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佐藤参考人 官庁労働組合給與共同闘争委員会議長の
佐藤であります。非
現業の
国家公務員の
職員の
立場から、これから御
意見を申上げてみたいと思います。お手元に配りました
給與に関する
意見書という要旨のプリントがございますから、これを御参照いただけば、けつこうと存じます。
まず私たちが
人事院の
勧告案ならびに
政府案を
考えますときに、やはり基本的にはどうしてもこれは納得がいかない、そういう点が最も大きな問題になるわけであります。そこでまず原則といたしましては、何としても私たちが今まで要求して参りました九千七百円べース、これを実施していただきたい、そういうふうに
考えるわけであります。まず重要な点は、この九千七百円
ベースは働く者の全部がそろ
つて望んでおる要求であり、全額である。そういうことが第一点でございます。また第二点は、
民間の
給與に比較いたしましても、下まわ
つてはおるけれ
ども、決して上まわ
つてはおらない、つつましい要求である、そういうふうに
考えております。なおその算出の方法につきましては、別紙に九千七百円べースの算出の基礎として、便宜的に二つの算出をしたわけでありますけれ
ども、その第一の
数字では、もうすでに二万一千百九十四円という
ベースが出て参
つております。第二番目の算出方法によりましても、最低ぎりぎりの線といたしましても、すでに九千七百三十四円という
数字が出ております、ましてや最近の朝鮮動乱の
関係、あるいはま
つたく私たちのさいふを無視した地方税の問題とか、こういうことを考慮いたしますときに、この第一番目の結論でございまする一万一千百九十四円というような
数字は、決して大ざつぱ架空な
数字ではない、そういうふうに
考えております。次はそういう大前提に立ちまして、ぜひとも九千七百円を実施していただきたいと
考えるものでありますけれ
ども、今かりに
人事院の
勧告案や
政府の
給與法案、これについてここで
意見を言え、そういうことであるとすれば、多少その限りにおきまして
意見があるわけであります。それを申し上げたいと思います。
まず
政府は、現有の平均
給與が大体六千九百なんぼ、七千円近くにな
つている、そういうふうに
説明をいたしまして、いかにも現在すでに七千円
ベースたのかというふうな印象を與えることによ
つて、一般の者に、すでに現在七千円にな
つているから、これに千円を加えることによ
つて、
人事院の
勧告に近い八千円ペースになるのだというふうな、そういう
説明をあらゆる機会に用いておられるようであります。本質的に
ベースと平均
給與とは違うという点につきましては、具体的な例かそこにイ、ロ、ハ、ニというふうに書いておきましたけれ
ども、まずその第一点といたしましては、第一次行政整理以来、ほとんど下級
職員の方におきまして、非常に多く整理されたわけであります。従いまして昇給者がなくても、
数字的には平均
給與が上
つた、そういう結果にな
つている。そういたしますとわれわれとしては、これは
政府の平均
給與というものが、われわれの
実態とは合致していない、こういうふうに
考えざるを得ないわけであります。
第二点をいたしましては、大蔵省でと
つた平均
給與であろうと思いますが、これは各省の会計課からの報告に基いて、これを集計した。そういうようなふうに
考えられるわけです。そういうものとすれば、それは各省独自の
立場から予算の要求を配慮いたしました水増しの報告に基いて、それがたされているのではないか。もしそうとすれば、これは非常に重大で、すなわち
数字的にわれわれの実質の平均
給與よりは上まわ
つた数字が、
政府の方に出ているのではないか、そういうことか第二点でございます。
それから第三点は、特殊
勤務手当でございますが、これはもしこれを平均給に加えているとすれば、これはきわめて不適当である。そういうふうに
考えております。
次は第四点といたしまして、昇給をして参りますと、六千三百円
ベースの当時よりも上るのがむしろ当然なのでありまして、一十三年の七月あるいは三十四年の一月、二十九歳、二・五人の六三
ベースの当時から、すでに一人の子供が二人になり、あるいは成績のよい方はもう三人にもな
つている。そういうような事態があるのでありまして、当然平均
給與の面におきましては上
つている。しかるにわれわれの実際の
生活というものは、子供がふえたり、病気にな
つたり、いろいろなことによりまして、生計費はぐんと上
つておりまして、これが非常にわれわれの
生活を苦しめている。
政府が言う、平均
給與が上
つているから、
生活は楽にな
つておるはずだというのでなくて、ますます逆に苦しくな
つている。こういうことを特に指摘したいと
考えます。
次は
俸給表の
関係でございますが、
政府の
