりまする法律案が、別段支障にはならないということを申し上げておきます。
  120. 小山長規

    ○小山委員 私が一番心配する点はそれでありますので、重ねてこの点は記録に残して明確にいたしておきたいのでありますが、昭和九年の一月末にやめた人とそれからやめないでその翌日やめた人との間の取扱いが非常に不公平である。そして先ほど来申しましたように、同じときに入つた高等官、昔の言葉で言えば奏任官以上の高級官吏には、政府が特別の措置をしながら、下級職員である従業員については、一月三十一日を境としてこれを区別するというのは非常に民主主義に反する。このことから将来会社においては、おそらく一律に取扱うような内規をつくるでありましよう。しかしその内規をつくつたが、さて事情の変更によつてその内規は実行できないということになつて来ると、今までのいきさつから申しまして、この扱いが不公平であるということは政府が認めておられるのであるから、従つて内規上の公平をかりに会社がつくつたにしましても、実際問題として、政府のこの法律案による財源措置によつて、すでに退職を受けた人との間に不公平を生ずるという事態が起きた場合に、今政府は、必ずそういう措置をとつてこの立法をかえるようなことも考えられるということであるならば、私はこれ以上質問はやめておきます。
  121. 東條猛猪

    ○東條政府委員 ちよつと言葉を返すようで恐れ入りますが、そういう事態が起つた場合に、政府といたして必ず変更いたすという政府としての方針をただいま申し上げているのではございませんので、そういう事態が起つた場合には、本件にかかわりなく新たな立法的処置は講じ得る余地はある、法制的に可能であるという意味において、ただいまのお言葉を拝承いたしておりまするから、そういうふうにひとつ御了承願いたいと思います。
  122. 小山長規

    ○小山委員 それは少し私の言い過ぎでありましたが、現在の政府に何代か後の政府のことを確約させることはむりであろうと思う。しかしこれはこの法律の條文がその場合に障害にならないということについては、これは確信をもつてお答えくださつたものと了承いたしまして、私の質問を終ります。
  123. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 御質疑はありませんか。——御質疑もないようでありますから、次に移ります。
  124. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 食糧輸入税を免除する法律の一部を改正する法律案を議題といたしまして、質疑を継続いたします。宮幡君。
  125. 宮幡靖

    宮幡委員 提案されてから大分日にちがたつております食糧輸入税を免除する法律の一部を改正する法律案に関しまして、きわめて短かい時間で御質問申し上げます。と申しますのは、本問題をめぐりましては、すでに各委員から全体の日本の食糧政策の問題についてまで質疑応答が行われ、わずかにその質疑の間に残されておるような問題につきまして、きわめて事務的な御質問をいたしますから、お答えをいただきたいと思います。  先般大蔵省主税局税関部から配付されました農林省食糧提出の資料によりますと、主要食糧の輸入見込みと外国産の食糧輸入価格が示されております。その中にシヤム米が民間貿易でCIF百二十六ドルと価格が表示されておりますが、ビルマの方はどんな価格で入つておりますか。CIFでもFOBでもけつこうですから、わかりましたらお示しをいただきたいと思います。
  126. 安孫子藤吉

    安孫子政府委員 ビルマの方は、ときどきの動きはありますけれども、大体シヤム米と同じ程度の価格であります。
  127. 宮幡靖

    宮幡委員 そこでこの他の資料によりますと、十月以降におきまして、ビルマ米が二万九千五百五十八トン入つたということが示されておるわけでありますが、そこでお伺いしたいのは、日本とタイ国及び日本とビルマとの貿易協定の内容であります。これは御承知の通り日本国とタイ国とのただいま結んでおります貿易協定は、総額におきまして六千万ドルでありますが、タイ国からこちらへ交付されまするのはドル資金ではなし、あるいはポンド資金でもない。外貨決済なくして現物決済であり、御承知のように日本の輸出額に対しまする八〇%が米で輸入されることになつております。ビルマにつきましては総額が四千五百万ドルで、その六〇%が米でこちらへ供給されることになつておるのでありますが、委員間の質疑を承つておりますると、外国米を輸入いたしますことは、国内農民の生活を圧迫するものである、あるいは国内の米で間に合うものを、しいて外国米を入れまして農家の立場を困難ならしめ、不当に農産物の価格を下落せしめることになるのではなかろうかという説明があるかと思いますと、また一面におきましては、不足している折柄であるのに、なぜ朝鮮動乱等に立てかえて払うのだという説もありまして、この両者の質問を聞いておりますと、きわめて矛盾したものを私は発見しております。と同時にこの協定貿易の内容によりまして、日本の輸出が振興すれば当然に入つて参ります米につきまして、これを多いとか少いとか、入れては不当であるとかいうことを考えますことは、むしろ農林行政に対しまする国会の認識が、あるいは農林当局の御説明が悪いのかもしれませんが、どうも私は満足すべき状況でないことを察知いたします。そこで農林省といたしまして、この日タイ及び日本とビルマとの貿易協定、これにはそれぞれ期限がありまして、私の記憶では、タイ国のごときは六月三十日の期限でありますが、そのまま日本が講和條約を締結せられるまで、有効であるという附則があつたように覚えております。とにかく一応は六月三十日という期限でありますが、農林当局といたしましては、将来にわたりましてこの種の協定貿易を存続いたしまして、国内産米と合せて、日本の米麦の事情の緩和と申しますか、これに対しまする対策を講じて行かれる考えであるか。それとも一面の議論のごとく、かようなことはもつとオープンな民貿にゆだねまして、農林省としては計画外に置こうとするのか。あるいはそのような外米輸入を拒否いたしまして、それがために輸出が阻止されてもやむを得ないと考えておるか。この点につきましての御説明をいただきたいと思います。     〔委員長退席、小山委員長代理着席〕
  128. 安孫子藤吉

