○井之口
委員 当
水産委員会が、どうも與党だけの
委員と
政府のなれ合いにな
つておることは非常に遺憾であります。私は昨日からいろいろ全般の問題について質問の申込みをしているのですけれ
ども、やつとこさ今御許可があるという状態で、それもはたからすぐ要求が出てこれを弾圧しようとする。
委員長においてはもつと公平なる態度をとられんことを希望いたします。
さて昨日でしたか、一昨日でしたか、ポツダム政令が出まして、実際今の自由党は
国会を軽視し、
国会を無視しておることは、あのポツダム政令によ
つてま
つたく明瞭に現われておりますが、この
水産問題に対しましても、先ほど
小高委員よりもありましたし、それから
農林大臣からも、講和問題が近寄
つていて非常に微妙であるというような
お話がありました。ま
つたくその
通りでありまして、もしわれわれが今日の
水産行政というものを真に考えまするならば、今日のような状態においては、ま
つたく
日本の
水産業というものが破滅してしまうという結論を出さざるを得ぬのであります。ただいまは販売の問題というような面にも、自由党の
委員の中からおのおの意見が出ました、
相当の矛盾もみずから暴露しております。しかも昨日から続いております
生産の方面を見ると、将来の
日本の
水産漁というものは、ますます暗黒の中にとざされていることを痛感するのであります。(「具体的に言
つてくれ」と呼ぶ者あり)今から始める。(「君の説は漠然としてわからぬ」と呼ぶ者あり)わかるように教えてあげる。さて講和問題でありますが、将来の日代の
水産業にと
つて、この講和問題は非常に重要である。もしも今日の講和ソ同明、中国、イギリス、
アメリカと全面的な講和をしないで、片方に片寄
つたところの講和をやるということになりましたならば、将来の
日本はただちに隣国ソ同盟、中国に接するのであります。のみならず南洋方面に対してはヴエトナム、インドネシア、インドシナ、この方面にも
関係いたします。こういう重要なるところの
日本の位置というものを考えずに、もしも單独的な講和をも
つてして、しかも
国会なんかはほとんど無視してしま
つて、いろいろなポツダム政令や何か出されるような、今日の力をも
つて今日の状態を確認するような講和をなされて、その上に
日本がいろいろな義務うということになりましたならば……。(「
質疑は簡單に要領よくや
つてくれ」と呼ぶ者あり)よし今からやるのだ。ということになりましたならば、今度は帝国主義の線に沿
つたところのあの轍を、もう一ぺん違
つた形でやるだけの話にな
つて来る。こういうことにな
つたら
国民全体をまた戦争にに追い込むことにな
つて来る。これは非常に重大である、海上保安隊なんかを強化するということも、一面から見れば、これはいろいろな、取締りを強化して
日本の
漁業方面の発達のために貢献するように見えるけれ
ども、もしも
日本に真の独立がなくして、
日本が民主的な
世界の平和に貢献するような国でなか
つたならば、当然これはある力のために
日本が帝国主義の手先にな
つて使われて来なければならなくな
つて来る、これは非常に重大である。そういう方面から考えて、
日本の
漁業が当然破壊されて来ることは明らかである、われわれは講和問題において、十分
日本の将来の独立ということを明確にとり、ポツダム政令などでやるような、ま
つたく戦時最中のああいう勅令式のことでやらずに、ほんとうの民主主義的な政権を打ち立てることが必要であると考えます。この点についていかがでありますか。
それから
漁業行政が破綻に瀕しておることは、たとえばあなた方が、香川県並びに愛媛県に調査にいらつしや
つて何を感じておいでにな
つたか。調査団の
報告は何を見せておるか、漁民の連中の
生活の破綻を物語
つておるじやないか、あなた方自身がこれを明瞭に調査
報告の中に入れておられる。例の紀伊水道の問題にいたしましても、漁民はこれを欲しないということを、ちやんと調査団の
報告の中にみずから入れておる。われわれはこういうことを考えます場合に、
一つの例を申しますが、せんだ
つて私が福良に参りますと、今年の漁獲はもうほとんど平年の十分の一くらいしかない、年末をどうして越せるか、これが漁民全体の憂いの中心にな
