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1950-12-06 第9回国会 衆議院 建設委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年十二月六日(水曜日)     午前十一時十五分開議  出席委員    委員長代理 理事 内海 安吉君    理事 田中 角榮君 理事 村瀬 宣親君    理事 前田榮之助君       逢澤  寛君    淺利 三朗君       今村 忠助君    宇田  恒君       小平 久雄君    瀬戸山三男君       内藤  隆君    西村 英一君       増田 連也君    池田 峯雄君  出席国務大臣         建 設 大 臣 増田甲子七君  出席政府委員         行政管理政務次         官       城  義臣君         総理府事務官         (行政管理庁次         長)      大野木克彦君         大蔵事務官         (主計局次長) 石原 周夫君         通商産業事務官         (資源庁鉱山局         長)      徳永 久次君  委員外出席者         建設事務官         (大臣官房文書         課長)     小林與三次君         專  門  員 西畑 正倫君         專  門  員 田中 義一君 十二月五日  委員池田峯雄辞任につき、その補欠として林  百郎君が議長指名委員に選任された。 同月六日  委員林百郎君辞任につき、その補欠として池田  峯雄君が議長指名委員に選任された。     ――――――――――――― 十二月四日  岡山県道第二号線道路改修並びに国道編入に関  する請願橋本龍伍紹介)(第四七三号)  国道二十号線中戸倉峠地域等改修工事促進の  請願堀川恭平紹介)(第四七四号)  熊野川総合開発に関する請願世耕弘一君外五  名紹介)(第四七五号)  和田川砂防工事促進に関する請願松浦東介君  紹介)(第四七六号)  羽田村地内の北上川堤防修築工事促進に関する  請願小澤佐重喜君外二名紹介)(第四七七  号)  月光川口改修工事施行請願志田義信君紹  介)(第四七八号)  池田村、玉島町間の道路県道編入請願(  橋本龍伍紹介)(第四八〇号)  姫新線第二鉄橋引上げに伴う護岸工事強化等に  関する請願山口武秀紹介)(第四九六号)  村道下原古塔後線を県道偏入請願山口武  秀君紹介)(第四九八号)  新本川改修工事施行請願橋本龍伍紹介)  (第四九九号)  久米川改修工事施行に関する請願山口武秀君  紹介)(第五〇三号)  山寺村地内紅葉川及び立石川砂防工事施行の請  願(鹿野彦吉君紹介)(第五〇七号)  高瀬地内高瀬川砂防工事施行請願鹿野彦  吉君紹介)(第五〇八号)  谷地地内瀧ノ澤川砂防工事施行請願鹿野  彦吉君紹介)(第五〇九号)  西山村地内水沢川砂防工事施行請願鹿野彦  吉君紹介)(第五一〇号)  北谷地地内法師砂防工事施行請願鹿野  彦吉君紹介)(第五一一号)  西里村地内佐川砂防工事施行請願鹿野彦  吉君紹介)(第五一二号)  中川、藏王両村内の砂防工事施行請願松浦  東介紹介)(第五一三号)  東村地内宮上流砂防工事施行請願松浦東  介君紹介)(第五一四号)  宮沢村地内赤井川砂防工事施行請願池田正  之輔君紹介)(第五一五号)  黄金村地内青龍寺川砂防工事施行請願池田  正之輔君紹介)(第五一九号)  東郷地内白水川砂防工事施行請願志田義  信君紹介)(第五二七号)  丹後海岸道路開設請願前尾繁三郎君紹  介)(第五三〇号)  冨本村地内千座川砂防工事施行請願池田正  之輔君紹介)(第五三二号)  東根町地内日塔砂防工事施行請願池田正  之輔君紹介)(第五三三号)  乱川及び押切川砂防工事施行請願池田正之  輔君紹介)(第五三四号)  遊佐町地内月光川砂防工事施行請願池田正  之輔君紹介)(第五三五号)  高瀬地内洗澤砂防工事施行請願池田正  之輔君紹介)(第五三六号)  金山町地内金山川及び上台川砂防工事施行の請  願(池田正之輔君紹介)(第五三七号)  戸澤村地内の樽石川砂防工事施行請願池田  正之輔君紹介)(第五三八号)  大倉村地内の大旦川砂防工事施行請願池田  正之輔君紹介)(第五四五号)  日向村地内の日向川砂防工事施行請願池田  正之輔君紹介)(第五四六号)  東郷村地内の野川砂防工事施行請願池田正  之輔君紹介)(第五四七号)  丹生川流域治山事業及び防災事業施行請願  (池田正之輔君紹介)(第五四八号) の審査を本委員会に付託された。 十二月五日  南会津地方治山治水対策に関する陳情書  (第二二〇号)  住宅金融公庫に関する陳情書  (第二三七号)  ジエーン台風災害復旧費に関する陳情書  (第二四二号)  河川総合開発促進陳情書  (第二五〇号)  災害復旧対策に関する陳情書  (第二五六号)  住宅金融公庫に関する陳情書  (第二六二号)  災害復旧事業費国庫補助陳情書  (第二六七号)  札幌市白石地区治水工事に対する国庫負担の陳  情書(第二  八九号)  接收住宅に関する陳情書  (  第二九三号)  キジア台風被害復旧に関する陳情書  (第二九四号)  丹生川流域治山並びに防災事業施行促進に関す  る陳情書外一件  (第三〇四号)  道路整備改善に関する陳情書  (第三三三号)  建築基準法中の消防関係事項削除に関する陳情  書  (第三四三号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  建設行政に関する件     ―――――――――――――
  2. 内海安吉

    内海委員長代理 これより会議を開きます。委員長病気欠席のため、私が委員長の職務を行います。  本日政府側より大蔵大臣並びに安本長官建設大臣出席を要求しておりましたところ、大蔵大臣は参議院における予算関係のため出席できないということになりました。そこで後刻建設大臣並びに農林大臣出席されることになつておりますが、ただいま鉱山局長徳永久次君、行政管理庁政務次官城義臣君が出席されております。なお建設省よりは小林文書課長出席されております。  まず本日の日程の建設行政に関する件を議題といたしまして、質疑応答を重ねたいと思います。質疑通告順によりましてこれを許します。瀬戸山委員
  3. 瀬戸山三男

    瀬戸山委員 通産省鉱山局長お尋ねいたします。と申しますのは、ただいま通商産業委員会審議中であります鉱業法案と、当委員会所管になつております土地收用法との関係についてであります。鉱業法案によりますと、第五章に土地使用及び收用という規定を設けておりまして、第百五條以下に土地收用のことを規定いたしております。現行土地收用法がありまして、鉱業に関しては土地收用というものが今日まで制度がなかつたのでありますが、これについて新たに土地收用鉱業権者認むるようになつた理由と、もしこれがどうしても必要であるならば法律の統一と申しますか、土地收用法の一部にこれを加うべきであると考えるのでありますが、鉱業法にさような規定を特に設けられた理由について御説明を願いたいと思います。
  4. 徳永久次

