運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1950-10-12 第8回国会 参議院 労働委員会 閉会後第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年十月十二日(木曜日)    午前十時五十二分開会   —————————————   本日の会議に付した事件 ○公共企業体労働関係法改正に関す  す調査の件 ○経済安定計画の進展に伴う労働問題  に関する調査の件  (次期国会提出予定法案に関す  る件)  (行政機構管理問題に関する件)   —————————————
  2. 赤松常子

    委員長赤松常子君) では大変お待たせいたしました。只今から委員会を開催いたします。本日は先ず来年度労働関係予算における特殊の点について、又次の国会に提出したされます労働関係のいろいろな法案準備されていると思いますからそういう問題について、又現在の失業対策の現状などにつきまして、一応政府当局の御説明をお願いいたしたいと存じます。
  3. 保利茂

    国務大臣保利茂君) まだ臨時国会開会準備政府の方で整つておりませんために、従いまして次の臨時国会労働省所管としてどういう法律案を提出いたしますか一、二準備を進めておりますものもございますけれども、臨時国会会期等の都合もございますから、まだはつきりと提出いたす法律案について御説明をなし得る段階に至つておりません。  尚政府から提出予定をいたしております本年度補正予算、大体の政府内案は一応まとまつておりますが関係方面との折衝中でございまして、決定的な御説明ができないかと思いますが、労働省所管におきましては失業対策事業費十五億円の補正要求しております。尚失業保険特別会計への繰入れ十二億二千六百万円の補正要求いたし、更に政府職員等失業者退職者手当につきまして七千万円の補正要求いたしておるのでございます。只今大体そういうことであります。
  4. 赤松常子

    委員長赤松常子君) それでは只今の御説明に対する御質問の方御発言願います。
  5. 堀木鎌三

    堀木鎌三君 今労働大臣お話一部に御尤のように思うのですがどうも私解せられないところがあります。というのは予算委員会におきましては大蔵省関係において、本年度補正予算についても来年度予算についても見通し主計局長からすでにお話になつておる。無論ドツジ氏が今来朝してどういう考えによつてそれが変るかということも考えられますが、臨時国会がいつ開かれるということと関係なしに、もう各省とも補正予算なり来年度予算については、すでに大体の案というよりは殆んどまとまつてお話合いが進んでおる筈なのです。今日お聞きしようというのはそれだつた筈なのです。そういうことについては労働省はどういうふうな御見解になつておるのでありますか。労働省の方としては今大体お決りになつておる筈でそれは或る程度の変更は無論起るかも知れませんが、御説明つてもいい時期になつておるのではなかろうか、こういうふうに私は考えます。
  6. 寺本廣作

    説明員寺本広作君) 実は本日の委員会では補正予算説明を求められるということでありましたものですから……来年度の当初予算説明でありますれば今直ぐ資料を取寄せますから、後に廻わして議事を先に進めて頂きます。
  7. 堀木鎌三

    堀木鎌三君 そういう打合が十分行つておりませんでしたら止むを得んと思いますが、補正予算なるものは我々の観念によればすでに大体二十五年度予算の際にも十五ヶ月予算で大体頭には一貫した思想で組まれておる筈ですから、本来私に言わせるならば補正予算は二十六年度一般会計予算不可分のものですから、労働省自身つて不可分のものとお考えになつて大蔵省と御交渉なさつたことは確かであります。各省ともそういうふうにやつておることは確かだと私は思います。資料等関係から区分して御説明なさつてもそれも又構いません。
  8. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 決して来年度予算について労働省要求いたしておりますことについて御説明を回避する意図は毛頭ないのであります。委員長お話でも次の臨時国会に出されら蘇案について説明をせられたいということでございましたから一応補正予算のことも話したのです。尚来年度予算の心組みについてということであれば今次官が申しましたようにやはり御説明してちつとも吝かでありません。
  9. 赤松常子

    委員長赤松常子君) 外に御質問ございませんでしようか。
  10. 山花秀雄

    山花秀雄君 只今労働大臣補正予算説明を聽きまして失業対策費用に十五億というように説明されたのでありますが、この前参議院院議決定緊急対策費用として失業審議会答申案である九十億の予算的措置をして貰いたいという決定をやりましたときに、丁度労働大臣はいなかつたのですが、山村政務次官の方から御趣旨に副うように極力努効いたしますという答弁があつたのであります。九十億と十五億とでは随分金額に大きな開きがあるのでありますが、この十五億の予算でどの程度人員就労できるのかどうか。それから先達ての院議決定に対して十五億という予算では非常に我我誠意がない、納得ができないと考えておるのでありますが、この点に関して今一度労働大臣見解一つ御披瀝を願いたいと思います。
  11. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 院議の御趣旨につきましては、金額の問題は暫くおくといたしまして、御趣旨の線に副うて私共努力をいたして参つております。九十億というのと十五億では余り開きが多過ぎるのじやないか、全く御尤と考えております。今日の財政事情から並びに失業情勢と対照いたしまして最善の処置を採つておるつもりでございます。尚細目につきましては当局から御説明を申上げます。
  12. 山花秀雄

    山花秀雄君 現在の登録労働者仕事がなくて全国各地に暴動的のような形態で職よこせ運動が起きておるのであります。これが日本の国民に與える影響は非常に大きいものであります。失業審議会で九十億の等甲案を出したということは、こういう社会不安を一掃せなければならんというような見地からあのような答申案が出たと思うのであります。参議院においてもその趣旨を了承して前の国会院議決定を行なつて我々の意思を表明したのでありますが、この十五億の予算でどの程度人員就労できるのかどうか。それから現在の登録労働者就労状態がどの程度緩和できるのかどうか。これによつて職よこせ運動を緩和し、社会不安を取除く確信があるのかどうか。そういう点を一つ数字を挙げられますならば詳細に挙げて説明をして頂きたいと思うのであります。
  13. 海老塚政治

    説明員海老塚政治君) 私から若干数字を挙げまして御説明申上げます。内閣失業対策審議会で九十億要求されました内訳は、大体本年度の第二・四半期以降に対処いたしまする予算額として九十億要求をしたのでございますが、本年度補正予算として労働省から提出する予定になつております十五億円は、時期の経過に伴いまして第四・四半期だけの分として計上いたして来たわけでございまして、その点にかなりの時間的な、救済いたしまする期間のずれが一つあるわけでございます。  それからもう一つ違います点は、失業対策審議会におきまする予算要求のうち、総額の約二割金額にいたしまして、三十億程度になりますか、資材費補助を新しく追加計上しようということを申しておるのでありましてこれは本年度補正予算の分には含まれておりません。明年度予算には資材費等につきましても改めて新しく国庫補助をいたす見込になつておりまするけれども、第四・四半期の十五億円の中には資材費補助が含まれていない点でございます。  もう一つの違う点でございますが、これは先程大臣からも御説明があつたのでございますが、内閣失業対策審議会におきましては、大体救済人員三十万人に対しまして月二十五日分就労せしめるという案で以ちましてこの予算を組んでいるのでございますが、この点が政府で今般決りました点についてそれよりも若干少い人員救済を見る。これは救済予定人員の当時の推定の違いその他の問題も含まれているのでありますが、人員の若干の減少を見ているというような違いがございまして、極力失業対策審議会の線に副いまして予算を組むように努力いたしたのでございますが、本年度補正予算としては十五億円の補正が組まれるように国会に提出する運びとなつているわけでございます。この補正予算の問題と併せまして最近におきまする就労状況、或いは職よこせ闘争状況、或いは補正予算によりましてどの程度就労日数が確保されるかというような点につきまして、尚若干お話申上げたいと思います。  先ず職よこせ闘争でございますが、これは今年の一月以来経済情勢を反映いたしまして著しく増加いたしまして、本年の五月におきましてその最頂点に達したのでございますが、その以後は東京におきまして輪番制実施いたしましたために、東京において非常に沢山の求職闘争が行われたことを除きますと、全国的には漸減している状態でございます。即ち本年の五月は件数が八百七十二件参加人員が六万二千三百三人でございましたが、八月に至りましては七百五十五件三万三千六百九十一人というように約半減いたしております。これはいろいろの情勢もあると思いまするが、最近におきまする就労状況好転ということも一つはその要因ではないだろうかというふうに考えている次第でございます。  それから就労日数でございますが、大体本年の五月乃至七月におきましては、安定所におきまして斡旋いたしました就労日数は大体十五日から十六日ということになつておりますが、八月に至りまして一六・八日というように、やや好転いたしている次第でございます。こういうように八月一ケ月だけでこの傾向が将来継続するということは或いは速断に過ぎるかとも思うのでございまするが、九月におきましての六大都市の速報によりましても引続き就労日数増加を見ておりまして、東京を初めといたしまして横浜、名古屋、大阪等におきましては、大体二十日或いはそれ以上の就労日数が確保せられております。神戸は十八日程度京都は十四、五日という程度になつておりますが、朝鮮動乱に伴いまする各種経済的変転影響もあると思いますが、この七月以来安定所に現われておりまする限りにおきましては可なり就労日数増加を見ているような状態でございます。  将来の見込でございまするけれども、よい要素といたしましては公共事業並びに見返資金に伴いまする公共事業が、最近におきまして本格的に実施になりまして、この点におきまする雇用増大が可なり見込れていますことと、もう一つは最近におきまする経済好転が、特に港湾関係及び輸出向中小企業等にまで可なり日雇関係求人増加しているというようなことが、引続き継続するのではないかと予想しているわけでございます。失業対策事業につましては、御承知通り第一・四半期におきましては十億円支出したのでございまして、これを第二・四半期に十三億円支出いたしているのでございますが、第四・四半期におきまして補正予算十五億円によりまして、約十五万人内外の者が救済されることになるわけでございますので、こういうような各種要因考えますると、就労日数は満足すべき程度に達することを望むのは困難ではあると思いますけれども、今まで余りに著しく低かつた就労日数が漸次向上、好転しているのではないかというふうに予想しているのでございまして、労働省といたしましては、第三・四半期には少くとも十六乃至十八日は安定所の紹介する限りにおいて就労日数を確保するように目途を立てて、求人開拓或いは失業対策事業実施につきまして努力いたしている次第でございまするが、第四・四半期におきましても引続き補正予算による予算が通過いたしますれば、これらの一般経済界におきまする好転と相俟ちまして、ますます就労日数を高めるように努力いたしたいというふうに考えております。
  14. 山花秀雄

    山花秀雄君 只今説明を聞いておりますと、最近若干就労日数かまあ好転した、曾て十六日程度のものが八月末期に至つては、只今説明を聞きますと、一日分だけの就労日数好転したというふうに聞いたのでありまするが、六大都市関係は大体二十日程度になつている。この説明を聞いておりますと何かこう非常に就労日数がよくなつたように一応聞えるのでありますが、私のお尋ねしているのは全国平均であります。六大都市関係からいいますと二十日程度では従来の形態からいつても、就労日数は決して殖えてはいないと思う。東京なんかは輪番制によりまして却つて従来の就労日数から減つているというふうに考えております。それから地方へ参りますと登録制限を行なつている。まあ従来登録されているのを優先的に扱うのと、新規の失業者登録がなかなかできない、非常に基準が厳格になつて安定所から閉出しを呉れているというのが実情であつたのであります。最近労働大臣がどこかの新聞発表で、朝鮮動乱で好景気になつて失業問題が緩和されたがごとき評判があるが事実は緩和されていない、景気のいいのは一方に偏しており又一面戰争によつて景気の惡い事業が出て来ておるから差引同じだというような声明をされたことを私は読んだのでありますが、全くその労働大臣の言つておる通りじやないかと思います。特需景気が失業問題が緩和されたと考えるのは飛んでもない私は間違いだと思うのであります。私が今聞いているのは、従来十六日平均が十五億の補正予算を組むことによつて何日ぐらい就労日数が殖えるか、平均少くとも二十日ぐらいの就労日数に漕ぎつかないならば社会不安は解消しないのではないかと思つております。この十五億ぐらいの金で何日ぐらいの就労日数が殖えるか、又現実に職安を中心として登録労働者の規格を非常に嚴重に締め出しを呉れておるのでありますが、これの緩和をする必要があるじやないかどうかこういう点で一つ見解を承わりたいと思います。
  15. 海老塚政治

