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衆議院議員(
安部俊吾君) この点に関しましては、先程より小
委員長である
佐瀬議員より御
説明申上げたのでありますが、私よりも又
提案者といたしまして御
説明申上げたいのであります。それは
提案者の方といたしましては必要がないと思うのです。これで十分だと私は
考えておるのであります。なぜならばこの
拳銃使用という
目的は具体的に申上げますならば、その
公安職員が
職務執行に当りまして、或いは抵抗する、或いは又二人、三人というような団体を組んだ者が暴力的に抵抗をするとか、或いは又逃走するとか、そういう場合に、
公安職員自身がその
職務を遂行するに当
つて、
身体の危険を感じた、或いは
自分の
保護者が
身体の危険を感じたという場合には、止むを得ずそれは
正当防衛のために
使用するという
意味でありまして、併し又その外に沢山のいろいろな
條件があります。例えて申しますならば、その
拳銃を不
注意に磨いておるとか、或いはいろいろ掃除するというような場合、たとえそれに彈丸がこも
つておらないと
考えても、人のおるところでは、これは不
注意にそういうものを掃除してはならんというのは当然であります。これは
英米法のテクニカル・タームから言えば、ネグリゼントと申しまして、当然
注意すべきことを怠
つたので、
刑法上の
犯罪となり、又大勢の
公衆の中で射的の練習をした。そのためにその
公衆の一人か、又は数人に
危害を與えるに
至つた場合は、即ちコントリビーテング・ネグリゼントということになるのであります。更に怠慢、意識的に……惡意を持
つた怠慢でやる。こういうものは当然
刑法で罰せられるのでありまして、たとえそれが
公安官でありまして、
職務遂行のためにピストルを携行するのでありましても、そういうものは許さないということは当然
法律の中に包含されておるのでありまして、或いは又逮捕するとか、
容疑者が逃亡した場合、発砲する、
威嚇発砲をする必要がありましても、たくさん群衆がいるのに発砲すれば、その
容疑者以外に、外の
方面に
危害を加える場合がある。こういう場合は当然発砲することができないのであります。そういうふうに数え挙げればいろいろな具体的なことがあるのであります。その
制限する場合に、一々こういう場合にはこういうことでなければならんというならば、若しも具体的に挙げた
條項以外に、
條項に漏れたものならば当然それは発砲してよろしいというように
解釈されては困るのであ
つて、これは本当に必要欠くべからざる、止むを得ざる、やはり
公安官というものの
職務遂行上それは止むを得ざる
身体の危険、或いは
自分の
保護すべきところの者の
身体の危険を感ずるとき、これを
使用するんだという
意味において、止むを得ざるということは、これはいろいろの
意味を包含したところの止むを得ざるのでありまして、それで
十分意味は盡くされておる、こういうふうに
考えたんであります。若しもこれが他の
條項のように、この場合、この場合というように挙げるならば、それは余程たくさんの場合を想像して、仮定して挙げなければならんのであります。
苟くも公安官にいたしまして、権利の
保護のために又は
人権の
擁護のために、その
公安官たるところの
職務を遂行する者といたしましては、オーディナリ・プルーデンスと言いまして、普通の常識、
判断力を持
つているところの
公安職員に対しては、十分にそれに対しては指示、教育もするのでありまして、この
程度において十分その
意味は盡くされるのである、そういうふうに
考えたのであります。これを
一松委員のようにいろいろな
條項を、これを的確に並べるとするならば、非常な長文のものになりまして、その
條項のうちに当篏まらんもの、或いは具体的に言うことができなか
つたものは、それは
自分の
解釈でや
つてもいいと、
反対に
解釈される慮れがあるのであります。私共は十分
考えて
提案した次第であります。