    徳永政府委員 ただいまのお尋ねにお答えいたします。御指摘のように現行法には、鉱業のためには土地使用は認めておりますが、收用というのは実は認めてなかつたわけであります。しかしながら鉱業実態をごらんになりますと、大きな資源の山につきましては、場合によりましてその使用というものがほとんど永久的になる場合が非常に多いわけでありまして、しかもその使います目的から見まして、土地そのもの形質を変更し、原状にもどすということが不可能というようなものもあるわけでございまして、そういうものにつきまして使用という形は、いかにも使用が一時的のようでありますが、実質的には半永久的ということに相なるわけであります。使用に限定することがむしろ実態に合わないのではないかというような趣旨から、收用を認める道を開いたわけであります。但し使用と異なりまして、收用土地所有権者に対する関係は、その所有権を強制的に移転することにも相なるわけでありまして、その目的は極度に嚴選いたしまして、ただいま申しましたような趣旨、これは法の條文にも明らかにしているわけでありますが、「土地形質を変更し、これを原状に回復することが著しく困難となつた場合において、なおその土地をその目的に利用することが必要且つ適当であつて、他の土地をもつて代えることが著しく困難なとき」というような條件のあります場合に、これこれの目的ということで四項目をあげましてきめている次第であります。簡單に申しますと、鉱業の実情から見まして今まで使用でやつておりますが、使用でありながら実態そのもの收用とかわらないような事例があるので、またその事例を嚴選して、やむを得ないと認められる範囲について收用を認めたというような関係に相なつているわけであります。  それから第二のお尋ねでありました、收用を認める場合に、土地收用法があるではないか、これを鉱業法との関係で、まあ法制が二元化すると申しますか、そういうようなことに相なつているのは適当でないのではないかというお尋ねの御趣旨かと思いますが、この問題はいずれ土地調整委員会とも関係がございますし、土地調整委員会というのも新しい制度でございますので、御質問の範囲を少し越えるかとも思いますけれども、御理解の御便宜のために鉱業法をつくります際の使用收用との関係、それに関連して土地收用法との関係をどう考えたか、あるいは土地調整委員会との関係はどういう構想に基いてつくつたのかということを御説明申し上げた方が、御理解が早くいただけるのではないかと思いますので、御説明申し上げたいと思います。  従来は御承知のように、今問題になりました收用規定はありませんでしたが、使用鉱業法の中に規定されておつたわけでございます。その限りにおきまして土地收用法とは全然別個の形で、鉱業法通産局長使用の要否を決定し、またそれに伴う両当事者の協議を進める。協議ととのわない場合の決定ということも鉱業法でやるというようなことに相なつておりまして、土地收用法のいわばごやつかいにならないで鉱業法でできるというような仕組み現行法でございます。これは確かに法の一元化という点から一つの問題であろうかと思うわけでありますが、しかし鉱業がいかにもそれ自身の特殊の事情を持つております関係上、広く公益事業、鉄道、道路都市計画その他の関係を多く対象にしております土地收用法仕組み考えました場合に、適切な判断というものがなかなかしがたい特殊事情があるであろうということから、現行法ができているものと了解するわけであります。そこで実は新しく鉱業法をつくります際に、現在の姿がいいか悪いかということも根本的に議論されたのであります。その際にいろいろな点が問題になつたわけでありまして、関係方面におきましても相当深刻に広くこの問題を検討したわけでありますが、その考え方なり構想をかいつまんで申し上げますと、土地使用收用というものは、それによつて利益を受ける人、不利益を受ける人が、その使用收用目的によつていろいろあるわけであります。そうしますと、関係する産業範囲というものは非常に広く相なつて参ります。鉱業の場合でいいますと、鉱業用地に一番縁の深いものは農地あるいは林野というようなものだと思いますが、そういう問題を考えました場合に、日本の既存の法体系で見ますと、使用收用について協議ととのわざるときに、それを最終的に決定まで持ち込むのが片寄つた事業主管官庁ということに相なつておるわけであります。鉱業法の場合でいいますと、鉱業主管所管いたしておりまする通産省出先機関がそういう権能を持つておるということに相なつておるわけであります。この形がまず適当でないのではないか、これは全産業のそれぞれの利害関係というものを公平に見るような仕組み考えなければいけないのではないかというのが大きく問題にされた点でございます。そのような考え方から見ました場合に、鉱業法現行法仕組みも適当でない。それから土地收用法現行法仕組みも必ずしも中立判断をする機関とも見得るかどうかには、非常に疑問があるという点が指摘されておつたわけであります。そういう点が補正されて、しかしてその補正された形を考えてみますと、俗に平たく申しますると現行法の姿はそこまでまだかわろうとしていないのでありますが、今度鉱業法で御提案申し上げております土地調整委員会というような、どこの役所にも属さない、少くとも産業を担当しない通産省にも属しない、農林省にも属しない、建設省にも属しないというような中立機関をつくつて、そこが中央では最終的にきめるし、また地方の機構もさような意味合いの、いわば土地調整委員会地方的な機関というものをつくることが望ましいという一つ結論が出て参るのであります。それから第二の結論といたしましては、そういうものができた場合には、土地使用收用等に関することはすべてそこへまかしてしまう。すなわち今御指摘がございました一元化ということに相なるわけであります。さような考え方を背景に持ちまして、鉱業法改正の際にどうこれを仕組むかというぐあいに考えましてでき上つたのが、この体系であるわけであります。従いまして、今度の改正におきまして鉱業法関係をいじくることに相なつたわけでありますが、同時に土地收用法というものが、ただいま申し上げましたような理想的な形に再検討が行われておるということになりますれば、文字通り一元化ということができることに相なるわけであります。現実はそこまで至つておりません関係がございまして、その間の理想現実との調節というか、一歩近づいたという形をとつておるわけであります。すなわち元にもどりますが、現行法におきまして、土地使用收用は、鉱業目的のための場合におきましては通産局だけが処置できることに相なつてつたのでありますが、それを一元化の一歩というような意味で、この使用收用許可行為そのもの通産局長がやりますが、土地使用收用一般法としてございます土地收用法に基きますところの收用審査会に、協議がととのわない場合の決定とかあるいは対価に関する紛争というような問題は強制的に所管されることに相なつておるわけであります。その点では、現行法に比べまして一歩法の本質という形に近づいておるわけであります。  第二の問題は、土地調整法構想に出ておるわけでございますが、第一段としまして土地收用審査会、あるいは鉱業法の場合で行きますれば通産局長現行法によつてやる処分、それに対して不服のある者に対する問題のさばき方というものにつきまして、どこにも屈しない公平な機関をつくつて、そこに問題を持ち込み得るようにということで、土地調整委員会というものを関係方面サゼツシヨンによつてつくり出したのであります。そこへ持ち込み得るという道を開く限りにおきましては、現行法よりも一歩前進ではないかということで、地方土地收用審査会決定等に対します不服は、現行法によりますれば、建設大臣でございますか、訴願の道が開かれておるのでありますが、これを建設大臣に行くことは適当でないということで、より公平な中立機関であるところの土地調整委員会に持ち込むというようなぐあいに仕組まれたわけであります。話が非常に長くなりましたが、今のようなある一つ理想形態というものを頭に描きながら、一歩先んじてこの鉱業法全面改正が行われますために、それに関連して土地使用收用の問題が現行法との一部の調節、それから新しい理想形態とのつながり、そういうようなちよつと中間的と申しますか、形に相なつておるわけでございます。なお具体的に申し上げますると、使用收用やり方につきましても、いろいろやり方そのものを民主的にやることを考え意味合いにおきまして、現行法にないことでございますが、聽聞のチヤンスを持つてやるとか、いわゆる公聽会的なものでありますが、そういう機会、手続を踏んだあとでなければ、それの権限を持つております通産局長決定もできないというぐあいに、運用そのもの民主化もあわせて行われておるわけであります。これも現行法に比べまして、法制民主化政府権力の行使の民主化という形において一歩前進しておるわけであります。さような趣旨でこの法制化ができ上つておるわけであります。
  5. 内海安吉

    内海委員長代理 ちよつと御参考までに、ただいま大野木行政管理庁次長大蔵省より石原主計局次長のお二人がお見えになつておりまするから、大蔵省関係並びに行政方面の問題に関しても御質問せられたいと思います。
  6. 瀬戸山三男

    瀬戸山委員 ただいま現行土地收用法が現在の時勢に合わないということから、特に理想に近づくために、鉱業法土地收用規定を設け、さらに土地調整委員会設置法を現在提案いたしておるわけだ。れの理由は私もよくわかるのであります。そしてこの土地調整委員会設置法を見ますると、先ほど御説明になりましたように、どの部署にも属さない委員会総理府の外局として設けて、五人の委員で公平な裁定をする。それが一歩前進しておるといいますが、私が特に念を押しておきたいのは、かように法律が分散するということを私どもはあまり好まないのであります。もちろんすべてを統一するということも、事情によつてできない場合があるのでありますが、土地收用法という嚴たる一つ基本法がありまするので、それにすべての場合を包含せしめるように努力すべきである、かように考えておる次第であります。現行土地收用法は明治三十三年のきわめて古い法律でありますので、現代に適しない部分が相当あると思うのであります。これについては、もちろん政府としてはこの改正相当研究を進めておられると思うのでありますが、もしその研究が済んで土地收用法改正をいたすという場合には、今御説明のように理想に近づいた進歩的な、この鉱業法に関する土地收用規定をそれに包含されるお気持があるかどうかということを確めておきたいと思います。
  7. 徳永久次

