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1950-11-30 第9回国会 衆議院 大蔵委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年十一月三十日(木曜日)     午前十一時三十分開議  出席委員    委員長 夏堀源三郎君    理事 奧村又十郎君 理事 小山 長規君    理事 西村 直己君 理事 田中織之進君       有田 二郎君    佐久間 徹君       島村 一郎君    三宅 則義君       宮幡  靖君    内藤 友明君       川島 金次君    米原  昶君       竹村奈良一君    中野 四郎君  出席政府委員         大蔵政務次官  西川甚五郎君         日本專売公社監         理官      久米 武文君         大蔵事務官         (主税局長)  平田敬一郎君         大蔵事務官         (銀行局長)  舟山 正吉君         国税庁長官   高橋  衛君  委員外出席者         大蔵事務官         (銀行局特殊金         融課長)    飯田 良一君         国民金融公庫理         事       最上 孝敬君         專  門  員 椎木 文也君         專  門  員 黒田 久太君     ――――――――――――― 十一月三十日  塩田等災害復旧事業費補助法案内閣提出第一  六号)  物品税法の一部を改正する法律案内閣提出第  一七号) の審査委員会に付託された。 同月二十九日  復興金融金庫貸付利息並びに回収に関する陳  情書  (第三号)  船員の特別加算手当に対する課税免除陳情書  (第三八号)  日本銀行富山支店設置陳情書  (第一〇七号)  酒類価格引下げに関する陳情書  (第一一五  号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  国民金融公庫法の一部を改正する法律案内閣  提出第六号)  所得税法臨時特例法案内閣提出第九号)  砂糖消費税法の一部を改正する法律案内閣提  出第一〇号)  揮発油税法の一部を改正する法律案内閣提出  第一一号)  塩田等災害復旧事業費補助法案内閣提出第一  六号)  物品税法の一部を改正する法律案内閣提出第  一七号)     ―――――――――――――
  2. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 本日午前開会予定大蔵委員会農林委員連合審査会は、政府側出席がございませんので、とりやめといたしまして、本日午後一時開会予定大蔵委員会を、理事会申合せによりまして繰上げ、ただいまより開会いたします。  国民金融公庫法の一部を改正する法律案を議題といたします。
  3. 川島金次

    川島委員 議事進行について、ただいま委員長から報告があつたのですけれども、本日午前中は農林委員会との連合審査会が公報に予定されております。しかもこの連合審査会は、農林委員会申入れ従つて、われわれが協調して連合審査会を開こうということになつたのが、いきさつであると私は考えております。しかるにせつかくのこの連合審査会の時刻になりましても、農林委員会委員はほとんど出席しない。いかなる理由であろうとも、先方の委員会の方から申し入れた連合審査会である。それに対して何か連合審査に不都合を生じたら、そうなつたという理由を尽して、当委員会あるいは委員長に申し入れるべき筋合いのものであると私は思う。ことに大蔵委員会は目の前に山積した法案を抱えて、一刻でも貴重な時間をわれわれは持つておるわけであります。そのために本日は午前中の貴重な時間を、一時間有余にわたつて空費してしまうというような結果になつてしまつた。まことに大蔵委員会としては迷惑千万である。これについては委員長から即刻農林委員会に対して、かかることの将来繰返されないように、厳正に警告を発してもらいたいと思います。私は大蔵委員会の権威のために、そのことを委員長からしかるべく措置されることを望んでおきたいと思います。
  4. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 同感であります。昨日の連合審査会は、政府の方より答弁の方が米価審議会の方へ出席のために、こちらの方には出席ができないということでありましたので、きようまで延期したのであつて、きようもまた同様の都合で出席ができない。ただいまおつしやつたように、農林委員会の方からも出席がない。非常に遺憾なことであると存じますので、このことにつきましては、委員長より厳重に警告いたすことにいたします。  質疑を許します 川島君。
  5. 川島金次

    川島委員 局長が見えておりますので、二、三お尋ねしておきたいのですが、金融公庫貸付に対する利息の問題であります。最近政府筋では一般産業への市中銀行金利問題を取上げまして審議され、何らかの意味において市中銀行の貸出し金利すらも引下げるべきだということが、具体的に輿論として出て来ておるような事情であります。翻つて銀行にも借りられない、さりとて質屋では間に合わぬという、中間的な中小業者の唯一の頼みとされております金融公庫、この公庫金利が月一分、年一割二分、なるほど無担保を原則としておるのだからやむを得ないではないか、それにまた貸付業務に対するいろいろの費用もかかることでもありましようし、やむを得ないといえばそれまででありますが、できるだけ私はこの種の金利は低くして、一般庶民便宜に供することが必要ではないか、こういうふうに思う。そこでこの機会に当局において金融公庫貸付金利をもう少し引下げるという計画や意思があるかどうか、そのことをひとつ承つておきたいと思います。
  6. 舟山正吉

    舟山政府委員 国民金融公庫利子はただいまお話通り月一分、年一割二分でございます。まあ借入れをいたします者の仕事の種類、あるいは市中金利から見ますと、相当安いので喜ばれておると思うのでありますが、この公庫の持つております特殊の使命としまして、資金量の増大による平均資金コストの低下というものをねらいまして、利下げを考えたいと思つておりますが、来年度になりますればこれを実施するように、考慮してみたいと考えております。
  7. 川島金次

    川島委員 そういう意向のあることはたいへん喜ぶべきことなのですが、もし来年度から金利引下げを実施するという含みがあるといたしますればどの程度下げるお考えであるか。
  8. 舟山正吉

    舟山政府委員 ただいま月一分としておりますのは、月賦返済原則としておりますので、その計算の便宜といつたようなことも考えておるわけでございまして、どの程度に下げますかは、ただいまはまだ腹案はございません。そういう技術的な面も考えまして、できるだけ下げるという方向に考えて行きたいと思います。
  9. 川島金次

    川島委員 それでは次にお伺いしますが、公庫金融を受けます場合、たしか私の記憶では一応すえ置き期間があつて、半年ないし一年のすえ置き期間を設け、そのすえ置き期間後に月賦もしくは年賦払いという形の方法も、貸付方法の中にはあるはずだと私は記憶しておりますが、聞くところによりますと、これら金融公庫貸付を受けます場合に、その受ける側で、できれば三月あるいは半年とかというすえ置き期間がほしい、こういうような事情のあるものがかなりあるわけなのです。しかし実際の業務を扱つております支所あるいは代理所では、この申入れには簡単に応じない。もしそういうすえ置き期間がどうしてもこうしても必要だと強硬に申し入れたり、お願いを申し上げると、では本物貸付を謝絶しなければならぬというような、具体的ではないが、そういつた意味のことを漏らすというのが、大分方々にあると聞いておるのです。いやしくも公庫の金を借りる程度の側の人たち経済事情から、また公庫の設立の趣旨からいいましても、また貸付金の円滑なる回収をはかるという意味合いから行きましても、相手方のすえ置きを希望する向きがあり、しかもそれの方が妥当であり、回収も円滑に行くのではないかという見通しのついておる場合には、できるだけその趣旨沿つて便宜を与えてやるということが、むしろ私は公庫運営趣旨に沿い、また一面元金回収の円滑を期する上においても好ましいことではないかと思う。むりにすえ置きを願うにもかかわらず、それをあまり強く依頼すれば本物が借りられない。しかたがないから翌月からでも支払うという契約をしてしまう。さて実際は翌月には払えぬ。そうして金融公庫元金回収はそこで停滞する。こういつた事情が大分あるやに私は聞いておる。そういう事柄でありますので、局長支所や一線の業務に携わつておる者に対して、そういう問題についてどういうふうに指導しておるか。今までそういうすえ置きなどはなるべくやるなという指導をして来たのか、そうでなかつたのか、今後はどういう形で行くのかといつたようなことを、この際お聞かせおき願いたいと思うわけです。
  10. 舟山正吉

    舟山政府委員 公庫といたしましては、乏しい金をできるだけ多くの人に均霑さすといつたような意味合いもございまして、資金の回転を早くするということもねらつておるわけでございます。また実際問題としましては、運転資金の貸出しの方が比重が大きいのであります。そこで勢いすえ置き期間は認められる場合がなかつたということになつたと思うのでありますが、公庫資金の充実ということともにらみ合せまして、できるだけ借入者の御便宜に沿うように、運営をやつて行くように指導いたしたいと思つております。
  11. 川島金次

    川島委員 ついでにお尋ねしておきますが、今公庫の現状で焦げつきのような形になつて出ているものがあるかどうか、あるとすれば、どのくらいの率になるか、お伺いいたします。
  12. 舟山正吉

    舟山政府委員 公庫の貸出しは、回収がきわめて円滑に行つておりまして、焦げつきあるいは延滞——元利金の支払いの延滞になつておりますものもきわめて低い率でございまして、たしか一%以内であるというふうに記憶いたしております。
  13. 川島金次

    川島委員 これはあるいは他の方から聞いたのではないかと思うのですが、公庫明年度資金を増加する。方針については、どういう方針でおるか承りたいと思います。
  14. 舟山正吉

    舟山政府委員 来年度につきましては、一般会計からさらに二十億程度増資をし、さらに預金部資金をも使い得る道を開きたい。これらにつきましては現在検討中でございまして、来るべき二十六年度予算あるいは通常国会において、御審議を願いたいと考えております。
  15. 内藤友明

    内藤(友)委員 銀行局長に二、三お尋ねしたいと思うのであります。実は私は第一回国会以来この委員会に出ておるのでありますが、いつも出ましてさみしい気持を持ちますのは、農林漁業に対する金融について、いつも大蔵省が熱心になさつておられないということであります。先般農林漁業金融公庫というものをつくるということで、ことしの九月でありましたか、大蔵省予算概算が出ましたときにも、その概算の中にその予算が載つておりまして、今度こそ長年われわれが希望しておつたものができるのだと思つて心待ちに待つてつたのが、実はできなかつたのであります。そうして今度できましたのは、国民金融公庫ヘ十億、中小企業信用保証に五億、それに日本輸出銀行へ二十五億、こういうことになつて来まして、農村がいつの間にか立消えになつたのであります。大蔵省はそういう御性格の役所か存じませんけれども農林金融に対してどういうお考えを持つておられるのか。これは大蔵大臣にお尋ねしなければならぬことかは存じませんけれども、当の金融の全責任を持つておられる局長はどう考えておられるか。実は第一回国会から、こういう問題につきまして叫び続けて参りました。振り返つて思い出してみますると、二十三年でありましたが、復興金融金庫増資法律案が出ましたときに、私どもはそれに反対しました。商工業方面にはこういう資金がいつも潤沢に出るけれども農村にはちつともお出しなさらぬ。こういう片輪なことは、われわれはとうてい容認できないから、この復興金融金庫増資法律案には絶対反対でありますということを申したのでありますが、そのときの総理大臣芦田さんがわざわざ演壇に立たれて、その点は十分に考慮するからということで、実は泣寝入りさせられたのであります。その結果、私ども司令部へ何回となく足を運んで懇請いたしたのでありますが、復興金融金庫から四十億のわくが出まして、それが農林中金を通じて、農林漁業復興融資という形で実は出て参つたのであります。それが二十三年八月の幾日ごろにか、閣議で要綱がきめられまして、この四十億を農林漁業に流すことになりました。ところがその後吉田内閣になりまして、この四十億のわくがあつたにもかかわりませず、事実出された金は二十二、三億であります。これは銀行局長はその当時の御責任の方ではありませんから、御存じないかもしれませんが、二十二、三億しか出なかつた大蔵省はなかなかやかましかつた。ああでもない、こうでもない、そんなものに貸してはいかぬというようなことでお貸しにならぬ。結局四十億のわくを、われわれは血みどろになつて闘いとつたのでありますが、それをお出しなさらなかつたということであります。ところがその後いろいろ私ども農林金融についてお尋ねを申しておりましたけれども農林中金出資を増額する、それに見返り資金から優先出資をして、少し何とかまわそうということになりまして、これはこの前の通常国会でありましたか、そういう御提議がありまして、私どもは非常に喜びました。わずか二十億でありますけれども、これで多少何とかなるだろうと思つて実は楽しみにいたしておりました。ところが何ぞはからん、その二十億のうちから、四十億のわくから出しました農林復興の金の未償還の分十八億を天引きされてしまつたのであります。そして二億しかほんとう出資にならぬという形なのです。こういうことを考えてみますると、私は人の悪口を申すのはまことにきらいなたちでありますが、吉田内閣になりましてから、農林金融というものに対しましては、あつたものさえも取上げて、ちつともお出しなさらぬということになつておる。最近農林大臣はまたなかなかうまいことを言うておられますが、実はあの案をつくりますときも、私どもは裏面にあつて、こうしてくれ、ああしてくれといつて、その案をつくつておられる方に申し込んでおるのでありますが、はたしてこういうものがほんとうにできるのかどうか、それも危ぶまれておるのであります。きのうの朝日新聞でありましたか、農業融資法というものを出そうとしておられるという。私ども考えておりますのと比べて、まだ少しぐあい悪いところがあるのでありますが、こういうのが出そうで、近く国会提出するという。その近くというやつが今年か、来年か、再来年かわかりませんけれども、こういう新聞記事が出ておるので、私どもはこれを見て、今度また出るのかなと思つておるのでありますが、過去まる二年間のことを考えてみますると、また、ぬか喜びになるのではないかと思うのであります。私はこういう農林漁業仕事は、決してこういう融資でやるべきものじやないと思うのであります。これは行政費でやるべきものであつて融資でやる本質のものではないということは万々知つております。しかし行政費の方は、ますます減税するために何でもかんでも減らされておるのでありますから、従つてどうしてもここに行かなければならぬのでありまして、感心したことではないのでありますが、この融資方面最小限度仕事をやろうということになつたのであります。それも今日はでき得ない状態になつております。こういうことでありますが、大蔵省におきまして、はたしてこの農林金融というものに対してどうなさるのか。過去の二箇年間のことから考えますれば、どうも私どもはさみしい気持だけしか持てぬのでありますが、ひとつそこらあたりの御決心をお聞かせ願いたい。いずれ大臣にもお尋ねするつもりでおりますが、ほんとう仕事をやつていらつしやる局長として——ここにも大蔵大臣が画期的な農村金融をやるのだと、こう新聞に出ておりますが、この通りおやりなさるのかどうか、それをひとつお尋ねいたしたいと思うのであります。それはまだ研究中なんで、そんなものはだめなんだとか、もう少しお前たちかげにまわつて何とかやれとか、そういうことでもけつこうでありますから、ひとつ率直な御意見をお聞かせいただきたいと思います。
  16. 舟山正吉

