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1950-10-13 第8回国会 参議院 農林委員会 閉会後第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年十月十三日(金曜日)    午前十時五十六分開会   —————————————   本日の会議に付した事件 ○新農業政策確立に関する調査の件  (農林省関係昭和二十五年度補正予  算及び昭和二十六年度予算に関する  件)   —————————————
  2. 岡田宗司

    委員長岡田宗司君) それでは昨日に引続きまして農林委員会を開会いたします。先ず二十五年度補正予算並びに二十六年度予算につきまして、昨日に引続き本日は先ず畜産局関係予算からお伺いすることにいたします。
  3. 家治清一

    説明員家治清一君) 畜産局長大臣の随行で出張でございますので、私畜政課長家治でございますが、代りまして畜産局関係だけ御説明申上げます。六十四から御説明申上げます。先ず全体をつかみますのに、総計数字を申上げます。これから申上げますのは、競馬特別会計を除いて申上げます。二十六年度一般予算総計は八億四千五百五十八万五千円でございます。これを前年二十五年度予算と比較いたしますと、前年度は六億七千二百七十八万一千円、約一億七千万円の増になつている。それから三十六年度予算の今申上げました数字の外に平衡交付金関係が三千五百二十四万四千円、それから公共事業費関係が一千三十二万五千円となつております。各科目について御説明申上げます。六十四の畜産局一般行政に必要な経費、これは前年度と殆んど大差ございません。人が一人落ちまして、その関係数字が少し減つております。それから六十五番の家畜改良増殖に必要な経費、これが総計で一億一千四百八十四万二千円、昨年度は七千五百四十方円余でございますので、大体四千万円程度の増になつております。その内訳を申上げます。主なものは種畜購買貸付経費、それに関連しまして種畜検査経費、それから人工授精施設補助でございます。種畜購買貸付関係乳用種牡牛が六十五、役肉用種牡牛が再九十三、種牡馬六頭、種牡緬羊が三十五頭、種牡山羊が百七頭、それを購買いたしまして貸付する。種畜確保をこれで図りたい。尚これに関連しまして種畜の輸入が二十六年度において緬羊、雛について認められております。種畜検査は前年度と大体同じ程度内容でございます。班数が前年度の二百十五班が百九十七班に減つておりますが、内容的には事業遂行に先ず支障がなかろうと思われる程度の命がついております。それから人工授精施設でございますが、これは二百六十ケ所前年度までにできるわけでございますが、これを二十六年度二百四十ケ所新設して、一応予定の五百ケ所というものを作り上げるということになつております。金額にしまして四千二百十二万円、前年度が二千四百七十万円でございますので、相当の増になつております。尚平衡交付金関係は昨年度と同じ程度でございます。  その次が六十六、有畜営農奬励につきまして、これは総計で二千三百二十四万五千円、昨年度と対比しまして約八百万円見当の増であります。このうち主なものは先ず牧野改良費でございます。これは牧野改良指導は二十六年度におきましては、牧野指導調査費補助、これが主になつております、補助金金額にしまして約八百万円、その外自給飼料増産、この関係は前年度と殆んど同じでございます。それから前後しましたが、有蓄営農の奬励の金は、これは五百八万二千円余でございまして、昨年度三百主十九万円に比較しましてやや増になつております。それから酪農振興関係でございますが、これは先ず前年度と殆んど同じでございます。それから飼料生産指導関係でございますが、これは統制の撤廃に伴いまして、予算額自体は減少しております。昨年度の五百四十二万円に比べまして本年度は二百八十七万三千円になつております。  それから北海道畜産施設に必要な経費、六十七番でございます。これは前年度が五百二万一千円に対しまして、三十六年度は九百四十八万九千円、外に平衡交付金が百万円余となつております。前印度はこの外に公共事業費が八百十万円付いているわけでございますが。本年度公共事業費関係はございません。  次に家畜衞生関係に入ります。家畜衞生関係総額としまして三億六百六十九万六千円、外に平衡交付金は約二千二百五十四万一千円となつておりますが、昨年度より相当増加を示しております。事業費の中、獣医師国家試験施行費から家畜疾病疫学的調査費までにつきましては、大体そう大きい変りはございません。ただ獣医手講習会費がなくなりました点、それから新たに家瀞人工授精指導者講習会費というのが加わりました点、これが細かい内容でございす。それから委託費、これも大体前年度大差ございません。補助費に入りまして、牛馬骨軟症防止指導施設費補助金関係が、前年度はありますのが落ちております。それから家畜地方病予防施設費補助金、これも前年度ありましたもがの落ちております。それから家畜生産率向上指導施設費補助金は本年度平衡交付金のほうに入つておりますので、この面からは落ちております。家畜伝染病予防賀補助金の一番大きいのは斃殺畜棄却手当でございます。このほうはすでに御案内の、例えば馬の伝染性貧血関係が非常に殖えておる。或いは牛の結核病が殖えておる。そういうような点を十分考慮しまして努力したのでございますが、大体頭数だけは我々の原案にほぼ近く認められております。前年度と仮に対比いたしますならば六千百七十四万五千円余ありましたのが、三十六年度では一億二千五百三十四万円強となつております。大体大きいところは今御説明申上げた程度でございます。それから家畜薬関係でございます。薬事法施行に必要な経費、これが一千六百四十九万二千円、約四百五十万円ばかりの増になつております。これは家産薬検定をできるだけ早く正確にいたしますための最小限度費用として、前年例えば狂犬病予防法が施行せられて、畜犬に対する狂犬病予防注射、これがまあ相当厖大なものが行われます。そういつたよう家畜薬製造の増、従つてその検定の増というものを含めまして今申上げましたような金額なつております。  それから七十番の家畜衞生試験場経費でございますが、これは一口に申上げますと大体前年度大差ございません。一億四千五百十一万八千円が前年度でございますが、二十六年度は一億四千六百四十六万八千円、内容としましては家畜疾病調査研究費血清類製造及び購入費、そういつた中身があるのでございます。で公共事業費営繕費としまして一千三十二万五千円となつております。で今申上げました外に二十六年度で初めてできますのは、柏崎に設けられる予定北陸支場でございます。家畜臨床研究といいますか、その施設としまして北陸支場を設ける。これが九百九十二万八千円計上せられております。で総計いたしますと先ほど申上げました数学の家畜衞生試験場費の一億四千六百万円でございいません、総計いたしますと一億六千七百七十一万三千円……。  それから七十二番の種畜牧場関係経費でございますが、これは前年度予算の三億一千三百九十二万円に対しまして、二十六年度が二億一千五百五十五万三千円、大体前年度と同じでございます。ただ併しこの中には相当定員整理と言いますか、人の整理が行われて、内容の充実を図つておる次第でございます。これは定員が百名前後見込んであります、この牧場で、家畜家畜改良増殖という仕事と、それと丁度牧場がありますので、牧場を利用いたしまして飼料作物種子を作るための仕事と、両方をやつておりまして本来の……、本来と申しますか、改良増殖面では三億六百九十三万五千円、その外に八百六十一万八千円の飼料作物種子供給確保という仕事をやつております。ですから仮に牧場関係だけで総計いたしまるすならば、総額で一億一千五百五十五万三千円ということになつております。以上非常に簡單で御了解願えなかつたかと思いますが、一応予算に関する御説明を終りたいと思います。次に二十五年度予算補正関係を御説明申上げます。真中ほどだと思います。家畜衞生施設に必要な経費増加、それでございます。家畜衞生施設に必要な経費増加という見出しになつております。これは総額で一億八百十万七千円、その内訳といたしまして家畜薬検査費、これが三百三十万四千円の増でございます。これは狂犬病予防液生産確保のため必要な検定仕事の増ということ、大体それが中心でございます。内容には検定材料用動物及び医薬品の増加補修費増加、こういうようになつております。それから家畜伝染病予防費の増でございます。これは本年度当初に見込み以上に伝貧、或いは結核等のあれが出ましたので、それに対する斃殺畜棄却手当、その増加が主なものでございます。その外に特に牛の流行性感冒、これが御承知のように非常に猖獗を極めておりましたので、それに対する何と言いますか、薬品その他の補給という意味で七百五十万円がこの中に計上されております。これは補助金でございます。それから家畜衞生試験場関係が六十八万二千円の増となつておりますが、これは血清類を何と言いますか特定地沖繩方面へ、増加して生産しましてこれを輸出いたします。それの関係で必要な経費増加して貰うということで計上を見たのでございます。これは先ほどちよつと御説明を何といいますか、取り違えましたが、沖繩へ出した分の製造費の増ということは、もう一つ下の項の獣疫血清製造費五百八十一万六千円、これのところでございます。畜産関係の点の補正といたしましては、今申上げました家畜衞生関係の一億八百十万七千円、それだけでございます。
  4. 井上綱雄

    説明員井上綱雄君) 国隣競馬は御承知のように昭和二十三年の八月から発足いたしたのでございます。極く概略を御説明申上げますと、国営競馬の現状は、競輪その他一般金詰り等によりまして不振の傾向にございます。これに対処いたしまして、来年度国営の範囲でできるだけ開設増加する等の処置によりまして、じや御説明を申上げますが、只今申上げましたように、最近は不振の傾向にございまするので、開設増加等によりまして、その收入増加を囲つておるのでありますが、明年度予算といたしまして、我々が要求いたします総額は、歳入におきまして歳入歳出と同額でありますが、四十九億二百八十一万円という増加なつております。この内訳を申上げますと、この競馬のほうは投票券勘定業務勘定とに分れております。投票券勘定と申しますのは、投票券の売買によりまして、出したり入れたりする勘定と、それからそのときに誤まつて受ける金と、それからスタートその他の不都合から返還をする金、大体こういうふうになつているわけでございます。更に業務勘定のほうはその收入といたしましては、入場料、或いは登録料、そういつたものが收入になりますし、まあ大体業務的なものになるわけで、投票券勘定のほうは投票券の、大ざつぱに申しまして発売に伴う金である。こういうふうに内容を分けて考えております。それでその投票券勘定と、業務勘定との総額だけが純利益として国庫に入ることになるわけでございます。明年度歳入は只今申上げましたように、競輪その他の一般金詰り等によりまして馬券の発売相当減少するということを考えておるのでございまして、二十六年度予算額といたしましては総額を四十九億二百八十一万円、歳出も同様でありますが、二十五年度にこれを比べまして八億八千百三十六万三千円の減であります。この競馬開催のほうを申上げますと、競馬開催のほうは、一応前年度は十九回でございましたけれども、本年は二十一回にいたしますために、やや増加をいたしておるのでございますが、收入のほうは今までの控除率は大体三五%……、これは逓増率なつておりますから、拂戻しが多い関係では多少伸びますので、三五%乃至三六%ぐらいでございますか、これは議会にもお願いをして、この控除率が高いということのために売行き不振にもなつておりますようなこともございますので、明年度予算といたしましては、一応二五%にして頂きたい。そういう改正案臨時国会又は通常国会に提出いたしまして……、その点につきましては一応関係方面との或る程度の了解も得ましたようなわけで、大蔵省もこれを了承せられまして明年度予算といたしましては、その控除率は二五%と一応勘定してございます。で開催関係が多少殖えておりますので、この点だけが増すのでございますが、二十六年度要求額は、前年度に比べますと、一般会計への繰越しは前年度は十四億三千七十六万四千円でございましたのが、経費その他の関係も殖え、一方においては御承知の売行きも見通しといたしまして一応不振になつておるということから、五億一千八百十三万一千円という繰入額を計上してあります。尚細かいことでありますれば、いろいろ御質問にお答えしたほうが適当じやないかと思います。大体大ざつぱに申上げて置きます。
  5. 岡田宗司

    委員長岡田宗司君) 畜産局関係予算説明はこれで終つたそうです。御質疑を願います。
  6. 三好始

    三好始君 畜産局全体として予算が前年度に比べて可なり増加しておることは非常に結構だと思いますが、私具体的な内容について方針なり、御意見を承わりたいと思うのでありますが、それは予算を見てみますというと、従来も大体そうだつたかとも思うのですが、畜産の重点がどちらかと言えば大家畜に置かれておるのじやないかというふうに感ぜられるのです。ところが日本農業の実情から考えますと、單価の低い中小家畜相当将来伸びて行くような條件を持つておるのじやないか。こういうふうに考えて見ますと、鶏であるとか豚であるとか、こういつた方面にもつと予算を振向けることが必要じやないか。六十五番に書いてあります家畜改良増殖に必要な経費、私この一覧表を見てみましても、豚であるとか鶏であるとか、こういう方面に使われておる費用は非常に少いのでありますが、こういう点について将来の家畜指導方針と申しますか、畜産指導方針としてもつと中小家畜重要性を持たせるようなお考えを持つておりますかどうか、その点をちよつとお伺いしたいと、思います。
  7. 家治清一

    説明員家治清一君) まあ一般的に申上げますと御意見は御尤もでございます。で私共のほうもまあ御案内畜産増殖計画としましては、別に大家畜偏重ということでもなく、中小家畜も大事な畜産食糧の給源であり、又農家の唯一の、何と言いますか農業経営多角化の一環でありますので、十分中小家畜増産ということも考えておる次第でございますが、ただまあ現われました予算面で見ますと、例えば大家畜のほうに注ぎ込む金が殊に多いというようなことが出ております。出ておりますがこれはまあ将来の、将来と申しますか、我々の狙いとしては大家畜偏重という感じは持つておりません。ただ農業経営とどういう工合に結付いて、適地に適畜を入れるか。これは今後とも各方面の御意見も承わりつつ、我々実地によく当りまして考えて行かなきやならん問題だと、こう考えております。実際問題としまして豚のごときは非常に成育が早く、相当増加を示しておりますが、まあ難等につきましてはこれは御承知飼料事情等関係もございますので、伸びが必ずしも十分ではございません。
  8. 三好始

    三好始君 これは中小家畜單価が安いために特別に政府が面倒を見なくても、農家自身としてやつて行けるというような事情もあるかと思うのでありますが、先ほど申しました通り戰後農家事情から言いますと、むしろ中小家畜は多く取入れられなければいけないような状況にもあると思いますので、将来の問題として十分にそういう点を御考慮頂ければ結構だと思います。  それから国営競馬の問題についてお伺いいたしたいのでございますが、先ほどの御説明を承わりますと、一般会計への繰入れが五億余りになつておるようでありますが、私以前に農林省設置法を審議した際に、国営競馬を存続する趣旨がどこにあるかという問題で、結局それは財政的の意味を持つておるのに過ぎないのじやないかというふうな結論にほぼなつておつたように思います。そういたしますと五億程度一般会計への繰入れでとどまつておるような競馬を、将来続けて行くことがどういうところに根拠を求められるのか、こういうことについて御意見を承わりたいと思う。若し競馬そのものが財政的な理由以外に畜産上重要な意味を持つておるならばいいのでありますが、この前設置法を審議したときには財政的な理由競馬が行われておる主要な根拠のようなことになつておつたと思いますが、その辺の事情なりお考えについて承わりたいのであります、
  9. 井上綱雄

    説明員井上綱雄君) 競馬国営でやるようになりましたのは、多分御承知と思いますが、大体に国営競馬と申しますのは、旧日本競馬会がやつておりました競馬を、競馬場は十一ケ所でございましたが、その十一ケ所の競馬場でやつておるわけであります。その経緯を大体申上げますれば御理解が行くのではないかと思います。経緯を申上げますと、当時日本競馬会独占禁止法趣旨に鑑みて適当でない団体であるから、これを解散せよ。こういう関係方面の指示がございまして解散することになつたのでございますが、然らば日本競馬のやつておりました競馬をどういう形態でやつたらよろしいかということで、いろいろ折衝を当時所管でございました畜産局といたしましてなしました結果、国営でやれば従来の方式通りつても差支えない。こういう見解が最後的に表明になりましたので、我々といたしましては、国が日本競馬会競馬場その他、一切を包括承継いたしましてやるような経緯なつたわけであります。当初から財政收入目的でこの競馬をやるようになつたのではございません。さような経緯で以て競馬を誰がやるかという最後の決定の場合に、関係方面のそういう見解に基いて始めたわけでございます。併しながら他に適当な方法、例えば考え方もいろいろありまして、現に競馬を民営にすべしという議論も相当強いわけでございまして、それぞれ理窟のあることと考えますので、我々の見解といたしましてはさような経緯上、ここに国営競馬をやつておるような次第でございます。收入の増減のあるのは、こういう仕事性頂上、ときによつて止むを得ないのではないかという見解を持つております。もう一つは、ドツジ氏の税制の見解の表明されました際に、競馬收入は国の人として考えないでもよろしいというような説明が付いておつた考えますので、御参考に申上げます。
  10. 三好始

    三好始君 先ほど私がお尋ねいたしましたのは、競馬の本質的な性格等考えてのお尋ねだつたのですが、これはいずれ大臣なり政務次官なり、そういう方面から御見解を伺うほうが適当かと思いますので、別に繰返してお尋ねいたしませんが、先ほど御説明のあつたような事務的のいろいろの経緯があつて財政收入目的にしてやるのではないということと、私のお尋ねした趣旨とはちよつと違つておるのではないかと感ずるのであります。これはいずれ別の機会に農林大臣等にお尋ねすることにいたしたいと思います。ただ競馬畜産方面から見た意味と申しますか、馬質改良増殖というようなことが最初に出発しておる問題であつたと思いますが、そういう意味軍馬消滅等によつて失われて来た、こういうようなところから当初と趣旨が変つて来ておると思いますから、そういうことから残された問題として畜産的な意味が果してどの程度考えられていいのか、こういうことについての考えを聞きたいと思うのであります。
  11. 井上綱雄

    説明員井上綱雄君) 今仰せの通りでございまして、そもそも日本に大正十二年に勝馬投票を伴う競馬法ができました当時は、馬の改良、言い換えれば一旦緩急ある場合の必要なる馬の改良ということが主なる目的であつたと想像いたしております。その後終戰後になりまして、そういう必要がなくなつたのではないかという意見がたびたび出ておるのでございますが、家畜は御承知通り改良をとめれば急に惡くなるのでございますので、軍馬を対象といたしておつたと申しながら、その当時から国防上並びに産業上必要なる馬というものを目標といたしておりまして、産業上特に裏日本から東北、北海道にかけての産業の用の馬というものは非常に承要な、米の生産とか或いはその他の農産物の生産と関連があると思いますが、競馬法目的は直接には一旦緩急ある場合の馬ということでございましたが、それは平素いつも軍隊の馬を考えておつたのではございませんで、民間の産業用馬もあつたわけであります。馬の改良方針は、終始一貫して産業上の必要を充足するような方針で以てやつてつたのであります。但しそれが日本農業事情に鑑みて多少の行過ぎがあつた。ときには軍部の要求というものが強く出ておつた場合があつたというような批判もいろいろございますが、ともかく農林省当局といたしましては農業上必要な家畜改良ということを非常に深く念頭に置いたことは事実であります。今日は然らば家畜が必要でないかと申しますと、戰争以後長い間に亘つて戰争のために激減をいたしておつたのでございます。大体百五十万頭というものが、その当時から必要な頭数であつたのでございますか、現在では百万頭そこそこになつておりまして、五十万頭以上の差がございます。このために馬の値段農業の他の生産物に比べて高過ぎる。又農業に本当に適した馬の改良をする必要があるといつたような問題がいろいろあると思いますが、戰争の末期に特に山砲駄馬を非常に要求されました結果、一度に多量の大きな馬を要求せられまして、この時は全く戰争目的のために手段を選ばず馬の改良が行われましたが、その結果といたしましては、今日農業用家畜といたしましていささか度が過ぎたものが出ております。生産方針も混乱をいたしております。競馬におきましては御承知のようにサラブレツト、アンゴラアラブ系統の馬を走らせております。なかんずく後者は、これを種として配合する場合は、この行過ぎを是正するのに相当効果があると思います。こういうような意味におきまして競馬を続けますことは畜産局といたしましては、これらの面でこの戰争中の行過ぎを是正し、且つ又増殖方面にもいろいろ好影響を與えておると考えております。
  12. 加賀操