    徳永政府委員 先ほど私は、関係方面サゼツシヨンがありましたアイデアというものを簡單に申し上げたのであります。その構想につきましては、私どもばかりが関係いたしたわけではありません。建設省関係いたしておられまするし、内閣の法務府の法制局関係いたしておるわけでございます。なお私ども学識経験者として東大の公法関係先生方もいろいろ御相談を申し上げておるわけであります。そこで具体的にこれを表現しますとどうなりますか、まだ若干の研究の残つておる点はあると思いますが、荒筋としますると、先ほど申し上げましたような構想のものが全面的にでき上るという際には、従来の鉱業法、すなわち現行法にあるような鉱業のための土地使用收用鉱業法で行くのだというような考え方を固執するつもりは持つていないということをお答えいたしておきたいと思います。
  8. 瀬戸山三男

    瀬戸山委員 ただいま私が鉱山局長お尋ねいたしました土地收用法鉱業法案に盛つてあります土地收用との関係について、建設省当局はどんなお考えを持つておられるか、確かめておきたいと思います。
  9. 小林與三次

    小林説明員 ただいま土地調整委員会設置法並びに鉱業法につきまして通産省の方から説明がありましたが、これにつきまして建設省といたしましては、土地收用はやはり土地收用法一本によつて処理さるべきものであるという原則は貫かねばならない、こういうふうに実は考えております。ただ現行土地收用法は古いものですから相当改正すべき問題がありまして、この改正を急ぐということが一番大事な問題であろうと思いまして、至急研究を進め、法務府とも相談を進めつつあるのでございます。その際鉱業法改正の問題が実は起つたのでありまして、その審議の際にも土地收用の問題がありまして、建設省といたしましても相当通産省とも話をいたしたつもりでありますが、とりあえずのところは、現行土地收用法は必ずしも手続が民主的でなく、よくないということと、鉱業法特殊性鉱業法は非常に急がれるいろいろな事情がありましたので、收用についてはその條件をずいぶんしぼつてありますし、その程度ならば鉱業法体系でも、一応その分がブランクになつてもいけませんので入れよう。しかしながら土地收用法改正の場合には、そのうち收用に関する分は調整するということで閣議の方でも了解をとりまして、土地收用に関する問題は土地收用法改正の際にあらためて再調整をする、こういうことで話が進んで参つたのであります。それで土地調整委員会設置法の問題は相当大きな問題でありまして、この設置法そのもの土地收用だけの問題でなしに、鉱業法におけるその他いろいろな鉱業権の設定に関する異議の問題とか、あるいは鉱業禁止区域指定に関する問題とか、鉱業法プロパーの有しておるいろいろな問題を行うことが大きな眼目になつておるのでありまして、そのうちの一部として土地收用裁定もやる。実はこういうことに相なつておるのであります。それでありますから、土地收用法考えておる土地收用——土地收用委員会と申しますか、土地收用を合理的に解決すべき委員会そのものと、はたして一致するかしないか、これはなお研究を要する問題があろうと考えておるのであります。いずれにいたしましても、土地收用法の建前上、現在建設大臣事業を認定し、地上にある土地收用——しかも古風な委員会土地收用裁定や補償をしておるということ自体はどうしても再検討すべき問題で、民主的な土地收用裁定機関あるいは事業認定機関というものを設けなくちやいけない、こういうことで案を進めておるのであります。そうしたことと、今の鉱業法に関連してできた土地調整委員会設置法というものは、どういうふうに調整するかという問題が少くとも事使用收用に関する部分においては起つて来るのでありまして、それはひとつ土地收用法の現在の組立てをよく考えて、その際その部分調整を考慮する、こういうことで事が進んで参つておるのであります。それで土地收用法につきましては、政府の方でも実体的な問題の審議を進めておりますので、その分の調整と、それから鉱業法自体に基くいろいろな体系とをあわせ考えて、この設置法における全体の問題の調整をこの際はかりたい。こういうふうに考えて、せつかく研究政府にも願つている。こういうのが大体の経過であつて、私たちの考えでもあるのでございます。この点お答え申し上げておきます。
  10. 瀬戸山三男

    瀬戸山委員 大体私が希望しておるようなお考えを持つておられると了解いたしましたので、重ねて近き将来さような一本化を進められんことを希望しておきます。と申しますのは、各省がおのおの法律をつくる場合、その法律自体各種規定を設けるということは、法の体裁から申しましても、また国民の側から申しましても、きわめて煩瑣になるのであります。河川法もしくは道路法各種收用規定をつくるということに相なつてはならない、かように考えますので、その点は十分近い将来に御考慮あらんことを希望いたしておきます。  それから先ほど土地調整委員会設置法の話が出ましたので、この点を鉱山局長お尋ねいたしておきます。第三條のこの委員会所管事務の第一に、鉱区禁止地域指定に関する事項ということが掲げてあるのでありますが、特に石炭鉱業などにおきましては、これも九州地方が最もはなはだしいのでありますけれども、このためにいわゆる特別鉱害というもので大きな問題になつております。市街地の各所に凹凸ができ、農地もきわめて混乱いたしておる状況でございますので、この第一の鉱区禁止地域指定ということを構想されたことはきわめて適切であると思います。これは戰争中の特殊な事情によつて住宅地の地下などを掘つたという事情も一応了解できるのでありますけれども、このために国土が非常に荒廃いたして、国民に重大なる損害をかけておる実情であります。これについては、これは委員会の職務でありますけれども、立案者といたしてはいかなることを頭に描いて規定を設けられたかということをお尋ねいたしておきます。
  11. 徳永久次

    徳永政府委員 公益上の見地から、鉱業権の設定に対しまして制限を置くという趣旨は、実は現行法にもあるわけでございます。ただ現行法におきましては、従来のほかの法制みたいなものにできるのでありますが、いわば当該大臣がかつてにきめるというようなやり方でございまして、この法を民主的に、より合理的にするという見地で再検討いたしました場合に、問題が残るわけであります。ここで考えられた案というものは、鉱業権を認めるか認めないか、禁止する地域をどの範囲にするかということの判断は、鉱業の立場だけに偏してもいけないわけであります。他方農業なり、林業なり、その他の一般公益だけでもいけないわけであります。総合的に物事を判断してきめらるべき性質の問題であると思われるのであります。それが従来は、通産局長だけがそれをきめておつたということに相なつておるわけであります。それを第三者的な全体の立場に立つて中立公平な見地で判断し得る人にそれをまかそうというのがこの法の趣旨でございまして、ただいま御指摘ございました土地調整委員会法の権限の中にあります鉱区禁止区域をきめるという問題は、実は鉱業法の中でその権限を土地調整委員会に付與してあるのであります。これは鉱業法の十五條に規定があるのであります。この中に「土地調整委員会において、鉱物を掘採することが一般公益、又は農業、林業若しくはその他の産業と対比して適当でないと認め、鉱物を指定して鉱業権の設定を禁止した地域は、その鉱物については、鉱区とすることができない。」というような規定を置いたわけであります。どういう場合に禁止地域にするかということはきわめて抽象的でございますが、ここに「一般公益又は農業、林業若しくはその他の産業と対比して適当でないと認め」というように書いてあるのでありまして、実体は現行法にもあるわけであります。現行法の運用繰りの状況を例示的に申しまして御理解に資したいと思つております。  従来でございますと、軍の目的の要塞地帯とかその他がございましたが、これは終戰後なくなつておるわけでございます。それから一般公益その他の事例を申し上げますと、たとえば水源池があるといたしますと、その水源池のすぐ真下を掘りまして水がなくなつてしまうようなことがあつてはたいへんだということはきわめて常識的にわかるわけであります。それのみならず、水源池に流れ込みますある一定の地域の下を掘つてはいけないというようなこともやつておりますし、あるいは温泉地について——温泉によりましてある町が形成されておるという場合に、その温泉の湯通をなくす危險のあるような区域は禁止しておるのであります。あるいは国立公園の関係におきまして、その生命となるような箇所を禁止してある例もあります。それから天然記念物と申しますか、文化財として原状を保存する必要があるような場所につきまして、その地下を掘つた場合に地上の形がこわれるというような場所を限定しております。林業関係につきましても特殊の地帯、たとえば農林省がある特殊の法令のもとにわざわざ……。
  12. 内海安吉