    舟山政府委員 農林漁業金融構想につきましては、私どもも非常に関心を持つているわけでありまして、最近の大蔵大臣農林大臣の議会の答弁にも、その方面は大いに努力するということを言つておられるわけであります。私ども事務当局といたしましては、それ以上のことを申し上げることはできないわけ合いでありますが、当局考え方を御参考までに申し上げてみたいと思います。  農林漁業関係には財政支出相当の金を出すか、あるいは金融資金を出すといたしますれば、長期かつ低利でなければならぬという要請があるわけであります。今お話通り復金の金を使いまして、かつ農林漁業復興のためには、特殊の金融機関もこしらえようというような構想が、一昨年あつたわけでございます。そうして、その特殊の機関ができますまでに、復金の金でつなぎ的な金融をするということで出発をしておつたのでございますが、その後特殊の金融機関をこしらえることは立消えなつた。そうして今年あたりになりまして、特殊の金融機関をこしらえないかわりに、農林中央金庫あたりを大いに活用いたして、金融資金を出すということも考たわけでございまして、見返り資金による優先株の引受ということも実現し、債券発行能力も増大いたしまして、これに預金部資金を導入すれば、ある程度の活動はできるという態勢まで持つて来たのでありますが、この預金部資金活用が認められなかつた。かつ復金からの借入金というものは、見返り資金増資の分から引上げられてしまうというようなことになりまして、今日まで農林漁業関係長期資金が潤沢に行つておらぬということは、はなはだ遺憾なことだと考えております。そこで今度の通常国会を前後に、私どももいろいろ施策を練つたのでございますが、機運が熟したと申しますか、これは両大臣も言明いたしておりますように、来年度予算におきましては、相当程度財政資金がこの方面に出されるという運びになつたのでございます。初めは特殊の金融機関すなわち公庫をこしらえるという構想もあつたようでありますが、特殊金融機関はできるだけ排除するという考え方に基きまして、財政資金を支出して、農林中央金庫にその業務を代行さすというような構想で進んでおるわけでございます。それでありますから、大蔵大臣が申しましたように、今後農林漁業関係には、相当財政資金が流れることになる目鼻がついて参つたのであります。そのほかに見返り資金の方からも、さらに農林中央金庫に再度の増資をする計画も、私どもは進めておるのであります。かつ預金部資金活用も、金融債引受ということも認められることになりましたので、今後におきましては農林中金長期資金の獲得ということが、きわめて容易になつたということが申せるかと思うのであります。そこで財政資金による農林漁業関係資金の融通と、それから農林中央金庫自体といたしましては、毎年季節的に農業経営に要する短期資金を融通するというほかに、債券発行によつて長期資金を獲得し、これを長期融資の方にまわすという道も開けて参つたのでございまして、ここに画期的な農林漁業金融の疏通ということが、期し得られる態勢なつたと思うのであります。ただいまお読上げになりましたような特別措置法のごときもの、さらに予算関係は、二十六年度の予算に計上せられる見込みでございまして、私どもはその用意をしておる次第でございます。
  17. 内藤友明

    内藤(友)委員 大臣お話は私どもはちつとも当てにしておりません。いつもかわりますので信用にならぬが、局長お話だけは信用になるのであります。一番信用になるのでありまして、ただいま財政資金の方から相当額流す仕事を今しておるということで、実は真近に控えた通常国会が非常に、楽しみなのでありますが、ぜひそれはそういうことでやつていただかなければならぬと思うのであります。これは決して農業のためにそういうことを申すのではございませんので、今日の食糧事情から、日本国再建という大きな問題から考えますると、どうしてもそこへ行かなければならぬと思うのであります。  そこで時間もございませんし、私これからよそへ出かけなければなりませんから、こまかいことを一つ二つお尋ね申し上げたいと思うのであります。それは先ほどちよつと申し上げましたが、農林中金優先出資二十億の中から、その引受条件といたしまして、復興金融金庫からの借入金十七億八千万円ですか、それをなぜ引上げられたのかということであります。これは非常に片手落ちなやり方でありまして、ほかの復金償還は、まだ借りたものの危険にされておるのでありますが、農業の場合だけが、その危険をすべて中金負担させるというりくつは私はないと思うのであります。でありますから、中金では非常にむりな金の調達をして、この穴埋めをいたしておるのであります。これは局長よく御承知でありましようが、復金からのものは七分五厘でありまして、中金が今日農林債券で調達する金はどうしても一割以上でありますから、中金は目に見えて十八億というものに対する借財負担して行かなければならぬ。危険の負担のみならず借財負担もしなければならぬ、ことに十八億も引下げられたのでありますから、農村へ流入する金繰りも非常に支障を来しておるということになつておりますので、むしろ私どもは今日から考えますると、あの二十億という優先出資は、ない方がよかつたのじやないかと思われるのであります。それはもちろん出資に応じまして、農林債券発行高も拡張されたのでありますから、その点において多少のプラスになるところがあるかは存じませんけれども、しかし今日なかなか安い金は、農林債券ではもう引受けられないのでありまして、しかも金融市場はなかなか農林債権のようなものは望んでおりません。そういうような関係から、二十億の優先出資は、われわれは随喜の涙を流して喜んだのでありますが、あれはむしろ優先出資を受けなかつた方がいいのじやなかつたかという気持を、今持つておるのであります。それでどういう理由であれを引上げられたのか。これは決して関係方面のことではないと思うのでありまして、大蔵省独自のお考えでお引上げになつたのだろうと思うのでありますが、その理由をひとつお聞かせいただきたいと思います。
  18. 舟山正吉

    舟山政府委員 復金農林中央金庫に対します貸付金引上げましたのは、復金資金はできるだけ早く回収して国庫に納付するという、私どももいかんともすることができなかつた大きな鉄則によつて行われたものでございます。その間、農林中金金繰り相当の不便をかけたことは、まことにお気の毒なことであつた考えております。それによつて御了承願いたいと思います。  それから今後農林中金長期融資に充てられる財政資金が、農林中金の手を経て貸し出されるということになりますれば、これは無利子資金でありますから、相当低利資金が出せるものと考えております。また優先出資につきまして、七分五厘の配当というのは、相当資金コストを高めるゆえんであることはお話通りでございまして、これの軽減方についても、私ども今骨を折つておる次第でございます。
  19. 内藤友明

    内藤(友)委員 今局長からお話がありましたから、重ねてお話になりましたことについてただしたいと思います。優先出資配当率七分五厘というのは、高いと認めておられるようでありますが、それは七分五厘だけではないのでありまして、実はそのほかに事業税や、法人税もかかりますので、それを合算いたしますと、一割二分七、八厘ぐらいになるだろうと思います。ところが局長御存じ通り農林中金法律には、この配当というものに六分という制限を加えてある。これだけこの法律に規定してあるのに、なぜ制限以上におとりになるのかという問題があるのでありますが、これはひとつことにこの二十億というのは年々返して行かなければならぬものでありますから、よけいに七分五厘というのは大きな負担になるのであります。中金法に示してある六分の制限の範囲内にならぬものかどうか。もしなるものならば速急にそういうことに願いたいものだと思うのでありますが、そういう点はどうでありますか、お尋ねいたしたいのであります。
  20. 舟山正吉

    舟山政府委員 優先出資の七分五厘の配当が高いと申しましたのは、お話にございましたように、事業税等を加味して一割二、三分の資金コストになるということを意味しておつたことを御了承願いたいと思います。この中金法との関係は、優先出資の方は、銀行等の債券発行に関する法律によりまして定められておるので、中金法の特別法の形にいたそうと考えております。優先株式に対しまして七分五厘の配当は、税金のことも加味いたしますと相当の重荷でありますから、何とかしてこれを下げる方向に持つて行きたいというふうに目下研究中でございます。
  21. 三宅則義

    ○三宅(則)委員 私はこの前、銀行局長の留守のときに質問いたしましたが、ちよつと補足的に銀行局長に二、三点だけ伺いますから、御答弁をいただきたいと思います。国民金融公庫理事の御答弁もありましたが、あなたは大蔵省を代表しておる銀行局長ですし、国民金融公庫を監督しておられるわけですが、国民金融公庫は金がないために、ほとんど開店休業なんです。そこで私が言うまでもなく、この増資をかりにいたしましても、わずか半月や一月で、全部貸出しを終つてしまうのではないかというふうにも思われるのであります。そういたしますると、明年の予算に、もう一ぺん増資をやられるだろうと思いますが、また三、四箇月間というものはブランクが起りはしないか、かように思つておりまするが、そのブランクをどういうふうにしてお埋めになられるお考えを持つておりまするか。それともこのままあと一箇月ぐらいやつて、あとはもう一ぺん開店休業をやるおつもりでありまするか。その点を監督の地位にあります舟山銀行局長に、はつきりお答えをいただきたいと思います。
  22. 舟山正吉

    舟山政府委員 金融公庫に対する資金の需要は非常にたくさんあるわけでありますが、現在の金融公庫の組織からいたしまして、貸出しの事務力というものにもまた限度がございます。来年度はこの金融公庫の組織も拡充せられる見込みでございまして、それだけ事務処理能力もふえるのでございますが、現在のところ、四月からの貸出しの実績を見ましても、一箇月の貸出し実績の最も高かつたのは、六月の三億五千万円であります。今度の補正予算は三月までのことを想定しております。また出資のほかに、一面毎月回収金が一億四、五千万づつあるわけであります。それらを比べますと、現在の貸出し能力ということから考えれば、この程度の金があれば一応十分だろうと考えた次第でございます。お断り申し上げておきますが、外部からの資金の需要というのは非常に大きいのであります。
  23. 三宅則義

    ○三宅(則)委員 もう二点だけ……私は国民公庫理事の方にもお伺いしたのでありまするが、私の見るところによりますと、需要者の八〇%を断つておるのです。わずかに一〇%ないし二〇%ぐらいしか供給していないという状況でありますからして、おそらく一月半ばもしくは二月の初旬には、これがなくなつてしまうのではないかというふうに懸念するのでございますが、あなたは今日といたしましても、国民公庫のやつておりますことについて、十分であるとお考えになつていらつしやるかどうか。私といたしましては、もつと厳重に監督いたしまして納税者、預金者あるいは借り入れたいという人に対しまして、もつと迅速にこれを解決してやるという制度をしきたいと思います。私の聞くところによると、申し込んで断られるまでに三月間、これではあまりに不親切きわまると思いますから、少くとも一箇月ぐらいでイエス、ノーをきめてやるという趣旨を、銀行局長として徹底してもらいたいと思うのですが、それだけの用意を持つておりますか、どうですか。私どもは借り入れる人に対して親切な態度を持つことが、一番必要であると思いますから、大蔵省銀行局長舟山さんの確固たる信念を承つて質問を打切ります。
  24. 舟山正吉

    舟山政府委員 借入れ申込みの中には、初めから貸す立場としては問題にならぬというものも相当含まれております。これを小人数の公庫の職員で、一応審査もしなければならぬ、応対もしなければならぬ、こういうことになつて参りますので、ほんとうに貸し出し得る貸付につきましても、順番を待つ意味において、若干手間どるという事態もあるかと思いますので、それはまことにお気の毒なことだと思いますが、限られた人員で尨大な事務を処理して行くという上においては、若干の時間のずれがあることは認めざるを得ないと思います。しかし望ましいことではございませんので、公庫を督励いたしまして、極力迅速に処理さすように指導いたしたいと思います。
  25. 小山長規

    ○小山委員 国民金融公庫がいろいろ問題になりますのは、要するに中小企業の金融が逼迫している。朝鮮事変の進展にもかかわらず、中小企業は非常に逼迫しているということから、いろいろ問題になるのでありますが、この国民金融公庫の問題を離れて、いよいよ年の瀬も押し迫つて参るのでありますが、年末金融について、政府において何か御構想がありますならば、ひとつお聞かせ願いたい。この際お願いしておく次第でございます。
  26. 舟山正吉

