運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1950-07-26 第8回国会 参議院 労働委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年七月二十六日(水曜日)    午前十時四十九分開会   —————————————   本日の会議に付した事件 ○失業保險法の一部を改正する法律案  (内閣送付)   —————————————
  2. 赤松常子

    赤松委員長 只今から委員会を開会いたします。  本日は失業保險法の一部を改正する法律案に対しまして、労働委員参考に資しますために、各專門家の方々の御証言を頂きたいと存じております。それで本日の参考人には五名の方々においでを頂いたのでございますが、皆様方暑い最中に定刻においで頂きましたことを厚く感謝いたします。大変お待たせ申上げましたが、参考人方々ちよつと御注意申上げたいのでございますが、発言の時間は、大体二十分以内にいたしたいと存じております。そして発言の内容は議題の範囲を越えないようにお願い申し上げたいと存じます。それから尚参考人方々及び委員の方にお諮りいたしたいのでございますが、御質疑はどういたしましよう。各参考人方々お一人がお済みになつて御質疑いたしましようか、全部が済みました御質疑お願いいたしましようか。如何いたしましようか。お一人一人が済んで御質疑いたしましようつか。
  3. 堀眞琴

    堀委員 皆さんの口述が済んだ後で一括して質問する、個人々々に対して質問するという形の方がいいのではありませんか。
  4. 赤松常子

    赤松委員長 そうでございますか。ではそういう御意見でございますからそういうふうに計らつてよろしゆうございましようか。ではさよういたしましよう。では先ず最初第一生命保險相互会社常任監査役齋藤齋氏にお願いいたします。
  5. 齋藤齋

    齋藤参考人 私今日初めて出て参りましたので、こういう席の慣習等を存じないのでありますが、私共の方から何か改正案に対する意見なり何なりを申し上げるのでございましようか。どういうことなんでございましようか。
  6. 赤松常子

    赤松委員長 いろいろと長い御経験の中から、改正案に対して特に関係の深い点について、いろいろ御意見をおつしやつて頂けば結構でございます。特にこの問題をというふうにお限りにならないで結構でございます。
  7. 齋藤齋

    齋藤参考人 私は失業保險委員会委員をいたしております。続いてその委員会中央職業安定委員会專門委員会に吸收されましたので、そちらの方に参加いたしまして、この失業法案の諮問を受けまして、今日までたびたびいろいろな意見を申し上げ、又修正等にも意見を今まで述べて来たのでございます。大体失業保險と申しますものは、御承知通り摩擦失業に対する対策であると私共は感じております。そういつた立場から常に意見なり、何なりを申し上げておるのでございます。今日ここへ出ております失業保險法の一部を改正する法律案、この法律案を見ますると、大体主な点は三十八條の九の改正であります。これは日雇労働者の問題でありまして、日雇労働者失業保險金を受けます待期の問題であります。これは失業保險保險料を余り変えないでおいて、條件を緩和して行こうという考え方でございます。御承知通り今日失業保險保險料を上げて行くということは困難でございます。これは保險料を負担しまする事業界におきましても、事業主におきましても、又労働者におきましても、これは困難なことと存じます。從いまして保險料を上げないでできる範囲條件を緩和して行くというやり方が一番よいのであると存じます。そうして日雇労働者失業保險におきましては、從来は通算して七日又は継続して五日という待期がございましたのを、今回これを六日又は四日ということに改め、又第三十八條の六でございますか、資格條件を二月につき三十一日分以上とあるのを、二十八日分以上と緩和して来たのであります。私はこの程度改正は誠に当然のものと考えております。後の改正は大きな問題ではないと存じます。この法案に対するところの意見はその程度で終ります。尚何か御質問がありますれば、日にちをこういうふうにした根拠というようなことについてお話をいたしたいと思います。
  8. 赤松常子

