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1950-07-28 第8回国会 参議院 法務委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年七月二十八日(金曜日)    午後一時四十二分開会   —————————————   本日の会議に付した事件鉄道公安職員職務に関する法律案  (衆議院提出)   —————————————
  2. 北村一男

    委員長北村一男君) これより委員会を開きます。昨日一松委員より運輸大臣出席を要求されておりましたが、只今出席になりましたので、今一度質問の要点を明らかにして頂きたいと思います。
  3. 一松定吉

    一松定吉君 運輸大臣お尋ねいたしたいのでありますが、衆議院議員提出法律案といたしまして、あなたの所管に属する鉄道公安職員職務に関する法律案というのが提出せられまして、衆議院を通過して当院に送付せられておりますが、この鉄道公安職員職務に関する法律案の第八条にある「鉄道公安職員は、その職務を行うに当り、特に自己又は他人生命又は身体保護に関し、やむを得ない必要がある場合を除いては、武器使用してはならない。」、こういう規定があるのであります。その前条の第七条に「鉄道公安職員は、その職務を行うため、小型武器を携帶することができる。」という、この規定を受けての第八条の規定であります。この規定によりますると、鉄道公安職員小型武器使用することについて、「やむを得ない必要がある場合」ということが規定されておるのでありまして、この「やむを得ない必要性がある」ということについて、これを使用する者の主観的、或いはその行為を外部から認めたときの客観的な、いろいろの立場々々においてこの「やむを得ない必要」の有無ということの解釈を異にする場合が多かろうと思うのであります。そこでこの武器使用に関して、今まである法律の中で、警察官等職務執行法の第七条の規定によりますると、その武器使用することのできる場合を、相当細かに規定して誤りなきを期してあることは、大臣の御承知通りであります。そればかりではありません。今度政府から御提出になりました関税法の一部を改正する法律案の第六十条の規定を見ますると、税関官吏武器を携帶するに当つて特ニ自己ハ他人生命ハ身体保護ハ公務執行ニスル抵抗ノ抑止ノ為已ムヲ得ザル必要アリト認ムル相当理由アル場合ニ於テハ其事態ニ応ジ合理的ニ必要ナリト判断セラルル限度ニ於テ武器使用スルコトヲ得」と、こういう規定政府提案関税法の一部を改正する法律案の第六十条に新たに設けられんといたしております。又海上保安庁のこの武器使用に関しまする規定によりますると、海上保安庁法の一部を改正する法律原案は、「海上保安官は、その職務を行うに当り、特に自己又は他人生命又は身体保護に関し、やむを得ない必要がある場合を除いては、武器使用してはならない。」と、こう旧法規定してあつたのであります。ところがこの旧法ではまだいろいろ疑問があるということの趣旨のために、第七国会においてこの規定改正せられまして、第二十条に、「警察官等職務執行法第七条を準用する。」ということに改められた。而して、警察官等職務執行法の第七条は、先刻申上げた通りに、非常に細かな規定を設けて、この武器使用に対して万遺漏なきを期しておるのであります。然るに今回この議員提出法律案衆議院から当院に送付せられておりまするこの鉄道公安職員職務に関する法律案の第八条は、「やむを得ない必要がある場合を除いては、」というだけです。これでは他の既成法律、若しくは今正に当院の審議を受けておりまする関税法改正法案、こういうものに比較対照いたしまして余りにも杜撰である。で私共は、でき得べき限りこの武器使用する場合には、詳細な準拠する事柄を使用者示して万誤りなきを期するということでなければ、法の完全な運用ができない。こういう建前においてこの提案者にいろいろと質問をいたしておるのでありまするが、提案者も私共の申上げることに賛意を表せられまして、これでいいと思うけれども、併し参議院において適当と思うことがあるならば、修正しても異存がないという発言を得ておるのでありますが、当該監督官であられる大臣は、この第八条のこの規定に対して、どういうようなお考えを持つていらつしやるか、その点を一つあなたの御所見を承わりたいのであります。それから大臣が若し私共の意見と同じように今少しく詳細に規定した方がよろしいというお考えでありまするならば、私は又更に進んで質問をいたしたいのであります。
  4. 山崎猛

    国務大臣山崎猛君) 一松委員お尋ねに対して、お答え申上げます。御質問は極めて適切なる御趣意に基くものと私も拝聴いたしたのであります。この件につきましては、運輸大臣といたしましては大体右のように考えてその準備をいたしておる次第であります。小型武器使用に関しましては、本法案第八条の趣旨を十分に徹底させるため、本法案第六条の規定に基きまして運輸大臣におきましては、鉄道公安職員拳銃使用及び取扱規程を定めることといたしまして、目下これが立案中なのであります。これによつて大体第二段の御質問に対する御説明に代えることができると思うのでありますが、その要項につきましては、政府委員よりこの場合詳細御説明申し上げたいと考えますから、お聞取りを願いたいのであります。
  5. 一松定吉