    加賀操君 只今日本で馬について一番因つておる問題は伝貧流行性感冒猖獗を極めております。これについて当局も非常に骨を折つておられますことについてはお礼を申上げておきますが、いろいろな点で非常な努力を以て当らなければならんと思つておるのでございますが、そこで先ず予算の点からだんだん伺つて行きたいと思いますが、伝貧の場合は非常に死んでおります。この斃殺棄棄却手当は二十五年度予算のほうでは最高の評価を九万円にしておりまして、その三分の一の手当を出すということになつておるのであります。既定予算では三万円になつておるのでございますが、補正予算及び二十六年度予算では大体一万円のようですが、家畜値段が下つたとは言いますが、余り手当を下げ過ぎておりますので、これでは殺した馬や牛の手当ができないのではないか。こういうふうに考えますので、この三万円を一万円に下げた事情を、一応伺いたい。
  13. 田中良男

    説明員田中良男君) 只今お話通り、二十五年度までは法律に明記してあります通りの九万円というものを限度にいたしまして、それの三分の一或いは五分の三、五分の四、こういうような予算を組んで大蔵省は認めてくれたのでございますが、御承知通り昨年から今年にかけまして家畜一般的に非常に大きな値下りがありまして、そこで今年の予算を組みました場合、私共は昨年と同じような單価予算を実は提出いたしたのでございますが、いろいろの方面から調べになつて、家畜値段というようなものの相当はつきりした線が出ておりまして、大蔵当局見解としましては、予算の編成に当つては時価というものを基準にしてその三分の一、或いは五分の三、五分の四、こういうふうな形で組んで貰いたい。こういう意見が非常に強かつたのでございます。私共はこの売買される普通の馬というものが、主産地に主としてこの伝貧が多いのでございますので、その方面の馬の値段とは可なり開きがあるのは当然であるというふうなことで、三万円という大蔵省の言い分に対しまして、六万円とか或いはせいぜい五万円程度までにとめて貰いたいというふうなことを極力主張いたしましたけれども、どうしても認めてくれないというような結果になつておるのでございます。
  14. 加賀操

    加賀操君 予算はそれでよろしいのでございますが、現に法律でこれを斃殺する場合に評価員が評価するわけであります。そうすると法律によつて国はこれを補償しなければなりませんが、今の法律によつてやります場合には評価員が正当に評価いたしております場合、予算が只今なくともこれは当然国家が負担すべきものだと思いますか、その点について当局の御意見を伺つて置きます。
  15. 田中良男

    説明員田中良男君) 只今のお話の通りでございまして、御承知通り家畜を斃殺いたします場合の評価は、都道府県知事が任命しました三人以上の評価員で評価されまして、その平均額がとられておる。こういうのが現状でございます。従いましてその土地の事情等に非常に詳しい方が評価員に選ばれることになりますので、その結果といたしましては適正な評価が行われるものと、こういうふうに考えております。但し、家畜を殺すというふうな、余り芳しくない仕事を法律によつて行いますので、多少その間に人情というふうなものがからむ虞れも多分にあるのでございまして、その点は都道府県知事か、若しもそういうふうな純粋な評価でないというふうなものが見受けられます場合は、当然更に別な三人以上の評価員をお選びになりまして、再評価をされる、こういうふうな段階になろうかと思います。そういうふうな関係で私共は評価員が評価された値段従つて又それが私共のほうに参ります場合には先ず間違いのない評価が来るのではないか、こういうように考えております。それで又先ほどお話の出ております一頭三万円当りの平均価格、こういうものは飽くまでも平均価格でございまして、その中に大きな馬も入つておりますし、或いは子供の馬も入つております。従いまして飽くまでも平均の三万円でありまして、評価に対しては適正であれば当然それに対して法律できめられたような三分の一の額が支拂われるものと、こういうふうに考えております。
  16. 加賀操

    加賀操君 一応わかりましたが、今度は実際問題ですが、政府がこの補正予算なり或いは二十六年度予算が大体きまりますれば、地方庁ではどうしてもその予算に拘束されがちなんです。ですから單価が一万円になつておりますと、死んだ……まあ殺すのですが、殺したものに対しては予算がありますから、法律的には国家が補償しなければならんということは理論上わかるのですが、予算が来ていないものですからその予算の範囲でやるという、地方庁の人はどうしてもそういうことで押して行くわけなんです。そうすると一万円しか出さんと、こういう評価をし易いのではないか、こういうようになるわけですね。その辺当局のほうで十分そういう弊害に陥らんように、御盡力願いたいと思います。その辺を御希望申上げて置くわけであります。次に、かように予算が滅らされますと、事実上この殺した牛馬の後の手当ができません。又一面馬にしましても牛にしましても、非常に死ぬ頭数が、或いは殺す頭数が多くなつておりますので、このままで行きますと、斃殺手当も少ないし、又農業災害補償法による共済組合も事実上立つて行かんと思う。非常に現に負債を出しておるわけです。そういう二つから考え、又農家が代りの馬なり或いは代りの牛を買えんという立場に相成りますので、この際当局のほうではどちらでもよろしうございますが、斃殺手当の率を上げるか、或いは農業災害補償法においていろいろな特別な法的改正をするお考えがあるかどうか、一応お聞きいたします。
  17. 田中良男

    説明員田中良男君) 第一点の予算單価の問題でございますが、これは少し私の御説明も惡かつたと思いますか、実はこういう意味なのでございまして、現在この斃殺した馬に対しまする手当金は御本人が一応農林大臣宛に申請される形になつておりまして、それをただ県が一括いたしまして、そういう委託を受けている、こういう形に実はなつております。そこで私共のほうからこの地方庁に対しまして單価は一万円というふうなことは決して申しておらないのでございまして、ただ適正な評価を是非やつて貰いたい、こういうようなことだけは申しております。この点御了解を頂きたいと思います。  それから次の第二の問題でございますが、お話の通り伝貧によります家畜共済の事故というようなものが可なりあるようでございまして、所によりましては伝貧によります共済事故が非常に多くて共済そのものが非常に危うくなり、そこで洗いざらいこの伝貧を一掃して見たい、こういうふうな意見のところもございまして、やつた結果が相当たくさん出て来て、更に悲鳴を挙げておられる、こういうような実情にあるところが可なりございます。それで農家にとつて見ますれば手当金として金か入ろうが、或いは共済の補償として金が入ろうが、いずれでも同じことだと思いますけれども、私共のほうでは防疫上の見地からこの仕事はやり易いようにというようなつもりもございまして、家畜伝染病予防法の今全面改正に関して、いろいろ関係方面とも御相談申上げておりますが、いずれこの法律案を通常国会に提出して御審議頂くことになろうかと思いますが、その案の中におきましては慢性伝染病でありますところの馬の伝染性貧血と、牛の結核病等、こういうものに対しましては評価額の五分の四まで手当金が出せるようにというような意図を以ちまして、法文の作成に今当つております。
  18. 加賀操

    加賀操君 それから補助費のほうですが、只今申上げますように、牛の流感だとか、馬の貧血だとかいうものが非常に多くなつておるのでございますが、これは多分そういうほうへ補助されるものと思つておりますが、農林省においても、先ほど申上げますように非常な努力をされて、いろいろ手当をなさつておられる。県でも又非常にやつておりますが、大体県が使いました程度の命に対してこれだけの補助金で大体賄えますかどうか、これを一つお聞きいたします。  それからもう一つ心配していることで、農林省としても十分お考えなつておられると思いますが、獣医が極度に足りませんので、この獣医の行き方について、地方によるととかくの非難がないわけでもありませんのですが、そういう点は希望としてこういう非常のときでありまするから、医師と同じように獣医も公益的な立場で努力するように御勧奬願いたい、かように思つております。
  19. 田中良男

    説明員田中良男君) 只今のお尋ねの中の第一点でございますが、この予算書で御覽頂きますように、この旅費の補助、或いは消毒薬品費の補助、こういうものは実は予算の建前から申しますと、皆家畜伝染病の発生の頭数、それから殺しました家畜頭数、それから予防注射をいたしますとか或いは健康診断をいたしますとか、そういつたようなものの頭数、それを基準にいたしまして面も前三ケ年の平均をとつて来て、こういうふうな実は組み方をいたしております。それに基きまして旅費でありますとか或いは消毒薬品でありますとか、全部組み立てておるのでございますが、財政上の関係等で必ずしも私共の希望するだけのものを頂いておりません。従いましてこれだけの金額で必ずしも県でおやりになる仕事が全部できるとは考えられないと思つております。  それから次の第二点の獸医師の不足の問題でございますが、この問題につきましては私共常日頃こういうことを考えておるんです。獸医師の現在の数と申しますか、全国の登録しておられる獸医師の方々の数は約一万八千人おられます。諸外国に比べまして必ずしも少いとは申せない数字でございます。ただ偏在しておるというふうな点はございますけれども、必ずしも不足ではないのじやないか、むしろ過剩なんじやないか。こういうふうに実は考えておるのであります。ところが先般から関東以西に大流行いたしておりました牛の流行性感冒の場合には、各地とも獸医さんの不足で大部悩まれたようであります。と申しますのは牛の流行性感冒というようなものは外の伝染病と違いまして一つの部落にかたまつて出るとか、或いは一つの町村にぽつりぽつりと出ると、こういつたような性質のものでございませんで、一つの町村、或いは一つの郡、一つの県というようなものが、数日の間或いは十日そこそこの間にずつと蔓延してしまう、こういうふうな関係で、而もこの牛の流行性感冒というようなものに罹りますというと、初期から非常に重いような感じを農家に與えまして、農家で獣医さんを奪いつくらするというようなことになつて、或る一つの郡に五人くらいの獣医さんがおりましても、一つの郡に三千頭も四千頭も牛がおりますと五人の獣医さんではとても廻りきれない。或る部落に行つたところが、そこでとつつかまつちやつて五日も六日も帰つて来れない。こういうようなことがありまして、現在はやつております流感についての獣医師の不足は非常に日立つたのであります。私共のほうといたしましては特に県のほうからそういうふうに御希望のありましたところに対しましては、学校等の家畜病院から出張して頂きまして、そうして可なり喜ばれた例が二三ございます。そういうふうな措置をいたしたのでございます。
  20. 加賀操

    加賀操君 大体よろしうございますが、馬の伝貧と牛の流感の現在の事情と、これからもつと蔓延するかどうかという点を少しお知らせ願いたいと思います。
  21. 田中良男

    説明員田中良男君) 先ず牛の流行性感冒のお話から申上げたいと思います。牛の流行性感冒はすでに古くから日本にあつたようでございますが、去年、今年のように大流行いたしたことは曾てなかつたのでございます。去年は九州の長崎県、熊本県というふうなところが先ず一番先にこの流感におかされまして、次いで九州全部、更に山陽道、四国、近畿、こういう地方が全面的におかされまして、そして総計して約十六万頭の牛がこれに罹つておりました。ところがこの牛の流行性感冒というふうなものは従来比較的簡單に癒つておりまして、普通の場合でございますと三四日の経理で癒るのが大部分であります。ところが去年もそうでございましたが、流感が一応終りましたようなあとに、その流感の癒つた牛に一三週間、或いは一ケ月ぐらいのあとに、ちよつと流感の型の変つたような病気が出まして死ぬ、そういうものが可なり出ておるのであります。去年は幸いその数が非常に少かつたのでございますが、去年約十六万頭の牛の流感が出まして、七百頭ほど実は死んでおりますが、その中の百頭ばかりが実際の流感で死んだので、あとの六百頭ほどは、非常に重く来るものですから、農家の方々がびつくりされまして、屠場に持ち出してしまう、こういうふうな頭数もあつたのであります。ところが今年は先ず山陽と四国の方面に最初八月の中旬頃発生いたしまして、引続いて近畿、或いは東海、北陸、関東というふうに去年以上の流行を繰返しまして、現在までのところ、東北と北海道を除きましてその外のところは殆んどやられている。私共の手許がわかつておりますものは、初発のものから累計いたしますというと、約三十九万頭がおかされております。それで今年は去年と違いまして、先ほども申しましたこの流感が終つたあとの、非常に質の惡い併発症と申しますか、そういうふうなものが、可なりあちこちに発生いたしておりまして、所によりましては罹つた牛の三〇%とか五〇%が死んでいる。こういうところが出て参つております。現在までのところ千頭ぐらい、或いはそれ以上になつていると思いますが、死亡の報告が参つております。この牛の流感というものは黴菌によるものでございませんで、いわゆる病毒というふうなものによるとされております。人の流行性感冒につきましては、これは学界でちやんとした病毒が認められておりますけれども、この牛の流行性感冒につきましては、まだ世界で認められたものがないのでございます。幸いか不幸か、去年流行いたしました際に、家畜衞生試験所が中心になりまして、大学、或いは予防衞生研究所、伝染病研究所、こういう方面の御盡力によりまして、この牛の流行性感冒のもとと考えられる病毒を分離いたしております。ところがこの牛の流行性感樹の病毒は、牛から牛には簡單に伝染することができるのでありますが、その外の動物にまだ伝染しておりませんし、それから又一般のワクチンを作ります場合に、卵にこれを培養いたしましてそのワクチンを作るというようなことをやるのでありますが、そういうことにも現在成功しておらんのであります。現在までのところこの牛の流行性感同に対するワクチンというものの製造に成功いたしておらんのであります。そこで私共は今年の流感対策といたしまして、どうせ去年出たのだから今年も出るだろう、こういう想定をいたしまして、この病気が去年の流行におきましては大きな道路とか、或いは鉄道とか、こういうふうなものに沿つて拡がつている傾向が非常に顕著でありますので、出た場合にはこれは移動制限をしなければいけまいということが一つ、それから非常に早く手当をいたしますと早く治るというふうなことが、去年の例ではつきりわかつておりましたので、その三つの手をとろう、それについてこの発生以前に農家のほうに宣伝をいたして、そうして罹つた場合に早く手当をして貰う、こういうことをいたしたのであります。そこでパンフレツトを作るとか、或いはリーフレツトを作るとかいうことをやると同時に、八月の中旬、或いは不旬にこの流行の兆が見えましたので、早速家畜伝梁病予防法の一部適用の省令を出して、そうして移動制限或いは届出というふうなことのできるような措置をいたしておりました。当初先ほどもお話がございました通り、非常に爆発的に拡がるものでありますので、農家の方々がびつくりされて、又獣医さんも、慣れておらん獣医さんがびつくりするというふうな事実があつて、薬の買漁とが盛んに行われた。或るところでは薬屋さんが隠してしまうというところもございましたけれども、それについては私共のほうから、そんなことをしないようにというふうなことを慫慂いたしまして、その後すぐ直つて平常通りの売買が行われていたようであります。それから獣医さんの不足の場合に対しましての措置としましては、先ほど私がちよつと申上げましたように、御希望のある県に対しましては、学校の家畜病院を派遣せしめるというふうなことをいたしました。それから又各市町村、或いは農業関係の団体、或いは地方庁等で実は不眠不休の努力をいたされましたので、それに対するガソリンの手配、こういうふうなこともいたしております。それから先ほどのお話にもちよつとあつたと思うのでありますが、こういう時期に高い診療費を取るというふうな嫌いがあつては困るということもございまして、各地方庁では開業獣医師さん等と協定をされておられるようであります。例えば県のほうから薬品を出すから五百円ぐらいでとめろ、或いは農業団体に対しては三百円ぐらいでとめろ、こういうふうな手を打つております。そこで私共のほうとしてはワクチンも作つておらんというふうな責任も感じております。何とかその薬代を多少でも補助できればというふうなことで、先ほど帝政課長からも話がありました通り補正予算の額は少いのでありますが、追加予算を多少頂くことになつております。それでもう一つ、今問題にたつております質の惡い継発症に対する問題でありますが、これはたまたま兵庫県に可なりの頭数がまとまつて出ておりましたので、先般東京大学、或いはその他の方面からその道のエキスパートをお願いいたしまして調査して頂きました。その結果まだ根本的とは申されないかも知れませんが、一応の対症療法というふうなものも見付かつたような気がいたしております。そこでそれを大至急各地方庁のほうに連絡する、こういう段取までに運んでおります。それからちよつとこの流感の、これは私個人の見通しになりますが、お話申上げておきたいと思います。去年は八月或いは九月に始まりまして、遅いところが十月上旬、下旬というふうなところもございましたが、大体十二月中下旬で全部終つております。一地方の経過を見ますというと、この流行の期間は大体一ケ月から二ケ月でございまして、前後にぼつぼつと出るものを合せますと四ケ月ぐらいになる、こういう結果になつております。今年の流行は去年と大体同じように八月の中旬から始まつておりますので、まあ遅くとも十一月一杯ぐらいまでには全部終るのではないか。最近の様子を見ますというと、すでに初期に流行いたしました山陽方面或いは四国方面等は、新患が殆んど出ておらない、こういうふうな状況になつております。それから又九月から十月の上旬にかけまして、非常に急速に各地方に拡がつたのでございますが、昨今はそのスピードが可なり落ちているようでありまして、幸いにいたしまして、まだ福島以北のほうには入つておりません。或いはこのまま自然に落ち着いて行くのではあるまいか、或いは出てもそうひどい流行はない、こういうような見通しをいたしております。  次は馬の伝染性貧血の問題でありますが、これは私共のほうとしましても、実は困り切つている問題でございます。申上げるまでもなく、治療方法或いは予防方法というようなものが全くございませんし、診断方法にいたしましても、非常に厄介である。こういうような関係から、これを根本的に解決するには、どうしても、治療方法なり予防方法なりをどこか一角を崩して、そうして適当な手を打たなければ、本当の予防というものはできないのじやないか、こういうように考えております。ただ單に罹つたものを見附け出して殺して行くということでは、誠に芸のない話でありまして、又一般農家に対しても申訳ない話で、そこで私共は伝貧の研究に対しまして、すでに二十二年、二十三年、二十四年というように毎年毎年だんだん力を盡して参つているのであります。二十三年と二十四年には特別に研究費を頂いて、そうしてお医者さんなり薬剤師の方なり、いろいろな方に御参加を願つて、すべてを挙げてこの研究をいたした。こういうふうなことにもなつておりますが、如何ぜん、どうも研究費が少くて、思う通りに研究が進まないようた現状でございました。と申しますのは、この馬の伝染性貧血というものは馬以外の動物に全然うつりませんので、研究をいたしますのに、すべて馬を使うというふうな関係から、生ぬるい命ではこの研究がようできないのでありまして、そこで私共は今年度予算でもそうでありましたし、昨年度も、一昨年度もそうでありますが、これのまあ研究を専門にやるいわゆる伝貧研究所というふうなものを作つて貰いたいという予算を毎年出しているのでありますが、まだ努力が足りませんためかどうか、現在まで実現しないでおります。でありまするけれども、私共もそうでありますし、関係方面からいろいろの御盡力を得まして、だんだんこの研究に対する予算というふうなものが増加されて参つております。従いましてまあ以前よりは多少余計な研究はできるかも知れませんが、引継きまして努力をいたしまして、やがては伝貧研究の専門の機関を作るようにいたしたい。こういうように考えております。
  22. 三好始

