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1950-11-27 第9回国会 衆議院 人事委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年十一月二十七日(月曜日)     午前十一時三十六分開議  出席委員    委員長 田中伊三次君    理事 藤枝 泉介君 理事 淵上房太郎君    理事 平川 篤雄君       小淵 光平君    加藤隆太郎君       西村 久之君    今井  耕君       中曽根康弘君    成田 知巳君       八百板 正君    加藤  充君       岡田 春夫君  出席政府委員         内閣官房副長官 菅野 義丸君         人  事  官 山下 興家君         地方自治政務次         官       小野  哲君  委員外出席者         大蔵事務官         (主計局給與課         長)      磯田 好祐君         專  門  員 安倍 三郎君 十一月二十七日  委員本間俊一君辞任につき、その補欠として大  西禎夫君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  国政調査承認要求に関する件  給與改訂問題等に関する説明聽取     —————————————
  2. 田中伊三次

    田中委員長 それではこれより人事委員会を開会いたします。  まず国政調査承認要求の件についてお諮りをいたします。国家公務員給與に関する問題、職階制に関する問題、さらに職階制に関する法律規定に基く職種の名称とか定義とかいつたようなものを決定する、あるいは改正するというようなことをめぐる問題、そういう問題でいろいろ問題がございますので、この際国政調査承認要求をいたしておきたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 田中伊三次

    田中委員長 御異議なしと認めます。よつてそうすることに決定をいたします。  それでは国政調査承認要求書についてお諮りをいたします。これは例によりまして委員長において作成をして提出することに御異議はございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 田中伊三次

    田中委員長 朗読を省略いたしまして、あらかじめ用意してございますので、これによつてその手続をいたします。     —————————————
  5. 田中伊三次

    田中委員長 それでは前会の給與改訂問題に関する説明についての質疑を継続することにいたします。まず加藤充君。
  6. 加藤充

    加藤(充)委員 答弁に当られる政府側出席も不十分なので、従つて質疑も十分にできないような気がするのですが、さしあたり質問を申し上げたいのです。新聞紙の報ずるところによりますと、地財では二十五日に政府並びに国会にあてて、平衡交付金八十三億がどうしても必要だというような内容意見書を出された、こういうことであります。この意見書をまだ私ども見ておらないのですが、この意見書に対する意見というようなものをまず承りたいと思うのです。
  7. 小野哲

    小野政府委員 地方公務員法案審議のために、地方行政委員会が開かれております関係上、出席が遅れたわけでありますが、地方公務員給與問題等、言いかえれば地方財政全体の問題といたしまして、本年度の補正予算に関連して、地方財政委員会から内閣に対して意見書を出しておりますことは、事実であります。従つて新聞報道間違つておりません。同時に内閣はこれを受理いたしまして、できるだけすみやかな機会に、内閣を通じて国会に提出する手続を取運んでおる次第でございます。従つてきわめて近い機会国会意見書を出しまして、御審議を願うことになるのではないか、かように考えておる次第でございます。
  8. 加藤充

    加藤(充)委員 八十三億の要求がどうもむり過ぎるというふうなことを考えておるのか、例によつて例のごとく、それは当然だが、ない袖は振れないというような見解で、手続その他を苦慮されているのか、その点をひとつ承りたいと思います。
  9. 小野哲

    小野政府委員 地方財政委員会から正式に意見書を提案いたしましたのは、一昨日であつたと思います。と同時に当初地方財政委員会が、大蔵省当局に対しまして補正予算要求もいたしておりましたし、また国家公務員給與ベース改訂と相まつて種々案を作成いたしまして、政府に対しても要望をいたしておつたのでありますが、補正予算決定をいたしましたのは、きわめて最近のことでありますのと同時に、年末における給與の問題につきまして、当初の案とは異なつた案なつで参つております関係上、あらためてさらにこの内容検討いたしまして意見書を出した、こういう関係にあるわけであります。従つて政府といたしましては、この意見書を受理いたし、これをさらに国会に提出をする、こういう手続はおとといから始まつておるわけでありますので、まだお手元に出ておらないのは、これは御了承願えるかと思いますが、できるだけすみやかに手続を進めまして、国会に提出するような運びになるであろうと私は期待をいたしておるわけであります。従つて地方財政委員会が、今回の意見書の中に、八十三億を必要とするということを申しておるのでありますが、これらは補正予算審議と相まつて、言いかえれば国家予算審議と相まつて国会において御検討を願うことになるのではないか、かように考えておる次第であります。
  10. 加藤充

    加藤(充)委員 八十三億と、現在出されておる三十五億では、どうもあまりにひどい開きがあり過ぎると思うのです。三十五億で、公務員給與の問題まで、歳末手当の問題まで切りまわしができるはずだというふうにお考えのようでありますが、私どもは切りまわしの余地が全然ないのではないか、こういうふうな強い考え方を持つわけなのであります。とりわけ平衡交付金返還に迫られているというような地方も、ずいぶん少くないのでありまして、やれる地域があつたり、やれない地域が出て来たり、また先般、これも新聞報道で聞き知つたことなのですが、教員方面については優先的に渡せるのだ、三十五億の内容にはそういう内容が含まつておるのだという見解を発表された方があるようでありまするが、そういうことになつては、まつた地域的にも、また手当を受ける人間の間にも、ずいぶんでこぼこがあつて、バランスがとれないこともはなはだしいと思うのですが、あなたのお考えによれば、そういうふうな懸念なしに、三十五億でやれると思われているのか、その点についてひとつお伺いしたいと思います。
  11. 小野哲

    小野政府委員 給與改訂財源措置として、三十五億でできるかどうかというふうな御意見のように承つたのでありますが、この点につきましてはそれぞれの立場において数字を検討いたします場合、及びその基礎考え方によりましては、数学が違つて来ることは、私どもも認めざるを得ないと思うのであります。すなわち地方財政の現況から申しまして、地方財政委員会がその担当者として、給與改訂につきましては、この程度財源措置を必要とするという意見が成立つておるのでありますが、これに対して国家全体の財源から考え合せまして、大蔵当局見解としては、大体三十五億程度でまかない得るのではないかという意向のようであります。ただ平衡交付金地方財政平衡交付金法の中に規定がございますように、その使途に対して條件をつけたり、あるいは制限をつけたりすることができないことになつております。従つて予算当局が一応予算を編成するにあたりましてのいろいろの考慮等はあつたと思いまするが、平衡交付金としてこれを運用いたします場合におきまして、今申しましたようないわゆるひもつきやり方では処理いたさないことに、法律が明らかに定めております。従つてその三十五億の内訳がこれこれであるということは申し上げることができない建前になつておるのでありまするし、これがまた平衡交付金本質であろうと私は考えておる次第でございます。
  12. 加藤充

    加藤(充)委員 そういうふうなことで、ひもつきでないことはわかりますが、ばらばらになるようなことがあつたのでは、まず額の高低ももちろん本質的な問題ですが、てんでばらばらというようなことでは、問題にならないと思うのであります。そういう点で、一応の考慮を拂われたという点から、あらためて三十五億の内容を御説明願いたい。
  13. 小野哲

    小野政府委員 平衡交付金を交付いたします場合におきましては、御承知のごとく財政需要額財政收入額とを見合いまして、その足りない部分についてこれを出すというのが建前でございます。従いまして財政需要額財政收入額とを見合せまして、平衡交付金を交付しなくともよいところもやはりあるわけであります。さような意味合いにおきまして、すべての都道府県市町村平衡交付金のみによつて、その財源を確保するということにはならない場合があることを、あらかじめ御了承を願つておきたいと思うのであります。私が先ほど三十五億円の算定をする場合に、何らか考慮が拂われておつたのではないかということを申し上げましたのは、これは予算当局といたしまして、さような考え方を計算の一つの手段、算定の場合における考え方としてとつてつたのではないかと思うのでありまして、三十五億円そのものにつきましては、この平衡交付金本質から申しまして、そのうちの何億円はどのために、何億円は何の目的のためにというふうな内訳としては、あるべき性質のものでないのであります。ただ教職員とかその他地方公務員につきましては、国といたしましても、財源の許す限りにおいて何らかの措置を講じて参りたいという考え方から、予算当局算定をいたします場合において、種々検討を加えたものであろうと私は考えておるのでございます。従いましてこの増額された平衡交付金運用自体につきましては、当該それぞれの地方公共団体自主的責任をもつてこれを運用することになることを私から申し上げるわけでありまするが、内容について、どの程度のどういうふうな基礎でやつたかということになりますと、予算当局からむしろ説明をお求め願う方が、誤りがなくてよいかと考えておる次第であります。
  14. 加藤充

    加藤(充)委員 この点で止めますが、そうすると国家公務員については一箇月足らずであるというようなことに、まだ具体化しておりませんが、聞いておるのですが、今の御説明によりますと、地方実情に応じて、それでは半箇月分だとか一箇月分だとかいう制限なしに、出せるだけ出せる方法があれば幾らでも出してよろしい、また出すべきであるというような御意見を持つておるのでしようか。
  15. 小野哲

    小野政府委員 それではもう少し現在の地方公務員給與の取扱い方について御説明をいたしておきたいと思います。大体地方公務員給與の取扱いについて根拠をなしておりますものは、都道府県一般職員につきましては官吏の例によるごとになつております。これは地方自治法施行規程の第五十五條第二項に明らかにされております。次に、市町村一般職員につきましては、官吏に準じ條例で定める。これまた地方自治法施行規程にあるわけであります。教員につきましては、国立学校教育公務員の例によるということになつております。言いかえれば、国立学校教育公務員国家公務員の扱いをされておりますので、公立学校等教育公務員については、その例によるということになつておるわけであります。また警察職員につきましては国家公務員法精神にのつとりまして市町村條例でこれをきめる。これは警察法に定めております。消防職員は、やはり国家公務員法精神にのつとりまして、市町村條例で定めるごとになつておりまして、消防組織法に明定いたしております。かような次第でございますので、ただいま御心配になるように一区々まちまちになるということは、おそらくなかろうかと思うのでありますが、御承知のごとく、地方公共団体はそれぞれの立場におきまして、その財政上必ずしも画一的でないものもあろうかとは存ずるのでございますけれども、大体において現行地方公務員給與根拠は、今申しましたような法令に基いて行われておる、こういうことになつておる次第でございます。
  16. 加藤充

    加藤(充)委員 そういうことであるならば、あとは野となれ山となれ、地方実情にまかせるなんというようなことを言わずに、さしあたつての年末手当なんかが問題なんでありまして、年を越すか越さぬかということが実に重大な問題であります。従つて私は、縛るところだけ準ずるとか、ならいとかいうようなことで縛りつけて、出せないものは出せないのですし、従つて出せるようにしてやる配慮をしなければならない義務というものをやはり中央政府が持つべきだと思うのです。先ほどから御質問申し上げておるように、三十五億で十分かと言つたときには、あれやこれやとり合せて何とかやれると思いますというようなことでは、準ずるとかならいとかいうような法規をひつぱつて来てみたところで、それはあまりに無慈悲だと思うのです。それでもう一回、三十五億でできるのか、できないのか。平衡交付金返還なんかを求められておる地域もあるのでありまするから、その点ひとつ責任のある御回答を願いたいと思います。
  17. 小野哲

    小野政府委員 私地方自治庁担当政務次官でございますが、同時にまた一般地方自治関係のことにも触れております関係上、お答えいたしたいと思いまするが、この給與改訂等に必要な財源措置につきましては、地方財政委員会におきまして、地方財政現状等を詳細に調べまして、その上で政府に対し要求をいたして参つたのであります。私も地方自治庁の所管の者といたしまして、その間に立つてできるだけ地方財政委員会の資料と意見とを尊重いたしまして、これが実現方について主管大臣とともに努力をして参つておるのであります。この三十五億ではたして十分であるかどうか、こういう点につきましては、地方財政委員会といたしましては十分だとは思つておりません。それでこそ政府並びに内閣を通じて、国会に対して地方財政委員会意見書を提出したゆえんであります。この点につきましては、意見書が出て参りました際に国会において、はたしてこれが妥当であるかどうかということの御検討を煩わさなければならない問題であろうと思うのであります。ただ私ども地方自治担当しておる者として申し上げますならば、また地方財政委員会意見を尊重する意味合いにおきまして、地方財政負担において地方公務員給與改訂を行いますための財源措置といたしましては、三十五億円では十分でない、かように考えておるのであります。ただしかし一面、全部にわたりまして国が支出をするということのみでも、これは国家財政現状から申しまして、なかなか困難でございますので、従つて地方公共団体といたしましてもできるだけの節約をいたしまして、財源捻出努力を拂つてもらわなければならぬことを強く要望いたしておるのであります。これら節約による財源捻出等と見合せまして、この程度のものは地方公共団体としては財源的に必要である、こういう結論のもとに意見書を出しておるような次第でございまするので、この点を御了承願いたいと思うのであります。
  18. 加藤充

