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1950-12-04 第9回国会 衆議院 災害地対策特別委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年十一月三十日  松井豊吉君が委員長に、青木正君、飯塚定輔君、  小淵光平君、小平久雄君、吉川久衛君、青野武  一君及び池田峯雄君が理事に当選した。     ————————————— 昭和二十五年十二月四日(月曜日)     午後二時六分開議  出席委員    委員長 松井 豊吉君    理事 青木  正君 理事 飯塚 定輔君    理事 小平 久雄君 理事 吉川 久衛君    理事 青野 武一君 理事 池田 峯雄君       岡延右エ門君    久野 忠治君       志田 義信君    高橋 權六君       中村  清君   橋本登美三郎君       有田 喜一君    佐々木更三君       前田 種男君    寺崎  覺君  出席政府委員         農林政務次官  島村 軍次君         経済安定政務次         官       小峯 柳多君         経済安定技官         (建設交通局         長)      小沢久太郎君  委員外出席者         農林事務官         (水産庁漁政部         漁政課長)   戸嶋 芳雄君         農 林 技 官         (林野庁指導部         長)      藤村 重任君         建 設 技 官         (河川局長)  目黒 清雄君         経済安定技官  建部 仁彦君     ————————————— 本日の会議に付した事件  災害地対策に関する件     —————————————
  2. 松井豊吉

    松井委員長 これより委員会を開会いたします。  本日は災害地対策に関する件を議題として、関係政府当局に対して一般的な質疑を行うことと相なつておりますが、質疑に入るに先だつて、まず政府当局より災害関係について御説明をいただきたいと思います。  申すまでもないことでありますが、政府が先般提出されました昭和二十五年度予算補正におきましては、災害復旧その他緊急必要なる経費の増額を行い、災害関係経費として、公共事業費——災害関係事業費分増加として四十一億円、主要農作物災害応急対策費として二億二千七百三十九万八千円、災害救助費増加として三億六千四百九十五万四千円、文化財災害復旧費として四千百八十三万六千円、合計四十七億三千四百十八万八千円を計上いたしますとともに、総理大臣施政方針に関する演説におきましても、災害対策国家再建に重要であつて、今後とも治山治水費を増額し、農業の振興、食糧自給度の向上を期したいとの旨を述べられております。かかる政府の措置に対しまして本特別委員会といたしましては、国会における国政調査権に基づきまして災害地対策を樹立するため各般の調査を行わんとするのでありまして、この点政府当局におかれましても、十分その趣旨を御了承の上、全般的な御説明を願いたいと存じます。  それではまず経済安定本部建設交通局長より御説明を願います。
  3. 小沢久太郎

    小沢政府委員 経済安定本部より本年度災害について御説明申し上げます。  本年度災害につきましては、予備費といたしまして百億とつてあるわけであります。そのうち六月までの災害は、一応査定した金額が百五十四億何がしであります。それに対しまして、予備費を二十七億出しておるのであります。それから七、八月の災害に対しましては、一応査定いたしました額が二百十六億何がしになつております。それに対しまして二十三億の予備費を出しております。二十三億の予備費を出します前に緊急融資として六億五千万円の融資をしております。ジエーンの方は査定が一応二百三十一億になつておりますが、それに対しまして二十四億の予備費支出いたしております。それから緊急融資は、ジエーンに対しましては十二億五千万円出しております。キジアに対しましては、査定が二百三十四億何がしでありましてそれに対して予備費が二十一億出しております。それから緊急融資は十二億五千万円出しております。最後のキジアの分も十二億五千万円の緊急融資をいたしまして、予備費支出二十一億はすでに閣議で決定し、各省通知済みという次第であります。実は本年度災害相当ございましたので、査定額に対しまして支出が一一・五%くらいということになつておるのであります。二十一年から二十四年までの平均は一四・六%でございます。従いまして、本年度災害に対しまして予備費が少いということがあるのでございます。それでこれを補正予算でとるということになり、四十一億提出してあるわけでございます。その補正予算のうちから二十六億七千万円足りない災害に出す。一四・六%あるいは一五%になりますか、それによりまして大体例年並災害復旧をするということでございます。そのほかに特別鉱害補助率の引上げがございました。それが一億三千七百万円ということになつております。それからジエーンキジアによりまして大阪尼崎方面その他各地で防潮堤といいますか、海岸堤防がこわれたのであります。それに対しまして普通一般災害費から出すとともに、そういうこわれた防潮堤に対しましては、恒久対策として十二億七百万円出しているということでございます。それから前に六月までに予備費二十七億を一応決定していただいたのでありますが、そのうち地盤沈下によります上下水道が八千四百万円あります。これは災害の性質で二十七億を削りまして一般公共事業費として今度補正予算に計上したものであります。それを入れまして四十一億計上いたしたのであります。
  4. 飯塚定輔

    飯塚委員 査定額二十七億と二十三億に対する……。
  5. 小沢久太郎

    小沢政府委員 六月までの査定が百五十四一億一千二百万円でございます。七月の査定が二百十六億八千百万円でございます。
  6. 飯塚定輔

    飯塚委員 ことしの比率は一〇%ですか。
  7. 小沢久太郎

    小沢政府委員 一一・五%でございます。それは全体の平均でございます。
  8. 前田種男

    前田(種)委員 今の数字は簡單にプリントにしてお願いいたします。
  9. 飯塚定輔

    飯塚委員 六月までの分と七、八月までの分についてちよつとお伺いしたい。関西方面災害が起た結果だろうと思いますが、最初の二十七億、あとの七、八月分の二十三億、これを予定して各府県においては相当工事を進めておつたが、予定しておつた額地方にやれなくなつたと聞いております。これはどういうことになつておりますか。
  10. 小沢久太郎

    小沢政府委員 これはそのまま出ておりまして、金額を減らして地方へやつたことはございません。
  11. 飯塚定輔

    飯塚委員 そうであればけつこうですけれども……。自分の県のことを申し上げると同僚諸君に対して恐縮ですけれども、秋田県は春の水で受けた災害に対して最初相当額をお願いしてあつたのであります。それが六月までの分二十七億からの各府県への割当と申しますか、これを頂戴したあとは来ていないようなことを言つております。これは私の聞き違いであればけつこうですが、そういう点はどうです。
  12. 小沢久太郎

    小沢政府委員 私どもの方といたしましては、二十七億あるいは二十三億というものは、査定によりまして各省にわけまして計上する、それから各県にわけたということになつております。先ほど申しました八千四百万円、これは引いてございます。それは上下水道地盤沈下災害とは見られないという話もありまして、今度の補正予算に出したわけでありますけれども、それを減らして出したということはありません。
  13. 前田種男

    前田(種)委員 河川局長が見えているようですから、ちよつと河川局長に質問します。大阪中心とする防潮堤対策のうちで、下水、排水その他のことは現在河川局以外の局でやつていると思いますが、特に大阪地方防潮堤と関連する特殊な排水工事その他のものは、河川局に一本にまとめてやつてもらいたいという地元の非常な希望もあります。こういう問題について河川局長に聞くのはどうかと思いますが、その後の事情はどうなつているか承りたいと思います。
  14. 目黒清雄

    目黒説明員 実は大阪防潮堤につきましては、できるだけ一括してどこかでまとめてやつてもらいたいという希望地元からありましたが、予算についての安本との折衝は私の方でまとめてやりましよう。しかし実際の仕事都市局が担当である関係上、都市局におまかせしようというふうに内輪ではなつているのであります。従つて予算のとり方としては、安本との折衝は私の方が責任を負つてつている次第であります。
  15. 前田種男

    前田(種)委員 防潮堤その他の対策立てられる河川局関係において、それは支障なくうまく行くという見通しですか。そのことのため支障があるということをいろいろ心配して一本の線でやつてもらいたいという希望があるわけです。それと関連いたしまして、この前質問いたしましたときに、政府委員出席がなかつたのですが、災害淀川堤防緊急対策として工事相当進んでおりますが、ある程度完成した部分に対しての支拂いがいまだに出ていないという点もございます。これは補正予算との関係があつてそういうふうに遅れているのか、あるいはその他に事情があるのかという点も関連してお答え願いたいと思います。
  16. 目黒清雄

    目黒説明員 さきの排水関係防潮堤関係でございますが、私はこう思うのであります。予算獲得の点につきましては、今年度に、関する限り仕事とマツチするようにうまく行つておるのでありまするが、地元として非常に心配しておりますのは、将来これをわけた場合に、不幸にして都市局関係予算が少い場合にはこの事業が縮小されるのではないかという点のようであります。しかしながら、われわれは、この事業はすべて計画性あり一体性がなければうまく行かぬということはわかつておりますので、私の方からも将来その仕事を遂行する必要のある部分に対しては、安本に要求したいと考えております。また安本でも、このために特に各省連絡調整をするべく計画課がこれに当つておりますので、その辺の齟齬はおそらく起らないと考えております。  第二の支拂いの遅延のお話でありますが、これは私不幸にしてまだ聞いておりませんが、もし具体的の話がありますれば、もう少しお話願えれば、あるいは御返事できるかと思います。
  17. 前田種男

    前田(種)委員 実はジエーン台風淀川が非常に危險状態になつて、半ば決壊したところを応急的にその後の対策が進められているのです。そうしてある部分においては、決壊されたところが石積みその他の点が完成しているという点もございますが、非常に急いでやらした半面に、完成して一箇月あるいはそれ以上になるにもかかわらず、支拂いの面が特に政府直轄の面に限つて遅れているという点がありますので、あるいはその後支拂いされているかどうかという点は、半月くらいの間があるので、私はその後の事情を知りませんのでわかりませんが、予算関係で遅れているというように、私はちよつと聞いたのですが、そういう関係になつているかどうかという点を御質問いたします。
  18. 目黒清雄

    目黒説明員 大阪の今の直轄の方の災害につきましては、御承知通りジエーン台風わくがきまりましたのは、非常に握れておりますので、地方府県におきましては、立てかえその他の方法によつて支拂いが順調に行つていると思うのですが、これは融資の道を講じてありますが、ただ直轄にはその手がないので、おそらくお話のようにそのため支拂いが遅延していると思う。しかし仕事の方は捨ておきがたいので、請負その他の方法仕事をしておりますから、遠からず予算わくもきまりますから、これで円滑な支拂いができると考えております。
  19. 松井豊吉

    松井委員長 ちよつとお諮りいたしますが、島村農林政務次官が参つておりますから、またただいま安本政務次官が参りましたから、適当に御希望の方は質疑を願いたいと思うのであります。
  20. 有田喜一

