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1950-07-30 第8回国会 参議院 農林委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年七月三十日(日曜日)    午前十時三十一分開会   —————————————   本日の会議に付した事件 ○新農業政策確立に関する調査の件  (調査報告書に関する件) ○継続調査承認要求の件 ○競馬法の一部を改正する法律案(衆  議院提出) ○請願及び陳情取扱に関する件 ○自作農創設特別措置法等の一部を改  正する法律案内閣提出)   —————————————
  2. 岡田宗司

    委員長岡田宗司君) ではこれより農林委員会を開会いたします。  先ずお諮りしたいことがございます。先に議長承認を得まして調査を行なつて参りました新農業政策確立に関する調査でございますが、本件につきましてはまだ調査を終了しておらないのでありますが、報告書提出しなければならないようになつておりますので、一応未了報告書提出することにいたしいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 岡田宗司

    委員長岡田宗司君) つきましてはその手続等委員長に御一任をお願いいたしたいと存じます。尚本報告書には多数意見者署名を必要としますので、御署名を願いたいと存じます。   多数意見者署名     西山 龜七  片柳 眞吉     岩男 仁藏  岡村文四郎    池田宇右衞門  白波瀬米吉     瀧井治三郎  土屋 俊三     平沼彌太郎  江田 三郎     小林 孝平  三橋八次郎     三輪 貞治  飯島連次郎     加賀  操  溝口 三郎     三好  始  三浦 辰雄
  4. 岡田宗司

    委員長岡田宗司君) 次に本調査は各委員も御承知のように、諸般の情勢からますます重要性を増して参りましたので、閉会中も引続いて調査を行いたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 岡田宗司

    委員長岡田宗司君) 御異議がないようでございますからさように決定いたします。尚閉会中の継続調査には本院規則第五十三條によりまして要求書提出しなければなりませんので、お手許に配付いたしてありますよう内容議長提出いたしたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 岡田宗司

    委員君(岡田宗司君) 御異議なければさように取計らうことにいたします。
  7. 岡田宗司

    委員長岡田宗司君) 次に衆議院において提出されました競馬法の一部を改正する法律案が、衆議院を通過いたしまして本院に送付され、本委員会に付託されたのであります。右につきましては、右議案提出者でありました多くの議員代表といたしまして、衆議院農林委員長千賀康治さんがおいでになつておりますので、提案理由の御範囲をお伺いすることにいたします。
  8. 千賀康治

    衆議院議員千賀康治君) 只今審議を願いまする千賀康治外二十一名提出競馬法の一部を改正する法律案につき提案者代表して提案理由説明をいたします。  中京地区国営競馬場一ヶ所を増設することを内容とする本法律案は、全く同一趣旨を以て去る第五並びに第七国会提案を見たのでありますが、各般の事情よりいたしまして成立するに至らなかつたのであります。  今回新たに提案いたしましたにつきましては、先回委員会において論議され御批判を頂きました諸点につきまして関係者間において十分な検討を遂げ、本改正法律案の施行に当つて万遺遺憾のない措置を講じ得る確信を得ましたので、改めて御審議を願うことといたした次第であります。  御存知のごとく現行競馬法におきましては、国営競馬場は、札幌、函館、福島、新潟、中山、東京、横浜、京都、阪神、小倉、宮崎の十一ケ所と相成つておるのであります、この競馬場の配置には非常な不自然があるわけでありまして、東京から京都に至る東海道筋中間地点に一ケ所の国営競馬場もございません。競馬関係者にとりましては、これは可なりの不便が伴いますのみならず、経費もそれだけ増蓄する次第でありまして、幸い増設に御賛同を得まするならば、馬主その他関係者にとつて相当経費節減に相成る次第であります。  又競馬は最近他の競技の圧迫によりまして、收入はいささか下降傾向を示しておるのでありますが、中京に模範的な競馬場を設置することと相成りますれば、地元愛好者の熱烈な要望に応じ得ますると同時に、勝馬投票券売得金額の増大により、国庫收入増加に貢献し得ること存ずるのであります。  簡單でありますが、以上の諸点がこの法律案提出いたしました理由の大要であります。  何卒愼重御審議の上、速かに御可決あらんことを希望する次第であります。  尚この際に少々敷衍をさして頂きます。本案は過去において提出されたものは大同小異の形ではありましたが、今回は全く精神において新しい規模を示しておるのでございます。と申しますのは、過去出されましたところの法案は、この競馬場候補地愛知県に五つありまして、それぞれの五つの候補地衆議院議員後援者がありまして、その人等の激しい競争のために、全くどこに決めようもなかつたのであります。そこでやはり法案は出して頂いても、衆議院のそういう関係の人々が、やはり中心になつてこれを決めようというよう立場でありましたので、参議院の前農林委員長である楠見君、並びにここにお出になりまする岡田委員長諸君は、殊に私に次の警告を常に発せられたのであます。国会議案を決議する権利はある筈だけれども、政府執行に関する権利に容喙することはおかしいと思う、提案者があすこに決める、ここに決めるというようなことは全くこれは他の領分を侵害するものであつて、これでは正しいことができる筈はない、だから暫くここに冷却期間を置きながらこういう不明朗なことが改められろことを待つんだというようなお言葉で審議未了なつ理由として御説明を頂いておつたのであります。  そこで第七国会が終りまして以来、愛知県におきましては自由党の議員が十二名あつたのでありまするか、この中の半分を擁しております全く候補地には関係のない三河の出身が六名で団結をいたしまして、どうもこれを打開するには全く利害関係のない六名の三河議員がこれをなす以外にないじやないかという申合せをいたしまして、強硬な運動を始めまして、それはとにかく尾張の方々は手を引け、三河の者で何とかこれを打開しようじやないかという指導精神で盡力いたして参つたのであります。これが非常に奏功をいたしまして、その後尾張議員諸君は段段手を引くという形になつて参つたのであります。今回も愛知県知事農林省畜産局とが話合いをいたしまして、若しも国会がどこに場所を決めろという、いわゆる競馬執行権に対して全然手を染めないのであるならば、必ず適当な場所を決め得るかという駄目を押しましたるところ、そうなれば確かに決め得るのだと、こういう確答を得て、そこで今回衆議院から発案をすることになつたのであります。衆議院におきまして、提案者岡崎官房長官と共産党の二名を除く外全員提案者になつておりまして、非常な熱意が示されておるのでございます。又愛知県知事からも、将来どこに決めてくれても一向文句は言いません。政府のなされる通りに服従をしますという、各候補地市町村長が知事に一札を差入れたその原本も私の所に送付されて来ております。かよう内容になつておりまするので、従前の形は比較的似ておるかも知れませんけれども、精神においては全くここに斬新な形で現れておるのでございますので、是非共これは皆さん愼重に御審議を頂いて、適当な御決議が頂きたいのであります。衆議院から同じようなものか何回も出て来る。而も一回毎に、回を増す毎にあなた方の、参議院委員会の要求せられる精神が大巾に採り入れられた。殆んどそれによつて形を改めて来るという程に参議院農林委員会の院議を尊重して来るのでございまするので、武士は相見互いということもございます。是非共慎重御審議の上御可決あらんことを切望いたしまして、私の説明を終ります。
  9. 岡田宗司

    委員長岡田宗司君) 只今競馬法の一部を改正する法律案につきまして衆議院提出者側代表といたしまして千賀さんから提案理由説明がございましたが、本法案審議は他の法案審議もございますので、本日のところは一応提案理由説明をお伺いして置くだけにいたしまして、後程適当なときにこれの審議をいたすということで御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  10. 岡田宗司

    委員長岡田宗司君) それではさようにいたします。どうも有難うございました。  次に本委員会に付記されました請願陳情等についての取扱りがございますが、これは農林大臣がお見えになつておりますので、後に廻しまして、午後適当な時にいたすことにいたしまして、廣川農林大臣に対する御質疑を始めて頂きたいと思います。  尚地方自治庁の政務次官もおいでになつておりますので、同時に御質疑の残つておられる方の御質疑をお願いいたしたいと思します。
  11. 江田三郎

    江田三郎君 大臣にお尋ねいたしますが、大体細かい点は大臣にお尋ねするのは不適当でありますので、大きな筋だけをお尋ねいたします。  この政府提案理由説明書に書いてある程度の大雑把な点でお伺いするのでありますが、先ず第一にこの提案説明書を見ますというと、政府買收の点と委員会構成の変更の点とが出て来るのでありますが、小作料値上げという問題については出ていないのであります。ところが小作料値上げになるということになると自然土地価が変つて参りますし、又そういうことから固定資産税等にも大きな影響を及ぼして来るわけでありまして、若し小作料が七倍値上げになつて、それから今審議されておりますところの地方税法通り、その固定資産税がかけられるということになると、土地価としても、現在の闇の相場よりも尚高いものになる。従つてそこから生れて来る固定資産税というものは到底我々が常識で認め難い、大変苦しい、家農の負担できないようなものになるのであります。そういうようなことで、非常に大きい影響を及ぼすことを政府提案理由説明書の中にお書きになつていないというのは一体どういうわけなのか、そういう点をそれ程大した問題でないとお考えになつておるかどうかということであります。  それから第二にお伺いしたいのは、政府買收を取止めまして、そうして地主小作相互間で農地委員会を中に置いて話をするといたしましても、どういたしましたところで耕作するに適当なものというよりもむしろ金を持つておるものという方に流れ勝ちになつて来るのではないか、そういう点からして土地の兼併というようなことが行われ易くなりまして、農地改革の大きな精神と変つて来るようになる。従つて昭和二十四年十月二十一日のマツカーサー元帥書簡精神とは大変に変つたものになるわけでありまして、そういう点依然として政府買收という線は残して置くことがこの書簡精神に忠実なように思うのでありますが、その点をどうお考えになるか。  それから第三に、委員会構成の問題でありますが、ここでは小作農及び中以下の経営規模に属するもので小作的と考えられるものを一号階層として五名、耕作の業務を営むもので右に該当しないものを二号階層として十名ということになりますが、これは農地局長説明によりますというと、これを五名と十名とした場合でも実際にこういう経営規模に属するものの数の、全国的な総体の数からいうと、それでも尚小作的と考えられるものを優遇しておるというよう説明があつたわけでありますが、我々はそういうことでなしに、一方に小作的と考えられるもの、そうして他方に二号階層として別なものを持つて来るということになると、従来の農地委員会運営から見まして、どうしても一号階層と二号階層と対立的な気持になるのでありまして、その対立的な気持になる場合には一号階層に属する小作的なものは五名であり、片方は十名ということになると、どうしても小作立場にあるものの利益が護り得ないようなことになるのであります。これはただ統計的な数字を以てどういう階層農家が幾らあるからというよう議論でなしに、農地委員会の実際の運営に当つて見るというと、そういう点がはつきり分るのでありまして、この一号階層、二号階層に分けられたのは、農地委員会農業調整委員会とを一本にするときの考え方をそのまま持つて来られたので、これをはつきり切り離された場合には、この考え方はお変えになつて、やはり耕作を営まないものは別問題といたしましても、耕作を営むものの中で純自作と地主というものは分けまして、地主的なものと小作的なものの間にやはり緩衝地帶、中立地帶として自作的なものを置く方が農地委員会の公平な、公正な運営かできるゆえんだと思うのでありまして、その点をどうお考えになつておるかということであります。  それから次に、従業農地改革予算というものにつきましては、甚だ予算が足らないのでありまして、例えば私のおります岡山県あたりの例をみますというと、今度の登記事務をいたしますのに、予算範囲では賄い切れないで、結局耕地を新しく取得する人から登記に必要な五十円とか百円とか、これは掛けてはならない金を掛けてやつとやり繰りをしておるということが多いのであります。そういう点かやはり今度も同じようなことになると思うのでありまして、例えば今度の維持資金或いは土地取得資金についての金融措置をやる、それに対しましてその事務予算措置をやらなければならんのでありますが、そういう予算措置なんかについてもこの際考えられていない、考えられてはおるんでありましようけれども、今度の予算には出ていないのでありまして、私は大臣に一番期待しますことは、恐らく大臣の大きな政治的手腕を以て金をとつて来られ、この予算を大きく殖やすことであると思うのでありまして、そういう点については一つ思い切つたことをやられる意思があるかどうかということであります。  そこでもう一つ最後に金の問題について関連いたしまして申上げますというと、先般来問題になつておりましたところの維持資金或いは取得資金の問題でありますが、これも昨日大蔵大臣に質問してみますというと大蔵大臣は昨日の答弁に、昨日、つまり今から言えば一昨日、初めてこの問題を聞かれたというようなことでありまして、こういう問題は、普通の場合であれば地方自治体を通じて金が出るのであるから、関係方面承認は要らないけれども、併しこれは法律に基いて行くのであつて、異例の場合になるからしてその点はつまりどうなるか分らんが、大してむずかしくはないと言われましたが、我々は従来の経験から見まして大蔵大臣が言明されたことだけでは安心できないのでありまして、例えば先般の参議院の選挙に当りましても、輸出金融公庫というようなものをはつきりと大蔵大臣が公約されておりましても、それがなかなか実現の運びに至らない、こういうことでありまして、もつとはつきりと大蔵省承認し、更に関係方面、ESSなんかを加えた関係方面の了解がはつきりしておらなければならんと思うのでありますが、そういうことについては大臣の方ははつきりとした確信を持つておられるかどうか、これはただお上手な御答弁ができると思うのでありますが、上手な答弁だけではなしに政治責任を負うた、はつきりした確約かできるのかどうか、そういう点を先ずお尋ねしたいと思います。
  12. 廣川弘禪

