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1950-07-15 第8回国会 参議院 本会議 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年七月十五日(土曜日)  午前十時八分開議     —————————————  議事日程 第三号   昭和二十五年七月十五日    午前十時開議  第一 国務大臣演説に関する件  (第二日)     ━━━━━━━━━━━━━
  2. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 諸般の報告は朗読を省略いたします。     ————————————— 去る十二日委員長から左の報告書提出した。  社会保障制度に関する調査報告書 昨十四日議長は、左の内閣提出案文部委員会に付託した。  昭和二十五年における教育委員会委員定例選挙の期日の特例等に関する法律案 同日左の質問主意書内閣に転送した。  生松脂採取の促進に関する質問主意書三好始提出) 同日議長において、左の常任委員の辞任を許可した。  法務委員   木村 守江君  文部委員   左藤 義詮君 同日議長において、常任委員の補欠を左の通り指名した。  法務委員   左藤 義詮君  文部委員   木村 守江君     ─────・─────
  3. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) これより本日の会議を開きます。  日程第一、国務大臣演説に関する件。  昨日の国務大臣演説に対し、これより順次質疑を許可いたします。岡田宗司君。   [岡田宗司君登壇、拍手
  4. 岡田宗司

    岡田宗司君 社会党を代表いたしまして、昨日の吉田首相施政方針に対しまして質問をいたします。  去る六月二十五日朝鮮に勃発しました事件は、国際関係に重大な影響を及ぼしておるのであります。我が国はこの動乱の朝鮮と僅か海峡一つを隔てておるだけでありまして、たとえ今日占領下にあり、未だ正常な国際関係に立ち戻つていないにいたしましても、かように地理的に接近しているということからいたしまして、あらゆる面におきまして非常に大きな影響を受けざるを得ないのであります。  そこで先ず吉田外務大臣に対しまして、この事件がどういうふうに発展して行くか、それが日本国際的地位講和の問題、国内政治経済に如何なる影響を及ぼすか、又連合国なかんずくアメリカ日本占領政策がどういうふうにこれによつて変化するであろうか、それらの見通しについてお伺いしたいのであります。  更に周東安本長官に対しましては、この事件が日本経済即ち日本の産業、貿易、海運、外貨予算等に及ぼす影響につきまして、現在お分りになつておるところを詳細にお承わりしたいのであります。  次に私は吉田外相講和の問題についてお伺いしたい。昨秋来講和の問題がやかましく論議され、特に六月にはアメリカのダレス氏の来朝等がありまして、講和会談の開催近しという感じを国民が誰しも抱くようになつております。講和に関する論議も一層盛んになつて参つたのであります。たまたま勃発しました朝鮮の戦乱によりまして、講和が遅れるか、或いは早くなるか、今のところいずれとも見通しが付かない状況にあるのでありますが、この戰乱を背景に、いわゆる單独講和論が一層声を大にして叫ばれるようになつて来ておるのであります。吉田首相は今日早期講和という名前にすり替えておられるのでありますが、首相も又このいわゆる單独講和論の急先鋒であるように私共には見受けられるのであります。(「その通り」と呼ぶ者あり)いわゆる單独講和論者の言うところを要約して見ますと、韓国のような状態に陥らないためには、連合国全体との講和なんて言つておられない、一日も早く米英側講和條約を締結して、その実力によつて日本の安全を保障して貰いたいということに要約されるのであります。そして社会党の唱える全面講和論のごときは單なる理想論であり、空念仏であると言つて首相のごときは先頭に立つて罵倒の言葉を浴せておるのであります。それなら、首相初めいわゆる單独講和論者の唱える一辺倒外交政策で、両陣営接触線上にある日本の独立と平和とが恒久的に保障されることになるのでありましようか。今回の朝鮮の動乱は、みずから守る力のない国が二つの相争う陣営の或る一方に属し、一方の陣営安全保障にのみ頼つていることが、その国の独立と平和にとつて如何に危險なものであるかということを、むしろはつきり示したものに他ならないのであります。(拍手)両陣営の間に挟まれておる日本といたしましては、両側より安全を保障されて初めてその独立の地位を維持して行けるのでありまして、みずから進んで一辺倒政策を主張するということは、外の側より深き疑惑を受け、それこそ事あるときには重大な危險を招く虞れが多分にあるのであります。(拍手日本米英ソ中国を含む連合国に降伏したのであります。連合国側における対立の結果、講和会議の開催が遅れているということが事実でありましようとも、いずれの側の国も公式的に一方の陣営に属する国々のみが日本講和すべきであるという見解を明らかにしておらない今日、降伏せる国の政府当局者がみずから進んで一方の陣営に属する国々との講和を唱えるがごときは、軽率も甚だしいと言わざるを得ません。(拍手)又日本は将来国際社会に復帰した場合、速かに世界平和の機構としての国連へ参加し、その安全保障を受けることを念願しておるのでありまして、将来国連への参加を不可能ならしめる單独講和論首相兼外相みずから率先して唱えるがごときは、日本の将来に暗影を投ずるものと言わざるを得ないのであります。いわゆる單独講和はイージーゴーイングな道であります。併し今イージーゴーイングの道をとることは、将来も坦々たる道を進み得ることを意味するものではない。このことをよくお考えになつて頂きたいのであります。  朝鮮戰乱が起りましてから、国民の一部には不心得にも義勇兵として進んで戰争に参加し、又この戰乱を利用して私利を図ろうとする者、或いは積極的に介入して日本の地位の回復を図るべしと唱える者も出ておるのであります。又他方にはアメリカ及び国連の態度を帝国主義的侵略なりとして反米闘争国内に展開しようとしている者もあるのであります。国民のうちにかかる考え方が生じ、それが拡がつて行くということは、みずから戰争に飛び込む下地を作るものでありまして、日本の平和、世界の平和にとり極めて危險なことであります。かかる考え方はいずれも国民みずからの手によつて速かに克服しなければならないのであります。スイスが中世以来戦争に巻き込まれず、中立を維持して来ているゆえんのものは、その地理的地位や強国の力の均整ということだけではないのであります。スイス国民みずからが戰火に巻き込まれまいとしてなして参りましたところの並々ならぬ努力とその心構えによるとことが多いのであります。我が日本社会党が今全面講和を唱え、平和運動を推進せんとしているゆえんのものは、少数の冒險者達危險考え方や行動によつて国民全体が不幸なる戰争に巻き込まれる素因の作られることを防止しなければならんと考えておるからなのであります。(拍手)我々は世界における二大陣営の対立の激化の結果、人類を破滅に導く第三次世界戰争がやがて起るであろうということを宿命的に諦らめておるわけには行かないのであります。戰争の危機が高まるに連れまして、全世界の良識ある人々の間には更に強力に平和運動が進められて参るでありましよう。我々も又日本の平和、世界の平和を推し進めて行くために、今こそ全世界平和運動の一環として我々も又真劍な運動を展開しなければならないと確信しておるものであります。(拍手)然るに朝鮮における戰乱の勃発後、岡崎官房長官は、進んで韓国を支持すべしというがごとき談話を発表し、首相又同じような考え方を発表しておるのであります。これは戰乱への介入に向つて国民の心理を煽る作用を持つものでありまして、危險且つ不謹慎な態度であると言わなければなりません。国連の決定を支持する国々でさえ、インドを初めその行動は極めて慎重であるとき、占領下にある日本政府戰乱への介入に拍車をかけるがごとき態度をとることは断じてなすべきことではないのであります。(拍手、「そうだ」と呼ぶ者あり)  そこで私は吉田首相より改めて詳しく朝鮮戰乱に対する我が国の立場についてお伺いしたのであります。  占領以来すでに満五年を経ている今日の段階におきましては、被占領国である日本も又漸次政治経済の面におきまして自主性を回復して行くことが必要であると思うのであります。日本連合国、特にアメリカの至れり盡せりの指導と援助によりまして、今日の状態まで漕ぎ付けて参つたのでありますが、日本民主主義国家としての発展、経済的自立のためには、占領政策という大枠の下におきましても、政治経済の面においてもつともつと自主性が與えられなければならんのでありまして、その方が占領目的達成の上にもより効果的であろうと思われるのであります。西ドイツの場合を見ましても日本より遥かに自主性を認められておるのでありまして、而もこのことは連合国占領政策と何ら相反するところはないのであります。日本といたしましては、諸制度が民主的に改編されるに連れまして、又経済力の発展の度合に応じまして、国内政治、産業、貿易、海運、国際金融等における自主性の回復を、政府占領軍当局に対して進んで要請し、これが実現を期すべき段階にあると信ずるのであります。政府は、政治経済自主性の回復につきまして、今、如何なるお考えを持ち、又如何なる方策を以てこれを進められようとしておるか、その点についてお伺いしたいのであります。  次に吉田首相にお伺いしたいのは超党派外交についてであります。吉田首相は、講和問題に対処する一つの方針といたしまして、最近俄かに超党派外交を唱えられ、御自身も民主党の芦田氏に会う等、大いに努められておるのであります。超党派外交ということにつきましては、我々は慎重に考えて見なければならないのであります。先ず、外交に対する国民の輿論が一つに帰する場合におきましては、相争う政党の間にいわゆる超党派外交が容易に成立するのでありまして、国論の帰一を見ない場合には、かかるものは決して成立しないのであります。首相が今考えておられる超党派外交とは何であるか。