    赤松委員長 有難うございました。それでは次に池袋公共職業安定所長労働事務官高山松之助氏にお願い申上げます。
  9. 高山松之助

    高山参考人 齋藤さんから只今失業保險関係につきましては前々からの委員をなされておる関係で、一応この度の改正案のことについてお触れになりましたので省略いたしまして、掻摘んで私安定所長として、現在の日雇労働者実態の上から考えて、この問題についてちよつと意見を述べて見たいと思うのでありますが、保險経済が許されるならば、私は待期間短縮ということは、日雇労働者生活実態から言つて、もつと大幅に短縮せられることが望ましい、ただ日雇労働保險が始められましても、非常に短い期間で蓄積もなされておらないような状態の下においては、この度の改正案は非常に時宜に適したものと思うのであります。特に受給資格の要件を二十八日にしたということは非常に結構なことと思います。ただ日雇労働者実態というものは、その日その日の生活に困る者が非常に多いということであります。勿論例外はあると思います。今日日雇労働者と称ぜられる中にも、可なりその日雇労働者の中でも言葉は適切じやございませんが、労働貴族に属する人もあるかも知れません。いわゆる短期間の間に出たり入つたりして余計取る方もあるかも存じませんが、併し都会日雇労働者実態は、これは私の経験上から言いましても、非常に困窮を極めて来ないと日雇労働者になりたがらないのが人間の普通の心理状態であります。而も失業者が非常に多くなつて参りますると、とことんまで困つて日雇労働者になつて来るという人、いわゆる家業的の日雇労働者でなかつたものが、家業的にも日雇労働にならざるを得ないところの失業者どいうものが非常に多くなつて来るということから考えまして、この待期間は五日、六日、七日でも、ときによつてはそのときの情勢に応じていいかも知れませんが、継続期間というものを短縮する必要があるのではないか、こういうふうに思うのであります、從来継続期間が非常に私共役所の者として考えましても、少し長かつたように思いますので、この際一日でも短縮せられるということは、日雇労働者のためにも非常に結構な適切な処置のように存ぜられます。ただ若しも保險経済が全体的な全国的な立場から考えて見るならば三日でも尚足らない。聞きますところによりますと保險経済の許される範囲においては、この継続期間というもの、待期日数短縮の問題については弾力性を持たして頂いて、そして改正するというふうにもちよつと聞いておるんであります。そういう意味合において私は将来失業状態が非常に惡化して参ります場合には、日雇労働者に関する限り継続日数待期期間というものを短縮せねばならん。継続は左程でもないというと語弊があります、これは語弊があるんで何でありますが、先ず継続日数短縮ということを先に取上げて考えなければならんじやないか。こういうふうに考えておる次第であります。  それから從来東京日雇労働者関係から考えますると、広く述べることは、私自分の狭い視野のうちで広く述べることは若しも間違つておるといけませんので、安定所における私共の三千九百人の登録労働者、並びに私共の少くとも視野の中に入つて来ることのできる町方日雇労働者方々関係から推測いたしまして、現在のこの改正の場合にもう一歩踏込んで考えてみたいと思うのは、町方労働者適用に少し欠けるところがあるように見受けられるのであります。技術上非常に困難なものもあるかと思いますが、東京には日雇労働者が相当やはり町方にもおりますので、その方の適用の問題についてももう一歩将来は考えて頂きたいということで、日雇労働者給付関係から考えますると、東京につきましては失業対策事業実施が比較的これは適切な手を東京都といたしましても、独自の失業救済事業費を計上いたしましてやつて参つた関係も、私非常に力になつておると思うんでありますが、私共の当区労働者に関する限りにおいては、失業日数が非常に少なかつたということであります。從つて失業保險法適用を受ける機会というものが皆無であつたということであります。又私共の方の労働者だけでなくして、一般的に考えましても受給資格者にして、失業保險金給付を受けた者というのは現在でも五名にすぎないというような状態であります。これは他管内から参つた者が二名、自管内の者が三名というふうに非常に適用されて受給されておるものが東京に関する限りにおきまして、又その一部の池袋管内におきましては非常に受給者が少なかつた、問題は私はこれは池袋が現在受給資格者としては多いのでありますが、給付を受取る者が少いということが将来も当嵌まるかどうかという問題を振返つて見ますると、必ずしも過去の実績を推測して将来を測るわけにはいかない。将来はもつと多数の、むしろ八月九月を通じまして、月々累進的にやはり失業保險給付を受ける者が殖えて参るというふうに実は観測いたしておるのであります。どうして日雇労働者適用を受けることが少いかというと、都会に関する限りは安定所にまでやつて来るということを、非常に面倒がるという風習があるように私は考えるのであります。実際はそこで給付を受けられるのだけれども、板橋の奧から、或いは練馬の奧から池袋まで電車賃使つてつて来るということを非常におつくうがる人もあるのであります。生活とことんまで困つておりますれば、そういうことも一般的な常識でいえばあり得ないことでありますけれども、併し近いうちには又稼働し得るというような方々には、安定所まで電車に乘つて来るということをおつくうがる風習日雇労働者というものは元来持つておるもののように見受けられます。從つて現在の失業対策事業と、失業保險法とを睨み合せた上で、こういう問題を解決して行かなければ万全なものではないというふうに考えられるのであります。又安定所機構そのものもでき得る限り、サービス機関でありますならば、認定する場所を足を伸ばして、地方ではそれぞれ伸しておるようでありますが、東京ではそうえらく地域に離れておりませんので、遠方の地域ではございませんので、分室等を設けておりませんのですが、今後は将来を予測しに、又失業者対策事業実施の面からも分室を設けてでも、できるだけ労働者が簡易に認定を受けられるというような行き方も半面取つて行かなければ、折角の保險制度が十分に運営されないようなことになるのではないか、こういうふうに考えております。今日の問題の範囲につきまして一応申上げた次第であります。
  10. 赤松常子

    赤松委員長 有難うございました。  それでは次に芝園橋公共職業安定所芝浦分室紹介係長労働事務官谷藤儀一郎氏にお願い申上げます。
  11. 谷藤儀一郎

    谷藤参考人 この失業保險改正についての総括的な意見は今の高山所長の言に盡きると思います。それで現在の私の最も感じておることは、待期期間をもつと短かくするということでありますが、併しそれも保險経済の許す限りにおいて、これを短縮するというような仕組になつておるようですから、その財源として各事業体で、当然強制加入になるべき各事業体がまだ全部失業保險についてよく分つていないところもあるので、そういうところには、今後啓蒙運動を起して、そうしてその印紙による收入増收を図る、そうして保險経済を成るべく完全なものにして、できるだけ待期期間を短かくしてやることが、労働者に対して最も失業保險恩恵を浴せしめる近道だと思います。そういう点で今後はまだ当然強制加入さるべき事業体が、まだ失業保險印紙購入通帳を持つていないというようなところを十分啓蒙をして、印紙による増收を図るようにして頂きたいと思います。それだけでございます。
  12. 赤松常子

