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1950-11-27 第9回国会 衆議院 大蔵委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年十一月二十七日(月曜日)     午前十時三十六分開議  出席委員    委員長 夏堀源三郎君    理事 奧村又十郎君 理事 小山 長規君    理事 西村 直己君 理事 天野  久君       有田 二郎君    大上  司君       川野 芳滿君    島村 一郎君       高間 松吉君    田中 啓一君       三宅 則義君    宮幡  靖君       宮腰 喜助君    川島 金次君       米原  昶君    竹村奈良一君  出席国務大臣         農 林 大 臣 廣川 弘禪君  出席政府委員         大蔵政務次官  西川甚五郎君         大蔵事務官         (主税局長)  平田敬一郎君         農林政務次官  島村 軍次君  委員外出席者         大蔵事務官         (主税局税関部         長)      石田  正君         大蔵事務官         (銀行局長)  舟山 正吉君         大蔵事務官         (銀行局特殊金         融課長)    飯田 良一君         国民金融公庫理         事       最上 孝敬君         專  門  員 椎木 文也君         專  門  員 黒田 久太君 十一月二十七日  委員羽田野次郎君辞任につき、その補欠として  中野四郎君が議長の指名で委員に選任された。 同月二十七日  理事稻田柳右エ門君の補欠として天野久君が  理事に当選した。     ————————————— 十一月二十五日  食糧輸入税を免除する法律の一部を改正する  法律案内閣提出第五号) 同月二十六日  国民金融公庫法の一部を改正する法律案内閣  提出第六号) の審査を本委員会付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  理事の互選  食糧輸入税を免除する法律の一部を改正する  法律案内閣提出第五号)  国民金融公庫法の一部を改正する法律案内閣  提出第六号)  税制改正案に関する件     —————————————
  2. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 これより会議を開きます。  議案の審査に入ります前にお諮りいたします。実は去る二十四日、理事稻田柳右エ門君が委員を辞任されました結果、理事が一名欠員なつております。この際理事一名の欠員選任を行いたいと存じますが、前例によりまして、委員長において指名いたすに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 御異議なしと認めます。それでは同日早稻田柳右エ門君のかわりに本委員となりました天野久君を理事に指名いたします。     —————————————
  4. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 次に一昨二十五日本委員会付託に相なりました食糧輸入税を免除する法律の一部を改正する法律案、及び日程追加をいたしまして、昨二十六日同じく本委員会付託に相なりました国民金融公庫法の一部を改正する法律案の両案を一括議題といたしまして、まず政府当局より説明を求めます。西川政府委員。     —————————————
  5. 西川甚五郎

    西川政府委員 ただいま議題となりました食糧輸入税を免除する法律の一部を改正する法律案外一法律案について、その提出理由を御説明いたします。  まず食糧輸入税を免除する法律の一部を改正する法律案について御説明いたします。米、麦、雑穀、澱粉、カン詰等食糧に対しましては、昨年法律第二百二十三号をもちまして、その輸入税を本年一箇年間免除することといたしたのでありまするが、わが国現下食糧事情にかんがみまして、右食糧輸入税をさらに一箇年間免除することが適当と思われまするので、本法案提出いたした次度であります。  次に国民金融公庫法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由を御説明いたします。最近の金融情勢におきましては、国民大衆が生活の再建のための生業資金として、一般金融機関から資金の融通を受けることは、きわめて困難な状態にありまするので、この種の資金供給を行う国民金融公庫に対する資金需要は、はなはだ多いのであります。本公庫は発足以来再度の増資を行い、本年の十月末までに普通小口貸付三十三億一千万円、更生資金九億五千万円の貸付を行い、鋭意その目的の完遂に努力して参つたのでありまするが、昭和二十五年度に入りましては、本年度増資分十二億円は八月末において貸付を終り、九月以降の貸付は既往の貸付金回收金のみに依存せざるを得ず、増大する資金需要に対処するには、きわめて不十分な状態となつたのであります。よつてこの際国民金融公庫法の一部を改正いたしまして、資本金三十億円を四十億円に増加することとし、本法律案提出した次第でございます。何とぞ御審議の上、以上二法案についてすみやかに御賛成あらんことをお願い申し上げます。
  6. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 質疑を許します。奥村君。
  7. 奧村又十郎

    奧村委員 国民金融公庫法について二、三お尋ねを申し上げたいと思います。  ただいまの法案提案理由説明の中にも、国民金融公庫資金供給を非常に望んでおる。それでこの公庫増資の必要が認められておるわけでありますが、最近における金融公庫に対する融資申込み状況及び資付状況、つまり申込み状況に対して資付が大体どの程度の率になつておるか、お伺いいたしたいと思います。
  8. 舟山正吉

    舟山説明員 ただいまの提案理由にも説明いたしましたように、公庫は本年度十二億の増資をいたしたのであります。本来はこの増資額は今年度一ぱいの貸出し資金に充てるべきものとも考えられるのでありますが、現下金融情勢にかんがみまして極力貸出しを促進いたしたのであります。それで四月以降の借入れ申込み並びに貸付金額概算をもつて申し上げますると、申込み金額は四月には十二億九千三百万円、五月は十二億二千六百万円、六月は十億一千五百万円、七月は十億二千一百万円、八月は九億八千七百万円、九月が九億六千五百万円、十月がまたふえまして十一億三千百万円、この四月ないし十月の累計が七十六億三千八百万円、一月大体十一億平均に相なります。それに対しまして貸付金額は四月が一億九千八百万円、五月が二億七千三百万円、六月が三億五千三百万円、七月が三億三千万円、八月が三億九百万円、九月が二億一千一百万円、十月が二億一千万円、その累計が十八億でございまして、月平均は二億七千万円に相なります。これで資金の方といたしましては大体毎月一億二千万円見当回收金がございますので、これで收支を合せておるという状況でございます。
  9. 奧村又十郎

    奧村委員 そういたしますと、四月の場合十二億の申込みに対して貸付が一億九千万円、五月が十二億の申込みに対して貸付が二億ということになつておりますが、これは資金がなくて貸せなかつたのか、あるいは事務上の手続が遅れて貸せなかつたのか、この点をお尋ねいたします。
  10. 舟山正吉

    舟山説明員 申込みは一応ございますが、そのうち過去の実績に徴しまして、ほとんど貸出しの問題にならぬというものも入つておるわけであります。それで大体適格まあ貸し出してもこれは適当であろうと考えられるのは、大体過去の実績に徴しますと四割以下ということになります。そのうちから手続その他の進行いたしましたものを、現実に貸出しすることになつております。
  11. 奧村又十郎

    奧村委員 御答弁によりますと、それでは四月から十月までの申込み累計七十六億の中には、貸出し條件適格でないものが約四割含まれておる、こういうふうに受取れるのでありますが、その通りですか。
  12. 舟山正吉

    舟山説明員 総貸出しのうち、貸出しを考えてよろしいのが四割以下ということでありまして、六割見当はもう貸出しの対象としては問題にならぬというものが含まれているわけであります。
  13. 奧村又十郎

    奧村委員 毎月の申込みのうち、たとえば四月で断られたものが五月にまわるとか、あるいは四月に断られたのでなくして、事務手続が延びて五月に繰延べになつているというのが四月、五月と順繰りに繰延べになつている点があるので、七十六億という累計の中にはかなり重複した分がある、こういうふうに考えられますが、その点はいかがですか。
  14. 舟山正吉

    舟山説明員 申込みを受けましたものをその月に処理できるとは限りませんので、申込みを受けました月の次の月以降に貸し付けてあるものもあると思います。それは当該貸付相手先によりまして調査の日取等も違いますので、そういうずれはあるわけでございますが、ただ申し上げましたのは一応申込み申込みとして月別に、現実に貸し付けましたものは貸付として、その月別に整理した計数でございます。
  15. 奧村又十郎

    奧村委員 ことしの夏われわれ大蔵委員会国政調査で、各地方状況調査した際に、地方の特に希望されたのは、連帶貸付の五十万円口、これを非常に中小企業者が希望せられておつたのでありますが、これがはなはだ申込みに対して貸付割合が少い。特に五十万円口の貸付申込み及び貸付状況の何か御調査があつたら、御報告を願いたい。
  16. 舟山正吉

    舟山説明員 ただいまの点は今資料を探しまして御報告申し上げます。
  17. 奧村又十郎

    奧村委員 かようにして申込みに対して貸付割合がはなだはだ少い。実際貸付資金は各府県に対して割当てておられるように存じますが、それはどういう基準によつて割当てておられるのか。地方ごとに不公平があつては困ると思うのでありますが、その割当方法について何か基準があればお伺いしたい。
  18. 舟山正吉

    舟山説明員 公庫貸付資金が限られておりますので、これは各府県別あるいは言いかえれば公庫支所別に大体の貸付わくを示しまして、その範囲内で貸出しをしているのであります。そのわく決定はやはりその地方経済力考えなければなりませんので、その地方の人口とか産業の諸計数、あるいは金融上の緒計数とかを総合いたしまして、割振つているわけでございます。
  19. 奧村又十郎

    奧村委員 公庫貸付について地方信用組合に取扱い事務を委任せられているところがあるように思うのであります。ところが、この信用組合の取扱いについて、これまたその貸付金額を割当てているようであります。これは信用組合預金に比例して割当てているようでありますが、これはどういう理由でそういうことをなさるのかお伺いいたします。
  20. 舟山正吉

    舟山説明員 全国に代理所は二十五年十月末で四百三十四ございます。公庫の本支所数が三十でありますので、現実に貸出しの決定をいたします上に、こういう代理所制を設けておるのでございます。これにつきましては、やはり貸し出しましたあと管理能力とか、あるいはその地方における金融需要方面とかを考えなければなりませんので、これは一応公平な基準といたしまして、その代理所資金力というものを基準といたしております。
  21. 奧村又十郎

    奧村委員 特に連帶貸付の五十万の融資については、まだまだ増加いたすべきだと思うのでありますが、これに対する明細な資料がありませんから、追つて申し上げたいと思います。  少し問題をかえてお尋ねいたしたいと思うのでありますが、今回この法律案に要求せられておるように、資金を三十億円を四十億円にふやす。これは一般会計から繰入れることになつておるはずでありますが、公庫はまだまだ資金が足りない。今後とも一般会計から繰入れるという方法のみによつて資金をふやすのであるか。資金のほかに、何とか預金部資金をこの公庫に振り向ける方法考えなければならぬと思うのでありますが、これについて政府当局は、今後の公庫資金あるいは融資の金繰りについて、どういう御方法考えておるか、お尋ねいたします。
  22. 舟山正吉

    舟山説明員 御指摘の通り政府出資だけでは公庫の十分な活動も期待できませんので、もう少し資金をふやしたいと考えております。それには預金部資金などは最もかつこうなものだろうと考えております。過去におきましても、公庫法解釈預金部資金を使えないとは解釈できない、使えるのではないかという解釈もできると思うのでありますが、御承知の通り公庫事業貸付及び借入れというものは、予算立てなければならないということになつておりますために、前国会では補正予算提出することがなかつたために、これまでのところは、公庫預金部資金を使うことができなかつた次第であります。今後におきましては、預金部資金公庫の方に導入して使えるようにいたしたいと考えておるのでございます。来年度の問題といたしまして、あるいは国民金融公庫予算上これを計上し、あるいは預金部資金運用改善に伴いまして、そちらの方に、公庫に対して預金部資金を導入することが可能になるように、はつきり規定を設けまして、そういう手続をいたしまして預金部資金を使つて参りたいと考えております。
  23. 奧村又十郎

    奧村委員 私は今後公庫に対して一般会計から資金を繰入れるということは反対であつて預金部資金公庫融資することが最も妥当な方法と思うのであります。そこで具体的に預金部資金公庫へ運用するについては、公庫地方債などのように金融債を発行するのであるか。そうでなしに、公庫への債権として預金部資金を運用するのであるか。その具体的な方法はどういうふうに考えておられるのでありますか。
  24. 舟山正吉

    舟山説明員 国民金融公庫政府機関でありますので、これが債券の発行を認めていいかどうか、あるいは預金部から公庫長期借入れをすることで、事足りるのであるかどうかということにつきましては、法制上の問題として目下検討中でございます。そのいずれによりまするにせよ、預金部資金を使うことが可能であり、また非常に望ましいことであると考えております。
  25. 竹村奈良一

    竹村委員 先ほどの質問の中で少しはつきりせぬことだけをお聞きしたいと思います。大体今まで七十六億の貸付の中で、四割だけが出された。六割というものは貸すにたえない不適格者である、こういうような御説明であつたのでありますが、そういたしますと、これは現在申込みのある中で、適格者資金関係で貸せなかつたのが何割あるかお聞きしたい。
  26. 舟山正吉

    舟山説明員 四月から十月まで大体借入れ申込み月平均十一億であります。そこで六割が初めから貸付適格であるとしてこれを控除いたしますと、残りは四億四千万円でありますが、そのうち現実には二億七千万円が貸し出されているのでございます。そこでこの四割と申しますのも、過去の一年有余の実績に基く数字でございまして、必ずしも絶対のものではありませんが、公庫資金不足のために、貸し出してもよいものを貸し出し得なかつたということはあるわけであります。
  27. 竹村奈良一

    竹村委員 そういたしますと、この国民金融公庫の利用は、一応こういうようないろいろな点において金詰まり等が起つて参りますと、ずいぶん多く必要とするわけでありますが、今までの実績から見ても、十億の増額だけでは数字が非常に不足じやないか。それをこういう問題について大体十億にとめられるということは、もちろんいろいろな関係でありましようけれども、こういう庶民金融公庫の問題を、過去の実績から見ても大体十億では不足だということは、はつきりしているにもかかわらず、十億にとめられたのは——一体もつと要求されなかつたのかどうか。その辺をお聞きしたい。
  28. 舟山正吉

    舟山説明員 本年度も押し詰まりまして、今回の国会で御審議願つてこの増資が実現いたしましても、現実公庫が活動するのは一月から三月ということに相なります。そこで従来公庫の取扱い得ます事務能力考えまして、これ以上の金を現実に貸し出すことも不可能であり、かたわら毎月一億から二億の間の回收金もございます。これを合せますれば、一月から三月までの需要は、この貸出し能力もあわせ考えまして、大体この点で事足りるのではないかと考えたのでございまして、来年度予算にはさらに来年度資金として増資を計画いたしたいと考えております。
  29. 竹村奈良一

    竹村委員 国民金融公庫の問題はあとへ保留しまして、食糧輸入の問題についてお伺いいたしたいと思いますが、いいですか。
  30. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 どうぞ……。
  31. 竹村奈良一

    竹村委員 ひとつ農林大臣にお伺いいたしたいのでございます。外国食糧輸入税を免除するという法案提案されておるわけでありますが、この問題につきましては、従来はいろいろこのまま続けて来られたのでありますけれども、今後は少し考えをかえなくちやならぬのではないかと考えるわけであります。農林大臣もあるいは政府からもときどき声明されておるように、この二十六年度麦類については統制撤廃する、こういうように言明されておるのでありますから、その統制撤廃構想、これを承りませんと——外国食糧輸入に対して輸入税を免除いたしますということは、国内におきまするところの農業生産と非常に重大な関係があると考えますので、まず第一に麦類統制撤廃する構想につきまして、撤廃しても單なる撤廃で終るのか、あるいは撤廃後どういうような形において麦価の維持を考えておられるのか、この辺をひとつ農林大臣から詳細に承りたいと思います。
  32. 廣川弘禪

    廣川国務大臣 お答え申し上げます。麦の統制をはずして行くことはただいまお話の通りでありますが、ただこれをはずし放しにするのでなく、農民の希望によつて希望するだけの麦を買い入れる方式で参りますので、決して市場を圧迫して農民に損害を與えるような価格にはならないと考えております。
  33. 竹村奈良一

    竹村委員 今承りますならば、統制撤廃は單なる自由放任じやない。そうして農民の欲する分だけは政府が買い上げる。こういう構想でおられるということがわかつたのであります。そういたしますと、その場合における麦価決定は一体どういうような形でやられるのか。従来のような。パリテイー指数によつて行うとするならば、これもまた輸入税を免除するということに関係するのでありますから、パリテイー指数で行われるのかあるいはまたどういう形で麦価決定されるのか、こういうような点について承りたいと思います。
  34. 廣川弘禪

    廣川国務大臣 来年度買入れの麦の価格その他については目下検討中であります。毎々申し上げておる通り、決して本年度価格を下まわるというようなことのないように、目下検討中でございます。
  35. 竹村奈良一

