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1950-11-29 第9回国会 衆議院 外務委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年十一月二十九日(水曜日)     午前十時四十七分開議  出席委員    委員長 守島 伍郎君    理事 北澤 直吉君 理事 佐々木盛雄君    理事 西村 榮一君       植原悦二郎君    大村 清一君       小川原政信君    菊池 義郎君       栗山長次郎君    近藤 鶴代君       仲内 憲治君    並木 芳雄君       山本 利壽君    川上 貫一君       高田 富之君    中村 寅太君       黒田 寿男君  出席政府委員         外務政務次官  草葉 隆圓君         外務事務次官  太田 一郎君         外務事務官         (政務局長)  島津 久大君         航空保安庁長官 松尾 靜磨君  委員外出席者         外務事務官         (條約局長)  西村 熊雄君         外務事務官         (連絡局長)  木村四郎七君         專  門  員 佐藤 敏人君     ————————————— 十一月二十八日  在外公館等借入金返還促進に関する請願(成田  知巳君紹介)(第一三号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  日本政府在外事務所設置法の一部を改正する法  律案内閣提出第二号)  国際情勢等に関する件     —————————————
  2. 守島伍郎

    ○守島委員長 ただいまより外務委員会を開会いたします。  まず日本政府在外事務所設置法の一部を改正する法律案議題といたします。本案につきましては質疑はすでに終了いたしておりますが、討論の通告もありませんようですから、ただちに採決いたします。  それでは日本政府在外事務所設置法の一部を改正する法律案について採決いたします。本案原案通り可決するに御賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立
  3. 守島伍郎

    ○守島委員長 起立多数。よつて本案原案通り可決いたしました。  なお本案についての報告書作成は、先例によりまして委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 守島伍郎

    ○守島委員長 御異議なしと認め、さようとりはからいます。     —————————————
  5. 守島伍郎

    ○守島委員長 それでは次に国際情勢等に関する件を議題といたします。  なお本件につきましては一昨日の理事会において相談いたしました結果、去る八月十九日外務省情報部発表の「朝鮮動乱とわれらの立場」といういわゆる外交白書について質疑並びに意見開陳を行うことといたしましたので、これも本議題の中に含めまして取扱うことといたします。  それではまず外務当局より最近の国際情勢に関する発言を求められておりますから、これを許します。草葉外務政務次官
  6. 草葉隆圓

    草葉政府委員 最近の国際情勢につきまして、先回報告申し上げました以後の問題について、御報告申し上げます。  まず対日講和の問題につきまして申し上げます。対日講和の問題は国務当局極東委員会構成国に対しまして、それぞれ個別的に非公式に話を進めて参り、十月二十六日ダレス・マリク会談最後といたしまして、大体第一段階終つたと存ぜられるのであります。これに対します各国態度哀切は、前回申し上げました通りなお十分にそれぞれ表明せられておらない状態でありますから、その後新しい進展を見ておらない状態であります。ただソ連のこれに対しまする態度につきまして、ダレス・マリク会談後のソ連態度が相当注目されておつたのでありますが、その後この手続の問題について一部新聞等報道されました問題について、マリク代表米国方式に同意したということはないと否定いたしたのであります。前回も申し上げましたごとく、十一月六日第三十三回革命記念日の前夜祭におきますブルガーニン元帥の申しました演説の中に、従来のソ連態度をさらにはつきり強調いたしまして、ソ連ポツダム宣言の実行すなわち対日講和條約の早期締結日本よりの撤去、及び日本軍国主義復活の防止を要望するということをはつきり表明いたしました。しかしアメリカ日本占領を遷延して、極東侵略計画実施のため、日本軍事基地化しようとしておるということを申しておるのであります。本月の二十四日にソ連はタス通信を通じまして、米国提案覚書一緒に、これに対しまする條項についてアメリカ説明を求める覚書発表いたしたのであります。アメリカも同日各国に対します覚書を同様発表いたしたのでありますが、それによりますと、アメリカの加古は米国の対日講和條約の構想を簡單説明いたしたものでありまして、軍に参考に資する試案として送つたものであるということを強調して、その内容は前回、前々回申し上げましたいわゆる七項目と大体同様であります。ソ連覚書は大体六項目ほどからなつておりまするが、その第一点は、講和には米、英、ソ、華、この四大国全部を含むつもりであるか、あるいはその一部のみの参加による講和可能性も認めるかどうかという点。第二は、領土の問題に関しまして、カイロ宣言ポツダム宣言ヤルタ協定が存在しておる以上、台湾澎湖島南樺太、千高等に関するアメリカ提案はどういうふうに解釈すべきものであるかという点。第三は、琉球と小笠原に関しまするアメリカ提案根拠はどこにあるかという点。第四は、講和後の撤兵に閥して、はつきり講和條約に規定するのかどうかという点。第五は、日本安全保障に関して、共同責任があるとアメリカは述べておるのは、日本の再軍備を予想しておるのか、また講和後もアメリカ軍軍事基地日本に維持されることを意味しておるかどうかという点。第六は、日本平和的経済発展に対する一切の制限の撤廃、原料、資源獲得可能性世界の貿易に対する平等の諸権利について何かの規定を設けるか、また対日講和に関して中共政府見解を求めるための何らかの処置をとつて来ておるのかどうかという点。以上の六項目は、その各項につきましてアメリカ政府回答を求めておるのでありまするから、ダレス顧問は近く書面をもつて同等を約したといわれております。中国の対日講和に対する態度につきましては前川も申し上げたのでありまするが、国府代表アメリカから覚書を提示されましたのが十月の二十二日でございましたが、このアメリカ覚書に対しまして、当時台湾並びに膨湖島の問題を保留して、ほかの條項に対しては賛意を表するかのごとく一部に報道されておつたのでありまするが、これに対しまして国府は二十七日に、まだ何らこれに対する回答を発したというような事実はないと否定したのであります。フイリピンにつきましては、賠償問題その他について早くからアメリカ方針に不満を示しておつたようでありまするが、一昨二十七日政府当局は、賠償及び日本工業力漁業活動制限を要求すると言明いたしたといわれております。これを要しまするに、対日講和現状は、アメリカ政府当局の各関係国に対する個別交渉の第一段階がようやく終りまして、いよいよ第二段階に入らんとする時期に入つておると存ぜられるのであります。  次に朝鮮問題について御報告を申し上げたいと存じます。前回も申し上げましたように、中共軍朝鮮動乱介入につきましては、十月の中ごろからいろいろな報道が伝わつてつたのでありまするが、十一月の六日にマツカーサー元帥声明によりまして、国連軍外国共産軍と交戰をしているという事実を確認いたしますと同時に、この報告書安全保障理事会に提出し、安全保障理事会は、この事態に対応して、マッカーサー元帥報告を聽取し、さらに八日この報告通り中共代表を招請するという動議を可決いたしたのであります。この問題はその翌日の九日に、アメリカ、イギリス、フランスの要請によりまして、中共代表が到着するのを待たずに討議することと相なりまして、その翌日十日午後さらにノールウエー、キユーバ、エクアドルの三箇国を加えた六箇国共同提案北鮮援助抑制に関する決議案が上程されることとなつたのであります。中共代表は、マツカーサー元帥報告討議出席するのを十一日に拒否したのでありまするから、十六日に今申し上げました決議案を審議いたしましたが、表決に至らずしてこれを延期することと相なつたのであります。なお二十四日国際連合総会政治委員会は、米空軍満州上空侵犯に関する中共の非難を討議の際に、中共代表政治委員会出席させるよう要求するソ連決議案表決いたしました結果、三十対八、棄権二十二票で可決いたしたのであります。さきに申し上げました六箇国共同提案は、理事会表決に付さるることと思われるのでありますが、ソ連が十六日に拒否権の行使を予告しておるところから考えまして、表決後去る十一月の初めに決定いたしました平和のための統一行動による決議、いわゆる緊急総会による討議可能性があるとも考えられるのであります。一方中共は十一月四日に中国共産党以下各政党政派一緒になりまして、朝鮮における国連軍行動中国の安全を脅かすものであると主張いたしますと同時に、中国を防衛するためには積極的に北鮮軍を援助しなければならないよ北鮮援助声明し、中国人民義勇兵として北鮮で戰つておることを明らかにいたしたのであります。さらに十一日には中共政府中共北鮮侵入問題を審議する安全保障理事会に、先ほど申上げました出席の招聘を拒否いたしまして、マツカーサー元帥報告を一方的であるとして、米国政府朝鮮に対する武力干渉台湾に対する侵略問題の討議を主張いたしたのであります。中共代表は去る二十四日ニユーヨークに到着し、二十七日の午前中に総会政治委員会出席、午後台湾問題と朝鮮問題を一括して審議することに決定いたしました安全保障理事会出席いたしたのでありますが、なお発言はいたしておらないようでございます。  次に、中共軍動乱介入に関しまして、その政治的解決をはかるためには、鮮満国境地帯緩衝地帯を設けるという案につきまして、各種の報道が伝えられておるのでありますが、これに対しまして米国政府北鮮緩衝地帯を設ける提案については全面的に反対だと言明したといわれております。五日ほど前から国際連合軍北鮮におきまして総攻撃を開始いたしまして、去る二十四日にはマツカーサー元帥自身第一線に出動して指揮をいたしましたことは、総理から施政方針演説のときに申し上げたのでありますが、昨夕マツカーサー元帥は二十余万の中共軍北鮮侵入をしたということを声明いたしました。その中に、大陸の中共軍二十万以上の兵力北鮮地区国連軍の正面に陣を張つておることが明白となつた。そしてこれを援護する大兵力増援部隊が逐次前進をして来ておることを申しまして、この結果まつたく新しい戰争に直面しておる。これによつて中共介入義勇兵による個人的性格のものであると放言していたが、国際連合軍がすみやかに撤退して朝鮮人にまかせることが、朝鮮動乱をすみやかに解決することであるという願望が、まつたく取去られてしまうことになるということを申しております。現在の事態は好ましくないものである。国際連合軍司令官の権限を越えたものであり、国際連合安全保障理事会及び世界外交で解決さるべきものであると昨夕声明発表されたようであります。この共産軍の二十万以上の侵入の状態におきまして、またマツカーサー元帥が申しておられる新しい戰争状態考えられまする点から、まことに好ましくない状態が展開さられて来たと認められるのであります。以上であります。
  7. 守島伍郎

