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1950-07-28 第8回国会 参議院 文部委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年七月二十八日(金曜日)    午後二時四十五分開会   —————————————   本日の会議に付した事件 ○教育職員免許法施行法の一部を改正  する法律案内閣提出、衆議院送  付) ○育英資金増額及び結核教員療養期  間に関する件 ○文化財保護法地方税法案に基く固  定資産税免税との関係に関する件   —————————————
  2. 堀越儀郎

    委員長堀越儀郎君) それではこれから文部委員会を開催いたします。本日議題になつておりまする教育職員免許法施行法の一部を改正する法律案を問題に供します。先ず大臣提案理由を承わることにいたします。
  3. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) 只今議題となりました教育職員免許法施行法の一部を改正する法律案につきまして、提案理由を申述べます。  昨年五月第五国会において制定され九月一日より施行されました教育職員免許法施行法は、同時に制定されました教育職員免許法実施に伴う経過的事項を定めたものでありまして、旧令による教員免許状所有者等に対する新免許状授與及び相当期間教職にあつた教員に対する上級免許状授與特例等を規定したものであります。これらの法律により、各都道府県においては、着々新らしい免許状が交付され、又上級免許状授與のための現職教育もすでに実施されておるのであります。ところで、相当期間教職にあつた教員に対する上級免許状授輿特例を規定した施行法七條有効期間は、第七国会における同法一部改正により、昭和二十八年三月三十一日までとされたのでありますが、上級免許状を受けるために必要とする單位坂得ずる最も一般的な方法である免許法認定講習をこの三年間に実施することは、諸般の事情により相当困難と判断されるに至りましたので、第七條有効期間を、吏に三年延長し、この特例の適用を受け得る人々に対し、容易に上級免許状を受け得る機会を與えようとするものであります。  以上が教育職員免許法施行法の一部を改正する法律案提案理由であります。何卒慎重御審議の上速かに御可決あらんことを御願いいたします。
  4. 堀越儀郎

    委員長堀越儀郎君) それでは本法案に対する質疑を始めます。
  5. 若木勝藏

    若木勝藏君 質問いたします。    〔委員長退席理事木内キヤウ着席〕  この提案理由の中に、現在行われておるところの認定講習が、非常に困難な状態にあるということがあるのでありますが、この点につきまして私は質問いたしたいと思うのであります。で、私の現在調べましたところの事柄を申上げますというと、その点においても、非常に困難な事情が分るのであります。先ず第一に、在来期間が短かかつたために、三年間という期間であつたために、それが受講者方面から考えまして、非常に労力的につきましても、困難な状況があり、非常に無理がかかつておるということが一つ考えられるのであります。それから受講の実際について考えて見ますというと、短期間に多数の人間を講習するために、一つの数量に七十人も八十人も一杯詰め込んで、そうして、殊に暑苦しい今日講習を続けておるために、非常な身体的な方面においても障害を来し、中にはそのために倒れてしまつたり、それが因になつて病気になつたり、或いは或る者は死に至つたと、こういうふうな実情も発生しておるのです。これらが、この短期間講習のために、非常に労力、或いは身体上に及ぼしておるところの実情であるのでありまして、更に経費負担というふうな方面、つまり受講者生活に及ぼすところの経済上の影響というものは、非常に大きいのであります。六三べースで非常に生活が苦しいと、その上にこの講習を受けるため旅費を負担しなければならない。宿泊費負担しなければならないというようなこと、更に図書費としても六千四百円の図書は、どうしても買わなければならない。それを買わなければレポートを作ることができないというような実情にある。こういう点は恐らく文部省と雖も初めにおいては考えなかつたことであろうと思うのであります。その外いわゆる学費といいますか、ノート類を買うとか、そういうふうな方面についても多数の一般考えられておらなかつたところの経費がかかる。こういうことが考えられるのであります。更に会場が少いために遠くからそこへ出かけて来なければならん、そのために女の先生あたりになつて、子持ちの方はその子供を連れて来る。赤ん坊を連れて来る。そこに持つて行つてそれを子守りするところのお母さんを連れて中米なければならない。こういう実情で、いよいよ経済生活が追い込まれておるというような状態にある。従いまして受講の場合におけるところの、先生方一般宿泊状況などということも、その費用に禍いされまして、学校の教室を借りて、そこにござを敷いて、その上に寝ておる。それから先生方が、自炊を以てしなければ到底生活費が成立たりない、そういうところに追い込まれておるのであります。結局これは文部省がこの講習を進めるに当つて、あまりにもこの地方教育委員会に委ね過ぎて、而も非常に逼迫しておるところの地方財政、こういうふうな方面から十分なる、いわゆる補助金が出ない、こういうところに非常な欠陷が存在しておるものと考えられるのであります。  その次には非常に教育空白ができておる。一つ学校の、つまり三十四五学級の学校において、その半数へ或いはそれ以上の先生が、講習に出かけておる、こういうところの実情があるのであります。そのために、教育が非常な空白状態に陥つている、こういうことが実情として考えられるのであります。それから講師側の数が不十分であるために、北海道辺りにおきまし手は、科目によつて一つ学校から出るところの先生釧路の方に行くとか、函館の方に行くとか、或いは札幌の方に行くとかいうように、分れて行かなければならない。そうでなければ、講習所において総合的な科目講習を受けることができない実情にある、これがやがて学校経営にどういう影響を及ぼすかと申しますると、校長釧路の方に行く、教頭は函館の方に行く、こういうふうに分れ分れになつてしまつておるために、この学校経営の連絡が到底とれない。ここから青森まで行くところの時間が、札幌から根室の方に、或いは釧路の方に行くだけの時間がかかるのが、北海道実情であります。そこでそういう人が出て行つた、いわゆる幹部級人々が出て行つた後に残された人は、無資格者が多いのであります。そういう人々学校経営に当つて行かなければならないというような実情にある、そういうことによつていよいよこの教育空白が生じて来る、こういう実情にあるのであります。私の見た範囲では、そういう諸点考えられるのでありますが、実際文部省の把握せられているところの、その困難な状況についてはどういうふうなことが考えられておるか、この点について先ず質問したいのであります。    〔理事木内キヤウ退席委員長着席
  6. 稻田清助

    政府委員稻田清助君) 只今指摘になりましたような困難が一部の府県から訴えられておりますことは私共よく承知いたしております。お話のような事実でございまして、或いはこの講習を受けまする期間が三年という非常な短期でありますために、県の教育委員会が非常に苦心をして実施計画を立てましたにも拘わりませず、どうもそこに無理が生じて来る。その無理から参ります時間の問題からいたしまして、受講すべき教員が受持つておる小中学校教育に対して、やりくりがなかなかつきにくいというような点、又非常な短期間に非常に多くの時間を受講いたしますために、受講者において疲労がある、或いは又それに関連する経済的負担がある、又未だ各国立大学の陣容が充実過程にありますもので、講習をする側における準備も、十分整つてないというような諸点からいたしまして、方々府県からお話のような問題があることを、私共といたしましても十分承知いたしまして、まあこれを見まして、一番それの全般的に影響を及ぼす問題は、何といたしましても、この三年間にこれだけの講習実施するところに原因があるというような点からいたしまして、その三年の期間を六年に延長することによつて、多くの困難が救われると信じまして、この提案をいたした次第でございます。
  7. 若木勝藏

    若木勝藏君 それに関連しまして重ねてお伺いいたしたいと思うのであります。それはこの困難の実情を除去するために、三年間の期間を延長する、一応私は分るのでありますが、これによりまして、この困難な事情が、どれだけ一体緩和されて来るか、これを具体的にお伺いしたいのであります。
  8. 稻田清助

    政府委員稻田清助君) 六年間に二十三單位取得するということから出発して計算いたしますれば、これを六年に平均に割り振りますれば、一ヶ年に四單位取得すればよい。四單位の取得に要しまする時間は四週間、一月でございます。従いまして、大体夏期休暇中一月をこれに当てるといたしますれば、従来計画されたように週日の間に、或いは土日において受講しなければならない。或いは又夏休みの期間全部を、挙げてこの講習に当てなければならないというような無理は、ここに大いに軽減されるのではないかと考えます。
  9. 若木勝藏

    若木勝藏君 今の御答弁によりまして、相当こういう方面について、緩和されるというようなお話があつたようでありますが、これを以て文部省はこの認定講習なり、或いは資格制度について、十分であるとお考えになつておるか、或いは根本的にこの問題については、法の改正をもつと進めなければならないというふうな意向を持つておるか、これについてお伺いします。
  10. 稻田清助

    政府委員稻田清助君) 尚この期間を延長するに伴いまして、先般もお話のありましたような一年通信教育実施ということを設けたいと考えております。通信教育実施せられ、而もそれが充実せられますれば、大いに受講者としては利便を得られるだろうと存じます。又只今指摘のような経費の問題につきましては、明年度予算はもとより、若し補正予算等提出し得る機会がございますれば、我々といたしましては十分努力いたしたいと考えております。
  11. 若木勝藏

    若木勝藏君 今の御答弁で、法をもつと大幅に改正して行かなければならんというような御答弁がなかつたようでありますが、その必要がないと認めておられるか、この点が一つ。もう一つ経費というふうな方面において、でき得べくんばそういうことを考えたい、補正予算額についてですね、そういう御答弁でありましたけれども、是非これは追加予算等で以て獲得しなければならないというところの信念をお持ちになつておるか、この点。
  12. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) 第一の点については、私はもつとよく研究いたしまして、若し改むべきものがあつたら、改めるように努力いたしたいと思います。ただ若木委員その他の方々にも御了解を得たいと思うことは、これから私共が新しい法律を制定するというならば、十分のことができますけれども、一遍できて而も去年決めたというようなことを、今年において十分改正することができるかどうかという私は幾らかの自分に疑念を持つというと少し語弊があるかも知れませんが、とにかく新らしいものを作るのと幾らか違うところがあるが、併しできるだけそういうふうにやりたい。  第二の点については是非共やります。
  13. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 お尋ねいたしたいのですけれども、その全面的な法の根本的なものについて、研究をするとこう言われるわけですけれども、文部大臣としては新任早々で云々と言われると思うのですけれども、文部委員の方についてはこの問題について十分私は討議されておるとこう思う。そこで法の根本改正をするときに医者などでも同じような、こういう免許法の問題が出て来たと思う。そのときに医者方々既得権が尊重されておる。我々はこの既得権が殆んど無視されるような形になつておる。この点についてどんなふうに今までお考えになつているか、この点をお尋ねいたします。
  14. 稻田清助