    國務大臣廣川弘禪君) 小作料値上げ等について固定資産税その他に及ぼす影響が非常に多いのだが、政府はこれについてどうかというお話でありますが、これはお説の通り土地価格が上ることでありまするから、このことについては我々といたしましても十分関心を持つておる次第でございます。  それから第二の政府買收をとめて相互間において買收をする場合においては小作者というものでなく金持の方に土地が移行して行くんじやないかというお話でありますが、これも強制譲渡委員会で計画を立ててやつております。そう言つたように行かんよう委員会の方でやつて行くのでありまするから、その嫌いはないと考えておるのであります。  それから第三の、委員会構成に当りまして一号階層と二号階層の間に中間階層を設けたらどうかというお話でありますが、大体実態に即した立法をいたしておりますので、こんでよろしいのではないかと考える次第であります。  それから第四の、この法律を行う場合に非常に事務費その他について予算が足りない、これは私も聞いて知つておるのでありますが、これも来年の予算等において、極く近い将来において十分考えなければならないと考えておる次第であります。  それから維持資金のことにつきましては、実は私もまだ就任早々でありましたので、これも一昨日実際のことに私ぶつかつたのでありまして、それで池田君とよく相談をいたしまして大蔵省としても十分やるということでありますが、これは決してお上手な答弁でなく、私は今後の維持費その他について責任を以てやらなければならぬ、こう考えておる次第であります。
  13. 江田三郎

    江田三郎君 そこで廣川大臣と問答をしますと、大体暖簾と腕押しよう傾向になるので、抽象的な議論はやつたつて仕方がないと思いますから、具体的なことについてお尋ねしますが、小作料の問題については非常に関心を持つておる、こうおつしやつたわけでありますが、この小作料の出し方について政府の案で行きますと、反当收量の二石五斗一升という見方をしているわけであります。ところが我が国の反当收量供出割当の場合におきましても、過去昭和二十年は特別に数字が低い、そういうものは別にしましても、昭和二十一年以降の平均数字を見るというと二石一斗になつておる。供出割当は二石一斗にしかならないものを二石五斗一升であるとして小作料を算定するというようなやり方は、恐らくこれは大臣でも適当とはお考えにならぬと思うのでありますが、この点はどうでございませうか。
  14. 廣川弘禪

    國務大臣廣川弘禪君) それは事務次官からお答えいたします。
  15. 山添利作

    政府委員山添利作君) 御尤もな御質問でありますが、この資料は具体的な調査に基いて出したものであります。従つてそれが二石五斗になつておる。それを全国から見ると一石一斗か一石二斗で、非常に高いのではないか、御説の通りであります、併し收穫分と申しまするか、これに金額を掛けました收益とそれから費用の問題は、これは相互関連的なものでありまして、沢山穫れるような場合には沢山の経費が要る、少い場合は又経費も少い。これは抽象的にそういうことを申すだけでなく過去に研究された例によりましても、これは極く僅か收穫が殖えるに従つて経費率は幾らか少てなるという事実はございますが、大体論といたしましては、これは收穫と経費というものは併行的のものである。そこでこの事実をそのまま捕えて差支えないと考えるのであります。ただ一般的な場合に引直すとしますれば、二石五斗は成る程高い。ですからこれを二石五斗によるならば、ここに出ております小作料としての四百九十八円が更に一割何分か減る、こういう計算になるわけであります。その辺のところは大体切りのいい倍数でやつて行くという考え方をしているのでありまして、この数字を決めるに当りましても、それに大体の観察を加えて決めた、こういうことであります。
  16. 江田三郎

    江田三郎君 どうもこれは大臣に質問しようと思いましたら、図らずも事務次官の方がお答えになつたのでありまして、事務次官答弁というものは大分的が外すれて来るのであります。それはなぜかというと、二五斗一升というものをやるのには当然経費が沢山かかるけれども、これが二石になるというと、それに比例して経費が下るような御説明でありますけれども、そういうものではございません。ここへ出ておる農家というものは、全国で一町三反以上の上層農家の統計でありまして、上層農家が二石五斗一升穫つておるのにこれだけの経費を使つておる。そうすると、恵まれない農家が仮に二石になつて、それに比例して心要経費が減るということではないのでありまして、むしろここに出て来る上層農家は、経営合理化等によつて経費の面においても比較的軽く済むのであります。或いは所によりますと、この心要経費では反当二石以下を挙げるにもこれでは足らんというような場合も出て来るわけであります。特に今日我々は小作料の問題を論じておるのでありまして、今小作地として残つておる土地は一体どういうよう生産性土地か、上位の生産性土地か、或いは濕田等の不良な所が比較的多いのか、そういうところをもう少しお考えになれば、只今よう答弁はできない筈でありまして。これは要するに七倍という初めからの一つ根本方針を決めて置いて、それに合すために作り上げた数字だと、こう言わざるを得ないわけであります。而も二十四年の八月の数字がこういうことになつておりましても、その後の今問題になつておる固定資産税一つ考えて見ましても、その他の所得税から考えて見ましても、肥料の値上りから考えて見ましても、農家必要経費というものは大変な上り方をするわけでありまして、仮に米価が上りましたところで……、大蔵大臣米価を上げる、農林大臣米価を上げると言われたところで、恐らく私は現在のシェーレ傾向というものがそう收まるものではないと思うのでありまして、こういう点は農林大臣はいざ知らず、事務次官としては十分にお分りになつていて、何か外のことを君つておられるのじやないかと思います。もう少しざつくばらんにおつしやつた方がいいのではないか。
  17. 山添利作

    政府委員山添利作君) これは資料といたしまして、成る程平均的な農家でございますれば、より一層資料正確度を増すということには違いないと思います。併しいずれにいたしましてもこれは平均を採るのでありまして、あなたのおつしやるようにそれぞれの場所、例えば差額地代というような観念で行きますれば、それはもう限界農地に行きますればこういうようなことになり得るだろうと思うのであります。併し飽くまでもこれは物の価格を決めますときでも大体平均でいつておりますので、小作料の点におきましてもやはり平均的にものを考える。これが資料といたしましても、生産費を調べております役所の数字といたしましては、これが一番権威のあるもので、外に拠るべき資料があるわけではございません。そういうわけでありまして、やはりこの資料に準拠するのが一番の途である。で、その場合にやはり経費とそれから收穫率との問題でありますが、これも成る程個々の場合を採りますれば、いろいろの違いがあると思いますけれども、多くの平均的な場合を考えて見ますれば、これは收穫が多くなるに従つて経費増加する。少くなるに従つて経費は減少する。その間多少多い方が経費増加率は若干少い。こういつたような点もございますけれども、大体論としてはそいつは一致している。こういうのが平均的な見方でありまして、そこで飽くまでもこれは平均的な考え方をいたしているのでありますから、私の申していることも、結論を出して敢て索強附会の言を弄している、こういうことではないのであります。  尚将来の問題といたしましては、将来と言いますか、これは昨年から現在まで一年経つておりますが、その間にいろいろ物の騰貴があるというような点でございます。これは来るべき米価によりまして当然修正をされるわけでありまするから、その点は心配がないと考えております。  尚米価そのもの方向から申しますれば、ともかく上つて行くという方向には違いないのでございますから、むしろその点につきましては、過去のインフレーシヨンの時代よりも私は状況がよくなるのではないかというように思つておる次第でございます。  尚固定資産税の問題は、当然ここに小作料として挙げております中から出るわけでありますが、この点はまあ関係がある、こういうふうに思つております。
  18. 江田三郎

    江田三郎君 今言われたことについて、どうも納得ができんのでありますが、一番最後固定資産税の問題はあなたが言われるのは半分当つておりまして、半分違うのでありまして、それは何故かというと、農用家屋、農舎、農用宅地、そういうものの固定資産税はこれは小作料とは別でありまして、この点はかかる部分もあるのであります。それは別でありますが、若し平均的な数字を出して行くのだという考え方ならば、一体誰が考えたところで、日本の供出割当平均数字が二石一斗であるならば、その二石一斗の数字から出て行かなきやならんわけです。更にそれでも実際は不十分なんでありまして、本当に平均的な数年ということになるならば、小作地の反当收量と反当必要経費平均的な数字から出して行かなければならんのであります。そういう点からどう考えてみたところで、二石五斗一升というようなこういう数字だけで、これを平均的な数字と言う根拠はどこにもないわけでありまして、ただ白を黒と言うことを以て平気だと言うのならば別問題でありますけれども、我々はそういうようなことではないと思うのです。ただあなた方の方で、これ以外に農林省の方では統計を持つていないのだから、適当ではないと思うけれども、これを出したのだと言われるのならば別問題でありますけれども、これを以て飽くまで平均的な数字であつて、適当なものだとおつしやるのならば、これは恐らく世間の常識というものの大部分は承認せんだろうと思います。その点どうも余の強引な御答弁でない方がいいのじやないかと思う。それからもう一つ将来税金等の値上りにつきましては、小作料の値上り、そういうものにつきましても、米価に織り込まれるということを言われたわけでありまするけれども、これは将来の価格パリティの計算から行きますと、税金なり、小作料というものはその要素になつていないわけでありますが、これは農林大臣にお伺いしますが、今後農林大臣は税金、小作料等を米価に織り込むところの決定方針を以て二十五年度米価を処理されるかどうかということです。
  19. 廣川弘禪

    國務大臣廣川弘禪君) これはいつでも、どこの委員会でも問題になることでありますが、現在の米価決定についてはもう魅力がなくなつておる。そうして今後生産費その他のものを入れて適正な米価を出せということが輿論であるのでありまして、我々もこういつたようなものを今後やはり入れて考えなければならんと思つております。
  20. 山添利作

    政府委員山添利作君) 私はあなたの言われることを実は認めているのです。二石五斗一升が平均だとは実は申しておりません。やはり二石一斗なり、二石二斗がいいと思うのです。ただ資料関係上こうなつている。そしてこれを使う場合に、平均的なものに直せば、四百九十八円というのが二十五分の二十二を掛けるよう数字になるのだ、そこの数字の差はあるけれども、これは大体観察から見れば七倍というのを採るのに左程影響する程度ではない。ですから切りのいいところでやる、こういうわけであります。
  21. 江田三郎

    江田三郎君 どう考えてもそういかんじやないですか。これがもう適当な資料でないということになつて、二石五斗一升は適当でないということがはつきりしておるなら、たまたまこういう数字で見て、片一方は七倍という数字と較べてみたところが丁度合いそうだからこれを使うということは出て来ないじやないですか。これが必ずしも適当な資料じやないということを認められているならば、七倍根拠というものはないということになるのですよ。これは適当でないのに七倍がやはり適当だということは、恐らく常識のある人間は一〇〇%あなた方の説とは違つた意見を持つだろうと思うのです。
  22. 山添利作

    政府委員山添利作君) これはあなたのおつしやることは、今農林省でやつております生産費の委嘱をしておる農家が少し大き過ぎる、これは農家経済調査の方と大体同じよう数字が出ておるのでありますが、大き過ぎるのじやないかと、こういう議論がありまして、その点は私はその通りである、こういうことは認めておるのです。併しそれ以外に寄るべき数年がないということと、それからここに出た数字を直すのには先程申しますように、経費というものと收穫率というものは大体並行したものであるという前提を一面それは持つているのです。その事柄は過去の研究にもそういうのが確にあつたのでありますから、従つてそれは何ら差支はないと、こういう見解なんでありまして、成る程資料が元からよければそれに越したことはございませんけれども、この資料を使つて、一方そういう経費と收穫率の関係を考慮しつつ引用するということは間違つていない、こういうふうに考えるわけなのであります。
  23. 江田三郎

