○金子
委員 この健康保險並びに
船員保險の
改正のうち、被保險者の
料率の問題につきまして、最初に、私は懇談の形で、与党だとか野党だとかいうような感覚でなく、この問題に対して一番よく知
つておるのは厚生
委員だから、その厚生
委員の人たちが、
安田局長としては、一応打つだけの手を打
つて、いかんともしかたがありませんと言われている。しかしながら、役人が政治を全部や
つておるのではないから、そこでこの厚生
委員会として、折合いの上で一致した
考え方で、もう一度、なるかならないかは別といたしまして、国民のために手を打とうではないかということを懇談いたしたのであります。現に本国会におきましても、地方自治の問題につきましては、地本行政
委員会が与党野党一体になりまして、今度の地方
財政交付金の問題について、一致した決議を持
つて予算委員会に対して申入れをしておるのであります。不幸にしてそれはものになりませんでしたけれども、しかしそれだけの誠意は持つべきだということを私は
考えておるがゆえに、そういうことを懇談いたしたのであります。その後聞くところによりますと、自由党の政調といたしましても、これは万策尽きたから、これで賛成するよりほかないということに
なつたかのように漏れ承
つておるのでありますが、その点私は非常に遺憾なことだと思うのであります。そこで、
先ほどから堤
委員の質問に対しても、
安田局長としましては、これは万策尽きた、従
つてこの危機を救うためにいいことだとは思わないけれども、一応こうするよりしかたがなか
つた、こういうようなことでありまして、決してこれが正しいという見解は持
つていらつしやらない。私はこの問題につきまして、もし国家が近き将来に、この社会保障なり、
社会保険の
制度について、根本的な
考え方をかえなければならない、あるいは新しく再出発をしなければならないという段階に来ておらなければ、現在の
社会保険の数ある中で、
船員保険や、いわゆる組織労働者の被
保険者の負担率というものは、非常に過重になる。でありますから、私はただ労働者のためになんということは言いません、国民全体の上から見れば、このくらいの
料率の
引上げは何でもない。国民全体の人たちが機会均等の立場に立つ
社会保険で行くならば、私はこのくらいの
料率引上げは当然であると思います。まだ軽いと思います。しかしながら、これを来
年度予算からも、今の十五箇月の
予算に組んだとか組まぬとかいうけれども、これは今の
政府の方針として一応こうしたのであ
つて、今組まれておるところの
予算というものは、決して日本の来
年度財政の金城鉄壁でも何でもないのであります。これは今の段階において、自由党が絶対多数でありますがゆえに、それか一致したときに、必ず国会の形式はとるのであります。しかしながら、国民感覚から言
つたときに、これ以上の
予算はないのだということは言い得ない。そのために、野党も半分はおるのであります。約半分近くおる。そうしてその人たちの
意見が、たとい少数なりとも正しか
つたならば、それを通すことが民主国会なのであります。にもかかわらず、ここの
会議のあり方は、常に徒党を組んだ——政党政治でなくて
一つの徒党政治だ。そしていつもけんか腰でものをきめるということが、この国会のあり方であるとしか、今の
政府の
予算の組み方というものは解釈できないのだ。これが絶対鉄壁のものであるというのならば、
安田課長のいう、これはやむを得ないから通さなければならぬということになるかもしれませんが、私はそういうふうに
考えたくない。あれだけの
予算があるなら、百億や五十億の金がこの重大な問題に対して出ないということは絶対にない。なるほど、厚生省は政治力はない、また厚生
委員会などというのは、おとなしい、は
つたりのふがない連中ばかり集ま
つておるから、
委員会にも力がない。しかしながら、ほんとうの国民感覚からこれを
考えるならば、そうあ
つてにならないと思うのであります。でありまするから、私はそういう
意味から行きまして、これに対して
最後にお聞きしておきたいことは、かりに今年これを
改正しないでおいたときに、本
年度一ぱいにどれだけの
赤字に、
健康保険あるいは
船員保険でなるか。かりに十五箇月
予算というものを金城鉄壁なものとして、どうにもならなか
つたとして、
昭和二十六
年度、来
年度の
年度末においてどれだけの
赤字に
なつて来るか、その厳格な
数字をひ
とつお聞きしたいのであります。