    一松定吉君 私のお尋ねは、只今趣旨で大体分りますが、第八条の規定をこのままにしておいて、そうしてあなたの仰せられるように取扱規則を別に定めたい。こういうようなお答えのようでありますが、私のお尋ね申上げたいことは第八条ではどうも足りない。現に海上保安庁法律も先刻読み上げた通りであり、又警察官に対する問題もさつき読み上げた通りである。それから税関官吏に対する武器使用についても、先刻読み上げた通りに、詳細に規定せられておる。詳細に規定せられておる以上に、その取扱に対する詳細の規則を設けてあるのだが、あなたは第八条の「やむを得ない必要がある場合」ということだけで、これでもう十分であるとお考えになるのですか。或いはこれでは不十分だからもう少しでき得べくんばこの法条を修正でもした方がいいとお考えになるのですか、その点を先ずお尋ね申上げたい。それから先に進みたい、こういう趣旨なんです。
  6. 山崎猛

    国務大臣山崎猛君) お尋ね通りでありまして、運輸大臣といたしましては、この原案に基いて更にその足らざるところを補う意味において取扱規程を作りたい。こう考えておるのでありますから、原案そのものの御決定に従つて運輸大臣としては異議がないのであります、
  7. 一松定吉

    一松定吉君 よく分りました。大臣のお考えは、第八条の原案をこのままにするというならば、自分はかくかくの取扱規程というものを拵えて取締りしたい。こういう要旨であります。若しこの第八条のこの法文修正するとかいうことであれば、又その上でやはり鄭重なる取扱に関する規程を設けたい。こういう御趣旨ですね。よく分りました。
  8. 山崎猛

    国務大臣山崎猛君) さようでございます。
  9. 一松定吉

    一松定吉君 よく分りました。それではこの第八条をこのままにするかしないかということは、更に一つ審議を願いたいのでありまするが、仮にこの原案の第八条をこのままにすると仮定して、今あなたのお話になつております取扱規程か、或いは規則とかいうものを政府委員から御示しを賜わりたいのであります。
  10. 石井昭正

    説明員石井昭正君) 只今お話のございました鉄道公安職員拳銃使用の件につきまして、若しこの国会提出法案原案のままで、第八条が成立いたしました場合につきましては、私共はこれを監督いたします運輸大臣立場から、次のような趣旨使用及び取扱規程制定いたしたいと考えておる次第でございます。第一は拳銃使用でございますが、拳銃使用できる場合につきましては、こういうふうに解釈すべきであるということを指示いたしたいと思います。即ち鉄道公安職員は、その職務を執行するに当りましては、特に自巳又は他人生命若しくは身体保護のため、止むを得ない必要があると認める相当の事由のある場合に限つて、その事態に応じて合理的に必要と判断される限度において拳銃使用することができるのである。但し刑法第三十六条いわゆる正当防衛、それから二十七条の緊急避難、これに該当する場合を除いては、拳銃使用によつて人に危害を与えてはならない。こういう趣旨でよく注意いたしたいと思います。それから拳銃使用に関連いたしまして、これに関する注意規定を設けたいと思います。それから威嚇のために拳銃を発射してはならない。或いは拳銃使用するときは冷静且つ慎重を期し、必要な限度を超えたり濫りに民衆を刺激するようなことをしてはならない。又拳銃使用するときは、相手にこれを示すことによつてできるだけ目的を達するようにして、止むを得ない場合の外は発射しないようにしなければならない。又止むを得ず拳銃を発射する場合においても、なるべく被害を最小限度に止めるようにしなければならない。或いはこれは拳銃使用とは別でございまするが、拳銃を所持いたしておる場合に、これを奪取されないように細心の注意を払わなければならない、というようないろいろの注意規定を設ける外に、拳銃使用状況に対して報告の規定を設けました。常時拳銃使用状況を調査、監査できるようにいたしたいと思います。尚拳銃携帶者資格並びに員数でございまするが、これは鉄道公安職員の中拳銃を携帶できる者につきましては、尚一定資格を限りまして所定訓練を経た者から、更に厳選した者を所定の人数に限つて携帶せしめたい。かように考えておるのでございます。次に拳銃並びに弾薬保管でございますが、保管責任者を定めまして、これが必要なる責任を明らかにするようにいたし、且つその拳銃並びに弾薬保管につきまして監察いたすことのできる規定を設けたいと思います。その外着装操法、配付、收納、手入れ、検査、訓練等に関しましては、詳細の規定を設けさせ、これを検討いたしまして、認可するというような考え方で参りたいと思います。
  11. 一松定吉

    一松定吉君 只今お読み聞けのその取扱規程というものは、丁度海上保安庁規定とよく類似しておりまして、私共は非常に満足いたしております。ところが私一つ心配なことは、この運輸大臣只今のような取扱規程を御制定になつて、部下にお示しになるということは結構でありますが、取扱規程でございまするがため運輸大臣が代る度ごとに、これはもうやめようとか、これを殖やそうということは、これは勝手にできるわけであります。国会の承認を経ずして、それでは折角お定めになつたものが、運輸大臣の代つたことによつてその取締規則というものがときどき思う存分訂正されるということになると、ちよつと困ると私は思う。それで今政府委員がお示しになりました「鉄道公安職員はその職務を行うに当り自己又は他人生命又は身体保護に関しやむを得ざる必要ありと認める相当理由のある場合においてはその事態に応じ、合理的に必要と判断せらるる限度において小型武器使用することができる。」今あなたのお読みになつたのは今度の関税法の一部改正の六十条に当る。今あなたのお示しになつた通り、これは政府の御提案なつた、大蔵省提案なつたこれを、今の八条の文句、それと入替えて、その上で今あなたがお示しなつたそういう取扱規程をお出しになるということであれば、これは政府武器使用に関する方針一定する。関税法改正に対して今と同じであり、そうして鉄道公安職員に対する武器使用も同じだ、それから警察官のその点も同じである。こういうことになつて来ると、政府方針武器使用に対しましては、終始一定方針を堅持しておるということが明らかになり、非常に私共は安心なんでございます。そういうようなことは、我々の方でも修正ということで八条を、大蔵省で御提出なつ関税法改正の第六十条、これと入替えて、そうして今お示しなつたような取扱規則というものを出して頂くということにしたい、という希望があるといたしますれば、政府は御賛成して頂けますか、御反対でありますか、一応その点を承わつておきたいと思います。
  12. 山崎猛

