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1950-12-08 第9回国会 衆議院 運輸委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年十二月八日(金曜日)     午前十時四十五分開議  出席委員    委員長 前田  郁君    理事 大澤嘉平治君 理事 岡田 五郎君    理事 坪内 八郎君 理事 原   彪君    理事 米窪 滿亮君       尾崎 末吉君    尾関 義一君       黒澤富次郎君    玉置 信一君       畠山 鶴吉君    堀川 恭平君       前田 正男君    滿尾 君亮君       柳原 三郎君    淺沼稻次郎君       中西伊之助君    飯田 義茂君       石野 久男君  出席政府委員         地方行政調査委         員会議議長   神戸 正雄君         運輸事務官         (鉄道監督局         長)      足羽 則之君         運輸事務官         (鉄道監督局国         有鉄道部長)  石井 昭正君  委員外出席者         議     員 小淵 光平君         運輸事務官         (中央気象台総         務部長)    北村 純一君         運 輸 技 官         (港湾局長)  黒田 靜夫君         運 輸 技 官         (港湾局計画課         長)      中道 峰夫君         運 輸 技 官         (鉄道監督局施         設課長)    宮澤 吉弘君         海上保安官         (海上保安庁海         事検査部長)  松平 直一君         海上保安官         (海上保安庁灯         台部長)    粟澤 一男君         日本国有鉄道施         設局電化設備課         長       小柳 美一君         專  門  員 岩村  勝君         專  門  員 堤  正威君 十二月七日  委員畠山鶴吉君及び江崎一治辞任につき、そ  の補欠として橋本登美三郎君及び中西伊之助君  が議長指名委員に選任された。 同月八日  委員橋本登美三郎辞任につき、その補欠とし  て畠山鶴吉君が議長指名委員に選任された。 同日  委員畠山鶴吉辞任につき、その補欠として岡  崎勝男君が議長指名委員に選任された。 同日  委員岡崎勝男辞任につき、その補欠として畠  山鶴吉君が議長指名委員に選任された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  運輸行政地方移管に関する件  鉄道電化に関する件   請願  一 紀勢線全通促進請願川崎秀二君外八名    紹介)(第一号)  二 生保内、雫石両駅間に鉄道敷設請願(石    田博英君外四名紹介)(第四号)  三 山田線復旧促進に関する請願鈴木善幸君    紹介)(第八号)  四 近文、沼牛両駅間に鉄道敷設請願(松澤    兼人君紹介)(第一〇号)  五 落合、高梁両駅間に鉄道敷設請願(大村    清一君紹介)(第五一号)  六 隼人、大泊間鉄道敷設請願前田郁君紹    介)(第一五五号)  七 伊東下田間鉄道敷設促進請願畠山鶴吉    君紹介)(第一五九号)  八 岩内、黒松両駅間に鉄道敷設請願苫米    地英俊紹介)(第一六〇号)  九 宮下、川口間鉄道敷設請願菅家喜六君    紹介)(第二三一号) 一〇 上野市、名張町間鉄道敷設請願淺沼稻    次郎紹介)(第二三二号) 一一 上信鉄道敷設促進請願小淵光平君紹    介)(第二三四号) 一二 上野市、夕張町間鉄道敷設請願川崎秀    二君紹介)(第二三六号) 一三 岩国、日原両駅間鉄道敷設請願佐藤榮    作君紹介)(第二三七号) 一四 三陸鉄道敷設請願小澤佐重喜紹介)    (第三五六号) 一五 勝山、倉吉両駅間鉄道敷設請願(星島二    郎君外一名紹介)(第二八一号) 一六 赤穂線敷設工事促進に関する請願若林義    孝君外一名紹介)(第三四六号) 一七 根北線鉄道敷設促進請願伊藤郷一君紹    介)(第四〇三号) 一八 津軽線復活促進に関する請願山崎岩男君    紹介)(第一五八号) 一九 石巻線を雄勝町まで延長請願内海安吉    君紹介)(第三一五号) 二〇 浜松米原間鉄道電化促進に関する請願(    青木孝義君外一名紹介)(第五二号) 二一 奈良、湊町間鉄道電化請願田中萬逸君    紹介)(第一五四号) 二二 浜松米原間電化促進請願江崎真澄君    外四名紹介)(第二七九号) 二三 門司港、鳥栖両駅間鉄道電化促進請願(    平井義一紹介)(第三四七号) 二四 名古屋、多治見間鉄道電化請願(平野三    郎君紹介)(第五二三号) 二五 日南鉄道全通促進請願外一件(田中不破    三君紹介)(第四〇〇号) 二六 阪和線拂下げに関する請願小西寅松君外    二名紹介)(第四六四号) 二七 川坂地内鉄道踏切廃止並びに道路開設の請    願(佐藤重遠紹介)(第六号) 二八 鉄道線路防音接続装置に関する請願(坪    内八郎紹介)(第一六一号) 二九 南小樽駅に急行列車停車請願苫米地英    俊君紹介)(第一六二号) 三〇 野村、谷川両駅間に列車増発請願(吉田    省三君紹介)(第一六五号) 三一 吉都線に熊本經由門司行の準急列車増発の    請願田中不破三君紹介)(第三九五号) 三二 日豊線準急列車を東京まで延長請願(田    中不破三君紹介)(第三九四号) 三三 日詰、古館両駅間に簡易停車場設置請願    (山本猛夫紹介)(第一六六号) 三四 鵜住居、釜石両駅間に簡易停車場設置の請    願(山本猛夫紹介)(第一六七号) 三五 矢神、坂根両駅間に簡易停車場設置請願    (橋本龍伍紹介)(第五〇六号) 三六 大津濫駅改築請願北澤直吉君外君名紹    介)(第二八三号) 三七 大山駅待合室築設の請願佐々木盛雄君紹    介)(第二三八号) 三八 福島仲町拡張請願外一件(田中不破三    君紹介)(第三九九号) 三九 志布志、古江両線の列車ダイヤ改正の請    願(田中不破三君紹介)(第三九八号) 四〇 学士院会員無賃乗車券交付に関する請願    (松本七郎紹介)(第四六五号) 四一 鶴ケ坂駅に貨物取扱開始請願山崎岩男    君紹介)(第一六四号) 四二 坑木の鉄道運賃等級引下げに関する請願(    岩川與助紹介)(第五〇号) 四三 県道遠野川井線国営自動車運輸開始の請    願(野原正勝君外三名紹介)(第二八〇    号) 四四 三重、豊後荻両駅間を大分鉄道管理局管内    に編入の請願金光義邦君外三名紹介)(    第二号) 四五 日本国有鉄道法の一部改正に    関する請願増田甲子七君紹介)(第三    号) 四六 広尾修築費国庫補助請願高倉定助君    外一名紹介)(第九号) 四七 青森修築工事促進請願山崎岩男君紹    介)(第一五七号) 四八 赤碕改修工事促進請願稻田直道君紹    介)(第三一三号) 四九 熊石港しゆんせつ並びに拡張工事施行の請    願(川村善八郎君外一名紹介)(第一五一    号) 五〇 有家災害復旧費国庫負担金交付促進の請    願(山本猛夫紹介)(第一六九号) 五一 港湾法の一部改正に関する請願坪内八郎    君一名紹介)(第三一四号) 五二 港湾法による港湾工事費負担率改正請願    (安部俊吾紹介)(第一五二号) 五三 下田港を避難港指定請願畠山鶴吉君    紹介)(第一五三号) 五四 根占港を商港指定並びに修築請願(前    田郁紹介)(第二三五号) 五五 油津港を重要港湾指定請願田中不破    三君紹介)(第三九六号) 五六 首崎に燈台及び警笛設置請願鈴木善幸    君紹介)(第七号) 五七 綾里岬燈台霧中信号施設設置請願(    淺利三朗紹介)(第二九〇号) 五八 花咲燈台霧信号設置請願伊藤郷一    君紹介)(第四〇二号) 五九 落石埼燈台霧笛設置請願伊藤郷一君    外一名紹介)(第四〇四号) 六〇 塩釜に燈台設置請願山崎岩男紹介)    (第八〇号) 六一 曽根の鼻に燈台設置請願福田昌子君紹    介)(第三四八号) 六二 小瀬戸、神の島間水路開設請願坪内八    郎君紹介)(第二四六号) 六三 小瀬戸、神の島間水路開設請願岡西明    貞君紹介)(第四二〇号) 六四 黒島に航路標識設置請願田口長治郎君    紹介)(第四六六号) 六五 日南油津海上保安部内に船舶検査官分室    設置請願田中不破三君紹介)(第四〇    一号) 六六 鹿児島測候所地方気象台に昇格の請願(    前田郁紹介)(第五九号) 六七 日和佐町に徳島測候所分室設置請願(岡    田勢一君紹介)(第四八五号)   陳情書  一 船川港町に海上保安部置並びに無線通信    部設置陳情書    (第五号)  二 船舶戦争保険等に関する陳情書    (第六号)  三 岐阜県関町、鵜沼町間に電車敷設陳情書    (第二    〇号)  四 北海道南部予定鉄道線敷設促進陳情書    (第二五号)  五 浜松米原間鉄道電化促進陳情書    (第三号)  六 瀬戸内海沿岸観光ホテル設置陳情書    (第三四    号)  七 清水港を重要港湾指定陳情書    (第三七号)  八 東北地方国鉄電化促進に関する陳情書    (第四四    号)  九 国鉄赤穂線完成促進、の陳情書    (第七五号) 一〇 宇野港を重要港湾指定陳情書    (第八七    号) 一一 新潟、直江津、この三港を重要港湾指定    の陳情書(    第一〇四号) 一二 国鉄職員に対し寒冷積雪地給支給陳情書    (第一〇九号) 一三 宇野港を重要港湾指定陳情書    (第一二二号) 一四 鹿児島港に船員職業安定所設置陳情書    (第    一二五号) 一五 官立大島商船学校存置陳情書外一件    (    第一三八号) 一六 官立富山商船学校存置陳情書外一件    (第一    三四号) 一七 神戸港第七突堤築設に関する陳情書    (第一五八号) 一八 北海道港湾修築工事費国庫負担陳情書    (第一六三    号) 一九 港湾工事に対する国庫補助増額陳情書    (第一八〇号) 二〇 山陰線丹波口駅に北品新設陳情書    (第一八    一号) 二一 青森函館間海底トンネル開通促進陳情    書    (第一九八    号) 二三 ろうあ者に対する旅客運賃割引等に関する    陳情書    (第一九九号) 二三 紀勢線全通に関する陳情書外四件    (第二二二    号) 二四 日本琉球間航路船荷運賃に関する陳情書    (第二三二号) 二五 左荒寒楯線鉄道敷設工事促進に関する    陳情書    (第二七六号) 二六 関釜航路基地に関する陳情書    (第二八五号) 二七 函館青森県間の営業キロ数の是正に関す    る陳情書    (第二九二号) 二八 国費による境港施設工事に関する陳情書    (第三〇〇号) 二九 急行特別二等車を鹿児島まで延長等に関す    る陳情書    (第二〇七号) 三〇 港湾法改正に関する陳情書    (第三二    号) 三一 京都駅再建に関する陳情書    (第三二五号) 三二 日本国有鉄道法の一部改正に関する陳情書    外二件    (第三三九号)     ―――――――――――――
  2. 前田郁

    前田委員長 これより会議を開きます。  これより請願審査に入ります。その審査方法についてお諮りいたします。本日も前国会における審査方法と同様、御出席になりました紹介議員のみ説明を承るごとにいたし、他は文書表によつて承知を願うことといたしまして、ただちに政府の御意見を承ることにいたしたいと思いますが、この取扱いに御異議はありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 前田郁

    前田委員長 さよう決定いたします。  日程五一、港湾法の一部改正に関する請願紹介議員説明を求めます。坪内八郎君。
  4. 坪内八郎

    坪内委員 この請願要旨を申し述べます。本請願要旨は、港湾法港湾行政簡素化運営効率増進をはかるものであるが、本法條文中にははなはだ妥当を欠く箇所があるので、これがすみやかに次の通り改正されたいというのである。(一)第一條「利用及び管理方法」を「利用及び管理運営方法」とすること、(二)第四條第一項中「又は予定港湾区域地先水面とする地方公共団体」を「又は予定港湾区域地先水面とする市町村(都の区を除く)」とすること、以上の通りでございますが、この港湾法はすでに御承知通り先般国会を通過いたしておるのでありますが、仏をつくつて魂入れずというようなかつこうになつておりますので、なるべく早くこの運営ができるようにするには、こういつた要点を改正しなければならないということに相なつておりますので、この請願を十分御審議くださいまして、御採択あられるようにお願いいたす次第であります。
  5. 前田郁

    前田委員長 政府意見を求めます。
  6. 黒田靜夫

    黒田説明員 港湾法の一部改正に関する御請願でございますが、港湾法は昨年制定に相なつたのでございますが、政令の実施が諸種の関係でまだ制定になりません。従いまして港湾法に基く管理母体も、まだいずれの港湾もできておらないような実情でございまして、御請願の内容をさらに十分検討いたしまして、その上で改正を要するところがあれば、港湾法改正いたしたいと存じております。
  7. 坪内八郎

    坪内委員 ちよつとお尋ねいたします。第四條の「地方公共団体」を「市町村」に改めるというふうに、法律の改正要望いたしておるのでありますが、この「地方公共団体」を」市町村」に改めると、どんなところに大きな弊害といいましようか、影響がありましようか、その点をお伺いいたしたいと思います。
  8. 黒田靜夫

    黒田説明員 第四條は、港湾区域をきめます場合に、現在の港湾法では地先水面関係のある地方公共団体なつておりますが、改正案趣旨は、これを市町村というぐあいに修正してもらいたいということでございますが、市町村といたしますと、公有水面をこれまで知事が管理しておりました関係で、県が抜けることとなるのでございます。横浜とか神戸のような国が經営しております港湾につきましては、兵庫県とか神奈川県が影響するところは比較的少いのでございますけれども、その他の府県におきまして、県一般を排除するような表現は、結果的にいろいろな摩擦を起す心配があるかと存ずるのであります。
  9. 前田郁

    前田委員長 日程五四へ根占港を商港指定並びに修築請願、本席より私が論明いたします。本請願要旨は、根占港は鹿児島大隅半島雄川河口に位置し、港を中心として背後に産する物資を積出し、あるいは日常生活必需物資及びその他の搬出港としてはもちろん、湾内の避難港として、また海上交通拠点として、きわめて重要な位置を占めているのでありますが、雄川の流失する土砂により河口が次第に浅くなり、船舶港口出入に大なる影響を及ぼしており、沖合よりはしけまたは満潮時を利用して積出さなければならない状態になつておるのであります。ついては南大隅地区海上交通拠点である根占港を商港指定するとともに、港湾修築工事施行されたいというのであります。ここはタバコの非常な産地でありまして、タバコの積出しが多いのであります。どうかひとつよろしくお願いいたします。
  10. 黒田靜夫

    黒田説明員 根占港が地方港湾として非常に重要な点につきましては、今お伺いした通りでございますが、本港の隣に指定港湾に相なつております大根占港というのがございまして、この大根占港は、二十三年度から修築工事を実施しておる関係もございますので、これが指定港湾指定につきましては、地元の申請がありましたならば、これを愼重に調査いたしまして、善処いたしたいと考えております。
  11. 前田郁

    前田委員長 次に日程三八、鉄道線路防音接続装置に関する請願文書表一六一号。並びに日程六二、小瀬戸神の島開水路開設請願文書表第二四六号、以上紹介議員説明を求めます。坪内八郎君。
  12. 坪内八郎

    坪内委員 鉄道線路防音に関するこの請願は、この前の第八国会でも請願いたしまして、採択に相なつておる次第であります。大体これは趣旨にも書いてありますけれども、鉄道のあの線路騒音が非常に旅行するにあたつて不愉快であるから、なるべくあの願書を防止しようという、これはいわゆる新しい機械の発明でございまして、これを鉄道線路採択していただきますると、鉄道接続騒音も防止されるし、また気持よき帳行ができる。またほかにいろいろ予算面におきましても、大して支障はないのではないかと考えております。これはさきに請願して採択に相なつておる次第であります。その後この機械接続面が、どうも弱いのではないかという当局のお話でありましたので、請願者においてさらに科学的に愼重研究した結果、この前の第八国会に提出した機械のサンプル以上に、りつぱなものができつておるのでございますので、この面を十分御検討くださいまして、ぜひとも鉄道線路防音装置関係を、積極的に考えてほしいという請願でございますので、採択の上はぜひとも、当局におきましても積極的な研究をしていただきたい、かようにお願いする次第でありまする
  13. 前田郁

