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1950-12-04 第9回国会 衆議院 運輸委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年十二月四日(月曜日)     午前十時三十九分開議  出席委員    委員長 前田  郁君    理事 大澤嘉平治君 理事 岡田 五郎君    理事 坪内 八郎君 理事 原   彪君    理事 米窪 滿亮君       稻田 直道君    尾関 義一君       玉置 信一君    畠山 鶴吉君       堀川 恭平君    前田 正男君       滿尾 君亮君    山崎 岩男君       木下  榮君    木村 俊夫君       淺沼稻次郎君    中西伊之助君       飯田 義茂君    石野 久男君  出席政府委員         運輸政務次官  關谷 勝利君         運輸事務官         (大臣官房長) 荒木茂久二君         運輸事務官         (鉄道監督局         長)      足羽 則之君         航空保安庁長官 松尾 静磨君  委員外出席者         日本国有鉄道施         設局長     立花 次郎君         專  門  員 岩村  勝君         專  門  員 堤  正威君     ――――――――――――― 十二月二日  委員山崎岩男辞任につき、その補欠として井  上信貴男君が議長指名委員に選任された。 同日  委員井上信貴男辞任につき、その補欠として  山崎岩男君が議長指名委員に選任された。 同月三日  委員玉置信一君及び尾関義一辞任につき、そ  の補欠として平島良一君及び青木孝義君が議長  の指名委員に選任された。 同月四日  委員平島良一君及び青木孝義辞任につき、そ  の補欠として玉置信一君及び尾関義一君が議長  の指名委員に選任された。     ――――――――――――― 十一月二十八日  紀勢線全通促進請願川崎秀二君外八名紹  介)(第一号)  三重、豊後荻両駅間を大分鉄道管理局管内に編  入の請願金光義邦君外三名紹介)(第二号)  日本国有鉄道法の一部改正に関する請願(増田  甲子七君紹介)(第三号)  生保内、雫石両駅間の鉄道敷設請願石田博  英君外四名紹介)(第四号)  川坂地内鉄道踏切廃止並びに道路開設請願(  佐藤重遠紹介)(第六号)  首崎に燈台及び警笛設置請願鈴木善幸君紹  介)(第七号)  山田線復旧促進に関する請願鈴木善幸君紹  介)(第八号)  広尾港修築費国庫補助請願高倉定助君外一  名紹介)(第九号)  近文、沼牛両駅間に鉄道敷設請願松澤兼人  君紹介)(第一〇号)  坑木の鉄道運賃等級引下げに関する請願(岩川  與助紹介)(第五〇号)  落合、高梁両駅間に鉄道敷設請願大村清一  君紹介)(第五一号)  浜松米原間鉄道電化促進に関する請願青木  孝義君外一名紹介)(第五二号)  鹿児島測候所地方気象台に昇格の請願前田  郁君紹介)(第五九号)  塩釜に燈台設置請願山崎岩男紹介)(第  八〇号) 同月三十日  熊石港しゆんせつ並びに拡張工事施行請願(  川村善八郎君外一名紹介)〔第一五一号〕  港湾法による港湾工事費負担率改正請願(安  部俊吾紹介)(第一五二号)  下田港を避難港に指定請願畠山鶴吉君紹  介)(第一五三号)  奈良、湊町間鉄道電化請願田中萬逸君紹  介)(第一五四号)  隼人、大泊間鉄道敷設請願前田郁紹介)  (第一五五号)  青森修築工事促進請願山崎岩男紹介)  (第一五七号)  津軽線復活促進に関する請願山崎岩男君紹  介)(第一五八号)  伊東下田間鉄道敷設促進請願畠山鶴吉君紹  介)(第一五九号)  岩内、黒松両駅間に鉄道敷設請願苫米地英  俊君紹介)(第一六〇号)  鉄道線路防音接続装置に関する請願坪内八  郎君紹介)(第一六一号)  南小樽駅に急行列車停車請願苫米地英俊君  紹介)(第一六二号)  大津港駅改築の請願北澤直吉外三名紹介)(  第一六三号)  鶴ケ坂駅に貨物取扱開始請願山崎岩男君紹  介)(第一六四号)  野村、谷川両駅間に列車増発請願吉田省三  君紹介)(第一六五号)  日詰、古館両駅間に簡易停車場設置請願(山  本猛夫紹介)(第一六六号)  鵜住居、釜石両駅間に簡易停車場設置請願(  山本猛夫紹介)(第一六七号)  有家港災害復旧費国庫負担金交付促進請願(  山本猛夫紹介)(第一六九号) 十二月二日  宮下、川口間鉄道敷設請願菅家喜六右紹  介)(第二三一号)  上野市、名張間鉄道敷設請願淺沼稻次郎  君紹介)(第二三二号)  上信鉄道敷設促進請願小淵光平紹介)(  第二三四号)  根占港を商港に指定並びに修築請願前田郁  君紹介)(第二三五号)  上野市、名張間鉄道敷設請願川崎秀二君  紹介)(第二三六号)  岩国、日原両駅間鉄道敷設請願佐藤栄作君  紹介)(第二三七号)  大山駅待合室築設の請願佐々木盛雄紹介)  (第二三八号)  小瀬戸、神の島間水路開設請願坪内八郎君  紹介)(第二四六号)  三陸鉄道敷設請願小澤佐重喜紹介)(第  二五六号)  浜松米原間電化促進請願江崎真澄君外四  名紹介)(第二七九号)  県道遠野川井線国営自動車運輸開始請願(  野原正勝君外二名紹介)(第二八〇号)  勝山、倉吉両瞬間鉄道敷設請願星島二郎君  外一名紹介)(第二八一号)  綾里岬燈台霧中信号施設設置請願(淺利三  朗君紹介)(第二九〇号)  赤碕港改修工事促進請願稻田直道紹介)  (第三一三号)  港湾法の一部改正に関する請願坪内八郎君外  一名紹介)(第三一四号)  石巻線を雄勝町まで延長請願内海安吉君紹  介)(第三一五号) 同月三日  赤穗線敷設工事促進に関する請願若林義孝君  外一名紹介)(第三四六号)  門司港、鳥栖両駅間鉄道電化促進請願(平井  義一紹介)(第三四七号)  曽根の鼻に燈台設置請願福田昌子紹介)  (第三四八号)  日豊線準急列車東京まで延長請願田中不  破三君紹介)(第三九四号)  吉都線に熊本経由門司行の準急列車増発請願  (田中不破三君紹介)(第三九五号)  油津港を重要港灣指定請願田中不破三君  紹介)(第三九六号)  志布志、古江両線の列車ダイヤ改正請願(田  中不破三君紹介)(第三九八号)  福島仲町拡張請願外一件(田中不破三君紹  介)(第三九九号)  日南鉄道全通促進請願外一件(田中不破三君  紹介)(第四〇〇号)  日南油津海上保安部内に船舶検査  官分室設置請願田中不破三君紹介)(第四  〇一号)  花咲燈台霧信号設置請願伊藤郷一君紹  介)(第四〇二号)  根北線鉄道敷設促進請願伊藤郷一君紹介)  (第四〇三号)  落石埼燈台霧笛設置請願伊藤郷一君外一  名紹介)(第四〇四号)  小瀬戸、神の島間水路開設請願岡西明貞君  紹介)(第四二〇号) の審査を本委員会に付託された。 十一月二十九日  船川港町に海上保安部置並びに無線通信部設  置の陳情書  (第五号)  船舶戦争保險等に関する陳情書  (第六号)  岐阜県関町、鵜沼町間に電車敷設陳情書  (第二〇号)  北海道南部予定鉄道線敷設促進陳情書  (第二五号)  浜松米原間鉄道電化促進陳情書  (第三一号)  瀬戸内海沿岸観光ホテル設置陳情書  (第三四号)  清水港を重要港湾指定陳情書  (第三七号)  東北地方国鉄電化促進に関する陳情書)  (第四四号)  国鉄赤穗線完成促進陳情書  (第七五号)  宇野港を重要港湾指定陳情書  (第八七号)  新潟、直江津、夷の三港を重要港湾指定の陳  情書(第一〇四  号)  国鉄職員に対し寒冷積雪地給支給陳情書  (  第一〇九号) 十二月二日  宇野港を重要港湾指定陳情書  (第一二二号)  鹿児島港に船員職業安定所設置陳情書  (第一二五  号)  官立大島商船学校存置陳情書外一件  (第一二八  号)  官立富山商船学校存置陳情書外一件  (第一三四号)  神戸港第七突堤築設に関する陳情書  (第一五八号)  北海道港湾修築工事費国庫負担陳情書  (第一六三号)  港湾工事に対する国庫補助増額陳情書  (第一  八〇号)  山陰線丹波口駅に北口新設陳情書  (第一八一号)  青森函館間海底トンネル開通促進陳情書  (第一九八号)  ろうあ者に対する旅客運賃割引等に関する陳情  書(第一九  九号) を本員員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  運輸省設置法の一部改正  の説明聽取に関する件  新線建設に関する件     ―――――――――――――
  2. 前田郁

    前田委員長 これより会議を開きます。  運輸省設置法の一部改正に関し説明聽取の件を議題といたします。当局より説明を求めます。荒木官房長官
  3. 荒木茂久二

    荒木政府委員 御存じのように六月二十六日に、国内航空運送事業運営に関するメモランダムが来まして、それに基いて国内航空運送事業令ができたわけであります。そしてその所管は運輸大臣がやるということになりまして、運輸大臣責任大臣ではありますが、現在電通省外局として航空保安庁がございますので、当分のうち航空保安庁にその事務を扱わしめる、こういうことに相なつてつたわけでありますが、国会が開かれましたので、正式に航空保安庁運輸省に移しまして、運送事業の方もあわせてやりますので、名前が適当でありませんから、航空庁ということに直すというように、運輸省設置法改正提案いたしまして、目下内閣委員会に付託されておるわけでございます。従つてその提案理由を御説明申し上げたいと思います。  民間国内航空許可に伴いまして、去る十一月一日ポツダム政令国内航空運送事業令を制定いたしまして、国内航空運送事業免許貨物旅客郵便物運賃決定、被免許会社業務監査運輸大臣が行うことになつたのでありますが、電気通信省外局航空保安庁がありますので、これらの事務を暫定的に、運輸大臣指揮監督のもとに航空保安庁に取扱わせることにしたのであります。しかしながら航空行政は、運輸行政運賃問題等から見ても、非常に密接な関係がありますので、これらの行政を一体的に遂行するため、電気通信省外局である航空保安庁を廃止して、運輸省外局として航空庁設置し、航空運送行政航空保安行政とをあわせ所掌させることとしたのであります。従つて従来航空保安庁の主たる事務としておりました保安行政のほかに、新たに運送行政を担当することになりますので運輸省外局とするに際しまして、その名称を改めることが適当と考えられますので、これを航空庁とすることにいたしました。右に伴いしまて、運輸省設置法電気通信省設置法所要改正を加えましたが、運輸省設置法につきましては、航空運送事業に関する規定を加えたほか、大体現行通り航空保安庁に関する規定を踏襲したのであります。またこれに伴いまして、国家行政組織法及び行政機関職員定員法に、それぞれ所要改正を加えました。なお行政機関職員定員法第二条第四項につきましては、航空保安事務所航空標識所新設に伴い、終戰処理費による増員のため定員改正をいたすこととし、国内航空運送事業令改正につきましては、運輸大臣事務委任及び指揮監督規定は、航空庁運輸省の所轄となつたため改正したのであります。さらにこの法律の附則におきましては、航空保安庁職員及びその家族は、共済組合関係及び逓信病院の利用に関しまして、従来の電気通信省職員及びその家族としての身分を当分の間保有し得ることといたしました。  以上が本法律案提案理由及び内容の概要であります。何とぞ愼重御審議の上、すみやかに御可決あらんことを切望いたす次第であります。
  4. 前田郁

