○田中(織)
委員 私は日本社会党を代表いたしまして、ただいま議題に
なつておる四法案のうちで、
揮発油税法の一部を改正する
法律案、並びに
砂糖消費税法の一部を改正する
法律案に対しましては、希望條件を付して賛成をするものでありますが、
所得税法臨時特例法案、並びに
物品税法の一部を改正する
法律案に対しましては、反対の昔見を述べるものであります。
反対の理由といたしましては、昨日の衆議院の本
会議におきまして、多数をも
つて、われわれ野党側の
審議の参加を認めずに通過せしめましたところの
予算案と、うらはらの
関係に立
つておるものでありまして、きわめて欺瞞性に満ちたものだという点でありますただいま與党の
西村委員の賛成討論の中にも、これは十五箇月
予算の一環として出ております二十五
年度の
補正予算と、関連を持つものであると言われたのでありますが、十五箇月
予算としての二十五
年度の
補正予算を見よということにつきましては、少くとも二十六
年度の
予算の全貌を、この
補正予算と関連いたしまして、
国会を通じて明らかにすることが当然であると思うのでありますが、今回二十五
年度の
補正予算が
国会に
提出されるにあたりまして、このかんじんな十五箇月
予算のむしろ実体をなすところの二十六
年度の
予算の全貌が何ら
国会に明らかにされておらないということは、
政府は二十六
年度の
予算には公約実現を織り込んでおるとい
つて、盛んな宣伝にもかかわらず実際にはそれが実現されそうにないので、これの全貌を
国会に示すことができないのではないかと、われわれは見ておるのでありまして、もし
政府並びに與党の方が自信があるならば、少くとも十五箇月
予算と銘打つ限り、二十六
年度の
予算の実体を、この
補正予算の
審議にあた
つて明示することが、当然の義務であると
考えるのでありますが、それが出されておらない ことにこの
補正予算の面だけを
考えてみましても、六十数億の減税だというように
政府は説明をいたしておるのでありますが、これは本
委員会における税制の
審議の過程においても明らかに
なつたところであり、さらに
予算審議の過程においても明らかに
なつておるのでありますが、これは実質的な減税にはならない。今
西村君が二十五
年度における多額の減税、並びに二十六
年度における七百億の減税ということを示唆されたのでございますが、一方において国民所得の水通しを行
つて、しかも大蔵
大臣が言われる税法上の減税だというようなものは、現在重税に悩む国民の前には、絵に描いたもちのようなものでありましで、何らの実質的な減税にならないと、私は言わざるを得ないと思うのであります。
そういう
観点から
考えまして、特に所得税法の臨時特例に関する
法律につきましては、われわれはまず基礎控除の面におきましても、現行の二万五千円を三万円までに
引上げたとはいうものの、これでは現在の物価情勢並びに国民の生活水準等を
考えてみますならば、ほんとうの
意味における基礎控除にはならないのであります。これはわが党が主張しておりますように、最低の線として四万円程度に基礎控除を
引上げるべき筋合いに、現在は進行して来ておるとわれわれは
考えます。さらに扶養控除の面につきましても、現在の一万二千円が若干
引上げられましたけれ
ども、扶養控除の制定を置いた以上、少くとも現在の物価情勢その他の
観点から
考えまして、二万円まで
引上げるべきだ。これは最低の線としてわれわれは主張いたしたいのであります。さらに今回の税制の改正法案が、御
承知のように第二次シヤウプ勧告に基いて行われたものであると、われわれは信じておるのでありますが、シヤウプ勧告の中に明示されておりますところの
農民、漁民あるいは中小企業者等の、いわゆる勤労所得的な性格を持つ所得に対します勤労控除の問題が、いみじくもシヤウプ第二次勧告に示されておるのであります。
政府の方でも当初はこの勧告を具体化すべく
政府の態度を表明されたのでありますが、現に
提出されました本案によりますと、この最も切実なる要望であります中小企業者、
農民、漁民に対します勤労控除の面が全然抹殺されておるという点が、この臨時特例法の欠陥中の欠陥であると、私は指摘せざるを得ないのであります。さらに税率の問題につきまして、ただいま民主党の宮腰君も指摘されたのでありますが、五万円以下の零細なる所得者に対します税率の二〇%がそのまますえ置かれておる。本来ならこういう低額所得者ははずすべきであるという主張も、ただいま宮腰君からもなされたのでありますけれ
