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1950-07-27 第8回国会 参議院 農林委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年七月二十七日(木曜日)    午前十一時十三分開会   —————————————   本日の会議に付した事件 ○自作農創設特別措置法等の一部を改  正する法律案内閣提出) ○主要食糧供出報奨物資の配給に伴う  損失の補てんに関する法律案内閣  提出衆議院送付) ○新農業政策確立に関する調査の件  (蚕糸対策に関する件)  (食糧政策に関する件) ○証人喚問に関する件   —————————————
  2. 岡田宗司

    委員長岡田宗司君) これより委員会を開催いたします。昨日に引続きまして自作農創設特別措置法等の一部を改正する法律案についての御審議を願います。農林大臣が御出席になつておりますので農林大臣に対する質問をお願いいたします。
  3. 赤澤與仁

    赤澤與仁君 大臣がお見えになりましたので先般留保いたして置きましたものをお尋ねいたしたいと思います。  本法案提案理由説明を承りましたわけでございますが、先般本会議場におきまして岡田君の質問に対しましての御答弁と、多少喰い違つておる点があるやに存ずるわけでございますが、私共といたしましては、一応従来の吉田内閣の、第三次農地改革はやらない、或いは自由党の御方針いきさつから考えまして、あのときのお言葉は少しお言葉が足りなかつたのではなかろうか、或いは又不用意な点があつたのではなかろうかとも存ぜられるわけでありますが、この点につきまして先ずお伺いいたして置きたいと思います。
  4. 廣川弘禪

    国務大臣廣川弘禪君) 確たる農地改革はやらないが、改良はどしどしやるということで私はあやつつたと、こう。
  5. 赤澤與仁

    赤澤與仁君 この問題につきましては岡田氏にお任かせした方が適当だと思うわけでありますが、一応あのときの速記録によりますと、岡田君はそのときに、小作制度を解消せしめる意味の第三次農地改革について質問をされましたわけであります。それでは一応読上げます。岡田君は、我々は現在の農地改革は未だ徹底しておらん。地主保有地なる制度を原則的に解消せしめることを主眼とする第三次農地改革を推進したいと考えているのでありますが、これは農地改革に反対をし、早くこれを打切つて地主制度の復活への道を開ごうとする自由党考え方と真向から対立するが、農相は農地改革に関してどういう考を持つておられるか、お伺いしたいのであります。これに対しまして大臣は、農地改革につきましては、今度の自作農創設に関する法律等に関して農地改革を今後やらなければならないのではないかということでありますが、我々は十分農地改革を今後やりたいと思つておる次第であります。こう言われておりますけれども、この農地改革ということは、質問の場合におきましても、いわゆる農地改革と今大臣の御答弁になりました農地改良というものとは余程、土地改良というのは趣が違いまするので、私はやはり大臣におかれましても自由党考え方なり、又本法案提出されまして、一応完了の域に達して臨時的な立法を恒久的な立法たらしめるという意味合で本法案提出されておられますので、大臣言葉では了承できないわけなのでありますが、一応誤解を招く慮れがありますので、一つ国民の前にはつきりして置いて頂かなければならないと存じます。
  6. 廣川弘禪

    国務大臣廣川弘禪君) 速記録にどう書いてあるか私はよく覚えておりませんが、最後改良はやるということで私は茶化したつもりでおつたのですが、委員長に甚だ恐縮ですが、第三次農地改革をやるかということでありますれば、これはやらんということで、はつきりしておると思います。
  7. 赤澤與仁

    赤澤與仁君 それではその点は一応了承いたしまして、第三に、昨日三好君から、本法案提出立法理由について御質問があつたと思いまするので、三好君が質問されましたその答弁によりまして、私もこの点につきましてお伺いをいたしたいと思いますが、その点は保留をいたしまして、もうあと一点だけお伺いいたしておきたいと存じますことは、前回の本法案審議に際しまして、参議院の当委員会において一応否決の結論を生み出しました場合の自作農創設方法といたしまして、政府強制買收から強制譲渡方法を切換えることになつた場合におきまして、従来の年賦償還的な方法から、今度は一時にその資金を要し、低利的な資金考えられるわけでありますが、その措置がただ法文に掲げられておるだけでありまして、予算並びに資金上の裏付けとなる措置がないということで、改正をいたしました場合におきましては一時ストップを余儀なくされるというような慮れが生ずるというようなこともその否決一つ理由であつたと存ぜられておるわけであります。  もう一つ委員会の合併の方につきましては、一応我々の時期尚早ということに御同調相成りまして見合されておりますわけでありますが、前段の問題に対しまして、今日これを御提案になります場合におきましては、相当三ケ月も経過いたしておりまするので、この措置につきまして、政府当局において十二分に御準備ができておると私共は承知いたしたわけなんであります。ところがやはりこの改正せんといたしまする農地調整法の第五條の二十三の資金貸付又は斡旋計画につきましては政令に委ねることに相成つておりまするが、配付になりました自作農創設特別措置法等の一部を改正する法律案関係命令事項というような事柄で、詳細に私共に資料提出頂いておるのでありますが、どうしたことか、この資金貸付金又は斡旋計画に対する政令委任事項についての明確な案が、逸脱しておるのか存じませんが、ないのでありまして、非常に遺憾に存じておるわけであります。先般委員長の請求いたしました資料によつてつてみました場合に、やはりその予算的措置につきましては二十六年度の予算の場合にやろうというようなお考のようでございます。そういたしますと、切換えますことによりましてその間ストップを余儀なくせられるという事態が起つて参るのではなかろうかと思いまするし、又現在GHQその他に折衝中であるというような事柄に相成つておりますわけでありますが、私の伺いたいところは、政府がお考えになつておりまする政令委任事項は、先般資料として提出頂きましたこの資料内容が、一応政令内容として責任あるものだ、政府の御意思だと解釈していいかどうかという問題と、でき得べくんば補正予算に組んで頂きまして、次の臨時国会にこの利子補給その他事業費補助というような事柄についての措置考えられないものかどうかということ、並びに預金部資金運用ということにつきまして、大蔵省或いはその筋の見解もあることでありましようが、それらに対しまする折衝経過、いわゆる三月経つた間におきまする折衝経過、並びにこれの資金の枠というような事柄につきましても、もう少し具体的に一つ説明を願つておきたいと存ずるわけであります。
  8. 廣川弘禪

    国務大臣廣川弘禪君) 政令その他の詳細な点は、御存じの通り承知いたしていないのであります。ただその空間を免ずるようなことのないようには、今日我々は来年度予算に対する処置、或いは又預金部資金等に対する問題、その他のことについては十分我々は努力いたしたいと思つております。細かい折衝の点、その他は事務の方から一つ聞いて貰いたいと思います。
  9. 山添利作

    政府委員山添利作君) 農地証券を廃止をいたしまして、それに代るのに土地を取得する人に低利資金を供給するというのが今回の案でございますが、その前に現在どうやつておるかということを先ず申上げた方が分り易いと思うのですが、それは昨年の末以来農地証券は実は止めております。そうして政府の買いますのも、自作農創設特別会計にございまする資金地主に対しては現金買上げをしております。そうして土地を買う人の方に対しましては、これはその人の要求がございますれば、年賦拂いでもよろしいということになつております。そこでこの改正法案が成立しまして、途端に何ケ月かブランクができるじやないか、こういうお話でございまするけれども、これは現にそういう措置でやつておりまして、二十五年度予算についてもそういう組み方をしておりまするので、途端ブランクができるじやないかという心配はないのであります。  それから今後の資金問題といたしましては、実はその強制譲渡の場合における土地譲り受けの資金というよりも、問題は自作農維持に関する資金が、量におきましても、それから一般的意味におきましても、多いことは当然でありまして、今後におきまする強制譲渡というような問題は、極く稀にきり起らない、従つて金額も大したことではない、むしろ維持資金ということこそ、農家の方の経済が変化をして来まするのに従つて、それこそ深刻に考えなきやいかんじやないか、こういうふうに考えておるわけであります。そういうようなわけでありまして、まあ何とかこの自作農政策ということも、今までの土地強制移転ということよりも、主眼はむしろでき上つた自作農を如何に維持するか、言い換えてみると、内容金融対策、これは一般の対農業政策関係するわけですが、最後のどん詰りとしての金融対策というところに農地政策重点があるのじやないか、こういうわけでありまして、従つて今回の改正法案には裏付けができてはおりませんけれども、これはまあ法案の目玉であるということで、敢えてああいうことを書いているわけであります。そのいきさつを申しますると、実は今の自作農創設特別会計運用をして自作農維持資金等も賄いたいという案を昨年出したのでありますが、これはドツジ氏も来朝しておられまして、どうもあの会計をそのまま拡充して行くということは無期限な特別会計ということになつて面白くないというような関係から断られた。併しどうしてもアメリカ側におきましてもこういう制度の必要なことは認める。そこでその後、アメリカでどうなつたか知りませんけれども、ドツジさんの方でもよくアメリカにおける担当者とも相談してみよう、こういう話であつたということを私共聞いておるのであります。その後の折衝といたしましては、なかなかこれは今の一般のドツジ政策の点から見まして実現が困難でありまして、そこで一番やり易い方法として、お手許に配付いたしましたような、昔農林省でやつておりました制度実現をしたいというので折衝をいたしておるわけなんであります。目下折衝中でございますが同時に、今法案が変つたからといつて途端に困るということはないという点もよく御承知をお願いしたいと思います。
  10. 江田三郎

    江田三郎君 昨日質問しましたときに御答弁があつたのですが、政務次官のお符は、審議未了なつ自作農創定のやつを今度出したというのは、その後関係方面から緊急を要するという指示があつたからやつたのた。そこでその関係方面指示というものは一体どういう指示があつたのか、こういうことを聽きましたところが、今日配つておられますところの二十四年十月二十一日のマツカーサー指示であるということである。若しそれたけのことならば、政務次官がおつしやつたことは、何か嘘をおつしやつたようなことになると思うのでして、審議未了なつた後に緊急を要するというような指示があつたというように最初は言われたのですが、その点は一体間違つてつたのかどうか。そこで若しそれが間違つておるということで、この十月二十一日の指示ということになるのなら、改めてその解釈について、政務次官解釈と大分違うから、大臣の方へ御質問したい、こう昨日言つて置きましたのですが、まず第一に最初いきさつだけ先に政務次官の方からお答え願つて、それから大臣に……。
  11. 島村軍次

    政府委員島村軍次君) 昨日申上げましたのは、政府においても多年の自作農創設の仕事を今日までやつて参つたのであり、これを更に継続してなるべく早く実現するために改正の必要を認めて提案をいたしましたということを答弁申上げたのであります。マツカーサー司令部の方の二十四年の指令に対する私の答は、マツカーサー司令部の書簡の次第もこれありという意味を申上げたのでありまして、政府みずからが責任において提案を申上げたことは前段申上げた通りでありまして、これが唯一の理由であつたということは昨日は申上げたとは考えておりません。
  12. 江田三郎

    江田三郎君 前に審議未了なつた後において司令部から指令があつたというようなことは、そうすると事実なかつたということになると思うのでして、そういうような御発言は今後注意して頂きたいと思うのであります。それは放つて置きまして、大臣にお尋ねいたしますが、我々は今後の農地改革についてもこの十月二十一日のマツカーサー元帥指令というものを中心考えて行かなければならんと思うのですが、その点はそう解釈して宜しうございますか。
  13. 廣川弘禪

    国務大臣廣川弘禪君) 好意ある指示ですから、そのつもりで私達もやりたいと思つております。
  14. 江田三郎

    江田三郎君 そういたしますと、この指令を率直に読みますというと、農地改革秋霜烈日効力を発揮して行かなければならんということであつて戰前土地制度に一歩々々復帰するというようなことは許されない。ただここで新しい問題になるのは、「世帶に適応する規模の農地に於ける広汎な自作農創設耕作権保護」ということに中心があるように思うのでありまして、そこで若しこれをそのまま解釈しますというと、例えば今度の改正案小作料値上げということを出されますが、小作料値上げということは、全国の土地制度へ歩一歩復帰するという司令部言葉と一致することになるのじやないかと思うのですが、そういうことはどうお考えになりますか。
  15. 廣川弘禪

    国務大臣廣川弘禪君) 小作料値上げ、單にそれのみ考えると、或いはあなたの解釈のように取れるかも知れませんが、併し客観情勢がいろいろ変つて参りまして、特に税金の問題等が加味されるので、やはり現在においては改正していいのじやないかと、こう考えております。
  16. 江田三郎

    江田三郎君 そうすると、これまでのこの法律において小作料を決められた基礎は何を以て基礎にせられたか、今度の小作料の七倍の理由として挙げられておるところは、農家生産を可能ならしめるような條件ということが出ておりますが、今までの小作料というものの決め方と今度の決め方とは建前が同じであるかどうか、若し建前が違つて来たということになると、これは断乎抑圧しなければならない戰前土地保有制度に還るということになると思うのでして、その点をはつきりして頂きたいと思います。
  17. 山添利作