    説明員海老塚政治君) 就労日数が十五億円の補正予算によりましてどの程度確保されるかという点でございまして、これは一つ見通しということになりますが、我々といたしましては十八日程度就労日数が確保されるのではないかというふうに考えております。併しその外のいろいろの要因もありますから若干の変動はあるだろうと思いますがそういうふうに考えております。  それから安定所登録者締め出しを行なつておるかというお話があつたのでございますが、これはこういうことになつております。失業対策事業就労させますものは、失業者であることは勿論でございますが、主たる家計担当者であること、とかいうふうに基準を設けまして、主たる家計担当者については失業対策事業就労させる。これはまあおつしやる通り或る意味では締め出しというようなことにもなるわけでございまするが、限られた予算をできるだけ有効に使いたい、一家で二人三人就労させるよりも困つておる家庭が沢山あればできるだけその多くの家庭に生計の一助となるようにしたいというような趣旨からでございまして、そういう観点からの制限をとつておる次第でございまして、これら主たる家計担当者以外の者につきましても勿論安定所登録をし、又一般失業対策事業以外の需要に対しましては紹介斡旋をしておるわけでございますので、失業対策事業についてだけ政府救済事業でもございまするので、予算を有効に使うという意味でそういうふうな処置を講じておる次第でございます。
  16. 山花秀雄

    山花秀雄君 大体今の説明でこの問題に対してはよく分りましたか、政府職員に対する七千万円の補正予算を組んだというのはこの使途といいますか、これは今度の赤パージの問題でこういう予算が組まれたのかどうか、それともそれ以外の問題で組まれたのかどうかという点をお尋ねしたい。
  17. 海老塚政治

    説明員海老塚政治君) 政府職員退官退職手当は実は昨年度以来実施されているのでございまして、これは政府職員退職いたしました者が貰いまする退職金は、その者が失業保険金を若し貰うとすれば、受けます金額と比較いたしまして少額でありまする場合に、その差額政府の方から支給するということになつておりまして、本年度の当初予算にも六千万円組まれていたのでございますが、実際支給を受けまする者の数が予想外に多くありますために、本年度足りません分といたしまして七千万円新たに追加要求をしている次第でございます。
  18. 山花秀雄

    山花秀雄君 この問題に関しての私の質問を終りますが、他の委員から質問があれば質問して頂いて、この問題が終れば外の点で二三質問したい点がありますから一応この問題終ります。  それから先程十五億の失業対策予算を組んで労働省としては大いに誠意を盡しているつもりだ、まあ大体そういうようなお考えを開陳されたのでありますが私は不満足であります。先立つて参議院院議決定から見ても、それからこれによつて大体二日ぐらい就労日数が殖える、この程度では社会不安の解消は断じてできない、我々はまあそう考えている。今一段の誠意を盡して、金額の増額に労働省としては奔走をして貰いたいという希望意見を申上げて一応私の質問を終ります。
  19. 原虎一

    原虎一君 失業問題に関達してお伺いしますが、この十億の補正予算日雇い労働君の就労時間が全国平均十八日になるということはちよつと理解できないんですね。と申しますのはいわゆる二十五年月度予算四十億を繰上げ使用してようやく先程言われるような全国平均一六・五日になつておるのであつて、そのために不足になる十億円を補正すると私は了解している。こうなれば今全国平均がこの十五億によつで就労日数が十八日になると言われることは、先般来九月四日から私も一週間近県四県の調査視察をして廻つたのですが、そういうようになるようには考えられない。これはちよつとどういう算定になつているのですか。一番大事なことでお伺いしますのは、失業保険法改正をやりまして、御承知のように日雇労働者が二ケ月間二十八日就労によつて保險給付を受ける資格を得る。その保險法改正したのに対して、地方日雇労働者は非常に期待してこれは貰えるようになると思つておりますが、ところがなかなか一ケ月に十四日就労できるというのはまだ少い。例えば宇都宮の市の安定所にも行つて見ましたしその他の安定所へ行きましても、間違いなく十四日以上就労できるということはむずかしいんですね。従つて私は十八日平均就労になるというようなことは、都市ばかりがよくなつて地方がそういう状態では問題じやないかと思うのです。この点はどうですか。
  20. 海老塚政治

    説明員海老塚政治君) 今までの失業対策事業実施状況を申上げますと、今お話しになつております七、八、九これは第二・四半期でありまして、第二・四半期は実は十三億円の予算失業対策事業実施しておるわけであります。それから第一・四半期は十億でございます。それから実は私の方でもこの前の国会でいろいろ日雇労働者就労日数が問題になりましたので、七、八両月全国の殆んど五分の三か三分の二くらいの安定所監察官を派遣いたしまして調査いたしたのでございますが、その結果によりますと大部分の安定所におきまして十六日乃至十八日の線を確保しているのが実情でございます。これは詳しい資料がございます。又状況によりましてお求めによりまして御説明申上げたいと存じまするが明瞭にそういうような結果になつているのでございます。勿論特殊の地域例えば先程申上げました京都の場合でありますとか、或いは奈良県の奈良市でありますとか、却つて全般的に見ますと小さな都市の方が失業対策事業のために外に仕事がないのでそこに群り集つて米たということの結果、就労日数が外の平均に比べて落ちておるという状況でありまして、安定所の調べでありますが可なり就労日数は七月においては向上しておる。平均におきまして八月は十六日か十八日という状況になつております。
  21. 原虎一

    原虎一君 只今説明では半分ほど分つたような半分ほど分らないようなことがあります。数学を以て検討しなければ推定でははつきりしない。その点いずれ又別の機会にいたしたいと思います。  次に政府職員退職手当補正予算七千万円がどういう方面退職者が多いのでしようか。これはまあ普通退職者の率は上昇しているのかどうかその点お伺いしたいと思います。
  22. 海老塚政治

    説明員海老塚政治君) これは全般的にどの方面が多いということは申せないのであります。大体全般的でありますが公団関係も可なり目立つているように承知いたしております。
  23. 原虎一

    原虎一君 いや私のお聞きするのは公団ではないので、労働省内における退職者をお伺いしているのですが。
  24. 寺本廣作

    説明員寺本広作君) 補正予算要求中であります七千万円の退職手当は、労働省から退職ます者手当だけではないのでありまして、各省退職ます者退職手当、先程海老塚課長から申上げました通り失業保險を受取れるとすればその金額まで取れる筈の者が政府から出します退職手当失業保險で受取れるものよりも少い、その場合に差額安定所から出すというものの不足分をここに計上いたしておるのであります。当初予算に計上いたしましたものが非常に少額でありましたために、第二・四半期、第三・四半期でそれぞれ五千万円ずつこの退職手当金に流用いたしておるのでありますが、その分の不足を第三・四半期に七千万円ここに計上いたしておるのであります。先程山花委員からこれはレツド・パージ関係があるかというお話でございましたが、レツド・パージによる退職者も勿論失業保険から取れる金額不足の分はこれから取れる筈でありますが、そのため特にこの補正予算要求したという趣旨のものではございません。
  25. 原虎一

    原虎一君 補正予算の中で職員の年末手当といいますか、或いは特別勤務に対する手当というようなものが計上されてあるのかどうかという点、と申しますのはやはり先般視察の結果、地方公務員と国の公務員とは非常に給料の差があつて、具体的に申しますれば安止所職員は県庁の職員待遇の七割程度しか受けていない、むしろ地方職員に代つた方が非常に生活上の安定を得る、そういうために折角の慣れた職員地方公務員になる者が出て困まるという実情を話された。従つてそういう問題に対して考慮を拂わなければ、労働行政が末端において活用されておるということにならん。でありますからこの点の考慮補正予算に組まれているのかどうかという点をお伺いしたいのですが。
  26. 寺本廣作

    説明員寺本広作君) 政府職員に対しまする年末給與一ケ月分の特別手業を支給するための補正予算は、大蔵省各省分を一括して計上いたしております。労働省から労働省分だけを特別にこの補正予算に切離して出すということをいたしておりません。併し大蔵省に一括して入つておりますのでその方の予算で、年末の手当予算が成立いたしますれば支給し得るようになると考えます。
  27. 原虎一

    原虎一君 その外の先程言いました地方公務員との待遇上の不均衡ということについては、補正予算考えなければ来年の予算考えるというような、この方針は決つておりますのですか。
  28. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 原委員よく御承知通り国家公務員は人事院の規則等によつて給與は厳重に枠をはめられておりますが、地方公務員給與はいろいろのやり繰りが行われて、可なり地方によりましては地方公務員国家公務員給與のアンバランスが非常にあるようで、これは單に労働省所管関係のみならず全体として調整をされなければならない。内閣の方でもそれについて大蔵省或いは自治庁等方面におきまして、調整策について具体的に調査考慮をされておると思います。御指摘の点は地方によりましては、全くそういう実情になつていると、何とかしてこの地方中央公務員給與調整を図つて行くということは非常に大事なことだろうという点で、まあそういうことで今真剣に研究をしておるところでございますからさよう御了承願います。
  29. 原虎一

    原虎一君 責任大臣答弁ですから申上げて置きますが、これは今大臣の御答弁のように、公務員給與というものが給與規定通りに支拂つて行けばむしろ問題は起きないのでありますが、超過勤務に対して法律通り給與が出されるという事情にない。職安が朝六時頃からしましてもそれだけの超過勤務に対する規則通り予算がないというのが実情であります。従つてそういうものが基準監督方面においても同様でありまして、出張旅費等規定通りに拂われれば相当に活動ができるのであるけれども、それがなされないという実情にあるために折角の機能を発揮することができないというのが、少くとも私共が参りました茨城、それから栃木、群馬、千葉は各県ともそれを訴えておる。でありますから給與の規定を直さなくても相当に公務員としての職責を果し得るような予算を組むべきだと思う。この点は私共現地を視察して痛切に感じたところであります。是非共補正予算に困難でありますならば通常予算に組むことに努力され、実現されることを希望いたしまして質問を打切ります。
  30. 赤松常子

    委員長赤松常子君) ちよつと皆様に申上げますが、この間の視察につきましてのいろいろな御要望なり、御質問に入りたいと思つておりまするのですが……。
  31. 堀眞琴