    政府委員稻田清助君) お話のような既得権という一面からも、この問題は研究しなければならん問題であろうと思いますけれども、免許法の第一條に掲げますように、これが教員資質向上を目的としての法律であります以上、従来教壇に立つておられる方々に対しましても免許法によります或る程度講習、或いはその外の方法によります再教育ということは必要であると考えております。
  15. 岩間正男

    岩間正男君 先程若木委員から御発言があつて、御答弁があつたのでありますが、問題になりますのは、これは新しい法案でないから、容易に改訂するのはむずかしだろうというような大臣の御答弁でありますが、この点は私は相当問題があるんじやないかと思います。というのは非常にああいう形で通つた法案実施して見ると、こういういろいろな困難に相遇して、現在のような崩壊しなきやならないようなところまで追込まれておるのでありますが、その根本立場ですね、それはどこにあるかというと、日本教育現状に即して実体からこれをよく把握して、そうして押進めて行く過程において、この講習というものが問題になつたのでありますが、飽くまで講習はそれは重要には違いないが、現状の生きた教育には掛替のない、これとは取換えることができないものだ、この点ですね。その点を十分に御認識頂きたいと思うのです。ですからこれは今後の我々も当院におきましては継続審査までやつて、今後の調査を十分にするということがすでに決定されておるのでありますが、こちらでも十分な今後の実態調査をやるわけでありますけれども、文部省もそういう立場に立つてこれは飽くまでも日本教育を守り拔く、こういう立場に基礎を置いてやつて頂きたいということを考えるわけであります。そうでないと法案というものがあらかじめあつて、そうしてとにかく通してあるのでこの法に縛られるというような形で行つたのでは、日本教育がそのために死んでしまうという面が私は起ると思うのです。そのために今日の矛盾が起つておるのでありますから、その点でやはり根本的な検討を加え、そうしてそれが日本教育のために有害である、或いは必ずしも利益を受けることができない、こういうような面に対しては非常に勇敢にこのような法改正を私はやつて頂きたいと考えるのでありますが、これについて文相はどういう御意見を持つておられますか。
  16. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) 只今申されましたことは御尤もだと思います。ただできるだけよいものにしようという考えについては私も全く同感でございますが、ただ自分只今申したような点も感ずるものですからそれをただ附加えたのであつて、できるだけよいものにしようと考えることにおいては岩間委員のおつしやられた通りでございます。
  17. 岩間正男

    岩間正男君 恐らくまあ大臣の、これはお心持を付度していいか悪いか分りませんけれども、第七條のあの一項の改正でも随分これは苦心なさつたろうと思う。そういう点からそういう実際の関係方面なんかとの御交渉の結果、そういう心境に至られた点も察せられるのでありますけれども、併し問題はやはり日本教育であります。生きた日本教育であります。殊にそういう点で見識を持ち、又非常にそういうものに対して情熱を持つておられる文相に我々は期待するところが大きいわけであります。そういう点から飽くまでも日本の民族の教育はつきり確立するのだという立場に立つて、この講習の問題も現状に即応したものを進める、こういう点については、いろいろ困難もあることと推量されるのでありますけれども、この基本線だけは只今答弁頂いた点からも察しられるのでありますけれども、飽くまでも押通して私は頂きたいと、こういうように思います。このことは單に我々だけが要望しているのでなくて、恐らく昨日あたり東京都辺りの教員諸君が参りまして、そういうような要望を多く聞いたのでありますけれども、まあ実態に即されないところのいろいろな問題が沢山あるわけでございますね。そういう問題について殊にそういう障害を除去するように努力をして頂きたいというふうに考えます。  その次にどうしたつて大きな問題になりますのは、これは財政の問題であります。これは若木君から詳しくお話があつたのでこの点については細かに述べようと思わないのでありますけれども、今までの経過を見ますというと、何といつてもこの予算伴つた法案改正予算的措置というものが一番やはり文部省の苦手とするところでなかつたかと思うのであります。而も見ますというと来るべき国会においては補正予算のことは、恐らくこれはもう日程に上らなきやならないという情勢になつておると思います。だから先程の稻田局長答弁によりますというと、そういう機会があつた努力したいというような御答弁でありますけれども、我々はそういう答弁じや満足しない。そういう何だかちよつといわゆる議会式答弁という、国会の辞書にあるような答弁では我々は満足しない。やはりもつとどうしたつてそういうような機会をこつちから作つて、積極的にやるという御答弁を頂きたいと思うのでありますが、如何でございますか。大臣から御答弁を頂きたい。
  18. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) 岩間委員の仰せられることは、一応お尤もと思つて是非その趣旨に副うように努力をいたしたいと思います。
  19. 岩間正男

    岩間正男君 なぜ私は特にそういうことを切望しなければならないかと言いますと、まあ理由は沢山あるのでありますけれども、殊に最近こういうような講習に絡んで実にどうもいかがわしいような不正の問題さえ我々は聞いておるのであります。これは恐らく一昨日でしたか、衆議院でも問題になつたと思うのでありますけれども、東京における、中野区における問題であります。つまり会場が非常に不便だというので大泉のこれは分校、元の師範です。そこでやるところの講習会場を変更した。併しその変更したために、その中にあつて盡力をしたところの校長諸君とか、それから係の諸君、こういう人達が某所において、中野区の沼袋の某所において宴会をやつた。そうしてそこでまあ講習を含めてそういうことをやつた。而もその費用が非常に乏しいところの教員の懐から出されている。恐らくこれには全部で百人の講習員に対しまして、一人当て五百五十円の支出を求めて厖大な予算が計上されて、まあ飲み食いに費やされたということが我々の耳に入つた。而もこういうような不正に対して、抑えない立場から、二人ばかり反対をした、ところがこれに対して非常な圧迫があつて、そうすればお前に対しては講習免許状はなかなか容易でないであろうというような圧力が掛つた。それで二人の人もそういうような圧力の前には仕方がなくて止むを得ず五百五十円を拂つたということを聞いている。これは恐らく文部省で早速調査されたと思うのでありますけれども、こういうとろこまで追込んでおるのは、その原因は全部経済的な、今の予算を確立していないところから起つて来る。こういうふうに考えるわけであります。そこで私はその調査はどういうふうになつたか、これは今調査された範囲内でも結構ですけれども、承つて置きたいと思います。
  20. 稻田清助

    政府委員稻田清助君) お話の点につきましては、東京教育委員会に照会いたしまして事情を聴取いたしましたが、中野区における講習の際に、受講者方々が自発的に相談し合われまして、講師懇親会を開き、その費用仲間同士で集めた、こういう事情があることを聞いております。もとよりお話のように、この講習精神及びそれを完全に実現いたしますために、東京教育委員としても非常に盡力せられておつたことと考えるのでありますが、今後と雖も東京教育委員会において十分その運営につきまして、遺憾のないように注意せられるということを我々といたしましても希望いたしておるような次第でございます。
  21. 岩間正男

    岩間正男君 私は文部省に何かあると、そういうふうな下請機関みたいなものを、一応それも止むを得ないことかも知らんけれども、これだけの講習にからむ不正問題は、直接車を飛ばして行つて現状実体を把握するだけの熱意を持つて貰いたいと思う。恐らくこういう機関を通して聞いたつて、今の答弁を我々は信頼することができない。何故かというと、その中には都の教育庁職員関係している、関係しておるところのその教育庁は今のような頬冠りの答弁をするに決まつておるのでありまして、こういうような答弁国会の要求に対してぬけぬけと答弁されることは、私は絶対に反対であります。こういう形において、一方においては教員政治活動の問題なんかのときには、相当これに対してむしろ警察的な調査をしておる。然るにこういうような講習にからまるところの不正の問題になるというと、單に馴れ合いとも見られるような教育庁行つて、それを聞いて、それを国会答弁にされては我々は迷惑である。この実体に対して、先ずこういうやり方ではいけませんから、もう少し尚実体に携わつたそういう人、或いは二人の拒否した人、そういうところまで調べてもつと明確に報告をして貰いたいと思います。これが第一点であります。教員が苦しい六三ベースの現在において、こういう好意的に金を集めてやるということは、私には想像がつかないのでありますが、仮に諸君がこういう話合をして講師を慰めようとして一杯飲もうということがあつたとしても、それを受取つてもいい、或いはそれでもいいんじやないか、そういうふうにも今の稻田局長答弁では聞かれる節があるのですが、この点についてはどうお考えになりますか。
  22. 稻田清助

    政府委員稻田清助君) 今日まで私共が掴み得た事実によりますると、先程申上げましたように、講習員講師を囲んで一席の、まあ何と申しますか、歓談の会を持つた、而も講習員自発的意思によつてそういう会を持つた。これは必ずしも講師を慰めるという意味のみにも取りにくいのであつてお互いにそうした機会において歓談機会を持つということが、自発的にお互い申合せによつて無理なく行われるといたしまするならば、程度の問題でありまするが、一応それだけのことといたしましては、どうも自発的意思に基いて行われたもので、必ずしも不可といたすべきものではないと考えます。
  23. 岩間正男

    岩間正男君 前提條件が自発的だというふうに考えられておるから、只今までのような御答弁があるのだと思いますが、二名これに反対してそうして相当拒否した人があつたという事実を聞いておるのであります。こういう人については、まだ調査しないのだろうと思います。これはいずれ今の問題を引つくるめまして、実体を掴んで頂きたい。いつでも我々の欲しいのは実体であります。或る官庁とかそういうような一つのレールを通して調べられたものは、日本官庁勢力は、現在においては又最近復活しております。そういう形において官僚諸君の今日の反動期における行動についてははつきりしておる。これは天下の事実であります。こういう中における実体を持つて来られても、我々は承服できない。我我も無論この実体を厳重に調査したいと思いますから、そのとき文部省調査と我々の調査が食い違つて文部省は一体どういう方法で誰を一体調べて、そうしてその結果物に食い違いがある、この事実はどうしたかと、それによつて文部省の面目を失うようなことのないように、私ははつきりこれを要求したいと思うのであります。これは後で本委員会委員長からお諮りを頂きたいと思うのでありますが、小さいような問題でありますけれども、こういうことは、私達は教職に今まで十五年間、二十年間携わつて来たのでありますが、こういうことによつて腐敗が起り、教員の卑屈さが起り、教員精神が破壊されて来て、教育が隷属して来たところの姿を、戰争前後の期間を通じて我々ははつきり見て来た。こういうところにこそ教員の本当に一個の人格として敢然としてあらゆる困難の中に立つて、そうして正しいもの、正義を守る勇気を本当に推進することができなかつた原因があることを、私ははつきり申上げることができるのであります。こういうものを文部省は徹底的に摘発して、こういう誤りを再び繰返させないというような確信を持つべきじやないかというふうに思いますが、この点私は文相の御意見を質しておきたいと思います。
  24. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) 只今岩間委員の申されたようなことがあるならば、非常に遺憾千万なことであると考えます。ただ文部省が直接やつたのではなくして、東京都の主催のことでありますから、文部省東京都を通じてこれを調べるということは、私は一応の筋ではないかと思つております。併し尚よくこの上吟味して、そういうことが教育界にあるということは、私も実に遺憾十万なことであると考えております。
  25. 岩間正男

