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1950-07-27 第8回国会 参議院 労働委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年七月二十七日(木曜日)    午後二時三十八分開会   —————————————   本日の会議に付した事件 ○失業保険法の一部を改正する法律案  (内閣送付) ○日雇労働者に対する警察当局の取締  り状況に関する件   —————————————
  2. 赤松常子

    ○委員長(赤松常子君) これより委員会を開きます。本日は前回に引続きまして、失業保険法の一部を改正する法律案に対する一般的な質疑を行なつた後、本改正案の逐次審議に移りたいと思います。御質疑のおありになります方どうぞお述べを願います。
  3. 堀眞琴

    堀眞琴君 私、一二の点について質問申上げたいと思います。先ず第一に資格要件としましての点でありますが、改正法案によりまして、二十八日になつて四日間短縮されたということは、一応合理的な方向に向いているとは言えるのでありまするが、併し実際の日雇労働者の立場から申しますと、二ケ月間に二十八日就労するということは、東京では或る程度可能であるとしましても、地方になりまするというと、その間の事情が、二十八日就労するということがなかなか困難なような事情があるように承つておるのであります。で、そういう関係から申しまして、この資格要件としての二十八日就業するという、この資格短縮される意向があるかどうか。それから二十八日というその根拠、それを第一に説明して貰いたい、こう思います。
  4. 山村新治郎

    政府委員山村新治郎君) 初めて御挨拶を申上げます。私労働政務次官山村新治郎でございます。どうぞよろしく。只今受給要件日数の問題でございまするが、全国平均のこの就業日数は、十六・三日のように相成つております。従いまして二十八日といたしましても、このために、この統計から行きますというと、一応妥当な数字だと考えまして立案したような次第でございます。  尚細かい点は局長から説明いたします。
  5. 齋藤邦吉

    政府委員齋藤邦吉君) 私から御説明申上げます。先程政務次官からお答えがありましたように、本年四月の全国安定所の擁しておりまする日雇労働者就業日数が十六・三こういうことになつております。尚今回の法律改正におきましては、保険料額引上げというものを行わない、即ち保険料額引上げますと、それだけ日雇労働者の負担も増大いたしますので、一応引上げないという前提に立つて、できるだけ多くの日雇労働者資格をつけたいという観点から、保険経済の許す最大限度を計算してみますと、大体二ケ月、二十八日というふうになりますので、そういうふうな保険経済の許す最高限度をとる、実際問題としては全国平均十六・三、まあ大体四月におきましても、十四日を割るというのは殆んど一二の例外でありまして、大体一月に十四日以上ということになつておりますので、現在の日雇労働者を保護する上から申しまして、大体この辺が適当ではないか、かように考えた次第でございます。
  6. 堀眞琴

    堀眞琴君 只今お話には十六・三日、これは四月の統計だそうでありますが、併し現在の日本経済状態から申しまして、失業がどんどん殖えて行くということは誰も一応見通しがつくと思うのです。勿論いろいろ内外情勢関係から、失業者の吸收される面も出て来ると思いますけれども、併しそれが非常に跛行的であるということは御存じだろうと思います。そうしまするというと、結局失業者の絶対数は殖えて行かなければならない、四月の就業日数が十六・三日ということになつておりましても、或いは七月、或いは八月、九月と、月を追うに従いまして就業日数が減つて行くだろうということも、その失業者の増加からも当然予想されるのでありますが、その点についての見通しは如何なものですか。
  7. 山村新治郎

    政府委員山村新治郎君) お説御尤もでありまするが、何とかいたしまして、沢山の方に働いて頂くようにするためには、どうしても例の失業対策費の繰上げ支出とか、或いは又新しく補正予算を要求するということによつて初めて可能であると思います。この意味から先役の閣議におきまして、いわゆる十二月までの引上げ支出を決定いたした次第であります。
  8. 堀眞琴

    堀眞琴君 補正予算を組むとか、繰上げ支出をするとかということが決つたというお話ですが、補正予算を組むんでございますか。
  9. 山村新治郎

    政府委員山村新治郎君) 補正予算につきましては、昨日の参議院の本会議決議並びに一昨日の衆議院の方の院議も尊重いたしまして、成るべくその線に副つて努力いたしたいと考えております。
  10. 堀眞琴

    堀眞琴君 努力するといつても、この国会には間に合わないだろうと思いますけれども、次の国会には出す見通しをおつけになつておられるのですか。
  11. 山村新治郎

    政府委員山村新治郎君) 成るべく早期の国会に提出いたしたいと思つております。
  12. 堀眞琴

    堀眞琴君 次の待期日数の問題でありますが、日雇労働者は御承知のようにぎりぎりのどん底の生活をやつておるのであつて待期日数通算、六日、七日を六日にする。それから継続五日を四日にする。確かに一日短縮することによつて、それだけ日雇労働者の利益が守られておるのでありますが、併しそのぎりぎりの生活をやつておる日雇労働者は、單に一日くらいの短縮で果して十分にその生活を守ることができるかどうかということが、相当問題になつておると思います。組合の側におきましては待期日数の撤廃を要求しておるわけであります。その点に関しまして政務次官の御意向を伺いたい。
  13. 山村新治郎

    政府委員山村新治郎君) 待期日数の問題につきましては、理想といたしましては全然これをなくすることが理想一つであるか知れませんが、現段階におきまして保険経済の許す範囲内におきましては、只今の今回の改正が一応その限度であると思います。従いまして原案のような提案をいたしたような次第であります。
  14. 堀眞琴

    堀眞琴君 先程繰上支出をするとか、補正予算を組むつもりだというお話でありますが、そういたしますというと保険経済の面でも相当裕りを見越すことができるのではないかと思います。そうしますると、この待期日数の問題につきましても、もつともつと巾のある弾力性のある措置が可能になるのではないかと思いますが、その点につきましては如何ですか。
  15. 齋藤邦吉