    舟山政府委員 年末には毎年金が詰まつて参りまして、資金を何らかの形で供給することが年末対策になるわけであります。本年末の銀行券の予想につきましては、ちようど十一月初旬に検討いたしました結果は、年末の日本銀行券発行高は大体四千百億円になるという計算を立てておるのであります。これはいろいろのフアクターを考えまして、金の出るものは出る、回収するものは回収するという自然の形の結果でございまして、政府及び日本銀行等におきましては、これを故意に回収をはかるという考えはないのであります。大体昨年は天候不順のために供栄が遅れまして、供米代金の支払いもたいへん遅れ、不規則であつたのであります。ことしは順調に進んでおる。それからまた輸出関係の輸出手形の買取り等は、相当去年とは比較にならぬほどふえておりまして、その面からも資金は供給されておるわけであります。昨年あたりとは金融の基調が相当かわつて来ておると思うのであります。しかしまた一面相当長い間金融が詰まつておる方面がございまして、これらの決済が今もつてついておらぬ。これは年末には何とか決済をつけなければならぬという事態があることは、申すまでもないところでございます。そこで政府といたしましては、まず第一には政府の支払いすべき金、あるいは放出を約束しておるものは極力支払いなり、放出なりを急ぐということでやらなければならぬのでございます。そのうちで特に問題となるのは、やはり見返り資金の放出であろうと思うのであります。たとえば電力関係見返り資金の放出は、非常に押えられておつたのでありますが、原則的な話合いがつきまするならば、資金の方も、十二月の早々に、年末押し詰まりせんうちに放出をしてもらいたいと思いまして、これは資金が出ますれば、だんだん末端に浸潤して参りまして、潤う面が多大にあると思うのであります。これを極力懇請しておる次第でございます。それから同じく見返り資金で、中小金融につきましても、わくの増大がありましたが、これも年末に役に立たせますために、早く放出できますように、毎月努力を重ねておるような次第でございます。日本銀行の操作といたしましては、特にかわつた操作はございませんが、十二月中に日本銀行は市中金融機関の保有国債を、約二十億買い入れる見込みであります。それからいわゆる中小別わくにつきましては、現在四十六億円となつておりますが、すでに検討を終りましたものといたしましては、商工中金に四億程度の年末対策資金を供給するということに了解ができておるのでございます。その他政府の余裕金を金融機関に預託する問題につきましては、昨年は預金部資金を百億市中金融機関に預託したのでありますが、それは他の国庫保有金百十億と合せて、昨年の分が今日までそのままになつております。これを引上げなければならぬというのもあるのでありますが、金融を梗塞せしめましてはたいへんでありますから、これを引上げないで、そのままにしておくという態勢を持続したいと考えております。なおその後の状況によりましては、この預託の増額ということも考えなければならぬかと考えておりますが、現在のところはまだそこまで参つておりません。資金の放出というようなことにつきましては、大体今申し上げましたようなことを問題としておる次第でございます。
  27. 小山長規

    ○小山委員 電力の見返り資金が早急に出るということは、仰せの通り、いろいろな面において金融の緩和を来すだろうと思うのでありますが、これはおそく出たのでは年末対策にならない。それが大銀行を通して末端に行くまでには、どうしても一箇月あるいは一箇月近い期間を要するのでありますが、いつごろどの程度のものが出るかというような見通しはまだつきませんですか。
  28. 舟山正吉

    舟山政府委員 この問題につきましては、一業官庁の方で、極力関係方面へ要請しておるわけでございますが、その確実な見通しにつきましては、現在のところ私どもにはわかつておりません。
  29. 小山長規

    ○小山委員 この預金部の余裕金を現在金融機関に預託しておりますものについては、年末対策として引上げはやりたくない、こういうことでありますが、それは非常にけつこうなことであろうと思いますけれども、年末対策としては引上げをやらぬということであつて、来年度の初めになると、やはり既定方針通り引上げて行くという、こういう含みの言葉でありますか。それともそれは事情によつてまだいろいろ考えるのであると、こういうお考えでありますか。
  30. 舟山正吉

    舟山政府委員 この預金部の預託金につきましては、いつかは預託を引上げなければならぬ性質のものでありますから、来年度になりまして、預金部の金融債引受も始められる、あるいはその他金融期間引上げに見合う資金を供給するといつたようなことも考えまして、金融情勢に波瀾を起さぬ時期及び方法において、これを引上げることよやむを得ないことかと考えております。
  31. 小山長規

    ○小山委員 そこで預金部資金について一つの方策が、司令部の御示唆によつてきまつたことを聞いておるのでありますが、新聞紙上伝えるところによりますと、これを一つの特別会計あるいは一つの法制とするのには、いろいろな他の特別会計との関係があつて、今年度中には間に合わないだろう、こういうことでありますが、その一つの法制としてそういうことをおやりにならないにいたしましても、預金部資金でもつて金融債引受けるとか、その他予定されているような預金部資金の使い方というものは、もう今日ただいまからただちにできる態勢になつておりますか、その辺の事情を伺つてみたいと思います。
  32. 舟山正吉

    舟山政府委員 預金部資金金融債への運用が原則的に認められたという段階でございまして、案はこれにつきましては郵便貯金特別会計の新設や、あるいは預金部の改組に関する法律をこしらえなければならぬというような問題もございまして、通常国会で御審議願う段取りでございます。私どもの希望といたしましては、そういう制度的の見通しがつきましたならば、この法律が実施せられない一月、三月の間においても、ちようどこの期間は税金の引上げで金が詰まるときでありますから、預金部資金金融債引受方法によつて、市中に還元するという方策か実行できるように、制度は来年度から実行するとしましても、金融債については一—三月にぜひ実施できるように懇請したい、こう考えております。
  33. 小山長規

    ○小山委員 次に、ただいまお手元に資料がないかと思いますが、なければ、あとでお示し願うことといたしまして、この春以来非常に問題になりました中小企業専門店の貸出し状況というようなものをお持合せでありますならば、この際参考に伺つておきたいと思うのであります。
  34. 舟山正吉

    舟山政府委員 今資料を探しましてお答え申し上げます。
  35. 川島金次

    川島委員 ただいまの小山君のお尋ねに対して、局長から年末の金融問題の見通しなどについてのお話があつたのですが、見返り資金の中小企業に対する融資が拡大されまして、従来月一億が今度三億になつた。これを機会として、従来見返り資金の中小企業への融資に際して、見返りが五、市中銀行が五という協調融資といつたものをやつてつたのを、今後見返りの方で七、市中銀行の方で三、こういつた融資の仕方を考えられているというふうなことも私聞いているのですが、政府にそういう構想あるいは方針がありますか。
  36. 舟山正吉

    舟山政府委員 見返り資金が従来月一億でありましたが、これに対する借入れ申込みの状況も考えますと、一億が三億に増額されますと、相当貸出しを促進する方針をとつてもさしつかえないという計数が出て参るのであります。そこで五、五の比率を、見返り資金を七までにしても、需要に応じ切れるという見通しもございますので、そういう行き方も今後認められるように懇請中であります。ただこの場合には、現在の五、五の比率で参ります場合には、銀行の自己資金を先に返してもらつて見返り資金はあとにしてもらつてもよろしいという行き方で行つておりますが、七、三にいたしますと、今度は銀行の資金見返り資金とを平等に、同じ率で返してもらうということにいたしたいと考えております。
  37. 川島金次

    川島委員 この際重ねて尋ねておきたいのですが、先般池田蔵相は、資金蓄積の必要なることを特段に演説の中に強調されている。日本経済の再建自立のために、資金蓄積の必要なることは、むろん言うまでもないのでありますが、さだめし蔵相があすこまで強調されるからには、政府として資金蓄積に関する何らか具体的な方策が、もうそろそろ立つているのではないか、かように思うのでありますが、政府部内の資金蓄積に対する具体的な積極策があつたならば、この機会に示しておいてもらいたい、こう思うのであります。
  38. 舟山正吉

    舟山政府委員 資本蓄積の具体的方法については、ただいま検討中でございまして、まだはつきりした具体案ができているわけではございませんが、その考え方を申し上げますと、大体会社の自己資本を増加するという行き方、これにつきましては、資本市場の育成ということが問題になつて参ります。それから法人に対する課税の問題を何らか考えまして、内部留保を潤沢にするということが考えられるのであります。株式市場の問題につきましては、例の譲渡所得の課税問題等がポイントであるのでございまして、いずれも税に関連して参ることと思います。それで専門的な点につきましては、私の方からお答え申し上げる筋ではないと存じますが、さらにこの資本蓄積のもう一つの面は、金融機関資金がもつと集まるようにするということであろうと考えるのであります。これも実は税の問題に関連することが多大でございまして、預金利子に対する課税の問題がその中心であります。すなわち先般のシヤウプ勧告によりまして、無記名預金制度を廃止いたしましたために、従来八百億からありました無記名預金も、二百億程度に減少した。またそのまま金融機関に還流しているかどうか疑わしいという点もあるわけであります。税の理論から申しますれば、やはり無記名預金のごときは、これを排除すべきであるという議論になるのでありますが、その税の理論と、それから目下当面の要請であります資本蓄積の必要性ということの兼ね合いが、実は実際問題としてむずかしいところである。またこれは政策的な問題であろうと思うのでありますが、この点につきましてはただいま検討中でございます。さらに金融政策だけでできる部面につきましては、少しでも金融機関資金の集まりますように、預金利子のごときも金融機関の経理状況とにらみ合せて、これを引上げて貯蓄意欲を促進したい、かように考えております。
  39. 宮幡靖

    宮幡委員 ただいま出ました質問に関連する事項だけ二、三伺つてみたいと思います。第一番に伺いたいのは、預金部資金の運用に対するドツジ覚書が、もし実行に移されるといたしました場合には、大体預金部資金の市中預託ということは不可能になるのであります。まだ法制化されておりませんし、現在はならないでしようが、その場合の対策を何かお考えですか。あらましでけつこうであります。
  40. 舟山正吉

    舟山政府委員 預金部資金の運用改善に関する大体の構想は、各特別会計その他から資金を受入れましたもののうち、長期資金についてはこれを長期の国債、地方債、金融債に投資する。そして短期の資金については、これを短期の国債、地方債等に運用するということでございまして、実は短期の資金について、金融機関への預託を認めるべきかどうかということは、現在研究中でございまして、まだ結論を得ておりません。
  41. 宮幡靖

    宮幡委員 それからもしさような方向に改善されるといたしました場合には、すでに閣議で決定しております明年の正月から簡易生命保險資金の郵政省独立運用という問題は、当然ご破算になると思いますが、さようなお考えを持つておりますか。またこれは閣議決定の通り運用なさる方針でありますか。
  42. 舟山正吉

    舟山政府委員 ドツジの一日を見ますと、明らかに簡易生命資金独立運用の行き方と反対で、政府において総合管理をしなければならぬというふうに読めると思います。この問題の処理については、一つの政治問題でもございますので、その解決に従いたいと思つております。
  43. 宮幡靖

    宮幡委員 先ほど小山委員の質問に対する御説明の中に、年末金融関係上、市中の預託金はなるべく引上げない方針をとりたい、こういうふうに受取れたわけであります。ところが政府及び日銀と申しますか、通貨審議会の考えております年末通貨の対策としまして、二百六十億の預金部資金引上げを予想しておりますが、これらの数字はこちらが資料として個人的にとつたので、間違いがあればまたそれによつて考えますが、二百六十億の預金部資金引上げて三千九百億、年末が四千九十九億円程度、こういうふうに発表されているわけでありますが、三百六十億を引上げるとしますと、お話とは相当の開きがあるように思います。もし何でしたら、これはただいまでなくてもよろしいのですが、通貨審議会の四千九十九億年末通貨発行予想額ということから推して、二百六十億の引上げを見込んでおりますか。この点をひとつ伺いたいと思います。
  44. 舟山正吉

    舟山政府委員 二百六十億ばかりの資金引上げは心当りがありません。そういうことは市中金融機関に対する預託の数字とも合いませんし、そういうことはないと思いますが、なお事情を調べましてお答え申し上げます。
  45. 宮幡靖

    宮幡委員 これはぜひお調べ願いたいのであります。年末金融の国庫収入中の項目に表示されておりますので、現在の状況はどうかと思つております。  それからもう一つ、市中預金の増加を千三百六十五億円と見込んでおりますが、これは可能でありましようかどうか。可能でない数字を見積るわけはないと思いますが、最近は富裕税の調査も始まつておりますので、預金回避の傾向にある。しかも市中銀行は商売であるのにかかわらず、大みそかの日曜に営業するのしないのというような、たわごとを言つておるのであります。これでは預金の吸収などということは困難だと思うのであります。これで千三百六十五億の預金増加が見込めるのか。どういうケースからそういうものが出ておるか。これは私は非常に疑問に思つております。なお同時に、大みそかが日曜であるからというので、銀行が預金だけ受入れをして、貸出しは停止するというような不心得なことは、ぜひこの際政府から厳重に申し入れて、むしろ大みそかは晩の十二時まで必ず営業せしむるという、断固たる方針をとつていただきたいと思うのであります。これは希望であります。千三百六十五億の預金の増加見込みについてのお見通しを、ちよつと伺いたいと思います。
  46. 舟山正吉

    舟山政府委員 金融機関資金増加見込みについては、例年の傾向その他を勘案いたしまして、この程度は可能であろうと考えたのでございます。大体先ほど申し上げましたように、一応供米代金その他を初めといたしまして国全体に対する資金の散布は相当あるわけでございます。これは非常に違つた要素が出て来なければ、この程度は還流するであろうという確信を持つておる次第であります。
  47. 宮幡靖

    宮幡委員 これは一つの仮定の問題の上に立ちますが、もし三百六十億の預金部資金引上げ考えておらない、こういう前提になりますと、年末の通貨発行限度はどうしても四千二百億を突破することが、われわれの方で計算いたしますと出て参るのであります。もちろん限外発行の、十五日でありましたか、あの期限内にこれを限度まで押えればいいのでありますが、四千九十九億といたしまして、かりに四千二百億出ましても、これを三千九百億の一応定められました限度まで収縮する可能性を見込みまして、これが最高限だというお見通しでございますか。もつと具体的に申しますと、限外発行をいたしまして、十五日間にこれを回収して収縮せしめることができますか。もつと具体的に申せば、四千二百億にしても、これが十五日以内に三千九百億まで押えられるか。こういうお見通しの見解をちよつと伺つておきたいと思います。
  48. 舟山正吉