    政府委員山添利作君) 現在の小作料統制制度は、御承知のようにいわゆるストツプ的な観念でできておるのでありまして、或る一点を抑えてそれ以後の値上げを認めない、こういうのが只今の制度になつております。これは戰時中の物価統制が凡そ一般的に先ず最初はそういう形を採つてつたのでありまして、而して小作料の問題は、農地改革遂行中等理由もございまして今日まで据置きになつておりました。でありまするが、只今申されましたように、農地改革も一応終了いたし、一般経済情勢も非常に変つて参りましたので、それに適応する適正価格を今後設定して行きたいというのが思想であります。その根本算出方法、或いは考え方と言いまするものは、結局この改正法案にも耕作者が安定して、農業経営をやつて行くことを旨として定める、こういうふうに書いてございまするのでありますが、その趣旨は農産物の收入の中を生産費で分析をして見まして、そうしてその中農業者に拂い得るというところを目安にいたしまして決めると、こういう方式を採つております。この事柄は前の農地調整法改正当時と今回と思想は変つておりません。
  18. 江田三郎

    江田三郎君 今までの小作料というものをただ普通の物価ストツプ令と同じように解釈をしておられるというのは、これは大きな違いがあると思うのでして、その点は又あとにしまして、尚小作料の問題について、これが果して農家の、小作農家生産維持することになるかどうかということは、相当意見が違いますから、これはあと廻しにいたしますが、この改革によつて、前に書いてあります「封建的勢力のため事業有名無実改革に堕すもの」という危惧の念を持たれておつたけれども、これは非常によくできたということが書いてあるのですが、我々は依然としてこういう要索がある。例えば小作料の闇、耕地の闇の売買、こういうことが相当あるように考えておるのですが、農林省の方ではそういうことについてどういうお調べをなさつておるか、そういうことが「今や改革事業收めた成果と今後において遂行を要する分野とを検討し、」と書いてある。この闇の小作料、闇の耕地売買ということについて今後の行き方を検討しなければならんということになると思うのですが、そういうことについて十分検討なさつておりますかどうか。
  19. 山添利作

    政府委員山添利作君) 小作料の闇の点につきましては、当初全納がありましたにも拘らず、相当遅れた地方においては物納があつたという点があつたのであります。この点は相当徹底をいたしまして、現存では小作料の公定に関する違反の事例は非常に少いと考えております。農地売買につきましては、これはこれは闇どころでありますから分りませんのでありますが、やはり闇取引が行われておるという事実は私共も承知をいたしておるのであります。元来この統制と闇という問題につきましては、これは私から申上げるまでもなく、やはり統制いたしましても、一向経済上の法則とか働きとかこういうものはどこからか吹き拔けて来るということは一般事例であります。従つて農地に関します統制につきましても、これを長きに亘つてつて行きますと、この制度といたしましては、そのときどきの状況においてすべての人と言いませんでも、多くの人が納得し得るような適正なる価格というようなものを考えて行きませんと、やはりそこに闇の発生というようなことが起り得ると考えておるのであります。併し統制でありますから、無論経済上の自然のものではなくして、それを別の純経済的なこと以外の別の又観点等考え合せて統制をして行くわけであります。そういうわけでありまするが、農地の問題にいたしましても一面考えられるし、この法律精神というものをどこまでも徹底して行くという努力も怠つてはいかん、まあそういう考え方啓蒙宣伝その他に努めておるのでありまして、今後共やはり私はどういうふうに農地改革改正いたしましても自然そこに闇の出る要素というのはあると思います。あると思いまするが、それに対して農地調整法精神に基いた統制を続けて行きまして、そうしてそれがそういうものだという確乎たる社会観念を浸み込ませるというところまでやらなければならん、こういう考え方をいたしておるわけであります。
  20. 江田三郎

    江田三郎君 そうすると、今のお答を聴きますと、統制されたものがその社会健情に適さんところに闇が起るということでありますから、従つて小作料の闇、或いは七地の値段についての闇というようなことも今の決められたものが実情に適しておらん。そこでそういうことを秋霜烈日効力を発揮して或る一部の国がこれは失敗に終るだろうという危惧の念を持つて見ておつたのを、それを飽くまで秋霜烈日効力を発揮して行こうというのではなしに、闇を起さんようにするために、逆に小作料値上げや何かで切拔けようというのでありますか。
  21. 山添利作

    政府委員山添利作君) そういう考ではないのでありまして、それでは統制をやめるより方法はないのであります。私の申上げるのは、経済的要素というものがある、併して統制というものは、又そういうことを考慮しつつ別の基準、別の観点というものから、統制と言いますか、基準考えられる、その基準を飽くまでも押して行つて、そうしてそういうものだという、まあ社会観念ができるところまで押して行きたい、こういうことを考えておるのであります。
  22. 江田三郎

    江田三郎君 要するにこの指令で一貫して現れて来るものは、私は只今申しましたような、過去において闇があつた、或いは町村長は府県の農地委員会等においても、所によるというと封建的勢力のために委員会が公正な運営ができていない、そういう点を十分に検討して、それを更に前進せしめなければならんということが一つと、更に第二の点は、自作農創設耕作権保護とに重点をおいて行くと、又耕作権自作農創設の問題につきましても、これは後で数字をお出し願いたいと思うのですが、相当大壷の土地放棄の事実が出ているわけです。そこで今度そのマツカーサー元帥指令に即して農地改革改正をやろうとするならば、先程御質問がありましたような創設された自作農維持できるように、或いは耕作権が保護されるような資金的な裏付けをすることが第一になつて来るのか。その一つの問題については、ただ何か案があるだけであつて、何らはつきり決まつたものではない。それからこの最初封建的勢力のために、農地改革事業がいろいろ妨害を受けているという点については、それを秋霜烈日態度で適正に、厳正にしてやつて行こうというのでなしに、むしろ一歩退却するような形になつて来ると思うのでありまして、この指令精神と今度出された法律改正精神とは非常な喰い違いがあると思うのですが、この点を大臣の方ではどうお考えになるか。
  23. 廣川弘禪

    国務大臣廣川弘禪君) その問題も、やはりこれは事務次官から答弁した方が適当だと思います。
  24. 江田三郎

    江田三郎君 先程御質問に答えられた大臣答弁の中で、第三次農地改革の点は土地改良という問題で茶化したんだというようなことがありましたが、私はそういうことをおつしやることも、或いは大人の大臣態度として廣川さんは自分でお考えになつているかも知れませんが、我々はこの農地改革というものはもつと厳粛なものとして考えて行きたいのでして、もう少し逃れられないように、余り茶化さないように、一度茶化すのでなしに、二度も三度も茶化すのでなしに、大臣としてはつきり信念の程を承りたい。
  25. 廣川弘禪

    国務大臣廣川弘禪君) これは我々としては、第三次農地改革はもうやらないとはつきり決まつていることなんでありまして、我が党として何回も言つておることでありますから、さように私はしないと言つているだけであります。
  26. 江田三郎

    江田三郎君 私が細かい問題について事務当局の方へお尋ねすべき点は事務当局の方へお尋ねします。今私が言つているのは、二つの大きな基本的立場について政府方針がこのマツカーサー元帥指令の線と一致しているかどうかという根本を聴いているのでありまして、これはやつぱり答える筋が大臣でなければならんと思うのであります。
  27. 廣川弘禪

    国務大臣廣川弘禪君) 指令の線に沿うて立案していると考えております。
  28. 江田三郎

    江田三郎君 そうでない。まだ外の人があると思いますが、後がありますから、ちよつと……。
  29. 山添利作

    政府委員山添利作君) 江田さんから指令を分析してお話になつておるのでありますが、指令の骨子は、結局農地改革恒久化ということが狙いなのであります。私共がこの法案を立案し且つ提出いたしますのにつきましては、固より関係方面十分打合せをいたし、その又、何と言いますか、助言をも十分入れてやつておるのでありまして、その間毫末も喰い違いありませんのであります。
  30. 江田三郎

    江田三郎君 これは、今日は外の方が大臣に御質問すべきことがあるので、私ばつかり時間を取つてはいけませんから、あと事務次官にはこの問題についてはもつと突つ込んだ御質問をいたしますから保留して置きます。
  31. 岡村文四郎

    岡村文四郎君 各委員から私が考えておりますことを御質問になるので沢山はないのでありますが、肝腎のことだけ大臣の御答弁のできると思うことをお尋ねいたします。  調整法五條の二十三のことについて赤澤さんからいろいろお尋ねがありました。それに対して川添事務次官から御答弁がございました。私は山添事務次官のお考えになつておられることとそつくりそのままのことを考えておる。それは今度制度変つて調整法になりまして、土地購入資金については大きな心配は要らんと実は私も考えております。要は、問題は今後のこの維持について非常な問題がありますので、前からもお尋をしておりますが、御承知のようにこれは今度の措置法によつて生れた残ばかりでなくて、一般農家にもやがてこれを適用し、そういうお考えをしなければならん時期に最早来ておると考えておりますが、予算に組んでおるというお話も承りましたが、私はこれは前にやつたことがありますが、この維持についての資金は年年の予算に、通常予算に計上するような建前ではいけないのでありまして、額のことはその年として多少の移動があると思いまするが、確定的にこれをお決めになつて、そうして予算でなくて出し得る余地がありますからその中から出すように今方法を講じなければ、御承知のように、現在の世の中が非常に複雑であり、又我が国の政府考えておりますそのものをそのままを実行するわけに行かん時期でありますから、非常に困難が伴います。そこで政府が嘘を言つたとは思いませんが、結果において言つたことが嘘になる例が沢山ありますので、非常に下国民は困つております。そこでこれは決められる額と思いますから、その額ははつきりと年々に決まらんにいたしましても、預金部資金から必ず出さなければならんというようにして置けばこれは取れることになりますから、それの額については年々変つておるとも考えます。これが我が国の農業を維持して行きまする最も重要な要素であります。普出た金も預金部資金から出ておりまして、今度も、それは今は非常に困難な場合になつておりまするが、この際これをきつかけにその途を開くことが最も大事であり、そうなくてはならんと思いまするが、大臣は、殊に政治力万有の大臣でありまするから、必ず開けるようなことになると思いまするから、大臣からはつきりした御答弁によつて進んで参りまするようにお願いいたしたいと思いますが、如何ですか。
  32. 廣川弘禪

    国務大臣廣川弘禪君) 維持資金の問題について、預金部資金を流用できるようにしろという御質問でございますが、十分これは相談いたします。
  33. 片柳眞吉

    ○片柳眞吉君 私は大臣に今回の法案と米価との関係で御質問いたしたいと思いますが、実はこの法案審議をしておりまして、米価と今審議中の地方税法案、この両面から見て参りまして、非常な実はジレンマを感ずるのであります。先ずこの米価の点から見て参りますると、御承知のようにパリテイ計算で米価が決定しておりまするが、ところが別途提出をされました小作料引上揚げの資料から見て参りますると、生産費の点から分析して見て参りますると、約七倍程度までは小作料は上げるとこういうところに議論が出て参りまするが、片つ方はパリテイ計算で行つて米価なかなかやつて行けないというような一般論なのでありますが、ところが生産費の点から入つて行きますと、或る程度小作料は引上げると、こういうような関係になつておりまして、現在の米価の決定方針で行きまするというと、小作料は引上げても現行の米価でやつて行けるという議論が出て参ります。それからもう一つは、今審議中の地方税法案が通るとしますると、相当地租に相当しまする固定資産税が上つて参りますから、当然小作料が上つて参りませんと地主は地租も拂えない。従つて少くとも税金の抑える限度までは小作料を上げることは、これは当然と思います場が、かように小作料が上つて参りますと、自作農の場合でも当然に上地資本率が上つて参ります。から、小作、自作両面共生産費は当然上つて来るわけでございますが、それが現在のパリテイ計算では依然として米価には影響がないというような関係が出て来るわけでございます。そこで前回にもいろいろ申上げましたが、こういう点からも、そろそろもうかような税の建前なり、或いは今審議中のこの法案の点からも、そろそろ生産費主義で行きませんと理屈が一貫できないという実は感じを持つのであります。私もまだ非常に杜撰な考でありますが、少くとも現在のパリテイ計算では小作料が項目に上つておりませんから、今申上げましたような小作料が相当上つて生産費には影響がない。そこでどうしてもパリテイ計算で行くという止むを得ない場合におきましても、政府が政策的なりに小作料を上げた、それが直接農家生産費に影響があるわけでありますから、農家一般生活に必要なので買うのとは違いまして、直接生産費に影響するものでありまするから、パリテイ計算の品目に上つておりませんでも、小作料が上つた場合には或る程度これを採り入れてバツクペーの中に計算ができるというようなことが、或いは関係方面にも通りはせんかと思いますが、その辺につきまして御所見を承りたいと存じまする  それからもう一つ序でございまするが、これは後程或いは大蔵大臣に御質疑を願います機会に直接お聴きをしたいと思いまするが、本日の新聞等で米価を相当上げたいというようなことが喧伝されておりまするが、ただ私が、従来大蔵大臣の言つておりまする議論は、果してその生産費をベースにして米価を上げてよろしいというのか、或いは国際価格に準拠して決めてよろしいというような意見も従来言われておるようでありまするが、私の考では、現在は御承知のように国際価格の方が高くありまするから、或いはこれに鞘寄せすることも或いは有利かも知れませんが、ただ逐次国際価格が下つて来る場合も我々は見なければならないと思うのであります。下つて来た場合にこれに鞘寄せされましても、これは絶対困ることは御承知通りであります。この辺につきましても大臣のお考が若し伺えますれば伺いたいと思いまする
  34. 廣川弘禪