    政府委員齋藤邦吉君) 待期日数につきましては、今回の改正法律案の第三十八条の第六項によりまして保険経済状況によりましては待期日数短縮したり、或いは短縮することができる自動的な規定を挿入することといたしたのであります。そうして現在の大体段階におきまして保険経済状況、即ち保険料收入、それから最近四ケ月における保険給付実情等を考えてみますと、現在の保険経済状況から申しますならば、この八月の早々にはこの法律案が成立いたしました曉、第三十八条の九の第六項の規定に基きまして大体一日短縮できるのではないだろうか、かように考えております。尚将来の問題といたしまして、先程政務次官からお答えのありましたように、公共企業が大巾に実際問題として実行されるようになり、或いは又対日援助見返資金が公共事業に実施されたり、或いは失業対策事業の繰上げによつて雇用量が増大して参りますれば、そこで嫁働日数が殖えて参ります。稼働日数が殖えて参りますことは、結局保険料收入が多くなるということでもありますので、そうなれば更に保険経済が余裕が出て参りますので、更に短縮するということもできるのではないか。併しそういう将来の問題は別といたしまして、現在の段階におきましては、この六日四日という待期日数を、現在のところではもう一日二日ぐらいは短縮できる、こういうふうに考えている次第であります。
  16. 堀眞琴

    堀眞琴君 聞くところによりますると、現在でもすでに六日四日という待期日数で実際にこれを行なつているということですか、そうなんですか。
  17. 齋藤邦吉

    政府委員齋藤邦吉君) 現在は第三十八条の九の第六項の規定に基きまして、一日だけ短縮することができるという自動的規定がありますので、その規定に基きまして本年六月一日からすでに六日四日という線になつているわけでございます。現在ある規定ではそれを更に一日短縮するという規定がないのであります。それ以上絶対に下げられないという現在の規定でありますので、それを第三十八条の九の第六項の規定に基きまして、この六日四日の一日を更に又短縮することができる、こういうふうになそうというのが今回の改正案趣旨であります。
  18. 堀眞琴

    堀眞琴君 そうしますと、この際法律の上ではもう一日短縮つまり五日二日くらいですか、そういうような形では保険経済の上で相当喰違いがありませう。先程のお話では繰上げ支出公共事業その他いろいろ御説明になりましたが、そういう方面つまり財政上若干のそちらの方に裕りが見通されるのですか。それを更にもう一日短縮して法律の上でこれを規定するという御意思はないのでありますか。
  19. 齋藤邦吉

    政府委員齋藤邦吉君) 現在の段階で近い将来にもう一日短縮することができるであろうということを申上げましたのは、今日までの保険料收入に或る程度剰余金があるということを前提としてのことでございます。即ち本年の一月から給付が開始せられておりまして、大体のところ約一億程度保険料收入剰余金が出ております。それを御承知のように最近特に失業問題がやかましいときでありますので、そういうものをできるだけ給付として考えたいということでこういう規定を置くことにしたのであります。毎月毎月の保険料收入給付というものを考えて見ますと、やはり六日四日ということよりも短縮するということにはできない。即ち剰余金があるからまあ差当りこれを短縮することができるというふうな運用になろうかと思います。毎月々々の保険料收入ということならば、一応六日四日という線になろうか。従つて六日四日というものを法律規定に定めまして、あとは将来の保険経済の運営の状況に任した方が適当じやなかろうか、かように考えておる次第であります。
  20. 堀眞琴

    堀眞琴君 現在の保険料收入を基礎として考えられれば確かにその通りだと思うのですが、併し公共事業であるとか、繰上支給という面、雇用量も増大するというお話でありますが、そうしますと、国庫がその方面への補助ですか、そういうものも相当増大して来るものと考えることができると思うのです。従つて現在の保険料基準にしてでなくて、もつと巾の広い考え方ができないものだろうか、その点をもう一度お尋ねいたしたいと思います。つまり国庫からのその方面への補助が増大する、こう見通されておる。言い換えるならば、雇用量がそれだけ増大する、そうするというと、現在の保険料よりも更に増額した保険料というものが見込まれるわけであります。従つて更に待機日数短縮するということも可能になつて来るのではないか、單に法文で運用上一日短縮するということでなくて、もつと根本的にそれを解決する途はないだろうか、その点をちよつとお伺いいたしたいと思います。
  21. 齋藤邦吉

    政府委員齋藤邦吉君) 御承知のように公共事業実施等につきましては、本年当初におきましては多少ズレておりまして、近い将来に大巾に実施せられることと期待いたしておりますが、御承知のごとくに公共事業相当多額には上つておりましても、全国にばら撒かれる事業でございます。ところが失業保険制度安定所の所在地に居住しております日雇労働者、即ち安定所を常に利用する日雇労働者というものを対象とする。御承知のように全国日雇労働者の数は恐らく百二十万程度ということになつておりますがまだはつきりと分つておりません。が百二十万程度と言われておりますが、そのうち安定所を利用する者の数は大体その半分の七十万か、六十万であるという。いわゆる保険制度としてそこに一つの枠がございます。従つて将来公共事業が、果してどの程度失業保険制度対象といたしておりまする日雇労働者にどれだけの影響を及ぼすかという点になりますと、今俄かにこれをはつきり推測いたしまして、こうなるという前提の下に保険経済を、この通算六日継続四日というものを、もう一日短縮するという法律にすることは、実際に現在のところ困難ではないかと考えております。
  22. 堀眞琴