    岩間正男君 その問題は大体それくらいにして、文部省の今後の調査並びに本委員会でもどういうふうな態度をお取りになるかということを委員長にお諮り頂きたいと思います。  次に、この法案の審議に連関してやはり大きな問題になつて来る点は、講習の内容ではないかと思います。あの講師の問題であります。こういうような問題について、現在いろいろなことを我々は耳にしておる。更に最近これは新聞なんかでも認定講習の問題が大写しになつて参りまして、昨日あたりは読売紙などにおきましても調査が出ておるようでありますが、講習内容について相当にこれは満足されない状態にある。又講師の人にも本当に人を得ない。こういうような面があるのでありますが、こういうものに対するところの対策を、文部省はどういうふうにお持ちになつておられるか。この点我我の今後の審議の参考にもなりますので、これをお聴きしたいと思います。
  26. 稻田清助

    政府委員稻田清助君) 今回の認定講習は、非常に短期間に計画いたしましたので、或いはそうしたお話のございますような欠陷のありまするところもあろうかと考えております。我々といたしましては、こういう講習その他或いは公開議座等における教授力の充実という点につきましては、将来新制大学の充実全般の問題として考えますとともに、特にI・F・E・Lの講習その他の方法によりまして、十分教授力を今後つげて参りたいと考えております。
  27. 岩間正男

    岩間正男君 講習の目的から言いますと、教員が自発的に知識欲に然えて、そうして自分の知識技能を大きく養つて行く、こういうところに根本方法があると思うのであります。ところが現状を聞きますというと、どうも、或る極の單位を取らなければならないから、出席率を或る程度取らなければならない、そういう形で、いわば強制的にそこに追いやられて、そうして或る場合には、例えばあまり内容の豊かでないところの講師が、何とかまとめて来たところの独演式な講習を我慢するなり、或いは居眠りをしながら聴いておるという実情を我々はしばしば聞いておる。我々が実際今後の調査をやつてみれば分るのでありますけれども、そういう形ではこれは本当に、一定の時間を空費して、一方では伸び盛りの子供連を、非常に教員のいないところに放置して、学力の低下を招いているというような非常な犠牲を拂いながら、一方では余り効果のない講習の両で、時間的に拘束されているという実情が起つていると思うのでありますが、こうしたものをもつと徹底的にやはり解決しなければならないのじやないか、それにはやはり講義の内容というものが、実態に即応して、もつと教員の血となり、肉となるというようなものでなければならない。それは現状からいいまして、望む方が無理だと言えばそれまでのことでありますが、そうなれば又それに適応したところの講習の組織をやらなければならないというふうに私達は考えるのでありますが、一体教員組合の発足当時のことでありますが、この講習の際、或いは組合員は、まあ教員でありますが、教員のこういうような自分の知識技能を向上させるためには、自分自身の力でやりたいという希望が非常にあつたと思います。然るにどうしてもこれは一つの国家の規定であり、法律の規定するところであるからして、否応なしにこれは受けなければならないというような講習の形になつたのでありますが、こういう点から考えて、そうすると内容を重点的に改善するということが大きな意味を持つと、こういうふうに考えられるのでありますが、この点についてもう少し徹底した施策を同時にお考えになつて頂きたいと思います。私の質問は以上で終るのでありますが、要するに私はこの法案の今度の措置は、これはとにかく今起つておりますところの教員諸君の非常に苦しい立場、この認定講習によつて、何とも二進も三進も行かないという問題を一応整理するために、こういうような公開制というのがなされるのであつて、依然として根本的には法案の徹底的な検討、そうしてこれに対しまするところの改革の努力、並びに経済的な裏付けを徹底的に重点的にやる、そうして又講習の内容をそういうような施策と併行いたしまして、十分に豊かにするというようなことを前提にしなければならないと思うのでありますが、文部省では基本的に、これは大臣の今までのしばしばの御答弁にもあつたと思うのでありますが、私はそれを取りまとめまして、そういうふうな立場に立つて、この法案改正提案せられていると思うのでありますが、どうでありますか。その点はつきりお伺いして置きたいと思うのであります。
  28. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) 今の御質問にお答えする前に、私はこの前の岩間委員お話に対して非常に遺憾千万だといつたのは、岩間委員の言われるようなことが事実なら遺憾千万だといつたのであります。私はまだ調べてはありませんから御了承願います。この後に岩間委員から述べられましたことは誠に御尤もだと思います。ただ本当に人間が自発的に進んでものをやるということが実は望ましいのでありますけれども、やはりこれは我々人間としては或るときには資格を取るためにに、少しはいやでも努力してやるというような面も人間にあるということは、これは当然のことではないかと考えております。ただその内容等につきましては、岩間委員の言われますことは、いちいち御尤もで、私共もそういう線に副うてできるだけ努力をいたしたいと考えるのであります。
  29. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 この法案に関連いたしまして将来のこともありますので、少しお尋ねして置きたいと思うのでございます。丁度今日本教育界は暗雲低迷しているような状況下でありまして、この問題というのは、将来においても日本教育界の歴史的な事件だと、こういうふうに申される時代が必ず来ると思うのであります。それだけにこの問題を一日も早く解決して日本教育界が今閉されている暗雲を拂いのけなければならない。そういう立場から御質問申上げるわけでありますが、第一点といたしまして、大臣が先程から自分は法は余り研究していないし、昨年制定したばかりの法律でその改正ができるか。又は妥当であるかということについても、確たる意見は持たないが、併しながらいろいろな意見があるからして、これを究研て善処—したいということを、こういうことを本日も先般から再三意思表示されているわけでありますが、この法案の検討をどういう機構で、どういつた構成で、いつから出発されるかという点につきまして、大臣、或いは担当の政府委員から率直に答えて頂きたいのであります。
  30. 稻田清助

    政府委員稻田清助君) 教員免許制度の改正根本問題につきましては、従来教育刷新審議会にそのために特別委員会が設けられまして目下御審議中でございます。更に文部省におきましては免許法等におきまする審議会が政令を根拠に置かれております。やはりこの委員会がこの問題について今後研究せられるだろうと思つております。或いはその他の方法を以ちまして、十分各方面の意向を聞きながら、若しそこに改善改良すべき点がありますれば案を纏めて参りたいと思つております。
  31. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 先般も教刷から内閣に勧告があつたようでありますが、そういう尤もな勧告があるべきだと思うのでありますが、そういうものがあつたために、それを掴まえて直ちにこの問題の解決に乗り出して行くという良心的な決意はあるのでございますか。
  32. 稻田清助

    政府委員稻田清助君) 先般の勧告は、御承知のようにこの認定講習のみについての勧告でございまして、その一点は期間の延期であります。これはもう手配いたしまして、それから今一つは例の通信教育の速かなる開議の点、これは先程お答えいたしましたように目下準備中でありまして、九月にもなりますれば実施し得る準備を持つております。今一つはこれに対して十分な経費を盛るように、この点は先程大臣答弁のありました通りであります。更に全般的に認定講習については遺憾の点が多いからして検討した方がいいというのが一項であります。これは全般の問題でありまして、先程来お答え申上げておりますように、今後も十分事情を把握いたしまして、改善に努めて参りたいと思つております。
  33. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 この問題は随分緊急な問題でありますので、当面第一義にこれを取上げて努力して頂きたいと思うのであります。つきましては将来のこともありますので、法の内容の重点的な二三の点について、ここで政府委員の方にお尋ねいたしますが、例えば單位数を減少するとか、或いは余りにも無視されている実歴年数というものをもう少しこれを重く見るとか、或いは余りにも免許の数が多数に過ぎる、そんなに必要であるかというような点について、この免許の種類を減少する、そういう点について改善する意思が政府委員の方にあるかないかという点であります。この点につきましてはこの免許法の法そのものとか、それからこの運営が余りにも現実から遊離して、随分苛酷なものであるという輿論は膨湃として起つて、これは健全な良識を以てしては何人も認めているところだと思うのです。昨日の読売にも出ておりましたし、どの新聞を見ても、或いはニユース解説を聞いても、或いは社会の良識者の意見を聞いても、教育委員会の方、この監督者の意見を聞いても、第一線の教員は勿論のこと、殆ど国民的な輿論のように見受けられるわけなんですが、こういう法の内容の重点的な二三について率直にどういうふうに考えておられるか、それについて努力する意思があるかどうか、それをはつきりお答え願います。
  34. 稻田清助

    政府委員稻田清助君) 只今指摘になりました免許法に関連いたしまする單位数の問題、又実歴年数換算の問題、又免許状の種類の問題、これは御承知のようにこの免許法は制定されました国会におきましても、又修正案が上程されました前回の国会においても、終始最も問題となつて論議せられて、その結果今日実施せられておりますような法の制定となつたわけでございます。我々といたしましても、先程来大臣も答えられておりますように、十分今後免許状に関連いたしまする諸般の問題につきまして、実情を調資し、又各種の意見を集め、十分検討いたしたいと思つております。今日只今これらの問題について、どういう考かというお尋ねに対しましては、まだお答え申上げるような結論は私共持ち合せておりません。
  35. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 繰返して申上げますが、研究するとか交渉するとか、その誠意は了としますけれども、言葉のやりとりでなくして、時間の問題でありますので、文字通り早急に乗り出して行つて頂きたい。こういうふうに希望を申上げます。  もう一つお尋ねしたい点ですが、それは先程から大臣予算の計上については、是非ともやりたいとこういう言葉で表現されておられるのでありますが、一單位幾らでやるのか、それとも通信教育の方にどの程度見越しているのか、その算出の基礎というものをお聽かせ願いたいのであります。
  36. 稻田清助