    江田三郎君 これは何度言つたつてきりがつきませんが、ただ申しておきます。これは私はただ小作料だけの問題じやない。これは小作料の決定がこういうことでなされるというと、直ぐに土地価格え響いて来るし、更に固定資産税、本年度はいいとしても、来年度から固定資産税に響いて来るし、農家全体え、たまたま農林省のとんでもない統計資料を本にされたために農家全体が不当な課税まで将来引受けなきやならんという大きな問題になりますから、全国の農民の各において農林省のかような杜撰な資料の使い方に抗議だけで申上げておきます。これ以上の議論をしたところで、つべこべ言うのだから馬鹿らしくなる。
  24. 小林孝平

    ○小林孝平君 農林大臣一つお伺いしたいと思うのでありますけれども、その前提といたしまして先日農林大臣は今後の農業政策の基本方針をお話しなさいました際に、供米制度は今後続けて参ると、こういうお話をされたのでありまするけれども、現行の供出制度というものは、食糧管理法と食糧確保臨時措置法の二本建でなつておるのでございます。これを続けて参るということになりますというと、明年の三月に効力を失います食確法の方は今後継続される措置をお探りになるかどうか、お尋ねしたいのでございます。
  25. 廣川弘禪

    國務大臣廣川弘禪君) 三月一杯で失効になりまする法律はこれをよして、継続する意思は持つておりません。
  26. 小林孝平

    ○小林孝平君 そういたしますと、今後は單に食管法一本で供出制度というものをおやりになることになるのですか。
  27. 廣川弘禪

    國務大臣廣川弘禪君) さようにして行きたいと思つております。
  28. 小林孝平

    ○小林孝平君 先般事務次官にお尋ねいたしました際は、この問題については愼重に考慮いたして決定するというお話でございましたけれども、その後御研究の結果そういうことになつたのでございますか。
  29. 山添利作

    政府委員山添利作君) 大臣の申されたのは、食確法は失効になつて食管法でやつて行くということを申されたのであります。いずれにいたしましても割当をいたしますのに諮問委員会ようなものがなくちやならんわけでありまして、それらのことが食管法等に採り入れられると、こういう前提の下にであります。
  30. 小林孝平

    ○小林孝平君 ともかく現在の食確法はいろいろの不備の点或いは運用の不十分の点かあるのでありまするけれども、この計画的な生産を行うという点については相当の貢献をしたと思うのでありまするけれども、今後最近の朝鮮事変以来の食糧事情というものを考えますると、私はどうしても何らかの形においてこういう制度というものは必要であろうと考えておるのでございます。農林省は朝鮮事変勃発までの情勢をお考えになつて従来通り食確法を廃止するようにお考えになつておるのだと思いまするけれども、更に愼重に御研究を頂きたいと考えておるのでございます。この点はどういうふうにお考えになつておりますか、もう一度お伺いいたしたいと思います。
  31. 廣川弘禪

    國務大臣廣川弘禪君) 御趣旨の通りに三月一杯で廃止になる法律において、どうしても今後必要な点は、これは十分考えて他の適当の方法を講じたいと思つております。
  32. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 これは前の委員会でたびたび御質問を政務次官その他に申上げたのでありまするが、どうも納得が行きませんので、最後的に農林大臣にお伺いいたしたいと思います。即ち今期国会には地方税法の改正と同時に土地台帳法の一部を改正する法律案が上程になつておるわけであります。この法律によりますると、従来の賃貸価格の制度が整理廃止をされることになつておりまして、現在の自作農特別措置法によりまするところの第六條の「当該農地につき土地台帳法による賃貸価格があるときは、田にあつては当該賃貸価格に四十」云々という、この土地価格の決定の基礎になるものがなくなることになるのであります。併しながらこの自作農特別措置法等の一部を改正する法律案が通過をいたしまするならば、これは賃貸価格の有無に拘らず主務大臣が中央農地委員会に諮問いたしまして定むる基準に従つて決めるわけでありまするから問題はないわけであります。そこで不幸にして土地台帳法の一部を改正する法律案は通過し、この自作農特別措置法等の一部改正法案審議未了その他継続審議に行つたような不幸な場合に立至つたことを想定いたしました場合には、土地価格の基準がなくなるのであります、と私は了承し、又法務庁にもお尋ねをして、その通りであるという御答弁を頂いておるわけでありまするが、その場合には農地の価格につきましては如何ようなる処置を農林大臣には御用意になつておりまするか。第六條にありまするところの当該農地について、土地台帳法について賃貸価格がない云々というような條項でやられるのでありまするか、この点をお伺いいたします。
  33. 廣川弘禪

    ○国務大臣廣川弘禪君) 実はよくそれを詳しく存じませんから、事務次官の方から答弁いたさせます。
  34. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 これは細かい末梢的なことであれば事務次官の方からの御答弁でいいのでありまするが、我々はもう何回も聴いたのです。ここに二つの法律案が同時に提出されておる、両方共通過すれば問題ないのだが、一方だけで、一方が通過しないという場合には非常に重大なる、農地の価格の基準がなくなつてしまう、中ぶらりんになつてしまう、こうようなことについて、農林大臣は、そういう細かいことは知らないから事務次官によつてというようなことは全く心外だ。農林大臣の御答弁を求めます。
  35. 廣川弘禪

    國務大臣廣川弘禪君) 我々はこの法案か通過することを期待しておりまするので、まだそこまで私達実際問題として考えていないということであります。
  36. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 勿論そうであります。二つを一緒に出されるのですから、二つ共通ることでお考えになつておりますと思いまするけれども、併しながら若しもということによつての御準備はこれはなければ当然これは困つて来るわけです。このことについて全然御用意がないということは、誠にこれはどうも農政の責任者である農林大臣としてはあるまじき態度であると、私はかよう考えるのでありまするが、やはり吉田さん初め一貫したところの、もう、若しやとか、或いは予想とか、そういうことについては全然お考えにならずに、自分の出した法律案は是が非でも通す、通らないときには又そのときに考えるというような御方針であるかどうか、一つお伺いします。
  37. 廣川弘禪

    國務大臣廣川弘禪君) 通ることを期待しておりまして、実際問題に当りましたらば万遺漏のないように処理いたしたいと思います。
  38. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 そのことはもうこれ以上お伺いいたしませんが、次に昨日近藤証人をお喚びいたしまして、いろいろと土地価格、或いは小作料等を改正されることについて、学問的な見地からそれが妥当であるかということについてお伺いをいたしたのであります。ところがその結論といたしましては、不幸にしてと申しまするか、どうも農地価格小作料を引上げるなどの必然性というものがかけら程も発見できなかつたのであります。即ち收益価格によつて計算をされまするというと、二十一年以来今日まで黒字の出た場合というものは一年でありまして、その他の場合はすべて純益或いは小作料等を考の外に置いても尚且つ赤字であるという状態であります。かような権威ある学者の研究の成果が嚴として存在しているにも拘らず、飽くまでもこの小作料七倍値上といつたようなことをば強行される、その本当の御意思、は、或いは理論的な根拠はどこにありますか。又七月三日というような期日がよく法律の中に出て参るのでありまするが、こういうことについての根拠、尚従来の農政というものを反省して参りまするというと、必ず農民に対して国家の大きな財政的な負担の要求等がなされる場合には、必ず土地価格或いは小作料というものが引上げられておるんです。明治初年におきまするところの国家財政の七割を地租において負担をしたというがごときはその最たるものでありまするが、廣川農政の先ず手初めの問題として、めつたに一農林大臣と雖も手を着けることのない農地価格の改正或いは小作料の改正等を御着任早々、而も二十一年に決められて数年を出でないうちに、これをば強行をして改正をされるという、その農林大臣の御信念の真体というものをばこの際に伺つて置きたいと思います。
  39. 廣川弘禪

    國務大臣廣川弘禪君) この前も申上げました通り、農地の価格のみがすべての環境から遊離することはあり得ないということをこの前申上げたのでありまするが、そういうような観点からこれは改革しなければならんと考えておる次第であります。尚細かいことは他の委員から一つお聞きを願いたいと思います。
  40. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 私はこの前農地の価格小作料等については農地改革の建前から別な考を持たなければならんということにおいて今のようなことをお尋ねいたしましたので、それに対する御答弁がそのまま今日なされたのであつて、私が今申しているのは、昨日近藤教授から詳細に現在の経済情勢においても尚且つ小作料その他の純益等を考えなくても赤字になつておるという農家経済の実態を基礎にしても、尚且つこれを強行されるかどうかということをお聽きしているので、農地価格或いは小作料が外のものと別な、特別な扱いをしなければならないという考え方に立つておらない質問なんです。この場合にこのような大きな法律の改正をされることに当りまして、農政学者その他の経済学者等の御意見をどれ程までに御参考になりましたか、この点も又併せてお伺いいたします。
  41. 廣川弘禪

    國務大臣廣川弘禪君) 学者の研究は、これは参考としてお聽きするのは当然であろうと思いまするが、併し具体的に申上げまして、税金等も上ることでありまするので、この場合農地の価格を改正することが適当である、こう考えております。
  42. 岡村文四郎

    岡村文四郎君 大臣でなくて軍務次官にお伺いをいたしまするが、実は小作料の値上で内心迷いが生じております。それは地主制度を設定する時分の趣旨が一体どういうところにあつたかということであります。  それから二番目は、現在地主として扱われておりまする全国階層は、どういう者がどういうふうになつて残されておるかということをお尋ねいたします。
  43. 山添利作

    政府委員山添利作君) 第一の質問は御趣旨がよく分らないのでございますか、地主制度設定する……。
  44. 岡村文四郎

    岡村文四郎君 この法律を拵える時分に地主というものを認め、保有しているものを認める。そのときに保有地を認め、地主制度を認めたかという趣旨です。
  45. 山添利作

    政府委員山添利作君) これは当時非常に議論のありました点ですが、地主の保有地を認めたという理由につきましては、いずれ土地とそれから土地を利用する労働との調整の間に、まあ自然どうしたつて土地の移動ということは考えられますね、耕作力と土地。その関係におきまして小作地というような比較的移動し易いものを若干程度残して置くことは成る程度合理性がある、こういうことで全部を解放しなかつたこういうことになつておるのであります。  それから第二番目の、今どういうふうにして残つておるかということにつきましては、全体の数字が御承知のように約五十万町歩でありまして、多い人は制限面積の一町歩をそのまま持つておる人もあろうと思います。
  46. 岡村文四郎

    岡村文四郎君 お尋ねをいたします。目的が地主制度を設けるときの趣旨によつてそれに即応する保有地ができておるかおらんかどうかの考であります。そこで農家の家族構成が順次変つて参りました関係で、保有地が一つもないということになると、これは非常に日本の農業の将来の発展性が一つもないのであります。そこで地家個人が保有をしておるのか、地主として残つておる階層が、地主が保有しておつて小作人に廻すのか、そこが非常に違います。そこを一つお伺いいたします。
  47. 山添利作

    政府委員山添利作君) その点の正確な資料はないのであります。全体から通観いたしますと、日本の地主はこれは非常に数が多いのでして、無論三千町歩とか四千町歩とかいう大きな地主の人も五指とか十指とかございますけれども、大部分は非常に土地所有そのものが日本の経営のごとく零細である。従つて恐らくこの小さい地主のものにつきましては制限面積の中で納まつておるものも相当にあると考えます。今の点は従前の土地所有の階層別の区分を農林統計に持つておりますが、それを見まして明細に分析すればいくらかはつきり出るかと思いますが、まあその大体の考といたしましては極く小さいものが多い。そういう土地所有の状態の下における農地改革でありまするのと、一町歩残しております関係上、これは人数としては非常に多くの所有者と言いますか、地主というものがあるわけでございます。
  48. 岡村文四郎

    岡村文四郎君 江田さんと事務次官とが大分問答をおやりになつて、到頭これ以上言わんということになつたのでありますが、私は地主制度を設定したその趣旨、その後の保有地の状態で小作料が問題になつて、論議するということは非常に必要な事項だと考えております。そこで一町保有することになつておるから昔の地主がそのまま一町保有しておるということになりますと、これは又考えなければならん余地が出て来ると思います。そうでなくて、家族構成のために小部分の土地を保有してそれを小作に廻しておる状態が非常に多ければ、これは非常に喜ばしいことで、そこでおのずから小作料の問題になつて来ると思うのですが、これは相見互いで、法律にそう並べて決めなくても解決もなくはなく、我慢もなる問題であると思うのであります。それを一町保有する規則になつているんだから保有しているんだということで、元の大地主の人がずつと保有しておりますと、これは問題が違います。自然それに伴いまして第三次農地改革というようなものも考えられましようし、又小作料についてもそれに大いに影響をなすのであります。この間の農林省の資料によりますと、小作料を七倍上げて農家影響はないか、そのことはどうだ、こうお聽きしておつたのですか、資料を見ますると、九反九献耕作をいたしております農家が八畝の小作を出しております。そこで八畝の小作では農業形態にそう影響はしないと、こういうふうに書いてあります。それはその通りであります。八畝というのは二百四十坪である。一町内外自作者の経済圧迫か少々高くなつても何ということはないと思うのです。そこで單なる七倍という、そういうものを目標にして地主と、こうなるとこれはなかなかそれが適当かどうか、米の平均收穫が二石一斗、こういうのができて来るのです。その最初の基礎がはつきりして納得できる、我慢ができる、本当の趣旨に副つて保有されておれば、これは話がなんぼも付いて、でかでかと法律に七倍値上げになるということまで私は書かなくても私は事が済むと思う。昨日近藤教授のお話では、二百円以上絶対に拂うべきでないという、こういう議論をいたしておりましたが、拂うべきでないと言いましたが、却つて返して貰いたい。小作料というものは五百円貰つても大した益はない。そこで書くというここは非常に禍いをなしまして、結局議論の的になつて、この法律の通過にも大分御議論があるようですが、そういうことをまじめに本当の地主よう考えておるのが非常に多いと思うのです。そういう趣旨で家族の構成が移動するから、その移動した時分に、最初は五人であつたものが三人になつて、二人減るので非常に土地が余る。そうしてやがて五人になると又何か小作を返して貰いたい。こういう程度なら余り数字を並べて論議する必要のない状態じやないか、こう考えておるものですから、それを聽くわけなんです。
  49. 山添利作