    三好始君 飼料の輸入状況なり見通しの問題について、ちつとお伺いしたいと思います。日本農業事情から言つて飼料を自給するということは到底不可能な問題でありますので、畜産の発展を図ろうとすれば、どうしても飼料の輸入を促進しなければいけないということにもなつて来ると思うのでありますが、戰前の状況を考えて見ましても、濃厚飼料を主体とする家畜のごときは、飼料の輸入と殆んど比例的に増減しているというようなふうにも見受けられるのであります。そこで今後の畜産の発展を考えて行く場合、或いは現状を判断する場合にも、飼料の輸入がどういう状況になつているかということが大変重要な問題だと思うのでありますが、現状とそれから見通し等につき度して、大体の御説明を伺いたいと思います。
  23. 酒折武弘

    説明員(酒折武弘君) 飼料の輸入は、本年の三月まで配給統制、公団が存続しまして配給統制の実施中におきましては、主として乳牛用の飼料としまして大豆粕が出ておりました。その外に食糧として輸入されておりました「とうもろこし」あたりが、或る程度食糧庁から放出されておつたわけであります。その後四月から配給統制も廃止され、又貿易方式も民間貿易に変りまして、現在に至るまで特に大豆粕の輸入につきましては、農林省内部の関係方面、或いは司令部方面といつたものと、盛んに交渉をやつておるわけでありますが、これは国内産大豆粕との関係上現在に至る主で輸入が実現しておらなかつたわけであります。併し左がら最近国内産大豆粕の配給統制撤廃というようなことも実現されるように大体決定したようであります。それに伴いまして輸入資金も本年の十月—十二月の間のつまり第三・四半期輸入資金、これは現物は第四・四中期に入つて来るのでありますが、第三・四半期輸入資金については一つ農林省で認めて貰うということで行こうじやないかという事務的打合せは決定しております。今後関係方面の交渉ということになつておるわけでありまして、大体これは認めて貰えるだろうと思います。でその内容は大豆粕一万五千トンというものが認められる予定でございます。尚別に十—十二として仏印から五十万ドルの「とうもろこし」の輸入資金がこれはすでに決定いたしております。それから大豆粕は引続き来年度第四・四中期以降におきましても、或いは来年度におきましても漸次輸入が増加するわけでありまして、「とうもろこし」につきましても食糧としての輸入が今後殆んどないものと認められますので、飼料としての輸入で行こうということにつきましても、農林省内部の意見が一致しております。
  24. 加賀操

    加賀操君 クローバの種はずつと継続しでお入れになりますか。
  25. 酒折武弘

    説明員(酒折武弘君) これは私の所管ではありませんので……。
  26. 山本兵三郎

    説明員(山本兵三郎君) 輸入クローバは非常に向うも値段が高くて実は今年の一月からずつと入りましたものが、実際問題として各県がその値段ではなかなか取れないので処分に困りまして、これはまあ例の輸入飼料と同じように政府の補給金がありました場合にはそれで安くしておつたわけであります。三月以降それが出なくなりましたので非常に高いのでありまして、実際問題としては値段関係で無理だということで、先般そのストツクは一般に競売にしまして、北海道の雪印が一括して全部外の牧草種子も取りまして、これはどつちかというと政府の損になりまして、割に安い値段でたしかクローバの種は八十円か百円くらいで出ていたと思います。それは実質的には高くなつておりましたが、当初の我我の考え値段より少し高い値段で入札されまして、それが各府県と相談しまして、各府県の希望通り、大体今年の分は配給しました。今後はどうするかという問題があるのですが、やはり値段が高くては自由貿易になりますから、ちよつと輸入する者がないのではないか、かように考えておるわけであります、ただ濠洲、ニユージーランド方面が安いようでありまして今それを調べております。そういう状況であります。
  27. 岡田宗司

    委員長岡田宗司君) ちよつと飼料課長。今仏印から「とうもろこし」の輸入という話がありましたが、これは実際に入つて来るのはいつ頃になりますか。
  28. 酒折武弘

    説明員(酒折武弘君) 早く行けば二ケ月以内に入ると思います。併し現在調査いたしましたところ価格は割合い向うは高いのであります。そこで価格の面から輸入業者が或いは輸入をしないというようになるかも知れない虞れがあるのであります。
  29. 岡田宗司

    委員長岡田宗司君) これから国内にまだ「とうもろこし」が食管のほうに入つているわけですね。全部でどのくらい残つておるのですか。
  30. 酒折武弘

    説明員(酒折武弘君) 全部ということになると私よく存じませんが、これは大体想像しておりますが、飼料用に三万トンから四万トン程度数字が出ておると思います。
  31. 岡田宗司

    委員長岡田宗司君) これは近く放出するのですか。
  32. 酒折武弘

    説明員(酒折武弘君) これは食管にもいろいろ御都合がありまして、現在我々のほうでは極力早く放出して貰うことを希望しております。食管でもこれに協力して早くやろうと言つております。
  33. 飯島連次郎

    ○飯島連次郎君 私昭和二十六年度畜産関係予算編成をするについて、特に各部局の重点事項を極めて簡潔にお話を願いたいと思います。どういうところに特に力を入れておいでになるか。これは局長でないとおわかりにならないかも知れないが……。
  34. 家治清一

    説明員家治清一君) 局長でないと的確なことはお答えできないのでございますが、一応予算編成のときの第一は、畜産増殖五ケ年計画というものを畜産局関係方面の御意見をまとめて持つておるわけであります。これの達成、これが根本の問題でありまして、そういう面からいたしますと、先ず種畜の政策が一つ、それからこれは農業経営との関連において畜産増殖が行われなければならないわけでありますので、殊に自給肥料ということが非常に重要な事項でございますので有畜営農仕事、それから家畜衞生の普及の仕事、こういうようなことが一番大きい項目であつたと存じております。ただその有畜営農関係の中、取引の改善関係につきましては、実は局としましては非常に熱意を持ち、努力をしたのでありますが、予算の上に現われましたところでは、遺憾ながら実は殆んど落ちております。で結果的に見ますと、結局有畜営農の中の牧野が或る程度のところまで行つた。その外はまあ大体前と殆んど変りないということになつております。種畜のほうの、例えば人工授精の問題などは割合い狙つておるところに近いと思います。
  35. 飯島連次郎

    ○飯島連次郎君 大体今年の予算で拝見すると、畜産局予算の約中数、五〇%以上が衞生、薬事、それから試験といつた方面に使われておると思います。それから今重点的に計画をしておいでになる種畜、或いは改良増殖という関係金額が約三割以上占めておるのじやないか。こういつた全体の予算構成から見て、突発した或いは伝貧であるとか、牛の流行性感冒であるとか、ああいつた問題のためにも、非常に我々地方においては極度のあわて方で、そうして農家は全く周章狼狽して、極端な苦しみに陥るというふうな状況にあるわけですから、私はこれほど、約五億に近い衞生試験関係予算を使つておいでになるのですから、もう少しこういつた事態に対しては、そういう器具なり或いは薬品というものは備蓄の必要がありはしないか。まあ今年の状況から来年を必ずしも予測することはできないとしても、そういう備えはもつとあつて然るべきじやないか。それからこれは希望として申上げますが、家畜改良なり、或いは増殖、そういつた計画についてはもう少し計画を徹底して頂きたい。そうして種畜なり、或いは改良増殖に、特に必要な家畜の導入については国でもう少し力を注いで計画的な家畜の導入、或いは斡旋等をなさる必要がありはしないか。県を中心として考えると必要な家畜が必要な方面からなかなか入手できないのが現状である。これは或いは県の間の何と言いますか、垣根と申しますか、いろいろな流通が阻まれておる條件が多過ぎるために、なかなか思うような導入ができないのであつて、特にまあ全体として足りないのでしようから、なかんずく中心の国のほうでそういう点については特別に斡旋の労をとつて頂きたいと思います。それから最後に私のお願いしたいことは、これは委員長に特にお願いして置きたいと思いますが、家畜の試験なり、或いは種畜増殖等については、特に種畜牧場については二億一千万円という金が注がれておりますが、その業績を我々は委員として知らされるところが極めて少いのであります。特に畜産局関係のいろいろなこういつた予算施行の結果生まれて来た資料を随時我我委員に一つ配付を願いたい。そういう点では畜産局関係の資料が特に我々には目に触れる機会が少いのであります。これを今後、すでに運の資料があつたらできるだけ一つ速かに配付を願いたいと、こう思います。それだけであります。
  36. 家治清一

    説明員家治清一君) 御希望の点一一御尤もであります。我々としても努力して来たことでもあり、又努力しなければならん問題でもございまするので、御趣旨の点について努力して参りたいと思います。最後の資料の点につきましては、今まで実は余り届かなかつたと思いますが、今後は心掛けましてできるだけまとまつたものを差上げたいと思います。
  37. 岡田宗司

    委員長岡田宗司君) それでは大体畜産局関係のほうはこれで終りまして、引続いて蚕糸局関係のほうを蚕糸局長から御説明を願います。
  38. 最上章吉

    説明員(最上章吉君) それでは蚕糸局関係予算を御説明申し上げます。先ず初めに蚕糸局全体のあらましを申上げますと、初めから四頁のところに蚕糸局の関係がございますが、蚕糸局全体といたしまして二十五年度に一億四百九万八千円の予算であつたものを二十六年度要求額といたしまして一億三千九百四万六千円、約三千五百万円の増額になつております。次に蚕糸試験場の予算といたしまして、二十五年度におきまして一億五千六百四十一万二千円であつたものを一億八千八百二万円の要求でございまして、約三千百六十万八千円の増額になつております。次に生糸検査所の予算でございますが、これが二十五年度におきまして九十六百四十二万一千円の予算額に対しまして、二十六年度要求額が一億三百六十五万円、約七百二十三万九千円の増額になつておるのであります。それでその蚕糸局と、蚕糸試験場と、生糸検査所を合計いたしますと、本年度予算が三億五千六百九十三万一千円に対しまして四億三千七十一万六千円の要求額になりまして、差引七千三百七十八万五千円の増額になつておるのであります。この他に別途平衡交付金、それが一千一百万円程度あるのでありますが、それと建設省所管になりまする試験場の一部建築費用を合計いたしますると、全部総計いたしますると昭和二十五年度予算額三億六千八百五十一万四千円に対しまして、二十六年度予算要求額は四億四千六百六十三万七千円と相成りまして、差引七千八百十二万三千円の増額になつておるのでございます。  次に事項別に七十三から極く概略のことを申上げますが、蚕糸局一般行政に必要な経費三百二十二万八千円につきましては、極く一部の俸給の單価引上げ、或いは事務費の増加等、極く少額の増加なつておりますが、大した額の相違はないのであります。  次に七十四の蚕糸業の調査指導に必要な経費でございますが、これは蚕糸局の人件費といたしまして、五十九人が三十六年度には六十七人に、八人増加をいたしておりますが、これは商品取引所法の施行に伴いまして必要な人員の増加であります。それからあとは大した変化はないのでございまして、結局におきまして地方財政委員会に移行する川百万円を除きますと、二千四百八十四万円の予算なつておるのであります。  それから七十五の養蚕振興対策に必要な経費でございまするが、これも約三百万円ぐらいの増額になつておるのでありまするが、これは人件費におきましては多少單価の値上り等がございますが、補助金におきまして昨年の五百五十八万三千六百円に対しまして七百九十九万五千六百円となつておりまするのは、そこにありますように蚕桑病虫害の防除施設補助金が三百万円増加なつておる関係であります。結局この三百万円というものが、昨年度に比べまして大体増加なつておる。こういうことに相成るのであります。  それから七十六の蚕糸の技術改良に必要な総費でありますが、これは総額におきまして本年の六千九百八十二万五千円に対しまして、来年度は九千八百二十三万三千円、約三千万円近くの増額になつておるのでありますが、これは一番大きな増額の項目は四の補助金でございまして、これは桑園改良の指定試験費の補助金と、それから製糸技術研究費の補助金の八百万円、それから蚕業技術改良普及費補助金の五十万円が七千万円に増額をいたしましたこと等が最も大きな増額の原因になつておるのであります。この中でちよつと御説明申上げたいと思うのは、この「補助金説明」という項にございますが、その中で、この製糸技術研究費補助金八百万円、これは昨年は殆んどなかつた経費でございますが……、まあ少しばかりあつたのでありますが、これが本年八百万円新たに計上されておるのであります。併しながらこれは昨年は文部省の科学技術の研究費、或いは通産省の中小企業等の工業技術の研究費等から相当程度、全部で局の予算も入れまして二百八十万円程度経費補助に使つたのでありますが、それを今度は八百万円を農林省の要求として新たにとつたのでありますが、それはここに書いてありまするように、製糸技術の研究により優良生糸の生産と、生糸生産費の低減を図る要があるので、生糸の完成原糸化自動繰糸機、絹の合成樹脂加工、その他の処理等の研究を行う会社、研究所等に交付する補助金でございまして、いわゆる製糸合理化の線に副つた補助金であります。この生糸の完成原糸化というのはいわゆるコーン巻きにして生糸を出すということでございまして、従来生糸は御承知のように「かせ」の形で俵にして出しておるのでありますが、最近のアメリカの市場が主としていわゆる広幅物の織物等に使われまする関係上、又いわゆる再繰の設備等が向うに十分ありませんのでございますから、コーン巻きにして帶に省いてすぐ織機にかかるようにして出したならば非常に消費者のほうも助かるだろう。又こちらといたしましても、そういうことにして出しますると或る程度高く売つてもよいわけでありまするからして、これは昨年頃から合理化の線に副つたものとして非常に問題になつておるのでありますが、まだ十分実行の段階にまでは行つていないのであります。それは一つは関税の問題が原因になつておりますので、まだ十分実行されていないのでございますが、この関税の問題もアメリカの関税法によりますると「かせ」の形における生糸は無税ということになつておるのでありまして、その「かせ」にならない、「かせ」でないコーン巻きの生糸に対しては四割の高率の関税をかけるという主張が現在向うの、アメリカの関税当局でなされておるのでありますが、これは目下司令部を通じて種々交渉しておりますので、何らか、無税ということが困難であるならば相当程度低減された関税になるように実現に努力いたしておりますので、近い将来に何らかの解決を見るのではないかと考えておるのであります。そういうことが生糸の輸出上非常に大きな意味を持ちますので、そういう点にも大いに今後力を盡したいと考えておるのであります。それからこの蚕業技術指導所設置費補助金でありますが、これは中央及び地方において確率した蚕業技術の急速普及、栽桑飼育等の技術の実地展示、技術指導調査及び技術の相談を行うため蚕業技術指導所を都府県に設置せしめ、指導所の活動に必要な職員費、事業費に対する補助金ということでありますが、これは従来全国の主な、繭が五千貫以上出ると計算される郡を單位といたしまして、一県に数ケ所の場蚕業技術指導所というものを作りまして、末端に対する技術の指導を図つたのでありますが、全国におきまして三百八十ケ所の指導所を設けておるのでありますが、従来その事業費が非常に不足のために十分の活動ができないという事情もありましたので、本年におきましてはその事業費は従来は一ケ所当り一万五千二百五十円程度でありましたものを、今年度は二万三千九百円程度に殖やしまして、それだけまあ結局この補助金が殖えたことに相成るのであります。それから次に蚕業技術指導強化費補助金でありますが、これは只今申しました蚕業技術の普及徹底を期するために優秀な技術者を蚕業指術技導所に直結させて、その活動を促進させるに必要な手当ということになつておるのでありますが、これは何と申しますか、非常に地方から陳情等がありました技術員の身分安定等の問題も関連するのでありますが、昨年は千人に一人、一年六千円ということで、六百万円の予算を計上したのでありますが、それを本年は人数を二千人に殖やしまして、そうして補助金を一人当り一万二千円ということにいたしまして、二千四百万円、昨年六百万円であつたものを本年は三千四百万円に増額要求いたしたのであります。これは技術の末端に対する指導といたしまして、今後大いに力を入れ、又養蚕の合理化のために、こういう技術の指導に将来は力を入れたいと、かように考えておるのであります。  次は蚕糸試験場に必要な経費でございますが、これは昨年の一億五千六百四十一万二千円に対しまして、本年は一億八千八百二万円の要求をいたしたのでありますが、蚕糸試験場におきまする蚕、桑並びに製糸に関する適切な試験研究の結果、我が国の蚕糸業は著しく進歩をしたのでありまするけれども、尚人絹、ナイロン、綿糸等に伍しまして、又諸外国におきまする需要の動向に対応いたしまして、蚕糸の需要を確保するためには生糸品質の改良、適格化、廉価生産というようなことが必要であるのであります。又生産経営の安定のためには繭及び生糸の高能率生産生産要素の節減、蚕作の改善、製糸作業の機械化、副産物高度利用等適切なる科学技術的試験研究を行いまして、併せて生産技術の指導研究を行う必要がありますので、本年は約三千五百万円程度金額増加したのでありますが、人件費におきましては多少の單価の引上げ等があり、その他事務費等におきましては新しい試験に対する器具、機械、物品費等の増額であります。尚建設省所管の三百七十五万円とありますのは、これは昨年アメリカの原子管理委員会からいわゆる原子力を利用するためにアイソトープというものの寄贈を受けましたので、これは日本では米作と真珠、養蚕関係に使つて試験研究をするという條件なつておるのでありますが、それにつきまして非常に原子力の利用になりますので特殊な設備をしたところで試験研究するということが必要條件のようになつておりますので、蚕糸試験場の内部に一部そういう特殊の装置をする営繕費であります。次に生糸検査所に必要な経費でありますが、これは昨年の九千六百四十二万一千円に対しまして約四百万円足らずの増加なつておりますが、これは主として事務費の増加による増額であります。甚だ簡單でありますが、一応説明をいたした次第であります。
  39. 岡田宗司