    政府委員稻田清助君) 御承知のように、本年度の予算におきましては、大学の経費におきまして、大学において実施する講習経費は見積つております。問題になつておりましたのが旅費に対しまする国庫補助金の問題、これはまだ計上されておりませんが、今後補正予算等を要求するとすれば、主としてこの旅費に関する経費だろうと思います。大凡の見積りといたしましては、ざつとのところ五億程もあるんではないかというような考えを持つておりますが、もとよりこの期間の延長に伴ないまして、地方実施計画も変更にたることと思つております。それらの変更されまする計画に関連いたしまして、実際の要求額を見積りたいと考えております。
  37. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 只今の五億という数字は、單位を現行のままにした場合には、先に発表されたように一單位二百五十円でございますか。
  38. 稻田清助

    政府委員稻田清助君) そういうお話の事実は私共分かりません。了解いたしません。何が二百五十円ですか。
  39. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 五億というのには算出の基準があるのでしようが、文部省は何を基準に一單位二百五十円に考えておられるのかということを我々は聴いておるのですが。
  40. 稻田清助

    政府委員稻田清助君) そういう事実はございません。
  41. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 五億という数字の算出基準はあるでしよう。
  42. 稻田清助

    政府委員稻田清助君) 受講者の人数と受講日数を大凡見積りまして府県の計画に当嵌めて考えた場合、このくらい要求するであろうということで大凡算定いたしました。
  43. 木村守江

    ○木村守江君 文部大臣は就任荷日が浅いのに拘わらず、認定講習の問題につきまして、非常な御盡力を下されまして、ここに改正法律案の提出をなしたことは、我々教育関係するものといたしまして、心から深く敬意を表するものであります。併し私は、一言お願いしておきたいことは、この免許法改正による認定講習会というものは、決してこの法案改正によつて全部解決したものではない。今後大いに改めなければならないところがあるということを、お心にお置き下さいまして、尚撓まざる研究と調査の上、善処あらんことをお願いしたいのであります。これにつきましては、当委員会におきましても、継続審査等をいたしまして、よりよき法案の作成並びに経済的援助の方法につきましても考案いたしたいと考えておりますので、どうか御協力の上善処下されんことをお願いしてやまない次第でございます。次についでに動議を提出したいと思います。先般来この問題につきましては、数次に亘つていろいろ質疑応答がありましたが、大体において質疑応答は盡きたと認められますので、この程度において質疑を打切つて頂きたいと思いまして動議を提出いたします。
  44. 高田なほ子

    ○高田なほ子君 二点質問いたします。資格問題の重要性についてはこれは各々考えなければならないし、我々も亦肯定する問題でありますが、併しその教育養成機関の裏付けというものがはつきりなされていないところに、いろいろ問題のできたことは各議員から指摘された通りであります。私はこの免許法の最も狙といたしますところは、教員の質の向上と、同時に量の向上にあるということを忘れてはならないと思うのであります。そこでこの量の向上について最も問題となる点は教員の需給の問題をどのように調節して行くか、今の定員、定額において縛られておる教員が新免許法による一定の基準の中において資格を取るためには、やはり形式的な行動が予想されるので、こういうことが強行されることによつて、非常に今の量的、質的にバランスの取れた調節が壊わされて行くように考える。そこでこの量的な調整をどういうふうに一体この今の免許法によつてつて行くのか、これについてお聴きしたいと思います。  第二点でありますが、読売新聞に出ておりました認定講習の問題は非常に興味深いものがございます。文部省調査と読売新聞の調査と日教組の調査、この三者の対比というものは極めて興味深いものでありまして、文部省調査は最低の金額を單位数において、も出しておるのでありますが、これはどのような方法によつて調査せられたか、これが而も正確な文部省のデイターとして来るべき予算計上の一つの資料として使われるのであるかどうかお伺いいたします。
  45. 稻田清助

    政府委員稻田清助君) 最初の御質問に対する答弁でございますが、御承知のように年々大学の教員養成数といたしましては二万四千名程度募集をしております。それに対しまする応募の状況は御承知のように余り従来はおもわしくないのであります。先ずこれを改善する必要があると考えておりまして、私共といたしましては教育奨学費の増額、充実というような点にも来るべき予算には努力いたしたいと考えております。  更に第二点の読売新聞に現れましたこの認定講習に関する調査の問題でございますが、これは私共といたしましても、全国的に状況を把握いたしたいと努めておりますが、差当りこちらから人を派遣しまして、都会地とか山間部とか、その他特色のある地方に人を派しまして、講習員、或いは講習者、教育委員その他いろいろの角度から凡そ八府県ばかり調べまして、その一端が出たようなわけで、ございまして、我我といたしましては、それだけを以て十分な資料とは考えておりません。今後とも十分全体の実情を把握したいと考えております。
  46. 荒木正三郎

    ○荒木正三郎君 大臣にお尋ねをいたします。大臣名を以て日教組の委員長に宛てられた回答書の第二項に「次期国会を目途に免許法改正の目的を以て日教組を交えた法律改正委員会を速かに設け同法の全般的検討をする。」こういうことがあります。これに明らかなように免許法改正の目的を以て委員会を構成するのですから、大臣免許法改正の意図があるということは私共明瞭にこれによつて掴むことができるわけです。先程からの答弁もさように私は解釈するわけなんですが、そこでお尋ねすることは、同法の全般的検討をするということでございまするが、すでにこれが発足しているかどうか、若し発足しておればどういう点が今日まで検討されたか、こういうことをお尋ねしたいと思うのでございます。  それから第二番目には、第三項において認定講習予算つては、二十五年度分は補正予算を組む機会を得て努力する、尚二十六年度分についてはすでに努力中である。次に特に後段の方ですが、二十六年度分についてはすでに努力中である、こういうことでございますが、具体的内容をお知らせを願いたいと思います。これは教組に宛てられたものでありまするけれども、私共法の改正をしなければならんと考え、又これに必要な予算を計上しなければならないと考えておる私にとつては、非常に重要な問題であると思いますので、大臣の方からお答えを願いたいと思います。
  47. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) 只今荒木委員からお尋ねになりました第一の点につきましては、私の考えておりますのは文部省内に全く私的と申すとあれですが、例えば教育刷新委員会のようなものとか、そういうのではなくして便宜的な一つ委員会を作つて、そこで文部省内で一つそういうことを全般的に研究しようという趣意でございます。  それから第二の点については私はこの義務教育完成ということについて、大蔵当局その他絶えずいろいろ了解を得たり何かいたしております。従つてその教員の養成ということに必要な経費というものも、そういう意味で私は努力しつつあるということでございます。
  48. 荒木正三郎

    ○荒木正三郎君 私のお尋ねしているのは、法律改正委員会の性格をお尋ねしているのではなしに、すでにこの改正委員会が発足しているかどうか、こういうことをお尋ねしておるのであります。
  49. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) それはまだ発足いたしておりません。これから作ろうと思つております。
  50. 荒木正三郎

    ○荒木正三郎君 これから問題ですね……、それから教育費全般についてでなしに、認定講習予算についてはということでありますので、二十六年度分についてはすでに努力中である。この認定講習予算について金額その他の面からどういうふうに努力をして下さつておるか、この点をお伺いしたいと思います。
  51. 稻田清助

    政府委員稻田清助君) 先程お答えいたしましたように、認定講習予算提出の態勢にあるわけでございますが、新しくこの法律改正になりました結果、期限の延伸に伴なつて本年にどの程度地方教育委員会において講習実施するかということが変更になりますので、それらの資料を集めまして予算を作成いたしたいと考えております。
  52. 荒木正三郎

    ○荒木正三郎君 そうするとすでに努力中であるということは、これはどういうふうな関係になるのでしようか。
  53. 稻田清助

    政府委員稻田清助君) 事務的には私共の手許におきまして予算を作りまして大蔵省にも説明いたしております。併しながらこれによりまして現実的に地方の計画が変つて参りますから、その変つた計画に即応して数字を固めまして要求いたしたい、こういう意味でございます。
  54. 荒木正三郎

    ○荒木正三郎君 どうも中心が外れておるように思うのですが、認定講習予算については、二十六年度分についてはすでに努力中である、これに必要な経費を取るように努力しているのだ、こういうことなんですね。それではどういうふうに努力をしておるか、それであれば金額はどれくらい今取ろうとしているのか、そういうことを話して貰いたいのです。
  55. 稻田清助

    政府委員稻田清助君) 言葉が足りなかつたかも知れませんけれども、一応事務的な予算の金額といたしまして四億七千余万円を計上いたして、大蔵省にもその予算の非常に重要であり、緊要であるということを説明いたしまして了解を求めつつあつたのでありますが、ただこの数字につきましては各地方教育委員会において期限の延長に伴なつて年次的の計画が変つて参りますから、予算確定に至るまでこれは修正せられるであろう、こういう意味で申上げたのであります。
  56. 岩間正男

    岩間正男君 私もただ一点財政の問題、今の講習予算の問題でありますが、補正予算の問題は、これは当然今の日教組に対した回答によつて努力されなくちやならないと思うのであります。この点はどうもさつきの稻田局長の御答弁と文書回答との間には、少し我々はレベルの相違を認めざるを得ないのは残念であります。飽くまでもこれは文相の回答の線で強力に努力して頂きたい。それはさて措きまして来年度の問題でありますが、これは何ですか、さつきのお話では五億ばかりの旅費が要るというので、これは旅費として出すというようなお話でありましたが、一般旅費と、それから講習旅費というものを今度の予算の建前では区別してはつきり組まれるというような方法を取つておられるのでありますか、それとも旅費の中にこの講習費を含めて何となく出す、こういう形を取つておられるのでありますか、この点を伺いたいと思います。
  57. 稻田清助

    政府委員稻田清助君) 一般旅費とこの認定講習旅費の補助とは区別して考えておるのであります。
  58. 岩間正男

    岩間正男君 それでそうでなくちやならないというふうに考えるのでありますから、今の御答弁でいいと思いますが、この内容については早速これは何か資料のようなものを頂けないですか。
  59. 稻田清助

    政府委員稻田清助君) 計画変更前の資料はございますので、これはお目にかけられるかと思います。恐らく実際に即して変更して来るだろうということは御了承願いたい。
  60. 岩間正男