    舟山政府委員 今年の一月初旬における銀行券の還流も非常に迅速でございました。三千九百億に定めておきましても、来年早々限外発行がとまるという見込みが立つております。
  49. 宮幡靖

    宮幡委員 それから先ほどちよつと触れました見返り資金の問題で、例の国鉄、電通への投資の二百七十億、これは大体預金部と肩がわりされるような志向になつております。これは実現されるところまで行つているかどうか。これはちよつと今のところはわれわれにもはつきりしませんが、政府当局ではあるいははつきりしているかもしれません。その肩がわりの結果として現われて来る運用の内容は、ただいま公に示されている方向から行きますと、中小企業に四十八億、輸出銀行に七十五億、私金業投資に三十三億、計百五十六億になつております。そのほか企業設備の合理化、資金として百十四億、この百十四億のうち、昭和二十五年度に使うものが三十億、こういうことになつております。これは間接投資で、金融債引受であることはわかるわけでありますが、この方は別として、まず当面年末の金融等をにらみ合せまして、四十八億という中小企業への運用資金が、いつごろになつて実際運用の面に入るのであるか。あるいは私企業投資の三十三億のうち、幾らぐらいの金額がどの程度の時期に出るのか。この際放出解除見込みをもしおわかりになるならば——これはむりでありますから、おわかりにならなければ、おわかりにならないでけつこうでありますが、ただこういう額だけ掲げられておりまして、少しも効用を発揮しない資金を掲げられておりますと、政府及び国会等が常に無為無策の中に眠つているように考えられまして、はなはだ心外であります。見返り資金の放出が解除になりますまでの手続というものは、きわめて事務的にも複雑でありまして容易ではありません。そこで四十八億の中小企業の運用を見込まれたというようなことが、でかでかと発表されております折から、そのうちの一億も実際には解除されないということになりますと、事態容易ならぬことでありますので、そのお見通しについて——決してこれは政治的な意味を持つたうまい答弁でなくても、実際はできそうもなければ、できそうもないでけつこうです。なければないということを突いて行かなければならぬ。この点お見通しでけつこうでありますから、お考えを伺いたい。
  50. 舟山正吉

    舟山政府委員 見返り資金の放出につきましては、担当者が関係方面と折衝しておりまして、部外者が無責任なことを申し上げてもいかがかと存じますが、その辺の空気といたしましては、ただいまは原則論をやつているのでありまして、いつ幾ら出すかということは、また先方の事務当局との折衝にもなるわけであります。二百七十億の肩がわりにつきましても、それをするという声は大分前から聞いておりますけれども、たとえばこれは客観的に考えまして、預金部からも直接金融債が出ることになつた新しい要素も考えますれば、特に見返りから公債を預金部に肩がわる必要もないとも言えるりくつになります。そういうようなことで、二百七十億の肩がわり問題は、まだするともしないともわからないということを申し上げるのが、一番責任ある態度であろうと思います。そこで見返り資金のうち、本年度当てにできますことは、経済再建及び安定費のいわば予備費的な部分でごいます。これらにつきましては国会でそのわくもきめられてあることでありますので、年度内に極力——その用途はいろいろございましようが、放出促進方を懇請もし、実行も可能であろうと考えております。
  51. 宮幡靖

    宮幡委員 預金部の資金運用の方針が改善された場合に、復金の回收金を資金の一部に組み入れて運用するということは、現在の御構想の中にございますか。
  52. 舟山正吉

    舟山政府委員 復金回収金につきましては、これをさらに回転して貸出しにまわすということは、今は全然考えておりません。  それから先ほどお尋ねのありました、預金部資金の収支見込みで、安本の作成いたしました二百六十億の上げ超になるという資料につきましては、実は収入の方が百八十一億、これは郵便貯金が六十億、これは第三・四半期中でございますが、それから簡易保險が五十億、公団預金が四十六億、その他で合計百八十一億、これに対しましてなお地方債引受けについて百二十八億の支出を見込んでおります。それから地方公共団体に対する短期融資は十二月に返済される部分がある。公団貸付金につきましても同様というようなことでございまして、特に預金部といたしまして、積極的に資金引上げる要素はないのであります。
  53. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 それではこれで休憩いたします。  午後は二時より会議を開きます。     午後零時四十一分休憩      ————◇—————     午後二時二十六分開議
  54. 小山長規

    ○小山委員長代理 休憩前に引続き会議を開きます。  本日この委員会に付託に相なりました、塩田等災害復旧事業費補助法案、及び物品税法の一部を改正する法律案、この両案を一括議題といたします。まず政府当局より提案理由の説明を求めます。大蔵政務次官     —————————————
  55. 西川甚五郎

    ○西川政府委員 ただいま議題となりました、塩田等災害復旧事業費補助法案につきまして御説明を申し上げます。  国民生活上必需品である塩につきまして、その生産用施設中、塩田、濃縮施設、または塩田防災施設につき、暴風、洪水等による災害がございました場合には、従来は予算措置によつて、これらの災害復旧事業費の補助を行つて参りましたか、財政補助は法律に基いて行うことが好ましい次第でありますから、第七国会において制定せられました、農林水産業施設災事後旧事業費国庫補助の暫定措置に関する法律の例にならい、塩田及び濃縮施設にかかる災害復旧事業につきましては、その事業費の十分の五、塩田防災施設にかかる災害復旧事業につきましては、その事業費の十分の六・五という比率によつて算出いたしました金額の範囲内で補助を行うことといたし、これによりまして塩の生産を確保し、日本売公社の行う塩に関する国の専売事業の健全なる運営をはかるために、所要の規定を設けたのであります。  次に物品税の一部を改正する法律案について提案理由の御説明をいたします。  政府は、昭和二十五年度補正予算に関連いたしまして、国民租税負担の一層の軽減合理化をはかるために、所得税、酒税、揮発油税、及び砂糖消費税につきまして軽減や行うこととし、すでに関係法律案提出いたしておるのでありまするが、さらに明年一月一日から、物品税につきましても軽減合理化をはかることといたしまして、ここにその改正に関する法律案提出いたした次第であります。以下本法律案の内容について申し上げます。  物品税につきましては、本年一月、事務用品及び日常生活用品について、相当大幅に課税の廃止を行うとともに、税率の引下げを行つたのでありますが、その後における課税物品の生産、取引の実情、及び一般日常生活の正常化等を考慮いたしますると、現在の税率はなお高率に過ぎると認められ、また課税物品の範囲につきましても、再検討を要すると考えられますので、政府は今回重ねて明年一月一日から物品税の軽減合理化をはかることといたしたのであります。すなわち、まずミシン、扇子、安全かみそり、万年筆、シヤープペンシル、紅茶、碾茶、普通電球類及びアイロン等、事務用品及び日常生活品と認められる物品について課税を廃止するとともに、税率を、第一種物品については、現行百分の七十ないし、百分の十を、百分の五十ないし百分の五とし、第二種物品については、おおむね現行の三分の一程度に軽減することといたしました。さらに家具、漆器、陶磁器、玩具類、カバン及び時計等につきまして、課税最低限の大幅な引上げ及び新設を行うことといた上ております。  なお右のほか、最近における納税状況にかんがみまして、物品税延納の際の担保物件の範囲を、社債及び保証人等にまで拡張する等、所要の改正を行うことといたしております。  以上本法案につきましてその大要を申し上げたのでありますが、今回の物品税の改正によりまして、平年度におきまして約百六億円の減税になるのでありますが、本年度収入といたしましては、徴收猶予等の関係もあり、明年一月の課税分だけ収入が減少することとなりますので、八億一千万円の減収を見込んでおるのでございます。  以上二法案につきまして、何とぞ御審議の上、すみやかに御賛成あらんことをお願い申し上げます。
  56. 小山長規

    ○小山委員長代理 ただいまの提案理由の説明は終りましたが、なお右の両法律案に対しまして、政府当局からさらに補足説明を求めたいと思います。久米政府委員
  57. 久米武文

    ○久米政府委員 塩田等の災害復旧につきましては、従来予算補助の形で実施して参つたのでございます。顧みまするに、たとえば昭和十六年八月の暴風、同年十月の高潮、昭和十七年八月の津波、昭和二十年九月の風水害、昭和二十一年十二月の南海震災等につきまして、それぞれ予算補助の措置を講じて参つたのであります。しかしながらこの種の補助は法律によることが好ましい次第でありますので、今回塩田等災害復旧事業費補助法案の御審議をお願いした次第でございます。  この法案の大体の体裁は、第七国会で御審議を願いました、農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助の暫定措置に関する法律と同じような体裁をとつておりまして、この補助率等につきましても、塩田に対する補助率十分の五は、農林水産業施設の場合の農地に対する補助率十分の五と同じでございます。塩田防災施設、すなわち塩田の堤防に対します補助率十分の六・五は、農業用施設に対する補助率十分の六・五と同様でございます。全体の法律の建前は、農林水産業施設の場合と同様にいたしておりますが、実体的な規定はつとめて法律に盛るようにいたしてございますので、農林水産業施設の法文よりもやや詳しくなつておるかと存じます。  なお附則におきまして「この法律は、公布の日から施行し、昭和二十五年四月一日以後発生した災害に因つて必要を生じた災害復旧事業から適用する。」とうたつておりますので、本年四月一日以降の災害に関して適用がございます。従いまして、ジエーン台風、キジア台風関係の災害復旧事業は、この法律によつて補助を行おうといたしておるわけであります。  なお御参考までに、ジエーン台風、キジア台風関係の塩田の被害の規模について、われわれの手元で調べましたところを申し上げますと、塩田は現在全国で総面積約五千ヘクタールでございますが、ジエーン、キジア両台風でその約八四%に相当する四千二百三十二ヘクタールというものが、堤防の決壊あるいは大破等によりまして海水をかぶつて相当の被害を受けておるのであります。また堤防の被害の方について申しますれば、全国の塩田堤防の総延長は約八面七十キロでありますが、その一五%に当る約百三十キロというものが決壊または破損いたしたのでございます。この塩田、濃縮施設及び塩田防災施設の関係の災害復旧事業費補助の予算の方はどうなつておるかと申しますと、今回御審議を願つております補正予算におきまして、日本専売小社歳入歳出予算の第一款専売公社事業費、第二項塩田事業費、第一戸購入費の中に、新たに塩田等災害復旧人費補助金という科目を立てまして、そこに四億八千万円を計上いたしております。これは実質的に申しますと、日本専売公社の予算の予備費の方で同額の四億八千万円を落しまして、こちらの補助金の科目の方へ四億八千万円計上しておるわけであります。
  58. 小山長規

    ○小山委員長代理 次に主税局長から物品税の細目についての説明を求めます。平田政府委員
  59. 平田敬一郎

    ○平田政府委員 物品税につきましては、先ほど政務次官から概要を申し上げたのでありますが、細目を若干追加しまして御説明申し上げたいと思います。  物品税につきましては、御承知の通り、生活用品のうち必要性の比較的強いもの、それからもつぱら事務的な用に使われるもの、こういうものにつきましては、課税をできる限り廃止するという方法でございます。廃止の方法は、一つは法律の品目から削除するという方法、いま一つは、政令でこまかい内訳をきめておりますが、それで除外するという方法、それから免税点の引上げという方法がございますが、そういう方法によりまして、今申し上げましたような種類の物品につきましては、この際極力課税を廃止する、それが一つの改正点でございます。  それから税率につきましては、一般的に先ほど申し上げましたような引下げを行う。そこで、内容も先ほど政務次官から御説明があつたと思いますが、まずはずしましたのは、現在の己類、つまり一割の税率の適用を受ける物品につきましては、大部分これを排除することにいたしたのでありますが、ただ書画、骨董などの一部につきましては、そのまま存置いたしております。それから廃止いたしましたのは、御承知の通り万年筆類、ミシン類、安全かみそり、板ガラス、但し板ガラスの中でもステンド・グラスという比較的高級のものは、そのまま存置いたしております。それから滋養強壮剤ですが、口中剤は存置いたしております。それから懐中電灯の類、それからちようちん、すだれ、扇子、うちわ、そういうものを現在の己類の物品の中ではずしております。その他の費目の中におきましても、最近の状況から見て課税を不適当とするものにつきましては、それぞれ法律で除外いたしておるものもありますし、あるいは政令で除外しようという考えのものもございます。たとえば実物投影機、絵葉書類、紅茶、煎茶の類、こういうものにつきましては、課税を廃止する予定でございます。それから今の第二種の物品中はち密につきましても、課税を廃止することにいたしております。なおその他政令等の細目でさらにはずす予定のものも相当ございます。それはたとえば紙の中では和紙と大版紙、これは除外する見込みでございます。洋紙につきましても、はずすかはずさないか検討いたしたのでありますが、歳入事情等の関係もございまして、五%の税率にいたしまして存置することにいたしました。電球類、それからもつぱら事務的に使われますところの書類だなの類、これも除外する予定でございます。  なお免税点につきましては、家具とかカバン、トランク、漆器、陶磁器、ガラス製器具、飾り物、玩具、乳母車、時計、つり竿、文房具等につきまして、それぞれ免税点を引上げたり、新しく設ける考えでございます。  以上が課税から除外するものの大要でございますが、税率につきましては、大体現在の甲類の物品は七十を五十にする。乙類は六十を四十にする。丙類は五十を三十にする。丁類は三十を二十にする。戊類は二十を十にする。己類は原則として廃止いたしますが、先ほど申しましたように、一部はそのまま存置するものと——家具類は五%で残して置くということになつておりますが、これにつきまして、最近の物品の消費の状況等からいたしまして、若干例外的にさらに引下げをはかつているものがございます。そのおもなものを申し上げますと、まず乙類の中で、現在蓄音器が百分の六十になつておりますが、楽器等とのバランスを考えまして、百分の三十に改めることにいたしております。それから丙類は五十から原則として三十になるのでありますが、ガス・ストーブとか氷冷蔵器とかは、二十に引下げることにいたしております。それからさらに、最近の状況から顧みまして、味の素の類、つまりグルタミン酸ソーダを主成分とする調味料、それから化粧品のうち香水、おしろい、紅は三十でございますが、化粧水、化粧下、整髪料、養毛料につきましては、相当下げまして、十にいたしております。それから丁類は三十から原則として二十に下るのでありますか、大型乗用自動車は現在の三十をそのまますえ置くことにいたしました。その他のものにつきましては、原則として二十になるわけでございますが、最近の状況から見まして、一〇%に引下げたものもございます。金庫、それから陶磁器製のタイル、犬、猫、うさぎ、羊、むささび、牛の毛皮製品、幻燈機それに化粧クリーム、ポマード、こういう類のものは三十から十に引下げております。  それから戊類は現在の税率は二十でございまして、これを原則として十に引下げておりますが、そのうち小型の乗用四輪自動車、これは税率を二十にすえ置いておるのであります。その他の自動自転車とかスクーターの類は二十から十に引下げることにいたしておるのであります。以上申し上げました点が、税率につきまして修正した部分であります。  なお甲類、乙類のうち真珠と毛皮、それから羽毛につきましては、研究の結果、製品の段階で課税しない方が、徴税技術上どうも妥当であるという結論を得ましたので、それぞれ製品で課税することにいたしまして、真珠それから毛皮、羽毛の段階におきましては、課税しないことに法律案を修正いたすことにいたしております。以上の点が大体御説明申し上げる要点でございます。  なお二種につきましては、最近の状況から申しまして、相当大幅な引下げをはかつておりますことは、税率をごらんくださればわかる通りでありまして、マツチについては千本二円を一円に引下げております。あめ、ぶどう糖は千五百円に、サツカリン、ズルチンは三千円を千円に引下げております。それから清涼飲料のうち、ラムネにつきましては三千円を千二百円に、サイダーにつきましては五千円を二千円に、それぞれ引下げることにいたしておる次第であります。  以上が物品税の改正の内容の細目の御説明であります。
  60. 小山長規