首相及び與党の見解なり方針なりに合致しない他の会派、党派の見解、方針を、自分達のそれに従わせ、異論を封じまして、而も責任だけを分担させようという極めて老獪な考え方に外ならぬのであります。(拍手)そればかりではない。これを道具に使いまして他党との連携を図り、内政上の争いの問題につきましても反対なり異論なりを封じ、以て漸く国民から見離されようとしておる自由党政権維持強化を図ろうという一石二鳥の効果を狙つておるものと見受けられるのであります。(拍手)たとえ無条件降伏をいたしたにいたしましても、日本国民講和問題に関して、政府の方針なり、やり方なりを批判する自由はこれを有しておるのであります。又講和の成立が、日本の置かれている地位、国内政治経済に及ぼす影響について、見解を異にする者のあることも当然のことであります。今政府超党派外交を唱えて、政府及び與党と講和問題について、又それから生ずる結果の見直しについて、別の見解に立つ我が党に政府見解を押し付け、責任を分担させようとお考えになりましても、これは決して成功する企てではないのであります。講和問題に対しては慎重であるべき首相が、選挙前に俄かに單独講和論を唱え、これを政争の具に供し、講和に関する国論を沸騰させて置きながら、今又突如として超党派外交を唱えるとは一体何事でありましようか。(拍手)我が党といたしましては、講和問題については、国会外務委員会におきまして吉田首相兼外相の御出席を願いまして、そこで堂々と論議いたしまして、国会の決するところに従う決意を持つておるものであります。吉田首相は如何なる動機なり或いは理由なりに基きまして超党派外交なる構想を持たれるに至つたのであるか、又社会党を抜きにして、民主党とだけでもこれを実現したいおつもりであるかどうか、お伺いしたいのであります。  次に本国会の開かれました最大眼目である地方税の問題について岡野国務大臣にお尋ねしたいのであります。  このたび提出されました地方税法案を見ますと、附加価値税一年延期と固定資産税の税率の〇・五%引下げだけで、実質的には前国会に提出されたものと殆んど変りはなく、税額におきましては、あの案よりも少しも軽減されておらないのであります。この修正は全く羊頭を掲げて狗肉を売るものであり、前国会におきまして愼重審議した結果、地法税法案を否決いたしました参議院を、全く小馬鹿にした態度と言わなければなりません。(拍手)又首相は、第七国会において地法税法が成立しなかつたために地方財政が非常に困つた、これを参議院のせいにして非難しておるのでありますが、あんな国民の背負い切れないような税を課そうとしたから、我々は憲法の命ずるところに従つてこの悪税法を否決をしたまででありまして、責任はむしろかかるものを提出いたしました政府にあると言わなければなりません。(拍手)  第一に、一体附加価値税の実施を延期したのは、この税が欠陥が多いから延期して置いて、その間に再検討して修正するか外のものに代えようというのでありましようか、或いはそれとも今回参議院を通すための便宜手段としてそうしたものであるか、それを先ずお伺いしたいのであります。  第二に、四—七月に地法税が徴収されなかつたことのしわが八月以降に寄せられることになり、国民はそのために更に重い負担に悩まされなければならんのでありますが、政府はこれを緩和する方策を考えておられるかどうか、その点をお伺いしたいのであります。  第三に、地法税は増額されて参りますが、国税、地法税を通じて見れば負担の軽減になるというのが首相の御説明であります。これは併しながら机上の計算に過ぎないのでありまして、地方、特に農山漁村等は、固定資産税住民税が非常にこたえて参るのでありまして、恐らくこの方面におきましては徴収困難の面が生じ、住民と自治体との間の対立が激しくなつて参りまして、町村長等の辞職というようなことが頻発すると考えられるのであります。政府はこの対策をどう考えておられますか。要するにこの重税を課す前に、先ず地方民の所得の増加を図り、大体負担に応じ得られるようにして置くべきことが先決問題であつたろうと思うのであります。  さて、この地法税法案が再び参議院におきまして愼重審議の結果、欠陥が多いものとして否決されたといたしましたならば、政府はその際にどうするおつもりでありましようか。政府は今度は大丈夫だと或いは甘く考えておられるかも知れませんが、決して予断は許さないのであります。先の国会でこの重要法案が否決されました場合に、政府は当然辞職すべきものでありました。然るに政府参議院選挙を賭けまして、そのまま居座つてしまったのであります。若し今回も不成立ということになりましたら、一体政府はどうするつもりであるか。即ち総辞職をするのか。衆議院を解散いたしまして民意を問うのでありましようか。政府はその際にどういたしますか。その点について吉田首相にお伺いいたしたいのであります。  次にお伺いしたいのは国家警察増強の問題であります。七月八日、マッカーサー元帥の書簡により、政府は七万五千の国家警察予備隊の設置、海上保安力八千の増員を認められたのであります。国内に六十数万の朝鮮人が在住しまして、而も本国同様深刻な抗争を行つております。又密航、密輸入も跡を絶つておりません。更には今日国内におきましていろいろな破壊活動が行われ、暴力革命への推進が行われておるのであります。かような場合におきまして、政府は治安の維持に万全の措置を講じ、民主主義制度不安動揺をなくなして行くようにしなければならんのであります。今回の警察力の増強は今後の日本治安維持の上に大きな力を発揮するのでありましようが、併し政府が一旦その組織なり或いは運用方法を誤まりますならば、それこそこの警察隊は戰前の特高警察或いはナチス・ドイツのゲシュタポ或いはゲー・ベー・ウーのごとき存在となりまして、日本民主主義国家ではなく、逆に警察国家たらしめる危險を生ずる虞れがあるのであります。特高警察或いは憲兵隊による政治ということのその害毒は、戰時中吉田氏みずから体験されておる筈なのであります。殊にこれが設置に当りまして気を付けなければならないことは、一挙にこの定員を充たそうといたしますと、素質の惡い者がどつと流れ込んだり、又ファッショ分子がこれに潜り込んで参ります。十一日の記者会見吉田首相共産党員の潜入を大いに恐れているのでありますが、首相はこれに気を取られまして、旧軍人、ファッショ分子が大量に入つて、この警察隊を牛耳る可能性も又多いということに気付いておられないようであります。最近起つております別に治安を乱すというようなことのないデモや集会の禁止、労働運動に対する非常識なる取締等を見ておりますと、憲法に定められておる基本的人権の蹂躪と思われる事件さえ起つておるのであります。若しかような国家警察隊が如何わしいファッショ的なる傾向を持つ分子達に握られまして同じようなことをやるといたしましたならば、それこそ日本民主主義は忽ちその存立を危うくせざるを得ないのであります。  更にこの国家警察隊の機構が問題であります。海上保安隊の方は従来のものに附加えるだけで、そう問題はないようでありますが、国家警察隊の方は従来の国家地方警察予備隊として配置するのか、これとは別の組織として政府に直属せしめるかによつて、その性質が非常に違つて来るのであります。現在の警察法によらない、公安委員会指揮監督も受けない別の存在になつて参りますならば、その警察隊最高指揮者達こそ国家最大権力者となり、警察国家支配者となる者がここから生れて参る可能性も非常に多いのであります。これこそ民主主義体制を根本から覆すものである。それ故に民主主義政治原則に基きまして、かかる権力の発生をチェックする方法を設けることこそ、この警察隊設置の際に最も重要なものであることをここに指摘せざるを得ないのであります。  そこで首相並びに関係大臣にお尋ねしたいことは、我々は、新たに増強される国家警察隊国家地方警察予備隊として配属され、警察法公安委員会の下に置かるべきものと思うが、政府の構想は別の組織を作るつもりであるかどうかという点であります。又かかる場合には、先に述べたような権力の発生を阻止する機構をどういうふうにしようとするのか。更に又この増強は一挙に行おうとするのであるかどうか。その訓練と教育とは如何なる精神、如何なる方法を以て行おうとするのか。これは国家警察隊の性格に関する問題でありますが故にはつきりとお答え願いたいのであります。  次に国家警察隊増強に関し、政府は如何なる法的措置財政的措置を講ぜられるかをお伺いしたい。この間マ元帥の書簡が出た後において政府は何とも見解を表明していないし、吉田首相もその演説中にこの点には全然触れていないのであります。ポ勅令によるということが盛んに伝えられておるのでありますが、これをそのような一片の行政措置で片付けてしまうには余りにも重大なる刻下の問題なのであります。只今国会が開かれておるのでありますから、政府は直ちに立法化の措置を講じ、関係法律案国会に提出し、その審議を受くべきであります。又この予算につきましても、元帥書簡一般会計中の債務償還費よりこれを出すべきことが命ぜられておるのであります。併し一旦使用目的の定められた項目を変更するのでありますから、政府財政法の定めるところにより、直ちに補正予算を組みまして、法律案と共に本国会に提出することが当然であると思うのであります。(「その通り」と呼ぶ者あり、拍手政府は本国会警察力増強に関する法律案補正予算案を提出するかどうか、提出するとすればそれはいつ頃になるかをお尋ねしたいのであります。  次に私は天野文相に教員の政治活動禁止の問題についてお伺いしたい。今衆議院自由党が教員の政治活動を禁止する議員提出法律案を出すという計画があると伝えられておるのでありますが、かかることは誠に憲法に定められておる基本的人権を蹂躪するものと言わざるを得ない。(拍手)全国数十万の教員はひとしくこれに憤激しておるのであります。文相は一体教員の政治活動禁止をどういうふうにお考えになつておるか、その点について、はつきりとその見解を披瀝して頂きたいのであります。  次に経済問題につきましてお伺いしたいのであります。吉田首相は、超均衡予算の実施により、物価賃金も一応の安定を見、インフレの危險は去つた、これは正に国民全体が誇るに足る安定計画の成功であると自画自讃しておるのであります。だが日本経済の現実の姿は、安定せる経済であり、デイスインフレの状態であると言えるのでありましようか。実際はデフレション恐慌進行過程にあると言わなければならんのであります。