    赤松委員長 有難うございました。  それでは次に日本建設労働組合連合書記長關谷亀之助氏にお願いいたします。
  13. 關谷亀之助

    關谷参考人 実は労働組合立場として申上げたいことが非常に沢山あるのでございますが、時間が限定されておりますので要点だけを時間内において申上げることにいたしたいと思います。  只今大体前の方が申されたことは、大体職安を通じての働く日雇労働者のことが問題になつておる、これを対象にお述べになつておる。またこの法律案を見ましても改正案を見ましてもそれが対象になつているけれども、日雇ということになりますとこれでない日雇があるのでございます。それで私共の方の日雇いの労働組合の中には職安を通じて仕事をしておるものでない日雇労働者というものが、分り易く言いますと大工左官、鳶、人足、これが一番惨めなものであります。これは後に讓るといたしましてそういうものがあるのでございます。一応そういうことのあるのを申上げておいて、この改正案について意見を述べたいと思います。改正せられたことは非常に結構だと思います。結構には違いないと思います。これまた反対する理由一つもございませんけれども、どうも実際この労働者から考えますと、一体七日が六日になつたり、五日が四日になつたりということがどれほど有難いかということです。これはおそらくこれを発表したならば、労働者は非常に失望すると思います。日雇労働者にとりましてこの失業保險問題と、今一番大きな問題は健康保險の問題です。健康保險の問題は議定外でございますから除きまして、この日雇の者は、高山さんあたりから見ますと、中には保險の金を貰いに来るのが面倒くさくて来ないのがある、大勢の中だから、どういう理由があつて来ないかか知れないけれども、これは非常に大勢関心を持つておる。関心を持たんような人間自由労働者にあるわけはない。非常に関心を持つておる。これが一日か二日短縮せられるのであつたら、まことに有難い、大変改正して貰つてよかつたなどということには到底ならんということを申上げておく。併し一日でも短縮せられないよりは結構でございますからこの改正に対して反対じやございません。  第一保險経済という言葉が出ましたのですが、実は私共労働者の中で保險の金がどういうふうになつておるか、保險経済がどうなるかということは、情けないことですがそういうことは分らない。この度資料を送つて頂いたものを見ますと、印紙売上げ総額というものが非常に沢山あります。それから給付を受けた額というのはまことに売上げ総額から見ると少いのです。給付を受ける額がここに余剩がある。一体保險というものが、日雇失業保險の金というものが、一般会社工場に働いておる人達の金とごちやちやになるものか、或いは日雇の分は日雇の分として特別会計でやつておられるのかこれはよく分りませんが、とに角余裕があるということだけはお認め願いたいと思います。実際においてこれだけ余裕がある。ごく極端な例を申上げますと、三月の月は四千五十七万円印紙売上総額がありますが、給付を受けたものは千四百九十七万円しか金額を受けていない。こういうふうに余つておることがある。ですから待期期間というものを、もつとうんと短縮して貰つて撤廃して頂きたいとこう思うのです。撤廃して頂きたいと思う、而も高山さんから説明があつた通り自由労働者に落ちて行く、職安あたりから落ちて行く労働者がどういう過程を経てとことんまで行つて行詰るかというと、先程お話があつたがその通りである。その点は高山所長などはさすがによく見ておられると思う。工場労働者の場合におきましては、そこを辞めた場合には大体退職手当を貰うとか、或いは十四日分の予告手当を貰うとか、労働協約によつて何日勤めたものには幾ら拂うという規定がある。ところが日雇においては全然ない、工場労働者の場合には若干の待期期間があつて日雇に較べたらちつとも差支えない。ところが日雇労働者の場合にはそれがない。而も保險経済というものは私はどういうものか知りませんが、若し私の言葉間違つていたらお許し願いたいと思いますが、この保險経済の上から申しますと、金が余つているのですからやつて見る必要があるのじやないかということを先ず考えるのであります。  それから今度六十日間の問に三十二日働くと資格が生ずる、これが今度二十八日になつた。これもまあ有難くないとは申されません。誠に有難いわけのものでございますが、これをどういうわけで二十八日働いたらこの資格を與えるのだかという、実際の基礎はどこにあるのかということを考えるのでございます。恐らくこういうようなことはまだ実際よく分つていないから、取敢えずこうせられたのではないかとこういうふうに思うのですが、これも又この金が余つているのだから、こういうことをずつと短縮して貰いたい。本当はこういうことは、私共の労働者立場からいえば本当はこういうものはなくして貰いたい。  それから次にこういう問題があるのですが、成る程東京では本当のことをいうと失業保險給付を受ける人は非常に少い。