    委員長岡田宗司君) 補正予算のほうは……。
  40. 最上章吉

    説明員(最上章吉君) 私のほうは補正予算関係はないのでございます。
  41. 岡田宗司

    委員長岡田宗司君) では蚕糸同関係のほうの二十六年度予算に関する説明を終りましたが、御質疑を願います。
  42. 最上章吉

    説明員(最上章吉君) それでは最近の蚕糸需要とでも申しますか、輸出の状況等について極く簡單にお話を申上げたいと思います。先ず需要の関係でございますが、この朝鮮事変が起りますまでは、毎月本年の初めから五千俵乃至六千俵程度の輸出があつたのでございますが、朝鮮事変を契機といたしまして他の纖維の不足の虞れがあること、或いは先高見越しというようなことから内外ともに非常に需要が増加いたしまして、輸出のごときは六月七月は五千俵台であつたものが八月頃からは九千五百、九月には一万二千俵という戰後最大の数字を示しておるのでございまして、これは殊にアメリカ等におきまする他の纖維の、不足というようなことも大きな原因でありまするが、同時に従来生糸を余り使つていなかつた方面、使つていなかつた機屋等が相当使う機運にあるというようなことも非常に大きな原因でございまして、歳出の状況は極めて活発であります。又国内も朝鮮事変前は七、八千俵であつたものが朝鮮事変後は国内の消費も一万俵以上に相成つておるのであります。又多年いわゆる浦賀といたしまして閉鎖機関でありまする日本蚕糸業会等には約二万八千俵の滞貨があつたのでございますが、それを六月下旬から漸次売却をいたしまして、現在におきましては二万八千俵のものが残つておりましたのが約四千八百俵というように滞貨も減つておるのでございまして、この残つた四千八百俵も今月から来月の初めにかけまして大体処分ができる見込でございます。又ニユーヨークにおきまして日本政府の手持となつておりました生糸が本年の初めにおきまして約一万三千俵程度つたのでございますが、これも現在では全部売却済みでございまして、いわゆる多年司令部が管理いたしておりましたニユーヨークの滞貨も全部処分がされるという状況でございまして、又ビーラの手持等も最近は相当手持が減つておるのであります。かような状況からまあ輸出も非常に旺盛でございますし、内地の消費も非常に活発でございまして、従つて生糸も朝鮮事変前におきましては約一俵十一万五千円から十二万円程度でありましたものが、現在は十七万円乃至十八万円程度の市価を維持し、繭の値段相当程度昨年に比べますと、一年を経ますと相当程度高いところに維持されておるのでございまして、現存蚕業といたしましては非常に恵まれたような状況にあるのでございます。簡單でございますが、最近の内外の需要を御説明申上げた次第でございます。
  43. 岡田宗司

    委員長岡田宗司君) それでは御質疑を願います。
  44. 白波瀬米吉

    ○白波瀬米吉君 ちよつとお伺いしますが、今局のほうでは蚕糸業全体に対してどれくらいの目標でおられるのですか。
  45. 最上章吉

    説明員(最上章吉君) 蚕糸業の何です。
  46. 白波瀬米吉

    ○白波瀬米吉君 生糸の生産量というものはどのくらいを織物として、以前にやつた五ケ年計画というものはまだ生きているのですか、どうなんですか。
  47. 最上章吉

    説明員(最上章吉君) 五ケ年計画でございますね。一応昭和二十二年に出しましたものが司令部では條件付で一部認められたというようなかつこうになつておるのでありますが、その後安本を中心といたしまして日本経済全体の復興五ケ年計画といたしまして、その一部といたしまして蚕糸の五ケ年計画というものをいろいろ検討いたしておるのであります。これがまだ確定的に公表というようなことに至らなくして終つておるのでありますが、私共といたしましては初めに掲げました五ケ年計画の目標というものを一応の努力目標といたしまして今後は進みたいと思つておるのでありますが、尚目下最近の情勢に鑑みまして安本を中心といたしまして自立経済の審議会というものを作りまして、目下国全体の自立経済の審議をいたしておるのでありますが、その審議の際にもそういうことをはつきりいたしまして、目標を確定いたしたいとかように考えております。局の努力目標といたしましては五ケ年計画の最終の目標は、生糸が約二十七万俵から三十万俵程度なつておりますので、又桑園の面積といたしまして二十七万町歩、繭の産額といたしまして三千七百万貫程度のものが初めの計画であつたのでありますが、そういうことを、時期的のズレはありまするけれども、目標として進めたい。又今度の安本を中心といたしまする自立経済の審議の際にも大体そういうことを目標にして考えたいと、かように考えておる次第であります。
  48. 白波瀬米吉

    ○白波瀬米吉君 そうすると繭は何ですか、四千万貫までは差当り差支えないと、こういうお考えですか。
  49. 最上章吉

    説明員(最上章吉君) それはまあ繭は四千万貫ぐらいまで増産することを努力の目標として行きたいと、かように考えておりますが、それと何時にまあ今後海外に対する絹の宣伝でありますとか、技術の改良によりまする品質の改良でありますとか、或いは又長年の懸案になつております糸価安定というようなことも是非実現したいと、かように考えております。
  50. 白波瀬米吉

    ○白波瀬米吉君 つまり私のお伺いするのは、努力目標であるとか何とかいうことでなしに、四千万貫から糸を生産すれば大体三十万俵以上できるでしよう。それは現在の蚕糸業の価格面に影響なしに消化、つまり需要があるという目安をお立てになつておるのですかと、こう申上げたのです。
  51. 最上章吉

    説明員(最上章吉君) それはまあ価格の問題になりますので、非常にむずかしい問題になりまするけれども、今後十分宣伝をし、又品質の改良等の手を打ちましたならば、そのくらいまでは何とか消化できると、こういう見通しをいたしております。
  52. 白波瀬米吉

    ○白波瀬米吉君 更にお伺いしますが、この予算の中の、この各町村指導員の身分保障の問題ですね、これは随分やかましい問題でありますが、今度は増額されたとは言うけれども、まあ総体の数字から言えば相当な増額ということになりますけれども、各人の身分の上から言えば非常に微々たるものですが、今本当に蚕糸業のみに携わつている町村技術員というものは何人いるのですか。
  53. 最上章吉

    説明員(最上章吉君) 町村の技術員は約四千人相度あると思います。
  54. 白波瀬米吉

    ○白波瀬米吉君 その四千人というものは蚕糸業に専念しているわけですね。
  55. 最上章吉

    説明員(最上章吉君) そうです。
  56. 白波瀬米吉

    ○白波瀬米吉君 そうすると、それの俸給は農業会から出ておるわけですか。
  57. 最上章吉

    説明員(最上章吉君) いや現在は、この農業協同組合等が繭の団体を処理いたします際に、技術員の指導費として御承知のように一貫目についで相当程度つておりますので、その経費でやつておるのでありますが、その経費が十分でなかつたり、或いは何かの関係で入ることが遅れるというような場合においては、非常に地方によつては困つておる所がありますので、私共といたしましてはこの農業協同組合に対する補助金というものは禁ぜられておりますので、この蚕業技術指導所の技術の普及強化費といたしまして、今後ともこの予算を大いに増額をいたしまして、それを優秀な技術員、協同組合員等がありましたならばそれを蚕業技術指導所に直結をいたしまして、技術の末端に対する滲透を図ると共に、技術員の身分の問題についても解決の一端に資したいと、かように存ずる次第であります。只今白波瀬委員から御発言がありましたように、この二千四百万円という数字は私共といたしましては、非常に不満足な小額でありまして、当初の要求は約二千七百人に対しまして三万六千円、全部の合計約九千九百四十万円というものを要求したのでありますが、これはまあ強力にこういうところまで持つて行くことが非常に財政上の見地から困難でございましたので、来年度、再来年度と引続いて大いに増額をいたして、この目標に持つて行きたいと、かように考えておる次第であります。尚これにつきましては、実は近頃各県におきまして相当程度経費を計上しておるところが多いのでございまして、国でも今後経費を増額いたしますると共に、県におきましても相当程度予算計上して貰いたいと、かように考えておる次第であります。
  58. 白波瀬米吉

    ○白波瀬米吉君 更にお尋ねしますが、養蚕へ関係しておるいわゆる町村技術員と、普通農事に関係しておる町村技術負との待遇の差はないのですか、この程度になれば大体釣合うのですか。
  59. 最上章吉

    説明員(最上章吉君) 只今この養蚕の技術員の待遇と、一般農事の技術員の待遇の差はちよつと的確な数字は持ち合せておりませんが、こちらで要求いたしました当初の予算通りますれば、大体一般農事の普及員どの均衡がとれる程度になるのでありますが、この予算が十分通りませんでしたので、その分は県の予算要求する、従来も相当経費を計上いたしておるところがございますので、そういうところは大体均衡がとれておりますけれども、尚そういう県の予算、或いは組合の指導費等が十分入らなかつたところは、相当差があるところもあるかと思います。
  60. 白波瀬米吉

    ○白波瀬米吉君 同じ町村に、いわゆる農業を相手にして指導する立場にある者が、それを認めておる以上は、やはり差のあることは非常に困つたことだと思うのですが、これは大いに努力して頂きたい。更にお伺いしますが、指導所というものは一体どういうことをするのですか。
  61. 最上章吉

    説明員(最上章吉君) これは何と申しますか、養蚕に対しますいろいろ新しい技術、つまり桑の問題、或いは養蚕そのものの問題から採桑、その他肥培管理というような問題等まで、いろいろ試験研究されましても、それが末端の農家に滲透しなければ何にもならないわけでございまするからして、そういう新しい養蚕に関する技術を末端の農家に滲透させるための指導所でございまして、実際問題といたしましては技術指導所におりまする県の吏員、或いはそこの嘱託等になつておりまする人々が実地に養蚕をやつて、その実際の技術を現実に見せる、或いは又地方の町村を巡回いたしまして必要な知識を與える、かようなことに活動いたしておるのであります。殊に最近は地方によりまして養蚕熱が非常に勃興しておりますので、今後ともこの蚕業技術指導所というものの活動を大いに促進いたしまして、新しい技術を、殊に従業養蚕をやつてつた人ばかりでなく、若い青年男女等に対しましても十分指導するように活動促進したい、かように考えている次第であります。
  62. 白波瀬米吉

    ○白波瀬米吉君 よくわかりますが、併しどういう形でやるのですか。常置しているのですか。誰かそこに人間が平素いるのですか。
  63. 最上章吉

    説明員(最上章吉君) それは大体実際問題といたしましては、各郡の適当な所に養蚕の篤農家の家を県が借りまして、そこに指導所を置いて実地に蚕を飼つて見せるのでありまして、無論看板も掛けておりますが、人もおりまして、常時必要な指導をいたしている次第であります。
  64. 白波瀬米吉

    ○白波瀬米吉君 共同飼育と違いますか。
  65. 最上章吉

    説明員(最上章吉君) 共同飼育と違います。但し共同飼育を指導所で取入れてやつておるところも中にはありますけれども、共同飼育とは観念上は別個のものであります。
  66. 白波瀬米吉

    ○白波瀬米吉君 そういう者の集まる集会所でありますか。
  67. 最上章吉

    説明員(最上章吉君) いや、指導所に呼んで実際に蚕を飼つて見せる場合もありますし、それから技術者が町村を廻つていろいろ指導することもございますし、それはいろいろの場合がありますけれども、單なる集会所とは金然違つております。
  68. 白波瀬米吉

    ○白波瀬米吉君 平素どういう形でやるのですか。
  69. 横山忠雄

    説明員(横山忠雄君) 技術指導所は初めの設置したときの考えから申しますと、一般農事の指導農場というものと割合い似た計画で出発しております。併し指導農場は御承知のようにその耕地を三町歩持つておりまして、非常に固定したしつかりした設備を持つていたわけであります。併しあのようにしますと、その設備を維持する上に相当勢力を取られまして、指導という点が十分に行かないということもあり、心配されましたので、蚕業技術指導所では固定設備のようなものは比較的軽いものを持つている。つまり建物は使用できるような建物を適当な場所に借りる。例えば共同飼育所を借りるとか、或いは蚕業用の空いている建物を借りるとか、場合によると篤農家の蚕室を借りるとか、そういうふうにして場所は借ります。それから畑も同じようにして借入れまして、その借入れる面積も大きなものではなく、大体の標準は三反歩にしております。そうしてやる仕事といたしましては、さつき局長からも申上げましたように養蚕の新しい技術を直接養蚕家、或いはその養蚕家の指導をしておる技術員に見せてやるようにする。蚕糸のほうは外国の需要によつていろいろ変化することが早いものですから、実物を見せてやりませんと、農家に口で言つたばかりではなかなか徹底しにくい点がありますので、それで実際にそこで蚕を飼つて見せてやる。従つてさつきの御質問にありましたように常置かどうかということは、これはいつもそういうものはあるわけでございます。蚕のない時期につきましても桑の作り方とか、或いは副産物の処理の方法とか、それから冬の間の桑園の手入、例えばそれは肥培管理もありますし、病虫害の駆除のようなこともありますし、そのようなことを指導をしております。それで三反歩の畑の中ではそのような見本桑園のようなものを作つていることもありますし、桑苗の作り方の展示もいたしております。それからもう一つ技術指導所として大きな仕事は病気の駆除予防についての役目でございまして協同組合の技術負なども薬品を、殊に新しい薬品の使い方というようなことになりますると、とかく億劫がるものでございます。その場合に指導所の職員が中心になりまして、今はやつております白疆病の駆除をして歩いたり、そういうふうなことを行う場合の中心の仕事をしております。
  70. 白波瀬米吉

    ○白波瀬米吉君 それでは或る程度経営しているわけですね。
  71. 横山忠雄

    説明員(横山忠雄君) そうです。
  72. 白波瀬米吉

    ○白波瀬米吉君 直接桑園を作つて経営をしているわけですね。
  73. 横山忠雄

    説明員(横山忠雄君) そういうわけであります。
  74. 岡田宗司

    委員長岡田宗司君) よろしうございますか。
  75. 門田定藏

    ○門田定藏君 この蚕糸の価格、蚕糸でありますとこれは製糸業者に売る繭の価格ですが、一体農民が生産したこの生産物について、外の或いは米とか、木炭とか、政府の指定した価格が或る程度あるのですが、繭の価格についていろいろ我々は各県を調査しているわけではないが、私らの県で調査するといろいろな製糸家によつて価格が違つて来るのですね。統一された価格がないので微妙な問題がここにあつて、折角農民が作り上げた繭の価格が非常に一定しない。これらについて農民はどういう繭がどれたけ。価格がするということがわかりないのですが、これらの規格について何か的確な方法で政府が繭の価格を、この繭はこれだけの価格で買上げるべしというような方法が講ぜらるべきだと思いますが、これについて当局はどういう考えを持つておりますか。もう一つお尋ねしたいのは、ナイロンというものが非常に今盛んになつて来ております。殊にアメリカでも盛んになつておりますが、日本では倉敷レーヨンとか何とかいうものが、新しい科学によつて研究してこれが非常に注目されているわけですが農民への間において将来相当養蚕の面積なり、生産額を殖やす意思はあるのですが、そういうことについていろいろ躊躇している点があるのですが、将来ナイロンというものによつて、養蚕がどういう影響を受けるか、アメリカの状況なり一方内地の状況について当局でお調べであれば御見解一つ伺いたい。
  76. 最上章吉

    説明員(最上章吉君) 只今の御質問でございますが、第一の繭の価格の問題は、これは昨年の五月に統制を解除いたしまして、まあ自由にいたしましたために、政府が価格をどうする、こうするということは、非常にこれは困難な問題でございます。結局経済の原則に従いまして売手、買手がきめる問題だということに帰着するわけでございますが、私共といたしましては、只今お話のように、個々の農家はよく経済の事情もわからない、或いは取引上につきまして、個々の農家が憂慮いたしますことは、非常に経済力が弱くて非常な不利をこうむるというようなことがございますので、私共といたしましては、繭の取引の形態は、各地方地方によつて、まあ事情に適したような方法でやるということは勿論でございますが、一般的の方針といたしましては、協同組合、或いはこれは村の單位なり、県の單位、いろいろございますが、農業協同組合を通じて団体的に処理するということが、最も公平にして、円滑なる取引ができるということで、まあ指導方針といたしましては、団体取引をいたすように主張いたしておるのであります。従いまして、これは政府が価格を幾らということを指示することは、これは自由経済の下においてはできませんけれども、実際問題といたしましては、又製糸家が話合いをして一つ値段をきめるということは、これは独占禁止法とか、事業者団体法との関係がございますので、まあ法律上禁止されているわけでございます。従いましてまあ或る程度製糸家によつて価格の違うということは、自由経済の下においては止むを得ない現象でございます。これを統一的に政府が指示するということはできませんけれども、団体処理ということを大いに今後も奬励いたしまして、そうしてその系統団体を通じて必要な情報は始終流しているわけであります。つまり全国の養蚕団体から横浜の生糸の相場でありますとか、或いは輸出の状況でありますとか、或いは外の県における取引状況でありますとか、そういうものは系統団体を通じて必要な情報を時々流しているのでありますが、実際問題といたしまして県によつても、同じ県の中でも製糸家によつて非常に違うということはそんなにないかとも思いますけれども、併し全国的に見ますならば、殊に夏秋蚕或いは晩秋蚕等につきましては、繭の出廻る時期というものが非常に違つているのでございまして、その出廻る時期が違うことによりまして、横浜なり、神戸の生糸相場から結局逆算されるのでありまして、生糸の相場が動けば自然繭も県によつてはその出廻る時期によつて相当つて来るというのが実情であります。まあそういうような実情でありますが、要するに私共といたしましては繭の取引につきましては、各県の最も実情に適したような方法でやつて貰うことが根本でありますけれども、できるだけ個個の養蚕家が処理をするということでなしに、団体的に処理をすることが最も公平にして、円滑な繭の処理ができる。こういうことで団体処理を奬励しているのであります。  次にナイロンの問題でございますが、これはナイロンが戰争中に非常に質、量共に発達しまして、ナイロンによる影響というものは、実はもうすでに出てしまつているのでございまして、御承知のように戰前におきましては、アメリカに輸出いたしまする生糸の八割程度は絹の靴下に使われておつたのでございますが、それが戰争中日から生糸が行かなかつたことと、向うにナイロンができて質、量共に非常に改良されたために、現在はアメリカの靴下に関する限りは、殆んど駆逐されてしまつているのであります。従いまして日本から出しまする生糸は、今大部分は織物に使われているのでありますが、これはまあわかり易く申しますと、一つの纖維であらゆる用途に適したものというものはないのでありまして、纖維によつて特徴があります。例えばナイロンは非常に丈夫であるとか、非常に持ちが良くて、経済的であるとかというような特徴があるのでありますが、同時に絹は絹としての非常に肌ざわりがいいとか、或いはいい色艶があるとか、染がいい、十分染がきくとかいつたような特徴もあり、欠点もありまして、これは私共か今後大いに努力いたさなければならないことは、この品質の改良と、絹には絹の非常にいい特徴もあります代りに、欠点もございますので、殊にナイロン等に比べると弱いというようなことが非常に欠点でございます。そういう品質上の改良をするということが非常に大事なことであります。それと同時に、又絹のいいところを宣伝するということが非常に大事なことでありまして、実際問題といたしましてアメリカ等の事情考えますと、ナイロンは何千万ドルという莫大な、日本の金にいたしますと何百億円というような莫大な試験研究費なり、宣伝費を使つているのでありまして、それによつてアメリカの人はナイロンのいいところをすつかり、まあナイロンのいいところだけが頭の中に残つて、惡いところは余り残らない。逆に生糸は非常にいい点があるにかかわらず、そういうことが一般に認識されないで、欠点だけが知られるというような嫌いがあるのであります。従いましてこの国際的に絹の宣伝をするということが非常に大きな、大事な問題になつているのでありまして、幸い昨年世界中の絹の生産をする国、或いは消費をする約三十ケ国が集まりまして、国際綿業協会というものを作りまして、そうして大いに絹の宣伝をしようということになつて、そういう団体ができたわけであります。それで只今ニユーヨークで世界中の絹業者が集まりまして、この十六日から国際絹業者総会があるのでありますが、この際に一番問題になるのは、今後どうして宣伝するか、その宣伝費をどうして集めるかということが大きな問題になるのでありますが、そういうような生糸自体の品質を改良するというようなこと、それから大いに宣伝をするということ、その他蚕糸業についての改良すべき点を改良し、大いに強調すべき点は強調して行きましたならば、私共は蚕糸業が本当に伸びるのは今からであると、かように考えている次第であります。
  77. 門田定藏

