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1950-07-19 第8回国会 参議院 労働委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年七月十九日(水曜日)    午後一時三十七分開会   —————————————  委員氏名    委員長     原  虎一君    理事      波多野林一君            中村 正雄君            森田 豊壽君            高良 とみ君            田村 文吉君            鈴木 清一君 七月十二日右の者は本委員を辞任し た。 昭和二十五年七月十二日議長において 左の者を本委員に指名した。            大屋 晋三君            城  義臣君            一松 政二君            宮本 邦彦君            赤松 常子君            中村 正雄君            原  虎一君            山花 秀雄君            田村 文吉君            波多野林一君            早川 愼一君            栗栖 赳夫君            鈴木 強平君            堀木 鎌三君            堀  眞琴君 同日議長において左の者を委員長に指 名した。            赤松 常子君   —————————————   本日の会議に付した事件理事互選公共企業体労働関係法改正に関す る調査の件 ○調査承認要求の件 ○失業保險法の一部を改正する法律案  (内閣送付)   —————————————
  2. 赤松常子

    委員長赤松常子君) それでは只今より委員会開会いたします。参議院規則第三十條の二によつて理事互選を行います。委員会理事の数は五名でございます。互選方法は如何取計らいましようか。
  3. 波多野林一

    波多野林一君 互選は投票を用いずして、委員長にその指名を一任することにお願いいたします。
  4. 赤松常子

    委員長赤松常子君) 波多野委員の御動議に御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 赤松常子

    委員長赤松常子君) 御異議ないと認めます。それでは私から一松政二君、原虎一君、波多野林一君を理事に指名いたします。以上で理事互選を終ります。   —————————————
  6. 赤松常子

    委員長赤松常子君) 次に公共企業体労働関係法改正に関する調査につきましてお諮りいたします。  本委員会は、すでに第七回国会会期末より休会中も、議院の議決によつて調査を継続して行なつて参りましたが、御承知のように本調査事件の対象が極めて複雑多岐でありまして、公共企業体の職員の労働條件維持改善と、延いては公共企業体の正常な運営を確保して公共利益を図るためには、より愼重な且つ綿密な調査を必要とするのでございまして、第八国会開会に当り、新らしく選任された労働委員皆さんで、今後も引続いて調査を進めて行きたいと思いますが、御賛成願えますでしようか。
  7. 原虎一

    原虎一君 今の問題ですが、それは突然出されても大体私共は分つておりますけれども、堀木さんなんか御存じないと思うのですがね。
  8. 赤松常子

    委員長赤松常子君) そうでございますね、それで一応御異議ないものと認めまして、では第八国会における今日は初めての労働委員会でございまして、労働委員の顔振れも半数以上変つておりますので、前の労働委員長の原さんも見えておりますから、今までの調査経過などについて御説明願えたら、今後の調査を進める上に資するところも少くないと存じますが、如何でございましようか。    〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
  9. 赤松常子

    委員長赤松常子君) では原委員調査の今までの経過、並びに今日までのいろいろな状態を簡單に御説明して頂きます。
  10. 原虎一

    原虎一君 ちよつと速記を止めて貰つて下さい。
  11. 赤松常子

    委員長赤松常子君) それでは速記ちよつと中止して頂きます。    〔速記中止
  12. 赤松常子

    委員長赤松常子君) 速記をつけて下さい。  ではこの間に調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。  公共企業体労働関係法改正に関する調査と並行いたしまして、経済安定計画進展に伴う現下失業問題など一般労働問題に関しまして、当委員会といたしましてもこれらの実相を捉えて、社会不安の一因を除去することは極めて急務と考えられますので、一応参考までに專門員の方から調査を求める趣旨につきまして説明して頂き、皆さんの御賛成を頂きたいと存じます。では專門員どうぞお願いいたします。
  13. 磯部巖

    專門員磯部巖君) それでは御説明申上げます。    経済安定計画進展に伴う労働問題に関する調査承認要求書  一、事件の名称 経済安定計画進展に伴う労働問題に関する調査  一、調査目的 経済安定計画進展に因る企業合理化は、多数の解雇者を発生せしめたが、これは新規雇用量の減少と相俟つて種々重要な問題を提起しつつある。本調査目的は、安定計画進展に基因する一般労働問題に関し調査研究せんとするものである。  一、利益 失業実相失業対策の現況、其の他一般労働事情の実態を把握し、これが対策樹立に寄與する。  一、方法 各関係者より説明意見を聽取し、資料の提出を求めると共に必要に応じて、工場労働関係諸施設を視察する。  一、期間 今期国会開会中  右本委員会決議を経て、参議院規則第三十四條第二項により要求する。   昭和二十五年七月十九日      労働委員長 赤松 常子    参議院議長佐藤尚武殿
  14. 赤松常子

    委員長赤松常子君) ではこれに対して何か御意見ございましようか、如何でございましようか。
  15. 原虎一

    原虎一君 大体賛成いたします。本委員会付託なつております第八回臨時国会、本国会で審議しなければならない失業保險法の一部を改正する法律案、これなんかに関係しましても実際の失業問題を扱つています現地の職業安定所等を調べる必要があろうと思いまする。そういう点に関連しましても、一応その調査決議をしておく必要があろうと思いますので賛成いたします。
  16. 赤松常子

    委員長赤松常子君) 外に御意見ございませんか。
  17. 一松政二

    一松政二君 ちよつと伺いますが、本国会会期はもう十日余りしかないわけだが、その間にどこか地方にでも出かけるという場合には、東京都或いは近県だけに止めるというのか、この辺はどういうお考えですか。
  18. 磯部巖

    專門員磯部巖君) 私から申上げます。差当り今大分問題になつております失業関係の方ですね、ああいうものを、もつと平たく言えば東京都内職業安定所その他に参りまして失業実相をまあ調べて行く。それからまあ労働省の係官その他の人達によつて調査をして貰うとか、まあいろいろそういう程度のことを今考えておるわけであります。失業保險日雇労務者に関する規定改正案が今出ております関係上、差当りはそうなつております。
  19. 一松政二

