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1950-12-08 第9回国会 衆議院 決算委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年十二月八日(金曜日)     午後一時四十二分開議  出席委員    委員長 菅家 喜六君    理事 金光 義邦君 理事 三宅 則義君  理事 早稻田柳右エ門君 理事 八百板 正君       大上  司君    高塩 三郎君       高橋 權六君    田中不破三君       畠山 重勇君    上林與市郎君       井之口政雄君  出席政府委員         検     事         (法務庁法制意         見第二局長)  林  修三君         林野庁長官   横川 信夫君  委員外出席者         大蔵主計官   柳澤 英藏君         農林技官         (林野庁業務部         長)      佐木 義夫君         農 林 技 官         (林野庁業務部         国有林課長)  蓑輪 滿夫君         会計検査院事務         官         (検査第二局         長)      小林 義男君         衆議院参事         (法制局第三部         長)      鮫島 眞男君         専  門  員 大久保忠文君         専  門  員 岡林 清英君     ————————————— 十二月五日  委員田中不破三君辞任につき、その補欠として  田中啓一君が議長指名委員に選任された。 同月六日  委員田中啓一辞任につきその補欠として田中  不破三君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  小委員長より報告聴取に関する件  派遣委員調査報告聴取     —————————————
  2. 菅家喜六

    菅家委員長 これより決算委員会を開会いたします。  一言この際委員長より御了承を得ておきたいことがございます。今期国会は、御承知のごとく期間が非常に短かかつた関係上、その他種々の都合もございましたので、本委員会は、その間数多くは開会できなかつたのでありますが、さきに設置いたしました二つ小委員会において、幸いに小委員諸君の御努力によりまして、それぞれ検討を重ねられた次第でございます。この際小委員会経過についての御報告を聴取いたしたいと存じます。  まず公団及び公社経理に関する小委員会における経過を小委員長なる大上委員より聴取いたしたいと思います。
  3. 大上司

    大上委員 本決算委員会公団及び公社経理に関する小委員会が設けられまして、不肖私が小委員長を承り、会期の都合もありましたので、前後二回小委員会を開きました概況を申し上げます。  まず資料といたしましては、会計検査院における公団検査の実況と、これに基きまして公団の設立から、今日に至るまで二つにわけまして、すなわち清算事務に入つておるものと、現在公団が在続しておるものと二つにわけて調査をしたのであります。その中におきまして、まず第一に、現在まだずつと解散しておらないところの公団につきましても、あらゆる角度においてわれわれは疑義を持たざるを得ないという結論に達したわけです。  まずその第一点は、各公団損益状況、すなわちこれは清算中の公団においては、これが見通しというような観点から見て参つたのですが、われわれ決算委員会としてみても、きわめて乱雑であり、まつたく行政的な機構誤りか、立法的な機構誤りか、大いに国会議員として反省しなければならないような計数的なものが出ております。  その次に、これをさらに一段深く掘り下げてみますと、すなわち公団の売掛金と、その取立てに関する件でございますが、これはごらんの通り清算に入つておるものについては、まつたくとれておらない、あるいはまつたくこれが回収困難である、あるいはその中においては、当然法的な処置をせなければならなかつたのが、これができておらなかつたために、国家の莫大なる損害となるものがある。こういうふうな責任者の追究は、さらに大いに考えるべきものでありまするが、まつたくわれわれとして、普通の商取引上の観念から見ましても、唖然たるものがあります。その実例は後日書類をもちまして御報告申し上げます。  従つて、これに関連をもちまして、各公団不正事件、すなわちこの不正事件におきましても、新聞紙上で概括的なことは国民承知したであろうと思いまするが、これに掲載されておらないものが特に多い。その中におきましても、農林省所管油糧、あるいは飼料、あるいは食料品等においては、まつたくわれわれが驚くような事件が潜在しております。従つてこれの細部につきましても、いろいろございますので、時間の関係上書類をもつて提出いたします。  その次に、各公団在庫及びその処理に関する件、これを調べてみましたのですが、悲しいかな、われわれの要求したところの資料がまだ出て参りません。従いまして、これについての小委員会報告事項といたしましては、一応題目はあげまするけれども、全然まだ資料を頂戴しておりません関係上、われわれとして特に報告に入れておきたいことは、われわれ国会におきまして、国民の代表としてこれを調査する、あるいは立法上の審議参考の一助とする場合に、要求した資料は特に出してもらいたい。またこれが出ないのであるならば、このような事情で、すなわちかくかくしかじかの事情によつて、現在資料の調製が至難であるということを申し出てもらいたい。いわゆるわれわれが調査あるいは立法審議に入る前提においての資料がまつたくないということでは、五里霧中であります。であるから、当小委員会といたしまして、特に強調する点は、各公団のわれわれの所属する小委員会に対する資料は、早急に出してもらいたい。もしもそれが出ないようでありますならば、これに対する何らかの制裁を加えなければ、当然われわれが円滑なる審議は続行できないと思いますので、特に伺います。  次に、公団清算状況について御報告申し上げます。まず清算事務は、今日、大蔵省管財局清算事務所にお好ましてやつておりますが、これの状況を、肥料公団並びに飼料公団関係について、直接大蔵省から清算人とし、すなわちその清算人は当日都合によりまして、補佐官が出て——どちらも事務官でございますが、調査をいたしましたところ、これもきわめて清算事務が緩慢に行われておる。すなわちもう少し何らかの手段をもつて即刻にやるべきものがあるのではないか、このように考えます。そのうち特に肥料公団におきましては、その公団手持肥料が約八十万トンある。これは関係当局によりまして、来年の春肥、来年の春までこれを処分することができないのだ。従つて清算事務も、特別な関係肥料公団のみは遅れておる、このような報告並びに調査事項でありましたが、一応これは了といたします。しかし特に肥料関係において注目をしなければならない点は、八十万トンに近い肥料を今日在庫として持つておるならば、われわれとしては、この分散と申しますか、この預け入れておる先を、さらに検討する余地があるのではないか。すなわち現在国のものとし、公団の預かつておる各倉庫名、所在地、数量等を特に調査をしておきたいと考えますが、本国会期間が短かくありますので、まだその結論に達しておりません。従つてこの肥料公団になぞらえて申しますと、肥料公団に限らず、清算事務に入りつつあるところの決算の模様が、在庫品処分いかんと、売掛代金回收いかんによつておるように考えます。従つてわれわれといたしましては、在庫品値上り値下り、あるいは回收金の不能が、この清算と申しますか、あらゆる事務にさしつかえがあるように考えます。従つて結論といたしまして、農林省所管に所属する公団の中におきまして、こういう説明説明員からありました。まず帳簿のいわゆる整理上、何とかして欠損を少くして行きたい、このような発言がありまして、私当時委員長でありましたが、発言を求めまして、経理上、すなわち机の上のテクニツクというか技術は一応了とするが、在庫品簡單に時価になおされて、相当数字を水増して行く、あるいはまた備品その他においてこれをかつてに換算をなし、計数上バランスを合せて行くということはゆゆしき大問題である。同時に政府当局の一番の苦手といたしましては、手持材料値下りをいたしましたり、あるいは送つたものが途中において何かの事故によりましてこれが国家欠損になつておる、このような質問を発したのです。従つて現在の行政監督上におきまして、われわれが特に考えなければいけないのは、理論的計数をもつて実質上の欠損をカバーして行くという傾向があるように心得ます。従つてこれも計数上特にとりまとめまして報告申し上げたいと思います。  最後に一言触れておきますが、公団不正事件の中におきまして、われわれが普通の商取引と同時に、経理上に関係しておるならば、当然こういう問題は事前にわからなければならない。一体どこに失策があるのか、この原因を追究すると、きわめて監着不行届であつて、いわゆる放漫であつたと結論できる事項がずいぶん出ております。特に昭和二十五年七月二十六日付で、各公団会計検査についてとして、会計検査院から一応出ておりますこの資料を読みますと、われわれとしては、さらに本決算委員会が勉強して行くと同時に、この調査を続けたいと思います。まずその中の公団不正事件といたしましては、相当件数がありまするが、ここに出ておるのに例の早船事件等もございます。だがこれなどの実情を申し上げますと、一に銀行当局、すなわち公団取引のある銀行公団関係しておる経理あるいは金銭收納と申しますか、これのいわゆる結託事項が多い。にもかかわらず、公団監督並びに実際従事しておるところの公団職員に対するところの調査は、いろいろできておりまするが、相手方、つまり銀行に対する調査ができておりません。なぜならば、本事件の経緯、あるいはその経過等を見ておりますと、銀行とまつたく結託しておらなかつたならば、当然でき得るものではございません。これは本報告書にもよく書いてあります通り、さらに小委員会といたしましては、この銀行公団調査を一歩前進せしめて、調査させていただきたいという結論に達しております。  はなはだ簡單でございまするが、なにせ時間がありませんでした関係上、特にお願いいたしたいのは、本小委員会は第九国会をもつておそらく解散になると思いますが、次の通常国会にもぜひ設置させていただいて、現在調査中のものの結論を得てみたい、このように考えますので、要点のみを御報告申し上げます。
  4. 菅家喜六