    有田(喜)委員 ちよつとお伺いしますが、大阪並び尼崎における防潮堤金額の内訳はどのくらいになつておりますか、まずそれはお伺いいたしたい。
  21. 小沢久太郎

    小沢政府委員 大阪尼崎わくをどのくらいにするかということは、まだ決定的にはなつておりませんが、一応の案としましては、大阪尼崎で八億程度ということになつております。その細部につきましてはまだ決定的になつておりません。
  22. 有田喜一

    有田(喜)委員 大阪並び尼崎における沈下の問題でありますが、それに対して当局としてどういうようにお見通しになつているか、それに対してどうお考えになつているかお伺いしたい。
  23. 小沢久太郎

    小沢政府委員 大阪の方の沈下は、大体とまつたというふうにわれわれは承知しておるのでございます。大阪がなぜ沈下したかということは、いろいろ調査の結果、戰時中地下水をくみ上げたということが主なる原因で、土地の中の水がなくなつたがために收縮して沈下した。そうして戰後その地下水をくみ上げることがなくなりましたので沈下がやまつた、そういうふうな見通しでございます。尼崎市に対しましては、いくらかやまつたけれども、まだ全然やまつたということは言えません。まだいくら沈下しております。これに対します対策でございますけれども、今われわれといたしましては、高潮が来てもさしつかえないところまで上げるというふうに考えておるわけでございます。
  24. 有田喜一

    有田(喜)委員 そこで沈下の問題とあわせて防潮堤の問題を考えてほしいのですが、一体今度の防潮堤は何メートルぐらいにされるのですか。
  25. 小沢久太郎

    小沢政府委員 大阪尼崎の両方とも、一番高いところで六・五〇メートルでございます。
  26. 目黒清雄

    目黒説明員 今のは基準はOPでございます。六・五〇メートルというのは一番海洋に面した潮の高いところ、それからだんだん低くなりまして五メートル前後のところも出て参ります。
  27. 有田喜一

    有田(喜)委員 尼崎はどうでございますか。
  28. 小沢久太郎

    小沢政府委員 尼崎も同じでございます。それが一番大きいところでございまして、だんだん中に入るに従つて小さくなります。
  29. 有田喜一

    有田(喜)委員 そういたしますと、今までよりも何メートル高いのですか。
  30. 小沢久太郎

    小沢政府委員 今までは大体四、五〇メートルではないかと記憶しております。
  31. 有田喜一

    有田(喜)委員 私も技術面はわからないのですが、今の防潮堤が姑息であつたためにこういうことになつたのですが、相当百年の大計を立ててしつかりしたものをつくつてもらわないと、少しばかりの経費を組まれたのではだめだと思います。もう一メートルふやしたら百年の間大丈夫だというようなものを考えてもらわないと、大阪のごときは——尼崎も同様でありますが、あまり姑息なことをやるために何回となくこういう問題が起つて来るのです。今回はよほど徹底的な防潮堤をつくつていただきたいと思いますが、それに対して政府は確信を持つて計画をお立てになつているか、それをお尋ねいたしたい。
  32. 小沢久太郎

    小沢政府委員 これまでの記録がいろいろございますが、その最高記録に対しまして安全なようにやるつもりであります。
  33. 前田種男

    前田(種)委員 それに関連いたしまして、一体大阪尼崎、その他の防潮堤完成をどの程度の期間に完成しようとされるのか、あるいは来年の九月が来れば、また本年同様のことにならぬとも限りませんが、国家財政関係もありますが、一体どういう計画安本はこれを完成しようとされるのか、今有田委員の質問と関連してその点結論が出ておりますれば、明確にひとつお聞きしたいと思います。
  34. 小沢久太郎

    小沢政府委員 大阪尼崎に対しましては、われわれといたしましては緊急分だけでも三箇年のうちにやりたい。そういうふうに思つているのでございますけれども、財政都合によりましてどうなるかわかりませんが、一応われわれといたしましてはそういう考えでおるのであります。
  35. 前田種男

    前田(種)委員 緊急分の三年間の予算は、一体どの程度でやつて行くという計画でありますか。その点予算面も具体的にひとつお示し願いたいと思います。
  36. 小沢久太郎

    小沢政府委員 数字いくらか動くかわかりませんけれども、大体のところは動かぬと思いますが、大阪が総事業費といたしまして九十一億九千六百万円、そのうちの緊急分といたしまして六十三億九千八百万円、そういうふうに考えております。尼崎の方は二十五億六千五百万円、これが事業費で大体緊急分になると考えております。これは大体全部緊急のものになります。
  37. 前田種男

    前田(種)委員 私は一昨年来からいろいろ淀川のことを中心にして機会あるたびにお願いもし、希望も申し上げておつたのですが、今の案から行きますと、三年計画で緊急的な対策完成するという予定でございますが、その三年間事故がなければ仕合せでございますが、現状はなかなかそうも行かぬと思います。これはジエーン台風影響を受けた地区ばかりではございません。全国的にそうでございますが、一ぺんジエーン台風のような台風が来ますと、大体一千五百億の財産がわずか二時間か三時間の雨あらしために吹き飛んでしまうような結果になつておるわけでございますから、どうしてもこの三年間が待てないということは、現実に恒久的な防潮堤完成した部分は、今度の災害でもある程度免かれておりましたが、姑息な手段を講じたために、かえつて大きな被害を受けているということになりますので、何とか政府はもう一歩踏み出して、緊急対策緊急対策らしく、ひとつ完成期を切上げてでもやるという点に、最善の努力を講じていただきたいと思います。私は強い要望をいたしますから、そのつもりで政府の方で御盡力を願いたい。特に要望しておきます。
  38. 小峯柳多

    小峯政府委員 防潮堤お話が出ましたその折に、一言海岸堤防のことを申し上げておきたいと思います。あるいはここでお話が出たかもしれませんが、河川河川法があり、道路道路法がありますが、海岸堤防に関する法律というのがまだなかつたわけでありますが、これにはいろいろ種類もありましようし、干拓の堤防やら、あるいは今問題になつております防潮堤、あるいはまた一般人家を守るため堤防、いろいろあるだろう思います。そういうものに対する基本的な政府の態度が、準拠法がなかつたというためにかなり消極的ではなかつたと思います。今建設省が準備してくださつておりますが、通常国会には海岸堤防法というものを出しまして、もつと腰をすえた、御要望のような線に向つて、今まで端へ寄せられておつた問題を正式に取上げたいと考えております。
  39. 岡延右エ門

    ○岡(延)委員 これはちよつと目黒河川局長にお伺いしますが、御承知通り山口岩国市の錦帶橋は、キジア台風被害影響で流失いたしております。ところが御承知通り錦帶橋は、岩国にとつてはほとんど生命線である。近年に至つてこそ海岸地点工場等ができまして、それに関連して新市街も構成せられておりますが、従来はこの錦帶橋があるために、観光都市としての性格を保つてつたというのが実情であります。ところがこの錦帶橋が一挙にして流失してしまつた、その流失した原因は、これはキジア台風の水量が、非常に記録的な数字を示したということにもよりますけれども、実は戰時中あの錦帶橋下流——これは目黒局長も現場を視察されたそうでありますから、御存じのはずでありますが、あの下流地点砂利をとつた砂利をとつたのではこの川が急流になるから、危險であると再三勧告した。また終戰後例進駐軍方面事情によつてこの砂利を採取したときも、市当局及び県当局は、下流急流になると、橋は持たないという警告をしているにもかかわらず、この砂利をとつた、すなわち国の犠牲になつておる。ところがあの錦帶橋が、文部省当局によつて国宝になる一歩手前の史跡であつた。しかしぐあいの悪いことには、われわれ文部委員もいたしておりますが、文化財保護法をつくるのに二年半かかつた、その間一切の新しい国宝指定を中止しておつたというような、二重の理由によつて非常に都合が悪くなつている。しかもあの橋は産業用の橋ではない、それがため災害復旧の対象にもなつていないというので、悪い材料が重なつて、今日非常にぐあいの悪いような状況にあるのでありますが、私は実はあの安芸の宮島嚴島神社を視察したことがあるのでありますが、宮島の神社に流れ込んでいる紅葉川というのがあります。これは局長御存じだと思います。ところがこの紅葉川は、川そのものはもちろん国宝になつていないのでありますが、宮島嚴島神社に直接流れこんでおるから風致に対して深甚なる考慮を拂わなければならぬというので、一木一石といえども庭園式砂防——ああいう砂防日本のどこにもないと思いますが、非常に金をかけた砂防をやつている。今の言葉でいうと文化財予算、昔の言葉で言いますと国宝予算であつて、しかも同じ紅葉川でも風致面接関係のないところは、建設予算でやり、要するに文部予算建設予算コンビでやつているというところに、非常に味があると思うのでありますが、この錦帶橋も、橋脚の方の文化財とか国宝ということに直接関係のないところは建設予算にし、それから上の方は文化財予算でもつて、そういうコンビで、ちようどあの宮島紅葉川をやつたようなアイデアのもとに予算支出して工事を施行して行く、こういうお考えがあるかどうかひとつつておきたい。
  40. 目黒清雄

    目黒説明員 錦帶橋は、交通上から見ましてはそう価値のある橋梁ではないのでありますが、今の文化財という点におきましては、御承知通り相当重要性がある。そこでわれわれは交通上必要なる限度におきましては、これはわれわれも災害復旧費として支出することを認めることにはちつともやぶさかではない、しかしながらそれ以上の文化財としての価値を保存しようという意味の金を、とうてい出せないというのがわれわれの建前であります。今文部省折衝しておりまするが、もし文部省が幾ばくかの金をこれにつけ加えるならば、あるいは元の姿になることも可能であろうという段階で、今折衝しておりまするが、問題は錦帶橋形そのものは大して金のかからぬ形でありまするが、あそこはすごくりつぱな材質を使つておるのであります。この材質を元の姿の材質にするということは、現在の日本の形におきましては、なかなか高価なものであるということは御承知通りでありまするので、この辺をどの程度考えるかということに、あれの建設の要点がかかつておるとわれわれは信じおるわけであります。形をあのままに残すということになりましても、質を低下してつくれば大して金がかからぬということであります。  これは相当注目されておりますもので、われわれとしてもいろいろの方面に相談いたしまして、この問題を解決したいと考えております。
  41. 飯塚定輔

    飯塚委員 小沢局長にもう一ぺんしつこいようですが、お願いいたします。補正予算四十一億のうち、二十六億七千万円を前の施設の不足を補うために使用する。そうすると今までの平均一四・六%になる。そのあとはどういうような方向に使うのであるか、それから二十六億七千万円の使途をもう一ぺん伺いたいと思います。
  42. 小沢久太郎