    国務大臣廣川弘禪君) 小作料や地方税その他に関連して考えて見て、パリテイ計算が正しくないのではないかということでありますが、これは我々もさように考えておる次第であります。閣内の意見も段々この問題を重視いたしまして、基本米価をもう少し考え直さなければならんという意向に進んでおります。特にこれは池田君がこの方面に関して生産費基礎にして行けという主張を持つており、国際的の問題も考えて、それを中心にして行けということも時々言つておるようですが、実際の肚は生産費基礎にして行けというふうに池田君は言つておるようであります。この間も閣議の席上ではつきりそれをいつております。又予算委員会の席上でも明言いたしておるようであります。我々はこの米価を決定する場合におきましては、只今述べられたような問題を採り入れて十分考えなければならんと存じます。それから又日本の農作物の自給度を高める上においても、これは再検討しなければならんと存じます。
  35. 岡田宗司

    委員長岡田宗司君) 只今片柳さんから大蔵大臣の御出席の要求があつたようでありますが、これは午後で宜しうございますか。
  36. 片柳眞吉

    ○片柳眞吉君 結構です。
  37. 岡田宗司

    委員長岡田宗司君) それでは午後に大蔵大臣の御出席を願います。
  38. 三好始

    三好始君 この法律案を今会期中に通さなければいけない必然性があるのかないのか、この点を大臣としてどういうふうにお考えになつておるかということをお伺いしたい。この問題は昨日政務次官から一応の御説明があつたのでありますが、実際の審議を進めて参ります上に重要な問題であると思いますので、改めて大臣の御所見を承りたいのでありますが、この法律案を検討して見ますというと、相当多岐に亘つて規定が改正されるわけであります。その中には極めて重要な問題も沢山含んでおるのであります。例えば政治的に相当対立もあり、重要な問題である第三次農地改革をやるかやらないかということなのでありますが、政府の御答弁にもありますように、この法案に現れております内容では第二次改革はやらない、第三次改革を以て農地改革を打切るという基本的な態度がこの法律案に盛られておるのであります。これは相当問題のある点でもありますので、やはり十分に審議を盡す必要があることは否定できないと思います。それから先程御質問も出ましたように、小作料値上げに関連して起つて来る米価の問題もありますし、相当各方面に亘つて重要な問題が多いのでありますが、この会期は極めて短いわけでありまして、地方税法案の成立が最大の目標であると思うのでありますが、この自作農創設特別措置法改正をどうしてもこの会期にやらなければいけないような必然性があるとしましたならば、これは万難を排して成立に我々も協力しなければいけないと思いますが、若し時間的に次の国会に廻してもいいような情勢でありますならば、私はこういう大きな問題を含んでおる法律案でありますので、愼重に審議するのが適当な方法でないか、こういう気持も実はあるのであります。こういう点から大臣の率直な御意見を承りたいのであります。
  39. 廣川弘禪

    国務大臣廣川弘禪君) これを今回提案いたしまして早く上げて貰わなければならん理由はどこにあるのかというお尋ねでありますが、これは我々は率直にマツカーサー書簡に応えたいとい、気持であることは御承知通りであります。又尚我々は、農地改革をやりまして一応その目度ができたので、これを恒久化して早く法案にしたい、こういう考であるのでありまして、いろんな難点もあるでありましようが、愼重審議願いまして、この国会において通すように御努力願いたい、こう考えております。
  40. 三好始

    三好始君 只今の御答弁を承りますと、マツカーサー元帥の書簡の趣旨に応えるということ、農地改革は一応一段落したという見解の上に立つて規定を整備すると申しますか、そういうことが早く行われるのがいいというので、この会期に設立を希望しておるというようなお話でありますが、只今伺つた答弁では、時間的なはつきりした限界なり、制約があるものとは考えられないのじやないかと思います。この会期にどうしても成立させなければいけないというような、ぎりぎりの時間上の制約はあるという感じは只今の御答弁からは生まれて来ないような気持がいたすのでありますが、その点もう一度、念を押すようでありますが、お答え頂きたいのであります。
  41. 廣川弘禪

    国務大臣廣川弘禪君) 実は政府は、前国会においてこのマツカーサー書簡の趣旨に副うてあの指示に答を出したい、こういう気持でありまして、時間的にはこの前の国会が一番時間的にはよかつたのじやないかと思いますが、遅れて臨時国会にその時間を埋め合せて、この国会を通して時間的になるべく早くやりたい、こういうのがいわゆる時間的の回答になろうと思うのであります。それから、一刻も早く恒久的な成案を得たいと思うことも、これも決して無理からんごとであろうと私は考えております。
  42. 三好始

    三好始君 諄いようでありますが、この会期は極めて短いわけでありますが、前国会で提出された法案と殆んど同じ内容のものではありますけれども、半数の改選によりまして、農林委員会の構成も変つて来て、委員の半分以上が交替しておるような関係もありまして、前国会の引続いての審議というふうに考えることは、可なり無理があるのじやないかと思うのであります。前国会で不成立になつて、今日まで時間を経過して参つておるのでありますが、これを仮に予想される秋の臨時国会まで延ばすようなことが仮に起るようなことがあつた場合に、どうしても困るというような具体的な弊害があるのかどうかということを重ねてお伺いいたしたいのであります。
  43. 廣川弘禪

    国務大臣廣川弘禪君) 先程申上げた通り、それはいろいろな見方もあるでありましようが、早く我々は案を、法律を作りたいということが眼目であります。それから尚、この小作料及び農地価格は今までずつと釘付けになつておるのでありまして、諸般の情勢から見て、これはどうしても改革しなければならん、こう考えておるのであります。尚、地方税が通りますというと、それに連れてどうしてもやはりこれは通しておかなければならん、こう考えておる次第であります。
  44. 三好始

    三好始君 只今の御答弁に具体的な根拠が示されたように思うのでありますが、いろいろ農地改革の一応の区切りをつけるというような御趣旨もあると思うのでありますが、具体的には地方税法の成立に関連して小作料値上げ農地価格の改訂等を行うことがむしろこの法律案を、今会期中に成立させなければいけない具体的な狙いのように政府の趣旨を了解いたすのでありますが、これで間違いないでしようか。
  45. 廣川弘禪

    国務大臣廣川弘禪君) すべてを総合して一つ基本條件と了解願いたいと思います。(「了承」と呼ぶ者あり)
  46. 岡田宗司

    委員長岡田宗司君) 三好さんよろしゆうございますか。
  47. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 今の大臣のお言葉を承つておりますると、農地改革に対する根本的な考え方が変つて来たということをば我々考えざるを得ないのであります。と申しますのは、当初におきまする農地改革考え方は、農村の民主化をば促進して封建的な土地制度を拂拭するということにあつたのでありますから、農地価格にいたしましても、小作料にいたしましても経済的な価値観というものから離れて存在しておつたと思うのであります。ところが今のお話でありますと、情勢の変化によつて小作料を引上げなければならない、即ち小作料というもの、或いは土地を保有してこれを小作せしめるということが経済的な価値あるものに引戻して行くんだというような観点に立つておると思うのであります。そのように解釈していいのでありますか。
  48. 廣川弘禪

    国務大臣廣川弘禪君) 小作料或いは農地価格というものを、いわゆる世間というか、環境から遊離しましていつまでも釘づけにして置くことは妥当でないと私こう考えておる次第であります。
  49. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 そうしますと、この指令にありますところの戰前土地保有制度に復帰するところの可能性が相当強く生れて来るのであります。と申しますのは、土地はこれはもう財産として保有をし、これを小作せしめて経済的に引合うというような観念から離れて、耕作者がこれを耕作し、耕作することによつてのみ価値があるというふうにこの農地改革精神が置かれておつたのでありまするが、このことによりまして初めて戰前土地保有制度というものに決定的に訣別をすることができるのであります。然るに土地を所有し、これを小作せしめることも尚且つ経済的に価値があるということがすでに戰前土地保有制度に近ずくというところの非常に大きな危機を持つものであります。即ち農家が、農業の歴史というものを段々考えて見ますというと、先ず耕作して一人前の農民になるというと、その次には今度は耕作する面積以外の多くの土地を所有いたしまして、それを小作せしめることによつて耕作することよりも利潤を得ているということによつて段々と農地の偏在ということが生まれて来たと思うのであります。そういつたような基本的な問題が又ここに三年を出でないうちに現れて、それが農地改革の法の中心になつて行くということは、これは凡そマ元帥の指令に逆行するものであると私は考えるのでありまするが、この点大臣の御所見を伺いたいと思います。
  50. 廣川弘禪

    国務大臣廣川弘禪君) 農地と雖も税金或いはその他の條件から遊離して存在をしないと思つております。
  51. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 だからこそ第三次農地改革を断行することがこの趣旨に最も即応するという結論が出るのであります。
  52. 廣川弘禪

    国務大臣廣川弘禪君) その点は見解の相違であると考えております。
  53. 岡田宗司

    委員長岡田宗司君) 十二時を過ぎましたので、これで委員会を休憩いたしまして、午後引続き開催することにいたします。御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  54. 岡田宗司

    委員長岡田宗司君) それでは午後一時半に又開会いたすことにいたします。休憩いたします。    午後零時七分休憩    —————・—————    午後一時五十三分開会
  55. 岡田宗司

    委員長岡田宗司君) これより委員会を再開いたします。  主要食糧供出報奨物資の配給に伴う損失の補てんに関する法律につきましての予備審査を行うことにいたします。御質疑をお願いいたします。
  56. 岡村文四郎

    岡村文四郎君 長い間非常な問題になつておりました報奨物資に対しまする損失の補填も漸く目鼻がついて、一応けりがつくわけでありますが、法律は極く簡單で、何ら法律に対する疑義も何もないと思います。予算化して正式に二十五年度において、資金政府から出るまでに損失を見ております団体の方面で改正の必要があると思いますが、政府の方でどういう御準備、御手配ができておりますか、それを伺いたいと思います。
  57. 島村軍次

    政府委員島村軍次君) 只今の資金の問題につきましては、この法案提出と同時に大蔵省に交渉を進めまして、預金部より中金に預託の形式を採つてつて、中金から一時資金を流すという予定で交渉を終つておるのでありますが、まだ手続が済んでおりませんので、この法律成立後直ちに措置を講じたいと存ずる次第であります。
  58. 江田三郎

    江田三郎君 この提案、非常に結構なんでありますが、これと関連して、農業協同組合が、前の農業会から引継いだ資産の中の不良資産に対する金融的な措置について、政府のお考を承りたいわけでして、農協が旧農業会から引継いだ資産の中には、大変な不良資産として、今約五十億程度もあるくらいであります。その外に、やはり供出に関係した物資が相当ある筈なんです。報奨物資だというわけではありませんけれども、終戰直後農機具あたりが不足しておりましたときの農民団体、或いは県庁、そういうところから農業会に無理に鎌であるとか、鍬であるとかを集めさせたわけでして、それがその後経済状態がよくなつて、立派なものができて来るとさつぱり売れない。そういうような滞貨分が相当ありますし、その他これは農業協同組合の責任ということでなしに、経営のまずさということでなしに、大きな損害を蒙つておりまして、これがために、今農業協同組合の資金運営が非常に円滑を欠いておるわけです。今度の肥料資金の問題につきましても、農業手形のある部分はよいわけですが、農業手形がない部分については、やはり農業協同組合が、その資金を桁えて行かなければならないのに、この引継ぎ資産の不良部分を相当固定させて置くということになると、そういう部分も資金が取れないわけでして、そういうことについて政府の方で長期の低利資金でも融通するというようなお考があるかどうかということと、旧農業会の資産引継につきましては農林省が許可を與えておるわけでありまして、我々はその当時農林省関係方面に申したのでありますが、農林省の許可の與え方が杜撰なんじやないか、若し杜撰な許可を與えておくと、そのために農業協同組合が大きな損害を蒙むることになると、政府の責任ということになるのじやないか、こういうことを申したのでありますが、その後経過を見ておりますと、農林省の方に許可を與えられた筋が我々の心配したような方向と似ておるように思うのでありまして、この点につきましては政務次官は旧農業会の人でありまして、十分実情は御承知と思うのでありまして、これについてこの損失填補と平行いたしまして、資産引継の分についても損失填補ができれば結構ですが、それは余りに慾過ぎると思うのでありますから、せめて現在の不良資産として滞貨しておる分について長期低利資金を融通する措置をお採りになる意思があるかどうかということをお尋ねいたします。
  59. 島村軍次