    前田委員長 本件について何か質疑はございませんか。
  5. 岡田五郎

    岡田(五)委員 十一月一日付をもちまして、国内航空運送事業令というものが、ポツダム政令で公布されているようでありますが、これを何がゆえにポツダム政令で公布されましたか、その辺の事情を御説明願いたいと思います。
  6. 荒木茂久二

    荒木政府委員 国内航空運輸事業運営に関する覚書が出されましたのが、先ほど申しましたように本年六月二十矢口であります。翌二十七日には司令部会社側は、事業開始のための細目の協議を行い、七月五日には会社側共同声明を発表し、本事業開始必要性を説くとともに、八月一日までに本件に関するすべての問題が検討される旨を明らかにしたわけであります。続いて八月三十一日付で内国航空株式会社株式取得許可と、事業開始許可申請行つて参つたわけであります。今申し上げましたような事情からして、すみやかにこれに関する国内の諸手続を完了しなければならぬ、こういう状態に追い込まれていたわけであります。一方、一九四五年の十一月十八日付の覚書によつて日本が、民間航空を行うことが全面的に禁止されました結果、従来の航空法は事実上適用不可能となつていたのみならず、その内容はすでに時代の進展及び技術の進歩に伴わず、今般の国内航空運送事業を律するには、不適当または不可能となつていたのであります。形式的には航空法が存在しますけれども、それを律することができないという事情でございまして、どうしても今申し上げましたその面からも、航空運送事業令を制定しなければならぬ、こういう事情にあつたのであります。また前述の一九四五年十一月十八日付の覚書によつて航空運送事業について責任を有すべき行政官庁が廃止されていたので、今般の新会社事業免許監査運賃決定等、六月二十六日付の覚書に示された重要事項を処理すべき責任行政官庁を至急決定の上、会社側設立進捗に応じた準備を進める必要が緊急に追られておつたわけであります。そういうような意味から、十一月一日付をもつて国内航空運送事業令を制定したわけでございます。にもかかわらず、会社がいつ事業を開始するかまだわからぬじやないかというような御質問があるかと思いますが、それは朝鮮事変勃発と、それから何と申しましても御存じのように今度できました新しい会社が、国籍の異なる多数のインターナシヨナルの飛行機会社共同出資でありますために、会社内部の話合いも十分予想したように進捗しないという会社側の事由もございまして、いまだ実際に飛行機が飛ぶとか、実際に詳細な事業計画が提出され、運輸審議会にかけて許可決定するとか、あるいは運賃決定するというところにまで、立ち至つておらないという状態であります。このため、われわれが予想したより非常に早く提出される状態なつたわけではありますが、それが今申し上げましたような事情からして、新段階に至つていないというありさまであります。
  7. 岡田五郎

    岡田(五)委員 国内航空会社設置の問題につきましては、本年早々から紙上に相当報ぜられまして、問題になつてつたのでありますが、六月二十五日の朝鮮動乱勃発以後、アメリカの民間航空輸送力云々からいたしまして、朝鮮動乱勃発直後から、ややもすると国内航空の実施が遅れるがごとき、気配が推察せられておつたのであります。そういうような事情からいたしまして、私はポツダム政令によらずとも、本国会または通常国会において、成規法律手続をもつて国内航空関係立法措置を講じても、十分余裕があつたのではないかと思うのであります。あるいは結果的な議論になるかもしれませんが、偶然にもいまだ全然会社設立事業計画も策定されていないというような事情にあるのでありますが、朝鮮動乱勃発後における、こういう面における動きの事情はどうであつたか、参考のためにお知らせを願いたいと思うのであります。
  8. 松尾静磨

    松尾政府委員 ちよつと速記をとめていただきたいと思います。
  9. 前田郁

    前田委員長 それでは速記をとめてください。     〔速記中止
  10. 前田郁

    前田委員長 速記を始めてください。
  11. 前田正男

    前田(正)委員 ちよつとお尋ねしたいのですが、ポツダム政令内容に対しては私知りませんので、一、二お尋ねしておきたいと思うのです。このポツダム政令内容によりましては、国内航空事業外国資本のものだけがやることになつてつて日本国内航空事業に対して、日本国家資本日本国民資本というものは投資できないということに、ポツダム政令に明記してあるのであるかどうか。あるいは今回の航空事業に、日本側資本参加できるのであるかどうか、こういうことを、まず事業令内容をお聞きしたいと思います。
  12. 荒木茂久二

    荒木政府委員 これは事業令の第二条におきまして、出願資格者規定されておりまして、大体前田委員のおつしやる通りになつております。読んでみますと、「国内航空運送事業本邦(本州、北海道、四国、九州及び運輸省令で定めるその附属の島をいう。)内の各地間において航空機により旅客貨物又は郵便物運送をする事業をいう。以下同じ。)は、昭和二十年九月号日から昭和二十五年一月一日までの間において、本邦以外の地と本邦内の各地との間において航空軍会事業を営んでいた者が協議して定める一の法人に限り、運輸大臣免許を受けて営むことができる。」こういうふうに出願者の出願する資格がきまつているわけでございます。どうしてこういうことになつたかと申しますと、一九四五年すなわち終戰の年の十一月にスキャップ・インが出まして、日本人及び日本人の組織する団体は一切の飛行機を所有し、またはこれを運営してはいけないということに相なつたわけであります。従つて爾後それに関する行政機関も廃止いたしまして、日本人航空事業を行うことができないと同時に、日本人自体が。パイロットにもなれないという状態に相なつているのであります。従つてわれわれといたしましては、現在の段階においてそのスキャップ・インが修正されることを希望しているわけでございますけれども、このスキャップ・イン極東委員会決定に基くものであると私どもは承つているわけであります。
  13. 前田正男

    前田(正)委員 今のお話ですと、われわれ日本人航空事業はできないことになるわけですけれども、今回その一部を免許されたかどうか知りませんが、運輸大臣がこれの認許可を行うことになりますと、それは当然運輸審議会に諮問すべきものと思うのでありますが、これは日本人運輸審議会委員になつているわけでありまして、大臣ももちろん日本人唇ありますと、航空事業に現在われわれが携わつていないでおつて、その認許可申請とか、事業内容免許可といつた方面に対して、十分に免許可決定等ができるかどうかということについて、十分な自信運輸当局としては持つておられるかどうか、政務次官から御答弁を願いたいと思います。
  14. 關谷勝利

    關谷政府委員 御質問ごもつとものようであります。この点につきましては運輸省といたしましては、その免許司その他につきましては、自身を持つていると思います。
  15. 前田正男

    前田(正)委員 当局は確信をお持ちになつているようで、われわれも安心するのでありますけれども、国内航空事業でありまして、われわれが今後そういう方面行政事務を担当して行かなければならぬということになりますと、当然われわれといたしましてもこの際さらに資本参加等で、極力この航空方面関係できるやうに、これはポツダム宣言できめられていることでもありますし、また講和条約が締結されなければ、あるいは困難なことかもわからないと思いますけれども、これにつきましてもう少しく関係方面の緩和をお願いするようにしなければならないと私は思うのであります。  なおこのたびの会社はできるようでありますが、現在国内に、たとえばイギリス方面から飛んで来ているのがございますが、これをさらに東京大阪方面にずつと延ばして、その航路を延長することができることになりますと、これは国内航空事業と違うようでありますけれども、日本人がならないという点では違うかもしれませんが、しかし外人間の面においては競争をすることになると思うのでありますが、そこのところは何らさしつかえないものでありますか、その辺ひとつお聞かせ願いたいと思います。
  16. 松尾静磨

    松尾政府委員 前段の御質問の、日本資本参加につきましては、われわれもまつたく同感でありまして、そうなるように努力すべきものと思つております。  なお後段の御質問の、たとえばイギリスのB○ACが飛んで来まして、日本国内航空路と重複しないかという御質問でございますが、今入つておりまする外国航空会社は、日本国内輸送は認められておりません。それでたとえばB○AC岩国におりまして、東京へ乗り入れる場合も、日本国内貨物国内郵便物国内の客というものの輸送は禁止されております。それで国内航空運送事業とは重複しないと思います。
  17. 前田正男

    前田(正)委員 大体今のことでよくわかりました。なおこのことに携わります従業員問頭については、新聞等でいろいろと書いてありますが、極力日本人を採用してもらえる、業務員以外は採用してもらえる、こういうふうにわれわれは考えておるのでありますが、いろいろと軍関係その他の施設の中に入ると思いますが、従業員以外の日本人の採用ということについては、すでに十分の了解を得ておられるかどうか、その辺のところをお聞かせ願いたいと思います。
  18. 松尾静磨

    松尾政府委員 日本人終戰後覚書によりまして、航空事業活動は禁止されております。なお乗員も禁止されておりますけれども、今度の日本内国航空株式会社のいわゆる従業員乗員、その他実際事業活動をやるいわゆる役員、社長、責任のある人以外の技術者その他事務関係の者は、できるだけ会社側としては日本人を採用したい、こういう意向のようでございます。  なおまた飛行場にそういう者が入ることができるかというような御質問でございますが、これは民間航空会社の基地として占領軍許可した飛行場には、やはり入らなければ仕事ができませんので、おそらく入るような、ある規定をつくられるのではないかと考えております。
  19. 前田正男

    前田(正)委員 従いまして、そういうことになりますと、当然整備の問題だとか、いろいろと出て来ると思うのでありますが、こういつた方面整備あるいは補修だとかいうふうな方面についての修理工場とか、その他ができて来ると思いますが、そういつた方面日本会社を利用して委託するとか、あるいは日本技術者を利用するとか、これはもちろんその会社補修は、従業員日本人を使う以上は、日本技術を利用してやると思いますけれども、さらに日本国内会社にそういう補修だとか修繕、あるいはその他いろいろ工業的な方面は、これを委託して仕事をやらせるものかどうか、その辺についてもお聞かせ願いたいと思います。
  20. 松尾静磨

    松尾政府委員 ちよつと速記をやめていただきたいと思います。
  21. 前田郁

    前田委員長 ちよつと速記をやめてください。     〔速記中止
  22. 前田郁

    前田委員長 速記を始めてください。
  23. 大澤嘉平治

    大澤委員 先ほど前田委員から御質問があつたようでありますが、日本政府外国航空会社認許可をする場合、政府はこれに自信を持つて当るというような答弁があつたようでありますが、先般新聞等で見ますれば、かりに東京から九州まで外国航空会社運賃をとる場合に、日本の二等車の運賃でこれを行う、あるいは東京大阪間も、わが国の国有鉄道生命線ともいうべき東海道線の二等車の運賃で、航空会社がこれを行うということになれば、われわれ国民として、日本国有鉄道の将来を一応心配せざるを得ないのでありますが、政府はこういう場合に対して運賃許可、あるいは航空会社認許可の際において、どういう考えを持つているか、これをお尋ねいたします。
  24. 荒木茂久二