    国務大臣山崎猛君) この法案提出者議員でおられるわけでありますが、政府といたしましては、院の議の決する通り異議はないのであります。賛成であります。
  13. 一松定吉

    一松定吉君 それで私も大臣に対する質問は済みました。次に引続いてよろしうございますか。これは提案者の方に一つ、今私の大臣に対する質問と同じことを……。
  14. 北村一男

    委員長北村一男君) ちよつと一松委員に申上げますが、大臣お忙しいようですが……。
  15. 一松定吉

    一松定吉君 御苦労でありました。
  16. 山崎猛

    国務大臣山崎猛君) 一言最後に付加えます。誠に恐縮でありますが、他の委員会からの呼出がありますので、それで他の方に移りますが、終りに一言申述べて特に政府としてお願いいたしたいことは是非この法案を今会期中に成立するように御協力願いたいという希望を述べておきます。
  17. 一松定吉

    一松定吉君 衆議院議員諸君一つ今私が運輸大臣にお確め願つたと同じことを一つ御答弁願いたい。つまりもう一遍申しますれば、八条の規定を今まで私が援用した武器取扱に関する各種の法律と同じように文句を入替えて、そうして今運輸大臣の御命令によつて政府委員が御発表になつたあの取扱規則を出して頂くということで、私どもが働くという場合には、衆議院提案者の皆さんにおいて御異存がありますかどうか、一応お示しを願いたい。
  18. 安部俊吾

    衆議院議員安部俊吾君) 提案者といたしましては、昨日も申上げましたごとく、できるだけ原案そのものを御認定して頂きたいのでありまするが、併しながら強いて若しこの委員会におきまして、修正する必要があるということになりますれば、衆議院といたしましても、止むを得ないと考えております。ともかくも先程大臣からも御懇請がありましたが、この会期中におきまして通過するように御協力を願いたいということを申上げます。
  19. 一松定吉

    一松定吉君 大変私共満足です。そういうようにして頂きますれば私共一つもこれに対して反対ではありません。勿論一日も速かにこれを通過さしたい。但しこの運用について法を執り行う者について万遺憾なきを期したいというために、今いろいろな意見を申上げておるわけでございます。どうぞ惡しからず御承知を願います。
  20. 鬼丸義齊

    鬼丸義齊君 提案者に伺いまするが、只今第八条に関連いたしまする点について、一点だけ明確にいたして置きたいと思いまするために伺うのでありまするが、第八条にありまする条件を備える場合でありましても、若しその傷害の程度が著しく限度を超しました場合においては、刑法の三十六条の但書によつて賄い得られるという解釈を取られておるものと承知しますが、その点はどんなことになつておりますか、どんなお考えでありますか。
  21. 佐瀬昌三

    衆議院議員佐瀬昌三君) お説の通り刑法一般原則によつて解決され得るものと考えております。
  22. 鬼丸義齊

    鬼丸義齊君 次に刑訴の百九十条にありまする森林或いは鉄道に関しまする司法警察についての規定は別に法律を以て定めるということになつておりまして、この百九十条に基きまして、更にこの司法警察職員等指定応急措置法が二十三年の法律第二百三十四号を以て出ておりまするが、これによりまして、大体こうした鉄道職員公安員に対しまする犯罪関係の点についてはこの規定で従来賄つてつたのであります。然るにこのたびこの公安職員に対しまする規定だけをここに單行法として出しましたのは如何なる理由であるか。若しこの鉄道公安員に対しまする特殊なる規定を必要とするのであるならば、この司法警察職員等指定応急措置法改正で以て行くことがむしろ立法上整備されたることになりやしないかと思います。特に單行法にされた理由が恐らくあろうと思いますが、この際これを一つつて置きたいと思います。
  23. 佐瀬昌三

    衆議院議員佐瀬昌三君) その点は百九十条が司法警察職員に関する規定であつて鉄道公安職員はその厳格なる意味における司法警察職員ではないという点が、特に本法案を独立的に規定する形式的な理由であります。併し尚その外に鉄道犯罪及びそれに対する捜査の特別な機関を必要とする特殊性というものをも考えまして、この法案提案した次第であります。
  24. 鬼丸義齊