    竹村委員 しかし本年度麦価より下まわるというようなことでは、おそらくいくら政府がお買上げになろうといたしましても、農民自身は売らないだろうと思います。そこで問題になるのは、そういうのじやなしに、大体従来のようなパリティー指数基礎として麦価決定されるとするならば、農民は実際に生産費を償えないのですから売らない。これを農民政府に売らないとするならば、向うが生産過剰となり、いろいろな形で、たとえて言いますと麦のダンピングを行うという場合に、日本輸入税撤廃いたしますならば、向う食糧がどんどん入つて来る。そういたしますと、こちらはパリテイー指数か何かで安い価格できめて、もしこれで百姓が、売らなかつたならば、農民政府に売らなかつたなら、向うからどんどん入れて来るということになると、結果におきましては、やはりその意図のいかんにかかわらず農民を圧迫することになると思いますので、大体やはり従来のようなパリテイー指数できめられるのか、あるいは現在日本国内におけるところの生産費を中心として、正しい生産費計算に基いて買い上げられるかという点が重大になつて来るのでありまして、この点をはつきり伺つておかないで、うかうかこれに賛成いたしますならば——この点は重大な問題でありますのではつきり伺いたい。
  36. 廣川弘禪

    廣川国務大臣 これは毎々問題になることでありますが、生産費基礎としての価格決定と、パリティー指数基礎にしての価格決定とあるのであります。その辺は、農民の現在の情勢をよくとらえまして、單にパリテイー指数できめるにいたしましても、それにアルファーという一つのものを加えて調節をはかる方途もあります。農民が売らないような価格をきめて、外国から入れるというような考えは決して持つておりませんので、その点を十分考慮して目下検討中でございます。
  37. 竹村奈良一

    竹村委員 それではもう一つ違う方面からお聞きしたいのであります。朝鮮事変が起りましてから、国内麦類あるいは米その他の食糧で、朝鮮に輸出されたものは一体どれくらいあるか。しかも今後この輸出と輸入関係は、国内産を輸出されて外国食糧輸入されることになるのか。あるいは輸入された外国食糧朝鮮に輸出されることになるのか。この辺をお伺いいたしたいのであります。
  38. 廣川弘禪

    廣川国務大臣 朝鮮に輸出いたしましたのは非常に少い数量でありまして、おもに外国産のもので概算六万トン程度であります。これは二箇月以内に同質同量のものをアメリカより補填するという契約のもとに、出しておる次第であります。
  39. 竹村奈良一

    竹村委員 そういたしますと、この朝鮮に輸出する分につきましては、結局アメリカからそれだけ輸入する。そうして関税をとらないで、その価格で輸出されるということになるのでありますか。あるいはまた国内必要食糧だからこれは免税して、朝鮮に輸出する分はやはり関税をとるというのか。この辺はどうです。
  40. 廣川弘禪

    廣川国務大臣 朝鮮に出したものは、單にこれは立てかえというようにお考え願えば、御解釈が願えるじやないかと思つております。
  41. 竹村奈良一

    竹村委員 立てかえというような形でありますならば、この代金の決済あるいはその他等についてもいろいろ問題があると思いますが、そういう点は別問題として、そういう立てかえというような制度は、日本国内法から考えて一体どういう法律に準拠してやられているのか伺いたい。
  42. 廣川弘禪

    廣川国務大臣 その事務的なこまかいことは私は実はわかりませんので、あと説明員から説明いたさせます。
  43. 竹村奈良一

    竹村委員 それではもう一つお伺いいたしたいのであります。先ほど大臣は、生産費等を十分考慮して、輸入食糧がどんどん入つて国内農民を圧迫しない形にしたい、こういう言明をされておるのであります。そういうことを考えられておりますが、現実の問題としては、もちろん事変がどんどん進展いたしますと、また別に考えられることだと思いますけれども、しかし事変がこのままの形で終つたとするならば、おそらく世界食糧事情から考えましても、麦や小麦は非常に過剰生産なつている。私はそういうように考えます。勢いどんどん流れ込んで来るということになりますと、圧迫しないと言いましても、実際においては圧迫の形になつて来る。事変が一年も続くというならば別でありますけれども、続かない場合におきましては、そういうことになると輸入食糧の免税ということが問題になつて参るのであります。そういう場合におきましても、この法律が通過した後一年間は、どうしてもこの法律通りにやつて行くと言われるのか。あるいはそういう場合には、途中で臨時国会でもお開きになつてこれを訂正するというのか。その辺はどうです。
  44. 廣川弘禪

    廣川国務大臣 現在のところ、輸入食糧政府で管理することになつておりまするので、その点は御心配ないと思いますが、国内における食糧は二百万トンも足りないのでありまして、この一年間において大した変動はあるまいと考えるのであります。私は世界が真に平和になつ外国麦類等が非常に下り、あるいはまた米の輸入等も非常に大量に順調になつて来るというような場合は、法律というものは決してかえて悪いというものではないのでありますから、臨時国会なり何なり開いて直しても私はさしつかえないと思うのでありますが、少くとも一年間の見通しにおいては、私はこれでさしつかえないと考えております。
  45. 竹村奈良一

    竹村委員 もう一点だけお伺いしておきたいのでありますが、農林大臣は常に朗報で、一句増配というようなことを新聞で公約されておりますが、それが今度のこの計画から見ておりますと、増配され場ないようなことに見えるわけですが、一句増配するために輸入食糧を増大さす——こまかいことはあとで聞きますが、そういう構想はないのでありますか、この点をお聞かせ願いたいと思います。
  46. 廣川弘禪

    廣川国務大臣 私は一句増配をやるという言明をしたことはないので、そういう目途で事務の方で調査をしたらどうかというふうになつているのであります。ただ現在実質一月を増配するについて輸入量を増すということは、ただいま考えておりません。
  47. 小山長規

    ○小山委員 農林大臣に一言お伺いいたしますが、この食糧輸入税を免除する法律の立法の最初の趣旨は、ガリオア資金輸入するから免除するのである、こういうふうに従来説明されておつたのでありますが、この間の新聞の情報によりますと、来年の七月から対日援助資金は打切るというような話が出ておりますが、その場会百にもなおかつこの免税は続けられるつもりでありますか。
  48. 廣川弘禪

    廣川国務大臣 現在の日本の内地の食糧事情からいつて、ここ一年間くらいはこれでさしつかえたいと私は考えております。
  49. 小山長規

    ○小山委員 そういたしますと、農林大臣が言つておられますところの食糧一割増産との関連においては、これはじやまになりませんか。
  50. 廣川弘禪

    廣川国務大臣 一割増産いたしましても、私大してじやまにならぬと考えておりますが。
  51. 小山長規

    ○小山委員 それはそうお考えかもしれませんけれども、この輸入関税を置くか置かぬかということは、局内の価格政策を決定する大きなポイントだと思います。その場合に、その価格政策を決定するところの権限を政府が持つていないでおつて、ただかげ声で一割増産で行けるかどうか。要するに関税政策というものを通じて、一割増産を考えられなければならぬのじやないか。その点をお伺いいたします。
  52. 廣川弘禪

    廣川国務大臣 大きく考えれば、私は講和会議でも済みますと、おのずと事情もかわつて来ると思つております。しかし現在任立つている立場からいいますと、私たちは輸入食糧は国家が管理したいと思つておりまするから、その点で調節ができはせぬかと思うのであります。
  53. 米原昶

    ○米原委員 先ほど麦の値段が下つて農家を圧迫することはないというお話でした。そこで聞きたいのですが、今度米価を引上げて、大体の予定が、——昭和二十四年度は供出代金が総額どのくらいだつたのか、米と麦とをわけてお聞きしたいのですが、今度は買い上げるとして、大体その予定が立つて折衝中だと思いますが、それはどれくらいになつているのか、その点をお聞かせ願いたい。
  54. 廣川弘禪

    廣川国務大臣 食管特別会計の中の麦と米との買入れの総額の金額でございますか。——その数字は実はわかりませんので、これはあとで書類を差上げるようにいたします。
  55. 米原昶

    ○米原委員 私もその数字をほかで聞いたのですが、米の値段が上るといいながら、総額ではほとんどかわらないということを聞いております。これは寝際は米の値段を上げて、麦も少し上げるかもしれないが、これは対米比価が非常に低い。そうういうことになると、農奴は米はどんどん売つちやつて、麦を食わせられるというわけです。そういう形が来るのじやないか。しかもそこで今おつしやつたように輸人税をとらないということになつて来ると、実際上非常に圧迫するのじやないかと思います。二の点で農林大臣は少しごまかしておられるように私は思いますが、数字的にこの点今そのあたりにいらつしやる政府委員の方でわかつていらつしやれば、はつきり伺いたいと思います。
  56. 廣川弘禪

    廣川国務大臣 うちの方の政府委員は来ておりません。
  57. 米原昶

    ○米原委員 実際上は、麦の方は結局食管特別会計の範囲内で買い上げて、それ以上のものは買わない、こういうような態度をとられるのじやないかと予測がつくのじやないか。その点をはつきり説明願いたいと思います。
  58. 廣川弘禪

    廣川国務大臣 実は私しろうとでよくわからないのですが、基準年度のころの対米比価、ああいつたものに、統制をはずして行つて、自然にそこへ持つて行くのか、ほんとうじやないかという説もあるのです。しかし来年度におきましては、私たちとしては一割増産その他の関係からいつて、相当の価格は維持して行きたい、こう考えております。また総買上量につきましても、今までの供出量から見て、その供出量をずつと上まわる数字を私らの方は買い上げるようにいたしております。
  59. 米原昶

    ○米原委員 その点は食糧長官にあとで伺うとしまして、もう一つ……。承るところによると、例の食管特別会計のインベントリー・フアイナンスが中止になつたということを聞きましても、そういう金が実際にはそういうないので中止になつたのではないかと思いますが、これをあわせて考えているわけです。実際に米も麦も値段を上げるとすれば、これはインベントリー・フアイナンスの必要が生ずるのは当然だと思いますが、どういうわけで中止になつたのか、それを伺いたいのであります。
  60. 廣川弘禪

    廣川国務大臣 その中止になつ理由の真の問題は、これは大蔵大臣からお聞き願いたいと思いますが、ただ私たちの所管しておる方においては、われわれの買入れ数量とあの金額で十分操作できるということで、われわれの方は納得いたしておるのであります。
  61. 米原昶

    ○米原委員 そうしますと、食管特別会計を締めてみると、現在は赤字でなくて、黒字だということになるのでありますか。
  62. 廣川弘禪

    廣川国務大臣 お説の通りであります。
  63. 米原昶

    ○米原委員 そうしますと、もう一つ問題が出て来るのだが、消費者価格を上げるというお話ですが、これは上げる必要はないのじやないか。なぜお上げになるか。
  64. 廣川弘禪

    廣川国務大臣 上げるか上げないかは、実際まだ決定していないのであります。折衝中でありまして、世間に伝わつているところでは、大分上げるようになつておりますが、まだあんな点に行つておりません。現在折衝中でございます。
  65. 川島金次

    ○川島委員 大臣が見えておりますから、この機会に二、三のことをお伺いしたいのであります。他の委員から御質問があつたとすれば、それは別段御答弁はいりませんが、この機会に二十五年度における食糧輸入計画量と、ごく最近に至るまでの輸入実績量がどのくらいになつておるか。まず第一にそれをお聞きしたい。  第二は、前回の委員会に私おりませんでしたので、この機会に伺つておきたいのですが、輸入食糧価格——米麦が中心でよろしいのですが、わかつておれば教えてもらいたいのです。米麦の輸入価格、その価格に対する国内の国民消費価格との差額、それはどのくらいになつておりますか。まずこの二点をわかつておりましたならば、御説明願いたいと思います。
  66. 廣川弘禪

    廣川国務大臣 二十五年度輸入計画量は、概算三百四十万トンときめて計画いたしておつたのでありますが、いろいろな情勢からいたしまして、見込みが三百二十万トン買い入れる予定に現在いたしておるのであります。現在入つておる量は二百八十万トン内外と考えております。その他四十万トンがこれは買い入れ得る見込みということになつております。それから米のトン当りの価格は、最低百二十ドル、最高百五十ドル程度なつております。変の二とはちよつと覚えておりません。それから消費者価格に対するパーセンテージについては、ちよつと私書類を持つておりませんのでわかりませんが、あとでお知らせいたします。
  67. 川島金次

    ○川島委員 今の大臣説明によりますと、二十五年度の当初における輸入計画量は三百五十万トンであつたのが、途中において三百二十万トンに変更されたというのですが、その事情はどの辺にあるのですか。
  68. 廣川弘禪

    廣川国務大臣 これはおもに南方諸地域、ボンド地域の事情によるのでありますが、ボンドの手持、その他ポンドの変化とか、いろいろな関係からいたして、買入れができなくなつたような点かあるようであります。
  69. 川島金次

    ○川島委員 元来この当初計画量の三百五十万トンなければ、日本国民の生活計画が成立たぬ、こういう根拠をもつてこの計画量というものが生み出されたものと私は思う。それにもかかわらず途中において、ポンド関係の事情から三百二十万トン程度しか輸入ができ得ないという現実的な事情になつた。そこで三十の開きがここに出て来るのでありますが、その三十万トンという少からぬ開きができて参りましても、国民の食糧生活には影響がないという見通しになつておるのか。その点をもう一つお答え願いたい。
  70. 廣川弘禪

    廣川国務大臣 当初予算は三百五十万トンでなく、三百四十万トンです。その実際の買入れ見通しか三百二十万トンというその差額について、そういうものがあつても国民生活に影響を與えないかいうのですが、政府の手持が相当ありまするので、それによつてつて、しかも昨年度よりもふえておりまするので、影響はないと考えております。
  71. 川島金次

    ○川島委員 それでは先ほどの消費者価格との差については、いずれ書面でもよろしいですからお示し置き願いたいと思います。  ついでにお尋ねしておきますが、今度大蔵大臣説明によりますと、酒税の税率が引下げられて行くのでありますが、それはまことにけつこうだと思うのであります。しかし税收の面においては相当の額を以前通り見積つて行くのでありますから、必然的に増石ということになるわけです。その増石については、新聞紙上の伝えるところによりますと、米をこれ以上つぶすものでないという條件ならば農林省は賛成だ。しかしこれ以上米をつぶすことによつての増石計画ならば、農林省は必ずしもそれには賛成できない、こういつたようなことが新聞紙上に過般報道されたように私は記憶いたしておるのでありますが、大蔵省としては、あくまでも増石計画で臨むのではないかと私は思つております。その場合において、農林省としては、その大蔵省の増石計画に即応するような方法というものが、具体的に立つておるのかどうか。それともそうではなくて、米を出さぬで、大蔵省は大蔵省なりの操作でやるという計画になるつておるのかどうか。これは国務大臣としてでも、ひとつお答えを願いたいと思います。
  72. 廣川弘禪

    廣川国務大臣 農林省の現在の情勢から行きまして、米をつぶして増石するということについては、私は賛成しかねておるのであります。ただここに地方自治体の権限になつておりまするくず米でありますが、このくず米を非常に同度に利用いたしますると、現在合成酒が非常にたくさんできておりますが、これにくず米を加配いたしますると、非常に優良な酒ができ得るようになつておりますので、私は大蔵大臣には端的にこのくず米の使用を勧奨いたしておるようなわけであります。全国の合成酒の協会からの話によりますと、大体六万石ないし十万石をこの方面に向けてもらうと、非常に優良な酒が市場に出せるという議を聞いておる次第であります。ただそのほか、五等米等を買い入れるようになると思いまするが、これについての高度の利用等はまた別に私は考えたいと思つております。
  73. 川島金次

    ○川島委員 そのくず米というのは、一体年間どのくらい出て来るものでありますか。そういつた統計等を御承知でありましたらお伺いしたい。
  74. 廣川弘禪

    廣川国務大臣 農林省にはあると思いますが、実は記憶にありません。
  75. 竹村奈良一

    竹村委員 先ほどの川島委員の質問に対しまして、本年度輸入食糧は大体二言二十万トンという予定であつて、現在までには二百八十万トン入つた、残り四十万トンを今後入れる方針であると言われましたが、昨日通産大臣は本会議におきまして、一月から十月までに輸入したものは二百二十三万トンである、そうして十二月までにあと三十万トン入れる予定である、こういうことを本会議においてはつきり言明しておるのでありますが、農林大臣との数字において非常に食い違つておるのでありますが、どつちがほんとうでありますか。
  76. 廣川弘禪

    廣川国務大臣 船積みをして途中にあつたり、あるいはまた内地に実際着いたり、積み込んだり、そういつたようなことで多少違つておるかもしれませんが、大体その程度であると私は思つております。
  77. 竹村奈良一

    竹村委員 それは大体の数字じやないのです。通産大臣は二百二十三万トン十月末までに入る、それからあと十二月末までに三十万トン入る、合計二百五十三万トンが本年度輸入食糧だ、こういうようにはつきり本会議で言つておる。これは結局農林大臣説明を聞いておりますと、三百二十万トンの予定だけ入るようになるのでありますが、トン数の差がちよつとやそこらの問題ではないわけでありまして、七十万トンからが入るか入らぬかということは、日本の国の食糧需給の問題から大きな問題と思いますので、その点をはつきり伺いたい。
  78. 廣川弘禪