    ○堀眞琴君 ちよつと質問……。
  32. 赤松常子

    委員長赤松常子君) それに関連しましてですか、今の大臣の御答弁に対して……、じやどうぞ。
  33. 堀眞琴

    ○堀眞琴君 補正予算に組まれておる労働省関係の費目、その内容についての質問は、大体山花さんと原さんとの質問で盡ぎておると思うのですが、当初予算見込についてのお話があつたのでありますが、大体好転する様子が認められる、例えば公共事業が逐次実施されつつある、経済好転し特に港湾関係であるとか、輸出関係方面に吸收ができるというようなお話でありますが、確かに公共事業の方は逐次実施されておることも事実なんですが、それから経済好転という問題ですが、これは山花さんも質問されたのでありますが、労働大臣特需景気というものは部分的のものだ、こういうお話をされ、我々も最近関西方面視察しまして、特需による経済好転ということは一般的には殆んど認められていない。例えば名古屋について見ますと用に六十八工場、而も人員増加しておるのはその半分くらい、後は労働強化、労働時間の延長ということで以て行つておるし、而もその反面中小企業というものはどんどん潰れて行つておるわけであります。その面からの失業者というものが非常に多くなりつつあるというのが現状じやないか。これは名古屋ばかりではなく京都の場合なんどでも大阪の場合なんどでも見られると思うのであります。職安に現われた求職者とそれから求人者の率は次第に接近しつつある、而も就労日数も段段と多くなつて来ておるというお話でありますが、若し経済好転というものが本当に理論的にも又実際的にも見込まれるということでありや別ですが、私はそういう経済好転見通しというものは殆んど今日つかないだろうと思う。或る程国際商品の面では大分値上りを示し、軍備の再拡張時代に入つておるのですからその価からは或る程度好転も予想されないことはないわけですが、外国の場合等について見ましても必ずしもそれが全般的でないということが指摘されると思う。この点について労働省当局として果して経済好転する、例えば特需景気と呼ばれるところのものの更に好転が予想される、部分的じやないんだという、そういうお考えで進められているのですか。その点ちよつとお尋ねしたい。
  34. 寺本廣作

    説明員寺本広作君) 将来の見知しについての御質問でございますが、ここでそのことについて申上げます前に、先程堀木委員が二十六年度予算の概況を説明するようにというお話がありましたのに、正確な資料が手許に届いていないからということで後へ廻して頂きましたが、今数字が届きましたので先ずそれを申上げました方が将来の見通しを申上げる上に好都合だと思いますのでここで説朗させて頂きます。  労働省関係一般会計の予算は、明年度只今のととろ予算総額百七十一億一千七百六十四万八千円でございます。二十五年度の当初予算が百十四億二千六百四十一万九千円でございますので、労働省関係一般会計で二十五年度に比べまして二十六年度は五十六億九十百二十二万九千円の増額になるわけでございます。この五十六億九千百万円の増額の内訳でございますが、その大部分は失業対策事業失業保険特別会計への繰入れ並びにこの退官退職手当増加でございます。その内訳を申上げますと、失脚対策事業は二十五年度当初予算四十億でございましたが、二十六年度は七十七億五千万でございますので差引三十七億五千万の増加になつております。又失業保険特別会計一般会計からの繰入でございますが、二十五年度は四十六億二千九百六十三万円でありましたが、二十六年庭は六十二億四千五百三十一万四千円差引十六億一千五百六十八万四千円の増加になつております。又先程から御説明申上げております退官退職手当失業保険金額に達しない部分を安定所から支給する金額でございますが、これは二十五年度五千二百四十九万四十円でありましたが二十六年度は三億組んでおります。従いましてこれが二億四千七百五十万六千円の増加でございます。以上の三つの費目の合計は五十六億一千三百六十二万八千円の増加であります。労働省の二十五年度予算に比べました二十六年度予算増加の大部分が失業関係の費用の増加になつております。失業関係のこの三つの費目をのけました残りの労働関係一般の行政費でございますが、これは二十五年度に比べまして七千七百六十万一千円の増加になつております。これを失業対策以外の各種の行政の費用として増加が認められているわけで、国の予算全体の枠が二十五年度に比べまして二十六年度が相当縮小されております際に、労働行政については相当その重要性が認められて、失業対策関係並びにその他の行政費目については二十五年度より増加いたしておるわけであります。
  35. 堀眞琴

    ○堀眞琴君 失業対策費は来年度は七十七億五千万円で今年度より三十七億五千万円の増加という話でありますが、私は将来の見通しとして、経済好転見通しそれに伴つて一体失業者というものがどの程度に殖えるか、殖えないかということについて労働省当局としてどう考えておられるか、勿論予算の上では三十七億も殖えておるから失業者が殖えるという見通しを立つておると思いますが、どの程度に殖えるか。例えば今年の暮乃至来年の初にはどの程度失業者が殖えるという見通しを付けて、その上で補正予算なり乃至は明年度予算なりを組まれておるのか、そういうことをお尋ねします。
  36. 海老塚政治

    説明員海老塚政治君) 失業者数字等につきましてはいろいろの資料がございますが、私の方では安定所の窓口に参ります日雇労働者の数を以て推計を行いたいというふうに考えておるわけなのでございますが、日雇労働者の数は今年の八月は大体四十七万人となつておりまして、今まで経過を見ますると本年度の一月乃至六月の間は月月二万人乃至三万人ずつ増加いたしておつたのでありますが、七月以降は一万人から二万人内外の増加というようになつておると記憶いたしておるのでございます。日雇労働者として宏定所に登録されもようになりますのは、やはり失業保険の受給期間が切れましたものでありますとか、或は一般の定職に常傭求職者として現われていたものが、なかなか仕事がないので日雇労働者として働きたいというようなことで日雇労働者として安定所に求職の申込をするというような方が多いのでございますが、そういう数字が今みたいな経過を辿りまして増加して参つておるわけでございます。  将来の見通しにつきまして、来年度のことになりますとこれは私共では到底どういうふうになるか的確な判断は下せませんし、又下すのは無理だというふうに考えられるのでございますが、大体来年度平均して見ますと第四・四半期ぐらいな数字で過るのではないだろうか。これは甚だ独断的の大雑把な数字で申訳ないのでございますが、企業整備の状況を見ましても昨年の八月が最大の数字を示したのでございますが、本年の一月以降は昨年に比べて比較的少い数になつて来ておる。例えば昨年は大体二万人から三万人ぐらいの月平均でありましたのが、本年になりますと大体一万五千人ぐらいに落ちておる。六月が一万三千人、七月も一万三千人、八月が一万一千人というように段々と数が減少して参つておりまするので、日雇労働者増加の傾向も段々と下り坂になるのではないだろうかというふうに一応の判断を下しているわけでございます。来年度予算の基礎といたしましては大体四・四半期の数くらいで来年度は過ぎるのではないかというふうに考えております。
  37. 山花秀雄

    山花秀雄君 先程私質問を打切るときにもう一遍だけある視察以外のことで質問したいということを留保しておいたのですが、極めて簡單な質問ですから、お許し願いたいと思います。
  38. 赤松常子

    委員長赤松常子君) では簡單にお願いいたします。
  39. 山花秀雄

    山花秀雄君 国を相手方とする契約における労働條項に関する法律案、この問題に関してちよつと一、二質問したいと思います。一つは本法律案は来るべき臨時国会に提出できるかどうか。二点は本法律案制定に対して土建業者が強く反対しておると聞いておりますが、その反対する理由が若しお分りになれば説明を承りたい。三点は本法律案の適用範囲について詳細に一つ伺いたい。四点は本法律案は進駐軍関係政府直雇労働者にどのように適用するか、具体的に承りたい。五点は本法律案労働大臣の告示する一般職種別賃金の中央及び地方告示方法について具体的に御説明願いたい。六点は本法律案が成立後に告示する一般職種別賃金の改訂準備状況、時期の見通し及び統計上からの賃金傾向について一つ説明を願いたい。以上質問いたします。
  40. 寺本廣作

    説明員寺本広作君) 一般職種別賃金に関する法律についての大変具体的な御質問でございますが、労働省といたしましては今度の臨時国会に提出したいと思つて事務的に準備いたしております。併しこれは臨時国会の会期その他の都合もあることでありましようから最終的にはまだ決定を見ておりません。それから土建業者の反対の内容について分つておつたら知らせろということでございますが、土建業者が反対いたしますのは、この法律の適用を受ける者の大部分が公共事業関係、特に土建業者が非常に利害関係が多いということで異常な関心を持つておられるようでございます。その反対も当初この法案の内容が世間にいろいろと伝えられた当時からは段々変つて来ているように思います。最初は一般職種別賃金が一種の最低賃金的な効果を持つ、そういうものの一般の職種別賃金、この一般の最低賃金制が行われる前に土建業がその適用を受ける、政府事業にだけそういうものを作るということは、不合理じやないか、最低賃金制と睨み合せてやるべきじやないかというような反対が最初はあつたように思いますが、その点はその後段々土建関係の経営者も理解して来られたようでありまして、現在の反対はやはり基準法その他の法律が適地される場合に、その法律の本来の制裁の外に政府がこの一般職種別賃金に関する法律の違反について、特に政府の請負契約への参加を禁止するとか、ブラツク・リストを作るとか、そういう制裁が課せられる、いわば二重の制裁が課せられるということについての反対、そういう点に現在は大分重点が置かれておるように理解しております。それから適用範囲であるとか進駐軍関係の労働者にどういう影響を與えるかというようなこと、それから労働大臣一般職種別賃金の告示が中央地方別にどういうふうになるか、それから現在出されております前の法律百七十一号に基きまする告示がどういうふうにいつ頃改訂されるかという見込というような話でございましたが、これはまだ法案の内容が具体的に固まつておりませんので、法案の内容を御説明申上げる段階になれば、以上のような具体的な問題についても或る程度お答えできるかと思いますが、只今のところは今申上げました通り法案の内容が具体的になつておりませんので、その機会まで留保させて頂きたいと思います。
  41. 山花秀雄

    山花秀雄君 只今最後の諸点については法案準備ができてないから、説明のときに具体的に説明したい、こういう御答弁でしたが、法案の内容を建設的に具体的に作るためにいろいろ私共の考えておる意見も申上げたい、かように考えておりますが、本日は時間がございませんから適当な機会に私共の方からいろいろ具体的意見を一つ参考までに申上げたいと、こういうふうに考えております。   —————————————
  42. 赤松常子

    委員長赤松常子君) 尚先般東北、関東、関西の労働事情視察をいたされました結果、様々な問題につきまして労働省当局に御要望なり御質問なりがあると存じまして、引続き質問に入りたいと存じますが、その前にちよつと皆さんにお諮りいたしたいことは、今度行政機構管理問題が出ておりまして、それに関係いたしましたうちの労働省関係の問題につきまして委員質問の御要望がございまして、加藤議員、高田議員からの御発言御要望があるのでございますが、許可することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  43. 赤松常子

    委員長赤松常子君) 御異議ないものと認めます。
  44. 山花秀雄

    山花秀雄君 時間の関係ですが引続きずつどやりますか、それとも書食して改めてやりますか。
  45. 赤松常子

    委員長赤松常子君) 只今行政管理庁の方も見えておりますのでそれを済ませまして、それを先ず取上げたいと思いますのですが、そうしてあと御質問を続行いたしましようか如何いたしましようか。
  46. 原虎一

    原虎一君 今のところとしましては委員長の言われるように、行政簡素化の問題で特に婦人少年局をなくするというような問題は早くやつた方がいいと思います。それから労働大臣が見えておりますので、例のレッド・パージの問題、それから私がお聞きしたいのは次官迦牒を出されておる、ラジオ・ニュースか何かそういう点を少しお伺いしたいですから、結局今の行政簡素化の質問を終つて私の考えでは休憩されたらどうかと思いますが……。
  47. 赤松常子

    委員長赤松常子君) 皆さん如何でしようか只今の御意見……行政簡素化の御質問を終りまして休憩に入ることにいたしまして午後……。
  48. 原虎一

    原虎一君 それも長くて二十分ぐらいに委員長できますか。
  49. 堀眞琴

    ○堀眞琴君 休憩しまして休憩後の質問、これも是非いま原委員の言われたようにレッド・パージの問題もありますので、労働大臣に御出席願いたい。その点をお諮り願えれば結構だと思います。
  50. 赤松常子

