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1950-07-29 第8回国会 参議院 法務委員会 第7号
公式Web版
会議録情報
0
昭和二十五年七月二十九日(土曜日) 午後一時三十六分
開会
———
—————
—————
本日の
会議
に付した
事件
○
継続調査承認要求
の件 ○
議員派遣要求
の件 ○
鉄道公安職員
の
職務
に関する
法律案
(
衆議院提出
) ○
検察
及び
裁判
の
運営等
に関する
調査
の件 (
平和運動
に関する件) (
新聞社等
の
追放
問題に関する件) (
文芸春秋掲載
の
記事
に関する件) (自衞権問題に関する件) ———
—————
—————
北村一男
1
○
委員長
(
北村一男
君)
只今
より
委員会
を
開会
いたします。
先づ
始めにお諮りいたしたいことがございます。当
委員会
は
今期国会
も例の
検察
及び
裁判
の
運営等
に関する
調査
をいたしておりましりたが、
会期
も終りに近づきましたので、
本件
に関する
調査報告書
を提出いたしたいと存じます。本
報告書
は未了の
報告
でございます。これを提出することに御
異議
ございませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
北村一男
2
○
委員長
(
北村一男
君) 御
異議
ないと認めます。
報告書
には多数
意見者
の
署名
を要することとな
つて
おりますから順次
署名
をお願いします。 多数
意見者署名
齋
武雄
宮城タマヨ
須藤
五郎
長谷山行毅
鈴木
安孝
岡部
常
棚橋
小虎
鬼丸
義齊
一松
定吉
北村一男
3
○
委員長
(
北村一男
君) 又、
本件
は
閉会
中においても、尚
調査
を継続いたしたいと思いますので、
継続調査要求
を提出いたしたいと思いますが御
異議
ございませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
北村一男
4
○
委員長
(
北村一男
君) 御
異議
ないと認めて、左様取扱います。 次に
閉会
中本
調査
のために
議員派遣
を行いたいと思います。
派遣地
、
派遣議員
その他は後刻お諮りいたすこととして、
議員派遣
を行うことに御
異議
ございませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
北村一男
5
○
委員長
(
北村一男
君) 御
異議
ないと認めます。
速記
を止めて下さい。 午後二時四十三分
速記中止
—————
・
—————
午後二時五十九分
速記開始
北村一男
6
○
委員長
(
北村一男
君)
速記
を始めて下さい。
鉄道公安職員
の
職務
に関する
法律案
を
議題
に供します。質疑は終了いたしたものと認めて
討論
に入りたいと思いますが、御
異議
ございませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
北村一男
7
○
委員長
(
北村一男
君) 御
異議
ないと認めます。これより
討論
に入ります。尚
修正意見
がございましたら
討論
中にお述べを願いたいと思います。
一松定吉
8
○
一松定吉
君 私は
只今議題
にな
つて
おりまする
鉄道公安職員
の
職務
に関する
法律制定
に関しましては、我々はこの
趣旨
に鑑みまして、この
制定
の
趣旨
に大
賛成
であります。但しこの中で私共は直ちにこのままに通過されるのでは将来種々の禍根を残す虞れありと思量せらるべき点が二つございます。 その第一は、第七條の「
小型武器
を携帶することができる。」ということにつきましては、これは時局に鑑みましてこの必要のあることを
承認
いたしますが、この
小型武器
を
使用
するに当りまして、第
八條
のごとく、ただ單に「
自己
又は
他人
の
生命
又は
身体
の
保護
に関し、やむを得ない必要がある場合」云云というこれだけの点では、余りにも
範囲
が
茫漠
といたしておりまして、
武器
を
使用
する上にいろいろな
支障
を来たす虞れがあると考えます。故に今他の
武器使用
に関しまする
制限規定
のある
海上保安庁法