    鬼丸義齊君 法案第三条にありまする刑事訴訟法準用規定の点でありまするが、これによりますると、司法警察職員捜査に関しまする規定準用ということになつておりまするが、刑訴規定中におきまする犯罪捜査についてはいろいろ細かい規定がございます。ところがその規定の内容によりましては、警察員の場合と、それからして司法巡査の場合とおのずから職務限界が違つております。そこでこの法案の明文によりますれば、司法警察職員捜査に関する規定準用ということになつておりまするので、一方規定の上から見ますれば鉄道公安職員となつております。この公安職員中には、刑事訴訟法規定しておりまする警察員と、それから司法巡査とおのおの職権が違つている。その場合にこの公安職員刑事訴訟法準用されまする規定範囲というものが、警察員に対する分も、或いは又司法巡査に関しまする分も併せてその権限に属すると解して、單なるこの準用規定だけで以てこれを賄い得るとお考えになつておるのかどうか。その点を先ず伺いたい。
  25. 佐瀬昌三

    衆議院議員佐瀬昌三君) その点は本法案第一条に基きまして、法務総裁運輸大臣協議いたしまして、その結果鉄道公安職員の階層を分けまして、或る者は司法警察員、成る者は司法巡査としてそれぞれ刑事訴訟法準用をなさしめるという方針の下にいたした次第であります。
  26. 鬼丸義齊

    鬼丸義齊君 そういたしますると、この規定の上からいたしますれば、直ちに刑訴規定してありまする権限と符合いたしまするものが、規定の上では明確にならないわけです。若しそうした意味において警察員とそれから司法巡査規定準用いたしまする分とがすでに予定をいたしておるものといたしまするならば、何かこの規定中においてもう少し明確にいたすことはできなかつたのでありますか。
  27. 佐瀬昌三

    衆議院議員佐瀬昌三君) これは定員等関係もあり、予め一般的にその職階を明確に規定するという技術上の困難に基いてかような規定をいたした次第であります。
  28. 鬼丸義齊

    鬼丸義齊君 法案審議に当りましては警察員に附与されておりまする権限を行使し得られまする公安員範囲と、それからして警察職員権限を行使されまする範囲というものは、おのずから明確になつておらなければ、ただ漠として準用し、又職階の都合によつて法務総裁とそれからして運輸大臣とが協議の上で以て後で決めるのだということになりますると、刑事訴訟法準用規定の方が後から追つかけて行かなければならないようなことになりはしませんか。非常に混淆を来たす虞れがありはしませんかと思いますが、これも後でお伺いしたい。尚、この三条の但書にありまする「現行犯人又は被疑者を逮捕した場合には、これを検察官又は警察職員に引致しなければならない。」こういう案になつておりまするが、そういたしますると、これは非現行犯も入つて参ります。その場合には身柄を逮捕し、引続き公安職員だけの手によつて捜査を継続することは、身柄を保留することはできないのであります。そこで警察官に引致いたしますれば、その引致すると同時に事件というものは警察官の方にすべて移るのでありますが。それとも或いは警察官の方にその身柄だけを頼んで留めて貰つて、そうしてやはり鉄道公安職員が引続いてそれに対する捜査を継続してよろしいのであるかどうか。恐らく法案の上からいたしますれば、警察官の方に引致して身柄を渡せばその瞬間において事件はすべて警察官の方に移つてしまうのじやないかと思います。これはそうあるべきだと思いますることは、鉄道の方には留置の設備もなければ、又身柄を留めるということについての便宜を特に鉄道の方で以て得らるべき途がないのじやないか、かように思います。大体が、鉄道公安員がいわゆる臨機の措置に対しまする捜査上の必要からしてこの規定が設けられたものと思いまするので、やはり引致と同時に事件警察官の方に移つてしまうものだというふうに解して差支えないかどうか。この点をお伺いいたします。
  29. 佐瀬昌三

    衆議院議員佐瀬昌三君) 司法警察職員司法巡査のそれぞれに区別さるべき鉄道公安職員に関する法務総裁及び運輸大臣協議につきましてはいずれ共同省令等の形式を以て一般基準が明確にされると思うのであります。従つてその結果それぞれ刑事訴訟法準用規定がおのずから限界が決まつて行く。従つてその間不都合は生じないという見通しであるのであります。  それからお尋ねの第二点の身柄一般警察に引渡した場合は、鉄道公安職員の扱う事件そのものも同時に一般警察の方に移るかという御質疑のようでありましたが、それもその通り解釈して差支えないと存じます。ただ鉄道公安職員も尚残された捜査範囲協力すべきものがあれば、勿論これはおのずから或る程度協力一般警察に対してなすべきことであると、かように考えております。
  30. 鬼丸義齊