二十五年度予算実施以降の状況を見ましても、幾多の事業の倒壊、整理、縮小が行われ、失業者数は著しく増大し、賃金の不拂い、遅配、切下げが頻発し、商品は売行きを減少し、滞貨は増大をしております。又金融の梗塞、破産の増加、不渡手形激増等、すべてデフレ恐慌深刻化の様相を露呈しておるのであります。かてて加えて農山漁村恐慌状態にあり、国民の大多数は、この不況に、所得の減少、生活水準の低下を強要され、塗炭の苦しみに喘いでいるのであります。而も一方において、自由党財政経済政策により銀行は莫大な利益を挙げ、大資本は着々とこの全体の不況下にその経済支配力を強化して、その指導の下に国民大衆を犠牲にして経済の再編成を行わんとしておるのである。かかる状態国民全体が誇るに足る安定計画の成功と言えるでありましようか。犠牲に供せられる国民の呪詛は、実に独占資本の代理人である吉田内閣の上にかかつているのであります。(「その通り」と呼ぶ者あり)ドッジ・プランの強行によるデフレション進行過程において経済は著しく不安定になり、国民生活不安動揺も増大いたしまして、この政策をもはやこのまま強力に推し進めて行くことのできない限界に達しておるのであります。換言すればドッジ・ラインに基く政府財政経済政策はすでに破綻を示したのでありまして、政府は好むと好まざるとに拘わらず、その口実はともかく、政策の転換を行わなければならん羽目に追込まれておるのであります。池田蔵相が今まで断乎拒否して参りました給與ベ−スの引上げを認めざるを得なくなつたこと、対日援助見返資金よりの債務償還を本年度において未だ行なつておらないこと、来年度には債務償還を行わないということを決めたこと、又輸出金融公庫設置等々一連の計画は、ドッジ・ラインが一角から一角と崩れ去るであろうことを示しておるものと言わざるを得ないのであります。(「その通り」と呼ぶ者あり、拍手)今や政府デフレションの進行による経済不安定を克服するために、ドッジ・ラインを乘越えた新らしい見地に立つ総合的経済政策を樹立しなければならんのであります。その核心は何か。即ち財政投資の思い切つた増加と、それによる有効需要の喚起と雇用量の増大であります。(拍手)この方法によらざればヴァイシャス・サ−クルを断ち切ることはできないのであります。私はかかる見地に立つて、当面緊急に解決しなければならない若干の問題について対策を各大臣にお伺いしたいのであります。  第一は金融梗塞を如何に打開するかという点であります。二十四年度は政府資金の対民間収支を見ますと六百五十二億円の引上げ超過になっており、この引上げ超過によるデフレ的影響金融部面における信用供與によつて中和することが二十四年度の金融政策の狙いであつたのである。然るにこの引上げ超過は二十五年度に入りましても依然として続き、六月三十日に終る第一四半期におけるその額は実に三百十億に及んであるのであります。而も第二四半期におきましては、七月の申告税の徴収、八月の地方税の徴収によりまして、引上げは累加する一方でありますのに、信用供與の方は、五月よりの日銀の貸出引締めによりまして、金融梗塞は第二四半期においていよいよひどくなり、その結果多くの企業の倒壊整理が予想されるのでありますが、先ずこれが緩和につきましての具体的なる方策を池田大蔵大臣より説明せられたいのであります。  第二は見返資金の運用についてであります。本年度予算額千三百三十億、前年度繰越百四十八億、計一千四百七十八億中、六月末までに決定しました運用額は僅か百二十六億円に過ぎない。而も海運の三億二千七百万円、中小企業向けの三億円を除きますれば、公共事業、電力、石炭も、鉄鋼も、化学工業、農林水産も何らそこには投資が行われておらない状態にあるのであります。而も余裕金が三百五十四億もあつて、これが食糧証券の保有に当てられておるという極めて不合理なる状態にあるのであります。これでは折角の対日援助見返資金が有効に使われておるとは言えないのでありまして、この運用の促進は有効需要の喚起、雇用量の増大に大いに役に立つのであります。更に問題の債務償還費五百億を産業投資に振向けることを当局に懇請いたしまして、これが許されるということになりますれば、これ又景気回復に非常な効果を挙げるものと考えられるのであります。政府は見返資金の運用を促進し、又債務償還費を産業投資に振向けるために努力するつもりであるかどうか、その点をお伺いしたいのであります。又預金部資金は本年に入りまして著しく増加しているにも拘わりませず、その運用は地方債の引受け三百七十億円が決まつているだけでありまして、これを鉱工業、農業等にも廻るように運用すべきではないかどうか。これは蔵相のポケツトにある効果あるカンフル注射なのであります。蔵相の力を以てすればこれが使用のできない筈はないのではないかと私共は考える。この点に対しましての池田蔵相見解をお伺いしたいのであります。  次に貿易の問題について関係大臣に二三お伺いしたいのであります。輸出額はほぼ予定通り行つているようでありますが、これだけの金額では現在のデフレーシヨン恐慌を乗切りまして景気回復の大きな梃子とはならんのであります。而もその内容を検討して見ますと、繊維その他軽工業品は割合にいいのでありますが、金属、機械、化学製品等重要なものが比較的不振であるのでありまして、この点は日本の貿易の将来にとつて極めて重大な問題なのであります。政府は当面の対策の一つとして輸出金融公庫の設置を計画しておられるようでありますが、先ずその組織、資金、運用方法、その効果等につきまして、その概要を通産大臣よりお伺いしたいのであります。だが、問題はこの公庫の設置だけでは、解決できません。補給金撤廃後の製品のコスト高が輸出の障害になっているとするならば、政府はこれに対して如何なる方法を講じようとしているのでありますか。又この際一ドル三百六十円の為替レートが障害になつているかどうかを検討する必要はないか。この点についてもお伺いしたいのであります。  次に中小企業対策についてお伺いしたい。中小企業は数において九割、生産額において五割という日本の産業構造上重要な地位を占めておりますが、これがドツジ・ラインの実施以降今までにばたばたと倒れております。そして今後も一層その倒れて行く数は増加して行くと予想されるのであります。恐らくその倒産等のために自殺する者の数も先に池田さんの言われた五人や十人ではなく、五十人、百人、或いはそれ以上になつているものとも思われるのであります。中小企業に活を入れるものは結局景気回復の力でありますが、当面の対策といたしましては、殆んど銀行に相手にされず、金融力のない彼らに、政府が積極的に金融の面倒を見てやることにあると思うのであります。今までの施策では燒石に水でありまして、これから一層必要が痛感されるのであります。そこで政府は預金部資金の運用、見返資金の使用額の増加、政府による損失補償等によりまして、この中小企業に対する金融をなさるおつもりはないかどうか。その点につきまして関係大臣より詳細にお伺いしたいのであります。  次に失業問題につきまして保利労働大臣にお伺いしたいのであります。ドツジ・ラインによる財政経済政策の結果、昨年来失業者の数が月々累増して参りまして、労働省統計によれば四月末において顯在失業者五十万になつているのであります。その後も殖えておりますことは確かでありますから、現在ではその数は恐らく六十万を超えているであろうと推定されるのであります。これに統計面に現われておらない失業者、半失業者を加えますれば、実に厖大なる数に達するのでありまして、この労働者階級の犠牲の増大は吉田内閣の責任に帰せらるべきものと私は考えるのであります。もとより失業者の減少は景気の回復による雇用量の増大が基本的なものでありますが、当面、公共事業、緊急失業対策事業の規模を拡大いたしまして、できるだけ失業者を吸収すること、失業保檢、失業手当を受取る期間の延長、範囲の拡大が当面の急務であります。このために政府の支出が増額されましても止むを得ないのであります。吉田首相は昨日の施政方針演説中において失業対策について若干述べておられるのでありますが、これらの点につきまして詳細な説明を労働大臣にお伺いしたいのであります。  次に公務員の給與ベースの引上げの問題についてお伺いしたいのであります。給與ベースの引上げは各公務員個人の生活の保証という意味で重要なばかりではなく、直接消費購買力を増加させるという意味におきまして、全体経済の景気回復の手段として重要なのであります。首相施政方針演説中給與ベース引上げをやると声明しておられるのでありますが、一体幾ら引上げるのか、いつからそれを実施するのかについては何ら言明されておらないのであります。先ず私は人事院総裁に対してお伺いしたいのであります。先の七千八百八十八円ベースの勧告案は政府に無視されたのでありますが、今度政府に出し抜かれる前に当然新らしい勧告案を出すべきではなかつたのでありましようか。若しその準備があるとするならばこれを速かに出すべきではないかと思う。人事院総裁はその点についてどうお考えになつておるか、これをお承わりしたいのであります。  次に大蔵大臣より、施政方針演説中のベースの引上げというのは人事院の新勧告に従うという意味なのか、或いはそれとは別の金額であるのか、又それをいつから実施するかという点について詳細にお承わりしたいのであります。  次に廣川新農林大臣に(笑声、「しつかりやれよ」と呼ぶ者あり)農業問題に対して若干お伺いしたいのであります。  日本農業はその構造が脆弱であるためにデフレーシヨンの作用を最も強く受け、深刻な恐慌の状態にあり、農民の生活水準は著しく低下せしめられているのであります。今政府が思い切つた農業恐慌対策を講じて、この窮乏に喘ぎ不安におののく農民に援助の手を差延べ、農民の生活の安定を図るならば、その効果は農業のみに止まりませず、日本経済全体にその活力を與え、景気回復を促進することになるのであります。そして、この際最も重要な施策は、農産物価格政策、農村への財政投資国家資金による農村金融の三点にあると思うのであります。  この見地に立つて第一にお伺いしたいことは、食糧管理制度をどうするかという点であります。自由党は先に米麦の供出後の自由販売、米券制度を主張いたしまして、又早く統制を撤廃するということを唱えられているようでありますが、農家経済の安定のためにも、又朝鮮戰乱の長引く場合のことを考え合せましても、政府による食糧買上制度は廃止すべきではないと思うのでありますが、農相の見解はどうであるかお伺いしたい。  