    ○小山委員長代理 以上の二法案につきましての質疑はあとまわしといたしまして、資料の要求がありますればこの際これを許します。
  61. 奧村又十郎

    ○奧村委員 塩田等災害復旧事業費の法案審議に関連いたしまして、資料を要求いたします。この災害復旧事業費四億八千万円も、一応塩事業費の中から支出されるわけでありますが、それにもかかわらず、今回の補正予算では塩事業の方で約十九億の利益を見込んでおります。一方、塩の輸入価格あるいは収納価格と比べると、塩の販売価格は不当に高いという輿論が多いので予算書に書いてありますだけでは十分わかりませんから、塩のトン当りの、粉砕料、それから保管料、輸送費、これらのトン当りの経費の内訳を見たい。なお輸入の塩の原価それから小売価格の見通しなどについて、できるだけの資料をお願いいたしたいと思います。  いま一つ資料をお願いいたします。これは主税局長さんにお願いですが、所得税などの今回の補正予算に見積られたところの自然減あるいは自然増、こういうものの所得見積りの根拠について、資料をお出し願うことになつておりましたが、この資料を早くお出しにならぬというと、審議にさしつかえますので、至急お出し願います。
  62. 平田敬一郎

    ○平田政府委員 承知いたしました。すぐ出させることにいたします。
  63. 小山長規

    ○小山委員長代理 ほかに資料要求はございませんか。     —————————————
  64. 小山長規

    ○小山委員長代理 それでは昨日に引続きまして、所得税法臨時特例法案砂糖消費税法の一部を改正する法律案及び揮発油税法の一部を改正する法律案の三法律案を一括議題といたしまして、引続き質問を継続いたします。
  65. 川島金次

    川島委員 国税庁長官にも実は質問があるのですが、おりませんので、続き主税局長にお伺いをいたします。今資料要求の中で、奥村君から課税所得の資料についての希望があつたようでありますが、局長は、手元にもそういつた資料程度のものは持つているのじやないかと思うので……まず政府は二十五年度の国民所得の算定を、特需景気等を中心として若干増加させたようであります。その結果として大体本年度の所得総額は三兆二千億と見積つて来たわけです。この三兆二千億の中で勤労所得その他の所得、大ざつぱでよろしいのですが、そこにおありならばこの際示してもらいたい。
  66. 平田敬一郎

    ○平田政府委員 国民所得につきましては、目下安本で資料を整理中でございまして、大体の概算は今申し上げましたように、三兆二千億ないし三兆三千億程度になりはしないかということを、とりあえず概算いたしておるようでございます。内容につきましては、もう両三日お待ち願いましたらお話できるかとも思いますが、まだ私どもの方にも中味の詳細な最終的資料はもらつていないのであります。なお御参考に申し上げますが、所得税は、国民所得を直接基礎にいたしていないのです。先般も申し上げましたように、課税所得をもとにしまして算定いたしておるのであります。つまり勤労所得税でありますと、ことしは上期の課税実績をもとにしまして年間に引延ばしております。それから事業所得でありますと、前年の課税実績をもとにしました本年の予定申告に現われましたところの所得金額をもとにいたしまして、その後の生産、物価、雇用等の傾向を見まして、それで計算いたしておるわけであります。従いまして国民所得を直接土台にはしていない。ただ国民所得を見積ります場合におきましても、生産、雇用、物価等の指数を適用して見積るわけでございますが、過去の実績から、その見積り方につきましては、課税所得の場合とほぼ同じような方法を採用している。そういうような意味におきまして緊密な関係はあるわけでございますが、直接土台にはしていないということは、前から申し上げておる通りでございますので、御了承願いたいと思います。なおその増加指数は先般もちよつと申し上げたかとも思いますが、勤労所得は実は十月までの課税実績をもとにしまして、八月から十月までの一月平均を求めまして、それを今後毎月普通の給與の税金が入つて来る。それは賞与の分とか、給与のはね返り分というふうに、きわめて具体的な最近の税収入の実績に基いて実は見積つておるのでございます。これに対しまして申告所得税は毎月半ばに入つて来ませんので、そういう行き方はできませんから、予定申告で申告すべき所得金額、これはつまり昭和二十四年度の実績額がもとになるのでございますが、それによります所得金額をもとにしまして、それに対してそれぞれ最近の状況のもとにおきまする所得の増加を見たわけでありまして、農業は一割八分九厘の増を見ている。それから営業は二割五分三厘の増を見ている。その他の分を含めまして、申告所得税の課税所得といたしましては二割一分一厘の増加を見込みましてそれをもとにしまして所得金額を計算し、それにそれぞれ控除税率を適用いたしまして税額を算定いたしたのであります。そうして出て来ました税額をもちまして、本年度の申告所得の見込額にいたしたような次第でございまして、卒直に申しまして国民所得とは直接にはつながりはないということを、御了承願いたいと思います。なお巷間新聞等で伝えておりまする国民所得が多いか少いか。これは統計学者が二十四年度の国民所得の実績につきまして分折した結果、そういう批評を加えているわけでありまして、安本でもその批評に基きましていろいろ検討いたしておりまするし、そのうちはつきりしたものにつきましは、おそらく今後国民所得を、さらに再推計を発表する場合には、若干の補正をして発表するのじやないか、こう見ておりますが、課税所得の見方の場合におきましては、直接そういうことと関連が薄いということを御了承願いたいと思います。
  67. 川島金次

    川島委員 国民所得は課税の場合の条件的の基礎ではないということは、当方も先刻承知の上なのであります。ただ国民所得と国民の締めまする税金とは、きわめて密接な関連をもちますので、一応聞いたわけであります。  そこで次の問題に入りますが、この暫定的改正によりまして勤労者が納めまする平均の直接税の負担額というものは、率はどういう率にかわつて来るか。従来の負担率と今度の負担率と平均いたしました比較はどういうふうになりますか。調べたものがあれば示していただきたい。
  68. 平田敬一郎

    ○平田政府委員 今手元に正確な資料は持つておりませんので、あとで精密な資料を出しまして御説明申し上げたいと思います。
  69. 川島金次

    川島委員 大蔵大臣でしたか、記憶はさだかでないのでありますが、大蔵大臣つたと思いますが、今度の税制臨時特例の改正によりまして、勤労者の負担相当軽減されるということは言うまでもないのでありますが、ただ一方に米価の値上りが当面に迫つております。大蔵大臣の説明によると、たとえば独身者五千円の者が、今度の税制改正によれば、月八十三円ばかり減税される。手取りにおいて一・八%増加する。しかし米の値上りは〇・八九%と予想されておるから、実質的、手取りは半分ばかり残つておる、こういうふうに説明をされております。世帯持の場合も同じようなことが説明されておりますが、物価の値上りは米だけではない。すでに最近においては電気料金の大幅の値上げが行われ、新聞代が値上りし、冬期に入つて、季節的ではありますけれども、燃料等も大幅な値上りとなり、さらにまた特需景気を中心といたしまして、大勢的には物価値上りの傾向が迫つて来ております。こういう諸般の事情考えてみますときに、政府今度の税制改正では、実質的に必ずしも生計費の負担の撃滅にはならないということになるのではないかと私ども考えております。ことに大蔵大臣は前段においてそういう説明をしておるにもかかわらず、先般の財政演説の中で、私の記憶では物価上昇の点に触れて、最近の物価値上りは一四%になつて来ておる。こういうふうに説明をしておることを記憶いたしております。前段の税金と米価の値上りとの吸収の説明については、非常に少い物価上昇を見積り、また全体的な経済の事情を説明するときには一四%という物価上昇率というものを大臣みずからが言明されておる。ここに大きな矛盾があるわけであります。もしかりに後段の一四%も物価が上昇しておるということになると、せつかく今度政府が勤労所得者に対する税の改正を行いましても、少しも国民の実質的な生計費の上には役立たぬ、こういう形になり、かえつて逆に国民勤労大衆の実質的生計費は増大するという形になつて、ますます税が勤労者の生計費に食い込んで来るという形が持続されるというおそれか、十分あるのではないかと思いますが、その点についてもう少し専用の立場にある主税局長から、われわれの納得のできるような数字を示して、具体的説明を承れれば幸いだと思います。
  70. 平田敬一郎

    ○平田政府委員 減税と物価との関係でございますが、これは私ども政府の財政措置と申しますか、米の引下げ等、補給金が廃止されて引上げになるものが相当あるわけであります。もちろんそれだけではなく、補給金引下げ以外の要素で引上げになるものもありますが、実は財政措置に関連して引上げになるものが相当多くありますので、これはやはり財政措置で軽減になるものと比較して議論したらどうか。こういう意味におきまして米価の引上げと減税の関係を、特に検討いたしておるわけであります。そのような意味においては大蔵大臣の申し上げた通りだと思いますが、月収五千円の独身者の場合は勤労所得税が八十円下りまして、税引き手取り一・七六%ふえる。これに対しまして米の消費者価格引上げによつて負担のふえる分が〇・九五%、それからもう一つ月収一万二千五百円の標準世帯、これは奥さんと子供二人の世帯でありますが、この世帯は一番生活のしにくい世帯だと思いますが、この辺の世帯でありますと、現在勤労所得税を月に千百五十五円納めてもらつております。これが三百八十円ほど軽減になりまして、二・四七%税引手取りがふえるようであります。これに対しまして生計費はどれくらいふえるかと申しますと、米価の引上げで一・三七%ふえるようであります。そうすると半分強米価引上げで取られることになりますが、なお専門的見地から酒税、物品税の引下げを考慮して計算してみますと、今のクラスのところで〇・八四%ぐらい消費税の引下げ負担が軽くなりはしないか、こういう計算もできるようであります。そうしますと、今回の減税措置と米価の引上げとの関係で、家計は一・九四%だけ実質がよくなる。間接税の引下げによる負担の額を計算してみますと、〇・八四%ぐらい軽くなる。これは総体の平均でございまして、酒を消費しない家庭は全然関係ございませんが、酒を消費している家庭の場合で、同じ量飲むとすれば、それぐらい負担が軽くなる。物品税の場合におきましても同様でありまして、そういう点を考慮に入れますと一・九四%軽くなる、こういう計算もできるようであります。いずれにいたしましても、米価の引上げと減税との関係におきましては、大体問題なく吸収できる、このように私ども見ております。その他所属階級によりましていろいろ計算しておりまするが、いずれの場合におきましても、ほぼ同様な数字が出るようであります。  そこで問題は、もう一つさかのぼりましてそれでは一般物価水準の上昇との関係はどうかという問題でありますが、これは御承知の通り、実は昨年以来物価が非常に下つて来ておりまして、CPIも昨年の今ごろと比べまして、いまだ一○○以下であります。最近の傾向からしますと、おそらく若干上りぎみということになつておりますが、この問題につきましては、財政政策全体としましては、御承知の通りデイス・インフレの線で行くということが政策の基本になつておりまして、国内的な関係に関する限りにおきましては、若干微騰はあるかもしれませんが、大体におきまして、そう大きな変動はないというところをねらつておるわけであります。従いましてそういう点を考え合せますと、物価の上昇を見込んで、ここに税率なり控除等を見るというのは、どうもいかがであろうか。現在のところから行きますと、この程度でバランスがとれている、このように私どもは見ておるわけでございます。しかし財政政策以外の部面から、また国際的な物価等の関係で、国内の物価が動いて来るようなことになつて来ましたら、またその際にいろいろとかくの問題が出て来ると思いますが、現在の段階といたしましては、一応そういうところを予測しまして、さらに調整をはかる必要があるというところまでは認めていないのでございます。米価と減税というのは、いずれも財政措置に直接関連しまして、負担の増減のある分を比較しまして、御参考までに御説明申し上げておるような次第でございます。
  71. 川島金次