、若しくは
関税官吏
の
取締
の
法律
、あるいは
警察官職務執行
に関する
法令等
を細かに検討して見ますると、いろいろな
制限
が設けられております。私はそういう他の
法律
を勘案いたしまして、第
八條
も将来
使用者
をして万
遺漏
なきを期せしめる
意味
において、これを
修正
する必要があると考えるのであります。この
意味
におきまして、私は第
八條
を以下申上げまするような
趣旨
に
修正
を願いたい。こういうことを
皆様
にお諮りをし、且つ御賛同を得たいのであります。今その
修正文
を読上げることにいたします。第
八條鉄道公安職員
は、その
職務
を行うに当り、特に
自己
又は
他人
の
生命
又は
身体
の
保護
のため、やむを得ない必要があると認める相当の
理由
がある場合においては、その事態に応じ合理的に必要であると判断される限度において、
武器
を
使用
することができる。」かように
修正
をいたしたいのであります。この文句は如何にもごつごつしておるような嫌いなきにしもあらずでありますが、併しながら
海上保安庁
の
職員
の
武器保用
、又は
関税官吏
の
武器使用
或いは
警察官職務執行
に関する
拳銃
の
使用
というような法文と比較いたしまして、ややこれと類以いたしておるのでありまするから、この
程度
に
規定
するという必要があるということを痛感いたしました結果、かような少し堅苦しい
文章
を用いたのでありますからその点についての御了承を賜わりたいのであります。 その次には、第
一條
のいわゆる
道鉄公安職員
が
職務
を執行するその
場所
の
範囲
であります。それが第
一條
及び第
二條
に「その他
鉄道施設
」云々とあります。そうすると
鉄道施設
でありますると、
日本国有鉄道
の
列車
内、それと
停車場
これだけの
範囲
内において、今申し上げました第
八條
の
制限
に基いて
拳銃
を
使用
することは、さように
弊害
があるとは考えられませんが、「その他
鉄道施設
以外の
場所
において」というと、余りにも
範囲
が
茫漠
といたすのであります。こういうようなことは成る
たけ区域
を
制限
をし、そうして成る
たけ弊害
を少なからしむるということが、
立法者
の考えなければならんところであると思量いたしますので、その
範囲
をかように
制限
いたしたいのであります。第
一條
及び第
二條
の中で「その他
鉄道施設
」とありまするのを「その他輸送に直接必要な
鉄道施設
」、一こういうように改めますると、その
使用
する
区域
が余程
制限
され、而も
公安職員
が
職務
を執行する上においてこの
程度
ならば何ら
支障
はないと考えまするので、かように
一つ修正
をいたしたいと考えておりまするからどうか
皆様
におかせられましてもこれらの点について、
鉄道職員
の誤り溶き
職務執行
を期せられたいという
意味
において御
賛成
を賜わりたいということをお願いを申上げるのであります、その他の点につきましては、私は必要に鑑みて、最もこの
立法
は機宜に適したものと考えますから、その他は
賛成
いたします。ただ附加して申上げて置きたいのでありまするが、すべてこれは
委員長
が本
会議
に
報告
いたしまする際に特に御
留意
を賜わりたいことは、かように
拳銃
を
使用
することについて
制限
がありまするが、併しながら
海上保安庁
の
職員
若しくは
警察官
の
職務執行
に関する
拳銃使用
の
範囲等
は尚より多くの
注意事項
がざいます。
拳銃
を所持する
方法
、
拳銃
の彈を保持する
方法
その他成る
たけ危害
を少なふらしめるために、この
拳銃
を
使用
するについての詳細なる
心得等
が
規定
されております。ゆえにそれに準じまして
運輸大臣
は、幸いにこの本法の六條に
鉄道公安職員
の
捜査
に関する
職務
を
運輸大臣
が監督するという
規定
があることを幸いに、この法の
趣旨
に基きまして
海上保安庁
の
拳銃使用
に関する
注意事項
、
警察官
の
職務執行
に関する
拳銃使用
に関する
注意事項等
を十分御検討の上、
運輸大臣
の
訓旨規程
を
制定
せられまして、これらの
鉄道公安職員
の
職務執行
について万
遺漏
なきを期するように、特に