    堀眞琴君 そういたしますと、先程のお話と少し喰い違つて来るわけであります。先程公共事業の面からも雇用量が増大するから、従つて日雇労働者の方もその方面で救済できるのだ、こういうお話でありましたが、今あなたのお話でありますと、公共事業の方は殆んど職業安定所中心とした居住の日雇労働者がこれを利用するのであつて公共事業とは関係ない、こういうようなわけでありますか。
  23. 齋藤邦吉

    政府委員齋藤邦吉君) 先程申上げましたのは、公共事業相当大巾に実施せられることでありますので、そういつたような面で日雇失業保険の適用を受けますこういう日雇労働者にも、相当影響もあるだろうという推測を申上げたのであります。その推測のその影響がどの程度のものになるかということを今ここで申上げてはつきり推測することができないから、実際問題としてそれがどのくらい拡がるということははつきり分りますれば、それは成る程お説のようにいろいろな案も考えられると思いますけれども、恐らく大きな影響と申しますか、或る程度影響は必ず来ると思います。私共といたしましても、安定所を督励いたしまして、できるだけ公共事業日雇労働者を働かすというように努力したいと思つております。どの程度影響であるかということが、今目算を立てることは困難であろうということから、現在の状況におきましては通算六日、継続四日、あと保険経済状況によつて自由に短縮して行けるという途さへ開いておりますれば十分ではないかと、かように存じておる次第であります。
  24. 堀眞琴

    堀眞琴君 もう一つ、私は迂闊にもあまり失業保険法内容を知らないのですが、保険料ですね、労働者が支払う保険料、これをちよつとお聞かせ願いたいと思います。
  25. 齋藤邦吉

    政府委員齋藤邦吉君) 保険料定額制をとつておりまして、日々受けまする賃金日額によつて差等を付けるというやり方をいたしております。即ち百六十円以上の賃金日額を受ける者につきましては、保険料は六円でございまして、事業主が三円、労働者が三円ということに相成つております。百六十円未満の場合におきましては、事業主は三円でありますが、労働者の方は二円、即ち保険料としては五円、六円、五円というのが定額制保険料收入いたしておる次第であります。
  26. 堀眞琴

    堀眞琴君 その三円の保険料を納付する労働者保険金額幾ら、それから二円の方は保険金額幾ら……。
  27. 齋藤邦吉

    政府委員齋藤邦吉君) 大体におきまして百六十円以上の賃金を買う、即ち三円の保険料を納めておる者は百四十円の定額制保険金、百六十円未満のものは九十円の保険金を受ける。こういう定額制に相成つておる次第であります。
  28. 堀眞琴

    堀眞琴君 この百六十円以上と百六十円未満と区別した根拠ですね、それを簡單でよろしうございますからお聞かせ願いたいと思います。
  29. 齋藤邦吉

    政府委員齋藤邦吉君) 百六十円以上、以下と切りましたのは、大体全国雑役関係日雇労働者標準賃金が、昨年この法律を作ります際に、大体百六十円というものが標準賃金と申しますが、平均賃金の形というものに、それを採りまして、その上のものと下のものによりまして保険料保険金を差別する。こういうふうにいたした次第でございます。
  30. 堀眞琴

    堀眞琴君 そうすると昨年度平均賃金基準にして保険料を定めたというお話でありますが、その当時と今日との賃金状態移動関係からして、保険料に、どういう差額を設けることがよいか惡いかということが当然問題になつて来ると思いますが、その点についての御見解はどうですか。
  31. 齋藤邦吉

    政府委員齋藤邦吉君) この標準賃金と申しますものは、一昨年の十二月に定められたものを基準にしております。その後一度もそういう改正はしていないということになつておりますが、労働省方面においてその当時出ておつたのであります。現在のところでは、ここ暫く改正が許されませんので、一応雑役標準賃金というものはこの程度ということで一応考えております。
  32. 堀木鎌三

    堀木鎌三君 この間実は日雇労働者の現場をよい機会に見せて頂いたのですが、日雇労働者の一番要求しておることは要するに失業日数のないことであるということが一番希望しておることは確かであります。要するに保険金の問題より、失業日数がないこと、失業対策事業内容を見ますと、まあ非常に関係官努力しているようでありますが、実際の現状から見ると、まだ都市計画事業公共事業との計画的な結付きというものは私は足りないと思うのでございます。それには一つは無論この日雇失業者自身の、要するにそういう公共事業だとか都市計画事業との結付きをする主体性が足りない。主体性自身が足りない。組織とそうして熟練というものが一体なつ組織的な力が足りないというような点もあることはありますが、併しこの点についてもつと積極的にやる。つまりこれは自治体事業なんだ、これは公共事業なんだというふうな観念的な、そうして所管官庁の区別というものによるような支障を廃除して、そうして渾然一体としてそういうふうに産業労働というものを深く結付けて行く。そうして建設的な、そうして民族の再建に役立つような、産業の復興に役立つような姿に持つて行かれる姿というものを、もつともつと努力して頂かなければ足りないのだ。今おつしやつたように公共事業費が殖えるとか、まあいつでも大臣やお役所の方の言われることは、公共事業費が殖えるのだとか、或いは日本輸出産業が殖えて行けば、雇用量が増大するだろうと言われるけれども、そう観念的なことではなしに、もつと一つ一つ仕事を結びつけて行くような姿に、もつと努力して頂きたい。そういう点について本年度どういう御計画があるか。そうして諸官庁の間にどういう打合せを取ろうといたしておるか。そういうことを聞きたいのです。それが私の先ず第一にお聞きしたいことであります。
  33. 齋藤邦吉