    ○守島委員長 それでは次にいわゆる外交白書について質疑並びに意見開陳通告順によつて許します。  なお国際情勢一般に関する質疑通告も相当たくさん出ておりまするから、この外交自書の分だけにきよう時間をとられたくないと思いますので、なるべく簡單にやつていただきたいと思います。それでは北澤君。
  8. 北澤直吉

    北澤委員 いわゆる外交白書といわれておりまする外務省情報部発表の「朝鮮動乱とわれらの立場」というパンフレツトでありますが、これは外務省情報部発表ということになつておりまして、日本政府のスポークスマンの発表であります。従いましてこれは一情報部意見ではなく、日本政府の正式の意見発表である、こう私は了解しますが、まずもつてこの点に対しまして政府の御所見を伺います。
  9. 草葉隆圓

    草葉政府委員 御意見通りでございます。
  10. 北澤直吉

    北澤委員 この「朝鮮動乱とわれらの立場」というパンフレットに書いてありますことは、政府が現在の国際情勢というものを客観的にかつ科学的に分析をしまして、一つ主観を入れないで、客観的情勢をそのままに書いておるものと私は思うのでありますが、外務省がこれを書かれるに至りましたその気持につきまして、主観的に考えず、絶対客観の事実に基いて書いたと了解してよろしゆうございますか。
  11. 草葉隆圓

    草葉政府委員 その情勢説明するために、言葉は使つておりますが、御意見通りであります。
  12. 北澤直吉

    北澤委員 このパンフレツトの第三のところに「動乱見通し思想戰」という項目がありますが、これによりますと、これに関して世間では何か、このパンフレツトが第三次世界戰争は必至であるというふうな誤解を持つて読んでおる人もあると思うのでありますが、われわれがこの部分を率直に読んでみますと、必至とは書いてないのであります。事態は非常に重大でありまするけれども、「朝鮮動乱が第三次世界大戰にまで発展することはないであろうと思つている。」こういうふうに書いてあるのであります。ただいま次官からお話がありましたように、きのうのマッカーサー元帥声明できわめて事態は重大になつておるというふうなことでありますが、政府見解として、政府は今日においても、朝鮮動乱をきつかけとして第三次の世界戰争にはならないだろうというような考えを持つておりますか、伺いたい。
  13. 草葉隆圓

    草葉政府委員 八月に出しました「朝鮮動乱とわれらの立場」の十四ページの中にも、たしか三箇所第三次大戰という言葉を使つておると記憶しておりますが、いずれも決して第三次大戰が起るという意味のためにその言葉を使いつておらないことは、ただいま北澤委員の御質問通りであります。なおただいま御報告申し上げました昨日の戰況の状態考えまして、第三次大戰になるかどうかという見通しは、私どもはこれに書いておりまする通り状態がなお続いておつて、第三次大戰ということは現在考えておらないわけであります。
  14. 北澤直吉

    北澤委員 次に申し上げたい点は、このパンフレツトによりますと、対日講和條約につきましていわゆる全面講和というものは非常に困難である、あるいはほとんど不可能に近いというふうな趣旨で書いてあるようにわれわれは見ておるのでありますが、先ほどの政府委員説明にありますように、アメリカの対日講和に関する提案に対しまして、ソ連アメリカに対して質問を出しておる。これを見ましても、このアメリカ講和に対する考えと、ソ連考えとの間には非常に深いみぞがある。その最も大きな点は先ほども触れられましたが、第一点は、アメリカは万やむを得なければ日本との戰争に参加した国のうちの一部が入らなくても、日本との講和を進めたいという考えを持つておるのに対しまして、ソ連の方ではどこまでも四大国形式——ポツダム宣言に入つた英、米、ソ連中国、この四つの大国が入らなければならぬという考えを持つておる点。もう一つ領土問題につきまして、アメリカの方の案によりますと、千島南樺太台湾澎湖島、こういうものは英、米、ソ連中国の四大国において帰属を決定する、もし講和條締結後一年内にきまらなければ、今度は国際連合においてその処分を決定する、こういうふうなアメリカの案に対しまして、ソ連の方では、台湾澎湖島カイロ宣言ポツダム宣言によつてこれは当然中国に帰属すべきものである、千島南樺太ヤルタ協定によつて当然これはソ連領土となるべきである、こういうように考えておる点、ここにアメリカ考えソ連考えと大きな食い違いがある。もう一つは、講和條締結後におきまする連合軍日本駐屯の問題でありますが、アメリカの案によりますと、国際連合日本安全保障について満足な責任をとり得るまでの間は、アメリカその他の国の共同責任として日本の安全を保障するということになつておりますが、ソ連の方では、先ほど政府委員お話にありましたように、ブルガーニン考えによりますと、どこまでも講和條約が締結した後には占領軍は即時撤退しなければいかぬ、こういうような考えを持つておる。こういうようなわけで対日講和に対しましては、アメリカソ連との間にほとんど越ゆべからざる大きなみぞがあるということがはつきりいたしたわけであります。そういう点から申しましても、われわれはソ連を加えたいわゆる全面日講和は、今日の段階においてはほとんど不可能に近い、非常に困難であると見るのでありますが、政府におきましてはこれについてどういうふうな考え方を持つておりますか、お伺いいたしたい。
  15. 草葉隆圓

    草葉政府委員 御質問のように共産主義圏考え方と非共産主義圏と申す方が妥当かとも存じまするが、アメリカを含む民主主義圏考え方との間にははつきりした違いがありまするために、従つてその現実の姿を「朝鮮動乱とわれらの立場」において、はつきり国民の理解の資料にしたいというので出したのであります。この講和の問題につきましては、総理から施政方針演説でも申しましたように、一日も早く、一国でも多くということが理想であり、希望であります。われわれはこれを望んでおりまするが、現実の姿としては「朝鮮動乱とわれらの立場」に現わしておる状態であるということを、国民の納得の行く資料一つとして出した、こう御了承願います。
  16. 北澤直吉

    北澤委員 もう一点伺います。それはこのパンフレツト最後の「三、動乱見通し思想戰」というところにこういうふうに書いてある。「民主主義共産主義という相容れない『二つの勢力』が全世界にわたつて対立している現状では、いかにわれわれが『不介入』や『中立』を唱えてみても、それはとうていできない相談である。」というふうに書いてあるのであります。結局日本にもいろいろ中立論というものが唱えられておるのでありますが、この中立ということはやはり相手のあることでありまして、いかに日本中立を守ろうといたしましても、もしもよその国が日本中立を認めなければ何もならぬのであります。ところがソ連態度を見ますと、過般できましたソ連中共との友好同盟條約によりましても、日本をほとんど敵国として扱つておるという状態でありまして、ソ連は決して日本中立を認める意思はないのだと私は考えております。一般的に申しましても、ソ連立場から申しますと、共産主義以外の国を敵と思つておるわけであります。従つていかにわれわれの方で中立を守るということを申しましても、ソ連立場、特に世界革命を国策の中心といたしておりますソ連から申しますと、共産主義以外の国は敵である、将来は世界全体に革命を起して共産主義世界にするというのが、私はソ連根本方針と思うのであります。そういうようなわけで、日本としては戰争に巻き込まれたくないというのが国民全体の希望でありますけれども相手ソ連の方では、日本中立を認める意思はないようであります。ヨーロツパにおきましても、スエーデンあるいはスイスが中立を守つておりますけれども、ソビエトにおきましては必ずしもこれを尊重するという意思はないようにわれわれは見受けておるのであります。そういう点から申しまして、私は日本におきまする中立の論議、日本共産主義世界民主主義世界のまん中に立つて、どつちにもつかないで中立で行こうという考えは非常に間違いでありまして、ソ連のように中立を認めない国がある以上は、私どもはそういうふうな中立という考えは捨てなければならないと思いますが、この点についてもう一ぺん政府考えをこの際はつきりいたしておきたいと思うのであります。
  17. 草葉隆圓

    草葉政府委員 この点に関しましても、「朝鮮動乱とわれらの立場」というのに書いてあります考えと、政府が現在考えております考えとは何らかわつた点はありませんし、ただいま御質問にありました御意見のように、中立あるいは不介入という点に対しましては、二つ世界はつきりした現実の姿を見て参ります場合に、日本はただいたずらに不介入であり、あるいは中立であるということは、とうてい許されない現実の実情であると現在も考えております。
  18. 守島伍郎

