運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1950-07-29 第8回国会 参議院 法務委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年七月二十九日(土曜日)    午後一時三十六分開会   —————————————   本日の会議に付した事件継続調査承認要求の件 ○議員派遣要求の件 ○鉄道公安職員職務に関する法律案  (衆議院提出) ○検察及び裁判運営等に関する調査  の件  (平和運動に関する件)  (新聞社等追放問題に関する件)  (文芸春秋掲載記事に関する件)  (自衞権問題に関する件)   —————————————
  2. 北村一男

    委員長北村一男君) 只今より委員会開会いたします。  先づ始めにお諮りいたしたいことがございます。当委員会今期国会も例の検察及び裁判運営等に関する調査をいたしておりましりたが、会期も終りに近づきましたので、本件に関する調査報告書を提出いたしたいと存じます。本報告書は未了の報告でございます。これを提出することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 北村一男

    委員長北村一男君) 御異議ないと認めます。報告書には多数意見者署名を要することとなつておりますから順次署名をお願いします。   多数意見者署名    齋  武雄  宮城タマヨ    須藤 五郎  長谷山行毅    鈴木 安孝  岡部  常    棚橋 小虎  鬼丸 義齊    一松 定吉
  4. 北村一男

    委員長北村一男君) 又、本件閉会中においても、尚調査を継続いたしたいと思いますので、継続調査要求を提出いたしたいと思いますが御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 北村一男

    委員長北村一男君) 御異議ないと認めて、左様取扱います。  次に閉会中本調査のために議員派遣を行いたいと思います。派遣地派遣議員その他は後刻お諮りいたすこととして、議員派遣を行うことに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 北村一男

    委員長北村一男君) 御異議ないと認めます。速記を止めて下さい。    午後二時四十三分速記中止    ——————————    午後二時五十九分速記開始
  7. 北村一男

    委員長北村一男君) 速記を始めて下さい。  鉄道公安職員職務に関する法律案議題に供します。質疑は終了いたしたものと認めて討論に入りたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 北村一男