    小沢政府委員 この二十六億七千万以外の分でございますけれども、これは大阪尼崎その他の高潮対策といたしまして十二億七百万円、それから地盤沈下による上下水道改良事業費補助として八千四百万円、それから特別鉱害復旧の率が上りましてそれが一億三千七百九十二万四千円ということでございます。それを加えまして四十億ということになつております。それから先ほど一四・六%になつてそのあとはどうするということでございますけれども、これは結局来年度つまり過年度災害として使うということになります。それから一四・六%というのは平均でありまして、一々につきましては率が多少かわるということは、御了承願いたいと思います。
  43. 小平久雄

    小平(久)委員 本日は安本建設両省及び農林省の方が見えておりますから、この機会にお尋ねしたいと思うのでありますが、まず第一にお尋ねしたいことは、例の見返り資金による公共事業の問題でありますが、最近新聞紙の伝えるところによりますと、政府明年度も引続き見返り資金からの公共事業投資を御予定になつてつたようでありまするが、それがほとんど見込みがないというようような事態であるように承知いたしておるのであります。しかしこの点は、申すまでもなく見返り資金で始めました公共事業の大部分が何年かの継続事業になつておりまするし、また特に本年度におきましても解除が遅れましたために、おそらく本年度における事業というものは、まず準備段階程度にしか実際問題として行きかねるのではないかというふうに考えられるのであります。従いまして明年度において見返り資金による公共事業というものが万一にもできないということにでもなりますならば、これはひとりそれぞれの関係地方民の落胆、あるいは今後の災害に対する恐怖というばかりではなく、やはり大きな国費の濫費ということにもなるのではないかと考えられます。かような点から考えまして、すでに今日の段階におきましては、政府におきましても、何かこれが対策につきましてお考えを持つておられることと思いますので、この点をまず承りたいのであります。もちろんわれわれの希望としましては、多くの事業の数十年来の懸案が、ようやくその緒についたという程度でありまするからして、どういうくふうをなさつても、ぜひともこれは継続して、今後やつてつてもらいたいというのが一般の国民の希望であると固く信じておりますが、政府ではどんな善後策を今御考究になつておられるか、その点をお漏らし願いたいと思います。
  44. 小峯柳多

    小峯政府委員 御発言のような経過で、見返り資金による公共事業の問題が難航しておりますことは事実であります。しかしまだ最終決定には至つておりませんで、なお交渉は続けるつもりであります。しかし今までの交渉の経過から見ましても、そう楽観を許さぬような感じがいたします。今まで災害対策で手一ぱいであつた公共事業が、見返り資金でやや基本的な積極面が出て参りましたことは御承知通りでありますが、見返り資金が全然使えなくなりますと、御指摘のようなことになるととも非常に心配であります。政府といたしましては、そのつなぎをどうするかという問題で、最悪の場合の次善策の打合せも並行してやつております。今の構想ですと、預金部の資金の使い方が相当活発に予想される段階になり、また関係筋の預金部資金に対する見方も積極的になつておりますので、預金部資金を使つてつなぎだけはしたい。しかしここに金利の問題その他もありますので、なお技術的な問題は研究いたします。繰返して申し上げますが、まだ見返り資金は最終決定にはなつておりません。しかし経過の過程から見まして難航を予想されますので、その次善策としましては、今申し上げたようなことは、いろいろむずかしい技術的な問題もありますが、預金部の金が使えそうだということだけは大体見当がつくような感じがいたします。
  45. 小平久雄

    小平(久)委員 明年度からの問題につきましては、せつかく政府において今後御努力を願うことにいたしまして、本年度の問題としましては、公共事業の着手が非常に遅れたそのためでもありましようが、見返り資金の他の方面への支出に比較しますと、公共事業に対する支出が非常に遅れておるように聞いております。おそらくまだ十数億じやないかと思うのでありまするが、実際にどのくらい各部門別に出ておるか、この機会に承つておきたいと思います。
  46. 小沢久太郎

    小沢政府委員 きようは見返り資金の資料持つて参りませんでしたから、あとから資料を提出いたします。
  47. 小平久雄

    小平(久)委員 それと関連しまして、この見返り資金による公共事業相当まとまつた事業であります関係上、この工事の担当者の側においても相当資金がいると思うのであります。しかるに今申す通り、実際の支出がおそらく後拂いの形式になつておると思いますが、そういう関係で金融的に非常に困つておるやに聞いておるのであります。こういう点について、何か当局でお考えになつておることがあるかどうか、この際承りたいと思います。
  48. 小沢久太郎

    小沢政府委員 見返り資金のあれでございますか、前拂いができないということじやないのですか。実は見返り資金は薄々出しておるわけでございますけれども……。
  49. 小平久雄

    小平(久)委員 事業に前拂いができないで、おそらく後拂いになつているのじやないか、そのため工事の請負者が非常に困つておるように聞いておるが、それについて政府はどんなふうに考えておるかということです。
  50. 小沢久太郎

    小沢政府委員 普通に事業に出しておるのでございますけれども……。
  51. 飯塚定輔

    飯塚委員 先月あたりは全然来ない。
  52. 小沢久太郎

    小沢政府委員 今の御指摘の面で特に目立つておるのは、電力の関係ではないかと思いますが、そうではございませんか。
  53. 飯塚定輔

    飯塚委員 違います。公共事業関係でも……。
  54. 小峯柳多

    小峯政府委員 いろいろ手続上遅れておりましたが、最近になつて相当出ておると思います。
  55. 飯塚定輔

    飯塚委員 先月の支拂いは全然来ない。
  56. 小峯柳多

    小峯政府委員 ここ二、三箇月来の数字は、よほど好転しておると思います。
  57. 目黒清雄

    目黒説明員 それはこういうわけです。請負工事には、見返り資金からは前渡しができない。われわれとしては前渡しがほしいわけですが、これは結局前渡しができなかつた。ところが大きな事業をやりますのには、当然ある程度資金がありませんと、大きな工事ができない。準備的な仕事相当多い。それに対して、われわれの方でこれが出来高として支拂いができない、従つて常にその準備的な仕事が最後まで——だんだんそれはなしくずしになりますが、最後まで資金が寢るという形に相なつております。そこで大工事にはやはりそういう資金的な準備がない請負人では仕事ができないということになるので、われわれとしては大きな請負人を選定してやつたつもりでありますが、それにいたしましても、やはり将来二十億程度のダム建設工事をやりまするには、数億の金をやはり投資しなければならぬ、寢かさなければならぬということが出て来るだろうと思います。その問題がおそらく起きておるのじやないかと思います。
  58. 小平久雄

    小平(久)委員 私がお尋ねしたのはまさにその点なんであります。先ほど申す通り見返り資金によつて着手しましたダム建設工事等には相当莫大な準備資金と申しますか、そういうものがいりますので、もちろん当局でも請負に対しましては、相当力のある業者を選んではおられましようが、それでさえなかなか容易でないということが、また工事を遅らせる、こういう結果になるかとも思いますが、そういつた業者の資金面について、当局において何か心配をしてやることを考えておられないかどうか、こういうことをお尋ねをいたしておるのであります。
  59. 小峯柳多

    小峯政府委員 そういう問題になりますと、一般金融の問題になるだろうと思いますが、御承知のように最近オーバー・ローンという問題が非常にやかましくいわれまして、その関係で、ことに土木関係仕事に対しては、金融業者は積極的に動いていないだろうと思います。しかし仕事の性質にかんがみまして、ぜひ必要とあれば融資あつせんのような形で御相談にのることは考えていいだろうと思います。
  60. 小平久雄

    小平(久)委員 それでは問題をかえまして、関係当局にお尋ねいたしますが、例の赤麻の遊水池の問題であります。これも再三この席でもお尋ねしているのでありますが、あの遊水池の河床が一丈内外上つてしまつておるというために、赤麻からさらに渡良瀬の沿岸全般にわたりまして、あの遊水池の浚渫をぜひとも早くやつてもらいたいというのは、年来の声であります。御承知通りあの遊水池が三千五百町歩からありますが、その周囲、さらに渡良瀬の沿岸、おそらくこの数千町歩、あるいは万を越すかもしれませんが、そういつた大きな耕地が今や内水のために非常に苦しんでおるのであります。そこでこの浚渫を一刻も早くしていただかなければならないのでありますが、また浚渫することによつて、あの遊水池における洪水調節の機能も増すと思う。しかし浚渫をやつたその土砂をどこに捨てるかという問題がまた起きると思います。地方としましては、周囲の低濕地にこれを捨ててもらいまして、埋立てをしてもらうということも考えておりますが、そうなりますと、建設省と農林省の方の土地改良の関係と、事業が競合と申しますか、そういうことになるのでありますが、こういう点で、よほどこれは両省が緊密に御連絡を願つて、また一日も早く仕事を推進してもらわなければならぬというふうに考えておるのであります。この問題につきまして建設難局並びに農林当局ではどんなふうにお考えになつておるか、この際承りたいと思います。
  61. 目黒清雄

    目黒説明員 赤麻の遊水池は今おつしやる通り大分土砂が埋歿しまして、遊水効果も大分阻害されておりますし、また周囲の耕地からの排水も不可能になつております。そこでわれわれとしてはこれに力を入れたいつもりでありますが、予算関係でなかなか思う通りにうまく参りませんでしたが、近く浚渫船を入れまして、浚渫をいたしたいと考えております。さらに根本的な問題としては、足尾の山からの土砂の流出を防ぐことが大きな問題であります。これは御承知通り、本年度見返り資金をもつて一応砂防堰堤、これは一番大きな堰堤でありますが、これに着手いたしたのでありまするが、これも今のお話通りに、見返り資金の将来ということにまたひつかかつて参りまするが、それを完成し、あるいは中流方面砂防工事を着々と進め、同時に赤麻の浚渫をやるということによつてその効果を上げたいと考えております。問題は土砂の処置に非常に困つておる。この土砂の処置は、ある意味におきましては、周辺の低濕地にこれを埋めるということによつてある程度処分ができまするが、また今の計画によりますると、一応の輪中堤をつくりまして、輪中の中はある程度耕作を可能にさせるというような手も考えておりまするが、いずれにいたしましても、これらの案はまだほんとうの決定を見ておらないのであります。今地元の県、私の方の出先の地建とこの計画についてよりより協議しておりますが、近くこの案がまとまると思います。この案がまとまりますならば、その線に沿つて赤麻遊水池の浚渫を大々的にやつて行きたいという心組みであります。
  62. 島村軍次