    ○守島委員長 黒田君。
  19. 黒田寿男

    黒田委員 私は外交白書について先一般あらためて委員会で問題にしたいということを提案いたしまして、ここにこの機会を得られたのでありますが、非常に時間が制限されておりますし、きようは大臣もお見えになつておりませんので、今日は私の質問議論というのではなくして、この白書の中に現われております問題につきまして、一応政府の御見解はつきりさせていただくということにとどめさせていただきたいと思います。また次会にあらためてこの問題につきまして続いて質問したいと思います。  今日この白書を問題にしますのは、すでに八月十九日に出されておるのでありますから、多少時期のずれはありますけれども、しかしその情勢の推移は別といたしまして、この白書の中にわれわれが看取できますものの見方国際情勢の観察の仕方、分析の仕方、これをどういう立場からするかということにつきましては依然として重大な問題が残されておると思います。こういう問題に対するわれわれの態度は、非常な国民の最大の関心事となつておりますので、三、四お尋ねしたいと思います。  先ほど北澤委員のお尋ねに対しまして、この白書を書いたのはきわめて客観的な態度をもつて書いたのだ、冷静に客観情勢を見て、主観を交えないので書いたのだというような次官の御答弁がありましたが、しかし私どもから見ますと、これを最初一読いたしましたその瞬間において、白書書き方は非常に独断的であり、主観的であるという感じを持つたのであります。客観性がない、非常に一方の立場に偏したものの見方をし、またそういう立場からものを言つておる、こういうように私どもは思いましたので、その点につきまして多大の疑問を持つておるのであります。それで第一にお尋ねしてみたいと思いますことは、白書の三ページに「われわれの待望する自主独立を一日もすみやかに達成しようという早期多数講和に対して、全面講和だとか、局外中立だとかいう議論が盛んにわが国の一部の人の間に叫ばれるようになつた。」こういう言葉があります。これによりますと、政府は多数講和ということをすでに一定の方針として採用されてしまつておるような感じを受けるのであります。政府はそういう態度であるにかかわらず、近来一部の人々が全面講和だとかなんとかいうことを叫んでおる者がある。こういうような書き方なつておりますが、一体多数講和というような態度政府がかつてにとつて、これを国民の前に政府がそういう態度を持つておるかのような言い方を現在してよろしいのでありましようか、どういうところでそういう態度の決定がなされたのでありましようか、われわれにはわからないのであります。多数講和希望するか、全町議和希望するかということは、今国民に関わるべき問題だ、国民の輿論に聞くべき問題でありまして今から政府がかつてに多数講和で行くべきだというような不謹愼なことを申すべきではない。私ども国民の一人としてそういうふうに考えるのです。この白書書き方で行きますと、多数講和ということをすでに政府が決定した態度であるかのごとき感じを持つのである。これにつきまして、どういう根拠からかつて政府がこういうことを主張することができるか。どこで一体こういう態度をきめたのであるか。もし一箇の政治家ないし思想家の見解であるならば、私はこういうことを問題にしません。これはどんなことを言つてもよろしい。しかしいやしくも政府責任を持つて発表された文書の中で、今からこういうことを決定してしまつて、これが政府方針であるように言われることは、国民としてははなはだ迷惑であります。この点ひとつ明らかにしていただきたい。
  20. 草葉隆圓

    草葉政府委員 この点に関しましては、実は講和は今お話になりました中にもありましたが、国民のいわゆる総意をくんだ形における最も希望することを締結されることが望ましいことは当然でありますが、ただわれわれの受ける立場におきましては、あるいは多数になり、あるいは全面になるかも存じませんが、現実世界情勢から考えますと、一部いわれておりまする全面講和、あるいは局外中立というようなことは、そうしなければ講和は結ばないぞ、そうでなくて講和を、結ぶということは、日本としては最も不利益であるという印象を、国民の中に強く持たす議論が一部にある。この議論に対して現実状態についてここには申したのであります。さよう御了承を願います。
  21. 黒田寿男

    黒田委員 次官の言われますような議論も、私は議論として一部にあり得ると思います。しかしそれはそれとしてだからといつて多数講和がもう既定の事実であるかのごとく、政府態度であるかのごとく言い切つてしまうというのも、私はまた固定した独断的な、国際情勢に即応した外交の上におきまして、はなはだ支障を来すことになりはしないかと心配するのであります。ですから、私は全面講和でなければやらぬ、そんなことになると、永久に講和ができなくなるかもわからないという危惧を国民に対して與えるということに対しての何らかの意思表示をされるということに反対をするのではありませんが、しかしさりとてこの白書に書いてありますように、だからその反対に多数講和がいいんだというように言い切つてしまうことも、私は同様に危險な考え方である、もう少しゆとりのある態度をとつて外交に臨んで行かなければ、もうみずからわくをはめてしまつて、につちもさつちも行かなくなることになると思う。これは日本の将来のために、はなはだ憂うべきことであると思いますので、こういう独断的意思表示はやめていただきたいと思うのですが、今外務次官の御説明なつただけのことでこういう意思表示をするということには、私どもは今申しましたような見地から反対をしなければならぬのであります。しかしこれは議論になりますから、この点はこれだけにしておきます。  それから次に、三ページにこういうことがありますが、これは私ははなはだ政府の独断的見方であると思いますので、指摘してみたいと思います。共産国家が民主主義国家と協力して日本講和條約を結ぶ意図がないのにかかわらず云々ということがあります。この点でありますが、先ほど申しましたように、一思想家あるいは政治家といたしまして、世界情勢を観測し、またその観測に基いて意見発表するのならば、私はどういう議論をされても自由であると思いますけれども、いやしくも日本政府責任のある文書として発表いたします場合に——今の時期において共産国家と申しますれば、まずソ連をさすのでありましよう。中共はまだ国際的に承認されておりませんが、これもそういう国家になりましようけれども……。その国が民主主義国家と協力して日本講和條約を結ぶ意図がないというようなことを、今責任のある政府が断定してしまつては困ると思うのです。観測はいろいろあつて、その観測に基いて適宜に処置をとつて行かなければなりませんけれども、今非常に微妙な国際情勢のもとにおきまして、ことにわが国の講和ということが問題になつておりますときに、政府が進んで、こういう日本が降伏しておる連合国の一つの国家に対しまして日本と條約を結ぶ意図がないというような意味のことを発表せられたということは、私はこれまたわが国の前途をはなはだ誤るものであると思いますが、これはどういう根拠からこういう断定的なことを発表されたのでありますか。これはわれわれ国民としてはよくわからないのであります。わからないと同時に、これは非常にあぶない、間違つた、日本を危險に陷れるようになる行き方の一つではなかろうかと考えますので、この点ひとつ……。
  22. 草葉隆圓

    草葉政府委員 先のお話全面講和、多数講和という問題におきましても、ただいまの共産主義国家の問題におきましても同様でございますが、結局先の全面講和でなければ締結上ないという行き方は、とうていその形においてはできない場合が多く予想される、あるいは強く予想される、多数講和は、現在の日本状態においては国民全体がそれを望んで当然あやまちのないものであるという立場がとつて来られると思います。従つてこの文書全体はごらんになりますと、共産主義国家の動きと民主主国家の動きとは当然一致しない。これはいろいろの外交政策の問題になつて参りますと一致する場合もある、一致しない場合もありまするが、現実世界の実相は、ここに二つ世界としてわれわれの立場の中に現わしておりまするように、はつきりといたしておる。それが政策の上には相加重して参り、こんがらがつて来、あるいは一緒なつて来るという姿は当然現われて参りましようが、本質的にははつきりしておることは当然でありまするので、その本質的にはつきりしておることを日本国民はつきりと訴えてそれを日本国民全体の批判の対象にすることが、現実においては最も重要なポイントではないか、こう考えましてこのような態度をとつて来たわけであります。
  23. 守島伍郎

    ○守島委員長 もうあまり時間がありませんので、簡單にお願いいたします。
  24. 黒田寿男

    黒田委員 まだ少し質問したいと思います。しかし日本が今連合諸国に対して降伏條件のもとに置かれておりますときに、日本からみずから進んで、もう一方の国は他の国と協力して日本講和条約を結ぶ意図がないのだというようなことを言うたのでは、私はぶちこわしになつてしまうと思う。わが国といたしましては、どの国とも講和を結ばなければならない立場にあるのでありますし、そうして講和がすみやかに締結されることはあくまでも要求しなければならぬ、どうしても講和はしてもらわなければならぬのでありますから、そのときにこのような、一方の国とは講和できるけれども、地方とはできないというような、というよりか、相手がそういう意図を持つていたいのだということを日本から言い出すようなことは、国民に対し、講和問題に関しての正しい理解を與えることにならないで、結局において日本の利益と相反するがごとき方向に進むような行き方を外務省が試みようとする、そういう結果になると言われても私はしかたがないと思います。今このような微妙なときにあつて、このような見解国民の前に発表することには、私ども非常に不満なのであります。これは私は次官の御答弁では満足しませんけれども、あとは議論になりますから、この問題はこの程度でとどめておきます。
  25. 守島伍郎

    ○守島委員長 黒田君、簡單に願います。十五分予定しておるのですが、大分時間も過ぎましたから、なるべく簡單に願います。まだあとがございますから……。
  26. 黒田寿男

    黒田委員 それでは、私まだたくさんありますけれども、きようはもう一問だけで、あとはまた次会に譲ります。  この白書によりますと、国際連合軍日本を重要な拠点としている、こういうことを言つております。そうして国際連合に協力する、こういうことが書いてあるのですが、国際連合軍の重要な拠点になつておるということは、具体的に言えばどういうことでありましようか。たとえば国外連合軍日本において空軍基地を持つておる、あるいは海軍の根拠地を持つておるとか等々のことで、日本が何らかの援加ないし便宜を提供しておるというような意味のことなのでありましようか。この点がどうもわれわれには意味がわからない。これは非常に重要な問題でありますので、御説明を願いたいと思います。
  27. 太田一郎

    ○太田政府委員 ただいま御指摘の国際連合軍の重要な拠点方々ということでありますが、これは「動乱見通し思想戰」という章でございまして、朝鮮動乱をめぐるいろいろな国際情勢の定義をなしておりますところの思想の点について、ものの考え方に対するわれわれの考え方を書いておるのであります。これは何も軍事基地とかいうものではないのでございまして、いわゆる共産主義によりますいろいろな撹乱行為は、外から来ることもありますし、内から来ることもある。そうして、そういう共産主義者による破壊工作は現に行われておるのである。こういう意味におきまして、日本思想戰において非常に大切なところであるこういう意味であります。
  28. 黒田寿男

    黒田委員 しかし、なるほどこの記事の小見出しは「動乱見通し思想戰」ということになつておりますが、ただいま私が指摘いたしました文字が思想戰における何らかの記述をするための形容詞的に用いたしたものであるとも私ども考えることはできません。もしそうであるならば、こういう誤解を受けるようなことを断じてしていただいては困ると思う。「特に国際連合軍の重要な拠点であるわが国」云々ということになつておりますので、どうしても私どもは疑問を起さざるを得ないのであります。これはひとつ私の今の質問の……。     〔佐々木(盛)委員「マツカーサー司令部に国連の旗が立つているじやないか。」と呼び、その他発言する者あり〕
  29. 守島伍郎