    委員長北村一男君) 御異議ないと認めます。これより討論に入ります。尚修正意見がございましたら討論中にお述べを願いたいと思います。
  9. 一松定吉

    一松定吉君 私は只今議題になつておりまする鉄道公安職員職務に関する法律制定に関しましては、我々はこの趣旨に鑑みまして、この制定趣旨に大賛成であります。但しこの中で私共は直ちにこのままに通過されるのでは将来種々の禍根を残す虞れありと思量せらるべき点が二つございます。  その第一は、第七條の「小型武器を携帶することができる。」ということにつきましては、これは時局に鑑みましてこの必要のあることを承認いたしますが、この小型武器使用するに当りまして、第八條のごとく、ただ單に「自己又は他人生命又は身体保護に関し、やむを得ない必要がある場合」云云というこれだけの点では、余りにも範囲茫漠といたしておりまして、武器使用する上にいろいろな支障を来たす虞れがあると考えます。故に今他の武器使用に関しまする制限規定のある海上保安庁法、若しくは関税官吏取締法律、あるいは警察官職務執行に関する法令等を細かに検討して見ますると、いろいろな制限が設けられております。私はそういう他の法律を勘案いたしまして、第八條も将来使用者をして万遺漏なきを期せしめる意味において、これを修正する必要があると考えるのであります。この意味におきまして、私は第八條を以下申上げまするような趣旨修正を願いたい。こういうことを皆様にお諮りをし、且つ御賛同を得たいのであります。今その修正文を読上げることにいたします。第八條鉄道公安職員は、その職務を行うに当り、特に自己又は他人生命又は身体保護のため、やむを得ない必要があると認める相当の理由がある場合においては、その事態に応じ合理的に必要であると判断される限度において、武器使用することができる。」かように修正をいたしたいのであります。この文句は如何にもごつごつしておるような嫌いなきにしもあらずでありますが、併しながら海上保安庁職員武器保用、又は関税官吏武器使用或いは警察官職務執行に関する拳銃使用というような法文と比較いたしまして、ややこれと類以いたしておるのでありまするから、この程度規定するという必要があるということを痛感いたしました結果、かような少し堅苦しい文章を用いたのでありますからその点についての御了承を賜わりたいのであります。  その次には、第一條のいわゆる道鉄公安職員職務を執行するその場所範囲であります。それが第一條及び第二條に「その他鉄道施設」云々とあります。そうすると鉄道施設でありますると、日本国有鉄道列車内、それと停車場これだけの範囲内において、今申し上げました第八條制限に基いて拳銃使用することは、さように弊害があるとは考えられませんが、「その他鉄道施設以外の場所において」というと、余りにも範囲茫漠といたすのであります。こういうようなことは成るたけ区域制限をし、そうして成るたけ弊害を少なからしむるということが、立法者の考えなければならんところであると思量いたしますので、その範囲をかように制限いたしたいのであります。第一條及び第二條の中で「その他鉄道施設」とありまするのを「その他輸送に直接必要な鉄道施設」、一こういうように改めますると、その使用する区域が余程制限され、而も公安職員職務を執行する上においてこの程度ならば何ら支障はないと考えまするので、かように一つ修正をいたしたいと考えておりまするからどうか皆様におかせられましてもこれらの点について、鉄道職員の誤り溶き職務執行を期せられたいという意味において御賛成を賜わりたいということをお願いを申上げるのであります、その他の点につきましては、私は必要に鑑みて、最もこの立法は機宜に適したものと考えますから、その他は賛成いたします。ただ附加して申上げて置きたいのでありまするが、すべてこれは委員長が本会議報告いたしまする際に特に御留意を賜わりたいことは、かように拳銃使用することについて制限がありまするが、併しながら海上保安庁職員若しくは警察官職務執行に関する拳銃使用範囲等は尚より多くの注意事項がざいます。拳銃を所持する方法拳銃の彈を保持する方法その他成るたけ危害を少なふらしめるために、この拳銃使用するについての詳細なる心得等規定されております。ゆえにそれに準じまして運輸大臣は、幸いにこの本法の六條に鉄道公安職員捜査に関する職務運輸大臣が監督するという規定があることを幸いに、この法の趣旨に基きまして海上保安庁拳銃使用に関する注意事項警察官職務執行に関する拳銃使用に関する注意事項等を十分御検討の上、運輸大臣訓旨規程制定せられまして、これらの鉄道公安職員職務執行について万遺漏なきを期するように、特に運輸大臣を当委員会においでを願うて意見を聞いたときに、運輸大臣は快く承認せられたのでありまするから、必ずこれを実行するように特に御留意を願いたいという意見を述べて置きまして、而してこの意見委員長が本会議報告なさる時に特に本会議においてこれを明らかにして、そうして官報の上にこれが立派に掲載ができまして、国民全部が成る程こういう意味において武器使用するものだな、これならば我々に不安は感じないのだなという安心感を與えられる一つ方法とし七も深甚の御注意を賜わりたいということをお願いいたしまして私の意見を終ります。
  10. 北村一男