    島村政府委員 ただいまのお話は具体的に私承知いたしておりませんので、後ほど取調べてお答えいたします。
  63. 青野武一

    青野委員 農林政務次官にこれは希望しておきますが、十月の十七日か、十九日かの災害地対策委員会で非常に各委員希望しておりましたので、私が代表して戰後五年間の災害の種別、都道府県別にその種目を書いていただいて、そして政府補助金として出した金額、残額、そういつたものの資料をお願いしておいた。ところが建設省の方からはていねいに十箇年の統計になつておりますものが、われわれの手元に配付せられましたが、まだ農林省関係が来ておりませんので、いろいろ研究の上非常に支障を来たしますので、できればすみやかにひとつそういつた資料をわれわれの手元に配付していただくように、この機会に希望しておきます。ちようど河川局長がおいででおりますので、これ特にいろいろ災害を受けました地元の強い要望でありますが、予算関係もありましようが、大体今から先の復旧新設に関して、橋脚をでき得る限り鉄筋にする。岩盤の上に鉄筋をもつてつて予算関係で十分なければ、上の橋は木材でも、脚は必ず鉄筋でやるといつたような方針にしてもらいたいと、この橋の流れました地方の農村あたりに参りますると、特にその地方の人たちがそういうことを要望するのであります。私が八月水害のときに北陸、東北方面に参りましたときも、宮城県の川崎町というところで、二十五、六ある橋が全部流れてしまつた。その中には上の方が五つも流れましたから、岩盤の上に強固な鉄筋コンクリートでやつておる、その橋脚までが流されており、それが埋没したり、三つ、四つころがつておるものも見て来ました。この川崎町のごときは、橋を渡らなければどうしても仕事にならない。橋を渡つて、山の方で年産三十六万俵という木炭を生産しておる、こういうところの橋が水害のために全部流出してしまうということは、これはほかと比べましてまれであるかもしれませんが、そういう木炭生産の町村でありますので、そこだけではありませんが、視察に行きましたときにそういう要望を各所から聞くのであります。この点について予算関係が非常に影響するのでありますが、御意見を聞いておきたいと思います。
  64. 目黒清雄

    目黒説明員 橋梁の構造をできるだけ、橋脚でもいいから永久的なものにしろというお話は、ごもつともでありますし、われわれもその線に沿つて参りたいと考えておりますが、これを全橋梁に及ぼすということに相なりますと、結局相当な金に相なるのであります。それでただいまのところは、われわれは道路の重要さを考えて、すなわち交通の量の問題と、橋梁の位置の問題とを考えて、それらから判断してある程度再びこわれないような橋梁を、逐次やつてつておるのであります。一度に災害がありました場合、全部永久的な橋梁をかけるということには、予算上なかなか相成らぬかもしれませんが、だんだんそういう方向に持つて参りたいと考えております。
  65. 島村軍次

    島村政府委員 前回のこの委員会におきまして、農林省に対する御要求のあつたこと、またただいまお話になりました点は、非常に御熱心にお話のあつたことは、実は私も承りましたけれども、年次の提出事項についてのことは承つておりませんので、帰りまして至急とりそろえて提出いたしたいと思います。御承知通りに、従来過年度災害が非常に残つておりまして、まだ三割ぐらいだけ処理したにすぎないというような情勢にありますので、おそらくそういう点についての御研究があろうと思いますので早速各年度別に提出いたしたいと思います。
  66. 青野武一

    青野委員 それは私が希望して、事務局の方で閉会後にも内容について控えてもらつておいたのでありますが、それよりもなお詳しく建設省側からまわつて来ておりますので、十箇年ということは言いませんが、終戰後五箇年間、北海道から九州に至るまで、各県別にどの災害でどういう被害を受けたか。それらに対して公共土木その他の国家の補助がどの程度きまつて、どれだけ行つて、幾ら残つておるかということにつきまして、十月の十七日のときでありましたか、災害対策委員会で増田建設大臣がおいでになりましたときに、私の質問に対してお話がありました中に、終戰後五箇年間で約一兆ほどやられておる。それで政府も非常に財政的に困つておるといつたような御答弁があつたために、非常に必要になつたので、実は希望したわけであります。この点なるべく早くお願いしたいと思います。  それからいま一つお尋ねしたいと思いますのは、地盤沈下の復旧費の御説明が今ありましたので、よく了解いたしましたが、これは單に尼崎大阪方面だけの地盤沈下の費用が最後的には決定していないが、大体八億円程度予定しておるというお話でありましたが、これは南海地震等の四国あるいは和歌山方面関係は含まつておりませんか、これをお尋ねしておきます。
  67. 小沢久太郎

    小沢政府委員 先ほど申し上げました八億は、大阪尼崎だけでございますが、その他に四億を考えておるのであります。
  68. 青野武一

    青野委員 これは小峯政務次官にお尋ねしたいと思いますが、今進んで御発表になりました中に、来る通常国会海岸堤防法という法律を出したい、こういうことを今おつしやつておりましたが、先月六日の日でありましたか、九段上の都道府県会館で、北海道から九州までの関係のある二十三都道府県の代表者が集まりまして、海岸堤防復旧促進大会を行つて、東京都の知事の安井さんが座長になりまして、福岡県の代表が副座長になりまして、相当熱心に夕方まで討議が行われて、政府当局に対して決議案をもつて陳情された。その席上には小峯政務次官もおいでになつて政府側を代表してであいさつがあつたことは、私もそこに出席しておりましたので知つておりますが、この通常国会に出されようとしております海岸堤防法について、具体的な内容が今発表ができるならば、詳細に承つておきたい。二十三都道府県の諸君も、非常に熱心にやつておられたことは御承知通りでありまして、私は最後までおつたのでありますが、一例をとりますと、九州の特に福岡県のごときは——これは私が福岡県から出ておるからといつて特に言うのではありませんが、有明海あるいは大牟田方面は、十八尺からの干満の開きがあつて、これは非常に危險にさらされている。それから福岡県に行きますと、今度のキジア台風で約三十キロばかりある海岸提防が三分の一やられている。それは一箇所も放任できないので、その堤防が決壊しましたうしろは農耕地でありますから、相当できのよい稻のとれる所が全然とれなかつたというので、もうすきも、くわも、かまも投げ出して、どうしたらいいかというて、路頭に迷うている人々の代表者がわれわれに向つて陳情されておりましたが、そういつたよう海岸堤防の問題については、現在法律的に何らの救済方法もないのでありますから、できないと思いますけれども、通常国会に出されようとする法律案の内容については——さしあたり困つている全国二十三都通府県の、九段上で都道府県大会を行つたその内容を聞いてみましても、非常に緊迫しておるのであります。それから、高潮の上におまけに台風でありましたので、特に九州の東海岸なんかは、——九州出身の金光さん、小山さんとともに私は行きましたが、大きな怒濤がぶつかると、裏を洗つてしまう。表の方は相当りつぱにコンクリートもしてあるけれども、裏がそつくりやられてしまう。これは、福島県に行きましたときも、請戸海岸で見ましたが、約三千メートルばかりこわれておりました。コンクリートは相当な厚さで高さ二間ぐらいでやつておりますけれども、裏には砂を詰めてありますから、大きな波がぶつかつて来ると、裏をすつぽり洗つてしまう。そうすると、疊を立ててあるのがばたばたと倒れて行くように、せつかくのコンクリートが倒れてしまう。そうしてどうすることもできないというような状態で、ことさら非常に大きな費用を必要としているのでありますが、こういうふうにさしあたり何とかしなければならぬというところが非常に多いのであります。福岡県の例をとりましても、三分の一がやられている。そして麦の植付が全然できない。一日に二回潮が満ちて、二箇月も経つておりますが、かますに土を入れて一俵五十円をかけて土俵を築いておりますが、大分県の山国川を境にして、中津のごときは、地元の市長が真劍な顔をして陳情しておりましたが、私のところの中津市というこまい市で、土俵をつくだけに七百万円いつた、その金の出し場がないが、せつぱ詰まつてつたということです。これについて、政府はその応急対策費として、何らかの形で金を出してやれるようなことはできないかということを、安本長官に尋ねたのです。それは先月の十九日でした。ところがそれは出せなくなつつているという答弁でした。この間私は地元の代表者を連れて河川局長にお目にかかつたときは、それは中の土だけでは出すことになるということだつた。ところが安本長官は、御承知通り直接の担当ではありませんけれども、気の毒だけれども一銭も出せないのだ、地方公共団体でやりくりしてでも、一応潮をとめてもらわなければならなぬ、こういうお答えがありましたが、この間非公式に会いましたときに、河川局長に聞いてその点は納得しているのでありますが、こういう点を考慮して、どういうような内容を含んで、あるいは予算がどの程度通常国会に出されるか。どうせ通常国会になりますればこれは判明して来ることでありますけれども、今度の補正予算にかなり関係が深いと思いますので、できるだけ具体的に御発表のできる程度にお聞かせ願いたいと思います。
  69. 小沢久太郎

    小沢政府委員 通常国会の議題でありますので、予算数字などもちろんまだ固まつておりません。また専門家の御意見も聞いて案をまとめてみることと承知いたしておりますが、今あなたが御指摘になりましたようなことを、実は私も九州の災害の視察をしましてよく承知いたしております。稲岡県の状態あるいは熊本県の状態。しかし海岸堤防と一口に言つているものの歴史、あるいは管理担当者などが非常にまちまちになつておりまして、たとえば干拓組合で堤防をやりまして、私的な団体、組合でその管理をしているようなものもございます。本質的な性格はかわつておりませんが、そうなつて来ますと、公共事業としての対象になかなか取上げにくいのであります。ただいまお話のうちにも、私どもの長官と河川局長お話と多少違うようでありますが、よるべき法律手続からいろいろな解釈が成立つのではないかと考えております。そこで、こういう法案の内容としましては、公共事業としての明確な規定と補助の区分と、あるいは施工に関するものとをうたつたものが結局法案の内容になるのじやないかと考えております。私も技術者ではありませんので詳細は存じませんが、ともかくそういうことのないように、また歴史的にはどうあろうとも、それが公共的な性格を持つている以上、公共事業として取上げられるようなものにしつかり固めることが必要ではないかと考えまして、今言つたようなあいまいな扱いでない、どこまでも公共事業として扱えるような、そしてまた合理的な施工もうたうような法案にいたしたいと考えている次第であります。
  70. 青野武一