    岩間正男君 結局もうそこで文部省の單価の問題で、先程矢嶋委員からもお話がありました点は非常に大きな問題になるんですが、計画を変更すると、先でさえ五億だから今度は非常に少くなるだろう、こういうようなお考えのようでありますが、これは是非資料を頂きたい。と申しますのは、恐らくあと三日で本国会は終りであります。そうして次の国会は十月になるかどうか分らないんですが、これは現在予算編成期でありますから、この問題を今我々が検討しなければ結局つんぼ桟敷に追込まれるということになるのでありますが、これはいつ頂けますか。
  61. 稻田清助

    政府委員稻田清助君) 明日中に差上げるように努力いたしたいと思います。
  62. 堀越儀郎

    委員長堀越儀郎君) それでは先程保留いたしました木村君の質問打切りの動議に御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  63. 堀越儀郎

    委員長堀越儀郎君) それでは本案に対する質疑は終了いたしたものと認めます。  それではこれより討論に入ります。御意見のおありの方は賛否を明らかにしてお述べを願います。
  64. 梅原眞隆

    ○梅原眞隆君 私はこの提案に賛成をするものであります。この提案は極めて適切な処置であると信じておるのであります。更にこの免許法に関し、又これを繞つた問題が横わつておりますが、これに対しては当局の方々も十分な検討を施し、そうしてこれを適正なものとして作り上げようという誠意を示しておられるので、又直接これに関連しての教育方法なり、予算の裏付けにもまじめな考慮を支拂うことを表明をしておられますが、こういう点におきまして、この一環の問題を解決する端緒として、この修正は誠に適切であると信じ、私は賛同の意を表するものであります。
  65. 木内キヤウ

    ○木内キヤウ君 民主党も賛成いたします。
  66. 木村守江

    ○木村守江君 自由党を代表いたしまして賛成いたすものであります。
  67. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 第一クラブも賛成であります。
  68. 堀越儀郎

    委員長堀越儀郎君) 他に御発言ございませんか。
  69. 荒木正三郎

    ○荒木正三郎君 第七條改正については社会党を代表いたしまして賛成の意を表します。ただここで委員長の報告の際文部委員会の確認事項として報告をして頂きたいという点を申上げたいと思うのであります。  その一つ免許法並びに同施行法については全面的に検討する必要がある、従つて文部省は次期国会改正案を提案するように措置して貰いたいということであります。  それから第二といたしましては、認定講習については、教員経済的負担をなくするために、次期国会に追加予算を計上して貰いたい、これをこの二項を文部委員会として確認をする、その上に立つて七條に賛成するものであります。こういうことを付け加えて頂きたいということを申上げます。
  70. 堀越儀郎

    委員長堀越儀郎君) 荒木君に申上げますが、それはあなたの御意見として報告いたします。
  71. 荒木正三郎

    ○荒木正三郎君 できればこの文部委員会に諮つて頂いて賛成を得られればそういうようにして頂きたい。
  72. 堀越儀郎

    委員長堀越儀郎君) これはこの法案とは別な問題でございますから、あなたの御意見として報告することにいたします。
  73. 荒木正三郎

    ○荒木正三郎君 先程文部委員会のときに御意見を聞いておりますと、この二点はどなたも主張しておられる問題でありますから、これは文部委員会の意向として決めて頂きたい。
  74. 堀越儀郎

    委員長堀越儀郎君) あとでお諮りいたします。
  75. 岩間正男

    岩間正男君 日本共産党はこの法案がそもそも出されたときに、今日のような事態が起るということは余りに極めて明らかであつたので、徹底的に反対したものであります。今日これが施行して見ますと、果せるかなそういうふうな事態が地方に起つておる、この事態に対して緊急に処置をしなければならないが、第七條改正を暫定的な措置として我々は賛成するものであります。その理由はもう先程の質問で盡きておりますので、諄くは申上げませんが、とにかく徹底的な法案の再検討並びにこれの改正、それから財政的なこの裏付けの措置をやること、更に講習内容についてもつと実地に即し、教員諸君が本当に自発的にこういうものに参加できるように、そうして教育のいろいろな面からの弊害、そういうようなものを本当に除去するようなそういうような措置をここで取るためには、関係者並びに本国会も徹底的にそういうような努力をするということを前提にして、そうして賛成したいと思います。(「岩間君沢山だ、同じことを何遍言うんだ」と呼ぶ者あり)委員長ちよつと注意して下さい。ああいうことは非常に遺憾だと思います。
  76. 堀越儀郎

    委員長堀越儀郎君) 他に御発言ございませんか。
  77. 若木勝藏

    若木勝藏君 議事進行について、先程荒木君の提案は非常に大事な問題だと思うので、この際一応お諮りを願いたいと思います。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  78. 堀越儀郎

    委員長堀越儀郎君) ちよつと速記 一を止めて下さい。    〔速記中止〕
  79. 堀越儀郎

    委員長堀越儀郎君) 速記を始めて下さい。それでは教育職員免許法施行法の一部を改正する法律案、これに対する討論は済んだものと認めます。これから採決に入ります。本法案を可決することに賛成の方の御起立を願います。    〔総員起立〕
  80. 堀越儀郎

    委員長堀越儀郎君) 全員一致でございます。よつて本案は全会一致を以て可決することに決定いたしました。懇談に移りますからちよつと速記を止めて下さい。    〔速記中止〕
  81. 堀越儀郎

    委員長堀越儀郎君) 速記を始めて下さい。それから本院規則第七十二條によりまして、委員長が議院に提出する報告書には多数意見者の署名を付することになつておりますから、本案を可とされた方は順次御署名を願います。   多数意見者署名     成瀬 幡治  若木 勝藏     木内キヤウ  平岡 市三     木村 守江  荒木正三郎     高田なほ子  梅原 眞隆     高良 とみ  山本 勇造     谷口弥三郎  矢嶋 三義     岩間 正男
  82. 堀越儀郎

    委員長堀越儀郎君) 尚本会議における委員長の口頭報告の内容は、本院規則第百四條によつて、多数意見者の承認を経なければならないことになつておりますが、これは委員長において本案の内容の要旨並びに本委員会における質疑応答の要旨、討論の要旨及び表決の結果を報告することといたしまして、御承認を願いたいと思いまするか、御異議ありませんか。    〔「異議な上」と呼ぶ者あり〕
  83. 堀越儀郎

    委員長堀越儀郎君) それじやこれは可決、全部終つたことにいたします。ちよつと速記を止めで……。    〔速記中止〕
  84. 堀越儀郎

    委員長堀越儀郎君) 速記を始めて下さい。
  85. 荒木正三郎

    ○荒木正三郎君 私は文部大臣に育英貧金の問題と、それから結核教員療養の問題について質問をいたしたいと思います。最近の新聞紙上を見ましても、勤労学生の問題がいろいろ出ておりまして、保健上から申しましても、或いは学資金の上から考えても、社会問題として大きく取上げられておるのでございますが、私は日本教育機会均等を実現するために、この問題を重要な問題として考えておるものでございます。今日、我が国において高等学校並びに大学校の学生の中には、生活の窮迫のために、又学費の不足のために止むを得ず学業半ばにして学校を去らなければならない気の毒な多くの学生がおるのでございます。文部省調査によりましても、昭和二十三年四月一日から二十四年三月三十一日までの一年間に経済的な理由によつて、止むを得ず退学しなければならない者が一五%に及んでおるのでございます。更に休学をした者が一二%に達しておりますので、これを合せますと、実に二七%の多きに達しておるような状況でございます。更に現在学業を続けている学生について見ましても、全学生の五二・九%の二十九万九千人の学生がアルバイトを希望しております。しかもこのうち僅かに二〇%内外が就職し得るの状況でありまして、就職口すらない多くの学生はやがては止むなく学業を止めなければならないものでございます。先程申上げた退学、或いは休学する学生が二七%に達しているのはこういう事情によるものと思うのでございます。で教育機会均等を実現する上から考えましても、日本教育水準を引上げる点から見ましても、これらの問題については至急に対策を講ずる必要があろうと思うのであります。で、この対策については、いろいろの面から考えられなければならないと思うのですが、先ずその対策の一つといたしまして、この際育英資金を大幅に増額してこれらの学生が安心して勉強できるような措置を講ずる必要があると思うのでございます。特に社会問題化しておる現状において、このことは緊急な問題であると考えるのですが、文部大臣はこの育英資金の増額の決意を持つておられるかどうか。こういう点についてお伺いしたいと思うのでございます。次にお伺いしたい点はこの答弁を終つてからお伺いします。
  86. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) 育英資金の増額ということは、私が今考えております最も重要な点の一つでございます。是非共これはしなければいけない。今荒木委員のおつしやられることは一々御尤もであります。私もできるだけの努力を傾ける決心をいたしております。若し、併し詳しい計数等の御心要があればあとで政府委員から申上げることにいたします。
  87. 荒木正三郎

    ○荒木正三郎君 今の問題については、尚大蔵大臣にも質問したいと思つております。従つてこれで止めます。  次に結核教員療養期間の問題でございますが、最近の教員の結核審査は審査と申しますか、結核の調査の結果、約五%の多くの人が結核に罹つておるということが明らかになつたのでございますが、特にこの教員は常に青少年と接触いたしておる関係上、一般の結核の問題も重要な問題でありまするけれども、特に教育者という立場に立つて、この問題は重要であると考えるのでございます。そこでこの結核に罹つた者の療養についてでございますが、前に日本職員組合と、当時の文部大臣との間においてこの療養期間を三年に決められたのでございます。それは今申上げた教員の特殊的な立場を認めて、そうして三年間の間現職療養ができるような措置が認められたのでございます。ところがその後教育公務員特例法によりまして、これが一年間短縮されまして二年になつておるのでございます。ところが現在数千に及ぶ結核教員が療養所或いは自宅において療養をいたしておりまするが、この特例法の制定によりまして、本年の一月にはその期限が満了するのでございます。そこで最近私共の手許には毎日数多くの陳情書が送られて来ておるのでございます。その内容は、この一月になれば給料も貰えん。そのために自分の療養ができないばかりでなく、家庭の生活も非常に不安になつておる。でそのために現在療養所で療養しておられる先生方は非常な不安に駆られておるの実情でございます。私はこの際、これらの人々が当初認められておつた三年の療養、更に一年延ばして三年の療養を認めるというような措置を講ぜられることが、如何にこの人達に安心感を與え、又良い結果をもたらすかということを思いまするときに、どうしてもこの措置を取つて頂きたい。こういう熱望を持つておる者でございます。いろいろこれを実現するのには困難な事情もあろうかと思いまするけれども、やはり職員のこの青少年と接触するという特殊な立場というものを認めて頂きたいと思うのでございます。今度出されました社会保障制度の要綱案を見ましても、大体三年の療養期間というものを認めておるようでございます。一般にこうした類似の期間というものは、大体三年を常識のように考えております。一般においてもそうでございますので、特に教員の特殊的な立場から考えて、この際是非そういう実現に努力して頂きたい。特に私は陳情者の中でこういうことが述べられてあることを挙げなければならん。それは若し一般のものであれば、大体全快とまでは行かなくても、大体良くなつた場合は療養所から出て元の職に就くことができる。併し教員なるがために感染の虞れがあるために、十分治らなければ再び学校に帰れない、こういう実情がある。そういう実情を述べておられるのでありますが、こういうことを考えまするときに、私はこの人達のためにどうしてもこの国会において、次期国会において文部省から提案をして頂いて、そうして三年間に延長するような措置を取つて頂きたい。かように考えておるものでございます。このことにつきまして大臣のお考を承わりたい。かように思うわけです。
  88. 辻田力

