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1950-09-20 第8回国会 参議院 文部委員会 閉会後第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年九月二十日(水曜日)    午前十時五十一分開会   —————————————   本日の会議に付した事件 ○教育文化施設及び文化財保護に関す  る一般調査の件  (昭和二十六年度教育予算に関する  件)  (風水害による教育施設被害対策  に関する件)   —————————————
  2. 堀越儀郎

    委員長堀越儀郎君) それではこれから昨日に引続き文部委員会を開催いたします。文部大臣もお見えになつておりますから、御質疑のある方に発言を許可します。
  3. 若木勝藏

    若木勝藏君 八月私は郷里に帰つておりましたが、今度の予算編成に当りまして、政府は非常に文教方面のことについて熱意を持つて予算を組んでおりますし、又天野文部大臣も非常にその方面に力を入れられて、主として文教予算については徹底的に増額したいものであるというような御意見があつたようであります。それで大体の各省予算が出まして、一渡り恰好のついたときに非常に文部大臣としては満足であるというようなことが新聞などにも出ておつたから、私も非常に喜んでおつたのでありますが、そこで昨日の文部委員会におきまして、実際の様子を概略ではありますけれども、政府委員から承つたところによりりますと、私は一つの幻滅の悲哀を感せざるを得なかつた。この点について大臣といたしましては、来年度予算についてどういうところに重点を置かれて要求されたのであるか、それが実際の今閣議によつて最後決定を見るような状態になつておるか、その点におきまして、要求額がどの程度まで容れられるか、その経過について一つ伺いたいと思います。その点が第一点。それから第二点といたしましては、今年度から義務教育費平衡交付金制度の中に取入れられるような状態になつておる。もはやこれにつきましては、交付される部面が決まつて来るだろうと思うのですが、現状では未だ決定を見ない段階にあるらしいのですけれども、地方においては非常に教育費が減額されるのじやないかというようなことを、いわゆる自治庁あたり計算方法方式、そういうようなことから推察して、いろいろそこに地方としては問題があるようでありまするが、昨年あたり平額国庫負担、こういうふうな方面と睨合せまして、実際において平衡交付金制度に組入れられた場合に、どういう経過を辿りつつあるか、昨年以上に上廻るか或いは非常に今地方で心配しているごとくに減るような情勢を示しておるか、その実態について文部省としては恐らく重大な関心を持つて、これは調査を進めておられるだろうと思うのでありますが、その点につきまして伺いたいと思います。第三点は、免許法並び施行法についての法律の不備な点、前国会におきまして相当認められていて、教育委員会或いは日教組等々とその改善研究会のようなものを持つて、十分これに備えたいというところの御答弁があつたようでありますが、それにつきましてはどの程度に進められているか、又大臣構想としてはどういうふうな御意見を持つておられるか、これらの三点について一つ伺いたい。
  4. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) 第一のこの予算をどういうような構想を以て要求したかということにつきまして、只今文部大臣は、これで満足だということを言つたということを新聞でお読みだということですが、私は曽て一度もこの予算満足だと言つたことはございませんから、その点誤解のないように申上げます。私は今度の予算につきましては、先ず三つの点を大きく考えますと、第一は、この六三の建築のことでございます。それから第三は、育英資金のことです。第三は、学術研究費のことであります。こういう点が眼目でございますが、それらに附加えてさまざまな問題が起つて来るわけであります。  第一の点については、六三予算建築費につきましては、私は六十三億をどうしても獲得したいと思つたのでありますけれども、この六三建築というのは、従来でも一応これで可なりできているのじやないかというような考えもあつたりして、六十三億どうしてもこれを実現するということが困難で、四十五億ということに差当つて内定いたしておる次第であります。私はこれでは決して満足するものではございませんが、併しこの六三予算は決して建築予算はこれを以て打切つたのではなくして、続いて幾年かかつてでも、併しこれは短い程いいのですが、私は小学校は〇・九、中学校は一・二までどうしても推し進めようという考えを抱いております。だからしてこれで決して満足だということを言う程のことはございません。それからそれに伴つて教科書無償配布ということを考えたのでございますが、これも非常に遺憾でありますけれども、第一学年だけにしかこれを配布することができないという現状でございます。  それから育英資金につきましては、十五億に対して、これを三十五億にいたしたいと思つたのですけれども、これも二十四億何がしというふうにほぼ決つております。これも決して満足ではございませんが、併しいろいろのことを考え合わせれば、いたし方ないものと自分は思つたわけであります。  それから学術研究のことは、表面に出たところでは学術研究費というものが何にも出ていないようでございますが、これは学術会議の方からの要求をそのまま呑んで、十九億幾らというものを要求したいと思つておりますが、それが実質的スタツフの方で以て、すでに学者の方で以て千億と査定されたことがあります。でありますからして、これは内容的には十億の増になつております。そういう関係で十九億というものは実現されませんけれども、十億は実現しておるのであります。この点から決して満足ではないけれども、併しどうもこれ以上私の力では行きませんでした。その外に大学関係方面では満足とは言えませんけれども、併し或る程度まで大蔵省が私の主張を容れて呉れたというふうに自分は思つております。この文教予算というのは、大体として決して満足すべきものではございません。私は今後も、私ではなく恐らくは次の代の人でございましようが、これを継続して六三予算というものを充実することに努めて行けばいいという、そういう考えでおります。第二の点につきましては、これは次官からお話申上げます。
  5. 剱木亨弘

    説明員剱木亨弘君) 平衡交付金は今御質問あたりましたように、まだ確定していないのでございまして、その増額については折衝中のようでございます。勿論文部省といたしましては、教員俸給増額につきましては、相当計数を上げまして地方財政委員会要求し、地方財政委員会から、これを大蔵当局要求しておるのでありまして、文部省といたしましても、できるだけそれを応援しまして、獲得するように努めておる状態でございます。ただ平衡交付金制度が布かれましてから、半額国庫負担というような明確なる一つ負担ではなくして、実際にこの配分されます場合に計算教育費について削減される虞れはないか、現状は如何というような問題につきましては、これは私共としても決してそれを心配していないわけではないのであります。ただ二十五年度予算におきましては、義務教育の面につきましては、相当計算上も計上しておるようでございますが、一面高等学校その他につきまして、教育費について現在の状況では相当計数が少いのじやないかという面がありまして、この点は只今地方財政委員会文部省折衝をいたしておるような次第でございます。  それから次に、併せて今御質問にございました免許法の問題につきまして、私からお答え申上げます。教育免許法につきましては、私共もかねがね申しております通り、これは完全無欠のものとは考えていたいのでありまして、これは漸次研究をいたしまして改善されることにつきましては、文部省として全く吝かな態度をとつておるのではないのでございます。ただこれを改正いたしますには、法律上設置いたされました教員免許に関する審議会の議決、御答申を得まして、その答申に基いて、若し改正すべき点があれば改正するという態度文部省としてはおるわけでございます。その審議会にそれを諮問いたしまして、審議会が今開かれつつあるのでございます。今お話のございました日教組文部省との教員免許法改正に対しまする委員会は、全く法的なものでございませず、これを一つの実際上の委員会としてやつて参つたのでございますが、この委員会におきまして、日教組側意見のあるところは十分承わりましたし、現在日教組独自の立場におきまする改正案が提出されておるのでございます。この取扱いにつきましては、勿論私共その免許法審議会にそれを提示いたしますことは勿論でございます。又免許法審議会については、そのメンバーとして日教組からも出ておられますので、その意向相当尊重されて行くことだろうと考えておるのであります。免許法改正につきましては、現段階におきまして、さような段階になつておるのでありまして、その審議会は、この来る二十七日に開かれることになつておる次第でございます。
  6. 若木勝藏

    若木勝藏君 大臣に重ねてお伺いいたします。今次官の方から平衡交付金について模様を伺つたのでありますが、この形から推しまして、高等学校等相当少い面がある。それから義務教育費の方についても満足程度でないことは今の御答弁で分るのでありますが、そういうことから考えまして曽て考えられておつたところの標準義務教育費法というような法律については、今後どういうふうなお見通しがあるか。
  7. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) この平衡交付金という制度ができて、そうして従来の国庫補助というようなものを全部平衡交付金の中へ入れてしまうということになり、従つてすべて地方自治にこれを任してしまうということでは、私が申上げるまでもなく、ややもすれば教育費というものが他の事業の方に喰われてしまう慮れがあるということを心配いたしますために、私もどうかして標準義務教育費確保法律案というものを国会に提出する運びにしたいと思いまして、その後も関係方面にも非常に話合いをやつて見たり、或いは最近にはシヤウプ博士にも会つてよくそのことを述べたり、或いは又このたび来朝しております使節団の方にも話をし、団長のギブス博士がわざわざそのためにシヤウプ博士と会合して頂いたことと思います。そういうようにいろいろの方面から、この法律案が成り立つようにという努力をいたしておりますけれども、併し今までの形で必ずそのままできるかということも、今のところはつきりした見通しを持つことができません。けれども何らかの形において、こういう趣意を徹底したいと私は考えているものでございます。
  8. 若木勝藏

    若木勝藏君 今の御答弁で何らかの形というようなことは、次期国会あたり法律として提案されるところの御意向があるか。
  9. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) 是非そういう形で提案するようにしたいと思つております。
  10. 若木勝藏

    若木勝藏君 次官の方にお尋ねいたします。今自治庁教育費算出、そういうようなことをやつておられるだろうと思うのでありますが、その際におけるところの算出方式について文部省では知つておられるか、私の非常に関心を持つている点は、單価幾らにしているか、こういうようなことについて御説明願いたい。
  11. 剱木亨弘

    説明員剱木亨弘君) 單価幾らにしたというような、問題の單価の額は今持ちませんが、大体計算方式につきましては、本年度地方自治庁文部省のいわゆる計算方式につきまして相談いたしたところ、殆んど全面的に取入れているような次第でございます。小学校中学校につきましては相当こちらの方の思うようなことは確保して貰つております。
  12. 若木勝藏

    若木勝藏君 それではもう一項目私質問して終りたいと思いますが、それは先程文部大臣から御答弁がありました六三の建築予算の問題であります。これはどなたか政府委員の方から御答弁をお願いしたいと思うのであります。これは私の調査したところによりますというと、二十五年度におきましては、大体保有しているところの建築の坪数が三百四十二万坪になつております。不足の分が百三十六万坪で、合計四百七十八万坪なければならん、これは児童一人について〇・七坪になると思います。ところがこれに対して、二十五年度の四十五億を以て六十五万坪の建築を終える、こういうことになりまするから、結局二十六年度におきましては、保有が四百七万坪で、その差引が七十一万坪不足ということになる。二十六年度においてこの七十一万坪を解決しなければならんということになる。これに対して六十三億を要求するという一つの提案がなされたように考えておるのであります。この七十一万坪に対する六十三億という計数は、自立的にやつたものを含んでおるか、或いは全部これは補助の建前で以て建築を進めるつもりであるか、その辺を明かにして頂きたい。
  13. 久保田藤麿