    政府委員島村軍次君) 農業会の資産引継に関する資金も相当要することはお説の通りであります。この資産の引継に要する資金は資産そのものが、江田さんは不良資産の例についてお話がありましたが、御承知のように資産処理委員会で大体府県の資産引継は大凡手続は完了いたしております。目下その引継資産の譲渡の最中であると思うのであります。この問題については昨年の十月頃であつたと思いますが、当時の政府においても相当資料を以て大蔵省と折衝を進めて参つたのでありますが、元来この農業会の資産については、後の引継を受けたいわゆる協同組合、又は連合会の経営上に影響が多いのでありまして、そこで再三この問題の折衝農林省としては進めて参つたのでありますが、たまたま別途農業会それ自身の全体に対する資金問題が窮迫を告げまして、対策委員会等が地方でも作られ、農林省におきましても全体の委員会を作つて、そのいわゆる長期低利資金に関する手当を執行をいたしておつたという関係で、この農業会引継資産の処理についてはまだ十分な手当が行われておらないのであります。尤もこれは、問題は低利資金を要するということでありまして、普通の資産の譲受けについては中金において措置する方法を講じておりますから、現在においてはその後の引継を受けた協同組合において自己資金、又は中金からの資金を以て賄つてつておるのであります。前段申上げました、措置のついておらんということは結局低利資金措置がついておらないということであるのでありまして、府県団体においても相当この引継の措置が目下講ぜられつつあるような次第であります。尚、引継の物資に対する問題については、お話の点も相当あろうかと思うのでありますが、これは府県においては別途対策委員会等が作られまして、その方で相当、都道府県の経費の中から或いは資金を融通し、或いは又貸付、その他補助等の形式において出されたところもあるようであります。国としてはまだこの資金について全体的の施策が十分講ぜられていないのでありますが、目下検討中であることを御了解を願いたいと思います。
  60. 江田三郎

    江田三郎君 何か検討中というようなことで、非常にこう弱い言葉が出るわけですが、これは検討中等ということでなしに、もつとこれについて実現するために積極的な努力をお拂いになるお気持はないかということなのでありまして、各府県でさえもそれぞれやつておるということになると、それに対して国が知らん顔をするということは、非常に冷淡な態度だと思うわけです。府県がやるのだとしましたところで府県財政の今日の状態からしまして、或いは引継資産の固定している資金を動かせるようにするということはとても望めないことなんでありまして、やはり長期低利資金を国が斡旋するということでなければ問題は片がつかんと思うのです。今度の肥料資金なんかについても相当の部分が廻るのはいいのでありますけれども、長期低利資金についても、聴いて見るというと、結局は農業手形のある部分以外は農業協同組合が自己資金において賄わなければならんということになるというと、恐らく肥料資金の面で農業協同組合は肥料の取扱が予定の何パーセントになるか知らんが、非常に低いものになりはしないかと思うのでありまして、これは急速に農協の資金が円滑に動くような措置を採らなければならんと思うのでありまして、ただ検討中というようなことでなしに、もうこれは前から問題になつているのでよくお分りになつておると思うのでして、これは政務次官みずからその府県の問題に当られたのでありますから、内容はよく分つておるし、今更検討の余地はないと思う。速かにそういう措置を取るために、積極的な方策を採られるかどうかということをもう一遍はつきりして置きたいと思います。
  61. 島村軍次

    政府委員島村軍次君) 江田さんもよく御存じの問題なのでありまして、努力は昨年来続けられておる問題であるから、その努力の結末がすつかり付いておりませんから検討中と申上げたので、努力についてはお話通りであります。
  62. 江田三郎

    江田三郎君 そこで問題は、農林省内部の意見が一致しないのか、或いは農林省の意見は一致しても、大蔵省関係その他関係筋の方の了解が得られないのか、どの点に障碍があるのかということをお聽きしたいので、若し農林省の意見は一致しておるが、例えば大蔵省はそうでないということになれば、大蔵大臣にこの問題についてお伺いしたいと思います。
  63. 島村軍次

    政府委員島村軍次君) 農村金融全体に関する問題と関連を持つわけでありまして、御案内の通り政府の全体の資金計画の上から、或いは又農林金融の点から長期資金の必要のあることは前々からの問題でありまして、この長期資金を、要するに預金部から出すか出さんかということと、それから農村全体の金融機関である農林中金の資金の増資をし、更に見返資金の放出等のありましたことは御承知通りでありまして、これを以てしてはまだ不足であるし、債券発行をやつてもまだ下足であるという点が問題になると思うのでありまして、債券発行をやるといたしましても、直ちには行われないのであります。資金計画の上から不十分であるという点が未解決のことが一つと、長期資金としての預金部資金に関する問題が未解決である、こういう段階であることを御承知願いたい。
  64. 江田三郎

    江田三郎君 問題は大蔵省にあるということですが……、大蔵省にあるなら大蔵大臣に……。
  65. 島村軍次

    政府委員島村軍次君) 長期の資金の問題については、所管が大蔵省でありますから、さように御承知を願います。   —————————————
  66. 岡田宗司

    委員長岡田宗司君) 只今通商産業政務次官がお見えになつておりますので、過日通商産業常任委員会との連合審査をやりました商品取引所法案の件につきまして、農林委員会で申入れをすることにいたしましたので、これを通商産業政務次官を通じて、大臣の方に申入れたいと存ずる次第であります。で、その内容を先ず読んで頂きまして、これに対する通産省責任者の方の御見解を承りたいと、こう思います。先ずこの委員会におきましてまとまりました申入れの案を読んで頂きます。
  67. 安樂城敏男

    ○專門員(安樂城敏男君) 朗読いたします。  商品取引所法の運用に関する申入   昭和二十五年七月         参議院農林委員会  商品取引所法が成立施行せられることとなつた場合は、政府は、本法の運用に関して次の事項について万遺憾なきを期せられたく、右申入れす。  一、蚕糸業の消長は我が国農家経済に至大の影響を及ぼし、糸価及び繭価の安定を期することは蚕糸業の維持発展上最大の要件である。ここに鑑み、本法によつて生糸及び乾繭取引所が設置せられることは、生糸及び乾繭の価格及び取引の公正に資し、蚕糸業に対し寄與するものあることを期待することができるのであるが、併し、糸価及び繭価の変動は極めて激しく、取引所の設置のみにては單になきに優るに過ぎない程度のものであるから、糸価及び繭価安定のため、本法の施行に安んずることなく、速かに別途斬新強力な方策を樹立し、これが運営に遺憾なきを期すること。  二、輸出を増進して国家経済の改善に資するとともに、收入を増大して農家経済の作興を図るためには、わが国生糸の海外販路を拡大することが極めて緊要である。よつて、これがため、速かに生糸に関する海外市況の調査及び海外における生糸の販路拡張に関して適切な施設を講ずること。  三、商品取引所の上場商品として、農業関係においては、差当り生糸及び乾繭が規定せられているが、既往の実情にかんがみるとき、今後においては各種の農業生産物及び農業必需資材の上場が予定せられ、農業との関係が愈々重要を加えて来るものと考えられる。  然るに本法第百三十七條によれば、本法の施行に関する重要事項を調査審議するため商品取引所審議会を設置し、これを通商産業省に附属せしめることになつている。もつとも第百二十九條によつて審議会の会長及び委員は両議院の同意を得ることになつているが、然し、国会閉会等の場合は内閣総理大臣が單独で任命することができることになつているのであつて審議会、延いて本法の運用が、商工業に偏重して、農業に下利を齎すことが懸念せられるのであるが、苟しくも不公平を来すことのなきよう、これ等運用の厳正公平を期するため適当な措置を講ずること。  以上であります。
  68. 岡田宗司

    委員長岡田宗司君) それでは首藤政務次官
  69. 首藤新八

    政府委員(首藤新八君) 只今のお申出に対しまして御返答申上げたいと思います。この一の糸価の安定に対する強力な方策、これは主として農林省の所管でありまするので、私からとやかく申上げるのは如何かとも思いまするが、少くともかような面におきまして通産省が協力しなければならんという点がありましたならば、その点に対しましては通産省は強力にこの問題について御協力を申上げたいということをお答え申上げたいと存じます。  尚この輸出の増進でありまするが、これは御承知通り昨年来海外に通商事務所を設置してあります。この目的は、日本製品の貿易振興を目途として設置したものでありまして、従つて国内製品の斡旋、媒介、或いは又商品の展示、陳列ということをやつているのでありまして、常に通産省といたしましては外務省と連絡をとりまして、この目的を一日も早く達成いたしますように、更に又日本商品が成るべく広い範囲に一日も早く認識されるように格段の指導をやつているのでありまして、今日までの経過から考えますると、各事務所等もこの趣旨によく協力しまして、あらゆる情報を而も迅速に齎らしているのであります。今後もこの方針を引続き推進いたしまして、生糸の輸出に万遺憾なき措置に御協力を申上げたい。かように存じている次第であります。  三の問題でありますが、只今のところ生糸並びに繭だけでありまするが、当然今後はこれのみならず米の統制が撤廃されますれば必然的に米の取引所も設置せられるかと存じます。更に又雑穀或いは肥料という問題も、これ又相当業者の方は関心を持つているかのように見受けますので、近い将来統制が悉く撤廃された暁におきましては、それぞれの商品の取引所が設置せられるかとも存じているのであります。そこでそういうふうになつた場合は、農林省の方を軽く見て商工に偏重しはせんかと、御尤もな御杞憂かと存じます。今日までにおきましても、いわゆる縄張争い、セクシヨナリズムということがとかく批判の対象になつているのでございますが、通産省といたしましてはあくまでも農林省の御意向を尊重いたしまして、現有のところこの審議会の審議委員に対しましても、農林御当局とよく御相談申上げまして、その委員はどなたが見られても適当でおると御賛成下さる方を実は御推薦申上げたい、かように存じているのでありますると共に、更にトラブルが起きた場合の仲裁委員農林省の方から適当な方を出して頂くという実は予定をいたしておるのでありまして、苟くもセクシヨナリズムというような批判を呼けるような措置は断じてやらない、あくまでも商工の公平な観点からする運営に当つて参りたいというふうに考えておりまして、決して農業政策に御心配をかけるようなことは断じてないということはこの際はつきり申上げて置きたいと思います。
  70. 島村軍次

    政府委員島村軍次君) 第一の糸価安定に関する問題につきましては、先般当委員会において申上げました通り、極力この問題に対して努力を重ねまして御期待に副うような措置を講ずるように努力中でありますので、さように御了承を願いたいと思います。
  71. 岡田宗司

    委員長岡田宗司君) 外にこれに附随しての御意見はございませんか。
  72. 白波瀬米吉

    ○白波瀬米吉君 私は主として大蔵大臣にお伺いしたいのでありますが、これに関連しておりますからお伺いしたいと思います。蚕糸業の現状は漸く海外の需要も順調に増して参りました。国内においても各地の最近の蚕糸業の関心は非常に高まつてつたと存ずるのであります。ここにこういう取引所ができることは非常に喜ばしいことでありますが、何としても現状における一番根幹な問題は繭糸価格の安定の問題と、それから蚕糸金融の問題であると実は存ずるのであります。それでここに蚕糸金融の問題に対して少しお尋ねをいたしたいと思うのでありますが、先ず昨年の状況を検討して見る必要があると思うのでありますが、昨年も繭の買入時には相当糸価は安かつた。ところが十月頃に著しく糸価が上つて参りました。昨年の養蚕家に対する繭の支拂は、本年の四月末においてさえもまだ一億有余円の未拂の金が、つまり前の代金の未拂があるように考えるのであります。それでそのことがやがて養蚕意欲を著しく阻害しておるかのように存ずるのであります。それで第一番に、昨年の夏秋蚕の繭代金の支拂の状態はどういうふうになつておるか、伺いたい。第二には、そういう養蚕家のいわゆる繭代金の問題に対する不安が今日においては本当に解消されておるかどうか。第三には、そういう時期において役所はどんな行政措置を講じられたか。この三点に対して先ずお伺いしたいのであります。
  73. 最上章吉

    政府委員(最上章吉君) 只今の蚕系金融についての御質問でございますが、第一に昨年の秋の繭の未拂代金につきましては、その代金がどのくらいかというお尋ねでございますが、実は正確な金額は今ちよつと手許に持ちませんのでありますが、只今お話になりましたように一億数千万円程度の未拂があることを私は聞いておるのでございますが、この問題につきましては、その大部分は本年の春繭の繭代金の問題を解決するようにしまして解決いたしておるものと考えるのであります。  それから第二に今後の繭の未拂代金の問題でございますが、そういうことについて、どういう方法を採つておるかというお話でありますが、これは昨年の経験にも鑑みまして、できるだけ団体協約を奨励いたしまして、個々の養蚕家がそういう未拂代金がないように団体的の取引を奨励いたしまして、そうして購繭資金といたしましては、いわゆるスタンプ手形制度を採用いたしまして、いわゆる釜入代金の八五%以内、期間は八ケ月以内という昨年と同様なスタンプ手形制度を利用いたしまして、健先的に購繭資金については融資をいたしておるのであります。
  74. 白波瀬米吉