    前田委員長 政府説明を求めます。
  14. 宮澤吉弘

    宮澤説明員 今御請願になりました防音接続装置でございますが、これにつきましては純技術的の問題でございまして、相当研究を必要とするものでございますので、関係研究所内に国下調査を依頼しておる次第でございますので、今ただちに採用する、しないという確答までは、いたしかねると存じておる次第であります。実際問題といたしまして、こういつた効果を現わすのには、相当の年月を要することでございます。ので、そのお含みおき願いたい。かように存ずる次第でございまする
  15. 坪内八郎

    坪内委員 御説明よくわかるのでありますが、大体ごろいつた騒音防止は、外国でも実際にやつておる例もありますし、これを運輸技術研究所研究していただいて、この趣旨に基いて実際にやつてみるということについては、相当困難な点がありましようか、その点をちよつと伺いたい。
  16. 宮澤吉弘

    宮澤説明員 もしこれが現実に効果的であるということになりましたら、技術的な問題と費用の問題と両方からあると存じますが、両方含めましていいということになれば、もちろん実施するにさほど困難ではないだろうと存ずる次第でございます。
  17. 坪内八郎

    坪内委員 それでは適当な機会に、この機械によつてテストしていただくように強く要望いたしておきます。  次に小瀬戸、神の島間水路開設請願でありますが、この爪瀬戸神の島と申しますのは、私の郷里の方でございまして、請願趣旨にも書いてございますように、長崎港のちようど港の入口になつておりますが、神の島小瀬戸との間は、従来幅員約二百五十メートルの海峡をなし、長崎港以北及び玄海沿岸一帶と往来する各種中小船舶にとつて、この水路は、長崎港口北の出入口をなし、唯一安全な交通路として全面的に利用されて来たのであるが、終戦直前軍建設用地として埋め立てられたため、交通路は閉鎖され、竣功を見ないまま放置されている現状であります。ついてはすみやかに本水路を開設し、もつて長崎港の発展に寄與されるように要望いたす次第であります。この小瀬戸、神の高間は、もともとこういつた中小船舶が自由に交通しておつたので拠りますが、戦争中に軍の威力をもつて、島民が絶対反対をして、軍人の足に泣きすがつて、これの埋立てをしないように要期したのでありますが、当時はあのような客観的な状況でありましたので、かようなことを言うのは国賊だということで、泣きの涙で小瀬言神の島間を埋めてしまつたというような現状に相なつておる次第であります。そこで前々からこの掘り切り方について要望があつたのでありますが、いろいろ国経済面、あるいは地元関係、いろいろなことからいたしまして、表面に出なかつたわけでありますけれども、遂に国会請願して、この際ぜひともひとつ水路を開設してほしいということであります。なおこの辺一帯は西彼杵郡の半島になつておりまして、零細な一本釣り漁民が多数におりますが、その漁民がこの水路が埋まつたために、一本釣りができない。水路がとざされてしまつたために、魚がどこかに逃げてしまつた。専門的ないろいろな関係がありましようが、魚がいなくなつたという現状でありまして、この附近の漁村は非常に疲弊してしまつたのであります。こういつた面からいたしましても、ぜひともこの際これを掘り切つてもらいたいという要望であります。これは月並な請願ではなくして、ほんとうに真剣な請願でありますので、その点を御賢察くださいまして、採択の上はぜひともこれを実現させていただきたい、かように考えておる次第であります。よろしくお願いいたします。
  18. 前田郁

    前田委員長 政府側出席しておりませんので、後刻意見を求めることにいたします。
  19. 前田郁

    前田委員長 日程四六ないし日程五〇及び日程五三、五三及び五五は港湾関係でありますので、一括政府側意見を求めます。
  20. 黒田靜夫

    黒田説明員 日程四大は、広尾修築費国庫補助請願に関する事項でございますが、広尾港は釧路と室蘭の間におきまする避難港として、また襟裳漁田を控えた漁港として、重大な使命を有する港湾であります。しかしながらこの近海は相当濃霧があり、また風浪もはげしい次第でありまして、年々船舶被害相当発生しております。従いまして本港において、これらの被害を除去しまして、安全な泊地修築するための港湾計画を検討いたしております。昭和二十六年度におきましては、公共事業費のわくが比較的少かつたのでございますので、とりあえず泊地浚渫南防波堤かさ上げを目下計画しておるような次第でございます。  次に四七の青森修築工事促進請願でございますが、青森港は、本土の北端におきまする接岸施設を有する重要な港湾でありますし、また北海道との連絡港として、まことに重要な地位を占める港湾でございます。従いまして本港につきましては、昭和二十一年以来毎年引続き港内の浚渫、あるいは堤川の荷揚場浚渫等施行いたしておりますが、地元の強い熱望であります本船岩壁の築造につきましては、二十六年度においてその一部に着手いたしたい、こういうふうに考えておる次第であります。  四八の赤碕改修工事促進請願でございますが、これは鳥取県の赤碕でありまして、これも本請願趣旨通り避難港といたしましても、また漁港といたしましても、重要な港湾でありますので、当局といたしましても、本港長期改修計画を樹立いたしまして、継続的改修をはかつておるような次第でありまして、二十六年度におきましても、国家財政の範囲内において、その計画の一部を実施いたしたいと考えております。  四九の熊石港しゆんせつ並びに拡張工事施行請願でありますが、熊石港は北海道の爾志、江差の少し北にあります港でございますが、この港は漁船の避難港として重要な港湾でございますが、昭和二十六年度といたしましては、国の港湾関係予算がきわめてきゆうくつな実情もございまして、二十六年度施行は困難でございますが、本計画に対しましては十分検討の上、将来これの施行について善処いたしたいと存じております。  その次は日程五〇の有家災害復旧費国庫負担金交付促進請願でございます。この有家港は、岩手県の北部にあります港でございまして、ここの港の防波堤昭和二十三年の台風によつて、決壊、流失しております。当時災害復旧工事といたしまして、その延長三十五メートルを採択済みでございます。避難港あるいは經済的な港といたしましても、重大な役割を持つておるのにかんがみまして、早急に復旧の必要を認めまして、本年度の災害復旧工事として、その延長二十六メートル分の交付を済ましております。残工事は二十六年度において実施したいと考えておるような次第であります。  五十二は港湾法による港湾工事費負担率改正請願でございまして、塩釜の市長さんから出ておる請願であります。港湾法では、重要港湾につきましては五割を国が負担し、残りの五割を地元で負担することに相なつております。また地方港湾におきましては、四割を国が補助いたしまして、残りの六割を地元負担といたして、これを全国の都道府県一律に実施しておるのでございます。この請願趣旨は、東北地方港湾工事に対する国庫負担率を、十分の六に上げてもらいたいという御趣旨でございますが、この件に関しましては、ほかの地方との関係、あるいは地方財政の状況なども、いろいろ複雑に関係しておりますので、十分検討いたしまして、東北地方港湾工事の円滑な施行を期したいと存じております。  次に五三の下田港を避難港指定請願でございますが、下田港は昔から非常に各種小型船の避難港として重要でございまして、避難港の選定につきましては目下検討中でありまして、近くその結論をみると存ずるのでありますが、地理的條件等を愼重に検討いたしまして、将来の機会におきまして、これを決定いたしたいと考えております。  それから五五の油津港を重要港湾指定請願でございます。油津港は、宮崎県の南におきます木材積出し港、あるいは漁港として、まことに重要な港湾でございますので、本港につきましても、目下重要港湾の選定につきまして、各方面と検討中でありますので、これもできるだけ努力いたしまして、御希望に沿うようにいたしたいと考えております。
  21. 坪内八郎

    坪内委員 国庫補助の問題でちよつとお伺いいたしたいと思いますが、湾湾法に基いて五割の率になつておるのはよくわかるのでありますが、地方で県が補助をする場合に、その県の管轄にある市町村が、その五割をどういうふうに按分するか。そこのところは何か法律でうたつてあるわけですか。
  22. 黒田靜夫

    黒田説明員 お答えいたします。五割を国が負担いたしまして、五割を地元負担になつておりますが、その地元負担の五割をいかに按分するかという問題につきましては、それぞれ地方の特殊の財政の都合によりまして、いろいろとりきめをやつておるようであります。地元と県が半分々々持つとか、あるいは地元が五割のうち四割を負相するとか、いろいろの場合がございまして、一律には申し上げかねることであります。
  23. 坪内八郎

    坪内委員 その地元の補助の関係の場合は、何か県なら県の條例できめてあるのでしようか。あなたの方の指導関係で、そういう点はよくわかりませんか。
  24. 黒田靜夫

    黒田説明員 これは県と地元が協議してきめておるようでございます。
  25. 坪内八郎

    坪内委員 口頭でですか。
  26. 黒田靜夫

    黒田説明員 口頭と申しますか、慣習と申しますか、そういつたようなことで……。
  27. 前田郁

    前田委員長 ちよつと伺いますが、今度の北海道開発法に基く港湾の負担金の問題ですが、国土総合開発の特別地区は、今度十三くらいできるのじやないかと思います。そうすると、北海道開発法だけを取上げる方がいいか、それも入れる方がいいかということは……。
  28. 黒田靜夫

    黒田説明員 それについて御説明いたしますが、北海道港湾の補助につきましては、従来とも一番開発が遅れておるという見解のもとに、拓殖計画によりまして、特別の補助率を考えてやつて参つたような次第でありまして、港湾に例をとつてみますと、港湾の基本的施設と申しますか、防波堤のような外郭施設、あるいは浚渫のような水域施設につきましては、国が十割を負担し、岩壁とかその他荷揚場のような、地元が何がしか受益するような施設につきましては、七五%を国が負担して、残りの三五%を地元が負担しておりました。従来ともそういう見解でやつてつたのでありますが、港湾法ができまして、一律に他の都府県と同じような補助率なり、あるいは負担率にかわつたのでございまして、北海道につきましては、河川、道路その他漁港等におきまして、いずれも北海道を除く都府県より相当高率の補助をやつております。そういつたようなこれまでのいろいろ沿革的なものがございまして、一般の港湾につきましては、特定の補助率というものは、今までに特殊の場合以外にはございません。特殊の場合と申しますと、非常に甚大な地震の災害を受けたとか、あるいは台風被害を受けたとか、そういう場合以外は、開発のための特定の高率補助というような例はまだないように存じております。
  29. 前田郁

    前田委員長 今度の総合開発の特別地帯、そういうところは北海道とやや似た條件にあるのですが、これは同じような取扱いにするごとについて、どんなものでしようか。局長の御意見ちよつと伺います。
  30. 黒田靜夫

    黒田説明員 これはその地方々々によつて財政状態も違いますし、その補助を上げることによりまして、他の一般港湾の補助にも影響して来ますので、よく研究したいと考えております。
  31. 前田郁

    前田委員長 次に日程五大ないし六一及び日程六四は燈台関係でありますので、一括御意見を求めます。海上保官庁燈台部長粟澤説明員。
  32. 粟澤一男

    粟澤説明員 ただいま議題に付されました事項は、いずれも燈台の新設、あるいはこれに併置します霧信号の新設という問題でございます。御承知のように日本の海岸線は今約一万二千マイルにわたりまして、それに対しまして燈台その他燈柱、燈標等、夜火のつくところが約千二百ございます。これを海岸線に比較いたしますと、十海里に一つという数字になります。この数字は私どもから申しますと、非常に貧弱な数字でございまして、できますれば現在の約倍という数字が必要ではないかというふうに考えられております。千二百の倍と申しますので、今まで燈台ができましてから八十年間かかつて参りました数字を、できるだけ早い機会に、同じものをこれから新設して行かなければならぬという條件になつております。私ども鋭意予算の獲得その他に努力いたしておりますが、遺憾ながらまだ十分な数字を得ておりません。特にただいま議題に上されました燈台は、北海道、東北方面に多く出ております。これは現在の整備状況から申しましても、北海道、東北方面は特に燈台の整備状況が悪いのでございまして、請願の出るのももつともだと存じまして、私どももできるだけその方面に重点を置いて、整備をはかりたいというふうに考えております。  具体的に一つ一つ申しますと、日程五六の岩手県首崎の霧笛の設置でございますが、御承知のように三陸海岸は非常に霧も多く、あるいは北東の地方風も非常に多いのでございまして、濃霧等の場合には、ぜひ霧笛が必要であります。私どもとしましては、ぜひこれは実現したいと思つております。  それから次の綾里岬燈台、これは現在燈台がございますが、それに霧信号を新しく併置してもらいたい。これも同様、やはり岩手県でございまして、必要な所というわけであります。この二件は昭和二十七年度に予算要求をいたしまして、実現いたしたいと希望いたしております。  それから日程五八、花咲燈台、これも燈吾はすでにあるのでございますが、根室の近くの花咲燈台に、新しく霧信号をつけてもらいたい。これも土地柄、非常にソビエト領にも近く、むずかしい所でございます。また霧も非常に多い所でございますので、ぜひ早急にいたしたい。これは昭和二十六年度に予算要求をいたして、認められましたならば実現いたしたい、こういうふうに考えております。  それから日程五九、落石埼燈台にこれも霧信号を併置してもらいたい。落石埼の燈台は、今申し上げました花咲燈台のやや西南の方に当ります。同様の條件の所でございますので、これも昭和二十六年度に予算要求をいたしまして、認められましたならば、できるだけすみやかに実現いたしたい、こういうふうに考えております。  それから日程六〇、これは陸奥塩釜に燈台を新たにつくつてもらいたいという件でございます。これは陸奥塩釜と申しますが、宮城県の塩釜ではないのでございまして、もつと北の方の青森県になつておりますが、あの方面は相当長い海岸線でありますが、燈台がなくて、船の航行には非常に不便を来しておりますので、これも昭和二十六年度にできますれば予算を認めていただければ、実現いたしたいというふうに考えております。  日程六一、曽根の鼻の燈台設置、これは福岡県でございますが、福岡県の津屋崎という町の港のはなになつております。これは調べによりますと、對難船も相当ございます。また暗礁などがありまして、まことに必要な所とは存ずるのでありますが、利用度その他数学的に当つてみまして、ほかの所に比較いたしまして、やや重要度が落ちるといいますか、緊要度が薄いというふうに考えておりますので、二十七年度まではまだ予算要求の計画が立つておりません。必要なことは私どもの方においてもわかりますので、できるだけすみやかに実現することに努めたいと考えております。  それから第六四、これは對島のほぼ中央に当りますが、東海岸に黒島という島がございます。そごに航路標識を新しくつくつてもらいたいという請願で、これも非常に航行のむずかしい所でございまして、また近辺に有数な漁場もございますし、非常に必要だと思いますので、昭和二十六年度に予算を要求いたしまして、認められましたならばすみやかに実現をはかりたい、こういうふうに考えております。簡単でございますが、燈台関係について一括して御説明申し上げました。
  33. 前田郁

  34. 松平直一

    ○松平説明員 本件については以前にも陳情がありましたので、いろいろ検討を加えておつたのでございますが、定員、予算等の関係から、今日までなかなか実現が許されなかつたのでございます。しかしさしあたつて鹿児島海上保安部に検査官を一名増員いたしまして、その方で出張検査を現在行つておるわけでございますが、それによつて船舶検査に支障のないようにいたしておりますので、今後なお努力を続けまして、御趣旨に沿うようにいたしたいと考えております。簡単でございますが、御説明といたします。
  35. 前田郁

    前田委員長 次に日程第六、隼人、大泊間鉄道敷設請願、第一五五号は私が紹介議員でございますので、ちよつと御説明を申し上げます。  本請願要旨は、隼人、川北認定線を佐多町大泊まで延長されるとともに、鹿児島県大隅半島は、交通機関の不備なため、文化産業等の点において薩摩牛島に著しく劣つている状態であります。ついては古江、大泊間鉄道路線測量をただちに実施されまして、さらに鉄道敷設を促進されんことをお願いいたしたいのであります。
  36. 石井昭正