    青野委員 それに関連してもう一つ重ねてお尋ねいたしますが、これはそれぞれ地元の人々が代表者を送りまして、それぞれ建設関係の陳情があつたことと思いますが、大体九州全体から見ますと、さしあたり十五億円ほどの金があれば海岸堤防の補強修築ができる。政府補助以外に自分たちの手でやろうと思うと、これなら大体ある程度台風あるいは防潮の目的が達せられるというものが、いろいろ協議した結果、九州全体で大体十五億ほどあればできる。ところが、御承知のように財政的には各県まちまちでありますので、なかなかうまく行かない。それも大体臨時応急的なものでありましようけれども、いろいろ貧弱になつている海岸堤防あたりを修築するにはどうしても金がいる。ところが、それが九州全体でなかなかできない。そこで十五億の半分を政府が何とか短期の融資でもいいからしてくれれば、あとの半分は九州全体でひとつつくつて、とにかく自分たちの手でやろう、半分だけ金をくれろと言うのじやない、一時貸してくれ、こういう大体の話合いができて、それぞれ書類によつて陳情がなされていると思いますが、こういう点は御承知のようにわくがきまつておりまして、もう県の財政でまかなえないということになれば、政府から金を借りる以外に道がありません。そこでこれはこの前の委員会でも申しましたが、大分県のごときは、往年の島根県の一歩手前まで来ているのです。われわれの政党関係ではありませんけれども、われわれの宿舎にたずねて来た県会議員や県庁の役人や知事あたりは、一年間の大分県の收入を全部持つてつても教育費に足らない、授業料その他臨時のいろいろの收入を合せて教育費に一ぱいである、こういう大きな五十五億からの海岸堤防災害を受けると、大分県は政府が何とか救済をしてくれなければ私どものところではどうにもならない。こういうことで、自由党の金光氏も一緒に行かれておりましたが、これは大分県から出ている人でありますが、そういう事情を私どもも実は非常にお気の毒に考えている。大分県のような県ばかりでは九州はありませんでしよう。まあ多かれ少かれ台風が起るたびに九州は必ずやられる。三十年間の統計をとつても、中央気象台によると一番全国で雨量が多い。今度の台風でもまた種子島を通りまして、やはりどうも一度通つた道がいいという調子で通つてしまう。それがために御承知のように三百六十億もやられてしまう。ところが、九州で特に大分県のごときはどうすることもできない。また常時県や鹿児島県は御承知のシラス地帶をたくさん控えておりますので、これはよその県に比べれば三倍、五倍の大きい被害を受けている。こういう調子で、阪神の例をとるわけではありませんが、五年に一ぺん十年に一ぺん通る台風でなく、台風と名がつくと必ず通り道になつている。こういう点に対しましては、ひとつ特別な融資、あるいは農林省関係ではまだ人跡未踏の森林がたくさんある、大分県の奥あるいは宮崎県、鹿兒島県、そういつたところは県を單位にしてもらうというわけに行きますまいけれども、適切な金額——そういつたいつも台風、水害でやられている特殊の県には、政府から出す金がやはり公平にやるとうまく行き渡らぬ。そういう際には宮崎県や鹿兒島県の今さしあたり必要のないような官有林や国有林を拂い下げて、それによつて出て来る金で災害の復旧をやらせるといつたような一つの方法考えてもらいたいと私は思う。そういう点についていろいろな問題が起つてはなりませんから、嚴重に調査をし、これは市町村では問題が起りやすいから、やはり県單位でそういうことを私は希望する次第でありますが、これと二つあわせまして、どうしても融資わくを拡大してもらわなければ、地方公共団体としては災害のたびにどうすることもできない。これは増田建設大臣にお尋ねした際には、今のではこまか過ぎるから、五百億程度になるように関係方面折衝を続けておりますと、相当確信のあるような顔色をして私の紙にお答えがあつた。こういう点についてどの程度の話が進んでいるかということと、今の国有林の拂下げをもつて災害県あるいは市町村の復旧費にかけてやるということについての御意見を、ひとつお聞かせ願つておきたいと思います。
  71. 小峯柳多

    小峯政府委員 御発言の内容一つ一つごもつともでありまして、ことにあの堤防が非常に古色蒼然たる海岸堤防がかなりあるのを拜見して参りました。急いで補強いたしませんと、今御指摘になつたようなことがしばしば起るのだと思います。そこで先ほど法律のお話から申し上げましたが、それに対する費用も、今年度が一億五千万円だと記憶しておりますが、相当ふやさなければならぬと考えております。また御発言のありました融資の問題でありますが、この海岸堤防は農地に関係しますものの方がかなり多いのだと思います。従つて土地の改良といいますか、そういうことに関連しての融資ができやしないか。これは島村次官からもお話があると思いますが、農業金庫の話が進んでおつたのでありますが、金庫自体としましては今のところこれも難航いたしております。しかし非常に低利の長期の金を土地改良に使いますために、見返り資金からのわくをつくつて、農林中金あたりに委託して非常に長期の金を安く出そうという話が進んであります。お話合いによりましてはそういう資金も使えようとも思いますし、また地方の起債の問題も、これもなかなかわくを広げますことは骨が折れておりますが、せつかく努力中でありますから、地方がせつかくそれだけの努力をしてくださるならば、今お話し申し上げたような方法で、私どもとしましては農林省の方とよくお打合せしまして、御希望に沿うようにやりたいと考えております。またやれると考えております。
  72. 島村軍次

    島村政府委員 九州の特殊地帯で連年災害を受けておりますことは私ども先般のキジア台風で全九州を視察させていただきまして、シラス地帶が各関係堤防の決潰のたびに農林関係被害の非常に多いこともよく承知いたし、特別な方法を国家として考えるべき筋合いのものだということは、よく承知して参つたのでありますが、御承知通り現在の制度の上ではなかなかそういうことが取上げられていないようであります。そこで総合開発と申しますか、あるいは災害復旧というような問題も、もつと根本的な対策考える場合に、ぜひとも特殊地帶としての考え方を取入れるような方向に持つてつてもろうことを、われわれは期待いたしたいと思うのであります。お話の点の融資の問題は、ただいま小峯政務次官から話しましたように、農林関係仕事それ自身が長期資金を要するということから、農林関係にいわゆる資本の蓄積をやらせる一つの方法として、国家が相当の投資をするという意味合いからも、長期資金の施策をぜひとも実現いたしたいというので、目下大体関係筋の了解も得ましたので、次の国会には提案できるような運びに相なると思うのであります。その場合に、その範囲をどうするかということになりますと、土地改良等長期でなければ困難な事業を主体に考えておるのでありまして、御指摘になりました国有林も、九州には宮崎を中心として非常にたくさんあります。欝蒼たる森林も持つておるのでありますが、国有林の成り立ち、あるいは現在の制度の上から行きますと、なかなかそれをすぐに拂下げをして、その資金を財源にするいうことは困難ではないかと思うのであります。ただ問題は、結局それらの災害及び未開発と申しますか、九州の特殊地帶に対する開発を災害防止の点から、考えますと、結局資金の問題だと思うのでありまして、これは前段申し上げましたように、全体的な資金の問題を根本的に研究した上で、その一環としての国家、財政の上から考えるということが筋ではないかと思うのであります。なお国有林の具体的な問題については、関係方面関係者ともよく協議をいたしまして、国有林そのものの拂下げをどうするかということの結論は、なかなか出にくいと思いますが、御希望の点をよく了承いたしまして、研究を進めてみたいと思います。
  73. 青野武一

    青野委員 それでは最後にもう一つ承つておきたいと思いますことは、補正予算の中で、災害関係経費のうちに、主要農作物の災害応急対策費に約二億二千万円ばかり組んではありますが、これは小峯政務次官も農林次官も、九州方面にお忙しい中を御視察をしていただいたことは、私どもそのあとあとへと行きましたので、よく知つておりますが、海岸方面の農民諸君がせつかくつくつたものをどうすることもできないような被害を受けております気の毒なところが、ほとんどでありますけれども、これについても、政府が直接にまたあたたかい救済の手を差伸べてやることのできないのは、法の不備の点もありましようが、すぐにたとえば堤防工事を始めれば、その仕事に従事させて、何ぼかの收入がある。しかし片一方では、きれいに実つた稻を家族総出で嬉々として刈つておるのに、片一方では一粒の実も入つていない。潮にやられたものを、涙をこぼしながら枯れた、赤い稻を一町離れたところでは刈つておるというような状態は、涙なしには見られない光景であります。私はきのう委員会から帰りまして、たまたまラジオをかけましたところが、千葉県の放送をやつておりましたが、中途から開きましたから数は何ぼか知りませんが、引揚者の諸君がせつかく開墾をしてつくつたやつを水害でやられた、もう投げ出そうと思つたが、もう一ぺんがんばろうというので、みんなが協力してがんばつた。まずまず今度は幾らかとれるというときに、また水害にやられた、こう二年も続いてやられたのでは立ち上る勇気もない、その点について代表者がいろいろ陳情した、それについて放送局の諸君が廣川農林大臣に会つて、農林大臣はいろいろ話しておりましたが、何とかそういうところは重点的に救済しなければいかぬだろうとぼくは思うといつたような結論的なお話を、きのうちやんと聞いておるのです。そこでそういつた点は、九州にも東北にもたくさんありますが、特にひどいところは、その関係県とも農林省や建設省が話合つて予算関係あるいは直接の農民救済といつたようなことで、きのうあたりのラジオ放送で聞いておりますと、今度植付があつてもまく種がない、自分たちの力ではどうすることもできぬところに追い込められておる、こういうことを涙ぐましい声で言つておるのを私は聞いたのでありますが、こういう点については、特にその県の人たちが一番よくわかつておるのでありますから、水害や台風、その他で非常に困つておるところを、いろいろ緊密な連絡をとつてお調べの上、全体的にというわけに行きませねば、こういうところは特別な対策考えて、救済の手を打つていただきたいと思います。これを最後に要望しておきまして、ほかの委員にお譲りすることにいたします。
  74. 島村軍次

    島村政府委員 本年度補正予算の中の三億数十万円の災害関係の費用は、主として六月以前に起りました——たとえば茨城県の風水害に対する苗の補植に関する輸送の費用、それから病虫害防除に必要とする経費というものを主体におきまして、なお病虫害中には、稲熱病の防除に要する経費、葉枯病に要する経費算も計上いたして、いろいろなものを合せて二億数千万円になつておるのでございます。なお海岸高潮ために收獲皆無の土地に関する措置の問題でありますが、これらに関しましては、キジアジエーン全部を通じまして、全国に広汎にわたつて收獲皆無になつた方々、まことにお気の毒な人もたくさんあるわけです。そこでこれらに対する措置といたしましては、御承知通り農業共済施設によりまして、従来なかつた概算拂いをいたすということが一つと、それからもう一つは、これらの営農に要する資金、すなわち明日の生産に携わることのできないというような方々に対する措置といたしまして、全国を通じて約十億の範囲において営農資金を出しまして、希望に応じて出して行くというような方法を決定いたしまして、すでにそれぞれ手配をいたしております。なお開墾地の住宅、ことに開拓地に終戰後建つた家で、おそまつという点で非常に被害を受けておる。その結果復旧に要する資金に困るというようなことで、農林省といたしましては既定の予算の範囲において、大蔵省の了解を得て、ある程度資金を出しております。なお住宅の問題は、今回の補正予算中にも多少資金を出したということで、農林省関係経費中にも計上いたしております。なおまたこれらの資金の問題は、将来住宅金融公庫等にも入れてもらうことを農林省としては期待をいたしまして、目下関係当局と交渉を進めつつあるような次第でありまして、御承知を願います。
  75. 高橋權六