    菅家委員長 ただいまの大上委員長の御報告に何か御質問等がございますか。     —————————————
  5. 菅家喜六

    菅家委員長 それでは次に国有林野事業特別会計経理に関する小委員長の御報告を願うはずでございましたが、三宅委員長がまだお見えになりませんので、その間先般前国会閉会派遣委員調査報告のうち北陸班報告が延期されておりましたので、この際ごく簡單にこれを聴取いたしたいと思います。御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 菅家喜六

    菅家委員長 御異議なしと認めましてその報告を求めます。上林君。
  7. 上林與市郎

    上林委員 第八臨時国会終了後の休会中に、当決算委員会国政調査をいたしましたが、私どもは北陸へ参りましたので、北陸班を代表いたしまして簡單に御報告申し上げたいと存じます。  北陸班として調査しましたのは、新潟富山石川福井の四県と、これらの地方における主要官衙、すなわち国税庁、財務局、食糧事務所地方建設局工事事務所等でありますが、詳細は報告書に譲りまして、一、二特殊の事項について概要を申し上げることにいたします。  各県とも国費收納支出は、それぞれ相当の件数に上り、ことに歳入の徴收にあつては、現下の経済状勢により必ずしも円滑に行われないので、庁内における執務だけでは、とうてい成果をあげ得ないため、しばしば職員現地に派遣する等少なからぬ手数と経費とを要したのであつて歳出金取扱いとともに、これがますます地方団体負担を重からしめているのであります。  福井県における例をとつてみましても、二十四年度中、交付を受けた国庫支出金を控除して、純粋に県が国費取扱いのために負担した額は二百四万余円に上つているのでありまして、各県当局がほとんど、声をそろえて、この種負担軽減方を要望しておる状況であります。負担額の計算については、厳密な検討を要するとは思われますが、今後さらに国費事務の完璧を期するためにも、あまり地方に大きな負担をかけないよう、適切な措置を講ずる必要があろうと考えられるのであります。  次に、各県における公共事業費使用状況でありますが、大要を申し述べれば、厚生、文部、建設、運輸の各省所管を通じて、新潟県では五億二千五百余万円、富山県三億六千三百余万円、石川県一億九千六百余万円、福井県三億六千四百余万円をそれぞれ支出し、道路、河川、水道、住宅その他各種の地方公共事業補助及び交付金として使用しているのでありますが、新潟県に例をとりますと、事業類別十二積に対する件数は七百二十七件に上る状況でありまして、失業救済等の見地から補助金を総花的に割当てると、勢い事業分散零細化を来し、事業自体の本来の効果を十分あげ得ないうらみを残すこととなるのでありまして、この点は本事業費の性質上、特に注意を要するものと考えたのであります。  新潟外三県における公共事業の実施の成績について、個々事業がはたして有効適切な効果をあげ得たかどうかを判定するには、一々現場についてしさいに視察調査をせねばならぬのでありますが、今回の出張にあつては、日程上その余裕がなかつたため、大方紙上調査にとどまり、遺憾ながら徹底を欠いたのでありますが、国政調査としては、将来これらの点に深く注意を払うべきだと感じた次第であります。  特殊物件処理につきましては、各県とも大部分処分を了し、現在は従来の調査漏れ発見、評価困難となつていたものの処理など、比較的軽微な事項のみで、大体において終結段階に入つておると見てさしつかえないようであります。  石川県においては、旧金沢城趾等三件約三十万円のものがなお処理未済になつておりますが、これは近く徴收決定運びとなつており、ほかに本年度の徴收決定のうち三件十万九千余円が收納未済となつていただけであります。福井県では、二十四年度調定済額のうち、不納欠損に付したもの七万円、收納未済のもの十八万四千余円で、新潟、冨山の両県では收入未済は皆無であります。  金沢国税局における昭和二十三年度の諸税收納済額は九十五億千四百余万円、二十四年度は百三十三億二千余万円で、收納歩合、前者は九二・二%、後者九〇・三%で、百万円以上の大口滞納は五十四件、一億三千二百余万円となつております。このうち福井市の織物業加藤尚のごときは、本年七月末日現在において、所得税その他を合せて千七百八十四万二千円、今立郡の搾油業吉田吉兵衛は、所得税八百四十五万一千円に上り、以下二百万円以上のものは十八名であるが、大方財産差押えの上処分続行中であります。  検査報告事項は、二十件について当局よりさらに詳細な説明を聞き、その後の処理状況を尋ね、今後の会計上の事故防止について懇談をいたしたのでありますが、その主要なものについては報告書に記述いたしますから、それによつて承知を願うことといたしますが、現場に臨んで報告事項調査をいたしましたことは、当局に多大の刺激を与え、今後会計事務の改善にも寄与するところ少くないものと思われたのであります。  以上をもつて私の報告を終ります。(拍手)
  8. 菅家喜六

    菅家委員長 この際お諮りいたします。ただいま派遣委員の御報告がありましたが、その詳細はこれを本日の会議録の末尾に参照として記載いたしておきたいと存じます。御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 菅家喜六

    菅家委員長 御異議がなければ、さよう決定いたします。     —————————————
  10. 菅家喜六

    菅家委員長 次に、国有林野事業特別会計経理に関する小委員長宅則義君がまだお見えにならないので代理として高塩委員より御報告を願いたいと思います。
  11. 高塩三郎