    加藤(充)委員 そうすると、節約ということを見込んでおられるようですが、大体節約はどの方面節約で、しかもその節約によつてどのくらい出て来るかというお見込みか。
  19. 小野哲

    小野政府委員 御承知のように地方財政支出部門は義務的な経費が相当部分を占めております関係上、国家財政と違いまして、割合いにゆとりがないのであります。従いまして程度の高い節約を要請するということは事実困難であろうと思います。しかしながら国家財政におきましても、給與改訂につきましては、節約をはかる建前をとつております関係もあり、これらと見合つて地方財政におきましても、たとえば物件費等におきましてあとう限りの節約をはかる。五%程度節約をはかるものといたしますならば、約四十億の財源捻出ができるのではないか、かように考えておる次第でございます。
  20. 加藤充

    加藤(充)委員 物件費その他で五%、総額にして四十億の節約ができるという見込みは甘過ぎるし、従つてその節約ができなかつたときには、いわゆる低資金でがまんせよというようなことになつて来れば、とんでもないことになる。ある地方におきまして、——九州だと思いますが、どうもやり繰りがつかないので地方公務員首切りというようなことになつて現われておるし、またある地域においては、やらなければならない仕事をそういう面で結局削つてしまつておるということになりますが、そういうふうなやり方までして——政府財源その他のことで余地がないという、ない袖は振れないというようなやり方が、そういうことになつて参るとたいへんだと思うのですが、人員の整理でやり拔くというようなことも、今言つたような節約の方針としてあなたの方ではお考えになつておるのか、またそういうやり方に対しては、これも節約だからいたし方ないというようなことであなたの方ではお考えになつておるのか、その点をお聞きしたいと思う。
  21. 小野哲

    小野政府委員 ただいま申しましたように、主として物件費の上での節約を要請いたしたいと思つておりますので、人件費の点については触れる考えは持つておりません。
  22. 加藤充

    加藤(充)委員 今申し上げたような節約がとんでもないことになつて現われておるのですが、どうしてもやり拔くということになれば、政府責任を持たない。しかも国家で当然やらなければならないような教育費、その他の負担——警察費もそうですが、地方にぶつかけて行く。過大な地方税の見積りのために納めたくても納められないような、この地方財政税收入減になつておるのですが、そのために制限外課税をやつたり、特別税課税を認めさしたりしているようでありますが、そういうことになると、手前の持つべき責任のしりを地方民にぶつかけて行く。中央では涼しい顔をしている。下ではあつぷあつぷして生活破綻が出て来るというようなことになるのですが、そういうやり方はあまりにずるいやり方だと思う。財源がないないと言うけれども、たとえば預金部資金運営の問題なんかについて一段と考慮を拂う余地があるのじやないかと思うのです。これは舌をかむような外国の文字の入つて来た財源捻出になれば、いろいろなところで苦慮して、出せるはずがないと思つてつたり、説明しておつたから、それを真に受けているととんでもない方から順々と何百億というものを出して来る。こういうようなことで、地方公務員あるいは一般公務員待遇の問題について、それだけの配慮をなさを必要が今あると思うのですが、その点について最後にお尋ねしたいと思います。
  23. 小野哲

    小野政府委員 今地方公務員のためにきわめて同情的な御意見伺つたのでありますが、この点につきましては私も全然同感でございます。地方公務員給與をできるだけ妥当なものにいたしまして、そうして永続的に安定して、全体の奉仕者として勤めてもらいたいというのが私の方の念願であり、従つて現在まことに古色蒼然たる地方公務員制度を改正いたしまして、さような方向に持つて行きたいというのが地方公務員法のねらいでございます。私どもは決して切捨て御免的な態度、考え方をとろうとするものではないのでありまするが、同時にもし地方公務員の、当該地方公共団体において給與改善をはからなければならぬということになりました場合においては、原則としてはやはり税收その他の一般財源によるということが、地方公共団体運営の基本的な建前であろうと私は思うのであります。しかしながら現行のごとくまだきわめて安定をしない、序の口にあるような地方財政現状におきましては、やはり国としても地方公共団体に対して財源措置の上でできるだけの協力、支援をするということも、これはまた当然の措置であろうと私は思うのであります。地方自治庁は御承知のごとく、この種各地方自治運営に関しましての問題について、種々政府地方公共団体の間に立ちまして連絡をする役目を持つておりますので、その任務に従いまして、これが実現方につきましては、私もまたできるだけの努力をして参つておるのであります。この点につきましては、あるいは直接予算を扱つておりまする大蔵当局等から、全般的な意見をお聞き取り願う方が妥当であろうと思いまするが、少くとも私の置かれている立場におきましては、できるだけのことをいたしたいという気持を持つてつておりますことを申し上げておきたいと思うのであります。
  24. 加藤充

    加藤(充)委員 どうもうかうか聞いておつて地方公務員法制定待遇改善のためにあるのだということになると、聞きのがしがたいと思うのでありますが、大体それはとんでもない。地方自治実情に応じてやるのだというのですが、それについてはこれも案が出ませんから、今ここで中心に問題にするえ考えはありませんが、大体待遇改善要求なり、その他の問題について、いわゆる政治活動の禁止でずつと今度は縛つてしまう、現に地方予算節約捻出というようなことを言つておりますが、地方財政などの運営を見ますと、ずいぶん高級官僚不正腐敗というようなものがありまして、それの摘発というような問題、これはまことに民主的な当然のやり方ですが、こういう問題もやはり活動制限ということになつて参るのが地方公務員だと思うのであります。こういうことになると、臭いものにはふたをしろで、困つた者はいつまでも困つておれ、こういうふうな結果になることは明白でありまして、地方公務員法制定待遇改善のためにやるのだということをお聞きしましたから、これはあとでやりますけれども、どうも今の説明では逃げ口上にすぎると思うのであります。大体地方の実勢に応じて、力に応じて待遇の問題も解決すべきだ、こう言つておりますが、下からはもうとれない、財源がない、こういうふうなところになつて来てしまつているのが地方財政の行き詰りであります。石川五右衛門の例をとつてまことに恐縮ですが、石川五右衛門でも、ない者からはとれないと言つた石川五右衛門強盗傷人をやつた犯人ではなさそうであります。いわゆるあれはぬすと、窃盗犯なんですが、ない者からはとれないと言つて、あの稀代の大窃盗犯人もあきらめたのですが、下からどうしてもとるのだ、とれようがとれまいがとるのだ、出さねばならないのだ、それでお前たちは運営をはかれということになると、ぬすとに対して今度は強盗傷人のことをやれというようなことで圧力がかかつて来るようなことになると思うのであります。現にこのことがべらぼうな首切りなつたりあるいは健康まで障害するような劣惡待遇の低下になつて来ておるのですが、そういうふうなことで、もう一段上から財源等のことを思い切つてやらないととんでもないことになると思うのであります。地方公務員法制定の問題についても、私は今の御説明はどうも受取りにくいと思います。     〔委員長退席藤枝委員長代理着席
  25. 成田知巳

    成田委員 関連してお尋ねいたします。先ほど政務次官の御答弁によりますと、地財委意見書を近くできるだけ早く国会に付議して審議してもらう、こういうような御答弁がありましたが、きわめて近いうちに意見書国会内閣から出されるというのは、單に意見書をお出しになるというのですか、それともこれに必要な予算措置について国会承認を求める、こういうような御意見なのですか。
  26. 小野哲

    小野政府委員 この点につきましては、地方財政委員会設置法によりまして地方財政委員会意見書が出せる、こういうことになつておるのでありますが、地方財政委員会国会意見書を出す場合には、政府が受取りまして内閣を通じなければならぬことになつておりますので、そういう意味合い手続をとつておるわけであります。従つて当然に予算的措置が伴うものではございません。
  27. 成田知巳

    成田委員 当然に予算的な措置が伴わない、こういう御答弁でございますが、政府当局としては、もしこの地財委意見書というものが正当である、こう御認識になつた場合に、その必要な予算措置をとる御意向があるかどうか、現在どういうふうにお考えになつておりますか。
  28. 小野哲

    小野政府委員 二十五年度補正予算はすでに国会に提案されておりますので、従つて地方財政委員会意見書がもし国会に提出されました場合におきましては、国会で御検討願うことになるわけであります。
  29. 成田知巳

    成田委員 その問題はおきまして、次に三十五億円の内訳でございますが、加藤委員の質問に対しまして、これは大蔵関係なので、自治庁としては内容がわからないというような御答弁があつたのですが、一応自治庁としても大蔵省との御折衝があつて算定基準くらいはおわかりになつていると思います。たとえば一昨日の大蔵財務次官の答弁で、この三十五億のうちには地方公務員に対する年末手当は入つていない、こういうような御答弁があつたのですが、今小野政務次官の御説明によりますと、物件費その他の節約国家公務員に準じた給與が出せるだろうというような意味の御答弁があつたのですが、はたして物件費節約により、国家公務員等の例に準じた年末手当が出せるというお見通しを持つておるか。その算定基準でわかつておる範囲内において御説明願いたい。
  30. 小野哲

    小野政府委員 私どもとしましては、この補正予算に計上された平衡交付金の額の算定の基準については、実はこれは詳細には承知しておらないのでありまして、大蔵政務次官がさよう言いましたとするならば、大蔵省としてはさような考え方予算の編成をいたしたものであろうと思うのであります。私ども平衡交付金の運用の本質論から考えまして、いかような算定の基準に基いて大蔵当局ではじき出したものであつても、全体としての平衡交付金としてそれを運用することになりますので、従つて平衡交付金といたしましては、内容内訳というふうなものはあるべきものではない、こう考えておるのであります。従いまして、自治庁として、しからばどういうふうな算定基準によつて計算したかというのではなしに、大蔵省当局政府原案によつて関係方面と種々折衝いたしました結果、三十五億におちついたものである、かように考えておるのでありますので、従つて地方財政委員会で種々検討いたしました趣旨から考えますと、三十五億の平衡交付金の増額では所要の目的を充足するには不十分である、こういうふうに考えておる次第であります。
  31. 加藤充

    加藤(充)委員 大蔵関係の質問を申し上げたいのですが、これも案が出て来ておりませんので、具体的にお聞きするわけには行かないのですが、このたび新聞に報ぜられているような範囲内で問題にいたしますが、地域給のこのたびの改訂で全体としてどのくらい、大体ふえるのか、減るのか、この点をお尋ねしたいと思います。
  32. 磯田好祐

    ○磯田説明員 今回の地域給の改訂につきましては、原則として人事院の勧告通り、将来の地域区分及び地域割合につきましては人事院の勧告を待ちまして、その後に別に法律をもつて定めるということに相なつておるわけでございますが、今日まで人事院よりの勧告がございませんでしたので、今回の給與改訂の際におきましては、人事院の勧告によりまする最高二五%という基準をとりまして、現在の特地三〇%、これを二五%に引下げる。甲地二〇%を一五%に引下げる。乙地一〇%を五%に引下げるというような考え方で、大体考えておるわけでございます。そういたしました場合におきまする財源所要額でございますが、現在の基準に基きまする財源所要額は一人当り平均大体八百六十四円ということになつております。これが先ほど申し上げましたように、二五%、一五%、五%というふうに改訂いたしますれば、一人当り平均七百円ということに相なつております。さようにいたしまして、その結果といたしまして、全体としてできるだけ本俸の方においで改訂をはかる。本俸の平均が上るようにするという考え方でございます。
  33. 加藤充

    加藤(充)委員 それは大体の概算ですが、大体最高で九千円、最低で三百円くらいのべース・アップになるというようなことを計算しておる資料もあるのですが、今の平均で承れば非常にすらすらと了解しやすいようにも思うのですが、三百円くらいのところから現実において地域給の引下げがあつたりいたしますると、てんで問題にならない。むしろいろいろな総合的な結論から言えば、ベース・アップどころではなくて、ベース・ダウンになつてしまうというような、いわゆる下級吏員の切実な不安が報ぜられておるのでありまするが、その点について千円のべース・アップというような一般的なことではなしに、どの程度で末端の方に具体的に潤うものか、潤わないものか。この点についてお尋ねいたしたいと思うのでありまして、千円のベース・アップという非常に宣伝だけはにぎにぎしくやつておりますが、そのために地代給というものが減殺されますると、結局何のことはない、下の方の者のふんどしまではずして上の方のやつにひつつけるということになつてしまう。これはずるいやり方だというようにも見られておりまするが、その点についてひとつ承りたいと思います。
  34. 菅野義丸