    ○高橋(權)委員 小峯政府次官はお急ぎのようですから、二、三ちよつとお伺いしておきます。  第一に東京都内に昔からある運河ともいうべき河川、橋梁などを架設してあつたのを至るところ埋めておるが、あれはただ家を建てるのが目的であるのか、道路をつくるためか、面積を広くするためか。どういう考えであれを埋めておられるか。これはよほど考えなければならないと思うが、ちよつとその点を伺つておきます。
  76. 小峯柳多

    小峯政府委員 都市計画の問題だろうと思いますが、技術的な問題ですから、局長から答弁していただきます。
  77. 小沢久太郎

    小沢政府委員 あれは都のやつておる問題でございましてわれわれの方といたしましては直接関係はないのでございますが、一応土地を造成するためにやるのじやないかというふうに思つております。それから私どもは、君、あれを埋めて大丈夫ですかとときどき会うと言うこともありますが、それはさしつかえないというようなことも言つております。
  78. 高橋權六

    ○高橋(權)委員 昔の人はよく考えて、どのあたりが豪雨の際に水につかるかつからないか。何百年も前に太田道灌のごとき頭のいい人がいろいろ考えてこしらえたものでありまして、いいかぐらいじやいかぬと思う。今からでも悪ければもう一ぺん掘るということをして、あまり埋めないようにしていただきたい。これはじようだんじやない。昔の人が何百年来研究に研究を重ねて掘つた川であります。都がやつておるから都にまかせておけばいいではいかぬ。君、埋めていいか、いかぬじやないかというぐらいでなく、昔のことも考えて注意していただきたいと思います。  それからもう一つは、今日東京都内で救済事業として盛んに人夫を使つておるが、その点については、これも都でやつておるとか、補助するからという考えであるか。これもちよつとお伺いしたい。
  79. 小峯柳多

    小峯政府委員 御指摘の仕事は、労働者の失業対策事業だろうと思います。資材費は出してはいかぬが、労賃に出して、なるべくたくさんの労働者を吸收したいという趣旨でやつておるわけであります。
  80. 高橋權六

    ○高橋(權)委員 それは非常にいいことであるが、これは私頭痛の種でありまして、東京都内を長い間調べた。ところが救済事業でも地方の人間はまじめにやつておるが、東京都内の労働者は十時から出勤して御飯前一時間ばかりやつて、御飯を食つたあとはよその水道の鉛管を盗んだりおまけに他人の屋敷、今後近いうちに建設でもしようとしておるところの、せつかく工事ができかけておるところまでひつくり返して、銅板とかいろいろ金目になる金属類をあさつておる。そういうやつはすぐ帰る、賃金はきちつともらつておる。ところがまじめに働いておる人間は何と言つておるかというと、私らみたに朝から夕方まできちんと仕事をしても、同じ賃金であります、代議士さんでそんなことまで気のついておる方は少いと言うくらいに熱心に私はやつておるのだ。あなた方が多数の役人を使つて、国民に負担させたこの貴重な金を使うのに——私はこの間も参議院の前でやつておる連中が、感心によくやつておるから、私は大いにやつてくれと言つたら、かれらは涙を流して喜んだ。そういうまじめな連中は朝から夕方までやつております。この間私麻布笄町あたりをちよちよいまわつて見たのですが、十時ごろ出て、一時かそこらに帰つてしまう。ちよつと出て弁当食つて、そのあとでそういうことをやつておる。せつかく金をかけてつくつたコンクリートのところをひつくり返してしまう。近所で水道が出ない、どういうわけかと調べたら、水道の鉛管が盗まれておつたということが多々あるのであります。その点は大いに注意していただきたい。怠けるやつに限つて思想的にもかぶれるような人間と思うが、注意していただきたい。この点はそれだけにしておきます。それからもう一つお伺いしたいのは、長材物件の運搬についてですが、農林省関係の救済事業を盛んにやつておるが、あの長材物件を運搬するのに、私がその道の人に尋ねると、それは福岡県ばかりじやないかといろいろ言うのですが、この長材物件を運搬するには必らず許可がいる。さあ急を要するが許可がないので困る。その点について、私は山林会の林業議員連盟にも入つておりまして、熱心にとなえるが、林業の方ではそういうことは福岡県ばかりじやないかというようなことを言われまして困るのでありますが、長材を運搬する場合には一々許可をもらわなければならぬ。もらうときに、悪い考えの警察官などは一ぱい飲ませなければ出さないというようなことがなきにしもあらずですが、しかも私らの福岡の例で言うならば、福岡県の二割以上出しておる八女郡のごときは、非常に困難をしておりますが、当局はそれについてどういう考えを持つておられるか、ちよつとお伺いしたい。
  81. 島村軍次

    島村政府委員 御承知通り木材統制は最近はずれておりますので、農林省で許可を與えるということは、現在ではないと思います。
  82. 高橋權六

    ○高橋(權)委員 そうじやないのです。私の言うのは農林省が関係が深いのですよ、森林というものは農林省、百姓のうちです。それで農林省関係から連絡をとつてそういうばかげた規則を撤廃するように、今アメリカの方からも注文が出てそれを出しても時日が遅れたためにとんでもない罰ではないが、おしかりを受けておるのだ。それでこれは非公式でありますが、法務総裁にも頼んでおきましたけれども、全国にそういうことのないようにしていただきたいということを申し上げておきます。  それからもう一つは、これと関連しておるが、筑後川のことについては前国会においても、幸いここにおいでになつている目黒局長さんからよくわかつたということを御答弁いただきまして、私は喜んでおりますが、これは戰争のために繰延べになつておる。それで見返り資金云々でオーケーをとらなければならぬということになるかもしれませんが、最近四年間続いている。しかも福岡県の筑後であつて、福岡県のウクライナとまでも——あまりロシヤのまねはしたくないが、食糧倉庫と言われる三瀦郡が必ず水につかる。のみならずこの筑後川の流域の四年間続いてとれない農民は、たいへんな苦労をいたしておるのであります。それで農林省としても河川局長ばかりいじめないで、ひとつあなたの方からでもどのくらいの耕作反別であるかをよくごらんくださいまして、そしてこれを実現するようなオーケーを——あながちアメリカ人は文句を言わなくて、よく話せばよくわかる。私が外務大臣だつたらうまくやろうと思うが、悲しいかな一議員でありますからそういうことはできないが、どうでしようか、あとから河川局長目黒先生とよくお話くだすつて……。これは戰時前に通過しておつた。それがお流れになつた。私は県会議員当時から盛んにやつて、暗渠までつくつて、幾立米あるところの土砂をちやんと用意してあつて、そしてできないということになつておるのであります。それについて御盡力いただけるかいなやを、ちよつとお伺いしておきたいと思います。
  83. 小沢久太郎

    小沢政府委員 筑後川そのものはよく存じておりますし、排水地帶も相当あることを聞き及んでおりますが、改修工事の問題及び農林省で所管いたしております灌排水工事としては、あの地帶は相当広い地帶でありますから、国営にもなる土地だと思うのでありますが、しかし今まであそこは取上げられていないと思います。なおひとつお話もありますから、係にもよく話しまして研究いたします。
  84. 高橋權六

    ○高橋(權)委員 今言われたのは、しかも去年やられて、今年また堤防が決潰しております。その点については目黒局長さんもよく知つておられますから、ぜひ農林関係ですから、その方も盡力していただきたい。  最後に今農林関係として、先ほど国有林の拂下げのことを云々しておられましたが、戰争前までは山の水を保有するのは二百ミリ以上を持ちこたえておつたと思う。ところが最近に至つては百七十ミリくらいに力が弱くなつた。私らは山の中に育つてよく知つておりますが、国有林を拂い下げてやつて、かえつて損害になりはせぬかと思うから、そういう点は今後よく注意して、拂い下げるがいいかどうか、山の木を切つてしまつたら、わずかばかり補助して工事しても、またより以上の損害を受けるから、どういうお考えであるか、それをちよつとお伺いしたいのであります。     〔委員長退席、青木(正)委員長代理着席〕
  85. 小沢久太郎

    小沢政府委員 ただいまの国有林拂下げの問題は、御希望があつて、その点の御趣旨はよくわかりますけれども、国有林の拂下げについこの問題は、結局融資なり財源の問題が主体でありますので、今ただちに国有林を拂い下げるということに対しては、なかなか難色があるということを申し上げたつもりでございます。国有林は御承知のように施業案をつくつて、漸次伐採計画もやつておりますし、現在のわが国の木材の需給情勢から考えますと、奥地の水源涵養になつておるきわめてよい山がたくさんあるわけであります。そこで拂下げをいたすといたしましても、その施業計画従つてやるということで、濫伐をするということは考えておりませんので、どうぞ御承知を願います。
  86. 高橋權六

    ○高橋(權)委員 私は拂下げを好まないというのです。なぜならば、それで両の保有量の引例までしたわけであります。国有林を拂い下げると、濫伐することは今まで見え透いておるから、もし国有林の拂下げがあつたら、反対にやらないようにするお考えはおありにならないかと、私は小さい声で言つたからわからなかつたかもしれぬが、そういう意味なんです。先ほど青野先生からお伺いなさつたときは拂下げを希望しておられたようだが、私は反対だ。なぜならば、今申すように拂い下げは濫伐する、もうかりさえすればいいという人間がおるから、もしそういうことがあつてはゆゆしき問題だから、拂い下げないようなお考えはないかということを伺つておる。
  87. 小沢久太郎

    小沢政府委員 御希望の点はよくわかりましたので、拝承いたしておきます。
  88. 志田義信

    ○志田委員 農林次官にちよつとお尋ねいたしますが、時間が迫つておりますから一瀉千里でお尋ね申し上げます。林野庁の治山五箇年計画によりますと、二十四年から二十八年までに崩壊地の禿山の復旧工事、あるいは地すべり工事、水源造成等が計画されておつたはずでありますが、これは大体見返り資金三十億の中から十五億円くらいでやるような計画になつてつたと思います。見返り資金が非常に憂慮される現段階におきましては、二十六年度計画量をどのくらいに考えておられるかどうか。その実施可能と見ておる点はどの程度であるか、その予算の規模をどういうふうに考えておるか承りたい。
  89. 島村軍次

    島村政府委員 林野庁の指導部長からお答えいたさせます。
  90. 藤村重任

    ○藤村説明員 今御質問の点でございますが、治山五箇年計画の二十六年度分につきましては、見返り資金は十分見通しもはつきりしておりません。大体は一般公共事業費を対象にして考えて組んでおります。それでおおよそ三十六年度は五箇年計画の二十六年度分の年度計画を対象にいたしておりますけれども、現在のところこの分で参りますと、今後十五箇年くらいは計画を延ばしましてやりませんならば、大体目標に達しないというような段階でございます。
  91. 志田義信