    荒木政府委員 ちよつと誤解があつてはいけませんので、先に申し上げておきますが、今度できました国内航空株式会社と申しますのは、外国法人ではございませんで、日本の商法によりました日本法人でございます。ただその出資者が日本人でないということでありまして、その会社自体は完全に日本の諸般の法律の規律を受ける、こういうことに相なつているわけでございます。  なお第二の問題でございますが、これはいわゆるその出願し得るものは、現在設立されているような会社に限るという限定はついておりますけれども、その当該会社が提出して来ました免許を、事業内容に即して審査いたしました結果、不適当であるとするならばそれを拒否する、免許しないということもできることに相なつているわけでございます。  なお今大沢委員が言われましたように、この航空機の運賃決定というものが、他の運送事業に対して及ぼしまする影響がきわめて重大であることは申すまでもありませんので、ちようど現在運輸省がやつておりますように、通運事業とか、あるいは地方鉄道、軌道の免許のように、運輸審議会にかけまして、公聽会を開きまして、関係運送事業者はもちろん、他の学識経験者、一般の十分なる発言によりまして、広く意見を発表していただきまして、それに基いて運輸審議会が、外国の例はもちろん、いろいろの例を検討し、他の運送事業に対して公正な競争ができるという状態における運賃決定されるということに相なると考えております。
  25. 大澤嘉平治

    大澤委員 ただいまの御答弁によりますれば、当然日本の所轄官庁である運輸省において、こういう点に対しては公聽会を開いて十分検討の上、認許可をするということでありますので、この点はごもつともでありますが、先ほど来のお話にもありました通りポツダム政令によりまして日本人はその資本参加できないとか、あるいは会社の重要ポストの役員にはなることができないというような面がありますので、実際の会社の運用あるいは経理等に対しては、日本人にこれを許すところではないのであります。従つてわれわれ国民といたしますれば、航空機によるところの運賃の低廉であることはもちろん望むところでありますが、これに対しての他の運送機関が日本にはとうていまねのできない、すなわち航空機によるところの独占的な一つの企業でありますので、この企業が日本人にも同じく許されるならば、これに対しての十分な検討もけつこうであろうし、また運賃等の点も少しでも低廉であることはけつこうでありますが、これが一つの特許権とでもいうような航空機の会社に、日本の企業が何ら対抗できないものであることは御存じ通りであります。かような企業に対しての運賃は、日本の既設の国有鉄道のごときものに対する運賃等に、何らの影響を与えないというだけの自信を持つておられるかどうか、当局の御意見をもう一度お伺いいたしたいと思います。
  26. 荒木茂久二

    荒木政府委員 もちろん運賃決定がきわめて重大な要素でありますために、それに関しましては今申し上げましたような手続をもつて、愼重に各運送事業間における不公正な競争が行われないような、公正妥当な運賃決定するということに、絶大の努力を拂うことはもちろんでございます。  なおこの事業が独占的事業として、将来長きにわたつて一社がこれを行うというようなことについては、運送事業令の第二条第五項におきまして「第一項の免許には期限を附することができる。」こういうことになつておりまして、免許には期限を付することができる制度になつております。ちよつと速記をとめていただきたい。
  27. 前田郁

    前田委員長 速記をとめて…。     〔速記中止
  28. 前田郁

    前田委員長 速記を始めてください。
  29. 大澤嘉平治

    大澤委員 ただいまの御説明によりまして十分了承はできましたが、先般の航空機会社に関しての新聞記事によると、東海道線の一等車運賃より以下にできると発表してあつたと思いますが、そういう新聞の発表に対しては、運輸当局は承知しておつたかおらなかつたかということを一事お伺いいたしたい。
  30. 荒木茂久二

    荒木政府委員 先ほど申し上げましたように、事業計画がま荘提出されておりません。なお新聞等に二、三度出ました一等と二等との間ぐらいの運賃決定するということに関しましては、われわれ日本政府側としては全然関知いたしておりません。
  31. 岡田五郎

    岡田(五)委員 一つだけこの設置法の法文につきまして御質問を申し上げたいのでありますが「第六条第一項十一号の三の次に次の一号を加える。」こういうことで「国内航空運送事業令規定に基く免許、認可その他の処分」と、こういうことになつておるのでありますが、ほかの運送業に対する事項につきましては、取消しまたは停止というような項目が別項目として上つておるのでありますが、国内運送業につきましては免許可とあわせて「その他の処分」、こういう文句を使つておるのであります。先ほど申し上げました事業の取消し、停止という事項というか、そういう処分以外に、何かその他の処分があるのかどうか。または大体において取消しと停止というだけの意味なのか、その辺のところ——珍しくそういう文句が使つてありますので、立案者の意のあるところを御説明願いたいと思います。
  32. 荒木茂久二

    荒木政府委員 この免許事業開始免許でございまして、認可は運賃に関する認可であります。その他の処分と申しますのは、取消し、停止を含んでおるわけでございまして、別にそれ以上の深い含みがあつて書いたものではございません。普通の書き方によつて書いただけでございます。
  33. 岡田五郎

    岡田(五)委員 航空保安庁長官にお聞きしたいのですが、国内航空運送事業上、先ほど政府委員説明がありました取消し、停止以外に、何か処分というような事項がありましようかどうか、念のために御質問申し上げます。
  34. 荒木茂久二

    荒木政府委員 六条に掲げてございますのは、運輸審議会の諮問事項でございまして、この国内航空運送事業令に基きます中で、特にかけないことになつておりますのは、飛行場の使用の許可でありますが、これはスキャップ・インに基きますと、運輸大臣司令部許可を得て使用を許可する、こういうことに相なつておりますので、運輸審議会にかけましてもその通りになりません。最終決定司令部にあります関係から、諮問事項にいたしていないのでありまして、その他の処分は運輸審議会でやる、こういうことになつております。
  35. 岡田五郎

    岡田(五)委員 先ほど官房長の御説明によりますと、飛行場の利用というお話でありますが、国内運送事業令の第九条によりますと「事業者は、その経営のために利用する飛行場については、運輸省令で定める手続に従い、運輸大臣許可を受けなければならない。」こういうことになつておるのでありましてこの法文からいえば、司令部云々の言葉はもちろん表わすことはむずかしいのでありましようが、この法文からいえば、運輸大臣の自主的な許可によつて得られることになつておるようでありまして、そういうようなことは今のお話では、運輸審議会の諮問事項にならないようであります。かような飛行場の利用ということは、運輸審議会の諮問事項として、その諮問に従つて運輸大臣許可を与えられるのであるかどうか、その辺のところをはつきり御説明願いたいと思います。
  36. 荒木茂久二

    荒木政府委員 運送事業令の九条の飛行場の使用許可につきましては、運輸審議会へ諮問しない、こういうことになつております。この許可につきましては、あらかじめ司令部許可を受けることに相なつておるのでありますが、この政令は日本政府日本国民を対象としておるものでありますので、スキャップ・インにはございますが、その趣旨は九条にはうたわなかつたわけでございます。
  37. 岡田五郎

    岡田(五)委員 それでは再確認の意味で再質問いたしますが、「その他の処分」というのは、国内航空運送事業の取消しまたは停止、大体かように心得てよろしゆうございますか。
  38. 荒木茂久二

    荒木政府委員 今岡田委員の言われました二つの事項のほかに、事業計画変更の認可があります。
  39. 岡田五郎

    岡田(五)委員 運輸大臣運輸審議会に諮問される事項は、私はできるだけ明確な言葉をもつて、明瞭にされておかれる必要があると思うのでありますが、「その他の処分」ということで、運輸大臣または行政官吏の適当な解釋によつて、その他の処分のうち、あるものは運輸審議会にかけられる、あるものはかけられないということでは、はなはだ明瞭を欠き、不徹底に終り、また運輸審議会そのものの権威からいたしましても、私は明確にされる必要があるのではないかと考えるのでありますが、政府委員の御説明をお願い申します。
  40. 荒木茂久二

    荒木政府委員 御趣旨の通りでございまして、われわれ事務当局がアービトラリーな判断に基きまして、運輸審議会にかけたりかけなかつたりするということは、いたしておらないのでございまして、同じ航空運送事業令に基きます許可以外のものは、全部運輸審議会に諮ることになつておるわけであります。ただ運輸省設置法に基きまして運輸審議会が、軽微な事項として、これはかけなくてもよろしいという具体的な個々の案件について事務当局の方にさしもどしがある以外の事項のものは、本事業令に基いて全部運輸審議会にかける。但し先ほど申し述べました飛行場の使用だけは諮らない、こういうことであります。
  41. 大澤嘉平治

    大澤委員 もう一言お尋ねしておきたいのでありますが、先ほどの政府委員の御答弁によりますると、国内航空会社資本金が五十万円であるということを承つたのであります。なおこの国内航空会社は、日本の商法の拘束を受けておるというお話でありまするので、先ほどの航空機の買入れ価格の問題にいたしましても、あるいは飛行場の問題にいたしましても、航空機——これは日本から買うわけでないから別といたしましても、日本の領土を飛行場にすることは問題であると思いますので、その日本の領土の飛行場については、これを買收するのか、あるいは借り入れるのか、その点はどういう考えかわかりませんが、いずれにいたしましても、飛行場を無償でこの会社が專有するということは、日本の商法によつた解釋といたしますれば、でき得ないことであると考えますので、こういう脈に対して資本の構成から見まして、これを許可するときにいかに取扱われるか、もう一言お尋ねいたしたいと思います。
  42. 松尾静磨

    松尾政府委員 現在飛行場占領軍の管理下にありますけれども、現在も羽田において外国の純然たる民間航空会社が国際航空をやつております。羽田のこれらの民間航空会社に対しましては、離着陸料を徴收しております。それは占領軍の方で徴收されておりまして、大蔵省の方へ入つて来ております。従つて今度国内航空が開始されました場合に、その会社が使用する飛行場につきましては、これもやはり国際航空会社と同じように、適正なる使用料の徴收が可能であろうと考えております。
  43. 大澤嘉平治

    大澤委員 現在の国際航空会社は、もちろん日本の商法によつた会社ではないと考えまするし、なおこの会社に対して日本政府認許可をしたわけではないのでありますから、今度認可されるところの日本の商法によつた日本政府許可した会社に対しての扱い方は、これと同じということに考えるべき問題でないと私は考えますので、今の答弁によりますると、やはり現在の外国航空会社と同じ扱いにするような御答弁でありまするが、この点私はもう少し日本政府として、しかも認許可を与える官庁といたしましても、もう一段の打ち込んだ考えを研究していただきたい、かようにつけ加えておきたいと思います。
  44. 松尾静磨

    松尾政府委員 飛行場の離着陸料の基準と申しますものは、国際航空に関しましては、国際航空機構に加入しておる国は、大体標準がきまつております。なお国内航空飛行機に対しても、大体国際的な基準がきまつておるのでありまして、国際航空の飛行機の離着陸料と、国内航空飛行機の離着陸料とは、おのずから基準は別であります。また飛行機の重量によりまして、離着陸料金というものは世界的の大体の基準がありまして、日本は国際航空機構にはまだ入つておりませんけれども、一応国際基準に従つて徴收さるべきものだと考えております。
  45. 前田郁