    高塩委員 三宅委員長にかわつて私から国有林野の御報告を申し上げます。  国有林野事業特別会計経理に関する小委員会は、十一月六日以来十二月六日まで四回にわたつて会議を開き、審議を進めたのでありますが、その経過並びに結果は次のごとくであります。  本特別会計は、国有林野事業を企業的に運営するいわめる企業会計の一つであつて独立採算制建前とするものであります。国有林野事業を可及的に合理化し、收支採算がとれるように努力すべきはもちろんでありまするが、この点について本小委員会は、主として売払処分の方法並びに価格の点を取上げて検討を加えたのであります。  国有林野産物売払いは、昭和二十四年十二月末日までは、木材経済統制下にあつたため、公定価格によつて民間業者随意契約をもつて売り払われていたのであります。各営林局署は各業者製材設備その他、いわゆる従来からの実績に基いて、それぞれ売払数量を決定して来たのであります。しかるに本年一月から統制が撤廃され、また公定価格も廃止され、処分は、会計法規の定めるところに従いまして、一般競争契約、いわゆる公売並びに指名競争契約及び随意契約いわゆる特売の三つによつて自由価格をもつて売り払われることとなつたのであります。すなわち統制以前の本来の姿に帰つたわけであります。国有林野産物はすべて一般競争契約によつて処分するのを原則とするが、これは広く各省各庁において、売買、貸借、請負、その他の契約をなす場合の一般原則であつて、ただ競争に付することを不利と認める場合、その他政令で定める場合には、大蔵大臣と協議して、指名競争に付し、あるいは随意契約にすることができるので、これについては、予算決算及び会計令第九十二条、第九十六条に規定されるところであります。  しからば、本年一月から八月までの処分実績はどうかというのに、その内訳は別表通りで、直覚生産素材立木ともに、数量においておよそ公売三—一〇%、指名一—一〇%、特売八〇—九〇%前後となつており、また公売随意契約の單価はおおむね随意の方が低く、はなはだしきは二分の一、三分の一になつているものも見受けられるのであります。  このような実情について、林野庁側説明するところでは、まず数量において公売が少く、大部分特売である理由として、一、昨年末まで統制当時の割当切符制数量を本年一—三月に入つてからも、度外視することができなかつた。これまでの実績を一挙に白紙還元し得なかつた。二、従来の特売制度からただちに公売制度に切りかえると、木材事業に混乱を引起す。不落札業者製材施設遊木化事業の停頓を来す。三、公売を全面的に案施するときは、中央大資本が進出するので、地元産業の育成上、特売を残す必要がある。四、現地状況によつて公売し得ない場合がある。また価格の点で公売より特売の方が低い理由として、一、公売の方が、良質の材である。二、特売材は山元など、運搬費が、かさむような地点にあるものが多い。三、特売予定価格は本年二月ごろ定められたが、当時一般木材市価は旧公定価格より低かつたが、その後朝鮮事変等関係から騰貴し、公売価格との開きが大きくなつた。というのであります。  価格の点については、実地調査をしなければ、高低を的確に判断し得ないが、その差があまりに開き過ぎていることは、検査院林野庁ともに認めており、林野庁は今後随意契約価格公売価格を十分参照してやつて行く方針であるということでありました。  公売あるいは特売に対する数字的なわくとか、いずれによるかとの基準はないが、立木特売が多いのは、特に薪炭材が多いからだという。いずれにせよ、経済統制を撤廃し、自由経済に復帰する建前からも、特定業者に対する割当である特売は漸廃し、法規上の原則である公売に漸次移行すべきものであり、また不当に低廉な価格特売して、一部業者を利することは、国の所有する資源をそれだけ低価に売り払うことになり、国有林経営を健全に遂行して行く上に望ましくないのであるから、売払価格も、市況の推移等を見て適正な算定をなすべきものと思われる。  国は立木処分だけを行い、直営生産事業はすべて民間にまかせる。立木処分收入は、これを林道造林等費用に充てるようにしたら、非能率な官行直営事業費用をかけるより、收益があがるのではないかとの意見に対して、当局は、一貫作業として植林、伐採、搬出、加工をする方が林業として合理的である。また個人に立木払下げをしたら、莫大な林道費をどうまかなうか。立木処分を受けるには大資本を要し、特に林道新設の場合、その後数年にわたつて特定人特売せざるを得ない。少量、遠隔地需要充足上にも、あるいはまた伐採跡地整理造林遂行のためにも、直営事業によるのが、適当であるとの見解が述べられたのであります。  個々随意契約が、予算決算及び会計令第九十六条第一項の各号のいずれに基いてなされたかについては、検査院提出別表通りでありますが、直営生産製品の大部分及び立木の一部は第十二号に基いて特売されている。この第十二号を適用することが、はたして妥当なりやいなやについて、各関係当局見解を徴したところ、次のごときものであつた。 (参考予算決算及び会計令第九十六条 会計法第二十九条但書の規定により、一般競争に付することを不利と認める場合の外、左に掲げる場合においては、随意契約によることができる。十二 農場工場学校試験所、監獄その他これに準ずべきものの生産に係る物品売払をなすとき大蔵省主計局柳沢主計官は、本号工場とは、非営利のものだけに限らない。本処分は前もつて大蔵大臣包括的協議を経たもの工あつて、適法な処分のように思われる。なお、立木伐採場所は、工場の延長と解せられるとの見解であります。同じく平井司課長も、柳沢主計官と同様の見解でありました。林野庁横川長官は、本号を適用することは、従来からの定説であつて、長年検査院検査も経ており、違法ないと考えるとのことでありました。衆議院法制局鮫島第三部長は、第九十六条は第二十九条の例外規定であるから、厳格に解釈する必要がある。本号に列挙せる農場工場学校等はそれぞれ本来の目的を別に有するもので、随意契約を認める物品事業遂行の副産品である。その他これに準ずべきものの生産にかかる物品も、右の趣旨により解すべきである。従つて本号企業的経営をなすべき国有林野産物処分に適用することは、違法とまでは言えぬが、法の精神に照して妥当を欠くものと思うとの見解でありました。会計検査院小林検査第二局長は、十二号は、副産物売払いに適用すべきもので、これを独立採算制建前とする国有林事業売払処分に適用するのは妥当でないとの見解でありました。  要するに、林産物売払いについては、会計法規上本則であるべき、公売がいまだにわずかであつて特売が依然として多く、公売価格ないし一般市場価格に比して、特売価格が低廉であることが、言えるのであります。今後業務收入を増大し、林野経営を健全ならしめるために、可及的に、公売の範囲を広げる一方、特売価格も、市価を十分に参酌して算出すべきであるというのが、本小委員会結論であります。  右大要を御報告申し上げます。
  12. 菅家喜六

    菅家委員長 ただいま小委員会における各班の概要の御報告を受けたのでありますが、この際この問題につきまして、つまり随意契約をなし得る場合の解釈及び週刊についての解釈でありますが、これについて法務法制意見第二局長意見を聴取したいと思います。林政府委員
  13. 林修三

    林政府委員 ただいま問題になつております、国有林野において生産せられます木材売払いについて、予算決算及び会計令第九十六条に基く随意契約ができるかどうか、こういう問題であると存ずるのでありますが、この予算決算及び会計令第九十六条の第十二号を見ますと、農場工場学校試験所、監獄その他これに準ずべきものの生産にかかる物品売払いをなす場合においては、契約一般競争あるいは指名競争によることが不利と認められる場合は、随意契約ができる、かように書いてあります。これの解釈は、この条項の従来の適用におきましては、この条項のみならず、これの前身をなしております会計規則等において、大体同様な条文で従来から参つて来ておるわけであります。この国有林野事業生産物の売払いにつきましては、この条項によつて従来とも随意契約処分をやつておられるように聞くのでありますが、この条項といたしまして、それがはつきり違法であるということにはならないと思うのであります。この十二号の文字解釈といたしまして、農場工場学校試験所、監獄その他これに準ずべきものということに相なりまして、林野事業というものもこれに包含し得るという解釈は可能であると考えるわけであります。従来そういう解釈で、大蔵省及び農林省においてやつて来られたことがはつきり違法であるとは言えないと存じます。ただこの書き方が多少あいまいであります関係上、将来の立法技術といたしましては、もつとそこを明確にすることがより好ましいとは思いますけれども、ただいまのところにおける解釈上、ただいま申しましたように違法であるということは言えないと存ずるわけであります。
  14. 井之口政雄

    ○井之口委員 ただいまの場合違法ではないにしましても、その随意契約による金があまりに低廉な場合には、これを追徴することは可能なのか、それをさかのぼつて取消すというようなごとが、主務大臣において可能なのか、その点はどうなんですか。
  15. 林修三

    林政府委員 これは契約が法律違反の契約でなければ、契約として成立いたしておりますので、そこに国の側から契約を解除いたしますのには、やはり民法上の契約解除の要件が備わつていなければ、できないのじやないかと思います。
  16. 井之口政雄

    ○井之口委員 追徴もできませんか、それも民法上の手続を要するのですか。
  17. 林修三

    林政府委員 民法上、国の上で契約を解除する理由がなければ、追徴もできないと存じます。
  18. 井之口政雄

    ○井之口委員 契約は解除しないで認めるにしても、さらにそれが不当な価格であるということを認定して、それを追徴するというふうな手段はできないのですか。
  19. 林修三