    廣川国務大臣 その正確な数字がもし間違つては困りますから、これは事務の方から正確な数字は出しますが、大体私の承知いたしておるのは、先ほど私が申し上げたような数字事務の方から聞いて承知いたしておるのであります。もし正確な数字が必要でありまするならば、事務の方から正確な数字を出すようにいたします。
  79. 川野芳滿

    ○川野委員 私の質問は、大臣に対しては少々むりかと考えるのでありまして安孫子長官に対する質問かとも考えますが、将来監督を巌にしていただきたい、こういう意味合いにおきまして質問をいたしてみたいと思います。  わが国の現在の食糧事情から食糧輸入することはまことに適切だと考えるわけであります。しかし食糧不足であるからと申しましても、いかなる品物を輸入してもよいとは申されないのであります。現在外国から輸入して参りまする食糧のうちには非常な粗悪品がございまして、いろいろと物議の種に相なつておるようであります。ことに中毒を起しまして、ある度の死亡者も出たような実情でございます。そこでこの輸入食糧は、大体こういう品々を輸入してもらいたい、こういつて日本政府から外国へ注文するのであるか。あるいはまた外国からこういう品をとれ、こういつて日本輸入して来るのであるか。この点をまずお尋ねしてみたいと思います。
  80. 廣川弘禪

    廣川国務大臣 これは正確なことはわかりませんから、安孫子君が今来ますから聞いてください。
  81. 川野芳滿

    ○川野委員 それでは小さい問題に対する賛同は後日に譲りますが、どうか輸入食糧に対しましては、日本国民の嗜好に適したものを輸入してもらいたい。この点はひとつ大臣からよくあなたの下僚に対しましても命じておいていただきたい。こういうことを希望いたしまして、この点に対する私の質問を終ります。
  82. 廣川弘禪

    廣川国務大臣 承知いたしました。     —————————————
  83. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 国民金融公庫の質問を願います。小山委員
  84. 小山長規

    ○小山委員 国民金融公庫のことで二、三点お伺いしてみたいと思います。先ほど奥村委員に対する説明で大体わかつたような点もあるのでありますけれども、二、三足りないところをお伺いいたします。第一は、来年度国民金融公庫の増資金額は幾らと御予定されておりますか、それを一つつておきます。
  85. 飯田良一

    ○飯田説明員 昭和二十六年度国民金融公庫増資でございますが、本年度の十億の補正を実現しますと四十億になります。それに対しましてさらに二十億円の一般会計からの出資を考えております。
  86. 小山長規

    ○小山委員 そういたしますと、今度の十億の増資は、この説明によりますと、おそらくこれは十月からの資金であろう。八月までにすでに使い果しておられますから、九月以降の資金であろうと考えます。そうすると、大体来年の三月までの一箇月当りの資金の分量は、平均しまして二億円内外になるはずであります。そのほかに一億二千万円の貸出し回收金があるのであります。合せて三億幾らになる。ところが来年度は三十億といたしますと、これを十二箇月で割ればせいぜい一億五、六千万円にしかならない。こういう勘定になろうかと思うのであります。今年度は二億内外の貸出しをして、それに回收金の一億二千万円、来年度なつて来るとその資金が減つて来る、こういうような計算になりはしないかと憂えるのでありますが、そうでないのでありますか。その辺のところを明確にお答え願いたい。
  87. 飯田良一

    ○飯田説明員 公庫資金がだんだん増すにつれまして、貸付額がふえて参ります。従いましてその回收は月を追つてふえて来ておるわけであります。簡單に御説明申し上げますと、たとえばことしの初めの一月ごろの一箇月当りの回收金額は、四千八百万円程度でありました。それから月を追うて毎月増加しておりますが、十月における回收の実績は、一億六千万円程度なつております。今後貸付が増すに従いまして、この関係は増加して参り、二十六年度内における回收の見込みは、大体三十億から三十五億程度を予想されるわけでありますこれはただちにその月の新規の貸付にまわり得るわけであります。さらにそこへ持つて来まして、三十億の出資があるといたしますと、回收と合せてそこに五十五億の新規貸付余力が生ずるわけであります。それから先ほど局長から申し上げましたように、さらに預金部資金の運用等も考えられるとすれば、大体年間六十億ないしは七十億程度の新規資金源が生ずるわけでありまして、月平均にいたしまして、まず内輪に見ても五億程度の所要はまかなえるもの、こういうふうな明年度の計画を持つております。
  88. 小山長規

    ○小山委員 その月平均の五億ないし六億は間違いありませんか。もう一ぺん明確に願います。
  89. 飯田良一

    ○飯田説明員 回收三十五億、それに二十億を加えまして五十五億というのは、はつきりつかみ得る数字であります。そのほかに、これは多少今後の折衝を要しますが、預金部資金の問題等を考慮すればそうなるのでありまして、五十五億といたしまして、十二で割つて五億弱でありますが、それを五億と申し上げたのであります。一番最低の数字であります。
  90. 小山長規

    ○小山委員 その数字は、お見込みでけつこうでございますから、あとでお出し願いたい。  それからもう一つつておきたいのは、この預金部資金公庫の金に使おう、これは非常にけつこうな案なのでありますが、実際問題としては、どういうふうな法律の改正をし、どういうふうな方法でやろうというお考えでありますか。
  91. 飯田良一

    ○飯田説明員 法律改正自体は、公庫側においては必要がないのでありまして、前々回の国会において改正されました政府よりの借入金の條項によりまして、予算が認められさえすれば、預金部資金の導入ははかり得ることになつております。
  92. 西村直己

    ○西村(直)委員 関連いたしますが、今の政府よりの借入金の予算関係で、大体預金部資金の運用ができるという先ほどの御説明はわかつたのでありますが、実は二十六年度予算はまた提示になつておらないわけであります。この三十億新しく一般会計から繰入れる問題、それから借入金を予算化するという問題でありますが、これについて、はたして大蔵省において相当具体案が進んでおるかどうか、この点をお伺いいたしたい。  いま一つは、時間の関係から質問を重ねて申し上げますが、国民金融公庫が少くとも来年度において六十億前後の資金回転をやり、はたして国全体の資金需要からいつて、零細業者、中小企業者が非常に望んでおる国民金融公庫資金が、この程度で潤沢であると大蔵省の方ではお考えになるか。あるいは金融公庫を所管される銀行局の方々とされては、実際はどの程度資金をほんとうに望んでおられるか。その点をはつきりと御答弁願いたいと思います。
  93. 飯田良一

    ○飯田説明員 結局公庫資金がどれくらいいるかの問題は、いろいろな方面から計数が出て来るわけであります。第一番目に、一番需要量を表わすものとしては、新規の申込み金額かと存ずるわけであります。この申込み金額の趨勢によりますと、先ほど銀行局長が申し上げましたように、月平均現在十一億見当に上つておるといたしますと、年間を通じまして、十一億が最低の数字といたしますと、まず百五、六十億というものは、申込みとしてあるのではなかろうか。それに対しまして、四〇%の貸付適格性のあるものといたしますと、年間六十億見当というものが、金があれば貸したいという計数が出て来るのではないかと存じております、従いまして、先ほどお答え申し上げましたように、約五十億ないし六十億見当資金手当ができるということになりますと、最低の所要量はまず果せる見当になりはしないかというふうに考えております。
  94. 西村直己

    ○西村(直)委員 ただいまの大蔵当局のお考えですが、なせ私ども国会側において強く要望するかというと、おそらく所管官庁とされましても、金融公庫側としても、いつも支所、末端に至るまで資金難に苦んでおる。現にこの提案理由にも、九月以降の資金がなくなつてわずかに回收資金を回転しておるにすぎない。そこで十億ふやすというが、これはわれわれの国会の声を反映して行くことによつて、大蔵省の回転資金が獲得せられるのではないか。そういうわけで、各議員から極力これをふやせということになつております。そこで六十億がはたして年間資金として最低限であるかどうかということについては、十分の検討を加えていただきたいと思います。先ほども御説明がありまして、私からも質問申し上げた点でありますが、来年度予算が示されていないので、はたして大蔵省はそれを希望されておるのか。予算に組み込むまではつきり行つておるのか。あるいは預金部資金の運用の問題についても確信をお持ちになつておるか。これは来年度国民金融公庫の六十億前後の資金運転としては大事な問題であります。これはむしろ大臣あるいは次官、局長から御答弁願う方が順序だと思いますけれども、御不在であるので、課長から確信を持つてお答えいただけるのか。單に見込みとか見通しであるのか。その点をはつきりしていただきたいと思います。
  95. 飯田良一

    ○飯田説明員 その点は事務当局として申し上げるのはいかがかと存じます。
  96. 西村直己

    ○西村(直)委員 それでは別の機会に質問します。
  97. 三宅則義

    ○三宅(則)委員 ちよつと根本のことを私からも補足的に質問さしていただきたいと思います。  御承知のように国民金融公庫というのは、零細企業者に対しまして融資をする公庫であります。ところが先ほど御説明があつたと思いまするが、大体この前の国会において質問したときには、申込人の八〇%はこれを拒否する、わずか二〇%しか申込みを受けることができなかつたというお話でありましたが、現在もそういうような形式でありますか。もつとひどく八〇%も九〇%も拒否しておる、いわゆる断つておるのであるかということを、資料を出していただきまして、その資料に基いて検討を加えたいと思うのであります。私の承るところによりますと、私どもの関係者の申込みに対しましても、ほとんど拒否しておる。内容の調査に対しましては、割合精密なる調査をしておりまするが、実際面におきましては、断るための形式的な調査である、こういうようなことを言つておりますがその辺に対して理事の人の確固たる信念と、経過を説明していただきたいと思います。
  98. 最上孝敬

    ○最上説明員 私国民金融公庫の者ですが、ただいま御質問がありましたようなお感じをお持ちの方は、さぞ多いことだろうと思います。ここに示されております統計は、実は申込み金額のとり方が、現実申込みとしては、私どもとして処理したものだけをとつておりますので、間違いではございませんが、実情をまだ十分表わしていないかと思います。現実申込みをして処理しますまでに、窓口でいろいろ御相談を伺いまして、これはどうもむずかしい、むりでしようといつておやめになる方が相当ございます。これを入れますと非常に大きな数になるのでございます。ことに直接私どもの店でやりませんで代理所で扱つておる部分は、こまかい統計まで出してこちらへ送つて来るというのはなかなかたいへんと見えまして、大体貸付額だけを記録しておりますので、これで見ますと、申し込んだ者はほとんど全部貸しておるというふうにとれるのであります。最近非常に貸付は進んだようでございますが、実際申しますと、やはり先ほどおつしやいましたように、申込みの八割はお貸しできないでお断りしております。場合によつてそれ以上と言えるかもしれません。こういう状態でありまして、この点はまつたく私どもとしてははなはだ苦しいのでございますが、現状やむを得ないでそういうふうな状態であります。
  99. 三宅則義

    ○三宅(則)委員 私はこの際政府当局もおいでになりますから、お伺いしますが、中小企業信用保險法というものが出ることと考えておりますが、国民公庫との関係はどういうふうになつておりまするか。もし零細なる企業者が借りた場合におきまして損失を招いたときにおいては、こういうような中小企業信用保險法等によつて救済される意思を持つておられるか、おられないか、その辺をひとつ承りたいと思います。
  100. 飯田良一

    ○飯田説明員 中小企業信用保險基金の構想は、一般金融機関、すなわち市中の銀行、無盡会社、信用組合等が中小企業に対する金融をやりました上にこうむる損失をカバーするという関係の制度でございまして、国民金融公庫は御承知のように政府機関なつております。現在の状況及び将来の計画に顧みまして、公庫に損失は生じない計画になつておりますが、かりに損失が生ずる場合にも、それは政府出資自体の問題になつて来るわけであります。すなわち損失があれば、政府みずから負う仕組みになつております。従いましで現在考えられております保險基金制度というものは、公庫自体には及ぼす必要はない次第でございます。むしろもつと直接に政府の責任になつておる、こういうふうにお考え願いたいと思います。
  101. 三宅則義

    ○三宅(則)委員 今の政府当局のお話でわかりましたが、私は国民公庫の方にもう少しつつ込んでお伺いいたしたいと思います。と申しますのは、私どもは常に中小企業の味方であり、また零細民に対しましては大いに同情をもつて、この金融難の打開に貢献しなければならぬと思つております。理事の方々は政府に対しまして積極的に要求しておられるかどうか。また国民大衆諸君の要望にこたえることにはなはだ不親切な態度が多い、こういう点を実は聞いておる。私はむしろ貸す余裕がないものならば、二次も三次も調査に行く必要はない。ところが日当稼ぎのために職員が形式的に調査をしておつて、実は調査した結果はだめです、こういうような簡單なことをしておるということは、いかにも形式に流れて実際を重んぜざるところの官僚であると私は感ずる。これをひとつ理事の方は解決するために——貸す見込みのないときには当然調査に行く必要はない。ところが自分の日当稼ぎというような意味合いにおいて調査されることは大いに迷惑である。この点についてどういうふうに考えておられますか。もう少し掘り下げて研究をしてもらいたい。
  102. 最上孝敬

    ○最上説明員 たいへん私どもとしましては意外なお考えを持つておいでになるのを伺いまして、いろいろ御説明申し上げねばならぬことを痛感したのでございますが、ただいま申されましたような気持でお申込みを受付けまして調べをやつておるわけでは、もちろんございません。実はこういうふうな資金が枯渇いたしまして、一方お申込みが非常に多い。それをどういうふうにやつていつたらよいか、われわれはいろいろと考えたのであります。窓口を締め切つてありませんからお貸しできませんというのがよいかと考えたのでございますが、なかなかそれでは押え切れないだろう。それに今後絶対に資金が入つて来ないというようにはつきりしてはおりませんで、ただいまようやく十億の増資というふうなことにおちつきましたが、少し前まではもつと明るい希望がございまして、予金部資金も相当貸していただけるんじやないかというようなことがありました。そういう状態のもとにおきましては、現在の申込みを一刻も早く御融通することができるように、資金が出るまでの間にできるだけ調べをしておく。相当時間がたちますと大分調べが古くなりますから、もう一度調べ直さなければならぬでしようけれども、その調べはごく簡單で済みますので、なるべく申込まれたのを全部にわたつて力の限りお調べしておごう、こういう趣旨で一々ちやんとした調べをやつてつたのでございます。ただ現在のところ最初の予想ほどの資金が来ないということで、お調べした中で相当難のあるのが出て来たのですが、結果がそうなつたのでありまして、初めから先ほどお話がありましたようなつもりでやつてつたのでは、もちろんございません。
  103. 三宅則義

    ○三宅(則)委員 私はもう一つさらに理事の方に御忠告なり御注意を促したい点があります。と申しますのは、申し込んだ人から見ますと、お調べに二へんもおいでになつたから、必ず今度は貸してもらえるだろうという非常に強い希望を持つておる。ところが一月たつても二月たつても、なしのつぶてで、一向に貸してくれないということになると、お互いに迷惑こそかかれ、利益はない。こういう点はあなたは大蔵委員であるから、そういうことを注意してくださいというようなことを言われたことがある。私はむしろ国民大衆に対しまして同情ある見地より、銀行の一部と同じようなふうに考えまするが、もう少し零細企業者に親切にしてやつて、一ぺんなら一ぺんやつて、了解に苦しむような点があつたならば、これ以上貸されないというようなことをはつきり言つてこれを借りたいという人に対しましてはつきりと指針を示すようにしてやることこそ、国民金融公庫の役人の仕事であると思う。ところが、ただ形式に流れるということになりますと、今申しましたように、国民からたいへんきらわれる。国民金融公庫だけは民衆に親しまれる公庫である、こういう線を強く出してもらいたいと思いますが、これに対する明確なる御答弁を、総裁、副総裁と御相談の上やつてもらいたいと思います。
  104. 最上孝敬

    ○最上説明員 総裁、副総裁とまた相談の上でなおはつきりしたことを申し上げたいと思いますが、私が考えておりますことを申し上げましても、今のようなことは実際ありはせぬかとかすかな心配はあります。それは調査に行きました者が、その場でよしあしの判断を自分の腹の中ではある程度できると思いますが、これをまかせてしまいますと、いろいろな弊害が起つて参ります。第一線でもつていろいろなさばきをしてしまいますと、そこに個人的な弊害が起つて来ますので、大体調査の結果をすぐ申し上げないことに現在はしております。帰りました上でまた相談をしまして、何段階かを経た上で、大勢の目を通して公平なところで意見をきめようということにしておりますので、出向いた者がそこで何らかの意思表示をして参らない。ただ何べんも足を運びますと、これは見込みはありはせぬかと、調べをお受けになる方では当然お考えになるだろうと思います。この点は私どもではどうしたらいいか、何かいい方法がありましたら教えていただきたいと思うのですが、今のところどうもはつきりそういうふうな誤解をなくして、皆さんの御迷惑を少くするいい方法というものは、ちよつと思いつかないのでございます。
  105. 三宅則義