    川島委員 米価との直接関係においては、あるいは計算のような形に一応はなるように思いますが、米価が値上げされると同時に、それに伴つて他物価へのつり上りを生ずるのは、当然あり得ることだと思います。ことに眼前すでに著しく騰貴の傾向にある物資が相当続出しておる。     〔小山委員長代理旭席、委員長着席〕 なるほど酒税の軽減、物品税の軽減等がありますが、その軽減を埋めるような、なおかつ勤労者の負担を重くさせるような面が、逐次濃厚になつて来る形勢であるということは、まぎれもない事実であると私は考えております。従つて政府のこのたびの税制改正が、勤労者の実質的な生計の上に、政府の言われておるような楽観的な負担軽減にはならないというふうに、われわれは見ておるわけであります。  そこで次にお尋ねをいたしますが、この間もこれについて局長と一、二問答をいたしたわけでありますが、従来所得税の場合に、全国平均賃金ベースのものでは、できるだけ課税を避けるという形が、今の国民経済の実態から見て一番適切な方法ではないかと思う。そのためには基礎控除がむろん三万円では足りぬし、扶養控除一万五千円では、もちろん足りないのであります。そういつた全国平均工業賃金水準までは税金を課さないという、この方向で行くべきだと私は平素考えているのですが、いつもその近くまでは行くけれども、そこまでは行つておらぬというような形に今日まであり、この改正案もまたその通りになつているわけでありますが、そういう私の意見に対しましては、局長はどういう感じを持たれますか。その点を聞かせていただきたいと思います。
  72. 平田敬一郎

    ○平田政府委員 今の問題は、おそらく昨日川島委員から、最低生活費の問題と関連しまして御議論になつた点の、さらに延長かと思うのでございます。従つて答えも、昨日申し上げましたように、いろいろな角度からきめるよりほかないという答えにならざるを得ぬと思うのでございますが、私どもも財政事情等を考えまして、でき得る限り最低の生活に必要な部分にはかけることの少いような所得税、これが理想としてはいいというふうに考えております。ただしかし、その最低生活費の見方がいろいろ幅があるので、また財政事情等の関係もあり、またインフレになり物価が上れば、結局所得税もなおさらに違つた形の税金がかかるという事情がありますので、そういう事情を全般として考慮しまして、そのときにおいて妥当なものをきめるよりほかない、こういう考え方でございます。どうも少し逃げるようでございますが、しかし正面なところそういうふうに物事を判断するよりほかないので、厳密に一つの算式で絶対的なものが出て来るというふうには、私はそこまでは実は考えていないことを、さらにつけ加えておきたいと思います。  なお物価と賃金との関係でございますが、これは川島委員もおそらくよく御存じだと思います。昨年の九月ごろに比較いたしまして、本年の九月の推移でありますが、全産業の名目賃金は昨年九月を一○○といたしまして、今年の九月は一一七、つまり一七%上昇いたしております。これに対してCPIは、昨年の九月を一○○といたしまして、今年の九月で九三になつております。一番下りましたのは今年六月でありまして、六月は八八・三まで下つております。六月以後若干騰貴しまして、現在は九三、つまり昨年の九月に比べましてまだ相当つております。従つてCPIで名目賃金を割りました実績賃金——実質賃金の出し方はほかにもまだあると思うのでありますが、そういう方法も一つでございますので、そういう方法によりますと、実質賃金はやはり昨年の九月を一○○といたしまして、今年の九月は一二五、つまり三割五分の上昇ということになつておるようであります。こういう数字を見ますと、若干CPIが今後米価の引上げ等に関連して微騰の傾向にあるということは、私どもも否認するものではありませんが、まず今回考えましたような改正をいたしますれば、従来と比較いたしますと、よほど改善になるのではなかろうか。いろいろあちらから見、こちらから見まして、まあこの辺が妥当だというところで、控除の問題をきめるのか実際上の行き方ではないか、こういうふうに今考えております。
  73. 川島金次

    川島委員 これ以上は議論になりますからやめます。  次にお伺いいたしますが、先ほどのし国民所得の問題にもどるわけなのですが、かりに安本の調査によりまして、二十五年度の国民所得が三兆二千億ないし三千億になると仮定をいたしました場合、一体この三兆二千億の国民所得に対し、実際上に課税される所得というものは、大体どれくらいになる見込みになつておるか。その点が大づかみにつかまれておりましたならば示してもらいたい。
  74. 平田敬一郎

    ○平田政府委員 御承知の通り、国民所得はあらゆる国民の所得を計算しておるわけでありまして、免税点以下の所得等も全部入れておりますが、課税所得は、納税者だけの所得であります。そういう意味合いにおいて申し上げますと、給与所得の方が一兆一千四百五十億程度、これは当初予算の見込みでありまして、今度の補正予算によりますと、一兆二千八百四十億程度、それから申告所得の課税の対象になる所得が七千九百十五億程度、このように大体見ております。国民所得の方はさつき申し上げましたように、内訳はまだ安本で整理しておりますので、おそらく臨時国会中に整理が終りまして、国会提出するものと思いますが、その際に詳細のことは申し上げたいと思います。
  75. 川島金次

    川島委員 この課税所得の見積額に対して納税義務人員は、給与所得者と申告所得者はどれくらいになつておりますか。これは当初予算よりもたいへん異同を生じておるのではないかと思いますので、それを合せてお伺いいたします。
  76. 平田敬一郎

    ○平田政府委員 納税人員は、大体補正予算で見ておりますが、給与所得者か千百号十四万人程度、それから申告所得税の納税義務者が、五百三十七万七千人程度と見ております。
  77. 川島金次

    川島委員 当初のときの数字を私忘れたのですが、当初の数字と比較いたしまして、どのような形で動いておりますか。申告はふえておるのか減つておるのか、どういう数字ですか。
  78. 平田敬一郎

    ○平田政府委員 当初予算で見込みました勤労所得の人員は、ほとんど同様であります。ちよつと計数整理の結果かわつておるようでございますが、千百四十八万人程度と見ております。それから申告所得税の万は五百七十九万人程度と見ております。申告所得税は合算廃止の結果、農業所得等で予想よりも免税点以下に落ちた人が多かつたようでございます。そういう関係があつて、予定申告の実績をもとにして計算してみますと、少し人間が減るようでございますけれども、勤労所得は大体同じではないか、こう見ております。
  79. 川島金次

    川島委員 次にお尋ねをいたしますが、昨日の公聽会において日本橋税務署長である方の公述にもありましたのですが、今度の政府の所得税法の改正の中で、ことに問題点は貨率の点だ、こう実務行政に携わつておる長が、きわめて明確に言われておる。まことにわれわれもその点大いに同感だつたのですが、この税率を依然として五万円以下の金額に百分の二十というふうに押えておる。これを十万円以下は百分の二十、そしてさらに百万円超五十五というのを二百万円程度に抑えて、百分の六十というくらいにすることの方が、どうも税率から言つてよいようにわれわれは考えおるのですが、政府は最初の税制改正を着手いたしましたときの理想案として、あるいは希望案としては、どういう税率をもつて臨んだのでしたか。それを一応ひとつ参者のために聞かしておいてもらいたいと思う。
  80. 平田敬一郎

    ○平田政府委員 最低の二十という税率は、御承知の通り控除後の所得に対して適用になる税率でございます。下の方は、実は表面上二十は重いようでございますが、税額を計算しますと、あまり重くない。むしろこれを低くしますと、非常に零細な多数の人から税金をとることになるのでありまして、それくらいならむしろ控除を引上げた方がいいという考え方で、二十の税率はまずよろしかろう。ただ中堅どころと申しますか、所得が二十万円程度が現在は五十になつております。これは課税所得二十万円でございますから、さつき申しましたように、五人世帯で勤労者の場合約十万円引きますので、今度の改正案によりますと、実際は三十万円くらいの所得になります。しかしそれにいたしましても、その所得をちよつと越えますと、五〇%とられる。この辺が少し所得としまして、税率がいかにも過重ではないかということを感じていたわけでございます。従いまして今回の改正案でも、その辺は四〇%の税率にかえたわけでございます。それにいたしましても、理想を申しますとまだ少し重いのじやないかという感じもいたしております。最初の案では、今度提案しました十五万円三十五を、二十万円三十五にいたしていたのであります。それから百万円五十五はすえ置きまして、七十万円五十、こういう税率にいたしていたのでございますが、そうしますと、その辺が大分一ぺんに相当軽くなるクラスもございまするし、財政上の事情等もありまして、この次の機会に延ばそうかという意味で、今回は提案しましたような税率にいたした次第でございます。これもしかし中堅どころの税の負担の軽減には、今までに比べますと相当役立つておるように考えております。
  81. 川島金次

    川島委員 きのうもお伺いしたのですか、この暫定改正案は、このまま明年度へ持込んで行くという形になるという説明なんですが、今後漸次国際情勢なども緊迫の様相を呈しているので、おそらくそれが日本の経済の上にも少からぬ深刻な影響を与えて来るのではないか。その上に物価等の値上りがまたしても非常に懸念されるような状況ではないかと私は思うのです。そこで仮定論になるのですが、国民全体の、物価騰貴による経済の様相がかわつて来るという形になつた場合に、政府明年度予算の具体的な編成の場合に、もう一ぺんこの税制を改正するという心組み、心構えといつたものはないかどうか。これをひとつ伺います。またかりに現状のままで、幸いにして明年に入る様相であるとしても、政府は当初から、たとえば税率等についても一つの信念的な腹案があつたわけですが、それが実現されなかつた。その腹案の実現に今後努力するという心構えで臨んでおるか。その点をひとつついでに伺わしていただきたいと思います。
  82. 平田敬一郎

    ○平田政府委員 明年度予算案につきましては、今お話のような事情も現在見通されるので、国におきまして、できるだけ考慮いたしまして、そういうような場合においても、日本の経済情勢が不当に撹乱されないような政策をとりつつ、適切な予算案をつくるということが、相当考慮に入つておるようでございます。これはまだ最終的にきまつておりませんので、私ども申しあげる段階にまだ参つていないと思います。従つてお話のような懸念の点も、ある程度考慮に入れまして予算案ができる。そうすれば、非常な世界情勢の急変がありますれば別ですが、そうでない限りにおきましては、そう大きく日本経済が撹乱されるようなことはなく、やつて行けるのではないかと思つておりますが、いずれ本予算が出ました上で、そういう点については十分御審議つたらどうであろうかと考えます。従いまして今さらにそれをどうする、かえるというようなことにつきましては、考えておりません。税率の問題につきましても、私どもさらに希望的な案をつくれば幾らでもできますが、今の段階といたしましては、この程度の税率になりましても、従来に比較しまして相当な改革でありますし、まず一番いい税率案ではないか、かように考えております。
  83. 川島金次

    川島委員 それでは次に、従来もしばしば私ども局長と論議を重ねて来たのですが、零細な農民あるいはまた零細な業者、ことにこの業者の中でも筋肉的な労働でその業を営み、収入を得ておるという業種のものがかなりある。こういつたものの所得というものは、当然に勤労所得に準ずべき性質のものであろう。それを勤労所得と別な形に取扱つておるために、ややもすればその勤労者の経済生活とマツチできないで、非常に税が過重になるような面が多いわけであります。そこでシヤウプ勧告は、農業所得についても勤労控除を認めろというようなことも言われておつたのですが、この問題についてはまだ政府は何ら具体的に、われわれの方にはその趣旨を明らかにされておらないのですが、この点は今の政府はどういうふうに考えておるか。重ねてこの機会に伺つておきたいと思います。
  84. 平田敬一郎

    ○平田政府委員 今の問題は来年度の問題でございますので、まだ本日結論的なことを申し上げる段階に至つていないのでございますが、ただ問題がいろいろあるようでございまして、農民、漁民に認めますと、中小商工業者はどうするかという問題が一つございます。それから農民漁民に一割控除を認めました場合におきまして、勤労控除の一割五分がはたしていいか。この問題があるようでありまして、これはなかなか筋が通つているようで、また筋が通つていない部面もあるようであります。ひとり勤労所得のほかに農民漁民についてだけ拡張するということにつきましては、従つてこの問題は、私はそう簡単に解決することの困難な問題ではないかと見ておりますが、それよりもむしろ、私どもが解決しなければならない問題は、やはり扶養家族の控除というような方法によりまして、農民等の負担もできるだけ軽くする。シヤウプ勧告は家族二人までの増加を認めまして、それ以上は引上げを認めていないのであります。今度政府が提案いたしましたところによりましてもわかるように、家族の全員につきましても一万五千円までの引上げを認めるようにいたしたのであります。これはおそらく来年度もこれと同じ改正を行うことになると思いますが、そうなりますと農民の負担は実に軽くなる。今年も軽くなるのでありますが、非常に軽くなると思います。川島さんも御承知のように、大体農家は十万円から十五万円の所得階級が非常に多いのでありまして、十万円のところでありますと、夫婦、子供三人の場合、現在は五千四百円の負担が、今度の改正案を当てはめて計算いたしますと二千円になりまして、三千四百円軽くなる。つまり六割二分税金が軽くなるのであります。それから十五万円ぐらいのところで、夫婦、子供四人、農民は専従者の控除を認めました関係もありまして、非常に家族数が多くなつておりますが、十五万円で夫婦と子供四人、つまり扶養控除を認められる者が五人いる場合でありますと、現在一万三千七百五十円の負担が九千円になりまして、四千七百五十円軽くなる。つまり三割四分軽くなる。農民で課税される人の所得は、ほとんど十万円から十五万円ぐらいのところに固まつておるようでございます。もちろんそれ以下で家族の少い人で課税される人もありますし、それ以上の人もある程度ありますが、その程度が大部分である。この辺になりますと今度の改正自体をこのまま適用しますと、私は農民の負担は四割以上軽くなるのではないかと見ておりますが、そのような点からあわせ考えまして農民の控除の問題もきめたらどうか。従いまして営業者の問題とか、勤労控除の一五%の問題等がございますと、むしろ先にこの家族控除の方を行いまして、それで問題の解決をはかりまして、その後において事情が許すならばまた考えるというふうな方向の方がいいのではないか。これはまだ結論を出しておりませんか、その際には中小企業者等の問題もやはり考えないと、十分論理が合わぬというようなところもございますので、そういう点もよく愼重に研究いたしまして、結論を出したいというように考えております。
  85. 川島金次