    一松政二君 どこか出かけようというのじやなくて、国会の中において或いは必要があれば出て行つて、或いは向うから呼んで調査しようというわけですか。
  20. 磯部巖

    專門員磯部巖君) 差当りはまあそうでございます。
  21. 一松政二

    一松政二君 調査承認要求書とか何とかいう要求書を出せば、よく我々にはむしろ出張して、どこか近県に出かけて行くようにまあ普通考えられるから、その点をお尋ねしたわけです。
  22. 磯部巖

    專門員磯部巖君) 差当りはそういうつもりはございませんです。
  23. 一松政二

    一松政二君 そうすると特別に何か費用は要るのですか。
  24. 磯部巖

    專門員磯部巖君) 今のところ費用考えていないです。
  25. 一松政二

    一松政二君 それじや運営委員会になり要求書を出すというわけじやないのですか。
  26. 磯部巖

    專門員磯部巖君) 出します。
  27. 長崎経男

    事務局員長崎経男君) 調査承認要求書と申しますのは、ただ委員会が特定の事件調査するために議長承認を求めなければいけないということになつておりますので、付託事件以外のものを取扱うことは議長宛調査承認を要求しまして、それによつて承認された場合に、初めて委員会活動ができるようになつておるのでありまして、議員派遣とはこれは別個の問題であります。
  28. 一松政二

    一松政二君 今失業保險法の一部改正法律案が出ておるのだから、これに関連する事項を調査するのに別に承認も要らんでしよう。
  29. 長崎経男

    事務局員長崎経男君) 失業保險法の一部改正、こういつた法案議長付託によつてその委員会が活動できるようになるのでありまして、法案が正式に付託された以外別個に委員会が單独で調査しようというふうな場合には、必ず議長承認の下に調査事件として活動できるような形になるわけなのでありまして、別にこういつた調査承認をとらないと、法案とか、或る限定された以外は調査できない形になる、以上が大体要求書を提出する趣旨です。
  30. 赤松常子

    委員長赤松常子君) では御了解頂きましたか。……では調査承認を求める趣旨只今説明通りでありますが、経済安定計画進展に伴う労働問題に関する調査承認要求書議長宛に提出するごとにいたしまして御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  31. 赤松常子

    委員長赤松常子君) では御異議ないものと認めます。そのように取計らいます。   —————————————
  32. 赤松常子

    委員長赤松常子君) 次に去る七月十七日内閣より提出され本委員会予備審査のため付託なつております失業保險法の一部を改正する法律案を議題といたします。先ず提案理由説明保利労働大臣にお願いいたします。
  33. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 失業保險法の一部を改正する法律案を審議するに当りまして、本法律案提案理由を御説明申上げます。  失業保險法は、昭和二十二年第一回国会において、経済緊急対策一環として制定され、次いで昨年五月その一部を改正し、適用範囲の拡張、失業保險金実質的増加及び日雇失業保險制度につきましては、昨年十一月より失業保險保險料徴收事務を開始し、保險給付につきましては本年一日より実施して参つたのでありますが、その実施状況を見まするに現下日雇労働保險者の保護に必ずしも十分でない点がありますので、今回これが改善を図りたいと存ずる次第であります。  これが、本法律案を提出した理由でありますが、次にその概要を御説明いたします。  先ず第一点は日雇失業保險受給資格要件を、緩和することでありますが、これは現行日雇失業保險受給資格要件失業前二月において三十二日以上、失業保險適用事業主に雇用されることを必要とするのでありますが、最近の日雇労働者稼働状況に鑑み、今回これが受給資格要件を緩和し、失業前二月において二十八日以上稼働した場合に、失業保險金支給を受け得る資格を得ることができるように改めることといたしたのであります。  次に改正の第二の主要なる点は、日雇失業保險待期日数を緩和し、且つ保險経済状況に応じてこれを合理的に調整するようにいたしたことであります。これは現在の日雇失業保險において、日雇労働保險者受給資格要件を具備しておりましても、失業した日数が通算して七日又は継続して五日の待期日数経過しない間は失業保險金支給を受けることができないこととなつておりますが、この待期については現行法第三十八條の九、第六項の規定により、去る六月一日から通算して六日又は継続して四日に短縮してあるのでありますが、改正法案においては、この短縮された待期日数原則とすることに改め、且つ保險経済状況に即応して、これに一定余裕があるときは、その日数を一日ずつ引下げ、保險経済一定限度以上窮屈になつたときは一日ずつ引上げることのできるような自動的規定を設けることといたしたのであります。  以上が今回の改正案の主要な点でございますが、尚この外若干の事務的規定整備を行うこととした次第でございます。  以上本法案提案理由の概略を御説明いたした次第でありますが、何とぞ愼重御審議の上、速かに可次あらんことをお願い申上げる次第であります。
  34. 赤松常子

    委員長赤松常子君) 何かこれに関して御質疑のございます方、どうぞお述べ頂きます。
  35. 原虎一

    原虎一君 現在失業保險の中の日雇労働者以外の一般失業保險の被保險者で、今日保險給付を受付を受けている人員ですね、それを御説明願いたい。これはいわゆる一般失業対策一環としてこの失業保險法の一部改正と我々は見るのでありますが、ただこの部分だけではそう御説明願わなくても分ると思います。他の失業問題の一環として考える場合において先ず保險給付を受けている人員を、できますれば本年の一月頃から毎月の数を御説明願いたいと思います。
  36. 齋藤邦吉