運輸大臣
を当
委員会
においでを願うて
意見
を聞いたときに、
運輸大臣
は快く
承認
せられたのでありまするから、必ずこれを実行するように特に御
留意
を願いたいという
意見
を述べて置きまして、而してこの
意見
は
委員長
が本
会議
に
報告
なさる時に特に本
会議
においてこれを明らかにして、そうして官報の上にこれが立派に
掲載
ができまして、国民全部が成る程こういう
意味
において
武器
を
使用
するものだな、これならば我々に不安は感じないのだなという
安心感
を與えられる
一つ
の
方法
とし七も深甚の御
注意
を賜わりたいということをお願いいたしまして私の
意見
を終ります。
北村一男
9
○
委員長
(
北村一男
君) 他に御
発言
がございませんか。
須藤五郎
10
○
須藤五郎
君 私はこの法案に
反対意見
を持
つて
おるのでありますが、何故
反対
するかと申しますと、今日私は昨年の
犯罪
の内訳の表を頂きましたが、これを見ましても
公安委員
か
ピストル
を持たなければならない、それでなければ防げないという
犯罪
は殆んどないと思うのであります。昨年度発生総
件数
の四十九万何千という
件数
のうち、最も惡質の強盗は八十三件しかないような
状態
であります。その外は
経済犯
が大多数を占めております。そうして尚
鉄道施設
に対して石ころを置くとか何とかという、そういうことが挙げられておりますが、これは單なる子供のいたずら半分のことが七〇%を占めておるというような
状態
でありまして、これは
公安委員
が
ピストル
を腰に下げることより、もう少し
線路工夫
を沢山殖やし、そうしてそういうことのないように
線路
を監督するということによ
つて
十分に防げるのではないかと思うのであります。私は
終戰以来
、
日本
のお巡りさんが腰に下げてお
つた
あの短かい
サーベル
がなくな
つて
、非常に私は
日本
がよく
なつ
た、楽しい
日本
に
なつ
たというふうに考えていたのでありますが、最近短い
サーベル
よりももう
一つ
私達に不愉快な念を持たすところの
ピストル
を下げた
警官
がどんどん殖えておるような
状態
であります。而も楽しい
旅行
をしておる
列車
内におきましても、そういう
警官
が殖えて行くということになれば、決して楽しい
旅行
というものは感じられない、非常に
旅行そのもの
すらも
圧迫感
を持たなければならないのではないかと思うのであります。私も方々、外国を
旅行
して参りましたが、そうした
状景
には一度も接することができなか
つた
。
アメリカ横断
を二回やりましたが、
アメリカ横断
の場合におきましても、腰に
拳銃
を下げて乗客に不愉快な念を持たすような
警官
は一人も見なかつような
状態
であります。特に今日そういう
警官
を置かなければならないという重要な問題があるならばともかく、今日私達はそういう時期ではないと、そういうふうに考えるのであります。ですからこういうことをする前にもう少し
鉄道施設
をよくし、そうして
鉄道
の
従業員
を殖やすことによ
つて
、こういう忌わしい
犯罪
を未然に防ぐそういうような
方法
をと
つて
頂きたい、そういうふうに私は考えるものであります。その
立場
から私はこの案に遺憾ながら
反対
をするものであります。
北村一男
11
○
委員長
(
北村一男
君) 外に御
発言
ございませんか。外に御
発言
もないようでありますから
討論
は終結したものと認めまして、これより採決に入ることに御
異議
ございませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
北村一男
12
○
委員長
(
北村一男
君) 先ず
討論
の中にございました
一松委員
の
修正案
を
議題
に供します。
一松委員提出
の
修正案
に御
賛成
の
お方
の御
起立
をお願い申上げます。 〔
起立者
多数〕
北村一男
13
○
委員長
(
北村一男
君) 多数と認めます。よ
つて一松委員提出
の
修正案
は可決されました。 次に
只今
の
修正部分
を除きました
原案
全部を
議題
に供します。
修正部分
を除きました
原案
に
賛成
の
お方
の
起立
をお願いいたします。 〔
起立者
多数〕