    川島委員 今の局長の話を承つておりますと、農漁民、中小企業の零細業者の勤労控除を認める前に、基礎、扶養控除の引上げの方が先決要件なのだ。これは私は同感です。そうすると局長明年度それをひとつ極力実施に移すような努力をするという心構えで、今後進むというふうに私は解釈してよろしいですか。
  86. 平田敬一郎

    ○平田政府委員 将来の問題としましては検討を要する問題だと思います。将来できるかできないかという問題は、財政事情との関係もありますので、私どもそう急を要する問題ではあるまい。先に明年度についてこういう改正を行うのが先決問題だ。この程度考えております。なおしかし今の問題につきましては若干検討の余地が残つておりますが、感じといたしましては今度の軽減を行いますれば、農漁民の負担は軽くなりますので、まず相当しんぼうしていただけるのではないかと思つておりますが、その辺は今後の問題だと思つております。
  87. 川島金次

    川島委員 それではもう一つ伺います。きのう私は公聽会の席上でちよつと私の意見を申し上げたのですが、勤労者のたとえば夜勤料あるいはまた徹夜料、超過勤務手当、これは非常に零細なものですが、しかも夜勤の場合に、その夜勤料などというものは、今日では支那そば一ぱい食えぬような夜勤料です。そういう夜勤料の収入に対しても税をかけておるのが今日の建前であります。何とかこういうものは課税から除外するという考え方を持つてつて、勤労者の所得を幾分でも確保せしめるような方法に協力してやるということが、望ましいのではないかと私は思うのですが、そういうことについての政府考え方はどうであるか。もう一つは退職所得金額に対して、若干はかわつて来ましたが、まだまだとてもわれわれが考えている点とは開きが多過ぎる。ことに長年の勤続者が、一つのところに三十年、四十年と一生をささげて勤め上げて来て、老齢になつて停年その他の事情で退職する。その退職のときに退職金をもらう。しかもその退職金の大部分というものは、その中の何割かはみずからが長い間かかつて積み立てて来たものもある。そういう老齢になつて退職して退職金をもらつた。もらつたとたんに税金をかけられる。国税だけならいざ知らず、今度は待つてましたとばかりに次には地方税がかかつて来る。こういうことで、ことに老齢で退職をした人たち、しかもその人があまり子供に恵まれないで生活の安定がないというような人たちかかなりあるにもかかわらず、そういうことが行われておりますので、一生をささげて来たそういつた人たちの老後というものが、きわめて気の毒な事情に陥るような場合が、われわれの目の前にもずいぶんあるわけです。こういう退職所得につきましても、政府はもう少し血肉のある政治を課税の面において行う必要が十分あると確信をしておるのですが、そういう事柄についてどういうように考えられるか。この際重ねて伺つておきたいと思います。
  88. 平田敬一郎

    ○平田政府委員 給与所得の計算上、今お話のような一種の食事手当と申しますか、そういう手当類を除外したらどうかというお話でございますが、これは現在旅費とかその他実費弁償の性質を有するものにつきましては、所持税法で課税を除外することにいたしております。ただ実質給与、現物給与、と認められるようなものにつきましては、これはやはり原則としまして課税する。そうでないと現物給与を出すところと出さないところで不公平になりますから、むしろそういうものにつきましては課税するのが、負担の公平を得るゆえんではないかというふうに考えております。なお具体的にはいろいろ問題もあろうかと思いますが、実際上の適用にあたりましては、あまり実情に反しないようにやりたいと思つておりますが、この建前をあまりくずしますと、かえつて不公平になるので、やはり課税、非課税の区分につきましては、理論に従つて正しく解決をはかるのがいいのではなかろうか。ただ通勤費とか、あるいは労働者等も必要経費がかかるのだから、それを引いてくれというようなこともありますが、こういうようなものを考慮いたしまして、実は勤労控除等も一割五分の控除をいたしておるような点もありますので、この問題は一つの研究問題であろうと思いますが、簡単に今ここでそうした方がいいだろうというわけには参らないことを、御了承願いたいと思います。  第二の退職手当の問題でございますが、これは前は二分の一としまして、全額総合して課税したのでありますが、今年から一割五分これは勤労的な控除として控除をして、残額につきましていわゆる平均課税の方法をやつておるわけであります。退職手当の少い場合におきましては、五分の一の金額にいたしまして、それをほかの所得に総合いたしまして、それで出て来た税負担の割合を残余の分に乗じまして、高い累進税率がかからないような方法をとつております。その金額が、多い場合におきましては、五箇年間同様な方法をやりまして、負担の調整をはかることにいたしておるわけでございます。これで退職所得に対しては、理論から申しますとよほど実情に応じた課税になつておるのではないか。ただ何か特別に社会政策的な意味を考慮して、さらに一層考えるか考えないかという問題があろうかと思いますけれども、やはり所得税としましては、できるだけ理論に従つて、所得計算をする。一般の税率控除によつて、できるだけ税率の軽減をはかるというのが、目下政府考えておるところでございますので、この点につきましても、個別的に退職処分について特別のしんしやくをするというのは、少しいかがであろうかと考えております。今のやり方——一割五分の控除がはたしていいかどうか。この辺は人によりまして多少の論はあろうかと思いますけれども、今回三十五年度の改正しました所得税のシステムから申しますと、相当のところに来ておるのじやなかろうか、かように考えるわけであります。
  89. 川島金次

    川島委員 どうも零細な手当等に対する課税、あるいは永年勤続者の老齢退職者に対する課税は、まだまだ私は苛酷なものがあるという確信に立つておるのですが、これ以上申し上げることは議論になりますから申し上げません。  次にお尋ねをしておきたいのは、きのうも私申し上げたのですが、ことに最近の経済事情からいたしまして、その他にも事情はありましようが、滞納が非常に多い。この滞納を整理することで国税庁などもつたく汗だくのようなありさまになつておる。滞納を整理される方は、一つの滞納整理旋風を受けておる形で一大脅威となつておるわけであります。そこでこの滞納をどうしたならば少くするかということは、政府も真剣にひとつ考えるべきじやないかと私は思う。もちろん経済事情が大きな理由なのでありましよう。ことに申告納税者のは勤労者と違つて源泉徴収もなければ分割でもない。とにかくまとめて一ぺんに納めなければならぬというような事柄であります。納税は国民の義務なのだから、その納税のためには貯金したらいいではないかといえばそれまででありますけれども、まだそれだけでは私は足らぬと思う。何か滞納をできるだけ少からしめるために、国民にもう少し容易に税を納め得る道というものを、政府が積極的に考えて行くべきものではないか。税収の面におきましても、財政の確保の面から行きましても、当然な事柄ではないか。そこで申告納税者の分割納入制というような事柄を法制化して、もう少し国民の納税を容易ならしむるくふうをする必要があるのじやないか。その技術的な事柄についてはいろいろ困難な問題も伴うことと思うし、また手続上非常に煩瑣を免れないという欠点等ももとよりあることはありますけれども、そういうものを乗り越えて、ひとつ申告納税者のために、できるだけ納税のしやすい道を政府が親切な心構えで積極的に立ててやるということが、非常に大切なことじやないか、こういうふうに思うのですか、そういうことについての政府考え方をひとつ示してもらいたい、こういうふうに思います。
  90. 平田敬一郎

    ○平田政府委員 滞納の処理の問題につきましては、後ほど高橋長官からお話があるかと思いますが、制度に関連した問題としまして、今も御指摘の分割制度の問題でございますが、これを私は実際問題としまして、結局一部税金を納めた場合におきまして、それを拒否するわけでは実はないのであります。ただ残つておる分につきまして利子税、加算税等がくつつく。法制の問題としましては、そういう利子税、加算税を微収上ないので分割納付することを認めるか、認めないかという問題になつて来ると思いますが、そういう問題になつて来ると思いますが、そういう問題になつて来ますと、なかなかこれまたまじめに納めた人とのバランス等の問題がありまして、簡単に解決つかない問題も多いようでございます。従いまして私はむしろ今後の対策といたしましては、納税貯蓄組合に対しまして政府相当な助成、奨励をする。納税者に平素から納税準備預金その他の納税資金を積んで置いてもらう。そういう形で納税資金の対策を講ずるのが正道ではあるまいか。そういう方向につきまし極力制度等につきましても研究してみたいと思つております。しかし分割の問題も確かに実際問題としましては、御指摘の通り相当分割納付を認めざるを得ない、またそれが実際であるという実情でございますから、一段と研究してみたいと思いますが、問題は今申し上げましような点にございますので、御参考までにそのことだけを申しておきたいと思う次第であります。
  91. 高橋衛

    ○高橋(衛)政府委員 十月末における滞納の金額は過年度分が六百九十億、今年度分が約三百億円でありまして総額九百九十四億円余に相なつておるのであります。従つてこの滞納の整理をいかにするかという問題は、今日税務行政の上におきまして最もむずかしい問題で、また最も力を注いでおる問題であります。しかしながら何と申しましても滞納になる原因を除去するということが困難であるのであります。原因と申しますると、すなわち賦課の面において今少しく十分に調査をいたしまして、納税者の方にほんとうに実質上不満がないというところまでに、納得が行くように十分に説明もして差上げるし、また調査もして差上げるということが、前提として非常に必要じやないかというふうに考えておるのであります。従つてこの二十五年度の所得税の決定につきましては、昨年度は実際に調査ができました件数が納税者の一八%でございますが、本年度は何とかして四〇%程度までそれを多くして行きたい。そしてその他の現実の調査をなし得ないものにつきましても、その戸に臨みまして、たとえば商品の大体の在庫の量であるとか、店の規模であるとか、従業員の数であるとか、そういうような外形的に簡単に捕捉できるものは必ず捕捉するそういうようなことによりまして、できるだけ調査を実情に合致したものにし、また納税者の納得の得られるような方向に持つて行く、そういうふうに考えておる次第であります。そういうふうな見地からいたしまして、今回提案されております所得税法の改正の中にも、明年一月になつております営業等の申告の期限を一箇月延期していただきまして、その間に調査も今少しく十分にする。しかしまた申告を出していただきます際のいろいろなお手伝いも十分にできるようにいたしたい、そういうふうに考えておる次第であります。しかして昨年度におきましては実は相当大幅な不納欠損の処分をいたしたのであります。不納欠損の処分をいたしますと、ややもすれば納めずにがんばつておれば、その課税が適当であるといなとにかかわらず、結局は負けてもらえるのだというふうな感じを与えるおそれもございますし、またその間不正を生ずるおそれもございますので、今年度は不納欠損の処分はできるだけ差控える。はつきりといたしたものにつきましては、もちろん不納欠損の処分をするのでありますが、原則としてその取扱いを非常に愼重にして、できるだけ着実に一件々々片づけて行くという方向に持つて行きたいと考えておるのであります。なお御承知の通り滞納が一番累積しておりますのは大阪局管内であります。東京局または福岡というふうな大工業地と申しますか、都会地に集中しておりますので、そういうような方面にできるだけ税務署員を配置転換して集中いたしまして、これが整理の促進をはかることにいたしておる次第であります。
  92. 川島金次

    川島委員 そこで重ねてお伺いするのですが、過年度の滞納、本年度の分の滞納合せて一千億、これに対してさだめし本年に入つてからも引続き悪質な者に対しては差押えあるいは強硬な公売等を行つて来ておるのじやないかと思いますが、その差押えの状況、公売の状況は現在一体どういうふうになつておるかということを重ねてお伺いいたします。たしか本年の正月中は、悪質な者は別ですが、そうでないやむを得ざる者に対しては差押え、公売は遠慮するという建前で進んだ。また国会もそれを希望したのですが、悪質でない者でもおそらく国税庁の方では、年末、年始にかけて差押え公売を予定している者が、今年もさだめし多かろうと思うのですが、そういう面に対しても年末、年始には公売等の強硬非常手段を回避し、できるだけ別な面で納税を促進するような方法をとる方が好ましいのではないかと私は思う。この二つのことについて、御意見なり状況なりをお聞かせ願いたいと思います。
  93. 高橋衛