    政府委員山添利作君) 数字がちよつと参りましたのですが、岡村さんの言われる不耕作地主、これは約十七万戸でありまして、全体の農家戸数に比べますと二・九%、これらの者で持つております土地の面積は概ね五反歩以下、従つてこれは純然たる地主的なものという意味でございます。従つて大部分のものは岡村さんの言われる耕作者が他に又労力の関係で出しておるのが多いのじやないかと思うのです。併しその場合に小作料など問題にせんでもいいじやないか、こういうことを言われますけれども、それはそうは参らないのでありまして、やはり小作料というものは一つの明確な基準による統制がなければならん。その統制の基準は自作收益価格、これは土地価格であります。その生産費の分析によりまして、農業経営の中から出る余剰から支拂うべきである、こういうことに違いないと思います。
  50. 岡村文四郎

    岡村文四郎君 私の申上げますことと喰い違つたお話をされておりますが、そうなりますと、今度は問題を大きくいたしまして、私はここに統計を持つておりますが、小作料を現在のように七十五円に決めておりましても、千円まで拂つておるのがあります。それが一応の基準を決めておつてもそうでありますが、そこまでやかましく言わなくてもいいのじやないかと申上げましたが、そうではない、こういうふうに心配しなければならんというお話でありますが、そうなりますと、今度の地方税改革によつて固定資産のために農家の負担額が非常に重くなつて、今後農家がどうなるかという心配をどこまでされておるか、それをお聴きします。
  51. 山添利作

    政府委員山添利作君) この七倍という理由につきましては、先程江田さんからお話がありましたあの資料は不完全でありましても、とにかくあれによつて御了承願います。将来の見通しとしてそれでは固定資産税がどんどん上るかどうかということにつきましては、そうは考えておらないのでありまして、これは今までの税の取扱審議の経過から見ましても、成る程重いことはずつと重いのでありますが、他のものと大体同様の倍率にされておるというのでございまするが、現在政府から国会提出になつておりまする法案ではその点漠然といたしておりますが、この前の国会に出された提案によりますると、土地価格等が公定価格が上れば評価基準の倍でもそれに逆比例して下げる、これは一年だけの話でありますが、そういう精神等から見ましても、そうそうこの方面が上つて行くという考え方はいたしておらないのでありまして、公定価格を上げるから税が上いるとうのではございません。小作料を引上げましても、七倍と言いますれけども、本当はその中の四倍と言いまするか部分は税金でありまして、あとの三倍部分が地主の手に入る金、こういうことになつておるのであります。これは小作料の中における税金部分が半分以上も、恐らく收益の半分以上も税金を取るということは、税理論から見ると非常に矛盾をしておるようにも思うのでありますが、併しこれは一帶の貨幣価値の下落と申しまするか、大体元の賃貸価格の千倍、現在の案は九百倍であります、それを基準にして課税標準になつておる。こういうことになつておるのでありまして、農地の公定価格は御承知の通りそれより随分低い七倍にしましても、約五千円、一方の課税標準が一万円近いものに対してそういうことになつておる。それで当分これは農地の公定価格は低い。併し課税標準はそれよりも高い、こういう状況が最終的な経済安定がなされまするまでは進んで行く、こういうふうに考えております。
  52. 岡村文四郎

    岡村文四郎君 今度課税をしようといたしておりまする固定資産税の賦課対象になります百姓の実態と政府お話になります件とは非常に相違いたしております。それは今日の新聞に書いてありました。非常に固定資産税は高く取られるが、総体的に見るとそう高くないようになつておる部分があるのであります。財産は持つておるが收入はそれに伴わないことをやつておるのが非常に多いのであります。そこで税の根本の考え方が非常にずるいのでありまして、国は收入を対象とした所得によつて税金を取る。それから他方団体に対しては收入があるかないか分らないような固定資産とか、というものに殆んど四分の一の税をかけてそうして取ろうこういうので、これは非常に矛盾をしておる。取り易いものはどんどん取り上げて、非常に收入があるかどうか分りにくい、納税者の拂う力のないものは地方の力に委せるというのは、これは非常に矛盾をいたしておるのであますが、それはそれでよろしいのでありますが、私は現在のようで、地価も上りどんどん上つてはいかんというお話は聞きました。今法律に書いてあるのは最少限度のことを書いてある。現在の最少限度。そこで六、七、八と三年間百分の三を越すことができないと書いてあるのですが、それは地方の公共団体の構成分子によつては、百姓は飛んだことになります。そこで飛んだことになると申上げますのは、例えば委員構成が百姓の意見が通るよう構成になつておりますと、これはそれで結構でありましようが、私はそうは考えられません。そうすると常に弱い、徳川時代から虐げられておる癖にはなつておりますが、百姓は全く地に堕ちたことになる。これは全部とは申上げませんよ。そういう心配をしておるのであります。そういたしますと、地方には財産は持たないがなかなか暮しがよくなつておる、こういう者がありますが、これはちつともそういうことにはならないで、やはりずるい人は非常に得をしておる、ずるい人は財産を持たないでそういうことになりますが、財産を持つておる百姓が非常に困つて来る。こういうことがはつきりいたしておりますが、これを庇う者は農林省だけが庇つて、そうしてそれはいかん、こういうので徹底するように御協議になつて、あの税法ができたのかどうか、それも一つお聴きしたいのです。そこで事務次官ばかりにお聴きすることは、あなたがもともとからよく知つておられて、農政局長時代だと思いますが、農地局長にならん先からよく知つておられるから、あなたばかりにお聴きしておりますが、実際の日本の農業者の立場というものは、私はもう半数以下の農家は非常に困つたことになるということを今言明して置いてもいいと思います。結果を見ないのに言明をするのは横着でありますが、何年もせん内に結果は出て参ります。そこで私に言わせますと、総理大臣がよく中立国のような武器を持たない国を侵害しようと思う者には罰が当ると言つておりますが、私はこれこそ百姓の実態を知らないで百姓を虐める者は罰が当る、これは宗教的なことで急に間に合わんことですが、これを大いに心配するのは農林省だけであります。外の役所は農林省の弱みにつけ込んで、いつでも農林省は慮げられておるし、大臣もそうでありますが、今度の大臣はそうでありませんが、(笑声)いつでも虐げられておる、弱みばかりつけ込まれておるので我々は憤慨しておる。農林省の役人は馬鹿ばかりで駄目だと言つておりますが、八方から責められてどうも割の惡いことになつておるのが今までの現状であります。ですから私は地方税の草案について、どこまで一体農林省ではこれを討議し、検討をし、実態を考えてやつてつたのであろうか、こういうことを考えますと、非常に疑いの目を持つております。聽くは聴くのだが、とことんまで協議しなかつたと思うのですが、どうなんでしようか。
  53. 山添利作

    政府委員山添利作君) 恐らく農林省はいつでも農家のための主張をしますので、外の役所から見ると、あれは余程頑固な、ものの分らん役所だとこういうふうに見られていると思うのであります。併しそういうことは農林省の伝統的な性格でやつておるわけであります。無論地方税の問題といたしましても、農林省としては農林省の主張は随分繰返し、且つ最後まで、森農林大臣の時分でありますが、閣議のときでも随分言つてつたのですが、ただその間のことは余りくどくどと申上げましても余り益もないことと思います。併し農村のことについて心配しておりますることは、農林省の者はろくな者はおらんかも知れませんけれども、熱意につきましては岡村さんに決して劣つておりません。
  54. 片柳眞吉

    ○片柳眞吉君 私は審議の促進の見地からざつくばらんにお尋ねいたしたいと思いますが、問題は小作料及び農地の価格の引上げの問題でありまして、いろいろ今日まで御意見も出ておりますが、この小作料なり農地に価格法律には別段明文がないわけでありまして、飽くまでこれは政府の方針と言いまするか、又正式には中央農地委員会に諮問いたしまして決定さるべき事項であります。法律事項ではないわけでありますので、そこで一応従来の資料から七倍というような案が決まつておるようでありますが、この際農林委員会等の意見を十分斟酌をせられまして、これをもう一遍再検討して頂いけないものかどうか。特に私も予ての米の生産費議論から見て参りましても、やはり相当の基準を生産費には加うべきであると思つておるのであります。この点がお考を願いたい事項の一つであります。  それからもう一つは、先程来江田さんからいろいろ御質問がありましたが、食糧庁企画課の試案で、昨年度の生産費しか探つてありませんが、毎年の生産費はずつと調査があると思いますが、而も物価の変動はありまするけれども、原單位計算でありますれば、過去の古い生産費資料もこれは使えるのではないかと思いますが、結果において倍率が変更になるかどうか分りませんが、もう一遍それを我々の意見を採り入れて再検討して頂くことができませんかどうか。これは審議の促進の立場から私は実は過去の経緯もありまするから申上げにくいわけでありますが、そういうようなことはどうでありますか。それからもう一つは、私はやはり米価なり小作料等の若し厳密に行きますれば各農地についてそれぞれ生産費も違つて参りまするから、従つてここに一定の基準を作るということは、これはもう技術的に止むを得ないと思いしますが、併しそうしますると、先刻からの御意見のように、耕境に近い、限界生産地なり、或いは生産費が償い得ない、或いは小作料の負担に堪え得ないという事態が起つて参りますので、むしろさような低位生産地帶に対して今後土地改良その他の施設を重点的にやつて行きまして、その面から標準的なものに近からしめるというような政策を実行して頂きますれば、基準であることのアンバランスは逐次解消されると思いますが、そういうようなことで行きませんと、仮に生産費を操りましても、やはりそれは標準以上の耕地がぺーされるに過ぎないのでありまして、低位生産地は小作料なりの引上げに従いまして、生産費が上つて参りまして、米価が決定されましても、尚低位生産地はペーできないというような事態ができますので、かような低位生産地帶の生産力の向上に力を入れるということで調整する外はないと思うのでありますが、この点につきまして一つ審議の促進上から忌憚なき御意見を伺いたいと思います。
  55. 山添利作

    政府委員山添利作君) 再審議の問題でございますが、これはいろいろ検討を頂きます以上、私共もただものを一応決めたから、それで突つ張るという考え方は持つておりません。いろいろの材料かございます限りは、それについての審議はいたすつもりであります。結論は別といたしましてもいろいろ問題になりました点について吟味をしてみるということは、これは行政をお預りしております者としては当然な責務だと思います。  次に基準を設置すること、個々の耕地に具体的にアップライして行く問題でございます。取敢えずの問題といたしましては、法律が変りましても個々の土地について精査することができませんので、従来の賃貸価格に倍率を掛けたものでありますが、従来の賃貸価格にその土地の相違はある程度現れておりますが、併しそれは随分もう十二年も三年も昔のことでありまするから現状に即しません。そこで中央から一走の基準を示しますると共に、今後のやり方といたしましては、改正法律に書いてございまするごとく、その基準に従いつつ市町村の農地委員会で一筆毎に等級をつけまして、そうして適正な価格並びに小作料を作つて行くと、こういう考え方をいたしておるのでありまして、取扱につきましては片柳委員のおつしやいましたことと全く同じ考をいたしております。
  56. 三好始