    ○守島委員長 静かに願います。
  30. 黒田寿男

    黒田委員 今のようなことを言われると、やはり国連旗が立つておるのは国連軍が来ておるのですから、單に思想戰じやないでしよう。佐々木君の言わることと政府の言われることと違う。與党と政府との間に考え方が違う。佐々木君すら私の解釈しているように解釈している。だから、太田さんは今のように御説明になりましたけれども、それは表面だと思う。こんな意思表示をする以上は、私どもは太田次官の答弁のように感ずるわけに行きません。これは非常に重要な問題である。  そこで私はそれに関連しまして一つだけお尋ねいたしますが、これも私は政治理論としてここでお尋ねするのでありませんから、その点誤解のないように願います。私は今純粋に理論的見地から国民としての疑問を解いていただきたいという意味で言うのであります。そこで、現在日本人が朝鮮事変に関連いたしまして、国連軍あるいは国連軍の軍需物資の陸上輸送、あるいは海上輸送に従事しておりまして、あるいは車両船舶を提供し、あるいはまた労働を提供しておるという点がありますが、その善悪の理論は別として、私がお尋ねするのは、どういう法的根拠に基くのでありましようか。日本はまだ国連には加入していないのでありますから、国連加盟国の一員といたしまして、安全保障理事会の決定に基く協力の義務を履行するという意味においてやつているのでないということは明らかでろうと思います。それからまたこういう行為が、日本を占領している連合国——これは国際連合軍のことじやありません。連合国の降伏條件に基いた命令として行われておると解釈することもできませんので、一体国際法的にどのように解釈したらよいかということが私にはよくわからない。單なる権力服従的な事実上の問題としてそういうことになつておるのにすぎないのか。何かそこに国際法上の根拠があるのか。その点を私はひとつ明らかにしていただきたい。
  31. 太田一郎

    ○太田政府委員 国際連合国に対する協力の点について御質問がありましたか、要するにわれわれの考えておりますことは、日本の現在置かれておりますところの地位というものにかんがみまして、でき得る限りの協力をするというのは、国際連合軍に対するわれわれの協力の態度でございます。
  32. 黒田寿男

    黒田委員 そうすると別に国際法的な根拠というようなものはないわけですね。
  33. 太田一郎

    ○太田政府委員 日本安全保障というものは、今度の朝鮮動乱に対して国連がとられた措置によつてもおわかりの通り講和條締結に関連しまして、日本安全保障をどうするかというようなことが非常に懸念されておつたのであります。今度の朝鮮事件によつて侵略があつたときには、平和愛好国家は立ち上つてこれを防衛するということが明らかになつたのであります。従いまして将来民主主義、平和愛好国家として発展して行きたいという日本といたしましては、国際連合に協力するのは当然なことであろうというのが第一点であります。  第二点といたしましては、日本におけるいろいろな治安の維持ということは、これは占領軍が当然責任を持つてつておられることでありますから、日本における治安の維持という問題につきまして、われわれが占領軍より命令があるときは——命令がなくともそれに協力することは、これまた当然のことであると考えます。
  34. 守島伍郎

    ○守島委員長 黒田君、あなたはもう三十分になります。ほかの方がまだ大分ありますから簡單に……。
  35. 黒田寿男

    黒田委員 今の締め括りだけを……。そうしますと次官のおつしやいますことが私にはどうもわからないのですが、私は事の是非を論じておるのではありません。やはり納得の行くような何か根拠というものを知りたい。日本が入つておるならばその協力としてやる。そして国連に入るときには国会でもこれを議論するでありましようし、一応国民に相談した上でやることでありますから納得行くのであります。それからまた降伏條件としてやられる場合は、これは降伏條件というものを受けておるのでありますから国民は納得する。今回のこの問題につきましては、どうも私ども国際法上の根拠がわかりません。單に日本はこういうように思うとか、あるいはいろいろ国際関係の事実に基きましてそういうようにやつておるのでありますが、とにかく理解ができない、ぼんやりと考えておる。これを私は今日はつきりとさせていただきたかつたのでありますが、結局国際法上の根拠はないと見てよろしいのですね。
  36. 草葉隆圓

    草葉政府委員 まだ日本は御案内のように独立国家じやありません。従つて対外的に一国としての国際法的な活動をしておるのじやないのであります。しかしながらたまたま隣に朝鮮動乱というものが起り、しかも国連軍総司令官としてのマツカーサー元帥がやつておられるその朝鮮動乱の問題に関する国連軍の正しい動きに対して、日本国民がみずからさらに進んででも協力するということは、これは悪いことはちつともないと思う。当然の行き方だと思います。
  37. 黒田寿男

    黒田委員 そうすると結局事実関係にすぎないように思われます。ところがわが国は好まざるとにかかわらず、今降伏文書に基きましていわゆる全面降伏の形になつております。これははつきりとした一つ根拠があるわけです。そういう降伏文書というものの根拠がありますから、私どもには今日本の国際的立場といたしましては、下手にその降伏文書に署名しておりますある一国に対してどうこういう態度をとり、また他の国に対しては何らか仮想敵国的取扱いをするというような態度をとることは、降伏條件に対し違反となりはしないかという疑念がある。そこで理想はどうありましようとも、降伏條件ということは事実問題ではありません。ちやんと法律的にりつぱにそういうもので押えられているのでありますから、こういうときに将来われわれがどういう理想を持つておりましようとも、その降伏條件に署名しております国の一部に対し、また他の国に対して異なつ態度をとるということは、またして許されるかどうかという疑念があるこれは議論というよりか、解釈の問題としてこれに反しはしないという気がするのですが、これはどうですか。
  38. 太田一郎

    ○太田政府委員 降伏文書に調印をいたしまして、それを服膺いたしますことは当然でありますし、また十分それを国民は全幅的に守つてつている。しかし朝鮮動乱は決してその中の国の争いではないのであります。これはこの朝鮮動乱の中にも書いておりますように、まだ現実において降伏文書の調印国が戰争をしているのは決してないのであります。ことに国際連合が全体として国際連合軍を派遣している状態でありますので、私どもも何らさような疑念は起り得ないと存じております。
  39. 黒田寿男

    黒田委員 また尋ねたいと思うことがたくさんありますが、御注意もありましたので、きようは私の質問はこれで終ります。
  40. 守島伍郎

    ○守島委員長 川上君、あまり長くなりませんようにお願いいたします。
  41. 川上貫一

    ○川上委員 時間もないようですし、ほかの方から御質問もあると思いますから、私はなるべく整理して必要なことについて質問いたします。なお残るところは次の委員会でしようと思いますから、政府の方の御答弁も簡單にひとつ私の聞きたいところだけを答えていただきたいと思います。  白書についてお聞きしたいのですが、その前に一つだけお聞きしておきたいことがあります。最近新聞紙の伝えるところの対日講和に対するアメリカ提案の七原則というもの、これの一項目に琉球と小笠原のことが載せられておつて……。
  42. 守島伍郎

    ○守島委員長 ちよつと御注意申し上げますが、一般的の御質問はあとまわすことに劈頭に申し上げました。
  43. 川上貫一

    ○川上委員 これは実に簡單に済みます。
  44. 守島伍郎

    ○守島委員長 では簡單に。
  45. 川上貫一

    ○川上委員 この琉球と小笠原については、一九四三年のカイロ宣言とそれからポツダム覚書で、日本の主権から引離すということは一つも規定してない。同時にこれらの加盟国は領土の拡張の計画は持たないということを宣言してあるわけでありますから、これは歴史的に見ましても、経済的に見ましても、この講和に対しては当然日本領土としてこれを主張すべきだと考えますが政府の方ではこういうお考えがありますか、どうですか。この点だけお聞きしたい。
  46. 佐々木盛雄

    ○佐々木(盛)委員 議事進行について発言があります。ただいま委員長発言によりまして、ただいまの審議は「朝鮮動乱とわれらの立場」といういわゆるこの外交白書なるものを中心としてこの問題に論議を限定して議事を進めることになつたはずでありますが、ただいま承つておりますと、川上君の質問一般的な質問である。従つて一般的な質問通告順にこれを許すことにおとりはからいを願いたいと思います。
  47. 守島伍郎

    ○守島委員長 もちろん簡單にやつていただくことにして、これだけは政府の御答弁を求めます。一般的な質問はあとにまわすことになつております。
  48. 川上貫一

    ○川上委員 一般的な質問はあとでやりましよう。
  49. 守島伍郎

    ○守島委員長 それならあとにまわしていただきたい。劈頭に申しましたように、この問題について御審議を願い、一般的な質問はあとにまわしていただきたい。
  50. 川上貫一

    ○川上委員 私の言いましたのは、この「朝鮮動乱とわれらの立場」を中心にした一つ質問でありますが、その前に一つだけ簡單にお尋ねしたいがという前おきで、それならよいと委員長が言われたから……。
  51. 守島伍郎

    ○守島委員長 ですから簡單にお願いいたしますと申し上げたのです。どうぞ政府の方でも簡單にお願いいたします。
  52. 太田一郎

    ○太田政府委員 これは前々からのたびたびの御質問に御答弁申し上げておりますから、それで御了承願いたいと思います。
  53. 川上貫一

    ○川上委員 実に無責任な答弁でありますけれども、ほかの委員の方から議事進行が出ますから、これはあとにまわしておきます。  この「朝鮮動乱とわれらの立場」にくつついていなければ、共産党にはなかなか言わせないというようなこともありますから、これに限つて質問をいたします。(「そんなことはないよ」「取消せ」と呼ぶ者あり)よろしい。取消せということでありますから、まことにあつさりと取消します。
  54. 守島伍郎