つております。そうしてこれはそこだけでなくして、ほとんど瀬戸内海沿岸、あるいは
日本海沿岸全体の零細漁民の今日置かれておる運命である。一方から見ますと、底びき漁船が発達しておる、これは
漁業のある意味における発達である、しかるにこの
漁業の発達は、一切の沿岸零細漁民の
生活を破壊するに立ち
至つておる、この矛盾を今の
漁業行政は解決することができない状態にな
つておる。こういう点を将来いかにして解決して行くか。
水産力を増加すれば漁族は全部破滅してしまうような状態で、実際福良の漁民連中は、今年の年末をどうして越せるかということもわからない。とるところの米代の金もない、あるいは税金も抑えないというので、この間税務署が差押えに来たときに、全漁民が出て
行つてとりかか
つて自分らはほとんど税金が抑えない、
生活ができないのに、一体われわれをどうして差押えするのだ、こう言
つて闘
つたために五名からの犠牲者を出しておる。こういう点も
水産庁においては十分考えられて、漁民の
生活をいかにして安定させることができるか、十分なる政策がなければならぬと思います。この零細漁民の方々は年末が越せないのであるから、この年末をどういうふうに越させたらいいか。(「越せるよ」と呼ぶ者あり)ここの
委員の方々は、たいがい中どころの
漁業資本家の方々がおいでになりますので、そういう人たちはまあどうにかこうにか年越しができるでありましようが、しかし
世界を広く見たら、
日本のそういう中小
漁業ぐらいのところは、こんな鼻くそみたいな問題だ。もつと大きな
観点をも
つて、十分こうした零細漁民の
生活も考えられなければならぬと思いますが、
政府においては、年末の年越しについてどういう方法を持
つておられるか、お尋ねいたします。
さらに収獲したところの魚類の販売の面でありますが、ただいま
卸売市場の
手数料を上げたいという人もおられますし、あるいはこれぐらいのものは出してもいいというような御意見も出て、皆さん方の方で意見の対立もあるようであります。しかし従来の独占的な、戦時最中行われておりましたところのあの
統制経済の害悪というものは、先ほど
松田委員からも言われておりました
通り、これは徹底的なものであ
つてこの
統制経済のためにかえ
つてやみの魚が出て来る。これは決して
統制できるものではない。根本において、資本主義が存在する限り、
統制経済と言
つても、
統制できるものではない。(「ソ連はどうしておるか。」と呼ぶ者あり)ソ連は計画
経済であります。人民全体が自分自身であらゆる政権を握
つておるから、
日本におけるようなそういう不当な営利主義の弊害がない。営利主義の弊害があるところにおいては
統制をや
つてもだめなんだ。これはわれわれ戦時中ま
つたく身をも
つて痛感しておるところなんです。農産物にいたしましても、悪い品物もどんどん出て来る。やみがどんどん上る。こういうことで、
国民は決してこの
統制の
利益を得ることはできない。ただそこにあるところの
統制の上に乗つか
つている一部のボスの連中が、わずかに
利益を得るというような
実情で、今の魚の販売においても
松田委員自身が言
つておる。
松田さん自身が、こういうものは不当である、だからしてわれわれは
自由経済をなさなければならぬ、こうい
つておられますが、さてそれならば自由にしたらどうだろうか、自由にしたところでやはり
漁業資本家は
仲買い、そういう方面の
商業資本と結託しておるのであるからして、彼らはやはり、上げても下げてもほかの方面でもうける。いろいろな方法をとる。現に漁民から買い上げる場合には非常に安く、売る場合、
消費者に渡す場合には非常に高い。これはどうすることもできない。このどうすることもできないというのが今の
漁業行政における根本的な欠陷であります。この点をひとつ、あくまでも人民自身が、将来こうした販売の方面にも大きな
統制をかけるというふうに考えないと、今度出て来るところの
市場法なるものは、全然人民の
利益を無視するものだとわれわれは考えますから、その点についてどうでありますか、ひとつお伺いいたします。