    ○三好始君 今審議中のこの法律案につきましては、相当重要問題が沢山含まれておるので、この短い期間に審議するのは余程我々努力してもかなり無理な点かあることは最初からしばしば私申上げた通りなのでありますが、そのむずかしいいろいろな問題の中におきましても、例えば農地改革が一段落したという考え方、更にこれ以上の改革はやらない、こういう考え方を探つておると思われる政府に対して、これとは全く異つた立場を採つておるものもあるわけでありますので、そういつた、どちらかといえば政治的な意見の相違、対立から来る疑問というのは、どこまで審議しても容易にこれは一致することはないと思うのであります。今大分問題になりました小作料の問題にしましても、これは政治的な見解の相違で容易に一致点を見出せないという部分も随分多いと思うのであります。ところが一面において、政府考えておる小作料取扱方針である七倍に引上げるという根拠は計数的に算出されたものでありますので、これは一面においては政治的な問題でありますけれども、一面においては具体的な数字上の問題なんでありまして、そういう技術的な問題に関する限りはこれは十分な検討をすれば相当問題が明かになつて来るし、解決に近付くのではないかと思うのであります。江田委員よりいろいろ政府から提出して頂きました資料に関して御質問がありまして、事務次官より答弁がありましたが、それを聞いておりまして、私自身もまだはつきりしないし、江田委員も要領を得ないというのでまあ憤慨して質疑を打切つたような恰好になつておると思うのでありますが、七倍に引上げるという数年が出てきた根拠は、提出頂いておりますこの参者資料に基くものであるといたしましたならば、私も非常に疑問を持つのであります。事務次官も反当收量二石五斗一升にしておることが不適当であるということは一応認められたと思うのでありますが、そういたしますと、反当收量自身を正当と認められるものに変えることで相当結果が変つて来はしないかということを私は思うのであります。成る程事務次官が一応申されておりますように、反当收量を切下げたならば、生産費自身においてもそれに応じて低くくなつて来るという、比例的な関係にある生産費もあると思いますけれども、固定的な費用も勿論あるわけでありますので、その辺の事情を十分に究明する必要があると思うのであります。七倍というはつきりした数字が出て来た根拠が、この資料に基くものであるといたしましたならば、この数字を示していろいろ説明してあります。この資料自身をもつと掘り下げて検討することが必要ではないかと思うのであります。そういう点で委員長の方におきまして、七倍値上げを導き出した将来の小作料取扱方針に関する参考資料の把握をなし得る資料が早急に提出できるのであつたならば更に出して頂いて、数年的な検討をいたすことができれば幸いだと思うのであります。これは委員長審議の問題としてお願いいたしておきたいと思うのでありますが、事務次官に一言お伺いいたして見たいと思うのでありますが、先程江田委員との質疑応答を通じて、若し私の聞き間違いであれば訂正いたしますが二石五斗一升という反当收量は、仮に二石一斗に切下げられても、七倍という小作料値上げの倍率はそう変らないのだというような御見解のように伺つたのでありますが、私はこれを二石一斗に切下げたならば、生産費は仮に比例的に動くといたしましても、倍率は変つて来るのではないかというふうに常識的に考えるのでありますが、この点についての考をもう一度はつきり伺いたいのであります。
  57. 山添利作

    政府委員山添利作君) 普通の、例えば二石二斗ということでございますと、そこに四百九十幾ら、五百円と出ております。それに掛ける二十五分の二十二というのが変る数字であります。その間さつと六十何円違うわけであります。その辺のところは、いずれにいたしましても七倍という結論で大した違いはない、こういう意味であります。
  58. 三好始

    ○三好始君 そういう比例的な計算をしますと、私の計算では約六倍になると思うのです。七倍と六倍というのは大した違いはないのでありますけれども、これは大きい問題なのであります。而もこれは生産費が一応比例的に動くものと仮定した場合の数字なのでありまして、私は生産費はそんなに比例的に動くものばかりでなくして、固定費用を考えますと、この数字はもつと検討を要すると思うのであります。そういう意味から先程委員長にお願いいたしましたように、この七倍という数字が出て来た根拠そのものについてもつと計数的な検討をする必要があると思いますので、その辺の取扱を、時間的な関係などをお考え合せの上で適当にお願いしたいと思うのであります。
  59. 岡田宗司

    委員長岡田宗司君) これは委員長から申上げますが、只今三好さんから、小作料の算定についての基礎資料只今までに政府から提出されたものでは不十分である、これでは審議の基礎にならん、何か別にそういうものがあれば至急出して貫いたい、こういう要求があつたのでありますが、農林省におきましてはそれをお出しになりますかどうか。私共は出して頂くことを希望するのですが、その点如何ですか。
  60. 三好始

    ○三好始君 私はこれとは又全然別な角度から、資料というよりは、農林省が提出いたしましたこの資料を正確に把握できるよう資料を出して頂きたいのですが、外の角度からの資料も出して頂けば結構でありますけれども、差当つてはこの資料そのものを十分把握できるよう資料を出して頂きたい。
  61. 岡田宗司

    委員長岡田宗司君) 如何でございますか。
  62. 山添利作

    政府委員山添利作君) 大体一年だけの問題でなくて連続した、先程片柳さんも言われましたが、連続したような年数を採つて結論を見出すというのが一番よいのだろうと思うのです。ところがこの物量原單位による調査といいますのは、統計調査局で昨年初めてやりましたのでありますが、証人として説明をされました近藤博士が作られたのです。それまでの資料はございません。  それから又、物量という関係は余り年々によつて移動がございません。従つて一年分だけのそれを探りましても差支ないものと、こういうふうに考えております。それから物量計算でなくて、いわゆる單純な普通の考えております生産費ですわ、これを探つてやりますると、これは戰争が終りましてから、二十三年くらいまでの間はインフレーシヨンの時代でありまして、これはもうまちまちで、先程あちらからも、皆さんからもお話がありましたが、連続した資料になりません。これは断続的であります。連続した資料としてこれを取扱うことはできない。従つてこれはこういう問題を考えまするのに、基礎にならないのであります。そこでこの資料の出ました更に元、例えば労力がどのくらいかかつておるとか、一日三百円であるとかいうような、そういう細かい点ならばございまするけれどもそれはそれらの結果がここに現れておるのでありまして、資料をお出しするといたしましても、今申上げましたような、すでにこの中の説明という程度のものに過ぎないのであります。
  63. 三好始

    ○三好始君 そういうものでも結構であります。
  64. 西山龜七

    ○西山龜七君 私、農林大臣にお尋ね申上げたいと思いますが、過日来委員会の論議の中心になつております小作料の七倍、これに対しましては、閣議で決定をしておるように承るのであります。併し今の審議の経過を見ておりますと、多少その資料なんかに対しましても疑義を挟む点もあるように思いますので、先程片柳委員が申されましたように、この小作料の七倍というものに対しまして、やり一度政府において十分に検討して頂いて、閣議では決定しておりますけれども、これは再検討をして考慮しよう、こういうよう大臣の言明を得ることができるか否か、それにつきまして、審議の準行上非常に関係するところが多いと思うのでありますが、その点をお伺いしたいと思います。
  65. 廣川弘禪

    國務大臣廣川弘禪君) 先程事務次官から答弁した通り、これと、実際の個々の資料その他を合せて善処したいと、こう言つておりますが、あの通りであります。
  66. 江田三郎

    江田三郎君 その問題について、大臣にお尋ねします。まあ大臣にお尋ねするのは、例えば政府買上げをなぜ七月の三日に決めたかというような、日の根拠というようなことを聴くのが一番適当じやないかと思うのでありますけれども、そういうことじやなしに、一つ真面目に御答弁願いたい。それは昨日も近藤証人を喚問したのでありますが、大体最初の小作料、二十一年の小作料なり、或いは土地価を決めるときに、どういう根拠でこれは決定されたのか、そういう質問をこの前委員会でいたしましたところが、事務次官は、それは一般的な物貨のストツプ令と同じようなものであつたのだ。こういう答弁があつた。ところが近藤証人は、事実ある衝に当時当つておられまして、そうではなかつたのだ、これは小作農が生産された物から必要な経費を引き、そうして資本利子を引き、更に利潤を引き、向後に拂い得るものが小作料である、こういう一般的な原則の上に立つて決めた小作料であるし、又それに基いた土地価である。こういうことを言われたわけです。これは私はやはりはつきりとした農地改革の根本的な精神だと思うのであります。ところが、最近になつて来ると、それが非常に崩れて来たというふうに我々は思うのでありまして、この二石五斗一升の計算にしたところが、どうも表題は小作でありましたが、再生産を講ぜずに、支拂い得る額を限度として合理的に決定するということにいたしておりますけれども、どうもいろいろ質問をいたしてみますると、そういうことでなしに、何か腰だめ的なものを決めていて、それに合い得るたまたまあつた数字を持つて来たというふうにしか考えられない。それは農林大臣の御答弁にしましても、周囲の事情か変つて来れば変るのだというふうに、これは大臣としては極めてお上手な御答弁かも知れませんが、これはそういうものじやない。物価のストップ令で決まつたようなものであり。周囲の情勢でぐるぐる変つて来ておるものでないので。或いは小作農民が生産されたものから必要な経費を引き、そうして資本利子を引き、利潤を引き、最後に残つた余力というものが小作料として出て来るのだ、この原則というものはどこまでも変るものではないのでありまして、今後只今西山さんの言われたようなものを考慮されるとしても、その原則というものははつきりと確立して置いて貰いたい。それがないというとどうも妙な腰だめ的なものになつて終つちまうことになる。この点はつきり伺いたい。
  67. 山添利作

    政府委員山添利作君) この間の私のお答えしたことについていろいろお述べになつておりますが、成る程そういう單純な印象を與えたとすれば間違つております。私が申上げました趣旨は、先般も申上げて置きましたが、今回の価格改訂の方針は従来と変つていない、自作收益価根によつておるということは確かであります。且つ改正法律の中にもその趣旨のことは、例えば土地価格でありますと自作農の、「農地ヲ取得スル自作農ノ経営ヲ安定セシムルコトヲ旨トシ」、こういうことになつておりますが、小作料の統制の基準におきましては、小作経営者の経営を安定せしむることを旨とする、こういうことから裏を返して見ますと、従来決めております価格形成の形式とこの七倍の価格形成の形式と同じこどを申しておるのであります。ただまあ余計なことでありますが、ちよつと申上げて置きますが、この間私がストップ令と同じような状態だどいうことを申しましたのは、そういう今の理論上の計算と同時に沿革から申しまして、戰争中県別にストップをかけたわけですね。それが農地調整法の改正によりまして、いわゆる第一次農地改革の時分に、今申しました理論と同時に、従来のものを全部一括的にした、その規定振りが非常に不適当なものになれば変えるという規定はございますけれども、その規定そのものが大体固定的な規定振りにされておる。更にその後に自作農創設特別措置法によりまして地価を賃貸価格の四十八信と固定した、こういうところから自然そういう結果になつておることをただ結論的に申上げたのでありまして、小作料乃至地価の統制の根本趣旨は、あなたのおつしやるようなところにあるということは、これはもう農林省といたしまして、又法律の上におさまして終始一貫変りはないのであります。
  68. 江田三郎

    江田三郎君 もう一つ大臣にお尋ねしますが、固定資産税の問題について、この農林委員会としては、今度の二二・五の倍率というものは不適当だ、どう計算して見ても七・五以上の倍率は無理だ、こういうまあ結論が出ておるわけでありまして、これは地方財政の委員会の方に申入れをして、委員長の方でどう取扱われるか知りませんが、大臣としてこの固定資産税の倍率には二二・五というものをどうお考えになつておるか、又こういうことを農林委員会が満場一致で七・五を適当と認められた場合には、これの改正について今後どういうようにおやりになるか、これは大臣も、御答弁できると思います。
  69. 廣川弘禪

    ○国務大臣廣川弘禪君) どうも、不得手なことばかり聽かれますので……、これはやはり我々政府のものとしましては、地方税法案の出たものに載つておるものを支持する以外に途はないと思います。
  70. 江田三郎

    江田三郎君 これは重ねて申しますが、自由党の皆さんをも含めて農林委員会の全員の希望なんでございまして、それでもあなたは無視されて行かれるかどうか。
  71. 廣川弘禪

    國務大臣廣川弘禪君) 向うの委員会から相談があれば私適当に善処をいたします。
  72. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 先程三好委員から、小作料七倍値上の参考資料としての生産費の表に対して、納得のできるような、又これを証明するよう資料を出してくれという御注文があつたのでありますが、その場合に、私も一つの希望を申上げて置きます。生産費のいろいろな要素の中で、肥料の費用か二千七百六十八円になつておるのでありますが、説明によりますると、これは二十四年八月十五日の価格のあるものは、それによつて算出したものだというふうに出ております。もうすぐ明後日から肥料の値段が上るというような情勢下におきまして、新しい肥料の値段を勘案したところの生産費の計算というものも考えて頂かなければならないということと、もう一つは、石当り四千四百三円の生産費によつて生産をする農家というものは、恐らくこれは中流以上の農家であります。米の生産費は千差万別であります。私の持つておる資料によりましても、安いものは千百円から千三百円の生産費になり、高いものは一万三千円にもなる、そこでこれは平均されたものでありますので、大体において小作地を沢山持つておる農家というものは土地の條件が惡いのでありまして、その農家生産費というものはもともと平均より上る。單純に平均を持つて来て小作料の算定の基礎にされることは非常に危険であり、そこで先程もお話のありました二%でありまするか、その農地、小作地耕作しておるところの農家について、一つその農家平均生産費を出し得るよう資料というものに基かないと、全農家平均的なものでは、これはちよつと小作料の算定には困るのであります。でありまするから三好さんはこの資料以外にも、若しできれば望むけれども納得のできるよう資料ということでありましたが、私はそういつたよう資料を併せて一つ提出になるように希望申上げて置きます。
  73. 山添利作