    ○白波瀬米吉君 今のお答はちよつと私の伺つておるのと違うので、昨年の繭代が今年の四月の末においてさえも一億に近い未拂がある、そういう状態を見て昨年の繭代に対してどういういわゆる措置をされたのか伺つたわけであります。
  75. 最上章吉

    政府委員(最上章吉君) ちよつと質問意味を了解いたしかねますが……。
  76. 白波瀬米吉

    ○白波瀬米吉君 今のスタンプ手形とかいうお話は、それは総体的の資金計画の問題であつて、そういう方法を採つてやられたが、去年の夏秋蚕の繭代が今年の四月の末においてさえも一億円からの未拂がある。繭代を貰つておらん養蚕家がある。而もそれが全国数県に亘つてそういうことになつておる。その状態を見てそれに対する何らか金融措置をされたのかどうかということです。
  77. 最上章吉

    政府委員(最上章吉君) 昨年の秋は御承知のように全国的に繭の不足、或いはポンド為替の切下げというようなことで非常に混乱いたしまして、地方によりましては採算を無視した非常な無理な繭価があつたことは御承知通りでございます。従いましてこれにつきましては金融機関からもいろいろの警告的の措置が講じられたのでございますが、昨年は全く異常な事情でございまして、農林省といたしましては、こういう繭代金の不拂を出すということは養蚕農家に対して、養蚕農家を擁護する建前上非常に遺憾でありますので、団体協約をできるだけ奨励いたしまして、そうして又本年の春繭の資金につきましてはそういうものができるだけ清算されてやるように、資金の面につきましても日本銀行或いは中金等につきまして、できるだけそういう購繭資金については優先的に出して貰うように斡旋をいたしたのでございます。
  78. 白波瀬米吉

    ○白波瀬米吉君 更に承りたいと思うのでありますが、本年の問題でありますが、昨年の状態から考えますと、今年の購繭資金は前年の実情に即して相当御心配を願つたことだと思いますが、併しながら昨年と違いまして、今年は繭の出盛り当時は十二万円内外のものであつた、それが最近十七万円をすでに超しておるようなふうになつておる、全国の繭の価格の決定はまだ二十県近く決定されたのみであつて、約半分に過ぎない。この状態に対して最初政府考えられた金融の貸出基準、又それに対する資金計画などは、ここ一ケ月足らずの間に非常な相違を来たしておるが、これに対する資金計画と、而も金融貸出しに対してどういう措置をお講じになつておるか、聽かして頂きたい。
  79. 最上章吉

    政府委員(最上章吉君) 繭の価格の決定が非常に遅れておることは事実でございまして、現在におきましても段段決まつて来ておるのでありますが、糸価が非常に変動しましたこと等も関係いたしまして、相当繭価の決定が遅れておることは事実でございますが、これは実は御承知のように繭の出廻り等も地方によつて相当異なるのでございまして、殊に繭の出廻りが比較的遅い東北地方におきましては、漸次目下折衝中でございますが、尚まだ大部分が決定を見ていないという状況でございます。尚この繭価の決定につきましての金融的な措置といたしましては、繭の価格統制が外れました現在におきましては、政府若しくは金融機関等が掛目の基準を決めるというようなことは適当でございませんので、これは役所が表面上、或いは役所が価格指示するというようなことは一切いたしておらんのでございます。尚これは結局価格が自由になりました以上は、売手であり買手である養蚕家或いは製糸家がお互いの話合いで決めるということに相成らざるを得ないのでございますが、私共といたしましても金融機関が繭価を決めるということはできるだけ避けて貰う、又そうすべきではないかということを申入れまして、売手買手が決めたところを基準にしてそのスタンプ手形制度を利用いたしまして、優先的に購繭資金の融通を図つて行きたい、かように考えておる次第であります。
  80. 岡田宗司

    委員長岡田宗司君) 通商産業政務次官が何か本会議の方へお出になるそうでありましてお急ぎのようですが、若し通産政務次官の方に何か御意見等がありましたら述べて頂きまして、それがなければ通産政務次官に御退席願つてもいいと思いますが、如何でございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  81. 岡田宗司

    委員長岡田宗司君) それでは白波瀬さんお続けを願います。
  82. 白波瀬米吉

    ○白波瀬米吉君 私のお尋ねをしておるのは、政府として一般養蚕家に支拂う繭代資金というものは、これは單なる製糸の金融とか何とかいうようなものとは多少意味が違つておる。それでありますから、今年の繭の出盛り、いわゆる政府の方でいろいろ資金計画を立てられたときには十二万円ぐらいだつたと思います。それが今十七万円にもなつておる。繭代はまだ決まつていない。それに対して政府としてその繭代資金に対してどういういわゆる基準、数字でどういう資金の計画を持つて心配になつておるかということであります。  それから団体協約ということで、まあ政府の奨励によつて団体協約ができておりますが、今支拂の比較的遅れておる、まだ繭代を貰つておらんというような者が団体協約の者に比較的多いように思うのです。それらはやはり政府がただ、製糸家が繭代を拂わんから仕方がないということになつては私はいかんのではないかという気持を持つております。
  83. 最上章吉

    政府委員(最上章吉君) 只今のお話でございますが、価格の決定が、今後漸次繭価の決定がないところも決定されるわけでございますが、そういうものにつきましては、繭代金の支拂に困らないように日本銀行或いは中金等を通じまして、できるだけ支拂を円滑に行くように十分斡旋したい、かように考えておる次第であります。
  84. 池田宇右衞門

    ○池田宇右衞門君 どうも蚕糸局長の努力はよく分つておりますが、養蚕家から見ると、非常にもの足りない。もう普通にいうならば、蚕を掃き立てる前に購繭資金というものは要るのだから、そのときに予め大蔵当局と相談して、日本銀行、或いは中金を通じて、又は市内銀行を通じて繭の購繭資金に差支ないような方法を講じて、併もその繭代金が年を越してもまだ支拂が完了しないというようなことのないような処置をなぜ講じないか。又、処置を講ずるのが当然ではないか、こういう質問であると思うし、又我々は当然そういうことを要求しておるのでありますから、この点につきましてはもつと明確に一つ決意を御披瀝願いたい。  次に養蚕に対しましては、非常な養蚕農民の関心を持たれて好調になりつつある際であるから、この技術員に対しての身分保障に対してもつと安全の方途をどういうふうにして講じておるか、いわゆる繭代金を製糸家を通じて支拂しているような現制度は、極めて不安であり又製糸家にその制度を利用されるようなこともなきにしも非ず、実際この点については相当指導員においても不安を感じておりますから、その責任監督をいたして十分にこれが徹底を図るところの、当局としてはどういう堅実なる方途を以てこの任にお当りになつておるか、この二つについてもつと的確に一つ率直に御答弁を煩わしたいと思います。
  85. 最上章吉

    政府委員(最上章吉君) 蚕糸につきまして、今まで執りましたことについて非常に御不満なようでございますが、私の説明が十分でなかつたかと思いますが、先程申しましたように、一般の購繭資金につきましては、一般的にスタンプ手形制度を採用いたしまして、優先的にいわゆる釜入れ価格の八五%までは日銀において優先的に融資すると、こういう制度を採つておるのであります。尚、坐繰り業者の購繭資金等につきましても商工中金等から本年から或る程度の中小企業の資金の枠の範囲内において融資をすると、かようなことに話がついておるのであります。尚、乾繭共同保管資金といたしまして養蚕家が希望する場合にはその乾繭の保管に必要な資金を中金から融通すると、こういう道もつけておるのであります。尚中小の製糸業者に対しましては、中小の製糸業者が中小企業等の協同組合を組織しました場合には商工中金より購繭寳金の融通を受ける途を本年からつけたのでございまして、これは未だ中小企業等協同組合というものができた早々ではございますが、将来この商工中金等を通じた系統的の金融機関の融資というものが相当活発に行われるものと予想いたしておるのであります。尚その外に養蚕者に対する金融の途といたしまして、桑園用の肥料資金につきましては中金より農業手形に準じて融資の途を講ずる、かようなことを実施をいたしておるのでございます。尚技術員の身分の安定の問題につきましては、池田委員もよく御承知のように、昨年末の非常な強い要望によりまして昨年から極く僅かではありますが予算を計上いたしたのでございますが、本年はこの問題につきましては問題の根本的の解決を図るように本年度の予算措置その他において十分なる措置を講じたい、かように考えておる次第であります。
  86. 池田宇右衞門

    ○池田宇右衞門君 どうも最後に結論がもう一つ足りないのは、年を越して七月になつても繭代金の決済が済まないという、かように繭代金の支拂が手間取るということは養蚕家に迷惑だ、これを如何に迅速に早く決済して養蚕家の手許に現金が支拂われるような方途を講じているか、又そういう監督はどうするかということも皆さん質問しているだろうし、私もそういうことを聽きたいのでありますが、これに対する決意を一つ十分に、本当に簡單で長くなくていいから、一つ簡明に御答弁願いたい。
  87. 最上章吉

    政府委員(最上章吉君) 昨年の繭代の未拂代金につきましては、現在相当程度解決されておるものと考えておるのでございますが、尚よく調査をいたしまして、若し年内におきましても尚夫拂の金額がありましたならば、その分につきましては日銀、或いは中金等等とも十分斡旋をいたしまして問題の解決をいたしたい、かように考えておる次第であります。尚今後共繭の支拂の未拂の問題ということは最も養蚕家に対しまして迷惑な問題でございますから、そういうことのないように十分資金の斡旋については努力をいたしたい、かように考えておる次第であります。
  88. 白波瀬米吉

    ○白波瀬米吉君 私は大体伺いたいのは、今はすつかり蚕糸業は自由になつたんです。大々的に取引をしているのだから、養蚕家が繭代が貰えなくても政府としてはそれは仕方がないのだというて放つて置けるだろうかと、こういう考え方をお尋ねしたい。而もそれが政府の奨励している団体取引をした金が、去年の繭代が今年の蚕が出てもまだ繭代が貰えない、そういう実情をそのままで放つとくことができないじやないか。これはまあ商取引であるから、養蚕家じやなしに、中間業者の売買業者かなんかならば、それはそれでよいけれども、今日の養蚕農家に対しては、そういう現象がそれは僅かずつあるということならいいが、相当各府県に亘つてある場合には、これはどうしても政府としてもつと真剣に考えて貰いたい。尚昨年の実情から私の危惧することは、今年は製糸の実情は比較的繭の安いとき相当安売りしておる。そうすると去年よりももつとその状態が大きく繰拡げられて来るのじやないか。今から相当御心配を願わなければ、結局結論は養蚕農家がつまらん目に会うんじやないか、こういう考を持つておる。そういう点から考えても、この際何としても真剣に糸価安定策をお考えになることが必要じやないか。そういうふうに私は思う。その点に対する、いわゆる政府としての考え方を聴きたかつたのです。
  89. 最上章吉

    政府委員(最上章吉君) 繭の不拂の問題につきましては、先程申しましたように、まあ昨年は統制が外ずれた直後でもあり、又非常に混乱をいたしましたので、そういうことが或る程度起きたのでございますが、そういう問題につきましては今後共十分注意をし、又資金の斡旋その他につきましては、金融機関にも十分斡旋をいたしまして、そういう問題がないように最善の努力をいたしたい、かように考えておる次第であります。  尚糸価安定の問題は、先程政務次官から御答弁があつたのでありますが、たとえ商品取引所法等ができましても、糸価安定の問題は尚今後一層その必要を感ずるのでございますし、又この問題は金融問題の解決とも実は非常に密接な関係がございますので、農林省としましては、糸価安定の問題の解決につきましては今後共最善の努力をいたしたい、かように考えておる次第であります。
  90. 岡田宗司

    委員長岡田宗司君) よろしうございますか。  それでは又売に戻りまして、報奨物資の損失補てんの方の御質疑を続けて頂きます。
  91. 赤澤與仁

    赤澤與仁君 損失補てんを受けます対象となる農業協同組合関係におきましては、御存じのように町村の農業にいたしましても、又共同荷受の府県段階の購連にいたしましても、現在金融ベースに乗つておるものが少いのでありまして、或いは不拂、資金にさえ困り、或いは府県段階におきましては、その経理の面におきまして、資金融通の対象になることの困難な組合連合会が多いわけでございます。で、予算的措置を講ぜられます間におきまして、それらの組合こそ旱天に慈雨を待つごとくこれを待つておるわけでありますが、何とかして繋ぎ資金を欲しいというような場合におきましては、一応金額も少いことでございますし、資金につきましては一応御心配が願えるかと思うのでありますが、いざ流す段になつて参りますると、それらの組合が融通を受ける資格がないというようなことになつておるわけであります。従いまして、その流すことにつきまして、何らかの特別の措置を講じて頂かなければならんと思うのであります。例えて申しますと、一刻も早くその損害補てん額というものを御認定願つて、請求権を確立さして頂くとか、或いは認証方法を講ずることによつて、金融的には信用がなくても、何らか政府のそれらの措置によつて、この金が流れるような方法を、特に御配慮願わなければ困るのではないか、かように存ずるわけでありますが、この点に対しまするお考をお願い申上げますると共に、一つつておきたいと思います。
  92. 首藤新八