    前田委員長 お諮りいたします。運輸省設置法の一部を改正する法律案は内閣委員会に付託に相なつておりますが、内閣委員会において修正する意向がありますならば、内閣委員と協議することとし、原案の場合は連合審査会を開く必要はないと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  46. 前田郁

    前田委員長 御異議なしと認めまして、さよう決定いたします。     —————————————
  47. 前田郁

    前田委員長 次に新線建設に関する件を議題といたします。  現在までの経過及び今後の計画等について詳細な説明を求めます。
  48. 足羽則之

    ○足羽政府委員 鉄道新線の建設に関して御説明申し上げたいと思います。 新線の建設に関しまして、去る四月及び七月に国会において促進に関する御決議をいただいたのでありますが、その後いろいろ検討を加えておる次第でございます。まだ来年度の予算が検討中でございまして、その内容について御審査をいただく運びになつていないわけでございますが、大体来年度の予算に国有鉄道からは約三億二千万円二三線の建設費を計上したいという案で出て参つております。内容は赤穂線、窪川線、津軽線でございます。これらの線は、従来御承知のように工事を中止した路線がございますが、そうした路線の中には、御承知のように工事も相当程度進捗しておりまして、建設費も相当投じられておる路線もございまして、そうした路線のうちから竣工度とか、路線の経済開発的な諸施設、あるいはその路線の完成後の採算的な点、そういつた点を考慮して、そうした線が一応選定されておる次第でございます。いずれもし予算を提出する運びになりますれば、そうしたものについて御審議をいただくことになろうかと考える次第でございます。  なお建設線一般についての非常に熱烈な御希望は、数回の決議案にも現われておる通りでございまして、われわれといたしましては、何とかしてもつとこの建設線を促進するという考え方で、問題を熱心に扱つて参りたいと考えております。これについては今までるる御説明申し上げましたように、路線の中には、現状のみをもつてしては着手にやや困難な路線も相当ある。しかしそれも国家的な立場に立つて考えますときには、どうしても経済開発というような観点から申しても、至急に着手しなければならない路線もあるように考える次第でございます。なお現在敷設法の別表に上つております路線にいたしましても、非常に大きなキロ程、全体とすれば約七千四、五百キロから八千キロにわたる——半分と見ましても三千六、七百キロというような路線があるわけでありまして、そうした路線についてこの対象として考えます場合に、建設を促進するという意味からいうと、一刻もこの着手の期を早めるということを進めて参りたい。以上の観点から、あるいは出資、あるいは見返り資金による財源を求めることを適当と考えまして、新線建設に約十億、それから都市計画の促進に関しまして十億、合計二十億、見返り資金の公共事業費による財源を求めたいということで、現在まで折衝いたしております。これにつきましてはきのう、きようの新聞で、来年度の見返り資金の公共事業費の投資ということが、絶望であるように伝えられておりまして、まだ実はその点を確認しておらぬのでございますが、そういうところに財源を求めて、ぜひ進めて参りたいと現在まで考えて、関係のところと折衝いたしておるわけであります。率直に申しまして、従来までの新線の建設に関する経過はそういう事情でございます。
  49. 坪内八郎

    坪内委員 新線問題につきまして、ただいまお話がありましたように、この問題は非常に魅力ある問題でございまして、各界各層ともあらゆる角度から見守つておるような状態でございますが、私はこの際五点ばかり局長にお尋ねしておきたいと思います。  その第一点は、新線建設審議会設置の問題でございます。過般来運輸省あるいは国鉄の中にも、この新線建設の審議会を設けて、具体化するというような話があつたのでありますが、その後この審議会の問題は一体どうなつたのか、われわれ委員会におきましても、先般新線建設につきましては小委員会でもつくつて、さらにそれを十分あらゆる角度から検討しようじやないかというような話も寄り寄りあるわけでありますが、その点について伺いたい。
  50. 足羽則之

    ○足羽政府委員 前の議会にも実はその点に触れて来たかと思いますが、今後の新線建設につきましては、いろいろ複雑かつ困難な問題がたくさんあろうかと思いますので、特にいかなる線からどういうふうに着手するかという問題については、非常にむずかしいかとも考えられる次第であります。従つて現在運輸省設置法に定められてございます運輸審議会には、新線の建設に関しては運輸大臣がこれを運輸審議会に諮問をするということになつておるのでございますが、しかし運輸審議会だけに諮問をするということで、はたしてこの新線の建設についてのいろいろの問題が尽せるかというふうに考えます場合に、われわれとしては審議会の問題としては、審議会自体の現在の構成が、少し幅が狭いような感じが率直にいたす次第であります。と申しまして、審議会目体を現在かえるということもできませんので、新線に関して路線の選定なり、その他新線建設に関する問題を扱う審議会をつくりまして、そこでもつと各方面の有識の方々、あるいは国会議員の方々、あるいは関係官庁、各方面のもう少し範囲の広いメンバーでの一つの審議会といつたものを考えて、そこでこの問題を扱つて行く、こういうふうにして参つたらどうかということで、そうした審議会をつくる方向で、いろいろその内容について検討を進めておる次第でございますが、まだ成案を得ておりませんので、その内容についてはつきり御説明申し上げる段階になつておりません。いずれ成案を得ますれば、皆様に御審議を願うことになろうかと思つております。
  51. 坪内八郎

    坪内委員 この審議会の設置の時期についての、大体の見通しはどういうふうに考えておられますか。
  52. 足羽則之

    ○足羽政府委員 おそらくこれを大きく具体化さして参りますためには、法律によることになると考えますので、来国会に皆様に御審議願うという運びに取進めて参りたい、こういうふうにわれわれ事務的には考えております。
  53. 坪内八郎

    坪内委員 次に第二点でありますが、新線建設の財源の問題が、大きな問題であろうと思うのであります。先ほどこの財源問題につきましてちよつとお話がありましたが、過般議会休会中に閣議において、新線の財源を公共事業費の中から捻出することに決定したという報道が、いつぞや新聞に出たように思うのですが、その点はどうなつておるのか。さらにまたそういうことではなしに、見返り資金によつてこれを補おうじやないかという御意見も聞いたのでありますが、今日の新聞によると、公共事業費に対する見返り資金は、これを中止するようなことを拝見いたしましたが、そうなつて来ますと、この財源をどこに求めるか、あるいは建設公債によつてやるのか、あるいは預金部資金の中から捻出するのか、一体財源の中心はどこに持つて行くのか、その点についてお伺いしたい。
  54. 足羽則之

    ○足羽政府委員 それは今まで御説明申し上げたかと思いますが、線ができました以後のことを考えまして、非常に経済的に合わない線というような場合には、これの建設が非常に必要であると考えましても、現実の問題として、各方面からのいろいろな支障も予想される次第であります。従つてどうしてもそうした線を強力に推進して行こうという場合には、できるだけそうした面での完成後の負担を軽くして行かなければならぬ。従つてこれを政府からの一般出資に求めるか、あるいは見返り資金の財源によるか、いろいろ方法は考えられると思うのでございますが、見返り資金による公共事業費——ちようど道路などが公共事業費からまかなわれるのと同じ性格と考えてもいいのではないかというので、見返り資金による公共事業に対する投資と同じように扱つてもらいたいということで、関係官庁といろいろそういう点の協議をいたしまして、考え方としては賛同を得たわけでございますが、関係方面との折衝に相当難点があるように、従来の経過はなつておるようでございます。なお来年度見返り資金の公共事業の投資というものが、全部認められないというふうにちよつと新聞に出ておりましたが、その点ははつきり確認いたしておりません。おそらくまだはつきりしてないのではないかと考えております。
  55. 坪内八郎

    坪内委員 いわゆる見返り資金を公共事業費として投資することを禁止されるということを、かりに決定いたしましたならば、国鉄はどういうような財源でこれを補われるか、中心的な財源措置について伺いたい。
  56. 足羽則之

    ○足羽政府委員 そういうふうになりますと、われわれとしましても非常に遺憾な次第だと思うのでございますが、まだその点も確定いたしておりませんので、なおその点についても十分に打合せもし、ぜひそういうふうに進んで参ることを希望しております。もしそれが認められぬということになりますと、財源として他の方法を考えることには、相当困難な点があろうかと思います。
  57. 前田正男

    前田(正)委員 関連してお尋ねします。さつきのお話の中に、建設後の財政のことを考えるというようなお話がありましたが、私ももつともだと思います。公共企業体としての国鉄ということになりますと、いつまでも政府の投資とか、無利子の傘を利用して行くということは、今後見返り資金がいつまでも続くわけではありませんし、また政府の投資もはなはだ困難だと思いますが、新線計画というものはやはり将来にわたつて事業であると思いますので、この際ある程度利子のついた長期資金も借りるというお考えがおありですかどうですか。もしそのお考えがあるということならば、今回預金部資金の金融債の引受けに伴い、特殊鋼行に対して、ぜひとも鉄道の方に一定のわくを設けてもらいたいというようなことは、政治的に私は交渉の余地があると思うのですが、国鉄自身として今後新線計画には、無利子の金を使つて行きたいという考えでありますと、こういう話は全然成立しないと思います。しかし私は鉄道の公共企業体という立場からいつて、一般の会社と同じように、有利子の長期資金を使うことにどうしてもならなければならぬと思うのですが、局長の新線計画に対する資金の計画をお聞きしたい。
  58. 足羽則之

    ○足羽政府委員 鉄道が公共企業体としての一般の使命から考えてのそうした御意見は、まことにごもつともだと思うのですが、ただ問題は、現在の鉄道財政との関連において、具体的にそういうことが現実性をもつて考えられるかどうかという問題でございまして、われわれは現状において、建前としては国家的に必要な線は、できるだけ国家からの投資と申しますか、単に国鉄だけの負担にならぬものでやつて参りたいという気持を持ちますと同時に、そうした御意見も十分お伺いしなければならぬと思います。ただ現状としては、具体的な実情の判断としてやや困難かと考えております。
  59. 前田正男

    前田(正)委員 その辺の点において、有利子の金を使うことははなはだ困難だということならば、やはりこの際特別の——見返り資金の投資ということは、公共企業に対してはなはだ困難であるばかりではなしに、今後なくなるわけですから、ここでは政府の一般会計とか、あるいはまた特別の処置を講じなければならないと思うのであります。従つてそういう方法で行きたいというならば、これはまた国会の多数の賛同を得れば、方法がないとも限らない。たとえば政府資金を交付する途中の機関を設けて、特別会計でやるとか、あるいはまた金庫をつくるというようなことがいろいろ出ておりますが、そういつた考えがあるのですか。あるいは公債の発行をさせて、政府に特別にその利子を持つてもらうとか、何らかの方法を考えないと、今までのように予算にたよるとか、見返り資金にたよるとか、それだけの方法でおつては、新線建設の資金源は出て来ないのではないか。無利子の金を使いたいと思うならば、そういう特別の措置をこの際あわせて御考慮になることが必要ではないか。われわれも極力新線計画はこの際実施していただきたいと思つております。当委員会委員の皆様も多分御賛同願つて、そういう国鉄の方の考えがあるならば、われわれも協力して行きたいと思いますけれども、ただ一方的な考え方ではなくて、いろいろな場合の資金計画を想定されて御相談願えれば、われわれもできるだけ協力してこれをやつて行きたいと思つております。
  60. 坪内八郎