    委員長赤松常子君) 如何でございますか、午後の委員会に御出席願えるでしようか……午後二時までは御出席できるそうでございますから……では午前中行政簡素化に関します質問をお受けすることにいたしまして休憩し、そうして午後又質問を続行することにいたします。
  51. 加藤シヅエ

    委員外議員(加藤シヅエ君) それでは私は委員質問のお許しを頂きましたので、労働省内の婦人少年局の問題について伺いたいと思うのでございますが、最初に労働大臣に二十六年度労働省内の行政費の中の婦人少年局に対する予算はどのくらいになつておりますか。
  52. 寺本廣作

    説明員寺本広作君) 担当の者がおりませんので私から説明いたします。二十六年度の婦人少年局関係予算は千九百六十一万七千円になつております。
  53. 加藤シヅエ

    委員外議員(加藤シヅエ君) 昨年度は。
  54. 寺本廣作

    説明員寺本広作君) 昨年度は二千五百十四万八千円でございます。
  55. 加藤シヅエ

    委員外議員(加藤シヅエ君) 大分減つておりますのでございますが、只今も伺いますと総額において五十六億、まあ專ら失業対策の方において増額なさつたのでございますが、一般行政費の方も増額なさつたように伺うのでございますが特にこの婦人少年局だけがこんなに大きく一桁間違つておつしやるくらいお削りになるのはどういうわけなのでございましようか。
  56. 寺本廣作

    説明員寺本広作君) この予算は日本政府で閣議決定をして、只今司令部へ持込んでいるという折衝中の予算でございます。昨年度の日本政府の閣議で決定いたしまして司令部に持込んだ予算に比べますとこれで一千万殖えております。昨年度司令部へ行きましてから婦人少年局の分は殖えております。日本政府が昨年決定いたしました予算と今年やはり日本政府が決めまして予算を比較いたしますと、一千万円増額になるわけでございます。
  57. 加藤シヅエ

    委員外議員(加藤シヅエ君) そうするとこれでも減つておりますから又これが司令部へ行つて又増額されるようなことになると、これは労働省としても非常に婦人と少年の問題に関してもいつでも役所では軽視して司令部へ行つてから増額して貰うというようなことは、これは非常に不名誉なことではないかと思うのでございますが。
  58. 寺本廣作

    説明員寺本広作君) 労働省といたしましては司令部へ行つて増額されるということは非常に不名誉なことと思いまして、大蔵省で作りました労働省の婦人少年局の基準予算より殖えるようにということで最善を盡しまして、私共の力では先ず昨年度の標準予算に比べまして一千万円殖えたということは相当の増額であろう、こういうふうに考えております。
  59. 加藤シヅエ

    委員外議員(加藤シヅエ君) それでは今新聞やなんかで伺いますところの今度行政機構の改革によりまして、婦人少年局を解体して婦人労働課と年少労働課を基準局の中に合併して婦人課は單独の外の役所、厚生省の兒童局の方に合併なさるというようなことを伺つておるのでございますが、そのことについてどのように御決定なさつていらつしやいますか。又そういうふうになさると折角婦人少年局という特殊の婦人と年少者の問題について独立した役所ができまして、三年間十分によい成績を上げている。而もこの三年間というものは非常に僅かな予算と限られた人員の中でこれだけよい仕事をして呉れたということは、私共税金を拂う者の側から考えましても、これだけのものに対して我々の税金が非常に有効に使われておる。これが今解体されるというようなことになりますと今まで三年間の折角なされた業績というものがふいになつてしまう。これは三年間調べられた今までの費用が全く無駄になる。こういうようなことを考えますので、行政機構の簡素化のためにこういうようなことをなさるという理由が私共には全く理解ができませんのでどういう理由でなさいますか。どんな案が決定されておりますのか、その辺を承りたいと思います。
  60. 大野木克彦

    説明員(大野木克彦君) 只今お尋ねの行政機構の簡素化の問題でございますけれども、この問題につきましては実はまだ一昨日の閣議におきまして新聞にもありましたように、行政機構を現在の我が国力にふさわしいものに簡素化して国民負担を軽減するという一般的な方針が決定なつただけでありまして、まだ具体的に個々の機構をどうするという点につきましては決定いたしておりません。まだ目下研究いたしておる段階であります。先程お話になりました婦人少年局を解体して婦人労働課と年少労働課を基準局の中に合併して、婦人課は厚生省の兒童局の方に附けるという案は、これは先般内閣に設けられまして九月に答申が出て解散いたしております行政制度審議会の答申の内容でございまして、我々勿論審議会の答申をよく研究させて頂きまして、行政簡素化に十分ごの御趣旨を参酌いたして研究をいたしておりますけれども、現在のところまだ個々の機構につきましてこういうふうにするというように決つた段階になつておりません。さよう御承知を願います。
  61. 加藤シヅエ

    委員外議員(加藤シヅエ君) 行政機構審議会のその方の当局の方どなたかいらつしやいますか。
  62. 大野木克彦

    説明員(大野木克彦君) 審議会は実は内閣の審議会でございまして、私共は庶務みたいなことをいたしたわけでありまして、審議会案そのものも私の方の案ではございませんので、ただ閣議にも出ておりましたので私分ります点はお答えいたします。
  63. 加藤シヅエ

    委員外議員(加藤シヅエ君) そういたしますと、この答申書の方……審議会のどなたかお呼びになつていらつしやいませんか。
  64. 赤松常子

    委員長赤松常子君) 審議会は解散いたしておるわけでありますから、今大野木さんその事情を御存じていらつしやいますのですね。
  65. 大野木克彦

    説明員(大野木克彦君) 今申上げましたように庶務的な仕事をいたしましておりますので知つておりますことはお答えしたいと思います。ただ審議会の案は審議会独自の立場で答申されております。その点を御了承願いたいと思います。
  66. 赤松常子

    委員長赤松常子君) 速記を止めて下さい。    〔速記中止〕
  67. 赤松常子

    委員長赤松常子君) 速記を始めて下さい。
  68. 大野木克彦

    説明員(大野木克彦君) 厚生省と文部省と統合して文化省というものを作るという答申になつております。それで婦人少年局婦人課を文化省に移して、他の二課、婦人労働課、少年労働課を労働基準局に移す、それから第二番目が労働統計調査部は部制を廃止する、三、都道府県労働基準局、同監督署は都道府県に移す、この三点でございます。それでこのときの大体の御意向は婦人少年局の関係につきましては、婦人労働課、少年労働課は婦人局の方で労働者の福利というようなこともすべて取扱われますので、そちらの方に移して、婦人課の方は只今の厚生省の兒童局で、後承知通りに兒童局の所管といたしましては、兒童、妊産婦等一般母性の福祉とを扱つておりますので、そちらの方と一緒にした方かより能率的ではないかというところで文化省に移すという案に相成つておるのであります。  尚後の調査部のことは、これは法律が、御承知通り、国家行政組織法で部は廃止するということになつておりますのでその一般方針に基いておるのでございます。但し統計部門につきましては特にこの審議会の答申として、統計についてはこれを樹立しなければならないので、部はやめても高い地位の統計関係職員を置いて、その下で統計の事務は所管して行くというふうな措置がとられているということが答申されております。  尚基準局系統を都道府県に移すということにつきましては、順次地方からの陳情もあり、地方行政の拡充という点から、答申案では地方に移すということになつておる次第であります。
  69. 加藤シヅエ

    委員外議員(加藤シヅエ君) まあ今案でございますからその案を承り置くのでございますけれども、今のお話の案によりますと、三年前に労働省ができましたときに、その中に特に日本の民主化にとりましては必要欠くべからざる日本の人口の半分を占めております婦人の問題と、特にこれからいよいよ多くなつて参りますところの婦人労働者の問題、それから年少労働者の問題というものが、これが只今あるところの三つの課によりまして、婦人少年局という課にまとめられまして、そしてこれは他の役所のようないわゆる監督権を持たないところの特殊なサービスをし、又この特殊な非常に封建的な背景を持つておる日本なるが故に特に意味のあるこの役所が、この問題についての基礎調査というものを絶えずやつて行かなくちやいけない、そしてその基礎調査の上に立ちまして現在ある問題につきまして絶えず啓蒙的に指導をして行かなければならない、そういうような問題や又問題はいろいろの役所にまたがつて、文部省、厚生省いろいろな役所にまたがつている場合に、この調整の役をとるというそういう特殊た役所を持つているこの役所をばらばらに解体してしまうというようなことは、今の日本の婦人と子供の事情によりましては甚だ遺憾な案であると私共は考えておりまして、それで今の案には私共は到底賛成ができないということをこの機会にはつきり申上げておきたいのでございます。それで昨日の新聞に出ておりましたのでございますが、米国の労働省では九月に労働省年少労働局のクリーヴランド地区の監督ニユーランドという方が、マツカーサー総司令部の臨時の顧問として日本に赴任されることになつたということを新聞が発表いたしております。こういうように只今いわゆる世間で講和の問題というようなことがいろいろ叫ばれておりますので、私共はこの機会にいよいよこの今まで封建的な日本において恵まれなかつた年少労働者と婦人の問題に対しては、特に率先して日本の今までの役所を強化する、そうして今まで方々にばらばらに散らばつておりましたところの、例えば文部省の中の社会教育課とか或い農林省の中の生活改善課、或いは厚生省の中の児童課、こういうような役所はむしろこの労働省の婦人少年局の中に統合なさる、このぐらいのことをして見せて頂かなければならない。こういうような年少労働問題について米国の顧問が来られたときに、日本では折角できた役所を三年経たないうちに解体してばらばらにしますなんていうようなことを今考えているなんていうことは、到底我々としては言えるものではないと思つておりますので、私共は飽くまでも、こういうような案に対しては労働省当局のお方が十分に善処して頂かねばならぬということをお願いいたしまして、私の発言を終らして頂きます。
  70. 堀木鎌三

    堀木鎌三君 今のに関連して大臣が折角おいでですから一言お聞きしたいのですが、行政機構の簡素化という問題で今婦人少年局の問題が起つたのでございますが、と同時に各省についていろいろな御構想があり、もうすでに閣議でそういう問題が話になつているようでありますが、最近伝えられる各種の問題はもう大臣のお耳に入つておると思うのですが、それらについて労働大臣としてどういうお考えでございましようか、ここでお考えお話願えれば結構だと思うのです。
  71. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 一昨日の閣議で先程当局から申しましたように国力にふさわしい行政能率化を期するために行政の簡素化を図るという一般方針を決定いたした以外には、閣議において機構上の問題について論議せられたことはございません。従いまして一般方針に則りまして、主として行政管理庁において原案の研究が行われるものと私共は了解しております。できれば成るべく早い時期にそういう成案が出ますように政府としては期待をいたしておる。  只今の加藤議員の御発言になつておりました婦人少年局の問題につきましては従いまして政府只今状態におきましては、行政審議会の答申があつたということはもとより承知もいたしこれをできるだけ尊重して参るということも当然の趣旨であろうとは存じますけれども、婦人少年局の問題につきましては、私は機構の問題ももとより重大でございますけれども、特にこの日本の国情から見まして婦人労働関係、年少者の労働関係政府としてこれの施策を誤るようなことがありますならばこれは大変だ。従いまして大体加藤議員の御懸念の筋合に従いまして、私共努力いたして行くつもりであります。併せて御了承願います。
  72. 高田なほ子

    委員外議員(高田なほ子君) 労働大臣の良心的な御回答は諒とするものでありますが、一応簡素化ということとそれから合理化ということ、非常なずれかあるようなことがままあると思われます。特に我が国の今の婦人問題に関してこのような行政の縮小に当つて、直ちにこれが多くの婦人労働者に惡影響を與えるということになり、行政の簡素化ということがこれが非常に問題を残して来ると思うのです。そこでこのバランスをどういうふうにとつて行かれるかということがあなたに課せられた非常な大きな問題であると思うのですが、もう一度、良心的に加藤さんの御意見を忖度して行くというようなお話であつたのですが、そうすると突込んで伺いますが、これを直ちに廃止する意思はないと、こういうふうに解釈してもよろしいかどうか。
  73. 保利茂