第二は農産物価格政策であります。農産物価格が相対的に低く、これが今日の農業所得の減少の主因の一つとなつているのでありまして、これは当然この八月からの肥料価格の値上げその他を勘案いたしまして、相当大幅に引上げなければならんのであります。私の考えでは二十五年度産米は当然石五千五百円以上にしなければならないと思うのであります。今まで政府が買上価格決定の際に使つて参りました価格パリテイの方式が農民にとりましては今日不利でありますので、これを生産費計算にするか、又は所得パリテイの方式をとるかしなければならんのでありますが、農相はこの点についてどうお考えになつておられますか。  第三は農村の金詰りの打開に関する方策についてであります。第一に、農家の窮乏、肥料価格の騰貴、肥料の統制撤廃によりまして、肥料に対する金融が当面重大な問題になつておるのでありますが、それに対処すべき金融対策を具体的にお示し願いたいのであります。第二に、戰前には補助金等の形で農村に相当多額の財政資金が投ぜられていたのでありますが、今日ではそれが非常に減少している。その上、農地改革により土地が担保力を失つたために、長期金融の道が断たれているのであります。零細農家ではなかなか多額の自己資金を蓄積することはできないから、このままでは耕地の拡張、土地改良、灌排水施設その他、金のかかることはできません。このために農業生産力の維持発展ということは極めて困難になつて参るのであります。そこでどうしても政府は農業生産力維持発展のためには、財政投資、見返資金の相当額の使用をやり、又預金部資金等を低利に廻しまして、これを長期資金に当てることが必要であると思われるのでありますが、その点に関する政府のお考えを具体的にお示し願いたいのであります。  第四にお伺いしたいことは、農業協同組合の今日の危機をどうして救うかという問題であります。今日農業協同組合は全面的に危機に瀕していることは御承知の通りである。この原因は経営者が当を得ていなかつたということによる点もありましようが、多くは農村不況の深刻化に基くものであり、又農協に対する政府経済的保護助長政策が今日廃止されていることによるものであります。日本の農業はアメリカの農業とは全く事情を異にしているのでありまして、普通の営業者と同じにこれを取扱うことは農業政策上大きな誤謬であると思うのであります。農協が倒れれば農民の損害は非常に大きいのであります。政府はこの農協の危機を救うために直ちに百億ぐらいの金を農協に融資するつもりはないか。又外に農協対策を持つておられるならば、それを具体的にお示しを願いたいと思います。  第五に、我々は、現在の農地改革は未だ徹底しておらん、地主の保有地なる制度を原則的に解消せしめることを主眼とする第三次農地改革を推進したいと考えているのでありますが、これは農地改革に反対をし、早くこれを打切つて又地主制度の復活への道を開こうとする自由党考え方と真向から対立するが、農相は農地改革に関してどういう考えを持つておられるか、お伺いしたいのであります。  最後に、まだなかなか封建制の抜け切らない日本農村の民主化を促進するために、都市における労働組合と同じように農民組合の発達を図ることが必要なのであります。先に極東委員会の農民組織に関する十六原則は、農民組合法制定を勧告し、今日総司令部におきましても熱心にこれが調査研究をしているのであります。又農民の間にもこの制定に対する要望が段々に起つて来ているのであります。政府は次の国会ぐらいまでにこれを法律案として出す準備があるかどうか。その点お伺いしたいのであります。  これを要しまするに、吉田首相の自画自讃いたしておりますところと相反しまして、ドツジ・ラインに基く財政経済政策の破綻がすでに今日到来しておるのでありまして、財政投資の増加と消費購買力の増加を基調とする財政経済政策に転換せざるを得ないのであります。我々は政府給與ベースその他の問題で九月には臨時国会を開き補正予算を提出しなければならんと思うのでありますが、政府は一体次の補正予算を審議すべき臨時国会はいつ頃開くおつもりなのでありますか。その点を首相又は蔵相にお尋ねいたしまして、私の質問を終りたいと存ずるのであります。(拍手)   〔国務大臣吉田茂君登壇〕
  5. 吉田茂

    国務大臣(吉田茂君) 岡田君にお答えをいたします。  朝鮮の事変につきましては誠に悲しむべきことであつて、東洋の一角に平和の破られたということは、我々としても又日本国としても関係するところ重大であるということは御意見の通りであります。然らばその見通し如何というお話でありますが、この占領下日本において我々が朝鮮その他においても在外公館を少しも持つておらず、従つて戰乱に至つた……内乱と申すか、この事変を引起すに至つた事情、或いはこれに対する両方の兵力或いはその他については何ら我々は資料を持つておらないのであります。又この事変を通して国際関係にどういう波紋を描いておるか、或いは国連における議論はどうであつたかというようなことも何らの資料を持つておりませんから、これに対する見通しは付き難いのであります。ただ一点我々の感ぜられることは、一たびかくのごとき事変が起り平和が破られた以上、この平和が再び回復するまでには容易ならざることであつて、そう簡単に平和の回復ということ、或いは事変の終了ということはむずかしいので、誠に歎かわしいことと考えまするが、然らば、いつ、この事変が終るかという見通しについては、全然立たないのみならず、又資料の乏しい日本政府として、これに対する見通しを申し、若しくはその他国の内乱に容喙するわけではありませんが、意見を述べるということは、不謹慎と考えますから、この見通しの点について意見を申すことは差控えます。(「お先真暗か」と呼ぶ者あり)その次にお答えいたしますが、全面講和の問題であります。全面講和論に対してはしばしば私としては所見を申述べておるのであります。終戦以来ここに五年でありますが、どうして講和かでき上らなかつたか。第一次吉田内閣が総辞職をいたすときには、ややその年の秋には講和ができやしないかという見通しもあつたのでありますが、併しながらその講和ができなかつたということは、ソヴイエトその他の反対と申すか、手続その他の議論によつて全面講和に至らなかつた。それが今日急にソヴイエトその他が全面講和に参加する、ソヴイエトも他の国と一緒に日本に対日講和をするという機運にはなつておらないのであります。全面講和ということは誠に好ましいことではあるが、できないからいたし方がないというのが私の議論であります。恰かも超党派外交ということが若しできるならば結構なことでありますが、すでに社会党はこれに参加しないというのであるならば如何ともできないのと同じであります。(拍手)  次に義勇兵の問題でありますが、これは現在のところでは問題になつておりません。又義勇兵の志願も聞いておりません。多分こういうことはないと思いますが、若しあつた場合に政府はどうするか。これは軽々しく許すことはできないと私は信ずるのであります。  又自主性回復云々ということでありますが、最近或いは近時において、或いは一昨年以来各種の問題について、日本政府日本国の自主性は認められ、政府自主性回復のために種々権限を委讓されておりますことは御承知であると私は思うのであります。併しながら、占領下においては、全然完全な自主性回復いたそうと思うならば、先ず以て早期講和に入るべきである。早期講和自主性回復するのに完全な方法であるが、併しながら全面講和を唱えて早期講和に反対せられる以上は、日本自主性は完全に回復することはできない一のであります。(拍手)  次に地方税法の問題でありますが、通過しなかつたならば衆議院を解散するか。総辞職するか。総辞職は御希望でありましようが、(笑声)私は地方税法案はこのたび通過すると考えますから、その他のことは考えておりません。(拍手)  次に新警察組織でありますが、この新警察なるものは、我々警察増強ということは多年考えておつたことでありまするが、併しながら、如何に警察力組織するか。治安維持のためにどうするか。特に国際情勢の険悪なる今日においては、日本治安維持することは大事であります。従つて新警察はどう組織するかということは余程愼重に考うべきことである。只今お話のように特高警察の復活もいけない、その通りであります。又募集如何によつては、共産主義者、フアツシヨ主義の者までも大らないということは見通しが付かないではないかというお話でありますが、その通りであります。従つて新警察募集、徴募ということについては余程愼重に考えたいと考えているのであります。又一面には警察国家になることを防止すべきであることは御同感でありますが、又国によりましては、或いはドイツ等の先例を見て、或いは日本が再び再軍備をいたすのではないかというような疑いも、いたし方によつては外国から疑わるるのであります。再軍備というような懸念を抱かるる場合においては、日本早期講和も自然論ずることになりますから、新警察の組織については余程愼重に考えなければならないのであります。軽々に法律を出すとかいうことは、今日のところではできないのであります。愼重に審議いたしているのであります。  その他の問題については主管大臣からお答えいたします。(拍手)    〔国務大臣周東英雄君登壇、拍手
  6. 周東英雄