    ○三宅(則)委員 それではその調査をなさつたならば、なるべく早い時期に、一週間ないし十日くらいのうちにイエスかノーをきめてやることが、借りる人に対する親切であると思う。二箇月もうつちやつておいて、最後はだめだ。こんなばかなことはないのです。もつと事務官僚を督励することをお約束願いたい。
  106. 竹村奈良一

    竹村委員 私がちよつとお伺いいたしたいのは、大体先ほどから聞いておりますと、年間六十億あるならば、大体貸付が満足に行く、こういうお話であつたのでありますけれども、私の考えを言うならば、これは大きな間違いである。これは大蔵省が金がないからこのくらいで——国民金融公庫というものがあつて、いわゆる零細な金を貸す道を開いておるのだという、單なる申訳にすぎないのであろうと私は思うのであります。その実例といたしまして、まず第一に現在申込みを受けておる先ほどからの数字の中で、そのうちの大体四割あるいは二割を貸し付けておる、こういうふうに言つておりますけれども、実際は支店あるいはその他信用組合に委託されている数が、全国くまなく存在しておるかどうか。これは存在していない。これは前々から報告されているのではつきりしている。そういたしますと、大体現在委託されたところと、限られたいわゆる出張所だけで受付けたところから割出したのが六十億なんで、これが全国民ひとしくこの制度を利用して、自分たちの金融を受けようとするのであるならば、全国至るところに支店とか出張所とかそういうものを置かなくちやならぬ。あるいは信用組合に委託されたところの実例なんかを調べてみますと、大体五割が自分のところで責任を持つというので、信用組合に金を預けている預金者にしか金を貸していない。これははつきりしている。ただ組合員だけにしかやられていない。しかも出張所なんかのあるところにおきましては、二時間くらいで大体調査できる範囲、こういうふうに限定している。だからもう少し——十里くらい離れたところから申込みに行きましても、てんで初めから受付けない。だから国民はこういう制度があるといいながら、実際においてはその制度を利用するという人間がごく小範囲に限られている。その小範囲の申込みの中から、なお半分が当然貸し付けられるのであるけれども、資金がないので貸し付けられておらない。そういたしますと、結局六十億でいいというようなことは、これは事務当局がかつてに机の上で考え出した、政府の都合から割出した資金でありまして、決して国民全体を対象とした、この制度を生かそうとするという考え方ではないのであります。この点に関して理事の最上さんが来ておられますので、大体直接に貸付を取扱うところの出張所なり支店というものを、全国至るところに設置するだけの構想を持つておられるのかどうか。これはとても考え及ばざることとして、そのまま放任しておるのかどうか。この点をひとつ伺いたい。
  107. 最上孝敬

    ○最上説明員 いかにも今おつしやる通りの実情があるのでして、私どもとしましても、できるだけ早く全国に支所を設けたい。それから代理所もなるべく大きな土地には、まんべんなく行きわたるようにしたいと努めておりまして、来年度も支所八箇所の増設を計画しておりまして、大蔵省の方へお願いしております。そういたしますと、あと残るところ十五、六箇所でございまして、大体八箇所程度ずつ行きますと、もうあと二年かかれば、十分に各方面に支所が行き渡るようになると思います。これはできれば本年中にも増設したいのでありますが、一つはむろん資金関係もあります。それから私どもといたしましても、そう急に各方面に必要な職員を養成して拡充して行くことはできません。そういう関係上、今のように漸進的にやつております。代理所につきましても、いろいろ機関はございましても、どれもこれもみな私どもの方の希望をよく満たして、きちんと経理をやつてくれるというふうな自信もつきませんので、徐々に、大体一箇月一箇所、二箇所くらいずつ必要な方面にふやしておりまして、早いおそいの違いはございますが、私どもとしましても、できる、たけ早く、力の及ぶ限り設備を拡充して行きたいと考えております。
  108. 竹村奈良一

    竹村委員 銀行局長が来られましたので、今の点をお尋ねいたしたいのです。先ほど、来られる前にちよつと申しておつたのですが、各所に出張所あるいは支所というようなものが非常に少いので、これを国民が利用するのに不便を感じておる。また全体が利用できないような制度になつておる。従つてこれをまんべんなく——現在出張所や支所のあるところだけは、その附近だけは利用できますけれども、しかも利用してもそれが半分しか貸されないというような状態で、それ以上のところに支所を増設する考え、つまり最上さんから聞きますと、大体八箇所くらい来年は増設したいと考えておるとおつしやいますが、それだけでは私は不足だと考えますので、早急にこういう庶民金融金庫の制度が、今後の経済状態考えましてますます必要だと私たちは考えておりますから、これを全国至るところに、全国民が利用できるように各地に支所を設けられる考えを、大蔵省としては持つておられるのかどうか。この点を重ねてお伺いしたいと思います。
  109. 舟山正吉

    舟山説明員 ただいま御説明申し上げましたように、大体来年は八箇所の支所増設の予定でございます。そういたしますと、大体各府県に支所ができるわけになりまして、なおもう三、四箇所あればさらに便宜はよいかと思いますが、予算の都合または業務の事情もありまして、大体八箇所程度を予定しておるのでございます。その他は代理所制度というようなものを活用いたしますれば、公庫の機能は十分に発揮できるのでありまして、必ずしも直営の支所を持つておらなければならぬということもないかと考えております。
  110. 竹村奈良一

    竹村委員 その支所が、先ほどあなたはおられなかつたのですが、信用組合に委託されておる。その委託されておる分は大体組合員の預金しておる分にしか貸していない。調査の結果は大体組合員にしか貸さない。そういうことでは私円滑を期せないと思うのでありまして、しかもそういうような点から割出した年間六十億円の必要量というものは、机の上で考えた、みなが利用しないときに出された額であつて、全部のものに円滑に貸し出すようになれば、六十億ではとても問題にならないじやないかと私は考えるわけなんです。しかもその点に関しまして、これ以上の方法について——政府は特にいろいろな点において、この六十億というものを来年麦はもつとうんとふやす方法考えておるかどうか。その点をお伺いしたいのであります。
  111. 舟山正吉

    舟山説明員 この中小金融の措置につきましては、公庫も一役大きな役割を演じておるのでありますが、その他にもいろいろ施策を講じなければならないので、金融は多いに越したことはないとも言えるのであります。しかし公庫のねらいます階層といたしましては、一応六十億程度を予定すればいいかではないかと考えておる次第でございます。現在では公庫のねらつておりますところよりも、もつと大きな金額を借りたいという業者が、ほかの金融機関で金が借りられませんために、公庫に借りに来ているという例も現実にあるのであります。それを別途中小金融の保險制度とか、あるいは中小金融に関しまする見返り資金の増額とか、そういう道が開けて参りますれば、公庫の本来のねらいどころといたしますところの、ごく小規模の生業資金を借りたい人のために働くことができるわけでございまして、一応六十億程度でやつてみたいと考えております。
  112. 有田二郎

    ○有田(二)委員 国民金融庫の理事の方にお尋ねいたしたいのであります。今三宅委員からお話がありましたが、三宅委員のお話の中に、非常にいいお言葉があつたので、その点は幾分感づかれる点もおありになるだろうと思いますけれども、先般、私、商工中金を調べましたときに、貸付係の態度を横でじつと見ておつたのですが、まつたく官僚的な態度で非常に憤慨した例があるのです。やつぱり理事とか総裁とか副総裁とかいうようになると雲の上の人で、下のことはなかなかわからぬだろうと思うのですが、下の調査に行かれる方、あるいは貸付係の方は、ひとつ十分親切丁寧にやつていただく。金額については共産党からも御希望がありまするが、自由党もでき得る限り、この多くなることを全員一致して努力をしておるわけであります。どうかその運営の上において、万潰漏のないようにひとつお手配願いたい。この点について御所見を承りたいと思います。
  113. 最上孝敬

    ○最上説明員 ただいまのような御批評をたびたび伺いますので、私どももそのたびに窓口その他一般に注意を喚起しております。古い訳めくことですが、よくこういうことを申しております。たとえば窓口で、そんなのはだめだと言つて、いつも断わられるというようなことを聞きますので、窓口をよく調べてみますと、大体こういうふうな場合、借りられるでしようかと聞かれるときに、窓口では借りられますとは言えないのです。調べた上でですから、そこを調べた上でお答えできるということを、よく通じるように申し上げればよいのですが、大勢の方を処理しているときだものですから、とかく説明がぞんざいになりまして、はつきり貸せますと言えないものですから、さあ、どうでしようか、というふうに言うのだそうです。そうすると言われた方は、これはだめだ。窓口で、はねられたと思つて非常に憤慨される。こんな例もございますので、私どもの方の責任もそれは十分考えまして、注意いたしておりますが、一方窓口へおいでになる方の方でも、よく事情をお考えになりまして、もしほんとうに悪い点がございましたならば、十分突きとめて、調べて行くようにしたいと思いますので、何かそういう具体的な例がありましたら、どうぞ私どもの方へなりどこへなりお申出願いたいと思つております。
  114. 有田二郎

    ○有田(二)委員 その指導をなさるのに、どいう指導方針があるか。たとえば窓口における質疑応答のひな型ですね。こういうものをつくつて、たとえば借りに来た人がおそらくこういう言葉を言うだろう。そういう言葉に対して、どういう言葉を使うというような、国民金融公庫読本というようなものをおつくり願つて、そうして指導していただくようにすれば——こういう例があつたら言うて来いというのでは、理事や副総裁、総裁なんかは必要ないのです。理事や総裁、副総裁がいるということは、そういうものを指導せられるためにおられるわけですから、そういうひな型をおつりになつて、そうして窓口でこういうような質問をされる、それに対して、こういう質問が出たらこういうふうに言うとか、あるいは貸付係に対しても、向うの人数が非常に多くなるから、言葉がどうしてもぞんざいになるということになるので、ひとつこの点十分御注意願つて、そういうひな型ができたら、本委員会へ来て、こういうひな型ができてこういうように指導しておるという御説明を、ひとつお願いいたしたいと思います。
  115. 三宅則義

    ○三宅(則)委員 幸いに銀行局長が見えましたから、もう一点だけ追加して質問いたします。事務当局から説明もあり、また理事者からも答弁があつたわけでありまするが、私どもといたしましては、銀行局長がこれを監督しておられる。でありまするが、実際を考えてみますると、国民金融公庫の本部は上野にあり、営業所は新川にあるのでありまして、もちろん距離は離れておりますが、常に監督しておられるわけでございます。しかし私の一番心配いたしますのは、先ほど理事者にもお話したわけでございますが、申し込んでから二箇月も三箇月もたつてから、初めてイエスかノーかわかるというようであつて、皆様方が了解するには気の毒であると思うのであります。でありますから、銀行局長といたしましても、これを監督する以上は、申込みを受けてから少くとも一箇月以内に調査をして、イエスかノーかをきめてやをしないと、借りる方の人は迷惑する。ですから局長といたしましては、そのくらい勇猛果敢に監督する勇気と努力を持つておられるかどうか。この場合本委員会において答弁を賜わりたい。
  116. 舟山正吉

    舟山説明員 貸付の当否はできるだけ早く決定いたさなければならないのでありますが、公庫の職員の数に比べまして、申込み件数というものは非常に大きなもので、一人の分担量が相当の重荷になつていることは事実でございます。次から次にと申込みがあるわけでございますか、できるだけ早く処理することについては、監督官庁といたしまして十分注意して参りたいと考えております。
  117. 川島金次

    ○川島委員 銀行局長にこの際、金融公庫と直接関係はないのですが、庶民金融の上において重要なことと思いますので、見解を承つておきたい。いろいろの事情で国民の生活が逼迫し、わけても中小企業の金融が困難をきわめておる。そういうことからいたしまして、最近金融金庫の資金融通の申込みが殺到することはもちろんでありますが、ここにすがつて、なおかつたよれないもの、この数が漸次非常に多くなる。そのはみ出された金融難に困難を続けておりまする中小企業の者もしくは一般庶民の人たちが、全国所在の公益質庫あるいは一般の私設質庫、それらにしわが寄つて、ここもまたたいへんな殺到ぶりだ、こういう形になつておるのが一般庶民金融界から見た姿であります。まことに政府の施策の失敗とはいいながら、寒心にたえない現象であります。  そこでまず第一点にお伺いしたいのは、公益質庫に対する政府の、もう少し積端的な施策というものがあつてしかるべきではないか。局長御承知の通り、今日公益質庫も需要者は殺到しておる。しかしながら資金は少い。こういう形で公益質庫もあるところでは開店休業の形でおるというところが、少くはないという実情であります。そのために受けまする庶民、零細な業者の金融的な不便、困難がいよいよ深刻を加えて来ておる、こいう形になつておる。従来も政府はこれら公益質庫に対しての、若干の援助的な施策はないわけではありませんけれども、今日のような段階におきましては、少くとももう一段と政府がこれら公益質庫に対する積極的な考え方を持ち、そしてこの公益質庫に集まりまする一般零細業者、並びに零細な国民の生活及び生業の更生のために、復活のために、維持のために、積極的なささえをかけてやるということが、きわめて必要なことではないか、こういうふうに考えるのでありますが、金融公庫の問題と、あわせてこの機会に公益質庫に対する政府の何らか積極的な考え方がおありかということを、まず第一点にお尋ねをしたい。
  118. 舟山正吉

    舟山説明員 この公益質屋が簡易な中小企業の金融をねらうという建前でできておりますことは、お話しの通りでございます。戰前には公益質屋制度がございまして、府県が中心となつてこれを保護育成する。そして中央からは大きな支柱として、預金部資金等を府県経由で流しておつたのであります。戰後預金部資金の運用が極度に制限せられまして、これらに流れて行かない。そこで公益質屋制度はそのまま残骸をとどめておりますが、資金がないために活動できないというのが実業でございます。この点は、こういうものかもう少し発達をしたならばよいのであるということについては、御同感でございますが、資金減のためにこの制度がありながら活動しておらぬということは、ある意味におきまして遺憾なことと考えております。公益質屋以外の質感につきましても、自己資金というものが戦後なくなつてしまつた。そこで質屋としては、やむなく市中銀行から金でも借りて営業するほかしかたがないのでありますが、金詰まりの影響を受けて銀行から金を借りることが、これまた非常に困難であるという実情でございます。要するに資金が足りないという面が、その辺にしわ寄せになつておるわけであります。公益質盤制度につきましては、その監督が主として地方庁にあるという関係もございまして、研究調査が行き届いておりませんけれども、今後この方面の育成につきましては、ひとつ検討してみたいと考えております。
  119. 川島金次

    ○川島委員 あわせてお伺いしておきますか、ただいま申し上げました公益質庫以外の私設の質屋、この質屋などにも、私どもが知合いの者がおりますので、たまに意見を聞いてみるのですが、この質屋に入つて参ります客筋の中で、勤労者がもちろん圧倒的に多いのでありますが、最近の金詰まりから、零細業者が目立つて多くなつて来た。これは金融公庫も当てにならぬし、いわんや銀行等ではすぐ簡單に間に合わぬということで、質屋などにかけ込んで来る零細な業者が目立つてつて、いかに金融難が深刻を加えておるかということが、この一点でわかるわけであります。そこで今日の質屋営業者の営業ぶりを見ておりますと、担保物件を持ちながらなおかつ一箇月一割ないし一割以上の利息という形になつている。しかも公定の利息だけでも一箇月に一割、この利率というものは、私は今日の経済事情から見まして、必ずしも妥当ではないと思う。担保をとりながら、しかも一箇月一割、月一というやはり言葉さえ最近はあつた。しかも質屋は担保をとつている。その上に一割、中にはやみ金融で、質屋の裏口営業があつて、月に一割五分、二割くらい、はなはだしいのは十日間に一割というようなものもあるわけであります。そういうことが行われるという事柄は、金融の逼迫ということがまず第一の條件であります。第二には、質屋に與えておりますところの公定利息というものが妥当でない。比較的に高い。むしろ非常に高いというところにも原因があるのではないか。そこで私は、この公益質庫はもちろんでありますが、一般の質屋営業者に対しても、何らか政府がひとつ考え直してみる必要があるのではないか。たとえば利率の引下げの問題、その利率を引下げるかわりには、質屋業者に対する一つの公益性というものを加えて行く建前にして、そして利率の引下げをやらせながら、他面においては税金の関係において若干の特典を與えてやるとか、あるいはまた質屋全体の企業協同組合というものの結成を助成して、この組合を通じて政府が市中金融機関からのその組合への金融問題を片側から助成する便宜を與えるというような形なども、一つ方法ではないか。そういうことにいたしまして、生活の困難を加えております一般大衆生活の台所に対するところの支柱とし、また一面には、銀行にも金融公庫にも簡單にかけつけられないところの困難な零細業者の金融の面においても、積極的な、円滑な油を注いでやるというような事柄も考えられないかと私は思つておるのですが、そういうことについて、政府はこの際、最も深刻を極めておりますところの庶民の金融難の段階において、何らか特別な手を打つ必要が絶対にある、こういうふうに思うのでございます。そこで私の意見を述べながら、これに対する局長の何か積極的な熱意のある考え方があれば、それをお聞かせ願いたい。そうしてそれを何かの形で急速に実現する方法はないかというふうに私は思うのですが、局長のお考えはどんなものでしようか。
  120. 舟山正吉