    委員長北村一男君) 他に御発言がございませんか。
  11. 須藤五郎

    須藤五郎君 私はこの法案に反対意見を持つておるのでありますが、何故反対するかと申しますと、今日私は昨年の犯罪の内訳の表を頂きましたが、これを見ましても公安委員ピストルを持たなければならない、それでなければ防げないという犯罪は殆んどないと思うのであります。昨年度発生総件数の四十九万何千という件数のうち、最も惡質の強盗は八十三件しかないような状態であります。その外は経済犯が大多数を占めております。そうして尚鉄道施設に対して石ころを置くとか何とかという、そういうことが挙げられておりますが、これは單なる子供のいたずら半分のことが七〇%を占めておるというような状態でありまして、これは公安委員ピストルを腰に下げることより、もう少し線路工夫を沢山殖やし、そうしてそういうことのないように線路を監督するということによつて十分に防げるのではないかと思うのであります。私は終戰以来日本のお巡りさんが腰に下げておつたあの短かいサーベルがなくなつて、非常に私は日本がよくなつた、楽しい日本なつたというふうに考えていたのでありますが、最近短いサーベルよりももう一つ私達に不愉快な念を持たすところのピストルを下げた警官がどんどん殖えておるような状態であります。而も楽しい旅行をしておる列車内におきましても、そういう警官が殖えて行くということになれば、決して楽しい旅行というものは感じられない、非常に旅行そのものすらも圧迫感を持たなければならないのではないかと思うのであります。私も方々、外国を旅行して参りましたが、そうした状景には一度も接することができなかつたアメリカ横断を二回やりましたが、アメリカ横断の場合におきましても、腰に拳銃を下げて乗客に不愉快な念を持たすような警官は一人も見なかつような状態であります。特に今日そういう警官を置かなければならないという重要な問題があるならばともかく、今日私達はそういう時期ではないと、そういうふうに考えるのであります。ですからこういうことをする前にもう少し鉄道施設をよくし、そうして鉄道従業員を殖やすことによつて、こういう忌わしい犯罪を未然に防ぐそういうような方法をとつて頂きたい、そういうふうに私は考えるものであります。その立場から私はこの案に遺憾ながら反対をするものであります。
  12. 北村一男

    委員長北村一男君) 外に御発言ございませんか。外に御発言もないようでありますから討論は終結したものと認めまして、これより採決に入ることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  13. 北村一男

    委員長北村一男君) 先ず討論の中にございました一松委員修正案議題に供します。一松委員提出修正案に御賛成お方の御起立をお願い申上げます。    〔起立者多数〕
  14. 北村一男

    委員長北村一男君) 多数と認めます。よつて一松委員提出修正案は可決されました。  次に只今修正部分を除きました原案全部を議題に供します。修正部分を除きました原案賛成お方起立をお願いいたします。    〔起立者多数〕
  15. 北村一男

    委員長北村一男君) 多数と認めます。よつて本案は多数を以て修正議決いたされました。例によりまして委員長口頭報告内容は、本委員会の審議の経過並びに表決の結果を報告することとして御承認を願うことに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  16. 北村一男

    委員長北村一男君) 御異議ないものと認めます。多数意見者の御署名をお願いいたします。   多数意見者署名     鬼丸 義齊  齋  武雄     一松 定吉  伊藤  修     長谷山行毅  鈴木 安孝     岡部  常  棚橋 小虎     宮城タマヨ
  17. 北村一男

    委員長北村一男君) それではちよつと速記を止めて下さい。    午後三時十六分速記中止    ——————————    午後三時三十八分速記開始
  18. 北村一男

    委員長北村一男君) 速記を始めて下さい。それでは休憩いたします。    午後三時三十九分休憩    ——————————    午後四時一分開会
  19. 北村一男

    委員長北村一男君) それでは休憩前に引続きして会議を開きます。  昨日須藤委員から法務総裁に対して、緊急質問があるという理由を以て法務総裁出席を要求されておりましたが、只今大橋国務大臣がお見えになつておりますから、質問をお願いいたしまする
  20. 須藤五郎

    須藤五郎君 私は芸術家でありまして法律家ではありませんが、芸術家として法務総裁にいろいろお尋ねを年上げたい点がありますが、私達は憲法の前文及び第九條に、平和及び戰争放棄に対して崇高な思想が盛られておる。それを読みまして、非常に日本の将来に対しまして大きな希望を持つておるのでありますが、最近世界各国におきましても平和を擁護しようという運動が盛んに行われております。又各界の名士諸君がその平和を守ろうという運動に対しまして、署名をやつてつたのでありますが、この平和運動に関しまして法務総裁はどういう御見解を持つていらつしやいますか、一つ承りたいと思います。
  21. 大橋武夫

    國務大臣大橋武夫君) 須藤委員にお答え申上げます。平和運動というものそれ自体は誠に私共望ましいものと考えております。ただ併しこの運動が他の目的に利用されましたる場合におきましては、その見地からこれに対し取締が必要となる場合もあるということを御了承願いたいと思います。
  22. 須藤五郎

