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政府委員(長谷川清君) 只今本年産の米及び麦等の
価格に対する現在までの事情について、
説明せよという
お話でありますので、取敢えず今年産の麦類につきまして過般米価
審議会を開催いたしました際に配付いたしました
政府の
一つの
考え方の試案を先ず申上げまして、更に米価等に関しまする、現在の我々の
考えております点を申上げて御参考にいたしたいと
考えます。今お手許に配付いたしました書類は、案とな
つておりますので、まだ正式に決定して発表されたものではございませんが、
政府といたしましては、大体こういう線で
考えて行きたいと
考えたものであります。その第一は麦の
生産者
価格の基本
価格であります。これは従来の
考え通り、本年五月末の農業パリテイ指数一六五・一六を
基礎といたしまして、終戰後使用して参りました従来の対米価比率、即ち大麦については、米に対しまして七〇%、裸麦及び小麦は八一・三%という比率がありますので、この比率をそのまま使いまして、次のように改訂をいたしたい、この改訂
価格は昨年の麦のそれぞれの
価格に比較いたしまして、大体一割五分の
値上げになるというのであります。多少
経過的な事情を申上げてみますると、御
承知のように、最近小麦粉等の配給辞退が月に四万トン乃至五万トン等相当のものがございまするし、その中の過半数以上は小麦粉その他麦類の配給辞退であります。而もその主なる原因が、小麦粉の
価格が米の
価格に比較いたしまして高過ぎるというようなことが
考えられますので、それらの点を調整するというような
意味合からいたしまして、従来大麦、小麦等の対米価比率は、御参考までに
基準年次の例で申してみますると、大麦は大体四八%、裸麦、小麦は大体六三%程度に当
つてお
つたのであります。これが戰争中の
政府の食糧増強政策にも関連いたしまして漸次引上げられまして、戰争中は大体ここに挙げてありまするような比率まで高ま
つておるというような事情もありますし、かたがた将来の小麦類の国際
価格というようなものも相当先安になる傾向が察知せられております状況でありましたので、先程申上げました小麦粉の消費者
価格を改訂するということと併せまして、麦の
生産者
価格についても何らかこれを調整する必要があるのではないかというような点を
事務的には種々検討いたしたのであります。併しながら御
承知のように国際小麦協定への参加というような問題もそのうちに、少くとも本年度は参加ができないということに決定をいたしましたし、又現実に現在入
つておりますところの輸入食糧は、
アメリカの小麦にいたしまして、横浜着トン九十ドルでありますし、カナダの小麦がコンマーシャル・フアンドで入
つておりますものでも八十二ドル乃至八十五ドル見当でありまして、ここにお示ししてありますこの数字に比較いたしまして、尚
アメリカ物は四割程度、カナダ物は二割程度横浜の着
価格は高いという現状にあります状況等も
考えまして、又本年の麦につきましてはすでに事前割当も行われておるというような
関係をも併せ
考えまして、少くとも本年はこの対米価を従来
通りにすることが適当であるというふうに
考えまして、やはり従来の比率を用いて決定をしたらどうか、こういうふうに
考えた次第であります。米価
審議会にこの案を諮りましたところ、いろいろ御意見もあ
つたのでありまするが、この第一点の基本
価格につきましては、これでよかろうという答申を受けたのであります。ところが、第二の問題でありますところの超過供出の特別買入
価格を基本
価格の何倍にするかという点につきましては、本案は一、二五倍ということにな
つておりまするが、米価
審議会におきましては、従来
政府が予定してお
つたような、いわゆる二倍の線に引上げるのが妥当であるというような御答申を頂いたのであります。実は御
承知のように、この特別買入れの
制度は、一昨年主要食糧の事前割当
制度が設けられましたことと関連いたしまして、
農家が事前割当数量以上に收穫を挙げ、供出をしたものに対する報奨的な
措置として、特別なる
価格を加算するということに相成
つたのであります。ただその何倍の
価格で買うかということにつきましては、勿論その当時におきまするいわゆる自由
価格と申しまするか、闇
価格等の
関係等をも併せ諸般の事情を考慮して最終的には決定をせられるというような性質のものであるように思うのでありますが、とにかくも昨年までは麦につきましては三倍の値段で買上げております。それから米につきましては、一昨年は三倍でありまして、昨年は二倍の
価格で買上げたのであります。本年はどうかと申しますると、これも御
承知のように、本年一月に消費者
価格を
政府は大幅に改訂をいたしたのでありまして、その際消費者
価格を決める前提條件としての各種主要食糧のプール計範をやりました。その算定の
基礎には基本
価格の二倍を出し得るという数字で計算をや
つているのであります。従いまして或いは
政府は二倍を出すということを公約したのではないかというふうに
解釈をしている向きもあるくらいでありまするが、ま
あとにもかくにも、そういうことで今年の消費者
価格はすでに決定をしているのでありまするが、現実に今年の買入れ倍率を何倍にするかという点につきましては、
政府部内でも随分いろいろ研究をいたしました。先程申上げましたように、対米価比の比率の改訂の点等も
考え併せましていろいろ研究をいたしました上、
関係方面とも度々
折衝いたしまして、大体この程度であるならば
司令部の許可が得られる見込がつきましたので、これを米価
審議会に諮
つた次第であります。ただ御
承知のように、最近
農家経済が従来に比較いたしまして、漸次困窮の度を強めておるというような事情もございまするので、現存消費者
価格を決めましたときの
基準にさしたる影響を與えないならば、
言葉を換えて申上げますると、現在の消費者
価格をいじくることなしに、成るべく
農家の実質的所得を殖やすことができるならば、その
方法も、
司令部の方としては大いに
考えようというような見解が得られましたので、私達この麦の特別超過供出の買入
価格が少くなることによりまする
農家の所得減につきましては、できるだけ今年の米の値段を決めます場合に、その点を十分考慮して米の値段を
一つ考えるというような含みを以ちまして、こういう趣旨の参考案を米価
審議会に諮
つた次第であります。併し先程も申上げましたように、米価
審議会といたしましては、とにかく
政府は二倍の心組みで従来お
つたんではないか。農民も相当それを期待している実情であるから、更に二倍になるように、
一つ司令部の方と交渉せよという
お話でありましたので、その御趣旨に基いて更に
司令部ともたびたび交渉、
折衝を続け、特に最近におきましては、これはいずれ後程安孫子長官から
お話があると思いますが、今年の麦の補正割当の
問題等とも関連いたしまして、
政府としては少くとも二倍は望ましいのでありますけれども、それが不可能であれば一・五倍程度のことはぜひ
考えなければ、
司令部の方で言われる超過供出割当百三十数万石の供出が必ずしも容易でないことを申上げて縷々
折衝も続けたのでありますが、只今のところ特に昨日までの様子では、今のところ非常に困難でありまして、殆んどその点は絶望ではないかというふうな状況に相成
つておるのであります。併し我々といたしましては先程申上げましたように、若しこの点がこの程度で最終的に決まるといたしましても、将来米価を決定しまする場合につきまして、先程申上げましたように、消費者
価格を改訂しないで米価を上げ得るならば、その程度にできるだけ米価を上げるというような
考え方で
考えて行きたいというような線で
考えているような次第であります。
甚だ簡單でありまするが、一応
経過を申上げた次第であります。