    政府委員齋藤邦吉君) 私からお答え申上げます。一般失業保險受給者の数でありますが、本年の一月から最近五月までの受給者の数を申上げますと、一月は三十七万九千人でありまして、多少その後増加はいたしておりますが、五月に至りまして四十一万五千人という数字に相成つている次第でございます。  尚日雇失業保險のことでありますが、日雇失業保險給付が始まりましたのは御承知の本年一月からでございます。当初、一月におきまして、日雇失業保險給付を受けました数は、実人員で約一万五千人程度であつたのでありますが、逐次法の趣旨の徹底に伴いまして、本年五日に至りまして約四万人の実人員日雇失業保險給付を受けている次第でございます。
  37. 原虎一

    原虎一君 そういたしますと、日雇労務者失業保險給付が大体一月と五月を比較いたしますと大体三倍になつている。それから一般失業保險即ち日雇以外の失業保險給付を受けている者が四十一万五千人、五月現在で……。この四十一万五千人というのが実際は問題じやないか、と申しますのは、この被保險者最大六ケ月間の失業手当を受けますと、その期間に就職は現在の社会経済情勢では殆んど不可能だということであります。そこでこれが要するに生活に窮して日雇労務者の方に廻ると見なければならん。そうすると、この法律改正は今の保險財政が許す範囲において、もうすぐ、二、三ケ月の中に保險財政が困難になつて来るということが想像できるのではないか。そこで問題は、これは事実を調査したいと思いますが、一般失業保險の被保險者日雇労務者に廻るという場合において、非常に制限を受けてなかなか廻れないというのが今までの実情だつたと思います。いわゆるあぶれができる。成るべくあぶれを少くするために日雇労務者登録をしない。することを婉曲に拒否するという労働行政が行われているということを聞いてもいるし、見てもいるわけです。こういう点からして、安定局長は一体今申しました保險経済の許す範囲において改正して差支えないという数字的な根拠をお持ちであればお示し願いたいと思う。それから失業対策としての趨勢は必ず四十一万五千人の被保險者が少くとも日雇労務者に二、三ケ月のうちにどんどん廻つて来る。そうなればこれ又日雇労務者失業保險が必要になつて来る。そういう保險経済との関連を数字的に御説明願えたらいいと思います。
  38. 齋藤邦吉

    政府委員齋藤邦吉君) 一般失業保險受給者の四十一万五千という五月の総計でございますが、この一般失業保險受給者日雇労働者の方にどの程度落ちて行くかという点を先ずお答えいたしたいと思いますが、大体の傾向といたしましては、一般工場労働者一般失業保險を受けておる者が、現実に日雇労働者に落ちて行くという率は極めて少いような数字を大体示しております。一割にも達しないといつたような状況でございます。勿論それは日雇労働者に落ちまする者は最後の場合でありますので、或いはそういうことになろうかと思いますが、一割程度のものになるのであります。従  いまして私共といたしまして最も失業問題として深刻に考えまするのはその日その日の賃金で生活して行く日雇労務者というものを考えなければならんという観点に立ちまして、日雇失業保險の制度の運用と相待ちまして、当然失業対策事業という問題を常に考えておる次第でございます。即ち日雇失業保險制度のみによつて問題を解決するというのではなくして、これと相待ちまして失業対策事業の予算を機動的に使つて行くということによつてこの問題を解決する、こういうふうな考え方をとつてなつておるのであります。先程お言葉の中に一般の者が日雇登録申請をするときにはなかなか受付けないではないかというようなこともございました。成る程東京都にありましては御承知のように多少そういう例もあつたのであります。そういうことは職業安定法の方から申しまして好ましいことではございません。目下徐々に改善をいたしておるような次第でございます。  次に保險経済の問題でございますが、日雇失業保險経済状況を申上げますと、御承知のように日雇失業保險保險料徴收は昨年の十一月から開始いたしまして、本年五月末までに保險料収入といたしまして徴收いたしました金額が、二億二千八百五十五万円という金額なつております。これに対しまして本年一月から始まりました保險給付の問題でありますが、これは一月から五月末までに一億三千六百三十万円ということに相成つておりまして、保險料収入が大体におきまして現在のところでは一億近く残つておる、こういうことになつておるのであります。そこで今回の改正法律案保險料收入保險給付、この収支均衡図つて行き、保險料で徴収いたしましたものはできるだけ速かに保險給付労働者に還元して行く。こういうやり方、それから収支をできるだけ速かに而も常時均衡をとつて行く、こういう原則で行く。最大限度のものといたしまして一応資格要件を三十二日から二十八日まで下げ得るということになりましたので、さようなことを考えた次第でございます。待期の問題につきましても、当然この保險料収入給付というものの收支均衡状況を常に勘案してこの待期日数を調節して行く、こういう考え方でございます。大体保險経済状況は以上お答え申上げました通りでございます。
  39. 原虎一

    原虎一君 只今の御説明によつて必要なことは、日雇労務者失業保險実施後における保險経済数字的基礎というものがお示しを願いたいのです。御説明に基く資料、それからこの法の改正に基いてどのくらいの支給額が殖えて来るかという点、現行法で一億円余り余つたわけですね。余つたと言うことは適当でない表現かも知れませんけれども、まあ余裕を生じているわけですね。そうしますればこの改正によつてこれがどういうふうになつて来るか、それから当局は被保險者というものはどのくらいの率で毎月殖えて行くものと算定されておりますか。その点を数字でお示し願いたいと思いまする
  40. 齋藤邦吉