    説明員久保田藤麿君) 今の御指摘の数字は、大体本年度予算配分を終りました結果を、県の中で配分しておられる実際の割当数字というものと睨み合せますと、大体二割見当單価を引下げてこれを配分しておられます。従つてその二割見当のものの工事量は当然に殖えて来るということが一面と、或る程度これは殆んど従来の実績によりほかは方法がないと思いますが、取敢えず成る一定量のものが自力で或る程度加わるであろうという計数を昨年までの実績によつて計算をいたしたものを加味しております。
  14. 若木勝藏

    若木勝藏君 今の点でまだ私はつきりしませんが、町村が自己資金で建てるという分は全然見ておらない、こういうことになりますか。
  15. 久保田藤麿

    説明員久保田藤麿君) その分も昨年までの実績において計算をした比率を入れております。
  16. 若木勝藏

    若木勝藏君 その点がはつきりしないのですが、実績を入れておるということは、結局それに対する補助をすることになるのですか。
  17. 久保田藤麿

    説明員久保田藤麿君) 今年の全体の工事量を見積ります場合に、実際の文部省計算しています予算單価よりも、事実市町村に配分してやつておられる單価の方が実は低いのでございます。それが約二割見当でございます。それが従つて工事量としてはプラス・アルフアーになつて加わつて来るわけであります。それから地方のそれぞれの自力でおやりになる工事が、今までの実績から見まして、ずつと減つては来ておりますが、或る程度のものを見込むことができるだろうということと併せて、全体の工事量としてはそういうものが出て来る筈だという計算を立てておりますが、補助金の中にはその六十三億計算をいたしますについて、そういうものが当然に工事量としてできろ筈だから、補助金はその分については見ないという意味で、補助金からは外れておるわけでございます。
  18. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 第八臨時国会文部委員会において、大臣文教政策として努力点をお挙げになつたの只今お話になりましたけれども、第一義務教育に力を入れて打きたい、第二番目には育英事業の拡充を図つて行きたい、第三番目には学術振興努力したい、こういうお話であつたわけであります。そうして昨日来年度予算査定の内容を大体説明を聞いたわけなんですが、そのうち育英事業学術振興については予算的に増額の方向に向いておりまして、御苦心の程を十分推し測ることができると思うのですが、義務教育の面における特に六三建築の両においては、四十五億という数字を以てしては、これに十分な力を入れておるということは言えないのじやないかというふうに私感じておるわけであります。勿論これについて大臣初め文部省関係官の方々が非常な努力をしておられるということはよく知つておりまするけれども、六三建築については、何と申しましても、最小限児童一人当り〇・七坪を確保するということは、どうしても確保しなければならない最低限度のものであると思うのです。当初文部省が六十三億を要求せられたのも、そこにあると思うのですが、どうしてもこの義務教育の六三建築については六十三億を割ることができない事情にあるのじやないか。特にこういう方面に最も力を入れて行きたいと、こういう大臣文教政策ならば、而もそれは文部大臣だけでなしに、大蔵大臣吉田総理もそういうことを言明しておられるわけですから、この点について非常に困難な問題があろうかと思いまするが、私はどうしても〇・七坪を確保するということについて尚一般努力をお願いしたい、かように考えているわけであります。それにつきまして、大臣見通しですね、今後のお考え、そういう点について尚お伺いしたい、かように思うわけであります。  それからこの六三建築に伴つている問題ですが、六三建築認証外工事の件でございますが、この認証外工事については、将来において何らかの形において国庫補助するという考えを持つておられるかどうかという点をお伺いしたいと思います。認証外工事というのは、申すまでもなく、地方においては国庫補助がある、こういうふうに考えて非常に無理をして建てている工事です。ところが寄附によつて建てているところもありまするけれども、又組合などから多額の借金をして建てている。ところが組合財政も逼迫しておつて返さなければならない。こういうようなことから、地方では非常に困つている問題であります。従つて将来この問題に国庫において補助する方針であるかどうかという点についてお伺いしたいと、かように考えているわけであります。  一時に質問をしてどうも何ですが、その次の問題は、べース改訂による地方教員財源措置でございます。政府もしばしば声明しておられるように、近く公務員給與ペース改訂するということなんですが、ところが国家公務員においては、国家においてその財源措置がされると思うのですが、地方に勤務している、特に教員財源措置というものは、まだ明確にされておらないように聞いているわけなんです。ところが地方收入を以てしては、教員のべース改訂に伴う財源を確保するということは困難であると思うのです。特に地方收入が限定されている今日では、地方の能力を以てしては到底確保できないと思う。そういう点国庫においてどういう方法で、どれだけの、例えば半額をどういう方法において確保すると、そういう考えについて或いは若し決まつておれば、そういうことをお伺いしたいと思います。この問題は非常に重要な問題でございまして、大蔵大臣はできるだけ地方財源でやるようにして貰いたいということを、まあ新聞紙上ですけれども、発表されているのを見たのでありますが、これは異論であると私は思うのです。どうしても中央で或る程度財源を確保してやちなければ、これは実際上総與ベース改訂ができないのじやないかということを慮れているわけです。  それからもう一つの問題は、平衡交付金の中に含まれている教育費の問題ですが、先般地方自治庁の方から教育費を算定する基準というものが内示されております。ところがその基準によつて教育費を算定した結果、現行予算とに非常な開きがある。例えば大阪ですと約十億円近い金が足らない。鳥取県へ参りましたときにも数千万円の金が足らない。兵庫県あたりでも数億円の金が足らない、これは殆んど全国一様にこの基準によつて算定した金額というものは現行予算よりも非常に少ない。その差額をどうして埋めるかということが非常に大きな問題になると思うのです。これが若し十分埋められないという場合には、或いは教職員の整理が必然的に行われざるを得ないという羽目にも陥つて来ると思うのです。それから又高給者経験者を助教とかいうような教職員に入れ換えるというようなことも起つて来る可能性もあるわけです。そういうことを考えるときに、これはやはりその差額平衡交付金において十分見るような措置が必要であると私は思うのです。こういう点についてどういうふうに措置されるのかお聞きしたい、かように思うのです。以上であります。
  19. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) 第一の御質問の〇・七というのが是非とも必要であるのに、今の四十五億というものでは〇・七を完成することができないという点については私も全く同感でございます。私も六十三億はこういう意味で是非必要だというふうに考えておりますが、私が微力であつて、四十五値以上を今年度において取ることは非常にむずかしいと自分は思つており、誠にその点は諸君に済まなく思つておりますけれども、私は本年度を以てこれを止めるわけではない、このことは大蔵大臣ともよく話してあるのです。だんだんにこれを充足して行うこ、だんだんと申しても、只今申しましたように、できるだけ近い期間においてこれを充足して行こう。これに対しで不満足だと言われれば、又いたしかたない、私が微力だと申上げる外ございません。第二番目に、この認証外工事に欠いては、私は是非それができる機会において何とか考慮したい。すでに今年においてもそのことは大蔵大臣にも申したのですけれども、いろいろな国家予算の都合でどうしてもできないということでございますから、私はこれを将来に期したいといつう考えでございます。第三番目については次官にお答えさせます。
  20. 剱木亨弘