    ○菅野政府委員 地域給の点につきましては、暫定的に現在の地域区分でただパーセントを五%下げたということにつきましては、ただいま給與課長から申し上げた通りでございますが、その結果今回のべースの改正とあわせて実際の手取りがどうなるかということについては、いろいろ御心配の向きもあると聞いておりますが、現実に計算いたしたところによりますと、手取りが減るというようなことは絶対にございません。五%下げましても、基本の本俸が上りますし、それからその上り方は五%以上になつておりますので、手取りが下るということはございません。それからこれはほとんど例のないことでありますが、もし何らかの理由によつて手取りが減るようなことがあります場合、もしくは一割の増加に足らないような場合には、最低保障といたしまして一割は必ず増加するというような規定もつけるつもりでございます。従いまして、勤務地手当を含めまして総額が一割以下になるというようなことは絶対ございません。     〔藤枝委員長代理退席、委員長着席〕
  35. 加藤充

    加藤(充)委員 そうすると、末端の場合においては、千円のべース・アップということは、結局一割だけの増加を確保したものであるというふうになるのですね。
  36. 菅野義丸

    ○菅野政府委員 一割の最低保障にかかる例はほとんどないつもりでございますが、みなそれ以上に上るのでございますけれども、かりにもし何らかの特別な事情でもつて一割に満たない場合には、最低保障をするという意味でありまして、いかに末端でも、一割しか上らないというようなことは、ほとんどまれな例でございます。
  37. 加藤充

    加藤(充)委員 私は格下げされる地域、それからそこに働く人々の人数、そしてその格下げによつて具体的に何ぼずつ浮くのか、こういうようなものの詳細を——三段階にわけられておりますが、三段階について具体的に承りたいと思います。
  38. 磯田好祐

    ○磯田説明員 ただいま各地域ごとにおいて地域給を五%ずつ下げた場合においてどういうふうになるかというような質問に承つたのでありますが、その場合におきまして、單純にこの地域給をそのまま下げたといたしましても、菅野副長官からただいま御答弁のありましたように、私どもといたしましては、特地、甲地、乙地のそれぞれにつきまして計算してみたのでございますが、地域手当の分についてだけ考えますならば、一三%以上のものは保障されておる。すなわち本来の本俸の引上げと、それから他方におきまする地域手当の引下げの分を相殺いたしましても、なお最低大体一三%程度のものが保障される。すなわち手取りといたしまして、従来のあれに比べまして、甲地、特地、乙地等を通じまして一三%程度以上のものは必ず手取りとして上るという形になつております。
  39. 加藤充

    加藤(充)委員 格下げになつ地域の、そしてそのために従来の既得権を侵害されて行く人々——それはもちろんベース・アップという一般的な中では補いがつけられると思うのですが、その詳細を具体的に承りたいという意味で質問を申し上げたのであります。先ほど申し上げたように、千円のベース・アツブというようなことになるのですが、切下げられたりなんかした部分も非常に出て参りますので、何のことはない、結局地域給あたりを削つて、そして最高九千円、最低三百円くらいの——これも一方的な結果の計数ですが、そういう値上げで、上の方へ下の方から取上げて持つてつてしまうということに相なるのではないか。具体的にそういうことを検討するために、いわゆる格下げの地域と格下げを受けたその地域の具体的な人数、そしてそれがどの方面にどれだけ多数の人々の問題になり得るかということをいろいろ判断するために、先ほど申し上げた質問をいたしたわけでありますから、一般的ではなしに、いま少し具体的に御答弁を願いたいと思います。
  40. 磯田好祐

    ○磯田説明員 ただいまの点につきまして、具体的な資料につきましては、追つてさらにこまかく御答弁申し上げるといたしまして、まず沿革的に、なぜ今度の場合におきまして、各地域における地域給を五%引下げたかという点について御説明申し上げますが、それは先ほど説明いたしましたように、人事院の今回の勧告によりましても最高二五%ということになつております。また最近におきまする各地方における物価差を見まするならば、最高のところと現在地域手当の支給されていないところの地域におきまして、おおむね二五%の地域手当を支給すればよろしいという資料が出たのでありまして、この点につきましては、政府といたしましては、そのまま人事院の勧告を尊重申し上げまして、その数字によつたわけでございます。  それからなおこの地域手当を現在のまますえ置いたとするならばどういう結果になるかということでございますが、この点につきまして、私ども一応すえ置くということを前提にいたしまして計算いたしたところによりますと、この今回のベース・アップをいたしまして、なおかつ地域手当の率を従来と同じようにすえ置きをするということに仮定いたしまするならば、一人当り平均約二百七十円の財源を要するという結論に相なつたのでございます。すなわちこれを逆に申しまするならば、財源といたしましては、現在すでに皆様御承知のように、千円という財源しかない。その財源の範囲内におきまして地域手当を従来のまますえ置きするということに仮定いたしまするならば、その二百七十円を引きましたところの七百一二十円というものによりまして、一般公務員のベース改訂をせざるを得ないというような結果に相なるのでございます。従いまして政府といたしまして、その間におきまして、今回のべース改訂におきまする限られた財源の範囲内におきまして、各公務員ができるだけ公平に、できるだけ合理的にそのベース・アップを受け得るようにするという形にいたしまするためには、現実の問題といたしまして、すでに各地域間におきまするところの物価差が狭まつておるという事実がございます。またそれをすえ置くという形にいたしまするならば、たまたま従来の高い地域手当を受けておつたところだけが不当に高い地域手当を受けまして、一般公務員におきましては、非常に低いところのベース・アツプしかできないというジレンマに陷つたのでございます。従いまして、全体といたしまして各公務員が公平に今回のベース改訂の利益を受けるようにということで、人事院の勧告の率をそのまま採用いたしまして、人事院の勧告の地域給の支給区分が勧告せられるまでの間は、暫定的に人事院の勧告によりますところの支給割合をそのまま採用いたしたのでございます。
  41. 加藤充

    加藤(充)委員 五段階を三段階にわけたのはどういう見地からか承りたい。
  42. 磯田好祐

    ○磯田説明員 五段階を三段階にわけたのではないのでございまして、現在の地域手当の支給地域が、特地、甲地、乙地という形に相なつておるわけでございます。すなわち人事院の勧告によりまするならば、これを二五%、二〇%、一五%、一〇%、五%の五区分にするということになつておりまするけれども、その各支給割合に対しまするところの支給地域の区分につきましては、冒頭に御説明いたしましたように、今日に至るまで何らの勧告がせられていないのであります。従いまして、政府といたしましては、現在あるところの甲地、乙地、特地というその地域の支給区分を、そのまま踏襲せざるを得なかつたということでございます。
  43. 加藤充

    加藤(充)委員 この点について人事院側の御見解を聞きたいと思うのです。千円のベース・アップの限られた財源を、結局地域給の改訂操作というところに少くとも一部の財源を求めたのではないか、表面で喜ばして裏から引きむしるというようなずるいやり方が出て来ておるのではないかと思いますので、くどいようですが、この点について人事院側の御意見を承りたいと思います。
  44. 山下興家

    ○山下政府委員 勤務地手当につきまして、われわれが最高三割を二割五分にしたというわけは、戰後今日非常に輸送がよくなつて来まして、物価差がたいへん少くなつた。そういうことから考えて、当然地域給の方は割合を少くしてもいいということが出て来たから、そういうことになつたのであります。しかしこれを調べてみますと、地域によつてどうしてああいうように特、甲、乙と定められたかということはわからないのであります。詳しく研究すればするほど、それが不合理だということがはつきりわかつて来たものでありますから、何とか機会をつかまえてこれを改正する必要があるということで、長い間かかつて、ずいぶん金も使い、労力も使つて研究しておるのであります。しかしこれを精密によくして行くのには、上げるばかりじやなく、下げるのも当然あるわけでありますが、給與改訂しないで下げるということは、とうていたえられないことであるので、何とかしてたくさん上げるときを見はからつて、そのときに改正をするよりほかに道がないのであります。それでわれわれの方は、少しずつ上げないで、とにかく八千五十八円というものを勧告して、その一ペンに上るときに、やろうという気持で計画しておるのでありまして、ただその八千五十八円というものを見つけたのはどこにあるかというと、地域給のないところ、それのついていないところで計算をしてあるわけであります。ですからわれわれの方としては、地域給から金をとろうという気持は毛頭ないのでありまして、これを何とかして正しい姿におきたいということだけしか考えておらないのでございます。
  45. 加藤充

    加藤(充)委員 どかつとはなばなしく上つたときに地域給を整理するのだというふうな御意見つたのですが、どかつと九千円も上る高給公務員はいいですけれども、三百円ぐらいしか上らない。あるいは末端においては一割を割るところがあるので、一割を割つた場合においては何とかその保障をする、そういうこともあるから御安心を願いたいというような御答弁が出て来る。このいわゆるベース・アツプは、はなばなしい割合にどかつと上げたというような機会になつておらないと思うのですが、三百円上つて地域給が削られたとすれば、結局ベース・アップどころじやない。何のことはない、結局三年も前の物価水準のままに、あくまでたけのこ生活で、公務員の体面を維持するのにきゆうきゆうかつかつの下級の公務員はまつたくひどいものであつて、もつとどかつと上げられるときには地域給は整理さるべきであるが、どかつと上げないときに、こういうようにいたずらなる操作をやつて、今までの御研鑽を無にしてしまうというような地域給の廃止——事実廃止に向う処置はやるべきでないという見解を私どもは持つているのですが、この点についてどかつと上げたと言い切るのかどうか、あらためて御見解を承りたいと思います。
  46. 山下興家

    ○山下政府委員 まあどかつと上げたと思いませんで、実は困るのでありますが、しかしそうかと言つて、何か上げるときを見つけないと、今の不合理をそのままに永久にすえ置くということも困るのであります。それでわれわれの方もいろいろな陳情がありまして、よく見るとなるほどこれはむりだというところもたくさんあるのです。ところがそこだけを上るということはどうしてもぐあいが惡いので、とにかく上げると下げると、うまく科学的に行くときを見つけるよりほかはない。ところがこれから先、一体千円以上上るときがあるだろうかという見当なんです。近いうちにそういうことがあればまことに都合がいいのでありますが、ないと思うとすれば、あんまりどかつと上るようなときでなくとも、やはりとにかくやらなければならぬ。そこでわれわれは非常に苦心しておりまして、何とかして大蔵省にたくさんの予算を組んでもらいたいと念願しておるのでありますけれども、そんな状態でこちらも苦しんでおるわけであります。
  47. 加藤充

    加藤(充)委員 私の方の質問もうまく行かなかつたのですが、どうも今までの御答弁を見ても、結局しよせんはやらずぶつたくりのいい機会をねらう、そして人だかりに働くすりが仕事場の機会をたんたんとしてねらつている、こういうようなことにしか、このたびの給與改訂の問題については私ども理解ができない。ましてや国家公務員の方は大体においてそれなりに、内容は別として、何ぼかつくらしいのですが、二丁五億の平衡交付金の増額だけでは、地方公務員の問題はどうも解決しておらないと思うのでありますが、きようは私はこの程度で質問を終りたいと思います。
  48. 成田知巳

    成田委員 今の地域給の問題ですが、山下さんの御答弁を聞いていると、大蔵省の政府案に対して賛成であるがごとく、また賛成でもないがごとく、わからない。副官房長官なり、大蔵当局の話を聞いておりますと、人事院の勧告を尊重して五%引下げたのだ、そしてまた人事院が地域給の点について勧告しないから人事院はけしからぬと言つて、人事院を上げたり押えられたりしておる。人事院が五%の引下げを最初勧告されたのは、特別CPSならCPSの調査をやりまして、実態に即した地域給の勧告をやりたい。合理的なでこぼこ調整をやりたい、こういう前提のもとに五%の引下げを敢行された。にもかかわらず、現在の政府案ではそういう合理的なでこぼこ調整をやらないで、現在の区分によると一率に五%引下げされた。これは人事院の勧告の趣旨と全然反しておるので、こういう点について人事院は今度の五%引下げに対しては、当然反対の御意見があつてしかるべきだと思いますが、これに対する山下さんの御意見を御聞きしたい。
  49. 山下興家

    ○山下政府委員 まだ法案が出て来ておりませんので、どうも何と申してよろしいかわからないのでありますが、私どもが二〇%が二五%になつたということは、最高の三〇%が二五%になつたということで、全体を五%引くという気持は毛頭なかつたのであります。それで目的はそれからお金を出すつもりはなくて、合理化しようということたけであつたのでありまして、むろん今の三段階をただ五%全部引くということでは、目的から全然反対な方向に向くのでありますから、その点においては私どもは賛成しかねるわけでございます。
  50. 菅野義丸