ども、われわれは、かりに、これらの人たちにもその分に応じた税の負担をさせるという建前に立ちましても、現行の二〇%というものは少くともその半分の一〇%に引下げるべき段階に来ておるのではないか。さらに五万円以上三十万円以下という、いわゆる広汎なる大衆を包含する所得の段階にあるものに対する税率につきましても、少くとも一律に一〇%程度の軽減を行う。さらに五十万円以上一応現在は五五%で打切
つておる段階につきましては、われわれが年来主張いたしますように、これらの五十万円以上の高額所得者に対しまする累進課税というものについて
考えなければ、税の公正なる負担という点が欠けて来るのではないか、かように
考えるのであります。さらにこれもこの
委員会においても毎度問題になることでありますけれ
ども、罰則の点、いわば国民の
一つの大きな義務であり、国民が今日国家再建のために、泣く泣く大きな負担をしておるという現状に照し合せまして、現在の国税犯則取締法なり、その他のいわゆる税
関係の罰則が、これまたまさに犯罪者に対する、ま
つたく敵国人に対するような取扱いをしておるという点につきまして、今回のような相当根本的な改正を行う機会には、当然手をつけなければならない問題が、ほとんど問題にされておらないという点が、われわれが本案に賛成のできない
一つの理由でごいざます。
われわれはさらに
物品税の問題につきましては、なるほど八億一千万円の減税を今回行
つたのでありまして、その限りにおいてこれに賛意を表するに決してやぶさかではないのであります。ところがここに配付されました資料を見て参りましても、今回の
物品税の軽減が一律に行われておる。少くともわれわれが年来
物品税の問題につきまして、請願その他の機会におきましても
政府当局に要望いたしまするように、生活必需品であるとか、あるいは生産
関係のものであるとか、こういうようなものについての思い切
つた物品税の軽減ということが、今回は、この別表の一番最初を見てもわかりますように、第一種の甲類の一にあるゴルフ用品等についても若干軽減が行われておる。しかしその反面、生活必需品その他の
関係において当然軽減されなければならないものが、具体的な費目に従
つてはたしてどれだけの考慮をされておるかという点につきましては、遺憾ながらわれわれは、今回
政府が
提出されましたところの資料をしさいに検討いたしまして、賛意を表するわけには行かないのであります。さらに
物品税の問題につきましては、今回いわば奢侈品等についてまで一律に税率を引下げておるのでありますが、われわれは本来ならば
物品税等は、これをなくすることが一番の理想であると思う。しかしこういうものを設けておる以上、税率をすえ置いておいてもさしつかえないものもある。そういうような面から、われわれが主張する生活必需品
関係の、きわめて思い切
つた物品税の免税という方向に向
つて持
つて行くだけの主税局当局の準備が、今回の提案にはきわめて不十分であるということが言われるのでありまして、そういう点についてわれわれは賛成はできないのであります。
要するに、今回の税制を通じて、若干の減税にはなることを
政府は説明しておりまするけれ
ども、一面において当然支出しなければならない地方財政平衡交付金のような問題につきましても、與党の側においてすら地方行政
委員会で賛成をしておる問題が、
予算の面においていまだ修正されておらない、こういうような
関係が出て参
つておるのであります。そういう点から見れば、今回の減税もまさに羊頭狗肉の感を深くするものであります。
先ほど申しましたように、所得税臨時特例法そのものは、基本的な点につきまして幾多の欠陥を持
つておるので、われわれとしてはこれを大蔵当局に一旦撤回させまして、われわれの主張するような点を取入れて、これを提案し直すことを要求する
意味におきまして、本案に反対の意思表示を行うものであります。
なお砂糖消費税、並びに
揮発油税法の一部を改正する
法律案につきましても、たとえば
揮発油税法等につきましては、現在一応物価が安定して来ておるという段階に基いて、これを従価税から従量税にかえるということについては、
政府の今回の改正の
趣旨には必ずしも反対するものではございませんけれ
ども、この点につきましては、先ほど民主党の側から指摘いたしましたように、やはり目的税としての性格を明確にすべき筋合いのものであるという点についての希望條件、並びに砂糖消費税の関心につきまして、今回この軽減を見たことは、われわれ賛意を表するのでございますが、軽減の率につきましては、もう少し大衆的な需要のある面に対するいま一段の考慮が、実は望ましいと
考えるのでございまするが、このあとの法案につきましてはわれわれ賛意を表する次第でございます。