    鬼丸義齊君 それから更にこの第一条の点について伺いまするが、本法案の土地並びに事物の管轄については第一条に大体規定しておるようでありまするが、この規定に従いますると、日本国有鉄道施設内すべてが含まれておるようであります。ところが国有鉄道施設ということになりますれば、極めてこの範囲が広い。先般も私より伺いましたごとくにこの規定を設けられて、すでに準備いたしておりまする、予定されておりまする鉄道公安職員というものは大体全体で三千五百人と伺つております。この三千五百人の国有鉄道全体に配置されましたる公安職員の手によつてすべての鉄道関係事件捜査し、検挙し余すところなしというようなことになりますることが果して私は今日のこうした規定のなき場合に比較いたしまして効果が却つて逆作用を起すのじやないかということを憂うるのであります。すでに全国に配置されておりまする予備隊員は別といたしまして、十二万五千という警察官全国に配置されましてそれぞれ犯罪捜査に対しましては真剣に、熱心に執務されておるのであります。そこで従来の官庁間におきまして、とかくの問題が起りますることは、やはりこの権限の問題が非常に多い、そこで鉄道に関するすべての犯罪鉄道公安職員というものがあるのであるからして、一般警察官はこの方に我関せず焉だ、こういうようになりますというと手薄な三千五百名くらいで以て、先般も提案者の御説明によりますと、年間四万とかいう莫大なる事件が起りまするのに対しましては、到底この三千五百人の鉄道公安職員だけでは、私は扱いにくいのではないか。却つてこのような制度を設けることによつて反対の結果に陥るのではないかということを憂えます。そこで提案理由を伺いまして、やはり鉄道輸送に関しまする犯罪については、どうしてもやはり専門の係の者が扱うことが一番便利であるこういうような立法趣旨であるどいたしまするならば、施設というふうに余り広きに亘らずしてやはり提案者も先般御説明ございましたごとくに、その狙いといたしまする輸送に直接関係のある鉄道施設内、こういうふうに私は縮めて行つた方が、現実に沿うのではなかろうか。若しこの法文通り解釈いたしまするならば、例えば鉄道関係におきましての厚生施設といたしまして、鉄道病院或いはホテルその他事務所、寄宿舎等輸送に直接関係なきものも含むことになりますと、大変範囲が広くなつて来ると思います。又その他いろいろあるでありましよう。そこで提案者に伺いたいと思いますることは、過般御説明になりましたごとくに、直接輸送関係のある鉄道施設内というふうに限定した方がこの法案制定趣旨を全からしめるゆえんではないか。かように思いますが、この点についてどういうお考えでありますか伺いたい。
  31. 小木貞一

    衆議院專門員小木貞一君) 只今お尋ねの点は誠に御尤もでございまして、この法案のこの前の委員会のときに、この点について御説明いたしました通り立法趣旨といたしましては、輸送に直接必要な施設、こういうつもりで立案しておるのでござまいす
  32. 鬼丸義齊

    鬼丸義齊君 若しそういう趣旨において起案されたといたしまするならば、この規定の文字だけでは、足りないとかように思いますが、これで十分とお考えになつておるかどうか。
  33. 安部俊吾

    衆議院議員安部俊吾君) 只今鬼丸委員の御指摘になりましたことに関しましては、鉄道施設内ということは要するに直接鉄道に関連した施設内のことでありまして、それは必ずしも三千五百人の人によつて、全部を取締るという意味ではないのでありまして、随所にその必要なる所において取締るというような含みを持つて、こういうふうな条文にしたのでありますけれども、併し鬼丸委員の御指摘になつたようにそれは御修正になつても少しも差支えないと提案者の方は考えております。
  34. 鬼丸義齊

    鬼丸義齊君 提案者の方にはこの程度で止めまするが、国警の溝淵次長が御臨席のようでありまするから、ちよつと一点伺いたいと思います。前回国警の方から資料を頂いておりまするが、拳銃使用によつて事故の発生いたしました昭和二十三年の七月から本年六月に至りまする二ケ年間における拳銃使用による事故といたしまして、総計八百二十三件、これによつて死亡いたしましたものが三十八人、負傷いたしましたものが八十六人、こういう厖大な実は悲しむべき被害が起つておるのでありまするが、これに対する刑事上の処分をされましたものは十数件と先程伺いました。刑事処分は暫く別といたしまして、これに対してはもとより監督者として相当なるお調べもあり、検討を加えられたことと思いまするが、これらの事件によりまする行政処分としてはどういうことになつておりますか。将来を戒める意味におきましては当然処分に付せしめるばかりでなく、やはり監督上の行政処分も相当つたのではなかろうかと思いまするし、その点はどういうことになつておりますか。この機会において伺いたいと思います。
  35. 溝淵増巳

    政府委員(溝淵増巳君) 只今お尋ねでございますが、私共の方におきましても、拳銃使用のためにいろいろ事故が起りまして、誠に申訳なく存じておるのであります。只今お尋ねの件につきましては、処分の内容の数字は俄かに調査ができませんけれども、私共の方におきましては、極めて厳重な処分をいたしておりまして、職務上の使用につきましては、それが法規の範囲を逸脱した場合、これは無論刑事事件として処置されておりまするし、又当然職務上の使用でありましても、殺傷いたしたような場合におきましては、検事の取調を受けておるのでございます。  それから職務外のその他の使用と、それから暴発の事件につきましては悉く処罰をいたしておるのであります。その処罰の内容は先程申上げましたように、内容の数字は分つておりませんが、ひどいものは懲戒免職となりまするし、諭旨退職いたしておるものもございます。單に暴発だけで全然人に傷害を加えておらないような場合におきましても、戒告とか、譴責とか、中には減俸処分をいたしておるものもございます。従いまして、当然人に傷害を加えたような場合におきましては、刑事事件と共に懲戒免職というようなこともやつておるのであります。  尚附加えますと、私共の方におきましては、拳銃の事故が絶えないことは非常に申訳ないと存じまして、本年の春頃から特に厳重に監督いたしておりまして、又拳銃使用につきましてもいろいろ訓練をいたしまして、各県に射撃の練習所を設けまして相当な権威者を以て指導いたしております。最近は大分減つてつておりまするが、まだ万全ではないので一層監督を厳重にしようと思つております。
  36. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 ちよつとお尋ねしたいのですが、昨年度におきまして四十二万件の犯罪となつておりますが、この内訳は大体どういう種類の犯罪がどういう数か分つておりましたら伺いたいのですが。
  37. 安部俊吾