    安孫子政府委員 国内食糧需給観点からいたしますと、私どもはどうしても外国食糧を入れなければならぬという見地に立つております。申し上げるまでもなく、戰前におきましては台湾、朝鮮米等が千何百万石と入りまして、ようやく需給のバランスがとれておつたわけであります。これが昨今のような情勢になつて参りますと、全体から申しまして、二割五分程度の外国食糧の輸入にまたなければ、日本の食糧の需給操作ができないという現状であります。できるだけ国内食糧の増産をはかりまして、輸入数量を減らすという方向については、私ども努力をしなければならぬかと思いますけれども、申し上げるまでもなく、農業生産というものは、そう急ピツチに生産が上るものではございません。いろいろ計画をいたしましても、天候その他の事情で、急にそうふえるものでもございませんし、また技術指導をいたしましても、一挙に数字が一割も二割もふえるというようなことは、なかなか困難な状況でありますので、私どもはやはり相当大量の外国食糧を輸入しまして、国民生活の安定をはかつて参ることが必要だと思つております。なかんずく日本人の消費性向から申しまして、米というものには特殊の感覚を持つておりますので、米の輸入の確保ということについては、特段の努力を払つて参りたいという考えをいたしております。
  129. 宮幡靖

    宮幡委員 ただいまの御説明で、包括的な米の政策についてはわかるのでありますが、タイ及びビルマとの貿易協定を存続せられる意思があるかどうか。この点をひとつ明らかにしていただきたい。
  130. 安孫子藤吉

    安孫子政府委員 世界の米の給源と申しますれば、要するに仏印、タイ、ビルマというところが主でありまして、あとはエジプトが若干、加州米、ブラジル米等しかございません。この辺はほんとうの大量的なソースということではなく、場合によれば若干拾えるという程度の数量であります。どうしてもタイ、ビルマ、仏印に重点を置かなければならないわけでありますが、仏印は御承知のような状況でほとんど輸出力はございません。ただいま一番輸出力を持つておりますのはタイでございます。その次がビルマであります。私どもとしては、ここへ重点的に施策を向けまして、貿易協定の範囲内において最大限度の輸入をはかりたいと思つております。
  131. 宮幡靖