    国務大臣(周東英雄君) 御質問の点につきまして、私の関する点についてお答えを申上げます。  今日の事態がドツジ・ラインの強行によつてデフレになりつつあるが、これに対してこれを変更する意思はないかというようなお尋ねであります。私共は今日の日本経済状態において、積極的に産業の復興に対して乗り出すべき時期であるとは考えております。併しながら過去において吉田内閣がとり来たつた、インフレ防止のためにとつた政策は、何としても国民が認めておるがごとく成功であつたと思います。(拍手)併しながらそれは過去において主としてインフレを防止するために財政金融政策が主としてとられておつたことは事実でありますが、一応この成功を収めた今後に処する途としては、産業復興のために財政金融政策がとられて行くべきであるということに対しては、政府は一致した考えであります。(「具体的に」と呼ぶ者あり)併しながら御指摘のように、だからといつてドツジ・ラインをすぐ変えて無計画に金を流すことのみが産業復興になるものではないのでありまして、(拍手産業復興に対してはもつともつと総合的に、輸出振興のためにするにいたしましても、過去のごとく軽工業の復活をなし、輸出に向けるにいたしましても、今日の時代においては、もう少し輸出産業の構成の上において、現下に処するように対外的に流通の状況考え計画する必要がありまするし、又それをいたしまするについても、当然国内における国内資源の、総合開発による国内資源の積極的生産増加ということによつてこれを切り拔ける必要がありまするので、これらの問題について総合的に計画を立てるべく今日準備をいたしておりますから、暫らく施策を御覧頂きたいと考えております。  それから農村問題についてお尋ねでありますが、私の主管するところにおいてのお答えを申上げますが、先程農産物の価格については積極的に五千五百円以上に上げるべきだという御意見がありました。今日の事態におきまして、我々も又農村に対する施策が産業復興の重要な一つの点であるということについては同感であります。従つて農産物の価格については何とか考えなければならんと考えておりますが、併し御指摘のような価格パリテイ計算を直ちに生産費計算に持つて来るか、所得パリテイ計算に持つて来るかについては、そのおのおのに長短があるのでありますから、愼重に考慮した上、計算の方式を考え、新米の価格決定に至りますまでにおいては適当なる方策を立てたいと考えております。  それから肥料金融について特に具体的に示せということであります。只今公団廃止等の施策が進んでおりますについて、新聞に先日発表いたしましたように、大体の総合的な肥料金融の必要資金の額を定め、これらの資金は主として農業協同組合による金融を中心といたし、農家とメーカーの間における予約制度の確立によつて、数量の確実性と代金支拂の確実性と併せ考慮いたしまして、それらの必要資金は中央金庫においてこれを割引き又は融通し、不足の場合においては日本銀行において適宜必要な資金を融通するように、すべて関係方面とも話が進んでおることを御承知を願いたいと思います。大体それだけの問題についてお答え申上げます。(拍手、「能力は分つた」と呼ぶ者あり)    〔国務大臣岡野清豪君登壇、拍手
  7. 岡野清豪

    国務大臣(岡野清豪君) 岡田議員の御質問に対してお答え申上げます。  地方財政の(「頭悪いぞ」と呼ぶ者あり)地方税制法案が通りませんで、その後どうなつただろうかというようなことでありましたが、税法が成立いたしませんで、地方公共団体が財政について非常に困つておることは皆様御承知の通りであります。それにつきまして、政府といたしましては、四月から九月までを見通しまして、すでに平衡交付金から六百十八億円の資金を撒布しております。その上に二百九十億円の預金部の資金を短期融資することにいたしております。十月以降の見通しにつきましては、多分この税法案を通して頂けると存じておりますが、不幸にして通らないようなことがありましても、その時に応じまして政府は過般いたしましたような適当なる処置をする考えでございます。現行の地方税法が全部廃止されまして(「勉強なさい」と呼ぶ者あり)そうして地方税法案通りまして、新らしく徴税をいたしますというと、お説の通りに下半期に非常にしわ寄せされることは事実でございます。併しその点につきましては、只今多くの公共団体におきまして、納税証券の発行とか、若しくは納税頭金をするとかいうようなことをいたしまして、事前に金融の途を講じております。この方法が、将来、即ち下半期におきまして、納税者の苦悩と又地方団体の徴収の苦悩というものを非常に緩和するようになつておりますから、これを政府といたしましてはすべての地方公共団体に勧奨して、その方法を見習うようにさせております。  それから附加価値税実施の延期をしたのはどうかという御質問のようでございましたが、附加価値税は御承知の通りに流通課税でございまして、負担の転嫁があります。そういたしますというと、只今のごとく本年の一月二日から徴収しなければならないので、そういたしますと、非常に時期がもう進んでおりますから、この転嫁ということが非常にむずかしくなります。その意味におきまして(「今分つたのか」と呼ぶ者あり)納税をするところのいろいろの事業会社というようなものが自分自身で負担をして、そうして苦悩をしなければならんし、いろいろ変なこともございますので……(「何だ変なことというのは」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し、笑声)その附加価値税の(「平衡交付金の増額でもしなさい、それ以外にない」「大蔵大臣が怒つているぞ」と呼ぶ者あり)負担の転嫁ということができなければならないというふうな趣旨の税法を、今から遡及してこれを実行するということは事実上不可能であるという意味におきまして、先ず第一点としてこれが延期した理由でございます。第二点といたしましては、これは新規の税でございまして、非常に複雑多岐でございます。でございますから、これを徴収する点におきまして、地方公共団体は相当な準備が要るのでございます。(「分つたつた」と呼ぶ者あり)準備期間も要りますから一年延期した、こういうことになつております。これが(「それが今分つたのか」と呼ぶ者あり)一年延期いたしました理由でございます。これを以て私のお答えといたします。(「答弁にならない上」「落第々々」と呼ぶ者あり)    〔国務大臣天野貞祐君登壇、拍手
  8. 天野貞祐

    国務大臣(天野貞祐君) 政府教員政治活動を制限するというような法律案をこの国会提出するというようなことはまだ決定いたしておりません。従つて若し御質問がその法律案というものを前提とする御質問でありますならば、私は何もお答えすることはないのであります。(「馬鹿言え」と呼ぶ者あり)けれども、一般的な見解を(「こつちを向け」と呼ぶ者あり)ここに述べさして頂きますならば、今の日本にとつて何が重要だと言つて義務教育の充実程重要なことはないと思います。(拍手、「誰が充実したのだ」「何をやつてるんだ」と呼ぶ者あり)それにつきましては、勿論私共は十分なる設備をし、現に東京などで行われているように、二部教授というようなものは全然ないようにしてしまわなければならん。又同時に、併しそれだけではなくして、よい教育者を養成して、(「希望的観測は駄目だ」と呼ぶ者あり)教育者が本当に子供を愛し、本当に教育のために身命を捧げるといつたそういう教育者が出て来なければ、将来の日本に望みは持てないと思います。(拍手)そういう意味で、私は是非教員が本当に自己の使命を自覚し、その自己の使命に集中するようにいたしたいと思います。で、それにつきましては、そういう使命を持つ、そういう日本の将来を担う重大な社会的な身分を持つ以上、その身分に一定の制約が伴うということも又免れないところではないかと思います。(拍手)併しその制約をどういうふうに考えるかということは、私共は十分に研究いたしたいと思つております。けれども、何かの制約があれば直ちに基本的人権を奪うというような論は私は到底成立たない論であつて拍手)そういうことは議論を要しないと思つております。これを以てお答えといたします。(拍手)    〔国務大臣池田勇人君登壇、拍手
  9. 池田勇人

    国務大臣(池田勇人君) 岡田議員にお答え申し上げます。  只今の経済状況デフレーシヨンに上る恐慌であるとか、或いはこのままで行つてはどうしてもドツジ・ラインが崩れるとかいうお話でありました。その点につきましては周東国務大臣よりお答えがあつたのでありますが、私はこの点につきまして尚附け加えたいと思います。インフレーシヨンからディスインフレーシヨンヘの過程におきましては、或る一部分に相当の困難が起るということは前から言つておるのであります。併し我々は全体として日本国民の生活が非常に楽になつた、大多数が非常に楽になつたということは社会党の方々でも否定することはできんと思います。(「資本家だけだ」と呼ぶ者あり)私は政治というものは大多数のために先ずやる、そうしてそのしわが寄つたところを直して行くのが根本だと思います。(「大多数は苦しんでおるじやないか」「第三次放言だ」と呼ぶ者あり)而うしてドツジ・ラインが崩れると言われますが、ドツジ・ラインというものはそう固いものではないのであります。とにかく経済自立のためにはその状況々々によつて手を打つのであります。従いまして昨年度上り今年度が債務償還が少くなり、来年度においては一般会計からの債務償還はしないと、こういうふうな彈力性のあるものであります。そうして給與につきましても、当初予算ではベースの引上げはなかつたが、財政上の余裕ができ、経済の安定の見通しが付きましたならば、昨日も総理が言われましたように、できるだけ早い機会に引上げをやろうと努力しておるのでありますが、その時期につきましては只今申上げる段階に至つておりませんが、いずれにいたしましても、できるだけ早くやりたいということは、はつきり申上げられると思うのであります。  次に最近の金融状況につきましてのお話でございます。お話尤もの点が多多あるのであります。今年の第一四半期は例年のごとく撒布超過にならずに、お話のごとく三百億円余の引上げ超過になりました。いろいろ理由はございます。その理由の一つは、地方税法が通らなかつたために地方の事業が動かない、従つて公共事業費もこれに上つて動かないというのも一つの原因でありましよう。又銀行預金が郵便貯金に廻つたということも一つの原因でございましよう。その他、政府の支拂が先程申上げました理由或いはその他の理由によつて遅れたことも引上げ超過の原因でございましよう。又税金が、殊に法人税がいつになく沢山入つたということも原因であるのであります。併し第一四半期はそういうふうな引上げ超過になりましたが、第二四半期におきましては私は大体とんとんで行くと考えております。少くともこの七月におきましては大体二百億余りの撒布超過になりまして、第一四半期引上げ超過を緩和する考えでおるのであります。金詰りの問題は以上申上げました引上げ超過に加うるに、例年と違いまして今年の五月には一般銀行の預金が殆んど殖えなかつた。昨年は五月に二百八十億円の市中銀行の預金の増加がありましたが、今年は三十億程度しかなかつた。