    説明員剱木亨弘君) べース改訂に伴います財源措置の問題でございますが、文部省計算では約八十二億、一応計算いたしております。これを勿論地方自治庁と相談しまして、平衡交付金の中に財源措置をいたしますように今折衝中でございますが、お話のように、これには相当の抵抗がありまして、両解決を見ていない状態でございます。ただ一般財源から節約等によりまして、この財源を求めるということは教員待遇改善には相当困難な点ができますので、文部省としては是非具体的にこの計算財源を計上して貰いたいということを希望しております。それから平衡交付金の実際の計算基準につきましての御質問でございましたが、これはお話のように、やはりその基準を示して参つたのでございますが、先程もお答えいたしましたように、この基準に対しましては文部省としては、文部省立場をよく話しまして相当こちらの言うことを、少くとも義務教育につきましては十分考慮して貰つておるつもりでございます。ただ今申されましたように、東京とか、大阪とかいう大都市につきましては、その実際の計画との間に相当開きがあるのでございまして、義務以外の教育費について実際に支出いたしておりますのは、その地方のいわゆる平衡交付金としての枠の中では、どうしても処置ができないので、現在の状況では地方余裕財源でこれをやるより仕方がないというふうに自治庁の方では申しておるようでございます。尚、我々の方でもできるだけの努力はいたしておるのでございますが、この教育費に関しまする全般的の問題として平衡交付金制度が、最後的には文部大臣に何らの発言権がない状況でございますが、我々としては自主的にこれに対して強く当るより外はない状況でございます。その点はできるだけのことは努力をいたしておりますが、実際の計算から全部の府県に満足するようなあれが来ていないということは、私共は遺憾ながら言わなければらない状態でございます。
  21. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 今後のこの会の運営等関係がありますので、文部大臣の誠意や努力に対しては敬意を表しますが、敢て先ず二点について文部大臣並びに委員長質問を申上げます。  それば第一点としまして、第八臨時国会の当委員会におきまして、私は政府委員に対して、来年度予算要求に対して現在どういう構想を持つておられ、尚、大蔵当局との交渉経過説明して欲しい、それに基いて我々文部委員は何らかの積極的な動きをしたいと、こういう質問を申しましたところが、それに対する答弁として、現在何にも構想はまとまつていない、そうして交渉段階に入つていない、こういう御答弁であつたわけでありますが、その後も何らこちらに連絡はなかつたし、文部大臣としては、文部委員長予算の点について何らかの連絡を取られたかどうか、尚、文部委員長としては、本日までこういう委員会を開かれるべく努力されたかどうかという点を伺いたいのであります。理由といたしましては、すでに閣議が再三開かれて、今や閣議決定されようというこの段階になつて、そうして来年度予算がどうのこうのと泣き言を言つても、これは遅いわけであります。もう少し事前に我々は検討し、各省にも走り廻つて検討するだけの積極的な意欲がなければ、教育予算の確保は不可能だという、こういう観点から質問申上げる次第であります。  次に第二点につきましては、昨日アメリカからおいでになりました教育使節団と我々は会を持つたわけでありますが、この教育使節団がおいでになるということは、早くから分つてつたことであります。その教育使節団と我々文部委員とは十分に現在の日本の教育、更に将来の日本の教育について十二分の懇談をするような機会をスケージユールの中に組んで頂くべく、事前にどれだけの委員長としての努力をされたか、この点承わりたいのであります。その理由は、昨日ああいう懇談会を持つたわけでありますが、衆議院の諸君のあの懇談会に対する考え方と我々とは相当懸隔があつたと思うのであります。單なる懇親的な意味ならば、我々は国民の代表として国民の意向というものを使節団に十分に徹底するようにお伝えすることができないわけでありまして、昨日の委員長のお言葉によりますと、教育問題については日教組の諸君と使節団とは十分に話合つておるから云々という言葉がありましたが、日教組の諸君が使節団に会うのと、我々国民代表として、国会議員として会う場合とは、これは意味が違うわけであります。必ずしも我々の意見というものが日教組意見と完全に一致するものではないわけであります。我々は文教政策に参與しておるこの委員会として、是非とも教育使節団に日本教育の実情というもの、国民の輿望というものを率直に伝える機会が切に望したがつたわけであります。そういう意味において、敢て二点について質問するわけであります。  それから質問の本論に入りますが、第一点としましては文部大臣にお尋ねいたします。それは首相がこの予算編成期に入りまして、なく文教政策に重点を置けというようなことを政府與党の側近に漏したというようなことは再三新聞に出たのでありますが、首相の考えられておるところの文教政策に重点を置くとは、どういう考えを持たれているのか、首相がおりませんので、間接的に文相から承わりたいと思う次第でございます。  次に、第三点につきまして、文相のいわゆる天野文政というものを我々は第八臨時国会文部委員会で承つたときに、先程荒木委員より申されました三点を答弁され、術、本年度予算編成に当つての三大重点をその線に沿つて答弁なさつたわけでありますが、その点議会に、文部大臣文教政策についてどういう意見を持つておるかという点を承わりたいのであります。と申しますのは、岡崎官房長官が、文教政策について先ず天野文部大臣にその草稿を依頼したというようなことが新聞に出たわけでありますが、その文教政策についての草稿の中に、この三点以外に天野文部大臣が書かれた点があつたならば、それを承わりたいと思う次第であります。尚それに関連いたしまして、新制大学があまりにも多数できて、この充実が予算の裏付けがなくてできなくて非常に昏迷を続けておる。そういうときに、いわゆる短期大学の問題が出て来たわけでありまして、予算関係上充実不十分の大学を格下げするのではないかというような説が地方に広がつて相当不安な状況にあるわけでありますが、その点に対する大臣の御意見、並びに御承知のごとく私立大学は非常に今苦境にあるわけでありますが、私学振興に対して、どういうお考えを持つておられるかという点を天野文政の線から承わりたいわけであります。  沢山御質問して申訳ありませんが、次、第三点といたしまして、これは久保田監理局長に重ねてお尋ねいたしたい次第でありますが、六三建築につきましては、昨日来質問が続けられたわけでありますが、二十五年度の分は今後補正予算として、これを極力努力するということを答弁されておりますので、その点一応了承するのでありますが、昨日もお伺いしましたように、四十年、五十年と経過している小学校の腐朽校舎、これは私の持つている数字によりますと、約四十万坪程度あると、数字を持つているわけでありますが、これに対しては、来年度の四十五億の中には一切入つていないということを昨日答弁されているのでありますが、暴風か何かで引つくり返りますと、災害の方面で行きましようけれども、引つくり返らない限りは、この腐朽小学校の校舎は改築できないわけでありまして、国庫補助がなかつたならば、千万円でできる校舎は五百万円ぐらいしか作れないとなると、中途半端な建物しりかできぬわけでありまして、これについて解決策をどういうふうに考えられておるか、これを久保田監理局長にお伺いいたしたいのであります。  それから次は、これは文部大臣にお伺いいたしたいのでありますが、認定講習の旅費につきまして、昨日我々は質問することによつて次の点をはつきりしたわけであります。即ち今のところでは旅費一日八十円を予算化しようとしておる。而もその八十円の三分の一が国庫で、三分の一が地方公共団体、残り三分の一が個人負担、こういう線が一応出ているということを承つたのであります。而もこれは来年度からの措置である。こういうように承つたわけでありますが、敢て文部大臣に再度お尋ね申上げるわけです。と申しますのは、実際に教職員が要したところの費用が余りにも多額であるから、三者で三一等分しようじやないかというのならば、妥協的な考え方として一応分ります。併しながらあの八十円の算出の基礎というのは実に曖昧でありますし、その八十円、恐らくこれは私は逆算して出したのではないかと邪推しているわけでありますが、この八十円を国庫半額で、地方公共団体が半額というのならば話が分るのでありますが、それを三者三等分というようなことを承わりましては、どうしても納得できぬわけであります。これを大臣としては八十円の線をそのままにいたしましても、国庫地方公共団体と二分に交渉するに対しての、どれだけの決意と見通しを持つておられるかという点と、更に三十五年度の問題でありますが、これにつきましては、昨日補正予算の方で更に要求いたしたいという説明員の見解を承つたわけでありますが、これは将来の問題といたしまして、是非共この二十五年度に遡及しまして旅費の問題を解決して頂きたい、その決意も承わりたいのであります。昨日の説明員の見解は誤まれるものを根拠として申されておるように思うのであります。今までは全部教職員負担しておつたものを、これだけ出すようになつたんだから結構じやないか、こう言われますけれども、あの認定講習を教職員の全部の負担において受けることそれ自体に非常に実情に副わない、非常に無理な点があるのでありまして、この点からその問題を解決して頂きたい、こういうことを併せ要望いたします。  最後にお伺いいたしたいのは、いわゆるこのレツド・パージの問題であります。これは官房長官の見解とか、或いは法務総裁の見解、文部大臣の見解というものはときどき新聞に報道されていて、随分と教育界は落着かない状態にあると思うのでありますが、このレツド・パージについて文部大臣はどういう見解を持たれ、又法的根拠をどこに求められようとしておるかという点と、特に承わりたいのは、大学で共産主義というものを研究されておる、一つの学問として研究されておる。併しながら政治活動には一切これを移されない。純然として学者として共産主義を研究されておる、こういうお方がレツド・パージにかかるものかどうか、こういう点につきまして大臣の御見解を承わりたいと思うのであります。以上御質問申上げます。
  22. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) 初めに御質問になりました予算連絡を、この文部委員長としたかということは、私の方から積極的に文部委員長にしたことはございません。それはする方がよかつたと今御質問によつて考えました。併し委員長から私にお尋ねのあつたときには、私のところへ来られたときには、私はいつでも自分の知つておるだけのことを委員長にすべての点において申しております。ひとり予算に止まりません。その他の点において文部委員長が私のところに来られたときに、全部のことを申上げております。  次は本論の御質問でありますが、第一に、総理はどういう文教政策を持つておるかという御質問かと思いますが、私は総理はどういう文教政策を抱いておるか知りません。すべて私に任せた。文教のことは私に全部任せたということで、総理にこれはどうだと尋ねたことは私はございません。一度もございません。予算についても自分が責任を負つた以上は自分がどこまでもやる。総理の助力を請うということは考えもいたしません。そういう考えで私はやつて来ておるのであります。ただ総理が文教を重んぜられるというのは、一介の私に文教のことを至部任せたということが、私は総理が文教を重んずるということを証明していると自分考えております。尚その他にもいろいろ例証を挙げて、総理が如何に文教を尊ぶかということについては申上げる例もあるかも知れません。例えば文教審議会員というものを非常に尊重しておられるとかいうことがあるかも知れませんが、要するに文教のことについては、総理の考えによることではなくして、私の考えでやつておると考えております。  第二番目に、先般の声明を出すという話があつて、岡崎官房長官が、私にその文教の部分の趣意を書いて興れと言われたことは事実であります。私はその趣意において、従来日本の考え方が浅薄な卑近な実用主義に堕しておる。我々は今やそういう浅薄な実用主義を転回して、本当の意味において、この教養ということを国民に深めなければならない。そうして先ず第一に本当の意味の愛国、本当の意味の独立の精神、そういうものを涵養して行くことが非常に必要だ。私は特に教養ということを強調したいのであります。一般国民の教養、本当の意味の教養、私はいつでもイギリスの国民に対して敬意を持つものでありますが、ダンケルクに追落されても少しも屈しない。ドイツがどんなに攻め立つても屈しない。あの私は粘り、又共産主義に対しても少しも自分らがそれによつて何と言いますか、思想的に侵略されないということは、英国民の民族性にもあるかも知れませんが、私は彼らの持つておる教養だと思う。教養が非常な意味の力である。私は日本の教育者にも概して言つて、教養が足りない。私はしばしばそういうことを痛感している人間である。そういうところの本当の教養というものを日本において深めたいということを前にも述べました。そういう手段として私は義務教育の充実とか、育英資金の補充とか、或いは学術振興、私学の振興とか、その他のいろいろな点を挙げたわけであります。第二についてはそういうお答えをします。  第三の新制大学の問題につきましては、私はすでに国会において言明いたしましたように、この新制大学は私自身として率直に言わしめれば、こう各県に一つずつ作るというようなことは、私は賛成しないところでありますけれども、併しすでに出発してしまつた以上はこれを今更四年として出発したものを二年にするというようなことは無理なのです。だからそういう無理なことを、殊に今のような時代においてするということはよくないという考えから、少くも差当つてこれを短期大学に切換えるというような考えを持つていないということは国会において明言した通りでございます。  それから第四番目の私学振興については、私は是非私学というものを成立たせて行きたいという考えから、戰災復興費とか或いは教育金庫とか、私学の金庫とかいうものを、この度の予算においても計上して、そうしてそれを認めて頂いたような次第でございます。  次に、認定講習の旅費のことでございますが、これはできれば是非補正予算で出したい。ただその三分ということについて矢島委員は非常に不合理なことだというようにお考えになつておられますが、私はそれは必らずしも不合理とは考えておりません。できれば是非教員負担はかけたくないけれども、現在の国家状態においては、これを三分して、中央と地方と本人ということも私は必らずしも不合理だというふうに考えません。  第五番目になりましようか、赤色教員のパージのことにつきましては、まだはつきりしたことを決めておりませんが、私はすべての人が納得するような、そして物の筋の通つたような、不公平の起らないような、そういう方法を是非考えたいと思つております。矢島委員が挙げられました大学において共産主義を研究しておる者はどうかというようなことは、私は矢島委員からその質問を受けることを非常に意外とするものであります。そういう人を追放するなんということはあり得ないことであります。言換えれば、共産党員と雖も、何にもそういう活動をしないものを追放するなんということは私の考えないところでございます。これを以てお答えといたします。
  23. 剱木亨弘

    説明員剱木亨弘君) 今ちよつと大臣からお答えのありましたところで、文部委員会連絡したかということでございますが、これは大臣には申上げませんでしたが、私共事務的には予算問題につきまして、いろいろ御協力を得ますために委員長にお願いして参つたのでございます。特に文部委員会で非常に問題になりました公民館、図書館、これらの社会教育の問題につきましては、国会補助の点について御修正頂きました点もございますので、これはどうしても相談しなければならんというような面で、委員長にもしぱしば御協力をお願いいたしまして、非常に困難ではございましたが、又額は少額ではございますけれども、一般補助と公共事業費として、そういうものの補助も今年度から計上することができるようになつたのでござついまして、これは文部委員会の非常な御協力によるものと考えております。荷、職業教育とか、通信教育とか、或いは又総合学校の問題等につきましても、しばしばお願いを申上げまして、その御協力を頂いた点は沢山ございますので、この点もこれは大臣には御相談申上げませんでしたが、私事務的にお願いを申上げて置きましたので、その点ちよつと附加えて申上げます。
  24. 久保田藤麿