    ○菅野政府委員 先ほど磯田課長の御説明によりまして、ちよつと誤解を招くおそれがございましたので、私から訂正なり、増補をいたしますが、政府の今回の地域給につきましては、これは人事院の勧告を全面的に尊重してやつたのでありまして、ただ地域区分の勧告がまだ出ませんので、ただちに勧告通り五区分はできませんが、率は割つておりますので、その通りにしたわけであります。勧告が出ましたならば、法律案として別に出しまして、その法律制定されるまでは現在の地域区分でやる、こういうことになつておりまして、いかにも財源が足りないから下げたような御説明を申し上げたのは誤りでありまして、もしかりに現在でも全然地域給をやらないところと、最向のところが三〇%の物価差があるならば、いかに財源を要しましても、それは三〇%の差にすべきでありますが、現在の人事院からいただきました資料によれば、最高が二五%の差しかないのでありますから、もしこれに三〇%の勤務地手当をやるといたしますれば、全然地域給をもらわないところとの均衡が非常に惡いのでございまして、よけいなものをもらうということになるわけでございます。従いまして財源の点は、ただ單に現在のままに置けば、どのくらいかかるかということを御説明申し上げたのでありまして、それを財源として今度の千円のベース・アップをしたのだというわけではございませんから、あらためて申し上げます。
  51. 加藤充

    加藤(充)委員 今のあらためての御答弁で私どもは意を強うしたのでありますが、しかしその半面に大きな疑問が起きるわけでございます。いかに財源を要しても、りくつにはまつてつてやらなければならないものはやるにやぶさかでないのが大蔵当局だと言われた。そうするとまた古くさいことを持ち出すようでありますが、国鉄裁定のような問題のときは、りくつがどんなにあつても、手続が原則的なものであつても、財源がないから、ない袖は振れないから抑えないとけ飛ばしたのが大蔵当局である。今のりくつが通れば手続さえ整えればいかに財源を要してもやるにやぶさかでないと言われまして、私どもは意を強うするのでありますが、その点をあらためて念を押したいと思います。
  52. 菅野義丸

    ○菅野政府委員 ただいまの説明、私また不十分で、結局財源の点で三〇%を二五%にしたのではなく、人事院の勧告に基く資料によつて最高を二五%にいたしたのでございます。
  53. 平川篤雄

    ○平川委員 今のお話で奇妙だと思いますのは、最高が二五%で、最低がゼロだ。こういうようなことからそれをやると言われるのでありますが、それは地域給の面だけで、実際はCPSの方からいうと、たしか私こう思つておるのでありますが、東京を一〇〇として八〇%のところがゼロになる。それで行きますならば、ゼロのところと二十五のところは決して三割五分の開きではない。今おつしやるのは人事院の地域給の甲、乙、丙、丁、そういう段階が二十五、二十、十五というふうに割つてあるから、それだけ違つて、実際地域給を出す本質に触れた数字じやないと思いますが、それはどうでございますか。もう少し申しますと、人事院の勧告ではいわゆる物価水準を込めて給與全体として考えておられるのに、あなたの方ではただ地域給の分だけとつて、それから五%ずつ引くということになつている、間違いじやないかと思つているがどうですか。
  54. 菅野義丸

    ○菅野政府委員 地域給は御承知の通り物価差をカバーするということでありまして、要するに物価差が二五%以上にはならないということになつておりますので、最高を二五%にしたのであります。この人事院の勧告のように五区分にいたしますれば五%ずつの違いでもつて、最低五%になるのでありますが、現在のところは三区分になつておりますので、ちようど中加減くらいのところをとりますと、この二五%をやつておりますところとの差が約一〇%になりますので一五%にした。結局現在から五%ずつ減らしたことになるのでありますが、これは今持つておりませんが、数字的に説明がつく資料でございます。
  55. 平川篤雄

    ○平川委員 この次にはつきりしてもらうことにいたしましてこれで終ります。
  56. 田中伊三次

    田中委員長 それでは午後は一時三十分より開くことにいたしまして、暫時休憩いたします。     午後零時四十九分休憩      ————◇—————     午後二時二十分開議
  57. 田中伊三次

    田中委員長 それでは休憩前に引続き会議を開きます。  給與改訂問題等に関して質疑を継続いたします。岡田春夫君。
  58. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 まだ法案が出ないから、あまり詳細にわたつては質問しないというような初めの申合せだそうでありますけれども、大体一般的な話から質問いたして参りたいと思います。  まず第一に、土曜日の人事委員会におきまして岡崎官房長官は、給與法案はどんなにおそくともきよう出すということを答弁いたしておられるのでありまして、これについていまだに出ておらないのは一体どういうわけであるか、この点をまず伺いたいと思います。
  59. 菅野義丸

    ○菅野政府委員 土曜日の予想では、きようは大丈夫出せるというようなつもりでおつて、官房長官からお答え申し上げたのでありますが、今まだ実は折衝をやつておりまして、私どもの方ではきよう中にその手続を終了いたしたいと思つておりますが、今のところまだ見通しがつかないのはまことに申訳ないと思つております。
  60. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 そういたしますと、今関係方面と折衝中の段階にあるのですか、それとももう折衝を終りまして、印刷でもしておるのですか。
  61. 菅野義丸

    ○菅野政府委員 実はまだ関係方面からのオーケーがもらえないのでございます。
  62. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 オーケーがとれていないということになりますと、まだ大分おくれるようなふうにもわれわれは感じられるのです。これから印刷するとかいうことになりますと、まだ数日後ということになるような感じもいたしますが、大体あなたのお見通しといたしましてはどういうことになりますか。
  63. 菅野義丸

    ○菅野政府委員 印刷の点は、正式な印刷はもちろん関係方面の了承を得なければできませんが、私どもの方では実は謄写版ずりのものをすつかり用意しておりまして、きようでもオーケーが来れば出したいと考えております。なお関係方面との協議の問題は、それぞれ内交渉はすつかり済んでおります。正式のオーケーがないという意味でございます。
  64. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 大体わかりましたが、政府側考えとしては、大体いつごろ出す見込みですか、伺いたいと思います。
  65. 菅野義丸

    ○菅野政府委員 先ほど申し上げましたように、きようでもというつもりで曲願いをして督促しておるわけでございますが、きようでもあしたでも、オーケーがあり次第ということでありますが、相手のあることでありますから、確実な日を申し上げることはまことにむずかしいのであります。しかし、そう三日も四日もということはないと思います。
  66. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 新南等を見てみますと、オーケーになるだろうと見通されている政府の案は、大体八千円くらいになるというようなことが出ておりますけれども、この点について少し伺いたいのであります。この間の二十一日の閣議の決定では、今までの給與に対して千八円を加えて、大体七千九百八十一円くらいになる、こういうように新聞に出ておるのでありますが、この点はどうでありますか。
  67. 菅野義丸

    ○菅野政府委員 おつしやる通りであります。
  68. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 そうしますと、七千九百八十一円、すなわち千八円を加えたということについてお伺いをいたしたいと思うのでありますが、この間の本会議の施政演説のときの大蔵大臣の演説、あるいはその前後におきます池田大蔵大臣の談話によりますと、今度の補正予算で減税をした分は、大体主食の値上りの分をカバーするであろう、しかし一般の物価の値上りの分については、減税でカバーできない。物価の値上りについては、賃金で大体カバーして行きたいというような意味のことを言つております。そこで今度の賃金ベースの大体千八円の引上げというのは、一月以降の物価値上げの分を見込まれて値上げをされておるのかどうか。こういう点について伺いたいと思います。
  69. 菅野義丸

    ○菅野政府委員 千円のべース・アツプという点につきましては、いろいろの意味がありまして、もちろん物価の値上り等も考えておりますし、民間給與との間の差を少くするというような意味もありますが、考え方といたしましては、人事院の勧告と同様に、その俸給長のつくり方なり何なりは、同じ方法でもつてつておるのでありまして、結果がそういう千円のべース・アップになつたということになるのでありまして、人事院の数字をとり、また方法も同様の方法でもつて俸給表をつくりまして、その俸給表を現在の人員構成にあてはめて平均給與を計算すると、千円内外の差になる、こういう意味でございます。
  70. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 一月以降のベース・アップでありますから、当然一月以降の状況を勘案されて出されたものだろうと思います。民間給與の問題ももちろん重要でありましようけれども、直接の問題としては、物価騰貴がどういうふうにこの給與ベースと関連を持つて来るか、この点が一番重要だろうと思いますが、この場合において、物価騰貴を今度の賃金ベースの千八円のアップで完全に吸收できるとお考えになつておりますかどうか。
  71. 菅野義丸

    ○菅野政府委員 その点は、六三ベースを完全に実施しました昨年の三月と比べた数字は用意してございますので、こまかい数字的の説明につきましては、給與課長の方から御答え申し上げます。
  72. 磯田好祐

    ○磯田説明員 ただいま副長官から御説明がありました、いわゆる六三べースが完全実施になりましたのは、昨年の三月という形になつております。その当時におきます民間のいわゆる工業労働者平均賃金でございますが、これが税込みにおきまして七千百八十八円ということに相なつております。これに対しまして六三べースの完全実施になりました二月におきます公務員の平均給與額は六千六百四十七円ということに相なつております。その間におきます公務員給與と工業労働者の給與との開きは、当時におきまして約八%公務員の方が民間の平均より低いという形になつております。それに対しまして、今回の改訂によりまして千円を加えた結果、大体どういうバランスになるかという問題でございますが、最近におきます物価の趨勢等を考慮いたしまして、来年一月におきます毎月勤労統計によりますところの工業労働者の推定平均賃金は、おおむね九千百八十八円程度になると思つております。これに対しまして、公務員のベースは八千六百円十一円ということになつております。なおこの八千六百四十一円と申しますのは、先ほど副長官から申しました七千九百八十一円に対し、現在公務員に対しては平均一人当り六百六十円というオーバー・タイムがありますが、これを一応見込んであるわけであります。その結果として、来年一月におきますところの両者の給與の比較をいたしますと、一〇六・三%ということになつておりまして、公務員給與の方がまだ六%程度低いという結果になつております。しかしながら昨年の六三ベースのときにおきます一〇八・一%以上には、今回のペース改訂によつて回復するという結果に相なつております。
  73. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 今の御説明中にも大分お話があつたのですが、この点に触れる前に、一月からべース・アップするというわけですが、一月までのべース、すなわち今年一ぱいの給與というのは、大体今までの給與で聞に合つているというわけで、政府は一月からベース・アップするというお考えですか。
  74. 菅野義丸

    ○菅野政府委員 ただいま数字的な説明を申しましたように、物価の趨勢等から見ますと、六三ベースが実際に完全に実施されたときに比べまして、今実質賃金も上つておりますし、物価も下つております。従つて現在の六三べースの平均給、約七千円近くでありますが、これはその当時の状況に比べて特にひどいということはないと考えております。ただ民間給與との差はなおございますので、人事院の勧告もありまして、今回給與改訂をすることにしたのであります。
  75. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 今七千円近くの数字というお話があつたのですが、嚴密には六千九百七十三円を十二月の推定の給與にされておるようですが、六千九百七十三円がべース・アップになつているという意味で今副長官がお話になつたようですけれども、これは物価に応じてアップされたいわゆる賃金のアップではないのじやないのですか。
  76. 菅野義丸

    ○菅野政府委員 ベースという言葉は、いろいろな意味がありきて、判然としないのですが、現行一般職の給與に関する法律の第一條にございます六千三百何がしかの金額、これをいわゆるベースと申しておりますが、これは第一條にはつきりありますように、本俸、勤務地手当、あるいは扶養手当、特殊勤務手当といつたものを合せたものが、一人平均六千三百円になるということを規定しておるのでありまして、この意味から申しますと、いわゆる平均給と同様に考えていいと思います。当時平均給が六千三百円になることを目的として俸給表をつくられておりますが、現在におきましては平均給が七千円近いものになつている、こういうふうに考えております。
  77. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 平均給の御説明はよくわかりましたが、六千三百円から七千円近い額、この約七百円の開きというのは、最近の物価高に応じて上げられたものということですが。われわれの解釈からすれば、その後の昇給、家族の構成の増加等によつて上げられたものと考えるが、物価騰貴によつてこれが上げられたものとは全然考えられないのですが、この点はどうお考えですか。
  78. 菅野義丸

    ○菅野政府委員 もちろん物価に応じて最低の生活費を基準にした、いわゆる俸給表の成年男子の独立の生計を営む費用を基準にしてかわつたのでないことは、その通りでございますが、しかしこれは昇給——昇格ばかりではなく、人員構成の点も時々刻々かわつて参りますし、とにかく一人当りの平均の給與額という意味におきましては、これが上るということは、公務員の給与がそれだけ実質的によくなつている、こう解釈してもいいと思います。
  79. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 人員構成によつてもアップになる場合もあるということになりますと、この間のレッド・パージで大部分官公吏の首切りをあなたの方でなすつたのですが、レッド・パージによつて首切つた賃金の余つただけ昇給になつているということも、含むわけですか。
  80. 菅野義丸