    ○守島委員長 川上君、早くあなたの御論旨を進めてください。
  55. 川上貫一

    ○川上委員 この前質問したことに関連いたしますが、国連協力という問題に関することであります。これは今黒田君の質問にもありましたが、どうも要領を得ない。そこで私具体的にお開きしたいのですが、この国連協力には特需という問題が関連しております。これは元来商取引の問題であつて、これの注文に応ずるという問題である、こういうようにこの前の国会では政府も御答弁になつておつたと思うのであります。ところが実際においては、PDの工場あるいはある工場などにおいては、労働者の基本的権利が剥奪されていると同様な形に陥つていると思います。このことについて、かつて他の委員会でわが党が質問いたしましたところ、大橋法務総裁はこういうことを言つておられる。日本人なるがゆえに人権はないのであると御答弁になつていると承つている。これは国際上どうも受取れませんので、どういうことであるかということをちよつと御答弁願いたい。  それから第二審には、この特需品の生産や輸送というものは、もちろん朝鮮の内戰に関係しておりますけれども、これがやはり商行為、商取引の問題でありまして占領政策であるとはわれわれはちよつと解釈できないのでありますが、これに反対した労働者が処罰されておるのであります。そこでお聞きしたいことは、この特需品を生産すること、また輸送すること、またほかの言葉で言えば生産させること、輸送させることは、占領軍の占領政策であるかどうか。この法的基礎は何であるか。もし占領政策であるというならば、この点についてのお答えを願いたい。
  56. 太田一郎

    ○太田政府委員 前の問題は法務総裁の御答弁に対する御質問と存じましたので、いずれ他日法務総裁から御答弁申し上げることにいたしたいと思います。  それから輸送等について国内で輸送しておりますものについては、それぞれ国民あるいは運輸関係が輸送いたしますことは、これは当然でありまして、何も別にかれこれという問題ではないと思います。
  57. 守島伍郎

    ○守島委員長 川上君ちよつと御注意申しますが、どうもあなたのお話はこれに直接関係ないように思いますが……。
  58. 川上貫一

    ○川上委員 黒田君の質問を許しておいて、私の質問は関係がないと言われますのは少し違う。
  59. 守島伍郎

    ○守島委員長 いや違います黒田君のはよほどこれに関係あることでありますが、あなたのは大分縁が遠いように思います。そういう御質問ならばあとでお願いいたします。
  60. 川上貫一

    ○川上委員 どうしてこれが縁が遠いのでありますか。
  61. 守島伍郎

    ○守島委員長 私はそう思います。     〔「それは主観ですよ」と呼ぶ者あり〕
  62. 川上貫一

    ○川上委員 主観ではありません。事実を申しておるのです。
  63. 守島伍郎

    ○守島委員長 ほかの皆さんがお考えなつてもそうだろうと思います。おそらくあなただけだと思います。
  64. 川上貫一

    ○川上委員 いや「朝鮮動乱とわれらの立場」、この朝鮮動乱に関連して行われておる事実です。しかも日本において人権を蹂躙されておる事実を言うておるのです。これがなぜ関係しないのですか。
  65. 守島伍郎

    ○守島委員長 劈頭あなたがおいでにならぬときに私から申し上げましたが、この発表物について解釈だとか意見開陳を述べるので、それに縁遠いことはあとにまわしていただかなければ困ります。でなければあなたの発言を禁止します。
  66. 川上貫一

    ○川上委員 こういうことを禁止せられておるのでありますから、私の質問政府並びにほかの方々にはなはださしさわりがあるのであろうと思いますから、これでやめます。
  67. 守島伍郎

    ○守島委員長 そうでありません。時間的にあとにおまわしくださいと言つておるのです。
  68. 川上貫一

    ○川上委員 それでは次に質問します。全面講和の問題であります。これは先に黒田委員からも質問されたのでありますが、白書を見ますと、全面講和などを主張するのは共産党の謀略であるというような意味の結びが書いてあると思うのであります。ところが、これは政府にお聞きしたいのですが、この全面講和というものは共産党の宣伝でもなし、謀略でもない。室想でも理想でもないはずなんだ。これは第一番に行われなければならぬし、行つてもらわなくてはならぬ。連合各国に宣言あるいは協定の精神を忠実に守つてもらえれば必ず行えることだ。真に平和を望みさえずれば行えることだ。中華人民共和国などを安全保障理事会に加える、こういう形になれば行えることなんだ。また白書を見ますと、これをこわしているのは社会主義陣営にあると書いてありますけれども、ソ同盟では一ぺんも單独講和とか多数講和ということを言うたことはない。早期日講和言つておる。それに対してこれはうそだと初めからきめておる。これは国民が見ましても、たれが見ましても、冷静に見ればただちに四大国方式による講和会議の開催は可能だ。これがもし可能でない、障害があるとするならば、それは帝国主義の陣営が朝鮮の内職に干渉したり、台湾中国から切り離そうとすることがむずかしくなるから、これにじやまになり障害になるという理由以外には何らない。それなのに政府は、先に黒田君が言われる通りに頭から全面講和というものはできぬ。これを妨害しているのはあたかも社会主義陣営であるかのごとき態度をとつておられる。そこで私は政府にこの点をお聞きしたい。全面講和とか單独講和とかいうものは、これは非常に重大な世界の平和に関係する根本の問題で、今日世界の陣営は三つにわかれている。この二つにわかれている状態、この現実のもとで世界の平和と安全を保障しようと思えば、この両陣営に属する大国の合意と協調の上に、すなわち大国一致の原則の上でなければ、世界の平和と安全の保障ができないというのがポツダム宣言の精神であり、その他の協定の精神であると思う。これがまた国連憲章の精神であると思う。ここに安全保障理事会の非常な重要性があり、ここに拒否権の重要性があるのです。これを無視しましたならば、どうしても世界安全保障はできない、平和はできない。この点について政府の方では少しもお考えなつておらない。ある特定国の利益にのみ属するような態度で一方的な宣伝をこれではしてあるように思う。本日の世界情勢の御報告を聞いておりましても、一方の報告は出ておるが、これに対して社会主義陣営、民主主義陣営はどう言つており、どういう態度をとつているという報告一つもない。悪いことばかりしているように書いてある。こういう態度で臨んでおられることが、日本の安全、日本の平和、政府言葉でいえば安全保障というようなことに当るとほんとうにお考えなつているのか。あるいは占領下にあるから、しかたがないからここへくつついておらぬとぐあいが悪いというので、まつたくロボットのように、番犬のようにその方の宣伝をこれ努めておられるのか、正直に日本人らしい返事をしてもらいたい。(笑声)ほかの諸公はこれをお笑いになりますけれども、だれが日本人ら上かつたかということは、おそらく歴史が証明するでしよう。この点はほんとうに真剣に国民政府態度を待つておりますから、そこをひとつはつきりお答え願いたい。
  69. 草葉隆圓

    草葉政府委員 御質問の要旨を私ちよつと十分に把握できなかつたから、あるいはお答えがちぐはぐになるかも存じませんが、中華人民共和国の国際連合安全保障理事会加盟のことは、私がかれこれここで申し上げる筋合いではありませんし、国際連合で十分論議さるべき問題だと存じております。  なお「朝鮮動乱とわれらの立場」におきまして二つ世界についてはつきりその現実を申し上げましたのは、ただいま川上君のお言葉にもありましたように、二つ世界が厳然とあるのではないかというお話通りのことをここに書いたまででありまして、その点ここには何ら現実を曲げて書いておらない、現実のありのままを書いているのであります。
  70. 守島伍郎

    ○守島委員長 川上君、もう時間が来ておるので簡單にお願いいたします。
  71. 川上貫一

    ○川上委員 もう一言だけで終ります。
  72. 守島伍郎

    ○守島委員長 よろしゆうございます。簡單に願います。
  73. 川上貫一

    ○川上委員 今の御答弁では少しも納得できないのですが、簡單にといい、また実際に答弁ができぬのだろうと思いますので、次の質問に移ります。  このパンフレツト立場をとりますと、中立もいけないし、また社会主義、民主主義の陣営の方は当てにならぬし、これは敵意を持つている、こういうことになりますと、どうしても日本は自分みずからで守るか、外国の軍事基地を置いてもらうか、あるいは帝国主義陣営の方と軍事協定でも結ぶか、これ以外には結論が出て来ないと思います。これはどうなさるつもりであるか。そこで具体的に聞きます。政府の方のお考えではどういう形で日本の再軍備をなさるつもりであるか。これをしなかつたら、ここに言うような形では日本の安全は保障されないとわれわれは思います。第二番目には、政府軍事基地をどういう形で帝国主義陣営に提供なさるのであるか。これをなさらなければここに書いてあるような形で日本はじつとしておるわけには行かない。第三番目には、政府の案と考えとしては、どういう形で外国と軍事協定をお結びになるお考えであるか。これも何にも関連しないならばこういうことは書けない。これでは日本立場はわからない。まだそれは考えておらないとおつしやるならば、これは怠慢もはなはだしい。政府はまつたく無定見、何も考えておらない。考えておりながらこれを発表しないならば、国民を欺き、国民の目の届かぬところで特定の外国と取引をしようとしているのだ、こう解釈せざるを得ない。これを明瞭に御答弁を題いたい。
  74. 草葉隆圓

    草葉政府委員 これはまつたく川上君の主観的な形でお考えなつておる御質問の点であると存じます。(「少しも主観ではない。ここに書いてある。」と呼ぶ者あり)私ども総理施政方針演説にも申し上げましたように再軍備をし、あるいは特定な軍事協定は全然いたしておりませんから、またいたす覚悟もないし、現在の憲法を忠実に守つた政治をなすということを中心といたしておりまするので、それ以上御答弁の限りでもないと存じます。
  75. 川上貫一