    政府委員(首藤新八君) 先程岡村さんの質問に対してお答を申上げた通りでありまして、措置を講ずると共に、この総額がいわゆる一つの見返りになるわけでありますから、事実問題としては、すでに各町村別の、ここに内訳資料等も分つておるので、如何に貧弱な組合でありましても、見返りで資金を融通するということになれば、さような御心配はないものと考えております。又政府といたしましては、この問題に関する限り、只今のような措置によつて至急に処理いたしたいと存じておる次第であります。
  93. 赤澤與仁

    赤澤與仁君 ちよつと誤解があるようでございますが、一応の措置の御心配を願うことはそれでいいわけなんですが、只今までそんな事例が沢山ありまして、いわゆる金融機関として融資をする場合の融資條件というような事柄につきましては、今政務次官がお考えになつていらつしやるような簡單なことでないのでございまして、私は現実にそういうようなことについて体験を持つて、現在苦難を嘗めておりますわけですから、流し得るように、又流して貰えるような金融的な措置を、政府が御斡旋なさるかというような方面についての事柄を私共お願いしておるわけなんでございまして、誤解のないように一つ
  94. 長谷川善彦

    説明員(長谷川善彦君) 今御質問になりました点につきまして、只今大蔵省の事務当局とも細かく打合せを進めておるわけでございますが、具体的にどうやるかということについては決まつておりませんが、要するにできるだけ中金を利用いたしまして金融をして行くということを考えておるわけでございます。具体的に今御質問のありましたような、普通の金融であれば、金融ベースに乗らない組合もあると思うわけでありますが、五億六千五百万円というものを、政府補正予算で保証しておりますから、その限りにおいて金融機関も安心できるわけでございまして、ただ繋ぎとしての融資でございますから、結局これも大蔵省と今後細かく打合せをするということになると思いますが、どこどこに幾ら保証金が、この法律がパスしたら、而も補正予算が通過したら、行くというような証明でも作りまして、その証明書の限度内におきまして、組合が資金を借りる、その代り、借りた代りに、今度は政府から出る補てん金は、その見返りに銀行の方に取られても仕方がないというような保証状でも入れるとか、そういうような恰好になつて金融がついて行くのじやないかと思います。
  95. 岡田宗司

    委員長岡田宗司君) よろしうございますか。外に御質問ございませんか、なければこの方の質疑はこれで一応中止いたしまして、日程に従いまして、食糧管理政策の問題について政府側の説明を伺いたい。こう思います。(「異議なし」と呼ぶ者あり)それでは先ず安孫子食糧長官より食糧管理政策の現況、それから将来の見通し、特に朝鮮問題が起つておりますので、いろいろと問題があろうかと思いますので、それらについてお伺いしたいと、こう思います。その前にちよつと実は農林委員会から過日、本日の政府側の見解を聽くにあたりまして資料が要ると、こういうことで五つ程資料を要求しておいたんでありますが、今まで一つも持つて来て頂けないのであります。これはどうも甚だ怠慢ではないかと思うのでありまして、これはひとつ政務次官にそういうことのないようにお取計らいを願うと同町に、できればありましたら直ぐお出しになるように、あなたの方からお取計らいを願いたいと思います。
  96. 島村軍次

    政府委員島村軍次君) 私の手許まで送つて頂くと非常に都合がいいのですが、資料を出せと言われてもどういうものを出すか分らないので、その意図によつて取調べて出すことにいたしたいと思います。
  97. 岡田宗司

    委員長岡田宗司君) それでは食糧庁長官から最近の状況についてお伺いすることにいたしましよう。
  98. 安孫子藤吉

    政府委員(安孫子藤忠君) 資料の要求につきまして大変遅れておりまして申訳ございません。実は資料は私も一応眼を通しまして、できておる筈であります。とうにこちらに届いておると思いましたが、どういう行違いか参つておりません。その点非常に恐縮でございます。早速お届けいたします。そのうちの一つ資料といたしまして七月から十月までの主要食糧の需給見込という資料がありますので、その分が今来ておりますので、その資料について一応の状況だけを差当り申上げます。
  99. 岡田宗司

    委員長岡田宗司君) それでは資料をお配りいたします。  それでは長谷川物価庁第二部長が司令部に行かれる都合がありますので、先に米麦等の価格の方についてお伺いをすることにいたします。物価庁の方から出た資料がございますのでこれを配付いたします。
  100. 長谷川清

    政府委員(長谷川清君) 只今本年産の米及び麦等の価格に対する現在までの事情について、説明せよというお話でありますので、取敢えず今年産の麦類につきまして過般米価審議会を開催いたしました際に配付いたしました政府一つ考え方の試案を先ず申上げまして、更に米価等に関しまする、現在の我々の考えております点を申上げて御参考にいたしたいと考えます。今お手許に配付いたしました書類は、案となつておりますので、まだ正式に決定して発表されたものではございませんが、政府といたしましては、大体こういう線で考えて行きたいと考えたものであります。その第一は麦の生産価格の基本価格であります。これは従来の考え通り、本年五月末の農業パリテイ指数一六五・一六を基礎といたしまして、終戰後使用して参りました従来の対米価比率、即ち大麦については、米に対しまして七〇%、裸麦及び小麦は八一・三%という比率がありますので、この比率をそのまま使いまして、次のように改訂をいたしたい、この改訂価格は昨年の麦のそれぞれの価格に比較いたしまして、大体一割五分の値上げになるというのであります。多少経過的な事情を申上げてみますると、御承知のように、最近小麦粉等の配給辞退が月に四万トン乃至五万トン等相当のものがございまするし、その中の過半数以上は小麦粉その他麦類の配給辞退であります。而もその主なる原因が、小麦粉の価格が米の価格に比較いたしまして高過ぎるというようなことが考えられますので、それらの点を調整するというような意味合からいたしまして、従来大麦、小麦等の対米価比率は、御参考までに基準年次の例で申してみますると、大麦は大体四八%、裸麦、小麦は大体六三%程度に当つてつたのであります。これが戰争中の政府の食糧増強政策にも関連いたしまして漸次引上げられまして、戰争中は大体ここに挙げてありまするような比率まで高まつておるというような事情もありますし、かたがた将来の小麦類の国際価格というようなものも相当先安になる傾向が察知せられております状況でありましたので、先程申上げました小麦粉の消費者価格を改訂するということと併せまして、麦の生産価格についても何らかこれを調整する必要があるのではないかというような点を事務的には種々検討いたしたのであります。併しながら御承知のように国際小麦協定への参加というような問題もそのうちに、少くとも本年度は参加ができないということに決定をいたしましたし、又現実に現在入つておりますところの輸入食糧は、アメリカの小麦にいたしまして、横浜着トン九十ドルでありますし、カナダの小麦がコンマーシャル・フアンドで入つておりますものでも八十二ドル乃至八十五ドル見当でありまして、ここにお示ししてありますこの数字に比較いたしまして、尚アメリカ物は四割程度、カナダ物は二割程度横浜の着価格は高いという現状にあります状況等も考えまして、又本年の麦につきましてはすでに事前割当も行われておるというような関係をも併せ考えまして、少くとも本年はこの対米価を従来通りにすることが適当であるというふうに考えまして、やはり従来の比率を用いて決定をしたらどうか、こういうふうに考えた次第であります。米価審議会にこの案を諮りましたところ、いろいろ御意見もあつたのでありまするが、この第一点の基本価格につきましては、これでよかろうという答申を受けたのであります。ところが、第二の問題でありますところの超過供出の特別買入価格を基本価格の何倍にするかという点につきましては、本案は一、二五倍ということになつておりまするが、米価審議会におきましては、従来政府が予定しておつたような、いわゆる二倍の線に引上げるのが妥当であるというような御答申を頂いたのであります。実は御承知のように、この特別買入れの制度は、一昨年主要食糧の事前割当制度が設けられましたことと関連いたしまして、農家が事前割当数量以上に收穫を挙げ、供出をしたものに対する報奨的な措置として、特別なる価格を加算するということに相成つたのであります。ただその何倍の価格で買うかということにつきましては、勿論その当時におきまするいわゆる自由価格と申しまするか、闇価格等の関係等をも併せ諸般の事情を考慮して最終的には決定をせられるというような性質のものであるように思うのでありますが、とにかくも昨年までは麦につきましては三倍の値段で買上げております。それから米につきましては、一昨年は三倍でありまして、昨年は二倍の価格で買上げたのであります。本年はどうかと申しますると、これも御承知のように、本年一月に消費者価格政府は大幅に改訂をいたしたのでありまして、その際消費者価格を決める前提條件としての各種主要食糧のプール計範をやりました。その算定の基礎には基本価格の二倍を出し得るという数字で計算をやつているのであります。従いまして或いは政府は二倍を出すということを公約したのではないかというふうに解釈をしている向きもあるくらいでありまするが、まあとにもかくにも、そういうことで今年の消費者価格はすでに決定をしているのでありまするが、現実に今年の買入れ倍率を何倍にするかという点につきましては、政府部内でも随分いろいろ研究をいたしました。先程申上げましたように、対米価比の比率の改訂の点等も考え併せましていろいろ研究をいたしました上、関係方面とも度々折衝いたしまして、大体この程度であるならば司令部の許可が得られる見込がつきましたので、これを米価審議会に諮つた次第であります。ただ御承知のように、最近農家経済が従来に比較いたしまして、漸次困窮の度を強めておるというような事情もございまするので、現存消費者価格を決めましたときの基準にさしたる影響を與えないならば、言葉を換えて申上げますると、現在の消費者価格をいじくることなしに、成るべく農家の実質的所得を殖やすことができるならば、その方法も、司令部の方としては大いに考えようというような見解が得られましたので、私達この麦の特別超過供出の買入価格が少くなることによりまする農家の所得減につきましては、できるだけ今年の米の値段を決めます場合に、その点を十分考慮して米の値段を一つ考えるというような含みを以ちまして、こういう趣旨の参考案を米価審議会に諮つた次第であります。併し先程も申上げましたように、米価審議会といたしましては、とにかく政府は二倍の心組みで従来おつたんではないか。農民も相当それを期待している実情であるから、更に二倍になるように、一つ司令部の方と交渉せよというお話でありましたので、その御趣旨に基いて更に司令部ともたびたび交渉、折衝を続け、特に最近におきましては、これはいずれ後程安孫子長官からお話があると思いますが、今年の麦の補正割当の問題等とも関連いたしまして、政府としては少くとも二倍は望ましいのでありますけれども、それが不可能であれば一・五倍程度のことはぜひ考えなければ、司令部の方で言われる超過供出割当百三十数万石の供出が必ずしも容易でないことを申上げて縷々折衝も続けたのでありますが、只今のところ特に昨日までの様子では、今のところ非常に困難でありまして、殆んどその点は絶望ではないかというふうな状況に相成つておるのであります。併し我々といたしましては先程申上げましたように、若しこの点がこの程度で最終的に決まるといたしましても、将来米価を決定しまする場合につきまして、先程申上げましたように、消費者価格を改訂しないで米価を上げ得るならば、その程度にできるだけ米価を上げるというような考え方考えて行きたいというような線で考えているような次第であります。  甚だ簡單でありまするが、一応経過を申上げた次第であります。
  101. 岡田宗司

    委員長岡田宗司君) 只今の長谷川物価庁第二部長の御説明に対しまして御質問がございましたならば……。
  102. 岡村文四郎

    岡村文四郎君 長い間農産物の価格はパリテイ指数による価格によつて来たのでありますが、最近政府関係でも生産費基準とした価格を決めようという案があるように見受けられます。又昨日大蔵大臣は、米の価格を大幅に引上げるということを言つておりますが、パリテイ指数では大幅に引上げることは数字的にできんことと思いますので、これ又生産費基準にした価格に切換えようというのであろうと考えられるのでありますが、あらゆる面に、今度出ております地方税法案にもそういうことを考えられる部面があるのでありますが、物価庁として、日本の政府がそういうことを單に今の政府の宣伝に言つておるようなわけで、実際は日本の現状は、何といつてもパリテイ指数より行えないのじやないかということがありはしないかと思うのですが、一応お聽きしたいと思います。
  103. 長谷川清