    ○菅野政府委員 わずか千人やそこらの者が、決して平均賃金に影響することはないと思います。その余つた給與でもつてつているという意味ではありません。それで昇給しているという意味ではございません。
  81. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 この間のレッド・パージは政府全体としては三人や五人ではないはずで、少くとも千人を超えている首切りなのですが、千人を超えた首切りの額というのは、大なり小なりべース・アップに関係をして来ると思います。そうするとわれわれとしては首切りの犠牲の上において賃金の値上げが吉田政府によつて行われた、こう言わざるを得なくなる、わけでありまして、こういう点をもう少し具体的にお話願いたいと思います。
  82. 菅野義丸

    ○菅野政府委員 行政機関の定員というものは、御承知の通り法律によつて定まつておりまして、それによつて人の採用をするわけでありますが、定員内の人が足りなくなりました場合には、別にその費用をベース・アップに使わなくても、ただちに採用をして補充することができるようになつておりまして、今回のベース・アップとそれとは全然関係ございません。
  83. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 それから先ほど六千九百七十三円、約七千円アツプのお話がありましたが、先ほど大蔵省の政府委員の御説明では、六千九百七十三円の基礎として六千三百円のお話があつたように私聞いておつたのであります。私の聞違いかどうか知りませんが、昨年の三月に六千三百円の数字が出ておりますが、私たちの解釈をもつてするならば、ベース・アップという場合には、六千三百円が今まできめられているベースであつて、この六千三百円が、最近先ほどの副長官のお話のように、人員構成、あるいは家族の人員、あるいは昇給等によつて、六千九百七十三円に上げられている。そうするとあくまでも現在の給與水準というものは、六千三百円であろうと私は考えるのですが、これはいかがでございましようか。
  84. 菅野義丸

    ○菅野政府委員 私どもの解釈では、六千三百円ということは、あの現行法律についております俸給表をつくつた、その俸給表の名前であるというふうに考えております。名前と言つては少し言い過ぎかもしれませんが、あの俸給表が、当時の人員構成において平均六千三百円になるという俸給表であると思うのでありますが、結局ベースという観念と平均給の観念というものは、同様に考うべきものではないかというふうに考えております。
  85. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 どうも私ははつきりわからないのですが、六千三百円の勧告を人事院が行いまして、先ほど大蔵省の関係からも説明がありましたように、昨年の三月からやるというようなことで、勧告に従つて六千三百円がきめられた。その後において政府はそれでは毎月々々その平均給によつて、勧告を増加されたりふやされたりしておきめになつているわけですか、どうですか。
  86. 菅野義丸

    ○菅野政府委員 六千三百円の勧告というものは、当時の人員構成と対比いたしまして、その俸給表をつくると、その当時六千三百円の平均給になるということを目途として、勧告を出されたものだと思います。その後人員構成も違うし、昇給もいたしまして、平均給が七千円近くのものになつたということは、当時平均給を六千三百円にするということが目的であの法律ができたのでありますが、その後実際時がたつに従いまして、七千円近くになつたものでありますから、やはり当時のベースという観念を平均給の点床にとりますれば、それがそれだけ上つた、俸給表はもちろんかえておりませんが、その実施の結果、一人当りの平均の給與額が七千円近くになつた、こういうふうに解釈してよろしいと思います。
  87. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 どうもそこのところ非常にあいまいだと思うのでありますが、給與額の決定は、国会で実はきめるだろうと思います。政府の方で適当にベースを六千三百円にされたり、七千円にされたり、五千五百円にされたり、いろいろそのときの平均給によつておかえになつておるとは私は考えられない。もし給與額を適当におきめになるとすれば、これは明らかに国会無視だ、私が今まで考えている限り、これはおそらく誤りがないと思うのでありますが、今の給與水準、給與額、これはあくまでも前回六千三百円ベースのときに決定された法律によつてきめられているのであつて、その限りにおいてあの法律が生きており、その限りにおいて、あの六千三百円ベースというものが基礎であつて、これが基準であるということに間違いないと思うのであります。それでも別に平均給の六千九百円という新たな給與べースでもありますか。もしありますならば、お教えを願いたい。
  88. 菅野義丸

    ○菅野政府委員 ベースという言葉をそういう意味にお使いになれば、確かに現在も六千三百円ベースでございまして、すなわち平均給が六千三百円ペースになるということを目途とした法律を、現在そのまま適用して、法律従つて給與をやつておるのであります。その意味から申しますと、現在六千三百円であるということについては異存はございません。しかしながらその実施の結果、人員構成なり昇給等によりまして、現在平均が七千円近くになつておるということも事実でございます。
  89. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 そこで平均給が六千九百円になつておるという点についても、またあとで伺わなければならぬのですが、前段のお話の通りに、法律決定は六千三百円であつて、この基準によつてきめられておる。そうするならば、今度千円増額されたということについて、新聞紙上政府が盛んに放送されているのは、六千九百円に千円を加えたから、八千円になるというお話になつているけれども、これは法律の上での、国会決定をいたしました賃金基準に関する限りは、六千三百七円に千円を加えたのであつて、七千三百円の給與ベースにしかならないと考えるのですが、この点はいかがでございますか。
  90. 菅野義丸

    ○菅野政府委員 一般職の給與に関する法律第一條にございますように、平均給を何々円にするというのが、いわゆるベースという観念になつておりますから、今回はペース・アップによりまして、八千円の平均給を得るようにするのが目的でございますので、八千円べースという言葉も使つておるのでございます。
  91. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 八千円にするのが目的であるというお話でございますが、八千円にするという点で、人事院の勧告を尊重されたのでありますか、その他の点でも御尊重になつておりますか、どうですか。
  92. 菅野義丸

    ○菅野政府委員 この前官房長官が申し上げましたように、財源に直接関係のあるもの以外は、人事院の八千五十八円の勧告をでき得る限り使つております。法律が出ましてから詳しく御説明申し上げたいと思いますが、財源関係のあるものでも、人事院の資料、それから人事院のやり方等は、そのまま使つて計算をいたしております。その計算いたしました結果、現在の人員構成にアプライしますと、その平均が八千円になつて、ちようど現在の平均給に千円何がしを増加したものとなつて財源とも一致いたしましたので、法律案の改正をなすに至つた次第であります。
  93. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 あまりこまかいことになりますと、法律が出てからになりましようから、この程度にしますが、今のお話で、大体算出方式その他人事院を尊重して、額が大体八千円になつた、こういうことできめたのだというお話でありますが、そこで今度山下さんにお伺いしたいのですが、八千五十八円という額は、これは確かに勧告案として出ておりますけれども、これは私の知つている限りでは、今年の五月が基準になつて勧告されたものだ、かように考えております。五月が基準になつて、その後の物価の変動等については、いまだにこれは考慮されておらない額であると考えますが、この点はいかがでございますか。
  94. 山下興家

    ○山下政府委員 私ども給與ベース考えます時分には、資料は全部過去の資料をとりまして、予想を一つも入れておらないというのが、特徴でございます。それですから九月に出しましたのは、九月の実態によつて計算したのでありまして、その後の変化は考えに入れておらないのでございます。その後は、この次のまた勧告をする場合に、一番近い現状をつかまえて行くというのが、特徴でございます。
  95. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 今の答弁にも大分問題があるのですが、こまかいことは正式の給與法が出てからにして省略しますが、大体九月ということですが、人事院から配付されたこの資料を拝見いたしましても、五月のCPSが基準になつているようでありまして、その後の九月のいわゆる経済状態というものが考慮されたような事実は全然見られておらないのでありますが、こういう点具体的に一例だけでけつこうでありますから、九月ごろの状態をこの中に考慮されておられるとするならば、どういう点に現われておりますか。
  96. 山下興家

    ○山下政府委員 CPSにつきましては、五月のものを大部分つております。それは調べましてもなかなかすぐ結果が現われませんから、九月の発表をいたしますときには、一番近いものと、及びCPSは五月のものをとつております。しかし人員はそのまた前になるのでございます。そういう意味でありまして、一例と申しますと、ちよつと困りますが……。
  97. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 私のお伺いしたいのは、その点よりももつと重要な点なんで、大体物価の点から見ても、CPSその他を調べても、六月を最近の最低として、その後朝鮮事変が起りましたことによつて、最近物価がどんどん上つているのであります。九月よりも十月がまだ上つているはずであります。こういう形でどんどん物価が上つている場合、特に最近の場合には、大体指数として簡單な例をあげると、二五、六以上を突破するのじやないかというようにわれわれ考えるのでありますが、こういうように上つたものを、人事院の方として考慮されておられるかどうか、八千五十三円のべースの中にはその点が含まれておりますかどうか、その点をお伺いいたしたい。
  98. 山下興家

    ○山下政府委員 それは含まれておりません。この前の勧告は九月でありましたから、それに近いだけでありまして、それからあとの変化は全然入れておりません。
  99. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 そうすると、当然それ以上の値上り分というものは、八千五十三円の勧告プラス・アルファでなければならないと思います。少くとも八千五十八円より高いものでなければならないと思いますが、その点はどうですか。
  100. 山下興家

    ○山下政府委員 そう思います。
  101. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 そうなつて参りますと、今度の政府案の八千円程度給與べースは、額だけで行けば、八千円に大体近いように政府が数字だけ合せたのではないか——数字を合せたかどうかそれは知りませんが、これをもつてするならば、最近の物価騰貴とにらみ合せて来ると、もつともつと高いべースでなければ、最低生活は保障できない。少くとも下級職員については最低生活は保障されないと、人事院としてはお考えになるだろうと思うのであります。その点はどうですか。
  102. 山下興家

    ○山下政府委員 その点ははつきり申し上げかねるのです。なぜかと申しますと、最低生活費を勘定しましたのは今の二級一号のところをやつておるのです。それは、たとえば日本国民の十八歳くらいな男がとつておるカロリーがどうだというようなところから最低のところは押えております。しかしあとは全部民間給與に合してありますから、これが下るということは、民間給與との開きが相当できて来るかもしれませんが、しかし最低の給與の方は、いわゆるマーケット・バスケットと申しまして、生活するのに必要なお金であるから、世の中の物価が上つたり下つたりしましても、そのとつた品物が上るかどうかということは何とも申し上げかねるので、もう少し計算してからでないと、下つたとか上つたとかいうことは申し上げかねると思います。
  103. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 しかし少くともあなたの今までのお話では、これは八千五十八円プラス・アルファでなければならないとのことです。それからもう一つ、八千五十八円の賃金体系の一つの足として、先ほどのお話のように、二級一号俸の人の場合には三千三百四十円というものが基礎になつてこれがつくられている。この三千三百四十円はいろいろな計算方法がありましようが、これは十八歳の人として、何とか食つて行ける給料であるということになつておりましよう。そうすれば今度の給與ベース政府案から行くならば、三千三百四十円よりも、われわれの聞いている限りではもつと下る給與べースになつておる。大体三千百円くらいになると言われている。もしこれが三千百円であつたとするならば、これもマーケット・バスケットの操作によつて何とか食えるだろうと御判断になつていてのお舌なんでございますか、どうですか。
  104. 山下興家

    ○山下政府委員 どうも法案が出ないのに予想して申し上げるのはおかしいのですが、大体の観念といたしまして、私どもが編み出した基礎観念と、何か大蔵省で考えておられる基礎観念に少し違いがあるように思うのであります。それはどうかといいますと、私どもの方は幾らお金があるからそれをどう配分するかという考えは毛頭ないのでございます。結局最低生活をするのには幾ら幾らだということが一つと、もう一つは民間の給與になるべく合して行きたいのが一つと、これが組み合つて給与体系ができておるのでございます。そして今度給料は幾ら幾らになるだろうかというベースが最後に出て来るのであります。それであの最低最高のカーブといいましても、それはいろいろ理論がありましようけれども、私どもの方はまず民間の現状に合して行く。なぜこれを言うかと申しますと、われわれは今の給与の体系から申しますと、変なもの、たとえば地域給だとか、扶養手当とか、そんなものを入れなくちやいけないくらいな窮迫した状態である。それで国民に対して、納税者に対して、給與ベースを上げてください、こういうことを国会を通じて訴えておるわけなのであります。それは結局われわれは国民に対してできるだけサービスしておるのだ、それだから少くも国民と同じ生活水準にすることに対しては異議がありますまいということで、すなわち国民のとつておるカロリーから計算をしまして最後の一番小さいところが出ました。それからあとはとにかく民間の給與ならいます、いいか惡いかわからぬけれども、とにかく民間の給與にならうのであります。それだつたら国民としてこれに対して一つも異議を言われるはずはなかろう、まず給与べースを上げていただくことに対しては異議がないだろう、こう想像するわけであります。それで国会へそれを訴えて、そうして御審議を願いたい、こういうわけであります。とにかくお金があるから、そのお金をどういうかつこうにして使つてもいいのだということは、われわれは考えないのであります。それはまた将来余裕ができまして、そうしていわゆる実績主義、メリット・システムなんかが使えるようになれば、またいろいろな理想が出て来ましようけれども、今のところわれわれはその理想を捨てて、まず国民に訴える、そうして国民をしてこれだけのお金を出してください、こういうことを頼んでおるのでありますから、根本観念が私は少し違うと思うのであります。
  105. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 そうするとあなたのお考えでは、大蔵省の給與の算出の仕方というのは予算面から出しておられるというようにお感じになりますか、どうですか。
  106. 山下興家