    内海委員長代理 発言の中途でございますけれども、もう少し簡明にお話願います。
  13. 徳永久次

    徳永政府委員 今例示してあげたのでありますが、抽象的には十五條に規定してある通りであります。
  14. 瀬戸山三男

    瀬戸山委員 いずれ地下を掘越したり、その他のことをやりますと、そこに衝突が起つて現在のような問題が起ると思うのでありますが、完全に禁止するということはまた日本の産業に影響をすることになるのできわめてむずかしいことだと思います。そこで損害の賠償ということになるのでありますが、損害の賠償は百十一條に「公正且つ適切に賠償されなければならない。」しかも原則として金銭で賠償するということになつておるようであります。私どもが鉱害地をたびたび見て参りますと、これは戰争中のきわめて強制的な石炭採掘等の関係もあつた事情はわかりますが、掘りつぱなしというようなこともしばしば見受けられて、市街地、農地その他に重大なる変化を来しておるのであります。そのために御承知の通り特に国費をもつてつておるというような実情でございますが、これは本筋ではないのであります。金銭でまかなう場合もありましようけれども、国土全体の保全ということから見ますれば、掘りつぱなしということは適切でないと思うのであります。聞くところによりますと、ドイツあたりではなるべくあとを充填して国土保全をいたすという方法をとられておるということでありますが、そういうような規定があるかもしれませんが、私見当らないのであります。そういうことを考えられたか、それに対してどういう処置をされるか、お考えがあれば伺いたい。
  15. 徳永久次

    徳永政府委員 実はこの点は従来でございますれば鉱業法の中に規定があつたわけでございます。御承知のように終戰後鉱山保安法というのができまして、そういう規定を網羅しまして、別体系になつておるわけであります。従つて今の公益との調整あるいは危害予防との調整という見地から、施業上の各種の制限規定というものは鉱山保安法によつてつておると考えております。従つて鉱業法の中には拔けておるわけであります。
  16. 逢澤寛

    ○逢澤委員 関連してお尋ねします。鉱業法改正によりまして、従来鉱業法の適用を受けていない事業に対して、今度は強制的にいろいろな手が伸びると思うのですが、その場合に従来の権利を侵害して来ることになる。たとえて言うと、こんなことが出て来るだろうと思うのです。今まで鉱業法の適用を受けていないろう石を採掘するのに、地方の公共団体あるいは個人あるいは会社と契約をしてやつておる。ところが今度鉱業法の適用をするとこれを侵害して来るということになると思うのですが、その場合にどんな考えをしておるか、一点伺いたいと思います。
  17. 徳永久次

    徳永政府委員 これは日本の法制が明治当初からそうでありますし、各国も同じような考え方をとつておるわけでありまして、鉱物は国有だというような考え方で来ております。但し鉱業法を適用するものは随時そのときの経済の要請に基いて限定してやつておるわけであります。今まで何回か新しい鉱物の追加があつたのですが、今お尋ねのように今回七つの鉱業法の鉱物というものを追加したのであります。従いましてその限りにおきましては、鉱業法に基いて権利をとれば、土地所有者と契約しなくてもよろしいということになるわけであります。しかしながら鉱業法に基きまして鉱業権をとり、それによつて仕事をしました結果として土地所有者にいろいろな迷惑をかける場合があろうと思うのであります。今回追加いたしました石灰石のような場合を考えますと、地表に近い鉱物でございますので、こういうような場合には、法律使用権を設定しませんと、地表を利用して植林しておられる諸君にいろいろな御迷惑をかけることになつて来ると思いますが、そういう方々のお受けになる損害は十分にカバーすることになつておるわけであります。  それから今の例で申しますれば、石炭石をとりましたあと、それを土地所有者にお返しするという場合に、なるべく原状のような形でお返しする。たとえば木を植えられるような形にしてお返しする。それができない場合には、それだけの弁償をするというようなことに相なつておるわけであります。契約の形は違いますが、土地所有者は侵害されつばなしということにはめつたに相ならないわけであります。
  18. 逢澤寛

    ○逢澤委員 そこで坑外の土地がある場合には、今お話のような使用方法を適用して、その使用料を徴收して弁償することができる。ところが坑外は何がしか、きわめて少量で、三十坪とか五十坪とかで、主として坑内の場合——実例を言うと、岡山県の三石というところは日本のろう石のほとんど六〇%を出しておる、耐火煉瓦材料を出しておる。そうしたところがやはり石炭の掘繋と同じようなことがあるのですが、従来その土地の会社とかあるいは町会で所有しておつた。それを東京の品川煉瓦とかいろいろなものが採掘権の貸借をして経営しておる。ところが鉱業権の適用によつてやるということになると、もう財産をとられてしまうという結果になる。その場合に今御説明使用権云々ということになつて来ると、坑内ということになると今の鉱業法の適用で権利がないということが想像できるのです。そこで額のわずかなものならそこに使用権ということも成立つと思うのでありますが、一年に三百万円とか五百万円。三十坪、五十坪というのはどうも常識上使用権というのでは弁済できぬと思うのです。そういうような場合に救済方法を考えられることがありますか。
  19. 徳永久次

    徳永政府委員 先ほど申し上げましたように、鉱業に対する昔からの考え方——現行法律もそうだし、新しくかえましたのもそうでございますが、鉱物は国のものだというような考え方をとつておるわけです。従つてただ鉱業法を適用するものはこれこれだという場合に、過渡的にきめてある。ある時期をつかまえてみますと、まだ鉱業法の鉱物に指定していないものがあるわけです。今のろう石が一つの例でありますが、今度鉱業法の鉱物の中に入つた。その場合に、土地所有者が自分のものだということでろう石採掘業者にお売りになつたということは、ああいう法の考え方から申しますと、ほんとうは土地所有権の積極的な内容になるべきものではなかつた。しかし鉱業法の鉱山扱いをしてなかつたから、反射的な効果として、土地所有者はそういうことをしてもさしつかえなかつた。そういうふうな考え方をとらざるを得ないのであります。突き詰めて徹底的に申しますと、今のような坑内掘りになつております鉱物を、鉱業法指定しまして、土地所有者以外の人が掘るようになりました場合には、これはその土地所有者には何ら弁償しなくてよろしいというのがほんとうの趣旨でございます。ただ経過的な規定としまして、今まで土地所有者と話をつけて、幾らか掘り賃を拂つてつてつたものが、鉱業法なつたその日からとたんに一文も差上げないということは、いかにもりくつはりくつとしても、実際問題としては適当でないという点もございますので、新法はその場合の経過規定としまして、相当の補償金を拂うということにいたしております。これは過去にも新しい鉱物を追加したことは何度もございますが、同じような規定で扱つておるわけであります。
  20. 逢澤寛

    ○逢澤委員 もう一つは、石材などの採掘が今度鉱業法の適用になつておるということを聞いておる。その場合に、従来の賃貸契約をやつてつたものに対する権利の継続といいますか、あるいは所有者と借りておる者との間の紛争の起るようなことを仮想する場合がありますかどうかお尋ねしておきます。
  21. 徳永久次