それから六十日間に二十八日の待期期間、二十八日積立てた者にその資格を與えるというようなことは、東京では大体そのくらいの資格は取れると思うのです。取れると思うのですが、地方行つた場合にはそうは行かんです。これを一つお認め願いたいと思います。地方職安の方で働いている人は一ケ月、これは大体十四日ですが、十四日仕事があるかないかのすれすれのところであるということを、これはもう私共の誠に乏しい調査から来ているのでございまして、これが確かだという私の方に資料は持つておりませんが、地方職安では大体一ケ月十四日働けるか働けないか分らないという状態になつております。ですから六十日間で二十八日保險を納めて、そうしてそこで資格を得るということが危ない状態にある。できかねるような状態にあるということを、まあ私共の組合での調査報告ではそういうことになつております。これはもう政府の方でもよくお調べになれば分ることだと、こう思うのでございます。  それから今度三十八條の五項であります。同一事業主に二ケ月以上連続して働いたときは、三月目からは一般失業保險の取扱いを受けることになつて、三月目から六ケ月経たなければ資格が生じない。工場労働者の場合においては六ケ月間で以て資格が生ずる。ところが日雇の場合においては八ケ月かからなければ資格が生じない。何でそういう矛盾を日雇の場合においてのみ持つかということなんであります。その点と、それから保險給付を受けられないということじやないのでございますが、それは三ケ月でも四ケ月でも受けられるけれども、受けられるけれども三月日からは一般の方へ入れる。そうしてそれは六ケ月を、つまり八ケ月経たなければ、工場労働者よりも二ケ月余計でなければ資格を與えないというところに、私はこの法文の非常におかしな点があるのじやないかと思うのでございます。而もその差は非常に大きいのでございます。工場労働者の場合には、六ケ月で以て百八十日間貰えるのですが、日雇の場合だつたら、この場合六ケ月だつたら十七日しか貰えないとこういうことになるのであります。だからこの差別待遇というものは先ず撤廃して頂かなければならんとこう思うのでございます。  それから次に私共で一番重大な問題として考えておりますことは、これを政府へ今まで行つてお話をすると、政府ではこういう言葉を使われるのです。この際この言葉をお借りして申上げますが、典型的雇用契約の線が認識せられないものは、いろいろな労働法規の、社会保障の、この適用を受けることができないのだということで、国税庁におきましても、それからその他の労働省におきましても、厚生省におきましても日雇の、先程最初に申上げました、大工左官、人夫、この連中のあれを扱はない、これを勤労者としての適用を與えていない。ところがこれは前の時代なら、数年前の時代なら違いますが、今の大工左官というものは、八五勤労者であります。それは労働基準法安定法建設基準法があり、労働組合法があり、むしろはつきり私は言うために言いますが、我々労働組合に入つておるところの大工左官というものは、はつきりした労働者である。これは労働組合法によつて認められている労働組合であり、それに加名するのが労働者であります。それから労働基準法安定法、そういうようなもののすつかり制約を受けておる、労働者としての制約を受けているにも拘わらず、社会保障の面では、全然これを無視している。これは非常に私は国家的に憂慮すべき問題だと思うのであります。この不平、不満というものは非常に大きいのです。税金は営業税で以て取つて来る、それから健康保險もない、労災保險もない、失業保險もない。こういう状態に置かれておる。そうしてその結果、生活実体は、労働者と何ら変らない、全く貧乏な生活をやつておる、又そのしているところの仕事は、この災害防止の、天災地変などにおけるところの災害防止仕事であり、いろいろな生産の基礎をなすところの建築業仕事であり、非常に重要な仕事をやつておる。にも拘わらずこれらの労働者というものが私達が政府にいろいろと交渉して見ると、多くは実態が把握できない、分らないということと、それから非常に面倒くさいということで、こういうために妙な言葉使つて、これをこの面倒くさいものだからなるべく遠ざけて扱うまいとしているのであります。先日社会保障審議会公聴会に参りましたような場合でも、土建労働者は、やはり労働者として考えないで、農民やなんかと同じような立場において、これを追いやろうとする傾向が見えるのであります。私はこういう人達こそ何らの法律的保護を受けないこういう人達に対して、特に卒先して社会保障制度というものが、先ずやられなければ、私はこれは私共の推定になりますと全国二百五十万、こうした職業人間がおりますが、私は重大な問題になるということを、私はこの労働運動をやつている上において、このことが考えられるのであります。この点を全然政府が、この失業保險においても、こういう人の階級というものを見ていない、という点において、非常に今度の改正案審議に当りまして遺憾に考えておるのであります。時間がございませんから。
  14. 赤松常子