    舟山説明員 質屋営業は、お話にもございましたように、臓前は内務省系統の営業の取締りという面で、質屋取締法というものもできておつたかと思います。それで地方庁において金利の最高限をきめ得るというような規定になつておつたのでございますが、現在御指摘の通り、大体月一割というのが各府県の例かと記憶いたしております。それが戰後地方庁におきましては、それらの経済行為の取締りまでなかなか手が行き届きませんために、相当高利を要求するようなものもあるかと思います。それから資金面につきまして、質屋が金を貸す場合に、昔は何とか相当の資産家が自己資金で営業をやつてつたのが、戰後封鎖その他で自己資金もなくなつてしまつた。そこで比較的高い金を借りて来て、またこれを営業用の資金に使うといつたような実情から、金利もおのずから高くなつておつたというような面があると思うのであります。この問題は、質屋による金融というものは、庶民金融上ある意味においては非常に適切であり、また必要なものであると思います。この問題がやや置去りにされておつたような感があることは、まことに遺憾なことでありますが、今後の問題として取上げて研究してみたい、こう考えます。
  121. 宮幡靖

    宮幡委員 もはや質問は各委員のお尋ねで盡されておると思いますし、時間もありませんから、これは省略いたします。ただ御質問の中、また政府当局及び公庫からの理事者の御答弁等を伺つておりますと、どうも国民大衆の気持が、金融公庫本来の使命以外の金融に対して、大きな期待を持つておるように思われます。と申しますのは、金融公庫以外の、いわゆる生活再建のための生業資金と申しますか、これ以外の一般金融というものが、中小企業によらず、あるいは零細企業家の資金によらず、まだ十分供給されておらないということを逆に物語るであろうと思いますので、金融公庫そのものの資金の増加とか、あるいはその運用方法の拡大とかを考える前に、もつと一般金融の方に力を入れるべきである、こういうことが質疑の間に感ぜられたわけであります。と同時に、われわれは決して政府当局に意見をし、あるいは公庫の御努力にいたずらに讃辞を贈るものではありませんが、庶民金虚、恩給金庫を解体いたしまして成立いたしました国民金融公庫といたしましては、この産業経済変転の時代において現わしました実績というものは、いささかわれわれが幸いだつた、こう考え程度の成果をあげておるものと信じております。  そこで最後にひとつ資料として御提示をいただきたいのは、現在三十億の資金といたしまして、一体資金コストがどういうふうに構成されておるかもし時間がかかるなら、あす、あさつてと短い時間ではお願いいたしませんが、きわめて厳密な意味におきまする資金コスト表を頂戴いたしたい。これに対して十五億の資金が増加した場合に、その資金コストはいかに変化するか。さらには来年度の予定されておりますような資金が導入された場合には、どういう資金コストに変化するか。こういうことをぜひ明細に知りたいのでありまして、お手数でありますが、質問は省略し、この資料をお願いいたしまして終りといたしたいと思います。
  122. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 では休憩いたします。午後二時より会議を開きます。     午後零時二十五分休憩      ————◇—————    午後三時三十一分開議
  123. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 休憩前に引続き会議を開きます。  まず連合審査会開会の件についてお諮りいたします。本日審査に入りました食糧輸入税を免除する法律の一部を改正する法律案につきましては、先刻農林委員会より連合審査会を開いてほしいとの旨申入れがありましたが、これについては農林委員会と連合審査会を開くことに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  124. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 御異議はないようでありますから、さように決定いたします。なお連合審査会開会の日時につきましては、委員長に御一任願いたいと存じます。それからこれは先ほどの理町会では、二十九日午前十時に開会の申合せをいたしましたので、御報告を申し上げます。     —————————————
  125. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 次に今回の税制改正案について、まだ議案は提出されておりませんが、この際主税局長説明を聽取しておきたいと存じます。
  126. 平田敬一郎

    ○平田政府委員 法律案は目下総司令部に提出いたしまして、本日中に国会提案の運びになるように努力いたしておるのでございますが、本日は要綱に基きまして、概要を御参考までに御説明申し上げたいと存ずる次第であります。  税制改正につきましては、所得税の軽減に最大の重点を置いておるのでございます。所得税につきましては、本年度の改正で従来に比較しますと、相当な改善をせられたのでございます。なお控除、税率等は、実情に即しないものがございましたので、今回さらに基礎控除、扶養控除を引上げ、税率を若干上にずらせまして、全体としまして相当な軽減をはかる考えであります。そうしまして、所得税の普通の改正は、二十六年度予算とともに、本国会提案するのが妥当と考えられましたので、臨時国会提案いたしまする分は所得税法臨時特例法といたしまして、この一月から三月までの給與に対しまして、とりあえず勤労所得の源泉課税について、軽減をはかることにいたしておるのでございます。すなわち基礎控除を現在年二万五千円を三万円、扶養控除を一万二千円を一万五千円、税率につきましては、現在は累進税率が下の方から小幅に刻んでございますのを、少し大幅に刻むことにいたしました。現在の階級刻みのうち、八万円を越える金額と、十二万円を越える金額との階級区分を廃止いたしました。しこういたしましてその反面、三十万円を越える金額と、百万円を越える金額との三つの階級を設けましてそれぞれ適用税率を各上位所得にずらすことにいたしたのでございます。しこういたしましてこういうことを前提にいたしまして、これによりまして現行税額に比べまして減る額を、一月から三月までの所得税の軽減額といたしまして、表を作成し、その軽減額を本来の所得税法で定めまする勤労所得の税額表から差引いた残りの税額が、この一月から三月までの勤労所得税となる、こういう法律案にいたしまして提案する見込みでございます。そのやり方は昨年の臨時国会で行いましたのと同様なやり方でございます。その結果といたしまして、最後のところに表をつけてございますが、独身者の場合におきまして四、五千円のところでございますと三〇%、一八%程度の軽減になります。中位のところになりますと一割弱のところもございます。家族の多い方はさらに軽減になりまして、夫婦、子供二人の場合でございますと、三割三分の軽減になりますが、標準世帯は一万二千円で、家族が夫婦、子三人というところで抑えておりますが、その辺のところでありますと、現行税額が一千七十円に対しまして、改正税額が七百九十円に相なり、二百八十円の軽減になりまして、二割六分の減税になるのであります。大体におきまして一割五分くらいから二割五分くらいまで減税になる人が、大部分のように見られます。もちろん所得の大きさなり、家族数のいかんによりまして、相当差が出て来るのは御承知の通りでございます。  次にこの所得税につきましては、これは減税と関係ございませんが、確定申告の期限を一箇月延長いたしまして、三月にすることにいたしてございます。これは一方におきましては、できる限り納税者の便宜をはかりまして、申告の成績をよくする。他方におきましては政府調査期間を長くいたしまして、的確なる更正決定を行う、こういう趣旨を加味しまして、一箇月延長することにいたしたのでございます。  それから酒税につきましては、従来非常に酒の税率が高過ぎ、価格も高いという非難は、これは輿論だと考えていたのでありますが、そういうことが災いいたしまして、最近非常に酒の売れ行きが不振になりまして、酒造界が混乱を来しておりましたことは、御承知の通りでございます。今回酒類につきましては、自由販売酒の価格を相当大幅に引下げることにいたしたのでございます。税率におきましては、総平均いたしまして約二割八分の減になります。しこうして価格におきまして最も重きを置きましたのは、清酒の三級酒と合成酒の二級、しようちゆうでございます。すなわち清酒の二級は六百四十五円から四百六十円程度にする。しようちゆうは四百五十円を三百三十円程度に引下げる。このような価格になるように税率を定める予定で法律案を作成し、提案する見込みでございます。これによりまして酒税の收入は、大体年末から年始を控えて売れ行きが非常にいい時期でございますので、若干の増加を来すのではないかと見ておるのでございます。  次に物品税につきましては、税率は御承知の通り現在百分の十から百分の七十になつておりますのを、百分の十から百分の五十に改めることにいたしました。その中でさらに若干のものにつきましては、百分の五の税率を設けて、例外的に課税することにいたしております。それから生活必需品と認められるようなものにつきましては、課税をでき得る限りやめる。それから事務用品につきましても同様でございます。この課税廃止は課税品目表から削除することと、それからいま一つは課税最低限を引上げるごとにいたしまして、実現をはかることにいたしておる次第でございます。物品税の内容につきましては、あるいは御要求がございますれば、あとで詳しく説明申し上げてもさしつかえないかと思いますが、大体そのようなことでございます。  なお揮発油税につきましても、従価百分の百という税率は高きに失しますし、最近揮発油の代用燃料であります木炭、まき等の値段が、現在の揮発油税の税率を定めたときに比べますと、値下りを来しております等の関係を考慮いたしまして、従価大判五分程度の税率になることを目途といたしまして、従量税に改めることにいたしたのでございます。  それから砂糖消費税につきましても、最近の状況に顧みまして、税率を相当大幅に引下げることにいたしております。すなわち黒糖につきましては現在千八百円の税率でございますが、これを四百円程度に引下げる。分蜜糖、これは普通の砂糖でございますが、これにつきましては現在二千円になつております税率を千円程度に引下げる。その他それぞれ氷糖、糖蜜等につきましても、これらと均衡を得るように税率の引下げを行う考えでございます。これも一月一日から実行の予定でございますが、現在輸入砂糖には租税措置法で臨時に免税をいたしておりますが、税率を引下げましたこの機会におきまして、輸入砂糖にも来年の四月から課税する見込みでございます。この関係法律案は次の通常国会提案する見込みでございます。  以上は改正案の内容のほんの概略の説明でございますが、御要望に応じましてさらに御説明申し上げてもさしつかえないかと思います。
  127. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 質疑を許します。三宅君。
  128. 三宅則義

    ○三宅(則)委員 今度の税法改正につきましては、たいへんに政府の努力であると思つております。またわれわれもこれに対して大いに貢献しなければならぬと思いますが、今までの一番がんでありましたのは、三十万ないし四十万円の所得者に対しまして、税額が割合に高かつたというのがきずでありましたが、今回これによつて多少下げられたのであります。(「酒の質問だけだ」と呼ぶ者あり)それでは一言だけ申し上げておきます。三十万円ないし四十万円というような中小企業者もしくは中産階級の一番の欠点でありましたが、それがこれによつて除かれたものであると信ずるのでありますが、政府のこれらに対します安くなりました金額等がわかりましたならば、一応これを御説明願いたい。同時にもう一つ、今度は三十六年の一月一日から物品税が軽減になりましたが、三十六年四月一日からもこれを考慮する用意があるかどうか、お伺いいたします。
  129. 平田敬一郎

    ○平田政府委員 所得税につきましては、後ほど資料をそろえまして、適当な機会に御説明申し上げたいと思います。物品税につきましては、一月一日に実行しましたものを、来年度も引続き実行する予定でございます。四月一日からの改正見込みは、一部のものについて追加することを研究いたしておりますが、さらに一般的な軽減をはかることは考えていない次第でございます。
  130. 川島金次

    ○川島委員 了解事項によりまして、酒税だけについて質問いたします。  酒税の改正は、われわれといたしましても、必ずしも異議のあるものではありません。そこでちよつとお尋ねをしておきたいのでありますが、この酒税の税率を改正いたしまするけれども、一方において予算書を見ますと、酒税の歳入減はわずかに十億程度なつております。従つておそらく酒類の増石が相当量予定されているのではないかと私は思うのでありますが、本年度の当初の酒の造石予定量並びに今度増石いたしまする場合、どの程度の増石になるか。それがわかつておりましたら、清酒、合成酒、しようちゆう類と概略でよろしいのですが、それをお示し願いたい。それからまた、ことにその中で、清瀬の増石を行いまする場合に、この清酒原料につきまして、農林省との打合せはどの程度についておるのか。その点をひとつあわせてお聞かせを願いたい。
  131. 平田敬一郎

    ○平田政府委員 最初に数字を申し上げますが、本年度の当初予算で見込みました酒類の本年度中の供給総石数は二百八十九万四千百でございます。内訳を申しますと、自由販売酒が二百三十九万四千石、配給酒が五十万石、合計いたしまして二百八十九石四千石予定いたしまして、それに現行税率を適用しまして、現在の予算の千三十億三百万円の数字を算定いたしたのでございます。ところでその後、実は当初予算を組みました以後におきまして、米につきましては原料の割当増加があつたのでございます。すなわち当初は米が四十三万石でありましたのが、五十万石に増加になつたのでございます。それから麦につきましても、二十四万余石のものが、三十万石に原料の割当があつたのでございます。しかしてそれぞれの原料はすでに使つておりまして、実は酒はできているのでございます。ところが値段が高いものですから、売れ行きがなかなか伴わないというので、御承知のような状態なつております。このままで行きましても、もちろん当初予算よりも若干の増收になるところでございまするが、大した増收にならないというところであつたのでありますが、この改正によりましてその部分が、今年度としましては相当滞貨がはけるということになるのでございます。しこうしてこの予算で見込みましたのは、自由販売酒を二百七十六万八千石に見込んでおります。三十七万石の増であります。それから配給酒は五十七万一千石で七万一千石増加いたしました。これは米の原料割当等がございましたので、その相当部分を、農村等の特配にまわすことに計画がえをいたしたことから来るのでございます。そうしますと、合せて三百三十三万九千石の石数を見ております。それに対しましてそれぞれ改正前改正後の税率を適用して算定しまして、千四十六億八千三百万円という数字補正予算に計上いたしておる次第でございます。それからなお原料につきましては、この米の二十万石という数学も、実は戰前に比べますと著しい減小ぶりでありまして、戰前は三百五十万石ないし四百万石程度を、酒に消費していたのが実情であつたような事情もございますので、私どもとしては食糧事情の許す限り、増加方を要求いたしておるのでありますが、ただ予算としましては、今のところ来年度予算も、一応五十万石をベースにしまして計算をして計画を立てております。麦につきましても同様に三十万石でございます。いもは御承知の通り自由販売でありますので、売れ行きによりましてそれぞれ獲得できるのではないか。このように考えている次第であります。
  132. 川島金次

    ○川島委員 ここでさらに念を押しておきますが、この販売価格の引下げに伴いまして、酒類ことに清酒あるいはしようちゆうなどが、質的に引下がるのではないかという一般的な不安を持たれる向きがある。こういう点は断然ないのかどうか、その点をひとり。
  133. 平田敬一郎

    ○平田政府委員 御懸念の点は、最近の酒類界の状況からいたしまして、よほど改善されつつあると見ておりまして、相当競争が激甚になりました結果、各酒造家ともやはり自己の商品の価値を上げるために、非常な必死の努力を傾けているようでございます。私どもこの勢いが値下げがありましても持続するように大いに激励いたしまして、お話のような御心配がないように、政府といたしましても指導に遺憾なきを期とたいと考えておるような次第であります。
  134. 川島金次

    ○川島委員 もう一つお伺いしておきます。これはこれに直接関係がありませんが、従来ともやかましく論じられておりました密造の問題です。酒類の値段が非常に高いので、国民経済と折合いませんために、密造がほとんど公然と全国的に行われておる。この密造の量というものがきわめて少からざる量になつておるように、世間では考えられております。ことに大蔵省の方でわかつておりまする最近までの検挙されました密造の件数、あるいは密造の量、この密造の原料となりまする米などがへどのくらいその方面に使われたかというようなことにつきまして、もし資料がありましたならばこの機会に示してもらいたいと思います。それでまたこの酒税の改正によつて、大蔵省としては今後全国的に行われて参つた密造を、どのくらい防げるかといつたような今後の見通し、及び密造に対する取締り等に対して、どういう考えを持つておるかといつたことについて、この際お聞かせおき願いたいと思う。
  135. 平田敬一郎

    ○平田政府委員 密造の状況につきましては、私ども非常な注意をいたしまして、極力これが減少、できれば絶滅を期すべく努力いたしておるのでございますが、何しろ今までは非常に値段が高いために、思うようにならなかつたのであります。この機会に全力をあげまして取締りを強化いたしまして、少くするように努力いたしたいと考えておるのでございます。密造の状況は幾らあるかというようなことを見込みますのは、なかなかむずかしいところでございますが、ここで一応の研究といたしましてお聞き願いたいのであります。それによりますと、大体濁酒が百六十万石、しようちゆうが百万石、その他を入れまして二百七十万石程度はあるのではなかろうかという、私の見積りというのでもございませんが、こういう見積りを立てておる者もございます。あるいはこれより多いのか少いのか、的確なことは申し上げにくいのでありますが、かような見積りはほぼ遠くはなかつたのではなかろうかと見ております。今度の値下げによりまして、これがやはり相当正規の酒に置きかわるということな、私どもは考えておるのでありまして、少くともこの中の三〇%くらいは、正規の酒と置きかわるように努力したい。値下げとこれを機会としての密造の取締り、この両方によりまして、そのような結果になりますことを予測し、かつ期待しておる次第でございます。
  136. 川島金次