    林政府委員 ただいまのお話でございますが、もちろん相手方との合意によりまして、相手方にも納得させて、契約を変更いたさせて価格を引上げるということは可能であると存じますが、国の方で一方的にそういう決定をいたすことは、ただいまの法制上では、むりであろうと存じます。
  20. 井之口政雄

    ○井之口委員 ついでに一つお聞きいたしたい。たとえば、ある会社が過払いを受けたという場合があります。政府側に品物を納めて、それ以上に過払いを受けた、これは払つた方も間違いでありましようが、受取つた方も間違いである。そういう場合に、この過払いを埋めるために、民間側から政府へ株券を納入したというふうな場合、この株券を社長が納入しておいて、専務がこれをひつぱり出す、取出すというふうなことをやつた事実が、もしありまするならば、その場合に取出したその行為は、違法になるのですか。
  21. 林修三

    林政府委員 ちよつと今のお尋ねの趣旨が、よく私了解いたしかねますので、お答えいたしかねるのでございますが、もう少し具体的に伺いましたら、あるいはお答えできるかと存じます。
  22. 井之口政雄

    ○井之口委員 それはやはり参議院の決算委員会で、目下問題になつておるものでありますが、向うでやはり公団等の経理について調査いたしております。その場合に足利板金という会社に約二千万円からの過払いが政府において行われている。その穴埋めをするために、社長の田中氏が自分の持つている五万株からの株券を政府に納入している。しかるにその専務であるところの高橋という人が出かけて行きまして、そのうちの三万五千株を取出した。理由のいかんにかかわらず、とにかく一たび過払いの返済として政府に株券をもつて納入してあるものを取出して、これを自由に売り払い、その金を処分したというふうな場合には、これはどういう法律上の関係が成立するのでありましようか。
  23. 林修三

    林政府委員 実は私もその事件はよく内容を存じませんので、あるいは、はつきりしたお答えができかねると思うのでありますが、国の場合でございませんで、公団の場合でございますから、あるいは株で納めるというようなことも可能であるとすれば……。
  24. 井之口政雄

    ○井之口委員 公団じやない、特別調達庁です。
  25. 林修三

    林政府委員 特別調達庁の場合でおりますると、株で払い不足のものを出すということは、それは会計法規上できないはずでございます。従つてその株を提供したということは、何らか担保の意味か何かで、保証のような意味で出したのではないかと思うわけでありますが、ほんとうにそれを払つたとか、払わないとかということは、今お聞きしたところだけではどうもはつきりいたしません。何らかの理由があればそれを取下げるということも、あるいは可能じやないかと思うのであります。
  26. 井之口政雄

    ○井之口委員 それならば、一つの仮定におきまして、これを担保として提供しているという場合は、どうなるのでありますか。
  27. 林修三

    林政府委員 今御質問になりました事例につきましては、私も実は具体的な事件をよく承知いたしませんので、もう少しよく事情を聞きましてからに……。
  28. 井之口政雄

    ○井之口委員 法制上の建前だけでよろしゆうございます。
  29. 林修三

    林政府委員 一般的、抽象的にちよつとお答えいたしましても、あるいはこのお答えにならないのじやないかというふうに考えますが、担保として提供することは、場合によつては可能だと思うのであります。また担保価額が多過ぎれば、取下げることも可能で上ると存じます。
  30. 井之口政雄

    ○井之口委員 額が多いのではなくして、その専務がそれを取出す場合に、これを拒絶することができるかどうか。担保として一ぺん納めたものを政府はもう一ぺんぜひとも渡さなければならないものなのか、この専務は受取る権利があるのか。一ぺん担保として納めたものならば、これは政府の担保なんだからして、専務が来ようと、会社の代表が来ようと、これを拒絶するというのが法律上の建前であるのか。
  31. 菅家喜六

    菅家委員長 井之口君に申し上げますが、これは会計検査院の批難事項の三九七に載つておるところの「不急不要又は不適格品を購入し在庫となつているもの」という項があるのですが、これを取上げての解釈上の問題でしよう。
  32. 井之口政雄

    ○井之口委員 そうです。
  33. 菅家喜六

    菅家委員長 そうすれば、きよう会計検査院から小林検査第二局長がおいでになつているから、この方からひとつ伺つたらどうですか。
  34. 小林義男

    小林会計検査院説明員 ただいまの問題でございますが、私は案はその方に全然関係しておりません。その問題はほかの局の所管になつておりますので、どうぞ……。
  35. 菅家喜六

    菅家委員長 そうすると所管はどこでございますか。
  36. 小林義男

    小林会計検査院説明員 所管は第四局です。
  37. 井之口政雄

    ○井之口委員 この問題は参議院において非常に重大な問題になつておるのでありまして、事は大橋法務総裁に関係するのであります。その意味におきまして、重大なる考慮をお払いになるということは、ごもつともでございましようが、ひとつそういう場合の法律上の建前だけでも、これと関係を別に、どういうようになるのだということを、今の法制上から一言なりとも御返答いただけませんでしようか。
  38. 林修三

    林政府委員 その問題が具体的問題でありますので、やはり具体的のケースを見ませんで抽象的に申しますと、場合によつては非常に誤解を生ずるようなことになるかと思いますので、具体的な問題を研究いたしましてからお答えいたします。
  39. 畠山重勇

    ○畠山(重)委員 ただいまの法務府の御答弁、十二号は適法であるというような御解釈のようでありまするが、私はこれは適法でないと考えられるのであります。なぜかというと、会計法第二十九条によつて、ごく例外として他に買受人のなかつた場合とか、ごく不利益な場合にのみ随意契約ができるというにもかかわらず、先般の横川長官の説明によりますと、二十五年の一月から三月までの処分は、随意契約が九五%、指名公売が二%、公売が三%と報告しておられます。また立木処分においても、随意契約が九二%、指名が六%、公入札が二%と報告されておる。二十五年度の四月から八月までの随意契約は八四%、指名は三%、公売は一三%。また立木の方は随意契約が六二%、指名が一〇%、公売が二八%、こういつた数字に報告されておることにかんがみて、例外として処分するというこの法規にはまつたく反しておると思います。こうした自由な立場において、基準のない処分をするという法の精神では決してなかろうと私は思います。しかも昭和二十四年十二月二十八日の「木材統制撤廃に伴う国有林野屋物売払方針」という中の林野庁長官の各局長に達した一般売払い方針においても明示しておる。その明示されておる中に「製品はすべて予算決算及び会計令第九十六条第十二号により随意契約によつて売払うことが出来るのであるが、処分の機会均等と公正を期する観点から、飽迄も一般競争契約によることを原則とし、営林局長に於て諸般の情勢を勘案して必要やむを得ない場合に限つて指名競争又は随意契約によつて処分の円滑化を期せられたい。」昭和二十三年十一月十二日附林野第一二一二三号通牒、「国有林野産物随意契約によつて売払う場合等に関する件」この場合にのみ大蔵大臣と協議しておる。  一、予算決算及び会計令第九十六条第二十号の規定によつて随意契約により国有林野産物又は土石を売払う場合(イ) 林業用の運搬設備に必要な場合に附近の国有林野産物又は土石をその起業者に売り払うとき(ロ) 鉱業に必要な場合に附近の国有林野産物又は土石を直接鉱業人に売り払うとき(ハ) 開拓事業保護奨励に必要な場合に附近の国有林野産物又は土石を直接開拓を行う者に売払うとき(ニ) 輸出向加工品、杭木、枕木、電柱、パルプ、合板又は各その材料及び特定の樹種、材種若しくは土石を必要とする産業(樟脳、漆器、薬品、染料、陶器等)の材料を直接の需要者又は製造業者に売り払うとき二、予算決算及び会計令第九十大条第二十一号の規定によつて随意契約により、国有林野産物又は土石を売り払う場合(イ) 公署、学校、病院等の建築に必要な産物、又は土石を売り払うとき(ロ) 港湾、鉄道、軌道、索道、道路、橋梁、堤防、溜池、水道、運河、用排水路、水害防衛防砂、電気装置、ガス装置、耕地整理等の工事に必要な産物、又は土石を売り払うとき(ハ) 非常水害のあつた場合に於て、その罹災者救済に必要な薪炭林を売払うとき  三、予算決算及び会計令第九十六条第二十二号の規定によつて随意契約により国有林野産物又は土石を売り払う場合(イ) 従来の慣行により家庭工業材料、薪炭の材料、副産物及び土石を地元住民に売払うとき(ロ) 部分林、又は民地宮木林の産物をその林野の造林者又は土地所有者に売払うとき(ハ)委託林の産物を、自家用の建築及び修繕材料又は薪炭の材料として、その受託者に売払うとき(ニ) 所管換、所属替、売払、貸付又は譲与した林野の産物を、その土地の管理者、買受人、借受人、又は譲受人に売り払うとき  四、予算決算及び会計令第九十六条第二十三号の規定によつて随意契約により造林事業上、必要な苗木を買い入れるとき。  この項以外には適用にならぬというように明示されておるように私は存じまするが、それをあくまでも十二号が違法でないと解釈されることは心外と思います。先日の小委員会において法制局第三部長並びに主計局主計官並びに会計檢査第二局長の方々が、本日までいま少しく徹底した調査研究の上にお答えするということになつておりますので、おのおのも御所見を伺いたいと思います。
  40. 林修三