    政府委員齋藤邦吉君) 私からお答え申上げます。御承知のように失業対策事業は、昨年緊急失業対策法が制定されまして、僅かな金額で出発いたした関係上、今お話のように公共事業自治体事業との結びつき、これは非常によろしくない点が多かつたことは、私共も十分承知いたしております。その後失業者の増大に伴いまして、俄かにどんどん失業対策事業予算も殖えるといつたふうなことから、結付きが非常にまずかつたという過去の事実につきましては私もさように考えておりまして、御説の線に副つて私共は今日までやろうというふうに努力いたしております。特に本年度に入りましてからは、予算金額も昨年度に比べまして非常に殖えて参つております。御承知のように失業対策事業種目につきましては、やはり何と申しましても、失業者を吸收するといいましても、経済効果があるものを選んで行く。これは御説の通りに私共も考えております。緊急失業対策法もさように決めておりまして、従つて一般公共事業との関係において、事業種目経済安定本部総務長官がこれを労働大臣に指示する、かような建前に相成つております。従いまして経済安定本部におきましては、建設省等中心にいたしまして公共事業と観念的に区別するといつたふうなことではなしに、飽くまでも経済効果のあるものを選ぼうということで、経済安定本部で真剣に慎重に考究して頂きまして、事業種目を決めて頂いておる次第でございます。尚自治体事業につきましては、昨年度俄かに始まりました関係上等もあり、労力費だけといつたふうな面もありまして、なかなか思うようには参つておりませんけれども、私共といたしましては自治体事業と、公共事業というものを有機的に結付けまして、できるだけ経済効果のあるものを選んで行く、こういうふうに考えておる次第であります。現在の段階で皆が皆そうなつているとは私残念ながら申せませんけれども、御説の趣旨に副いまして将来とも努力して参りたいと思います。
  34. 堀木鎌三

    堀木鎌三君 今の御答弁大臣が言うなら我慢しますが、事務の方でおつしやるのだからね。もう少し具体的におつしやつて頂いて、一体今安定本都が決めておる種目にすべて満足しておられるのか、どういう種目、これは私共お尋ねする、その種目はどういう種目を更に追加するべく打合せをしているのだ。それからそれが具体的にそういう公共事業と結付けるような組織活動ですね。両省各長官なり、お互いの連繋の方法をどうして行くのだということでございますね。  それから今おつしやつた資材の点で、資材の点が結付くのは公共事業とどう結付いて行つたらいいのか。それから予算的にこの間決議があつてだんだん殖えるでしようということも考えられますが、九十億殖やしてやらなければならんと思うが一体それでいいのか、実際の問題としてそういう点をお聞きしたかつたのですのに、大臣答弁するような答弁をされちやこつちが迷惑極まるのです。もう少し建設的に具体的に話して下さい。
  35. 齋藤邦吉

    政府委員齋藤邦吉君) 甚だ失礼いたしましたが、実際やつておりまする事業は、資材費等関係等もありますので、一応労力費事業費総額の大体七割から、八割程度を占めるというものを、一応原則として選ぶことにしようということにいたしております。従いまして資材費をあまり要しない街路整備事業、或いは公共空地整備事業、そういつたような主として肉体的労働だけでできるようなものが大半であるのであります。道路整備事業街路整備事業荒廃地内整備事業等がその大半を占めております。併し地方によりましては資材費相当にかかるところの仕事、即ち港湾の整理事業、河川の整理事業等も一部いたしておりますが、さような事業は僅かなものでございます。尚本年度におきましてこの失業対策事業もお説のように経済効果のあるものを選ぶ。従つて資材費の余計にかかるものを選ぼうということから、現在のこの失業対策事業費四十億につきまして、十億の起債額の枠が認められております。そういうふうなことからいたしまして、できるだけ資材費の多く要るものをできるだけ起債によつてつて行こう、こういうふうなことも考えまして目下折衝いたしておるような次第でございます。事務的な連絡といたしましては、経済安定本部が示すことに相成つておりますが、経済安定本部の中の各省から出ております係官が建設省の各課と連絡をとりまして、公共事業とできるだけ結付いてやつて行こう、即ち一例を引いて申しますならば、建設省関係道路につきましては、道路資材の方はできるだけ向うの方で出す、そうして労力費労働省関係失業対策費というものを労力費から出すといつたような、各地方々々における事業関係につきまして、一々具体的に打合せまして決めておるような次第でございます。
  36. 堀木鎌三

    堀木鎌三君 その各省事務の方は一応打合せがあるでしようが、地方地方結付きが一番大切なんです。職業安定所相当そういうことにタツチしてそうして若し都市計画事業なり、公共事業自身について積極的に口が差しはさめて、そうしてこつちの人間がうまく事業計画に合せて労務の供給計画と合つて行く、而もそれが向う事業者の技術やその他と並んで入つて行くことが必要だと私は思うのですが、そういう点について、労働省としてやはりこれは労働省自身が熱意を以て、各省つておけばばらばらになるやつを末端まで結付けて行つて頂かなければ失業対策事業というものはうまく行かないと私は思うのです。そういう御努力が何かできるかどうか、そういうものをはつきりさせて行かれないと観念的な作文になつてしまう、こういうふうに私は思うのです。是非そういう点について今後御努力を願いたい。そういう方面活動が鈍い。
  37. 齋藤邦吉

    政府委員齋藤邦吉君) 地方公共事業におきましては、大体労働関係職業安定課と、土木部との関係中心になるわけでございますが、そうして労働省関係労働部職業安定課におきましては、どこどこの土地に何人のこういう失業者を作つて貰いたい、それに適当な事業種目土木部の方で選んで貰いたいという要求をするわけでございます。そうしますと土木部の方では適当な事業種目を持つて来て、そしてこの事業は、それでは予定通り何月から実際何人使つてやれるだろうかということを、労働部の方と相談し合つて順序を決めて、各省関係の方を通じて経済安定本部の方に出す。こういうことに考えておる次第でございます。昨年の実際から申しますと、なかなか連絡も非常にまずい点も、実際は非常に多かつたのでございますが、だんだんと対策事業予算が殖えるに従いまして、大体今のところでは順調に進んでおるのではないだろうか、こういうふうに考えております。
  38. 堀木鎌三