そこへ持つて来て銀行は普通の状態のごとく二三百億円預金が集まることを予定して既定計画のごとく貸出をした。ここで銀行が非常に困つた。五月、六月の金詰りは一般事業者の金詰りに加えて銀行の金詰りが起つたのであります。従いましてこれを緩和するために日本銀行から貸出を増加いたしましてこれを乗切つたのでありまして、今、日本銀行の貸出は千四百億近くありまして、昨年の六月頃に比べますと倍以上の貸出増加をして、この金融梗塞を緩和いたしておるのであります。従いまして今後の問題といたしましては、財政と金融が一体をなして産業資金の円滑を期さなければなりません。財政と金融の一体の建前におきまして、国庫に持つております見返資金とか預金部の運用につきまして、早く債務償還をするとか、早く一般私企業に出すとか、いろいろな方法を講じまして、金融を円滑に付けて行くよう努力をいたしておるのであります。次に給與ベースでございまするが、人事院の新勧告に従う意思があるかということでございまするが、新勧告はまだ出ておりませんのでお答えできません。給與の引上げを認めざるを得なくなつたというお言葉でございましたが、私は給與の引上げを本当に考えるようになつたということは、日本経済の安定であり、財政の均衡のたまものだと喜んでおるのであります。(拍手、「今まで労働者を犠牲にしたのだ」と呼ぶ者あり)次に、いつ臨時国会を開くかという御質問でございましたが、これはその情勢によつて考えることでございまして、たとえ総理と雖もお答えできにくい問題だと思いますので、御了承願いたいと思います。(拍手、「心臓で言え」と呼ぶ者あり)    〔国務大臣横尾龍君登壇、拍手
  10. 横尾龍

    国務大臣(横尾龍君) 私の所管についてお答えを申上げます。第一は、輸出の見通しとその対策のように思います。輸出は本年の初めから不振でありましたが、著しく回復いたしまして、五月、六月頃には六千万ドル台に伸びておるのでございます。而もこの好調子はドル区域の買付回復、米国の好景気等によるものであり、今後は国際情勢に関連して更に著しく伸びるものと思われる。政府としては更に一層輸出を増加するために、現在すでに二十ヶ国と通商協定を締結せられておりまするが、その更新の都度、協定量の増大、協定内容の改善に努力しております。現在におきましても、スターリング地域との通商協定についてもこの線に沿うて努力を続けつつあるのであります。その他、在外の政府機関の設置等の施策につきましても鋭意努力中であります。その効果は遠からずして現われるものと思います。その次に為替相場の問題でありましたが、輸出貿易は好調子でありまするので、現在のところ為替レートは貿易の障害となつていないと思うのであります。(「ノー」と呼ぶ者あり)輸出商品によつては国際価格に比して若干高いものも見受けられます。つきましては、販売方法の改善等によつて、そうして且つ又業界において経営の合理化、技術の向上、作業の機械化等、そういうものによりまして世界の科学水準に漸次近づきつつあるものと考えます。又今後もこれを近づけるべく指導して行きたいと考えるのでございます。為替レートの変更によつて生ずる諸般の影響を思いまするときには、この際、為替レートを変更することは毫も考えておりません。第二は、歳出振興策としての輸出金融金庫の構想を如何にするかということであつたと思います。通商産業省といたしましては、東南アジア諸国その他の国における重機械その他プラント類の需要が増大しているのに鑑みまして、又我が国がその方面の輸出市場獲得のために是非プラント輸出の促進は現下の急務であると考えまして、これが輸出資金の確保のために、輸出金融金庫のごときものを必要と考えられるので、その検討を続けて参つておるのでございます。現在におきましては輸出金融金庫の構想につきましては、資本金、業務内容、組織等の諸点につきまして多くの意見があり、目下のところ研究中で、その具体的内容につきまして申上げる段階には至つておりません。さように御了承を願います。中小工業の対策につきましては、中小工業は非常な危機に立つておることはお話の通りであります。これに対しまして金融の円満化を図るために、金融機関が中小企業に対し融資する場合、貸倒れによる危険を補償し、殊に長期運転資金及び設備資金の融資を促進する信用保険制度を立案し、目下関係方面と交渉中であります。中小企業等の協同組合の組織化を通じ金融の受入れ体制の整備を図り、商工中金の増資拡充、商工債券発行の再開、日銀の中小別枠融資の拡大、信用協同組合の整備、中小企業専門の銀行店舗等の開設によりまして、中小企業に対する窓口を成るべく多く充実させて行きたいと考えるのでございます。(「具体的にやりなさい」と呼ぶ者あり)これを以て私の答弁といたします。(拍手)    〔国務大臣保利茂君登壇、拍手
  11. 保利茂

    国務大臣(保利茂君) 失業問題の状況対策について概要を御説明申上げたいと存じます。岡田議員の御指摘の通り、去る四月に行われました内閣統計局の労働力の調査に上りましたその集計を以てしますと、いわゆる完全失業者五十万に上つておりますことば御指摘の通りであります。その内訳は大体男子三十万、女子二十万内外のようになつております。併しながら失業者の数を的確に捕捉いたしますことは御承知のように極めて困難でございまして、これを以て日本の失業状態と見ることは無論私は妥当ではないと思います。職業安定所を通じまして、職業安定所の窓口から見ました失業者の状態は、常傭労務者におきまして今日は約八十万内外に達しておるのではないかと存じます。もとよりこの職業安定所に参ります求職者は、今日職業を持つておられる方も含んでおりますけれども、相当の楽観を許さざる失業状況にあることは、私も率直に認めざるを得ないと思います。日雇労務者の方に至りますと、これも昨年以来相当増加の傾向をとりまして、今日におきましては登録人員約四十万円内外に達しておると存ずるのであります。そこで失業保険の面から見ますると、一般常傭失業者の失業保険の支給人員は、この数ヶ月来約四十万人前後に及んでおります。その金額月々十二三億を上下いたしておるという状況で、大体我が国における失業者の趨勢がほぼ察知できるのではないかと思うのであります。これに対しまして政府が如何なる対策を用意しておるかと申しますれば、昨日の総理大臣施政方針にも明らかにいたしておりまするように、又岡田議員の御指摘のように、民間産業の振興による雇用量増大を期待することが最も根本の問題であろうと存じますけれども、当面一時にこれに期待をしてその成行きを見るということはもとよりできません。(「失業者を殖やそうとしている」と呼ぶ者あり)そこで当面の緊要の失業対策といたしまして、九百七十億の一般公共事業、これが今年度地方税その他の問題でやや停滯がちであると存じますが、今回の議会で若しさような施術が整いますれば、今後は全面的に公共事業の実施ということができまして、この画においての相当の雇用量吸収率の増大を期待いたしておるのであります。併しながら公共事業の実施地と失業者特に日雇労務者の密集地帶とは、地域的に一致いたさない部分が多うございますから、どういたしましても緊急の日雇労務者の対策を講じなければならない。今年度予算として計上せられております四十億を以ちまして、できるだけ機動的に公共事業の実施の面と見合いましてこれを機動的に運用いたすことによりまして、日雇労務者の就労率をできるだけ高めまして、尚、及ばざるところを失業保險によつてつて参りたい。こういう考えでやつておる次第であります。尚又日雇労務者に対しまする失業保險に関しましては、保険経済が多少余裕があると見られますから、できる限り本議会に御審議を煩わしまして、この失業保険の目的を十分に達成いたしまするように所要の改正の御審議をお願いいたしたいつもりでおります。  大要申述べまして御了頑を願います。(拍手)    〔国務大臣廣川弘禪君登壇、拍手
  12. 廣川弘禪

    国務大臣(廣川弘禪君) 岡田議員にお答え申上げます。  農村恐慌に対して政府の総合施策があるかどうかという御質問でございますが、農村の恐慌に対しましての施策は、農産物の価格を適正に維持いたしまして、農業生産力の基盤たる農地の保全改良等を十分にいたしまして、又農業経営の合理化をすると共に、農家負担の軽減と農林金融の円滑を図る等の施策をやりたいと思つておるのでございます。  次に米麦の統制のことをお聞きのようでありましたが、この米麦の統制につきましては、又自由党と大分違うところがあるのではないかというようなことでございますが、これは現在といたしましては、差当り現在の方式を継続いたして行く考えでございます。尚、来年三月から食糧管理臨時措置法が失効いたしまするので、種々の点に関して目下これは研究中でございます。尚、本年産冬作雑穀につきましては、最近の食糧需給の安定、食管特別会計の健全性の保持等の見地よりいたしまして、統制を緩和いたしまして、漸次自由取引の育成を図つておるような次第でございます。尚、冬作の供出された後におきまする雑穀等は、政府買入れを行いますが、買入れが終りました後は成るべく自由販売を認めるような方向で進んで参つておるのでございます。米麦の価格の決定につきましては、先程周東君からもお話があつたようでありますが、二十五年度産の麦の価格につきましては、米に対する比率を前年の通り据え置いて、麦の生産者を保護することとし、超過供出に対しましては特別の価格を以て買上げる方針でおります。荷、等級の問題に関しまして、本年の作柄から見まして非常に落ちておりまするので、五等の等級を付けてこれを買上げて呉れという声がありまするので、これはその地方地方に応じまして十分考えたいというように、私は考えておる次第であります。  米につきましては、先程加東君の言つた通りでありまするから、私ここで敢えて附け加えません。  又農業金融対策につきましては、長期の運転資金即ち設備資金と、或いは又短期の資金と、二つあるのでありますが、長期の資金につきましては、対日援助見返資金中、農林関係に対しまして了解を與えておるいわゆる十億円の見返資金でございますが、(「足りない足りない」と呼ぶ者あり)これでは十分でございませんので、今後もでき得る限りこれを増額するように努力いたしたいと思つておるような次第でございます。又預金部資金の農業に対する支出も、十分これをして貰うように努力いたしたいと思つております。