    ○川上委員 私はわかりませんが、時間がないそうですから、この質問は今度の委員会にすることにして、これで打切ります。
  76. 守島伍郎

    ○守島委員長 佐々木君、簡單にお願いいたします。
  77. 佐々木盛雄

    ○佐々木(盛)委員 先ほど来社会主義陣営の人々から、「朝鮮動乱とわれらの立場」というものが非常に主観的に書かれておるということをおつしやつておりまするが、これはソビエト・ロシヤという国が世界に比類ないところの思想、経済、政治の特殊なる基盤に立つておるという点から考えまするならば、どの人が書きましようともこれは主観がなくして書くことは実はできないのであります。主観を交えますことは当然なことであります。また同時にどのように客観的に書いたことでも、社会主義陣営の人々はそれを主観である、こうおつしやるのはそれはもうあたりまえのことであります。お話を聞いておりますと、多数講和にしろ、全面講和にしろ、あるいは永久中立の問題にしろ、国際連合に対する協力の問題にしろ、ことごとくこの委員の中におきましても、明らかに二つ世界の対立があるわけであります。そこでこの多数講和による早期独立の回復ということを希望しておるということ身断定することは政府の独断である、あるいはソ連全面講和意思がないと断定することは政府の独断である、さようなことをおつしやいまするが、これはむしろ国民一般大衆の声でありまして、私は決して政府の独断であろうとは考えません。りつぱなマルクス主義でありまする皆様方は、今日のソ連というものが……(「質問をしろ、質問を……」と呼ぶ者あり)きようは意見開陳もかまわないことになつております。マルクス、レーニン、スターリンの共産主義という立場に立つておりまする限り、これに対して中立なんということが理論上あり得ようはずはない。共産主義、このマルクス、レーニン、スターリンというどこを押してみたところが、中立なんという言葉は出て来ようはずはない。それをあるかのごとくに見せるのはあなた方の戰術である。     〔発言する者多し〕
  78. 守島伍郎

    ○守島委員長 お静かに願います。初めから質問及び意見の関陳を許しております。
  79. 佐々木盛雄

    ○佐々木(盛)委員 特に現実国際情勢から考えまして、特に日本ソ連の関係を考えてみましても、われわれが当時戰争の末期におきまして日本ソ連の間に有効に存在しておりました日ソ中立條約というものがあつたにもかかわらず、日本に原子爆彈が落ちたすぐ直後に、われわれが宮中に御前会議を開いてポツダム宣言に涙の受諾を決定いたしましたと見まするや、とたんにソ満国境から一斉に満洲に侵略して来る。そしてそこにありました、日本が築き上げておりました一切の権利を、戰利品だと言つてかつぱらつてしまつた。それのみかたくさんの在留同胞をシベリアの野に抑留いたしまして、これに対して共産主義の赤化教育を施し、スターリンの忠僕たることを誓わしめ、しかも内地に送り返すときに赤旗をかついで敵前上陸だと言つて送り返しておる。今でも三十数万の同胞がシベリアの地においてソ連に苦しめられながら泣いておるわけであります。この現実から考えまして、ソ連日本との全面講和希望しておるなどということは、どこを押しても考えられないのが現実であります。従つてできる国とすみやかに早期多数講和によつて日本の独立を希望するということは、われわれ国民の偽らざる赤裸々な叫びであるわけであります。国民の総意であります。従いまして国民を欺くものがこの外交白書であるとか、政府であるとか、與党であるとかおつしやいますが、実は国民を欺くものはあなたたちなのであります。従つてこういう問題について、この大きな世界観の異なつておりまする社会主義陣営の方々と話をいたしまして社会主義陣営の人たちが納得を行かせるためには、われわれが社会主義者になる以外には方法はないわけであります。従つてこの問題はこの程度にして委員長において切り上げられんことを私は希望いたしまして、一言所見を述べた次第であります。
  80. 守島伍郎

    ○守島委員長 もう御発言ございませんか。——それでは時間がちよつとございますから、高田君に簡單発言を許します。
  81. 高田富之

    ○高田(富)委員 この「朝鮮動乱とわれらの立場」というパンフレツトを一読いたしまして、私どもはこれは責任のある政府発表した文書であるということはなかなか信ずることができなかつた。先ほどの質問によつてそうであることを知つて、まことに驚き入つた次第であります。この文章のどこを見ましても、今日の国際情勢につきましての客観的な、科学的な判断に基いておると思われるところは一つもありません。おそらくいかなるごろつき反共新聞その他においても、このような低劣な文句を並べたものはおそらく類がないと思うのであります。従つてどもはこれについてまじめに質問をする気にもなれません。こういうものを公然と出すような政府でありますから、私どもはただただこれに対しましてはあきれ果てて何とも言えません。まず私はこの項目につきまして、ごく簡單にいかにこれがでたらめなものであるかということを申し上げたいと思う。
  82. 守島伍郎

    ○守島委員長 高田君、簡單に、簡單に——約束ですよ。
  83. 高田富之

    ○高田(富)委員 簡單にやります。まず第一に、「朝鮮動乱の背景」というところにおきまして、あたかも社会主義、民主主義の陣営が侵略の陣営である。これに対しまして資本主義、帝国主義の国家群が平和を愛好する陣営であるかのごとく書いております。かくのごときことはまつたく事実と——白を黒と言うものでありまして、問題にならないことは今ここで私がこまかくお話しなくてもよくわかると思うのであります。それから「立ち上つた国際連合」という、項目におきましては、まつたく不法に国際連合が蹂躙され、国際連合の名を僭称して行われておる行動のみを、あたかも合法的な国際機関の行動であるかのごとく、一方の言うことをそのままおうむの口まねのようにやつておるにすぎないのでありまして、良心のある者はまつたくこれを客観的なものであるなどとは考えられないのであります。また第三の「動乱見通し思想戰」というところにおきましては、なおわれわれは驚き入るのであります。この十ページのまん中ごろに「民主主義国側は最強の武器である原子爆彈を持つているが、これは世界情勢が最も悪い段階に達するまで使用しないであろう。ところが共産主義世界は、その最も重要な武器である思想の戰いをすでに世界の津々浦々まで繰広げている。」思想戰と原子爆彈とを対立存在させている。つまり自分は思想戰においてはとうてい太刀打ちができない……。
  84. 守島伍郎

    ○守島委員長 高田君、もう約束の五分間が来ました。
  85. 高田富之

    ○高田(富)委員 これに対して原子爆彈を使用しようというようなことでありまして現在全世界の中和を愛好する人々が原子兵器の禁止を叫んでおるときに、思想戰に対して原子爆彈を用いろというような、まつたくお話にならない暴論がこの中において吐かれておるのであります。「結び」におきましてもそういう立場から共産主義に対しまして非常に一方的な悪罵を放つておるのであります。もしこういうふうなものを根拠といたしまして單独講和を強行し、軍事基地化を強行し、戰争に突入する態勢を整えんとするならば、われわれ民族は崩壊の一途をたどることは明らかであります。私はかかる観点に立ちましてまつこうから反対するものであります。
  86. 守島伍郎

    ○守島委員長 植原君。
  87. 植原悦二郎

    ○植原委員 ごく簡單に申し上げて私政府に伺いたいのですが、この「朝鮮動乱とわれらの立場」という問題がさつきからたいへん議論なつておるようです。これは主観でなく客観情勢を伝えたのだ、しかるに政府の私見があるということで非常に非難されておるようでありますが、一つ政府が、その政府の持つておるところの主義主張を国民に徹底せしめて、それを実現せしむるために、世の中の事実を報告するとともに、政府の抱懐しておるところの希望を述べて悪いということはどこにありますか。政府は非常にそれを御弁護なさるけれども政府客観的事実を報告するとともに、この政府共産主義に反対するのだ、日本を民主国家として守つて行くのだという、その政府の持つておるところの希望をかようなパンフレツトに主張することに何のさしつかえがあるか。私はよろしいことだと思う。政府がそうでないようなお考えを持つておるように響くものだから、そのためにいろいろの誤解が生ずると私は思う。だからして、政府はよろしく客観的事実を報道されるとともに、共産主義に反対するのだ、共産主義をとめるのだということを国民に告白することは政府のなすべきことで、さような意味がこのパンフレツトにありますとはつきりお答えになつてよろしいと私は思うが、なぜさようにはつきりお答えにならないか。(拍手)  さらにただいま政府国連軍に協力すると言つたのは、国際公法上どこに根拠があるかというようなお尋ねですが、私はこれは国際公法の問題を論ずるまでもないことだと思う。北鮮共産軍が民主国家たるところの韓国を侵略した。その余波は隣邦日本にも波及するおそれなしと何人がこれを言い得るか。その場合に日本はどうしたくもしようがない、国連がそれを阻止するために努力しておる。その場合に、日本は精神的にも、またあらゆる面においてこれに協力することに何のさしつかえがあるか。ここにおぼれかかつておる人がある。その場合、その人に手をかけては法律上いかぬということなどはない。おぼれかかつておる人間に手をかけて助けてやつてちつともさしつかえないと思う。
  88. 守島伍郎

    ○守島委員長 植原君、簡單に願います。
  89. 植原悦二郎

    ○植原委員 さような問題のために、このパンフレットに対する非常な異論があるが、私の考えではこれでよろしいと思うが、政府考えはどうですか。それのみならず今帝国主義ということに対して、はなはだ穏やかでない言葉——日本は帝国主義に援助しておる、日本は帝国主義の番犬になるというような意味のお話があつたのですが、政府はそのままお聞き流しになるのか。日本民主主義の国家とともに行くのだ。帝国主義とはともに行かない。どこに帝国主義があるか、国土を侵略することを帝国主義というならばソ連ではないか、日本がもし無防備で危險があるという今のお説ならば、危險はどこから来るかと、いえば、西の方から来るのだから、それで日本ソ連に対してあらゆる方法を講ずるとお答えになればよろしいと思うが、これらの点はどうであるか。そうすればこのパンフレツトに対する一切の疑念は氷解すると思いますが、政府の御所見はいかがですか。
  90. 草葉隆圓