北村一男
14
○
委員長
(
北村一男
君) 多数と認めます。よ
つて本案
は多数を以て
修正
議決いたされました。例によりまして
委員長
の
口頭報告
の
内容
は、本
委員会
の審議の経過並びに表決の結果を
報告
することとして御
承認
を願うことに御
異議
ございませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
北村一男
15
○
委員長
(
北村一男
君) 御
異議
ないものと認めます。多数
意見者
の御
署名
をお願いいたします。 多数
意見者署名
鬼丸
義齊
齋
武雄
一松
定吉
伊藤
修
長谷山行毅
鈴木
安孝
岡部
常
棚橋
小虎
宮城タマヨ
北村一男
16
○
委員長
(
北村一男
君) それではちよつと
速記
を止めて下さい。 午後三時十六分
速記中止
—————
・
—————
午後三時三十八分
速記開始
北村一男
17
○
委員長
(
北村一男
君)
速記
を始めて下さい。それでは
休憩
いたします。 午後三時三十九分
休憩
—————
・
—————
午後四時一分
開会
北村一男
18
○
委員長
(
北村一男
君) それでは
休憩
前に引続きして
会議
を開きます。 昨日
須藤委員
から
法務総裁
に対して、
緊急質問
があるという
理由
を以て
法務総裁
の
出席
を要求されておりましたが、
只今大橋国務大臣
がお見えにな
つて
おりますから、
質問
をお願いいたしまする
須藤五郎
19
○
須藤五郎
君 私は
芸術家
でありまして
法律家
ではありませんが、
芸術家
として
法務総裁
にいろいろ
お尋ね
を年上げたい点がありますが、私達は
憲法
の前文及び第九條に、平和及び
戰争放棄
に対して崇高な思想が盛られておる。それを読みまして、非常に
日本
の将来に対しまして大きな希望を持
つて
おるのでありますが、最近
世界各国
におきましても平和を擁護しようという
運動
が盛んに行われております。又各界の
名士諸君
がその平和を守ろうという
運動
に対しまして、
署名
をや
つて
お
つた
のでありますが、この
平和運動
に関しまして
法務総裁
はどういう御
見解
を持
つて
いらつしやいますか、
一つ
承りたいと思います。
大橋武夫
20
○
國務大臣
(
大橋武夫
君)
須藤委員
にお答え申上げます。
平和運動
というものそれ自体は誠に私共望ましいものと考えております。ただ併しこの
運動
が他の
目的
に利用されましたる場合におきましては、その見地からこれに対し
取締
が必要となる場合もあるということを御了承願いたいと思います。
須藤五郎
21
○
須藤五郎
君 今
法務総裁
がおつしやいました他の
目的
ということは、私
芸術家
には分らないのですが、
法務総裁
はどういうことを、具体的に他の
目的
とお
指し
になるのですか、伺
つて
置きたいと思います。
大橋武夫
22
○
國務大臣
(
大橋武夫
君) その
平和運動
の実行されておりまするところの環境及び時期その他の具体的の
事情
に徴しまして、これが
反米運動
その他、他の
目的
に
使用
され、その
目的
か不法なものであるとせられる場合におきましては、当然
取締
をしなければならないことに相成るのであります。
須藤五郎
23
○
須藤五郎
君 それは純粋なる
憲法
の精神に
従つた平和運動
というものに対しましては、
法務総裁
も御
賛成
であるというふうに受取れますが、その
限界
が非常にむづかしいのです。その
限界
はどういうふうにお考えになるのでしようか。大変むづかしい問題だと思いますが。
大橋武夫
24
○
國務大臣
(
大橋武夫
君) その
方法
にして適当でありまするならば、純粋なる
目的
の
平和運動
というものはこれは
取締
を受くべき筋合でないことは明らかであります。これが他の
目的
に供された場合或いはその
目的
はともかくとして、
方法
が不法であるとされる場合は、如何なるものであるかというお尋でありますが、この点につきましては個々の場合について判定いたす外はなかろうかと考えるのであります。
須藤五郎
25
○
須藤五郎
君 それでは
お尋ね
しますが、
デモ
という
言葉
に関しまして、
デモ
というのはどういうふうな
見解