    堀木鎌三君 もう一つ重ねてお尋ねしますがそういう公共事業に自治体関係事業を結びつけて、日雇労働者雇用量が増大するような実績でございますね、つまり公共事業の何割はそういうふうに動員されているか。そういう御調査があつたらずつと月別のでも見せて頂けると、皆さん今おつしやつた御誠意の程が実績から分るのかも知れませんが、非常に努力はしておられるけれども、ますますだけじや、ちよつと私共としても納得できない。
  39. 齋藤邦吉

    政府委員齋藤邦吉君) 公共事業につきましては、昨年の緊急失業対策法によりまして、失業者の吸收率というものが設定せられております。それによりますと、本年の一月の例を引いて申しますと、この吸收率の設定せられております公共事業に就労しております労働者の数が、延にして一月五百六十一万人であつたのでありますが、安定所が紹介いたしましたのはそのうち百四十三万人に及んでおるのであります。大体失業者吸收率の設定されておりまする事業につきましては、全就労者数のうち約二割から三割近い程度のものが安定所の紹介によつて就労いたしておるような実情でございます。
  40. 堀木鎌三

    堀木鎌三君 大臣に特にお願いいたしたいと思うのでありますが、こういう点につきましては、大体公共事業の何割かは最小限度、こういう職業紹介所の関係の日雇労務者を使うことを努力しよう、むしろ他所の仕事をやつている、仕事のそういう研究の結果、一つの義務的、何と申しますか強制的な義務付けるような処置がおとりになれないのでしようか。
  41. 保利茂

    ○国務大臣(保利茂君) 先程来の御質問に対しまして、私の考え方としましては緊急失業対策事業を目的としてその方法によつて失業者の方を救済すると申しますか、就労の機会を与えるという行き方は決して最善の方途ではない。あくまで日本の国の現状におきまして国家経済の復興という見地から一般公共事業が広く行われまして、それに大多数の方が吸收せられて行くことは最も望ましいことだと思いまして、その方には政府としても今後も特段の力を入れることと存じますが、ただ一般公共事業の実施主体と、今当面問題になつております日雇労務者で、而も失業をせられておる方々の多数密集せられておる地帶と一致しませんために、いわゆる緊急失業対策法に基きまして、その救済を図つて行く。私はどこまでもいわゆる経済再建に寄与する事業、即ち一般公共事業が拡大せられまして、その方に多くの吸收をできるようになりますならば、むしろ考え方としては極端かも知れませんけれども、緊急失業対策事業というような方法によらないで済む方法があるならば、更に好ましいことじやないかというような考えを持つております。そういう意味合におきまして、今度一般公共事業の職安を通じまする日雇労務者の就労率は、従来四〇%というように私聞き及んでおりますが、そのように実施せられておると思いますけれども、それでは公共事業と日雇労務者の救済というものが、先程来御指摘のようにどうもぴつたり来ないんじやないか。そこで今回見返資金によりまする分の一般公共事業、この分はできるだけその気持を拡大いたしまして、できるだけ職安を通じます日雇労務者の就労率を高める。大体事務的に関連しておりまするが、その方は原則を六〇%くらい、都市周辺の密集地帶におきましては思い切つてそれをもつと高める、そういう折衝も大体終つておりますようでございまして、今後といえどもその方向で強く施策を講じて行きたいと、こういうふうに大体考えておる次第であります。
  42. 赤松常子

    ○委員長(赤松常子君) ちよつと皆様にお諮りいたしたいのでございますが、実は今日大橋法務総裁に対する緊急質問の御要求が出ておりますので、幸い只今大橋法務総裁及び高橋検務局長が見えておりますので、先に緊急質問に入りたいと存じますが、御異議ございませんでしようか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  43. 赤松常子

    ○委員長(赤松常子君) 御異議ないものと認めます。
  44. 山花秀雄

    ○山花秀雄君 幸い大橋法務総裁がおいでになつておりますので、若干質問をしたいと思いますが、先達つてこの労働委員会の決定によりまして、日雇労務者の就労、それから只今上程されました議案に関する参考資料の調査、こういうことで都内の渋谷、五反田、芝浦この三ケ所の安定所を視察に参つたのであります。渋谷と五反田を終えて芝浦に参りましたときに、芝浦の日雇労働者にいろいろ参考意見を我々議員一行が徴していたのでありますが、最初は余り人が多いので中へ入るのを躊躇いたしまして、屋外で一応十分間の時間を切つていろいろ意見を徴していたのでありますが、丁度そのときにその附近にいた警察官が参りまして、屋外でやられたのでは、集会になるから困る、屋内で一つつて貰いたい、こういう話で、我々もそれは了承いたしまして、安定所の屋内でいろいろ意見を徴しておりますと、今度は、これは集会と認める、解散を命ずというように、大変威張つて、壇上に駈け上つて、例の棒を振り廻して、そういう態度に出られたのであります。そこでお聞きしたいのは、国会議員が一応こうした委員会の議決によつて調査に参つて、そこにおります日雇労働者からいろいろ意見を徴することが果して集会になるかどうかという点であります。一応御意見を承わりたいと思います。
  45. 高橋一郎

    政府委員(高橋一郎君) いわゆる集会というのが、どういう場合に使うところの集会の意味であるかということは限定いたしませんと、定義ずけるわけに行かないと思うのでありますが、ただ集会と申せば、一応多数の人が集合して、会談をしているという状況がすべて集会に入るのではないか。問題は、それをどのように取締るか、或は取締の対象に置くかという問題ではないかと思います。
  46. 山花秀雄