    須藤五郎君 今法務総裁がおつしやいました他の目的ということは、私芸術家には分らないのですが、法務総裁はどういうことを、具体的に他の目的とお指しになるのですか、伺つて置きたいと思います。
  23. 大橋武夫

    國務大臣大橋武夫君) その平和運動の実行されておりまするところの環境及び時期その他の具体的の事情に徴しまして、これが反米運動その他、他の目的使用され、その目的か不法なものであるとせられる場合におきましては、当然取締をしなければならないことに相成るのであります。
  24. 須藤五郎

    須藤五郎君 それは純粋なる憲法の精神に従つた平和運動というものに対しましては、法務総裁も御賛成であるというふうに受取れますが、その限界が非常にむづかしいのです。その限界はどういうふうにお考えになるのでしようか。大変むづかしい問題だと思いますが。
  25. 大橋武夫

    國務大臣大橋武夫君) その方法にして適当でありまするならば、純粋なる目的平和運動というものはこれは取締を受くべき筋合でないことは明らかであります。これが他の目的に供された場合或いはその目的はともかくとして、方法が不法であるとされる場合は、如何なるものであるかというお尋でありますが、この点につきましては個々の場合について判定いたす外はなかろうかと考えるのであります。
  26. 須藤五郎

    須藤五郎君 それではお尋ねしますが、デモという言葉に関しまして、デモというのはどういうふうな見解を取られてありましようか。デモにつきまして……。
  27. 大橋武夫

    國務大臣大橋武夫君) この点は政府委員から御答え申上げたいと思います。
  28. 高橋一郎

    政府委員高橋一郎君) いわゆる集会デモ行進なんかの「デモということをお指しになるかと思いますが、やはり示威行進という文理から解釈せざるを得ないと思うのです。例えば東京都慣例なんかで示威行進という言葉を使つておりますが、併しその定義を與えておりませんから、文理立法趣旨から判断せざるを得ないと思います。奇声を発して街頭を行進するというようなことを意味するかと思います。今直ちに正確な定義をお答えすることはできません。
  29. 須藤五郎

    須藤五郎君 そうすると大体デモと言えば、相手方を威圧するような行為というふうに解釈してよろしうございますか。人数の点とか、そういうことに関しましてはどうでございますか。
  30. 高橋一郎

    政府委員高橋一郎君) 人数で画一的な基準を設けるということは到底困難と思います。それから相手方を威圧するということは必ずしも必要ではないのじやないか、こういうふうに考えております。
  31. 須藤五郎

    須藤五郎君 昨日の東京新聞記事を見ますと、広島におきまして、東京ガスの労働組合が、広島市で開催される予定の原子爆彈禁止平和擁護次会に参加しようと、港区芝新橋七の一二産別会館から赤鉢巻白襷、独立平和、原爆禁止スローガンを掲げ、自転車で出発したが、愛宕署では都條例違反容疑で検挙されたという記事が載つているわけですが、これはどうも私達考えますと、別に検挙の対象になるような行動でないように考えるのです。人数も僅か八人ですし、目的がちやんとはつきり分つておりまして、広島市の原爆禁止平和大会に臨むということがはつきりして出発している行動ですが、これを検挙した根拠はどこにあるのでしようか。
  32. 高橋一郎

    政府委員高橋一郎君) 新聞にそのような記事を見ましたので調べて見たのであります。国元潤という人と外七名、これらの人々自転車を連ねて独立平和、原爆禁止というスローガンを記した織りを掲げて、街路上を行進しておつたというような事実らしいのです。それを愛宕警察署で無届の集団示威運動と認めて、これを東京都のいわゆる公安條例違反ということで現行犯逮捕をしたわけであります。これまではこれは警察署のやつたことであります。でこれを東京地方検察庁報告がありましたので、検察庁の方としてはその報告に基いて、事案が軽微であるし、それから本人達が逃亡する慮れもない、こういうことで拘留請求ということはいたしませんで身柄を釈放という措置をとつております。
  33. 須藤五郎