を取られてありましようか。
デモ
につきまして……。
大橋武夫
26
○
國務大臣
(
大橋武夫
君) この点は
政府委員
から御答え申上げたいと思います。
高橋一郎
27
○
政府委員
(
高橋一郎
君) いわゆる
集会デモ行進
なんかの「
デモ
ということをお
指し
になるかと思いますが、やはり
示威行進
という
文理
から解釈せざるを得ないと思うのです。例えば
東京
都慣例なんかで
示威行進
という
言葉
を使
つて
おりますが、併しその
定義
を與えておりませんから、
文理
や
立法趣旨
から判断せざるを得ないと思います。奇声を発して街頭を行進するというようなことを
意味
するかと思います。今直ちに正確な
定義
をお答えすることはできません。
須藤五郎
28
○
須藤五郎
君 そうすると大体
デモ
と言えば、
相手方
を威圧するような行為というふうに解釈してよろしうございますか。
人数
の点とか、そういうことに関しましてはどうでございますか。
高橋一郎
29
○
政府委員
(
高橋一郎
君)
人数
で画一的な
基準
を設けるということは到底困難と思います。それから
相手方
を威圧するということは必ずしも必要ではないのじやないか、こういうふうに考えております。
須藤五郎
30
○
須藤五郎
君 昨日の
東京新聞
の
記事
を見ますと、
広島
におきまして、
東京
ガスの
労働組合
が、
広島
市で開催される予定の
原子爆彈禁止平和擁護次会
に参加しようと、港区
芝新橋
七の一二
産別会館
から
赤鉢巻
、
白襷
、独立平和、
原爆禁止
の
スローガン
を掲げ、
自転車
で出発したが、
愛宕署
では
都條例違反容疑
で検挙されたという
記事
が載
つて
いるわけですが、これはどうも私達考えますと、別に検挙の対象になるような
行動
でないように考えるのです。
人数
も僅か八人ですし、
目的
がちやんとはつきり分
つて
おりまして、
広島
市の
原爆禁止
の
平和大会
に臨むということがはつきりして出発している
行動
ですが、これを検挙した
根拠
はどこにあるのでしようか。
高橋一郎
31
○
政府委員
(
高橋一郎
君)
新聞
にそのような
記事
を見ましたので調べて見たのであります。
国元潤
という人と外七名、これらの
人々
が
自転車
を連ねて独立平和、
原爆禁止
という
スローガン
を記した織りを掲げて、街路上を行進してお
つた
というような事実らしいのです。それを
愛宕警察署
で無届の
集団示威運動
と認めて、これを
東京
都のいわゆる
公安條例違反
ということで
現行犯逮捕
をしたわけであります。これまではこれは
警察署
のや
つた
ことであります。でこれを
東京地方検察庁
に
報告
がありましたので、
検察庁
の方としてはその
報告
に基いて、事案が軽微であるし、それから
本人達
が逃亡する慮れもない、こういうことで
拘留請求
ということはいたしませんで身柄を
釈放
という措置をと
つて
おります。
須藤五郎
32
○
須藤五郎
君 私は若しまだ
釈放
されてないならば
釈放
をお願いしようと思
つて
おりましたが、
釈放
されておりましたらそれで……。
高橋一郎
33
○
政府委員
(
高橋一郎
君)
釈放
されております。
須藤五郎
34
○
須藤五郎
君 それからもう
一つ
お尋ね
申上げたいのですが、今日の
新聞
によりますと、
言論機関
の
追放
か出ておりますが、あれはどういう
根拠
で
追放
されたものか、
法務総裁
の
見解
をお聞きしたいと思うのであります。
大橋武夫
35
○
国務大臣
(
大橋武夫
君) 今日の
新聞紙上
におきまして、私共も
放送局並び
に
東京都内
におきます主な
新聞社
その他
言論機関
からいわゆる赤の
追放
があ
つた
という
記事
を見ております。これにつきましては私共としては全然関知いたしておりません。その
理由等
も別に聞いておりません。
須藤五郎
36
○
須藤五郎
君 或る話によりますと、これが
特審局
の
リスト
によ
つて
、
特審局
から
リスト
が出て、それによ
つて
行われたということが言われておるのでありますが、
特審局
というのは実際どういう仕事をするところかお伺いいたしたいと思います。
大橋武夫
37
○
国務大臣
(
大橋武夫