    政府委員齋藤邦吉君) 改正法案が成立いたしました場合の後の保險経済失業保險運営状況推定のことでございますが、大体におきまして現在の資格要件、即ち失業前二月におきまして三十二日の稼動というものを二十八日というものに短縮いたしました場合に、失業保險の被保險者の数の中で現在の資格要件の下におきましては、現在の稼動日数就労状況から申しまして六〇%の人しか資格がつかない状況であるのであります。それを失業前二ケ月間の二十八日という資格要件にいたしますと、大体におきまして安定所を常時利用いたしておりまする被保險者の総数の約七〇%以上の者が資格がついて来る、大体こういう状況になるわけでございます。それから待期の問題でございますが、待期は現在の三十八條の九第六項の規定によりまして、本年六月から通算して六日、継続して四日ということに改められておるのでありますが、若しこの法律案が成立いたしまして運営いたされまするといたしますれば、現存の保險経済推移から申しまして、即ち保險料徴収予想保險金給付予想からいたしまして、この改正案規定、第三十八條の九第六項の規定によりまして、もう一日短縮してできるだけ速かに日雇労働者保險給付を速かに支給できるようになるものと考えておる次第であります。即ち、資格要件の緩和によつて資格のつきまする者が被保險者総数の約六〇%足らずのものでありましたものが、七〇%以上資格がつくということになる。更に又待期の点は現下保險経済推移からいたしますれば、更に待期を一日程度短縮することができるのではないか、かように考えておる次第でございます。尚被保險者の数はどのくらいかというお尋ねでございましたが、失業保險経済におきましては被保險者の数を大体七十万と押さえておるのでございます。その根拠に立つて一応の保險経済の仕組を構成いたしております。而して現在安定所の窓口に現われておりますところの日雇登録労働者は約四十万でありますので、私共現在のところでは七十万の被保險者というものを中心といたしまして保險経済考えて行くということは適当ではないだろうかと、目下のところではさよう考えておる次第でございます。
  41. 原虎一

    原虎一君 今御説明して頂いたのですが、私お願いしたのは、今申しましたような点を数字的な表がありますれば、それを御提出願いたい。
  42. 齋藤邦吉

    政府委員齋藤邦吉君) 書類で……。
  43. 原虎一

    原虎一君 書類でございますね。今御説明によると七十万人くらいの日雇労務者が被保險者になる推定の下にこの法を改正して行つて保險経済の上から差支えないという、そういう数字的根拠をお示し願いたいというのです、お分りになりましたか。
  44. 齋藤邦吉

    政府委員齋藤邦吉君) 数字につきましては後刻書類で提出いたしたいと思います。
  45. 原虎一

    原虎一君 外に御質問があろうと思いますけれども、その質疑が済みました後で二、三労働大臣に質問いたしたい点がありますからお残り願うことにして頂きたいと思います。その法案質疑が済んだ後で……。
  46. 赤松常子

    委員長赤松常子君) この法案に関して他に御質疑はございませんですか。
  47. 堀木鎌三

    堀木鎌三君 大臣にお聞きしたいのでございますが、大体まあこの間からのお話だと、今後もいわゆる今の内閣の言う安定経済というものに従つて相当失業者が、殊に日雇失業者が相当殖えて参る、日雇労働者失業する状況は非常に殖えて参る、こういうふうなお見込でないかと思うのでございますが、どうお考えなつておりましようか。
  48. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 物の見方なつて参ると存じますけれども、私率直に申上げますと、相当今日日本のこの経済情勢社会情勢から申しまして出るべきものは相当出て来ておる。従つてこの上更に急激に増大するというふうに見られるかどうか、私は少し疑問に思つております。正直のところ前途の見通しにつきましては今予測はちよつといたしかねると存じます。
  49. 堀木鎌三

    堀木鎌三君 いつもそれで……。ついでに大臣にもう一つお聞きいたしますが、そうい見方でいつもいろいろ問題になつて参りますのは潜在失業者が顯在するかしないかというふうな問題なんでございますが、その潜在失業がそれじや大臣としては最近の情勢ではどの程度に殖えつつあるとお考えなつておりましようか、或いは少くなりつつあるとお考えなつておりましようか、その点お聞きして置きたいと思うのでございますが……。
  50. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 失業者の続出して参ります趨勢を押える一つの目安として企業整備状況を見まするに、今日も尚依然として企業整備が行われつつある数字は示しておりますけれども、昨年の七月を頂点として漸次減少して参つておりますので、この面から見まして更に多くの失業者が続出して来るというようには私は考えられないのじやないかと思います。然らばその潜在失業者状況は一体どうであろうかということになりますというと、これはどうも潜在失業者と称せられる方々の取り方如何にもよりますわけで、私は衆議院の本会議で申上げましたように、潜在失業者の数を捕捉してこれこれと申上げる資料只今政府にはございません。
  51. 堀木鎌三

    堀木鎌三君 今安定本部の方が来ておられるのですか。
  52. 赤松常子

    委員長赤松常子君) 来ていらつしやらないようでございます。
  53. 堀木鎌三

    堀木鎌三君 今の事務当局お話だと、この計算の基礎は大体被保險者七十万人が基準になつておるわけですか。
  54. 齋藤邦吉

    政府委員齋藤邦吉君) さようでございます。
  55. 堀木鎌三

    堀木鎌三君 現在の登録者は大体四十万人という、ちよつとおかしいのですが、この七十万人……。登録失業者が四十万人であるに拘わらず大体被保險者を七十万人くらいにお見込なつ基礎はどういうところにあるのでございますか。
  56. 齋藤邦吉

    政府委員齋藤邦吉君) 登録労働者四十万人と申しましたが、これは安定所の窓口に登録した者でございます。御承知のように日雇失業保險の適用事業に勤めるところの者がすべて適用を受けるのでありまして、安定所を利用しておらない者、そういう者も当然日雇失業保險の適用を受けるのでありますので、その関係におきまして現在安定所登録しておる者は四十万人であるが、安定所を利用しないで働いておる者もありますので、一応七十万と、こういうふうに考えておる次第であります。
  57. 堀木鎌三