    林政府委員 私は法律的にこの予算決算会計令第九十六条第十二号によりまして、その林野の生産物を売ることは必ずしも違法ではないということを申し上げたわけでございまして、ただその手続といたしましては、もちろん同政令の第百二条によつて大蔵大臣とあらかじめ協議をいたしまして、大蔵大臣と協議がととのわない場合はいけないことは当然でございます。また随意契約をやるのは、一般競争なり指名競争でやることを不利と認める場合、そういう制約があるわけでございまして、実際上の適用が、はたしてどういうふうになつておるかについてお答えしたわけではございませんので、法律的に、この九十六条十二号によりましてやり得ることであるということをお答え申し上げた次第であります。
  41. 菅家喜六

    菅家委員長 畠山さん、法務府の林第二局長は、今参議院の地方行政委員会に出なくてはならぬという再三の御注意がありますから、簡單にしてください。向うの方も大切ですから……。大体その解釈でいいと思いますが。
  42. 畠山重勇

    ○畠山(重)委員 十二号の出た理由は、学校、監獄または農業とか国有林野事業のように、君大なる生産をする産物物品処分するという立法の精神では絶対なかろうと私は存じます。なぜかとなると、例外として行うことであるから、林野経営の全部をこの例外で処理するという方法をここに適用するということは絶対あり得ないと、私は考えます。
  43. 林修三

    林政府委員 その点は今までの沿革を調べてみましても、明治二十二年の会計法制定以来そのように扱つて来ておりますし、そのときの立法沿革から申しましても、必ずしも入らないと言い切ることはできないのじやないかと思います。
  44. 畠山重勇

    ○畠山(重)委員 明治二十二年から今日に及んでいると言われますが、法務府としても、また法制局としても、すでに憲法が新たになり、ことごとく民主的にやらなければならない今日の政治形態にあつて、明治二十二年に制定してあつた法律をもつて、今日なおかつこれが適法としておやりになるということは、はなはだ行政官として遺憾だと思います。この点法の精神から見ても、先般林野庁長官においては、ことごとくの産物処分は各営林署長にまかせておる、また営林局長にまかせておると言われているが、地元産業の助成をしなければならぬ、しかもその産物処分の実態を拝見するに、ほとんど公売随意契約と半々になつておる、はなはだしきは、三分の一になつておる。しかも秋田の杉の立木をとつてみますと、五分利計算からいつても一石二千九百九十四円でなければ採算がとれないという産物を、わずか八百円何がしに売つておるというがごときは、まつたく法を無視した処分だと私には考えられるのであります。
  45. 林修三

    林政府委員 私といたしましては、法律の一般的な場合の解釈をしておるわけでありまして、実際上の適用が、公売随意契約の割合が多いか少いか、あるいは価格が高いか安いか、この問題は林野庁の方から御方針の御説明があると存じます。また会計検査院の方の見解もあるわけでありますが、こういうものが、法律的に申しまして違法ではないということを申し上げた次第でございます。
  46. 畠山重勇

    ○畠山(重)委員 過日の小委員会で、大蔵省主計局並びに会計検査院法制局第三部長が、本日の会議の席上で、さらに検討を加えられた結果をお話するということでありました。先日は私の質問はもつぱら製品について申し上げてあつたが、過日会計検査院から提出になつておるところによると、立木工場製品として十二号によつて払い下げられておるわけですが、これも適法だと言い得るかどうか、この点をお尋ねしてみたいと思います。
  47. 柳澤英藏

    ○柳澤説明員 私から御答え申し上げます。ただいまの立木につきまして、十二号の適用によつてやるかどうかという点でありますが、その点につきましては十二号は適用すべきものでない、そういう例はおそらくないだろう、かように考えております。それから今の予決令の九十六条の十二号につきまして、重ねてお話申し上げることにします。予決令の第九十六条の第十二号には、御承知通り、「農場工場……その他これに準ずべきもの」こういうように規定してあります。従いまして、この国有林野事業における製材工場というものは、これはやはり一般の概念からいたしましても、工場という概念に入ると思います。従いまして、その点につきましては、全然問題ないと思いますが、次に伐木の場合における事業場というものが工場に入るか、こういう点につきましては、これはもちろん工場そのものではないといわざるを得ないと思います。ただし条文には「これに準ずべきもの」こういう文字がありますので、これはやはり林野事業という特質から考えまして、それには相当の固定施設も必要でありますし、そういう関係から見まして、やはり「準ずべきもの」というものに含めても、あるいはやむを得ないのじやなかろうか、かように考えるわけであります。従いまして国有林野特別会計におきまして、十二号を適用して売払いするということは、これは法律上は可能でなかろうか、かように考えるわけであります。なおこの点につきましては、先ほど法務府の林法制第二意見局長からのお話がありましたので、さらにくどくどしく申し上げるほどのことはないと思いますが、過日申し上げましたように、沿革的に見ましても、この点はやはりそういう国有林野事業場で生産しましたところの素材とか、あるいは製材所で生産しましたところの製品とか、そういうものは、やはり一種の商品でありますから、場合によりましては、どうしても商機を逸するとか、あるいは機動的に動かさなくてはならない、こういうような必要もありますので、やはり必要な場合におきましては、そういう道もある程度用いておくということは適当でなかろうか、かように考えるわけであります。  なお先ほど十二号は例外であるから、その売払いの大部分がこれによつて随意契約でやることは不当でなかろうか、こういうお話でありましたが、これはどこまでも会計法の第二十九条に規定しておりますように、国が契約をいたします場合には、その契約方法といたしましては、どこまでも一般競争原則とすること、但し国が不利と認めた場合とか、あるいは政令でもつて許されておる場合におきましては、これは随意契約によつてもよろしい、こういうことになつておるわけであります。従いまして政令でもつて静されております場合におきましては、法律上といたしましては、これはやり得る道は開いてあるということでありますので、あとはあげて運用という問題になるべきものと考えるわけであります。運用につきましては、それはやはりそのときどきの時勢によりましても、多少の違いはありましようし、法の一応認められました範囲内におきましては、法律上はこれはやり得る、こういうように解釈せざるを得ないものと考えるのであります。この随意契約というものは、特定の人間を相手方といたしまして売払いをするものでありますから、やはり原則でもつて行くということが最も適当であるということは、喋々するまでもないわけでありますから、そういうように道が開かれておりました場合におきましても、できるだけ公売の方法でやつて行くというのが適当と思います。以上申し上げま正して私の答えを終ります。  なお、つけ加えてお話申し上げますが、御質問のように、この規定につきまして、多少そういうようないろいろな性質のものが入つておるという関係から、不明確な点が、御指摘になりましたようにありますならば、これは国有林野の方をもう一度なお検討いたしまして、そうして明瞭に別個の政令でもつて規定するということも、当然考えられる次第であります。その点御了承願います。
  48. 畠山重勇