    ○山下政府委員 まだ見ませんから何とも批評できないのでありますが、しかし新聞で伝えるように、あの低いところと高いところとの差があるとかいうようなこと、これは給與の体系としては理想に近いかもしれません。しかしそれは将来の話で、われわれはそういう行き方とは違うということを申し上げているのであります。
  107. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 山下さん、たいへん御懇切な答弁ですが、なるべく簡單に……。長くなりますと惡いですから……。  今も、給與予算で何かわくがあるようだ、こういうお話をなさつておられますし、先ほど失言であつたかどうか知りませんが、大蔵省の関係でも千円というわくをお出しになつて、その中からいろいろ地域給の分とか本俸の分とかというような計算をなさつておられるのですが、菅野官房副長官だけは、これは予算の面から出したのじやなくて、あくまでもこれは給與べースを人事院の勧告の線に従つて出しておる、こういうようにお話になつておりますが、この点非常に私は重要な問題だろうと思います。副長官だけが違う考えを持つているならば違うと言つてよろしいわけですが、この点を政府立場として、はつきりとしていただきたいと思います。
  108. 菅野義丸

    ○菅野政府委員 お答え申し上げます。先ほど申し上げました通り、政府は勧告を実施する場合におきましては、ただ單に勧告をそのまま実施するわけには行かないのでありまして、財源ということも当然考えなければならないのでございます。従いまして一応現在の財政上、公務員給與にさき得る限度はどの程度かということが、まず考えなければならないことでありますが、しかしその金をきめて、その命をどういうふうにわけるかというようなことでもつて、この給與法律の改正をしたのでは絶対にございません。一昨日人事院総裁は、同じような八千円と八千五十八円になつているが、その内容は非常に違うとおつしやつたのでございますが、私の方から言いますと、今度くらいこの勧告によく似たものはないのでありまして、ひとり金額ばかりでなく、その内容たるや実によく似ているのでございます。いずれ法律が出ましてから詳しく御説明申し上げたいと思いますか、非常によく似たものでありまして、金額が違いましたのは、これは財源の点ばかりではなく、やり方等も同様な方法をとつたのでございますが、遺憾ながら人事院の勧告通りにはしない方がむしろ妥当であると確信いたしましてかえたのでございます。そういうことで、人事院の資料に基きまして人本院と同じ方法を用いまして、ただ基準その他につきまして、より完全にしようという考えでもつてやりました結果、俸給表ができたのでございます。それを現在の人員構成の中に当てはめますと、その結果が八千円になりまして、ちようど現存の平均給との差が千円くらいになる。そうすると、これは現在の財政負担し得る限度とよく似ておるというのでもつて、両者一致いたしましたのでここにその法律案を決定したのでございます。
  109. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 なかなかつらい答弁をされておられますが、数字でお舌もありましようけれども、私たちの考えをもつてすれば、似て非なるものの標本はこれだと思います。どうしてかというと、なるほど八千円という数字はにている。しかし菅野さんもよくおわかりの通りに、明治時代の八千円と今の八千円と違うのは、どういうように違うかという点ははつきりおわかりと思う。朝鮮事変の始まる前の八千円と、朝鮮事変が始つて物価騰貴になつた時代の八千円とはまつたく違うということをお考え願わなければならない。形だけ似ておつても中身が全然違うということは、淺井さんの言つておる方が正直だと思いますが、こういう点はともかくといたしまして、山下さんにお伺いしたいのですが、この給與ベース決定にあたつて、人事院が事務的に協力参加されたということが新聞紙上に伝わつておりますか、この点についてはどの程度の協力参加が行われたか。     〔委員長退席藤枝委員長代理着席
  110. 山下興家

    ○山下政府委員 原案を見せていただきました。しかしその中には賛成できる点もあり、できない点もありまして——できないのはできないと申して、そのまま国会へ出されることになつております。
  111. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 毎日新聞の二十一日によりますと、あなたと淺井人事院総裁は、人手院として今回の政府案には同意しがたいという申入れをされたという事実が記事に載つておるのでありますが、これは事実でありますかどうか。
  112. 山下興家

    ○山下政府委員 別に申入れをした覚えはありませんが、しかし御相談には乗つたのであります。そのときにこの項目この項目といつてずつと行きまして、その中にどうしても御同意できないものがあるということをはつきりしただけでございます。
  113. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 御同意のできない点は、これは法案が出てからの方がよろしいのでしようか、どうでしようか。もしお許しを得られるならば、御同意のできない点を、一つだけでも重要な点がもしありましたら御説明願いたいと思います。
  114. 山下興家

    ○山下政府委員 その一つは先刻申しましたように、低いところと高いところとの比和でございます。それは先ほど私が申し上げました考え方が大体違うのでありますから、結果も違うわけであります。それが一つの大きな点でございまして、またそのほかにもいろいろありますが、今のところ一例としてそれを申し上げておきます。
  115. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 先ほどから大分地域給の話が加藤委員その他から応答があつたのでありますが、結局政府側としては、地域給の問題につきまして暫定的に出したということは、ひとえに人事院の責任であるということを言つているわけです。まあ直接に言わないから人事院の方はさほどにお感じにならないかもしれないけれども、あなたの方で九月九日に人事院として今度の給與勧告にあたつては、今度は地域給も五段階にかえてひとつきめたい、そこで別表六によつて地域給の点をはつきりするから、これを入れろということをここで勧告されているにもかかわらず、いまだに別表をお出しにならないのは一体どういうわけなのでございますか、これをお伺いしたい。
  116. 山下興家

    ○山下政府委員 これは今の私どもの目的は、地域給を合理化しようということであつて、全体からお金をとろうとか、ふやそうとかいう考えは全然ないのであります。それでどこの地域は幾らになるべきか、どこの地域は幾らになるかといつて、それを合理化しようと思うのでありますから、上るところもありましようが、下るところもあるわけでございます。その下るところはまことに痛いわけでありますから、どうしてもベースが上るというときでないとぐあいが惡いのであります。それで今度の法律案が可決をされることが確実になるか、あるいは可決されたか、とにかくベース・アップできるという見定めがつかないと、そういう地域給の改訂だけを出しますと、えらい御迷惑をかけるところが非常に多くなるということを心配するわけであります。
  117. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 それでは御迷惑をかけるところがあるということを御心配になつて、今の三階級にわけた政府案の地域給でもよろしいということをお考えになつておられるわけですか。結果的にはそういうふうになりますが……。
  118. 山下興家

    ○山下政府委員 それは私の知つておる範囲においては、磯田さんからの御説明がいいと思いますが、法案があとだからどうかわかりませんけれども、これは事務的操作の上のやむを得ない結果だと私は承知しております。
  119. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 しかし先ほどからいろいろ大蔵省関係の磯田さんの御答弁等を聞いておりましても、実際千円のわくの中で地域給の操作をやつておる。あなたのお考えのように地域給の全体をにらみ合せて大きなベース・アップのときにこれを一緒に勘案してなるべく影響の少いようにして、全体の、いわゆる人事院の言われるところの科学的な一つの給與体系をつくろうというお話とはまた大分筋道が違うようでありますが、この点はともかくとして、地域給の別表を九月につけて出すということを勧告されておりながら、給與ベースがきまつてしまおうという現在においても、いまだに別表を発表されないということは、結局これは三階級にわけた政府案に追随するために、実はだまつてあとまで待とうということでお待ちになつておるのか、あるいはまたそういうようにお待ちになつておることは、八千五十八円の給與ベースの全体系のうちで地域給に関する部分だけは、放棄をするということを意味することだと思うのですが、そういうことになつて参りますと、いわゆる官公吏の生活を守つてくれるはずの人事院が八千五十八円というのは、名目だけ勧告しておいて、ともかく通らなければやらないというような意味の含みを非常に感じさせるわけですが、そういう意味においても別表六というのを発表されないということは、八千五十八円の賃金ベースを政府に勧告して、あくまで実現させる熱意がないというように感じられますが、この点はいかがでありますか。
  120. 山下興家

    ○山下政府委員 その点はまつたく違います。私はそう考えられることについて非常に残念に思うのであります。あのときの勧告の中にはつきり書いてありますように、これはベース・アツプをするときに国会でおきめを願うということが書いてあるのであります。それはベース・アップをするときに、ということが非常に大切なのでありまして、今までもらつておるのがとられちや困るから、上り方が少いと多いとによつて行かないと実際は困るから、それでベース・アップをするときに、と申しておるのでありまして、今までベース・アップができなかつたから、今度初めてべース・アップができそうだから、さてこうなつたときに、そのベース・アップが確かにできるかということを見定めてからでないとあぶいと思うだけであります。
  121. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 あぶいということは語るに落ちたことなんで、それはいいでしよう。あとで法案が出でから具体的に伺います。そこで問題は、人事院が今度の給與べースの政府案についてどうも同意できかねると言つておられる点、たとえば給与表の刻み方等についても、これは人事院から見られると政府案は科学的な根拠に立つておらないようにお感じにならないでしようか、どうでしようか。
  122. 山下興家

    ○山下政府委員 この給與の刻み方と申しますのは、いろいろな考え方があります。現存はよほど生活給的な刻み方になつておるのであります。これが元は差がずいぶんたくさんありました。これからさきでも、また実績主義にだんだん移つて来ると、そうなりましよう。しかしそのときはもう少し余裕ができていて——われわれは余裕ができて来ると、地域給なんというものはいらぬはずですし、それから扶養手当というものもいらない。これは給與の方から見ると実にだめなんで、ああいうものはできるだけなくす方がほんとうなんです。結局どこへ住んでも暮せるようにということで、すなわち本給の方が上つて、ああいうものをなくするということを、われわれは非常に希望しておるのでありますが、今のところ、まだそういうふうな実績主義をここに表面に表わすような時期に達しておらないのだ。それで民間の給與に合すのが、国民の理解を得るのに一番いいと思つたから、ああやつておるのでありまして、どちらが正しいか、どつちが理想に合うかと言われれば、それは十人寄れば十人また考え方が違うたろうと思います。
  123. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 大分民間の給與に準ずる準ずるというお話があるのですが、今度の給與ベースを見てみますと、三千四百四十円の方はいわゆる生活給としての考え方をはつきり現わしている。ところがピークの方の、いわゆる七十号の関係は民間給與の実態調さから出て来ている。こういう二つのものを両方合せて、何だかわけのわからないものにして、これがいわゆる八千五十八円だという給與の水準の基礎になつている。そうなつて参りますと、人事院がかねてから言われる科学的な給與ベースの確立とか、あるいはまた最低生活を保障するための計画的な給與体系とかいうようなことは、相当話の遠い給與体系になつているような感じがいたすのであります。実情が非常に考慮されておるたけに、科学的な基礎がだんだん稀薄になつて来ている。少くも六千三百円ベースのきめられる以前の人事院の給與に対する考え方と、大分かわつて来ているように思いますが、この点はいかがですか。
  124. 山下興家

    ○山下政府委員 それは全然前と同じでございます。六千三百七円をこしらえましたときも、今と同じ考え方でやつておるのであります。すなわち三千三百四十円というものは何かというと、生活給で一種の取低賃金と考えておる。それからあと給與は、先刻申しましたように民間給與に合しておる。だから民間給與がもしも生活給であるなら、それと同じように、同じ時期に生活給になつておるし、それがだんだんと実績主義になつて来れば、またそれに合いましよう。私どもはそれが現在に一番適する科学的な方法だと心得ておるのであります。
  125. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 最低給、最低生活を保障するとは言わなかつたけれども、最低生活として三千二百四十円、こういうお話だつたと思うのですが、十八歳の人が三千三百四十円以下であるとすれば、少くも最低生活は保障されないと思いますが、どうですか。
  126. 山下興家