    政府委員(辻田力君) 教員の結核の問題は大切な問題だと思つております。教育公務員特例法の制定されまするときに、只今荒木委員からお話がごさいましたような事情で二年になつているのでございまするが、これはあの当時いろいろ当局の方から説明いたしましたように、早期診断をいたしまして、早期発見をいたしますると、又早期治療をいたしますると、專門家の意見で二年で大体軽易な仕事にはつき得るというような結果になりましたので、現在におきましては、現行法の通り二年でやつておるわけでございます。三年或いは四年というふうに長ければ長い程適当であるということは考えられるのでございますが、学校のいろいろな組織の問題、或いは財政上の問題、いろいろな諸般の問題がございますので、專門家の意見も十分参酌いたしまして二年にしたような事情でございます。尚三年にしたらどうかということにつきましては、今後とも專門家の意見も十分聽きまして研究をいたしたいと思つております。
  89. 荒木正三郎

    ○荒木正三郎君 これは別に專門家の意見を聽いて御研究をして頂くことは、私は差支えないと思います。そういう問題でなしに、これは常識的に考えても、本年の一月になれば多数の人が忽ち困つているという実情から見て、又前にこれはすでに三年という期間は認められた問題でありますので、大臣において御努力を願うと、こういうことを私は期待しておるわけなんです。これを專門的に調査してどうとかこうとかいう問題でなしに、この問題を大きくとり上げて、この人達のために努力をして頂く、こういう大臣の決意だけで今日は私は結構です。
  90. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) 私は只今荒木委員のおつしやることは実に尤もで、私も曾て自分の著書に結核を病む人達が教場へ出なければならんということは、実に気の毒なことだということを書いたこともございますくらいですから、荒木さんのおつしやることは十分できることなら私もしたいということは非常に思いますけれども、他の公務員との釣合いとか、いろいろなことがありますから、私がここで責任をもつてどうこうということを、ちよつと言いにくい点があるということを私は御了承願いたいと思います。これは具体的な答弁ではないかも知れませんが、私の立場は了として頂きたい。その精神においてはあなたと同じことであります。私共も是非そうしたいと熱望しておりますけれども、他の公務員との釣合いとかいろいろなことを考えると、私がここで軽々しくそういうことを自分がやるとかいうことは言いかねるような気がいたすのでございますから、この程度答弁でお許し願いたいと思います。
  91. 荒木正三郎

    ○荒木正三郎君 この問題は、私は形式的な答弁を求めているのではないのです。誠意の問題としてお考えを願いたいと思います。ですから今やるとか、或いはどうかということを私も求める気持はありません。ただ大臣が誠意を持つてこの人達のために努力して下さり、そうして努力の結果はこうであつたという報告をいつかの機会に得たいということを希望する次第であります。
  92. 岩間正男

    岩間正男君 今の結核の問題ですが、これは丁度私達が三年前文部省と交渉しておつたとき、問題があつてなかなか解決がつかなかつたのでありますが、最後には当時の高橋文相が、最後交渉で三年ということを断行されたのであります。ところがそれがこの前の公務員法のときに二年に戻されたのですが、実情をその後頻々として今荒木君から述べられたように聞くのであります。教員の場合には、公務員との釣合というお話でありますけれども、非常に影響するところが大きいのです。つまり子供に影響する。單に教員だけの問題じやなくて、その結果が子供に蔓延するという慮れを持つのです。それともう一つは、完全に治らなければ職につけない、こういう面と、二つあるわけですが、こういう特殊点について十分に文部省としては御努力頂きたいと思う。調査中というお話がありましたが、あのときも公務員の調査の資料は出された筈でありますが、あれと又別な新しい調査方法でも考えておられるのですか、我々も調査の資料を出して大分あのとき論戰をした筈だと思つております。それはどうなつておりますか。まあそれは後で結構です。  それから次に、時間が後三・四日しかないのですが、実は問題が認定講習という突然的な事項から始まつたために、天野文相のいわば天野文政というものを一応概括的にお伺いする機会がなかつたのですが、この裏付けとして予算編成期になつて予算の問題が当然大きく浮んで来ると思います。これを今我々はできるなら伺つて置いて、そうして後三、四日でありますけれども、大蔵省との折衝をやるなりそういうとき側面的な我々のなすべき方法もないとは言えないと思うのでありますが、こういう点についてどうですか、委員長の方からお計いを願いたいのですが、非常に概括的に短かくて結構ですが、文政の方針と、それの裏付けの予算で今編成期でどういうようなことを来年度では考えておられるのか、一応お聴きしたい、こういうふうに思うのですが、こういう点について諮つて頂けないですか。
  93. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) ごく大体のことを申述べます。私は第一に義務教育の充実ということを考えております。そのためには六三建築とか、又一般的に義務教育に要する予算とか、そういうことは私はもうできるだけ一つ努力したい、これが私の目標の一つでございます。現にこの開議会においても、御承知と思いますが、大蔵大臣も義務教育のためには思い切つた予算を組むとおつしやられたことでございますから、私も自分の希望もこれによつて或る程度まで到達できるかと思つて、今後その点の努力をしようと考えております。  第二の点は只今荒木委員の申されました育英事業でございます。これは実に必要だ。私はこれはただ教育問題じやなくして、同時に社会問題を解決する一つの鍵だというふうに考えて、この点に自分努力を集中したいと考えております。  第三番目には、私はこれを詳しく述べても宜しいのでございますが、日本人が非常に研究の素質を持つておりながら、学問研究というものが十分に発達しないのは、研究所というものの設備が不備だということにあると思うのです。そういう意味で純粋の学問研究ということにも相当な力を注ぎたい。今私が考えておる三つの眼目はその点であります。その他の点を無視するというわけではございませんけれども、そこに集中して、その他の点も考えて行こうというのが私の大体の考え方でございます。
  94. 高田なほ子

    ○高田なほ子君 結核教員に関連している問題になると思いますが、二十五年度の予算の中には、結核教員並びにお産で休んだ者の補助教員のために枠外に二%の予算がとられてあるわけであります。今荒木さんの御報告のように、結核教員が多いためにお産で休んだ婦人教師の補助教員に対する予算というものが適正にとられておらないのです。私の考では、女教師の中で、というよりは、教師の中で最も完成されたものは母親となつた教師であるということを言いたい。そのような完成された教師が補助教員がないために、みすみす教壇を去つて行つたということは、あの戰後の非常に教員の減つた率から考えてもよく分ることだと思うのです。それでこのためにはどうしてもやはり枠外に三級の補助教員を獲得する予算が的確に組まれる方向に行かなければならない。こういうことを私は非常に強く主張するわけでありますが、これに対する御見解も又伺いたいと思うのです。  第二番目の問題でありますが、特殊学校の児童の教育の問題です。現在の特殊学校の子供の中には、折角義務制になりながらも、不就学の子供が多いし、特殊学校の実際の教育の場面を見ましても、基礎教育そのものについては相当におやりになつておるようでありますけれどもやはりこれらの目の見えない、又物の言えない子供連にはどうしても特定な職能教育ということが必要になつて来るのでありますが、これらの教育費を確立するということは、非常に現下の重要な問題でなかろうかと思う。一般平衡交付金の枠外にこの特殊学校教育予算は含まれることになつているのでありますが、この予算の充実に対してどのような一体具体策をお立て下さるのか、これを伺いたいのです。  第三点はちよつと問題がはずれるかと思うのですけれども、千葉県の九十九里浜の現在の問題であります。御承知のように千葉県の九十九里浜は特定な環境下にありまして非常に農村が逼迫しております。最近の千葉県の実情を伺いますところによれば、現在のあの九十九里浜沿岸の七ヶ町村の中学校の子供連の一割五分というものが、家庭貧困のために長期欠席をいたさざるを得ないという実情に至つている、而もあの可憐な子供達がパンパンガールに身を売らなければならないという、こういう非常な窮迫の状態を示している。このことは六・三制を完全に実施なさろうとする文相の暖かい親心とは反する現状である。而もこういう問題に対しては一体どのような施策が施されなければならないか、伺うところによれば、来年度からは教育補助というものが出るというようなことを聞いていそのですか、そういう方面についてどういう具体的な考えを以てこれに臨まれるか、尚今のあの不幸な九十九里浜の実態について文部省はどのような一体具体的調査をお進めになつておるか、この三点をお尋ねしたいと思うのであります。
  95. 内藤誉三郎

    ○説明員(内藤誉三郎君) 只今の御質問にお答えいたします。三級の問題でございますが、二十五年度の予算結核教員の分といたしまして、小学校五十人について一・五、中学校五十人について一・八、その外に現在の結核教員実情を考慮いたしまして一・三三%を枠外に計算したのであります。そこで只今の三級の先生の不足をどうするかという問題でございますが、一・五と一・八の中でも操作ができるのではないか、ただ遺憾ながら、私の方でこれは国庫補助という直接の形を取つておりませんので、本年度から平衡交付金の中に含めてしまいましたので、できるだけ三級とか、或いは結核教員については、枠外にして教育上支障のないようにということは指示いたしておりますが、これが地方で実際どういうふうに組まれるかという点については、教育費が完全に確保されておりませんので、多少疑問を持つておるのであります。そこででき得るならば何らかの方法で義務教育費を確保して、そういうような三級或いは結核教員については別に枠外にするというような法律を作るか、何らかの措置を講じたいと考えているのであります。ただ地方財政全体で操作されますので、非常にその点が不安になつているのであります。  それから特殊教育につきましては、お話のように、非常に私共何とかしなければならんということを考えておりまして、平衡交付金の中に入つておりますが、この場合でも倍率を高くいたしまして、十分経費を賄えるように考えているのであります。更に特別補助といたしまして特殊教育につきましては、就学奨励費を支出いたしまして、特に盲とか、聾の困つている者については特別な措置を講じているのであります。本年度の二十五年度の予算では千四百万でございますが、それを適正に配分いたしまして、就学奨励に資したいと考えているのであります。尚二十六年度につきましては、普通学校におきまする特殊教育の振興を図るために、特殊養護学級の設置について、教育費の補助をしたいと考えている次第であります。最後に九十九里浜のお話でございましたが、この点についてはまだ十分な調査をいたしておりませんが、本年度からは、二十六年度は何らかの方法で、もつと大幅な就学奨励の道を考えたいと考えます。
  96. 堀越儀郎