    徳永政府委員 石材は実は鉱業法とは違うことを考えております。採石法というのをこのほかにお出とておるわけです。これは鉱業権ほど強力なものではありません。原則は土地所有者と掘る者との話合いでやつてもらいたいということでございます。従いまして採石法が出たからといつても、あくる日から何も採石法に基く採石権にかえる必要はない。従来通り円満にやつて行けばいい。ただ両方が、一つの例をあげますと、土地所有者があの石屋はえらくもうかつておるようだということで、採石料を値上げするとか、あるいは権利をとつてしまつて自分がやる、そういう意味で、いわば不当な要求をされて、採石権の契約がうまく継続しないというような場合において、国が中に入ることがあります。そういう程度のことしか規定いたしておりません。
  22. 小平久雄

    ○小平(久)委員 鉱害の問題で一つ伺いたい。今度の案におきましては賠償の規定があるようであります。これは大体鉱業権者が第三者に対して被害を與えた場合の賠償を規定してあるようですが、現実の例として、足尾鉱山あたりの様子を見ますと、おそらくあの近辺の山は鉱業権者の所有になつておるのじやないかと思うのです。ところがあのように数千町歩の山がほとんど裸山になつておる。あの現場に立ちますると、單に山が荒れておるというばかりでなく、今度は鉱津の捨て方につきましても、われわれしろうとから見ても疑問のある捨て方をしておる。現に渡良瀬川の水害関係から、本年は見返り資金による砂防堰堤等も着工されておりますが、鉱業権者自体の持つておる山がはげ山になつておるために、非常に河川が荒れる。結局国家の費用において砂防その他の策をやらなければならぬ、こういう場合が足尾の場合などはあるのじやないか。ほかにもそういう例があるのですが、そうしますと、一私企業の監理が悪いために、国家が莫大な経費を使つておる。国家の負担ばかりでなく、沿岸民が非常な被害を受けておる。こういうことに対する対策といいますか、鉱業権者に対する国家の賠償というのは当てはまるかどうか知りませんが、この予防策その他についての施策、命令権あるいは実際かかる経費の負担を命ずる、そういうことができることになつておるのかどうか伺いたい。
  23. 徳永久次

    徳永政府委員 今のお話のように、鉱業をやりましてはげ山にした結果として、いろいろな迷惑をかけたという場合に、国に賠償の責任があるかどうかというお尋ねでございますが、さような規定は実はございません。ただ先ほど申しました鉱山保安法というものがございますが、これは今の科学技術で許される限りの煙害予防の措置というものを強制するということには相なつておると思います。それから山が鉱業権者の所有になつてつて、はげ山のままで放置しておくのかどうかという問題でありますが、通産大臣は権限をもつて木を植えろということができる仕組みにはなつておりません。通産大臣は山がはげ山にならないように今の技術の点で要請するのが通産省の責任になつておりまして、木を植えることを奨励するなり、促進する問題は、山が鉱業権者のものである場合であろうとなかろうと、農林省の自治的な処置によつて行われておるのではないかと考えるわけであります。そういう形でございまして、法の方には別段特別な扱いをいたしておらないわけであります。
  24. 小平久雄

    ○小平(久)委員 そうすると、今の御答弁ですと、現在は国に対して弁償させるという規定はない、それから植林などをさせる命令権は通産大臣は持つていない、こういうような二点だつたと思いますが、しかし先ほども申した通り、鉱害のために治水関係などに率いては非常に被害を受けておる。従つて通産省としてそこまでやるお考えがあるかどうか、その点を承つておきたい。
  25. 徳永久次

    徳永政府委員 今のような問題につきましては、実際問題としていろいろな河川の修理その他鉱山者側がある程度の分担金を出すというようなことをやつておる事例は耳にするのであります。それを制度といたしまして鉱山側が全部措置するということは、今の技術その他から許される最大限の努力を拂つておることでありますので、それ以上の問題としては法で強制することは不適当ではないかと考えるわけであります。
  26. 内海安吉

    内海委員長代理 徳永鉱山局長に最後にお聞きしておきたいのでありますが、先ほど来の建設当局並びに鉱山局長の答弁によりますと、鉱業法の制定については各省関係官庁それぞれ協議を遂げた。ところが土地調整委員会設置法については通産省單独でやつたような御答弁のようでありましたが、これは建設省には全然御交渉はなかつたのかどうか、その点をはつきりしていただきたいと思います。
  27. 徳永久次

    徳永政府委員 土地調整委員会設置法は、実は通産省がつくつておるものではありません。形式的には法務府でおつくりになりまして、ただ鉱業法と非常に縁の深い法律でありますので、私便宜交渉したわけであります。もちろんこの法律ができますまでには私どもも御相談にあずかりまして、建設省も正式に御相談にあずかつておられます。のみならず鉱業法改正審議会にも建設省は常に御出席になつておりますし、その面から絶えずその委員会に関する問題は御承知のことだつたと思います。
  28. 田中角榮

    田中(角)委員 時間がありませんので行政管理庁、大蔵省に対して簡單に御質問申し上げます。要点のみ申し上げますから、ひとつ的確な御答弁を煩わしたいと思います。  昨五日の参議院予算委員会において、池田大蔵大臣は、公共事業費並びに見返り資金住宅に対する出資金等に対して言明をしておられますので、大蔵大臣にもう一度建設委員会でただそうと思つてつたのでありますが、今日あいにく大臣が御出席にならないようでありますので、所管の責任者であられる主計局の次長さんにひとつお聞き申し上げたいと思います。いろいろ理由は申し述べなくとも、もうおわかりだろうと思いますので、端的に申しますと、耐火建築物に対する助成金を五億円ほど見返り資金から出していただきたいということと、住宅金融公庫の出資金を本年度以上に多く出していただきたいということと、もう一つは、公共事業費に対してすでに二百五十億に上る二十五年度継続工事の第一段階をやつておるわけであります。これが見返り資金から除外せられるということになりますと、これは非常に大きな問題でありまして、特に五十里ダム等の問題につきましては、これはやらなければやらないでよかつたのでありますが、やり始めてから二百数十億に上る莫大なる公共事業費を中途半端に投げ出すということになつたならば、国費の効率利用という面から考えても重大なる問題である。しかもこれに非常な希望を持つておられた地元民並びに関係者に対して、わずか一年にして打切られるということになつた場合に、政治的な反響も非常に大きくなるという大きな点から考えまして、これらの問題は何らかの措置をもつて継続しなければならぬということは、何人もいなめないことであろうと思います。なお援助資金として、昭和二十六年度分百六十八億五千数百万円というものを要求せられておるようであります。これに対して公共事業費は三百数十億という巨額の費用を要求せられております。なお継続工事の分といたしましては、私が申すまでもなく総工費二百三十九億余万円、今年度七十二億六千余万円、二十六年度に対しては百億余万円の金を要求せられておるということになりますと、これは私たち與党——と申すと非常に悪い表現かもしれませんが、中途半端に投げ出すということは、政治的な感覚から見ても大きな問題である。これは何とかしてやらなければならないということを考えておるわけであります。  なお予算を組まれる大蔵当局としても、この問題に対しては十分お考えはあるだろうと思いますが、現在のところ少くとも見返り資金というものは全面的に中止になつたのではありません。これを別の方面に投資をしようということでありますので、その面に対する予算を幾分削減しても、公共事業費の面に対してはひとつ大きくしなければならない、こういうふうに考えておるわけであります。しかし関係方面の査定等いろいろなことがあつて、わずか千八十億円の公共事業費でおちつくのではないかというような見通しにある現在として、別途の面から現実的に差迫つた問題として考えられることは、いわゆる効率的な融資を行うということであると思います。これは融資といつても、私たちの考えておるのは、預金部資金を考えていただくということだけしか考えられないのでありますが、預金部資金を私たちが今希望しておる額くらい、すなわち耐火建築に対して最低五億円、住宅金融公庫に対して百億円、見返り資金を予定しておつた二百数十億円、こういうものに対して主計局としては来年度預金部資金をどの程度まで出せる見通しがあるのかという点を技術的にも御答弁願いたいと思います。
  29. 石原周夫