    須藤五郎君 私は若しまだ釈放されてないならば釈放をお願いしようと思つておりましたが、釈放されておりましたらそれで……。
  34. 高橋一郎

    政府委員高橋一郎君) 釈放されております。
  35. 須藤五郎

    須藤五郎君 それからもう一つお尋ね申上げたいのですが、今日の新聞によりますと、言論機関追放か出ておりますが、あれはどういう根拠追放されたものか、法務総裁見解をお聞きしたいと思うのであります。
  36. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) 今日の新聞紙上におきまして、私共も放送局並び東京都内におきます主な新聞社その他言論機関からいわゆる赤の追放があつたという記事を見ております。これにつきましては私共としては全然関知いたしておりません。その理由等も別に聞いておりません。
  37. 須藤五郎

    須藤五郎君 或る話によりますと、これが特審局リストによつて特審局からリストが出て、それによつて行われたということが言われておるのでありますが、特審局というのは実際どういう仕事をするところかお伺いいたしたいと思います。
  38. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) 特審局リストが出たという噂は聞いておりません。
  39. 須藤五郎

    須藤五郎君 解雇された人達の話によりますと、会社は関係方面示唆によつてなされたと言つておるそうでありますが、ポツダム宣言によりますと、すべて占領軍示唆といふものは、政府を通してなされるものだというふうに我々は解釈しているのでありますが、今度のことは政府を通しておりますでしようかどうでしようか。
  40. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) 関係方面示唆であるということも我々は聞いておりませんし、又その関係方面示唆政府を通して行われたというようなことは全然ありません。
  41. 須藤五郎

    須藤五郎君 労働基準法によりますと、解雇するに当りましては、或る期間予告ということが必要になつていると思うのであります。ところが今回の解雇は即刻解雇ということになり、そうして即時職場から立ち去れというような言い渡しがされているようであります。又その内容は、共産主義者及びこれの同調者ということになつているそうでありますが、実際は共産主義者でもない、同調者でもない、單なる人、いわゆる組合においてこれまで活発に活動して来た人、又幹部から睨まれていた私的な関係におかれている、そういう人達まで今回解雇されているように思うのでありますが、これは国内法に違反するものではないでしようか。
  42. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) 労働基準法によりますると、一定期間予告を以て解雇が成立するということに相成つております。併しながらこの予告期間に相当する期間労働賃金の支拂をなせば、即刻解雇できる、こう解釈せられております。その他この言論機関追放関係のいろいろな点につきまして国内法上違法の点がありはしないかというお尋ねでございますが、私達よく事情を承知しておりませんので、この席では申しかねる次第でございます。
  43. 須藤五郎

    須藤五郎君 これは非常に重大なことであり、法務総裁見解も非常に重大だと思いますので、今日はこの程度に止めまして、又他日に質問を留保して置きたいと存じます。御了承願います。
  44. 北村一男

    委員長北村一男君) 伊藤委員より質問を要求されておりますから、伊藤委員どうぞ……。
  45. 伊藤修

    伊藤修君 幸い法務総裁が御出席になりましたから、この機会を利用して、と申しては甚だ失礼でありますが、一言お伺いしたいと思います。  過日「文芸春秋」におきまして大野伴睦氏が何か意見を書いた。それに対しまして検事が又反駁文を掲げたそうであります。聞くところによりますと検事反駁文につきましては、検察官が協議いたしまして、そうしていわゆる河合検事の名においてあの反駁文を発表した。こういうふうに伺つておるのであらますが、勿論出獄中の大野氏がああいう文章を公開されることにつきましては、或いは不謹愼の譏りを免れないかも知れませんが、ただこれに対しまして検事の名を以て反駁文を出すということが、一体どういう根拠に基くのか、或いは上司の法務総裁にお伺いを立ててかようなものをお出しになつたのか。そうではなくて、單独に検察官の協議に基いて出されたのか、或いは河合氏の私的な御意見として出されたのか、若し最後のものであるとするならば、一体検察官職務を執行される場合におきまして、そういうような被告の取調中におけるところのいろいろな私事を公開していいのかどうか。又職務遂行の過程を披瀝していいのかどうか。そういう点を、今後におけるところの検察運営について我々としてもお伺いして置きたいと思いますが、法務総裁の率直な御意見を伺いたいと思います。
  46. 大橋武夫