    説明員久保田藤麿君) 小学校の復旧校舎の全般的な解決をどんなように考えるかという御質問かと了解いたしたのでありますが、本年度この予算の四十五億の中には〇・七ということを通算いたします関係上、小学校が多少入つて来ております。これにつきましても、元来現在の現行法の構成の仕方から申しますと、小学校地方の完全に負担して貰う枠の中にある問題でありますので、〇・七の計算を四十五億の中に入れるということについても可なりな抵抗があつてつたのでございますが、それを実は押切つて或る程度つて来ております。たまたま本年度予算で、四十五億が決まりますときも、その考え方において本質的に変つてはおりませんので、私の方としては、そういう校舎を災害から防いで、幾らかでも被害を小さくしたいというために、防災の枠を是非今年獲得したいということで、最後まで努力いたしておりましたが、一面今度の新予算の概算の枠が四十五億に決まるにつきまして、少なくとも補正で或る程度のものを要求しなければならんということ、万一それが不幸にして成功いたしません場合は、次の二十七年度からの予算考え方をどうするかというような問題と併せて考えなければならん立場に立ちまして、この場合は四十五億の中に幾らかでも小学校の防災関係の分は見てあるのじやないか、ああいうやり方でもう少し見て行けば、いずれは解決する問題だというように追込まれる危險を考えますので、私共は今度の補正を要求するにしても、次の二十七年度からの考え方を固める上から言つて小学校はそういう意味において含んでおらぬのだという意味に限定して行きたいと思います。従つてそれに対する対策としては、少なくとも私は予備的な六三の平均一年、一律の線に持上げて行くのと同じ意味で、現在今の法律構成から考えられる小学校の改築なり、腐朽校舎の手当といつた問題は、全く地方の單位市町村の負担にあるのだという考え方を変えてしまう建前で、特に当文部委員会なり、衆議院の文部委員会なりにもお願いをいたしまして、そういつた意味の政策の御決定から練つて行きたい、そういうことが同時に、かねがねの問題であります認証外工事の解決の問題といつたようなこととも絡んで、大きくそこから打出して行くような考えで固めて行きたいと考えております。
  25. 堀越儀郎

    委員長堀越儀郎君) 委員長に対する御質問に対してお答えいたします。何故文部委員会を開かなかつたかという御質問でありまするが、この前の国会の閉会の際に皆さんとお諮りをして、継続審査は臨時国会が開かれる約二十日前から開こうという申合せでありましたので、その線に滑つて私は考慮しておりました。それにはいろいろ皆さん御予定を立てて地方に出ておられてお仕事もあろうと思つて非常に顧慮したのであります。今度の、昨日から開きましたことも、皆さんのお立場もまあ気兼ねをしながら御無理と思つたのでありますが、急ぐこともあり、しますから、そういうことから昨日は開いた次第であります。それから予算のことも、そういうふうで正式に文部委員会が開かれないので、委員長の資格で只今大臣からも、今次官からもお話がありましたように、私は地方の仕事を一つ一つ殆んど犠牲にして、しばしば上京してたびたび大臣なり、次官なり、関係局長に会つていろいろ折衝をし、又私の面で動ける範囲においては動いて参つたのであります。大体簡單に申上げました。  それからもう一つ今の教育使節団の問題であります。あれは昨月着かれて公式に一般の日本の人々と会われる最初の歓迎会があつた日に私も出席したのであります。それから直ぐに文部專門員とも帰つて参りまして、是非国会、少くとも我々文部委員会と懇談をしたい、こういう機会を持ちたいというので大いに努力したのであります。ところが向うから先方の方がこちらに来られるときに、すでに日程が決まつている、どうしても十八日以後しか来られないということで、止むなく十八日以後となつたわけでありますが、それも余程こちらから何回も折衝をして、やつと昨日の時間が取れた、ところが我々の希望としては單なる歓迎或いは懇親という意味じやなしに、大いに我々の希望を率直に申上げて、前の一九四六年に来られたその勧告によつて、日本の教育というものは刷新されて来た、教育制度が革新された、又それに対しては非常に困難な道がある。こういうことを率直に言いたいというのが我々の希望であつたのであります。それで歓迎懇談会という案で我々は進んで来たのでありますが、昨日の様子を見ると、單にレセプシヨンのような意味の取扱い方であつたようでありまするが、我々としては飽くまでもその案で進んで、衆議院の文部委員会とも打合せ、両方の委員長が如何なることを要望するか、單に懇親の意味では、お忙がしい中を来て頂くということも却つて御迷惑ではないか、各方面意見を聞いて貰う意味において是非この機会に要望したい。それで委員長と打合せして、衆議院としてはこういうことをやる。まあ教育の機構とか、そういう全般のことについてお話をする。参議院としては教育職員免許法なり或いは財政面について非常に欠陷があり、困難があるのだから、その点について参議院の文部委員長は力説しよう。こういう打合せをして、而も原稿も準備して、私はその通りにしたのでありますが、時間の都合上、衆議院の方では單なるレセプシヨンとして、ああいうお迎えをする意味の挨拶をされたことは、多少行き違いであつたろうと思うのです。そういう点も向うも非常に都合がある中を、できるだけこういう機会を與えて貰いたいと思つて努力して参つたのであります。その点も御了承頂きたいと思います。
  26. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 さつきの質問に関連して……。大臣並びに委員長の御努力は多といたしますが、大臣はさつき認定講習の旅費を三分するのは不合理だと言つておられるのですが、誤解があると思うのです。八十円の基礎の数字というのが見解の相違だと思うのですが、本当に私は教職員が要した費用を財政その他の関係から三等分するという点については、私は一つの妥協案としてあり得ると思うのでありますが、八十円という数字の見解の相違でありますが、これを三等分するのはおかしい、こう申上げたのでありまして、若干誤解があつたように思うのであります。  それから委員長に申上げますが、まあ随分と委員長御遠慮をなさつたようでありますけれども、少くとも理事会くらいは御遠慮なくどしどし私は開かるべきだ、又理事諸君も万障繰合わして委員長の招集に応ずべきである、こういうふうにお願い申上げたいと思うのです。  それから次に、先程次官から、地方余裕財源があつたら云々とか、それから久保田監理局長から、小学校地方負担の取扱いで行きたいというような、こういうような趣旨を申されたわけでありますけれども、少くとも地方公共団体には余裕財源とか、そういうものはない。地方税法のもたらすところ非常に凹凸ができて、ほくほくのところもあるようでありますが、大部分の地方公共団体というものは四苦八苦しているということをお含みの上、自治庁と連名で低いレベルの通牒なんか出す点については、余程慎重を期して頂きたい、こういうふうにお願い申上げます。  最後に簡單な質問一つ申上げまして終りたいと思うのですが、先程大臣から私立学校の振興について、私立学校金庫の創設などお話ございましたが、来年度予算にここに十億というものが計上されておりますが、極く重点的な内容について政府委員のどなたかに御答弁願いたいと思います。
  27. 久保田藤麿

    説明員久保田藤麿君) 私学金庫の内容的な問題だというふうに了解いたしましたが、その中には只今まだ明確に決まつておらぬ部分もございますので、或いは後程多少修正があるかも知れませんが、当面考えられております問題は、三億三千万円程が従来継続しております戰災、腐朽に伴う貸付金でございます。それからあと全部が一般の経常費に絡んだ貸付融資をできるような仕組にしたいというのでありますが、それに付随して、私立学校に勤務いたします教職員の共済組合的な活動をどんなふうに持つて行くかという問題が、まだ私共としても、又学校側、私学連合としても、又政府、大蔵省当局としても、まだ決定した線まで行つておりません。ここ数日にその点についての明確な線を出したいというふうにまあ努力しておるわけであります。  それから先程のお話の中に、小学校の腐朽関係地方財政によつて行きたいというふうに御了解頂いたようでありますが、私共の考えておりますのとは全く反対でありまして、現在の法律構成から行くと、そういう線が出ざるを得ないので、今のこれをこのまま持つて行くことは私共としては不本意だ、併し今年できました予算の四十五億の中に小学校関係が当然含まれて行くのだという考え方をすることは、将来私共の考えておりますような、何とかして国が大掛りに出て付きたいという線に非常に邪魔になるようなものは入つていないのだということを私は強く出して頂いて、来年度からそういうものを新らしく問題にして行く場合のベースに取りたい、そういう場合に文部委員会としても是非御協力願いたいということを申上げた次第でございます。
  28. 岩間正男