    衆議院議員安部俊吾君) その点につきましては鉄道公安局の方から御説明申上げます。
  38. 赤木渉

    説明員(赤木渉君) 私の方から御説明申上げます。二十四年度の総計でありますが、大体これは刑法犯罪、経済事犯、それから鉄道営業法違反、それから諸法令違反、こういうふうに大体分れております。何を措きましても営業法違反の罪が一番多うございます。これは御承知のように不正乗車、これは詐欺なんですが、大体そういつたものが非常に多いのであります。
  39. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 パーセンテージは出ておりますか。
  40. 赤木渉

    説明員(赤木渉君) それが全部で大体三十二万件であります。それから経済事犯が六万四千、刑法犯罪が二十七万、大体二十四年度の内訳はそういうもので、刑法犯罪の主たるものは強盗、窃盗、暴行傷害、脅迫、詐欺、恐喝、横領、その他、こう分れておりますが、大体トータルはその程度であります。
  41. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 それで総計四十二万件になるのですね。それでは昨年度におきましては隧道とか橋梁、発電所の破壊というようなものは一件もなかつたのですか。
  42. 赤木渉

    説明員(赤木渉君) それはございます。それに又別個に……。
  43. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 この四十二万件の中にそれも含まれているのですか。
  44. 赤木渉

    説明員(赤木渉君) これは含まれております。
  45. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 それはどのくらいですか。
  46. 赤木渉

    説明員(赤木渉君) 線路並びに通信その他の妨害事件の件数は、二十四年度におきましてトータルが四千六百八十五件ございます。その内訳は石を投げたもの、発砲したもの、石を置きましたもの、障害物を置きましたもの、信号機を妨害したもの、転轍機を妨害したもの、連結機をいじつたもの、運転機能を妨害したもの、その他、こういうふうに分れておりますが、トータルは四千六百八十五件、こうなつております。
  47. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 私達の調査によりますと、その大多数は子供の犯罪、十四歳未満の子供の犯罪ということになつておりますが、年齢別の表も出ておりませんか。
  48. 赤木渉

    説明員(赤木渉君) 細かい年齢別もとつてございますが、丁度今持つておりませんが、惡質と思います件数はここにちよつと出ておりますので書き取つて頂きます。これは二十四年度全部の件数ではございません。二十四年度については細かく表をまだ出しておりませんが、月別に最近取り始めました件数で、四、五、六月の件数を申上げますと、転轍機の障害というのが二十二件ございます。それから車掌弁を濫用したというのが十件ございます。それから連結機を解錠いたしましたのが四、五、六月で七件ございます。それから連結機についております肘コツクを閉塞して運転機能を妨害させられましたものが十八件、信号機の標識を毀棄いたしましたものが七件、それから通信線を切断いたしましたものが九十八件、これらが惡質と思います。その外に発砲いたしましたものが二十二件、そんなところが先ず惡質なものだろうと思います。
  49. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 今伺いますと、犯罪の内容というものは、私見ると数も少いし、それから軽い、子供がいたずらするような犯罪が多いように思うのですが、それに対しまして警乗警察官にピストルを持たすということが果して必要なものでしようか、どうでしようか。この点を一つ……。
  50. 安部俊吾

    衆議院議員安部俊吾君) この犯罪についてはまあ軽犯罪のものもありましようけれども、大体におきまして非常に知能犯的になりまして大きな貨物列車などを、目的地を変え、そうしてそれを全部盗む、そういうような例もあるのであります。これは又集団的の犯罪者もあるのでありまして、今までの経験によれば、どうしても小型でもよろしいですが、武器を持たんければやはりこれは警官を軽んずるような傾向がありまして、そうして犯罪を防止するというような効果がなくなるようなわけでありまして、どうしても小型武器を携帶する必要があると思うのであります。又この点につきましては現に韓国の内乱もありまして、そうして輸送の点においてもこれから大分貨車の数も多くなつて参りまして、取締を更に厳重にせんければならんというような見解から考慮いたしましても、この小型武器の携帶は絶対に必要とこう考慮するものであります。
  51. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 只今の発言ですと、現在よりも将来に何か予測をして、将来必要になることが起り得るかも知れないからこういう準備をする必要があるというふうに伺いましたのですが、そういうためですか。
  52. 安部俊吾

    衆議院議員安部俊吾君) 必ずしもそうではないのでありまして、現在においてももつとこの小型武器の携帶は必要である、又更に将来そういう傾向が多くなつて来る、こういうことを申上げたのであります。
  53. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 将来国鉄の労組のいろいろ問題が起つた場合に、鉄道公安官が直ぐ弾圧のために使われるというようなことはないのでしようか。
  54. 安部俊吾

    衆議院議員安部俊吾君) そういう点に関しましては、衆議院の法務委員会で議題に上りました場合におきましても、いろいろ質疑がありまして、論議されたのでありまするが、決してそういうような問題、ストライキであるとか、或いは労働争議であるとか、特にそういうものに備えて小型武器を携帶するということはないのでありまして、これは高くも警察官のような職務を遂行する場合におきましては、身体生命の危険を覚える場合もありましようし、又その被害者を保護する場合におきましても、生命の危険を冒す場合にはどうしても小型武器を携帶しなくちやならん。こういうような必要性に迫られて、こういうふうな武器が必要であるということの結論に到達したわけであります。
  55. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 私は本日の東京新聞に出ておりますことに関しまして法務総裁に御質問申上げたい点があるのですが、法務総裁を呼んで頂けましようか、どうでしようか。
  56. 北村一男