    國務大臣大橋武夫君) 只今非常に重要な問題について御質問頂、たのでありますが、実は私「文芸春秋」誌上におきます当該文章につきましてはまだ読んでおりません。従いまして又これが如何なる事情によつて掲載されるに至つたかということについても承知いたしておりません。この点については十分調査をいたしまして、これが処理につきましては然るべく善処いたしたいと存じますが、いずれにいたしましても刑事訴訟におきまして、検事として事件を担当いたしましたる限りは、捜査上の機密と目せるべき事項を、仮りにさような方法において公表するというようなことがございますれば、これは由々しいことであると存じます。尚この点につきましては、只今申上げました通り詳細の事実を存じませんので、十分に調査の上善処いたしたいと存じます。
  47. 伊藤修

    伊藤修君 只今法務総裁のお言葉は、突然の質問で止むを得んと存じますが、会期は明後日までですから、会期までに御答弁を頂けるのか。或いは次の機会にお譲り願うのか。若し次の機会にお譲り願うとすれば、当法務委員会に御書面で一つ御回答を願いたいと思いますが、如何でございますか。
  48. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) 只今いずれに相成りまするか即答はいたしかねまするが、いずれにいたしましても、成るべく速かなる機会に適当なる方法によつて委員会にお答えいたしたいと思つております。
  49. 伊藤修

    伊藤修君 私は決して大野氏の言葉がいいの惡いのと、内容の問題を申上げるわけではありませんが、その点は誤解を持たないようにお願いして置きます。又検察官のお言葉がいい惡いということを申上げるわけではありません。飽くまで検察官立場として、いわゆる刑事訴訟法運営の上においてそういうことが是認されるかどうかという点を、職務執行の上から、そういうような観点から御答えを願いたい。かように存じます。  尚この際一言、もう一つお尋ねして置きたいのですが、私は或いは今まで法務総裁の御発表になりました御意見を見落しているかも知れませんが、今日大変国内自衛権の問題について論議が交わされておるのであります。つぶさに各人々の御意見新聞を通じて伺つておるのでありますが、自衛権の概念といたしましての問題はさて措いて、私のお尋ねしたいのは、今度作られるところの警察隊ですか、予備隊と申しますか、名称ははつきり知りませんが、少くとも七万五千というものが容認されたところのあの警察予備隊が、目的国内に船けるところの治安維持のため、いわゆる予備隊として存置し、一朝事ある場合においてはこの者を動員してこれを防遏しよう、こういう趣旨であることは誠に結構なことだと存じますが、若しこれが外夷の場合において、いわゆる自衛権の発動が是認されるという前提の下において、この警察予備隊というものがいわゆる自衛権の行使の道具として、或いは行使の一つの前衛としてこれが使用し得るや否や、いわゆる警察予備隊自衛権の行使に役立ち得るや否や、使用することがきでるかどうか、この点をお伺いして置きたいと思います。
  50. 大橋武夫

    國務大臣大橋武夫君) この予備隊の創設につきましては、お話のようにこの予備隊が将来国内において自衛権の行使その他の理由によりまして、外国軍隊と交戰するというようなことに用いられるということは全然予想をいたしておらないところであります。
  51. 伊藤修

    伊藤修君 法務総裁は私の質問趣旨を取り違えておられるようであります。私は敢えて外国軍隊と申上げたわけではないのです。又国内におけるところの自衛権の発動として、或いは国民が義勇軍を組織し得ることは可能であるとか可能でないとかいろいろ説はありますが、その問題を今あなたと論議しようとは思いません。たず警察予備隊を、自衛権の行使の場合においてこれを使用し得るや否や、外国軍に対して使用しようとか何とかいう冠詞をお付けにならずして、端的に使用し得るや否やということをお尋ねしたわけであります。
  52. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) 自衛権の行使といたしましては、国際法の認めた範囲内におきまして、憲法上認められたる……、国内法上、憲法によつて認められましたる一切の手段が許され得るものと考えます。勿論これはその場合に応じまして、緊急の必要に応ずる限度においてではありますが、さように考えております。
  53. 伊藤修