君)
特審局
の
リスト
が出たという噂は聞いておりません。
須藤五郎
38
○
須藤五郎
君
解雇
された
人達
の話によりますと、会社は
関係方面
の
示唆
によ
つて
なされたと言
つて
おるそうでありますが、
ポツダム宣言
によりますと、すべて
占領軍
の
示唆
といふものは、
政府
を通してなされるものだというふうに我々は解釈しているのでありますが、今度のことは
政府
を通しておりますでしようかどうでしようか。
大橋武夫
39
○
国務大臣
(
大橋武夫
君)
関係方面
の
示唆
であるということも我々は聞いておりませんし、又その
関係方面
の
示唆
が
政府
を通して行われたというようなことは全然ありません。
須藤五郎
40
○
須藤五郎
君
労働基準法
によりますと、
解雇
するに当りましては、或る
期間
の
予告
ということが必要にな
つて
いると思うのであります。ところが今回の
解雇
は即刻
解雇
ということになり、そうして
即時職場
から立ち去れというような言い渡しがされているようであります。又その
内容
は、
共産主義者
及びこれの
同調者
ということにな
つて
いるそうでありますが、実際は
共産主義者
でもない、
同調者
でもない、單なる人、いわゆる
組合
においてこれまで活発に活動して来た人、又幹部から睨まれていた私的な
関係
におかれている、そういう
人達
まで今回
解雇
されているように思うのでありますが、これは
国内法
に違反するものではないでしようか。
大橋武夫
41
○
国務大臣
(
大橋武夫
君)
労働基準法
によりますると、
一定期間
の
予告
を以て
解雇
が成立するということに相成
つて
おります。併しながらこの
予告期間
に相当する
期間
の
労働賃金
の支拂をなせば、即刻
解雇
できる、こう解釈せられております。その他この
言論機関
の
追放関係
のいろいろな点につきまして
国内法
上違法の点がありはしないかという
お尋ね
でございますが、私達よく
事情
を承知しておりませんので、この席では申しかねる次第でございます。
須藤五郎
42
○
須藤五郎
君 これは非常に重大なことであり、
法務総裁
の
見解
も非常に重大だと思いますので、今日はこの
程度
に止めまして、又他日に
質問
を留保して置きたいと存じます。御了承願います。
北村一男
43
○
委員長
(
北村一男
君)
伊藤委員
より
質問
を要求されておりますから、
伊藤委員
どうぞ……。
伊藤修
44
○
伊藤修
君 幸い
法務総裁
が御
出席
になりましたから、この
機会
を利用して、と申しては甚だ失礼でありますが、
一言
お伺いしたいと思います。 過日「
文芸春秋
」におきまして
大野伴睦
氏が何か
意見
を書いた。それに対しまして
検事
が又
反駁文
を掲げたそうであります。聞くところによりますと
検事
の
反駁文
につきましては、
検察官
が協議いたしまして、そうしていわゆる
河合検事
の名においてあの
反駁文
を発表した。こういうふうに伺
つて
おるのであらますが、勿論出獄中の
大野
氏がああいう
文章
を公開されることにつきましては、或いは不謹愼の譏りを免れないかも知れませんが、ただこれに対しまして
検事
の名を以て
反駁文
を出すということが、一体どういう
根拠
に基くのか、或いは上司の
法務総裁
にお伺いを立ててかようなものをお出しに
なつ
たのか。そうではなくて、單独に
検察官
の協議に基いて出されたのか、或いは
河合
氏の私的な御
意見
として出されたのか、若し最後のものであるとするならば、一体
検察官
が
職務
を執行される場合におきまして、そういうような被告の取調中におけるところのいろいろな私事を公開していいのかどうか。又
職務遂行
の過程を披瀝していいのかどうか。そういう点を、今後におけるところの
検察
の
運営
について我々としてもお伺いして置きたいと思いますが、
法務総裁
の率直な御
意見
を伺いたいと思います。
大橋武夫
45
○
國務大臣
(
大橋武夫
君)
只今
非常に重要な問題について御
質問頂
、たのでありますが、実は私「
文芸春秋
」誌上におきます
当該文章
につきましてはまだ読んでおりません。従いまして又これが如何なる
事情
によ
つて
掲載
されるに至