    委員長堀越儀郎君) 文部大臣は四時半までの約束ですが……。
  97. 若木勝藏

    若木勝藏君 簡單ですから一つ……。岩間君の質問に対するいわゆる大臣の文教政策についての御答弁をいろいろ伺つたのであります。それに関連いたしまして、私も一つお尋ねしたい点があるのです、というのは、文相は非常に義務教育の充実ということについて御誠意がある、そういう点から考えましてこの第七国会において相当問題になりました、というよりも政府の部内において問題になつたようでありますが、あの義務教育費の確保についての標準義務教育費、これについては一体文部省としては今後どういうふうに考えて行かれるつもりか、平衡交付金制度の中に、何らの紐付きでなしにぶち込んでしまうということを指示するのか、或いはどこまでもこれに反対をしてこれを確保するところの法的な措置を講ぜられるおつもりか、この点を一つお伺いしたいと思うのであります。平衡交付金の中に紐付きでなしにぶち込んで行くということは、随分これは今後の義務教育の上から見て私は問題があると思う、これに対して文相としてはどういうふうに考えますか、これは文政の上からも非常に重要な問題であると思いますので伺います。
  98. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) 私はこの標準義務教育費というものを、全然手離しで、地方自治に委してしまうということはどうしてもできない、どういう形かでこれを確保する法律案を出さなければならないということを強く考えております。そのために、いろいろ私共も就任以来努力して見ましたけれども、今のところではどうにもならないような一つ状態に陷つておりますけれども、併し何かの方法でこれを打開したい、若しいよいよそういうことができないということであれば、そういうことはまあ何とかして自分はそれを打開したい、兎に角に手離しで、これを地方に委してしまうということは、自分はどうしても適当でないという考えを強く考えている者でございます。
  99. 山本勇造

    ○山本勇造君 私は文化財保護の件につきまして、今地方行政委員会の方で問題になつております地方税法案の中の固定資産税の非課税の範囲、これに関連いたしましてちよつと御質問申上げたいと思うのであります。それは本来から言いますと、地方行政委員会でやるべき性質のものだと思うのでありまして、向うの委員会と合同してやるなり、何なりやつて然るべくやることも私無論考えておつたのでありますが、併しあちらの委員会は非常に方々合同が多く時間もないようでありますので、私は地方行政の委員長と話をしましてこの問題はこちらでやるがというふうに通告をいたしましたら、どうかやつて呉れということでありましたので、非常に或る意味からいえば簡單な問題でありますから、今日ここで私は質問したいと思うのであります。これは本来前の議会において我々が立法をしましたときにあの法案は百三十一條でありまして、その百三十一條目に今日私が質問するような問題を疑問が起らないようにして置いたのでありますけれども、前の議会のときには地方税が通らないような建前にありましたので、通らないものの方にこれを入れるということが、委員会の問題になつてやることができなかつたためにあれを削除した。削除になつた結果、今度又これが出て来たとしても、又今度の問題についてもここのところが少しちぐはぐがあるのであります。この税法の方を見ますと、三百四十八條の二項の第一に国宝保存法、それから史蹟、名勝、天然記念物保存法、重要美術品等の保存に関する法律の規定によつて、国宝史蹟、名勝又は重要美術品として指定され、又は認定された土地又は家屋、こういうふうなものが課税がされないことにこの地方税法案ではなつておるのであります。ところが一方においてこの間文化財保護法が通過し、而も五月の三本日にこれが公布されておりますために、今のような国宝保存法であるとか、或いは重要美術品等の保存に関する法案とかいうものが、今なくならんとしつつある状態、なくなつたということは言えない、何故言えないかと申しますと、公布はされましたが文化財保護法は八月三十一日から実施されるのでありまして、まだ実施されないために、この間に極く短い期間でありますけれども、この法案が生きておる。而も一方においては文化保護法が成立をし、八月三十一日から実力を持つということになつて、ここにギヤツプがあるために、この法案が今度の議会で通るか通らないか分りませんが、若し仮に通つたといたしますると、名称の上で非常な疑問が出て来るので実質的には国宝とか、史蹟、名勝とか或いは重要美術品として指定認定されたような土地等に対しては、恐らくは自治庁が名前が違つてつても、こういうものに拘泥するようなことはしないであろうと思うのでありますけれども、併し法律の面から申しますとここのところがはつきりしておりませんので、自治庁といたしましてこの点を課税するのであるかしないのであるか、はつきり、しないならばしないのだということを確認しておいて頂きませんと、法律の方で不備の点がございますので、この点を自治庁の方からはつきりした御答弁を得ておきたい。この文化財保護法を作つた上からいつて、保護の建前からそのことを一つ御質問申上げたい。
  100. 鈴木俊一

    政府委員(鈴木俊一君) 只今山本先生から固定資産税の非課税の問題につきまして、お尋ねがございましたが、御意見の点は誠に御尤もでございまして、この三百四十八條の非課税の列挙事項の中に、国宝保存法その他書いてあるわけでございますが、二十五年度につきましては、いつの現在で固定資産税の課税の対象を押えるかと申しますると、これは今年の四月一日現在でこれを押える、こういうことに相成つておるのでございます。これは法案の三百五十九條及び三百六十條にそのことが書いてございまして、固定資産税の賦課期日は普通の年でございまするならば、一月一日ということになつております。二十五年度につきましては、土地家屋共に賃貸価格を基礎にいたしておりまするので、賃貸価格の制度は将来なくなるわけでありまするけれども、今年度は特にシヤウプ勧告の趣旨に従いまして、賃借価格の九百倍ということで押えておりますので、賃貸価格をいつで押えるかということをいろいろ考えたのでございまするが、この案におきましては、昭和二十五年四月一日の賃貸価格を押える、こういうことにいたしております。そこで賃貸価格はその客体を四月一日で押えるわけでございまして、従つて国宝でございまするとか、史蹟名勝、或いは重要美術品というものの範囲を四月一日を基礎にいたしまして本年度に関する限りは押えることになるわけでございます。只今指摘のごとく前国会で御制定になりました文化財につきましては、この法律が五月三十日後におきまして逐次施行されることになるのだと存じまするが、その関係の調整はこの原案におきましては、まだいたしておりませんので、明年度以降の固定資産の非課税の問題としては政府当局といたしましては、十分御意見を尊重して考えて参りたい。その関係におきましては次の通常国会等におきまして、今後シヤウプ博士が又参りまするので、その点につきましても若干修正をいたさなければならないような点も出て来ると存じまするので、そういうふうな際にも、只今の御意見に従いまして政府としては善処いたしたい、かように考えております。
  101. 山本勇造

    ○山本勇造君 大体私は分りましたが、そうすると今年におきましては、四月一日のあれによつてやるから差支えない、それから来年度以降は法案の方の不備な点、喰違つておる点を直すというわけでございますね。
  102. 鈴木俊一

    政府委員(鈴木俊一君) その通りでございます。
  103. 若木勝藏

    若木勝藏君 地方自治庁の次長に御質問しますが、それは今年の六三の建築の予算が確か本年度は四十五億だつたと思うのであります。それに対する起債の問題なんでありますが、この起債については従来は補助の四十五億なら四十五億に対して四十五億を認める、こういうことになつてつたと思うのであります。でありますからして、或る一つの県なら県において十億なら十億足らない、そういうことはあり得ないと思いますが、そうすると、十億の起債ということができるようになつております。ところが今年度におきまして十億の補助を受けるようになつておる十億の起債の方面は来ない、或いは他の方面に廻しておる、こういうような事実を私は聞いておるのでありますが、何か地方財政事情からそういうことを地方財政委員会でやつたということを聞いておるのでありますが、そういたしますと、非常にこれは六三建築の上上に非常に支障を来たす。地方においては在来通りの計画で以て進めておるのであります。この点について果してそういう事実があるか、こういう点を一つ伺いたいと思います。
  104. 鈴木俊一

    政府委員(鈴木俊一君) 只今の御指摘の点は地方財政委員会におきまして起債の許可の問題を取扱つておりまするので、財政委員会の所管でございまするが、これは今御指摘のごとく、四十五億の本年度の補助金に対応しまして、地方のそれぞれの負担分といたしましては、これを、或いは起債で行なう、或いは一般財源で行なう、その起債の額をどの程度にいたし、或いは一般財源で負担をいたしますべきものをどの程度にいたしますかということは、これは結局それぞれの地方団体の財政状況によることと存じまするが、御指摘のごとく補助金を出しまして、その半分が地方負担であるという場合におきましては、なるべくこれは起債でやることが望ましと思いますけれども、今年度起債の額が実は当初予定をいたしておりました額から申しまして、未だ大分不足をいたしておりまして、政府としては是非これを今の三百七十億というのを、更に四百二十億の線まで持つて行くように努力いたしたいと考えておりまするが、起債の額自身がそういうわけで低いものでございましてなかなか地方負担分全部を起債で見るということは、場合によつてはむずかしい場合があると思うのであります。そういうような場合におきましては、起債によらないで地方の固有財源で負担をして貰うということがありまするけれども、併し私の聞いておりまするところでは、小学校起債につきましては、大体補助金と同額程度認められておるのではないかと今考えております。はつきり申上げられませんが、大体そういうことであろうと思つております。その他一般の事業から更に公共事業費等につきましては必ずしも全部が全部起債というわけに参りませんで、或る部分は地方の固有財源で負担して貰うということにもなつておりますから、小学校関係は大体そういうような形に持つて行くようにやつているだろうと思つております。
  105. 若木勝藏