    ○岩間正男君 私は大体四つの問題について質問いたしたいと思うのであります。その四つと言いますのは、予算の面と、その次に教育委員の選挙が迫つておりますが、これに対する最近の問題、それから競輪の問題、それから矢嶋君からさつき問題になりましたレツド・パージの問題、この四つの問題について大臣の率直な御意見を承わりたいと思うのであります。  予算の問題でありますが、これは先程からもいろいろ触れられておりますから、その点については省きます。ただここで非常にまあ矢野文相も今度研究されたと思うのでありますけれども、大体この六三制の予算の総額はどれだけ要るか、これは少くとも四桁、一千億以上要るわけです。然るに歴代の内閣によつてつて来たところの予算を見ますというと、殆んど二桁、或いは場合には一桁と、こういうことでやつて行きますと、果して六三制の完成はいつになるか、現在の問題であるところの〇・七坪が、大体これが二十五年度でできるということで、この仏前六十億取られたことを承知しておるのでありますが、併し実際やつて見るというと、それができていない。そこで今度は二十六年度において四十五億というような、そういう彌縫的なやり方をやつて行く、こういうような段階を繰返しておつたのでは、当然新制中学の重要な問題であるところの特別教室の問題、更に雨天体操場の問題、更に施設の問題、こういう問題を考えますと、誠にこれは前途遼遠と言わなければならないのであります。こういう論議は今まで何回もこれは当委員会においても繰返されて来たのでありますが、そうしますと、大体我々四年間、今まで委員としまして携わつて来た者から見ますというと、どういう点に先ず欠階があるかということをやはり指摘せざるを得ない。そうしてこの点について根本的に文相から考えて貰わなければならん、こういうふうに思います。その第一点は何かというと、結局今までの文部行政の、殊に六三制に関する問題でありますが、その点で実態の把握が非常に貧困であつた。つまり統計的にこれを現実にどのような姿が現われるか、どれだけの一体校舎が必要であつて、どれだけの予算化が必要であるかというような問題について調査が非常に不十分である。従つてその結果恐らくこれは三回も四回も基本的な線が変更されている。これについてこの六三制発生以来の経過を見れば、実に明らかだと思うのでありますけれども、こういうふうになると、例えば腐朽防止のために六十億で間に合う、こういうような方針で関係方面に当られたところが実際にはそうでなかつた。そのために〇・七坪を満足させるために、ここに六十二億を取られるために非常に文相は苦労されて、生々しい体験を持つておる。その体験そのものが語つておると思うのですが、こういう点でもつと基本的な、無論終戰後の状態は非常に変りましたから、この実態をそのとき確実に把握するということはむずかしかつたと思いますけれども併しながら最近の情勢におきまして、又変更を毎年やられるというようなことでは、これは根本的な地方行政を布くことはできないと思うのでありますから、この点について一体どういうふうに対処されておるか。そうして又今後一体どういうふうに基本的に展開されようとお考えになつておるか、この点がはつきりしないと、私は四十五億、五十億というような公約ばかりを何年繰返しましても、一方においては定期的な台風によつて破壊される状態、又小学校におけるところの腐朽の状態、これを考えますときに、これは恐らくいつになつたならば六三制の完成ということができるのであるか、こういうことを心配せざるを得ないのでありまして、こういう点をお伺いしたいと思うのであります。そうして又こういう点についても十分な基礎資料を確実に持たれまして、これによつて基本的にもう十分に、これは閣内におきましても、外の閣僚を説得するということで努力されたい。又国民の輿論がそこに起きておるのでありますから、これをどのように徹底的に反映するかということについても十分に研究して頂きたい。無論我々も当委員会といたしましては、それに協力するに吝かでないのであります。同じように統計の実情を把握するのに非常に貧困な例として、今問題になりました講習の予算においてもそうだと思うのであります。昨日の説明によりますと、十五キロ以内は四十円、それから四十キロ以内は百二十円の汽車賃がかかる。従つてそれを折半して大体八十円ということが規定された、こういうようなやり方です。併し各般に亘りまして、第八国会に実情を視察したのでありますけれども、これは講習費だけでは解決しない、宿泊料の問題は講習費以上に問題になつているが、これに対する考慮がない。恐らく実情を把握しないで、今のように机上の空論をして、こういうものは出されておる、こういうふうに考えるのでありますが、従つて最初文部省が当然二分の一は国庫で、三分の一は府県で、こういうことを希望されておつたのでありますが、只今の文相のお説によると、三者が折半して三つ分けでやるのに不合理でないというお話は、そのまま我々は受取れない。だからこういう点につきまして……これは非常に問題です。尚、講習の問題について連関して申上げますと、今年度、二十五年度予算については、これは努力したいということを文相は言明されておるのでありますが、これを補正予算において遡及されるものと我々は了解するのでありますが、そのように了解していいのですか。この点であります。いずれにしましても、もつと決定的なことを、実体把握ということをやつて頂きたい。我々の実情を見て来た者から見ますと、こういうような一時的な、申訳的な予算において現状満足されない、こういうことをはつきり申上げたいのであります。  それから予算の問題に連関しまして同時にお伺いしたいのですが、国家平衡交付金によつて教育予算が非常に動揺する。従つて標準教育費法案というものを文部省としては努力したいというお話でありますが、これは事前の策なのです。しばしば繰返したように、これはドツジ予算、シヤウプ税制、こういうものによつて止むを得ず文部省並びに文政関係の人がとつて来たところの基本的な国家財政によつて負担する国庫負担の建前というものが、こういうところから崩れておる。それにいわば対抗するためにとられるところの手段なのであります。どうしたつてやはり国民大衆の声を聞きますと、やはり日本の経済状態はアメリカの経済状態とはこれはまるで違つておるあだから、そういうような形においてはこれは実現できない。従つてどうしてもこの点について基本的な義務教育費におけるところの国庫負担、この線を強力に打出してそれを展開する。従つて平衡交付金の中に教育予算を入れない。そういう建前、独立させる、こういうことが絶対に必要であると私は考えます。この問題は單に教育の運営だけでなく、教権の確立が絶対に必要であります。こういう面に文相は実際のところそれよりももつと徹底したところの義務教育費国庫負担という線を考えておるか、この際明らかにして頂きたいと思います。あとの問題は二つありますけれども、その問題はこの次にやりますが、今の予算に関連するところの三つの問題についてお伺いします。
  29. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) この予算の不十分だということは、先程から申しておるように私も認めるところであります。又調査の十分つでないというような点も私達も考えなければならないと思います。ただこの予算の不十分だということは、人が六三建築の必要ということを認めないということだけから私は来ておるのじやないと思うのです。そうでなくして、一体私は六三制という九年の義務教育というものが日本においては相当の重荷ではないか、更に一時に七十二、三の大学を作るとか、こういう六三制を即時にやつたというところに日本の財政が非常な無理をした点があるのじやないか、そういう無理のあるために、私達がいろいろやつても十分なことで行かないという私は原因もあると思つております。必ずらしもこの人が教育の重要性を認めないとか、そういうことばかりではないと思います。岩間さんは教育の実態を十分に掴んでおられるのですけれども、日本の現実の実態を十分に掴んでおられるかどうか。私も教育の実態を掴むことに努力しますが、岩間さんにも日本の現実全体の実態を把握するようにお願いすることは間違つておりましまうか。私は自分達はただ教育だけからは物は考えられない。だから私はこの予算でいいというのじやない。大いに努力はしようと思うのですけれども、全額国庫負担というようなことも実際として非常に結構だけれども、現実に私は直ぐそれをやると、それを努力するとは申し兼ねます。でそういう意味において私も十分研究をいたしますが、岩間さんにも広い視野を持つて日本の現実を十分お考えになることをお願いいたしたいと思つております。
  30. 岩間正男

    ○岩間正男君 只今の日本現実の問題につきまして、ここで議論をいたす考えはありません。併し文相の見ておる日本の現実と私の現実とは少し違います。ただ文相の今お話になりました最初の日本の事情には無理があつたという点につきましては、率直にこの点は同感を表して置きます。私もこれは今までそう主張して来たのです。ただ六三制が多少無理があつて発足した以上、而もこれによつて大きな犠牲を受けておるのは千五百万、二千万というところの日本の将来を担うところの子供なんです。更にもう一つ申上げて置きたいのは、日本の実情と申されますけれども、これは何であるか、先程文相は日本の民族の独立ということを非常に強調されました。私は非常に同感であります。そういう観点から言いますと、戰争を放棄したところの日本が本当に平和と文化を確立する。そういうことのために今何を努力しなきやならないか、問題は日本の現実というものは、今まで教育予算を非常に蔑ろにして来た。そうして精神教育だけを説いて来た。こういうところにあつてこれを根本的に予算化し、そうして物質的に裏付けのある、経済的な裏付けのある方向にこの教育を乗せて行く、そうしてそれを日本の政治の中へ強力なる線を打ち込まない限りは、この問題は打開できない。而も日本の行政的に置かれておる情勢から考えて当然な形に教育を主張することは我々は平和と独立を本当に強調する、確立すると、こういうような努力なしには我々第三次世界戰争のこの危機に対して対処することはできない。こういうような現実から考えますときに、文相の言われる現実というものは、一応規定された枠内におけるととろの、そうして要請の中におけるところのこれは現実かも知れない。併し我々はそれだけを考えては日本の現在におけるところの教育を本当の意味で徹底的に推進することはできない。こういう観点から、これは議論になりますけれども、三時間ぐらいやらなきやならないと思いますから、省きますが、この点は只今お話は私も少しは財政、経済のことに首を突込んで見て分りますが、その観点から申上げておるのでありまして、日本の国家予算の中に占める文教予算状態において、我々が一体本当に敗戰後において要請されておるところのものをここで押すという、そういうような自主的なそういうような盛り上りを本当に考慮するかどうか。この点は非常に議論のある点だと思いますが、非常に時間がかかりますから止めます。  そこで第二の問題に入りますが、第二の問題は教育委員の選挙の問題でありますが、これはもう間もなく立候補される段階になつております。ここで問題になつておりますのは、教員関係の立候補者の問題でありますが、私はこの前のあの法案の改正のときに、特に文相にその点について御意見を質したわけです。つまり現行法を飽くまで守らんとする御意思があるかどうか。然るに現状におきましては、こういうことが起つておる。それは教員関係のものは現職を退いて立候補している。どうもうまくない。これはともするというと、市町村の一部のグループだけに引つかかる慮れがある。そういう教員の立候補は望ましくないということが、関係方面から最近非常に勧告されておるという実情を聞いておる。併しこれはどのような一体法的根拠を持つものであるかどうか、我々は教育委員会がこの前の第一回の選挙に当りまして例えば組合の役員とか、そういう人達が立候補した。教員組合関係とか、教員関係の人達が立候補しましたときに、それは望ましくないという勧告の下に引下げられたという現実を私は知つておるのです。その後公職選挙法が変りまして、これによりましてこれは公然退職した場合において立候補することは、何らこれは法に牴触するものでもないし、それからもう一つの点から申しますと、現在の教育関係の実情を眺めますときに、これは甚だ教育に対してやはり深い認識を持たないところの委員が大半を占めていると言つて過言でない。大半と私は言いたいくらいである。従つて混乱しておりますところの現在の教育の状態を本当に把握し、或いは実践的に鬪つて来たところの諸君が、こういう教育委員会に加わることは、日本教育界の現状においては絶対必要であると私は言わざるを得ないのであります。而もそれが法的に何ら違反をしない。こういう立場におきまして、文相はこの教育委員会法の執行者としまして、どのようにお考えになるか、どのような決意を持つておられるか、その点をお伺いしたいと思います。
  31. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) その前にちよつと私が矢嶋さんにお答えするときに言い漏しましたから、附加えさせて頂きます。矢嶋さんは総理はどういうお考えを持つておられるかと言われたように思いますが、総理は教育のことはすべて私に任せたと申しますか、総理からときどきアドバイスを受けることがあります。例えば日本の学生は国際的の知識が乏しい、だから世界的の視野を持ち得ないから、あなたはその点については一つ考えて欲しいというようなこと、これは私が常に自分考えておることですけれども、本当の意味の愛国心、本当の意味の独立心というようなものを一つ学校において涵養して呉れないか、そういうことは私は総理からたびたびお聞きすることがあります。先程申したことには足らないところがありますので、そういうことを附加えますことをお許し下さい。尚私は総理が教育に非常に熱心だということは、今の日本における一つの明るい線だと思つております。ただ私が微力のために十分の予算がとれないということは甚だ申訳ないことでありますが、ちよつとそのことを附加えて置きます。  岩間さんの御質問に対しましては、アメリカは従来非常に教育委員制度などに経験を積んで来ておつて、教育委員というものは一般の人から出ておるのが普通ではないかと思つております。だからして、そういう方面からそういう人のアドバイスがあるということも、これも自然のことではないかと思いますが、私自身は何らそういう法的に十分根拠のあることを妨害しようとか、そういう考えは少しも持つておりません。ただ私自身も全部が教員の出身の方によつてこの教育委員が占められるということは、私はどうかという疑問を抱いております。私自身も一個の教育者でございますが、何故かというと、人間はその立場において物を考えるということは誰にも免れ難いものであるから、その立場におる者だけでこれを組織するということは、又弊害を伴うものではないか、だから私はいろいろな人がいるのがいいでしよう。何ら法的根拠のないものを無理に押付けようという考えは毛頭持つておりません。
  32. 岩間正男