    ○山花秀雄君 只今御回答のありましたように、とにかく若干の人間が集まれば、それは集会である。これはもう一応の私から申上げれば、屁理窟の常識論だと思います。私はこれを集会とみなすかどうかということは、例の公安条例と申しましようか、それに該当する集会になるかどうか、こういう意味でお尋ねしたのであります。
  47. 高橋一郎

    政府委員(高橋一郎君) 東京都の公安条例によりますというと、第一条で、道路、その他、公共の場所で集会若しくは集団行進を行おうとするとき云々という規定になつております。但し左の各項に該当する場合は、この限りでないということで、学生生従の遠足等とか、或いは通常の冠婚葬祭と、慣例による行事ということを除外しておるのでございまして、この文理から申しますれば、只今のような場合は、やはり一応集会というふうに認めざるを得ないのではないかというふうに考えます。
  48. 山花秀雄

    ○山花秀雄君 それでは重ねてお尋ねしたいと思いますが、こういう労働委員会で、国会議員がそういう実情調査に参ります場合には、一々集会届を出さなくては実情を徴することはできないのであるかどうか。
  49. 高橋一郎

    政府委員(高橋一郎君) これは具体的に、どのような状況においてなされたかということが明らかになりませんければ、確言することができないわけでありますが、一応このような公安条例の下におきましては、さような集会というような体様を持つことをやろうとする場合には、やはりその動機とか、目的というものが、只今おつしやつたような誠に正しい、何ら弊害のないようなものでありましても、一応取締りの対象になるのではないかというふうに、考えているのであります。
  50. 山花秀雄

    ○山花秀雄君 私は今お尋ねしましたのは、今後の例もございますので、一応この点はつきりして置きたいと思うのでありますが、そういう実情調査に赴いて、いろいろ関係者から意見を聞くことが、公安条例取締法により一々集会届を出さなくては、そういうことができないのかどうかという点であります。それから今一つは、最初は十分間ほど意見を徴して、早くそれらの労務者に仕事に行つて貰わなくちやなりませんので、一応集りが屋外、これは確かに警察官が屋外でやつてつたら困る、屋内で一つつて貰いたいという、こういう申入れがございましたので、私共は警察官の立場も十分考慮いたしまして、屋内で一応意見を徴していたのであります。そういたしますと、まあ何を感違いしたかどうか分りませんが、突然演壇に上つて来て解散を命ず、こういうように見ようによれば、非常に労働者を激昂せしめるような、一つの挑発行為に出たのであります。我々国会議員がこの法律の参考資料として意見を徴す、そのときの状態は労働者国会議員に、この法律に関して、いろいろ参考意見を訴えたい、何ら危険というようなことを我々は想像だにしなかつたのでありますが、警察官が壇上に上つて、例の指揮棒を振廻して解散を命ずというようなことを言い出したものですから、若干労働者が激昂して、而もその労働者も屋外でやられたら困まるから屋内でやつて頂きたい、この警察官の指示に従つて屋内でその意見を徴する、話合いをやつていたのでありますが、まあそういう態度に出たのであります。私共は十分間程、話合いをすれば当然それらの労働者が各々割当てられた職場に参つて、問題は極めて平穏裡に処することができたのでありますが、その警察官の態度、それから言動、明らかにこれはもう挑発行為で、静かであるべき場内の空気が激昂状態に変つて来たということは否めないのでありますが、そういうようなことを、これからいちいち公安条例に基いて集会届を出さなければ、国会議員が視察或いは意見を徴することができないのであるかどうか、そういう窮屈なものであるかどうか、この点を一つはつきりして頂きたいことと、それからそれが終つて、これは署僚警部でありましたが、あとで署長が参りまして、署長に一応その旨を伝えたのでありますが、署長の曰くには、何と申しましようか、署長の曰くには、若干神経過敏になつた点があるということを言つて、まあ一応の陳弁に努めておりましたが、来る者がはきりし、目的がはつきりし、そうして時間が一応はつきりし、それらの人々が直ぐ仕事に行かなくちやならんというようなときに、そういう非常識極まる取締り方針をやる、而もその芝浦の公共職業安定所の分室においては、所長以下が十分この点を了解していたのでありますが、しまいには非常に激昂しまして、国会議員がその会場内に入るということも、例の指揮棒を持つて警官隊は腕を組んで入室を拒んだというような事態もしまいには生じて来たのでありますが、私共の見た目では、少くとも三百人くらいの警官を急に、トラツクなんかで動員をして来たというふうに、私共の目に映じたのでありますが、そういう取締りが妥当であるかどうかという点、取締りの或いは監督の衝に当られるところの見解を一つはつきりして頂きたいと思うのであります。
  51. 高橋一郎

    政府委員(高橋一郎君) 只今お話のようなものでありますれば、公安条例の第三条によりまして、当然これを許可しないわけにはいかない種類のものと考えるのであります。  それから又現場の催しが果して集会と認める段階に至つてつたかどうかというようなことは、これは具体的な問題になりますので、私共は法務府として法律上の意見を申述べたわけでありまして、実際の警察措置ということには私共の方は所管の関係がございません。従つて具体的な事情は警察の方からお聴取り願いたいと思うのであります。
  52. 山花秀雄

    ○山花秀雄君 最後に一つ私はここではつきりして頂きたいことは、これから国会議員がそういうことをやる場合に、一々集会届を出さなければやることができないのかどうかというその点を一つはつきりして頂きたいと思うのであります。
  53. 高橋一郎

    政府委員(高橋一郎君) それは單に目的によるだけじやなくて、その集る人数とか、場所的な問題とか、形式とかということにやはりかかつて、必ずしもそういう目的でやる場合には、ここにいう集会に当らないということもできないのではないかというふうに考えます。
  54. 山花秀雄