    国務大臣保利茂君) もとよりこれは政府全体として責任を持つて研究をしなければならんことでございますけれども、私自身としてはさような見地に立ちまして、婦人少年の関係労働行政機構は強化せられなければならないという考えを持つております。
  74. 高田なほ子

    委員外議員(高田なほ子君) 強化するということになりますと勿論これは予算の裏付けということが問題になつて来ると思います。そこで先程のお答えでは昨年度政府案よりも一千万円の増加を見たということが言われております。そうするとこの一千万円の増加ということは單に数字の上の増加であつて、実質的の増加になつているかどうかということは非常に私は問題であろうと思うのです。何となれば只今のベースというもの、更に今後の職員のベース改訂というようなことも含まれるとするならば、一千万円の増加というものはむしろ実質的には昨年度予算よりも更に低下して来るのではないか。そうなると、これは労働大臣只今の御見解予算の裏付けというものを睨み合せて考えて見たときに、これは單なる空論に終るのではないかということを懸念される。そこで予算の問題ですが、これは更に増加してこれを建直してやつて行くというようなお考えがあるかどうか。
  75. 寺本廣作

    説明員寺本広作君) 先程私の御説明が足りませんでしたために補足さして頂きたいと思いますが、昨年度日本政府で決めた予算より一千万円殖えていると申上げましたが、それはベースは昨年と今年同じにしての話であります。ベース改訂のための予算大蔵省で一方別に組んでおりますから、一千万円が人件費に喰われるということはございません。
  76. 赤松常子

    委員長赤松常子君) 他に御質問はございませんか。それでは時間も相当進んでおりますので午前の議事は一応打切りまして、暫く休憩に入りたいと存じますが御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  77. 赤松常子

    委員長赤松常子君) 午後は何時に開会いたしましようか。午後一時に開会いたしてよろしうございましようか。では一時まで休想いたします。    午後零時二十五分休憩    —————・—————    午後一時二十分開会
  78. 赤松常子

    委員長赤松常子君) では午前に引続き只今から委員会開会いたします。先程の次官で、まだ質問の残つていらつしやる方もおありのようでございますから、御質問の方はどうぞ御発言願います。
  79. 堀眞琴

    ○堀眞琴君 昨日の夕刊新聞によりますと、労働大臣は労働委員会の連絡協議会に出られて、いわゆるレッド・パージに関する法的な解釈というものをされておるように新聞で受取れるわけなんですが、この内容を見ますというと、労働基準法の第三條に、又労働組合法の第七條にも決して抵触するものではない、大体一般的な共産党に対する見解というものが最近変つて来ている。それによつて処分したところが労働基準法第三條のいわゆる差別待遇になるものでもなければ、又労働組合法第七條の不当労働行為でもないということを言われたように新聞で伺えるのですが、その点について少し御説明労働大臣からお願いしたいと思います。
  80. 保利茂

    国務大臣保利茂君) お話通り昨日の労働委員会の協議会の席上で労働省として考えております見解を申述べました。只今お話の趣意、大体の趣意間違いございません。
  81. 堀眞琴

    ○堀眞琴君 共産党に対する一般的な見解が変つて来ておるというお話ですが、その点について少し具体的にお話し願いたい。
  82. 寺本廣作

    説明員寺本広作君) 共産党に対する社会的な評価が変つて来ておるというふうに労働省として考えておるわけでございます。どういう点で変つて来ているか、理由はいろいろあるだろうと思いますが、本年一月以来日本共産党は、マツカーサー元帥の書簡にも明らかにされておるように、外国との結び付きが公然たるものになつて来たとか、それから方々に起つておりますいろいろの事件に直接或いは間接に関係があるとかいうようなことから、共産党が社会不安を惹起しつつあるというふうに世間一般は見て来ているというふうに労働省では考えております。
  83. 堀眞琴

    ○堀眞琴君 労働省はそういう御見解だというのですか、その具体的にどういう場合にどういうような社会不安を起しておるかというようなことを一二の例を挙げて御説明願いたいと思います。そうでないというと、マツカーサー書簡の趣意とか何とかということで、その問題は非常に抽象的にしか考えられないというような欠点があるじやないかと思います。もつと実質的に、例えばこういうような場合にはこういうような態度を共産党はとつた。従つて共産党はその故に社会不安を醸成しておるというような例を一二お聞かせ願います。
  84. 寺本廣作

    説明員寺本広作君) 共産党に対する社会評価が変つて来たと労働省が認めておるのでありまして、社会評価が変りますについては、長い間のいろいろな事件が重なつて社会評価が変つて来たのでありまして、この事件があつたからこういうように社会評価が変つて来たというのではなかろうと思います。申上げます通り本年一月以来の共産党と外国との結び付き、その他いろいろの事件が重なつて社会評価が変つて来ている。
  85. 堀眞琴

    ○堀眞琴君 この一月以来の共産党の態度、外国との結び付きということが一般的な評価の変つて来た原因だ、こういう御説明でありますが、そうするというと日本の大体の輿論としては共産党というのは暴力の政党だという結論と労働省当局は見ておられる、こういうことになると思うのですが、そういう御見解労働省は実際に持つておられるか。
  86. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 共産党は合法政党として取扱われておりますことは御承知通りであります。ところが共産党に対する社会評価を最も端的に国民の前に示しておりますのは累次のマツカーサー声明、総理大臣宛の書簡によつて盡されていると思います。
  87. 堀眞琴

    ○堀眞琴君 一方において共産党を合法政党として認めながら、その合法政党である共産党の社会的評価がそういうふうに変つたというようなことを認識するためには、單に一片の書簡がどうのこうのということではないと思います。やはり一応客観的な事実に基いてこれを評価するのでなければ本当の意味での社会的評価とは言えないと思います。そういう点に関しては労働省としては一体どういう見解を持つておられるのでありますか。
  88. 保利茂

    国務大臣保利茂君) マツカーサー書簡が單に一片の書簡というように軽く私共は見ておりません。而してマツカーサー書簡が出されたゆえんのものは、客観的事実に基いてマツカーサー書簡は送られていると、かように解釈しております。
  89. 堀眞琴

    ○堀眞琴君 これはですね。共産党員であつて、正当な組合活動をやつてつてもそれを馘首することは何ら労働組合法のいわゆる不当労働行為にはならん、こういう御見解のように伺えるのでありますが、そうしますというと、合法政党の党員でありながら、そうして又組合員として正当な活動をやつておりながらそのために馘首されるということになりますると、これは労働組合法そのものが守られないばかりでなく、又共産党そのものがそのことによつていわば非合法政党と同じような効果を持つのではないかという工合に考えられるのでありますが、その点につきましては労働省としてはどのような見解を持つておられるのですか。
  90. 賀來才二郎

    説明員(賀來才二郎君) 今度労働省において労働組合法七條違反にあらずという解釈をいたしましたことにつきましては、かような意味から出ているのであります。労働組合員といたしましての、或いは会社の従業員といたしましての行動が、その産業自体に対しまして破壊的な行為、或いはさような行為をなすように煽動的な企画的な立場を持つているその行動をなした者に対しまして、会社が自己の責任と自覚におきましてこれを会社の従業員から出してしまうということをやります際に、その人がたまたま組合の役員として活動いたしております場合におきましても、その会社の取りました行為自体は組合活動をやつたが故に追放したのではなくて、その人の共産党員といたしましての行動が産業防衞上どうしても許されないという意味で追放いたしましたものであります限り七條違反ではないと、かような意味に解しているのでございます。
  91. 堀眞琴

    ○堀眞琴君 只今の御説明ですと、要するに共産党員なるが故にこれを追放するのだ、こういう御見解であつて組合員としては正当な活動をやつてつてもそれは問題ではない。こういう結論になるのでありますか、そう解釈して差支えないのですか。
  92. 賀來才二郎

    説明員(賀來才二郎君) 單に共産党員だけで追放してもよろしいという意味を言つているのではございません。今度の会社側が取つておりまする処置というものは、共産党員でありまして、具体的に申しますが、明らかに企業防衞の立場からこれを雇用して置くわけには行かない、こういう者について追放しました場合には、これは七條違反ではない、かような意味でございます。
  93. 堀眞琴

    ○堀眞琴君 そうしますというと、組合活動をやつており、よしんば党員であつても、何ら法律的に触れない人であつても結局追放される、こういうことに結果はなるのだと思うのですが、そういう工合に解釈されておるのですか、この点もう一度。
  94. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 只今局長から申上げました通り、繰返えして申上げましてもどうかと思いますが、これは一人々々皆違うのだと思うのでございますよ。そうして観方々々で又違つて来るのじやないか、結局経営者若しくは労働組合が自主的に判断せられて、企業を危険より防衞するために、どういう判断を取られるか、その判断をせられるのは労働組合なり、経営者なりが自主的にやられることでありまして、一人々々のこれは多種多様のケースがあるだろうと思いますから、一概には申上げられんのじやないかと、かように考えます。
  95. 堀眞琴

    ○堀眞琴君 先程の局長のお話では、よしんば正当な組合活動をやつてつても、共産党員なるが故に企業防衞の立場から自主的に事業主がそういう活動をしても労働組合法の違反にはならない、こういう御説明従つて私はそうなれば結局共産党員なるが故に追放に値いするということになるのだという質問を申上げた。労働大臣は、只今一人々々についてその場合々々を考えてやらなければならんのであつて、單に共産党員なるが故にという理由で以て追放するということにはならんのじやないかというようにも受け取れるような御発言でありますが、労働大臣のその御発言と、局長の発言とでは大分食違いがある。労働大臣の御説明を更に敷衍して行きますならば、勿論企業を危険に陷入れる社会不安を醸成するというようなものはこれは止むを得ない、併しそうでないものは自主的な立場において、それぞれ組合なり、企業の企業主かこれを行うのだ、こういう御説明のように伺いましたが、そうしますと、共産党員なるが故にという理由はそこでなくなるのじやないか。その点については、どういう工合にお考えになつておられるのか。
  96. 保利茂

    国務大臣保利茂君) これは政府の方で指導をして、企画を以て、計画を以てやつていることでございませんから、私の方でやることでありますならば、私の方ではつきり申上げられると思いますが、経営者の判断によつて、経営者が共産党員である人に、企業経営上危険ありとして、虞れありとして処置せられるという場合が多かろうと思います。併しここに解雇処置をとられる場合に、最も企業防衞という立場から行きまして、判断の基礎として取扱われるものは先ず第一には共産党員である、こういうように私は考え得られるのじやないか、こういう意味を申したのでございます。局長が申しておりますことも、私が申しておりますことも、変つたところはないと思つております。
  97. 堀眞琴

    ○堀眞琴君 このレッド・パージの問題は、共産党員を追放するというばかりでなく、その同調者をも追放するというような仕方が実際において取られていると思うのです。この同調者という問題は、これはどういう基準によつて労働省の方では解釈されているのか、この点を一つ
  98. 賀來才二郎

    説明員(賀來才二郎君) 先程大臣からもお話がありましたように、労働省自体といたしまして、かような基準でかようにすべきであるというふうな立場は取つていないのであります。我々の立場といたしましては、企業が産業防衞の立場かち取つている措置でありまして、この措置につきましては、その基準はやはりその企業の責任におきまして、組合とも又連絡をいたしまして、この産業防衞の立場から共産党員の活動的な者、及びこれと同等と申しますか、一体となつて同等の活動をすべき者というふうな者、ここの範囲で処躍をされているものと考えております。
  99. 堀眞琴