    坪内委員 次にお尋ねいたしたいと思いますが、先ほど私が質問申し上げました公共事業費の中から財源を捻出して、新線の計画を進めるのだというような閣議決定内容について、何か御連絡がありましたか。
  61. 足羽則之

    ○足羽政府委員 そういう閣議決定がありましたかどうかということは、実は私は承知しておりません。
  62. 坪内八郎

    坪内委員 次に第三点でありますが、この路線の選定問題であります。これは前々の議会でわれわれが当局にお尋ねしたのでありますけれども、路線の選定ということになりますと、これはなかなか困難であろうと思うのであります。もちろん国鉄の性質上、その路線が経済的であるか、あるいは採算がとれるかというようなことなどは、重要な問題になろうかと思うのでありますが、一体この路線をどういう角度から選定するのかということを、まずお尋ねしたいと思います。
  63. 足羽則之

    ○足羽政府委員 今後の建設線といたしましては、ごく大ざつぱに申し上げると、路線の選定の主眼はやはり経済開発ということにあると思います。以前におきましては、あるいは軍事的見地からいろいろそうしたものもあつたかと思いますが、現存の日本といたしましては、この経済開発という観点から、路線の選定をするということが中心になつて参るのではなかろうかと考えております。
  64. 坪内八郎

    坪内委員 先ほどもちよつとお話がありましたが、来年度の予算で約三億捻出いたしまして、戦争中に中止しておつた三路線をやるのだというようなお話でありました。われわれは路線の計画をなさることはけつこうでありますが、これをもう少し広く、ほかに予算をまわして、多くの路線を採擇するというようなことはしないのであるかどうか、その点をお伺いいたします。
  65. 足羽則之

    ○足羽政府委員 まだ来年度の予算につきましては、はつきり確定をいたしておらないのでありますが、現在の案といたしましては、さらに建設線に国鉄の財源をもつてもつとやつて参るという余地は少い、大体今考えておる程度だと考えております。
  66. 坪内八郎

    坪内委員 先ほどのお話では、大体来年度三億の予算をもつて、赤穂線あるいは津軽線などの三線をやるのだというようなお話でありましたが、この三億をこの線のみに使わないで、他の線にもある程度新規の工事として着手する意図がないのかどうか、その点をお尋ねしたいと思います。
  67. 足羽則之

    ○足羽政府委員 そうした点については、予算が出ました場合に今後御審議を願うわけでありますが、大体の考え方といたしましては、たくさんの路線に金を分散いたしましても、どの路線も全部中途半端になつて、竣工期間が延びるだけで、結局着手しただけでそれが一本立ちにならないというような点を考えますと、やはりできるだけよい線を選定して、それを早く一本立ちにするという方向に行つた方がよいのではないかと思います。そういうような考え方からいたしますと、それだけの財源をもつてなおさらにほかのたくさんの線に分散するということは、国家経済的な見地から見ても、非常に不経済であると考えております。
  68. 岡田五郎

    岡田(五)委員 今具体的な線がいろいろ出たようでありますが、そのような具体線の是非の問題につきましては私質問をしませんが、ちよつとお尋ねしたいのは、この三億数千万円の建設費を鉄道の工事勘定の中に入れられたそのもとは、大体どういう考え方でお入れになつたのかということをお聞きしたいのであります。私はこの前の説明で承つたと思うのでありますが、一応採算性のある線は鉄道の工事費でやる。不採算線、いわゆる鉄道の独立採算制をある程度犠牲にして——といえば言葉は悪いのでありますが、これを一応置いて、いわゆる鉄道の公共性からして、不採算線を鉄道がどうしても建設しなければならぬような建設線については、できるだけ見返り資金による公共事業費の投資によつて、いわゆる不採算線政府出資というような形容、不採算線を公共事業費でやるのだ、こういうふうに私は承つたのでありますが、かような観念に基いて、採算線を三億数千万円の鉄道工事費でおやりになる。不採算線の、いわゆる公共的の目的をもつて建設しようという建設線の財源として、見返り資金による公共事業費を目当としておられるのかどうか。その辺のところをはつきり承りませんと、三億数千万円の工事費が具体的に爼上に上り、これが今後のいろいろな問題の審議の災い——というと言葉が悪いのでありますが、問題になると思うのでありまして、その辺のところを明確に御答弁願いたいと思います。
  69. 足羽則之

    ○足羽政府委員 大体岡田委員の今の御質問、御意見と同じ考え方でありまして、抽象的に申し上げると、この工事を中止しておりました路線にしましても、あるいは新しく選定する路線にいたしましても、その間の選定の方針としては、主として経済開発を中心にして考えて行くというふうに考えられると思うのでありますが、実際問題としては、従来相当建設費を投じて、相当程度工事も進行しておるという線が、この選定の場合にかなり強く考えられると思うのであります。いろいろな線を比較いたします場合に、今度一応計画されておる線というのは、いずれも開発後の採算は合うという線でございまして、かつそれが工事を中止した路線の中から選定をされておるということになつておるわけでございまして、この三線につきましては大体国鉄の工事勘定の中からまかなつてつて採算が合う、こういうふうに考えられておる線でございます。
  70. 坪内八郎

    坪内委員 財源問題でありますが、先ほどのお話で来年度事業の新線の財源として十億、都市計画の線として十億だというようがお話がありましたが、一体全体二十六年度予算にどのくらいの予算を計上しようとするお気持であるか、その点を伺つておきたいと思います。
  71. 足羽則之

    ○足羽政府委員 来年度予算の工事勘定の総額といたしましては、現在のところ約二百八十億——今年度は二四十億であつたのでございますが、約二百八十億というような総額で、現在折衝をいたしておるわけであります。
  72. 坪内八郎

    坪内委員 来年度の二百八十億の財源のうちに、先ほどお話がありました見返り資金はどのくらい充てておるのでございますか。
  73. 足羽則之

    ○足羽政府委員 来年度の工事勘定の中には、見返り資金は全然ございません。
  74. 坪内八郎

    坪内委員 新線の建設を促進して行くということになりますと、現在の国鉄の技師長室といつたところで計画を進めるのだろうと思いますけれども、将来この新線促進の何か中心的な事務局でもつくつて、促進しようという意図があるのか、あるいは現在のままの陣容で、これだけの莫大なる予算を持つて新線工事ができるのかどうか、その点をお伺いいたしたいと思います。
  75. 足羽則之

    ○足羽政府委員 私たち運輸省といたしましては、新線の問題については審議会といつたような構想をもつて考えておることはお話の通りでございますが、具体的な建設の促進についての事務局をつくるかというお話は、おそらく国有鉄道の中の機構の問題としての御質問だろうと思うのでありますが、そういう御質問でございましようか。
  76. 坪内八郎

    坪内委員 そうです。
  77. 足羽則之

    ○足羽政府委員 それではちようど国鉄から施設局長が出られておりますから…。
  78. 立花次郎

    ○立花説明員 お答え申し上げます。建設線の工事費は、来年度われわれといたしましては、先ほどお話になつていた鉄道予算の中の三億数千万円ばかり、それからでき得べくんば新しい建設工事を始めるという意味で、十億円ばかり見返り資金がほしいという甲入れをやつておるわけでありますが、その程度の工事量でありますと、現在日本国有鉄道におきまして、運輸総局の中に施設局というものをつくつておりまして、一般の保守改良工事につきましては、百五十億円程度の工事をやつております。その程度のものは十分消化し得ると思つております。従つて新しい機構はいらぬというように考えております。
  79. 坪内八郎

    坪内委員 前々の議会でも、将来新線建設の促進をするにあたつても、現在の陣容、たとえば技師とか、そういう陣容で事足りるのだというようなお話でありましたが、現在もやはりそういつた関係で、現在の国鉄の陣容でこの促進ができるのかどうか、その点については自信があるのかどうか、お尋ねいたしたいと思います。
  80. 立花次郎

    ○立花説明員 国有鉄道はなかなか多士済々でありまして、現在の陣容だけで、年に五十億円くらいの建設は楽にできます。
  81. 坪内八郎

    坪内委員 現在は御承知の通り、新線の計画はあまり促進されていないのでありますが、それでは現在の陣容の方、あるいは技師といつた技術面の関係、あるいはこういつた工事を促進する方々は、大体手持ぶさたで遊んでいるのかどうか伺いたい。
  82. 立花次郎

    ○立花説明員 はなはだ痛いとところを究かれたのでありますが、幸いにして現在はまだ戦時中の荒廃復興とか、あるいは現在運営しておるものの経営合理化という面の要求が非常に強いのであります。従いましてそういう計画を進める、あるいはその一部を着手するというので、非常に多忙にしておりまして、先ほど申しましたのは、いざとなればそういう計画はほつておいても、どんどん建設の方に従事できると申し上げたのでございます。
  83. 滿尾君亮

    滿尾委員 建設のことについてお尋ねいたしたいのでありますが、先ほどからの政府委員の御答弁を伺つておりますと、現在の国有鉄道の打込んでおる状態における建設の問題と、将来長く国有鉄道が新線の建設をどうするかという問題と、ちやんぽんにして御説明になつているように感ずるのでありますが、その問題は二つにわけて考えなければいけないと思う。現在の国有鉄道は非常に收益力がない。非常に困窮している状態で、将来国有鉄道がこの姿を長く続けるものとして、われわれは新線建設を考えなければならぬのかどうかという問題があるのではないかと思う。だから不経済な線の建設を国鉄に押しつけるという問題は、まことに国鉄側としても迷惑であり、またむりをしいるということであつてはいけないと思うのであります。そこで見返り資金なり、その他国家資金でやつたらいいじやないかという問題が起るの皆ありますが、それはあくまでも経過的な問題であつて、長い将来について国鉄の建設ということを考えた場合に、そういう状態がノーマルな状態であるかどうかということについて疑念がある。私はむしろ、国鉄が現在のような企業形態をとりました以上は、やはり建設線の本筋というものは、国鉄の收益性を高めるくふうをして、年々歳々一定のキロ数を計画的に伸長して行K。たとえば現在二万キロあれば、その百分の一の二百キロというものは——自分の收益の中から百分の一くらいの新線建設をまかなつて行くような企業形態にまで、これを育て上げることが非常に必要であろう。その途中で戦争があつたり、いろいろの災害を受けたりして、二年なり、五年なり、ある期間を限つて国鉄の経営状態が逆転したり、いろいろな事態が起るだろうと思います。そのときに対する特別の手当として、ただいまのようなお話がいろいろ出るのだと考えます。そこで一体運輸省は、現在の国鉄の收益力を高めるために、どれだけの具体的な方法をとつておられるか。一面におきましては、企業合理化ということが非常に必要だ。しかし特にこの際お尋ねいたしたい要点は、陸上交通機関というものは競争の関係にあります。ことに大きな面において自動車の競争があり、近くは外国資本による航空機の競争があり、船の競争はもとよりであります。かような総合錯雑した運輸形態における国鉄の地位にかんがみまして、運輸大臣はどの程度の考慮を拂つておられるか。国鉄の收益力を確保するために必要な考慮を拂つておられるかどうかということをお伺いいたしたい。それをさらに具体的に申し上げますと、たとえば陸上の問題だけに一応限つて考えてみましても、自動車の免許等に関しまして、法律によりますと運輸審議会の答申を得て、大臣免許されることになつておる。私はこの大臣の意思決定の過程におきまして、国鉄の利益というものをどの程度に考慮されて、その意思決定がされつつあるか。さらにつつ込んで申しますれば、国鉄を直接監督している監督局長は、どの程度に参画しておられるか。大臣の意思は全体を総合してきめられるわけである。そのときにどうも、專門專門の立場に立つて総合的な考慮が加えられないで、事が運ばれておる。そういう状態におきまして、国鉄の收益性というものは正当な取扱いを受けていないおそれがある。その結果はめぐりめぐつて赤字ばかりが続いて、新線の建設もできなくなる。何とかして国家資本によりたいよりたいということになりますが、国家資本によるということは、その年々の政治情勢を非常に敏感に受ける。従つて着実な建設計画というものは立たないと思う。幸いにして自由党の内閣は非常に新線建設に熱心でありましても、次の内閣は至つて冷淡になるかもしれないようなことが非常に起つて来るわけでありますから、この点について御答弁をいただきたい。
  84. 足羽則之