    ○岩間正男君 只今大臣の御答弁によつて、やや明らかになつたのでありますが、この前の私の質しましたときの、これは現行法の精神は守るべきであるという御答弁と、今の御答弁は連関して考えられるわけであります。飽くまでもやはり現行法を守り、そうして殊にこの国会一つの立法的な権威というものを国家機関においても確立して欲しいということを切望したいと思います。尚、今のお話で教育関係者だけで占めるということは事実あり得ないし、そういうことは恐らく立候補者諸君も考えていないのです。荷具体的に申上げると、そういう勧告があることに対しまして、文相はこれは関係方面なり、何なりにそういうような一応の意思表示をされる。これは是非必要じやないかと思います。この前の、一昨年の十月に行われました教育委員の選挙のときの実情によつて考えますと、文相としましては、どうしてもそういう点について関係方面にこれは要請されるなり、何されるなりが必要じやないかと思います。この点如何です。
  33. 剱木亨弘

    説明員剱木亨弘君) 私共の関係しておりますのは、大体御存じのようにCIEでございますが、すべての交渉はCIEとやつておりますが、現在CIE自身がそれを管掌しておるとは考えておりません。ただ地方でそういうアドバイスがあつたということを聞いておりますが、これは実はCIE自身に対しても独立の機関でありまして、我我としてはそういう現地の方に直接交渉するという機会がない。ただアドバイスとしてありましても、文部省としては今岩間さんの申されましたような態度で行くより外ないと思います。
  34. 岩間正男

    ○岩間正男君 この前森戸文相にもそういうことを当委員会において要請したことがあつたのでありますが、そのときも大体文部当局の意見はそうじやなかつたかと思うのであります。併し現実に起つておるのでありますから、この法の執行において非常にやはり責任を持たれる文部省が、これを全般的な問題として取上げて解決しなければならん、非常に政治性を持つ問題だと思いますが、これは事務当局を離れて大臣はどうお考えになりますか。非常に重要だと私は思いますが。
  35. 剱木亨弘

    説明員剱木亨弘君) 結局現在地方の教育問題は地方が責任を持つてやるべきことであつて、そういう問題については勿論第一義的にはこれは地方地方との交渉になる筈じやないかと思います。中央に持つて参りましたならば、私共の方の問題になるわけでありますが、中央のCIEはそういう点については何ら触れていない。そういう点はやはり第一義的には地方の教育に関する責任者が交渉すべきであると思います。
  36. 岩間正男

    ○岩間正男君 いつでも文部省答弁は判を捺したようになつておるわけでありまして、やはり都合のいいときには、その問題を地方で起つていても中央へ持つて来る。そうして都合の悪い、どうも工合の悪いというようなときになると、その問題は地方同士の解決に委ねる。それは逃げ言葉としては立派ですけれども、現状に合わない。これは飽くまでそういうように現行法を守るということを建前とされておる文相としては、そういうふうな何らかの形を以て、そういう事態の起らないことを切望するものであります。  第三に競輪の問題でありますが、競輪問題につきまして文相の御意見が非常に閣議において強力だということは、非常に文相の日頃抱いておられますところの御意見からしまして、誠にこれは立派なものだつたと我々は考えるのであります。こういう点からしまして、この競輪問題が相当現在大きな社会の視聴を集めておるのでありますが、飽くまでこの点は徹底して頂きたい。これは私個人の意見でありますけれども、恐らくこれは当委員会におきましては、こういう道義の廃頽の中において射倖心を煽つているこのやり方につきましては、賛成する方は一人もないと思います。こういうふうに思いますが、こういう点は飽くまでも確信を持つて進んで頂きたい。実際競輪の影響するところは單に射倖心を煽るだけでなくて、家庭の破壊の問題、社会に対する悪影響、こういうこともありますが、教育的に非常な大きな影響を與えておると思うのであります。この前の第七国会におきまして、予算委員会において、私は前文相の高瀬氏に御質問したのでありますが、こういうことが起つている。埼玉の或る中学校でありますけれども、人参というものが流行つた。これは馬券というような券で、人間の券なんです。つまり子供を百メートルなら百メートル、五、六人並べて走らせる。そうしてA、B、C、Dの何を付けておいて券を発行しておる。それでやる。競輪は自転車を使つておりますけれども、これは人間を使つてやる。こういうことについてどう処置されるかということを御質問したのでありますが、これについては厳重に処理したい、法務総裁もやはり同様の意見であつたのであります。これは具体的にこれをどういうふうに処置されたかという点について伺いたいと思うのであります。これは教育的に與えている影響は実に大きいと思う。これは何と言いますか、基本の問題は文教の面だけでなくて、先程文相がおつしやいましたところの、視野を広くするという点から申しましても、政府みずから富くじのようなもの、或いはいろいろなこういう射倖心を煽るようなやり方で、それに財源を求めておる。ここにやはり基本的な問題があると思うのでありますが、單にこれは競輪だけでなくて、文相としてはそういうような第二のモナコを作るというような点について賛成できないということを、何か外の教育新聞か何かで拝見しているのでありますが、飽くまでその点を進めて頂きたい。スイスよりもモナコに近くなるというのが日本の実情じやないかと思うのであります。この点について簡單でようございますが、文相の今後の御処置をお伺いしたいと思います。
  37. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) 岩間さんと私は全然同意見でございまして、競輪というようなものが、その最もその尖端をなすもので、一般に人間の僥倖心を誘発するというようなことは教育上非常によくない。だから私の力の及ぶ限りあらゆる機会においてこれを除去するように努力したいと思います。
  38. 岩間正男

    ○岩間正男君 やはり今の政府全体に根ざした問題なんですが、閣議なんかにおきまして、富くじのようなものはだんだん排除する方向に御努力なさる方針でありますか。
  39. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) できればそういう方向に進みたいと自分は思つております。
  40. 岩間正男

    ○岩間正男君 確信を以てその点文相が閣内で主張されておることに対して、我々非常に欣快な感じを持つものであります。この点は恐らく日本の心ある人達は文相を支持しておると思われますから、今後とも確信を持つて進んで頂きたいと思います。  最後に先程矢島君から申されたレツド・パージの問題でありますが、これについて十日くらい前ですか、或る新聞教職員の町審査をしなければならないというようなことの意向新聞に出ておつたのでありますが、これは果してそういうことを文相は考えておられるのであるか。それをされるとすれば、その法的根拠はどこにあるか、その点についてお伺いしたい。
  41. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) 私は先程矢島委員にお答えいたしましたように、どうか無理のない、それで不公平のことの起らない、誰もが納得できるような方法でやりたいと思います。それには今のような委員会を設けてやるというのも一つ考えではないかと思つて、今研究しておるところであつて、今日ここにこういうふうにやるのだということを申上げることのできないことをお許し頂きたいと思います。
  42. 岩間正男

    ○岩間正男君 再審査をやはりなさるというような御意向ですか、この点お伺いします。
  43. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) 全然同じことについて再審査をするという考えはございません。
  44. 岩間正男

    ○岩間正男君 この点は時間も余りありませんので、詳しく触れることはできないと思うのでありますが、何か日本の憲法とか、ポツダム宣言を廃棄するとか、そういう事態が起つたんでしようか。それでそういうことな上には、この前の第一回の教職員の審査は、つまり軍国主義或いは超国家主義者、こういうものを対象としてあの審査がなされたのでありますけれども、民主的な日本の再建のために努力をする、そのためにいろいろな問題が、例えば教員の場合でありますというと、御承知のように非常に六三制を中心としたところの教育の破壊の面が起つておる。これは本当に良心的な教員であつたならば、この面について黙つて見ておることができない。この破壊を喰止めるためにはいろいろな運動をやる。黙つて見ていてあのようだ不幸な戰争を招いたのが過去の教育の姿でありますから、行動を以て立上る、ここに新らしい日本の発展があると思うのであります。多少の行過ぎはあつたかも知れないけれども、ここに戰争の基因を除去し、飽くまで日本の民主化を本当の意味で、單なる空文でなくして、これを実体的に展開したい、そういう意見でやられた、そういう人達がどういう根拠で再審査なされるのであるか。我々は飽くまでこれを決定する限りは、ポツダム宣言、極東委員会の教育指令、一九四五年の十月の何日でありましたか出ましたGHQの教育指令、そういうふうなものに根拠しなければならん。これが一時的な体制で、そういうものの変化によりまして、この根本的な立場を左右するというようなことがあつたならば、これは基本的人権にとりまして非常に重大な脅威を與えるという結果を招来するのでありまして、この点は文相はどういうような根拠から、これを考えておれれるかお伺いします。
  45. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) 日本を改革するとか、そういうような動議がいいからと言つて、それでどういう行動でも是認するというわけには行きません。若しこの動機がいいということのために是認するというならば、五・一五でもその他のああいう事件でも皆これを是認しなければなりません。だからどういう動機から出ても、その行動に行過ぎたところがあるということがあれば、私共はそれを考えざるを得ません。それをどういう法的根拠でやるかということについては、今暫くお待ちを頂きたいと思つて研究しておる。こういうことでございます。
  46. 岩間正男

    ○岩間正男君 今の御研究の参考になるからと思つて申上げるのでありますが、例えばこの前の二千名に余る全国の教員のパージをやつた。あれの中で例えば調査の対象になつた二二ストライキをやつた、そのときその組合活動をやつた、こういう者が調査の対象になつて、これは甚だおかしいと我々は考えざるを得ないのであります。これを憲法の三十九條に刑法の規定がございますが、これには「何人も、実行の時に適法であつた行為又は既に無罪とされた行為については、刑事上の責任を問われない。」と、こういう條項があります。これは刑法問題ではありません、教員の追放は……。併しながらこういうような憲法の精神というものは拡張解釈をすることができる。こういうふうに思われます。従つてあの時代の教育の破壊、実に子供連が食うに食われない。教員は又実際生活が困窮しておつて教壇に立つことができない。こういう実情の中で起つたその実情を、今日の頭でこれを批判し、判断するというようなやり方を進めるならば、非常に大きな禍根を残し、憲法の精神にこれは反さないかということを申上げる。まだいろいろ先程私が申上げましたような、いろいろな事例を見ますというと、教員は生徒へ飽くまで独立不覊の精神を叩き込んで、これを養成しなければならない。或いは又いろいろな国会の問題、政治の問題、こういうものに対しましては、学生或いは教員並びに教育関係の官公吏は、飽くまで自由にこれに対しまして批判の自由を有し、徹底的にこれを批判してやるべきであつて、むしろ奨励すべきである。こういうことが規定されてありまして、こういう條項がいつの間にすり替えられたか、そういうものはなくなつてしまつた。この点は我々は文相も考えておられると思いますが、民族のやはり長い線において、目先の通つた線で、現在の情勢だけの中で物事を判断せず、先程申されました日本の現状、こういう点につきましては、これは閣僚としていられる文相の立場と我々は無論違うでありましようけれども、飽くまでもこれは多年の御主張の通り、この点は民族の将来を本当に考え、ここで飽くまで基本的人権の擁護と、それから思想の自由のために私は闘いたいと考えますが、こういう点について文相は如何でございますか。
  47. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) 私も正義を愛し、遵法の精神を以て行こうという点においては岩間さんと何も変りはございません。私が責任を以てやる以上はそんな腰昧な変なことはやることはないと自分考えているわけでございます。あなたのおつしやつたことは私は参考にして、できるだけ正しいやり方をいたしたいと思つております。
  48. 岩間正男