    ○堀眞琴君 実際に、例えば電産とか、或いは新聞、放送とかいうような方面のいわゆるレッド・パージを見ますと、同調者という者が非常に広く解釈をされております。それからもう一つ重大なことは、同調者ということの名日で以てこれに便乗して、企業の整備をそれへ便乗してやつているという場合が相当出ておるのではないかと思われるのですが、この点については労働省としてはどういうような御見解を持つていられるか、お伺いしたい。
  100. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 只今のところでは一、二の例外はあつたろうと思いますが、大体において御懸念のようなことは行われていないと、私共は見ております。
  101. 堀眞琴

    ○堀眞琴君 一、二の例外はあつたが、大体において行われていないと、こういう御発言のようですが、併し実際においてですね、私共レッド・パージにかけられて追放された例を見ますというと、そうではなくて、例えば新聞の場合、地方新聞の場合などはこれに便乗して馘首するという面が相当出ているようにに見える。中部日本新聞なんというものはその一つの例ではないかと思うのですが、共産党員は僅かに一、二名、そしてその同調者と目せられるのがほんの数名、あとはそうでないというような形になつて出ている。つまり便乗して馘首をするということが実際に行われている、その外にもそれは調べればいろいろな実情があると思いますが、そういう点、一、二の例外というだけのものではなくて実際において行われておる、電産の場合もそうだと、こう申上げることができると思いますが、それでも尚一、二の例外だと、こうお話になりまするというと、結局水掛論になる。労働省としてはこの問題につきまして、どのように根本的な態度、それをどのように取つておられるか、今後この問題を飽くまでも遂行する、労働基準法、労働組合法の違反ではないという態度を取つて飽くまでも進まれるのか、それともそうでなくて、そういう單に基準を示しただけであつて、先程労働大臣も言われたが、企業主の自主的な判断に任かしているのだ、こういう態度を取つて進まれるのか、その点もう一度重ねてお尋ねしたい。
  102. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 先程申しましたように、次官から申上げましたように、いろいろの企業の場合において共産党に対する社会的評価が変りましても、企業防衞という措置で言うところのレツド・パージが行われておりますことによつて労働省として一番関心を拂つておりますのは、こういう措置によつて日本の健全な労働組合運動が萎縮沈滞を来すようなことがないように、而して又この措置に便乗して御指摘のような便乗的な整理解雇が伴わないように、このことにつきましては労働省としてはできるだけ心配をいたしておるわけで、新聞の事例のお話もございますが、私の承知しておりますところでは、言うところのこのレッド・パージと企業合理化と申しますか、その意味において行われた解雇とは全然別にして行われたけれども、たまたま事実が余りに接近し過ぎておつたために、便乗整理というように誤解を生じた向きもあるようであります。このことは非常に注意すべきことで、今後外の企業体で行われる場合でありましても、いわゆるレツド・パージと企業合理化と申しますか、企業経営上やられる整理なり解雇なりということをごちやごちやにされてやられないようにすることが、事態を收拾して行く上において最も大事なことじやないかということで、極力私共の手の及ぶ範囲においては便乗整理というようなことがないように心掛けておる次第であります。先程から繰返してお言葉を返すようでありますけれども、これまでの整理に当つて一二の例外はあつたと思います。それに対しては又それに対しての私共として手の届く限りの措置をとつておりますが、大体においてそういう御指摘のような事態がなく今日に至つておる、かように考えております。
  103. 堀眞琴

    ○堀眞琴君 労働省としては共産党を合法政党として認めているわけなんですが、この合法政党として認めている現在の立場を飽くまでも堅持されるのですか。政府の方針にもよることでありましようが、そういうような考えで今後も進まれる、こういうわけでありますか。
  104. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 共産党自体をどう見るかということは労働省の問題ではないと私は思います。
  105. 堀眞琴

    ○堀眞琴君 政府全体としての立場、合法として決めるということは私も認める、労働大臣としてこの問題についてどのような見解を持つておられるか、それをお伺いいたしたいのであります。
  106. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 私は現在合法政党として共産党を認めております。
  107. 堀眞琴

    ○堀眞琴君 そうしますというと、合決政党として認めておりながら、先に繰り返したような立場を取られるということになりますというと、そこに可なり矛盾が出て来ると思うのですが、そういう点はどういう工合に調整されて行かれるのでありますか。
  108. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 感ずるか感じないか、私は別に感じておりません、矛盾を感じておりません。
  109. 堀木鎌三

    堀木鎌三君 それに関連してお聞ぎしたいことは、今のお話だと、企業防衞の見地から解雇しなければならんという考え方は、企業経営者自身の判断に待つてそれを肯定する。こういうことになるでしようか。その点はつきりお聞きしたいのですが。
  110. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 大体御所見の通りであります。ただ企業責任者の判断において行われることでありましても、それが先程来堀委員からもお話のように便乘的な措置に流れないようにして頂くことが最もこの場合必要ではないかという考を以てやつております。
  111. 堀木鎌三

    堀木鎌三君 更にそのときに、党員であることが客観的事実としてありますれば、他に何らの行為がなくても企業防衞上解雇しなければならんと企業主自身が考えた場合、それがそのまま認められる。こういうふうに考えていいわけですか。
  112. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 御所見の通りであります。
  113. 堀木鎌三

    堀木鎌三君 更にその場合に労働委員会によつて労働者が不当労働行為として提訴をしても、権利の保護は受けないものと考えていいでしようか。
  114. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 私はそういうふうに解釈をいたしております。
  115. 堀木鎌三

    堀木鎌三君 更にお尋ねしますが、その場合、企業の種類は公益事業たると否とを問わない。こういう考えでございましようか。
  116. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 公益事業と申しますのは公共性の問題であろうと存じますが、これは度合の問題で、必ずしも公共性がないからといつても大きく社会に影響を持ち或いは地域的に大きな影響を持つ企業は当然含まれて行くものであろうと解釈をいたしております。
  117. 堀木鎌三

    堀木鎌三君 いわゆる労働組合法にいう公益事業であるとその他であると問わないという考えのように思うのですが、その点につきまして、もう一点お考えを伺いたいと思いますことは、その場合、政府自身でも民間がそういう認識に立つた場合、企業防衞の見地から共産党に対する一般的認識の変更そのもの自身について政府も今のお立場では同じような認識にお立ちになつておるのだとすれば、政府職員自身についてはどうお考えになつておりますか。
  118. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 私がお答え申上げることが当を得ておるかどうか存じませんが、国務大臣として私お答えを申上げる外ないと思います。政府内部におきましても同様な措置を取つて参るように準備をいたしておると思つております。
  119. 堀木鎌三

    堀木鎌三君 今度は更に労働大臣として労働者の権利を擁護するというふうなお立場上から考えられて、今のような見地に立つておられながらこれに便乘された整理、追放というようなものではないようにお考えになつておられるようですが、更にこれら自身が失業いたしました……今労働大臣の認識、御見解に立つて整理されるというような人間が失業群に入つて参る、そして現に労働大臣が御所管なすつておる職業安定所のいろいろな職よこせ運動そのものの中にもそういう非常に共産党員の何と申しますか、思想があるとすら言われるような世評もあるわけでありますが、そういうふうにすでに一部の社会不安的な状況というものはお考えにならなければならないと思うのでありますが、これらに対しての対策についてはどういうことをお考えになつておりますか。
  120. 寺本廣作

    説明員寺本広作君) レツド・パージになりました者でも職を失いました者が職業安定所に参りますれば、できるだけ職業を紹介してやるという方針を取つております。ただ併し紹介された先で職場の秩序を乱すというようなことが明らかである場合にはこれは紹介を差控えるという方針を取つております。ただ併し失業対策事業その他でありますれば、事業の性質自体がまあ状況に応じて閉鎖し得るような事業を数多く選んでおりまするし、その雇用関係も継続的ではございませんので、レツド・パージで解雇されたものでも紹介し得る場合が多かろうと考えます。
  121. 堀木鎌三

    堀木鎌三君 今お話を承るのでありますが、一般社会認識がすでに共産党員については別な認識になつて参りまして、産業防衞上考えられる対策になつて来たというふうな情勢労働省自身が法規の解釈その他からお認めになつておるというふうな問題になりますると、今のお話は相当矛盾して参るように相成りはせんかと、こういうふうに私は考えるのですが、如何ですか。
  122. 寺本廣作

    説明員寺本広作君) 私共としては矛盾していないと思います。企業防衞と申しまするが、その企業が只今も申上げます通り失業対策事業は法律的にも書いてありまする通り状況に応じていつでも閉鎖し得るような事業を選んでおりまする筈でありまするし、又雇用関係も日々切り替えられるという関係にございますので、企業防衞の立場からその警戒の必要度が比較的少なかろうというふうに考えておりまするので、その点は矛盾かないように考えております。
  123. 堀木鎌三

    堀木鎌三君 それではもう一つ突込んでお尋ねいたしますが、職業安定所で職業紹介をなさるのは日雇労務者だけではないのでありますが、常傭の分につきましては何と申しますか企業防衞上の見地に立ち、日雇労務者の点については事業の性質上差支えないと、こう二色にお分けになりましたのですか。
  124. 寺本廣作

    説明員寺本広作君) 企業防衞の必要の程度に応じて差別をつけるということは止むを得ないと考えております。
  125. 堀木鎌三

    堀木鎌三君 だからその常傭関係については門を閉ざすわけですか。
  126. 保利茂

    国務大臣保利茂君) そういう職業安定法の下では門を閉ざすなどという考えは毛頭ございませんで飽くまで平等に取扱わなければならない。又同時に物ではございません、人間でございますから、いろいろ環境の変化、或いは全体的情勢の変化等によつて今日危險と目せられる人でもその人が一生涯危險であるというふうにも考えられるものでもない。できるだけ多くの人が一人でも職業戰線に就かれるように労働省としてはやつて行かなければならん、そういう考えでおります
  127. 堀木鎌三

    堀木鎌三君 では重ねて労働大臣にお尋ねいたしますが、いわゆるレツド・パージだとしてそれを失業群に追出すことはより社会不安を起して、よりそういう産業防衞上危險だとみなされるような方向に走り得る傾向が強いという事実はお認めになるだろうと思うのです。でありまするから、全体として考える場合には、これはやや理想に過ぎるか承知れませんが、理想的にはそういう人があつても社会不安的なものが起らないだけの施策が行なわれなければならんことが先ず第一であるということはお認めになると思いますが、今の現在の政府の施策としてはこれを失業群に追いやり、そうしてますます反社会的になり得るような方向に追うだけであつて、それに対する対策的なものが非常に貧困だと、それについて折角労働大臣がそういうふうに労働者に対して同情のあるお立場にお立ちになるならば、又お立場上当然そうあるべきだと思うのですが、これらに対して労働大臣としてはどういうふうに今後お考えになり、施策を執行されるおつもりであるか、そういう点をお聞きしたいと思います。
  128. 保利茂

    国務大臣保利茂君) もうお話はその通りでございまして、一労働省の力を以て御満足の行くような施策がもとより十分行われるとは存じませんが、私は政府全体の力によつて先ず金業の中から社会不安を除くということが却つて社会不安を増大するというような結果になりますことは、これは誠に遺憾なことでございますから、私共としましてはその点には最も注意をして、政府全般の施策によつてそういう事態にならないように対処して行かなければならん、そういうふうに考えておりますわけであります。
  129. 堀木鎌三