    石原(周)政府委員 ただいまお尋ねのありました見返り資金並びに預金部資金の来年度の運用の大要につきましては、昨日大蔵大臣もお答えになつたようでありますが、最終的な決定になつておりませんので、従いまして申し上げることも、最終的なことはもちろん申し上げられないのであります。  第一の耐火建築の問題でございますが、この点につきましては第三点の問題と関連をいたすかと思います。これらの問題は耐火建築の補助にいたしましても、これは当初の御要求から地方団体を通じることになつておりますので、融資の分といたしましては地方債という形に相なるかと考えます。それが地方債という形で今の預金部の資金計画の中におきまして今おつしやいましたような金額を盛り込めるかどうかという問題であります。地方債のわく自身は今日まだ少くとも私ども申し上げる時期に達していないと思うのでありますが、その結論を申し上げますれば、地方債のわくの中におきまして、その他の公共事業費の地方団体の負担その他收益事業もございますが、そういう他の地方債との共有の関係におきまして、わくの中で処理できるかどうかという問題に相なるかと存じます。  第二点の住宅金融の問題でございますが、これは本年度御承知のように見返り資金から出ておりましたので、おそらく金額が減りまして、預金部の方から出ることに相なると思いますが、これ以上ふやすことができるかどうかという問題は、地方債のわくの問題ともあわせてでございますが、御承知の金融債をどの程度預金部で引受けるかという問題と関連をいたしますので、どれだけ金融債を引受けて民間のいわば産業資金にまわすか、それともこういうような系統に流すかという判断の持ち方であろうと思います。見通しといたしましては、住宅の方の金額につきましては、昨年よりは金額が減るのでありますが、なかなかこれをふやすことは、むずかしいのではないかと考えております。
  30. 田中角榮

    田中(角)委員 耐火建築物に対する助成金、住宅金融公庫に対する出資金、見返り資金に対する問題、これは非常に大きな問題でありますが、まだ二十六年度予算でありますので、池田大蔵大臣説明をされても確実的なものではないということだけは私どもも承知しております。なお来年三月三十一日までは、私たち自身も間に合わなければドツジさんに会いに行つても、まだまだ打つ手はあるのでありますから、これはいかなる手を打つても、これを中途半端で投げ出すということは、政治的に考えて断じて行うべからざるところであると考えておりますので、われわれ自身もできるだけの努力はいたしますが、しかし最悪の場合、現在ドツジ氏がお帰りになるまぎわに、むずかしいと言われたものをある程度ひつくり返したにしても、相当な難点は発生するだろと思います。その場合申し上げたこの三つの事項は、予算編成上においてもお忘れになつてはいけないところの大きな政策でありまして、大蔵省当局はじきにドツジ氏が行つてしまつたらどうにもならないということをよく仰せられますが、まだまだ四箇月あるのでありますから、最後の三月三十一日まで見返り資金をもらうということを考えまして、もしもらえなかつた場合には預金部資金でまかなうというような、強硬な御決意をされるよう要望しておきます。なお建設大臣もおられますので、大いに私たちも建設大臣のしりをたたくつもりでおりますから、この問題をよくお考えになつていただきたい。これは政治問題として非常に大きな問題であつて、私たち與党の立場にある者が、いやしくも五百数十億、大百億にも上るこの大事業を計画し、しかもそれを三箇年、四箇年で行おうとして三百億にあまる工事費を頂戴しながら、工事中途で投げ出すということは、非常に評判も悪くなることでありまして、大與党のとらざるところでありますので、これは特にやつていただきたい。  次に行政機構の問題でありますが、これは廣川行政管理庁長官に警告を発したいと思つておりますが、政務次官並びに事務当局が来られておりますので、大体希望になると思いますが、簡單に申し上げます。あらためて申し上げるまでもなく、行政機構の改革というものは、わが党の党是でもありますし、最も大きなスローガンでありますので、その線に沿つて着々御準備になつておられることに対しては最大の敬意を表するものであります。行政機構の簡素化、行政機構の合理化、行政整理という問題は、多年歴代内閣が行おうとして遂に行い得なかつたのであります。それはいうまでもなく、各省間にまたがるところり明治初年からの根強いセクシヨナリズムに災いされて、内閣の命とりになるということで、なさなければならない行政の再編ということが、今日まで延び延びになつて来たことは御承知の通りであります。しかしながら行政機構の改革ということに対しては、何人も異論がないのであります。しかも與党といたしましても、大旗を掲げてやつておるのでありますし、しかもこの大問題は現在の内閣において行わなかつたならば、ほとんど永久に実現が不可能なことと思います。その意味において多少の難点はあつても、これは強引に断行することは、私たちとしても前から望んでおるところでありますので、事務当局としてはこれが実現に対して大いに努力をせられんことを希望しておるわけで承ります。しかしそれについて希望するところは行政の再編の方法でありますが、なかなか今まで長いことがんになつてつた各省のセクシヨナリズム、すなわち自分のポストや、自分の位置の変革が伴いますので、各省が大いに盡夜をわかたずこういう問題になると努力するのでありまして、その努力は遂に大目的に逆行するような結果をつくるおそれが十分にありますので、先日の新聞に発表せられていた行政機構の改革、なかんずく建設方面に対する案というものは、これは一案であるといつても、相当私たちの考えと逆行しておる案であります。しかもそれは事務当局の説明によりますと、その方にまとまる可能性が非常に強いということですが、内閣だけでごちやごちややろうというようなことは断じて許すわけにはいかぬ。これは正式に取上げて相当摩擦があつても、大旗を掲げた以上、しかもこの事業を貫徹しようという努力をする以上は、お互いの感情や、お互いの利害得失があつても、本目的に沿うようなことをしなければならない。次善、三善の策といいながら、いいかげんのところでやろうということは許されないと考えております。特に建設行政という問題は、建設省の面では建設行政一元化ということにありますので、これができれば行政機構の変革は容易に行えるのであります。すなわち建設行政一元化に努力できなかつたところに、多年懸案であつたところの行政機構の改革が行えなかつた原因がある。この建設問題は各省にまたがつており、しかも各局、各課別にさえも営繕係を設けておるものもあり、その持つ予算面というものは、地方の予算面でも、国の予算面でもほとんど大半を占める大きなものであることを考えますと、建設行政面の再編成ができなければ、ほとんど行政機構の改革はできない。そこでわれわれはまつたく超党派的といつてもいいくらい過去四、五年間にわたつて建設委員会が大きくこの問題を取上げておるわけであります。その場合に、建設行政一元化に逆行するがごときことがあつたならば、断じていかなるものにも賛成しない。過般わずかの、まつたく小さな問題でありましたが、教育委員会法の一部改正法律案を合同審議をいたしましたときも、建設行政一元化に逆行するという一つ理由をもちまして、建設委員会は断じてこれに賛成をしなかつたのであります。特に與党の中において万やむを得ないという結論に達したものさえも、審議未了に終らしておるというほどに強硬な意見を持つておるわけであります。その意味において、二、三日前に発表せられたような原案でもし通されるという場合があつたならば、われわれはどうしてもこれをのむわけに行かない。しかも最終的に決定せられておらないのでありますから、今においてひとつわれわれが考えるような面に向けて原案をつくり直していただきたい。それは簡單に申し上げますと、行政組織を縦割りにするか横割りにするかということになるのですが、建設行政だけに対しては、各省にばらばらにするということは全然逆に、一本にまとめなければならぬ。副首相が一省を受持つならば、公共本業省かもしくは国土建設省というような大きなものをつくられて、それを副首相がいつでも持つ。現在のアメリカにおいても、イギリスにおいても——これは昔のことでありますが、第二次世界大戰の勃発する前のドイツの再建に対しても、建設省、いわゆる公共事業の面が大きく取扱われておるということを取上げても、現在の日本においてこの面を大きく取上げる以外に立ち上る道がない。しかももう一つ私が申し上げたいのは、最も大きな面を持つ予算の合理化ということを考えるときに、道路建設面に携わる人には技術屋がありまして、この技術屋が各省に分割せられる場合、その結果は非常に悪いのであります。人員の配置も行えず、しかも新たに分割せられるために不要の技術屋も抱き込またければならない。しかもその技術屋は、技術屋の持つ特色、悪くいえば偏狭な面から他のいうことを全然聞かたいというために、現在各省に分属せられておる建設面が組む予算には驚くほどの差があります。建設省において立米百二十円ないし百二十五円ぐらいでもつて動かしておるものを、同じ所で農業土木は二百四十五円ないし三百五十円を出しておるという事実はいなむことができません。こういう事実をもし取除き得たとしたならば、現在の公共事業費の値上り分ぐらいは、事業の数量において当然増すことができるということは、私たちは言えると思います。特に同じ設計書によるものでありながら、特別調達庁の予算、建設省の予算、その他各省当局の予算が全然單価が違うというがごときことを考えても、私たちの言うことが正しいと考えております。特にわれわれが考えております建設省というものは、農林省の建設部門、それから通産省の建設部門、それから運輸省の建設部門というようなものさえも全部合したい、こう考えておるのでありまして、特にこれは第一段階おいてわれわれの意見を認めて——運輸省の運輸建設本部も建設省ができるときに統合せられておる。これをまた逆行するような案をつくつて、特に道路行政を運輸省に移すがごときことは、まつたくこれは單なる機構いじりということが正しい表現でありまして、私たちはこれが結果において、百害あつて一利なしというぐらいに考えておるのであります。そういう意味におきまして、現在発表せられたものとは全然逆に、建設部門は一本にするという方向にひとつ進んでいただきたい。農業一割増産によりまして、来年度は農業土木の問題が非常に大きく取上げられておりまして、場合によると建設省の中小河川を農林省の方へひつぱりたいというような意見もあるようでありますが、廣川農林大臣は、農林大臣をおやりになるときは農林大臣でありますが、行政管理庁の長官としてやる場合には、農林省を離れた純然たる長官でなければなりません。私は廣川さんがきようおいでになれば一発やろうと思つたのですが……。そういう意味から考えても、とにかく現在は、電源の開発、農業の水利、農地の開拓、治山、治水、洪水の防除ということ個々ばらばらに行われておる。だから私は一貫した治山、治水、洪水の防除というものを河水別、水系別に行うところに初めて電源の開発が起きて来、農業の水利がうまく行き、農地の開拓をやつても灌漑利水等がうまく行く。今までは各個ばらばらにやつておるために、まつたく結果の上らないところに国費が投入せられておるという事実がたくさんあるのであります。もうすでにこの予算で法律的なる結果を生まなくてはならない現在として、それに逆行するがごとき建設行政部門の再編成は断じておやめになつていただきたい。こういうのが結論でありますから、意見がありましたらどうぞ……。
  31. 城義臣