    ○岩間正男君 只今の御意見私は了とするのでありますが、術最後に一言附加えて置きたいのは、日本のこの前の教員の三千名に余るところのレツド・パージのときに問題が起つておるということを率直に見て頂きたい。これはできましたならば、文部大臣がお忍びで行つて見き頂きたい。職場で何が起つておるか、これは全く戰争前の態勢が最近できておるということで、つまり職階制によるところの強化が非常に強く、そうして教員はもう物を言うことが非常に憶劫になつて来た。もう批判の自由どころか、これらは公務員に対して本当に理智的な物の見方、真理に対するところの熱愛というものを養成するところとはまるで反対の現象が起つておるのであります。例えばそういうことのために、もう暗黒時代が起つておるのでありますから、こういう点についてはこれは十分に私は見て頂きたい。すでにもう二千名という教員がいろいろな理由で処断されております。この処断についてはむしろ我々は反対するものでありますけれども、一応処断されたその結果について、思わないところに大変な大きなこれは影響を與えておる。つまり追放されたものは二千名でなくて、五十万の教員大衆に対してである、そういうふうに権利が相当剥奪されて、そうして言論の自由、基本的の人権の自由が非常に剥奪されたことが起つておるが、これは文相としての天野大臣が歴史的に批判される段階に達しておる。決して近視眼的の立場からではなくて、文相の抱いておるところの本当に長い目で見、こういう決意的な立場に対しましても、この問題をあとで考えて悔のない仕方において私は処理されることを切望いたしまして、私の質問を終ります。
  49. 高田なほ子

    ○高田なほ子君 時間の経過もありますので、簡單に御質問申上げます。六三の建築の問題については前発言者が申しましたが、六三のこの六十三億の予算、これが敗れたということは、一応新学制への実施へのコースが阻まれたということと考えて甚だ遺憾に思う次第でありますが、このことはやはり文部省の新学制の実施への一つの年次計画が敗れたということで、今後天野文政の上に非常な私は課題が残つておると思うのですが、ただこの問題の中で一つ遺憾に堪えないことは、あの認証外の工事の問題でありますが、百億に余る厖大な予算をできる機会においてやろというような御回答でありましたけれども、できろ機会においてやるのではなくて、本当に六三建築と並行して、これはやらなければならない。特に危險校舎、災害の復旧問題、そういうものは全くこの中の一環としてこれはやらなければならないということを、まあ予算の面においてだけ意見として申上げるわけであります。  質問の要点は、義務教育の無償促進の問題であります。この問題はやはり義務教育費国庫負担という全額国庫負担の線に絡んで非常に重要な問題と思いますから、この予算でどういうような一体その計画を立てておられるか、これだけの予算国庫補助の形がどういうような一体形になつて行われるか、これを具体的にお答言え頂きたいと思います。  第二点でありますが、高等学校の問題であります。定時制と全日制の問題であります。特に全日制の問題は予算がこれは六五%ぐらいきりしか取られておらない。あとの分は一体貧困な地方財政ではどういうふうにかぶせて行くか、そうしてそのしわをどういうふうに收拾なさるというお考えか。  第三点でありますが、この程新聞紙上に見られる学童の奇病の問題でありますが、これと学童給食との関連、東京都の学童の約八百名に近い子供が原因不明の熱病にかかつて、而もこれが学童給食と如何にも関連があることのような報道ぶりでありますが、このことは非常に問題だと思う。日本の食糧革命ということを内蔵した学童給食、更に日本の自立経済にそれが連なつて行くやはり大きな問題でありますので、今度の奇病と学童給食との関連をどういうふうに解決付けられて行くか、この点お伺いしたいと思います。
  50. 辻田力

    説明員(辻田力君) 教科書のことについて私から申上げます。憲法の根本精神によりまして、義務教育を無償といたしたい。これはお互いの念願でございますが、国力のことも考えまして、漸進的にこれを実施して行きたいという考えの下に、最初は御承知の通り教育基本法によりまして、授業料だけは無償になつておるのでありますが、併し我々といたしましては、一歩を進めて教科書の問題にこれを進めて行こうというわけで、小学校中学校全部に亘りまして、要するに義務教育につきましては教科書を無償にいたしたいという考えで、その原則の下に予算の編成もいたしまして、それで予算折衝をいたしたのでございますが、諸種の関係から、これを先程大臣からも御説明がありましたように、小学校の一年生から実施するということになつたわけでございます。その費用が一億三千九百万円でございますが、これは国から出す経費でございまして、尚それの同額はこれを平衡交付金において標準行政需要費といたしまして、積算される予定でございます。従つて両方の面から小学校の一年生につきましては、教科書が無償になる結果になるわけでございます。ただ併しここでお断わりして置かなきやならんことは、基礎的な科目につきましては、と申しますと、全国の学校において採用する教科書につきましては、これを保証できまするが、併し個々の学校において採択する場合に、例えば将来におきまして、毛習字というふうな場合においては、これは必ずしも国家が保証できるかどうかということは疑問でございます。それは若しその毛習字を採用するような市町村でございますならば、それはその市町村の負担において無償にいたしたいというようなふうな考えを持つておるわけでございます。
  51. 久保田藤麿

    説明員久保田藤麿君) 学校給食の関係にあるのじやないかという疑いから、神田に今発生しております奇病の関係をどう見るかという御質問だと伺いましたが、只今東京都を中心としまして、盛んに原因の究明にかかつておりますが、只今までの、私がここへ出て参りますまでの間のところでは、埼玉県から運び込んでおりましたソーセージが原因らしいという程度にまでしか、まだ参つておりません。と申しますのは、あの日一日だけの食べたものの検査では分りませんで、数日前の分からずつと分析をして来ておりますのと、今一つはパンの関係に危險がありはせんかということで、パンの元にしました粉なり、それらの材料の分析をやつておりまして、今日中にはそのパンの関係などが相当はつきりして来るかと思いますが、食糧関係のことでありますので、或いはそうしたところに基因がありたのかも分りません。ただ現在のところではソーセージが一番客観的な條件にあるという程度のことでございまして、都の方でも非常に心配しまして、現在各学校が持つております材料というものにも、格別の手配を今いたしておるような状況でございます。
  52. 加納金助

    ○加納金助君 簡單にお伺いしたいと思います。私は文相の教育に対する高邁なる理想、又更に研究に対しての熱意に対しましては、深く敬意を表するものであります。これまでは專ら義務教育についての論議が重れられまして、殆んどその疑義は盡されたようでありましたが、私最後に簡單に大学教育についてのお伺いをしたいと思うのであります。新制大学が発足されまして、各府県に大学を分散されまして地方が大学を設立したという喜びの反面において、いずれの県においても、この寄附金の多大なる要請をされていますことは、一つの悲哀で、そうして又各県とも苦しんでいるのであります。本年はこの国の大学につきまして相当の経費を貰えたのでありまするから、大いにこの点については意を強うするのであります。併しながら、いずれの大学運営に当つておる人も、非常にこの点に対しましては苦慮していますから、この上とも一層の一つ御配慮を願いたいと存じます。更に、困難を感じておりますのは私立大学であります。私立大学は非常な苦しみの中にこの新制大学に昇格いたしました。併しながら国家財政上の問題、その他に関連しまして、入学生も非常にいずれの学校においても乏しいのであります。のみならず大学昇格基準の、あの嚴重なる線に沿いまして、これを実現するということに対しましては、いずれの学校も殆んど目下不可能のような状態におることは、具さに私実見しておるのであります。幸いと、このたびは私学振興意味におきまして、基本金として十億を認められました。併しながらこの十億の中には、今承わるというと、或いは教員共済の経費もあるし、又従来の災雲復興の助成金もあれば、貸付金も含まれておる。かようなものを取拂つてしまつたならば、その十億の残るところは幾何であるか、甚だ少額なものである。これを以て今苦境に喘いでいるととろの私立大学の救済をするということは殆んど不可能じやないか。私立大学は従来我が国家、教育の上に相当の貢献をしているのであります。かような意味からいたしましても、どうか一つ文相は大きな親心を以て、国立大学を救済すると同じような意味において、私立大学の維持発展のできるように一段の一つお力添えを願いたいと思います。従いましてこの十億というものは、單なる十億に止めないで、或いはこれを五十億、百億に活かし得るような方法を、聞くがごとくんぱ債券などを発行いたしましてそうして更にこれを五倍、十倍に拡大する計画もあるように聞いておりますが、文相の今のお考えでは、私立学校に対してどういうふうに救済しておられますか、その点を簡單にお聞きしたいと思うのであります。
  53. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) 私は私学が今まで日本の教育に非常なる貢献をしたということを、私もよく存じておるところであります。又私学が現在経済的に非常に困難を来しておるというようなことは、私も私学に関係したこともありまして、よく存じております。どうかして私学がもつとよく発展するようにということを考えますけれども、差当つてあの十億さえも辛うじてあれが成立したような始末で、今直ぐどうということはできませんけれども、おつしやつたような財源というようなことも一つ考えではないかというふうに存じております。いずれにしても、文部省としてできるだけのことはいたしたいと思いますが、万事どうもこの財政の異常に窮窟なために、思うようなことができないという点は御了承頂きたいけれども、自分らの力の及ぶ限りのことはいたしたいと考えております。
  54. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 先般関西方面を襲いました災害に対する復興対策の問題でお伺いしたいと思います。特に文教方面の復興対策についてお伺いしたいと思います。政府の方でもすでに災害の実情については御調査をなさつておると思うのですが、九月三日、関西方面を襲いましたジエーン台風並びにその後やはり関西方面を襲いましたキジア台風の被害は非常に莫大なものに上つておるわけです。その中には学校教育関係の被害も非常に大きいものがあるわけでございます。現在大阪におきましても、又兵庫県におきましても、学校を開くことができない学校も相当数に上つておりまして、これが復興対策は焦眉の急に迫られておるというふうに考えておるのでありまするか、この復興対策についてどういうふうに考えておられるのか、お聞きしたいと思いますが、特に七の災害の復興については全額国庫負担でやるというふうにシヤウプ博士の勧告のうちにもあつたように考えておるのでございますが、これらの復旧に関しては全額国庫負担でやるというようなお考えを以て進んでおられるのかどうか、これが第一点でございます。  それから第二点といたしましては、この復旧に当りましては、たびたび風水害に見舞われる日本といたしましては、どうしてもこういう復旧に当つては、そういう災害に耐える堅牢な校舎を建てるという必要があると思うのであります。特に今度の風水害で倒壊いたしましたものを調べましても、主として六三制の建築による最近の建築のものが多いのでございます。今度の場合は丁度日曜日でありましたので、生徒や児童に対する被害は直接はございませんでしたけれども、若しこれが普通の場合であれば相当な被害が出ておるということは予想され得るところであります。そういう点から鑑みまして、復旧対策のうちに、そういうことを考えて堅牢な鉄筋校舎を建てる必要があるというふうに考えておるのでございます。そういう点について文部大臣はどういうふうに考えておられるか、そういう点を承わりたいと思うのであります。昨日文部省から頂いた調査によりましても、尚相当部分のところが調査されておりませんけれども、倒壊いたしました建物の面積は一万五千坪、大体そういうふうに出ております。その外半壊、大破等を合せますと非常に大きな数に上つておるのですが、これらを早急にやるために国庫ではどれだけの金額を負担して、どういうふうにやるかということについて、大臣のお考えをお聞きしたいと思います。
  55. 剱木亨弘