    ○山下政府委員 必ずしもそうではありません。それは結局消費するカロリーその他は、日本国民の平均をとつておるのであります。それですから、われわれ公務員としては、少くも日本の平均生活水準には合すだけのことは国民に要求しても、国民はそれは多過ぎるとは言われないだろう。すなわち平均よりも少いのでもない多いのでもない、平均をとつておるのでありますから、少くも国民並の生活ができるようにするということは、われわれの当然の権利だろうと心得ておるから、そうしておるのであります。
  127. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 私の言つているのを、意識的ではないと思いますが大分聞き違えているように思います。三千三百四十円以下であつたならば——私は病人の給與ベースを聞いているのではない。官公吏の給與べースを聞いている。政府の職員が、十八歳で、あなたのこの統計にあるように、いわゆる中等度の——もつとはつきり読んだらいいのかしらないが、ともかくこの給與べースに算定されたような、十八歳の二級一号の人の場合には、二千三百四十円以下であつたならば、最低生活が保障されないでしようということを伺つたのです。ですから病人の場合ではないのです。
  128. 山下興家

    ○山下政府委員 私もその通りでありまして、国民の生活水準と申しますのは、その下もありその上もある。下でも生活できておるのであります。それで欲は言わない、平均だけのことは保障してもいいじやないかということを申すのであつて、それ以下であつたら生活ができないということは決してないのであります。その平均も戰後からだんだんと増して来ております。御承知のように一年々々増して来ておる。それは輸入食糧によつたり、その他を全部考えに入れて、そうして国民は今年は幾らのカロリーを消費してもよろしいのだということがきまつておる。そのカロリーを消費するように計算してあるのです。
  129. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 私の伺つているのは国民全体の話じやなくて、政府の賃金べースの基礎になることを実は伺つているのです。それであなたがこの下でも生活できるというのなら、三千三百四十円でなくともよろしいというのなら、それじや二千五百円でもいい、だけれどもともかくも三千三百四十円にしたというのは、何をそれじや基準にされているのですか。官公吏の十八歳の者として、少くともこれで最低の生活がやつて行けるということをお考えなつたから、三千三百四十円を勧告の基準に、一つの柱にされたのでしようが、そうじやないのですか。
  130. 山下興家

    ○山下政府委員 現にこの数年間だんだんと消費のカロリー数がふえて来ております。それですから、公務員として国民の平均の生活水準よりも以下じや死ぬるのだということはないと思うのです。だから国民の平均の生活水準に合すことを希望するという意味で申し上げておるのであります。
  131. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 あなたの方でお出しになつた人事院月報に、三千三百四十円というものは、勤務地いわゆる地域給も当らないところで中等度の勤労をする成年男子が、生活を支えるのに最小限必要な給與の月額と言つている。最小限度において必要な給與は三千三百四十円である、こう言つているわけですね。それ以下であつたならば最小限以下だということになるのじやないかと私は伺つておるのです。
  132. 山下興家

    ○山下政府委員 公務員としては最小と私どもは思う。それはなぜかというと、価額の一番下のところである、そうしてそれをきめるのは、地域給のきまつておらぬところできめまして、東京であるならば、それに三割地域給で増しておるわけであります。しかしそれは公務員としては少くも最低として要求し得るものだとわれわれは確信しておるから、そう言うのであります。
  133. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 だから公務員としての話を伺つているのです。ここでたとえばほかのことを私実は言つているのじやないので、あなたも人事院の人だから、公務員としての答弁をされているのだろうと思うのですが、少くも私の言つているのは、公務員として最小限度に必要な額が三千三百四十円である、この点は今はつきりお認めになつたと思いますが、いかがでございましようか。もう一度確認しておきたいと思います。
  134. 山下興家

    ○山下政府委員 それは最低のものだとして国民に要求し得るものだと心得ております。しかしもしもそういうことを言つても、日本の国は今非常におぶないときだから、そんなことを認めちやならぬといつて国会でお削りになれば、それはお削りになつてもしかたがないのでありますが、われわれはそれだけを最低として要求する権利があると思つて要求しておるわけであります。
  135. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 いや国会であれするとかどうとかいうことよりも、人事院としては最低限度の生活を保障するぎりぎり一ぱいの線だ、これ以下のものならば、あなた御自身としては、人事院としては最小限度の生活を維持することができないとお考えになりませんかどうですか。
  136. 山下興家

    ○山下政府委員 そう思いません。なぜかというと、公務員であるから国民全体の平均の生活水準よりも以下では死ぬるとは私は考えない。それですから、生活をしろと言われれば生活ができるのです。できるけれども、少くもそれだけは要求をして許してもらえるはずだと、こう思つております。
  137. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 あまりこの点にばかり長くなつてもあれですが、私は死ぬるなんということを今一度も言つたことはない。あなた御自身たいへん御心配になつて、私の言わないことまでお話になるけれども、私はこの数字以下であつたならば、生活を支え得るに最小限度必要な給料以下になつて、最小限度必要な給料がもらえないことになるがどうだと、こういうことを伺つている。ここに書いてあるように、三千三百四十円が成年男子の生活を支えるのに最小限度必要な給與であるとすれば、これ以下であるならば、最小限度の生活をささえることが困難になるとか、少くとも最小限度以下であるということは、はつきりお話になれるのじやないかと私は申し上げたのです。
  138. 山下興家

    ○山下政府委員 そこの書き表わし方が非常にうまく行つておらないので、ほんとうはそれよりも下になれば、国民の生活水準以下になりますということなのです。
  139. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 国民の生活水準以下になるということははつきり伺つたので私はそれでよろしいのですが、今度の政府案の給與ベースが三千三百四十円以下になつたならば、今の御答弁によつて当然今度の政府案の中で、十八歳の人は国民生活水準以下になるというように思いますが、この点もう一度確認しておきたいと思います。
  140. 山下興家

    ○山下政府委員 それはやはり法案を見てからにさせていただきます。仮定からではどういうふうになつているのかはつきりいたしませんから……。
  141. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 仮定のお話ならばというならば、あしたになれば具体的なものが出て来ますから、あなたにまた御答弁願うことにします。しかし少くともわれわれ人間の常識として考える限りにおいては、これ以下であるならば国民生活の水準以下であるということをお話になつたならば、三千三百四十円よりも低い三千百円が出たならば、当然これは国民の生活水準よりもうんと低いということになると私は考えるのですが、そのような原案が出た場合において、あなたの方で正午三百四十円の勧告をされた限りにおいて、その政府原案に対しておそらく賛成ができないだろうと思いますが、その場合にこれをどのようにお扱いになりますか。
  142. 山下興家

    ○山下政府委員 それだから政府の方から交渉がありましたときに、私どもはこの給與の体系ではどうも賛成ができないと申し上げたのであります。しかし国会へ出すということに対しては、われわれはそれに反対する理由は一つもありませんから、ここで御審議を願いたい。
  143. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 それだから賛成はできないという点で非常にはつきりわかつたのですが、その場合に、それでは国会審議をして——今の情勢では政府原案が自由党の圧倒的な多数で、それこそわれわれに有無を言わさずこれを通してしまう可能性が非常に強いわけです。そうなつて参りました場合に、あなたの方のいわゆる給與ベース考え方公務員を守るという人事院としては、再度勧告をしてこれを直すというようなお考えをお持ちかどうか、この点を伺いたい。
  144. 山下興家

    ○山下政府委員 それは将来の予想でありますから、何とも申し上げかねますが、もしも再度勧告をして非常に有効だということが確実であれば、何度でもいたしますが、何べんやつても有効でないと見れば、それはつまらないことでありますから、やりません。しかし国会はすべての権力を持つておられますから、国民を代表して適当におきめになれば私はよいことだと思います。
  145. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 人事院というのはあくまでも公務員の生活を守る、身をもつてつてくれるところであろうと私は今まで考えておつた。ところが最近の人事院というのはどういうわけか知らないが、官公吏の生活を守るのではなくて、政府のお手伝いをすることばかりに一生懸命なのが最近の人事院である。たとえば、この前の国会のときは、給與べースの勧告をしなければならないのにかかわらず、突如として人事院総裁が、予算関係があるから勧告ができないといつて、わずか一週間か二週間、国会が済んでしまつてから勧告するというような、ああいうような体たらくを暴露してしまつておる。ここでやはり人事院がしつかりと公務員の生活を守るという考えがあるならば、三千三百四十円以下に切れた場合には、断固としてこれを改めさせるという決意と努力がおありになるかどうかという点が私は伺いたかつたのであります。こういう点についてもあまりはつきりしたお話もないようでありますし、給與体系の法案も出ておりませんから、私はこれ以上追究しません。後で給與体系の法案が出てからはつきりお伺いしたいと思います。  それから先ほど大蔵省の磯田課長の説明によりますと、地域給と本俸、これを合せた場合のアップはどれくらいアップしておるか、これが最低最高の場合の具体的数字がわかりましたならばお話願いたいと思います。先ほど全体の数字としてお話があつたわけでありますが、一三%以下のものはな、こういうお話であつたようでありますが、たとえば具体的の数字でこの中でアップの最低のもの、大体二級二号かどつかこの辺ではないかと思いますが、これと最高のアツプになるもの、この二つの数字をお示し願いたい。
  146. 磯田好祐

    ○磯田説明員 これを甲地の場合について申しますと、最低が大体一三%、最高が二五%というようなことに相なつております。それから乙地について申しますと、最低約一三%、これに対しまして最高が一三%というような結果に相なつております。それから丙地について申しますと、最低一九%、最高二七%、大体そういう結果に相なつております。
  147. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 パーセントでしかお話になれませんか、実数がもし伺えれば——それはだめですか。
  148. 磯田好祐

    ○磯田説明員 金額で出したものはありません。
  149. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 実数で出て来ると、非常にわかつて来ると思いますが、千円アツプといいながらも、実際は今出て来たような数字で、低額所得者には千円アップにはならない。千円の給與の中で、たとえばどの数字になるのか具体的にはわからないのでありますが、少くとも四百円前後にしかアップにならない人が出て来るわけであります。しかも島において、われわれの調べた限りにおいては、高額所得者の場合においては、一万数千円の賃上げになる場合がある。こうなつて参りますと、今度の給與値上げというのは、千円の引上げだと政府言つておるにもかかわらず、先ほど菅野副長官からいろいろお話がありましたように、たとえば首切りによる人員構成の変化によるアップとか、あるいはまた今のお話のように、下の方にはきわめて低く、上の方にはきわめて高い。このような給與ベースが出されておるように私は感じるのであります。実質的には千円の引上げではなく、下級職員にはきわめて惡い給與の引上げにしかならない。しかも、これは同僚の首切りの血によつてあがなわれた給料の引上げであるとまで極言すればし得る、とかように考えるのであります。かようになつて参りますと、今度の八千円べースというこの言葉自体が、またわれわれから申しますと二千三百円にしかならないベース・アップであり、しかも今の内容は、ただいま申し上げたように下には低い、上には厚い給與べースであるように考えられますが、政府はいかにお感じになりますか。
  150. 菅野義丸

    ○菅野政府委員 千円のべース・アップと言いましても、平均給が千円上るのであつて、一人々々の給與が、たとえば今まで六千円だつた人が七千円、一万円とつた人が一万五千円になるというような意味のアップではないというふうに申し上げておるのでありますが、実際におきまして、全部の総平均を出しますと千円になるのでありまして、その配分にあたりましては、給與の少い者はそれに比例いたしましてその差も少くなつておじます。
  151. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 最後に山下さんにちよつと伺いたいのですが、今度の政府案が、地域給を三階級にわけて出されるということになるのですが、その場合に従来の地域給に当然入るべき地帯において入つておらないところがある。こういう点を、この機会に加えて行くことが私は必要なのじやないかと思う。と申しますことは、昨今新たに昇格して市になつたような市町村が相当あるのであります。こういう市が実はいまだに法律上の建前からいつて入らないで、そのままになつておるのでありますが、そういう点から考えますと、地域給の精神から言いまして、ちよつと不合理な点が出て来ておるように感じられます。この点については、人事院で今後どういうふうにお考えになつておるか、承つておきたい。
  152. 山下興家

    ○山下政府委員 ただいまの三階級を五分引きにするというのは、私の知つている範囲では、それは経過規定でありまして、来年度は多分人事院の案のようになるのじやないかと思います。その人事院の案でありますと、全部今までのを御破算しまして、新たに考え直しておりますから、全然つかない地域にでも当然つくべきものであつたらつきます。それは最も公平にやる覚悟でおります。
  153. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 先ほどちよつと聞き漏らしましたが、べース・アップの問題について、国鉄の関係なのでございますが、今度の国鉄の裁定については、政府は今どの程度まで国鉄公社の給與べースの問題の研究をお進めになつておられるか、この点を伺いたいと思います。一
  154. 菅野義丸