    堀木鎌三君 労働大臣にもう一点だけ御所見を伺いたいのですが、今ここで応答されましたような事柄についての解釈を、労働省として公式の解釈を発表されることが適切な措置ではなかろうか。先程労働大臣自身も言われましたように、レツド・パージに関連して健全な労働組合運動の発達が阻害されるようなことはこの際に非常に遺憾に感じるというお考えならば、特に私は労働省の解釈をここで周知徹底せしめられまして、組合運動の正常な発達に力を注がれるような方向ということを、御措置をおとりになる御意思はございませんでしようか。私としては是非おとりになつては如何かと、こう思うのです。
  130. 保利茂

    国務大臣保利茂君) こういう措置が本来の労働組合運動に水をかけるようなことにならないように、同時に又企業防衞という上から申しましても、その観点から行過ぎ整理解雇が行なわれないように、その点につきましては機会あるごとに私共申上げておるわけでございまして、先程堀委員から御指摘の、昨日の労働委員会の連絡協議会におきましても、その点は特にこれは半ば公式……公式と申しますと国会において申上げることが最も公式であろうと存ずるのでありますが、そういう線をとつてつておるわけであります。尚御注意も頂きまして、十分誤りのないように期して行きたいと思います。
  131. 原虎一

    原虎一君 労働大臣にお伺いしたのですが、昨日東京新聞に発表されていることは労働大臣みずから新聞記者にお話になつておるのですが、この記事はそのまま間違いないと承知してよろしうございますか、これをちよつとお伺いしたいと思います。
  132. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 新聞に出ておりますところもあるようでございますから、尚先程堀木委員お話もございますし、その部分につきまして昨日発言いたしました分を、多少言葉の違いはあるかも存じませんが、この場合申上げたいと思います。  「近時、各種企業において日常業務を円滑に運営し、且つ、不測の事態が起つた場合においても、企業の防衞を完ぺきにするため、共産党員の排除を企図する向が多いようであるが、かかる行為が、労働基準法第三條に規定する「信條による労働條件の差別」となり、又は労働組合法第七條に規定する不当労働行為に該当するのではないか、ということについて疑問を抱き、これに関する政府の所見をただされることが屡々あるので、この際、かような目的の下に行なわれる解雇と、労働法規の関係について、労働省としての所見を明らかして置きたい。  労働基準法第三條及び労働組合法第七條の解釈は、従来と変りはないのであるが、近時共産党の本質に対する社会一般の認識が全く改まつて来たので、右の規定を共産党員に適用する場合は従来の解釈について更に説明を加える必要がある。  共産党は、かつては平和的政党であると社会一般から評価されていたが、現在では、各方面に起つた色々の事件や、日本共産党と外国との公然たる結び付き等によつて、社会一般の共産党に対する認識は、全く改まつて来た。共産党は今日尚、合法政党として存続しているとはいいながら、社会一般では、これに対してマ元帥が本年六月六日附の吉田総理宛書翰で指摘された通り「暴力をもつて日本の立憲政治を顛覆するのに都合の良い状態を作り出すような社会不安をひき起そうと企てている」政党であるという判定を下しつつある。  従つて、使用者がこういう一般的な、社会の認識に基いて、自分の企業がそうした社会不安の中に巻き込まれるのを防ぐため、自己の責任において共産党員を整理したとしても、それは一般的には企業防衞のための措置であつて、労働基準法第三條にいうところのいわゆる信條を理由として、労働條件に差別をつけたものとは解釈し得ない。又たとえその共産党員が労働組合員であり、労働組合員としては正当な行為をしている者であつても、かような見地から行なわれた、解雇であれば一般的には労働組合法第七條に規出する不当労働行為に該当するものとは解釈し得ない。  然しながらかような措置は今後に於ける我が国の労働運動の消長に重大な影響かありますので、私はかような措置に便乘して労働運動の萎微沈退を企図することのないよう関係者の御留意を望む次第であります。こういうことを申上げておつたのであります。
  133. 原虎一

    原虎一君 大体本日付の東京新聞を出して見ると相違はないようです。終りの方の、但し云々と言われる使用者に対する便乘的解雇のないような意味の希望を附されておるのが、東京新聞には載つていないのであります。これは誠に新聞は事実をそのまま伝えたとは言えないかも知れません。(笑声)そこで私はこれを読みまして、先程から堀委員と堀木委員質問されておりますことで大体盡きておると思いますけれども、企業防衞の立場から解雇するということが許されるということになりますれば、これは非常に労働組合にとつては申すまでもなく危險なんであります。従つて企業防衞という理由のみで首切るものではないと解釈できるのであります。その前提としては共産党はかくのごときいわゆる社会不安を企てている政党であるから、その党員がなすところの行為は企業を破壊するものである、こうなるわけです。この点はこれは今書いたものを読まれた通り間違いない。新聞もその通りであります。そして最後の段階には、共産党員であれば労働組合員が企業を破壊するというような行為がなくても首切つてもいい、こうなつているのです。ですからすべてを通じてこれは共産党員は首切つていいんだという結論になるのですが、先程から党員は首切るんだということではないということをおつしやつている点があるようでありましたが、私はどうもこの今読まれたもの及び新聞を見ましても、ただに企業を破壊する危險性のある者を企業防衞の立場から資本家が首切つておることはこれはあり得ないのであります。そしてくどいようでありますけれども、共産党は或る意味においては非合法政党だとは言いませんけれども、社会不安を企てる政党だということになる。その党員は現実において正当た行為をしておつても首切つてもいいんだということになれば、結論は党員は首切つてもいいのだということになるじやないですか。その点をそうでないという説明を願いたいと思います。
  134. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 只今申上げましたことは、そういう措置が各方面で取られておりまして、そうしてそれとの労働法規との関係について疑いを持たれることに対して、労働省として取つております法律解釈上の見解を申上げたのでございまして、ただ私はこの解釈は法律の解釈であつて実施の面におきましては飽くまで企業が不測の事態において危險にさらされないようにする、いわゆる企業防衞という趣意なんだから、その趣意を逸脱しないように、できる限り経営者の、又肝要な労務管理も要請いたしまして、できるだけ行過ぎた解雇がこれによつて行われることのたいように心掛けておりまして、こういう解釈を立ててすべての共産党員をすべての企業から追出してしまうというようなことを政府考えているのではございませんで、ただ経営者の自主的判断によつて行われますこの措置が、いろいろ措置がせられましたならば、一人々々事情も違うわけでございましようし、要するに企業防衞上危險の虞れない人を殊更に解雇をせられることのないようにということは私共部内の者皆同じ考えを持つて善処をいたしておるような次第でございます。
  135. 原虎一

    原虎一君 どうも、顧みて他を言うような御答弁のような気がいたしますが、それでは私は逆にお聞きしたいのでございますが、私の解釈を以てすれば、企業防衞の立場から企業を破壊す、るような人間は首切つていいということにも解釈できるようなのでありますが、それには前提條件に社会不安を企てる共産党員であるから切つていいと、この点であります。企業を防衞するためには企業を破壊するような者であれば共産党員であろうがなかろうが、首切つていいだという解釈にはならないということ、この点を大臣に明言願いたいと思います。
  136. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 只今お述べになりました後段の方のことは私は全然考えていないのであります。
  137. 原虎一

    原虎一君 これはそこに大臣が最後につけられましたところの、これに便乘して首切るようなことがないようにしたいという御懸念は、この前文にあるのですね。あなたの言われております点は、私の知識を以てすれば共産党はいわゆる非合法であるからその党員を首切ることは企業防衞の立場上止むを得んという解釈のように思われるのであります。ところが企業家側或いは使用側から考えますと、これを企業防衞のためには首切つてもいいという解釈に使い易いのであります。この企業を破壊するような者、これは今日一般の使用者、中央におる我々と違いまして、地方に行く程産業防衞のためには首切つていいということを労働大臣が言つているじやありませんか。言えるようにこれをうまく利用しようと思えばできる点でありますから、この言葉の表現が適切でないかも知れませんけれども、産業を破壊するようなものということになれば、これは主観的に彼の組合員の行動は産業を破壊するということを使用者が認定すればそれで首を切れるものではない、それで首を切つてもいいというような考えを持たしてはならない。そこを私は申上げているんです。あなたの御説明は私の知識を以てすれば共産党員は労働組合員として正当な行動をしておつても産業防衞のために首を切つてもそれは法律違反にならないという解釈を下したことになつているんですが、その前の方だけ見ますと、産業防衞のためには労働者を首を切つても違反にならないということだけを資本家が、使用者が利用する慮れが多分にある。この点は非常に私は大事なことだと思います。これは明確になつてはいるようでありますけれども、非常に私は危險があると思いますので、大臣に特にこの点をお聞きしているわけなんであります。
  138. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 度々申上げますが、言うところのレツド・パージとその他の解雇措置とは厳重に区別されたければならないという考え、而もレツド・パージも企業防衞の上から行過ぎた解雇措置が取られないようにということが私共の念願である。原委員の御懸念の点は、或いは言葉の使いようでそういう御懸念が持たれるのかも存じませんが、私共としてははつきりしているように思つておりますが……。
  139. 原虎一

    原虎一君 はつきりしていなければならんのでありまして、声明をされた大臣としてはその点は私は混合されていないと思う。得てしてこの点は混合し易いところで、これを惡用したりする事業者には労働大臣十分御注意願いたいと思うから特に申上げておるわけであります。  それから今一つは次官から御答弁がありましたのですが、事実上今日政府労働省といいますよりか政府がやつておりますレツド・パージ、これによつて解雇されたものが本当にどこに就職できるかということになりますれば、今の場合におきましては、次官の御説明通り日雇労働者として働く以外に途がないじやないか。これは先程の御答弁のように政府自身の責任において何らかの処置が講ぜられなければ、ただ首切ることは法律違反にならないということだけを政府がやつている。切られたものはやはり失業してどこへも行くところがない。日雇労務者もこれ又一家の家計を支えるには余りにも貧弱なんです。そういう状態に置くということは健全な労働組合を発達助成する上においては非常に弊害になると思う。この点についてはすでに具体的に政府がこのレツド・パージをやらなければならんようになつたときに労働省労働省の立場から解雇された者のどう生活の途を切り拓き得るようにするかということは、これは労働省の責任じやないかと思う。ちよつとこう先程の御答弁ではそういうものについては余り……、堀木委員から質問受けて労働大臣答弁なさつたような印象を受けた。積極的になさることが健全な労働組合に及ぼす弊害を除去し、尚社会不安をも除去することになるのであります。この点は堀木委員質問に重複いたしますけれども、急速に何らかの手を考えられて、やはり自由党内閣においても国家的見地から処理されべきであつて、首切る者は切つちやう、生活は勝手にやれと、これでは社会の健全性は保たれん。この点は重複いたしますから希望として申上げておきます。
  140. 山花秀雄