農林中央金庫も、これは六月二十四日に見返資金から二十億円の出資を見ましたので、資本金は二十八億円となりまして、今後の債券発行余力は百八十億円となつて参りましたので、本年は取敢えず六十億円の債券を発行いたす予定であるのであります。運転資金につきましては、農業手形制度を今後とも活用いたしまして、能う限り政府資金の預託その他の方法で農業団体を資金上援助いたしたいと考えておる次第でございます。  農協の保護政策のことでございますが、これもいつも問題になることでございまするが、この経営のむずかしいことは、経済の変遷に連れて我々もよく分るのでありますが、これは第七国会において農業協同組合法の改正を行いまして、事業の合同を行い、経費節約の途を開くと共に、組合の財政処理の適正化のための基準を示し、且つ組合の監査を励行すると共に、極力経営刷新策の樹立実行を奨励し指導しておるのであります。尚、農林中央金庫の増資によりまして、協同組合の諸拂その他の資金需要に応じまして、遺憾なきを期しておるのでありますが、又右のようなわけでございまするので、指導育成対策に必要な措置考えたいと思つております。  それから次に農民組合のことについてのお話がございましたが、この農民組合のことにつきましては、若し作るならば、現在の農民諸君が本当に望んでおるような農民組合を作ることが最もよろしいと考えておりますが、私の聞いておりまするところでは、まだ関係方面とその点の方内が一致しないように聞いておりまするので、十分研究いたしまして、これは私達といたしましては機会を得てこういうことをやりたいと考えております。  それから肥料に対しまする金融方策でございますが、農業に対する長期金融は従来肥料公団を通じて預金部資金で賄われておつたのでございますが、今回公団がなくなれば、市中金融に依存しなければならないのでございますが、これに対しては、取敢えず肥料公団は七月までの生産は殆んど買上げて、原則として来年の春肥まで預金部資金で保有することといたしておるのでありまして、一方農業系統機関に対する農林中金資金の活用、農業手形の活用、倉庫証券による金融、日銀の金融斡旋等を考えて、流通資金に遺憾なきを期しておるような次第であります。  農地改革につきましては、今度の自作農創設に関する法律等に関して、農地改革を今後やらなければならないのではないかということでありますが、我々は十分農地改革を今後やりたいと思つておる次第であります。(拍手)    〔政府委員淺井清君登壇、拍手
  13. 淺井清

    政府委員(淺井清君) 給與べースの問題につきましてお答えを申上げたいと存じます。  すでに総理大臣施政方針の御演説中におきまして給與ベース引上げが明らかにされておりまする以上、給與を掌りまする政府機関としての人事院がこの際勧告をいたしますることは、最も時宜に適したものと存じております。(「その通り」と呼ぶ者あり、拍手)又公務員法の規定に上りますれば、人事院の勧告は国会及び内閣に同時になさるべきものとなつておりまするからして、国会開会中にこれを提出いたしまして御審議願うことも又適切だと存じております。(拍手)人事院はすでに昨年十二月給與ベース改訂の勧告をいたして、幸いにも参議院におきましては継続審議をして頂いておるのでございまするが、何分にもこれは昨年七月の資料を基礎としておるものでございまして、人事院といたしましては、その後絶えず調査を続けまして、この勧告の内容を最近の実情に適するようにいたすべきことは、これ又人事院当然の職責なりと存じております。以上の諸点より考えまして、人事院といたしましては、取扱い得べき最新の資料に基きまして、新らしいベースに関し極めて近き将来において勧告をいたしまして、国会の御考慮を仰ぐ用意を有するものでございます。(拍手)     —————————————
  14. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 柏木庫治君。    〔柏木庫治君登壇、拍手
  15. 柏木庫治

    ○柏木庫治君 私は緑風会を代表いたしまして、吉田首相講和問題と参議院のあり方と治安維持の問題についてお尋ねいたします。  講和問題につきましては、八千余万の日本国民が一人の例外もなく熱望いたして止まないものは全面講和であります。地上二十余億の人類はすべて戦争の悲惨を厭い、幸福なる平和を希望する上から、講和のあり方について望ましいものはと聞かれましたならば、必ずや全面講和と回答するでありましよう。特に日本国民の一人としての私は、全身の血を湧かして全面講和を熱望いたすものであります。敗戰の憂き目に身をつまされておる誰もがさようであると信じます。事実上の戰いはすでにやめられて五年の歳月が流れておりますのに、戰争状態が未だに続いておる苦痛は人として堪え難いものであります。講和、でき得ることなら全面講和こそ誰しもがひとしく望んで止まないものであります。今や正に我が国のこの問題に対する世論は全面講和か早期難かの二つ募れて、喧々ごうごうたるものがあります。この帰趨こそが今の難局を苦難の中にも乗り越し得るか否かの分岐点をなしております。併しこれを決定するものは残念ながら日本の力ではありません。率直に言えば日本は全く非力であります。力はすべて相手国の手の中にあります。決定は相手国がいたすのであります。相手国の出方を如何に受入れるかが日本の問題でありまして、この問題に日夜心をいたしておりまする私の頭にふつと浮びましたことは、学校に行く子供が、本人はもとより親も兄弟もこれを教えておる、先生は尚のことすべての科目に満点を取りたい、取らせたいと熱望し、最善の努力を捧げます。努力に努力を重ねてかち得た成績が八十点であり、九十点であり、或いは七十五点でありましたときに、本人、親及び先生ば如何なる態度でこれを受入れるでありましようか。熱望したのは百点である。努力の目標も又百点であつた。然るにかち得たものは八十点であり九十点である。希望を完全に達し得ないからそんな成績は不用だ、進むことを止めろ、そうして原級に止まれと、即ち落第をさせるでありましようか。落第をさせることが果してよいことであり、正しいことでありましようか。講和問題において全面講和は百点であります。日本として一番望ましいことであります。望ましい百点が取れぬからといつて、このままにあることは零点であります。早期講和は優等ではありますまいが八十点見当の及百点ではありますまいか。(「ノーノー」「質問じやない、答弁じやないか」と呼ぶ者あり)零点に比較して優つていることは言うまでもありません。(拍手)満足だという全面講和が得られない場合は二番目のよいことでも仕方がない。これに今は辛抱しようという点数を取つて置いて、それを基礎として満点に達すべく最大の努力をいたして進むのが人の世の歩みでなくてはならんと思うのであります。(拍手)今日の日本は特にこの辛抱こそが大切であります。  そこで私は吉田首相にお尋ねいたしたい点は、昨日の首相施政方針演説において、英米等の連合国内に早期講和の機運が抬頭しておると述べられましたが、具体的な事実がありましたならば承わりたいと思うのであります。そうしてこれが早期講和の実現を見た曉において、国家の費用の上にどれくらい利益があるか、損失があるかということも併せて承わりたい。早期講和が成立つといたしますならば、首相の見込では相手国は凡そ何ヶ国ぐらいになるかということを聞かして頂けば、これは見込の問題でありますが、結構と思うのであります。(「質問にたらん」、呼ぶ者あり)講和が成立いたしますと、通商及び人物の交通、居住等は戦争前に復帰する見込があるかどうか。早期講和は当面において好都合であり、そうして全面講和を達するにやつぱり都合がよいのかどうか。その内容と心持ちも聞かして頂けば結構だと思います。首相は昨日国連日本政府は可能な範内で協力すると言われましたが、これは具体的に言えばどういうことか。無論国連に協力することは、日本国民朝鮮問題に関しては双手を挙げて賛成をすることと思いますが、その協力の具体的方策国民は何よりも知りたいと思つております。  それから首相参議院を政党化せんとおつしやられた参議院のあり方についてお尋ねするのでありますが、聞えませんから答弁できませんというような議会答弁をいたされましたのは、第七回国会の開会中、即ち一月二十八日衆議院の本会議において神山代議士の質問に対し吉田首相のなされた答弁か、この聞えませんから答弁ができませんという一語でありました。與党は我が意を得たりと大拍手喝采を送つたのであります。私はこの簡單な、端的な答弁が、当時の衆議院の議場を誠によく物語つておると思うのであります。質問者が声を大きくしてこの拡声機の前で首相に向つて質問をする、その質問首相が聞えなかつたということは、どれくらい喧々ごうごうと騒いでおつたかということであります。神山代議士の質問に対して騒いだのでありますから、これは與党の声であつたと思うのであります。何らの飾り気のない、大胆率直、純情そのものの吉田首相でなくては、こんなに名答弁は私はできんと思う。朝日新聞の座談会でこのことに触れましたら、社会党の淺沼君も吉田さんじやなくてはできんなと溜息をつかれました。翌日の各新聞はこの問題を大きく取上げて掲載だしましたが、心ある者がこの新聞を見まして定めし肩をひそめたことでございましよう。或る者は太い溜息をついたと思うのであります。私はこうした議会のあり方、日本が今日こんな悲惨な目に会いましたのは、軍部の出しや張りと横暴と誤まりであることは誰もが知つておりますが、その軍部は一体いつ出て来たかと申しますと、政党が腐敗いたしまして、政党が政権争奪に憂き身をやつして、我が党が可愛くて国を忘れ、自分が可愛くて党を忘れ、その不まじめな議会のあり方が国民の信用を失うて、国民精神と遊離した間隙に軍部がのさばつて出て来たのでありまするから、出て来たのは軍部でありますけれども、出るようにお迎えをしたのは政党の腐敗であつたということをはつきり認識しなければならんと思うのであります。(拍手、「過去のことを言い給うな、明日の政治を論じ給え」と言う者あり)そうした腐敗が新らしきこの国会に流れてないかと申しますと、確かに私は新らしき国会に流れておることは吉田首相も体験なさつたろうと思うのでありますが、選挙に当つて政治資金を集むるに急にして、我が党我が身を発展さするに急にして、その方法を誤まつて足を小菅まで運んだ者が決して少くありません。