    ○石井政府委員 ただいま御説明のございました隼人、大泊間鉄道でございまするが、この隼人、大泊間鉄道のうち、隼人、国分間延長三キロ六分と古江、高須間延長六キロ八分はすでに開業いたしております。残りの区間、国分、古江間及び高須川、北開延長約七十一キロは鉄道敷設法予定線でありますが、川北、大泊間延長約二十大キロは予定線になつておりません。沿線は農、水、林産資源が豊富でありまして、途中に福山町、垂水町の都邑があるほか、海潟温泉及び桜島等があつて、観光客も多いようであります。また鹿兒島県として県政上、鹿屋、志布志地方行政上必要な線路としても考えられます。經過地は終始鹿児島湾に沿い、地形はおおむね良好であるが、諸所に山脚の出入があつて、数多の隧道ができ、相当工事量のある見込みであります。当局といたしましては鉄道の新線建設についてはかねてより研究中であり、これが実現に万般の施策を講じておりますので、本路線についても今後十分調査したい考えであります。
  37. 前田郁

  38. 小淵光平

    小淵光平君 この上信線の新線延長についての請願は、北上毛地方と北及び東信州地方は、従来全国屈指といわれる無限の資源を包蔵しておるのでありますが、広大な地域に比して交通網が完備されなかつたために、発電関係等を除いてはほとんど開発が顧みられない状態であつたのであります。しかるに戦時における生産増強の要請に伴つて、この地域における資源開発がとみに期待されるようになつてからは、諸種の施策が講ぜられて、遂に昭和二十年一月、長年の宿願であつた国鉄長野原線の開通を見て、鉄鉱石、硫黄、林産物及び高原蔬菜等の重要物資が搬出せられるに至りまして、この地域の開発はようやくその緒についたのであります。  しかし国鉄長野原線は、群馬県長野原町を終駅としておりまして、それより上田市に通ずる四十一キロの奥地山間地帶は、省営自動車によつて連絡するにとどまり、その沿線に包蔵されている広大な産業資源と観光地帶は、交通不便のために睡眠状態となつておるのでありまして、經済文化の発展に影響するところきわめて大なるものがあるのであります。飜つて、群馬県澁川町と長野県上田市を結ぶ上信鉄道の敷設問題を考えますと、大正時代から長年にわたり、群馬、長野両県の関係民一丸となつて署名陳情するなど、これが開通を宿願として鉄道関係当局に懇願を申し上げて来たのでありますが、幸い関係当局におかれては万難を排して、群馬県長野原町までの実現をはかつていただいたのであります。その後国土総合開発計画に基いて、建設省の要請もあり、群馬県においては、吾妻郡の総合開発計画がすでに立案せられておるのでありますが、これに呼応して地元関係者の熱意によつて、吾妻地方総合開発協会の設置をすでに見ておるのでありますが、この総合開発の基幹となる国鉄の敷設こそ、最大要事であると考えざるを得ないのであります。ただちにこれを取上げて、強力なる推進をはかつておりまするが、群馬県並びに長野県下に結成された上信鉄道期成同盟会においても、これと相提携協力して、その実現を促進し来つたのであります。北上州と北東信州を鉄路によつて直結するのにいま一歩のところにありながら、その実現を見ないことは、当地方のみならず、ひいては日本再建の光めにもはなはだ遺憾とするところでありまして、群馬、長野を結ぶ唯一の信越線が老朽化した現在におきましては、これにかわる新路線として、また有事即応のためにも、上信鉄道敷設こそ、国土再建上喫緊の要事であると考えておるのであります。その実現はきわめて切なるものがあります。ことにこの上信県境附近一帯は、農産物、林産物、鉱工業並びに豊富な電源を有し、産業、經済、文化に至大なる貢献をなしておるのでありまして、観光方面においては、随所に温泉、景勝の地を擁し、昨年指定になりました上信越高原国立公園の代表的中心地でありまして、上信鉄道の開通により、都会地との交通が開かれますならば、未開発資源の開発は容易であり、時代の脚光を浴びて一大国際高原観光地帶として、外遊客を誘致するに至るものと確信する次第であります。商業經済上から見ましても、戦争中上田市は疎開工場によつて工業都市として発展し、これに伴つて商業面においても一段と隆盛の度を増して参りましたが、一面上田市を中心とした民間電鉄及びバス会社も、縦横に交通網を発達させておるのでありますが、上田市の經済文化圏域は、半經十五キロにも及んでおるのであります。これに反して群馬県側の中之條町は、郡の中心地であり、商業文化の中枢をなしているとはいえ、交通網の完備を欠いておるのであります。従つて商業面では澁川町、沼田町等に比べて、はなはだしく遜色している状態であります。従つて北上州は、商業交易部面において上田地方に依存することが多く、不離一体の関係にあることはいなめない事実であつて鉄道による直結こそ、両地方の經済文化の発展を約束する最大のものがあるとともに、新日本の進展に寄與すること絶大なるものがあるのであります。何とぞ関係当局におかれましては、当地方の特殊性を御熟察せられ、特別の御詮議をもつて、上信鉄道のすみやかな実現をはかられますよう、群馬、長野両県民の切なる希望を代表して、ここに請願申し上げます。
  39. 前田郁

    前田委員長 政府側説明を求めます。
  40. 石井昭正

    ○石井政府委員 ただいま御説明のございました上信鉄道でございますが、この路線のうち長野原、嬬恋間約十キロは、かつて上信興業株式会社が明礬石搬出の目的で軽便式專用線の敷設に着手いたしましたが、終戦による情勢の変化で工事を中止いたしております。現在長野原、眞田間には国営自動車の吾妻線が通つてつて、主として旅客の御便宜をはかつておりますが、なお貨物輸送にも相当の努力を拂つている次第でございます。また上田、眞田間には、上田丸子電線が開業いたしております。  さてこの路線の全体でございますが、御説明にございましたように、交通上きわめて有益な路線であり、また資源にも富み、観光地帶としてもゆるがせにできない地帯であることは、まことに御説明通りでありますが、非常に山間部を經過しておりまして、ことに上信国境鳥居峠の前後の地形はきわめて急峻で、千分の三十三の連続勾配で、なおループ線を描かなければこの峠は乗越えられないのではないか、しかも延長四キロ以上の長いトンネルを要するのではないかというふうに考えられますので、相当多額の工事費が予想せられます。従いまして当局といたしましては、新線建設に着手の機運にあります今日、皆様の御援助によりまして、この新線建設が着々と実施されることを望んでおりますし、また当局といたしましても、一段の努力を拂いたいと思うのでございますが、この工事費の関係等もにらみ合せまして、一応十分に調査、研究をさせていただき失い、かように考える次第であります。
  41. 前田郁

    前田委員長 次に日程第一、紀勢線全通促進請願文書表第一号、紹介議員川崎秀二君外八名、紹介議員説明を求めます。
  42. 石野久男

    ○石野委員 私は紹介議員にかわりまして、本請願要旨説明をいたします。紀勢東線中、三重県北牟婁郡尾鷲町及び同南牟婁郡木本町間の鉄道工事は、昭和十六年三月に中止せられましてから後、二十一年の十月に再開を見たのでありますけれども、時局の変遷によりまして、再度中止せられておるのでありまして、現在国営自動車で連絡されておるのでございます。この木本、尾鷲間、わずか三十数キロの区間の工事が進みませんために、国営自動車の連絡によつてようやく便をなしておるのでございますけれども、事実上は貨物輸送などはほとんどでき得ません。この間の区間海抜千メートルにも上るかと思われるような山、川、峠などを、ようやくにしてバスが通つておるというような実情でございます。従つて木本から以南新営に至るところのそれぞれの地元民の諸君は、非常に不便を来しておりまして、特に日常必需物資であります配給物資等においても、わずか三十数キロの地点が連絡ができないために、二百キロ迂回して主食が配給されるというような不便も来しておるのでございます。おそらくは全国の鉄道網の中において、このような重要な幹線が、和歌山、三重をつなぎまして、紀州半島の連絡を断つておるというような、こういうような不便な所ほかにはなかろうと思うのでございます。もしこの三十数キロの地点の連絡がとれるようになりますならば、和歌山県及び三重両部におけるところの物費、資源の貫流が非常に便を得まして、中京地区にその連絡が貫通されることになりまするので、おそらく紀南地方におけるところの經済開発に便を来すことは、われわれがここで喋々するをまたないところだと思うのであります。ことにこの地方の人々が今日の事情のもとにおいて、水運におきましても必ずしも十分な便を得ておりませんときでございますので、いろいろと事情がありましようけれども、わずかに三十数キロの地点であります。もちろん工事といたしましては難工事が予想される点もあるのでございますけれども、でき得る限り早急にこの間の新線建設の工事を再開いたしまして、一日も早く紀勢線の連絡の措置をとつていただきたいと思います。これはひいては地方行政上にも至極便を来すものと存じますので、御当局の十分な御配慮と御好意とによつて、また本委員会における真剣なところのこれに対する御理解によつて、この請願の意図が十分達せられますようにしていただきたい、こういうふうに思うわけであります。すみやかに紀勢線の全通を促進されたいというのが、この請願趣旨であります。よろしくお願いいたします。
  43. 石井昭正

    ○石井政府委員 ただいま紀勢線の全通に対して、請願の御趣旨の御説明がございましたが、本路線を全通いたしますことによりまして、この紀勢東西線が連絡いたしまして、輸送が合理化され、か2二重並びに和歌山両県の南部地方の豊富な森林資源、鉱山資源等開発を促し、かつまた海産物の輸送が円滑となりまして、幾多の面において画期的な便宜を見るに至るということは、まことに御説の通りだろうと思います。この意味におきまして、当局におきましてもこの全通に対しましては、戦争中工事を中止いたしておりましたが、終戦後再開いたしましたのも、こういう事由に基いたのでありまするが、皆様御承知のようにいろいろの事情、特に占領下におきますいろいろの制約のもとに、今日に及んで来たのでございます。当局といたしましても、鉄道の新線建設につきましていろいろ御鞭撻をいただいておりますし、これが実現を見るあかつきになりますれば、交通系絡の整備という面から見ましても、この紀勢線の全通についてはきわめて優先的な考え方をすべきであろう、こういうふうに信じておる次第であります。何とぞよろしくお願いいたしたいと思います。
  44. 前田郁

    前田委員長 日程第二ないし第五、第七ないし第一〇、第一二ないし第一七及び第一九、第二五、第二六の各請願は、いずれも鉄道敷設関係でありますので、一括説明を求めます。
  45. 石井昭正

    ○石井政府委員 鉄道の新線の敷設につきましては、戦時中一切これを中正されまして、特に例外として長野原線のような資源開発線にのみ限定いたしまして、これが竣工を急ぎましたほかは、士工も完了いたしまして、あるいは軌條を敷設いたしまして、ほとんど開通まぎわになつたものすら、これを中止せざるを得なかつたという状況でございます。終戰後に至りましても、一時新線の再開を計画いたしたこともございまするが、その後関係方面等の指示によりまして、まずもつて現在の設備の復旧、復興が先決であるということで、今日に至るまで山田線の代替としての釜石線を除きましては、新線の建設ということは行われていないことは御承知通りであります。しかしながら国鉄の復興もほとんど目鼻がついて参りまして、また鉄道財政もたびたびの御配慮によりまして、收支の均衡を得るようになつて参りましたので、新線の建設につきましても、旧内資源源の開発、交通系絡の整備等により、一般と促進すべきであるという意味合いにおきまして、当委員会においてはたびたび御審議があり、かつ衆議院におかれましては三回にわたつて御決議のあつたことを、十分承知しておる次第であります。そういうわけでありますので、政府といたしましてもできるだけこの新線の建設に努力いたしたいと考えて、目下予算等において極力折衝中でございます。なお具体的な線名につきましては、これはすでに工事に漕手して相当完成しておるような所もございますれば、あるいはまた工事といたしましては相当雑工事を予想されるところもあります。また敷設法との関係におきましても、敷設法にのつとりました線もございますれば、のつとつていない所もございます。かつまた新線建設後の輸送量の予想におきまして、営業係数という観点にもからみまして、いろいろな研究をいたさなければならない点もあると思います。従いまして具体的な線名につきまして、いかなる線から着手すべきかということにつきましては、とうてい一事務当局あるいは運輸省だけで解決のつく問題ではなく、総合的な国土開発の観点からも、おきめ願わなければならない点もあるかと思うのであります。逐次そういうふうな構想についても機構を整備して参りまして、新線建設を最も有意義に、かつ最も能率的に進めるようにいたしたいと考えておる次第であります。個々の線路につきまして御質問がありますれば、お答えいたすことにいたしまして、一括して御上程になりましたただいまの日程に対しましては、包括的な御説明をもつてお許しを願いたいと思います。
  46. 前田郁

    前田委員長 請願審査を一時中止いたしまして、次に運輸行政地方移管に関する件を議題といたします。質疑の通告があります。これを許します。満尾君。
  47. 滿尾君亮

    滿尾委員 運輸行政地方移管に関しましては、地方行政調査委会議におかれまして、いろいろ御研究なつているやに仄聞するのであります。私どもあまり正式なことではございませんが、内々お考えになつておる様子をおぼろげながら知つてはおるのですが、従来国で扱つておりましたものを、今回相当大幅に地方に委譲せられるようなお考えのように拜察いたしております。これにつきましてどういうようなお考えであつて、どういう点に重点を置かれているかということにつきまして御説明をお願いいたしまして、二、三のお尋ねを申し上げたいと思います。
  48. 神戸正雄

    神戸政府委員 地方行政調査委会議は、本年の初めがら発足いたしましたが、それはシャープ勧告の地方税制の改革に関連いたしまして、地方の事務、ひいては地方行政あるいは地方自治の拡充強化をするようにという勧告がありまして、その勧告に基きましてこの会議ができました次第であります。従来のように何もかも中央集権的に国でもつて処理する、地方のことを国家のさしずに従つて行くという行き方をできるだけ排し、自主性を地方に與え、そして地方自治を強化し、ひいて民主国家を建設するところの基盤をつくれということで、その線に沿いまして国と地方との行政の再配分を考えるようにという趣旨でやり出しましたのでありまして、従いまして従来何もかも国でやつてつたのを、若干地方の方に委譲することになりますことは、この勧告の線に沿つて地方行政調査委会議ができました趣旨によりまして、当然のことと存じておる次第であります。但し運輸行政の面におきましては、近代運輸交通の発達、全国的あるいは国際的にまで連絡のある性質のものでありますからして、見ようによりますと、すべてどこかでまとめた方が最も能率的によく行く、いわゆる交通の一貫性というものを押し通す方が筋が通るのではないか、こういうことが一面考えられますので、私ども調査会議を進めます上におきまして、当初地方に移そうと思つたものも逐次圧縮いたしまして、どうしても国に残さなければいけないというものは国にあくまで残しまして、地方に譲るものは、全体から申しますればそう大幅というほどのものではないと信じておりますが、しかしこれまでよりはかわりまして、国で持つておつたものを地方に移す面が若干できて来ておるような次第でありますので、どうかその趣旨だけは御了承願いたいと存じます。
  49. 滿尾君亮