    ○足羽政府委員 たいへんむずかしい御質問でございまして、実は私見をもつてお答え申し上げるだけでございますが、大体国鉄は営利事業ではないのでございます。従つて営利を追求するのが本質ではないので、收支が大体とんとんになる。もし收入が非常に多くなつて参ります場合には、おそらく收益をとんとんにするという考え方から行けば、あるいは運賃の低減に向けるとか何とか、そういうふうな方向にまず向うということではないかと思います。赤字が出ます場合に、国鉄が企業内部の経営努力によつて、経営の合理化をして克服して参るということは当然のことであり、あるいは赤字が出ない場合でも、その努力は常に続けなければならぬのであります。締めくくつての結論は、收益をずつと生むように国鉄の経営を指導して参るという考え方は、おそらく政府としてはとるべきでない。これは私の私見でございますが、こういうふうに考えております。従つて收益性を増すためにいかに政府が指導しているか、あるいは方策を立てているかという御質問に対しては、そういう意味にはおそらく考うべきものではないのではないか。健全なる経営ということを主眼点にいたしまして、全体の経営が、国家の交通を担当する一つの機関として、いかに国家経済全体に総合的に寄与するかという点から考えて行く。そしてそれは国鉄の本質に関連させる場合には、收支を生むという考え方ではなくて、健全なる経営という観点から指導をして参る、こういうことではなかろうかと考えております。なお建設の問題に関連して、いろいろ複雑な問題があろうかと思いますが、何分お話のように現在では国鉄の財政というものも、現在の社会一般の経済状態を反映して、あるいはまだ非常に見通しが安定しているというふうにも言えないのかもしれませんが、今後の問題として十分に検討をして塗らなければならぬ問題が相当あろうかと思います。
  85. 滿尾君亮

    滿尾委員 私はさきに国鉄の收益性という言葉を用いたのでありますが、私の申しました気持は、別にうんと高い收益率を上げて、利益を上げて配当するという考えはもとよりない。つまり赤字を出さないある程度の建設線の費用を、自分でまかなつて行ける程度の收益性を考えているのでありまして、国鉄の経営というものは、收支のバランスをとんとんにするという状態を、経営の理想として持つて行く。そのかわりに新しい企業資金というものは、外部からこれを導入するのだという考え方で行く。しかし自分で事業の健全なる進展をはかる費用は、新規に若干まかなつて行く。私はそれもざつと年に百分の一、二百キロ程度のものを自分でまかなつて行く程度の收益性を持つたらよろしかろうという気持を持つている。これは言葉の使い方でありますから、大した意味はない。しかしいずれにしても絶えず今後建設資金は国家資本によるのだ、別途の一般会計からの導入によるのだという考え方であるのか、自己の企業性によるのか、その点まで生み出して行くような方式をとらしめるのか、その根本の考え方が問題であると思う。つまり無利子の金を使うというような考え方は、やはり国鉄としてもだらしがない。将来は鉄道債券を発行してやつたらいいだろうと思う。これには当然利子をつけたらいい。しかし鉄道債券発行の経済的基盤というものは、国鉄の收益性にある。鉄道債券の利子を拂い、元本を償却するだけの收益性が国鉄になければいけない。でありますから私の申し上げる点は、少くとも国鉄に若干の收益性がある。利益が上る。その信用を土台として債券を発行する。そうして利子を拂つて、元本を償却する。そうして新線を自分の力で、自己資本によつて、自己の信用によつてかち得た費用で、建設するということを建前にして行くのか。将来とも長く公共事業費を目当にして行くのか。一般会計からの繰入れを目当にして行くのか。基本的な考え方というものを明確にしていただきたいということです。と申しましても、今の状態においては、ただちにそういう運びには行けない。従つて今年来年の、年来年状態の建設費のまかない方と、将来の国鉄の建設費のまかない方と、問題を二つにわけて考えた方がよかろうということを、私は最初に申し上げたのであります。でありますからわれわれは事情の許す限り、一日も早く原則的の考え方に帰らなければならぬ。しかし今年来年の話は別であります。しかしおよそ基本政策を念頭に置かないで、目前の情勢だけでその日暮しをしておつては、国家の機関として困る。だから私は基本政策というものを明確にして、そして目前の情勢に対して、これをいかにモデフアイするかということをお考え願いたいと思いまして、かような角度からお尋ねをいたしておりますので、あらためてもう一ぺん御答弁をお願いしたいと思います。
  86. 足羽則之

    ○足羽政府委員 ごくあらましの全体の考え方としては、国家の必要によつて建設を必要とする線、国家的見地から建設を必要とするが、しかし国鉄で考えます場合には、それを単に国鉄のみに負担せしめると、なかなかそれが促進できぬというような、收益性のない線の建設の必要がある場合に、これを国費をもつてやるべしという考え方をわれわれは持つているわけでありまして、まずそれを今年度実現させたいという気持で、いろいろ折衝しているわけでありますが、まだその点の結論がはつきり具体的に出ない。その点は今まで御説明申し上げた通りでございます。なお今後のそうした問題の扱い方につきましては、滿尾さんのお話になるような点についても、十分愼重に検討をする必要があろうかと思うのでありますが、私たちがねらつております建設審議会といつたような構想のものには、そうした問題については、国の一般の金をどう使うかというような問題とも非常に関連もあるかと思いますので、そうした問題もあわせてそういう審議会でひとつ検討をし、御意見もまとめていただくというふうに私どもは考えてもおりますので、いずれ今後の問題として十分検討いたして参りたい。
  87. 滿尾君亮

    滿尾委員 ただいまの御答弁によりますと、どうも御答弁に種々矛盾があるように思うのです。第一段の御答弁におきましては、国鉄は公共的性格を持つているから、いわゆる利益の出ないように、利益が出れば運賃軽減に持つて行きたいという、非常に公共性の強いお話であります。しかし半面におきまして、そろばんのとれぬような線を強制するのはかわいそうだ。あくまでも国鉄の経営は、そろばんの合うようなことを考えるべきだと思う。私はむしろ政府委員とは見解を異にしておりまして、国鉄にある程度收益を持たした方がいい。しかし究極のねらいは、公共的の性格のものである。従つて新線計画でそろばんの合わぬ新線を建設することは、国鉄に課せられた使命だと思う。国鉄は企業体の形態をとつているけれども、不経済線もあえて建設して、日本の陸上系統を完成することを使命としたところの公共企業体であるから、不経済な新線を建設することは、国鉄の目的の一部をなしている。私はその点においてかように考える。従つて先ほど政府委員から新線建設の標準を、産業開発に主として置きたい、過去の軍事上の目的はなくなつたというような御答弁がありましたが、この御答弁は私は不十分だと思う。私はこの新線建設の目標は、あくまでも陸上の交通系絡の完成にあると思う。このことを忘れては国鉄の使命はないと思う。従つて陸上交通系絡の完成ということの内容の重要なる部分に、産業開発というものが入つて来るが、この産業開発ということだけに重点を置かれるようになりますと、やはり国鉄の新線をわれわれが考えますときの考え方としては、少し狭いように考える。まだ取残されている要素が非常にあるように思うのであります。ここらにつきましていろいろ意見があるのでありますが、きようは政府委員におかれまして、たいへん御答弁がしにくいようなかつこうに見えるので、従つて私は幾多の疑問を存して、他日大臣に総合した陸上運輸政策としての質問をいたすことにして、保留いたしたいと思います。
  88. 大澤嘉平治

    大澤委員 鉄道新線建設審議会を至急政府設置せられるよう要望する決議をいたしたいと思いますので、御意見を伺つておきたいと思います。
  89. 淺沼稻次郎

    ○淺沼委員 決議をする前にちよつと伺いたいのですが、先ほどから伺つておりますと、新線を建設するのは、大体経済的な面から行くのだということでありますが、経済的な面からといつても、国鉄だけで経済的な面は私は考えられないと思います。このことは国土総合開発計画と関連させなければならないと思いますが、今政府がやつております総合開発計画の中の一環として、新線のことは常に考えられるような形になつて来ているかどうかということを伺つておきたいと思うのであります。  それからこれは政府が持つておるのか、あるいは公社の方で持つておるのかわかりませんけれども、一度もわれわれは見たことはないのであります。赤い線の太く引かれたのは、新設計画があるようでありますが、これをひとつ運輸委員の方にお配り願えると、非常によく輪郭がわかると思います。私も人の持つているのをちよつと見たのでありますが、あれは大体において下の方から要求されて、差迫つてつくつたものであつて、あのごとが総合開発計画と関連があるかどうかについては、非常に疑問を持つのであります。予定線というものができておつて、その予定線の中から抽出して今年はこれをやり、来年はこれをやるというような、計画の面によつて予算化されて来るのでありますから、予定線というものがあれば、これをひとつ参考資料としてわれわれの方に御配付願いたいと思います。
  90. 足羽則之

    ○足羽政府委員 国土総合開発計画などとの関連は、その審議会というものがもしできますれば、そういうところで具体的に新線を考慮するにあたつては、当然関連がつけられるものと考えております。なお役所といたしましては、関係官庁との事務的な連絡は十分にとるつもりでございます。  それから第二の御質問の、地図に赤い筋が入つておるのは、これは御承知の鉄道敷設法に別表がございまして、その別表にその線が上つているわけでございますが、その鉄道敷設法の別表に上つている線をあげた地図だと思いますので、これはお手元にさつそく差上げることにいたしたいと思います。なおそうした敷設法の別表に上つている線は、以前鉄道会議がございましたときは、そこに諮問して、具体的に建設する線をきめたわけでございますが、先ほどから申しておりますように、この審議会というものをつくります場合には、そこでそうした問題の御討議を願うというふうにしたいと考えているわけであります。
  91. 淺沼稻次郎