この民主主義国家において議会が国権の最高機関でありますのに、これが国民精神と遊離し、国民の軽蔑を受けるようになつたならば、国家の前途甚だ憂うべきものがあるのであります。(「針小棒大なり」と呼ぶ者あり)私はこのときに二院制度を謳歌する一人でありますが、衆議院は数の政治であり、又一面、政権争奪の府でありまするから、或いは常軌を逸して、総理大臣はかくのごとき答弁をする程騒いでも恕するだけの寛宏さを持つております。併しながら参議院は、政党に煩わされるごとなく、又白紙で、全部の者がみずからの政治の良識に訴えて、是を是とし非を非として本当に公平に批判いたしましてこそ、衆議院の行過ぎも誤まりも是正することができるのであります。参議院におきましても、この言論の府である議会でありながら、少数であつて無理から通らかさんとして、言論を放棄して、腕を振い体力を以て参議院の神聖を汚し懲罰されるようなだらしないことは、政党そのものの党人の心理であることを吉田首相に知つて頂きたいと思うのであります。(「質問の要点に入りなさい」と呼ぶ者あり)私は二院制度の正しいあり方、議会政治国家が永遠に信頼して参ります上から、参議院参議院の独自性において本当のみずからの職責を盡したいと存ずるのであります。私が緑風会の選挙に関係いたしまして、あちらこちらの党派といろいろ折衝いたしたこともありますが、決して参議院の問題を参議院の人ひとりで解決をし得ない。だから私は或る幹部に、あなたの心はどこにありますか、お隣でしよう、あなたの国籍はどこですか、お隣でしよう、参議院にありませんねえと言うたことがあるのでありますが、衆議院の方々が参議院全部を、参議院の者を制肘する、指図するといたしますならば、甚だしい越権であります。私は二院制度の本当の妙味は、参議院参議院として完全に独立し、何者の制止をも受けることなく、みずからの政治良識によつて動く、その参議院を政党化観することは、若し衆議院が絶対多数であり、参議院に絶対多数を取りましたならば、二院制度は要らない。独裁政治に陥ります。衆議院が絶対多数で参議院が微力であるならば政治の運行はできない。この点において本当に白紙の鍛錬の士がみずからの良識に訴えて判断することこそ、日本の正しい政治の歩みがあると存じますのに、吉田首相参議院の政党化を強調されましたが、お尋ねいたしたいのは、政党人でない者を否認するという意味があなたの言葉の中に入つているか否かということをお尋ねいたしたいのであります。  それから治安の問題でありますが、図らずも、本当に図らずも朝鮮の三十八度線が越されました。そうして国連が立つて参りましたときは、もうすでに広い地域が占領されて、その占領のさ中に沢山の悲惨事が行われておつたのでありますが、何らの武力を持たない日本、絶対平和を確定せんとして行く日本に、朝鮮事件が対岸の火災ではないと考えますならば、私はここで一審大事なことは、今日の世界情勢が、すべての国が武器を放棄し、すべての国が日本憲法のごとくあつて、守るとするならば結構でありますけれども、現状においては朝鮮の例が身に滲みる思いがいたすのでもります。万一、一度侵されることがありましたならば、これを駆逐せんがためには、それこそ国連世界も、みんなが非常な犠牲と悲惨を蒙むらなければならんと思うのでありますが、国政を担当なさるる吉田首相は、曾ての日に、終戰をお唱えになつて身を挺せられただけの愛国の士であり、純情の方でありますが、この問題について、本当に武器は捨てたけれども、この方法でやるならば八千万の民族を守つて行くことができるという、どんな非難を受けましても、一つ大胆率直にみずから進んでその方法を確立して頂きたいと思うのでありますが、成案をお持ちであるか否かということをお尋ねいたしまして、私の質問を終ります。(拍手)    〔国務大臣吉田茂君登壇、拍手
  16. 吉田茂

    国務大臣(吉田茂君) お答えをいたします。早期講和が抬頭しつつあるという、その事実はどこにこれを求めるかというお尋ねでありますが、これは先程も申す通り、只今外交自主性がないと申すか、外交権のない日本として、又在外公館等がない日本政府としては、的確にこうということは申すことができませんが、併しながら一に外電或いは新聞に現われた報道によつて見ましても、昨年の、本年でありますか、コロンボ会議以来、特にイギリスとその與国と申すか、或いは領土等の各国が、コロンボ会議以来、対日講和はどうしたらいいかという問題は、相当会議の席上において上つたように伝えております。又その後において引続きロンドンにおいて、英連邦の各政府の外務大臣等が集まつて対日講和の問題を論議しておるということも新聞にしばしば伝えられております。又アメリカにおいても同じような事態が現われて、殊にアチソン国務長官はしばしばイギリスに行くとか、或いは欧洲に行くとかいうようなことがあつて、その都度、対日講和についての話が、米英等の当局者が共に語り合つたということも新聞に出ておるのであり、又その他に日本に来訪する英米の政治家等との話によつて見ましても、対日講和は成るべく早くしたいというその熱望は、明らかに直接にも私は聞いておりますので、故に対日講和は早期にできるであろう、又最近において一層その感じがいたすと申すゆえんであります。併しながら、然らばいつ成立するか。これは私といたしてもいつ頃ということは見通しは付かないのであります。何となれば、今日国際の関係は可なり微妙になつておりまするから、故に、いつ何日ということは申しにくいのでありますが、併しながら機運は相当熟しつつある、こういう事情にあつて、私はここに言明はできません。然らばその利益はどうか。対日早期講和の利益は如何。これは改めて申すまでもございませんが、例えば講和のできた、平和関係に入つた国との交通は無論自由になるのみならず、貿易も増進せられるのであります。我が国として成るべく多く、成るべく自由に海外との間の関係を開くということは一日も怠つてはならない。一日早ければそれだけ利益がある。これは御同感であろうと思いますが、更に昨日の私の施政の演説においても申した通り、国として独立心、愛国心の若し消耗いたすということであれば、これは由々しき大事であるのみならず、外国といたしましても、その愛国心もない、独立心もないような国家を興国にするということは有難くない、こういう感じがいたすに違いないのであります。故に何を申しても、国を立つる以上は、一国の独立心・愛国心はますます旺盛ならしめなければならないのでありますが、そのためにも講和は一日も早くいたしたいと、こう念願をいたす次第であります。国連に協力するその実体的の具体的の事実はどうするのだというお尋ねでありますが、昨日も申した通り、積極的に協力をするということは、今日、日本地位としてでき難いのでありますが、先ず国民が平和を愛好する、世界の平和を愛好する、又世界の秩序を維持することに貢献したいという国民の熱意が内外に最も期らかに表現せられるということが、早期講和のためにも大事なことでありますから、精神的に申すというか、とにかく国連政策考え方、これに日本国民が挙げて協力するという精神的の運動と申すのもおかしな話でありますが、輿論の現われとしては、飽くまでも国連政策態度等に共鳴するということの意思表示がいたしたいものだと思います。で、その他、結局はこの国連の出兵その他について、日本国においてこれを妨害しない、更に都合よく運送その他ができるというようなことも協力の一つでありましようが、とにかく各種の方面において国連政策を支持するということが必要であると考えるのであります。次に二院制度についてのお話がありましたが、二院制度を政党化せしめてはいけないじやないかという御議論でありますが、そもそも二院制度を置いたゆえんは、政党化を防ぐというのではなくて、国政を愼重審議するという時間を十分に與える。たとえ衆議院において可決した法律案と雖も、更に時間を置いて参議院において更に愼重審議するというところに二院制度の妙味があるので、あります。(「同感」と呼ぶ者あり)すでに民主政治であり、民主主義国であり、又政党政治をとつた以上は、参議院のみが政党化を防ぐということは、これはできないことであります。(拍手)政党主義若しくは民主主義と矛盾する議論でありまして、これは私はお話に直ちに同調することができませんが、然らば政党の弊害がないかこれはあることを私も確認いたします。問題は、如何にして政党の腐敗を防ぎ、政党の弊害を防ぐかということでありますが、むしろこれは健全なる政党が対立して互いに切瑳琢磨するというところに民主政治の妙味があり、又政党政治の妙味があると思うのであります。(拍手)徒らに参議院が政党化することを恐れて、そうして政党の入ることを防ぐというお考えは、少しく民主政治の主義にも矛盾しやしないかと私は考えるのであります。これを以て私のお答えといたします。(拍手
  17. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 国務大臣演説に対する質疑は尚ございますが、この質疑は明後日に譲りたいと存じます。御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  18. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。      —————・—————
  19. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) この際、お諮りいたします。早川愼一君より海外旅行のため、又川上嘉市君より病気のため、それぞれ会期中請暇の申出がございました。許可することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  20. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。  本日はこれにて延会いたします。次会は明後十七日午前十時より開会いたします。議事日程は決定次第公報を以て御通知いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時二十二分散会      —————・————— ○本日の会議に付した事件  一、日程第一 国務大臣演説に関する件(第二日)  一、議員の請暇