    ○門田定藏君 ナイロンについての問題はわかりましたが、この繭の取引について団体取引するように奬励しているし、やつているというお話ですが、私共の調べているところでは団体取引というようなことをやつていないのです。繭の生産ができた、すぐこれまでは製糸家が来て……、それを団体取引をやつているかといえばそんなことはやらない。自由取引になつて、製糸場で相場はあとからきめるということにして、どんどん持つて行く、持つてつた結果、これはいろいろ微妙な問題があつて、相場が一定しない。そこで一旦品を向うに送り出してしまつて、それで向うから後でこういう相場だと付けて来る。そうして農民が、生産者がその点について非常に不満足がある。そこで今時々刻々糸の相場や繭の相場を知らしておるというお話でありますが、これは業者のほうには通知がしてあるかも知れませんが、農民のほうには今月はどれくらいの相場がしておるかどうかということが一向入つていない。それで一県に一ケ所くらいでいいのですから、農林省のほうから時々刻々繭の相場なり、糸の相場を通知するということが必要じやないか。それからもう一つお尋ねしたいのは、さつきも質問が出ておりましたが、養蚕技術員の俸給について、繭から相当費用を取つて出しておるというお話もありましたが、私はこれほど重大な国家事業に対して繭を生産した者から指導費を取るということはこれは不合理じやないか。これらの点はこういう技術員の補助等でこれは農林省として政府として外の技術負と同じ方法でこれは補助すべきではないか。これも一つの養蚕を奬励する方法であろうと思いますが、これについてどうお考えでありますか。
  78. 最上章吉

    説明員(最上章吉君) 只今の第一の点につきましては、農林省といたしましても各府県に対しましては、繭の取引所その他には時々通知をいたしておるのでありますが、それが末端に滲透していないというお話でありますが、その点につきましては県とも連絡いたしまして、養蚕の団体と更に緊密な連絡をとるようにいたします。  それから第二点の養蚕技術員の問題でありますが、これは現在におきましても一般農事に比べまして、その植付面積なり或いは農家戸数というような割合から見ますならば、養蚕のほうに対しましては一般農業の割合よりむしろ多額にこの種の経費を出しておるのであります。これを将来どういうように持つて行くかということは、これは一つの大きな問題でございますので十分今後共研究いたしたいと思うのでございますが、現在におきましても、先ほど申しましたように、桑園の面積その他は全体の面積から見れば非常に僅かでございますが、その割合から申せば養蚕のほうには相当国の費用等も技術の滲透関係においても、その割合から申しますならば、一般農業よりむしろたくさんやつておるというのが実情でございます。又先ほど白波瀬委員の御発言もございましたが、この技術員の問題は私共といたしまして、折角県におきまして或いは国におきまして、技術の研究等をいたしましても、末端の農家にそれが滲透しないようなことでは何にもならないというような点も考慮いたしまして、この種の経費を更に来年度は増額要求をいたすつもりでございます。
  79. 門田定藏

    ○門田定藏君 この技術員の問題についてもう一つお尋ねいたしたいと思いますが、実際我々の今調査しておるところでは、養蚕技術員の俸給は製糸家から三分の一か何か出しております。大抵の技術員に出しております。ところが製糸家が自腹を切つて出すはずはないのですから、これはつまり今私が言いました繭の価格によつて、その生産者から経費を取つて、そうして技術員に補助するということがありはしないか、そうしないというと製糸家が出すはずがない。三分の一とか半分とか、大抵技術員に限つて補助している。そういうことをやつては、農民が精出して作つた繭で技術員の俸給を出すというようなことは不合理である。これらの点はどういう方法になつているかよく当局調査して、そういうことのないように一つ努力して頂きたいと思います。
  80. 岡田宗司

    委員長岡田宗司君) 最後に、この前商品取引所法が議会で審議されましたときに、我々のほうから糸価安定の施策を講ずるようにということを申入れたのであります。朝鮮事変が起りましてから後の国内並びに国外の糸価の状況はますます安定を欲せられるような状況になつていると思いますが、その後司令部との折衝その他でこれらの施策を進める上に何か曙光が見出されますか。
  81. 最上章吉

    説明員(最上章吉君) これは実は先ほど申しましたように、ニユーヨークで国際絹業協会の総会を、十六日から正式に開くわけでありますが、その際の議題といたしまして、この糸価安定の問題を議題にいたしまして、一つ協議しよう。恐らく各国とも、そこで決議か何かの形になつて、アメリカの政府に陳情するなり、或いは司令部に陳情するなりという形をとるのではないか、かように考えております。今度日本から行きました使節団の最も重要な使命は、この糸価安定の問題を何とか目鼻をつけるということで、私共といたしましても、それに非常に望をかけているわけであります。
  82. 岡田宗司

    委員長岡田宗司君) 外にございませんか。なければ午前中の会議はこれで終ることにいたします。それでは二時半から再開いたします。    午後一時三十七分休憩    —————・—————    午後二時五十三分開会
  83. 岡田宗司

    委員長岡田宗司君) それでは午前中に引続きまして委員会を続行いたします。  食糧庁関係予算についての御説明を願います。
  84. 松岡亮

    説明員(松岡亮君) それでは食糧庁所管の一般会計及び特別会計昭和二十五年度補正、並び昭和二十六年度予算の原案につきまして概略申上げます。御承知のごとく、予算案は閣議の決定は経ましたけれども、只今総司令部と折衝中でございまして、尚重要な計数について若干の変動があるかと存ずるのでありますが、只今まで一応きまりました数字につきまして申上げたいと存じます。食糧庁所管の一般会計は極く簡單でありまして、大部分が特別会計なつておりますので、特別会計予算のほうから先に申上げたいと存じます。  農林省所管、昭和二十五年度補正というほうの資料につきまして先ず御説明いたします。  昭和二十五年度食糧管理特別会計補正予算額というのがございますが、歳入におきまして百三十四億九千八百万円、並びに歳出におきまして百三十四億九千八百万円の補正要求いたす次第でありますが、先ず補正の一番の原因となりましたのは、食糧の買入の代金でございます。つまり商品費でございますが、これは目下問題になつておりまするところの米価の改訂による補正でございまして、その米価の大体の予算單価としての組み方について申上げます。昭和二十五年度米の買入価格の計算でございますが、先ず農業パリテイ指数を一七八と押えまして、従いまして基準価格が二十七円十六銭になつておりますので、これが四千八百三十四円、その外に従来超過供出奬励金その他の形で、農業者の所得となつておりました部分の食糧管理特別会計から支拂つておりました代金に対する割合としまして、大体一〇%程度のものを加算することにいたしまして、三百三十六円を加算いたします。それに俵代……只今まで申上げましたのは中身に対する価格でありまするが、俵代といたしまして、百九円をプラスいたしまして、合計五千二百七十九円、五千二百八十円程度單価を以て予想いたしまして、予算上の單価といたしたわけであります。この結果といたしまして、すでに当初の予算で見積りましたところの商品費に可なりの不足を生じまして、歳出の上から三番目の3、食糧買入費、ここにおきまして、お配りいたしました資料が幾らか古くなつておりますので、途中で計数が変りまして食糧買入の補正要求額が百六十七億五千二百十三万五千円ということに相成つたのであります。その外に人件費が、当初見積りました額では多少不足を見込まれますので、人件費の増加を幾分見て頂きまして、それからその他の経費におきましては特に加工費、米麦加工費を削減いたしたのであります。この額が十二億五千八百九十一万六十円、この加工費の削減は、米麦の加工に伴つて生じまする副産物の価格が最近上昇いたしましたので、その結果といたしまして加工賃を引下げることが可能となつたのであります。予算面におきまして十二億程度の削減をするということにいたしました。それから集荷手数料が続いて大きな削減の対象になつておりますが、五番目であります。これは御覽の通り特別指定倉庫加算額でありまして、特別指定倉庫と申しまするものは、食糧を買入れまする際に、特に駅に近い運送上便利な倉庫を特別に指定して、そこまで生産者に運んで貰つた場合に普通の買入代金に加算して支拂う、こういう方式をとつておるのでありますが、この特別指定倉庫を、最近事情がだんだん変つて参りましたので整理いたしておりますので、その結果として節約可能になつ金額でございます。歳出の面における補正のほうは、大体以上の通りでございますが、歳入の面におきましては、特に当初の見積りに、売却数量におきまして多少過大な数量が計上されておりましたので、その点を補正いたしますと同時に、現在民間輸入を以て直接食糧庁が買付けております輸入食糧に対する価格差補給金を直接一般会計から食糧管理特別会計へ受入れるように、価格差補給金の受入金額歳入補正として計上いたしております。尚価格差補給金の計算につきましては、昭和二十六年度予算と一緒に申上げたいと思います。昭和二十五年度予算補正の概算は以上の通りであります。  次に昭和二十六年度食糧管理特別会計予算について御説明いたしたいと思います。二十六年度対比農林省所管特別会計概要、これについて申上げます。  先ず昭和二十六年度予算編成の前提となりましたいろいろな基本構想を申上げますると、第一に取扱物資でありまするが、これは一応総合配給の対象といたしましては米麦に限る、従いまして雑穀、いも類は一応取扱わないという方針で組んでおります。但し油糧砂糖配給公団、食糧配給公団も廃止になるわけでありますが、油糧砂糖配給公団が廃止になりまする結果といたしまして、砂糖だけは食糧管理特別会計において、国内及び輸入のものを一手に取扱いまして、これは勿論総合配給の対象ではございませんが、一応食糧管理特別会計の取扱物資としてやるということにいたしております。それから食糧配給公団の廃止の結果としまして、麻袋の一手取扱機関が廃止になるのでありまするが、現在の麻袋の事情相当逼迫いたしておりまして、特に特需関係等も最近殖えております結果、ばらで輸入されますが、輸入食糧の輸送のために特に必要もございまするので、これを確保するために、一応食糧管理特別会計において一手にこれを持つて行こう、特に強度に統制をやるわけではございませんが、一手にこれを持つて行くという方式をとることにいたしております。次に売却関係、つまり配給の関係は一応二・七合ベースを以て米麦のみを以て配給の対象とするという考え方をとつておるのであります。尚検査事業その他の事業につきましては、一応現場を維持しまして、現場の機構及び人員を以ちまして漸次質的改善を図るための仕事の充実を図るということ、及び特に来年度予算として、経費面において重点を置きましたのは、保管管理を強化する。最近輸入食糧がばらで入つて来るというような状況でありまして、その数量が非常に巨額に上りまするので、保管管理関係経費に重点を置くというような方式をとつたのでございます。そこでもう一つ、重要なポイントでありまする来年度の米価算定の方式でございますが、このお配りいたしてありまする資料にも添附してございまするが、食糧管理特別会計予算の編成の前提その他の資料が出ておるのであります。需給関係をあとにしまして編成要領の生産者価格から先に申上げたいと思つております。先ほど二十五年産米の価格の算定方式を申上げましたわけでございましたが、二十六年産米につきましても、大体同じような方式をとりまして計算いたしておるのであります。先ず農業パリテイ指数は二十五年産米と同様に一七八、更に奬励金として加算いたしまするものは後ほど申上げまするが、早期供出奬励金として、今年度におきまして六十億でありまするが、来年度におきましては三十億とするというような考え方をとりまして、あとの三十億を基本価格に入れるというような計算をやりまして、今年よりも加算額としては殖えまして四百九十円を加算する。でその外に俵代といたしましても百九円併せて一石当り五千四百三十三円の單価を以て買入費を編成いたしたのであります。尚麦類の米に対する価格上の比率、つまり対米比価は、現状の配給辞退その他の事情を考慮いたしまして、漸次戰前の水準まで引下げるというような考え方をとりまして若干下げることにいたしております。その下げ方は、生産者価格におきましては、現在小麦と裸麦が八一・三、米に対して八一・三という比率をとつておりまするがこれを七一、大麦におきまして現在七〇という比率を六一に下げておるのであります。尚ついででありまするが、消費者価格におきましてもこの比率の引下を行いまして、小麦粉が米に対しまして九五でありまするのを、今度の予算におきましては八五に引下げておるのでございます。精麦につきましても九〇を八〇に下げておるのであります。基準となりまする価格の考え方は、以上申上げました通りでありまするが、これと組合せになりまするところの取扱数量でございまするが、これは需給計画としまして予算編成の前提というところに掲げて置いたわけであります。先ず供給の面でありますが、二十五年度からの持越し四百十七万六千トン、これは玄米トンであります。で二十五年産の食糧の買入が尚継続いたします。つまり二十五年産米等の買入が約六万トン、それで二十六年産の買入は、大体本年の事前割当数量等を考慮いたしまして、内地食糧についてはおおむね本年度に近い数量をとつておるのであります。輸入食糧につきましても本年度と同様三百四十万トン輸入するという前提に立つておるのであります。三百四十万トンの内訳を申しますと、米が百万トン、小麦が二百万トン、大麦が四十万トン、そういうことであります。次に売却の、つまり需要の方でございますが、これは主食用及び工業原材料用或いは種子用等に売却されるものは、大体今年と同じような程度考えておるのでありますが、先ほどちよつと申すことを忘れたのでありますが、本年度補正予算においても、若干歳入補正といたしまして配給辞退を売却する量から減らしておるのでありますが、来年度におきましても若干配給辞退の点等も考慮いたしまして、減耗等を合せ八百九十五万六千トンの需要があるものと推定いたしておるのであります。  大体基本的な考え方は以上の通りでありますが、尚只今申上げましたような米価の買入価格、つまり生産者価格を基礎にいたしまして、中間の数量を大体計算いたしまして、その結果としてどの程度の消費者価格の値上りがあるのであろうかということを推定いたしましたのが最後に消費者価格として出ておりますが、これによりましても、推定でございますが、一〇%程度の、米価は内地精米におきまして一〇%程度の値上りがあるものと推定いたしておるのであります。それから来年度におきましては、輸入食糧関係は一応全部食管特別会計におきまして輸入補給金を一般会計から受入れるという考え方をとりまして、それに必要な補給金を歳入面に計上したのでございますが、勿論この單価は来年を推定したものでありまして、正確とは必ずしも申せないかも存じませんが、大体におきまして小麦トン当り九十ドル、大麦七十二ドル米が百四十ドル、四月から十月までは百三十ドルと見ておりますが、おおむね百四十ドルと計算をいたしまして、それに必要な補給金の総額が三百九十七億七千五百万円ということになつておるのであります。これをラウンド・ナンバーにいたしまして概算三百億の輸入補給金を要するものと計算いたしたのであります。  そこで元に戻りまして予算の計数について申上げます。予算総額は、歳入歳出共に五千四百四十三億四千四百四十三万七千円、二十五年度予定額に比較いたしまして六百四十億ほどの増額になるのでありますが、これは主として米価の値上りによるものでございまして、その他の経費におきましてはむしろ多少節約を図つておる状況でございます。次に歳入でございますが、歳入は、先ず基本的な面といたしましては、昭和二十五年度予算におきましてはいわゆるドツジ・ラインの一つといたしまして年度末の証券発行高、証券收入を一千百八十億円、これは昭和二十三年度末における証券発行高でありまするが、二十四年度米においてもその額に抑え、二十五年度末においてもその額に抑えるという、いわゆるドツジ・ラインの一環をなしまするところの考え方を二十六年度においてはとらないことにいたしまして、証券発行高の証券收入を制限しないという考え方をとつております。二十四年度におきましては、一千百八十億の証券発行高に止めるために、一般会計から約百八十億円近い、いわゆるインヴエントリー・フアイナンスを貰つたわけでありますが、二十六年度においてはそういう考えをとらないという組み方をいたしております。で歳入の大部分を占めますところのものは、主要食糧を売却した代金でございまして、食糧売拂代、これは先ほど申上げました需給計画の売却数量によりまして、これに今度改訂になりまする單価を乗じたのでありますが、これが歳入の殆んど大部分を占めておるのであります。で雑收入は、物品の拂下げ、つまり備品とか、そういうものの拂下げの收入、或いは違約金、弁償金等の收入でございますが、これが七億六千五百七十七万二千円、次に一般会計よりの受入れといたしましては、農業共済再保険特別会計へ入れますところの金額をそのまま一般会計から貰う仕組みになつておるのであります。これは現在の農業共済再保險関係の制度として、一応食糧管理特別会計から地方委讓保險に対する掛金の一部を繰入れるということになつておりまするが、結局これを消費者負担にしないで一般会計の負担にするという考え方によりまして、従来から一般会計から一応食糧管理特別会計を経由しまして、通り抜けて農業共済再保險特別会計へ繰入れておるのであります。でその具体的な点につきましては農政局の方から御説明が頂けると思います。  次の食糧証券及び買入金收入は、只今も申上げましたように一千百八十億の線を守らないという考え方をとつておるのであります。歳入は以上のような考え方でございますが、歳出につきましては、先ず一番大きな経費でありまするところの食糧買入代金、食糧買入費は三十八百二十三億円、これは内国食糧及び輸入食糧を含めての買入代金でございます。でこの中には早期供出奬励金といたしまして三十億を含んでおるのであります。  次は食糧買入売渡しに直接伴う経費、これはいわゆる事業関係の中間経費でありまするが、その内容につきまして多少具体的に申上げます。この中に含まれておる主要な経費は、運搬費、集荷等手数料、米麦加工費、保管料、保存手入費、集荷委託費、こういう種目でございますが、先ず運搬費は前年度予算におきましては百二十三億円計上いたしたのでありまするが、昭和二十六年度におきましては百十六億円、運送数量は、輸入食糧が殖えつつありますので若干増加する傾向にあるのでありまするが、單価の面におきまして、本年度から一割足らずの節約を図つておりまするので百十六億円程度に止めておるのであります。次は集荷等手数料が、前年度予算におきましては四十八億八千一百先十三万二千円でありまするが、これを先ほど補正予算の際に申上げましたように、特別指定倉庫を整理する等の関係が可能となつておりまするので、来年度におきましては二十九億一千七百二十六万八千円、相当に減額いたしたのであります。次が米麦加工費、これはいわゆる加工賃でありますが、この中には精米加工賃が一部、主として製粉、精麦の加工賃が含まれておるのであります。ここで二十五年度に比較しまして重要な変化をいたしましたのは、二次加工、つまり乾麺とか乾パンとかそういうものを一応政府の委託加工によらないという構想によりまして、そういうものを加工費から除外しております。その外製粉、精麦の加工賃につきましても、今年度からその節約に努めておりまするので漸次圧縮せられつつあるのでありますが、前年度予算が百二十九億六千六百三十六万八千円でありまするが、来年度におきましては五十億五千二百二十八万五千円、相当な減額と相成つておるのであります。次は保管料でありまするが、保管料は前年度予算額が五十五億二千三百六十五万九千円となつておりまするが、来年度におきましては六十九億九千五百八十万三千円、若干の増加と相成つております。これは漸次食糧事情が緩和され輸入食糧等も殖えつつありまするので、保管期間が漸次延びつつあるのでありますが、同時に保管料の料率の計算の基礎になりまする單価が、従荷率の方が上がりまするので、そういつた結果として若干増額を要する推定に相成るのであります。次に保存手入費、これが保管中のいろいろな燻蒸或いはそういつたことをやる経費でありますが、これは前年度が六千九万円でございます。来年度は一躍一億九千十八万円、三倍程度ははね上つたのであります。これは保管料と同じような関係でありまするが、特に来年度におきまして保管管理を強化するという趣旨からいいまして、その方面からする損害を防止して行くには、むしろこの程度経費は決して高いものではないという考え方もとりまして、既存手入費は大幅な増額をお願いしておるのであります。次に集荷委託費でございますが、これは前年度が四億四千八百万円、来年度は二億九千七百万円、これも三分の一程度節減を図つておるのでありまして、この経費は、従来食糧の供出を督励したり、促進したりして貰うために都道府県に対して交付いたしまして、その費用に充てて貰つておるのでありますが、若干食糧事情も緩和いたしておりまするので、こういつた経費の節減を図つたのであります。大体以上が食糧の買入売渡しに直接伴う経費でありまして、これらの経費は前年度合計におきまして三百五十三億八千六百八十七万六千円でありますが、これが二百七十億程度に非常な圧縮をされたのであります。中間経費の大部分を占めまするところの事業関係経費は、以上の通りであります。  次は人件費、事務費でございまするが、先ず人件費のうち、定員は一方におきまして、「いも」、雑穀等の取扱を廃止いたしまする結果として、若干その方面で入手を省くことが可能となるわけでありまするが、一方では、食糧配給公団の廃止によりまして非常に事務の増大を来たしまするし、又或いは砂糖等の取扱による人員が必要になります。又保管管理、従来非常に緊急事態等に処しておりまして、むしろ保管管理等において多少手が抜かれたような憾みがありましたような点を改めて、大いに保管管理を強化するというような点を考慮いたしまして、人員は二万九千二百名程度の、結局前年度に比較いたしまして九十九名程度の削減に止つたのであります。経費といたしましては、一応六千三百円ベースで組んでおるのでありますが、給與ベースの改訂がありました際には、予備費等からこれを支出するようにお願いする予定なつております。事務費につきましては、大体一般会計と同じように、普通経費につきましては、一般会計と同じ單価を以て編成されておるのでありますが、大体前年度に比較しまして大した違いがないという状況であります。  以上食糧管理特別会計昭和二十六年度予算原案の歳入歳出につきまして概略申上げた次第であります。  尚一般会計のほうにつきまして簡單に申上げたいと思います。一般会計補正のほうから申上げます。農林省所管、昭知二十五年度補止、この資料のうち九番と十番関係が食糧庁所管であります。先ず九の主要食糧供出に対する報奬物資の配給に伴う損失補填に必要な経費、これについて申上げます。この経費は、今度の補正予算において新たに計上して頂くのでございますが、すでに光の国会におきまして法律を以て、昭和二十五年法律第二百四十三号を以て、主要食糧供出報奬物資の配給に伴う損失補填に関する法律というもので、昭和二十四年産の主要食糧の供出に対する報奬物資を配給いたしました。その過程におきまして、報奬物資、纖維品等の値下りの結果、取扱機関に相当な損失を生じましたので、その損失を補填することを法律を以て認められたのでありますが、その損失補填に必要な金額は八億九千八百八十二万二千二百二十円となるのでありますが、そのうち三億三千四百万円は中間機関に生じた価格差益を免除する方式によりまして損失を補填し、その残額五億六千四百八十二万三千円これだけを一般会計から損失補填として取扱業者、農業協同組合等に供給する計画となつておるのであります。尚現在におきましては、この予算の成立までの措置といたしまして、商工中央金庫及び農林中央金庫から一部資金の融通をいたしております。次は十番目の食糧管理特別会計繰入に必要な経費増加でございますが、これは農政局のほうから説明して頂いたほうがよろしいのでありますが、先ほど申上げましたように、繰入金の一部を食糧管理特別会計を経由して一般会計から農業共済再保険に交付することになつておりまするが、その額に不足が生じたために追加を計上してあるのであります。以上が本年度予算補正でございます。  次が昭和二十六年食糧庁、七十九から八十五でありますが、先ず食糧庁一般行政に必要な経費、これは食糧庁の企画或いは政策樹立等の重要な中枢的な人員をこの経費によつて確保いたしておるのであります。人員は本年度と同様でありまするが、事務費を若干節約をいたしております。  次は食品行政運営に必要な経費、これは食糧庁所管の食品関係、つまり油脂或いは乳製品とか、味噌、醤油等の副食系統の行政のために必要な経費でありますが、これは従来は味噌、醤油、油脂等の配給統制をやつておりました関係で、その方面経費なつておつたのでありますが、今後におきましては味噌、醤油その他殆んど統制を外すことになりまして、残るのは砂糖のみとなつたのであります。それに代りまして丁度食品工業というものが、主として中小企業を以て構成せられておりまするので、それに対する指導を強化するという意味におきまして、指導、振興のために必要な一般的な経費を計上いたしておるのであります。但し統制が廃止になりまする結果として、若干経費は節減になつております。  次は八十一番の物資需給の連絡調整に必要な経費、これは陸、海運用の石油或いは電力等の需給調整のために、農林省関係仕事を行うために地方の食糧事務所に、八つの食糧事務所でありますが、大体ブロツクに一ケ所程度のものでありまするが、これに事務に必要な人員を配置いたしまして、地方通産局その他との交渉に当らせておるわけでありますが、これにつきましては漸次その必要度も減少いたしておりまするので、人員も相当減らし、現在八十五名の定員でありまするが、それを三十八名程度削減いたしまして、相当大幅な節約を図つたのであります。  次が食糧管理に関する諸調査に必要な経費、これは主要食糧の供出並びに配給に必要な基礎的な調査を行うための経費でありますが、これは人員は、定員は六名、これは現状通りでありますが、その事務費の大部分は印刷、製本費、つまり調査に必要な資料等を作成するための経費であります。  次の八十三、主要食糧購入通帳等作成に必要な経費、これは配給通帳、切符等を印刷する経費でございます。これは二十五年度の一千八百六十二万一千円に対しまして、二十六年度は七千九百三十一万七千円、可なりの増額になつておるのであります。その増額の原因は、近く実施せられますところのフリー・クーポン制の実施に伴いまして、それに必要な切符等の作成のための印刷、製本費であります。これが五千万円以上の増額になつておるのであります。  次の八十四番、北陸震災地農業倉庫復旧資金利子補給に必要な経費でありまするが、これは福井地方の大震災におきまして相当多数の農業倉庫が被害を蒙りました。その結果として食糧の供出保管等に非常な支障を来たしましたので、当時からその建設に対して若干の補助を與え、建設復旧のための資金に対し一割の利子補給を行うという考え方で毎年実施いたしておるのであります。元金の償還等もありまして二十六年度は二十五年度よりも幾らか減りまして九百六十八万五十円ということに相成つたのであります。  次の八十五、食糧管理特別会計へ繰入に必要な経費、これはたびたび申上げまする農業保険関係一般会計から食管特別会計への繰入額でありまして、單価等の値上り等によりまして二十五年度よりも若干増額となりまして三十六億八千五百十五万三千円ということになつておるのであります。  以上一般会計関係を合計いたしますると、二十五年度二十八億四千三百四十四万九千円、二十六年度三十八億三千五百九万四千両、こうなつておるのであります。  尚食糧研究所に必要な経費定員等は現状通りでありまするが、来年は特に貯蔵に関する試験研究をやつて貰うために若干経費の増額を見て頂いておるのであります。  以上簡單でありますが、食糧庁所管一般会計特別会計の二十五年度補正、二十六年度予算原案について御説明申上げました。
  85. 岡田宗司