    委員長北村一男君) 本日はこの鉄道公安職員職務に関する法律案を、会期関係がありますからできるだけ審議を進めたいと存じますので、承わつて置きまして次回の委員会において法務総裁出席を要求することに御了承頂きたいと思いますが、如何でしようか。
  57. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 じやそういたしましよう。
  58. 伊藤修

    ○伊藤修君 先程から質疑応答をお伺いしておりますと、政府委員及び衆議院におきましては本会期中に本法案を成るべく上げるようにと、こういうような強い御意思のように拝聴いたします。又御答弁中の衆議院の御意見を伺つておりますと、修定も吝かでないと、甚だ原案に対しまして御信念が足らんようにも拝聴いたします。そのお言葉を率直に伺つて我々受入れて仮に修正いたすといたしますれば、本日修正案ができましても明日ということになります。明日は土曜日でありまして、恐らくこれはLSの方に廻ることになりましよう。その場合においてLSの方においてこの法案に対しては相当議論があると思います。明日は勿論到底交渉の余地はないと思います。明後日は日曜でありますから出勤はせられぬ、これは確実であります。三十一日ということになりますが、三十一日で果してこの法案通り得るかどうか、どうも御答弁を伺つておると本案を今会期中に上げろということについては、あなた方の御答弁を伺つておると上げんでもいいというふうにも窺われるのです。一体どういう御意思ですか、その点をはつきり伺つて置きたいと思います。
  59. 安部俊吾

    衆議院議員安部俊吾君) 只今伊藤委員の御質疑誠に御尤もでありまして、それはそういうように御了解をして頂くことは甚だ我々の意思に反するのでありまして、私共の答弁が甚だ表現の適当でないこともあつたかも知れませんが、ともかくも参議院の法務委員会においてどうしてもこれは修正する必要があるというようにお認めになれば、我々は参議院の法務委員会に敬意を表しまして、それは万止むを得ない場合には御修正に関しましても異議は申しませんと申したのでありまして、ただこの法案の重要性に鑑みまして私共はどうしてもこの臨時国会の期間内においてこの法律を通過さしたい。こういうような熱意を持つておるものでありまして、衆議院の法務委員会におきましても回を重ねまして、そうして熱心にこの問題を討議したのであります。又この問題に関しましても関係当局ともいろいろ折衝いたしましてその結果でありまして、もとより原案におきましては、私共は信念は足らないというような印象を与えることは甚だ遺憾でありまするが、十分に考慮をいたして、私共はこの法案の内容及びその字句に包含されておるところの意味を以て十分足りるというような信念を持つてつたのでありまするが、併し法曹会における権威のある鬼丸委員或いは一松委員のような方々の尊重すべき御意見を拝聴いたしまして、若しもこの期間において、それが修正が可能であるならば、それはこの法の完璧を期するために、それに同意することは吝かでないということを申上げたのでありまして、それがためにこの法案を犠牲にいたしまして審議未了であるとか、或いは次の議会にまで延期するというような意図は毫もないのでありまして、私共は皆さんにお諮りいたしましてそうして輸送上最も緊急欠くべからざるこの法案が是非この期間中に通過するように御協力を願いたいというのであります。ただこの修正案なるものが御希望によりまして若しも期間中にでき得るならば、そういうふうにして頂いて、若しそれがいろいろな手続の煩雑のためにでき得ない場合には、甚だ恐縮でありまするけれども、先程も運輸大臣の方からも発言がありました通り一松委員、鬼丸委員或いはその他の委員の方々の御発言の意味を十分に了承いたしまして、そしてその欠陥を補うことにするのでありまして、又次の国会におきましても或いは全部この刑事訴訟法改正によりまして、この法案は更にそれに包含されてその一環となるような機会もあると思うのであります。何分にいたしましてもこれは当今の極めて緊急欠くべからざる法案であると認めておるのでありまして、そういうような観点から衆議院提案としたわけでありまして、その点御了承下さいまして、そうしてできるだけこの期間内におきまして通過するように敢えて懇願する次第であります。
  60. 伊藤修

    ○伊藤修君 法案について一点だけ伺つておきます。本法において捜査権を行使するところの鉄道公安職員そのものが三条によつて刑事訴訟法規定準用される結果、警察職員と同様の職務権限を持つことになるのですが、これに関しましてはこの基本たるところの鉄道公安職員の質の問題を伺つておきたいと思います。任用資格、どういうような資格の者がこの職務に携わることになるか、その点を明らかにして頂きたいと思います。
  61. 安部俊吾