    滿尾委員 ただいま御研究になりました御精神を伺つたのでありますが、私考えますのに、わが国の地方行政を強化するために、従来の中央集権の国家の形態を、地方分権に相当つて行かなければならぬことは、まことにごもつともなことでありますが、ただ運輸行政に関しましては、他の行政と本質的に性格を異にしている面がありはせぬかと思うのであります。今の御説明を伺いまして私思いますのに、私どもの考えております運輸行政の特徴と申しますものをしつかりお考えいただいたかどうか、この点についてちよつと懸念を感ずるのであります。私の私見でございますが、運輸行政というものは、運輸の仕事そのものが、その本質におきましてはサービスの提供であり、国民の利用に供する事業であります。従つて行政どいたしますことも、そのサービスの形態、方式をきめるというところに、行政の要諦があるのではないかと思うのであります。他の一般国家事務というものと、その点において非常に違うのじやないか。運輸事業の方式、形態、やり方、あり方というものをきめるのが、大体運輸行政の大きな一つのわくであろう。従つて他の地方行政がその地域の実情に即していろいろおやりになるということと、サービス業の方式を決定するということとは、大分性質が違つておりますので、かりに一般情勢として地方分権の思想がありましても、必ずしもそれに右へならえする必要はないではないか。さらに私どもが考えてみますに、今日のわが国の運輸行政のあり方というものは、歴史的に見てみましても、ことに自動車の面におきましては、最初非常に微々たる発達でありましたために、自然発生的に発達いたしまして、当然に警察行政の一部分になり、そして府県別になつていろいろと不便があり、長年のいろいろないきさつを經まして、ようやく戦後におきまして初めて、わが国の運輸行政というものが、国家の意思によつて統一せられるという段階にまで来た。それをまた今日におきまして一部逆転するということにつきましては、私どもはこれは非常に残念に思う。この歴史的な推移というものにつきましては、特段の御考慮をいただきたい。  第三の点におきまして私はお願いいたしたいと考えますことは、ただいまのお言葉のうちにもございましたが、自動車というものは、科学と技術の進歩の上に乗つておる近代科学の産物である。日進月歩というような情勢にある。従つて今後どこまで発達するかということは、今日をもつて将来を律することはちよつと困難であります。わが国は世界各国に比べて、自動車の発達が非常に遅れている。それを制約いたしております條件が多々あるのでありますけれども、わが国におきましても本質的に自動車の発達を阻むものはない。多少時間的にずれておるけれども、いずれはアメリカにおける自動車の発達の定型をふむものと考えている。かように考えてみました場合に、わが国の地方行政と、この自動車の発達史というものと結びつけて考えましたときに、私は非常に片ちんばな感じがするのであります。これがもしアメリカの州のように大きな地方制度をとつて、たとえば九州一円だとか、あるいは四国、中国一円とか、あるいは関東地方一円というような府県制をおしきになつておるならば、これはまた考えなければならない。ところがわが国の現行の府県制というものは——私はあまり歴史を存じませんが、おそらく明治二十年ごろの産物であり、今日の交通機関と通信機関の発達ということをまつたく無視して、ただ因襲的にきまつておるというだけにすぎない。一ところがこの府県制のまことに狭い因襲のわくの中で、人間の心は非常に割拠的になつてしまつた。これが今日のわが国の府県制の一大欠陷である。ところが埼玉県かたぎというものができ、千葉県の対抗意識というものができて、府県制のわくの中に住んでいる人の政治的、經済的感情は、まことに牢固として抜くことができないものがある。ところが自動車というものは、今機械の発達につれてどこへでも飛んで参るものであり、その行動半径というものが日に月に延びて参ります。これを狭い府県のわくの中にとじ込めようとしましても、どうしてもとじ込められるものではない。こう考えてみますと、私はことに自動車に関する限りは、今日の府県制そのものを五倍か十倍ぐらいに広げて行かない限り、この明治二十年代の遺物であるところの間隔なる府県制のわくの中に、日々発達する自動車を押し込めて行こうということは、まつたくむりな御相談ではないかと思うのであります。この点につきまして、委員の皆様におきましては、格段の御留意をお願いいたしたい。将来州制でもしかれるようなあかつきにおきましては、相当考えなければなりませんが、現行の府県制に日々発展する自動車を押し込めることだけは、こかんべん願いたい。  さらに内々で御用意になりました原案を拝見いたしますと、同じ自動車事業の中でも、大分御苦心の跡を拝見するのでありますが、分割しておられる。たとえばバスの方は国でやる、これは当然であると思いますが、貸切りの方はわける。また定期貨物と不定期路線、いわゆる区域営業というようなものはわけてやるというような御構想やに拝見するのでありますが、これを分割いたしますことが、事業の健全なる発達の上において、非常に困つた問題が起ると思うのであります。結局監督行政が非常に困りますことは、窓口官庁が非常にたくさんになる、また免許の権限を持つ官庁が別にわかれるということにおきまして、どうしても意思の一致ということはむずかしい。ここらにも非常に困難な点がある。分割せられること自体によつての不利というものが出て参りますので、御考慮いただきたいと思います。またわが国の自動車の実態を見ましたときに、実は非常に古い車が多くて、よその国の標準で申しますれば当然廃車にしなければならぬものを、むりをしているく手当して使つておるという状態であります。またこの情勢は今後とも急激に改まるものではない。わが国の經済、民度の点より見まして、やはり相当古い車を手当して使つて行かねばならぬという性格にあります。従つて車の保守の程度ということにつきましては、全体的に見まして、相当考えなければならぬ。国としてこの面につきまして車体検査なり、あるいは登録制をやるというような点につきましても、府県の行政官庁に依存いたしますることは、ものさしが区々に流れまするし、車両の保守というような面におきましても欠陷が出て来る、かように考えておる次第でございますが、御意見をお漏らしいただければ非常に仕合せでございます。
  50. 神戸正雄

    神戸政府委員 専門のお立場からいろいろ御注意をいただきまして、まことにありがとう存じます。よくそのことにつきましては、委員の者にも伝えまして、問題のあり方を十分に検討してもらうことにいたします。  お説のごとく、何もかも自動車は全部一ところに国でもつてまとめた方がよい。交通が発達して、数府県にわたつて自由に動くところの自動車のごときものを府県でやれば、府県がそれぞれかつてな方針をきめてとじ込めなければならない、不便至極であるというようなことも、十分に注意しなければならぬことでありまして、そういうことのないように、よく基準を定めまして、府県としてはそれぞれ適切に運用して迷惑をかけないように、そういうことはむろん十分注意しなければならぬことと存じます。しかし、とにかく道路というものが実は根本の問題でありまして、道路というものが国の道路、府県の道路、市町村の道路というふうになりましても、国の道路にいたしましても、維持管理は府県に、あるいはさらに市町村にも来ることでありまして、道路行政の面との連絡はありますので、局部的な車はやはり地方で管理する方が適切ではないか、こういうふうにも考えますし、さらに地方の産業の発展とか、地方の開発の立場でもつて、地方としても車の面において相当強い関心を持つということも考えまして、最小限度の仕事は地方にも分担させ、できるだけ国として統一がとれた交通政策を行わなければならぬような面は、国で管理する。料金とかいうようなものにつきましても、連絡がありますれば、かつてなことをさせないように国できめまして、あるいは統制をするというようなことも考えなければならないし、運輸交通の面におきましては、国として十分統制して行くようなことについて考慮することは、むろん考えなければなりませんが、しかしある程度地方にも車について、あるいは自動車につきましても、管理する面を残したいという気持で考えておりますが、しかし御趣旨もあることでありますから、交通の面は、われわれ前に予定いたしましたよりは、よほど国の方に留保しておくごとになつておりますので、先刻からの御注意は十分了承いたしまして、よく委員とも相談いたすつもりでございます。あしからず御了承願います。
  51. 滿尾君亮

    滿尾委員 もう一言申し上げたいのであります。実は神戸先生のような大先輩に向つてちよつとなまいきなことを申し上げるようで非常に恐縮なんでありますが、その点はお許しを願いまして言わしていただきます。  実は今回の御改正をお考えになられますときに、当然御考慮願わなければならぬ一つの要素がございます。それは近き過去並びに現在におけるわが国の地方行政というものの実態はいかに動いているか、その実態に齢した御認識をお持ちになりまして、その認識の上に立つての御改革の案でなければならぬ。観念的、理念的な地方分権の強化というようなことでこの改革が進んだのでは、私は国並びに地方の行政を通じて、円滑な運営ができないと考えるのであります。自分のことを申し上げては非常に恐縮でございますが、いささか私はこの面につきまして過去において經験を持つております。と申しますのは、御改革の草案を拝見いたしますと、国は地方公共団体から必要な基準を設けて、いつも報告をとつてつて行くということになつている。ところがこの報告をとるということは、きめることはきわめて簡單でございますが、わが国の今日の地方行政の実態というものは、なかなか報告をしない。いかに法律できめてあつても、必要な期間内に報告が集まらぬ。その手近な具体的な例を申し上げますと、終戰後でありましたか、軍用自動車を各府県知事に配分させまして、そうして報告せよといいましたところが、四十六府県のうち、報告のあつたのは三県ぐらいで、あとは何としても報告をよこさない。これは少し活が古いが、ついせんだつて道路利用者協議会という大会がございました。私はその席で建設省の菊地道路局長に一矢申し上げた。私は道路問題を研究しておる。GHQといろいろ折衝しなければならぬ。それにはすべて実証的な見地から折衝しなければならぬ。従つてわが国の道路において、地方費がどれくらい使われているかという統計が絶対に必要なんですが、昭和二十三年度の統計しか建設省は持つておらぬ。今二十五年度なんです。国の予算はわかつておる。決算もわかつております。しかしながら二十四年度に各県がどれだけの費用を道路に使つたかという統計ができておらぬ。実に建設省の怠慢をそのとき私は責めたのでありますが、局長は大いに弁解して、大部分は集まつているのですが、どうしても五、六県報告を出さないところがあるので、これを印刷にして申し上げることができないのだということですが、観念上の監督官庁であれば、なかなか報告の集らぬのもやむを得ぬと思う。ところが建設省は地方に道路の補助費をたくさん出す、実際に金をやるのです。報告を出さぬところには金を出さないでもよい。やらぬと言うておどかす手がある。それだけの実行力のある官庁にしでなおかつ、二十四年度の統計が、二十五年度の半ばを過ぎていまだ集計ができておらぬ。ここらのことを考えますと、国家事務の地方分権につきましては、よほど御研究を願わなければならぬ点がある。結局日本全体の情勢としてはなかなか把握上にくい。これは人事の権を持ち、予算の権を持つてつても、なかなか今日までのわが国の行政の実体というものはうまく行つておらぬ。ことに交通運輸の面におきましては、国全体の動きをどうしてもとらなければならぬ。この運輸行政機関といたしましてのいわゆる道路運送委員会なんかの問題が、去年あたり議会でも非常に論議されました。そのとき私どもはやはり地方自治庁にこれは反対した。理念としては確かに、一応の分権の強化という点については意義があるけれども、実際の仕事のやりつぶりから見ますと、かようにいたしますることは、結局国家事務としてのまとまりを阻害する、必要な期間に必要の資料は絶対に集まらない、私はかような認識を持つておるので、もちろん地方行政の側におかれましても、漸次御改善にはなると思いますが、このものは一朝一夕には直らない実態があるのであります。この現実を十分研究いただきまして、運輸行政の改革につきましても御考慮をいただきたい。きようは悪口みたいなことをいろいろ申し上げましてまことに恐縮でございますが、なるべくコンクリートに申し上げたいというつもりでお話申し上げた次第であります。
  52. 石野久男

    ○石野委員 私は運輸行政地方移管につきまして、同僚議員満尾氏よりもいろいろと質疑がありましたし、またそれに対する神戸調査委員議長の御意見のほども承つたわけでございます。その意のあるところはよくわかるような気がするのでございまするが、なお一、二の点をお尋ねしたいと思います。  最近になりまして、特に勧告によりまする地方自治体の強化というものに即応して、運輸行政のある種の部分、若干の部分の中央集権を分轄して、地方に移管しなければならないというような結論に、調査委員会議は達しておるように聞いておるわけでございますが、そもそもこの地方分権ということにつきましての事の起りは、終戰後における占領政策の中から、日本の民主化というものが特に強調されまして、しかも当時戦争遂行をしました日本の政治形態の中に内務省的なもの、内務省が持つひとつの警察権的な組織と、それから軍隊へのつながりというものから来るいわゆるフアシヨ的傾向を排除するための方向として、内務省の解体が行われたものとわれわれは推測しておるのであります。そういう形の中から地方自治というものの強化が、特に占領下において強調せられて参つております。その意図するところ、われわれは局当本の建設のために、まことに当を得たものであるというふうにも考えておるのでございますが、しかしこれは先ほど満尾氏も言つているように一事によりけりの問題があるのであります。観念的な問題であるのと、実質的に具体的にそれが必ずしも分権をよろしいとするものでないものがあるはずと思うのであります。ことに運輸行政は国の動脈をなすものでありまして、その動脈としてある血脈は、ある所によつては非常に狭まり、ある所によつては非常に広がつているようなことでは、血行はうまく循環されないというふうに考えるのであります。この動脈は常に同じ太さでもつて流れなくてはならぬということ、この一つのことの中から私どもは、いわゆる運輸行政の一元化ということの必要性を痛感しているわけであります。特に日本の地勢上の関係からいたしまして、鉄道と自動車の関係は、今後日本の文化建設の上から行きましても、産業開発の上から行きましても、非常に重要な点がございまして、そういう意味合いにおきまして、私どもはこの運輸行政におけるところの一元化という問題は、他の諸産業の比ではないというふうに考えるわけでございます。昨年度いわゆる道管の問題がありましたときにも、私どもは非常にこの問題の将来に及ぼす影響等も考えまして、積極的な反対の意見を申し述べておつたのでございます。その後この道管の持ついろいろな方面における矛盾といいますか、トラブルがやはり現実の問題として起きているというふうに考えておるのでございます。この際いわゆる勧告に基きまして、地方自治の強化という線から、この運輸行政を地方に移管するという方向が、原則的には一元化ということは是認しつつも、若干の部分を中央から分割しなければならないという結論に達しました。調査会のその若干の部分というのはどういう程度であるかということを、一応私はこの際お聞きしたい。これは結論に到達していませんので、せつかくの神戸さんの具体的なお話は承れないかもわかりませんけれども、実は私ども内情のことをほとんど知りませんものですから、その若干の部分というものが、将来の運輸行政にどういうふうに影響するかということを、いわゆる国の政治に携わつておる者としては、非常に心配するわけでございます。そういう意味合いでその若干の部分というものが、はたしてどういうような程度であるかということを、あらかたのところでもひとつお聞かせ願えればと思うわけであります。もとより私は今まで申し述べましたようなことについては、すでに神戸さん自身は十分御了解の上でなされておるものと存じます。調査会もまたその意図においてなされておるかと思いますが、この際ぜひ私どもとして必要なことは、日本の国の運輸行政というものは、日本の復興と再建のためには絶対に必要なものでありまして、真に日本人自身、私自身がこの地勢と風土とわれわれの習慣と実際日常生活の中から、これを真剣に考えて行かなければならぬ問題であると思いますので、この勧告の趣旨とわれわれ日常生活する者との関係を十分に考慮の上に、結論が出されなければならぬと思います。そういう意味合いからひとつ、こまかいことであるいは御迷惑かもしれませんけれども、その若干の部分というものがどういう程度であり、また神戸さん自身のお考えはどういう意見であるかということをお示し願いたい。
  53. 神戸正雄

    神戸政府委員 私もまことに根本の考え方といたしましては、お説のようにまつたく同感でありまして、交通行政ということが日本の再建、日本の国民經済の発展の上に、さらには政治力を強化する上において、あるいは文化を進める上において、大いに力を入れて、しつかりと国家がその大局を握つて、指導力を強めなければならぬということは、まつたく私ども御同感であります。どうかそういうふうに持つて行きたいと考えておる次第でございます。ただその地方限りで動くような、狭い地域で動くような車は、もつともときどきは他地方にも出るかもしれませんが、まず主として地方的に動くような軽車両であるとか、あるいは自家用の車であるとか、あるいは貸切りでもつて動く自動車であるとかいつたような、そういうようなものになりますと、これも国でもつてあくまで一貫性を主張して、把握しなければならぬというほどのものではないと思います。従いまして鉄道であるとか、軌道であるとか、あるいはさらに自動車におきましても、定期的に動いておるものであるというようなものは、これはぜひとも鉄道とのつながりをある程度持つていますから、そういうものについては十分国でもつてあくまで把握するということにしまして、そうしてこの大きな国家的目的に反しないように、努力するつもりでおるわけであります。できるだけ地方限りくらいのものは地方でもつて、道路を主管するところの府県なり、あるいは市町村でもつて監督させようということでございます。多少の例外が出て来ることだけは、最小限度お許し願いたいと考えております。ぜひともその御趣旨にかなうように、十分考慮して参りたいと思つております。
  54. 石野久男

    ○石野委員 非常に神戸さんのお話はよくわかりました。もう一つだけお聞きしておきたいのですが、どうしてもある種の部分におきましては、地方に委譲する部分が出て来ることを御了解願いたいというお話の中の、そのある種の部分における地方移管の業務が、中央と地方との二重監督をどういう形で受けるかという問題が、私どもにとつて非常な問題として残るわけであります。できる限り二重監督の部分が僅少なものであることが里言しいのであろうと思うし、また調査委員会議としましては、そういうことのないように考えていることと思うのでございますが、今お考えになつておりまするその若干の部分におきましては、そういう問題はどういう見通しでございましようか。あまりその点は心配なくやれるのでございましようか。やはり必ず二重監督は出て来ると私は思つておりますけれども、その実務を行う上において、弊害の見通しはどうであるかということを、一応この際お聞きしておきたいと思います。
  55. 神戸正雄