    ○志田委員 三十六年度計画量がどの程度になつておるかということを聞いておる。十五箇年に延長して……。そんなばかな答弁があるか。
  92. 藤村重任

    ○藤村説明員 失礼いたしました。二十六年度の治山事業の規模は八千町歩を対象にして計画しております。
  93. 志田義信

    ○志田委員 その予算の規模をお尋申し上げます。
  94. 藤村重任

    ○藤村説明員 これに対しまして、治山事業といたしましては、総額七十八億円を対象の規模といたしまして計画いたしております。
  95. 志田義信

    ○志田委員 その七十八億円はどこから出すのですか。
  96. 藤村重任

    ○藤村説明員 これは公共事業費としての予算の対象であります。
  97. 志田義信

    ○志田委員 八千町歩が二十六年度で実施可能とされておる計画でありますか。
  98. 藤村重任

    ○藤村説明員 さようでございます。
  99. 志田義信

    ○志田委員 どうも私は、今のせつかくの指導部長のお話でありますが、そうしますと、八千町歩を二十六年において見返り資金等は扱わないでも、七十八億は公共事業の対象として公共事業費の中から出し得る、予算措置が可能であると承知してよろしゆうございますか。
  100. 島村軍次

    島村政府委員 私から補足申し上げたいと思いますが、林野庁の計画いたしましたものはただいま申し上げた通りでありますが、公共事業費の方は御承知通りに全体のわくがきまつておりますので、前年度に比しましては相当二十六年度においては増額される見込みでありますが、しかしこの全部のものが全部認められるということは困難だと思います。まだ二十六年度予算も、御承知通り関係方面との了解もできておりませんし、多少減額をされるのではないかということも予想されますので、これらの配分がきまりました上で、さらにお話申し上げた点は、相当の変更をもつて年次を繰延べなければならぬことになるのではないかと思います。いずれ決定いたしましてから、さらに詳しく申し上げたいと思います。
  101. 志田義信

    ○志田委員 さようにいたしますと、その中での水源林とか保安林とかいうことについては、どのようにお考えになつておりますか。
  102. 藤村重任

    ○藤村説明員 水源林関係について申し上げますと、水源林関係は、その中で約四億円ほど期待いたしております。なお保安林につきましては、この治山事業は全部保安林を対象として事業をいたしておりますので、先ほど申し上げました、希望しておりまする七十八億は、全部保安林に対しての事業と御了解願いたいと思います。
  103. 志田義信

    ○志田委員 そうしますと、これは直轄事業費としてはどの程度のことを考えておられますか。あるいは治山事業補助費としてはどの程度のことをお考えになつておりますか。
  104. 藤村重任

    ○藤村説明員 ただいま申し上げました中で、直轄の分といたしましては、国有林関係におきまして十三億程度で、なお民有地に対しましての直轄林といたしまして、約十二億ほどを計画いたしております。
  105. 志田義信

    ○志田委員 そこでひとつお尋ね申し上げますが、これは政務次官からお答えいただいた方がよろしいかと思いまするので、特に政務次官を御指名申し上げますが、山林の相続税につきまして、最近私たちはその関係方面から陳情をいただいております。この山林相続税について、過重であるという説明を聞いておりますが、次官としてはこの山林相続税について、これを改正する御意思があるかどうか、お尋ね申し上げます。
  106. 島村軍次

    島村政府委員 お話の点は私も聞き及んではおりまするが、実はまだ十分私としての、また省としての態度はすつかり決定はいたしていないと承知いたしております。
  107. 志田義信

    ○志田委員 私たちも最近の山林の問題におきましては、いろいろと山林を持つておる者の困難な点も考えられるのでありましてその陳情してくるところによりますと、大体五箇年間を無利息で延納を認めていただきたいということが一つ。それから納税に対し立木処分等をいたします場合には、その立木処分の所得に対する所得税だけはひとつ免除していただきたい、そういう考え方が出ております。そうしてできるだけ他の山林との間における不公正な取扱いのないようにいたしてもらいたいという要望が出ておりますので、この機会に農林政務次官を通じまして、これらの点に対する特別な御配慮をひとついただきたいと思います。  それから次に、最近松やにの増産の問題につきましていろいろ問題が起きまておるのでありますが、政務次官はどういうふうにこれに対してお考えになつておるか、お漏らしをいただければありがたいと思います。
  108. 島村軍次

    島村政府委員 しろうとでありまして、よく存じませんので、指導部長から申し上げます。
  109. 藤村重任

    ○藤村説明員 松やにの関係は、特殊林産物として、それの振興の指導はいたしておりますけれども、現在統制もございませんし、補助金政策としても、別に予算をとりましてこれを指導するというようなことは、希望はいたしておりますけれども、実現していないのでございますが、御質問の御趣旨がはつきりわかりかねましたけれども……。
  110. 志田義信

    ○志田委員 私の申し上げておるのは、最近これらの問題について当局はその隘路を是正して、農家副業としての普及を助成するように補助する、ないしは補助金を出すとか、その他の予算的措置を考えておるかどうか、こういう点をお尋ね申し上げたいのであります。
  111. 藤村重任

    ○藤村説明員 松やにの指導については、この技術面におきまして、研究普及員を置いて指導いたしておりますけれども、財政面につきましては現在のところ補助金は出しておりません。これはただ希望といたしましては、できるだけそういうふうな森産物の、特に副業的な面は、一般の農山村の経済の好転にもなりまするし、必要でございますので、これに対しましての補助金は、できるだけ実現したいというような希望で、予算の要求はいたしておりますが、現在は出しておりません。
  112. 志田義信

    ○志田委員 奨励普及のための費用があるようでありますが、それはどのくらいのものを二十五年度予算で出されておつたのでございますか。
  113. 藤村重任

    ○藤村説明員 松やにそのものに対しての補助金は、二十五年度は特別に出ていないのであります。
  114. 志田義信

    ○志田委員 どうも指導部長と私とは、席が非常に遠くなつておりますせいか、私の質問がよくお耳に入らないようでありますが、先ほどあなたは奨励普及のために費用を計上しておるとおつしやつたように私は聞いたのであります。そこで農家副業としての奨励普及費は、どのくらいあなたの方でお使いになつておるのかということをお尋ね申し上げたのであります。
  115. 藤村重任

    ○藤村説明員 その点でございますと、一般的に全部松やに等を含めまして、約七億程度を二十五年度に使用しております。
  116. 志田義信

    ○志田委員 何か生産地の農山漁村の村民の松やにに対する考え方が、非常に認識を欠いておるというようなことから、そのためにこれをとるのに原木が損傷したり、あるいは病虫害にかかりやすいような結果があるというようなことについて、あなたの方では何か指導しておるような実態があるかどうか、伺いたいと思います。
  117. 藤村重任

    ○藤村説明員 今のところ、特に対象にいたします松につきまして、非常に病虫害、特に害虫が相当蔓延いたしておりまして、これの害虫の駆除のため相当国家的な財政援助もし、技術的な指導もいたしまして、これの撲滅防止に努めております。この面につきましては、特に本年度約二億七千万円程度補助金を支出しております。
  118. 志田義信

    ○志田委員 それでは最後にお尋ね申し上げまするが、この海岸砂防について三十六年度計画はどんなふうなことをお考えになつておるか、政務次官から伺いたいと思います。
  119. 島村軍次

    島村政府委員 先ほど申し上げました治山の五箇年計画のうちでは、海岸地における造林を一応千六百十六町歩と予定いたしております。これはさきに申し上げました通りに、公共事業関係で年限の延長をやらなければならぬことだと思いますので、なお予算決定後に、さらに面積の決定をいたしたいと思つております。
  120. 志田義信

    ○志田委員 千六百十六町歩の海岸砂防をやるというのは、これは堤防ではございませんで砂防ですか。それで間違いございませんか。
  121. 島村軍次

    島村政府委員 ただいまのは造林予定地でございます。
  122. 志田義信

    ○志田委員 昨年山形県の庄内浜一体にわたりまして、海岸砂防予算化がなされて、これが起工式等が行われておるのでありますが、これが公共事業費の削減等によつて縮小されるようなことがありますると、米の生産に対する影響が非常に大きいのでありまするが、すでに計画されて実施に移つておるものに対しましては、政務次官はこれを一日もすみやかに完成するというお考えであるか。それとも予算のいかんによつては、また期間延長をしなければならぬというお考えであるか、それとも打切らなければならぬというようなお考えであるか、その点をお尋ねしたい。
  123. 島村軍次

    島村政府委員 山形県の海岸砂防がどういう計画で進められておるかという実地をよく存じませんので、なお研究を進めまして、できるだけすみやかに実現するようにとりはからいたいと思います。御承知通り仕事を途中やめにすることは、災害等においても非常に損害も多いことでありますし、特に重要な地点だと考えますので、よく関係者と協議いたしまして、先ほど申し上げたように、実現を早くするようにいたしたいと思います。
  124. 志田義信

    ○志田委員 ありがとうございました、ぜひともさようにおとりはからいをお願いいたしたいと思います。  それから私は先ほど遅れて参りまして、中途から政府お話を承つてつたのでありまするが、さきに小峯安本次官は、団体営の耕地整理、県営の耕地整理、県営、団体営のこれらの土地改良につきましては、二十六年度においてできるだけ金融的処置によつてこれをなさしめたいというお話がありましたし、また農林政務次官からも、農林金融公庫の三十億がたというまく行かないようになつても、これを中金その他においてやらしたいというお話がありましたが、まことにけつこうなことだと私は存じております。わが党におきましても、私も政調会に関係しておりますが、二十六年度中にぜひとも県営と団体営の耕地整理は、小規模のものに金融処置を與えて完成せしめたい、これがわれわれ自由党の熱願するところでありまするが、さような場合に、これらの金融処置によつて、あるいは見返り資金によつて行うという場合の利率は、どの程度考えておられるか、土地改良に対する融資の利率について、お考えをお漏らし願えればありがたいと思います。
  125. 島村軍次

    島村政府委員 ただいまの関係は、事業によつて利率を多少異なつて参ることが一つと、それからなお最初考えました百三十億の預金部資金等が出ますと多少の利率が変更するだろうと思います。現在計画されておる六十億の範囲でありますと、できるだけ安くやりたいと思うのでありますが、土地改良の灌漑関係におきましては、補助事業は六分五厘以内にいたしたい、かような考えを持つております。
  126. 志田義信

    ○志田委員 これは農林漁業等金融公庫の場合でなく、中金にこれを預託の形式をとる場合においても、やはり同様に六分五厘でお貸しになるお考えでありますか。
  127. 島村軍次