    委員長岡田宗司君) 食糧庁関係予算につきましての質疑をお願いいたします。
  86. 三好始

    三好始君 数点お伺いいたしたいと思いますが、二十五米穀年度から二十六年度の持越量は四百十七万六十トンという極めて大きい量になつておるのであります。これは輸入補給金の問題その他から考えまして可なり問題があるのではないかと思うのであります。こういうふうに大変大きい持越量になつ事情につきまして一応の御説明を承わりたいと思います。
  87. 松岡亮

    説明員(松岡亮君) 大体主要食糧の総合配給に廻ります数量は、月に約七十万トンでございます。そういたしますと四百二十万トンというのは、大体半年分ということになるのでありまするが、勿論この外にも原材料等にも拂上げをいたしますので、それ以上の数字となりまして、六ケ月には必ずしもならんわけであります。特に二十五年度からの持越しと申しますのは、会計年度でありますから、三月末でありまして、特に米の供出が大体終つたところでありまして、手持が非常に増加いたしておる時であります。若干多いような感じがいたしますのは、そういつた事情によるのでありまして、この業務に関係するものといたしましては、この程度の手持は必ずしも操作上過大であるというようなことは申しておらんようであります。
  88. 三好始

    三好始君 従来の持越量に比べて多いように思うのですが、そういうようなことにはなつておりませんか。
  89. 松岡亮

    説明員(松岡亮君) 従来に比べますと殖えております。と申しますのは、従来は配給基準量が少し下廻つておりましたし、最近のように輸入食糧が円滑に入らない状況でありましたので、従来の持越数量はこれよりは若干少い状況でございます。
  90. 三好始

    三好始君 先ほどいろいろ御説明を承わつて、米の生産者価格と消費者価格との開きが相当圧縮されるような模様でありまするが、予算面でいろいろ中間経費の節約の状況を承わりたのですが、これを簡單にわかり易く御説明頂くために、例えば石当りに直して従来の中間経費が幾らであつて、この補正予算なり二十六年度予算が実施されることになると、中間経費はどういうことになるかというようなこと、石当りで御説明願えませんか。
  91. 松岡亮

    説明員(松岡亮君) 石当りの計算を本日用意して参らなかつたのでありますが、大体現在物価庁で計算いたしております原価計算によりましては、食管特別会計予算とほぼ一致した原価計算を行なつておりますので、ここで石当りの單価によつてどのくらい節約になつたか、何%の節約になつたかということはちよつと申上げかねまするが、米の消費者価格といたしましては、可なりの引下げと申しますか、節減になると考えております。
  92. 三好始

    三好始君 今の問題は、我々としてははつきり把握して置く必要のある問題もありますので、一応計算した結果を委員会に御報告されますようにお願いします。
  93. 松岡亮

    説明員(松岡亮君) 承知いたしました。
  94. 三好始

    三好始君 関連してちよつとお伺いしたいのですが、本年播付の麦の供出の問題でありますが、これは政府の方針では食確法の失効に伴つて事後割当をするという方針をとつておるわけでありますが、作付の問題はどういうふうになるのか、念のためにお伺いして置きたいと思うのです。つまり本年播付ける麦は、作付転換が自由であるかどうか。麦の作付を従来続けて来ておつたのを、いろんな事情によりまして例えば馬鈴薯に変えるとか、或いは他の作物に転換することが可能なのかどうか、こういう問題を一応はつきり承わつて置きたいのです。
  95. 松岡亮

    説明員(松岡亮君) 私その方面仕事を担当いたしておりませんので、はつきりしたことを申上げることはちよつと差控えたいと思います。食確法の廃止によりまして事前割当が廃止になります。同時に事前割当の結果として、生産者に作付の強制が行われました点も廃止になるものと考えております。但し食糧の一割増産運動等におきまして、できるだけ生産目標を実行して貰うように指導奬励は加えられると考えております。
  96. 三好始

    三好始君 今の問題は、御出席になつておる係の人ではつきりお答えできるかたがあつたら明確な御答弁を頂きたいのですが、生産目標が示されておることは、これは事前割当とは意味が違いますから、政府の方針に協力して貰うという法律上の義務でない形で農民が協力する場合、それから法的に強制力を持つたものとは違うわけであります。ところが形の上では義務ではないけれども、実際の供出の取扱としては非常に強い要求をする。或いは権力で供出を強いるといつたような結果が起りがちなんじやないかと思うのです。こういうような点が法律上根拠を持つておられないから、秋に播付ける麦からいろいろな事情に応じて作付転換をすることが法律上自由なんだつたら、その自由が保証されるような点をはつきりしておらないと困るのじやないかと思います。こんな気持がするのですが、この点はどういうふうになつておりますか。
  97. 岡田宗司

    委員長岡田宗司君) 三好君にお諮りいたしますが、本日の出席は経理課長と主計課長ですから、この点について今日責任ある答弁は無理かと思いますので、これは一つ、この旨を三好さんから農林大臣宛の質問書として出して頂き、私のほうでそれに対して文書で農林大臣のほうから御回答を頂く、こういうふうにしたいと思います。
  98. 三好始

    三好始君 最後にもう一つお伺いいたします。それば地方から随分要請がある問題なのですが、麦の供出をする時に、米石で供出をさせて、随分煩雑で農民が困るというような要望が強いのですが、その点をもう少し農民の煩雑を少くするために簡素な方法にできないものか、こういうふうに感ずるのですが、食糧庁のほうではこの点どういうふうにお考えなつておりますか。
  99. 松岡亮

    説明員(松岡亮君) 供出の割当の際におきましては、米石で割当数量が示されるのでありますけれども、実際に供出が行われます場合、つまり生産者から食糧庁が買入れます際には、その都度麦の單価は明瞭でありますので、麦の計算によりまして買入れて置くのでありますが、生産者のほうから供出割当事務のほうは別といたしまして買入上いろいろな不便があるという点は、どういう関係でありますか、はつきり了解できないのでありますが、買入の実情におきましては、麦の俵なら俵別のそれぞれの品物に応じた計算と買入方法でやつておるわけであります。
  100. 三好始

    三好始君 今の問題はだんだん聞いて見ましたところ、米石で割当があつたものを麦に換算して供出しなければいけない。供出数量の点で非常に煩雑さがあるということをしばしば訴えられておるのであります。価格の点ははつきりしておるのか知りませんが、とにかく供出数量の点で非常に煩雑さがあるということを私しばしば言われておるのでありますが、そういう点はどうなつておるのですか。
  101. 松岡亮

    説明員(松岡亮君) その点は実は中央においても若干米石に換算してやります結果、多少の不便がないわけではないのであります。現在の需給計画、これは国全体の需給計画におきましても、各県の消費或いはその他の計算におきましても一応玄米石の計算が行われておりますので、そういつた関係から申しまして、玄米石による割当が行われているのでありますが、こういう不便はできるだけ排除するようにしたほうがよいとは考えております。なかなか総体として非常な厖大な計数になります。なかなか簡單には参らないかと思います。
  102. 三好始

    三好始君 今の問題は、末端の農家、個々の農家にまで煩雑な方法を強制しないで済むように、事務的に更に御検討頂きたい、こういうことを希望申上げて置きます。
  103. 土屋俊三

    ○土屋俊三君 輸送費において前年度よりも七億円本年度は減つた、そういうように承わつております。これは従来私の承知している範囲においては、農林省では供出の場合一本建において全国プールで以て日通と契約しておられます。前年度は一俵五十六円、本年は安く契約しようという考えから、この差額ができたのでありますか。
  104. 松岡亮

    説明員(松岡亮君) 先ほど本年度においてすでに若干單価を引下げたと申上げたのでありますが、大体今日の單価を以て来年度分も実施したいという考えでおるのであります。運搬費におきましてはいろいろございますが、大きなものは内国食糧につきまして日本通運に委託運送をしておる関係であります。その外に輸入食糧の関係で、輸入港の業務関係、つまり船が着いてからこれを陸に掲げて奧地まで運ぶという関係の運送があるのであります。これは一応入札制によつておるのでありますが、最近の実情は、実は特需関係の厖大な港湾業務が加わつておりますので、非常に上る傾向にあるのであります。この関係で若干現在の見積りに無理が来はしないかと実は心配いたしておるのでありますが、大体入札制によつて相当これを抑えて行こうというような考え方をとりまして、ほぼ現状を以て進むという考え方をとつておるのであります。
  105. 土屋俊三

    ○土屋俊三君 港湾においての考え方は、或いは入札する、地方においても従来の形の一本建で日通がやつて行く、今の地方において見るところの輸送費は、現在行われている公定価格より高い、これよりもつと安くできるのではないかこういつたようなことが一般の声であります。政府においてもこの点若干重きを置かれたと思いますが、尚且つこの予算は低いと思いますか……。
  106. 松岡亮

    説明員(松岡亮君) 日通に対する委託運送でありまするが、これは地方のほうでは現在は入札によつて他のものの参加を認める制度をとつておるのでありますが、全国的な一貫運送等になりますると、結局日通に委託運送をやつたほうがむしろ安く上るという面もあるのであります。尚いろいろな運賃の單価の計算におきまして、従来、例えば二十四年度頃まではマル公を基礎として計算しておりましたが、今日においては必ずしもマル公によらず、節約できるものはマル公以下にでもいたして、運賃を決定いたしております。
  107. 土屋俊三

    ○土屋俊三君 いや、それが日通が全国一本建であると、それ以上に支抑わなければならん場所もありましよう、プール計算で……。併し全体を見る上において日通はどういう動き方をするか、その生産県においての米の運び方は最も都合のいい場所、極端に言えば倉庫が鉄道の駅の近くにあるものを運んでいて、あと在の、非常に遠くにあるものは県の操作に託しているというのが実情であります。国家もその点に十分思いをいたされて、国庫員支出を十分制限されなければならんと思います。  次に保管料についてであります。先程本年の保管料は、前年よりも十四億か、幾らだか多くなる、こういうように承わりましたが、これは常に保管して置く数量が余計だという見通しが、保管料の価格の單価を引上げるというような意味からこういう差額ができたのですか。
  108. 松岡亮

    説明員(松岡亮君) 保管数量は、絶対的には先ほど申上げましたように、需給計画がほぼ本年度と同様な状況でありますが、実際においては保管期間が多少ずつ延びつつあるのであります。これは手持数量が、毎月の数字が従来よりも幾らかずつ殖えつつある結果であります。尚單価におきましても、保管料率の基礎になりまする集荷率が、米価の改訂等により幾分上る結果となるのであります。單価の点におきまして増額が必要となつて来るのであります。
  109. 土屋俊三

    ○土屋俊三君 單価のほうが、今或る期間を、或いは何期というようなものを、期間を幾らか殖やしたというような意味から殖えたという意味になるのですか。
  110. 松岡亮

    説明員(松岡亮君) それもございます。
  111. 土屋俊三

    ○土屋俊三君 そうですか。次に食管特別会計においてやはり操作される金額、これは配給機構が変つて、民営に切替えられるというような段階になつております。明年の三月三十一日かに食糧配給公団がなくなり、今すでにこの間においてのマージン関係のものがどういう工合にこの食管特別会計で賄われているか。小売のマージンは幾らでおきめになつているか。卸の部分についてどういう工合にしてお定めになつているんですか。
  112. 松岡亮

    説明員(松岡亮君) 食糧配給機構の民営切替によりまする結果として卸、小売のマージンはどうなるかというお話でありまするが、これは直接には食管特別会計に含まれないものであります。従つて只今御説明申上げました予算の範囲外でございます。この面につきましては、実は私から申上げるよりも別に担当のかたから聞いて頂いたほもがよくはないかと思います。
  113. 土屋俊三