    宮幡委員 ただいまの御説明はきわめて適切なものだということを了承いたしました。  次に少し飛び離れた問題になるかもしれませんが、やはり同じ協定貿易の範囲内におきまして、日本と台湾との間に硫安肥料を年間二十万トン輸出する協定が成立しておるということは、御承知の通りであります。これが先般新聞等で拝見いたしますると、農林省の許可なくして輸出をしたとかいう問題を起したそうであります。通商産業大臣政府委員がどんな説明をしたか知りませんが、風のたよりでは聞きましたが、この問題について、国内食糧行政と合せまして、少し遺憾な感じを持つたわけである。そこでその点につきまして、この機会にただ一言伺つておきたいのでありますが、この協定貿易をいたします場合には、通商産業省と農林省との間には相当の事務的の折衝が続けられまして一つ結論に達しておるわけでありまして、いやしくも協定貿易であります以上、事情の許す限り、協定を結びました当時の状況と異なつた事態が生れない限り、二十万トンの硫安供給をするのが当然の義務であり、これが国際経済へ参加いたしますところの日本政府の当然取行うべきあるいは日本人として商業道徳の上において必ずやるべきことである。しかし国内の肥料の数量が、農家に対しましても硫安で反当七貫なら七貫のものを配給するに足りない。あるいは自由販売でも全体量が足りないという事態が参りますれば、もちろん国内農業の保護政策を重点といたします関係上、これは出せません。しかしながら、数量は完全に国内消費者まかなつてなお若干の余力がある。ここが問題だと思うのであります。十分あり余つておれば、商人の現在の乏しい資金ではとうてい思惑することはできませんけれども、わずかに一割多いとか、五分多くなつているというようなことならば、これもある程度買い占めまして持つておりますと、統制から自由販売へ移ろうとするこの時期においては、相当の思惑ができる。そこで農家への供給が不円滑になり肥料が循環的に非常な高値になつて、農家の経済を苦しめるという事態は、輸出したから起きたのだというように、もし将来にわたつても農林当局がお考えになるならば、それは非常な間違いである。むしろかかる場合におきましては、肥料行政の方面におきまして、さようなやみ取引をいたしております、思惑を構成いたしまするところの肥料にまつわる生産者並びに卸屋小売屋、そのような面につきまして何らかの行政的な措置によりまして、取締り、監視等を行いまして、全体量において不足のないものを、零細なる農民側に重き負担をかけるような結果にならぬようになすべきであると考えておりますが、この点につきましての長官の御意見を簡單でけつこうでありますから承りたいと思います。
  132. 安孫子藤吉

    安孫子政府委員 肥料は実は食糧庁の所管でありませんので、私から責任あるお話を申し上げますことは差控えたいと存じますが、台湾との関係につきましては、食糧庁といたしましては、砂糖の大きな給源地でありますし、それから台湾米が若干輸出力がある。特に日本人の性向に適合しております蓬莱米が若干出せる見通しを持つております。そうしたものを輸入しますことは、国民生活の安定の上に非常に大切な物資でありますので、これが取引の円滑に参りますように各般の措置を講ずることは、私としても必要であろうというふうに考えております。
  133. 宮幡靖

    宮幡委員 これはなるべくなら、先ほど質問しておりました共産党の竹村委員がおいでになるときに、伺つておきたいのでありますが、この委員会の記録に載せておけば、いずれあとから話を聞くこともできると思いますので、この点ははつきりひとつお答えをいただきたいと思います。竹村委員の御質問の中には、米価審議会というものの無用論をやつております。答申を重要視しないなら、それを採用しないなら、米価審議会はいらんではないかという、言葉はやわらかいですが、極端な議論をしております。しかし現在の政府の立ちとして、米価審議会答申を無視しておる態度なんかは決してない。むしろ最大限度におきまして米価審議会答申を尊重する用意があるものだということを、私は確信しておるのであります。しかしながら、被占拠下にありまする現在の日本といたしましては、客観的諸情勢が許さない場合があります。この條件を除いて以外に、国内的には米価審議会答申を十分取入れまして米価決定をいたす、この方針は農林省として正しく明らかに持つておるということを、この際御明言をいただいておきたい。とかく世上に流れますところの、政府当局は米価審議会答申等は、都合が悪ければ採用しない、都合がよかつたならば採用しよう、こういうようにして実際において米価審議会というものは名目的なものであつて、何ら民意を暢達するものではない、かようなちまたの宣伝を私は非常におそるるものであります。従いましてこの際米価審議会は、客観的諸情勢によりまして許されない場合を除きまして、国内としましては、少くとも農林当局としましては、これを十分に尊重する心持を持つておるものであるということを、ここに——おさしつかえがあつたらおつしやつていただかなくてもけつこうでありますが、われわれといたしましてはぜひ、農林当局がさような考え方を持つていることを、この際確認をいたしておきたいと思うのであります。おさしつかえないなら御答弁をいただきたいと思います。
  134. 安孫子藤吉

    安孫子政府委員 ただいまのお話はごもつともでありまして、私どもも、米価審議会は非常に重要な役割を持つておる。ただ客観的な諸條件のために制約される部分もありますけれども、これが本筋の姿であるというふうに存じております。ぜひ存続して適切な御援助をいだたきたいと思つております。統制前におきましても、米穀統制法時代に、やはり米価審議会のようなものがございまして、そうして生産者にも消費者にも、非常に重要な関係を持つておりまする米価決定につきましては、各般の知識を集中して御批判をいただいて、決定しておる事情もありますので、こうした行き方は私どもは正しい行き方であると存じまして、やはりこれの円滑な健全な運用を、将来においても心がけて参りたいと思つております。
  135. 小山長規

    ○小山委員長代理 これにて暫時休憩いたします。午後三時十二分休憩      ————◇—————     〔休憩後は開会に至らなかつた〕      ————◇—————