    赤松委員長 有難うございました。では最後に東京土建産業労働組合書記長飛田正一氏にお願いいたします。
  15. 飛田正一

    飛田参考人 私の方の意見といたしましても、やはり、この昨年の十二月に健康保險の問題と、それから失業保險の問題に関しまして、日建連、或いは全日土建、こういうふうな土建全国組織において、請願書を出したのでありますが、それでその結論といたしまして、只今關谷氏が言われたようなことが出ているのであります。私の方としても、やはり同一意見を持つているわけであります。それについて、大体今關谷氏の話されたことについて補足的に説明いたしますと、先ず最初に申されました待期期間の撤廃ということなんですが、この点に関しましては、さつき關谷氏が言われたように、或る地方では十四日ぐらいしか働けない、これは職安に働いて東京では二百四十二円、地方では百四十円ぐらいしか貰つていない、その人達が十四日ぐらいしか働けない。そしてそれはどういうふうにして働いているかというと輪番制といつて、このあぶれた人と、働く人が交替に来るわけであります。順番になるわけであります。そうすると例えば一ケ月のうち半分働けるとしますと、今日働いて次は休む、それから又その次は働く、こういうふうな輪番になつて行くわけであります。そうすると待期期間が三日でも二日でもあると、全然貰えないということが言えるわけなんです。そういう点から一番困つておる失業者安定所に働いておる日雇労務者に対しては、何ら失業保險恩恵はないのだということをはつきりと申上げることができるわけです。それから一般の町場の職人にいたしましても、やはり仕事が相当に切れたり、或いは出たり、断続性があるわけです。そういう点からも又一々安定所まで来てそこで必ず仕事があるというのならばこれは出て来るだろうと思うのですが、それよりもやはり自分仕事を探すという面において、なかなか安定所まで出て来ないという点があるわけなんです。それは失業保險待期期間が三日なり四日なりあると、その期間じや俺達も町場に行つて仕事を探して来た方がいいじやないかというので、待期期間だけ出て来ない。結局いつまで経つて保險金が貰えないという結果が生じて来るわけであります。そういう点からもやはり待期期間は全部撤廃して貰いたい。失業したら翌日から保險金が貰えるようにして貰いたい、こういうふうに思うわけです。  それから受給日数の制限なんですが、この点についてはさつき關谷氏からちよつと話されたのですが、二ケ月以上一定の事業所に働いた場合には、一般失業保險に替るということです。それからそれ以下であつた場合、例えば一ケ月半一つの事業場で働いて日雇印紙を貼つて貰う、そうしてその二ケ月目の十六日から失業した場合、そうすると今度は四日になつたわけですが、今までに五日間の待期期間があつた。そうすると十六日から五日、二十日まで待期期間、そうすると十日しか失業保險給付が受けられないという結果があるわけです。そういう点からも日数をもう少し減して貰いたい、勿論二十八日になつたことはいくらかでも減つたことであるのですが、併しそういうふうな一つの何といいますか、断続的な面が生じて来るわけです。そういう点をもう少し考慮して貰えないか、これは給付の日数を延長して貰えばいい。例えば二月と三月に一定の場所で働いて三月の十五日にくびになると、三月いつぱいしか保險金は貰えない。四月になると前二ケ月間を計算するわけですから、二十八日に満たないことになる。そうすると四月からは全然給付が受けられないということになりますので、その一ケ月なり二ケ月なりを給付期間を延長して貰いたいということ、このお願いがあるわけです。  それから二ケ月以上は一般に切換えるということなんですが、これは一つの事業所に働いていても、やはり日雇日雇なんです。これは半年働いても八ケ月働いても日雇である。これは大蔵省の工事なんかでよく分るのです。或いは法務庁の工事、こういう工事は一年二年かかる工事なんです。ところがそういうところに鳶だとか、土工なんか働きに行つて、そうしてこれが常用になつておるかというと、勿論会社なんかでも安定法がおつかないから安定所から来たときには常用になる。或いは首を切るときには日雇にして首を切る、そうすれば一ケ月の賃金を支辨わなくても済むというふうに、常に雇用関係が変るようなわけです。そういう意味でこれは組合として打開して行かなければならない点なんですが、やはり現実の問題としてそういうことが常に起つておる。これが鬪争の障碍になつている。そうしてこの加配米の点だとか、或いは失業保險の点なんかでも二ケ月以上継続するとそれが常用なんだから、組とか或いは会社で貰えるというふうなこと、或いは失業保險の場合になると一般の方に廻わすのだというふうなことで、三ケ月くらい、或いは四ケ月くらいで以てすぽつと首を切られて、どうにも手も足も出ないというような状態が現在生じて来ているわけです。そういう点を考えてやはり土建にはいわゆる一般工場労働者のような常用というものがはつきりないのだという点だけ考えて頂きたいと思うわけです。それからこの保險金額の総額なんですが、只今のところでは失業すると一日に百六十円、これが一級、二級が百四十円、この二段階に分れているわけなんですが、それだけでは現在のこの物価に対しては、自分一人がやつと食つて行ける程度ということが言えるわけなんです。而もこの五日間の待期期間がある。そうすると自分さえも食えないということが言えるわけなんです。そういう点でもう少しこの保險金額を殖やして貰いたいということが、言えるわけです。  その次には印紙の点なんですが、印紙の購入に関しては現在のところ安定所に行つて、一定の資格がある会社なり、事業所が登録をして印紙を買つて来るという制度になつているわけです。これは基準法による事業適用報告、これをちやんとして、そうしてその資格を持つているところだけしか買えないということですが、そうすると先程も關谷氏からちよつと言われたのですが、いわゆる一般の職人、町の大工だとか、鳶だとか、土工、こういう人達は一定の組なり、或いは事業所に行く場合と、それから町場の仕事をする場合と両方あるわけです。ところが町場へ行くと全然その印紙が貼つて貰えないという結果があるのです。今までは相当仕事があつて失業する機会も少なかつたわけなんですが、併し現在のようにいわゆる一般の工場、或いは事業所における失業が増大して来るとそうすると、こういう失業者がどこに流れて来るかというと、先ず土建へ流れて来る。これは腕一つで誰でもスコツプ一挺持てばコンクリート捏ねができるというので、だんだん町場に流れて来る。ちよつと器用な人は大工でも鳶でもやれる。それで町場の者の生活が脅威を受けるということが言えるわけです。そういう人達が非常に現在仕事に詰まつて来て、もう月のうち半分アプレているという状態が出ているわけです。これは昨年度に東京なんかでは組合が源泉徴收をやつて参つたのですが、そのときの統計なんか見ましても、一年間に最低少い方で百日くらい、多い方で以て二百五十日くらいしか働いていないというような状態なんです。そうなると大体平均してまあ百日ぐらいが失業状態になつて、二百日ぐらいしか働いていないというような結果もあるわけです。而も今年になつてからますます仕事が減つて来ている。そのために町場の職人が失業する率が多くなつているということが言えるわけです。この人達失業保險恩恵があるかというと全然ないわけです。これは旦那側に行くと印紙が貼つて貰えない。これが根本的の原因になつております。そういう人達にもやはりこの失業保險適用を受けさせるために、郵便局なり或いは安定所でも、誰でも印紙が買える制度を一つ考えて貰いたいということです。これはいわゆる町の職人に関しましては、税金の面、だとか、或いは健康保險の面だとか、労災の面だとか、こういう面について全部便宜的に適用されているか、或いは全然適用されないというのが実情なわけなんです。そういう点からも今日ここで失業保險の問題が取扱われているわけですから、一つこういう町場の人達にもやはり労働者としての一りの恩恵に浴させて貰いたい。こういうふうに考える次第であります。それで何とかこういう人達にも印紙の貼れるように、どこでも印紙の買えるような制度を作つて頂きたい。こういうふうに思うわけです。大体私の方の要求といたしましては以上のような事項があるわけです。
  16. 赤松常子