    政府委員山添利作君) そういう資料はございません。ですからちよつと提出いたし兼ねます。
  74. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 それでないと小作料値上げ生産費によつてやるということになると、ちよつと納得できないのじやないかというふうに考えるのですが、ないでしようか。
  75. 山添利作

    政府委員山添利作君) 成る程お考のようなことも理窟としてはないとは申さないのでありまして、それは恐らくそういう資料がありますれば非常に結構だと思います。併し現にそういう資料かないということと、それから第一小作地だけの生産費なんていうものは、なかなか出るものではありません。一つ農家を掴まえてやるなら別でありますが……。それからどうせこれは経済のことでありますから、それぞれ関連性を持つておるのでありまして、やはりこういう資料によつて推定、推定と言いますか決めたことが不合理だとは思つておりません。
  76. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 私は小作地だけの生産費資料を求めておるのでなしに、單純な平均でなしに、それに近い資料がございますればということを申上げておるのであります。
  77. 山添利作

    政府委員山添利作君) 遺憾ながらございません。
  78. 岡田宗司

    委員長岡田宗司君) 午前中の審議はこれくらいにしまして、後は午後継続してやりたいと思いますので、その節にお願いいたします。それでよろしうございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  79. 岡田宗司

    委員長岡田宗司君) ではそういたします。
  80. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 その場合に農林大臣は来られますか。
  81. 岡田宗司

    委員長岡田宗司君) おいで願うようにいたします。それで休憩に入ります前に大臣の方から、麦の補正割当等の問題につきまして一昨日、昨日に互つて知事会議が行われておりまして、どうやら結論を得たようでございますので、その結論に対しまして、農林大臣としてのお考もあるようでありますから、それらの点について、お伺いしたいと思います。
  82. 廣川弘禪

    國務大臣廣川弘禪君) 昨日一昨日、二日に互りまして、知事会議を開きまして、本年度産の小麦、大麦の割当に関する会議を開いたのであります。この前に一言お話申上げておきたいと思いますが、何か知らんこの関係筋から麦に関して、その他食糧に関して、安易な考が今までずつと流れて来ておつたようでありまして、その線に沿うて事務当局も折衝いたしておつたようであります。それで非常に軽い気持で、今度の麦の割当を行なつようでありますが、急に最近に至りまして、主食に対しましては、非常に強い意見を持つようになつたのであります。そこで私達は、何回となく関係方面と折衝いたしまして、最後に最高機関まで参りまして、いろいろ農民の現在のあり方、或いは又世情のあり方等を説明いたしたのでありますが、何といたしましても、その声を受入れて貰えなかつたのでありまして、最後には最後的な指示を受けて、止むを得ずそれによつてやつたような次第でございます。その大要は、要するに連合軍の全軍が、極東の平和のために全力を挙げておるときである。又アメリカの市民は非常な大きな負担をして、それに堪え忍んで、極東の平和のために盡しておるのであるから、日本政府としては、強制的に主食の確保を図つて貰いたいということでありました。大要は二十五年産の小麦、大麦の供出割当に関しましては、事前割当の線を下げるがごとき補正を認めないということ、更に超過供出に対する特別買上価格は、既往価格の一・二五倍以上支拂つてはならないということ、それから小麦、大麦の供出割当は強制的であり、又麦は八百二十七万一千六百石玄米石を下ることを得ない、これを完遂するように、日本政府は全面的な処置を講じろ、こういう通知であつたのであります。これを知事会議にかけましたところが、知事会議といたしましてもなかなか承服できませんし、又将来の見通しも困難であるということで、知事から提案されました四項目を持つて、又私折衝いたしたのでありますが、先程申上げましたように、そういつたようなことを含めて、最後の指令となつて出て参つたのであります。で、昨日になりまして、知事と調整委員との連絡会議において大体意見がまとまりまして、客観情勢等がさようになつておるならば万止むを得ない。我我もそれに協力しようという態度になりまして、特に最も事変を身近に感じておる九州地区、中国地区の方々の主導性を以ちまして、非常に緊迫しておる情勢であるから、万止むを得ず我々は協力しようということに相成つたのであります。その條件といたしましては、保有麦を割るような場合には免責の処置を講じて貰いたいということ、それから五等麦の設定については、規格、等級等について十分これを考慮して、災害農家をいわゆる援護するという意味を以て、この五等麦買上げについては十分気を付けて貰いたい。又町村以下に割当てるために必要なる資料は、農林省から出して貰いたい、こういう三つの條件をつけて了承いたしまして、全員協力するということになつたのであります。尚要望事項といたしましては、菜種その他雑穀等は、これも供出の対象としてもらいたいということ、それから検査等が今まで下へ行きますというと、苛酷に過ぎておる嫌いがあるから、余り苛酷にならないように注意をしてもらいたい、こういう二つの要望事項を添えまして、全面的に協力するということに相成つた次第でございます。
  83. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 実は午後の審議、或いはその後の日程に影響のあることでありますので、今ちよつとお伺いしておくのでありますが、実は明後日から肥料の統制が撤廃されるわけであります。これは法律によらず安定本部の政令でできるわけでありますが、併しながら丁度国会が開かれておりますから、農林大臣或いは安本長官においては、機会を見て農林委員会にその御説明がされるだろうということをば期待しておるのであります。いつそういう予定をされているか、若しそういう予定がなければ、是非一つそういう日程を組んで頂いて、統制撤廃についてのその後のいろいろな農村において考えられているような心配その他に対して一つの安心を與えるようなお言葉が頂きたい、かように本員は希望しているのであります。
  84. 岡田宗司

    委員長岡田宗司君) それでは、それは御相談を願いまして、適当なときに農林大臣の方から、或いは安本長官の方から、農林委員会に対して御指示があるそうであります。
  85. 池田宇右衞門

    池田宇右衞門君 進行について、甚だ委員長、理事の各位は誠に御苦労ですが、休憩中に理事会を開いて御協議を重ねて頂きたいと、かように進言いたします。
  86. 岡田宗司

    委員長岡田宗司君) それでは午後再開の劈頭に理事会を開催いたしまして、進行等について協議いたすことにいたします。それでは一時半に午後の会議を開会いたしたいと思います。それではこれで休憩いたします。    午後零時二十三分休憩    —————・—————    午後三時四分開会
  87. 岡田宗司

    委員長岡田宗司君) それでは午前中に引続き質疑を続行いたします。  私ちよつと事務次官にお尋ねしたいのですが、小作料値上げに関する点につきまして、先年でございましたか、地租が増加されまして百分の五百になつたことがある。その際に、小作料についてはどういう法的措置を講ぜられたか、お伺いしたいと思います。
  88. 山添利作

    政府委員山添利作君) これは小作料につきましては、税金の値上り分だけを耕作者負担とするという小作條件の改訂ということをやつたのであります。但し、これは曲つた方法を便法として採つたわけであります。
  89. 岡田宗司

    委員長岡田宗司君) その便法は、省令を以ておやりになつたのでございますか。
  90. 山添利作

    政府委員山添利作君) 省令でやつたのでありますが、その省令と申しますのは、大体そういうことの変更につきましては、都道府県知事の許可を受けなければならんわけです。ところが多くの小作契約について、一々都道府県まで持つて行きますのも事実上できませんので、農地委員会承認をする、そういう法律の規定があるわけなんです。その農地委員会承認をして、それででよろしいという場合として、只今ような場合を省令で改訂したわけでございます。
  91. 岡田宗司

    委員長岡田宗司君) 若し今回この改正案が成立いたしませんで、而も固定資産税が設定されまして、実際に地租から固定資産税に変りまして、そのために土地所有者の負担が殖えると、こういう場合に、そういう措置事務的にできるかどうか、その点をお伺いしたいと思います。
  92. 山添利作

    ○府委員山添利作君) 去年やつたことは今年できんどいうわけに行かんのですから……。ただ、農地の問題につきましても、今までいろいろ申上げておりますが、これは昨年来農地価格ということにつきにましては、農地改革を繞つて、御承知のように、違憲訴訟が非常に訳出出ております。ああいう農地の価格では、憲法にいわゆる正当な保障であるか否か、この問題がなかなか出ておるのであります。もとよりこれは正当なる保障と考えておりますから、私共信念を持つて微動もいたしません。併し、段々年が移つて参りまして、いわゆる農地改革時期における政府買收の対象になります農地につきましては、今後共現在の農地価格で行くわけでありますが、新しく不在地主になりますとかいうような新たに発生するものにつきましては、そこに非常な問題が起るわけでありまして、従つて、農地価格の問題をこのままに永く放置するということは到底できない事情にあります。
  93. 岡田宗司

    委員長岡田宗司君) 御質問願います。
  94. 三浦辰雄

    ○三浦辰雄君 この改正の中で、自作農創設特別措置法で取得した土地、或いは買取つた土地で、自作農の創設又は農業上の土地利用において増産の目的に供しないということが分つた、供しないことを相当と認めたときは、その取得の対価に相当する価格で売渡さなければならんということがあります。そこで前にもちよつとお聴きしたのでありますが、この認定の問題は、従来の委員会等は使わなくて認定をするというところまで行つて質問が切れておつたのでありまするが、この認定は政府としてはどういう機関、或いはどういうような方法で認定をされますか、それをお伺いしたいのであります。というのは、私は、今日狭い日本の土地として、山林或いは原野は少くしてはならないとかいうふうなことを考えるものでもなくて、今日むしろ人口の多勢な者を養つて行く上から言つても、土地というものをあらゆる観点から見て最も有効に使わなければならんということに異議はない。併し、自分の知つている範囲においても可なり当初の買收等に当りましてはその適正を得なかつた土地があるように思う。そういうことがあるとすれば、非常に今日の土地の利用から言つても残念なことでありまするし、更に治山治水の関係から行きましても非常に農家の屋根も壊されるというよう関係になつておりますので、当然この処置は期待されたことでありますが、その方法をどういうふうにして認定をされるか、可なり実際問題になると問題か多いと考えますので、その点をお聽きしたいと思います。
  95. 山添利作

    政府委員山添利作君) 只今三浦さんのおつしやいましたことは、主として開墾適地の問題でございますが、開墾適地を取得いたしますのには、適地選定部会で審査をいたしております。これが不適当であるという認定につきましても、これは主として府県におけを專門技術者からなつておりまする開墾における選定部会でやりたい。こう考えております。
  96. 三浦辰雄

    ○三浦辰雄君 適地選定部会ということは、一応分るように見えますが、今日までの経過から見ると必ずしもその適地選定部会というものが、その思つたより、中央政府が思つているように活動しているとは限らない。ところが一応この機関にかかるというと、なかなかこれで自分達が一応選んで、それを可としてやつたのでありますために、内々それは成程無理であつたと考えても、そうは行かないといつたような場合が往々あるのではなかろうかと想像されるのであります。でありまするから、原則はさようなところであるということが、実際から言えば止むを得ないことではあろうけれども、それを何と申しましようか、さばきます上の、実際に合せるために、何か、例えば中央で一々やるわけには参りません。そこで、さらばといつても、よしと言つた、可とするといつた機関でやるということは、その機関の性質から言つても或いは又面子というような点から言つてもなかなか結果が現れて来ない。そうすると、その土地のいろいろの観点から誠に残念な、無駄な遊んだ土地をいつまでも睨めつこしていなければならんという問題になる。一方におきましては先般造林の臨時措置法というものができて、この土地というものを高度に使つて行こう。殊に治山治水の関係から言つて非常に強く採り上げられている際でもありますので、これをどうしても動き易いような形に持つてつて貰いたいと思うのであります。そこでその点についての本当の運用の形を一つその心組を聴きたいというのが私の質問であります。
  97. 山添利作