    草葉政府委員 植原委員の御意見の御質問に対してお答えいたしますが、第一点は御意見通りであります。政府は全然同感であります。従つて今後におきましても、機会あるごとに世界情勢の率直な状態国民に知らしめるパンフレツトを出したいと存じております。  第二の点につきましては、国連協力は、私先に御答弁いたしました通りの趣旨であります。あらためて御意見に対する答弁は必要ないと存じます。まつたくこれも御意見通りで、私もさよう先に答弁いたしたつもりであります。  なお高田君の御意見に対してさらにどう考えるかという御質問でございましたが、先のは高田君の御意見でありましたので私署に答弁は差控えたのでありますが、「朝鮮動乱の背景」、あるいは「立ち上つた国際連合、」及び「動乱見通しと思想職」、並びに「結び」におきまして、私ども政府は先ほどの高田君の御意見とはまつたく反対な主張を持つており、それが現実の姿であると存じまして、この「朝鮮動乱とわれらの立場」というものを発表した次第であります。
  91. 守島伍郎

    ○守島委員長 それでは国際情勢に関する一般質問に入るのでありますが、時間は非常に少くなりました。お申込みの方は五人でありまして一人当り五分ぐらいでありますが、どういたしましようか。今日はこれで打切りにいたしまして、この次の機会にやつた方がよいと思いますが、皆様にお諮りいたします。     〔「やらしてください」と呼ぶ者あり。〕
  92. 守島伍郎

    ○守島委員長 それでは通告順にいたしまして、時間がなければそれで打切りといたします。十分ぐらいで願います。並木君。
  93. 並木芳雄

    ○並木委員 それでは私は用意して来ました原稿を読みます。  私は対日講和條約に関連して質問いたします。先ほど政務次官の御報告の中にもありましたが、アメリカの対日講和條約案のいわゆる七原則には、日本の軍備を禁止する條項を含んでおらないようであります。さればといつて、軍備を持つてもよいという積極的表示もないようであります。そこで私は現在禁止されている事項で、講和條約の中に何ら触れられなかつた場合の効力などについて確かめておきたいと思うのであります。第一にまず原則論でありますが、講和條約は原則的には戰争状態を終結せしむる最終的かつすべてであると考えられますが、この点いかがでございましようか。  第二に、従つて日講和條締結とともに、既存のポツダム宣言カイロ宣言、降伏文書、指令第一号、二号、三号、降伏後における米国の初期の対日方針などは、日本に関する限りその効力を失うものと了解していいかどうか、この点であります。  第三点は條約前に禁止され、または制限されていた事項が、條約で積極的に許される場合は問題はないと思いますけれども、條約で特に禁止もせず、さりとて解除もせず、全然これに触れなかつたときはどうなるか。この場合禁止または制限の解除という解釈を下してよいかどうか。たとえば伝えられる七項目について見ますと、日本の再軍備を特に禁止する規定は置かないようでありますが、もし置かないとすれば、これは禁止の解除と見られるか、その場合は、もし日本が正式の手続をもつて再軍備を希望し、再軍備をするという方法がとられるならばしてもよいということになるのかどうか。もちろんこの場合は国内的には憲法の改正問題などがありますけれども、この問題は別として、日本はそういう場合にやつてもよいかどうかということであります。  もう一つこれに関連してお尋ねしておきたいのは、民間航空についてはどういうことになるのでしようか、民間航空については、降伏後における米国の初期の対日方針の第三部政治という項目の中に、「何らの民間航空をも保有することなし」、「及び民間航空機は引渡され」云々とあります。またその第四部の経済の項目の中に、一切の形式の航空機を含む軍用器材の生産、または修理のための一切の專門的施設の禁止」云々という條項がありますけれども、このほかに特に制約しているところの規定があるかどうか。この右にいうところの、何らの民間航空を保有することなしというその保有という意味は、單に所有という意味であるか、あるいは他から借用して来てやる場合がこれに含まれるかどうか。たとえばアメリカならば、アメリカから飛行機を借りて民間航空輸送をするならば、必ずしも禁止しないということになるのかどうか。この條項は、もし講和條約に特別に規定がなければ、これまた解除されると見られるかどうか。近く開かれると聞いております民間航空には、日本の資本が入り、日本人が採用されると聞いておるけれども、実際はどうなつているか。もしそうだとすれば、これは少くとも右にいう解除の前提あるいは一部と見られると思うけれども、それでよいか。ここまで許されるとしたならば、一歩進んで、日本人が経営の主体になることもできるのではないかというふうに考えられるのでありますけれども政府の御所見を伺いたいと思います。民間航空というものがどういう根拠に基いて来月開かれるようになつたか、そういう根拠とともに、これらの点についての見解を教えていただきたいと思います。
  94. 草葉隆圓

    草葉政府委員 ただいま並木委員から、講和條約は、原則的に戰争終了の結論を来す最後的なものであると思うがこの点はどうか。今まで宣言なり、文書なり、あるいは指令なりが、いろいろ来ているが、これは原則的に廃止と解釈されるか、この点はどうか。あるいはまた再軍備の問題について、また民間航空について、現在保有というのは、所有か借用か、あるいは両方含むのかという点について詳細御質問がありましたが、伝えられておりまするところの、いわゆるアメリカの対日講和に対する七項目の原則的試案といわれておりますのは、その全文でも伝えられておりますように、絶対的なものではなく、各国との交渉の結果、今後あるいはその内容等もだんだん具体的にまとまつて来るのではないかと思います。従つて講和條約の内容がはつきりいたしまして、それによる政府見解を申し述べるとこれは間違いのないことになりましようが、現在はそういう段階でありますから、ここで政府の所見を申し上げると誤りを来すことが多いと存じます。むしろ国民の御意見としては、総理も言われますようにけつこうであると存じますが、これに対しまして現在七項目が、いろいろ交渉しながらだんだん固まりつつある状態で、まだこれが講和條約の具体的内容という程度までははつきり至つておらないと存じます。さよう御承知を願います。
  95. 並木芳雄

    ○並木委員 先日の外務委員会における西村局長の答弁より、ただいまの草葉政務次官の御答弁は少しかたくなつて来たように私は感じたのです。先ほどの私の質問の中には、原則論——つまり今度の対日講和條約の七項目というものを前提としないでも、講和條約というものは、原則として当然最終的かつすべてであるかどうかというような質問があるのですが、こういうようなものに対しては当然お答えしていただけるのではないかと思う。従つてそれに基くポツダム宣言カイロ宣言ということも、七原則の項目段階によつてわかつて来る問題ではないかと思つたのでお聞きしたのです。やはり七原則というものがだんだん出て来て、もつと具体化されなければこういうものは処理できないものであるかどうか、その原則があると私は思うが、それとも原則が全然ないのですか。つまりポツダム宣言とか、降伏文書とか、そういう先ほどの私の原則としての質問に対してまでも、これは講和條約が具体的にならなければ全然わからないというものであるかどうか、こういう点をお尋ねいたします。
  96. 草葉隆圓

    草葉政府委員 別にかたくなつたわけではございません。いわゆるポツダム宣言とか、カイロ宣言とかいうようなもの、あるいは指令なり指示なりというものははつきりいたしておりますけれども、これから起つて来ます講和條約の内容についての政府態度という問題につきましては今ここでお答え申し上げるのはかえつて不十分な結果を生ずると存じます。
  97. 守島伍郎

    ○守島委員長 並木君、もう時間がないから簡單に願います。
  98. 並木芳雄

    ○並木委員 内容の点はまた後日に譲るとしても、この原則の点はどうですか。原則の点は具体的に言えると思うのです。
  99. 太田一郎

    ○太田政府委員 並木さんの御質問にありましたところの、法律上の戰争状態を終らせるということにつきまして、條約がその一つの方法であるということについてはさようであると考えております。
  100. 守島伍郎

    ○守島委員長 並木君、時間が来ておりますからこの次の機会にしていただきたい。ほかの方の質問がありますから……。
  101. 並木芳雄

    ○並木委員 ポツダム宣言カイロ宣言、降伏文書、こういうものはどうなるのですか。
  102. 太田一郎

    ○太田政府委員 簡單にお答えいたします。これらの問題は、條約の中においてどういうふうにそれが規定されるかということがわかりませんので、今答弁を差控えたいと思います。
  103. 守島伍郎

    ○守島委員長 それでは佐々木君。
  104. 佐々木盛雄

    ○佐々木(盛)委員 私も簡單に申し述べます。まず私は二点について承りたい。  最初はソ連並びに中共地区よりの未帰還者の数の問題であります。その後外務当局におきましては鋭意調査されておることと私は考えるのでありますが、伝えられるところによりますと、国際連合からも調査団の来訪の話題もあるときでありますし、その場合に確実な資料の提供ということが当然必要になつて来るのであります。先般も遺家族たちが集まりまして調査が非常に不十分であるということを心配しておつたのでありますから——これは共産党の立場とは違つた立場からお聞きするのでありますから、安心してお聞き願いたいと思うのでありますが、都道府県別にお調べになつた結果はどうなつておるか。総数はどうなつておるかという点。また調査の現状、並びに、先般国際連合の方へオブザーバーとして派遣されました中山マサ君外二名の代表者たちから、引揚げ問題について何らかの報告がなかつたかどうかという点をお答え願いたい。
  105. 太田一郎

    ○太田政府委員 ただいまの数字の問題でありますが、この間行われました国勢調査の付属調査として未帰還者の調査をいたしまして、今その資料を整備いたしております。それからまた、今まで留守宅あるいは帰還者から聞きましたところの未帰還者の数字、その他個々の通信も参つておりますので、そういうものを集めましてこの五年来非常に努力をいたしました結果、十分御説明のできる数字を得ておりますから、その点は御安心を願いたいと思います。ただ今御質問のありました未帰還者の府県別人員その他については、目下国民代表がニユーヨークの方に行つております際で、近く国連においてこの問題が取上げられる情勢なつておりますので、数字については今日申し上げることは差控えたいと存じております。  なおどういうふうになつているかということでありますが、二人の国民代表の方と、それに随行して参りました外務省の者は、こちらから持つて参りました資料をいろいろ整備いたしまして、関係の方々に十分御連絡をいたしております。私どもの聞いているところによりますと、日本とドイツとの引揚げ問題は総会の第三部委員会で今研究中であります。ただ御承知の通り第三部委員会におきましては、人権宣言に関する一つの規約をつくる、それから情報交換の自由ということに関する規約をつくる、それから国際難民の問題を取上げております。日独の引揚げの問題は、そのアヂエンダの関係でその次にまわるということになつておりますので、もうしばらくたつてから議題に上ることになつているというふうに聞いております。
  106. 佐々木盛雄