    衆議院議員安部俊吾君) その点につきましては、公安局の赤木第二課長より説明を申上げます。
  62. 赤木渉

    説明員(赤木渉君) 現在俗に公安職員と申されております三千八百名につきましては、鉄道公安職員基本規程と申すものがございまして、採用規定を設けておりまして、「鉄道公安職員は、次の各号の一に該当するものから採用する。一、鉄道教習所特設公安科を修了した者。二、年齢二十年以上の男子であつて鉄道公安職員採用試験に合格したもの。」それから「鉄道公安職員採用試験は、憲法、刑法刑事訴訟法司法警察、運送規則等について、運輸総局公安局長又は鉄道局長が行う。」こういうことになつております。それから班長、主任、室長というふうな階級を持つておるのでありますが、「鉄道公安班長は、鉄道公安職員として二年以上実務に従事し、前条に定める科目について行う資格試験に合格したものから採用する。」それから主任につきましても同じような規定を設けております。それからこれらの資格試験は鉄道局長が行うことにしております。殊に  「学歴、経験、特殊技能その他に照し、資格充分と認められるものについては、」特別採用ができるという規定も設けておりますが、この現行のものでは不十分でありますので、恐らく運輸大臣とそれから法務総裁とが、只今案にございまするように厳格な基準を設けられまして、共同省令のような形で出ることだと思つております。
  63. 長谷山行毅

    ○長谷山行毅君 先般来本法案の論議の焦点は、第八条の問題と、違法性該当の問題のようでありまするが、これに関しまして本日丁度法務府からも出ておりますから、法務府の御見解を一応承わりたいと思います。
  64. 北村一男

    委員長北村一男君) 長谷山委員に申しますが、もう一遍御質問趣旨を明らかにして頂きたいと思います。
  65. 長谷山行毅

    ○長谷山行毅君 第八条の問題と、刑法の三十五条、三十六条、三十七条の問題が、先般来論議の焦点になつておりますので、大体今までお聞き取りのことと思いまするが、それに対する同じような条文が海上保安庁法の第二十条にもありまするので、法務府としては、どんな見解をとつておられるか、その概略を御説明願いたいと思います。
  66. 高橋一郎

    政府委員(高橋一郎君) 今回鉄道公安職員がこの法案によりまして、拳銃を携帶使用することになりますのは、その業務上の必要に基いてなされるものと考えるわけでありますが、これをこの法案によつてその使用の場合、その限界ということを規定いたしますることによりまして、その範囲におきましては刑法第三十五条のいわゆる法令による行為ということになると思うのであります。ところでこの法案で、それではどういう内容のものを定めておると解釈されるかという問題でありますが、この法案の第八条を拝見いたしまするというと、表現の方法につきましては、必ずしも刑法の表現と同一ではございませんけれども、種々検討の結果、結局刑法の第三十六条正当防衛の場合、及び三十七条緊急避難の場合、これを言い現わしているものであるというふうに解釈しておるのであります。これにもございますように、「その職務を行うに当り、特に自己又は他人生命又は身体保護に関し、やむを得ない必要がある場合」と、こういうような表現を用いておりまして、その全体の趣旨から言いまして、いわゆる正当防衛或いは緊急避難という場合に該当するものであろう。従つてその範囲において、この法令によつて定められた使用限界というふうに私共の方では解釈するのが妥当ではないかというふうに考えておる次第であります。それで警察官等職務執行法第七条の武器使用限界と比べますというと、それよりは若干狭くなつておるのではないか、例えば警察職員の場合におきましては、一定の場合におきましては、犯人が逃げるのを防止するために、やはりピストルを使用し、場合によりましては被害を与えるのも止むを得ないというような立て方になつておるのでありますが、この法案の八条によりまするというと、そこまではどうも行かないのではなかろうか。そこでそういう面においては若干この法案の方が狭いように考えられますが、内容といたしましては先程申上げたような範囲のものであるというふうに解釈しておる次第であります。
  67. 山田佐一

    ○山田佐一君 本員は本法案の重要性と、我が国の現状におきまして、一日も早く成立を希望いたしますものであります。つきまして質疑はこの程度に止めておきまして、須藤君の法務総裁に対する質問は明日承わることにいたしまして、鬼丸委員及び一松委員から修正意見が出ております。又先刻伊藤委員からもお尋ねがありましたから、早速修正原案を作つて頂きまして、関係方面のOKもとらなければならないと思います。その善処方を、衆参両委員長及びそれぞれのお方に御一任いたしまして、明日までに成るべく ○Kをとつて頂く。そうして本委員会を又明日御開催を願いまして、是非今会期中に本法案を上げたいと思いますので、一応この辺で質疑を止めるということの動議を提出いたします。
  68. 北村一男

    委員長北村一男君) 只今の山田委員の御動議のように、質疑は尚継続するといたしましても、本日はこの程度に止めまして、修正の御意見を承わりまして、相成るべくは本日中にOKをとるように取計らうという御動議に対して御異議ございませんでしようか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  69. 北村一男

    委員長北村一男君) それでは本日はこの程度で散会いたします。    午後二時五十八分散会  出席者は左の通り。    委員長     北村 一男君    理事            伊藤  修君            宮城タマヨ君            鬼丸 義齊君    委員            鈴木 安孝君            長谷山行毅君            山田 佐一君            齋  武雄君            棚橋 小虎君            一松 定吉君            須藤 五郎君   衆議院議員    法務委員長   安部 俊吾君            佐瀬 昌三君            田嶋 好文君   国務大臣    運 輸 大 臣 山崎  猛君   政府委員    国家地方警察本    部次長     溝淵 増巳君    法務府検務局長 高橋 一郎君   衆議院事務局側    常任委員会專門    員       小木 貞一君   説明員    運輸省鉄道監督   局国有鉄道部長  石井 昭正君    日本国有鉄道公    安局公安第二課    長       赤木  渉君