    ○淺沼委員 その新設に関する審議会を設けて、国土開発計画の方と関連を持たせるということですが、問題は政府の持つている国土開発計画の中に、一つの鉄道計画というものがなされて、それがもとになつておるのでなければ何にもならぬと思いますが、そのもととの連鎖はどういうふうになるかもう一ぺん伺いたいと思います。たとえば現在総合開発計画に関する特別の審議会が持たれて、そこには鉄道当局の方からも出ておることだろうと私は思うのでありますが、その中において、ただ観念的な議論ではなくして、具体的に日本の経済を総合的に開発して参る場合においては、線路はどうなるということは当然出て来ると思いますので、その点を聞いておきたいと思います。  それから新設の審議会に関しては、私ども新聞で見たのでありますが、見返り資金による建設費が出ないということにきまつたときに、大臣が談話か何かの形において、閣議においてはこれを設けることを了承したことによつて、予算を出すことを承認したというように言われておりましたが、そうだとすれば、閣議決定の中にこういうようなものがなされておるやに考えるが、はたしてそうであるかどうか伺つておきたいと思います。  それから新設すべきところの鉄道の支線の決定については、鉄道敷設法の別表によつてきまつているということでありますが、そうすると新設線については、すでに計画だけはさまつて、ただ予算化するということだけが問題になつておるのであるか。それともそういうことは一ぺん御破算になつてしまつて、国土開発ということと一緒になつてやるのか。こういう点で、かりに審議会が設けられるとしても、ただ順序をきめて行くということだけであれば、審議会の任務は非常に局限せられたものになると思うし、今まで出ておるものが一応全部御破算の形になつて、あらためて日本の現在置かれている立場から総合開発の計画を立てて、その見地に立つてつた場合においては、一体新線をどこにつくるべきであるかということで行くのか、この辺もひとつ聞かしていただきたいと思います。
  92. 足羽則之

    ○足羽政府委員 総合国土開発審議会で、その総合国土開発の一環として鉄道の問題は取扱われるようになつております。そうしてそれはどういう所にどういう鉄道をつくることが必要かということが取扱われることだと思うのであります。その鉄道をどういうふうな順位でつくつて行くかという問題について、この審議会で御審議を願うでありましよう。そういう関係に国土開発審議会との関係は相なろうかと考えております。  それから国鉄の新線建設に対しての見返り資金の使用については、何か閣議決定があつたかというお話でございますが、それは私たちは承知をいたしておりません。  第三に敷設法の別表に上つている綿と、新しい要求の線の性質との取扱いにつきましての御質問でありますが、御承知のように敷設法の別表に上つている線は、予算化されましてから、初めて建設されて参るわけでございますが、それ以外に建設することを必要とする線がありますれば、敷設法の別表を改正してこれに追加して参り、さらにその敷設法の別表に上つたものについて、それをどういうふうに予算化するかというふうに進めて参るものと考えております。敷設法の別表というものは、非常に長い間の歴史的所産でありまして、いつかの委員会でも申し院げたかと思いますが、内容的には現存不備な路線も、あるいはよく検討すればあろうかと思います。しかし別表は現在、法律上の別表としての効力はあるわけでございまして、別表に上つたものの中から予算化して参る、こういうかつこうになろうかと思います。
  93. 淺沼稻次郎

    ○淺沼委員 そうすると新線建設の寒議会をつくつても、その任務は非常に局限をされてしまう。鉄道敷設法の別表によつて、大体どこにつくるというようなことをきわめて、今年は三線、来年は二線ということをきめて行く程度のものに局限されて来るような気がしてならぬのであります。その材料を出すときにお願いをしたいのは、やはり今歴史的な所産だと言われたが、一応われわれはこの歴史的所産のものを尊重しなければならぬのであります。この日本の総合開発の計画というものは、何もずつと前からのものを継続するのではなく、今を土台として政府はつくろうとしておるのでありますから、自然その所産として現われて来るものが、新しい鉄道計画というものに生れて来なければならぬと思うのであります。従つて今までのものに固定しているということになれば、これは今の時代と前にきめたときとの差が非常にあろうと思いますから、できれば、いつの鉄道会議においてきめたいというようなことを年代順に入れて、参考資料を出していただければ非常にいいと思うのであります。赤い太い線を引いてあるところに年代順を入れていただければ、一番わかりよいと思います。
  94. 玉置信一

    玉置(信)委員 今の淺沼委員の御質問に関連して、一つだけ簡単に、新線敷設工事の基本的な問題をお伺いしておきたいと思うのであります。先ほど来足羽局長の御答弁によりますと、経済開発を主眼としておるということでありまするが、むろん現在の国鉄採算制の立場を離れて、国家的にお考えになつておるということも、ほぼうかがえるのであります。しかし戦前におきましてもその通り、今日におきましても非常に採算制を強く主張しております関係上、新線計画の上において、運輸省としてはどうも強く出られないような立場にあるように思われるのであります。先ほどの滿尾委員の御質疑のときにも、いろいろお話がありましたが、営利事業でなく、利益を追求しない公企業石あるからというような御趣旨から見ましても、当然従来やり来つた都市中心偏重の施設の考え方を改めて、あくまでもまのあたりに敷設してすぐ收益をはかる面に対してのみ施設するのではなく、遠き将来、ある一定の年限を経たならば、相当国家に利益が還元される、国鉄の收益が上るというようなものに対しては、ただいま淺沼委員の言われたように、当然歴史的な計画の面を一応御破算にしまして、将来の開発を主眼とした面に対して、積極的に敷設方針を立てて行くべきではないかと思いますが、この点をひとつお伺いしておきたいと思うのであります。
  95. 足羽則之

    ○足羽政府委員 御趣旨の意味も十分考慮しながら、検討をすることになると思います。
  96. 岡田五郎

    岡田(五)委員 先ほど大澤委員から、建設審議会を設置したらどうかという決議案の動議が出たのでありますが、その前に根本的にひとつ伺つておきたいことは、大体鉄道建設計画の策定の主体は国鉄にありや、運輸省にありや。この点をまずはつきりお聞きいたしておきたいと思います。
  97. 足羽則之

    ○足羽政府委員 それは端的に申し上げれば運輸省にあり、こういうふうに私は考えます。
  98. 岡田五郎

    岡田(五)委員 それは国有鉄道法なり、運輸省設置法の権限に基いて、そういう敷設をなされるのかわかりませんが、国有鉄道法によると、国鉄総裁は、五十三条によつて、鉄道新線の建設及びその他の運輸事業の讓受というようなことについて、許可または認可を運輸大臣に受けることになつておるのであります。この条文から見ますると、どうやら国鉄総裁において鉄道の新線建設の計画を立てて、運輸大臣許可、認可の申請をして、運輸大臣がこれを運輸審議会に諮つて、しかる後に敷設法にあるものは敷設法でやつてしまうし、敷設法にないものは敷設法に基いて議会の協賛を経る、こういうふうな順序を経るのであるが、もともと新線の建設計画というものは、一応国鉄総裁が策定して、運輸大臣に認可を受けるのではないか。運輸大臣が建設線の計画を立てて命令を出されるのは、五十四条による公共の福祉を増進するという命令でお出しになるのか、それとも建設命令というようなものをお出しになるのか、その辺の法文的な根拠を、はつきりお示し願いたいと思うのであります。
  99. 足羽則之

    ○足羽政府委員 鉄道の全体の国家的な計画としまして、運輸大臣が総合的な計画を持つ、こういうふうに考えております。一例を申し上げますれば、私鉄に支線を運輸大臣免許するというような場合におきましても、全体の交通網の整備、あるいは交通来路の整備というような観点から、運輸大臣として全体の計画を持つべきはずでございまして、国鉄としては、事務的にある特定の新路線の建設についての計画を持つ、こういうふうな違いであろうかと考えております。
  100. 岡田五郎

    岡田(五)委員 運輸大臣がそういう日本国内の全体の交通についての御理想をお持ちになり、そういう理想に基いて具体的に計画をされて認可を与えられることは非常にけつこうでございますが、ただ運輸大臣といえども法律その他によつて定められた権限以外にはできないのではないか。ここにこそほんとうの立憲国のゆえんがあると私は思うのでありますが、そういう命令を国鉄総裁に出される法文的な根拠はどこにあるのか、これを私はお尋ねいたしておるのでありまして、気持はよくわかりますが、行政行為には必ず立法的な根拠がなければいけないと私は思うのであります。その点をひとつ明快に御答弁を願いたいと思います。
  101. 足羽則之

    ○足羽政府委員 それは先ほど来建設審議会のことを申し上げているのでありますが、国が建設することを必要と認めた路線があります場合には、これを建設審議会に諮問して、その結論に基いて国鉄に勧告するというふうな形をとつたらどういうものか、こういう考え方でいろいろ検討をいたしております。
  102. 岡田五郎

    岡田(五)委員 今承りますと、新線建設審議会設置法か、あるいは運輸省設置法をおかえになりまして、そういう審議会設置の法文をお設けになるのかしれませんが、その法文にさような立法的根拠をお設けになる、こういうお話でございますから、また将来といたしまして承つておきますが、私はどうも現在の運輸省設置法、また国有鉄道法の根拠から言いまして、運輸大臣が積極的に建設線をきめて、これを国有鉄道総裁にやれ、こういう命令をお出しになる根拠は、むりによるといたしますれば、ただ五十四条にしかよれないのではないか。どうも五十四条の法律的解釈によりますと公益命令であつて政府委員は非常に消極的に解釈されておられて、何らこれによつて積極的に命令を出すべきものではないというような解釈を従来承つておりました。その政府委員の考え方からいたしましても、五十四条によることはむりだ、こういうように私は考えましたるがゆえに、御質問申し上げたのであります。  次に、今設けようとおつしやつておられます鉄道新線建設審議会というものと運輸審議会との関係を、どういうように御調整なさるお見込みであるか、その辺のところを御答弁願いたいと思つております。
  103. 足羽則之

    ○足羽政府委員 運輸審議会に対する諮問事項の一つとして、新線の建設という項が上つておりますので、運輸審議会との関係は非常に微妙な問題だと思うのでありますが、その点について新しく考える審議会の構成並びにその諮問すべき部分の取扱いをいかにすべきか、こういう点についてはいろいろデリケートな、むずかしい関係もありますので、現在検討いたしておりますが、まだ結論は得ておりません。
  104. 岡田五郎

    岡田(五)委員 私は希望を申し上げるのでありますが、鉄道新線建設というものは、非常に大きな問題でありまして、今後これが何といいますか、功績を将来に残すのであります。従いましてこれらの機構の問題、あるいは他の機構との権限の調整の問題、またはこれに対する運輸大臣の命令を出す立法的の根拠の問題、こういうような問題は十分立法的に、十分政治的に十分行政的に御検討を願いまして、十分将来においてもあやまちのないようにぜ正されんことを希望いたす次第であります。また先ほど滿尾委員からも、建設その他に関するいろいろの御意見もありましたが、私は望むらくは、あらゆる方法を講じ、あらゆる努力をされまして、一日も早く明るい鉄道の新線建設が具体化することを希望するわけであります。以上希望また意見を述べまして、私の質問でもございませんが、意見の開陳といたしたいと思うのであります。
  105. 前田郁

    前田委員長 それでは先ほど大沢君より御提出になりました新線建設審議会の設置を至急にとりはからつてもらうという決議でありますが、この問題は御承知の通りちようど八月ごろでありましたか、当委員会において新線建設には小委員会をつくつて、そうしてひとつ推進して行つたらどうかという話があつたのであります。ところが運輸省の方から、ただいま新線建設の審議会の設置を練つておるから、その構想がはつきりするまで待つてくれぬか、こういうような話でありまして、私どもの方でも待つてつたわけであります。なお先般小委員会につきましては、この新線建設は非常な重大な問題であつて陳情も各方面からたくさん参つております。そういう関係で、小委員会をつくるよりは、一時全員を委員というふうにして、当分研究して行つた方がよかろうということで、委員会もそういうような気持で待つておるわけですが、しかし政府の方針が、今の財源の問題とか、その他一向はつきりしませんので、どうしてもこれは審議会をつくつてもらわなければ、私ども国民の代表として、各地陳情に対しましても根本方針が定まらぬわけで、まことに困つておりますから、ただいま大沢君の御提案になりましたような決議をいたしまして、そうして当局に迫ることは、まことに妥当な行き方だと考えるのですが、皆さん御異議はございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  106. 原彪