    ○佐々木(盛)委員 もつとつつ込んで承りたいのですが、ほかの質問の時間がありませんので省略いたします。  次は木村連絡局長に承つておきたいと思います。ほかの方でもけつこうだと思いますが、連合国最高司令官から日本政府に発せられる要求とか指令とか勧告にはどういう種類がありますか。特に覚書の性格や日本政府への拘束力等について御説明願いたい。  それから勅令第五百四十二号によりますと、「政府は『ポツダム宣言』ノ受諾ニ伴ヒ聯合国最高司会官ノ為ス要求ニ係ル事項ヲ実施スル為特ニ必要アル場合ニ於テハ命令ヲ以テ所要ノ定ヲ為シ及必要ナル罰則ヲ設クルコトヲ得」こう規定しておりますが、一体覚書というものは、先ほどのことを説明してもらえばわかることでありましようが、要求というふうに解釈できるものかどうか。  それから今度の電力の再編成に関する覚書というものは、これは要求に基くものかどうかという点。  それからまた覚書を公表しない前例というものはどのくらいあつたかということ。かりに要求でないものを要求であるごとく誤認し、あるいは作意的に要求であるといたしまして、政府がポツダム政令を出したときに、この問題があるいは憲法に違反する、あるいは個人の基本的人権に違反するというような場合においては、そういうものを裁判する管轄権はどこにあるか、日本の裁判所によつてこれを裁判することができるか、あるいはアメリカの大審院等に持ち出すべきか、これらの点についてひとつお答えを願いたいと思います。
  107. 木村四郎七

    ○木村説明員 総司令部がポツダム條項を実施するために命令を出す形式といたしましては、マツカーサー総司令官から総理あての書簡が一つの形式であります。そのほかに通例われわれがスキヤツプインと申しておりますが、デイレクテイヴが出ます。この中にはスキャツプインというものとスキヤツプAというものがありますが、内容は重要なものとしからざるものとその使いわけができているようであります。そのほかに司令部の中の各セクシヨンから出ますセクシヨン・メモランダムというものがございます。これは各セクシヨンのテイーフが原則としてサインして参ります。そのほかに極東海軍及び第八軍からそれぞれメモランダムが来ております。そのほかになおチエツクシートといつてごく簡單な書式によつて日々われわれに命令されて来るものがございます。以上のようなものが司令部からポツダム條項を実施するための、日本政府に対する命令の諸形式でございます。メモランダムの効力といいますのは、今申し上げました通り、ポツダム條項の実施のために日本政府に対して発する命令であるということで、日本政府はそれを遵守しているわけでありまして、国民に対する拘束力につきましては昭和二十一年勅令第三百十一号に基きまして、国民に対する拘束力は規定されているわけでございます。メモランダムの公表の点でございますが、その公表につきましてはこれを発出いたします総司令部の方において取扱われる問題になつております。従来これが公表されないものもございます。  最後にポツダム政令が憲法に違反する場合等に最高裁判所に提訴できるか、アメリカの大審院に持つて行くかというような問題につきましては、どうも私のお答えは適当ではないと思います。それは法務府にも御質問願いたいと思います。
  108. 佐々木盛雄

    ○佐々木(盛)委員 電力再編成の覚書は要求ですね。
  109. 木村四郎七

    ○木村説明員 あれも総理に対するマツカーサーの書簡という命令の形式であります。
  110. 守島伍郎

    ○守島委員長 川上君。
  111. 川上貫一

    ○川上委員 ごく簡單にお聞きします。私がさきに質問しました残りの三点だけです。琉球のことですが、これは政府がたびたび言つている通りだと言われるのではわかりませんが、米国の対日講和七原則の中に明らかに琉球と小笠原は信託統治のもとに置いて、アメリカの管理下に置くということが出ております。こういう條件が出ておりますので、このことについてこういう状態になればこれは必ず戰略統治になる、平和の保障ではなくて中国に向ける鉄砲の基地になるのは明らかであるが、こういう場合に琉球と小笠原は日本のものであるということを政府は強く主張する意思があるかどうか、これが一つ。  第二はPD工場、LR工場における人権問題について、日本人なるがゆえに人権がないということで、法務総裁に聞いてくれという御答弁でありましたが、これは朝鮮動乱に関係し、また国際的な問題にも関係がありますので、政府はかような考えを持つておられるのかどうかということを西村條約局長に特にお聞きしたい。  第三には軍需品の生産、これを輸送させることは占領政策である。これに反対した労働者が処罰されているが、これはどういうことになるのであるか。これは西村條約局長にお聞きしたい。こういうことは占領政策であるか、もしそうであればいかなる法的根拠によるのであるか、いかなる降伏條件によるのであるか、これをはつきりとお伺いしたい。
  112. 草葉隆圓

    草葉政府委員 私がさきにお答え申し上げましたのは、実は前回も同じ内容のお答えを申し上げておりますので、速記等にも載つていると存じます。これは並木委員の先の御質問にもお答えいたしましたが、七項目に小笠原並びに沖繩の問題が出ているのであります。しかしこの七項目そのものはソ連からの回答もありましたように、各加盟十二箇国の回答はまだ不明でありますので、これが固まつて参ります上においての問題だと思います。ただ日本政府といたしましては、従来日本国民意思をそのたびに連絡し要望していることは、この前お答え申し上げた通りであります。
  113. 太田一郎

    ○太田政府委員 法務総裁が何と言われたか存じませんのでお答えはできません。  その次の労働者云々のお話でありますが、さような事実は私は聞いておりませんのでお答えはできません。
  114. 守島伍郎

    ○守島委員長 山本君。
  115. 山本利壽

    ○山本(利)委員 朝鮮動乱と抑留同胞の問題について留守家族の者が非常に心配しておりますので、この際次の点を明らかにしていただきたいと思います。  それは最近北鮮共産軍陣常に相当数の日本人抑留者が使用せられているように聞きますが、外務省の方面で入手しておられるこの間の情報を承りたいと思うのであります。もし多少でもいるという懸念があるとすれば、これらの問題に対して、日本現状日本政府希望とを知らしむる手段が連合軍を通じてでもとられているかどうか、そのような点についても承りたいと思います。
  116. 草葉隆圓

    草葉政府委員 現在までさような日本人が北鮮共産軍の中に加わつているという情報は全然ございません。
  117. 守島伍郎

    ○守島委員長 菊池君。
  118. 菊池義郎

    ○菊池委員 マツカーサー元帥が前線から国連に提訴しております。今度は今までと違つて中共二十万の新たなる軍隊がわれわれの敵としてまわつているというわけで、現在この二十万の中共軍と戰つているのであります。簡單に御答弁いただけばよろしいのでありますが、われわれはこの侵略軍を膺懲するところの国連軍をこれまで助けて参りました。しからばこの侵略軍を援助せんがために介入して参りました中共軍と戰う場合におきましても、同じくわれわれはこの国連軍に協力しなければならないと思うのでありますが、政府の所信をお伺しておきたいと思います。
  119. 草葉隆圓

    草葉政府委員 これは先ほど私が申し上げました昨日のマツカーサー元帥声明にもありましたように、まことに好ましからざる状態でありまして、国連軍はこの状態に対しまして十分なる方法を講じつつあると存じます。私どもも従来通りの国連に協力は当然だと考えます。
  120. 菊池義郎

    ○菊池委員 今日法務総裁がおいでになりませんが、ポツダム政令によりまして戰時中にたくさんできました団体が戰後において解散を命ぜられたものがたくさんございます。全国にわたりましておそらく何十あるいは百にも及んでいるかもしれません。この解散せられた団体に所属しておつた者は、今日政党の決議機関に加わることができないという規定があつて、それでもつて皆いろいろな不便を感じてい食うなわけであります。たとえば議員にいたしましても衆議院も参議院も両方合せて二、三十人くらいあるのではないかと思います。各党の決議機関に加わることはできない、総務にもなることはできぬし、幹事にもなることはできない、幹事長にもなることはできない、だが官吏になることは少しもさしつかえない、総理大臣になつてさしつかえない、この総理大臣、大臣なんという者は一国の枢機に参画するどころではない、国の政策を決定し、これを実施するという地位にある、そういう人は許されながら、党の決議機関にも加わることができない、ことに矛盾撞著するところの法令でもつてみな縛られているようなわけなのであります。議員ですらもそのくらいである、全国にわたりまして何万人おるかわらないのであります。それは御承知のはずと思いますが、これに対して何か方法を講じておられるか、この指令に対して陳情折衝などをやつておられますか、あるいはこれをそのままに放任されておりますか、これからも放任されるつもりでありますか、お伺いいたしたいと思います。
  121. 草葉隆圓

    草葉政府委員 外務省では外務省所管でないですからお答えできかねますから次の機会にお願いいたします。
  122. 並木芳雄

    ○並木委員 私の先ほどの民間航空に対して松尾航空保安長官が答弁に見えておりますので、お答え願います。
  123. 松尾靜磨

    ○松尾説明員 国内航空問題についてでありますが、並木さんがおつしやいました通り、現在は日本人には航空事業は禁止されております。なお飛行機を操縦することも禁止されております。今度できます日本内国航空株式会社は、本年の六月二十六日に出ました覚書によりますと、終戰の当時の九月から本年の一月までに日本に乗入れを許可されて、しかも事業を継続している外国の会社が七社ございますが、それが融資をして組織する一つの会社でやるのであります。なおこの内国航空の事業計画というものがまだ出て来ておりませんので、どういうコースでどことどことをやる、どういう人を使つてやるかということはまだはつきりわかつておりません。
  124. 守島伍郎

    ○守島委員長 それでは本日はこれで散会いたします。     午後零時五十八分散会