    政府委員山添利作君) 政府は買つたけれども不適地であつたというのが出ましたのは、昭和二十二年上から天降りに面積を押付けたというようなところから出ておるのであります。昭和三十三年の後半等からは御承知の適地選定基準によりまして精密な検査をいたしております。検査と言いますか、選定をいたしております。それ以後には選定を非常に誤つたというものは少いと考えております。従つて処置を要するものは以前のものである。それ以前の場合におきましては、おのずから委員構成というやうなことも現在程整備されておつたわけではございませんと思います。そういうわけでありまするから、新たに機関を起すということはなかなか困難でありまするから、やはり只今委員会でやつて行く方が適当ではなかろうか。且つその委員会構成等につきましては、私から申上げなくても皆さんよく御存じのことであります。その委員会で扱つて行きましても、一方的に偏する、或いは何か委員会の名前で選定し或いは農地委員会にかけたから引つくり返うん、こういうようなことにならないよう構成になつておる。そういうことにやつて行きたいとこう考えております。
  98. 三浦辰雄

    ○三浦辰雄君 取得の対価に相当する額というのは、結局言葉をえて言えば、まあ買上げされた所有者から言えば、もと買上げられた額で買い戻せるという意味に解してよろしいのですか。
  99. 山添利作

    政府委員山添利作君) その通りです。
  100. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 この改正案で見ますると、第二十八條が全然削除になつておるのであります。第三十八條の削除というのは、即ち今まで起つておりましたところの農地の先買制度を廃止するということを意味するのであります。即ち第二十八條におきましては、第十六條の規定による農地の売渡を受けた者若しくはその者から当該農地の所有権を承継した者が当該農地についての自作を止めようとする場合、或いは又省令で定める団体が命令に違反したというような場合に、政府かこれを強制的に買收しまして、そうして自作農として農業に精進する見込のある者に農地を売渡すというような役目を来しておつたのであります。その先買制度をば廃止することによりまして、現在の法律の下におきましても、尚且つ昨日の近藤教授の証言等によりますると、この耕作まその他による農地が次第に耕作の業務に精進する者以外のところに流れて行つて、過去におけるところの土地兼併への一つの又橋頭堡を作るというような危険もあるのであります。かような状態におきまして、この二十八條を削除いたしまする場合におきましては、農地の闇売買を助長し、混乱を招き、過去においてなされましたところの農地改革の成果をば非常に損ずるということをば我々は憂慮するものであります。如何なる理由によつて二十八條を削除せられんとするのであるか、或いは又削除された場合において、私が心配するようなことは全然杷愛であつてその他の適当なる処置があるのかどうか、この点をお伺いいたしたいのでございます。
  101. 山添利作

    政府委員山添利作君) 先買権を廃止いたしましたのは、この場合におきましても、普通一般の強制譲渡の場合と同様に扱うというのでありまして、元来先買といいましても、或いは小作地が一町歩を超えるから政府が買うといいましても、すでに現在の制度におきましては、農地委員会がそれを決定する、まあそれを政府が買つた形にすす、こういうのでありますが、この改正法案におきましては、政府がその間に介在することを止める、即ち事務的な面だけの関係でございまして、実質におきましては、農地委員会が計画を立ててやる、従つて先買に相当します場合におきましても、市町村農地委員会の計画に基く強制的移転とうことになるわけでありまして、政府が買うということが改正案におきまして拔けるのでありますけれども、実質においてはそれはいずれも農地委員会の計画によることでありまして、フアイオンスの点が違うということであります。従つて弊害が起る起うんということにつきましては、現状程度のことはやはり今後もあり得るかも知れませんか、このことによつて特別に統制が弱まつて行くというふうには考えておらないのでございます。
  102. 岡田宗司

    委員長岡田宗司君) お諮り申上げますが、大臣がお出でになつておりますので、一つ事務次官への御質問はあとにして、若し大臣への御質問がありましたらそれを先え一つつて頂きます、
  103. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 とかく農地調整法並びに自作農特別措置油が二十一年に制定されまして以来、だんだん政府の性格が変つて参りまして、それが予算的な措置等も法律の改正等と共に非常に変つて参りまして、地方の現に市町村の農地委員会等にはその面における心配を非常に與えておるのであります。又この場合にその法律が改正をされまして、どちらかと申しますると、農地改革に対する一つの今までの考え方よりももつとこう緩やかに、手綱を緩められたような恰好になつて来るわけでありますが、その場合に現在地方において心配をされておるよう予算の上に影響を来たすことはないかどうか。例えば市町村の農地委員会等においては、これこれの必案なる借地等の予算については、これは絶対に確保する予定である。又その自信もあるということをばこの際農林大臣から言明を頂ければ非情に仕合せだと思うのでありますが、その点を……。
  104. 廣川弘禪

    國務大臣廣川弘禪君) 万止むを得ざる費用はどうしてもこれは獲得しなければならんと確信いたしております。
  105. 江田三郎

    江田三郎君 そこで一つ今のを少し具体的に言うと、現在の予算でも登記経費等は足らなくて、負担さしてはならないところへ負担させておる、こういうことはまあはつきりある。それから今日の今採り上げられた請願の中にもありましたが、土地の交換分合あたりを今後積極的に推進しなければならんのに、この方の予算というものも極めて少い。そこで本年度内において、これはまあこの法案が通過する場合としない場合と異りますが、ただ今までの計画された予算だけでなしに、それに事務費、人件費の増額、或いは交換分合に関するところのそういう方面の予算を、本年度内に追加予算をお出しになるかどうか。
  106. 廣川弘禪

    ○国務大臣廣川弘禪君) 登記その他、交換分合等に必要な予算をどうするかということでございますが、年度内におきましても、どうしても足が出るような場合にはやはり追加予算か何かで考えなければなるまいと考えております。
  107. 岡田宗司

    委員長岡田宗司君) 外に大臣に対する御質問ございませんか。なければ先程三輪さんが申出られましだ肥料の統制撤廃の善後措置についての大臣の御見解を今述べて頂きますことに御異議ございませんか。
  108. 廣川弘禪

    ○国務大臣廣川弘禪君) あれは未だ折衝しておりません。
  109. 岡田宗司

    委員長岡田宗司君) それではそれは後廻しにして、それではあと事務次官への御質疑を続けて頂きます。
  110. 三好始

    ○三好始君 午前中の委員会で私から資料提出をお願いいたしたのでありますが、差当つて今手許にあるものということで、一部ありましたのを拝見いたしたのでありますが、時間が十分になかつたのでざつと目を通した程度に過ぎません。そのざつと目を通した結果、一応気付いたことをお伺いいたして見たいと思うのであります。小作料七倍値上げの参考資料として計数的の根拠を、頂いておりますものによりますと、租税公課は三百十四円として計上いたしております。ところが原單位計算による生産費としてこの資料の出所に相当するものを拝見いたしますと、租税公課は一千五百四十九円五十銭として計算いたしておるのでありまして、その間に一千三百二十五円五十銭の差額かできております。この差額はどういう数字的な根拠に基くものでありますか、その点をお伺いいたしたいのであります。
  111. 山添利作

    政府委員山添利作君) 原單位計算による中の租税の点を、これは修正をしたのがお手許に差上げました表でございます。この租税公課につきましては所得税は、これは自分の所得の中から拂という意味合いにおいて拔いております。その他の点につきましては、昨秋シヤウプ勧告に基きまして大蔵省が租税の推定表を作つたのであります。それによりましたもの、並びにこの公課というものはなふなか掴みにくいのであります。これこの年次経済調査等における公課を、物価指数等で修正いたしましたものを採つたのであります。そういうことになつております。
  112. 三好始

    ○三好始君 今お尋ねしました租税公課の問題は、原單位計算による生産費の相当大きい項目でもありますので、只今答弁になりました点をできましたならばもつと具体的に、所得税のこれだけを差引いておる、具体的な数字の御説明を後程で結構ですからお願いできれば幸いだと思うのです。  それから午前中にも申しましたように、反当收量が二石五斗一升の場合と二石二斗の場合言との生産費がどういうふうに動いて来るかという問題でありますが、細かい資料を拝見いたして見ると、これは資料を見るまでもなく考えられる問題なのでありますが、工業生産物の場合には生産量に応じて生産費が相当変つて来るつ固定費用もありますけれども、比例的な費用もありますので、生産費が相当変つて来るということが考え得られるのでありますが、農業の場合には、米が反当二石二斗穫れた場合と二石五斗穫れた場合とで生産費が比例的に変るというようなことは殆んど想像ができない問題でありまして、私は先程一例として申しました租税公課の問題にも、まだいろいろお伺いしなければならない問題があるのでありますが、反当收量の相違から来る生産費の変化の問題については、根本的に再検討して見なければいけないのじやないかという気持がいたすのであります。頂いた資料を検討して見ますと、殆んどは固定費用であつて、反当收量を二石二斗と仮定した場合にも、ここに現れている数字はそう変らないのじやないか。そうなつて来ると、この小作料四百九十八円五十三銭という数字は全く変つてしまう、こういうよう気持もいたすのであります。この点については相当政府提出資料には疑問があります。二石二斗と收量を押さえた場合の小作料の出し方については政府考え方は到底今まで伺つたところでは納得ができないのでありまして、もう少しこの点については、私今申しました租税に関する関係資料の御提出等と相俟つて検討を進めてみたいと思うのであります。
  113. 小林孝平

    ○小林孝平君 大臣がお帰りになりますので、ちよつと午前の問題に関連いたしまして一お尋ねいたしたいと思います。午前に極めて無造作に食確法を来年の三月に廃止するというお答があつたのでありますが、そういたしますと、この八月の末、若しくは九月の初めに当然行います麦類の事前割当は今年は行わないことになるのでございますかどうか、お尋ねいたします。
  114. 廣川弘禪

    ○国務大臣廣川弘禪君) 本年はやらないように決まつておるそうでございます。
  115. 岡田宗司

    委員長岡田宗司君) 小林さんよろしゆうございますか。  それでは事務次官、今のお答はございませんね三好さんの……。
  116. 山添利作

    政府委員山添利作君) 三好さんのやつは材料が只今私の方にもないのです。
  117. 溝口三郎

    ○溝口三郎君 事務次官にお伺いいたしたいのでございますが、未墾地の国有地についてでございますが、未墾地を買收した面積は百十万町歩ぐらいになつておるのでございますが、今それを売渡したのは大体四分の一ぐらい、あと残つたものはまだ八十五、六万町歩ありますが、これは大体開墾の進行中のものもあり、開墾の遅れているように見えますが、できるだけ開墾して頂きたいのでございますが、先程もお話のありましたように、昭和二十三年くらいには県割当をして、一気に末墾地を買收してしまう、非常に無計画であつて、その後それが開墾にはならないのである。開墾の不適地だというようなことが、大体はつきりしておりまして、各府県の残つておる面積は、或いは百十万町歩のうち相当ある。それは国有地になつております。そういうものは私は何とかして、この法律が早く実は成立して、一刻も早くそういうような未墾地を間聞違つて買つた人だというようなものは、その前の所有者に返さないと、そういうためにも私は開墾についていろいろ不評の原因になつているのだと思いますが、先程三浦議員の御質問に対して、そういうような売戻しをする場合に、開拓不適地選定委員会と申しますか、そういうものに聴いた上で、そういう地区を決定するように伺つておりましたが、あの選定委員会というのは、三十三年以後に新たに、僅かづつ必要な面積を買つて行くのに対して、そういう委員会というものを設けたのである。前の売残りもはつきり開墾の不適地だということは我々は政府に分つているのではないかと思いますが、そういうものを今のようなお考で、まだ二十数万町歩残つているものを、そういう委員会にかけて、不適地というようなことを決定して除々にやつて行くのかどうか、若しそういうふうなことになりますと、何時までもそういう不適地としてありながら、或いは調査にはまだ手が廻らないのではないか、すでに決まつているのかということについて、御取扱はつきり伺いたいと思います。
  118. 山添利作

    政府委員山添利作君) これは溝口さんのおつしやるようにそれぞれの府県におきましては、あそこは手が附けられないというようなことは大体分つておるのであります。併し問題が問題でございまするので、それに対してまあ別の言葉で言いますると、政治的な取扱いをされるということは非常に危險であります。その点は慎重に取扱つて従つて、慎重と申しますのは、調査そのものについて疑問がありますものは慎重にする必要がありますし、分つているものは必ずしもそう手間がかかるものではございません。手続といたしましては、府県における技術者諸君の集まりである選定委員会が一番よろしい。こういう見解を持つておるのであります。
  119. 溝口三郎