    ○畠山(重)委員 ただいまの御答弁の中で、立木の方は違法だというふうに私聞き取りましたが、さようですか。
  49. 柳澤英藏

    ○柳澤説明員 立木につきましては、十二号は適用すべきではない、かように私は考えております。
  50. 畠山重勇

    ○畠山(重)委員 この前の約束でありました御見解の御報告を願いたいと思います。
  51. 菅家喜六

    菅家委員長 この前の小委員会において、そういうことがあつたそうですが、法制局鮫島第三部長、何か御意見があれば述べてください。
  52. 鮫島眞男

    鮫島法制局参事 ただいま問題になつております九十六条第十二号の適用に関しまして、先般当決算委員会小委員会におきまして、説明を求められまして、そしてその際御答弁申し上げたのでございまして、そのときの答弁は先ほど小委員報告にあつた通りでございます。その後さらに研究をして、次の委員会において答弁するようにというお話でございましたので、さらに慎重に研究いたしましたのございますが、その結論といたしましては、先ほど小委員長報告にございました通りの、やはり同じ結論でございます。ただこの前におきましては、立木をこの十二号でやり得るかという点は、実は問題になつていることを存じませんでしたので、立木については申し上げませず、ただ素材とそれから製材につきましてだけ、十二号の適用を受けると申し上げたのでございますが、さらにこの立木についても問題があるようでございますので、立木についてだけ附加させていただきます。  十二号によりますと、「生産に係る物品」という言葉がございます。この「物品」という言葉もまた、あまり意味は明瞭ではないのでございますけれども、しかし一般に用いられておりまするところの物品の定義によりますと、それは動産であるというふうに言われておるのでございます。たとえば金品というような言葉がございました場合に、不動産を含む場合もないではないようでございますが、しかし物品といいました場合には、それはほとんど例外なく不動産を意味しませんで、動産だけを考えておるようでございます。ところがこの立木は土地の上に生えたままの木でございまして、これは不動産であるというふうに、ほとんど通説はなつておりますので、この立木を十二号の物品という言葉の中に含めることは、何かそれがはつきりしておりますれば別でございますが、ただ物品という言葉だけでは、不動産であろ立木を入れることはできないか。従いまして、立木につきましては、この十二号を適用することはできない、そういうふうに考えます。その立木の点につきましてだけ附加させていただきまして、それ以外につきましては、先けど小委員長報告にありました通り結論でございます。
  53. 菅家喜六

    菅家委員長 会計検査院から御発言がありますか。
  54. 小林義男

    小林会計検査院説明員 九十六条の第十二号で、素材なりを随意契約で売り払うことは、前回にも申し上げましたように、結論を申し上げますと妥当でない、違法とは申しませんが、妥当でない。元来この十二号の立法の精神から考えまして、この規定を濫用して、すべてのもの、製品その他丸太すべてを特売するということは、これは妥当でない。ところが現在の林野庁の取扱つておられますところの実情は、先刻来調書などで提出しておりまするように、十二号というものを、濫用というと少し言葉が過ぎるかもしれませんが、どうも十二号で特売しておるのは現実に妥当でないものがあると思われる、こういう結論でございます。律の解釈と、それから実際にやつておられる実情とを総合勘案いたしまして、そういうふうな結論になつておるわけであります。  それからついでに立木の方でございますが、立木につきましても、この十二号を適用しておるものがあるということを前回に御報告いたしました。その点は、これは私の方の提出されました書類で調査した結果でありまして、いわゆる証明と申しておりますが、この証明には九十六条の第十二号によつて立木特売した、こういう証明になつております。それでは十二号で立木特売することができるかと、こういうことになるわけでありますが、十二号には工場または工場に準ずるものの生産にかかる物品というのでありまして、立木はこの中に入らないというふうに考えております。従いまして立大を九十大条の十二号で特売しておるということは違法である、こういうことになります。ただここで林野庁、各営林署長がやつておられることを、決して弁護するわけではございませんが、実情は何かほかの適用条項で特売することができるのに間違えて、われわれの方の証明に間違えてやつておる場合があるかもしれませんから、すべてのものが全部——何件かをあげてございますが、これが全部違法であると断ずるにはなお調査を要する、こういう実情でございます。
  55. 畠山重勇

    ○畠山(重)委員 立木の方は違法であるという会計検査院の御見解のようでありますが、先般来の小委員会において、適法でないということだけは、明らかに各関係の方々の質問に答えられた要旨でございます。この場合林野庁長官は、先般来の私の質問に対しては、しかしながら随意契約をこのままやらなければ、混乱を来すというので、なお存続せられるということでありましたが、こういうように委員会で各関係責任者の答弁が、違法ではないけれども妥当でないというようなことでも、御継続になる御意思であるかどうか、お尋ねいたしたいと思います。
  56. 横川信夫

    横川政府委員 小委員会でもしばしば申し上げましたように、木材が必要な工場に、あるいは需要者に適切に配給されることが、最も望ましいことなのでありまして、原則として、処分の方法はあくまでも公売建前とするのでございますけれども、先ほど小委員長の御報告のうちにもございましたように、中央その他の大資本家が進出いたしまして、公売の際にあらゆる木材をとつてしまうというようなことを考えますと——現在北海道におきましては、パルプ工業の振興のために、公布材がほとんどパルプ業者に独占されておるのであります。しかして中小製材業者はまさに破産に瀕しておるというような状態でありまして、社会問題になろうとしている実例がすでにあるので、適正な施設を持つた工場に対しましては、指名入札あるいは特売の道を残して参りたいと考えております。
  57. 畠山重勇

    ○畠山(重)委員 長官のお話は、指名または随意契約を持続して、製材工場の産業を助長する——製材工場の助長ということは、製材工場に原料を与える意味であるか。今日製材工場に向つて、集積から見ますると、随意契約公売の單価はほとんど三分の一程度になつている。林野庁は、業者に金を援助する意味の助成であるか、原木を与えて経営をせしめるという趣旨であるか、この点を伺いたいと思います。
  58. 横川信夫

    横川政府委員 もちろん原木を供給するつもりであります。先般来提出い幸しました書類によりますと、公売の値段を特売の値段があまりに開いているという御指摘をいただいたのでありますが、私どもも統計をとつてみて、実はその開きのはなはだしいのに驚いておるようなわけであります。ただ御承知のように、公売と申しまする処分によりますると、先行きの思惑というようなものが多分に入つておるので嵐りまして、最近秋田で処分されました丸太は、石二千二百円ぐらいについております。それを製材して処分をいたしますと、赤一等無節では、どうしても石一万五千円程度に売らなければ引合わないのでございます。しかし現在東京市場におきまする値段は、赤一等無節が一万円でございます。しかし一万三千円ないし一万五千円という呼び値も出ておるようでございます。かような公売の思惑を入れた、先行きの増強に対する見通しを入れた値段で処分することは、国の製品を処分する場合に適切でないことになります。そのために私ども試験びきと申しまして、標準になりまする丸太をもちまして、業界の方々も立ち会い、厳正な方法をまつて、各等級別の丸太から品等別にどれくらいの製品が出るかという数字をとらえておるのであります。それを市況とあわせ考えまして、丸太の適正な値段をきめて処分をして参ることを実施いたしたいと考えております。
  59. 畠山重勇