    神戸政府委員 御説の通り国で留保するところの車と、地方に移されまする車との、二つの種類のものを兼ね行う場合になりますと、やがて一面においては国の監督を受け、他面においては地方の監督を受けるということで、迷惑を受けるというような御心配もごもつともと思いますが、しかしその場合におきましては、できるだけ摩擦のないように、食い違いのないように連絡をとり、調整をはかるようなくふうはしなければならぬと思います。御説のように二重監督で、ものは違いますからして、ある営業者が一つの面においては国の監督を受ける、他の面においては地方の監督を受けるといいますが、しかし営業者から見れば、両方の監督を受けるように見えますが、おそらくそこに限界がありまして、この面においては国限り、この面においては地方限りということがありますから、そごに多少の扱いが違いはしないかというのですが、扱いの違わないようにくふうすることもできはせぬかと心得まして、一つのものについて二つの監督を受けるということにはならぬでも済むのではないかと考えております。
  56. 滿尾君亮

    滿尾委員 本日はわざわざ等委員会にお出ましを願いまして、御説明いただいたわけでありますが一最後に一言私の希望を申し上げます。これは運輸行政といたしましては、相当重大な問題でありまするから、あなたの方の委員会へ私どもお呼出しを願つて、速記なんかとらずに、もつとフリー、トーキングな立場で、もう一ぺん御懇談を申し上げるチャンスを與えていただきまして、御意思を決定していただくというようなことをお願いしたいのですが、いかがでございましようか。委員会からは、有志の者が若干名推参するということでよろしかろうと思います。
  57. 神戸正雄

    神戸政府委員 そういうことにつきましては、私が独断で御承諾申し上げるということも、委員会の性質上いかがかと存じますので、他の委員意見を聞きました上で、できますれば御注文に応ずるようにとりはからいたいと思いますが、私としてはちよつとここで御承諾いたしかねますから、御了承を願いたいと思います。
  58. 前田郁

    前田委員長 暫時休憩いたしまして、三時ごろから再開いたします。    午後零時二十五分休憩    午後三時四十三分開議
  59. 前田郁

    前田委員長 休憩前に引続き会議を開きます。  請願審査を続けます。  日程六二及び六三について政府意見を求めます。
  60. 中道峰夫

    ○中道説明員 長崎県の小瀬戸神の島間の水路開設の御請願でございますが、本件につきましては御請願趣旨にございますように、戦争中軍の建設用地としてこの水路が強制的に埋め立てられまして、そのために戦後の地方漁船の交通その他に非常な障害を現在與えておる実情と存じますが、ただいまのところ、二十六年度の予算計画といたしましては、本件につきまして十分な資料がまだ整つておりませんので、よく実情を調査いたしまして、その計画、予算等について検討いたしました上で、その緊急性を検討いたしまして、これを処置したい、かように考えております。
  61. 前田郁

    前田委員長 次に日程六六及び六七は気象台関係でありますので、政府意見を求めます。
  62. 北村純一

    ○北村説明員 第一番に徳島県の日和佐町に徳島測候所分室を設置せられたいという請願に対しまして、その御趣旨につきましてはごもつともと存じます。目下のところ国家財政の事情から、急速に測候所分室の設置を実現することは困難でありますが、将来事情が許されますれば、各位の御協力をも得まして、御趣旨に沿うよう努力いたしたいと存じます。何とぞ御了承願います。  もう一つは鹿児島測候所地方気象台に昇格の請願でございますが、御提案の御趣旨につきましては十分了承いたします。鹿兒島県地方は、毎年九州方面に特に多く来襲する台風進路の本土の前哨地点であり、外地の気象資料の入手困難な現在では、同地方の観測資料は、九州に対してはもちろん、わが国全般の気象予報上にも裨益するところがきわめて多いので、気象台といたしましても最も重要視しているのであります。また気象予報上九州においては、現存福岡管区気象台が予報中心地として、九州全般の予報に当つていますが、南九州と北九州の気象は相違する点が多く、南九州に対しては鹿児島が予報中心とならなければ、十分な予報を発表することができないのであります。しかしながら現在の同所の機構と人員とでは、とうてい予報中心としての活動は不可能であります。来襲する台風をより敏速に捕促し、暴風対策に協力せしめるためには、どうしても鹿児島測候所地方気象台に昇格し、地方観測資料の牧集並びに予報の中枢として十分にその機能を発揮させることが必要なのであります。しかしながら国家財政上の都合により昭和三十六年度予算としては実現に至らなかつたことは、まことに遺憾に存ずる次第であります。今後各位の御理解と御協力によりまして、予算等の事情が許されますれば、早急にこれを実現いたしたいと考えております。何とぞこの点をお含みの上、御了承くださることを希望します。
  63. 前田郁

    前田委員長 請願審査を一時中止いたしまして、鉄道電化に関する件を議題といたします。当局より鉄道電化の進行状況及び計画等につき説明を求めます。
  64. 足羽則之

    ○足羽政府委員 鉄道電化に関して御説明申し上げたいと思います。  鉄道電化の現在の内容につきましては、従来しばしば御説明を申し上げましたので、よく御承知いただいておることと思うのでございますが、現在最も問題になつております点は、浜松、米原間の電化という問題がことに強く取上げられて、皆さんから御鞭撻を受けておるのでございます。本件につきましては、ほかの二、三の区間とともに、二十六年度の予算にはわれわれといたしては計上をいたしまして、目下関係方面と折衝中でございますが、まだそれが確定をしておりませんので、目下努力をいたして折衝をいたしておる次第でございます。いずれ決定までにはもう少し余日があると思うのでありますが、大体そういう状況でございますので、お含みを願いたいと思います。
  65. 前田郁

    前田委員長 国鉄電化設備課長が見えておられますが、電化問題に関しては質問はありませんか。
  66. 原彪

    ○原(彪)委員 実は大臣から御答弁いた、だきたいのですが、常磐線の電化は一昨年ようやく松戸から取手まで進行しまして、その後乗客の人員も多うございますし、非常に国鉄としては採算の合う電車になつておると私は思つております。しかしその当時私は地元の輿論を反映いたしまして、熱心にこれを取手でなく土浦まで延長していただくように、再三再四お願いいたしたのでありますが、取手で打切られてしまいまして、非常に残念に思つております。ところが現有常磐線の土浦あるいは石岡、あるいはその沿線の筑波鉄道に乗りかえて東京に通勤しておる者が、日に何方という数字に相なつております。ところが私ははなはだこれは、この一点についてもひとつ答弁いただきたいのですが、どうも東京がら南に対しては、客車あるいはダイヤの点についても、非常にいい待遇を與えておる。しかるに上野から以北になると、天国と地獄の相違です。はなはだどうも虐待しておる。たとえば東海道に至つては「いでゆ号」とか、ロマンス、カーとか、いろいろサービスされる。まことにけつこうなことです。けつこうだけれども、東北に対してはあまりに虐待しておる。最近ようやく三等車の板敷がなくなつて来たのです。最近ですよ、それは——。たとえば熱海から東京に通勤するのは、いつだつてすわれます。ところが一方北の方の土浦あたり、あるいは大宮からあちらの方に行つてごらんなさい。通勤列車に乗ろうとすればすわれはしない。列車でも電車でも立錐の余地なく、もまれもまれて東京に通勤しておるというようなありさまです。これでは憲法でいう平等な国民の福祉になることとは、私は言えないと思うのです。それでこれに対してどういうふうにお考えになりますか。これは私一人ではありません。上野から以北の代議士はたくさんあると思います。場合によつては、上野から以北の東北の代議士全部が連名で、これを改善しようじやないかという空気が、党派を超越して起きておることは、これは事実であります。なるほど最近ようやく東北方面にも、いわゆるロマンスカーというのですか、二等車のいいのが大分つけられるようになつて来ました。しかし問題は、二等車のいいのをつけることもけつこうです。しかし三等で乗る人の方が人数においては多いのですから、もう少し、とりわけ東京近郷の通勤列車の改善をしていただきたいということを、私は電化の問題にからんで念願しておるのです。なるほどそれは、温泉へ行くのに「いでゆ号」に乗つて行くのも、これはいいのです。それもいいけれども、これは勤労のあとの慰安であります。勤労のために一生懸命毎日つり皮にぶら下つて、もうくたくになつて大学に行つておる学生もありましようし、あるいはお役所に通勤しておる方もたくさんある。こういう点もう少し改善していただきたいと思います。これはこの電化に関連しての問題でありますが、この点についてひとつ御答弁いただきたいのであります。それから電化の問題は、常磐線はいつ取手から土浦まで、あるいは水戸まで御延長いただけるかどうか、この点も明確に御答弁いただきたいのです。それから資材の面はどういうふうにされるか、資金の面はどういうふうなことでおやりになる御計画であるのか、この点をひとつ御答弁いただきたいと思います。
  67. 足羽則之

    ○足羽政府委員 上野以北と東海道線との比較につきまして、御指摘になりました点については、事実として、そういうふうに観察なさいます点が実はあろうかと思います。一度に全部改善をして行くということも、なかなか至難なわざでもございますので、東海道線がいわば最も主要な幹線区間でもありますので、そういう傾向の点もあるかと思います。しかしその点につきましては、ただいまの御質問の御趣意もよく取入れて、今後十分に善処するように、国鉄当局に申し出てやつて参りたいと、こう考えております。  なお電化の問題につきましては、ちようど国鉄からその関係の人も見えておりますので、それから詳細に説明していただくことにいたしたいと思います。
  68. 小柳美一

    ○小柳説明員 鉄道電化につきましては、かねがね皆さんの方から御鞭撻をいただきまして、国鉄といたしましても、でき上りました電化に引続きまして、逐次電化工事を進めるべく計画を進めておつたわけでございますが、御承知のように電力問題がひつかかりまして、不幸にも二十五年度には残念ながら着手できなかつたような状態でございます。ところが御承知のように現在私の方で信濃川に発電所を建設しつつありまして、現在の見通しといたしまして、来年八月には約五万キロの出力を出し得る見込みに相なつて参りました。電化の方も、その点で一部救済されることにも相なつて参りました。ぜひ来年度は電化も進めたいと存じて、来年度の予算要求をいたしておる次第でございます。  さてこの電化をどういうぐあいに進めるかということが、問題に相なるわけでございますが、電化いたしたい線区は、非常に厖大な線区に上つておりまして、これをどこから電化するかということに相なるわけでございますが、御承知のやうに電化には莫大な資金と資材を要するわけでございますので、この資金、資材を有効に使うといいますか、最も有効な価値を発揮し得るような線区から、電化を進めて行きたいと存じておる次第でございます。現在のところは来年度といたしましては、東海道の浜松、米原間、それから東京近郊といたしまして、山手貨物線並びに高崎線の電化を進めて行きたいという念願をもちまして、予算要求をいたしておるわけでございます。まだその筋との話合いが現在進行中でございますので、確定までには行つておりませんが、現住の見通しといたしましては、来年度はある程度着手し得るのではないかという見込みでございます。  なお今常磐線の電化についてお話がありましたが、常磐線の電化につきましては、先般電化いたしました取手から以遠の区間に対しましては、われわれとしては断然電化すべき線区として計画いたしておるわけでありますが、現在の電化は先ほど申しましたように信濃川の電力をもつて、電化を進めて行きたいという念願で進めておりますので、そういう関係上、電化も先ほど申しましたような線区を計上いたしたわけでございます。常磐線の取手以遠を電化いたします場合には、相当長距離にわたる厖大な送電線を建設しなくてはいけませんし、従つて本線電化以外にそういう送電線建設のために、莫大な建設費も要するような次第に相なつております。そういう関係上、いかにすれば最も經済的に電化し得るかということについて、目下さらに検討いたしておるような次第でございますので、今ただちに電化するということについては、もう少し時日をかしていただきたいと存じておる次第であります。
  69. 原彪

    ○原(彪)委員 来年度の御計画浜松、米原間、それから山手の貨物線、それから高崎線ということで、常磐線が抜けておるように思うのですが、そうすると高崎線の方も、信濃川の発電所が八月に完成して、五万キロだか電力が出るというお話ですが、その電力によつて、高崎線もやはりおまかないになるのか。信濃川の発電所が八月におできになるなら、常磐線も混雑の率においては、むしろ高崎線よりも多く、実際の乗客の昇降の人員のパーセンテージは常磐線の方が多いはずですから、常磐線もせひ御計画の中に私は入れていただきたいと念願しておるのですが、その点についてひとつ御答弁いただきたいと思います。
  70. 小柳美一

    ○小柳説明員 先ほど御説明申し上げましたように、ちようど信濃川の電力は、信濃川送電線をもつて送電いたしておるわけでございます。高崎線はちようど送電線の近接の線区でありまして、このために特別に送電線を設けるということについては、比較的建設費も僅少であります関係上、そういう点で非常に電力の問題からいえば、有利なような状態になつておるわけであります。山手線は現在すでに変電所その他設備されておりますので、非常に割安に電化されるということに相なつておるわけでございます。
  71. 原彪

    ○原(彪)委員 かつて東京市を中心に衛星都市という計画をお立てになつて、四十五キロとか六十キロの御計画をお立てになつたことがある。そのときの御計画は今東京都としてはおありにならぬのか。もしその計画から考えるとするならば、高崎線とけんかするのはいやですけれども、土浦までは六十キロ足らずございますから、そういうお考えのもとに電化ということもお考えにならぬかどうか、この点も承りたい。
  72. 小柳美一

    ○小柳説明員 常磐線の電化については、決してやらないというわけではないのでございまして、ただ時期の問題に相なつておるわけであります。高崎線ができた後におきましては、また引続いてやるというようなことも考えられるのではないかと思つておる次第でございます。
  73. 柳原三郎

    ○柳原委員 ただいま問題になつております電化に関連いたしまして、私はちよつと特殊事情の電化問題について質問したいと思います。  私がお尋ねしたいのは、実は東海道線のうちで大垣、関ケ原、この間の三線電化の問題について御質問を申し上げます。これは小柳さんも、前に問題になりまして御承知と思いまして、詳しい説明はやめますけれども、第三国会におきまして、現在の国鉄の総裁であられる加賀山さんから、この問題については地元要望も、なお実地についても十分承知しておる。だからできるだけ御期待には沿いたいけれども、今申されましたような資材とかあるいは資金の問題について、いろいろ考慮して善処したい、こういうようなお話がありまして、現在に至つておるのであります。その後今小柳さんのお話を聞いておりますと、すでに来年度の予算も、この東海道線の予算というものは組まれておる、計画されておる、こういうふうになつておりますが、その計画の中にはこの三線の電化については、どういうふうに織り込まれておるか、こういうことを承りたいと思います。以上とりあえずお答え願います。
  74. 小柳美一

    ○小柳説明員 ちよつと伺いますが、三線電化といいますと、垂井線のことでありますか。
  75. 柳原三郎

    ○柳原委員 大垣、関ケ原間、垂井を含んだ問題であります。
  76. 小柳美一

    ○小柳説明員 東海道の電化につきましては、先ほどお話申し上げましたように、浜松から米原まで来年度着手することで、予算を計上いたしておるわけでございます。この大垣、関ヶ原間の、垂井線のいわゆる三線電化ということにつきましては、いろいろ輸送形態の問題から検討いたされておりまして、また輸送上の問題の点から、いろいろ研究いたしておる次第でございますが、私といたしましては、あの線区はすでに二線は確実にやらなくては、電気運転はできないわけでございます。あとの一線につきましては、幸いに隣接の線区でもありますし、工事費から見ましても、また資材の面から見ましても、比較的僅少な額をもつて電化できるわけでございます。できるだけ三線電化を進めて行きたいと存じておる次第であります。
  77. 柳原三郎

    ○柳原委員 たいへんありがたいお話で、一応満足であります。実はこの間の三線電化と申しましても、わずか十キロ足らずの問題でありますから、特に御考慮を拂われることをお願いいたします。
  78. 坪内八郎