    説明員剱木亨弘君) 大臣に代りましてお答え申上げますが、今回のジエーン台風及びキジア台風の損害は相当ひどいものがありまして、政府といたしましては、お説のように早速内閣に災害対策協議会を、関係各省全部集まりまして、連日開いて対策を考究中でありますが、尚近く閣僚等、各省からも参りまして、災害地である大阪で協議会を開く予定になつておるのであります。文部省といたしましては、できるだけ早くはつきりした資料を集めまして、これを提出しておるのでございますが、成るべく早く応急対策費が出ますように努力をいたしておる次第でございます。現在災害対策についての予備金は約五十億程度しか残つていないのでありまして、その五十億の配分の問題につきましても、又それ以上に若しこれが現在の調査で、勿論越えることだと思いますが、その越える面につきましての対策も政府としては取急いで考究中だと思います。今お話がありましたように、災害が起るたびに日本の木造建築では非常に災害を受ける率が多くて、その都度こういつたような問題も起りますし、又関西地区における災害の実情から見ましても、学校、校舎は相当、若しこれが堅牢なものでありましたならば、一般市民の差当りの避難場所にもなり得る、こういう意味合いからいたしまして、私共もできるだけ堅牢な建物に持つて行きたいということは念願いたしておるのでございます。併しこれは資材その他の関係から、早急に全面的にできますかどうかは今から予想ができないのでございますが、我々としてはできるだけ努力して参りたいと考えております。ただこれはこういう質問以外のことを申上げて相済みませんが、大臣も全く同感でございまして、私共としては、できるだけこの際主張して参りたいと考えておりますが、年々歳々日本は風水害なり、火災なり非常な災害を受けて、その都度何首捻に上る災害復旧費を出して、その災害に対する応急対策だけを講じて参つておるような次第で、こういう状態で若しあるならば、いつまでもその後の尻ぬぐいだけをして行くという形で、何らこれに対する根本的の対策が現在考究されていないということは、私共残念に思つておるのでございます。そこで若しこの災害対策というものを相当な部分を予想して、若し日本がここに決意をするならば、私は或る一省の問題とかということでなくして、全省こぞつてここに災害対策、或は防災研究所といつたようなものをここに決議を以て立てて、或いは対震、対火、風水害といつたようなものの根本的な問題、その方法を考究して、これに対する災害を最小限度に予防する科学的な研究が若しこの際に行われるならば、それこそ本当に根本的な災害対策ではないかと考えておるのでございます。私共併し微力にして、主張しておりますけれども、このことは輿論なり、一般の支持がなければできないことでございまして、こういう問題につきましても、この際文部委員会におかれましても取上げて頂いて、若し私共の考えがいいということになれば、相当国策の上に現われて行くように御努力頂けましたらと考えるのでございます。とにかく今回のジ  エーン台風、キジア台風に対する対策といたしましては、私共できるだけの努力をいたして参る決心でございます。  尚附加えまして先に高田委員から御質問がありました点のお答えを申上げますのを落しておりましたので、ここで申上げます。それは地・方におきまする全日制の高等学校に対する経費の問題をどするかという問題であつたと思います。高等学校につきましては、御承知のように定時制の高等学校に対してのみ国の補助があつたのでありまして、高等学校については、例えば実業教育のほんの僅かのもの以外は全然そういう補助がながつたのでありまして、これは全く地方負担でやつてつたのであります。それでこの平衡交付金計算におきまして、地方の経費の計算におきましては、それをやつておるのでありますが、実際はこの地方に任された分でございますので、その相当部分が中央の余裕財源でやるということになつておるのであります。現在非常に計算が少のうございますけれども、併しこれを現状におきまして止めてしまうということはないと思いますけれども、この経費の増額につきましては、将来の問題として大いに研究して参りたいと思います。
  56. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 先程質問をいたしました中に、この災害復旧に伴う国庫補助の問題ですが、学校の復旧に関しては全額国庫補助するという、こういう建前の下に進んでおられるかどうか、その点がなかつたのであります。尚この機会に私は文部委員長にお諮りを願いたいと思うのですが、特に災害のひどかつた方面文部委員会として実情を調査をして頂きたい、こういうこととお願いしたいと思いますか……。
  57. 剱木亨弘

    説明員剱木亨弘君) 金額国庫負担で行きますか、或いは補助の率をどうするかということは、只今申上げました対策委員会で協議中でございますので今はつきりどういう率で行くということは決定しておりませんので、私としてはお答えすることができないのであります。
  58. 若木勝藏

    若木勝藏君 簡單に最後に文部大臣にお尋ねしたいと思います。それは先程来文部大臣は、教育のことは一切任せられているというお話でありますけれども、現実において、先程来の御答弁を聞きますと、教育の予算満足し得べからざるものであると私は考える。この予算はすでに閣議で以て決定したのであるかどうか、まだ今後において文相が復活要求する余地つがあるのであるのか、その点一つ。それからもう一つは、先程ベース改訂に要するところの教員の給與財源でありますが、これにつきましては、ラジオか新聞で私聞いたのでありますが、相当閣議で以て増額されるというふうなことが出ておつたようでありますが、その通り増額されるのであるか。それから若しそれが教員の給與のために財源を割いてそつちに当てるということになつたならば、どういうふうな手続で以てこれは平衡交付金の中に入れてやるのか、或いは国庫から別段の手続によつて出すのか、その点をはつきりして頂きたい。  それから最後に、今非常に地方で以て困つている問題は、完全給食の問題でありす。市の方で以てこれを実現しなければならないような恰好になつてついるのであります。ところが北海道のような市においては、殆んど必要のない小さな学校が沢山ある。それをわざわざ何円かの給食費を別途に父兄が負担をしなければならない。そういうことがなければ家庭生活において特別な費用がかからないのに、そういうことをやらなければならない先般も私廻つてつたときに、市で以て協議会が開かれて非常にその問題で悩んでおつた。つまり希望者がないのです。ところがこの完全給食というようなものはどういう根拠に基いて実際やらなければならないのであるかどうか、それはどの法律に基いてこういうことが行われるのか、それからそれに対して実施するということになれば、その補助というふうなものが国庫から出るのでありますか、その辺につきましても併せて伺いたい。
  59. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) この予算はまだ決定はしておりませんけれども、文部省としてはこれに復活要求を今からするということはできないと思つております。後の点については次官から……。
  60. 剱木亨弘

    説明員剱木亨弘君) 平衡交付金の中で財源をどういうふうに見るかという問題でございますが、私共としては平衡交付金の中で増額して貰いたいということを希望しております。
  61. 堀越儀郎

    委員長堀越儀郎君) 大臣は一時から閣議がありまして退席されますから、御了承願います。
  62. 久保田藤麿

    説明員久保田藤麿君) 市の完全、給食について、強制的な何か法的な根拠があつてつているのかどうかという御質問のように伺いましたが、これは決して強制的にやつておることは全然ないのでございまして、皆希望校に持つて行く、而もそれは一応今のところ市に限つてあります。それは完全給食と申しましても、当面問題になります分に、粉ミルクと、主としてパンにして貰いたいと申します小麦粉でございまして、この両者はいずれも今のところガリオア資金でこちらへ入つて来ております関係の物資でございますので、私共としてはできるだけこの分量が多くて全学童に行き渡れば誠に仕合せだと思いますが、一応限られた枠で操作をします関係から、どこかでこれを切らなきやならん、そうした関係から市に限るということが一応分量的に納まるためにやつておる事実上の問題でございます。それからその中でも、希望しない所、一応学校が全学こぞつて貰いたいという関係でない所には、押付けては全然おらぬのでございます。ただ困つたことに、御承知の通り、そうしたガリオア関係の物資でありますために、要りません、これは不要でございますといつたようなことが事実問題として言いにくい、一方から申せば、もつと欲しい、もつと沢山欲しいのだという線がなければ一応ならん常識でありますが、ここでは要りません、ここでは要りませんということが出しにくい、こういう状態であるということだけ御了承頂いたらお分りかと思いますが、強制は全然いたしておりません。
  63. 高田なほ子

    ○高田なほ子君 給與ベースの問題ですが、先程平衡交付金の中に財源措置をとるために今折衡中だということですが、べースはどれだけに一体お考えになつておりますか。
  64. 剱木亨弘

    説明員剱木亨弘君) 大体只今計算は現在のべースの千円増の程度と聞いております。
  65. 高田なほ子

    ○高田なほ子君 もう一つ家庭科廃止の問題ですけれども、これは下部の家庭科の先生方が非常にこれに関心を持ちまして、文部省は一体どういう態度だかさつぱりわけが分らないというので非常に苦慮しておりますし、私としても現在の日本の非常に民主化されない現状において、やはり家庭科を今直ちになくなしてしまうというようなことについては、やはり相当問題じやないかと思うのですけれども、これはまあ個人の意見です。文部省として、どういう一体御意見をお持ちか、どういうふうにそれが進行しておるのか、廃止の方向に行つておるのか、行つていないのか、それをちよつと聞かして貰いたい。
  66. 辻田力

    説明員(辻田力君) 小学校の家庭科の問題でございますが、これは現在のままでこれを存置するということにつきましては、相当疑問もございまするので、又関係方面のサゼツシヨンもありまするので、ここで文部省といたしましては研究いたして、その結果例えば家庭実技科というふうな名前にしまして、内容もそれにふさわしく改めまして存置いたしたいという考えで、関係方面折衝しておりまするが、大体趣旨におきましては認めて呉れておるのでございます。
  67. 高田なほ子

    ○高田なほ子君 存置の方向に行きつつあるというのですか。
  68. 辻田力

    説明員(辻田力君) そうでございます。それでそれを学習指導要領の中に書き込みまして、正式に一般にお知らせするということになると思います。
  69. 堀越儀郎

    委員長堀越儀郎君) 他に御発言がなければ、文部委員会はこれにて閉会いたします。    午後一時八分散会  出席者は左の通り。    委員長     堀越 儀郎君    理事            若木 勝藏君    委員            加納 金助君            工藤 鐵男君            荒木正三郎君            高田なほ子君            鈴木文四郎君            山本 勇造君            矢嶋 三義君            岩間 正男君   国務大臣    文 部 大 臣 天野 貞祐君   説明員    文 部 次 官 剱木 亨弘君    文部省初等中等    教育局長    辻田  力君    文部省管理局長 久保田藤麿