    政府委員(長谷川清君) 米価を決めますにつきまして、生産費計算がいいか、パリテイ計算がいいかという点につきましては、これはいろいろ論議もありまするし、又昨年の米価審議会におきましてもいろいろ討議せられたのであります。できるだけ農民的の気持から申しましても、生産費基礎とする価格構成の方が納得がし易いというような意味合が多分にあることは十分察知せらるるのでありますが、ただ只今岡村さんからもお話になりましたように、現存のところ関係方面におきましては、これをいきなり採用するというところの段階には、率直に申上げまして至つておらないのが事実であります。ただ併しながら御承知のように、パリテイ計算と申しますものは、釈迦に説法のような話でありますが、曾てアメリカで不況対策の一つとして、農産物の指示価格を作るために採用した制度でありまして、従つてそのときの法律の條文にも、このパリテイ方式は、農家の所得と農家以外のものの所得との均衡を破らないようにしたい、農家と非農家との間の所得の均衡を図るのが目的であるということをその法律でも謳つておるように、具体的にやりますことは、日本と同じように価格パリテイ方式でやつておるのでありますが、この考え方の底には、農家の所得を昔の所得に比較して成るべく落さないようにしたいというのがこのパリテイ計算の一つ考え方の骨子になつておることは事実であると思うのであります。    〔委員長退席、理事西山龜七君委員長席に着く〕 従いまして、先程もちよつと申上げましたように、最近農家の所得が、少くとも二三年前よりは漸次減るやに見える傾向があるということになりますれば、このパリテイの底を流れておりまする所得の均衡を維持するという点を、何らかの形において一つ考え直すと申しまするか、更に従来のパリティにそういう考え方を織り込んで考えて見たらどうだろうかという考え方が現れるのは当然でありまして、従つて又そう申上げます程度において、将来のパリテイというものについては、更にお互いに研究をして見ようじやないかというような段階に来ておるのであります。ただ実際に然らばどういうふうにして農家と非農家との所得の均衡を図るというようなパリテイ方式はできるかという点になりますると、これは実際問題としてなかなかむずかしいのであります。それでアメリカのやつておりますパリテイも、今のような法律の條文がありながら、やつておりますことは、やはり日本と同じような価格パリテイをやつておるというような実情であります。この点につきましては、ひとり我々だけでなしに、いろいろな方面の專門家のお方にもお願いをいたしまして、今申上げましたパリテイの本当に狙つておりまする所得維持というような考え方を何らかの恰好でパリテイに現す方式等によつて、将来更に研究を進めたいというふうに考えておる次第であります。大蔵大臣が、国際価格関係について、昨日も御発言があつたように今日の新聞紙で見たのでございまするが、ただ国際価格が、現在尚米について、南方米が相当高い。だから直ちに国内の米を高くしなければならないというような点については、尚我々といたしましても研究をして見なければならない点があるのではないかと思いまするし、又大蔵大臣がどういう意味お話になりましたか、直接には聞いておりませんので、その点は又別といたしまして、ただ我我は実際にこの価格を作るにつきましては、何か一つ基準という一つの算定方式というものを決めて掛らないと、いきなり国際価格がこうだから、国内価格もこういうふうにしなければならないというようにするには、なかなかむずかしい事情もあると、こういうふうに考えております。多少余り率直に申上げまして言つた点がありましたが、お許し願います。
  104. 岡村文四郎

    岡村文四郎君 部長のお話はよく分りますし、そういう趣旨で今までやつて来ておられたこともよく分つております。それでアメリカそのものも、今のパリテイ方式による計算の方式が非常によいものだとは考えておらんこともよく承知いたしております。それでアメリカのように自由価格になつて、市場価格としてパリテイ指数によるものの基準は、これは一応考えられますから、これは当然のことだろうと思いますが、しばしば部長が、何かよい方法がないかということを言つておることも我々は聞いておりますが、お互いに、そういう知識のないために今までできておらんわけでありますが、大蔵大臣が昨日お話になりました、若し国際市場を主にしたお考で、この際今の国際市場を基準にした米の価格を、若しお考えになつておられるとするならば、これはまつぴら御免なんです。今の価格が当分維持されるならばそれもよいでありましようが、なかなかそうでないのに、日本は固有の農業を営んでおります。他国と比較できない農業でありますから、我々は国際価格基準にした国内の米の価格を決めることは、日本としては絶対に困る。これはそういうことにはならんと思いますが、いずれにしても、パリテイ指数を外ずさなければ、大幅に引上げはできないということに事実上なりましようが、この際、一応パリテイをやつて見たが、どうも農家の所得と非常に反比例したようなことになるから、これはうまくない。今度の新米価から是非改訂をして貰わなければならんというような強い懇請をすると、まんざら通らんことはないと思つております。それはさきにも申上げましたように今度の地方税法の改訂によりましても、このままの農産物価格ではあの税法の行き方は非常に反比例いたしておりますようなわけで、あらゆる面に農産物の価格がパリテイによります価格のために支障が出て来ると思つておりますから、いずれよく分つたお話があろうと思いますが、物価庁の方ではもう大分いろいろ考えてその案もあると思いますが、この際新米価から、パリテイは先ず一応置いて、新しい生産物に基く価格で改訂をして行こうという御案はもうできておるか、おりませんか、一つ答弁願います。
  105. 長谷川清

    政府委員(長谷川清君) 先程私パリテイというものの一つの底に所得パリテイ的な思想があるということを申上げ、従つて農家の所得を成るべく少くとも現状に維持するように努力をしたいということを申上げたのでありますが、ただその方法につきましては、実は今直ぐどうしたらよいというものを具体的に持ち合しておるわけではありません。特に本年度につきましては先程も申上げましたように、この超過供出の特別買入価格を何倍にするかというような問題もまだ最終的に決まつておりません。況んや米の基本価格のパリティ指数も又その特別超過供出の倍率も決まつておりません。尚例の早場米奨励金、これは大体原則的には今年も今考えておりまする六十億、これについては出すということについて関係方面とも了解を得て今年は出すということに決めておるのでありますけれども、これらの問題につきましても尚所得パリテイという面から見ますといろいろ研究をしなければならない点も残つておるように考えるのであります。従いまして今年の米価から直ぐ今申上げましたような何らかの新しい形ができるかどうかということにつきましては、私今のところはつきりした見通しを付け兼ねておるのでありますが、少くとも来年あたりになりますれば、今申上げましたいろいろの点もいろいろの事情の固まるに連れて固まつて参りましようし、将来の米価決定の一つの方式というものも考えられるのではなかろうかというように考えておるのであります。ただ併し今年確乎たる案がないと申上げたのでありますが、私が先程申上げました考え方は今年の米価には、何等かの方法で、例えば昨年の米価審議会で超過供出の奨励金を、三倍を二倍にして、その一倍を基本米価に加算するというようなことが去年の米価審議会の答申であつたのでありますが、あの通りとは申上げませんけれども、ああいう考え方も今年の米価には一つ考えられるのではないかというようなことも考えておるような次第であります。率直に申上げまして恐れ入りました。
  106. 三好始

    三好始君 只今までの物価庁第二部長の御説明を伺つておりますと米価政策に対して政府態度が非常に消極的に過ぎるのじやないかというような印象を受けるのであります。岡村委員最後に聽かれた生産費方式を採るがよいかどうかという問題に対しては率直なお答がなかつたように思うのでありますが、米価決定方式を細分すれば、いろいろな方法考えられると思うのでありますが、大きく分けてパリテイ方式と生産費方式に大別するならば、私は今までの物価の事情からすれば、パリテイ方式が採られる理論的な根拠は十分に認めることができると思うのであります。いろいろな角度からの説明はなされておりますけれども、インフレ時代に生産費方式が採られなかつたのは、要するに生産費方式はインフレ時代においては、嚴密に言えば再生産費方式でなければ無意味である。ところが生産費方式にしろ再生産費方式にしろ、それを採る以上は実効価格を問題にせざるを得ない。実効価格基礎にして米価を決定するということになりますというと、物価の基本的な体系が崩れてしまう。こういうふうなことにもなりまして、生産費方式なり、綿密に言えば再生産費方式も採ることがむずかしいという十分な技術的な根拠があつたと思うのであります。ところが今日の物価事情は余程変つて来ましたので、現実の問題として生産費方式を、それのみによるというところまで行かなくとも、パリテイ方式に生産費方式を加味するということは十分に考え得る段階に到達しておるのではないかと思うのであります。従つてそう来年からというような長い将来ではなくして、今年の産米あたりから、当然にパリテイ方式を改善する一方生産費方式を加味して行くということが考えられていいのじやないかと思うのであります。殊に地方税法案で問題になつておる小作料値上等に鑑みましても、小作料がパリテイの基礎に入つておらないようなことから、米価等の関係が技術的にも非常に問題になつておるわけであります。若し生産費方式を加味することになりますと、小作料値上が実現いたしましても、これを農産物価格に織込むこともできる、こういう実際上の効果も考えられるわけでありますが、そういう点から積極的に農産物価格決定方式について早急に結論を出して実行に移して頂きたいという気持がいたすのでありますが、この生産費方式を取入れるという考え方に対する率直な御意見を承りたいのであります。
  107. 長谷川清

    政府委員(長谷川清君) お話のように米価の決定に生産費方式とパリテイ方式とがあり、特にこの生産費方式はインフレが非常に上昇しておるときにはなかなか採りにくくて、むしろそういう時代にはパリテイ方式を採用することに特別の意義があつたということにつきましては、私も全くそういうふうに考えておるのでございます。然らばそのインフレが段々收まつて参りまして、自由経済的な段階になつたときに、生産費計算がいいか、パリテイ計算がいいかということにつきましては、これはやはりいろいろの考え方があると思います。端的に、結論的に申上げますと、勿論私はその両者を、そうして更に先程岡村委員お話になりました国際価格というようなものを一つ要素としてその三者を加味されて決定するということも一つの望ましい方式であろう、そういうようにも勿論考えられるのであります。ただたびたび議論にもなり、問題にもなる点でございますが、生産費計算をやります場合に、一番大きな要素でありますところの労賃を幾らに見るかという点がなかなかこれはむずかしい点がございまして、この労賃の見方如何によりましては生産費計算による価格が、パリティ計算による価格より上にもなり下にもなるし、又御承知のように生産費計算で行きます場合に、全部の農家生産費をカヴアーするということは誰が考えてもできないことでありますので、平均生産費というものを考えることになると思うのでありますが、そのラインを引く引き方につきましても、やはりパリティ価格との間に上下が当然出て来る。その引き方、その労賃の見方ということについて、実は関係方面との話がなかなか一致しない点があるのであります。ただ併しながら私が先程申上げましたように、又御意見のありましたように、両者を睨み合せて考えなければならないという点につきましては、私もそういうふうに考えまして、できるだけ我々がパリテイ計算を考えておりますときに、その裏に生産費計算をも同時に考えて、それらと事実上調和するような方法考えていつたらどうであろうかというふうに考えておる次第であります。
  108. 瀧井治三郎

    ○瀧井治三郎君 私は一つ対米価比率の点で意見を申上げて、御意見を聞かして頂きたいと思うのでありますが、今回の案は大体従来と同じ比率で決めてありまするから、問題は一応ないと思いまするが、恐らく内閣が変らなければ私は或る程度この比率は下るのじやないかと思つておりますが、内閣が変りまして一応従来の比率を踏襲したというふうに承知しておりますが、そこで先程も御説明がありましたが、戰争中以来の食糧事情の窮迫で、比率は漸次上つて来たわけであります。食糧事情も或る程度緩和して参りましたから、或る程度この比率を旧に戻すという考え方は私は一応よろしいと思いまするけれども、ただ問題は、敗戰の結果食糧自給ができなくなつて来ておりますから、終局の目的は旧に復するという目的ばかりで行つては、私は情勢の変化に適応しないのではないかということを考えております。その意味で今後対米価比率を下げるというお考が尚ありまするかどうか。又下げるといたしまして、最後の目標は、食糧の自給のでき得ました戰前の大体の幅まで下げるような目標でありますかどうか。これに私は一つの問題があると思う。  それからもう一つは、概観して言いますれば、米の方は勿論尚増産の余地があろうと思いますいが、先ず先ず相当のところへ来ておりまして、恐らく今後の日本の農業生産の問題は畑作方面の増産という点に主力が相当移行して行かなければならんと思いますが、さような点から、麦なり雑穀等の対米価比率をどう見るかという問題は、今後の食糧増産の一つの政策的な面とこれは関連するのですが、まあ今年の問題は一応従来通りと決まつておりますから問題はないと思いますが、先程の御説明でも、戰前の仕事は、例えば大麦が四八%、小麦、裸麦が六三%というようなお話がありました。或いはこれに戻すというようなお考があるやにも聞いたかも知れませんが、この辺は私は相当研究すべき問題だと思いますが、この点についてもう少し政府のお考えをお聽きしたいと思います。
  109. 長谷川清