    若木勝藏君 今の御答弁のようであれば私は結構だろうと思うのでありますけれども、折角そういう趣旨、そういう原則に従つてつて来た場つ合において、これが打ち壊されるというようなことがあれば甚だどうも遺憾だと思うのでありまして、この点は十分今後そういうことのないようにして貰いたい。  それからそれが昨年度までのように、いわゆる義務教育費国庫負担法があつた場合においてはそういう声が起らないで、今度は地方交付金制度になつて、何か先程も大臣に私は質問したのでありますが、義務教育費に対しては殆んど手放しのような恰好になつている場合にそういうふうな声が起つて来る。事情が起つて来るというふうなことがあるとすれば、そこに我々として考えなければならん問題があると思う。その点は十分支障のないようにして頂きたいというふうに考えます。  もう一点は昨年度のようにいわゆるベース改訂に伴つてつた問題でありますが、年末の賞與の出るような場合に一番問題になるのは、いわゆる国家公務員に対しては直ちに財源か何かの措置ができて渡るのでありますが、ところが地方公務員、特に教員の場合は、相当この支出についていろいろ複雑な関係が起つて来るのであります。そこでこれは去年度におきましても、文相、それから大蔵大臣、そういうふうな関係、或いは市町村方面といろいろ相談の結果、大分手間取りまして漸く決まる、こういうことになつて、手取りになつたときにはすでに相当遅れている、こういう事実がある。そういうことにつきましては十分一つ自治庁の方からも、教員立場考えられて、なるべく手つ取り早くそういうことが決まるように、相当去年も文部大臣が苦労されたのでありますが、そういうことのないように一つして貰いたいと思います。関くところによると、或る県あたりでは未だ以て国庫から半額出るところの何か年末の賞與がまだ出ておらんというようなことを聞いているのですが、そういう事実があるのでしようか。
  106. 鈴木俊一

    政府委員(鈴木俊一君) それは府県が現実にやつてないというのではなくて、国から出ていないということでございますね。その点はまだ出てないことは甚だ遺憾でございまして、今文部当局の方でも、御存じと思いますが、大蔵省の方と話合いをいたしている最中でございまして、尚給與の貸付金の問題も実はまだ残つております。これは地方配付税を廃止いたしまして、平衡交付金に切替えましたのに関連いたしまして、従来の配付税の特別会計の中に残るべき金額が若干ございますが、そういう金額と、一昨年でございましたか、政府が給與の関係地方団体に貸付金をやつておりましたが、その貸付金の返還を要求しているわけでございますが、そういうものとの間の相殺その他の措置を考えたい。こういう点で、今この点は地方財政委員会で大蔵省との間におきまして折衝をいたしている次第であります。今後給與の改訂とかその他新らたな財政の需要が地方団体に起つて参りました場合におきましては、これは何らかの措置によりまして財源の附與ということは勿論考えて行かなければならん、かように考えております。
  107. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 鈴木次長がお見えになつておりますので、お尋ねいたして置きたいことは、先程ちよつと話がありましたが、教育財政の確立の立場から嘗て文部省が立案した標準教育法案のように、平衡交付金に義務教育費の紐を付けて交附することに、鈴木次長として賛成であるか、反対であるかを表明して頂きたいと思います。と申しますのは、これは極めて重大な問題で、先の見通しははつきりしております。私申上げますが、地方税法が今度通つたら、日本経済状態が特別に変らない限り、あれだけの税金は、現在の一万有余の地方公共団体からは吸收し得ないと私は見ております。現在国庫で半額を負担しながら、県の一般会計では平均四・二%使つております。教育費の大部分を県及び国に仰いでおるが、市町村公共団体は約二七八%から三〇%の巨額の教育費を使つているのであります。これが地方税法が布かれてここに十分の歳入を仰ぎ得ないという場合、現在非常に功利的な政治感覚の指導者の多い地方の自治公共団体では、直ちに教育費の削減ということになる。そこに非常に教育費において全国的にアンバランスができまして、義務教育負担の均衡という立場からもこれは由々しき問題があるし、憲法二十六條の義務教育の無償という点からは反対の方向に進んで行くだろうということは、私は火を見るよりも明らかだと思う。更にもう一つ重大な問題は、今まで教職員は戰後相当に解放されまして、教員である前に先ず人間であるという立場から、結社とか、思想とか、言論の自由というものが保障され、教職員組合というものも結成しまして教育財政が国の政治経済に直結するものである、そういう健全な教職員組合運動を続け、場合によりますと経済要求というものが政治問題に進展して、場合によると選挙運動によつて代表を議会に送るというような、代議政治の下において当然取るべき途を歩いて来たわけなのですが、この二、三日辺りの噂によりますと、政府與党自由党においては、教職員政治活動というものを全面的に束縛しようという計画があるというのですが、そういう事態になつた場合には、嘗ての教師のように全く教壇上のレコード化してしまうわけであります。そうなりますと、先程申上げましたように、非常に功利的な政治感覚で政治をやられている地方公共団体の指導者というものは、教師の両手を捻じ上げたようなもので、政治の批判も許さない、そうして他の方面予算を廻して、しまつて教育というものは財政的に非常な危機が招来するという点は、私は火を見るよりも明らかだと思う。その意味におきまして現在の日本の民主化過程において、二十六條の義務教育無償は完全に行かなくして、教育機会均等という基本線を次第次第にこれを推進して行くというためには、何といつても或る程度教育というものが大きな国の力によつて行われて行くという、この方針で行かなければ私は文化国家の建設とかいつても、これはなかなか達し得ないものである、こういう角度から私は考えて見たのですが、それで無理かも知れませんが、自治庁次長として、先程文部大臣は非常に決意を披瀝されたのですが、それに対して如何なる見解を持たれているか、折角おいでになつたから伺つて置きたいと思います。
  108. 鈴木俊一

    政府委員(鈴木俊一君) 非常に微妙な問題についてのお尋ねでございまして、私といたしましては、いささか御答弁が非常にしにくいので恐縮いたしておりますが、結局地方自治と行政というものとの調整というものをどの点に求めるかという根本の問題に触れて来ることであろうと私は考えておるのであります。結局シヤウプ博士の勧告の趣旨から申しますれば、できるだけ各地方団体の行政の水準というものを引上げて、且つこれを均衡化して行くという根本の狙いがあるわけでございまして、そういうところから平衡交付金制度というものが生れて来たわけでございます。その平衡交付金制度は、従つて本来の狙いとしては、それぞれの地方団体として、少くともやらなければならん、教育でありまするとか、消防でありまするとか、警察という仕事も、これはどうしても或る水準以上に、これを維持する必要があると、それが理想であるという狙いを持つておるのでありまして、その狙いをどういう形で実現をして行くかということにおいて、方法上の点に問題がいろいろあるだろうと考えております。平衡交付金法の現在の建前といたしましては、この中で教育費として算定をいたしまするものは、これは飽くまでも一つ教育費の算定の基準でございまして、それを支出せよというようなことを平衡交付金自体としては、調整をいたしておらないわけでございますが、同時に又若しも地方団体の行いますいろいろの種類の行政につきまして、国として全体的な立場から、飽くまでもこういう種類の行政というものは必ずやらなければならん。而もその水準の程度は、この程度にしておかなければならんという必要がございますならば、それを法律におきまして明確に調いまして、そうしてそれだけの義務付けを地方団体に対して、国として要求するということを、平衡交付金法としては規定をしておるのではないのであります。そういうことを認めておりますが、又そういうことを前提といたしまして、それに対してという問題につきましては、それぞれの主務大臣に対して勧告権というものを認めておるような次第であります。従いまして平衡交付金法の運用によりまして、実は相当程度におきまして、教育関係方々の御主張になつております線を実現できるのではないかというふうに、私共としては考えておるのであります。例えば小学校の施設等につきまして、児童一人について、〇・七坪と、こういう基準は教育の水準を維持するために、どうしても必要であるというのでございますならば、これは法律を以ちましてそういうことを規定し、それをやうない地方団体に対しては勧告し、強要して行くと、こういうことが平衡交付金上も可能でありますし、そういう行き方と、平衡交信金法と矛盾していないのであります。ただ私共が柳か疑問に存じておりますのは、一定の金額を教育費のために支出せよということが、国家として要求することが如何であろうか、地方自治というものと、国の統制というものとの調整の問題として考えまするというと、国としてはやはりこういう水準に行政を満せよという行政の質と量とを抑えるべきものであつて、金を支出せよという方向で抑えるのは、どうも国と自治庁との調整する方法として適当ではないかというふうに、従来私共考えて来ておるのでございますが、これは私共の見解でございまして、いろいろこれにつきましても御批判があろうと思いますので、政府全体の立場といたしましても、先程文部大臣も仰せになりましたような御主張も、政府部内にあるわけでございまして、まだ最終的に今後どういうふうにして行くかということについては決つておらない。それぞれ所管のところにおきまして、目下研究中であるというのが実情でございます。
  109. 梅原眞隆

    ○梅原眞隆君 この先程の文化財の保護に関してなんですが、金閣寺が焼失したこと、これの実情なり、これに対する措置でありますが、善後措置を一つ今日でなくてよろしうございますから、一つみんなに詳細に御報告を願つて、同時にそれに対する当局のとられた措置、又今後なさろうとすること、又文化保護会ができるのでありますから、それと睨合せて、どういう措置をとられるのであるかというような点に関しまして、一つ当局の御報告なり、御意見をお願いしたいと思います。今日は私の答弁は要求しません。適当の時期にやつて頂きたいと思います。
  110. 堀越儀郎

    委員長堀越儀郎君) それでは只今梅原委員の質問に対して、文部省から文書を以て回答されるそうです。御発言がなければ本日はこれを以て散会いたします。明日は午後一時から開会の予定であります。    午後五時七分散会  出席者は左の通り。    委員長     堀越 儀郎君    理事            成瀬 幡治君            若木 勝藏君            木内キヤウ君    委員            木村 守江君            平岡 市三君            荒木正三郎君            高田なほ子君            和田 博雄君            梅原 眞隆君            高良 とみ君            山本 勇造君            谷口弥三郎君            矢嶋 三義君            岩間 正男君   国務大臣    文 部 大 臣 天野 貞祐君   政府委員    地方自治長次長 鈴木 俊一君    文部政務次官  水谷  昇君    文部省大臣官房    総務課長    森田  孝君    文部省初等中等    教育局長    辻田  力君    文部省大学学術    局長      稻田 清助君    文部省社会教育    局長      西崎  惠君    文部省調査普及    局長      關口 隆克君    文部省管理局長 久保田藤麿君   説明員    文部省初等中等    教育局庶務課課    長       内藤誉三郎君