    赤松委員長 ありがとうございました。
  17. 高山松之助

    高山参考人 ちよつと二点について……。
  18. 赤松常子

    赤松委員長 どうぞ。
  19. 高山松之助

    高山参考人 一つは私の発言の内容についての誤解のないように、もう一つ關谷さんの発言の中から役所の者として、ちよつとやはりここで申述べて置いた方がいいじやないかという点があります。その点について申述べたいと思います。
  20. 赤松常子

    赤松委員長 どうぞ。
  21. 高山松之助

    高山参考人 先程日雇労働者失業保險関係が常用に切り変ることによつて一般失業保險の被保險者に転化して行く場合、片一方は六ケ月でいいのに拘わらず、片一方は八ケ月になるという言葉が今あつたように私お聴きしたのですが、それは何か誤解ではないかと思うのでありまして、過去二ケ月間における受給資格はそのまま計算されて行くのだということをちよつとお話したのです。  それからもう一つは、これは關谷さん並びに飛田さんのお二人のお話内容を総合的に判断して下さいますれば、私の発言した内容が何ら誤解されないのだということがはつきり分るのでありますが、私だけの言葉を聞きますと、少し誤解されておる点があるのではないかと思いますので、訂正でなくして釈明して置きたいと思いますことは、私先程認定を受ける日雇労働者失業したその日の認定を受けるために、現在のような制度の下においては、中には日雇労働者風習として、非常に面倒臭がつて、おつくうがつて認定に来ない者があるということを申上げたので、失業保險金を貰いたくても行くのがおつくうで貰わないのだということでは決してないのであつて、私はそういつた風習も一応は日雇労働者の中にあるとするならば、むしろ安定所分室を沢山設けて、最後の一人の労働者までも失業の認定を受けるサーヴイス機関でなければならんということを私は強調したかつたので、その点について誤解のないようにお願いしたいと申上げるのであります。
  22. 赤松常子

    赤松委員長 それでは以上で参考人方々の御公述を終つたわけでありますが、どうぞ御質問がありましたらお述べ下さいますように。
  23. 堀木鎌三

    ○堀木委員 齋藤さんにお聞きしたいのですが、さつき關谷さんから問題があつたのでありますが、実施時期が非常に短いので、保險料と掛金との関係でございますね。つまり保險の財政の上から見て、これが一番ぎりぎりであるかどうかというような問題を、非常に実施期間が短いので御推定もどうかと思うのですが、一遍お聞かせを願いたいとこう思うのであります。
  24. 齋藤齋