    ○川島委員 今私の聞きましたのは、政府の予想されておるところの密造ではなくて、今日まで取締りによつて検挙して明らかになつた密造、その点です。
  137. 平田敬一郎

    ○平田政府委員 昨年の一月から十二月までに検挙いたしました総件数が二万九百四十五件、検挙によりまして密造として摘発しました石数は七千百三十九石、それから本年の一月から十二月までに検挙いたしました件数が三万一千九百十件、そのうち密造としまして反則にあげました数量が七千三百六十石、このような数字実績として上つております。
  138. 川島金次

    ○川島委員 この酒税の改正を一覧してみますと、なかんずくビールの値下げが非常に他のものに比して少である。これはどのような事情でこういう形になつたか、その事情を伺いたい。
  139. 平田敬一郎

    ○平田政府委員 理想を申しますと、ビールにつきましても実はもう少し引下げたいところでございますが、ビールにつきましては実は本年度の売れ行き状況がそれほど悪くなかつた、比較的よかつたということと、それからいま一つは密造等が行いがたい事情もございますので、この引下げにつきましては若干引下げ方を少くいたしたのでございます。もちろん私ども将来さらにこの税率につきまして、一層の緩和合理化をはかり得るときがございましたならば、ビールの値下げにつきましては、より一層多く引下げる必要があるのではないかと考えております。さしあたりといたしましては、密造に特に関係の深い二級清酒、しようちゆう、この辺の引下げに最大の力を注いだわけでございます。
  140. 川島金次

    ○川島委員 ビールはあまり密造ができないからというふうな理由もあるようですが、一体このビールの税率などを見ると、日本のビールが世界で一番高い。ドイツあたりのビール税から見ますと、およそ二倍半から三倍くらいになつておる。どこへ行きましてもビールは非常に安く飲めるようにしてあるのです。しかもせつかく改正をするのにビールのみが、その税率を引下げる率が非常に少い。しかもビールの原価がきわめて安いものである。おそらくこれを分析してみれば、ビールなどは水が九六%、あと金のかかるのが四%とも言われておるやさきであります。従来ビール百三十二円のものが税金百二円十四銭、三十九円八十六銭が原価である。小売業者の利益金を引くと、実際は三十八円くらいだとわれわれは聞かされておる。そんな安い原価のビールの引下げ方が非常に手ぬるい感じになつておる。何か向うとの折衝の関係もあつたのではないかとさえ私は思う。ことに税の改正に熱心な平田局長が、こういう片手落ちな税制改正を、本来ならばわれわれのところに持つて来る筋合いのものではないと確信しておるのだが、どうもそれが期待に反しておる。今後そういうことを努力したいというお話でありますが、もつとぼくらに納得のできるビールの税率の引下げができなかつたという事情が、何かあつただろうと思うのですが、お話のできることならこの際率直に説明をしておいてもらいたいと思うのです。
  141. 平田敬一郎

    ○平田政府委員 ビールの税率が少し高いのではないかという御批評は、確かに一つの御批評だと思いますが、ただ先ほども申しました通り、ほかの酒は、できているのが実に売れない。もうさんたんたる状況であつたのであります。これに反しましてビールの方は、税率が高いにもかかわらず、この夏も相当さばけた。これが一つの私どもの税率をきめた重要な判断のフアクターになつております。それからいま一つ理由は、ビールは密造に食われることがない。こういうことがそのうしろにあつたのかもしれませんが、とにかくそういう実績であつた。従つて理想を申し上げますと、ビールについても下げたいのですけれども、ビールの石数は相当ございまして、これは下げますと相当歳入の減少等にも響きますので、全体としまして酒税は、何と申しましても財政が今の事情では相当の需要を必要といたしまする等の関係もございまして、今回としてはこの程度の税率がいいんじやないか、かように考えまして、ほかの酒よりも引下げ方を少くいたした次第であります。もちろん、今後さらに財政事情が許し、あるいは酒の需給状況全体がかわつて来ましたならば、そういう現状に基きまして検討の機会はあろうと思いますが、最近までの酒類界の実情に照しますと、こういう価格を予定しますのが私は一番いいんじやないか、このように考えておる次第でございます。
  142. 川島金次

    ○川島委員 この際ビールの問答はその程度にいたして、あまり口角あわを飛ばしてやることもないと思いますので、この程度でいいと思うのですが……。(笑声)おそらく清酒、合成酒、しようちゆう、ビール等におきましても、一般物価が上昇しておる傾向にあるわけでございますので、それに伴つて醸造原価が上つて来るんじやないか、また来ておるのじやないかと私は想像しておるのですが、当初予算のときの酒類の醸造原価と今日の醸造原価、また今年度中の醸造原価は少しもかわらないような形になつておるのかどうか。またそういう方面は若干かわつて行く傾向にあるのかどうか。それからついでに現在の醸造原価というものはどのくらいになつておるか。当初予算のときに参考資料はもらつたように記憶いたしておるのでございまするが、それから大分たちましたので、この機会にあらためてそこにお手持がありましたならば、数字を示していただきたい、こう思います。
  143. 平田敬一郎

    ○平田政府委員 今回酒税率の改正に伴いまして、酒類の価格を改訂するわけでありますが、これは実は今物価庁を中心といたしまして、早急に検討をいたしておるところでございます。従いまして、要綱等に示したのはおおむねという字句を入れておりまして、若干の端数はあるいは変更があるかもしれないということで、御了解願いたいと思うのでありますが、方針といたしましては、酒類の方は今年の米の値段がかわりますと、そのかわりました米でつくりましたものは、当然ある程度原価の引上げは認むべきじやないか。ただもしも数量が若干ふえますれば、ふえたに応じてまた減る要素もある。そういう要素がございます。それからしようちゆう等につきましても、昨年のいもの購入価格と比べて最近の価格がどうなるか等の問題がございまして、この問題はいずれ検討してきめなければならぬと思つておりますが、さしあたりといたしましては、なるべく現状をもとにしまして、従来余裕かあると認められている分につきましては若干補正を加えまして、早急改訂をいたしたらどうかと思います。そういたしまして、それぞれ新しい原料でできました酒が市場に出るころによく検討いたしまして、その適正な公定価格をきめるようにいたしたい、このように考えておる次第でございます。
  144. 竹村奈良一

    竹村委員 関連して……。現在改正される酒類についての各種目、級別の醸造原価の数字はわかりませんか。それがわかりましたらお伺いいたします。
  145. 平田敬一郎

    ○平田政府委員 さつき申しましたように、この前予算説明いたしておりますのが、土台になつておるわけでございまして、それから若干の補正を加えるか加えないかのところを、今物価庁で検討しておるのでございます。本日今手元に資料がございませんので、明日でも必要でございますれば持つて来たいと思います。
  146. 川島金次

    ○川島委員 そうすると、この要綱に出ている今の販売価格では、ことに清酒等は、引上げられた米によつてつくられる酒というものは合わぬという形になる。そうすると、この要綱にある販売価格よりも幾らか上るという懸念があることになるのですか。
  147. 平田敬一郎

    ○平田政府委員 新米を使つたものが出ますのは来年の四月ごろでありますから、今申しました原料の価格改訂による価格改訂の必要は、来年の四月からだろうと思つております。現在のところさしあたりその辺には手をつげないことにしております。ただしようちゆうその他につきましては、すでに新しい原料でつくつているものが若干出つつございますので、今申しましたような事情を若干検討しまして、あるいはごくわずかでございますが、ほんの五円かそこらの端数くらいの程度は、差がついて来るかもしれないということを申し上げた次第でございます。
  148. 川島金次

    ○川島委員 くどくて恐縮ですが、もう一点聞いておきます。そうすると、今度引上げられた米価によつて、来酒造年度における清酒、これは当然上るということに含んでおいてよろしいのですか。
  149. 平田敬一郎

    ○平田政府委員 さつき申しましたように、原料が増加できますれば、米が上りましてもまたコストが下りまして、上らなくて済むかもしれません。そういう事情につきましては、米が上るということは原価を引上げる要素でございますが、他に数量がふえますれば引下る要素もございますので、今的確に必ず上る、幾らくらい上るということはちよつと申し上げることをいたしかねるのでありますが、来年三月ごろにははつきりするものと思うのでございます。
  150. 三宅則義

    ○三宅(則)委員 二、三お伺いいたしたい。これは地方の酒造家が申したことをお伺いするわけですが、値が下るだろうということになりまして、たとえば特級酒などが売れぬで困るというわけで、格下げ申請をいたしているということを承つております。そういうことは事実上できぬことだと思いますが、製造原価その他税收等をにらみ合せまして適当にやつておりますか。その辺ひとつ明細に承りたいと思います。
  151. 平田敬一郎

    ○平田政府委員 特級酒としましてつくりましたものがどうしても売れない。日もちができなくて悪くなるおそれがある、こういう場合におきましては、例外としてもちろん格下げを認めております。しかしそういうものも、やはり売れさえすれば業者の方々も特級酒で出したいのでございますから、自然御心配になるようなことも多くはいたしません。しかし特級酒と認定をした場合は、常に特級酒でなくては売れぬというようなことになりますと、これも実情として困りますので、今申し上げましたようなことを例外として認めております。
  152. 三宅則義

    ○三宅(則)委員 格下げをした場合に税金をもどすようなことになるのですか。それともどういうふうな……。手続上のことですが、明細に承りたい。
  153. 平田敬一郎

    ○平田政府委員 格下げしますのは倉から出る前にするわけであります。従いまして税金も返すということはいたしません。
  154. 三宅則義

    ○三宅(則)委員 先ほど川島委員からもお尋ねになつたのですが、私本年の夏北海道並びに東北地方をまわりましたら、秋田県、青森県等においては非常に密造が多くて、宴会等においても、第一に持つて行きます一升ビンは確かに清酒であるが、あとはみんな持寄りの酒である。ことに立会いの警官もそこにおつて、君のところは悪いからもつとよいのをつくれというようなお話をしておりまして、はなはだおかしな話でありますが、秋田の警察ではどうも検挙ができないと言つておりますので、実際はどういうふうな実情になつておりますか、もう一ぺん承りたい。
  155. 平田敬一郎

    ○平田政府委員 先ほど川島委員からも御注意がありましたように、できるだけ品質を上げるということで努力いたして、さつきも申しましたように、最近売れ行きが悪くなりましたので、業界も自然に勉強するようでございます。私どもがやかましく言う上りも、自然の勢いの方がよく現れて来るようでありまして、銘柄をよくするとか品質を今来するとかいうことで、ここ一年くらいの間に、傾向としてはよくなつて来つつあるようでございます。今度の値下げ後もそういう情勢が続くように希望をいたしまして、勉強いたして参りたいと思います。
  156. 三宅則義

    ○三宅(則)委員 たいへんに三税局長から同情あるような御答弁でございます。実際面から申しますと、いなかの方にはなかなか滲透がおそいですから、早く滲透せしめたいと思いますので、本年の十二月一日からやろうという親心もあるわけでありますが、今まですでにできておつた密造酒の処分について困るわけでございます。何か解決の方法があるでしようか。密造酒を清酒に振りかえるというような便法でもあるのでございますか、その辺も承りたい。
  157. 平田敬一郎

    ○平田政府委員 密造酒を清酒にかえると申しましても、できてある密造酒を検査でもして正規の酒にかえるわけではないのでありまして、正規の酒の値段が低くなり、また密造の取締りが厳重になれば、密造の酒を飲んでいた人が清酒を飲むようになるだろうと考えておるわけでありまして、そうなれば密造酒のやみ利潤が税收入として国庫に入つて来ることになりまして、非常にいい結果を生じますので、先ほどから値段を下げ、取締りを帰化いたしまして、そのような効果を生むように努力をいたしたいと申し上げておるのであります。
  158. 三宅則義

    ○三宅(則)委員 たいへんによくわかりました。まだ相当に密造酒を飲むくせがついておりますから、ある程度まで取締りを巌にする必要があると思いますが、これに対し主税局長は特に何か対策を持つておられますか。
  159. 平田敬一郎

    ○平田政府委員 密造の取締りにつきましては、今までも非常に努力いたしておるのであります。何しろ値段が高くてとても密造酒にかなわないというのが、最近までの実情ではなかつたかと思います。しかしここまで下げますと、よほど密造酒の価格と近くなつて来ておりますので、取締りを強化いたしますれば、相当駆逐できるのではないか。また消費者としても差がここまで接近しますと、あぶない密造酒を飲むよりも、確実なお酒を飲むという方向に自然に行くのではないか。そういう宣伝等もいたしまして目的を果すように努力をいたしたいと思います。
  160. 有田二郎

    ○有田(二)委員 主税局長さんの今の三宅君の意見に対する答弁は、考えが甘過ぎる。少くとも酒の税金については、密造の取締りを十分にやらなければいかぬと思います。大体酒の税金で、今度の改正によつて一年間どの程度の税をお見込みになつておりますか、聞かせていただきたい。
  161. 平田敬一郎

    ○平田政府委員 先ほどちよつと申し上げましたが、当初予算で二百八十九万四千石予定しておりましたのを、四十三万石売れ行き増を見込みまして三百三十二万九千石を予定しております。それに対しまして、最近すでに庫出しをしたものにつきましては旧税法、今後の仕込みのものにつきましては、新税法を適用いたしまして算出しました税金が千四十六億八千三百万円であります。
  162. 有田二郎

    ○有田(二)委員 この一千四十六億に対しまして、酒の密造の取締りに必要なものとしてとつておる予算は一体幾らですか。
  163. 平田敬一郎

    ○平田政府委員 この予算は今手元にこまかい数字を持つておりませんが、三千五、百万円程度であつたと思います。しかし国税庁の予算の中におきましても、若干相互運用をはかり得る余裕の金がございますので、そういうものにつきましては、必要に応じできるだけ密造の方にまわしまして、取締りの効果を発揮するように考えておる次第であります。
  164. 有田二郎

    ○有田(二)委員 一千億以上の酒税に対して、わずか三千万円の取締り予算というものは私は解せない。本年はいたし方ないとしても、少くともそういつた点を補正予算に組まれておるか。さらにまた来年度予算においてどの程度話合いができておるか。この点をひとつお聞かせ願いたい。
  165. 平田敬一郎

    ○平田政府委員 本年度におきましては、今申し上げましたように国税庁のほかの歳出のうち——いずれも必要だと思いますが、必要の度の比較的少いものをできるだけ密造にまわしまして、値下げの機会に密造の取締りをさらに一層できるように、目下国税庁で計画をいたしておるところでございます。その計数は本日まで私聞いておりませんので、後ほど聞きましてから、もう少し詳しく御説明いたします。
  166. 有田二郎

    ○有田(二)委員 私は先般前の間税部長の松田君と帯同して某酒造会社を尋ねて、酒税をどこでキヤツチするかということを尋ねたのでありますが、非常にキヤツチの仕方に欠けるところがあるのじやないかと私は思う。これは今日非常に密造が多くて、あまりやかましく取締つたのではいけないという親心から、そういう方法をなされておるのではないかと思うのです。少くとも密造取締りの費用を相当とることによつて、正規の酒税はもちろんのこと、私はより以上の成績を上げることができると考えております。この機会にその密造を取締ると同時に、正規の酒造家の密造取締りを並行して行われるならば、相当私は酒税がとれると思う。そういつた点で長い間酒屋さんとのつながり、さらにまた一歩進めて密造の取締りが十分できていない。こういう一千億以上の酒税をとるのに、わずか三千万円というような金でやつておるところに、全国的に密造の弊害をわれわれはひんぴんとして聞くのであります。こういう点は来年度において相当の密造取締りの費用をもつて、そうして單に密造者の取締りだけでなく、正規の酒をつくつておられる方面の密造の取締りも兼ねて行うべきである。私はかような見解を持つておりますが、主税局長の御所見を承りたいと思います。
  167. 平田敬一郎

    ○平田政府委員 非常にごもつともな御質問かと思います。ことに正規の酒の製造につきましても、最近は厳重な取締り方針をとつておりまして、いやしくも不正が発見されました場合におきましては、免許取消し等の強硬措置もとるという態度を、大蔵省としては先般相談して決定いたしたのであります。ただ最近の各税の執行の状況を見ますと、やはり酒の正規業者の税が一番成績がいいようでございます。不正が発見されましても、全体の税額の一割とか二割とかいう数字が出て来る程度のものが大部分でございます。しかしそれでも酒類に関しましては非常に高い税率でございますし、一たび脱税が発見されますと、政府が困るのみならず、業者も困るごとになりますので、いやしくもさようなことのないように、厳重に取締つて行くつもりでございます。それから予算をふやしまして、全体として密造取締りの効果を上げることにつきましては、十分御意見を秤聽いたしまして努力いたしたいと思います。
  168. 宮腰喜助