    ○土屋俊三君 どなたか見えておりますか。
  114. 岡田宗司

    委員長岡田宗司君) 今日は見えておらんと思います。これは重大な問題でして、切替から来る無駄があるし、金融の問題があるし、これは一遍よく御説明を伺つたほうがいいかと思いますが、今日は……。
  115. 土屋俊三

    ○土屋俊三君 尚もう一つ、先ほど三好委員からも、この割当は石数によつて供出の割当をする。だが生産者が出す場合においての検査は、キロで検査をされております。ここに今年の米の出来、不出来によつて生産者が枡目で出したほうが得だという場合、それは出来の惡い場合はそうであります。出来のよいときには田で乾燥も十分でき、豊富にできた場合にはキロで出した方がよろしい、この供出制度において石数で出してキロで検査をする、農民に利害得失を検査の面において現わして置くということは、これは改むべきものだと思うのですが……。
  116. 松岡亮

    説明員(松岡亮君) 検査の際の基準になる数量を、重量にするか枡目にするかという問題は、今日ではキロ当りの重量で計算せられるのが当然であろうかと思うのであります。その年の作柄によつて枡目の方がよい場合と、キロ重量の方がよい場合、これは当然出て来るかと考えるのであります。それは又別途の方法で考えられるべき問題であります。但しま米石による割当と、キロ重量による買入との間の多少の矛盾がある点につきましては、只今伺いました程度のことを伝えて置きたいと思います。
  117. 飯島連次郎

    ○飯島連次郎君 輸入食糧についての本年度の今までの経過と、それから今後の大体の経過を一つ
  118. 岡田宗司

    委員長岡田宗司君) ちよつと速記を止めて下さい。    〔速記中止〕
  119. 岡田宗司

    委員長岡田宗司君) 速記を始めて。
  120. 土屋俊三

    ○土屋俊三君 食糧庁では米、雑穀など……、大豆だけが解除になつていなくて、その他の雑穀は六月に皆解除になつておりますが、この方針を堅持してそのまま現在なされておるのですか。
  121. 松岡亮

    説明員(松岡亮君) 大豆は現在においては油糧配給公団が取扱つて統制いたしております。来年度は一応油糧配給公団も廃止し、取扱も食糧管理特別会計においても一般雑穀と同じく取扱わないという考え方で、予算の編成はいたしておりまするが、大豆の取扱は荷研究中でありまして……。
  122. 土屋俊三

    ○土屋俊三君 それは大豆は解除はしないで、外のものは解除になつた現況でありますか。
  123. 松岡亮

    説明員(松岡亮君) そうであります。
  124. 岡田宗司

    委員長岡田宗司君) 先ほど土屋さんの言われたあの日本通運との運賃の契約ですが、現在日本通運の地位は独占的な地位でありまして、そうして日本通運の利益は相当厖大なものであり、隠されている利益は相当多いということが言われておるのですが、恐らく食糧庁と日通との運賃契約については、相当これは考慮して下げるように努力して頂かなければならんかと思います。それは今の日通の状態からいえば、下げても尚且つ十分の利益が出る状態であつて、独占的なああいうやり方は今後やめて貰わなきやならんと考えておる。一つ新しい契約をいつ取りきめられるか私知りませんが、その新しい契約については、何かそういう点で強力なる措置を講ぜられたい。そうでないとこれは又米価審議会でも問題になり、或いは又国会でも問題になるというようなことが起るかとも思うので、そこは一つよくお考え置きを願いたい。
  125. 松岡亮

    説明員(松岡亮君) 只今委員長から運賃のうち、特に日本通運に対する契約を今後も大いに注意するようにというお言葉があつたのでありまするが、従来におきましても大分この問題が各方面から御指摘がありましたので、非常に注意して参つたのでありますが、尚経済調査庁その他の方面においてもいろいろ監査を加えられまして、この問題を検討して頂いたのでありますが、食糧庁といたしましても、先ほども申上げましたように、本年度においても契約單価を若干引下げまして、尚今後もそういたしますように特に注意いたしておる状況であります。只今の委員長の御言葉はよく今後におきましても我々の日通との契約の上に反映するように努力いたしたいと考えております。
  126. 三好始

    三好始君 一つだけ。麦類の対米市価の引下げを予定しておるわけでありますが、その理由として挙げておるところによりますと、配給辞退が麦類、外米等に集中しておるというような点があるのでありますが、一方食糧管理方式として、米麦の統制は現行通りの強度を以て行われるように考えておるのでありますが、むしろ配給辞退の実情なり、世界の食糧情勢の推移が、若し朝鮮問題が更に発展するというようなことでもなければ、つまり従来辿つて来たような状態で進んで行くものとすれば、来年産の麦はともかくとして、二十七年産の麦あたりから供出制度が撤廃されるのではなかろうかという見通しもあり得ると思いますが、この辺についてどういうお考えなつておりますか。
  127. 松岡亮

    説明員(松岡亮君) この予算を編成して現在までやつておるのでありまするが、来年度の見通しについては、相当まだ未確定と申しますか、推定をする上にいろいろな点で困難があるのであります。予算の編成の面におきましては一応現状の米麦の統制を行なつて、但し事前割当を行わない。もう一つは、麦製品はフリー・クーポン制によつてこれを配給する。いろいろ配給辞退の原因もございますが、これはやはり各個人の嗜好とか、或いは單価関係とか、そういうようなものがいろいろと原因となつておるのでありまして、フリー・クーポン制を実施することによつてこれらの問題は相当に解決し得るのじやないかと思つております。それから対米比価におきましても、やはり配給辞退の一つの大きな原因になつておりますが、漸次米の輸入も可能になつておりますし、又戰前の米と麦との価格の関係から申しましても、現状の比率は多少高過ぎるような感じもいたしまするので、一応予算上は、統制の方式においては、米麦は来年度も大体供出関係においては事前割当をやらないという点を除いては、配給の関係においてはフリー・クーポン制をやりますのは、やはり二・七合べースの枠内で配給する。それに比べまして若干対米価比率を引下げるという考え方をとつたのであります。
  128. 岡田宗司

    委員長岡田宗司君) よろしいですか。それでは食糧庁関係予算に対する質疑はこれで終えまして、次に林野庁関係予算についての御説明を願います。
  129. 大坪藤市

    説明員(大坪藤市君) 林野庁関係の二十六年度予算につきまして御説明を申上げます。  林野庁関係予算といたしましては一般会計の分と、その外に特別会計が二つあるのであります。一つは、森林火災保険特別会計であり、もう一つは国有林の特別会計であります。  一般会計から先ず申上げますが、林野庁の分といたしまして、一般会計の中にいわゆる一般的な行政的なものと、それから御承知のように公共事業費と二つに分れておるのでございます。先ず一般会計の中の一般行政費の分でありますが、これにつきましては、前年度総計いたしまして十八億六千万円でありましたが、今年度におきましては十三億四千百万円、約五億一千万円ほど減に相成つておるのであります。これが減になりました主な原因といたしましては、御承知のように炭薪の特別会計整理のための予算が、二十五年度におきましては五億円見当計上されておりましたが、本年度末を以ちまして炭薪の特別会計整理関係の事務が殆んど済みになりまして、あとは全部大蔵省に引継ぐというような関係からいたしまして、五億円の予算関係が、約人員三名を残して置くに止まる経費に削減を見ても差支ないというような状況になつたの一つ、であります。それからもう一つは、証券造林関係でありますが、これは造林の形態が変りまして、証券造林関係予算は二十六年度におきましては一億三千万円見当でよろしい、手入関係だけの予算でよろしくなりまして、この関係で約一億五千万円ほど減に相成りますので、合計六億五千万円見当のものが不用になつた、かようなかつこうに相成つておるのであります。従いまして総計の面におきましては五億三千万円ほど減になつておりまするが、実質的に考えますと約八千万円見当のものが増加しておるというようなことに相成つておるわけであります。これを項目的に見てみますと、資料の八十七、林野庁一般行政に必要な経費、これは林野行政をやつて行きまするための調査でありますとか、それに伴う人件費でありますとか、そういうような経費でありまして、いろいろのものをまとめまして林野庁一般行政に必要な経費として計上いたしておるのであります。これが来年度におきまして計上されておるのであります。これは殆んど前年と大した異同はないのであります。  次に八十八号でありまするが、これは有益鳥獣保護利用に必要な経費であるのであります。これも殆んど前年度と大した増減はないのであります。  次に八十九号でありまするが、林業を改良いたしまする場合に試験所で研究いたしましたいろいろな試験研究の結果を、速かに森林の所有者或いは団体にこれを知らせまして、林業技術の普及改良を図つて行く必要があると考えるのであります。そのために、丁度農業方面農業技術改良普及員を設置しておりますと同じように、林業におきましても林業の改良普及の技術員を設置するということに前年度より決定いたしまして、本年度もその経費を計上いたしておるのであります。この技術負は専門技術員と地区技術員と両方に分れておるのでありまして、人員その他におきましては前年の通りと、かようなかつこうに相成つておるのであります。多少事務費その他の関係におきまして六百万円見当のものが増加なつておるということに止まると思うのであります。  次に九十号でありまするが、これは新規の経費であるのであります。本年の二月二十五日でありましたか、司令部方面よりステートメントが参りまして、現在森林法の中にありまする森林組合を速かに改組をして、そうして森林協同組合的なものと、それから森林会のようなもの、つまり経済的な事業を行う団体、それから経済的な事業を全然行わないで、森林に関する公益的な事業だけをやる、森林会みたいなものとに分割をするようにというステートメントが参つたのであります。これらに伴う法律を速かに提出しろというようなステートメントが参つたのでありまするが、その後いろいろと研究いたしました結果、経費を賦課し且つ政府から補助金が殆んど交付されないような森林会的なものは、強制的であつてもなかなか設立並びに維持が困難であろう、従いましてその構想をやめまして、協同組合的なもの一本にまとめるということにつきまして、現在司令部と折衝中でありまして、恐らくその線で司令部の方からもうOKが来ると思うのであります。従いまして来たるべき通常国会に森林協同組合法というような新しい法律を提出する段取りになつておりまして、現在それが立案中であるのでありまするが、森林組合を改組いたしまして、森林協同組合を来年度におきまして設立します関係上、新規の予算といたしまして千三百六十五万円ほど計上いたしておるのであります。勿論当初私の方から大蔵省の方に要求いたしました経費は、もつとこれよりも多いのでありますが、大蔵省といたしましては千三百六十五万円ほど承認されたのであります。これは法律普及に必要な道府県の専任職員百八十四名分と、それから普及宣伝費、或いは森林協同組合の設立に関しまする指導監督、そういうような経費であるのであります。  次は九十一号の保安林強化事業に必要な経費であるのでありまするが、これは前年度と殆んど金額におきましては増減はないのであります。現在二百五十万町歩見当の保安林があるのでありまするが、これが非常に管理が不十分でありまして、そのために保安林であるかないかというようなことが非常に不明瞭になつておりますので、標柱の雑設その他必要な経費を計上いたしまして、都道府県に保安林の強化事業をやらせようという経費であるのであります。  次に九十二号、民有林森林計画に必要な経費でありまするが、これは非常に林野庁といたしましては重要な経費一つであります。前年度におきましては、これはいわゆる施業案編成に必要な経費として計上されておつたのでありますが、本年度は民有林森林計画に必要な経費というようなふうにして名称を変更したというようなかつこうになつておるのでございます。御承知のように昭和十四年以来森林法の改正と同時に、民有林につきまして施業案を編成し、それによつて森林の所有者に森林の経営をして頂くようにお願いしておつたのでありますが、戰争の特別の要求、或いは終戰後の経済上の変動、そういうような事情によりましてなかなか民有林の施業を施業案通り遂行するということが、実際問題として不可能であつたのでありまして、勿論大部分の面積につきましては、施業案は現実に編成されましたが、それが実行はなかなか思う通りに行かなかつたという実情にあつたのでございます。この点を関係方面が強く指摘されまして、先ほど申上げました二月二十五日のステートメントのうちに、政府は速かに森林計画を樹立してそれを実行しなければならない。そのために国家的な計画と、それから地方的な計画とでは、国家的な計画は国家みずからがやり、地方的な計画は都道府県にやらしむというようなステートメントの建前になつておるのであります。金額といたしましては、去年四億五千万円でありまして、今年が四億七千万円でありますから、増加いたしましたのは二千万円見当にしかなつておりませんが、これは後ほど申上げまするが、計画をはつきりと立ててそれを実行して参りたい。従いまして現在の森林法の第九條から十一條関係を、大体森林法の改正として来国会に提出するという予定なつておりますが、それを裏打ちするこれが補助金ということに相成るのであります。  次に第九十三号でありますが、これも新規の予算であるのであります。先般の臨時国会におきまして造林臨時措置法という法律を制定して頂きましたが、この法律は御審議を願いました通り伐採跡地その他未立木地でありまして、造林を必要とする所を知事が指定して、先ず所有者に造林の機会を與える。所有者が止むを得ざる事由によりまして造林をしない場合には、知事が指定する他の者が代つてこれを行うという法令がありますが、これを運用いたしますために新しく千四百万円ほどの予算を計上することになりました。又これは五月の一日でありましたか施行になりましたので、本年度経費につきましては予備金を以て支出するというようなかつこうになつておりますから、ここにはまだはつきりと現われていないというようなことになつております。  次、第九十四号、造林資金融通に必要な経費であります。これは三百万円であります。本年度におきまして約一千万円の造林資金を見返資金から頂きまして、造林をしようとする人に融通をするということに相成つておりますが、造林資金は極めて低利資金であることを必要といたしますので、見返資金のほうからは七分五厘で借りる。ところが森林造林者にはそれを四分五厘で貸す。かようなかつこうに改めまして、その差額の三分のものは国が負担をする、かようなかつこうに相成つておるのであります。丁度一千万円分の三分に相当する金額の三百万円を来年必要とする。こういうようなかつこうになつております。これも全然新規の予算であるのであります。  次に第九十五号でありまするが、森林資源造成法に基きまして、証券造林をやるために必要な経費でありまして、前年におきましては二億八千万円でありましたが、先ほども申上げましたように新値の分は二十六年度にはやりませんので、一億三千万円の金額に相成つた。而も二十七年度以降はこの予算は消滅するというようなかつこうに相成つておるのであります。  次に九十六番の森林害虫防除に必要な経費でありますが、これも前年度と殆んど経費におきましては増減はないのであります。主に松くい虫、それに北海道の野鼠その他の害虫の防除のため必要な経費として要求しておるのであります。  次に第九十七番でありまするが、この費目の一億三千六百万円見当のものは、公共事業を遂行いたしまするために必要な事務費であるのであります。造林、治山並びに林道をやつて行きまするために、中央並びに道府県の事務費を、普通の行政費の中から計上いたして行く。これにつきましては来年度におきましては、公共事業費そのものが相当多く認められる予定でありまするので、事務費の分につきましても二千万円ほど増額になつておる。かようなかつこうに相成つておるのであります。  次に第九十八番の林業試験場に必要な経費でありまするが、これは根室にありまする林業の試験場並びに各地に散在しておりまする六分場の経費であるのでありまして、三千万円の増額を認められております。これは主な理由といたしましては、科学部門を新たに設置する、そういうようなために増額を認められたのであります。以上で一般行政費的なものは終るわけでありまするが、先ほど申上げましたように実質的には八千万円見当が増額されている、かようなかつこうに相成つております。  次にこれは特別会計なつて参るのでありまするが、森林火災保險事業に要する経費が七千八百万円ということになつておるのでありまして、現在四十七万町歩見当の森林火災保險にかかつておる面積があるのでありますが、最近割合に森林火災保險の成績はいいのでありまして、来年度におきましては二千万円を收支とも増額しなければならないというような事情に相成つているわけであります。  次に国有林の特別会計でありまするが、国有林の二十六年度におきまする歳入歳出予定額は百四十三億九千六百万円でありまして、前年度の百五十一億円に比べますと、約六億万円見当の減ということになつているのであります。これが主に減になりました事情は、民有林のみならず、国有林におきましても戰時中並びに戰後、木材の需要が旺盛でありましたために相当過伐をいたしているのであります。従いましてこの状態をいつまでも継続いたしますことは、国有林自体の経営からいたしましても、或いは森林資源の将来の見通しからいたしましても非常に困つた状態を惹起しますので、伐採量を前年度よりも引下げる。できるだけ標準伐採量に近付けるという趣旨の下に、約前年度よりも六百万石程度の立木竹の伐採を減少せしめるということが主な原因であるのであります。従いまして歳出の面におきましては、管理費というものが減つて参る代りに、歳入におきましては、立木竹の拂下というものがそれだけ減になつて参ります。こういう計算から来ているのであります。見返資金特別会計よりの繰入は、前年度通り三十億円を見込んでいるのでありまして、これにつきましては大蔵当局に大体の了解を得ているのであります。見近資金を主に林道、造林、治山、そういつた方面の建設的な事業に使用するということに相成つているのであります。  以上簡單でありまするが、三つの特別会計の部門の御説明をいたしました。  公共事業費関係の経過並びに現在の状況は造林課長より説明をいたします。
  130. 武藤博忠

    説明員(武藤博忠君) 林野庁関係の公共事業を簡單に御説明申上げます。  林野庁関係の公共事業と申しますのは、その内容は、御承知のごとく、造林、治山、林道と、こう三つになつております。この公共事業費予算は、いろいろと紆余曲折いたしまして、経済安定本部の千三百五十億円案、又は千五百億円案、これに伴いまして大蔵省の千二十億円案、それが更に殖えまして、千六十億円案と、かようにいろいろに変化しましてその時々に作りました印刷によつて数字が違つておりますので、御覽なさるのにも見にくいことと思いまして、当初林野庁といたしまして要求いたしました額、つまり我我五ケ年計画とか、十年計画とかいう案を持つておりまするので、それによりまする二十六年度分を要求いたしたのであります。その数字と、現在実はこれは災害関係で最後的決定はしておらないのでありますが、現在大体これできまるだろうという数字がございます。この二つを対象といたしまして極く簡單にわかり易いように用意して参りましたものですから……、委員長それをお配りしてよろしうございますか。
  131. 岡田宗司