    ○畠山(重)委員 ただいま横川長官の御答弁でありますが、例を秋田にとつて委員長の所見を伺いたいと思います。  秋田では、随意契約によつて、また多少公売をもつて秋田の林産物処分する計画で、十四億の收入を見ておられるようでありますが、これを原則に基いて公売に付した場合には、おお評ね三十四、五億になるのではないかしらと、私は想像をいたします。そうしますと、地方税法によつて木材引取税を地元町村が得られるので、十四億の場合においては秋田県の自治体は七千万円の木材引取税が得られる。これを原則に基いて売つた場合には、三十倍とみなしても一億五千万円の地方税が得られる。山林は、地方民が百年あるいは二百年にわたり、山の管理をいたし、火災の予防に当り、盗難を防止してできたものであるので、地元町村の地方税に及ぼす影響の甚大なることを考えると、随意契約一本とは言わないけれども、多数のものをもつて行くということは、これはゆゆしい問題だと考えます。ただいま林野庁長官は、やはり適正にやらなければならぬと言つておりますが、当決算委員会におけるただいままでの審議状況からかんがみ、地方に及ぼす影響——秋田県の実情などを考えてみると、八百あまり工場があつて、その工場のうち百二、三十はあるいは随意契約をもらつておるかもしれませんけれども、その実態もまだ明確に発表できないというような状態である。しかも三分の一の値段で継続するということに対して、国民の代表である国会としてどうお考えになるか、御所見を伺いたいと思います。
  60. 菅家喜六

    菅家委員長 ただいまの畠山委員からの委員長に対する御質問でございますが、先ほど来の畠山委員の御意見は、御意見として拝聴いたします。なお小委員会における経過は、小委員長報告によつて聴取した次第であります。またこれらの解釈適用、運用の問題について、関係各官庁より、先ほど来意見の開陳がありましたが、今ただちに委員長が畠山委員の申されたことの是非を申し述べる段階ではないと思います。なお各委員からの御意見もまだございません。また聞き及ぶところによると、秋田県には、何か一つの契約があるので、それらに対する各方面等からの陳情も、委員長の手元に来ておるような次第であります。目下検討いたしておりますので、ただいまの段階では、あなたの御意見は御意見として拝聴いたしますが、委員長の独自の見解を発表する段階ではないと思います。どうぞさよう御了承を願いたいと思います。
  61. 畠山重勇

    ○畠山(重)委員 委員長の御意見ごもつともだと思います。しからばこの林野経営に関して、二十五年度は三十億の見返り資金をもつてまかなわなければならぬ。二十四年度は二十五億か四億かの不足をいかにするかという問題が残つておるように伺つておる。二十三年度においてはやはり十五億の尨大な長期資金を持たなければならぬという現状を調査する上においては、われわれ国会として、いま少しく林野経営面を掘り下げて検討すべきだと考えられるので、なおこの問題に関して継続審議の御意思があられるかどうか、委員長に伺いたいと思います。
  62. 菅家喜六

    菅家委員長 お答えいたします。大体この問題は、後ほどお諮りをいたすのでありますが、継続審議になりますので、なおよく検討を加えたいと思つている次第であります。さよう御了承を願いたいと思います。
  63. 三宅則義

    三宅(則)委員 私はただいま議題になつております国有林野特別会計に関しましての小委員長を勤めさせていただいたのでありますが、先ほど委員長報告にもありました通り、数回この席上に、林野庁関係者、会計検査院関係者、あるいは法制局の各位等の御出席を得まして、目下検討中でありまして、将来はここで掘り下げて運用の妙をきわめるようにいたしたい。もちろん今日の国の状況から考えまして、ただちにどういうふうにしろということは、まだ研究する余地があると思いますから、もう少し研究させていただいて、次の国会までに結論を得るようにいたしたい、かように考えております。
  64. 井之口政雄

    ○井之口委員 ただいまの畠山委員のいろいろの御意見並びにこれに対する林野庁のお答え等によりますと、非常に重大なものを含んでおるのであります。統制が撤廃されましてから、自由契約並びに公売によつて国有財産が売り払われる。もしこれを公売にするならば、大資本がここに進出して来て、地元の中小企業を圧倒してしまう、こういう林野庁長官の御説明であります。それならば地元において、自由契約によつてすぐ地元の中小企業者にこれを払い下げるならば、国家においては三分の一ぐらいの価格しか得られない、または半分くらいの価格しか得られないというのが実情である。そこに一つの大きな矛盾を含んでおります。この価格が三分の一しか得られない、または半分しか得られないということに対しては、林野庁の方では、価格を非常に押えているということをおつしやつていますが、妥当な手段をとつて公売に付した場合と、自由契約によつてやつた場合とにおいて、どれくらい国家は損をしておるか。大体概算でよろしゆうございますから、御説明願いたいと思います。
  65. 横川信夫

    横川政府委員 私は格別損をしたということではないと思うのであります。と申しますのは、先ほども申し上げましたように、公売で入札いたします札は、先行きの見通しを入れた、あるいは特別な事情による入札でございまして、それがその当時の適正な値段であるとは申せないであろうと考えるのであります。資料を持つてつておりますし、国有林課長が参つておりますから、その資料を御説明いたさせたいと思います。
  66. 蓑輪滿夫

    ○蓑輪説明員 今のお話で簡單でございますが、例だけを申し上げます。本年度の一月から三月——これは二十四年度末になりますが、統制がはずれました直後から三月までの集積のあらましを申し上げますと、営林局が十四ございます。そのうちの丸太につきまして、しかもその丸太のうちで針葉樹の分だけを申します。旭川は公売がございませんので、いわゆる特売が單価で四百九十四円、それから北見営林局の分は公売が單価で六百六円、特売で三百九十九円、それから帯広営林局では公売が五百四十八円、特売が三百五十四円、それから札幌が公売が六百十円に対しまして特売三百五円、それから少し省略しまして青森が公売が千百二十三円に対しまして特売が三百八十円、秋田が公売が千三百九円に対しまして特売が五百五十二円、大体こういうふうになりております。ただ、これは小委員会でもいろいろ御説明申し上げましたように、大体公売は相当まとまりまして、駅の近くの大きな土場へ出して処分をする。特売のものは山元散乱のまま、あるいは山元から県道に近いところ、あるいは県道の途中というような場所で処分するもの全部を含んでおりますので、この点、数字でこういうふうにまとめた場合には大きな開きがありますが、個々の物件につきましてはそれほど大きくないと思います。
  67. 高橋權六

    ○高橋(權)委員 本会議も開かれるようですから、これで打切つてはいかがでしようか。
  68. 菅家喜六

    菅家委員長 もうすぐ打切ります。井之口君、長くないでしよう。
  69. 井之口政雄

    ○井之口委員 もう少しです。——この公売の場合は先物を見ておるというようなお話でございましたが、大賢本家が将来これを独占して、そうして価格のつり上げを可能にするからこれは高くなる、こういうお考えなのですか。
  70. 横川信夫

    横川政府委員 そういう意味ではございませんで、製材工場は、丸太がなくては一日も運営ができないのであります。ところが全部公売にいたしまして独占されてしまいますと、すぐ職員、職工の生活にも困つて参るような事態が生じます。さらにまた、お話のように足元を見て、金融資本家と申しますか、大資本家が不当に高い値段で丸太を売りつけるというような事態が生じます。いつまでもさような状態にございまして、丸太が上つて行けばけつこうでありますが、いずれ需要の関係と見合いまして、経済恐慌のようなものが木材界に起り得ると思うのであります。さようなことを考えますと、やはりお話のように、従来のように公売をきわめて少量にして、特売をよけいにやつて行くという方法は避けたいと思いますけれども、ある程度は特売で、やはり工場の資材として供給したければならないのではないか、さように考えます。
  71. 井之口政雄