    堀木鎌三君 重ねてお尋ねいたしますが、今後何と申しますか段々登録するようになつて参る傾向が多いのでしようから、登録労働者も多くなつて参りましようが、今後私共の考え方としては今おつしやいましたように、登録労働者以外に段々この日雇失業保險の適用を受ける者が多くなるのじやないかという考え方に立つて、この保險制度を見なくちやならんと思うのですが、過去の統計からはどうなつておりましようか。
  58. 齋藤邦吉

    政府委員齋藤邦吉君) 日雇失業保險保險料徴収の面から見て参りますと、被保險者の数はそう急激に殖えていないような状態でございます。大体におきまして、今の情勢では七十万程度以上にはならないと私共は考えております。それから安定所の方の登録労働者と申しますのは、勿論これは日雇失業保險にも関係あることでありますが、安定所登録して御承知一般公共事業に働かして呉れとか、或いは失業対策事業に働かして呉れというふうなものは、いわゆる登録労働者というものになつておるのでございます。そうしてこの登録労働者の数は、成る程昨年以来徐々に殖えて参つておりますが、将来の趨勢につきましては先程大臣からもお答えがありましたように、或いは殖えるかも知れんという気はしますけれども、そう急激に殖えるとも言えないのじやないか、こういうふうに事務的にも私共考えておる次第であります。
  59. 堀木鎌三

    堀木鎌三君 もう一つ承わりますが、受給者が一月に一万五千人で五月に四万人になつておりますが、これは原委員から御要求になりました資料が出て参りましたら、又検討して御質問いたしたいと思いますが、これは受給者が急激に殖えましたのは、失業保險制度に慣れたためにこれだけ急激に殖えて参つた。実質的に受給を受ける人間が殖えて参つただけでなしに、参つたことは別にいたしまして、この失業保險制度を利用することに慣れて、その権利に頼る人が多くなつた、こういうことだと思つていいのですか。
  60. 齋藤邦吉

    政府委員齋藤邦吉君) 失業保險金給付が一日以降殖えて参りましたのは、只今意見がありましたように失業保險制度が徹底して来たということが一つ理由であることは確かだと思つておりますが、その他に一般日雇労働者就労状況によつて資格のついて来る者が多くなつて来ているということが一つの面だと思つております。即ち本年一月二月非常に少なかつたというのは、当然昨年十一月十二月の就労状況が悪かつたために資格が付かない、それが御承知の本年一月以降失業対策事業を大幅に拡張いたしましたり、或いは第一四半期におきまして公共事業費の予備費が通つたりしたというようなことから、日雇労働者就労状況がよくなつて来て、それによつて給與が殖えて来たということの理由によるかと思つております。併しながらさればといつて現在のそういうふうに給付が殖えて参りましても、一般の就労日数は又四月以降の状況といたしますと又悪化して来ているということで、この資格要件を更に緩和して行かないと、資格の付く者の数が非常に少くなるのではないか、というところから今回の改正法律案になつたのでございます。
  61. 赤松常子

    委員長赤松常子君) 外にこの法案に対して御質疑ございませんでしようか。別に御質疑もないようでございますから、この法案に関しては……。
  62. 原虎一

    原虎一君 この法案にあるのです、労働大臣に対しての今日の質問は……。
  63. 赤松常子

    委員長赤松常子君) 本日はこの程度で終りまして、次回にお譲りしたいと思います。
  64. 堀木鎌三

    堀木鎌三君 今原委員の御要求になりました資料はいつまでに頂戴できましようか。
  65. 齋藤邦吉

    政府委員齋藤邦吉君) 一両日中に、できるだけ早く提出します。
  66. 赤松常子

    委員長赤松常子君) では一両日中にお出し願うことにいたしましよう。本法案については、本日はこの程度にいたします。   —————————————
  67. 赤松常子

    委員長赤松常子君) 本日の委員会には保利労働大臣初め、各局長の方々がお揃いでございますから、いろいろ皆さんから御質問を願いたいと思います。
  68. 原虎一

    原虎一君 私は今日二つ労働大臣にお伺いしたいと思うのです。具体的な問題ですが、先般の本会議におきまして、確か共産党の細川君が質問したと思いますが、某安定所におきまして職を求めて来た婦人を職員が負傷せしめたという、これは細川君の質問です。これに対して労働大臣は、職員が負傷した事実はあるが、職を求めに来た労働者に負傷せしめた覚えはないという御答弁であつたと記憶いたします。それではそういうことがいつどこの安定所でどういう人間に行われましたか、その事実を御説明願いたいと思います。    〔政府委員齋藤邦吉君発言の許可を求む〕
  69. 原虎一

    原虎一君 いや私は大臣にお聞きしているんです。
  70. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 事例は五反田の職業安定所のできごとであつたようでございます。こちらの方に報告して参つておりますところによりますと、詳しく申上げますと、六月二十六日の午前七時、労働者約一千六百名が集合したが、組合幹部はアジ・ビラ、マイクによるアジ演説等により労働者を煽動し、青年行動隊を出して、紹介を受けようとする者を威圧したので、安定所側の再三の指示にも拘わらず、紹介を受け現場に行つた者は百三十六名で、他の千四百名程は道路上に坐り込んだ。そこで午前八時頃紹介中止を掲示した。ところが組合代表は輪番紹介反対、完全就労を要求して所長に交渉しました。けれども所長はこれを拒否した。組合側は以後執拗に交渉を続けましたが、十二時になりますと、約百名の人々が安定所内に乱入して退去命令にも応じないので、警官一個中隊程が出動して所外に押出した。所外に押出された労働者は警官隊と対峙したまま道路上に坐り込んだ。午後二時頃再び組合側は代表を出して同様の要求をして交渉を繰返しましたが、解決しないまま四時三十分頃となつて、安定所の労働課長から交渉の打切を申渡した。労働者代表は退去命令に応ぜず、却つて青年行動隊を先頭に所内に侵入し、事態が非常に悪化して参りまして、午後五時十分頃警官隊四個中隊が出動して労働者を所外に押出した。この間におけるできごとでございまして、今私は具体的に名前は報告を受けておりませんが、この数次に亘る……六月二十六日の午前から夕方に至る数次の揉合いのうちに安定所の職員が殴打暴行を受けた。而も御指摘の細川議員が言われました御婦人の方が安定所員によつて傷害を受けたということは、揉合われるうちにその群集の中に混じられてそういう怪我をされたか、そういう事態が起きたことであろうと、こういうことを申した次第でございます。
  71. 原虎一