    島村政府委員 御案内の通り、二十億の国家資金は大体二十六年度で決定するだろうと思いますし、それからあと見返り資金予定されております。もしこれがかわるということがありましようとも、現在のところでは、ただいま申し上げた範囲においてぜひともなし得ることを確信いたしております。
  128. 志田義信

    ○志田委員 重ねてお尋ね申し上げますが、さようなふうにおとりはからいくださることは、非常にありがたいと思いますが、さきに造林関係ではたしか四分五厘でお貸しになつてつたように私たちは覚えております。しかしまあ土地改良でありますから、あちらさんの言うように、これが私企業にやるのだというような考え方から、六分五厘になつてもさしつかえないと思いますが、中金では一割一分で農林関係に金を出しております。そういう場合に中金の考え方でこの利率が上るようなことがありませんかどうか、重ねてお尋ね申し上げます。
  129. 島村軍次

    島村政府委員 いよいよ事務的の折衝をやりました場合には、あるいは多少の変更はあるかもしれませんが、しかしただいま申し上げたのを最高限度に置いて考えたい。もちろん預金部の入ります場合は、これは別途また利率がかわつて来るのではないかと思います。
  130. 志田義信

    ○志田委員 最後に、それでは現在それらの土地改良、つまり先ほど申し上げました県営並びに団体営の耕地整理に対する土地改良に、来年の一月から五月ごろまでの間に使い得ると考えられている見返り資金の額をお尋ね申し上げたい。
  131. 島村軍次

    島村政府委員 一応土地改良におきまして三十億から三十九億くらいの範囲と考えております。
  132. 橋本登美三郎

    ○橋本(登)委員 安本当局がおいでになりませんから、あるいは不自由かと思いますけれども、農林政務次官河川局長にお尋ねいたします。補正予算の四十一億のうちに含まれてある十二億七百万円の便法、これは地域的にどの方面に使われるか、もしくは目的的にはどの方面に使われるか。
  133. 建部仁彦

    ○建部説明員 実は先ほど概括的に局長から御説明いたしたのでございますが、十二億七百万円のうち、八億を大体大阪とそのすぐ近くの尼崎地区に予定しております。その他その地区以外のジエーン台風でやられた分と、キジア関係の九州地区にその残りの四億を予定しております。その事業の性質といたしましては、河川局関係海岸堤防、それから都市局で実施いたします海岸堤防並びに地盤の地上げ、運輸省の港湾局で実施いたしております港湾関係の整備と並行いたしまして、地盤の地上げ、その他の港湾地区における防潮対策、その他農林省の方に関係があります干拓系統のかさ上げなども  一部実施する予定であります。
  134. 橋本登美三郎

    ○橋本(登)委員 今のお話ですと、十二億七百万円は関西及び九州に、今の目的のために使われるので、その他に及ぼさないようでありますが、その通りでありますね。しかし今年度の六月、八月及びその他の災害にいたしましても、ひとり関西及び九州だけがひどいのではなくて、御承知のように、六月、八月災害においては関東、東北も相当にやられておるのであります。これも災害復旧費はある程度頂戴いたしておりますけれども、非常に予算が少い関係上、なかなかうまく行つておらぬようであります。かつまた災害復旧だけではほんとうの効果が上つておりません。かねてから河川の防災にしても、あるいは農業土木の防災にしても、予算の計上を希望しておつたのですけれども、事実今まで計上がせられておらないので、せめてこの際この十二億のうち一部分を、たとえば霞ヶ浦沿岸の河川堤防とか、護岸堤防あるいは農業土木の堤防とか、防災費にお使いになる意向はないでしようか、その点お尋ねします。
  135. 建部仁彦

    ○建部説明員 災害におきまして高潮を最も強く受けます地区は大体関西地区、九州の東海岸で、例年非常に高潮災害が大きいのでございまして、今年は特にその方面災害が多くございましたので、その方面の声が非常に強くありまして、今年の高潮対策といたしましては、大体その地区に限定いたしたいという考えを持つております。
  136. 橋本登美三郎

    ○橋本(登)委員 農林政務次官にお尋ねいたしますが、今安本の御説明によると、四十一億のうちの十二億という六相当主要な部分占める防災予算——これは全国的に非常に注目されているのですが、それが主として関西の災害対策費として使われておつて、霞ヶ浦一帶その地重要な農業資源の地区には行つていない。それに対しては、農林政務次官としては了承の主要本と交渉されておるのか、あるいは農林省当局としてはそれに対して希望を言つたのだが、通らなかつたのか、その点御返答願いたい。
  137. 島村軍次

    島村政府委員 本年度補正予算四十一億のうちの農林関係であろうと思いますが、これは具体的にそれぞれ安本と協議をいたしまして、公平に考えたつもりであります。
  138. 橋本登美三郎

    ○橋本(登)委員 政務次官はおわかりになつておらぬようだが、十二億円という防災予算が四十一億のうちにある。その十二億円の目的は、農林関係にも幾分使われておるようですが、主として河川関係にのみ使い、その地域も主として九州と関西に行つた。これはわれわれも関西の災害状況、災害復旧状況を調べて、相当災害のひどかつたことは了承しておりますが、これは関西だけがひどいのではなくして、関東の小貝川を中心とする霞ケ浦一帶の被害、これはもう少し防災が行われておつたならば、災害はもう少し少くて済んだのだろうと思う。かねてからこの地方においても防災予算をできるだけ大幅にもらいたいという要望があつたのだが、今日までそれができなかつた。今度は、これは大阪方面の努力もあずかつて、力があるのでしようが、四十一億のうち十二億七百万円という半分近い費用が、防災費用として関西及び九州だけに使われることになるのです。これは農林省はだまつて賛成の意を表して、それだけでよろしい、関東、東北はどうなつてもいいと、こういう考えでこれをお認めになつたのかどうかということをお聞きしておるのです。
  139. 島村軍次

    島村政府委員 小貝川中心の問題については、私も実地を拜見しましたので、しろうとながら多少の知識を持つておるつもりでおります。あるいは御質疑の点に当るかどうか存じませんが、利根川関係の全体工事のうちで考えるということで、あるいは今年度の四十一億のうちには考えられなかつたのではないかと思いますが、なお経過が御必要でありますれば、調べまして後ほどお答えします。
  140. 橋本登美三郎

    ○橋本(登)委員 河川局長に伺います。河川局長も関西の災害はごらんになつたし、われわれとしてもはなはだお気の毒にたえないので、この方面に力を入れるのはけつこうですが、しかし、河川局長も霞ケ浦沿岸附近の災害をごらんになつておわかりと思うが、ジエーン台風も大きかつたけれども、その前の八月のも大きかつた。その大きかつた八月災害のうちに霞ヶ浦地区が入つております。それらにもう少し防災工事があつたならば、あの被害が何分の一かにとどまつたであろうということは明らかである。しかも安本においては、災害に比例して災害復旧費というものの割合が非常に少い。こういうときにおいてこそ防災費を割当てて、一部分でもよけいに災害復旧なり、あるいは災害防止のために役に立てるべきであると思うのですが、その大部分の費用というか、ほとんど全額が関西、九州に割当てられて霞ケ浦方面には今度の補正予算の中には一文も考えられなかつた。せめて一億でも二億でもこちらに振り向けるお考えがないかどうか、この点について伺いたい。
  141. 目黒清雄

    目黒説明員 われわれの方で安本に申し上げておりますのは、今度の災害復旧費——大体第一次、第二次、第三次となつておりますが、これがはたして均等、公平であつたかどうかという点については、なお私は疑問を持つております。従つて今度の四十一億の補正予算が出た場合には、ひとつ今までの災害というものを見直して配当を考えてもらいたいということは、常日ごろ主張しているところであります。従つて大阪あるいは九州方面に十二億というわく安本でとつておると聞いておりますが、それと同時に、それはそれとして、もしそれだけ必要であるといたしますならば、そのほかの地方、かつて被害の大きかつた茨城県あるいは長野県のごとき、これも未だ見直してみなくちやならぬじやないかというふうで、ひとつその辺のところは、もしわくがきまりました場合には、われわれにそれの是正をさせる方法を講じさしてもらいたいということを主張しておるのであります。今折衝中でありましてはつきりいたしませんが、一応会年度全体として見直す行き方をしませんと、三十七億出て来たり二十三億出て来たりしている間はどうも何かふつり合いなものがあるような感じがいたしてならぬのでありますが、そういう主張をただいましておりますので、われわれとしては、かりに今のような災害対策的なものを特別に取上げるということになりますれば、われわれが常日ごろ主張しております——災害助成という言葉を使つておりまするが、この工事もある程度プラスして仕事をやらしてもらいたいということも主張してみたいと考えております。
  142. 橋本登美三郎

    ○橋本(登)委員 今の目黒河川局長のお含みのある御答弁でけつこうでありますが、実は具体的に申し上げますと、霞ヶ浦の護岸の堤防は大体三メーターの高さですが、この三メーターの堤防が今度の災害にかかつて災害復旧費査定を受けておるわけであります。この三メータ一の堤防は、現在利根の治水の関係から見て、河床が上つてつたりその他の事情からして、とうてい三メーターの原形復旧では、来年もまた流されるような結果になる。  そこで今回の災害復旧費を的確に生かすためには、どうしても四メーター程度堤防をつくる必要がある。そういうことになれば、本年度キジア台風程度のものには耐えることができる。であるからして、この際三メーターの復旧費をもらうと同時に、それに幾らかの防災費がもらえれば、一種の半恒久的な四メーター堤防ができる。こういうことになるので、この意味においての防災費というものは、霞ケ浦護岸の関係からいつて非常に重大な意義を持つておる。その点から、私は先ほどから防災費をそういう方面になぜ使われなかつたかという質問をしているのであつて、助成費その他の問題を考えるのではなくして、この災害復旧を行つても、それが三メーターそのままの原形復旧であつた場合においては、来年も同じように流されてしまい、結果においては国の費用をむだに使うことになるから、この際半恒久的な意味で四メーターのものができれば大丈夫だというのであるから、この程度の防災費がこれに加えられるならば、しつかりした対策ができ上る。こういう点で、特に十二億円のうち、もしくはその他の費用のうちから防災費を考慮してもらいたいという私の希望なのであります。その点をお含みの上、安本当局とも御研究の上、これは必ずしも関西のわくときまつておるとも決定しておらないし、かつそういう意味において国会に提出されておらないのでありますから、もし事務当局において御了解ができるならば——ほかに予算があれば別ですが、ほかに予算はありますまいから、何とかしてこの点についでの御考慮を拂つてもらいたい、こうお願いするわけであります。
  143. 青木正

    青木(正)委員長代理 本日はこの程度にとどめ、次回の開会日時は公報をもつてお知らせいたすこととし、これにて散会いたします。     午後四時二十四分散会