    政府委員(長谷川清君) 比率改訂の問題につきまして内閣更迭のお話がございましたが、実は端的に申上げまして、生産価格につきましてはそういう事実はございません。消費者価格の方につきまして、旧内閣と申しまするか、たまたま内閣の成立前ぐらいの情勢のときには小麦粉の値段を下げて、その代りに米を上げるというようなことを考えておつたことは事実でございますが、生産価格につきましては先程も申上げましたように、いろいろ理論的なと申しまするか、理屈的にいろいろ対米価比の比率の問題を考えておつたことは事実でございまするが、事務的にも最終的にも対米比価は今年は動かさないということに決まつてつたのでございます。  その次のこの比率を改訂するという場合におきまして、いきなり戰前の比率に還すということが適当であるかどうかという点についての御意見を承つたようでございますが、私達も全く今お話のように考えておりまして、又将来の畑作農家の重要性というような点、又規準年次における食糧事情と現在及び将来の食糧の在り方、持つて行き方等の違いというような点をも考慮いたしまして、この対米比価を仮に修正するにいたしましても十分愼重なる態度でやつて行きたいというふうに考えておる次第でございまするし、更に先程申上げました所得パリテイ的な考え方につきましても、この点については多少いろいろ御意見があろうかと思いまするが、私達はできれば米麦を一体にした一つの所得パリテイ的な考え方考え、具体的には、例えば麦の比率を変えなければならないというような若し事態があるとするならば、その点は米の価格一つ考えるというようなことでありまして、端的に申しますると、今の米と麦との対米比価八十一が正しいのか、六十三が正しいのかということを考えます際に、今の麦の具体的な千六百円が高いのか安いのか、今の米の四千二百円が高いのか安いのかというような点等をも睨み合せまして、これは将来の問題として研究したいと考えております。
  110. 江田三郎

    江田三郎君 今の先程からのお話を聞いておりますと、どうもはつきりしないのでありまして、要するにパリテイ方式というものはこれは所得パリテイを目標にしているのだ、ところが今のパリテイ価格価格パリテイで、所得パリテイは出ていない。ところがそれを是正するのに生産費計算の面から行こうとするのか、或いは生産費計算の面でなく、別な面で、例えば労働生産性というような面から行こうとするのか、どちらになるのかということがはつきりしていないと思うのです。人体朝鮮事変が起きまして日本の農業というものが新たな段階に入つたと思うのでありまして、若し朝鮮事変が非常に困難な状態になれば、我々は国内の食糧の自給度を高めて行かなければならん。若しこれが非常に簡單に片付くということになれば、海外農業との競争を考えて行かなければならない。そのいずれにいたしましたところで、経営の近代化を図つて、單純再生産でなしに、平和近代的な面からの拡大再生産という面に持つて行かなければならんという大きな要請が出て来ると思うのです。ところが生産費計算というもので今の拡大再生産が可能になるかどうか、生産費計算ということになれば、私は單に單純生産ということにしかならんと思うのでありまして、今の日本の農業に與えられた大きな要請には応えることができないと思う。そこで価格パリテイというものが所得のパリテイを十分に現していないということになるならば、これは生産費計算の面からこれを再検討するのでなしに、基準年度の労働の生産性という面から再検討して行かなければならん。基準年度に比べて農業以外の工業の生産性は非常に上つているわけですから、少くとも労働生産性というパリテイを採つて行くならば、今度は少くとも今工業の発展した速度だけは拡大再生産が可能になる。この点から考えて行かなければならんのじやないか、若しそうでなしに、單純再生産を可能にするという面から考えるならば、別途の財政支出を以て拡大再生産を可能にするような條件を財政面から出して行くのかどうか、一体この政府考え方というものは單純再生産でいいのか、拡大再生産へ持つて行こうとするのか、その基本的な点をはつきりして貰いたいと思います。
  111. 長谷川清

    政府委員(長谷川清君) 勿論農業の振興が国の本であるという考え方からいたしまして、農業の拡大再生産がなされるように諸般の施策を講じなければならないというふうに考えられるのでございます。従いまして我々が仮にパリテイ計算をいたしまするにいたしましても、生産費を計算いたしまするにいたしましても、成るべくそれに近ずけるような方法考えたいという気持を持つておるのでございます。先程お話になりました労働の生産性の問題に一つパリテイを加味する気持はないかという点につきましても、実はそういうことも一つの有力なる考え方でありますし、又具体的な数字についても非常に楽なものではありますけれども、そういうようなものを若干いじくると申しますか、そういうことも考えられるのでございまするが、実際問題といたしまして農業と工業との労働の生産性、これを如何なる数字を如何にこれを現すかというようなことになりますると、なかなか困難な問題があるのでございまして、具体的に今直ぐここでそれを織込むということを申上げるところまで行つていない状況でございまする
  112. 江田三郎

    江田三郎君 どうも初めから困難だからということで逃げるんじやないかと思います。結局そういうことになつて行くと、現在の單純再生産方式とは別な高いものが出て来るから、そういうものを政治的に避けておるんじやないかというような気持が我々はするんでして、例えば今度の米価というものは大蔵大臣もああいうことを言つておるんだし、新しい米価が出て来なければならんのに、それが今のお話のように何も根本的なものも決まつていないということになると、いわゆる昔はやつた腰溜め的なもので決めて、その腰溜的なもので超過供出の二倍を一・二五に下げて、その部分を米の方に持つて行くというようなことでは、これは何ら米の値上げにはならんのであつて農家全体から見れば一杯騙されたということになるだけでありまして、そういうところへ落し込もうというんじやありませんか。そうでなしにもつと、我々が率直に日本農業の置かれた要請ということを考えたならば、もつと思い切つた措置をやつて行かなければならんと思うのでありまして、だから私が根本をお尋ねしたいのは、單純再生産でいいのか、今單純再生産は不可能になつておるけれども、單純再生産でいいのか、その経営が近代化を内容とする拡大再生産に持つて行かなけばならんのか、それが価格面でできんのか、価格面でできんというならば財政面でそういうことをするのか、そういう基本的な問題についてお考を承りたい。
  113. 長谷川清

    政府委員(長谷川清君) 今の労働生産性の下のパリテイ計算ということについて、私申上げましたのが徹底を欠きまして、何か殊更に逃げておるんではないかというお叱りを受けたのでございますが、実は我々もできるだけそういうことも一つ考え方だと思いまして考えておるのでありまするが、どうも我々が理論的にこれならというような線が見出せないので実は困つておる事情でございますので、若しございましたら我々に教えて頂きまして、それで大いにやつて行きたいと思うのでありまして、決して逃げるというようなことは私毛頭考えておりません。それから今の今年の米価につきまして、ごまかすのではないかというようなお話もございましたが、私は現在の段階で申上げても差支ない程度のことを申上げたものでございまして、恐らく今年の米価につきましては、これは勿論今決めるわけではございませんし、皆さんの又御意見を十分聴いて、又御協力も頂いて、やらなければならないと思つておりますが、今のところ今年の米価につきましては、従来のようなパリテイ計算方式に先程申上げましたように、消費者価格を上げない程度の財源で以ちまして、基本米価を少しでもまあ上げるというような線で決められるのではなかろうかというふうに考えますので、その点を率直に申上げた次第でございますので御了承を頂きたいと思います。
  114. 岡田宗司

    委員長岡田宗司君) 長谷川部長は四時に司令部に行かれることになつておりますので、いろいろまだ御質疑はあるだろうと思いますが、長谷川部長に対する質疑はその辺で打切つて如何でございましようか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  115. 岡田宗司

    委員長岡田宗司君) それでは止むを得ないことでございますので、そういたします。この上要食糧供出報奨物資の配給に伴う損失の補てんに関する法律案の問題でございますが、まあいろいろ御質疑があつたのでございます。その間に衆議院の方では、これが本会議を通過いたして参りました。それで更に御質疑があれば別でありますが、もう御質疑ないということでございましたならば、ここらで質疑を打切りまして、そうしてこの法律案についての討論に入りたいと思いますが、如何いたしましようか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  116. 岡田宗司

    委員長岡田宗司君) それではこれより主要食糧供出報奨物資の配給に伴う損失の補てんに関する法律案について討論に入ります。御意見のおありの方はそれぞれ賛否を明かにしてお述べを願いたいと思います。
  117. 岡村文四郎

    岡村文四郎君 面倒でない案で今日採決は結構でありますが、一応申上げておきたいことは、現在法律に出ておりますあの金額では決して満足ではないのであります。我々委員会の方では違つた数字を主張して参りましたが、事ここに至るまでの経過も大体聞いておりますし、今頃これをとやかく言つても止むを得ないという考を持つております。あの金額では非常に不満足だが止むを得ずしてあれを認めるということを申上げて、本案に賛成いたします。
  118. 江田三郎

    江田三郎君 大体本案については、岡村委員と同じ立場で賛成でございますが、これと併行して旧農業会からの引継資産の滞貨分について、長期低利資金の融資を速かに行うということを強く希望しておきます。
  119. 池田宇右衞門

    ○池田宇右衞門君 本案には賛成いたします。とかく農家に対しまして、又協同組合に対しての金融は緩漫になり易いが、迅速に徹底するように実行について速かにこれを実行するという希望を付して賛成いたします。
  120. 赤澤與仁

    赤澤與仁君 私も本法案に賛成いたしますわけもございますが、ただ損失補填になるまでの間におきまする繋ぎ資金その他の金融的措置につきまして、政府の格別の措置を要望しておきたいと存じます。
  121. 岡田宗司

    委員長岡田宗司君) 外に御発言ございませんか。外に御発言はないようでございますから、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  122. 岡田宗司

    委員長岡田宗司君) 御異議ないと認めます。それではこれから採決に入ります。主要食糧供出報奨物資の配給に伴う損失の補てんに関する法律案を原案通り可決することに御賛成の方の御起立を願います。    〔総員起立〕
  123. 岡田宗司

    委員長岡田宗司君) 全会一致でございます。よつて法案は原案通り可決することに決定いたしました。  それから本院規則第七十二條によりまして委員長が議院に提出する報告書には多数意見者の署名を付することになつておりますから、本案を可とされた方は順次御署名を願います。  尚本会議における委員長の口頭報告の内容は本院規則第百四條によつて予め多数意見者の承認を経なければならないことになつておりますが、これは委員長において本案の内容、要旨並びに本委員会における質疑応答の要旨、討論の要旨及び表決の結果を報告することとして御承認願いたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  124. 岡田宗司

    委員長岡田宗司君) 御異議ないと認めます。それでは署名して頂きます。   多数意見者署名    西山 龜七   片柳 頂吉    岩男 仁藏   岡村文四郎   池田宇右衞門   白波瀬米吉    瀧井治三郎   土屋 俊三    平沼彌太郎   江田 三郎    小林 孝平   三橋八次郎    二輪 貞治   赤澤 與仁    加賀  操   溝口 三郎    三好  始   三浦 辰雄
  125. 岡田宗司

    委員長岡田宗司君) 御署名洩れはございませんか。御署名洩れないと認めます。   —————————————
  126. 岡田宗司

    委員長岡田宗司君) それでは先程問題になつておりました証人喚問の件を如何にいたしますか。これは本委員会の議決を要しますので、散会に先達ちましてその件を御討議願いたいと思います。  ちよつと速記を止めて下さい。    〔速記中止〕
  127. 岡田宗司

    委員長岡田宗司君) 速記を始めて下さい。  理事会で先にお諮りいたしました証人喚問の点につきましては、小作料の引上げ等の問題につきまして二名の証人を喚問することにいたします。その一名は農学博士の近藤康男氏、他の一名は日本農民組合の事務局長である大森眞一郎氏、この二名を喚問することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  128. 岡田宗司

    委員長岡田宗司君) 異議がなければさように手続をいたしまして、二十九日の午前十時に証人を喚問いたすことにいたします。
  129. 江田三郎

    江田三郎君 午前中の質問に関連するのでありまして耕作放棄と、それから闇小作料、闇花買の資料をこの次までに御提出願いたい。
  130. 岡田宗司

    委員長岡田宗司君) 一つ農地局の方によろしくお願いいたします。
  131. 西山龜七

    ○西山龜七君 二十九日の予定は午後が農林金融ということになつておりますが、やはり午後に農林金融の予定とそれから自作農を併せてこの議題に載せて頂きたい。
  132. 岡田宗司

    委員長岡田宗司君) 只今西山さんからの御提案がございましたが、土曜日の午後は自作農創設に関するものも質疑を続けることにいたしましてよろしゆうございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  133. 岡田宗司

    委員長岡田宗司君) さようにいたします。それでは本日はこれを以ちまして散会いたします。    午後四時九分散会  出席者は左の通り。    委員長     岡田 宗司君    理事            西山 龜七君            片柳 眞吉君            岩男 仁藏君            岡村文四郎君    委員           池田宇右衞門君            白波瀬米吉君            瀧井治三郎君            土屋 俊三君            平沼彌太郎君            江田 三郎君            小林 孝平君            三橋八次郎君            三輪 貞治君            赤澤 與仁君            加賀  操君            溝口 三郎君            三好  始君            三浦 辰雄君   国務大臣    農 林 大 臣 廣川 弘禪君   政府委員    農林政務次官  島村 軍次君    農林事務次官  山添 利作君    農林省蚕糸局長 最上 章吉君    食糧庁長官   安孫子藤忠君    通商産業政務次    官       首藤 新八君    物価庁第二部長 長谷川 清君   事務局側    常任委員会專門    会       安樂城敏男君    農林省農地局長 佐野 憲次君    食糧庁総務部物    資課長     長谷川善彦君