つた
かということについても承知いたしておりません。この点については
十分調査
をいたしまして、これが処理につきましては然るべく善処いたしたいと存じますが、いずれにいたしましても
刑事訴訟
におきまして、
検事
として
事件
を担当いたしましたる限りは、
捜査
上の機密と目せるべき
事項
を、仮りにさような
方法
において公表するというようなことがございますれば、これは由々しいことであると存じます。尚この点につきましては、
只今
申上げました通り詳細の事実を存じませんので、十分に
調査
の上善処いたしたいと存じます。
伊藤修
46
○
伊藤修
君
只今
の
法務総裁
のお
言葉
は、突然の
質問
で止むを得んと存じますが、
会期
は明後日までですから、
会期
までに御答弁を頂けるのか。或いは次の
機会
にお譲り願うのか。若し次の
機会
にお譲り願うとすれば、当
法務委員会
に御書面で
一つ
御回答を願いたいと思いますが、如何でございますか。
大橋武夫
47
○
国務大臣
(
大橋武夫
君)
只今
いずれに相成りまするか即答はいたしかねまするが、いずれにいたしましても、成るべく速かなる
機会
に適当なる
方法
によ
つて
当
委員会
にお答えいたしたいと思
つて
おります。
伊藤修
48
○
伊藤修
君 私は決して
大野
氏の
言葉
がいいの惡いのと、
内容
の問題を申上げるわけではありませんが、その点は誤解を持たないようにお願いして置きます。又
検察官
のお
言葉
がいい惡いということを申上げるわけではありません。飽くまで
検察官
の
立場
として、いわゆる
刑事訴訟法
の
運営
の上においてそういうことが是認されるかどうかという点を、
職務執行
の上から、そういうような観点から御答えを願いたい。かように存じます。 尚この際
一言
、もう
一つ
お尋ね
して置きたいのですが、私は或いは今まで
法務総裁
の御発表になりました御
意見
を見落しているかも知れませんが、今日
大変国内
の
自衛権
の問題について論議が交わされておるのであります。つぶさに各
人々
の御
意見
も
新聞
を通じて伺
つて
おるのでありますが、
自衛権
の概念といたしましての問題はさて措いて、私の
お尋ね
したいのは、今度作られるところの
警察隊
ですか、
予備隊
と申しますか、名称ははつきり知りませんが、少くとも七万五千というものが容認されたところのあの
警察予備隊
が、
目的
は
国内
に船けるところの治安維持のため、いわゆる
予備隊
として存置し、一朝事ある場合においてはこの者を動員してこれを防遏しよう、こういう
趣旨
であることは誠に結構なことだと存じますが、若しこれが外夷の場合において、いわゆる
自衛権
の発動が是認されるという前提の下において、この
警察予備隊
というものがいわゆる
自衛権
の行使の道具として、或いは行使の
一つ
の前衛としてこれが
使用
し得るや否や、いわゆる
警察予備隊
が
自衛権
の行使に役立ち得るや否や、
使用
することがきでるかどうか、この点をお伺いして置きたいと思います。
大橋武夫
49
○
國務大臣
(
大橋武夫
君) この
予備隊
の創設につきましては、お話のようにこの
予備隊
が将来
国内
において
自衛権
の行使その他の
理由
によりまして、外国軍隊と交戰するというようなことに用いられるということは全然予想をいたしておらないところであります。
伊藤修
50
○
伊藤修
君
法務総裁
は私の
質問
の
趣旨
を取り違えておられるようであります。私は敢えて外国軍隊と申上げたわけではないのです。又
国内
におけるところの
自衛権
の発動として、或いは国民が義勇軍を組織し得ることは可能であるとか可能でないとかいろいろ説はありますが、その問題を今あなたと論議しようとは思いません。たず
警察予備隊
を、
自衛権
の行使の場合においてこれを
使用
し得るや否や、外国軍に対して
使用
しようとか何とかいう冠詞をお付けにならずして、端的に
使用
し得るや否やということを
お尋ね
したわけであります。
大橋武夫
51
○
国務大臣
(
大橋武夫
君)
自衛権
の行使といたしましては、国際法の認めた
範囲
内におきまして、
憲法
上認められたる……、
国内法
上、
憲法
によ
つて