    ○山花秀雄君 そうしますとそれは集会届を出さなくてもいい、自由にそういう目的を以て訪れる場合はよろしい、こういうことですか。
  55. 高橋一郎

    政府委員(高橋一郎君) そういう場合もあると思います。又その会談の際の集る人員とか場所とか形式といつたようなものによりまして、やはりこの取締りの対象になるという場合もあるのではなかろうか。取締りといいますか、公安条例のカバーする範囲に属する場合があるのではなかろうか。併しいずれにしましても、公安条例の第三条によつては、そういう目的の平穏なる集会というものは、許可しないというわけには行かない性質のものであると考えるということでございます。
  56. 山花秀雄

    ○山花秀雄君 警察官がそのときの状況によつて、臨機の処置をとるということはあり得ることである。従つてこれは我々の関知するところでないというふうに、先程の回答は承つたのでありますが、そこで問題は臨機の処置ということになりますと、警察官の常識が果して臨機の処置をとつたかどうかということが一つの具体論になつて来ると思うのでありますが、私共の見た眼では、非常に挑撥行為に出られて、却て静粛たるべきその集りが混乱状態になつたというふうに私共国会議員の一行は感じて、あとでその点は所長が参られたときに一応なじつたのでありますが、今後もこういうようなことは往々あると思うのであります。できれば一つ監督の衝に、或いは指示の衝にあられると思うので、そういうような取締りをしないように注意して頂きたいと思います。併しそれは我々の権限内でないということでございましたら、私共はその権限を持つているところに改めてこの問題を持ち込んで一つ解決を図つて行きたい、こういうふうに考えております。
  57. 高橋一郎

    政府委員(高橋一郎君) 私は検察関係仕事をやつておりまして、検察と警察とは大変密接な協力関係にあるのでございますが、これは犯罪の捜査による問題でございます。で只今問題になつておりますのは、公安条例によりまして、集会届出を受理し、或いはそれを許可、不許可にかけるという全く犯罪捜査と別個の行政措置の段階でありまして、御趣旨の点はよく私共は了承いたすのでありますけれども、所管の関係ではありませんのでこの点御了承願いたいと思います。
  58. 山花秀雄