    ○井之口委員 そうするとやはり大資本の独占から来る現象だということをお認めのようであります。こういうふうに自由経済になりますと、この弊害は起る、この弊害が非常に強く起つて参るのであります。それならばというので、今度は自由契約でもつて、地元で特売をやるといたしますれば、価格が非常に下つて来て、国家は大きな損害をこうむるのみならず、これにいろいろなボス並びに政治上の勢力が結びつきまして、われわれも聞いておりますが、長野県並びに秋田方面においては、非常に低廉な価格をもつて自由契約でこれを払い下げて営業している。こういうものから政治上の献金も捻出しているというようなことも聞き及んでいる。いずれにしても、これは弊害のあることであります。この弊害を、われわれ決算委員会といたしましては、單にそれが違法であるか、法律に沿うているか沿うていないかという点だけで、判断してはいかぬ。妥当でないものについては、その中にからまつて来るところのいろいろな不在が伏在しているのであります。これを一々われわれは掘り下げて、そうして具体的に当つて見ぬことには、その真相はわからない。たとえば、例の先ほど私が申しまして会計検査院の指摘した足利板金の問題でも、この会計検査院報告として出ております報告は、たつた二行か三行でありまして、その内容はこれではわからない。ところが掘り下げて行つてみると、これに大橋法務総裁が関与している、いろいろな不当事実が起つておる。こういう意味におきまして、この委員会においても一つ一つ丹念に掘り下げて行くような努力をなさいましたでしようか。これも一つお聞きしたいのですが、そういうようなことを林野庁長官においても、あるいは二月おきなり半年おきなりにまとめて委員会報告し、一々各項目について、こういう条件でこうした、価格はこうである、どこはどうだということを明細にしたものをこの委員会報告する意思はないか。そういたしましたならば、われわれは一目瞭然にその不当を発見することができますが、單に違法であるか違法でないか、合法であるか合法でないかというような、抽象的な判断をしておつては、この中に伏在しておるところの真の事実はわからない。国家が受けておる大きな損害に対して、かつまた今の自由販売の機構をもつてなされる中小企業への弾圧、大財閥がまた横行濶歩して、以前の集中排除法も何の効果もなくなつた。そうしてまた大財閥が横暴なことをきわめているという実情が明らかになつて来るのでありますが、その点どうお考えになりますか。
  72. 横川信夫

    横川政府委員 これは時間的なずれがございますけれども、御要求によりまして、できるだけ資料を提出いたすことにいたします。なお、最近の状態がどうしてかようなことになつたかということを御認識願いますために、少しく御説明申し上げる必要があると思うのでありますが、木材は御承知のように本年の当初から統制が撤廃になりました。その当時の市場は非常に不活発でありまして、四月、五月におきましては、旧マル公の二割減くらいの程度の、非常に低調を続けておつたのであります。従つて市場におきます木材類の滞貨が市況を圧迫いたしまして、低廉の一途をたどつておつたのでございますが、紙類の統制撤廃によりまして、パルプ業界の木材の需要が非常に勃興して参りました。さらにまた六月には朝鮮事変が起りまして、木材に対する需要が非常に活発になつてつて、現在では旧マル公の三割程度上まわつているような値段を示しておるのであります。その間に、やはり御指摘をいただいておるのでありますが、お役所仕事でありますので、その市況に応じての予定価格の変更ということが適切にでき得なかつたために、かようなまことにぶざまな結果になつておるのでありますが、今後は十分市況と照し合せて特売の値段を決定いたしまして、適正な処分をして参りたいと考えておるのであります。前後五割の値開きが来たのでありますが、それに適応できなかつたのでございます。なお秋田等におきましては、今年の三月、四月から見ますと、ほとんど倍になつております。それらに歩調が合わない、ずれておつたものですから、かようなことになつたのでありまして、今後は、資料を御提出申し上げますれば御理解を願えると思うのでありますけれども、かような数字は出て参らぬと私ども確信いたしております。
  73. 井之口政雄

    ○井之口委員 たとえば商機を逸するおそれがあつたから特売にしたという先ほどの御返事でありましたが、それは商機を逸しないために公売にしないのでありましたならば、商機をつかんだのであるから、かえつて相当の値段で売れなければならないはずなんだが、むしろ商機を逸する方が得をして、商機をつかんだ方が安くなつたというような結果になつておる、この点も非常に考えてもらわなければならぬ。  それから次に、もし今まで払い下げたものが違法であるということになりましたならば、ただいま会計検査院からも指摘されたのですが、これに対してどうなさるつもりであるか。妥当を欠くものとして指摘を受けておりますが、それに対してどういう処分をなされるのでありますか。
  74. 横川信夫

    横川政府委員 第一点の、商機をつかみにくかつたということを、私申し上げたつもりはないのであります。ただ市況の動きに一致して特売の値段を上げ得なかつたということを申し上げたのでございます。なお、不当の処分であると御指摘を受けました立木処分につきまして、九十六条の十二号を適用いたしますことは、私どもも実はおかしいと思つておるのであります。これは取調べまして、適当な条項に訂正をいたさせるつもりであります。なお妥当でないという問題につきましては、会計検査院あるいは大蔵省等にこちらの事情を申し上げまして、適当な方法で処分をする方途を講じたいと考えております。
  75. 井之口政雄

    ○井之口委員 ただいまの御答弁、ちよつと解しかねるのですが、つまり不法であるということの認定が会計検査院から下された。その不法でない事案を明らかにして、不法でなかつたということを立証できるものならけつこうですけれども、事案不法な行為をなしている場合、立木を事実において公売にせずに、随意契約でやつているというような場合、これはどうなさるかということであります。
  76. 横川信夫

    横川政府委員 私ども立木処分につきましても、その間に不正があるとは、ただいまのところ全然考えておりません。なお御指摘のように、その間に不正あるいは不法な処置がございましたならば、厳重な処置をいたすつもりでおります。
  77. 畠山重勇

    ○畠山(重)委員 横川長官並びに会計検査院大蔵主計官お三人にお答えを願いたいと思いますが、先ほど委員長から秋田県の契約といつたようなことのお言葉もありましたが、大方それは能代市が昭和二十四年の二月十九日に焼失した、あの場合に、能代市復興にあたつて製材工場何軒かに、将来三十万石の特売をやつてやるという約束ができたように伺つておりますし、しばしば新聞などに、おいても、そのことは実行しなければならぬということをいつておられる。昭和二十五年の一月一日から、そうした配給制度が撤廃されて、すべてが自由にならなければならぬ。そういつた場合において、当時営林局長並びに林野庁長官が約束したその問題が、有効であるか無効であるか、もしも有効であるとしたならば、会計法令からいつて、何の条項でそれを存続するという御意思か、大蔵主計官並びに林野庁会計検査院の御見解を伺いたいと思います。
  78. 柳澤英藏

    ○柳澤説明員 お答えいたします。その問題につきましては、私の方では内容がまだ明瞭になつておりませんので、林野庁当局からその実情を聞きまして、そうして検討するよりほかないと思いますが、ちよつと林野当局に聞きましたところ、林野当局でもその点はあまり明瞭でない、こういう話でありますから、明瞭になりましてからお答えいたしたいと思います。
  79. 佐木義夫

    佐木説明員 この問題につきましては、さきの小委員会でもお話があつたと思いますが、能代に関しまして、三十万石を確かにお約束されたというようなことは、書類の方面では何も残つておりません。ただ私は能代の実情から見まして、能代は秋田におきましていわゆる木材で生きておる町である。しかも大火災があつて、ほとんど町が焼けてしまつたところである。そういうところは、やはり私は徳義上ある程度のものは見てやるのが、国としての親心ではなかろうかというように考えております。法律上の約束が有効か無効かということは、私はわかりませんけれども、人間といたしまして、また秋田の産業から見まして、やはり国としてある程度のものはめんどうを見てやるべきものはめんどうを見てやる。但しその後の復興状況はどうかわかりませんけれども、まだ幾分かめんどうを見てやるような対状にあるならば、私は見てやるべきではなかろうかと考えております。
  80. 菅家喜六

    菅家委員長 それではまだ御意見もあるでありましようが、この問題は続いて検討もできますし、今日別に結論を出すというわけでもありませんから、本日はこの程度にしたいと思います。
  81. 三宅則義

    三宅(則)委員 この問題はこの程度にして、次の国会に譲ることにして、本日はこの程度で散会されんことを望みます。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  82. 菅家喜六

    菅家委員長 なお林野庁の方に資料の提出を要求しておきます。  以上で本日の議事は終了いたしました。  最後に委員各位に、連日の御精励、御奮闘を、委員長より感謝申し上げておく次第であります。御承知のごとく、来国会は十日に召集されておりますので、次国会においても、各位の御活躍を切に期待してやまない次第であります。  それでは散会いたします。     午後三時三十四分散