給與表におきましては、現行の七倍から八・三倍とか、これはいろいろなふうに言われておりますが、これはわれわれはきわめて不満であります。といいますのは、八・三倍になるのだということは、これは局長の七十号におきまして八・三倍であり、次官の八十二号におきましては十二倍というふうにな
つているわけであります。こういう
数字を私たちはここで明らかにしたいと
考えます。
次は全体といたしまして、最低
生活を保障しないで、單に能率給制度にしたのだということ、これが非常にわれわれにと
つては不都合な次第にな
つております。
政府の案によりますと、三千五十円を最低にしておりますけれ
ども、
人事院の案ですら、十八歳の男子が三千三百四十、そしてまた
人事院の御当局の方の御
説明では、これでは
国民としての
生活ができないのだ、そういうことを実に
勧告で明白にうた
つております。こういう点が非常に重要に
考えられるわけであります。
次は
人事院案と
政府案との上昇率の比較を
考えますときに――この二枚品の方に表を書いておきましたけれ
ども、一級から十五級まであるうち、係長クラスでございますが、この八級の四号を境にいたしまして、
人事院案よりも
政府案の方が下まわ
つている。すなわち
人事院案五〇%に対しまして
政府案が三五%、
人事院案三四%に対して
政府案二六%しか上げていない。同時に八級一号は三四%の
人事院案に対して三一%、ようやく八級四号、幹部
職員に至りまして、そのパーセンテージが同じにた
つて、それ以後はたいへんであります。それ以後十一級一号におきましては三五%か
人事院案でありますけれ
ども、
政府案三九%とまさに逆転いたしまして、上昇させている。十四級六号におきましては、三六%の
人事院案に対しまして、四八%上げております。十三級二号の次官クラスにおきましては、三九%の
人事院案に対して、
政府案は五五%という
数字が出ているわけであります。つまり
政府案は、
人事院案よりも、上に厚く下に薄い、こういうことをここで明確にしたいと
考えるわけであります。
次は
民間給與と比較して、下の方だけが低過ぎるという事実をここでちよつと申し上げたいと思います。
政府案と
人事院案と比較いたしますときに、
人事院案の
勧告の場合は、ちようど
民間の平均の中位を官吏の各
号俸の一番最高に持
つて行
つているように
考えられる。一方
政府案におきましては、六級職以上の比較的上級
職員以上を
民間のちようどまん中のところに置きましてそれ以下、すなわち下部の
職員に対しては
民間より下まわ
つている、そういうふうに
考えられるわけでございます。これは非常に重要な点として、われわれ特にこの際御考慮をいただきたいと
考えるものであります。私
どもの
考えといたしましては、もしかりに当面現行の六千三百円にさらに一定の額を加えるといたしますならば、現行の六千三百円べースに一様に千円を各
号俸にかぶせて行
つてもらいたい。これが私たちのこの
俸給表に対する
考え方であります。
次は地域給の問題でありますが、地域給におきましては、まず朝鮮動乱以来、各消費地におきます
物価か非常に上
つているということ、それから第二点は、特にその中でもわれわれの生計費は比重の最も重い米価、それから家賃、それから電気料、ガス代、こういうものが非常に上
つている。そういうことが最も特徴的だと
考えます。それから第三点といたしまして、これが非常に重大な点でございますが、本俸をわずかながら引上げておいて、地域給を逆に引下げている。これを相殺して
考えますと、最低の
給與のものにつきましては、その上昇率がわずかに一三%にとどまる。一割三分
程度しか上らない。これを金額に直しますとせいぜい三百円くらいと
承知しております。そういうようなわずかな
数字になる。また非常に極端な場合ではございますけれ
ども、われわれの間における輿論としては重要なので申し上げますが、地域給が切下げられ、なおかつ先ほ
ども問題になりました
調整号俸が一号から四号まで減されるというようなこと等の
事情を
考えますと、あるいは下まわるものが出て来るのではないか、そういうふうに
考えております。この点につきましては、結局は根本的にはわずかばかり一方の方で引上げて、一方の方でうんと下げている。こういう事実を特に指摘したいのであります。でありますから結論として、地域給に対しましては、現行の地域給は引下げていただいては困る。絶対に引下げてもらわないことが、われわれの最も重要な点であります。なお現在すでに地域給の率におきましても、不合理な点が多多あるわけであります。この不合理な点を考慮に入れまして、ぜひ是正していただきたい、そういうふうに
考えているものであります。
次は昇給の期間を短縮しているということが、今非常に恩典的に考慮したのだ、こういうふうに言われておりますけれ
ども、私
どもは実例を上げて、そういうものではないということをちよつと申し上げたい。昇給期間は短縮しておりますけれ
ども、それは一年半が一年にな
つている。ところが一年半で上りますものは、これは上級
職員であります。下級