    ○溝口三郎君 私は是非この開墾の不適地についてはなるべく早く整理をして頂きたいと思います。もう一つ小作料の問題についていろいろご意見があつたのでございますが、小作料は中央農地委員会で規格を定めて、それに基いて市町村の農地委員会で一筆毎に小作料を決めるというようお話がございましたが、その規準を定めるについて、先日農地局長からのお話では、賃貸価格とか地形等を勘酌してゆとりのあるような方法を以てやりたいのだというようお話があつたのでございますが、実は私は小作料が今七倍になるかというような問題についても、非常な問題があると思いますが、その元になります一反歩について、一体この土地は地方が幾らあるのだというようなことについての決め方というものは、非常に私はむずかしいのじやないかと思いますが、現在地積も殆んどはつきりしたものがないのであります。地方というような問題については、まだ定義すらはつきりしていないようであります。窒素の潜在地方とか余剰分ということは学者の間でも言うているくらいで、そういうこともはつきりしていない。今年から全国土地調査をやろうというようなことで準備かできて、今年六百万円くらいで今年はサンプルくらいやつて、来年から大々的にやろう、そして土地の本当の地積とそうして地方調査をやつて行くというには百億くらいかけて五、六年もかからないと、日本のその評価ははつきりしないという、そのくらいに地方の問題についてもむずかしい問題がまだ残つていると思う。規準を決める時に、小作料価格については七倍、必ずしも七倍ではないのであります。それでもゆとりがあるように先程お話を伺つたのでありますが、技術についても幅のあるゆとののある方法でやりたいお話でありましたが、これは非常に窮屈な、ゆとりのないよう考え方でやらないで、できるだけその幅を広めて行くというよう考え方でやる。そしてまだ現在の組織なり制度なり技術水準で、この本当の地方というようなものがはりきり今度の農地委員会あたりで決定ができるかどうか分らん。こういうふうなことについていろいろな観点からでもゆとりのあるような方法をお採りになる。できるだけゆとりのある方法を探るというようなお考かどうか。そういうことを伺いたい。
  120. 山添利作

    政府委員山添利作君) 一定の基準ができまして、これを各筆に当嵌めて行く場合に、そもそも基準とはどういうふうな解釈をされるか、これは今考えておりますところでは、差し当りは現在の賃貸価格の一定の倍数を探つたものを基準にする、そしてその市町村なら市町村での総額に一定のアロワンスを設ける。総額の範囲内で各筆に割つて行きます時には、これは委員会に委したらいいではないか。従つて各筆の間には非常に制限はないと思うのであります。これを科学的に地方に応じた小作料なり地価なりをつけるということは、只今お述べになりましたように非常にむずかしいことでありまして、土地調査でも完了をいたしませんければ完璧は期し難いと思いますが、その村の中では、又農家の申では土地の等級ということも相当細かに、何と言いますか、科学的でないかも知れませんけれども、大体目安というものはあるようでありまして、従つて委員会制度によりまして、等級区分けをして貰つてつて行きますればいいじやないか。そうして現在非常に前の賃貸価格で凸凹ができておりますので、少くともその辺の調整をして合理化を図りたい。こういう考であります。
  121. 溝口三郎

    ○溝口三郎君 もう一つ土地改良の補助金のことについてお伺いいたしたいのでございますが、東北地方とか單作地帶とかいうような所に対しての、土地改良の補助金というものについては、これは前々からそうところに対しては全体の補助金の中からでも特に法律の補助率によつてやつたらどうなのか、全国一率に五割とか六割五分とかいうことでなくて、そういう特殊な地帶なり特殊な土地に対しましては、私は率を変えて出すということが、できるだけ生産の低い低生産地に対しての率は高くする。これは一律に高くするということになりますと、なかなか予算の上ではむずかしいと思いますが、定められた予算範囲内でそういう操作をやることは従前は実はやつていたのでありますが、そういう要望も今までありまして、尚今度小作地の問題等につきまして、是非共、今はこの生産が低いのでございますから、問題が非常に多いのでございますが、そういうよう場所に対しましてもできるだけ生産力を上げるというようなことで、優先的に私は対象になる客土とか暗渠排水とかいうようなものをそういう場所には奨励して頂いて、その上で補助率というものについては一般の農林省で決まつている補助率の総額の中で上下をつけてやるというような方針をやる。そうして生産力を上げて小作地の問題なんかについても更にいろいろ調査して貰いたいというようなことについて、そういう補助率の取扱方は面倒だから実はやれないということでないと思いますが、そういうようなことについてお考を承りたいと思います。
  122. 山添利作

    政府委員山添利作君) 地帶別に分けて行くという考え方につきましては、現に御承知のように北海道等ではそういうふうな考でおりますが、内地ではそういう区別は現在採つておりません。併しこれも或る程度予算の額にもよることでありまして、若し今年の予算方針に謳われておりますごとく、相当、まあ私共の口から言うとおかしいのですが、或る程度満足すべきような金が出ますならば、お話ようなこともこれは研究して見たいと考えております。
  123. 三好始

    ○三好始君 一つお伺いいたしたいのでありますが、先程の原單位計算の問題でありますが、食糧庁企画課で作つた原單位計算の算定要領によりますと、原單位計算には租税公課を費目として採用いたしておりまして、その租税公課を一括して昭和二十三年に対する昭和二十四年の負担を一・五倍と推定しておるわけでありますが、それが先程申しましたように、一千五百四十九円五十銭となつております。今審議中の法律案審議する上に参考資料として農地局から出して頂いた資料には、先程申しましたように、租税公課が食糧庁の企画課で作つたものに比べて一千二百三十五円五十銭減額されて、三百十四円計上いたしておるわけであります。この一千二百三十五円五十銭を減額した中には所得税を取去つておるというようお話もありましたが、所得税以外にもあるようでありますから、是非その数字をお示しして頂きたいということを先程申上げたわけですが、これはあとから出して頂くようにお願いをいたしておくことにしまして、お伺いいたしたいのは、一方かの原單位計算では明かに所得税を計算に入れておるのに対して、農地局提出資料はそれを除外して計算しておる、その根拠についてもう少し詳しい御説明を伺いたいのであります。
  124. 山添利作

    政府委員山添利作君) これはこちらの方で考えておりますのは、所得税というものは、元来自分の所得の中から拂うものであるから、こういう場合にも計算においては入れる必要がない、こういう考でありまして、これは会社とか何とかというような場合におきまする生産費計算には必ず税金というものを入れることはその通りになつておるのであります。こちらの所得税と、個人企業における所得税、結局自家労力に相当するものの中から所得税を拂つて行くという観念に基きましてそういうものを除外しておる、こういうわけであります。
  125. 三好始

    ○三好始君 そういたしますると、食糧庁企画課で作つておる原單位計算の費目たる租税公課の中に所得税を入れておること自身も理論的に言つて間違いである。こういう立場をお採りになるかどうか、伺いたいのであります。
  126. 山添利作

    政府委員山添利作君) これは従来農林省で原單位計算ではございませんけれども、米価等のために生産費を出します場合には、所得税は入れない方式を使つております。
  127. 三好始

    ○三好始君 入れない方式を使つておつたとおつしやいますけれども、先程お貸し頂いた資料には明かに入つておると私は認めるのでありますが、それについてのお考を承りたいのであります。
  128. 山添利作

    政府委員山添利作君) これはやはり所得税は入れない方が正しいというように思います。
  129. 三好始

    ○三好始君 同じことでありますが、それだと食糧庁の企画課の資料が間違つた基礎の上に立つた資料だとこういうわけでありますか。
  130. 山添利作

    政府委員山添利作君) これは食糧庁でまあ作りましたものを私の方で修正をいたしたのであります。成る程いろいろ議論があると思います。大体それが間違つたというのがいいのですか、どうですか。ともかくそれは米価を決定する場合においてパリテイ計算のみによらず、こういう資料をも参考にすべしという目的の下に作つた資料でございます。やはりおのずからそれぞれそれの資料の性質等も考えて、そういう角度から考える場合もあろうかと思います。(「あつさり兜を脱いだ方がいい」と呼ぶ者あり)
  131. 三好始

    ○三好始君 私は米価を決定する方法として、食糧庁が租税公課の中に所得税を入れた、こういうことでお願いしてておるのではなくして、食糧庁の作つておる原單位計算の中に明かに所得税を計算にいれておる。こういう事実に対して事務次官のお考を承つておるのでありまして、食糧庁で作つた原單位計算の中にはとにかく明かに所得税を入れておる。原單位計算の問題としてお伺いいたしておるのであります。
  132. 山添利作

    政府委員山添利作君) 象徴的に申しますれば、私はそういう場合においては所得税は入れないのが正しいと思います。
  133. 江田三郎

    江田三郎君 今のは行懸りとしてそういう答弁をせられるのでなしに、その主張をいつまでもたれますか。
  134. 山添利作

    政府委員山添利作君) これはそういうことだと思うのでございまして、個人に対する所得税という性質から申しますれば、これは役人で申しますれば、当然給料の中から拂つておる。農家の場合でありますると、もとより農家の所得というものは、自家労賃だけというわけではございませんけれども、併し最も圧倒的にそれであるという場合におきましては、これはその中から所得税を拂うのでありまして、従つて所得税の部分はこれは加えない方がよかろうと、かように思います。
  135. 江田三郎

    江田三郎君 これは一つの大きな建前の問題になるのですから、そうすると、大体事務次官の考から行きますというと、農家というものはこれでは利潤の計算はない。そうすると、資本利子と労力だげが、これは労力は自家労力である場合があるし、そうでない場合がありますけれども、これが若し自家労力でない場合があつたならば、資本利子だけが農家の所得になつて、その資本利子というものは僅かに三百四十何円の中で、所得税を千円以上も負担しなければならんということも考え得ることになるのですが、そういうことになると、今の御答弁は辻褄が果して合いますか。
  136. 山添利作

    政府委員山添利作君) 私はこういことを申しておるのであります。つまり利潤を入れるか入れんかは、これは理窟のあるところで、無論入れるという議論も十分成り立つわけでありますが、所得税だけの関係から申しますると、結局この中における農家の所得というものは何かと言えば、結局自家労力費でありまして、これは專門家の方に申上げるまでもありませんが、米の生産費を分折して見れば、六割五分くらいは自家労賃に相当するわけで、あとがいろんな経費支出ということになつておる。その部分が結局所得なのでありましてこれは農家の所得というものは、自家労賃だけに限定されないけれども、圧倒的の部分がそうである。そうなりますれば、個人所得のそれにかかる所得税というものは除外して考える方が理窟としてはよいかと思います。
  137. 江田三郎

    江田三郎君 仮に労賃というものをこれで五千三百六十九円くらいに見るわけですが、日本の農家平均的な経営面積から考えて、今のよう所得税なり或いは市町村民税を納めるということになると、他の産業に較べて、農壕の負担する税金の割合というものはどういうことになりますか。少し無理に辻褄を合わすために、段々とこう納まりのつかん議論になるのじやないですか。
  138. 山添利作

    政府委員山添利作君) これは所得税のかけ方から申しますと、今までのやり方といたしましては、大体国税庁の方から地法に反当標準率を割当てておるわけであります。その反当標準率を割当てる場合における所得の計算におきましても、大体こういう主たる農産物等の收入を見まして、その六掛とか何とかというような、私の今申します自家労賃に相当するようなものを掛けたものを所得と、こういう算定の仕方をいたしておるのであります。そこで実際問題として、農家の方に非常に高く感ぜられる。私も税金は確かに高いと思つておるのであります。昔の小作料が税金に変つたような形をなしておる事実は認めておるのでありますが、それが農家の場合に特に高くなる理由は、一口に所得と申しましても、自家消費のものまで所得の中に計算されており、現金の收入に対する現金としての租税の支出との割合は、普通の所得に対する税金の割合よりも非常に高くなる。そういうようなところが特別に又つらい点である。こういうふうに観察しております。
  139. 岡田宗司

    委員長岡田宗司君) よろしゆうございますか、江田さん。
  140. 江田三郎

    江田三郎君 よろしいのじやないですけれども………。
  141. 岡田宗司

    委員長岡田宗司君) それではここでちよつと休憩いたしまして、休憩中にいろいろ御相談したいこともありますので、一時休憩いたします。    午後三時五十五分休憩    —————・—————    午後六時五十一分開会
  142. 岡田宗司

    委員長岡田宗司君) これより委員会を再開いたします。  委員長は本院規則第四十條によりまして本日の委員会は散会いたします。    午後六時五十二分散会  出席者は左の通り。    委員長     岡田 宗司君    理事            西山 龜七君            片柳 眞吉君            岩男 仁藏君            岡村文四郎君    委員           池田宇右衞門君            白波瀬米吉君            瀧井治三郎君            土屋 俊三君            平沼彌太郎君            江田 三郎君            小林 孝平君            三橋八次郎君            三輪 貞治君            赤澤 與仁君            飯島連次郎君            加賀  操君            溝口 三郎君            三好  始君            三浦 辰雄君   衆議院議員    農林委員長   千賀 康治君   国務大臣    農 林 大 臣 廣川 弘禪君   政府委員    農林政務次官  島村 軍次君    農林事務次官  山添 利作君    地方自治政務次    官       小野  哲君