    ○宮腰委員 政府が出された資料によりますと、まだ酒を下げたという程度に達しておらないような感がします。これでは密造の防止はとうてい不可能じやないかと考える。この点について政府も歳入の下足を検討されているだろうと思いますが、これがために歳入不足がどのくらい出て来るか。出て来た歳入不足をどういう点で補充して行くかという点をお伺いしたいと思います。
  169. 平田敬一郎

    ○平田政府委員 先ほども川島委員に申し上げたのでありますが、今年は酒はできておりましても売れていない。値下げすれば、ことに需要期を控えておりますので、相当出る。歳入としましては値下げ前とほぼ同様だろう、このように見ております。来年は相当長期になりますし、今のままでおきましても、ある程度ふえるのではないかという見方もございまして、来年につきましては若干違つた見方をとらざるを得ぬかもしれませんが、本年度としましてはそのような見方がしごく常識的であり、かつまた計数を当つてみましても、間違いないものではないかと考えておるのであります。なお一層大幅の引下げができればそれに越したことはございませんが、それにはさらに一層の原料の増加も必要としますし、また原料の増加なくしてやりますと、国庫に相当の変化を来すような関係もございますので、この際としては、私どもとしてはこれで精一ぱい勉強したつもりでございますが、御意見はいろいろあろうかと思います。
  170. 宮腰喜助

    ○宮腰委員 歳入下足の点、これはどのくらい不足しまして、その不足の点をどういう面から補充するかという点について、お聞きしたいと思います。
  171. 平田敬一郎

    ○平田政府委員 先ほど申し上げましたように、現存は税率が高くて値段が高いために、できている酒が売れない。従つてその歳入が高税率のために上らない。値下げしますと、できている酒が売れまして、その売れ行き増加による増收がございますので、減税による減收と売れ行き増加による増收とがほぼ匹敵すると見ておりまして、差引増減なし、むしろ一億円程度ふえる、こういう計算をいたしております。
  172. 宮腰喜助

    ○宮腰委員 私はこの程度では密造を防止することは、不可能ではないかと思います。ですからこの点はもう一度ぜひ御研究の上、歳入を他の方で補充できるならば、この点をもう一度考える必要があるのではないかと思います。またこれに関連しまして、酒といつても、これにはウイスキーなどが入つておらないようでありますが、実は大蔵委員長と夏に北海道の税制関係を視察に参りました際に、日果の竹鶴社長にお目にかかりまして、工場の中を見せてもらいましたが、ウイスキーの原酒が現在二十五億円程度たまつておりまして、このまま倉庫に入れておくと蒸発してなくなつてしまうそうです。従つて世間で一般に十二年とか、十七年のウイスキーがあるということは、うそだということを発見したのでありますが、おそらくたるに三年、四年とほうつておくと何割か蒸発してなくなつてしまう。こういうことを考えると、酒と同時にやはりウイスキーの点も考慮しなければいかぬじやないかと思いますが、その点はどうですか。
  173. 平田敬一郎

    ○平田政府委員 この要綱は、実は少し簡單過ぎて省略してあるわけですが、ウイスキーにつきましても、実は引下げる予定でございます。ただウイスキーは公定価格をはずしておりますので、税が下つただけ値段が下る。そう下げてもらいたいと思つておりますが、そういつても御承知のようにサントリーの一級ウイスキー、これは現在千三百五十円でございますが、このうち税が八百六十四円入つております。この税を六百八十円程度に引下げまして、税が下つただけ下りますと、値段が千百六十五円程度になるような改正を、税率としては提案するつもりであります。同じく三級ウイスキーにつきましても、現在四百三十円のものが三百五十円程度に下るような税率を提案する見込みでございます。
  174. 宮腰喜助

    ○宮腰委員 この点は水あめと同じようなことでありますが、水あめの税を軽減することによつて、正当なる業者が浮ばれるのですが、これに関連した質問です。この水あめ業者にも物品税の減税がなされておるのですが、あの点についても今後ひとつ特に御考慮願いたい、こう考えておりますが、また関連して、酒がああいう状態で売れないものですから、醸造業者は仕入れ資金がなくて困つておるようでありまして、今回東北六県の業者の会合の際にも、今年度の仕入れ資金がないので非常に困るので、国税庁なりあるいは大蔵省で、ぜひ七億ばかりの融資あつせんをしてほしいということを、委員長並びに私らに陳情されておるのですが、こういう仕込み資金融資について特に御考慮願えるかどうか。
  175. 平田敬一郎

    ○平田政府委員 あめにつきましても大幅な引下げをいたしまして、今百斤千五百円の税率を五百円にするつもりであります。三分の一にする予定でございます。  それから酒造資金につきましては、御懸念の通り私も聞いておりましたので、先般国税庁とも相談いたしまして、日銀を通じまして、金融のあつせん方を特に依頼いたしております。地方銀行等に対しまして、大蔵省及び日銀の意のあるところを十分伝えまして、いやしくも酒造資金には業者が困らないようにしてもらいたいということを、先般相談いたしまして流した次第でございます。今度税率も下りましたので、私は大体金融業者も安心しまして、この酒造資金供給してもらえるのではないか、このように期待し、かつ希望しておる次第でございます。
  176. 宮腰喜助

    ○宮腰委員 ただいまの融資あつせんの形式ですが、これは全体としてまとめるものですか。各個別業者が日銀の融資斡旋部を通じて受けるものでしようか。
  177. 平田敬一郎

    ○平田政府委員 先般日銀の支店長会議があつたのでありまして、その際によく伝えてもらつたのでございますが、各地方におきましては各地方でそれぞれ銀行に話す。銀行が銀行だけでは資金がまかない切れないときには、その地方の日銀の支店とよく話して善処していただくごとにしております。
  178. 竹村奈良一

    竹村委員 酒税の引下げになりまして、十二月一日からもしこの通りに実施される場合におきましては、大体小売店が持つておる手持のものについては、一体どういうふうに政府の方から下つた金額に対する補償をされるのか。
  179. 平田敬一郎

    ○平田政府委員 間接税を減税したり廃止した場合におきまして、業者の手持しておる商品について補償してくれという要望が、実に織物消費税についてもあつたのであります。これはなかなかむずかしい問題でございまして、物品税、織物消費税も原則としていたさないことにいたしておるのであります。従いまして結局業界におきまして仕入れをする際に、極力売れる限度で仕入れてもらうように配意してもらうのが、第一の対策だと考えております。  それともう一つは公定価格におきましても、改正法実施後若干の余裕期間を置きまして、その間は少し高い値段で売りさばくことを認めることにしております。これが今までの公定価格の普通の改正の仕方でございますが、五日または一週間程度は元の値段で売れるように措置しておるのであります。そういたしまして極力損害を少くすることにいたしておりますが、どうにもならない場合におきましては製造元に、または指定販売業者の倉にもどし入れしますと、これは通常の場合でも同様ですが、税額を控除する税法の規定がございまして、それを適用しますとその関係で救済になる場合もございます。しかし原則は今申し上げましたように、業者の方で仕入れ調節をやつてもらうということで、極力損害を少くしてもらうつもりでございます。
  180. 竹村奈良一

    竹村委員 そういたしますとそこにいろいろ問題が起ると思うのです。たとえばこういう事情に通じておるものが、某小売店にもし内通した場合には、その小売店は損失をこうむりませんが、しかし東京より遠く離れたところにおきましては、そういうことを伝え知らなかつた農村、いなか等の小売店は、非常に損失を受けるわけであります。しかし今言われたように、もし多くの仕入れがあつた場合においては、その製造元に一ぺん返すということになるならば、これは必ず減税されるわけでありまして、運賃だけで済むのでありますけれども、それはやはりもしそういうことで製造元に返すならば、それだけは減税するということを、小売店に徹底する措置を講ぜられるかどうか。これだけお伺いいたしておきたい。
  181. 平田敬一郎

    ○平田政府委員 その措置は講ずるつもりであります。
  182. 竹村奈良一

    竹村委員 もう一つ伺うというよりも、意見を申し上げておきたいのでありますが、先ほど有田委員から、密造酒の取締りについての予算を組んだらどうか、こういうような話があつたのでありますが、私の考えではこういう密造酒に対する取締りの予算を多く組むということには反対であります。そういうことでは決して密造酒というものは根絶するものではない。少くとも今日密造酒の部類は、もちろん商品としてつくる場合と、自家消費の場合とがあるわけでありまして、おそらく少しでもこういう税率が下つて参りますならば、自家消費の分が多いのではないかと思います。その自家消費の多いというのは、当然農村なんかにおきましては、米の五千五百円の原価からいたしまして、少くとも酒にいたしましても百円程度上る。そういたしますと、今度せつかく税法を改正したと言われますけれども、二級酒につきましては、四百六十円、これは米価やその他の農村事情から考えましても、四百六十円の酒でもまだまだ高い。従つてこういう場合には、これは自分の経済を破滅させないために、というて酒も必要だという場合におけるところの自家消費としての農村における密造なんかが、たとえば東北地方においては当然当然というよりもむしろいたし方なくやられておる。こういうような場合に、單に取締りだけを強化するのではなしに、ほんとうに根本的な対策は、やはり農村に対して必要な酒を配給酒として——今度は配給酒としては三百九十円ですが、これを米から考えて百円から百五十円ぐらいの程度で配給する。農村における必要なお酒は、そういう方面に特配をするというような制度を拡充されない限り、いたずらに密造取締りの費用を使つたところで効果がないと私は考えますので、今後配給酒の三百九十円というものをもつとうんと引き下げて、少くとも百五、六十円に引下げて、そうして必要なだけを農村に配給する考えがあるかどうか。そうしなければ私は効果が上らないと思います。こういう点について一応御意見を承つておきたい。
  183. 平田敬一郎

    ○平田政府委員 農村の密造の対策を考え一つ方法として、うんと安い酒を供給したらどうかというお話は、これは確かに一つのお話でありまして、私どもは供出完了後の米と引きかえに酒をつくりまして、これは少し税を安くして農家にもどすような案も、実は研究してみたことがあるのでございますが、食糧事情等の関係もありまして、なかなかそういうわけに行きませんで、実行になつておりません。ただしかしながら先ほども申し上げましたように、せめて一般の配給酒でも増産になつた分は極力農村にまわそうというので、今年も農家の方には当初の配給計画に比べまして、よほど多くの配給酒を配給いたしております。その値段がまだ高いのではないかというお話もございますが、しかし今の状況から申しますと、配給酒は大体やはり農家も受取るような実情がございまして、もちろん欲を申せば、もつと低いに越したことはないのでございますが、なお完璧な理想を一ぺんに望むこともむずかしいのでありまして、今の段階といたしましては、この程度のことで妥協するよりほかないのではないかというように考えております。
  184. 竹村奈良一

    竹村委員 配給給酒の配給が農村で受けられておる、こういうふうに言われますが、これは全然実情とは合わない。配給酒の辞退が続出しておる。しかも実際に辞退が続出しているのを、一体どういうふうにして消化しておるかというと、いろいろ形において受けられる者の名前を借りて違う方面に使われておる。これが一応実情なんです。従つてほんとうに農民はほしい、だが受けられないというこの実情を知つておられるならば、私は現在このすえ置かれるような、わずか五円くらいの値下げよりも、少くともこれは百円も百五十円も値下げすべきが当然である、こういうふうに考えるのでありますが、これ以上申し上げても何ですから、そういうことを希望して私は質問を打切ります。
  185. 川島金次

    ○川島委員 先ほど御質問をしはぐつた一、二点があるのでお尋ねしたいのです。酒類販売の免許を行つておるわけでありますが、この酒類販売業者の免許をする場合に、何か基準というものがあるのですか。この際承りたいと思うのであります。
  186. 平田敬一郎

    ○平田政府委員 販売業の免許につきましては、やはり一定の基準はございます。全体の酒類の売上げ状況、需給状況から申しまして、ある程度の新規免許の方針を原則として認めるか認めないか、そこに免許の基準があります。と申しますのは、今までも業者が多くて、必ずしも売れ行き状況から見て各業者とも採算が成立たない、十分な採算ができないといつたふうな場合におきましては、余りの増加を抑制する、そういう一つ基準がありますが、個別的に申しますると、資力が十分であるかどうか、それから酒類販売について従来経験があつたかどうか、そういう点を審査いたしまして、それぞれ免許、非免許についての決定をいたしておる次第でございます、もちろん卸売業、小売業、それから地方によりまして若干の差は出て来るかと思いますが、今申し上げましたような諸点がその際に考慮される事項だと思います。
  187. 川島金次

    ○川島委員 たとえば、かつて酒類の小売業者であつて、企業整備あるいはさらにまた戰争に参加して、引揚げみたいな形で帰つて来ておる。こういつたものに対する酒類販売の免許は、おそらく私は無條件でもいいじやないかというような気がいたすのですが、そういうものに対しては、大蔵省はどういう指示を現地の方に與えておりますか。
  188. 平田敬一郎

    ○平田政府委員 お話の通り従来酒類の販売業を営んでおりまして、応召等でやむを得ず廃止して、帰つて来たような人々に対しましては、地方によつてよほど特殊の事情があれば別ですが、こういう事情がない限りできるだけ免許復活を認める方針であります。ただその地方の業者が非常に多くて、ふやすことが著しく不適当とするような場合におきましては、もちろんしばらく待つとかいうような方法は講じておりますが、従来の正規の業者でありまして、やむを得ない事情でやめたような場合におきましては、免許につきましては比較的寛大な方針をとつております。
  189. 川島金次

    ○川島委員 実は私の知る範囲ではそういう事例があるのです。応召者で、かつて酒業者であつて、しかも帰還されている。それがほかに適当な職業がありませんので、販売業を希望している。しかしながらその住まつてる住居のいろいろな関係で折衝いたしておりますが、なかなか免許にならぬ、こういつた気の毒な人が実はおりますので、そういう場合にはいろいろ事情もあるでしようが、せつかくかつては業者であつて、しかも長い経験を持つており、帰還されているような場合、ことにその帰還者が本人でない場合、未亡人である場合もある、こういつた場合に、酒の販売は女でも実はできるのじやないかと思いますので、そういう場合にはできるだけ大蔵省が指導いたしまして、無條件で、著しい弊害、障害のない限りは、免許するという方向に行くべきだと私は思うのですが、そういう御意思があるかどうかを、この際お尋ねしておきたいと思います。
  190. 平田敬一郎

    ○平田政府委員 今申した通りでありまして、従来正規の酒類の販売業者であり、応召等ほんとうにやむを得ない事情でやめたような業者につきましては、その地方状況が著しく不適当とするような事情かない限りにおきましては、できるだけ免許するようにいたしたいと考えております。
  191. 川島金次

    ○川島委員 くどいようですが、その著しい障害とか支障とかいう問題は、たとえば二戸戸程度一つの町内にすでに戰後新業者がいる。その業者のいる位置から十数軒離れている。その本数軒近いという理由だけで、かつての業者が許されない。あるいはまたがつての業者の未亡人、しかも戰争における未亡人が許されておらない、こういう事例があるのです。そういう場合はやはり今の局長の言われる著しい障害といいますか、そういうことに入れられるものであるかどうかということになるのですが、いかがでございましようか。
  192. 平田敬一郎

    ○平田政府委員 具体的ケースにつきましては、さらに一層実情をお聞きしました上でないと、個別的にお答えしにくいと思いますが、二つ免許をいたしましても、両方とも共倒れになるような心配がない、こういう事情を伺いますれば、若干接近していても免許いたしてさしつかえないのじやないか。しかしいかにも狭い地域で、新しく免許することは両方ともうまく行かないということが、はつきりしているような事情があります場合におきましては、やはり免許を差控えざるを得ぬのじやないかと思いますが、その辺の事情はよほど具体的な問題に相なりますので、必要でございますれば個別的によくお聞きしまして、十分御趣旨に沿うように処置いたしたいと思います。
  193. 川島金次

    ○川島委員 そういう点は、いずれ具体的なお話を側々に申し上げたいと思います。  最後にもう一点お尋ねしておきたいのですが、この酒の販売について農協あるいは生活協同組合、あるいは消費者組合、こういう組合に酒類販売の免許をするという方向に行つてもらいたいと私は考えておるのでありますが、政府はそういう組合などに対する酒類の販売についてはどう考えておられるか、これをひとつ。
  194. 平田敬一郎

    ○平田政府委員 酒類の製造につきましては、協同組合等の形でございますと、責任等の関係がございまして、なるべく会社の形でやることを勧めておりまして、組合自体に免許することは原則として認めない方針でございます。ただ販売につきましては、従来も免許しておる例もございまするし、その場合に応じて、やはりそれぞれ妥当なる判断をすることにしたらどうか。そういうことであるがゆえに、原則として販売の免許はしないということは、行き過ぎじやないかと考えますが、何か若干最近問題がございますれば、これもその問題に応じまして、よく調べましてお答えいたしたいと存じます。
  195. 川野芳滿