    ○高橋(衛)政府委員 ただいま手元に差押え件数並びに公売の件数の資料を持つておりませんので、後ほど差上げたいと思います。  なお年末年始の差押え、公売等の処分については、昨年国会において約束いたしまして、ある程度の考慮をいたしたのでありますが、実は昨年と違いまして滞納の金額も非常に累積して大きくなつてつておりますし、またちようど十二月という月は、何と申しましても金の非常に多く動く月であります。また滞納の内訳を見ますと、税金を滞納しておりまして、その滞納した税金を新しい設備の拡充や商品の仕入れというような方面に使つておられるという面が、多々発見されておるのであります。従いましてわれわれの方で悪質だと見られる方々につきましては、やはりある程度やらざるを得ない。しかし一般的な考え方といたしましては、できるだけ現金でもつて納めていただくという方向に、国税庁といたしましては努力いたしまして強制的な処分はそういう悪質な方を除いては差控えたい、こういうふうに考えておる次第であります。
  94. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 その他御質問はありませんか。     —————————————
  95. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 それでは国民金融公庫法の一部を改正する法律案についての質疑を許します。竹村君。
  96. 竹村奈良一

    ○竹村委員 朝からの川島委員の質問したことで、私もう少し聞きたいところがあるのです。それは金融公庫貸付金回収の問題でありますけれども、これは大体貸し付けたその次の月から月割で回収しておる。こういうことになりますと、この国民金融公庫の性質から考えて、非常にそういうようなやり方は間違つているのではないか、こう考えるのです。なぜならば、わずか五万円なり十万円の——これは庶民金融公庫であつて、しかも五万円なり十万円を借りるというのは、これは生計を維持するための小さい商売であります。今月五万円借りて来月からすぐ月賦で返す見込みの立つものであるならば——おそらく現在の世の中においてはそう簡単にそういう商売は見つからない。従つて回収方法につきましては、少くも六箇月ないし八箇月くらいのすえ置きで、その後に回収するのがほんとう国民金融公庫趣旨に沿うものであると思うのでありますけれども、貸出し方法についてこういうような思い切つた改正をされる意思はないか。こういう制度もありますけれども、実際においては行われていない現状でありますから、制度上少くとも六箇月ないし八箇月後において月賦回収する、こういう規定を設けられる意思があるかどうか、この点をお聞きいたしたいと思います。
  97. 舟山正吉

    舟山政府委員 けさほども申し上げましたように、現在のところは資金量関係もありまして、資金をできるだけ早く回転させて、多くの人に利用させるという方針もございまして、このすえ置き期間を認めておらぬのでありますが、御指摘のような不便の点もありますので、すえ置き期間を設けますようにひとつ研究してみたいと思います。
  98. 竹村奈良一

    ○竹村委員 研究されるのですからそれ以上は申し上げませんが、金融公庫の性質上、長い研究期間もいらないと思う。今聞いておりますと、もちろん資金関係もある、こうおつしやいましたけれども、先般来のこの問題に対する質疑の御答弁によると六十億ふやせば大体行ける、こういうお見込を立つておられる。資金関係ということになると、局長自身もそういう言葉の下から、六十億では資金が不足であるということをみずからお認めになつたのでありますから、今度の補正予算は別といたしましても、少くとも通常予算からは六十億ではなく、これよりも三倍ないし四倍くらい資金を増額して六箇月ないし八箇月、一年くらいはすえ置き期間を置く、そういう方法でそこまで研究の結論を得てもらいたいと思うのですが、結論を得させる気があるかどうか、この点をお伺いいたしたい。
  99. 舟山正吉

    舟山政府委員 私といたしましては、すえ置き期間を設けるように指導したいと考えております。資金量の問題は、実は中小企業に対するほかの施策、すなわち見返り資金とかあるいは中小企業の信用保険制度が近く実施せられますので、そういうようなものが実施されて参りますと、公庫だけに対する借入れ見込の重圧というものも減つて参る。従つて同じ資金でありましても、政府機関を設けるというような持主もできて来るという見込みを持つているのでございます。
  100. 竹村奈良一

    ○竹村委員 資金の問題で、これは局長に聞くのはどうかと思いますけれども資金はないとおつしやいますけれども、あるのではないか。たとえば預金部資金で三百四十億、あるいは見返り資金で五百八十億というものがそのまま放置されている。こういうものをお出しになれば幾らでも出て来るではないか。ずいぶん金は遊んでいるわけです。それをお出しにならぬのは私はどうもふしぎであると思います。見返り資金あるいは預金部資金等、これは日本政府のままにならぬというようなことを聞いておるのでありますけれども、日本の金であるならばやはり日本政府のままになるのが当然であると考える。こういうものからどんどんお出しになれば、幾らでも資金は出て来ると思うのですが、こういうものからさつそくお出しになる考えはありませんか。
  101. 舟山正吉

    舟山政府委員 預金部資金見返り資金の市中還元をいうことはわれわれも熱望し長い間の懸案であつたのでありますが、預金部資金運用方法の改善も許されまして、この見返り資金も大いに早急に地方に還流する方針をとつておりますので、近く御期待に沿い得ることと考えております。
  102. 田中織之進

    ○田中(織)委員 実は今度の十億の増資では、庶民金融の圧倒的需要に対してまさに焼石に水の感を持つのであります。ただいま竹村君からも資金量の問題についてもつと思い切つた処置が要求せられたのでありますが、私もその点まさに同感であります。特に銀行局長に対してお伺いしたいのでありますが、ことしの九月のジエーン台風の復旧対策の問題で、林副総理以下政府の首脳部が関西の現地に参りまして大阪で会議を開いたときに、大蔵省を代表して銀行局長も出られたのでありますが、ああいう災害の場合の、ことに個人の住宅その他が非常に被害を受け、こういうものに対する国の補助とか補償とかいうものがない段階において勢い金融的な面において、自己の責任において復旧をやらなければならない。こういう事態に直面した場合に、銀行局長国民金融公庫活用ということについて大蔵省としても考える。しかし何分公庫の金はすでに八月末で予定しただけの金が出てしまつておるので、新たなるこういう災害等による需要に対しては全然応じ切れない。従つて法律改正をやらないで、何か公庫法律の運用によつてできる方法がないだろうかということも研究してみたが、どうしても立法的な措置を要するということで、せつかく考えくださつたそうでありますけれども国民金融公庫がジエーン台風その他の災害等の庶民金融の切実な要求に対して何らこたえられなかつたのであります。ああいう災害等はたびたび起つてもらつては困るのでありますが、自然の暴威でありますから、いつ起るか知れないのであります。そういう事態に現在の庶民金融が非常に狭き門を形成しておる段階において、将来そういう災害か起つたような場合に、公庫として対処し得るような態勢は、せつかくこういう改正法律案が出るならば、当然行われてしかるべきだと思います。これは局長大蔵省を代表しての、関西の罹災者に対する公約の一つの実施でもあろうと思うのでありますが、今回の改正にあたつて、そういう点をどういうように盛り込まれておるか。この点についてお答え願いたいと思います。
  103. 舟山正吉

    舟山政府委員 先般の災害におきまして、ちようど折あしく公庫におきましては預金部資金を使う道がなかつた。それで突発的な事故に際しまして資金が足りなくて活動ができなかつたという事態でありましてはなはだ残念なことであつた考えておる次第でございます。今回の改正につきましては、とりあえず今年度の補正予算と関連しまして、今年度内の公庫の活動に支障のない程度出資をすることにとどめておる次第でございます。それ以外の要素、たとえば預金部資金をどういうふうにするかという問題は、引続きます通常国会において提案をしたいというふうに考えておる次第であります。
  104. 田中織之進

    ○田中(織)委員 これは災害というようなものについて予想をしない庶民金融というものは、その需要に対してまさに焼石に水だと思うのでありますが、その一部分を今度の十億の出資増加によつて充足できるであろうということは、期待できるのでありますが、災害の場合の局長として一番お考えなつた点は、ああいう場合に、たとえば政府増資分に——いわゆる出資分に対するところの、たとえば農林中金その他に行われておるようような形における借入れ限度というようなものを、あらかじめ設定されておると、それを発動して公庫として新たなる資金を借り入れることによつて、それを貸し付けるというような方法も講ぜられると思うのであります。そういう点については今回の改正にあたつて配慮されなかつたのかどうか。
  105. 舟山正吉

    舟山政府委員 公庫の事業運営につきましては、借入れあるいは資金回収その他貸出しというようなものを予算に組みまして、国会の御審議を願わなければならぬことになつておるのであります。金融機関の性質といたしまして、そういうような制約のあることは非常に適当ではないのでありまして、公庫につきましても、でき得れば、損益、予算等は御審議願うのが適当かと思いますけれども、事業についてはもう少し自由に活動できますように、制度自体を改めたいという念願があるのでありますが、今回の提案までにはその点が解決がつかなかつたのでございます。来年度のことは目下研究中でございますが、ぜひそういう借入金等のできるような仕組みにしたいというふうに考えております。
  106. 田中織之進

    ○田中(織)委員 これは根本的に公庫の機構についても考えなければならぬ。しかし今のように公庫資金量というようなものが予算で縛られるというところに、最大のネツクがあると思いますが、当然通常国会には二十六年度の予算として、一応公庫に対する来年度の資金需要を想定したところの出資増加分も計上されることと承知するのであります。そういう機会に当然今問題になつている点についての根本的な一つの弾力性ある運用ができるようにやつていただきたい。これは舟山銀行局長も関西のジエーン台風の機会に、こういう災害のときにも、予算で縛られているという点を改めることができるならば、国民金融公庫活用することによつて救い得るんだということを言明している。これは大蔵省を代表してのことでありますが、これはただ単に関西の災害の罹災者だけの問題でなくて、私はこれは公庫にたよらざるを得ない勤労大衆の金融に対する熱望にこたえる道だと思いますので、ぜひ通常国会に出まする二十六年度予算における出資増加の分に伴つて、当然この法律の改正も再び行われることと思いますので、その改正の機会には、ぜひともそれを実現していただきたいということを強く希望しておきます。  それから次に十億の出資増加分の全国的な配分の問題でありますが、東京にある公庫の本庁で扱います部分がそのほとんどを占めるであろうということは、勢いやむを得ないことと思いますが、地方には公庫の代理機関あるいは支所等があるわけでありますけれども、そこにおいては新たなる資金需要に対応するだけの公庫資金の配分というものがきわめて不十分である。どこへ行つても殺到しているが、回収される限度に基いてせいぜい一口か二口くらいしかやれないというのが、私の郷里の和歌山県などはまさにその例でありまして、庶民金融を熱望する者が地方にもむしろ多くあるということも一面考えなければならぬと思うので、この地方的な配分については、公庫自体が計画を立てるに違いないと思いますが、大蔵当局としても十分その点には関心を持つておると思いますので、どういう計画になつておるか。従来の資金の配付の関係ともにらみ合せて、今度の場合にはどういうようにそれをお考えになつておるか、伺つておきたいと思います。
  107. 舟山正吉

    舟山政府委員 この公庫貸付は東京、大阪、名古屋というような大都市に非常にたくさん出ておることは事実でございます。しかし一面考えますれば、これらの都市の経済力を見ますと、日本の経済力の主要な部分を占めておるのでありまして、この資金の割振りにつきましては、各地の人口とかあるいは各地における借入れ申込みの希望額とかいうものを参酌いたしまして、公庫においてわくをきめる。なお機械的に算出しました計数について適当な調整を加えまして各支所資金わくを配分するのでございます。ただいままでのところは、大都市に結果として相当重点が置かれておるということは、やむを得ないことかと考えております。しかし今後は御趣旨に沿いまして地方の状況をも十分考えるように指導いたしたいと考えております。さしあたつて今度の増資分については、まだ私の方には資金の配分案等の提出はございません。
  108. 田中織之進

    ○田中(織)委員 勢い公庫で庶民金融方面に流し得る資金量が少いというところに、帰着するわけでありますが、こういうものが、国の施設として考えられておるならば、勢いそれは大都市を中心にするということの方向は、私も是認するものでありますけれども、大都市以外の地方において、やはり庶民金融に最も困つておる人たちもたくさんあるわけでありますから、国の施設である以上、これらのものにも均霑するような、従つて資金量というものを国が供給しなければならない責任があると私は思う。そうでないならば、地方におるものは国民金融公庫というありがたい銀行があるそうだがということで、ただ指をくわえて見ておるというだけでは、決して金融難が打開されない。従つて資金量の推定決定にあたりましては、特にこの点を重視していただきまして、結論は先ほど竹村君あるいは午前中川島君からも指摘したことと思いますが、来二十六年度の予算の全貌が何ゆえか政府によつてこの国会に明らかにされないのであります。まだコンクリートなものでないならば、特に国民金融公庫を通じて庶民金融の非常に交錯した中に、政府ほんとうにすずめの涙ほどの社会政策的な金融面における配慮を行うといたしまするならば、この面に最大限度の資金量を流すように、特に銀行局長せつかくの努力を要望いたしまして私の質問を終ります。
  109. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 ほかに本案に対して御質疑はありませんか。
  110. 宮幡靖

    宮幡委員 一昨日でしたかの委員会におきまして、本法案審議のための資料としまして、現在の資本金額に対します資本コスト表、並びに十億増資後、明年度もし二十億の資金が増加されました場合のコスト表の提出を資料として要求してありますが、すでに各委員の質疑によりまして当面の問題は尽されたように考えますので、これは本法案との並行審議は一時やめまして本国会開会中に資料を提出していただくようにお願いいたします。
  111. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 承知しました。
  112. 奧村又十郎

    ○奧村委員 ただいま審査中の国民金融公庫法の一部を改正する法律案につきましては、大体質疑も尽きたと思いますので、本案に関しましては、大蔵大臣に対する質疑のみを留保いたしまして、質疑を打切られんことを望みます。
  113. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 奥村君の動議に異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  114. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 それではさようとりはからいます。  本日はこれをもつて散会いたします。     午後四時十四分散会