    坪内委員 電化の問題ではありませんけれども、一里両整備の関係ちよつとお尋ねいたしたいと思います。車両整備につきましては、国内的にいろいろとあらゆる要望があると思うのでありますけれども、長崎県の北松浦郡に、松浦線というのがありますが、この松浦線の車両の悪いことは、おそらく日本一だろうと思うのであります。第八国会が終了いたしまして、われわれは全国の国鉄の状況を見てまわつたのでありますが、この松浦線の車両は、雨の降る日にはまつたくかさをさして乗らなければならぬ。と同時に、私もその汽車に乗つてみましたが、カーブに至つては、すわつているのを一々立たなければ、板と板の間が非常にあいておるために、臀部をはさまれる、そういうような非常にひどい車両でございまして、何とかこれをひとつ新しい車両でなくても、適当な車両にかえてもらいたいというので、地元の強い要望があるわけであります。長崎県の北松浦郡は、私の選挙区ではないのでありますけれども、国全体の均衡、バランスからいつても、こういう点をほつておくというのは、私は実に言語道断だと考えておるわけであります。どうして地元がこの問題について強い要望を中央に反映しないかというと、最近西肥バスというバスができて、もうその松浦線に乗らないような結果になつて来ておる、こういう状態であります。いろいろ国内的には車両の整備が行われておるようでありますから、ぜひともひとつこの際適当な車両をとりかえてもらいたい。まつたくこれは事実でありますので、この点につきましては政府側の答弁も、とりかえるかとりかえないかというだけ、イエスかノーかという返答だけで私はいいのでございまして、とりかえるならとりかえる、とりかえないならとりかえないという御答弁だけいただきたいと思います。
  79. 足羽則之

    ○足羽政府委員 そうした御非難をたびたびこうむつておりまして、国鉄としてはその点につい何かしなければならぬというふうに考えておるのでございますが、御承知のように木造客車を五箇年計画で全部これを鋼製化するということで、非常に電力をかけておりまして、すでにそれはたしか昨年から着手しておるわけであります。従つて現在あります木造客車自体の修理と申しますか、その点が反面閑却されておりまして、支線について方々からそうした御非難があることを承知いたしておるわけであります。そこで客車の鋼製化ということは、当然のこととして進めて行かなければならないのですが、当面のそうしたことに対して、これも十分考えなければいかぬというので、今年度中にそうした雨漏りと、それから板張りのひどい三等客車のそういうものを、全部修理する計画を立てて現在やつておるようであります。できるだけそうした御非難のないように今後やつて行くものと存じます。から、御了承願いたいと思います。
  80. 坪内八郎

    坪内委員 今お話がございましたが、この前も加賀山総裁にこの点を御質問いたしましたら、近くダイヤの改正もあることだし、十二月に入つたならば、いろいろそうした面の操作も可能であるから、ぜひそういうことにしたいというようなお話で、そのままになつておりますが、この松浦線にわずか車両を一車両ふやせばいいのではないかと思つております。これは事実でありますので、雨が降つたらかさをささなければ全然乗れないような車両は、おそらく全国に一つもないと思うのであります。だからぜひともこの際早急にとりかえてもらうことを、強く要望いたしておきたいと思います。
  81. 足羽則之

    ○足羽政府委員 御提案の趣旨はよく国鉄の方に伝えたいと思います。
  82. 大澤嘉平治

    ○大澤委員 先ほど電化の問題で当局からも御答弁があつたようでありますが、先般信濃川発電所の竣工状況を視察をしで参つたのでありまするが、来年の、昭和二十六年の八月には五万キロの発電所が完成するということを聞いたのでありますが、五万キロの発電所か完成すれば、当局の電化の関係はどことどこにこの五万キロの電力を充てるかどいうことを、ひとつ伺つておきたいと思います。
  83. 小柳美一

    ○小柳説明員 発電力といたしましては、発電所で五万キロになつているわけでございますが、これが東京へ参りますと約二千五百キロほどロスがあるわけでございますので、大体四万七千キロ余りになるわけでございます。大体現在の電力の需給の状態を見ますると、すでに東京近郊で電気運転をいたしております電力は、現在十二万五千キロくらいかかつているわけでございまして、信濃川の現在の千手発電所の出力は大体十万五千キロくらいの程度で、信濃川といたしましては現在千手発電所の能力だけではまかない切れないことに相なつておるわけであります。約二万キロばかり不足のような形でございまして、火力発電所ですでに一部補つているような状態であります。それから高崎線電化の電力と山手線電力は、現在の輸送状態では一万二、三千キロかかる予定でございます。それから東海道線の電化に大体一万五千キロ近くかかるわけでございまして、現状におきましては山辺の発電所ができ上りましても、ちようどとんとんになるような状態であります。それは火力の設備をどの程度使うかという問題に相なつているわけでありますから、御承知のように火力だけで電化をやるとなると、そこに經済的問題はかわりて来るわけでございます。来年の八月には五万キロの設備ができ上りまして、その出力があるわけでありますが、引続いて信濃川は調整池を設けまして、約二年の間にさらに二万五千キロの増強をいたしたいと存じておる次第でございます。そういたしますと、朝夕のラツシユアワー事における電力もまた余裕が出て来るわけでございますので、そういう面でほかの電化も促進し得ることに相なるものと思つておる次第であります。
  84. 大澤嘉平治

    ○大澤委員 そうしますと、信濃川の発電所が完成してもとんとんである。高崎線の電化に使われれば、むしろ不足しておるというようなお話でありまするから、それでは信濃川発電所が完成しても、電化の問題は何ら東京を中心として新規には考えておられない、こういうふうに聞えるのでありますが、先ほどもお話がありましたように、発電所から長い間これを送電すれば、ロスが出て電力が非常に損だ。あるいはその施設の費用もかかるということでありますので、それほど電力が不足しておるならば、当然信濃川発電所から近いところの、先ほどもお話がありましたように常磐線のごときも遠いからというお話がありましたが、なお常磐線の手前にも東北本線、両毛線もありますので、東京を中心としても電化をしなければならない重要な線もあるように見受けるのでありますから、こういう点に対して何らの御意見もないようでありますので、もちろん東海道本線の電化の必要のことはよくわかるのでありますが、長い間の送電線でロスを出すということを考えれば、もつと近くの、今申し上げましたような東北本線なり両毛線なりの電化に対しての方法を考えておるのかいないのか、この点も伺つておきたい。
  85. 小柳美一

    ○小柳説明員 御説の趣旨はわかるわけでございますが、今申し上げましたように電力の問題は現状のような状態でございますので、そう一度に広範囲にわたつてやるということは、なかなかまかない切れないことでありますので、行く行くといたしましては早急に電力の整備の方を考えまして、できるだけ鉄道電化を促進するような方向で行きたいと存じている次第であります。
  86. 大澤嘉平治

    ○大澤委員 いずれにいたしましても、この五万キロの発電所が来年の八月完成するということを、われわれが視察して参つたときに、十分これを期待しておつたのでございますが、発電所から近距離の鉄道の電化については、まだ電力が足りないというお話でありますが、現在電化してある所が動いておるのに、この五万キロの発電所が来年完成しても、何らこれに対しての電化の道が開かれない。この五万キロの電力は、高崎線だけでとんとんだということは、どうも納得が行かないように聞えるのでありますが、もう少しこまかく、どこへどうしてこの五万キロの電力が使われるのかということを聞かしていただきたい。
  87. 小柳美一

    ○小柳説明員 この五万キロの使い方につきましては、先ほどちよつと御説明申し上げましたように、現在すでに電化いたしております所の電力の不足をまかなうのに二万キロばかり、それから高崎線、山手線に一万二、三千キロ、それから東海道について一千五千キロばかりいるわけであります。それで一ぱいくになるわけであります。なお、電源に近い線区といたしましては、東北本線なり、あるいは信越線の先の方の、長岡から新潟へ行く線区とか、あるいは近くは両毛線とか、信越線というものがあるわけでございますが、そういう線区に対して、一応将来は電化することを計画いたしておるのでございますが、電化するに投下される資金が、いかに活用されるかということが問題に相なるわけでございます。そういう点でまだ工事着手の時期に至つていないということは、はなはだ残念だと存じておる次第であります。
  88. 前田郁

    前田委員長 ちよつとお伺いしますが、山手の貨物線というのはどれをいうのですか。
  89. 小柳美一

    ○小柳説明員 お答えいたします。山手貨物線と申しますのは、新鶴見から、ずつと多摩川の方を通りまして、大崎へ出るわけであります、大崎から御承知のように複々線になつておるのでありますが、電車が走つておる所は電化しておるわけですが、貨物が走つておる所はまだ蒸気で運転しておるわけであります。これが田端まで行つております。田端から大宮まで、まだこの貨物線は電化されておりません。それを含めまして、一応われわれとしては山手線と言つておるわけであります。
  90. 前田郁

    前田委員長 もう一つお伺いしますが、来年度の電化の費用をどのくらい要求しておりますか。
  91. 小柳美一

    ○小柳説明員 私の方から大蔵省に提出いたした予算といたしましては、一部既設設備の改良費も含めまして、三十六億二千万円の要求をいたしておるわけでございます。
  92. 大澤嘉平治

    ○大澤委員 先ほど、現在すでに二万キロ不足しておるというお話でございまするが、現在電化されて電車が動い、ておるのに、それが二万キロ不足しておるというのはどういうわけであるか。われわれは專門的知識がないからわかりませんが、電力が不足しておるというのに、現在電車が何の支障もなく動いておる。せつかく五万キロの発電所ができても、それに充てるというのは、電車の回数をふやす意味でいうのか、それともこのままの形で不足していてそれに充てるというのか、その点をお伺いいたします。
  93. 小柳美一

    ○小柳説明員 ちよつと電力の問題について、補足させていただきたいと思います。先ほど申し上げましたように、水力電気といたしましては一ぱい一ぱいになるわけであります。なお国鉄は、川崎と赤羽に火力発電所を持つてくるのであります。大体川崎の設備は七万キロございますか、出力としては五万キロぐらいのところであります。それから赤羽は設備が約一万八千キロあるわけでありますが、出力といたしましては一万キロぐらいの程度でございまして、火力をこれに補給すればまかない得るわけでございます。さらに電化を進めて行くとなれば、この火力を補給しなければいかぬわけでありますので、火力発電をやらなければならぬわけであります。現在は、今申し上げましたようにすでに水力発電所の出力としては不足しておるわけでありますが、火力で朝晩め混雑時は補給しておるような次第であります。将来の問題としましては、火力をかみ合せて行けばなお余力はあると申してもよいようであります。
  94. 大澤嘉平治

    ○大澤委員 火力をやめるわけですか。
  95. 小柳美一

    ○小柳説明員 やめるわけではございません。ただ火力発電で電化を進めて行つて、収支の面から申しましてそれ溶けバランスするかどうかということは、われわれの方もそういう面から検討いたしておるわけであります。
  96. 大澤嘉平治

    ○大澤委員 石炭で汽車を動かすと、大体七割が捨てられて、三割しか熱量になつていないということを、専門家の方から伺つたのでありますが、石炭を電化してその電力で動かすということになれば、採算の点から行けば、何ぼそれが利益であるかわからぬということも伺つたのであります。いずれにいたしましても、水力発電ができれば火力発電をやめるということは、われわれ鉄道の採算という面から見ても、これに反対せざるを得ない問題と思うわけであります。従いまして現存火力発電所が施設もあり、これをやつておるというなら、これを続けていただいて、同時に水力発電によつて五万キロの電力が増加されるならば、これを新線に振り当てて、石炭による汽車を少しでも早く電化に切りかえるということが、鉄道の採算の上から考えましても当然のことである、かように考えるわけであります。従いまして、あなた方技術者というか、專門的な者から、その点を十分強く、五張もしていただき、また考えていただかなければならぬ、かように考えるわけであります。従いまして、ただいまの御答弁によりますところの採算の点が合わないとか、あるいはそれがわからないとかいうことのために、二方キロの電力が下足分に補給されるということでは、最も遺憾に思うわけであります。同時に東北線なり、信越線なりの電化の問題にそれを振り当てる計画は、まだ考えておらないという御答弁でありますが、これはもつと考え方を切りかえてもらわなけらばならぬと私は考えるわけであります。同時に五万キロの発電所が来年完成したとすれば、これによつてどことどこの線を新しくふやして行く、同時に火力発電は從來設備があるものならば、なお一層この電力を使うということを考えていただくようにということを、この機械にお願いしておきたいと思います。
  97. 玉置信一

    ○玉置(信)委員 私は緊急質問の形において、大臣がおられませんので、足羽監督局長にこの機械にお伺いしておきます。じつは総理大臣が、外務委員会で言つたか、どこで言つたか、そこはまだ突きとめておりませんが、昨日来北海道から実は大勢の方が陳情に参つての話によりますと、治安維持上北海道が一番危險であるという発言があつたということで、詳しい内容は速記録を見ればわかるのでありましようが、そのために北海道は今精神上に非常に刺激を受けまして、特に本日また朝鮮問題に関する新聞の中に、第二のダンケルクのようにはならないようにということを見た一行は、一層心を痛めまして、北海道というものは将来どうなるであろう、あるいは本州から切り離されて、あそこは一応投げられるのではないかというような、極端な意見まで実は聞かされておるわけであります。そこで先ほど来いろいろの線を指示して、電化問題その他をお話になりましたが、こうした道民の輿論にかんがみまして、道民に安心感を與えることが一つであり、同時にまた国策としても、緊急にやらなければならぬという鉄道線路のあることは、局長も御承知のはずと思います。一番早く施設をせんけばならぬという線は三線ありますが、ことに羽幌線と申しまして、北海道の西海岸にある、今回委員長初め一行八名の諸先生が、わざわざ現地をごらんになつた線でありますが、北海道の地理的関係、特に樺太との国境になつておりまして、こういうことを申し上げていいかどうかわかりませんが、そうした最北端、国境という点から見ましても、実は非常に神經をとがらしている所でありますので、こういう所は、この前の新線問題で御答弁のありましたように、經済を主眼とするという面から行きましても、当然ここに施設すべきものであろうとは、当局もお考えになつておられるようでありますが、とりあえずこうした北海道実情にかんがみまして、新線というものが北海道にどうしても三線できなければ、一線でも敷きまして、こうした面からでも道民に安心感を與えるということが必要でないかと思う。それと別の問題でありますが、講和問題等につきましても、国内態勢が非常にできておるにもかかわらず、関係筋がこれに対して色よい返事がないということは、これまた北海道というものを見殺しにするのではないかというような極論をなす者があるのでありまして、こうした治安の点から考えまして、ことに資源の開発、日本經済用立の点から考えまして、こうした所に特に心を用うべきではないかと思うのでありますが、こういう点に対して局長の所見を伺つておきたいと思います。
  98. 足羽則之

    ○足羽政府委員 今後の新線の建設についての問題と承知いたすのでありますが、今後新線の建設をどこから始めるかという問題は、これは新線に関しては最も愼重に考慮を要する、非常に関係するところの広い、かつ問題の一番中心になる点であろうと思うのであります。そこで実はまだはつきり構想はまとまつておらぬのでありますが、今後の新線の建設につきまして、どういう所から着手すべきものであるか、あるいはまたそれに対する資金の問題といつたような問題は、今まで多少御説明を申し上げましたように、新線に関して将来審議会のようなものをつくつて、そこでいろいろ御検討を願うようにしたいという構想を持つておるという点を御説明したのでありますが、そういうところで今後愼重に御討議を願うことになるだろうか、こういうふうに考えております。
  99. 玉置信一

    ○玉置(信)委員 北海道に対する今の客観情勢等も考えまして、今までの答弁において、多少含みがあるように伺つてはおりますが、そうした北海道のことについて考えておられないか、おられるか。まつたくそういうことを無視して——といつては語弊がありますが、度外視しての構想で行こうというお考えでありますか。この点をちよつとお漏らし願えれば幸いであります。
  100. 足羽則之

    ○足羽政府委員 北海道の開発については、前の国会で、たしか北海道に関する特別法も制定されたようでありますし、おそらく特にこれが愼重に取上げられるのではないかと思います。すべてそうした問題の取扱い方は、新線に関しては、われわれといたしましては、今考えております新線建設審議会と申しますか、そういつたものの構想が具体的にまとまりますれば、皆さんの御審議を仰ぎまして、そうした会議ができたときにそこで愼重に御検討を願う、こういうふうにしたいものと考えております。
  101. 原彪