職員は依然として同じである。いろいろあるわけでありますが、かりにもし予算が不足のために、二
号俸というように、特別昇給をやらせる、そういたしますと、当然上るべき一号の定期昇給者の犠牲において、二
号俸つまり上部
職員とか、ごく特定の
人たちだけが、その恩恵にあずかるのではないか。もしそうとすれば、多数の犠牲において、一部がやはり恩恵をこうむる結果になりはしないか。次は先ほ
ども申しましたけれ
ども、上級
職員は一年半にな
つてお
つた。というのは、これは昇給金額が高か
つたからだ。これは当然なのでありまして、この点についてもぜひ含んでいただきたい。でありますから、この
法案によります第
八條第七項の昇給は、予算の範囲内で行わなければならぬという点をと
つていただきまして、それで前三項の昇給期間についての予算的措置を必ず行わなければならないという
意味に、ひとつ御訂正いただきたいというのが、この
政府の
給與案に対する私
どもの
考え方でございます。
次は級別定数の問題であります。この
給與法の第
八條におきまして、職務の級の定数を
人事院できめるというふうに
規定しておるようでありますが、これはいろいろ私らも愼重に考慮いたしました結果、現在の
人事院は必ずしも各省のこまかい詳細が、そして合理的な実情の上に立
つていない。
人事院は必ずしも各省の
実態をつかんでいない。そういうきらいがあるから、当分は現行通りでや
つていただきたい。各省で民主的に連絡運営の問題として当面は
考えて行
つてもらいたい。
従つてこの第
八條第三項におきまする
人事院で定めるという級別定数の件につきましては、これをと
つていただきたいというふうに
考えます。
それから次に先ほ
ども非常に問題になりました
調整方法については、これはもう文句なしに反対をしたいものであります。特に私
どもの組合におきまする医療の組合の、伝染病、癩病、精神病、それから結核、医療
関係はそうですが、船員とか、税務とか、職安機関とか、一号から四号まで引かれる、ましてや下級
職員の
号俸の低いものを一号から四号まで引かれるのは、ま
つたくこれは致命的であります。この点につきましては先ほどから私が重ねて言う必要がないくらいな問題として、特に強調しておきたいところでありまして、御配慮いただきたいと思います。
次には
法案に直接でありませんが、実質的には直接的な
関係があるものといたしまして、超過
勤務の問題があります。昇給をいたしますならば、必ず超勤も自動的にふやさなければならない。なお現在の超勤は一体どういうふうに支給されておるか。間違いがあれば訂正いたしますが、私の
感じでは実動の三割前後ではないか、超勤はそれだけしかと
つていない。ましてやその超勤の支拂い方法は必ずしも合理的ではないのじやないか、そういうような気がいたします。その上に超勤の予算をこれに加えないということであれば、その差がますますはさみ状に開いて行くのではないか、これをわれわれが非常に重要に
考えております。でありますから
ベースの改訂に伴い、超勤手当の予算額はぜひともこれを確保すると同時に、完全に支給していただきたい、そういうふうに
考えるものであります。それから特に年末の二箇月につきましては、先ほど
今井さんの方からも一箇月では少いのではないか、ましてや半箇月では私は問題にならないと思うのであります。私たちは少くとも八千五十八円の二箇月分、特に第一期の地方税たんかまだ納められない人が、私
どもの方の
関係ではずいぶん多いわけであります。銀行から借金したけれ
ども、税金を納めないで使
つてしま
つた、
生活の方へ繰込んだ、こういう事態がたくさんございます。
あとから私らの方でつくりました
生活品書の統計をお手元に差上げたいと思います。そういうような
実態があるわけであります。ぜひ年末の
給與につきましても御配慮いただきたいということを申し上げます。
以上結論といたしまして、私
どもは歴史的に非常に不遇でありまして、特に下級
職員におきましては無
意味であ
つたわけであります。
人事院の
勧告にいたしましても、
政府の今回の案にいたしましても、結局は多数の犠牲において一部の上級者に厚くしておるような、そういう傾向が明白に出ておるような気がいたします。もちろん
人事院の
勧告にしろ、
政府の今回の
給與法にしろ、きわめて不満足ではあります。これを結論的に申し上げますと、国家の
財政策の問題というよりは、これは人道的の問題というように
考えるわけであります。即時これを改めていただきまして、人道的な問題として皆様に訴えたいというふうに
考えるわけでございます。私
どももいろいろ
人事院の
勧告案や
政府の案、この両案に対する
数字的に不備な点、あるいはあまりにも上手な技術的な点を、手元には持
つて来ておりませんが、かなり用意して来ております。こういうものをもし
国民がほんとうにそのやり方を知
つたならば、必ず私
どもの主張が採択される。そういうふうに
考えて私の
意見を結びたいと思います。