    ○川野委員 私の質問は、実は刑事部防犯談、法務府の險務局、会計検査院、こういうところの列席の上お尋ね申し上げたい、こう考えておつたわけでありますが、酒類値下げ法案の期日が十二月一日、こういうことに相なつておりますので、非常に法案審議を急いでおられると考えますので、簡單にここでお尋ね申し上げまして、また機を見てさらに御質問をいたしたいと存ずるわけであります。  先ほど来同志諸君がいろいろと御質問いたしたわけでありますが、今回の酒類値下げなるものがまだ足らない、こういうような御意見もあつたようでございます。私ももつともであると信じます。しかしシヤウプ勧告がああいう勧告をいたしました今日、さらに現今の財政の実情、あるいは食糧事情の実情から勘案いたしますると、今回の値下案なるものは、この時期におきましては、これ以上はたれがやりましても至難であるかと考えます。私はこの値下案なるものが今回出ます案のように相なりましたのも、大蔵当局の非常な努力の結果であると考えまして、私は大蔵当局に対しましても、実は深甚の謝意を表しておるような次第であります。そこで、実はさらに機を期して値下げを断行していただきたい、こういう希望を持つておるのでございますが、しかし今回の値下案なるものが実施されましたあかつきにおきましても、現在の密造酒取締りの実情におきましては、一千四十億のこの財源の確保は不可能である、こう考えますがゆえに、密造対策の問題ということが非常に緊急の問題であるかと考えます。そこでこの点についてごく簡單に御質問を申し上げてみたいと存じます。  まず私はこの際、現在どういう大がかりな密造が行われておるか、こういうことをひとつ主税局長のお耳に入れておきたいと存じます。それは私の住んでおります宮崎市の中心部より、約一里離れておりますところの大島部落における密造の実情でございます。この大島部落というところは、奄美大島の人が疎開いたして参りまして、そうして密造を実はやつたわけでございますが、当時三百戸ぐらいの戸数が、現在では六百戸以上になつております。非常に密造のためにその部落は繁栄いたしまして、料理屋あるいはふろ屋まで今日できておる。こういうことでますます盛んな部落に相なつておるような実情であります。そこでこの大島部落でつくります密造の石数は、大体五千石ないし七千石と称されております。そういたしますと、大島部落の一部落でつくる密造酒の石数と、宮崎県全体の酒屋がつくつておる酒の石数は大体同じ、こういうことに実は相なるわけでございます。そこでこの大島の密造部落を取締りまして、これを密造させずに、正規の酒屋で酒をつくらせて税金をとる。こういうことになりますと、大体一億五千万ないし一億の税金がとれる、こういう計算に相なるわけであります。そこで、しからばそういう一億五千万ないし一億も税金がとれ参るという問題を、なぜ税務署は看過しておるか。ここが問題でございます。税務当局が取締りに参りますと、半鐘ががんがんと鳴り出します。そういたしますと、部落の人たちが八百人くらいどつと集まつて来る。そこで百人くらいの取締陣が参りましても身に危險を感じますので、取締りは不可能でございます。そこでこれを取締るのには、少くとも武装警官二百名ぐらい、税務署員二百名ぐらい、合計三、四百名ぐらいの人間が行かなければ、この大島部落の密造の取締じは不可能である、こういう実情でございます。そこでこれを断行するのには、経費が一回について、熊本の財務局の調査によりますと、十三万円いるということに相なります。一回密造取締りをやりますと十三万円の経費がいる、こういうことに実は相なるわけであります。そこで経費がないので取締りをやれないというのが現今の実情でございます。現在におきましては、一年に一回ぐらいおざなり的に取締りをやつているだけで、運惡くそのとき取締りにがかつた人間が二、三人しかございません。そういたしますと、その人は実は警察に勾引され、さらに裁判所にまわされるわけであります。税務当局は実は体刑を要求いたします。ところが裁判所は、刑務所が満員であるからというので、この税務署の体刑の希望をいれません。結局罰金が言い渡される。罰金が言い渡されますと、その罰金を食らつた人間は、実は二三日すると行方をくらます、結局罰金はとれぬ、こういうことになるわけであります。そこで取締陣は、実は密造器具を押收して帰ります。帰りますと、翌日になりますと、ただちにさらに密造道具を買い入れまして、そうして翌日から密造を倍以上盛んな景気をもつて始めている、こういう実情が大島郡落の実情でございます。そこでこの密造を絶滅するには月三回の取締りを実行し、一年ぐらい続けておれば、あるいはこの密造が絶滅されるかと存じます。これをやりますには、約五百万円の経費がいるのであります。そこで宮崎県の大島部落一部落の密造対策費だけでも実は五百万円、こういうことに相なりますので、現在の三千万円ぐらいの密造対策費では、日本全国の密造を取締ることは不可能である、こう申し上げたいのであります。しかしかりに大島部落の密造対策費を五百万円積んだといたしましても、先ほど申し上げますように密造が絶滅して、そうしてこれを正規のルートで製造さすならば、一億五千万ないし二億円の税金がとれる、こういうことになりますので、ひとつ思い切つて予算を計上いたしまして、そろして密造対策を講ずるということが、最も緊急な問題であると存ずるわけであります。しかし承りますと、現場布の実情では、いくら予算を増しましても、実はこの予算の流用が不可能であるということであります。と申しますことは、実は今日税務署が一番困難を来す問題は、税務署だけで取締れれば、これはけつこうでございますが、警察の応援を求めなくては取締りが不可能でございます。そこで警察を動かすにつきましては、実は相当な費用がいるわけであります。すなわち慰労費等も出さなければ実際は動かない、こういう実情でございます。しかるにこの慰労費等は、予算をもつてこれに充てるということは、会計検査院の方で抗議が出て不可能でございます。ゆえに現在心おきましては、自動車賃以外の費用は認められない、こういう実情でございますので、たとい密造対策費だけを組みましても、その予算の執行という面におきまして、実情に沿わない点がございますので、密造対策を徹底的にやる、こういうことは不可能でございます。これらの点を考えますと、今日におきまして最も緊急な問題は、密造対策費を少くとも二、三億組んでいただく。そうしてその費用の使い方等におきましては、もう少し実情に沿うように使つてよろしい、こういうことに持つて行かなければ、現在の密造対策、密造撲滅ということは不可能であると考えるのでありますが、これについて主税局長のお考えを承つてみたいと存じます。
  196. 平田敬一郎

    ○平田政府委員 密造につきまして、実際に即しました御意見を承つたわけでございますが、私どもも極力密造の取締りに当る関係の警察、検事局等との連絡につきましても、努力いたしておるのでございます。ただ今まではいかにも密造酒と正規の酒との値段の開きが多かつた等の関係もありまして、やかましく申しても、ややともすると熱意が足らないという点が、率直に申し上げてあつたようでございます。その点は今度の改正でよほど是正されるのではないか。このくらいの酒の値段になるならば、ひとつ大いにやつてみようというような方向に行きますことを、期背いたしておるのであります。  それから今川野委員のお話の、大蔵省以外の部局の経費の問題でございますが、これも国家警察でございますと、いろいろの取締りの費用といたしまして、国の予算でくふうして出す方法もございますが、自治体警察になりますと、密造のための特別の費用というものを国からさくということは、なかなかこれはむずかしいことになつておりまして、思うように参らないのでございます。しかし本来申しますと、密造は非常に社会の秩序を乱す重大な犯罪でございますので、そのためにいろいろな思わしからざる傾向が出て来ておりますから、これをつぶすのが自治体警察の重要な任務ではないかと私は考えるのであります。それででき得る限り緊密な協力をとることにつきましては、法の許す限り措置をとりつつ、そういうことにつきましてもよく納得を得まして、密造取締りが一層の効果をあげるように、お互いに勉強するごとにして参りたい。何か特別に予算を自治体警察等に流しまして、それで密造防止を頼むということにつきましては、研究したこともございますが、なかなかはつきりした道はないようでございまして、今申し上げました趣旨で、極力努力いたしたいと考える次第であります。
  197. 川野芳滿

    ○川野委員 今回の酒類値下げにおきまして、ある程度密造防止はできるかと考えます。しかし現在の密造酒の価格を調べてみますと、しようちゆ、は大体百八十円に売りさばいておるようであります。清酒が二百五十円に売りさばいておるようであります。そういたしますと、今度三食三十円になり、さらに二級酒が四百六十円になつたといたしましても、相当価格の差がございますので、やはり密造はある程度行われるものと考えなければなりません。こういうことになりますと、従つて取締りということがまた要求されることになるわけであります。現在日本全国を調べてみましても、大規模の密造が行われるところは、自治警察の管轄であります。そこで自治警察に対しましても、ある程度の国家の費用をやる、こういうことを一応研究願いたいと存じます。と申しますことは、実は罰金等が相当にとれますが、とれました罰金というものは一国家の費用になるわけであります。従いまして、これに対する費用は当然国家が負担すべきもの七ある。こういう観点に立ちまして、自治警察に対する相当の費用をひとつ国家で支出する、こういう方法の御研究が願いたいと存じます。  なお、実は地方税務署等におきましては、国家の費用はいらないから、とつたところの罰金の一割か二割かを地方税務署に還元してくれるならば、それでけつこうである、こういうことを申しておるのであります。取締りをやれば、二割くらいの費用を税務署に還元しても、八割の国家收入がある、しかも密造が絶滅されまして国家の財源になる、こういうことになるわけでございます心そういう点も勘案されまして、ぜひひとつ密造対策というものをお立ていただきましてそして今回なされましたこの値下げによる密造防止、密造対策との両建をもつて日本全国の密造撲滅を期せられることを切望いたしまして、私の質問を終ります。
  198. 宮幡靖

    宮幡委員 まだ酒税の値下げに関します法律案は出て来ないようでありますが、この要綱に基きまして、各委員の御質問によりまして、法律案の出ないうちにすでに質疑が終つたような形を呈しております。(「まだまだ」と呼ぶ者あり)各委員の御質問は適切であると同時に、平田政府委員のお答えもまた適切でありまして、どうも私の感じでは、もうこれは終えたような感じがいたします。そこで一つきわめてこれは愚問でありますが、あるいは観念論になるかもしれませんが、伺つておきたい。  この補正予算説明書を見ますと、先ほど政府委員の御説明にもありましたように、値上げしても税收は減らぬのだ、むしろ若干の増税——一億ぐらいの増税、こういうことが速記録に残つておると思いますが、この説明書を見ますと、税法改正による減というところが、逆に一億二千九百万円の増になつておるのでありますが、一体こういうことが予算編成操作の上でできるものですかどうですか。これに第一の疑問を持ちます。当然減と出て来べきであろう。自然増收がこれをカバーいたしまして、そうして全体の国家歳入の上におきましては、減とはならぬという説明ならわかるのでありますが、これを下げてもなおかつ一億二千九百万円の増がありといたしますならば、なぜもう少し酒の値段を下げる方にこれをお使いにならないか、こう申さねばならないのであります。当初見積りの千二十億三百万円というものは、増石いたしましたものが手持になりまして、年度を越すであろうというお考えもありまして、普通の所得税等で言いますならば徴税見込み、酒で申しますならば売れ行き見込み等も勘案せられまして、組まれた予算であるとも考えるのでありますが、いやしくもこの大幅なと申しましてもよいくらいな酒の値段を下げ、酒税の軽減ということがあつても、なおかつそれ自体の改正において増收になるということは、どうも観念として私は納得が行かないのであります。もし数字の置き違いであるならばこれを直していただきたい。あるいは直すことができないような特殊な事情がある。もつと具体的に言うならば、全体の補正予算といたしまして、なお歳入歳出の関係のつり合い等の問題におきまして、かく数字を置かなければならぬものである、こういうことであるならば、これも納得いたします。その間の事情を納得のできますように、ぜひお示しをいただきたいのであります。これは実に愚問でありますが、一応明らかにしておきたいと思います。
  199. 平田敬一郎

    ○平田政府委員 非常にごもつともなお尋ねかと思うのでありますが、この見積りいたしましたのは、実は現行税法をそのまますえ置くならば、幾らの收入が入つて来るか。これは現行税法、現行価格のもとにおきまして、酒がどれくらいに売れるだろうかという予測を立てまして、それで收入を立てているわけでございます。それから減税いたしまして、現行税法ではじき出しましたその石数しか売れないという計算をいたしますと、これは実は相当な減收なんでございます。それでさきに申しましたように、自由販売酒は二割八分の減税であり、配給酒は一〇%くらいでありますから、両方入れまして二割四、五分くらいの税收減が立つところであります。ところがもう一つ事情がございますのは、改正によつて値段が下つて売れ行きがふえる。これは改正がなかりせば増收がなかつた部分だと考えておるわけであります。今お話のように、二段階にわけて考えてもいいと思います。一応税法の機械的な減税によつて二割四、五分程度の減收が立つて、税法がかわりまして、値段が下つたために売れ行きがふえて、消費の増があつて、そうしてそれをカバーしておる、こういうふうに申し上げてもいいかと思いますが、しかしいずれにしましても、両者はそれぞれ税法の改正ということによつて期待される数字でございますので、この予算におきましては、便宜両者を通算いたしました数字を計上いたしまして、一億二千万円の増を実は見積つた次第でございます。やり方、考え方はいろいろあろうかと思います。従つて税法上の減税は、むしろ大きく言いますと、酒税については二割八分くらい本年におきましても減税があるということは、あるいは言い得るかと思います。来年度においても同機のものであろうかと思いますが、しかし税法を改正して値を下げたから売れ行きがふえる。その分は改正による増收であるということもやはり考えざるを得ない。そうしますと、両者を通算いたしましてしりを出しましたのが予算数字でございます。これは考えよう、見ようによりましていろいろな見方があろうかと思いますが、一応今までの整理の仕方はそういう整理の仕方をしておるということで、御了承願いたいと思います。
  200. 宮幡靖

    宮幡委員 政府委員説明は一応納得するにやぶさかではないが、この表で見ますと、自然増の方を十五億五千百万円、改正によるものを一億二千九百万円と二つに区分されておる。これは今の御説明と、私の聞き方が悪いのかもしれないが、必ずしも一致しないのであります。御説明数字もこれはごもつともでありまして、それに対して私はとやかく申しませんが、一体減税の総額が六十三億だとか七十億だとかいうことは、われわれはある程度公約的な言葉もはいておりますので、そこでことさらに相殺した数字でその差を見積りましても、減税の結論が小さく出るということは、実質にかわりにないかもしれませんが、観念としては納得しがたい。こいねがわくは、これは七十億の予定であつたが、実際問題としては七十五億やつておるのだということに出ることの方が好ましいわけであります。こういう操作をせられまするとなかなか説明にも苦しい。もう少し酒の値段を下げた方がいいのではないかという観念に、手取早く持つて参りたいのでありまして、これに対しては予算委員会でもお尋ねがあろうかと私は考えるのでありますけれども、自然増十五億五千百万円を含めましたものを、補正による増として十六億八千万円という組み方をしてあるのでありますが、どうかこの点御説明のときに、減税は六十三億で実質上の減税はこういうことになるというように、もつと国民の納得の行く説明があつてほしいと思うのでありまして、この数字ではどうもわれわれ説明できない。專門的な立場から御説明をいただきますれば、われわれは納得いたします。酒を値下げしても一億二千万円ふえるというようなことは、端的な言葉で言えば、いわゆるインチキであります。たとえば税制の上においては減税となるが、実質においては必ずしも税の負担は減るのではなかろうという言葉さえはやつております。従つてあなたの言葉は言いまわしとしてはわかりますが、それではほんとうに減税を断行したのかどうかということについて、一つの危惧が持たれると思います。そういう意味で何とかこの点御説明をいただきまして、わかりやすくしていただくということをお願いしたいと思います。これはお尋ねするのもまことに愚問でありますが、私どもが一般大衆の気持になつ考えますると、どうも数字の並べ方に少し技術を加えた面が多いように思う。むしろありのままの方がよかつた。こう考える次第であります。
  201. 平田敬一郎

    ○平田政府委員 繰返して申し上げるようでございますが、お話の通り確かに常識的には、むしろ税率が総合して自由販売にすれば二割八分減つておりますが、それだけが減税である。従つてこれは年間に延ばしますと、かりに減税前が千億だといたしますと、二百八十億円の減税だという表現も片方に可能かと思うのであります。ただしかし、一方に先ほどから申しますように、ものがあつても高くて売れない状態がありますので、今のままで来年に行きましても、なかなかそれほど大きな收入ができて来ないが、減税しても売れ行きがよくてそれほど減らないという事情がありまして、その差額を私どもは一応基準にしているわけでございます。この問題は分解いたしまして、お話の通り減税によつて機械的に下る分と、値段の引下げによる売れ行き増加によつてまた收入がふえる分、この二つにわけましてお考え願い御説明願うと便利だと思いますが、結果は大体両者が相殺されてとんとんになつておりまして、一億円くらいの端数だけプラスになつている、こういうのが今年の姿であります。来年度は年間通じますともう少し違つた状況になろうかと思いますが、率直なところ別に私ども技巧も何もこらしておりません。いろいろりくつで考えてみれば、そのようなことに相なる次第であります。
  202. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 では本日はこれをもつて散会いたします。     午後三時五十六分散会