    ○原(彪)委員 電化の問題でもう一点はつきりさしていただきたいのです。この電化の問題は、前の内閣のときですが、超党派的にこの委員会でもいろいろ質疑がありまして、内閣の方針としては、常磐線は大体五箇年計画でやる。取手まで、できればその次は土浦まで、あるいは水戸まで、あるいは日立まで、最後は平まで行くという五箇年計画ができておつたのですが、本省としてはこの五箇年計画を実施する意思があるかどうか。それから高崎線が常磐線よりも優位であるならば、常磐線が遅れることも納得するのですが、優位であるというような御説明がないと、私は納得ができないのです。乗客の人員も、独立採算からいつても多いし、それからこれはここで申し上げていいかどうかわかりませんが、その筋では、大体常磐線は二十七年には必ずやるということを、私にははつきり言つているのでございますが、二十七年にもし高崎線を先にやるとするならば、常磐線は二十七年には土浦までか、水戸までか、どこまでおやりになるのか、はつきり御答弁をいただかないと、地元の県民は首を長くして待つているのですから、ほんとうに来年やつていただきたいのですが、一応その点をお聞かせいただきたいと思います。
  102. 小柳美一

    ○小柳説明員 常磐線の電化をどこまでやるかという御質問につきましては、国鉄といたしましては、平までやるつもりであります。なお年度計画につきましては、一応この前は五箇年計画でやるという案がその筋からも示されまして、やるつもりで計画しておつたわけでございますが、先ほど申しましたように電力問題と、それからもう一つ建設費の問題で、この順位が少し高崎線に関しまして不利な立場に相なつておるわけであります。     〔委員長退席、大澤委員長代理着席〕  なお金の問題があるわけでございますが、皆さんの御満足の行くように資金を調達できるかどうかということに非常に問題があります。そういう面からも早急に着手し得ないということになつておるわけでありまして、まことに残念ですが、そういう状態でございます。
  103. 原彪

    ○原(彪)委員 二十七年は……。
  104. 小柳美一

    ○小柳説明員 二十七年については、まだ案はきまつておりませんが、これからさらにそういう方面について各方面から検討の上で、できれば努力いたしたいと存じておる次第でございます。
  105. 原彪

    ○原(彪)委員 そういう御答弁でまことに残念なんですが、高崎線は来年予算化するが、常磐線は来年の予算に入つていないということでは、われわれは納得が行かない。まあ計画の根拠は国有鉄道にあるのですから、常磐線の実情を再検討して、常磐線も土浦まででけつこうですから——土浦まで何キロありますか、わずか三十キロ足らずですから、ぜひひとつ二十六年度にはやつていただきたいことを念願申し上げます。  もう一点は、先ほど私が東海道線と東北線というものは、天国と地獄だと申し上げたことに対して、足羽局長からたいへん満足の行く御答弁をいただいてありがたいのですが、上野以北の客車は、比較してごらんになればわかるように——九州のあれほどではありませんけれども、ぜひひとつやつていただきたい。これは私一個人ではなく、上野以北の、各党各派を通じて、選出された全議員の念願だろうと私は想像いたしますから、ぜひひとつお願いをいたします。
  106. 黒澤富次郎

    ○黒澤委員 ただいまの電化問題に対しての関連質問でございますが、今信濃川第三発電所のできたあとの電化問題をいろいろお話くださいました。このたびの電力再編成問題につきましても、電源地の長野県とか、あるいは新潟県とか、富山県だとかいう所には、非常に大きな不満があるので、運輸省が電源開発をいたしまして、できた電気を電源地に近い所からだんだんやつて行くというような、ただいまのお話がありましたので、一番近い高崎線からやつてつて順次向うへ行こうということは、まことに当を得た処置であると私ども考えております。それで先ほど五万キロのほかに貯水地をつくれば、もう二万五千キロ多く出て、七万五千キロになるというお話でございますが、その二万五千キロはどの方向へ電化いたすようなことに相なりますか、御計画がありましたならばお聞かせ願いたいと思います。
  107. 小柳美一

    ○小柳説明員 お答えいたします。二万五千キロの出力の使い方につきましては、東北線は大体白河くらいまで、なお今お話がありました常磐線の方面、それから信越線でございますが、高崎、横川間、これの方面も進めて行きたいというつもりでおります。
  108. 大澤嘉平治

    ○大澤委員長代理 ちよつと国鉄の電化設備課長に伺いたいのですが、今の電化の問題は、国会委員会といたしましても重要の問題でもあると思われますので、どこをやるということが、あなたの方ではつきり御説明ができるならば、最もけつこうなことでありますけれども、今のお話によりますと、七万五千キロの発電ができても、東北線などはちつとも入つていないようですな。
  109. 小柳美一

    ○小柳説明員 今とりあえず白河くらいまでと申し上げました。
  110. 大澤嘉平治

    ○大澤委員長代理 それからこの前の上越線の長岡、新潟間あそこはどうなつておりますか。
  111. 黒澤富次郎

    ○黒澤委員 その貯水池はいつごろまでに完成いたす予定でございますか。ただいま信濃川の第三発電所は来年の八月までにできて、あとそれに付随する貯水池をつくる。それはいつ始めて、いつごろまでにできる予定ですか。それをお聞かせ願いたい。
  112. 小柳美一

    ○小柳説明員 信濃川の貯水池につきましては、大体工事は一部現在かかつております。貯水量は百万立方米の貯水池をつくる計画でございますが、この貯水池の堰堤は、工事費の関係上土堰堤でやりたいということで計画いたしております。土堰堤となりますと、工事の施行相当愼承にやらなくちやいかぬわけでございますので、現在の計画ではあと二年かかる予定でございます。まあ工事施行の面で、もう少し短縮できるように研究はいたしておりますが、現在では二年かかる。でき上りましたならば、同時にその電力を有効に使うように、電化工事もマッチして進めて行きたいと思つております。  なおもう一つ、まだ固まつておりませんが、実は東海地区で発電計画も現在私のところには持つております。これの施工についていろいろ検討いたしておるわけでございますが、まだ着手の時期まで行つておりませんで、関係の向きと協議をいたしまして、できるだけ早い機会に着手をいたします。着手すれば大体三年ぐらいで相当大きな発電所が建設し得る見込みでございます。そういう計画を立てておるわけでございます。それがかりにでき上りましたならば、東京近郊の電力がまた余裕が出て来るわけでございますので、そういう電力の有効な使い方ということにつきましても、さらに電化拡充の方法を講じてひきたいと存じておる次第でございます。
  113. 大澤嘉平治

    ○大澤委員長代理 ほかに御質問はありませんか。なければ請願審査を続けます。     —————————————
  114. 大澤嘉平治

    ○大澤委員長代理 日程第二〇ないし第二四の各請願は、いずれも鉄道電化関係でありますので、一括説明を求めます。石井政府委員。     〔大澤委員長代理退席、委員長着席〕
  115. 石井昭正

    ○石井政府委員 ただいま一括上程になりました問題は、鉄道電化に関する問題でございまするが、この問題はただいま当委員会で愼重にいろいろ御審議あつたところによつて、御了承願えることと思うのでありますが、浜松、米原間の東海道線の電化につきましては、近い将来に実現いたす予定でございます。湊町、奈良、あるいは門司港、鳥栖、あるいは名古屋、多治見間につきましては、電化計画の進捗に伴いまして、十分研究いたしたいと考える次第でございます。
  116. 前田郁

    前田委員長 ちよつと伺いますが、今要求している予算がとれれば、九州のこの線はやれますか。
  117. 石井昭正

    ○石井政府委員 来年の予算には、九州は入つておりません。     —————————————
  118. 前田郁

    前田委員長 次に日程二九ないし三二及び三九は、列車関係でありますので、一括説明を求めます。
  119. 石井昭正

    ○石井政府委員 南小樽駅に急行列車停車請願でありますが、南小樽駅は急行列車停車駅でありますところの小樽駅に隣接しておりまして、市内交通の便もありまするので、急行列車を同駅に停車させますことにつきましては、現在は考慮いたしておりませんが、なおよく請願の御趣旨にかんがみまして、考究いたしたいと考えます。  次に加古川線の野村、谷川両駅間に列車増発の御請願でございますが、この加古川線の列車は、加古川、西脇間を、主流としております関係上、野村、谷川間の列車は、前者に比較いたしまして、密度が薄くなつておりまして、いろいろ御不便をかけおりますことは重々承知しておりますが、現在の客車運用上、これ以上の増発はなかなか困難な実情にございますので、いましばらくごしんぼう願いまして、なお客車の整備と相まちまして、何分研究いたしたいと考えております。  それから吉都線に熊本経由門司行の準急列車増発の御請願でありますが、旅客列車の運転系統は、旅客の交通系統に基いて設定すべきでございまして、終戰後もこの方向に沿いまして、列車時刻改正のたびに十分御要望に沿い得るようにやつてつたのでありますが、まだ十分御満足を得られる状態になつていないのは、たいへん恐縮に存じております。なおこの問題につきましては、交通量、有効時間帯、時間間隔等いろいろの條件を検討いたしまして、できるだけ改善方につきまして研究いたしたいと考える次第でございます。  次に日豊線準急列車を東京まで延長の御請願でございますが、現在都城、京都間の準急列車は門司で、熊本発の東京行きの急行に接続いたしております。また大阪では上りの特別急行列車のはと、それから下りの特別急行列車のつばめに接続をとつております。従いましていろいろ直通列車の便宜なことは重々承知いたしておりますが、現在の状況ではしばらくごしんぼう願つて、その接続列車による御利用をお願いいたしたいと考える次第であります。  次に志布志、古江両線の列車ダイヤ改正の御請願でありますが、志布志線については、目下のところ一往復増発いたしたいと研究いたしております。古江線につきましては、ただいまのところ増発する予定はございませんが、なおよく研究して、御要望の点を調査いたしたいと存じます。なおこの御請願には、客車が悪いというおしかりがございます。客車の改善につきましては、ただいま鋭意努力しておりまして、雨漏りあるいは腰かけのないというものは、三箇月計画をもつて全部解くごしんぼうを願いたいと思う次第でございます。
  120. 前田郁

    前田委員長 ちよつと伺いますが、古江線、志布志線は、まだほとんど板張りの腰かけになつているのです。先ほどどなたかお話になつたように、非常にこの線は悪いのです。日本の最悪の車だろうといわれておりますが……。
  121. 石井昭正

    ○石井政府委員 委員長のおつしやる通り、国鉄の客車の整備が、主幹線に全力を注いでおりまして、支線がおろそかになつておるという点につきましては、私どももまつたく同感でございまして、この点については国鉄当局に嚴重に注意をうながしておる次第でございます。国鉄当局におきましても、ただいま申し上げましたように、雨漏りと板張りの座席を全部直すということについては、ただいま具体的な計画を立てて、今年度中に実施するように着手いたしております。従いまして、外見はあるいはまだ御満足を得るようにはなり得ないかもしれませんが、少くとも実際の旅客の一番苦痛とされておりますところの座席と雨漏りとの点につきましては、近く一掃されるものと私どもは期待しております。なお一層督励いたしたいと存じます。
  122. 前田郁

    前田委員長 九州線の問題がここにあるわけでございまして、ちよつと話はそれと違うかもしれませんが、ひとつこの際お願いしたいのですが、それは九州から東京に来ますときの二等の寝台であります。今一等しかないので、何のために一等だけあつて二等をやらぬか。これは私どもふしぎに考えておる。われわれのように代議士でただ乗れる者は、一等だつても何とも思いはしないが、金を出す者は一等と二等ではたいへんな違いらしい。これは非常な陳情も受けておるわけでして、私どもこの問題は弱つておるわけですが、もしここで内情が説明できなければ、速記をとめてでもいいわけですが、ちよつとお聞きしたい。
  123. 坪内八郎

    坪内委員 委員長の今の寝台の件について、私お尋ねしようと思つたやさきですが、長崎急行になぜに寝台車をつけないか、この点もあわせて御説明願いたい。
  124. 石井昭正

    ○石井政府委員 二等車の寝台の点についておしかりがございました。二等寝台車は戰時中は相当ございましたが、御承知のように捗外関係のために、そちらの方へ転用されまして、いろいろ改造されておりますために、ただいまでは二等の寝台車が御満足を得るように列車に連結されていないということは、まことに恐縮に存じております。本年度の計画では、約三十両の新造計画を持つております。現在はわずかに七両しかないというようなところでございますので、この新造車ができますれば、比較的各列車にも整備できるかと思うのであります。それから、これは寝台車のかわりにはならぬかもしれませんが、御承知の特別二等車を各急行に全部つけまして、遠距離旅客の旅行に御満足が行くように努めておりますので、しばらくごしんぼう願いたいのであります。
  125. 前田郁

    前田委員長 その三十台というものは、どつちの方面に向けるのですか。
  126. 石井昭正

    ○石井政府委員 具体的な問題でございますので、間違つてお答えするといけませんので、調べましてお答えさせていただきたいと思うのですが、やはり東海道、山陽線が第一位、あるいは東北本線というのが当然第一義的に考えられると思つております。
  127. 坪内八郎

    坪内委員 長崎急行になぜ寝台がつかぬかということであります。
  128. 石井昭正

    ○石井政府委員 長崎急行列車に寝台がないという点について、坪内委員からのお尋ねでございます。先ほど申し上げましたように、まつたく寝台車の両数の不足のためでございまして、逐次これが整備、充実をはかりまして、できるだけ早く御希望に沿い得るようにいたさせたい、かように考えております。
  129. 坪内八郎

    坪内委員 長崎急行に寝台車がないということにつきましては、われわれは前々から要望をいたしておりまして、これは採算がとれないからというようなことを国鉄側では常に言つておるのであります。今の石井部長のお話では、寝台車が足りないからというようなお話でありましたが、われわれが前々から折衝しております関係におきましては、採算がとれないということを言つておられます。ところが国鉄の職員の人からも——われわれは月に多いときには五、六回東京に参りますので、実情をよく知つておる。従つて採算が十分とれるにもかかわらず、それをやつてくれない。さらにまた先般来長崎まで急行が通わない時分、準急行であつたときに、準急を急行にしてくれということも、採算がとれないからだめだというお話であつた。ところがわれわれがほんとうに科学的に調査をいたしまして、資料を持つてぶつかつて、いろいろ折衝したのでありますが、採算がとれる、とれぬというのではなく、採算がとれてたいへんなもうけになつておる。こういう線にはやはり国鉄の独立採算制からいつても、私は優先的にそういうことにとりはからつてもらいたい、かように思うわけであります。なお今特別二等車をつけておるから、寝台はいらぬだろうというようなお話でありますが、大体特別二等の寝台の割当は、長崎においては佐世保が二枚、長崎が七枚というような状態で、まつたくこれでは利用者が少いというような状態でありますので、この際どうしても寝台車を長崎でも、鹿児島急行その他の急行と同様にやつていただきたい、こういうふうに考えておるわけですが、今のお話では車両が足りないというようなお話でありますが、車両がないのか、採算がとれないからしないのか、どちらですか。
  130. 前田郁

    前田委員長 ちよつとお願いしたいのですが、今の寝台の問題です。鹿児島あたりから東京あたりへ来るのには、どうしても寝台車か特別二等車でなければだめなんです。それで私は鹿児島から申し込むのですが、私が委員長という肩書きを利用しても、なかなか一等車はとれない。それでなかなか乗れない。おそらく代議士連中でも、鹿児島あたりから寝台車に乗れるという人はないだろうと思う。そういうぐあいで非常に困つておるわけですから、どうか監督当局として国鉄と相談してもらつて、早く三等車を増置するとか何とかいう方面に御努力をお願いしたい。
  131. 岡田五郎

    ○岡田(五)委員 今二等寝台のお話が出ましたが、実は政府委員からの答弁がはつきりしなかつたようでありますが、私の個人的な見通しといいますか、経験から徴してみますと、実は二等寝台は国鉄当局においては非常に少いのではないか。最近、来年度になりますか、相当数の二等寝台を御注文になるようでございまして、これが完備すれば、主要幹線は二等寝台がつくのではないか、かように考えるのでございます。二等寝台に関連いたしまして、私の経験から徴しまして、私の意見を開陳したわけでありますが、そこでちよつと速記をとめていただきたいと思います。
  132. 前田郁

    前田委員長 それでは速記をやめて……。     〔速記中止〕
  133. 前田郁

    前田委員長 速記を始めてください。
  134. 石井昭正

    ○石井政府委員 先ほどの坪内委員の御質問にお答えいたします。現在二等寝台車を長崎急行につけないのは、採算の点かどうかという御質問でごいざますが、これは私その点もつまびらかにいたしませんが、しかしながら私の考えるところでは、明らかに二等寝台車の車両の不足であると考えます。現在二等寝台車はわずかに七両しかないのでございます。
  135. 坪内八郎