    山花秀雄君 レツド・パージについては各委員からいろいろ質疑がございまして、重複するところを避けて二、三質問をしたいと思いますが、先程労働大臣の労働委員会会議に発表されました見解と、レツド・パージに対するG・H・Qの見解が若干違つておると思うのでございます。この問題に関しましては、私も労働組合の関係でG・H・Q労働課エーミス課長ともいろいろまあ懇談をいたしましたが、エーミス課長の見解によりますと、必ずしも共産党員だから追放するというふうには絶対考えていない。日本の産業を破壊する、又外国から指導を受けて国を破壊するようなそういう見地に立つておる強固な共産党員という言葉を使つておりましたが、洗練されたコンミユニストをこれを対象とする。こういうふうに労働課長は言つておられましたが、本当の重点は産業破壊者、企業破壊者である、先程労働大臣説明によりますと、共産党員で正常なる労働組合活動をやつていても企業者の考えは共産党なるが故にやがて企業を破壊するのではなかろうかという見地に立てばこれは自主的判断で追求してもいいと、こういうように伺つたんですが、この間の食い違いが私の考えておるのが正しいのか、或いは労働大臣がG・H・Qといろいろ折衝された交渉過程に私の今言つたことと違う点があるかどうかという点をこれを御説明願いたい。
  141. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 先程原委員にもお答えいたしました通りでございますが、レツド・パージと労働法規の解釈についてのその所見が、先程申しました通りこのことにつきましては、関係方面、日本政府関係部署の一致した意見になつておることを私は責任を持つてこれは申上げます。ただこのレツド・パージの実際のやり方、それはしばしば申しますように、経営者の自主的判断においてやられている。政府が指導をしてやつておるのではございません。私共としては只今山花委員お話通り、先程来もしばしば申しておりますように、だからというので行き過ぎた解雇措置がとられないようにということを申しておりますのも又そこにある。この点は先程私が読上げましたようなことで、政府が指導をしているというような若しお疑いがございましたならば、それは一つ御一掃をお願いしたい。かように考えます。
  142. 山花秀雄

    山花秀雄君 誠に遺憾な問題でありますが、日本の企業家は長い物に捲かれろというような風習が抜けないのであります。G・H・Qの見解、或いは政府労働省見解が発表されますと、それに阿るというような風習が遺憾ながらあるのでございます。従つて政府若くしは労働省見解はそういう点を十分考慮されて見解の発表を願いたいと思うのであります。企業家の自主的判断によつてこれを処断するということになりますと、特に先程労働大臣説明の中に、判定の基礎は先ず第一に共産党であるということを言われたのであります。先ず第一に共産党であ石ということになりますと、当然第二というのが出て来ると思います。第二は同調者ということがやはり謳われておるのであります。これは一例でありますが、御参考までに聞いて頂きたいと思いますが、我々が排撃して止まない御用組合の存在がある。一方には共産党系の組合の動きがある。御用組合にも反対、共産党にも反対というので一連の労働者が組合活動をやる場合に、御用組合に反対しておるからというので企業家の方に非常に正当なる労働運動をやりますから都合が惡い。従つてこれに対して同調者というような名目を附けて、これを職場から追放するということが行われるのであります。事実行われておるのです。今度のこのパージ問題については、こういう場合には当然救済一つの方法が講ぜられなくてはならないのでありますが、聞くところによりますと、今度の問題は地労委への提訴を止めにして中労委で一括これを審議する。中労委で一括審議するということは体よく中労委に集めてこれを却下するというのが大体の含みだと、こういうふうに一般には流布されておるのであります。こういう問題につきまして一つ大臣の所見、そういう浮説が事実正しいのかどうかという点の所見を一つお聞かせ願いたい。
  143. 賀來才二郎

    説明員(賀來才二郎君) 中労委の取扱に地労委の取扱を集中いたしましたのは新聞と電産の事件であります。この新聞と電産につきましては一つの基本的な方針に基いて、特に電産につきましては、中央に経営者会議というようなもので全国的に統一いたして取扱つてつたのでありますから、これによりまする救済の問題が個々の地労委等によりまして個々に扱われること自体は適正でないと考えましたので、この二つに限りまして労調法によりまする中労委が重要な問題につきましては地労委に指示し、地労委はその指示に基いて中労委に集中して扱えるという規定に基きましてやつたのでありまして、巷間伝えられると申されておりますように、地労委の取扱から、中労委に移して、中労委で一本で切つてしまう、さような意図でやつたのではございません。
  144. 山花秀雄

    山花秀雄君 地労委を経ずして中労委にこれを一括審議せしめるというのは新聞、電産だけでしようか。それとも外の産業はこれと関係なしに地労委でこれを十分審議するようになつておるでしようか。
  145. 賀來才二郎

    説明員(賀來才二郎君) 只今現在におきましては、二つに限つておりますが、今後の問題につきましては、まだ問題として表面に出ておりませんので、ここでそうでないとか何とかいうことをお答えする時期には至つてないと思います。
  146. 山花秀雄

    山花秀雄君 産業を守るという見地に立てば、これは飽くまで労使協力によつて守るという見地に立たなければならんと思うのでありますが、企業防衞の見地で企業破壊者を追放するという点が、企業家の自主的判断でこれを許すということになりますと、労使協力の建前が一応私は崩れて来るのではなかろうかと思うのであります。G・H・Qの見解を私自身質しましたときには飽くまで労働組合と協議して、この線を守つて頂きたいという希望意見をG・H・Q自体は発表されておりましたが、先程大臣説明によりますというと、企業を守るために企業家の自主的判断でこれを処断することが妥当とか、よろしいとかというふうに私は聞いたのですが、この点につきましてもう一度大臣見解をお伺いしたい。
  147. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 私はそういう措置は、要するに産業防衞でありますから、関係労使の協議によつて或いは協力によつて行なわれることが最も常識的な最善の方法じやないかと思いますが、併しながら又一面山花さんも言われますように、労働組合の御用化ということは、これはできるだけそういうことのないように、労働省としては組合運動を飽くまで労働組合は労働組合として守り立てて行かなければならないという上から行きまして、必ずしも各企業一律に……或いは組合側と経営側と協議して行われる場合もあるであろうし、或いは経営者の責任においてやつて行こうという場合もあろうと存じますが、要は経営者の責任、自主的判断、これが最終的に決定せられるという形で行われて行くであろう、そういうふうに考えております。
  148. 山花秀雄

    山花秀雄君 昨日の労働委員会会議で大臣の声明によりますと、同調者の場合には若干議論の余地は残つておりますが、党員の場合には基準法第三條、労組法第七條に牴触しない、こういうふうに私は受取りましたが、そういうふうに受取つていいのでしようか。
  149. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 法律解釈としてはそういうふうになつております。
  150. 山花秀雄

    山花秀雄君 そうなりますと、党員なる場合には救済の途がないというふうに私は考えるのですが、先程労働次官からもお話のありました或いは労政局長かどつちかちよつと忘れましたが話がありましたが、これらの人々が追放された場合の職業の途は現在のところ日雇労務者しかないだろう、こういう話でありましたが、これが日雇労務にのみ職業が限界されるということになりますと、今日でも日層労務の関係は非常に社会不安をかもす一つの原動力のような形になつておるのですが、そこに共産党員がますます集まつて来るということになりますと、共産党でも相当職業に熟練したるいわゆる技能者が相当おるのですが、日雇労働の関係は未熟練の労働で結構勤まる労働であります。国家の産業経済の上から見てもこれは非常に不経済な問題でありますし、それからそういうところに共産党員が集まるということになりますと、これは笑い話のような話ですが、職安に働くお方は鉄兜で働かなくちやとても仕事ができないというような社会不安の増大の一つの原因になるのじやないかと思いますが、こういう点についてはどうお考えになつておられるか、伺いたい。
  151. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 先程堀木さんにお答え申上げましたが、私はいわゆるレツド・パージで失職をされた方々に対しても職業安定法上これは平等に職業の御紹介もする。而もその方が優秀な技能を持つておられるという方であり、お気持の変りようもあるでありましようし、或いは使用者側においてそういう人を働いて貰おうというようなことになつて参りますことを最も望むのでございまして、もとよりこれは仕事をして頂くのでありますから、その企業内において忠実に仕事をやつて頂く、而もそういつたような社会不安を来すような行動上の虞れもないというようになられて参りますならば、それは日本人同士のことでありますからお互いにそこに同胞愛が働いて、そうして全体社会に一つの温かい空気が作り出されて行くように皆が気持を合せて行かなければならないのではないか。政府の施策にいたしましても限りがあることでございますから、これは国民が皆同胞愛の下に健全な平和な祉会を作り出すという気持を以てこの方方をお扱いするようにしなければならないのではないかというように考えております。
  152. 山花秀雄

    山花秀雄君 働く力が極度に不足しているときには、先程労働大臣の言われましたその同胞愛というのが便宜的に使われているのですが、今日のように働く力がもう過剩状態になつているときには、恐らく烙印を押されて追放された人の就職は絶対にあり得ないと言つても過言でないと思うのであります。職安では職業紹介については公平無私、平等の立場でこれを取扱うのが当然のことであると思いますが、求人方にいたしますならば、その履歴を基礎に採否の決定をするというのが常識でありまして、レツド・パージという烙印を押された人は恐らく労働力の余  つておる今日使わないと思うのであります、それから今一つ求人側から本人の履歴の照会があつた場合に、レツド・パージのことはこれは言えば絶対雇われないと思いますが、職安としてはこの問題についてどうお取扱いになるのかどうか。これはレツド・パージであつた者であるがお使い下さるかというような照会をやるのかどうか。この点一つ
  153. 海老塚政治

    説明員海老塚政治君) 職業安定法によりまして、安定所が紹介いたします場合には、求人條件並びに求職者の技能ですとか経歴ですとか経験ですとか、そういうような事項について安定所としていろいろ取調べますけれども、本人の思想傾向その他については到底本人がどういう思想を持つているというようなことは、具体的にはその職分の範囲外として、取扱うことは困難ではないかと思つておりますので、実際の紹介の場合におきましてはそういうようなことを除きまして、一般職業紹介の場合における経験であるとか技能であるとか、そういう点について求人者側と連絡をとるようにいたしたいと考えております。
  154. 山花秀雄

    山花秀雄君 今日レツド・パージがうようよしておりますから、求人側では当然採用の條件でその調査を必ず依頼して来ると思うのでありますが、その場合に職安としてはどういうように求人側のその要請に応ずるのか、或いは頬被りをするのかどうかという点ですが……。
  155. 海老塚政治

    説明員海老塚政治君) 安定所といたしましては、そういう点については成るべく触れないで、それ以外の事項について職業を斡旋したい。そういうような点につきましては求人者側の方で然るべく調査して頂きたいというふうにいたしたいと思つております。
  156. 山花秀雄

    山花秀雄君 もう一回明確にお尋ねしたいのですが、求人側から本人はレツド・パージにかかつておるかというようなお問合せがあつた場合に、職安としては只今の御回答のように、その件に関しては職安としては申上げることはできないというように明確にお断わりになるのかどうか、或いはそういう特別の要請があつた場合には、やはり事実は事実として求人側にお伝えになるのかどうか、この一点だけを一つ明白に御回答願いたいと思います。
  157. 海老塚政治

    説明員海老塚政治君) 先程申上げましたように、その点につきましては求人者側の責任において調べて頂くようにして頂きたいと思います。
  158. 赤松常子

    委員長赤松常子君) 尚視察の結果の問題で労働省関係の広範囲に亘るいろいろな御質問、御要望があると存じますので、今暫く御質問頂きたい、続行いたしたいと思いますが、如何でございましようか。
  159. 堀木鎌三

    堀木鎌三君 この次にして頂いたら如何でございましようか。
  160. 赤松常子

    委員長赤松常子君) 速記を止めて。    〔速記中止〕
  161. 赤松常子

    委員長赤松常子君) 速記を始めて下さい。それでは本日はこれにて閉会いたします。    午後二時四十五分散会  出席者は左の通り。    委員長     赤松 常子君    理事            一松 政二君            原  虎一君            波多野林一君    委員            城  義臣君            山花 秀雄君            堀木 鎌三君            堀  眞琴君    委員外議員   高田なほ子君            加藤シヅエ君   国務大臣    労 働 大 臣 保利  茂君   説明員    労働事務次官  寺本 広作君    労働省労政局長 賀來才二郎君    労働省職業安定   局失業対策課長  海老塚政治君    行政管理庁次長 大野木克彦君