    齋藤参考人 それではこの点少し御説明申上げます。多分皆さんは「受給要件日数及び待期日数を低減した場合の保險金支出月額の推計」というものをお持ちだろうと思います。  それでは御説明申上げます。この資料によりますると、被保險者の総数を約七十万人、うち安定所を常時利用して就労する被保險者の数を二十六万人、こういたしております。それから受給資格率というものを調査いたしました結果は、三十二日の場合は約六〇%、二十八日の場合は七〇%、これは概数でございます。それから失業認定率はやはり待期日数に影響を持ちます。從来の実績によつてこれは大体推計でございまするけれども、三六%、三八%、こういう数字になつております。それから受給率でございますが、受給率はやはり六日の場合は六六%、五日の場合は七二%、平均受給日額は百二十七円、平均受給日数は幾日間ぐらい貰うだろうかという平均の受給日数でございます。それは九日と九・四日分という結果が出ております。尚職業安定所に始終来ない人もありますので、安定所利用就職者に対して一割六分増しのものを考えております。それは保險金支出月額というところの項の下の方にございます安定所利用就労者に対する支給金額に一・一六を乘じたのは、平素安定所を利用しないで就労する日雇労働保險者に対する支給金額を含めた保險金支給月額を算出するためである、そういう以上のような数字を使いますると、待期日数通算の場合、六日又は四日継続の場合は五千七百万円、それを五日、三日と尚縮めますると六千七百万円ということになります。これが所要金額であります。ところで一体保險料の收入がどのくらいあるのだろうかと申しますると、保險金の收入の方は三千八百万円程度であります。でありまするからこれは国庫負担も入れますると、大体五千七百万円ぐらいのところに行く、今の保險料收入が三千八百万円でありまするから、これをぎりぎりに使いますると、これに千九百万円要るわけですから、そうすると五千七百万円、こうなるわけであります。それでありまするから待期期間短縮するのは今の六日、四日という場合と、五日、三日という場合と両方やつて見ますると、五日、三日では持たない、所要金額が六千七百万円ある。然るに收入の方は五千七百万円しかないからこれは持たない六日、四日ならば五千七百万円で大体とんとんに行く、こういう結果でございます。それで大体六日、四日が適当だろうという結論を得たわけであります。さて然らばそういつたような今申上げた数字はどういうところから取つたのかと申しますると、これは一つ安定所業務速報というものがございます。そういう数字を取つたのと、もう一つは労働省で行いました抽出調査であります。抽出調査はどのくらいの大きさでやつてあるかと申しますと、本年の一月から四月におきまして、大体五万から六万人の人を取つている。それは東京、大阪、神戸、名古屋、埼玉、神奈川、広島等二十四安定所につきまして取つた数字があるのでありまして、その数字を大体基礎に使いましてこういつたような結果が出て来たのでございます。詳しく申上げますれば、本年の四月におきまする安定所の紹介による就労延人員、それが本年の三月では四百五十二万六千程ございます。それから下就労の延人員が百六十二万九千人ございます。合計いたしますると六百十五万六千人ございます。そうして安定所の業務の取扱日数が二十七日でありまして、從いましてこれで割りますると、大体実人員として二百二十八万程になります。四月におきましては、合計いたしました人員が六百六十二万六千人程でありまして、業務の取扱日数は二十五日、これで割りますると、二十六万五千人、これが大体の実人員だろうと思われるのであります。大体それによりまして二十六万人という数字を抑えたのであります。それから大体安定所に来ましても、受給資格を持つておる者と持つていない者とあるのでありまして、それがどうなるだろうかという数字を検討したのであります。安定所利用日雇労働者の総数を一〇〇といたしますると、その中で一ケ月に十六日以上就労した者につきまする数字というものが六〇・九%、十五日というのが六四・八%、十四日というのが六八・三、十三日が七一・七、十二日というのが七五・五人、こういうわけであります。これによりまして大体これは先程申しましたサンプルの調査でありまするから、サンプリングのメソードにおきましては、必ずこれには統計的に申しますればスタンダード・デビエーシヨン、標準偏差というものを少し幅を持たせなくちやなりませんので、これを六八・三%を大体七〇%と抑えております。即ち十四日で大体七〇%と抑えております。これによりまして今の安定所の利用有受給資格者受給資格を持つておる者の数というものが一月のうちで十五日はどうだろうか、十四日を取つた場合はどうだろうかというような数字を出しました。十五日の場合には十七万一千人、十四日の場合には十八万人、十三日の場合には十九万人、十二日の場合には十九万九千人ということになります。  次に失業の認定傘を計算したのであります。これは大体全国の実績によつてやつたのでありまするが、これは安定所の業務速報によつてやりました。尚受給費格率は、これは一月から四月の日雇労働者調査によつて大体六〇%くらいに抑えております。そういうような結果、一日を減じたらば待期日数を減じた場合にはどういうふうになるかといいますると、その失業の認定率というものが〇・三六になるだろう、二日置きにした場合には三八、三日置きにした場合には四〇ということになつておるというふうに考えます。  次に受給率というものを計算したのであります。これはやはり全国の実績もあります。それからサンプル調査もございます。そういう数字からいたしまして、待期を一日減じた場合には〇・六六、二日を減じた場合には〇・七二二、三日を減じた場合には〇・八〇七というふうな数字を用いました。次に平均保險金の日掛けでありまするが、これは大体平均をとりまして、一月、四月の合計から出したのでありますが、百二十七円というような数字になつております。  それから一人当りの平均受給日数、これも全国の実績もございます、又サンプルは一月四月のものでありますが、調査がございます。この調査によりまして待期を一日減じた場合には九日、三百を減じた場合は九・四、三百を減じた場合には九・五九というふうになるだろうというふうな推定を用いまして、これは実績から大体押して行つたのであります。こういう数字と、それから先程申しました一割六分増しというのは、これはやはりどう申しまするか、安定所を利用する被保險者に対する給付金額がこれは分つております。それから利用しない被保險者をどういうふうにしたかということになります。これは一種の推計を使いまして、各種の率を用いまして推計をいたしました。大体これはまあ遠からずといえども大体当つておる数字だろうと思つております。これは先程申しましたようなサンプル調査であるとか、或いは速報等の数字を使つております。この数字によりますると大体安定所を利用する被保險者に対する給付金額と、それから利用しない被保險者の給付金額との率を求めたのであります。利用しない者が利用する者の大体〇・一六%になつておるというふうに考えました。その数字を用いまして先程御説明申上げた、皆様のところに配付してあります資料の、大体上から三分の三くらいのところを御覧になりますると、保險金支出月額というものがございます。そういうものに、被保險者数というものに、受給資格率を掛けて、そうして失業認定率を掛けて、受給率を掛けて、平均保險金日額を掛けて、それから平均受給日数を掛けて、そうして安定所利用就職者に対する受給金額を計算したのであります。それに更に一割六分増しというものを使いまして、そうして下の方にありまするところの五千七百万円、或いは六千七百万円という数字を算出したのであります。そういたしますと、先程申しましたように收入の面におきましては、大体保險料收入が三千八百万円である。これに対して国庫の負担金が一千九百万円あると考えますると、特別会計收入は五千七百万円であると考えられます。この收入を見合にいたしまして支出を考えます場合には、六日四日という場合五千七百万円が適当であつて、五月三日にいたしますところの六千七百万円というものは支出ができないという結論になつた次第であります。
  25. 堀木鎌三