認められましたる一切の手段が許され得るものと考えます。勿論これはその場合に応じまして、緊急の必要に応ずる限度においてではありますが、さように考えております。
伊藤修
52
○
伊藤修
君 そういたしますと、国際法上の
範囲
において認めるということになりますれば、いわゆる外夷があ
つた
場合におきまして、
自衛権
の行使の
範囲
内において
警察予備隊
をも
使用
し得ることが可能である。かように了解してよろしいですか。
大橋武夫
53
○
国務大臣
(
大橋武夫
君)
警察予備隊
の本来の
目的
は、
国内
における治安の確保ということでございますから、
国内
における治安の確保のため、必要があればその限度においては認められるものと考えます。
伊藤修
54
○
伊藤修
君 勿論
国内
の治安維持のために使うことは当然のことです。私の
お尋ね
しておるのは、外夷があ
つた
場合において、延いて以て
国内
の治安というものはその面から侵されて来るのでありますから、その場合においてこれが
使用
し得るや否や、そこのところを
法務総裁
はお逃げになるのですが、御答弁ができないならできんでよろしいのです。敢えて聞こうとは申しませんが、できるならばそれをはつきりして置きたいと、こう申上げたのです。
大橋武夫
55
○
國務大臣
(
大橋武夫
君) 私は別にこの問題について逃げる必要を全然感じません。
伊藤修
56
○
伊藤修
君 そんなら率直に——。
大橋武夫
57
○
國務大臣
(
大橋武夫
君) 私の申上げましたる
趣旨
は、この警察の
予備隊
の
目的
は、
国内
の治安を維持するために必要である。従いまして
日本
の
国内法
上如何なる場合におきましても、この
警察予備隊
は
国内
治安を維持する以外の
目的
に
使用
されることは許されないのである。勿論これは今後できまする
警察予備隊
の基礎法の
内容
と関連いたした問題でありまするが、恐らくさような
内容
を持
つた
ものとして
警察予備隊
は
規定
されるだろうと思うのであります。この前提の下におきまして将来外国からの勢力の侵入によりまして、
国内
において
自衛権
の発動が予想される、併しこの
自衛権
という観念は、申すまでもなく国際法上の問題でございまして、国際法上
自衛権
で許されたあらゆる行為が、
国内法
であるところの
憲法
上許されるとは限
つて
おらない。如何なる
程度
において許されるかは、これは
憲法
上の問題であります。従いましてその場合において
警察予備隊
の
目的
が飽くまでも
国内
治安を確保する、こういうことに
規定
せられておりまする限り、
自衛権
を行使する場合であろうが、如可なる場合であろうが、
警察予備隊
はその治安上の必要な限度においてのみ用いられる、勿論この
国内
の治安を確保するという
意味
においては
使用
することは差支えないのでありまして、これが延いては外国から侵入いたしましたる他の勢力によるところの治安撹乱に対抗する措置として拂われる場合もあり得るわけであります。併しながらそれは飽くまでも
警察予備隊
本来の
目的
の
範囲
内においてのみ
使用
され得るものである、かように考えるのであります。
伊藤修
58
○
伊藤修
君 そうすると
法務総裁
の御
意見
は、
国内
治安の維持を
目的
とする
範囲
内において受けて立つ、消極的の面においては勿論
行動
されるけれども、積極的にこの
予備隊
を
使用
する、いわゆる
自衛権
としてこれを発動せしむると、そういうことはあり得ないと、こういうふうに伺
つて
よろしうございますね。
大橋武夫
59
○
國務大臣
(
大橋武夫
君) 大体さようなことでございます。
北村一男
60
○
委員長
(
北村一男
君) 外に
法務総裁
に対して御質疑ございませんか。他に御
発言
がなければ、本日はこれで散会いたします。 午後四時二十八分散会
出席
者は左の通り。
委員長
北村 一男君 理事
伊藤
修君
宮城タマヨ
君
鬼丸
義齊
君 委員
鈴木
安孝
君
長谷山行毅
君 山田 佐一君 齋
武雄
君
棚橋
小虎君
岡部
常君
一松
定吉
君
須藤
五郎
君 衆議院議員 法務
委員長
安部 俊吾君 佐瀬 昌三君 田嶋 好文君
国務大臣
国 務 大 臣 大橋 武夫君
政府委員
法務府検務局長 高橋 一郎君