    ○山花秀雄君 よく分りました。
  59. 大橋武夫

    ○国務大臣(大橋武夫君) では警察の方に申し伝えて置きます。
  60. 原虎一

    ○原虎一君 関連して一点お聞きしたいのですが、この間の問題は私も一緒に行きました。私と委員長である赤松君とが椅子を台にしてその上に上つていた。そこへ警察官が入つて来て、解散を命ずるということを二口言つた。問題は取締関係の責任もありますが、公安条例は御承知のように東京都のものでありますから、あれを作るときには労働組合運動を圧迫するというようなことは極力避けるということを、当局者はその点は非常に強く主張しているわけです。ところが行つて見れば事実起きた問題はそうである。これは事情労働大臣にも大橋法務総裁にも申上げて置きますが、いずれ国警を招んで、出席を求めて聞きたいと思つております。先般も尚労働大臣に私は特に注意願いたいということを申上げたことは、吉田内閣の労働政策は取締り政策である。理解を持つて解決の衝に当るというところがない。そこに危険性が多いということを申上げておるのであります。吉田総理自身がそうです。労働問題と共産党の質問に対しては、答弁せられる態度から非常に変つて来るという状態なのです。これは取締りさへすれば労働問題は鎮圧するのだというような考えを持つておられたならば、とんでもない間違いで、先日起きた問題、芝浦の安定所に起きた問題はやはりそれなのです。公安条例ができたからこれを以て何でもかんでも労働者の集会を取締らなければならんという考えが露骨になつている。第一私に言わせれば、労働大臣安定所長にもう少ししつかりした人間を置かなければいけません。参議院の労働委員が、その関係のある失業保険の改正の問題について、所長の意見も並びに労働者の意見も徴するために行くということは労働省が通知しているのです。それを二日も前に通知していますから労働者は知つています。労働組合は勿論作られておりますであるから参議院の労働委員が来るならば、僅かの時間でもいいから会つて陳情したいというので、芝浦の諸君は少し就労時間を延ばして待つていた。そこへ我々が行つた。でありますから警察官がそのときすでに三、四人おりました。その警察官に対して安定所長が、こういう事情で参議院では労働委員の誰々が今来て話をしているのだということを話をし、又こういう精神でこういう趣旨でものを聞いておるのだということを警察官に十分伝えれば、それでも警察官は公安条例に反する会合だから解散を命ずるとは言わないかも知れない。そうして余りに人が多くて二千人もおると、安定所長は言つておりました。で表通りでなしに横の路地に入れて、どうしても屋内ではできないからというので、路地に入れて話をしかけたが、警察官が、これは屋外集会になるから許さない、それならば中に入れるだけ入つて、我々はそこで国会議員の権威に関するなんということを考える必要はないので、警察官の秩序維持に当つておる任務を我々は尊重して、屋外集会は二千人おると向うは言います。そこまでおつたかどうか知りませんがとにかく多数でありました。それを屋内に入れて、半数ぐらいは入つて、私共が演説したわけでもない、行く趣旨が分つておりますから、労働者の方は参議院議員が折角来るのだから、陳情しようと、こういうのでおつた、だから警察官が屋外集会だからいかんといつて、我々に注意して屋内に入れた。屋内で十分ぐらい我々の意見を聞こうと言つて入れた。もともとそういう会合がいけないのでありますならば、屋外の集会も屋内の集会もいかんのならば、今日はそういう事情があつて警察の方では公安条例に違反するから止めて貰わなければならんということを、我々に言うか、そこの責任者であるべき安定所長に言わなければならん。それが警察官の常識ある取締りである。それを集つておるから、とにかくきかない労働者だ、不穏な労働者だとして、恐らく警察の力を以て解散を命じてしまおうという考えがあつたのではないかと思われるような状態にあつた。そこで我々は道路上の会合を止めて屋内に入れて、これは職業安定所長も中に入つて、それじや中に入れるから入つてつて呉れ。私共委員長が腰掛の上に上つて話をした。ところが何といつても屋内集会だから、無届の集会だから解散せよ、そういうけんまくでやつて来た。これはどちらから考えても非常識な取締りである。だから公安条例が明らかに労働者の意思を参議院に伝えるということすら抑圧した、鎮圧した。だから正当な労働運動には適用しない、鎮圧を何ら目的としないという当局の言明は、三田警察署におけるところの警官によつて、蹂躙されておる。これは私は問題であると思います。今山花委員から質問しておりましたが、私共は五反田の、安定所に行きましたのが七時頃です。渋谷に六時に行きました。五反田の安定所には七時に行つた。ところが百二、三十人の者があぶれて就労できなかつた。それらの諸君は、労働組合を作つておりまして、その労働組合の役員諸君は絶えず、陳情に来ておりまして、我々と会つた二、三の顔知りの役員もおりました、折角見えたのであるから、而も自分らはあぶれた。今日これで一日二百四十円は貰えない、一文も貰えない。折角来たのであるから、自分らの意見を聞いて呉れという要請があつた。これも屋外に等しい、屋根だけあるところの労働者の溜り場です。そこに集つて我々は十五分間ぐらい陳情意見を聞いたのです。これは芝浦の三田警察の取締りが正しいというのでありますならば、我々は五反田の安定所でやりました行為は、公安条例違反になる。届出をせずに百人からの集りで我々も意見を言いましたし、行つた趣旨も言いました。それから陳情も聞いた。そうすると、これは我々が公安条例違反である。従つて今山花君が言いますように、今後そういうことがあり得る。然らばそういう陳情は公安条例違反になるから我々は危険だといつて国会議員は帰つて来られますか。これは私は今日初めて緊急質問があつて、私も聞いた。勿論これは国家警察の関係である。併しながらそういう事実があつたことは、当日労働省からも人が我々と一緒に行つてつた。それから東京都の労働局長以下数名も来ておつた。そういう事実があつたことは恐らく大臣の方にも御報告があつただろうと思う。労働大臣の方も余り小さい問題として何ら報告がなかつたとすれば今日初めてである。こいうことは即ち私がこの間、最初に御注意なり御希望なりとして申上げたところは、もう自由党内閣が労働組合の鎮圧政策だから今来ておる参議院の議員が誰であろうと、そういうことはおかまいなしに解散すればいいということを三田警察の者がやつたといわれても仕方がない。堀木さんがお出になつておりましたし、自由党の城、それから今出席なさつていた波多野さんも現場を御覧になつていた。何も集つて騒いでおるのじやない。静粛にして、そうして意見を具陳しておつたに過ぎない。私は労働大臣に特にこの問題をお調べ願つてそうして公安条例が労働組合を圧迫するために使われておるという事実を我々自身が体験したので、然るべく御処置をおとり願いたいと思います。我々の権限においてなすべきことはなし、又その筋に対してなすべきことをすればよいと労働問題として我々は考えておるのである。幸いに労働大臣、法務総裁見えておりますから、第一条に違反するか、違反しないかという問題ではない。私の考えから申しますれば、労働組合に対する警察官がかくの如き態度をとるということが、私は非常に重要な問題だとこう思つております。
  61. 保利茂

    ○国務大臣(保利茂君) 先般の御質問もございましたときに申上げておりましたように、労働組合運動を苟くも弾圧するというような、政府に気持がないことはもう縷々申上げたと思うのでございますが、今お話のように若し末端の如何なる機関におきましても、自由党政府であるから、労働組合をがむしやらに弾圧するというようなことは、私は絶対にさようなことがあつてはならんと思います。むろんそのためには私の責任は非常に大きいと思いますし、御趣意の線に副うてそういうふうな危険な事態が起らないように、危険と申しますのは労働組合に対する態度として危険な事態が起らないように、努力をいたして参りたいと、かように存じております。尚只今具体的例としてお話の参議院の方々が視察いたしました職業安定所に起きた事態につきましては、私は実は詳しい報告を受けておりませんが、相当考えなければならぬような事態じやないかと思いますから、十分調査をいたしまして適当に一つ私として処理いたしたいと思います。
  62. 大橋武夫

    ○国務大臣(大橋武夫君) 只今労働大臣から申上げました通りであります。又先般の皆様の御視察の際の状況お話通りでありますれば、これも極めて遺憾だと思つております。然るべく善処いたしたいと思つております。
  63. 赤松常子

    ○委員長(赤松常子君) この問題に関して御質問ありませんですか。  それでは御質問もないものと認めまして、前の問題に帰りまして、御質問を続行いたします。御質問もないようですから、それでは逐条説明を聴くことに今日いたしましようか、明日に譲りましよううか。    〔「次回に」と呼ぶ者あり〕
  64. 赤松常子

    ○委員長(赤松常子君) それでは明日逐条審議の御説明を伺うことにいたしまして、本日はこれにて散会いたします。    午後三時五十三分散会  出席者は左の通り    委員長     赤松 常子君    理事            一松 政二君            原  虎一君            波多野林一君    委員            中村 正雄君            山花 秀雄君            堀木 鎌三君            堀  眞琴君   国務大臣    労 働 大 臣 保利  茂君    法 務 総 裁 大橋 武夫君   政府委員    労働省職業安定    局長      齋藤 邦吉君    法務府検務局長 高橋 一郎君