    伊藤修君 そういたしますと、国際法上の範囲において認めるということになりますれば、いわゆる外夷があつた場合におきまして、自衛権の行使の範囲内において警察予備隊をも使用し得ることが可能である。かように了解してよろしいですか。
  54. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) 警察予備隊の本来の目的は、国内における治安の確保ということでございますから、国内における治安の確保のため、必要があればその限度においては認められるものと考えます。
  55. 伊藤修

    伊藤修君 勿論国内の治安維持のために使うことは当然のことです。私のお尋ねしておるのは、外夷があつた場合において、延いて以て国内の治安というものはその面から侵されて来るのでありますから、その場合においてこれが使用し得るや否や、そこのところを法務総裁はお逃げになるのですが、御答弁ができないならできんでよろしいのです。敢えて聞こうとは申しませんが、できるならばそれをはつきりして置きたいと、こう申上げたのです。
  56. 大橋武夫

    國務大臣大橋武夫君) 私は別にこの問題について逃げる必要を全然感じません。
  57. 伊藤修

    伊藤修君 そんなら率直に——。
  58. 大橋武夫

    國務大臣大橋武夫君) 私の申上げましたる趣旨は、この警察の予備隊目的は、国内の治安を維持するために必要である。従いまして日本国内法上如何なる場合におきましても、この警察予備隊国内治安を維持する以外の目的使用されることは許されないのである。勿論これは今後できまする警察予備隊の基礎法の内容と関連いたした問題でありまするが、恐らくさような内容を持つたものとして警察予備隊規定されるだろうと思うのであります。この前提の下におきまして将来外国からの勢力の侵入によりまして、国内において自衛権の発動が予想される、併しこの自衛権という観念は、申すまでもなく国際法上の問題でございまして、国際法上自衛権で許されたあらゆる行為が、国内法であるところの憲法上許されるとは限つておらない。如何なる程度において許されるかは、これは憲法上の問題であります。従いましてその場合において警察予備隊目的が飽くまでも国内治安を確保する、こういうことに規定せられておりまする限り、自衛権を行使する場合であろうが、如可なる場合であろうが、警察予備隊はその治安上の必要な限度においてのみ用いられる、勿論この国内の治安を確保するという意味においては使用することは差支えないのでありまして、これが延いては外国から侵入いたしましたる他の勢力によるところの治安撹乱に対抗する措置として拂われる場合もあり得るわけであります。併しながらそれは飽くまでも警察予備隊本来の目的範囲内においてのみ使用され得るものである、かように考えるのであります。
  59. 伊藤修

    伊藤修君 そうすると法務総裁の御意見は、国内治安の維持を目的とする範囲内において受けて立つ、消極的の面においては勿論行動されるけれども、積極的にこの予備隊使用する、いわゆる自衛権としてこれを発動せしむると、そういうことはあり得ないと、こういうふうに伺つてよろしうございますね。
  60. 大橋武夫

    國務大臣大橋武夫君) 大体さようなことでございます。
  61. 北村一男

    委員長北村一男君) 外に法務総裁に対して御質疑ございませんか。他に御発言がなければ、本日はこれで散会いたします。    午後四時二十八分散会  出席者は左の通り。    委員長     北村 一男君    理事            伊藤  修君            宮城タマヨ君            鬼丸 義齊君    委員            鈴木 安孝君            長谷山行毅君            山田 佐一君            齋  武雄君            棚橋 小虎君            岡部  常君            一松 定吉君            須藤 五郎君   衆議院議員    法務委員長   安部 俊吾君            佐瀬 昌三君            田嶋 好文君   国務大臣    国 務 大 臣 大橋 武夫君   政府委員    法務府検務局長 高橋 一郎君