    坪内委員 寝台車は一等でもいいのですよ。
  136. 石井昭正

    ○石井政府委員 一等寝台車にいたしましても、現在両数はきわめてわずかでございまして、九州まで参ります急行列車はたしか四本あると思いますが、そのうち一本しかつけられていないというような状態でございますので、逐時車両が増加いたしますれば、順次御要望に沿つて行けるものと考えております。
  137. 坪内八郎

    坪内委員 私はこまかいことを申すのではないのでありますけれども、長崎急行についての国鉄側の関心が、常にないのじやないかということを考えるわけであります。去る十月五日の急行第三十五列車に私は乗つてつたのでありますが、この列車に、はなはだしきは東京を出るときから長崎につくまで、水の一滴も出なかつたというような事実まであるのであります。この点につきましては私車掌に話をして、そういう不都合のないようにたしなめておいたのですが、この点についての御答弁はいりません。  ただこの際石井部長にお尋ねしておきたいと思うのですが、国民の代表であるわれわれが皆さんに質問を申し上げまして、いろいろな要望なり質疑をいたすわけでありますが、皆さんは国鉄に帰られましてから、関係あるいは部課長を集めて、この委員会の意向をどういうようにお伝えしておるのか、あるいは食事どきに委員会でこういつた要望が多かつたというようなことになつておるのか、その点がどうも石井部長あるいは足羽監督局長あたりが、聞きおく程度になつておるのかというように、われわれは疑問を持つておるのでありますが、どういう程度に関係部課長に伝えておるのか、お尋ねしておきたいと思います。
  138. 石井昭正

    ○石井政府委員 一般的な精神的な御注意と、具体的な問題とによつて、扱い方を多少異にいたしております。これは私はつきり記憶いたしませんが、たしか坪内委員からのお話ではなかつたかと思うのでありますが、前国会でありましたか、あるいはほかの委員からのお話かもしれません、間違つておりましたら失礼いたしますが、何月何日の急行列車にスチームが通らなかつたというおしかりがございました。さつそくその点は、そういう場合には帰りまして、直接現場の局にも照会いたしまして、その責任の乘つております機関士の氏名、それから実際に車掌が何べん室内を見まわつて、その車掌の氏名はどういう氏名で、どこでは何度あつて、どういう措置をとつたかということを全部報告を徴して、そしてその後の処置について遺憾のないように警告いたしております。決してここでおしかりをいただきましたのを聞き流しにして、帰つて茶話にする程度でお話をするというような、軽率な取扱い方はいたしておりません。おしかりのありました点は、必ず国鉄の責任のある部局にも伝えると同時に、首脳者にもその趣を伝え、両方の筋から申し述べまして、二度とそういう不都合のないようには注意させておるつもりでございます。
  139. 坪内八郎

    坪内委員 お話はかなりよくわかりますが、関係部課長に国会の終つた都度集まつていただきまして、そうしてわれわれの要望をその都度お伝えするということも、実際問題としてはいろいろ多忙な仕事を担当しておるのでできないかわかりませんが、大体重要な議案つきまして、国会のいろいろな委員会で要求があつた場合に、皆さんが関係部課長をみな集めていろいろな連絡をするというような、何かそういうことはないのでありますか。
  140. 石井昭正

    ○石井政府委員 私どもは幸いに運輸省と国鉄の本庁とが同じ建物の中におりますし、通信その他の便宜も整つておりますので、問題があつたときはすべてその場で、関係の局課長においでを願つたり、あるいは、場合によりましては私の方から出向いても、いろいろと打合せをいたしております。なお国会が終つて、あとで全部その国会の中において、いろいろお話のありましたことをまとめて、関係の局課長に話をする機会はないか、これはそういう機会はいくらでもございますし、今まででも国会の終るたびにやつておるのでございます。なお今後も十分気をつけまして、国会中にお話の出ましたことを漏れなく連絡できるように、注意いたしたいと思つております。
  141. 前田郁

    前田委員長 今の坪内委員の話ですが、さきにもちよつとわれわれが話したのですが、今日これだけの陳情に対して政府委員からお聞きする。しかしこれをやるものは国鉄の工機部である。やる人から聞かないで政府委員から聞くのだが、これは一体どういう責任があるのだろう、こういうように私は思つて、実は岡田委員を呼んで、これはどうなるのだということを聞いたわけであります。今坪内さんからこういう話が出たわけですが、実際問題として今日われわれ国会として、いろいろな要求もするし、決議もする。しかしそのおもなる問題は、国鉄に関する問題が多いわけですが、そうすると間に入つている運輸省が話をする、責任の所在はどこにあるか、実際われわれは非常にこの点において疑問があるわけです。国鉄法を改正しなければならぬ点もそこにある。そこでこの際やはり本省としては定例日とか何とかいうものを設けて、国鉄と連絡会議というようなものをお開きくださつて、少くとも週に二回くらいは国会の意向とかあるいは陳情とかいうものを、国鉄と必ず一体になつて打合せができるようにしてもらつたらと私どもは思うのです。それでなければ、ここへ出て来てもらつて陳情しても、実際はあなた方がやるのではない。国鉄がやるのだ。それをあなた方が来て、一応向うと打合せはされたか上らぬけれども、これはどんなものだか、私は実は疑問を持つてこの請願をやつておるわけです。その点を十分御研究くださつて、少くともわれわれがこういう気持を持つておるということは、何かの参考にもなると思いますから、お帰りになつてから、次官はもちろん、局長あたりとも御相談くださつて、こういう意見があつたということを徹底して御相談願いたい。そうしないと、どうしても国鉄法の改正を根本的にやらなければならぬ、運輸省の設置法案の中にもまた改正をする点がある、そういうことになろうと思うのですが、そういう点もひとつ十分御研究を願いたいと思います。     —————————————
  142. 前田郁

    前田委員長 次に日程二三ないし三八は停車場関係であります。一括して説明を求めます。
  143. 石井昭正

    ○石井政府委員 ただいま御提案になりました請願は、停車場設置請願でございますが、この停車場設置につきましては、戰争中ほとんどこれが中止されておつたという関係上、終戰後に至りまして、特に各地の御要望が非常に多くなつたわけでございます。国鉄といたしましては、できるだけ各地の御要望に沿いたい気持で、終戰後かなりの駅を新設いたしたのでありまするが、その後いろいろ関係方面の指導等によりまして、こういう方面に対します工事費の支出がだんだんと困難になつて参つた。また御承知のように国鉄の財政も、先般運賃の改正の御承認をいただくまでは、非常に赤字続きでございましたために、なかなか思うように参らなかつたわけであります。そこで結局工事費は地元において御負担願つて、そうして御要望に沿えるというような、まことに国鉄の態度としては、決してみずからそれでいいというような気持ではないのでありますが、特に地元の御要望が御熱心で、工事費は持とうというような、非常な御熱意もあるというようなところが、自然片づいて参つたわけでございます。ただいまにおきましては、停車場の新設関係につきましては、いろいろの観点もございまするが、一番の問題はやはり工事費の問題と、そこに配置すべき人員の問題でございます。御承知のように昨年七月に大整理をいたしまして以来、現場に対しまして欠員の不補充をもつてやり繰りをいたしました関係上、なかなか要員の配置ができかねるという点で、停車場の設置も行き悩みとなつている点もあるのでございます。従つて今後は駅員を無配置の簡易停車場というようなことも考えられるかと思うのであります。ただいま議題となつておりまする御請願も、おおむねそういう趣旨の御請願が多いようでございます。これらにつきましてはとくと現地を調査いたしまして、御要望に沿い得るものは善処させることにいたしたいと考えております。
  144. 坪内八郎

    坪内委員 来年度の新線の建設予算に二十億組んでおり、そのうちの十億は都市計画に基く予算だというようなことを聞いておるのですが、その都市計画の中で十億は新しい停車場に使うものであるのか、あるいは古い停車場を修築あるいは改築する面の予算であるのかどうかという点、それからもう一点は、先ほどちよつとお話がありましたが、簡易駅といいますか、簡易停車場をつくるというような構想が国鉄側であつて、前に新聞にも発表したように思いますが、その簡易停車場をつくることは決定しておるのか、どうか、その点を二点だけ御質問いたします。
  145. 石井昭正

    ○石井政府委員 来年度の予算の二十億というのは、いまだ関係方面との折衝中でございまして、確定いたしておるわけでもございませんが、これを公共事業費として要求いたしました運輸省の説明は、おつしやる通り十億が新線で、十億が都市計画に基く停車場の改良でございます。この停車場の改良というのは、都市計画法によりまして、どうしても都市計画を促進して行く上におきまして、国鉄が負担しなければならない停車場改良の工事でございます。従つてこれは相当大きな都市の主要駅が大体主となつております。新駅がこの範疇に入るのではないのでございます。  それから簡易停車場の設置でございまするが、国鉄におきまして比較的運輸量の閑散な線区に対しまして、簡易な運営方式をとろうということは、かねがね研究しておりまして、これは各地方の鉄道管理局長に、一定の基準を示して実施をまかせておるのでございます。二、三すでに着手したところもあるやに聞いておる次第でございます。     —————————————
  146. 前田郁

    前田委員長 次に日程第二七及び日程第四〇、日程第四二ないし四五は、踏切施設、運賃等でありますので、一括説明を求めます。
  147. 石井昭正

    ○石井政府委員 宮崎県の川坂、日豊線日向長井、北川両駅の中間にある鉄道の踏切廃止並びに道路開設の御請願でございまするが、日豊線の建設以来、浸水の被害が多くなり、また築堤によつて踏切箇所の道路の急坂となつたために、不利、不便が多いから改良せよという御趣旨のように承ります。建設当時は十分に水量その他を検討いたしまして、暗渠の大きさを設定して施工したものと存じておるのでありますが、情勢の変化によつて、従来の大きさの暗渠ではのみ切れない。そのために水があふれるというようなことは、これはまことにいろいろ御迷惑もかかることでありましようし、また鉄道自体の自分の利益上の立場からも、これは当然万全を期さなければなりませんので、至急研究いたすことにいたしたいと思います。  次に学士院会員無賃乗車券交付に関する御請願でございまするが、御承知のように昨年五月末日国有鉄道に移行する際に、広く出しておりました鉄道の優待乗車券は、ほとんど廃止いたしました。原則としては部外に一切出ておらないという現状でございますので、その意味からいたしまして、御請願趣旨に洗う取扱いをいたすことは、困難ではないかと考えております。  次に坑木の鉄道運賃等級引下げに関する請願でございまするが、これは原料物資の等級は、ただいまのところは七級が最低でございます。坑木につきましてはこの最低をきめておりまするので、これを引下げますと、他の原料物資との振合い上、いろいろ考慮しなければならないというようなことに相なります。貨物運賃收入全体に大きな影響があると思うのでございまして、なお研究いたしてみたいと思います。いましばらく現状のままごしんぼうを願いたいと思います。  次に県道の遠野川井線に国鉄の自動車の運営に対しての御請願でございまするが、本件につきましては、目下国鉄において調査研究中でございます。  次に三重、豊後荻両駅間を大分鉄道管理局管内に編入の御請願でございますが、これは御請願趣旨のようにただいま相なつております。  最後に日本国有鉄道法一部改正に関する御請願でございまするが、これはただいま当運輸委員会で御審議を願つております改正法律案と同じ趣旨のものでございますので、委員会の御審議中でございますので、政府といたしましては、これは国会の御決定に従いたいと存じます。
  148. 前田郁

    前田委員長 本委員会に付託になりました請願全部について、一応の趣旨説明及び政府当局意見の聽取を終りましたので、これらの請願について採否を決定いたしたいと思います。日程第一ないし第四三、第四六ないし第六七の各請願は、いずれも妥当と認められますので、議院の会議に付して採択の上、内閣に送付すべきものと決するに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  149. 前田郁

    前田委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。  なおお諮りいたします。ただいま議決いたしました各請願の報告書につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  150. 前田郁

    前田委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。  それから日程四五の日本国有鉄道法の一部改正に関する請願は除きました。それから日程四四でありますが、これは請願通りなつているそうですから、除きました。
  151. 石野久男

    ○石野委員 もう議決をしてしまつたので実に残念なのですが、四十五を残したということについて、これはやはり他の請願と同じように採択されるように、本員としてはお願いしたいのです。委員長がなぜそれをそういうふうに除外したかということについて、一応見解だけを聞かしていただきたいと思います。
  152. 前田郁

    前田委員長 ちよつとお答えいたしますが、実は法律案としてこれが回付されておりますので、一応この問題はもう少し研究を要するということでありまして、しばらく審議を見合わしてくれんかということに相なりましたので、あらためて通常国会に提案されることになると思いますから、どうか御了承願います。
  153. 石野久男

    ○石野委員 ただいまの委員長の御発言によりますと、あらためて通常国会にということの意味は、いわゆる法案の問題と同様だという前段の趣旨と勘案いたしまして、法案の審議が来国会に延びるということを意味するものなのですか。
  154. 前田郁

    前田委員長 これは法案は継続審議でないものでありますから、一応これで審議未了になつてしまいまして、来国会にあらためてまた政府がこれを出す必要があるということであれば出すわけです。     〔「それは委員会できめたのだ」と呼ぶ者あり〕
  155. 石野久男

    ○石野委員 委員会できめたいかんにかかわらず、私は一応委員長意見を聞いておるのですが、まだ本会議が終了しないのに、委員長がそういう独断の言葉を出されるということは、非常に奇怪至極なのであります。しかも運営委員会ではもう一日延びるということがありまして、今本会議の招集と同時に、もう一日会期は延びているわけです。今から本会議で法案の審議が未了になるということはおかしいと思うのですが……。
  156. 前田郁

    前田委員長 委員会においてこの審議が未了という結果になるわけでありまして、本会議にかけないのです、
  157. 坪内八郎

    坪内委員 この請願委員長が独断できめたのではなくして、委員会に諮つて異議ないということで決定したのであつて委員長にその点の責任はないと思います。従つて石野君の発言はどうもいささか疑問の点があるのであります。
  158. 石野久男

    ○石野委員 私は委員長の言葉については将来の議事運営について疑義を残しまするので、これを何とか御訂正なさつておいた方がよろしいのじやないかと思います。少くとも会期は本日にしましても、まだ時間としましてはあと四時間か五時間あるわけであります。委員会は審議未了になるから本会議へかけないということを今委員長が言われることは、非常におかしいのです。だからそういう発言はやはりされてはいけないと私は思う。だから本請願書を取扱わないということを、法案とのからみ合せの御言葉をいただくということは、私としては奇怪だということを言つているわけです。将来の議事を運営する間におきまして、なお期間のある間に、審議未了になるというような言葉を軽々に発すべきじやない。私はそういうことを心配するわけです。むしろ委員長の立場を憂えて発言しておりますから、その点よく善処していただきたい。
  159. 前田郁

    前田委員長 御趣旨はわかりました。
  160. 大澤嘉平治

    ○大澤委員 明日会期が一日延長されるということを伺いましたので、明日本委員会を開会して、一応大臣にも出ていただいて、今国会中のすべての点の最後のけりをつけたい、かように考えますので、この点を委員長にお願いしたいと思います。
  161. 前田郁

    前田委員長 明一日会期が延長されることに相なりまするので、さらに運輸大臣あるいはその他関係大臣に出席を求めて、臨時国会中の重要問題に対するところの最後の結末をつけておきたい、こういうような趣旨でありますが、皆さん御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  162. 前田郁

    前田委員長 それではさよう決定いたしまして、明日午後一時から委員会を開きます。     —————————————
  163. 前田郁

    前田委員長 これより陳情書審査に入ります。  本委員会に送付になりました陳情書は、本日の日程に掲げであります通り三十二件であります。その内容はすでに各位のお手元に配付になつておりますので、文書表によつて承知通り鉄道施設関係港湾施設関係、海上保安関係、観光関係等で、本委員会において審査した事件及び請願審査過程において、愼重審査をいたしましたところと一致するものが多いのであります。従いまして本委員会といたしましては、これらの陳情書の意のあるところを十分に了解し、今後ともわが国運輸交通の発達、改善に努力いたしたいと思います。  それでは本日はこれをもつて散会いたします。     午後五時三十八分散会