    ○城政府委員 ただいま田中委員からるると御鞭撻なり御警告を拝聽いたしましたが、お話の中にございました行政機構の簡素化は、この際吉田内閣が徹底的にやるというこの線だけは貫きたいものだと深く決意をいたしておるものでありまするが、ただ、今のお話の中で、二、三百前に発表せられたというようなお話でございまするが、これは発表いたしたのでも何でもないのでありまして、いわゆる漏れたと申しますか、現状を率直に申し上げますれば、草案程度であると御了承をいただきたいのであります。従つて十分委員各位の御納得の行くような案を、実は今せいぜい努力して勘案中でございますので、本日のところは御注意なり御要望の点をとくと私ども承りまして、最終成案を得るまでには十二分に努力を続けたい、かく考えておりますので、この点でひとつ御了承をいただきたいのであります。
  32. 田中角榮

    田中(角)委員 一言だけ申し上げておきますが、建設委員会は、あの漏れた案に対しては絶対反対であります。もしあのような原案が出て来たら建設委員会はのまないぞという空気であつたことを、立案をしておる事務当局に対して嚴に申し伝えていただきたいということだけ申し上げておきます。
  33. 村瀬宣親

    ○村瀬委員 建設大臣にお伺いをいたします。ただいま田中委員から機構の問題につきまして、本委員会で四年にわたつて論議された、国土開発のために、日本百年の将来のためにどうしなければならないかという基本線をるるお述べになりました。ところがただいま行政管理庁の方のお話がありました、発表ではなくて漏れたという案によりますると、建設省を解体して、河川、都市計画土地收用の分は天然資源庁へ持つて行く、住宅局は新たにできる社会労働省へ持つて行く、道路局は運輸省へ持つて行くという案をお漏らしになつたのであります。そこで漏れるというのは何か本体があるから漏れるのであつて、からのところからは何も漏れないのであります。そういたしますると私は特に建設大臣の腹の底からの御信念を承りたいのでありますが、われわれは最初から、この焦土と化した日本の再建を一日も早くするのには、すべての建設業務を一貫いたしまして、建築関係も各省にあるものを全部一所にまとめよう、あるいは港湾事務のごときものも建設省へまとめて、その資材、機械、人力一技術すべて一箇所に統合して、大きな力をもつて能率的に一刻も早く日本の再建をはかろう、国土の開発をはかろうという信念で進んで来ておるのであります。ところが言つたように、これはばらばらに解体をして、自動車を扱つておるところへ道路を持つて来てしまう、その主要目的のところに分散してしまおうというような案ができつつあるから、それが漏れて参るのでありますが、これは日本の将来のために、建設省をあずかつておられる建設大臣として、ひとつ職を賭して努力をしていただかなければならない問題である。ただに自分のいすが建設省になくなるからというような意味ではなくして、これは日本の再建が進むか遅れるかの幕末的なわかれ道でありますから、こういう漏れたような案に対して、今どういうお考えを打つておるか、その一部はやむを得ぬというようなお考えを持つておるか、もう徹底的に、かような漏れたような案はけしからぬとお考えになつておるか、またそれに対してどういう方法で——あなたが努力すれば、あなたのほんとうの心からの反対があれば、そう軽々とこういう漏れたような案は実現する可能性はないと考えるのでありますが、日本再建の建設業務に対する信念を承りたいのであります。
  34. 増田連也

    増田国務大臣 村瀬さんにお答え申し上げます。今、城君が漏れたというように言われましたが、私は漏れたかどうかということも実は今初めて聞いたのですが、漏れたというからには何か原案があろう、こういうことでありますが、今、城君は草案とおつしやいましたけれども、草案というほどのものでもないと私は思います。というのは、行政機構の簡素化をするというのは、これはこの内閣なりこの内閣の與党たる自由党の一貫せる一つの政策であります。しかしどんな内容の行政機構の簡素化を行うかということは、特に関係の深い諸閣僚の間において懇談会を持つて、愼重に審議して草案を決定すべし、こういう閣議の申合せになつておりまするし、また総理大臣もそのことを明言いたしております。草案を作成すること自体関係閣僚が寄り合つて作成しろということになつております。でありますから草案と言いますが、草案の下書きのまた下書きである、その辺でひとつ御了解をいただきたいのであります。その下書きの下書きのその下書きに対して、どんな所見を持つておるかということは、今日まだ建設大臣として申し上げるには時期尚早であると感じますが、しかしたつてあの漏れた二案の下書きのまたその草案の下書きに対して、所見を申せということでしたら一言申し上げます。行政機構の簡素化については、私、官房長官のときからつとにその必要を痛感いたしまして、内閣に行政制度審議会というものをつくりまして、あらゆる方面の練達堪能の士、学識経験者をもつて約一年有余にわたつて非常な勉強をしてもらつております。その結果が行政機構の簡素化に関する答申案として、これは天下に公表されておるものでありますし、総理大臣に公式の責任を持つた答申があるのでありまして、これは村瀬さんも御存じのはずであります。これはわれわれが、自由党の野党であつたときも、また現在與党のときも、私が政務調査会長をしておりましたころから考えておつた線に大体近いものであります。というのは、あらゆる各界各層の学識経験者が集まりまして——官僚の古手ばかりではありません、あらゆる方面から集まつて、結局これが一番よろしいという、しかも一年有余にわたり——気まぐれの、これは運輸に近いからひとつ運輸にやろうとか、あるいはまた反対運動があつたから、それならそつちに直そうとか、一瞬間にかわるような、そんなものではない。一年有余にわたつて切瑳琢磨し、調査検討した結果の答申があるのであります。あの線が私は大体妥当である、ほかの、たとえば相当識見の高邁な人が出て来ても、一分間あるいは一日したら考え直し、一晩も寝たらまた前の考えなつたという、そういう気まぐれのものではだめだ。行政制度審議会の答申というものは、客観的妥当性のある答申である、こう考えております。われわれが現在主張しておつたような、たとえば三皇五帝の昔から昭和幾百年の将来に至るまで、治山治水が政治の中核になると私は思つております。そこで山の上から港に至るまで一貫作業である、これが治水を完成させるゆえんである。すなわち治山と治水とは一括行政であります。これにかてて加えて、今田中さん、村瀬さんのおつしやつたような、コンストラクシヨンの関係の行政は統轄してやつた方が、あらゆる意味からいつて、従来の苦い経験に徴してでもよろしい、こういう意味で建設行政を加える、治山治水というものは海に至るまで一貫行政であり、さらに建設行政を、直接間接関係のある、たとえば道路とか橋梁だとか、あるいは住宅とかあるいは官庁営繕とか、要するに建設行政を加えて行く、こういう答申が出ております。どこの国でも建設省、土木省などはあるのでありまして、それらのこま切れ事件というものはあまりないことになつております。そういう意味で御了承を願います。
  35. 村瀬宣親