    ○堀木委員 もう一つそれについてお伺いいたしますと、それと同じものを頂戴しているのですが、今度の新らしい改正案によりましたならば、保險料收入額と保險料給付の月別の実績がありますが、推定するとどういうことになりますか。
  26. 齋藤齋

    齋藤参考人 この数字は昨年十月から本年四月までの実績でございます。そうすると昨年十月から本年の四月までの印紙売上総額が一億九千万円でございまして、日雇失業保險金の支出は八千万円だ、從いましてそれに一億一千万円ばかりの剩余が四月におきまして出ておる。その他に尚国庫の負担を考えますれば、もう少し剩余金がある筈であります。それが今回の法律の改正によりまして、待期は両予裕があれば短縮されることになります。そういうことで常用される者がだんだん抹消して行くと思うのです。これが或る程度消滅いたしますと、この法律の改正によりまして、又自動的にもとへ待期が戻るという形になる。
  27. 關谷亀之助

    關谷参考人 さつき私の発言に対して高山さんから訂正があつたようですが、実は私も確信がないのでございますが、三十八條の五項の問題ですが、私はこの日雇労働者の場合には、八ケ月でこれはもう資格はないのだ、資格が取得できないのだというふうに私は考えておりますが、高山さんの場合にはこれは六ケ月だとおつしやるのですが、私はそう思えないのです。それで一番大事なところは、私の方は六ケ月の場合ですと、工場の労働者の場合には百八十日分貰えるのだが、日雇労働者の場合だと、今度は第三十八條の十五項の調整によつてやはり十七日分しか貰えないのだというふうに私の方は解釈しておるのですが、その点……。
  28. 高山松之助

    高山参考人 そういう意味じやなくて二ケ月通算の場合は、さつきの三十八條の十五項で受給資格の調整になる。
  29. 關谷亀之助

    關谷参考人 だからその受給資格で調整するのは、つまり前の二ケ月が抹消されるからそれでは可哀そうだからというので、それを計算に入れるというのではないのですか。
  30. 高山松之助

    高山参考人 三十八條の十五の関係は少し誤解せられておると思います。というのは、三十八條の十五で調整を受ける場合は三月目でございます。でこれは当然常用の労務者と同じように、受給資格期間の中に算入して行くということであります。從つて若しそれを、労務者がその権利を放棄して、常用労務者としての失業保險資格を得るということを放棄して、若しもそこで三十八條の六の二項以下によつて日雇労働者関係の日額の給付を受けるような場合があるといかんぞということなのです。若しもこれが続いて平年間も続いたとすれば、その二ケ月間というのは後の四ケ月を以て受給資格者になる、こういう形ですから、三十八條の五の場合は、こういうふうな十八日以上、まあ二ケ月間各月において十八日やつた場合には、日雇労働者の被保險者としては適用しないぞ、一般として適用するというものでございますから、その点やはり私が申上げる方が、労働者にはそうえらく細かくいえば、どつちが得か損かということになりますと、計算上ちよつとむつかしいと思いますが、先程關谷さんがおつしやつたような点は、ちよつと誤解ではないかというふうに私は思います。
  31. 赤松常子

    赤松委員長 どうぞ委員の方、御質問ございましたらお述べ下さいませ……。御質問をこの程度で打切つてよろしうございましようか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  32. 赤松常子

    ○赤松委員 ではどうもいろいろと有難うございました。失業保險法改正案審議いたしますために、皆様の御豊富なる御意見を伺いまして、非常に資するところが多大でございましたことを厚く感謝申上げます。どうもお忙しい中を恐れ入りました。  それでは一応これを以て散会いたすことにいたします。    午後零時三分散会  出席者は左の通り。    委員長     赤松 常子君    理事            原  虎一君            一松 政二君            波多野林一君    委員            中村 正雄君            山花 秀雄君            堀木 鎌三君            堀  眞琴君   参考人    第一生命常任監    査役      齋藤  齋君    池袋公共職業安    定所長     高山松之助君    芝園橋公共職業    安定所芝浦分室    紹介係長    谷藤儀一郎君    土建労働組合国    会対策共同鬪争    協議会総代表  關谷亀之助君    東京土建産業労    組書記長    飛田 正一君