    原虎一君 本会議の御答弁と今日のは幾らか違つております。私はそれを敢て問題にしようという考えはないのです。あのときの答弁は明らかに、私が記憶しておるところによりますと、職員は負傷したけれども求職者に負傷さした覚えはないということを確かに言明されております。
  72. 保利茂

    国務大臣保利茂君) その通りです。
  73. 原虎一

    原虎一君 今日は、そういう押し合いへし合いがあつた間に或いは求職者に負傷があつたかも知れんという御答弁に変つておりますが、これはいずれにいたしましても、根本の問題はその押し合いへし合いによるものではないと思います。私はなぜお聽きしておるかと申しますれば、こういう事柄について、こういう事態に際して保利労働大臣は如何にして対処して行かれるというお考えであるか、この問題をお聽きしておるわけであります。
  74. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 私は就任いたしまして一番頭にぴんと参りましたのは、正直に申しまして、職安闘争を通じて見られます日雇労働者の処置を国としてどう扱つて行くかということに最も頭を悩したつもりであります。考え方といたしましては、これは相当日本の経済上、社会上の大きな欠陥がこの面に強く皺寄せされて来ておる。そこで政府と申しますか、国民の力の及ぶ限りこれらの方々に救済措置をとらなければならない。これは私は国としても又国民としてもこれらの方々に対する責任上やらなければならんと思う。併しながらそのために私は全国の日雇労務者、特に職業安定所に参られる日雇労務者の就労日数を如何に改善して行くか、どうしても失業保險においてカバーし得る限度までこの就労状況改善して行かなければならない責任があろう。ただこの最も社会の弱点と申しますか、ここに一部真に失業に苦しんでおられる方々に職を與え、生活の資料を與えるという、純粋の失業者を救済するという意図から脱しまして、これらの方々……、集団を利用して他の政治的意図を達しようとする方々が、少数ではありますけれども……、相当各安定所の秩序が乱れておるのは、私はそこにも一つの原因がある。これに対しましては、私はやはり生活に窮迫せられておる多数の日雇労務者のためにも、この秩序回復にはみんなが協力して、そういうことが行われないように政府として或る程度の措置をしなければならん。これは即ち私は公共の福祉を守つて行くゆえんではないかと、考え方としては私はそう思う。従つて先ず政府としては、できるだけの処置はしなければならん。国民の負担の限度までとにかく十分の責任を果しつつ、而も就労秩序を他の意図を以て乱すような者に対しては、適当にこれは処置するのが多数の日雇労務者利益を守るゆえんである、かように考えております。
  75. 原虎一

    原虎一君 失業問題につきましては、尚次の機会もあろうと思いますので、本日は時間の関係がありますので、次の問題をお伺いしてみたいと思います。と申しますのは、先般本参議院の運営委員会におきましても、委員長懇談会を開かれました際、本臨時国会中に政府側から提出されておる法律案というものを一応官房長官から示されたその中に労働委員会関係といたしまして、本日議題になつておりました失業保險法の一部を改正する法律案、いま一つは国等を相手方とする契約における條項のうち労働條件に係るものを定めることを目的とする法律案という非常にややこしい法律案があります。これは本国会中にお出しになり得るかどうか。それからお出しになるとすればその内容について一応御説明をお聞きしたいと思います。
  76. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 只今御指摘の法律案につきましては、こちらにお出しするというようになつておつたのですが。
  77. 原虎一

    原虎一君 大体出す予定であると言われておつたと思います。又政府としても、官房長官としても出したいのであると言われておりました。
  78. 保利茂

    国務大臣保利茂君) お話通り労働省といたしましては、できるだけ今国会に提出いたしたいという考えを以ちまして、内閣を始め関係当局と事務的の折衝を続けておりますが、間に合いましたならば提出いたしたいと存じまするが、まだ事務的な折衝が完了いたしませんので提出いたしますとも提出いたさないとも今日のところ言明いたしかねます。間に合いましたら提出いたしたいという考えであります。
  79. 原虎一

    原虎一君 そういたしますと御意思の通り準備されて関係方面と折衝されておることと思いまするが、大体政府を相手とする公共事業、或いは進駐軍労務、こういう関係一般職種別賃金というようなものを現状を変更しないというお考えであるかどうか、この点をお伺いしたいと思います。
  80. 保利茂

    国務大臣保利茂君) その法律案を提出いたしました場合におきましても、職種別賃金を変更する必要はないように考えております。
  81. 原虎一

    原虎一君 そういたしますと、結局関係方面との折衝の結果が分るのは、今その折衝の過程でありますから、凡そいつ頃までには折衝が終るかという問題は見通しはついていないのですか。
  82. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 怠慢と思いますが、実は事務当局の方に当らせておりまして、まだ最近の状況は伺つておりません。
  83. 原虎一

    原虎一君 大臣関係事項としてはまあ御尤もだと思いますが、事務当局の方から一応御答弁を願いたいと思います。
  84. 富樫総一

    説明員(富樫総一君) これは基準局長が主管でございますが、私共事務的に何しておるところによりますと、今尚関係方面との折衝も、終る予定日というものを言明することは非常にむずかしいというふうに承知しております。
  85. 原虎一

