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吉田国務大臣 お答えいたしますが、私は対
日援助資金により、
日本の
経済をささえて行くということ自身が、はなはだ好ましからざる
構想であると思うのであります。なるべくは自立いたしたい。よその
援助なしに、よそのお恵みなしに
日本が自立して行く
状態をつくりたいと思うのであります。ゆえに対
日援助資金はむしろ減ることを
希望するくらいに
考えて、なるべくおせわになりたくないと思います。
従つて対
日援助資金が減るがために、われわれの方から懇請をしてまで、ふやしてくれという勇気は私にはないので、しからばどうするか。
敗戦の今日、百年に近い間蓄積した財力が
敗戦によ
つて消耗された今日において、
援助なくして立たないじやないか。その
通りであ
つて、それで
援助を得てお
つたのですが、なるべくこの
援助は短かい間にこれを
打切つて、そうして
自立経済に移行したい。これはたれもそう
考えるのでありますが、
従つてまた
アメリカが今日増税また増税をして、そうして
日本と同じように
国民は相当増税に苦しんでおると思いますから、そこへも
つて来て
日本がさらに対
日援助資金を増してくれということを
言つて行けば、
アメリカ国民もありがたくないのみならず、われわれもまた甘んじて人のおせわになりたくないと
考えますから、なるべく
援助は少くして、そのかわり自立で行きたい。自立で行くとすれば、結局
外資ということになると思います。あるいは
クレジツトということになるか、いずれにしても慈善事業でない形において、
日本の
経済を自立の方に持
つて行きたいというのが私の念願であります。そこで対
日援助資金はド
ツジ氏が言われた
通り、減る傾向であり、減るが当然であろうと思います。何となれば
日本は
経済が自立しつつあるのだ、復興しつつあるのだとこう
言つておるのであるから、
従つて援助資金が減るということも当然なことであり、むしろ減らしてもらいたいというくらいに
考えておる。それだけまた
外資導入に努めなければならないと思います。
外資導入に対して現在どうであるかと言えば、これは有形無形の間にと
言つてもいいような
事態で、相当無形な
——無形というか、われわれの知らぬ間に相当入
つていると思います。一昨年あたりからの
日本の
経済活動は相当活発なところが見えますが、これは自力でも
つてや
つたのではなく、結局
外資がいろいろな形において入
つて来、また輸出が増進されているが、現に復興しつつあるのであ
つて、輸出の増進についても自然
外国人が金を一時融通する。銀行が一時融通するとか、あるいは各商社に金を貸すとかいうこと、小型な形においては相当入
つて来つつあるようにも
考えられる。また
政府の報告によ
つてみても、
外資導入を許可したものが何件か忘れましたが、相当な数に上しております。現に申請というか相談を受けておる向きも相当ある。これに対してどうするかと
言つて、
外資委員会等において研究の題目とな
つているものも相当あります。でありますから現に有形無形を通じて
外資が入
つて来ており、またこの
外資の入
つて来ることを奨励する
立場に
政府としてあるのであります。いわんや、いわゆる何といいますか、ワールド・バンクに加入を許される、加入を許されるということは結局
日本が
外資を、
アメリカの資本を
導入する資格のある国と公然と認められることになるのでありますから、ワールド・バンクに加入を許されるようなことになれば、
外資は一層有力に入
つて来るだろうと思います。その機運を醸成したいと
思つて、
政府はできるだけの努力をいたしておるのであります。そこでド
ツジ氏の言われる
国内資本源を云々という話と、私の
外資導入とは決して矛盾しておらないのであります。これは過日もド
ツジ氏と話したのでありますが、
日本の資源はまことに乏しい。
従つて原料は外国の輸入にまたなければならない。外国の輸入によ
つて原料の輸入が
促進せられることをわれわれは最も要望するのであるが、そのうちにも
日本の資源として残
つておるものは労働力と水力資源だ。
日本にと
つて有利なことは、この水力源の培養ということにある。この点については十分努力してもらいたいと言いましたが、安い動力をつくり上げることによ
つて、
日本の産業は発達し得ると思います。今日
日本に残されておる最も有力な資源である水力電気の源泉を培養するということが、さしあた
つての急務であると思いますから、それで水力電気の開発ということに主力を注ぎたいと
考えております。すなわち安い電力を供給することによ
つて、その他の産業が自然に培養せられる。また安い電力を持つことによ
つて——日本の資源とい
つても今言
つた通り、はなはだ資源は乏しいのであるが、安い水力電気は相当の資源になるわけですから、まず第一着にこれを開発して行く。それがやがて他の資源を開発することになりますから、ド
ツジ氏の言われることも私の言うことも、決して矛盾しておらないと思います。
終戦処理費はだんだんと減らしたいと
思つております。これは
客観情勢といいますか、
朝鮮事件とかその他の臨時の
事件がありますから、彼我ともに減らしたいということにおいては一致しておるのでありますが、ただ
海外の
事情の変転に上
つて、多少
希望通りにならない点もあるのであります。しかし減らすことについては、
関係方面も最も減らすことに努めておりますから、これは
希望が達せられることは、そうむずかしくはないであろうと思います。
それからクレジットでありますが、これは
外資の
導入の一部と
考えております。