    ○原(彪)委員 大沢君の動議には、根本趣旨においては賛成ですけれども、ただいまの岡田委員の御質問に対する運輸省答弁が、明確を欠いていると私は思うのです。たとえば運輸審議会と新線建設審議会との権限の問題、また大臣国有鉄道法に規定された範囲外における命令権というような問題について、私は非常な疑義がある。こういう疑義のままにこれを申合せするということよりは、そういう疑義をはつきりさせて、しかる後にやるべきだと思うのですが、もし国有鉄道法をそういうことについて改正するならするように、われわれ委員会としてそういう改正法をつくるなりするのが、先決問題ではないかと私は思うのです。大沢委員の御発言の趣旨においては賛成ですけれども、先ほど岡田委員の御質問通り、私もその点同感です。そういう疑義がたくさん含まれておるのですから、そういう脈をひとつ委員長、おはからいを願いたいと思います。
  107. 岡田五郎

    岡田(五)委員 私も実は原委員と同じような意見を持つておりますが、この鉄道新線建設審議会を、せつかく運輸省において今進めております。また新線建設審議会においてどういうようなことを審議してもらうことを、運輸審議会としては希望するかというような、大体のわくといいますか、含みというものを持ちながら、こういうものを設置したらどうかということを提案する方がよいのではないか。まず第一に私は非常に心配いたしておるのでありますが、大体この建設審議会を設けましても、建設の財源がなかつたら何にもならないのであります。従いまして、この新線建設審議会において、国有鉄道の新線建設の財源をどういうふうにすべきであるかということを政府に勧告するというような、財源の問題も審議の対象にしてもらうとか、あるいは新線建設をなす場合にはどうするとかいうふうに、やはり建設審議会のいわゆる内容、わくというものを、おのずから運輸委員諸君が胸中に持つてつて、しかる後に政府にこの設置をしてもらいたい、こういうふうに出す方がいいのではないか、今せつかく政府においてもいろいろ研究もしておりますしするから、もう少し時期を待たれることがよいのではないか、かように私は考えるのであります。もちろん審議会を設けることそれ自体については、私は万異論はないのでありますが、私の意見としては、もう少し時期を待たれる方がよいのではないか、かように考えるのであります。
  108. 前田郁

    前田委員長 ほかに御意見ございませんか。——どうでしようか。私どもこういう決議をするということになりましたのは、要するに政府の方で一向この根本方針がまとまらぬ。それだから今原君が言われるようなふうに、性格をはつきりしてやつてもらいたいということがわれわれの主眼なのであつて、もう八月以来こういうふうな話がありまして、私が北海道に立つときは、帰つたらできておるだろう、九州に立つときも、帰つたらできておるだろうという話であつたのが、今日までずつと延び延びになつておるという状態で、どうも運輸省側においても新線建設に対してはつきりしないし、国鉄の方もはつきりしない。こういうわけで、これは皆さんの御意見だつたと思うので、私はこの決議をしても、別段あなた方の御主張にはさしつかえないと思うし、さらにまた第二段、第三段の決議をしてもさしつかえないと思いますが、一応至急具体化してもらうように、ただいまの大沢君の決議をやつてもらつたらどうかと思うのですが、どうでしようか。
  109. 石野久男

    ○石野委員 やはりこういう問題につきまし宅は、なるべく決議などという問題は全員一致でそれを認め、また成立せしめるのがよろしいかと思うのでございます。ことに内容の点について、委員会自体が疑義を持つているようなものがあるとするならば、一応やはり早急の機会に、そういうものを釋明する方途を委員会としても見出しておいて、それらのことを含んでの決議をされた方が、事後の処理においてもよろしいのではないかと思います。その意味で私は、原委員並びに岡田委員が言われているように処置された方がいいのではないかと思うのでございます。委員長のお言葉も一時節柄運輸行政上非常に必要なことだということは私よくわかるし、大沢委員提案理由もまたよくわかるわけでございますけれども、事後の処理の関係等において、やはり原委員の言われるように、いま一応練られた方がいいのではないか、こういうふうに思うわけであります。
  110. 玉置信一

    玉置(信)委員 政府が今せつかく検討をされておるということですが、それを明確にするのは、一体時期的に言つていつごろか、それによつて考慮できると思うのですが、政府側の御答弁を願いたいと思います。
  111. 關谷勝利

    關谷政府委員 いろいろ鉄道新線建設の問題につきまして御質疑があつたようでありますが、先ほど来いろいろ監督局長から御答弁申し上げておりますのは、現在来年度の予算を編成いたします数字の上に現われておりますことを基礎としてのみ申し上げておりますので、非常に消極的なように見えておるのでありますが、運輸省といたしましては、必ずしもそういうふうな政治的な方面においては、そのように消極的には参つておらないのでありまして、去る二回の国会におきましても、非常に皆様の熱烈なる要望がありましたので、どういたしましても新線建設を大々的にやりたい、こういうふうなことから来年度におきましては二十億——新線建設に十億、都市計画によります停車場その他で十億、こういうふうな財源の確保ということにつきましては、どうしてもこれは確保したいというようなことで、いろいろ折衝を続けておるのでありますが、皆さん方御承知のように、当初は非常に不採算線が多いというようなことから、国有鉄道の独立採算制というようなことも考え合せまして一般公共事業費から出してもらいたいというので、いろいろ交渉をいたしたのでありまして、自由党におきましてもいろいろ政務調査会あたりで、その方法も考えたのでありますが、諸種の事情によりましてこれが立ち消えとなつたのであります。その後は見返り資金からどうしてもこれをとりたいということで進んで参つたのでありますが、いろいろこの公共事業費の中におきましても、道路等のような営利的でないものということが主眼に相なりまして、鉄道、電信等の営利的なものに対しましては、見返り資金は不適当であるというような意見も出て参つたのであります。そのためにまたこれが非常に困難視され、こういうことに現在なつておるのでありますが、たといこの実現が困難になりましても、預金部資金その他の方法もありますので、経済安定本部等で考えておりまするのは、預金部の資金を流用する、そうして赤字が出る場合には利子補給をやろう、こういうふうなことを考えて、しきりに積極的にこれを進めて参つておるのでありまして、近くこれの財源がどういうふうになるかということがはつきりして来ると思います。今後一週間あるいは十日のうちには、こういうふうな線がはつきりして参る、このように考えております。  なおこの審議会というふうなことの制度につきましても、何らそのままで放任しておるというのではないのでありまして、先般鉄道新線建設の調査会というものを設けまして、この調査会におきまして基本的な方法、一般的な財源とか資材とか方法というようなことをここで検討いたします。そのために関係各省の局長級を網羅いたしまして、そのメンバーを編成いたしておるのでありまして、これによつて基本的なものを決定する。そうしてその調査会の決議に基きまして、現在鉄道新線の建設の審議会をつくろう、こういうことに相なつておるのであります。  なおこの審議会と運輸審議会との関連性というふうなことにつきましては、これは非常に微妙なものがあるのでありますけれども、簡単に申し上げますと、この新線建設の調査会におきましては、基本的な方向を定めて参る。なおどういうふうな線を決定すべきかということにつきましては、大臣がこの新線建設の審議会に諮問をいたしまして、そこで大体の決定を見る。そういたしますると、それによりまして国有鉄道の方に命令をする。国有鉄道の方からこの新線を決定することの認可を申し出ました場合に、運輸審議会においてこの適否が審議せられ、それに基いて国鉄が施行をして行く、こういうふうな方向に進めて参りたい。せんじ詰めれば、いろいろ疑問の点が残つておるのでありますが、大体そのような方向で、鉄道新線建設の審議会をつくるということの、積極的、具体的な動きが出て参つておりますので、これも財源の点とにらみ合せて、あるいはその財源が決定いたしましてかちというふうなことで、多少時期的にはずれがあるかもわかりませんけれども、この新線建設の審議会も早急につくり上げたいということで、具体的に進んで参つておりますので、近く皆さん方にどういうふうな構想でこれが生れて来るかということを、御報告を申し上げる機会が来ると考えております。先ほど来監督局長が申しましたのは、さような予算の面に現在組まれておりまする点等から、なお独立採算制ということに非常にとらわれたために、非常に消極的であるかのようで、皆さん方はまことに御不満なことであつたと、私そばで聞いておりましても、そのように考えられますけれども、運輸省といたしましては、決してそのように消極的ではないのでありまして、積極的にやりたい。大体国鉄の独立採算制と申しますることは、これは能率を上げるための目標と申しまするか、最小限度の人員で最大の能率を上げたいということを、端的に表わしたのが独立採算制であります。決してこれが主であつて、公益性が従になるのではないのでありまして、あくまでも公益性が先になつて参るのでありますから、経済開発の面その他を考えまして、たとい経済線でありましても、これが審議会で設置せよという方向に向いて来るのではないか。国の経済線なら国家の総合開発計画の点からこれを決定すべきものである、私はかように考えております。
  112. 玉置信一

    玉置(信)委員 ただいま政務次官から、あらゆる角度から見た新線建設に関する積極的な方針をるる述べられましたので、私も非常に心強く感じておるわけであります。同時にまた審議会設置の点につきましても、ここ一週間ないし十日という、きわめて短時日のうちにというふうに明らかにされておるのでございますから、決議ということはしばらく見合せて、先ほどの岡田さん、原さんの御意見のようにしていいのではないか、こういうことを申し上げます。
  113. 關谷勝利

    關谷政府委員 ただいま玉置委員からお話のありましたのは、財源の見通しがここ一週間かあるいは十日でつくのではないか、このように考えておりますので、審議会ができますのが一週間か十日というのではないのでありまして、少し時間にずれがあるかと思いますが、早急にやりたいと思つております。誤解のないようお願いいたします。
  114. 前田郁

    前田委員長 ちよつとお諮りいたします。実は一時からこの部屋で厚生委員会が開かれることになつておりまして、さつきからあけてもらいたいというような雰囲気になつておりますので、新線建設の審議会をつくるという根本的な問題に対しましては、皆さん賛成のようでございますが、それに対しましてお互いにもう少し研究して、その研究した結果を申し入れてやつてもらつたらどうかという、愼重なお話のようでございますから、それはまことにけつこうと思いますので、次会にもう一ぺんあらためて御協議をして、そうしてかようの決議をとりたいと思いますが、いかがでございますか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  115. 前田郁

    前田委員長 それではちよつと運輸省と国鉄の方にお願いしたいのであります。資料でありますが、新線建設の資料が相当あるはずと思いますが、それを出していただきたい。たとえば戦争中相当方々で線を引つぱずしたとか、あるいは土工だけやつたというようなものができているはずでありますし、それから先ほど浅沼君が言われました敷設法別表による線、そういうものとか、いろいろあると思いますから、それを御提出願いたい。  それでは本日はこれをもつて散会いたします。次会は公報をもつてお知らせいたします。     午後一時一分散会