    原虎一君 それではその問題は又次の機会にいたしまして、今日はこの程度にいたしますが、先程失業問題に関連いたしましていわゆる五反田の安定所に起きた問題を打切りましたけれども、今又一つ大臣のお考えを伺い、尚将来の御方針を伺いたいと思いますのは、日雇労働者失業対策ということは重要だというお考えはよく分りましたが、吉田内閣のいわゆる労働政策というものは、失礼でありますけれども私に言わせますれば、過去三年間経験しましただけでも、抑えて行く、彈圧するということが主で、言葉の上におきましてはやはり民主的労働組合の助成発達を願うのだということは、総理も数回本会議等で言つておりますけれども、なされることはやはり彈圧して行けばいいのだ、こういうこと以外にとれない。例えばベースの改訂にいたしましても、これは大きな労働問題でありますが、本日の本会議の質問におきましても、ベースを改訂しない、而も参議院選挙の投票数日前にはベースの改訂もやるというようなことを言われた、選挙が済んで多数をとられると今度はやらない。そういう極端に申しますれば欺瞞的なことをやられて、その反面警察予備隊を作るために数百億円の金を使う。これは必要でありましよう。国際情勢から考えましても、国内におきますいずれから考えましても必要でありましよう。併し鎭圧の道具だけに金を使つておいて、失業防止、失業対策というものは言葉の上だけでなさつてつたのでは、これは私は国を憂うる者のとる施策でないと思う。五反田の問題にいたしましても、これは私は殊に大臣にお考え願いたい点は、第一はやはり日雇労務者の貰う日給も少い、それからあぶれがある、そういう点から今日は、東京は御承知と思いますが、二百四十円、一日働いて二百四十円程度、それで尚税金を取られる。税金を取らないようにしてくれという陳情が昨年の暮までありました。税金を取られておりますが、こういう状態で而もあぶれがある。でありますからあなたの言われますように一部煽動する者があつて、それに乗り易いような状態において、一方警察予備隊を作つて見たところで、これは爆薬を一方で製造しながら、その爆薬を抑える方法考えないと同じことになると思うのであります。今一つ安定所の職員が少いのです。これは、私は埼玉県の大宮ですが、大宮の安定所に行きましても、とにかく安定所日雇労務関係になり手がないというくらいで、寝る間がないくらいにやらなければならん。これは直接全く失業対策の最前線におる人達であります。薄給で、而も長時間やつて、決して超過勤務手当を十分に貰つていない、而も身が危い、怪我をするというような、場合によれば片目を潰されるかも知れないというような状態において、やれやれと言つてもこれは無理なんです。こういう点がやはり前労働大臣当時から我々問題にしておりますけれども解決しておりません。少くともこの臨時国会中に私は解決すべきであるとは言いませんが、次の補正予算が行われる臨時国会並びに通常国会には、相当保利大臣の手腕に俟つところが多い。殊に今日からこの点をお願いいたして置きたいと思います。これを以て私の質問を終ります。
  86. 堀木鎌三

    堀木鎌三君 大臣も御就任になつてから極く間もないことでありますから、余り細かいことには入りませんで、お考えの方向だけをお聽きいたしたい。私不思議に思いますことは、今原委員からお話しになりました国家公務員の給與ベースの問題が、率直に申しますと、人事院総裁と大蔵大臣とがあたかも担当の大臣であつて、それに責任があるがごとき傾向が見えるのであります。国家公務員の給與問題というものは、民間の給與その他とやはり均衡がありまして、労働大臣としては一定考えを以ちまして、内閣全体についての所管大臣としての御意見、御指導があつて然るべきものじやないかと思うのであります。そういう観点から見まするときに、何と申しますか、労働大臣の率直な御意見をお聽かせ願いたいと思います。こういうふうに国家公務員の給與水準を人事院が昨年の暮に勧告いたしまして、最近又総選挙の前におきまして、内閣として新らしく国家公務員の給與についても考慮するというお考えが進んで参りましたときに、若しも国家公務員の給與が民間の給與に比して少いとお考えになりますれば、一日も早くこれが実現の御努力をなさるべきである。こういうふうに考えるのでありますが、殊に国家全体の予算から見まして、手数百億に近いところの債務償還が本年度の予算では行われる。そうして大蔵大臣は来年度からは責務償還をしなくなる、止めるつもりである。こういうふうに言つておるのでありますが、何も一遍に、二十五年度までは債務償還に多額の経費を盛つて、来年度から全部止めてしまう。それは減税に当てるか、その他給與財源に当てるかというふうな考え方ならば、若しも国家公務員の給與が現在他の産業の給與に比して低いとお思いになれば、そう断層的に物事をお考えにならないで、もう少し段階的に、実情に即して、そうしておやりになることがいいとお考えになりませんでしようか、どうでしようか。私は全体から見まして、国家経済の全体のバランスから見まして、そういう点につきまして新労働大臣が如何なる方向にお考えになるか。こういうことをお伺いいたしたい、こう思うのであります。これが第一点であります。  それから第二点としてお伺いいたしますことは、私最近まで公共企業体の仲裁委員をいたしておりまして、この点についでは私自身も仲裁委員の一人として責任があるわけであります。仲裁委員会制度、公共企業体労働関係法なるものができまして、そうして公共企業体労働者、労働関係を律するああいう制度が設けられまして、そうして現在あの第二次国鉄裁定におきまして、八千二百円の基準賃金というものが出ておるわけであります。今あの八千二百円を現在の一般全国工業労働者の平均賃金八千四五百円に比べますと、労働大臣としましても、統計上これは低いということは、実質的にお考えになり得るだろうと思います。そういうふうなことを考えますと、実質的に低い。そうして国有鉄道なる公共企業体の財政状態は、二十四年度と比較いたしまして、余程改善の跡が見えております。現に、これも国家の予算と同じような考え方でございますが、ともかくも本年度におきましては百五十億からの益金が出て参りまして、この益金が資本的な支出に全部当てられるにも拘わらず、従事員諸君の給與、待遇は従来と同じであるというふうな状態になつておりますので、二十四年度の予算に比較いたしますと、損益勘定において赤字を出しておりまして、そうして資本的な支出は百五十億の見返資金だけでやつてつた。こういうふうな状況でありまして、著しく経理状態が改善の状態にある。で、支拂能力がないとは言い得ない状態でありますから、これらに対する問題につきまして、新らしい観点から解決に御努力なさろうとする御意思がございましようか、どうでございましようか、この点について第二点としてお聽きいたしたい、こう思うのであります。細かいことをこの際申上げないで、大体の傾向的なものについて、大臣としての御所見をお伺いいたしたい、こう思つております。
  87. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 国家公務員の給與ベースの問題に関しまして、これは今度のこの国会で総理大臣が施政方針を明らかにせられました、そこでも強調いたされておりまするように、国家公務員の給與ベースを改善するために、今日までいわゆる健全財政の線をあらゆる面に施しまして、財政的な余力が生じて来たのではないか、自由党は元来給與ベースの改善を図るためには、その図る基礎的な條件を整えた上で給與ベースの改善を図りたい、こういうことで進んで来ておつたのでございまして、これはまあ内輪を率直に申しますと、私は、或る程度の財政余力はそこに生じて来ておる、そうしてできれば速かに給與ベースの改訂を図りたい、これは今日も総理大臣を始め内閣においても全くその通り考えておるところでございまして、私も関係の一員といたしまして、できるだけ御趣意の線に沿いまして、努力をいたすつもりでおります。  第二点の国鉄裁定の問題につきましては、実はまだ恐らく堀木委員の御満足を得るような、私はお答えはでき得ないと正直に思つております。これは一つ他の機会に讓らせて頂きたいと思います。
  88. 堀木鎌三