    ○村瀬委員 ただいま増田建設大臣の、三皇五帝の時代からの治山治水事業の御見識を承りまして、私は非常に安心をいたしたものであります。どうかこの漏れた案等は、まあ草案の草案ということにして、どこか机のひきだしの底に押し込んでいただきまして、ただいまの建設大臣の御意見を強硬に、一日も早く実現できますように、さらに希望をいたす次第であります。  そこで建設大臣がお見えになつておりますのでお尋ねしておきたいと思います。それは見返り資金の問題でありますが、これは安本長官の管轄だといつて済まされない問題であります。簡潔に申し上げますと、二十五年度の百十億円の見返り資金からの公共事業費のうち、あるいは猿ケ石、五十用の堰堤工事に六十五億を使つて、なおそれを続けようとすれば、二十六年度は六十七、八億円はどうしても必要であるということは、これは自明の理なのであります。これを使いませんと、今まで入れた金は死金になつてしまう。そこでこれに対してはどういう御方針で——見返り資金をぜひ使うというのがもとでありますから、もしそれができねば、どういう方法でこの始末をするか、どういう案を持たれておるか、建設大臣に伺いたい。
  36. 増田連也

    増田国務大臣 お答え申し上げます。まだ予算の終局的な決定を見ないわけでございまして、要するにこれもまだ中間の経過中でございますから、その経過の途中における一つの推測といつたような立場から申し上げますと、主計局次長もあるいは申し上げたと思いますが、今のところ見返り資金からの支出は困難をきわめております。しかし私は、今田中さんもおつしやいましたが、ドツジさんに対しても、お帰りのときにも帝国ホテルに参りまして、強い懇請を継続したのでございます。しかしかりにあれがもしいけないという場合にはどうなるかということにつきましても、今池田君や周東君なんかと一緒に検討中でありまして、何とかくふういたしまして、見返り資金をもつて開始した事業は必ず継続しなくてはならぬ。また継続するつもりでございます。電力関係につきましても、いろいろ皆様に御高配を願いましたが、あれも本年をもつて工事が停止するようなごとがあれば非常な逆効果を招来するということも、電力事情について御高配を願つた理由一つではないかと思つております。洪水統制関係から始まつたダムにいたしましても、あるいは長大橋梁の継続による建設にいたしましても、中途半端で切られてしまつたのでは、お互いに非常に迷惑を受けるわけでございますから、去年見返り資金をもつて開始した事業、あるいは一昨年くらいから継続事業でやつているけれども、去年は見返り資金をこれに投じて仕事を続けたという事業は、明年度は必ず続けたい、何といたしましても続ける方針でございます。そこで、どういうところに財源があるかということですが、結局今のところは災害復旧費のようなものが、もし三分の一地方で持つてもらえる、しかも地方は起債なりあるいは一時借入金なり、いろいろ税金でまかなわなくてもよいような方法で、日災害復旧費の三分の一を府県市町村に持つてもらえるという方法がつきましたならば、そこで、事業量から見ますと、災害復旧費は今年よりは来年はふえなくちやならないが、しかしある程度にまずしていただきまして、今のところ四百五十億というふうに組んでございますが、これが御承知のように千八十億に頭割り一割落されましたが、それでもなおかつ相当額ある。その災害復旧費の三分の一に該当する部分でもこちらへまわしてもらおうかと思つたり、あるいは一時借入金のことを考えたり、預金部資金のことを考えたり、一方において見返り資金を継続して支出することを懇請すると同時に、地方万一の場合を考えて、種々関係閣僚の間で苦心、くふう研究をいたしておる。実は相当弱つておりますけれども、何とかいたして財源を捻出いたし、どんな方法によりましても、明年は今年始めた事業だけは断じて継続する、これは私は責任をもつて申し上げる次第であります。
  37. 村瀬宣親

    ○村瀬委員 その問題はなおいま少しくしてからゆつくりまたお尋ねしたいことが多々あるのでありますが、今度はまた方面をかえまして、一点だけお伺いいたします。  南海大震災に基きまする関西の地盤変動に対する処置でありますが、この関係するところは十数県に及んでいるのであります。何か安本の方では、あの南海大震災に対する被害の分、地盤変動に対する分は、二十五年度で打切るというような意見が出ているということを聞くのでありますが、さようなことになりますと、実に重大な社会問題を生ずるおそれがあるのであります。建設大臣としてはまさかさようなことはお考えにならないとは思いますが、この際、今後も南海大震災についてもそれぞれの処置を講ずる安本のように打切りということはないということをはつきり伺つておきたいのであります。
  38. 増田連也

    増田国務大臣 南海関係を打切るかどうかということは私聞いておりませんが、いやしくも災害であり、しかも災害の国庫補助の義務があり、それが災害復旧にこれこれを要するという査定を受けた場合、国においては義務があるから、その義務は免れないと思つております。
  39. 池田峯雄

    池田(峯)委員 私は政策の面で大臣にお伺いしたがつたのでありますが、もう時間がありませんから、ついでにお聞きしようと思つていたことをこの際簡單にお聞きしておきたいと思います。  一つ建設大臣が現在松本市で警察予備隊の招致運動を非常にやつておりまして、何でも資金が八百万円か集まつたそうであります。これに建設大臣も御関係だという一話を聞きましたので、どういうわけでその点に御関係なさつておられるか。  もう一つは十二月五日の日本産業経新聞に、「栃木県の治水工事起工式に出席した某大臣一行八名の鬼怒川温泉宿泊料の請求書が県庁へまわつて来たが、しめて五万三千円也、いくら何でも一泊一人七千円は多過ぎると調べさせると、立替金五千円、コツトンシヤツ代九千円というのがあり、五千円は秘書官が宿屋から現金で借りたもの、シャツ代は大臣が寒いというのでお買上げになつたものだという。飲み逃げというのは聞いたが、着逃げ借り逃げは珍しいと係員も二度びつくり。」こういうような記事が出ております。建設大臣がもしそのようなことをしてははなはだ不名誉この上もないと思いますから、さようなことはないと思いますが、一応お伺いいたす次第であります。以上二点を質問いたします。
  40. 増田連也

    増田国務大臣 御答弁の限りじやないと思いますが、一応お答えいたします。松本のことは初めて伺いました。それから招致運動と申しますが、もうすでに招致されて行つております。金のことは池田君が初めて私の耳に届けてくれたことであります。それから一方のことは全然事実無根でありますし、九千円のコツトン製のシヤツは相当高いと思いますが、シヤツのことも記憶いたしておりません。それからまた宿賃その他も拂つておりますから、どうか御心配せられませんようにお願いいたします。
  41. 内海安吉

    内海委員長代理 建設行政に関する質疑は本日はこの程度といたしまして、爾余の日程は公報をもつてお知らせいたします。本日はこれにて散会いたします。     午後零時五十七分散会