    委員長岡田宗司君) どうぞ。
  132. 武藤博忠

    説明員(武藤博忠君) 只今お配りいたしました第三頁の一番下を見て頂きますと、初めに謄写版で刷りました黒い数字が当初の要求額で、赤いペンで直しましたのが現在ほぼこの辺できまるじやないかという数字であります。それは第三頁の一番下の欄の計という数字を見て頂きますと百九十四億何がし、これが当初の数字であります。これがその赤い数字の七十一億六千九百万円、この辺で決定しそうな数字でございます。  それで第一頁に戻りまして、最初の造林事業でございます。これは当初八十四億円というものを要求いたしたのであります。昨年の数字が十八億円、それで現在赤い数字の約二十五億円、これで決定しそうなことになつております。これは昨年が十八億円に対しまして八十四億と大変な開きがあるのであります。この理由は、従来造林事業というものは非常に補助率も單価も低くて、なかなか造林の補助金は地方でも貰いたがらないという、こういう情勢がございましたので、今年は且つ非補助率を上げて貰いたい、こういう意味から大きな数字になつたのであります。補助率の増加は認められませんでした結果、八十四億から見ますと、大幅に下つたのでありますが、昨年度の十八億に比べますと、面積において増加いたしました結果、二十五億円、かようなことになつております。  それから一頁の中段ぐらいの官行造林であります。これは当初四億九千万円というものに対しまして、二億四千万円というのが認められております。昨年度が一億七千万円になつております。  その次の第二頁の治山事業でございます。これは当初七十八億円要求いたしておりまして、それがほぼ三十三億円という線できまりそうになつております。これも昨年度、二十五年度の十四億円に比べますと、非常な増加を来たしております。尚治山事業の大要は、崩壊地復旧、荒廃防止、海岸砂防、災害防止林、雪崩防止林、水害防備林、水源林造成、保安林改良という内訳に分れております。  それから第三頁の中頃でございます。林道の事業でございますが、これは非常に奧地林開発その他から林野庁としては熱望する経費でございまして、又地方庁のほうからも非常に熱望される経費でございまして、昨年度の五億五千万円に対しまして、二十六億という数字を出したのでございます。これが御覽の通り九億七千万円になつております。それからここで特に注意されますのは、林道を二つに分けまして、民有林開発林道、奧地開発林道と二つに分けております。国有林開発の分の林道は、数量も昨年と殆んど変りはございません。ちよつと殖えただけでございます。奧地林のほうで特に必要と認められまして、大体昨年度の倍という数字を挙げております。これが一般の公共事業でございます。  あとの災害のほうはまだきまつておりません、ただ上半期の分、八月までの災害に対しまして、本年度の災害予備金の五十億円が支出されておるんでありますが、この五十億円のうち、山林関係といたしまして四億六千九百万円、これが山林関係として認められております。その後のキテイやジエーン台風以後のものにつきましては未だ決定しておりません。  簡單でございましたが一応説明を終る次第であります。
  133. 岡田宗司

    委員長岡田宗司君) 林野庁関係予算説明が終わりましたのですが、質疑をお願いいたします。  河井君は委員外議員でありますが、発言を許可することに御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  134. 岡田宗司

    委員長岡田宗司君) 河井君。
  135. 河井彌八

    ○委員外議員(河井彌八君) ちよつと、林野関係ばかりではありませんが、旅費ですね……旅費というものは、一体すべての公務員の出張の旅費というものは相当見積つてあるそうですが、私実際に地方にいて地方生活をしておりますと、中央から出て来た人が旅費を拂つていないものがたくさんあるのですが、これは頗る綱紀の問題にもなる。これは一般に各委員会でこの問題を検討して、正しい旅費が本当に使われるようにして欲しいということを申したいのです。これは中央でも県庁でもそうなんですが、役人の信用が地に落ちておるのですね。その点から見ると、そういうような事実もありますので、これは無論旅費は皆予算には編成されておりませんが、そういうようなものはまあ林野庁にはないと思いますが、一つそういう点について強い要求を出して置きます。
  136. 岡田宗司

    委員長岡田宗司君) 何ですか、この朝鮮事変以降木材の値上りがありますね、そうしますと恐らく拂下価格も来年度においては相当上るでしよう。そうするとこの特別会計においては、まあ売渡の石数は減るけれども、価格においては更に上昇する、こういうことは見込まれんですか。
  137. 大坪藤市

    説明員(大坪藤市君) それは以前には公定価格でしたが、今は大部分が入札制になつておりますので、材木の価格が値上りすれば当然收入も増になると思います。それは再来年に繰越すと申しますか、余裕を持つて来ることになると思います。
  138. 岡田宗司

    委員長岡田宗司君) そうすると、そういう場合の一般会計への繰入はどうなのですか。
  139. 大坪藤市

    説明員(大坪藤市君) 結局補正予算で組直しで一般会計に繰入れるということになりますが、当面の問題といたしましては、国有林内の林道にいたしましても、或いは造林にいたしましても、まだ十分にきまつておりませんので、果してそういうものを一般会計に剩余金として繰入れるかどうかということは、そのときの情勢によつてきまるものであると考えられますが、まあこういうふうに考えております。
  140. 岡田宗司

    委員長岡田宗司君) いや、そういう場合に余計な收入を必ず繰入れなければならんということはないわけですね。そうすればやはり私共の希望としては、造林なり林道の開発をするのに是非余計使つて貰いたい。これは来年度は恐らく相当見込まれるのではないかというふうに私は考えております。  それから朝鮮事変における木材の需要量の増加、現在特需関係のほうでも木材の需要が多い、それから朝鮮の今後の復興に相当木材の需要が増加するであろう、これをまあ距離の関係その他の関係から日本から持つて行くという場合に、内地の需給関係も崩れるし、又伐採の計画かそのため相当崩れて、日本の林業の政策全体の上に大きな支障を来たす虞れなしとしないと私は見ておるのですが、日本における平常的な伐採量を超過する部分が起らないように司令部方面と十分折衝してそうして何といいますか、できるだけ向うから持つて来て貰うようにしたほうがいいですね。若しできればフイリツピンその他から持つて来て貰うように御努力願いたいと思います。
  141. 大坪藤市

    説明員(大坪藤市君) その点は、木材も木炭のほうも、価格の関係その他で朝鮮方面に出しますれば、特に木炭などは非常に有利な関係にありますので、非常にその希望が多いのでございますが、この間も何回も例がありますが、その関係者が司令部のほうに行きましてそういうことを交渉するのでありますが、併し絶対に関係万両は許さないというのが実情であります。と申しますのは、私共といたしましては、特定の地の特定の数量であるならば場合によつては差支ないけれども、というような考えも持つておりますが、関係方面におきまして、日本全体が木材を現に過伐し過ぎておる、従つてどの地域といわず、日本国内から朝鮮に持つて行くということは、それだけ日本全体の計画に穴を明け、且つその分だけ余計伐採をするということになるので絶対に相かなわんというのが向うのほうの方針であります。これも一般的な問題になりますが、従いまして関係方面では植伐が均衡を得るということが一番大切だ、来年度から森林の計画を強固に作つて、そうしてそれについて造林の命令、伐採の調整等をやつて行く、こういうようなことを考えておるのでありまして、現在のところ、只今の委員長のお話にありましたような御心配は今のところ絶対にないと言つて差支ないと思います。勿論今後の世界情勢が非常に変化いたします場合には、これは或る程度止むを得ないというような事態が起きて来るかも知れませんが、現在までのところはそういうことは殆んど心配ないと言つて差支ないと思います。
  142. 岡田宗司

    委員長岡田宗司君) それから陳情が来ておるのですが、そのうち森林火災警防対策に関する陳情なんですが、これはまあ例えば国土緑化推進委員会、幣原さんが委員長なつておられるのですが、そこから要望があるのですが、森林火災が年平均二千件近くある、四万町歩以上燒失しておる、それでそのために政府で予防施設、消防施設、警防思想の普及対策を講じて貰いたいという陳情があるのですが、これは火災が起るということは非常に勿体ないし、最近非常に多いようでありますから、これについて特に政府として何らかの措置が講ぜられておるかどうか。今度の、二十六年度予算の中にそういう問題について特別な措置を講ぜられておるかどうか、それを一つお伺いいたしたいと思います。
  143. 武藤博忠

    説明員(武藤博忠君) 森林火災警防予算につきましては、これは昭和の初め以来、山林局といたしまして要望して参つた経費なのでありますが、これはただ一度昭和三年に森林火災警防予算が議会の御協賛を頂きまして通つたことはあるのであります。それが丁度政友会内閣から民政党内閣に移りまして、予算が潰れて実行予算なつた年があるのであります。その時この予算は通つてつたのでありますが、実行予算のために削られまして、それ以来毎年出しましたが、これはものにならなかつたのであります。本年度は特に構想を変えまして、十分資料を整えまして折衝いたしました結果、大蔵省の最後の査定の時まで持込まれたのでありますが、四千三百四十七万二千円という経費一般会計におきまして要求いたしました。非常に各方面から御援助頂いたのでありますが、一応大蔵省のほうで、全額削除されまして、林野庁といたしましては全額復活要求をいたしましたのですが、これも遂にものにならずに零になりました。従いまして本年度といたしましては、まだ森林火災につきましては何らの予算を持たないのでございます。
  144. 三好始

    三好始君 一つだけお尋ねいたします。林業全体から見れば或いは小さい問題かもわかりませんが、生松脂の採取を指導し、促進するということは今の輸入情況から考えましても、又日本の林業全体から言つて相当余地があるじやないかという立場から考えても、予算の上でも取上げて行かなければいけない。こういうふうに思うのであります。この問題は、第八国会で国会法七十四條に基く質問書も出した問題なのでありますが、林野庁としてどういうふうにお考えなのでしようか。
  145. 武藤博忠

    説明員(武藤博忠君) 松脂の採取は、これは昭和十四年頃におきましては、国産僅かに全需要量の一割ということになつておりまして、ただ生松脂の場合、無念なことに日本のものが品質が惡くて、而も値段が高い、こういうことだと存ずるのでありますが、これが太平洋戰争が幸い松脂の採取には幸いいたしまして、輸入品が全く跡絶えました関係上、国産松脂の採取が非常に起りまして、現在では約三分の一が国産で取られることになつております。一方輸入品につきましては、五%の関税を掛けるように通産省、大蔵省のほうとも折衝いたしまして、関税において松脂の採種を保護して行こうじやないか。これにつきまして、生松脂の採取に補助金をやるということは、こういう産業補助金と申しますか、そういつたものにつきましてはなかなか認められないような情勢でございますので、我々としては生松脂の採取がアメリカに対しましても劣らないという立派な技術を普及する、そういう方面に向つて行きたい、こういうふうに考えております。それで本年度予算においては計上がございませんけれども、先ほど林政部長から御説明いたしました林業普及指導の中の一端といたしまして、全国に生松脂の採取技術の優良な技術を普及して参りたい、この程度考えております。
  146. 三好始

    三好始君 生松脂の採取技術につきましても、最近相当研究が行われ進歩しておるような点も考えられますので、是非とも技術の普及と、それから採取適地の調査と申しますか、そういつたよう方面で一段の努力をお願いいたしたいと思います。それから先ほどお話のありました品質の惡いという点も精製技術その他が足らんということ、その他今まで品質が惡かつたことは確かなんでありますが、最近できておるものを見ますと、相当品質も向上しておるようなふうにも見受けられますので、三分の二を輸入に待つというような輸入状況は、日本の林業の状態から考えて不自然な現象ではないか、努力すれば自給は十分にできるのではないかというふうに思われるのでありますが、一段の努力をお願いいたしたいと思います。予算の点につきましても、調査であるとか、指導であるとかという点から考えて行きましたならば、必要があるように考えられるし、又計上の途もあるじやないか、補助金というふうな形でなしに政府がやつて行く、この方面指導なり、調査として予算を将来是非とも考えて頂きたいというような気持があるのであります。
  147. 河井彌八

    ○委員外議員(河井彌八君) 予算ちよつと関係ないから伺わなかつたのですが、農地開拓の推進がこの頃は大分合理的になつて来ておるのでありますが、その一番対象となるものは、林業とこの両方の関係は大分解決されて参りましたが、最近ではまだそういう事実、開拓がつまり無理に林業地に食込んで来るというような事実があるように思うのであります。こういうことについての調整を十分やつておられるかどうかということを伺いたい。この間の臨時造林措置法を作るにつきましても、それらの線を定めた節もあつたと思うのでありますが、どうもうまく行つていないところが相当あるじやないかと思うが、これらに対して林野庁の当局としてはどういう手段をとつておるかということを伺いたい。それから更に今後どういうふうに進むであろうということを一つ説明して頂きたいと思います。
  148. 大坪藤市

    説明員(大坪藤市君) 開拓の問題が造林意欲を低下させましたということは、これは顯著な事実であります。従いまして開拓と林業というものを何とか調整しなくちやならないということが非常に大きな問題なのであります。先般先生から今お話がありましたように、造林臨時措置法を制定いたしました一つの狙いは、それを解決する一つの方法とするということにあつたのでありますが、知事が造林地として指定した所は、開拓適地として買收しないということも、その点につきましては明文を以て謳つております。ただ実際問題として、知事が指定をしない伐採跡地、或いは現に樹木の植わつていない所の土地、これにつきましてはまだ法制的な点は未解決であるのであります。元来農林省の最初の構想といたしましては、土地利用審議会というようなもの地域別に作りまして、その審議会によりまして大体山林関係に使用して行く土地、或いは農耕関係に使用して行く土地を大きな面から、総合的な判断からその委員会で決定して貰いまして、その範囲内において開拓をして行く、或いは造林地に指定して行くという、こういうようなつまり構想であつたのでありまするが、そういうような審議会を作るというようなことにつきましては、自作農創設特別措置法を改正する際原案から落ちたのでありまして、従いまして現在のところ、例えて申しますると、伏採跡地或いはそれ以外の林地みたいな所で、早く手続をやつたほうが勝つというような状態に追込まれておりまするので、これは現在のところ、行政的な措置といたしまして、私のほうと農地局、農政局のほうとできるだけ連絡をとりまして、地方において十分そういう点に対して注意をするように再三現地当局に通牒を発しておるわけであります。法制的なそういう措置が、関係方面その他の関係で、土地利用審議会を作つて、その土地の利用審議会においてきまつたところの範囲内において、開拓適地或いは造林適地というようなやり方が使われておるような次第でございまして、行政的な方法によつてそこの調整をやるより仕方がないと、かように考えております。で現地におきましては、具体的には農地部のほうと林務部或いは山林部のほうとよく調整をとつてつて行かざるを得ないというような実情に相成つておるわけであります。
  149. 河井彌八

    ○委員外議員(河井彌八君) 只今の御説明は銘記してもいいようないい御説明でありますが、伴し実際におきまして、地方におきましては農地部と山林部との間の調整が行つていないのに、全く連絡なしに農地部だけでもうきめてしまつて強力に臨むというような実例があるのです。そういうことに対しては、中央ではどうすることもできないかも知れませんが、よくそれらの実情を調査して間違わないようにするというようにして欲しいと思います。もつと大きな観点から申しますと、或る一局部の一団の土地を開拓するというようなことは、その一局部だけを見れば結構でありますが、全体から見れば甚だよろしくないような場所があるので、例えば富士山の西麓において二千町歩若しくは三千町歩の一団地の開拓をやろうというような意見があつてこれは相当進んだのであります。ところが私共が見るとその場所は成るほど荒蕪地のようなもの、或いは森林地、林地でありますからちよつと見るとそのゆるい傾斜、まあ大した傾斜がなくて適当な農耕地になりそうに考えますが、私共は事実はそうでない。というのは、これは富士山は事によると今崩壊期に入つている。あの西南部の山の上から下へ大きな今割れ目が発達しつつある。相当な雨が降りますと、もう大変な土砂が流れて来ておる。そういう場合にこれをどうするかという問題を今考えつつある。そこで結局は砂跡というようなことを、三千メートルの上へ行つて砂防をやることができん、何かいろいろな方法もありましようが、大変なことである。それではどうするかというと、結局林を沢山立てるということの外ないと思うのです。その土地に、その気候に従つて二重にも三重にも林を立てるということの外ないと思うのです。そういうような所もどしどし開拓してしまうと、将来災害が起つたときにおいて、その場所が被害を受けるばかりでなしに、下までずつと行つてしまうという虞れが多分にあると思つて、そういうことを我々は考えておるのです。全体から見て大きな考えでしないと、開拓問題なんかはもうそのとき、その場所の、殊にその土地の人の慾心によつて左右せられるというようなことがあるのです。もつと大きな見地から、これは農林省全体のやはり強い研究を希望するわけであります。一つの例を出して置きます。これで私の質問は終ります。
  150. 飯島連次郎

    ○飯島連次郎君 森林行政の中で、やはり現在並びに将来とも造林という問題が重点だと思うのです。そこでこの予算を拝見しても、そういう面には可なりの御考慮が拂われておるようでありますが、併し民有林に対しては五億近い金を掛けて森林計画を一つ強行しようとするし、それから臨時造林措置法という法律で強いて造林を強行するというのでありますが、肝腎かなめの国有林の造林がまださつぱり進捗しておらない状況が見受けられると思うのです。それに対してまあそういう植林に対する一般の認識が高まつたと申しましようか、最寄りの山村でぜひ一つ木の生えていない国有林に木を植えたいからこれを民有に解放して貰いたいという運動が、私は群馬ですが、利根の上流の山村であるのです。私は今の時勢に対しては非常に真面目な奇特な考え方だと思うのであります。これに対して若しこれが成功を收めるとすれば、この利根の下流の年々大水害を蒙つておる平坦地の人たちの植林に対する協力というものも、これは可なり大きな一つの手初めになりはせんかと考えるのですね。こういう要望に対しては国有林を、つまり植林のために民有に解放するという意図があるかどうか。あるとすれば指導奬励意味でどういう方法をとつたらいいか、その辺を一つお聞きしたい。
  151. 大坪藤市

    説明員(大坪藤市君) 従来国におきましては、施業案というものを編成いたしまして、その計画通り植林のほうも伐採のほうも大体その線に副つて間違いなくやつてつたのでありまするが、戰時中非常な木材需要のため、戰後におきましては経済上の困難のために過伐を国有林におきましても民有林と同様やりました結果、国有林におきましても現在二十数万町歩も未造林地があるのであります。これが対策といたしまして、前年度より見返資金の供給を仰ぎまして、できるだけ速かに造林をいたすよういたしておりますが、他方国有林で民間におきましても臨時造林法で造林するというようなことに相成つておりまするので、一方におきまする国有林解放の要望とも照し合せまして、勿論小団地その他で、国有林として経営する必要のない山林は、一定の基準に合せまして拂下の方法を以てやつておるわけであります。他方同時に部分林という制度があるのであります。従来は官行的な部分林と学行植林というようなものにしか許しておりませんでしたが、先般通牒を改正いたしまして、国有林として造林が困難であり、且つ地元においてそういう要望が強く、尚十分そういう能力のあるというような地帶は、できるだけ民間に部分林として解放するように各営林局に通達をいたしております。丁度今日通牒を持つて来ればよかつたのでありますけれども、部分林という制度で解決したい、かように考えておりますので、そのように一つ御了承願いたいと思います。
  152. 岡田宗司

    委員長岡田宗司君) それではこれを以ちまして農林委員会を閉会いたします。    午後五時四十二分散会  出席者は左の通り。    委員長     岡田 宗司君    委員           池田宇右衞門君            白波瀬米吉君            瀧井治三郎君            土屋 俊三君            門田 定藏君            三輪 貞治君            飯島連次郎君            加賀  操君            三好  始君   委員外議員    内閣委員長   河井 彌八君   説明員    農林省畜産局畜    政課長     家治 清一君    農林省畜産局競    馬部長     井上 綱雄君    農林省畜産局有    畜営農課長   山本兵三郎君    農林省畜産局飼    料課長     酒折 武弘君    農林省畜産局衞    生課勤務    田中 良男君    農林省蚕糸局長 最上 章吉君    農林省蚕糸局技    術改良課長   横山 忠雄君    食糧庁総務部経    理課長     松岡  亮君    林野庁林政部長 大坪 藤市君    林野庁指導部造    林課長     武藤 博忠君