    堀木鎌三君 第三点は、この次まで御研究の上の事柄にいたしてよいのでございますが、第一点の問題について、まあ率直に申上げますと、今の新聞の伝うるところによりますると、秋頃臨時国会が開かれまして、その時にお出しになるか、遅くとも来年の一月からは行われるかというふうなことが言われておるわけなんであります。私率直に申しますると、ここ一二ケ月なり、或いは四五ケ月の間に、今おつしやるような財政的な余裕の見通しというものが変り得るものではなくして、すでにもう見当がついておる筈だ、私はそう思うのでございます。何故ならば私自身が、ここで余計な予算の配分をいたしてもよいわけでありますが、そういうことは別にいたしましても、ついておる筈であつて、まあそれを選挙中にお話なつた以上は、もう今から大体の事柄をはつきりお立てになるべきではないか。又場合によればすでに現存においても、財源的に見ましても、どの程度はできるということがはつきりして参つておる筈だと思うのでございますが、それらの点について、もう少し率直にお話が願えないか。或いは政策が実施の運びに至り得るように、果敢にここで以て御言明が願えないだろうか、こういうことを私御答弁として要求しておるわけでございます。
  89. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 予算措置を講ずる必要が無論ございますわけで、これは主管の大蔵大臣が非常に心配しておられる点であると思うのであります。恐らく大蔵大臣としても、来年一月を待たず、できるだけ速かに予算措置を講じたいという気持を持つて、又総理大臣もそのお気持を持つてこれに対処しておられると存じますが、どの程度の財政上の余裕があり、いつこれを行うのかと申しますことは、私は申上げる立場ではないように存じます。御賢察を願いたいと思います。
  90. 堀木鎌三

    堀木鎌三君 どうも御追及申上げるのは失礼な気持もいたしますが、実は予算の検討が済んでから労働問題が決まると申しますよりも、労働大臣としては、大体こうなくちやいけないというお考えに立つて、予算的措置がどの程度講ぜられるかどうかということを、大蔵大臣に……、私に率直に言わせればいろいろと施策をやつてつて、或る程度余裕ができた、だから労働者の待遇を向上しようというお考えでなしに、労働大臣としては、実際に民間の他の産業と比べて均衡を失しておるとお考えになりまして、どの程度までは実は上げなければならん、それに対して予算的措置がどうあるかという観点に立つて、ひとり財政の切盛りをいたしております大蔵大臣に……、大蔵大臣は何と申しますか、予算の切盛りをして、余つた労働者の賃金を上げるということになり易いところの大蔵大臣に御依存なさらないで、労働者の権利をお守りになるところの主管大臣労働大臣といたしまして、ここで率直に公務員の給與の低いこと、その実施を、單純な予算的措置の結果に待たないで、御解決になる御決意の程が願わしいと、こう思つて申上げておるのでありますので、無論事務的な予算の調整その他もございましようが、労働大臣として今度御就任になりましてその点について今申上げました観点から是非御解決を図つて頂きたいと思いますし、同時に現存の公務員の給與水準が低いとお考えになることを再確認をして頂ければ結構だと、こう思うのであります。
  91. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 大体御趣旨のように私も考えておりまして、私の責任におきましても善処いたしたいと考えております。
  92. 赤松常子

    委員長赤松常子君) 外に御質問は……。
  93. 堀木鎌三

    堀木鎌三君 今日はこのくらいにしておきます。
  94. 赤松常子

    委員長赤松常子君) それでは別に質疑もございませんようですから、本日はこれで散会いたします。    午後三時七分散会  出席者は左の通り。    委員長     赤松 常子君    理事      一松 政二君            原  虎一君            波多野林一君    委員            城  義臣君            中村 正雄君            鈴木 強平君            堀木 鎌三君   国務大臣    労 働 大 臣 保利  茂君   政府委員    労働政務次官  山村新治郎君    労働省労政局長 賀來才二郎君    労働省職業安定    局長      齋藤 邦吉君   事務局側    常任委員会専門    員       磯部  巖君    主     事    (委員部第二課    勤務)     長崎 経男君   説明員    労働大臣官房総    務課長     富樫 総一君