    ○菅野政府委員 国鉄の第二次裁定は、御承知の通り今国会の方に出してありまして、正確に申し上げますと、国会でおきめになることでございますので、政府としてとやかく言うべきではないのでございますが、財源等につきましては、今予算の方で見ていただいております。なおこれとは直接の関係はございませんが、他の一般公務員に対する年末手当等の関係を、まだ法律の提案をいたしておりませんので、それらとの関係もやはり多少は考慮しなければならぬと考えております。結論といたしまして、はつきりどうこうするということは、まだ政府としては考えておりません。
  155. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 今お話の中で、多少はという点が非常に問題なので、非常に考慮されておるということを、多少と言われておるのじやないかと思いますが、公社ですから当然独算制で、あそこの財源にそれだけの余裕があるならば、公務員に多少の関連という意味で結びつけてしまつて、年末手当を半箇月にするというのでなくて、出せるならば、一箇月の財源があるならばこれは出した方がよいのじやないかと私は思うのでありますが、この点はどういうようにお考えになつておりますか。
  156. 菅野義丸

    ○菅野政府委員 もちろんおつしやる通りでありまして、財源があれば出すべきものであると考えております。
  157. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 国鉄公社側の提出いたしました財源には一箇月の予算が組んであるようでありますが、こういう場合には当然政府側も一箇月分の年末手当をお出しになることが今の御発言で可能であると思いますが、この点はいかがですか。
  158. 菅野義丸

    ○菅野政府委員 公社の出しましたのは予算案のまたその案のようなものでありまして、最後には政府予算の案をきめまして国会できまるべき問題でございまして、ただいま補正予算で出しておるのでございます。
  159. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 ともかく公社側が政府側に提出をいたしました予算案の要求書の中には、明らかに三十五億円という一箇月分の年末手当予算が組んであります。ですから私は願わくは去年の国鉄の裁定のときのように、財源があるにもかかわらず、ほかの給與べースに準じて政府が割引をするということがないように、この際官房副長官にはつきりこの点を留意されるように私たちは要望をいたしておきます。
  160. 平川篤雄

    ○平川委員 関連的に二、三質問をいたしたいと思います。副長官にお願いしたいのですが、ただいまの公務員の定員については、別に多いとか少いとかいうお考えはないのですか。
  161. 菅野義丸

    ○菅野政府委員 定員につきましては、なるべく行政機関の定員は少くするという目途で常に検討をしておるわけでありますが、何分にも仕事との相関関係にありますので、現在のところにおきましては今の定員を妥当と考えております。しかし定員法の改正はときどき出しますので、これは全部仕事との関係でそういうふうな結果になると考えております。
  162. 平川篤雄

    ○平川委員 ただいまのお話で必要なだけの公務員を使用しておるということになるのでありますが、その給與の総額というものがまず予算的な措置ができるかどうかということを考えて、頭割りにしてベースを決定するという考えか。あるいは実際にこれだけの有用な仕事をしておるのだから、合理的な賃金はこれだけ出さなければならぬということから予算的措置考えられるか。政府考えはどうなのですか。
  163. 菅野義丸

    ○菅野政府委員 その点は先ほど申し上げましたように両方でございます。もちろん財源を無視して理想案をつくるということもできませんし、さらばといつて財源がこれだけあるから、配分といいますか、給與体系はめちやくちやでいいというようなことでなく、先ほど申し上げましたように、一方においては合理的な給與体系をつくつて行きたいということと、財源的にはどの程度まで負担できるかという点を両方をかね合せましてできたのが、今回出そうという案でございます。
  164. 平川篤雄

    ○平川委員 その問題はまたそれでは後にします。大蔵大臣は、大体特需景気その他の最近の物価の値上り、ことに米の消費者価格が上つたりするような物価騰貴は、減税によつて吸收することができる、こういうふうなお話なんでありますが、伝えられるように十八歳の男子が三千四百四十円よりも下まわるこの給與をとらなければならぬというような場合には、その減税分というものは非常にわずかなものであろう、あるいはないのじやないか、税金を出す必要はないのじやないかという場合も考えられる。こういう場合に物価の値上りと、そうした減税による吸收、その関係はどういうふうになつているか、これは給與課長からお話し願いたい。
  165. 磯田好祐

    ○磯田説明員 ただいま問題になつております米価引上げとの関係において、一応私どもの手元で計算いたしましたところでは、かりに今伝えられているような米価の改訂があつたと仮定いたしましても、一人当りの生計費のうちには、六十五円程度しか影響はないというふうに大体見ております。それに対しまして、本国会に提出する予定に相なつております新税法によりますと、大体一人当り百二十六円の減税になるというふうな計算になつております。従いましてかりに米価の引上げがあるというふうに仮定いたしましても、ただいま申し上げました減税に上つて、十分相殺されて余りがあるというふうに考えております。
  166. 平川篤雄

    ○平川委員 ただいまのは米価だけですね。
  167. 磯田好祐

    ○磯田説明員 そうでございます。
  168. 平川篤雄

    ○平川委員 全部の物価の騰貴の見通しと関連したらどういうふうになるのでしようか。
  169. 磯田好祐

    ○磯田説明員 全物価との関係でございますが、先ほど話しましたように、来年の一月におきまする一応の推定消費者物価というものを基準にいたしまして、来年の一月以降におきます民間給與との比較においてなお六・三べース改訂当時以上のようなものにしようということが一応の目途になつておりますので、一応今回の改訂におきましては、これは今度の税法には直接関係がございませんが、新しい公務員のベースではその点はカバーできるというふうに考えております。
  170. 平川篤雄

    ○平川委員 山下さんにお伺いしたいのでありますが、先日の委員会におきまして官房長官が人事院の意見も取入れてということを言われたのに対して、淺井総裁は、全然資料なんかは提出をしていないということを言い切られた。ただいま岡田君の質問のときに問いでおりますと、また副長官は人事院の数字と方法をとつてつたと言われるのであります。これは私はどこかに間違いがあるに違いないと思うのでありますが、人事院では一体いかなる数字を政府に対して與えられたのでありますか。資料を與えられたのでありますか。それをお聞きしたいと思います。
  171. 山下興家

    ○山下政府委員 私どもがこの勧告をいたしましたのは八月の上旬でありまして、今までの間に相当研究をせられる余地があるように思いましたから、できるだけのああいうふうなこまかな資料を国会と同時に政府の方へ出したのであります。よく政府に対して政治的折衝をしないじやないか、ただ勧告を出しつ放しでは無責任だと言つてしかられますが、私どもが総理大臣やあるいは大蔵大臣に出会うと、すぐ何だか政治折衝をやつていると言われるので困るのであります。しかしそのかわりにわれわれは基礎の資料を全部政府国会へ提出してありますので、それによつて研究をせられたものと私は思います。
  172. 平川篤雄

    ○平川委員 それは八千五十八円水準を出された場合の資料であるという意味でありますか。
  173. 山下興家

    ○山下政府委員 その通りでございます。
  174. 平川篤雄

    ○平川委員 その後の推移によつて刻々人事院は案をお持ちになつているだろうと思う。五%上つたというようなときに、あるいは下つたというときに勧告をせられることになつているわけでありますが、八千五十八円を算出せられたところの資料を見ますと、大体ことしの五月までの資料で、それからあとにつきましては、もし勧告せられるとすれば、大分水準が上つているとわれわれは考えてけつこうでありますか。
  175. 山下興家

    ○山下政府委員 今のところ手元に資料がございませんが、少し上つているはずでございます。
  176. 平川篤雄

    ○平川委員 その上つている数字並びにそのかわつた方法というようなものを御提出になつたことはありませんね。
  177. 山下興家

    ○山下政府委員 それはありません。あれば国会と同時に同じ資料を差出しているわけでありますから、特別に政府に対して何らの資料は出しておりません。
  178. 平川篤雄

    ○平川委員 先ほど地域給の問題のときに、非常に危險であるからというようなお話がありましたが、これは結局政府がなるべく少い予算でまかなうように人事院の都合のよい数字を持つて来る。たとえば全体の給與体系の中で地域給ということを考え、これが最高は二割五分というふうにおきめになつておるのですが、その場合に現行のように三割、二割、一割というようにしたのでは相当予算がかさむから、そういう都合のよいときには二割五分ということをとる、かようなことをやるのが危險であるとお考えになつておるか、そこをはつきりしていただきたいと思います。
  179. 山下興家

    ○山下政府委員 そういうことを邪推しているわけでもありません。ただ法案が国会を通過すれば確かですけれども、それまでだつたら何事が起るかわかりませんから、逆に地域給の方がさきに通つて、万一給與のベースが上る法律案が通らないということになるとたいへんだということを申したのであります。別に政府を疑つているわけでも何でもございません。
  180. 平川篤雄

    ○平川委員 内閣審議室について山下人事官はいかにお考えになつておりますか。昨日のお話によりますと、各省にエキスパートがおるが、人事院のエキスパートは、この現われて来る給與案につきましては、あまり必要でない立場に置かれておるのではないかという気がするのであります。もちろん私の考えているのは、この内閣審議室では、政府與党や大蔵当局や各省の大臣なんかの意見をいろいろ総合して、なるべく政治的に折り合いのついたものをつくるためにお仕事をしておいでになるだろうと思います。そこへ人事院がお加わりになつているような事実はないでありましようが——私はそれを信ずるのでありますが、なおそのほかに今申しましたこの審議室のあり方というものについて、人事院はどういう考え方を持つておいでになるか、御意見を伺いたいと思います。
  181. 山下興家

    ○山下政府委員 とにかく人事院は給與に対して全責任をもつて計画もやらなければならぬし、実行もやらなければならぬというふうに思つております。ただ平川さんの御心配になるのは、この間の新聞で審議室云々ということがあつたからだろうと思いますが、あれは最後にこちらにお出しになる案をわれわれが見せてもらつたというだけでありまして、決して私ども審議室に行つてどうするということもありませんし、政治的折衝はないのでございます。ただ技術的にながめてみまして、どうしてもこの点は承知できないというだけであつて、決してふだん審議室等に出入りするわけではありません。ただ給與のことをやつておりますわれわれといたしましては、できるだけのことをしてどこにでもサービスをしたいと思う。国会にもサービスするし、内閣に対してもできるだけの資料は隠すことなく出したいと思つておるわけでございます。ただ政治的折衝をやるということになりますと、やはりこちらも折れなければならぬ。こちらの言うことばかり主張していると、これが合理的に動かなくなるから、そういうことになるかもしれぬが、これはなるべく避ける。但し資料は全部提供するというのが、われわれの進むべき道のように思います。
  182. 平川篤雄

    ○平川委員 最後に念を押すようでありますが、結局人事院といたしましては、本年の五月物価のいろいろな変動が起り、まだ顯著でないところまでの資料しか御提出になつていないということ、それから何ら人事院が考えておられる科学的な——見方によつては科学的なものは一つであろうと思います。今度出て来ます政府案というものは、人事院が考えておられる科学的なものではない。いろいろな政治的な動きで、人事院の考えをゆがめられておるものである。こういうように御認識になつておるというふうに解釈してよろしうございますか。
  183. 山下興家

    ○山下政府委員 先刻申しましたように、案を見せていただきましたが、その中にはわれわれが承服し得ないところもある。それにつきましてはまたあとでどの点が承服し得ないかというようなこともお答えをし、また資料も提出してもよろしいのでございますが、とにかく中にそういうものがあるということで、全体が惡いという意味では決してないのでございます。
  184. 平川篤雄

    ○平川委員 そういうことを言われるからまたいけないのであります。全体がいけないということを初めから言つておられるのではないのですか。私どもが問題にしておるのはそこなんです。あなた方は全体として総合的に科学的なものを考えておられるのだと言われるのでしよう。ところがその部分はけつこうだということをおつしやるのは、先ほどからのお考えとまるで違うのじやないかと私思いますが、それはどうですか。
  185. 山下興家

    ○山下政府委員 どうも一から十までみな惡いとは申し上げかねるのであります。たとえば地域給につきましても、われわれの案を地域については採用していただけば、そういうところもけつこうな話だと思います。その他いろいろなこまかい点は必ずしも惡いとは思わぬのですけれども、一番大きな今の給與の段階といつたような点には承服しがたい。だからどうもそう申し上げるよりほかに言いようがないのであります。
  186. 平川篤雄

    ○平川委員 この次にします。
  187. 藤枝泉介

    藤枝委員長代理 本日の質疑はこの程度にとどめまして、次会は明二十八日午前十一時より開会することといたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後三時五十三分散会